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戸叶武君
農林省は数字にどうも弱くていけないと思うんです。これは池田さんに話をすればすぐわかると思うんですが、とにかく三円三十九銭で五百本としても、そうすると一カ月には四万六千百七十円になります。だからそれは店主までひっくるめてだけれ
ども、どういう配分になっているかということを調べてみて下さい、一本に対して。こんなばかげた、今の小売商というのは、大阪、神戸では暴力を伴うようなので、うっかり
メーカーなんか手がつけられないとまで言っていました。これは全くやくざの世界の支配に私はわれわれの主食たるべきものの配給機構が握られているというような
状態なら、政府は警察でも何でも握っているんじゃないか。それでいてそういうお互いに弱点を持っているから、小売をつつけば、
メーカーがうんともうけているということがわかっているから、
メーカーは簡単な設備によって、低温殺菌などといったって簡単ですよ、大量的なやり方なんです、それをつつかれるから、それだから弱い者をいじめる、といっても弱くなんかありはしない、小売商のところのやくざ組織というか、ボス組織というものが警察すらもこわがって手がつけられないというところに、
メーカーも弱点を持っている、小売に手をつけると
メーカーもつつかれる、そうしてアベック闘争で、このやくざの世界みたいなものと、この
メーカーのごまかしとで、そうしてしわ寄せが農民の中へきている、これが実態ですよ。私はこんなような形において、ほんとうに日本の
牛乳需要が伸び悩んでいるのは、アメリカと同じような値段につり上げてしまったが、アメリカの諸物価というものは日本から見ればみな少し高い、日本のほうが安いじゃないか。労賃は日本より八倍、九倍取っているじゃありませんか。アメリカ並みに
牛乳の値段をつり上げてしまって、そうしてアメリカより八分の一か九分の一しか取らないような労賃、それ以下なんだ。今度ば農民は底へたたきつけておく、こういう矛盾、こういう矛盾点を突かないで、
生産者をいじめ抜き、それから
消費者にはアメリカ並みの高い
牛乳を売りつけるというやり方であっては、どうしてこれが伸びますか、
牛乳需要が伸びますか。
需要を伸ばすという要請と、この
生産と消費との間の流通機構の矛盾というものをいち早くつかんで、これを是正するという二つの題目で今農政が立ち上がっているのを知っていながら
一つだって、中途半端でまともに取っ組んでいないじゃないですか。こういう
状態を等閑に付しておいて、
酪農振興だ、何だといったって、これはこの矛盾の上にさらに増大がなされるだけであって、この今の反省なしに、独占資本の大メーカの一種のカルテル組織の矛盾と、その下におけるところのこの小売商が持っている旧来の非常な古い形のボス組織とのアベック闘争によって
生産者と
消費者が迷惑を受けている、これが実態なんです。この実態に対してメスを入れることを避けて、どんな屋上屋を建てるような
法律を作ってみたって、そういう矛盾を増大してゆくだけであって、何ら私は
酪農振興には貢献するところが少ないと思う。もちろんそれによって収奪をほしいままにするのは、今までの流通機構における矛盾の中に幡踞しているところの旧来の組織形態というものがますます太ってゆくことになるのだと思う。私は今までしばらく政府のやり方をながめていたんだが、まともにほんとうに畜産の問題と取っ組んでいるのか、畜産の問題を奨励すると称して河野農政のもとにおいて河野農政に結びついているところの一個のボス組織というものを育成するためにだけ国家の金を乱用しようとしているのか、非常にその点が疑問な節があるので、もう少しこの問題に対しても、私はこの小売の問題から、この
メーカーの問題からメスを入れなければならないと思いますが、もう少し流通機構のあり方というものは、一番末端における配給機構のあり方の正しき姿というものを私は作り上げなければ何にもならないんです。そのデータを要求しているんだが、どうも今までの
畜産局長の答弁では、これはとても論議にならない、これはほんとうに論議にならない。私はもう少し正確に今の流通機構をどう是正するかの材料になるような、今の
牛乳を配達するところの末端の配達機構の矛盾というものを、われわれが鏡に照らしてすぐわかるような具体的なやはり統計というものがなければ、抽象論によって、これはどうします、こうします、慎重にやりますと言ったって、もうそんなことはこの六年、七年やってきて何にもならないんだから、それをもう少しそろえてもらいたいと思いますが、
畜産局長、早急にそろえてくれませんか。