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1962-04-05 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月五日(木曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            桜井 志郎君            安田 敏雄君    委員            青田源太郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            大森 創造君            清澤 俊英君            戸叶  武君            藤田  進君            天田 勝正君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省畜産局長 森  茂雄君    水産庁長官   伊東 正義君    水産庁次長   村田 豊三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○競馬法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  競馬法の一部を改正する法律案(閣法第一〇四号、衆議院送付)を議題といたします。  本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 天田勝正

    天田勝正君 私、先日時間がありませんから途中で他の委員質疑を譲ったわけでありますが、あらためてここでまずお聞きしたいことは、この公営競技調査会答申の十二項、これははなはだ私から見れば不当な答申である、こういうことを申し上げました。これについて政府は、どう評価されたのか、質疑をいたしましたところ、局長からは一応の答弁がありましたけれども、これは内閣の方針であるから、統一された見解を次の機会答弁願いたい旨を申し上げておきましたから、この点について、ひとつ政府側統一見解を承りたいと思います。
  4. 中野文門

    政府委員中野文門君) ただいまのお尋ねでございますが、答申の中の十二項目お尋ねがあったのでございますが、十二項目は、すなわち「法律規定細部にわたり過ぎると認められる点が少くないので、出来る限り政令に委任する等法律簡素化をはかる。」ということの答申があったのでございまして、政府といたしましては、この十二点、ただいま御指摘の十二項の問題ももちろんでございますが、その他それぞれの答申事項内容につきましては、まず答申尊重するという前提のもとに、それぞれの答申項目につきまして検討、善処したことに相なるのでございまして、したがって、御指摘の第十二項目であるところの「法律規定細部にわたり過ぎると認められる点が少くないので」という答申内容につきましては、そのことにつきまして、今度の法律改正にあたりまして、はたして言われるように、その競馬法というものの内容細部にわたり過ぎる点があるのかないのか。答申どおりにそういう点が相当に、そういう部分が従来の競馬法にあるのかないのか、こういうようなことを土台として、もちろん尊重意味検討をいたしたのでございまして、いろいろと、そういうような態度でもって、今回の競馬法の一部改正の原案を定めて、皆さん方に御審議、御検討を願っているというのが実情でございますので、さよう御了承願いたいと思います。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 このことについて、多くの時間を取るつもりはありません。しかし、まあ通常調査会審議会から答申が出た場合は、政府提案理由説明にいたしましても、これこれの答申が出たので、これを尊重して云々、こう説明されるのが普通である。こういうふうに過日申し上げた。ところが今回に限っては、答申案尊重して、この法律を出したのだという御説明補足説明、いずれにもない。ないということは、私は善意に解釈しまして、この答申十二項のごときものがあるから、その尊重するという言葉を用いなかったのではなかろうか、こう質問いたしましたところが、いや、そういう尊重するという言葉は用いなかったけれども、もちろん尊重いたしております。こういう御答弁がありましたから、尊重するというならば、十二項も尊重ということになって、この十二項を尊重するということは、今までのすべての調査会審議会等答申では、かかることは言われていない。これこれこういうところに不備があり、こういうところに欠陥があるから、これを直されたらいかがですかという答申は、どの調査会からも出てくるのであるけれども、しかし、法律内容を、あまりとまかしいから、政令に譲りたらどうだろうの何だろうのということは、そういう少しく越権答申というものは、私の知る限りでは今までない。そんなことは別に政府に言ったのだというかもしれないけれども、答申が出れば、そういう答申の趣旨を考えて、立法府が独自で法律改正を出すこともあるであろうし、いろいろの立法府としてのやり坊がある。ですから、端的に言えば、よけいなことなんです。法律内容がこまかしいから政令に譲れの何のということはよけいなことなんだ。そういうよけいなことを言ってきたのに対して、政府はどう考えるか。ほんとうは、これは時間があれば、君は答申を書いた長沼さんか、この会長を呼ばなければならないと思ったんです。しかし、そういう時間もありませんから私はこのことについては、いささか行き過ぎなら行き過ぎと受け取ったので、尊重はしましたけれども、他の点を重視してそしてこの法律を出したと、まあ答弁を私のほうが言っちゃおかしいけれども、そういう答弁をすれば私は満足するのです。どう考えたってこの答申は少し行き過ぎでしょう、これは。どうなんですか。
  6. 中野文門

    政府委員中野文門君) ただいまのお話しでございますが、あるいはこれ十分の御答弁になるかどうかと考えますが、私これ判断をいたしまするのに、結局独立した機関答申をしてきたことになります。そうすると、その答申内容の、出てきた答申につきましては、まず一般論として、答申をされた、いわゆる受けた側といたしましては、これを尊重するということにこれ間違いがないと思います。尊重しなければならぬと思いますが、尊重ということが、結局この場合、十三項目にわたって内容が列記されて答申をされておりますが、その一つ一つ、どの点を尊重し、どの点はこれは尊重しなかったというような類別はしておらないと私は存じておりますが、結局答申の全体の項目それぞれにつきまして用うべきは用い、その受け入れるべきは受け入れて、総合的に今度の法律改正だあたりまして、尊重してその法律改正の個々の点についての作業をやったと、そうしてでき上がったものを皆様方にただいまこうして御審議を願っておるのでございまして、したがって、答申尊重いたし、答申のそれぞれの個条を十分吟味いたしまして、そして法律改正作業をいたしたと、こういうことに間違いがございませんので、さよう御了承おき願いたいと思います。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 どうもね、私の言っている意味が十分受け取られておるのかおらないのか、ちょっと私首をひねるのですがね。私が、この答申案尊重して出されておるということに異論をちっとも唱えておるのではないのですよ。それはそれなりでいいけれども、この中の十二号というものだけは、これはどうも、今までのすべての審議会調査会答申と違うもんじゃないか。このものがなくても、もうすでにほかの項目で全部、これこれのところに疑点があり、問題点があるということは全部指摘してある。ですから、もしこれに書くならば、これは、簡素化すべきであるとかいうようなことで書けば、その簡素化を、法律簡素化するのか政令規則簡素化するのか、それは立法府なり政府なりそういうところでやるべきことで、幾ら独自の機関だからつたってですね、立法府に対するこれは余分なことを言ったと、一番いい言葉を用いても余分なことを言ったと、悪い言葉を用いるならば、僭越だ、こういうことに私はなると思うのですよ。その点どうお考えになるのですか。だって、法律規定がどうの、こうの、細部にわたって何だから政令に委任しろなんてね、立法府に、委任しろなんということなんですよ、政令に。こういうことになると、私らは全然別の見解を持つ。ギャンブルのごときものは必要悪かもしれないけれども、しかし何としても弊害を伴うということだけは、これは賛成者であろうともこれは一致して認めるところなんです。そうでありますから、なるべく、何ですか手加減と言つちゃ悪いですが、まあとにかくその扱い上幅のあるようなことはなくて、法律で微細にきめていくべきものだというふうに私は考えているのです。なるべく法律できむべきものだ。ところがこの答申は、さようなことでなくて、立法府がと立法府と書いてないだけの話なんだ。法律立法府なんですから。それを政令のほうへ委任しろと、こういうことを言っておる。それで簡素化しろとこういうことを言っておる。だからよけいなことだとこう言っているのです。けれどもここは、この調査会などが責任を負って国会にくべきあれじゃないですから、そこに文句つけるわけにいかないのだ。それだから私はこれを受け取って、責任をもって提出してきた政府のほうに聞かざるを得ない、こうなってきたのです。このことを、私の言っていることを御理解いただければ、私は答弁者である中野政務次官だって立法府の一人ですから、よけいな干渉受けたと、こういうふうに私はお受け取りになられるのが当然だと思うのですが、どうなんですか。あまり時間取りたくないんだ。
  8. 中野文門

    政府委員中野文門君) お尋ねの点でございますが、このいわゆる三権分立の建て方から参りまして、おのおの立法府には立法府の侵されがたい一つ立場権限というものがあることは当然でございますが、しかし、この三権のおのおのの側からその相手側に対するある程度意見というものがこれ、立てられることが、もちろん内容事柄にもよりましょうけれども、原則的によいとか悪いとかというようなことは、抽象的には言い得ない点があると私は存じます。そこで、この答申事項十二項の競馬法というその法律内容があまり細部にわたり過ぎると認められる点が少なくないので、でき得る限り政令に委任する等の法律簡素化をはかることがよいというこの答申についての政府側としてこの十二項をどう考えるかというお尋ねと思いますが、すなおにこの十二項を受けまして、はたして競馬法の、従前の競馬法の中に、あるいは競馬法改正せんとするときに、この言われるように細部にわたり過ぎるところがあるのかないのかというようなことを十分検討をいたしたつもりでございまして、したがって、この十二項の答申内容はそのままそれを受けてそうしてはたして言われるとおりの法律内容であるのかないのかということはこれ検討して、結論においてお手元に御審議願っておるような改正案ができたのでございまして、これ以外にちょっと私も答弁のしょうがございませんですが、ただどうもこう承って、私一人で勉強をこう頭の中でしておりまするのに、おのおの機関機関立場というものがありまして、その一つ立場機関のものが他の機関のことを全然言ってならぬものかなるものか。それはその事柄々々によって私は一般的にべからずとかよろしいということは言い得ないと思いますので、そうこう、このことによって、これちょっと私はこれ議員でありますが、ただいま政務次官やっておりますので、政務次官立場から答弁いたしておるのでございまして、私は委員として議席にあってこのことを論ずれば、また別の論点が出るかとも思いますが、その点はさように御了承賜わりたいと思います。
  9. 天田勝正

    天田勝正君 じゃあお聞きしますがね。あれですか。この公営競技調査会、この調査会というものは、この調査会設置法とか何とか法律によってきまったものですか。それからまた、調査会権能は一体、もちろん答申権能があることは明らかでありますけれども、そのほかに独自の建議権がございますか。調査会審議会を作る場合に、ただ諮問に応じて答申を求めるという、またその答申ができるという権能を与える場合と独自の建議権を与える場合と二通りございます。そのどちらでございますか。第一点と第二点。
  10. 中野文門

    政府委員中野文門君) 第一点の、この調査会でございますが、これは総理府設置法に基づいてこさえました調査会であるようでございます。第二点は何でございましたかな。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 第二点は、この種の調査会なり審議会を作る場合に、諮問に応じて答申をするという権能だけを与える場合と、答申を求めるのが当然であるけれども、そのほかに独自の建議権を与える場合と二通りある。独自に意見を申し述べることができる、こういう書き方か何かをして、つまり別建議権を与えるというものと二つあるんです。その二つのうちのどちらですかと聞いているのです。
  12. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 公営競技調査会権限に関する事項でございますが、今回の答申諮問に応じて答申されたものでございます。意見を述べることができるとかいうような建議権につきましては、ちょっと五、六分お待ち下さいますれば、すぐお答えいたします。
  13. 天田勝正

    天田勝正君 私の考えからすれば、おそらくそれはないはずですよ。たまにでなければ独自の建議権を与えないのが、法律で作る場合の委員会調査会でも普通であります。ですから、この程度調査会で独自の建議権を与えておるはずが私はないと思っています。  それから第一点の点につきまして、総理府設置法できめられたというけれども、それはこの総理府設置法に固有に必要な調査会を設けることができるというような条文で、それに基づいて作ったのか、あるいはそうでなく、この国防会議設置法のごとく、そういうものはあらためてこの法律改正を行なって入れたのか、そのいずれなんです。ただ総理府設置法の中に、調査会審議会を設けることの条文がどこかにあるはずなんです。それによって自然に設けたというのと、そうでなく法律改正をして、これこれのものを総理府に設けると、こういうふうに改正したのか、いずれですか。
  14. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 内閣には審議会委員会、それぞれいろいろ調査会委員会という機関がございます。で、昨年の四月にいろいろ内閣設置法で別表を設けまして調査会審議会等が置かれております。その設置法改正で、特に公営競技調査会というものを設けておりまするので、抽象的に調査会ということではなくして、具体的に公営競技調査会というものを内閣設置法によって設置されたわけでございます。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 さっきのわかりましたか、答弁残っていたでしょう。
  16. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ちょっと補足して申し上げますが、この調査会は昨年の九月三十日までの時限の臨時の調査会でございます。時限調査会ではございますが、設置法によりまして、特別に設置された調査会でございます。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 あのね、委員各位に私ばかりしゃべって申しわけないと思うのですが、私はこれはきわめて重大に考えているんですよ。それでね、だから私はあの政府統一見解をお願いします、こういうふうに申し上げたのです。河野さんのところまで私の質問が伝えられているならば、私はきょうのような答弁が少し変わってきただろうと思うんです。それで失礼な言い分だけれども、私は相談されていないと思うんだ、答弁のしっぷりから見て。そうしてあとの関連する質問をしても、もたもたやっていてすぐ答弁できない。すぐ答弁できなければならない事柄なんですよ、これは。これから見ても、きょう委員長が採決に至らないという話でありますから、もしこれ時間かかるならば、次の機会で私はよろしゅうございます。この点についてははっきりしてもらわなければ、どうもわれわれ立法府におる者とすれば、立法府が侮辱を受けるような、よけいな指図を受けるようなことは、これは議員として承服まかりならない。こういうことを軽く考えるんだったら、ここにいる資格は私は失礼ながらないとさえ思っている。だからこだわるんですよ。これは委員長のあれで、きのうの議事の午後の水産二法の関係もありますから、この問題はこの程度にしておいていいんですよ、はっきりした答弁を次に、今度こそはっきり相談してきてもらって答弁してもらおう。
  18. 中野文門

    政府委員中野文門君) あのう、ただいまの御発言でございますが、はなはだ失礼と思いますが、もう一ぺん論点を明らかにしていただけませんか。いわゆるその、政府側に対して解明を求められております論点を、一つ御迷惑ながらもう一ぺん明らかにしていただけませんか。
  19. 天田勝正

    天田勝正君 ちっとも迷惑じゃありません。この調査会から出ました答申の十二号、これは言うなれば、この法律があまりこまか過ぎるから、こまか過ぎることを政令に譲れと書いてある。ところが今日までいろいろな答申というものをわれわれも見ましたけれども、法律を整理して政令に譲れなんということを書かれたのは、今回が私の記憶では初めてだというのです。そこで、政府に明らかに法律提出権能がございます。議員提出権能がございます。そこで政府がこの法律提出するにあたって、みずから設けた調査会審議会意見尊重して出してくるという、そのことは私ども十分理解をしているのです。しかし今までのすべての答申に、法律政令にゆだねろなどという書き方をされたことはかってない。答申というものは、必ずその諮問を受けた事柄に関して、これこれの欠点がございます、これこれの問題点があると、そうしたものを列記されて、これをしかるべく改正すべきであるというような書き方なんです。法律の中に盛らるべきもの、それを政令にゆだねるべきもの、そんなことにくちばしを入れることは、これは越権と言わざるまでも、これは当を得ない処置だと私はそう考える。この見解が、政府はそれは間違っているというなら別ですよ。私はそう考えているから、政府がこれを受け取られて、この点をどう消化されて、どういう受け取り方をしてここに提出するに至ったのか、それを聞きたい、こういうことなんです。おわかりいただけましょうか。
  20. 中野文門

    政府委員中野文門君) 御承知のように、公営競技調査会会長から総理あて答申提出をされたのでございまして、政府側からその委員会諮問した事柄は、お手元にございますように、競馬競輪小型自動車競争及びモーターボート競走に関する現行制度とこれら公営競技全般に対する今後の基本的方策について、貴会の意見を求めるということで諮問をいたしたのでございまして、それに対してお手元にございまするように答申がなされまして、ただいま御指摘になりましたこの答申の中の第十二項、これが不当と申しますか、こういう答申はけしからぬではないかというふうに御指摘になっておるようでございますが、そこでその十二項の内容をどう考えるかと言われておるように拝察をいたしますが、その点につきましては、先ほどから申し上げましたように、この受けた答申に対しまして農林省といたしましては、農林省と申しますか、政府といたしましては、その答申をいかなる答申の場合にもさようでございまするように、まず前提として答申尊重いたしますし、その前提のもとにこまごまと列記されました答申具体的内容を参考として、用いるべきは用いて、そして競馬法の具体的な一部改正作業をやって、成案を得て、皆様方に御審議を願っておるということ、ここまでの筋書きにこれは間違いはございません。したがって、結局この答申内容が穏当を欠くか欠かぬか、当否いずれであるか、あるいは違法の答申であるかないか、こういうお尋ねはなかったように思いますが、そういう点につきましては、結局答申政府が受けまして、受けた限りにおいてはその答申を、答申でございますからして、答申で出されたものを政府が受理をして、受け取って、そしてその答申尊重検討して、競馬法の一部改正作業に臨んだ、これ以外に何か答弁することがございましょうか、このことについて。
  21. 天田勝正

    天田勝正君 それはその提出するまでに至った筋道についていけないとか違うとかというその議論は私はちっともしていないのですよ。それじゃ、どうも私の言っていることが御理解いただけないようだから逆に私のほうから聞きますが、今までのすべての答申において法律部分政令に譲れなんていう答申がほかに今まで出たことがありますか。ないでしょう。そういうのはほかにもたくさんありましたというお答があれば、私も考え直さなければいかぬ。私の知る限りではないけれども、政府はありますか。だからそれは異例でしょう。まずその点どうですか。
  22. 中野文門

    政府委員中野文門君) 従来各種の諮問事項に対する答申の中で、御指摘のように、その法律規定細部にわたっておるから、でき得る限り政令に委任する等の法律簡素化をはかれというような内容答申がその他の場合にあったかなか.つたか、ただいまこの席で答弁をいたす材料を持っておりません。
  23. 天田勝正

    天田勝正君 ですから、ほかの委員各位がまた私の所説に異論があれば、私も傾聴しようと思っているのですが、私の知る限りでは、通例の場合、これこれの欠陥がございます。これこれの事項については直したほうがよろしゅうございます。こういうものを答申というのはずっと列挙してくる。法律規則のことに及ぶ場合は、制度簡素化すべきであるというような言葉を用いているのです。その簡素化の整理をするのをどうするかということは、法案提出者であります政府か、立法府である国会かなんですよ、どうするかは。法律規定をごく簡単にしょうという考え方で政府が出される場合もあるし、政府のほうでこまかしく法律に出しても、国会のほうではもっと法律は簡単にしたほうがいいと言う場合もありましょうし、その逆もある。ですから、法律をどうするの、政令をどう書くのということは、これは立法府政府の側のことなんであって、審議会調査会答申の中でまで、これはこうせい、しかも法律にまで言及して言うことは私はないはずだ、こう思っている。ですから、尊重されるのも政府としてはけっこうですよ。それは別に私はとやこう言うのじゃありません。しかし、かようなことは異例であるから、私としては調査会のこの答申というものは承服しがたい。こうなっているので、だから、政府はそういうふうに私と同じように、何かこれはどうも法律に違反というほどのことはないかもしらんけれども、三権分立の建前からすれば、これは法律以前の民主主義の原則なんです。これに照らし合わせてみた場合に、どうもこれは当を得ないと、こういうふうにお考えになるのか、この種のものはもう当然こう書いたほうがあたりまえなんだ、あるいはそれが正しいんだ、こういう御認識に立つりか。ここを聞いているわけです。.
  24. 中野文門

    政府美質中野文門君) いろいろと御指摘を引き続き受けて参りますと、あなたのおっしゃることにつきましても十分検討をしなくてはならんと、さように現段階で思いますが、ただ、この諮問そのものが、競馬とか競輪現行制度全般について、今後の基本的方策について意見を求めたことに関して、この現行法律をもう少し簡素化したらどうか、法律簡素化したらどうかという諮問がされたのでございまして、その法律簡素化が望ましいという諮問が、調査会諮問として当か不当かということは、御指摘もございますので十分検討いたしたいと思いますが、競馬等現行法について諮問したことについて、関連の法律がこまか過ぎるがら、もう少し簡素化が望ましいという諮問が今問題になっているわけでございますが、諮問内容そのものにつきましては、諮問ですから、それを用いる用いぬということはこちら側にあるのでございますので、諮問そのものとしてそれが当、不当いずれであるかということにつきましては、今まで気にとめておりませんでしたが、だんだんと御指摘になりましたことを聞きまして、十分にこれはひとつあなたの御判断に対しまして検討をいたしたいと思います。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。ただ一点お聞きしますが、だいぶ答申十二項で紛糾しているようでありますが、天田君は、ひとつは統一見解をお伺いしたいと、こういうことで今また問題が再燃しているわけです。そこで統一見解を求められるとき、これには当然私は、この答申ですが、答申自身の中には競馬だけじゃないのだ、他省との関係もありますし、また関連したいろいろな部面もあると思うのです。そうしましたら、それとやはりいろいろ相談をして十二項に対する統一見解を今日お出しになっているのかどうか、どうでしょう。私の論点なんというものじゃないのですよ。お伺いしている点は、御答弁の際に統一見解として、この答申に関係のある各省の少なくとも政務次官なら政務次官でもいいですからお寄りになって、統一見解としてお出しになったのかどうか、このことなんです。
  26. 中野文門

    政府委員中野文門君) 私、この統一見解とおっしゃられることが、この段階において、私がちょっと不敏でございますか、十分に了得ができておらぬので答弁がまずいのだろうと思いますが、結局、御指摘のように、これは単なる競馬だけのことでなしに、競馬あるいは競輪、小型自動車競走、モーターボート競走等に関する現行制度と、これら公営競技全体に対する今後の基本方策について意見を抽象的に聞いたわけで、それに対して、抽象的といいましょうか、そのとおりの文言でございますが、それに対する十三項目にわたる内容を持つこの答申が出て参りまして、その中の十二の中でこの法律規定細部にわたり過ぎておると認められる点が少なくないから、これをデキルダケ政令に任命するなど、法律簡素化をはかれという答申がなされたので、なされたこの答申に対して、われわれはこの答申を、この十二項目は単に十二項目でございませんが、答申内容全部についてこれを尊重する基礎に立って、具体的には競馬法改正作業をやったのだと、こういうことでございまして、これはもう法律簡素化せよということは、これは答申内容でございまして、答申そのものに対して、この統一見解ということ、どういうことになるのか、統一見解というのがわからぬのですがね。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の聞いていることはごく簡単ですよ。私の聞いていることは簡単だから、あなたの解釈じゃなく、各省と御相談なさったかどうかということを聞いているのです。しないならしないでけっこうなんです。
  28. 中野文門

    政府委員中野文門君) 各省と相談をいたしておりません。
  29. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 先ほど天田委員の御質問の際に、ちょっと留保いたしました点がございますのでお答えいたします。先ほど公営競技調査会権限に関することで建議権があるかどうかという御質疑まであったわけであります。建議権につきましては、内閣設置法第十五条によって規定されておりまする二十三くらいの調査会委員会がございますが、法律によって公営競技調査会として別表に掲げて、内閣の付属機関として第十五条で設置されております。この規定に基づきまして内閣政令で昭和三十六年二月に公布になりました公営競技調査会権限といたしまして、第一条に書かれておりまする事項からいいまして、内閣諮問に応じて公営競技の事項について審議するということでありまして、競技調査会自身が内閣諮問がなくて、独自に意見を述べるという規定はございません。そういうことであります。したがいまして特別にその委員会から発議しているということはございません。それから天田委員の先ほどおっしゃいました立法権に関する、あるいは政府で立法いたします場合、そういう場合につきましては、われわれといたしましては、立法を特にすべき事項を勝手に政令に落としたりするべきでない、抽象論といたしまして、政府側といたしまして、必要な事項は立法するということでございまして、だんだんお述べになりました原則、この事項じゃなくて、一般原則といたしまして、私は天田委員のおっしゃるとおりだと思います。
  30. 天田勝正

    天田勝正君 はなはだ満足してよろしい答弁になって参りましたから、先へ進みますが、念のために申し上げますと、今御答弁があったとおり、今局長はちょっと間違った言葉を用いたから、あとで速記録を直していただけばいいと思うんですが、内閣設置法ではございません。総理府設置法十五条でございますから。その設置法の十五条にずっと各調査会や何かが列記されておって、そのうちの一つ公営競技調査会というものも確かにある。あるけれども、これは簡単でしてね。御承知のとおり、名前が書いてあって、これこれのことをやる、今おっしゃったとおりのことをやる、あとは施行令に譲られている。この施行令もまずきわめて簡単なものです。これは確かに建議権などはないのでありますから、それですから、建議権のないものがあまり差し出がましい言葉を用いると、立法府権能まで制肘とはいわないけれども、当を得ない。この際私は例示しておくけれども、税制調査会のごとき、これこそ幾らに税金をする、税率を幾らにしなければならぬ、幾ら減税するというふうな、法律に入ってこなければどうにもならないような調査会でさえも、これこれの税率、これこれの減税、これこれとこれこれの税金の調整はこうというようなことは、列記はするけれども、法律にそういうものは書かないで、政令のほうにたくさん委ねろというような答申をするものはないんですよ。だから異例だ。しかし、だんだんと、私の言っている意味が了解されましたので、この点はこの程度にしまして、先へ進みます。  もう一つ、過日、これはたしか局長答弁であったと思いますが、今回の改正によって競技種目のうち、やめる部分もある。半面ふやす部分がある、そこで、ふやす部分については、ギャンブルというものは目新しい競技を加えるというときには、必ず射幸心をそそるという結果になるのだ。こういうことを私は指摘したのです。それで、結局これについては、やめる部分はよろしいけれども、新しく加える部分は、何とか政府側においてこれを直すという考えはあるかないか、これについて次の機会までにひとつ考えてきてもらいたい、こういうことを申し上げたはずでありますが、これに対するひとつ答弁を求めます。
  31. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 御指摘の点は、新しい競技法としましては、勝馬投票の連勝複式の問題でございまして、これにつきましては、外国の事例等も調査会で調べました。かつ、関係団体等でもいろいろ論議をいたしました結果、現在の関係者といたしましては、連勝単式よりも連勝複式のほうが的中率が高くなり、いわゆる、何といいますか、投機といいますか、かけの弊害をそれのほうが是正されるという見解が、大体ほかの競技法でも一致したところでございます。ただ、競技によりましてワクの振り方等につきまして、いろいろ論議のあるところでございます。私どもといたしましては、勝馬投票法につきまして、投票それ自体につきましては競輪、モータ・ボート、競馬等統一してやっておる現状でございます。競馬競馬なりの歴史もあり沿革もあり、かつ馬のスポーツという観点から、相当違った性質として、その関係者また私どもも考えております。そういう意味におきまして的中率、今度の新しい競技方法の施行につきましては、その方法が的中率を上げていく、射幸心の過熱を防ぐ、こういう意味において競馬についても適当だと考えておりますが、各公正競馬の運営に熱心な方々の御意見も伺いまして、そうして実行上どういうレースにどういう、何頭ぐらいのレースにどういうふうにとるかということにつきましては、現に私ども公正な競馬を健全娯楽として楽しんでいただけるというように、従来のはどうしても弊害が一面においてあるもんですから、その弊害を是正すべく、具体的にどういう方法、どういう頭数の場合どういう方法をとるか慎重に検討いたしまして、今までの弊害を極力是正して参ろうと存じます。
  32. 天田勝正

    天田勝正君 それでは、私は局長の言うように当たる率を多くすることによって射幸心の過熱を押さえる、こういう見解もまあできるかと思います。しかし私の見解のように、新しい種目を加えれば、それだけやはり射幸心の過熱は高まるという見解も、これは政府側で否定できないと思う、いずれもこれは実例に基礎をおいて議論しておるわけです。ですから、私の言い分も決して否定はできないはずなんです。ですから、私は施行令かなんかで、法律は与党は何しろ多数なんですから今回通るでありましょうが、しかし一般国民に及ぼす影響が悪い面ばかり出てきているから改正するというのは、ギャンブルなどではまことに好ましくないのでありますから、そこで施行令かなんかでどうなんですか。ある公営競馬、これは幾つあるんだか、八つぐらいあるんだかな、場所は。ある公営競馬場においては、政府側が今考えているように連勝複式というのですか、そういうものを用いる。あるところにおいてはそれをまず用いずに従来の重勝式だけをやめる、こういう適用の仕方をしてみて、テストをする。そうすれば過熱になるかならないかがわかって、国民に悪影響を及ぼさないという保障もできるかと思いますが、その点に対する考え方はどうですか。
  33. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 天田先生の御意見、新しい方法をとる場合のいろいろ御意見もありました。私も気持においてわからぬわけではございません。今、御提案の施行上の点につきまして、目的はやはり公正競馬をやって現在の弊害を直していくということなのでございますので、天田委員の御提案の方法も一つの方法だと思います。同様な趣旨で私どもも十分検討いたしまして、テストということも一つの方法だと思います。目的完遂のために努力いたしたいと思います。
  34. 天田勝正

    天田勝正君 次に、要綱の九と十四のところでございます。事柄は同じことでありまして、過日藤野さんからも質問があったと私は記憶しておりますが、「馬の改良増殖」これは一体どういうことをするのか、私にはどうも「増殖」というに至っては、さっぱり理解ができない。それは三十六国会に各党、政府側からと、三党の農業基本法が本院において審議されました際、私もわが党案の答弁に立った一人でありますが、その際に、十年後の見通しについて、私としては牛は何頭、馬は何頭、豚は何頭、すべて、粗雑でありますけれども計算をして出したのであります。どうも、過去の実績からいろいろ類推してみましても、馬のほうは増殖どころか、どうやっても十万頭は減つちまう。これは最低限ですが、そういう数字しか私の計算では出てこなかった。これは無理からぬことでございまして、競馬の頭数をおそろしくふやすという方針ならば別だけれども、この答申から見ても、なるべくならこれはもう押さえていきたいという考えに立っての今度の改正なんですから、競走馬をそうふやすはずがない。それから競馬等を見ると、これは主として積雪地においては、昔、自動車が入って参りましても、事実冬になりますと馬専門といってもいいくらい。そうでねければどうにもならなかった。しかるところ、近ごろになりますとスノー.キャットというようなえらいものが出てきて、競馬なんかやめてしまってスノー・キャットでも置くようになってきちゃった。でありますから、冬専門の交通機関としての馬の使命というものはこれで失われちゃう。それでえらい勢いでこれにかわってきているのですね。おまけにこの値段が馬二頭分も出せばスノー・キャットが買えるというに至っては、とてもこれはそれこそ数年ならずして輓馬としての使命というものはほとんどゼロに近くなるのではないかとさえ私は思うのです。そういう見解を私は持っておるのですが、政府側のこの「改良増殖」というのは、どういう部分を改良しどういうものを増殖するのですか。
  35. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ただいまの畜産振興に充てる目的の冠といたしまして、「馬の改良増殖」という規定をまず先に引っ張り出して、「その他畜産の振興」という表示をいたしたわけであります。御指摘のように、長期計画としてはだんだんと馬が漸減していく。現在でも六十万頭、将来を見越しますとだんだん減っていくという趨勢にあります。ただ、地域的には非常にまだ重要な役目を努めておる点もございます。ここで特に書きましたのは、競馬に関しまして相当過去における沿革あるいは歴史的な発展の過程等で、冠といたしまして、畜産振興の冠といたしまして書き出したわけでございます。政府の将来の見通しといたしましては、先生のおっしゃるとおりでございます。
  36. 天田勝正

    天田勝正君 そうだろうと思うのですね。それから、これはそうしたギャンブルをだんだんやめる方向へ持っていくとすれば、そう速度のある馬を増殖しないったっても、同じような馬を競走させれば、それは見る者には興味があると思う。いわばノミを走らせる競走であっても、それはそれなりに興味があるのであって、ただ、ノミでは何せ大ぜいが見るわけにいかない、がたいの大きい馬が都合がいい、それだけのことだと思う。早いかおそいかの競走ならノミだって何だって同じことなんですよ。馬のうちでは最も足のおそいのだけ競走さしたって、やっぱり私は投票券は売れると、こう考えるので、そのほうの増殖などは、今のような答弁で、あまり実は考えていないのだと、ただ枕言葉としてこれを用いたというのならば、こんなものはやめちゃったらどうですか、どうせ必要悪なんですから。それよりも人間生活に必要な牛や豚のほうを増殖すると、こういうほうがすっきりしていいのであって、必要悪だから、やむを得ない、残すけれども、しかし、その利益はあげて他の成長部門のほうの改良増殖に資するのだと、こういうほうがきれいだと思うのですが、どうですかね。
  37. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 先生のおっしゃることはよくわかるわけであります。いろいろ沿革なり、歴史なり、発展の過程におきましてはぴたり当てはまった文句でございましたけれども、そういう点はまさにあるわけでございますが、競馬という歴史的、沿革的等の関係からそういう枕言葉を用いておるわけであります。私のほうといたしましては、今後なるべく発展しにくい酪農その他の畜産振興施設に邁進するよう努力いたしたいと思います。ただ、まだまだ馬で重要な役割を努めておる点もございますので、そういう点は深甚な注意を払って、そうして農村の振興につきまして努力いたしたいと思います。
  38. 天田勝正

    天田勝正君 次に、過日もちょっと伺いましたが、この評議員の資格でございますが、学識経験の分について、私はこれをギャンブルになれた者が経験が高いと、盛んに馬券を買った人が経験者かというので質問したわけですけれども、これは別のお答えがございました。それで、今聞くのは関係行政機関の職員と、何せ二十五名と数は限定されておるのですから、その関係行政機関の職員と一学識経験というものの数、比率、そういうものはどうされるのか。それから関係行政機関の職員という人はどういうワクで任命されるのですか。だれを任命するという答えはなくてもよろしいです、それはわからないでしょうから。そうでなく関係行政機関とはどういうもので、その関係行政機関のどういう職責についてのものを何割なり何人なり任命するつもりか、こういうことです。
  39. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 関係行政機関規定を入れましたのは、騎手の免許、馬主の登録、その他競技に関しまして審判員、その他の養成をはかる関係上、各都道府県が競馬を施行いたします、そういう関係から十分地方公共団体でありまするそういう担当の責任者につきまして委嘱いたしまして、そうして公正競馬の施行上の点から意見を聞くために、関係行政機関のその競馬施行の責任者、それからもう一つは数の問題でございますが、ただいまのところ何名片々ということではきまっていませんが、相当大部分の方が関係行政機関から入る、入るといいますか、委嘱して、そうして公正競馬の仕事が一つありますので、もう一つは畜産振興の仕事があります、交付金を分ける、こういう仕事がありますので、そういう関係の責任者の方等も参画していただくように考えております。
  40. 天田勝正

    天田勝正君 その数が二十五人に限定されているわけですから、学識経験者も入れるとすれば、十人くらい入れれば、あと行政機関から入るのは十五名ということに自然なちゃう。自然なつちゃうと、各都道府県の数からすれば、つまりそういう責任者といえば、われわれの頭に浮かぶのは畜産課長ですか、そういうことになろうと思うのですけれども、それを出せる県もあるし、出せない県もあるわけでしょう、自然。そういう出し方というのは政令にゆだねられておるのだろうと思いますけれども、今予定されておる政令によれば、それじゃどういう県のものを出そうとなさるのですか、その点伺いたい。各県から出すというのならわかるけれども、そうじやないでしょう。
  41. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 競馬をやっておる県のうちから、大体、たとえば関東地方で申しますと、関東の四県は現在でも連絡会、あるいは事務組合等を設けてよく連絡をいたしております。それらの都道府県の方々との御意見を伺いまして、ブロックごとにお話し合いを願いまして、そうして十分各都道府県の競馬施行上の意見を聞き得るようにいたしたいと考えております。あまり多数になりましても、また事業計画その他の審議に差しつかえるものですから、十分各都道府県の話し合いによりまして、たとえば東京地方を例にあげますれば、東京、神奈川、埼玉、千葉等は非常に競馬運営について連絡してやっております。どの県で今回出すかというようなことは、各県等で相談していただいて、じっくり二十五名で御審査いただくようにお願いしたいと存じます。
  42. 天田勝正

    天田勝正君 あまり多数でなくて、法律で二十五名という頭数はきまっているのだから、多数になる気づかいはない。二十五名には間違いないのだけれども、それが各都道府県で出すというなら、案外すんなりといくであろうけれども、出せる県も出せない県もある、そこをどうするのかと、こう聞いておるわけです。そうすると、それはあまり各県でやるから、なるべく出そうということで数がよけいになつちゃうと、学識経験者のほうがまたえらくはね返って減つちまうのじゃないですか。何せワクは二十五しかないのだから、そのワクの中で案配するわけでしょう。そうすると結局、さっきのまだきまっておりませんということからすると、その各地方庁から要求があると、どんどん学識経験者に予定してあったほうに攻め込んでいって、学識経験者がなくなってしまう、こういうことにもなり得るのですか、どういうことなんですか。これは。だから学識経験者が何%というようなことが基準としてなければおかしいと思うのですがね。
  43. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 私どもといたしましては、都道府県につきまして、従来とも地方競馬施行に関しましていろいろ関係府県の御意見を伺っております。大体ブロックごとに一あるいは二名で御意見がまとまっていると思います。そういう意味におきまして、少なくとも考え方といたしましては、半数あるいは三分の一ぐらいを学識経験者で埋めたいと考えております。
  44. 天田勝正

    天田勝正君 私の今の質問は実に簡単ですから、簡単に答えてもらえばいいのです。何か、今の答弁は、半数あるいは三分の一なんというようなことであいまいで、結局私が指摘したように、各地方庁から要求が強ければ、ついつい学識経験者のほうが、限定されておらないがゆえに、そのしわ寄せを食って、そのほうがきわめて少なくなるということもあり得るのでしょう。あり得るのか、あり得ないのか、それだけ答えてもらえばいいのです。
  45. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) この立案にあたりましても、都道府県の意見を聞いておりますので、そういうことがないようにいたしたいと思います。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。おかしいじゃないですか、大ていの場合、施行者側何名、学識経験者何名というふうに大体分けて出ておるのでしょう。それを聞いているのじゃないですか。何もめんどうなことを言う必要は何もないのですよ。それはどう出すとか、これはどう出すとか、実際の行政を行なっていく上に、問題が起きると悪いから、あなた方はブロックごとに相談さして、かりに二十五名のうち、主催者側十名なら十名を割り当てるというふうに、あらかじめ二十五名ということをきめる際に、大ワクぐらいはちゃんときめておいていいのじゃないかということを聞いているのです。別なことを幾ら言っても、それは話になりませんですよ。これはごく簡単なものなんです。
  47. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ただいまのところでは、学識経験者十名、施行者団体関係で十五名という予定であります。
  48. 天田勝正

    天田勝正君 次に移ります。答申ののところを見て下さい。ここにいろいろなことが書いてあります。われわれどうもギャンブルに学識経験がない者にはわからないことがございますから聞くのですが、そのうちの(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)、ここに「以上に関連して枠のくくり方についても所要の改正を加える。また、特に紛争の起る危険性のある枠のくくり方はこれを改善若しくは廃止する。」と、こうある。こういう今回の改正法律で受けたのは、どうも私はこの意味がわからなかったので、だんだん読んでいったところが、附録第一というところが該当するのではないかと、こういうふうに勝手に自分で思ったのですけれども、それに間違いありませんか。
  49. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ただいま4のワクのくくり方についての御質問でございますが、それは第六条の勝馬投票法に関連する問題でございます。したがいまして、第六条の下段の勝馬投票法の種類の組み合わせ及び限定その他の実施の方法につきまして省令で定めることにいたしましたが、ワクのくくり方で問題になりますのは、一ワク複数か単数か、こういうようなことが問題になっておるわけでございます。
  50. 天田勝正

    天田勝正君 だから、附録第一なのか、こう聞いておるのです。附録第一、これじゃないかと自分は思うが、これで間違いありませんかと聞いておる。間違いないかどうか答えて下さい。
  51. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現行法の附録第一はそれに関する問題でございます。
  52. 天田勝正

    天田勝正君 そうしますと、この附録第一でどうしてこの答申の「特に紛争の起る危険性のある枠のくくり方はこれを改善若しくは廃止する。」というのは、それがギャンブルに学識経験のないわれわれにはわからないので、そこのところを、さっきから言う、答申をどういうふうに尊重してこうなったのか、それを説明して下さい。
  53. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ワクのくくり方で、現在一ワクから六ワクまできめておりますが、競馬で一ワクに多数の馬が入った場合におきまして、タイムやいろいろの調子から、一番有力馬というものが発走前に取り消しになる、投票が行なわれた以後におきまして発走前に取り消しになる。そういうことになりますと、そのファンの馬の能力なりの研究の結果と違うようなレースが行なわれる。そこが問題でございますので、第六条におきまして省令等でそういうことにつきまして起こらないようなワクの問題をきめたい、こういうことでございます。
  54. 天田勝正

    天田勝正君 ここは、さっきから言うように私はわからないのですけれども、ここはまことに射幸心の過熱を起こすか起こさないかのなかなか重要な点じゃなかろうかという気がするのです。気がするからこれにひっかかっているのですが、そうすると今度のようになるとその点がどういうふうに整理され、どういうふうに改善され、あるいは廃止した部分はどういうふうに.なったのか。それは確かに六条を見れば省令で定めると、こうなっておる。政令でもない、それよりも下へいっているのですね。だから、ギャンブルの悪の部分をなるべく避けて楽しみの部分のほうをなるべく多くしていきたいというのが、過日来ずっと一貫しているあなた方の答弁なんですよ。そこで見ると、今までいけないから答申4で、これこれこれこれ、こう書いてきて、一番の締めくくりにワクのくくり方、所要の改正、紛争が起こる危険性があるのは、これ改善廃止する、こうきている。これは前のほうの結びでもあるとともに、ここがポイントのようにわれわれしろうとから見ると見えるのですね。だから、その改善のほうは今度法律にはちっともなくて、政令でもない、省令だ、こうきたのでは、省令予定を聞いておかなければちょっと困るということになる。ですからどう改善され、廃止された部分法律にはないのだから、省令でどう予定されておるのか、ひとつ説明して下さい。
  55. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第六条は、重要な規定でございます。したがいましてわれわれといたしましては、特に勝馬投票方法が問題であるわけであります。現在の規定では、もう投票方法をきめてしまっておりまして、そうしてこれを制限しようにも法律でワクにはまっております。したがいまして私どもといたしましては、先ほど先生が一例にされましたように、いろいろ方法を講じまして的中率を上げて射幸心の過熱を防ごう、こういうことでいろいろな方法を検討しております。少なくともこの法律の運用によりまして、「組合せ及び限定」ということで、特に限定という言葉を立法の過程においても、法制局等で入れていただいたわけであります。そういう意味におきまして、いろいろな組み合わせと的中率を上げて、射幸心をそそらないようにということでいろいろな組み合わせを十分検討して参りたいと存じます。
  56. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、今は全然ここでどう改善したかということは言えぬ、こういうことですね。
  57. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 具体的な結論はまだ出ておりません。
  58. 天田勝正

    天田勝正君 それはどうも困るね。一番これは過熱になるかならないかの大切なところでしょう。過熱になるというので、一番初めの(イ)で重勝式はやめるというように書いてある。何が単勝、複勝式を中心とし、連勝式はこれを制限を加える、制限がどういうことになるか知らぬけれども、それに関連して次の(ハ)で、連勝複式を採用する、こういう射幸心過熱の制度廃止をすることが4で書いてあるわけでしょう。その締めくくりが最後の(ニ)だと思う。そこのところがないのだ。政令で予定したのでもないので、これは省令なんだ。そうすると何かまかせ切ったということになってしまうのですね。私は初めからさっきの十二号論争のときから、この種の必要悪というものは、まかり間違えばとんでもない悪になってしまうのだから、そこでなるべくこまかく法律規定して手加減ができないようにしたほうがいいというのが、根本的な私としては考え方なんです。ところが、この一番大切な過熱になるかならないかという境目になると、法律にはないし、政令にはないし、省令できめる、その省令も今のところちっともない。こういうのじゃ、どうもこれ以上審議が進められないということになりますがね。予定はしておるのでしょう、どうでしょう。
  59. 森茂雄

    政府委質(森茂雄君) これは投票法の問題非常にむずかしい問題で、先ほど天田さんが例示せられている新しい投票方法をやれば、かえって射幸心をそそるじゃないか、こういう御意見があるくらいにむずかしい問題でございます。私どもといたしましては、法律で組み合わせ方法を限定してしまいまして、そうしてこれを施行したところが、逆に射幸心が過熱してしまったということであっては大へんなのでございます。そういう意味におきまして、私どもといたしましては、たとえば一例をあげますれば、連勝複式のレースをふやすとか、ふやして天田さんの言われるように逆にそういうことになつては困るわけであります。私どもといたしましては、機動的、弾力的に公正競馬いちずに向かってやっていく、そういう意味におきまして省令に譲るのでありまして、真剣に健全娯楽のほうに持っていくということに努力いたしたいと思います。結論で、組み合わせをきめちゃいましてやりますることは、かえって私ども法律できめたやつを施行上制限してしまうということもできませんものですから、そういう趣旨でございます。
  60. 天田勝正

    天田勝正君 私の信念と、今局長答弁せられるのとは、まあ違うのだが、それはそれでいい。私は法律でこまかしく規定するという観点をとっているけれども、あなたはそういうのではなく、動かしがたいものでやってしまった結果、またまずい点も出てくるというようなことでは困るというのですから、それは政令に譲ろうと、省令に譲ろうと、それはいい。しかし、ここのところがポイントなのに、どう改正するのだということが、省令で予定のところが今あなたのほうにないのがおかしい。だからいいですよ、私の根本的な信念である法律規定すべきだというのは引っ込めて、あなたのいうように政令でやるなり、省令できまろうとよろしい、この際は。けれども、省令も全然今空だというから、それは困るとこう申し上げている。省令の予定はあるのでしょう、どうですか。
  61. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 私どもといたしましては、この答申にございますように、具体的に何レース連勝複式をとるかというまではさまっておりませんが、連勝単式を減らしていって連勝複式をふやしていく。それから極力単勝式、複勝式に持っていきたい、こういうことであります。したがいまして、具体的には、たとえば一日十レースあるうち、五レースは連勝単式を採用するが、あとのレースは連勝複式を採用する。それからワクの問題につきましても、多数馬が出て、そうして非常に馬の能力からいって偶然性が多い投票方法になる。こういう意味で、極力馬のワクの編成等につきまして的中率を高めるということで、馬の総数、能力も大体きまっておりますが、そういうことで実施上やっていきたい、こういうことであります。考え方といたしましては、答申の趣旨にありますように、そういうことで的中率を高くしていくということで持っていきたいと思います。したがいまして、現在では具体的に一日のレースのうち、何レースを連勝複式にするかということは決定しておりませんけれども、極力連勝複式をふやしていくということであります。そういうようなことで施行上まだ弊害があるということになりますれば、特別の場合を限って連勝単式を認めるが、多数のワクの組み合わせの場合には連勝単式を認めないというような方法もとって参りたいと思います。
  62. 天田勝正

    天田勝正君 いや、あのねえ、射幸心過熱を防いで、いろいろなことを考えておるんだ、それはそれでわかるのですよ.私が今質問しているのは、一つ、ほかのことはさておいて、答申の4の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)のことを聞いているのですから、それだけにひとつ限定してお答え願いたい。そうでないと、どうも学識経験者でないからわからない。その「以上に関連して」というのだから、前のずっとあるのだ、私は連勝複式を採用したら、どう言っていいのかわからないのですけれども、そいつの締めくくりが(ニ)のところにきている、あとにこの文章の書き方からして。「以上に関連して枠のくくり方についても所要の改正を加える。」こううので、いこの該当は何だと思ってずっと調べていったら、この附録の一というものが出てきたから、旧法です、旧法にこれがいけないのだから、それでいけないというので所要の改正を加える、こう答申しているのですから、その所要の改正の予定は何だ、どういうものですかと聞いておる。そうすると連勝式を多くしたら何だとかほかの説明をされますから困る。この「枠のくくり方」というものはどういうふうにすればよくなるのか。それから、特に「紛争の起る危険性のある枠のくくり方はこれは改善若しくは廃止する。」このことはどう廃止されどう改善されたのか。これを法律でいえば六条に省令できめる、こうなっているのだから、その省令の予定はどういうものか、どういうふうに改正されるのですか、こう聞いているのです。くくり方というのは……。
  63. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) いろいろ施行者の都道府県の意見を聞くことが前提でございまするけれども、事務当局として考えておりますのは、一ワク一頭で八ワク制をしきまして、九頭以上は単勝式、複勝式でやっていく。一ワク一頭。二頭置かない、複数置かない。それで九頭以上は単勝式、複勝式の投票方式をやっていくということを一案として考えております。
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっと委員長に注意しておきますがね、委員長、きのうのような議事の取扱いはやめてもらいたい。関連質問が本質問になってしまって、いつになったらきりがっくかわからぬような……。
  65. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) かしこまりました。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際私としては不満だったけれども……。
  67. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) その趣旨でお願いいたします。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、まずお伺いしたいことは、私はたいしてめんどうなことは言いませんです。が、この趣旨が、この法律改正する何かこの間からの説明を聞いておりますと、競馬の全国協会ですか、これを作りますことは、結局、競馬をやっているものは限定せられたところでやりているのだ。したがいまして、その上がるものをある程度集めて、そうしてこういうものをやっていない方面にひとつ向けてやるのだ、こういう御説明があったと思うのですが、それは間違いないですか。
  69. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) そのとおりであります。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、そうしました結果で先日ですか、ちょうだいしました資料によりますと、地方競馬について、要綱の第二、第三等によりまして勘案して行った場合、要綱の第七でどれくらいのものが、この全国協会に金が入って運用しておられるのだか、あの資料をちょうだいして見ますと、第二号によるものが約一億円、それから第一号によるものが、これが約三億三千六百万円ですか、切り上げてこれだけの金がある。そうしますと、大体これを中心にしてお伺いしますが、この協会を新たに作って、職員等はどれくらい整備せられるのか。
  71. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 約職員は六、七十名になると思います。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、総体の一年の運用はどれくらいかかるのです。この協会の経常費というものをどれくらい見ておられるのか。六、七十人をまかなっていったら、どれくらいになるとみておられるか。
  73. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 事務内容から申し上げますと、全国二十カ所で、騎手の受験者の二千名程度を対象にいたしております。登録につきましては、馬主が千名、馬が千八百頭登録される見込みであります。したがいまして、専門職員、すなわち審判、発走、投票の設置、派遣でございますが、これは約四十名を設置しまして、全国百三十五主催者の要請によって、各競馬場に派遣してやることにいたしております。騎手養成につきましては、養成所を設置いたしまして、質の向上に役立てるために、二百名程度を収容して教育する予定であります。そういうような経費等が約一億円を要するわけであります。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の聞いているのは、そういうことを聞いているのじゃないでしょう。全国協会というものを持たれ、そこでこうこうこういうことをやると、あなたの今おっしゃっていることを聞いていると、いろいろなことをやると、そこで、職員がどれくらいいるのだと言ったら、七十名ぐらいいると、こうおつしゃる。そうすると、そこには会長もいれば監事もいれば、理事も今度出てきますし、あるいは評議員も出てくる。そういったものを運用していった場合の、総体の一年間の経費をどれくらいに見てなさると、こういうことを聞いている。よけいな、めんどうなことを言わぬでもいいんだ。そんなこまかしいことまでお伺いしているのじゃない。元来、私が意地悪くお伺いするなら、大体、地方競馬の収入は四億円だなんということはいえませんよ。先にいって、四億になるかならないかと、突っついていきます。、そんな意地の悪いことを聞いているのじゃないのだから、さっさと答えたらいい。
  75. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 地方競馬全国協会の歳入歳出として私どもが現在もくろんでおりますのは、一億二千二百万円、事務費七千万円、それから事業費三千三百万円、その他予備費等で一千万円等を予定しておるわけであります。そのほかに、畜産振興費として、配分金を三億二千万円程度予定しておるわけであります。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは資料で出して下さい、今言ったってだめですから。  それで、今お伺いしていれば、大体、一億八千万円とか三千万円とかかかるというのでしょう。大体が、四億ぐらいしかないものに、その差額より多い額の振興費なんというものは出るわけがないですよ。今ちょっと聞いたところでは。耳の間違いかもしれませんが、これは簡単ですから、資料を出してもらいたい。
  77. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 資料として提出いたします。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこでお伺いするのは、今までこの団体というものがやっていないのじゃない、競馬協議会ですか、何というのですか、全国公営競馬主催者協議会というものを組織しているのですね。これもやはり同じようなことをやっていたのだ。それをなお切りかえていく、こういうのですがね。これを切りかえる理由は、おもなものが、この法律に書いてあるとおり、競馬をやっていくいろいろな馬の登録とか、あるいは騎手の養成あるいは騎手の登録とか、そういうようなものまで全部やっていくのですね。それで今言われるほどなにがかかっていく。こういうことは主催者協議会を指導してできないのですか。
  79. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 主催者協議会は、施行者団体が任意にやっております協議会でございまして、免許権、登録権等は、各施行団体が現在持っているわけでございます。したがいまして、任意団体でございますので、騎手の取り消しだとかいろいろなことが、現在法制上のことはできないわけでございます。
  80. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで私はこれを見て、どうも屋上屋を重ねるのじゃないかと思われます点は、大体きのうお伺いいたしましたところでは、第一項の交付金を法律によって出していく。それが大体この表で見ますと、非常に限定した数になっていますね。そうしてあとのほうのものは、この表を見て参りますと、非常に収益の少ないものだ。大体何かべらぼうにもうかっているかと思うと、この表の現に第一項、第二項の定率を納められるものを除いたものは、非常に低い収益金に下がっている。総体の一割ぐらいしか持っていない。一割みな欠けているでしょう。ごれを見ますと、それが第一号によって、このうちからまた千分の一ぐらい出さなければならぬ。千分の一から千分の三の範囲で算出する予定である、こうあなた方は言っている。それで、それから一億円全体の上で吸い上げる、こういうのでしょう。だから、きのうもお伺いしました点は、その点なんです。こういうものを無理して取るというようなことが、はたしてできる競馬施行者ですか、町村があるのかないのか。私は長岡などの場合を例にして、現にそういうものを納める余地がないようになっているものさえあるのに、こういうものを取っていいのかどうか、こういうことを言いましたら、あなたは第二項だけを説明して下すったのだ。二項において六千万円以下の収入のものは取らないのだ。今度は資料を見ますれば、やはり賦課金として第一号によって課けられる、こうなっているのだ。これはおかしいですね。それまでにしてこれを作って、そうしてなおそれからこの協会が、ここにある法律によりますれば、馬の増殖とかの関係と、他の畜産に金を出す、こういうふうにいわれている。そういうふうにはたして、私はどれくらいのものがどういう方法で分けられるかしれないものを、そういうものが公平に分けられるかどうか、たかだか一億か八千万円ぐらいのものがかりにあったとしても、まず馬の団体に充てるのでしょう。そうして馬のほうの増殖と改良をやっていくのだと、そしてその次にわずかに畜産という文字をつけたにすきない。そういうことが実際この四億でもってそれまでにうまくできるものかどうかとこう言っているのです。
  81. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第二十三条の二の規定に関する御質問でありますが、二十三条の二の第一号は、この売得金の額に応じてこれに相当する額ということで、一回の開催の売り上げの六千万円以下のものは切っております。そういう意味におきまして収益の上がらないような、非常に売り上げの少ないようなところは該当しないということになります。清澤さんの御指摘の第二号の、一回の開催による場合の千分の四以内において、これは各資料で御説明いたしましたように、千分の一ないし千分の二・五でさしあたってやりたい。こういう問題につきましては、全国協会が一から五号の規定までによりまして騎手の免許、馬の登録、馬主の登録、その他訓練等をやる事項についてであります。一億円のそれでは財源をどうやって取るかということが、第二十三条の二の二号の規定でございます。収益金の非常に少ないところに一律にとってやったら困るじゃないか、まさにそのとおりであります。私どもといたしましては、収益の多いところから、十分、公正競馬の運営上各地におきまする売り上げの状況を見て、範囲は限定をして、最高は限定しておりますけれども、そういう意味で第一号の規定はそのままずばり別表に法律に掲げてあります率で取ってしまいますが、最大限度五千万円以上ということで押えております。第二号は率はきめてありますが、省令で定めるようにいたしまして、そうしてやはりこれは公正競馬をやっていく意味の仕事でございますので、そういうことで収益、上がりの少ないところには負担のかからないようにやっていきたいと思います。  それからこの協会の仕事についてでありますが、一億円程度のものは、公正競馬施行のほうに充てまして別表でぴしぴし取っていきますが、現在、表で掲げております三億程度のものにつきましては、畜産振興に、各都道府県の御意見を伺って充当して参りたいと存ずるわけであります。
  82. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はちょっと間違ったから訂正しますが、第一号と二号をさかさに解釈していまして、これを見ますと、あなたの言うとおりです。大体あなた、書いた資料が出ているのだから、こういう資料だとか何とかいうことはやめて下さい。時間がかかってしょうがないから。  そこで私の考えでは、今五千万円と言われるけれども、六千万円以上の収益を上げておるところは非常な膨大な収益を上げているのだ、これは非常な膨大な収益になっていませんか、売得金計画ワクからこれを見まして。
  83. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) そのとおりであります。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこが問題だと思うのです。ほんとうに畜産振興に、馬の改良増殖にやっていくと、そうして一番先に趣旨を述べられたように、たくさん集まるところから持ってきて、全国的にこれをやらないところにばらまくと、こういうのでしょう。そこで一番先にそれを私は聞いたのです。それであるならば、むしろもっとこういうものを納められる非常に莫大な利益のあるところから、これからもらって、受け取って国庫へ納付さしたらいいじゃないかと思うのです。納付させることが私はこれが一番いいんじゃないかと思う。そういう規定になることが一番いいんじゃないかと思う。そういう了解を取りつけておくことが、一番やり方が正しいんじゃないかと私は思う。大体幾らになりますか、との総体の売上所得というものは。これは百万円単位ですよ、四百三十五億というんじゃないですか、それを四百三十五億のうちの三億三千五、六百万円というものを、一割にも足らないものを出して、あとはちゃんと残しておく、そうして現実にここにあります、さっき私も言ったとおり、ほかのところでは、大体この一割にも足らない収益しか持たない、でちょっと、まごつくと、損をしているところがある。そういうところから持ってきたものを、集めたようなことをやって、わざわざ協会を作っていく。そうしてその金はわずかでありますけれども、わずかだから問題になると私は思う。これは一体だれが分けるのですか、どういう数字についてこれをだれが全国に分けていくのですか。畜産振興として分けていくのか。今までは馬の関係の団体に、あの主催者協議会ですか、これに補助金として二千五百万円ずつ出しておった。これならまだ話がわかる。今度は畜産振興等をするために、わずか一億余るか、二億余るかわからない、四億しかないのですから、この膨大な仕事を全部やったとしますならば、私は相当額だと思う。約一億くらいかかるんじゃないかと思う。そうすると二億しかない、三億くらいのものを、一体だれがどうばらまくのか、そこの点が私はどうもわからない。その点について伺っておきたい。
  85. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第一点は、売上金に関する収益について国庫に納付したらどうか、これは現在地方公共団体がやっておるものですから、現在それを公共団体で先ほどお配りしました用途に運用しているわけでございます。これを国庫に入れるということも、あるいは税金あるいは国庫に入れるということも一つの方法だと思いますが、現段階におきまして自治省と相談した結果、そういう結論になったわけでございます。  第二点の点でございますが、二十三条の二の一号と二号、これは特別勘定を設けまして、吸い上げた金は畜産振興に充てる。公正競馬施行のための約一億程度の金の問題でございますが、これらは各施行者団体がもっと充実してやれということになりますと、千分の四まで引き上げられることになるわけでございます。あくまでもこれは十分相談して合意でやって参りたいと思います。それからこれは畜産振興の手をつけてはならぬ特別勘定を置いて、六千万円以上の売り上げのところに、一定率で累進しておりますが、それで吸い上げられました金につきましては、協会で事業計画を立てる、かつ学識経験者等の評議員会の意見を聞きまして、そうして計画を農林大臣に出してくるわけであります。農林省といたしましては、都道府県の意見を十分に伺いまして、そうして農林省の指揮によりまして適正な交付をはかって参りたいと存じます。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたのおっしゃっているところを聞きますと、ちょっとどうもお伺いしていることとお答えがちょっとずれているようです。私はしろうとでわからないのですから、だから無理なことをお伺いするかもしれませんから、その点腹の中に置いてもらって答弁してもらわないといけないと思う。とにかくこの地方競馬全国協会というものを、四億で運営していく。そうすると、その運営費というものが、大体二億足らずと、さっき一億八千幾らと言われている。それくらいかかるだろうと私は思うのだ。そうすると、四億しかないのに二億足らずのものを出すから、あと二億しかないのです。これが私の第一なんです。そうして、しかもそれを分ける際には、いろいろのことを言われているけれども、これが一番先に、趣旨が私わからないのがそれなんです。競馬をやっておる県にはやらないでいいでしょう。これは吸い上げておって、競馬等をやらない県へまずまくんだと、こういうお話なんだが、二億くらいのものをまいても何にもならぬのじやないかということが一つなんです。大騒ぎをやって……。それが一つですよ〔まだありますよ。私はほかに言うことはあるけれども、この点は言うのです。大体この二億のものを競馬をやらない県に分けるのは、どうして分ける、こう聞いているのです。集まってくるものはわずか十名の学識経験者であり、大体施行者が集まってきているわけです。あと十五名は、あなたさっきそう言ったでしょう、評議員というのはそれなんだと。そうしますと、時によると非常に不公平も出てくるであろうし、大体この法律をずっと、本案を読んで見ますと、馬のほうに第一の力点が置かれているわけなんだ。馬に置かれているのです、力点が。第二番目に、ただ小さくそのあとへ畜産等にというのだ、あなた考え違いをしておる。この法律を読んでみますと、結局すれば社会福祉というものはないですよ。この協会の中にはない、わからないですか。私はその点をお伺いしている。わずか一億円くらいのものを、馬は関係者ですから、関係団体が一番よく知っているから、これは分けられると思うのです。畜産にどれだけ向けられるのか、ぎょうぎょうしく法律に書いて、いかにもごもっともらしいことを掲げるけれども、実際はそこまでいっていないのじゃないですか。それがはね返ってきての私の質問としては、こういう場合特殊地帯、四億円以上は川崎、三億円以上は船橋、二億円以上は名古屋、浦和、一億円以上は中京、それからあと、まあ二つは、あまりこまかくてわからぬから略しておきますけれども、こういうところでうんとあるのになぜ取らないのですか。この初めての計画は、同じでありましたならば、計画でない考え方が、ほんとうにやろうとすれは「これだけの金を出しておくということのできる、できるところから集めてきて、馬の全部に均霑させるというならば話はわかるけれども、四百三十五億、六億からある利益の中から三億三千六百万円、これは切り上げてみな言うているのですけれども、わずかほんの一割足らずのものを集めてくる、これじゃおかしいじゃないかと言うのですよ。初志が本物でありますならば、この五〇%くらい何とか取ってまくことを考えたらいいじゃないか、こういう私の行き方なんです。そうもいきますまいけれども、私はそう考える。
  87. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) きょうお配りしました六ページの資料に関連しての御質問でございますが、売上金の四百三十五億のうち、大体収益として総平均すれば一応約四十三億程度地方公共団体に残るわけであります。したがいまして、地方公共団体で四十三億をどうやって分けさすかということは、畜産振興、その他社会福祉事業に地元の県で充てていただくということであります。その中の、その収益の中の約一割足らずのもの、すなわち三億三千五百万円程度が、この程度の売り上げになりますれば、これは現に、吸い上げまして畜産振興に充てていただく、三億三千万円を減らしまして、この二つのワク、特別会計を設けまして、三億三千万円の中の公正競馬の施行や、騎手の免許、訓練費等に使うことはございます。ただ、三億三千万円は非常に少ないじゃないかという御議論もありましたが、地方公共団体の収益が四十三億程度見込まれた場合におきまして、それを全部競馬の収益を地元から上げましてやることは適当でない。こういう考え方で、地元で十分社会事業、畜産振興に使っていただき、その一部を吸い上げまして、そうして、それはささやかでございますけれども、競馬の金をぜひ畜産振興に充てたい、こういう悲願を実現せんとするもので.あります。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 あなたのさっきから何べんも言うておられる趣旨なんだから、わかっておるのです。あなたのおっしゃることはわかっておるんですよ。わかっているけれども、さっきわしが総売上の、六千万円以上の売り上げのあるところのものが、あなたのこの資料によりますれば、総計が四百三十五、六億、あるというのだ、私はさっき一割と言ったけれども一分なんだ、一分にも足りない七厘何毛ぐらいしかないんです。そんなものを取ってぎょうぎょうしく法律に書いて、分けてやるなんていうのはおかしいじゃないかと言うんです。法律に書いて、畜産振興に使う、馬の改良に使うということならば、とれだけの利益のあるものは、もう少し取ってもいいじゃないか、こういうことを聞いているのだ、趣旨に沿わないじゃないか。
  89. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 四百三十五億というのは、その中の七、八割程度は払戻金に返しますので、その他運営上の経費がかかりますので、純収益といたしましては、そうして、約一割四十三億になる予定であります。その中の一割足らずのものを引き上げるのでございますので、三億三千万円になるわけであります。売得金というのは売上金でありますから、払い戻しを引きますと、約一割程度というものが地方公共団体の手元に残るわけであります。地方公共団体としては、学校建築とか、いろいろの復興計画を立てております。今後は明記されましたように、社会福祉事業、畜産振興のほうにぜひ充てていただきたいということで、法文に明示したわけであります。社会事業等の関係について吸い上げるということは、ひとつの意見であります。競輪等ではそういうことを十分考えております。私どもといたしましては、畜産振興に何かこれを資したい、こういうことで、その一割程度、自治省ともお話合いの結果、御了承を願いまして立案したものでございます。
  90. 清澤俊英

    清澤俊英君 まちっと誤解しないような、はっきりしたものを出して下さいよ、資料にしてもね。
  91. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 清澤さんの質問はね一従来の公正競馬の四億の中で、運営費とかその他を引くと二億円しか残らないだろう、そういうような少ないもので、今後この第二十三条の三にあるような目的を達成するためには、そのくらいの金ではどうにもならないじゃないか、こういうことを聞いている。
  92. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 説明がまずくて申しわけありませんが、第二十三条の二十七で「協会は、第二十三条の二の規定により交付を受けた同条第一号の金額に相当する金額を第二十三条の二十二第一項第五号及び第六号に揚げる業務並びにこれらに附帯する業務以外の業務に必要な経費に充てて運用し又は使用してはならない。」こういう規定を置きまして、交付金の第一号に掲げた規定によって取りました金は、すなわち畜産振興に充当するというこ一とで、特別の勘定を設けまして、そちらに手をつけずに、全部これは配っていただくということで明文を置きまして、公正競馬の運営には、運営のその第二号の財源のほうから運営していただく、こういうことで減ることのないようにいたしておるわけであります。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきからお伺いしているのは、三億三千万円を法律で特別会計にして置くでしょう。それを全国に分けるというなら、競馬に関係ないところに分けるというのですから、さっきの、私の一番さっきお伺いしたのは、あなたの言い方は、この提案の説明のとき、協会を作ることは、競馬をやらないところなどは一つも入らないから、そういうところへひとつ配るためにこういう措置をとったのだ、こう言われておるのだから、そういう非常にむずかしい配分は今のいろいろお伺いしておるのでわかりましたが、三億三千万円というものをそういうふうに分けるのに、だれがどういうふうにして分けるかということ。簡単でいいですよ、私の聞いておるのは。
  94. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ちょっと私過去で説明間違っておりましたら訂正さしていただきますが、競馬をやっておりましても、収益の少ない県には、競馬をやってない県だけに配るわけではございませんので、その点は、収益がほとんどとんとんで、畜産振興には渡らない、ほとんどとんとんだという県には交付をいたします。だから競馬をやってない県だけに限定いたしており.ませんが、畜産振興をはかる上からいって、そういう競馬をやっている県でもほとんど収益がない、こういう県には交付いたします。そこでその点はもし間違って説明したとすれば訂正さしていただきます。  それからこの交付金の分け方の問題です、畜産振興に。これは協会で事業計画を立てる、その場合にももちろん各都道府県から意見が出てくると思いますが、かつ評議員会の議を経まして、農林大臣に分け方の認可申請がきます。私どもといたしますれば、各部道府県の意見も十分聞きまして、行政機関としての都道府県の意見も十分聞きまして、公正に分けたい、こういうふうに考えます。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここのところがよくわからないのですね。この地方競馬全国協会と関係のない県があるでしょう。これは何とする。それの意見をどう聞くのです。聞くも聞かないもない。大体のことはあなたが一番よく知っているだろうと思うのです。どうして意見を聞かれるのです。聞かれればみんなほしいといって手を出すに違いないですよ。
  96. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 農林省といた.しましては、行政機関としての各部道府県の希望もありますので、それ等も聞いておく、こういう意味で申し上げたわけであります。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 幾ら言ってもしょうがないのだが、実際問題としてはおかしいのですよね。関係しないところが、おれもおれもと、意見を聞いたら手を出すに違いない。大体その調整をどこでするのだ、意見を聞くと言われるが。競馬をやっている町村の意見なら聞くこともできるだろう、組織があるのですから。これに入らない、競馬をやっていない府県というのは意見をどうして聞くのだ。
  98. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 各般の各地の状況につきまして農林省も十分検査しておりますので、農林省におきまして案を十分検討いたしまして、農林大臣が、協会が交付金を分けることにつきまして監督、指揮をいたすわけであります。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 戸の点はあなたが今おっしゃるようなあれならば、ちょっと法律を書き変えなければならぬと思うのだな。何か別のことを書かなか?たら、このままでいったら、他府県なんかへ分けられる筋が出てこないと思うのですよ。これは私の意見ですからお答えは要りませんが。そこでまあいろいろな、競馬をしていく上の業務の範囲について、馬の登録とか、あるいは騎手の訓練とか騎手の免許とか、そういったいろいろなものがあるでしょう。そういうものをやっていく場合にこういうものを作ってやらなくても、現在中央競馬会において、これは別かもしれませんよ、別かもしれませんけれども、毎年六十億からの金を使って競馬事業費として行なっている。中央競馬会においても同じことをやはりやっているのじゃないかと思うのです。なおさら厳重なあれがあると思うのですよ。それとタィアツプしていますれば、二つのものでそんなことをしなくてもいい、それこそ法律簡素化だと思うんだ。何かしてこれを一本にしてゆけばこんな複雑多岐な協会などは設ける必要はないんじゃないか、こう思われる。そうして別な法律で吸い上げというものを考えておられるならば、これはいけるということならば、もっと比率も高めて、そうして競馬から集まってきた金を現に中央競馬会のほうでは、何でしょう一前に配られた経費からゆきましても、約五〇%ぐらいになるんですか、それより多いんですか、出ているのはちょっとあれしていますが、相当のパーセンテージを国に交付している。で国のほうではこれに対して大体七五%が畜産振興費、二五%が社会福祉事業費と、こう分けて大蔵省がを分しているんだろうと思う、これは。だからそういうものがあるんですから、そっちのほうと一緒にしてしまったら、大したあれはなくて、こんな無理をしなくても、協会などというものを作って、そこで同じことをいま一度金をかけてやらんでもいいじゃないか。だから統一してやるということは私は悪くないと思う、趣旨からゆきますと。各県がばらばらでいろいろなことをやってるよりいいかと思う。いいかと思うからその点は問題にしない。そうすると、もう中央競馬会で同じ訓練も何もやっているんだから、そこで一本にまとめて、そこで免許もとる、それでなければ使わぬということにすれば問題はないと思うのだ、技術的にできるんじゃないかと思う。二重に経費をかけてがたがたするのはおかしいじゃないか、こういうことなんです。その点どうお考えになりますか。
  100. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 中央競馬と地方競馬を一本にしまして、機構を充実して一本にする、非常に原則的な、大きな理想の問題でございます。清澤さんの言うことはよくわかります。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 そう怒らんでもいいよ。一本にせよとは言うてない、私は。今これから事務的に行なおうとする業務規定ですね、業務規定のほうにあるでしょう、この範囲の十四だ、要綱の十四、これくらいのものは中央競馬会で一括してやれることじゃないかと言うんだ。ということは、馬主については、馬主の登録は中央競馬会にしろとか、騎手の免許は、中央競馬会において騎手の免許を受けた者以外を用いてはならぬとか、こういうふうにしてここで全部統一してやったら、こんなめんどうな同じことを二つやらんでもいいじゃないかというのが私の意見だ。中央競馬会へ統一してやらせるということは、私はまだ賛否は言うてない。
  102. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 地方競馬は地方競馬でやらし、中央競馬は中央競馬でやらして、そうしてこういうことだけは中央競馬でやらす、これは一つの御意見だと思いますが、やはり施行者も違いますものですから、こういう方法がベターじゃないかということで立案したわけでございます。清澤さんの御意見一つ意見だと思います。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 それではこれでやめますよ。しかしまだ少し残っておりますからあれですけれども、そこでこの答申からゆきますと、中央競馬会の会計については、一番最後に非常に重要なあれをしておられるんだ、「日本中央競馬会については、その経理を円滑にするため、徹底的に検討する。」、これは検討は済んでいますか、どうですか。
  104. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 政府と中央競馬会とが相談しまして、現在某学者が検討中でございます。この法案の立案までには間に合いませんもんですから、その検討が済みました上で御相談いたしたいと考えております。
  105. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあそれはひとつかかっておられるとするならば、この答申には書かれなかったでしょうけれども、経理上で円滑でないと指摘せられた場所は必ずおわかりだろうと思う。それがなくて、円滑でないから徹底的に検討しろなんということは、これは天田君の言い方じゃないけれども実にあなた方を侮辱した話なんで、こういうところは円滑を欠いている、こういうところに疑惑があるから、だから経理を徹底的にしろという、その要点だけをお示しいただきたい。
  106. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 一番重要な点は、二十九年の中央競馬会ができました際に国庫納付金が百分の十、百分の十を売り上げに対して納めることにいたしております。そのほかに、剰余金があった場合に、その半分を国庫納付金として納めることにいたしております。ただ、その経理の方法といたしまして、施設がふえればふえるほど、普通の会社等では資本金が増加することになりまして、言いかえますると、施設を十分やるためには半額、剰余金の半分以上を施設につけますと、よそから金を借りてきて納めなければならぬ経理になっております。そういう点で、私どもといたしましては複式簿記とか、会社経理とかいうような関係も十分検討いたしまして、一番問題になっているのは、剰余金がある場合、二分の一を国庫納付、そうして施設をやった場合どうかというと、剰余金に見合う二分の一だけ施設をやった場合には、これは国庫納付するために現金調達の必要はございませんけれども、それ以上にやるということになりますと、その施設の額を資本金に組み入れるとか、あるいは施設の分を経費に落とさぬ限りは、現金を調達する必要がある、こういう不便な規定になっております。そういう意味におきまして、純粋な会社経理の方法をとるか、あるいは別途の方法をとるか、目下検討中であります。それが一番重要な点だと思います。
  107. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  108. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君)速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時十四分開会
  109. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き競馬法の一部を政正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を続行いたします。
  110. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 畜産局長にお伺いしますが、今までいろいろ質疑を聞いておりますというと、この政府答弁でも私にはまだわからぬですけれども、一体競馬の目的はどういうことになるのですか、ひとつ御説明願いたいと思うのです。
  111. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 競馬の目的は馬の競走でありますので、馬のスポーツとしての一つの国民娯楽であります。もう一つは、やはり馬は農村に生まれて農村に育ち、農民の手ではぐくまれておるわけであります。そういう意味におきまして長い歴史があるわけでございます。かつ国際的にも長い歴史的な過程で発展して参ったわけであります。そういう意味におきまして、自然発生的な馬のスポーツということで、そうしてそれを最近におきまして、戦前は軍馬資源としての馬の改良増殖その他畜産関係の家畜の改良増殖に大いに資したわけであります。現状におきましては、一つの馬のスポーツの娯楽といたしましてやられておるわけであります。競馬の目的は、やはり現状におきましては、歴史的沿革的自然発生的な過去を持っておりまする一つの馬のスポーツということで考えております。
  112. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これはその過去の経過であって、はっきり目的がないのですね。私はよくわからぬですけれども、ほかの法律を見ますというと、総則の次にたいてい目的があるのです。これを見ますというと、全然競馬法には目的がない。それから中央競馬会法に「趣旨」ということで載っておるだけなんです。あと全然その目的がなくて、いきなり第二十三条の三にそれぞれの経費に対して必要な財源を確保していくのだというようなことが出ておるわけですね。これは目的じゃないわけですよ。、ですから、今畜産局長のおっしゃるように、はっきりその目的があったら、そこへ健全な国民スポーツとしての馬の競走であるとかいうような目的をどうしてうたえないのですか。
  113. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 競馬の目的の御質問でありますが、また法律に関連しての競馬法自身の目的もあるわけであります。競馬の目的はただいま申し上げたとおりでございますが、競馬法は、勝馬投票法などにつきましては刑法の除外例としまして、第一条にこういうことであれば競馬ができるという規定を設けまして、そうして刑法の除外例として認めておるわけであります。その意味におきまして、競馬法自身は公正競馬を実行していく。弊害もあるし、いろいろ刑法の除外例でありますので、一種の取り締まりの規定が相当入っているわけであります。そういう意味におきまして、また今回改正案を出しておりますが、競馬自身の運営等に関連いたしまして、過去から競馬自身は畜産振興である、こういう考え方から、競馬の益金の一部を畜産振興に充てたいという悲願があったわけであります。中央競馬会法の改正の際は、中央競馬会法第三十六条の規定によって、畜産振興に充当するという明文が置かれたわけでありますが、地方競馬につきましては、そういう明文がないわけであります。答申ともあわせまして、今回特に一部の収益を引き出しまして、競馬法自身は取り締まりの規定であると同時に、公正競馬の健全な運営というほかに、この悲願でございます畜産振興に充てようと、こういう法律上の目的を持っておるわけであります。競馬自身について、競馬とはどういうものかという規定はございませんけれども、国際的に、沿革的に、かつ国民の過去の歴史、農村におきましては現在でも四千件くらい祭典競馬というものが行なわれております。それらの過去の発展過程から、競馬の目的自身は、国民のうちにしみ込んだ観念として、特に定義をあげないでも明らかである、こういう考え方で特に掲げているわけではございません。
  114. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 刑法の除外例だというならば、したがって、刑法の適用を受けないというならば、明らかに目的を定めて、当然目的をうたうということがいいと思うのですが、当局では、その目的を掲げることのほうが概念としてはいいのですか、悪いのですか、その点のところはどうなっているのですか。
  115. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 旧競馬法、それから現競馬法には、お話のとおり目的はございません。私ども今度改正をいたします上におきましても、いろいろ検討はいたしたわけでありますが、特に掲げないでも、新しく新法を出すのではございませんので、現競馬法の一部改正ということでございますので、特に競馬の目的、あるいは競馬法自身の目的が変わってきたことでもない関係もございますので、私どもといたしましては、新しい立法で、全部やめまして新提案をいたす場合につきましては、多くの法律におきまして第一条に目的が掲げられておるわけでございます。そういう意味におきまして、安田さんのおっしゃることもよくわかるのでございますが、この一部改正で特に目的を掲げなかったわけでございます。
  116. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 確かにその二十三条の三に、「畜産の振興、社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興及び災害の復旧のための施策を行なうのに必要」だということで、これは競馬から上がる収益があるから、ただそれを主催者だけに全部とられてしまうということは、これはどうも競馬をやる上においてまずいから、そのもうけのうちの一部をこういう名目で吸い上げていけばできるんだ、こういうようなことにしかこれはなっていないのですよ。それではただもうかるから、ですから独占しちゃいかぬと、こういう方向に、公の賭博の金だからただもうけてはいかぬ、こちらのほうに吸収していくんだ、こういうことでいろいろ法令が定められるということになりますと、非常に法律上の問題からいって、われわれとしてはどうも納得がいかないわけなんです。やはり堂々とこれだけのものに使うんだということになれば、やはりこういうことを掲げて、この目的の一助にするために競馬をやるんだ、こういうことですることのほうがさっぱりしていいのじゃないか、こういうように考えるわけですが、そういう考えもやっぱり当局はお持ちなんでしょうか。
  117. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 全くお話のとおり、競馬法の目的は、競馬の公正運営、馬のスポーツの公正運営、同時に畜産振興に充てる、こういうことで従来までは畜産振興に関する地方競馬については明文がなかったわけでありますが、従来から競馬法に関する考え方といたしまして、畜産振興に充てるというのが、国民大衆の多くの方々の御意見であったわけでございます。そういう意味におきまして、今回畜産振興に充てるという条文が入りましたので、安田さんのおっしゃるという条文が入りましたので、安田さんのおっしゃるとおり、そういう明文を置くということもごもっともだと思いますけれども、今回現状の競馬法改正ということでありましたので、特に新しく宣言をいたさなかったわけでございます。
  118. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 昔から、武士道はなやかなころから競馬をいろいろやったということは、これは一つの武芸のうちの問題として考えられたようです。それからもう一つは、まあ昔は、われわれの推測では、おそらくいろいろのスポーツが、特に士農工商の時分にはないので、結局草刈り競馬といいますか、そういう馬によって競走をやっていく、そういうのが歴史上、伝統上あるわけなんです。しかしながら、それに対してその時分には、おそらく内密なかけはあったかもしらぬけれども、公のかけはなかったと思う。そういう慣習できたものを、ここに刑法の除外例として公化してやるということになりますれば、ちょうどその一部改正のときに、私としては目的をはっきり出したほうがいいのではないか。ただ政府が出さないのは、こういうような賭博場の問題の法制について目的を掲げぬということにつきますというと、何かしら国民に対して少しちょっと法制上まずいというような考え方があるからこそ目的をうたわなかったのではないか、こういうようにも考えられるわけなんですけれども。どうもその目的・がないというようなことになりますと、いたずらに取り締まりの問題であるとか、あるいはこれが社会大衆に及ぼす影響が悪いとか、また将来何かの競技が出てきたときに、賭博の競技が公然化されてきたときに、やっぱりそういうものへの影響があるからとかということがやっぱり考えられているわけですか。
  119. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) お話のように、歴史的にいろいろ発展してきたわけでありますから、競馬自身の目的というものはだんだん時代とともに変わってきていることはもちろんであります。私どもといたしましては、やはわ一般の例にならいまして、競馬自身の目的、あるいは競馬法自身の目的を法定することが一つの筋だと存ぜられるわけでありますが、今回の改正にあたりましては、そういう何といいますか、目的を書けば何か非常に刑法の除外例としていかがかというような、遠慮からということではなしに、競馬自身それ自体として自然発生的に、歴史もあり、沿革もあり、大体しみ込んでいる事項でございますので、本法は主として畜産振興をはかる、公正競馬の運営をはかる、こういう意味で御了解願える、こういうことで、かつ新しく立法することでもございませんので、あえて目的を掲げなかったわけでございます。
  120. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ほかに競輪だとか、あるいはモーター・ボートだとかありますけれども、よくわからぬですけれども、そういうものには目的があるのですか。
  121. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 自転車競技法では、第一条に、「都道府県及び人口、財政等を勘案して自治大臣が指定する市町村は、自転車その他の機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与するとともに、地方財政の健全化を図るため、この法律により、自転車競走を行うことができる。」ということで、冠といたしましては、御指摘のような趣旨の条文が入っておりますが、これは二十三年に初めて自転車競技法を施行する場合に制定された法律でございます。
  122. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますれば、まあ競馬法の問題に対しましても、従来の、戦後の地方競馬はおもに戦災都市の復興ということに重点を置いてやってきた。ところが、今度はそれではいけないということになったので、当然今度は、まあ将来においては、各都府県がみんな主催団体になれるわけでしょう。そうしますというと、前よりもずっとやる窓口が広くなってきたわけなんだから、当然従来の考え方でなくて、やはり地方財政の一端に資するであろうこととか、あるいは国民の健全娯楽であるとか、いろいろその目標を立ってやっぱりうたうことのほうがこの法案をすっきりさせていいと思うのですよ。そういう意味で当然私は、競馬法の一部改正にはそういうものが出てくるであろうということを期待しておりたのだけれども、ただこういう畜産の振興ほか数項目をあげて、これにもうけの金を活用しなきやならぬというようなことでは、何か少しずれているといいますか、ような気がするわけなんですけれども、はっきり目的をうたえながかったという理由が何かあるのじゃないですか。
  123. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) お話よくわかりますが、私のほうといたしましては、立案に参画する場合に、特にその目的を渇けることを避けたわけではございません。といいますのは、旧競馬法におきましても県単位の馬匹組合連合会あるいは馬匹組合等の運営で県単位でやっておりました。この今回の競馬法が立案されました二十三年の原案では、都道府県に限って競馬を、やはり馬匹組合連合会等の施設がほとんど都道府県に無償で吸収された関係上、都道府県限りで行なうということで、やはり旧競馬法の伝統といいますか、それをひいて馬匹組合連合会ではないが、全部畜産関係は解散されましたが、それらの財産を引き継いだ都道府県でやるという原案であったわけでございます。途中で、二十四年ですか、著しく災害を受けた市にそれを加えたらどうかということで、市が加えられたわけであります。その後また町村も加えられまして、そういう経過があるわけであります。大体過去の発展歴史、開催関係からいいますと、終戦後著しく災害を受けた市町村ということで特に認めてきた関係は、戦後における特別な災害関係の異常状況だと考えるわけであります。そういう意味におきまして私どもといたしましては、財政を援助するということではなくして、むしろ馬の改良増槽という戦前におけること、あるいは戦時中には軍馬資源の確保というようなこと、そういうようなことで、そういう補給源であると同時に、家畜の技術改良等に資すると、かっ農村その他の祭典上のことがベースとなって発展して参ったわけでございます。そういう意味におきまして、過去の長い歴史と伝統を持っておりますので、いろいろ現状におきましては、社会の経済の推移とともに情勢は変わっておりますが、新しく目的をここで宣言をいたしましてやることをあえてやらなくても、過去の関係から情勢は変わっておりまするけれども、今や主として馬のスポーツというようなことで、変わってはきておりまするけれども、やはり競馬それ自身は同時に畜産の振興をはかるということを目的といたしておる関係は変わりありませんので、私どもとしてあえてこれを目的の条文を避けた、何か特別な事由があるから避けたということではございません。
  124. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実際問題として、こういう幾ら刑法で除外例があるからとはいえ、結局は賭博なんですよ。ですから、そういう賭博に関係するものを農らほかに名目を設けても、やはり目的の中に規定するということは非常にうまくないと、こういう潜在的な考え方がその根本にあるからではないですか。
  125. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 私どものほうといたしましては、そういう賭博ということに関連しておるからあえて目的を書くのを避けたということではございません。
  126. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 まあ、このくらいにして、それからこの資料でお伺いしますが、競馬開催概況累年比較表、第一表、二十五年から三十六年まで計上してありますけれども、そのうちの三十六年の例をとってみますが、国庫納付金が三十七億三千一百余万円あるわけですね、この国庫納付金はおもにどういうような方向に支出されておるのですか。
  127. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) お尋ねの点は第、ページの中央競馬に関する国庫納付金の問題であります。三十六年におきましては中央競馬会法第三十六条の規定によりまして四分の三は畜産振興、こういう規定に相なっておるわけでありますが、これは予算の定むるところによるということになっております。したがいまして、三十六年の予算編成の際に歳入見積額といたしまして国庫納付金を約二十九億見たわけであります。結果としては、売り上げがこういうふうに伸びておりますが、その見合いにつきましては畜産振興費として組めという訓示規定が日本中央競馬会法第三十六条の規定でありますので、それでその予算は予算編成の際に畜産振興費として編成いたしております。
  128. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 その二十九億は、おもなるものは馬の改良増殖ですか、一般のその他の畜産にも使っておられるわけですか。
  129. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 全部の畜産振興でございます。
  130. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 馬の改良増殖に限っていないで、たとえば豚だとか養鶏だとか、そういうほうにもいっておるわけですか。
  131. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 三十六年度におきまする畜産振興の具体的な関係として申し上げますと、法律で明記されておりまする有畜農家創設補助、それから酪農振興費、伝貧研究費等はもちろん含まれておりますが、その他は畜産の振興費として組んでおるわけであります。額といたしましては二十九億ではなくて四十五億に組まれておりますが、三十六条の規定に従って大蔵省において編成されておるものであります。
  132. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次に、地方競馬の収益金の使途の表が別の資料で出ておるわけですがね、これを見ますというと、三十五年度において、これは畜産の方向に使われたと思いますが、全体の三十一億九千二百万円のうち、わずか五%の一億五千九百万円が農林水産振興費として使われておるだけです。そうしますというと、今度のこの剰余金で一番目的の右翼に掲げておるのが畜産振興なんです。そうしますと、過去のこの状況からいきますというと、やはり畜産振興は一番主目的であるにもかかわらず、おそらくこの表からいきますというと、ウエートが薄くなってくる。過去の状態は薄いわけなんです、五%ですから。これをどのくらいまで今後引き上げていくのですか。
  133. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 表でお配り申し上げましたとおり、現在の収益を都道府県だけの欄でも、お話のとおり、わずかな額しか農水全般について充当しておらないわけであります。私どもといたしましては、相当収益が上がる状況でございますので、消費府県におきましても畜産物の流通施設等において相当充実すべき必要があるものですから、今後新しく規定を設けまして、従来地方競馬の収益金の使途については明文がなかったわけでございますが、先ほどの件は国庫納付等に関連いたしまして中央競馬の国庫納付であったわけであります。いわゆる一種のこれに見合う収益金であったわけであります。地方競馬につきましては明文がございませんので、そういう状況であるわけでございますが、今後われわれといたしましては消費都市におきましても流通の合理化あるいは流通の施設等で相当畜産振興に充実する必要があると考えますので、特に都道府県で社会事業にもお使いになるほか、特に冒頭に畜産振興に充当するということではっきりと明文化したわけでございます。これの趣旨に従いまして、相当収益が上がるいわゆる大都市府県におきましても、この規定に従って十分畜産振興に収益を回していただけるということで期待しております。
  134. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 提案理由説明の中に大体今まで百三十五の市町村、大体それで一億五千九百万円に対して見ますると大体百万円ですよね、今まで農林水産の振興に使ったのは百余万円。ですから、畜産の振興にはほとんど地方競馬は役立っておらなかったということになりますと、従来政府考えておった、規定はしてなくとも、あなたが先ほど目的が書いてなかったという従来の経過からすると、ずいぶんはずれたやり方をやってきたわけなんです。そういうような点が一応指摘されるわけですが、そこで今度全国協会を作りますと当然これは農林大臣がその役員をみんな任命する、それから同時に監督権も農林大臣にあるということになりますというと、この余剰金を、畜産の振興ということをまず第一に銘打っている以上は、これは相当大幅に伸びるだろうと思うのですよ。収益金の中から、たとえば昨年三十五年度の地方競馬の実績を見ましても三十一億九千二百万円、こうしますれば、そのうちの相当高い三〇%程度になるか、あるいはそれ以上になるかどうかわかりませんが、そういうような高いウエートでもってこの畜産振興の方向で行政の指導が行なわれなければならぬ。農林大臣に監督権がある。特に二十三条の三には一番最右翼にうたっておるわけなんです。そういうような観点からいえば、この農林水産振興、特に畜産振興については相当大きな余剰金が割譲されるという、こういうように判断するのがこの法文の改正からいって常識ではないかと、こういうふうに思うわけです。大体そういう観点からいって、この一億五千九百万円というのは今後どのくらいの伸び率を示しているのか、昨年の総収益から見まして。
  135. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ただいま昭和三十五年度の地方競馬の収益金の使途の状況に従って御質問がございましたが、競馬法が途中から町村まで——著しく災害を受けた町村までやるということになりまして、現在指定市町村百三十五、お話の市町村ですが、これは四十年三月三十一日までに一応やめてもらう。で、これらの市町村は復興計画に従って、御承知のようにこの欄にございますように、いろいろ施設の拡充をはかって参っておるわけでございますが、これが一応将来において終息せられることと思います。そういう意味におきましてここに掲げておりまする三十一億九千二百万円のベースの問題でございますが、指定市町村の収益の欄が将来はなくなりまして、都道府県において配分されることになるわけであります。その場合におきましては畜産振興が重点とされ、その他本法によりまして社会事業の経費に充てられる。幾らということでございますが、地方の財政状況に従ってだんだんと畜産振興のほうへ充当されていくということでわれわれは期待しておるわけでございます。
  136. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そのことはよくわかりますがね。ただ、この全国協会というものについては相当農林大臣の発言権が強化されておるわけです。そのことは農林大臣個人で凄くて、省をあずかる畜産局に相当責任があると思うのですよ。そういう意味において今後畜産の改良増殖ということを考えますというと、この経費は相当重視されなければならぬということになるわけです。そこで私の聞きたいのは、結局そういう立場農林省が立つならば、当然ある程度の、このうちからどのくらい——政府の一般予算の中から畜産の振興についてはこのくらい経費が支出できるのだ、競馬のほうから上がるやつをこのくらい見積もって、そして大体百億くらいにしたならばどのくらいの施策が進められていくのだという計画が当然これは考えられてしかるべきだと思う。特に今その構造改善をあらゆる面において打ち立てているときにおいては、そういうような周到な計画はもうすでに持っていなければならぬだろうと思う。特にこういう競馬法の一部を改正して、将来そういうようないろいろの面における公共的なものに充てようとするならば、当然そういうような計画といいますか、一〇〇%の収益について畜産の振興についてはこれくらい、社会福祉の増進についてはこれくらいというようなやはり計画性というものがなければならぬはずだろうと思います。先ほど天田さんの質問につきましても、省令できめることはこれからきめるのだということでなくて、そういうような問題はやはり今のうちにお考えになっているわけですか。
  137. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 今の安田さんのお話はよくわかります。大体考え方として、第一点は地元で競馬をやりまして、その収益をもってその県へ充てるというのは、大体有力な大消費都市の七、八県であります。その府県におきまする畜産振興の充当予算はどうなるかということでありますが、ごれやはり畜産物の流通問題が、非常に農村の生産物についての処理関係が非常に重要な関係になっておりますので、大消費都市におきます、競馬をやって収益が上がった場合におきまする畜産振興の施設について、従来のように公共事業に偏することなく、特に今後畜産振興に伸ばしていきたい、そういう意味におきましてそれじゃ何分の一かということになりますが、私どもとしてはだんだんと現在では大消費都市が収益がことに大きいことでございますので、その点ではこういうような目的に充てておりますが、だんだんと必要な畜産振興の施設等に充当するように指導して参りたい、その他は社会事業にはっきり使ってもらいたい、こういうことを考えております。そうしますると、大部分競馬をやっていない県、あるいは競馬をやっておりましても、非常に収益の少ない県が三十数府県考えられるわけであります。その府県については畜産振興費だけその収益の上がる県から吸い上げまして、現在売り上げがかりに四百三十億になりましたならば、三億三千万円の交付金が吸い上げられることになりますが、その三十数府県に対する第二のやっていない県、あるいは収益の少ない県についての分け方につきましては、農林省また事務当局の責任者として私どもは各府県の意見も十分参酌し、評議員会の意見等も十分伺いまして、公正な方法をいたしたいと存ずるわけであります。さて中央に上げまする約四百三十五億円、収益があった場合に、四百三十五億円程度売り上げがあった場合に、大体地方競馬は突っ込みで一〇%程度の収益を上げておるのでございますので、四十数億の収益がその場合に上がるわけでございますが、その四十数億円の収益を地元に残して、かつ相当部分を畜産振興のために全国協会に上げて、三億でなくてもっとうんと上げるという問題はございますが、これは地方公共団体でやっております競馬をほかの県に回すためにうんとたくさん上げるということについてばいろいろ問題があるわけであります。自治省と十分相談した結果、収益の約一〇%程度を中央に上げて、その他の府県に配る、こういうことにいたしたわけであります。多々ますます弁ずでございますが、現状、ただいまのところ一応見通しといたしましては、地方公共団体の収益を中央に上げていくという額は、その収益の約一割程度にとどまつたわけであります。今後財政豊かな大消費都市都府県におきます公共団体のほかの収益が十分あることになりましたならば、もっと中央に上げる額をふやしまして農村におきまする畜産振興費を充実して参りたいと存じます。
  138. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それでは今後これを法案の改正によって、地方競馬の売得金といいますか、売上金、これが伸びる予想を持っておるのですか。あるいは現状維持、減るとか、そういう予想はどういうように見ておりますか。
  139. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 売得金の将来め見通しでございますが、なかなかこれはむずかしい問題であると思います。私どもといたしましては、公正競馬を施行していただくということが第一義にかかっておりますものですから、投票方法として、何といいますか、非常にばくちになるような投票方法は避けていきたい、健全娯楽として現在の弊害は極力除去していきたい、そういう面におきましては、売り上げの減ということが予想されるわけであります。ただ、いろいろ健全な娯楽として十分家族連れで楽しんでいただくという施設も充実いたしますれば、払い戻しのチャンスは多くなると同時に、そういう楽しみの入場人員もふえることも考えられる。プラス、マイナスを考えてどうかということになりますと“やはり経済の安定等を考えられるわけでありますので、大体現在、来年等の見通しはどうかということになりますと、まあとんとんかあるいはそれ以下、上になることはない、現状の見通しといたしましては、まずそう申し上げますのは、投票方法についてまず公正競馬をやっていただく、弊害を除去する、そしていい楽しいレクリエーションの馬のスポーツを見物していただく、こういうことにあるのでありますから、売り上げはふえないと考えております。
  140. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、結局この改正によりますというと、売上金は多くなるだろう、しかしながら、的中率も多くなるから差引収益は少なくなる、こういうことなんですか。
  141. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 収益金は、払い戻しの額、すなわち約七割五分を売得金から差し引き、さらにそれから経費を差し引きまして残が収益でございますので、売り上げがふえれば収益もふえる、こういう関係になりますが、この今後の見通しとしてはまあとんとんか、私ども投票方法を非常に何といいますか、過熱を避ける方法をとりたいと思っておりますので、どの程度になりますか、まあとんとんに見ておいたほうが間違いがないじゃないか、こういう見通しでございますので、私どもといたしましては、とんとんあるいはそれ以下、経済その他国民の現在の状況といたしまして、毎月々々上昇の一途をたどっております、現在では。そこでプラス、マイナス、ゼロになるんじゃないか、経済状況なり国民生活の安定ともからみまして、相当余暇が出ますれば楽しみもふえるということで、これは非常にむずかしい問題で、その程度でごかんべんを願います。
  142. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 その答申の前段を見ますというと、その後段のほうに「少くとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度と」する。こういうことが書いてあるわけです。そうしますと、いろいろ競馬の宣伝なんかを、これは将来協会もしないことなんですが、そういうところまでも農林大臣は指導監督することになるわけですか。
  143. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 各省統一しての結論は、現状以上にふやしてはいけない。この答申を受けましていろいろ協議した結果、現状以上にふやさない、やめる競馬場があったらこれはやめていただく、こういうことでございます。したがいまして、宣伝も方々に立て札を立てたり、にぎやかにやるということは差し控えてもらうように考えております。
  144. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この調査会の討論内容を見ますと、これは大臣でないときのことかもわかりませんけれども、その中に大臣はこう言っておるわけです。競馬を主催するのは畜産団体が一番適当だということを言っておる。ところが、今度のこの法案は、畜産団体が主催するようにはなっておらぬ、こういうようなことについて、おそらく就任後、この法案改正までの経過の中に、大臣はこの発言に従って、畜産団体がやることが適当だと、こういう主張がなされたろうと思いますが、そういうような点は経過としてあったわけですか。
  145. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 御承知のとおり、終戦ということがなければ、おそらく、馬匹組合連合会等がその当時やっておりましたのを接収した関係がありますので、民間団体がそういう関係で発展してきたごとは予想されます。現状といたしましては都道府県が施行する、そして著しく災害を受けた市町村がやっておる現状といたしましては、私どもといたしましては、都道府県がやる、新しく民間がやるということはまだ時期尚早である。大臣の御意思をそんたくすれば、たしか外国におりまする関係では、ソ連を除きましてはほとんど民間、あるいは英国などでは王室ジョッキー・クラブ等の歴史的な権威者である、これはやや公的な民間団体がやっておる状況であります。大臣のお気持は、民間がやるにしましても、そういう権威ある公正競馬ができるような機関ということを考えられておるように伺っておりますが、農林大臣も含みまして農林省の結論といたしましては、特に新しく民間団体を作ってやるというのは時期尚早という結論でございます。理想としてはいろいろな方法があると思います。
  146. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、今この一部改正によって、今後ある経過年度一応やってみると、しかし、その結果射幸心をより以上過熱さしたとか、あるいはまたその他のいろいろの弊害が出てきたというような場合には、やはり主催団体というものを根本的に考えていくと、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  147. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現在の地方競馬の施行は都道府県並びに市町村で、各馬はレース上割に八百長ができにくいというような関係で不正事件は少ないのでございますけれども、もし非常に弊害がございますれば、投票方法において、相当厳格にしぼっていきたいと思います。それでもだめだということになりますれば、もっと根本から考え直して、そしてまた中央競馬と一緒にしたらどうかとか、いろいろ御意見はあると思いまするけれども、現状としては、そういうことでございます。弊害がやまないということになりますれば、安田さんのおっしゃるような結論まで持っていかれるということにはなりますが、相当投票方法でしぼって参りますれば、そういうことが起こらないように、かつわれわれといたしましても、監督なり施設なり、いろいろ充実して参りたいと存じますので、そういうことが起こらないように努力いたしたいと思います。
  148. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこで、衆議院の附帯決議の中に、場外馬券発売所については、漸次施設の縮小をはかっていき、将来これが廃止の方向において検討する。と、こういう附帯条項がついておりますが、相当われわれの聞く話では、場外馬券について、いろいろ社会的な弊害が出てきておるわけなんです。したがって、おそらく、こういう附帯条項がついたのだと思いますが、この附帯条項について、どういうお考えを持っておりますか。
  149. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) この附帯事項を十分尊重いたしまして、具体的に申し上げますれば、相当混雑したり、いろいろ犯罪的、交通上あるいはいろいろな面で、非常な弊害があるわけでございます。勤務者、興味ある人が買えるというような、いろいろな利便もございますが、戦後行なわれた、これは外国でもやられている例ですが、適当でない面が相当あります。そういう面におきまして、もっと室内で充実される施設がやれないなら、もう場外馬券はやめてしまうということを私どもは考えております。
  150. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 場外馬券の発売という問題は、やはり競馬そのものを、実際に自分の目で馬を見、そしてその競走を見るというところが、おそらく、健全娯楽だということをあなたは言っているのだろうと思うのです。したがって、全然馬の見えないところで投票券を買うということは、これはほんとうに、純然たる賭博なんです。したがって、こういうようなものが、幾ら馬券だけが刑法の除外例になっておるからといっても、この問題を除外の対象とするということについては、相当、私は検討を要するだろうと思うわけです。でないと、先ほどの、こういう競馬の目的はうたえないと、いろいろな、諸般の事情でうたえない。しかしながら、そうしますというと、何というのですか、売上金を当てにした、さや取りというか、そういうことにしかならぬわけです。ですから、そういう意味合いにおいて、場外馬券の発売所については、充実するという問題よりも、将来は、私は廃止していくのだということのほうがいいだろうと思うのです。将来、かりに競馬が衰微していく、あるいはまた賭博による新しい競技が出てきて、社会事情の変化によって、かりに競輪が盛んになった場合、これにも場外発売所を設けるというようなことが出てきても、これは、やはり、ただ競馬から自転車にかわるだけということで、かえって弊害が出てくることなんです、いろいろな面において。そういうことからいって、これは、充実という問題よりも、やはり廃止の方向において、今後検討していくことのほうがへ競馬の本来の趣旨からいって適切じゃないかと、こういうように考えるわけですけれども、ただいまの御答弁では、充実して屋内に置く、そうすれば交通の緩和もできるし、諸種の弊害も防げるというようなことを言っていることは、裏を返せば場外馬券売場については肯定していくのだと、こういうように受け取れるわけです。そういう場合どうですか。
  151. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 外国の例にありまするけれども、やはり場外で買えるという利便もありますけれども、行く前に買えるとか非常にそういうまじめなフアンに対する便宜の問題もございますけれども、現在場外があるために、競馬の伝統的、歴史的な特徴なり利点が冒涜されている面が相当あるわけであります。私どもといたしましては、安田委員のように、将来はこれを廃止していきたい。戦後非常に競馬界あるいはその他が収益上苦しんだこともございまして、認めたわけでございますので、こういう現在の状況を続けていくということであれば、これはむしろ廃止すべきだということで、安田委員意見は、私ども方向といたしましては、むしろ競馬場へ行く交通機関を便利にいたしまして、十分競馬場でスポーツを楽しんでいただく、こういうことで考えておりますので、気持としては全く同意見であります。
  152. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は競馬の目的が売上金をたくさん上げていく、そうしてその売上金の中から、畜産の振興だとかそういうものへ、都道府県において、いろいろ県費が少ないから、そこへ回していくということならば、これは場外馬券ということも一応考えられるわけです。しかしながら、そうじやなくて、今度は事新しく、戦災都市の問題じゃなくて、スポーツの振興までも含めて、こういう目的に近いものをうたっているわけです、名目上。そういうことになってきますと、一体、競馬のほんとうの目的が、さや取りといいますか、金ほしさにあるのか、結局、そういう畜産の振興とか社会福祉事業であるとか、医療の拡充の問題とか、学校教育だとかの施設、そういうようなものに充当していく、こういうような目的と金をとるということが混同されているような形の中では、やはり場外馬券の発売所というものについては、慎重に考えていかなければならぬ、こういうように思うわけです。ですから、ほんとうに都道府県が、金がほしいということで競馬をするというなら、これはまた別なんですよ。こういう点、どうですか。
  153. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ある程度の収益は必要といたしますが、場外馬券所を設けましたのも、戦後ああいう復興とか、いろいろな競馬界の運営とか、交通機関の不備というようなこと等あります。したがいまして、競馬の目的はあくまでも馬のスポーツということを楽しんでいただく、かてて加えて畜産振興に資するということでございますので、お話のとおり、私どもの持って行き方、方針といたしましては、漸次これを廃止していくということでございます。
  154. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次に、役員の任命の問題ですが、第二十三条の十三に、一、二、三、四、五とあるわけです。これだけの者は役員になることはできないと、こう書いてある−わけですが、具体的にはこれだけはずすというと、どういうようなものが役員になる資格があるのですか。
  155. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第二十三条の十三に関する御質問でございますが、一号から五号まで御承知のとおり各条項をごらんになれば、やはり公正競馬をやっていくという立場からいって、これらの者が役員になるのはいろいろの意味でよくないだろう、こういうふうに考えたわけであります。  しからば、どういう人が、それでは役員になるかということにつきましては、たとえば畜産振興の交付金を配る面におきましては、こういう人に該当しない人でも、畜産振興につきまして過去あるいは現在において非常に努力されておる人格的な方も多いわけでございますので、そういう人たち、それから公正競馬をやっていくという面からいいますると、戦後施行者団体である地方公共団体で非常に競馬の公正施行について努力してきた方々が、もう退官されて在野におるわけでございます。そういう方々の御協力を得たいと考えております。
  156. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしまするというと、この全国協会というものの役員は、大体今まで指定地方公共団体の中で主催してやってきた人たちの手から離れるということが、形としては、結果とし七は出てくるということになるのですね、そうじやないですか。今まではやはり指定市町村のそういう学識経験者とか、そういう人がやっておったのですか。
  157. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 現状は、百三十五市町村が施行権は持っておりますが、大体現状を見ますると、都道府県の職員が八八%、あとの二一%が市町村の職員であります。運営の方法といたしましては、多くの場合に都道府県に実施を委任しております。そこで経費等あるいは熟練者等集約いたしておる状況でございます。  今後どうなるかということになりますと、依然として競馬は都道府県でやっていく。最後には百三十五市町村が相当部分なくなりますれば、特に都道府県が責任を持ってやっていく、こういうことになりますので、全国協会といたしましては、その施行事務を扱うわけではございませんで、特に審判員あるいは騎手の免許、養成登録等、統一的な事務をはかりまして、「府県で騎手免許が取り消しになったものを、ほかの府県で認めるというような、やはりいろいろ不正のある方がほかの県に来ますとよろしくない、こういう意味で、統一的な事務だけでありまして、施行は都道府県で将来ずっとやっていく、こういうことでございます。
  158. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 農林大臣はまあ役員を任命する権限を持っておるわけなんですよ。そうしますと、都道府県が主催団体になるというならば、そういう連合会に全国協会を作らして、その中で自主的に役員を選んで、よそから連れてくるのもよろしいし、あるいはまた自分たちの自選でもよろしいし、そういうようなことできめて、むしろ農林大臣は、国民大衆に著しい被害を与えないという立場に立つならば、あるいは混乱をさせないという立場に立つならば、当然もっと監督権を強化するような方向にいく、自分で監督したり、役員を任命したりというような問題は少し考えなければならないだろう、こういうようにも思われるわけです。こういうような法制化するまでの経緯があったわけですか。
  159. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 都道府県が施行していく場合の連合体でどうかということであります。そうしますと、都道府県の連合体というと、およそ考えられるのは、知事あるいは事業部長を代表者とした連合体ということになるわけでありますが、私どもといたしましては、施行は都道府県でやっていきますが、一番問題になりまする騎手とか審判員とか、競技の施行上やはり重要な地位を占める方の訓練なり統一的なレベル・アップということをねらいまして、そうしてその程度はひとつ全国協会を作ったほうがベターじゃないか、こういうことで御提案をいたしているわけであります。したがいまして、今度全国協会の役員を農林大臣が任命をした暁、運営よろしきを得なければなりませんので、すべての事業計画あるいは予算等につきましては、別途設けられまする評議員会の意見を十分間いて、そうしてそこを一っのチェック・ポイントといたしまして、評議員会ということの公正な御意見も十分承ってそうして運営の全きを期したいと、こういうわけであります。
  160. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私の言うのは違うのですよ。都道府県の連合会を作っても、それが直ちに即全国協会の中へ入るというのではない。連合会でもって別途にその全国協会を作って、そうしてこれが審判の問題であるとか騎手の養成とか、運営よろしきを得るとかいうような問題はその協会でやればいい、そういうようなものは。協会の役員については、そういう連合会のほうで委嘱する形をする。したがって、大臣が任命しなくても監督だけ強化していけばいい、公正競馬を期するための監督だけをしていけばいい。ところが、幾ら農林大臣がそれは優秀な実力者かしらぬが、歴代そういう人がなるだろうと思いますが、こういうような人たちが監督あるいは任命といったって、大臣個人でやるわけじゃないから、結局協会の運営がよろしくなければだめなんですよ。したがって、そういう意味からいって、むしろ役員の任命をする権限を持ったり監督したりするということになりますと、勢い何か競馬そのものが、地方競馬そのもの、全体が、何か官僚化するというような、そういう言葉は当たらないかもしらぬけれども、そういうような方向に農林大臣の意思のままに動いていく場合もあり得るわけです。ですから、むしろ全国知事の代表者によって別途協会を立てて、農林大臣がその役員は任命しない、監督を強化していくのだ、こういう立場に立つことのほうが民主的で適正ではないか、こういうようにもこの条文を見ていって判断されるわけですが、こういう点の考え方はどうでしょう。
  161. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 安田さんのおっしゃるのも一つ意見だと思います。非常に競輪などでは、実施団体として社団法人を各府県に設けております。おそらく今度の改正案では、ブロック別に特殊機関を設けることになると思っておりますが、競馬のほうは都道府県、市町村ということで、換言すれば直営でございます。民間団体というものが、これは自治法による事務組合等を作ってやっておりますが、これも一種の地方公共団体でございます。そういう意味におきまして、都道府県の連合会ということも全然考えられないわけではございませんが、競輪のように実施団体は民間機関であり、そういうことであれば、それはそれを積み上げて連合会ということも考えられます。私どもといたしましては・設立の際あるいは連合会構成の際、連合会でなく全国協会もやはり一つの地方公共団体の施行の基盤に立っての意味で、別に遊離して考えてはおりませんので、十分施行の都道府県の意見も聞きまして、設立委員、それから評議員等も十分そごのないように任命いたしたいと存ずるわけであります。
  162. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これを見ますというと、附則の施行期日のほうへ参りますというと、第二条から六条までは公布の日から施行するということになっているわけですね。そうしますというと、まだ生まれていないわけですね。したがって、全国協会を作って、すぐに会長、副会長、監事を農林大臣が任命してしまう。そこで一応発足するわけなんです。そのあとでもって、今度はまあ一番、競馬の全国協会の運営に重点的な、いわば審議機関としての評議員会ができるわけだ。そうすると、農林大臣がよくわかっているわけではないですから、会長、副会長の好みの人とか理事の指名する人をおそらく農林大臣は指名するのではないか。そこで農林大臣が結局評議員までも任命することになるわけです。はっきり条文にも出ておる。役員のほかに評議員も農林大臣の権限で任命するということになりますと、この団体がほとんど役員の意思に沿った評議員会ができる可能性が強くなってくるわけです。これはほんとうに一家をなしてしまうわけなんですよ、全国協会というものが。で、これが審判から騎士の養成から、あるいは競馬に関係する一切の運営を掌握してしまうということになると、これがどこの県でやろう、関東のどこの県でいつやろう、どこへ行っていつやろうといって、回数、日取りを農林大臣と相談してきめるわけです。そうしますというと、今度は地方のほうではただその指定された県が主催をするわけでございますけれども、ただ自分の競馬場を貸すだけですから、売上金の規定されたものをいただくだけなんだ。だから、競馬に対する意思というものは全然入らないわけなんですね。だから一種の、協会という名目ですが、一種の競馬公団という性格を持つというふうに考えられるわけです。
  163. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 全国協会の仕事は大きく分けて二つあります。第一一点は第二十三条の二十二の一号から四号までで、騎手の免許、騎手の養成、訓練、審判員その他の地方競馬の実施に関する事務を行なう者の養成・訓練でございます。競馬の開催につきましては、都道府県に対しまして農林省自身が開催回数等をきめることになっておるわけであります。競馬開催に関し、それでは全国協会がどういう役割をするかということでありまするが、競馬を開催する騎手とか、それから審判員とか、そういう素質の向上を重点的に行なっていくわけであります。全国協会があの県は何回、それからこの競馬場で何回というようなことをきめていくわけではございません。これはやはり農林大臣がといいますか、事務当局といたしましては私が責任者でございまするが、そういうことで十分公正を期してやって参るわけであります。第二点の仕事、これは畜産振興費を分ける仕事でございます。そういうことに関連して何かへんぱな考え方で分けられるということなどにつきましては、農林省は協会に対する監督権を持ちまして十分遺憾なくやって参りたいと存ずるわけでございます。
  164. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、この全国協会というものは、競馬の開催については全然関知しない、こういうことなんですね。
  165. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 第ニ十三条の二十二にありますように、都道府県の要請に応じまして、これらの者——これらの者といいますか、審判員その他実施に関する事務を行なう者を派遣したり、もしくはあっせんすることにとどまりまして、競馬の開催の責任者は都道府県知事自身でございます。
  166. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 最後にお聞きしますが、罰則の問題ですが、これには懲役三年以下とか五年以下とかいうことがあるわけでございますけれども、こういう不正行為をした者については、罰金刑以上の者については役職員あるいは調教師であるとか騎手、馬丁に至るまで、ある程度の期間の出場停止、こういうようなこと、役職員に再び出ることができぬとか、あるいは出場の停止とかいうことが少しもうたってないわけなんですけれども、かりにこれでいけば十万円以下の罰金に処せられても出場はできるわけですね、この法文から見ますと。
  167. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 不正行為——かりに刑事罰の結論が出ない間でも起訴中の者とか、そういう不正行為をやった疑い、あるいはそういう結論になりますれば、現在地方競馬、中央競馬等でも内部で運用規程を設けておりまして、そういう者につきましては免許を取り上げてしまったり、あるいは出場停止をやらしたりということで厳格な規定を設けてやっております。
  168. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、罰金刑になった者は、これは全部そういう規定に当てはまるんですか。
  169. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 刑事罰までかかるということになれば、最も重大な不適当なことでございますので、もちろんでございます。
  170. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 さっき天田委員のほうから質問した第六条の省令の問題ですが、非常にこの法案には省令であるとか、政令にゆだねた事項が多いわけなんですよ。で、先ほどの天田委員の六条の問題にいたしましても、ただ畜産局長から説明があっただけで何ら具体的に出ておらぬですね。たとえばこのいただいた「政令規定見込事項」にいたしましても、「競馬法の一部を改正する法律第二十一条の政令には、委託の範囲、受託市町村の範囲等につき規定する見込み」、で、第二にも同じく後段のほうにおいて、「日本中央競馬会等の類似団体に準じて定める見込み」、こういうようにいろいろあるわけですが、もっと具体的に結論の出たものもあるだろうと思います、もう少しこの審議中に資料としてお示し願いたいと思いますがね。これだけでは……。法律規定できない面がたくさんあるわけですね、この競馬法には。したがってすでに結論についておるものにつきましては、できるだけ知りたい、こういうように思うわけでありますが、たとえば法律を見ましても第二十条ですが、「都道府県の区域ごとの年間開催回数」、あるいは二号の「一回の開催日数」、こういうものについても省令で定めるということになっているわけなんです。だけれども、大体そういうようなものがわかりましたならば、資料としていただきたいと思いますがね、この委員会もきょう質疑が終わって採決するというわけじゃないんだから。
  171. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 検討中のものもございますけれども、大体こういう見込みだということで努力して出したいと思います。
  172. 天田勝正

    天田勝正君 私も資料をお願いしたいんですが、ついては、資料をお願いするついでにお聞きしますが、最初にもらいました資料と、今、安田委員の盛んに指摘されたあとのほう、地方競馬の出ているこれと、まあ両方比較してみますと、中央競馬のほうでは売得金額というのがあって、その前に返還金額というのがあって、つまり発売金額と売得金額は必ずしも同額ではないのであって、返還金額を差し引いたものが売得金額、こうなっている。この返還金というのはどういうのか。それから、今度はこっちのあとでいただいたほうを見ますと、四百三十五億九千三百万円というのが売得金の計なんだと、こういうのが出ておって、そこには返還金などというものは出ていないんですが、これは、あとでもらったほうの「地方競馬全国協会に対する交付額」、これの四百三十五億九千三百万というのは、中央競馬の例のごとく、返還金額を引いたものをここへ持ってきたのかどうなのか。返還金額とはどいうものをさすのか。それは払い戻し金とは違うでしょう、額が少ないから。
  173. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 返還金額といいますと、勝馬投票券を発売した以後出走取り消しになるわけでございます。そういう場合に全額を払い戻すものであります。そういう意味におきまして売得金額のほうが結論でございます。
  174. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、この第二の資料のほうも同じく、ここへ数字は書いてないけれども、差し引いたものをここへ表わした、こういうことですね。
  175. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) はい。細目を書いてございませんけれども、そういうわけでございます。
  176. 天田勝正

    天田勝正君 それでは資料をお願いしますが、要は、この種のギャンブルというものは、何と言おうともこれは、射幸心の過熱に至らないまでも、射幸心そのものであることは間違いない、そうでなければかけなんかしないんだから。かけをするからには、そのものが射幸心。それで、その射幸心を結局これは公許することになる、法律で認めるんですから。それだから、公に射幸心をそそるということだけは間違いない。問題のポイントは、それが悪であるけれども、必要なる悪なのかいなかというところだろうと思うんです。そこで、私はそういう観点に立って資料をお願いするのは、今、公許されておるこの種の、ボートから競輪から、何から何まで一切含めて、今この売得金額に該当するものが総額で幾らあるのか。地方競馬で幾ら、中央競馬で幾らはここに出てますね。競輪は幾ら、ボートは幾ら、オート・レースというのですか、ああいうものは幾ら、こういうものを全部集計したものを出してもらい、かつ、いつを基準にとったらいいかわかりませんが、戦争前のこれに該当するものをちょっと比較上ぼしいんですがね。それはほかの省にまたがるところもありますけれども、ほとんど今まで出ているんだからちょっとこうすぐ出せるでしょう。じゃ、それをお願いします。
  177. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 承知しました。
  178. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっきちょっと伺い漏れになっていますから、この要綱の2の問題ですが、2に旧戦災地の今許されている町村、こういうことで、それは四十年の三月三十一日までの間に実情を見て減らす。それからその項の一には激甚地というのはふえるわけです、今度はこれを新しく許すのですから。だから増減がある、こうおつしゃつたことには間違いない、こう思っております、私は。そこでそういう場合に、この表を見ますと、競馬場等を持たない府県も相当あります。持たない府県などがある。そういう場合に自分のところへひとつ競馬場を作るから許してくれい、こういうことになったら、その競馬場自身を作ることもお認めになるのかどうか。
  179. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 競馬場を増設することは認めません。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 認めない。そうすると、大体この方針は県内に競馬場等を持つ場合、県外でもまあかりに長野県が新潟県の三条の競馬場を使ってやりたいという場合には、そういう場合も許すのですか。
  181. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) ちょっと異例質問ですが、私どもはそういう場合は認めがたい。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 認めがたい。そうすると、大体戦災等によって第2項の場合でも、その県内にある場合はまあ開催を認めていくが、県外までの競馬場を利用する場合には認めていかない、こういう御方針なのか。それはわかりました。
  183. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 関連して。もとですね、競馬を府県であるいは市町村でやりた県で、現在競馬場を持っておらない県や市町村があるわけです。しかも全国の競馬協議会ですね、それには加入しておって、分担金納めている県がある。そういう県で、毎年競馬の都道府県の会合があるでしょう。それには来て分担金納めているのです。そういう県で、復活の意味でもって競馬場を作る場合には、そのものまでも許可しない方針ですか。そういう点をお聞きします。
  184. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 私どもといたしましては、全体的に回数なり開催をふやしていかない、こういうことでございますので、もし、だんだん様子が変わって参りまして、やめた県でまたやろうということ、それから今の具体的な例の場合におきましては、現在の開催関係と調整する必要があります。そういう意味におきまして、ただ隣の県で収益を上げてそうして畜産振興なり、社会福祉に充てられるという関係もございますので、そういう点は十分考慮をいたしまして、全然認めないということはございませんが、やはり調整を要することもございます。そういう意味におきまして、現状以上に奨励しない、これが根本原則でありますから、回数等調整いたしまして、そうして非常に不均等である、こういうことは調整して参りたいと思います。
  185. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 もう一点。そうしますと、新規認可はしない。だけれども、従来、その復活するものについては考慮する余地がある、こういうことなんですか、あなたの言うのは。
  186. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 県内に競馬場がありまして、この規定によりまして、都道府県は農林大臣の特に認可ということでなくてやれる権限を持っているわけであります。やらないという場合じゃなくて、やりたい、こういう場合につきましては、かつ公正競馬をやっていく意味からいって、非常に内容の充実といいますか、応援といいますか、ほかの施行者から審判員とか騎手とかいうようなものの御協力を仰がなければならない、こういう関係もあります。十分県と相談してやって参りたいと思います。
  187. 清澤俊英

    清澤俊英君 同じ項目で、やはりそうすると、「その区域内に地方競馬場が存在する市町村」これに対しては「前項の指定には、条件を附することができるものとする」、この条件というのは大体どういう形になるのですか。
  188. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 今度の規定では期限等を必ず付するということになりますが、条件につきましては、条件といいますと都道府県がやっている場合には、現在でもそうですが、一部事務組合を作りまして、施行権は持っても施行は一鶴事務組合の職員がやっていくということで、経費なり、能率なり、運営なりを全うしていこうということで、一部事務組合に対して加入——自治法によりまして競馬だけを目的とする一部事務組合を自治団体同士で作ることができるわけです。そういう自治法による一部事務組合の加入、それから使用競馬場、開催回数等について条件をつけたい、こういうわけでございます。
  189. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、もうこれでやめますが、施行者と開催者というのはこれは違うんですか。施行者と開催者、そういう字句が使ってあるのですか。
  190. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 施行者と開催者は委任した場合だけ違います。あとは大部分一緒でございます。委任した場合だけは違います。委任した場合だけ、施行者が片方で、委任されたやつが開催者、大部分の場合は開催者と施行者は同一主体でございます。
  191. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、この表で競馬法の一部を改正する法律案参考資料、この資料の三ぺージで、開催者が組合を持っているのがありますね、大体十七ばかり。これはどういう関係になるのですか、これと施行者の関係は。
  192. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 施行者は現在都道府県と指定市町村であります。したがいまして、収益は都道府県、市町村に帰属いたします。開催する回数はどうかというと、単独で都道府県が開催する場合と市町村、数市町村が自治法によりまして競馬の事務組合というものを作りまして、そうして開催を同時にやっておる、一緒の組合でやっておる、そうしてその収益というものを、分け方をきめまして、二つの町村がある場合に二分の一ということで分けまして、収益権は施行者であります市町村に帰属あるいは都道府県に帰属、こういうことであります。市町村が数個ある場合に、自治法によりまして、自治法の組合を作りましてそうして組合が開催する、そして分け合いは多くの場合においては、二つある場合においてはまつ二つに収益を分けて、それでその施行権がある市町村に収益が帰属する、こういう格好になります。だから単独で都道府県が開催する場合と、組合を作って、これは組合といいましても自治法の公共団体でございます。自治法による公共団体の組合でございます。そういう場合と二つあります。
  193. 清澤俊英

    清澤俊英君 いま一つ。ところが、この要項の第一を見ますと「日本中央競馬会又は都道府県は、この法律により、競馬を行なうことができるものとする。」となっているんです。そうすると、そこへ開催者なんというものが出てきて、いろいろなめんどうな御説明をお伺いするとちょっとわしらはわからな いのですよ。開催者とは、という規定なんというものはどうもないわけですね。この中にそういう規定はどうもないように見ているんですが、実は全部読まないからあなたに聞くんです。
  194. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 法文に開催者という規定はございません。ただ表で、実態を明らかにするために、県が直接自分自身で開催している場合と、それから自治法による市町村組合を作って開催する場合を分けて実態を書いたもんですから、法文には開催者と施行者と分けて規定はいたしておりません。
  195. 清澤俊英

    清澤俊英君 そのときのなんでしょう、今度分担金ですか、などを出しますときには、都道府県が中心になるのですね。そうして、分けたが、開催者が市町村でなく、こういうふうに組合ですね、市町村組合とか、そういう組合でやっているんですからね。そこのところの関係はどうなるんですか。
  196. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 施行主体と施行主体とが組合を作って開催いたしますが、収益は開催の経費だけをそれでとりまして、権限は、すべて市町村の施行権に基づいてそういう組合ができておるわけであります。したがいまして、帰属は全部市町村、施行体になるわけであります。そういう意味におきまして、かっ地方自治法による規定に基づく地方公共団体の一種でございますので、任意的団体と違いまして、十分な運営が行なわれておるわけでございます。
  197. 千田正

    ○千田正君 ちょっと一問だけ聞きたいのですが、現在指定を受けている市町村については附則第七条におきまして昭和四十年三月三十一日までは、競馬を行なうことができると規定してありますが、この以後においては従来やっておった市町村を再調査あるいは慎重に調査した上で存続の有無を定めるという意図でありますか。全然やめさせるという意図ではないだろうと思いますが、この前段にありますところの災害等の復旧等に関して百三十五市町村ですか、現在あるのは。そのうち整理をしようというのですが、たとえば馬産地でありますところのかつての北海道であるとか、東北では岩手県というようなところは、県庁所在地あるいは馬産の最も振興しておった市町村には競馬場があるのですね。それは全然今の災害とか何とかということよりも、明治以来ずっと続いているこういうようなものに対してはどういうような方法をとるのか。
  198. 森茂雄

    政府委員森茂雄君) 法第一条の規定によりまして所在地方に関する規定がございます。自治省と財政上等の関係も検討いたしまして、その上で適当なものは認めたい、こういうことでございます。
  199. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  200. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君)速記を始めて。  質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  202. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 漁業法の一部を改正する法律案(閣法第二二二号)、水産業協同組合法の一部を改正する法律案(閣法第ニ二三号)、以上いずれも参議院先議の二案を一括議題といたします。  両案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  203. 天田勝正

    天田勝正君 過日来、二法といってもどちらかというと協同組合法のほうが質疑が多かったと思いますが、私も整理上そのほうから質問をして参ります。  それで、これは最初念押しですが、今度の改正によりまして協同組合の構成員の純化をはかった、こういうのが第の改正項目だと思います。純化の中身については議論はあるにしても、政府側のお考えはそうであったと私は聞いたのですが、その前提に立ちまして、この地区の協同組合の正組合員を今度は従来の漁民という観念を変えて、そうしてその漁業経営者と、こういうことにした、すなわち、従来経営者ではないけれども漁業に従事しておったもの、これらは正式の組合員になる資格を喪失した、これが念押しの第一点。第二点は、その地区組合の正組合員は、常時従事者三百人以下、三百トン以下、こういうものを正組合員として今度は認めた、これが念押しの第二点。第三点は、今度は業種別組合については三百人以下、二千トン以内までは今度は業種別組合の准組合員になり得る、こういうふうにした。このように私は過日の質疑で聞いているわけですが、これに間違いありませんか。
  204. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 法人を組合にいたしましたのは、先生おっしゃいましたとおり、今まで法人につきましては正組合員にはなれませんで、准組合員の資格がございました。それが先生今おっしゃいました三百人以下であり、かつ使用する漁船が三百トン以下というものは准組合員であったのでございますが、それを正組合員の資格を与えたことは先生おっしゃったとおりでございます。それから業種別組合につきましては、今先生おっしゃいましたように、一般の地区漁協につきましては、それは准組合員は三百人、千トンまででございますが業種別組合につきましては二千トンまで准組合員になるようになったということは先生おっしゃったとおりでございます。それから一番さきの経営者だけに限定したという問題でございますが、これはなし得るということでございまして、これはどちらでもそういうふうに正組合員にもすることはできますし、場合によりましてはこれは准組合員にもなし得るというふうに、両方どちらでもできるということに実はしたわけでございます。
  205. 天田勝正

    天田勝正君 その従来の正組合員でありました経営者にあらざる漁業従事者、これはその正組合員にするか、あるいは准組合員にするか、これは法律的にはいずれでもよろしいけれども、その決定の機構というものは、その当該漁業協同組合の総会にあるのか、その他の機関によってきめられるのか、そうして、そのきめる要件というのはどういうものであるのか、つまり総会なら総会で過半数できめられるとか、そういう点についてはいかがですか。
  206. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今御質問の点は、特別に総会の結論できめることになっております。
  207. 天田勝正

    天田勝正君 要件は過半数ですか。どうですか。
  208. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 三分の二の同意ということでございます。
  209. 天田勝正

    天田勝正君 現在の地区漁業協同組合におきまして、通常今まではいずれも正組合員ですから、ちょっと今までの例で分けることはできないけれども、将来准組合員となる要素を持っているといいますか、つまり従事者、それから経営者、こういうふうにかりに分けて、その数の比率は現地どういうふうになりましょうか。
  210. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 現在の組合員のうち、現在正組合員の数が六十万人おるのでございますが、今回の改正に伴いまして、従事日数が三十日から九十日に引き上げられることに伴って、正組合員としての資格を失うと予定されるものが約一八%、人数にして十一万人予定されております。
  211. 天田勝正

    天田勝正君 いや、それも一つあるでしょう。確かに要綱に三十日というのが九十日になるのだ、そうすると、毎日出漁するとしても三カ月出なければならない、実際にはそれもしけもあるでし.ようし、何もあるでしょうから、九十日ということは五カ月くらいになるだろうと推定しているんですが、いずれにしても、そういうふうに下限を引き上げたら、それで自然失格者というのが出てくる。その次には、私がお聞きするのは、残っている者の中でも、経営者と非経営者があるわけなんです。従来漁民という言葉が使われていたと思うんですけれども、そういう概念で経営者と非経営者と、こう分けた場合に、どの程度の比率になりましょうか。
  212. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) これは昭和三十三年のセンサスによる数字でございますが、いわゆる漁業従事者と申しますか、漁夫と申しますか、それが総組合員の中において占めます割合が約二五・八%、総組合員が昭和三十三年のセンサスでは六十八万人になっておりまして、そのうち、約実数で申しますと、十八万人、したがって、大ざっぱに見まして、組合員中約四分の一が漁業従事者というわけでございます。
  213. 天田勝正

    天田勝正君 そういたしますと、先の就業日数の下限が引き上げられるために失格者一八%、十一万人というものと、古い統計であるけれども、従来の経営者と従事者のパーセントを見るならば、やはり四分の一というものは今度は正会員として失格すると、こう見てもよろしゅうございますか。必ずしも失格じゃないけれども、失格し得るというか、総会のきめ方によりまして。そういうふうに見てよろしゅうございますね。
  214. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 観念的には一応そういう考え方もございますかもしれませんけれども、従事日数のほうは、漁業従事者の方もあるいは九十日以上従事しているものも相当あるかもしれませんし、先ほど申しました一八%という数字と二五%のその数字の中には当然ダブリがあると思います。そのダブリが幾らあるかによって従事者及び経営者のうちで資格を失うものが幾らあるかという計算が出てくると思います。
  215. 天田勝正

    天田勝正君 それはなるほど論理的には一八%というものの中には経営者もあると、従事者もあると、こういう議論は成り立つんです。しかし、事実は、経営者のほうはあんまり従事してなくっても毎日従事していることになっちゃって、ただ単なる漁業労働者というものは出日当みたいな式できちんと九十日というものが押えられて、そして落とされる、こういうことになるんでしょう、事実。違いますか、私の考えは。
  216. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) その点の日数をどう見るかの問題でございますが、これは先生がおっしゃるように、経営者は、三百六十五日というと語弊がありますけれども、非常に長くて、従事者ははっきり出た日だけで限定されているんだという計算ではございませんで、これはやはりその組合の理事者がそれは常識としてそこで判断するということで、経営者であれば、これは全部は三百六十五日は非常に長いんだ、経営者と従事者を区別つけまして計算するということはございません。
  217. 天田勝正

    天田勝正君 私は全く漁業はしろうとですけれども、まあ古いことなんで今の例にならないかもしれませんが、二夏ばかり浜辺で暮らしたことがあるんですが、それによれば、従事者を海岸で板なんかたたいて招集して、それで普通農業をやっているようなものが、板が鳴ってくるとどんどん走っていって、それが出日当で一日、こういうことになる。ところが、経営者のほうは網なんか持ってたり船を持ってたりして、それはしけだったって何だって現実に出たことになるんですね。そうでしょう。それは従業したということは、何もそこで漁獲をしたということと一致しなくてもいいわけなんだから出たんだと。ですから、私は結果においては経営者は九十日などということで下限を引き上げてみたところで網の目から漏れるものは一つもない。それに引っかかって正会員の資格を失うかもしれない、きっとなつちまうんですが、それはあとの議論にして、かもしれないという中に入るのは結局漁業労働者、こういうことになるでしょう。それは、むしろ僕は長官などはよく事情を知っているんだと思うんだが、どうかね。必ずしもなんで言いなさんな。そうだよ。
  218. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) まあ、そうおっしゃいますけれども、日数のはかり方は、これは従事者と経営者で差別をつけるということはございません。ただ、判断の仕方は組合の理事者にまかせておるということは確かでございますが、従事者と分けて、区別をして計算するというようなことはございません。船を持っておりましても、先生御承知のように、毎日これは従事するわけでもございませんので、たとえば農業と漁業兼業している方もいらっしゃいましょうし、船を持った人は必ずしも三百六十五日だというふうな計算にはならぬわけでございます。
  219. 天田勝正

    天田勝正君 今質疑の時間で討論の時間でありませんからあれですが、とにかく法律的には差別をしないように明治以来法律というものはそうできておるんです。法律的に差別をしなくても実態がそうなるという場合には、逆に法律で何か不平等のごとく措置をいたしませんとほんとうの平等にならない。そこで私は、おそらく私の今の質疑をどなたが聞いても、実際にこの九十日という限界で落とされるのは、それは漁業の労働者に間違いない。それをだれがきめるかというと理事者、その理事者とはどういう階層で構成されているかというと、おそらく日雇いみたいな漁夫で構成されておるはずがない。今教育程度もだいぶ高くなっていますけれども、まだ漁村に行って、おそらく高校まで行って純粋の漁夫になっているのはございませんよ。むしろあるということを言えば、あなたのほうが勉強不足だ。非常に学問的には漁村というものは経営者といえども低いんですから、そのうちに、さっきの板が鳴って飛び出していくという連中は、まず義務教育にしたっても、一番長欠児童の多いのは漁村なんですから「実態からしたって、組合の理事者なんかになろうはずがない。ですから、漁村階層で見るならば、経営者陣からもう理事者が出ているにきまっている。だから、その者から見るということになれば、わが仲間を平等に落としていくなんということはあり得ないんですよ。私はこれを演説するつもりはないんですけれども、それが実態になるということは、私としてはこの際指摘しておきたい。  そこで法律的な制度の問題ですが、それを今度は私がさっき言ったように、必ずしもそういう者を正会員から落としてしまっておるんじゃないが、しかし、経営者だけで正会員にする組合もできるんだと、こうおつしゃる。法律的にはまことにこれは平等らしいんです。ところが、これまた組合を作るときになれば正会員はみんな経営者、こういう組合ができるにきまりておるんですよ、それは。片方は、人数はどうであろうとも発言権は漁村において少ないんですから。その点どうお考えになりますか。
  220. 伊東正義

    政府委旦(伊東正義君) これは地区地区でいろいろ違うかと思いますが、その法律では二年間の間にもしそういうことまでする必要があればやると、ただ従来正相合員であった人を全然組合から排除するということはこれはいかぬのだ、必ずこれは定款で准組合員に残しておかなければいかぬというふうにいたしまして、そこの救済はいたしておるのでございますけれども、これが法律ができました場合にどういうふうな運用になるかという問題でございますが、地区の漁協につきましては、これは相当従事者等も入っておりまして、持っております漁業権等につきましても共同漁業権とか、そういう種類のものが多いのでございます。先生おっしゃっておりますように、大部分がそうなってしまうんだというふうには、現在あるものがそうなってしまうという見通しは、実はいたしておりません。
  221. 天田勝正

    天田勝正君 私も一ぺんにそうなるとは思わないけれども、しかし、漁村において今までだっても発言権は漁夫は少ない、経営者のほうがまるで発言権が高いことは、どなたもお認めになっているところなんです。それが今度正会員でなく准会員になるんだということになれば、このなるときに、そもそもされてしまっているから、されてしまうとともに准と正という区別ができた以上は、これは法律的にもそこにもう権利に差ができるんですし、そうして今日までの漁村の慣行からしても、ますます自分は半人前という極端な表現かもしれないけれども、劣等感を持ってくることは、私は明瞭だと思うんです。ここに問題がありはしませんか。どうなんでしょう。そういうことにならない。私が心配しているようになりませんか。
  222. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは先生、いろいろ議論になるところでございまして、今度の法律で、まあなるべく等質の人で組合を作っていくというような、経済団体として等質なもので協同組合というものを考えていったらいいのじゃないかという建前からしまして、業種別の組合等につきましては、これは経営者だけで限定しておりますが、地区組合につきましても、必要があればこういうこともできるということを実はやったわけでございます。先生のおっしゃいます経営者と従事者まあ雇われておる人といいますか、そういう人のいろいろな問題は、これは漁業協同相合という形で解決するということよりも、私は別な形で、いわゆる経営者、雇用者という問題であれば、話し合いをするとか何とかということになるのではなかろうか。漁業協同組合という中でこの問題を解決するというのは、なかなか困難ではなかろうかと実は思っております。
  223. 天田勝正

    天田勝正君 過日来、長官が説明された中で、私も十分うなずくところもあるのです。それは簡単に言えば、今までのように略奪漁業じゃなくて、だんだんコンスタントの収入と所得が得られるように、耕作、畠を耕すみたいな耕作漁業をだんだん力を入れておるのだ、それには資本も要る、設備も要るこういう論旨だと思うのです。だから、やはり相合構成もそういう趣旨に合致するような行き方をしたいと、こういうお考えだと思うのです。だから、その考え方は一つの筋なんですよ。わかるが、とかくまだそういうものを消化し切れない漁村の実態ではなかろうか。そういう場合に、むしろ平等でなく、不平等に見える措置をとったほうが平等になるのだ。それは、あなたも同じ農林省ですから、農地改革のときのことを御存じでしょうけれども、ほんとうの平等の原則ならば、農地委員なんというのは、人数を二十人なら二十人きめてしまって、それでパーで選挙させれば、それがほんとうに一人一票ずつの平等の権利を行使することになる。しかし、あの当時の農村においては、それをやったならば、おそらく小作人の発言権というものがなくなるであろうという政府の配慮から、そこに差をつけたのです。半分はどうでもこうでも小作人代表でなければならないというワクを作って、三段階に分けて選挙さ、たでしょう。だから、封建的な旧小作の発言なんかというのは、ゼロのごとき農村でありましても、票の上においては、出てきた農地委員は必ず過半数を占めるようになっている。そしてまた、それでも政府の配慮のごとく運営されたかというとしからずなんです。でありまするから、私はこの切りかえのときにおいて、やはり農地改革のときと同じように、またこれを評価するに十分なだけの教育等が普及されていないし、平等の権利の観念が骨や肉になっておらないのですよ。漁村に行けばよくわかると思うのです。僕ら山村に行ってもよくわかるのです。これが実態なんです。だから、長官の話は五分と五分の人間ならば、当然それは経営者は経営者としての組合を作り、これに対する従業員は従業員としての組合を作るということがいいかもしれぬ。けど、これは政策をきめたり、法律を作ったりというときは、時の背景というものをやはり考えなくちゃならないのではないか。その観点に立って、私はどうもこのきめ方は、時期尚早ではないか、こういうふうに思っているわけです。これ以上になると、質問じゃなく意見になっちまいますから、私はそれで心配ないんだということがあれば、それを聞きたいのですよ。どうも心配は、今までの答弁ではそのまま残ります。いかがですか。
  224. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) たとえば准会員の組合員になりましても、自営でやりますときとか、あるいは共同漁業権の利用が必要なときとかというときには、従来そういうものを使っているということになりますれば、当然意見を述べる機会がございますし、漁業権の利用その他につきましては私はさしたる支障はない。ただ、いろいろ経済行為を組合員がやります場合には、ある程度準会員でやったほうがいいのだということを考えまして、今のようなでき得るという規定を作ったわけであります。
  225. 天田勝正

    天田勝正君 これ以上この点については、まあ議論にわたりますから先に進みますが、それなら次にさっき念押ししましたように、さて、この組合に三百人以下、千トン以内はまたこれを正会員に加入することができる、こういうことに新しくなるというのです。ところが「以下」というのはなかなか幅がありましてね、以って下がるという文字からしても。それでなかなか幅がありますが、千トンまではいいということですね。千トンではだめですか、三百人でもだめですか。日本語の以下というのは、千トンの場合は下に入るでしょ今。そうだとすると、千トンでこの三百人の人間を使うということになると、おそらく二億こえる資本投下をしなければさような経営はできないでしょう、船の実態からして。いかがですか。
  226. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今のお話でございますが、正組合員になりますのは、三百人で三百トンでございます、正組合員になりますのは。これは従来は三百人、三百トンまでを准組合員に今の法律でいたしておりました。法人は一切組合員になれぬということでございましたが、今度は従来の准組合員ぐらいまでは、少し最近の法人なりの傾向もございますし、これは正組合員にしようということにしたわけでございます。先生のおりしゃいます千トンの問題は、これはたとえば一トン当たり三十万なら三十万というふうなことで計算してみますと、先生おっしゃるような金額になります。あと運転資金まあ建造資金だけ考えましてですね。ですからかなりの資本は要るということになりますが、最近だいぶいろんな法人なり、それから漁法の形態が変わって参りまして、だんだん大きくなって参っておりますので、ある程度のものまでは組合員の中に包含しまして組合の活動を健全にしたほうがいいのだろうというような判断で、従来の准組合員の資格を上げたよふな次第でございます。
  227. 天田勝正

    天田勝正君 私の質問も少し簡略で質問の趣旨がよくおわかりにならなかったかもしれませんが、前からの三百トンというまでは、これは今度は正会員になるのだ、そうするとこれは正会員であるけれども、今千トンという話をしたのは、これは准会員にはなれるんだ、そうでしょう。でありますから、三百トンのことは私は引例しなかったのですけれども、三百トンでもおそらく一億ぐらいの資本投下がなければ私はやっていかれないのじゃないか。船を持つという際に、その船の三百トンと人間三百人ということになれば、必ずしも法人については、私もわかつているのですよ、必ずしも法人といっても、一人の人間がその人間を使うというのではなくて、合同でそして法人になっているという場合もあるのですから。しかし危険を指摘する場合には、極端なことを言わなければなりませんので。心配のない法人も確かに適すると私も思っているのです。思っているのですが、極端に言うならば、法人と言いながら、一人支配のいわゆるよく言われる個人会社というようなものむ、それは拒否するわけにはいかなくなります、法律でワクがきまるのですから。そのときには一人の経営者で、だから三百人、三百トンということもあり得るということなんです。そうすれば、三百トンあっても人数もそれだけ使うということになれば、大体一億になりゃしませんか。それで千トンのほうは少なくとも二億になるであろうこの三百トンのほうだけ抜かしたから、ちょっとあなた別にとられたかもしれません。私はそれを言っている。いかがでしょう、それは。
  228. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) このくらいの法人が、一体資本金がなんぼくらいがいいのだということは、いろいろ問題があると思います。そのほか建設資金でありますとか、建造資金とか、運転資金とか、どれくらいのものを動かすだろうということは、いろいろ問題がございますが、われわれ三百人でなおかつ三百トン以下ということであれば、資本金が千万とか二千万とか、その辺のものではなかろうか、資本金でいきましても、ということを実は考えたわけであります。
  229. 天田勝正

    天田勝正君 たった一つの船で三百トンということもあるだろうし、六十トンを五隻ということもあると思います。しかし今六十トンということになれば、大体無電装置くらいは備えておる。そういうことになりますので、建造費がかりに、トン当たり今どのくらいしているか、しろうとでわかりませんが、十五、六万円じゃないですか。そうして艤装費のほうがあべこべにその単純建造費よりトン当たり多いということも、設備によってあり得ることなんです、船というものは。そういうふうに考えますと、私のさりき言った指摘が、必ずしも船のトン数ばかりではございませんけれども、三百人使うということになれば、これは三百トンの場合でも、おそらく一億というのはもう下限ではなかろうかと私は思っている。千トンということになれば、人数が同じであっても、とてもニ億、三億ということなる。二千トンということになったら、これはその次の議論ですけれども、二千トンは業種別のときの会員でしょう。そういうことになりたら、投資の対象にもよりますけれども、これは七、八億もなければ法人は成り立たぬということになる。公称資本金はいずれ、投下する資本というものはそのくらいのが普通だ。といたしますと、ここから聞くのですが、私の今の分析、誤りがあったら、答弁のとき直して下さい。といたしますと、そういう資本力を持っている者が正会員として地区漁協に入るということになれば、その地区漁協というものは、おそらくその力のある法人に支配されるという結果になると思うが、この点どうですか。
  230. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 法人が、ある程度のものが加入した場合に、その法人にその漁業協同組合が支配されてしまうじゃないかということでございますが、これは協同組合の原則からいきまして、資本で投票をきめていくということでもございませんので、これはそういう企業体が入ってきたから、そういう企業体で、資本で漁業協同組合がかき回されてしまうのだというふうには私は考えませんが、ただ、漁業協同組合を利用して、いろいろな金融を受けるとかいうときに、そういう人がいろいろな施設の利用でございますとか、あるいは金融面等で、ほかの人よりよけいたとえば組合を通して金を借りるとかいうようなことが結果として出てくるということはあるかもしれませんが、組合がそういうもののために牛耳られてしまうと、うことは、多数が監視しておりますので、私はそうはならぬじゃないかと実は思っております。
  231. 天田勝正

    天田勝正君 それは長官、楽観的で法律を作られると困りますので、たとえば漁村なんかよりも、近ごろ農村のほうははるかに教育程度が高くなりまして、私の近くの野菜地帯でありますけれども、一昨々年ですでに私の生れた隣村においては、高校へ行かない者がたった二名でした。これは全部行くということを意味しておる。二名くらいはどんな手を下してもやることができない、はいれないというのですか。ですから、二名の者を除けば全部高校へ行ったというのは、オール高校入学だと言って過言ではございません。そういうふうに教育程度が一般に上がったのですね。だから古い小作人の子弟は義務教育だけだということでないことは明瞭です。そういうふうになったところであってさえも、やはり資本力のあるものが、ほとんど農協の役員につくということは、農村のもう現実ですよ。教育程度が同じように上がってさえもそうなんです。それでその経済力の違いというものはどのくらいかというと、これは全国でも埼玉県が一番農協の貯金というのは成績がよかろうと思うのですがね。これでいきますと、四年ばかり前に一億以上の預金を持っている農協というのは、三つしがなかったけれども、このごろは七十三あります。それですから昨年半ばで百三十七億、それで農家の借りてるほうはたったの三十七億。だから確かに全国的にも豊かと言い得ると思うのです。そういう農村と比較して見て、比較的豊かなんですから、少ない人でもみな預金をしている。多い人でもそういう一億だなんてべらぼうなものがないのです。幸いに。せいぜい上のほうでも一、人飛び離れて、二、三百というのがあるくらいなものです。ですから一人による支配ということは起きないのですけれども、おそらく農村のように教育程度が全般的にぐっと上がってきていても、一人で一億の預金を、これは投下資本とは比較にならないとおっしゃるだろうと思うけれども、しかしそれにしても一億のものを投下する力ということになれば、これは私は常識的に支配されていくと見るほうが普通であろうと思いますがね。ですから協同組合そのものを、経営体の共同という見方もあるし、今日までの協同組合の観念というものは、零細なものが大資本に対抗する上に、これは共同しなければ対抗できないのだという観念が、大体立法のとき私は政府側におかれても貫かれてきたと思うのです。中小企業協同組合、大企業協同組合なんというのはないので、中小企業協同組合、こういうので、それから農業協同組合、これはもう農業自体が農地改革で大のほうはありませんから全部小なんです。むしろ日本の場合は零細です。それで他の、今度は肥料資本等なんかに対抗していかせようということですが、今までの漁業協同組合も大体この思想できた。今度一ぺんに変わったわけですね、考え方が。今度小のものをずっと助けていくという考え方よりも、近ごろの言葉でいえば、自立経営を、こう集団化していく、そうしてそのものの漁村における生活というものが、他産業と均衡がとれるようにしょう、こういうふうに、大転換やったわけですね。そうじやありませんか。
  232. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 小さい経営はもうあきらめて、といっちゃ語弊がありますが、小さい経営についてはあまり指導せぬで、大きな経営について積極的に指導するとか、そういうふうに変わったのではないかという御質問でございますが、そこまで実は徹底いたしまして、小さいものはもうだめで、大きなものだけをやっていくのだというところまでに、まだ方針が変わってはおりません。まだそこまでいくだけの客観的な情勢には、私はなっておらぬというふうに思っております。組合にある程度の法人を入れますということは、これは私どもの目から見れば、そういう人に入ってもらって、組合自体が組合をまた強くするということが、たとえばいろいろ信連から金を借りるにしましても、組合が弱体であると、組合員は金が借りられないということが実はございます。組合にある程度有力な人に入ってもらって、組合を強くして、その上で小経営者も組合を利用していくということも、私は考えられるのではなかろうかというふうに思っておりますので、先生おっしゃいますように、その大きいものを入れて、大きいものだけのめんどうを見ていくのだというふうな、そういうふうに実は方針を変えたわけじゃございません。
  233. 天田勝正

    天田勝正君 まあね、私はみなあなたのおっしゃることは、全然あり得ないことだと言っているんじゃない。さっきから言うように、法人にしたって必ずしも、最も悪い例をとらえたからといったって、その法人になってもけっこう、みんなが集まって法人というのもあるのだから。そうじやないけれども、やはり法律を作るときには危険面を心配しなければならない。一貫して私はそういう立場質問していますから、だからあなたの言うように、大企業を守るために今度の法改正をするんだというふうにきめつけて言っているのではございません。しかし、端的に経済力というものの比較をしたのですが、長い漁村における社会環境、教育の状況、こういうものを勘案しますと、大きい法人が入ってこられると、大きいといったって、近ごろはまあ一億ぐらいではえらい大の法人にはならないかもしれませんが、しかし他のものとの比較だから、こういうものは。それは百も持っていないところにいけば、十万円持っている者がえらい金持ちになる。ですから漁村に行って、あす食う米もないという人もあるし、その証拠には長欠児が漁村に一番多いのだから、現実に。東京に近い千葉県の九十九里沿岸に一番多いです。この付近に一番多いです、長欠児童が。だからそれだけ経済力低いのですよ。しかしそこでも一億、二億という、ことによれば業種別になるというと、どうも六億か七億ぐらい持っている者が入ってくる、こういうことになったのでは、私はそとに支配・被支配関係が生まれるということは、人間の生活上自然ではないか。これを心配しているのです。どうも法律的には平等でありますという答えになるのですが、もう少し社会的環境を、法律を作る時点における背景ということを心配してもらいたい。で、そのことからいうと、結局片っ方をいじめるのじゃないということはよくわかっている。そんな悪意があるとは思っていないのだけれども、自然そうなるということだけは間違いがないと思いますがね。そうならぬという保障がどっかにありますか。ないでしょう。私が心配しているふうにはならぬという保障はないですね。
  234. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今の点でございますが、組合に入りまして、その法人がたとばそとから借りてくる金は、全部自分が使ってしまうのだとかいうようなことも、漁業協同組合という組合の個人々々が主体になっておるという、資本じゃなくて、そういう組合だということからいきますれば、その法人が入ってそこで勝手気ままなことをする、あるいはそれが独占してしまうということには私はならぬだろうと思いますが、先生のおっしゃいますように、そういう人が、たとえば理事者につくことが多いのじゃないかとか、いろいろ資本の面なり、あるいは村の有力者であれば、そういう人がいろんな地位につくんじゃないかというようなことにつきましては、私も全然そういうことはございませんというところまでは否定しては申し上げませんが、そういう人が入ったからといって組合の運営がそういう資本中心になってしまうのだというふうには私はならぬのじゃなかろうかというふうに実は考えております。
  235. 天田勝正

    天田勝正君 これ以上になると議論になりますから、また他の委員質問するでしょうから、先に進みまして、そうすると、今度は業種別の協同組合ですね、この場合、さきにも指摘いたしましたように、二千トンまでの船を持っておる法人が入れる、こういうことになる。そうすると、これまたあれですか、船のトン数でいえば、真珠なんかという場合ですね。これは大した船を持たないでもいいから、そうするとこれが業種別の組合にさっさと入ってきて、これもまた発言権がえらい過大であると、こういう事態が起こりませんか。いや真珠の組合に起きるというのじゃなくて、まあ例示したのですからね。そういうこともあり得るということになりませんがね、これ。
  236. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 二千トンでございますと、先生まあ真珠を例にあげられましたが、これは頭に置いていろいろ考えましたのは、カツオ・マグロとか、そういうようなものを頭に置きまして、中心に置きまして、この業種別の場合に一体どのくらいのものまで入れたらいいのだろうということを実は考えたわけでございます。二千トンと申しますと大体八割、九割近くカツオ・マグロでやっている人が入って参ります。それでこの人がたとえ、しかし入りましても、これは先生も御承知のように、議決権とかそういうものは実てはございません、准組合員でございますと。でありますので、これが入りましたので、たとえばカツオ・マグロ組合の中で、こういう人たちがまた自由に組合を運営してしまうのだということには、私はならぬのじゃなかろうかと実は思っております。
  237. 天田勝正

    天田勝正君 その業種別の組合と限定すれば、二千トンというような人方は准組合員であって、これは議決権がないと、こうですね。ところがさきの今度地区の組合のほうに戻りますけれども、昨日藤野さんの質問に対するお答えでは、三分の二できめるという場合にその三分の二とは何だという質問に対して、これはただ「組合員」と書いてあるのは准組合員も正会員も入るのだ、そういうお答えでございました。そうすると、業種別組合では、過大資本という言葉は適当じゃないけれども、大きな資本の者は発言権がない、だから公正な運営ができる、しかし地区組合においては、その発言権が過大だとか何とかいうのは比較の問題ですよ。漁業労働者みたいな者のいるところに、さっき言った一億も持っているこういう大きなものも、ものをきめる場合の三分の一の要件になって、例の文書をもってとると、こういうのがあるでしょう。それは総会できめるべきだという御意見があったと私は記憶しているのだが、そういう場合に、地区のほうはそうするとなおさら発言権があって支配、被支配の関係になる。法律になっているのは、相当これは力のある連中が集まって、その力のある者よりもさらに飛び抜けた者が中に入ってくる、その場合は発言権がない。この二つを比較した場合に、地区漁協の弱い者はえらく不利益になるというような感じがしますが、どうですかね。
  238. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私出ませんでしたので、あるいは違うかもしれませんが、先生が今おっしゃいましたことは、地区の漁協の場合でも、准組合員につきましては議決権はございません。三百トンと千トンの間ですね「准組合員の人につきましては、議決権はございません。ただし、その漁業協同組合が自営をやりますとか、例の共同漁業権の場合に同意を得る、あらかじめ三分の二以上の同意を書面で得るということはございます。この場合にはこれは法人の准組合員であろうと、たとえば従事者を准組合員にしている場合であろうと、経営者でも日数の足りぬ人を准組合員にしておる場合であろうと、そういう准組合員につきましても三分の二の同意を取る、事前に同意を取るというときには、意見を、一票一票といいますか、その同意の数の中に入れる。これは法人だけじゃなくて、従事者であろうとだれであろうと、准組合員につきましては取る。それは自営の場合とかあるいは共同漁業権の行使の場合とか、そういう場合だけに限定いたしておりますので、一般に業種別組合の准組合員と地区漁協の准組合員が、片っ方は議決権があり、片っ方は議決権がないのだということじゃありませんので、原則としては議決権は両方ない。ただ自営するとか、共同漁業権の場合に三分の二の書面による同意を得るという意味でございます。
  239. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、だいぶ話がわかりましたが、この業種別の組合であろうと、地区の組合であろうと、その別に関せずして准組合員は通常の場合議決権がないのだ、ただ共同漁業権の場合だけに限って三分の二のあれは議決じゃないので、賛成、文書による賛成だから総会に出ていかなくていいんだが、この賛成を要するのだ、こう理解してよろしいですね。
  240. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 自営の場合も入っております。そういう三分の二の同意を得るというときには、准組合員が入っていても差しつかえないという意味でございます。
  241. 天田勝正

    天田勝正君 そうすると、ついでに共同漁業権のことで伺いますが、まあ真珠をよく例にとりますが、真珠の漁業権というのは、私はどういう許可の仕方をするのかわからぬけれども、水面のほうに、たなが上のほうにつってあるわけでしょう、あれは。これが下のほうは共同漁業権がそこにある、こういうのもあるでしょう。そういうのはないのですか。
  242. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 漁業権を設定いたしますときには、御承知のように法律の十一条で漁場計画を作りまして、それを公示して関係者の意見を聞くというようなことで、まあやるわけでございます。その場合に、上にたとえば真珠のいかだがありまして、下のぼうにたとえば貝類を取るということに支障がないというような漁場計画が同じ水面につきましてできますれば、そういう先生のおっしゃいましたような事例もあるわけでございます。それは漁場計画を作りますときに、共同漁業権はこう、区画漁業権はこうというふうに漁場計画を公示しまして、関係者の意見を聞いてきめるというようなことをいたしております。
  243. 天田勝正

    天田勝正君 これからはだんだんその漁業法によりましてその許可を与えるように整理をされていかれると思う。しかし、今まで慣行で取得した権利というものは、これはむやみに剥奪しないだろうと思う。そこで今の実例にすれば、もちろん真珠のほうがあとから出てきた産業ですから、もともと共同漁業権というのは、もう何というのか先祖伝来という工合に下のほうにこうあったところが、そのあとへ持っていってこの真珠のほうの漁業権を与える、それはたなを作ってつるしておくのだ、こうございますね。そうすると、下のほうは共同漁業権がある、上のほうは特定の法人なり、または個人なりの養殖漁業の権利が与えられる、かようなことに現実になっている例もあるとおっしゃるのだから、まああるはずなんだ。そうだとすると事実は下のほうは潜在主権みたいなことになつちゃって、主権はあるけれども、さらにそこから使用収益の権利行使というものは不可能だ、こういうことになりませんか。
  244. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先生のおっしゃいました何といいますか父祖伝来の共同漁業権というのは、父祖伝来のものだ、下のものは、漁業権は昔からのものだと言われる中に、実は共同漁業権も一種から五種ございまして、おそらく先生のおっしゃる意味は、そのいろいろな網を置いて取ったりとか、そういうのじゃなくて、草類とか貝類で海に出てくる、自然に、養殖でやるのじゃなくて海に出てくる、それを取るような権利が、おそらく昔から自分の地先からとるのだ、こうおつしゃるのだと思うのですが、先生のおっしゃる場合は、これは漁場計画のきめ方でございますから、いろいろな場合があると思いますけれども、海の下に出てくる貝を取るとか、そういうようなことは、これは可能性があるわけでございます。あるいは草類が自然に出てくるのを取るとか、これは第一種共同漁業でございます。おそらく大体、真珠と共同漁業が両方が免許になるというのであれば、共同漁業の私は第一種だろうというふうに私は想像されます。そういう場合には、先生おっしゃいますような潜在主権みたいな潜在漁業権だけで、何もできないのじゃないかというととじゃなくて、漁場計画上そういうものができてそういうものを取るのだ、網を置いたり何かするのじゃなくて、あるいは船を置いたりするのじゃなくて、自然に出てくる貝類、草類を取るという第一種共同漁業が多いと思いますので、現実にそういうものが採取できるという場合があるだろうというふうに考えます。
  245. 天田勝正

    天田勝正君 草類の場合でなくとも、貝類であっても、それは取るのは取れるのだ。取るのは取れるのだけれども、上のほうにたなが浮いているということになれば、現にそれは昔の漁法のままに遠くから潜っていって取るというように、無理をしながら取れるかもしれない。しかし、近代化して、少しいうならば労を少なくしてたくさん取る、こういうことは不可能なんですね。それから今度のせっかく法律改正をされるので、その中には救済策とでもいうようなものがあるのですか、どうもないように思うのですがどうですか。
  246. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今御質問の場合は、これは、現在の法律の十一条で私はできるのじゃないかと思います。一つの例でございますが、真珠の漁業権につきましていろいろ問題があったわけでございますが、これは漁場計画を作りますときに、地元の関係者の利害関係人の意見を聞かなければならぬということになっておりますので、現実の問題として真珠の区画漁業権をその漁場に新しく設定する、また、従来のものを更新する、いろいろな場合がございますが、そういう場合には、地元に住んでいる人、利害関係人が反対しましたら、現実の問題として私は区画漁業権をその漁場について作って免許することは不可能だと思います。それは現在の十一条でそういう利害関係人の意見を聞かなければならぬというふうにいたしておりますので、私は救済規定としましては、特に実はいろいろ検討したのでございますが、作りませんでしたが、この十一条でいけるのじゃないか。また、あるいは免許をいたします場合には、制限条件をつけることもできます。それから免許しましたあとでも、最初の漁場計画と使い方が違うというような場合には、たとえば海区漁業調整委員会の指示というようなこともありますし、現在いろいろな法律規定しておりますので、これを励行すれば、先生おっしゃいましたような共同漁業権と区画なり定置との調整というような問題は、現行規定を活用すればできるというように考えまして、新しく規定しておかなかったわけであります。
  247. 天田勝正

    天田勝正君 私が漁業の実態を知らないから、少し心配し過ぎる質問をしているかもわかりません。ただ普通の場合は、自分の家のすぐそばの橋がりっぱにかけることになるのだといっても、自分の家に一尺でも食い込まれることは反対なんです。これが世間の通例なんです。橋がよくなる、家がよくなる、大賛成。だがわが家を一尺たりといえども犠牲にするのは反対です。よくなるのに反対なんです。そういう実例を聞きますと、私は利害関係人の意見を聞くといったところで、明らかに不便になります。貝を取る場合に上にたなを作れば、これはもとのとおり権利はそこにあるし、また取れもする。しかし、不便になっていることは間違いないだろうと思う。不便になるのは反対しないで、今日までもそういう事例があるということは、結局力関係がする。事実は反対したいのだけれども、ついつい押える。この反対自体もこういうことになるだろうと私は思う。そこを私は心配しているのですが、そういうことはないでしょうか。
  248. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 現実の姿は、先生おっしゃいましたように力関係で、たとえば定置なり区画なり漁業権者が強くて、地元の人の泣き寝入りになるのだというふうに一がいにはこれは言えませんで、実はそういう漁場計画を作ってやる場合には、たとえば真珠でございますと、そこの場所代という言葉はなんでございますが、その漁場を使わせるかわりに、漁場にある程度寄付をするというような、現実はそういうような形で実は解決されておるのが多うございます。でありますので、この十一条を強く励行すれば、先生の御心配になるような場合は全然共同漁業権者が泣き寝入りになってしまうのだということでなくて、現実の姿はある程度漁業協同組合で寄付をもらっているというような形で実は解決されているわけでございます。
  249. 天田勝正

    天田勝正君 そこでごく身近な例でお聞きすると私もうなづけられるしお答えも楽だと思うのですが、たとえばノリの場合ですね。今まではノリといえばわれわれ常識からして、くいを打ってひびを立てて胞子を置いて、そうしてそれにノリを付着さして採取する、こういうやり方でしよう、慣行的に。そういうやり方というものは遠浅なところが至って都合がいいわけですね。しかるに、このごろは何というか、竹をやって、浮かしてやるようなことになってしまったのです。それだから松島あたりでもそんなに浅くないところでくいの立てられないようなところでもどんどんノリ養殖をやるようになってしまった。ところが、そこへ所属の漁業協同組合員、今度の正会員及び準会員になるであろう、一漁夫といってもいい諸君、こういうものが一斉にノリ養殖をやる。こういうふうになれば、前の権利はかりに不便になってもこっちのほうがよろしいというときにはそこに犠牲者は出ないと思うのです。みんながやるのだから。そうでなく新しいそういう養殖などを用いる場合は、多くは頭のすぐれておるか、資本力があるか、どっちかの人がやるのです。もとのとおりその下にある貝でも何でも取りたいと思っても、全部が始めるわけでないのだから、ある一部の人が、あれは竹だからそれを取ってきてつなげてそれが浮きみたいになってそいつへ下げるということになるでしょう。そうするとこれはごく最近出てきたものですから、その際にあなた方は許可をするにどういうふうな処置をされますか、もとの下をとる権利のある人が不便になるのに、何か十一条か何かで十分それは条件をつけられる処置もできるとおっしゃるけれども、現実に条件なんかつけてないでしょう。自然にそうやっているのじゃないですか。
  250. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先生の例をあけてのお話しでございますが、その前にノリとかカキの養殖とかこういうものは、その組合の中にそれをノリなりカキなりやっている人の三分の二以上が入っているという協同組合が申請しますと、もうこれは第一優先で、優先順位がございまして組合にいってしまう漁業権なんでございます。ですから一般的には、先生の御心配になるような例は、一般的には少ないのだろうと実は私ども思います。といいますのは、本法の十八条でそういうひび立て養殖とかカキ養殖とかこういうものは今私が申し上げましたような適格性さえ持っておれば、ほかの個人が免許出しても、それでなくて組合のほうにいってしまうわけです、免許は。これは法律に書いてございます。そうすると組合にいけば組合が個人別に分けていく、希望者にやるということになりますので、一般的には権利者とノリの養殖をやる人の間の問題は起こらない。大部分の場合はそうでございます。しかし、先生のおっしゃいますように、それではそういうものでなく今度たとえば組合が申請しない、あるいは組合がそういう要件を持たないで個人がやる場合には、それは今までの共同漁業権を持っていた者とどういうふうになるのだという、これは今までの免許の数からいきましても、ごく例外的な場合だろうと思います。その場合には先ほど私が申し上げましたように、共同漁業権の行使と、それからノリの個人、組合じゃなくて個人の免許というものが出ました場合に、この漁場についてどういう利用の仕方をやっていくのか。そこが共同漁業権で舟も自由に通れた、あるいは貝を取ることもできた、網も張れたというところにそういう免許をします場合に、これは、先ほど申し上げましたような十一条で組合員がこれについて、反対とか賛成とかいろいろ意見が出るはずでございます。意見を聞かなければならないと書いてございますので、それでその上で、そういう今まで支障のないような場所にそういうものを作るか、あるいは従来やったけれどもどうしても支障ができるのだという場合には、先ほど私が申しましたように、現実的な問題として真珠等は組合に権利者が金を出すとかということをやりまして解決しているわけでございます。そういう方法をとりながら、この辺は十一条の運用でひとつできるのじゃなかろうかと考えております。
  251. 天田勝正

    天田勝正君 私は理解しやすいために、ノリの例を言ったのですが、東京湾の場合はもともとノリ漁場はひび竹ですが、今度たなにすると、同じ場所へ。今までのところは大きくやっていると思うのです。しかし、たなでいいのだということになれば、もっと沖合いへ出ていくと思うのです。それが、現実にそういうのはふえつつあるから、そのときの処置をどうされるのだろう。だからこの場合に二つあるのですね。旧ノリ漁場ではなく、新しいところに設置すると、ここに必ずまた新しい権利関係ができる。その場合の心配が一つ。ことに、かってなかった東北のほうに今度ノリが取れる。もともと一般の漁場としてどういう権利が設定されたか知らないが、漁場としてもともとあった、そこにこつ然としてたなができるわけですね。そうすると、そういう場合には旧来の権利者というものは不利になるということだけはどうも明瞭な気がするのですがね。私は不便になるというだけでも不利ですから、それでその当事者は原始的な漁業をやっていればやっているほど不利ですね。物がじゃまになって、下に潜ることもできないというようなことになるのですから。それで、そういう場合に十八条でそういう措置なり許可をしない、こういうことにするとおっしゃるのですが、今現在、そういうふうにふえたところは、どういうふうに措置されますか。やはりふえているということは許可をしたということでしょう、私どもの理解からすれば。その点はどうですか。旧法のあれでもいいですよ。
  252. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君)十八条は、免許しないというのじゃなく、今、先生おっしゃいましたノリとかカキとかこういうものにつきましては、さっき申し上げましたような、ある一定の要件さえあれば、組合が第一順位で免許を持っておるわけでございます。全国の例もほとんど大部分は組合が免許を持っております。でありますので、先生のような御質問の場合は、おそらく大部分のものは組合がそこにノリなりカキなりの免許を持っているはずでございます。これは今の免許の数からいってもそうでございます。十八条というのはそういう規定でございます。それで、組合が免許権を持つのでございますから、その免許権は組合員にどういうふうに使わせるかということでございます。下に何か漁業権を持っていたとすれば、おそらくこれも組合員でございます。でありますので、カキなりノリなりの漁業権を持っているのも組合、共同漁業権を持っているのも、これは組合以外は持てませんので、組合ということになりますと、組合の内部でほとんど大部分のものは調整がつくのじゃないか、また区画漁業権、共同漁業権の立体は大部分は組合でございますので、組合の内部で私は調整ができるだろうというふうに申し上げたわけでございます。ただ、ごく例外的に組合が持たん区画漁業権があった場合にどうなるか、ということでございますが、その場合には、先ほど申し上げました十一条でその漁場について地元の共同漁業権を持っている人は、一体ノリに使うことについてどういうふうに考えるかということについて、当然これは意見を述べますので、漁場を作ります場合に、たいした支障がないから作っているという意見になりますか、支障があるがそれ以外に場所がないということになりますれば、何か先ほどの経済的な問題等で組合と新しい免許権者の間を解決するというようなことで解決される事例があるのではないか、しかし、大部分のものが組合が両方の権利を持つので、組合内部で調整がつくんじゃないかと想像されるわけでございます。
  253. 天田勝正

    天田勝正君 前段のところは、まさにそうだと思うのです。だからさっきも私が言うように、従来ノリ漁場であったところを今度ひび建てではなくてたなにすると、それはそれでいいと思う。どうせたなのほうが、その間に入れないから少し不便になるけれども、もともとどっちも組合なんだから、その間でこうやったほうがいいのだということになれば、権利を放棄する人がある。組合が権利を持っているのだから、おれもやれるけれどもおれはやらぬと権利を放棄する人もあるでしょう。それは調整つく。しかし、現実にはそういうふうに人がたなをつるという仕組みになったから、今まで共同漁業権のないところといいますか、あるところかないところかわれわれは目で見るだけで、別に権利があるかないか知りませんが、もとあったところよりももっと沖合いに出ている、このときにはそこでも、もともと共同漁業権があったところはそれも調整がつくわけです。しかしこれがもっと出ているというのが現実なんだけれども、沖合いに出たところで共同漁業権の、区画漁業権のないところという点が心配なんです。その場合に現実に出ているのは私の心配するようなことはなくて、ちゃんと環境を勘案して差しつかえないというのであなたのほうは許可しているのですか、それが一つですね。それから将来今度は、これは旧法の関係でも、今の点は心配しているが、新法になれば、今度はそういう場合には個人で申請するということもあり得るし、また組合にかなり大きな資本力を持った者も入ることがあり得る。この支配、被支配関係が自然にできるだろうということは、議論にわたるからこの際強調しませんけれども、やはりそういう関係上どうもあの人が言い出したのでは反対ができない、こういうようなことから実際に意見を聞かなければならないというのは、どこで意見を調整するのですか。今度調整委員会とかなんとか、そこですか。その二点をひとつ伺いたい。
  254. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今先生がおっしゃいました第一の問題は、今まで共同漁業権、区画漁業権もないところに、たとえば今度新しく出ていく場合にどうするかというお話でございますが、ないということが前提でありますれば、共同漁業権、従来の権利とは直接にはぶつつく問題はないわけでございます。ないわけでございますが、やはりそれは十一条の規定によりまして、区画漁業権の漁場についてはこういうことをするのだというようなことをきめまして、たとえば漁場の位置でありますとか、区域とか、漁業の時期だとかというものをきめまして、公示をして意見を聞くという手続を県が、免許はこれは知事がやりますので、県がやっているわけでございます。それからいろいろ意見を述べるという問題でございますが、これは海区の漁業調整委員会意見を漁場計画について述べるわけでございますが、その場合にはあらかじめ公聴会を開いて利害関係人の意見を聞くというやり方をやるわけでございます。
  255. 天田勝正

    天田勝正君 次に、今度剰余金の出資は配当の限度を五分から八分に引き上げたというのは、どういう効果をねらったのですか。
  256. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは実はまだ御審議願いませんが、農協法の一部改正もだいぶ前に出しましたが、これも実は今の五分を八分にしたというようなことで、これはもう一年半くらい前になりますが、国会に御提案した農協法もございます。これと合わせまして水産業協同組合法につきましても出したのでございますが、これはやはり水産業協同組合を生産の主体として充実して参りたいということから考えますと、いろいろな増資の問題も出て参ります。そういう場合に、今までのような五分ということでは、なかなかそういうことも困難ではなかろうかというようなことで、農協法の改正案と同じような実は考え方で、ある程度配当にも含みを持たせるという意味で、農協法に合わせまして改正をしたいということでこれをしたわけでございます。
  257. 天田勝正

    天田勝正君 もともとこの協同組合というものの歴史的な経過からいたしまして、本来資本に、資本主義といってもいいのですが、そういうものと対立するものである。だから人によってはこれは協同社会主義という人もあるくらい。それでその精神は、持ち株を制限したりなぞいたしまして資本支配を排除する、これが日本のこれからどう変化していくかしれませんけれども、国際的にこれは通念にもなっているのですね。資本に支配されない、じゃ何に支配されるか、そうすれば、あくまで協同組合の精神にのっとって人間中心でやる、こういうことでしょう。ですからでき得べくんば資本に基礎を置いた配分というものは、剰余金であろうと何の配分であろうと、ほんとうは高いことは好ましくないはずです。ただ一定の限度を維持しなければならないというのは、協同組合の精神が十分徹底しない場合におきましては、理解されない場合におきましては、とかくそれによって出資がどうも足踏み状態にある、あるいはまた後退をしていく、こういう場合にのみ許される。できるならば百円出した者も五十円出した者も、実はそこで零細なものですから働くということを基準にして、人間中心に配分するならば配分する、しないならばしない、こうありたい。ですからその望ましいということはこの出資、資本金を基礎にする配分というものはきわめて低く押えて、そうして人間単位の配分がきわめて。パーセントにしては多い、これが最も望ましい姿なのです。ですから、五分を八分にしたというのは、五分ならば協同組合が、逆に資本面において後退する、こういう心配が出てきたからではないか。私はそういうふうに解釈したわけなのですけれども、お話し聞くというと、農協の関係がこうだからまねするのなら、本来の協同組合の本旨のほうをもっぱらまねしてもらいたいのであって、よそがこう少し協同組合の精神に背馳したようなことをやったから、それすぐ右へならえというのはいかがですかね。
  258. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これはいろいろ先生、考え方の違いがございまして、先生のお考えも、一つの私はお考えだと思っております。ただ、現在の五十六条でも、たとえば剰余金の配当にあたっては、たとえば利用分量に応じて配当するよりも、出資配当というものを優先に考えていくという条文の立て方にもなっております。また私はまねすると言ったわけでもございませんが、実は考え方の問題でございますが、農協等におきましても、やはり資本の充実をしやすくして、しかも経済団体としての基礎を固めていくという点からすれば、ある程度配当にっきましては引き上げる、いろいろな経済情勢から見れば、これを引き上げる必要があるのじゃないかという考え方で農協もやったわけでございますが、私どもも、その点はやはりここに五十六条に書いてありますような精神からいたしまして、資本の充実をはかっていく必要があるのじゃないかというようなことを実はやったわけでございます。先般清澤委員からは、こんなものではなかなかまだ資本は集まらぬじゃないかという意味の御批判も実は受けたわけでございますが、これは何ぼにするかという問題いろいろございますが、私どもとしましては一応八分ということにいたしまして、農業方面と歩調をそろえようというようなことをいたしたわけでございます。
  259. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 水産業協同組合法の一部を改正する法律案関係政省令規定見込み事項水産庁、この資料によって見まするというと、今もらったんですが、「1 漁業協同組合及び水産加工業協同組合にあっては、年六分」「2漁業協同組合連合会及び水産加工業協同組合連合会にあっては、年八分」こう書いてあるが、今の答弁とそごをしておりませんか。
  260. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私どもこれは政令で定めるということにしまして、全部八分としたわけではございません。実はこれは農協法も同じでございます。全部一律じゃなくて、連合会と単協では預金金利その他の問題もいろいろございますし、区別をして実は政令で書こうということで政令案を考えておるわけでございます。
  261. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今これではそういうふうなことを考えていらっしゃるのじゃなくて、明らかにあなだ方の見込みは、協同組合は年六分と、それから連合会は八分の予定だ、こういうふうに考えておられるように印刷物を配付してある。それから言えば、あなたのほうの今の答弁においても、そういうような答弁をせられるのでは、法律答弁をやっておりながら、一方においてはこういうようなことを書いてやるということであったならば、ちょっとおかしいじゃないですか。
  262. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今私の答弁があるいは説明不十分だったかもしれませんが、政令で八分の以内で定めるという意味でございまして、その政令では、単協と連合会にはある程度やはり差別をつけていいんじゃないか、それは金利その他の面からいたしまして、事情も若干違うことがございますので、今先生御指摘のように八分と六分ということにいたしたい、ただ現行の五分より上げるということでございます。
  263. 天田勝正

    天田勝正君 きょうはだいぶおそくなりましたから、いいかげんに切り上げたいと思うのですが、せっかく実は資本を重視するかいなかが、協同組合というものの性格がどうなるかという、なかなか大切なところなんです。これは私の見解からすれば、協同組合というのは、さっきから言うように、人間中心の配分でなければ、もはや協同組合でないという、これは世界の通念じゃないかと思っているのです。ですから、これも議論にわたりますからやめますが、それではそもそま前々からあったけれども、協という文字を用いて、共の共同組合というのを避けたその基本的な考え方はどういう違いなんですか、そこです問題は。
  264. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) これは農業基本法のときもいろいろ一体、協と共とどう違うのだという御質問でございましたが、私どもの受ける感じでまことに恐縮でございますが、共という字から受ける感じは、これはいろいろな生産工程ございますとか、あるいは配分の問題というものにつきましても、これは全部一律だというふうなこれは私個人の意見でどうも恐縮でございますが、そういう感じを受けますが、ここの協の協同というのは、精神的といっては語弊がございますが、そういう経済面の生産とか配分とか、そういうものの全部の共同じゃなくて、これは力を合わせてといいますか、精神面の協同とかいうような意味も相当入っている文字じゃないかというふうに私ども考えます。先生のおっしゃいました配当の問題でございますが、これの出資は人によって実は違うわけでございますので、その出資金に対しては、これは平等に何分ということでやっておるのでございまして、絶対額とかそういうものになっておるわけでもございませんので、出資については何分ということで平等ではないかというふうに実は考えます。
  265. 天田勝正

    天田勝正君 これも私の見解ですが、今われわれが農業協同組合であろうと、中小企業協同組合であろうと協のほう、これにはやはり単にほかで書いたからこっちも書いたというようなものではない。もっと奥深いものがあると私は解釈しているんです。一つは数だと思うんです。数というのは、共という字のほうは、私はその共同には二という数字があり得る。力を三つ書く場合は、協同でも二つの共同ということはあり得ないんだ。数においてそういうまず画すべき差別があると思うんです。そして共という字のほうは、日本文字は象形文字だし、しまいには表意文字になってしまったんだと思うんだけれども、学のない私が講義がましいことは言いたくないが、人という字を二つ書いてそれで胴と胸をつなげば共という字になるんです。だからこれは二人の場合であるわけです。数字においてまずその違いがあるというのが第一。第二点はこれは共の場合は、対立したものが一緒に仕事をしても共同になり得る。ところがわれわれ今日ほとんど協というのを書くに至ったのは、これは精神的にも、一緒の気持にならなければ成り立たないものだ、数においては三以上である、これが私の解釈です。学のある入がこれは違うんだと言えばまた別ですが、そういう精神から出ておるんだから、あくまでもって今の臨時配分についても、出資金という資本を基礎に置くべからず、できるならばそういうものは排除いたして、人中心に、人の働きによって配分するということが、私は正しいと思う。だから資本中心の配分をきつくしていくということは、協同組合の精神が変質していくと思っているわけです。ですから、これは農協のほうで八分にしても、漁業協同組合のほうは五分のままでということにはいきませんか、どうなんですす。
  266. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 文字の解釈の問題はどうも私、学があまりありませんので、先生の御高説聴しておきます。配当の問題でございますが、これは実はいろいろの組合等の要望もございます。私どものほうからいきますと、やはり漁業協同組合は経済的には弱いといいますか、農協等と比べて、まだまだやるべき仕事もございますので、私どもといたしましては、これが非常に配当の率が高くなるということになりますと、また何でございますが、八分以内という程度のものであれば、先生の御心配になりますような非常に資本が優先になる、ほかの経済事業等と比べて非常に優先になるのだという心配にもならぬ、許容限度と言っては怒られるかもしれませんが、そういう範囲でなかろうかと考えるので、この程度までには改正したいというふうに考える次第でございます。
  267. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  268. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をつけて。  本日はこの程度にいたします。  明日十時から続行することにいたしまして、これで散会いたします。    午後五時二十一分散会