○天田勝正君 関連してですが、これは先ほど来
清澤委員から提出されておる問題はきわめて重大なんですよ。要するに、なるほど
農業基本法は成立し、今その裏づけの関連
法律をばだんだん整備しつつある段階でございますけれども、しかし、派生的にこれにからまる課税問題について、これが構造改善が不可能に立ち至る、こういうことを指摘しての御
質疑なんですね。私はこれを承りつつつくづく考えることは、これは
政府側が
農業基本法制定当時にいわれた、根本的に
農業の問題については各般の施策について考えるということが考えておられないという結果だと思うのです。だから、ここで私は事務当局と甲論乙駁やったってとてもいつまでたってもらちがあかない。そこで、このことについては私も多くを言いたいのです。そもそもの初まりから長い長い物語になるのでありまして、
農業基本法
自体それは各党で出して、不敏でありますけれども、私もわが党案をこの
委員会で
説明したこともある。私どもの
考え方からすれば、まず
政府もその後怠慢でありますけれども、事務当局におかれても、今お答えになったような
考え方は根本的に改めていただかなければ、この問題はとても解決できない。税金の
体系などということをおっしゃるならば、いささか啓蒙の意味で申し上げておきますけれども、そんならば、今確かに
農業者の国税として納める所得税はまさに少なくなりました。確かにそれはすんなりかけても十三億ぐらい、予約減税などがありますとそれは七億かそこらである、それはよく存じておる。けれども、今現在を見れば、そうであるけれども、しからば、日本の工業
育成の道に入りました明治維新直後の状態を見れば、御案内のとおり、ほとんど
農業者の税金なんです。七五%までは地租であったことは間違いありません。それは地租でありますから全部百姓ということではありませんけれども、しかし、地租の中心の税収ということは
農業者の納めた税金であるといって過言でないのであって、一方からは全然取らないものに対して、片方の
農業者から取り上げたものを持ってきてそうしてつぎ込んだ、つぎ込む一方であった。ですから、日本の財閥形成史を見ればわかるけれども、土地の払い下げですよ、官業の払い下げ、その三本の柱で日本の財閥もできたんだし、工業の
育成もできた。そういうことで今日にきてしまって、それで一方兵士なんとかの供給源は農村だ、こういうわけで、富国強兵と殖産振興を一ぺんにやった。こういうわけです。でありまするから、この際かわいそうな百姓などを助けてやるという
観念では何にもならないということを強調したいわけです。そういうわけで、今まで国作りの犠牲になってきたのだから、ここに至って国はその犠牲者である農民のほうに償いをしなければならぬ、そういう謙虚な立場に立つのでなければ、とても
農業基本法などが示したところの目的などには合致していかない、こういうことを申し上げたわけであります。それをお話するとほかの各
委員に迷惑をかけますから、まあこの程度にいたしますけれども、そういうことからしましても、今日平等に扱われるということは、結果において不平等になると思う。確かに所得税等における軽減は私もずっと大蔵
委員をやっておりましたからよく知っておりますけれども、それにもかかわらず、しかし、
農業者の生活が一番低いということだけは、これもまた間違いない。時間があるならば全部その数字を申し上げてもよろしいのですが、まあやめておきます。従業者一人当たりの所得にしたっても、都会を一〇〇とするならば、農村のほうは三十五年ですでに三一・三%でしょう。間違いない。こういうわけだから、今日においては、明治維新の当時において片方は全然納めないところにどんどん国費を一方的につぎ込んできた。今度はその逆に、農家のほうが納めないでも、今度は国のほうからつぎ込んでいってもいいわけです。国の政策というものは
一つ一つとらえるとみんなそういうことなんです。重点政策といえばそういうことなんです。石炭が危機に陥ったといえば、傾斜生産で戦後どんどんそこへつぎ込んだ。そういうことなんです。それでなければ何も政策なんか論じないほうがいいということなのであって、そういうことで、あまり長くなりますと、各
委員の
質疑におじゃましますからやめますけれども、そういうことですから、私はこの点につきましては、事務当局を責め立ててみたところで、どうしても一定のワクのところで答えるほか仕方がないと思いますので、ぜひこの問題は
委員長においてお取り上げになりまして、そうして
政府の統一見解を承りたい。というのは、無理な注文をしておるのではございません。明後日でも何でもけっこうでございます。で、今日、私どもの要求するのは、
法律自体を少し手直ししてもらいたいのがあるのでありますけれども、差し迫った会期の中で、それがなかなか困難であるというならば、せめて
政府の
方針を、これについては今後大筋として、こまかしいことはもう言っても仕方がない。大筋としてかように考えますというようなことにしていただきませんと、
農業基本法関連
法律は全部死んでしまう、こう思いますから、ひとっこの点を申し上げておいて、これは関連ですからね、
清澤委員のほうへお譲りしなければ悪いから……。