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米田勲君 私は日本社会党を代表して、本案に反対をいたします。
本改正法案の
内容の最も重要な点は、工業
高等専門学校十二校の新設の問題でありますが、質疑の段階で明らかにいたしましたとおり、その
設置の
条件は、まことに私に言わせると不明朗なものがある。特に昨年
短期大学を
設置した宇部、長岡の両市に、さらに続いて
高専を
設置することにしたこと、四国には近接した新居浜、高松の二校を
設置しようとしているなど、いろいろ
設置を決定するまでに
条件をあげて
検討をしたといいながら、現われた結論というのは、この法案の
内容を見ますと不可解な点がたくさんある。さらに、これらの
国立学校の敷地が、地元の寄付によってまかなわれようとしていることは、まことに不都合千万と申さなければならない。たくさんの自治体が、この
高専校の誘致運動をしたが、それらはこの敷地の問題で、十分な協力態勢をしないために、日本の全体の
文教政策上から
考えると、当然その地に
設置すべきような個所さえも、それが別の個所に個所づけされているというような点を
考えると、どうも納得のできないことが多々ある。特に
文部大臣も先ほど大胆に言っておったが、国会議員がこの個所づけについて、相当強く運動をされたことは当然であります、ということを言っておったが、これはどうも
文部大臣としては、軽率な発言ではないだろうか。国会議員のいろいろ裏側か、表側か知らないが、そういうところで活動をすることは、当然だと言い切るには、ちょっと問題がある。やはり少なくもこういう問題は、純粋に日本の
文教政策を進める——大所高所からそういう政治的ないろいろな策動にまどわされることなく、大胆率直にものをきめていってこそ、この
委員会でも、われわれが納得できるようなことを明快に
答弁できる、こういうことになるのであって、今度のような不明朗な
高専の
設置の決定の仕方については、このことがまた政府の
文教政策、こういうものに影響を与え、それがまた不明朗なものになって感じられるし、そういうことになりかねない。
次に本法案では、
大学付置の共同利用の
研究所として、東京
大学に海洋
研究所を
設置することといたしておるのでありますが、この間この共同利用の
研究所の運営についていろいろ
質問してみますと、実際のところ法案は提出しておりながら、運営についてはまだ
検討中、結論が出ておらぬというような
実態が明らかになっておって、当然法案の審議をわれわれに求める際には、
文部省がそういう共同利用の
研究所の運営が非常にめんどうである、従来のものに徴しても問題があるということであるんだから、具体的な方策を結論づけて、そうして本案の審議を求めるという態度が妥当なのではないか。また、この法案において今日まで
国立大学に包括されていた旧制
大学を廃止することになっておるわけでありますが、その廃止に伴って制度的に解消されていく旧制度の論文博士についても、その取り扱いを
質問をしてみますと、やはり結論を出さないまま本法案をわれわれに出してきて審議を求めておる。こういうことを
考えてみますと、どうも法案提出の態度
自体が準備その他の配慮が欠けておる。提案の仕方が平易な言葉で言うときわめて不親切であるということを感ずるわけであります。その他、この法案の質疑に私は相当長い時間をいただいたわけですが、各所に私をして、わが党の
委員をして納得させられない、どうもあいまいな点を含んで、それが明瞭にされないまま、この法案の審議が打ち切られるということになっておることについてはどうしても納得ができない。戦後に発足した新学制は今日
大学教育の段階において重大な問題を起こしております。
大学、
短大、
高専の三本立はこの混乱にさらに拍車をかけるものであります。これは
高専法案を審議した際にもわれわれが主張したところです。しかも
大学には
大学院のある
大学と
大学院のない
大学とが現在そのまま並立しておるし、その運営費についても先ほどもお聞きしたように、何の合理的の根拠もないのに非常に大きな
格差が是正されないまま放置されて今日に及んでいる。こういうような問題についても合理的な解決を早急にすべきものではないかということを強く
考えるわけです。本案は、日本の最高の
教育機関について根本的な
検討を十分にやることを怠たりながら、いたずらに枝葉末節の問題に拘泥しているそしりをまぬかれないと私は思うのであります。
いろいろ
指摘したい点はございますが、時間の関係上それらを割愛しまして、以上の
理由によって私たちはこの法案に反対をいたします。