運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-17 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十七日(火曜日)   午前十時三十五分開会     —————————————   委員の異動 本日委員仲原善一君、柴田栄君及び藤 田進君辞任につき、その補欠として田 中啓一君、湯澤三千男君及び武内五郎 君を議長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            重政 庸徳君            田中 啓一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            湯澤三千男君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省振興局長 斎藤  誠君    農林省畜産局長 森  茂雄君    水産庁長官   伊東 正義君    水産庁次長   村田 豊三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業機械化促進法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○畜産物価格安定等に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(閣法第四一号、衆議院送付)を議題といたします。  本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 前回に引き続いて少しく質問いたします。提案の理由書を見ましてでも、農業構造改善農業生産性向上等をはかるために不可欠のものは農業機械化である、こういうふうに述べておられるのであります。特に機械化の中でも農耕作業用軽自動車というようなものは非常な勢いをもって増加しておるのでありますから、近く各農家には一台ずつくらいは所有するようになろうと考えられるのであります。農家の使用しておりますところの軽自動車であるテイラーはもっぱら農耕作業用のものでありますから、軽自動車免許じゃなくて、特別に農耕作業用自動車免許とするようにすべきであると考えますが、農林省はこれらの点について運輸省と交渉せられたことがありますか。もしあったらば、どういうふうなことを交渉されたか、お伺いしたいと思うのであります。
  4. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘のとおり、現在ティラーにおきましては農耕用軽自動車としての取り扱いを受けております。これが圃場において使用される限りにおきましては、何らの免許も要らないわけでございますけれども、これにトラクターをつけて道路を走るというような場合におきましては、これは免許を受けるということになっておるのでございまして、この点は道路交通の取り締まりの見地から免許を受けるということはやむを得ないのではないだろうかと思っておるわけでございます。ただし、御指摘のように農耕作業用軽自動車でございますから、一般自動車とは免許について特別な取り扱いをすべきではないか、こういう御指摘でございます。これにつきましては、従来からもそういう御要望もあったわけでございますし、われわれとしてもそのような措置をとるべきであろうと、こういう見地に立ちまして、これの主務官庁でありまする警察庁に対しましては、簡易免許方法についての取り扱い方を折衝して参ったわけでございます。その結果、警察庁におきましても、その間の事情を了解されまして、軽自動車としての特別の現在の免許方法はないわけでございますけれども、一般的な軽自動車試験の中におきましても、たとえば構造試験のようなものはやっておりませんが、軽自動車の中におきましても限定つき軽自動車免許という制度が、これは公安委員会によってとられているところがあるわけでございますので、その場合におきましては、若干合格の基準について手心が加えられておるようでございます。警察庁におきましては、各府県に対する指導連絡会議等におきまして、農耕用軽自動車については簡易取り扱いをしてもよろしいような指示がいたしてあるというふうにわれわれは承知いたしておるわけでございます。そういうことでございますから、一応現在の農耕用自動車免許取り扱いにおきましては、今申し上げたようなことで、軽自動車の中でも特別な措置がとられるようになっておると御了解願いたいわけでございます。なお、農耕用免許取り扱いにつきましては、三十六年の十一月一日で警察庁から各府県警察本部長あてに通達が出ておりまして、十一月十五日以降の分については、その結果やさしく若干なったように承知いたしておるわけでございます。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今のお話しで、大体経過はわかったのでありますが、まず第一は、免許に対するところの試験なんですよ。この試験が厄介で、ほとんど農家はこれを持っているという段に、持っておる、試験は受けた、その試験が非常に困難なために、十人試験を受けたらば、三人か四人ぐらいしか試験がうからない。それで、試験料金は非常に高い。こういうふうな状況だから、いろいろ陳情も各地方でやっているのでありますが、陳情をやった結果、ある程度試験簡易になりつつあるのです。しかし、これでもまだ試験がむずかしいのでありますから、ただ畑の中を走るのが原則であって、道路を走るというようなことは、ただ瞬間的のことであるから、試験というものは、できるだけ簡単にして、そのティラーで畑を走ることができるぐらいなことだけの試験でいいと私は思っているのでありますから、三十六年の十一月十五日に通牒が出してあるとしたならば、その通牒はどういうふうになっているか存じませんが、最近は試験はある程度楽になっております。しかし、さらに試験簡易にするようにひとつお願いすると同時に、試験料金ですね、この引き下げを交渉していただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
  6. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 現在、免許料としていたしましては、受験料が七百円、それから免許証交付手数料が二百五十円ということになっておるわけでございます。それをまけてくれという要望のあるのは、農民のほうから実は聞いておらないのでございまして、今、先生から初めてそういうお話を聞いたわけでございます。七百円に二百五十円ですから、一回とればいいわけですから、まあこの金額が多いか少ないかという点については、いろいろ批判があると思いますが、ひとつ研究させていただきたいと思います。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 少しく具体的の問題に入ってみたいと思うのであります。今、各地でやっているのでありますが、少し具体的に申し上げてみますというと、各県の陸運事務所では、農作業用軽自動車届出について、というようなことを各方面に、所有者に出して、そして、それでいろいろの手続をとっているのであります。それによって見まするというと、農耕作業用軽自動車は、道路運送車両法によって運輸事務所に届け出て、車両番号標の指定を受けて、軽自動車届出済み証を持っておらなくちゃできない。なお、自動車損害賠償保険に加入しなければ、道路上を運転することはできぬ。また、車両には、交通保安上から、付属装置として、後部反射器、バック・ミラー等をつけなければならない。こういうふうな制限があるから、皆さんの便宜をはかって、下記によって届出を受理することにしますから、ぜひ出てきてくれ。もし、その日に来ることができなかったならば、その後は、陸運事務所まで来なくては手続はしてやりません。こういうふうな通牒なんです。その下記のものを読んでみまするというと、当日持ってこなくちゃできないのは、このはがきと印鑑及びティラー、リヤカーとも。それから車両番号標代金が三百十円、自動車損害賠償保険料が一カ年分八百九十円、後部反射器代が百円、届出用紙が五十円、合わせて千三百五十円なんです。これだけのことを書いてあるのであります。しかし、そのほかに、取り付けの金が百円、バックミラーが百五十円、これが二百五十円、これを合わせると千六百円です。それに税金が千円。二千六百円です。これだけのものを持っていかなくちゃできないのです。そうして、もしも、こういうふうなものは違反したならば、どれだけの罰金に処せられるかというと、届出を怠った者は一万円以下の罰金なんです。車両番号標の表示を怠った者は三万円以下の罰金なんです。自動車損害賠償保険に未加入で道路上を運行いたした者は一カ月以下の懲役です。または三万円以下の罰金、こういうふうなことで、今、農耕作業用自動車農家には必要だけれども、試験が困難で受けることができない、試験をパスして、いよいよそのティラーを手に入れて、そうしてそれを運行しょうと思ったら、その際においては、何月何日に、どこでやるから、その日来なかったならば、あとは県の中央である場所まで持ってこなかったらば、検査はしてくれないぞ、こういうふうなことであったらば、一体どうするのか。たとえば長崎県のようなところであったらば、壱岐、対馬、五島から県の中央まで持ってくるのは、東京まで来るよりも時間が長くかかる。一体、運賃はどうするか。こんな無謀なやり方が、一体、世の中にあるのか。それでも、農業機械化を増進しょう、推進しようとするのか、こういうふうな具体的な問題になったらば、非常に検討を要することがあると思うのであります。しこうして、ティラーが大体において十五万円から二十万円、五年償却とすると、一カ年の償却費は三万円、ガソリン代がいろいろの関係で一万円から二万五千円、こういうふうなことでやっていかなくちゃできないから、このテイラー一台買うという段になれば、少なくともティラーを入れたために、五万円ぐらいの収入増になってこなかったらば、赤になってくる。農業機械化をやるのは農業経営が有利になるようにしていかなくちゃできないが、その機械を入れるのに、いろいろな手続上の厄介もあるし、また、今申し上げたような重大な罰則が彫る。こういうふうなことで、一体農業機械化が推進されるか、こういうふうに考えるのであります。でありますから、私がお尋ねいたしたいのは、道路運送車両法自動車損害賠償保険法とに特例を設けていく必要があると思うのでありますが、政府はどういうふうに考えて射るか、この点です。
  8. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) ただいまお話になりましたように、自動耕転機を農場で使う限りにおいては、何らの制約はないわけでございますけれども、一たん道路上で走るということになりますると、勢いいろいろ車両交通の面からの規制を受けるわけでございまして、ある程度その点はやむを得ない部分もあるわけでございます。しかし、もともと道路を走るための農機具ではないわけでございまするので、われわれといたしましても、できるだけ簡易農民の便利になるような方向努力をいたしておるわけでございます。今いろいろ御指摘になりました点につきましでも、問題のつどわれわれといたしましては運輸省なりあるいは警察庁連絡をはかって改善に努めておるような次第で、二ざいます。  御質問になりました自動車損害賠償法関係におきまして、これは強制的に保険に加入し、また保険料として八百九十円を支払うことになっておるわけでございます。この点につきましては、かつて国会におきましても議論もありまして、われわれも、当然これについては何らかの保険事項に対応する保険料率にすべきではないかと、こういう見地に立ちまして、従来これについての災害率事故率を調査いたして参ったわけでございます。最近の資料によりますると、全面的な事故率の調査はできませんけれども、ある県に抜き取りで調査いたしました資料機械化協会において作られたものがございますので、それによりますると、非常に事故率が少ないわけでございます。大体〇・三%ぐらいの事故率になっておるようでございます。そこで、この資料は全事故率をおおったものではないわけでございまして、まあ資料としてもいろいろの制約はありますけれども、いずれにしても一般自動車等と比べれば非常に事故率が少ないわけでございますので、強力に今運輸省と交渉いたしまして、これの損害保険料についての引き下げ方について交渉をいたしておりますので、これはできるだけ早い機会に何らかの軽減措置をとるように農林省としては努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。  道路運送車両法関係につきましては、今軽自動車の中に農耕用自動車ということで一応扱われておりまして、それには一応軽自動車とは違った認定、たとえば走行距離が十五キロ以下であるとか、あるいは一般軽自動車については排気量三百六十ccを千五百ccまでにするとか、多少特殊な条件もありますけれども、この農耕用軽自動車というものにつきましては、大体農林省でこのような型式のものだという認定を受ければ、大体それに応じて運輸省では取り扱いをしてくれるというようなことに現状はなっておるわけでございますが、その取り扱い手続につきまして、なおいろいろ改善すべき点があろうかと存じますので、引き続き努力いたしたいと考えております。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そこで農耕作業用軽自動車というものはいかなるものであるか、どんなものが農耕作業用軽自動車であるかということは型式になってくるのです、今お話しのとおり。それで農耕作業用軽自動車の範囲というものは、今お話があったように、最高速度が十五キロ時以下、長さが四・七メートル以下、幅が一・七メートル以下、高さが二・〇メートル以下、エンヂンの排気量は今局長の話のとおりなんです。それでこれ以外であったらば、農耕作業用軽自動車じゃないのです。であるから長さが四メートル七以下であったらばいいのだから、この法律適用除外型式農耕作業用自動車を作ればいいのです。そういうふうな農耕作業用自動車を今後作らして、この法律制限外に置くようにしむけていくことが、法律は生かし、農耕作業用軽自動車は運行ができると、こういうふうな一挙両得になりますが、そういうふうなことについて研究しておられることがあったらば承りたいと思うのであります。
  10. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 先ほど申し上げましたように、現在農林省として大体農耕用軽自動車として認定したものを、大体それを基準に置いて実は運輸省においては取り扱っておるわけでございます。したがって、それ以外というよりも、むしろ農林省認定したものを、逆に運輸省において軽自動車としてこれを認定する、こういう扱いに現在はなっておるわけでございます。先ほどお話にありましたいろいろの手続関係等におきましては、あるいは認定を実は受けていないものについて一体どう取り扱うべきかということで陸運局でいろいろ調査したというふうなことがありました関係で、いついつまでに全部持ってこいとかいうようなことがあったのではなかろうかと推測するわけでございます。したがって、軽自動車として一応車両法の中で扱う限りにおきましては、むしろ、農林省でこういうものは農耕用軽自動車として認定されるべきものだというものについて簡易手続でやってもらうということのほうが、むしろ行き方としては本筋ではなかろうかというように考えるわけで、ございます。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今お話で大体了解いたしましたが、とにかく農耕作業用農機具は増加していかなくなっちゃいけない。そうしなくては農業構造改善は困難だというようなことでありますから、現行法によっていろいろ困難な事情があるところのものは、すみやかに関係当局と打ち合わせの上に、できるだけ便宜な措置をとられて農作業改善ができるようにお願いしたいと思うのであります。  次に、これに関連して、法律の第三条第二項によってみまするというと、「国又は都道府県は、農業機械化促進に有効な事項を行なうに当たっては、農業者の自主的な努力を助長し、これを補完して農業構造改善に資することとなるように配意しなければならない。」こういうふうに第三条の第二項に書いてあるのは、今私が申し上げたようなことを参考にして、農業者が自主的にやろうとするところのものを助長していかなくっちゃできない。助長するためには現在においていろいろの不合理の点があったらばこれを是正していって、そうして農業構造改善に資していかなくっちゃできないというようなことを書いてあるということは、私が申し上げたようなことだろうと思うのでありますが、第二項の趣旨はどういうふうなものであるかお尋ねしたいと思うのであります。
  12. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) この二項の趣旨につきましては、まあ機械化が今後農業動力調整意味におきまして、あるいは栽培の改善におきまして、機械が今後どんどん入っていくだろうと思いますけれども、それについては、やはり、農民のそれに対応する自主的な努力というものをやはり前提として機械化ということを進めていく必要がある。同時にまた、単に労力不足というふうなことばかりでなしに、機械が入ってくることに伴いまして、機械の効率も上げ、同時にまた、それに対応するような、やはり、経営の形態にもだんだん変わってくる。つまり農業経営近代化というような方向にだんだん沿った措置が講ぜられるべきであろう。こういう意味で、一面においては農民の自主的な努力というものを前提にし、さらに、機械が入るにあたりましては、単純に動力が行なうということから、経営近代化というふうなことに、つまり構造改善に資するような配慮をもってこれに指導に当たる、こういう趣旨を書いたものでございます。しかし、今お話しになりました、農民自身機械を利用する場合におきまして、いろいろの不便があり、あるいは改善を要すべき点がありますならば、これはひとりこの条文ばかりでなしに、当然、機械化促進の有効な措置一つとしては十分やっていくべきことである、かように考えておるわけでございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 その次は、第四条に、今度は、「農機具導入するのに必要とする資金につき、長期且つ低利の資金を確保するよう必要な措置を講じなければならない。」ということなのでありますが、昭和三十七年度で、どういうふうな資金を、どれだけ準備しておられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  14. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 農機具自身の今後の導入措置といたしましては、やはり融資が一番重要な手段ではなかろうかと考えるのであります。現在まで御承知のように、農業改良資金から、機械導入については各種の導入資金についての融通をいたしておるわけでございまして、三十五年度までに六十七億の融資をいたしておるわけでございます。今後におきましては、主として、農業近代化資金から融通を受けるとい、ものが重要なウエイトを占めるのではなかろうかと考えておりまして、五百億の融資の中で、おそらく、個人的な資金としては約四百億程度予定されているのでありますから、その中から農機具に対する資金融通措置が講ぜられることになろうかと考えております。なお、そのほかに農林漁業金融公庫から資金融通を受けるとか、また一般系統資金、あるいは商人、商業者金融、特に農林商工中央金庫からの融資というものもこれにつけ加わって融資されることになろうかと考えております。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 その場合において、これは債権者の考え方であると考えるのでありまが、買うたところの農機具担保によってのみ融資ができますか。あるいはその他に担保を取るとか何とかいうような方法を講ぜられますか、ここは農機具を買うのでありますから、最大限度担保を取るというような場合においては、買うたところの農機具だけでいいと思うのでありますが、貸し付けの形式はどう考えておられるか。
  16. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 近代化資金融資する場合におきまして、通常の場合には連帯融資をするということで、特に買った農機具担保として融資するというふうなことは必ずしもとっていないのではないかと思いますが、ちょっと調べてお答.えいたします。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただ問題は、連帯で購入したならばそれでいいが、個人で買うたというような場合においては、保証人を立てるとか何とかいうようなことが出てぐるのです。しかし保証人に立ってもらったらば、今度はまた自分も保証人に立たなくちゃいけないということになって、保証人に立つということを非常にきらう。しかし買う物が農機具だから保証人を立ててもらわなくたって、それだけの担保でさしつかえないじゃないか、こういうことが私の質問の要旨なんです。保証人ということはいなかで非常にきらうのですよ。それだから、もし信用で貸していただいたらばこの上ないけれども、担保を取るような場合であったらば、将来においてはその農機具担保にするぐらいで融資をすべきものであると私は信じている、だから一つ指導もし、奨励もしていただきたいと思うのであります。それから二十八条、例の理事長及び監事理事です。これは、理事長監事農林大臣が任命し、理事農林大臣の認可を得てやられるのでありますが、どういうふうな人選の構想なんです。
  18. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) まだ具体的なことは申し上げられる段階ではございませんが、この農業機械化研究所が今後重要な使命を持っておりますので、広く業界あるいはその信頼を得て、また農業についても十分の見識をもって機械化の推進がうまくいくような、そういうような人選をするということにおそらくなろうかと思いますけれども、今御質問になった趣旨が必ずしも理解いたしかねるのですが……。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから二十九条に、「理事長及び理事任期は、三年とし、監事任期は、二年とする」と、こう書いてある、今度は、漁業法を読んでみるというと、任期は四カ年と書いてある。これは僕は、ほとんど公的機関であると思っておるのでありますが、同じ公的機関でありながら、政府が同一の国会に出したところのもので、一方は四カ年、一方は三カ年ということで区別されたところの理由を承りたいと思うのであります。
  20. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 従来この種のものといたしまして、ちょうど農業試験場試験をやっておりましたものから分化いたしまして、てん菜振興会というのができまして、その振興会研究所を設けておるわけでございます。てん菜振興会の役員の任期の例によって、理事については三年、監事については二年というようにいたしたわけでございます。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、これは漁業関係する調整委員というようなものと、全く根本的に違っているからというような考えがあって、三年、二年とされたのですか。行政関係のものは全部どの法律を見ても四年なんです。
  22. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 団体によりまして若干違いがございますが、大体監事はほかのほうの例を見ましても、二年というのが私のほうで調べた研究機関に関するつまり特殊法人としての研究みたいなものについての監事は大体二年になっております。それから理事につきましては、たとえば理化学研究所のように四年になっているものもございますが、農林省関係で見ますと、先ほど申しました日本てん菜振興会がやはり理事が三年、それから畜産振興事業団理事が三年ということに相なっておりますので、まあその例をとったということでございまして、特別に漁業との関係で差を設けたというわけではございません。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは畜産局長に聞いてみたいんですが、畜産関係で、今機械化がどれくらい進められているのか、まずそれですね。その形とそれから大体国内で生産せられている機械も相当あると思いますけれども、まだそう大量に使用せられないでおりますために、刈り取り機であるとか播種機であるとかそれから草を集める何ていうのですか、刈り取りました草を集める機械とか、その他相当牧草、牧場等で使います機械が大体は輸入せられているのじゃないか、こう思いますので、輸入の状況と、これからそういったおくれた機械に対する考え方ですかを国内生産に持っていくことについてどんな考えでおられるか、まずそれをお伺いしたい。
  24. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 畜産振興の関係の草地造成の機械関係につきましての機械化促進に必要な経費といたしましては、振興局に一括計上されておりまするが、振興局と畜産局とが話し合いまして、特に草地改良を重点に持っていくというものにつきましては、一応予算措置といたしましては、トラクターの補助を全県下にわたりまして、全県下といっても昨年は五セット程度でございましたが、三十七年度は二十四セットに増加いたしまして、予算額としては五千六百万円を計上いたしまして、特に草地の土地を起こしていくということに重点的にやって参ろうというわけであります。北海道につきましては、クローラー・トラクター、キャタピラのついた戦車のようなやつですが、また内地にもクローラー・トラクターを十六セット、北海道に四セット、内地でその他車の、ホイール・トラクター四台等を予算的には考えております。その他近代化資金で今御指摘のものにつきましては、草刈り機だとか、それから大型カッター、それから草を刻みますチョッパー、それから乾燥機など、近代化資金融資の対象といたして、草地におきまする草の造成と、それからできたものの草の機械化金融的にも考えております。いろいろ現地の状況によりまして、多種多様に分かれておりますが、これはできるだけ労力を省いて機械化にやるように奨励をいたしております。これは一般的には振興局とも十分連絡をとってやります。  それから最後に輸入の点でありますが、国内的に非常に生産が進んでおりますので、極力国内産でこれを充当するようにいたしておりますが、輸入額につきましては、もうちょっと調べさせていただきます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の輸入機械と国産の機械ですな。大体どれくらいの比率になっていますか。
  26. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 現在主として輸入されておるのはトラクター関係でございますが、先ほど畜産局長からトラクターとして車のついたホイール・トラクターとキャタピラのついたクローラー・トラクターがあるわけであります。大ざっぱに言いますとホイール・トラクターとしては大体七割くらいが輸入に依存しておりまして、クローラー・トラクターは二五%くらいが輸入に依存しておるという状態でございます。ただしホイール・トラクターによりましても馬力数によりましてだいぶ事情が違いまして、たとえばいわゆる中型といいますか小型といいますか、九馬力から十四馬力程度のものでありますると、これは三割くらいしか輸入に依存していない。国内で七割くらい国産できるわけです。今後はおそらく二十馬力以下くらいのものはほとんど国産でできるのではないか。現在までに二十六馬力から三十四馬力くらいないしは五十馬力くらいのもの。二十馬力から五十馬力くらいのものは国産でまだ十分性能のいいものがないし、価格も高いということで九割以上輸入しておる。二十馬力以下のものは国産のものが利用される。今後ますます率は高まってくるのではないか、こういう状況でございます。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 それですね、もちろん国産品に切りかえていくというのが本筋だろうと思いますが、したがいましてこの法案を見ますと、機械化促進という形で機械を非常に厳重に検査していいものに向けようと、こういう努力は何かしら見えております。そこでこういったような輸入機械に対抗する生産をするためには、そういうことまでこの研究所でやるのか。あるいは研究所がやれないとするならば、この研究所を通じて相当のメーカーを指定して補助金等を出してそういうものの研究をさせるところまで考えておられるのかどうか。
  28. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 大体お話しのとおりのことを考えておるわけでございまして、一つにはこの提案趣旨でも申し上げておきましたが、現在のトラクターの利用が必ずしも十分な効率を上げていないわけです。それは一つには耕耘作業に、ほとんど九〇%ないし八〇%はその作業に使われておるということでございますが、今後機械の利用能率を高めていくためには耕耘、播種、刈り取り、収穫というようなところまで機械化していくならば、一そう経済効率も高くなるし、同時にまた経済的な効率も高くなるわけでございます。そこでわれわれとしましては、今後機械化を進めていきます場合におきまして、耕耘以外の他の作業機について、今後開発、改良すべき分野が相当残されておるわけであります。そこでこれらの開発、改良については、業界でももちろん、メーカーもやっておりましょうけれども、しかし農業農作業に利用されるということを考えますると、やはり農業的な見地からいろいろ開発、改良する部分が必要でありますので、ここでこの研究所におきまして、新しい分野の開発、改良に主力を注いでやって参りたい、こういうことが第一でございます。その結果として、当然今の常用トラクターにつきましても、だんだんここで研究いたしまして、その結果国産品をだんだんふやして参る、こういうことにいたしたい、こういう考えでございます。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと農業機械のこの関係において、今の問題を中心にしてお伺いしたいところがありますが、幸い畜産局長が来ておられますので、先般畜産審議の際、ちょっとこの法案とは少しばかりかけ離れておると思いますが、ごく簡単にひとつお伺いしたいと思いますが、というのは、芝浦屠場の参考資料をもらいましたが、私のお願いしておった部分としまして、全販が多分各県連から委託で豚や牛を集めていると思うのです。それはその豚に対して、全販が自家屠殺をやって豚肉取引をどういう形でやっているのか、こういうことをひとつ全販が屠場でどういう動きをしているか、実際価格形成上に。これをひとつお聞きしたいと思っているのです。ということは、先般もいろいろ大臣に質問したとおり、またあなたのほうの資料に出ておりますとおり、大体今の六十八人の業者ですな。業者は地方で買い付けをしているのだから、実際問題としては芝浦の価格はどうきまろうとたいした影響はないと思うのです、その前に取引をしておるのですから。ところが全販は、それに対して屠場の規則によりますから、当然競売取引はできないと思うのです。競売取引はできないであろうし、参加者もないと思うのです。そうすると、やはり同じ相対取引をずっとやっているのだろうと思いますので、したがいまして、全販が委託せられたる牛や豚の生豚、生牛に対する価格の通知は何を基準にしてやっているのか、こういうことなんです。
  30. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 先日、清澤委員の御要求によりまして提出いたしました芝浦における荷の取り扱いでございますが、その場合におきまする全販連は、御指摘のように下部の経済連から、屠殺解体の委託を受けまして、受託手数料を約一%を取りまして、相対で小売りなどに販売いたしております。したがいまして、全販は解体いたしました枝肉を相対で小売り、卸などに取引いたしまして、その値段の一%をいただいて、そうして産地に、経済連に戻しております。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは何ですか、その計算をするときは、当日の相対取引全体の平均価格のようなものを中心にし  て、それから割り出してやるのですか。出荷牛豚価格、すなわち出荷牛豚価格に対する正当価格を出しているのか。一頭ずつ売るでしょう、一頭ずつ売るからその売ったもの一つずつの売り上げを中心にして計算を出していくのですか。
  32. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 全販は、下部の経済連の委託を受けて、それで相手方に対して相対で売っておりますものですから、どこからの産地のどこの経済連のものが個々にどれだけに売れたかということで、忠実にメンバーのために相対で売っております。その相対自身の自分が仕切ってもらったその額につきまして、忠実に経済連に返していくということであります。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 それからお伺いしたいのは、この価格安定法を見ますと、いろいろ振興とか価格の問題がいろいろ取り扱ってありますが、大体このたびの価格が非常に下がって、そして生産費を償わない。こういう問題の起きました主要点は、私はやっぱり子豚値段なんですがね。子豚の値段が約倍額になっている。前年度から見ますと、三十五年度六千円ぐらい、その前は三千四、五百という工合に八、九割高になっている。それから衆議院で指摘しておおりますような、流通市場の問題が非常に高くなってきている。こういうことが中心になっておりますから、相当私は考えるべきものは、種豚、種牛の価格を安定させる、これを安定させるということが、非常な価格安定には重要性を持っていると思うのです。同時に、市場の問題を片づける。そして市場が価格安定をすることが私は前提条件として、今の場合、変動の経過を見ると重要ではないかと思うのです。この安定法にはそこのところがまあはっきり出ておらない。種畜場をどうするとか、あるいは技術を改良するとかというようなことを言われて、まあ市場にしましても、需給市場ですな、それをだんだん作るようにするとか、これはいいことだと思いますが、いいことであるけれども、大体今の重点になっている生産上の一番の拠点をなしている子豚を、どうして価格を需給安定していくか、それから流通市場の価格を安定させて、そしてその線でまず価格をどうするか、こういう点が欠けていると思うのですが、その点どうお考えになりますか。
  34. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) お話しのとおり、畜産物の価格安定は、やはりもとは生産対策をしっかりしなければならぬと思います。今の御指摘の繁殖豚業者がどういう規模で子豚をどれだけ売れば安定するか、それから今度は子豚を各飼育豚の農家につきましては三千円ないし三千五、六百円程度の場合にはどういう手取りになるかというようなことで、子豚の価格指導というのは、なかなかむずかしいのですが、枝因の値段との関係につきまして、十分徹底させる必要があると思います。特に各県々々では豚の生産量が、ほかの県でどれくらい繁殖豚がおるか、どのくらい生産されるかということもわかりませんので、今後は四半期ごとに連絡会議といいますか、都道府県関係者を集めまして、生産見通しといいますか、そういうようなことで十分連絡、見通しをはっきりいたしまして、生産過剰にならぬように、生産対策として安定的な指標といいますか、経営方法等につきましても、また生産見通しにいたしましても、つけて参ることが重要だと思いますが、先生のおっしゃるとおり、流通問題だけでは解決しないと思います。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体消費市場にしましても、取引市場にしても、数年間の平均価格は大体そうひどくないと思うのです。他の物価とあわせてみますと、この資料を見ましても。そうしますと、三十五年から六年には、あのときでも六千円の豚、七千円の子豚を飼ってそろばんの合わぬことはわかるのですから、暴落してひどい目にあうことはわかるのですから、そういうとき、やはり畜産局と政府は私は責任があると思うのです。そういう高いものを使ったってそろばん合わぬぞという警告をどうしてしなかったのか。ただ連絡調整するなどといいましても、価格はどんどん上がっているのを目の前に見て、あなた方が作るな作るなといっても、これはだめだと思うのです。そう簡単にいかないと思う。そこに何かう誤算が出ると思う。だから、あらかじめわかっている性質のものをほっておいて、そうして高いものも、過剰生産して、下がりましたからといってあわててみたって、私は間に合わぬと思う。ある時期に、警告するときは警告していったほうがいいと思う。それくらいのやはりものの考え方が必要なんじゃないか。すわとなったとき、やはり国が何らかの方法で子豚の価格等を操作する一つの機関といいますか、何か別な方法を持ったほうがいいんじゃないかと思うのですが、そういう点どうなんです。
  36. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 前段の生産見通しの点につきまして、生産調整といいますか、そういう点につきましては、清澤先生のおっしゃるとおりであります。後段の子豚の価格調整等につきましては、私どもといたしましては生産者団体と十分懇談をいたしまして、今後不当な、基準価格といいますか、枝肉の値段等の限界が一応国として、上も下もオフィシャルに、正式にきまりましたものですから、そういう点で、やはり生産者関係の団体の強化、共販体制の確立をねらわなければ、全然自由経済でありましたものですから、この悪況に私ども今後の対策といたしましては、そういう体制で団体活動を旺盛にして参りたいと考えております。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 ついですが、乳価の問題ですがね。それでこれは、ここに明治の植垣さんもおられる。その植垣さんなどの話では、相当、乳業圏内というのですか、加工乳なりあるいは市乳なりを加工して、販売して、消費者に渡るその流通の過程において、製造過程においで、相当圧縮する場所があるんだ、こう言っておられるのです。そういうことについて、いま少し畜産局としては、乳価問題などのこうやかましいときに、どれくらいに考えておられるか。
  38. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 流通段階の問題、また生産者、配給者、小売に至るまでの分け取りというか、手取りの均等化の問題、それから内容の加工費等につきましてのお話がございましたが、特に配分均衡と、それから内容の加工費の問題につきましては、せっかく今回の価格審議会等ででもあるいは畜産物価格安定法でも、生産費関係、その加工費関係等の経費などを調べる法的基礎ができましたので、今回の価格審議会では初めて乳業の加工費等につきまして、精細に出していただいたわけであります。ただ、加工費にいたしましても、会社によりまして非常に差がある。あるいは工場等によりまして非常に差があるということでこざいますので、内容等も十分検討して、できるだけ合理化に努めたいと思います。特に農林漁業金融公庫等におきましても、酪農については特別に融資の道も開かれておりますので、できるだけ施設拡充につきまして、金利を安くして、そうして加工費を圧縮して参りたいと思います。小売の経費等の内容の問題につきましては、この間より各委員から御指摘がありましたので、私どももいろいろ内容を洗いまして、かつ、流通の合理化のために小売に対しても、相当流通上経費を節約する、合理化するためにいろんな融資等につきまして、いろいろ援助をしていかなければならぬと思います。で、その援助にこたえて小売も協力してくれるだろうと思います。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 振興局長一つお伺いしますが、この機械器具となっておりますがね、機械は大体まあ飼養管理におきましては機械の定義と、それから器具の定義、まさかかまや、なたや、くわや、これも器具といえばいえるようなものでしょうが、器具という範囲はどの範囲に考えられているか。  それからいま一つは、その機械化について、飼育場の設備機械とありますがね、飼育場に対するいろいろな機械化がありますよ。ことに鶏の飼育などについては、飼育工場において非常な装備的な機械化ができている。そういうものもこの中に入るのかどうか。機械と器具の定義、それから器具はどの辺までは器具として認められるかということと、それから今言うたような装備ですね。そういうものがやはり機械化の中へ入るのかどうか。
  40. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 法律の第二二条で、農機具の定義をいたしております。農機具というのは「耕うん整地、肥培管理、有害動植物の防除、家畜家きんの飼養管理、調製加工その他農作業」「を効率的に行うために必要な機械器具(その附属品及び部品を含む。)をいう。」ということでございまして、非常にこれは広範囲に機械器具といっているわけで、ございます。したがって、今先生の御指摘になりましたようなことは、大体この機械器具にみな全部入ると、こう御了承になっていいのではないかと思います。したがって、今お話しになりました飼育上等におけるいろいろの装備的な施設これも調製加工その他の農作業を効率的に行なうという施設の範囲に入るのではないかと思います。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 機具の中へ入るでしょうと思いますがね。まあ私どもその酪農の製造から消費に至る間の運搬であるとか、あるいは集乳の問題であるとか、加工段階とか、実際今家庭配給している現在であるとか、こういったようなものもやはり一つの機具だと考えていいと思う。そういう場合に、まあ今の畜産の問題とからみましてもね、相当改良する余地がある、それは今研究しているのだ、こうなりましたら、その改良研究等が申請がありまするならば、この機械化促進研究所では、そういうものも研究してくれるのですか、どうですか。
  42. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今、お話になりましたいろいろの運搬施設、これはまあ今後農業をだんだん機械化する、あるいは収穫量が集団化されて多量の販売をしなけければならぬといったような場合に、当然運搬施設、特にトレーラーについてはやはり重要な農作業農機具一つであると考えております。したがって、研究所において、緩急の度はございますけれども、当然そういうものも研究の対象に今後はすべきであると、こう考えております。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 これで畜産関係は終わりますが、ちょっと横道になったようですけれども、さっき言いました輸入飼料の問題ですが、輸入飼料の問題で農林省はだいぶいろいろ専門家を派してこまかしい調査をしておられるようですが、大体そういう調査、それからこれの買付等は食管でやっておられる。それからしたがいまして畜産局と飼料行政に対する他の部局の関係は大体どうなっているのですか。何かちょっとここには資料があって、今探しているが、ありませんけれども、経済局でも飼料のことを何かちょっとやっておられるようです。われわれの知っている範囲では、大体飼料の問題は食管がやっているというようなふうになってみえますが、主として輸入飼料等に対する行政的な取り扱いは、基本的なものはどこがやっているのですか。
  44. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 輸入飼料につきましては、基本的な問題といたしましては畜産局が担当いたしております。それからいろいろ売り渡し実務などにつきましては食糧事務所を使って売り渡しの、政府の輸入飼料の場合は、売り渡し実務をやらしております。経済局が関係いたしますのは、輸入飼料につきまして農林省全体の外貨予算を編成する場合におきまして、経済局の経済課が窓口になって折衝いたしておりますが、その内容につきましては、畜産局が責任を持って経済局長連絡をしてやっているわけであります。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 ありがとうございました。それで、さっきちょっと機械化の問題で、一言だけあとの質問の関連がありますのでお伺いしておきますが、この促進法を中心にして構造改革等と結んで考えた場合に、これから先、機械化促進する形は大型機械に重点を置かれるのか、今のままで取り小型機で売れているということを中心に考えておられるのか。そこに何か意図的なものはありますか、進めておられる上に。
  46. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) むずかしい問題でございますが、現在御承知のように小型のハンド・トラクターが百万台も普及しているわけでございますが、それはそれなりに従来労働不足を補充する意味においてハンド・トラクターが入ってきた意味は、十分あると思うのであります。しかし、今後やはりだんだん機械化という一つの作業体系を考えて、そうして効率的な利用をはかっていくということになりますると、すでに各地方において見られますように、だんだん高馬力化するという方向に進展しつつあるようでございます。今後農林省として指導していきます場合におきましては、一面現状の小型トラクターもある程度の普及を見ていくことは、これは必至であろうと思いますけれども、同時に、機械化の作業を最も体系的に進めて参るということになりますると、だんだん歩くトラクターから乗るトラクターへということにいくのも必至でありましょうし、また施肥や播種から刈り取り、脱穀というようなところまで機械化していくということになりますると、やはり大型のトラクターということになるだろうと思うのであります。ただ、この面につきましては、圃場の整備であるとか、他のいろいろの条件というものがこれと相重なっていかないと、なかなか進展はいたさないわけでございますけれども、農林省としては、小型ばかりでなしに、中型、大型という方向に今後いくであろうということを想定いたしまして、これに対する十分な指導研究もあわせて参りたい、こう考えております。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 これでやめます。そこで問題になりますのは、この機械化促進と並行し、私は農業基本法の中で考え直さなければならぬ部分が出てくるのじゃないか。ただトラクターを大型化するとか、耕耘機を力強いものにして深耕をやるとかというようなことから、圃場整備等のことも今ちょっと言われましたが、それよりなお、あなた方が今計画しておるこれを見ますと、この関係資料を見ますと、新しい機械をどんどん使っていこうとする、これを個人の一町半や二町のもので、今ここに出ておるような機械を全部そろえて持ったなんぞしましたら、それこそ機械をおぶって倒れるということになる。そうしますと、そういう形を進めていくことが、これだとやはり当然の私は姿だと、こう思っております。そうしてみますと、今の自立農家形成という形がおのずから変わってくるのじゃないかと思います。方向を変えていかなければ、これとはマッチしないと思う。この問題について、まあ、簡単でいいですが、いずれ機会を見て、そうして、これは大臣に、基本法の中心を変える意思があるかないかという言い方なんですから、ひとつ、大臣に質問したいと思いますが、簡単でいいですが、どうお考えになるか。ただ協業くらいでごまかそうとしたってこれはなかなかごまかされません、これはお断りしておきます。
  48. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) これは、大臣からもお話がありましたように、機械の利用を進めていきます場合に、だんだん機械の費用もかかってくるというようなことになった場合に、個人でいくかあるいは共同経営でいくか、これはやはりいろいろの条件ともにらみ合わせてどっちがどうだということでなしに、実情に合うように進めて参りたいということを、大臣から答弁があったわけでございます。しかし、今協業ぐらいではだめだというお話がありましたけれども、われわれのほうの、実際機械を入ります形といたしましては、二十馬力前後の機械を中心に実は十一県について機械化の実験集落というのを設けまして、そこで経済効率も含めました利用方法を実験的にやっておるわけであります。その中には、十五戸から二十戸くらいの農家が参加いたしまして、そこで機械を共同利用するという形でやっておるわけであります。その結果は、まだ詳細なものは出ておりませんけれども、過去一年くらいの成果で見ますと、労働費は大体三割ぐらい節減され、また経済効率についても、大体十分ペイする、こういう結果が出ておるわけでございます。したがって、農家個々としては経営の主体は家族経営でありましても、機械を中心とした利用の形態というものはいろいろあると思うのであります。場合によったら機械の利用を中心として作付体系までも変えていくとか、あるいは土地の利用形態も変えていくとかというようなこともあると思いますが、現在の段階におきまして、全部それは共同経営でなければならないというようなところまで必ずしもいかなくても、十分今の機械化実験集落におきましては、効果を上げつつあるのではないかと、こう思っておるわけでございまして、したがって今後の機械化を進める場合におきましても、基本法のむしろ線に沿ってわれわれは進んで差しつかえないとかように思っておるわけでございます。
  49. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 ちょっと簡単にお尋ねしますが、現在の農業機械の大体中心は小型トラクターになる。小型トラクターのメーカーというのは何か、百何十ぐらいあるとかいうふうに私記憶しておったのですが、どの程度になっているのですか。概数でいいです。正確な数字ではなくても概数でけっこうです。あるいは百何十という私の記憶が大体見当か、それは全然見当違いかというだけでもいいですよ。
  50. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 小型トラクターの工場数は現在六十三でございます。
  51. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 小型トラクター、特に歩行型というものは、日本の独自な環境で育ってきた。独自な環境で育ってきたということは、外国からの強烈な競争者というものはなかった。そういう環境で育ってきた。そして六十社、七十社という、まあ群小、大きいものもあるが小さなものもある。たくさんなものが似たようなものを作って出しておる。これは競争ということは非常にいいことなんだが、過当競争が起こって、その過当競争の中にめちゃくちゃに宣伝広告費を使うということがあって、それが生産費に相当宣伝広告費が含まれ、使用農家に比較的高いものが売られておるというふうに考えられるのですが、どんなものでしょうりそれからもしわかっておれば、平均して生産費の中に宣伝広告費というものが何十パーセントぐらい占めておるか。もしわかっておればお答えいただきたいと思います。
  52. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘のとおり、小型トラクターは日本の土壌におきまして非常な発達と普及を見たようでございます。工場数は先ほど申し上げた程度でございますが、型式については二百八十種類もあるというようなことで非常にこの面につきましては、一面日進月歩の改良がされる反面に、非常な競争が行なわれていることも事実のようでございます。したがってその結果価格についてどのような、このような過当競争の結果が織り込まれておるかということについては詳細はわかりませんけれども、むしろそういう競争とそれから新しい型式を作るというふうな意味から申し上げますると、大体ここ二、三年来、たとえば牽引車であれば十五万円以下だとか、あるいは駆動型であれば二十万円以下というようなことで、ずっと横ばいいたしておるような状況でありますので、むしろ実質的には開発、改良された割合には価格は横ばいの状況を示しているということは、言いかえれば非常なそれについての利潤を、競争のための経費をかけては必ずしもいないのではないだろうかというように見られるわけでございます。しかし、具体的な費用がどうなっておるかは私ここで資料を持ち合わしておりませんので、お答えいたしかねるわけでございますが、競争が非常にあるということは、これはもう事実でございまして、そういう面から今回検査制度を改正するにあたりましても、優良な農機具の普及という見地から検査を進める、一面農民が利用するのに便宜であるという、選択の便宜を与えるような結果も持ち得るようにいたしたい。さらには、できるだけスタンダードの方向に持ってゆくようなことも、検査を通じて実現して参りたいというような考え方を持っておるわけでございます。
  53. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 型式が二百何十種もある、それから価格が横ばいだと、型式がたくさんあるということはいろいろ技術の進歩を取り入れておる結果だというふうな見方もできる。見方もできるが、一面において次々新しい型式ができてくるということは、その一つ型式に対して大量生産ができない、大量生産をやっていないという証明にもある。ということは、結局コスト高だ。そういうある意味においていうと、小型農機具の中に悪循環というものを繰り返しておる。もし優秀な型式がきめられて、その優秀な型式が大量生産に入ってゆけば、価格が横ばいじゃなしに、相当価格が下がってくる要因があるのに、それが下がらない要因のためにはばまれておるということが多分にあるんじゃないかと思うので、今度は研究所もできることであるし、もしできれば私はこうした七十社、八十社というものが企業合同をやって、優秀な型式に対する、少数の型式に対する大量生産に入ってゆくという形でなければ、農機具メーカー自体も、必ずや将来非常な悲運に逢着する場があるだろうし、これの使用者の農業者自体もが、今のような形を踏襲しておったんでは、利益を受けられない、そういう点についてどういうふうにお考えですか。
  54. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 全く御指摘のとおりに私たちも考えておるわけでございまして、現在の価格が妥当だというのではなくて、もっともっと安くなることが望ましいと考えるわけでございます。型式についてはお話しのような点もあろうかと思いまするけれども、むしろ基本的には、後段でお話しになりましたように、現在の農機具の工場数がこの御配付いたしました資料にもありますように、二百五十一のうちでわずか三百人以上という工場は十七社しかない。百人以上になっても六十二社しかないような状態でございますので、今後機械がだんだん性能化し、精度が高まって参り、また大量生産の方向でいこうというふうな段階でございますので、お話しのように農機具生産のあり方についても、今後の企業の方向を十分考えながら指導して参ることが必要であろうと思うのでございます。だんだんにしかし機械が精密化しまするならば、なかなか小工場ではできないというふうな実態でもありますので、お話しのような方向に企業合同という形になるか、あるいは企業系列化という形になるか、むしろ後者のほうがだんだん進展しつつあるようでございますけれども、十分企業の面におきましても、そういう点を考えて価格の合理的な引き下げについてもっと配意すべきであろう、かように考えております。
  55. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 局長の今のお答えで私大体満足をいたしますが、もう一つこれから同じトラクターでいうと、やはり大型、中型という方向にだんだん資力が移行するというと、少し言い過ぎかもしれませんけれども、いかに自立経営農家であっても、機械という面においてはやはり共同という場が当然出てくる。また出てこなくちゃいかぬ。そうすれば中型か大型かという、そういう循環になると思うのですが、非常に雑駁な聞き方ですけれども、大型トラクター、中型トラクターで同じ程度の性能のものであるならば、外国製品の標準価格と国内製品の標準価格の格差というものはどのくらい、現在、大見当で……。
  56. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 先ほど清澤委員から御質問があった際に申し上げましたが、ホイール・トラクターでありますると、まだ輸入に依存しておるものが七割五分というような状態で、しかも二十馬力以上になりますと、ほとんど輸入しておりまして、まだ国産機としてこれから出ようという状況でございます。ただ今までの調査、若干販売されておるものの経費の割合でいきますると、これはいずれも輸入価格を基準に置いて実は国産品も販売しておるわけでございますから、市場価格としてはあまり開きばないわけでございます。しかし一方は量産であり、世界的なマーケットを持っておる。一方はまだ国内市場をようやくこれから開こうという段階でございますから、実際の価格の面においては、現在市販されておる価格よりも、相当上回っておるのじゃないかということが推定されるわけでございます。
  57. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 そこで私が心配するのば、小型トラクターというものは、これは日本が独自な場を持っておる。逆にこの企業系列というものが、合同であれ、系列化であれ、大量生産に移行していくという体制に突入できるならば、ある意味では東南アジアなんかに輸出できる可能性も考えられる。ところが大型、中型トラクヌーというものは、今のままでいけば、日本でこの機械というものは発達する場が消えてくるのじゃないか。この十月一日までに貿易自由化を九〇%確保する。ほとんど特定農産物等以外については自由化という形が出てくる。日本のこういう大型、中型機械の育成の場というものは、もっと政治のてこ入れがないと、自由化の場において外国品に圧倒されてしまって、とうてい芽を出す機会というものを失ってしまう、あるいは出しつつある芽が枯れてしまう、こういうことが非常に私は心配になるのですが、その点いかがでしょうか。
  58. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 御指摘のとおり、小型ハンド・トラクターにつきましては、すでに日本の農機具機械が東南アジアのほうに輸出されておるというような状況でございます。今後中型以上あるいは中型、大型のトラクターにつきましては、十分国内における生産の体制ということも考えて参る必要があろうと思うのでございます。現在までに入っております大型トラクターといわれるもの、つまり乗用トラクターでございますが、この資料では三十五年末に四千五百台、三十六年末で約六千二百台くらいに上っております。ところが、これらの大型ないし中型のトラクターは、従来は深耕専用のトラクターである、あるいは土層改良用のトラクターであるというように、一種の専用機的なものでございますので、おのずから予算あるいは利用面において台数が制約されておったわけでございます。今後心配される点は、御指摘の点は、要するに営農用の中型、大型トラクターが入ってくる場合に、はたして十分これに国内生産体制が対応するかどうかという点であろうと考えるわけでございます。これについては、後来の国産と輸入どの利用関係も考慮いたしまして、関税面におきましては、十八馬力以下のものについては、すでに免税措置をとらないで関税をかけるという措置をとって、十分国産機もこれに対抗できる、こういうことだ現在措置いたしているわけでございます。したがって、二十馬力以下のものにつきましては、これはおそらく国産のものがどんどん出ていくことになろうと考えております。二十馬力以上のものにつきましては、現在程度、現在においてはいまだ十分国産でまかなえないという状況でありますので、これは免税措置をどっているわけでございます。今後、営農用の機械化が進むためには、機械化の作業体系なり、あるいはそれに必要な作業機の開発、改良と相待って進めていく必要がございますので、一面、国内においてそういう研究を進めると同時に、これが入っていく圃場の条件あるいはいわゆる構造改善事業を通じて、導入しやすい諸条件を作っていくということにいたしたいと考えております。これに対応して、今の関税率とか、あるいはさらに国産のもので日本の農業に最も適応しやすいものをこれから作り上げていく。こういうことと相待って国産のものもだんだんに伸びるだろうし、伸ばして参りたい、こういう考え方でいきたいと考えております。
  59. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の局長お話、大型のものを効率的に使用する場を作る問題をしばしば言われますけれども、これは当然のことである、当然のことではあるし、その使用する場を作るということは、簡単に簡単にですよ、その農家の、たとえば土地改良区を作るなり、開拓者等が集団でやろうと思えば一年なり二年なりで簡単にそういう場が作れる。ところが機械のほうからいうと、半年や一年、二年で長い間の経験から開発された外国の機械に対応していくような機械というものが、そう簡単に開発できまものではない。場のことなんていうのは心配なさらないで、そんなことはすぐできるのだから、そういうことは一切抜きにして、大型、中型の機械というのは、日本で生産される機械でけっこうやっていけるのだ。また、そういう開発された機械が、将来輸出品として外国へも伸びていく場を作り出してやるということが一番大事なことじゃないかと思うのです。  そこで、たとえばこの法律案で、第五条の「国の援助」というところで、「国は、都道府県に対し、その農業機械化のための研修、指導試験研究及び農機具導入事業その他農業機械化促進に有効な事項の実施につき、経費の補助その他適切な援助を行なうように努めるものとする。」と、こう書いてありますが、この運営で、たとえば国産の機械を使う場合には補助率は幾らだ、外国の機械を使う場合は、耐久性や何かまさるのだから、補助率は幾らか下げてやるとかいう、そういう補助率の運用とか、一方において、それは言うまでもなく為替保護という場が消えていけば、保護関係という立場で国内産業を開発していかなければなりません。そういう場があると同時に、あなた方の行政でも、国産品を開発していくという場を作り出すということをお考えになりませんか。
  60. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) その点は、お話しのとおりの運用の考え方をもって、現在、大型中型のトラクターを導入するということは、御承知のように外割制限になっているわけでございます。したがって、その対象の機械が十分国産機でまかなえるというようなものにつきましては、原則として輸入の外割をしない、こういうわけでございます。現に二十馬力以下のものにつきましては、原則として輸入しない、国産機を活用するという考えをとっているわけでございます。おそらく今後二十馬力以上のものにつきましても、十分国産機械でまかなえるようなものが出てくるだろうと考えておりますし、またそういう方向で各メーカーも非常な努力をいたしておるようでございます。今申し上げたような考え方で対処して参りたいと、かように考えております。
  61. 天田勝正

    ○天田勝正君 この法律農業基本法関連の法律として、農村ではきわめて関心が高いのであります。ところが、先般の提案理由及び補足説明を伺いますと、この農業機械化促進法の改正によって、農業機械導入促進についてはこれこれと、そこに多少の理由を述べまして、それならば金はどうするかということについては、「近代化資金及び公庫資金を強化いたしまして、農業構造改善事業費の助成を行なうことによりまして、農業機械化を推進する考えであります。」、こう言われたのであります。そこで、資料に出されておりまするこの十五表「農業機械化関係予算一覧」、これを見ますと、試験研究に関する部分は、研究所ができまするから、そこでかなりこの部分についてはふえている。しかし、農家に、説明にありまする導入助成というほうになりますと、たいした違いはないしゃないかという感じを受けるわけであります。たとえば一番額の大きい深耕用トラクター、これにしても昨年が二億五千百万円で、今度が二億七千万ですから、まあ二千万ばかしふえている。こういうことで、あとは草地造成用のトラクターがまあ千五百円でありますが、それが今度は五千六百万になりますから、まあ大体四千万円ばかしふえる。開拓用小型トラクターが三千六百万円でありましたものが、四千三百万になる。ここらのところぐらいで、あとはさっぱり項目がない。こういうようなわけで、一体ここの表に出ているものと「近代化資金及び公庫資金を強化いたしまして、農業構造改善事業費の助成を行なうことによりまして、」と、この説明の部分はこれとは別なのか。この説明がすなわち十五表になっているのか。この点はどうなんでしょう。
  62. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 融資につきましては、先ほども申し上げたとおりでございます。今後農機具導入について、どのような考え方で臨んでいくかということでございますが、小型トラクターにつきましては、これはたびたび申し上げたように、百万台もほとんど融資で現実に入っておるような状況でございます。したがって、ここの補助の対象になっておりますものは、主として先ほど申し上げましたような、土層改良であるとか、あるいは深耕であるとか、あるいは草地造成であるとか、あるいはテンサイの深耕用のトラクターであるとか、いわば専用機的な効果と専用機的なものであって、展示的な効果を持つところに従来は対象乏して実施いたしておったわけでございます。それからまた、大豆だとか菜種だとかあるいは小麦だとか、こういったまうなものについては新しい機械化栽培法に伴って必要なトラクター、あるいは整地機、あるいは播種機というような施設を助成することによって、この部面における省力的な機械化栽培法の導入をしようというような意味の予算措置でございます。そこで、今後一般にどのような方法でやるかということでございますが、このような展示的な効果あるいはパイロット的な効果を持つ措置につきましては、従来の施策をさらに継続強化して参るという考え方をとっておりますが、今後大幅に導入されるものにつきましては、先ほど申し上げましたように、一面金融については、近代化資金の活用をはかって参りたい。それから営農用の大型トラクターというようなものが今後入ってきます場合におきましては、御承知のように三十七年度から構造改善事業を進めることにいたしておりまして、一町村平均補助事業として九千万円の事業ができ、それに対して平均二分の一の助成をするということにいたしておるわけで、ございます。そこで、これらの地帯におきましては、当然機械導入ということが考えられて参りますので、それに対しては今の構造改善事業費のうちから相当大幅に補助が出てくることに相なるわけでございます。そういうことで、補足説明のときにはその意味を含めて書いた次第でございます。
  63. 天田勝正

    ○天田勝正君 端的に聞きますが、結局農業機械化については、それは確かに公庫から資金など農家は借りますから、導入する額というものはさらに大きくなるでしょうけれども、しかし、これに関する政府の出す金というものは、この十五表に書いてある、私がさっきあげたものである、こういうふうに了解していいでしょう。それならたいしたことはないということになります。
  64. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) それは先ほど申し上げましたような構造改善事業の補助金をつけ加えることになるわけでございます。ただそれは、機械だけだということになっておりませんので、ここに計上いたしておりませんけれども、一町村平均九千万円の事業に対して二分の一、四千五百万円程度の助成がいく、その中には機械化導入の事業も当然対象に考えておる、こういうわけでございます。
  65. 天田勝正

    ○天田勝正君 そのほうは局長が説明されるように、この構造改善のほうは構造改善であって、機械だけにいくわけじゃないんだから、ここでまぎらわしいほかの説明をされても私は困る、それは別にして聞いておるんですから。  そこで、まあ額のほうはだれが考えたったて、そうたいしたことはないんですよ。たいしたことがなくても、それはそれなりに意義がある。ただしその場合には、額は大きくないが、非常に機械化導入促進する上に公庫やら、あるいは近代化資金、こういうものの貸す金利が安いんだということになれば、今度は金利負担の面で非常に恵まれる、こういうことになるんですけれども、政府は予定しておりまするこの近代化資金、公庫資金、その方面は、この機械導入に対して特別の金利補助なり、あるいは初めから安くする何かそういう措置がありますか、ありませんか。
  66. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 特別に機械なるがゆえに特殊な金利というわけではございませんで、近代化資金一般的な金利、つまり個人については六分五厘、協同組合で持つ場合には七分五厘という金利が適用されるわけでございます。
  67. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、この近代化資金、公庫資金機械導入すべき額は総額幾らになりますか。
  68. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 一応今の近代化資金五百億のうちで、個人施設に回すべきものが約四百億というようになってきておりますので、この四百億の中から、どれだけ農業機械のほうに回ってくるかということにつきましては、具体的な計画は持っておりません。しかし、従来の例から見ますると、最も金融力の旺盛な分野でありますので、相当これに期待されるものが多いいのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  69. 天田勝正

    ○天田勝正君 公庫資金は。
  70. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 公庫資金につきましては、三十七年度で約三億予定いたしております。これは共同施設資金ということでございますので、これが全部機械に回るというわけは必ずしもならないかと存じますが、三億を予定いたしております。
  71. 天田勝正

    ○天田勝正君 その近代化資金の四百億につきましては、今直ちに機械の分が幾らだということは答えにくいようでありますから、後刻およそでいいです、ひとつお答え願いたと思います。  そこで、少々議論にわたるのですが、私は今日の農村の実情から、機械をますます導入しなければならない、これはもう一つの命題だと思うのです。そうだとしますと、何かこれに金利上の特典を与えるというようなことでないと、画期的な導入は不可能だと思う。私はここで口ぐせのようにいつも言うのですが、その資金をどうするかというと、たいてい予算がということになってくるのです。ところが、幾たびか例示いたしましたように、日の当たる産業のほうには、昨年の臨時国会におきましても、アラスカパルプに御承知のとおり、二十億の資本金にもってきて六倍の百十八億というのを四分で貸しております。日当たるほうに四分で貸して、日の当たらない農業のほうには六分五厘などといっていて、これはとても画期的な農業構造改善などはできるはすがない。これは意見にわたりますけれども、そこで今大臣も来ないで局長だけで、それじゃこうしますとは言い切れないと思いますので、この点については将来にわたって農林省はしっかりひとつ検討してもらはなければならぬと思います。以上、申し上げておきますが、質問は先へ進みます。  そこで、次には農業機械化実験集落、このことは先ほど他の委員質疑がございましたが、果樹園経営改善実験集落における実験調査を継続実施して参る考えである、こういうことをいっておりますけれども、私はここにある資料によりますと、「主要作物別にみた作業と作業機」、こういう資料を見ましても、果樹園の経営改善促進の実験調査、こういうものは出ておりません。この実態はどういうことになっておりますか、御説明願いたいと思います。
  72. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 果樹園実験集落と申しますのは、これも果樹園の省力的な栽培方法、特に機械化導入ということで、今後果樹の最も合理的な経営を実験的にやってみたいと考え方で、機械化実験集落と大体同じ考えで現在までに十二県につきまして一件設置しておるものでございます。実験の内容といたしましては、大体果樹十町歩単位、集団栽培をしている地域について、スピード・スプレアーを入れて防除の共同作業をやる、その結果によりましていかなる栽培方法をとったらよろしいか、どのような利用の方式を考えたらよろしいか、今後の栽培あるいは機械化利用の面において各種の改善点を実験的につかまえて参りたい、こういうことで進めて参ったものでございますが、三十七年度におきましては、三十六年度の一千万円から百五十三万円に減って参りましたのは、従来施設関係に対する助成をいたしておったわけでございますが、それを本年度からは構造改善事業では、果樹地帯においては当然こういうふうな機械導入が行なわれるだろうという前提で、ここには従来設置しておりましたものについての調査費だけを計上いたしたものでございます。
  73. 天田勝正

    ○天田勝正君 もっと具体的にそれじゃ聞きます。  この「実験調査を継続実施して参る考えであります。」というのだから、過去にもずっとやってきて、さらにまたここでやっていこう、こういうのだろうと思うのです。それで継続してやるのも、そのままの形を継続するのもあれば、それをまた別の形で継続するというのもあると思います。でありますから、私はこの際聞きたいのは、どういうところで何に、たとえばナシとか、あるいはここの集落におきましてはミカンとか、どういうところで何をやり、そうして今後それをどうやっていくか、これを聞きたいのです。
  74. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 「継続実施」と書いてありますのは、この事業は一地域につきまして五カ年を単位とした事業を行なうということにいたしておるわけでございます。具体的な例をちょっと申し上げてみますると、三十五年度におきましては、岩手県ではリンゴを中心として大体十五戸が単位となりましてスピード・スプレアーとそれからトラクター・アタッチメントの導入をはかって参ったわけでございます。それから長野県では三十六戸で十五町歩を単といたしまして、同様に機械導入をはかっておるわけでございます。それから広島県ではミカンを中心といたしまして十五町歩を単位といたしまして、定置配管施設なり共同灌水施設を入れてそこで実験を行なったものでございます。それからそのほかに三十五年度では愛媛のミカン、長崎のミカンについて実験を行なっております。三十六年度におきましては、山形県でブドーの実験集落を設けることにいたしまして、これは三十六町歩を単位といたしておりますが、施設といたしましては、スピード・スプレアー、それからトラクターのアタッチメント、その他の施設でございます。それから山梨では桃につきまして十一町歩を単位といたしまして実験集落を設けております。施設につきましては同様なものでございます。そのほか愛知県でナシ、岡山県でブドー、鳥取県でナシ等の実験集落を設けております。
  75. 天田勝正

    ○天田勝正君 次に「特技改良普及員等の指導者を対象とする」云々とずっとありまして、現地研究会、講習会、巡回指導などを行なうし、さらに農業機械化協会に委託して利用技術及び機械改善向上を行なう、そうしますと、この特技改良普及員というのは、今現在どの程度に配置されておりますか。これが一つ。それから「機械改善向上事業等を強化する」といっておりますけれども、これは利用技術などをやった結果、そこから機械改善が今までにおいて生まれたのかどうなのか、生まれているようにここに説明のにおいがするのですけれども、その点いかがですか。
  76. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 第一点の、改良普及員の中で農機具を特技とする特技普及員でございますが、現在百九十四名配置されております。そのほかに農機具の専門技術員といたしまして二十六名を配置いたしております。しかし、今後におきましては改良普及員の指導にあたりまして、いずれも農機具関係指導の重点になりますので、特技普及員にかかわらず、他の一般普及員につきましても、農業機械化についての研修を進めて参りたいということでございます。中央におきましては普及員の機械化についての研修を約一年三百人程度やっております。そのほか各府県の段階におきましても改良普及員や農民の研修を行なうという措置をとっておるわけでございます。  それから第二点の御質問の要点がよくわからなかったのでありますが、どういうことでございましょうか。
  77. 天田勝正

    ○天田勝正君 機械化営農の現地研究会、講習会、巡回指導、こういうものをやって、それで今度ば利用技術、機械改善向上事業等を強化する、こうありますが、それは利用技術及び機械改善と、こうなんだから、何か利用しているうちにその機械をかくかく改善すべきであるといううな結果が出てきておりますかどうか、実際に用いてみればこれは理論上とか、あるいは研究所、製作所の段階においてはこれでけっこうだと思っておりましても、実際に使った以上は、こうこう改善したほうがいい、そういうような結果が出ておりますか。
  78. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) それは検査で合格したものにおきましても、実際に利用する面におきましては、いろいろ改善すべき点が指摘されておるわけでございます。そういう意味研究所におきましても開発、改良するのが今後大いに残されているわけであります。
  79. 天田勝正

    ○天田勝正君 それから、何しろいわゆる特技改良普及員なるものが百九十四名しかいない、専門技術者に至っては二十六名しかいない、まことにこれは手薄と言わざるを得ないと私は思うのです。それで、農業改良普及員自体が特殊の技術者です。そのうちからさらに特技を有する者、専門技術を有する者、こういうふうになってくるから、たいへんであろうと思いますけれども、これには技術者払底のおりから、どんどん移る等のことも私はあるのだろうと思うのです。で、今待遇は大体他の役所の職種と比べてどの程度になっているでしょうか。待遇があまり劣悪であれば、全然これは、せっかく特殊技能を身につけた者はむしろよそへいってしまう、こういう結果になると思う。これは例はちょっと別の例でありますけれども、いなかの市役所なんぞにはもう土木建築の技術者などはおよそいなくなってしまう。どんどんよそへ出ていってしまうんですね。これは別に農業技術者の例ではありませんけれども、しかし農業技術者といえども、少しおくれているけれども、最近ば農業短大あたりですかあって、聞いてみますとなかなかそういう傾向であるということを私は耳にしておる。この待遇は、比較がむずかしいと思いますが、他の役所の水準と比べまして、枝術の高さから見て、どの程度の待遇が与えれているのか、これが心配でありますから聞くわけです。
  80. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 改良普及員の待遇につきましては、どのように評価するかということがなかなかむずかしい問題でございますが、改良普及員も一応公務員でございますので、一般の地方公務員の給与とそう大した差はないわけでございます。ただ運用上そのような措置がとられておるわけでございますが、改良普及員のつまり特殊な技能からいいまして、いわば一人一役として、農業指導に専念するというような立場から考えてみまして、農業指導に専念するような待遇措置というものにはたしてなっているかどうかというような見地に立ちますと、いろいろ議論のあるところでございます。一般的な行政職と同じような待遇でよろしいのかどうか、あるいは改良普及員なるがゆえにもっと特殊な待遇をすべきかどうかというような見地からこれをながめますならば、現在の改良普及員が一般行政職と同じような扱いを受けておるという意味における改善すべき点が今後残されておるのではないかというようなことで、私のほうもそういう面から検討いたしておるわけでございます。
  81. 天田勝正

    ○天田勝正君 この点については、やはり後刻地方の実態などをもひとつ聴取しまして、何らかの機会にも一ぺんお話し願いたいと思います。  それからついでに聞きますが、特殊技術者というのは、私どもが理解しゃすい例で言いますと、たとえばモーターなどを修理まではできないまでも、ちゃんと分解して整備するというくらいのところまでやらしているのですか、やらしてないのですか、その点どうですか。
  82. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 分解のところまでは、当然やっておるそうでございます。
  83. 天田勝正

    ○天田勝正君 次に、試験関係について伺いますが、特に私が心配いたしますのは、検査合格証票を添付するとか云々ということを言われておりますけれども、これはあらゆる機械一つ型式ということがこれが問題、それから構成さらに材質こういうことになると思う。今検査を受けるとき一応試験ばしましようけれども、しかしそれはサンプル検査でしょう、どうなんです、サンプル検査でしょう。そういたしますと材質管理をしなければ、同じ型式、同じ構造のごとく見えましても、はたしてそれが耐久力があるか、性能がよろしいかというのは、型式だけは同じであっても、材質の違いが出てくるのです。このほうの検査はどうされておるのですか。サンプルだけ検査されてもその後に作られるものはその仕入れる材料によってみな違って参りますよ。この点はどうされておるのでしょう。またどうしようという。……
  84. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今の検査、実質的には型式検査をとっておるわけでございますが、まあサンプル調査がどうかという点でございますが、まさに型式を代表するものを選んで検査さしておるわけでございます。型式というのは、いわばある機械を作ります場合に、一つの同一の、まあ基本的な部分について同一のまあ設計のもとにできだものをつかまえて型式といっておるのでございますから、機械である以上、農産物やあるいはマイクロ検査をすべきものと違って、一つの型でデザインができておるもの、あるいは設計ができたものについては、当然同一性が保持されておるわけでございます。したがって、機械のごときはマイクロ検査をする必要がなくて、一つをとれば十分共通性がある、こういう前提に立っておるわけでございます。したがって、検査につきましても、現在の検査法では性能とそれから取扱いの何のほかに、耐久性、構造といったものの四点を基準に掲げて、しかもそれに必要な検査方法をきめておるわけでございます。したがって、検査の基準の中にはどういう部品を使うべきであるか、どういう材質のものであるとかいうようなことも、検査基準の中に当然入ってくるわけでございますから、特に型式というのは、ただ格好だけが同じだというのじゃなくて、その実質的な、基本的な部分について同一の設計のもとにできたものである、こういうことであるわけでございます。御質問の点にお答えしたかどうか。
  85. 天田勝正

    ○天田勝正君 もう時間がありませんから簡潔にやりますが、まあその答えとしてはそういう答えしかないんですよ、それは確かに。ところがそこにサンプル検査なるがゆえに、合格している機械などといっても、使ってみたらさっぱりだめじゃないかというような苦情がどうしても出てくる。おっしゃるとおり、型式検査というのは設計がちゃんとありますから、その設計にはこれこれの部分には材質これこれということをいうんですよ、いってあるけれども、それは材質指定でもしない限りは、なかなかこれは守られないというのが実情なんです。ことに日本の農機具メーカーが大部分が中小企業であるというところから、よけいにこの適宜に、自分の指定された設計図に規定されておる材質のものが入らなくても、売れればついついというようなことになって、焼き入れだって十分に入れない。そこでなまになってしまう。これは少々、これも例が違いますけれども、たとえば佐久間ダム、これは世界でも有名な技術を駆使したとこういっておりますけれども、あのボーリングに当初は日本のドリルでは二つも穴をあければ全然なまってしまう、全然使えない。かたいものを使ったらぴんぴんはねちゃう。それが最後には、会社の宣伝になるから会社の名前言いませんけれども、かなり有名なメーカーと提携して、しまいにはどうやら輸入品にやや拮抗する程度のものを作り上げたのです、あの作業をやっているとき。そういう、現にずっと農業機械どころじゃなく、何ですよ、程度の高いものでさえもそういう事例がある。でありますから、私はどうしてもこれを改善するには、やはり今度せっかく試験所ができるというなら、部品の規格化を行なって、そうしてそれぞれの部品についてはやはり別のメーカーがこれを供給する。たとえば、自転車でいうならば、チェーンはチェーンの供給者が自転車を作っているのではありはせぬ。そういうふうにしなければ、同じ型式のもので、局長が答えるように、当然同じのものが出てくるはずでございますと言ってみたところで、はずであって、実際は全然別のものができる、こういうことになる。この点はどういうふうに試験所ができることによって、ほんとうに均一の、安定した、安心の置ける機械農家が入手できるようになるか、重大な問題ですが、これに関する考え方何かございますか、御説明願いたい。
  86. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 機械の検査研究につきましては、機械工業一般の広い分野にまたがるわけでございます。この機械化研究所におきまする研究の分野としても、利用面から材質等についての改善のいろいろの意見なり研究の結果が出ると思いますけれども、むしろこの面におきましては、通産省に機械試験所というのがあるわけでありまして、主として材質等のいろいろの試験研究をやっておるようでございます。したがって、われわれといたしましては、できるだけ優良な農器具を普及するということの意味をもちましても、検査にいたします場合、できるだけ通産省でやっております部品について、日本標準規格としてJISというのがあるわけでございます。そこで、部品については、このJISをできるだけ活用するということにしまして、検査基準等におきましてもJISできまった規格の部品を使うようにする、こういうように検査基準の中にいろいろの条件を入れていくというようなことにいたしていったらどうだろうか。御指摘のようにできるだけ部品については互換性があればあるほど農家としても、利用者側から見ても便利であるばかりでなしに、せっかくの基準を活用することが意味があるわけでございますから、今申し上げたように、JISの活用をはかっていくということにいたしたいと考えておるわけでございます。
  87. 天田勝正

    ○天田勝正君 委員長にお聞きしますが、きょうは農林省の今度機構が変わるのだけれども、しかし、法律改正以前、今まで検査をしておるほうの責任者、それは大きくいえば振興局長でしょうけれども、そうでなく、実際を担当されておる人は来ておられますか。
  88. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂君) 技術者の方がおられるそうですけれども。
  89. 天田勝正

    ○天田勝正君 これはおられれば必ずしもこの際答弁を必要としませんけれども、答弁があればなおさらけっこうです。私の知る限りでは、これもメーカーをけなすようなことになるから、具体的の名前は遠慮いたしますけれども、事実刃などを焼き入れするという場合でも、焼き入れ設備そのものがはなはだ私が見ても心もとないような設備でやっておるところがある。同じ焼き入れをしたところで、もとから材質が違えばどんな同じようにやったって結果がまた違うのです。でありますから、さつきのサンプルのときは材質がよかったために、同じ焼き入れをやってもまことに試験の結果けっこうだ、明らかにJISに該当する、それが次の材質の場合は、わずかの組成の違いでありましてもその結果は別になってくる。だけれども、相手が泥でございますから、ちょっと使ったくらいではさっぱりわからぬ。しかし、少し長く使ってくると今度は違うのだ、こういうことになるのです。でありますから、私はメーカーに、少なくとも材質をどう試験所で管理するのか農林省で管理するのかわかりませんが、そういう材質指定、管理こういうものと、せめて燃き入れ設備の一定化くらいば指示しませんと、これは農家はたいへん金を出して損をする、こういう結果になると思う。ですから、今まで、技術者が来ておれば、その点をどういうふうに指導されたり監督したりされてきたのか、それを伺いたいと思います。そこに不備があれば、将来どういう改善をしていくのか、これを伺って私の質問を終わりたいと思うのです。いかがですか。
  90. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 実は製造部面につきましての直接的な指導という面につきまして、これは通産省と農林省と両方でやる、むしろ通産省が従来主としてやっておったわけでございます。したがって、できた後の製品につきまして、一面においては今後改良する部分が検査の過程を通じて出てきますれば、それをメーカーのほうにこういう点に直すべき点があるというように、検査の結果並びに成績を明確にして今後の改善をはかるように指導する、それから役所といたしましては、実はこの検査の建前といたしまして、型式検査の実施は研究所にやらせまずけれども、どのような検査対象とすべきか、あるいは検査基準はどういう検査基準にすべきか、これは農林大臣がきめますほかに事後検査という制度を持っておりまして、これは従来どおり農林大臣が行なうということにいたしておるわけで、ございます。  したがって、検査に合格いたしたものにつきましても、農林省みずからが職員を派遣いたしまして、事後検査の措置によりまして、今お話しになりましたような合格品と不合格品における不一致点があるというようなことがありまするならば、この事後検査の活用によりまして、今お話になったようなことがないように措置して参りたい。これまでもそういうことで事後検査で二件ばかり取り消したような実例もあるわけでございます。今後もそういう方法で対処して参りたい。研究所みずからが、もちろん利用面、開発改良する場合におきまして、検査のかたわら、今お話しになりました当然材質面に対する要望、要求というものが出てくるわけでございますから、この面につきましては、他の研究所、特に通産省の試験所であるとかというようなところと緊密に連絡して、進めていくということも当然考えられます。また、先ほど申しましたように、検査の結果によりまして、業界に対する十分注意を喚起するというようなことについても、この研究所の結果からわれわれはやって参りたい、かように考えているわけでございます。     —————————————
  91. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、委員の異動について御報告いたします。  藤田進君が辞任、その補欠として武内五郎君が選任されました。  午前はこの程度でとどめます。  午後は二時から再開することにいたします。  暫時休憩いたします。   午後零時五十三分休憩      —————・—————   午後三時四十六分開会
  92. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再会いたします。  農業機械化促進法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 資金の問題ですが、それについてちょっとお伺いしたいのですが、ちょうだいしました資料から見ましても、寄付と資金というものと二通り集められるようになっている。寄付とはどういうことであり、資金というものはどういう形のものをいうのか。これの区別ですね。
  94. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) この機械化研究所の全体の運営に要する経費でございますが、一つは主として施設費等であります。それから、他は、研究所の運営に要する経費でございます。前者の施設に要する経費といたしましては、大体五億程度を農林省としては必要であろう、こういう計算をいたしております。これは三カ年間で出資を国からするということにいたしておりまして、そのうち、二億をことしの予算で政府から出資するということにいたしております。残りの運営費につきましては、大体通常の自立できるような状態を考えました場合におきましては、基金として約十億程度必要ではなかろうかというように考えておりまして、そのうち、五億につきましては、民間から出資または寄付に期待いたしておるということでございます。残りの五億につきましては、これはわれわれといたしましては、一応民間におけると同じように基金的な出資をしたいというふうに希望いたしておりますけれども、毎年度予算でこれは折衝した上できめて参ることになるわけでございますので、うまり管理費でございますので、本年度の、三十七年度の予算といたしましては、基金でなしに、いきなり管理に必要な経費として二千五百万円を国から補助金として出す、こういうことにいたしております。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 三十七年度二億円政府は出すのでしょう。これは資金じゃないですか。
  96. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) それは先ほど申し上げましたように、設備資金が約五億かかりますから、そのうちの二億に該当するものでございます。政府から研究所に出資するというものでございます。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこがちょっとわからない。設備資金といえば、やはり資金でしょう。
  98. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) そうです。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 やはりそれは資金ですね、これは。そうすると、そのほかに今、予定せられておるのは、これから必要があれば、また予算——大蔵大臣と相談して資金量は増すが、今、この法律できめられておる分は、現在ある埼玉県の試験場の敷地並びに施設、その他備品等を大体五千万円と見て、出資、当分の出資ということになっておるが、当分の出資というのは、どういうことですか。
  100. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今申し上げましたように、当初、国としては新しく設備を設けるために二償円を出資しますが、そのほかに、現に先生がお話になりましたように、鴻巣の試験場で農機具の開発、改良をやっている施設、機械、備品、それから検査についての建物敷地があるわけでございます。これは現物出資という形で、この研究所に出資する、これが約五千万円ということになっております。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 説明に、当分の出資と、こう書いてあります。当分の出資ということは、大蔵省から財産の移動等の承認を得るまでを当分の問と解釈していいのですか。
  102. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) この当分の間といいますのは、設備して間もない期間に必要があるものだけは、現物を評価いたして出資するという意味でございます。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の聞いておりますのは、一応ここで当分の形で出してくる、これは将来出資になる、出資になれば、今度機械化研究所の財産にする場合には、正当な出資にする場合には、大蔵省の財産になっているか、農林省の財産になっているか知らないけれども、移転登記しなければならない、その問を当分と解しておられるのかどうかということを言っている。
  104. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) そういう意味じゃなくて、研究所ができるにあたって、即刻現物出資をします、その間を当分の問と、こう言っているわけです。
  105. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、予定せられた政府出資が、現物にしろ、現金にしろ、大体今二億五千万円で、民間のほうでは一億六千万円、これを三十八年までに、あとの三億四千万円の出資を求めていく、その間にあと二億五千万相当額は物品もしくは現金でもって政府側で出資するというふうに解釈していいのですか。
  106. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 施設については、残りものは政府が出資して、三十八年度、三十九年度にわたって出資する、こういうふうに考えております。
  107. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、出資のほうかわかりましたが、今度このほかに寄付というのが出ているのですけれども、寄付が、民間側からも、物品の寄付あるいは物品の出資、こういう形が出ておると同時に、政府側からも物品の寄付並びに出資という形が出ているのですね。その寄付は今度何になるのですか。寄付というものは、こういう形で出資がきまってしまった後に、あと寄付というのは、大体どのくらい予定せられていこうとするのか、寄付というものはどういうことなんですか。
  108. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) お手元の資金計画案の概要というところでごらん願いたいと思いますが、今まで御質問がございましたし、また、答弁いたしましたのは、(3)に書いてあります研究所の施設費に該当するものについて申し上げたわけでございます。そのほかに、ここにありますように、第一の最後のほうにありますが、「政府補助金二千五百万円ならびに資金運用益、事業収入等をもって一般管理費及び研究検査事業費に当て、民間出資又は寄付は研究基金の積立に当てる。残りは研究基金を設けることにいたしたい。民間出資は研究基金に出資してもらいたいという考え方でいるわけでございます。民間からは現物ではなくて、全部寄付が出資による現金で出してもらって、そうして研究基金に積み立てる。この研究基金に積み立てました基金の運用益によりまして、一般研究検査の事業費に充てていきたいという考え方でございます。その際、民間の基金といたしましては、おおむね五億を予定いたしておりまして、政府におきましては、ほぼ同額のものを積み立てて参りたい。しかし、政府の金の出し方といたしましては、本年度は基金の形で出さないで、直接三十七年度に必要な研究検査の事業の費用として二千五百万円を補助金として出す、こういう方法をとったわけでございます。今後におきまして、基金という形で民間のほうは積み立てます。けれども、政府におきましてはへ毎年の研究検査事業費に必要な額を基金として積み立てるか、あるいはいきなり必要な経費を補助金ということで組むか、これは今後の、三十八年度以降の予算の折衝において具体的にきめて参りたい、こう思っているわけであります。
  109. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこのところはわかりました。そこはわかりましたが、そのほかに寄付という言葉が非常に使われているのですが、出資並びに寄付、寄付とは何だというのです。出資のほかの寄付とは何だと。
  110. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) これは五億円を民間から予定いたしておりますが、民間としては、かりに出資で出す場合においては、これは財産の資産に計上されることになるわけでございます。それから寄付で出す場合におきましては、研究機関一般的に寄付する場合におきましては、免税に経費で落とされるわけであります。そこで、この際民間から金を出していただきます場合に、その出す形としまして、出しゃすい形をとって参ったほうがよかろうということで、原則としては出資のほうが望ましいと考えておりますけれども、しかし、会社の経理上寄付のほうが出しやすいという場合におきましては、現金として出してもらう、それを寄付ということで書いているわでございます。
  111. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもそこが斎藤さんようわからないのだ。のみ込めないのです。研究所を維持していくために民間から集める五億というものは、予定せられた資本額なんです。それが出しづらい場合には、寄付としてとる、それは資本ではないのだ、こういうことを言っておられる。そうして五億集まるか集まらないか、なかなか非常にめんどうな問題が出ると思います。しかし、集める方面はどこかと申しますと、補足説明によれば、農業団体、機械の製造者並びに販売者、こういうようなものからこれを集めていく、大体範囲がきまっているのですね。一般から鳴りもの入りで集めるということではなくして、比較的関係者から集める。そうすると、五億の金を三カ年に出すということは、なかなかこの金詰まりで困難の場合も予想せられると思います。そう困難でもないかもしれませんが、予想してもいいと思います。それを一応出資の形で出せ、出せなければ、工合が悪ければ寄付でこい、寄付は出資と形が違う、そうなれば出資の形がとれないということになる。そこらがどうも。
  112. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) この集まりました金につきましては、御指摘のように、法律上は、出資であれば解散の場合において出資額に見合う配当を受けるとか、あるいは譲渡権があるとか、こういう権限が出資の性格上あるわけでございますが、しかし、出資であろうと寄付でありましょうとも、集まったものは全部研究基金に充てるわけでございますから、研究基金に入りましたものについては金に色目はないわけでございまして、出資であろうと寄付であろうと研究基金に集めて、そしてその基金の運用益で事業をまかなってやろう、こういうことでございます。ただ、集めやすいという考慮を払いまして、全部出資しなくても、会社のほうで、あるいは出すほうの側の便宜を考えまして、寄付のほうが出資よりも出しやすいという場合につきましては寄付でもけっこうだ、こういう意味でございます。集まったものについては、出資であろうと寄付であろうと全然研究基金に入りまして同じ扱いを受けることになるわけでございます。
  113. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうするとなんですね、大体予定は運用益を見る。その出資額を十億と、こう見ておられるが、実際問題としては十億集まらぬ場合もあるわけですね。出資として集まらぬ場合もある。こういうふうに考えてよろしいですか。そこで——まあ非常にせいておられるようですからなるべく簡単にしていきたいと思いますが、そうやって、今この研究所を運用していくには、第一年度においては二千五百万円、事業収入並びに運用益で見ていく——事業収入はどれくらいに見ておられますか。
  114. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 初年度目は、これ十月から研究所の発足を予定いたしておりますから半年になるわけでございます。事業収入といたしましては七百六十二万円を予定いたしておりまして、内容といたしましては、従来とももらっておりました農機具の検査手数料とそれから研究に伴ってのいろいろの雑収、委託試験を受けたりいたしますいろいろの収入があるわけでございますが、そういう試験研究事業の収入を予定いたしておるわけでございます。
  115. 清澤俊英

    清澤俊英君 運用益は。
  116. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 運用益といたしましては、民間の出資金が一応一年目は約一億六千万予定いたしておりますので、それに見合う運用益といたしまして約三百三十万を予定いたしております。
  117. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで第一年度が四十六名、それから最後に八十人程度に職員をふやそうという、その職員は事務職員と専門技術職員の数はどんな割り振りになりますか。
  118. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 職員といたしましては、大体事務職員が十名弱というように考えております。
  119. 清澤俊英

    清澤俊英君 あとは。
  120. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) あとは技能職員あるいは試験研究という……。
  121. 清澤俊英

    清澤俊英君 専門技術家……。
  122. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) そうです。
  123. 清澤俊英

    清澤俊英君 どの程度の人を集められるのですか、専門技術家は。
  124. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 現在農機具の開発、改良につきましては、農業試験場でこれに従事している者が約五十名おるわけでございます。それから農機具検査に従事しておる者が約十六名おるわけでございます。そのうち、この研究所に将来移るであろうと予定されている人間につきましては、検査の関係で十三名、それから試験場の関係で三十八名予定いたしておるわけでございます。したがって、それで五十一名は、一応もし試験場のほうからくるとすれば、その定員は研究所のほうに入るわけでございます。しかし、さらに今後、この研究所を運営していきますためには人材の確保が必要であるということもございますので、試験場等からそれ以外においても入ってくるという人があればこの研究所に入る。それからまた新しく農機具関係の人を採用するということももちろん考えていく必要があろうと、こう考えております。
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 この試験関係というのは、県試験場もまぜてですか。
  126. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) ただいま申し上げた定員は、国立の農業試験場関係でございます。
  127. 清澤俊英

    清澤俊英君 この技術家ですね、技術家は今のところ小松にしてみたところが久保田にしてみたところが、今三菱重工などもやっているんじゃないですか。ああいったような大メーカーが相当入ってくるとしたら、そこの最高技術陣と対抗するだけの技術陣を集めるといいましたら、これはなまやさしい経費では私はおさまらぬと思うですがね。今あげられましたような、ようやく三千五、六百万円ぐらいの経費ではですね、人件費にも及ばないんじゃないか。そういう点はどういう技術陣を作られることになるのか、それをひとつお伺いしておきたい。
  128. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) この研究所がもともと特殊法人の形でやる必要があるという一つ理由には、今先生のお話になりました、いかにして有能な技術陣を確保するかということで、この特殊法人の形をとることにいたしたわけでございます。現在の役人の公務員ベースでありますると、なかなか有能な人も集まらないというようなこともありまして、この研究所に来ました場合におきましては、従来の公務員べースよりも一五%かあるいは二〇%ぐらいの給与水準が上がることになろうかと考えておるわけでございます。そういうことで、できるだけ——なかなか農機具関係の新しい学卒者は確保できにくいというのが現状でございます。そこでこの特殊法人によりまして、できるだけそういう技術関係の人も確保して参りたいし、それから今申し上げましたように、現在農機具の改良、開発に従事しておりまする試験場の職員につきましても、農業関係についてはやはり何といってもエキスパートでございますから、そういう人に入ってもらう。もちろん民間の研究機関もございまして、そこには優秀な技術者もおるわけでございますが、しかし、主体は何といっても農業機械化に必要な開発、改良をするということでございますから、やはり単純に機械だけの開発、改良というのであればこれは民間の研究機関でもやれるわけでございます。しかし、これを圃場を持ち作物の栽培をする際に、いかにして機械を利用するかと、それに最も適応した機械の開発、改良をどうするかということになりますると、密接な農業試験場との関係が必要であるばかりでなしに、これに携わる人自身も農学についての十分な経験を持っている人が必要であるということになりますと、やはり試験場において従来これに従事しておった人が中心となって運営されることになっていくのじゃなかろうか。将来は、今後新しく採用される人で補充して参る。ただ、民間の関係につきましても、御指摘にありましたように協調する必要がございますので、委託研究であるとか、あるいは民間との連絡試験を行なうとかいうようなことによって相互の連絡協調をはかっていくというような措置を講じて参りたい、こう考えておるわけでございます。
  129. 清澤俊英

    清澤俊英君 こまかしいことをこうやってお聞きするが、技術陣の問題についてはさっきだいぶ天田君がお伺いしておりますから、私はこれでやめますが、さっきからの寄付金の問題であるとか、あるいは国の技術陣と民間の会社に委託するという問題であるとか、それから関係メーカーを——まあ当然この法案からいきますと、利益配当がない出資ですね、それを五億円も集めていくと、こういうようなことになりますと、言わず語らずのうちに何かしら有力メーカーのほうに比重が傾いていくんじゃないか。ただ比重という言葉で出してきますけれども、まあえこひいきというわけじゃないけれども、力の関係でいろいろな問題が出てくるんじゃないかと、こういうようなことが考えられますが、そういうことの危惧は少しもないんですか。
  130. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 今御指摘になりましたように、この研究所資金の構成は大部分は国が出すわけでございますが、同時に、民間の出資がありましてもこの出資には何らの配当もなければ、出資に伴う特別の法律的な権利というものはないわけでございます。法律にありますのは、ただ出資についての条件として、解散時におきまして出資に見合う配当を受けると、こういう規定があるだけでございまして、あと、研究所に対して出資金が大きいから発言権が多いというような法律上の関係は全然ないわけでございます。われわれといたしましては、この点について特に意を払いまして、検査に例をとってみますると、検査の対象となるべきもの、あるいは検査の基準、あるいは検査の方法、これはあくまでも農林大臣がきめると、ただ検査の実施だけを研究所に委任すると、こういうことによりまして、研究所ができることによってその間出資者のインファレンスによってどうこうするというようなことはないようにいたしたい。また研究自身につきましては、これはむしろ研究の成果自身がこの民間から期待されているところでございまして、その研究の成果は、おのずから、こういう特殊法人でございますから広く利用していただくと、こういうことで運用して参りたい。運営の組織の面におきましては、特に研究所に運営審議会を設けまして、そこに学識経験者を入れましてそして研究所の運営の適正をはかって参りたい、こういう考え方をとっておるわけでございます。いずれにしても、特殊法人でございますから、農林大臣の監督下に置かれておるわけでございますので、今御指摘になりましたようなことについては、建前といたしましても、また運用上もそういうことがないように十分配慮して参りたい、こう思っております。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで五億円なり寄付があったりしまして、メーカーや販売業者にそれがくわえられるとすれば、結局私は何らかの形でこれは製品の中へ織り込まれて、実際使用するものがおぶうような形になるのじゃないかということが考えられますが、そういう点の御考慮はないのですか。
  132. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 農機具だけにとってみれば、この五億の中で、農機具メーカーも農業団体も、それ以外の関連の団体も含めまして五億程度を考えておるわけでございまして、全部が農機具に転嫁されるというわけでもございませんが、まあかりに転嫁されるといたしましても、現在農機具が一千億の販売高を上げておるわけでございます。おそらく今後もっともっとふえると思いますが、そういうことによって直接的な、これが出資がコストに影響するということは私はないのではなかろうか、むしろありとするならば、今後新しく農機具を開発、改良することによって、事業分量が、いわゆる農家農機具の新しい需要が増大すると、販売量がふえると、こういうことの利益があるのであって、直接的にこれがコストにどうこうということにまではならないのではなかろうか、こう思っております。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 こういう農業機械化研究所のようなものを設けて、そしていろいろめんどうな規定を作って、そしてこれをまあある場合は制圧したり、指導やったりして、性能の高い、いいやつをやろうとする意図はよくわかります。それだけのものであり、同時に、農業基本法を中心にした構造改善の中心になる機械改造ですわね、これは。機械改造と見てよろしいと思うのです。そういうものをやるにわずか五億円くらいのものが、これは国でどうしても出せなかったのか。わずかのことですけれども、これは農民のほうから受け取りますと、そういう金が、今も一番初めお伺いしましたとおり、これから先十億円にする具体化の五億円を政府がはっきり出していくということはまだはっきりめどがついてないのだ、片方は大体これだけ集めるというめどはついておると、こういうことになりますと、農民が受け取る感じというものは、何か政府というものはそういう大メーカーと手を握って、そして何かやっていくのじゃないかと、こういう感じを受けないでしょうか。それは実際そういうことはあり得ないと思うですよ。あり得ないと思うけれども、そういうふうに考えたとしたら、せっかくのこれだけの意図を持って進められるものが私は逆の、農民の上から見れば逆の感情になる。実際の効率は高まるかもしれぬけれども、感情は逆になっていくのじゃないか。五億円くらいの金が、今の日本の国としてこれはどうして出せなかったのでしょうか。その問のもし漏らしていただけるものがあるならば、私は漏らしていただきたいと思う。そんなものくらい国が出して堂々とやっていったって罰は当たらいと思うのです。
  134. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 国としても過半のものは出資するわけでございまして、今後とも必要な額については国から出してもらうと、こういう考え方でおるわけでございますが、なぜ民間出資を期待いたしたのかという点につきまして申し上げますと、民間におきましてももちろん試験研究の施設を持っておるわけでございます。持っておりますけれども、もともとこの機械化研究所を必要といたしますゆえんのものは、現在の農機具の開発、改良の分野というものがずいぶん残されておると、これを早急に埋めていかないことには健全な機械化というものが進展しにくい状況にあって、むしろ現実には事実のほうが先行して試験研究がおくれておるというのが率直にいって現状でございます。そこで、国としてこの試験研究をやります場合におきましても、結果的にはこれは企業を通じて量産されて、農機具として販売される、そうして農家に利用されることに相なるわけでございます。そこで、国としてももちろんやるべきものはやるわけでございますが、同時に、企業が当然これらに関連して新しく開発一改良する部分につきましては、当然研究に投資するということに相なるわけでございますので、そこで同じ投資をするならば、民間でも投資し政府でも投資するということでなしに、二重投資を避ける意味で、両者合体で、むしろ新しい開発、改良分野についての試験研究を進めたほうがより合理的ではないか、こういう意味におきまして、民間の出資もこの中に取り込んで研究機関にする、民間のほうから見ましても、国は国でやる、民間は民間でやるということでなしに、むしろ今後期待されるものについては、やはりすぐ右から左に利益を上げるということでもなくて、二年、三年なりは当然リスクを持ちながら試験研究をしていかなければならない分野が多々あるわけでございます。そういう分野におきまして、国ばかりではなしに、民間からも出して、二重投資も避け、一そうより強力なものにして参りたい、こういうことから、まあ両者期せずしてそういう要望の上にこういう形をとったわけでございます。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 その点については議論もありますけれどもやめます。そこで、この機械化審議会委員ですか、これは十名ででき上がるというのですが、その委員の割り出し——割り出しといいますか、どういう方面から何名くらいとる、こういうように大体きまっておりますか、委員数に対する……。
  136. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 審議会自身は研究所の業務の運営につきまして重要事項を調査、審議するということになっておりますが、大体は試験研究機関でございますので、農業試験場機械化関係の専門技術者であるとか、あるいは農業機械試験所は通産省にございますが、そういう関係者であるとか、あるいは農機具のメーカー、販売業者、あるいは農業団体、そういった農機具、あるいは農業機械化についての学識経験者を広く選びたい、かように考えております。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 広くと言っても十人でしょう。十人ですよ。広くと言っても十人でしょう。農業試験場関係からある数を出し、それから農業団体からも出し、農業団体というのは使用者団体、それからメーカー、販売業者、その他関係者が学識経験者と、こうなるのですから、その大体割り振りはどういう形になるか、こういうことを言っている。
  138. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 十人という制限はございますが、選ぶ範囲は広くという意味で申し上げたわけでございます。具体的に今どういう割り振りだということは考えておりません。むしろこれは利益代表というような性質のものではございませんので、この試験研究を進めていく上におきまして、最も学識経験のある者を、適切な意見の吐けるような方を選んで参りたい、かように思っております。
  139. 清澤俊英

    清澤俊英君 その学識経験者の中には、工科大学などの優秀な技術の教授等も入りますか。
  140. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 機械化関係して、そういう優秀なる方がおいでになれば、広くその中にも入れたいと思います。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 メーカーからどれくらいとられるつもりですか。
  142. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) メーカーなるがゆえにということで選定する考えはございませんで、メーカーの中においても特に農業機械の開発、改良についての学識経験ある者を選ぶという考え方でございます。したがって、メーカーを何人というような、内部の割り振りは全然今考えておりません。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、未開発の機械化促進をやっていく、これからまあ機械を国内生産なり何なりして整備して持っていこう、新しいものを作っていこう、それが一つの形ができ上がるまでには非常に金もかかるし、すぐそれが使えるか使えないかわからぬ、こういう研究もしていこう、こういう場合には、その立場はメーカーにもあるし、国にもあるのだからと、こういうさっき御答弁でした。そこで、そういった場合には、これは午前にもお伺いしましたが、補助金等を出して、そうしてこういうものを、こういう観点において、ひとつ試作するなら試作をしてくれ、こういうようなことがここで行なわれますか。
  144. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) 研究所におきまする研究は主として基礎研究、あるいは応用研究、あるいは試作機器を作るというような、実験機の試作といったようなことが研究所で行なわれることになろうかと思います。民間の企業におきましては、さらに研究所で実験機等ができました場合に、それを試作するような研究のことをやってもらうとか、さらに試作の段階から、ある程度の量産をしてもらうような段階までいくというような場合もあろうかと存じます。そこで、今研究所から企業に補助金を出して試作するような場合があるかどうか、こういうようなことでございますが、試作の段階についてのいろいろの補助金につきましては、実は企業合理化試験補助金というのがございまして、これは主として通産省から中小企業のメーカーに対して出されているようでございます。農林省のほうからは応用研究費ということで、特に機械についての改良等の試験補助金を出しております。研究所の場合におきましては、おそらくある程度の設計ができた、それを具体的に試作してもらうというような委託の関係で、特定の会社に作らせるというような場合が出てくると思います。この場合は補助金ということになるか、あるいは経費を出して特定の会社に試作をさせるということになるか、そのあたりに今後の問題でございますが、そういう場合があり得るのではないかと、こう考えております。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 問題は、そうやって一つの試作が完成した、完全な機械ができ上がって、これは量産に入ってよろしい、こういった場合、今までの経過からいけば、メーカー等にそういう今言われたような因縁があって、そうすると、これは試験所で一応計画した完成品である。それを作るときになりましたら、これはどういう形でメーカーに作らせるのでしょうか、いずれその関係した者に優先的に作らせるのか、それともその完成品の技術パテント等があれば別でありますが、パテント等がない場合でも、農林省の保障してある機械であるということになりますれば、これはそのメーカーは非常に有利な立場で売れると思うのですが、そういう点の製作をやります場合には、最も公平にやるとすれば、どういうことになるのですか。
  146. 斎藤誠

    政府委員斎藤誠君) その点は、研究所と特定のメーカーとの問に試作品の委託をすることに伴って利害関係が生ずるのではなかろうか、こういう御懸念の御質問だと思いますが、確かにそういう御心配はあろうと思われるわけでございます。一般的に現在におきましても、農業試験場におきましていろいろの試作品を各メーカーに頼んで試作をさしておるわけでございまして、現在そうやっておるわけでございます。その間、特別に会社のほうから受託研究を受けたものについてはそういう場合もありますけれども、現在までのところ、試験場とそういう試作の関係によりまして特別に特定の会社が非常に恩恵を受けたということはないわけでございます。と申しますのは、大体ある試作をする場合におきまして、メーカーというものはおのずからきまって参るわけでございます。もちろんものによってはどの会社でもみな製作できるというものも、ございますが、ものによっては、特定の会社しかできないというようなものもあるわけでございます。広くできます場合におきましては、どういうところにこれを試作させるかというようなことにつきましては、十分その会社の性能なり性格なりにおきまして、いわば運営審議会における一つの試作のそういう場合におけるやり方等につきまして運営審議会でもはかっていただいて、そうしてどういうところにどういうふうに試作機を頼むべきかというようなこともこの審議会の審議事項に入れていったらどうであろうかというように内部ではいろいろ研究いたしておるわけでございます。もっともそれが特許になりますれば、これはもう研究所の性格として広くだれにも実施させる、実施権を付与すると、こういうことでまあ広く利用に供して参りたい、こう思っておるわけでございます。
  147. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体、今度あと各条章についてこまかしい、ちょっとわからぬところをお伺いしたいと思いますが……。
  148. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  149. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして。  本件については、この程度にいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  150. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めて。  この際、委員の異動を報告いたします。仲原善一君が辞任、その補欠として田中啓一君が選任せられました。     —————————————
  151. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 漁業法の一部を改正する法律案(閣法第一三二号、参議院先議)を議題といたします。  本案につきましては、去る十日質疑を終局いたしております。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  152. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題となりました漁業法の一部を改正する法律案に対しまして、以下申し述べまする部分の修正部分を除きまする他の部分につきましては原案に賛成の意を表するものでございます。  まず、修正案文を朗読いたします。   漁業法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第八条の改正規定中「第二十一条第一項」を「第二十一条第一項及び第四項」に改める。   第二十一条第一項の改正規定中「区画漁業権を除く。」を「区画漁業権を除く。第四項において同じ。」に改める。   第二十一条第二項から第五項までの改正規定を次のように改める。  第二十一条第四項中「五年」を「真珠養殖業を内容とする区画漁業権又は第六条第五項第五号に規定する内水面以外の水面における水産動物の養殖業を内容とする区画漁業権にあつては十年、その他の区画漁業権にあっては五年」に改める。   附則第二条中「当該漁業権又は入漁権の存続期間中は、」を削る。  以上であります。  この修正案の趣旨は、すでに本改正案の審議の過程を通じまして明らかになったところであり、政府当局の答弁におきましても、その趣旨を実際の法律運営上におきましては十分具現するように取り計らうというような趣旨の御答弁があったのであります。私どもは、現行法におきましてもすでに区画漁業権、特にノリ、貝類等の特定区画漁業権、養殖に関連いたしまするものにつきましては、その免許期間が満了いたしました場合、特別の場合を除きまして現行法の二十一条の三項でありましたか、に規定しておる、そういうような場合を除きましては関係漁業権者、零細な漁民の諸君が存続してその業を営みたいというような場合には、原則としてその期間の更新と申しまするか、延長をはかることに相なっておるのであります。このことは特定区画漁業に従事をされている諸君がそれぞれ相当多額な資金を投入いたしておりまするし、また施設等も行なっているわけでありますが、わずかな期間でその期間が切れまして、その際には白紙に返ってあらためて審査をせられて、かくして免許が与えられないというようなことがもしありといたしますれば、非常に不安の念にかられるというわけでもある。そういうようなことを考慮いたしまして、すでは明治四十三年に本法が制定せられ、昭和二十四年に改正せられましたときにも、特に沿岸における零細な漁民諸君の業を安定してやっていくという、安心を与えるというような意味で、いろいろ議論はあるにいたしましてもそういうような対策が講ぜられておったと思うのであります。その趣旨は最近における国際情勢あるいはその他の情勢から考えましても、将来に確保をしてやらなければならぬきわめて重要な沿岸漁業振興に関する要諦であろうと思う。その趣旨は、先刻申し上げましたように、政府当局におきましても答弁を通して明らかにされておることでありますので、その趣旨法律に明定いたしますることがこの際の措置としては漁民諸君に親切なゆえんでもあり、また沿岸漁業を振興するという政府の基本的な態度を忠実に実行する趣旨でもあろう。こう考えますので、ただいま朗読いたしました二十一条に関連する部分の修正を行ない、漁民諸君に安心をしてこの業にいそしみ得るというような態勢を確立させたいというのが私の提案の理由でございます。
  153. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はただいま森君提出の修正案に賛成し、原案に反対の意思を表明いたします。  ただいま森君から二十一条関係だけについて申されたのでありますが、この漁業二法の審議の過程を通じまして問題になる点は、漁業法について五点、漁業協同組合法につきまして一点、合わせて六点が問題であると存じます。これらは修正もしくは附帯決議を付して政府において取り扱い改善しなければならない諸点であります。しかしながら、私ども審議の過程を通じ、各党話し養い等を行ない、その最大公約数と相なりましたものは、いわゆる二十一条関係の区画漁業権についての継続許可の制度であるのであります。そこで、与党はもちろん提案者の立場にありますから、この最大公約数に賛成はできないにいたしましても、野党においてはただいま申したような話し合いが了したのでありまして、この意味からも、ぜひともこのただ一点にしぼりました修正案には各位の賛成を得たいのであります。この修正がなければ、他に数々の重要問題もございますけれども、私どもはやむなく原案に反対せざるを得ないことをこの際申し添えておきます。
  154. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は日本社会党を代表しまして、本案に残念ながら反対の意見を申し述べたいと思います。反対の理由をこまかく申し上げますと、数十点にわたって反対理由を申し述べなければならないのでありますが、時間の関係等もありますので、私は総括的な立場に立って反対の意思を表示したいと思います。  制度改正の基本となっておりますところの政府の基本政策の方向は、われわれの考えから見ればちと誤っておるのじゃないか、これが中心になります。と申しますことは、戦後の制度改革は、民主的な漁村を作る、こういうことを中心にしまして、まず沿岸漁民に、旧来から持った権限を、一応いろいろな形で奪われておりましたものを政府が買い上げて、それを昔のありのままの形で、漁業権等の一つの形で民衆の中へ返された、これが基本だったと思います。それが今度の改正では、その線がまた逆戻りしておる、こういうふうに見ておりますのが、われわれの反対のまず初点となります。したがいまして、この改正案を見ますと、戦後の制度改正の成果を根こそぎにした漁業構造の改正を行なって、そうしてその結果はどうかと申しまするならば、後に申し述べますが、非常に階級分化の姿を極端に現わしてきている、こういうことが見られるのでありまして、そういう形になりますことを是正していこう、こういう意欲をほとんど欠いて、そしてその努力というものを何ら行なっておらぬのであります。したがいまして、これを逆に言いまするならば、だんだんと階級分化を進めて、そうして現代的ないわゆる漁業構造としての資本構造の強化を沿岸漁民にまで推し進めてこよう。したがいまして、この改正案の中には、大資本の漁業経営を中心にしたことに重点を置かれて、そうして一方、沿岸漁民を無視する、むしろ今まであった権限を制圧していかれる、こういうものが出ていることは明瞭な事実であります。そうしまして政府は、今後の漁業政策の基調を、今までの増産中心から、経営安定へと持っていく。経営安定へ持っていきますならば、この審議の過程で現われましたとおおり、漁獲の海区は、だんだんと国際的な関係等で縮まってくる。一方、船舶並びに漁具の改良によりまして、漁獲量は能率的に進んでくる。したがいまして、その形は、漁獲海区の拡大が当然必要になりますが、したがって、それができない現実の形は、結局、この本法案によりまして、だんだんと沿海漁民の持っておりました権限の中へ資本の形で押し上げてきている。その押し上げられてくることは、ちょうど今日本の経済整備をやって、そうして大企業を整備して参りますれば、したがって、そのはね返りが中小企業へだんだん押し返してきている、と同じものを行なっておられる、こういうふうにこの全法案の中には受け取れる線が非常に多いのであります。結局しますならだ、漁獲量中心の施策から、漁業所得の向上、漁業経営の安定をはかることに重点が向けられるべきでありますが、増産を前提としつつ、しかも漁民の所得を増大し得る積極的な方法が、さきに申しましたような形で現われますから、したがって、弱い線にはそれが出てこない。かえって逆の線だけが出ている。こういうことが考えられます。  こういう点から、社会党として考えておりますことは、大体、もうだいぶ現実的に行き詰まった、矛盾した中に漁業政策を進められるというこう形の中では、一体沿岸漁民と資本漁業というようなものをどうやっていくかという線において、ある程度までもう自信を失っているのじゃないか。そうして、現実の自由経済を基礎とした資本漁業のほうにすべてのものが傾きつつあるのじゃないかということがこの法案の中から考えられます。これをいま一度極端に申しますと、何が一体今日の沿岸漁民を今日の窮乏に追い込んだのか。こう申しますと、資本漁業自身が、沖合いからだんだんといろいろの進歩した船と漁法をもって沿岸に寄ってくる回遊魚、あるいは底びき網等による根こそぎの漁獲というようなことが、結局沿岸漁民を今日の状況に追い込んだ。陸から見ますれば、日本の国を、各種の企業が発達すると同時に汚水が流れてくる。そうして沿岸の魚族の成長に対して非常なじゃまをしている。これは他からくる動因でありますが、それらに対してもいろいろいわれておるが、実質的には何もやっておらない。そうして今度の法案で見まするとおり、沿岸漁民自身に対してはいろいろの権利を剥奪しておる。こういう形が出ておりますので、われわれとしましてはこういう改正案に対しては一応反対をして参らなければならぬ。そこでまあ触れて参りますれば改正案中の問題点というものはさっきも言いましたとおり十数点あります。これくらいありますから。だから、これをみんなやっていたら夜があけますから、簡単に申し上げますと、たとえてみまするならば、第八条の漁民の今まで持っておりました自営権を剥奪して、そうして組合へ漁業権を、これを移してしまう、これは先日私はだいぶ詳しく水産庁長官と言い合ったのでありますが、そういう形で、古来沿岸漁民が実質的に持っておりました浜と沿岸漁民との結びつきというものは法律上から見ますると全く断たれてしまっている。だから、十四条の九項のごときものもとってしまう、そうしてその一方どういうものができているかと申しまするならば、漁業協同組合の中に三百トン以下の経営者、船の種々の経営者が入ってくる、あるいは三百人の従業員を持つ経営者が入ってくる、これは漁業協同組合の法案自身を中心にしまするならば、これは正当な私は参加資格を持つと思います。これから先漁業規則並びに入会入漁規則等を改正せられた結果とすれば、法律の表から見れば仲間入りができる権限がある、その反面沿岸漁民はどうかと申しまするならば、今まで三十日から九十日の漁業に従事した者は正組合員として取り扱われた、それが今度は九十日から百二十日というふうに、就業日数を延ばされる、漁業労働者はのけられる、これは准組合員として、そういうものを与えるのだといいましても、正組合員からのけられて参ります。これらは非常に私は法律の表から見まするならば大きな後退だと思うのです。一方は大経営者としておのおの各魚種を中心にした利益を擁護する各協同組合を持っている、三百トン以上の船舶の所有者なんというものは、これは以下と申しましても、これはカツオとかマグロとか、あるいはその他の魚種によっておのおのの組合を持って、みずからを守ってあってその浜のまた漁業協同組合へ入っていく、そうして漁業権には正組合員として参加する権限を与えられている、一方はとられている、だんだん漁がなくなれば漁業率も少なくなってきている、これをふるい落としたりでありますから、したがいまして、正組合員の資格を完備するだけの漁業日数を持つ者がだんだん減ってくるだろうと思うのです。また漁業が大資本によって荒らされて、あるいは日本の企業態勢の進み方によって浜が荒らされて、そうして窮乏して参りますればこれは仕方がない、これは兼業として、ある程度自分の浜で働くが、大部分は漁業労働者もしくは他の労働者として、兼業でもやっていかぬければやっていけない。これを皆はずしてしまう。擁護すべきものを擁護しないで、だんだんはずして、自立のできるものをこの組合員の中に入れる、そうして正組合員とするというようなやり方ですね。あるいは漁業有限会社を作っていく者に定置網の権限を与える、こういうようなふうにして、せっかく前回改正せられた漁業法の精神というものを踏みにじって、逆な方向へ行く。われわれとしてはそうじゃないのだ。今浜で困っている漁民に対して、地域等の場合もそうですし、もっと沿岸漁民を擁護する立場をとって、そうしてこれは時代のことでありますから、何も手こぎ網で、無動力船でやらんければならぬとは言いません。これらを共同の力で整備したる者には出してやるといたしましても、少なくとも、沿岸漁民をもっと擁護する法律というものがこの中に盛られなければならない。そういうものは一つもない。だんだん狭めるだけのことであって、一つもない。こういう点において、私どもは総括的に反対して参りました。こまかい点は一つ一つ申し上げましても切りがありませんから申し上げませんが、総括的にそれが問題になっている。  そこで、総括的に本案には反対して参りますが、ただいま森さんから提案になりました修正案というものは、これはわれわれの立場からしてみても、この修正は当然のことである。第八条あるいは二十一条、十四条の九項等々と関連して、当然森さんの私は修正というものは、非常な正当性を持つと思います。したがいまして、この点は、われわれとしても別に、私どもの議論を一点にしぼって提案せられたのでありますから、反対する理由はないんですから、この点は大いに賛成の意を表しまして、私の討論を終わりたいと思います。
  155. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御意見もございませんければ、討論は尽きたものと認めて御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、討論中にありました森君提出の修正案を問題に供します。森君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  157. 梶原茂嘉

    ○秀員長(梶原茂嘉君) 少数と認めます。よって、修正案は否決せられました。  次に、漁業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  158. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 多数と認めます。よって、本案は可決すべきものと決定いたしました。
  159. 天田勝正

    ○天田勝正君 私ども野党はぜひ最小限度でありましても、二十一条関係の修正をいたしたいというので、公約数による修正案を提示いたしたのでありますが、残念ながら、ただいまの採決でこれが否決をされ、政府原案が可決せられたわけであります。そこで、今後におきましては、これが運用を適正ならしめるために、政府の扱いに期待するとともに、これら問題になりました諸点につきましては、次の機会にこれが改善されるようにしていただかなければならないと思います。私は、この際、可決された後でありますけれども、これが改善すべき点について附帯決議を付したいと存じます。  ただいま森君提案の二十一条関係については、今決せられたところでありますから、この部分を除きますが、以下提案申し上げ、若干その趣旨を申し述べたいと存じます。    「漁業法の一部を改正する法律    案」附帯決議(案)   政府は、この法律の施行にあたつ   て、次の事項に関して遺憾なきを   期すべきである。   一、漁業協同組合の管理漁業権の    共同申請にかかる、規定の乱用    を防ぎ組合の健全性の確保と漁    業権の適正な行使をはかるため    都道府県知事及び組合の指導に    努めるとともに適当な措置を検    討すること。   二、指定漁業の許可又は起業の認    可にあたって、漁業及び労働に    関する法令の悪質な違反者に対    しては原則として許認可しない    こととし、また許認可後におい    て悪質な違反をおかした場合は    許認可を取消し、もって水産資    源の保護、漁業秩序の維持及び    漁業従事者の労働条件の改善に    資すること。   三、指定漁業の許可又は企業の認    可の場合、船舶の総トン数が基    準とされているが、これがため    漁業調整上問題があるばかりで    なく、海難の因をなし、人命及    び船体の安全等の上からも問題    があるので、速かに、合理的な    方法について検討すること。   四、中央漁業調整審議会の委員の    任命については、漁業の実態を    考慮し適当な数の漁業従事者代    表を加えること。  以上であります。  この附帯決議の第一点でございますが、これは第十四条三項、四項にまたがる問題であるのであります。すなわち、一地域に二つの漁業協同組合が存在し、その一つは何人が見ても妥当ならざる人たちによって構成をされておる、あるいは指導されておるという場合に、他の何人が見ても正当と見受けられる漁業協同組合が存在をいたしまして、これがある種の許可を申請する場合に、正しからざる構成による組合が共同申請を行なおうとする場合に、正当の事由なければこれを拒否することができない。こういう規定に相なっているとともに、さらに正しい一方が漁業権を取消した場合に、これに共有を他の一方が主張した場合に拒否することができないというのが十四条三項、四項であります。かような状態になりますと、今日まで悪用されないとはいいながら、だんだんこの法律の欠陥が多くの人に判明して参った場合には、俗に言う総会荒らしのごときものが起こることは必然でございまして、さようなことになりますると、この法律の大前提でありまする漁村の民主化というものは一部のボスによって撹乱されるという危険があるのでありまするから、これを第一に皆さんの方のひとつ御賛成を得たいと思うのでございます。  第二の点は、指定漁業の許可についてでございますが、現在は漁業及び労働に関する法令を著しく違反する精神を持つ場合、こういう趣旨の規定がございまして、したがって、違反を行なうものは、自分たちは法律を守る精神は十分あるのである。十分あるにもかかわらず、ついつい結果において法令違反を犯してしまったのである、こういうような言いのがれによりまして一向法律が守られないというのが実情でございます。そこで、ここに申し述べましたように、漁業及び労働に関する法令の悪質な違反者に対してはまず許認可をいたさない、そうして許認可後において違反があった場合にはその許認可を取り消す、現在はさようなことが一向行なわれておらないというのが一つの穴であります。こういうことによりまして、水産資源の保護、漁業秩序の維持、また漁業従事者、労働者の労働条件の改善に資しようというのが提案の趣旨であります。  第三の点は、指定漁業の許可、企業の認可の場合でございますが、ただいまの基準が船舶の総トン数だけによってこれが決定されておるのであります。しかし、この結果といたしまして、つい装備をないがしろにし、その結果が海難の原因をなし、あるいは人命、船体の安全にきわめて支障がある事態が見えておるのであります。でありまするから、単に船舶の総トン数だけを基準にして許可、認可するということでなしに、人命の尊重、船体の安全、こういう基準も大いに盛り込んで、他の合理的な許可の基準をひとつ作ってもらいたいというのがその趣旨であります。  第四は、中央漁業調整委員会の構成でありますが、これは二十五名からなりまして、その十名は学識経験者、残りの十五名が漁業者及び漁業従事者の代表、このように規定されておりますが、現状におきましては、かように規定されておりましても、なるほど漁業者はその委員に相なっておるのでありまするが、いわゆる漁業従事者、いわゆる労働者だと言ってよろしいかと思いますが、そういう単に漁業に従事して使われておるという人たちが、この審議会の委員には一人も任命されておらないのでありまして、わずかに例外的にさっき申しました学識経験者十名のワクの中に一人しか入っておらない、こういう実情でありましては、とうていこの法律で各所に規定されておりまする漁業及び労働に関する法令をどう守るか、この労働の法令の部分については一向発言権が働く人にないというのが実情でありますから、そこで先ほど申しましたように漁業の実態を考慮して適当な数の漁業従事者の代表を加えるべきであるというのが提案の趣旨であります。  以上四点について、ここに附帯決議案を提案いたしたのでありまして、どうか各位の御賛成を得たいと思います。以上。
  160. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま可決せられました漁業法の一部を改正する法律案に対しまして、次に卑し述べまする附帯決議をすべきことを提案いたしたいと思います。  私は、改正案の討論採決に際しまして、長い間沿岸漁民の諸君が持っておりました特定区画漁業権につきましては、その期間満了の場合、たとえば特別の事由のない限りこれを継続して免許を与える旨の修正を提示いたしたのでありますが、遺憾ながら否決になりまして、自然原案が実施を見るという運びに相なるのでありまするが、私の述べております趣旨につきましては、本法の質疑を通しましてもすでに明らかになっておりますように、実態的にはその趣旨が敷衍されるようにいたしたいという旨の答弁があったわけでございますので、この際このことが忠実に守られまして、沿岸漁民の諸君が安心してやっていけるようなことについて政府措置を希望いたす趣旨のものでございます。  ここに案文を朗読いたします。    「漁業法の一部を改正する法律    案」附帯決議(案)   本改正法案において、区画漁業権  は、その更新につき制度上の建前が  変更されたのであるが、政府は特定  区画漁業権については、漁業権期間  満了後の免許に際し、漁業協同組合  の優先順位の確保は勿論、従前の漁  業権及びその関係漁民の経営に慎重  な考慮を払い、関係漁民の経営の安  定を図り不安なからしめるよう適切  な措置を講ずべきである。   右決議する。  以上であります。  この趣旨につきましては、もう先刻申し上げましたとおりでありまするし、各位十分御了承のことでありますので、何とぞ零細な漁民の諸君が安んじて永久にその業にいそしみ得まするように、政府の特別の措置がなされまするよう期待をいたすわけでありまして、御賛成をいただきたいと思うわけで、ございます。
  161. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 天田君提出の附帯決議案についてお諮りいたします。  天田君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、森君提出の附帯決議案についてお諮りいたします。  森君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいまの二つの附帯決議の整理統合につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 梶原茂嘉

    委員憂(梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう取り計らいます。
  165. 中野文門

    政府委員(中野文門君) ただいま漁業法の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議が御決定に相なったのでございますが、政府といたしましては、附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。  特に、特定区画漁業権の期間満了後の免許につきましては、従来からの漁業権者及び関係漁民の経営の安定をはかり、不当に不安の念を起こさないよう都道府県知事に通達いたしまして、知事が漁場計画を立てないか、または漁業調整その他公益上の理由により漁業権の免許をしないときには、あらかじめ農林大臣にその事情を報告いたさせまして、適当な措置をする等善処いたしたいと、かように存ずる次第でございます。     —————————————
  166. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案(閣法第一三三号、参議院先議)を議題といたします。  本案につきましては、去る十日質疑を終局しております。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  167. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は自民党を代表して、ただいまの法律案について次のような附帯決議案を付して賛成いたしたいと思うのであります。    「水産業協同組合法の一部を改    正する法律案」附帯決議(案)   政府は、沿岸漁業経営安定のた  め、速かに漁業共済制度の確立を図  り特に養殖についての共済制度の整  備充実を期すべきである。   右決議する。  このことについては、過般の質疑の際においていろいろと応答があったのでありますから、つけ加えて申し上げる必要はないかと考えますけれども、日本の沿岸漁業というものは、過去においてはその近くに生産されておったものを取る漁業だったのであります。しかしながら、だんだんと生産が少なくなって、沿岸漁民は経営困難な状態に陥ったのでありますから、今後の沿岸漁業というものは、そこに各種の施設をして培養をして、そしてその増殖によって得たところのものによって漁家の経営の安定をはからなくちゃできないというようになると考えるのであります。そういうふうなことになるといたしましたならば、その施設が一たん被害を受けた場合においては、何とかこれを救済しなければならない、あるいは策が講じられなければならないのであります。そのためには幸いにして、現在漁業共済制度があるのでございますが、この漁業共済制度はいまだ養殖については十分でないのでありますから、この点について共済制度を整備拡充して、沿岸漁民の生活安定をはかり、経営の安定をするようにしていきたいと思うのであります。
  168. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題になっております水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対しまして、原案に賛成いたしますとともに、ただいま提案せられました藤野君提出の附帯決議案にも賛意を表するわけであります。  くどいことを申し上げる必要はありませんが、ただいま藤野委員からもお話がありましたように、沿岸漁業の実態は、ただ単に自然に発生してくる魚を取るということではなくて、養殖をするというきわめて複雑な状態に相なっておりまするわけでありまして、年々歳々不可避的な台風その他の被害を余儀なくされておる実態、さらに沿岸における工業の発展に伴う汚水その他の関係から、非常な被害が巻き起こらざるを得ないという現実等々を考えますると、そういうような不測の損害に対処する態度、施策というものが確立されておらなければならぬことはもう申すまでもないと思うのであります。私も本法の審査にあたりましてお尋ねをいたしました際に、水産庁長官もほんとうに親切な御答弁があったことを記憶いたしておるのでありますが、ただ単にこの場の答弁だけではいけませんので、おそらくそういうようなお気持ではない、ほんとうに取り組んでいくという情熱のこもったことを確信はいたしまするが、少なくとも政府が相当の負担を持ちつつこの仕事がすみやかに具現されますように、強く希望いたしまして、原案に賛成の意を表する次第であります。
  169. 清澤俊英

    清澤俊英君 私どもは協同組合法に反対します。  反対の理由は、ごく簡単でありますが、大体この改正案を見て参りましても、漁業協同組合の構成に対して先般も質問しましたとおり、非常に複雑になっていると思うのです。ということは、漁業協同組合自身が経営もできたり、漁獲もできたり、あるいはそうかと思いますれば別な生産組合があったりするような、非常なまだ改正しなければならないところが改正にならないで、しかもその中へ入りまする漁民の資格が、さっきの漁業法の際にも申しましたとおり、漁業日数等によって制圧されてきている。一方、大経営者が正会員として加入してきている、あるいは有限会社がこれに加入することができると、こういうようなことでやって参りましたならば、実質的に弱い今までの沿岸漁業経営者は、とうてい力の強いそういったものに対して太刀打ちできない。本質的には資本的に制圧せられている。こういう形が出てくるのじゃないかと思います。それらの点に対しては、私はやはり先ほど申しますとおり、改正すべき点を改正しないで、そうして漁協の健全な発達というものをかえって阻害して、混乱に陥れている。そうして一つ経営体の人によって漁業が混乱させられる、漁協それ自身が混乱させられる。こういうことを考えますとき、われわれはとうてい本案に賛成するわけに参りませんので、反対の意見を申し述べておきます。
  170. 梶原茂嘉

    委員畳(梶原茂嘉君) 他に御意見もございませんければ、討論は尽きたものと認めて御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  水産業協同組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  172. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中述べられました藤野君提出の附帯決議案についてお諮りいたします。藤野君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  174. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま附帯決議が御決定に相なったのでございます。沿岸漁業経営安定のために、すみやかに漁業共済制度の確立をはかり、特に養殖についての共済制度の整備拡充を期すべきであるという点でございまするが、政府といたしましては十分に御決議の趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと思います。
  175. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) なお、ただいまの両案について、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  177. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、委員の異動を報告いたします。先ほど柴田栄君が辞任、その補欠として湯沢三千男君が選任せられました。
  178. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第九三号、衆議院送付)を議題といたします。  本案につきましては、去る十三日質疑は終局いたしております。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  179. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私は自由民主党を代表して、次に述べる附帯決議を付して原案に賛成いたします。朗読いたします。    「畜産物価格安定等に関する    法律の一部を改正する法律案」    附帯決議(案)   政府は速かに次の事項の実現を図   るべきである。   一 畜産物の需給の見通し及び価    格の決定等を的確ならしめるた    め必要な統計資料を整備するこ    と。   二、牛乳及び豚肉等畜産物の流通    及び価格形成の実態を徹底的に    究明し、これが改善のため抜本    的な対策を講ずること。   三、政府及び畜産振興事業団等に    おいて行なう畜産振興助成事業    の調整を図り、助成体系に混乱    を来すことなくその効率的な運    用に努めること。   右決議する。  簡単に趣旨を申し上げたいと存じますが、畜産物価格安定等に関する法律が制定されまして、わずかな月日しかたっておりません。このたびの改正については賛成でございますが、ただ、私はこの質疑応答の際にも申し述べましたけれども、畜産物の価格を決定するための基本的な条項である生産費の調査等がはなはだ不明確であり、資料が少なく、政府の運用上支障があるように見とられるのでありますから、少なくとも現在の法体系のもとにおいて十分に行政機構を運用いたしまして、統計資料を整備し、価格の決定に際しては、十分自信のあるような決定をしてほしいということでございます。  それからいま一つは、牛乳、豚肉等の流通過程及び価格の問題でありますが、この問題については、特に同僚の戸叶委員からも牛乳価格の問題についてきびしい追及がありました。私諸外国、特にヨーロッパの牛乳価格について昨年調べましても、日本のように生産者価格の三倍に近い消費者価格というのはヨーロッパには少なくともない。大体生産費からいっても四円前後、消費者価格は安いところは七円を切っている、一合当たりに換算しまして。高いところで十円、それが労働賃金が、日本がヨーロッパの大体三分の一、それなのに今のような牛乳価格ということでは、畜産奨励、将来伸びる産業だということを言っても、ほんとうの力が入ってこない。これは与野党を通じてぜひ的確な強力な措置をとっていただきたい、かよう考えるものでございます。  第三番目は、この書いてあるとおりでございます。  以上簡単に……。
  180. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 本法案につきましては、私ども日本社会党といたしましては反対の意思を表明いたします。  反対の理由は、まず、この畜産物価格安定等に関する法律は、過ぐる臨時国会の終末におきまして、会期その他の国会審議の都合によりまして、十分な審議が当時の状況としてはでき得ませんでした。したがって、本院におきましては、当時の法案につきまして九項目の附帯決議をつけたわけであります。特に、私どもは農家の再生産を保障するという、こういう立場を堅持いたしまして、衆議院のほうにおきましても、そういう立場からいたしまして、本法案につきましては賛成をして参ったわけでございました。その後、畜産物の価格安定につきましては、周知のように、牛乳におきましても農家の手取りが五円ないし六円、一合について。ところが、これが最終的には三倍もはね上がって、はなはだしいところにおきましては十八円というような高い価格を示しているわけでございまして、生産者には手取りが少なく、消費者には高い、こういう現状が今日の国内にあるわけでございます。さらにまた、豚肉におきましても、畜産を振興する、こういう政府の宣伝にもかかわらず、現実に農家において豚を飼育しましたところ、結果におきましては、本年度二月以降の極端な値下がりを示して参りました。ある地域におきましては、政府の行政指導によりまして、県段階におきまして、県の農業行政におきまして盛んに畜産を奨励して豚を飼わせましたところが、結果におきましては、前段申し上げましたような値下がりを来たしておる。こういうことで、ついに自分でひそかに屠殺いたしまして、これを周辺の地域に売り渡して、環境衛生の取り締まりを受けまして、結局罰せられたというような、きわめて悲劇が生じておる地域も多々あるわけであります。したがいまして、総じまして畜産物の価格を安定するという法律は、自後の経済諸情勢の中ではかえって非常に価格が保障されておらないい生産農家のために保障せられておらないという現況を呈しておる次第でございます。さらにまた、今回事業団の業務に、新たに国内産の牛乳を学校給食の用に供する事業についてその経費を補助する。こういうことがおもな内容の一つになっておりますが、いわば県において、学校給食をする場合に、これに事業団が補助をするというようなこと、このこと自体が何か行政の面に統一といいますか、何か不満足なものが私は感ぜられるわけでございます。さらにまた、この農林省畜産局本来のいわば指導行政と、この事業団との畜産振興における行政との問におきまして、二元的な問題があるというようにも感ぜられるわけでございまして、こういう点につきまして了解に苦しむところでございます。しかもこの学校給食が、事業団が経費を補助するということにおいて、今日牛乳は小、中学生、特に高校生というような青年層の発育にとっては、きわめて重要な国民的な食糧とも考えられる段階になっておりますときに、はたしてこの事業団の一部経費の補助というようなことで学校給食が進展するようにも考えられません。しかもこういうような問題につきましては、農林省の需給計画とさらに文部省の積極的な施策が行なわれなければ学校給食というものは前進しないわけでございます。資料をいただきましても非常にまちまちでございまして、たとえば長崎においては八千石、福岡においては六千石、ところが首都東京都においては三千四百石というような、いわば低い数量を示しております。特に奈良県等におきましては四十七石だというような資料が計上されておりますが、こういうような問題につきましても、学校給食というものが全国的に、普遍的にこれが行なわれておらぬということになりますというと、事業団は単にその需給の調整をするということでなくて、むしろ余った牛乳をそのまま各県が学校給食に向ける、それに対して補助をするのだというような、単に機械的な操作しかないというようにも考えられるわけでございます。そういう意味合いにおきましてはなはだ不満足とするものでございます。  第三といたしましては、畜産物の価格安定ということが、問題は当初申し上げましたように、非常に農家の手取りを保障しておらない、再生産に通じておらないということが根本的に再検討されなければなりません。したがいまして、本法案につきましては、さらに積極的な改正を加えまして、さきの臨時国会におきまして、私どもが決議いたしました附帯決議を十分配慮されたところの根本的な改正案を出していくべきであるという立場を堅持いたしまして、本法案につきましては、まことに簡単でございましたが、反対の理由を申し上げた次第でございます。
  181. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は民社党を代表しまして、本改正案に賛成し、かつ櫻井君提出の附帯決議案にも賛成いたします。  この改正案は、不満足というならばまことに不満足であります。さらにまた、政府側のこれに対する勉強もはなはだ足りません。ここに多くの例をとる時間がございませんが、現実に肉の値下がりは農家それ自体の損害になりましても、それが消費者の利益としてはね返ってこないことは、皆さん御承知のとおり、あるいは乳製品にっきましては、櫻井君がすでに附帯決議において、欧米諸国と比較されましたけれども、現に政府提出の資料におきましても、生産者の手取り、この生産者の手取りは総額でありまして、正味にすれば一合当たりにすればせいぜい一円程度、それに対する卸から小売に至る手取りはまことに多額であります。しかも、これをたとえば償却及び経営者、店主の多少の手間というものを計算しますというと、年間二百十六万円という数字が出てくるのであります。小売店くらいで一つの冷蔵庫を持っているという程度で、月間十八万円の償却などというようなことはあろうはずがないので、実にこれは明瞭なことでありまして、この点をとらえても、私は政府が十分の資料を持っておられないということは明らかであろうと思います。それからさらに、それぞれの段階における価格差でありますけれども、この政府の提出の資料からしても、このころこれら従業員が得がたいといいますけれども、しかし得がたいどころか、実に一人当たり一日に千五百円の給料を支払うことが可能な数字に相なっておる。でありまするから、人件費にかかるというのは単なる業者の言いわけにすぎないのであって、実はきわめて低賃金はそのまま据え置いて、この価格の値上がりはかかってこのこうした牛乳販売業者自体が皆吸い上げてしまうということが実情であります。これらのことについても十分な資料は整っておりません。かように不満足な点はありますけれども、さればそれじゃあ現行の法律でよろしいかということになりまするならば、それは多少とも前進したほうが消費者も生産者もよろしくなるという二とに相なるのでありますから、一応この法律には私どもは賛成し、しかし、ぎりぎりしぼったところでもこの附帯決議の三つの項目は、これはぜひとも政府において配慮されなければならない問題であるのでありますから、十分御注意願いたいということを申し添えて賛成をいたします。
  182. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま議題の畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案、私も原案に賛成すると同時に、櫻井委員提案の附帯決議にも心から賛意を表するわけであります。問題は、結局私はこの法律の運用の問題が非常に重点だと思うのです。だから昨年の臨時国会で、この法律を私どもが政府原案に賛成をいたしまして、可決をいたしました際にも、運営の面について数項目にわたる附帯決議をつけまして、そうして法律趣旨が十分具体的に出て参りまするようなことを注文をつけたのです。特に価格の問題につきましては、政府原案が下位価格という表示をしておりましたのを、基準価格ということに修正いたしたのであります。そういうような趣旨等につきましても十分意のあるところを了解して取り組んでいただきたいということを申し上げておったのでありますが、遺憾ながら今日私どもはその趣旨が十分に具体化されておらぬということを申し上げざるを得ないと思うのです。であればこそまた櫻井委員提案の三つの附帯決議がつけられたというわけなんで、どうかひとつ附帯決議が将来つきませんように、十分ひとつ誠意を持って取り組んでもらいたいと思います。附帯決議に対してはいでつも政務次官なり大臣から、その趣旨を尊重して善処いたしますという判こで押したようなことを毎回聞くのですけれども、一向御答弁が実現されておらない。同じ法律の改正案が出るたびにまた同じような趣旨の附帯決議を繰り返し、繰り返しゃることは、実に私は国会の権威からいってもおかしいし、いやと思うのです。この次にどうしても改正案が出ると思いますが、そんなときに重ねてこんな附帯決議がつけられぬようにしっかりやってもらいたいということを希望いたしまして賛成の意を表します。
  183. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御意見もございませんければ、討論は終局したものと認めて御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中櫻井君から提出されました附帯決議案についてお諮りいたします。櫻井君提出の附帯決議案を本委員会の附帯決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  186. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 全会一致と認めます。よって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  この際、発言を求められておりますので、これを許します。中野政務次官。
  188. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、貴重なる附帯決議が付せられたのでございまして、政府といたしましては附帯決議の趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。以上。
  189. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 本日はこれをもって散会いたしたいと思います。    午後五時五十五分散会      —————・—————