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1962-04-26 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)    午前十時四十八分開会     ―――――――――――――   委員異動 四月二十五日委員戸叶武辞任につ き、その補欠として佐多忠隆君を議長 において指名した。 本日委員柴田栄君及び佐多忠隆辞任 につき、その補欠として谷口慶吉君及 び戸叶武君を議長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            田中 啓一君            谷口 慶吉君            温水 三郎君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 庄野一郎君    農林省畜産局長 森  茂雄君    農林省蚕糸局長 立川 宗保君    食糧庁長官   大沢  融君    水産庁長官   伊東 正義君    水産庁次長   村田 貫三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      酒折 武弘君    農林省農林経済    局農政課長   岡田 覚夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件農地開発機械公団法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農地法の一部を改正する法律案(第  三十九回国会内閣提出、衆議院送  付)  (継続案件) ○農業協同組合法の一部を改正する法  律案(第三十九回国会内閣提出、衆  議院送付)(継続案件) ○農業保険事業団法案(第三十九回国  会内閣送付予備審査)(継続案  件) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案(第三十九回国会内閣送付、予  備審査)(継続案件) ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産施設に関する件)     ―――――――――――――
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  二十五日、戸叶武君が辞任、その補欠として佐多忠隆君が選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 農地法の一部を改正する法律案(第三十九回国会閣法第六六号)、農業協同組合法の一部を改正する法律案(第三十九回国会閣法第六七号)、以上いずれも衆議院送付の二案を一括議題といたします。  両案に対する質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  4. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は農業協同組合法の一部を改正する法律案について質問を行ないたいと思うのであります。今回の改正は、提案理由にもありますように、一つ農事組合法人の問題、一つ農地等信託制度の問題、その他ということになっておるのでありますから、まず農事組合法人について質問を行ないたいと思うのであります。今提案理由を読んでみますと、「第一に、農事組合法人についてでありますが、農村の実態に即応し、農民共同利益の増進をはかるため農民によって組織された農事組合等団体の育成をはかり、これらのものが農業経営及び共同利用施設設置等事業を行なう場合には、農事組合法人として法人格を取得し得る道を開いて、農業生産についての協業を助長するために必要な措置を講ずることとしたのであります。」こう書いてあるのであります、また、農事組合法人目的については第七十二条の三として、「農事組合法人は、その組合員農業生産についての協業を図ることによりその共同利益を増進することを目的とする。」と、こう書いてあるのであります。それから七十二条の八には、農事組合法人事業が書いてあるのであります.これは事業の内容は省略いたします、これによって見まするというと、農事組合法人出資をする農事組合法人と、出資をしないところの農事組合法人との二通りがあるのであります。しこうして出資をせないところの、非出資法人農業経営を営むことはできない。農業経営をしようと思ったならば、必ず出資農事組合にしなくちゃできない、こうなっておるのであります。それから資料の七十二ページの第十二条では「組合員資格」というものが規定してあります、これによるというと、第一は農民、第二は農事組合法人――出資農事組合法人並びに「事業経営及びこれに附帯する事業のみを行なうその他法人」、こういうふうに規定してあって、第一号と第二号が正組合員、第十二条の三号、四号、五号のものは准組合員、こういうふうになっているのであります。繰り返して申し上げるならば、農事組合法人農協の正組合員となることができるところのものは、さっき申し上げたように農民農業経営を行なう農事組合法人と、その他の法人との三通りがあるのであります。そこでお尋ねしたいのであります。農業協同組合組合員である農事組合法人指導方針はどこにあるか、従来農事小組合というようなものがあって、その名称はいろいろあるのでありますが、これが協同組合下部組織として活動しておったのであります。農業協同組合が今日の隆盛を来たしたということは、この下部組織である農事小組合が活動した結果であるのであります。今回の農事組合法人農協下部組織として活動させる意思があるかどうか、またどういうふうな指導をしようと思っているのであるか、これをまずお尋ねしたいのであります。
  5. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 農事組合法人農協に対する関係でございますけれども、われわれといたしましては、できるだけ農協農事組合法人は緊密な連携のもとにおっしゃるような下部組織的な動きを農事組合法人にさせたいという希望を持っておるわけであります。そこで、法律上の措置といたしましては先ほど申されましたように、農業経営を営む農事組合法人は正組合員、その他の農事組合法人准組合員として組合資格を定むるということ、それから農事組合法人農協の発起人の資格を与えないというようなことなどで、できるだけ農協法人とは連携していくという考えでございますけれども、しかし、法律上両者の関係を強制的にきめて、たとえば強制加入というようなことは、農協の建前上無理なので、その点はそうしておりません。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 あまり簡単で要領を得なかったが、下部組織として強制的に加入させないということでありますが、今度の農事組合法人、この法人が、それならば次のようなことをお尋ねしてみたいと思います。農事組合法人連合会を作ることができますか。
  7. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) できません。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 もしできないとしたらば、任意連合会を作って活動したらどう指導されますか。
  9. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) それは法律上の規制はしておりません。従来どおりです。
  10. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 しかし、法律上は自由であるが、この農事組合法人任意連合会を作って、農業協同組合がやっているものと同じ仕事をやるというようなことになったならば、両方の事業の分野に争いが起こって収拾ができないような状態に陥る、そういうふうなことになれば農事組合法人というものは、農業協同組合の強化あるいは農業生産の増強ということに力を入れるべく作ったところのものが、最初目的に反するようなことになりはしないかという心配があるのでありますが、その点いかがです。
  11. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) おっしゃるようなケースも現実問題としては絶無ではないと考えなければならぬと思います。しかし、われわれの考えといたしましては、農協農民要望にこたえてできるだけのサービスをする、したがいまして最近の情勢といたしまして農民がこういう共同経営をやっていこう、あるいは共同組織を作っていこうという場合におきまして、これに対応して農協の活動、生産あるいは組織を整備していき、そうしてこれらの人たち要望にこたえるようにして、それらの人たち組合員にして活動していくということが必要なことでありまして、もちろんおっしゃるような危険が絶無ではございませんけれども、われわれといたしましてもできるだけそういうことのないように指導したいと考えます。
  12. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは少し具体的に入って、農事組合法人は、単独購買事業であるとか、販売事業をやることができますか。
  13. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 農事組合法人は、単独では購買販売事業はやれないようになっております。
  14. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それならば、次に農業経営に必要な資材購入、または生産物販売は、これは農業経営が、農事組合法人ができるとしたならば、直接結びつきが、こういうふうなことができますか。
  15. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 御質問の点が、もしその農事組合法人の行なう農業経営に必要な資材購入というようなことでございますれば、これは当然この農業経営の一部でございますので、できると思います。加工事業につきましては、これは農業経営付帯事業として可能でございます。
  16. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、農事組合法人ができ上がるとするならば、模範定款例というものが作られなければいけないが、政府としては、その模範定款例ができておりますか。できておったならば、資料として御提出願いたいと思うのであります。
  17. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 現在、まだ検討中でございまして、成案はできておりません。
  18. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、農事組合法人土地出資する場合の取り扱い方針なんです。この農事組合法人に田畑を現物出資する場合の土地評価ということは、非常に重大な問題であるのであります。高くても都合が悪いし、安くても都合が悪い。でありますから、土地評価基準というものを政府は定めなくちゃいけない。今、これについては、提出された資料の百一ページに書いてあるのでありますが、法第七十三条の準用規定によって見まするというと、これが有限会社法の第十四条が適用されているのであります。有限会社に関する規定は、資料の二百三十ページに書いてあります。それによって見まするというと、評価が高過ぎたならば、その高過ぎたところの部分に対しては、設立当時の組合員は、高過ぎたものに対しては連帯責任を負わなくちゃいけない。こういうふうに、非常に高過ぎる場合においては、制裁があるのであります。しかし、安過ぎる場合においての制裁はないのであります。今、具体的にひとつ数字をもって質問してみたいと思うのであります。たとえてみましたならば、田一反現物出資した。その場合に、その価格をまず十五万円であったと仮定する。今度の改正法によっては、配当金は年八分以内で政令で定むる金額、こうなっている。それであるから、まず、かりに八分と、こう仮定する。そうすると、十五万円の八分だったらば一万二千円。現在の法定小作料は、私の知っている範囲においては、千二百円じゃないかと思っております。土地現物出資すれば、そして、それが十五万円で、年八分の配当であったらば、一万二千円。現在の小作料は千二百円。これをどういうふうに処理される考えであるかということなんです。たとえば、五万円に年六分としたならば三千円。三万円にして四分としたらば、土地値段を三万にして、年四分としたならば、千二百円。一体政府のほうでは、現物出資するところの土地値段幾らにし、配当金幾らにし、小作料との関係をいかにし、また、将来において、小作料をどう変更しようとお考えであるか。これを、少し具体的になりますが、お考えがあったらば承りたいと思うのであります。
  19. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 農地現物出資にあたりましては、これを評価いたしまして、それに相当する金額出資、こういうことに相なるわけでございます。それで、その評価する場合におきましては、常時従事いたしまする組合員が構成いたしまする執行機関において評価をきめる、こういうことに相なるわけでございます。それで、この現物出資評価幾らにするかということにつきましては、農地価格流通価格基準にするか、あるいは政府がただいま買収しておりまする収益還元価格をもってするか、どちらを標準にするか、こういうことに相なるわけでございますが、これについては、農業生産法人執行機関において議決をもってきめるということに相なろうと存じます。それについては、やはり農業生産法人業務執行に最も妥当なところできめていくべきじゃないかとわれわれは考えておるわけでございまして、これは一に、農業生産法人自主性にまかしてあるわけでございますが、御指摘のように、現物出資いたしまして、それを評価いたしました金額に対して、利益金配当余剰金配当ということになりました場合に、農業生産法人におきましては、この出資配当をいたします場合は、政令で定める範囲、こういうことに相なりまして、大体年六分というように政令できめられております。農協のほうでは八分ということになっておりますが、その範囲内において政令で定める、こういうことになります。大体六分できめていく、こういうことになります。それにいたしましても、流通価格標準にいたしますと、御指摘のように、六分にいたしましても、十五万円であるならば九千円、こういうことになります。これはあくまでも出資に対する配当でございまして、小作料とは考えられないわけでございます。本質的に小作料とは違う、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。それで、小作料とこの出資に対しまする配当というものについては、本質的に違うということについては、小作料は、どこまでも農地所有権構成員にあるわけでございまして、法人のほうには移っていない。それから出資のほうは、農地現物出資ということになりまして、評価されて出資口数を割り当てるわけでございますが、所有権農地のほうに移っておる、こういうことになりまして、出資は、この法人経営のいかんによって六分以内ということになりまして、経営が悪ければゼロのこともございますし、経営がよくても六分以内ということになりますが、小作料は、所有権構成員のほうにあるわけでございまして、常に公定の基準によらなければならない、こういう点に、小作料出資に対する配当は本質的に違う、出資に対する配当小作料とは孝えられない、こういうように考えておる次第でございます。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 あとでまた引き続いてお尋ねいたしますが、現物出資した場合に、登録税はどうなりますか。登録税は免税になりますか、なりませんか。
  21. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 現物出資いたしました場合には、所有権法人に移りますので、一昨日御答弁いたしましたように、登録税は免除になりません。
  22. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、農事組合法人に付する融資方針を承りたいと思っておるのです。これは無条件でいいのか、保証人を立てさせられるのか、担保をとられるのか、この三つのどれをとられるのですか。
  23. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) それは融資機関の態度によって帰結が違うと思いますけれども、農事組合のほうの責任の問題を申し上げますと、原則的にはこれは有限責任となるので、出資の限度における有限ということになります。ただ、特別の場合に保証を、組合保証するというようなこともあり得ると考えております。
  24. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それはあなたが実際の融資の状況を御承知ないからですよ。いかなる場合といえども個人保証をとるのです。しからざれば担保をとるのです。無条件で出すことは一つもありません。そこで問題が起こってくるのです。昭和七年の農村不景気であって、それで経済更生運動をやった、その際に産業組合法改正したと、その際には産業組合法の中に農事実行組合という小組合規定をやった、その農事小組合無限責任であったのだ、これは融資を完全にするためには組合員無限責任でなくちゃならないという原則なんです。また、その当時できたところのものは負債整理組合住宅組合、これもともに無限責任なんです。であるから、あれだけの不景気の場合に、政府は思い切った融資農事組合にも負債整理組合にも住宅組合にも融資したけれども、ほとんどひっかかりがなかった。こういうふうなことであったのでありますが、今度は有限責任であるということになれば必ず個人保証をとるのです。個人保証をとるというのであったらば、無限責任と同様なんです。個人保証をとるのと無限責任と違った点があったらばひとつ御説明をお願いしたいと思うのであります。
  25. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 無限責任の場合には、最初から無限責任を負っておる組合員に対して債権請求ができるわけであります。保証して責任をとる場合には、まず組合員に対して債権請求をして、それからそれで弁済ができない場合には保証人に対して債権請求をするという点に若干の差異があるわけであります。なお、この問題は法案作成当時においていろいろ議論したわけでありますけれども、結論といたしましては、無限責任にするとかえって現在の農民の心理にそぐわないという面がある、農事組合法人組織することの一つの障害になるおそれがある、そういう意味で法律上は有限責任にしておいて、万一有限責任だけでは金融ができない場合において、あるいは債務保証とか、そういう格好を付加してそれで融資をやったほうが現状に合うのじゃないかということで、こういうような結論になっておるわけであります。
  26. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そこで、これは保証の場合はいいけれども、担保をとる場合が出てくる、債権者担保を差し押えて、農事組合法人の借りたところの金から、たとえばさっきの例からいえば五万円で出資したと、それを五万円借りておったから差し押えた、差し押える場合には競売処分をやらなくちゃいけない、競売処分をやったらばそれが十五万円に売れた、そうすると差が十万円できてくる、そうすると、貸したところのものは完全に元利金の回収ができた、損害を受ける者はだれかということなんです。損害を受けるところのものは、十五万円のものを五万円で出資しておって、そしてそれが十五万円に売れたのだから、受け取るところのものは五万円でなくちゃ出資権はない、残りの十万円は農事組合利益を受けると、こういうふうな不合理なことに農地価格の決定次第においてはなるが、今例を申し上げたように、五万円の出資土地をしておいた。それが競売処分によって十五万円に売れた中の十万円はどういう取り扱いであるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  27. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) まず最初に、その十五万円の時価のものを五万円の出資格好にするということは、まあ通常の事態においてはそう考えられないことかと思いますけれども、特別の事情によってそういうケースもないことはないと思われます。で、この場合に差し押えによって競売されて十五万円に売れたということになりますと、これは当然農事組合法人に十万円の残が残るということになるわけであります。ただこれが、たとえば農事組合法人解散等の場合におきまして、その財産がどう処分されるかということになった場合に、その土地出資者利益がどう保護されるのかということが最も具体的な問題として現われてくるのだと思います。この点につきましては、原則的には解散の場合の財産処分は、各組合員出資口数に応ずるということが普通であろうと思われるわけでありますけれども、そういう特別の事情がある場合には、定款で特別の規定を置くということも必ずしも不可能ではない、それによって調整ができるのじゃないかと考えております。
  28. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 解散の場合はまたあと質問します。  今度は農事組合法人組合員脱退した場合においての持ち分払い戻し計算はどうするかということなんです。私がお尋ねしたいことは、たとえばさっきの十五万円の農地、これを五万円で出資しておったと、時価は、十五万円の時価があるのですよ。それを五万円で出資しておった。だから、出資口数に応じて持ち分を払い戻すという場合においては、五万円の出資金であれば、その五万円の出資金現物出資であったら五万円でそのまま脱退者に払い戻すのかどうか、その土地所有権まで移転しておったのをまた戻すのかどうか、こういうふうなことなんです。どういうふうな計算で、途中で脱退した場合において組合員払い戻し方針をどうするか。
  29. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 脱退した組合員に対する持ち分払い戻しにつきましては、定款で定めることになっております。組合経営の安定という観点から申しますと、脱退した場合に金でもって返すことが一番望ましいとは思われるわけでありますけれども、御質問のようなケースになりますと、金だけでは片づかない面がありますので、現物で返すということをも定めて調整するということが必要の場合も起ころうかと思います。いずれでもかまわないことになっております。
  30. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 いや、それが場合もあるということじゃなくて、僕の一番問題にしているのは、そういうふうな脱退した場合において、現物出資をしておるのであったらば、その農事組合に赤字がない以上は、現物土地を払い戻すのが原則だ、払い戻すのだということを定款に書くべきであると思うのでありますが、これに対する指導方針はどうかということです。
  31. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 先ほど申しましたように、法律上は現物で払い戻すか、金で払い戻すか自由という形態になっております。あと指導の問題だと思いますけれども、すべて個々の組合員間の話し合いでもってきめられるべき筋でありまして、こうでなければならないというふうには定めたくないと考えております。
  32. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういうふうな場合において脱退する場合は、万やむを得ずして脱退する場合と、不仲になって脱退する場合と二通りあるのです。そういうふうな場合においては、前もってこういうふうな方針であるという規定を置かなくてはあとで問題が起こるのです。で、後顧の憂いのないようにするためにはどうすればいいかということを質問しておるわけです。
  33. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) おそらく御設問のようなケースでは、この土地出資した組合員は当然脱退の場合の規定としては現物で返してくれということを主張するはずでございまして、これはあえて役所でもちろんこういう方法はあるということは知らせる必要があると思いますけれども、こうしなさいとまで言わなくとも自分たちの問の相談でそういうふうにきめられるのではないかと思うのです。
  34. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そこが農事組合員くらいのものは法律上の知識が足らないのです。であるから、昭和七年の産業組合法改正の際においても、農事実行組合模範定款例を作ってもらったのです。その模範定款例によって全国で一番初めにやったのが私なんです。であるから、そこは非常に僕は過去の実例からいって重大だと思っておるのです。だから、そういうふうな場合においては、かくのごとく規定すべきものであるという模範定款例を出してもらいたいということなんです。  次は、解散の場合をお尋ねします。解散の場合は今部長からちょっと話があったのでありますが、解散をしたならば清算をしなくてはできない、清算する場合においては持ち分払い戻しをしなくてはできない、そこで、一番大きい問題は、清算所得に対して法律が過当であるといってはおもしろくないかわかりませんが、非常にたくさんの清算所得税がかかるのです。こういうふうに政府が奨励して作らせたところのものが万やむなく解散した場合において清算所得税をどういうふうに取り扱おうと考えておられるのか、清算所得税に対する方針を聞きたいと思います。また、登録税についても関係がありますから、登録税についてもついでにお尋ねしたい。
  35. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 農業生産法人、これは農事組合も含めまして、会社、法人全部入れまして、農業生産法人につきましてこれが解散いたしまして、清算法人に入りました場合におきまする清算所得税については特例は今のところ設けてございません。
  36. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 登録税は。
  37. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 登録税につきましても同様でございます。
  38. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 こういうふうなことは、今局長のお話のとおりであれば、法律の不備と思う。であるから、今直ちに法律改正はできないだろうけれど、農事組合が不幸にして解散の羽目に陥るような場合においては清算所得税については免税の措置がとれるように考慮してもらいたいということを希望申し上げておきます。  次には持ち分払い戻しについてであります。さっき部長からちょっと話があったけれども、持ち分払い戻しは一体どうするのか、これも持ち分払い戻しの場合に赤字がある場合と赤字のない場合とある。清算の場合は赤字がない場合であったらば、組合員に全部返すのか返さないのか、清算の場合においては時価で算定せなくちゃできないと書いてあるが、清算規定時価というのと現物というのがさっきから申し上げたように、十五万円と五万円の価格の実例を私は申し上げているのですが、そういうふうな場合において、一体清算する場合においては、清算法律によって時価計算せなくちゃできない。土地値段は十五万円あるところのものを五万円にした、時価計算したらば十万円のプラスになる。十万円がプラスになるが、その十万円に対しては清算所得税がかかってくる。もしも十五万円で出資したが、十五万円の時価だけれど、五万円だということで清算したならば税務署から脱税だといって徴税される、追加税金をとられる、ここが非常に問題になってくる。清算の場合に持ち分払い戻しをどうするか、清算の場合には時価でなくちゃできないが、その時価をどう計算するか、時価計算したならば非常に利益が、清算所得が多くなってくる。これに対しては過当な税金がかかってくる。一体これをどうするかということなんです。
  39. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 農事組合法人の場合に限って申し上げるのですけれども、まずその清算の場合に現物で返すかいなかは、先ほど申しましたように、定款現物出資については現物で返すという規定がありますればそれでなされるわけでありまして、一応問題ないわけであります。  次に、金で返す場合でございますけれども、この場合にどういう返し方をするかということは第一の問題でありますが、これは現在の農協指導方針といたしましては各組合員の払い込み出資額の限度まではまず第一次的に返します。それで、それ以上に残った財産については組合において、総会において決定した方法で残余の部分については払い戻す。そういう指導方針をしておるわけであります。そこで、先ほどのような五万円の出資の形態をとって、実質十五万円の価格があるとすれば、その差額の十万円がその組合員に返るような方法の返し方をきめることも可能であるということになるわけであります。  次に、税金の問題でございますけれども、これは、五万円の出資をしたという形態でありますれば、そこに出資の際における税金がかけられて、譲渡所得税がかけられるわけであります。ところが、それが今度は解散の場合に十五万円になっておれば、五万円と十五万円の差額の十万円というものにかけられるわけです。ところが、もしも最初から十五万円ということで出資されておりますれば、十五万円に対して譲渡所得税がかかってくるということでありまして、そういうものに税金をかけることはけしからぬという話は別問題といたしますれば、負担の面においては大体同じようなことになる、結果的にはそう考えております。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 関連。一体、農事組合なり生産組合というものを構造改善の柱として指導をしていく、育成をするというお考えにお立ちになるのか、ならぬのか。この問題からこれは出発しなければこれは、どうなんですか、作りたいものは作れという程度なのか。一体、基本法に関連してこの法律ができてきておるとすれば、構造改善上これは強力に推進しようという態度をおとりになるのか、ならぬのか。そこはどうなんですか。
  41. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 農業生産法人は、経済の近代化、合理化、そういう面から見た協業一つ組織として農業基本法にうたってあるわけでございまして、その具体化をこの農協法と農地法の一部改正でやっておるわけでございます。今後の農業経営協業化の方法として、農業生産法人の育成は指導していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 指導をするということになりますと、今、藤野委員の御質問のような場合に、かえって農家の経営を経済的には危殆に瀕せしめるという事態が発生する危険が非常に強くなると思うのですね。それに対する補完的な措置がないということで、現行税法は当然だからというだけの説明では、これは問題にならぬのじゃないですか。
  43. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 農業生産法人につきまして、御指摘のように、これを設立して参ります段階において、農民農業生産法人構成員となりまして、土地出資するなり、あるいは土地所有権を譲渡するなり、こういった場合におきまして、御指摘のように、不動産の登録税等、これは免除すべきだ、こういうような御意見ごもっともと存じております。で、これを作ります場合におきましても、そういう問題につきまして相当論議をして参り、また関係面とも折衝して参った次第でございますが、今までのところでは、税制の建前として非常に困難な問題もあって、実現を見ていない次第でございます。今後の問題といたしまして私たちも十分検討をしてそういう方向に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、設立する場合と解散する場合と、こう並べてお話になるわけでございまして、議論が混乱するわけでございますが、われわれといたしましては、どこまでも農業生産法人協業化のにない手としてこれを設立するという方向において、今言ったような面について今後とも努力していきたい、こういうふうに考えております。
  44. 森八三一

    ○森八三一君 関連ですから、あとで私の時間のときに十分いたしますが、設立のときに、将来発生するであろういろいろな事態というものをやはり考えて、その場合に不測な事態の発生しないという見きわめをつけて育成指導をするということでなければならぬと思うのですね。その場合に、今論議されておるような問題が非常に重要なあれになると思うのです。それに対していろいろ法律制定の過程では論議をされたが、現行税法のもとではそれが取り扱いにくいという結論になってその政府部内の論議を、どういう理由でそういうのが取り上げられなかったのかといういきさつを御説明願います。あとで私この問題を取り上げて論議をするときの参考になりますので、それだけをお聞きします。
  45. 岡田覚夫

    説明員(岡田覚夫君) ただいま御質問のありました譲渡所得税の問題について経過を御説明申し上げますと、三十七年度の税制改正の際に一応譲渡所得税について軽減の措置をとるということで要求をいたしたわけでありますけれども、大蔵省と協議をいたして参ったわけでありますが、一つの問題は、農地を売却いたしまして現金を出資するというふうな場合があるといたしますと、そういうふうな場合と、それから農地を直接出資いたしまして、それの購入価格と、それから出資をみなし譲渡という形で譲渡した場合の価格とのバランスの問題が一つはあるわけでございます。それからもう一つは、出資につきましては必ずしも出資をしなければならぬということではなくて、貸付等の方法もございます。そういうふうな点から考えまして、この出資の問題だけについて譲渡所得税を軽減するということについては、税制全般の立場から問題があるということで話がつきませんで、今回の特別措置法の改正の中に織り込むということに至らなかったわけでございます。
  46. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 清算のことは考えてなかったというが、この清算のことまで考えていかなくちゃならないのですよ。それだから、まだ清算のことは今の話からすれば十分に研究しておられないようだから、農事組合法人現物出資すれば、出資したところのものは不利益である、貸付によるのがいいのだという結論を出したと同じことになってくるが、一体農事組合法人土地所有権まで移転させる方針であるか、土地は個人のものであって、貸付にさせる予定であるかということをまずお伺いしたいと思います。
  47. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) ただいま御審議願っておりまする農地法の一部改正におきまする農業生産法人、これは農事組合法人有限会社それから合資会社、合名会社、この四つの形態でございます。これにつきましてその生産の最も重要な基盤でございまする農地というものについてどういうふうな権利関係を設定するのが一番いいか、こういうことに相なるわけでございまして、経営の安定、そういった面から申しますと、やはり出資あるいは売買あるいは譲渡といったような形で農業生産法人所有権を取得するといったような場合がある程度好ましいかとも存じます。しかし、この農業経営というものは必ずしも農地につきます所有権あるいはその他の使用収益に関します権というものとは別個に経営自体で一つの合理化なりあるいは近代化なりはかられるべきものであろうかとも考えるわけでございまして、必ずしも所有権を取得せしめなければこの農業生産法人経営がうまくいかない、こういうものではないわけでございまして、その農業生産法人農業経営いたしますについての農地に対しまする権利は所有権――出資に基づく所有権の取得あるいは譲渡に基づく所有権の取得もございます、賃借権の設定による使用収益権を取得する場合、二通りあるわけでございまして、これはいずれも農業生産法人の自主的な問題として処理さるべきもので、政府といたしましてこれを所有権を取得せしめるほうがいいといったような指導は今のところはしない、こういうふうに考えております。
  48. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それが問題です、そこが問題だ。それはその土地に対して共同経営をやっていくのです。共同経営をやっていくのだから、その土地は確保しなければいけない。農事組合法人はその場合に所有権が個人にあるとしたならば、その個人が別な借金のために差し押えられて競売処分にされる。そういうふうなことになれば内部にひびが入ってくる、そういうふうなことは防止しなくちゃできないから、原則所有権の移転なんです。農事組合法人の所有にしなくちゃできないのだ、そうしなくちゃ経営の確保はできない、借り入れによるところの共同経営であったらば、不確実な農事組合法人経営だ、そういうふうな不確実な農事組合法人経営はやるべきものではない、また政府指導すべきものではない、こう考えるのです。私の意見のとおりであるとしたならば、所有権の移転の場合、まず移転するとき、それからそれが解散して清算するとき、あらゆる場合において政府はこれだけの援助をやり指導をやるから農事組合法人を作るべし、こういうふうに確固たる信念で進んでいかなくちゃできないと思っているのです。これが農業構造改善の基本なんです。基本がゆるんで、農業構造の改善ができるはずがない。もう一つ、検討しておられたらば、検討の結果をお伺いしたいと思う。
  49. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 農業生産法人経営の安定につきまして、所有権取得がいいか、賃借権で足りるか、こういう問題でございます。この問題についてはいろいろ御指摘のような問題もあろうかと存じます。今、御設例になりました賃借権を設定いたしまして、農業生産法人が使用収益に基づいて農業経営をやる、こういうような場合におきまして、いわゆる地主でありまする賃貸人が借金のためにその所有地が差し押えを食う、そういったような場合を御指摘になったわけで、非常にそのために農業生産法人経営の安定が阻害されるじゃないか、こういう御指摘でございますが、ただいまの、農地法の建前といたしまして、そういった小作地の差し押えといったような場合の競落人というものは、現在耕作いたしております小作人を競落人に指定することに相なっております。そういうことで、その小作人は農業生産法人と同じでございます。農業生産法人が、まず第一位の競落人資格を有することに相なるのでございます。
  50. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これはこの程度にとどめます。  次に、農業協同組合の合併の推進状況。もし合併の困難な事情があったらばどういうふうな点が困難な事情であるか、また合併に非常に成績のいい実例があったら、その実例を資料によって御提出願いたいと思うのであります。大体の指導方針だけは口頭でお願いいたします。
  51. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 合併の事情につきましては、三十六年度から始まったのですが、三十六年度における合併計画といたしましては、大体予算上では一都道府県当たり四つの合併があるという計算で、全国で約二百足らずの合併ができるであろうという想定をしたわけでありますが、現実にはこれは県によっては非常に差がございまして、全然まだ合併の実績のないところもあるし、また非常にたとえば福島とか岡山というふうに、非常に合併の進んでいるところもあって差はありますけれども、全般的に申しますと、大体予定どおり、場合によっては予定を若干オーバーする程度の成績を上げるのじゃないかという状態になっております。また、今年度の予想といたしましては、昨年来の各都道府県の努力の結果が、むしろ本年度において現われてくるということで相当さらに進捗するだろう、そう考えております。  それから、合併に際しての障害となる問題でありますけれども、これはいろいろございまして、たとえば赤字組合の合併の問題等は、いろいろと障害になっておるわけであります。その他にもはなはだこれは表座敷では言いにくい問題でございますけれども、役員の問題、それから組合員側からの、大きくなると不便になるんじゃないかというような懸念の問題、そういう点が合併の障害のおもな理由になっておると思います。
  52. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今のは資料が配付してあるかわかりませんが、各年度ごとの合併の推進の状況の資料と優良な例の資料をお出しをお願いします。  次は、農業協同組合の再建整備の進行状態及び農林漁業協同組合連合会の整備促進の状況をお伺いしたいと思うのであります。この点については、全購連と全販連がいつどういうふうな結果で再建整備が完了したか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  53. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) まず、連合会の整備と特別措置法に基づく再建でございますが、これはきわめて順調に進んでおりまして、指定した連合会数が全部で五十ありますが、そのうち現在までに目標を達成した組合が三十七、現在整備促進実施中の組合が十三、その内訳は経済連が七、厚生連が六でございます。大体予定といたしましては昭和四十年に終わるわけでございまして、今の見通しといたしましてはこれより全般的に早くなりこそすれ、おくれるということはないと思っております。それから、この中で全販連につきましては昨年度完了いたしました。全購連は整備促進はやっておりませんです。それから、単協の整備特別措置法に基づく再建でございますが、これは指定組合数が全部で二千百九十六でございます。最終年度が三十八年の予定でございますが、現在までに達成した組合が――失礼いたしました、達成した組合といいますよりも欠損の補てんの状態を申し上げますと、補てん率が現在まで五一%でございます。約あと半分残っておるわけでございます。そういう意味から申しますと、予定よりも若干おくれておるわけでございます。現在各都道府県と連携しまして、これの促進方を強く進めておる状況でございます。
  54. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これについてはひとつ各県の模様をこの資料に出ているかわかりませんが、出ていなかったならば資料提出をお願いします。そうするというと、全販連は昨年度といえば昭和三十七年三月三十一日の前に終了したということですね。
  55. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) そうでございます。
  56. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、全販連が整備が完了したために日本全国のこれに関連した農業協同組合法人税がかけられるようになってくるのでありますが、一体、法人税は幾らの見当をしておられるのか。
  57. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) その結果どの程度の法人税がかかってくるかということは、現在のところまだ具体的の資料は集まっておりませんで、よくわかりませんです。
  58. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 わかっていなかったらば、どのくらいの法人税になるのかひとつ検討して、あと資料で提出していただきたいと思います。  農業基本法の第二十四条によって、農業団体の整備をやる。このためには、国は農業に関する団体の整備について必要なる施策を講ずるものとするという、講ずるということの絶対義務が付帯されているのであります。一体、どういうふうな施策を講ずることに決定し、講ぜられる方針であるか承りたいと思うのであります。
  59. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 現在のところは、すでに実施中であります先ほど申しましたような、連合会の整備促進あるいは単協の再建及び合併助成法によります単協の合併、こういうものによりまして、団体の整備強化をはかっていきたいと考えておりますが、常にわれわれ行政担当者といたしましては、農協がどうあるべきかということにつきまして検討しておるわけでございまして、現在特に新しい成長産業であります畜産、果樹、蔬菜等の育成に関連いたしまして、農協の経済活動をもっと強化するというためにはどうしたらいいかということを常に検討しておるのでございます。
  60. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は法律について。いろいろありますけれども、二、三の点だけに……。  法律の第十六条の第四項「五人以上」となっているですね。これが農事組合法人は二人ですか、農事組合法人も五人ですか、代理権のできるのは。
  61. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) これは農事組合法人には適用されておりませんです。
  62. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 適用されていないのですね。  次、資料の七十五ページ。これは「(理事の忠実義務)」というようなことによって、いろいろとしなくちゃいけないところの義務があるが、これだけの義務を負担させられておりながら、今度はさっきも申し上げましたように、金融機関から金を借りる場合においては個人に保証させられる。ただ個人保証した場合においてでも、自分が組合の理事である場合においてはいたし方ないが、理事をやめたら個人保証とってくれ、こういうふうなことをいうのが普通であるのでありますが、政府においては理事、監事の個人保証ということは債権者との約束であるのでありますから、今後近代化資金を貸すような場合、その他政府関係の資金を貸す場合においては、理事、監事の、まず理事の個人保証というものはその人が任期中にすべきであって、任期が切れたらば、個人保証は新しい理事と振りかえるということが適当であろうと思うのでありますが、そういうふうなことを考えられたことがあるかどうか。あるいは将来そういうふうな点について、どういうふうに指導しようと思っておられるのであるか、一方のほうの義務はここに書いてあるが、その義務以外のことを言うのであるから、その点についてどういうふうに指導されるお考えでありますか。
  63. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) あまり理事の個人保証ということは理事に対して過重な責任を課すようなことになります。またその結果、いい人が理事にならないというふうな弊害も起こり得ますので、われわれとしては必ずしも望ましいことではないと思っておるのであります。そこでそういったことを、理事が保証をするというようなことを奨励しておることは現在ございません。なお、やむを得ず理事が保証したような場合、おっしゃるように理事の交代がありますればやはり新しい理事がかわり、また新しい理事はそういう保証の判を押さなければならないのだということを覚悟してやってもらうというふうなことでやっていくしか仕方ないのじゃないか、そう考えております。
  64. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、そこに農林省が指導していかれるのだから、指導方針について再建融資を受けた場合において、個人保証の場合においてはその保証人のところに、私の任期中は個人保証しますという保証書を入れて融資ができるように各金融機関に政府指導すべきであると思うがいかがです。
  65. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 検討したいと思います。
  66. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから九十一ページ、七十二条の六、農事組合法人の免税なんです。これは事業の利用分量の配当の免税は現在規定いたしておりますね、その次に今度は、組合員事業に従事した程度に応じて当該農事組合法人配当した場合においては、これも免税になる。この事業の利用分量の配当と今申し上げた配当とはどれだけ違っているのであるか。これは両方とも合わせて配当ができるのであるかどうか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  67. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 利用分量配当と申しますのは、組合組合員との関係におきまして利用関係が成立した場合に起こる配当であります。たとえば組合共同販売事業、これは組合員の側から見れば、組合の行なう共同販売施設を利用しているということであります。それに伴って上がった利益配当する場合が利用分量配当であります。従前の農協組合員との関係は大体この利用関係で律せられるわけであります。ところが、今度新しく作ります農事組合法人は、組合員が集まって農業経営を行なうということを建前としておるわけであります。その場合における組合員組合との関係は従事関係という関係でありまして、利用関係ではないわけであります。そこで、ここに新しく従事分量配当というものを作ったわけなんです。そういう性格の差があるわけでございます。農事組合法人事業といたしましては、この農業経営ということと同時にまた共同利用施設の設置という事業があるわけでして、この共同利用施設の設置という事業に関連して起こる組合員組合関係はこれは従事関係であります。そこで、その部分は従事分量配当というものがあり得るということで両者同じように規定してあるわけであります。
  68. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、九十八条の第一項、ページは百三十四ページ、九十八条第一項によって見ますると、「都道府県の区域又はその区域を超える区域を地区とする組合及び農事組合法人」と、こう書いてある。そういうふうに大きい農事組合法人があるのですか。
  69. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 大きさの問題ではなくて、これはその地域がたとえ小さい地域でありましても、二つの府県にまたがっておるという場合はあり得るわけでありまして、そういうことを想定したわけです。
  70. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 たとえばどんなものですか。ちょっと頭に入ってこないが……。
  71. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) これは「都道府県の地域を超える」といいます規定は、その農事組合法人一つの都道府県を全地域とし、かつ他の都道府県に及んでいるというような意味ではございません。一つの都道府県の一部と他の都道府県の一部と両方にまたがっているという場合を想定しているわけであります。
  72. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 たとえば実例を一つ例にあげて説明をお願いします。
  73. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) これは単協の場合にそう多くありませんけれども、幾らかの例があるわけであります。農事組合法人はこれからできるものでありますから、ちょっと例をあげるわけにいきませんが……。
  74. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予定はどういうふうな場合、かりに……。
  75. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 予定もいたしておらないわけでございますけれども、たとえばある村のある部落の青年が地域としては非常に近接している他の都道府県に属する村のある青年と一緒に農事組合法人を作ろうじゃないかというふうなこともなきにしもあらずだろうと思うのです。
  76. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから附則の第六と第八、百四十六ページ、これは農業経営を営む農事組合法人には法人税の免税規定がないが、また次に第八項には地方税の免税規定がないが、その免税をしないところの理由説明してもらいたい。
  77. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 法人税及び地方税につきましては、それぞれの法律でもって免税規定を置いているわけであります。内容といたしまては、大体農協と同じようでございまして、法人税につきましては特別税率の適用を行なっているということと、それから利用分量配当と従事分量配当の損金算入、それから加入金につきましてもこれは損金算入の規定がございます。それから地方税につきましても事業税の税率について特別税率がある。それから近代化資金等によります共同利用施設の設置をした場合に、それの不動産取得税につきましても特例があるということになっております。
  78. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 僕の尋ねるのは、ここに書いてある「法第七十二条の八第一項第二号の事業を行なう農事組合法人でその事業に従事する組合員に対し俸給、給料、賃金、賞与その他これらの性質を有する給与を支給するものを除く。」というこれがどういうふうなことかと質問をしているのです。
  79. 酒折武弘

    説明員酒折武弘君) 農事組合法人組合員との関係は、先ほど申しましたように、従事関係でございます。そこで一体組合の労賃となる俸給的なものはどうやって支払われるのかという問題でありますが、これは法律上の原則といたしましては、従事分量配当によって各組合員に配分する、これが共同組合組織原則的な考え方であるということでありまして、そこでここに書いてありますような確定的な俸給、給料等を払いますと、これは組合原則からはずれまして、むしろ実体的には会社であるという解釈となるわけであります。そこで、ここではそういうふうに会社的運営をなす農事組合法人については税金の特例を設けないということになっております。
  80. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これで終わります。
  81. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) それでは、ここで休憩に入りまして、午後は一時二十分から再開をいたします。  暫時休憩をいたします。    午後零時七分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  82. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再会いたします。  委員会の異動について御報告申し上げます。本日柴田栄君が辞任され、その補欠として谷口慶吉君が選任されました。     ―――――――――――――
  83. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、農地開発機械公団法の一部を改正する法律案農地法の一部を改正する法律案農業協同組合法の一部を改正する法律案農業保険事業団法案農業災害補償法の一部を改正する法律案、並びに当面の農林水産施設に関する件を一括議題とし、これらの案件につきまして、河野農林大臣に対する質疑を行ないます。  御質疑の方の発言は、委員長から順次御指名いたします。安田君。
  84. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は今国会に政府から各種法案が提出されて参りまして、私どもこの審議に際しまして農林大臣の出席を要求をして参ったわけでございますが、そのつど御多忙その他の都合のために、今日まで出席が可能でなかったということは、まことに審議の上からいって、私どもとしては遺憾な点が多かったと思うわけでございます。まあそういうことだけを申し上げておいて、それから最近の新聞の報道によりますというと、農林大臣は、北洋漁業の問題で来月早々ソ連へ出向する、こういうことも承っておりますし、そのことも確実性がある、こういうことですが、大体北洋漁業につきましては、高碕代表とソ連との間において非常に難航しておる。そういことでこれを打開に行くことはもちろんのことであると思いますが、従来の経緯の中から農林大臣は自主規制という問題を基本方針として取り上げて参りました。ソ連側におきましては規制区域の拡大、こういうようなことを言って参りました。非常にまあこの問において食い違いがある。そこで農林大臣はこれに対して従来の国内にみずから発表いたしました自主規制という問題をあくまでも堅持して、その線において問題の解決をしてくる御決意でいるかどうかということだけを一つ農地開発機械公団の私の質問に先立ちましてひとつお伺いいたしたいと思います。
  85. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そのとおりでございます。
  86. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 かりにその方針が自主規制という基本方針でありましても、相手のあることでございますし、相当その問に考え方に隔たりがある。したがって堅持するとはいいながら、交渉の過程におきまして、やはり相手側の考え方をある程度受け入れなければならないという立場がおそらく情勢としては展開されるんではないかということを過去の漁業交渉の面から見て、私どもはそういうふうにも感ぜられるわけでございますけれども、そういう点についてはどういうお考えを持っていますか。
  87. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 申し上げるまでもなく、私はかつて申し上げておりますとおりに、今回のソ連側が制限区域を拡大して両国共同責任において魚族の保護をしようというソ連側の言い分も、十分理由のあることと考えます。したがって、ソ連側の言い分についても十分に耳をかさなければならないということも承知しております。しかし、事は何分にもわが国の領海、もしくは領海に接近した主として太平洋の規制に関する問題でございます。したがって、わがほうの立場を十分に説明して理解ある協力を求めて、両国の円満のうちに問題の解決をしたいという決意を持ってかの地に参りまして、最善を尽くして妥結をいたしたい考えでおります。
  88. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、最善を尽くすということは、そして妥結をするという、こういうことはよく了解できますが、そういう交渉が非常に難航した場合には、従来農林大臣が発表いたしました自主規制というその基本方針をある程度譲歩して、先方の御意見も入れて問題の処理をすることもあり得る、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  89. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 交渉のことでございますから、あらかじめ先方の言い分を申し上げたとおりに、言い分には言い分の聞かなければならぬ点のあることは、私どもわかっております。わかっておりますけれども、わがほうといたしましては、今後の水産行政を進める上におきまして御承知のとおり制限区域以南の点につきましては、零細な漁民が錯綜いたします。したがって、ひとり鮭鱒漁業のみならず他の漁業も錯綜いたしますので、これが取り締まりに非常に困難を来たします。で、万一これを両国で取り締まるということにいたしますと、その取り締まりの間にいろいろな問題の起こることを私は予見いたします。したがって、それらの点を十分説明いたしまして、なるべく両国の間にトラブルの起こらないようにすることが、両国のためにとるべき方途ではないか、こう考えるのであります。したがって、わがほうの立場を十分に説明をいたしまして、そうしてわがほうの希望をぜひ入れてもらうように交渉するという決意で先方に参る、それから先のことは交渉の内容になり、また将来のことでございますからこれ以上お答えは差しひかえたい、こう思います。
  90. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それではただいま議題となりました農地開発機械公団法の一部を改正する法律案について質問いたしますが、この問題につきましては、実は審議の中で農林大臣に出席を求めたわけでございますけれども、おいでにならなかったので、きょう大臣に対する質問たけを残しておいたのでその点を御質問申し上げたいと思います。  本案につきましては、衆議院の審議の中でも、非常に問題点が大きく指摘されております。単にこれは国会の中の審議のほかに、行政管理庁のいわば報告あるいはまた決算委員会等の報告にも現われておりますように、多くの公団運営に欠陥を生じ、それがために公団開設以来累年赤字を出しまして、その赤字が三十六年度までに合計して一億七千二百三十五万円という膨大なものになっているわけでございます。もちろん、大臣は、その赤字については承知いたしておると思いますけれども、おもなる赤字の原因をどういうように把握しておるかということを、ひとつお尋ねしたいと思います。
  91. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 赤字の原因につきましては、第一に、公団が事業量が十分になかったという点が一点、第二には、公団が事業をいたします際に、その事業に対します運営と申しますか見積もりと申しますか、それについて一部欠陥があったという点と、この二つによるものと考えます。
  92. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 事業量の不足という問題と事業の運営の欠陥、このことは一体農林省のほうの指導、監督に欠陥があったのか、それとも公団の運営に当たっての理事者側に責任があったのか、こういう二つになろうかと思われるわけでありますが、この点についではどのようなお考えを持っておられますか。
  93. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そのケースケースによって違うかもわかりませんが、私総じて申しますれば、双方に責任があったのではなかろうか、こう思います。
  94. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 確かにその公団の監督、指導等につきましては、農林省においても十分な責任があると思うわけでございます。しかしながら、この行政管理庁の報告を見ますというと、むしろ指導、監督の農林省の責任よりも、さらに公団の経理について、あるいはまた運営について、あるいは減価償却等につきまして幾多の問題が随所にわたって指摘されているわけです。こういうものをはっきり見ますというと、確かに行政管理庁は多くの欠陥があるけれども、非常に好意的に書いておる。こういう問題をもちろん大臣お読みになったかどうかしれませんけれども、公団自体の責任ということは明らかになっておるように思います。こういう点についてのひとつ欠陥と申しますか、公団の責任について、確かに公団に責任があるように断言できるかどうかお答え願いたいと思います。
  95. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私の考え方が間違っておる点があるかもしれませんが、私自身の知るところによりますれば、この公団はそもそも発足の当初におきまして、議会の終末に、与党と政府との間に、一方におきましては愛知用水公団、その他の事業を行ないます半面において、東北、北海道方面にも大規模の開墾を実行すべきであるという要望にこたえて、政府提案をいたしました関係からいたしまして、御承知のとおり何らの政府出資はなし、外資を導入し、その外資によって非常に大きな機械を購入すると、その大規模の機械を購入することによって根釧とかそれから東北のどこというような大きな規模の開墾に着手するというようなことで出発いたしましたので、それぞれ次年度以後におきましてこの公団に政府出資をして公団の経理を、正常に経理もできるようにせなければならなかったのではなかろうかと思うのでございますが、その後そういう処置なしに、その購入した機械を運営することによってのみこの公団が運営されてきた。したがって、その機械自身も非常に大きなものでありまして、小さなものにはうまく利用ができない、効用が十分に充足できないというような欠陥もあったろうと思います。かたがた、先ほど申し上げますように、公団自身の業務の運営が災害の復旧であるとか、もしくは地方の規模の非常に大きくない開墾であるとか、農地の造成であるとかというようなことをいたしますとか、国営で営利を目的としない公団のことでございますから、そこに赤字が累積したというようなことではなかろうかと思うのでございます。
  96. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は公団の発足当時のその趣旨、そういうまた公団のあり方、こういうものについて否定するものではない。確かにそれはそれなりの一面においては任務を完了したようにも思われます。しかし、その運営において赤字を累積したということは、これはどうしても責任は免れない。たとえば行政管理庁の報告書を見ましても、昭和三十五年度だけで七千万円以上の赤字を出しておる。しかも、その中で最も指摘されておるのが事前調査の不十分なことであるとか、あるいは下請業者の契約についての調査が不十分だったとか、こういうような公団自体の問題が指摘されておる。さらに機械の購入にいたしましても、購入したまま全然稼働しないという機械が十一台もあるわけです。さらにまた、いわばある県の要請に基づいて高額な機械を買って契約を一年ぐらいやったまま、そのまま全然使っておらない。こういうような問題は、これは公団以外の責任ではなくて、明らかに公団の運営上におけるところの責任であろうと思うわけですよ。しかも昭和三十五年度には、そういう膨大な赤字を出したということによって、理事一名が責任を感じて辞職しておる、こういう現実さえもあるわけです。ですから、私は確かにこれは農林省の指導監督も一面欠陥があったろうけれども、しかしながら、大方は公団自体の責任である、こういうように考えておるわけです。でなければ、理事一名が引責辞職するという理由は、そこにないと思うわけです。こういう点についてどういうようにお考えですか。
  97. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知のように、この公団には農林省からも役人が持に監査指導のために常時参っております。そうして事業の運営等についても監督いたしておるわけでありますが、根本は私は営利を目的としない地方の開墾、開発ということが公団本来の使命であるというような点から、多少ルーズにわたった点があるのじゃなかろうかと思うのであります。また理事一名がおやめになったということについても、それぞれ専門の仕事でございますから、専門を担当してそれぞれ専門の職員、理事、役員が政府からまあ派遣ということは少し語弊がありますけれども、政府了解のもとに参りまして、出向きまして、そうしてやっておったわけであります。また中には私の在野当時に、この公団のことについて注意をしておりましたから多少知っておりますが、後任の事務当局との問に肌合いが合わないとか、連絡がよくないというようなことのために、割合に農林省との間に意思の疏通を欠いたとか、事業がうまくはまってこなかったというようなことも、公団不振の原因であったというふうに思うのでございます。
  98. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 公団は営利を目的とするものではないということは、よくわかっております。しかしながら、国や地方公共団体が公共事業なりその他の企業を行なう場合には、確かに営利を目的としてはいけません。だからといって、赤字であってはならないということも、私は前提であろうと思う。もうけちゃいかぬけれども、同時に反面においては国民の血税を支出することですから、赤字であってはいけないということ、そうしてそのことと行政効果を十分に現わすというところに、私は国でやるところの企業の目的があるだろうと思う。ですから、前段のもうけてないほうは一面において任務を達成しております。しかし、赤字が累積したということにつきましては、これは一半の責任は免れないだろう、こういうように考えておるわけであります。まあこの点につきましては、一応大臣としてもおそらく確かに反省しておるだろうと、こういうように私は思うわけでございます。ですから、この新しい法案を提出したと、こういうように考えられますから、時間の関係もありますから、この点にとどめておきます。  次に、やはり行政管理庁で指摘しておる問題として、この公団の監事の問題があるわけです。今度は理事を一名新しい法案はふやす、監事はほとんどふやしていないわけです。むしろ監事は一名ということよりも、これは民間会社みたいに二名のほうがいい。しかも従来の公団の運用の中では、この監事に対しまして結局どういうことをいったかというと、監事の職務権限というものを理事長がきめておった、単に監事は会計監査役的なものではないのです。公団の監事というものは。それをその監事の職務権限を理事長が通達して定める。そして監事は会計監査の結果を報告する。ですからこういう面におきましても、運営上大きなあやまちがあったということも、これは指摘されなければなりません。この点についてひとつ……。
  99. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 大体大蔵省とこういう問題は相談をするのでございますが、政府の中に一定の基準がございまして、大体どの程度の仕事をする公団、公社には、どの程度の役員を置くということをきめて、政府はやっておるわけであります。その範にならっていきますと、この程度の公団の場合には何人ぐらいでよかろう、監事は何人あれば十分であるというので、経費を節約する意味においてこういうことになっておるというのじゃないかと思うのでありますが、問題は、人数よりも事業の十分にいかなかったことでございまして、こういう点につきましては監督官庁たる農林省に非常な責任があると思うのでございます。
  100. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで私は、どうも大臣は、確かにその公団に責任があるとの口吻を漏らしながら、逆にその責任をカバーしておるというように受け取れますが、とにもかくにも、六年間の公団の運営の中で、一億八千万近い赤字が出てきたことは事実です。そして理事が一人引責辞職したことも事実です。ところが、そういう当時の最高責任者である理事長は、これは引責辞職していないわけですよ。していないで、去年の十月ですか、あなたの任免によって愛知用水公団のほうへ転職しておるわけです。その際、まあ退職金を六年間で、百分の六十五、一カ月相当、それが千二十九万六千円ですか、支給されていっておるわけです。しかもそれは遅滞なく支払っておるわけですよ。退職と同時に。こういうようなことは私は許されないだろうと思う。これは民間会社ならとうに、どうであれこうであれ、その理事者が、いわゆる重役級が、赤字を出しておったならば、これは民間会社ならつぶれてしまう。退職金どころじゃない。そういうような中で、まあ規程だからといって、膨大な退職金をいただいていくということは、私はこれはあなたには罪は、そういう責任はないかもしれませんが、その当人がむしろ国民の手前、深く態度を明らかにしなければならぬだろう、こういうように判断されるわけでございます。この点についてひとつ……。
  101. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、ただいまのお話の多額の退職金を支払ったという問題につきましては、私もしばらくたってその話を聞きまして、それは少し、どうかなという気持が私もいたしましたが、しかしだんだんに事情を調べてみますと、その当時にほかにも動いたのがあって、それがみなそういうふうにやったものだから、みなあとから行く者は前任者にならうということで、みなそういうようにやったというようなことで、実はこういうものを出す場合には、一々監督官庁の長たる、農林大臣の認可を得て払うべきものじゃないかと思って、私も言ったのですが、規程にその農林大臣の認可は要らない。それはそれなりで払えるようになっているのだということを聞きまして、直したほうがいいだろうと思って、今研究さしているわけですが、御承知のとおりこういう一連の先ほども申し上げましたように公団、公社の金銭の出入り等については、大蔵省が中心になりまして、すべてのものがみな同一の規程、同一の範疇に入りまして運営されております。そのためにただいまのようなことがあるのでございまして、今後におきましては十分ひとつ善処いたしたいと考えております。
  102. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。
  103. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) きわめて簡単にお願いします。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 今のこれは大臣でなくてもいいです。今の退職金の条文ですか、それをきめましたのはいつごろで、ああいうものをきめるときには、当然大臣認可が要るのじゃないかと思うのですが、それはどうなっているのですか。
  105. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 役職員の退職の規程は、発足後、三十五年一月三十日にきめております。そのときは当然これは農林大臣の認可を受けて決定した、こういうことに相なっております。今大臣がお答えになりましたのは、そのときに決定した退職給与規程にのっとってそのまま払ってあると、こういうことでございます。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 あとちょっと……。
  107. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 念のために申し上げますが、大臣にお願いします。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはなんですか、一つの関連というようなものはあるのですか、そういう退職金の関連とかそれから俸給の関連というようなものは、ほかのいろいろの公団がたくさんあるが、大体みな一つなんですか。
  109. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ただ、大蔵省で先ほど申し上げたとおりに、一連のものが、この程度の公団なら役員が何人、ABCの中に分かれておるわけです。たとえば一番多いのは鉄道の国鉄の公社、この場合には総裁の俸給幾ら、それからその次の場合には愛知用水公団程度の場合には幾ら、道路公団のような場合には幾ら、それから一番小さな今の機械開発公団の場合には幾らというふうに役員の数は何人、監事何人、モデルがありまして、そのとおり大蔵省が同意する、それで支払う金についてはもちろん、それから退職金についても今の規程を、大蔵省のほうでずっと一連のものがありまして、そうしてみな同様にやっているということでございます。
  110. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 時間がございませんかと簡潔にしますが、これで確かに制度上は今大臣がお答えになったようになっております。しかしながら、公団の過去の運営上の責任、そういうものを考えましたときに、確かに不法ではありませんよ、不当とも言えないかもしれません。しかしながら道義上、特に政治上責任を負っている大臣においては、道義上やはりその本人にむしろ責任をとらせるような形、さらにはそれを一級上の愛知用水公団の今度は理事長というようなことでは、これは私はゆゆしい問題だろうと思うのです、道義上。特にまだ、この公団では役員の退職規程ばきめておりますけれども、職員の退職金規程というものはきまっておらない、まだ仮払いの状態なんです。むしろ為政者の立場であるならば、役員のほうはあとでもいいが、職員のほうの退職金規程を先にがっちりきめておいてやるべきだ、主客転倒なんですね。
  111. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 職員のほうは当然きまっております。
  112. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 まだきめてないでしょう。
  113. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 当然きまっております。
  114. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 仮払いですよ。
  115. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 役員の退職手当の規程とそれから職員のもの、御指摘の点は従業員のがまだきまっておりません。これは御指摘のとおりでございますので、できるだけ早くきめたいと、こういうふうに考えております。
  116. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 じゃ、前言取り消しますが、従業員でいいのです。従業員はきまっていないのです。一番前線にいる機械を稼働している人たちの従業員のやつがきまっておらぬのです。役員ばっかりごっそり退職金を持っていって、肝心の人たちがきまらなければ、これじゃ実際の仕事を運営する上において、現場の人たちの作業の能率なんか上がりませんよ。ですから、現場においては主任があるのかないのか何だかわからないような秘書は秘書でどんどん勘定を支払っておる、本省のほうには全然連絡がない、こういうような状態が出てくるわけなんです。
  117. 庄野五一郎

    政府委員庄野一郎君) 御指摘のとおりでございます。で、従業員につきましては、大体職員に準じて取り扱うようにいたしたいと、こういうふうに考えておりますので、早急にこれは決定できると思います。
  118. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今局長から答弁されましたが、このことはこれからのことであって、過去公団の責任者というものは、そのくらいのことを、人を動かす以上は、そのくらいのことは当然最優先にして考えなければなりません。特に今日ほど雇用関係が非常に輻湊して、いろいろの社会的な問題にまで発展する段階の中においては、特にその点に重点を置かなければならないのを、自分だけ退職金を持っていって、あとは知らぬ顔だということでは、これはその意味からも私は責任が免れないと思うわけです。こういう点、どうです。
  119. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点、ごもっともと思いますので、今後十分注意いたします。
  120. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それからもう一つ、新任の、新しい理事長ですか、この人は東北開発の理事をしておりまして、松本さんといいますか、確かに汚職当時においては、汚職発生時においては関係なかったかもしれません。しかしながら、その際ちょうど改選期がきたということで、しかも経済企画庁の、当時の経済企画庁の勧告があって、全体が総裁から理事、全部の役員が一応引責辞職しております。そういうような人、しかも東北開発の汚職の発展というものは、司直の手によって今後どう発展していくかわからない。悪く推測すれば、あるいはその理事が在職当時の者にさかのぼる、遡及するかもわからないということも考えられる。そういう渦中にある人を、従来問題があった公団の新理事長として任命するという点については、やはりこの点についても私はどうしても了解がつかないのです。それは不法とかいう問題ではなくて、道義上ね。いわゆる政府がやっている企業体としての責務上、そういう人事はきわめて不当であるというように思われるわけです。
  121. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) これは、私の考え方が悪ければ私も考え直さなければならぬと思いますけれども、私は、自分で責任を持って事業の発展を期そうとする以上は、その人柄を自分が十分理解した人をするほうがいいと私は思っております。私自身全然未知の人を、かつてどこの役人をしていたか、どこの何をしておったというだけでやるよりも、私はそのほうがいいんじゃないかと思っております。で、今御指摘になりました人物につきましては、私、東北開発が発足いたしますときに、たまたま企画庁の長官をいたしておりましたので、今の問題の役員の発令を、私は経済企画庁長官として発令いたしました。したがって、今の東北開発の役員の人事の構成につきましては、よく内容は私は心得えております。と申しますのは、今問題になりました諸君は、一連の諸君は、私は前任者から引き継いで、前任者時代に人事がきまっておりましたのを、それを引き継いで発令をいたしました。そのときに、たまたま、私は自信がありませんからそこで今御指摘になりました人物を、私のよく知っておりまする神奈川県の副知事をいたしておりました前歴者をその中に加えて、これならばしっかりやってくれるだろうというのを中に一人加えて、発令をいたしたのでございます。したがって、今問題の起こっている一連の諸君とは、人的のつながりのない男でございます。したがって、今私はここで、神様でもございませんし、個人の裏の裏まではわかりませんけれども、汚職事件に関係があるとは私は考えておりません。いろいろ汚職事件に一連のつながりのある前の連中とは、全然別の離れた畑から入れた人でございます。そういう意味において、私は汚職の責任を負ってやめたとか、この現に発展している汚職事件に関係があるとかいうようなふうには、私には考えられません。したがってそういう点について十分、私も一応の調査はいたしました。現段階においては関係ないということをいろいろの方面にも私は内偵いたしまして、そうして関係がないということでございますから、人物がよく働く、よく働く人であるというような意味合いで、任命したのでございまして、ものの見方によって、今お話しのように、東北開発のあの汚職事件の中におった人間じゃないか、こうおっしゃれば、それも一つの見方、しかしあの中におって全然、他の理事にあれだけのいろいろな事件があります中に、ひとり全然関係がその中にないということも、一つの私は見方と思います。そういう意味において、その中にたまたまおったから、これはやはり汚職の一連の仲間じゃないかといって極印を押すことも、私はどうかという気がいたします。私もその点については十分注意はいたします。それぞれの方面の取り調べ方面にも聞きまして、関係なかろう、よかろうということで、任命をいたしました。
  122. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは大臣のそういう見方もあるだろうし、私どもの見方も一応否定することはできないと思います。しかしながら、これは東北開発の汚職事件が発展してみなければ、結果としてはわからない。しかし一般国民は、ただいま大臣が弁明したような内容については知りません。ただ、東北開発に汚職があったということなんです。ですから、全体としてそういう印象を受けている中から、一人任命するということについては、過去に問題があった公団だけに、私は慎重を期すべきであったというように思うわけです。このことは、私の言うことは決して松本さん個人であるとか、成田さん個人の問題を言っているのではない。問題は国の財政を投資して、公団を五本の真に農地が開発できるように、造成ができるようにということで運営されなければならぬものですから、ですから特にそういう中心的な、いわば理事者側に立つ人たちは、これは相当人選において道義上慎重を期さなければならぬと、こういうように思うわけです。そういうことです。  そこで、この新しい予算、業務計画あるいは予算等につきましても、目下農林省で公団から提出されたものを検討中とのことなんです。まだきまっておらぬのです。公団から出したこれらのものは、まだいいとも悪いともついてないです、農林省自体が。特に今度の予算書を見ましても、去年の予算書とは趣が変わっているわけです、内容的にいっても。で、その一例をあげましても、今までは交際費が、公団理事長以下の役員の交際費五十万円のものが、二百万円も請求してきている、要求してきている。一体公団自体新しい人事になって、過去の問題を反省しているかどうかということさえも疑わしくなる、そういうような状態なんです。これは農林省が今度予算と業務計画書についてはまだ検討中なんです。ですから改正法案というのは、ただほんとうに過去にこういうことがあったから、それでは理事を一名強化しなければならぬとか、政府出資しなければならぬような、ほんとうに考えただけの話で、肝心の業務計画はまだ十分検討されてないのです。それで一体今後こういうようなものが新しく発足していった際に、農業構造改善事業を全国的に行なう。将来三千何百町村をやる。こういうものとどういう関連性があるのか。それらの事業はやらないのか。やるとすればどういうひとつ装備をしようというようなことは、全然まだ質問しておらないし、まだ聞いておりません。わからないのです。ですからこういう法案について、提出するときにはもっとはっきり固めて、通常国会でなくてもいい、この次の臨時国会でもいいです。はっきり固めてそういうものを提出しないと、国会の審議のしようがないわけですが、こういう点はどうですか。
  123. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) いろいろ御意見でございますけれども、この機械化団を私ばつぶすか、これでやめてしまうか、それともこれを改組して一連の農業機械の運営と結びつけていくかどうするかということについては、実は私も相当考えました。しかし何にいたしましても、今後の農業経営の合理化の上におきまして、または農地土地の造成等につきまして、大規模の農業機械の入り用なことは間違いありません。しかも従来非常に合理的にいっていたかというと、私は合理的にいっていなかった。たとえて申しますならば、農林省の農地局の予算におきましても、たとえば印旛沼でなにをする。そのときに予算の中で農業機械を買い入れる。買い入れた農業機械を土建屋に貸しつけるというような予算の組み方は適当でない、こういう私は考えを持っておりました。してみれば政府自身の予算で農業機械を買って、それを土建屋に貸すというようなことをやって、貸したその機械がどうなる。農林省自身が機械の修理工場を持っておるというようなことは適当でないというふうな結論からいたしまして、機械の修理工場のごときは、政府が持つよりも一つの公団に改組すべきだというので、全国にあります各農地局ごとに持っております農業機械の修理工場というようなものも、政府がやりますよりも公団の運営に待つべきだ。また機械についても、一つの予算について機械を買うというようなものの考え方よりも、一カ所に機械公団を作って、そこに大規模の開墾その他農地に必要な土木機械を買わして、そしてそれを利用することのほうが国家的に適切であるというような意味合いから、大規模のものについては中央の機械公団、中位のものにつきましてはそれぞれ府県の希望によって府県にそういった機械を持つものを作り、中央地方を通じて全国の開墾、土地造成等をやっていくことが適当であろうというような意味合いから、今までの機械化公団を全面的に改組して、これに新しいものを生み出していこうという考えのもとに、この法案とともにこの装備をしていこうということに私は決意をいたしたのでございます。したがって、今までの考え方と相当変わった意味合いにおいてこれを運営していきたい、こう考えておるのであります。今まだ事業計いの他云々ということでございますおけれども、これらにつきましても、もちろん明年度予算の割りつけは済んだ。割りつけは済んで、各県においてそれぞれ事業計画ができてくる。そのできてくる事業計画とこの公団の事業計画の上において、これから置きかえていってお手伝いしよう、こういうことになっていくべきだ、こう思いますので、多少御指摘のとおりまだ計画その他がおくれているのじゃないか、おくれておる点があるかもしれないと思います。しかし一応の計画、一応の目標としては、今私が申し上げましたような意味合いにおいて目標を立てて会社を運営していこうということの指導方針は明確にいたしておるわけでございます。
  124. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これで最後ですが、今大臣は、この公団の理想とするところを述べたわけですが、いわゆる予算面を見ますと、そういうような点についてはにじんでいないですね。大臣がおっしゃるような構想なら、この予算はもっと要求が大きくならなければならん。ところがこの予算は、むしろ昭和三十三年、三十四年よりもまだ要求予算が低いのです。二十億です。一体国が機械を出資する場合に、従来地方農地局にいた人たちが、人までついていくのかどうかということはまだわからん。そうしたら、人がついていくとすれば、もっとこういうようなものが大きくならなければならない。去年の予算には、労務費というようなものが出ておった。ことしの予算には、労務費というような別の項目は出ておらない。非常にずさんなんです。新しい公団をやるには、非常にそういう点においてずさんなので、私どもは審議の対象にならんということで今日まできているわけです。大臣のおっしゃるような遠大な構想ならば、この予算を早急に検討して、去年みたいに全然大蔵省の認可が一年たってもおりぬというようなことがないようにしないと、また腰だめの仮払いでやっていかなければならん。そういうことで決して赤字を出すなといっても無理なんです。こういう点、特にひとつ注意してやっていただきたいと思います。
  125. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点は全く同感です。大蔵省の認可が、年度が過ぎてから認可があったとかなかったとかいう、ことほどさように農林監督者たる農林省のほうに私は責任がある。そういうふうに、だんだん仕事がおくれてしまう。今もなるべく赤字を出さんで固く、固く固くいっておればやはり消極的になって、仕事しないで持ちぐされになってしまうというふうなことになりますからやはり赤字が出るというようなことになりますので、どうもそこらのところが非常にむずかしいのじゃないかと思いますが、とにかく御注意の点につきましては、十分承りまして、指導いたして参るつもりでおります。
  126. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 大臣に二、三の点お伺いしてみたいと思うのですが、まず一つには、この前の臨時国会のときに、私はお伺いしたことについて御答弁いただいた、その御答弁をいただいたことについて、大体御答弁に近く解決してもらっているか、あるいは、その方向に進んでいるのですが、一つだけ大臣が全然取り上げられていないことがある。どうも政治の方向というのは、やはりマスコミが注意をするか、大衆が注意をするかということ、はなやかなことがいろいろ取り上げられるけれども、日陰のことがとかく黙殺されやすい。私大臣に伺ったことは、いやしくも近代国家としては口にするだにも少し困るようなこと、つまり生産過程で今も人糞尿を使っているじゃないか。人糞尿を使うことを法律で禁止なさったらどうです。近くオリンピックもあることだし、その日本へ来て、くそをかけた物を食わされるのだということじゃ、むしろ国辱に近いじゃないですか。禁止してもらったほうがいいのだということを大臣に申し上げたのですが、化学肥料を使うと多少生産費も上がるので、どうかと思うが、がしかしということで、御答弁いただいた、人糞尿を禁止しかわりに購入肥料を使うということは、私はそのとき申し上げたので覚えているのですが、流通過程の中における不合理というものを、大臣のお力で改善してもらったら、もう問題にならない、その中で吸収される全然問題にならん程度の金銭支出じゃございませんか。大臣もよく考えて善処しようというお言葉をいただいたと思っているのですが、いまだにこの問題は事務的にも全然御検討なすっていないように私仄聞するんですが、どう私が考えても、特に衛生方面は、農林省は従来厚生省の所管だというふうなマンネリズムを持っておるやにも受け取れますし、生産過程のことでありますから、また国辱的な問題ではないかと私は思うのです。もちろんこれは米とか、あるいは煮て食わなきゃ食えないものの生産のことを言っておるのじゃない。なまでも食えるものの立場では、はっきり法律で禁止してもらったらいかがでしょうか。もう一度その点をお伺いいたします。
  127. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 文化国家に前進して参らなきゃならぬ日本の目標から申しまして、ごもっともなことだと考えますけれども、現在の農村の実情から参りまして、直ちにこれを法律で禁止するということを政府が意図するということは、一体可能であろうかどうであろうかという点でございます。よほど慎重を期して参りませんと、ただ問題は金の問題だけでなしに、ばたして農村の構造がそこまで行っておるであろうかどうであろうかということもありまして、よほど準備をし、農村のこれらに対する衛生思想の普及徹底というような点を第一義としていかなければ、農林省だけにおいて禁止するということは少々行き過ぎじゃないか。ときどき考えてみますけれども、どうもそこまで踏み切りかねておるわけです。漸を追うていくべきことであって、急にそこまで踏み切るということがはたして適切であるかどうかというように思うんです。
  128. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 まあくどいことは申しませんけれども、せっかく構造改善計画を実施する段階で踏み切られたのだし、その点は少し大臣の平素の勇気を出して考えてみていただきたいと思います。  そこで、今の基本法の中で言っておる自立経営の育成あるいは協業化の促進、どういう点からいっても、そしてまた今度の農地法改正の中でも言っておるこの農地の流動の問題です。自立経営農家の育成ということを言えば、これは高度の労働、土地生産性を追求する、都市周辺のあるいは花作りとか野菜作りとかいう農家は別として、概念的に言うと経営面績の拡大、経営面績の拡大ということで農地の流動が起こってくる。起こってくれば、これの資金問題が出てくる。そこで、政府は、本年度は幾らでしたか、百九十五億でしたか、百九十五億の自創資金のうち百三十五億を取得資金に充てる、こういう計画になっておりますけれども、十年間の見通しでいうと、少なくとも百万町歩、あるいはもっとの流動ということが、一応机上計算としては考えられるんではないか。そういう机上計算から考えていくと、今の取得資金というものはいかにも、いうならば、ケタ違いに小さい。もちろんそれだけに依存するというものではないけれども、それが一つの柱になっておる、こういう問題を将来どうしていくかということは、私は一つの大きな問題だろうと思うんですが、大臣はそれについてどういうふうにお考えか。あわせて若干大臣の農林金庫というような考えを承知はいたしておりますけれども、その問題もあわせて大臣の将来の考え方をお聞かせいただきたい。
  129. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 農村金融の問題は非常にむずかしい問題でございまして、しかも既成の事実として一連の協同組合内における信用事業が相当に徹底しております。しかも、これが一面におきましては、農村金融の低金利化に支障になっております。というようなことでございますから、全然ないところに仕事を始めるというのと違いまして、現に流れておりますものを改組するということになりますので、よほどの困難が私はあると思うのでございます。したがって、十分の用意と準備を整えて近代化しなければ、かえって逆な結果を得るおそれがあるというようなことから、今国会終了いたしましたならば、これらについての一応の調査を各方面の権威者にお願いして、そうしていくべき方向について御検討賜わりたいと実は考えております。その結果は、私の考えておりますようなことに皆さんが御賛成下さるか、それともどこをどう手直ししたらよろしいかということがむろん出てくると思います。しかし、私は方向としては今もお話にありましたとおりに、今あります協同組合内の信用事業農業金庫と一緒にいたしまして、農村関係の金融機関をひとつ確固たるものを、共同事業とは別に作りたい。そうして不動産金融もあわせて行なうようにいたしたいというふうに思っておるのでございます。そうすることによって農村の金利の引き下げもやりたい。従来いろいろな名前でいろいろな方面から流れておりまする農村関係の金融について全面的に再検討をして、新しい時代に沿うような一つの機関を作りたい。申し上げるまでもなく、時代がこれまで変わってきておるのでございますから、規模にいたしましても、金融機関が今の単位農協にそれぞれ所属いたしておらなければならない理由も私はないと思います。しかも、三反歩なければいかぬという理由もないと思います。これらの点について大幅に改組すべき段階にきておるんじゃなかろうか、こう思うのでございまして、それらについての結論をひとつすみやかに出していただいて、できることなら次の国会までに間に合うようにいたしたいと考えております。
  130. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 非常に今の問題、重要な問題ですから、また大臣がソ連からお帰りになりましてから、機会があったらお伺いいたします。  農基法の十六条に言っておる「相続の場合の農業経営の細分化の防止」ですね。この問題をどうするかということを、事務的に検討を命ぜられておりますか。あるいは事務的に検討した結果、現在こういう程度の試案ができておるとかというようなことがありましたら、お聞かせ願いたい。
  131. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 法制局等におきまして、憲法の関係その他法的根拠に基づいていろいろ研究いたしましたが、非常に困難な点が多い。われわれが所期する目標にいくのに困難な点が多いという意味からさらに具体的に、御承知のとおり当年度予算に、たしかわずかな金でございますが予算をもちまして、そうして実際においてどうなっているかということの実情の調査をまずやりまして、そうしてそれの上に積み立てていこうというのが、現在の段階でございます。
  132. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 従来、農林省があまり力を入れていない部門で、大臣になられてから非常に力を入れておられることの一つに、流通部門の改善の問題がある。この点について大臣があるいは朝早くから大阪の市場に行かれたり、いろいろなことをして研究なさっていることは、私もよく承知はいたしておるのですが、これは予算委員会でも、どこでも問題になって、大臣も答えるのがいやになっておられるかもしれませんけれども、これこそ大臣の実力でもう少し突っ込んでいって解決してもらいたいと思っておる問題ですが、たとえばいつか大臣が発表された、私も個人的にちょっと伺ったことがあるのですが、フランスの何とかという大臣が、あまりにも生産価格と消費者価格の開き過ぎがあるために、大臣自身が小売店を開いて、啓蒙運動を起こしたということが新聞に出ておったが大臣はおやりになりませんかと言ったら、おれは映画館を十ばかりなにしてやるのだというお話だったのですが、その後その構想はどうなっておりますか。
  133. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) その後だんだん話が進展いたしまして、具体的な案を申しますと、最初十館ほど指定して、これを使って下さいといって出された映画館がございます。それを実情に合わせて調査いたしましたところが、そのうちの四カ所ほどは適当であるけれども、他のところは建物も非常に古くなっておるし、場所的にも考慮の余地がある。さらにもう少しふやして出してもらいたいということで、ふやす方法を努力すると同時に、すでに提出されましたものについては、その内部を改造するなり、それを具体的に実現の運びになるように進行中でございます。そういうように進んでおりまして、少なくとも、できれば東京都内一区一カ所くらいのものをどうしても作りたい。東京都のほうはなかなか進みませんで、しかも、それにはめんどうなものがいろいろございまして、私のほうから申しますと、東京都は、これは区でやるということになっておるから、都ではどうにもできないのだ、区にやってもらわなければできないのだというので、都は区に命じてやらせるようにいたしておりますからと、こう言うのであります。区がやらなければどうするのだといいますと、区がやらなかった場合には自分でやるから、まあ、一応区にやらせるからまかしてもらいたいというようなことで、再々請求はいたしておりますけれども、もっとも区のほうも必ずやりますからとは言っておりますけれども、区内のいろいろな関係もあることでございましょうが、なかなかはかばかしくいきかねておりますが、しかし、そうは申しましても進んではおるわけであります。そこで、今申し上げましたじきじきこっちもひとつ応援して、映画館を解組して、そうして日用品のマーケットを作らせようということを相並行してそのほうは進むようにせっかく努力しておるのが、現在の進行でございます。
  134. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 これはぜひ実現してもらいたいと思うのですが、生産過程においては、もちろん農家の所得をふやすため、あるいは農産物の生産費を低下させるとか、いろいろな点から見ても、あるいは経営面積の拡大とか、あるいは協業化とか、いろいろな誘導方法というものをやられておる。ところが流通過程に入ってくると、もうお役所の人たちも言うのですが、自由主義経済の中ではどうにもできないのだという壁を自分で作って、小売商の段階にはもう手を出そうとしない。そこで牛乳があすになると三倍になっちゃう。こういうことは一つには、いわゆる人工の圧力というものが作用しておる。小売商の取り扱い数量が少ないために、一本当たりのマージンをある程度確保しないと食っていけないということが一つの作用だと思うのですが、そういう生産過程における指導誘導と同じ方向というものを、政治の方向というものを流通過程にも持ち込んでいくことが、もちろん困難であることはよく承知はいたしておりますけれども、同じ程度の意欲というもの、熱意というものを政府が持って努力されないと、せっかく生産過程でそういう努力をしてある程度の成果を上げた。その成果というものが流通過程で帳消しにされてしまう。そういうことではせっかくの政治というものが消費者の立場から見ると生きてこない、もう少しその点を実力閣僚間で強く改正の方向を打ち出してもらうことができないものでしょうか。
  135. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点ごもっともでございまして、実は今朝も経済閣僚会議に強くそれらの点を主張いたしまして、政府としては所要の経費は予備費からでも出してもらうという了解を得まして、私がソ連から帰るまでの問にでも、農林物資についての流通の改善について最も緊急を要する問題、たとえて申しますれば、生産地と消費地の問における輸送、冷凍車のごときものでも、これが片道の利用になるものですから、運輸省においてなかなかこれをやりたがらないというようなこともありますので、冷凍車もひとつ、冷蔵車といいますか、これを作ることを、農林省で何かの機関に持たせることをひとつやろう。それから生産地はもちろんのこと、消費地にも冷蔵庫を作らせよう。場合によったら冷凍船をもって、冷凍船で所要の場所から魚なり何なり、たとえば鹿児島の豚肉とかいうようなものを運ぶとかというようなことまでひとつやってみたらどうだろうかということで、これらについて、私帰りますまでに具体案を作って、そうして明年度予算を待たずして、今年度中にその実行に入れと指示をいたしたようなわけでございまして、まあできるだけのことはいたしたいと思いますが、何分情勢の変化に、ときには追いついていかないようなわけでございまして、この間来、豚肉についてもずいぶんやかましくお小言をちょうだいいたしましたが、実は今朝、私は北海道と九州の豚肉を、その地の豚を買い集めて、その地で屠殺をして、そうして冷凍車で運んでくる、殺して運んでくることは公団にやらせろ、損がいくだろう、損のいく損については政府でしかるべく援助するということでやったらどうか、その道もすみやかに検討して実施に入るようにせいという命令も実はいたしたようなわけでございます。いろいろあるのでございますけれども、まあ範囲が広いものですから、わずかぐらいやったところでもって、なかなか全体に及びかねるというようなわけでございます。
  136. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 先ほど申しました順序によりますると、民社の天田君の順序でありますが、まだお見えにならぬようでありますから、森さんひとつお願いします。
  137. 森八三一

    ○森八三一君 大臣に二、三お伺いいたしたいのですが、その一つは、これは私が申し上げませんでも、非常に御努力を願っておる物価問題なんですが、物価問題に関連いたしまして、非常に重要な部分を占めておるのは、やはり輸送の関係にあると思うのです。この関係から物の価格に占める輸送費の割合ということを、かなり重く見ていかなければいかぬのではないかというようなことから、かねてから農林物資につきましては、国鉄のほうにおきましても、運賃の率がきまって実施をするということになっておりますが、特定の農林物資については、今申し上げまするような感覚からして、いわゆる公共政策割引といいますか、そういう制度がずっと続いて行なわれてきておりますことは、御案内だと思います。一ころは、これは恒久制度にすべきではないかというような意見が出まして、衆議院の委員会でも、当院の農林水産委員会でも、しばしば全会一致の議決をいたしまして、当局の善処を求めてきたのであります。ところが、国鉄のほうは経理がなかなかペイしないというようなこともありまして、事の必要性については十分理解するが、そういうような関係から、三カ月間暫定とか、六カ月間暫定というようなことで、三年、四年推移をしておるのでございますね。もうこの段階にくれば、価格問題がきわめて重要な経済政策のポイントになっておるという点を考慮いたしまするというと、この数年間にわたって継続、暫定措置、暫定措置といっておりますこの制度は、恒久化すべきである。たまたまこの六月末がその暫定措置の終期になります。そういう邪推をするわけではありませんけれども、ちょうど六月末は国会の開かれておらない時期にあるということになりますので、うっかりするというと、この問題が逆な方向に結論されるという危険を感ずるのであります。かってそういうような時期もあったときには、開会中の国会で、閉会中はそういうような措置はしない、もし変更しようとする場合であるといたしますれば、その次に開かれる適当な国会のときに、国会の了承がなければやりませんというような抽象的なお答えもいただきまして推移をし、その後開かれた国会でそういう措置をした例もあるわけでありますが、この六月末でその措置が一応暫定期間を終わるということがあるといたしますと、この措置をどうされるのかということにつきましての御答弁をいただきたい。私は、このことは大臣の各般に対する御所見等から参りますれば、当然これは継続すると同時に、もういつまでも、三年、四年という暫定措置というのはおかしいので、ときには三カ月、ときには六カ月、こんなことでは、安心して流通機構を担当している者はやれません。ですからここでひとつ思い切って恒久措置に踏み切っていただくということを希望するわけでありますが、いかがでありましょうか。
  138. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見でございまして、農林省といたしましても、六月の更改期に永久にこれをするという、もしくは長期にするという意味合いにおきまして、物資の再検討をいたしておるのが現在の状態でございます。できるだけ御期待に沿うようにいたす所存でございます。
  139. 森八三一

    ○森八三一君 こんなことは重ねてくどく申し上げる必要はございませんが、ともいたしますると、国会の休み中だと、するっと事務的に変な方向にいってしまうという危険を、今までの私の数年の経験から申しますと、非常に感ずるのです。でありますから、今の大臣の御言明ではっきりいたしましたが、多少の品目については、内容的に御検討いただくけれども、実態的には現行制度を長期的に存続するか、もしくは恒久制度にこれを改めるかということであって、国会の休み中だから文句言うやつはいないので、さらさらといいかげんにやってしまうということは断じてしないという御所信と承りましたが、さよう了解してよろしゅうございますか。
  140. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そのとおりでございます。
  141. 森八三一

    ○森八三一君 この点ば非常に力強いお答えをいただきまして、安心をいたしました。われわれの希望にぜひともこたえていただくようなことにお願いいたしたいと思います。  第二点でお伺いいたしたいのは、流通機構の問題に関連いたしまして、中央市場の問題なんですが、これにつきましては、この前の臨時国会では、一部中央市場法の改正に、私どもは政府提案に賛成をいたしましたけれども、その当時、あの程度の微温的な改正では、ほんとうに中央市場の機能を十分に発揮することはできないのじゃないか、もう少し抜本的に改正をする必要があるのではないか。そこで私は、現在の中央市場の荷受け機関の性格というものをもう少し強い公的な性格を持つものに変えるということまでいきませんと、現在の建前では、公的な建前をとっておりますけれども、営利観念に基づく機関である、そこに大きな問題があると思う。大臣は各地の事情を御視察なさいまして、国営にするとかいうようなことを、これは新聞記事ですから、おそらく正確には伝えておらぬと思うのでありますが、所見をお持ちになっているようでありますが、中央市場をどういうふうに仕組んでいこうとお考えになっているのか。新聞記事ではわかりませんので、この際ひとつ大臣のお考えを承りまして、私は基本的には今申し上げましたような感じを持っているということでございますが、いかがでございましょうか。
  142. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 各地の事情を視察調査いたしました結果、私はなるべくすみやかに、日本の生鮮食料品の現状から見まして、現在の中央卸売市場法もしくは市場という考え方は適当でない。と申しますのは、価格形成が東西二主要市場で行なわれている。そうして、以下の市場は、これにならっているだけである。多少特異なものはございましょう。しかし、総じて申しますならば、東日本、西日本に分かれている。名古屋はその中間で、双方の影響を受けているというのが、価格形成の実態であると私は思うのであります。したがって、こういうふうに全体の東日本、西日本に影響する価格を形成されるとすれば、価格形成の場は、現在のように一都道府県にまかせておって、そういう小規模のものでそれを指導するということは適当ではないというような意味合いから、東西に二大中央卸売市場を形成すべきである。これが理想であると私は思うのであります。ところが、現実に、つまり今の現存しております市場についてどういうふうにしてこれをそうするか、現に今御指摘のように、荷受け機関にいたしましても、非常にたくさんあります。たとえば神田市場についてもあのとおりの実情でございます。したがって、大根、ニンジンについて見ましても、あとからあとから大根が入ってくる。一体朝行ったときは大根がこれだけだが、午後から行ってみると大根がこんなにふえてきたということで、その日その日の荷受け数字と販売価格を後日統計によって見ますと、必ずしも入荷と実際の売買価格というものが並行いたしておりません。これが実情でございます。したがって、これらの点を勘案いたしまして、なるべく早く国家の施設、大規模な国家施設を東西に求めまして、そうしてその中に私は新しく荷受け機関はかくあるべきであるというものを作っていくことがよろしい。今のものを直す、なかなかこれは現実におきましては直りません。芝浦の屠場、あれだけでも、いろいろ言っていろいろやっておりますが、なかなか思うようにいきません。したがって、これを新しく大規模の近代化したものを早く作りたい。そうしてその中に取引は理想はこういうふうにやるべきものである。そこでこういうふうに価格は形成さるべきものである。その形成された価格が、全東日本、西日本を指導するということになることが望ましいと思うのでありまして、いかにこの理想に到達するか、国営と申しますか、私の言うのは、施設を国家がやる。中の運営を国家でやろうというふうなことは考えておりません。そうしてその施設を国家で大規模のものを作って、そうしてそれを大規模の取引について適切な価格が形成されるように、そうしてそれがそれぞれに東なり西なりの日本の生鮮食料品の価格形成に合うように持っていくことが理想じゃなかろうか、こう思うのでございます。そうしてそこで形成された価格に適切なものの加わった小売価格というものが、それぞれの市場におきまして、小売市場におきましてこれが中心になって、大阪のように都内の物価を指導するということでいくときに、私はある程度のものが生れるのではなかろうか、こう思うのでございます。まあ魚にしても同様でございます。神田だけじゃなしに、築地の魚にしましても、あれを直したらどうだという人もありますし、もう潮が上がってしまえば、入った船が出ることができない。入ろうとすれば沖に来ている船が、入荷することができないということで、築地の市場をどう直してみてももうだめであろう、こう思うのでございまして、したがってなるべく早くやりたい。ところが、東京都といろいろ折衝しておりますけれども、東京都は、オリンピックが済んだら、おもむろに品川の沖を埋め立てして、そうしてそこに市場を建てるつもりだから、それまで待ってもらいたいというのが、東京都の言い分でございます。どうもわれわれの考えとあまりにも隔たりが多うございますので、何とかそれをひとつ実現するために努力いたしたいと考えているわけでございます。
  143. 森八三一

    ○森八三一君 今の市場を、この施設を国営でやるということは、これは現在も相当の補助が出ましてやっております。少し前進ということであります。これはもう当然そうすべきであると思いますが、市場の中で実際の荷を扱う荷受機関というものは、今お話しのような国営にするわけではない。その場合に、もちろん消費者に対しても、生産者に対しても、サービスを忘れるような官僚的なものであってはならぬことは、私もよく了承いたしますけれども、といって、現在のように非常に多数の複数制であって、それがおのおの利益を追求するという立場に立つ仕組みでございましては、せっかくの市場の運営というものが適正にいかないのじゃないか。もっと私は、端的に申しますと、私は将来農村における生産構造につきましても、かなり変わってくると思うのです。といたしますれば、生産者自体においても自主的に出荷調節をするとか、あるいは生産の調節をするとか、相当かなり高度なものに進んでくることと思います。がしかし、それは全国的にそれを市場に向けてうまく調節をはかるということはむづかしい。その場合に到達した市場において、市場の荷受機関がまたある程度の出荷調節をするというふうに考えますというと、生産者も守れませんし、消費者もときによっては非常に高いものを食わされる、ときによっては安くなってしまってもよけい食うわけにもいかないいうような問題が出る。ですから、その市場の荷受機関自体も、ある程度の出荷調節を考えていくというようなことをやらなければならぬ、そこには危険なり負担があると思うのです。そういう負担を考えて参りますと、なかなかできにくいことだ。でありますから、市場の荷受機関というものの性格を、もっと公的なにおいが強くにじみ出てくるようなものに改組をしていくということが、ただ施設を公営化する、国営化するという問題だけではなくて、中身がそういうことに発展していかなければならぬ。そういたしますると、理論的にはもう単数でもいいとは思いますけれども、単数だというと、あぐらをかく危険がないとは言えませんので、そこに最小限度の複数の荷受機関というものに整理をすべきではないか。その内容が伴いませんというと、せっかく国費を投じて施設をいたしましても、その施設の運営が期待する方向にはいけなくなるのじゃないかという感じを私は持っておるんですが、その辺はどうお考えでございましょうか。
  144. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) お話しのように、単数、複数の問題は残るわけでございます。今幸い大阪の魚市場は、現にあります中央市場は複数であります。今度東部にできます市場につきましては、これを合併して単数で試験をやることにいたしております。こういうふうにしていろいろ利害得失等も検討されるのでございます。荷受機関が、卸売機関が単数でございましても、そこに仲買いがありますから、仲買いによって相当の荷の荷もたれ等は調整されるということもあるわけでございますから、ただ理屈だけでは参らぬと思いますけれども、いろいろな点をひとつ経験いたしまして、そうして将来にやります場合には、それらについて十分割り切ったものについて最初からスタートしていくということでいきたいと考えております。
  145. 森八三一

    ○森八三一君 そのことは、いずれにいたしましても早急にひとつ結論をつけられまして、次の通常国会あたりには、何らか抜本的な中央市場のあり方を規定するような法律をぜひ出していただきたい。非常に急を要するものだと思います。同時にその際、市場の今取り扱っておりまする対象物資から除かれておりまする草花類、花卉類、これは今後農業生産の部分では、かなり私は進んでくると思うのです。それが現在のところでは全く放置されておる。そのために消費者の面におきましても生産者の面におきましても、非常に不利益を与えられておるという事実を各地で見るのであります。でありますので、中央市場の整備をいたしまする場合には、花卉類の取り扱いというものをいかにすべきやということが、一つ問題になるはずであります。これは当然中央市場の取り扱いの対象に持ってくるということを考えなければならぬと思いますが、いかがでありますか。
  146. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 園芸、草花等の市場は、御承知のとおり、私ども多少見て知っておりますが、都内だけでも相当の数がございます。これが一番私は値幅が多いと思います。この事実をこのままに放置いたしますことは、将来園芸作物の生産にも非常に影響がございますので、これをどういうふうに改善して参るかということは、今後の大きな問題と心得て、よく勉強して参りたい。まだ別に私ここで、こうするああするということを結論を得ておりません、方向も私わかっておりません。すみやかにひとつ、御指摘の点は私全く同感でございます、結論を出して、そうして間違いのないようにしたい、かように考えます。
  147. 天田勝正

    ○天田勝正君 私地の会合のために先ほど不在いたしました。それで、大臣も日ソ漁業交渉を控えて忙がしいそうでありますから、私どもの質問は、普通の慣例でなしに往復で私が一日三十分、こういうことになっておる。それで私は大きく言って、機械公団の問題とそれから所得格差の問題、この二つにしぼって質問したいと思います。つきましては、先にお断わりしておきますが、公団の関係については、すでに社会党の安田理事のほうから御質問があったと思います。それで、私の質問と重複する点があれば、それは答えた、そう言って下されば、お互いの時間がたいへん都合よくいくと思います。  それで、質問を始めますが、まず第一に、公団発足当時、大臣はその職におられなかったのでございますけれども、しかし、今日になってみますと、あれが世銀の借款ということを骨にして始まりましたものですから、そこで、自然借款の条件というほどではないにしても、外国製の機械を買う、こういうことになったと思います。そのこと自体私はいい悪いを申し上げておるのではございません。そういうことがありましても、しかしそれは条件としてアメリカ製なりあるいは世銀の大きな構成国から買うということは何を買ってもよろしいのであって、しかるに、事実は、大臣のいないときの委員会で私指摘しましたけれども、ピアレス・ドレッヂャーとかクローラー・ダンプ・トラクター、このようなものがまるで使われなかった。しからばその使われなかったものを買い込んだ、これは一体どこに責任があるんだということで一応の答えは得ました。そこで、この際お聞きしておきたいのは、こうした責任者は、責任があるといっても何ぴとも降格されるようなことがございませんし、むしろそれは年限がたてば自動的に昇進して参る。これが私は日本の官僚制度のすべてにつながるまことに何かよどんだといいますか、そういう姿になって現われると存じます。そこで、この例をあげて、別段これは過去のことであるから、現在の大臣を追及するというのではなしに、いつの日にか改めなければならぬ。この点につきまして実力者といわれる大臣はどうお考えになっておるのか。今後この種のことは、あらゆる各省関係の団体に出て参る事柄だと思いますので、この際ひとつそれに対処する所信を承っておきたいと思うのであります。
  148. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、この公団は、発足のときに私は農林大臣をいたしておったのでございます。(天田勝正君「それじゃなおさらだ」と述ぶ)ところが、こういうことを申し上げてどうかと思いますけれども、この公団は役所の発議によってできた公団ではないんでございます。役所の発議によらずに、議員関係、議会関係のほうで非常に強い御要請がございまして、先ほども申し上げましたとおりに、南のほうに愛知用水その他をやるならば、北のほうの北海道、東北の議員さんがぜひこちらに大規模の開懇をやれというようなことから、その大規模開懇には機械が必要である、そこで機械を買ってきて、その機械を運転してその開懇をやれということが、今の北海道の上北と根釧のこの二つをやるということになったのでございます。それから私はやめましたが、最初のほどはそれでも政府の当局が計画しておる上北、根釧というようなものがありましたが、発足の当初は今申し上げたとおりに予算の編成も終わってあとからやれやれということで進んできたというようなことでございますから、最初に何らの政府出資もなかった。そして機械を買うのが公団の仕事であって、それでアメリカから金を借りて機械を買って持ってきてこの開墾をやれば、それでそろばんが合うじゃないか、金利が安いんだから年賦で返していけば、そろばんが合うんじゃないかというのでスタートしたのに、そもそもあやまちがあったんじゃないかと思うのでございます。そういうことが理屈になるかならぬか存じませんが、当時私は議員でもあり、農林大臣もいたしておった立場から勘案いたしますのに。ところが、その後この仕事をやっているうちはまだ幾らかよかった。ところが、仕事がだんだん済んできた。済んでくると、あと済んだからやめて政府が引き取るでもなければ、そのままあとの仕事がついていくでもなければ、仕事がないからそうもしておられぬ。どこかに災害でも起これば、そこへ行って片づけごとをやるとか、どこか大きな開墾でもあれば、そこへたのまれて行ってやるというようなことで、うまくいくこともあれば、うまくいかぬこともあるというようなことのために、実はこの不始末ができてきたと思うんでございます。したがって、そういうことはもってのほかのことでございますけれども、理事者のほうの側にしてみれば、政府は当然仕事を与えてくれて、最初からあれをやれこういう仕事をやれということで作った公団だといいながら、あとから仕事は少しもくれぬじゃないか、くれなければ仕事がないじゃないかというようなことで、双方にまあしいていえば意思の疎通を欠くとでもいいますか、何とはなしにそぐわぬものがあって、この不始末が因果となって出てきたというのが実情だと思うんでございます。これは今の御指摘のお答えにはならないかもしれませんが。そこで、私は、こういうものはもうやめたがよろしいというので、大臣就任のときにこれをやめようと実はきめたんでございます。ところが、さてもう一つ別の問題にぶつかりました。それは、これも私は在野時代に非常に遺憾に考えておりましたものに、農林省自身が持っておりまする機械でございます。農林省自身が各地の農地開発のために機械を買うのが予算の中に入っております。これは非常によろしくない。また、この機械を修理するために修理工場を持っておるということも適当でない。行政官庁がみずから修理工場を持ってそうして機械の修理をしてどうこうするなんということはよろしくない。全額を請負師にまかしてしまうならそれはまた別でございます。しかし、請負師自身が一ぺんその請負をするために機械を買うということはたいへんであるから、機械は機械予算が予算の中についておって、それで政府が機械を買ってあるいは請負師に貸すというような仕組の事業もあるのでございます。こういうふうな考え方は適当でないというようなことからいたしまして、機械は全部――今後大規模の開墾をしなきゃならぬし、いろいろやらなきやならぬことがあるのであるから、しかもひとりそれは政府だけじゃない、県単位のものも相当にある。であるから、そういうふうなものを大中をそれぞれ持っておって、そうして能率的にこれを運用する機関が必要であろうというような意味合いから、大きなものについては機械化公団を改組して現に政府の持っておりますものをこの方面に引き継ぎをさせ、修理工場も引き継いで経営させ、中小のものについては県単位でやらしなさいというふうなことで、一列の農業機械の所属運用の基本をつけたつもりなんでございます。そういうことにして、今後ぜひうまく一般農村のためにこの機械が動いていくように高能率に活用できるように指導していきたいということを示唆いたしまして、農地局にこの案を作らしたのでございます。したがって、今度は、今申し上げますように、農地局自身の責任においてこの公団は計画を指導していくということでやっておりますので、しかもそれが県単位にできておりまする県の機械化公社、これと連携を密にしてやっていくということにいたしておりますから、これまでのこととは違っていくだろう、またいくように十分監督して参りたい。今お話の点につきましては、非常に遺憾なことでございまして、これからはそういうことのないようにしなきゃならぬと思いますが、これも先ほど来御指摘を受けた点は、公社、公団がわきの役所で作っておるものは利益を追求いたさんといたしましても、政府が計画する事業もしくはその公団は割合にそろばんが甘いと私は思います。したがって、経営は楽だと思います。鉄道の場合にいたしましても、その他建設関係の公団にいたしましても。ところが、この種のものは、相手が農村でございます。農村に損をさせてこの公団がもうかるか、この公団のほうが十分に辛らく予算を取って農村の負担をなるべく軽くするかというようなことは、双方ぎりぎりの線でいかなければならないと思います。したがって、よほどその経営につきましては政府も監督を十分にいたしまして、いやしくも高い機械の使用料を取り上げて、たくさんある機械じゃないのでございますから、かといってそれを使わないわけにいかぬのでございますから、なるべくそれらの点について一そう監督を厳密にしていかなきゃなるまいと考えておるわけでございます。
  149. 天田勝正

    ○天田勝正君 大体その分については満足いたします。つまり、過日質疑したところが、全く使えない機械を買った、その責任は公団側にあるのか、役所側にあるのかという質問をしましたところが、それは役所側にございますという答弁を得たのであります。そこで、役所側ならば、なおさら大臣監督下の役人でありますから、特にそいつをいじめ上げるとかそういうことでなくて、信賞必罪というものは明らかにしていかなきゃならぬし、もしそれがかりに公団側に責任ありといたしましても、しかしそれはやはり全体として大臣の監督下にあるわけでありますから、これまた当然に信賞必罪を明らかにしていかなきゃならぬ。それが明らかにならぬから、とかく政府関係機関などが会計検査院から注意を受けたり、世間から見てもどうも変だというようなことになると思います。しかしまあ大いに注意されるというのですから、それはそれでよろしゅうございます。  それから、やはりこれは同種のものだと思いますが、だんだん質疑をして参りますと、この公団の持っておりまする機械の稼働時間の標準そのものが、一般よりもまことに低く押えられている。何%使ったとか、何時間使ったとかいいましても、もとの基準のほうが低いんです。ですから役所もしくはそれに準ずるようなところがやる場合は、待遇などにすれば大体民間企業のどの線と比較をしても、たいていそのとおりにはなっていませんけれども、しかし議論の基準にはなっておるわけです。御案内のとおりです。しかるところ、自分たちが使う機械の標準などになると、民間の標準よりも下げてかかる、これもまた怠慢であります。けしからぬことであります。やはり一応民間企業と同じような機械ならば同じように使用すべきものだ、こうしてその稼働率が低過ぎれば、これはどっかに欠陥がある。その当該者の怠慢でないまでもどっかに欠陥がある、こういうことになると思う。ところが質疑をして参りますと、一向にさようにはなっておらない。そして基準が低いところへもってきて一つの機械で、作業機械というのはどこででも使える機械であります。にもかかわらず百時間くらいしか一年に使っておらないというようなもの、まあ晴天で働けば十日分くらいしか使っておらない、かようにけしからぬことがあるわけなんです。そこで、私はこれらの事実をこまかしく大臣が知るということは困難でありましょう。しかしここに指摘したわけでありますから、そこで今後かようなことのなきよう、やはり役所及びそれに準ずるようなところも、民間と同様な、利益は上げなくてもよろしいのですから、税金はかからないから利益は上げなくてもよろしいのだから、仕事をやるというそのことについては、やっぱりきびしくやってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  150. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 承知いたしました。
  151. 天田勝正

    ○天田勝正君 その次に、もうすでに衆議院におきましても議論されたところでありますが、役職員、といっても特に役員の退職金でございます。これはすでに質疑があったと思います。そこでその質疑があったと思われる分については触れませんが、いずれにしましても普通この官公庁、あるいは民間においてもたいてい一つ基準をきめて、それに対して在職年数をかけているというのが普通であります。ところが公団、事業団とか、政府関係の機関においては、年数をかけないで、月額の〇・六五に月をかけている。そういう基準算定の仕方というものがまるきり違うものでありまするから、そこでその千二十万だ、千二百万だというような膨大な額になる。こういうことでございまして、これを質問していけば、必ず、いやよその同種の公団等も同じでありますから、それは比較上そうしましたくらいの答弁になるわけでございます。けれども大臣、役人がAの役所からBの役所に移った場合に、一々退職金もらうということもございません。ただそれが通算されるというにすぎない。こういう政府関係機関においても、Aの政府関係機関からBの政府関係機関に移る場合には、通算は認めるにしても、この一々に退職金をもらっているということは、これは一つ考えなければならぬ問題だと思う。それからことにこの農地開発機械公団のごときは、ほんとうは職員の退職規程などはない、暫定的に従業員組合との協定で今行なっているだけだ。一般職員のほうの身分のほうはさして保障されないで、役員だけの退職金規程があるなどというこのこと自体が、まことにけしからぬ話であります。しかし今それを言ってみたところでまあしようがないわけでありますから、この公団、事業団、公社、こういうものを通じて大臣に一つ根本的に私は検討し直してもらわなければいかぬ、こう思いますが、何かそれに対してお考えございましょうか。
  152. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は私こういうものにつきましては、大蔵省がやかましいくらいやかましく監督いたしておりますから、自分の所管ではありますけれども、いつも大蔵省にもう少し出してやってくれたらどうだといって、たいていの金の場合にはこっちが頼むほうが多うございまして、大蔵省が十分監督しておるものとばかり思っておりました。ところがあとから聞いて、それは少し出し過ぎじゃないか、おかしいじゃないかと実は思ったくらいでございまして、むろん先ほど来さんざんお小言をちょうだいいたしまして、身にこたえております。今後は決してそういうことのないように十分監督いたしますから、ひとり御了承いただきたいと思います。
  153. 天田勝正

    ○天田勝正君 政府委員も解決つかないことは、いけないならいけないであっさりそういうふうに言ってもらえば了解するのですから、そうすると、審議早く進むのですから、委員長に断わっておきます。  そこで委員長、それからこの点はあと二点くらいにいたしますけれども、成田理事長が公団から同種の愛知用水公団に移った。愛知用水公団も建設公団ではなくて管理公団になると思います。しかしこの内容もそういうふうになるから、そういうえらい人は要らぬじゃないかという議論をしても、これは本題ではありませんからやめますが、いずれにしても一億七千万円という赤字がこの機械公団のほうで出ている。しかもそれがさっき私が指摘しましたように機械の稼働の標準にしましても、民間と同じようにきめながら、一生懸命作業をした、その結果努力にもかかわらず赤字にそったという話ならば別でありますが、そうでない、十分作業に熱を入れたとは思えない状態のままにここに赤字累積ができた。こういうのに罰せよとまで個人の名をさして申しませんけれども、何かたいへん栄転するような形はおかしくなかろうかとだれでも考えると思います。この点はどうしてそうなったのか、個人としてりっぱとかいう、この点は私は成田さん知りませんけれども、個人としてはりっぱでありましょう、りっぱであったからこそ前にも理事長になったのでありますから……。しかし個人の人格的にりっぱであるとか、そういうことと一つ事業体を受け持った以上は、事業の成績というものは、これは個人の人格のりっぱさによってカバーできるものではありません。いかなる事業体、株式会社でなかろうとも、その事業自体を進展せしめるか、事業自体の成績を上げたらば、やはりその人の効績ということになるし、事業自体の成績が下がっておるのに、その人が効績があったなどとは私は言えないと思う。個人がりっぱなどという、そういうのはもうその場合には通用いたさないと私は思いますが、これが栄転させられておる。これは明らかに大臣の手によってなされたところであります。これには私は特殊の理由がなければならぬと思いますが、この理由はいかがなものでありますか。さらに松本理事長でありますが、この人の前職は、御案内のように東北開発。東北開発は、もう汚職だらけというので、盛んに新聞にも伝えられております。しかしそれには、汚職だらけといったところで、関係した役職員もおりましょうし、あるいは無関係の人もおりましょう。全然関係のない人がおりましても、しかしその理事をされたということは、内閣でいえば閣員であるし閣僚である。会社でいえば重役である。そこでそうした不正な事件が起きたということを、やはり知らざりし罪というものが私はあるはずだと思う。知らざりしことでも、上位の者が責任を負うのでなければ、ほんとうの責任体制というものは通用しないと思う。これは二人の点、特に特定の名前を出しての話ですから、私もどうもこれ以上あまり言いたくないのですが、そういう者がどういう理由で、今度は前のどうも成績のよくなかった機械化公団のほうへ、知らざりし罪もあろうと思われる人を持ってくれば、たいへん成績が上がるというのには、これまた特殊な理由がなければならぬと思いますが、この二つについてはいかがお考えでしょうか。
  154. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、先ほども御指摘がございましてお答え申し上げたのでございますが、私は自分でよく知っておって、この人ならばやれるという人を任命いたしまして、そしてそれが非常にまずかった、非常にどうであったということは、指導監督すると同時に、自分の大きな責任に感ずべきである、こう思うんでございます。ところが成田君の場合には、私は成田君を古くよく知っております。しかも、この機械化公団の、先ほど申し上げましたとおりに、上北、根釧等をやっております当時には、なかなか成績をよく上げておったことも知っております。その後仕事がなくなって大蔵省に飛んで参り、農林省に飛んで参りしておった。私もちろん在野でございましたが、一生懸命に努力する。その努力のあとは、実に涙ぐましいものがあるが、政府がどうしても動かないというので、しばしばやめようというようなことを言っておったことも聞いておりますが、なかなかよくこの人が仕事に熱意を持ってやっておられたということを聞いておりますが、私は愛知用水公団のあとに適当ではないか、もっともこの話は前岸内閣当時に、愛知用水公団の総裁に成田君をしようじゃないかという話もあったのでございます、そういうふうな話のあったことでもありますしいたしまして、今ここに一億幾らの赤字があるとかいうような話は、私総裁に任命した後に知りまして、そんなことがあったのか、それは困ったものだなとは思っておりますけれども、その責任は、それぞれの役所から、農林省から、むしろ推薦いたしましたそれぞれの技術担当者がおったにもかかわらず、その技術担当者が、私はしいて申せば、怠慢で、見込み違いでできたか、しからざれば、役所との連絡におきまして、役所のほうからもっと仕事が十分に与えらるべきであったにもかかわらず、役所との関連において仕事がうまくなかったというような点において起こったんだと思うのでございますが、それがわかったときは、実は私が任命して後であったのでございます。それはどうもまずかったなとも思いますけれども、その後愛知用水に参りまして、非常に熱心にやっておられることを、愛知方面においても私聞いております。もう少し見た上で、ここにこういうふうな問題があるのでございますから、万一遺憾な点があれば、即刻私はやめていただいて、後任者とかえるのに少しもやぶさかでございません。たまたまそういうことでございますので、私は任命いたしました。それから松本君の場合におきましては、これも先ほど申し上げましたが、神奈川県の副知事時代に非常に業績をよく上げました。そうしてこの人は知事候補に実は擬せられた人でございます。そういうことがありましたときに、実は私企画庁長官をいたしておりまして、今問題になっておる諸君が一応の東北開発の人事として前任者から私は引き継ぎを受けました。そこで、そういう人たちだけでどうかということで、この人を推薦して理事の中に一名私はらち外の人であったけれども加えたのでございます。その後東北開発の中においていろいろ熱心に仕事をされた経緯、ないしはまた今回もそういう疑獄事件等がありましたので、それぞれ関係方面ともいろいろ話し合いまして、これならよかろうということで、この人を機械開発公団のほうに抜擢したということでございます。もちろん、いろいろの点について御意見もあるようでございますが、それらの点を十分参考にいたしまして、今後これらの諸君の仕事をいましばらく経緯を見まして、もし御期待に沿わぬような点があり、もしくは御期待にはずれるようなことがありますれば、即刻私は理事の更迭をすることにやぶさかではございません。この点をお答え申し上げます。
  155. 天田勝正

    ○天田勝正君 各派で約束した時間で私はとめたいと思いますが、もう私の残りは五分だそうです。そこで、時間がありませんから他のことに移りますが、どうか大臣、要望しておきますが、今の問題については、かつて東京電力というあの営利会社でさえも、全く現場の者がいわゆる石炭の汚職を出した。御案内のところであります。その際に、ああいう民間の会社でさえも、主要な役員が責任をとって、全く知らないのだけれども、個人的には私も知っております。全く知らないのだけれども、それにもかかわらず、やはり副社長でおった者が落ちて、それで責任をとった。でありますから、知らざりし罪ということを言えば過酷なようでありますけれども、これをあえてしなければ、それば下のほうの者はぴしゃっとしませんよ。自分たちが首になればそれでいいのだというような安易なことになってしまう。自分がうかつなことをすれば、その団体の長までいくんだ、会社ならば社長までいくんだ、こういうことで初めてぴんと張りつめた仕事ができるのでありまして、これはそういうつもりで人事監督についてなされんことを要望いたしておきます。  時間がありませんから、所得格差の問題についてはたった一点しか触れることができないと思います。これは、過日来畜産物の価格の安定の法律の審議の場合も各委員がここで言われたわけでありますが、日本のように、たとえば牛乳が生産価格から三倍になって売られているなんというのは世界じゅうどこにもございません。どこにもありません。そこで、過日もこのことについては、具体的な数字で大臣に質問しましたから、私はそれを繰り返すつもりもありません。いずれにしても三倍になっている。そうしてその取り分が、まあ大まかに言えば、三に三に中間卸しが二・七くらい、こういうことですけれども、しかし、その中身は、生産者の取り分というのは、全部が取り分じゃないのであって、これは全部生産費がかかるのであって、〇・一八リットルくらいであれば、大かた一円か二、三十銭、それに対して片方は、多少の費用はかかろうとも、六円も取り分がある。これじゃ納得できないですよ。納得できない。過日同僚の戸叶委員が、この点については、関西のほうじゃまるで暴力団のごとき組織になっておるということを指摘されておりましたが、それで、この末端の機関で、よく今の池田さんがおっしゃる便乗値上げということを言われますけれども、その便乗値上げの私は最たるものだと思うのですよ、牛乳のごときは。労賃が上がったから、どうしても末端のこの配給機構のほうも上げなければならぬ、こういう論理です。労賃がどれほど上がったか。私は政府の提出されました資料で全部計算しました。全部計算したところが、いわゆる店主というものは一日当たり何と五千九百円ずつはどうしても償却費に回せるという勘定、電気代と冷蔵庫の償印が一日に五千九百円、やや六千円近い。月に十八万円、一年間に二百何十万円、こういう支出をする店主はどこにもありません。あったらお目にかかりたい。それは便乗なんです。そういうところに理屈を求めておるのです。そして従業員には、全部日に一千五百円ずつ給料をやれる計算になる、やれるのです、政府の提出した資料そのままをそろばんをしていくと。ところが従業員の労賃が上がった、上がったなんていうことは名目だけであって、一千五百円ずつ給料をやれば一日に、幾らでも人は集まるのですよ。そんなことはしておらないのですよ。おらないのにそういうことを言って、その便乗値上げをやっておるのですから、その観点だけに立てば、今の政府の便乗値上げけしからぬということにぴたりと当てはまるのは実にこれなんです。でありますから、私がよく言う生産者の不利は消費者の利益となってぴんと響いていかなければならないのに、生産者は損害で、消費者も損害で、こんな価格体系のあるところ、とても生産者は守れっこない。市場のことは時間がないので触れられませんから、例を一つだけにしぼったわけでございますが、そういうことで、結局私は大臣がこのいろんな生鮮食料品などについても国営の市場を作る、これは年来の私どもの主張でありまして、モデル市場を作ってもらいたいとこう思っておるのですが、何かずっと前には、小笠原委員のお話で、河野談話集というものをわれわれにくれるという約束をしましたけれども、一向出てこないで、それはいつ出てくるのだろうとこの間も聞いたわけですけれども、そういう、この今言っておることは二つあります。あなたの言う、その新聞に伝えられる国営の模範市場をお作りになる、今でもそういう気持を持っておられるのかという点が一つ。それから具体的には、牛乳のそういうとんでもない値段で売られておる、消費者の利益と、生産者と一向つながらない、まことに利益がつながらないどころか、片方の損害が片方の利益にもなってくる。このことはぜひ早急に何らかの手を打っていただかなければならないと思います。たいへん説明が長くなって恐縮ですが、この一点でやめますから、これに対するひとつお考えを承っておきたいと思います。
  156. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 市場については、先ほどもお答えいたしましたが、目下準備をするべく検討をしております。  それから牛乳の点については、はなはだ申しわけありませんが、どうしたらよろしいでしょうか。私がお尋ねするのはまことに御無礼ですが、私はそれじゃどうすればこういうふうになるという点が、もしこうやれということがあれば、私はまことに感謝にたえません。私も検討いたしましてやります。
  157. 天田勝正

    ○天田勝正君 時間がありませんが、私はこの点については政府だけを、この問も言っておるのですが、政府だけを責めるのじゃない。われわれ野党でやっても、中小企業という言葉を使われると、われわわれは初めびくりといたします、実際。しかし少なくともこのことについては、びくっとしては相ならぬ。私はこれはこの委員会でもそう発言をしております。党内でもそう言っております。それで現に末端の、現に大臣もわかるでしょうけれども、駅で売っておるような場合、仲介業者が持ってきて、そこで渡してやるだけで七円になるのですよ。こんな商売がどこにありますか。だからこれはどうしたらいいかと言えば、押えるということです。現在それを押えることが行政指導でできなれでば、それはだから取り分を結局政令できめるなり、政令で間に合わなければ、法律できめるなり何か処置をやるより仕方がない、私はそう思っておる。
  158. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今お話しのように、持ってきて駅で売ったら七円五十銭で売れる。確かに私は六円もしくは六円五十銭の生産者手取りでございますから、できるかもしれません。しかしそういうことが一体現実にどうでございましょうか。今の鉄道弘済会があって、鉄道弘済会が駅で、持っていって売れるからといって、なかなかすぐ駅で売らせるでしょうか。なかなか実際当事者になってやろうとしたら進むものではないのです。それをやれと言ったらすぐやれるか、なかなか農林大臣が、幾ら農林省が向こうはち巻でやれと言ったって、そんなことはなかなかできるものではない。それはこうやればいいじゃないか、ああやればいいじゃないかと言っても、すぐそれがあれにひっかかり、これにひっかかる。まず第一にひっかかるのは、牛乳の先般来申し上げますとおりに、衛生の問題で、厚生省の規則、政令にひっかかるでしょう。牛乳の処理の問題でひっかかるでしょう。そこから保護していかなければならぬということで、今はそこを保護するのに私が手をつけておるのが今やっておる段階です。今そうやってすぐ鉄道弘済会が許すだろうか、許さぬでしょう。まずうるさく言うて許さぬ。また鉄道弘済会がこれを許さなければ、鉄道弘済会でなければ駅では売らせませんと私は思います。その次に、法律政令できめたらいいだろう、そういうことが一体きめられるでしょうか。ただ牛乳を幾らで売れ、幾らで買えときめたって、それは言うだけであって、それはそれこそ米などの売買よりもまだ実行できない。やみに流れてしまって、実際に自由に流れてしまって、法律だけをきめても、裏づけのない法律を出したら、それこそこの委員会で通る法律ではないと私は思います。通る法律じゃない。なかなかそういうふうにおつしやるけれども、まあ小売り業者に十六円のうち五十銭やったのはどうもよくないというお小言かもしれませんけれども、十五円のところまではまだよかった、それを十六円に上げることについて、生産者に五十銭、小売りに五十銭というところで一札を取って、そういうことでこれから絶対上げませんから、上げる場合には必ず当局の同意がなければ上げませんからという一札を取って、仕方がなしにこの辺でひとつ折れておこう、しかしこれからは同意がなければ上げないという一札を取っておるから、仕方がないから泣く泣く私はのんだのです。ほかに方法があるかどうか、さてやってみるとなかなかないのです。それからやるとなると、実際はなかなかできません。ただ漫然と見ておるのではないのですよ。やれる方法があり、またそれが実際可能な道があれば、私はちゅうちょなくいたします。いつでも御教示を賜わりますれば私はやります。どうぞひとつ御了承をいただいて御協力をいただきたいと思います。
  159. 天田勝正

    ○天田勝正君 これ以上は議論にわたりますし、時間がきたので、私は私なりにあると思っておるけれども、まあきょうは約束だから一応この程度にして、あとで時間が余ればまたやります。
  160. 千田正

    ○千田正君 私はこのたび河野農林大臣がソ連においでになるということに対して、非常に御苦労さまであると思います。そこで特に私はお伺いしたいのは、最近非常に領海の問題が中心になっております。今度農林大臣が向こうへ行かれた場合において、この問の新聞で私は見ただけでありますけれども、領海の問題をはっきりしなければならないじゃないか。およそ日ソ漁業の問題については、領海の問題をはっきりしておらないと、そうしてまた公海におけるところの操業に対してのみ規制をしたり、禁止をしたり、あるいはいろんな問題が起きてきている。そこで、領海の問題についての河野さんの御意見を承っておきたいと思うのです。今年の三月でしたか、昨年もそうでありましたが、海洋会議において各国の領海の問題が中心になっていろいろ主張がありました。ソ連が十二海里、アメリカ、カナダは六海里、日本は従来の三海里説を主張した、こういうように各国とも区々まちまちでありまするけれども、従来の観点からいえば三海里説が普通であったのでありまするが、最近だいぶ変わってきている。それで領海という問題を中心にして考えるというと、日本も相当主張する点がある。たとえば池田内閣が主張するように、北方の領土というものは、歯舞、色丹、国後、択捉というところまで日本の領土であるということを主張するならば、やはり歯舞、色丹、国後、択捉におけるところの領海はかりに日本の主張が六海里とするならば、その六海里内においては当然われわれとしては漁業ができるはずだ、こういうことも主張しておる。現実の問題はどうであろうとも、日本側の権益の主張だけはあくまでも主張していかなければならないと思うのでありますが、第一、領海の問題に関しまして河野さんのお考えを承っておきたいと思います。
  161. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私前回参りまして漁業協定をいたしました際にも、その領海の問題で双方の主張が違いまして、非常に苦慮いたしました。しかし前回にはわがほうは今お話しのとおり三海里、先方は十二海里、この問題には触れずに一つしかるべくということで妥協して帰った。私はそのことも問題でございますけれども、そのこと自体よりも、結論を鮭鱒の漁業を、どういうふうにして漁族の保護をしつつ、円満のうちに両国が理解の上に立って漁業ができるかということが最終の目的でございますので、最終の目的を達成するために、その経過におきましては、両国の国交に支障のないように理解ある協力を得つつ妥結をいたして参りたい、こう思っているのでございますが、もちろん今お話しのとおり禁止区域を拡大する、しからば日本沿岸の領海はどうかという問題に入るその前で双方の話し合いをつけたい。日本の領海三海里のところまでソ連が監視していいじゃないか、お前は十海里だから十二海里まではいいけれども、十二海里より中に入っては困るということまで、入ること自体が私は今回の交渉に適当でない。その一歩前で問題の解決を得たい、こう考えておるのでございます。
  162. 千田正

    ○千田正君 そうしますと、これは河野さんも、私もそういうふうに考えるのですが、そうなるというと、やはり自主規制ということが課題の最終決定の問題になると思うのであります。自主規制ということになりますというと、日本の今までとってきた問題に対してのかつて河野さんが大臣のころ、船団の拡大もありましたし、増船もありましたのですが、この際思い切って自主規制ということで向こう側も納得され、日本側もそれによって一応の解決をするとなれば、国内におけるところの自主規制に対する調整ということに対する見通しが十分おつきのことと思いますが、その点はどうでございますか。
  163. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は、自主規制によって双方の了解が得られるならば、わが国内における漁業者につきましては、あくまでも積極的に御協力を願わなければならぬと考えるものでございまして、国内の問題は国際的の問題に比べますれば、わが政府として当然なさなければならないことであると考えております。
  164. 千田正

    ○千田正君 そこでその面でありまするが、いろいろな点において農林大臣の御説得がきいて、ある程度協力されるようでありますが、ただ漁業の転換の面におきまして、たとえば、カツオ、マグロの漁業に対しての許可をもらって、そのほうに転換したい、こういう面もあるし、カツオ・マグロのほうでは今でさえも満限の状態にあるのに、サケ・マスの漁船の自主規制に基づくところの国内調整のあおりを食ってわれわれにしわ寄せされるのはごめんだ、こういうことであまり協力しそうにないようにもわれわれは考えるのですが、その点は十分御了解できるようなところまでいっているのでございますか。
  165. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は自主規制の場合におきましては、第一に相互援助という立場におきまして、規制される漁業者については、出漁される諸君から十二分の補償といいますか報償といいますかをなすべきである、これが第一であります。第二にはさらにこれらの諸君に対して、他にかわるべき漁業という場合に、必要といたしますならば、マグロ・カツオ等について考慮する必要がある。これについてマグロ業者等が非常に反対をしておられます。しかし、これらの諸君も、現にマグロ漁船が飽和状態にあるとは考えられません。といいますことは、御承知のとおり、マグロ漁船について一トン当たりあれだけの権利がついているということは、そのこと自体がまだマグロ漁業について非常に有利である。有望であるということを示唆するものであると思います。また対米マグロ輸出の問題につきましても、まだまだ私は努力によっては可能ではなかろうかと考えております。したがって、マグロ漁業の将来については、なお検討の余地があると考えるものでございます。これらはいずれも国内の水産行政の面におきまして、お互いに相助け合いつつ結論を得るということに努力すべきであって、これの国際問題をまず先決問題として妥結した上で、国内的な問題についてはそれぞれ相理解協力のもとに円満に私はいくように期待をいたしたいと考えております。
  166. 千田正

    ○千田正君 私はこの前河野さんが農林大臣のとき私も要請したと思いますが、そういう転換の場合において、たとえば太平洋に面するばかりでなく、インド洋であるとか、あるいは南米の西方とか、そういうほうに新しい漁場があるのであって、そういう方面に進出する方法ですね。たとえば、ニュージーランドとか豪州とか、日本のカツオ・マグロ業者は非常に優秀だ、だから日本の漁業と相提携して漁業をやりたい、こういう希望の国が相当われわれ海外を回って歩いているというと、そういう声を聞くのですね。それからそういう方面に進出するチャンスもあるのじゃないか。一方国内においては外国に日本の漁船が行ってマグロや何かとっていくというと、外国の経済には相当潤うけれども、外国はそれをカン詰か何かにして国際市場に売り出す。日本のカン詰はそのあおりを食ってせっかく開拓した市場というものは萎縮してしまう、こういうことであまり業者問においてはそういうことを喜ばない点もあるやに承っておりますが、そういうような面における転換方法については農林大臣はお考えありませんか。
  167. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) お話しのとおりの現状であると私も考えておりますが、それらは十分検討いたしまして、お互いに先ほど申しましたように理解のある協力を願うようにいたしたいと考えております。
  168. 千田正

    ○千田正君 一昨日以来最近にない非常に世界的に問題になってきましたのは、太平洋上においてアメリカが大気圏内の核実験を行なう、この問題は非常に大きなショックとして国際的に伝えられております。そこで、一番日本としては戦争を契機としまして、国民として最もいやな、そうして最も悲しい思い出のあるのはこの原子爆弾によるところの日本国民の被害である。その後においては御承知のとおりのビキニ海域におけるところの原子爆弾の実験、これに基づくところの死の灰によって日本の漁業の業者が非常な打撃をこうむった。あのときには当委員会におきましては、岡崎外務大臣と相当委員会の諸君が猛烈にこの問題に対してアメリカ側に交渉を要請したのであります。今度におきましても、大気圏内における実験はどの程度の被害を及ぼすかわかりませんけれども、日本政府としては、当然アメリカ側にその賠償その他に対して要求しておるようでありますが、一番私は影響するのはおそらく日本の水産業だろうと思うのであります。あるいは一定の期間内におけるところの航行を遮断され、あるいは操業を遮断され、さらにまた今度の場合においては死の灰が探海に沈んでいった場合におけるところの魚介類というものはその影響を大きくこうむる。また、それを漁獲した場合においての影響というのは相当大きい。そういうふうに伝えられておる今日におきまして、日本の水産業のこうむる問題は単に原子爆弾を被爆したというばかりでなく、その余贏をもって非常な影響があると思うのでありますが、この問題につきましては、農林大臣としてどういうふうにお考えになられ、またどういうふうに処置されようとする御所存でありますか、その点を承っておきたいと思います。
  169. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) お話のとおりでございまして、私といたしましては、外務省を通じて損害があった場合にはこの損害請求をするというとを十分準備をしてもらっておるわけでございまして、アメリカに対しましても、損害があった場合には損害請求をするからということを留保してこの反対をいたしておるというのが現状でございまます。
  170. 千田正

    ○千田正君 すでにそういう手を打っておられると思うのでありますが、損害を予想される内容につきましては、たとえばこの前の久保山君のような場合のように直接に死亡するというような問題もありましょうし、また全然もう操業ができない、今度の場合は相当高度の核実験と思いますので、その影響も非常に大きい。そうなりますというと、おらく半年や一年ぐらいはとうてい漁獲したものが市場に販売の可能性がない、こういうことを伝えられておるのですが、損害の要求という問題に対しては、そういう問題を含んで当然要求しておられると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  171. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) かわりまして私からお答えいたします。被害の問題でございますが、先生御質問になりましたような直接被害のほかに、いろんな、漁場に行けなかった、あるいは遠回りしたという問題、またおっしゃいましたように魚価にどういうふうに影響するか、この前はだいぶ廃棄処分等をいたしたことがございましたので、そういったようなことになりますかどうか、これは今後のことでございますのではっきりわかりませんが、日本側としましては、直接被害のほかに間接被害につきましても、これは損害賠償というような形で強く向こうに要求しようというような考え方を今持っております。
  172. 千田正

    ○千田正君 国内においてはそういう処置である程度できると思いますが、一番影響を及ぼすものは、日本のいわゆるマグロやなんかの輸出の問題であります。たとえばそうしたような時期において捕獲されたマグロをカン詰にする、冷凍にする、そういうものをアメリカ向きなりあるいは国際市場に売り出した場合、日本のカツオ、マグロ業者がとってきたマグロというものは原子爆弾の影響を及ぼしたマグロなんだから食う必要はない、食わないほうがいいんだ、あぶないぞと、さなきだに日本の冷凍マグロあるいはカン詰類をアメリカ側がドル防衛の一つの課題として、日本のそういうものに対してできるだけ入れないようにしようとする宣伝さえも行なわれておる今日において、こういう影響は相当ひどいと思う。そういう点に対する、PRに対する御準備もできておるかどうか、その点はどうでございましょうか。
  173. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは実は将来の問題でございますので、どの程度に影響があるかということにつきまして、今、今日の段階で判断いたしかねる問題がございます。実はゆうべもらった、外務省に来ました通告でも、内容について詳細に、これは、どの程度の被害が起きるか、ビキニのときは実は水中爆発をやりまして、いろいろサンゴ礁なんかに放射がついたということがございますが、昨日のはそういうことではないらしいんでございますが、これから出ます被害がどういうことになるかということは、現在実はまだ判断いたしかねます。そういうことからきますカン詰あるいは冷凍のマグロの輸出問題等につきましては、これは市場が大部分がアメリカでございます。また原爆の実験をしているのもアメリカでございますので、その辺のところにつきましては私どもとしましても、特に被害を与えたという国と輸入するという国は一緒でございますので、その辺のことにつきましては、ある程度私どもは力強く輸入問題等につきましては、日本側としてPRをするなり、もしもそういうことを理由にして数量を減らすというようなことがございましたら、これはやかましく言って、そういうことのないように努めたいと思っております。
  174. 千田正

    ○千田正君 もう一点、この十五日、アラスカにおいて日本のニシン漁船が拿捕された。領海侵犯という理由のもとに拿捕されておりますが、ここ数十年来アメリカあるいはカナダあるいはアラスカの沖合いで日本の漁船が拿捕されるということは、おそらく起きておらない。今度初めてのようであります。そこで先ほども私は領海の問題を持ち出したのはそういう理由もあるのであります。一体これは領海侵犯なのか、そうじゃないのか、アメリカの考え方はどうか知らぬけれども、こういうことがしょっちゅう、これから国際的な問題になって起きるとするならば、これは日本の水産の立場から考えましても、領海というものの考え方、それからその操業に対するところの注意なり、あるいは相手方に対する了解なりというものは相当必要になってくると思う。そこでこのアラスカにおけるところの日本船の拿捕問題について、水産庁なり農林大臣としてのお考えはどうでございましょうか。
  175. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私から先にお答えいたします。アラスカで拿捕されましたのは、これはまき網で、実はあそこのニシン、カズノコというようなものを目的にして出漁したわけでございます。先生も御承知のようにブリストルのほうにはカニでございますとか、トロールが出ておるのでございますが、アラスカの南につきましては今まで出ておりません。しかし、これは日米加漁業条約上当然出られる地域でございますので、実は昨年の暮れから初めて母船式のトロールを出しまして、そのときにはアメリカの科学者も乗せる、どういうふうにそれが影響するかということがございましたのでアメリカの科学者も乗せましてアラスカの南に出漁したわけでございます。今度は、まき網の問題は二度目でございますが、今わかっておりますことは、向こうは、一つはきんちゃく網の小さい火舟が領海侵犯をした、三海里以内に入ったということを一つ理由にしております。もう一つは、あそこのコーディアクとアラスカ半島の間のシェリコフという海峡がございますが、ここは領水だということをアラスカ州が実はいっておるのでございます。そして三海里をこえたところで一つの火舟が拿捕されております。で、日本政府としましては、これは火舟がはたして領海侵犯したのかどうかということを、いろいろ今大使館を通じまして調査をいたしております。もう一つは、はっきりと、三海里の外でございますので、これは照会するまでもなく事実がはっきりしております。でありますので、日本政府としましては、また水産庁としましては、大使館を通じました事実の調査がわかり次第、あやまるべきものがあったら、私はこれは率直にあやまったらいい。ただ、三海里以外で拿捕されたというようなことにつきましては、これは厳重に私は抗議をする。また、今後におきましても領海の問題、いろいろ解釈の問題がございますが、私どもは、アメリカ政府は三海里説をとっているというふうに考えておりますので、これはアメリカと十分話し合いもいたしますが、アラスカの南等につきましては、いろいろその他の、アメリカが利用していない資源もございますので、日本政府としてはもう少し向こうと今度の事件を契機としまして話し合った上で、やはり条約上認められるところには堂々と出ていって操業するというような態度を続けたいと思っております。
  176. 千田正

    ○千田正君 領海と同時に漁業専管区域というのがありますね。これも、領海とする場合には具体的に認められるのかどうか、漁業をやる場合に。  それから河野農林大臣にお伺いするのですが、従来ソ連側は、日本に禁止区域であるとかあるいは規制だとかいろいろなことを要請するのでありまするが、ソ連の一体国内あるいはソ連の沿岸で実際のサケ、マスの孵化状況であるとかあるいは現実に操業する状態ということに対しては、日本側はやり相互条約に基づいて堂々と向うにもその区域において、日本の係官も乗船し、あるいは調査団も行って自由にそれが調査できる状態になっているのですか。その点は今まではなはだ不明であった。場合によっては農林水産委員会委員諸君の人たちがどしどし行ってお互いに調査する必要もあるだろうし、そういう私は、どうもソ連側は一方的に日本側だけしかしらぬということをいって、ソ連の領海なりあるいは沿岸なりにおけるところのサケ、マスの育成状況なりあるいは操業状況なりというものに対してはどうもあまり日本側の行くことを歓迎しないような状況であったのでありますが、今度はこの機会にそういうことも強く主張する必要があるのではないか、その点において今度おいでになりますところの河野農林大臣のお考えはどうでありますか、その点伺いたい。
  177. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先に私からお答えいたします。今、先生のおっしゃいました領海の外に、漁業管轄権というものを認めた海域で漁業ができるのかどうかというお話でございますが、これは国際法上まだ実は定説がございません。最近よく言われておりますのは、領海を六海里にして、そのほかに六海里の漁業管轄権を持った水域を作るというようなことが国際法の海法学会等ではだいぶ議論が出たわけでございますが、世界の定説にまだなっているわけではございません。御承知のように、李承晩ラインのようなものがあったり、南米等でございますと、相当広いところの水域を作って、金を出したら入れるというようなことをやっているところが中南米ではございます。いろいろございまして、アメリカはまだそういうことで、領海の外に漁業管轄権を持った水域として定めるというようなことを現在はやっておりません。やっておりませんので、ブリストル等におきましてはそういうことなしに今まで日本のカニ、底びき等が操業している。ソ連の問題は、大臣がおいでになる問題は別にしまして、過去のことを申し上げますと、確かに先生のおっしゃいましたように、十分向こうの沿岸の地域を見せてくれないことがございました。高碕代表等も今度の交渉でも、そういうことがないようにということを今強く向こうに申し入れておられます。
  178. 千田正

    ○千田正君 漁業問題はそれだけにしまして、最後に一点だけ伺いますが、先ほど天田委員からもお話がありましたが、乳価の問題は、農林省としましても、一応の農林省としての乳価の暫定処置はやっておるようであります。私は一番心配するのは、この十月以降、自由貿易化した場合におけるところの酪農政策というものはある程度転換しなければならない、ある程度別な意味において保護政策を強化しなければならない、こういう考えに立って私はお伺いするのでありますが、今度農林大臣はソ連にいらっしゃるついでといっては失礼でありますけれども、もし時間があるならば、共同市場の実態、特に農業に及ぼすところの実態を見てきていただきたい。そうしてまたこの十月以降におけるところの自由貿易化による日本の国内におけるところの酪農政策というものに対する影響というものは非常に私は考うべき問題があるのじゃないか。現在のところ、先ほどからも農林大臣は、どうも対策が今のところすぐ見つからぬ、こうおっしゃるけれども、実際米麦から転換して酪農に切りかえた諸君にとっては、これはもう命取りの問題でありますので、農林大臣としての、十月以降のそうした問題に対する保護政策を強化する御意思があるかどうか。と同時に、はなはだ恐縮ですけれども、ついでと言っては失礼でありますが、せっかくソ連までいらっしゃるのですから、あのすぐそばでありますから、できれば共同市場の実際というものをごらん下さって、日本における国内政治に反映するようにお願いしたいと思います。質問と要請をかねてお伺いしまして、私のあれを終わりたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  179. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は、十月になりまして貿易が自由化いたしましても、今すでに決定しておりまするもの以上に自由化をするというつくりはございません。したがって、酪農その他につきまして、準備もしくは影響のある、予見されますものについて自由化する意思は持っておりません。ただしかし、これはなるべくこれらについて所要の施設もしくは十分に欧米のそれと競争力の出る酪農というものをわが国内にも奨励ができる日の一日もすみやかならんことを期待し、それに必要な施策を講ずることが必要であると考えております。いずれにしても競争力のないものに自由の時代をこれにかぶせるというようなことは考えておりません。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 小笠原君が質問があるということだから、僕はごく簡単に、実は大臣が来られたのを幸いにお伺いしたいと思ったことは、機械化促進法をやっております際に、だんだんと大型機械やいろいろの耕作上の技術の振興と一緒に機械作業を進めようとする。この場合に、自立経営という形では、この機械化促進でやる深耕機械、大型機械というよなものを作ってやっていけないのではないか、そういう点において、今の基本法を中心にした自立経営考え方、それ自身は悪いとは言いませんが、経営の体系がもっと別に変わって、いま少し協業とかあるいはわれわれの言う共同という形に変わらなければならぬのではないか、もっとそれをはっきり打ち出すことがいいのじゃないか、こういう私は考えを持つのです。三十七年度における、六年度の報告を受けて実施計画ですか、こういう農林省の農業改善のところを見ますと、これは、これからあとの二法案の審議の際に局長にぜひお伺いしたいと思いますが、やはりこの点でも、その点がはっきり出ておらない、しかし、よく見ますと、農業の耕地の集団化、技術の高度化、というようなことで、集団化するにはどうしたらいいか、高度のものを使うにはどうするか、そうして機械化、近代化と、こういう形が出ておるんです。そういう点において、基本法に定められた自立経営というものをもうここらで自民党はたいていがんばることをやめて、やはり一本化する、こういう方向のほうがいいのだ、このくらいのことを出さなくては、非常にまずいんじゃないかと思っておる。今度の二法案を見てみましても、自立農家を作るために農地の流動化をはかった信託制度を云々する、こうなっておる。片方のほうから見ますとそうじゃない、実際問題として、まああれはどういう形に、われわれは知らないんだ、そうするにはいろいろ関係者は知っておりますけれども、荷役地区の指定地区を作ったり、あるいは九十二のパイロット地区を作って、そうしてこれをもって集団化、近代化、高度化、こうなっておる。それと、その中ででき上がろうとする、自立的に盛り上がっていく法人化ですね、いろいろの法人の形で一つの集団的のものをやっていこうとする、これは提案説明にもありますとおり、意欲的に持っていく場合に自然一つの労働力というものが流れていく、その自然的な不足を補うためにできていく、こういう二つの要因もあるんだ、あなた方が指摘せられるとおりなんです。そういう中で、旧来の解釈だけの私は自立農家という考え方をあまり強く打ち出されることはどうもおかしいじゃないか。あなた方が指導していくのは、一本の形として持っていくのがほんとうじゃないか、こういう考えを持ちまして、機械化促進法のときも、これから以上の問題は大臣が来なければちょっと話ができません、こう言っておいたのですが、この点をひとつ簡単に。  それからいま一つは、この時間を食い込むと悪いのですが、私は四時半に他に行かなければならぬので、今一つ言いますが、その価格安定法というようなもので、まあ畜産振興事業団、あるいは養蚕事業団、あるいはもっと前にできましたものは繭糸価安定法、それから昨年われわれがやりました魚価安定法、あるいは調整法、こういうものを作りまして、いろいろやりましてもなかなかうまくいっておらない、これは大臣として再検討が必要じゃないか。なぜかといったら、三十二年のあの大騒ぎが起きまして、こういう安定法がありましても、結局大臣がせられるそのとおりが、三十二年十二月二十九日は千円の繭にたたかれてしまった、そうして国は二百五十億の金を出して、それで損がいったか得がいったか知りませんけれども、その後ずっと上がってきておる。翌年からずっと上がってきておる。今日二十八万円だ。安定法は何をしておるのかということを聞きたいのです。しかも価格をきめましたのは、その業者が中心になってきめているのです。きめたのは二十三万から十四万じゃなかったですか、非常に開きの強い安定帯価格をきめて、二十二万にきめて今日二十八万円、その値上がりで、私非公式で聞きますると、群馬や埼玉では、今まで養蚕では持たぬから、これを切りかえて他の農作物にするというのをそれをやめて、また養蚕に返るという、こんなばかな安定法では僕は問題にならぬと思う。初め出発するときは三十億、たしか三十二億の年に二十億増して安定資金が五十億あると思う。何ら価値なくして二十八万、何かいろいろな関係資料を見て参りますれば、これがために輸出の程度がとまっておるという、ほとんど思惑で、わずかな市場で、何か、市場に何があるかそれはわかりませんが、そういうものが中心になって、ただぽかぽか値を上げておる、こういう安定物ができ上がっておりますが、これは問題にならぬと思うのです。だから私は、幸いにこの畜産振興事業団が今買っておりまして、それで幾らかおさまったといいますけれども、これがもっと急激な下げになりましたならば、私は決してこれだけでは形はできないと思う。できないと思うのです。だから、何とかそういう安定帯を作る、買い上げ法人事業団というものは何とか考えていただかぬと、私は問題にならないと思う。大臣、これはどう思います。みんなしくじっておる。昨年作った魚価安定法、大衆魚のですよ、漁業調整法、二つ作って今度は千葉産、岩手、青森でもって問題になるがごとき政府指導でこうなったのなじゃいか、この欠損をどうしてくれるか。詳しいことは知りませんが、はたしてその二法律がいいか悪いか別にしまして、そういう実情にある農産物の価格安定ということに対する今のいろいろな法律的な施策に対して農林大臣はどうお考えになっているか。同時に、二十八万円に対してはどういう手を打たれるか、これは重大な問題だと思うのです。
  181. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) たびたび御指摘のありましたとおりに、農産物の価格安定の問題は、農業政策の一番現在では基本に関する問題でございます。しかし、さればと申しまして、この点をよくいたしている各国があるかということになりますと、なかなか私はその点をよくいたしていない。たとえばアメリカのような、あれだけの強力な国家、豊富な財政をもってしましても、買うものは買うが、あと余剰農産物で非常に困る、その影響が各地に、各所に現われてくるというようなことでございまして、わが国の財政をもってよく農産物の価格安定をすることができるかということになりますと、ただ財政や政府方針だけでは、これは可能でないと私は思うのでございます。そういう意味からいたしまして、できるだけ人為を尽くしまして、需給の見通しを立てまして、そうしてその需給の見通しに合うように生産の奨励をして参ることが必要であろう、こう思うのでございます。今繭の、養蚕の点についてお話がございましたが、私ははなはだ御無礼な申し分でございますが、戦前のように、全養連にいたしましても、あれだけの農民御自身の団結があり、これに対する指導性がありましたならば、まだ私は三十二年の問題についても打つべき手があったろうと思うのでございます。しかし、今日養蚕関係の団体、もしくは養蚕関係のすべての機関、いずれも何と申しますか、時代がたっております、したがって、構成する人についても、やや私はその感がないのではないかと思うのであります。したがって、一たびああいう事態に当面いたしますと、全く壊滅してしますというようなことになりましたことは、非常に遺憾でございます。そこで、それにこりて、十四万円、二十何万円という程度に値段が思考されておりますことも、私は適当でないと実は思うのでございます。なぜかと思しますならば、一般の農産物の中において、養蚕につきましても、私は成長農業一つとして、これを奨励すべきものにしていかなければならないと思うのでございます。そうした場合に、一体養蚕は原価をどの程度に安定させることが必要か、それから逆算して参りまして、これに従事する農家の方々の一人当たりの手間賃がどれくらいになるようにしなければならないかということから勘案いたしまして、おおむねこれに働く者の手間賃が一日千円、千円から計算して積み上げて参りまして、まず二十万から二十四万円までのところに安定させることが必要ではなかろうか、こう思うのでございます。で、しかし、これに対して、今当面安定いたしておりますので、まだ幾らか上回っておりますが、実は今年度といたしましては、私どもといたしましても大体共同圃場の道を講じて、そうして資金を共同して確保して、そうして買い方が十分に資金の面において困らないようにしょう、この点をまず拡充しておこう、そうして次の問題については、第二段に考えて、養蚕の問題についてはいこうということで、今年度の蚕糸政策は、今申し上げましたように、共同圃場だけで私はとめておきまして、しかし、今御指摘のようなことにつきましても、消費に見合う生産ということで奨励をして参ることが基本であるということを考えております。消費と申しますのは、世界の消費の傾向がどうあるかということを見なければならぬ、この世界の消費がどうであるかということについて、かねがね私は、日本において、世界の生糸の消費量に関する打合会を開こうじゃないかということを提案をいたしまして、アメリカにおいてもこの提案を私はいたしました。イタリアにおいてもいたしました。各国ともこれに対して共鳴をいたしております。したがって、できるならば、私はなるべくすみやかな機会に、私は大体三月ごろと見当をつけておりますが、三月ごろに、桑に硫安でも入れる前に、一体今年はどの程度の掃き立てをすることがいいだろうということの需給の見通しをつけて、その年の桑、繭というものの処理方法をまず政府として一応のめどを立てていくべきものだと考えておるのでございますが、来年からはぜひそういうことに手をつけたいと考えておるのでございますが、ことしは、今申し上げたとおりに、すでに御賛成を得ました予算、もしくは神戸と横浜にそれぞれの共同圃場協会を作らしまして、これはいずれももう近く発足する段取りにまで進んでいるわけでございます。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでね、何か二十八万円の値上がりについて緊急対策とらなきゃいかぬですね、それちょっと局長から。
  183. 立川宗保

    政府委員(立川宗保君) 最近は糸価水準が割合に堅調でありまして、大体二十三、四万円の水準で昨年からずっときたわけです。それで今のお話の二十八万円というやつでありますけれども、これは非常に短期間にとっぴな値段が取引所で出たわけです。昨日四月限の納会であったわけですけれども、おとといと昨日とこの二日間にかけて、急速な、いわば仕手が動きましてそれで異常にぱっと上がったわけです。で、異常な値段だと考えますので、昨日さっそく取引所の理事長を招致をいたしまして厳重な警告をいたしました。で、取引所としては、明日緊急理事会を開いて、対処する方法を協議することになっておりますが、本日すでに値段は相当下がってきております。
  184. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 私は、農地開発機械公団の運営のあり方について五、六分お尋ねしたいと思います。先刻安田委員から同公団の成績について御質問がありましたが、その事柄はこの委員会におきぎして今までたびたび繰り返されたことでございまして、その質問に対しての農林当局の御説明が納得できなかったので、今日重ねて安田さんは質問されたのじゃないかと思いますが、私も、この三十五年度の欠損が七千五百万だということについて納得できないところがありましたので、いただきました資料のうちの損益計算書を昭和三十年からずっと三十六年の予定まで拝見いたしました。ところが、この三十四年度には千八百万円の欠損でございますが、この年の事業量は七億五百万円になっております。ところが、翌三十五年の事業量は十億七千でありまして、欠損が七千五百万円、先ほど申したとおりであります。この三十五年の事業量の十億というものは、前年に比べて約四割の増加であります。この種の公団の事業として、一年に四割増しの成績を上げるという事柄は、これは大した成績だと思ったと同時に、それでありながらどうして前年に比べて六千万円の損失がふえたであろうかという点なんですがね。これはなお調べてみましたところが、結局ですね、三十四年年度の機械償却が三億四千万円に対して、三十五年度の機械償却が三億で、六千万円償却がふえているわけです。ちょうどそれに偶然ぶつかる金額がまたその損失としてふえているわけです。はなはだおかしく思いましたけれども、このいただきました資料によっての解明は私としては不可能でありました。ところで、考えますに、この償却を三億するといったような事柄は、この公団の機械の保有量の一割二、三分になるわけです。全体、機械の償却を一割ないし一割二、三分するといったようなことがこれは適当かどうかということがわからないわけであります。もちろん公団のことですから償却規定があってそれでやっているわけでしょうから間違いはないでしょうけれども、別の資料によりますというと、全然使わない機械も相当ある。また稼働の日数の非常に少ないものがある。そんなに機械は傷んでないはずのものが相当あるのじゃないか。それでいて一割二分も一割三分も償却をしなきゃならぬという償却の規定というものが適当かどうかということに疑問を持っておるのであります。悪いことを邪推することになりますけれども、機械のある部分を払い下げするという下心を持っている人があって、故意に帳簿価額をその部分に対して落としているというようなことがあるのかしらぬといったようなことまで考えるほどこの償却率の高いのに驚いたところであります。  そこで、大臣にお尋ねしたい事柄はですね、この公団についてはいろいろないきさつの御説明もありましたが、従来のいきさつは何であろうとも、農基法が発動してくる、地盤の整備が始まる、土地の改良が始まると、農地の造成が始まるということになればですね、この機械公団というものは大いに活用して、所有している機械はフルに動かすという方向へ持っていくべきものではあるまいか。ついてはですね、お尋ねしたいのは、この公団の業務規定を再検討してもらって、改める点はないであろうかどうか、それからこの機械の償却規定というものを、これも再検討の余地があるのではないか。それで、この公団の成績が欠損にしろ利益が出たにしろ、直ちにわれわれが資料によって事業の内容がわかる、それから損益のよって起こる理由がわかるといったようなところまでですね、見直しといいますか、再検討と申しますか、そういうところに手をつけて考え直してもらうという御意思はありませんかどうかということをお伺いするわけであります。
  185. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点ごもっともに考える点が多いと思います。十分注意いたしまして今後の運営につきましては遺憾なきを期したいと考えます。  ただ一点申し上げておきたいと思いますことは、先ほども申し上げましたとおりに、私は日本に数ある公団の中で、政府が一文の出資もしていなければ一厘の補助もしていない公団、そして役目だけは相当なことをやらした公団というものはこれ以外にないと思います。役員もこれはお前やれ、お前やれとやらすことはみんなやらしておいて、スタートするとき何を一体政府がしたかといえば、公団という名前と、アメリカから借金して機械買ってきなさいというこの二つだけです。しかも私は今から振り返って考えますと、当時アメリカばやりであった。大規模な機械を入れたら非常に大きな仕事ができるという時代であった。それで大規模の開墾をやるためには大規模の機械をアメリカから買ってこなければいかぬというような、今でいえばムードであったと思うわけであります。ですから景気をつけてアメリカから借金をして安い金利で機械を買ってきて高い機械を貸すんだから、そこで利益が出るから、それで年賦で払っていけば、ちゃんとうまくいくんだからという、初め計算でスタートをしたということでございます。したがって、政府のほうも金でも出してあればもっと厳重に監督したかもしれないと思います。しかしとにかく返すものはどうにか返しながらある程度返したけれども、あとに借金が残っちゃったと、こういうことだろうと思うのであります。で、機械も今言うとおり、もっと日本に向くような機械をちゃんと買ってくればよかったかもしれないと思います。今お話のとおりだれがやらしたとおっしゃれば、私がまさにそのときの責任者であることは間違いありませんが、できてすぐ私はやめてしまった。やめてしまったが、これは私はその当時いやだいやだと盛んに抵抗したのです、やることに。それで、したがって予算もできちゃって、そして政府から出資をするのにも予算ができ上がっているから政府出資するものもない。とにかく法律でもって機械公団を作って、それでアメリカから金借りて機械買ってきて大規模開墾をやればいいじゃないか、これで東北、北海道が助かるんなら何でもやろうということで、それじゃ仕方がありませんからやりますといことでやって、まことに私は申しわけないと思います。事実はそのとおりです、今記憶を振り返って考えますと。で、しかしそうであるからこれでいいんだというわけじゃございません。結果において一億何千万円の赤字が出ておるということはまことに遺憾千万でございますけれども、今後の運営にっきましては、今回これだけの改組をし、今後は十分に準備と用意の上に立って出発をする、またお話のとおりこれが日本の機械開墾の土地造成の中心部になるべきものでございますから、今までの経験等も生かしまして、再びあやまちのないように指導して参りたいと考えるものであります。
  186. 植垣弥一郎

    植垣弥一郎君 大臣のお話よくわかりました。なるほど今一億以上の欠損を出しておりますが、三十年の事業開始以来、政府から金をちょっとも出してもらわないでいて、最近の三カ年間だけでも七億五千万円の償却をしています。よくこういう勇敢な決算ができたのかしらんと思うくらいでありまして、大臣の今の言葉はよくわかります。  それで先ほどなお検討という中に申し上げるのが抜けておったようですが、現在使用していない機械がありますが、これはそれを受け入れてそれを利用して開墾をするという地帯が日本にはないのかどうか、それも調べてもらいたい。それは返事もらわぬでもいいですよ。  それからもう一つは、それを使わないでいるのは希望者がないのか、操縦する技術者がいないのかということもこの資料じゃわからない。  それからもう一つ、先ほどお話がありましたが、実際機械の稼働する時間の三〇%、二〇%といったような稼働率のものが相当あるから、こういうものも使い道を探すとか、指導するとかすれば、それを借りたいという志望者があるんじゃないかと思いますが、そんなところはぬかりなく御調査のことと思いますけれども、念のためにそういう方面もあわせて検討していただきまして、三十七年度の事業計画に現われている結果が三十七年度末には現われますように御期待申し上げまして質問を終わります。
  187. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に回ったので時間がないようですが、一つ委員長、弾力性を持たれてお願いしますし、大臣もまたすわったままで時間がないからぽんぽんとお答え願います。絶対私怒りませんから……。  それで六つ伺いたいのです。一つはまず今回訪ソせられるということ非常に困難な情勢の中で取りきめを得るためにわざわざ訪ソされるということは、まことに御苦労でありますし、われわれとしましても満腔の敬意を表します。それで先般の閣議了解とかで、出先から請訓を仰ぐことなしに河野農林大臣に取りきめの一切が一任せられるというやの取りきめであったようでありますが、そうであればあるほど、大臣の職責まことに重大だと思います。したがって国民の立場で国会である程度の輪郭についてはお伺いしなければならぬと思います。  この規制区域の問題で難航しておられるということですが、例年ですと、漁獲量幾ら幾らを主張するということが一本立っておって、そうして規制区域についてはその緩和なり排除方を要請するという姿勢でおったのですが、今年は日本側の漁獲量の主張というものは、どれだけにお考えになられて高碕さんのほうに渡してあるのですか。
  188. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、高碕君が出発いたします前に、今年度の漁獲量についてはわがほうの主張につきましては打ち合わせをいたして参っております。参っておりますが、ただいまお話しのとおりに、ソ連側からは漁獲量の点については一切触れて参っておりません。むしろ高碕君の報告によりますと、規制区域の問題のほかに一歩もソ連が入らぬということははなはだ遺憾であるから、わがほうから漁獲量の点について懇談をしてみたけれども、相手はこれに乗ってこないということを言うてきております。しかし、それは幾らという提案をしたかということは報告を受けておりません。したがって今ここで申し上げかねますが……。
  189. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 申し上げかねるといいますがね。例年これは秘匿されるべきものでなくて、事前に国民の側に了解せられ、そうしてそのことの増減いかんによって出漁船の漁獲割当というものが大体どうなるということでいろいろ取捨あんばいしておったと思う。本年だけはちっともこのことがどこにも知らされない、何かそれは理由があるのですか。
  190. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) そうでございません。例年同じようなことをやっております。
  191. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではまあ次に移りますが、高碕さんのほうの請訓があるかないかは、ともかくとして、出先での情報ですと、漁業条約の改定にまで話を進めなければ問題解決しないような情報も流れておりますが、今回おいでになる場合に、条約の改定の調印なり、あるいはそれらを前提とする約束等まで踏み込んでやらなければ、その他の重要決定がなされないという状況下では、それも一任されておるわけですか。
  192. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 規制区域は条約の中に入っております。したがって、今条約の内容の改定という言葉が使われておるかもしれません。しかしそれは規制区域の拡張という問題だと私心得ております。それが、昨年取りきめをいたしました七万トンが、実際の漁獲量が九万トン以上に上がりましたために、ソ連側から非常に強い不満が表明されております。その結果、ソ連側として規制区域をまず決定しないうちは、漁獲量をきめても“仕方がないじゃないかというソ連側の主張にも私理由があると思います。これにも聞くべき理由がある。しかし、私はそうであるから、わがほうとしても二割の減船、自主規制を行なって再び去年のようなことのないように、自主規制をしておるんだ。だからこれについて理解してくれというわがほうの主張を強くいたしておるのが現在の状態でございます。
  193. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで区域内一割、区域外二割の減船ということは、漁獲量をそれだけ減らすのだという建前の根拠の減船ですか。
  194. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) さようでございます。
  195. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからもう一つ、高碕さんや河野さんでなければ、漁業問題は日本で解決する適任者はない。これは衆目の一致するところだと思うのですが、そうしてざっくばらんな話し合いを今までなさったことが、公式、非公式に多々あると思うのですが、先般ミコヤン氏が日本に参りました場合に、この漁業問題と申しますか、北方領土問題で非公式にでも総理なり閣員と話し合いをしたいという希望を持ってきたのですか。あるいはこれらについて河野大臣に触れられた事実がありますか。われわれの情報ですと、そういうものがあったように聞くのですが、いかがですか。
  196. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 今お話のように、具体的に漁業問題とか領土問題とかいうような指摘はございません。指摘はなしに、一ぺん日ソ間の問題について総理とミコヤン氏と、ひとつひざをまじえて話をしてみたいものだと思うがという話が高碕君との間にかわされたことを私は承知しております。
  197. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、例年、資源保護の観点からの共同調査とか、客観的な資料によって漁獲量を決定するとか、なかなか議論のある話はしておりますが、背景としては、この領土問題なり、あるいは片寄らざるソ連と日本側の友好関係を深めるというそういう前提、意思の疎通がないとこの種の問題は根本的解決を見るのが困難だというような判断を大臣はお持ちになっておりませんか。
  198. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私は日ソ両国のために、あらゆる問題において国民感情が遊離するとか支障をきたすとかいうことのあることは適当でない。ことにわがほうといたしましては、北方漁業は非常にわが水産問題の中で重要な問題でございます。したがって、これを円満に円滑に遂行する上におきましても、なるべく双方の理解と協力の上に立って事業を遂行するようにいたしたいものだと考えております。そういう意味からいたしまして、たまたま昨年双方で取りきめました漁護量を超過して、そうしてわがほうが多少漁護量がふえ過ぎたという点に対して、ソ連側から強硬な抗議を受けておるのが今の段階でございまして、これは何というてもわがほうが悪かったから、再びそういうことのないという事実を示して相手方の理解を得るよりほかに方法はない、こう思うのでございます。それに対して私は最初から自主規制を思い切ってする。そうして相手方の了解してもらえるまで自主規制をすべきだという立場をとって今日まできたわけでございます。
  199. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう漁業問題はこれで終わりますが、業界のほうですね。四十八度以南の流し網の業界のほうで条件を出して、これをもう政府考えをのんだという発表の中に、漁業交渉の方法を改めて恒久策を立てることということですが、これはむろん政府責任においてのめると思うのですが、二番の漁業許可の期間を三カ年にするということについては、政府はこれに対してどういうお考えを持っておるか。
  200. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私はわが以南の業者がいろいろ条件を出しておりますけれども、その中で、できるだけの条件は相当協力して差し上げることが適当である。しかし、同じ日本の立場に立っておる、ことにこれらの業界の諸君のために、われわれはせっかく努力しているのでございます。したがって、これからは業界の諸君もおいでになるまでは、絶対、政府の言うことば圧制であるとか、めちゃであるとかおっしゃっておる人も、交渉の段階になってよくおわかりになっていただいたと思うのでございます。したがって、日ソ交渉の昨年決定どおりの七万トン前後であるならば、こういう事態に入らなかったということは、私は間違いない事実だと思うのでございます。してみれば、それらの点についても深く反省していただかなければならぬと思うのであります。だれもほかに悪いものはなかったのです。これらの諸君が取り過ぎたからこういう事態になったということは明瞭であります。したがって、これからのことについても、できるだけの御協力はいただきませんと、いかに政府が努力をいたしましても、これらの当事者の諸君の協力がなければ、政府が期待どおりの結果を上げることは困難であるというふうに私は思いますので、まず先方の理解と協力を得ることが大前提である。その前提を乗りこえて、次に私は国内の業者諸君の理解ある協力を得たい、こう考えております。
  201. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 半端ですけれども、時間がないから残念ですが、次に移って乳価の問題ですが、これは構造改善その他の理由はありますが、酪農振興、これは将来も希望多きものだ。しかし、現在、現在というか、これからもまた乳価問題が大きくほうはいとして起こってくる時期に差しかかっている。先ほど切り返されて同僚議員に対案があるならいい案を示せと開き直られたが、われわれしろうとでわからぬから、政府のたくさんのスタッフを持っているところで検討してもらいたいということで要望して申し上げたのですから、開き直ってきたって、私は何とも答弁のしょうがありませんから、そういう意味でお聞き取り願いたい。  同じ生産費がそう差がないのに、市乳県と原料乳県では非常に生産価格に格差がある。生まれた場所、経営する場所、百姓のいる場所が悪くて、同じ商売が成り立たないという、これはやはり何とか手直しをしてもらわなければならぬと思うのです。元安田畜産局長が来られたときに、私は明治なり、森永なり、雪印なり大きなメーカーとの間にそれが調整ができれば、他のところは自然これに乗ってくるだろう、ところが今度河野さんが、そんなことはできるものじゃないと鎧袖一触されたのですが、たとえば明治の問題を例にとっても、岩手県と山形県で明治が両方に入っております。これは同じ条件で集配費などは岩手県のほうがかからない。しかるに、おくれておった岩手が対等の立場になったら、山形のほうがぽんと上がって優位性を誇っている。全国的に見ると、伝統的にそういう価格形成の条件がある。これを切りくずさないと、これはとても原料乳県というものは拡大生産するということは望み得ない。構造改善ということはできないと思う。で、私は、小さな、市乳がどうこうというようなことを申し上げるのではないが、大網として、原料乳県と市乳県と一切の全国的な乳価というものがもう少しコンスタントになるようなものの考え方がないものかどうか。それは酪農振興等で中心工場を置いて団体交渉云々というておっても、やはり原料乳県は全国的に負けております。北海道、岩手、青森は最低であります。他が八十何円しておるときに、それら原料乳県がたった五十円そこそこというような、これでは農民は立っていかないと思うのです。根本的にこういう点を検討をしていただけないものかどうか。もう時間がないので、大臣の所見だけ承っておきます。
  202. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は私もずいぶん古くから生産者の立場に立って牛乳の販売を実際に行なった経験を持っておる一人でございますが、古くは昭和七、八年ごろから十年ごろに、いなかの畜産組合長をいたしておりまして、正常取引仕方によって明治と森永に分けて売ったことも、自分で組合長をして実際やった経験を持っております。ところが、翻って考えてみますると、生産者たる、決して、またあなたの怒るようなことになってはごかんべんいただきたいのですが、生産農民のほうに浮気心があってちっとも安定しない。ちょっとつり出されるとじきにふらふら、ふらふらと動きますので、今でも私はおそらく、栃木の那須にも牛を飼っておりますけれども……。
  203. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 動いておるのは市乳県です、原料乳県は確固たる精神でやっております。
  204. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) それは順次境目のほうに及んでいきますもんですから、これがどうかして今言うておるとおりに、お話のとおりに酪農組合が確固たるものができて、酪農組合が競争で販売するというようなところまでいけばけっこうですが、既存の酪農組合の中には、そこに先輩がおられますが、明治の作った酪農組合もあれば、森永の作った酪農組合もある。酪農組合そのものが明治と森永に指導されて作られておるものがあるというのが現状だと私は思うのです。また、北海道のように、あれだけの優位な場所でありながら、雪印の確固たる地盤ができてしまっておって、そしてこれはもうどうにもこうにもくずせない、生産農民自身が組合の中で喜んでおられるかおられないか知りませんが、私がやりました今から二十年前から、北海道の乳価は日本で一番安いが、あの協同組合でがっちと固まってどうにもならないというようなのが日本の現状であります。私はこの現状を決して満足するものではございません。何とかしなければいかぬと考えますけれども、今お話の点で飛躍できれば非常にけっこうでございます。けっこうでございますが、何分にもこの現状をどういう方向に打破していくことが一番いいのかということについては、なかなか問題があろうと思います。まず私は手始めに、どうか地方々々によって共同販売をするその乳価の決定は、できることならば県単位くらいでひとつ生産者と消費者の代表の間で取引がきめられて、その間でひとつ乳価が決定するところまでいきたいものだと、それには第三者が場合によっては介在してもけっこうだというところまでいきたいものだと考えておるものでございますが、なかなか内容をなすところの農家の諸君が、いやグリコが来たからどうだとか、いやカルピスが来たからどうだとかいうようなことで、しかも、牛乳それ自身が加工によりまして非常に高く売れるものがある。大多数のもの、大量のものは原料乳でいきますが、わずかな加工で非常に有利に売れるものがある。これが刺激してあっちこっちにトラブルが起こるというような問題がございますので、どういうところに持っていくことが一番いいか。法律規定していくとすれはどういう法律がいいか、ここ一、二年十分にひとついろいろなケースを勘案しつつ妥当な線に落ちつけることがいいのじゃないかと思っているわけでありますが、まずことしあたりは、今のように県単位程度においてひとつ団体交渉を行なって、それをひとつわれわれ政府のほうもそれに対してできるだけ御示唆を申し上げて、適切なところに乳価の決定をして取引を公正にしていくというところまではいきたいもんだと考えておるのが現在の私の心境でございます。
  205. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは全県一つになって団体交渉をしているのは岩手県、あなたのおっしゃるようにりっぱにできておる。それでものにならぬのです。なまもんですから、よその県に持っていくわけにいかぬのです、まあこれはお話しておると時間がたちますから、この問題は、農林当局として、構造改善その他の問題からいっても避けることのできない責任のある問題なんです。避けてはならないことなんです。時間がかかってもよい道を選んでもらわなければ、現状のとおり推移することは許されないと思うのです。十分御勘考を願いたいと思う。  次に砂糖の問題でありますが、この砂糖は、三月二十二日の新聞では、閣議了解がついたというので大臣の発表が出ております。それは輸入粗糖の政府管理案を今国会に出すというのです。まだ出ておらぬようですが、いつこれはお出しになるのですか。
  206. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私はぜひこの国会に法案を出して、今のような法の根拠のない超過利潤の吸収、吸い上げというような道はとりたくない。農林大臣の責任においてこれは絶対困るということを強く閣議に提案いたしまして、そしてこれを法案を作って出せということで、すでに農林省の内部におきましては、法案の制定をみております。これを通産、大蔵両省に提示して、両省の協力を得るべく今努力いたしております。ところが、大蔵省においてこれに難色があります。私は全部そのまま申し上げます。したがって、私は、お前のほうで難色があるならば、一切責任はお前さんのほうでとってくれ、おれはもうこの何かわけのわからぬ責任をとるのは困る、農林大臣として。だから責任の帰趨だけは明らかにしろ、閣内において責任の帰趨が明らかになれば、おれはそのとおり国会で答弁するからというので、大蔵当局にどこが悪いか、どこが協力できないかという点を明瞭にしてもらいたいというのが、今農林省と大蔵省の間で折衝の過程であります。通産省のほうは一応了承して賛成でございますということになっております。私は会期切迫いたしましたこの段階でまことに申しわけないと思いますが、現在の段階におきましては私たちの考えは少なくともことしの暮れの国会には甘味資源対策として抜本的なものを提案する準備を進めると、その問の一年間、一年間の暫定期限つきの法律でよろしいからということで大蔵省に提示いたしておりますが、大蔵当局がそういう金を食管会計に納めるということについて難色がございます。食管会計をそのために売りと買いの法律を出し直すということは、それについて自分のところでは異論がある、こういってなかなか同意いたしません。これが現在の状態でございまして、何とかして、変なことを申し上げて恐縮ですが、法案を出せば、社会党さんのほうはすぐ賛成してくれるということだから、最後の日でも間に合うのだから何とかしてくれということで、実は大蔵省に交渉しておりますが、現在の段階はそういうところで実はとまって、交渉中であるということが実相でございます。
  207. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 通産省は賛成したということでありますと、結局食管がこれをどうこうしようがしまいが、外資の割当による輸入という現行体制は、これは曲げない。すなわち粗糖については自由化は十月以降やらないと、こういう決定だと了承していいわけですね。
  208. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 現在は砂糖の輸入は十月に自由化するということにはなっておりません。今事務当局から聞きましたら、私は佐藤大臣との間に話をつけたのでありますが、事務当局、まだ完全に農林省案で全面的に賛成とは言いかねるということで、私ははっきりしておきます。言うことはそうでございますが、いずれにしましても、事態は今申し上げますように、私のほうは案を作って、そしてこれでいこうということにいたしておりますが、政府部内といたしましては、通産関係においては一部まだ未了解の点がある、大蔵関係におきましては、食管会計の予算の問題について、了解を得るに至っていないというのが現在の進行状態でございます。十月に自由化はいたしません。その間臨時国会、特別国会でもありますれば、私はなおたとえ短期間であっても、法律によってこの問題を処理することが適当であると考えて、これで決してやめるというつもりはございません。
  209. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 三十七年の上半期の超過利潤としてキロ当たり一円三十銭、これをまあ寄付を強要するということなんでしょうが、吐き出させる、こういうことを食糧庁のほうで決定を見たという新聞の発表があります。八億弱ですね、の金を。これはそのとおりですか。
  210. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) いいえ、そのとおりではございません。私のほうは、今申すような手段でいきたいということを考えておりまするので、その法律の出るまでの経過の資金につきましては、政府としても十分そろばんをはじいて、超過利潤を吐き出すべき基準が出て参らなければ適当でないと私は考えます。したがって、今その八億何かしという金は、民間のほうから超過利潤として提供しようという申し出があったのでございまして、政府としてはそれで一切よろしいという返事をしておるのではないということに御了承おき願いたいと思います。
  211. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 新聞では、その業界の評論していわく、また河野さんの例の手だろう、これはものにならないのだというて楽観しておるという記事が載っておるのです。そう言っておどしつけて、そうしてやるだけのことなんで、出ないだろう、これは河野さんとしてもまことに失敬千万な話だとお考えになることと思います。それで食糧庁長官、三十四、五年で十四億かの超過利潤を取ったが、三十五年度分だけでも超過利潤は七十八億あったといわれておる。そうしますと、三十七年度の上半期というものがキロ当たり一円三十銭などという従来の算定にちょっと幾ばくかプラスされたような、そういうようなものが適正だとお考えになりますか。御答弁のあとには、この計算せられた根拠を、基礎になる資料を御提出願っておきたい。
  212. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 三十七年度の上半期と申しますと、これからの問題でございます。国際糖価がどのようになるか、まだ未知数の問題があるわけでございます。業界としてはある程度の予想を立てて、先ほどおっしゃったようなものならこの際出して結果を見て将来に向かって補正をするというようなことを考えておられるようであります。
  213. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは業界のみならず、農林省の問題として発表になっていますよ、この金額は。
  214. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 新聞の書き方がどういうことになっておるか……。
  215. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 日本精糖工業会にこれだけのものとして払い込むように通達したとあるのです。
  216. 大沢融

    政府委員(大沢融君) 私のほうから通達をした事実はございません。精糖工業会のほうからこの程度の予想を立てて、例の管理会に積み立てをしょうと、こういうことを申してきております。
  217. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大臣に、この問題に関して国民全体、消費者側にとっては自由化されて、世界一伺い砂糖でないものを使わせてもらいたい、それが物価の引き下げの非常に大きなウエイトになる問題だと、こういう問題が一方あります。ビートやカンショ糖の国内生産を堅持するというまた片面の問題があります。この種の、現在はそれとからんで膨大な超過利潤というものがある、それが不当に根拠なしに吸い上げられておるという問題があります。この三者を何らか、大臣おっしゃるように、抜本的に解決をするという方途をぜひ緊急にお考えになられるように、これは国民全体としても、関係者としても、これは要望するところだと思うんです。今までのように、七十八億も超過利潤があったものが、十億や二十億足らずの金でまけておいたなんという、これも不明朗です。管理法そのものについてのぜひの問題は、私はこの際申し上げませんが、何らかの具体的の措置を緊急におとりになるということについては、強くこれまた大臣に要望しておきます。不明朗です。
  218. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私もそういう不明朗な点を避けるために、先ほど必要以上の答弁を申し上げたかもしれませんが、私の責任において明瞭にすべき点は明瞭にする必要があると考えましたから、先ほど政府部内のことまで御答弁申し上げたのでございます。私も、あくまでこの問題は明瞭にガラス張りの中で作業を進めていきたいと考えておりますから、さよう御了承いただきまして、御協力を賜わりたいと思います。     ―――――――――――――
  219. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際委員異動について御報告いたします。本日佐多忠隆君が辞任され、その補欠として戸叶武君が選任されました。     ―――――――――――――
  220. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 大体時間がきましたから……。
  221. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あと三分ばかり、二つです。
  222. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 簡単にお願いします。
  223. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今審議しております農地法なり、農協法の改正案にからんで、あとで事務当局にお尋ねをする都合上お尋ねしておくんですが、幾つかの法人を作って、農地の貸付けなりあるいは売却なり、出資なり、こういう移動が行なわれるということにからんでみても、あるいは今後の農業改善のための農地の移動という問題を考えてみても、地代の問題と小作料の問題について、小作料は規制されておりますが、じゃ小作料を適正だとするならば地代は不当である、地代が適正だとするなら小作料は不当です。そういう農業間においてさえ不均衡がある。そうして日本の経済全体を伸ばすための工業用地なり、鉄道なり、道路なり、公共の用に供せられる土地の取得の価格等はまた不当です。これらの問題から考えれば、この問題の中心になるのは、やはり農地の地代、小作料に問題があると思う。これが適正にきめられて、慣行化しないと、この農地の移動は円滑に行なわれないだろうし、先ほど言われるように、百三十五億出そうが、二百億金を出そうか、それらの農地の取得という問題は円滑に行なえない、あるいは法人共同化ということで育成していくということは容易でない。この点について、政府内部でこの時期に大きな問題として抜本的に御検討をなさって、指導的な結論を出すお考えがあるかどうか。これがなくて、たまたまいろいろな金をぶち込んでも農業自体成り立たないし、日本の経済自身がこの地代の問題で跛行しているんですから、大臣のような、強力な施策を実現でき得るお方のようなときに、こういう問題を、戦後十何年もたっている今日、お考えになる必要があると思うが、いかがですか。
  224. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) まことに適切な御指摘でございまして、私も実は農林大臣に就任いたしましたときに、この問題が絶対に必要な問題である反面におきまして、非常に大きな刺激を起こす問題でございます。どの点について私が発言いたしましても、非常にその影響するところが大きいと考えまして、実はひそかに農地当局に向かって、内部で調査をするべく用意せいということで、資料の取り集めを実は私は命じました。ところが、なかなかこれは一朝一夕にして結論の出る問題ではございません。各方面にそれぞれ今お話しのとおり、小作料について訂正することか是か、農地についてこれを拘束することが非かということに相なることは当然のことでございます。現状のままにおいて農地を勘案いたしましたところが、小作料との問において非常に矛盾が起こっております。したがっていつのときにか抜本的にこの問題の処理をしなければならぬことは、現在のわが国の農地の問題について、私は当然取り組まなければならぬ問題だと考えます。しかし前段申し上げましたように、よほどこの問題につきましては、十分な資料、十分な全国の慣行等を調査いたしまして、いやしくも無理のないようにいたしてやらなければならぬと思いますので、せっかく準備中であるということで御了承を得たいと思います。
  225. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、ぜひこの問題は、やはり農林当局として困難であるからということで避け得られる問題ではないと思います。どうしたって、農業基本法の基本問題が解決しなければ進展しないとさえ断言してもいいと思うのであります。この道を避けてまわりのところをとやこう動かそうとしたところで、私は本物が出てくるとは思いません。大臣がおっしゃられるような精神で慎重であることまことにけっこう。ぜひやはり農林省として方針が立てられるように十分な調査と検討を期待いたします。  最後に、これはまたいやな話になりますが、先ほどの機械公団のお話です。東北開発のほうの関係の、もう名前が出てしまった松本さん、私も東北開発の問題ではずっとやっておりますから、よく承知しております。ごりっぱな方です。けれどもわれわれ、東北開発の問題の場合にも、われわれでない、私自身口を開けば、これほど国の援助を仰ぎ、全国民的な規模で東北の問題を考えてもらってできた会社であるから、この会社の中に不明朗な問題や、まして贈収賄等の汚職的なものが起こったりすると、全国民から同情を失う。また国会、政府からも援助の手がこれは冷ややかなものとなって、しりつぼみになってしまう。一端は理事者の責任である。したがって、かりそもにもそういうことのないように、厳重に監督もし、また協力しあってやってもらいたいと会うたびに、私公式にも、非公式にも申し上げておる。しかるにああいう問題が起こった。そして松本さん自身も責任を免れ得ない点が一点ある。理事者として不適格である。それは何か、会社経営の基本である決算報告を共同謀議的に虚偽の決算報告をしておる。これはもう許すべからざることなんです。いかなる人でもその責任は免れることはできません。公法人がこんなでたらめな決算を出す。それにお互いがサインをする。理事会が決定したこの連帯責任というものは免れることはできない問題だ。そういう点で松本さんには傷があります。公的な国策会社におけるそうした措置をとったことについては、断然これは道義的にも、行政的にも追及さるべき問題であります。また、成田さんのほうの問題については幾多指摘されるような、私はあえて不始末と申し上げる。あれほどのことをやってもらって、そして国の十分な援助がないからというて、赤字が出るその原因が、公団運営の疎漏な点にあったということは行管の指摘されておるところなんです。長としてその責任を免れることはできません。そういう人々が寄って新しく両公団が運営されるにしても、他の担当理事や部課長、職員、これがほんとうに長に対して信頼を持って公団運営に全精力を注ぐかどうかはまことに疑問とするところであります。この点については、私は、任命権者としての責任も、しいていうなら、免れることはできないと思います。不明を恥じなければならぬと思います。で、私は河野大臣に、だからどうこうせいということは申し上げません。先ほどの同僚委員質問に対する御答弁で、私もこの際においては、そういう措置万やむを得なかろうと思います。しかし衆参両院、国会の論議になり、具体的に名前まであげて論議されるこの過程を両理事長がお聞きとりになって、そして責任をお感じになって、自発的に進退について任命権者にお問い合わせ等があるという場合には、あえてこれを慰留することはおやめになったほうがいいと思うんです。私は河野農林大臣のためにならぬと思います。総理大臣まで目標に掲げてお考えになっている方があんまりおかわいがりになって、二、三の人が足手まといになるということは、その道を閉ざす一つの要因になるかもしれぬ。かわいがるのも度が過ぎるとかえってあやまちのもとではないかと、まことに弱輩者ですけれども、先輩の大臣に申し上げたい。そういう事実が起こってきた場合には、慰留することなしに、適材の方で新進の気風を公団内に入れて、十分な監督のもとに所期の目的を達成できるようにせらるるやいなや、一言でいいですから大臣の御所信を承りたい。
  226. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御注意のほどはとくと承りました。善処いたします。
  227. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上をもちまして河野農林大臣に対する質疑は終わりました。  なお、この際委員の皆様の御了承をいただきまして、一言大臣にごあいさつをしたいと思います。河野農林大臣は、近く出発訪ソせられまして、日ソ漁業問題の折衝解決のために、直接ソビエトにおいて重大な任務を担われるわけであります。事はわが国の漁業にとりましてきわめて緊要な問題であり、かつ早急解決を要する事柄であります。大臣におかれましては御苦労のこととは存じますけれども、何とぞ十二分の御努力をいただきまして、われわれの期待に沿うように、成果をおさめられますよう、御期待を申し上げまして、一言ごあいさつをいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  228. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次にこの際農地開発機械公団法の一部を改正する法律案(閣法第五十三号)(衆議院送付)を議題といたします。  本案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  230. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました農地開発機械公団法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないたいと思います。  本案の審議に際しましては、すでに御列席の各委員によりましてその内容につきまして明らかになりましたように、確かに公団の責任でないためのものもございますが、すでに行管の指摘、あるいは決算報告書にもありますように、その大半は公団の業務運営が放慢であり、それからずさんであった点が明確にされておるのであります。特に発足以来、黒字を出したという年度は一度もないのでありまして、累年赤字が累積いたしまして、一億七千二百三十五万円という膨大な赤字を生じたのであります。これは農林省当局の指導管理がほとんど皆無であったという事実によるところもありますけれども、公団の運営自体が行管が指摘しておりますように、相互運営の点におきましても、あるいはまた機械の稼動状況につきましても、あるいは経理の節減という問題をとらえましても、または固定資産の減価償却につきましても、あるいはまた受託工事の事前調査という問題につきましても、さらにまた、公団内における監事の職務権限の問題につきましても、あるいはまた機械の諸条件の適正化の問題につきましても、さらにまた従業員の退職金の規程の問題につきましても、各般にわたって指摘されているとおり、全くその運営の内容はずさんをきわめておるわけでございます。したがって、新しい改正法案を見ましても、いまだにこの、今後における業務計画、あるいはまた資金計画等が公団新発足という衣がえをする時点においてすらも、いまだ農林省当局において検討中であるというようなことにつきましては、農業の構造改善というような、重大な今後の日本の農政の方向を考えてみましても、きわめてその計画がいまだに検討中であるという点につきましては、了解に苦しむところでございます。今日、池田内閣の高度成長政策のしわ寄せを受けまして、農民経営に行き詰まりを来たしているし、中小企業は黒字倒産というような問題までも起こしまして、四苦八苦の状態であるわけでございます。しかるにもかかわらず、国民の血税であるところの財政を使いまして、多額の赤字を出し、しかも公団の態勢が全部そろわないという今日の中において、さらに一億五千万円もの膨大な政府資金を支出いたしまして再出発をしようという公団がこれではあまりにも国民の期待に沿わないという感じがするわけでございます。  こういうような状態の中で、特に本委員会を通じまして問題になった点は、責任者のいわば人事異動の問題であります。この点はどうしても私言及しなければなりませんけれども、すでに各委員から指摘せられましたとおり、理事長のいわば責任が全然追及されておらないで、しかも、多額な退職金をいただいて、さらに栄転したというような問題をとらえましたときに、全く納得いきません。これは民間会社に例をとりましたときにおきましても、当然その会社に赤字を生じたという責任者が退職金を多額にもらっていくということは、どうしても考えられないのでございまして、勢いそこに責任を取って辞職するという問題がございます。しかも、このような大きな赤字をかりに民間会社が出したとするならば、退職金の支給どころか、そう会社は崩壊してしまう、解散してしまうという事態にも直面するわけでございます。こういうような意味合からいたしまして、しかも前線で働くところの従業員に対しましての退職金がまだ仮払いだというようなことは、今日雇用問題が最も日本の産業界の中におきまして重要な問題としてとらえられており、議論されておる今日の段階におきましては、全く道義的な責任を感じなけれはならないと思うのでございます。そういうような問題を勘案いたしまして、私は本法案につきましては、まだいろいろ申し上げたいわけでございますけれども、この際このままさらに新しく出発いたしまして、さらに過去の実績が改まらなくて赤字を出すような場合が生ずるというような結果が将来において出た場合におきましては、かかる農地開発の問題につきましては十分対処いたしまして、むしろ民間に積極的にそういう問題は行なわせしめるような行政の改革をする必要があるのではないかというようにも感じられるわけでございます。  特に最後に、ただいま小笠原委員から指摘されましたように、おそらく国会の席上で委員会の論議の中でこのように名前までもあげたお二方につきましては、おそらくみずから政治的なあるいは道義的責任を感じましておやめになるだろうということを期待いたしまして、反対の討論にかえる次第でございます。
  231. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと……
  232. 天田勝正

    ○天田勝正君 あるんだ。委員長急いじゃいかぬぞ。前から言ってある。
  233. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) どうも失礼いたしました。
  234. 天田勝正

    ○天田勝正君 前から討論ありますよと言った。(「簡単」と呼ぶ者あり)簡単ではございません。そんな失敬なことを言うのじゃない。
  235. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 失礼いたしました。
  236. 天田勝正

    ○天田勝正君 与党席から不穏当な発言がありますが、私は遺憾であります。おそらく本法案につきましては、もし与党といえども、これが野党の立場になったら賛成すべき法案ではございません。これははっきり銘記してもらいたいと思います。  もうすでに私の反対理由質疑の過程ですでに委員長はじめ皆さん御承知でありますから、簡潔に申し上げますが、この公団の運営がきわめてずさんでありますることは、これは単に公団自体だけではなくして、これに関係します農林当局及び大蔵当局もとにであります。それは、予算執行につきましても、すでにこの事業計画等は年度開始前に決定されなければならないと法律規定があるのにもかかわらず、それが毎年第一四半期を過ぎて第二四半期の半ばになってようやくにして予算の許可が下りるというようなこと、さらに三十六年度におきましては、これが二月の末になって許可されるというようなこと、これらは関係しておる者はそれぞれいかなる部局におるといえども、これ自体が法律違反なることを承知しなければならないと思います。しかるところ、これが五年間もかような状態を続けているということは、たとえこの委員会におきまして農林当局から今後改善する旨が述べられましても、にわかに信ずることはできないと存じます。  さらにまた、さきに何回か私が引例いたしました全く使用に耐えない、不良というわけではありませんけれども、適応せざる機械を少なくとも国費によって買った。その国費とはあるいは借金によってまかなったと仰せになるかもしれませんけれども、私は大臣がさきに述べました政府からは何らのめんどうをみておらないということは当たらないのでありまして、たとい自己資金といえ、借入金でありましょうとも、五分以下の金利でありまするならば、事業団を経営する上において決して不利ではございません。きわわめて有利な条件と言って差しつかえないのであります。こういう有利な条件にもかかわらず、五年間に累積した赤字はすでに一億七千万円をこえるということが安田委員からも指摘されましたが、さような不始末を起こしたという責任は、何としても免れることはできません。二人の具体的な名前をあげての批判は、すでに同僚によってされましたから、この点は省略いたしますけれども、かような状態を繰り返し、しかもこの論議を通じましても、これらの不始末というものが改善されるという保証は実はないのであります。  しかも、機械及び人間ともに稼働をきびしくしなければならないことは論を待ちませんけれども、この稼働の基準というものがきわめてあまいものであるのみならず、そのあまい基準にあてはめましても、きわめて少ない稼働しかしておらないということは、これはまことに遺憾至極でございます。かような点から言いましても、とうてい本案に賛成することはできません。  以上申し述べまして、反対討論を終わります。(拍手)
  237. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御意見もございませんければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  農地発開機械公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案のとおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  239. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 多数でございます。  よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日はこれで散会いたします。    午後五時五十三分散会