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1962-04-03 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月三日(火曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————   委員異動 四月二日委員小沢久太郎君辞任につ き、その補欠として仲原善一君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君    委員            青田源太郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            大森 創造君            清澤 俊英君            戸叶  武君            天田 勝正君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省畜産局長 森  茂雄君    水産庁次長   村田 豊三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏雄君   説明員    水産庁漁政部長 林田悠紀夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沿岸漁業等振興法案内閣送付、予  備審査) ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○競馬法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、小沢久太郎君が辞任され、その補欠として仲原善一君が選任されました。
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 沿岸漁業等振興法案閣法第一四四号)を議題といたします。  本案は去る三月三十一日、予備審査のために本委員会に付託されました。それではまず本案提案理由説明を聴取いたします。
  4. 中野文門

    政府委員中野文門君) 沿岸漁業等振興法案につきまして、その提案理理を御説明申し上げます。  わが国漁業は、その漁獲高において世界最大であり、動物蛋白質食糧の重要な補給源として、国民経済上重要な役割を果たして参りましたが、その生産の態様は多様であり、大きく分けますと、大規模漁業中小漁業及び零細な沿岸漁業の三つの類型になると考えられるのであります。このうち、漁業経営体の九割以上を占めている沿岸漁業は、一部の養殖業を除き、他産業と比較してその生産性及び従事者生活水準がかなり低い状態にあり、また、漁業生産の中核をなしている中小漁業は、漁業種類経営規模等により種々格差がございますが、不安定なものが多い現状でありまして、ことに最近における国民経済成長発展に伴い、このような沿岸漁業等傾向は、いよいよ顕著となってきているのであります。  また、一方、国民経済成長発展は、わが国就業構造に著しい変化をもたらし、漁業就業人口も減少しており、能率的な漁法、漁具導入等によって生産性の高い漁業を育成してゆく契機が生じてきております。  このような沿岸漁業等及びこれを取り巻く条件変化等を背景といたしまして、沿岸漁業等従事者の自由な意思と創意工夫を尊重しつつ、沿岸漁業等近代化合理化をはかるとともに、あわせて、沿岸漁業等従事者が他産業従事者と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにするため、沿岸漁業等に関する国の基本的施策方向を示し、その重点的施策を明らかにすることを内容とするこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容について、概略説明申し上げます。  第一点といたしまして、この法律は、さきに述べましたとおり、沿岸漁業等生産性向上、その従事者福祉増進その他沿岸漁業等近代化合理化に関し必要な施策を講ずることにより、その発展促進し、あわせて、沿岸漁業等従事者が他産業従事者と均衡する生活を営むことを期することができることを目途として、従事者の地位の向上をはかることを目的としているのであります。そしてこの目的を達成するための国の基本的施策方向といたしまして、(1)水産資源維持増大(2)生産性向上(3)経営近代化(4)水産物の流通の合理化加工及び需要の増進並びに価格の安定(5)災害による損失合理的補てん等による経営の安定(6)近代的な沿岸漁業等従事者としてふさわしい者の養成及び確保(7)沿岸漁業等従事者及びその家族の転職並びに沿岸漁業等経営にかかる家計の安定(8)漁村の環境の整備等による沿岸漁業等従事者福祉増進の八項目を明らかにし、国は、その政策全般にわたりこれらの事項に関し、必要な施策を総合的に講じなければならないこととするとともに、これらの施策が画一的でなく、地域的に自然的、経済的、社会的諸条件を十分考慮して行なわれるべき旨を定めたのであります。  さらにこのような国の基本的施策を実施するため、政府は財政上の措置等を講じなければならないこととするほか、これを受ける沿岸漁業従事者等の自主的な努力を助長する旨の規定沿岸漁業等について政府が講じた施策に関する年次報告等についての規定等を定めているのであります。  次に、第二点といたしまして、こわらの基本的施策にかかる重点的な国の具体的施策といたしまして以下の四つの施策を明らかにしております。  第一は、沿岸漁業についての構造訪善事業であります。この事業は、沿岸漁業構造改善をはかるため生産、流通等広範にわたる事業考えておりますが、沿岸漁業は、その規模が零細であり、したがってまた、生産性も生涯水準も低い現状にかんがみ、特に、国は、都道府県沿岸漁業構造改善宙業に関する総合的な計画を立て、これに基づいて構造改善事業が実施される場合に助言及び助成等の強力な援助を行なう等沿岸漁業構造改善事業が仙台的、かつ効率的に行なわれるよう必要な措置を講ずることとしております。  第二は、中小漁業振興のための世置であります。中小漁業不安定要用としましては、水産資源の利用の問題、漁船及び漁具、漁ろう装置の問題等種々考えられるところでありますが、国がその業種に特有の改善すべき基本的事項を定めて公表するとともに その改善を行なう中小漁業者等助言指導資金の融通のあっせんも行なう等、中小漁業振興に関し必要な措置を講ずることとしております。  第三は、沿岸漁業等を対象とする試験研究機関の行なう調査及び試験研究充実等に関する措置であります。沿岸漁業構造改善事業及び中小漁業振興のための施策の実施に当たってはもちろんのこと、およそ沿岸漁業等発展をはかるためには、その前提といたしまして十分な水産資源調査及び試験研究が必要であります。そこで、国の試験研究機関の行なう沿岸漁業等に関する調査及び試験研究事業充実をはかるとともに、他の試験研究機関と協力して効率的に実施する等の必要な措置を講ずることとしております。  第四は、沿岸漁業等改良普及事業に関する措置であります。現在、都道府県には、沿岸漁業等技術及び知識の普及または従事者生活改善指導を行なう改良普及員と、この改良普及員指導し、専門的事項に関する調査研究を行なう専門技術員が置かれていますが、国は、これらの都道府県の職員の設置及び養成につき助言及び助成を行なう等必要な措置を講ずるものとしております。  最後に、この法律施行に関する重要事項につきましては、中央漁業調整審議会の意見を聞くことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概略であります。  何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  5. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で本案提案理由説明を終わりました。  本案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  6. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 漁業法の一部を改正する法律案閣法第一三二号)水産業協同組合法の一部を改正する法律案閣法第一三三号)  以上、いずれも参議院先議の二案を一括議題としたします。両案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は水産業協同組合法の一部を改正する法律案について質疑を行ないたいと思うのであります。  まず、水産業協同組合政府はどういうふうな基本的信念によって指導していこうと考えておられるかということであります。水産業協同組合内容についてば、資料で拝見しておるのでありますが、この資料によって見たところで、今後いかなる方針によって指導してゆくか、これをまずお伺いしたいと思うのであります。たとえてみますれば、現在の漁業組合区域が小さいからあるいは新市町村の区域によるとか、あるいは組合員の数はどうだとか、あるいは自己資金はどういうふうにしていかなくちゃいけないんであるとか、こういうふうな問題についてお伺いしたいと思うのであります。
  8. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) 水産業協同組合あり方の問題でございますが、御承知のように水産業協同組合は一般の農業協同組合などと、やや趣を異にいたしておりまして、組合規模なり経営の実態なりが農業協同組合とは、規模の面からも趣が違いまするし、また、一組合組合を構成しておりまする組合員の数等におきましても、かなりの相違があると思われます。もちろん、組合事業農業水産業とはおのずから性格も違いますために、その事業の性質の相違からきます組合事業なり、あるいは性格もおのずから異なるものがあるのでありまするが、今回の改正におきましては、一方において水産業漁業協同組合再建整備等を推進いたしておりまするけれども、何といたしましても、協同組合が今後の経済発展に即応いたしまして、漁村経済発展漁業発展というものと相関連をいたしまして、漁業協同組合の、まず経済共同体としての拡大強化をはかる必要があるというふうに私ども考えておるのであります。協同組合経済事業を通じまして、もっと拡大発展をいたしますためには、組合員の質的な、何と申しますか、私ども質をひとしくする、均質化ということを言っておるのでございますが、もちろん従来も漁業協同組合組合員資格につきましては、法律一定制限を設けておりまするが、それをさらに組合員資格を引き上げまして、組合員の質を向上し、そういう同じ質の者が、均質化された質の者が相寄り相集まって、組合事業発展を通じて漁業全体の発展を期するような方向に持っていったらどうか、またそのことが、近時急速に発展いたしつつありまする各種の経済発展産業発展関連いたして、漁業もその一環としての発展を遂げていくゆえんではなかろうか、かように考えまして、そういった点に重点を置いて、今回の改正法案の御審議をわずらわしているような次第であります。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、現在資料によって見ると、単位漁業組合が四千三百七十二ありますが、合併その他の促進によって現在どういうふうな程度まで合併が進んでおるか、また現在の四千三百七十二を幾らぐらいの漁業組合にして、今お話があったように進めていこうというお考であるか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  10. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) お手元の資料で御説明申し上げますと、まず単位組合でございますが、単位組合昭和三十年の地区漁協について見ますると四千百七を数えておったのでございますが、その後この地区組合の数の増減は比較的ございません。三十一年に若干の増加がございますけれども、三十二年にはそれがまた大体三十年当時の数に戻ってきております。三十三年以降からだんだん漸減傾向をたどっておりますが、この漸減傾向が、合併による漸減でございまするか、あるいはいわゆる組合事業の不振のために、組合が解散し消滅したものでありますか、これらの詳細につきましては、ただいま資料調査いたしておりますので、その上でお答えをさしていただきたいと存じます。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 漁業協同組合を育成強化するためには、どうしたって健全なる漁業協同組合にしなければならない。そのためには、同じ業種のものを一緒に固めて強力なものにしなければいけない、これは御答弁のとおりと思うのであります。しかしながら、現在の漁業協同組合はあまりにも組合員数が少ないために、経済活動を行なうに十分でないと考えられるのであります。そのために、政府においても合併の奨励をしておられるのでありますから、今後いかなる程度まで合併するのであるかということは方針を立てて進めていかれなくてはいけないと、こう考えるのであります。それについてはいろいろと事情がありて調査をしておられるということであるのでありますから、調査の上でさらに検討をしていただきたいと思うのであります。  その次に漁業生産組合なんです。これは資料によって見るというと、八百八十三、そうしてこの八百八十三のうちのいかなる事業をやっているかと、こういうふうな資料によって見ますというと、十八ページに書いてあるのであります。調査組合は四百八十五でありますが、政府はこの漁業生産組合に対しては、いかなる事業をやらせようとお考えであるかどうか。生産組合を作ったところの目的というものは、御承知のとおりであるのでありますから、私などはできるだけ生産組合を奨励していかなければいけないと思う。しかし生産組合のやっている仕事は、各地区によっていろいろとありますけれども、こういうふうなものを奨励するとしたならばいかなる事業を、いかなる程度まで奨励しようというお考えであるか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  12. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) 先ほど調査をしてお答えを申し上げると申しました組合合併関係でございますが、ただいま藤野先生から御指摘がございましたように、やはり組合活動強化して参りますためには、合併促進して、組合規模をまず強化していく、それによって事業拡大強化をはかる、御指摘のとおりだと思うのでありますが、漁業関係組合につきましては、御承知のように農業関係とやや趣を異にいたしますのは、漁業の特に地区漁協につきましては漁業権と、特に管理漁業権管理なり施行というものと密接不可分な関係もございまして、そういう漁業権との関連におきまする組合あり方ということが、普通の地区農業協あたりとは趣を異にいたしているようでございます。そういった特殊の事情もございまして、もちろん、私どもといたしましては組合合併促進して参るという方針は立てておりますけれども、実績的に先ほどの御質問にございますように、実績的にこれを申し上げますると、数的には非常に不十分でございまして、大体年間二、三十くらいの組合合併を行なっているのであります。私ども目標といたしましては、これを六十ぐらいずつ年に合併促進していくという目標は立てているのでございますけれども、実績はまだ十分には至っておりません。この点はなお先ほど来御指摘のありましたような事項関連いたしまして、組合合併促進をはかって参るようにいたしたいと考えております。  御指摘の第二点の漁業生産組合あり方でございまするが、漁業生産組合地区漁協とはもちろん御承知のように趣を異にいたしまして、漁業生産そのものを重点的に、組合員が相寄りまして、生産拡大を、強化をはかっていこう、こういう趣旨でございまするので、漁業生産組合の場合は、普通の地区漁協とおのずから制限なりあるいはたとえば従事者制限でありますとか、あるいは出資制限でございますとか、そういった点も緩和いたしまするとともに、この生産組合が、漁業活動を真に有効にできますように、たとえば漁業権の場合におきましても、漁業権優先順位等についての特段の配慮を加えているような状況でございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 生産組合は、漁業経営によって利益を上げていかなくちゃできない。そうして組合員の収入も増していかなくちゃできない、こういうふうな関係から配当金に対しても、年一割までを認めているのですね。そうしますというと、現在の漁業生産組合が、私寡聞にして実地に調査したことはないのでありますが、幾らくらいの配当をやっているのでありますか、その実例をまずお伺いしたいと思うのであります。
  14. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) 恐縮でございますが、今調べまして、後ほど御報告申し上げさせていただきます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私の考えからすれば、漁業生産組合というものは、今度新たに提案された沿岸漁業振興にも関係するのでありますが、できるだけ奨励していかなくちゃいけない。そうしてこの活動範囲を大にして、漁民利益をはかっていかなくちゃできない。そういうふうなことをするについては、各地区ごとに差はあります。けれども、大体において、政府においては、いかなる漁業についてはどの程度まで奨励しようというような基本的の方針があってそれを指導していかなくちゃできないのじゃないかと考える。であるからそういうふうな点についてお答えをお願いいたしたいと思うのであります。
  16. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) ごもっともな御指摘でございますが、現在御審議いただいておりまする漁業法改正案におきましても、定置漁業等につきましては、地元漁民均霑ということのほかに、やはりその漁業拡大発展しなければならんということから、やはり資本導入ということが必要になって参るのであります。そういう場合にも先般の漁業法の一部改正案の御説明の際にも申し上げたのでございますが、組合法に基づく組合でありますがために、外部からの資本導入を一方的に排除するというふうなことがなくて、逆に漁協なりあるいは生産組合なりに、そういう外部からの資本導入が容易になるように、そういう見地から今回の改正案におきましては、いわゆる漁民会社的な構想も織り込みまして、地元漁民漁利均霑とあわせて、生産拡大資本充実という見地から一定改正計画をいたしておるのであります。これはただいま定置を例に申し上げましたけれども、最近特にたとえば養殖関係事業のごとき、非常に新しい発展を遂げつつあります。そういう新しい養殖関係事業等につきましても、一定資本を必要といたしますので、そういう資本導入を容易ならしめ、漁民活動ができるような措置を今度の漁業法改正でも考慮いたしておりまするけれども、そういう一連の関係におきまして、漁業生産組合ももちろんそういう面の活動が容易になるように、今後も指導を加えていく必要があろうと思います。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今養殖の話がありましたがね、この十八ページの資料によって見るというと、真珠母貝養殖が五十二、真珠養殖が十九、カキ養殖が五、ノリ養殖が四、その他の養殖が十四、こういうふうなことになっておるのでありますが、沿岸漁業振興のためにもまた漁民利益をはかるためにも、こういうふうな養殖業というものはできるだけ共同体でやったほうがいい。そういうふうなことになれば、漁業生産組合というふうなものがこれを行なうのが最も適当ではなかろうかと想像される。でありますから、私のお伺いしておるのは、沿岸漁業振興のためには漁業生産組合活動に待たなくてはできないところのものが多々あると考えるが、こういうふうな点についてどうであるかというようなことをお伺いしたような次第であります。  次には水産加工協同組合、これが資料によって見るというと二百三十五組合ある。特に水産業に関して加工業協同組合という加工業組合を特別に作る必要がどこにあるか。漁業協同組合でいいじゃないか、なぜ水産業に限って加工業協同組合というものを作るか。
  18. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ほどの先生の御質問生産組合配当状況につきまして御説明申し上げますると、三十六年に生産組合調査をいたしたのでございますが、集計した組合が少ないわけでございますが、二百六十九ございまして、二百六十九のうちで損失をいたしました組合が百七十八組合ございます。それから利益のあった組合が九十ございまして、その中で出資配当をいたしましたのが七、従事分量配当をいたしましたのは三ございます。この生産組合配当が少ない理由といたしましては、配当までに至らずに、たとえば生産組合組合員がそこで漁業に従事いたしまして、労働賃金として分配しておるとか、そういうふうな面もございまするので、必ずしも配当まで至ってはいないわけでございますが、しかしながら、この内容を見ましても、損失組合が非常に多いわけでございまして、漁業生産組合というものが必ずしも十分な活動をいたしていないということにもなる次第でございます。  次に、漁業生産組合をもっと活発に生産共同化ということを考えるべきじゃないかという御質問でございまして、これはまことに仰せのとおりでございます。従来の協同組合生産活動を見てみまするのに、漁協自営という場合と生産組合というのと、この二つあるわけでございます。で、漁業協同組合自営にいたしましても、あるいは生産組合にいたしましても、この協同組合方式によりまする生産共同化というのが、なかなかうまく行なわれていないというような点もあるわけでございます。しかしながら、今後漁業を特に企業的に発展さしていきまするためには、生産共同化をなお一そう進める必要があるわけでございまして、そのためには新しく漁民協同会社というようなことを考えておりまして、漁民出資をいたしまして共同会社を作る、あるいはそういうふうな漁業協同組合出資をいたしまして会社を作るというような生産組織を、組合とは別の組織考えておるような次第でございます。そういうふうな組織に対しまして、今回の漁業法改正案におきましては、たとえば定置漁業免許を優先的に免許をしていくとか、あるいは真珠養殖業免許におきましても、漁協自営と同じように取り扱いまして、優先的に免許をするとか、まあそういうふうな新しいそういった組織を育成していくというようなことも考えておりまして、なお協同事業を進めていきたいと、こういう考え方を持っておる次第でございます。  それから最後加工業協同組合でございまするが、この加工業協同組合組合員は、加工業を行なっておる人の組織をするわけでございまして、普通の地区漁業協同組合漁携を営んでおるところの組合員が、必ずしも加工をやっていないというような事態もございまするので、この水産加工業協同組合というものはまあそういうふうなところに意味があるわけでございます。まあこれが漁民がとって参りました魚を加工して販売していくということで、非常に水産と密接な関係がございまするので、特にこういう水産加工業協同組合というようなものを設けておるような次第でございます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、漁業協同組合でも加工して販売することができるでしょう。そうするというと漁業協同組合でも加工して販売することができ、水産加工業協同組合というものも加工して販売することができる。ただ、二つの相違であるとしたならば、水産加工業協同組合には、加工業者が加入することができると、それだけの差ですか。この漁業協同組合加工する場合と、水産加工業協同組合加工する場合の違った点を一つ説明していただきたいと思います。
  20. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 仰せのように、この水産加工業協同組合は、組合員たる資格といたしまして、組合地区内に住所または事業場を有する水産加工業者というものを主にいたしておりまして、もちろん漁業協同組合加工するという面もあるわけでございますが、そのほかに漁業者から魚を買いまして、それを加工しておる加工業者といったものがあるわけでございまして、そういう加工業者が作る組合というのが、水産加工業協同組合と、こういうふうになっておるわけでございます。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、将来において政府水産加工業協同組合を奨励されるのか、漁業協同組合加工事業を奨励されるのか、地区によって異なるといえばそれでいいが、大体の方針はどちらに力を入れられるのです。
  22. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) どちらが重要で、どちらにまた力を入れるべきかということは、非常にむずかしい問題だと思います。いわゆる地区協同組合は、その地区を中心にした地縁的な、しかも漁業権等を中心にした地域的な団体でございまして、その団体の経済活動強化する意味から、あるいは流通の改善をはかる意味から、みずから組合員の漁獲しましたものを加工して有利に販売していく、これはこれで重要な意味があると思います。それからまた、一方の水産加工業協同組合は、いわゆる何と申しますか、煮ぼしを作るものなら煮ぼしを作るもの、つくだ煮を作るものならつくだ煮を作るものという、その同種の事業を営んでおりまする同じ事業体、同質の事業者の集まり、その同質の事業者が相ともに共同でそれぞれの事業発展をはかっていく、それぞれに意味があるのではなかろうかと思います、どちらが重要かというふうに、一がいに割り切れない問題でございます。それぞれ水産加工業協同組合は、協同組合として発展を期待いたしておりまするし、地区漁協地区漁協としてのそれだけの存在意義があるわけでございますから、その発展を期待して参りたいと考えます。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、水産業協同組合共済会の問題です。これは御承知のとおり全国に一つなんです。共済会の事業としては、現在火災共済と厚生共済とをやっておるものですね。さらに漁獲の共済、それから魚具の共済、こういうふうなものをやっておられると思うのでありますが、火災共済、厚生共済はまずおくとして、今後の日本の水産業の発達をはかるためには、漁獲の共済と漁具の共済とに力を入れなくちゃできないと思っているのです。政府農業方面についてはいろいろと策を講じておられるのでありますが、一体漁獲共済、漁具共済に対して、政府はどの程度に力を入れておられる、また、将来どういうふうにしようと思っておられるのであるか、これをお伺いしたいのです。私の知り得た範囲内においては、昭和三十七年度の予算においては、共済会に国が共済事業を依頼して、そしてそのために政府が負担するところの金ば三千六百万円ぐらいのことじゃないかと思っているのです。このくらいのことで漁獲共済と漁具共済とができ上がるのであるか、そうしてそれで漁業振興がはかれるのであるか、漁業共済に対する政府の今後の対策を承りたいと思うのであります。
  24. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) ただいま御指摘のございました共済会のまず現況でございますが、全国水産業共済組合共済会の会員は、昭和三十七年の二月末現在におきまして正会員、これは水産業協同組合でございますが正会員が千九百二十七、准会員が六万二千名余になっておりますが、御承知のように非出資の団体でありますために出資金はございません。その行なっております事業は、これは藤野先生よく御承知のとおり、ただいま御指摘のありましたように、漁業共済の仕事、火災共済の仕事、及び厚生共済事業でございますが、そのうち、今御指摘のございましだ漁業共済事業につきましては、国の委託事業費として、現在は試験実施を行なつておる段階でございます。これも藤野先生よく御承知かと存じますが、三十六年、三十七年、三十八年、三カ年間は国の委託事業として試験的に実施をしてみようということに相なっております。これに対しまする国庫の助成は、昭和三十六年度におきましては、ただいま御指摘がございましたように、事業費としては約三千五百万円ちょっとの委託費を出しておりますし、また共済金の支払い資金の補助金といたしまして六千五百万円程度のものを交付している現状でございます。そこで、御指摘のように、今後の方針といたしましてこの漁業共済のあり方をどのように考えるか、ただいまの藤野先生は今後これを拡大強化する方向考えるべきではないかという御指摘がございましたけれども、私どもまことにごもっともだと存ずるのであります。ただ御承知のように、ただいまの段階ではまだこれは試験的に実施いたしております段階でございますので、この試験期間が終わりましたならば、本制度を抜本的にどうするかということにつきましてはそれぞれ関係の、たとえば予算関係省等とも十分に連絡をとりました上で、また十分なる検討を重ねました上で、今後のあり方を研究して参るという約束にもなっておりますので、ただいまの段階では確定的なことは何とも私ども断定的に申し上げる余地がございませんけれども、私どもといたしましては、できるだけただいま藤野先生の御指摘になりましたような方向で、前向きにこの制度の拡充強化と申しますか、発展をはかる方向で検討してみたい、かように考えております。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 委託事業であるわけですから、委託事業であってみれば現在やっておられる委託事業に現在赤字が出ているのか、赤字が出ていないのか、それからどういうふうな漁獲に対する共済をやっておられるのかその実績、漁具についてもその実績、ただいまおわかりでなかったならば、あとで資料として御提出を願いたいと思うのであります。
  26. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) ただいまの御要求がございました点は、後ほど資料として提出、御報告申し上げます。
  27. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、さっきから問題になっているところの養殖事業なんです。日本の沿岸漁業というものは、将来においては養殖事業の奨励によって、あるものを取るのじゃなくて作っていく、こういうふうなことでいかなくちゃいけないと思っているのです。そうするためには、養殖業であるのでありますから、ときに天災なきにしもあらずなんです。そういうふうな天災があった場合においては、この養殖事業に共済事業を行なわなくちゃいけない。農業の場合と同様であるのであります。それで例をとってみましたならば、先般私などが視察に行った千葉県の油の被害のような場合においても、もしも養殖共済というものがあるとしたならば、それによって共済金が出される、そうするというと、それだけ養殖業者も安心ができる、こういうふうなことを考えるのでありますが、政府養殖共済について現在のところどういうふうにお考えであるか。また、そういうふうなことが、やっておられるところの、任意であっても実例があるかどうか、これを伺いたいと思うのであります。
  28. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) ただいま御指摘のございます養殖業についての漁業共済制度でございますが、現在はごくわずかでございます。これはほんのもう例示的に申し上げるのがお恥ずかしいほどのごくわずかで、ノリについては十三件だと承知いたしておりますけれども、ごくわずかの共済の実績は持ち合わせております。しかしながら、ただいま御指摘のございましたように、養殖関係はまだまだ漁業共済の制度に乗りますのにはほど遠い実情でございまして、これを今後、養殖業はますます発展する方向にある漁業でもございまするので、これと共済事業とをどう結びつけるか、これは私どもも先ほど申し上げましたような趣旨で前向きに検討を続けて参りたいと考えております。
  29. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 さっきも申し上げましたように、日本の沿岸漁業中小漁業者の生活改善、経済の発展のためには、どうしたって養殖業を奨励しなくちゃいけない、養殖業を奨励する場合には、いざという場合の準備に養殖共済というものは必ずやらなければいけないと考えているのでありますから、ひとつ御検討を願いたいと思うのであります。  次は、少しく具体的な法律論に入りますが、第一章総則の第七条です。この第七条によって見まするというと、「組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用については、これを同法第二十四条各号の要件を備える組合とみなす。」、こういうふうに根本的に改めておられるのでありますが、この根本的に改められた理由については、補足説明でも説明があっているのであります。それば補足説明の八ページに説明があります。しかし、これではまだ十分でないのでありますから、これを根本的に改められたところの理由をお伺いしたいと思うのであります。
  30. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) ただいま御指摘のように、現行法では業種別の漁業協同組合、それから水産加工業協同組合のうち、一定経営規模以上の組合員がその総数の三分の一以上を占める組合は、独禁法の適用については小規模事業者の相互扶助組織と言えるかどうかについては、実質的に審査されることになっております。その他の組合については、原則として独占禁止法の適用が除外されておるのであります。それを今回は全面的に適用除外にいたしたわけでございますが、その理由の第一は、この独禁法が適用されるまあ要件でございます。経営規模制限が現在あるわけでございますが、これは現在の漁業経営の実態から見ますと、非常に私ども適当でない面があると思うのであります。これが第一の理由、これはどういうことかと申しますと、この規定が設けられました当時はたとえば例のマッカーサーラインが引かれておりまして、わが国の沖合い遠洋漁業というのは、非常な制限を受けておりました。経営規模が一般的に小さかったのでありますが、その後漁船も逐年大型化の傾向をたどり、経営規模が増大して参った。その経営規模の増大に即応して考えなければ無理ではないか、漁業の実態に反するというのが、漁業の実態とこの制度とが相いれないという点が第一の理由であります。  それから第二の理由は、独禁法上問題となりまするのは、主として大規模の法人の場合でありますが、この本法は中小企業協同組合なんかとは異なりまして、組合員となり得まする法人の規模を実ははっきり制限をいたしております。御承知のとおり制限をしておりまするし、水産組合については、小規模の法人だけに実は限っております。したがって、現行法のように法人組合員規模をさらに制限し、適用除外の基準とする必要というのはないというふうに考えたのであります。このまあ二つの理由によりまして、今回は公正取引委員会の了解も得まして全面的に制限を排除するのがよいのではないかということで、かような改正案提案したような次第であります。
  31. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますると、漁業協同組合というものは、その経営規模が小さいのであるから、そういうふうな小さいところの漁業協同組合がやるのは、独禁法からはずしても害はない。漁業の発達のためにはそれがよかろう、こういうふうなお考えですね。
  32. 村田豊三

    政府委員村田豊三君) そのとおりでございます。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 どうもこれはこっちが先議だもんだから逐条的にやっていきますから……。十一条の三項、これは改正ではないのだけど六十ぺージ、「但し、一事業年度において組合員及び他の組合組合員以外の者が利用し得る事業の分量の総額は、」これはどんな意味ですかね。
  34. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁業協同組合は若干農業協同組合と異なる点がございまして、実はほかの組合員以外の者がその組合を利用するというのみならず、他の協同組合組合員がその港へ入って参りまして、そこでその組合の施設を利用して魚を揚げ、あるいは販売するというふうなことが多いわけでございます。そこで、そういうふうに一事業年度においてその組合組合員、それから他の組合組合員が利用することはもちろんいい。それ以外の者で利用し得る事業の分量の総額は、当該事業年度におきまして組合員及び他の組合組合員が利用し得る事業の分量の総額をこえてはならない、そういうふうにその組合員だけでなくて、他の組合組合員もその組合と同じような事業を利用する、そういう組合員以外の者が利用するのを制限する、こういうような考え方でございます。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は十七条の二項、前項の規定による組合漁業を営むものについては、こういうふうに書いてありますね。それでこれは前の場合には、「漁業協同組合」であったのを「組合が」というのに改められたところの理由はどこにあるのですか。
  36. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この十七条の規定は、漁業協同組合漁業自営する場合の規定でございまして、実はこれは前の法律の場合に漁業協同組合と書く必要がなかったわけでございまするが、その誤りを訂正したというようなことでございます。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするとこの「組合が」というのは、漁業協同組合という意味ですか。
  38. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは漁業協同組合という意味でございます。補足して御説明を申し上げますと、第二章に「漁業協同組合」という条文が出ておりまして、そうしてその第十一条に漁業協同組合の『本章及び第四章において「組合」という。』ということになっておるわけでございます。それで十七条におきましては、十一条で「組合」というということになっておるわけでございますから、「組合」と書けばいいのを「漁業協同組合」と書いておったわけです。それで今度は「組合」というふうに訂正をいたしたわけであります。
  39. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしてそこに「組合員の三分の二以上の書面による同意を必要とする。」同意であったら、書面による同意でなくてもいいのじゃないですか。どうして書面による同意が必要ですか。
  40. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この漁業協同組合漁業自営するということは、組合員にとりまして非常に重要な問題であるわけでございます。と申しますのは、漁業協同組合漁業権を持つということもございますが、やはり経済団体としてやるということが、この漁業協同組合の使命と申しますか、職務であるわけでございまするが、そのほかに漁業協同組合がみずから漁業を営むということができるように十七条で規定しておるわけでございます。しかし、みずから漁業を営むという場合に、その組合が営む事業漁業だけに没頭いたしまして、ほかの経済事業をおろそかにするというようなことも、その結果として出てくるような場合も非常に多いわけでありまして、それで組合員の利害に関係するところがきわめて重大なわけでございます。それで、特に自営をやろうという場合におきましては、「組合員の三分の二以上の書面による同意を必要とする。」というふうに厳格に規定いたしまして、他の組合員との利害関係が重要でございますから、厳格に「書面による同意」という規定をしたわけでございます。
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そういうふうなことであれば、組合員の三分の二以上が出席して満場一致で決定したのも同じじゃないですか。とにかく総会で決議することができない、書面でやらなくちゃできないという理由がどこにあるか、書面によらなくてはできないという理由が聞きたい。たとえば組合員の全員が出席して満場一致で可決したとしたならば、それが一番いいじゃないですか。
  42. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) ここの組合員と申しておりまするのは、実は正組合員だけでなくて准組合員も含んでおるわけでございます。それで、特に漁業権の問題とか、あるいは漁業自営するというふうな問題の場合におきましては、単に正組合員でなくて、准組合員の意思も十分尊重しなければいかぬというふうな点も考えまして、組合員の書面による同意ということにしたわけでございます。
  43. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、ここの組合員は准組合員も含むというのは、どこに法律規定してありますか。
  44. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは組合員を分けまして、正組合員と准組合員にしておりまして、正組合員のみが決議ができるということになっておるわけでございますが、特に断わっていない条文におきまする組合員と申しまするのは、すべての組合員をいうということでございます。
  45. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうだったら、正組合員と准組合員の三分の二以上あるいは全部が病気その他で万やむを得ないものだったならばあれだけれども、三分の二以上出て満場一致で決定したら、それでいいじゃないですか。とにかく書面による決議、同意というのをしなくちゃできない理由なんです、結果は同じじゃないですか。
  46. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 確かに先生仰せられるとおりであると存じまするが、やはり非常に組合員の利害に関係するところが大きいというような点から、厳格を期する意味におきまして、書面で残しておこうというようなことを考えまして、書面による同意ということにしたものと存じております。
  47. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それからこの十八条の第五項。それに「組合ば、前四項に規定する者のほか、左に掲げる者であって定款で定めるものを組合員たる資格を有する者とすることができる。」こういうふうな特例を設けられた理由はどこにあるのですか。
  48. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは組合員資格をきめている条文でございますが、この前の第一項におきまして、正組合員資格をきめているわけでございます。それでそのほかに、決議あるいは選挙権を持っておりませんが、組合員として次のようなものを入れてしかるべきであろうというものを、特に准組合員としてここに規定した次第でございます。
  49. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 五十六条、剰余金の配当関係なんです。これによって見るというと、一番最初に準備金を取らなくちゃできない。その次に繰越金を取らなくちゃできない。その次が配当金、利用の分量配当、こういうふうな順序になっているようですね。この繰越金を準備金の次に取らなくちゃできない理由は、どこにあるのですか。
  50. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この五十五条の第四項におきまして、十一条一項十号の事業の費用に充てますために、「毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。」ということになっているわけでございます。その次に、五十六条におきまして、準備金をまず控除いたしまして、それから次に五十五条の定める事業に必要な翌年度への繰越金を控除いたしまして、しかる後に剰余金の配当をするということにしている次第であります。
  51. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 繰越金の額は、今お話しのとおりに定めてあるのだから、ここで準備金の次は繰越金だということをしなくたって、繰越金を取ったらいいじゃないですか。できるならば、配当金及び特別配当金をやって、足らない場合においては繰越金を優先的にしなくちゃできないというようなことで、ちょっと剰余金処分の順序が違っているのじゃないかと思う。これはもとの法律がそうなっているのを、今ここで僕が議論したって同じということになるかわらぬけれども、私から言えば、まず準備金を取り、それから配当金、繰越金が少ないようであったら配当金の率を少なくする、あるいは配当金をなくするというようなことをしてでもいいのだから、初めから繰越金を控除しなくちゃできないということを法律に書くのはおかしいじゃないかということです。
  52. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは農協法におきましても同じような規定をいたしているものと存じておりますが、特に十一条の一項の十号に規定しております水産に関する技術向上とか、あるいは組合員の知識の向上をはかるための教育、そういう指導事業につきまして、経済事業のほかに、特にこれを重要視しまして、そのための繰越金というものを毎年確保していこう、こういうふうなことを考えまして、そのために特に準備金の次に繰越金の控除を規定して、しかる後に剰余金を配当をするというような構成にしているわけでございます。
  53. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、今度は事業分量に対する配当というものは、損益計算に計上してでもいいんでしょう。これだけは事業分量の配当を割り戻したということになれば、剰余金になってこないのです。僕の知っている範囲内においては、事業分量に対する割り戻しというものは、剰余金処分の前に割り戻して、それだけ剰余金を少なくしてでもいいと、こういうふうな経理をやった覚えがあるのですが、だから、事業分量に対する配当というものは、ここに、こういうふうに書いてでも、剰余金の前に割り戻しをやればいいんであって、それを損益計算的に損になってくる、それだけ剰余金が少なくなってくると、こういうふうなことにもなると思っているのでありますが、私の聞きたいのは、こういうようなことなんですよ。準備金は絶対的に取らなくちゃいけない、繰越金も取らなくちゃできない。繰越金は取らなくちゃできないが、繰越金を取るのは、配当することができる金があったらば、配当後に繰越金にするというのが経理の原則じゃないですか。あるいは別な言葉で言ったらば、配当金はしないでも、特別配当金はやっていいと、配当しなくちゃ、特別配当は絶対的にできないと、こういうふうなことに解しておられるのですか。その特別配当金配当金の前後……。
  54. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 五十六条一項におきまして、繰越金というふうに規定してあるわけでございますが、この繰越金は、指導事業のための、むしろ準備金的な性格を帯びておるものでございます。そのために、これを優先させるという規定をしておるものと存じます。
  55. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、さっきもちょっと僕が質問したのに関係があるのだが、五十六条の第二項には、「年八分以内」と書いてあるのですね。それから八十五条の第二項のほうには、年一割以内」と、こう書いてあるわけですね。そうするというと、さっきも、これは、事業をやるからというようなことで、そんなことを言ったのでありますが、年八分と年一割と区別されたところの理由はどこにあるのです。
  56. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 普通の漁業協同組合の場合におきましては、現行法におきまして、剰余金の配当は年五分をこえない範囲内においてやらなければいかんということになっておるわけでございまして、今回の改正案におきまして、「年八分以内において政令で定める割合をこえない範囲内」というふうにふやしたわけでございます。生産組合におきましては、現行法におきまして、一割以内ということになっておるわけでございますが、生産組合は、もっぱら漁業を行なうための組合でございまして、漁業を行なうために漁業者が集まりまして、生産組合を作るというものでございます。したがって、資本の役割というものが非常に大きいわけでございまして、やはり資本に対する配当というものを、普通の漁業協同組合よりは大きく考えなければいかぬというような見地から、現行法におきましては、これを生産組合については一割にいたしまして、一般の漁業協同組合については五分にするということにしているわけでございます。ところが、一般の漁業協同組合の五分という配当につきましては、必ずしも現在の情勢に適していない、何とかこれを引き上げていかなければ増資のほうにおきましても差しつかえるというようなことがございまして、これを一割まで上げたらどうだろうかというようなことも考えたわけでございまするが、農業協同組合法の改正案におきましても、八分ということになっておりまして、一般の組合規定しているところに従いまして、大体八分以内ということで、三分引き上げる、さようなことにいたしたわけでございます。
  57. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に八十一条。これは漁業生産組合です。「組合の営む事業に常時従事する者の二分の一以上」、これはさっきもお話があったが、こういうふうに「三分の二以上」を「二分の」以上」に改められたところの理由を、さらにあらためてお伺いしたいと思います。
  58. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 現行法が「組合の営む事業に常時従事する者の三分の二以上は、組合員でなければならない。」というのを今回緩和いたしまして「二分の一以上」というような規定をしているわけでございますが、これは最近漁村におきましても、次第に労働条件がむずかしくなって参りまして、常時三分の二以上を組合員で確保しなければならないということは、非常にむずかしくなって参っているわけでございます。したがいまして今回は、今後におきまして、漁業生産組合というものを助長していくということから考えましても、あまり厳格な規定をしておりましたならば、漁業生産組合ができないというようなことにもなりまするので、これを「二分の一以上」というように緩和をしたわけでございます。
  59. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は八十二条ですが、旧法の第二項を抹消せられた理由はどこにあるのですか。
  60. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これも漁業生産組合条件緩和でございまするが、現行法におきましては「一組合が有することのできる出資口数の最高限度は、組合員の平均出資口数の二倍をこえてはならない。」というように、各自が出し合いまする資本を厳格に規定しておったような次第でございます。しかし、漁業生産組合漁業を営む組合でありまして、資本は多いことが望ましい次第でもありまするし、今後、相当資本を多くして漁業を営んでいくということが必要でございまするので、こういうふうな厳重な規定を省きまして、緩和をして「出資一口以上を有しなければならない。」ということのみにした次第でございます。
  61. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、組合出資のたとえば十分の九まで一人が持っている。残りの者が十分の一を持っていてもいいのですか、この規定からいえばそれが可能になりますが。
  62. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは第八十二条の二項に「組合の総出資口数の過半数は、組合の営む事業に常時従事する組合員によって保有されなければならない。」ということに規定をいたしておりまするので、これでそういうことは防げるということを考えております。
  63. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでそこはわかったが、そうするというと、「組合の総出資口数の過半数は、組合の営む事業に常時従事する組合員によって保有されなければならない。」ということであれば、これは常時従事しないところの者が半分以内であったら持ってよろしいということになってくるのですね。それでそういうふうなものは、たとえばどういうふうなものなんです。常時従事せずして出資を出すという人は。
  64. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは、組合の営む事業に常時従事していない者というのは、常時と申しますのは、大体その事業に年間携わっておるという者でございまするが、そういうように年間携わらずに、あるときだけに従事するというような者もありますし、あるいは常時まあ全然従事しないというような者も考えられるわけでございまするが、資本を集めまするために、常時従事する組合員によって過半数は持たせまして、それ以外の場合は、その他の者に持たしても差しつかえないというような見地からこういう規定をしておるわけでございます。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の説明の、その他というのはどういうものか、具体的にもっとわかるようにしておかないと……。
  66. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁業生産組合組合員たる資格というものは、七十九条に規定してありまして、「漁民であって、定款で定めるもの」ということになっておるわけでございます。それで漁民でありましたならば、常時従事していなくとも、その組合の営む事業に常事従事せずに一時的に従事する者、あるいはその組合の営む事業に全然従事しない者、そういうものは含まれるわけであります。
  67. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、第百条の十四三項、これで見ますというと、百三十六ページ、役員の選挙の、これによって見ますというと、「役員若しくは総代」とあるのは「総代」に読みかえるという規定なんです。そうすると一体、「役員若しくは総代」を「総代」に読みかえる理由はどこにあるのです。役員選挙は総代会でやって差しつかえないということになってくるのですか。
  68. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この場合におきましては、総代会においては役員と総代を選挙できないというようにありますのを、総代を選挙できないことにしまして、役員は選挙できるということにしたわけでございます。
  69. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それは総会を開いて総代を選挙するでしょう、総代会で総代は選挙できないから。そうすると、総代を選挙するというようなことであれば、総代よりも重要な役員を総代会で決議するというのは、おかしいじゃないですか。だから役員及び総代というものは、総会で選挙するのだと、組合員数が多いために総代会を開くことができないということだったならば、一人が代理するところの委任権を拡大したならばいいじゃないですか。僕は過去において数千人の組合員を擁する組合経営をやったことがありますが、総代会でいろいろなことをやって、いいことと悪いことといろいろあるのです。だから、少なくとも役員の選挙というようなものは総代会ではなくて、総会で選挙する、それで、ある人間が集まらないということだったらば、現在においては二人はできない。あるいは一人はできないというのを、十人までいいとか、十五人までいいとか、その組合員の数に応じて、委任状においてやったらばいいのじゃないですか、原則として僕ば役員のように、組合経営に重要なものを総代会で選挙ができるというのがおかしいじゃないか、過去において悪例があった事実を、御調査になったことがありますか。
  70. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは漁業共済会の役員選挙の規定でございまして、共済会は正会員数が御承知のように二千近くに及んでいるわけでございます。それで、それだけ全部集めるということはなかなかたいへんでございまして、したがって、まず総代を選んで総代会を作り、そうして、その総代会において役員を選挙できるようにしよう、こういうことを規定したわけでございます。おっしゃいます ように、役員の選挙ということは、非常に重要な問題でございまするが、全国の漁業協同組合員を会員にします共済会でございますので、こういうふうに特に総代会によりまして役員選挙ができるという簡易化をある程度はかったわけでございます。
  71. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 だいぶ時間がたったから、百二十三条の四、これは他の協同組合もあることだが、「行政庁は、出資組合又は共済会の業務又は会計の状況につき、毎年一回を常例として、帳簿検査その他の検査をしなければならない。」こう書いてあるのでありますが。実際にこれを実行しておられますか。また実行する予算措置が講ぜられておりますか。
  72. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 毎年やっております。
  73. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、毎年全部のものをやっておられるということであったらば、今はやっていると思わないけれども、私の知っている範囲内において漏れているものがだいぶあるように思いますがね。ほんとうにやっているのですか。
  74. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 全部はやっていないわけですが、大体六、七割はやっております。
  75. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 やっておられるとしたならば、現在漁業協同組合なんかで一番困っているのは、融資の問題なんです。上の方から流れてくるけれども漁業協同組合、あるいは漁信連でとどまっている。結局金はあるけれども、実際の漁民にまで行っていないというのが実情なんです、私どもの知っている範囲においては。そういうような場合においては調査された結果を持って帰られたならば、その組合に対して金が流れるような方法を講じていかなくちゃできないが、そういうふうなことについて一、二の具体的の例をお示し下ったならば幸いと思っております。
  76. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この常例検査をいたしましてその結果、その組合ごとに、どういう点について問題があるかということを指摘いたしまして、それについての、あるいは指導をいたしましたり、あるいは回答を求めたりいたしておるようなわけでございまして、特に信連から貸付資金についてどういう指導をしたかという点につきましては、あとで、必要がございましたならば、資料として提出いたしたいと思います。
  77. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これでおしまいです。百二十三条の第三項を読んでみると、「健全な運営を確保するため必要があると認めるとき」と、こう書いてあるが、また一方の二項においては、「違反する疑があると認めるとき」、この二つはどういうふうに違っているのですか。
  78. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この百二十三条の「業務又は会計状況の検査」で、先生のおっしゃいます二項は、通常、認定検査というように申しておりまして、定款あるいは規約、もしくは共済規程に違反する疑いがあると認めるときに検査をするわけでございます。それで、この第三項で新しく設けましたのは、この認定検査のほかに、共済会は共済掛け金を徴収いたしまして共済事業をやっておるというような、非常に経済的に重要な事業をやっておりまするので、その事業の健全な運営を確保しますために必要であるというようなときは、いつでも業務または会計の状況を検査することができるというようにいたしまして、違反する疑いがあるという場合に初めて検査するのでなくて、いつでも検査できるというようなことにして会員の利益をはかる、こういうことにした次第であります。
  79. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今お話しのとおりですね、組合の健全な発達をするためには監督が必要だ、そしてますます監督を強化していかなくちゃならない。監督をしていくと同時に、すべての組合経営が成り立つようにしていかなくてはならない。また、監督を厳重にした方においては、これに特典を与えなければいけない。こういうことから考えていってみますと、水産業協同組合共済会というようなものに現在法人税がかかっておりますね、将来において水産業の発達をはかるためには、漁業協同組合その他の組合の発達が必要だ。必要であればそれを共済するところの共済会の仕事というものは重要である。この重要なるところの公的行為をやっているところのものに法人税をかけているということはおかしいじゃないか。だから将来において少なくとも水産業協同組合の共済会には法人税を免除するというような考えがあるかどうか、これを最後にお伺いしたいと思います。
  80. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 共済会は御説明のように、非常に重要な仕事をやっておりまして、それで特に国といたしましてもこれの漁業共済については、試験実施のための費用を、共済会に委託して、補助をしておりまするし、また漁業共済が赤字を出しましたらば、毎年国庫債務負担行為をいたしておりまして、これに補てんをするというようなことをやっておる次第でございます。しかし、そのほかに火災共済と厚生共済と別にやっておるというようなこともございまして、法人税は一般の法人よりも低くしてかけておるということになっておるわけでございまするが、やはりこれは漁業協同組合とか、そういう他の法人との関係もございまするので、法人税の軽減並びに免除につきましては、今後相当検討しなければいかぬというように存じますので、十分検討をさせていただきたいと存じます。
  81. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 暫時休憩をいたしまして、午後は一時二十分から再開をいたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後一時五十二分開会
  82. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君)委員会を再開いたします。  競馬法の一部を改正する法律案閣法第一〇四号)を議題といたします。  本案につきましては、提案理由説明及び補足説明等はすでに聴取いたしております。また、本案は、去る十六日、衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。  それでは、これより本案質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  83. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 競馬法によって見まするというと、競馬を行なうことができるものは、日本中央競馬会、それから都道府県、指定市町村と、こういうふうに三つになっているようであります。そこでお尋ねしたいのは、現在、競馬をやっている市町村であって、その市町村のある都道府県で競馬をやっていない都道府県があるかどうか。あるとするならば、どこか。お尋ねいたします。
  84. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 現在、施行者は、都道府県が十八でありまして、指定市町村は百三十五であります。したがいまして、開催している都道府県の数は、北海道以下十八であります。開催していない都道府県が二十八。それから開催していない都道府県のうち、府県みずから開催しないが、管下の市町村が開催している府県が九。全く開催していない、その管下でも、府県自身も開催していない府県が十九ということでありまして、九足す十九で、開催していない都道府県は二十八、開催している府県は十八、こういうことであります。したがいまして、府県みずから開催していないが、管下の市町村が開催している都道府県は九つでありますので、開催している都道府県と、府県みずから開催しないが、管下の市町村が開催している都道府県九を合わせますと、競馬に関係のある都道府県は二十七になるわけであります。全然競馬に関係していない府県は二十八であります。
  85. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今のは僕の質問に答えにならないよ。市町村が競馬をやっておって、その市町村がある都道府県で、競馬をやっていない府県は、どこ県とどこ県かと、こう尋ねているのです。
  86. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 非常に失礼いたしました。市町村が開催しておる都道府県で府県みずからが開催していない府県は、山形県、長野県、福井県、岐阜県、大阪府、和歌山県、島根県、山口県、鹿児島県、以上すべて九であります。
  87. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、その府県は過去において競馬をやっておった実績がありますかどうですか。また、実績があってやめたのであったならば、いかなる理由によってやめたのであるか。
  88. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 全部の県がやっておりまして、やっても、開催の関係でバランスのため、その他、民意の関係でやめたわけであります。
  89. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、過去においてやっておってやめた、その府県が今度は新たにやるというようなことになるのについては、やらせるのについて、どういうふうな奨励策をとられるか、承りたい。
  90. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 現在もうやめてしまってやらない県が、新しくやるという場合につきまして、特にこちらがやらせるとか、勧めるとかいうことではございませんで、府県でやりたいという場合につきまして、十分審査していきたいと思います。
  91. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、この法律によって見るというと、原則としては、日本中央競馬会、それから都道府県がやるのでしょう。その都道府県がやるのであるが、過去においてやっておってこれを争めたのだ、そのやめたところの県にまたやらせるというようなことはせずして、そういうふうな府県であったならば、それは市町村にだけやらせるのですか。市町村にやらせるという段になったならば、一体、どういうふうな方法でやらせるのですか。それを承りたいと思うわけです。
  92. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 競馬を都道府県がやるかやらないかは、府県の地方公共団体の意思にまかせるわけでありますが、現在、市町村がやっておりましても、本法律の附則の規定によりまして、昭和四十年の三月三十一日まで現状でやりたいというものが継続してやる場合に認めるわけでありますが、その以後におきましての問題につきましては、府県みずからが市町村の委託を受けてやる、あるいは府県が市町村に委託してやるか、話がきまらないということで、またその残った市町村が財政上もうすでに自治省等々が審査いたしまして、特に指定された事由が消滅しているという場合につきましては、すべてやらないことになるわけであります。
  93. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 競馬法の第二十一条ですね、「都道府県又は指定市町村は、政令で定めるところにより、競馬の実施に関する事務を、都道府県にあってはその区域内の市町村に、指定市町村にあってはその区域を包括する都道府県に委託することができる。」こういうようなことになっているんですね。そうすると、県はやりたくないが市町村はやるというような場合のことを考えてみるというと、この二十一条の解釈はどう解釈するのです。
  94. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 四十年以降になりまして、かつ自治省がその財政上、また、復興計画ができてない、こういうことで認めるという場合につきましては、都道府県がやらないという場合につきましては、都道府県が市町村に委託してやることができるというこの規定を活用するわけであります。
  95. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そこですよ、これは実際僕は競馬のことを詳しく知らないからだけれども、過去においてやっておった競馬を都道府県ばやめている。しかし、その管下の市町村はやっている。しかし、原則として都道府県がやるのだから都道府県にやるようにということを政府のほうでは話をし、その政府のほうで話をしたが、その都道府県は過去の実績からしてやりたくないというようなことであれば、この法律によって競馬をやるんだから、その際においては市町村に委託してやらせる、また一方のほうにおいては、市町村は現在やっているがやりたくなかったならばそれを県に委託する。この相互の関係をこの際明らかにしておくところの必要があるのじゃないかと思って今尋ねておるところなんです。これがまた改正の点なんですから。これをいま少しく詳しくお話を承りたいと思います。政令の内容です。
  96. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) ただいままでの規定では、市町村が都道府県に委託する場合の規定のみを政令に掲げてあったわけであります。で、市町村が四十年以後になりましても、自治省の財政事情とかいろいろの関係でさらに継続してやる必要がある。しかも、農林大臣と協議が整った場合におきましては、これは実際上市町村が職員等を充実しておるという関係になって、都道府県と話し合いの上で市町村がやったほうがベターだということで、両方合意の上でやる場合につきましては、都道府県が逆に市町村に委託する道も開けまして、そうして継続を認める、こういうわけであります。今までは大体市町村が都道府県に委託する規定だけを置いてありましたが、今回は委託関係の双方関係を認めたわけであります。これは現状におきまして大体全国百三十五町村を通じまして職員の八八%は都道府県に保有しておりまして、大体市町村の指定がありましても、都道府県で職員等を充実しておりまして、大体都道府県に委託されているのが現在の実情であります。
  97. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この政令の草案ができておりますか。
  98. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 政令で規定すべき事項委員会の事務局の手元まで届けてあります。
  99. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 配付したかね、それならあとで。  それからその次は、二十三条の三なんです。収益金の使途ですが、二十三条の三では、「都道府県は、その行なう競馬の収益をもって、畜産の振興、社会福祉増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興及び災害の復旧のための施策を行なうのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」と、こう書いてある。それから二十三条の四には、地方競馬全国協会ですが、「地方競馬全国協会は、地方競馬の公正かつ円滑な実施の推進を図るとともに、馬の改良増殖その他畜産の振興に資することを目的とする。」と、こう書いてある。同じ競馬の収益であって、二十三条の三と二十三条の四にこういうふうに用途を書き分けなくちゃできないところの理由はどこにあるか。
  100. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 競馬の収益の使途でありまするが、第二十三条の三の規定によりまして、都道府県が地方競馬を今後原則として開催して、いくのだ、経過的な問題は別でありますが、いずれ将来としては都道府県がその収益を配分する場合に必要な財源の目標を、二十三条の三で定めたわけであります。地方競馬全国協会は、これは都道府県のその収益のうちから約、率で、平均して、総じていいますと、十分の一%足らず、十分の〇・八%程度、特別機関である地方競馬全国協会に交付金として出すわけであります。われわれのこの案の考え方は、競馬を開催いたしました都道府県が、その競馬収益のうち畜産振興以外の「社会福祉増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興」等のための財源としては中央に上げずに、その県でこの財源に充てるようにということであります。畜産振興資金だけを全国協会へ上げまして、そうして、主として競馬の収益の少ない県、全然競馬を行なっていない県の畜産振興の交付金として上げたものを配ろうというわけであります。そういう意味におきまして、収益の使途は二十三条の二全般にわたるのでありますけれども都道府県みずからが畜産の振興に充てることはもちろん、その他の公益的な経費に充てますが、拠出金は全国の特殊機関である地方競馬全国協会に上げる金は約一割足らずでありますが、その一割足らずの金は畜産振興目的のための部分にだけ充てるわけであります。したがいまして、畜産振興についてだけ全国に配付しよう、こういうわけであります。
  101. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、二十三条の三の畜産振興から、以下数項目上がっているが、このど の用途に使用するのも都道府県の自由ですか。
  102. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 私どもといたしましては、法文の文面ではこういうことであります。自由でありますが、現在都道府県で収益の充実状況は、主として一般公益的に使っておりますが、今後につきましては指導上特に、たとえば消費都市におきましても冷蔵庫、あるいはその他畜産振興に関する産地と都市との取引関係充実することを要するものでありますので、指導としましてはできるだけ畜産振興に充て、残余の分については、この社会福祉その他の公益的な方面に集中していき、単に都道府県の財源補充のために、抽象的に使うということでなくて、二十三条の二の規定を置いたわけであります。
  103. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 その次に、畜産振興というのは、具体的にどんなことです。
  104. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) たとえば保管、冷蔵施設、あるいは畜産の生産物が処理される屠場、市場施設、あるいは畜産の消費宣伝というような、何といいますか、消費都市におきまする部面につきましては、そういう面であります。産地の畜産振興については、もっと畜産の酪農、あるいはその他の畜産の生産部面について、主として充てられると考えております。
  105. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、その次には、二十三条の四の、地力競馬全国協会で、「馬の改良増殖その他畜産振興に資する」と、こう書いてある。そうすると、馬の改良増殖というのは、どんな馬をやられるのであるか、競馬であるか、輓馬であるか、駄馬であるか、それをどういうふうに改良増殖しようと思っておられるか、それを承りたいと思うのであります。参考資料の7の競走の馬の数から見てみるというと、だいぶ、これは競馬の馬の種類が書いてある。競馬の奨励であれば競馬であるが、ここに「馬の改良増殖」と書いてあるが、駄馬でありたらば、あるいは競馬であったらば、現在においては、車、自動車というようなものが変わりつつあるようなことですから、この「馬の改良増殖」という意味がわからない。どういうように馬の改良をやられるのですか。
  106. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 協会の業務といたしましては、二つあるわけであります。一つは、公営競馬の施行のために、馬主、馬の登録、騎手の免許あるいは騎手、審判員の養成でありまして、第二十三条の二十二の一号から四号までの仕事であります。もう一つ、各地方から吸い上げた交付金、予定しておりますのは約三億前後でございまするが、その金の充実の問題であります。これは、特別に特別勘定を設けまして、馬の改良増殖その他一般の酪農振興その他畜産に全面的に充てようというわけであります。特に、例示的に、馬の改良増殖を引っぱり出しておりまずけれども、現在の馬の頭数は、戦前と違いまして、著しく、三分の一ぐらいは滅退いたしまして、大体、六十数万頭でございます。ただ、北海道、九州その他東北地方におきましても、相当農耕馬の農事関係は、十分使用されておる関係もございます。そういう意味におきまして、馬の、何といいますか、飼育、改良増殖関係につきまして、補助を、都道府県におきまして、各地の実情に応じて、申請があった場合において、その内容を審査いたしまして、そうして、農耕馬の改良増殖等に、都道府県の認定で推薦があったものにつきまして、交付しようと、こういうわけであります。
  107. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、この馬の改良というものは、競馬と農耕馬ということになりますか。
  108. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) この全国協会の畜産振興費の特別勘定の分については、馬に限らず全部畜産振興でございますので、特に馬に関しては、競馬と.全然関係なく、一般畜産振興に充てるうちの一事例でございます。
  109. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、その次に「馬の改良増殖その他畜産の振興」と書いてある。この「畜産の振興」と二十三条の二の畜産の振興」とは、どういうふうに違っておりますか。
  110. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 二十三条の三の「畜産の振興」と二十三条の二十二の協会の仕事の「畜産の振興」とは全然同一であります。競馬の公正をはかる、あるいは馬の登録、騎手の免許等の競馬に関する事業は、協会として一本でやりますが、これは全然別個な、「畜産の振興」という言葉に含んでない仕事でございます。
  111. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それで二十三条の三も二十三条の四も「畜産の振興」は同一であるという場合において、地方からは振興助成やら何やらしてもらおうとか、あるいは地方のほうで畜産の振興をやろうというごとになれば、両方のものが協議して、そうしてこれは都道府県がやるのだ、これは全国協会がやるのだという打ち合わせのもとにやられるのでありますかどうか。この両者の関係がどういうふうになっているか、お尋ねしたいと思うのであります。
  112. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 農林省といたしましては、大体、今後の体制はどういうことになるかといいますと、東京、神奈川、千葉、埼玉あるいは関西地方の一部の収益の金が、全国協会に参るわけであります。すなわち収益金は一回開催六千万円以下の県からは、吸い上げをやらないわけであります。したがいまして、そういう主要消費都市の競馬の収益金が全国協会に上がってくる。その金を主として何といいますか、大きい県でないその他の県に分けるわけでございますが、それは都道府県の知事の意見も伺いまして、そうして国で予算を組んだもの、あるいは都道府県を通じてあるいは都道府県自身が補助している、こういう以外のものについて、上積み的に、補完的に都道府県から申請があった場合に補助しよう、こういうわけでございます。
  113. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 地方競馬全国協会ですね、これを作らなくてはいけない理由というのはどこにあるですか。
  114. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 馬及び馬主の登録あるいは騎手の免許、騎手の養成、訓練あるいは審判員の訓練等地方競馬を公正に実施させていこう、そういうためには、現在では連絡機関として、全国施行者協議会がございますが、現在におきましては、各府県の馬交流あるいは騎手交流がひんぱんになっておりまするので、これをしっかりした一つの機関で統一をいたしまして、一例をあげますれば、一府県で騎手の免許取り上げが行なわれた、あるいは不法行為がありまして「免許を拒否されたということでありますと、ほかの県には及ばない、ばらばらの施行体制でありますので.これを一本に体制を整えまして、そうして公正競馬をはかろうということで、しからばそれを統一する方法はどうかということで、方法論としていろいろあるわけであります。私どもといたしましては、特別な機関を作りまして、十分監督ができるようなとこにいたしたい。そういうわけで、せっかく特別な機関を設立しようとするわけであります。せっかくそういう機関が設立されますので、交付金になりますと、別に畜産振興として今申し上げましたように、この経費は約一億円、法文では〇・四%以内と書いてありますが、初年度としては〇・二五%程度、各施行団体の公営事業として拠出を願うわけですが、畜産振興の三億の金をどこへ吸い上げて配るべきか、せっかくこういう特殊機関ができますので、この特殊機関へ同時に吸い上げて、性質の違った二つの仕事をこの機関でやったほうがベターじゃないかということで、いろいろ方法論としましては、都道府県の収益でございますので、これを国に上げたらどうかというようないろいろ御議論があるところでございますが、都道府県自治体の収益でございますので、特に特別な機関を設ける必要がある。それならば馬主及び馬の登録、騎手の免許あるいは騎手の養成訓練機関を統一してやる必要がある。そういう機関を作る必要があるということでありますので、その業務を合わせて一本の機関に集約して、経費等の関係もありますので一本の機関に集約して統一的に行なう、こういうことに手段方法としていたしたわけでございます。
  115. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから二十三条の十二、役員の問題です。これに地方競馬.全国協会には役員として会長、副会長、理事、監事というようなものを置くようになっているが、一体この役員は農林大臣が任命されることになっているが、どういうふうな方針のもとに役員の任命がされるのですか。
  116. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) これはやはり政府設立の特殊機関でございますので、公正運営を期す立場で職務をするわけであります。そういう意味におきましてりっぱな方が認可を受けて任命をされるということを期待いたしておるわけであります。
  117. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 りっぱな人というが、全く外部から入れるのであるか、あるいは内部から入れるのであるか、それはつまり地方競馬をやっているものからとられるのか、あるいはその外部からとられるのかという質問なんです。
  118. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 現在地方競馬を開催しておりまするのは都道府県と市町村であります。都道府県で、たとえばそういう事業関係で相当練達の方がおられて、そうしてそれが皆さん方の各競馬に参加しておりまする、いろいろの関係の方々で、相当評価があるということになりますると、やはり農林大臣としてはそういうような方が理事として任命されることになると考えるわけであります。
  119. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 大体においてもうこれは法律ができ上がったらばすぐ成立するのだから、その場合において、一体直接関係者から選ばれる考えであるか、学識経験者として外部から入れる考えであるか、とそこなんです、尋ねているところは。
  120. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) この全国協会の仕事は二つあるわけであります。一つは、公正競馬をやっていく意味からいきまして——そう言っちゃ何ですけれども、今までいろいろ過去の経過において不適当であったとか、競馬の不正が行なわれたとか、またその反面、いろいろ公共団体の職員等でも十分経験的にうまく競馬を施行していくために努力した方々があると思うのであります。公正競馬をやっていくためには、後者のような方……。もう一つは、協会の仕事は、約一億足らずに対しまして、三億以上のものを、畜産振興の交付金を配る責任者であるわけであります。もちろんそれは都道府県の意見を聞いて農林大臣がその事業計画を指示して配るとはいえ、やはり各府県の畜産関係、畜産振興等に十分見識ある方が必要だと思うわけであります。そういう二つの仕事でそれぞれ分野は分かれまするけれども、二つを受け持って会長、副会長ということになりますると、そういうことに十分見識のある方ということになるわけでありまして、また一方、それぞれ内部では担当理事が分かれると思いますが、それぞれ担当理事の分野も全般的な畜産振興の問題と、それから公正競馬を施行するのにもう一つの仕事、それぞれ特別勘定に分かれるわけであります.が、もう一つの仕事の関係について十分ベテランであって見識ある人格者が必要であると思うのであります。そういう関係で選ばれるのが事務当局としては適当と考えておるわけであり、ます。
  121. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それでは評議員の問題で、二十三条の二十一に、評議員は、二十五人以内と書いてある。そうしてその評議員は、「関係行政機関の職員及び学識経験を有する者のうちから、農林大臣が任命する。」と書いてある。一体これは行政機関の職員と学識経験者とはどういうふうな率で任命される御予定ですか。
  122. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 現在、評議員の二十五名の任命について何名を学識経験者、何名を行政機関の職員ということできめてはおりませんが、このきめた趣旨は、競馬を施行している都道府県に公正競馬をやってもらうという意味におきまして、馬の登録、騎手の訓練あるいは免許等をやる関係もございまして、また一方におきまして、やはり全般的な畜産関係の交付金を、主として競馬をやっていない各府県に配るという仕事がございますので、それらの関係の学識経験を有する者ということに考えたわけでございます。その意味におきまして関係行政機関の職員ということになりますれば、現在主として競馬をやっております都道府県のうち、それから学識経験というのは、それらに限定しないで広い意味の畜産振興等をも考えまして規定いたしたわけでございます。二十五名のうち何者ということは、それは、いろいろ人選の上でそれぞれ適格者がきまってくる、こういうことで、あくまで公正な競馬の実施と、それから畜産の振興と、こういう基本に沿って十分全国協会の事業計画をいろいろきめるにつきまして、評議員会の意見を聞く規定になっておりますので、りっぱな方が選出されることを期待しておるわけでございます。
  123. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、公営事業に関する現行制度と今後の基本的方策についての昨年の七月二十五日の答申によって見ますというと、その最後の付記に、「日本中央競馬会については、その経理を円滑にするため徹底的に、検討する。」という答申が書いてあるが、この競馬法改正を見ても、そういうふうなことが現われていないような気がするが、この答申に基づいて経理を円滑にするため、徹底的に検討された結果、どこをどういうふうに改正されたか、お伺いしたいと思うのであります。
  124. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 中央競馬会は、昭和二十九年の改正といいますか、によって設立になったわけでございますが、その経理関係等につきましては、剰余金、国庫納付金等の関連におきまして、あるいは中央競馬会の何といいますか、会社経理的な部面もありますけれども、ある面では施設拡充について不合理な点等をわれわれは承知しておるわけでございますが、そういう意味におきまして目下某大学の専門の方に委嘱して研究中でございまして、この法案を提案するまでには結論が出なかったわけでございます。その結論が出次第、日本中央競馬会の経理につきまして、あるいは施設充実等、競馬上の今後の公正競馬の運営上、十分国民の娯楽場として十分ゆとりのある施設をするということ、それから経理が非常にスムーズにいくという点等につきまして便宜の点がありますので、目下検討中でございます。
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 まず資料でわからぬことひとつ聞かしてもらいますがね。国営競馬場、いわゆる中央競馬をやる所が大体十二カ所になっておりますね。ところが下表の第六ページにいきますと、「所有区分別競馬場数」となっている。これを見ますと、中央競馬会所有が四、それから県市共有が三、府県有が十一、市有が八、畜産団体有二、会社団体有十と、こうなっているのですがね。そうすると、十二の国営競馬場、これはまあ直轄国営競馬場ですから中央競馬会がそれを持っているのではないかと思いますが、ここにくると四カ所になっているのですね、六ページへくると。そうすると、大部分が国有競馬場であるが、これは府県へ委譲されている形になっているのか、もう完全に国営競馬場と称して府県所有になっているのか。それは幾つぐらいで、どこの県どどこの県か、もしそうだというならば。
  126. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 地方競馬場は、終戦前までは馬匹組合あるいは馬匹組合連合会が大部分その財産を持っておったのでございます。終戦後になりましてこれを都道府県が接収いたしまして、都道府県が持っておる場合が非常に多いわけでございます。掲げられました三十八の競馬場のうち、都道府県有として無償で馬匹組合あるいは馬匹組合連合会の所有を都道府県が接収した関係上、都道府県が持っている場合が十一で、非常に多いわけでございます。こういうわけで三十八の地方競馬場がございますが、大部分十一のものはこれはほとんど戦後、現在の競馬法施行される前に、民間の、無償で都道府県に接収されたものであり言す。
  127. 清澤俊英

    清澤俊英君 戦後ね。
  128. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) はあ。
  129. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこでですね。表の第五ページの中で、中央競馬会が所有しているものはどこどこの四ヵ所ですか。
  130. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 札幌と函館と新潟と宮崎であります。
  131. 清澤俊英

    清澤俊英君 いつも中央競馬をやる府中はここにないですね。府中は東京都の所有ですか。
  132. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 中央競馬会では全国十二カ所でございますが、府中は中央競馬会所有であります。ただいま三十八競馬場を掲げてありますのは、地方競馬——都道府県あるいは市町村が開催しておる、使っておる地方競馬場であります。
  133. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の聞いているのはそこじゃないんですね、第五ページは「競馬場(中央競馬)」と、こうなっているんだ、それが十二あるでしょう、そのうち中央競馬、いわゆる国がまだ持っておりますものは札幌、函館、新潟、宮崎だと言うんでしょう。
  134. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 第五ページに中央競馬の競馬場十二カ所掲げておりますが、そのうちで中央競馬会が持つておらない競馬場は中京競馬場ただ一つであります。
  135. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、そこのところですね、中央競馬会有というのが四になっているんです、その四カ所が札幌、函館、新潟、宮崎だ「こう言われる。持っておらぬものは一つであって、ここへきて持っているのが四だというと、あとの差引十一から四を引いた七ヵ所は、これは何だと、そういう数字で出てきそうな気がしてしようがない。その七カ所は何になるんですか。その七カ所がどうも考えてみますと、総数からいうと府県所有の十一のうちへ入っているんじゃないか、こう思われる。
  136. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) どうも表の作り方が清澤さんが誤解になったように……。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 誤解じゃない、私はわからぬから聞いておる。
  138. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 中央競馬の五ページにある分はほとんど全部中央競馬会の所有であります。したがいまして十一競馬場は中央競馬会が所有いたしまして、中京競馬場だけは株式会社が所有しております。で、六ページの地方競馬場の関係でございますが、三十八のうち四競馬場は中央競馬会が地方競馬場として使用させておる分でございます。
  139. 清澤俊英

    清澤俊英君 わかりました。そうすると、ここの第六ページにあるのは俗に言う中央競馬場と別なもんですね、別なものがここに表になって出ている、そういうことなんですわね、別なものなんです、その別なものの中へ中央競馬場が四つ入っている、そういう御答弁なんでしょう、そう解釈してよろしいですか。
  140. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 競馬場そのも一のの施設としては全然この四つはこの十二とダブっております。
  141. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでわかりました。  それからせっかく表が出ましたから、これは今ここで御説明を聞いても、藤野さんもお伺いしておられましたが、なかなかめんどうでありますから、これは後ほど表でいただきたいのですが、第八ページです、第八ページを見ますと、非常な額が三十六年のごときは、総所得ですか、経費を除いて入っておるんですね、これは四百三十六億二千二百五十一万九千五百円ですね、こういう膨大な金が入っているんです。もちろんこれにはいろいろな経費やいろいろなものが入っているんでしょうから、今ここでぺらぺらとやられてもわかりませんので、これは相当詳しく、ひとっこれがどう使われておるか、そうして最後にはどれくらいのものがこの表に掲げられたいろいろの方面に使う金として、それがどういうふうに配分せられているか、その配分はだれがするのかと、そういうものはだれがどういう形式でその配分をやっていくのか、これをひとつ、ちっと御迷惑だろうけど、だいぶみんな興味のある問題ですから、出して、ただきたい。一ぺんお聞きしたいと、こう思っていたんで、ちょうどいい機会ですから。
  142. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) ちっとも迷惑ではございません。四百三十六億は全部の売上金でございまして、明細は至急資料にして提出いたします。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 資料のほうは大体それで……。  そこで、急でありますけれどもちょっとお伺いしたいのは、多分藤野さんのとみんな重複してやしないかと思いますけど、これは小さい問題ですけれども、私は要綱を見ております。藤野さんは法律でいかれましたが、要綱の第一の3の、「前項の指定には、条件を附することができるものとする」その条件、これが一点。それから第二点は、2項の市町村指定、これには現在、戦災地区の市町村で指定を受けておるものがあります。だから、こっちの表にも出ているが、そういうものは継続してずっとやられるのか、ここで一応打ち切って、この法律によって新しくいろいろの区分に従って指定市町村をお作りになるのか、この点を明確にしてもらいたい。
  144. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 条件といいますのは、たとえば経過的にも、あるいは市町村がやっていく、四十年の三月三十一日までやっていく、あるいは今後期限を付して新しく認める。今までは期限を付しておらなかったわけですから、指定されっばなしだったんですが、今度は期限を付していくわけですが、その場合に、都道府県においてやっていくわけでございまするけれども、職員が都道府県等で充実しておりませんので、現在の方法でもそうでございますが、今後といえども地方公共団体が自治法の規定によりまして競馬だけについて一部事務組合の結成をやりまして、そうしてあるいは経費の関係を能率化していくと、開催の場合に、施行権は市町村が持つが、開催実務について自治法の規定によりまして一部事務組合を現在一部では結成しておりますが、その事務組合の結成あるいは加入、それから競馬場の使用あるいは回数というものをきめていくと、こういうわけで条件としても、公正な競馬をやっていくために都道府県と一緒になって実務はやっていくようにということが、何年という期限のほかのいわゆる御質問条件であります。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 もう一つ言っていますよ。私のお伺いしているのは、現在戦災都市が災害都市として指定せられているところは相当あると思います。そういうところのものはそのまま継続していきますか。そうしてここに書かれたやつは新たに指定するものをいわれるのか。あるいはここで前のものも全部一応御破算にして、そうして全部を再指定せられる考え方なのか。これが第二です。
  146. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 第二点の御質問を落としまたしが、一応四十年まで、暫定的に、現在市町村が自主的にやめない、自分でやめない、やっていきたい、こういう場合に認めるわけであります。そうすると、四十年の三月三十一日どうするかといいますると、自治大臣が戦災等の都合で指定された、あるいは伊勢湾台風のような災害で指定せられたというところの復興計画というものを精査いたしまして、現在まで指定しつばなしで精査しておらなかったわけでございます。そこで時間がかかっても、ちょっと三年というのは長いのですが、時間をかけても内容を精査いたしまして、そうしてどうしてもこれはやはり単独で競馬をやらしてそうしてやはり復興をはかる必要がある、こういうことで自治大臣がやはり継続して指定する必要がある、こういうことを認めた場合に限るわけであります。したがいまして、二十四、五年ごろ戦災という事由で指定された事由の大部分のものは、事由が消滅になっている場合が多いわけであります。そういう意味におきまして、必ず認められるということにはなりません。それがただ、なぜそれではここに新しく依然として規定を今度は本文のほうに置いてあるかといいますと、今後発生される災害の場合に、都道府県が二十三条の規定で、畜産の振興、その他の災害復旧の規定まで置きまして、都道府県が開催して分けてやろう、これがまず第一段です。ところがやはり市町村としても、自分でやりたい。やって自分で収益を上げたい。しかもそういう非常に希望が強いという場合でも、ほかの市町村等がやっている場合、あるいは都道府県の開催の分け方にもよりますけれども、まあどうしても被害が激甚で、やはり分けてもらうのは不安だということで、都道府県、市町村がお話がまとまって、どうしてもこれは著しく災害を受けて、もう暫時でも、相当災害は、別の予算措置を高くして参りましたけれども、あれでもまだ足らないということで、やむを得ず認めるという場合が、穴をあけておきまして、どうしてもそれが適当だということで、都道府県知事も、市町村も合意がありますれば、そういう場合は災害の指定として新しく認める場合がある。かつ従来やっている部分についても、審査の上四十年三月三十一日以後も本条の本文の規定で認める場合がある。これは中の財政計画を洗ってそうして自治大臣がやはりそういう必要がある、こういうことで農林大臣と協議される場合に認められる、こういうことであります。ただ、その場合に期限が今度新しく付せられるわけであります。
  147. 大森創造

    ○大森創造君 今の清澤さんの質問で大体わかりましたけれども、もう一回念を押しますが、そうすると、昭和四十年の三月三十一日までで大体原則的に昭和二十四年ごろに認められた市町村の開催というものはそこで打ち司りになる。だけど、あれですね、どうしてもやっていたいというものについては認めるようになりますか。自治大臣がその内部監査の結果認めてもよろしいということになりますか。それが、一つと、それから昭和四十五年あたりは、戦災はございませんでしょうが、そうでない、何か異常な災害でも発生した場合には、都道府県のほうと協議をして、そうして、新たに市町村の開催する競馬というものを認める法律規定でございますか。
  148. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 後段の質問の点は、そういうことがあり得る。ただし、開催の方法等はいろいろ条件がつけられる、かつ期限もつけられる。  それから前段の御質問ですが、まあ大体常識的に言ってそうですけれども、いろいろ内部の復興計画、出されたときの復興計画がまだ完了していない、こういう場合に認められる場合がある、こういうわけであります。
  149. 大森創造

    ○大森創造君 もう一つ原則的なことをお伺いしますけれども、今度のこの法律改正案を出した趣旨は、理由としてこれは拝見しました。そうすると、こういうことについてこの新しい法律施行してやっていく場合には、都道府県や、市町村や、中央段階でなくて、いわゆる地方の競馬というものは、多くなるのか、少なくなるのか。
  150. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 公営競技調査会の答申等にもありまするように、現在の開催日数、開催回数は、現状以上にふやさないという原則になりますので、原則があります。その原則をわれわれは透徹するものでありますので、減りこそすれふえることはございません。ただ、開催回数の各市町村、都道府県の組み合わせということになるわけであります。ふやすという考えはございません。
  151. 大森創造

    ○大森創造君 それから地方競馬全国協会ですか、こういうものをこの法律施行に伴って新しく設立することになるのですが、今まで以前の状態、相当の収益を上げていたそういう都道府県や市町村その他の主催団体が——全国的な任意的な連合体があったのでしょう、今までに。そういうものの収益の分配だとか、そういうようなものは把握しておられますか。
  152. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 都道府県並びに市町村百三十五で任意の連絡機関が現在あります。それは全国施行者協議会と称しております。これは一部、何といいますか、開催等に関していろいろ連絡をしているほか、やはり公正競馬が行なわれるように努力はいたしておりまするが、現在非常に、協議会でありましてほんの小さな機構であります。ただ、現状といたしましては、たしか約六千万円程度の寄付金を仰ぎまして畜産振興には二千五百万円程度のものを配付しておる程度であります。非常に何といいますか、連絡的な協議会、こういうことであります。
  153. 大森創造

    ○大森創造君 ただいま言われた寄付金六千万円というのは、地方の競馬開催主催団体から寄付を仰いでいるということですか。
  154. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 各都道府県、市町村等から寄付を仰いでおるわけであります。寄付といいますか、施行者連絡的な会費、会費といいますか、そういうようなことでやっております。
  155. 大森創造

    ○大森創造君 今度新しくできる権威のある全国協会というものは相当膨大な金を持つことになりますが、それの畜産振興のため、あるいは馬の改良増殖のため配分する金、その配分の仕方などというものは協会の役員、その協会の機関で民主的にきめるということになるのですか。農林省のほうは国全体の畜産振興という立場から示唆を与えることになるのですか。
  156. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) いろいろ評議員会の意見は聞きますが、われわれといたしましては、やはり競馬の沿革、歴史、それから競馬をやっていく趣旨からいいまして、ぜひ畜産振興目的とするのが一部の目的でございますので、その点については農林省としては受け身というよりももっと積極的に都道府県からも意見が出ると思います。そういう意味において積極的に参画していく方針であります。
  157. 大森創造

    ○大森創造君 そうするというと、そういう問題については都道府県の意思というやつは相当積極的に反映することになりますか。
  158. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) むしろ、今度配付される都道府県、それから非常に要望が出ると思います。そういう意味におきまして各府県のバランスとかを失しないように私どもとしては十分各府県の使途等につきまして、畜産振興上有益な使途に使っていきたい、こういう意味で十分に意見を聞かなければならないと思います。これは行政上、全国協会を監督し、かつ事業計画を認定していく場合におきまして、十分そういう点を考慮して事業計画の認可をいたそうと考えておるわけでございます。
  159. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと伺いますが、これはまあ公営競技調査会の答申に基づいて出された方針だと思います。こうした調査会なり審議会なりから答申が出て、政府が国会に法律提案する場合、多くは当該審議会なり調査会なりの意見を尊重していく、こういうことが必ず冒頭にくるのが普通でございます。ところが、今回の提案理由説明、補足説明、それらをお聞きいたしましたけれども、そうした答申を尊重するという言葉はどこにもなかった。ただ、「答申の線に沿って」と、こういうことでございましたが、これは「線に沿って」というのは拡大解釈でも縮小解釈でもいかようにでもできるわけで、一つでもその線があれば線に沿っ.たということになるのですが、今度だけは特に答申を尊重するという言葉を使わなかったのはどういう理由ですか。政務次官、あなたは提案されたんだから。
  160. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) ただいまの御質問ですが、ちょっとごろの点でありますけれども、私どもといたしましては公営競技調査会の答申を十分拝読翫味いたしまして、これは公営競技について全般にわたっての答申でございますが、さて、競馬についてこの関係をどういうふうにしてやっていくかということについて拝読翫味いたしまして十分そしゃくして立案したつもりであります。そういう意味におきまして尊重もいたしておりますし、線に沿って  立案したものであります。
  161. 天田勝正

    ○天田勝正君 尊重をしてないという返事があれば私も次の質問をしなくてもよかったんですが、尊重するとなると今度は逆に困ったことがこの答申に書いてあるのでありますが、それは「法律規定が細部にわたり過ぎると認められる点が少くないので、出来る限り政令に委任する等法律の簡素化をはかる。」これは私はこの種の調査会や審議会ではよけいなことだと思います。いうなれば、立法府の権能に干渉とまではいかないけれども、要らざる口ばしを入れた、こういうことになる。答申はなるほど政府になされたかしらぬけれども、しかし、それは当然われわれ国会に報告されるのであるし、されなければ、求めれば政府資料として出さざるを得ないのだから、それに基づいて国会が独自で法律を制定する場合もあり得る。こんな文句なんかがなくたってほかのことさえ書いてあればちゃんと成立すべきものは成立するし、政令にゆだねるべきものはゆだねる。よけいなことなんです。これを政府側ではどういうふうに解釈され、どうそしゃくされましたか。どういうことなんですか、一体。おかしいじゃないですか。
  162. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 「現行公営競技の根拠法が異なっているため、各種公営競技間に均衡を失している点が少なくないので、所管各省においてこれを是正するよう努力する。」という御答申がございましたが、これはいろいろそれぞれの発生といいますか、経過といいますか、そういう点が非常に違っておるわけであります。そういう意味においてわれわれとしてはできるだけ均衡を失しないように考えてはおりまするけれども、競馬と、たとえばもう一つの競輪とは現在の施行体制等も非常に違っております。民間の実施団体に実施をゆだねておることとか、レースの編成とか、いろいろ各般にわたって趣旨がまた違っておる点があります。そういう点でわれわれが扱っておりまする競馬関係と一緒にできないという点は、これは私どものほうといたしましては採用いたしませんで、競馬は競馬で本来の目的施行していくということでございます。
  163. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと答弁が違うんですよ。今答弁されたのは、答申の13について答弁された。この13のほうを私は問題にしているんじゃないのです。13のほうは、確かに、所管が各省ごとに違ったり、不便な点もありましょう。答申の12なんです。これがよけいなことだと言うんです。こんな答申なんかは、私の解釈ですれば越権しごくなんです。ただここに、会長である長沼さんですか、おられないんだし、また国会に法律を提出する責任は政府でありますから、やむなく政府側に伺っているわけですが、元来私は長沼さんを参考人に呼んで聞きたいくらいなんです。不遜きわまると思うんだ。法律が長過ぎるの短か過ぎるの……。他の答申さえあれば、12だけ除いて、13もあってよろしい。これは政府側に勧告したんですから。しかし、法律制定の権能は国会にあるはずなんだ。だから、この12の部分を除いて出してくればいい。政府に確かに答申したには違いないけれども、しかし、その答申のことをわれわれが参考にして国会独自で法律提案する場合もあり得ることなんです。必ずしも政府だけが提出するんじゃない。でありますから、こういう答申は実に異例なものだ、少なくとも。私の解釈をもってすれば侮辱したものだ、こう解釈するんです。だから、政府のほうはどうこれを了解し、どうそしゃくして、さっき言うような尊重というにとになってきたのか、これを私は聞きたい、こういうわけです。そしゃくしてないはずだよ、こんなものは。
  164. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 私のほうといたしましては、公営競馬の施行あるいは開催回数を、むしろふやしていかずに減らしていきたい、そういう趣旨か、らいきまして、現在の競馬法規定では、都道府県ならば四回、それから災害指定の市町村なら一面ということで、あたかも、何といいますか、法文によって回数をぴたりときめておるわけであります。今後公営競馬の施行あるいは都道府県営等の施行考えますれば、やはりこれは十分弾力的に行なって、単に市町村何回、都道府県何回という機械的な回数開催等の規定があるよりも、むしろ各市町村間の、暫定的には調整、あるいは今後におきまする関係では、都道府県の開催につきましても、たとえば東京都、千葉、神奈川等の近県等の関係考えますれば、これは全般的に調整をしていく必要がある。こういう意味におきまして、むしろ健全な競馬の運営という点から、政令に委任すべきものは委任するということでありまして、これをむしろ細部にわたるとか何とかいうことではなくて、今後の公営競馬の運用上政令に委任するものは委任するという考え方で私どもは参るわけであります。ただ、細部にわたるというだけのために政令に委任するということは、私ども行政官庁としては考えておりません。
  165. 天田勝正

    ○天田勝正君 答申の12の問題は、今畜産局長がこまかしい説明をされましたが、そういう部分は私は後ほど伺いたいと思っておる。これはだから尊重しないということを、特に尊重するという言葉を避けて私は提案理由説明もされ、補足説明もされた、こういうふうに解釈いたしますが、それが今度、いや、線には沿いましたけれども、別段この種のものは、言ってみればギャンブルのことでありますから、尊重しない部分もありました、こういう答えなら、もうこの質問はしなかった、実を言うと。ところが、やっぱりほかの答申に続いて、法律手続の場合も同じように、尊重するとは書いてないけれども、尊重していると言うから、どの部分を尊重しているだろうということになってきたのです。順序は。こういうのはおかしいです。こういう答申というのは見たことがない。法律をどうしろ、政令をどうしろなんてよけいなことだ。これこれこういう項目について改善しなさいといえば、それに基づいて、法律を簡素化すべきものは簡素化し、政令だって整理もするだろうし、簡素化もし、また必要があればこまかくすべきだと私は思うのでありますが、今畜産局長が言うように、弾力性のある政令のほうがいいとおっしゃるけれども、私は観点を異にしているのですよ、それについては。だからこの12がちょっと気がかりになる。私の観点を異にしているというのは、私自身がこの評議員になるような、ギャンブルの学識者でもなければ経験者でもないんだ。ないけれども、私はギャンブルというのはとかく問題を起こすんだからして、何か手かげんして、いかようにでもなるような余地を残さずに、それは事務遂行上余地も残す場合もあり得るであろうけれども、しかし、そういう部分はなるべく少なくして、法律でこまかしく規定すべきであると、こう思っているのです。私はそのほうが、ギャンブルというのを一挙にやめてしまえば別の問題でありますけれど残すという場合においては私は問題が少なかろう、こう思っておる。弊害があることがかわっておるから、答申案でもそうですし、あなたの今の説明を聞いても、なるべく減らしていくということなんです。そうであるならばあるほど法律で微細に規定したほうが問題を残さない。こう思っているんですよ。ところが、この答申を見ると、どうも私なんかの考えているのとはまるで逆であって、いかようにでも省令等の書き方があんばいできるようなことになつちまう。これはどうせきよう議論しても、政府側でも長沼さんに聞いてみなければわからないようなことで、ここで幾らやったって時間つぶしになるだけで、私はそのことについては政府側の統一見解をお願いします。これは委員長にお願いします。  それから次ですが、この要綱をだんだん見ていきますと、私もさっきから言うように、学識者でもないし、経験者でもないのでありますから、的はずれになるかもしれません。それで、なるべく射幸性を薄めていく、こういうことが提案理由並びに補足説明で言われておりますし、要綱なんかにもその趣旨が書かれております。そうすると、勝馬投票法の種類、実施方法というところを見てみますと、射幸性を薄めるため、単勝式と複勝式、連勝単式とか連勝複式、こういう四種に制限する。こういうふうにすれば、なぜ射幸性が薄まるのか、私にはわからない。前にあった重勝式というのを今度はやめた、こういうことで射幸性というものが薄まるということにどういうわけでなるのですか、その内容ですね。それぞれ重勝というのはどういうものなのか。連勝複式なんというものは私自身がこのことを知らない。そうすると、こういうことにすれば射幸性が薄まるというのはどういうことでしょうか。ひとつ伺っておきたいと思います。
  166. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 射幸心の過熱を避けるための方途として、答申は各方法につきましてあるわけであります。単勝というのは一つの馬の一着だけ当てるというわけであります。複勝というのは、一定の頭数が走った場合に一着、二着、三着でもそれぞれ当たる、こういうようなことで、割に射幸心の過熱が少ないわけであります。われわれといたしまして一番射幸心の過熱が強いというものはいわゆる連勝単式であります。これは一着と二着をびたりと当てるということであります。この裏は連勝複式という言葉でありますが、連勝複式は一着と二着をぴたりと当てるわけじゃなくて、二着が一着でも、二番目の馬が一着になってもその場合も当たる。こういうことで、連勝単式に比べて的中率が倍になるわけであります。そういう意味におきまして、連勝複式を中心として連勝を採用する場合に、連勝複式を中心としてやっていくようにということがむしろ的中率を高くすること、当たる率を高くすること、それがやはり射幸心の過熱を避ける一つの方法ではないか、こういうことで例示的に提案されておるわけであります。われわれといたしましては、そういう点を重視いたしまして、的中率を高くして、そうして馬のスポーツを十分楽しんでいただく、こういうことにして、そうしてかけの弊害を除去していこうというふうに考えておるわけであります。
  167. 天田勝正

    ○天田勝正君 歳末大売り出しのくじみたようなもんで、当たりがたんとになれば景品は粗末なものがたんとくるというなれば、そういう式じゃなかろうかと、私は説明を聞きながら解釈した。そうすれば一獲千金をあんまり考えてみたって、とてもこれは望み薄なんだから、だんだん過熱がやまるだろう、簡単に言えばそういうことなんでしはう、どうなんです。
  168. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 大体そのとおりでございます。
  169. 天田勝正

    ○天田勝正君 ところがいただいた資料を見ますと、一番射幸心の過熱というのをあおるという重勝式というのは、ほうっておいてもだんだんだんだん少なくなってしまって、三十一年が〇・六八%、三十一年だって一割は売り上げがなかった。それが〇・五六になり、〇・四四になって、ついに三十六年は〇・〇五と、こういう比率なんですね。そうすれば、実際問題とすればあんまり当たらないからあきれてしまって、だんだん買う人がない。一万分で勘定するようなかけになつちゃった。そうすれば別段これを置いてみたところで実害というものはなくなるんじゃないですか。置けという主張をするのじゃないですよ、私はギャンブルみんなやめちゃったほうがいいと思っているのだから。置けと主張をしているのじゃないけれども法律的にはどんなもんですか、置こうと置くまいとかかわりはなくなっているんじゃないですか。〇・〇五だとどういうことですか。
  170. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 初め経過的にはそういう重勝制度が現在まで置かれておりましたが、各競馬の施行者のほうでもそういう関係についてはだんだん重勝式をとる回数を減らしてきておりましたので、そういう結果になっております。中央競馬会におきましても、一昨年ですか、これはもうやめるということにいたしたわけであります。今回投票方法で新しく方式として入りましたのは、連勝複式という今までやったことのない事例であります。こういうことにいたしまして的中率を高めまして、そうして連勝単式については開催回数等について一定制限を置いております。そうして民衆も、なれればだんだんこれをやめていくということで、連勝複式等を中心として的中率を高めて、そうして弊害をなくしていこう、こういう趣旨であります。
  171. 天田勝正

    ○天田勝正君 ですから、政府提案理由説明ならば、射幸心の過熱を避けるために云々と、たいへん効能があるような前置きをして、重勝式というのをやめると、こういうのです。実際はそんな政策的な意図じゃなくて、勝馬投票券を買うほうもあきれてしまって、だんだん買わなくなったというのと、業者も、残しておけばそのために人間を配置したり手数なんかがかかるから、もう、たんと売れないものはやめると、こういうことだけでしょう。別に政府が射幸心の過熱を防ぐためになどというりっぱな理由じゃな一いのじゃないですか。どうです。
  172. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 今、御質問は重勝式の問題でありますが、重勝式についてはそういう見解もあると思う。私どもといたしましては勝馬投票券方法全部につきまして、今後単勝複式、複勝式、単勝式等を中心といたしまして、連勝単式という現在非常に射幸心をあおっておるものについて制限をいたしまして、むしろ連勝複式ということで的中率を高めて、そうして健全な娯楽を開催していこう、こういうことであります。重勝式の問題にっきましてはいろいろ御意見があると思いまするけれども、私どもとしては勝馬投票券全般の問題としては、重勝式は御指摘のとおり大きな問題ではございません。
  173. 天田勝正

    ○天田勝正君 今この問題を片づけてから、すぐ私はわからぬながら連勝複式というのを聞いていきたいと思ったのです。そうすると、重勝式の質問をしていると、よそのほうの連勝複式という説明をして答えにかえちまうのだから……。事実私が指摘したとおり、重勝式というのは、現状はほうっておいたってこのとおり売り上げが減っちゃっているのです。ごくたまにしか当たらないからあきれて買う人が少なくなった。買う人が少なくなったって、ちゃんと人間の配置は制度があるからしなければならないから、それじゃ競馬主催者のほうがばからしいから、お客のほうもやめるし、主催者のほうもやめる。こういう要請に基づいて政府のほうではこれをやめるということにしたのであって、射幸心の過熱を防ぐためなどという、何か、悪い言葉で言えばおためごかしの政策から出たのじゃないか、こういう指摘をしているのです。そういう何か両方——これは需要供給の関係といったっておかしな話だが、お客のほうも主催者も両方ばからしくなってきた、だからやめるということでしょう。だから、そうぎょうぎょうしい何が射幸心の過熱を防ぐために、かくしましたという説明はおやめになったほうがいいと思う。そうすると、単勝複式ですが、当たる率が高くなるから射幸心の過熱を防げると言うけれども、ギャンブルなんというものはそういうものじゃなくて、目先を変えればまたお客が集まるのですよ。ですからパチンコ屋だって、ときどきかえもしない台をまるで新しくしたような看板をかけて花輪をちょいちょいやって、それでまた人が集まるのですよ。だから射幸力の過熱を防ぐなどと言うけれども、新しい競技方法をそこに取り入れれば、これは射幸心をそそるのです。過熱というのは、どこの限度から過熱と政府は解釈しているかしれませんが、射幸心をそそることだけは、ギャンブルの性質上間違いは私はないと思うのですけれども、それはどういう考えを持っているのですか。
  174. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 単勝式あるいは複勝式などを中心といたしまして、連勝複式等を採用して参りまして、連勝単式等を制限して参りますると、やはり何といいますか、一攫千金とか、そういう射幸心をあおるようなことは、過熱になるようなことはだんだん減っていくと思います。馬のスポーツとして十分楽しむ。これは投票方法ばかりじゃございませんが、競馬の施行の仕方あるいは施設の充実等をはかりまして、明るい娯楽として持っていこう、こういうふうに考えておるわけであります。
  175. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは、あなたのほうから提出した資料によっても、だんだん射幸心が減っていくなどということはないのですよ。現にこの表を見たって、連勝式というのが三十一年が九四%で、今九六%になっておるでしょう。だんだんこれもふえておるのです。射幸心がだんだん薄められるなどということはありっこないし、新しい方式を用いれば、目新しくなって、今度はそれへよけいまた馬券を買うようになるのです。そして買った結果はどうかというと、射幸心の過熱で買おうと薄められて買おうと、売り上げが多くなりさえずれば——ちゃんと一定の、何というのだ、商品じゃないからマージンというのとも違うが、二割五分くらいとるのでしょう。あと、何でもかんでも売上高さえ多くなれば……。だから私は今から予言しておくけれども、ギャンブルに新しい方式を取り入れたら、必ずそのことだけで売り上げが多くなる、こういう結果を招きますから、見ていてごらんなさい。そのときは、政府が今説明して、だんだんそういう射幸心によってひまつぶしをしているというのを防ごうというのを逆な結果になるが、どういうふうに政府考えておられますか、おかしいですよ、それは。
  176. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 私ども目標といたしましては、競馬場の施設を充実いたしまして、そして競馬場で娯楽として十分楽しんでいただく。ギャンブルの、いわゆるかけをやるつもりで競馬を楽しむのじゃなくて、手入れをされた訓練をされた優秀な馬がスポーツをやっていく、それを十分家族連れで楽しんでいけるような娯楽場にいたしたい、こういうわけで、施設も十分充実して参りたいと思いますし、そのために入場者が楽しんでいくものならば、入場者がふえていかれても、特に非常に繁華な中心都会におきましては、娯楽も少ないことでございますし、健全な娯楽として楽しんでいく。売上金の増加の問題につきましては、これは現在連勝単式が中心になって相当売れております。こういう点につきまして、今後入場者や何かが相当ふえるということは予想されますけれども、連勝単式をそのまま続行いたしておきますと、いろいろ弊害の問題があるわけであります。予想しなかった馬が勝ったり、そういうワクの組み方の問題等につきましても、非常に偶然性が出ないように、十分皆さん方が記録等で、馬の競争でございますので、楽しんでいただけるように持っていくということを考えておるわけであります。そうして的中率が上がりまして、そうして場当たりな払い戻しがないということになりますれば、十分皆さん方が楽しんでいけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  177. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうもばかに競馬局長みたいに弁護論をやるのだけれども、これは私は政府が一つの政策を作る場合は、やはり国民性というものも考えてもらいたい。私どもも、ギャンブルには違いないけれども、世の中全部そういうものをなくしてしまったら索寞たるものになる、そういうこともありますから、全否定の立場には立っていないのです、実際は、それで、内容は私にはわからないのだけれども、七、八年前かな、一ぺんギャンブル全体の売り上げを計算したことがあるのですが、何んでもそのときに、戦前における二億円という数字が出たのです。それを物価水準で割り出したところが。ちょうど昔はほとんど競馬一辺倒で、ほかのものはなかったのですが、戦後になってから、いや競輪もあれば、モーター・ボートもある。何かいろいろなものがある。とにかくいろいろなものを合わせて、ちょうどその当時で八百億か幾らで、要するに昔の貨幣価値にすればちょうど二億くらいに当てはまる。数はふえたけれども、貨幣価値における修正をすれば同じようなものであるが、これはどうもこのぐらいのことは幾らとめてもやるのだ、私もそういうふうな感じをしたことが実際なきにしもあらず。ところが、私が唐突のように国民性ということを申し上げるのは、実ば日本人の多くは、戦時中中国に行っておったのですけれども、中国などに行きますと、銅幣かけて盛んに日常ばくちをやっておるけれども、負けたからといって、日本人のように目の色を変えないのです。知らぬ顔をしてお茶を飲んで、それで一定額負ければさらりときれいにしてしまう。日本人は自分が負けたって目を皿にして人のことにくちばしを入れたり、要するに気違いになるのですよ。この証拠が、外国に行った場合に非常におそるべき事態となって実は現われておる。それは、たとえばアメリカで今市民権をとって、六十五ですか、になれば何人も老後の保障がされておる。そこで、戦後非常に市民になる資格を落としまして、ほんの日常の片言会話ができて、自分の名前が書ける程度の者までどんどん市民権を与えるようにしている。ところが、それをとれないで、今でも麻袋をかついで農場から農場へ渡り歩いているのはどこの国民かというと、日本人なんです。三十年いてそうして英語が全然できない。実に驚くべき——僕らのように英語のわからないような者でも、あんな試験なんかできそうなものだというものでもできないのです。これはもうその他の国の入にはまず絶無といってよろしい。これは何かというと、全部要するにギャンブルです。それでその同じところに1質問じゃなくて話が長くなるようで、同僚諸君には恐縮ですけれども、そういうふうに渡り歩いている反面、同時に、私がちょうど行ったときに、カリフォルニアだけでも千五百人くらいの例の農林省のお世話をしておる六カ月の短期移民。そうして六カ月おると三十六万円は持って帰れるのだ。千ドルは、ちゃんと食って寝てそうして現金として持って帰れる。六カ月で三十六万円持って帰れるものが、三十年いても一銭もない。麻袋をかついで農場から農場へ渡り歩いて、市民権さえとれない、こういう状態。私は、まことにいい例ではございませんけれども、ここにあの競馬場の気違いざたという、目の色の変わった状態を、映画などで見ておそるべきものだ、競馬法たった一つといっても、政策をきめる場合にはやはりそうした国民性を見ていただかなければならない。ですから私は単にひやかしで議論しているのではありませんで、連勝式をやめるならやめるでけっこうだ。しかしその目新しい連勝単式などということなどは、なぜされるのか、これがわからない。だから私はこれが今議論しても結着つくことではありませんけれども、ギャンブルの性質上、新しい仕組みというものをそこへ持ち来たしたら、必ずこれで売り上げが多くなるということだけは間違いない。パチンコだってあの何というんですか、バネを引っぱって玉をころがすの、あれ何というのか知らぬけれども、台が新しくなったというだけで人が行くのですから。それが事実でしょう。ですから私は何もこの法律改正にあたって、新しいこれからそのわれわれみたいな者にでも説明しなければわからないような連勝複式ですか、そういうよけいなものはやめることにはならぬのですか。どうなん、です。やめたっていいでしょう。どうしてもそのほうがいいというのなら、一ぺん連勝式だけやっておいて、新しい競技方法は作らずにおいて、この次の機会ということでもよくはございませんか。
  178. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 勝馬投票法の問題でありますけれども、外国等の事例でも、たとえば英国では競馬にっきましては、一ワク一頭制による連勝単式と連勝複式をやっております。大体先生方御存じのとおり、長い歴史で外国から入ってきたレースでございますけれども、各国におきましても、いろいろそういう点は注意して検討した結果であります。そういう意味におきまして、私どもそういうような連勝複式というようなことで外国の例等をも検討した結果「そういうようなことで射幸心の過熱を防げればということが希望であります。いろいろ皆さん方のお知恵も伺って、そうしてぜひ健全な娯楽として開催して参りたい、こういうわけであります。その他これらの公正運営をはかるために外国ではいろいろ例がありまするけれども、民間開催が非常に多いようでございまするけれどもわが国の現在の競馬の実情といたしましても、戦後初めて市町村が開催するというような事例等もあり、戦前では県単位で馬匹組合、あるいは馬匹組合連合会が地方競馬をやっておったわけであります。そういう農村娯楽という面から地方競馬のほうが発達して参っておるわけでございまして、総じて勝馬投票法に限らず、すべての点でわれわれにおきましては十分検討いたしまして明かるい娯楽にいたしたいと考えております。
  179. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ外国の例を引いて、わが国でもというのは事と次第によります。私はさっきちょっと説明しましたのでおわかりだと思いますけれども、日本においては、事賭博もしくは賭博類似行為については、いかに外国の例を持ってきても、それはだめだというふうに私は感じております。これは中国人ならば確かに博心があって、これは経営者になります。日本で昔の悪い言葉で言えば博徒でしょう。ところが、日本人は博徒で蔵を建てた人はありませんね、自分も夢中になってしまうから。ところが、中国人は財をなしますね、必ず。これは外国どこの町へ行っても、秘密裏に賭博類似行為をやって財をなしておる。そういう性質ならば、これは外国の例ということになるし、それから今英国の例を引かれましたけれども、これは森局長も御存じのとおり、英国であの競馬とボート・レース、これはもう最高の、要するに紳士の交際場ですね。写真で見る競馬場の風景ひとつ見ても、目の色が変わった者なんかありませんよ。普通背広を着、あるいは菜っぱ服を着ておる者も、あそこへ行く際は、燕尾服でちゃんと行きます。現在はあれが日本では白い馬に乗って案内する人間にだけあの服装が残っている。その違いを私と議論をして、森さん、あなたよく知っておって、政府委員だから。そういうことを言われても通用しませんから、これはちゃんと断わっておきます。それでこれを言ってもしょうがない。この次までに連勝複式、あれをこの際は追加しないということにするのかしないのか、次までにひとつもう一ぺん政府側で考えてきてもらいたい、注文しておきます。  次には、今度地方競馬全国協会、これを作って、おのおの役員を作る。この役員を徐々に伺って参りますけれども、会長、副会長が農林大臣の任命、それで理事は今度は会長が任命、それから評議員会を置く。評議員はこういうものを任命するのだということが書いてあります。こういう任命の縦の形式ですね。だれが任命するのだということは規定してありますけれども、どういう人に任命するのだというのは書いてないのですが、今政府が予定しているこうした役員は、どういう人を据えようというのですか。
  180. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) これは現在のところ具体的に、きまっておりません。ただ私どもといたしましては、この全国協会の仕事が一方におきまして騎手の免許、馬主の登録、それから騎手、審判員の養成等公正な競馬をやっていくためには、いかに統一して厳正にやっていくかという一つのワクがあります。もう一方施行団体、地方公共団体から相当の金、平年度でいいますと約三億円前後の金が、一回開催六千万円以上の金が開催地から吸い上げられるわけであります。そういう吸い上げられた交付金の金が、主として競馬をやっていない都道府県に、都道府県といいますと、大体農産県でございます。大消費都市でなく、大消費都市の収益から主として農産県の畜産振興に充てるわけであります。そういう二つの仕事の性質から畜産振興関係に十分御理解のある方、しかも見識が高くて人格者である、そうしてそういう意味で、かつてこういう競馬に関係のある方ということで、役員の欠格事項規定されております。そういう関係からぜひ見識ある方をおそらく農林大臣は選ぶだろう、事務当局としてもそういう点でいろいろ補助的な意見は申し上げたいと思っております。
  181. 天田勝正

    ○天田勝正君 私もどなたを任命するのかということを聞いているのじゃなくて、ワクを聞いたわけですが、だからこれから逆のほうから質問していきますと私の聞きたい意味もよくわかってくると思いますので、評議員のことを聞きます。評議員会は二十五名以内で、しかも「評議員は、関係行政機関の職員及び学識経験を有する者のうちから、」とこうなっている。そこでまず一点は、「関係行政機関の職員」というのは、どういうワクの人がそれに該当するか。次の学識経験、これは問題だと思うのです。かつて売春禁止法のとき、やっぱり初め学識経験という言葉が出てきて、それで経験はやめちゃったということがあるのでありますが、どうもどっちにしたって賭博でないという理屈が立っても、賭博類似行為であることは否定できないでしょう。学識経験というのは、そうすると何ですかばくちをやったことがない者は経験ということにはならないわけですか、そのカテゴリーはどういうことになるのですか。あるいは馬券をうんと買.う、経験というのは、たんとやるということは、何事でも経験の多いということになるのですから、馬券を十回買うよりか二十回買ったほう、もっと三十回買ったほう、あるいは十枚買うよりか二十枚買うほうが経験豊かである。経験というのは回数ですからね。どうしてもそういうことになると思うのですが、学識経験とはいかなるものですか。学識というのはその一つをとらえても、賭博類似行為に対する学識とは一体どういうことなんでしょう。
  182. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 評議員の第一点は、関係行政機関の問題でございます。関係行政機関といたしましては、都道府県で、競馬を施行しております都道府県を今後も中心として、原則として競馬を施行していきますので、その都道府県のたとえば東京都でいいますると事業部という部があります。その事業部の部長が一例でございます。学識経験者という点でございますが、全国協会の仕事は、競馬そのものをやるわけではございません。騎手の免許あるいは騎手の養成、訓練、審判員の訓練をやるわけであります。そういう意味におきまして、そういう方面の十分経験のある方、それからもう一つは全国協会が畜産振興の金を各農産県に配付するわけであります。どういう方面の畜産振興に充てるかということが、都道府県知事の御意見も十分伺って出てくるわけでありますが、さらにそういう畜産振興あるいは酪農振興あるいは養豚、養鶏等の十分学識経験のある方から代表者を選びまして評議員になっていただき、そして協会の業務を、畜産振興事業をやりますので、三億相当の金を各府県に公正に分けて、これを直接今焦眉の急である、各県によってそれぞれ事情が違いますので、そういうようなことで十分にアドバイスを協会にいただきたいと思っておるわけであります。
  183. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと一点だけで、この問題もっとお聞きしなければなりませんから、後刻に譲りまして、他の委員の要求もありましたのできょうは譲りますが、もう一点だけ聞いておきますことは、実際はこの種のものは好ましくないとお思になっていると思います。好ましくないから地方公共団体でもやめられたところもあるくらいでありますから。しかしこれをどんぴしゃりやめないということには、答申にもありますように、むしろ公開の場所において、こういう賭博類似行為はやらなくて、蔭で要するに賭博が横行するということを防ごうというのが、私からするというと、たった一つの積極的な存置の理由になるのであろうと思うのであります。ところが、ここがまた問題でありまして、今までああいう賭博類似行為などを全く知らない人が、公開で行なわれているがゆえに、行った結果は今度は逆に、走っている自動車の番号の奇数、偶数を当てっこをしてみたり、ここの答申では、これらの競技が公開の場で行なわれていることは、より多く弊害を防止する上において何がしかの効果がある、こういうことを言っておるんですね。だから公開の場所で行なわれたほうが、非公開の場所で横行するよりかいいということが答申であるとともに、政府もそういう意味でおられるから、どんぴしゃり廃止をしないということだろうと私は思う。またそれはそれなりの理由はありますけれども、逆の理由もある。今私が指摘したように、行ってきた連中はじきにあれですよ、よそのうちの表札を見て、名字の画数の奇数、偶数をやってみたり、走る自動車の奇数、偶数、一番最後がゼロかゼロでないかなんということでやるようになる。だから公開でやっているほうが、非公開よりもいいという理由も成り立つだろうけれども、あべこべに公開にやっているがゆえに、むしろ日常茶飯事のごとく賭博類似行為を行なうようになる、こういう弊害の面も大いにあると思うんですが、そういう考え方は政府はされているんですか、されていないんですか。
  184. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 競馬の沿革、歴史なりで、こういう格好でレースが行なわれてきておるわけでありますが、私どもといたしましては、かけということがある以上、やはりこれには弊害が伴うわけであります。弊害を極力除去して、そうして娯楽とはかりにかけておることもあると思います。一にやはり国民の良識が外国のように、非常に性質の異なった、先ほどのお話しのようなふうに発展していけば、けっこうだと考えておるわけであります。
  185. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 簡単に二、三の点伺いますが、ギャンブルの性格から、社会秩序を乱しつつあるということを、どういう方法で規制していくかという問題について、少しお尋ねしたいのですけれども、問題が何ですからきょうは私やめておきますが、条文の中で二十三条ですか、二十三条の二以下に関係してくる問題ですけれども、一つは畜産行政というものが、これは都道府県政府が担当している。そこへ新しく畜産振興事業団が行政の中に入ってくる。もう一つは、今度の地方競馬全国協会というものが、都道府県または市町村から交付金を受けて、その交付金を今度は地方、都道府県にどういう形ですか、条文忘れましたが、それを交付する形で行政に参画してくる、こういう姿は何か私好ましくない姿じゃないかという感じがするのですが、その点どうですか。
  186. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 競馬に関しまして、中央競馬と地方競馬とあるわけであります。中央競馬につきましては、中央競馬会法の第三十六条で、畜産振興に国庫納付金の金は充てろということで、収益金は売り上げの百分の一〇は必ず国庫に納付しておるわけであります。地方競馬はどうかといいますと、地方競馬はその収益をその県だけで使っておるわけであります。今回そういう意味で、中央の関係につきましては、それとにらみ合せまして事業団に十億円の交付金を支出することに立案しておるわけでありますが、地方競馬はどうするかということであります。地方公共団体の収益によっておりますものですから、方法論といたしましてどうするかということであります。せっかく公正競馬を施行さすという意味で全国協会を設立するということにいたしまして、免許とか登録とか訓練とかというものを行なうことで、そうして地方公共団体から一定の交付金を吸い上げるという格好になっておりますものですから、幾つも機関を作るのも何だし、それから全然関係のない中央競馬会なりあるいは国に納付させてしまうということもいかがということで、せっかく作る全国協会にその交付金を扱わせると、こういうことにいたしたわけであります。で、結論的に言いますというと、一種の助成を各府県にやるのでありまするので、相当行政的な色彩を帯びて参りまするが、農林省といたしましては、十分農林大臣の監督を全ういたしまして、そうして特殊的な機関でその役員も普通のほかの役につけないということに限定しておりますので、国の方針に即応して事務をやっていけるのじゃないかと考えております。私どもといたしまして、そういう何といいますか、行政が二頭に分かれる、あるいはそれぞれ機関を作ることは好ましくないのでありますから、中央関係のものについては既存の事業団を使い「地方競馬関係につきましてはせっかく騎手訓練等でできまする全国協会を使おう、こういうことで一応割に、別の意味からいいますると、便宜的なふうに見られますが、極力機関の設立は防いで、そうして中央行政一本化の精神は逸脱しないように努力いたしたいと存じます。
  187. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 運営の正しきを期し得るならば、今畜産局長が説明したことで、私はまあいいかとは思うのですが、しかし政府がやっていても、あるいは都道府県がやっていても、必ずしも運営の適正を期するということは困難だ。常々どこかで問題を起こしておる。そういう中で、またこういうところで実質的には都道府県に対する補助金を扱うということが、言葉の上では運営の適正を期し得るということは言えるけれども、実態の運営としてそれだけの責任ある考えが成り立つかどうかですね。答弁という答弁技術じゃなしに、本質論に入って……。
  188. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 特に畜産振興費の配分の問題であります。私どもといたしましては、都道府県知事の意見を聞きまして、むしろ私どものこの法文には表われておりませんが、気持といたしましては、都道府県から都道府県へ収益を渡すという方途もございませんので、そういう意味でせっかく全国協会ができますので、そこの資金をむしろ農林大臣がある程度積極的に割当等につきましても指示いたしまして、そうして都道府県関係の希望も十分入れて実行して参りたいと、ただ、いろいろ民間の学識経験者の意見も十分聞く必要がありますので、また横から評議委員会等の十分議を経て持ってきていただくと、そうしてその上で事業計画を認可すると、こういうことで万全を期しておるわけであります。
  189. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 まあ万全を期すとは言われるのだが、政府考えておるような万全の措置ということを期し過ぎると、いわゆる官僚の越権といっちゃ悪いかもしらぬが、非常に官僚統制的な空気が強くなってくる。そうじやない逆の場合では、今度は全国協会がある程度の行政権を持つ、どっちへころんでもむずかしい問題が出てくるのじゃないかと思います。ときによっては、府県が全国協会に陳情に回らんならぬというような事態も出てくると思う。何かほかに、たとえば中央競馬のように国庫納付金にするというような技術的な措置というものは別に考えられぬのですか。
  190. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 私どもといたしましても地方公共団体、都道府県等の収益の一部を交付するわけでございますので、いろいろ研究はしてみたのですが、これはやはり地方公共団体の収益は収益でございますので、国庫に納めて別にまた特別会計を置くという制度もいかがかということであります。悪い例かいいかは別といたしまして、一部競輪等ではそういう機構を作っておるわけでありますが、私どもといたしましてはやはりいろいろ方法、手段を考えたわけでありまして、櫻井委員の御指摘のとおり、片方に偏すれば片方では今度協会がやや官権的になり、協会を押さえてしまえば、少し農林省がまた出過ぎるというようなところでありますので、評議委員会等もありますので、十分三つどもえになって、ちょうど均衡を失することなく、十分私どもといたしましてもこの協会の監督の立場にある関係で、これが最上の方法だと申しませんが、まあまあこういう方法がベターじゃないかということで、結論はこうなったわけでございます。
  191. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 二十二条の三ですね、都道府県はどうこうと書いて、「必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」と、こう書いてあるわけですね。努めねばならぬと、財源に充てねばならぬというきめつけ方ではないので、努めるということを裏返しにすれば、やむを得ない場合は充てなくてもいい、こういうことが出てくるわけですね。一方においては、地方競馬全国協会のほうへは一定の基準を定めて、一定の交付金を出すということをきめておる。ところが肝心の競馬をやる都道府県ではその収益を、これを悪く解釈すれば、充てたほうがいいのだけれども、充てなくてもいいのだと、なぜそういう明確でない法案にしたかということが一点と、もう一つは、全国協会に交付金を出すような形と同じように、あるいは売得金のどれだけとか、あるいは収益のどれだけ以上は充てねばならぬ、どうしてそうきめつけていくことができないのですか。
  192. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) ここで一つ問題になりますのは、やはり競馬の実施でありますので、私どもといたしましては、畜産振興とその他の公益事業と、こういうことになるわけであります。これ比率的にどうということになりますると、畜産振興は少なくとも収益の二分の一とか、あるいは三分の一とか、四分の三とか、こういうことになるわけでありますが、各施行都道府県の御意見もいろいろあるわけであります。私どもといたしましては、第一に畜産振興その他の分につきましては、相当都道府県におまかせしていくという考えであります。私どもといたしましては、できるだけ畜産振興に使っていただきたく、ただ、これを率をきめてしまうと、やはりいろいろこれ以上にということで率をきめてしまうのも自治団体等の関係もございましたし、従来の関係もございますので、最大限度こういうようなことで、道徳的な訓示的な規定になったのであります。十分都道府県と御相談いたしまして、指導上、主として畜産振興、あるいは事情によってはスポーツの振興、災害復旧というようなことで弾力的に考えてはおりまするけれども、気持としてはやはり都道府県で主として収益が上がるのは、大消費都市、東京、神奈川、千葉、埼玉それから関西地方、あるいは愛知県等でございますので、数も少ないことでございますので、十分相談をいたしまして、協会の畜産関係の流通合理化関係でずいぶん施設がおくれている点もありますので、そういう点に充当していこう。なかなか率をきめるということはむずかしい。法文できめるということは、かえって適当でないと考えたわけであります。できるだけ、競馬の益金でございますので、畜産振興に充てて参りたい、こういう気持でおりますから、都道府県の意見も十分伺ってその線に沿って御協力を願う、こういう趣旨であります。
  193. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 どうも局長の説明では、私はっきりしない点があるのですが、都道府県がやっている競馬なんです。一方においては、競馬は国民大衆の健康なスポーツであると同時に、先ほど天田委員からも指摘されたような問題もあり、片一方には社会上いろいろな弊害というものが伴っておる。その競馬をあえてやっていくというからには、それから上がる収益というものは、努めるようにするというやわらかな表現でなしに、一方において社会的なそうした秩序をこわすような危険をも伴うものであればこそ、なおさらそれから上がる収益というものは一社会保障とか、スポーツとか、教育文化というものに、一方において国民生活に積極的に稗益する形において使わなければならぬ。そういうところで罪滅ぼしをしていくんだという考え方をここできっぱりと出していくということがどうしていけないのですか。
  194. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 相手が都道府県でございますので、これだけの規定さえ置けば十分実行していただけると考えております。
  195. 大森創造

    ○大森創造君 関連してちょっと。今の櫻井委員質問わかりますが、逆のようなあれになるかもわかりませんが、この二十三条の三というのは、これは都道府県が主催をして行なって、その競馬の収益ですから、都道府県が主催するところの競馬の開催による収益の使途について規定をされたことなんですね。これはそうですね。そうしますというと、これは地方団体ですから国とは違いますわな。今までも、こういう法律の一部改正が行なわれる前でも、畜産の振興、社会福祉増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興及び災害の復旧のための施策を行なうのに必要な経費のための財源に充てていた実績があるでしょう。まさかこういうギャンブルの収益をもって、そうしてまたギャンブル的なものの振興に資したような実績はないと思いますが、どうですか。
  196. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 大体収益を充てているのは学校建築、それから土木事業等であります。
  197. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、今櫻井さんの御質問がありましたが、「必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」と、こういう前段あげたような意義のあるものに、ギャンブルによっての収益であるから、まあ暗い金でもって有益な仕事をやるんだから非常に意義があるようになる、こういう意味で自治団体のほうでもそういうことで従来も努めていたと思うのですが、しかし自治団体ですから、まあ今県なら県でもってこういうことを一番やりたいという場合に金がない。この金があるから使おうということになりますると、これ以外の公的な仕事に違いありませんから、こういうものの新選択は府県のほうがいい。どうしてもこれを使いたいということならばこれを認めざるを得ませんな、農林省としては。
  198. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) これは地方公共団体でございますので、私どもとしては法文に従いましてこれで指導して参りますが、これ以外のことに使ったらどうかという御意見もありますけれども、地方公共団体でございますので、普通の会社なり団体と違いまして、この法文の規定に従って、十分この線に沿ってやっていただけるものと確信しております。
  199. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連してちょっと……。関連なんて、おれの関連はみんな人が取ってしまったが、まあそれはいいとして、私のほうは帰る都合がありますので、ちょっと疑義のあるところだけお伺いして、もうあとはこの次に残します。というのは、ここだけひとつ聞かして下さい。要綱の七に、「一回の開催による勝馬投票券の売得金」と、こうなっておる。売得金の額に応じて一定されると、二が同じくずっと書いて、「一定率以内において省令で定める金額」この二つ納付するのですか、この点がまず一つと、それからここにある売得金というものは、俗にいう売上金であって、そしていろいろの経費を引かない総額なんですか。
  200. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 第一に掲げておりまするのは、千分の四以内といたしまして、第一のやつは畜産振興によるいわゆる平年度三億と申し上げた交付金、第二号のやつは、全国協会の騎手の養成とか訓練とか、そっちのほうの事業の交付金であります。それから……。
  201. 清澤俊英

    清澤俊英君 二つを取るのかどうか、それだけでいいのですよ。
  202. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 両方取るのでございます。
  203. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、その収得額というのは総額ですか、何か経費を引いたものなんですか。
  204. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 清澤さんのおっしゃるとおり、投票の全体の売上金でございます。地方競馬の総じての収益は約一割であります。
  205. 清澤俊英

    清澤俊英君 私が聞きたいのは、戦災都市で新潟の三条や長岡でやっております、もうけなんてほとんどないのです。役人を派遣して、そうしてやっておりましたが、もうけなんてないのです。そういう場合収得金をこれだけ頭からぽんと払ったら、ときによると損するかもしらぬのです。そういうことをお調べになっておるのですか。
  206. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 売り上げ一回金額六千万円以内は取りませんから、そういうところは該当しません。主として取られる府県は、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知等であります。
  207. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 それからこれはどっかにあるのか、また必要がないのかわかりませんが、都道府県はきめてある、市町村の場合はどうして取らないのですか、充てるようにするとかいうことを。
  208. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君)市町村は、著しく災害を受けた、あるいは財政上等の都合で指定した関係がございますので、猶予して認めておるのもいわゆる災害猶予ということで指定してございますので、まあそういうことで、精神的には公共事業に使っておりましても、今これをぴたりと当てはめますと適当でないのであります。
  209. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 二十三条の四で、「地方競馬全国協会は、出方競馬の公正かつ円滑な実施の推進を図るとともに、」と、そのあとに、「馬の改良増殖その他畜産の振興に資することを目的とする。」と、こう書いてある。馬の改良はいいけれども、「増殖」という言葉をここに出してこなければならない理由は、どういうことですか。
  210. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 「馬の改良増殖」という言葉は、従来から減ってもやはり増殖というようなのがございますので、一本にして使われておりますので、特別な意味はございません。
  211. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 どうも「改良増殖」という言葉を何気なしに使ったのじゃないかと思うのだ。私は党でこの法案を審議するときに要綱でやっておったものだから、逐条を読まなかったので、少しうっかりもしておりましたが、「増殖」という、これから馬を大いにふやすのだ、そういう観念は一体農林行政から見て、一体どこから出てきているのか。まあ何気なしに使ったというお話なら、それはそれでいいが、そういう言葉をどういう意味でお使いになったのですか。
  212. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 現在畜産局といたしましては、馬の改良増殖をやめるという結論にはまだなっておりません。「馬の改良増殖」の問題は、現在としても非常にむずかしい問題でございまして、今六十万頭に、昔の百五、六十万頭、百七、八十万頭が減っておりますが、そういう馬の改良増殖をやっていかないということまでは結論づけておりませんが、何としても……。
  213. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 あなたの答えは違う。「改良増殖」をくっつけなさんな。僕は「増殖」ということを言っておる、「増殖」です。
  214. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 地域的には、増殖もあることと思います。
  215. 大森創造

    ○大森創造君 関連。この法律改正によって増殖を積極的にやるという意味があるのですかないのですか。部分的には増殖もあるのでしょうけれども.どういう意味ですか。
  216. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 畜産振興の地方の具体的な内容といたしまして、やはり県によりましては、現在畜産局の予算では馬の補助関係につきましてはほとんどない、少ないわけであります。地方によりましては、まだ馬を養いまして十分収益をあげたり、あるいは農事に相当使っておる部分もございます。やはり北海道、東北等でも、地域によっては非常に要望があるわけであります。そういう意味におきまして、地域的にはやはり非常に要望があるということを私たちに無視してはならないと思います。ただ、この冠として、一番先に馬の「改良増殖」ということを掲げておりますが、やはりこれは従来からの競馬の関係もございまして、全般的に畜産振興に使えるところに、特にその冠としてつけてきたのは、やはり競馬関係の意味合いも含めて、例示的に掲げわたけでございます。
  217. 大森創造

    ○大森創造君 そいつはわかりましたけれども、地方競馬全国協会が畜産振興事業に対する補助を行なうごとになるでしょう。行政の一部を担当して協会はやることになっておりますから、この畜産振興事業に対する補助ですから、そういう補助金の交付の対象は、どういうものになりますか。
  218. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) やはり個人ではございません。畜産関係の団体が、特殊農協とか、あるいは農協とか、あるいは畜産会とか、そういうものが対象になると思います。
  219. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の畜産局長、変な答弁されるから、僕は言いたくないけれども言うのだけれども、ふえる場所があるから「増殖」という言葉を使ったのだ、減る場所があるならどういう言葉を使う。国の政策としてどうするのだということでなければならぬので、地方的な問題をやっているのじゃない、法律では。だから競馬で上げた収益を出させるのだから、実態は必ずしもそのまま合わないけれどもという意味で、そういう精神的な勧奨の意味でこういう言葉を使ったのだというふうに言われるなら、それはそれでわかるのですけれども、まだ農林省でも馬をふやすか減らすかわからないと言われると、これは少しおかしいことになる。これは所得倍増計画の中の農林計画を見てごらんなさい。やはり競馬で上がった収益を交付金として吸い上げて、それを畜産振興に使う。それじゃ馬は、馬はわからない。わからないものをなぜそこであげていくか。むろん農林省としては、農林行政としては、畜産の振興をやっていく対象というのは、馬をふやすか減らすかわからないということよりも、はるかに乳牛をふやさなければならない、あるいは食肉牛をふやさなければならない、あるいはその他の畜産物をふやさなければならないことははっきりしておる。はっきりしておるものをうたわないで、はっきりしていないものをうたうということは、これはこっけいなことですよ。その点はどうですか。
  220. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 従来競馬自身の問題といたしまして、やはり「馬の改良増殖」ということが一つの目標になっておったわけであります。そういう意味におきまして、特に競馬会の収益をそれに当てるということで、冠として「馬の改良増殖」と書いて、「その他畜産の振興」ということで全般的に使いたい、こういううたいの文句でございまして、私どもといたしまして、馬を増殖していくという計画は現在持っておりません。
  221. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の答弁で大体わかりました。この言葉の使い方、「馬の改良増殖」というのをその大目標にして出して、「その他畜産の振興」と、どうもこの辺がせっかく法律改正案を出した意気込みからいっても、将来の農林行政、畜産行政からいっても、どうもこの用語はあまり的確でなかった。それでいいです。答弁は要りませんが、きょうは私はこの程度にじておきます。
  222. 大森創造

    ○大森創造君 もうひとつ、さっきの畜産振興事業に対する補助というのは、畜産の法人化された組合だとかあるいは畜産事業を扱っている総合農協とか、それから都道府県や市町村というものは入りますか。
  223. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 私どもといたしましては、国の予算あるいは都道府県の予算等の充実につきましては、国の予算を中心としてやって参りたい。特にこれは民間的に、補完的に上積みとしてというのですか、補強的にやっていこう。こういう意味で、都道府県、市町村の予算化されたりあるいは議決をされたり、そういう都道府県、市町村を対象には原則としていたしておりません。
  224. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますと、市町村で、そういう畜産の団体なり事業団体がある、それに対する県の補助や町村の補助というのがありますね。そういう補助金のあるなしなんということは、その考える対象になりませんか。
  225. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) できるだけ補完的な意味でございますので、これはやはり都道府県の十分意見を聞かなければならぬと思いまするけれども、特に限定はいたしておりませんけれども、私どもといたしましては、都道府県や市町村を相手にする考えは、むしろやってはいかぬということじゃないですが例外で、原則といたしましては、例外的にそういうことはないとは申しませんけれども、特に御要望がありましてそれのほうが効率を発揮する、あるいはあえて効率を発揮するということはしてはならぬということではございませんけれども、具体的な事例によってはそういうことはあり得るかと思いますけれども、原則としてはそういうふうに考えておりません。
  226. 清澤俊英

    清澤俊英君 さっき資料をお願いしましたね、あの中から大体今の協会へ回される分がどのくらいになるのか、これらはひとつ、どうせこうやるからできていますわね。それでこれば、この勝ち馬の馬券の売上金総額でお願いしましたが、このほかに入場料、それ.を合算して、その他の雑収入があったらそれも合算して、ひとつそれからの総収益を出して、どういうふうに振り向けるか、お願いします。
  227. 森茂雄

    政府委員(森茂雄君) 承知しました。
  228. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 僕も資料ひとつ。現在競馬をやっている都道府県、それから市町村名ですね、それから過去にやっておった都道府県でやめた都道府県名、これを一覧表でどうぞお願いします。
  229. 清澤俊英

    清澤俊英君 いまひとつできましたら、あるかないかわかりませんが、できたら、競馬によって、それを原因にした犯罪数といいますかね、あるいは事故数というんですか、鉄道往生したとか、いろいろなものが相当あると思うんです。それを二つに分けて、できましたら……。
  230. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 本案につきま  しては、本日はこの程度にいたします。   本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会      —————・—————