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1962-03-13 第40回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   委員異動 三月九日委員秋山俊一郎君、山本杉 君、上原正吉君及び千葉信辞任につ き、その補欠として近藤鶴代君、泉山 三六君、下條康麿君及び江田三郎君を 議長において指名した。 三月十二日委員井川伊平辞任につ き、その補欠として村山道雄君を議長 において指名した。 本日委員村山道雄辞任につき、その 補欠として井川伊平君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢  正君    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            野本 品吉君            豊瀬 禎一君    委員            井川 伊平君            杉浦 武雄君            田中 啓一君            千葉千代世君            米田  勲君            片岡 文重君            柏原 ヤス君    発議者     大矢  正君    発議者     豊瀬 禎一君    発議者     千葉千代世君    発議者     米田  勲君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省管理局長 杉江  清君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省大学学術    局審議官    岡野  澄君    文部省大学学術    局教職員養成課    長       安養寺重夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選に関する件 ○学校法人紛争調停等に関する法律  案(内閣送付予備審査) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○学校教育法の一部を改正する法律案  (千葉千代世君外四名発議)   —————————————
  2. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。去る三月九日、千葉信君、秋山俊一郎君、山本杉君及び上原正吉君がそれぞれ委員辞任せられ、その補欠として、江田三郎君、近藤鶴代君、泉山三六君及び下條康麿君が委員に選任されました。以上でございます。   —————————————
  3. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、理事補欠互選につきお諮りいたします。委員異動に伴いまして、現在、当委員会理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠互選を行ないたいと存じます。互選方法は慣例に従いまして、成規手続を省略し、便宜、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大矢正

    委員長大矢正君) 御異議ないと認めます。それでは、私より、近藤鶴代君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは、学校法人紛争調停等に関する法律案議題とし、提案者より提案理由説明を聴取いたします。荒木文部大臣
  6. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) このたび提案いたしました学校法人紛争調停等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容あらましを御説明申し上げます。  わが国の学校教育において、私立学校は重要な一翼をにない、その特色ある教育と伝統ある学風によって教育文化の進展に多大の貢献をしているのであります。ところが、名城大学に見られるごとく、学校法人理事評議員の間において、長期にわたり深刻な紛争が続けられ、ために、理事会の機能は麻痺し、法令寄付行為等に違反する事態が起こっている私立学校があるのは遺憾なことであります。このような事態を放置することは、ひとり当該学校教職員学生、父兄の不幸であるばかりでなく、私立学校全般の名誉にも関係する重大問題であります。  本法案は、このような事情に照らし、学校法人紛争解決のための措置として、次の方法を講じようとするものであります。まず第一に、学校法人紛争は、本来、訴訟では解決のできない性質のものが少なくありませんので、新たに調停制度を設けて、所轄庁の任命する調停委員による調停を行ない、学校法人紛争実情に即して公正迅速に解決しようとするものであります。第二に、調停委員により成立した調停を受諾しながら、当事者が、これに違反し、それに対する是正命令にも従わない場合、または、あらゆる方法を尽くしても、なお当事者調停案を受諾せず、このため紛争が継続し、学校法人の正常な管理及び運営をはかることができないような場合は、所轄庁私立大学審議会等意見を聞いて、当事者解職または辞職勧告をすることができることとし、第三に、さらにその勧告にも応じない場合において、やむを得ない手段としてその者を解職することができることといたすものであります。  したがって、これらの措置は、現行法により認められている解散に至る前の救済方法考えられるのであります。  なお、この法律案は、以上の措置によりまして当面する紛争をできるだけすみやかに解決し、学校法人の正常な管理及び運営を確立しようとするものでありますので、その有効期限を二年といたしました。  以上が、この法律案提案理由及び内容あらましであります。何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  7. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、政府委員より補足説明を聴取いたします。杉江管理局長
  8. 杉江清

    政府委員杉江清君) ただいま提案になりました学校法人紛争調停等に関する法律案につきまして文部大臣から説明がございましたので、若干補足説明をいたします。条を追って御説明申し上げます。  第一条は、この法律案目的規定するものであります。この法律は、学校法人紛争が生じ、これにより学校法人の正常な管理運営が行なわれなくなり、そのため当該学校法人法令規定に違反するに至ったという三つの要件に該当する場合において、調停委員による調停その他の措置を行なうことにより、学校法人の正常な管理運営をはかり、もって私立学校における教育の円滑な実施に資することを目的とするものであります。  第二条は、用語の定義をいたしております。すなわち、この法律における用語のうち、学校法人私立学校または所轄庁とは、私立学校法でいうそれぞれの用語と同様であり、また、この法律において学校法人紛争とは、学校法人役員または評議員の間における当該学校法人管理及び運営についての紛争をいう旨を定めております。また、この法律における当事者とは、学校法人紛争に関係ある役員または評議員とし、当該紛争により役員または評議員の地位を失った者を含む旨を定めるものであります。  第三条は、調停の開始についての規定であります。学校法人紛争により、学校法人の正常な管理運営が行なわれなくなり、そのため当該学校法人法令規定に違反するに至った場合において、所轄庁は、当事者の申し出または審議会の建議もしくは審議会意見を聞き職権により調停委員調停を行なわせることができることとするものであります。  第四条は、調停委員は三人以上五人以下とし、事件ごとに、審議会委員その他学識経験者のうちから任命することを、第五条は、調停委員の権限として、当事者に出頭を求めて意見を聞き、また資料提出を求めることができる旨を、第六条は、調停の成立を困難にするおそれがある行為につき調停委員が必要な勧告を行ない得る旨を規定したものであります。  第七条は、調停を行なっているうちに、当事者の間に合意が成立し、その合意調停委員が相当と認めて調停書に記載したときは、調停が成立するものとする規定であります。  第八条は、調停案による調停についての規定であります。自然の合意による調停が成立しないときは、調停委員は、当事者意見を聞き全員一致調停案を作成し、期限を付して当事者に受諾を勧告するととができることとし、この場合調停委員は、調停案を公表することができることとしております。当事者全員が、その期限内に調停案を受諾したときは、調停が成立いたします。これを原則といたしますが、全員が受諾しない場合においても、調停委員が、受諾した者だけの間においても調停を成立させることが適当と認めるときは、それらの間にいわば一部の調停が成立することとして紛争解決に資することとしております。  第九条は、成立した調停内容を確保するための所轄庁措置として、必要な報告を求め、また調停内容に違反した場合等に是正のため必要な措置を命ずることができることを定めたものであります。  第十条は、解職または辞職勧告及び解職等について規定したものであります。すなわち、所轄庁是正命令違反者、または、調停の成立しない当事者について、その者が当該役員または評議員の職にとどまっていたのでは学校法人の正常な管理運営をはかることができないと認めるときは、所轄庁は、あらかじめその者に弁明の機会を与えるとともに、審議会意見を聞いた上、当該学校法人に対しその者の解職勧告をすることができることとし、なお、この場合当該学校法人勧告にかかる措置実施することができないと認められるときは、法人にかえて直接その者に辞職勧告することができることを定め、さらに勧告にかかる者が解職されない場合または辞職しない場合において、学校法人の正常な管理及び運営をはかるため他に方法がないと認められるときは、やむを得ない措置として、当該勧告にかかる者を解職できることとしたものであります。  第十一条は、調停委員調停を行なわせるため必要があるときは、所轄庁資料提出帳簿書類等調査ができることとし、第十二条は、この法律規定の準学校法人への準用について定め、第十三条は、実施規定の政令への委任について定めたものであります。  最後に附則は、この法律施行期日及び経過措置等について定めたものでありますが、第四項において、この法律施行の日から起算して二年を経過した日に効力を失うことを定めております。  以上がこの法律案の概要であります。
  9. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいま説明を聴取いたしました本案に対する自後の審査は、都合により、後日に譲ります。   —————————————
  10. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 まず、大学局長がいませんので、その他の方にお尋ねいたしますが、国立大学の中で、今回、新たに人文科学あるいはその他の研究所設置されましたが、各国立大学に付置されておる研究所は、全体で幾つまありすか。
  12. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 五十九ございます。今回、設置しますものを合わせまして、六十一となります。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 各国立大学研究所一覧表を配付できますか。
  14. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 資料を差し上げます。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 本日の審議に間に合うという意味でしょうか。後日、という意味でしょうか。
  16. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 後日でございます。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 わかりました。  前回国立学校設置法の一部改正の際に、たとえば宇宙開発とか、あるいは原子力研究等の問題については、ある特定国立大学の中に付置するよりも、別個に総合的に、研究所といいますか、国立のちゃんとしたものを設置することのほうが望ましいのではないかと、こういう質問をいたしたのですが、今回新たに設けられる研究所と——なるほど各大学の今日まで進めて参った特徴からいたしますと、当該大学設置していくことも妥当なものもありますけれども、たとえば京都大学化学研究所のごとき、これが悪いという意味じゃないけれども、「化学に関する特殊事項の学理及びその応用の研究」、これはどこの大学でも必要なことであるし、したがって、総合的な研究機関を別個に設置するという問題等から考えても、何も京都でなければならない必要はないのじゃないか、こういう気がするわけです。あるいは第四条第一項の表の中に、東京大学の項の中に加えられる「史料編さん所」等についてもしかり。何か研究所設置が、各大学の自主的な研究をできるだけ伸ばしていく、このことは常に認められ、拡大されていかなければならない。けれども、そのことと同時に、最も主要な基本的な科学の進歩に関する問題とか、あるいは宇宙開発とか、その他の研究を総合的に、一大学でなくて、国の資力を注いで、研究のために必要な部門については、大学に付置するというより別個に遠大な構想をもって設置していくべきではないか、こういう考え方を持つのですが、これは前回も同様に質問をいたしておったのですが、所管の係としてはどういう見解ですか。
  18. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 大学付置研究所と申しますのは、今御指摘にありましたように、当該大学におきまして自主的な研究が発達いたしまして、学部のみでは不十分だ、独立の研究組織が必要であるという点で発生したものもあるわけでございますが、今御意見のように、総合的な研究所と申しますか、特定の分野におきましては、各大学にそれぞれ大きな研究所を付設することは実際上できないということになったわけでございます。それで、実はそういう問題につきましては、学術会議勧告もございまして、付置研究所を従来の付置研究所以外に、共同利用研究所という、新しい研究所設置することにいたしました。たとえて申しますと、京都大学湯川教授基礎物理学研究所、それから東大原子核研究所というようなものは、まさに東大管理はお願いしてありますが、全国的な研究者共同利用の場というふうな考え方で、新しい観点研究所の創設をいたしたわけでございます。で、現在ではそういう研究所が六つほどございますが、さらに今回設置しようとする海洋研究所のごときも、学術会議の御要望に沿って、そういう共同利用研究所として設置したいと考えるわけでございます。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そういうお考えですと、たとえば航空研究所のごときも、これは航空科学研究というのは、今後、ますます重要な部門になってくると思いますが、やはり東京大学には置いているけれども、その利用研究等の円滑については、何人も利用できるようにと、こう考えている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  20. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 元来、大学付置研究所と申しますのは、大学の付属の研究所ではスタートからないのでございます。したがって、東北大学金属材料研究所と申しますと、それは本多先生以来の伝統があり、これはまさに全国的な国家的な研究所であったわけでございます。現在国立学校設置法では、共同利用研究所と、大学に直接付置されたような研究所というふうに法令的に二つ分けてございますが、大学付置研究所、前者の大学に直結したような研究所といえども多かれ少なかれ程度の差でございますが、やはりそういう目的も持っているわけでございまして、金研とか伝研とかいうものは、まさにそういう形でございましたわけでございます。したがって、付置研究所につきましては、現在ございますものは多かれ少なかれ研究者に対しまして専門を同じくする研究者研究の場となることができるわけでございます。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私どもが独立した研究所を視察に行ったり、あるいは付置研究所を見に行ったりしますと、ただいま審議官の御答弁のような実情ではなくて、他の大学当該研究所による講師の派遣の際にも、たとえば出張手続旅費支給あるいはその他の取り扱い、ないしは逆にほかの大学あるいは研究所等から、そこに研究をしに来る際の手続等が非常に何というか、一つ文部省手続そのもの、あるいは大学当局の形式的な手続が小うるさく、自由な研究が円滑に行なえないようにたびたび陳情を受けますし、趣旨としてはそういう形にとられておっても、実際の運用はやはり、たとえば今御指摘になった東北大学のそれにしても、その他にしても、学問の、あるいは特殊な自分たち研究セクトという意味でないところの、機構上のセクトが実際のあなたが今答弁をされたような研究の円滑を阻害しておる実態をたびたび耳にするのですが、そういうことについてはどういうふうにお考えですか。
  22. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 大学はそれぞれ管理大学管理しておるという形になっておりますので、その人事規則、あるいは旅費規則等の制約を受けて、成規手続によって出張等が行なわれるということでございまして、非常にそれが煩瑣であるというような御意見研究者から直接われわれも伺うことがございますが、ある規則が制定されておりまして、それによって管理するという立場になりますと、やはりそこに成規手続が要るということになるわけでございます。ただ、目的研究を推進するということが第一目的でございますので、できるだけ、つまり形式的な手続につきましては重荷にならないようにいたしたいと思っておるわけでございます。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 審議官事務屋でないですから、そういう点については割に御存じないのではないかと思いますがね。実際はあなたがおっしゃったような必要な手続ですね、出張許可であるとか、あるいは旅費請求手続、これは公務員として当然のことであって、私はそのことが悪いと言っておるんじゃない。ただ、受け入れの内容ですね、端的に言うと、あそこの大学は受け入れられるけれども、ここの大学は受け入れられない。たとえばあの学説の系統に対してはへんぱである。こういったことが一つと、それから実際は手続の便、不便でなくして、真にあそこの学校の方が、大学の方が、あの教授に来てもらいたい。こういう希望を強く持っておるにかかわらず、だれをやるかはこっちできめるのだ。おれのところの教授派遣はおれのところの所管でやる。こういった実際の運営が多分に研究の自由円滑を阻害しておる。このことを指摘しておるんですが、そういう実態に対して何らかの必要な処置を講ずる必要性を認められませんか。
  24. 岡野澄

    説明員岡野澄君) そういう問題につきましては、それぞれ専門学会がございまして、もし御指摘のようなことがあれば、学会において批判されることになるのが通例でございます。現在共同利用研究所等におきましては、所員の人事にいたしましてもそういう学会意見を徴しまして、所長が選考するという傾向が強くなっておりまして、次第にそういうことは学会から批判されて弊害が除去されるというような傾向にあることは申し上げれると思いますが、現在では学会批判というものがまずわれわれの批判より先に起こるというふうに考えております。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現在の機構上の中にもそのことを円滑にしない欠陥があるとはお考えになりませんか。
  26. 岡野澄

    説明員岡野澄君) 御指摘の点は共同利用研究所につきまして、その管理大学と横断的な研究者異動というようなものの調節をどうするかという問題であろうかと思いますが、これにつきましては、私どもは現在の共同利用研究所運営は非常にうまくいっておると確信いたしますけれども、なおそういう点で問題がないとは言えませんので、これにつきましてどういたしますかということにつきましては、現在、文部省におきまして協議会を設けておりまして、そこにおいて専門の方あるいは所長の方においでいただきまして、現在この問題を取り上げて検討中でございます。
  27. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長にお尋ねいたしますが、私、特定の、自分陳情を受け、調査した研究所なり、大学等を指定して尋ねないのは、私どもがずっと主張しておりますように、できるだけ大学自治を侵したくない、こういう観点に立っておりますが、やはり単に一研究所あるいは一大学の問題じゃなくて、先ほどから私が申し上げた二つの内容、すなわち学問の独占によるところの研究の不円滑、管理機構の何といいますか、旧態依然たるものに基づくところの不円滑、いずれも私は存在すると思うのであります。こういう点について、単に学界が自主的にそのことを解決するだろう、これは最も大切な問題であり、基本的な解決策ですが、そういうことだけではなくして、特に管理機構の何といいますか、まずさからくるところの研究の自由の阻害ということについて解決策を検討されたことがありますか。
  28. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大学付置研究所あるいは共同利用研究所運営につきましては、従来から学界にもまた研究所当事者におきましても意見がございますので、先ほど岡野審議官からお答え申し上げましたように、文部省の中に研究所協議会というものを設けまして、こういった事項も関連して研究をいたしております。管理機構欠陥から研究が阻害されるということにつきまして、私ども直接には聞いておりませんが、今後もこれらの点についてこれを話題にして、十分研究して参りたいと思っております。
  29. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 東京大学であったと思いますが、財界知名士が連名で寄付金をつのり、建物を寄付し、そこに研究がうまくいくように措置をしたいという運動を起こしたことについて、私、本委員会で取り上げたことがあるのですが、そのことがイコール大学自治を侵すとか、あるいは大学研究の自由を侵害していくというととではありませんけれども民間寄付あるいは研究依頼大学に付置されておる研究所とが直結して、特定企業体企業発展のための研究に専念し、研究費民間から支給を受け、研究そのものはりっぱであるけれども、それが特定企業に利用されている。こういうことは、単に私が前回、本委員会指摘しただけでなくて、いろいろなところで問題になっているところですが、少くとも今回設置された研究所等については、そのことはないだろうと思いますけれども、ちょうどあの質問をし、今後の配慮をお願いしてから一年半になりますが、その後、民間研究依頼、あるいは施設設備等国立大学に対する寄付状況と、特定企業体に対する企業発展のための研究等が行なわれておるかどうかについて、大学局長は特に現存しておる五十九の研究所等について調査をしたことがありますか。
  30. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大学研究所に対する財界、あるいは産業界等からの施設設備寄付、これは一応大学そのものについてはいろいろと事例があるようでございますが、特に研究所を目ざしてのそういった寄付募集ということを私はあまり聞いておりませんが、調査も実はいたしておりません。もし時間をかしていただけるならば、必要がございますならば、取り調べてみたいと思います。なお、研究関係につきましては、一般に大学を通じまして、やはり産業界学界との連携というようなことで、従来から受託研究というものを受けておりまして、これはやはり特定企業体大学に依頼いたしまして、その経費を出して研究テーマをきめて大学研究してもらう、大学ではその研究の結果をその企業体に報告するということで、これは正規の制度としてできておりますし、また国の予算にもその項目があるわけでございます。
  31. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのこと自体を否定しておるのではなくて、そのことはいずれの国にも行なわれておることですし、またけっこうなことですが、そのことが、たとえば学生当該教授に対する研究偏向性について指摘しておる問題が幾つかあるし、それから自分自身の自主的な研究がそちらに進んでいくということよりも、何といいますか、委託研究の問題が主たる同研究室の課題となり、作業となり、端的に言えば、いわゆる講義その他の一般教養的な教授というのがおろそかにされておるという事態は、大学局長は皆無であると断言できますか。
  32. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 委託研究の実際の具体的な状況についてのお尋ねでございますが、現在まで私どもが聞いております範囲では、特にこの受託研究が片寄って、偏向であるとか、あるいは委託研究のために学生に対する講義なり、あるいは試験、実験、実習が十分行なわれていないというような事例は聞いておりません。
  33. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 けっこうなことですが、それでは国立大学に対する委託研究の一賢表を次回に出していただきたいと思います。内容としては、本法律案の下欄に書いてあるような、たとえば何々に関する特殊な何々というような簡単な要項でけっこうです。明細な毛のは要りません。同時に、五十九の既存の研究所並びに今回新たに設置されました研究所につきまして、当該研究所の職員構成について、あるいは構成並びに研究所運営費というよりも、主として研究に要する費用等についての明細を出していただきたいと思います。  次に、本法案の第七条について質問を進めていきたいと思います。第七条の二項を次のとおりに改正されましたが、この中で新たに設置されました専門学校の所在地で、従前から工業を中心とする、ないしは工業専門の短期大学国立の短期大学設置しておった場所がありますか。
  34. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 十二の新設の高等専門学校のうち、従来からその場所に工業短期大学がございましたのが二つございます。新潟県の長岡と山口県の宇部でございます。
  35. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 宇部工業短大の所在地、宇部工業高等専門学校設置される場所、長岡も同様、御説明願います。
  36. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この二つにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、従来から、従来と申しますか、昨年、短期大学設置されたのでございますが、これらの短期大学では、新しい工業高等専門学校制度の発足にあたりまして、できれば将来こういったものに変わりたいという非常に地元での強い要望もございますし、学校当局もそういう考えでございますので、この場所にあわせて、従来の短大の場所にあわせて新たに工業高等専門学校を併置するという考えで、この法案の改正案をお願い申し上げているわけでございます。
  37. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 両工業短期大学新設の法律案の制定の時期と正式に発足した時期はいつですか。
  38. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 昨年の国会におきまして、学校教育法の一部改正の法律を御審議をいただきまして、この成立を見たのが三月三十一日であったと思っております。で、これに基づきまして、長岡の工業短期大学、宇部の工業短期大学が発足したわけでございますが、実際に授業を開始いたしましたのは、これはまあ今正確に日付を記憶いたしておりませんが、たしか五月ごろであったと思います。
  39. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 高等専門学校法の成立はいつですか、およそでいいですが、三十六年の十一月なら十一月と。
  40. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 三十六年の六月十七日でございます。
  41. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 宇部工業短大並びに長岡工業短大の地元が、工業短大としてではなく、専門学校でありたいと文部省に意思表示をいたしたのはいつごろですか。
  42. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 日付をはっきり覚えておりませんが、やはりこの工業高等専門学校制度が発足いたしましたにつきまして、長岡の学長それから宇部の短大の学長から、それについての希望を承っております。
  43. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 高専法案の審議については、局長は直接の担当官であったので、私から当時のいきさつをあらためて繰り返すまでもなく十分御承知と思いますが、通常国会に提案されて次回に成立したわけですね。したがって、工業短大の新設の法律案専門学校法律案は大体同一国会に提出されたと記憶しておりますが、間違いありませんか。
  44. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) そのとおりでございます。
  45. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 同一国会に工業短大の設置並びに高専が設置されて、学校発足が工業短大は五月十日ごろ、高専法の通過が局長の今の答弁によりますと同じ六月七日ごろ、大体一カ月を経ずして、工業短大は要りません、高専法になりますと、しかも法律案としては同一国会に出されておる。こういう地元の希望の転換はどういう理由ですか。
  46. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校設置につきまして、長岡、宇部から希望が出たと申しますのは、何も六月ということではございません。法案成立のときというわけではございませんで、その後、予算編成等のときでございます。多少その間に時間の経過があるわけでございます。いずれにいたしましても、長岡と宇部では新しい制度に将来移行して参りたいという希望を持ってその意思表示をされたものと思っております。
  47. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどの答弁では、私は高専法が通過して希望が出たように聞いたのですけれども、それは今の答弁では私の誤解であったようですが、そうすると、工業短大新設の法律案審議され、高専制度新設の法律案審議されておるころから、地元としては高等専門学校を希望しておった、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  48. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 正式には私どもはっきりした意思表示を取っておりません。お前のところはどうなのかということについて私どものほうから尋ねたわけではございませんし、正式な意思表示というわけでもございません。もちろん内々には、これ以外にも、実は工業短大を持っているところで、将来・高専にかわりたいという話が出たところもございますが、この高専の制度の発足と同時に、そういった意思表示がされたというわけではないのでございます。
  49. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長は長い間病気をしておられたようですが、これは前国会でもかなり紛糾をした問題ですので、あいまいに過ごさず、もう少し深く追及いたしたいと思います。先ほどの御答弁では、高専を希望しておるのは法律案審議のころからであったと、こういう答弁に訂正をされました。法律案審議のころというのは、少なくとも三十六年の一月からであったか、二月からであったかは別問題として、三月三十一日に通過した、工業短大が通過した。そのころはすでに高専法も審議の際となっておったのですから、法律案の国会に提案された適当な時期から希望した。この答弁局長は先ほどお答えになったのですよ。ところが今の御答弁では、正式に地元の意向を聞いていないからどうであったか知らない、こういうことですが、どちらがほんとうですか。
  50. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 公式にこの宇部なり長岡のほうから、高専設置の、高専併置の希望がございましたのは、この法案が学校教育法等の一部改正の法案が成立した後でございまして、予算編成等の時期であったと思います。この六月十七日に法案は成立いたしましたが、そのときではございま  せん。
  51. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それ以前には高専を誘致したいという運動については局長は全然御存じなかった、こういうふうに理解してよろしいのですか。というのは、高専法が提案された当時から、御承知のように委員会の傍聴も各地域から見えておりましたし、私ども文教委員に対しては、高専を誘致してもらいたい、文部省に聞くところによれば、工業短大は高専に切りかえるのだから、私の学校では、付設されている高等学校の生徒募集に対しても、学長が、正式に高専に今度はなるのです。したがって、高専に入学すると思って入学願書を出してくださいと、こういう運動を続けていますということは、学長並びに教授が多数出席して、高専法に対して私に陳情した際にも言っておることです。私どもが耳にしたのは、局長が言ったような時期でなくして、少なくとも三十六年三月三十一日、工業短大新設の法律案が通過する以前に、長岡においても宇部においても、でき得れば高専に切りかえたい、高専を誘致したいという熾烈な希望があったと把握いたしておりますが、局長は全然御存じない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  52. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 六月にこの高専法のほうの学校教育法の一部改正が成立する以前には、長岡、宇部からの高専誘致ということは私聞いておりません。
  53. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、両法律案審議のころから、最初は六月十七日以降と、大体高専法が成立して後と理解されるような答弁をなさったと私は理解したんですが、その後の答弁では、法律案審議のころ、すなわち衆議院においては二月ごろから審議されておったと思うのですが、すなわち少なくとも三十六年三月三十一日、工業短大三校新設の法律案が可決される以前においては、そういう意向があったというのが局長の先ほどの答弁なんですよ。ところが、高専法通過の後に、それを以前には聞いていなかった、これは局長が記憶違いじゃないですか。
  54. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私は、先ほども、実はいわゆる短大設置の際にすでに高専誘致の希望があったというふうにはお答えしてないつもりでございます。高専誘置につきましては、この高専法設置のほうの学校教育法の一部改正が成立した後に正式に意思表示が出てきたものでございまして、それ以前にすでに宇部あるいは長岡から、自分のところに高等専門学校を併置してもらいたいという希望は聞いておりません。
  55. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 言葉じりをつかむのじゃなくて、正式、不正式ということでなくして、長岡、宇部の両地元においては、三十六年三月三十一日、短大新設がきまる以前、ということは、同時に高専法通過の以前に、短大もけっこうですけれども、短大がやがて高専に転身するそうですから、ぜひ高専法を通過して高専に切りかえて下さいという運動を全然御存じなかったのですかと、こう聞いている。正式の文部省に対する書類届けとか、そういうことを聞いておるのじゃないんです。
  56. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもは、三月三十一日以前にそういう運動があったということは承知いたしておりません。
  57. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 局長答弁としてはもっともなことでしょう。いわゆる大学当局に誘致を申請してくるのは法律案が通過してからが当然ですが、しかし、前国会に高専法審議の際に、前々国会ですか、非常に工業短大と高専との関係で委員会がかなり議論をかわしたことは御記憶のとおりですね。このことの論議をかわしたのは、少なくとも私どもの手元には、先ほど申し上げたように、ある工業短大では、いわゆる高等学校の新設でさえも高専になるんだから、高専の生徒になるつもりで入学希望しなさいと、こういう運動をしておる。同様に、工業短大が新設される地域においては、工業短大はやがては高等専門学校に切りかえられるんですから、どうぞ高専法を通過して下さい、ということは、同時に、私どもの地方に高専を誘致して下さい、こういう運動は、短大設置法律案提案され、高専法が国会に提案されたときから根強くやられておった運動ですよ。そのことがあるからこそ、私どもは、ある意味では基本政策になるけれども、非常に局長答弁用語を気にして質問したんです。  大臣にお尋ねいたしますが、大臣も同様に、少なくとも三十六年三月三十一日以前においては、工業短大の新設される地域においては高専法通過の希望があったという事実、並びにその希望は高専を誘致したいという意思と連なるものと理解すべきですが、これが両方とも全然なかったという記憶ですか。そのことは私が先ほど指摘したように行なわれておった、そういう意思があったと、こういうふうに記憶しておられますか。
  58. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 記憶ははっきりいたしませんが、あり得たであろうと思います。ついでながら、率直にお話ししたほうが早わかりと思いますが、豊瀬さんも御案内のとおり、政府側に専科大学設置の構想が数年来ありましたことを御承知と思いますが、ところが、これに対しましては私学側から反対が出て、二回か三回にわたって提案されながら審議未了になったと記憶しておりますが、それは短大の反対ももっともな意味もあるわけでございまして、さりとて、また一方、専科大学的な学校制度があることもまた考えられる。まあ両方反対の空気がありますことを対照とすれば、反対ももっともだが、設置もしたいという状態で数年を経過したわけであります。そこで、そのかつての専科大学の構想に最も近いやり方で何か考え方はないかということから生まれ出ましたのが高等専門学校考え方でございます。したがって、短大が置かれました、あるいは置かれんとしておるときに、高専ということよりも専科大学の誘致をしたいという気持はあったろうと思います。それがたまたま短期大学と同時に高専法も審議されるというので、専科大学を高専に置きかえた気持からの誘致運動的な気分はあり得たはずでございます。ですから、どういう言葉を使って陳情されたかはわかりませんけれども、実質的には、短大にあらざる一貫した五年制の学校のほうが望ましいという気持からの陳情はたぶんあっただろうと思います。はっきりだれがどこから陳情にこられたかを記憶しませんけれども、あり得ただろうと思うのであります。そこで、その点を実際問題としていろいろ御論議があったことも私もはっきり記憶いたしておりますが、一般的に申し上げまして、短期大学制度はそれ自体存在の意義がある、値打がある、しかしまた、五年一貫した教育を授ける高等専門学校という構想もまた必要であり意義がある、値打があると、こういうことで御審議を願い、御決定をいただいたわけでございます。したがいまして、率直に申し上げれば、工業高専の設置されるところで、同時に短期大学があるところでありまする限りは、少くとも事務当局の心の中では、かつての専科大学にかわるものとしてスタートをしたはずなんだから、高専に切りかえたいという希望はあったろうと思います。ただ、論理的に、同時にそのことを申し上げにくいので、その辺を表現するのに苦心しておったことを私も承知しております。これは何も国会をごまかして通るとか、通らぬとかじゃなしに、短期大学制度というものは、それ自体、さっき申し上げたような意味で存続の値打ちがある、私は今もそう思っております。高専は高専なりにまたその意義がある。しかしながら、実際問題といたしますと、工業短期大学と工業高等専門学校というものが、その地元の希望なり、あるいは専科大学の構想を念頭においておった文部省の、少なくとも事務当局の気持ということを率直に割り切って申し上げれば、できることならば高専のほうに切りかえることができないものか、こう思ったことも率直な気持だと思います。そのことがたまたま一致いたしまして、短大は短大として存続するが、そこの場所に高専を付置するということで、地元の希望にもこたえ、かつまた当該短大の要望にも沿うということが、宇部、長岡の御審議を願っておる姿だと私は理解いたします。幾分言葉が過ぎた点もあろうかと思いますが、むしろ率直に申し上げたほうがよろしいと思って、以上をもってお答えにいたします。
  59. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣の答弁は非常に率直明快でありまして、経緯についてはそのとおりでございます。で、私は当時の局長答弁とか、あるいは大臣の答弁がこうであったからという答弁内容とか用語をとらえて、とやかくこの際追及しようと思っておるのじゃない。ただ、あのときも私どもはたびたび指摘をしましたし、政府の学校制度に対する政策の一貫性がないということが問題であるし、同時に、そのことは、具体的には、端的に長岡、宇部の問題となってくるわけです。で、今の大臣の答弁で大体の経緯は了承いたしましたが、少なくとも宇部並びに長岡については、三十六年三月三十一日、設置法律案が可決したときは短期大学を置くということ。ところが、一方においては高専法が審議されておるこの際に、大臣が答弁されたように、工業短大を新たに作る以上は、少なくとも一年後に、これが当時の国会に提出された高専を付置すると大臣はおっしゃっておるけれども、切りかえていくというようなことがあってはならない。このことを強く指摘いたしました。そこで、一方論議を進めまして、長岡工業短大、宇部工業短大は高等専門学校設置されて五年後といえども、別個に、短大は短大、高専は高専として存置して、ただいま大臣の答弁のとおり議事録にも載っておるのですが、三十六年三月三十日の、最終的には委員長理事打合会を長時間いたしまして私が確認した答弁では、今、大臣がおっしゃったように、工業短大は工業短大、高専は高専としてそれぞれ特色を生かして育成していく、この方針は、工業短大が五年間の歳月を経た後においても続けていかれる方針である、このように理解してよろしいですか。
  60. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 方針としては仰せのとおりでございます。
  61. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、長岡並びに宇部には工業短大と高等専門学校が、この法律案が通過すれば、同時に併立しておる。そうして将来についても工業専門学校並びに高専が維持されていく、このように理解してよろしいですか。
  62. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) ただいま申し上げましたように、建前、方針としては仰せの通りでございます。ただ、実際問題といたしますと、今後数年を経たときまで予言はできませんけれども、実際問題としますれば、たとえば、宇部に短期大学と高専が併存しておるということよりも、その短期大学を同じ山口県内の他の都市に移設して別個にしたほうがよいということがあるかもしれません。しかし、短期大学制度制度として厳然として存続さるべきもの、高等専門学校は新たなる制度として発足し、今後もむろん安定して維持さるべきものという方針は一つも変わりがない筋合いのものと心得ます。
  63. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 確かに移すかどうかは別問題として、ただいまの答弁では、長岡並びに宇部には両方が併立しても十年後はわからないとおっしゃっておりますが、大臣あるいは当時の内藤局長の衆議院における答弁によりますと、たとえば学校教育法二十八条の実施については、二百五十年ばかり先を見通したような答弁がなされておりますよ。これはあとで養護教諭の付置の法律案審議をするときに、私のほうから問いただしていきますが、少なくとも二十八条の養護教諭及び事務職員を置かなければならないという付置の法案を実現するためには、今の現行の予算の組み方では、二百五十年かかる、そういう意味指摘したのですが、少なくとも高専と工業短大は、工業短大そのものの制度が維持されていく、このことは大臣は終始否定されておりません。高専の必要性も力説されております。しかし、同一地域における工業短大と高専が同じ国会に法律案提案されたときから、高専に切りかえる方針として運動されたということは、私どもとしては看過することができないわけです。  ここで問題を転じまして、十二の高専が設置されましたが、これは前回米田委員から聞きましたが、高専設置については何校程度文部省に希望が出ましたか。
  64. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) はっきりした数字は覚えておりませんが、たしか三十六府県で四十八都市だったと思います。
  65. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 最初は大蔵省が二、三校にするような話も出ておりましたが、文部大臣としては、これだけ設立したのは非常な成功であると御判断になっておると思いますが、四十幾つかの希望の中から、それぞれ諸条件を選んで設置されたと思います。その条件提示について、前委員会において毛、設置理由については米田委員がただしたところですが、その中で工業短大が三十六年度に新設されている。したがって、その地域としては、工業短大の必要性は十二分にあったと判断される。当時同じ国会で高専法を提出している。その高専法が次の国会で成立すると、同じ個所に高専を新たに新設する——どこも希望がなくて予算が余っておれば、工業教育の必要な地域には、極端に言えば何校あってもよろしいでしょう。しかし、多数の希望があっておるにもかかわらず、そして新たに、従前から工業短大があったならともかくも、新たに同じ国会で提出された法律に基づいて、宇部、長岡には、工業短大が新設されたところに高専を設置されているのは、先ほどの大臣の答弁の趣旨から考えるとどうも解せないのですが、局長はどういう見解ですか。
  66. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この長岡、宇部につきましては、先ほど申しましたように、いろいろ地元の要望がこの高専制度の発足についてございました。もちろんただいま豊瀬委員のお尋ねのように、設置希望がことしは非常に多かったのでありますが、そういった都市を選択いたします上からの条件にも、これらは当たっておりますので、なるほど三十六年に長岡、宇部については短大を設置したところでございますが、高専を併置することにいたしたわけでございまして、なお、三十六年にこの長岡、宇部以外に、宇都宮にも工業短大を設置したわけでございますが、これについては、大学等のほうでまだ十分意見が、この高専誘致についての意見ができておりませんでしたので、これについてはこの高専を持っていくということをしなかったわけでございます。地元で非常に高専誘致についての強い要望がございましたので、全く新たに高専を設置します十の都市に加えまして、長岡、宇部については工業高等専門学校設置することにしたわけでございます。
  67. 大矢正

    委員長大矢正君) 豊瀬委員に御相談がございますが、速記をとめさしていただきます。速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 大矢正

    委員長大矢正君) 速記を起こして。  午前中の質疑はこの程度にし、午後は一時より再開することにして、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩    ————・————    午後一時三十六分開会
  69. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国立学校設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  70. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中の質問で明らかになりましたのは、少なくとも三十六年三月三十一日、工業短大新設の法案が決定される以前に専門学校誘致の運動が行なわれておる。そうして新設後一年も間もない工業短大の中に、学長ないし校長も兼任で、高等専門学校が新設されたとはいい条、全く付設されたと言ってもいいと思うのですが、このことは大臣の午前中の答弁にもかかわらず、少なくとも長岡、宇部においては二つのことが言い得ると思うのです。その第一は、長岡、宇部については、工業短大がやがて高専に身がわりするであろうということ、第二には、二つの工業短大の新設当時から、少なくとも意識的には高専に身がわりをするということで新設が予定される。すなわち高専法の通過を期待し、意図しておった文部省としては、同時に工業短大新設も期待し、意図しておったはずです。ここで問題になりますのは、あの当時、矢嶋委員が鋭く指摘した将来の転身を意図しながらも、わずか一年間しか実質的に寿命がないところの工業短大を作ったということは、明らかに、ある特定学校については高専の設置を意図し、同時に当該工業短大を高専に転身させる意図であったと、こう推論しても少しも誤りないと思うのです。そこで、再度、大臣に見解を承りたいのは、将来、高専を新たに併置したところ、長岡工業短大、宇部工業短大については、同一場所に工業短大を維持継続していくつもりかどうか、同時に早急の期間に長岡、宇部に併置する予定の高等専門学校は別個の土地に移転する方針があるかないか、このことをはっきり承りたいと思う。
  71. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 午前中もお答えしましたように、専科大学の構想のときに、短期大学を当然専科大学に移行させるという建前で法案も提案をされたと記憶しております。その当時の考え方からいけば、考えはもちろんのこと、制度そのものは必然的にそうなるという建前であったわけであります。ところが、繰り返しになっておそれいりますが、それでは現在ある短期大学、ことに私立の短期大学においては絶対反対である、短期大学はそれ自体の使命があり、効果もあけている、そのことを当然に解消さして、専科大学に移行することはもってのほかだというその意見にも聞くべきものがあったわけであります。そこで、専科大学考え方を高等専門学校考え方に改めて制度づけたほうが適切だという結論に到達して、高等専門学校法を御決定をいただいたようなわけでございますから、経過的に申し上げれば、短期大学がかつての専科大学を念頭において考えれば、高専に移行するであろうことを土地の人が期待している人があったかもしれない、当然あったろうと思います。また、文部省事務当局としても、そういう気持は一応いきなり払拭もできないという意味合いもあったろうと思います。ですけれども制度そのものは、短期大学学校教育法に「当分の間、」とありますけれども制度として、厳然として従来どおり、そのほかに高等専門学校という制度が加わったという、その法律制度の建前論から、同じ土地でありましょうとも、高専と短大が併存する制度上の存在であると考えます。ただ現実問題として、応募者がなければ短大も高専もどうにもなるものではないわけでありますが、そういうこともございましょうし、かつまた地域的に見て、高専だけで短大はよそへ移したほうがよろしいということも将来は起こるかもしれない、そういう現実問題は今から予言はむろんできませんけれども制度論として申し上げれば、当然、短大は短大、高専は高専として命脈をつないでいくべきもの、かように考えております。
  72. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 原則論はわかりましたが、局長にお尋ねいたしますが、他の高専とは異なって、この一校だけは既存の大学の中に、先ほど指摘しましたように、学長も兼任して置かれておりますが、これは別個に独立した校長、独立した校舎、独立した教師、これが二校のみ実現できなかった理由は何ですか。
  73. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) さしあたってのことでございますが、長岡、宇部につきましては、同一の場所で高等専門学校を併設して参りたい、併置して参りたいと考えております。ただ、この場合におきましても、もちろん校舎等の足りないものにつきましては、これは増設いたしますし、それから教官につきましても、短期大学とは別個の高等専門学校教授、助教授、講師以下の定員をとっているわけでございます。ただ、校長先生につきましては、身近に短期大学の学長がおられるわけでございますので、さしあたって、短期大学の学長に高専の校長を併任してもらおうというような考え方をいたしております。したがって、敷地の点については同一場所でございますが、それ以外に設備関係、あるいは教官についてはそれぞれ手当をする予定でございます。
  74. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 併置したのはなぜですかと聞いている。
  75. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) さしあたって、地元におきましては、高等専門学校制度の発足にあたりまして、自分のところの短期大学については将来これを切りかえるという、もちろん本年あるいは来年に切りかえるということではございませんけれども、完成した場合に高等専門学校に切りかえていきたいという御希望でございますので、これは地元並びに大学当局がそういう御希望でございますので、同一の場所に併置をすることにしたわけでございます。
  76. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 直ちにではないけれどもということは、五年後という意味ですか。
  77. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 将来のことはわかりませんけれども、最低五年間は短期大学については当然存続するものでございます。
  78. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ということは、工業短大が消えて、高専に切りかえられるということを局長としては当然容認した前提に立って併置をした。このように理解してよろしいですか。
  79. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 高等専門学校は三十七年からいわゆる学年進行で創設されて参るわけでございまして、結局五年間、完成までに五年間を必要とするわけでござざいます。この間、当然、短期大学は短期大学として併存するわけでございますが、その五年先に、この工業短期大学のほうは、もちろんそのときの状況にもよるかもしれませんけれども、現在の段階では、これを廃止して高等専門学校一本にしてもよいのではないかというふうに考えて、この要求をいたしております。
  80. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 いきさつを別にして、短大廃止、高専切りかえ、この前提で併置する。このように端的に理解してよろしいですね。
  81. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) もちろんこの制度としては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、高等専門学校と短期大学とは別のものでございますが、現実の問題といたしまして、地域的な要求なり大学生局の意向も十分考慮いたしまして、そのときには短期大学というものを廃止してよいのではないかというように考えております。
  82. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 親切に質問しますと、長岡工業短大、宇部工業短大は五年後は廃止する。高専一本にする。こういう前提で併置する。このように理解してよろしいですね。
  83. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 簡単に申せばそういうふうに理解していただいてけっこうだと思います。
  84. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そのことは、三十六年三月末以前において、すでに大学学術局当局としては予定をしておった、このように理解してよろしいですね。
  85. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 工業短期大学設置の法案御審議の際には、そういうことは私ども考えておりませんでした。
  86. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 新たに新設する大学が、一年足らずして、命を五年後には失うという前提で設けたということは、短大新設の法律と高専新設の法律を当時の国会に出していなければ別ですよ。同一の国会に提出したということは、高専は高専として、大臣の答弁のように、文部大臣がかわり、内閣が当然かわり、政権が移動していけば、別段それはあたりまえのことで国会の中で論議する必要のないことだ。しかし、現在の政府としては、高専は国の学校制度一つの立て方として拡充発展をさせていく、新たに法律を設けて設置した長岡、宇部の工業短大は、少なくとも三十六年の三月三十一日成立のころ、並びに学校発足五月十日ごろは、論を変えると、高専法を成立させたいと政府が意図しているときにおいても、長岡、宇部の両工業短大は存続していきたいという方針であった。これが一年後に、長岡、宇部工業短大は五年後には消え去っていくと、こういう政策の変更は、局長、どこから出てきたんですか。
  87. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 午前中にお答え申しましたように、六月にいわゆる高等専門学校制度の創設を含めます学校教育法の一部改正の法律が成立をいたしました。その後、この長岡、宇部の学校当局並びに地元では、この高等専門学校制度に切りかえてもらいたい、こういう意思表示をして参ったわけでございまして、したがって、予算編成時、すなわち八月、九月ころにその問題をいろいろ研究しました結果、地元並びに大学当局の要望を取り入れて、そういった方向に持っていこうということをきめたわけでございます。
  88. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 政府は、何度も指摘するように、長岡、宇部の短大を新たに作って科学技術の進展に資したい、そして、そのことは短期政策でなく長期のかまえである、これが高専法を国会に出した当時の考え方であった。したがって、一年後の今日といえども局長もかわっていない、文部大臣もかわっていない現段階においては、三十六年三月三十一日に成立を見たところの長岡工業短大、宇部工業短大については、やはり長期に存続させ、拡充発展さしていく、こういう方針でなければ、高専法と二短大設置法律を同時の国会に出す意味というのは、あの際にも指摘しましたように、非常におかしなものになってきます。しかし、これは先ほどの開会劈頭の理事会の際にも話し合いをしたことですので、次回の委員会でこの点についてはもっと審議を進めていきます。  それで、局長、長岡工業短大の教師の中で、講師等の立場、あるいは併任等の立場で高専の教師になる人は校長の兼任以外は一名もいない、このように理解してよろしいですね。
  89. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 工業短期大学と高等専門学校とが同じ場所に併置されるような場合につきましては、もちろんこの高等専門学校につきましても、それ自体の教官の定数というものがあるわけでございますけれども、なお必要に応じて、助教授あるいは講師等で併任できるというような者については、校長の御判断等に基づきまして併任の措置もとりたいと思っています。もっとも、現在、高等専門学校のほうの教官につきましては、校長予定者が中心になりまして選考中でございますので、だれがどういうふうに併任されるというふうなことについては、まだきまっておりませんけれども、必要かつ有効な併任関係が認められれば、そういう者についても、希望に沿って併任の措置をとりたいと考えております。
  90. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほどの答弁では、校長が兼任しておるだけであって、あとは独自の教師ですということでしたけれども、まあそれは当然起こり得ることと予想しないほうがおかしいんで、こういうことが行なわれておるんだろうと思うのです。そこで、少なくとも三月三十一日までには長岡に設置される高専の職員構成といいますか、教職員構成は当然できるはずですね。
  91. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この法律が国会で審議され、成立するに至りますれば、四月の一日から発足するわけでございますが、実際に学校の開校はそれよりおくれると思います。ただ、できるだけ教官陣容の組織につきましては早く整備したいということを考えておりますので、現在の状況でも三月の末、豊瀬委員も御指摘のように、三月末までには一応の陣容を整備することはできると思います。
  92. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 長岡、宇部に関しては、今質問しておる職員構成等の両者の関係がなければ、私が質問している同一国会に二つの法案を出し、一年後は、それを五年後には統合していく方針である、こういう答弁をされては、この法律案審議はできませんので、少なくとも長岡と宇部両高専については、兼任をしておる短大の校長を督促して、早急に職員構成の表を取り上げ、できれば、私ども理事会で一応話をしたところの木躍日にあげるように努力したいという方針に間に合うように職員構成を出して下さい。それがないと審議進行できません。
  93. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほど来、高専、短大の関連において、特に具体的には宇部、長岡の関連で政府委員からお答えを申し上げておりましたが、これは専科大学法案なるものが三回たしか提案をされて審議未了になった。審議未了になったただ一つ理由は、短期大学は短期大学としての存在意義あり、それを当然移行させるのは不同意であるという、特に私学側の反対の意向が反映して審議未了になったと承知いたします。先刻も申し上げたとおり、それ自身には理由がある。短大は短大としての制度上の存立の価値があり、意義がある、高専は高専としての、かつての専科大学の構想に基づくとはいいながら、新たにそういう制度を打ち立てる必要があるという立場において御審議を願ったわけでございまして、感想は別として、制度法律として国会を通じて確立されました以上、それ以前と以後とは、私どもの心がまえというものは当然変わるべきかと思います。変わらなければおかしい。そういう前提から申しますと、先ほど来、政府委員から申したことは、幾分感想がまじっておるということは、ある程度やむを得ないわけですけれども制度論としては適切でなかろう、五年後は最初から長岡、宇部の短大は当然廃止するという方針を確立して、宇部、長岡に高等専門学校を併置するということにしたわけではございません。そのときになって、たとえば宇部なり、長岡なり、あるいは山口県なり新潟県なりという県の客観的なもろもろの情勢判断のもとに、同じ場所に二つ置くことは適切でない。だから、そこの場所としては廃校にして、よそへ持っていくというふうなことはあるでございましょう。あるいはまた仮定でございますけれども、短大は廃止しても高専だけは残したい。それがまた適切であるという具体的な事象がないとはこれは言い切れないと思いますが、それは今後の、あくまで短大、高専、同じ場所にすべきかいなか、併置するだけの価値ありやいなや、教育上の必要性ありやいなやによって、改めて考えられるべき課題であって、今から予言できる課題じゃないと私は考えておるのであります。繰り返し申し上げますが、五年後に宇部、長岡の短期大学を当然廃止する、そのことを方針として確立して宇部、長岡に置いたことではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  94. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それではこれで終わりますが、第一段の研究所に関する研究テーマ研究所の要綱、職員構成、それから研究費等、並びに今質問いたしました長岡、宇部に関する限り、短大の職員構成と高専の職員構成と定員、あるいは短大の教授、助教授等で高専の講師となる者の数、科目等の資料を次の委員会に御提出願いたいと思います。  以上で高専に関する質問を終わります。
  95. 大矢正

    委員長大矢正君) 本案に対する質疑は、本日のところこの程度といたします。   —————————————
  96. 大矢正

    委員長大矢正君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案(参第七号)を議題とし、審査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  97. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 提案者の方にお伺いいたしたいのです。  この提案理由を拝見いたしますと、養護教諭の配置率が各県に非常に差がありますが、その原因はどんな原因なのか、お伺いいたします。
  98. 千葉千代世

    千葉千代世君 今お尋ねのありましたように、養護教諭の配置率が、提案理由にも述べましたけれども、非常に各県がまちまちである。その原因についてはたくさんございますが、主として本法ができます時分、すなわち養護教諭の前身は養護訓導と言われておりましたけれども、昭和十六年に勅令が出まして、養護訓導の制度ができましたそのときに、人が足りませんでしたために、たとえば養成所設置の問題が当時の勅令発布のときには確立しておりませんために人を得られない。こういう実情から、小学校、中学校には養護訓導を置かなければならない、しかし当分の間これを置かないことができると、こういう附則がついておったのです。続いて、それが昭和二十二年の学校教育法の制定されましたときに、学校教育法の二十八条の中に小学校に置かなければならない、四十条で中学校にこれを置かなければならないとうたいながら、百三条を新たに設けて、その中に、「当分の間、これを置かないことができる。」という昭和十六年の勅令発布当時のそのままが盛られたわけでございます。先ほど申し上げましたように、当分の間置かないことができるというのは、人が足りないからだというのを、今度は当時の行政に携わる方の解釈がまちまちでございまして、自分の都合のいいほうに解釈しまして、たとえば財源がないという理由を一番にあげて、そして自分のところはこれは財源がないからできないのだと、こういうふうにしまして、だんだん当分の間これを置かないことができる——努力目標というものを隠されておって、そのときの財政の便宜主義によって置かなかった、こういうのがございましたために、各県が非常にまちまちでございました。なお、地方財政の状態によりまして、赤字県がございましたり、それから割合に富裕県がございましたり、そういう地方の財源の実情でもってこれは左右されておりました。けれども、養護教諭はもとより学校教育に携わる者たちが、おしなべて、どうしてもこれを置かなければならないという再三の要求がございまして、お手元に先ほどお配りいたしました附帯決議の収録がございますけれども、この附帯決議にございますように、昭和三十三年三月に参議院、それから同じく四月が衆議院、それから三十六年に衆議院文教委員会、同じく参議院、こういうふうにずっと附帯決議があげられておったのです。ところが、その附帯決議の趣旨がなかなか生かされていないわけなんです。いわゆる決議のしっぱなしで、その決議いたしますときには、文部大臣お立ちになって、この附帯決議の趣旨を体して政府は万般の努力をして附帯決議の趣旨に沿うようにすると、こういう御決意がそのたびに述べられましたけれども、実際的にはだんだん減っていく一方でございます。具体的にはこの法律ができまして、各県の努力がなされた中で一番努力をしたのが佐賀県でございまして、佐賀県では小学校一〇〇%に近く、しかも高等学校まで配置しておったわけです。しかし、現在は小学校が五九・四という実情でございます。東京は七九・五というように、非常に努力した県もだんだん減らされていった。これは御承知のように、地方財政の逼迫のしわ寄せが養護教諭に集まっていった。一般の教員については、教えているから、教壇に立つからと、この名目だけによってある程度防ぎ得たわけですが、養護教諭の場合ですというと、やはり学校保健について認識が十分でなかったり、それからいろいろな問題が出ますと、弱いところにしわ寄せがされていくという、こういう日本の教育の中の現実は、これは各県とも相当あるわけでございます。というようなわけで、これは非常にまちまちな、原因というとたくさんございますが、主として財政的な問題と養成の問題と、こういうふうな工合になっております。
  99. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次にお伺いしますが、免許状がありながら任用がされないで市町村支弁になっておる人が、ここで四千名もいるというふうに言われておりますが、各県にまかせっぱなしで、文部省は何の行政指導もしていないのかどうか。またその県は、差があるでしょうが、一番多いのはどこかをお伺いいたします。提案者にお伺いします。
  100. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは文部省の立場からはまた文部省に答えていただきたいと思いますが、私どもがこの法律提案いたしました理由の中に、ただいま御指摘のように、免許状がありながら市町村支弁の方が四千人もいる。これにつきましては先ほど申し上げましたように、ほんとうから言えば、義務教育の負担法によりまして、教員なら教員の分の払った二分の一は国庫が負担すると、こういう建前でございますから、任用していただけば一番いいわけなんです。ところが二分の一を県が持たなければならないとございますから、その県の実績、昨年なら昨年少なかったからそのままでまた予算を組んでいく、そうすると、文部省のほうでは算定基礎の中に何々県には幾らと、こういうふうに出ておりますから、それを総括して養護教諭については大体どのくらい、こう組んでおるわけです。文部省の予算の中で小学校千五百人について一名、中学校二千人について一名と、こういう基礎が組まれていながら、現実に地方に行きますというと、それがなかなかそのとおりにいきませんので、ひどいのになりますと、ある県ですと、養護教諭を任用しておったという名目の中で一般の教師を雇っておった、こういうことが明らかにされておるわけなんです。そういうふうにいたしまして、この一番多いのは広島県が三百十二名、その次は鹿児島が三百十二名、これは文部省の昨年の五月一日の指定統計でございますが、それによってでございます。三番目が兵庫、二百九名ですね。それから四番目が神奈川の百五十三、五番目が宮城の百四十、六番目が三重の百二十五、七番が新潟の百二十四、少ないところは、これは千葉県でございまして、千葉県が中学校二名でございます。こういうふうに、多いところは三百十二、少ないところは二名というように、これまた養護教員の各県の設置状況とあわせまして、市町村支弁のものたちも非常なアンバランスの中にいるという、こういう現状でございます。
  101. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一つ提案者にお伺いいたしますが、法律案の要綱の第一のところに、「特別の事情のあるとき」にというふうに言われておりますけれども、この「特別の事情」というのはどういう事情を言っているのか、具体的におっしゃっていただきたいと思います。
  102. 千葉千代世

    千葉千代世君 その格別の事情というのは、本来からいえば置かなければならないというのがこれが原則なわけで、格別の事情というのは先ほど申し上げましたように、養成計画が政府としては進められていなかった、そのために人が得られないということと、それから地方の財源の問題と、この二つ。それからもう一つは、文部省のやはり行政指導の点についても、各県の財政が困難なときに対する教員定数の指導ということが十分ではなかったこと、それからやはりかつての師範教育の中で知育偏重という点が非常に多くて、児童や生徒の健康ということ、知育、体育、健康という全部が一致した教育という点については、当初なかなかこれが払拭し切れなかったわけです。したがいまして、そういうふうな教育に携わる者たちの中にも、古い人、新しい人の中に若干のやはり意識の相違があり、先ほど申し上げました行政指導面についても不十分な点がある、こういうような点で置かれなかった。格別の事情というのは、いわゆる先ほどくどく申しましたけれども、養成計画を立ててやるという裏の努力目標ということが隠されておったわけです。それが全然のけられておったと、こういう点準あると思っております。
  103. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に政府委員にお伺いいたしますが、養護教諭の定数を小学校の場合千五百人に一人、それから中学校は二千人に一人というふうな割合になっておりますけれども、政府はこれで十分とお考えになっているかどうか。
  104. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 御指摘のとおりに、ただいまの基準におきましては養護教諭の定数は小学校千五百人に一人、中学校二千人に一人というような割合になっておりますが、これは小中学校の教員の定数をきめます際の基準でございまして、したがって、この標準法によりまして教員あるいは養護教員、あるいは事務職員といったようないろいろな学校運営に必要な教職員についての府県別の定数というものをそれによってきめておるわけでございます。それが適当かどうかというお尋ねになりますと、私どもは、この養護教諭の仕事ももちろん児童の養護をつかさどるものでございますから非常に大事なものと考えております。中学においても小学校におきましても、そういった意味におきまして、仕事としては非常に大事な仕事を受け持っていただいていると思いますが、しかし学校運営自体から考えますと、一般の教員、養護教諭、あるいは事務職員といったようなもののある程度のバランスをとった充実ということが必要であろうと考えております。したがって、現行法におきましては、今申しましたように千五百人あるいは二千人に一人というような基準を一応置いているわけでございます。これは御承知のように、現在はすし詰め学級の解消という意味合いからいたしまして、定数法に基づいて三十八年までに所要の教職員を充実していくという目標を持ちまして、すし詰め学級の解消ということを志しておるわけでございます。したがって、適当かどうかとおっしゃられますと、ちょっと返事に困るわけでございますけれども、それは大事な仕事を持っていただいておりますから、できる限り未設置のところは設置していただいて、多いほうがいいと思います。しかし先ほど申しましたように、やはりそれは学校運営のバランスということをやはり考えなければなりませんので、私どもとしては三十八年以降の問題としては、それではたしていいかどうかということは、もう一ぺん検討の時期があろうと思います。
  105. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 今年度の予算の中に養成費が示されております。組まれましたけれども、非常に少ないように思いますけれども、これは年々増していくおつもりかどうか。
  106. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 養護教員の俸給費につきましては、これは国庫負担法によりまして二分の一国庫が負担するわけでございます。したがって、各学校においてこれを設置した場合におきましては、実績主義によって国が二分の一負担するわけでございますから、これは問題はございません。ただ、先ほど千葉委員からもお述べになりましたように、現在必ずしも十分とは言いがたい状態にございます。その一つの原因といたしまして、この養護教員の養成という問題が必ずしも十分とは私ども考えていないわけでございます。したがって、従来、大学あるいは短大等におきまして養成しました者も、全部この養護教員として就職してもらうということは望ましいわけですけれども、それも現実の問題としてはなかなか困難なことがあるわけでございます。それからまた府県等におきましても養成所を持っておりますから、そういう養成所の卒業者も、まあ毎年四百七、八十名程度のものが出ておりますけれども、現実に就職しますのはやはりその中で半分——失礼しました。免許状取得者の数でございます。その中で二百七、八十人というのが実績のようでございます。三十五年度でございますが、そういうことでなかなか実際に免許状を持って学校に配置されるということにつきまして、いろいろな困難な事情もあるようでございます。したがって、やはり計画的に養成する数を、卒業者自身をたくさん出すというととが充実する一つの大きな要素でございまして、文部省としては、三十七年度におきましては五大学に約百五十人の定員をもってこれを拡充していこうという新しい計画を進めておるわけでございます。将来もそういう養成については十分実情をにらみ合わせながら、これをやっていきたいという考えでございます。
  107. 千葉千代世

    千葉千代世君 柏原委員に、先ほどの答弁の中にちょっと漏れました点を補足させていただきたいと思いますけれども、特別の事情のある限り、「当分の間、」というのがございましたけれども、「当分の間、」という解釈なんですが、これは昭和十六年に初めて、当時は法律でございませんで、勅令という名で法律ができたわけです。そのときに貴族院を通って枢密院会議とか何とかいうところでやられたときに、「当分の間、」というのが問題になって、「当分の間、」は一体どのくらいかといったら五年ぐらいという話になっておったわけです。昭和十六年ですから、二十年ころには満ぱいになると、こういうふうな話し合いでこの法律ができたわけですが、ところが戦争に入ってしまいましてこれができません。それで二十二年の学校教育法の改正のときにそのまま入れられてしまったわけです。ですから「当分の間、」という解釈がもうできてから、昭和十六年ですからちょうど二十年たちますけれども、それでも「当分の間、」という解釈が続いていくということが非常に問題ではないかということです。この点について補足いたします。
  108. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 最後に、養護教諭を養成しているところが全国でどのくらいあるかを教えていただいて私の質問を終わります。
  109. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 大学、短大におきまして、これは国立、公立、私立を含んでおりますが、大学、短大を合わせまして十三校でございます。それから国立、公立の指定養成機関、これは十五校、それに先ほど申し上げました三十七年度から五つの国立大学に養成をやるという計画でございます。それにプラス五大学を加えていただけばけっとうでございます。
  110. 野本品吉

    ○野本品吉君 提案者でなしに、いろいろこの問題の全貌を正確に把握するために文部省に二、三の点についてお尋ねしておきたいと思うのです。  その第一の事柄は、先ほど御説明のありましたように、現在すし詰め学級解消五カ年計画というものを進めております。それが昭和三十八年で完了する。そこで、すし詰め学級解消五カ年計画というものが完了した段階においては、私どもが常識的に考えましても、当然学校教職員のバランスのとれた充足計画というものを文部省は策定すべきであると思うのです。そういう点について現在どういうふうにお考えになっておりますか。
  111. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 今御指摘になりましたように、三十八年までにすし詰め学級を解消いたしまして、一学級の定員を五十名に小中学校ともにするという計画で、あと三十七年度、三十八年度と、二年残っておるわけでありますが、その間に必ず五十人定員の学級編制に改善したいと考えております。それ以後におきますと、小中学校の生徒が漸減して参りまして、大体、生徒数におきまして、ほぼ恒常的になる年度といたしましては、昭和四十五年ごろと考えております。したがって、四十四、五年ごろの状態を一応頭に考えてみますと、小中学校の生徒数において、現在の約千八百万でございますか、千八百万程度の生徒数が四百万ぐらい減になると考えられます、今のまま参りますと。そういうことになりますと、小中学校の教員数も現在のままで参りまして相当余ってくるというような事態も生じようかと思います。そういたしますので、私どもとしては、さらに現在の五十人の学級編制をもう少し教育的な学級編制に改めていきたいと、こういう考え方を持っているわけでございます。したがって、三十八年度以降の問題については、単に養護教諭だけの問題でなく、教員の定数あるいは養護教諭、事務職員を含めて全般的な定数というものをさらにこれを検討して、適正な定数をひとつ制定しなきゃならぬというような検討を事務的には進めておるわけであります。しかし、これは非常に困難ないろんな条件もございますので、軽々にきめるべきではないと考えておりますが、したがって、まあそういう問題を一応別にいたしまして、今申しました養護教員だけの問題を考えてみますと、現在は千五百人あるいは二千人に一人ということになっておりますので、このすし詰め学級の解消に伴いまする、いわゆる三十八年の定数で考えてみると、約二千人なお充実すべきものがあると思います。したがって、その二千人ぐらいの養護学級の教員を充実いたしまして、あとの学級数なり、あるいは生徒数というものの漸減とにらみ合わせて参りますと、現在の千五百人あるいは二千人に一人というのが、ずっと生徒数に対する比率は落ちて参りまして、だんだんにその面から申しますと、あるいは一定規模の学校には必ず一人くらい置けるというような計算になって参りはしないか、こういうことを一応予想いたしまして、そういうことに、いろいろな考え合わせの上に一つの検討問題として考えているわけでございます。しかし非常に重要な問題でございますので、これは私どもとしても非常に慎重にやりたいと考えております。
  112. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の教員、養護教諭、事務職員、いろいろな問題がありますが、それをバランスのとれた定員を配置するということは、これは学校教育の充実、能率の発揮という点から見て非常に大事なことなんです、問題は。現在この種の問題を考えるときに、私は各地域において相当のいわゆる地域格差があると思う。したがって、この問題に手をつけるということになって参りますというと、地方の実情というものを最も正確に把握して、その正確な実情の上に立ってものを考えないというと、いたずらにまたペーパープランになってしまうおそれがある。そこで、文部省は三十八年度にすし詰め学級の解消の五カ年計画が終了する、そのときに考えようとするのだが、地方の実情等については何か調査する用意がありますか。
  113. 福田繁

    政府委員(福田繁君) それは仰せのとおりにいろいろな各種の実情によって非常な差があるわけでございます。それからまた各府県のこの養護教員の設置状況を見ましても、あるいはある県におきましては、十一学級以上の学校に配置するとか、あるいはまた十五学級ないし十八学級ないと配置しないというような、いろいろな県の配置基準とでもいいますか、県のやり方にいろいろな差があるようでございます。また、それが都会地の学校と、あるいは農山村、僻地の学校とでは非常にまた事情が違うものがあると思います。したがって、そういうものにつきまして将来の計画を立てますには、十分やはり実情というものを調査いたしまして、その上に立って的確な計画を立てませんと、おっしゃるようにペーパープランに終わる可能性が強いわけでございます。私は先ほど申し上げましたように、昭和三十八年の一応の定数をもとにして考えますと、小中学校におきましても、大体小学校千百人、中学校千三百人程度にはなろうかと思いますけれども、それはただ全国的な数の問題として考えられるわけでございまして、やはり地方の実情というものを十分よく調査いたしまして、私どもは今後やりたいと思います。
  114. 野本品吉

    ○野本品吉君 先ほど柏原さんから養護教員の養成の問題について御質問があったわけですが、現在、養成教員の養成機関として今指定されている機関は幾つくらいありますか。
  115. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、国立、公立、私立の大学を除きまして、指定養成機関と申しますのは、国立一つでございます。  それからこれは鹿児島大学の医学部に付属保健婦学校というのがございますが、それを指定しておりますが、あとは公立でございます。公立が十四ございます。それぞれこれは県でやっているものでございます。
  116. 野本品吉

    ○野本品吉君 それらの養成機関の最近の応募者の実情はどうですか。
  117. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) お答え申し上げます。  先ほど局長からお答え申し上げました養成機関というのは、本来は主として看護婦なり養護婦の養成ということを主目的に作りましたものでございます。その間において、免許法所定の教育上の用意をいたしまして、卒業しましたときには養護教員の資格も付与されるというようなことでございます。したがって、定員がございまして、その定員に対しては相当激しい競争率があるようには聞いております。
  118. 野本品吉

    ○野本品吉君 だから、たとえば三十六年度の応募者、入学希望者というか、それはどのくらいだかわかっておりますか、各機関別に。
  119. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 私のほうで直接所管いたしております鹿児島大学の医学部に付属の養護看護婦学校がございますが、これが定員が二十名でございまして、これを相当上回るということだけ聞いておりますが、他の公立のかかる保健婦なり看護婦の養成所の志願者等については詳細を私どもで存じておりません。
  120. 野本品吉

    ○野本品吉君 今の各機関別の入学志願者、応募者の数は、後刻お調べになればわかりますか。
  121. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) わかります。
  122. 野本品吉

    ○野本品吉君 わかりましたら、あとで、この次の委員会までに資料として御提出を願いたいと思います。  そこで、それらの養成機関を出たものが養護教員になったり、あるいは寮母のような仕事についたり、いろいろあろうと思うのですね。そこで養成機関の卒業者のうち、どれくらいの数が学校の養護教員として就職しておるか、この数はわかりますか。すぐおわかりにならなければ、これもさっきの資料と一緒に、この次にお示しいただければ、それでけっこうです。  先ほど初中局長の御答弁によりますというと、新しく養成機関の指定をするということですが、それは幾つで、どこですか、いま一度。
  123. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 三十七年度からいたします大学は、茨城大学、金沢大学、愛知学芸大学、神戸大学と岡山大学の五つでございます。
  124. 野本品吉

    ○野本品吉君 その五つの機関で養成されようとする数が百五十人ですか。
  125. 福田繁

    政府委員(福田繁君) さようでございます。百五十人でございます。
  126. 野本品吉

    ○野本品吉君 それで、次に、これは提案者にお伺いしたいのですが、提案者の計算によりますと、学校の数を三万六千と、こう踏めば、三万六千人入り用だと、現在どれだけおって、差し引きの所要数というのはどれくらいになりますか。
  127. 千葉千代世

    千葉千代世君 現在はこれが、三十六年五月一日の文部省の指定統計で答えさせていただきますが、小学校でございますと、公立が、養護教諭六千三百七十三人、助教諭が四百五十八人、それからいわゆる養護職員、先ほど申し上げました市町村支弁の方が二千五百五十九人、計九千三百九十人と、こういうふうになっております。これは公立でございます。それから国立が七十七人、私立が五十四人であります。それから中学校の方でございますというと、公立の教諭が千九百七十人、助教諭が二百五十人、養護職員千三百十三人、合計三千五百三十三人、国立が合わせまして三十二名、私立が百四名、こういうふうな計算になっております。
  128. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうしますと、現在、養護教諭を置く学校というのは非常に少ない、したがって、相当数の養護教員というものを養成しなければならない、この養成をどういうふうにしているかということが相当に問題であるように考えられるので、私は先ほど文部省にお願いしました。今までの養護教員の養成計画が実際にどういうふうに進められてきたか、数字をしっかり把握して、この問題をさらに考えてみたい、こう思うのです。  それと、これは教員の資格は、養護教員の資格を与えるための教員の取得すべき単位、これは聞くのがやぼだと言われることになろうかと思いますが、今ちょっと思いつきましたが、何単位ですか。一級、二級で違いますね。
  129. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 現在、直接養成の計画といたしましては、養護教諭の一級の普通免許状をもらいます場合と、二級普通免許状をもらいます場合と、それぞれ単位数が異なっております。まず一級の普通免許状を取得いたします場合は、大学を卒業いたしまして、その卒業要件のうち養護に関する専門科目を四十単位以上修得する必要がございます。それから二級の普通免許状を取得いたします場合には、大学に二年以上在学いたしまして総体で六十二単位以上を修得する必要がございますが、このうちに養護に関する専門科目を三十単位以上は踏んでいなければならない、かようになっておるわけでございます。そのほかに大学以外に養成の方法がございまして、保健婦の免許を持っております者は、文部大臣の指定いたします特別の養成機関に半年以上在学しまして、一般教育科目五単位、養護四単位、教職六単位というようなことを履修すればよろしい、等々のいろいろの仕分けがございます。
  130. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ文部省に伺っておきますが、先ほどもちょっと触れておいたわけですが、養成機関を卒業した者が、卒業後どういう方面に就職しておるか。それからこれが逆に看護婦なり、その他の資格を持っておる者が養護婦、あるいは養護教員としてどのくらい入ってくるか、このようなことの実績はわかっておりますか。
  131. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 先ほども質問ございましたが、国立、公立、私立の大学、短期大学で養護教員を養成いたします場合は、本来それぞれの大学が学部の目的に応じて、あるいは教員養成をいたします学部でございますとか、その他の短期大学のたとえば保健学科に入ってくるとかというようなことでやります関係上、免許状をとります人数は多うございますけれども、必ずしもその全員学校に養護教員としてきてくれないといううらみがあるわけてございます。これに反しまして、養護教諭の指定養成機関ということで指定しました機関は、そのために特にこういうことをしたいということでございますので、これが就職率が相当高うございまして、最も最近の年度の実績で申しますと、約二百八十名の免許状取得者がありまして、そのうち、小学校、中学校、高等学校その他の学校に、合計百六十名ばかりが養護教諭として就職をしておるというような実態になっておるわけでございます。
  132. 野本品吉

    ○野本品吉君 以上の質問で大体のことはわかりましたので、いずれ文部省から提出される資料等に基づいて質疑を続けたい、こう思います。
  133. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 両委員質問に関連して一、二お尋ねしておきたいんですが、文部大臣にお尋ねしますが、御承知のように、本委員会審議でも最も重点になっておる問題は、第二十八条の、小学校においては、「校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」、これが、先ほど千葉委員からも指摘されたとおり、附則百三条において一応配慮をいたしておるのですが、当然のことと思いますが、二十八条の必置の精神は、一日も早く実現されなければならない問題だと思いますが、大臣の所見をお尋ねいたします。
  134. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) もちろん仰せのとおりに存じます。
  135. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 本法成立以来、十数年の今日まで、附則のほうがむしろ優先し、本法二十八条が実現を見ていないことに対して、大臣はどういう所見を持っておられますか。
  136. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 当委員会におきましても、一両回、同様の御質問がございまして、お答えしたと記憶をいたしますが、先ほど来、質疑応答ございましたような、具体的な数字をはっきりとつかんでおるわけではございませんが、従来、事務当局からこの問題について教えられておりますところは、何にしても看護婦とか、保健婦とかいう資格をとることもなかなか容易ではない。その上に、さらに一定の要件が付加されるというわけではあるし、さらにまた看護婦、保健婦等の養成それ自体が、直接、文部省がみずから計画的にやるというほどのものもない。また都道府県におきましては、むろん養成もやってはおりますが、これまた透徹した状態にない。言いかえれば養成される員数がなかなかそろわない。事務的に設置することをきめることはやさしゅうございましょうけれども、さてその制度を義務設置にいたしましたところが、現実の人間がいないというのじゃ、単に法文を整備したにとどまるという矛盾を従来感じ続けておる。したがって、養成の面から努力を続けていきまして、大体のめどがついた時分に、「当分の間、」というのを削るという段階に到達するであろう、そういう考え、印象を受けつつ今日に参っております。もとより、必置制度が実現するための基礎工事的なもろもろのことを含めまして、その時期が早からんことを念願もしておりますし、この上とも努力をしたいとは思います。
  137. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 百三条の「当分の間、」というのが十数年というのは、法律用語としても、また政治常識としても長過ぎるという見解はお持ちですか。
  138. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) むろん長過ぎると思いますが、何としましても、今申し上げたような基本条件が整わないところに弱点があるわけでございまして、その弱点を補強する努力をし、それが一定のめどがつくまでは、当分の間は物理的に続かざるを得ない、残念ではございますけれども、そういう努力をひたむきにやるほかに今のところは手がない。だからといって、そういう答弁をここでして、さようならという気持は毛頭ございませんで、今後とも努力を積み重ねて参りたいと思います。
  139. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 「当分の間、」というのが十数年は長過ぎる。したがって、その点に関して実現するように、二十八条の精神が早急に実現するように、今日まで文部省としては文部省なりに努力をしてきたと、このことが確認されるかどうか。さらに、今後もそれを一日も早く実現するように努力していく方針である、こう御答弁できますか。
  140. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そのとおりのことをさっき御答弁したつもりでおります。
  141. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 養成課長は、本法律案をかなり以前に入手していると思いますが、間違いありませんか。
  142. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 多少、こういうことにしたいという話はかねてから聞いておりました。
  143. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 かねて聞いていましたということは、法律案を見ていないという答弁だと解してよろしいか。
  144. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 法律案は、でき上がるときにわれわれ拝見をいたしました。
  145. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 安養寺さんは、かなり時間をおいて本法律案を見た、このように解してよろしいか。
  146. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 国会に提案になるということで、私は拝見しました次第でございます。
  147. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは、見ておるという答弁と解して、衆参で養護教員に関する決議がたびたび行なわれてきておるが、本法律案を手にしてから、衆参それぞれの委員会並びに本会議で決議されたことについて、文部省はどう努力してきたか、それぞれの決議について答弁を要求する。
  148. 大矢正

    委員長大矢正君) ただいまの質問局長ですか、課長ですか。
  149. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 課長。
  150. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 私から一応のことを申し上げますが、衆参両院の委員会等におきまする附帯決議、これは予算の概算要求をいたしました時分に、事務当局に注意を喚起しまして、附帯決議全部を整理して、それに一々対応する予算の概算要求をする、検討してくれということを私は頼みまして、各部局におきましては、附帯決議の趣旨に応じ得るかいないか、直ちに応じ得るかいなかということを中心に検討しまして、予算の概算要求のときにも措置をいたしております。具体的の一々のことは今お尋ねでございますから、それぞれの担当者から申し上げます。
  151. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) かねてから養護教諭をできるだけすみやかに各学校に配置するのが適当であるというお話を、国会の御決議をもってちょうだいいたしておるわけでありまして、われわれ年来、予算要求をいたします場合に、この点の実現方について努力をしたわけであります。三十七年度予算には、先ほどお話ございましたような国立の五大学に、修業年限一年の課程をもちまして養護教諭一級の普通免状を授与し得るような教育をいたしまして、年々百五十人の卒業生を卒業させ、これを各学校に配置採用していただきたい、かような心組みで、今後進んで参るわけでございます。
  152. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたの答弁は、この法律案を見ましたかと聞いたら、承っておりますと、僕は委員会の決議まで持ち出して、衆参それぞれの各委員会あるいは本会議等の決議について聞いておるのは、少くとも養成課長としては、学校教育法二十八条を尊重する精神があれば、本議会に提出された法律案については当然目を通し、各委員会における本問題に対する決議事項実施についてはどう処理してきたかを勉強しておるはずだと思って聞いた。あなたの冒頭の答弁ははなはだふまじめだ。それでさらに続いて聞く。本年度五カ所で三十名ずつ養成する点については了解します。大臣の答弁のように、二十八条が百三条で当分の間留保されたままきてから十数年になる。これはたれが考えてもあまりにも放置され過ぎたということにいなめない事実である。したがって、文部省としては学校教育法の具体的な実現に対して、本法律が制定された二十二年以来今日まで努力してきておるはずであるし、また、大臣の答弁のように、委員会、本会議の決議については当然そのつどやってきたはずであるから、そのつどの措置について簡潔に答弁を再度お願いをいたします。
  153. 大矢正

    委員長大矢正君) 豊瀬委員に申し上げますが、養成課長は説明員でありますから、法案の具体的な内容説明につきましては答弁をすることは妥当かと思いますが、決議その他政策的な問題につきましては政府委員局長答弁するのが妥当じゃないかと思うのでありますが、いかがでしょう。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  154. 大矢正

    委員長大矢正君) 速記をつけて下さい。
  155. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 二十八条の「教諭は、児童の教育を掌る。養護教諭は、児童の養護を掌る。」、この二つの定めについて大臣はどういう考え方を持っていますか。もう少し具体的にいいますと、児童の教育をつかさどるという内容と、養護教諭が養護をつかさどるという内容は、具体的な教育活動の態様として異なっておると考えていますか、それとも同一のものと考えていますか。
  156. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 正確に学問的には申し上げかねますが、教諭が教育をつかさどるというのは、学校教育活動を通じて、児童、生徒の学力ないしは人間形成についてつかさどる、ただしつかさどりますけれども、何人もこれに容喙を許さない、しかし憲法と法律の範囲においてつかさどっているという状態だと思います。養護ということの具体的な内容は、私も今ただちにちょっと御説明できませんが、概念的に言えば同一趣旨と心得ております。
  157. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 養成課長に質問いたしますが、養護教諭が臨時的でなくて、恒久、固定的に特定のテーブルの割当を受け、常時固定した学級を教授するという態様は、二十八条の「養護を掌る。」という定めからして、当然の姿と思いますか、それとも好ましくない姿と思いますか。
  158. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 普通教諭あるいは助教諭であれば、小学校は全科担当、中学校、高等学校はそれぞれの教科担当ということを原則といたしまして教育実施いたしているわけであります。養護教諭というのは、そういった形では教育を常時指導するというようなことはないのじゃなかろうかと思っております。
  159. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私もそのとおりに思うのですが、文部省としては、現在、養護教諭は、あなたが回答なさった否定的な実態において授業を実施している例があると思いますが、その実態を把握しておられますか。
  160. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) 詳細には承知いたしておりません。
  161. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 初中局長にお尋ねいたしますが、すし詰め学級の解消が済まないと、養護教諭の完全必置はなかなか困難であるかのごとき答弁があったのでございますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  162. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほど私申し上げましたのは、そういうすし詰め学級の解消を今計画的に進めておりますので、それ以後の教員の定数等とも十分にらみ合わせまして、養護教諭の充実、設置の問題も研究して参りたい、そういう意味に申し上げたのでございます。
  163. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 現行定数法の改正によるすし詰め学級の解消と、現行学校教育法第二十八条の「置かなければならない。」という法律の完全実施と、現段階においては文部省としてはどちらにウエートを置いて進めておられますか。
  164. 福田繁

    政府委員(福田繁君) これはどちらにウェートを置くということになりますと、私は現行の法律にきまっておるものでありますから、どちらも大事なことだと考えております。しかしながら、そのすし詰め学級の解消という問題は、最近の子供のふえた時代に即応しての教員の定数基準でございますので、いわばこれは臨時的な計画でございます。したがって、この子供がふえたことによって教育が正常に行なわれますように、支障なく行なわれますように、そういう計画を進めておりますので、したがって、すし詰め学級の解消ということを当面の問題としては私どもはやっていかざるを得ない、こういうように考えるわけであります。
  165. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 法律的に現行定数法を尊重し、それに満たないところを達するように行政指導を行なっていくということ、これは当然のことと了解できます。そのことと同様に二十八条の「置かなければならない。」、しかも「当分の間、」というのが長過ぎた春である、こういう理解は何人も否定することができないと思います。そうすると、現行定数法の基準に達する努力とどちらが重要であるかないかという論議は別にするとすれば、少なくとも同様には、二十八条の必置は努力されておる、今後もしていく方針である、このように理解してよろしいですか。
  166. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 先ほどからの御論理が、この二十八条と百三条の問題をいろいろ御指摘になっておりますが、この百三条もこれは法律でございます。「当分の間、」というのは、長いには長かったわけでありますが、今後もいろいろそういう実情が解消するまでは、これはやむを得ないものでございます。その間におきまして、この本則に返ることが一日も早いことが望ましいわけでありますが、これは法律の効果としては、これはどちらも私はあると思っております。したがって、当面の問題としては、今申し上げましたように、すし詰め学級の解消ということに重点を置いて定数を充実しておりますので、やはりその頭でもってその問題も同時に考えていかざるを得ない、こういうような考え方でございます。
  167. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 法律に対する重点の置き方は別にして、現行の政策として定数法の改正に重点を置いて、百三条があるから、これも法律であるから、養護教諭必置は、やはりまだまだほど遠い先である、こういう政策をお持ちのように受け取るのですが、そう受け取ってよろしいですか。
  168. 福田繁

    政府委員(福田繁君) 私が申し上げたのは、少し言葉が足りませんかも存じませんが、三十八年まではすし詰め学級の解消をやって、一般教員の増員もしなければならぬ。それからそれと同時に養護教諭についても、ある一定の数まではこれは充実、増員をはからなければならぬ、こういうことで、少なくとも三十八年までは、そういうことでいくわけでございます。したがって、三十八年以降の問題については、これは一般の教員の問題あるいは養護教諭の問題、あるいは事務職員の問題というのを、さらに別途これは検討する必要があるというふうに申しあげておるわけでございまして、決して「当分の間、」ということで許されているから、いうまでも放置しておくということではございません。少なくとも三十八年までは、そういう考え方で進んでいいのじゃないかというのでございます。
  169. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中に文部大臣は、二百五十年先まで文教政策を考えておりますと言ったので、尊敬の言葉を述べたのですが、百五十人ずつふやすわけですね、三十七年度。これでいきますと、小学校も中学校もですが、学校は、「養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」、いわゆる必置が実現できるのは、五年、十年の先ではないですね。三十八年には、すし詰めが解消する、それから先に考えていくということは、端的に申し上げると、養護をつかさどる人がいなくても、もっと今度は現実面からいうと、養護教諭の不在の学校は、児童の養護に関する限りは、無責任な状態に放置されておっても、五十四名を五十三名にしたり、五十名にしたりすることのほうが、より教育効果を上げる上において適切である、このような見解だと断定して差しつかえないですか。
  170. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 元来、私は必置性が理想である、直ちにそうやりたいが現実がこれを許さないから、「当分の間、」と法律上許されている。許されているから、いいかげんにしてよろしいという意味では毛頭なくして、政府としては、国民に対してい、教育をするためにあらゆる努力をしなければならぬ責任はむろん負って、私は引き続いて今日にきていると理解いたします。したがって、すし詰め学級解消も年次計画を定めて着々とやり来たっております。三十八年度で大体終わりになりそうだという見当がつきました。だから、その後はもっと力こぶを入れ得るであろうという期待を政府委員としては申しておるわけでございます。したがって、努力はしないんだ、しないでよろしいんだと理解しているのではなしに、及ばずながら努力はし続けておりましたが、今後もいたします。三十九年度以降になればもっとその努力の幅が大きくなるだろうと御期待いただけるであろう、そういう気持を率直に申し上げたわけでございまして、ほったらかしてよろしいとは毛頭考えておりません。
  171. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの大臣の答弁で抱負のほどはわかりました。したがって、三十八年すし詰め学級の解消後でなければ、二十八条は極端に言えば死文であるということでなくして、同時に必置の政策が今年度はわずかに百五十人、したがって、二百五十年くらい全校必置するにはかかる予定ですけれども、こういう超宇宙時代的な政策ではなくして、少なくともすし詰め学級解消と同様程度には、必置の方向について今後とも文部省としては努力される、このようにただいまの大臣の答弁を理解してよろしいのですね。
  172. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 当然のことと思います。
  173. 大矢正

    委員長大矢正君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  174. 大矢正

    委員長大矢正君) それでは速記をつけて下さい。本案に対する質疑は本日のところこの程度とし、本日はこれにて散会をいたします。    午後三時十五分散会    ————・————