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衆議院議員(
村山喜一君) ただいま
議題となりました
義務教育費国庫負担法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
内容の
概略を御説明申し上げます。
すべて国民はひとしく
教育を受ける権利を有し、
義務教育はこれを無償とする、これは、日本国憲法第二十六条に明らかに規定されている条文であります。しかるに、今日における
義務教育の実態は
教育予算の不足が、教材教具の不備を生じ、
教育の資質向上を阻害し、一方、
教育費の父母
負担が年々増加することに伴い、家庭収入の差異による
教育の機会均等が失われているのが
実情であります。
さきに文部省が発表しました「
わが国の
教育水準」によりましても明らかなように、
義務教育学校教育費のうち、
小学校については三六・二%、
中学校については三四・六%が父母
負担によってまかなわれているのであります。以上のごとき実態からいたしまして、父母
負担の
いかんが、
学校教育費に大きく影響しているわけで、文部省発表の「
わが国の
教育水準」にも明らかにされているとおり、
地域別に見られる
児童、
生徒の学力の差異はこのような結果に基づくものといわなければなりません。このような
実情にかんがみ、
義務教育の円滑な実施と、
教育の資質向上並びに機会均等を促進するため、今回の
法律改正を
提案する次第であります。
以下、
改正法案の
内容について
概略を御説明申し上げます。教材費国庫
負担の
児童生徒一人当たり単価を
本法に規定し、その引き上げを行なうことであります。
以上がこの
改正法案を提出いたしました
理由及び
内容の
概略であります。何とぞ、慎重に御
審議の上すみやかに御
賛成下さるようお願い申し上げます。
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次に、ただいま
議題となりました
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の
標準に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の
理由及び
内容の
概略を御説明申し上げます。
今日、世界の科学、産業、
文化の進展は目まぐるしいものがあり、国際社会における
わが国の地位の向上をはかるためには、その基礎となる
教育の
振興について格別の努力がはかれなければならないことは論を待たないところであります。しかるに、現状を見ますと、
教育条件の
整備は決して十分とは言えず、施設設備の貧困にも増して、
学級編制基準並びに教
職員の
配置基準については劣悪な状態にあると言わねばなりません。試みに
わが国の
学級編制基準を諸外国の編制基準と比較してみますと、各国を十人ないし十五人を上回っているのが現状であります。また教
職員の
配置基準についても全く同様なことが言えます。今日週四十時間制の実施は世界の趨勢であり、いち早く社会主義諸国においては実現を見ているところです。ところが
現行教職員定数の
配置基準では週三十時間を超える授業時間数さえ生じています。さらに、授業前準備、事後処理、雑務等を加えますと、実におびただしい超過労働を行なっており、文部省が
さきに
調査した教
職員勤務量
調査の結果においても週十一時間あまりの超過労働となっております。以上のような劣悪な諸条件を
整備し、
教育水準の向上をはかるため、
さきに
公立義務教育諸
学校の
学級編制及び
教職員定数の
標準に関する
法律が
制定され、今日まで逐年すし詰め
学級の解消教
職員数の充足の
措置がとられ、
昭和三十八年度において一応
整備を終了することとなっておりますが、近年における学齢
児童生徒数の減少とも相まって、この機会にさらに
学級編制基準並びに教
職員配置基準の適正化をはかるため所要の
改正を加え、もって国際水準に近づけることはきわめて適切な処置と考える次第です。
以下、
改正法案の
内容について説明申し上げます。
第一は、
学級編制基準を
現行一
学級五十名から四カ年
計画によって四十名まで引き下げ、
教育効果を高めようとするものであります。第二は、教
職員の
配置基準について、
現行積算基礎のほかに
学校総数に一を乗じて得た数を追加するとともに、
学校規模別の乗ずる数に所要の
改正を加え、五カ年
計画によって約十五万人の教員増をはかり、
教師の労働条件を改善するとともに
教育効果を高めようとするものであります。なお、五カ年
計画による年次ごと増加人員については
養成機関における
養成可能人員を考慮したことは申すまでもありません。最後に、
養護教諭、
事務職員の
増員については、将来、
学校教育法等の
改正を待って所要の
改正を行なおうとするものであることを申し添えます。
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ただいま
議題となりました
著作権法の一部を
改正する
法律案につきまして、
提案の
理由を御説明申し上げます。
すでに御
承知のとおり、
現行の
著作権法は、明治三十二年に
制定せられ、以来、数回の部分的
改正をみましたが、その基本的な事項はそのままにして現在に至っております。したがって、著作権の保護すべき
対象も保護の
方法も再検討すべき時期に到達しております。また、国際水準から見ましても、
現行制度は三十年の保護期間を初めとして、保護の態様は、すでに時代におくれ、
文化国家としての体面を保持しがたく、陳腐の感は免れません。よって、著作権は根本的に全面
改正が必要であることは論を待たないのでありますが、次のような緊急の
理由により、今回は、特に著作権の保護期間に限り、とりあえず
改正しようとするものであります。
第一は、著作権の保護期間は、文明国において、五十年以上が常識になっております。日本が三十年の保護期間を定めていることは、他国の非難の的となっているのが
実情であります。
わが国は
文化国家であり、
文化の交流に一そう努めなければなりません。また、国際社会の一員として、国際水準にまで著作権の保護期間を引き上げるのが当然の義務であると申さなければなりません。第二は、著作者の死後、著作権の保護を受ける立場にある妻子の救済についてでありますが、
わが国を静かに振りかえってみまするに、若年にしてりっぱな作品を残した人々が非常に多いのでありますが、著作者の死後三十年が権利期間である現状においては、早世した著作者の遺族に対する保護期間があまりに早く切れるのでありまして、この事柄は、社会保障の観点からいたしましても、これを放置するわけには参りません。第三は、国際信義の問題であります。他国は、日本の著作物を使用する場合、三十年を経過し、保護
対象からはずれた著作権についても、当該国から礼金等の形で送金してくるが、日本は外国の著作物を使用する場合には、三十年以後のものについては何も支払っていないのが
実情であります。このことは、国際信義にもとるものと言わざるを得ません。
以上の
理由により、
本案は、著作権の保護期間を著作者の生存間及びその死後五十年、官公衙、
学校、社寺、協会その他団体の著作権についても、その発生後、同様五十年に
改正しようとするもので、
現行法第三条ないし第六条までの「三十年」を「五十年」に改めることであります。また、この
法律は、公布の日から施行し、この
法律施行の際、現にこの
法律による
改正前の
著作権法第三条より第六条までの規定による著作権の保護期間が継続している著作物から適用することについての経過規定を定めたものであります。
以上、この
法律案の概要並びに
提案の
理由を御説明申し上げ、御
審議を願う次第でございます。
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次に、ただいま
議題となりました
教科書法案及び
義務教育諸
学校の
児童及び
生徒に対する
教科書の
給与に関する
法律案につきまして、
提案の
理由を御説明申し上げます。
最近、
政府は、
義務教育諸
学校における
教科書の無償
給与を企画するとともに、これに便乗して
教科書の実質上の国定化を意図しているやに聞き及んでおります。
教科書の無償配布については、憲法の定める
義務教育無償の原則に基づくものであり、当然でありますが、これに便乗して、国定化を期待し、企図することは、
教育の国家統制への道を開くものであり、再び戦前の超国家主義の
教育に引き戻さんとするものであり、まことに遺憾であります。ここにおいて、わが党は、
教科書行政に関する基本方針を明らかにし、民主的にして、
教育の中立性を保障する
教科書制度の確立を期するとともに、憲法に保障された
義務教育無償の原則を実現するために前記二
法案を提出した次第であります。
まず最初に、
教科書法案の概要を申し上げます。第一は、国家行政組織法に基づき、文部省の外局として、
教科書の種目の決定、検定、定価の基準、採択、供給等、
教科書行政全般をつかさどる
教科書委員会を設置することとし、その
委員は学識経験者の中から、文部大臣が両議院の同意を得て任命することであります。第二は、
教科書の検定は、発行者または著作権者の申請により、
教科書委員会が行ない、採択は、
学校長が教科担当教員の
意見を聞いて行なうことであります。第三は、都道府県は、
教科書研究に資するため、郡市単位に二または三の
教科書展示施設を設置し、国は、これに要する
経費につき、予算範囲内で補助できることであります。第四は、
教科書委員会は、都道府県
教育委員会の報告に基づき、発行者に対し、発行の指示をし、指示を受けた発行者は、供給の義務を負うこと等であります。第五は、この
法律は、第二章
教科書委員会に関する規定については、公布の日から起算して六カ月以内の政令で定める日から、その他の規定は、
昭和三十八年四月一日から施行することであります。第六は、この
法律施行に要する
経費としては、約二百万円の見込みであります。
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次に、
義務教育諸
学校の
児童及び
生徒に対する
教科書の
給与に関する
法律案の概要を申し上げます。
第一は、国、公立の
義務教育諸
学校の
児童、
生徒に対し、
教科書を各教科につき一種類ずつ、校長を通じて
給与することとし、国は、それに要する
経費の全部を
負担することであります。第二は、私立の
義務教育諸
学校の
児童、
生徒に対し、
学校法人が
教科書を
給与した場合、その
経費につき、国は、予算の範囲内で補助することができることであります。第三は、この
法律は、
昭和三十七年四月一日から施行することであります。第四は、この
法律施行に要する
経費としては、約百三十億円の見込みであります。
以上が二
法案の
提案の
理由及びその
内容であります。何とぞ十分御
審議を願う次第であります。