○
政府委員(
伊東正義君) お手元にたしか配付してあると思うのですが、
漁業法の一部を
改正する
法律案の
提案理由の
補足説明、
水産協同組合法の一部を
改正する
法律案の
補足説明を簡単に申し上げます。
最初に、
漁業法のほうから申し上げます。今
政務次官から
提案理由の御
説明にありましたように、
わが国の
漁業は非常に漁獲高等におきましては、世界で一番というような
水産国の実を上げておるのでありますが、中に入ってみますと、
沿岸漁業は
カキの
養殖でありますとか、特に一部のものを除きまして全体として低い
生産性にとどまっておる。それから
沖合いの
遠洋漁業も
生産性のいいものもございますが、
格差が著じい上に不安定な
経営が多い、また近来
わが国の
漁業をめぐりまして、国際的にいろいろな
制約の
強化や、またその他
中小漁船の性能が向上して参るというようなことに伴いまして、
漁業量の
調整も、ますます困難となっていることなどいろいろ内部には多くの問題がございます。今後
わが国漁業の健全な
発展をはかりますためには、各種の
漁業振興政策のほかに、今問題になります
法律の
漁場利用の
改善合理化というようなことが不可欠であることが、先ほどの
提案理由の
説明で御
説明があったとおりでございます。このような
事情がありますので、
漁業制度調査会の
答申もありましたので、これを参酌しながら今度の
立法措置を講じまして、この今回の
法律案を提出することになったわけでございます。
改正案の
骨子でございますが、大きく分けまして、第一は、
漁業権制度の
改正の問題が第一番目でございます。それから第二番目には、
許可制度、
許可制度は
大臣許可と
知事許可がございますがこの
許可制度の
改正ということでございます。それから第三番目には、
中央漁業調整審議会のいうようなものの
強化をはかりますとともに、海区
漁業調整委員会について、ある程度の
改正を加えるというようなことが、大きく分けまして
改正の
骨子になっております。
第一番目の
漁業権制度の
改正でございますが、まず第一点は、
漁業権の
分類と
内容を整理したことでございます。
まず、
漁業権の中で
定置漁業権につきまして、実は青森県の陸奥湾でいろいろ
イワシ等を
対象とした
漁業でございますが、その
行使方法も
輪番行使になっているというようなことで、現在の第二種
共同漁業であります
小型定置と類似しているということから、
現地でもいろいろ希望がございまして
設置場所の
水深、現在は
法律で二十七メートルとなっているはずでございますが、その
水深のいかんを問わず、
共同漁業として取り扱うことといたしました。
それからもう
一つは北海道で、やはり
定置でございますが、ニシン、
イワシ、マス、
サケというものを主たる
漁獲物とします
定置漁業は、
一定の深さがなくても、
現行法ではこれは
定置漁業だということで
組合が持ちます
共同漁業権から別な取り扱いをしたわけでございますが、これは最近の魚群の
回遊状況の
変化等がございまして、
サケを除きましてほかのものは全部これはこの際特例をはずして、
共同漁業のほうに入れるというふうに
改正をしたわけでございます。
それから次に、
共同漁業でございますが、この中で第
三種共同漁業となっておりますしいらづけ
漁業というのがございます。これはおもに
九州地方に多くございますが、これは
沖合いから数十マイル外までというようなものもございまして、非常に
沖合いまで
漁業権ということになっておりまして、いろいろ問題がございますので、これは
漁業調整上の問題もございまして、
共同漁業からはずしまして
漁業権としない。必要があれば、
知事許可漁業とするというふうな
改正をいたしております。
それから内水面の
共同漁業につきまして、これは
増殖義務のあります第五種の
共同漁業と、
増殖義務のない第二種から第四種までの
共同漁業権がございますが、これは個々の
対象は多く競合する場合が多いので、これらは
制度上の均衡を欠いているというふうに考えられますので、全部第五種
共同漁業権というふうにしたわけでございます。
次に、
漁業権は
定置、
区画、
共同という三つに今
分類されておりますが、そのほかに
漁業の
免許の
適格性でございますとか、あるいは
優先順位に関連しまして
団体管理の
漁業権とその他の
漁業権に区別しております。
団体管理漁業権といいますのは、
漁業協同組合だけが
漁業権の
免許を受けまして、それを
組合員に行使させるという形のものが
団体管理漁業権でございますが、そういう
漁業権とその他の
漁業権に
分類されておりますが、現在の
法律で、
団体管理漁業権の
内容につきましても、その後の
漁業の
事情の
推移に応じまして整理をすることにいたしました。
現行法では、おもに漁家がやっている
漁家漁業ないしこれに準ずる実体を有する多数の
漁民が
漁場を集団的に利用する、そういう
漁業につきましては
操業秩序を保持するために、
漁業協同組合とか、
連合会を
管理主体とする
優先免許という形をとっているわけでございますが、その後の
事情の
推移によりまして、その考え方と
現行法の
規定が必ずしも一致しないというような現状も出て来ましたので、
団体管理漁業権としましては、
共同漁業全部と
区画漁業の中の
ひび建養殖、これは
ノリ等に類するものでございますが、その他
カキの
養殖あるいは第
三種区画漁業であります
貝類養殖の
漁業のほかに、新たにそう類の
養殖であります、あるいは
真珠の
母貝の
養殖業あのいは
小割り式の
小型養殖業、これは小さないけすのようなもので
養殖漁業、ハマチの
養殖漁業をするというものでございますが、そういう
養殖業を
組合が
漁業の
免許を受けて
団体管理をするという
漁業権に追加いたしまして、と同時に
小割り式以外の大
規模な内
水面漁業等につきましては、これは逆に
団体管理から除外するというような、
団体管理漁業権についての
分類を大体追加いたして、
一つだけ落とすということをやっております。
それから次に、
漁業権の問願の第二番目で、
団体管理漁業権の
行使方法の
適正化をはかったわけでございます。これは従来は定款でもう
組合員でありますと、各自が
行使権を有するんだということで、平等の
原則で
組合員が行使しますというようなことになりますと、
経営規模が
零細化を来たしているというようなことも一部に見られますので、これは今度は
組合の中で
漁業権の
行使規則というものを作りまして、
行使権者の
資格を限定するということをして、ある程度、全部が利用するのじゃなくて、順番に利用しますとか、あるいはある程度
経営能力のある者が使うというようなことを考えたらどうだろういうふうに、
行使規則を作るということを考えております。ただ、この
行使規則を作りましたり、変更する場合には、これは第
一種共同漁業権と申しますのは、
根つぎのそう類を取りましたり、貝類を取るとかという地先のそういうものを取る
漁業権でございますが、そういう
共同漁業権にありましては、地区内に
住所を有する
組合員でありますものの三分の二以上の
同意、それからそのほかの
区画漁業の場合では、やはり
当該漁業を営んでいる
組合員の三分の二以上の
同意を要するというようなことで、それは現在やっている人、あるいは
住所を持っている人の意思を尊重しながら、
行使規則を作っていこうというようなふうに若干
改正をいたしております。
それから
漁業権の第三点でございますが、
免許の
優先順位に関する
規定を若干
改善いたしております。この中では
定置漁業、
団体管理の
区画漁業、それから
真珠というようなものにつきまして
優先順位を若干
改正いたしております。
定置漁業につきましては、この
漁業の性質上、やはり
沿岸の釣とか、はえなわとか、そういう
漁業は多かれ少なかれ操業の
制約を受けるという
事情がございますので、その見返りといいますか、
地元のこれら
漁業を営みます
地元漁民に、
定置漁業から上がります魚類の均霑をさせるというようなことで、
地元漁民の大多数が直接構成する
漁業協同組合あるいは
生産組合、並びに
人格なき
社団というものに
優先第一
順位ということにしたのでございますが、今般は
定置漁業の
実態にかんがみまして、やはり相当の
資本が必要でございますので、
地元の
漁民が
経営の
支配権を確保できるということでありますれば、
資本の
導入というようなことも、ある程度考える必要があるのじゃないかということで、
漁民会社、
普通漁民会社と言っておりますが、そういうものにも
優先免許を与える必要があるのじゃないかということを考えているわけでございます。それから現在は、第一
順位の中に、いわゆる
人格なき
社団というものも第一
順位に入っていますが、これは
構成員全員が共有の名義で
免許を受けておりますし、一方また
法律で、
漁業権では持ち分の
移転を禁止しておりますので、一
たん免許を受けましたあとでは、
地元漁民が
人格なき
社団に
経営参加するということができないというふうなことになっておりますので、これは、今後はこれを直していきたいということで、第一
順位からは落としております。しかし、急にそういうことをやりましても、地方の
実態と合わぬことも出て参りますので、これは
附則で当分の間は
従前どおり第一
順位にして取り扱う、将来はこれは
改正を加えていこうというような趣旨にしております。
このような
理由からしまして、先ほど申し上げましたように、
漁業協同組合の自営あるいは
漁民会社、すなわち
漁業協同組合が社員または
構成員となっている
法人でありまして、
組合が
議決権なり
出資の
過半数を持っているというような
漁民会社等につきましては、第一
優先順位にしたということで、従来と若干変わりております。
それから次の
優先順位の問題で、ノリ、
カキのような
団体管理区画漁業権はこれはいずれも
発展していくのでございますから、今後はその適地に新しく
新規漁場を開発していくということをして参りたいということで、
構造改善事業等にもこれを取り上げております。したがいまして、
新規漁場の開発ということにつきましては、実は
新規でございますので、そこにはまだ
関係業者はいない、あるいは
カキ業者はいないのでございますが、これはそういうものはなくても、
地元漁民の大多数を含む
協同組合等を主体としたものについては、
優先免許をするということで、
沿岸漁業者が
優先免許の
規定を置いております。
第三番目に、
真珠養殖業の
免許でございます。これは実は
法律をやっております際に、
漁業権の中では一番問題になった点でございますが、これは
現行法も
真珠のほとんど全部が
輸出商品であるというような
商品的性格から、
真珠養殖業に
経験のあります
漁業者に
優先免許をするということは、
現行法にもそうございますし、今度の
法律でもその方針は貫いております。ただ過去一年間、そこで
真珠の
区画漁業権の
免許がなかったというような
新規の
漁場につきましては、この
方式そのままやりますと、
沿岸漁業者がやりたいという場合にも、
新規なところでもできなくなるおそれがございますので、
新規の
漁場は例外を作りまして、
新規漁場の
免許につきましても、
地元の
漁民の大多数が直接構成しております
組合がみずからやる、自営をしたい、またはこういう
組合が、社員または
構成員となって
議決権なり、
出資の
過半数を占めている
漁民会社につきましては、その中にだれか一人でも
経験者があれば、その
組合なり
会社は
経験があるんだというふうに
制限をゆるやかにいたしまして、従来の
真珠養殖業の
経験者と
同一順位にして、
知事さんがどちらにしたらいいかということを勘案してやったらどうかということで、
新規の
漁場につきましては、
真珠については従来よりは例外を開いております。
それから
漁業権のもう
一つの点で、
漁業権の
存続期間の延長をはかったものがございます。これは
区画漁業権の中で
真珠養殖と、それから大
規模漁類養殖につきまして
存続期間を十年にいたしております。
現行法では
存続期間は五年となっておりまして、しかし五年たちますと、それは取り消しの事由がある場合を除きまして更新をするということになっておりまして、これを
附則で停止しておるのでございますが、
漁場の総合的な利用ということを目的とします
漁場計画の
制度の趣旨からしましても、これは
区画漁業権のみに
更新制度を認めるということは適当でないということで、これを停止しますとともに、生産期間が長いもの、あるいは
資本等も相当にかかるというものにつきまして、先ほど申しました
真珠養殖と、大
規模魚類
養殖だけは
存続期間ば十年にいたします。
それから、
漁業権の第五点でございますが、
定置漁業と、
管理漁業権以外の
区画漁業、この二つのものにつきまして、
現行法では相当これに担保権を設定いたしますこと、あるいは
移転することの
制限をいたしておりますが、その
制限を一部緩和いたしております。これは
現行法では一部認めながら、
附則でその適用を停止しておるのでございますが、この際
漁業経営者の
要請を考慮いたしまして、この
附則は削除しますとともに、本則の一部を
改正しまして、合理的な
範囲で
抵当権の設定を認めたらどうか、
経営に必要な資金の融通を受けるためにやむを得ないというような場合には、
知事の認可を受けまして
抵当権を設定できる、また滞納処分とか先取特権者とか
抵当権者が権利を実行する場合には、
知事の認可を条件としまして
移転を認めるというように、
定置漁業権、結合が
管理いたします
漁業権以外の
区画漁業権につきまして、今申し上げました担保物件の
設定等の一部緩和をしたのが、この
改正でございます。以上が
漁業権につきましての
改正でございます。
第二は、
許可制度の
改正でございます。これも実は
漁業法をやります場合にだいぶん問題になりました点でございます。
許可漁業には、御承知のように、
大臣許可と
知事許可漁業がございます。
まず、
大臣許可のほうから申し上げますと、
現行法におきましては、大型捕鯨業、南氷洋でクジラを取るというような捕鯨業でございます。それから以西トロール
漁業、これは東経百三十度以西でやっておりますトロール。それから以西機船底びき網
漁業、おもに東海公海を
漁場とする
漁業でございます。それから遠洋カツオ・マグロ
漁業、これは大西洋とか世界中どこにも行っております。こういう四
漁業につきましては、指定
遠洋漁業としまして特別に書いておりまして、その他の
大臣許可漁業、たとえば北洋の母船式の鮭鱒というものでありますとか、あるいは母船式のカニでございますとか、そういうものはこれに指定してございませんので、すべて現在、法六十五条に基づきます省令によって全部
許可制度をとっております。それで
大臣許可といいましても、非常に統一されていないという現状でございます。
現行法で今申し上げましたように、特に指定
遠洋漁業という
制度を設けましたのは、これらの
漁業が他の
漁業に比較しまし、て、おおむね
資本性
漁業として考えられており、大体、
資本と船舶に着目いたしました対物
許可としての
許可方式をとっておるわけでございまして、
資本と船舶の要件を満たすものに対しては、すべてこれは平等に
許可を与えていくという
原則のもとに
新規許可をする場合に、ワクが、
制限があるというような場合にはくじ引きをやっていくのだ、だれでも
資格の
制限がない。くじは一人で幾らでも申請できる。
制限がない、また
資格も
制限がない、くじ引きでやるのだというような法制になっておりますし、また、
許可船舶の使用権がAからBに移りますと、Bという人は
原則として
許可も継続してもらえるというような
許可方式になっております。しかしながら、その後の
事情からいたしますと、今申し上げました四つの
漁業だけを
指定漁業として指定することば
実態に合わなくなっておりますし、また対物
許可という考え方の
許可がこれが
権利化をする。たとえば一トン何十万だというようなことがよく言われておりますが、
許可の
権利化ということ、あるいは
許可が固定化する、また
資本集中の弊害も実は、ある一部に相当かたまるというようなことも見られます上に、こういう
方式をとっておりますと、
沿岸とか
沖合いから遠洋へ出る問題、あるいは水産資源の保護とか
漁業調整の見地、あるいは国際上の見地から
転換をしていぎたいというような場合には、そういうことが円満にできませんので、今度の
改正案では、指定
遠洋漁業その他の大臣特別
漁業という
大臣許可漁業という区別を廃しまして、全部一本の
指定漁業というふうにいたしまして、統一的にこれをやっていこうというふうな
漁業にしたわけでございます。
それから第二番目には、今までは許し可にあたりましては、くじ引きとかいうようなことの
制度になっておりましたが、今度は
指定漁業の
許可にあたりましては、
原則として
一定期間の前にワクの公示をするという、公示制をとったわけでございます。水産動植物の繁殖保護とか、
漁業調整その他の公益に支障を及ぼさないという
範囲で、その
指定漁業を営む者の数でありますとか、その
経営事情等を勘案しまして、どれだけの船舶を
許可するか、あるいはそのトン数別の隻数は幾らか、申請期間はいつからいつまでというふうに定めまして、
一つオープンに公示制をやろうというようなことをまずやったわけでございますが、公示制をとりましても、従来のようにくじ引きというようなことでなくして、申請してきました隻数が
公示隻数を上回るというような場合には、たとえばカツオ、マグロでありますと、カツオ、マグロをやっている人の
経営の
安定合理化とか、あるいは資源の保護とか、
漁業調整とか、
沿岸漁業から
沖合いへ出たいというための
漁業転換でございますとか、あるいはその
漁業の従事者が集まりまして、これを
経営者として自立していくんだというような人につきましては、いろんな政策的な諸要素を勘案しまして
許可の
基準を定めていくというようなことにつきまして、従来は無
原則にと言ってもいいまでの、くじ引きというようなことをやっていたのでございますが、私はここに政策的ないろんな
要請を入れて
許可基準を作ろうというふうに考えております。
そういうふうにしまして、公示して
許可基準を定めて
許可をするということでございますが、その例外といたしまして公示をしない場合がございます。
その
一つは、
許可船舶を入れかえるという場合には、これは公示をしなくてもいいだろう。たとえば
許可を受けた船舶が滅失しましたり、沈没しましたとして、他の船舶を使いますというような場合には、これは公示はしない。
そのほかもう
一つは、今、
許可船舶の使用権の承継ということも若干例外として考えてもいいのでなかろうかということで、承継を認めております。従来はこの承継につきましては、船舶に着目した対物
許可という考えから、非常に広い
範囲でだれにでもほとんど、
漁業法の
適格性を欠く、たとえば過去において非常に違反したとか、あるいは労働条件の違反をしているというような
適格性を欠く者以外は、非常に広い
範囲で転々譲渡が認められたのでございますが、今度の
改正法案におきましては、そういう広い
範囲で承継を認めるということは、公示制をとりまして
許可基準を定めて
許可していくという
原則にも反しますので、その承継を受ける人が、その
経営が不安定かどうか、あるいは
漁業転換を必要とするかどうかというような、人的要素を十分考えに取り入れまして承継を考えていこうということで、従来承継が転々認められた結果、
許可が
権利化するとか、またこれが
集中化するとかということを排除しょうということを考えております。それで、そういう例外の場合としまして、
個人経営が
共同経営になりますとか、あるいは
法人化するというような、相続合併に準ずるような船舶の承継の場合でございますとか、小
規模のたとえば一ばい船主が
経営を、二はいくらいにして
経営規模を拡大したいとかというような場合でございますとか、あるいは
沿岸とか、そのほか
漁業資源の関係、国際的な関係で
漁業転換の必要がある、あるいは従事者がまた
漁業者として自立するというような
新規を認めます場合の
許可基準に合致したような人に限って
承継許可を行なえるというように、非常にこれは限定をいたしまして
承継許可を認めていこうというようなふうに考えております。
次は、やはり
大臣許可につきまして、
許可期間の一斉更新ということを考えております。現在はたとえばカツオ、マグロ
漁業等、例でございますが、非常にばらばらで、船ごとに
許可期間大体五年やっておりますが、そろっておりません。それでこれは資源の関係、あるいは
漁業調整の関係からいきますれば、
一つの
漁業につきましては
許可期間は一斉に更新しまして、そのときに一体資源はどうなっているか、もっとふやすべきか、減らすべきか、あるいは
漁業調整上、もっとよけいやっても資源に心配ない、しかし、
漁業調整にも心配ないというようなときには、もっと
許可をしてもいいんじゃないかというような、弾力的に
許可を運用できますように、
許可期間の一斉更新ということを考えているわけでございます。これは現在の
法律にはございません。しかし、一斉更新をいたしましても、従来の実績者がそのために非常に不安になるということでは、また
漁業経営上、困りますので、資源関係その他で特別にワクを減らすという場合を除きまして、実績者には、ひとつ実績
優先ということで
許可をしょうというような
規定を入れております。
これが指定遠洋
許可のおもな
改正でございますが、そのほかに現在
中央漁業調整審議会というのがございますが、この機構を活用いたしまして、これは従来、こういうところに諮問いたしますのは非常に限定されたことでございましたが、今度は今申し述べましたように、
許可のワクをどうするか、あるいは
許可の
基準をどうするか、承継の
基準をどうするかというようなことにつきましては、事前に
中央漁業調整審議会の意見を聞くというようなこともいたしますし、
許可の公示等につきましては、たとえば主務大臣がそうやらぬでもいいという考えでやらぬ場合もありましょうし、また、いろいろやるべきものもやらぬと思われるときがございますれば、これは主務大臣に、
中央漁業調整審議会からもっと
許可のワクを広げたらどうかというような建議を出してもらうというふうに考えております。また、この
中央漁業調整審議会の構成につきましても、大臣が会長というようなことをしておりましたが、こういう会長制は廃しまして、
漁業者、
漁業従事者の代表
委員を増加するというようなことを、実は考えておるわけでございます。
それからもう
一つ、
法律をやりましたときに問題になりました
母船式漁業でございますが、この
漁業は現在これは
指定漁業になっておりませんで、六十五条の
規定に基づきます省令で実はやっておりまして、その省令に基づきまして、母船、独航船それぞれにつきまして、主務大臣が使用承認をするというような省令になっておるのでございますが、これはひとつ
法律にはっきり書こうということで、
母船式漁業というものは、母船と
独航船等が、独航船の、あるいはこれは鯨でありますれば、探鯨船とか、そういうものがありますが、そういう母船、独航船が一体となって操業するところに特色がございますので、母船の
許可にあっては、Aという母船は、B、C、D、E丸というそういう独航船を連れて行くのだということでありますれば、母船の
許可にあっては、母船とその同一船団に属する独航船を指定しまして
許可をします。ついて行きます
独航船等の
許可にあっては、自分の母船は何だ、AならA丸というふうに指定されたその母船について行くという
許可をもらうというように、
許可方針について、若干特例的な
規定を設けたわけでございます。大体以上が
大臣許可漁業についての
規定ございます。
次に、
知事許可でございますが、これはまき網と鮭鱒流し網、地びき網につきまして、若干
改正を加えてあります。従来はまき網につきましては、農林大臣が六十トン未満の船舶によります、まき網
漁業につきまして、県を指定しまして、その県の
許可隻数は幾ら、トン数幾らというようないわゆるワクづけということをやっておりますが、これは大体その後の
漁船の能率の向上等によりまして、数府県にわたってやっておりますのは、四十トン以上くらいの船舶が多いので、これを六十トンを四十トンにしたということと、従来は六十五条の省令で
知事許可漁業としてやっておりました三十トン未満の「
小型さけ・
ます流し網漁業」これは今問題になうております北洋の鮭鱒の三十トン未満の
許可漁業でございますが、こういうものにつきましては、大臣ワクを幾らというふうに、国際的な関係その他から、そういうワクづけ
漁業ということにしたわけでございます。それから現在六十六条でこれは
共同漁業権の中にありますれば、
許可を受けない地びき網の
漁業の禁止の
規定、これは
共同漁業権にこれを
規定してないという場合には、
知事の
許可を受けなければやっちゃいかぬということが書いてありますが、これは六十五条で十分できますので、この六十六条の
規定を廃止したわけでございます。これは事務的なことでございます。
以上が
大臣許可漁業権に関する
改正でございまして、そのほかに
漁業調整機構としまして、御承知のように海区の
調整委員会がございますが、これは非常に
漁船の稼働
範囲も拡大してきたというような
理由からいたしまして、一県一海区ということを
原則にやったほうが、県内の
調整その他に適当じゃなかろうかと、もちろん例外は考えております。考えておりますが、
原則として一県一海区というようなことにいたしました。そうしてその一環としまして、
調整委員会の数を現在十人でございますが、これを十五人にするということで、現在
選挙委員が七名、学識
経験者が二名、公益代表が一名ということで十名で構成しておりますが、今度は
選挙委員が九名、学識
経験者四名、公益
委員二名というような、十五人にいたしております。そのほか任期が二年で非常に短いということがよくいわれておりますので、この任期を四年にいたしまして延長いたしました。で、この海区
調整委員会の
委員の改選は、これは今年八月十五日、これは申し落としましたが、
中央漁業調整審議会も八月十五日に切りかえをするというような考え方をいたしております。それからもう
一つ、現在連合海区
漁業調整委員会といいまして、数府県に入り会って非常に問題のあるところに連合海区
漁業調整委員会を有明とか瀬戸内に作っておりますが、長崎、福岡、佐賀の入り会い関係が非常に輻湊しておりますが、玄海灘の一部につきまして
玄海連合海区
漁業調整委員会というのを設置しまして、三県の入り会いを
調整しようということでいたしたわけであります。最後には、内水面
漁業については内水面の
漁業権者と一般の
漁業者との摩擦を
調整いたしますために、
漁業権者が一般
漁業者の
制限をするという場合には、
知事の認可を受けた
漁業規則による必要があるというような
改正を内水面についてやっております。
大体以上が
漁業法改正に関します
内容の
補足説明でございます。
次に引き続きまして、
水産業協同組合法の一部を
改正する
法律案の
補足説明を申し上げます。
改正のおもな点は、
組合員の
資格を
改正いたしましたことと、それから第二点は
組合の
管理運営の円滑を期するために
所要の
規定の整備をいたしました。それから第三点は、
漁業の自営ということをやります場合の
制限を緩和いたしております。それから第四点は、
漁業協同組合連合会につきまして、金融の問題その他について
所要の
改正をいたしました。それから第五点は、水産加工業協同
組合、それから
連合会、それから
水産業協同組合の共済会の
規定につきまして整備をいたしております。それから独禁法の適用除外の特例があったのでありますが、これも廃止しまして、
水産業協同組合につきましては、全部独禁法の適用を除外するというような
改正をいたしております。そのほかは、いろいろ
組合に対する監督の
強化等をいたしたことが
内容でございます。この
法律も、
漁業制度調査会の
答申を参酌いたして作りましたわけでございまして、
漁民の
共同組織であります
漁業協同組合なり、
連合会の健全な
発展をはかるために
組織、
運営、監督について
改正を行なうものでございます。
まず第一点の
組合員資格の
改正でございますが、まず正
組合員にっきましては、すなわち
議決権及び選挙権を有しております正
組合員の
資格でございますが、従来は
漁民で
漁業日数が一年間に三十日から九十日の間で、定款で定める
漁業日数を営んでおります者を正
組合員にできるということになっておったのでございますが、これをしますと、三十日から九十日というのは非常に期間が短くて、
漁民的でないという人々が
組合の正
組合員になるということで、いろいろ
運営がやりづらいといいますか、
運営がむずかしい面が生じますので、これを九十日から百二十日というふうに
漁業従事日数を上げたわけでございます。これは経済
事業体として
組合が
活動して参りますためには、その
構成員が利害を同じくする者で、均質的な
漁民で構成しようという考え方からそういうことをいたしました、しかし、内水面は従来通りでございます。
それから次は、正
組合員の追加でございますが、従来は
漁業生産組合あるいは
法人というものは、正
組合員になる
資格ばなかったのでございます。これは
准組合員であったわけでございますが、最近の傾向からいたしまして個人と
組合なり、あるいは
法人というものについてそう区別する必要がないのじゃなかろうかというふうに考えまして、
漁業生産組合も正
組合員となれますし、また
法人の中で比較的
規模の小さいもの、これは常時使用する従事者が三百人以下、かっその使用する
漁船の合計総トン数が三百トン以下であるもの、これは現在
准組合員の
資格でございますが、そういうところまでは正
組合員にしてもいいのじゃなかろうかということで、これは正
組合員の
資格を追加したわけでございます。
それからもう
一つ、正
組合員の問題で大きな
改正は、従来
経営者と他人に雇用されておる従事者とを区別して取り扱いますことは、いわゆる業種別
漁業協同組合ではこれを認めていたわけでありますが、今度は
漁業協同組合が経済
事業体として
発展するためには、
地区漁協といたしましてその
実態に即して、
経営者のみで
漁業協同組合を設立したいというときには、そういうこともできるという可能性をしいたわけであります。また、他方、業種別
漁業協同組合につきましては、これは
漁業経営者の
組織体としての性格を明確にするということで、正
組合員は
経営者に限ることにしたわけであります。これは正
組合につきまして大きな
改正点でございます。それから
組合員でございますが、
准組合員といいますのは、
議決権と選挙権を有しない
組合員でございますが、先ほど申し上げましたように、相当
法人も正
組合員になり得るというような
規定を開きましたが、
准組合員にはもう少し大きい人も
准組合員にしてもいいのじゃなかろうかということで、従来の
資格は三百人以下かつ総トン数三百トン以下ということが、
准組合員の
資格でございましたが今度は常時使用の従事者三百人以下で、かつ千トンまでの
法人については
准組合員にしよう、それから
業種別組合につきましては三百人以下二千トンまでは、これは
准組合員として
組合加入を認めようということにしたわけであります。
それから、そのほかに
漁業と非常に密接な関係にあります水産加工業者につきましては、これは水産加工業協同
組合に加入しておるものでもあわせて
漁業協同組合の
准組合員に入り得る、また、常時使用する従事者が四十人以下というような小
規模の水産加工業の
法人につきましても、先ほど
法人に
漁業協同組合の正
組合員の
資格を認めましたと同様の趣旨で、これは
准組合員にしてもよろしいということで窓を開いたわけであります。
そのほかに、現在の
漁業協同組合につきまして、これが自営をする、たとえば
定置の自営をするというような場合には、
定置だけで
業種別組合がありますと現在は入らないということになっておりましたが、こういう協同
組合も、そういう
業種別組合も
准組合員として入れるというように、
組合員につきまして、
組合員の
資格につきましてだいぶ大きな
改正を加えました。ある程度の人を包容してやっていこうということと、もう
一つは、その半面には均質化した人でやっていこうということで、一部を入れ、一部を落とすというようなことをやったわけであります。そういうことをしまして、二年間の間に、これは
附則で二年間にそれに合ったような定款を変更するようにということをいたしたわけであります。ただ、現在正
組合員である人が、
漁業日数が不足する、あるいは
業種別組合の従事者が正
組合員であったものが正
組合員の
資格を失うということになりますが、こういう人につきましては、必ず
准組合員の
資格は少なくとも与えなければならぬというふうにいたしております。
今のは
組合員の
資格の問題でございますが、次は、
組合の
管理なり
運営の円滑を期するために
規定の整備をいたしております。
漁業協同組合につきましても、合併をいたしまして、
組合を強固にして
経営組織をやっていこうということを考えておるわけでございますが、こういう合併しました地区の拡大に伴いまして、総会がなかなか条件が整いませんと、成立が困難になるというようなこともございますので、総会に出席いたします場合の代理人、現在はほかの人一人について代理し得るというような
規定がございますが、それを二人までにする。あるいは正
組合員の総数が千人以上というような大きい
組合につきましては、三人までほかの
組合員の代理ができるというようなことをいたしましたり、また総会の招集期日を十日から一週間にしますとか、あるいは総会の法定議決事項であります訴願訴訟というようなものは全部今総会の議決事項になっておりますが、これを
漁業権、入漁権に関する訴願、訴訟だけに限るというような整理をいたしましたり、あるいは総会の延期なり続行の決議ができるというような商法の
規定がございますが、こういうことも総会でできるというように、商法の
規定等の準用もいたしておるわけでございます。また、従来は総会でやっておりました総代の選挙にっきましても、
総会外でもできるというように、だいぶ
組合の合併等によりますことから起きます問題等につきまして、いろいろ手当をしたわけでございます。内水面につきましても、内水面の
漁業協同組合地区が非常に一般に広いので、総代会を設けました場合には、通常総会は開かぬでいいというような
規定の簡易化をはかっております。
それから協同
組合の役員にりきまして、この執行機関としての義務をはっきりしてもらう、あるいは責任を明確化する任務を怠りました場合には、その者は
組合に対して連帯して損害賠償の責任を負いますとか、いろいろ条文の整理をし、また取締役と
会社の関係、あるいは取締役の任期の伸長というふうな商法の
規定も準用いたしますとともに、仮理事の選任は従来裁判所がやっておりましたが、これは
行政庁でやれるというように
実態に合うような
改正をいたしております。
それから
組合につきましてもう
一つ剰余金の配当でございますが、従来はこれは払込済
出資金について配当は年五分というふうに限定されておりましたが、増資の円滑ということをやっていきますためには、年五分ということはいささか低いので、農協等に合わせまして年八分以内ということで政令で定めることにいたしております。
そのほかに、
漁業協同組合の設立につきましては、従来から非常に弱小協同
組合が
乱立しているという問題がございましたので、これは
行政庁にこの権限を与えまして、
経営の基礎を欠くというような、これはどう見ても
弱小組合で、今後これを維持することは困難だろうというような場合には、
行政庁の裁量の余地を広げまして、これを認可しなくともいいというような、裁量の余地を広げることにいたしておるわけでございます。また、作りましても、九十日を経過しても登記もしないというような
組合については、取り消すというような
規定もいたしております。
それから
改正の第三番目でございますが、これは
漁業自営をやります協同
組合、
生産組合の設置の条件を緩和したことでございます。これは最近やはり漁村でも、農村同様に
漁業労働
事業がかなり窮屈になっておりますので、自営をする場合には、その
漁業に従事する者のうち三分の二以上が
組合員でなけりゃならぬという
制限がございますが、これを二分の一半分にいたしまして
制限を緩和しまして、自営をやりやすくするというようにしたわけでございます。また
生産組合につきましては、現在
組合員の平均
出資口数の二倍以上は、
出資口数を持つちゃいかんという
制限規定がございますが、
生産組合でも、今後相当
漁業をいたします場合に
資本が大きくなって参りますと、こういう
規定がございますと、なかなかやりづらいということになりますので、この
制限を削除するということをいたしております。
それから
連合会でございますが、
連合会につきましては、その会員として
漁業協同組合が主たる
出資者であり、または
構成員であるというような
法人につきましては、
准会員の
資格を与えますとか、あるいは信用
漁業協同組合にありましては、農林中金その他の大臣が指定します金融機関の
代理業務を加えまして、
漁民の便宜をはかるということにいたしましたほかに、現在は漁連から単協の
組合員には直接金が貸せない、または貯金を受け入れることはできないということになっておるのでございますが、そういたしますと、
漁業協同組合が不振な場合、あるいは不振でなくても、その
漁業協同組合の
組合員が大きな資金需要が要るという場合に、協同
組合がなかなか信連から借りられぬという場合には、その
組合員も借りられないということになりますので、その因果関係を定款で定めました場合には断ち切りまして、信連から
組合員が直接借りられるというような
規定を設けたわけでございます。
そのほかに、水産加工業協同
組合とか、
連合会あるいは共済会に関する
規定を
改正いたしまして、四十人以下の小
規模の水産加工業
法人につきましては、現在は
准組合員の
資格しかありませんが、これを正
組合員にいたします。あるいは
組合員なり所属員の経済的地位の向上をはかるために、水産加工業協同
組合とその
連合会に団体協約の締結権を認めますとか、あるいは水産加工業協同
組合の
管理、
運営につきまして、
漁業協同組合のいろいろな
改正規定を準用いたしたような次第でございます。
そのほかに、
水産業協同組合につきまして共済会がございますが、その数は千八百にも及んでおりますので、これは総代会で役員の選挙ができますとか、あるいは総代会を設けました場合には、通常総会の招集義務を免じますとか、
所要の
規定の
改正をいたしました。
それから先ほど申し上げましたように、現在
法律で
漁業協同組合につきましては、独禁法は適用除外になっておりますので、業種別
漁業協同組合及び水産加工業協同
組合員に対しましては、
一定の条件をこえる、たとえば
定置漁業をやっておりますような業種別
漁業協同組合で、常時使用する従事者が百人以上で、
組合員が三分の一以上ありますと、独禁法の適用があるのでございますが、今度は
水産業協同組合につきましては、独禁法適用から全部をはずしたわけでございます。お手元にお配りしました
補足説明の八ページ、前から六行目でございますが、「現在独占禁止法は業種別
漁業協同組合及び水産加工業協同
組合であって
一定の条件をこえるものについては、」とございますが、これを
一定の条件をこえるもの以外については、」とお直し願いたと思います。適用除外の特例がございますが、これを全部独禁法からはずすことにいたしました。
そのほか、いろいろ報告、徴収権の拡大でございますとかあるいは監督について
強化をいたしておりまして、
法律の整備をはかろうというのが、
水産業協同組合法の一部
改正の点でございます。
以上で
補足説明は終わります。