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1962-03-22 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)    午前十時五十九分開会     —————————————   委員の異動 本日委員東隆君辞任につき、その補欠 として片岡文重君を議長において指名 した。     —————————————    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            森 八三一君    委員            植垣弥一郎君            木島 義夫君            重政 庸徳君            柴田  栄君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君           小笠原二三男君            北村  暢君            清澤 俊英君            天田 勝正君            片岡 文重君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   伊東 正義君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    林野庁林政部長 高尾 文知君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁業法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○森林法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁業法の一部を改正する法律案閣法第一三二号)及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案閣法第一三三号)の両案を一括議題といたします。両案は、さる十六日本院先議として内閣から提出され本委員会に付託されました。  それではまず両案の提案理由説明及び補足説明を順次聞くことにいたします。中野農林政務次官
  3. 中野文門

    政府委員中野文門君) 漁業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国漁業は、総じて申しますと、戦後漁場拡大と技術の進歩によりましてめざましい発展を遂げておりますが、漁業経営体の大部分を占めます沿岸漁業は、一部の養殖業を除き不振であり、また、沖合遠洋漁業は、漁業種類により、経営規模によりまして生産性格差が著しく、その経営は必ずしも健全とは言いがたい状況であります。これに加えて、近年遠洋漁場における国際的制約も年々きびしさを増しており、また、近時漁船性能向上による稼動範囲拡大等に伴い、沿岸沖合漁場における漁業調整も、次第に困難の度を加えて参っておる実情であります。  このような事態のもとにおきまして、今後のわが国漁業の健全な発展をはかって参りますためには、沿岸漁業の中の発展的漁業のより一そうの伸長を期し、不振漁業漁業転換を促進する等、弱小経営の体質の改善をはかるとともに、沿岸沖合漁場における漁業調整広域化合理化を推し進める等の諸施策を強力に実施し、漁場利用合理化漁業経営近代化を推進する必要があると存ずるのであります。  このような考えのもとに、政府はかねて水産庁漁業制度調査会を設置し、漁業制度改善に関し調査審議をお願いして参りましたところ、昨年三月その最終答申を得ましたので、今回この答申を参酌し、これに広く各界の意見を加味して、この法律案を取りまとめ、今国会に提出した次第であります。  次に、法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、漁業権制度に関する改正であります。まず第一点として、現行法制定後における漁業事情推移に応じ、特定地域における定置漁業の一部、真珠母貝養殖業小割り式養殖業等を、漁業協同組合等管理する場合に優先的に免許するいわゆる管理漁業権に加える等、漁業権分類を再整理することといたしました。  第二点といたしまして、いわゆる組合管理漁業権につきましては、漁業協同組合組合員がこれを平等に行使することに伴う経営規模零細化弱小経営乱立の弊を是正するため、従前実績を有する者等同意を前提としつつ、漁業権を行使し得る者を特定資格を有する者に限ることができることを明確にいたしました。  第三点といたしまして、漁業免許優先順位に関する規定改正し、定置漁業につきましては、資本導入経営合理化を促進するため、地元漁民の大多数が直接構成する漁業協同組合等のほか、これらの漁業協同組合等議決権出資の過半を占める法人にも免許の第一順位を与えることとし、また、新規漁場におけるのり、かき養殖業等組合管理区画漁業につきましては、地元沿岸漁民のこれら発展的漁業への転換吸収を容易にするため、地元沿岸漁民の大部分を含む漁業協同組合等を最優先とすることとし、さらに、新規漁場における真珠養殖業免許につきましては、地元漁民の大多数により構成され、真珠養殖業経験者を含む漁業協同組合がこれを営もうとする場合には、従来最優先とされた真珠養殖業者と同順位とし、いずれに免許するかを知事の勘案に委ねることといたしました。  以上のほか、定置漁業権及び管理漁業権以外の区画漁業権について、経営上の要請を考慮して、当該漁業経営に必要な資金の融通のためやむを得ない限度において抵当権設定等を認めることとし、これに伴って、漁業権移転制限を一部緩和する等の点につきまして所要改正措置を講ずることといたしております。  第二は、漁業許可制度に関する改正であります。まず第一点として、従来大臣許可漁業根拠規定及び許可方式が、必ずしも統一的でなかったのを改め、指定漁業として政令で指定するものにつき、今後の漁業の健全な発展に資するような形においてその許可方式を統一的に規定し、あわせて許可事務の適正円滑な処理をはかることといたしました。すなわち、その許可指定漁業ごと許可すべき隻数その他一定の事項を公示して行なうものとし、許可申請隻数公示隻数を上回るときは、当該漁業経営安定合理化不振漁業転換漁業従事者経営者としての自立の促進等の諸要請を政策的に判断して許可基準を定め、これに基づいて許可をするものとし、また、指定漁業ごと許可期間の一斉更新制を採用して、許可ワク漁業実情に即して修正し得るようにする等、適切な漁業調整を確保する措置を講ずることとしております。この場合、実績尊重規定を設け、従来許可を受けて漁業を営んでいる者の経営の安定を不当に阻害することのないよう配慮いたしております。従来指定漁業について、許可船舶承継に伴い、広い範囲で認められている承継許可につきましては、許可権利化集中化を可及的に排除する見地に立ち、その範囲をできるだけ限定することといたしました。なお、母船式漁業につきましては、母船及び独航船等が船団を構成し、一体として行なう漁業である実態に応じ、その許可方式等を整備することとしております。  漁業許可制度に関する改正の第二点ば、いわゆる大臣ワク知事許可漁業に関してでありますが、中型まき網漁業につきまして、都道府県相互間の入会状況を考慮してその一部を大臣許可に移すとともに、国際関係から問題のある小型さけます流し網漁業を新たに大臣ワク知事許可漁業に加えることといたしました。  第三は、漁業調整機構に関する改正であります。近年における漁船稼動範囲拡大等に伴い、広域的な漁業調整をはかる必要性が強まっておりますため、政府は、別途海区漁業調整委員会の海区の範囲原則として一県一海区程度に整理統合することを目標に諸般の準備を進めておりますが、その一環として海区漁業調整委員会委員の定数を増加しますとともに、あわせて選挙委員選任委員の比率、委員任期等につきましても、所要改正を加えることといたしました。なお、そのほか、県間の入会関係が錯雑している玄海漁業調整円滑化をはかるため’水産庁付属機関として現地玄海連合海漁業調整委員会を設置し、その漁業調整に当たらせることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようにお願い申し上げます。     —————————————  次に水産協同組合法の一部を改正する法律にっき、その提案理由を御説明申し上げます。  水産協同組合は、漁民協同組織として全国の津々浦々において活動を続けており、我が国の漁業発展漁民経済的社会的地位向上に重要な役割を果たしているのであります。  しかしながら、近年における沿岸漁業及び一部の沖合漁業における経営の不振を打開し、漁業振興のための諸施策を推進するには、漁業協同組合その他水産業協同組合経済活動強化し、その健全な発達をはかることが必要と考えられるのであります。そのためには、従来とられて参りました組合育成強化措置をより強力に推進するほか、組合組織漁業漁民実態に即応するものとし、かつ、組合運営が一そう活発な経済活動を行ない得るように、組織及び運営に関する制度を改める必要があると存ずるのであります。  このような観点から、かねて水産庁漁業制度調査会を設置いたしまして、水産業協同組合制度を含めた漁業制度全般につきましてその改善策を御審議願っていたのでありますが、昨年三月に最終答申がなされ、この答申を参酌し、水産業協同組合組織及び運営等につきまして所要改正を行なわんとするのが、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、法律案の主要な内容につき御説明申し上げます。  第一は、漁業協同組合組合員資格についての改正であります。その第一点は、漁業協同組合構成員の純化をはかり、その活発な活動を期するため、漁民の正組合員資格要件である漁業日数の下限を引き上げ、またいわゆる地区漁協にありましては、正組合員漁業経営者に限る組合を設立し得る道を開き、また業種別組合にありましては、経営者組合としての性格を明らかにしたことであります。その第二点は、最近個人経営法人経営へ移行する傾向があることにかんがみ、従来准組合員でありました漁業生産組合及び小規模漁業を営む法人を正組合員に引き上げ、かつ、准組合員につき漁業を営む法人資格制限を緩和するほか、小規模水産加工法人及び漁業協同組合相互の加入の道も開いたのであります。  第二は、組合管理及び運営についてでありますが、これらにつきまして、は、役員の義務及び責任の明示、商法の所要規定の準用、剰余金出資割配当限度の引上げ、総代の総会外における選挙制採用等を行ない組合運営円滑化をはかるほか、設立の認可の基準にある程度の行政庁の裁量の余地を設けまして弱小組合乱立の弊を防止することといたしているのであります。  第三は、漁業自営する漁業協同組合及び漁業生産組合につきまして、漁村における近年の漁業労働事情及び資本導入必要性等を考慮して、組合の営む漁業に従事する者のうち組合員の占めるべき割合を三分の二から二分の一に緩和し、生産組合の一組合員が有することができる出資口数制限を廃止したのであります。  第四は、漁業協同組合連合会につきまして、会員たる漁業協同組合または同連合会が主たる出資者または構成員となっている法人准会員資格を与えるほか、信用事業を行なう連合会につきましては、その事業漁業協同組合組合員が直接利用できる道を開くとともに、その事業農林中央金庫等代理業務を加えることにしたのであります。  以上申し上げました諸措置のほか、行政庁監督規定を整備する等、組合の健全な発達を確保することにいたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  4. 梶原茂嘉

  5. 伊東正義

    政府委員伊東正義君) お手元にたしか配付してあると思うのですが、漁業法の一部を改正する法律案提案理由補足説明水産協同組合法の一部を改正する法律案補足説明を簡単に申し上げます。  最初に、漁業法のほうから申し上げます。今政務次官から提案理由の御説明にありましたように、わが国漁業は非常に漁獲高等におきましては、世界で一番というような水産国の実を上げておるのでありますが、中に入ってみますと、沿岸漁業カキ養殖でありますとか、特に一部のものを除きまして全体として低い生産性にとどまっておる。それから沖合い遠洋漁業生産性のいいものもございますが、格差が著じい上に不安定な経営が多い、また近来わが国漁業をめぐりまして、国際的にいろいろな制約強化や、またその他中小漁船の性能が向上して参るというようなことに伴いまして、漁業量調整も、ますます困難となっていることなどいろいろ内部には多くの問題がございます。今後わが国漁業の健全な発展をはかりますためには、各種の漁業振興政策のほかに、今問題になります法律漁場利用改善合理化というようなことが不可欠であることが、先ほどの提案理由説明で御説明があったとおりでございます。このような事情がありますので、漁業制度調査会答申もありましたので、これを参酌しながら今度の立法措置を講じまして、この今回の法律案を提出することになったわけでございます。  改正案骨子でございますが、大きく分けまして、第一は、漁業権制度改正の問題が第一番目でございます。それから第二番目には、許可制度許可制度大臣許可知事許可がございますがこの許可制度改正ということでございます。それから第三番目には、中央漁業調整審議会のいうようなものの強化をはかりますとともに、海区漁業調整委員会について、ある程度の改正を加えるというようなことが、大きく分けまして改正骨子になっております。  第一番目の漁業権制度改正でございますが、まず第一点は、漁業権分類内容を整理したことでございます。  まず、漁業権の中で定置漁業権につきまして、実は青森県の陸奥湾でいろいろイワシ等対象とした漁業でございますが、その行使方法輪番行使になっているというようなことで、現在の第二種共同漁業であります小型定置と類似しているということから、現地でもいろいろ希望がございまして設置場所水深、現在は法律で二十七メートルとなっているはずでございますが、その水深のいかんを問わず、共同漁業として取り扱うことといたしました。  それからもう一つは北海道で、やはり定置でございますが、ニシン、イワシ、マス、サケというものを主たる漁獲物とします定置漁業は、一定の深さがなくても、現行法ではこれは定置漁業だということで組合が持ちます共同漁業権から別な取り扱いをしたわけでございますが、これは最近の魚群の回遊状況変化等がございまして、サケを除きましてほかのものは全部これはこの際特例をはずして、共同漁業のほうに入れるというふうに改正をしたわけでございます。  それから次に、共同漁業でございますが、この中で第三種共同漁業となっておりますしいらづけ漁業というのがございます。これはおもに九州地方に多くございますが、これは沖合いから数十マイル外までというようなものもございまして、非常に沖合いまで漁業権ということになっておりまして、いろいろ問題がございますので、これは漁業調整上の問題もございまして、共同漁業からはずしまして漁業権としない。必要があれば、知事許可漁業とするというふうな改正をいたしております。  それから内水面の共同漁業につきまして、これは増殖義務のあります第五種の共同漁業と、増殖義務のない第二種から第四種までの共同漁業権がございますが、これは個々の対象は多く競合する場合が多いので、これらは制度上の均衡を欠いているというふうに考えられますので、全部第五種共同漁業権というふうにしたわけでございます。  次に、漁業権定置区画共同という三つに今分類されておりますが、そのほかに漁業免許適格性でございますとか、あるいは優先順位に関連しまして団体管理漁業権とその他の漁業権に区別しております。団体管理漁業権といいますのは、漁業協同組合だけが漁業権免許を受けまして、それを組合員に行使させるという形のものが団体管理漁業権でございますが、そういう漁業権とその他の漁業権分類されておりますが、現在の法律で、団体管理漁業権内容につきましても、その後の漁業事情推移に応じまして整理をすることにいたしました。現行法では、おもに漁家がやっている漁家漁業ないしこれに準ずる実体を有する多数の漁民漁場を集団的に利用する、そういう漁業につきましては操業秩序を保持するために、漁業協同組合とか、連合会管理主体とする優先免許という形をとっているわけでございますが、その後の事情推移によりまして、その考え方と現行法規定が必ずしも一致しないというような現状も出て来ましたので、団体管理漁業権としましては、共同漁業全部と区画漁業の中のひび建養殖、これはノリ等に類するものでございますが、その他カキ養殖あるいは第三種区画漁業であります貝類養殖漁業のほかに、新たにそう類の養殖であります、あるいは真珠母貝養殖業あのいは小割り式小型養殖業、これは小さないけすのようなもので養殖漁業、ハマチの養殖漁業をするというものでございますが、そういう養殖業組合漁業免許を受けて団体管理をするという漁業権に追加いたしまして、と同時に小割り式以外の大規模な内水面漁業等につきましては、これは逆に団体管理から除外するというような、団体管理漁業権についての分類を大体追加いたして、一つだけ落とすということをやっております。  それから次に、漁業権の問願の第二番目で、団体管理漁業権行使方法適正化をはかったわけでございます。これは従来は定款でもう組合員でありますと、各自が行使権を有するんだということで、平等の原則組合員が行使しますというようなことになりますと、経営規模零細化を来たしているというようなことも一部に見られますので、これは今度は組合の中で漁業権行使規則というものを作りまして、行使権者資格を限定するということをして、ある程度、全部が利用するのじゃなくて、順番に利用しますとか、あるいはある程度経営能力のある者が使うというようなことを考えたらどうだろういうふうに、行使規則を作るということを考えております。ただ、この行使規則を作りましたり、変更する場合には、これは第一種共同漁業権と申しますのは、根つぎのそう類を取りましたり、貝類を取るとかという地先のそういうものを取る漁業権でございますが、そういう共同漁業権にありましては、地区内に住所を有する組合員でありますものの三分の二以上の同意、それからそのほかの区画漁業の場合では、やはり当該漁業を営んでいる組合員の三分の二以上の同意を要するというようなことで、それは現在やっている人、あるいは住所を持っている人の意思を尊重しながら、行使規則を作っていこうというようなふうに若干改正をいたしております。  それから漁業権の第三点でございますが、免許優先順位に関する規定を若干改善いたしております。この中では定置漁業団体管理区画漁業、それから真珠というようなものにつきまして優先順位を若干改正いたしております。定置漁業につきましては、この漁業の性質上、やはり沿岸の釣とか、はえなわとか、そういう漁業は多かれ少なかれ操業の制約を受けるという事情がございますので、その見返りといいますか、地元のこれら漁業を営みます地元漁民に、定置漁業から上がります魚類の均霑をさせるというようなことで、地元漁民の大多数が直接構成する漁業協同組合あるいは生産組合、並びに人格なき社団というものに優先第一順位ということにしたのでございますが、今般は定置漁業実態にかんがみまして、やはり相当の資本が必要でございますので、地元漁民経営支配権を確保できるということでありますれば、資本導入というようなことも、ある程度考える必要があるのじゃないかということで、漁民会社普通漁民会社と言っておりますが、そういうものにも優先免許を与える必要があるのじゃないかということを考えているわけでございます。それから現在は、第一順位の中に、いわゆる人格なき社団というものも第一順位に入っていますが、これは構成員全員が共有の名義で免許を受けておりますし、一方また法律で、漁業権では持ち分の移転を禁止しておりますので、一たん免許を受けましたあとでは、地元漁民人格なき社団経営参加するということができないというふうなことになっておりますので、これは、今後はこれを直していきたいということで、第一順位からは落としております。しかし、急にそういうことをやりましても、地方の実態と合わぬことも出て参りますので、これは附則で当分の間は従前どおり第一順位にして取り扱う、将来はこれは改正を加えていこうというような趣旨にしております。  このような理由からしまして、先ほど申し上げましたように、漁業協同組合の自営あるいは漁民会社、すなわち漁業協同組合が社員または構成員となっている法人でありまして、組合議決権なり出資過半数を持っているというような漁民会社等につきましては、第一優先順位にしたということで、従来と若干変わりております。  それから次の優先順位の問題で、ノリ、カキのような団体管理区画漁業権はこれはいずれも発展していくのでございますから、今後はその適地に新しく新規漁場を開発していくということをして参りたいということで、構造改善事業等にもこれを取り上げております。したがいまして、新規漁場の開発ということにつきましては、実は新規でございますので、そこにはまだ関係業者はいない、あるいはカキ業者はいないのでございますが、これはそういうものはなくても、地元漁民の大多数を含む協同組合等を主体としたものについては、優先免許をするということで、沿岸漁業者優先免許規定を置いております。  第三番目に、真珠養殖業免許でございます。これは実は法律をやっております際に、漁業権の中では一番問題になった点でございますが、これは現行法真珠のほとんど全部が輸出商品であるというような商品的性格から、真珠養殖業経験のあります漁業者優先免許をするということは、現行法にもそうございますし、今度の法律でもその方針は貫いております。ただ過去一年間、そこで真珠区画漁業権免許がなかったというような新規漁場につきましては、この方式そのままやりますと、沿岸漁業者がやりたいという場合にも、新規なところでもできなくなるおそれがございますので、新規漁場は例外を作りまして、新規漁場免許につきましても、地元漁民の大多数が直接構成しております組合がみずからやる、自営をしたい、またはこういう組合が、社員または構成員となって議決権なり、出資過半数を占めている漁民会社につきましては、その中にだれか一人でも経験者があれば、その組合なり会社経験があるんだというふうに制限をゆるやかにいたしまして、従来の真珠養殖業経験者同一順位にして、知事さんがどちらにしたらいいかということを勘案してやったらどうかということで、新規漁場につきましては、真珠については従来よりは例外を開いております。  それから漁業権のもう一つの点で、漁業権存続期間の延長をはかったものがございます。これは区画漁業権の中で真珠養殖と、それから大規模漁類養殖につきまして存続期間を十年にいたしております。現行法では存続期間は五年となっておりまして、しかし五年たちますと、それは取り消しの事由がある場合を除きまして更新をするということになっておりまして、これを附則で停止しておるのでございますが、漁場の総合的な利用ということを目的とします漁場計画の制度の趣旨からしましても、これは区画漁業権のみに更新制度を認めるということは適当でないということで、これを停止しますとともに、生産期間が長いもの、あるいは資本等も相当にかかるというものにつきまして、先ほど申しました真珠養殖と、大規模魚類養殖だけは存続期間ば十年にいたします。  それから、漁業権の第五点でございますが、定置漁業と、管理漁業権以外の区画漁業、この二つのものにつきまして、現行法では相当これに担保権を設定いたしますこと、あるいは移転することの制限をいたしておりますが、その制限を一部緩和いたしております。これは現行法では一部認めながら、附則でその適用を停止しておるのでございますが、この際漁業経営者要請を考慮いたしまして、この附則は削除しますとともに、本則の一部を改正しまして、合理的な範囲抵当権の設定を認めたらどうか、経営に必要な資金の融通を受けるためにやむを得ないというような場合には、知事の認可を受けまして抵当権を設定できる、また滞納処分とか先取特権者とか抵当権者が権利を実行する場合には、知事の認可を条件としまして移転を認めるというように、定置漁業権、結合が管理いたします漁業権以外の区画漁業権につきまして、今申し上げました担保物件の設定等の一部緩和をしたのが、この改正でございます。以上が漁業権につきましての改正でございます。  第二は、許可制度改正でございます。これも実は漁業法をやります場合にだいぶん問題になりました点でございます。許可漁業には、御承知のように、大臣許可知事許可漁業がございます。  まず、大臣許可のほうから申し上げますと、現行法におきましては、大型捕鯨業、南氷洋でクジラを取るというような捕鯨業でございます。それから以西トロール漁業、これは東経百三十度以西でやっておりますトロール。それから以西機船底びき網漁業、おもに東海公海を漁場とする漁業でございます。それから遠洋カツオ・マグロ漁業、これは大西洋とか世界中どこにも行っております。こういう四漁業につきましては、指定遠洋漁業としまして特別に書いておりまして、その他の大臣許可漁業、たとえば北洋の母船式の鮭鱒というものでありますとか、あるいは母船式のカニでございますとか、そういうものはこれに指定してございませんので、すべて現在、法六十五条に基づきます省令によって全部許可制度をとっております。それで大臣許可といいましても、非常に統一されていないという現状でございます。現行法で今申し上げましたように、特に指定遠洋漁業という制度を設けましたのは、これらの漁業が他の漁業に比較しまし、て、おおむね資本漁業として考えられており、大体、資本と船舶に着目いたしました対物許可としての許可方式をとっておるわけでございまして、資本と船舶の要件を満たすものに対しては、すべてこれは平等に許可を与えていくという原則のもとに新規許可をする場合に、ワクが、制限があるというような場合にはくじ引きをやっていくのだ、だれでも資格制限がない。くじは一人で幾らでも申請できる。制限がない、また資格制限がない、くじ引きでやるのだというような法制になっておりますし、また、許可船舶の使用権がAからBに移りますと、Bという人は原則として許可も継続してもらえるというような許可方式になっております。しかしながら、その後の事情からいたしますと、今申し上げました四つの漁業だけを指定漁業として指定することば実態に合わなくなっておりますし、また対物許可という考え方の許可がこれが権利化をする。たとえば一トン何十万だというようなことがよく言われておりますが、許可権利化ということ、あるいは許可が固定化する、また資本集中の弊害も実は、ある一部に相当かたまるというようなことも見られます上に、こういう方式をとっておりますと、沿岸とか沖合いから遠洋へ出る問題、あるいは水産資源の保護とか漁業調整の見地、あるいは国際上の見地から転換をしていぎたいというような場合には、そういうことが円満にできませんので、今度の改正案では、指定遠洋漁業その他の大臣特別漁業という大臣許可漁業という区別を廃しまして、全部一本の指定漁業というふうにいたしまして、統一的にこれをやっていこうというふうな漁業にしたわけでございます。  それから第二番目には、今までは許し可にあたりましては、くじ引きとかいうようなことの制度になっておりましたが、今度は指定漁業許可にあたりましては、原則として一定期間の前にワクの公示をするという、公示制をとったわけでございます。水産動植物の繁殖保護とか、漁業調整その他の公益に支障を及ぼさないという範囲で、その指定漁業を営む者の数でありますとか、その経営事情等を勘案しまして、どれだけの船舶を許可するか、あるいはそのトン数別の隻数は幾らか、申請期間はいつからいつまでというふうに定めまして、一つオープンに公示制をやろうというようなことをまずやったわけでございますが、公示制をとりましても、従来のようにくじ引きというようなことでなくして、申請してきました隻数が公示隻数を上回るというような場合には、たとえばカツオ、マグロでありますと、カツオ、マグロをやっている人の経営安定合理化とか、あるいは資源の保護とか、漁業調整とか、沿岸漁業から沖合いへ出たいというための漁業転換でございますとか、あるいはその漁業の従事者が集まりまして、これを経営者として自立していくんだというような人につきましては、いろんな政策的な諸要素を勘案しまして許可基準を定めていくというようなことにつきまして、従来は無原則にと言ってもいいまでの、くじ引きというようなことをやっていたのでございますが、私はここに政策的ないろんな要請を入れて許可基準を作ろうというふうに考えております。  そういうふうにしまして、公示して許可基準を定めて許可をするということでございますが、その例外といたしまして公示をしない場合がございます。  その一つは、許可船舶を入れかえるという場合には、これは公示をしなくてもいいだろう。たとえば許可を受けた船舶が滅失しましたり、沈没しましたとして、他の船舶を使いますというような場合には、これは公示はしない。  そのほかもう一つは、今、許可船舶の使用権の承継ということも若干例外として考えてもいいのでなかろうかということで、承継を認めております。従来はこの承継につきましては、船舶に着目した対物許可という考えから、非常に広い範囲でだれにでもほとんど、漁業法適格性を欠く、たとえば過去において非常に違反したとか、あるいは労働条件の違反をしているというような適格性を欠く者以外は、非常に広い範囲で転々譲渡が認められたのでございますが、今度の改正法案におきましては、そういう広い範囲で承継を認めるということは、公示制をとりまして許可基準を定めて許可していくという原則にも反しますので、その承継を受ける人が、その経営が不安定かどうか、あるいは漁業転換を必要とするかどうかというような、人的要素を十分考えに取り入れまして承継を考えていこうということで、従来承継が転々認められた結果、許可権利化するとか、またこれが集中化するとかということを排除しょうということを考えております。それで、そういう例外の場合としまして、個人経営共同経営になりますとか、あるいは法人化するというような、相続合併に準ずるような船舶の承継の場合でございますとか、小規模のたとえば一ばい船主が経営を、二はいくらいにして経営規模を拡大したいとかというような場合でございますとか、あるいは沿岸とか、そのほか漁業資源の関係、国際的な関係で漁業転換の必要がある、あるいは従事者がまた漁業者として自立するというような新規を認めます場合の許可基準に合致したような人に限って承継許可を行なえるというように、非常にこれは限定をいたしまして承継許可を認めていこうというようなふうに考えております。  次は、やはり大臣許可につきまして、許可期間の一斉更新ということを考えております。現在はたとえばカツオ、マグロ漁業等、例でございますが、非常にばらばらで、船ごとに許可期間大体五年やっておりますが、そろっておりません。それでこれは資源の関係、あるいは漁業調整の関係からいきますれば、一つ漁業につきましては許可期間は一斉に更新しまして、そのときに一体資源はどうなっているか、もっとふやすべきか、減らすべきか、あるいは漁業調整上、もっとよけいやっても資源に心配ない、しかし、漁業調整にも心配ないというようなときには、もっと許可をしてもいいんじゃないかというような、弾力的に許可を運用できますように、許可期間の一斉更新ということを考えているわけでございます。これは現在の法律にはございません。しかし、一斉更新をいたしましても、従来の実績者がそのために非常に不安になるということでは、また漁業経営上、困りますので、資源関係その他で特別にワクを減らすという場合を除きまして、実績者には、ひとつ実績優先ということで許可をしょうというような規定を入れております。  これが指定遠洋許可のおもな改正でございますが、そのほかに現在中央漁業調整審議会というのがございますが、この機構を活用いたしまして、これは従来、こういうところに諮問いたしますのは非常に限定されたことでございましたが、今度は今申し述べましたように、許可のワクをどうするか、あるいは許可基準をどうするか、承継の基準をどうするかというようなことにつきましては、事前に中央漁業調整審議会の意見を聞くというようなこともいたしますし、許可の公示等につきましては、たとえば主務大臣がそうやらぬでもいいという考えでやらぬ場合もありましょうし、また、いろいろやるべきものもやらぬと思われるときがございますれば、これは主務大臣に、中央漁業調整審議会からもっと許可のワクを広げたらどうかというような建議を出してもらうというふうに考えております。また、この中央漁業調整審議会の構成につきましても、大臣が会長というようなことをしておりましたが、こういう会長制は廃しまして、漁業者漁業従事者の代表委員を増加するというようなことを、実は考えておるわけでございます。  それからもう一つ法律をやりましたときに問題になりました母船式漁業でございますが、この漁業は現在これは指定漁業になっておりませんで、六十五条の規定に基づきます省令で実はやっておりまして、その省令に基づきまして、母船、独航船それぞれにつきまして、主務大臣が使用承認をするというような省令になっておるのでございますが、これはひとつ法律にはっきり書こうということで、母船式漁業というものは、母船と独航船等が、独航船の、あるいはこれは鯨でありますれば、探鯨船とか、そういうものがありますが、そういう母船、独航船が一体となって操業するところに特色がございますので、母船の許可にあっては、Aという母船は、B、C、D、E丸というそういう独航船を連れて行くのだということでありますれば、母船の許可にあっては、母船とその同一船団に属する独航船を指定しまして許可をします。ついて行きます独航船等許可にあっては、自分の母船は何だ、AならA丸というふうに指定されたその母船について行くという許可をもらうというように、許可方針について、若干特例的な規定を設けたわけでございます。大体以上が大臣許可漁業についての規定ございます。  次に、知事許可でございますが、これはまき網と鮭鱒流し網、地びき網につきまして、若干改正を加えてあります。従来はまき網につきましては、農林大臣が六十トン未満の船舶によります、まき網漁業につきまして、県を指定しまして、その県の許可隻数は幾ら、トン数幾らというようないわゆるワクづけということをやっておりますが、これは大体その後の漁船の能率の向上等によりまして、数府県にわたってやっておりますのは、四十トン以上くらいの船舶が多いので、これを六十トンを四十トンにしたということと、従来は六十五条の省令で知事許可漁業としてやっておりました三十トン未満の「小型さけます流し網漁業」これは今問題になうております北洋の鮭鱒の三十トン未満の許可漁業でございますが、こういうものにつきましては、大臣ワクを幾らというふうに、国際的な関係その他から、そういうワクづけ漁業ということにしたわけでございます。それから現在六十六条でこれは共同漁業権の中にありますれば、許可を受けない地びき網の漁業の禁止の規定、これは共同漁業権にこれを規定してないという場合には、知事許可を受けなければやっちゃいかぬということが書いてありますが、これは六十五条で十分できますので、この六十六条の規定を廃止したわけでございます。これは事務的なことでございます。  以上が大臣許可漁業権に関する改正でございまして、そのほかに漁業調整機構としまして、御承知のように海区の調整委員会がございますが、これは非常に漁船の稼働範囲も拡大してきたというような理由からいたしまして、一県一海区ということを原則にやったほうが、県内の調整その他に適当じゃなかろうかと、もちろん例外は考えております。考えておりますが、原則として一県一海区というようなことにいたしました。そうしてその一環としまして、調整委員会の数を現在十人でございますが、これを十五人にするということで、現在選挙委員が七名、学識経験者が二名、公益代表が一名ということで十名で構成しておりますが、今度は選挙委員が九名、学識経験者四名、公益委員二名というような、十五人にいたしております。そのほか任期が二年で非常に短いということがよくいわれておりますので、この任期を四年にいたしまして延長いたしました。で、この海区調整委員会委員の改選は、これは今年八月十五日、これは申し落としましたが、中央漁業調整審議会も八月十五日に切りかえをするというような考え方をいたしております。それからもう一つ、現在連合海区漁業調整委員会といいまして、数府県に入り会って非常に問題のあるところに連合海区漁業調整委員会を有明とか瀬戸内に作っておりますが、長崎、福岡、佐賀の入り会い関係が非常に輻湊しておりますが、玄海灘の一部につきまして玄海連合海漁業調整委員会というのを設置しまして、三県の入り会いを調整しようということでいたしたわけであります。最後には、内水面漁業については内水面の漁業権者と一般の漁業者との摩擦を調整いたしますために、漁業権者が一般漁業者制限をするという場合には、知事の認可を受けた漁業規則による必要があるというような改正を内水面についてやっております。  大体以上が漁業法改正に関します内容補足説明でございます。  次に引き続きまして、水産業協同組合法の一部を改正する法律案補足説明を申し上げます。  改正のおもな点は、組合員資格改正いたしましたことと、それから第二点は組合管理運営の円滑を期するために所要規定の整備をいたしました。それから第三点は、漁業の自営ということをやります場合の制限を緩和いたしております。それから第四点は、漁業協同組合連合会につきまして、金融の問題その他について所要改正をいたしました。それから第五点は、水産加工業協同組合、それから連合会、それから水産業協同組合の共済会の規定につきまして整備をいたしております。それから独禁法の適用除外の特例があったのでありますが、これも廃止しまして、水産業協同組合につきましては、全部独禁法の適用を除外するというような改正をいたしております。そのほかは、いろいろ組合に対する監督の強化等をいたしたことが内容でございます。この法律も、漁業制度調査会答申を参酌いたして作りましたわけでございまして、漁民共同組織であります漁業協同組合なり、連合会の健全な発展をはかるために組織運営、監督について改正を行なうものでございます。  まず第一点の組合員資格改正でございますが、まず正組合員にっきましては、すなわち議決権及び選挙権を有しております正組合員資格でございますが、従来は漁民漁業日数が一年間に三十日から九十日の間で、定款で定める漁業日数を営んでおります者を正組合員にできるということになっておったのでございますが、これをしますと、三十日から九十日というのは非常に期間が短くて、漁民的でないという人々が組合の正組合員になるということで、いろいろ運営がやりづらいといいますか、運営がむずかしい面が生じますので、これを九十日から百二十日というふうに漁業従事日数を上げたわけでございます。これは経済事業体として組合活動して参りますためには、その構成員が利害を同じくする者で、均質的な漁民で構成しようという考え方からそういうことをいたしました、しかし、内水面は従来通りでございます。  それから次は、正組合員の追加でございますが、従来は漁業生産組合あるいは法人というものは、正組合員になる資格ばなかったのでございます。これは准組合員であったわけでございますが、最近の傾向からいたしまして個人と組合なり、あるいは法人というものについてそう区別する必要がないのじゃなかろうかというふうに考えまして、漁業生産組合も正組合員となれますし、また法人の中で比較的規模の小さいもの、これは常時使用する従事者が三百人以下、かっその使用する漁船の合計総トン数が三百トン以下であるもの、これは現在准組合員資格でございますが、そういうところまでは正組合員にしてもいいのじゃなかろうかということで、これは正組合員資格を追加したわけでございます。  それからもう一つ、正組合員の問題で大きな改正は、従来経営者と他人に雇用されておる従事者とを区別して取り扱いますことは、いわゆる業種別漁業協同組合ではこれを認めていたわけでありますが、今度は漁業協同組合が経済事業体として発展するためには、地区漁協といたしましてその実態に即して、経営者のみで漁業協同組合を設立したいというときには、そういうこともできるという可能性をしいたわけであります。また、他方、業種別漁業協同組合につきましては、これは漁業経営者組織体としての性格を明確にするということで、正組合員経営者に限ることにしたわけであります。これは正組合につきまして大きな改正点でございます。それから組合員でございますが、准組合員といいますのは、議決権と選挙権を有しない組合員でございますが、先ほど申し上げましたように、相当法人も正組合員になり得るというような規定を開きましたが、准組合員にはもう少し大きい人も准組合員にしてもいいのじゃなかろうかということで、従来の資格は三百人以下かつ総トン数三百トン以下ということが、准組合員資格でございましたが今度は常時使用の従事者三百人以下で、かつ千トンまでの法人については准組合員にしよう、それから業種別組合につきましては三百人以下二千トンまでは、これは准組合員として組合加入を認めようということにしたわけであります。  それから、そのほかに漁業と非常に密接な関係にあります水産加工業者につきましては、これは水産加工業協同組合に加入しておるものでもあわせて漁業協同組合准組合員に入り得る、また、常時使用する従事者が四十人以下というような小規模の水産加工業の法人につきましても、先ほど法人漁業協同組合の正組合員資格を認めましたと同様の趣旨で、これは准組合員にしてもよろしいということで窓を開いたわけであります。  そのほかに、現在の漁業協同組合につきまして、これが自営をする、たとえば定置の自営をするというような場合には、定置だけで業種別組合がありますと現在は入らないということになっておりましたが、こういう協同組合も、そういう業種別組合准組合員として入れるというように、組合員につきまして、組合員資格につきましてだいぶ大きな改正を加えました。ある程度の人を包容してやっていこうということと、もう一つは、その半面には均質化した人でやっていこうということで、一部を入れ、一部を落とすというようなことをやったわけであります。そういうことをしまして、二年間の間に、これは附則で二年間にそれに合ったような定款を変更するようにということをいたしたわけであります。ただ、現在正組合員である人が、漁業日数が不足する、あるいは業種別組合の従事者が正組合員であったものが正組合員資格を失うということになりますが、こういう人につきましては、必ず准組合員資格は少なくとも与えなければならぬというふうにいたしております。  今のは組合員資格の問題でございますが、次は、組合管理なり運営の円滑を期するために規定の整備をいたしております。漁業協同組合につきましても、合併をいたしまして、組合を強固にして経営組織をやっていこうということを考えておるわけでございますが、こういう合併しました地区の拡大に伴いまして、総会がなかなか条件が整いませんと、成立が困難になるというようなこともございますので、総会に出席いたします場合の代理人、現在はほかの人一人について代理し得るというような規定がございますが、それを二人までにする。あるいは正組合員の総数が千人以上というような大きい組合につきましては、三人までほかの組合員の代理ができるというようなことをいたしましたり、また総会の招集期日を十日から一週間にしますとか、あるいは総会の法定議決事項であります訴願訴訟というようなものは全部今総会の議決事項になっておりますが、これを漁業権、入漁権に関する訴願、訴訟だけに限るというような整理をいたしましたり、あるいは総会の延期なり続行の決議ができるというような商法の規定がございますが、こういうことも総会でできるというように、商法の規定等の準用もいたしておるわけでございます。また、従来は総会でやっておりました総代の選挙にっきましても、総会外でもできるというように、だいぶ組合の合併等によりますことから起きます問題等につきまして、いろいろ手当をしたわけでございます。内水面につきましても、内水面の漁業協同組合地区が非常に一般に広いので、総代会を設けました場合には、通常総会は開かぬでいいというような規定の簡易化をはかっております。  それから協同組合の役員にりきまして、この執行機関としての義務をはっきりしてもらう、あるいは責任を明確化する任務を怠りました場合には、その者は組合に対して連帯して損害賠償の責任を負いますとか、いろいろ条文の整理をし、また取締役と会社の関係、あるいは取締役の任期の伸長というふうな商法の規定も準用いたしますとともに、仮理事の選任は従来裁判所がやっておりましたが、これは行政庁でやれるというように実態に合うような改正をいたしております。  それから組合につきましてもう一つ剰余金の配当でございますが、従来はこれは払込済出資金について配当は年五分というふうに限定されておりましたが、増資の円滑ということをやっていきますためには、年五分ということはいささか低いので、農協等に合わせまして年八分以内ということで政令で定めることにいたしております。  そのほかに、漁業協同組合の設立につきましては、従来から非常に弱小協同組合乱立しているという問題がございましたので、これは行政庁にこの権限を与えまして、経営の基礎を欠くというような、これはどう見ても弱小組合で、今後これを維持することは困難だろうというような場合には、行政庁の裁量の余地を広げまして、これを認可しなくともいいというような、裁量の余地を広げることにいたしておるわけでございます。また、作りましても、九十日を経過しても登記もしないというような組合については、取り消すというような規定もいたしております。  それから改正の第三番目でございますが、これは漁業自営をやります協同組合生産組合の設置の条件を緩和したことでございます。これは最近やはり漁村でも、農村同様に漁業労働事業がかなり窮屈になっておりますので、自営をする場合には、その漁業に従事する者のうち三分の二以上が組合員でなけりゃならぬという制限がございますが、これを二分の一半分にいたしまして制限を緩和しまして、自営をやりやすくするというようにしたわけでございます。また生産組合につきましては、現在組合員の平均出資口数の二倍以上は、出資口数を持つちゃいかんという制限規定がございますが、生産組合でも、今後相当漁業をいたします場合に資本が大きくなって参りますと、こういう規定がございますと、なかなかやりづらいということになりますので、この制限を削除するということをいたしております。  それから連合会でございますが、連合会につきましては、その会員として漁業協同組合が主たる出資者であり、または構成員であるというような法人につきましては、准会員資格を与えますとか、あるいは信用漁業協同組合にありましては、農林中金その他の大臣が指定します金融機関の代理業務を加えまして、漁民の便宜をはかるということにいたしましたほかに、現在は漁連から単協の組合員には直接金が貸せない、または貯金を受け入れることはできないということになっておるのでございますが、そういたしますと、漁業協同組合が不振な場合、あるいは不振でなくても、その漁業協同組合組合員が大きな資金需要が要るという場合に、協同組合がなかなか信連から借りられぬという場合には、その組合員も借りられないということになりますので、その因果関係を定款で定めました場合には断ち切りまして、信連から組合員が直接借りられるというような規定を設けたわけでございます。  そのほかに、水産加工業協同組合とか、連合会あるいは共済会に関する規定改正いたしまして、四十人以下の小規模の水産加工業法人につきましては、現在は准組合員資格しかありませんが、これを正組合員にいたします。あるいは組合員なり所属員の経済的地位の向上をはかるために、水産加工業協同組合とその連合会に団体協約の締結権を認めますとか、あるいは水産加工業協同組合管理運営につきまして、漁業協同組合のいろいろな改正規定を準用いたしたような次第でございます。  そのほかに、水産業協同組合につきまして共済会がございますが、その数は千八百にも及んでおりますので、これは総代会で役員の選挙ができますとか、あるいは総代会を設けました場合には、通常総会の招集義務を免じますとか、所要規定改正をいたしました。  それから先ほど申し上げましたように、現在法律漁業協同組合につきましては、独禁法は適用除外になっておりますので、業種別漁業協同組合及び水産加工業協同組合員に対しましては、一定の条件をこえる、たとえば定置漁業をやっておりますような業種別漁業協同組合で、常時使用する従事者が百人以上で、組合員が三分の一以上ありますと、独禁法の適用があるのでございますが、今度は水産業協同組合につきましては、独禁法適用から全部をはずしたわけでございます。お手元にお配りしました補足説明の八ページ、前から六行目でございますが、「現在独占禁止法は業種別漁業協同組合及び水産加工業協同組合であって一定の条件をこえるものについては、」とございますが、これを一定の条件をこえるもの以外については、」とお直し願いたと思います。適用除外の特例がございますが、これを全部独禁法からはずすことにいたしました。  そのほか、いろいろ報告、徴収権の拡大でございますとかあるいは監督について強化をいたしておりまして、法律の整備をはかろうというのが、水産業協同組合法の一部改正の点でございます。  以上で補足説明は終わります。
  6. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で両案の提案理由説明及び補足説明は終わりました。     —————————————
  7. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、森林法の一部を改正する法律案閣法第八九号、衆議院送付)を議題といたします。  本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次、御発言をお願いいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  8. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 本案に出ています全国計画も地方計画も「政令で定めるところにより、」とありますね。その本文はまことに概括的な表現であるわけなんですから、政令を見せていただきたい。見出しはあるけれども、第四条が全国計画のあれですね、農林大臣のほうの……。それから地域森林計画、第五条ですね。この四条、五条の政令を見せていただきたい。
  10. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この森林法の一部を改正する法律案参考資料というものの最後のところに、森林法の一部を改正する法律案省令規定見込事項というのと、それから今お配りいたしました森林法の一部を改正する法律案政令規定見込事項と、こういうのと二つになっておりますが、ちょっと……。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから第四条の第一項の政令というのは、「林産物の需給等に関する長期の見通しの期間及び全国森林計画をたてるについて準拠すべき原則規定する見込み。」と、こうある。だからその長期の見通しの期間、内容、あるいは全国森林計画を立てるについて準拠すべき原則内容、これがわからなければ審議できない。旧法ですと、割合項目がずっと出ておりますしね、あれですけれども……。
  12. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 政令にまだできておりませんが、お配りしたこの資料では、こういうことを規定をする見込みでございますということをお示してあるわけでございます。この第四条の関係の政令の内容といたしまして、私ども考えておりますのは、この長期見通し及び全国森林計画の立て方でございます。第四条第一項の政令におきましては、長期の見通しは、先日来御説明いたしました四十年の期間について立てることとする。それから全国森林計画は森林の保続をはかり、及び次に申し上げますようなことを原則にいたしまして、森林施業の合理化に資するものでいなければならないというようなことを規定したいと思いますが、その内容といたしましては、幼齢林を皆伐しないこと。それから伐採跡地については、確実な更新をはかるというようなこと、あるいはまた土地の荒廃を引き起こすような施業を行なわないというような、そういう内容の政令を規定いたすつもりでおります。  次に、第五条の一項の政令でございますが、これは地域森林計画の立て方でございまして、地域森林計画を、毎年、都道府県ごとに、おおむね五分の一ずつの森林計画区について立てるということを規定いたしたい考えでございます。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 地域森林計画を立てる期限なんというのはありますね。
  14. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 法律のほうにございます。五年ごとに……、十年を一期とする全国森林計画がございますね。地域のほうは五年ごとに立てるという、「翌年四月一日以降五年を一期とする地域森林計画をたてなければならない。」というように、法律にございます。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それをあなたが第四条で、政令見込事項というものを立てられた。ところが第五条のほうでは、五分の一の森林計画区について定めるということを内容としてきめるのだと言っただけなんです。ところが見込事項のほうで、地域森林計画を立てる期限等について規定する見込みと、法律ではもう今あなたがおっしゃるように「四月一日以降五年を一期とする」というふうにあるわけですが、ところが政令のほうで定める期限というのは、どういうことなのか、その説明がない。
  16. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 毎年都道府県ごとにという、この毎年ということでございます。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで第四条では、旧法で生きておった程度のものが政令に回るということなのですか。今申しました幼齢林を伐採しないとか、伐採跡地に造林をするのだとか、そういうようなことは旧法では出ておるわけですね。で、このやはりきちっと旧法であったものが政令に委ねられてそっちにいって、またそれに加えられるものがある。だから原則的なものが、これは全国森林計画として非常に重要な制度ですから、制度上の政令に回る原則を明記したものがほしいのですよ。
  18. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 政令に回しました理由でございますが、この点につきましては森林の伐採許可制という、幼齢林の伐採許可制というものをはずしまして、届出制に変えたわけでございますが、そういう意味合いと同時に、森林所有者、経営者の自主的な経営によってこういったわれわれの期待しております問題についても、何と申しますか、実施をして参りたいというような考え方なのでございます。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう考え方であるから、原則的なことはそのつどつど変わる筋もあるので掲げないという意味ではないと思うのです。その政令内容を見せていただきたい。こんな、ここで条文として出ているようなものは三下り半のもので、どんなものが森林計画だか、ちっともわからない。はっきり申し上げると、どんなものを立てるのが森林計画なのかわからない。
  20. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この政令は、先ほども申し上げましたように、まだ確定をいたしておりませんので、私どもの考えておりますことを申し上げたのでございます。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 肉になる部分がわからないで、骨の寸法を適当にきめてただおまかせするというわけにはいかない。旧法ではある程度のものが出ておったが、今内容としてお読み上げになったものを見ても、旧法で示しておるだけのものもない。けれども、それだけじゃないと思う。実際皆さんおやりになるときは明細な政令が出るのだろうと思う。そういう準備を持たないで、森林法改正だなんというのでわれわれに提示して、それであとはまかしておけで、それは方針だけです。ところが、中央審議会のほうの答申なり、いただいたもので見ると、答申に基づいての国有林なり民有林にも、私有林、公有林、分けたその個別計画等、事務局案と称せられるものあり、あるいはまた、林業なんとかというようなものから出ているものあり、いろいろな考え方が出ておる。どういうふうになってくるのか、私たちにはわからない。今事務局として考えられておるものばかりででもいいから、明文化したものを示していただきたい。文書で配付していただきたい。ここに渡されているものは、ただこれこれのところを政令に規定するのだぞという条項だけ書いた資料ですよ。
  22. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お答えいたします。私どもかたまっておらないので、まことに恐縮でございますが、私どもの考えております範囲内におきまして、まとめまして提出をいたします。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが出たら質問しましよう。
  24. 北村暢

    ○北村暢君 この小笠原委員の質問するのも無理ないですよ。だから、私もこの問題は最初から言っているので、一体林業の、きのうかおとといですか配付になりました参考資料を見ますというと、あらゆるところから基本問題について、林業のあり方について意見が出ている。中央森林審議会、それから林業基本問題調査会の答申案、これは正式のもので、それ以外は全部経団連だとかなんとかの要望事項なんですよね。そしてみんなそれはそれなりに林業の基本というのはこういうふうにあるべきだ、こういうふうな意見が出てきているのですよね。こういうものを国会に正式に配付しておいて、肝心かなめの農林省は一体こういう意見をどういうふうに取り入れて林業の基本というものを持っていくのかということがわからないのですよね、実際は。それで、計画制度と保安林だけを改正するのだから審議しろといっても、実際問題として、その根本問題がわからないで審議せいといっても無理じゃないかと、私はこの間もそれを言ったわけです。したがって、この長期の計画というものも、見通しなんというものも、これはあるはずなんですね。従来も何回もやってきたんだし、あるはずなんです。国会に出すものでなければ、林野庁の中には、こういう計画というものは資料として作ったこともあるのだし、しかしながら、その第一期のものが三十七年度かで実は終わりになっている。林力増強計画、そして新しい法改正かなんかに基づいて新たにまた修正したようなものが出てこようとしているようでございますけれども、しかし、具体的な数字まで私は要求している。それは十月までしかできないというのですから、それはやむを得ないとしても、やはりここでいろいろな原則的なもの、どういうものについて、原則としてはこうなるのだというものぐらいは、やはり出さなければならない。長期の見通しなんていうものは、非常にばく然たるもので出てくるのですから、これは私はやはり出すべきじゃないか。それから森林計画の準拠すべき原則というものは、これを規定する見込みだなんと言わないで、原則はやはり出さなければいけないですね。そういうことを資料要求でもしておったのですけれども、なかなか出てきそうもない状況です。それですから、当然だれが考えても、この原則ぐらいのものは文書で出てこないと、審議対象にならない。どこへいくのかわけがわからないで森林計画だけ通せといっても、これは無理なんです。だから当然小笠原委員から、そういう要求が出てくる。これはこの前に私も要求しているところなんです。ですから、そういうものを何にも示さないで、大体行政庁にあらゆるものをまかしてしまうというのであれば、これはちょっとおかしいので、したがって、農業基本法なんかでも、グリーン・レポート、それからグリーン・プランというものを国会に報告することになっているのです。森林法だって、そういう観点からいえば、そういう原則的なものを長期計画を立てた、長期の見通しを立てたといえば、そういうものは国会に報告するぐらいのことが、法律規定にあってもいいんですよ、実際は。それが全部今までは農林省、林野庁は計画を立てっばなし。それがどういうふうに修正されて、どういうふうな経過だったかということも、全然国会へは報告されない。それであとは、全部行政権でもって運営されておる。この前の長期計画でも、それと同じものが出てくるのじゃないのですよ。今度は、造林にしても、林道にしても、違うものが出てくる、修正したものが出てくるはずなんです。そういう経過が、みんな行政権でもって、国会、国民の知らないうちに行政の専断でもってやられるということについては、これば問題があるのです。したがって、やはり林業でも農業でも、基本的な計画というものは、できたならば、これは国会に報告する義務がある。まあ法律規定しなくても、そのくらいのやはり配慮があってしかるべきじゃないか。それが今までなされておらないのです。勝手に修正し、勝手にやって、そして国民の知らない間にどんどん進んでいってしまう。これでは私はやはりまずいのじゃないかと思うのです。ですから、この法律には、国会に報告するような義務も何も規定はしておらぬけれども、しかし、やるべきこの全国森林計画の原則として、何と何と何との計画を立てるのだという、造林とか林道とか、保安とか、こういうことは、こういうふうな点についてこの計画を立てるのだというようなことぐらいは出てこないと、審議しろと言ったって、どんなものが全国森林計画で出てくるのかわけがわからないという中で、この国会で承認してしまうということは、これは何回も私は言っているのですけれども、不見識ですよ、そういうことは。今日、基本法なるものがやかましくいわれてきている状態なんです。それが出てこないのですから、当然今の小笠原委員の疑問なども出てくるのです。ですから、詳しい数字的なものまで出せといったって、それは出ないかもしれませんけれども、その長期の見通しというのは、これはばく然たる数字でもやはり出すべきだと思いますし、それから森林計画の原則的なものは、具体的に政令の骨格になるようなものは、やはり出さなければ、論議の対象にならないのじゃないか、こう思うのですがね。それが出てから質問するということになるというとあれですが、そういうものは、やはり法律改正のときに準備してあるのが当然なのであって、そういうものを出されないで、その法律だけ通そうなんというのは、どちらかといえば心臓が強過ぎるのですよ、これは。だから私どもは、この前からもしつこく言っているんですよ。小笠原委員のその要求も当然だと思うのです。ですから、これはひとつ早急に出すということにしていただきたいと思うのです。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は北村君と違って全くのしろうとなんですが、このいただいた資料の中に、今も言われたさまざまな団体の考えというものが出ていますが、たとえば森林資源総合対策協議会というのは、これはどういう団体ですか。
  26. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この中心になっておりますのは、パルプ関係でありますが、ここにおきまして、この団体におきまして、森林資源関係の研究あるいはその他それに関連した普及等を行なっておる団体でございます。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 林業基本政策要綱という昨年の三月三十日に出たものですが、これは林野庁とはどういう関係なんですか。この文書は勝手に民間に出したもので、知らんものがここへ出てきたのですか。
  28. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) これは衆議院のほうでそういう御希望がありましたので、調製をいたしまして出したのでございますが、この前の資料の御要求のときに、衆議院のほうで提出をしたものも出すようにというお話で提出をいたしました。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 はい、わかりました。これで見ますと「需要と生産の長期間見通しをたてる。」とあって、農林大臣の全国計画的なものが構想としてあるわけですね。ここに法文として出ているような……。ところがそういう見通しを「たて公表する。」とあって、その次に、そのための「生産見通しば、林業経営体により作られる経営計画(小所有者は組合等により協同して)を基礎として地域別にたてる。」そこで、上記の見通しは、全国の需要と生産との見通しというものは、そういうものを積み重ねてきて立てるとあるようですね。こっちの法文のほうは、農林大臣が全国計画を立てる、それから都道府県知事は全国計画に基づき政令に基づいて、そのもとに民有林の計画を地域的に立てるとある。ところが、これのほうは下のほうから立ててきたものによって、一つの生産の見通しというものを立てる。こうあるようですね、私の読みようでは。これらは一つの例として申し上げているのですが、それらのことがこの法文とは逆な関係で、ある業界なら業界が基本政策として考えているのですね。これらはどうお考えになっておりますか。本文でお尋ねしてもいいわけですが、実態として全国の需要と供給の計画、見通しというものの基礎となるべき地域の生産の見通しというものが先に立たないで、全国的に総合的に打ち立てたもので、天くだりに地域割にそれを割り振りしていくという形になっている。この法文とはどういう関係になるものか、こういう点等も考えると、政令というものがどういうふうにできてきて、この運用が円滑にいくものかきまってくるようにも思う。そういう点もあってお尋ねしておるわけで、どうもこの団体や答申やいろいろの意見があるようですね、読んでみますと。
  30. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その形でございますが、提出をいたしました資料の長い表のうちの森林法の一部を改正する法律案関係資料、昭和三十七年三月という資料の二ぺージ、三ぺージをごらんいただきますと、森林計画がどのようにしてどういう内容で立てられているかということを図表にいたしまして掲げたものがあるのでございます。こういう全国森林計画におきましては、これをごらんいただきますように、伐採方法あるいは造林方法、保育方法、造林樹種の決定あるいは伐採方法を特定する森林の決定、それから標準伐期齢、そういうものの決定基準を作るわけでございます。それと同時に、保安施設事業の計画、保安林の整備計画、基幹線林道の開設量の計画、造林面積それから伐採立木材積というようなものを計画をいたして参るわけでございます。それが森林計画地域におりましてそこにあげてありますような具体的な計画になるのでございますが、この森林計画を達成いたしますために、個別の森林計画を森林所有者がそれぞれ立てまして、この趣旨に従って経営をして参るということになっておるのでございます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、法文の原則は上から下ですわ。それで私の尋ねるのは、いやそうではなくて、経営者経営計画を基礎にして見通しを立てろと言うておる業界があるのですね。それはどうだ。
  32. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点もごもっともな点もあるわけでございます。しかしながら、国全体の需給の調整あるいは国土保全という面から森林を考えますときにやはり一定限度を越えることは、非常に将来に及ぼす影響が憂慮されるのではないか。したがいまして、この限度範囲内におきまして大いに自主的に森林の経営をしてもらうということが、私どものこの新しい森林法改正の大きなねらいとなっておるわけでございます。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのもっともな点はあるが、それ以上のもっともな点があって、こういう法文になるのだという意味でしょう、多分。そうすると、実態としては、この全国計画というものは腰だめで、一応作って、そしてあとはやはり地域から上がってくるもので、あるいはその他の調査等も加えて本格的なものが作られ、それが法文にも書かれているような森林の現況、経済事情等に変動があるとき必要と認めるときはという条項に基づいて政令内容等、基準等をどんどん変更している、そういうふうになっていくのが、実態でないのですか。最初出されるものがあくまでもきちんとしたものであるというわけにはいかないのじゃないですか。
  34. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点でございますが、腰だめという、まことにどうもお言葉を返して恐縮でございますが、腰だめということではないのでございますが、一面また数字的その他にきちっとした計画を上から下へおろすということも困難な、この森林という、林業というものの実態を見ますときに困難なことでもあるわけでございます。したがいまして、この法律におきましても即してということを書いているわけでございます。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでここに今初めて私もうかつで表を見たのですが、ここにいろいろな内容が全国計画あるいは地域計画として盛らるべきものが設けられておりますね。それでこれらならこれらでもいいから、四条、五条の政令になる部分のものはさっきも申し上げましたとおり出していただきたい。この表にあるような要綱が政令になるというならこれだけでもよし、まだあるぞというならそれをつけ加えていただきたい。
  36. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 政令の内容はこの範囲で考えております。     —————————————
  37. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、東隆君が辞任され、その補欠とてし片岡文重君が選任せられました。     —————————————
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ほんとうにこの範囲だけが政令内容ですか。
  39. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そのとおりでございます。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでも四条には「農林大臣は、政令で定めるところにより、」ということで、もうそれを大前提、政令を大前提にしてそれで重要な林産物の需要及び供給並びに森林資源の状況に関する長期の見通しを立てる。この長期の見通しを立てるほかには、さまざまなものさしやなんか政令がないのですか。
  41. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 長期の見通しにおきましては、期間だけを一応政令に規定をいたしまして、その他は長期の見通しでございますので、きのうその見通しの仕方については概要を御説明したのでございますが、ああいう方法によりまして見通しを立てたい。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのああいう方法とはどういうものを示すのだということは、政令には出ていないわけですか。そのときどきの実態に林野庁の考え方で出るわけですか。
  43. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 需給の見通しは、需要の見通しとそれから供給側の見通しということになるわけです。そのほかには特に需給の見通しの中では考えておりません。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じゃまずそれはその点だけにして、政令は出していただくことにして、もう一つは、森林法というものが、これは全くの私のしろうと論ですが、森林法というものが日本の林業の基本を示すものだとあり、また、需給の関係をも考慮されるという部分がその範囲として出てくるなら、絶対量として日本の木材資源が不足している部分についてカバーする外材の輸入と申しますか、その方面についてのそれは、こういう見通しというようなものは出てくるのですか、出てこないのですか。また、それらのことは森林法には何もどこにも書いてないのですが、実態としては不離一体、平仄を合わせて進むべきものでしょうが、これらのものについての方針等は、どういうところでどういうふうに立てられるのですか。
  45. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 需給の見通しの中には、仰せの輸入あるいは輸出という問題も出て参ります。その点については、森林法では触れておらないのでございますが、見通しを立てて参ります上には当然必要になって参りますので、そういう点を考慮しておるわけでございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今後の輸出の部面もそれはあるでしょうが、いろいろな形の材が出てくるということはあるでしょうが、輸入の問題が一番大きいと思う。輸出によって、日本の貿易をこの方面の輸出で伸ばしていこうなんという大それた考えは日本にないと思うのですね。ですから、輸入の点だけで一応考えますと、今後の見通しとして、今後森林法による具体的な計画を立てて計画生産、計画伐採等をやるにしても、需要のほうの関係からいうと、年間どれぐらいずつ輸入を要するものか、端的に、簡単でございますから。
  47. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 現状は八百五十万立方程度でございます。将来二十年後程度には二千万立方程度まではふやしたいということで、それが限度ではないかと考えております。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今は幾らですか。
  49. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 八百五十万から一千万程度でございます。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その内訳はどういう材質がどこからどういうふうに入っているのですか。
  51. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御説明いたします。最近の情勢を御説明いたしますと、ラワン、フィリピンを主体といたしますが五百八十万立方、米材が約二百万、それからソ連材が約百三十万立方それからニュージーランド、これは松でございますが二十四万立方、その他でございまして、大体九百万立方ぐらいになるかと思います。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それを計画的に今後拡大して入れるとなれば、どういう見通しになるのですか。
  53. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 輸入につきましては、やはり、まず港湾の設備というものも、貯木場の設備というものも考えなければなりませんが、同時にやはり価格上の問題もあろうかと思います。しかし、現状におきましては、大体この輸入に差しつかえない価格でもございますし、また、港湾の整備につきましては、関係の運輸省等でも昨年の緊急対策以来かなり協力をしてもらっておりますので、将来にわたりまして私どもも努力をして参りたいと考えております。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、今ラワン材、ソ連材あるいは米材その他の松というふうに出ていますが、これはどういうふうに移り変わっていくのですか。
  55. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ラワン材でございすが、ラワン材は現在フィリピンが主体でございますが、このフィリピン等におきましても、素材で輸出をするということが次第に困難になっておりますので、カリマンタン等の他の地方からの輸入ということを逐次進めて参らなければならないと考えております。それから米材につきましては、現在の価格程度で推移いたしますとしますと、これは順調に、将来私どもの期待といたしましては三百万立方あるいはそれをこすようになるかと思っております。ソ連材につきましては、これはまあ、ソ連という国情もございますが、最近非常に値上がりが出て参っておりますが、これも現在程度ですと、別に輸入がしにくいということでもないようでございますので、これも逐次ふやして参らなければならないというように考えております。その他、ニュージーランドその他はかなり有望なところでもございますが、こういう点は将来にわたりまして努力して、輸入の開発をしていかなければならないと考えております。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、どこも木材を豊富に持っておるというわけじゃない。もう特定国としてほとんどきまっていますね。それから、現在八百五十万立方入っており、二千万ぐらいを期待するとなれば、その期待がどこに向けられて、どの程度のものをどこから入れてやっていこうとするのか、それを聞きたい。
  57. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 主体は最初に申し上げましたラワンそれから米材、ソ連材、こういうことになるかと思っております。こういうもので総合をいたしまして二千万立方程度が限度ではないかというように考えておる次第でございます。
  58. 北村暢

    ○北村暢君 そこでラワン、米材等でありますが、今後伸びるのは北洋材のソ連材ですよ、貿易計画の。ところがこの前の日ソ貿易協定で今年度の、来年度ですか、輸入予定が二百五十万立方予定したところが、協定では二百五万立方でしょう。この協定成立しちゃったですね。計画からいえばすでにそこで四十五万立方不足するようになっているんです。ですから輸入の見通し一つにしてもラワン、それから米材等の輸入はあなた方が考えておる計画の数字を見ましてもあまり伸びないですよ、伸びていけない。カリマンタンの開発等で若干フィリピンの輸入よりは伸びますけれども、あそこの輸入計画の中で一番伸びるのはソ連材です。そういうことを予定しておるのですね、ソ連材がおそらく五百万立方くらい予定しているんじゃないですか。何かそういうような計画のように、ちょっと私見ましたけれども、それがすでに二百五万立方で貿易協定が成立しているんです。そういう状態の中ですでにそこで輸入計画において大きな誤差が出てくるということがあるわけです。ですから、そういう需給の見通しというものについて輸入材がどうなるかということについて、国内材がどうなるかというふうなことでとたんに問題が出てくる。で、私どもの見ている目では、国内の需給面においてとてもこれは対抗できないということで、数字が合わなくなってくると輸入をふやしますという、まことに不確定要素のものを、輸入でやる、あるいは合理化で生み出すんです、これは将来の不確定要素というものを基準にして計画というものが相当出てくる。林業全体がそういえばそうだと思いますけれども、とにかく現実の問題としてそういう問題が出てくる。ですからそういう面から言えば、今後における輸入計画の中でソ連との長期の貿易協定というようなものをやはり進めていかなければならない方針というものが出てくるんじゃないかと思う。それが行き当たりばったりであるという形では、輸入というものについても計画的なものが期待できない、私はそう思うんですが。ですから輸入の計画等についても、今長官が答弁しているようなことでは、ちょっと納得いかないんで、実際は数字があるんですよ。私は見たことがあるんだからあるはずなんで、それが出てこない。ですから来年度あたり二百五十万立方予定しておったのじゃないですか。それが二百五万立方でとどまったということは事実なんですね、そういうことはないんですか。
  59. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 二百五十万の計画に対して二百五万ということは、そのとおりでございます。この事情につきましては、こういう事情もあるのでありますが、たとえば製材、製品で入れますとかなり入る見込みがあるんでございますが、現在ソ連の製品が日本の規格に合わぬということで、ソ連と折衝をいたしましてこちらの規格に合うような製品を生産をしてもらいたいという折衝もいたしておるのであります。それにつきましては製材設備その他につきましても、ソ連とこちらとの間には相違もございまして、そういう問題等の解決も必要なのでございます。私ども主体にいたしておりますのは、素材でということを主体に今回の折衝等もいたした関係もありまして、そういうことも起きているのでございます。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今度はこの法文で行くと、計画造林なり、あるいは計画伐採なり相当長期の見通しを立ててやるということになれば、外材の輸入についても長期の見通しなり輸入の計画がなくてはならぬだろうと思うのですね、そうすると、それがラワンにどの程度たよる、ソ連材にどの程度たよる、あるいは米材にどの程度たよっていくという計数がある程度出てくるのだろうと思うんです。そういうことが狂ってくれば、国内のほうも狂ってくる。需給の見通しもまた狂ってくるわけなんです。だから、一つのこれはポイントだろうと思うのですね。外材の輸入の問題についてはもう少し、今ソ連材について言われましたから、ソ連材でお尋ねするが、向こうの規格品として出てくるので困難であるなら、それが外交的に折衝されて解決するとなったら、どういうふうな手だてを講ずるのかお尋ねしたい。私も昨年ハバロフスクやイルクーツクに行った。ハバロフスクのほうには、向こうの現地のこのほうを担当する方もいるし、イルクーツクのほうには、極東地域の経済計画を立てる御大将もおって、そういう方たちにも会ってお話も聞いて来た。向こうには向こうの言い分があるのです。ハバロフスクなどでは担当官が、計画された木材引取りのことが、日本側の事情でおくれているとか、中止になっているとか、山ではもう切って積み出しできるようになっているのに、延々延びている問題があるなどという苦情を聞かされもしたのです。ことにあなたがおっしゃるように、ソ連材にたよるべき部分が非常に多い。小屋組みなどに使う建築材としては、その不足をカバーするのには必要なものでしょう。そうしてああいう国柄である。そうであれば、あくまでもこれは長期の貿易の計画というものがはっきりしていなければ、そのつどつどうまい工合にやるというわけにはいかぬだろうと思うのですね。昨年の緊急輸入と申しますか、木材高騰に伴う外材の輸入というようなのは、実態は計画どおりいったのですか。いかなかったのですか。
  61. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) むしろ計画をオーバーした形でございます。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その際主として入れたのは、どこから入れたのですか。
  63. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ちょっと今数字を持っておりませんが、一番多かったのはアメリカだったと思います。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことが自在にできるということが、今後の見通しとして何年ぐらいそういうことができるのですか。
  65. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御質問、計画よりかなりオーバーして入るような情勢がいつまで続くかということでございますか。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうです。ほしいというときはすぐ持って来る状態が、国際的にいつまで続くかということです。
  67. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この問題でございますが、先ほど申し上げましたように、素材を製品という兼ね合いの問題もございます。したがいまして、この取り方によりましては、製品等で取りますと、かなり見通しは明るいと思います。ただ、素材にこだわりますと、ときに困難な場合も出てくるかと思います。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 日本側の将来の見通しとしては、素材で取りたいということなんでしょう。そうすれば困難性も起こってくる、それらを打開して二千万立方というものがきちんと入るという見通しがあるんですか。
  69. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この二千万立方と申し上げましたのは、二十年後の推移を見通した段階に立ちましてのことでございます。私どもといたしましては、現状のような推移でいけば期待できるんじゃないかというように考えております。現在すでにもう一千万近く来ております。参考に申し上げますと、三十五年度が六百三十万立方でございましたか、たしかその程度だったと思いますが、三十六年度は八百五十万を目標にしてそれを上回っておるわけでございます。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、こだわるわけではありませんが、ソ連材の輸入というものに、端的にウェイトを置くのですか、置かぬのですか、将来の見通しとして。
  71. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 置いて参ります。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今いろいろ言われているような困難性を打開するというのには、日本の事情、ソ連側の事情、どっちにネックがあるか、どっちに問題点が多いと考えられますか。一方的に、ソ連側がどうも思うようにいかぬという問題を含むのだということですか。
  73. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 両方に問題があると思います。私どもの考え方の素材を主張いたしておりますのは、この規格の面と、それから加工業の面でございます。加工業が原木不足で悩んでいるというような面、こういう面があるわけであります。したがいまして、できるならば素材をよけいほしいという考え方でございます。それからソ連の立場といたしましては、向こうで加工したものを取ってくれれば、向こうの加工の事業が助かるというような、そういった対立的な立場にあるわけでございます。その中において規格が、私どもといたしましてはこれは需要という面からいきますと、製品でもいいわけでございますから、日本の用材の規格に合うものが出てこないというところに、非常な欠点も今あるわけでございます。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ソ連材を入れておる商社は特定商社ですか。
  75. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) こちらで指定しているわけではありませんが、ソ連と折衝をいたして取引をしているわけでございます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは会社名はどういうところですか。
  77. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ちょっと、今会社名の資料を持っていませんので、後ほどお答えいたします。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう特定の商社が入れた木材が、国内で案外利幅が多く方々にわたっているというような現状はありませんか。
  79. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 昨年の初めごろの情勢ですと、そういう情勢があったようでございます。しかし、ソ連のほうもこちらの国内事情をよく見ておりますので、今回の協定では、必ずしもそうでないようになっておるようでございます。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その口ぶりを聞くと、輸入業者がけしからぬ行為に及んだために原価のほうが高くなって、日本国内の末端の価格というものが下がらない。やはり依然として高いものを使う、割高ですよ、割高のものを使うという結果になるというふうに聞えるのですが。
  81. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点は国内の木材市場価格というものがこざいます。たとえばソ連の一例で申し上げますと、エゾ、トドといったような、これは北海道にあるわけですが、そういうものの流通価格というもので利幅が出てくるわけでございます。必ずしもそういった輸入商社が意識的にやったということにもとれないかと思っております。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私いっか聞いたように思うのですが、その輸入商社は何か特定のところにしか出さないという.ようなことで、一般が困っておったということがあったのですか、なかったのですか。
  83. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点は、十分に私存じておりませんが、まあ輸入商社自体の取引でございますので、あるいはほしいと言うほうに売らなかったというようなことがあったかもしれませんが、私存じております範囲では聞いておりません。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 時間も参っておるようですから、この程度にいたしますが、森林法とは直接関係がないようでも、やはり外材の輸入ということは、今後の需給の見通しということについても、本格的に問題とすべき点があるわけなんです。これらの見通し、今後の対策、そういうようなものはやはり通産省のほうも関係しておられるでしょうから、参考までに計数等を出して資料としていただきたい。
  85. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 関連して一点だけ御質問いたしますが、大体昭和三十六年度中に八百五十万立方輸入の見込みだということなんですが、おそらくこれは感じとしては、それだけ入れよう、ぜひともそれだけ確保しようということで八百五十万立方メーターに達するんだということでなしに、成り行きの面に自然に入ってきたものの集計が八百五十万であったということを、私はあえて言えるのではないかと思うのです。と申しますのは、多くの場合輸入が伸びたり縮んだりしておるわけなんですが、この中の一番ポイントになるものは価格ですね、だから、国内価格が相当高いというときには、確かに競ってソ連材にしても米材にしても入ってきておるが、入ってきたものが上手に消化されておる。こういうことなんですが、過去における米材の輸入なんかの足取りを見てみますと、国内価格の上がり下がりともう完全に歩調を合わしておるということが言えるわけです。そこで、現在は価格を、少なくとも現在以下の水準に長期にわたって安定させなければならぬという対策をいろいろ講じておられるわけです。そういうこととの関連において、たとえば二十年後にしろ、現在八百五十万立方の倍量以上に達する二千万立方メーターをそこに期待をするんだということが、すべて私は簡単に手放しで言えないと思うのです。現に三十七年度のソ連材の成約状況なんかを見ますと、かなり三十六年度に対して上がっておるのです。ところが、国内には、どうしても上がっておってもソ連材を使わなければどうにもならないような工場設備を持っておる地域というものがあって、そしてそれをどうしても引き入れてこなければならぬ、こういうことになりますと、むしろ輸入を促進をするということが国内価格の水準を引き上げていくというようなことになるおそれというのは多分にあるわけだ。それがある程度の高い水準でないというと、外のものはスムーズに入ってこない。こういう問題が私は木材の輸入についてはもう将来ともつきまとう問題である。ところが、現在はソ連材といわず、米材といわず南洋材といわず、あくまでも商社ベースで入れさせておる。ですから、すべては結果論で判断をせざるを得ないような状況になっております。数量問題もしかり。その数量問題を決定するのは、ただいま申し上げたように、そのときの国内の価格水準というものと一体不可分の関係からいって消長しておる、こういうことになる。こういうことなりますと、相当計画的な輸入というものを、しかも大量にそして将来伸ばす方向で取り上げていこうということになりますと、よほどその間の調整的な何と申しますか、ものの考え方を十分におやりにならないというと、今のようなことでは、私は二十年後といえども、手ばなしに倍増になるということは、なかなか期待できない。しかも昨年の八百五十万立方メートルにしても、やはり昨年の木材の高価格の反映としてあれだけのものが入ってきたというふうに判断をせざるを得ないのではないか、こう思うのですが、そういう点につきましては、林野庁の見解をひとつはっきりさせていただきたいということと、それから少なくともソ連材の場合におきましては、相手方の窓口は一本ですが、日本国内の窓口は非常にたくさんである。それがそのときどきの状況にもよりますが、いつの場合を見ても、非常に競り合いという形で一方窓口のほうとの交渉をやっているというのが現状です。おそらく、西欧等にも輸出している木材の価格というものがありますから、そういうものとの比較において、ソ連側は日本に対する木材の価格というものを交渉しているに違いありませんが、しかし、今のような輸入態勢それ自体が、やはり折衝の過程においても、価格をつり上げておるという点も現実の点です。そういうものはそのままにしておいて、しかも国内の価格は押さえなければならない。ところが、しかし比較的高いときにしか入って来ない。こういうような非常に矛盾したものがからみ合って、現在の輸入というものは行なわれておるというふうに、一口に言えば言えると思うのですが、その辺のところについて、ひとつ端的な御所見を聞かしていただきたい。
  86. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 確かに御指摘のような点がございまして、国際的な価格の関連というものは、非常に敏感に響いて参りますので、慎重に検討をいたさなければならないのでございますが、この輸入材のうちで最も順調にいっておりますのは、価格が安いというせいもありますが、南洋材であります。南洋材の輸入につきましては、南洋材輸入の協議会という協議会的な体制ができておりまして、これによって調整を、非常にうまく調整をして、輸入が行なわれておるようでございますが、私どもといたしましても、もっと大きな力と申しますか、もので、このほかの地方調整もしなければならない段階ではないかというような反省もまた検討もいたしておるのでございますが、さしあたり、こういった自由な経済下におきまして、まずとるべき方法といたしましては、そういった南洋材に見られるような内部的な団体と申しますか、協議会制のようなものを考えまして、これを奨励をいたして逐次その方向へ進んでおるようでございます。そういうことによって、まず私どもは、御指摘のようなソ連に対するいろいろな足並みのそろわないことから起きるこちら側の不利というものは是正をし、同時に輸入の態勢を確立をしていかなければならないと考えております。
  87. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 もう一点、外材を極力多量に輸入したいということは、昨今に始まったことではないので、少なくとも終戦以来今日まで、連綿として続いておる林野庁の方針なんです。かように考えるのですね。ただいま南洋材の話が出ましたけれども、南洋材といえども、従来の変化を見ますと、そういうふうに手ばなしでお考えになることは、私はたいへん危険であるということと、南洋材につきましては、米材とかソ連材とかいうように国内に直ちに比較される競合材というものがないということなんですね。そういうことのために、比較的他のものに比べまして安定的な過程を続けているけれども、過去の十数年の歴史を見れば、決して手ばなしでは楽観をできないことだと思うのです。したがって、国内価格との問題を十分に考えながら、しかも極力大量に入れていかなければならないという要請にこたえていくためには、私は今のような、言うならば手ばなしのことだけでもって、結果だけを見て判断をするという手放しのやり方では、なかなかどちらかがくずれてくるというふうに考えます。そういう声が、やはり外材を扱っている広い関係方面にほうはいとしてあるわけですね。したがって、ただいまのいろいろの御質問等の中にもありましたように、やはり外材の計画というものが、国内の将来の需給見通しを立てる上に非常に大きなポイントだということは当然だと思うのですね。それであればそれであるだけに、よほどやはりそれに対しまするこちら側の考え方もしっかりしてかかりませんと、私はただ単に結果が八百万入りましたとか、六百万になりましたとかいうことになってしまうのではないかという危険を、この際十分お考えいただかなければならぬ、かように考えるのですがね。そういう点は、どうでしょうかね。
  88. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもも、御指摘いただきましたような点につきまして、また基本問題の答申等でも触れておるのでございます。その問題について、内部でただいま検討はしておるのでございますが、現状におきましては、成案を得ておらないという状態でございます。
  89. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 暫時休憩をいたしまして、二時十五分から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      —————・—————    午後二時三十七分開会
  90. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君)委員会を再開いたします。  午前に引き続き、森林法の一部を改正する法律案閣法第八九号、衆議院送付)を議題とし、本案に対する質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  91. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はまずこの配付された資料、これについて質問いたしますから御用意願います。  この第五表以下のところであります。まず、第六表の昭和二十六年度以降の立木伐採量、こういうものがございます。これを見ますと、最高が七千八百六十四万九千立方メーター、最低が六千八百十六万二千立方メーターでございます、第六表。ところが、今度は第五表に返ってきますというと、まあいろいろ区分して書いてありますが、そのうち成長量の合計を見ますと、開発困難な森林、これは別であります。手がつけられないのでありますから、これは別でありますが、手のつけられるところを合計いたしますと、五千八百七十万立方メーターであります。そういたしますと、実際に伐採されておる、この第六表、これは実数でありましょうから、成長量よりもはるかに伐採量のほうが多いということになります。それで特に今度は、次の第七表の民有林と、今の第五表のところの民有林の成長量を対比してみます、そうすると民有林の成長量は四千七百五十万立方メーターでございます。ところが、第七表のほうの年平均の伐採は違反伐採を含めまして五千六百二十六万七千立方メーター、こうなる、こういうことで一向差しつかえないのですか、どうなんですか。
  92. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御指摘のように、森林の成長量を主体といたしまして伐採をして参るということは、これは当然でございますが、ただ森林の現状からいたしまして、先ほど御指摘の未開発林その他天然林におきましては、老齢過熟で、もうほとんど成長のとまったようなところも非常に多いわけでございます。したがいまして、その老齢過熟林分を新しい成長の旺盛な森林にかえていきませんと、伐採量の増加ということも見込めないわけでございますし、また生産力の増強ということもできないわけでございます。したがいまして、森林の現状の成長量をさらに上回りましてさような改良を要する林分は伐採を進めまして、それに人工林を育成いたしまして、この部分の成長量を拡大をいたしまして、将来における森林の生産力の状態をより増大をするという考え方によりまして、現在の森林成長量よりもよけいに切っているということになるのでございます。
  93. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは端的に言って、成長量よりもよけいに伐採しても一向差しつかえないと、こういうことだと思います。そうすると、その基準をわれわれにわかるように説明されればどういうことになりますか。どういう基準でやりますか。
  94. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 老齢過熟林分を伐採をして、現実の林分の成長量以上の伐採をして参りますわけでございますが、この基準はどこまでも将来の保続、生産の保続ということが基準になるわけでございます。したがいまして、将来長い期間におきまして伐採ができないようなことのないような計算をいたしまして、この増伐をいたして参っておるのでございます。
  95. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうでなく、私のほうがその答えを引き出すというのはしかるべきじゃないかもしれませんけれども、われわれがそう理解できるならば、この全森林面積のうちに蓄積量のほうからでもいいのですが、その何%くらいはもう成長のとまった林野である、これは同じ林野のうちでも一斉に全部がとまるということはないでしょうから、要するに面積でなくても蓄積量でもいいのですが、そういう基準があればわれわれに一番わかりやすいと思う。あくまでも将来を見て差しつかえないようにといったって、何かその言葉においては腰だめ見当みたいな印象しか受けない。その点、どうなんですか。
  96. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもがこういう計画を立てます場合には、森林それぞれの状態に応じまして保続表というものを作って参りますわけでございます。その保続表によりまして将来の収穫の保続を見通しを立てるわけでございます。ただここで天然林、人工林という分け方をした表が、先ほどの四表のところにもございますが、この中で一部の薪炭林を除きますと、大体天然林というのは、もうほとんど伐期を過ぎまして、何と申しますか、老齢過熟期になっているというように見てもいいかと思うのでございます。これをさらに少しく具体的に申し上げますと、人工林におきましては、現状は十年生以下が一千六百万立方メーター、それから二十年以下が四千百万、それから三十年以下が一億、それから四十年以下が一億三千五百万、五十年以下が一億二千七百万、五十一年以上が六千二百万、こういう形になっております。天然林におきましては、十年生以下が二千八百万立方、二十年生以下が一億八百万、三十年生以下が一億四千万、四十年生以下が一億二百万、五十年生以下が七千六百万、五十一年以上が九億九百万、こういう形になっているのでございます。  こういう形の中におきまして保続表を作りまして、これによって林種の転換、改良の計画をしながら伐採を進めて参ることになるわけでございます。
  97. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、五十一年以上は区分をこまかくされていないようですが、いずれにしても約五十年が目途ですか、それとも七十年なり、八十年なりによって、もう成長はとまらない状態ではあるけれども、しかし、その成長率というものは非常に少ないから、経済的に、まあ森林に採算がとれるか、とれないか——成長に採算がとれる、とれないというのはおかしいけれども、もう若い木を植えたほうが有利なんだと、どこが目途ですか、大体七十年か、八十年か、どの辺ですか。
  98. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その樹種々々によりまして先生の御指摘のようにやはり成長はとまらなくても、経済的には適当でないというような林齢のものもあるわけでございます。大体概括をして申し上げますと、七十年以上くらいはまずやはり成長は衰えていると見ても差しつかえないのではないかと思っております。
  99. 天田勝正

    ○天田勝正君 続いて第五表の「開発の困難な森林」、これはどういうカテゴリーなんですか。
  100. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) これは非常に岩石地と申しますか、高山地帯、急傾斜で開発が、なかなか林道を入れますのにも現在ではむずかしいのじゃないか、将来いろいろな方法も出てくると思いますが、そういうような状況のところでごいざます。
  101. 天田勝正

    ○天田勝正君 次は第九表の許容限度、申請数量、許可数量、伐採量、それぞれございますが、この許容限度とは何を基準にして、どういう係数をかけてこういうものが出たのですか。
  102. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この許容限度と申しますのは、幼齢林の成長量を基準にしてきめられているものでございます。
  103. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、これの許容限度は一部を除くと逐年減っているようにこの表では見えるわけですけれども、それは成長量がさっきの質問にあった老齢林を若齢林にかえるという、言うなればそのことが造林ということになるかと思いますけれども、そういうことがおくれているために、許容限度というものがだんだん減るのだと、こういうふうに解釈していいんですか。そういうことではないのですか。
  104. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この成長量は、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、適正伐期齢級以下の幼齢林の成長量でございまして、しかも針葉樹林の成長量でございますから、先生の今の御指摘のようなことにはならないと思います。
  105. 天田勝正

    ○天田勝正君 ならないというのは、つまり、ここにはたった四年しか書いてありませんけれども、三十二年から三十四年、この三年間は二百万立方メーターずつずっと漸減しているのですね。三十五年になると、今度は百万立方メーター逆に三十四年よりふえている。そういうふうに波があるのは、私が指摘したようなものでないとするならば、どういうことでそうなるのでしょう。ここにはわずか四年間のしか書いてございませんので、私も断定的に聞いているわけではありません。ただ三十二年が千八百四十八万一千立方メーターで、翌年は、これから見れば大体二百万立方メーター減になり、またその翌年は二百万立方メーター減になっている。こういうふうにこの三年間は、二百万立方メーター平均だんだん減ってきている。ところが、その翌年の三十五年になると、百万立方メーター今度はふえている。こういうふうに許容限度に波があるわけですね。これはわずか四年の間のことですから、その後も、またその以前も、全部推定するというわけにはいきませんけれども、そうだとすれば、おそらくそういう波があるのだろうと思うのだ。前もあとも、この波は、さっき私の指摘したようなものではないというお話があったから、そうでないとすれば、どういうことからこういうふうに波が出てきますか。
  106. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この森林計画は、御承知のように、年五分の一ずつ毎の地域を作っていくわけでございますが、そのそれぞれの計画を横に出しまして、この許容限度というものが出てくるのが一つと、それともう一つは、適正伐期齢級以下から適正伐期齢級以上に上がってくるものも出てくるというような、そういうような異動からこの数字が変わってくるのでございます。
  107. 天田勝正

    ○天田勝正君 次に第十一表、左の欄の総数のところ。これは三十一年の八十八万六千ヘクタールというのが最高、今度は中段の国有林のところでいきますと、二十万ヘクタールの二十八年が最高、民有林のほうにいきますと、同じく三十一年の七十三万二千ヘクタールというのが、最高に造林されておる。こういうことになっておりますけれども、ここにもずっと——時間短縮上一々言いませんけれども、二十七年から三十五年の表で、造林に非常に波があるわけであります。波があっても、それは一向差しつかえないのであって、これは計画どおりにいっておるということですか。計画の達成率というパーセントは、どこにも出てないのだが、その点はどうなんですか。
  108. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この三十一年を境にしまして減って参っておりますが、これは、三十一年度までに、戦時中から終戦後にかけましての造林に際し、これを逐次片づけて参りまして、三十一年にこれが大体終了をしたのでございます。そういう関係でこれまでがかなり多くなっておりまして、その後一たん減りまして、またこれが今後ふえていくというような形になるかと思います。
  109. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、今後減るかふえるかは別としまして、このそれぞれの欄の統計——総数、国有林、民有林とありますが、それぞれこれは計画どおりに達成されておるのですか、おらないのですか。また達成率が百%をこえたという場合も、私はあり得ると思うのですが、その点はどうなんですか。
  110. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 次のページの十三表をごらんいただきますと、昭和二十七年度以降の森林計画におきましての造林の計画と実行の経過が出ております。
  111. 天田勝正

    ○天田勝正君 はい、わかりました。  次に、私から見ますと、この表のうち、さっき指摘いたしました、成長量より伐採量のほうが少なくとも多い。この多いということが、必ずしも無理な伐採ではないのだという御説明がありましたが、それならば、戦時中のようにあちらもこちらも赤肌の山になるということはなくて済んだのじゃないか。これは、数字的なものではいかようにも出ましょうけれども、人の目で見るところによると、はっきり、箱根の山でも赤肌山になったということは御記憶だろうと思います。ところが、それは結局過伐だから——逆にさっき長官が説明されたように、それを補植しなければいけないから、だんだん造林数をふやして、三十一年がピークになったのだ、こういうこととどうも矛盾するように思いますが、そうじやありませんか。
  112. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その戦時中の伐採と、この森林計画による増伐というのとは、私、別に考えておるのでございます。戦時中の、どちらかと申しますと計画的でない伐採、こういう伐採が行なわれましたために、昭和三十一年度までかかりましてそういった造林未済地の植栽を進めておいたわけでございますが、私どものこの表にも説明をいたしておりますように、計画的に伐採を増加して参りますためには、やはり先生の御指摘のように造林を確保していくということは、これは確かにそのとおりだと存じますが、造林をせずにほうっておくということが、一番問題になることかと思います。そういう点につきましては、計画生産の実行によりましてそういうことのないようにしていかなければならないと思います。
  113. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで今回の法律改正によりまして、針葉樹の若齢林及び保安林等の制限林の立木を伐採するには都道府県知事許可を受けることを要するとあったのを、許可を要しないことにした、その場合若齢林を必ずしも制限をとったからとて、むやみやたらに森林所有者が私は切るとは思わないけれども、戦時中のようなことが起こる危険もそこに何かあると思う。だから、これは決定的に私はまだ主張する段階ではありませんけれども、いずれにしても若齢林だけは何か野放しにするということでなしに、経過措置なりなんなりとる必要があるのではないかという気がしておるのです。決定的にそうしろと、今主張しませんけれども、そういう点はどうなんでしょう。
  114. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御指摘のように、伐期齢未満の老齢につきましては、皆伐をするということは好ましくないことでございます。しかしながら、その木材の利用構造というものも逐次変わって参っておりまして、必ずしもその適正な——適切といいますか、基準伐期に達しなくても利用が可能なものも出てくるわけでございます。昭和二十五、六年ごろのこの現行の法律ができましたころには、やはり若い森林にまで伐採がかなり及ぶのじゃないかというようなことで、こういう措置がとられたわけでございますが、その後の実績を見てみますと、先ほど御指摘のありました表のようなことになって参りまして、そういうことも勘案をいたしまして、今度許可制度をはずしまして、あらかじめ三十日以前といいますか、あらかじめ届出を出させて伐採をさせるということになったわけでございます。で、このあらかじめ届出の出ました期間におきまして、こちらが指導をし、また森林法の達成上思わしくないものにつきましては、勧告もして参るということになっておるわけでございます。
  115. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこなんですよ。今までは許可制だった。許可制の場合は拒否権があるのですから、しかるべからずと思えば、しかるべからずとして不許可にすれば、それで事が済む、ところが今度は届出制なんですから、指導助言なんといってみたところで、届出を出せばいいんだ、全体の計画上、届出があればどれだけどの樹種が減るとか、どこがまだ植栽していないとか、そういうふうなことがわかるので、次の十カ年を一期とする五年ごとの計画を農林省で立てるのに都合がいいからおそらく届出を出させるのだ、こう私は思うのだ、だからそれを届出を出したから云々といってみたところで、届出を拒否するわけにいかぬ、こうなると思うのです。そこで若齢林の場合は——老齢林なら向こうが切らずにいれば、所有者のほうは損なんですから当然なんです、ところが若齢林の場合だって、資本主義の原則ですよ、それより若くったって高く売れれば切る、こういうことになると思うのですよ。だから制度としては、それはやはり野放しということにどうもなるのじゃないか、実際は今までは足場丸太なんかというのが高いものですから、必要は発明の母で、ついついそういうものを足場にしないことになっちゃって、パイプで足場を作ると、こういうふうになったと思うのです。ところが、今度は別に許可なんか必要なしに、今まではそう切らなかったとはいうものの、実際ばどうも許可がおりそうもないというので、許可を出す以前においてちゅうちょするということが、これは制度があればそういうことがあり得る、心理的に。ところが、今度は切ったっても何にも自分のものを切るのに届出さえ出せばかまわないのだ、こういうことになれば、それはやはり安くなりますよ、安くなれば逆に鉄パイプの足場が何にとってかわる、今度は若木の丸太にとってかわるということもあり得るのです。だから、法律を議論する場合にはやっぱり制度として野放しにするのかしないのか、ここが問題なんでして、私は今どうも指摘したような危険が出てくるのだろうと思うのですがね。どうですかね、そういうことはないと言われますか、長官。
  116. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点の心配もあるかと存ずるのでございますが、何分にも過去の経緯を見てみますと、まだ四〇%程度も許容量の余裕があるということと、同時に一時より見て参りますと、森林所有者自体の経営に対する関心、そういうものも非常に上がって参っております。同時に、造林に対する意欲も非常に上がって参っております。そういうようなことと同時に、この届出によりまして、まあ届出出ればいいのだという、そういう考え方、それからこちらの資料の収集のためと、これもあることはありますが、主たる目的はやはり森林計画に沿った経営をしてもらうというところにねらいはあるのでございます。そのためにはやはり森林所有者自体が自覚をして、森林の計画的な経営ということに目ざめてもらわなければならないと思うのでございます。そういう点につきましても普及員制度というもみの拡充強化によりまして、十分森林に対する森林所有者なり経営者の自覚というものを促して、勧告ということを無理に実施しないでも、計画の期待に沿った経営ができるように私どもとしても努力をしなければならないというように考えておるのでございます。
  117. 天田勝正

    ○天田勝正君 長官、私はただ森林所有者や森林経営者だけが欲にからまってどんどん切ってしまうということだけで実は議論しておるのじゃないのです。ものは制度ですからね、たとえば都会といってもよろしいが、土建業者等がこれは近くの森林を切ってきたほうが得だというようなことで、半分無理やりに強制するという、あるいは誘導するということも起こりますし、で、そういうところだけを見るのも、これもまたへんぱなんであって、逆に自覚を必要とするのはむしろ政府側だったりすることがある。戦時中の過伐なんか政府側なんですよ。別に森林所有者がやたらに切りたくて切ったわけでもない。だから、森林所有者、経営者だけが自覚してもらえばいいということは、ちょっと制度を考える上においては少しく長官言い過ぎですぞ。そういうことなんで、私の質問には言葉が足りない点があったかもしれませんけれども、そういう全体をくるめて私は質問しているつもりなんです。でありますから、どうも許可をしなくてもどんどん切れるということになれば、案外若齢林というものが時に政府の、時に地方庁の都合でそれが逆にされてあった、そういうほうへ助言なんかされちゃって過伐されるということもあり得るのだから、これは戦時中ほどむちゃなことをやらぬだろうというなにもありますよ、信用も。まあ、この点はこの程度にしておきますが、ところで、次に助言指導とさっき答弁にありましたが、それとともに、資金の融通あっせんその他必要な援助を行なう。これだれが行なうかというと、農林大臣と都道府県の知事がやるというのですね、今度の改正で。ところが、農林大臣や知事がちゃんと手厚くそういう実情を見て実際に自分がやってくれるならばまことにけっこうだけれども、実際問題としてはやれっこない。その地元の林務課の出張員かなんかがやるくらいが精一ばいだ。そうなると、結果は助言だの指導だのというのは、法律に書けばこういう文字になるけれども、いばられるだけであって資金の融通のほうは一向にどうもあっせんはしてもらえないという結果が、これは私は山のことは知らぬけれども、ほかのことでよくあることなのです。そこで、こういう一体資金の融通あっせんというのは農林大臣と知事が行なうというのですが、これはどうやるのです。政務次官、ちょうど農林大臣かわっておられるから、どうやるのです、実際には。
  118. 中野文門

    政府委員中野文門君) 私もあまり勉強いたしておりませんが、お説の援助の対象及び内容は大体これから申し上げますような点でございます。林道の整備、造林等を行なうものに対するその事業資金につきましては、現行の農林漁業金融公庫の融資を拡充強化する。さらに、森林所有者その他森林経営を行なうものに対しましては、森林施業についての助言指導を林業改良指導員を主体として常時実施をすることでございます。さらに、施業の合理化のため普及指導事業の中で個別経営計画の編成を助長いたします分収造林の希望者に対しましては、分収造林契約の締結につき積極的にあっせんをすることにいたしております。人工造林地の保育のため林業経営維持改善資金を融通いたしまするとともに、この資金の対象を拡充いたしまして施業合理化に寄与できるように検討をいすことにいたします。木材、薪炭の生産者に対する生産資金を森林組合を中心といたしまして融資することになっておりますので、さよう御了承願います。
  119. 天田勝正

    ○天田勝正君 それだけじゃ了承しないね。過日、農林漁業金融公庫法の改正案が本委員会で通過しました。その際に、森林法改正に基づく資金のあっせんも今度の答申に含まれるのだということはどこでもだれでも説明を聞いた人はなかろうと思うのです。だから、融資のあっせんをするといったってこれは金のことだから、その金がなければあっせんもできないのですよ。でありますから、私は政府側におかれて農林漁業金融公庫のうちにこの改正をするのを予定して増資をするとか、あるいはその中に、既存の資金源でありましてもその中に別ワクを設けで、これこれは森林法改正に基づいて融資ワクとしてとっておかなければならない、こういうものがどうしてもなければ空文に終わると思うのですが、それはどうですか。政務次官
  120. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この公庫の融資の資金の問題でございますが、この造林をさらに進めて参りますために昨年度二十二億一千万の資金のところで本年度は三十三億六千万に増加をいたしております。また、林業改善維持資金につきましては昨年度十億に対しまして二十三億二千万というように大幅に増額をいたしたわけでございますが、こういつたことによりまして、この林業の改善ないしは造林の推進という問題に寄与して参りたいと思っております。
  121. 天田勝正

    ○天田勝正君 その貸し出しの窓口は農林漁業金融公庫ですか。
  122. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そうでございます。
  123. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、足らなければ、事国に関する限りは、さらに次の臨時国会なり、あるいは来年度なり、法律ができておればしかるべきときにしかるべき額を、可能な額を繰り入れを行なうなり、あるいは別ワクを設けるなり、ほんとうをいうならば、農林漁業金融公庫でもいいのですけれども、ばく然とその資金をふやすということでは、どこへいくやらわからないのだから、ワクをきめる、これが一番望ましいことである。しかし、今現在しなくても、この法律には差しつかえない。国がやり得るならば、次の機会にしかるべき措置をとってもいいのですからね。だけれども、この法律知事もあっせんするのだ、こう書いてあるけれども、それじゃ地方庁に対する手当はどうしているのですか。知事もあっせんするのだ、知事は、かりにまあ通称いう黒字県というほうは、これはまあ別段政府のほうで手当してやらなくても独自に予算措置なり何なりできるかもしれない。ところが、赤字県ときたら、今だってもう余裕がなくなっているのに、上のほうで、法律だけわれわれが通してしまう。ところが、それに対する裏づけが何も見てもらえないで、法律義務規定だけはあっせんせいと、こう書いてある。こうなってはやり切れないということになると思うのですが、その点どうなんですか。
  124. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 融資の場合には知事原則として意見書を書いて出されるのであります。それから補助金の場合には、国の補助に対しまして県がまたさらに補助をするというような場合が多いのでございます。
  125. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、ここに過日補足説明で言われました指導助言、融通あっせんその他必要な援助、こう説明されたわけですが、必要な援助というのは補助金や何かが必要な援助なんで、融通という部面は、これは都道府県の知事に対してはただ法律規定をしたというだけですか。端的に私は聞きますが、どうなんですか。何も裏づけはないのでしょう。  なお、付言いたしますと、長官のおっしゃる申請をするとか、地方庁独自において補助金を出すとかというのは、それはこの間説明のあった「その他必要な援助を行なう」、このほうでしょうがね。「融通」というのは、別に特記してあるのだから何かしなければならない、何かするために、赤字県ならばできない。今までの施策で赤字なんだから、ここに森林法改正されて、その分だけがプラスになるということはできないと見るのが普通なんです。できるというならば、そっちに使うから、今まで必要なほうを削らなければならない、こうなる。やっぱり困難はずっと残っていく。でありますから、政府がそれを特別考えていないとすれば、地方庁のほうのはただここに義務だけを規定したということに自然なるのですが、どうですか。
  126. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 現状におきましてはそういうことでございますが、「必要な援助を行なうよう努めなければならない。」ということ、私どもともに努力をしなければならないと考えております。
  127. 天田勝正

    ○天田勝正君 融通のほうはないということだ。私は、この間説明はこういうふうに聞いたのですよ。「農林大臣及び都道府県知事は、全国森林計画及び地域森林計画の達成をはかるため、森林の施業を行なう者等に対し、助言、指導、資金の融通のあっせん」、ここで一つ切って、「その他必要な援助を行なうよう努めなければならないものといたしております。」、こういつているのです。だから、それは今の質疑応答で明らかなように、いろいろな書類を政府のほうに出してくるとか、独自の補助金を出すとか、そういうものは一番末尾の「その他必要な援助」なんであって、融通というのは、「助言、指導、資金の融通」と並べてあるのですが、資金融通の部面は、これは目下のところは地方庁のほうに義務だけを負わせている、そういうふうに了解していいのですね。
  128. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 援助を行なうように努めるものとするということでございまして、先ほどの繰り返しになりますが……。
  129. 天田勝正

    ○天田勝正君 その義務だけを与えたことになる。そういうふうに認めるほかない。  その次に、今度は地域森林計画について意見がある者に意見を申し立てる道を開いた、こうこの間説明されました。それで、その意見の申し立てをすることができるのは、今度はどこに書いてあるかというと、第八条に書いてあるのですね。それで、それは「森林所有者又は権原に基き森林の立木竹の使用若しくは収益をする者その他森林区実施計画に利害関係を有する者」、こういうことで規定しているわけなんです。所有者がいうのは当然です。それから使用または収益をする者、ここも何とかおかしいあいまいな規定とはいいながら、わかるような気がする。その次の森林区実施計画に利害関係を有する者、これは広義に解釈すると途方もなく広くなると私は思うのです。たとえば水源林とか——まあ水源林という言葉は普通用いていないけれども、関東地方のごとく、平地林がある。これは明瞭に平地林を切って飛行場にすれば、その付近は全部卓魃になっちゃうのです。それで御承知のとおり、平地林といったって三反歩もあれば、自然にその回りからしょっちゅう清水がしみ出る。だから、広い平野で平地林を残しておくのはもったいないなんて議論をするけれども、平地の膨大なところにおいては、やはりそういうところが必要だから先人が平地林というものを残しておるわけです。まあ、そういう余談をたくさん申し上げると時間を食いますからやめますけれども、そういうことで、この利害関係を有する者となったら、これはどこどこまでも広がってきますが、その範囲はどういうふうに政府は考えておるのですか。
  130. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) したがいまして「意見がある者は、」というようにいたしたわけでございます。だれでも意見申し立てができる。
  131. 天田勝正

    ○天田勝正君 意見があって、たとえば地域森林計画というのが、たとえば只見のほうで行なわれた、そういうときに、足立区あたりまでその利害関係者に入るといえば入るのですね、利害はないとはいえないのですから。意見があれば、そういう者が、その計画は間違いでございますと、やめていただきたい、こうなりたときはどう処置されるか。
  132. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この改正案におきましては、地域森林計画に意見がある者は、公表があった日から起算して三十日以内に、都道府県知事に対して、理由を付した文書をもって意見を申し立てることができるようにいたしておるわけでございます。その申し立てを受けました都道府県知事は、誠実に処理をして、その結果をその申立人に通知をしなければならないというようになっております。で、この場合につきまして、地域森林計画を変更しなければならないと認められました場合には、都道府県知事はこれを変更するようにいたしておるのでございます。
  133. 天田勝正

    ○天田勝正君 結局、どんなに広範囲に意見のある者はいってきても一向かまわない、それとは何らかかわりなくその計画はやるし、また直すときは直すと、こういうことですね。
  134. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 意見とはかかわりなくということではなく、広く意見を聞くという——有識者ないし経験者の意見は広く聞いて、誠実に処理をして参るという趣旨でございます。
  135. 天田勝正

    ○天田勝正君 誠実に云々というのは、私はまあよくそういう言葉が法制局で通ったものと思うくらいなので、誠実といったって、みんな誠実というにきまっているので、不誠実にやりましたという人はだだの一人もないし、ですからそれは結局何かこういうまくら言葉があるということだけで、どこからでも意見を聞くという、出てきても一向かまわない、しかし、別にそれに意見を聞かなければならないといったって、それの意見に合致するように計画を立てなければならないということじゃないんでしょう。結局、だから端的にいえば、幾ら意見が出てきても、かまわない、こういう受け取り方をしても差しつかえないでしょう、いかがです。変更しなければならぬとは書いてない。
  136. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 決して関知しないという考え方ではないのでございまして、変更を必要とするような事情があります場合には、変更をするということでございます。
  137. 天田勝正

    ○天田勝正君 そういう場合に、公聴会のごときものでも開くのですか、開かないのですか、その点はどうなんですか。
  138. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この場合には別に開きません。
  139. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、たった一人のものが意見を言ったから、それに引きずり回されるということも——一人の人といえどもとうとい意見を言う人もあるから、それを全然無視する考えは今の行政上はよくない。よくないけれども、そうだといって、全部聞かなければならぬ、これもまた窮屈過ぎるということになるのですから、私は必ずしもあなた方のことを今攻撃しているのではないのです。ただ、全然耳を傾けないというのではございませんと言っているけれども、実際の処理上は、誠実にやれば耳を傾けぬでもいいようになっている。そうすると、逆にたとえば地方知事に圧力をかけ得るような人の意見だけがとかく取り上げられるというような危険性が出てきはせんかという、その前提で聞いておる。これはあまりいい例ではありませんけれども、たとえば運輸審議会の場合、これは公聴会もやる。利害関係人としてどなたが申し出てもよろしい。そこで、運輸大臣をきのうまでやった人がやめて、それでおれのほうへくる鉄道を認可しろという公述をやっても一向差しつかえないのです。今度は公聴会は開かないという話だけれども、今私が例にあげたように、一般の人があそこでそんなひどい計画をやられたらおれのところのたんぱは迷惑だというようなことがあっても、一庶民が言っている場合には、誠実に処理しましたと言えば、それで済んでしまう。あべこべにきのうまで大臣やっていた人が意見を出せば、これは自然の政治的圧力になって、そのほうはまかり通っていくというような危険にあると思うのですが、どうですか。
  140. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この段階におきまして知事が森林計画を変更をいたします場合には、第五条でございますか、五条の四項によりまして「地域森林計画をたて、又はこれを変更しようとするときは、都道府県森林審議会の意見を聞かなければならない。」審議会がございますので、その意見を聞いてやらなければならないということにいたしております。
  141. 天田勝正

    ○天田勝正君 その都道府県審議会はだれが任命しますか。
  142. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 知事でございます。
  143. 天田勝正

    ○天田勝正君 その知事が任命にあたっては独自の任命ですか。たとえば県議会の承認を求めるとか、そういう措置は要りませんか。
  144. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 要りません。
  145. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、審議会の意見を聞いたっても、法律制度としてできた以上は、たいていそういう利害関係人などによっていろいろな意見を具申してきても、そんなものを無視するような人だけを任命するということもあり得ますね。制度として聞いているのだから、あり得るでしょう、これはどうしたって。
  146. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まあお説のような場合がきわめて極端な場合に起こらないとは限らぬと思いますが、まず私ども想像いたします範囲内では、そういうことはないと思います。
  147. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、まことに危険なことがわかりました。それで知事の任命のほうはどうもやむを得ません。ここでは私はその性格がはっきりしましたから言いませんけれども、少なくとも、国の中央審議会におきましてはさようなことがあってはたいへんであります。でありますから、この際、今私が質疑応答での心配の点について、少なくともこの法律制定時における現政府においては、さようなことのないということを大臣に誓ってもらわなければならぬ。その点いかがですか。その扱いを私は委員長におまかせしたいと思うのです。どうしても大臣が出られなければ、私はそれまでも要求しませんけれども、少なくとも政府の統一ある見解をこの際はっきりしてもらわなければ気が済まぬ。
  148. 中野文門

    政府委員中野文門君) 仰せのとおりと存じます。
  149. 天田勝正

    ○天田勝正君 どういうふうにするのです。
  150. 中野文門

    政府委員中野文門君) ただいま申されましたような心配のないように中央森林審議会の運営、さらにまたそれのそれぞれ任命にあたりましては、そういうおそれのない人に対して任命をするということに努力しなければならぬのは当然のことと思います。
  151. 天田勝正

    ○天田勝正君 この中央森林審議会の委員の任命にあたりましては、国会の承諾を必要としますか、しませんか。
  152. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 必要としません。
  153. 天田勝正

    ○天田勝正君 私もそうだと思うから、なおさら私はさっきから中央の、また都道府県の審議委員についても心配をするので、現実にそれに似通ったことはあるのです。これは全部とは言いませんけれども、とかく住宅地というものが開発される際における、ずいぶん末端における農業委員会委員すら、ほとんど今日疑惑に包まれているというのが現実であります。もうすでに答えをいただいたあとでありますから、私が今こういつているのは質問ではありませんけれども、さようなことのないように、今中野政務次官が言明されたことは、まず出発が大切でありますから、最初の機会に厳重なる人選をされることを要望いたしておきます。
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 午前の最後に伺いました木材輸入の見通しですね。今資料が出てきたのですが、まあ、ただし書きもありますけれども、昭和五十五年には木材が二千二十万立米ということで、需要の関係は五十五年におきましては十億四百万立米ですか、国内の用途別需要量の見通しというものが出ていますね、そしてそれに対する供給の見通しというものが、きちっと在来輸入の二千二十万を入れて合うようになっておる。そうしますと、この木材供給量の見通しの国内生産が、これは幾らになりますかね、六千六百万、それに対する二千方ですね、輸入が。大体三分の一近いものを輸入に待つということになりますな、国内生産の。これは非常に大きなウエートを占めることになります。それでまあ順次伺いますが、五十五年までのところを十年ごとにあげられておるんですが、これが基礎になって国内の生産の見通しというものを、全国森林計画でお立てになるのですか、この数字を基礎として。
  155. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この数字をさらに検討をいたしまして、長期の見通しというものを立てまして、さらに全国森林計画というものを十月までに作って参りたいというように考えておるのでございます。
  156. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは外材価格の変動によって、輸入の出入りはあるにせよ、こういう輸入計画をお立てになったということは、まあ見通したということは、これはどっちが先なんです。国内生産の見通しが立って、外材をこれだけ必要とするという考え方でこの見通しが立てられたのか、先ほど同僚委員も問題にしておられたとおり、輸入がもうかるというので、自然的に業者の輸入が積算されたものが八百五十万なら八百五十万だった、それらの推移を見ればこの程度だろうというふうにはじき出したこれは外材の輸入量なのか。どっちが先なんですか、これは。
  157. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 両々相待ってでございますが、この輸入量につきましては、現在の実績、それからこの実績を生みました昨年の緊急対策以来の事情、将来にわたっての事情等も勘案いたしまして検討したものでございます。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 両々相待ってと言うけれども、どうも私はその点がわからぬ。片方がへこんだら片方がふくれるということは、それは両々相待つことかもしれませんが、そんなことを意味して言っているのではないだろうと思うのです。たとえば素材生産量、チップ生産量とありまして、チップ生産量はこれはわかります、用途がはっきりしている。素材生産量の五十五年の六千六百万立米ですか、この需要の内容は大体どういうふうになっているという考えで六千六百万と出ているんですか。
  159. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まず、三十二年度を基準年度といたしまして、三十一年−三十三年度の平均値を基準といたしまして、国民所得の年成長率を向こう十カ年間七・八%、それからその後の十年間を七・八%、その後の十年間を五%、その後の十年間を四%、こういうように見まして、さらに用途別に二十年間を出しております、パルプ、坑木、合板、その他の特殊用材及びその表にもあがっております輸出の各部門ごとに以下推計をいたしまして、その後は一括して木材として推計をいたしております。一般用材とパルプ用材の需要は、国民所得との間に密接な関連を持ちますために、構造式によって推計をして、その他は過去の需要度をそれぞれの質的判断等から推計をいたしております。パルプ用材につきましては、紙バルプとそれから化繊用パルプとに分けまして、三十二年度六百九十万立方、三十五年度に千百万立方、四十五年度に二千二百七十万立方、五十五年度に三千三百六十万立方というように推計をいたしております。化繊用パルプにつきましては、確実な輸入の見通しも考えまして計算をいたしておりますが、昭和三十二年度、基準年度が百九十万立方でございますが、三十五年度百七十万、四十五年度も大体同じに推移すると見まして、五十五年度に百九十万、こういうように推計をしております。一般用材につきましては、建築用材、土木工事用材、包装用材、家具、建具、その他耐久消費用材等に区分をいたしまして、これの構造式を求めて、四十五年度の需要量を求めまして、その後一括して、所得弾性値の〇・三八を求めて、五十五年度の実績を見通しして立てております。その数量ば、基準年度に二千七百八十万に対しまして、三十五年度は三千二百五十万、四十五年度は四千三百八十万、五十五年度におきましては五千二百九十万、こういうように見通しております。坑木につきましては、大体横ばいの見通しでございまして、年間約二百八十七万程度の維持がされるものと見ております。その他、合板、加工材等につきましては、基準年度三百七十万に対しまして、三十五年度四百万、四十五年度五百十万、五十五年度が六百四十万、こういうような推定をいたしております。さらに、その後の二十年間につきましては、木材全体といたしまして需要を六十五年度一億二千万、七十五年度四十年後におきまして一億四千三百四十万、こういうように見通しをいたしておる次第でございます。
  160. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ずいぶん詳しいりっぱなものをお持ちになっていますが、われわれにはこんなべらっとしたものを出して、それもようございます。しかし森林計画を立てる基礎になる重要な資料なんですから、やっぱり親切に、審議を進めるためには積極的にそういう資料を出していただきたいと思うのですね、お願いできますか。
  161. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この資料でございますが、先ほどもお断わりいたしましたように、さらに検討を要する数字でございますので、実は控えたわけでございます。
  162. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 基本問題調査会のほうで使っておる表とも、今耳で聞いただけでも見通しが違っていますね、これはどういうわけですか。基本問題調査会はどこからとった資料を根拠にして基本問題の調査をしたんですか。皆さんで提出したものではなくて、客観的に独自に調査会がこういう資料を作ったのですか、その関係を明らかにしていただきたい。
  163. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 調査会のほうの数字は事務局が作ったわけでございますが、この数字の違いは、国民所得の伸び率に違いがございますので、こういうような違いができて参っておるのであります。
  164. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、国民所得の伸び率いかんによってはどうでも森林計画というものは変わってくるし、作為的にも動かすことができるということになりますね。どだい、じゃああなたが、私耳から聞いただけですが、何年度は七・八%の伸び率、何年度以降は五%というた、その伸び率はどこで出したものを使ったものですか。
  165. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 先ほどちょっと申し上げるのを誤りましたが、三十二年から三十五年七・八%、三十六年から四十五年七・八%でございます。これは所得倍増計画によっております。それから、四十六年から五十五年、この十年間は経済審議会の日本経済の長期展望によったものでございます。その後の二十年間は四%でございますが、林野庁において推定いたしたものでございます。
  166. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 基本問題調査会で使った資料は、その伸び率はどこのものを使ったのですか。
  167. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) これは事務当局におきまして統一的に予想をしたものでございます。
  168. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、長官は二つを並べて見て、四十五年度まででもようございますが、どっちがほんとうの見通しとしては近いものであるとお考えですか。
  169. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私の説明したものが近いつもりでおります。
  170. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところが、基本問題調査会のほうは、あなたのほうで出しているものよりは、上限、下限というふうに、こう二通りに試算していますね。それで、この上限でさえも七%と押えて、その次が五%、その次の二十年間は四%と押え、下限では六%と押えているのですね。ところが、こっちのほうは七・八%と押えている。七・八%のほうが確実だというふうに長官はおっしゃるのですか。それは今の池田内閣の考えている、われわれに示しているものが七・八%でずっといく、こういう十カ年計画の見通しというものは訂正されていないのですか。年度間においては直っておらぬのですか。三十七年度なら三十七年度の生産の伸びをぐっと押えた。そういうようなことで、所得関係のほうの伸び率も押えるというふうに引き締めている点がないのですか。
  171. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもといたしましては、長期の見通しにつきましては変わっていないというように考えているのでございます。短期的にはやはり変わることもあり得ると思います。
  172. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではひとつ、何も文句をつけるのではないのですから、基本問題調査会の出しているものとあわせ見るために、資料としてひとつお出し願いたいと思うのですが……。  そこで問題は、外材の輸入の問題に移ってですね、これのほうの輸入は、日本経済の成長率ということもあるし、自然輸入の実勢というものもあるし、両者かみ合ってこういう結論が出たともいわれておりますが、しかし、今言うような見通しの上からその木材供給量の見通しというものを立てているわけですから、木材需要量の見通しというものにマッチするように供給量の見通しというものを立てているわけですから、したがって、先ほどの御説明の二千万立米という外材の輸入というものは、五十五年度において、これは計画上こうでなければならないという数字じゃないのですか。実勢ではなくて、日本としてこれだけのものを必要とするという立場でこれははじいたというものになるのではないですか。需要の見通しで国内生産の供給量の見通しというものを立てる際に、引き算なり足し算で、ただ簡単に二千万立米というものが出てきたと、こういうのではないのですか、これは。実勢なんていうものは実際は考えていないんじゃないか。
  173. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) すでに三十六年度の実績において八百五十万をさらに突破するような実績も出ておるわけでございます。私どもといたしましては、先生の仰せのような、こうあるべきであるという考えも持ちますと同時に、ここへ持って参らなければならない、持って参れる可能性もあるという考え方でございます。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、ここの部分は少し詰めて御質問いたしますが、木材需要量の見通しというのと木材供給量の見通しというものと、どっちが全国森林計画については一番初めに基本として大事に取り上げられる問題になるのですか。どっちですか、これは。
  175. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) これはもう需給でございまして、どっちということもなかなか申し上げかねるかと思うのでございます。もちろん森林の生産力というものにも限度がございます。また、需要の面におきましても、推計というものから出てくるあれがございます。したがいまして、これは両方が基礎になって全国森林計画が出てくるというように考えております。
  176. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではやはり常識的に、何年度までにこれだけの木材の需要量がある、それをまず第一段階に想定する、それに間に合うように、木材生産のほうについては、これこれのものを出さなくてはならない、それには造林のほうの計画はこれこれにしておかなければいかぬ、こういうようにはじき出して森林計画というものが立つというわけですか。そういう意味で、この木材供給料の見通しという、素材生産量が、これだけは確保できる。木材生産量なんていうものは切らなければ生産にならぬのですからね。また切る立木がなければならぬのですからね。ですから、限度があります。ですから、この木材供給量の見通しというのは、ただそろばんずくで、需要量に対応して見通しとして打ち立てられるということだけでなくて、積算されたものが供給量として出てこなくては、いかぬのだと思うのです。この内容は積算されたものなんですか。
  177. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そうでございます。積算をして参った数字でございます。
  178. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと関連。さっき小笠原委員が質問されたのがここへ出てきた。今それを続けておられると思うのですが、一つはラワン、これは材質をいって、あとはソ連材、米材と、土地のことをいっておるのですね。私は、この際、ほかで質問する機会がないから聞いているんですが、特殊材ともいうべきチークであるとか、シロレオどかクロレオとか、あるいはマホガニーとか、そういうようなものは今どのくらい輸入があるのですか。それはまた全然勘定に入れなくていいほどの数量ですか。特殊というか、そういうものはどういうふうになっているんですか。今御質疑になっておられるラワン材の中でも入っているのか、入っていないのか。入っていないと思うのだがね。
  179. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) チークでございますが、三十六年一月から十二月に二千五百四十立方入っております。それから、インセンスシーダーが一万四千二百立方でございます。桐が二千七百四十立方、リクナムバイターが八千六百立方でございます。以上、こまかいものがそういうことになっております。
  180. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは今私が上げた、何かマホガニーとか、あるいはまたシロレオとか、クロレオとか、そういうものはどこに入っているんですか。
  181. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その他のその他というのは、私どもの集計いたしておりますのでは、三十三万立方ありますが、この中に入っておると思います。ごく少量の部分でございます。
  182. 天田勝正

    ○天田勝正君 あなたが今名称として上げた……。
  183. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その中には入っておりません。そのほかでございます。
  184. 天田勝正

    ○天田勝正君 数字はわかりましたが、これらは、将来の見通しは、生活程度の上がるに従って、むしろ需要は加速度的にふえる筋のものだと考えられますけれども、これは常識的にその将来の見通しについては、今小笠原委員が質問されておる見通しの点については、そう考慮するにはあたらないという見通しですか、どうなんです。
  185. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) チークでありますとか、その他こういった貴重材でございますが、そういうものにつきましては、将来におきましては、スライサー等にかけて、あるいはハード・ボード、あるいはパーティクル・ボードの上に張って使うということがふえてくるのじゃないかと思います。したがいまして、これをソリッドのままで使うということはだんだん減ってくるのじゃないかというように考えております。
  186. 北村暢

    ○北村暢君 今こういう数字が出て参りましたので、私はお伺いしたいのですが、三十五年度の素材生産というのが四千四百五十万立方ということで、そして五十五年には六千六百七十万立方、こういうような素材生産の伸びが、ずっと経済の伸びで出ているんですけれども、ところが一面御配付になりました資料の六ぺージの二十六年度以降の立木伐採量という資料を見ますと、昭和二十六年度の伐採量が七千八百六十四万九千立方ということで、三十五年度が七千五百九十七万立方ですよ。二十六年よりも三十五年のほうが伐採量としては減っておる、逆に。林野庁は三十年から林力増強計画ということで計画を立てて増伐ということをやってきているはずなんです。ところが、まさしく三十三年度からは若干伸びておりますけれども、この十年間における伐採量の状態を見るというと、ほとんどふえておらないですよ。どういう計数でやっているか知りませんけれども、とにかく実績は十年前の昭和二十六年の数字と三十五年の数字とでは、逆に三十五年のほうが少ない。それから、まあこの点で国有林は飛躍的に増産になってきています。ところが、民有林は逆に減ってきていますよ。昭和二十六年から三十五年を見ますというと、二十六年が六千五百七十万立方に対して、三十五年は五千六百二十万立方です。民有林の生産というものは伸びるよりも減ってきている、現状においてずっと減ってきているのです。こういう状態なんです。そういう中で、経済の成長率云々と、こういう長期計画を立てておられるけれども、実際問題としてこの素材生産、先ほどのは立木ですから、これを素材に直すというと、七割かなんかかかってこの数字が出ているのだろうと思いますけれども、とにかくこれは二十年後には大体一・五倍ぐらいになる、七十五年で二倍半ぐらいになるのですね。そういうふうに飛躍的に今後いくんでしょうけれども、ここ十年、二十年というものを見ましたときに、従来の実績からいって、一体こういうような成長の伸びというものがどんどんいくのかどうかということについて非常に疑問を持つわけなんです、したがって、私どもはこういうような長期の見通しというものを立てられた場合に、従来の実績からいくというと、これは可能性のある計画なのかどうなのかということについて相当やはり厳密にやる必要がある、そうでなければ、今の形で増伐、増伐という形で今後いくんですから、将来の資源関係において、まあこの前から長官はるる心配ないということを説明されておるけれども、やはり具体的に数字的に、これはこういうふうに生産性が上がって増伐が可能なんだということを立証してもらわないというとこの数字だけを見ますというと、過去の実績から推すというと、私どもは木材の増産ということがこう簡単にいくものとはなかなか考えられないのです。ですから、私どもはこの昭和二十六年から三十五年までの約十年間の実績というもの、今後の見通しというもの、関連がどうもわからないのです。したがって、こういうような長期の見通しというものを私どもは無条件に賛成していいのかどうかということが、やはり具体的な数字を出さなければ、ありませんと言うから、十月ごろになったらこれは立証するものが出てくるかもわからないけれども、非常な不安なわけです。だから、私は先ほどから、当初からこの点をやかましく言っているのですが、どうしても実のあるような審議の形にならないので、非常に遺憾なんですけれども、この二十六年の実績、あなたはこれからの需給の見通しを見て、だれが見ても常識的にいってこれはあれですよ、こんなに生産がどんどんいくものかどうかという心配は、これはだれが、しろうとが見てもすぐわかることです。そういう心配というものをやはり立証してもらわなければ私はいかぬと思います。  それから、ここで木材の需給の見通し等も出まして輸入等の見通しなんかも出ておりますけれども、この基本問題調査会の答申案によりますと、昭和五十年くらいまでには輸入の見通しは約八百万立方です。ところが、これは二千万立方です。そうすると、そこで千二百万立方の差が出てきているのです。したがって、千二百万立方国内生産でおぼつかないのだなあという感じがする。どうしても飛躍的に基本問題調査会の数字よりも、さらに今後の見通しというものは、生産量でも需給の見通しというものは数字が高いのでありますから、どういうことなのか、何か輸入のところで埋め合わせなければならぬといったような感じがとたんに起こるのです。ですから、これは数字がなくて申しわけないけれども、何とか通して下さいと言うんだけれども、やればやるほどわからなくなってくるのです、私ども。だから、ちょっとこの出た数字を見ただけで、数字的にいうと非常に私どもは心配にならざるを得ない。小笠原委員の関連質問でございますから、こういう実態にあるのに、自信は何べん聞いても同じですから、あまり答弁は要りません、要りませんが、常識的に見て私どもは非常に不安な計画だと、このような感じがいたします。この点だけ申し上げておきたいと思います。
  187. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでまた同じことをお尋ねするようですけれども、先ほどから言っておる木材の供給量の見通しにつきまして、輸入量というものははずして、国内生産が、これが見通しなんだ、確保できるという点については自信があるのです、とおっしゃる。ところが、基本問題調査会のほうでは、さっきも言うとおり、二表出しておりまして、B表のほうでは、今後十年から二十年の事業を可及的に充足すべく、これらの諸施策に対し積極的な計画を樹立し、これが遂行された場合の供給可能量の見通しである、という建前で出ておる統計表が、こんな膨大な数字ではないです。もう三十五年度から全部違っている、十年ごとにとったものが、七十五年度ではチップまで加えまして七千八百万石、国内の生産量はしかるに、皆さんから出ているものは一億二千三百万立方メーター、輸入を除いて。ずいぶん違うように思うのですが、これはチップを入れて数えたのですが、私は基本問題調査会が種々検討して、そうして基本問題調査会が掲げているような諸施策を積極的に実施して、なお可能な限度がこれだというふうに出ておるものと、長官が自分は自信を持つのだというこの表と、これほど違うということは考えられない。
  188. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点につきましては、この後私どもも蓄積の推移等につきまして検討をいたしておりまして、改良期等の短縮あるいは造林の合理化、たとえばすでに何回か申し上げましたが、密植、早生樹、林地肥培、それから拡大造林を進める。これも人工林を八百万ヘクタールから一千万ヘクタールに伸ばすということもあわせて検討いたしました結果、現在におきます適伐以上のストックと申しますかが八・七倍程度あるわけでございます。それが民有林におきましては昭和六十年程度におきまして一年、二年足らずということに落ちますが、その後蓄積が回復し、成長量が回復して、伐採が可能になってくる。国有林におきましては、これはさらに背水の陣をしいてやっておるわけでございますが、現在の適伐以上の蓄積というのが三倍余りでございますが、これが昭和七十五年程度に最低になりまして、このとき一部三十七年度程度のものを伐採する必要が出てくるかと思います。そういうことによって漸次回復をしてくるという見通しを立てておるのでございます。
  189. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、これは何べん押し問答したところで長官の自信にはわれわれ打ち勝てるものではないから、この問題はこの辺でやめますが、かりに計画増産ができないということになれば、需要の見通しはこの現在の政府が考えている以上に伸びる点があるとも考えたりすれば、あるいは足りないという問題が起こるかもしれぬ。このままでいきましても、国内の計画生産が落ちてくれば、見通しどおりにならなければ、外材の輸入量がふくれるということになるわけですね。そうすれば、やはり午前にも申し上げたのですが、外材の輸入という問題は非常に今後の国内需給の問題、あるいは堅実な森林計画を立てていく上に重要な問題を含んでいると思う。そこで、ここにお示しいただいた資料で見ますと、三十七年度がソ連材を二百五十万立米入れるという形のものが、もう三年たって、四十年度には倍以上の五百五十万入れなければならないということになっておる。他のラワン材あるいは米材などの輸入よりははるかにソ連材に依存する度が大きくなっている。ですから、午前にも申し上げたんですが、ソ連材に依存する計画がはっきり見通しとしてたった三年間に倍以上入れるという状況であれば、十年、十五年後においてはなおのことこれはソ連材にたよるよりほかないという問願になる、そう見通される。そうしますなら、これに円滑な輸入ができるように、ソ連材そのものについても真剣にお考えにならなくちゃならぬ問題が起こってくると思う。で、一般に外材の輸入全体を、午前中の御答弁ですと、業界の自主的な協議会形式のものによる調整等で行ならのだ、ソ連材についてもその方向に運びつつあるやの御答弁だった。この際、これは国が一括して、ほんとうに国民の住宅問題であり、工業の問題であり、基本になる木材の需給の問題にからんで、政府みすからがこれらの問題を扱うというような構想はあるのかないのか、お尋ねしたい。もともと、さっきも北村委員がおっしゃいましたが、木材価格が騰貴する。それは不足のためという点も、原則論としてはそういうことを言うとして、それの対策としては国有林の増伐に待つ以外にないという状況、しかもこの国有林というのは国民の財産であり、この増伐等によって辛うじて需給の調整をはかるというような状況、こういうふうに国民自身の財産を出してようやくまかなおうというような、非常に国のこの施策に関するウエートが大きいのです。一方、業界は木材の上がり下がりそれぞれに沿うて、投機的な売買等による法外な利潤を得る、こういう状況もそういう場合には見られる。であるなら、国内生産について国が責任を持ち、需給についても相当責任を持っておるとすれば、輸入の問題だけを放置するのでなくて、国みずからが国内生産の需給に見合って実際タッチして調整に当たるというような、俗にいえば公団的な構想があってもいいように思う。国だけが、ある場合には全く苦労もし損もして、国民の財産というものを放出する。一方、その間隙に乗じては、業界が利潤を得ている。それでなおかつ庶民的な立場に立つと、住宅建築が、建設費が木材値上がりのために高くなって、そういう住宅建設が停滞する。どうもこの点を考えると、根本的に政府はこの点についてお考えになられる必要があるのではないかとも思うし、もしもこの計画生産が誤るとなると、なおその種の外材依存の問題が高率を増してくるわけですが、率が土がるわけですから、何かこれらの点についてもお考えになる必要があるように思われる、御所見を承りたい。
  190. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもといたしまして最も望ましいことは、やはり輸入商社それぞれが、自主的に上手なと申しますか、計画的に輸入をしてくれるということが理想だと考えておりますが、御指摘のような、現在の国内の木材情勢というものを考えますときには、はたしてそれだけでいいかどうかということも、私ども真剣に考えなければならぬと考えております。で、公団あるいはそういった機構がどうかということはさておきまして、私どももこの点について、ソ連材あるいは米材等について、そういう点についてただいま検討を進めておるところでございます。まだ十分な結論をどういう方向へ進んだのがいいかという結論を得ておりません段階でございます。
  191. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今ソ連材の問題が出ましたが、午前中にもお話のように、各商社間の競合によって非常なマイナスの部分があることは、これは周知の事実です。それは窓口が向こうは一つ、こちらは多数というところから起こってきたことです。国柄が違うということなんですが、そういうことに対しても、やはり日本も窓口を一本にして、長期の貿易契約ができるような、協定ができるような、そういう措置が望ましいようにも思われるのですが、この点はどうですか。
  192. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点につきましては、通産等関係方面とも十分協議もいたして参っておりますが、そういう段階でございまして、ただいまにわかにこうという結論を得られない状況でございます。
  193. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは河野大臣は、将来のこういう需給の見通しの上に立ってこの森林計画が立てられ、それを推進することとして、こういう外材依存度が高くなるという点に対応する施策はどうあるべきかということをお考えになっておられるのですか。
  194. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点につきましては大臣も、先ほど私が申し上げましたように、最も望ましいことは、この自主的な商社の活動によって計画的に入ってくることを期待するというお考えを持っておられるようでございます。
  195. 北村暢

    ○北村暢君 私はいろいろ聞きたいことがありますが、今ちょうど需給関係の問題に入りましたから、これに関連してお伺いいたしますが、私は先ほど心配したように、従来の伐採の実績からいって、今長期見通しというような形で出されている需要供給のバランスをとる意味における長期計画というものの見通しを立ててやるというのでありますが、これに基づいて農林大臣が全国森林計画を立てる、こういうことになるわけでありますが、基本問題調査会の答申案におきましても指摘せられているところは、国有林の資源温存と、比較的大きな山林地主の切り惜しみ、こういうものが林業の発展の上に大きな阻害要因になっておるということなんであります。ところが、そういうような問題が指摘せられているのでありますけれども、一体この長期見通に立って全国森林計画を立てたならば、それがこの計画に合うような需給というような形で供給面の生産が伴ってくるような法的処置というものは、一体行政力なり何なりというのは、全然この法の改正の中にはない。ただ指導をしていって、そうしてやっていくんだ、こういうことになっているのでありますけれども、一体こういうようなことで農林大臣が作ります全国森林計画というものが、この計画どおりにいくような自信というものがあるのかないのか。また、法的にその全国森林計画が実施できるような措置というものが、法的に講ぜられておらないようでありますけれども、こういうもので、その計画どおりの計画が実施できる、こういう自信を持っておられるのか、どうなのか。この点について私は非常に疑問に思いまするので、まずお伺いいたしたい。
  196. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点につきましては、やはり私ども行政に携わります者の熱意と努力、それから森林所有者自体の自覚、これに待つ以外にないと思っているのでございます。それで森林所有者が御指摘のように、資源を財産保持的に保持をしているだけで、その見通しが立てられるかどうかという問題につきましても、ごく最近の情勢といたしましては、かなりそういう方向に、私ども森林所有者がまだ全部とは申し上げられませんが、向かってきているように考えているのでございます。助成、あるいは融資、指導、そういったことを十分に実施をいたしますと同時に、森林所有者自体の森林経営の意識と申しますか、そういうものの自覚をもって進めさしていくという点に努力を注がなければならないと考えております。
  197. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、大臣の作る全国森林計画というものが実施できるか、できないかということは、それに見合って知事が地域の森林計画を立てる、こういうことの建前になっておりますけれども、実は個別の森林計画というものとは全然切り放されている。今度の森林法改正では、意識的に個別森林計画というものとは切り放しているわけです。したがって、今そういうふうに説明があって、まあ指導もなるべくうまくいきそうなようだなんて言っておりますけれども、この基本問題調査会の答申案でもはっきりいっているのですが、今までの森林計画というものは、上から下へ監督的にやってきた、そういう森林計画、そうして伐採許可制度というものをとって、そうして森林計画の、収獲の保続というような、こういう面ができるような形に実はなっている。これを改めて、今度こういうような改正案になって出てきたのですが、この資料を全部見ましても、この基本問題調査会の答申でいっている、上からの森林計画じゃだめだ、個別のやはり農業の構造改善なり、林業の構造改善というような意味からいって、下から積み上げた森林計画でなければいけない。こういうことをいっているのですが、今あなたからもらった資料の中で、一体この上向きになっている線というものはどれだけあるか、ただ一つ伐採の届出というやつが森林の所有者から上へ向かっておる。それから知事から大臣への報告。この二つだけですよ、上に向いている線というのは。あとは全部——幾つありますか知りませんけれども、ずいぶんだくざんありますけれども、上からのみんな通知だ。上のほうから下へ指示、通知という形でおりてくる。こういう形になっているのですよ、これは。これでは、森林計画というほんとうの形にならない。で、欧米先進国のいろいろな例を見ましても、個別の森林計画が知事の認定を受けで実施しているというものがたくさんあるのです。個別森林計画というものが、知事の認定を受けている。そして合理的な経営がなされなければならない。そういう観点から、森林計画制度というものができているところがあるのです、現実に。それはなぜかといえば、経済に寄与するという点はもちろんですし、森林そのものの性格からいって、国土保全、公共性というものは、それ自体が持っておる。したがって、知事が相当やはり私有権にまで干渉をして、計画というものについて認定制をとっている国がたくさんあるわけです。にもかかわらず、今度の森林計画では、個別森林計画と知事と大臣のつける計画とは、何らの関連性を持っておらない。断ち切っておるわけです。それでは基本問題調査会の答申でいつている森林計画制度の意思というもの二は、全然無視されておる、こういうふうに思うのです。中央森林審議会に提案をする林野庁の最初の原案には、それがあったはずだというふうに聞いておる。それが中央森林審議会にかかったところが、その個別計画というものは消えてなくなってしまった。そして中央森林審議会の答申案というものは、この個別計画というものはないままで答申がされてきている。それが今度の改正案になってきている。こういう実態です。私は最初に言ったのは、一体この基本問題調査会の答申案を尊重するのか、中央森林審議会の答申案を尊重するのか、どっちを尊重するのだ——どっちも尊重します、という答弁だった。そしてまた、委員も同じ人が出ているのだから心配ございません、というような説明であったようでございますけれども、これは明らかに違うのですよ。基本問題調査会の答申案の考え方は、やはり下から積み上げた計画でなければ、林業の構造改善にはならない、今こういう考え方に思想的にはなっておると思う。ところが今度の計画は今申したように、この下からの個別計画というものと、知事なり何なりが作るものとはこれが切れているというところに、私どもは非常に割り切れないものを感ずるのです。一体これで基本問題調査会の答申案を尊重して、計画制度を敏正した、こういうふうにとれるですか、どうですか。この点を明確に答弁していただきたい。
  198. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点でございますが、今回の森林計画制度改正におきましては、この個別経営計画との性格上の違いから、個別経営計画というものを法律の上にあげてございませんが、先生の先ほど仰せの、諸外国におきます知事認定等にかわりますものといたしまして、地域森林計画の活用ということを考えておるのでございます。それで個々の森林所有者等には、その範囲内で自由な計画を立てて、これによって林業の経営の計画化をはかりたいというように考えておるのでございます。
  199. 北村暢

    ○北村暢君 今の知事の作る地域森林計画というものは、これはここにもありますように、非常にばく然たるものですよ。一体このばく然たる計画が、下へおりて、割当でもすればどうだか知りませんけれども、これはそういうような形に私は簡単にはならない、こういうように思うのです。したがって、今度のこの長期の見通しからいきましても需給の面からいっても、林業の政策的な面においては、非常に施策というものの重要性はわかるわけなんです。ところが、これがわかるがゆえに、私は先ほどから言っているように、過去十年間の実績の中で相当な施策をやってきて、そうして計画制度等も、この図でもわかるように、どちらかといえば、前の案のほうがこれは地についているのです。どうも今度の知事の立てる地域森林計画のほうが、森林所有者のほうからいえば、遠くなっている。この図を見たってはっきりしているじゃないですか。上のほうはずっとまばらにいっちゃって、下のほうはびしっといっているのでしょう。この図面に現われているとおりなんです。そういう性格のものなんです。それをどんなに答弁しても、今、長官が言っているように、知事の作った地域計画に基づいて、そうしてそれを尊重して、個別に大山林所有者も市町村も、そういうような形でやっていくのだというようなことを言ってみたところで、こんなもの実行できないですよ、おそらく。私はそう見ている。それほど計画性をもって近代化されているような林業だったら、今日林業の問題なんて起こらないですよ。私は、そういうような目ざめた林業の経営なんということに、今日まだなっておらぬと思う。これは盛んに前からいわれているように、資本主義に全然なっておらぬと言っているんです。今はもう資本主義は下り坂なんです。それくらいおくれているわけなんです。おくれているものを自主的な意欲によってだの何だのと言ってみたところで、そんなことにならないです、これは。私はそう思う。したがって、これでは今、皆さんが予定をしているこの需給計画なんというものは、てんでこれは、もう三年か五年たてばまた修正しなければならないというようなものができるのじゃないか、私はこういうふうに思うのです。  それともう一つお伺いしたいのは、この全国森林計画に基づいて、知事は地域の森林計画を立てることになっておる。ところが、この地域森林計画というのは、前の基本計画の区域、いわゆる流域というものを主体に考えておる。流域というものを考える場合には、これは当然知事は、その流域——上流から下流まで一つの県ということはないわけです。一体、流域を主体に考えたこの計画というものは、知事が地域計画を立てるというのだから、一つの流域であれば三人か四人、三県の知事が協議しなければ、大体この計画というものはできないのじゃないかと思うのです。一体そういう点は、どういうふうに考えておられるのですか。こういう一つの流域で、一つの県でできないようなものは、これはやはり国が計画を立てて調整をはかるという思想が、行政の一貫した流れだと思うのです。したがって、こういう流域に関連する、二県、三県にまたがるような計画を立てるのに、知事にこの計画を立案させる権限を与えて、いるということは、一体どうやってこの計画を作るのか。ここら辺のところは、行政と政策が混乱しているのじゃないかと私は思うのですが、そういう考え方でいいのか。したがって、前の森林基本計画区というようなものは、これはやはり農林省が立てる、農林大臣が立てる、こういうことになっておったと思うのです。そういう思想だと思うのです。そういうことが一体今度の森林計画の中で、どういうふうに考えられておったのか、この問題の解決はどういうふうにされるのか、この点は非常に疑問のあるところなんでお伺いしたい。一つの、隣の県と隣の県の知事の意見が合わないというと、計画ができないようなことになるのじゃないかと思うのですがね。その場合の調整措置というのは、一体どういうふうにとられているのか、法律的にどうなっていますか。
  200. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 森林計画は、県内の地域を、流域を主体にして数個に分ける、こういうことになっておりまして、現行の考え方とは変わっておらないのでございます。現行の考え方と変わっておりますことは、資源の設計と申しますか、計画の単位を大きくしたということになるかと思うのでございますが、全国森林計画におきまして、都道府県の内訳も出てくるわけでございますが、その過程におきまして、都道府県間の調整というものも考えられてくるかと思うわけでございます。
  201. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、全国森林計画というのは各県別.にこれは作られるのですか、そうしてその各県別に作られたもので、県知事が地域森林計画を作る、こういうことになるのですか、それまで詳しいものを全国森林計画として作るのか作らないのか、そしてまた今言っているように、この流域というものを私は単位として計画を立てるといった場合には、必ずこれは数県にまたがる問題が出てくると思うのですよ。この前の森林法の基本計画というものは、いわゆる流域別にやっておるので、基本計画は二百何ぽかあったと思うのですが、これは主要河川についての流域別の保続ということを考えて計画ができておったはずだ、それを今度県に移すのですから、この思想というものは私はやはりくずれるのじゃないか、流域別にしてやるのだけれども、自分の県だけしかやらない、こういうことになるでしょう。したがって、流域全体について、信濃川——信濃川というのは新潟県と長野県にまたがっておる、こういう流域の保続なりなんなりというものを考える場合に、両者の知事が協議しなければ当然できないことになるのじゃないですか、それは。流域ごとにやるのは全国森林計画でやるのであって、知事は自分の与えられただけやればいいんだ、こういうことになれば、これは流域の思想はあるけれども、それは全国森林計画でやるのであって、知事は流域の観念でやるのでない、自分の割り当てられたものだけやればいいんだ、こういうことになるのじゃないですか。しかし、そういうことには私は地域森林計画というものはならないのじゃないか、こういうふうに感じるのです。やはり流域を単位として計画というものは、両者間の知事というものは協議しなければ、やはりこの計画というものは成り立たないのじゃないか、このように思うのだが、その調整措置というものは、この法律を見るというと、どこにもないようですが、一体そういうことは支障を来たさないのかどうなのか。今言ったように、各県の流域ごとの全国森林計画を立てるということになるというと、前の基本計画についたものを、全国森林計画で立てるというのと私は同じでないかと、こういうふうに見えるのですが、この図面を見ましてもそういうふうにはなっていないですね。基本計画に相当するものは、前の施業計画ですか、こういうものを合わせたようなものが、地域森林計画として知事がやる、その上に全国森林計画というものがあって、全国森林計画というのは流域別にこまかく指定するというような形にはならないのじゃないかと、このように思うのです。したがって、そこら辺のところがどうも先ほどの答弁では、ちょっと理解しかねるので、ひとつその点をもう一度御説明願いたい。
  202. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この県ごとの調整でございますが、この点につきましては、この全国森林計画に沿いがたいような事情のあります場合には、この自治法の百四十六条によって指示もできるようになっております。また、御指摘のような二県以上にまたがる計画の各県間の協議ということも必要になってくるかと思いますが、そういう調整につきましては、それぞれやはり御指摘のようにやって参らなければならないと考えております。
  203. 北村暢

    ○北村暢君 やっていかなければならないと考えると——それは法律のどこにあるのですか。これは計画を立てるときに、知事の責任でやるので、協議するというようなことはどこにも書いていない、書いていないと思うのですがね、したがって、私は数県にまたがるような場合は、根本的にやはり保続というものを考える場合に、数県の知事がやはり協議をしなければ、森林計画を立てる場合に協議をしなければならないというふうに私は思うのです。全国森林計画で流域別に、もしかりに立てたとして、その割り振りまで、林道はどうすれ、造林はどうすれ、それから治山の施設なりなんなりはこうすれ、県までこまかく割れば、割ったものは県ごとに割って全国森林計画が出ておれば、これは県がそれを守ればいいだけのことですから、それはそれでいいと思います。しかしながら、そういうことにはならないのじゃないかという感じがするのですね。一つ基準というようなものを示して、そうして県知事が地域の森林計画を立てる、こういうことになるのですから、ひとつ治山なら治山の問題についても、流域というものを思想統一したところの知事の計画がちぐはぐのものが出てきても、それは全国森林計画で注意をしたり、通知を出したり、指示をしたり、こういうことができるだけであって、これはやはり利害関係が出てくるのですからね、上流と下流では。知事というものはですよ、これはもう当然出てくるのですよ、水の問題からなんからいって、利害関係は。上流の県と下流の県では非常に利害関係というものは違ってくるのです。そういうような点からいって、森林計画の場合でも当然知事が立てるということになれば、自分の県に都合のいい案を立てるに相違ない、それでは国土の保全機能というものを持つ点からいって、私は非常に欠けたものが出てくるのじゃないか、こういうふうに感ずるのです。したがって、これは法律の中でやはり一つの地域計画というものを立てる場合には、必ず知事なりなんなりが編成にあたって、計画を立案するにあたって、協議する機関というものは、やはり事前にやるべきことと、こういうふうに思うのですがね。そういう規定がないのですよね、これにはね。したがって、なくてもやればいいじゃないかということになるのですが、そうなれば、森林計画制度というものについての根本的な考え方として私はそういう点が何か抜けているのじゃないかというふうに思うのですよ。したがって、この全国森林計画の作り方いかんによると思いますがね。しかし、各県のそういうものまで具体的には私は全国森林計画というものは示さないのじゃないかというふうに思いまするので、流域別にして、しかもそれを県別に割ってそしてこの計画を立てる、こういうことに森林計画がなっていれば、それは非常に知事としては自分に課せられたものだけやればいいのですから非常に簡単なふうになるだろうと思う。その問題があるのでありますけれども、何かしら法文読みましても、思想的なものを見ましても、知事が流域というものを考慮して計画は立てるのだ、こういうことになっているようですから、それだったならばこれは当然協議制度というものがないというと、ちぐはぐな計画ができるのじゃないかと思うのですね。
  204. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点につきまして御説明を申し上げますが、全国森林計画におきましては、当面十カ年間におきまして都道府県別の内訳として次のような事項の計画をすることにいたしております。森林の立木地区の伐採に関する事項といたしましては、国有林、民有林別の伐採立木材積、それから標準伐期齢あるいは利用伐期齢の決定の基準、それから森林資源の造成及び国土の保全上伐採方法を特定する必要がある森林の決定基準、それから造林に関する事項といたしましては、国有林、民有林別に人工更新、再造林、拡大造林別に考えておりますが、天然更新別の造林面積を掲げたいと思います。また、造林樹種の決定の基準、それから森林資源の造成、国土の保全上造林方法を特定する必要のある森林の決定の基準、それから林道の開設等の、林産物の搬出に関する事項といたしましては、国有林、民有林別に種目別に開設改良計画、林道の延長開発対象面積、蓄積というようなものを掲げる考えでございます。搬出法を特定する必要がある森林の決定をする場合の基準というものを考えております。また、保安施設に関する事項といたしましては、国有林、民有林別に、またその種類別に保安林の整備面積あるいは国有林、民有林別の保安施設事業の種類別の数量その他というふうに、こういう事項にわたりまして府県別の内訳を掲げまして計画といたしたいというふうに考えておるところでございます。
  205. 北村暢

    ○北村暢君 その点につきましては、はっきりしてないことは、農林大臣が定めるにいたしましても、知事の意見を聞いて、主として流域ことというようなことで考えておるようでございますが、森林計画区と基本計画区ですか、前の。そういうようなもので明確に区域というものがはっきりしておったわけですね、前は。今度の場合はそういうものをはっきり設けるということにはなっておらないのですね。ですから、おおむね基本計画に従ってやるのだといったような感じじゃないかと思うのです。この点の法律規定があるのかもしれませんが、私が読んだ範囲ではちょっと気がつかない。ないような感じがするのですが、あればそういうことになるのかとも思います。  それから次にお伺いしたいのは、先ほどの個別計画との関連問題ですが、私はやはりこの点どうしてもわからないのですが、林野庁はすでに昨年度三十六年度ですか、三十七年度も林業の経営改善事業というものをやろうとしているわけですね。これは農業の場合も農業構造改善事業というものをやるわけです。やるわけなんですが、これについては法律的な規定も何もない。ところが、構造改善事業というものはやろうとしているわけです。この構造改善事業と森林計画とはいかなる関係があるのか、やろうとしているのだが、やることはやるのだが、個別経営計画というものと、この計画というものは切れているのですから、したがって、今やろうとする林業経営改善事業ですか——あるいは林業経営改善事業ということになるようですが、構造改善事業ということは、ことさらに言わないかもしれませんが、農業の構造改善事業と同じ性格のものだろうと思いますが、そういうものをやろうとしているわけです。それは一体今後の個別森林計画というようなものと全然無関係なのかどうなのか。ここら辺のところが、指導をしていくというふうに言っているのですが、この構造改善、林業の経営改善事業というものが個別森林計画というものと考えているのかどうか、この点のつながりの問題を説明していただきたい。
  206. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この森林計画の目的を達成いたしますために林業の経営改善計画を実施をいたして参るわけでございますが、この根本になりますのはやはり個々の林業の経営でございますことは間違いはないと思うのでございます。この個別経営改善をして参りますために林業の改善経営改善事業ということも大いにやって参らなければならないというように考えているわけでございます。
  207. 北村暢

    ○北村暢君 だから、大いにやっていくのはいいですが、それは森林計画と関係あるのですか、ないのですかということを聞いている。
  208. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 最初に申し上げましたように、この森林計画の達成のためにこういう事業をいたしますということでございます。
  209. 北村暢

    ○北村暢君 どうもはっきりしないようですが、それはそういう意思があるなら法律に個別林業経営というものと関連させて、この森林計画というものはりっぱにいくようになぜこの森林法の中でできなかったのですか。それは個別計画というものとは切り放しているのでしょう、明らかに。この法律規定の中に個別計画というものはどうする、こうするということは一つも出ていないでしょう。これは出ていないのだが、その森林計画を、知事が立てる森林計画にうまくいくような形で構造改善、林業の経営改善というものを、個別の経営改善というものを考えているというのだったならば、これは当然個別計画というものを関連させなければならぬと思うのです。その点切れているということはどうもわからない。  それからもう一つお伺いしたいのは、林業の基本問題調査会の答申案によれば、構造改善事業として、構造改善として自立経営林家というもの、いわゆる農家経営の林業、家族経営の林業、こういうものをやるべきである、構造改善のためにこれが必要だということを言っている。ところが、今度は全く別な考え方で、林業は家族経営林業ではだめだ、企業的経営の林業でなければならない、こういう考え方があり、そういう主張をしている。その主張というものが、皆さんに今配付になりました林総協であるとか、林業経営協議会であるとか、こういうところは企業林業ということを非常に主張している。そうして、家族経営林業というものは、こんなものは成り立たないのだ、こういう意見があるのです。現実の問題として。一体そういうことの解決ができないから、個別経営と、知事の行なう地域計画というものとが結びつかない、その思想統一ができていないのじゃないか、そのためにこの個別計画というものが森林計画に結びつかなかったということでないのですか、正直にいって下さい。
  210. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 個別経営計画と森林計画との違いでございますが、個別経営計画はやはり収益の最大を目的として、まあそういう目的が非常に大きく取り上げられると思うのでございます。森林計画とはそこに違いが出てくるかと思うのでございます。
  211. 北村暢

    ○北村暢君 どうもそこのところが……。まあ、実施計画というようなもので違うとか違わないとか、ちょっと意味がくみ取れないのでございますが、実際問題として、前の森林計画には基本計画と、施業計画と、実施計画、こういうものが一体となって森林計画というものが実施できるというような形をとっているわけでございますね。ところが、今度の改正案によると、全国森林計画というものと、地域森林計画というものがあって、これがこの計画の実施というものが一体どういうふうになっていくのか。末端の林業経営の中においてどういうふうになっていくかということはつながりがないんですよ。つながりがないんです。知事の作った森林計画というものがどのように末端で実施されるかということのつながりはないことになっている。またその知事が、かりにもしそういう個別のものまでやるということになっても、それを実施する、しないということについて何らの規制もなければ、何にもない、法律的に何にもない。知事が計画を立てるだけで、知事の立てた計画が末端でどういうふうに実施されなければならないかということは何にもない。行政指導でやっていく、こういうことになっているのでしょう。森林所有者の自由な意思に基づいて個別経営計画を立てる人は立ててもよろしいし、立てなければ立てなくたってどうということはない。立てなさいという規制も何にもない。そういう形になっている。したがって知事の立てた森林計画というものが最末端で一体どういうふうに実施されるかということについては何ら法律規制というものはないんですよ、この法律の中には。これは実施計画というものはないんですよ。実施計画、もしそれを知事が立てたとしても、それを末端にやらせる機関というものはない。知事のところで立てるだけです。少なくとも前の森林計画は、実施計画というものがあって、その最末端の機関で——それは森林組合か何かは知らないが、また実効が上がったかどうかは別として、それを実施する機関というものがあった。ところが、今度の計画にはそれがない。それで行政指導だけにたよって、知事の計画がうまくいくように、これは念願をするだけであって、何らの法律効果はない。何かそれを規制するような条文なり何なりがあるんですか。したがって、私のいいたいことは、こういう計画だったならば、計画なんか立てる必要はないのじゃないかと思う。何も計画を立てて、これがどういうふうに実施されるのか、何が何だかわからないような計画だったら、法律効果というものはない。政府が立てる、あるいは各県知事が立てる何カ年計画というようなもので、法律でなくたっていいのだ、そんなものはできるのですよ。林業の何カ年計画というようなもので、各県知事か、農林省なり何なり立てる長期計画に基づいて、この程度の数字的なものでやりなさい、やりなさいといわなくても、こういうものを参考にして地域的にやればいいじゃないか、こういうことになるので、政策面というものは織り込まれたところの計画というものにはなっておらない。参考程度の数字を並べて、こういうふうになっているから御協力を願いますという程度のもので、法律を制定する効果というものは私はないのじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、この法律の根本的な制定する趣旨というものがどうもはっきりしない。その計画されたものが実施されるならいい。実施される何らの保障のないことだ、行政指導だけによるそんなものだったら、法律によって何も計画なんて立てる必要はない、統計要覧みたいなものを配付しておけばいい、そういうふうに私は思う、極端にいえばね。そういう程度のものでしかないと思うのですよ。ですから、やはり私は末端の個別計画なり、県知事の立てます計画というものがどういうふうに実施されるかというところに林業の構造を改善する最大の要素というものがある。その最大の要素の今の林業政策の根幹的な構造改善というものに結びつかない森林計画というのでは何の意味をなすのですか、何の意味もないじゃないですか、私はそう思うのです。これで長官のおっしゃるように指導をして普及をさせて、その森林所有者の目ざめによってその計画が実施される、こういうまるでキリスト教の信仰みたいなことで、こんな増産だの何だのできるのですか、そんなものはできないですよ。だから、これは法律的な価値は私はないと思う、どうですか。
  212. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この現行の森林区施業計画、それから実施計画でございますが、これは主として幼齢林の伐採規制というものを中心にして立案をされ、また規制がされて参ったところでございます。この森林区施業計画におきましてその他の部分幼齢林の伐採の規制をはずしましたその他の部分につきましては、この地域森林計画に盛り込みまして、それぞれ森林所有者にも通知をされることになっておるのでございます。で、これに沿った経営が進められない場合に勧告と指導ということによってこれを正して参りたいというように考えております。
  213. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連。私もお尋ねしたいと思ったのですが、最も国の将来なり、あるいは国土保全なり、いろいろの問題から望まれることは、この計画が実行されることなんですね。実行されることなんです。ところが、北村委員も言うとおり、末端の責任者である都道府県知事には勧告権すらない。これは勧告権というものでもない。そうして実施するものについては援助するものがある、援助をする、それも援助をすることに努めなければならない、ただそれだけ。ここのところは、私たちが何か文句を言うておるように聞こえますが、皆さんとしてもここは何とかきちっとやりたいところじゃないのですか。それがこの程度にしか言えないという根拠、理由、これだけしか法律規定はできないのだ、これ以上は行き過ぎなんだ、何かそういうものが考えられているのじゃないですか。やりたいことはやまやまでないのですか。皆さんとしても何か差しさわりがあるのですか、その規制をすることについてですね。この辺のところをお尋ねしたい。
  214. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この伐採規制が非常に強く行なわれて参りました現行の法律ができます時期においてもすでに問題があったところでございます。この伐採を許可性にするという問題は、憲法にあります所有権の問題にも関係がございまして、非常に議論があったところのように聞いておるところでございます。その当時の情勢といたしましては、前にも申し上げましたように、そのまま放置いたしておきますと、伐採が非常に乱暴に行なわれまして、幼齢林の過伐にも、伐採にも非常に及ぼされる。したがって、将来の保続にも非常な憂慮されるところがあるというところから、これが行なわれたように聞いておるところでございます。現状におきましては、先ほど来実績の御説明でも申し上げましたが、さような憂慮されるような状態もなくなって参りました。低くなって参りました。しかも、なおかつ、一般の森林所有者等の造林意欲というもの、また、森林経営に対する意欲というものも盛り上がってきたような現状においては、やはりこれははずすべきだというような考え方からこういう措置を御提案いたしたのであります。
  215. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の聞いておることは、伐採だけのことではない。結局、造林なり林種の転換なりそれぞれ国の立場によってやってもらいたいところをやれというか、結果としてやらざるを得ないような、そういう規制を加えるということが望ましいと思わないのですか、思うけれども、現行憲法上いろいろな建前でできないならできないのだということを明らかにしていただきたい。やらなくてもいいというのですか。自由裁量にまかして勧告だけで十分やれると思っているのですか。
  216. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この点につきましては、私どもといたしましては、やはり自主的に改善をしていくということが最も望ましいことである、そういう考え方に立ちましてこういう制度を考えておるのでございます。一
  217. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 本心そう考えておるのですか。先進国で何ら規制なくその施業計画なりその実施なりについて、国なり公共団体なりが監督しあるいは命ずるか何するかしらぬが、そういう規制を加えてまで結果としてやらざるを得ない、あるいは県なり国がやらないところは代行してでもやっていく、そういうことになっていないのですか。先進国は、あなたがおっしゃるように自由手放しで、勧告で、ああさようでございますか、ということで民主的に行なわれるという建前を従前とっておるのですか。
  218. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点でございますが、この森林法におきましても、全部手放しということではないのでございまして、御指摘のような点につきましては、保安林につきましては、これは代執行もできるようにいたしております。したがいまして、制限はなるべく最小限で、自主的な経営によって成果を上げて参るという考え方でおるのでございます。
  219. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあ、本論のほうに戻しますがね。私もあとで申し上げようと思っておったのだが、保安林というのは、国が保安林と俗にいえば、指定してしまえば、あらゆる制限法律に基づいて行なわれるのですよ。ところが、一般の森林についてはそういうことまで自主的にやることが望ましい。ところが、過去から現在まで日本の森林を維持してきたその状況を見ると、大きな森林地主であれ何であれ民有林所有者というものはその期待にこたえておったのでですか。そしてまた将来、十年なり二十年たって外材の輸入に待たなければならぬ、供給に待たなければならぬというその実態を見て、まあ悪い言葉ですが自由放任で何ら制裁もない、勧告という形だけでこれだけの大きな計画というものが計画どおり遂行されるとお考えになっているのですか。逆に言うなら、保安林に対して法律によって国が制限できるというなら、その半分の制限でも一般の森林所有者に対して加えるということ、これは憲法違反にならぬでしょう。極端に言うなら、国土保全に関係のない森林はないのですから、日本全国農耕地を除いて全部保安林に指定して、そうしてこのとおりのことをやったらあすにもりっぱな計画が遂行していきます。極論するなら、法律上の根拠が憲法上から何ら差しつかえないものだという点があるなら、保安林であろうが一般森林であろうが、この山林と申しますか、森林地域の利用ということについて、何らかのもっと前進した施策法律的に出て規制されてきてもいいのではないか、それも公共性という立場からいえばこれは否定し得ないのではないか、私たちのほうが積極的にそう申し上げるのですよ。もういいんだ、これが最善なんだという長官なり、政府のお考えというものは私は疑義がある。諸外国に例を見ない、こういうことは。何にも規制を加えないということは。  またもう一つ、あなたは伐採の問題について届出制でいいのだ、こう言っていますが、先進国で野放しに届出制でやっている国が幾つの国のうち、どことどこの国にありますか、この二点をお尋ねしておきます。あなたのほうからいただいた資料の中の諸外国の例というところで見ると、届け出て伐採するところはどこもないのです。みんな許可制です。
  220. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その伐採の制度につきましては、特に変わった点はないのでございますが、御指摘のような伐採方法を特定する必要がある森林、これは保安林でなくても、その森林所有者にあらかじめ通知をいたしまして、この計画に沿うように通知をするわけでございますから、伐採の届出、この届出が三十日以前に出て参りますと、その届出に従って指導、勧告が行なわれて参るわけでございます。で、そのことによりまして、伐採を正常に進めて参るようにいたしたいと考えておるのでございます。現在、この伐採を自由にいたしておりますところは、ただいま私が承知いたしております範囲では、アメリカでございます。
  221. 北村暢

    ○北村暢君 今アメリカだけが伐採について許可制をとってやっておらんということですが、欧米先進国は、大体そういう形をとっている。しかも、私は個別計画というものを指導していくということで、先ほど言ったのですけれども、やはり問題を指摘されておるのは、大森林所有者が切り惜しみをしておるという指摘を受けている。そうでもないという意見もありますけれども、そういう指摘も受けているわけです。したがって、たとえばのお話しで、五十町歩以上のものについては個別森林計画というものを作る。また五十町歩以上持った者は、その能力がある。そういうような形から、この森林計画、個別計画を作るということを、義務づけるということはできるのじゃないか。あるいは五十町歩以下の小さな森林所有者は、森林組合でもって共同で森林計画を作る。こういうような個別の森林計画というものは、作ってできないことはないと思う。私はまた届出制によって届け出てきたものがいいか悪いか見ると、こう言うけれども、大森林所有者は、切り惜しみをして、過熟木を持っている。切るまでは届け出ないわけです。三十五年で切ったほうがいい、経済的にもいいだろうというのだが、五十年にならなかったら、切るということを届け出ない。そうすると、その前に指導するということは、今の長官の御答弁からいくというと、届け出てきたものについては指導をするが、届け出ないものについては指導できないじゃないですか。やはりこの森林計画というものの中で個別計画というものを義務づけて、そこでこれは切り惜しみしているのじゃないかとか、もっと早く切ったらどうだとか、もう少しこれは置いたらいいじゃないかとか、こういう指導ができても、七十年くらいになって木を切りたいからといって持っている木を届け出てきた。それについて、お前のほうはもうおそかったといってみても、もう七十年たってしまっている。そういうことでは、私は指導はやはりできない。個別経営計画というものが出されるところに指導というものは成り立つのだ。計画も何にもないところに、何をどうやって指導するのです。それは、指導なんということを口では言っているけれども、実体がないのですよそれは、そういうことでいけばね。ですから、これはやはりこの個別経営計画というものが作られないところに、また知事の作る、知事ですからね、市町村長が作る計画ならまだ住民にぴったりするかもしれないけれども、知事が作るばく然たるこの計画が、林業の非常に機微な、うがった計画というものを、個別の計画まで指導できるなんということはないですよ。一体、あなた考えてごらんなさいな。県知事が、県知事ですよ、市町村長に何も権限ないでしょう、今度の法律では。末端の行政指導をする市町村長に、何らの権限がない何もない。知が、あなた、この木は切ったがいいとか、早いとかおそいとか、そんなことを一々あなた、指導ができますか。一体そういうばく然たる計画なんです、これは。どうしてもどんなに言いわけしたって、北海道の知事が北海道のすみずみの林業の計画なんてわかりっこないのです。これはどんなにやったって、どんないい計画を立てても、そういうことでは、私どもは指導をしてうまくいくようにするのですと言ったって、知事の立てる計画と、あまりにもばく然とし過ぎておって、林業の皆さんの、この長期の見通しに立つ、しかも産業の要請として今後における経済成長の伸び率からいって、木材の生産に至上命令としてこれだけの需給というものが出てきておる、経済が要求しておる、国民経済的に。そういうものを実現していこうという際に、個別計画を立てないで、どうやってこの知事の立てた計画が実施できるか。こんな莫然たる問題はだれが考えたって、そんなものになりっこないんですよ。やはりこの個所計画というものが立てられて初めて指導ができる。そんなもの何も作ってもいいし、作らなくてもいい、作るものには助成金を上げましょうなんという程度で、この増伐計画なんてできないですよ。これは産業の要請にこたえられないです。日本経済の成長にこたえられないです。私はそう思う。ですから、この点については、ないですから、これは、この法律にないのですから、どんなに弁解しょうとも、私はこれは薄ぼんやりした計画で、非常に自由放任主義で、まことに民主的に、森林所有者を思ったような案ではあるけれども、政策的には全然成り立たない、私はそう思います。そんななまやさしいことで、こんな膨大な生産なんというものはできないですよ。そういう点は何べん繰り返してもあれですが、そのほかの問題でも、まあ、質問はいろいろあるわけなんですが、時間も時間ですからあれですが、委員長、ちょっと速記をとめてもらって……。
  222. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて下さい。   〔午後五時三十九分速記中止〕   〔午後五時五十五分速記開始〕
  223. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして下さい。
  224. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第四条の第四項ですか、全国森林計画を変更する際に、中央森林審議会あるいは府県知事の「意見を聞らなければならない」都道府県知事の、これは聞き方の順序です。どういうふうに聞くのですか。都道府県知事には聞かなければならない、文書を出させることですか照会して。
  225. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 全国森林計画を立てあるいは変更しようとするときには中央森林審議会等、それから全国森林計画に関するときには、都道府県知事の意見を聞くということでございますが、何でしょうか。
  226. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 聞き方を聞いている。
  227. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 案を作って意見を聞く、こういうことです。
  228. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 案を作って都道府県知事から意見を聞く、そして変更して最終案を中央森林審議会にかけるのですか。同時に両方から聞いて仕事をしょうというのですか。手続的にはどうなるんです、これは。まず都道府県知事から意見を聞いて、それによって調整して最終的な政府案となるものを、中央森林審議会にかけるのですか、どうなんです。
  229. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 手続といたしましては、都道府県知事の意見を聞いて案を作りまして、中央森林審議会にかけるということになると思います。
  230. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、中央森林審議会がこれを変更することもあり得るわけですね。あるいはその意見を聞いて結局諮問機関ですから、意見を聞いて政府はまた変更する場合もあるわけですね。その場合は当該都道府県に関する場合は、当該都道府県にまた意見を聞くのですか。
  231. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そういう場合も、何回もやらなくちゃならぬ場合も全然ないとは申し上げかねるかと思いますが、大体の場合には、そういった重複ということも特に必要が生じないのではないかというふうに考えております。
  232. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この中央審議会の委員には、全国の知事会なり市町村会なり、その関係から代表委員が入っておるわけですか。
  233. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 入っております。
  234. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 取りまとめてそういう知事会とか市町村会とか、そういうものから、全国森林計画についての一般的な意見を聞くというようなことはないわけですね。
  235. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そういうことはやっておりません。
  236. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一点これに関係して聞くのですが、この都道府県知事の地域森林計画を立て、あるいは勧告し、援助するという行政行為は、これは国の委任事務ですか、知事の固有事務ですか。
  237. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 機関委任事項でございます。
  238. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 機関委任された事務である。そして第一次的な意見が都道府県知事から出る。中央審議会の意見によってこれが変改されるというような場合には、その機関委任された当該責任者である都道府県知事の意見は、もう用いない、こうですか。もうそういう段階はないのだ、聞くことは形式だけだというのですか。
  239. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 最終的な決定は、農林大臣がするわけでございますが、特に重要な問題につきましては、やはり十分に慎重に取り扱わなければならぬと思います。
  240. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう一つこれに関連してお尋ねしますがね、森林行政の系統というものは、中央と末端までどういうふうになっているのですか。
  241. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 民有林の行政におましては林野庁、それから都道府県、それから県の地方事務所、あるいは農林事務所でございますか、それから市町村、こういうことになると思います。それから国有林におきましては林野庁、それから営林局、営林署という段階になっております。
  242. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その際、市町村という固有の自治体、公共団体は、何ら権限的なものはないのですね。自分の地域、自分の行政区域、この中に関することでありながら、市町村長として、固有のその公共団体の首長として、自分の域内に関する森林行政と申しますか、こういうものについては、何ら権限的なものがないのですか。
  243. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そうでございます。
  244. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは不思議だとは思いませんか。自分が地域住民から選任されて首長になって、自分の管轄内の、ことに治山治水の関係で直ちに住民の福祉に関係する林野行政が地方の首長には何ら関係がなく行なわれる。外国ではどうなっておるのです。これは林野庁のみならず、農林省の従来の行政がほとんどみんなといっていいくらいそうです。農協とか森林組合とか、そういうものに依存し、自分の膝下にそういうものを押えておって、その系統を通して行政が行なわれる。そして行政機関を通さない。それがだんだん手に負えなくなって、農林行政の中でも困る問題だけは、そのほうでやってもらうというふうな形もぼつぼつ見受ける。林野行政というものは、もう市町村に対しては、恩恵的に国有林の地方税に見合う金をくれてやる、あるいは払い下げをしてやるんだという、そういうことで上から押える押え方、頭を下げさせつ放しに下げさせるやり方。このことは、山林地内においても、地域の住民を国有林野のそれぞれの方面に使うことによって、恩恵を施したがごとき錯覚を起こして、そしていろいろ施策するのに似ておる。不思議に思われませんか。都道府県というものは、これは公共団体です。けれども、地方自治法が直されて、中間的な広域的な公共機関とされて、国の出先機関的な立場、機関委任事務というものもどんどんふえてきている。けれども、市町村そのものを、直接利害のある市町村には、何らこの行政の問題が関与されないようになっておる。不思議だとば思いませんか。もう少しこの点をお考えになったら、この種の森林計画が伸びるというようなことも考えられませんか。
  245. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この森林組合等の団体に対して行政的な事務がいっているじゃないかというような、それを当然市町村に行なわせるべきじゃないかということにつきましては、私どもも、ただいま森林組合の問題を検討をいたします過程におきまして、議論なり検討をいたしておるところでございます。そういう点の整理というものも、将来考えて参らなければならないと考えておるのでございます。外国の例を見ましても、私ども、まことに寡聞でございますが、私どもの承知しております範囲では、大体市町村まではいっておらぬように聞いておるわけでございます。
  246. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 時間がありませんから、その次ですね、これは改正法ではありませんが、現行法でありますが、他に例があるのかないのか、お聞きするのですが、中央に持つ審議会という行政機関に、政府の役人が構成員となって、こういう中央森林審議会のように入っておる機関が、他に幾つございますか。
  247. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 他にもございますが、数は今、調査しております。
  248. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どういうものがありますか、一、二の例で。
  249. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) 今の例は、いろいろまだあるようでございますが、さしあたり手元にある自然公園法の中で見てみますと、自然公園審議会というのが置かれておりますが、この中には、はっきりと書いてございますが、第四条の二項でございますが、「審議会は、国立公園及び国定公園に関する重要事項について、関係行政機関に意見を具申することができる。」ということが書いてございます。そうして第六条に委員及び臨時委員という項目がございまして、その第一項に「審議会の委員及び臨時委員は、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから、厚生大臣が任命する。」まあいろいろこの審議会の構成メンバーについての議論は前からあったわけでざいますが、現在こういうものが現に残っておるということだけ申し上げます。今なお調査しております。
  250. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういう全国森林計画のみならず、今後中央森林審議会の意見を聞くという問題も多々あると思うのです。これに専門委員でもなく、正委員として十七対十もいわゆる高級官僚が入って、しかも、これに関係する者が入って審議をしていくということは、これはいいことですか、望ましくないことですか。
  251. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもとしては、やはりこういう関係行政機関の職員が入って審議をしてもらうということはけっこうなことだと思っております。
  252. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなれば、またここに私は疑問がある。また長引くのです。それなら審議会を置かないで、この十人の人に集まってもらう、大学なり何なりの学識経験者を委嘱して、自由濶達におやりになりたらどうです。法律も何も要らぬでしょう。内輪でおやりになってけっこうじゃないですか。命令されて起案すべき、あるいは実施すべき責任者が、一応一部においては命令者から今度は諮問という形でそれを出されて、かみしも着て、今度は答申いたします、都合がいいということは、学識経験者政府が望むままにリードしていく、あるいは行き足りない、行政上の困難性というものをそこへ持ち出してチェックしていくという形のほうに利点があるのじゃないですか。
  253. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この行政機関の職員と申しますのは……。
  254. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よその省から……、大蔵省なんかから……。
  255. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) はあそうです。
  256. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう私、委員長にらんでおるからやめますが、もう一つの例ですが、その次の「委員は、」「内閣総理大臣の承認を得て農林大臣が任命する。」この形式はどこにあるのか例示してもらいたい。どうも私十二年国会におりますけれども、内閣総理大臣は農林大臣が委員を任命することをまかせない。おれのところへちょっと持ってこい、承認しなければだめだ。そんなら総理大臣が任命したらいい。どうせ総理大臣が任命するたって、農林大臣が出した者について任命するだけなんですから。何でこういうふうに逆なというか、建前をお考えになったのか、ちょっと不思議だと思うので、これが一般的な例になっているかどうかお示し願いたい。
  257. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ちょっと調べてから……。
  258. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あすでけっこうです。
  259. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  260. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして下さい。  本日はこの程度にいたします。これで散会いたします。    午後六時十八分散会