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1962-03-08 第40回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月八日(木曜日)    午前十一時二十七分開会   —————————————   委員異動 三月二日委員勝俣稔君及び村山道雄辞任につき、その補欠として泉山三六 君及び近藤鶴代君を議長において指名 した。 三月七日委員井川伊平辞任につき、 その補欠として塩見俊二君を議長にお いて指名した。 本日委員塩見俊二君、泉山三六君、近 藤鶴代君、下條康麿君及び江田三郎辞任につき、その補欠として井川伊平 君、山本杉君、秋山俊一郎君、上原正 吉君及び千葉信君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            野本 品吉君            豊瀬 禎一君    委員            井川 伊平君            山本  杉君            上原 正吉君            杉浦 武雄君            田中 啓一君            千葉  信君            千葉千代世君            片岡 文重君            柏原 ヤス君    発議者     豊瀬 禎一君    発議者     千葉千代世君   衆議院議員    発議者     村山 喜一君   政府委員    文部政務次官  長谷川 峻君    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部省初等中等    教育局長    福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工藤 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○盲学校聾学校及び養護学校への就  学奨励に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○学校教育法の一部を改正する法律案  (千葉千代世君外四名発議) ○学校教育法の一部を改正する法律案  (豊瀬禎一君外四名発議) ○義務教育学校教科用図書の無償  に関する法律案内閣送付予備審  査) ○義務教育費国庫負担法の一部を改正  する法律案衆議院送付予備審  査) ○公立義務教育学校学級編制及び  教職員定数標準に関する法律の一  部を改正する法律案衆議院送付、  予備審査) ○著作権法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○義務教育学校児童及び生徒に対  する教科書給与に関する法律案  (衆議院送付予備審査) ○教科書法案衆議院送付予備審  査) ○教育文化及び学術に関する調査  (当面の文教政策に関する件)   —————————————   〔理事豊瀬禎一委員長席に着く〕
  2. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  本日は、委員長がやむを得ぬ事情によりまして欠席いたしましたので、私が委員長指名によりまして、本日は委員長職務を代行いたしますので、御了承お願いいたします。  それでは、まず委員異動について御報告いたします。  去る三月二日、勝俣稔君及び村山道雄君が委員辞任され、その補欠として泉山三六君及び近藤鶴代君が委員に選任されました。また、三月七日、井川伊平君が委員辞任され、その補欠として塩見俊二君が委員に選任されました。また、ただいま委員異動がありましたので御報告いたします。江田三郎君が委員辞任され、その補欠として千葉信君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に、理事補欠互選につきお諮りいたします。  委員異動に伴いまして、現在、当委員会理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠互選を行ないたいと存じます。  互選方法は、慣例に従いまして、成規手続を省略し、便宜その指名委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。それでは、私より近藤鶴代君を理事指名いたします。   —————————————
  5. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) それでは、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  この際、質疑の通告がありますので発言を許します。
  6. 片岡文重

    片岡文重君 専門家でありませんので、よくわかりませんからお尋ねしたいのですが、この法律趣旨によりますと——法律というのは現行法です、改正する前の。就学旅行の際におけるつき添い人の費用は除くということがわざわざ法律に断わってある。これは今までの過渡的な措置として、とりあえず、まあつき添い人まではということで除いておられるのであって、近い将来にはこのつき添い人の経費負担をしてやる、こういうことなのか、それとも、そういう点については全然考えておられないのかどうか、あるいはもうすでに御質問があったかとも思いますけれども、その点をまず第一点としてお尋ねしたい。
  7. 福田繁

    政府委員福田繁君) つき添い人の問題でございますが、これは御承知のように、小学部中学部の場合におきましては、日常通学の場合はつき添い人の経費まで見るようになっております。ところで、修学旅行の場合におきましては、建前として、これは学校先生が、修学旅行の場合にはそういうつき添い人のかわりに十分まあたくさんついて、修学旅行を実施するというのが学校としては建前になっているわけであります。したがって、経費を見る場合におきましては、修学旅行の場合には、つき添い人はこれを経費としては見ないという建前できているわけでございます。
  8. 片岡文重

    片岡文重君 生徒何人に対して先生が何人というその比率も、それはあると思うのですが、現行先生一人について生徒はどれくらいか、たとえば盲学校の場合、先生一人について何人の生徒を引率されるのか。
  9. 福田繁

    政府委員福田繁君) いろいろ、まあ事情によって違いますけれども一般に行なわれております場合を見ますと、大体、盲学校の場合、三人ないし五人に一人ぐらいの先生がついて実施するのが普通のようでございます。
  10. 片岡文重

    片岡文重君 通学の場合には行きなれた道を連日通うわけですから、勘のいい子供ですと、たとえつき添い人がなくても通学はできる、しかし、これは非常に危険なことですから、これにつき添い人をつけていただくことは当然だと思うのですが、修学旅行の場合には初めての道——おそらく初めてだろうと思うのですね。そうして長途の旅で、いろいろな交通機関も利用される。全然明眼の者でもけがや不測の事態も起こりやすいのですから、そういう場合につき添い人をつけないということは、場合によっては先生にも見えないような事態も起こるでしょうし、特に女の子のような場合には、なかなか困難なことが私は起こると思うのですが、修学旅行というようなものはそう再三行なわれるものではないのですから、せっかく日常通学につけておるのですから、修学旅行のときにだけわざわざ削る必要はないのではないか。むしろ、その程度のことはつけてやってもいいのではないかと思うのです。本法案ではともかくとして、近い機会にこれを実施していただきたいと思いますが、そういう点についての御考慮をいただけませんか。
  11. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問内容は、私どももそういう場合もあり得ると思いますけれども、この場合は高等部生徒でございまして、まあ年令的に申しましてもかなり高い。それから修学旅行などに参ります生徒は、大体そういう点を十分学校側で配慮いたしまして、まあ支障のあるような生徒は、これに参加しないというような扱いも学校でしているようでございます。そういういろいろな指導によりましてやりますので、特にこの修学旅行の場合のつき添い人の経費というものを計上する必要は、まあさしあたりなかろうと思っておりますが、将来の問題としては、これは研究いたしたいと思っております。なお、念のため申し上げておきますが、交通費について、高等部のほうは法律上除いてありますけれども、これは年令の差でございまして、小中学部のほうは、これは出ております。修学旅行のほうは何にも書いてないと思いますが、念のため申し上げておきます。
  12. 片岡文重

    片岡文重君 結局、その全員が参加をしないということは、学校先生だけにお願いをしておったのでは不安であるということが、やはり高等部生徒としても参加をしない私は大きな理由になっていると思うので、近い今後の問題として研究をされるというお話ですから、十分この点については御配慮をいただいて、なるべく実現をするように御努力をいただきたいと思います。  それから、ついでで恐縮ですけれども、私が最近調査したところによると、この盲学校聾学校義務制になっておるにもかかわらず、就学率がきわめて低いようですけれども、これについて何か早急に就学率を引き上げる方法を具体的にお考えになっておられるのか、お聞きしたい。
  13. 福田繁

    政府委員福田繁君) この就学率の低いことは御指摘のとおりでございます。これにつきましては、まあいろいろな面から、なるべく就学率を高めるようなことを私どもはやって参っておるわけでございますが、それにつけましても、やはり学校側の受け入れ施設なり、学級というものが整備しておりませんと、就学したくてもできないという状況でございますので、年次計画を立てまして、そういう整備のほうに力を入れておるわけでございます。それと同時に、また、そういういろいろ身体的な欠陥で就学できないというのも大きな原因でございますけれども、家庭の経済上の理由によりまして、相当やはり就学できないという者も多いわけでございます。そこで、この就学奨励法制定いたしました趣旨もそこにあるわけでございます。要保護児童に対しますところの就学奨励の手当もなるべく厚くして参りたい、あわせて就学の実を向上さしたい、こういうことを考えるわけでございます。
  14. 片岡文重

    片岡文重君 終わります。
  15. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。——他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。よって質疑は終局いたしました。   —————————————
  17. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいま委員異動がありましたので、御報告いたします。泉山三六君が委員辞任され、その補欠として山本杉君が委員に選任されました。また、塩見俊二君が委員辞任され、その補欠として井川伊平君が委員に選任されました。以上であります。   —————————————
  18. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  19. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は日本社会党を代表いたしまして、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案に対し、次の意見を述べて賛成いたします。  さき文教委員会質議の過程で明らかにされましたように、昭和二十九年に本法律が成立いたしまして以来、支給対象や、それから品目拡大等について再三の決議要望があげられましたけれども政府においては、これらの要望を取り入れることについて不十分であり、今後さらに拡大しなければならない、こういう観点から、支給対象品目拡大を完全に実施するようにすることと、さらに幼稚部及び専攻科等に対しても支給を行ない得るように早急に処置していただきたい、こういう要望を付しまして賛成いたします。
  20. 野本品吉

    野本品吉君 私は本案採決に先立ちまして、各会派を代表いたしまして、次の付帯決議を付することの動議を提出いたします。案文を朗読いたします。    盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本委員会は、去る昭和二十九年に、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律が成立して以来、特殊教育重要性にかんがみ、しばしば決議を行なつて、この法律による支給対象及び品目拡大並びに奨学費の増額を要望した。   その結果、現在ほぼその実施を見つつあるが、さらに、就学奨励趣旨にのつとり、幼稚部及び専攻科等に対しても、支給を行ない得るよう早急に措置し、もつて特殊教育全般振興を期すべきことを重ねて強く要望するものである。   右決議する。 以上であります。
  21. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。よって討論は終局いたしました。  それでは、これより採決に入ります。  盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  23. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたします。  次に、討論中に述べられました野本品吉委員提出付帯決議案議題といたします。  野本品吉委員提出附帯決議案を、本委員会決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  24. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 全会一致と認めます。よって、野本品吉委員提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  本決議案に対する政府の所見を求めます。
  25. 長谷川峻

    政府委員長谷川峻君) このたび政府が提出いたしました盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、全会一致をもって御賛成いただきましたことを心から御礼申し上げます。  政府といたしましては、特殊教育わが国教育の中で非常に今後前進すべき大きな施策だと思ってやって参りまして、このたびこういう法律案を出したのでありますが、本委員会の御決議にもありますその趣旨を尊重いたしまして、義務教育以外の部面においてもこれを拡大し、早急に実施するように大いに努力して参りたいと思っております。
  26. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) なお、本院規則によりまする報告書作成等諸般手続は、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  28. 豊瀬禎一

  29. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) それでは、学校教育法の一部を改正する法律案(参第七号)及び学校教育法の一部を改正する法律案(参第八号)を便宜一括して議題とし、発議者よりそれぞれ提案理由の説明を聴取いたします。千葉千代世君。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  御承知のとおり、義務教育学校における児童生徒健康管理並びに保健指導のことに関しましては、その沿革は古く、大正十一年の文部省学校看護婦配置に始まり、その後、学校衛生婦学校養護婦等の名称のもとに、逐年、関係職員は増加し、保健管理も充実して参りましたが、さらに昭和四年には文部省訓令をもって学校看護婦職務内容が明らかにされたこと、昭和十六年の国民学校令においては判任官待遇養護訓導として職務制度の確立をはかったことがあげられます。また、戦後の新学制においては、昭和二十二年の本法制定に伴う養護教諭の設置、次いで昭和三十三年の学校保健法制定へと進み、学校における保健管理は、教育の重要な一部門として位置づけられたのであります。   〔理事豊瀬禎一君退席、理事北畠教   真君着席〕  すなわち、学校教育法第十二条の「学校においては、別に法律で定めるところにより、学生、生徒児童及び幼児並びに職員の健康の保持増進を図るため、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならない。」と規定され、学校保健法第一条でも同様の趣旨が規定されております。これらの規定は、地域学校種別学校規模の差異や大小にかかわらず、すべての学校において、保健管理が綿密な計画のもとにひとしく実施されることを求めていると解するのは当然のことであります。  かくして、学校医常勤制ではないわが国においては、養護教諭配置がきわめて重要なことであるとされ、学校教育法第二十八条並びに第四十条において、小学校及び中学校には「養護教諭を置かなければならない。」とされました。もっとも、本法制定されました昭和二十二年当時にあっては、養護教諭養成が緊急に間に合わなかったため、同法第百三条において「当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。」とされたことも、また事情やむを得ないものがあったと考えられます。しかしながら、学校教育法施行後十五年を経た今日、なお、財政上等理由をもって、これが養成並びに配置は遅々として進まず、その全国平均配置率は、わずかに小学校二五・七%、中学校一八・二%であり、しかも、配置地域格差もはなはだしく、たとえば、小学校配置のよい東京都の七九・五%、佐賀県の五九・四%、福岡の五七・二%に対して、悪いのは、島根の二・七%、栃木の六・一%、徳島の一〇・二%などで、これらの実情は、まことに憂うべきことと申さねばなりません。この点につきましては、今日までの国会審議において、始終問題とされ、両院の文教委員会決議にもるる取り上げられたところであります。  さて、一方、昭和三十三年に制定されました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律においては、養護教諭に相当する定数小学校児童千五百人に一人、中学校生徒二千人に一人という標準で算定するという方式がとられているために、これが定数増加はなかなか期待できない状況にあります。このような事態を反映して、昨年度の文部省調査によっても、市町村支弁養護関係職員が約四千名もあること、また他方には、養護教諭相当数一般授業を担当したり、困難な数校兼務をしているという事実が指摘さるのであります。したがいまして、法に定められました目的を本当に実現していくために、この際、年次計画をもって段階的に養護教諭増員し、七年後には、すべての公立小中学校養護教諭配置することを期して、本改正案を提出いたした次第であります。  次に、本案内容といたしましては、第一に、昭和四十三年度からは、すべての小中学校養護教諭を置くこと、第二に、養護助教諭制度を確立し、養護教諭かわりをなし得ることとすること、第三に、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改め、今後六年間にわたって年次的に教職員定数のワクを広げることを規定しております。第四には、本法施行期日昭和三十七年四月一日としております。  ここで特に申し添えたいことは、こうした措置によって、従来、ほとんど養護教諭配置されなかった僻地小規模学校にも正規の養護職員が迎えられるわけで、現行の政令により、五学級以下の小学校では学級プラス〇・三人という過少な配当率であるものが、少なくとも昭和四十三年度以降においては、学級プラス一人の配当率が確保されることとなり、これによって僻地教育振興健康管理の徹底が大いに期待されるものであります。  もう一つの点は、養護教諭の緊急な養成についてであります。これは今後の重要な問題でありまして、昭和三十七年度の文部省予算要求にも二百数十万円の養護教諭臨時養成費が計上されておりますが、こうした措置が一そう拡大強化されることを大いに期待するものであります。なお、本案における第一年度たる昭和三十七年度の増員は、約四千名の市町村支弁養護職員を、とりあえず県費負担教職員に切りかえることを主眼としております。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  31. 北畠教真

    理事北畠教真君) 豊瀬禎一君。
  32. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 学校教育法の一部を改正する法律案を説明申し上げたいと思います。  ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  わが国教育制度は、新憲法のもとに大きな改革が行なわれたのでありますが、わけても、義務教育の年限を延長して、一般国民教育水準を高揚し、学術文化振興に資する基盤をつちかいましたことは最も重要な改善でありました。自来十数年を経ました今日、小学校中学校等における教育は、ようやくその施設、設備の整備内容の充実を見るに至りましたが、それにもかかわらず、これらの義務教育学校においては、さき提案されました養護教諭の問題とともに、いまひとつ、事務職員に関する問題が未解決のままに取り残されているのであります。  事務職員が担当処理すべき学校事務内容は、文書、人事、保健、厚生、渉外等いわゆる庶務的なものから、給与その他の会計に関するもの、校地、校舎、備品、消耗品等管理の面に至るまで、多岐多様にわたるものであります。学校事務の円滑機敏な処理いかんが、直ちに学校運営に及ぼす影響の僅少でないことに思い至りますならば、学校教育の効果を遺憾なく発揮させるための推進力として、事務職員の果たしつつある役割は、まことに大きいと申さねばなりません。  しかるに、御承知のとおり、学校教育法第二十八条の第一項には、一応、「小学校には校長、教諭養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」と規定しながら、そのただし書きには、「特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。」となっており、このことは、同法第四十条及び第七十六条において、そのまま中学校及び盲、聾、養護の諸学校にも準用されておりますために、現在、義務教育学校における事務職員配置はきわめて不十分であります。昨年五月一日の調査によりますと、全国公立小中学校配置されております事務職員は、小学校二万二千七百十四校に対し四千七百七十四名、中学校一万二千百二十五校に対し四千四百四十四名に過ぎない実情でありますし、特に、千葉、大分、鹿児島の諸県におきましては、一人の事務職員が三校ないし六校を兼務させられている場合もあり、過重労働の結果は、長期欠勤のやむなきに至るという実例さえも報告されているのであります。  さらにまた、事務職員の全然配置されていない小学校中学校等においては、児童生徒教育を担当しながら学校事務を分担処理しなければならない教師負担がきわめて重く、その本来の使命である教育活動に至大の障害を与えている現状であります。  このような状況にありますことは、一面、地方公共団体財政事情によるところでもありましょうが、その主たる原因は、むしろ、事務職員必置法制措置が行なわれていないことに存すると申すべきであります。それゆえに、さきに申し述べました学校教育法第二十八条第一項のただし書きはもとよりのこと、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律による教職員算定基準についても改正を加えて、事務職員増員をはかるとともに、教師を過重の勤務から解放して、学校教育に専念せしめることが、喫緊の急務であると信ずる次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次に法案内容について、そのあらましを申し上げます。  まず、第一に、学校教育法第二十八条第一項のただし書きを削除し、小学校及び中学校並びに盲学校聾学校及び養護学校小中学部には、事務職員を必置すべきことを明確にいたしました。第二に、義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の第七条、第八条及び第九条について、小学校及び中学校においては、学校規模いかんにかかわらず、一名以上の事務職員を置き得るように、また、盲、聾及び養護学校においては、現在、事務職員配置されていない学校に、小中学部を通じて最低一名を置き得るように、それぞの算定基準を改めました。第三に、この法律昭和三十七年四月一日から施行することと定めてありますが、特別の事情のあるときは、第二十八条の規定にかかわらず、事務職員を置かないことができる旨を規定し、同時に、定数標準法第七条及び第八条の規定の適用についての読みかえ規定を設けて、昭和三十七年四月一日から同四十二年三月三十一日までの間、漸次事務職員増員充実をはかり、昭和四十二年度以降は完全必置となるように措置いたしました。第四に、定数標準法に、その施行令第四条の規定を掲げて、本校と分校とについての事務職員の数の算定基準を、より明確にいたしました。その他若干の条文整理を行なってありますが、なお、この法案は、さき提案されました学校教育法の一部を改正する法律案に盛られてあります養護教諭に関する改正を前提として立案してありますことを付言いたします。  何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願いいたします。  なお、本法施行のための経費については、すでにお手元に正誤表が配付されていることでございますが、念のために申し上げますと、本法案の末尾に印刷されております数字を、次のように訂正していただきたいと思います。十三ページ二行目、「約七億円」は、「約三億円」の誤りであります。同三行目、「約二十七億円」は、「約二十三億円」の誤りでありますので訂正いたします。
  33. 北畠教真

    理事北畠教真君) ただいまそれぞれ説明をいただきました二法案に対しまする自後の審査は、都合により後日に譲ることにいたします。   〔理事北畠教真君退席、理事豊瀬禎   一君着席〕
  34. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  35. 豊瀬禎一

  36. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に、義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案著作権法の一部を改正する法律案義務教育学校児童及び生徒に対する教科書給与に関する法律案教科書法案を便宜一括して議題とし、各提出者より順次提案理由を聴取いたします。衆議院議員村山喜一君。
  37. 村山喜一

    衆議院議員村山喜一君) ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  すべて国民はひとしく教育を受ける権利を有し、義務教育はこれを無償とする、これは、日本国憲法第二十六条に明らかに規定されている条文であります。しかるに、今日における義務教育の実態は教育予算の不足が、教材教具の不備を生じ、教育の資質向上を阻害し、一方、教育費の父母負担が年々増加することに伴い、家庭収入の差異による教育の機会均等が失われているのが実情であります。さきに文部省が発表しました「わが国教育水準」によりましても明らかなように、義務教育学校教育費のうち、小学校については三六・二%、中学校については三四・六%が父母負担によってまかなわれているのであります。以上のごとき実態からいたしまして、父母負担いかんが、学校教育費に大きく影響しているわけで、文部省発表の「わが国教育水準」にも明らかにされているとおり、地域別に見られる児童生徒の学力の差異はこのような結果に基づくものといわなければなりません。このような実情にかんがみ、義務教育の円滑な実施と、教育の資質向上並びに機会均等を促進するため、今回の法律改正提案する次第であります。  以下、改正法案内容について概略を御説明申し上げます。教材費国庫負担児童生徒一人当たり単価を本法に規定し、その引き上げを行なうことであります。  以上がこの改正法案を提出いたしました理由及び内容概略であります。何とぞ、慎重に御審議の上すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。   —————————————  次に、ただいま議題となりました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  今日、世界の科学、産業、文化の進展は目まぐるしいものがあり、国際社会におけるわが国の地位の向上をはかるためには、その基礎となる教育振興について格別の努力がはかれなければならないことは論を待たないところであります。しかるに、現状を見ますと、教育条件の整備は決して十分とは言えず、施設設備の貧困にも増して、学級編制基準並びに教職員配置基準については劣悪な状態にあると言わねばなりません。試みにわが国学級編制基準を諸外国の編制基準と比較してみますと、各国を十人ないし十五人を上回っているのが現状であります。また教職員配置基準についても全く同様なことが言えます。今日週四十時間制の実施は世界の趨勢であり、いち早く社会主義諸国においては実現を見ているところです。ところが現行教職員定数配置基準では週三十時間を超える授業時間数さえ生じています。さらに、授業前準備、事後処理、雑務等を加えますと、実におびただしい超過労働を行なっており、文部省がさき調査した教職員勤務量調査の結果においても週十一時間あまりの超過労働となっております。以上のような劣悪な諸条件を整備し、教育水準の向上をはかるため、さき公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律制定され、今日まで逐年すし詰め学級の解消教職員数の充足の措置がとられ、昭和三十八年度において一応整備を終了することとなっておりますが、近年における学齢児童生徒数の減少とも相まって、この機会にさらに学級編制基準並びに教職員配置基準の適正化をはかるため所要の改正を加え、もって国際水準に近づけることはきわめて適切な処置と考える次第です。  以下、改正法案内容について説明申し上げます。  第一は、学級編制基準を現行学級五十名から四カ年計画によって四十名まで引き下げ、教育効果を高めようとするものであります。第二は、教職員配置基準について、現行積算基礎のほかに学校総数に一を乗じて得た数を追加するとともに、学校規模別の乗ずる数に所要の改正を加え、五カ年計画によって約十五万人の教員増をはかり、教師の労働条件を改善するとともに教育効果を高めようとするものであります。なお、五カ年計画による年次ごと増加人員については養成機関における養成可能人員を考慮したことは申すまでもありません。最後に、養護教諭事務職員増員については、将来、学校教育法等の改正を待って所要の改正を行なおうとするものであることを申し添えます。   —————————————  ただいま議題となりました著作権法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知のとおり、現行著作権法は、明治三十二年に制定せられ、以来、数回の部分的改正をみましたが、その基本的な事項はそのままにして現在に至っております。したがって、著作権の保護すべき対象も保護の方法も再検討すべき時期に到達しております。また、国際水準から見ましても、現行制度は三十年の保護期間を初めとして、保護の態様は、すでに時代におくれ、文化国家としての体面を保持しがたく、陳腐の感は免れません。よって、著作権は根本的に全面改正が必要であることは論を待たないのでありますが、次のような緊急の理由により、今回は、特に著作権の保護期間に限り、とりあえず改正しようとするものであります。  第一は、著作権の保護期間は、文明国において、五十年以上が常識になっております。日本が三十年の保護期間を定めていることは、他国の非難の的となっているのが実情であります。わが国文化国家であり、文化の交流に一そう努めなければなりません。また、国際社会の一員として、国際水準にまで著作権の保護期間を引き上げるのが当然の義務であると申さなければなりません。第二は、著作者の死後、著作権の保護を受ける立場にある妻子の救済についてでありますが、わが国を静かに振りかえってみまするに、若年にしてりっぱな作品を残した人々が非常に多いのでありますが、著作者の死後三十年が権利期間である現状においては、早世した著作者の遺族に対する保護期間があまりに早く切れるのでありまして、この事柄は、社会保障の観点からいたしましても、これを放置するわけには参りません。第三は、国際信義の問題であります。他国は、日本の著作物を使用する場合、三十年を経過し、保護対象からはずれた著作権についても、当該国から礼金等の形で送金してくるが、日本は外国の著作物を使用する場合には、三十年以後のものについては何も支払っていないのが実情であります。このことは、国際信義にもとるものと言わざるを得ません。  以上の理由により、本案は、著作権の保護期間を著作者の生存間及びその死後五十年、官公衙、学校、社寺、協会その他団体の著作権についても、その発生後、同様五十年に改正しようとするもので、現行法第三条ないし第六条までの「三十年」を「五十年」に改めることであります。また、この法律は、公布の日から施行し、この法律施行の際、現にこの法律による改正前の著作権法第三条より第六条までの規定による著作権の保護期間が継続している著作物から適用することについての経過規定を定めたものであります。  以上、この法律案の概要並びに提案理由を御説明申し上げ、御審議を願う次第でございます。   —————————————  次に、ただいま議題となりました教科書法案及び義務教育学校児童及び生徒に対する教科書給与に関する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  最近、政府は、義務教育学校における教科書の無償給与を企画するとともに、これに便乗して教科書の実質上の国定化を意図しているやに聞き及んでおります。教科書の無償配布については、憲法の定める義務教育無償の原則に基づくものであり、当然でありますが、これに便乗して、国定化を期待し、企図することは、教育の国家統制への道を開くものであり、再び戦前の超国家主義の教育に引き戻さんとするものであり、まことに遺憾であります。ここにおいて、わが党は、教科書行政に関する基本方針を明らかにし、民主的にして、教育の中立性を保障する教科書制度の確立を期するとともに、憲法に保障された義務教育無償の原則を実現するために前記二法案を提出した次第であります。  まず最初に、教科書法案の概要を申し上げます。第一は、国家行政組織法に基づき、文部省の外局として、教科書の種目の決定、検定、定価の基準、採択、供給等、教科書行政全般をつかさどる教科書委員会を設置することとし、その委員は学識経験者の中から、文部大臣が両議院の同意を得て任命することであります。第二は、教科書の検定は、発行者または著作権者の申請により、教科書委員会が行ない、採択は、学校長が教科担当教員の意見を聞いて行なうことであります。第三は、都道府県は、教科書研究に資するため、郡市単位に二または三の教科書展示施設を設置し、国は、これに要する経費につき、予算範囲内で補助できることであります。第四は、教科書委員会は、都道府県教育委員会の報告に基づき、発行者に対し、発行の指示をし、指示を受けた発行者は、供給の義務を負うこと等であります。第五は、この法律は、第二章教科書委員会に関する規定については、公布の日から起算して六カ月以内の政令で定める日から、その他の規定は、昭和三十八年四月一日から施行することであります。第六は、この法律施行に要する経費としては、約二百万円の見込みであります。   —————————————  次に、義務教育学校児童及び生徒に対する教科書給与に関する法律案の概要を申し上げます。  第一は、国、公立の義務教育学校児童生徒に対し、教科書を各教科につき一種類ずつ、校長を通じて給与することとし、国は、それに要する経費の全部を負担することであります。第二は、私立の義務教育学校児童生徒に対し、学校法人が教科書給与した場合、その経費につき、国は、予算の範囲内で補助することができることであります。第三は、この法律は、昭和三十七年四月一日から施行することであります。第四は、この法律施行に要する経費としては、約百三十億円の見込みであります。  以上が二法案提案理由及びその内容であります。何とぞ十分御審議を願う次第であります。
  38. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいま、それぞれ説明をいただきました五法案に対する審査は、都合により後日に譲ることにいたします。   —————————————
  39. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 速記をとめて。   〔午後零時十七分速記中止〕   〔午後一時速記開始〕
  40. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 速記を起こして。  ただいま委員の変動がありましたので御報告いたします。  下条康麿君が委員辞任され、その補欠として上原正吉君が委員に選任されました。   —————————————
  41. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に、義務教育学校教科用図書の無償に関する法律案議題とし、政府側より趣旨説明を聴取いたします。長谷川政務次官。
  42. 長谷川峻

    政府委員長谷川峻君) このたび政府から提出いたしました義務教育学校教科用図書の無償に関する法律案提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げます。  この法律案は、第一条で、義務教育学校において使用される教科用図書は無償とする方針を確立し、その措置に関して必要な事項は別途立法措置を講ずることとしているのであります。教育の目標は、わが国土と民族と文化に対する愛情をつちかい、高い人格と識見を身につけて、国際的にも信頼と敬愛を受けるような国民を育成することにあると思います。世の親に共通する願いも、意識するといなとにかかわらず、このような教育を通じて、わが子が健全に成長し、祖国の繁栄と人類の福祉に貢献してくれるようになることにあると思うのであります。この親の願いにこたえる最も身近な問題の一つとして取り上げるところに、義務教育学校教科書を無償とする意義があると信じます。しかして、義務教育学校教科書は、学校教育法の定めるところにより、主要な教材としてその使用を義務づけられているものであります。感じやすい学童の心に最も影響のあるこの教科書について、かって各方面からいろいろの批判を受けましたことは御承知のとおりでありますが、最近新しい学習指導要領が作られるに及び、日本人としての自覚を持たせるに足る教科書が刊行されるようになりました。このように教科書は改善されつつありますが、政府は、昭和二十六年以降、小学校一年に入学した児童に対し、あるいは義務教育無償の理想の実現への一つの試みとして、あるいはまた、国民としての自覚を深め、その前途を祝う目的をもって、一部の教科書を無償給与したことがありますが、間もなく廃止されたことは御承知のとおりであります。今日では、要保護、準要保護児童生徒合わせて百二十万人に対し無償交付が行なわれています。  そこで、このたび政府は、義務教育学校教科書は無償とするとの方針を確立し、これを宣明することによって、日本国憲法第二十六条に掲げる義務教育無償の理想に向かって具体的に一歩を進めようとするものであります。このことは、同時に父兄負担の軽減として最も普遍的な効果を持ち、しかも、児童生徒が将来の日本をになう国民的自覚を深めることにも大いに役立つものであると信じます。また、このことは、わが国教育史上、画期的なものであって、まさに後世に誘り得る教育施策の一つであると断言してはばかりません。  しかしながら、義務教育学校教科書を無償とする措置を行なうには、その実施の方法手続、発行、供給のあり方等について、十分検討を加える必要があると考えられます。政府は、とりあえず明年四月小学校第一学年に入学する児童に対しての経費を、ただいま審議を願っておる三十七年度予算に計上いたしましたが、この実施の方法を含めて調査審議を行なうため、文部大臣の諮問機関として臨時義務教育教科用図書無償制度調査会を設置することとしたのであります。無償の実施に必要な事項は、調査審議の結果を待って別途立法措置を講ずることになります。調査会の存続期間は一カ年、委員は二十人以内とし、学識経験者及び関係行政機関のうちから、文部大臣がこれを任命することといたしました。諮問事項のうち、特に昭和三十七年度の予算の執行及び昭和三十八年度の予算の作成に関係ある事項については、調査審議の結果を、おそくとも昭和三十七年十一月三十日までには答申いただくこととし、所要の立法措置及び次年度以降の準備に資することができるよう配慮いたしておるのであります。なお、この法律施行期日は本年四月一日からとし、また昭和三十七年度の予算の執行にかかる措置を実施するため必要な事項は、別途政令で定めることができることとして、万全の措置を講じました。政府は、この法律案を、わが国文教政策上の全国民的な重要課題として御審議を願わんとしているのであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  43. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 本案に対する自後の審査は後日に譲ります。  速記をとめて。   〔速記中止
  44. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 速記を始めて。  午後は、午後二時から委員会を再開いたすこととし、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩    ————・————    午後二時三十七分開会
  45. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  当面の文教政策議題とし、調査を進めます。  質疑の通告がありますので発言を許します。千葉千代世委員
  46. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は、教職員の超過勤務手当とそれから年度末に際しての各県の退職勧奨が相当行なわれておりますので、その二点について質問いたします。  第一点は、三十七年度の教職員定数については、算定基礎として小学校五十四人について一人、中学校五十二名について一人というように盛られておりますけれども、すし詰め解消の年度計画の中で、年々この教員の定数をふやすということが出ておりますけれども、当局としては、この数字で十分にまかなえ得るとお考えでしょうか、この点についてお尋ねいたします。
  47. 福田繁

    政府委員福田繁君) 御承知のように、昭和三十四年から、すし詰め学級の解消ということに力を入れて参りまして、三十八年には一学級の定員を小中学校ともに五十人にしたい、正常の学級の編制にしたいという計画で進んでおるわけでございます。したがって、それに対応いたしまして、逐年教員の定数法律に基づいて増加して参っております。今御承知のように、小学校生徒が漸減しつつあります。それに伴って教員数も変わってくるわけでございますが、しかし、小中学校全体として考えますと、中学校は現在ピークにあるわけでございますから、そういう小中学校先生全体を考えますと、定数をこの基準に基づいて計算いたしますと、なお足りないというような状況でございます。したがって、私どもとしては、まあ年々そういう計画でもって先生の定員の充実をはかって参っておりますが、一応現在のところはこの定数計画に基づいていけば、これは一番適切なやり方だと考えておるのでございます。
  48. 千葉千代世

    千葉千代世君 今おっしゃったように、定数が十分でないということはお認めになっていらっしゃるわけなんですけれども、この定数が足りないために教職員の超過勤務が非常にふえている、こういう現状でございますけれども、その点について文部省ではどのように把握していらっしゃいますか。というのは、文部省がお出しになりました教育白書によりますというと、一週間に大体平均十一時間くらい教師が超過勤務をしているという例が出されておりましたですけれども、その点について間違いございませんでしょうか。
  49. 福田繁

    政府委員福田繁君) その数字、今私手元に持っておりませんから、後ほどまた調べてから申し上げたいと思いますが、最近、教員のいろいろ勤務時間が長いとか、あるいは仕事の量が非常に多くなったというようなことがよく言われておりますが、私どもとしても、ごく最近の教員の実情について科学的な調査をいたしておりませんので、かつての古い資料はあるようでございますけれども、今後そういった点をひとつ具体的に調査してみたいというように考えております。しかし一般的な傾向としては、そういう声が相当ありますので、ふえつつある傾向にはあるだろうと思っております。
  50. 千葉千代世

    千葉千代世君 教職員定数が足りませんために、本務以外の雑務が非常に多い、その雑務を全部果たすためには、大体これは教職員の各県の調査で見たわけですけれども、かなりな超過勤務を行なっている、それで、多いところによりますというと、日曜を除いて平均十三時間をこえている、多いところですというと、十五時間か十六時間、平均して十一時間六分という、こういう数字が出ていたわけです。そうしますというと、これは非常な多い超過勤務の時間になるわけでございます。静岡県の例なんか見ますと、静岡県では大体十二時間五十五分という数字が出ておって、しかも、人事委員会の規則の中では、土曜日は午後一時まで勤務しなければならない、こうなっております。そうしますというと、すでにこの一時間もそれに入る。そうした場合に、それなら超過勤務手当についてはどうなっているだろうかと調べてみますと、これは払われていない、こういう現状です。文部省の調査の中に、大体超過勤務の時間数が、各県の一覧がございませんようですけれども、この超過勤務を行なった者に対する超過勤務手当が支払われていない。これについて、支払うべきだと私どもは思うのですけれども、文部省ではどのように考えていらっしゃいますか。
  51. 福田繁

    政府委員福田繁君) 今のお尋ねでございますが、これは御承知のように教員の給与体系と申しますか、給与問題としては、教員の勤務の特殊性に基づいた給与制度というものを一応考えられているわけでございます。したがって、教員には夏休みもあり、冬休みも、春休みもある。しかし、これは研修その他ということで、一週の四十四時間の勤務時間の範囲として現在の給与制度というものができているわけでございます。したがって、そういう特殊な勤務の態様をなしておりまするので、教員には超過勤務手当というものはついていないことは、これは御承知のとおりでございます。したがって、私どもとしては、四十四時間の範囲内において、学校において校長が、適宜、担任あるいはいろいろな指導機関というものをきめることによって従来きておりますので、したがって、現在のところ、詳しく実態は私どもわかっておりませんけれども、超過勤務手当を教員に出すという考え方は、現在のところとっていないのであります。これは根本的にそうなりますと、しからば、現在の四十四時間で計算しております給与内容についても、いろいろ問題がまた出てきやしないかという根本論もあるわけでございます。これは十分おわかりと思いますが、そういう点もお考えいただきたいと思います。
  52. 千葉千代世

    千葉千代世君 かつて教職員には超過勤務が出ない、だから給与の面については特別に考慮する、こういう話のもとに調整号俸というのがつけられておったわけですね。それがたしか昭和三十二年と思いますが、切り捨てられてしまったわけですが、そうすると、今、局長がおっしゃったように、給与の中にも特別な考慮が払われているというのは、具体的に、それは今の給与の中にどういうふうに払われているのでしょうか。
  53. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは御承知のように、かつて調整号俸と申しまして、一号ないし二号一般より高かったときがあったと思いますが、それは給与の是正のときに、そういう問題は一応これを捨てまして、そのかわり、現在の給与の実際の制度自体の中に、それをできるだけ取り組むというような考え方で、これは是正されたわけでございまして、上のほうの人ですと、おそらくその当時の一号ないし二号の調整号俸というものは、そのまま落とさないで、織り込んで高く現在もらっておると思っております。それから初任給につきましても、国家公務員の場合と比較しますと、大学卒で大体五百円程度の差ができておる、教員のほうが高いわけであります。そういったことで、十分教員の給与の優遇と申しますか、一般よりも特別なものとして措置されておるというように私は了解いたしております。
  54. 千葉千代世

    千葉千代世君 なるほど、初めの調整号俸を切り落とすときには、そういう考えで本俸に繰り入れておった。しかし、その後、国家公務員と地方公務員その他の関係のときの号俸を比較いたしました場合に、そのことだけがいつも言われておって、実際的に今度は表を見ていきますと、各県のバランスはもとよりとれていないし、いわゆるアンバランスなわけですね。それで、教員だけの内容が調整号俸をとったときの状態で、それを基礎にしてずっとふえているという実情ではないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  55. 福田繁

    政府委員福田繁君) 先ほど申し上げましたように、この給与是正の際に、古いほうは既得権としてそのまま尊重して切りかえていったわけであります。学歴是正等におきましても、大学卒以上につきましては、これは大体一号アップというような措置を講じたはずでございます。初任給については、これは新しい人でございますが、今申しましたように、大学卒の場合に、一般公務員は一万四千二百円ですが、一万四千七百円と五百円のアップをしておるわけであります。そういう点が今御質問趣旨のようなことに合った措置じゃないかというように考えております。
  56. 千葉千代世

    千葉千代世君 初めの趣旨は確かにそうであったわけです。ところが、三十二年から今日まで約五年経過しておりますうちに、各県においての昇給の場合などにおきまして、いつも地方公務員と国家公務員が比較されて昇給が延ばされたり、いろいろな実情でもって、実際的にはそれが恩恵に浴していない、こういう中で、そのために調整号俸をつけますときにも再三再四言われたことは、教育本法の六条の中に、後半のほうに、「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」こういう点は物心両面でなければならない。特に今までに怠っておった経済的な面については、教員に対しては過酷なほど苦しさを強いられておった。だから、その点を特に取り上げてやったのに、調整号俸を落とすときには、そういうことを言われたわけです。ところが、今そうでないという実態は、各県の俸給を見たわけですが、たとえば東京で十四年勤めた者と長野県で十四年勤めた者、これが約四千円違うわけです。徳島でもそうです、最高六千円の開きがある。それを各県で、これではおかしいじゃないかと言いますと、それは地方地方の財政によって違うのだ、二分の一の国庫負担だから、県で半分、国で半分払うのだから、県の財政が十分でなければやむを得ないじゃないか、こう言う。現実にはそのためにそういう名目のもとにどんどん減らされていく、こういう実情なんです。ですから再三申し上げますように、超過勤務手当を出さないかわりに、教員の身分がよくなっているということは言えないわけです、待遇が。重ねてお伺いいたします。
  57. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私どものほうのいろいろな資料で拝見しますと、国家公務員の場合に比べますと、教員が特に低いということでなく、むしろ教員の方がよくなっているのじゃないかというふうに思うのでございまして、今比較になりました東京都は、これはちょっと高過ぎるという感じもするものでございます。したがって、東京都と比較することはあるいは適当でないかもしれませんが、一般的に申しまして、国家公務員に比べて私は低くないと思っております。
  58. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは、東京都が高過ぎるのじゃなくて、よそが低過ぎるのだというふうにちょっとおっしゃっていただかないと、そういうことを文部省がおっしゃるものですから、東京都の交渉のときには文部省でもこう言っていた、東京都が高過ぎると言われたといって、都の理事者はものすごく——ついこの間も給与の確定闘争が続いたわけですが、それが唯一の足がかりでひどい目にあっているわけですから。今後は東京が高過ぎるのじゃなくて、地方が低過ぎるのだという点で、ひとつ御指導いただきたいと思います。それから、国家公務員と地方公務員の給与を比べて地方公務員が低いと思わない、こうおっしゃっている。ところが超過勤務手当ですね、これがついたのとつかないのと比較してごらんになったことがあるんでしょうか。たとえば全然超過勤務手当がない者と、それから給料は多少違っても超過勤務手当が完全についている者との総収入の比較という点については、どのようにお考えになっていますか。
  59. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私、今手元に資料を持っておりませんので、ちょっとお答えできませんが、比較せよとおっしゃれば比較いたしたいと思います。それは超過勤務手当だけじゃなくて、教員にはいろいろな手当が十数本ついておりますから、そうなりますと、そういう手当を全部入れまして比較いたしませんと正確でないと思います。私は根本的に言って、今の教員は国家公務員の場合よりも低いということは言えないのじゃないかと思いますが、なおその点は一つ計算をしてみたいと思います。
  60. 千葉千代世

    千葉千代世君 それで、超過勤務手当のほうにまた戻りますけれども、超過勤務手当を払わなくてもいい、こういう結論でございますね。私どもは超過勤務を認めているわけじゃございませんですよ。ほんとうは超過勤務をしないで、そして正常な時間内で仕事を処理していくということ、これが一番望ましい姿ですけれども、現実には超過勤務が方々で行なわれている。行なわれているならば、これに対して支払うのは当然ではないだろうか、こういう考えなんです。で、払わなくてもいいという根拠は何によってでございましょうか。
  61. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私は、超過勤務を払わなくてもいいと言ったわけではないのでございます。今の建前論として、超過勤務ということは、教員の場合は私どもはないということを申し上げておるのでございます。具体的に一時間が一定の勤務時間がございまして、その勤務時間以外に勤務を命じたということになれば、これは法律論としては超過勤務を払わなければならぬ場合が起こり得ると思います。そういうことでございますから、個々のケースを考えないで、一般的に超過勤務を払わなくてもいいのだというように申し上げているのじゃございません。
  62. 千葉千代世

    千葉千代世君 超過勤務が私どもとして本来はなくて、すべきでないと思うけれども、現実にしているならば、これは払うべきだという見解で、じゃ超過勤務をなくすためにどうしたらいいかということが出てきて、先ほど質問いたしました定数をふやしていく、こういう中で超過勤務をしなくて定数をふやして、そうして安心して本務に専念できる、こういう状態を望んでいるわけですけれども、それについては文部省としてどのようにお考えになりますか。
  63. 福田繁

    政府委員福田繁君) これは非常にむずかしい問題だと私は思っておりますが、教員にも建前として超過勤務を出すべきだという議論に立てば、教員の給与制度自体については、私は根本的にこれを検討し直さなければいけないのじゃないかというような気がするのでございます。したがって、もし超過勤務を出すべきだという考え方で進む場合におきましては、将来の問題でございますが、私ども十分教員の給与制度全般の問題を検討いたしまして、制度としてどっちがいいかということをひとつ十分検討してみたいと思います。
  64. 千葉千代世

    千葉千代世君 それから先ほど局長が触れられましたが、教師には夏休み、冬休みもあるとおっしゃったわけですね。この中で研究日とおっしゃったのですが、これは根本的にお考え願いたいことは、何かの場合に、先生はいいじゃないか、夏休みも冬休みもあるじゃないかということをものすごく安易に言うわけです。夏の、つまり夏季休業日に先生方がどういう仕事をして、かえって学校にいるときよりも忙しい面、たとえば校外に子供を連れていく場合、夏季の施設の場合、それから校区の見回りとか、それから自治会とか、いろいろな面があるわけです。そうしていきますと、むしろ休みのほうこそ頭を使うし、先生方も研究時間もとりたいし、それから学校の施設もある、こういう中であっぷあっぷしているわけです。ですから簡単に夏休み、冬休みがあるということを言われると、これは困るので、この点は私の考え方がいいでしょうか、どうでしょうか。
  65. 福田繁

    政府委員福田繁君) それは誤解を超こすといけないと思いますから申し上げますが、私はそういう意味で申し上げたのじゃないのです。今の教員の給与制度自体が、そういう休み等におきます研修その他を含めて給与制度が立てられておるということを申し上げたのです。そう安易に夏休みは遊んでいるのだ、あるいは休み中に俸給をもらっているのはけしからぬ、こういう意味で申し上げたのじゃないのです。教員としての勤務の態様が、そういういろいろな他の公務員と違った態様のもとにありますので、そういう特殊性を十分考えての給与制度というものができておるのだということを申し上げたわけでございます。その点は誤解のないように……。
  66. 千葉千代世

    千葉千代世君 超過勤務の問題については、今まで教師がずいぶんしておりましたけれども、各県でこれは任命権者に要求するわけでしょうね。要求しておりますけれども、なかなか中央の方針が、今おっしゃったようなものですから、どこでも払われていないという実例がある。この一、二年、大体そういう点が先生方の中から、あるいは教育委員会の中から、なるほどそれはたいへんだ、そういう実態が出されて、千葉県の人事委員会で話があったように支払うべきだという見解を出したりしているわけです。それで私どもとしては、実際学校に勤務している先生方の忙しいということは、いなかのほうでも、ちょうちん学校だなんて言うふうなくらいに多いんですね。八時ごろ行っても、まだ職員会をやっているところがあるんです。おそばも食べないでやっている、そういう実例がありますから、具体的に、ただ忙しいと思うだけではいけないですから、一日の仕事の時間はどんなことになっているでしょうかという、調べた一、二の例がありますので申し上げますが、これは福岡県の教育白書の中に出ておりましたんですが、先生の一日の生活という中に、執務時間が十時間と三十一分、こうなっているわけです。それで、通勤時間が三十八分平均、睡眼時間が七時間四十四分、自由時間が五時間七分、こういうことで、執務時間が十時間三十一分、こういうふうなことになっているわけです。それから小樽の例をちょっと見たのですが、小樽の例で見ますと、先生学校において勤務する時間が十時間十四分で、その中の延べ一時間をほとんど休んでいる勘定にしても、実際に休んでいないとしても、一人の平均、学校だけで九時間十四分の仕事をしているというんですね、小樽で。そうするというと、これは小樽の先生方の千人の調査をした中で詳しく書いてありますが、詳しいことは省略いたしますけれども小学校の月曜日から金曜日までの一日の平均をあげてみるというと、大体そういうふうに時間がなっている。それで、一日平均一時間五十六分の超過、こういうふうな平均の勘定になっている。これは福岡と小樽だけと思いましたところが、ずっと調査いたしましたところが、至る所にあるわけなんです。そうすると、やはり昔ながらの、教師は聖職だから、何ぼ忙しくても、賃金が安くても最後までやらなければいけない、のびるまでやるという精神が相当強要される側にもあるんじゃないか、こういうふうに考えているわけです。現実にやはりこうして超過勤務を行なっておれば、それに対して超過勤務手当を払う、その点を研究する、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、これは文部省のほうでも実態を調査していただいて、それに沿ってやはり考慮していただきたい。給与負担法の中には、事務職員の方々は超勤がつくわけですね。市町村給与負担法というのがありますね。ですから、これは望ましいことではないのですけれども、一つの例として、事務職員の市町村給与負担法を改正して、事務職員のほかに、一般教員、これを入れて、そうして給与条例を改正していくというようなこと、これは一つの例で、今すぐこれを根本的な解決とか何とかという意味で言っているわけじゃありません。こういう点についてどういうふうにお考えですかということで参考に伺うわけですから、これは私ども、超過勤務するから、ぜひ改正して下さいというわけじゃございません。参考のために、こんな点についてはどうお考えでしょうか。
  67. 福田繁

    政府委員福田繁君) 現在の負担法の中では、超過勤務手当は負担対象になっていないことは御指摘のとおりでございます。私どもも、今後、教員の勤務の実態を十分調べまして、いろいろ検討はしたいと思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、いろいろな根本問題がそれと関連してくると思いますから、十分慎重にやりたいと思っております。
  68. 千葉千代世

    千葉千代世君 その超過勤務が今日なぜこんなに多いかという中に、雑務ということをさっきちょっと申し上げたのですけれども、これは文部省でも先刻御承知なんでしょうが、教員の本務以外の雑務といいますか、たとえば生活指導とか、川校外指導、研修、事務、これは事務が中心ですが、大体どれくらいあるとお考えでしょうか。
  69. 福田繁

    政府委員福田繁君) ちょっと種類は数は覚えておりませんが、たくさんあると思います。
  70. 千葉千代世

    千葉千代世君 そのとおりたくさんあるわけなんです。かりに例をあげてみますと、教科のことはもちろん本務ですからそうですが、それに伴う生活指導、これも当然教師指導の部面なのですけれども、一つの生活指導をとってみましても、学校給食、清掃指導、週番指導、登校下校指導、家庭訪問、保健衛生にいきますと、目、耳、歯、鼻、そういう検査の手伝いとか、それから検便とか、蛔虫駆除、ツベルクリン、BCGの実施、会議にいきますと、これもたくさんあるのです。一日に会議のない日がないというようなことで、児童の朝会とか、職員朝会、それから職員会、各教科の研修会、これは校内、校外ともに。研究会も同様、運動会、学芸会、音楽会、PTAの会、校外指導にいきますと、これまたたくさんございまして、遠足、社会科の見学、映画見学、修学旅行、水泳指導、林間学校、各種スポーツの指導、特にオリンピックもございますので、地方へ行ってみますと、中学校あたりでも非常に気合いをかけられまして、体操のできる先生とか、野球のできる先生は、ちょっと頭が悪くても選考基準に通るというのですね。女の先生がものすごく優秀であるのに、その先生は、野球の審判ができるかというから、できないといったら、野球の審判ができないなら、頭がちょっとよくてもだめだという、こういうことがあると笑い話で言われたのですが、大体、体育の熱心ということはけっこうですけれども、少しひど過ぎるのじゃないか。こんなようにして各種スポーツの指導が相当要請される。研修では、指導準備とか、実験準備、研究、読書、見学、旅行、あるいは事務では、作文テストの採点、給食費、PTAの会費の計算記帳、出席簿の記入統計、通信簿、身体検査票、指導要録成績一覧表、修業台帳、卒業台帳、証状台帳、こういうふうに数えていくと、局長さんおっしゃったようにすごくたくさんある。これでまだ半分までいっていない。そうしてみますというと、これらを、やはりその学校にいれば、こなさなければいけないわけです。そうすると、さっき静岡できめられた、人事委員会できめたように、土曜日は午後一時まで勤務せよという、こういう人事委員会の規則ができているのに超過勤務を払っていない。そういうような状態ですから、こんなにたくさんの仕事をして、超過勤務を全然どこも払われていない。こういうふうになっていきまするというと、教師の賃金というのは、先ほど述べられたのに比較して決して高いものではなくて、非常に低い。特に最近では、各工場や会社に就職いたしました高校の卒業生が、多いところでは一万八千円か、ひどいのは二万円も取っています。一万八千円から二万円、こういうことは部分的ですけれども、総体的に一万七、八千円が普通になっている。高校卒業生が。そうなると、今度教師の初任給という問題があげられましたけれども、比較にならないわけです。賃金が安いから、こういう工場とか、いろんな会社の整備なんかのために、人を養成される場合には、何が優先されるかというと——教員になる人たちが非常に少ないわけですね。ことしの学芸大学、教育大学の入学試験も大体出そろっていると思うのですけれども、他の学部との比較はございましょうか。私どもの調べました範囲では、学芸大学や、教育大学の志願者が非常に少ないということを聞いたのですけれども、どんなふうになっていますか。また少ない原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  71. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまその数字を手元に持っておりませんので、お答えにくいのでございますが、これは一般に社会の景気がいいと、教員の志望が非常に少ないというような傾向は一般的にいえると思います。したがって、会社方面が非常に需要が多くて、しかも賃金が高いということになりますと、そちらのほうに志望者がふえますので、一般的には当然そういう教員志望が少ないということでございます。昨年、あるいはことしもおそらく同様の傾向じゃないかと思います。数はわかりませんけれども、そう昨年と非常に変わった傾向はないものと考えております。
  72. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは、おそれ入りますけれども、ことしの国立の学校で教員の入る学部、その志願者と、それから他の学部——理工学部とか、ほかの学部との比較がございましたならば、早急にそろえていただきたいと思うのですが、それによってまた質問したいと思います。  で、重ねて申し上げますけれども、超過勤務はやはり本体ではないけれども、支払ってもらうべきだ、支払うべきだ、しかも、任命権者が当然責任を持ってやるべきだ、こういうふうに私ども考えておりますが、超過勤務の手当についても考慮されるというお話でございましたから、至急やはり相談に乗せて解決の方法を講じていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
  73. 福田繁

    政府委員福田繁君) 今の点は、私は個々のケースを申し上げたのではなくて、一般的にそういう制度の問題として検討しなければならない問題であるならば、これは教員の給与制度自体に響いてくる根本問題であろうと思いますので、慎重に検討いたしたいということを申し上げたのでございます。十分研究はいたします。
  74. 千葉千代世

    千葉千代世君 今の超過勤務手当とか、教員の給与に関連しますのですけれども、全体的に教師の労働量と賃金を比較していきますというと、労働の量が非常に多くて賃金が非常に少ない。勤めている間がそうであって、今度はやめた場合どうなるかといいますと、これは私は各県の例を調べてみたわけです。そうすると、退職金の差が非常に多いのです。たいへんな違いだということを発見したわけです。たとえば、東京でございますというと、まあやめる年令と退職金と、こういう点が関連しておりますけれども、東京ですというと、校長さん六十才、それから一般教員が六十才以上の方もいるわけです、退職勧奨ですね。それで男女の差はございません。そして、本人が六十才前ですと、本人がやめたいと希望した者はやめさせる、そして六十才前の人には退職勧奨というものが行なわれていないで、あくまでも本人の希望ということになっております。ところが、各県を調べてみますというと、たとえば校長が五十五、一般が五十、女が四十五とかいう、ひどいのは三段階もついている。全国の大体三分の二は男女の差があるとか、校長と一般教員の差があるということで、これは内規約にあるわけです。今、停年法はございませんために、申し合せ事項とか、しかも年令のほうにそういう差があって、今度退職金を見ますと、東京ですと、この問、校長先生が六十才以上でやめるその中の一人が、約六百万円近くの勘定になるという、どうしてそんな勘定をしたのですと言ったのです。多いのはさしつかえないのですけれども。そうしたら東京では校長さんをした年数の一・五倍みるわけです。ですから、校長さんは二十年であれば三十年の在職期間とみなす。そうして教員の期間も合わせる。そうすると、多摩の山の奥に、昔、師範を卒業して、早く、校長さんに二十幾つかでなった人がいるわけです。それが六十ですから四十年に近いでしょう。校長になった期間に一・五かけるから、たいへんな在職年数になる。それに今度割増し金がつきます、総体の五割。それに対してさらに一〇%とか、いろいろな条件がつくわけです。年によって違いますけれども、大体六百三十万とかいう話を聞いたわけです。それが終わって、そして地方へ行きまして、東北の県で五十前後で校長さんをやめたら、大体退職金は幾らもらえるのですかと聞いたらそうしたら幾らもらえるかわからないというから、校長さんになって金勘定も知らなければ、幾らもらえるか知らないで、子供さんにどうして算数教えるんですかと言ったら、そう言えばそうですね、勘定しますと、表を見て勘定したんです。そうしたら二百万です。そういうふうに大体同じような条件です。そうすると、三分の一です。東京、大阪、福岡というのは割といいんですけれども、山陰から東北にかけて非常に悪い。年令的にも早くやめさせられる。こういうふうになっている。これは一体どういうことだろう。賃金が安いとやめてから相当違うし、恩給についてまた違ってくる。そうすると、その県々の財政上だからやむを得ないでは済まされない問題があるのではないか。もっと具体的に言えば、東京で先生をやめて恩給をもらって、退職金をもらって、徳島なら徳島のいなかに引っ込んだとします。そうすると、徳島の師範学校なら師範学校を卒業して先生になって、県知事さんの表彰をもらってやめた、その人の退職金と、それから東京で勤めておった人が帰っていく、郷里に引っ込んで隠居する。そうすると、そこでおりますときには恩給が大体三対二ぐらいの割合、もっと少ないかもしれません。そうすると、やはり同じように日本の教育に携っているならば、どこで働いても——多少の違いがあるのはこれはやむを得ないけれども、大まかにいって、そう差がないという方法を講じてやるのがほんとうじゃないか。そうすると、文部省のほうでは、地方地方の財政だから、それはこちらから容喙する権限がないと、去年の質問のときに内藤局長おっしゃったんです。しかし、それは教員全体のやはり生活の安定をはかってやる調整の役目、いいほうへ御指導の面については当然していただいてもいいじゃないかと思いますが、そんなような点についてどんなふうにお考えになりますか。
  75. 福田繁

    政府委員福田繁君) 退職金の問題につきましては、今御指摘になりましたように、地方自治体の財政力の差と申しますか、富裕団体は非常に出すということでございますが、そういう差がございます。これはまあある程度やむを得ないことでもありますけれども、少ないほうから見ると、何だか非常に工合が悪いということがあります。
  76. 千葉千代世

    千葉千代世君 とっても悪いらしいですね。
  77. 福田繁

    政府委員福田繁君) したがって、退職金制度について、退職金の問題についてもまあ全国的に統一したような制度ですか、一つの制度を作ったらどうかということもこれは一部で言われております。これはなかなかめんどうな問題ですけれども、現在の建前としては、今御指摘のありましたように、これは自治体の問題でございますので、文部省がとやかく言う筋のものではありませんけれども、将来の問題としてやはり私は研究問題だろうと思います。それから、今回国会に御提案を申し上げることになっております公立学校職員の年金問題、これも従来ある程度まちまちのものでございます。したがって、これらについても、年金についても国家公務員と同じような建前で新しい制度ができますと、少なくともその点だけでもこれは全国的に統一されるわけでございますので、これは一方、公国学校の教職員に対する一つの優遇策でもあろうと思っております。今の年金問題と退職金の問題、これはやはり将来の検討問題として私どもは研究して参りたいと考えております。
  78. 千葉千代世

    千葉千代世君 今、共済組合年金法ができるとよくなるとおっしゃったんですが、今の原案の中では、かえってよくならないんじゃないかと思いますけれども、具体的には、たとえば私どもがやめたときには十七年で恩給がついたけれども、四十五から半額、五十から七〇%、五十五から一〇〇%になりますね。そうすると、私は今五十四、そうすると、七〇%もらえるということになる。ところが新しい年金法になってみますというと、四十五から支給して五十五才から満配ですね。ところが減額年金というのが御承知のようにございましょう。あれはひどいんです。たとえば四十五で自分がやめた、今から恩給をもらいたい、こうしますと、御承知のように五十五が一〇〇%ですから、一年について四%減らすというのです。そうすると、五十五から四十五引くと十年、十年で四%ですから四〇%、そうすると、四十五でもらうときには五十五になってもらうべき総額の六〇%しかもらえない、今までは五十いくと七〇%、五十五で全額復活しましたね。あの年金法で見ていきますと、私の見間違いかどうかわかりませんけれども、どこまでいっても復活しないで、四十五で六〇%もらったら九十になっても百になってもいくのじゃないかということがあったのですが、間違っていたら直していただきたい。掛金が非常に多い、今までの掛金の大体二・二倍ぐらいだと思います。そうすると、初任給の非常に低い人たちが今までの二・二倍をかけるからずっといくわけです。まずそこで先に収入が減ってしまう、こういうふうな問題をはらんでいると思うと、私はあまり今よりよくなると思えないのですけれども、どうなんでしょうか。どこがよくなるのでしょうか。
  79. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私はこの掛金は確かに、これは国家公務員も同様でございますが、高くなりますけれども、給付の内容は全般として私は高まると考えております。国家公務員の場合も給付内容は高くなっております。したがって、まあ個々のいろいろな特殊なケースを拾っていくと、いろんなことがあると思いますが、全般的に下がるような制度を私どもは作るような意思はございませんし、国家公務員の場合でも私は同様な考え方でできておるものだと考えております。
  80. 千葉千代世

    千葉千代世君 給付の内容と申しましても、今まで三〇%、三三%ですか、十七年にやめると三分の一、あと加算がついたですね。あの共済組合法でいきますと四〇%、ところがさっき言った減額恩給ではあれさえなければいいのです、あれがある。そうすると、決してよくならないことと、最高はたしかあれは八〇%か、七〇%もらえるでしょう、最高は。ところが、恩給をいただいてからどのぐらい生きているかといえば、失礼ですけれども、私調べてみたわけです。そうしたら大体六十五、六才です。ですから恩給をもらってまあ大体三、四年で死ぬわけです、今までの例が。そうすると、八〇%もらってもじき死んでしまっても意味がないでしょう。どっちしてももらえれば、八〇%もらえるうちはいいですけれども、減額がなくて、それをもらえればいいのです。掛金が少なくて今まで通りであれば確かにいいわけですけれども、そうではない面と、掛金した、たくさん払ったお金というのが、全体で、たとえば払った者の福祉に回るようなお金になっていればいいのですけれども、そのこともはっきりされていないわけです。やはり大蔵省の資金運用部か何かにいってしまうのじゃないですか。そうすると、どこが大体いいのでしょうか。もう一ぺん聞かないとわからないのですが。
  81. 福田繁

    政府委員福田繁君) 福祉方面でございますが、これは従来の共済制度におきましては、やはり積立金等におきましても限られたものでございますので、十分な福祉事業というものができにくい状況にございましたことは御承知のとおりでございます。私の聞いておりますのは、大蔵省の資金運用部に対する預託等は一部あると思いますが、これは義務教育学校の教職員につきまして、まあ国としては国庫、都道府県分の二分の一を持つという建前から、国も出しているから、その見返りの作用として預託の一部分をお願いするというような建前と聞いておりますが、その他については、これは預託はないようになっているはずでございます。したがって、これらの預託が若干ありましても、全体の積立金その他から資金の運用につきまして考えますならば、従来の共済組合の場合よりも、はるかにこの資金の運用、したがって、福祉事業というものが非常に拡大されたものができるというように私どもは考えております。たとえば教職員の住宅建設、そういう方面に相当な資金が回るのじゃないかというように予定をしておるわけでございます。そういう点は確かに一つの進歩ではなかろうか、こう考えております。
  82. 千葉千代世

    千葉千代世君 これは教職員の福祉住宅とか、そういう問題については、みんなの年金法の掛金の中からではなくて、別途当然やっぱり考えなくちゃならないのじゃないかということを私考えておるわけです。で、したがいまして、この年金法が通ったならば、今までよりよくなるということではなくて、やっぱり悪い点を是正して、文部省の方としても減額年金についても、これはまずいのじゃないかというような態度で、やはり教職員の実態からお話し合いをしていただきたいと思っております。  で、あと二つばかり質問した一と思うのですが、先ほど申し上げましたように、各県によって年令が非常にまちまちだということですね。たとえば東京、北海道、埼玉は大体六十才でございますけれども、岩手にいきますというと、小学校長が五十八才、教員が五十五才、高等学校先生が五十八才、山形にいきますと、男の校長が六十才、それから教職員が五十五才、それから女の方は共稼ぎに対して……。宮城では男五十五才、女五十才以上、それから福島では校長五十五才、男教員五十五才、女教員四十七才、こういうことでございます。こういうふうにずっとあげていきますというと、もうほとんどここに男女差がついている。それから教師の中でも格差がついているということですが、これは私非常に不合理だと思いますけれども、まだ停年制がしかれていませんし、またしくべきではないと思っておりますけれども、こういう現在のあり方が、内規とか、申し合わせによってて非常に強く地教委を通じて教員個々に退職勧告がなされているわけですけれども、その点についてはどのようにお考えになっておりますか。やはり地方にまかせ切りだからやむを得ないというだけでしょうか。
  83. 福田繁

    政府委員福田繁君) これはやはりそれぞれ内規として各県できめております年令が違っておりますことは、各県のやはり特殊事情というものがそこにあると考えております。まあ県内の学校の教員組織だとか、あるいは学校運営の能率の問題だとか、いろいろな観点から考えまして、そういう年令の差が出てきていると思います。したがって、これを一律に私どもでどうしようということはできませんが、要するに、まあ各県の実情に基づいて非常に不合理なことが行なわれないように私どもは希望するわけでございまして、非常に不合理なことがあれば、それは今の教員の退職等の場合におきまして、いろいろ問題の生ずることもございますので、とにかくそういう特殊な事情に基づいても不合理なことのないようにということを念願するわけでございます。
  84. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますというと、各県の事情でこういうふうに年令に段階がついて、つまり格差があってもやむを得ない、文部省では何らこれについて特別な不合理がない限りは考えないと、こういうわけですか。大へんなことになっていくわけなんです。
  85. 福田繁

    政府委員福田繁君) 現在の段階におきましては、これは各県の実情と申しますか、各府県におきます教員の組織だとか、あるいは学校の能率向上というようないろんな点から考えたのだろうと思います。現在の段階におきましては、これはやむを得ないと思います。
  86. 千葉千代世

    千葉千代世君 そういうことですと、地方はこれはもう大へんなことになるわけです。文部省でそういう考えを持っているからということをたてに振り回しまして容赦なくやられるわけです。今でも各県では、これは人数がだんだん児童が減っていったらば、教員は首を切らないで、自然退職を待って跡を埋めないででもとにかくやろう、富山で現に百何名かございましたよ。四、五日前の人事委員会の査定ですというと、富山で百五十人ですね、これは四、五日前の査定で出ましたと思いますけれども、その点について文部省では知っておりましょうかしら。
  87. 福田繁

    政府委員福田繁君) 一般的に申しまして、私どもは教員の首切りが起こることを希望するのではございません。したがって、現在は小学校生徒が漸減しつつありますので、教員もそれに伴って正常な学級編制をいたしましても、将来としてはだんだん余ってくるわけであります。現在におきましても、いろいろ小学校の教員自体は総数としては増加できないような状態でございます。しかし、中学のほうは漸増しております。最近ずっと漸増しておりますので、全体として小中学校合わせて考えましたときに、全般的に教員の首切りは起こらないし、また、それよりも中学校の急増のほうがさらに急でありますので、したがって、中学の先生をふやさなければならぬという問題があるわけでございます。両方の要素がかみ合わされて、一般的に教員の首切りも起こらないし、今後、定数の基準に従ってやって参りますと、まだ教員をふやさなければならぬという状態があるわけでございます。しかし、またこれが四十四、五年ごろになりますと、これは小中学校全体として相当考えなければならぬ問題が起こるわけでございますが、将来のやはり先生の需給関係というものを十分にらみ合わせて、私ども計画的にやりたいと思っておりますが、現在の状態は一般的に申しますと、こういう状態でございますので、富山県の事情は私あまり詳しいことは知りませんけれども、しかし、新聞の報ずるところによりますと、小学校のほうは増加しなかったかもしれませんが、中学のほうは相当数増加したように伺っております。したがって、小中学校全般として、富山県の数は合うのではなかろうかというように想像をしております。その程度でございます。
  88. 千葉千代世

    千葉千代世君 私、これはなぜ富山を興味をもって見ていたかというと、昨年の決算委員会のときに冨山に行きまして、たとえば養護教員の問題について、なかなか県費支弁に切りかえない。したがって、身分が養護教員になっていないために恩給もつかないし、年をとって首切られてしまう。ずっと洗ってみますというと、養護教員を雇ったということにしてほかの先生が戻っていったわけです、一ぱい。そうして、知事さんにお会いしまして、これは正式の決算委員調査の中で、こういうことがあるのじゃないかと申し上げたら、富山の知事は、私は教育については非常に熱心である、そんなことは絶対にないと言われる、御存じないわけです。絶対にないかあるか、教育長を呼んで調べて下さいといったのです。呼んで調べたら、実態があって、非常に知事さんはまじめな方ですから、教育県をもって自分は任じておった、僻地でも何でも配置した、そういうのにこういうことがあってけしからぬ、これは自分の責任だから、これは必ず解消しますといって、その後、教育委員会その他に対して督励して、そうしてかくした教員を出させて、そうして是正したと非常に喜ばれたわけです。非常にいい知事さんだった。ところが、今度百五十人すぱっとやったので、これはどういうことかというと、その後の様子は存じませんが、そういう情報が入ったわけです。これは県の事情ではございましょうが、そこに持ってきて、文部省のほうでは、年令に格差があっても県の事情でやむを得ないということになりますというと、これはまたそれを利用してやられてしまうのではないかという心配と、それからこれは富山だけではなくして、長野県でも、たとえば配当基準をみておりますというと、二千人くらい余る勘定になるわけですけれども、これはやめたら、あと補充しないというので、実質的に六十人くらい余っておる、あとこれをどうするかというので、県では皆頭痛で、なるべくならばやめさせたくないわけです。局長さんのおっしゃったように、小学校は減るけれども中学校はふえていく、そういう中で先生を操作して実害のないようにしようというときに、五十五才、五十才、四十五才というのも、差があるのもやむを得ないというようなことになりますと、これは非常にまずいので、私は文部当局としてはやはり原則として年令に差をつけるべきではない。これは文部省でなくしても、どの労働界でも当然なことだと思うのですけれども、これは一つ局長さん、お考えをいただいて、文部省としてやはり年令の差をつけるべきではないという考えを持っているという、こういう態度でいっていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  89. 福田繁

    政府委員福田繁君) お気持は非常によくわかりますけれども、現実問題としては、やはり能率の向上とか、あるいはさっき申し上げましたようないろんな点から、県としては考えているわけでございましょうから、それを一概に全部画一的にしなければならぬという理屈が、なかなか困難ではないかというように考えるわけでございます。したがって、現在の段階では、いろんな事情は考えながらも、やはりやむを得ないという点は、これは別に私がこう申したからといって、それを県の方ですぐ援用するということはないと思いますけれども、現在の段階としては、やむを得ない事情もあると考えております。
  90. 千葉千代世

    千葉千代世君 局長さん、自分が言っても影響がないと思っておっしゃるのですけれども、言葉を返して恐縮ですがね、地方へ行きますと、文部省というものはすごく頭にかぶさって。何といいますか、いただいているように錯覚を起こしているのです。一にも二にも、何かあると文部省に聞きます、何かあると文部省に聞きます、こういうわけなんです。これは事実のわけです。ですから、やはり行政指導の面といいますか、そういうふうな問い合わせのありましたときには、それはやはり年令の差をつけるのは好ましくない。しかも五十、四十五なんていったらば、これからです。参議院の一松さんなんか八十七かなんかで、ものすごい元気で、まだやると、勇気りんりんとしているわけです。あの方がまだあれだけ働けるということを考えたときには、やはり日本の寿命が伸びていくときですから、少なくきざむのじゃなくて、やはり年令をのばしていくという方向でものを解決していきませんというと、やはり安心して、希望を持って教育界にいるという、そういうふうな空気をお互いに作り上げなければならないのじゃないかと思います。非常にしつこく言うようですが、その点は、これ、大臣の答弁で伺ってよろしゅうございますか。
  91. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) どうぞあとで、けっこうです。
  92. 千葉千代世

    千葉千代世君 大臣の御答弁と同じように解してよろしゅうございますね。これ非常に問題ですから。
  93. 福田繁

    政府委員福田繁君) 大臣はどうお考えになるかわかりませんが、おそらく私が申し上げたのと大体似たようなことじゃないかと私は想像いたしております。
  94. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、もう一つは男女差の件ですけれども、先ほど申し上げた中にも大体五才の開きがあるように思うわけです。東京、大阪、福岡等では全然ございませんし、その他の県でも神奈川もありませんのでありますが、かなりの県で男女差がついている。この点についてはいかがでしょうか、これもやむを得ないのでしょうか、男女差がついてよろしいのでしょうか、あるいは法律に違反していないかどうか、その点についてお考えを伺いたいと思います。
  95. 福田繁

    政府委員福田繁君) 男女の取り扱いを別にするという点におきまして、私は必ずしも法律に違反しているというようには考えませんけれども、いろんな男女の能力その他いろいろな点から考えて、実情に基づいた措置を講じているものと考えております。先ほど申し上げましたような一般的な問題と同じように、やはり現在の段階では、ある程度やむを得ないのじゃないかというように考えるわけです。
  96. 千葉千代世

    千葉千代世君 これはたいへんな問題でして、どこの世界に男女差があっていいなんていう、どこから根拠を出してそうおっしゃるのでしょうか。
  97. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私は男女の差があっていいということを申し上げているわけじゃございません。ただ、いろいろ学校事情によりまして、そういう内規を作っておるということでございますので、それはやはり地方の実情に基づいていろいろな措置が行なわれる、先生の新陳代謝なり、あるいは能率の向上というような点から、いろんな要素を考え合わせての措置でございますから、結果的にはそういう年令の差が出るかもわかりませんが、これはやはりいま申しましたような地方地方の実情に基づいた措置であれば、これはやむを得ないのではなかろうか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  98. 千葉千代世

    千葉千代世君 男女の同等な均等な待遇というものが、私どもは何によって保障されているのでしょうか。何も保障されていないならば、今の局長さんのお話もわかりますけれども、全然、それでは、日本ではどのような法律の中にも保障されていないのでしょうか。
  99. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私は、まあ根本的には、日本の憲法によって男女両性は同様な立場であるべきだということは、これは憲法に書いてあると思います。
  100. 千葉千代世

    千葉千代世君 まあ憲法を受けた日本の労働基準法にも、男女を性別によって区別はしない、職業安定法においても同様であるし、地方公務員法等においても同様、等々たしか六つぐらいの法律でもって、あらゆる面からこの点が守られているわけなんです。特に日本のような、私が申し上げるまでもございませんけれども、長い問男女の差というもので差別待遇されておった中では、これを是正する保護規定として特にうたわれているわけです。ですから、そういう中で男女の差別待遇をしてもらいたくない。なお、能率云云ということをおっしゃったのですが、男と女と能率に差があるとお考えになるのでしょうか。
  101. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点につきましては、私は男女の区別によって能率の差があるとは考えておりません。これは、もう当然、女子でも非常に優秀な方はたくさんおられます。その点は私は認めておるわけであります。これは一般的に申しまして、やはり教員の新陳代謝ということは一つの人事の要素でもございます。そういったいろいろな点から考えての措置が、たまたまそういう年令の差が生まれて来たというような、結果から申しますと、そういうことに出ると思いますが、その点を申し上げているわけでございまして、根本的に能率が違うとか、そういうことを申し上げているわけではございません。
  102. 千葉千代世

    千葉千代世君 その点は非常に同感でございまして、これはもう私が申し上げるまでもなく、男にしろ女にしろ、個々差というものはお互いにあるわけでございますから、それは私は否定いたしません。ただ、教育の場において、男女の差が、つまり能力に差があるように思われては、これはたいへんなことになるわけで、男の先生の受け持つ学級も女の先生の受け持つ学級もこれは同じなわけで、能率については私は差がないと思う。ただ、能率を十分に上げるための配慮、今までのたとえば適性指導とか、あるいはいろいろな面について、あるいは劣っていたということがあれば、それは行政者、為政者の怠りであって、本質的にこれは男女の能力に差があるというようなことではなくて、今、局長がおっしゃたように、差はない。しかしながら、男女の差がつくのはやむを得ないというのは非常に矛盾をしているわけです。これは新しい憲法と民法、それを受けた、さっきも申し上げた法律の中で、あらゆる面で保護規定されておったならば、これをやはり活用して、予算面に生かしていくという姿勢が各行政者になくてはならないのではないか。したがいまして、私がこの前に伺いましたときには、男女の差をつけてはいけない、男女の差をつけるべきではない、こういう文部省の御見解でございました。ですから私は安心しておったわけでありますが、いつからその見解が変わって、男女の差がついても地方によってやむを得ないということになったのか、この点をひとつ伺わせていただけませんか。
  103. 福田繁

    政府委員福田繁君) 私も過去のことはよく存じませんが、私は地方の実情を考えて、いろいろ特殊の事情がある場合はやむを得ないのじゃないかというふうに私自身は考えているのであります。
  104. 千葉千代世

    千葉千代世君 これはやはり日本の全体の二十一万近い、義務制、それから高校の先生を交えますと、大体小学校ですと四〇%ぐらいです、中学校で二一%というこの中で、しかも男女共学の中で、同じように日本の発展をになって勉強していくというような、こういうような新しい学制の中で教育する先生方が、そういうような差別の中にあるということは、これはやはりどう考えても矛盾している、と思うのです。私はやはり男女の差を退職勧奨の中につけるべきではない。東京都でも初めはつけておったのです。女は五十五とか幾つとか終戦後そういうことはないということで話し合って、今の宇佐美宮内庁長官が教育長さんのときでありましたが、話し合って、そのとおりだということで、以後は男だから女だからというような差は絶対につけていないわけであります。年令がたとえば六十才の校長さん、それから六十前後の方でやめたい者について、男も女も共稼ぎも、あらゆる職場において一人の働らく婦人、働らく男性として平等な立場で、同じ権利を持っているのだから、そういう観点から、共稼ぎだから、男女だからといって差別はさせないというこれは大原則でもって、ずっと進んできたわけなんであります。ですから、文部省が、今男女差があっても地方の実情によってはやむを得ないだろうと言う見解、これは撤回していただきませんと、これは各県で非常に問題を起こすわけなんです。問題を起こすばかりでなくて、これは教育が守られていかないという感じを持つわけであります。ですから、せっかくそういう考えを是正しながら、三分の一の県が男女の差別をなくしていったということは容易ならないことだったと思うのです。局長さんのような、文部省の初等中等教育局長さんといったら、やはり地方に行くと泣く子も黙りますから、その方が言ったとなれば、おっ取り刀で、目をこっちへ向けてこないで、みんな地方の教育長に向けていく、こういうことなんです。ほんとうですよ。地方へ行って見ますと。ですから責任が重いと思いますので、局長さん、もう一ぺん省議に諮って下さい、局長さんにお願いしたいのですけれども。今これを保留にして伺っておきたいのです。
  105. 福田繁

    政府委員福田繁君) 地方の人事異動等につきまして、特に女子に不利な扱いをするというようなお考えから、そういう御質問が出たのではなかろうかというふうに想像しているわけでございますが、私は退職の場合の年令を一応きめておりますのは、これは最高限をきめているわけでございまして、必ずしも男子の場合六十才なら六十才としてきめておりましても、教育者としてもう能力がなくなったというような場合、そういう人が出た場合におきましては、これはもう当然六十才と申さなくても、これは新陳代謝の対象にすべきものでもありましょうし、女子だからといって、必ず五十才で退職してもらわなければならぬというようなことでなく、やはりりっぱな方がおられれば、それ相当に教育者としてやはり待遇をするということのほうがより望ましいという気持は持っております。それじゃ、なぜ画一的にするのだという反論が出るかもしれませんが、それは原則としては、やはり地方のそれぞれの特殊事情がございましょうから、それをやはり無視するわけにはいかぬというように申し上げたわけでございまして、りっぱな方であれば、これは例外的な扱いも当然なさるべきでございましょうし、画一的にそういう女子だからという意味合いにおきまして、これを全国に対してするということは、これはやはり考えなければならぬというふうに私は思うのであります。
  106. 千葉千代世

    千葉千代世君 最後ですけれども、これは終戦後、お互い教師が反省した中で、やはり教育に矛盾があってはならない、こういう中で、やはり男女の差別待遇をなくしていこうじゃないか、こういうふうにして、たとえば賃金でも男女差を各県でなくしていって最後に、昭和二十七年までにたしか四県ぐらい男女差がついて、あとは全部男女差がなくなったわけです。そういうふうにして新しい法律を生かし合って、お互いが均等な態度を求めていくという姿勢になっている、たまたま今度こういうふうに少し逆コースになってきて、また男女差がつき始めているわけです、賃金の上からいっても。それを是正しなければならないところへ持ってきて、退職も男女差がついてもやむを得ないというような見解ではまずいのであって、男女差はやはりつけるべきではないという、この不動の姿勢を行政当局は持っていくという、こういう習慣を積んでいかなければ、せっかく、賽の河原のように、お互いに民主化してよくしていったのが、どんどん崩壊していくのです。その崩壊の片棒を文部省がかついでいたのでは私はやりきれたものではないと思うのです。局長さんは非常にまじめな方ですから、思ったままをおっしゃいますけれども、ちょっと法律を、職業安定法でも労働基準法でも、恐縮ですが、お読みでございましょうけれども、そこはちょっと読み落としやすいのです、男の方はちょっとそこを……。やっぱりこれは、各県の教育長会議でもいいし、何かの折が幾らもあるでしょうと思いますから、そういうときには、やはり男女差はつけべきではないという方針を堅持していただき、むしろ行政指導に当たっていただきたいと特に希望いたしまして、この件についてはまた文部大臣に一ぺん伺います。  以上で私の質問を打ち切ります。
  107. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 本件に関する調査は、本日のところこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会    ————・————