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1962-02-15 第40回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十五日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員異動 二月六日委員近藤鶴代辞任につき、 その補欠として津島壽一君を議長にお いて指名した。 二月七日委員津島壽一辞任につき、 その補欠として近藤鶴代君を議長にお いて指名した。 二月十三日委員田中啓一辞任につ き、その補欠として小幡治和君を議長 において指名した。 二月十四日委員小幡治和辞任につ き、その補欠として田中啓一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            北畠 教真君            豊瀬 禎一君            野本 品吉君    委員            井川 伊平君            杉浦 武雄君            田中 啓一君            江田 三郎君            柏原 ヤス君            常岡 一郎君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部大臣官房長 宮地  茂君    文部大臣官計課    長       安嶋  彌君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省調査局宗    務課長     近藤 春文君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○盲学校聾学校及び養護学校への就  学奨励に関する法律の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○市町村立学校職員給与負担法の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○教育文化及び学術に関する調査  (昭和三十七年度文教関係予算に関  する件)  (当面の文教政策に関する件)   〔理事豊瀬禎一委員長席に着く〕
  2. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいまから文教委員会開会いたします。  本日は、委員長がやむを得ぬ事情で不在のため、委員長指名によりまして、私が委員長の職務を代行いたしますので、よろしくお願いいたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。  去る二月六日、近藤鶴代君が委員辞任され、その補欠として津島壽一君が委員に選任されました。また、二月七日、津島壽一君が委員辞任され、その補欠として近藤鶴代君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に、理事補欠互選の件をお諮りいたします。  ただいま報告いたしました委員異動によりまして、現在、理事が一名欠員になっておりますので、この際、その補欠互選を行ないます。互選の方法は慣例によりまして、成規の手続を省略し、便宜その指名委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認めます。それでは、私より近藤鶴代君を理事指名いたします。   —————————————
  5. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に、委員長及び理事打合会の経過を御報告いたします。  開会前の理事会におきまして協議いたしました結果、本日は、まず、現在当委員会に付託されておりまする盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案国立学校設置法の一部を改正する法律案、以上三法案につき文部大臣より趣旨説明を聴取し、次いで、昭和三十七年度文教関係予算につき文部大臣及び政府委員より説明を聴取し、さらに、当面の文教政策に関する調査を進めて参ることに決定しました。  以上、理事会決定の順序に従いまして、本日の委員会運営をいたして参りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 御異議ないと認め、さよう運営いたして参ります。   —————————————
  7. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) それでは、盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案国立学校設置法の一部を改正する法律案、以上三法案を便宜一括して議題とし、文部大臣より提案理由説明を聴取いたします。荒木文部大臣
  8. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今回、政府から提出いたました盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  盲学校聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律昭和二十九年に制定されまして以来、これらの学校への就学奨励はきわめて大きな効果をおさめてきておりますが、さらに就学普及奨励をはかるため、今回この法律の一部を改正し、高等部生徒にかかる修学旅行費を新たに就学奨励費対象に加えることといしたのであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。   —————————————  次に、このたび政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  現在、科学技術に関する専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員補充が困難と認められる職に新たに採用された職員に対し、初任給調整手当が支給されており、高等学校工業の教科を担当する教諭がその対象となっておりますが、一般職職員給与に関する法律改正により、明年度から初任給調整手当支給対象が拡大されることとなり、専門的知識を必要とし、かつ、採用による欠員補充について特別の事情があると認められる職に新たに採用される職員に対しても初任給調整手当が支給されることとなりました。  この法律案は、右の改正に伴い、今後市町村立小学校中学校盲学校聾学校または養護学校職員に支給されることとなる初任給調整手当についても、その他の給与と同様に都道府県の負担とする旨の規定を設けると共に、所要規定整備することといたしたものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。   —————————————  次に、このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和三十七年度における国立大学付置研究施設及び国立高等専門学校新設等について規定したものであります。  まず、国立大学付置研究施設新設につきましては、東京大学海洋研究所を、また京都大学経済研究所をそれぞれ付置することとしたものであります。海洋研究所は、海洋に関する基礎的研究をその目的とするもので、大学関係者等共同利用に供する研究施設として設置することといたしたものであり、経済研究所は、産業経済に関する総合研究を行なうことをその目的とするものであります。  なお、東京大学付置生産技術研究所は、千葉千葉市の現在地から東京都港区へ昭和三十五年以来順次移転を行なって参り、本年度中に移転を完了することとなっておりますので、これが位置の変更規定するものであります。  第二は、国立大学学部名称変更についてでありまして、東京農工大学は、昭和三十四年度以来繊維学部工学系学科を順次増設して参り、このたび既設の繊維工学関係学科とあわせて一応工学部としての組織が整うこととなりますので、これを工学部に改めることといたしたのであります。  第三は、国立大学に包括される旧制大学の廃止についてでありまして、これにより、昭和二十四年以来経過的に存続しておりました旧制国立大学は、すべて廃止されることとなるわけであります。  第四は国立高等専門学校新設についてであります。昭和三十六年六月十七日に公布施行された学校教育法の一部を改正する法律により、新たに高等専門学校制度が創設されたのでありすが、昭和三十七年度においては、函館、旭川、平、群馬、長岡、沼津、鈴鹿、明石、宇部、高松、新居浜、佐世保の計十二校の国立工業高等専門学校設置し、科学技術振興の一環として、中堅技術者養成をはかろうとするものであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。何とぞ、十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。
  9. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいま説明を聴取いたしました三法案に対する質疑は、後日に譲りたいと思います。   —————————————
  10. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に昭和三十七年度文教予算につき、まず文部大臣より概要について、引き続き会計課長より事項別説明を聴取いたします。
  11. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 昭和三十七年度文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和三十七年度文部省所管予算額は、二千八百九十五億九千九百六十三万円でありまして、一般会計予算の約一二%を占めております。  これを補正後の前年度予算に比較いたしますと、三百八十六億五千九百五十五万三千円の増額であり、その増額分内訳としては、義務教育費国庫負担金百二十九億円、国立学校運営費百十八億円、国立文教施設整備費六十億円等がおもなものであります。  以下、明年度予算案において特に重点として取り上げた施策について申し上げます。  まず第一は、初等中等教育改善充実でありますが、この点につきましては、前年度に引き続き義務教育学校における教職員の充足と、学校施設整備を推進することを重点といたしましたほか、新たに昭和三十八年度小学校第一学年に入学する児童に対する教科書無償とするために必要な経費を計上いたしております。  義務教育に従事する教職員の定数につきましては、小学校児童数の減、中学校生徒数の増、並びに学級編制基準改善に対応した増員を見込んでおりますほか、充て指導主事増員昇給給与改訂実施、諸手当及び教材費増額共済年金制度実施等に要する経費を含め、義務教育費国庫負担金千五百四十二億円余を計上いたしました。  次に、学校施設につきましては、引き続きその整備を推進することとし、小、中学校校舎整備危険校舎改築屋内運動場学校統合に伴う校舎等整備工業高等学校一般校舎整備等のため、公立文教施設整備費百一億七千万円余を計上いたしましたが、小、中学校における特別教室整備構造比率改訂等は、特に配意した点であります。  次に義務教育教科書無償とすることは、憲法に規定する義務教育無償の理念を一段と推進しようとする趣旨でありまして、その実旨に関する基本的諸事項につきましては、別途調査会を設けて調査審議することとしたい考えであります。  第二は、科学技術教育振興であります。科学技術に関する教育研究拡充強化をはかることは、わが国経済発展基礎をつちかうものであり、また国民所得倍増計画の達成を期する上においても緊要な事柄であります。このことにつきましては、かねて努力を続けて参ったのでありますが、三十七年度予算案におきましてもさらに力を注ぐこととし、初等中等教育大学教育及び学術研究の各面にわたって所要経費増額計上いたしております。  まず、初等中等教育につきましては、理科教育及び産業教育関係補助金を大幅に増額し、施設設備改善充実をはかっておりますが、特に高等学校工業課程拡充をはかるため、前に述べました一般校舎整備のほか、実験実習施設設備整備についても国庫補助増額し、中堅技術者の不足に対処することといたしたのであります。  次に、大学教育につきましては、専門技術者養成のため、国立大学及び短期大学において理工系学生を千三百四十人増募することとし、このために、必要な学科新設改組を行なうほか、新たに、国立高等専門学校十二校を創設し、また原子力基礎電子工学防災科学宇宙科学等に関する教育及び基礎的研究を推進するため、講座及び研究部門増設を行ない、さらに海洋研究所及び経済研究所を創設することといたしました。  以上のほか、国立文教施設整備費画期的増額を行ない、所要額百三十一億円余を計上し、また教育研究充実向上をはかるため、国立学校における教官研究費教官研究旅費学生経費、並びに科学研究費交付金等増額を行なっております。  第三は、教育機会均等確保と人材の開発であります。優秀な学徒で経済的に困窮している者に対して国がこれを援助し、その向学の志を全うさせることは、きわめて重要なことであります。このため三十七年度予算案におきましては、特別奨学生増員等既定計画を推進することによって、引き続き育英奨学制度拡充をはかることといたしましたほか、大学教官養成確保の見地から大学院博士課程にかかる奨学金単価を引き上げることとし六十三億円余を計上いたしております。なお、沖縄在住高等学校生徒に対しましては、前年度に引き続き、特別奨学制度実施するため、所要資金援助を行なうことといたしております。  次に、要保護、準要保護児童生徒対策僻地教育特殊教育、恵まれない事情にある生徒に対する援助並びに教育につきましては、教育機会均等趣旨にのっとり、従来からも特に留意して参ったのでありますが、明年度におきましては、一段とこれが充実をはかることといたしました。すなわち、要保護、準要保護児童生徒対策につきましては、準要保護児童生徒比率の引き上げをはかるとともに、新たに寄宿舎居住費についても援助を行なうことといたしました。次に、僻地教育につきましては、僻地の小、中学校テレビ受像機、スクール・バス、ボートの設置並びに僻地教員住宅建築等に必要な経費を計上いたしましたほか、新たに寄宿舎整備について補助を行なうことといたしております。また特殊教育については、養護学校及び特殊学級普及並びに就学奨励費拡充について、所要経費増額計上いたしております。  第四は、勤労青少年教育社会教育及び体育振興普及であります。国家社会発展は、健全な青少年の育成に待つところ多大であり、働きつつ学ぶ青少年教育問題は、学校教育及び社会教育の両面にわたって深く考慮を払うべきところであります。  明年度予算案におきましては、定時制高等学校設備整備定時制及び通信教育手当支給等に必要な経費を計上いたしますとともに、夜間定時制高等学校につきましては、夜食費補助金増額計上し、また社会教育の面におきましては、青年学級充実振興社会通信教育振興等に要する経費を計上いたしております。  次に、社会教育につきましては、成人教育及び婦人教育振興社会教育関係団体助成等につきまして所要経費を計上いたしましたほか、公民館、図書館等施設設備整備については特に配意し、予算増額をはかっているのであります。  次に体育は、国民の健康を維持増進し、その生活を明るくする上に重要な意義を持つものでありますが、オリンピック東京大会を二年後に控え、その意義を高めるためにもこれが普及振興に努めることは、きわめて重要であります。  まず、オリンピック東京大会の準備につきましては、必要な施設建設整備に一段と力を注ぐことといたしました。すなわち、国立競技場拡充整備屋内総合競技場建設戸田漕艇場の改修、朝霞射撃場整備並びに競技技術向上をはかる等、関係予算の大幅な増額を行なっております。また、スポーツ振興法制定趣旨に従い国民一般に対する体育普及奨励をはかるため体育館、プール等体育施設整備スポーツ活動振興助成等のため必要な経費増額計上いたしたのであります。  なお学校給食につきましては、小麦についての従来の補助を継続いたしますとともに、施設設備整備促進給食内容改善充実に関し、所要経費を計上しております。  第五は、私立学校教育振興助成であります。私立学校教育重要性については、改めて申すまでもないところでありますが、明年度予算案におきましては、本年度に引き続き関係経費増額し、合計三十二億千万円余を計上いたしております。そのおもなものとしては、私立学校振興会出資金として十二億円を計上いたしますとともに、私立大学等理科特別助成費に十二億円余、私立大学研究設備助成費に六億八千万円余を計上し、科学技術教育振興趣旨にも沿うこととしたのであります。  以上のほか、教職員の研修のための教育会館建設、小、中学校生徒全国学力調査国際文化の交流、沖縄に対する協力援助ユネスコ事業文化財保存事業等についてもそれぞれ所要経費を計上いたしたのであります。  以上、文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  12. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 次に安嶋会計課長
  13. 安嶋彌

    政府委員安嶋彌君) お手元にお配りいたしております予算事項別表に従いまして概要を御説明申し上げます。  一番最初は、初等中等学校教育改善充実でございまして、第一は義務教育費国庫負担金でございます。この負担金文部省予算全体の五三・二五%を占めておりまして、全予算の過半を占める非常に大きな金額と相なっております。積算前提となる事項についてまず御説明を申し上げますと、明年度小学校におきまして約七十五万人の児童が減少いたします。逆に中学校におきまして約三十八万人の生徒増加いたします。中学校生徒は三十七年度が御承知のとおりピークでございまして、三十八年度以降は毎年減少するわけでございます。これに伴いまして、教職員の数に自然の増減があるわけでございます。そのほか、学級編制基準を改訂することといたしております。すなわち、小学校暫定基準は本年度が五十六でございますが、これを五十四といたします。中学校は今年度が五十六でございますが、五十二といたします。その他特殊学級の計画的な整備を行なう等の要素を含めまして、小学校におきまして約一万一千人の教員の減、中学校におきまして約一万二千人の増、差引千三百人の増ということに相なります。この千三百人の増は三十六年の五月以降の繰り入れに対する増でございます。以上申し上げましたことが積算前提でございます。次に、二ページに参ります。二ページは増加額内訳でございますが、ごらんいただきますように、金額的に一番大きいものは給与改訂による増、給与改訂の平年度化による増でございます。これが約百三十六億円余でございます。次は、昇給の原資でございまして、これが約二十四億円でございます。旅費宿日直手当等につきましては、従来の実績を考慮いたしまして、それに大体合わせる増額を行なっております。次に、多学年学級担当手当でございますが、従来の複式九百円、単級千二百円を、備考に書いてございますように、三本立にいたしまするとともに、それぞれ金額増加をはかっております。次は、教材費でございますが、これは単価を約二〇%引き上げております。単価のそれぞれの金額につきましては、備考にございますとおりで、この二分の一が国の負担額ということになります。次は、共済組合負担金でございますが、これは本年十月から実施いたす予定で半年分を計上いたしております。  次は、公立養護学校教育費国庫負担金でございますが、この積算考え方等は、義務教育費について申し上げたところとほぼ同様でございます。ただ明年度は、養護学校新設を十七校見込みまして、これらに伴いまして、教職員の増百二十一人を予定いたしております。  次に、四ページに参りまして、義務教育教科書費でございますが、七億百九十万円を計上いたしております。これはただいま大臣説明にもございましたとおり、三十八年度四月、小学校第一学年に入学する児童教科書無償とするための必要な経費並びに関係事務費でございます。  次は、公立文教施設整備でございまして、金額といたしましては、補正前の前年度予算額とほぼ同額を計上いたしております。まず不正常授業の解消及び特別教室の分でございますが、これが総体約二十億でございます。昨年度のこの事項に比較いたしまして、約二十三億円の減少になっておりますが、これは御承知のとおり、中学校生徒急増に伴う校舎前向き整備が三十六年度ですでに終了したことに伴う減でございます。で、新たな要素といたしましては、特別教室新規に計上されておるわけでございます。小学校におきまして約三億八千万円余、中学校におきまして約十億九千二百万円がこの特別教室分として含まれておるわけでございます。新規といたしまして、中学校寄宿舎整備分が約一千万円計上されております。次は、学校統合危険校舎改築でございますが、考え方は従前と特に変わった点はございませんが、金額におきまして、学校統合におきまして約八億八千万円、危険校舎改築におきまして約八億五千七百万円と大幅な増額と相なっております。次に、特殊教育建物でございますが、この点につきましては、高等部建物整備を新たに計上したという点が内容的には新規となっております。次は、非義務制学校建物整備でございますが、高等学校建物整備につきましては、これは昨年どおり工業高等学校一般校舎整備のため必要な経費を計上いたしております。実験実習等につきましては、従来どおり産業教育振興費負担金で措置することといたしておるわけであります。  次は、六ページに参りまして、市町村の教育長給与費補助でございますが、給与改訂等に伴う若干の増額を見込んでおります。  それから、次の大きな事項といたしましては、科学教育振興でございますが、理科教育関係設備補助金理科教育センター個所等の、それぞれ増額ないしは個所増加をはかっておりまます。  産業教育関係負担金補助金でございますが、総額におきまして前年度に対して約八億三千七百万円の増額になっておるわけであります。そのほとんどは工業高等教育課程新設に伴う増でございます。その他の点につきましては、ほぼ前年程度の予算額を計上いたしました。で、工業高等学校課程増設といたしましては、七ページの備考にございますように、三十五、六年に新設いたしましたものの学年進行のほか、三十七年度の百五十八課程、三十八年度前向き整備分として八課程、計百六十六課程新設を見込んでおります。課程の項目といたしましては、機械、電気、工業化学建築土木等がその内容でございまして、これによりまして約二万八千人の増募が可能になるものでございます。次に、八ページに参りまして、新設課程施設に必要な経費が六億四千六百万円余計上されております。この積算の根拠もただいま申し上げたところと同様でございます。  次は、九ページに参りまして、国立学校理工系学科新設でございますが、まず原子力関係学科を二学科増設いたすことを予定いたしております。その他理工系学科の新増設といたしましては、二十二学科新設、十四学科拡充改組、それから十ページに参りまして短期大学の三学科新設を予定いたしております。で、四年制大学におきまして千二百二十名、短期大学におきまして百二十名の増募となるわけであります。  次は、高等専門学校増設でございますが、国立で十二校、千四百八十名の増募を行なうことといたしております。合計いたしまして宇部長岡の二百八十人を別といたしますと二千五百四十人の増、含めますと二千八百二十人の増ということに相なるわけでございます。  次は、科学技術振興関係私立学校の分でございますが、私立大学研究設備助成、それから私立大学等理科特別助成金額を、それぞれ前年度に比べましてかなり大幅に増額をいたしております。  次は、科学研究振興でございますが、後ほど申し上げます教官研究費等と歩調を合わせまして、前年度の約一五%の増額といたしております。  それから民間学術団体の補助でございますが、これが若干の減額になっておりますが、これは民間学術研究機関のうち、自立できるものを補助対象から除外したためによる減でございして、昨年度の二十一団体が本年度は十九団体ということになっております。東洋文庫に対する補助金の中には、前年度に引き続きましてユネスコ、東アジア文化センターに対するものを含めております。  次は、南極観測事業費でありますが、これは観測の打ち切りに伴う事後処理、宗谷の修繕費、航空機の修繕費等がその内容になっております。  次は、国立学校拡充整備でございますが、十二ページに参りまして、まず経常的な経費といたしましては、学生経費の二〇%増、教官研究費の一五%増となっております。それから次に設備費ございますが、四十億でございます。前年度に比べまして約五億一千一百万円の増でございます。内容的に一番大きいものは設備更新費の二十二億六千九百万円でございます。それから新規事項といたしましては、先ほど申し上げました理工系関係学科新設拡充改組が中心でございますので繰り返しません。それから大学の付属病院でございますが、大体積算といたしましては、国立学校の場合とほぼ同様の積算をいたしております。ただ、医療費でございますが、四十八億四千八百万円余でございまして、前年度に比べて約五億円の増となっております。従来の実績に従いまして約一〇%の増加を見込んだわけであります。次は、大学の付置研究所でございますが、経常費につきましては、これまた国立学校とほぼ同様でございますが、新規といたしまして、十四ページにございますように、東京大学共同利用の研究所といたしまして海洋研究所設置することといたしております。海洋研究所の研究船、二百五十トンのものでございますが、それにつきましては国庫債務負担行為を別にお願いをいたしております。それから京都大学の付置研究所といたしまして経済研究所を創設することといたしております。  次は、国立文教施設整備でございますが、前年度に比べまして約六十億円余の増額となっております。科学技術教育振興に伴う建物整備が百三十一億円余のうち六十三億円余を占めているわけでございまして、ほとんど半分ぐらいが科学技術教育関係施設整備費に充てられるわけであります。なお、この中で特定財源施設整備とございまするものは、これは大学の統廃合等に伴いまして、従来の施設をいわば財源といたしまして、新たに施設整備をはかろうとするものであります。それから次は、学生会館でありますが、これは昨年度五千万円でございましたものを二億円に増額いたしております。  次は、教育機会均等の人材の開発でございまして、まず育英関係でございますが、事務費といたしましては備考にございますような事業庁費の増、それから特別奨学生増加に伴う人員の増、それから回収組織の整備といたしまして東京支所と名古屋支所を新たに設置するという内容を盛り込んでおります。次は、十六ページに参りまして、貸付金、事業費の内容でございますが、全体的にはほぼ従来の線をさらに推進するという建前をとっておりますが、新規といたしましては、十六ページのまん中あたりにございますように、工業教員養成所の貸費のワクを新たに設けたということ、それから十七ページの一番上にございますように、大学院の博士課程に対する貸費月額を一万五千円に引き上げたということ、それから芸術専攻科の新たなワクを設けたということ等が新規でございます。なお、この特別奨学生につきましては学年進行をさせておりまして、高等学校三万人、大学一万六千人ということになっております。  次は、準要保護児童生徒対策でございます。援助事項といたしましては、十八ページの一番下にございます寄宿舎居住費補助新規でございます。その他の事項は従前からやっておったものでございますが、準要保護児童生徒比率を従来の四%から五%に引き上げたということ。その他実情に合わせして、備考にございますように、それぞれこまかい単価の改訂を行なっております。なお新規寄宿舎居住費補助でございますが、これはその他の事項と若干趣きを異にいたしておりまして、町村が寄宿舎費を免除いたしました場合に、国がその免除額の二分の一を予算の範囲内において補助するという建前のものでございます。  それから、二十ベージに参りまして、僻地関係でございますが、金額的にふえておりますのは、教員宿舎の整備でございます。戸数をふやすとともに、坪当たりの単価改善いたしております。なお、実質的に僻地教育振興と申しますと、最初に申し上げました多学年学級担当手当改善でございますとか、あるいは中学校寄宿舎整備費そういったものも実質的にはこの中に含まれるかと思います。  次は、特殊教育振興でございますが、これまたほぼ従前の考えで予算を計上いたしておりますが、新規といたしましては、二十一ページの備考の上から三つ目にございます盲学校高等部理療科の設備補助、それから聾学校の幼稚部の設備補助、これが新規になっております。それから就学奨励費につきましては、高等部修学旅行費新規援助対象となっております。その他教科書費等につきましても、単価改訂は小中学校について先ほど御説明いたしましたような単価の改訂をそれぞれ行なっております。  それから二十二ページに参りまして、全国一斉学力調査でございますが、本年度中学校の二、三学年について実施したわけでありますが、明年度はさらに小学校の五、六学年の、備考にございますような、国語、算数の二教科について調査実施したいというものでございます。趣旨におきましては、従前と変わっておる点はございません。  次は、勤労青少年教育振興でございまして、二十三ページにございます。高等学校定時制教育及び通信教育振興として、三億五千四百万円余でございまして、前年に比べまして若干の増額に相なっておるわけでありますが、内容的に申しますと、定時制及び通信教育手当増額がまずございます。しかし、これは給与改訂実施に伴う増額でございます。次は、これも内容的に申しますと、夜間定時制高等学校の給食の内容充実でございまして、二十四ページの備考の一番上をごらんいただきますとおわかりでございますように、従来はミルクの給与だけでございましたが、明年度はパンとバター等の添加物を新たに補助対象に、加えております。このことによりまして、夜食費の関係がほぼ一億円余の増額となっておるわけであります。  二十四ページの青年学級振興でございますが、これは前年度とほとんど同額でございます。  社会通信教育振興でございますが、これは社会教育審議会の答申のこともございまして、前年度に比べまして、特に重点として取り上げているわけであります。予算内容といたしましては、通信教育の教材基準の作成、修業者の表彰でございますとか、手引きの作成、共同学習班の育成、そういったものが具体的な内容となっております。  次は、社会教育振興でありますが、成人教育婦人教育、団体補助その他につきまして、ほぼ前年度と同様の積算をいたしておりますが、新規といたしましては、二十五ページのまん中にございます沖縄の婦人の内地教育研究に対する補助金を計上したことと、それから家庭教育振興につきまして、約二百万円程度を計上したという点が新規でございます。  二十六ページに参りまして、社会教育施設整備でございますが、金額的にはこの部分が一番伸びておるわけでありして、公民館の整備重点となっておりますが、その他備考にございますように、農村モデル図書館一館でございますが、これの新設も特に力を入れた点でございます。  それから二十七ページに参りまして、青少年団体の活動の促進、この中で新規は、沖縄の青年の内地研究活動の補助であります。婦人とあわせまして新規となっております。  それから二十八ページの視聴覚教育振興、芸術振興等につきましては、ほぼ前年どおりの考え方予算積算をいたしております。  次は、体育振興でありますが、前年度に比べまして、十六億五千五百万円余の増額になっております。金額的に大きいのは、オリンピック東京大会の準備でございまして、まず国立競技場拡充整備とたしまして、本年度国庫債務負担行為でお願いしておりますものの現金を計上いたしております。次に、屋内総合競技場建設費といたしまして二億円を計上いたしておりますが、これを含めまして二十億円の国庫債務負担行為を別途お願いしておるわけでございます。それから戸田漕艇場の改修関係経費でございますが、これは拡幅、浚渫及び護岸に要する経費でございます。次は、朝霞の射撃場の建設経費でございますが、これはライフル射撃のものでございまして、実施上は防衛庁に移しかえる予定になっております。  次は、国民体育施設整備でございますが、三十ページの備考体育館、プール、運動場、これは新規でございますが、それぞれにつきまして、前年度予算を若干、体育館は別でございますが、プールの前年度四十三カ所を八十五カ所に増加いたしております。それからアジア競技大会の選手団派遣費の補助でございますが、これはことしの夏ジャカルタで行なわれるアジア・オリンピックに対する参加費の補助でございます。  それから体育振興特別助成費でございますが、これはスポーツ教室の育成奨励、指定市町村の青少年スポーツ活動助成等、特別に体育助成する必要のある費目について支出されるものでございます。  次は、学校給食助成でございますが、まず準要保護児童生徒給食費補助、これが前年度に比べまして約二億二千八百万円余の増額になっております。これは、先ほど申し上げました準要保護児童生徒比率が引き上げになったということのほかに、給食内容改善という要素が織り込まれておりまして、これはミルク、肉、卵等のおかずの内容改善いたしたことによる増、これが含まれているわけであります。それから学校給食施設設備整備増額でありますが、これは学校数の増加等をはかっておりまして、前年度に比べて約一億円の増額になっております。それから定時制関係は先ほど申し上げましたので、省略をさせていただきます。次は、三十二ページに参りまして、食糧管理特別会計への繰り入れでございますが、これが十四億円余になっておりまして、前年に比べまして約二億八千七百万円の減少になっておりますが、しかし、これはパンの大きさが小さくなりまして、したがいまして、小麦の消費量が減ったわけであります。そのことに伴って食管への繰り入れ金が減ったということでございます。百グラム一円という単位当たりの国の負担額につきましては、従前と全く変わらないのであります。ちょっと補足いたしますと、パンの大きさは小学校の百グラムが八十五グラム、中学校の百四十グラムが百二十グラムになっております。  次は、私立学校振興でございますが、私学振興会の出資金十二億円を計上いたしております。これは前年度の約四億円の増でございます。その他は先ほど申し上げた点並びに従来計上いたしておったそのままでございます。  次は、国際文化の交流でございますが、まず国費外国人留学生につきましては、新規招致の学生数は前年どおり据え置きまして、給費月額を二万円から二万五千円に、これは学部留学生につきまして引き上げております。それから三十三ページの一番最後の行にございます帰国旅費を新たに計上いたしております。  それから、三十四ページに参りまして、沖縄教育に対する協力援助でございますが、新規といたしましては、ちょうどまん中あたりにございます、沖縄教育向上のための指導委員の派遣、これが新規となっておりますが、実はこれは三十五年度予算には計上されておったものでございます。それから次は、琉球大学教官の内地研修、備考の下から二行目でございますが、これも新規となっております。それから次のページへ参りまして、沖縄の青年及び婦人の内地教育研究、これは先ほど御説明、申し上げたとおりであります。  次は、文化財保存事業でございますが、これも考え方はほぼ前年度のようでございますが、それをさらに推進することといたしております。  国立劇場の建設につきましては、懸賞募集に必要な段階までの経費を計上いたしております。  なお、ちょっと言い落とした点がございます。ちょっと前に戻って恐縮でございますが、四ページの公立文教施設整備の項でございます。この点につきましては構造比率を小中学校校舎等につきまして改善をいたしておりまして、従来は小中学校校舎の耐火造は五〇%でございましたが、 これを六〇%に引き上げております。それから学校統合危険校舎改築高等学校建物整備につきましては、従来耐火造が六〇%であったものを七〇%にそれぞれ引き上げております。その点が改善されたものでございます。それから単価でございますが、これは第一次補正におきまして、三十六年度の第一次補正予算におきまして、かなりの改善を行なわれておるわけでありますが、それとほぼ同額でございますが、さらに若干の改善を加えております。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  14. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ただいま大臣及び政府委員より聴取いたしました昭和三十七年度文教関係予算に関する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  15. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) これより当面の文教政策に関する件につき調査を進めます。  質疑の通告がございますので、この際発言を許します。柏原ヤス君。
  16. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 まず文部大臣にお伺いいたしたいのですが、登録税法第十九条第二号の十の立法精神は那辺にあるかをお伺いいたします。
  17. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 法律の条項そのものの御説明でございますから、政府委員から御説明することをお許しいただきます。
  18. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 登録税法の趣旨は、その物件を取得しますものが自分自身の用に供する、あるいはまたその利害関係を有するという意味におきまして登録税法に基づいて登録する、こう解釈いたしております。
  19. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、宗教法人が宗教活動に使う土地建物などは当然免税になりますね。
  20. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 宗教法人が境内地を取得いたします場合に、その境内地が宗教法人のもっぱら本来の用に供する、宗教法人法第三条に基づくものであります場合には、それが明らかな場合には非課税となるわけであります。
  21. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次にお伺いいたしますが、最近出された通達で、この登録税法第十九条に基づいてお出しになった通達を御存じですね。
  22. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 昨年十月に照会がございまして、それに対する回答を出した例がございます。
  23. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、この福岡県総務部長から寺院設立用地の免税証明ということについて照会がございまして、文部省の宗務課長の回答がございまして、私もそれを拝見いたしました。この通達を見ますと、法本来の趣旨に反していると感じられる点がございますので、その点について質問いたしたいと思います。
  24. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) ちょっと待って下さい。速記をとめて。   〔速記中止〕
  25. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 速記をつけて。
  26. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこでお伺いいたしますが、この回答はどんな判断によってなされたものかお伺いいたしたい。
  27. 近藤春文

    説明員近藤春文君) ただいま御質問のございましたのは、通達というようにお話がございましたのは、通達ではございませんで、福岡県の総務部長から質疑の照会があったものに対する回答でございます。通達ではございません。念のために申し上げます。その通達の内容といたしましては、宗教法人創価学会が日蓮正宗寺院の建立のために用地を取得する、そうしてその用地を取得します場合に、宗教法人であるから、登録税法の十九条二号の十によりまして登記をします場合に証明書を知事からもらう、その証明書を添付しますれば、その用地を当該宗教法人がもっぱらその本来の用に供するということが明かな場合には知事が証明をいたす、こういうことになっておりますから、創価学会はそういうお考えで書類を出されたと思います。それに対して、福岡県では、創価学会から証明書の交付の願いがありましたけれども、その用地の使用の目的と申しますものが、別の法人である日蓮正宗の寺院を建立する用地を取得する、こういうようなことになっておりますので、自分自身がもっぱら本来の用に供するものではないんではなかろうか、さらに、もっぱら本来の用に供するということが強く表面に出ておりませんので、それについてどう考えるのか、こういうような意味の質問とわれわれは解しておるのでございます。その質問に対しまして、登録税法第十九条二号の十の一般的解釈というものを回答したわけでございます。
  28. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、今、課長さんがおっしゃいましたが、その建立する寺院は創価学会のものではない。別の宗教法人である日蓮正宗のために建てるものであるからという立場において質問をしていると、こういうふうにおっしゃいましたね。そういうふうに私が聞き取ってよろしゅうございましょうか。そこで、それじゃ申しますが、この質問はそういうふうに聞いておりませんですね。はっきりこれらを勘案すると、みずからの礼拝施設と認めることに疑問がある、あくまでも福岡県に疑問として聞いているわけです。ですからそれについて、はたしてみずからの礼拝施設としていないのか、しているのか、どちらかをよく調査なさった上で答えられるべきであると私は思うのです。ところが、この回答は創価学会がみずから使用するものでないと断定を下しておりますけれども、私はそこは大いなる間違いじゃな  いかと思います。いかがですか。
  29. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 質問の内容を検討いたしまして、その質問の趣旨に対して答えたわけでございます。質問の趣旨の中には、みずからもっぱら本来の用に供するのだということについての設問がありませんので、これに表われた文章の範囲内においての回答をいたした次第でございます。
  30. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、ここにございます質問の中に、「自らの礼拝施設と認めることに疑問があります」と、こう聞いておりますね。それに対してどういうふうに判断なさるのですか。その疑問にどういうふうに答えていらっしゃるのですか。
  31. 近藤春文

    説明員近藤春文君) その疑問を生じましたことについて、そういう疑問があるならば、みずから礼拝の施設として認めることには困難である、こういう前提においてお答えをいたしたわけでございます。
  32. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは文部省としては、確かに創価学会がみずから使用するものでないとして寺院を建立しているということを調査なさったのですか。
  33. 近藤春文

    説明員近藤春文君) その点につきましては十分な調査はいたしませんが、所轄庁である東京都、創価学会は所轄庁が東京都知事でございますので、所轄庁とよく連絡をいたしまして、そして事情を伺って、その判断の上に行なったわけでございます。また、この文章の表われた範囲内におきましては、創価学会は寺院を持たない、こう認められている、こういう質問の前提を判断をいたしまして、そういう場合では、積極的に創価学会からのみずからの用に供するということが明らかではないという前提で回答をいたしております。
  34. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 十分な調査をなさらないで、こういう回答をなさるということが間違いを起こしているのですね。ただ、こういう質問をしてきたのだから、こういうふうに答えた、法規の上でのみ照らして回答を出すべきではなくて、実際、創価学会はここばかりでなくて今までたくさん寺を建てております。そしてそれがスムーズに取り運んでいるのです。そういう事実をお調べになれば、このような断定的な、事実とは全く違った上に立って、このような確かでない回答を出されるはずはないと思うのですね。いかがですか。
  35. 近藤春文

    説明員近藤春文君) われわれの大体回答いたします趣旨は、投げかけられた質問に対して、その質問を登録税法はこういうものである、こういう観点のもとに回答をいたします。したがって、従来、日蓮正宗寺院用地として証明願が出されて問題にならなかったといたしますならば、その場合は、それを判定いたしますのは所轄庁でありますから、所轄庁自身が、創価学会みずからその用に供するために用地を取得するのであるという客観的な判断を下してなされておった、こういうふうに考えるわけであります。
  36. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、創価学会がみずからの礼拝施設じゃないものを建立するような形で登録税の免税のための証明をとりにきたとしたならば、福岡県では、それが法規に照らして該しないというくらいのことはわかるはずです。ところが、それがなぜわからないかというと、その建立する寺院というものが、みずからの礼拝施設と認めてよいものか、また認めてはならないものかが判断できないので、その判断を文部省の宗務課に問いただしているわけですから、それを実態をよく調査されて、創価学会がみずから使用するものであるという見解の回答を出すべきなんですね。
  37. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 福岡県といたしましては、みずから使用するものであるということについての十分な確証というものが得られないという前提で質問をいたしておりますので、われわれとしましては、そういうはっきりしない場合には登録税法の扱い上にかえまして、証明すべき場合に該当しない、こういうように答えております。したがって、そういうお示しのような事例においては、回答においてもつけ加えております。
  38. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ですから、その質問は、事実でない場合には事実でないということをはっきり宗務課長として答えるべきじゃないですか。事実でないということを、それじゃ御存じの上でありながら、ただ問いがきたものだから形式の上で、そういうふうに答えるのだ。こういうふうにおっしゃるのですか。
  39. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 事実の具体的確認といいますのは、これは所轄庁自身が行なう事務であります。したがいまして、所轄庁がもっぱら建立の用に供するのだということがはっきりいたしますならば、所轄庁は、当然登録税法の十九条二号によりまして証明をいたすべきものである。所轄庁自身がその判断に迷うというのは、登録税法に該当するかどうかというその扱い方の問題であります。そこで、われわれの方といたしましては、登録税法の解釈というものはこういうものであって、お示しのような事例の場合には、登録税法の適用を受ける場合に該当しないのだというふうな意味において回答したのであります。
  40. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 今、課長からいわれたように、そのお示しの事例によれば、こういう回答が出される、それは私もその通りだと思うのです。それで、この問題になっている創価学会の寺院の設立というものが、創価学会みずからの使用のために建てているのか、それとも日蓮正宗の寺院として建っているのか、課長さんはどちらと判断されているのですか。
  41. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 私どもとしましては、日蓮正宗は一つの文部大臣の認証をいたしておりますところの包括法人であります。それから創価学会は東京都知事の認証しておる単立の法人であります。そういう前提におきまして、創価学会から日蓮正宗寺院の建立のため、用地を取得するのだというような質問がありました場合には、そういう前提において回答をせざるを得ないのではないかと思います。
  42. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ですから、創価学会が寺院を建立しておりますね。それは日蓮正宗の寺院を建立しているとお考えになるのですね。
  43. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 設問の前提におきましては、設問はそういう意味の設問でございます。質問もそういう質問でいたしておりますので、そういうような場合においては、こういうことは、いろいろなケースがあるわけでありますから、そういうケースにおきましてはこういう回答が出る、こういうことを申し上げておるのであります。
  44. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私がお伺いしているのは、事実の上で、創価学会が寺院を建立しておりますが、それは日蓮正宗の寺院を建立している、こういうふうにお考えになるのですかと聞いているのです。
  45. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 具体的内容につきましては、日蓮正宗と創価学会の関係につきまして理解いたしておりますが、われわれのみますのは、宗教法人を認証いたしました規則というものを前提にしてみるわけであります。東京都知事の認証しておる創価学会の規則というものはわれわれの方へ出て参りません。また、出す必要がありませんので、直接要求はできませんが、東京都庁を通じまして、その認証しました規則の内容というものを拝見しました。その規則の内容をみますと、創価学会でいう宗教法人の規則の中には寺院というものが出ておりません。地方別本部、支部を置く、こういうことになっておりまして、寺院の形を持つというようなことは記載されていないようであります。そういう規則の上に表われましたところから判断いたしまして、創価学会が日蓮正宗寺院を建立する用地というような前提の質問の場合には、これは不適当ではないか、こういう回答をしたわけであります。
  46. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私がお伺いしているのは、創価学会が寺院を建立しておりますね。その建立している寺院は創価学会のものが使うために建立しているのではない。日蓮正宗のために建立しているのだ、こういうふうにお考えになっているのかどうかとお伺いしているのです。
  47. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 一応現在のわれわれの判断しております範囲では、そういうことじゃなかろうかという前提でいたしたわけでございます。
  48. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そういうことでなかろうかというのは、どういうことですか。
  49. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 実際はどうであろうと質問に答えておるわけでございます。
  50. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 創価学会が使用するための寺院であるかないか、どちらなんです。
  51. 近藤春文

    説明員近藤春文君) ただいまその実態は十分承知いたしません。ただこういう質問に対する回答でございます。
  52. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私が課長さんにお伺いしているのは、創価学会が建立している寺院は創価学会のために、創価学会が使用するために建てる寺院であるかないか、どちらと判断されているかを伺っているのです。
  53. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 日蓮正宗寺院の建立の用地と、こういう質問でありますので、これは日蓮正宗寺院の建立のための用地と、こういうふうに回答したわけでございます。
  54. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ですから課長さんは、こういうふうに聞いてきているから、だから答えているのだと、また、宗教法人法から見ればこうだからと、こういうふうにおっしゃっておりますが、創価学会が寺院を建立しているのを御存じでしょう。
  55. 近藤春文

    説明員近藤春文君) お答えします。創価学会が寺院を建立いたしておりますか、あるいは創価学会自身が自分のものとして宗教法人創価学会そのものの拠点としてその用地を取得されているのか、そういう点につきましては具体的に御説明を伺わないとわかりません。
  56. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうですか。それじゃ申し上げますが、あなたが調査をなさればすぐわかることなんです。創価学会の名前で登録しようとしているためにこういう問題が起きているのであって、あくまでも創価学会の名義で登録し、創価学会の名義において建立しているのですから、これは創価学会のみずから使用する寺院として建てているのだと、こういうふうにおわかりにならないのですか。
  57. 近藤春文

    説明員近藤春文君) ただいまの御質問は、法人法上、あるいはまた登録税法の建前からいく問題ではないわけでございます。したがって、われわれとしましては、法人法、宗教法人法並びに登録税法の観点において答えざるを得ないわけでございます。実態問題については別問題でございます。
  58. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ですから、その登録税法に該当するかしないかという条件は、その建立する寺院が宗教法人法に示されているように、みずからの礼拝の施設のために使うものであったら認めてもいいことになっているわけですね。
  59. 近藤春文

    説明員近藤春文君) そのとおりであります。
  60. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ですから、それがみずからの礼拝の施設として建てているものであるということ、またないということを判断することが根底になるのじゃないですか。
  61. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほど来、担当課長からお答え申し上げておるとおりでございますが、ただ少し言葉が足りないように聞いておって思いますことは、お配りいたしました質問と回答のプリントの中を読んでみますると、福岡県の大牟田市内に日蓮正宗寺院建立のため用地を取得して、その所有権移転登記申請上必要があるとして創価学会から法規に基づいて証明書提出を要請された。ところで、その持ってこられた創価学会の方が、創価学会が他の宗教法人である日蓮正宗の寺院を建設するものであって、建設後は、これを日蓮正宗の財産に移管するのであるということを願書の持参者が説明されたので、そこで、申請書それ自体と、形式は創価学会になっておりおりますが、実際は違うように思うが、その説明者の言うがごとくんば、登録税法第十九条第二号の十の適用を受けて登録税免除という事案には該当しないように思うがどうだろうという質問をして参りましたので、説明者の言うことがほんとうであるとするならば、それは該当しないと判断されるようだということを回答したのでございまして、問題は、その申請書それ自体が説明者の言うことと違って、創価学会みずからのものとして、宗旨専属の本来の用途に供する用地の取得に関するものであるとするならば疑いがなかろうと思うのですが、この説明者がそういう説明を加わえましたことを考慮に入れると疑問を生じた。そこで、どう判断するかという質問に答えたという限りにおいては回答は間違っていないのじゃなかろうか。そこで、その説明者の言うことがほんとうなのか、書類がほんとうなのかということを確かめることは、当該所轄庁たる福岡県当局がなすべき範囲内でございますから、それに関して、あらためてまた事実に基づいての意見が聴取されるとするならば、また違った結論が出ようかとも思われる次第でございます。向こうの問いに答える意味においては、その限りにおいて、まともなことを回答しているように思いますので、補足いたします。
  62. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは次の質問に移りますが、この問題が、そのように福岡県にのみ起こった問題であるならば、これを全国的になぜばらまいてお配りになったのですか。
  63. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 私どものほうでは、毎月、宗務月報というものを出しておりまして、その月の間に都道府県から照会がありましたものに対しては、こういうケースについてはこういうふうに回答したということをお伝えいたしまして流しておるわけであります。これはもうすでに四年ほどやっております。その月報の中に、こういう照会の場合にはこういう回答をした。こういう意味において月報に記載して、月報を配付した、こういうことでございます。
  64. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、そのような回答をなさったために、今まで何ごとも起こらなかった地方において問題が起きている、実に被害をこうむって、事務がスムーズに進んでいない、そういう事実を御存じなんでしょうか。
  65. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 最近、創価学会のほうからそういうお話を伺っております。
  66. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 御存じないのですね。
  67. 近藤春文

    説明員近藤春文君) なお、一、二の、そのときの話題の点を伺いまして、照会を出して事実を聞いております。
  68. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私どもは事実、被害を受けております。これに対してあなたのほうではどうなさるおつもりですか。
  69. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 質問に対する回答を流しておりますので、もし所轄庁のほうで、そういうことで問題があり、疑義がありますならば、所轄庁のほうから照会をして参る、それに対して回答をするという方法を講じたいと思います。なお、具体的に一、二引き合わせてみましたところによりますと、この回答によって証明をされるということではなくて、日蓮正宗寺院の建立というような場合に、創価学会がみずからこれを使うんだということをはっきりさせていただければ、登録税法の趣旨によって当然免税の証明ができる、そういう点を明確にしていただきたいということを、こられた方にお話したように聞いております。
  70. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それではどんな被害を受けておるかということの一つの例を申し上げておきますが、佐渡の海上山妙護寺という寺を建てまして、そのときも再三証明をもらうように言ったにもかかわらず、よこさない。そして最後に創価学会が使うための寺院の建立であるということを了解して、そうして証明書を出したのですが、この回答を見ておりますから、創価学会が何か日蓮正宗のために建てているというような誤解があるのでしょう、永久に日蓮正宗には供養しないという一札を書いて出歯なさいというような指示がありまして、そして、それを書かされております。こういうようなことは私はとんでもない行き過ぎではないかと思うのです。課長さんいかがです。
  71. 近藤春文

    説明員近藤春文君) そういう事実がありますならば、それは所轄庁の判断の問題でありますけれども、一般的に考えまして行き過ぎじゃないかと思います。
  72. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 課長さんは、そういう問題は全部所轄庁で起こる問題である、そっちで処理すればいいんだと、全部そういう問題を向こうに押しつけて、文部省はそういうことはそっちでやらせている、まあ、法規の上で照らせばこういうことになるというような、単なる事務的な態度ですべてをきめていらっしゃるようですけれども、創価学会が寺院を建立しているということは全国的に行なわれていることなので、文部省としては、宗教行政を取り締まる最高機関として、何ごとも所轄庁がやればいいんだというようになさるようでは、私は文部省が宗務課を置いて全体の宗教方針というものを知っていなければならない立場にありながら、そういう態度はよくないと思います。もっと実際を調査され、また、実態をよく御存じになっていて、そして指導もし、また、そういう問題の解決に積極的に当たるべきだと思うのです。  それから、もうひとつお伺いいたしますが、このような回答を特定の名前、創価学会という名前を出して回答しているということはおかしいじゃないですか。
  73. 近藤春文

    説明員近藤春文君) 質問に具体的に出しておりますので、それに対して具体的に回答いたしたわけであります。
  74. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 今までにそういう例はございますか。
  75. 近藤春文

    説明員近藤春文君) ございます。それは質問者の見解でございます。
  76. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もうひとつ最後に申し上げておきますが、このような回答を出したことによって、一千万の学会人は非常に文部省に不信を抱いております。ぜひこの点を慎重にお考えになり、この回答に対して善処され、私としてはこれは撤回すべき回答であると、こういうふうに申し上げて質問を終わりたいと思います。
  77. 豊瀬禎一

    理事豊瀬禎一君) 本日はこれにて散会いたします。  午後零時三十分散会    ————・————