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1962-01-30 第40回国会 参議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年一月三十日(火曜日)    午前十一時二十五分開会   ―――――――――――――    委員異動 十二月二十三日委員泉山三六君辞任に つき、その補欠として温水三郎君を議 長において指名した。 一月十三日委員天坊裕彦辞任につ き、その補欠として井野碩哉君議長 において指名した。 一月二十三日委員徳永正利辞任につ き、その補欠として迫水久常君を議長 において指名した。 一月二十五日委員木島義夫君及び大野 木秀次郎辞任につき、その補欠とし て秋山俊一郎君及び野上進君を議長に おいて指名した。 一月二十六日委員温水三郎辞任につ き、その補欠として加藤武徳君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理事            井川 伊平君            増原 恵吉君            亀田 得治君            大谷 瑩潤君    委員            野上  進君            林田 正治君            加瀬  完君            高田なほ子君            赤松 常子君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君   政府委員    法務大臣官房経    理部長     新谷 正夫君   最高裁判所長官代理者    最高裁判所事務    総長      石田 和外君    最高裁判所事務    総局総務局長  桑原 正憲君    最高裁判所事務    総局総務局第一    課長      長井  澄君    最高裁判所事務    総局経理局長  栗本 一夫君    最高裁判所事務    総局経理局主計    課長      田宮 重男君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務大臣官房秘    書課長     勝尾 鐐三君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (第四十回国会法務省提出予定法律  案に関する件)  (昭和三十七年度法務省関係予算に  関する件)  (昭和三十七年度裁判所関係予算に  関する件)   ―――――――――――――
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告申し上げます。  十二月二十三日付、泉山三六君辞任温水三郎選任、一月十三日付、天坊裕彦辞任井野碩哉君選任、一月二十三日付、徳永正利辞任迫水久常選任、一月二十五日付、木島義夫辞任秋山俊一郎選任大野木秀次郎辞任野上進選任、一月二十六日付、温水三郎辞任加藤武徳選任、以上であります。   ―――――――――――――
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 本日は、検察及び裁判運営等に関する調査中、第四十回国会法務省関係提出予定法律案に関する件、昭和三十七年度法務省関係予算に関する件及び昭和三十七年度裁判所関係予算に関する件を議題といたします。  ただいま出席中の当局側は、新谷経理部長勝尾秘書課長最高裁のほうは桑原総務局長栗本経理局長長井第一課長田宮主計課長であります。  では順次御説明願います。勝尾法務省秘書課長
  4. 勝尾鐐三

    説明員勝尾鐐三君) 本国会法務省提出予定法案として月下準備中のものは、お手元の資料にございますように、全部で十二件ございます。以下順を追いまして、その概要並びに現在までの作業進行状況について御説明申し上げます。  第一は、法務省設置法の一部を改正する法律案でございます。この法律案の第一点は、法務省に置かるべき職員定員増加に関する改正であります。すなわち、設置法十三条の十七の別表の、本省の部分につきまして三百二十五名、その内訳は、内部部局が四、付属機関が四十七、法務局地方支分部局二百五名、検察庁六十九名、合計三百二十五名、公安調査庁の部分について百四人、合計四百二十九人を増加するものでございます。この数字は、定員外職員定員化をも含めての数字でございます。第二点は、川崎入国者収容所名称及び位置を改めることであります。すなわち、現存神奈川川崎市所在の川崎入国者収容所は、周囲が完全に工場地帯となり、保健上その他この種施設の環境として不適当となりましたので、これを廃止し、横浜市に横浜入国者収容所を新設するものであります。第三点は、神戸入国管理事務所広畑出張所名称を姫路港出張所と改めること、広島入国管理事務所尾道出張所位置尾道市」を「広島県御調郡向東町」に改めること、鹿児島入国管理事務所鹿児島空港出張所を新設することであります。第四点は、町村の廃置分合に伴いまして、愛知県にございます豊浦医療少年院位置愛知知多郡豊浜町」を「愛知知多郡南知多町」に改めることであります。この法律案はすでに国会提案済みでございます。  第二は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案であります。この法律案は、判事員数を十五人増加することと、裁判官以外の裁判所職員員数を、裁判所調査官一、裁判所書記官三十二、家庭裁判所調査官三十、その他の職員六十一、合計百二十四人増加することに伴うものであります。この法律案もすでに国会提出済みでございます。  第三は、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案であります。民事訴訟法刑事訴訟法等証人等日当最高限増額しようとするものであります。御承知のように、現行法の第三条では、証人等日当は出頭または取り調べ一度につき三百円以内において裁判所の意見をもって定めることになっております。この額が低きに過ぎることにつきましては、去る国会においても指摘されたところでありまして、国民の司法に対する協力を得るためにもその大幅な増額は当然のことと考えられるのであります。そこで、その額をどれほどにすることが適当であるかといったような問題点について検討中でございますが、二月中旬までには国会提案するように準備を進めております。  第四は、建物区分所有等に関する法律案であります。この法律案は二月中句に国会提案できるように準備を進めております。御承知のように、最近アパートその他の集団住宅等区分所有建物増加しつつありますが、このような区分所有建物法律的規制につきましては民法規定では不十分でありますので、この法律を制定して集団住宅等区分所有関係及び管理等を合理化しようとするもので法律案骨子は、おおむね次のようなものであります。すなわち第一、一棟の難物の一部で、構造上明確に区分され、独立の建物としての効用を有するものは、これを所有権いわゆる区分所有権目的とすることができるものとし、その各所有者、すなわち、各区分所有者共同で使用する建物の他の部分、すなわち共用部分は、原則として区分所有者共有に属するものとすること、第二、各区分所有者は、区分所有権の行使に当たって、共同利益を害しないようにしなければならないものとすること、第三、建物共用部分共有に関し、民法共有に関する規定特則を設け、区分所有者の有する共用部分に対する持ち分は、区分所有権処分に従うものとし、区分所有権と分離して処分することができないものとすること。その他建物共用部分管理等に関する規定を置き、なお区分所有権目的たる建物及び共用部分登記に関しまして不動産登記法所要改正を加えること等でございます。  第五は、裁判所法の一部を改正する法律案であります。裁判所法第五十条に定める年令に達した下級裁判所裁判官定年による退官の時期を一定にしようとするものであります。下級裁判所判事定年に達した場合その補充を円滑ならしめるため、退行の時期を、判事補等から判事への任命資格である在職十年以上の期間の到来と一致させようとするものでありますが、裁判所当局においても検討中のものであります。三月上旬に国会提案すべく準備を進めております。第六は、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案であります。この法律案も三月上川に国会提案すべく準備を進めておりますが、市町村の廃置分合等に伴い、簡易裁判所管轄区域変更整理しようとするものであります。  第七は、商法の一部を改正する法律案であります。株式会社決算期における計算に関する規定その他現行規定中、実際界からその改正を要望されている不備の点について所要改正をしようとするもので、二月下旬に国会提案ができるよう目下法制審議会審議中のものであります。その骨子は、株式会社各種資産の評価、法定準備金利益の配当の限度等に関する規定整備し、これに加えて、従来実際界から改正を要望されております手続関係規定所要改正を加えようとするもので、大部分が技術的なものでございます。  第八は、商法の一部を改正する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案でありますが、これはただいま申し上げました商法の一部改正に伴い、有限会社法その他の関係法律整理しようとするもので、三月上旬に国会提案運びとすべく準備を進めております。  第九は、民法の一部を改正する法律案であります。これは昭和二十三年新民法実施後の実績にかんがみまして、規定解釈疑義があって実務上支障を来たしている諸点を中心として、最少限度改正をしようとするものであります。改正骨子は、第一、危難失跡の場合の失跡期間現行規定民法第三十条)の一「三年」を「一年」に短縮するとともに、死亡とみなす町制を危難の終わった時に改めること。第二は、死亡した数人の死亡の先後が明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定すること。第三は、養子が十五才未満の場合における離縁は、現行規定民法第八百十一条)では、養親養子にかわって縁組の承諾をする権利を有する者との協議ですることとなっているのを、養親離縁後に養子法定代理人となるべき者との協議によってすることに改めること。第四は、後見人解任請求権打検察官を加え、家庭裁判所の職権による後見人解任を認めること。第五は、被相続人の孫以下の直系卑属は、すべて代襲相続によって相続するものとすること。第六は、限定承認または放棄取り消しは、家庭裁判所に申述して行なうものとすること。第七は、相続放棄の場合には、放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなすこと等でございます。なお、以上の改正に伴い、家事審判法等関係法律所要改正を加えることになっております。この法律案は二月中旬に国会に提出すべく、目下法制審議会審議等所要準備を進めております。  第十は、平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止する法律案であります。平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律を廃止し及び法務省設置法関係規定整理しようとするもので、三月上旬に国会提案を予定しております。  第十一は、行政事件訴訟法案であります。現行行政事件訴訟特例法には解釈幾多疑義があるとともに、行政事件訴訟の特質及び各種行政法規との関連についての考慮が十分でないうらみがありますので、その運用の面においても幾多の困難を生じている現状にかんがみまして、これらの疑義、欠陥をできるだけ除去した行政事件訴訟に関する一般法を制定しようとするものであります。第一章総則、第二章抗告訴訟、第三章当事者訴訟、第四章民衆訴訟及び機関訴訟、第五章補則の合計四十五カ条と附則十一条からなっております。その要点を申し上げますと、第一は、行政事件訴訟抗告訴訟当事者訴訟民衆訴訟及び機関訴訟の四種数に分け、さらに抗告訴訟につき処分取り消し訴え裁決取り消し訴え無効等確認訴え及び不作為の違法確認訴えを取り上げ、それぞれについて適用される規定範囲を明確にするものとすること。第二点、訴願前置主義を原則として廃止するものとすること。第三点、処分取り消し訴え原処分を維持した裁決取り消し訴えに関し、前者を中心として両者の関係を明確にするものとすること。第四点、専属管轄制度を廃止するとともに、一般管轄のほかに特例管轄規定を設けるものとすること。第五点、出訴期間につきこれを原則として三カ月とするほか、所要改正を行なうものとすること。第六点、関連請求についての訴えの併合、移送等に関する規定整備するものとすること。第七点、執行停止制度につきその要件等を明確にするとともに、執行停止決定に対する不服申し立てを認めるものとし、執行停止についての内閣総理大臣の異議が国民権利救済を阻害することがないよう政治的責任を明らかにする規定を設けるものとすること。第八点、裁量処分については、裁量権範囲を越え、またはその濫用があった場合に限り取り消すことができるものとすること。第九点、事情判決制度の趣旨を明確にするとともに、終局判決前に中間的裁判をすることができるものとすること。第十点、処分または裁決取り消し判決効力は、第三者にも及ぶものとし、これに関連して、訴訟参加規定整備するとともに、第三者を保護するため、最審の訴えの道を開くものとすること。第十一点、無効等確認訴えは、現存法律関係に関する訴えによって目的を達することができないときに限り、提起することができるものとするとともに、行政処分効力を争点とする私法上の法律関係に関する民事訴訟について所要規定を設けるものとすること。第十二点、その他、当事者適格、被告を誤った場合の救済訴え変更等に関し、現行法令改正し、または新たな規定を設けるものとすること。  以上がこの法案の大要でありますが、二両日中に国会提案運びとなっております。  最後は、行政事件訴訟法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案であります。行政事件訴訟法施行に伴い、従来各種行政法規に不統一多岐規定せられている条項を整理しようとするもので、近いうちに国会提案すべく準備を進めております。  以上申し上げましたのが現在この通常国会に提出することを予定しまして準備を進めております法務省関係法律案でございますが、その事務進行状況は、ただいま御説申し上げましたように、目下法制審議会において審議中のものもございますので、細部の点について二、三変更を見る点があるかもしれませんので、この点御了承をお願いいたしたいと存じます。以上をもちまして、今国会提出予定法案についての説明を終わりたいと存じます。
  5. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいま植木法務大臣出席しておられます。それから最高裁石田事務総長出席しておられます。法務省新谷経理部長
  6. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 法務省関係資料といたしまして差し上げてございますのは、「法務省所管昭和三十七年度歳出予算予定経費要求額内容」と書きました一枚刷りのものと、「昭和三十七年度主要経費予算内訳」という一覧表、さらに「法務省所管昭和三十七年度予算について」という三つのものが差し上げてございます。最後に申し上げました資料に基づきまして内容を御説明申し上げたいと思います。  昭和三十七年度の予定経費要求額は三百六十九億六千九百八万七千円でありまして、これを前年度の当初予算額三百三十一億八千六百七十八万一千円に比較しますと、三十七億八千二百三十万六千円の増額となっております。なお、補正後の予算額三百三十八億二千六百三十六万六千円に比較しますと、三十一億四千二百七十二万一千円の増額でございます。増額分内訳を大別いたしますと、第一は、人件費関係の二十九億四千三百八十六万二千円でございます。第二は、営繕施設費の九千七百六十七万三千円であります。第三は、その他一般事務費としての七億四千七十七万一千円であります。  まず第一の、人件費二十九億四千三百万円の増加でありますが、これは昨年度実施されました公務員給与ベースの改定に伴う所要経費並びに昇給等原資として職員俸給等増額が、その大部分であります。なお、そのほか副検事法務事務官等三百二十四名の増員及び定員外常勤的職員百五名の定員組み入れに伴う所要経費並びに法務局出張所入国管理事務所出張所宿日直手当増額等が含まれております。  人件費関連いたしまして増員三百二十四名の内訳について簡単に申し上げますと、第一に、暴力犯罪対策等治安対策の一環として破壊活動調査機能充実するため、公安調査官八十七名、守衛十六名の計百三名の増員となっております。第二に、公判審理迅速化をはかるため、検察事務十名の増員となっております。審理遅延は、裁判の威信、刑罰効果を減殺し、自救行為を助長し、暴力のはびこる素因ともなっておりますので、かかる事態に対処し、公判準備に万全を期して公判審理迅速化充実化をはかるための増員であります。第三に、交通事件処理機能充実をはかるため、副検事二十名、検察事務官四十名計六十名の増員となっております。これは最近における交通違反事件並びに業務過失致死傷事件の驚異的な激増に伴い検察関係事務負担量が著しく増加しておりますので、この現況に対処し、事件処理充実合理化をはかり、検察体制を強化する必要上、前年度認められました検察事務官二十名の増員に引き続く増員であります。第四に、非行青少年対策を推進強化する目的から前年度認められた百四十名の増員に引き続き四十名の増員となっております。その内容は、少年院補導力を強化するための教官三十名、少年鑑別所における鑑別業務充実をはかるための技官十名でありまして、青少年犯罪の防止及び犯人の改善補導を強力に推進するためのものであります。第五に、法務局におきまして事務官百名の増員となっております。これは法務局主要事務である登記台帳事件が逐年増加し、職員超過勤務による執務強化事務簡素化機械等による能率化をもってしても、事務負担量は限界をこえる現状にあり、このまま推移するときは、事件処理の渋滞のみならず過誤、不正事件誘発等も憂慮されますので、登記事務の迅速、適正化をはかるため前々年度認められた百四十二名、前年度認められた十名の増員に引き続く増員であります。第六に、羽田入国管理事務所事務量増加に伴う入国審査官九名の増員であります。羽田空港における出入国者数は、各航空会社ジェット機使用により飛躍的に上昇しておりますので、これに対処し、適確、迅速な出入国管理業務を遂行するためのものであります。第七に、東京検察合同庁舎管理要員二名の増員があります。これは昨年末竣立いたしました東京検察合同庁舎管理上必要とされる技能職員でございます。  次に一般事務費七億四千万円の増加内容について、御説明申し上げます。  まず全般的に申し述べますと、旅費につきましては、宿泊日当等単価増として一〇%の値上げがあります反面、五%の節約が課せられ、その他の庁費等につきましても三%の節約が課せられましたが、事務長増加に伴う増額積算単価是正矯正収容者処遇改善事務能率器具等備品整備等に伴い増額がなされております。  その内容をおもなる事項について順を追って申し上げてみますと、第一は、所管各組織を通じて、旅費日当等単価是正に伴い千八百九十七万九千円、増員及び定員化に伴う人当初度設備費として千八百八十七万三千円、厚生経費単価が六百円から九百円に是正されたことに伴い手芸百九十二万六千円、自動車維持費について現有台数単価是正されたことに伴い二千百七十三万七千円、光熱水料実績に伴い九百二十一万四千円が増額となっております。  第二は、刑務所作業費の一億五千百五十八万五千円の増額であります。これは刑務所収容者に対し作業を行なわせるに必要な経費でありますが、別荘なお手内職的低格作業に従事する者が多く、職業補導上及び所内の保安上支障を来たしている現状を考慮し、その有用作業への転換をはかるとともに、最近作業量増加しているので、これに要する原材料費購入経費等増額となっております。  第三は、職員待遇是正ないし矯正関係収容者処遇是正に伴う増額で、そのおもな経費について申し上げますと、第一点は、まず法務局職員関係としては、四人庁以下の出張所千五百七十六庁につきまして渡し切り費単価が九千円から一万三千円に是正されたことに伴い四百八十一万円が増額となっております。第二点としまして、入国管理局職員関係といたしまして、入国審査官舟艇要員に対しまして警備艇乗船日当として航海日当食卓料が一州七十円の単価により五十九万一千円が新たに計上され、増額されております。第三点といたしまして、矯正関係収君著につきまして、刑務所作業賞与金支給計算基準の二〇%引き上げに伴い四千六百五十五万四千円の増額となっております。これは収容者勤労意欲を高めるとともに釈放後の更生資金として役立たせることにより、矯正効果を上げるためのものであります。次に収容者食糧費が三千二百五十五万二千円の増額となっております。これは現行菜代単価が低額で所要栄養量を確保しがたいため刑務所菜代単価を一人一日当たり三円増の二十四円五十銭少年院婦人補導院菜代単価を一人一日当たり三円五十銭増の二十八円、少年鑑別所菜代単価を一人一日当たり三円五十銭増額の三十円とすることに要する経費であります。なおこれは一日平均収容人員刑務所七万五千人、少年院一万人、少年鑑別所二千三百人、婦人補導院二百八十人と推定いたしまして前年度に比較して三千六十人の減少となることに伴う食糧費減少額を差し引いた上での増額でございます。また、都道府県警察実費弁償金単価が八十五円から九十五円に是正されたことに伴い千二百二十六万五千円の増額となっております。  第四点といたしまして、保護関係といたしましては、更生保護会充実をはかり収容者の完全な更生を期するため、更生保護会補助金事務費について現行一人一日当たり単価十四円を十五円に改訂するとともに、更生保護会委託費について、食事付宿泊費現行一人一日当たり単価九十一円七十二銭を百二十三円七十八銭に、また宿泊費現行一人一日当たり二十四円八十銭を三十七円七十八銭に、また事務費現行単価、五十六円を六十円にそれぞれ単価是正を行なっております。これに伴う増加分として更生保護会補助金百六十一万一千円、更生保護会委託費千九百五十九万円が増額されております。また保護司実費弁償金につきましては補導費現行単価一件当たり二百三十円を二心六十円に是正することにより三千五百四万七千円が増額されております。これにより保護司活動充実強化し、保護観察効果を上げたいと考えております。  第四は、事務量増加に伴いまして増額されたおもな経費について申し上げます。まず検察費でありますが、検察旅費におきまして千四百六十八万九千円、参考人等旅費におきましては三百十六万円、庁費におきましては千六百五十一万七千円、計三千四百三十六万六千円の増額となっております。  次に登記諸費でありますが、登記登録旅費において五百五十八万三千円、庁費において二千八十九万八千円、計二千六百四十八万一千円の増額となっております。このほか土地改良等特殊事件処理経費が、百九十一万一千円の増額となっております。なお、庁費では土地台帳付属地図補修整備経費が、三百九十二万三千円の増額となっております。  次は訟務費でありますが、訟務旅費で百六十一万八千円、訴訟用印紙類購入費で二百九十一万六千円、保証金で四百万円計八百五十三万四千円の増額となっております。  以上が事務費増加等に伴う増加額のおもなるものであります。  第五は、事務能率器具等整備に伴う増額でありますが、そのおもなものは、矯正関係における護送車蒸気かま等収容施設備品整備に要する経費及び収容施設専用滅菌装置経費並びに収容事務能率化をはかるため複写機、テレフォン、金庫、ロッカー等整備経費として合計三千五百四十九万三千円が増額されており、また法務局におきまして、登記、台帳事務処理の機械化、能率化をはかるためスクーター、加算機、特殊印版等の整備に要する経費及び戸籍副本のマイクロ化による保管等に要する経費が、四百七十四万六千円の増額となっております。  以上が一般事務費増額となったおもなるものでありますが、このほか三十七年度予算におきまして新規に予算が計上された次のような準項についての経費増加分がございます。その一は、三十七年度は外国人登録法に基づく在日外国人の発録証明書の大量切りかえを行なう年度に当たりますのでそれに要する処理経費として計上された八下四百六万五千円であります。その二は、本年七月に実施を予定されている参議院議員の選挙の公正を期するため、検察経費として計上された六千五百七十一万七千円であります。その三は、本年五月、東京において開催を予定されている「家族法における婦人の地位」に関するアジア地域セミナーを国際連合に協力して行なう運営経費として計上された二百四十万四千円であります。その四は、「建物の区分所有に関する法律」の施行の暁は、現行登記簿より区分所有に関する登記を移記する必要がありますので、その処理経費として計上された百九十一万六千円であります。  最後営繕施設費の九千七百六十七万三千円の増額であります。昨年実施を見ました国連犯罪防止極東アジア地域研修所の新営施設費六千二百二十万一千円は減額となりましたが、交通事件処理充実化の一環といたしまして横浜、名古屋に交通裁判所の新営施設費三千六百七十八万二千円が増額分の一部として含まれております。なお営繕費につきましては、このほかに、官庁営繕費として建設省所管予算に三億六千八百十三万九千円が計上されております。これも前年度に比較いたしまして二十五万九千円の増額となっております。  以上簡単ながら増加額内容について概略申し上げました。  なお、御参考までに当省が三十七年度予算において主要事項の一つとして取り上げました「暴力犯罪対策等治安対策」及び「非行青少年対策」並びに「交通事件処理充実合理化」について簡単にその予算内容を申し上げたいと思います。  第一の、暴力犯罪対策等治世対策でございますが、前述しました調査官八十七名等の増員による機能の充実をはかるほか、以下に述べますような経費のそれぞれの増額により、その充実を期しております。  機構別に申し上げますと、まず、検察関係については、暴力団及びその構成員の実態並びに暴力事犯の状況を常時把握するための擬態調査旅費として七十三万四千円、調査活動費二百万円等の増加があります。これによりまして暴力事犯を適正に処理するとともに、法無視の傾向と社会不安の根絶を期したいと考えております。  次に公安調査関係については、前述の調査官の増員のほか、機動力の強化、調査器材の整備及び消耗品の補充等として五千八百十九万五千円の増額があります。これによりまして破壊活動調査機能充実を期したいと考えております。  次に入国管理関係につきましては、不法入国者等を調査、審査し、退去強制を厳格に実施するため調査経費として三百三万七千円の増額があります。これにより不法入国者取り締まりの態勢の確立をはかりたいと考えております。  第二に、交通事件処理充実合理化でございますが、前述いたしました副検事二十名を含めた六十名の増員によりまして業務過失致死傷事件等処理の充実化をはかりますほかに、道交事件による罰金、過料の徴収事務能率器具として徴収計算機等百五十二万四千円の増額を行なっております。なお、事件処理充実合理化をはかりますため、前述しました横浜、名古屋に交通裁判所を新設されることとなっております。  第三は、非行青少年対策でございますが、これも前に申し上げました少年院教官、鑑別技官等四十名の増員によりましてその機能の強化をはかるほか、以下に述べますような経費のそれぞれの増額により、その充実を期しております。  まず、検察庁におきましては青少年の非行歴を個別に把握することにより、事務の処理を適正化し、同時に関係機関との連絡を密接にして青少年犯罪者の処遇に一貫性を与え、刑事政策的実効をあけるため、青少年準少年調査票作成等の庁費として二百二十六万二千円を計上しており、前年度に比して、百十万千円の増額となっております。  次に、少年院関係については、収容人員一日平均二百人の減員に伴い収容経賃は減額されておりますが、少年院教官二〇名の増員と相待って医療、指導謝金の増額職業補導賞与金の増額、教育用備品の整備等によりその処遇ないし教化面の改善充実化をはかりたいと考えております。  次に、少年鑑別所につきましては鑑別技官十名の増員と相待って、収容人員の一日平均百名増加に伴う収容経費、鑑別器具等施設備品の整備経費として前年度に引き続いて一億三千三百七十二万五千円が計上され、八百五十五万円の増額となっており、業務充実をはかり、少年の矯正補導を一そう適正化したいと考えております。  次に、保護関係につきましては、前述しましたとおり、更生保護委託費及び保護司実費弁償金等についてそれぞれ単価是正等による経費増額によりまして保護観察効果の増人を期しておるのであります。  最後に、法務総合研究所につきましては、非行少年における再犯予測方式の研究等に要する経費といたしまして前年度に引き続き七百九十万九千円を計上し、一貫した方針と施策のもとに青少年犯罪の原因を科学的に究明し、青少年犯罪の一般的予防を積極的に推進いたしたいと考えております。  以上で法務省所管歳出予算について御説明申し上げました。  終りに、当省主管歳入予算について、一言御説明申し上げて、おきたいと思います。  昭和三十七年度法務省主管歳入予算額は七十九億二千二百五十九万九千円でありまして、前年度予算額七十六億八千六十六万三千円に比較しますと、二億四千百九十三万六千円の増額となっております。これは過去の実績等を基礎として算出されたものでありまして、その増額のおもなものは、刑務作業収入であります。  以上をもちまして法務省所管昭和三十七年度予算についての説明を終わります。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  7. 松野孝一

  8. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 昭和三十七年度の裁判所所管予算につきまして御説明申し上げます。お手元に書類が配付してございますので、それに基づきまして御説明申し上げます。  昭和三十七年度裁判所所管予定経費要求額の総額は百八十六億三千六百二十万五千円でございまして、これを前年度予算総額の百七十三億八千五百二十九万千円に比較いたしますと、差引十二億五千八十一万四千円の増加になっております。  この増加額内訳を大別して申し上げますと、まず第一といたしまして、人件費におきまして十二億三百五万九千円の増、第二に、裁判に直接必要な経費、つまり裁判費でございますが、これにおきまして一億三千六十七万六千円の増であります。第三といたしまして、その他、一般司法行政事務を行なうために必要な旅費庁費等におきまして一億千三百六十万八千円、合計十四億四千八百三十四万三千円増加いたしておりますが、反面、営繕に必要な経費におきまして一億九千七百五十二万九千円が減額になりましたので、差引前述の十二億五千八十一万四千円という増加になったわけでございます。  次に、昭和三十七年度予定経費要求額のうち、主要な事項について御説明申し上げます。  まず最初に第一といたしまして、裁判の適正迅速な処理に必要な経費といたしまして、近時、事件の増加と複雑化の著しい東京、大阪その他の大都市の裁判の適正と迅速化をはかるための判事等の増員と、裁判事務処理の能率向上のための機械化に要する経費といたしまして、判事は十五人を増員するために必要な人件費、二千五百五十一万三千円が増でございまして、それから裁判所書記官三十二人を増員するために必要な人件費千百八十四万千円、それから検証用自動車十台の購入費七百九十六万九千円、事務能率器具の購入費五千六百五十六万二千円、合計いたしまして一億百八十八万八千円が計上されております。  第二といたしまして、補助機構の充実に必要な経費でございますが、これは裁判所詳記官等の適格を有する裁判所書記官補等を裁判所書記官等に昇任させまして、裁判官の補助機構を充実し、事務能率化をはかるため、裁判所書記官初等の定員九百三十四人を裁判所書記官定員へ組みかえ、また、家庭裁判所調査官補の定員六十六人を家庭裁判所調査官定員へそれぞれ組みかえるのに必要な経費といたしまして三千六百九万八千円が計上されております。  第三といたしまして、少年事件処理適正化に必要な経費、結局家庭裁判所におきまして少年保護事件の激増に伴い、その処理の適正円滑化をはかるための家庭裁判所調査官三十人の増員に要する人件費千二百三十五万二千円が計上されております。  第四といたしまして、裁判費でございますが、これは裁判に直接必要な経費でございまして、国選弁護人の報酬、証人、鑑定人、調停委員等の旅費日当その他裁判に直接必要な旅費庁費等といたしまして十五億五千百二十六万六千円が計上されております。  第五といたしまして、証人、調停委員、国選弁護人等の待遇改善でございますが、証人の日当三百円を最高千円まで支給できるようにするために必要な経費千五百五十一万九千円が計上されておりますほか、これは最高千円まで支給できるという構想を持っておりますが、平均単価は五百円でございます。現在は三百円でございますのが五百円に引き上げられたわけでございます。それから調停委員、司法委員、参与員等の日当六百円を七百円に増額するに必要な経費七千百十九万五千円が計上されております。  それから国選弁護人の報酬、これは現行基準は、例をとりますと、地裁一件につきまして五千二百円というようなものになっておりますのを、約一割、地裁を例にとりますと、五千二百円が五千七百円に上がるわけでございますが、それをそういうように約一割増額するに必要な経費千六百八十七万二千円が計上されております。  次に、営繕に必要な経費でございますが、これは裁判所庁舎の継続工事二十二庁、新規工事二十庁の新営工事費といたしまして、十五億二千五百四十五万七千円、それからその他法廷の増築、裁判所庁舎の補修等の施設整備費といたしまして二億三千十八万円、それから営繕事務費として四千六十四万三千円が計上されまして、以上の合計は十七億九千六百二十八万円となっております。前年度予算に比較しまして二億四千二百四十一万五千円の増加となっております。右のほかに、営繕に必要な経費としては、庁舎新営に伴う敷地買収のための不動産購入費二千四十一万六千円が計上されております。  なお、新営工事費等は前述のように増加しておりますが、営繕費全体といたしましては、当初御説明申し上げましたとおり減少しております。これは、前年度計上されました庁舎等特別取得費四億五千万円の減額によるものであります。  以上が、昭和三十七年度裁判所所管予定経費要求額の大要でございます。なお、以下に三枚にわたりましてなお詳しい表がついておりますが、これをごらんいただければ幸いだと思う次第であります。以上で御説明を終わることにいたします。
  9. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 以上で説明は終了いたしましたが、質疑のおありの方は順次御発言下さい。
  10. 亀田得治

    ○亀田得治君 こまかい質疑はまたあらためていたしますが、ちょっと一、二点だけとりあえずお尋ねいたします。それはただいま御説明のありました裁判所関係予算の中の最後のほうで説明された点ですが、前年度計上された庁舎等特別取得費四億五千万円の減額、こういうことになっておりますが、これは例の書記官研修所に関する件だと思いますが、この書記官研修所を作るために、例の旧岩崎邸のところを処分して、そうしてこちらに新設するという計画であるわけですが、昨年もこれは問題に多少なったと思いますが、その後これはどういうふうにこの処理が進んでおるのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  11. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) この四億五千万という金は、ただいま亀田委員御指摘のとおり、本郷の岩崎邸の土地建物を売却いたしまして、一方その金を見合いとするわけでございますが、裁判所といたしましては、その本郷の岩崎邸には裁判所書記官研修所がございますので、その建物と敷地を他に求めなければなりませんので、その求める新しい裁判所書記官研修所の敷地及び建物代としての四億五千万でございますが、これは結局本郷の岩崎邸を処分することは処分するといたしましても、それよりも先に裁判所書記官研修所の敷地と建物が――建物はあとから作ってもよろしいのでございますが、敷地がまずきまりませんことには話が進行いたしませんので、ただいままでのところ敷地の選定並びに獲得についていろいろ努力して参ったのでございますが、現在までのところ、種々の理由からその敷地がまだ確定するに至っておりませんので、現在までのところ、この四億五千万は使用できないような状況になっております。
  12. 亀田得治

    ○亀田得治君 旧岩崎邸の処分のほうも話はきまらないわけでしょう。
  13. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 御指摘のとおりでございまして、先に裁判所書記官研修所のとにかく敷地がきまりませんことには、あれを売却いたしてしまいますと、書記官研修所の行く所がなくなりますので、さような関係から岩崎邸のほうの処分もいまだ何ら進行いたしていない状況でございます。
  14. 亀田得治

    ○亀田得治君 新しい移転先のまず敷地がきまって、それからこういうものを処分するというのは、これがもちろん順序でありますが、大体岩崎邸の処分というものはきまっておるんだが、新しい敷地が見つかるまで保留してある、そういったような事情なんですか。全然処分自体も話がきまっておらない、こういうことなのですか。
  15. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 岩崎邸のほうの処分をきめますときには、それより前に新しい敷地のほうがきまっておりませんことには書記官研修所の制度として困りますので、その新しい敷地の獲得のほうがまだきまっておりませんので、したがいまして、岩崎邸のほうの処分もまだ何ら進行していない、かような状況でございます。
  16. 亀田得治

    ○亀田得治君 まあその点一応その程度に聞いておきまして、またいずれもう少し詳しく聞きたいと思います。  それから交通裁判所関係ですね。これは私たち法務委員会としても、昨年末東京の墨田の裁判所を視察したりいたしたわけですが、予算によりますと、名古屋と横浜には一カ所新設する、こういうことになっておりますが、東京におきましてもそういう要求が非常に強いというふうに私たちも感じましたし、当然それが予算化されてくるものと考えていたわけです。それからもう一つは、大阪も非常に最近――これは前からですが、最近特に輻湊してきているわけです。一カ所作るか、あるいは現在の設備を――まああそこは多少敷地がありますから増設するということも考えられるわけですが、そういったようなことが、交通関係が非常に注目されている中においてどういうふうに処理されたものか、若干お聞きをしておきたいと思います。
  17. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 交通裁判所建物のことといたしましては、東京の交通裁判角であります墨田が手狭であるということは、われわれのほうも十分考えておりまして、今回の予算におきましても、その点いろいろ大蔵当局と均衡いたしましたのでございまして、大蔵当局も大体その事情はわかっているのでございまして、好意的に考えておってくれたわけでございますが、ただいままでのところ、まだ敷地のほうがどこにするかはっきりきまっておりませんので、さしあたり敷地のほうを裁判所とか法務省裁判所だけの問題でございませんで、裁判所法務省、警察あたりで敷地のほうを先へきめたらどうかという話でございます。ただいまのところ、その敷地の選定に力を入れたい、かように思っております。で、敷地がきまりました場合には、予算が形式的には載っかっておりませんが、必要とあれば、先ほど御説明いたしましたように、施設整備費として二億三千万ほど計上されおておりますので、この中から一部さいて、そちらへ回すということも考えられるわけでございます。これは、まだ必ずしも大蔵当局の正式の了解を得たわけではございませんが、技術的にはさようなことも可能でございますので、ただいまのところ、鋭意敷地のほうの選定をやっておるというような状況でございます。  それから、大阪の交通裁判所のことでございますが、これは、手狭と申しますれば手狭ということも言い得るかと思いますけれども、墨田に比べますと、墨田が八百六十七坪延べ坪がございまして、大阪は五百四十七坪でございまして、まあ多少少ないわけでございますが、どうしてもあそこが狭いということになりましたならば、これは、物理的な施設が狭いということになりますれば、また考えなければならぬと思っておりますすが、さしあたりのところ、ああいうコンクリートの建物でございますので、継ぎ足すと申しましても、いろいろ技術上の問題もございますので、今、さような増築をするかどうか、検討中であるという段階でございます。
  18. 亀田得治

    ○亀田得治君 あの東京の墨田の交通裁判所が八百六十七坪で、そしてそれが狭いということで、もう一カ所必要であることは、今の御答弁でも大体関係者は皆認めておられるようです。だからそれは、敷地等をあなたのほうで見つければ、まあ仕事が進行するというふうに受け取れるわけですが、それはまあそれとしましょう。ところが、大阪の五百四十七坪につきまして、東京の墨田のほうの八百六十七坪とちょっと比較をされたような感じを今受けたのですが、これはたいへん、事件の数等からいいましても、そういう比較の仕方は私はちょっと困ると思う。八百六十七坪では狭いのだ、したがってそれをもう一庁舎ふやすのだ、まあその新しく作るのが何坪になるかわかりませんが、少なくとも相当坪数がふえるわけです。現在狭過ぎて困っておるという八百六十七坪に比較されることは、ちょっと筋が通らぬと思いますので、これは、大阪なども、実際に日によっては墨田のあの混雑と同じようなやはり状況になることもたびたびあるわけですね、聞きますと。そういうわけでして、増設であるか新設であるかは別として、これもひとつ真剣に検討してほしいと思う。そして大蔵省では、東京の墨田の裁判所の拡張ほどにはこれは考えておらないわけでしょうか。折衝の過程ではどういうことなのですか。
  19. 栗本一夫

    最高裁判所長官代理者栗本一夫君) 大阪の交通裁判所が、それ自体決して十分な施設である、手狭でないということは申し上げるわけじゃございませんが、大阪の交通事件の処理につきまして、大阪におきまして苦慮されております状況は、最近出てきたような状況のように、大阪のほうから報告が来ておりまして、ちょうど昨年の昭和三十六年の十月でございましたか、十二月ごろから非常にふえてきたというふうな報告が、正式ではございませんが、われわれのほうへ一応来ておりますので、さような状況でございましたので、予算請求といたしまして、建物予算請求といたしましては、大阪の交通裁判所のことは特別に今回は要求をいたしませんでしたし、また、特にその点に重点を置いたというわけでもなかったわけでございますが、最近かようにふえてきておるということになりますと、これは建物の面からばかりでございませんし、いろいろな面から検討を要する問題だというふうに考えておりまして、適当な手段を裁判所としては講じていく必要があるというふうに考えております。
  20. 亀田得治

    ○亀田得治君 法務省関係予算で、一点だけお聞きしておきますが、公安調査庁の関係ですね。団体の調査経費ですが、例の公安調査官活動関係費用というものが相当ふえておるわけですが、その内訳ですね。どういうふうなふやし方になっておるのか。概略でいいから、いずれこまかいことは、また機会があればお聞きしたいと思います。
  21. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) おもなものについて申し上げますと、お手元にお配りしました「昭和三十七年主要経費予算内訳」という一覧表、この第一ページの「増減額内容」というところ、これを中心に、「昭和三十七年度査定内示額」という欄をごらんいただきますと、その数字が大体出て参る。おもな点を申し上げますと、旅費が六百四十七万七千円、調査資料、写真材料等が一千三十八万一千円、調査活動費が三千六百万円、これだけ増額になっております。なおそのほかに、オートバイその他の備品の充実等がございます。一般的には、報道費庁費が、先ほど申し上げましたように、節約のために減額になっておりますが、特別なこういった内容の面で増額が行なわれるという結果になっております。
  22. 亀田得治

    ○亀田得治君 これは、いろいろ物価の単価などが上がったりしたら、そういうことによって活動関係の費用も若干ふえることは当然予測されるわけですが、それ以外に、活動量全体をふやさなければならぬというふうな立場からふやされておるのですか。
  23. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) 調査活動費につきましては、これは前々から公安調査庁のほうからも御説明ございましたように、左翼のみならず、右翼関係暴力的な活動というものもだんだんふえております。そういった関係で、公安調査庁のほうの仕事が、次第に事務的にも増加しておりますという事実がございますし、今、亀田委員の御指摘になりましたように、旅費等もだんだん経費がかさんできたというふうな面もございます。そういった点をかれこれ勘案いたしまして、これだけの増額になっておるのでございます。
  24. 亀田得治

    ○亀田得治君 その単価の値上がりなどは別として、実際活動量の増加ということが見越されるのは右翼関係というふうに御説明を聞いたわけですが、一応本日のところはその程度にしておきまして、この点、またいずれこまかくお尋ねをする機会を持ちたいと思いますが、一応本日はこれで打ち切ります。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 資料要求をお願いをしたいのですけれども、これは法務省ですけれども、ただいまの御説明で、暴力団及びその構成員の実態暴力事犯の状況云々ということで、暴力団等に一応予算の一つの主点が置かれたというように御説明を承ったわけであります。もう一つは、非行少年対策という御説明もあったわけであります。そこで、この二点について、対策の主眼点は何か、どういう点を対策の主眼点になさったか。第二には、事務当局の要求項目及び予算金額というものと決定された予算というものには相当開きがあると思われますので、事務当局が要求項目とした点は何か。あるいはその金額はどのようになっておったか。第三には、前年度との対比並びに相違点、第四は、本予算の項目、内容の具体的な説明、今、亀田委員の御質問にお答えになられましたけれども、それでは明瞭ではありませんので、もっと項目、内容を具体的に、事務当局の要求されたくらいの程度に御説明をいただきたいと思います。  もう一つの資料を要求いたしたいのは、今の亀田委員の御質問に関連するわけでありますが、従来公安調査庁の、俗に言えば、左と右に対する対策が非常に格差がといいますか、差等が強かった。こういう一応の世論があるわけです。暴力問題が非常に大きく世論を沸かしておるときでありますから、三十七年度の予算内容では、左右対策費の内訳は一体どういうふうになっておるのか、これも具体的な資料をいただきたい。この大きく言えば五つの資料を適当なときにお願いをいたしたいと思います。
  26. 新谷正夫

    政府委員新谷正夫君) ただいまの資料の要求の御趣旨に従いまして、事務当局といたしまして、十分検討いたしまして、資料を差し上げたいと思います。
  27. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件については、後日あらためて質疑を行なうこととしまして、本日はこの程度にとどめます。次回は、二月一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会    ――――・――――