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国務大臣(
荒木萬壽夫君) 記憶ははっきりいたしませんが、あり得たであろうと思います。ついでながら、率直にお話ししたほうが早わかりと思いますが、
豊瀬さんも御案内のとおり、政府側に専科
大学設置の構想が数年来ありましたことを御承知と思いますが、ところが、これに対しましては私学側から反対が出て、二回か三回にわたって
提案されながら
審議未了になったと記憶しておりますが、それは短大の反対ももっともな
意味もあるわけでございまして、さりとて、また一方、専科
大学的な
学校制度があることもまた
考えられる。まあ両方反対の空気がありますことを対照とすれば、反対ももっともだが、
設置もしたいという状態で数年を経過したわけであります。そこで、そのかつての専科
大学の構想に最も近いやり方で何か
考え方はないかということから生まれ出ましたのが高等
専門学校の
考え方でございます。したがって、短大が置かれました、あるいは置かれんとしておるときに、高専ということよりも専科
大学の誘致をしたいという気持はあったろうと思います。それがたまたま短期
大学と同時に高専法も
審議されるというので、専科
大学を高専に置きかえた気持からの誘致運動的な気分はあり得たはずでございます。ですから、どういう言葉を使って
陳情されたかはわかりませんけれ
ども、実質的には、短大にあらざる一貫した五年制の
学校のほうが望ましいという気持からの
陳情はたぶんあっただろうと思います。はっきりだれがどこから
陳情にこられたかを記憶しませんけれ
ども、あり得ただろうと思うのであります。そこで、その点を実際問題としていろいろ御論議があったことも私もはっきり記憶いたしておりますが、一般的に申し上げまして、短期
大学制度はそれ自体存在の意義がある、値打がある、しかしまた、五年一貫した
教育を授ける高等
専門学校という構想もまた必要であり意義がある、値打があると、こういうことで御
審議を願い、御決定をいただいたわけでございます。したがいまして、率直に申し上げれば、工業高専の
設置されるところで、同時に短期
大学があるところでありまする限りは、少くとも事務当局の心の中では、かつての専科
大学にかわるものとしてスタートをしたはずなんだから、高専に切りかえたいという希望はあったろうと思います。ただ、論理的に、同時にそのことを申し上げにくいので、その辺を表現するのに苦心しておったことを私も承知しております。これは何も国会をごまかして通るとか、通らぬとかじゃなしに、短期
大学の
制度というものは、それ自体、さっき申し上げたような
意味で存続の値打ちがある、私は今もそう思っております。高専は高専なりにまたその意義がある。しかしながら、実際問題といたしますと、工業短期
大学と工業高等
専門学校というものが、その地元の希望なり、あるいは専科
大学の構想を念頭においておった
文部省の、少なくとも事務当局の気持ということを率直に割り切って申し上げれば、できることならば高専のほうに切りかえることができないものか、こう思ったことも率直な気持だと思います。そのことがたまたま一致いたしまして、短大は短大として存続するが、そこの場所に高専を付置するということで、地元の希望にもこたえ、かつまた当該短大の要望にも沿うということが、宇部、長岡の御
審議を願っておる姿だと私は理解いたします。幾分言葉が過ぎた点もあろうかと思いますが、むしろ率直に申し上げたほうがよろしいと思って、以上をもってお答えにいたします。