○国務大臣(河野
一郎君) 実は、この公団は、発足のときに私は農林大臣をいたしておったのでございます。(天田勝正君「それじゃなおさらだ」と述ぶ)ところが、こういうことを申し上げてどうかと思いますけれども、この公団は役所の発議によってできた公団ではないんでございます。役所の発議によらずに、議員
関係、議会
関係のほうで非常に強い御要請がございまして、先ほども申し上げましたとおりに、南のほうに愛知用水その他をやるならば、北のほうの北海道、東北の議員さんがぜひこちらに大規模の開懇をやれというようなことから、その大規模開懇には機械が必要である、そこで機械を買ってきて、その機械を運転してその開懇をやれということが、今の北海道の上北と根釧のこの二つをやるということになったのでございます。それから私はやめましたが、
最初のほどはそれでも
政府の当局が計画しておる上北、根釧というようなものがありましたが、発足の当初は今申し上げたとおりに予算の編成も終わって
あとからやれやれということで進んできたというようなことでございますから、
最初に何らの
政府出資もなかった。そして機械を買うのが公団の仕事であって、それでアメリカから金を借りて機械を買って持ってきてこの開墾をやれば、それでそろばんが合うじゃないか、金利が安いんだから年賦で返していけば、そろばんが合うんじゃないかというのでスタートしたのに、そもそもあやまちがあったんじゃないかと思うのでございます。そういうことが理屈になるかならぬか存じませんが、当時私は議員でもあり、農林大臣もいたしておった立場から勘案いたしますのに。ところが、その後この仕事をやっているうちはまだ
幾らかよかった。ところが、仕事がだんだん済んできた。済んでくると、
あと済んだからやめて
政府が引き取るでもなければ、そのまま
あとの仕事がついていくでもなければ、仕事がないからそうもしておられぬ。どこかに災害でも起これば、そこへ行って片づけごとをやるとか、どこか大きな開墾でもあれば、そこへたのまれて行ってやるというようなことで、うまくいくこともあれば、うまくいかぬこともあるというようなことのために、実はこの不始末ができてきたと思うんでございます。したがって、そういうことはもってのほかのことでございますけれども、理事者のほうの側にしてみれば、
政府は当然仕事を与えてくれて、
最初からあれをやれこういう仕事をやれということで作った公団だといいながら、
あとから仕事は少しもくれぬじゃないか、くれなければ仕事がないじゃないかというようなことで、双方にまあしいていえば意思の疎通を欠くとでもいいますか、何とはなしにそぐわぬものがあって、この不始末が因果となって出てきたというのが実情だと思うんでございます。これは今の御
指摘のお答えにはならないかもしれませんが。そこで、私は、こういうものはもうやめたがよろしいというので、大臣就任のときにこれをやめようと実はきめたんでございます。ところが、さてもう
一つ別の問題にぶつかりました。それは、これも私は在野時代に非常に遺憾に
考えておりましたものに、農林省自身が持っておりまする機械でございます。農林省自身が各地の
農地開発のために機械を買うのが予算の中に入っております。これは非常によろしくない。また、この機械を修理するために修理工場を持っておるということも適当でない。行政官庁がみずから修理工場を持ってそうして機械の修理をしてどうこうするなんということはよろしくない。全額を請負師にまかしてしまうならそれはまた別でございます。しかし、請負師自身が一ぺんその請負をするために機械を買うということはたいへんであるから、機械は機械予算が予算の中についておって、それで
政府が機械を買ってあるいは請負師に貸すというような仕組の
事業もあるのでございます。こういうふうな
考え方は適当でないというようなことからいたしまして、機械は全部――今後大規模の開墾をしなきゃならぬし、いろいろやらなきやならぬことがあるのであるから、しかもひとりそれは
政府だけじゃない、県単位のものも相当にある。であるから、そういうふうなものを大中をそれぞれ持っておって、そうして能率的にこれを運用する機関が必要であろうというような意味合いから、大きなものについては機械化公団を改組して現に
政府の持っておりますものをこの方面に引き継ぎをさせ、修理工場も引き継いで
経営させ、中小のものについては県単位でやらしなさいというふうなことで、一列の
農業機械の所属運用の基本をつけたつもりなんでございます。そういうことにして、今後ぜひうまく一般農村のためにこの機械が動いていくように高能率に活用できるように
指導していきたいということを示唆いたしまして、
農地局にこの案を作らしたのでございます。したがって、今度は、今申し上げますように、
農地局自身の
責任においてこの公団は計画を
指導していくということでやっておりますので、しかもそれが県単位にできておりまする県の機械化公社、これと連携を密にしてやっていくということにいたしておりますから、これまでのこととは違っていくだろう、またいくように十分監督して参りたい。今お話の点につきましては、非常に遺憾なことでございまして、これからはそういうことのないようにしなきゃならぬと思いますが、これも先ほど来御
指摘を受けた点は、公社、公団がわきの役所で作っておるものは
利益を追求いたさんといたしましても、
政府が計画する
事業もしくはその公団は割合にそろばんが甘いと私は思います。したがって、
経営は楽だと思います。鉄道の場合にいたしましても、その他建設
関係の公団にいたしましても。ところが、この種のものは、相手が農村でございます。農村に損をさせてこの公団がもうかるか、この公団のほうが十分に辛らく予算を取って農村の負担をなるべく軽くするかというようなことは、双方ぎりぎりの線でいかなければならないと思います。したがって、よほどその
経営につきましては
政府も監督を十分にいたしまして、いやしくも高い機械の使用料を取り上げて、たくさんある機械じゃないのでございますから、かといってそれを使わないわけにいかぬのでございますから、なるべくそれらの点について一そう監督を厳密にしていかなきゃなるまいと
考えておるわけでございます。