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1962-03-15 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   委員異動 本日委員藤田進君辞任につき、その補 欠として野溝勝君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            重政 庸徳君            仲原 善一君            温水 三郎君            藤野 繁雄君            大森 創造君           小笠原二三男君            北村  暢君            清澤 俊英君            野溝  勝君            天田 勝正君   政府委員    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    農林政務次官  中野 文門君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    食糧庁長官   大沢  融君    林野庁長官   吉村 清英君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省畜産局参    事官      保坂 信男君    農林省畜産局衛    生課長     田中 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産政策に関する件) ○森林法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤田進君が辞任され、その補欠として野溝勝君が選任せられました。     —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。  本件について御質疑の要求がございますので、これを許します。野溝勝君。
  4. 野溝勝

    野溝勝君 私が質問をする点は、当面の農政の実務に関しまして二、三の点をお伺いしたいと思います。特に最近におきましては、環境衛生も非常に活動的になってきております。同時に、農業基本法がいい悪いは別にいたしまして、農業基本法に基づく畜産増産という一つの動きもあるわけでして、畜産環境衛生というものが不即不離の関係でいかないと、行政上問題になる点が出てくると思うのであります。そういう点について、きょうは環境衛生局長畜産局長共済制度にも関係のある経済局長とをお願いしたわけでございます。  私が、第一にお聞きしたいと思うことは、この畜産方面に特に今まで技術的指導をしてきたのは、一つの技師ないしは獣医師とかいう資格のある人がこの方面の多くの技術指導をしてきたわけです。ところが、その獣医師法たるや、依然として昔、そのままであって、現状に沿うのにはあまりにもそぐわないものがあるのじゃないかと思うのでございます。こういう点について、畜産局長並びに環境衛生局長から、ひとつ御答弁を願いたいと存じます。
  5. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいまお尋ねでございました獣医師に関しまして、現在わが国におきましては、獣医師は約一万八千人おりまして、そのうち特に獣医師に従事する人員は一万七千人程度ございます。なお、その中では国なり都道府県、市町村等職員として獣医師関係業務に従事しております者が相当部分を占めておるわけでございますが、このほか民間団体個人診療等に従事いたします者、九千人余まりになっておるわけでございまして、従来獣医師関係団体等から御指摘のような獣医師活動分野につきましていろいろと御指摘もあり、待遇改善その他については御意見があるわけでございますが、獣医師活動が助長されますことが畜産振興に重要な役割を果たしますことは御指摘のとおりであると思うわけでございまして、私ども獣医師活動が助長されますことにつきましては、従前からいろいろと私は意を用いて考えておるところでございますが、これらの待遇問題等につきましても私どもが直接手の及びます面といたしましては、家畜伝染病予防法等で御協力を願います関係もございまして、それらの場合に、獣医師方々を臨時に御協力をいただきます場合のいろいろの諸手当等につきましても、従来予算においても努力をして参ったわけでございますが、最近ここ二、三年来若干ずつ手当助成等を考えて参りましたが、来年度の予算におきましても、本年度八百円の半額、四百円程度助成でありましたものを、さらに一千円程度の、半額程度助成ということで予算に計上し、御審査を願っているわけでございます。さらに、共済保険等の面につきましても、農災法の面で家畜保険立場からもいろいろと予算の面で御尽力を願っているところであります。
  6. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 厚生省所管事務のうちで公衆衛生、特に環境衛生関係で多数の獣医師の方の御活躍をいただいておりますことは御指摘のとおりごでざいます。その数はおよそ二千三百人前後かと思いますが、中央、地方を通じまして倉品衛生監視事務、あるいは屠畜検査の事務狂犬病予防事務、その他環境衛生監視事務等に従事いたしておるわけでございます。これらの獣医師である公務員の質の向上といった面につきましては、私どもも数種の講習会等を通じましてその質的な向上をはかっておるわけでございまして、もちろんこの定員等の上にも不足の面はございますが、質の向上等によりまして、おおむね環境衛生事務実施支障のないような活動を得ておるわけであります。  なお、獣医師法現状について、どうかというお尋ねでございますが、私ども所管外でもございますので、特にこの問題を取り上げまして私どものほうで検討いたしたということはないわけでございます。一応私ども仕事分野におきましては、現在の獣医師法によって免許を受けました有資格者職員によっておおむね支障のない業務実施いたしておるという状況でございます。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 ちょっと畜産局参事官お話——獣医師法は三十四年の十二月三十一日以来、どういうところが直っているのですか。直っておりませんか、そのままですか。
  8. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 三十四年以来、その後におきましては改正は行なわれておりません。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 そうなると、私、先ほど申しましたとおり、これから畜産振興をするとか、あるいは伝染病予防法に基づく獣疫などが非常にふえてくるとかというようなことに対して、今のままでいいでしょうかな。もう少し私は各関係官庁が有機的なつながりをしていかなければならぬと思うのですが、こういう点については畜産局、もちろん環境衛生局、それから経済局あたりが、一応個々の実務者方々が総合的に相談をしなければならないと思うのですが、こういう点——私は決してひねくれて言うわけではありませんからどうぞ遠慮なく、のんびりした気持お答え願いたい。こういう点はどうもまずかった。今やっていない、これからやろうと思いますとか、そんなところでよろしゅうございますから……。
  10. 田中良男

    説明員田中良男君) それでは私からお答え申し上げます。ただいま野溝先生からお話がございましたとおり、獣医師法昭和二十四年に制定されまして、その後実は変わっておりませんが、ただ獣医師法内容を申し上げますと、一種資格法と、それから獣医師業務内容の規定、こういうような点が主体になっておるわけでございまして、資格その他につきましては、御指摘のように、まあ畜産がだんだんおとなになって参っておる現在、必ずしも十分だとは実は申し上げられないような状態でございます。と申しますることは、まあ卑近な例を申し上げますと、現在の獣医師国家試験受験資格というのが、四年にわたる獣医学を卒業した者、こういうふうになっておりますけれども、事実上は、基礎教育といたしまして約二年の修業が必要でありまして、その上に専門教育は二年行なわれている、こういう形でございます。獣医学というのは、御承知でもございますように、一種解剖学組織学というようなものから始まりまして、だんだん系統的に組織されておる学問体系を持っておりますので、二年間でとにかく全部を終了してしまって、しかも農家の家畜を扱ったり、あるいは公衆衛生全部を扱っていて、完壁とは実は申し上げられないような現状でございます。現在世界中の獣医教育を見渡たしましても、四年の獣医教育というふうなことをやっておりますのは日本とフィリピンだけでございまして、そのほかの国は五年ないし六年といったふうなものが獣医教育の年限になっております。そういう点におきましては、現在必ずしも十分でない、こういうことがいえるのではないかと思います。  それから、仕事分野の問題でございますが、獣医師は、御承知のとおり、まあ畜産奨励事務、あるいは衛生のいろいろの事務、そのほか環境衛生でございますとか、また最近のようにいろいろの畜産関係民間産業というようなものが発達して参りました現在では、たとえば薬屋さんに入るとか、あるいはえさ屋さんに入るとか、あるいはまた乳の加工業者に入るとか、あるいはまた肉の加工方面に向かうとかいうふうなことで、その向かう方面が非常に多岐にわたってだんだん進んで参ってきております。そんなわけで、私ども獣医師法に基づきまして毎年一ぺんずつ国家試験というのをやっておりますが、その国家試験受験科目というふうなものを、なるべく今申し上げましたような獣医師が担当する分野というふうなものを前提に考えまして、試験科目選定であるとか、あるいはまた内容選定であるとかいうふうなことをいたしまして、現状におきましてなるべく実情に合うような獣医師を世の中に送り出したい、こういうような考え方で進んでおります。  それからもう一点は、獣医師の数の問題でございます。先ほど私のほうの参事官から申し上げましたように、現在約一万八千余人の獣医師がおられますが、そのうちで獣医実務に従事していらっしゃる方が九一%ぐらいになっておりまして、約一万八千人、その内容を見ますと、先ほどもお話がありましたように、いろいろ実は、まあ畜産関係公衆衛生関係、あるいは研究関係とか、学校関係とか、いろいろの分野に分かれておりますが、最近獣医師の数が足りないという問題があっちこっちで実は聞かれるのでございます。ところが、私どもの見ておりますところでは、現在日本では家畜の数を前提にして獣医師の割合というふうなものを考えますと……。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 要点だけでよろしい。
  12. 田中良男

    説明員田中良男君) まだまだ諸外国に比べて非常に数が少ない——数が少ないと申しますことは、対象の動物が少なくて、まだ余裕があるというふうに実は見ておるわけでございまして、配置転換だとか、待遇改善だとかそういうことをいたしましたら、ここしばらくは不足はないのじゃないか、こういうふうに実は考えております。
  13. 野溝勝

    野溝勝君 私もやはりその仲間の一人でございますから、まあ衛生課長の御説明は大体わかっておるのですが、それほど重要な科学性を持った、そうして国家試験までやっている獣医師待遇は、ほとんど問題にならぬぐらい低い。先ほど環境衛生局長はわかったような、わからぬようなお答えをしたけれども、何を一体根拠獣医師待遇はいいのでございますか。その根拠があったら、今までの保健業務に携わっておる獣医師給料産婆看護婦給料医者給料、それをひとつ数字をあげて対比して御説明願いたい。
  14. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) お答え申し上げます。先ほどの御答弁の中で、私は獣医師法に触れまして、主としてその素質、学識経験等の面からおおむね公衆衛生業務では支障のない業務を展開しておるということを申し上げたわけでございまして、給与の点につきましては、これはただいま御指摘もございますように、技術行政の面で、特に技術を高く評価するという立場から、現在の給与体系そのままでよろしいかどうかということにつきましては、いろいろ一般論としても、また個別の議論としても意見があるところでございまして、技術を高く評価して参りたいという気持については全く同感でございます。
  15. 野溝勝

    野溝勝君 経済局長さんに、共済制度の一部改正による獣医師関係改正点といいますか、その点についてひとつお答えを願いたい。
  16. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 三十七年度の予算におきまして、獣医関係をいたします家畜行政についての共済制度のある程度改善をいたしたわけでございます。それは先ほど御指摘のように、共済で雇っておりまする獣医、あるいは共済でいろいろお願いをしておりまする獣医、そういうようなものにつきましても共済診療点数といいますか、診療費につきまして、三十年以来改訂してなかったわけでございます。そういう状態では、全体の物価が上がり、全体の情勢が変わっておりますのに、まことにこれは共済事業としても困る、こういうようなことでございまして、いろいろ点数改訂をやりましたわけでございまするが、その中で往診料につきまして、今まで五点のものを六点に引き上げまして、大体二〇%アップということになります。それから獣医のほんとうの技術料でございまするが、これにつきましては一二.五%のアップということで、全体の情勢から申し上げますると、もう少し何か上げるべきじゃないかいう感じがしたのでございまするけれども、今までの、昨年来の医師会のいろいろ点数改訂あるいは医療費改訂、そういうものとも関連をいたしまする問題でございまするので、そういうような関係も考慮いたしまして、一二・五%アップ、こういうふうなことで三十七年度から実施をしよう、こういうことでございます。
  17. 野溝勝

    野溝勝君 この家畜共済のほうに対する診療点数の引き上げ、単価改正をされたんですが、その点は、私はむしろ単価改正をされても、農民負担が転嫁されるんでございますから、そういう形において獣医師の諸君の手当を優遇するという考え方については意見がございますが、きょうはいろいろとその点で時間をとられてはなりませんので、また後日聞くことにいたしましょう。  次に、私、環境衛生局長並びに畜産局長のほうからも聞きたいのですが、大体獣医師というものは家畜疾病の診察をするというふうに考えることは誤りでございまして、先ほど衛生課長からも話のありましたごとく、特に最近の獣医師業務というものはふえたわけでして、その技能を基礎として完璧を期していかなきゃならぬと思うのですが、客観的な社会の情勢から見て、それには畜産経営の点、あるいは改良増殖であるとか、あるいは飼育管理の点、あるいは畜産加工の点、あるいはえさの点、あるいは薬事産業ですか、それとの点、あるいは人畜の防疫その他環境衛生等、こういう種々雑多に、範囲も広くなってきたと思うのですよ。医者が幾ら大きなことを言ってみても、結局豚コレラや炭疽などについて一番危険な仕事をやっておるのが私は獣医師だと思うのですよ。その獣医師に対して、狂犬病予防にあたっても手当も出さないというんだからね。まあそれはわずか出すといえば出すけれども、今の物価からいえば問題にならぬほどのものだ。それで畜産局あたりはいばって、これだけ予算を取ったと言うけれども、まあそんなことは自慢にならんです。総体の予算からよく見てごらんなさい、問題にならんよ。それほど必要性が出てきた獣医学並びに畜産施業に対して私は環境衛生の面から見ても、医者産婆看護婦などよりまだ低い待遇をしているという。厚生省の頭はどうかしておりはせんか言いたいのです。それにさらに主計局長に来てもらいたいと言っておいたんだが、主計局長、来ておるかね。一体予算配当においてもそうだ。大体地方の自治体におきまして、国の予算が少ないというために、獣医師虐待をもたらしているわけです、実際におきましては。産婆看護婦のその下に置いてある。こういうような待遇をさせておいて、そして環境衛生必要性を強調してみたり、あるいは狂犬病豚コレラ予防協力を願っている。もし一朝、問題があった場合どうするのですか。医者が一々豚コレラ予防に来ません。私はきょうは委員方々に聞いてもらいたいと思う。驚くなかれ、その注射料豚コレラは一頭五十円、私は農林委員方々に聞いてもらいたい。一旦三、四十頭やったといたしましても、その手当は千五百円、これは山梨県の例でございますけれども、これでもまあいいほうだそうです。それで国家試験を受けなければいかぬ、いや何をやらなければいかぬ。そんな何といいますか、正規の学問ばかり強調している。そればかりじゃないですよ。はなはだしきに至っては、去勢や人工授精などは協同組合でちょっと講習をさせただけの形式的な有資格者にやらせている、そして障害も大きくなっているのです。何のために基礎科学をやるのですか。一体病気が発生した場合だれが責任を負うのですか。獣医師の問題は、私は真剣に考えなければならぬ問題だと思うのです。そして今までは共済制度のほうに多くの獣医師は雇われておりましたが、その雇われておった獣医師さんは、これまで待遇が非常に低くて今日まで泣かされて参りました。それであるから、開業をして、診療に対して半分は組合で出して、半分はお前のものにしろ、一体この事自体が私は獣医師法違反じゃないかと思う。こんなばかげたことをやっておって無責任きわまると思う。この点はひとつ真剣に考えてもらいたいと思う。最近の一般経済水準に比べ、獣医師待遇は不均衡すぎる。昭和三十年を一〇〇としての昭和三十五年の指数を見てみると、全国産業実質賃金は一二二で、二二%アップ、全産業名目賃金が二一二、三一%アップ国家公務員給与は一四三、四三%アップ地方公務員給与が一三四で、三四%上がりました。健康保険診療点数は二一二、二二%アップとなっている。獣医師待遇はまるで問題にされておらない。先ほど坂村経済局長往診料五点を六点に、技術料は一二・五%増額された、と言っているのでございますが、これは国が出すのではなく、むしろ農民がその負担を出すようになっている。この問題はまたあと回しにします。それで獣医師の点は、技術的なことを考えてくれたということで、これは私は一歩前進だと思うのですが、いずれにいたしましても、こういう不平等の待遇をいたしておって、今後そうした家畜伝染病が起こってきた場合どうするのですか。特に環境衛生局長にこの点ひとつしっかり私は聞いておかなければならない。私はこの問題だけは一歩も譲ることができない。もしあなたがこれに対して答弁のがれのようなことで話をするならば、きょうは私はこの問題だけは留保しておいて、大蔵大臣、あるいは厚生大臣とひとつ十分意見の交換、質疑応答をしたいと思う。そういう点について、あなたは努力をしようという気持があるならば、ここで今即決はできないならば、そういう点に対する矛盾の点ですね、ひとつ局長さんの意見を聞きたいと思うのですが。
  18. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 公衆衛生面におきます獣医師方々の御活躍は、これは御指摘のとおりでございまして、人畜に共通の非常に危険な疾病が多数あるわけでございます。私ども厚生行政範囲で直接取り扱いますのは、狂犬が主たるものでございまして、屠場における屠畜の衛生の面から、家畜伝染病に触れる範囲があるわけでございます。こういった面での高度の技術による実務につきましては、非常にこれは長い経験と見識と学問とを通じた知識が必要なわけでございます。先ほど申し上げましたように、その科学的な行政根拠につきましては、私ども高く評価をいたしておるわけでございまして、したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、国家公務員あるいは地方公務員とも一般俸給表に基づきまして何%かの給与の増額があったわけでございますが、なおこの技術を高く尊重するという趣旨科学行政を推し進めていくという趣旨から考えまして、この給与等につきましては、ただいまも私ども全国調査を依頼いたしまして、その資料をまとめておるというような状況でございまして、技術尊重という面で強い決意で、この給与適正化ということをはかって参りたいと、かように存ずる次第であります。
  19. 野溝勝

    野溝勝君 誠意のあるお答えなんですが、局長も新しいのでございますから——大体まらくせが悪い。厚生省環境衛生局長というのは、あなたからいい道を開いてもらいたい。今までまらくせが悪い。まらくせが悪いというのは、医者ばかり中心にものを考える。保健衛生というものは全体のものなんです。環境衛生は全体のものなんです。大体環境衛生なんて、ふろ屋のほうは何メートル以上の煙突を立てろ。自動車会社のほうはどうですか、あのまっ黒い重油をたいて、どんどん出る、あの煙を放任しておく。そんなばかな環境衛生というものはあるものじゃない。一方のほうは湯屋は何メートル以上の煙突でなくてはいかぬ、いや魚屋はこういう装置をしろ、お菓子屋はこういう装置と。自動車のほうは自由だ。こんなばかなこと、これはまあ余談に入りましたが、そういうことでは、環境衛生局長だめですよ。あなたは誠意をもって御答弁なされたから、きょうはこの辺にとどめます。最後にあなたに一つ申し上げておきたい。あなたも、もっと英断をもって、議会答弁だけでなく——今までわかっているのですよ、大体看護婦より獣医師のほうが地方公務員資格が高いということはわかっておる。技術を尊重するのは今までわかっておる。それも国家試験をさんざんやっておいて、さらにそれで二年の修業をしなければならぬ。そういうことで、まあこれは産婆でも看護婦でも同じことだと思いますが、少なくも私どもはそういう基礎的な学問をさせて、将来日本畜産環境衛生ともに総合的に検討しなければならぬ重大な時期でございますから、この点を強く局長さんに申し上げ、あすからでも通達を出せるように、ひとつあなたのほうは相談をされ、さらに、きょうは大蔵省が来ておりませんが、いずれまた、大蔵省はほかの機会に私は強く要望しておきますから、十分ひとつ御配慮を願います。その点に対してひとつ答弁を。
  20. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) ただいま御要望の点につきましては、十分御趣旨を尊重いたしまして、これを検討して参りたいと存じます。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 次に、私がお伺いしたいのは、これも事務的な話でございます。食糧庁長官がおられるのですが、とりあえず私のお伺いしたいということは、三十六年度の供出米等外米がどのくらいありますか。それをひとつ。
  22. 大沢融

    政府委員大沢融君) 等外米の全体を占めます率は一・三%でございます。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 昨年は非常に雨が多くて軟質米が多いといわれておったのですが、ちょうど一・三%というと、実際、数量においてどのくらいですか。それと同時に、前年度の対比の数量を……。
  24. 大沢融

    政府委員大沢融君) 三十六年産米が百三十万俵、その前が四万俵程度でございます。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると、非常にこれから見ても、ばかに等外米が多くなったのですが、それはどういうわけでしたか。
  26. 大沢融

    政府委員大沢融君) 私、技術的なことよくわかりませんが、天候の関係だと聞いております。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 大沢君、それはあなたが全部知っておるとは思わぬから、それは私の質問に対して、もしすぐお答えができなければ、あと資料でもよいから、そういうように一つ考えてお答えをして下さい。
  28. 大沢融

    政府委員大沢融君) 多少補足いたしますと、八月中旬以降の異常高温によります早場米地帯胴割粒多発とか、第二室戸台風、九月十六日でございますが、倒伏または潮風害等による登熟の不良、あるいは九月下旬以降の高温多雨による倒伏穂発芽多発、特に西日本の紋枯れ病、二化メイ虫多発というようなことで、全国的に質が低下しておるということでございます。
  29. 野溝勝

    野溝勝君 その点はよく私もわかるのですが、単に西日本だけじゃないですよ。全体が昨年は等外米が多かったのですよ。やはり天候の関係もあるのでしょうが、政府のほうで等外米に対する一つ考え方といいますか、その考え方があまねく食糧事務所長あたりに徹底しておったのですか。
  30. 大沢融

    政府委員大沢融君) もちろん徹底させております。
  31. 野溝勝

    野溝勝君 徹底させておったというが、いろいろ理解ができなくて問題が起こっておる個所も一つや二つじゃないのです。まあ、露骨な点を申せば、いろいろ言うことがたくさんございますが、私はきょうはその問題は一応解決を見ておりますから申し上げませんが、それは大沢君が長官になってから処置をじたので、その点は大沢君にはこれの迅速なる処置に対して、まあこちらもある程度理解ができるのですが、大体損害をこうむったような問題について、たとえば整粒関係ですが、そういよううな問題については、当局のほうも今真剣に検討しておるわけですか。
  32. 大沢融

    政府委員大沢融君) 検査によって受けた損害というような御意味かと思いますけれども、違法というようなことがあれば、損害賠償の責任はとるというようなことにもなりましょうが、違法性がなければ、そういうような問題は起こらないというふうに理解しております。
  33. 野溝勝

    野溝勝君 違法性があればそれを検討して、それに対する賠償をする、こういうわけですね。そう考えていいでしょう。
  34. 大沢融

    政府委員大沢融君) 民法の違法行為の規定もございますし、ああいうことであれば、もちろん損害賠償責任があるということでございます。
  35. 野溝勝

    野溝勝君 もう一点聞いておきたいことは、こうした問題がたとえば至るところに起こっておるのですよ。だから、今度は大沢君が食糧庁長官になっのですから、まあいろいろな経験にかんがみてそういうようなことの起こらぬように、ひとつ長官も今後末端の行政指導に十分留意を願いたいと思うのです。この点に対するお答えを願いたいと思います。
  36. 大沢融

    政府委員大沢融君) 誠心誠意をもってやっていきたいと、こう思っております。
  37. 野溝勝

    野溝勝君 もう一点だけ伺っておきたい。最近米価等の問題について……これは政治上の問題ですから、あなたに聞くべきことでなく、河野君からまたお聞きしたいと思うので、そのことは私はきょうはいたしません。ただ問題は物価が非常に上がりまして、農民は全く現状に耐えかねておるわけです。ですから来たるべき米価の算定にあたっても——、全日本農民組合は一万五千円以下では困るという考えを持っているわけでありますが、まあこれからどういうふうに算定されるかわかりませんが、物価の値上がりというものは十分に考えてもらいたいと思うのです。  それといま一つ考えなければならぬことは、「食管会計の赤字」といいますけれども、あれはほんとうの農民のための赤字というのはわずかです。やはり二重米価の関係もありますし、それからその他いろいろな関係があるのであり、それから配給機構の問題についてもいろいろ問題があるのであって、そういうような点を総合的にひとつ考えて、それから米価は農民の生産費所得補償であるという点をひとつ十分留意を願いたい。さらにもう一点申し上げたいのは、先般一万人からの農民が農林省に陳情に来たわけです。要請に来たわけです。それですったもんだをいたしまして、結論はつかないでうやむやになったのですが、しかし今後の米価の算定並びに決定までについては相当問題も起こるし、またあると思うので、今申したような点を十分一つ勘案して、その点は食糧庁長官、毅然たる態度と考えで、正しい米価算定をし、百姓を圧迫することのないように特に希望しておく。それに対して一つ当局の考え方をお聞きしたい。
  38. 大沢融

    政府委員大沢融君) 私就任まだ日も浅くて目下勉強中でもございますので、ただいまの御意見よく参考にさせていただきたいと、こう思います。
  39. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  40. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして下さい。
  41. 温水三郎

    ○温水三郎君 豚の価格の問題、豚の値段の問題ですが、これに地域格差をつける理由を承りたい。豚の価格は、最低価格で政府が保障するために買い上げるのであって、最低である以上、政府の指定した場所においての最低の価格でなければならぬと思うのです。それを地域格差をつけるということの理由を承りたい。これは地方において大問題になりておる。
  42. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 先般豚価の安定基準価格を告示するにあたりまして、各市場ごとの価格をきめるにつきましては、ただいま御指摘がございましたように、東京、大宮なり横浜、大阪、名古屋並びに関西方面の広島、福岡等の価格につきましては、特に西のほうの大阪、広島、福岡の価格につきましては、一つは仕立て法の違いもございますことと、従来の市場価格の形成から見まして、一定の格差がございましたので、その格差に準拠して、大阪は二百二十円、広島は二百十五円、福岡におきましては二百十円ということで、従来の実績によって格差をつけて定めたわけでございます。
  43. 温水三郎

    ○温水三郎君 従来の市場における値段が格差がついておったから格差をつけたと、こういうことですね。
  44. 保坂信男

    説明員保坂信男君) はい。
  45. 温水三郎

    ○温水三郎君 そうすると、政府が価格安定のために最低価格を設けた趣旨から見て、私はその従来の格差がついておったからというのでは説明がつかないと思うのですがね。その点に対する見解を最後に伺いたいと思います。
  46. 保坂信男

    説明員保坂信男君) ただいま申し上げましたように、従来の取引の数年間の価格差、地域ごとの、市場ごとの価格差というものと、仕立て法の皮はぎ法と湯はぎ法の差がございますので、さような点から定めたことは申し上げましたとおりなわけでございます。
  47. 温水三郎

    ○温水三郎君 二百四十五円というのは、政府がきめた最低の価格なんです。そうしたならば、日本で一番安いところがそうでなければならぬと思うのですがね。その点どうなんです。
  48. 保坂信男

    説明員保坂信男君) それは各市場ごとについて定める建前をとりましたので、従来の流通の実態から考えましてもそういう実情になっておりますので、それを変えることについては、いろいろ御意見はございましたが、先ほど申しましたような立場で定めたのでございます。
  49. 温水三郎

    ○温水三郎君 じゃそれはどこまでも踏襲するつもりなんですか。再検討の余地はありませんか。
  50. 保坂信男

    説明員保坂信男君) いろいろ御意見のございます点は、よく検討いたしたいと思いますが、先般告示いたしましたばかりで、最近それに準拠いたしまして買い上げを実施をいたしておる段階でございますので、今直ちにそれを変えるかどうかについては、この場で明快なお答えをすることはちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
  51. 温水三郎

    ○温水三郎君 研究する余地があるのか、全然ないのか。
  52. 保坂信男

    説明員保坂信男君) 研究をする余地は非常に少ないと私は思っております。
  53. 温水三郎

    ○温水三郎君 じゃいいです。     —————————————
  54. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 森林法の一部を改正する法律案(閣法第八九号)を議題といたします。  本案につきましては、提案理由の説明及び補足説明等は、すでに聴取いたしております。また本案は、去る九日、衆議院から送付せられ、本委員会に付託せられました。  それではこれより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  55. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は政府でも、農林省でも、林業の基本問題調査会の答申案も出ておることだし、それからそういう面からいって、林業の構造改善というようなことで、相当抜本的な対策を講ずる、そのためには、今のわれわれの推察する状態からするならば、当然林業の基本的な問題の解決として、基本法というようなものを策定しなければならない段階ではないか。こういうように判断もでき得る状況にあるわけなんです。したがいまして、そういう中で今度の一部改正法案が提出されたわけでございまして、この内容についてはいろいろと問題点があろうかと思うわけでございますが、そういう立場に立って、この法案を審議するにあたりまして、一応われわれのほうといたしまして資料を提出願いたいと思うわけでございます。したがってその資料について、次の点について、ひとつ間に合うものは早急に出していただいて、間に合わないものは、この審議中でけっこうでございますが、順次ひとつ御提出願えれば幸いと思うのでございます。  そこで資料については、まず五年ごとに向こう十年の計画を立てなければならないというように、第四条においてうたってありますから、そういう点に関連いたしまして国有林と民有林の木材供給の機能について出していただきたい。昭和三十二年以前の実態と、ちょうど造林計画を立てましたところの昭和三十三以後の実態、数量を用途別に明らかにするような資料を御提出願いたい、それが一つ。  それから、国有林を処分するにあたって、各地点があるわけですが、その地点別の数量、これはできることならば、三十三年以降五年間くらいのものを出していただきたいと思うのです。  それから、国有林の処分をするにあたって、当然それについての払い下げ価格があるわけでございますけれども、処分した価格の推移状況、こういうものを出してもらいたい。  大体そこらへんでけっこうでございますが、その次に、同時にそれに対するところの、そのときにきまった価格の算定方式というものがあるわけでございますが、これが明らかになるならば、ひとつその方式を明らかにしてもらいたい。  それから二として、製品、造林におけるところの作業種別及び請負の実態、これも年次が明らかになるものだけをお願いしたいと思います。  次は、立木を処分する場合等があるわけでございますが、立木を請負といいますか、入札で処分する、あるいは直営生産を行なう、この二つの面に分れるかと思いますが、そういうようなものの資料をわかる年度別でひとつ出していただきたいと思います。これは実行と計画があるわけでございますから、計画と実行をお願いしたいと思います。  それから昨年あたりは、非常に増伐を行なったわけでございますけれども、むしろ国有林の増伐が非常に行なわれて、逆に民有林のほうは、そう増伐の実績が上がっていないようにも聞き及んでおりますから、そういう点について、最近数カ年間の民有林、国有林の伐採量の比率、対比といいますか、そういうようなものをお出し願いたいと思います。  それから、造林のいわゆる近代化と申しますか、そういう面からいたしまして機械の導入が行なわれるわけでございますが、そういう点について、機械の導入の状況、こういうものをひとつ提出していただきたい。同時に、それに伴うところの輸送を、今、いわゆるトラック輸送に切りかえておりますから)その林鉄が廃止の傾向にある。したがってその林鉄の撤去した地点名がおわかりになったら、それを出していただいて、合計の延長キロ数、そういうようなものがどのくらいあるか、三十三年に造林計画を立てましてから、それ以後おわかりになりましたら御提出願いたいと思います。  それから、こういうような状況からいたしまして、今、他産業へとこれは農業との格差が生じたように、そういう中から林業関係においても同じことがいえるだろうと思いますが、したがって林業関係から他産業への労働力の、労働者の流出状態、こういうものが把握できましたならば、これにつきましてもお願いしたいと思います。  それから、昨年八月の閣議決定による増大計画の実績について国有林、民有林、外材輸入、こういうようなものについてのひとつ数量をお示し願えたならばそれを出していただきたいと思います。大体以上でございます。できないものはあとでいいですけれども、できるだけひとつ。  それから私、衆議院のほうへこの法案の審議にあたって提出した資料があるわけでございますが、そのうちこちらの審議にとって衆議院へ提出した資料のうちで必要だと思われるもの、あるいは参考的になるというようなものについてありましたならばそれもあわせて御提出願いたいと考えます。
  56. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 承知いたしました。それで細部については後ほど少し詳しく伺いたいと思うのでございます。
  57. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) どうぞ打ち合わしてひとつ準備を願います。
  58. 北村暢

    ○北村暢君 まず私はこの法律案森林法の一部改正ということで提案されてきたのでございますけれども、今安田君からの資料要求がなされましたので、そういう資料が出て参りますというと、非常に質問に都合がいいのでありますが、これが出てこない中で質問を始めるということになると、今資料要求をしたものにも若干関連をして質疑をするようなことにもなるのじゃないかと思いますから、最初にこの法律案の提案するに至りました動機といいますか、そういう問題について基本的な問題でお伺いしたいと思いますが、御存じのように農業と同様に基本問題の調査会ができて答申がなされたわけでございます。この答申の内容は相当膨大なものであって、生産政策、構造政策を含めて大へんな膨大な今後の農業のあり方についての答申がなされております。したがって、この答申に対しまして一体いかなる考え方で、またどのように忠実に今度の法律改正をするという立場をとられたか。私は森林法という法律は従来からいえば農業基本法にも匹敵する重要法案である、このように思っております。したがって今度の森林法というものの一部改正でもって、この基本問題調査会の答申案に基づく改正、いわゆる農業の基本法に相当するような改正と心得えておるのかどうなのか、まずこの点について御質問をいたします。
  59. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ただいまお言葉にもございましたように、基本問題調査会から基本問題とその対策という答申が出て参りまして、私どもといたしましては、これを森林審議会あるいは部内の研究の部会、あるいは外部の専門家に委嘱をいたしまして検討をいたす事項等を取り上げまして検討をしておるのでございます。  仰せのようにこの森林法と申しますものは、確かに一つの森林に対します基本的な法律であると私どもも考えております。ただ、この森林法におきましては資源政策が非常に重点的に取り上げられておりまして、一面この答申にもございますような構造政策、この点につきましては、もちろん仰せのように計画制度を完全に実施をして参りますと、これによって目的は達成できるとも言えないことはないと思うのでございますが、そういった面が表面に出ておらないように考えておるのでございます。したがいまして、林業者あるいは森林の所有者、それから森林の労働者と申しますか、そういった面からの取り上げ方という点につきましては、私ども今後検討をいたす必要があるのではないかというように考えておる次第でございます。
  60. 北村暢

    ○北村暢君 ただいまの御答弁では森林法というものは、どちらかといえば基本法的な性格を持っておる、しかも、従来の傾向として生産政策といったものが重点的に取り上げられておる。今度の改正においても計画制度と伐採許可制度を、これを解くという問題と保安林の整備強化の問題、要約してこの三点だけでございますから、そういう点からみますというと、従来の森林法の持っておる性格とあまり変わっておらぬ、このように見て差しつかえないと思うのです。そうしますと、私はせっかくこの基本問題調査会であれだけの学識経験者を集めて検討をし、そしてせっかく内閣に対して、これは農林大臣に対する答申じゃない、池田内閣総理大臣に対して答申をしておる。こういうわざわざそういう法的措置をとって、そして答申をしたものに対して今度の森林法ではこの答申に対して、まあ生産の一部分についてはこたえたかもしれない、計画制度等についても内容的には私は答申とは全然違うものが、今度の改正案に出ておると思っておりますから、この具体的なこまかい問題については今後やるといたしましても、とにかく大筋にいって今日の林業の曲がりかどにきておる、農業でいえば農政の曲がりかど、林業でいえば抜本的な改正をして政策的な転換をして今後の基礎を確立していくというような形における、いわゆる農山村というものを主体にした構造改善というものを含めた改正案になっていないことは、今長官の答弁でも明らかだと思うのです。まあこの法律の中でできないことはない。山村振興なり何なりということは、全然ないわけじゃないのでありますから、できないことはないでしょうけれども、しかし法の体系からいって答申案を尊重したものとは、これは全然理解ができないと思います。したがって、森林法に基づく中央森林審議会、こういう森林審議会の答申案に基づいても、これもまあ同じく農林大臣に対して答申がなされておる。しかも、これは第一次、第二次と中間答申がなされて今度の法律改正になってきておる。こういうふうに私は見ております。したがって、一体、政府は基本問題調査会の答申案というものをたな上げにして中央森林審議会の答申に忠実にこの法律を改正した、私ども見方によってはそういうことが言い得るのじゃないかと思う。一体事務当局としては、どっちに重点を置いて検討をされて今度の改正案を出したのか。私は今度の改正案では、まことに本末転倒で、せっかく内閣に設けて基本問題の答申をした答申の効果というものが、何らこの法案の改正に現れてきていない。どっちかといえば、従来の森林法の中におけるしかも内部的な中央森林審議会というものについての審議委員の構成についても、私どもはどちらかといえば納得のいかないものを感じておる。そういうものの中で答申がなされたものが主体にこの法案ができているというふうに思うのでありますけれども、一体どっちに重点を置いて今度の改正というものをやられたのか、この点についてひとつはっきり御答弁をいただきたいと思います。
  61. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) どちらも同じに私ども考えておるわけでございます。この答申に盛られた趣旨、それから審議会でそういった問題につきまして検討を加えられました趣旨、ともに尊重いたしまして検討を私どもいたしたわけでございます。審議会の委員調査会の林業関係委員とは大体重複をしていると申し上げていいのじゃないかと思います。
  62. 北村暢

    ○北村暢君 大体重複しているというふうに言われますけれども、それにも疑義が実はあるのでありまして、その点はまた、いいのですが、ただ私は先ほども言っているように、基本問題調査会の答申案というものは、ほとんど大部分たな上げになっているのです、今度の改正案。したがって、これを尊重したと義理にも言えない森林法改正案が出ている。これはお認めになりますか。この点は長官で答弁できなければ、大臣で、これ根本的な問題ですから、今後の日本の林業というものを、今、答申案というものをせっかくもらって、一体どうするかということで、どちらかといえば、林業の基本法といったものを私どもは提案することを望んでおった。ところが、どちらかといえば、森林法の改悪的な、生産政策に非常に重点を置かれたような改正がなされている。近代的な感覚に基づくこの構造政策といったようなものについては、触れておらない。基本問題から、答申案からはちょっとはずれるのでありますけれども、私どもは今後の林業というものを考える場合においては、特に農業と林業とを比較した場合に、農業というのは一応農地改革というものが行なわれている。林業の場合はその農地改革に匹敵するようなものが行なわれておらない。行なわれておらない中においてきわめて封建的な所有形態というものが歴史的に続いてきている。そういうような姿の中で、一体今後の林業の近代化というものをどうやってやっていくのかといった場合に、土地制度の問題にまで発展をして、抜本的にやらなければ、根本的な林業政策というものは解決できない、このように考えておる。また、基本問題調査会の一部の委員の中にもそういう主張をした人がおることも事実です。しかしこれは少数意見として取り上げられなかった。それくらい重要な問題として私どもは見ておるのです。でありますから、そういう点からいえば、今度の答申案というものについては、私どもは全面的にこれで満足するものではないのでありますけれども、しかしながら、今までの林業の考え方とは変わった形の考え方というものが、答申案の中にはやはり出てきているのです。その変わったものが、今日これが全然どういうふうに処理されたのか、今度の改正案では全然私どもは把握することはできないのです。したがって、今日はこの程度にとどめておいて、抜本的にこの基本問題調査会の答申案に基づく基本法というものを、今回は間に合わないのでこういうような形で出たが、さらに今後答申に基づくような農業基本法に匹敵する林業の基本法的な性格のものを出す考え方があるのかないのか、これをお伺いいたしたいと思うのです。そうでなければ、この法案を審議するにあたってのわれわれの腹がまえというものも違う。暫定的にこういうものだというのだったならば、私どももある程度理解しないわけにいかないが、一向に基本問題に関するような、答申にあったような問題を無視してしまって、林業の基本法といったような性格のものが出てこないということになれば、これは私どもは考えを改めなければならない。したがって、この法案を審議するにあたっての心がまえとして私どもも必要でございますから、一体どういう考え方でおられるのか、この点についてひとつ明快な御答弁をしていただきたい。
  63. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) その点でございますが、特に御指摘の構造政策の面におきましては、私どもも自来鋭意検討に努めて参っておるところでございますが、御指摘のような土地改革等の問題は、一応この答申にもお断わりがございますように一応別といたしましても、やはり土地所有関係から参ります国有林の問題あるいは公有林、部落有林、民有林の問題、私有林の問題、こういう点につきましても非常に複雑な問題がございまして、十分な結論を得るに至っておらないのでございます。したがいまして、その他構造政策といたしましては、林業に関連いたします経営の改善等の問題、あるいはまた広く流通問題にも関連をいたしましてただいま検討を進めておるのでございますが、御指摘のように、農業基本法にまあ匹敵ということでございますが、その意味でございますが、私どもといたしましては、この森林法改正案とは別に、どういう結果が出るかわかりません。今のところまだ十分に予想を申し上げかねるわけでございますが、とにかくこの結論をなるべく早期に得まして政府の態度をはっきりいたしたいというように考えておる次第でございます。
  64. 北村暢

    ○北村暢君 どうもそこら辺のところがはりきりしないのですが、この森林法というものをやはり基本の法律として、これから派生してくる具体的な法案としての法体系というものを作るのか、御存じのように農業基本法というのは、これ自体では抽象的であって行政に直ちにどうするこうするという法律ではないわけです。で農業基本法からこれに基づいて重要法案が、関連する法案が次々と出て、そうしてそういうものが含まれて集大成をする、これが農業基本法の建前になっておるわけですね。したがってお伺いしておるのは、今この森林法の一部改正というものを出したが、これはどちらかといえばそういう概念規定だけでは森林法というものはないわけです。今度の改正では計画制度と保安林だけやっておりますけれども、この中に明らかに森林組合も入っておる、具体的な規定も出ている。補助金のやり方をどうするとか、普及関係はどうするとかというようなこまかい具体的な問題まで入ってくるんですよ。したがってこの森林法、そういう法体系の中で、今問題になる構造政策の面が抜けておるから、構造政策の面を今度のこの森林法の一部改正という形でつぎ足して出そうと考えておるのか、そういうものでこの林業の基本法という性格のものになるのだとそういうふうに考えておるのか。農業基本法の場合には、基本法という一つの法律があって、それに付随する幾つかの法律が出て大成する。ところが森林法はそういう抽象的なものと具体的な、派生的な法律と一緒くたにして、この森林法というものができている形をとっているわけです。したがってこの森林法という、特別措置法とか、臨時のもの以外はこの森林法という法律の中で、抽象的なものから一般の政策全体を織り込んだ法律に作っていくのか、こういうような腹があるのかどうか。そういうことを聞いておるのでありまして、今後の構造政策だけをつぎ足せば、それで森林法というものは大体いいんだとこういうふうな考え方でおるのかどうか。そうするとやはり根本的な問題についてはこれで大体できている、あとは足りない構造政策面をつぎ足して別の法律にするか、この法律の一部改正でいくのかそれはわからないけれども、その程度に考えておるのかどうかこれを伺いたい。
  65. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 先ほど特に構造政策ということだけに限って申し上げたわけでございますが、先ほど私がお答え申し上げました意味は、やはり林業振興という面をとらえました体系になるのではないかという考え方を持っております。したがいまして、はたして森林法の中になじむような性質のものであるかどうかといもことは、まだ検討の余地があるかとは思いますが、一応これとは別になるんじゃないかというような考え方も持っております。
  66. 北村暢

    ○北村暢君 それはもうすでに考え方として出ていることは私ども知っていますよ。知っておりますけれども、山村振興のような考え方の法律を準備するとかしないとかいう話もあることは知っておりますし、与党の皆さんでもそういう意見があるということは私ども知っておるのです。しかし、それが出れば大体終わりだとこういうふうな感覚であれば、私どもやはり相当突っ込んで今度の森林法の一部改正というものを考えておかなければならないと思うのです。森林組合の問題についてもですよ、これは現状の森林組合で一体いいのかどうかというような問題についてだって、これは大いに論議のあるところですよ。でありますから、山村振興法的なもの、いわば漁業関係でいえば沿岸漁業振興法的なもの、漁業法と関連をして沿岸漁業振興法といったようなものを出して、それでこの基本問題の答申にこたえた、こういうふうな理解でおるとするならば、私どもはやはりこの一部改正案というものについては相当深刻に今度論議をしなければならない問題になるのじゃないかと思います。それであくまでもやはり今の意見からいえば、そういう別な法体系のものがちょっとつけ加わるだけで、この森林法の根幹というものは基本法に匹敵するものである、こういう理解のもとで審議しなければならないと思うのです。それでは私はあまりにもおそまつな一部改正だ、こう言わざるを得ないと思うんですよね。でありますから、大体私どもは国有林のあり方の問題なり、民有林にしても、公有林なりあるいは私有林なり、いずれもこの対策というものが答申の中には一様にして出ているわけですね。先ほどおっしゃたように出ているわけです。しかし一体今度の法改正の中で、国有林が一体どういうふうになるのかなんということは、この法律の中から何にもくみ取れませんよ。国有林は国有林で林野庁にまかせっぱなしで、国民の発言する機会なんというものはほとんどない。一体この基本法の中で、国有林のあり方がどうなるのか、民有林のあり方が一体どうなるのかというようなことが、やはり基本法だったならば明確に出てこなければいけないでしょう。今の森林法の中で国有林とはといったら、国有林は民有林でないものが国有林なんだという定義になっているんですよ。全くそういうようなことで、国有林の使命が一体何なのか、どういう機能を果たすのか、そういうようなことが基本法としての中にはっきり出てこなければいけない、私はそう思う。そういうことでないでしょう、今度の法律改正というのはですね。一体国有林の使命なら使命というものに対してどういうことになるのか、さっぱり今までの森林法の中ではわからないでしょう。基本法だったら、少なくもですね、そういうことが私は出てこなければならないじゃないかと思うんです。従来の計画制度、私は従来の計画制度のほうがかえっていいんじゃないかと思うんですけれども、今度のはおそらく後退をしたと、私はそう思います。そういうような改悪されたような形において実際に国有林が何なのだとか、民有林がどうなるのだ、それからまたこの計画制度の中で国有林と民有林のつながりがどうなるのかさっぱり今後の開発という問題についても、林道一つとったって、一体林道の開発、国有林と民有林の林道の開発がどういうような関連でやられるのか、そういうことすらこの法律の改正ではわからないです。全く基本法の体裁は私は絶対なしておらぬ。こういうものをもってこの基本法だという考え方でこられるのだったならば、私どもは相当やはり慎重に、今度これは簡単に通すわけにいかなくなってくるわけですよ。今後山村振興のようなものをつけ加えて、それで林業の基本法は農わりでございます、こういうことでは、何のために貴重な二年間もかけて基本問題の調査会を設けて検討をし、林業のかくあるべきだというようなことについて答申をしたのかわけわからない。政府はこの答申についていかように尊重したと言われるのかわからないですよ。一体長官はこれで基本法ということで満足するような基本法になっていると思っているのか。
  67. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私最初に申し上げましたのは、一つの基本的な法律だと考えておりますということを申し上げたと思うのでございまして、それと同時に、その後に別途な対策を考えておりますということも申し上げたわけでございますが、私どもが考えております、次々に検討しておりますこの基本問題と、基本対策の答申に出ております問題につきましては、私どもは全面的に検討を進めまして、こう何と申しますか、おざなりなものを一部作って逃げようというような気持で考えておるのではございませんで、どこまでもこの答申全般にわたりまして十分な検討を進めまして、国有林といわず民有林といわず、対策を講ずる態度をはっきりして参りたいというように考えておるのでございます。私の御説明がどうも十分至らないで恐縮でございますが、そういうことでございます。
  68. 北村暢

    ○北村暢君 ですから、その点はあまり繰り返してもしようがないですから、これはやはり今後の林業政策のまじめな意味におけるえりを正すという意味からいって、これはやはり農林大臣にはっきりした答弁をもらわなければ私は承服できないと思いますが、実際今度の改正案は、どちらかといえばごく簡単な改正ですよ。これで林業の基本法に匹敵するものだということなら、今言ったように国有林が何が何だかわからないでしょう。一体国有林は何のためにあるのか、どういう機能を果たすのか、国有林の使命というものは何かということが、この基本法の、森林法の中にどこにあるのですか。これは重大問題ですよ。今地方的にいきましても、国有林に対するいろいろな批判が出ているのですよ、国民の山と財産としての国有林のあり方というものは、基本法の中に、森林法の中に明確にかくあるべしと書いてない、わからないですよ、何が何だかわからない。そういうような基本法というのは、私は特に農業と違いまして、農地改革が行なわれて一応自作農というものが確立されている段階と違うのでありますから、特に表現にしても何にしてもむずかしいだろうと思うのですよ。国有林でないものは全部民有林である、県が持っている山も、市町村が持っている山も、私有林で私有で持っているものも社、寺有林もみんな民有林という定義でしょう。そういうようなことで今後構造改善をやっていきますならば、一体何を基本に構造改善をやるのですか。今後における農山村における構造改善というものは、主体はやはり山村農家なり、個々の経営体そのものが主体になって構造改善というものが行なわれなければならない。その場合に、この私有林、公有林、社、寺有林といったもののあり方なり何なりというものを、どうやって構造改善というものに結びつけていくかということがはっきりしないので、そういうものは全部一緒くたに民有林でございます。確かに官で持ってないから、民有林には相違はないけれども、そういうばく然たることでこの森林法というものができているのですよ。今度の計画制度だって、個別計画というものは出てないでしょう、県知事が森林計画を作るだけで、答申案は、今までの計画制度というものは上から押えつけた計画制度だからだめだ、したがってこれは、今度は下から積み上げた森林計画制度にしなければいけない、これはあたりまえのことです。私どもはそう思う。ところが、下からなんか積み上がってないです。法律の改正の森林計画というものは、県知事が今までの基本計画についてばく然たる計画をやって、足につかない森林計画ができるようになっている、途中から計画をする、木材なんだから地についてないとはえないです。そういう中途半端な法律改正になっているのですよ。私どもはその経営計画そのものについてもいろいろ意見がありますけれども、とにかくそういうことで、構造改善というようなものからいっても、私どもは一体国有林、民有林の中でも、非常に所有形態の複雑な、そういうものを一体どうやって林業の生産の上に構造改善として、この対策として乗っていくかということが根幹でなければならない。今までの資源政策的な森林法改正の域を少しも脱してない基本法というものは、全然基本問題の新しい感覚におけるこの林業の基本的な政策というものを織り込んだ一部改正にはなっておらない。こんなもので私は林業の基本法でございますというのでは、おそまつもはなはだしいと思うのです、これは。したがって、この点は、私どもはこの程度のものだったならば、もう少し待ってしっかりしたものを出したほうがなおよかったのではないかと思うのですが、答申もあるから出さないわけにもいかない、したがって、まあこの程度で当たりさわりのないところで出そう、こういうふうにしか受け取れないのです。ほんとうにやる気があって真剣に取り組んだというふうには理解できない、こういう法律だと思うのです。どうですか、それは。したがって、この抜本的な基本法に匹敵するものを一体出そうというのか、これは出さないというなら、われわれの野党のほうでも今基本法の準備をしつつあるのですから、林野庁が出さないなら私のほうが出すと、こういうことになって、林野庁は大きに恥をかく結果になるのではないかと思うのですが、どうなんですか、一体、あくまでも山村振興法的なものと、構造改善というものを加味したようなものを出して、それで、糊塗しようとするのか。構造改善なんというのは、法律がなくなって、公庫の資金でもうすでに二十億、去年からやっているわけでしょう、この問題についても先般の漁業の場合と同じように、この法律に基づかないで勝手に行政措置でもって構造改善事業というものは林野庁もすでにやっているのですよ。そういうことで、基本法はどうであろうとこうであろうと、林野庁は木を植えたり、資源問題については心配のないように行政措置でどんどんやっていくんだから、まあおまかせ下さいと言うならどうだかしらぬけれども、そういうことにはならないのじゃないですか。やはり林政というものが今までどちらかといえば、政治的にも農業と比べれば、この国会の論議なんというものははるかにされないで、林政というものが今まで何となく通ってきておるという状態でしょう。したがって、この時期において本格的にやはり林政と取り組んで、今後の根本的な方針を明らかにしたところの法律というものと、基本的なものとひとつ取り組んでいく、こういう感度で一般国民も理解をする、こういうことでなければならないと思うのです。ところが、この程度改正では国民はおそらく承知をしない、私どもはそう思います。したがって、今、鹿児島でも青森でも国有林解放の問題がどんどん地方議会で決議されたりして出てきておりますよ。これは長官も御存じのとおりだと思うのです。一体それじゃ国有林というものを、そういう地方の請願なり何なりに対して、国有林はかくあるべしで、このように持っていなければならないのだということが、国民にほんとうに理解されたならば、そういう問題は直ちにどんどん起こってくるというようなことはないでしょう。ところが、国有林の意義なり何なりというものは国民に知らされていない。国有林というものは適当にやっておるのだ、いわゆる山役人のような非能率な運営をやっておるのだ、また膨大な営林局署という組織機構を持って国民の上に君臨をして、そうしてやっておるのだ、そういうようなことから、国民の国有林に対する批判というものも出てくるのですよ。やはり民主的に運営されよう、しかも国有林が使命としてどういう使命があるのか、はっきりいたしませんけれども、従来は国土保全であるとか、あるいは自給問題とかいろいろあるようでございますけれども、とにかくこれだけの国有林というものが必要なんだという信念があり、計画制度の中でも国有林の配置なり何なりというものと積極的に政府が取り組み、国民の納得の上においてやっていこうというのなら、これは国民だって納得するでしょう。国有林というものは一体何のためにあるのかわけがわからなければ、国有林があるなら払い下げたらよかろう、解放したらよかろう、こう言うものが出てくるのですよ。それは国有林というものの基礎がはっきりしていないからです。これは国有林というものの成立の過程において、旧藩時代から資本主義経済のまだ発達しない段階に何となく国有林になってしまったという歴史的過程、その当時の経済の状態と、今日の非常に進んだ経済の段階における国有林の機能とは、当時とはもう全く変わった機能というものを持っておるのですよ。そういうものが国民に知らせられないで、歴史的に持っておるから国有林というものはかくあるべしだと、これでは国民は納得できない。新しいやはり国有林の使命というものは、国民に納得してもらうだけの基本というものが明らかにならなければならない。林業そのものが財産的保有でもって、資本主義の段階にきてない。今、日本はもうすでに資本主義は下り坂にきているというのに、林業は資本主義の上り坂までまだいってない、こういうことでしょう。そういうことがはっきりしてないうちは、一体林業の基本というものはどこにあるか、これはそういうことは求めているのじゃないんですか。そうでない限り、私はこの計画性を一部変更したり、保安林を強化したり、ルーズだったのを管理監督を厳重にするんだ、こういう程度森林法改正では、私はどうもおかしいのじゃないか、こういうふうに思うのです。まあこの点は今、何回しゃべっても尽きませんから、時間も時間ですから、この点は一つ大臣といずれやりたいと思いますが、一つ委員長もその措置をとっていただきたいと思いますが、とにかく私どもの理解としては、基本的なものは将来は出すのだ、そういう中で、どちらかといえば一部改正ということで、とりあえずの改正をしておくのだ、こういうふうな理解をせざるを得ないような改正内容にしかなっておらぬ、こういうふうに思っておるので、その程度のものだったならば、私どもも軽く審議をして、これは上げておいてもいいのじゃないか、こういうような感じをもっておったわけです。ところがこれが最終であって、あと出ないというようなことになると、これはやはり相当慎重に審議する必要が出てくると思います。ですから一つこの点は大臣ともやりたいと思いますから……。
  69. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 先ほど来私のお答えが十分にいって参っておらなかったと思いますが、先生の最後のお言葉のように、私どもといたしましては、とにかく結論の出たものから早く実施をして参りたい、と同時に、答申に盛られました全般の事項につきましては、何か一時のがれのようなことで逃げてしまいたいというような気持は毛頭持っておりませんので、どこまでも根本的な態度というものを出しますためには、最初にも、お言葉にございましたように、非常に広範な、非常にむずかしい問題もございますので、その結論を得つつ実施をして参りたいというように考えております。
  70. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 午前はこの程度といたしまして、午後は一時二十分から再開いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時四十分開会
  71. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、森林法の一部を改正する法律案(閣法第八九号、衆議院送付)を議題とし、本案に対する質疑を続行いたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  72. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私午前中予算委員会にいっておりましたので、北村委員からあるいは御質問等があったのかもしれませんが、改正案について若干お伺いいたします。いろいろ理想的な立場からいうと問題点もあるようでありますが、政府としての努力あとも、改正案にはいろいろうかがい知れるのでありますが、そのうちで特に私重要だと考える一点についてお伺いいたします。  専門家の長官に、あれこれ私から説教を申し上げる資格は全然ないのですが、林政というものの中には、いろいろの目的がある。また、その目的を達成する手段についても多々あることは言うまでもありません。がしかし、一番大切なことの一つは、山の資源というものは、山に置いておいたんでは資源にはならない。われわれの国民生活の中にそのものを持ち込んでくるということで、初めて資源として生きてくる。端的にそういう見方をすれば、林道の開設ということが、何よりも林政の目的の一つであり、森林資源をわれわれの産業構造の中にはんとうの資源として持ち込む手段として最も大切なもの、こういうふうに私考えるのでありますが、森林法あるいはその改正案等については、四条、五条、それから何条でありますか、百九十三条でしたか、に記載はしてあるのでありますけれども、その表現する仕方というものが、将来の林政の中における林道政策というものを実行していくためには、端的にいうと、非常に力弱い条文の書き方ではなかろうか、そういうふうに考えるのであります。たとえば農業でいうと、農業の近代化、生産性を上げる手段としてまず第一番にとられることが農業基盤の整備、農業基盤の整備のためには土地改良法というものが現に存在する。もちろん、先般成立した農業基本法の目的、性格からいうならば、現行の土地改良法は必ずしもこれに合っておらないので、私はごく近い将来に、現在の土地改良法も農業基本法の条文に沿ったふうに改正していくのが穏当じゃないかと思っておるのですが、これと似た何か林道に関する特別立法とでもいいましょうか、林道法とでもいいましょうか、少なくとも法制的な措置をとって、山の資源を最も有効適切にわれわれの生活の中に持ち込んでくるという目的を達成していくために立法措置を考えておられるか、現にその法案等についてすでにいろいろ作業に入っておられるであろうか、また、そういう法案を出す意思が現在はないのか、その辺についてお考えをお聞きいたします。
  73. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 林道の問題でございますが、御指摘のように、わが国の森林はまだ未開発の部分が三割以上もあるというような状態でございます。したがいまして、将来資源の開発、あるいは林業構造の改善というようなことを強く打ち出して参りますためにも、まずその基盤を作って参るということが非常に大切なことではないかと考えるのでございます。私どもといたしましては、いろいろと調査、検討を進めておるところでございますが、ただいまのところ、自動車道以上の林道というものは、森林の面積ヘクタール当たり約二メートル程度しかないのでございます。北欧等の先進国におきますと、この何倍、十五メートル以上もあるというのが実情のようでございます。この点についてさらに努力をして参らなければならないことは御指摘のとおりだと考えております。したがいまして、私ども三十七年度の間に林道の調査実施することにいたしております。で、林道の調査をいたしまして、林道の基本的な計画というものを立てたいと考えておるのでございます。その間におきまして、この林道の事業の推進をはかりますためには、やはり強力な法制化ということが必要ではないかというように考えまして、実はただいま検討をいたしておるところでございます。で、その成案を得まして、独立にいたしますか、あるいは森林法の中に一章を設けることによることが適当であるか、その点については十分検討をしなければならぬと考えておりますが、そういう方向で進めるようにただいま検討をいたしておるところでございます。
  74. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 ただいまの長官の答弁で法制措置はとりたいという意思だけははっきりしたのであります。いろいろ考えておるというお話しですが、どの程度に考えておられるのか。私は少なくとも次の通常国会にはこの法案というものははっきり出していく、相なるべくは、あるいは秋ごろに臨時国会があるかもしれない。そういう際に提出できればけっこうなことではありますけれども、おそくとも次の通常国会までには必ず出してもらう、それについてのはっきりした御決意があるかどうか、大臣に伺わなければならぬことかと思うのだけれども、大臣の代理として長官ひとつお答え願いたい。
  75. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この林道というものの考え方が最近変わって参っていると、また変えて参っているということにつきましては、先生御承知のとおりでございます。で、問題はやはり最終的には公道との関連ということも出て参るかと思うのでございますが、まあそういう点を十分に突き詰めまして、仰せのような考え方をもって大いに努力をいたしたいと考えております。
  76. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 大いに努力という言葉で、どうも若干濁されたような感じがするのが一つ。いわゆる道路法による道路問題、こういう問題と関係があるのでという言葉でまた少し濁されたような感じがするのですが、いわゆる公道は不特定多数の問題である。少なくともあるいは山村振興林道というような特定のものは別として、通常いう林道ということになれば、特定多数ということではっきりしておるのだし、公道との関係はないとは私は決して申しませんので大いに関係はありますが、あるがゆえにどうこうという意味で申されたとすると、はなはだ長官の積極性が鈍いような感じもするんです。長官としては努力という言葉程度しかあるいは言えないかもしれぬけれども、少なくとも今私が申し上げたことについてのあなたの最善最大の、全力を傾注してやるというくらいのことは言えると思うのですが、どうですか。
  77. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私申し上げました意味は、先生の仰せのその林道、峰越しの林道でありますとか、あるいは山村振興林道でありますとか、そういうもの全体に関連いたしまして考えておるわけでございます。そういう意味で、決して今までの純粋の林道という考え方からはずれて参っているというようなことではございません。そういうものをひっくるめた意味での林道というものを考えております。御指摘のように最善の努力を払うという決意には変わりはないのでございます。
  78. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 一点だけお尋ねいたしますが、午前中の北村委員質問に対しまして、長官はとにかくまとまったものからやっていくんだという意味で、今回の森林法改正を提案されたとこういうように承知をいたしたわけです。先般の衆議院の予算分科会での質疑応答を見ていますと、これも大臣にお尋ねしたほうがいいと思うのですが、林業、漁業についてはそれほど急がなければならぬような状況にはないように考えられるというようにとれる御答弁をなさっておるわけです。したがってとにかく農業の場合のように大急ぎでやっていかなければならぬといったような必要性がないから、とにかく世人の期待しておるような、今後の新しい林政の方向が具体的に示されるごとき内容を持った法案の改正というものが提案されておらないのか、それとも答申を受けてからの時間的な経過というものがすでに一年三、四カ月たっているわけです。かれこれ研究というものは積んできたんだけれども、その後に新しい情勢の展開等もあって、なかなか結論を出すのにまだ十分な検討というものが行なえないような状況にあったということがそういった措置をおくらせているのか、それともあまりにも問題が大きい、広範過ぎて全面的に手の届くような検討がきわめてまだ不十分なんだ。したがってそういう手配がつかないということになっているのか、その辺の感触はどの辺のものであるか、ほとんど問題というのは煮詰ってきているんだけれども、もう一息最後の仕上げの時間がかかるということであれば、先ほど櫻井委員の御質問に対する長官のお気持というものも、ややはっきり受け取れるんですが、これは林道の問題のみならず他にも関連するんですが、その辺はどうなんですか。
  79. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもといたしましては、さしあたって必要がないからというような程度考え方を持っているわけではございません。やはりこの際、この基本問題に関する答申を受けました以上は、一日も早く全般にわたる私どもの政策の態度をはっきりしたいということで、それぞれ事項別な検討を続けているのでございますが、中には逐次結論が出て参っている問題もございますし、中にはやはり所有関係に関しますような問題につきましては、なかなか私どもの得られます結論がいつになるかということも十分に今見通しが立たないような問題もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましてはかような措置に出たわけでございますが、今後もやはり鋭意全面的な態度が打ち出せますような方向にそろって何と申しますか進めて参りたい、検討を進めて参りたいというように考えております。
  80. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 抽象的には大体お考え、お気持のほどはわかるのですがね。しかしながら午前中の北村委員の御質問等でもやや触れておられたわけなんだが、相当指摘された問題点というものは拾ってみるというと、数は多いけれども具体的なわけですね。そういう問題について一体どういうふうな見解というものがそれぞれあり得て、そうしてやはり踏み切れないということになっているのか。ないしは私ただいま申し上げましたように、その後の新情勢、あれにもやや抽象的に指摘されておりましても、その後特に急激な変化が起きてきた、新しい情勢の展開というものも確かにあり得た。特に労務の問題などはそういうことが言えるのじゃないかと思いますが、そういうことで、さらに新しい対策というものをよく勉強してもらわなければならぬというふうなことで、また問題が新しくつけ加わって結論が得られない、そういうことがあると思うのですが、したがって、でき得る限りこの法案の審議の過程におきまして、そういった現に研究段階にある問題の所在点をややはっきりさしていただきながら、そうしますとこの森林法の一部改正というものが、そういう全体のものとの間のどういう関連性において今回のこの国会に提案されたかという理解も深まるというふうに思うのですが、まあ、そういうことをぜひともひとつこの審議の中でできる限りのところを明らかにしつつ御答弁をいただいたらいいんじゃないかと、こう考えるのですが、その点どうでしょうか。
  81. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 現段階におきまして私どもが検討をいたし考えておる問題につきましては、御説明を申し上げたいというふうに存じます、
  82. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 要するに、基本問題調査会の答申案といわれているものの中で、具体的に指摘されておりまする範囲の事項については、それぞれやはり研究検討が行なわれてきているわけでしょう。そうしますというと、その中でおのずからその問題の所在点というものははっきりしているわけだ。そこでそのまま答申が言っていることは、具現化し得るものもあるだろうし、それに対してやはり林野庁側の何というか、見解というものをもとにしましてね、そのまま受け入れがたいという問題もあるでしょう。そういうこと自体は、それぞれの個々の問題については大体明らかになっていると、ことにこの段階で言えますか。
  83. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まあ大体で申しますと、そういうことを申し上げられるかと思いますが、構造政策の面では、さらに本年度も調査をするような事項がございます。たとえば家族経営的林業という問題でありますとか、あるいは部落有林、公有林の問題でありますとか、こういう点では調査を進めながら結論を出したいというような考え方を持っておるのもございます。したがいまして、全部というわけには参りませんが、かなりの部分、私どもとしてはこうすべきではないかという考えを持っているものは申し上げられると思います。
  84. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そうしますと、本年度相当程度調査をして、その調査の結果を見て、いずれの方向に出るかという判断をして、そうしてやっていかなければならぬという問題が相当にあるというふうに理解されるのですが、そういたしますと、ただいま櫻井委員の御質問の中にもありましたように、まあできるならできるだけ早い国会ということで、当然次の通常国会あたりでは、そういった要望に従って明らかにすべきものはすべて明らかにするということを、もうこの段階になりますというと希望せざるを得なくなるわけであります。本国会ではとうてい間に合わないのだから、そうすると、それすらもなかなか期待できないというふうに考えなければならぬでしょうか。
  85. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもといたしましては、やはり次の通常国会あたりには、何とかまとめたいという決意を持っておるのでございます。何と申しますか、調査の進行等も考えなければなりませんので、今十分にという、確信があるというようなことはちょっと申し上げかねるところでございます。
  86. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 三十七年度予算案の中に林道問題に関する調査、私はさっきの長官の御答弁で大体は了承したのですけれども一つだけ詰めをしておきたい。  お役所側でよく使われる手段なんですが、調査費は三十七年度だ、三十八年の三月までに調査をして報告をまとめればいいんだ。したがって、今度の通常国会までに、まだ調査期間中でありますから、法案をまとめて出すわけには参りませんという御答弁が、まさかないとは思うけれども予算上からいうと、まだ調査期間中だから結論を得ておりません、したがって、法案を出すまでに至っておりません、こういう答弁が万一あっては、先ほどまでの御答弁とたいへんな食い違いができるので、わずかな調査費であるし、その調査費は十分に活用して、次の、少なくも通常国会までにはその成果を得て法案をまとめるという御決意をもち一度御答弁いただきたい。
  87. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この調査は、大体夏ごろまでにはまとめたいつもりでおります。
  88. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 午前中の北村委員質問に関連して聞きたいのですが、北村委員質問の中にわが党、すなわち社会党で基本法を提出する向きもある云云ということがありましたが、それに関連するわけでございますけれども、何か林野庁部内の状況を聞き及びますというと、社会党で森林基本法を出した際に、この一部改正法案だけでは済まされないんではないかというような意見があって、当然基本問題調査会の答申が出ている以上は、その基本法を林野庁が用意すべきである、こういうような議論が片方からあった、一面からあった。ところがどうもいろいろの情勢の中で、社会党のほうではまだ基本法を出す段階までも進展しておらないから、一応一部改正法案でいいのではないかという意見もあって、相当紛糾したように聞いております。その一つは、そういう経過を踏んで一部改正法案が出されたわけですが、その間のひとつ事情をあったら教えていただきたいと思います。
  89. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そういうことは全くございません。それでこの森林法の一部改正につきましては、昨年の夏以来検討をして参った問題でございます。
  90. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 その今度の改正法案の、そういうことがないならないでもよろしゅうございますが、われわれはそのように聞き及んでいるわけなんです。そこで、私のほうでも基本法についての最終的ないわゆる結論が出ておりませんけれども、これは早急に準備して今国会に間に合えば出すと、こういうような態度も一面あるのです。そういう点も十分考えておいていただくとして、この問題を見ますと、五年ごとに、十年を一期とする全国森林計画を立てると、こういうように出ておるのです。そこで問題点になるのは、基本問題調査会の答申が出ておって、造林についてはかくあるべきである、あるいは林道の開発についてはこういうふうにしなければいかぬとか、あるいはまた伐採についてはこうだとか、いろいろ答申が出ておるわけです。したがって、ただ五年ごとに、十年を一期として計画を立てる際にも、何かそういう基本問題調査会の精神を、これはよしあしは別です、別なんですけれども、それを林野庁が尊重するとするならば、そういう部面にわたるところの基本的ないわゆる態度がなければ、あるいは基本的な方針がなければ、こういう十年一期の計画は農林大臣が立てようとしても、やはり今までの各種の行政的なものを、集約しただけのものをやるだけで、少しも基本問題の精神がそこへ出ておるかどうかということは、これは問題になってくるわけです。そういう意味合いにおいて、そういうやはり基本法を出すべき段階だと、こういうふうに私らとしては考えておるわけなんですが、十年一期、たとえばこの法案が通過して、ことし五年ごとに十年を一期とする森林計画を立てる際にも、そういう基本問題調査会の答申をかりに政府が尊重したとするならば、当然そういうものが含まれたところの計画が出てしかるべきであって、だとすれば、ことし農林大臣がそういう計画を立てるとするならば、当然やはり基本法というものが出て、その考えるところの問題がはっきり確立していないと、やはりこの一部改正法案だけでは何かしら物足りないというものを感じとられるわけですが、そういう点について。
  91. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ちょっとお答えになるかどうかわからないのでございますけれども、基本問題の答申の中で、この計画に必要になっております技術的な事項でありますとか、その他の問題につきましては、一例をあげますと、造林政策というような問題を考えてみますと、たとえば密植でありますとか、あるいは早成樹種の取り入れでございますとか、あるいは早期育成林業でありますとか、そういったような林業の新しい技術的な面、そういう面につきましては、これはどしどし取り入れた計画をして参るというような考え方で出ているかと思うのでございます。ただ、けさほど来も御指摘のように、構造問題に関連いたします部分でありますが、この面では一つの機械化の面でありますとか、そういった面におきましては取り入れて考えて参れると思うのでございますが、その他の所有関係の問題その他につきましては、やはりこの結論が十分出て参りませんと、関連がなかなかむずかしいのでございます。一応そういう問題につきましては、この資源政策の上ではそのままということで検討をしておるわけでございます。で、この林地と申しますか、土地の高度の利用と申しますか、土地の生産性の向上と申しますか、そういった問題につきましても、特にこういった面で取り上げていくということについては、差しつかえない限り取り上げたいというふうに考えておるのであります。
  92. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今の答弁の中に、構造改善という長官の言葉がありましたが、どうも最近は政府部内でも構造改善ムードというものに非常に力を入れておるわけなんです。ところがわれわれの知る範囲では、往々にして民間でもすべて大企業でですね、まあ政府が構造改善といっておりますが、ほとんどこれは極端に言えば、いわゆるオートメーション化に伴う、すなわち産業の近代化に伴うところのいわば合理化政策なんです、極論すれば。その合理化政策をする場合に、いろいろ民間でもって問題になっておる点は、その合理化の中において、しわ寄せがそこの労働者にみんな来ておるわけなんです。そういう中から労使の関係に非常に摩擦が多くなってきておる。ところがやはりそれと同じように、軌を同じゅうしてたまたま構造改善という美名に隠れて合理化を遂行していく、そういう中に問題を貫いていくとするならば、必然的に労使の関係が非常に問題になってくるわけなんです。ですから少なくとも全国の森林計画について、林道から造林から伐採等については、とにかくいろいろ問題があるかしらぬけれども、そういう構造改善の中で、いわば国有林の労務者に及ぼす影響というようなものも出てくるし、あるいは中小企業の林業関係に携わっておるところの業界並びにそれについている労務者に及ぼす問題も出てくるわけなんです。こういうようなその末端の人たちの毎日々々の生活に及ぼすことが、構造改善の中から大きな影響が出てくるわけなんです。したがってそういう問題に対するところの、私は、これは考え方のやはり中心的になる方策というものは、また今後構造改善の問題で基本的なものを出すということ以外に、その問題はもっと考慮されてしかるべきだと、こういうように考えるわけなんですが、こういう点についてはどういうお考えですか。
  93. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 林業の構造改善の問題でございますが、たとえば林道を作って参るとか、林道をさらに改良をして参るとか、あるいは機械化をして参るとか、その他いろいろな問題があるかと思うのでございますが、現在の林業の労働の状態と申しますのは、かなり進んで参っておるところもございますが、概して申しますならば、この基本問題の答申にも触れておりますように、やはり労働条件の上から申しますと、かなり悪いということが言えるのじゃないか、重労働が非常に多いということではないかと思うのでございます。そういう面で改善をして参りつつ、所得の向上をもそれによってはかって参れるということになるのではないかということを考えております。たとえば現在自分の家、部落から山の現場へ行きますのに、歩いて一時間、一時間半、二時間とかかって通うところもかなりあるわけでございます。これに林道を開設をいたしまして、十分、二十分で行けるようになる。それからそのあとかなりの肉体労働でもって、非常に過重な労働になるというような心配のところもチェーン操作その他によってかなりな能率も上がってくる、働ける時間もふえてくるというようなことも考えられるのではないかというように考えております。したがいまして、私どもが考えております合理化と申しますか、構造の改善と申しますか、むしろ私どもはもっともっと進めて参らなければならないと思うのでございます。その過程におきまして、たとえば先ほどの例の森林鉄道を自動車道に変えるというような場合に、今まで森林鉄道の関係に勤務をしていた人が、一部要らなくなるというような場合には、私どもそういったことによって生ずる余剰の労力というものにつきましては、これは余剰ではないのでございまして、他の仕事についていただくということを考えているのでございます。ただ、やはりこのために配置がえになるという場合には、やはり今までなれてきた仕事よりは、これは苦痛も一時はある、そういうことになれる努力ということについては、やはり努力をしていただかなければならぬというように考えている次第でございます。
  94. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 一々事例を上げましたが、その場における、そういうときになった運用上の問題じゃなくて、やはりさっきの森林計画を立てると同様に、そういう雇用関係についても、やはり問題は基本的なあり方というものがまず示されて、そうして実際森林計画を立てた場合に、そういう雇用関係に及ぼす影響というものが前もって把握されなければならぬわけです。そういうようなことも、やはり私は基本法の中に含まれる問題として、当然もうこの法案が通過すればことしから、農林大臣は全国森林計画を立てなければならないわけです。これは来年まで捨てて置くのだったら、来年調査会の答申が出て、——調査費使って、夏ごろまでに出るから、来年やるということじゃないのです。それなら一部改正は来年でいいわけです。当然ことし出したいというものは、当然ことし立てなければならぬ。特にそういう基本的な問題については、早期に方針というものが明らかにされるべきで、もしそこまでできないとすれば、この一部改正法案と同時にそういうような問題も明らかにせられて、これこれこういうような基本的な方針で臨んでいく、林道についてはこうだとか、そういうふうなことで、そこで初めて労働条件の問題、配置転換の問題がこれと付随して示されるべきものだと、こういうように考えて質問申し上げたわけです。
  95. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ただいま国有林に片寄った御返事を申し上げたわけでございますが、全般的に林業道路、山村における労働力が、農業と同じように、あるいはむしろ強目に都市のほうへ流れているという傾向があるかもしれないというような事態もあるわけでございます。この点については実態を今調査をしておりますが、そういう事態も十分見きわめまして、それから先ほど来申し上げました労働条件の向上というような、改善というような問題も計画に織り込みまして、それでこの林業の一部予算措置等もいたしまして、林業の機械化というような問題を民有林業の中にも進めて参る、これは森林組合を中心にいたしまして、労務班というようなものの組織も考えまして、そういった労務班等の組織の活用をいたしまして、林業の協業化でありますとか、あるいは経営の改善でありますとかという面にも実施を進めて参りたいと考えている次第でございます。
  96. 北村暢

    ○北村暢君 先ほどの質問で、いろいろ根本問題の意見が出ているのですけれども、まあ櫻井委員のほうで林道の問題が出た。先ほど私が構造の問題、そのほかにもまだあるのですよ。というのは、この法案を見ましても、実はこの法案は、やはりこの森林法体系か生言えば、私どもが学校で習ったときの森林法体系に何かあとで出てきたものをつけ足しに出ているような法案なのです。そういう法案だから、抜本的な基本改正が必要だということになって出てきているのですが、一体、造林ですね、これは林業政策上の造林というのは、これは保護政策のうちの大要を占める問題であるわけですね。ところが桜井委員指摘したように、林道に対する規定なんというのは、この法律案の中にただ林道については補助金を出すことができるということになっているだけだ。造林についてもしかりです。ところがこの造林につきましては、前にはいわゆる造林臨時措置法というものがあって、戦時中の乱伐後における造林未済地についての緊急造林として造林をやった。そのために特別措置法ができて、造林に対する補助金というものをやってきているわけです。ところが、それが二十何年かに終わって、今度は既往の造林地に対する伐採跡地に対する造林については補助金は出すような方向にはいかない。そして今後は拡大造林といって、天然林を人工造林に切りかえるものについて造林の補助金を出していくのだ、こういう考え方に変わってきておるわけですね。変わってきておるときに、法律規定で一体どういうことになっているか、何もないわけです。ただ造林に対して補助金が出せるということに基づいて行政措置でもって出しておるのですね。そういうことが確かに森林法の第一条を見ますと、「この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。」この目的だけでやっているのですよ、あなた方は。造林に補助金を出すといっても、一体どういうものにどういうふうに出すなんということは、全部行政措置でやっている。林道にしてもしかり。今言ったように、林道の性格というものが変わってきている。変わってきているのだけれども、それに対する規定するものは何もない。行政解釈だけだ、こういうことなのです。それからまた林業の普及制度についても、農業については、農業改良普及のための法律というものが制定されておる。ところが森林法では、ただ府県に改良普及のための職員を置くことができるのでそれに補助金は出すことができるということになっておるだけで、普及事業というものは、一体どういうことでやろう、どういう目的をもってどういうふうにやるのだという規定も何もない。全部それは行政措置でやっているのですよ。でありますから、私はこの基本法というものの中で概念規定でいくのだったら、今言った計画制度、保安林制度、森林組合制度と、これがこの法律の根幹なのだ。あとのほうは、今言ったようなことは全部雑則の中に入る。林業の根幹となる造林政策なり、林道政策なりというものが森林法の雑則の中に補助金が出せるということだけで措置している。基本法の政策なんというものはどこにありますか。それは構造改善だけの問題じゃないのですよ。だから私はこの基本法の体系からいけば、計画制度と保安林だけは今度改正しておいて、そして根本的なものを出すだろう、こういうふうに思っておる。一体、長官はお伺いいたしますが、それじゃ造林の補助金というのは、どういう理論的根拠に基づいて造林の補助金を出すのですか、考え方をお伺いいたしたい。
  97. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 造林の補助金でございますが、一つには資源の維持、培養、保全というような問題、一つには林業というもの、造林事業というものが非常に他の産業に比しまして長期にわたる事業でございまして、かなり困難な仕事であるにもかかわらず、また国土保全、先ほど申しました国土保全その他資源、あるいは国民経済に寄与します資源の政策の面でも、ぜひ進めなければならないというような考え方から、補助あるいは融資による援助というものを考えておる次第でございます。
  98. 北村暢

    ○北村暢君 ただいま造林に対する補助金を出す考え方というものを出されましたけれども、純経済合理主義からいって保安林として制限をする、そういうようなところに対してどうしても保安機能を確立する上において、そしてこの補助金を出さなければならない。これならまだ話はわかるのです。一般経済林について、しかも長期にわたるから、困難だから。ところが、林業の所得を見てごらんなさい。林業所得は非常に上がっているでしょう。最近木材の値上がりで非常にもうかっているでしょう。これは農業の所得から比べれば、伸び率からいけば大へんな伸び率で上がってきております。今日の林業所得の所得の伸び率というものは、近代科学工業の機械科学工業の伸び率とほとんど同じです。農業の数倍以上の伸び率を示している。経済的に林業というものがそういうふうな中でもうかるということであって、しかも経済的に林業というものをやっていく場合に、もうかるものに対してなぜ補助金を出さなければならないかという理屈は当然出てくるのですよ。何がために保護しなければならないか、補助金を出して。これはもう当然出てくる。これは林業には土地改良事業というものはないのです。土地改良事業というものはないのです。土地改良事業というものは生産基盤を確立する、そういう点からいって、これは林業自体の問題との関連から非常に重要な意義を持っているのです。造林の補助金というものは、そうなければで経済合理主義の上に立って、もうかるものに補助金を出すなんというばかなことはあり得ないはずなんです。それ以外に長官が今言われたように森林というもの、何でもかんでも保護していけばいいのだという感じの中にいて、造林の補助金を出すようなことになっておらない、そういう考え方の人もいる。しかしながら林業との関連の上においてこの土地の豊度といいますか、肥沃度といいますか、そういうものを培養していく、森林の蓄積というものは、そういうもので三十五年も四十年もかかってできるのであります。農業でいう土地改良に対する国家投資というものに匹敵するものが造林という考え方をとっている人もいるのですよ。ですからひとつの補助金を出す理論的根拠というものについても、森林法では明らかにされておらないのです。非常にまちまちなんです。やはりこの補助金を出すなら出すだけの理論的根拠というものをやはり法的に認めなければいけないと思うのです、私は。ただ行政措置でもって、山が荒れるから何だからということで補助金を出すということは許さない。もちろんそういう理由も成り立つでしょう、しかし、そうでない意見もあるんだから、したがって補助金政策というものがただ森林法の一項でもって、雑則の中に、林道、造林補助金を出すことができると、こういう規定になっているんですね。こういう基本法というものはないですよ。何をやるんだかわからないんだけれども、林業普及ということでもって人間だけを置くということになっている。何を普及するんだかわからない、任務もわからなければ何もわからない、そういう人を置いて補助金を出すことができると、こういうふうになっている。そういう不完全な基本法というものはないと思う。ですからただ一点、構造改善の問題について結論が出てない。まさしくこれは農業のほうにおいても、家族経営農家というものを放棄したような形になっております。林業のほうでも自立経営林家なんて、そんなものはあり得ないという意見もあるんです。ですからそんなものを検討していたってうまいものが出てくるか出てこないかわからんですよ、それは。そんなことでなしに、今申しました林業のやはり基本政策というものについての考え方というものを基本法の中で確立する、それを具体化するやはり法律というものが、体系が出てこなきゃいかん。そうでなければ造林についても、林道についてもこの森林法の中に明確な規定というものがなされなければならない、当然のことだと思うのです。そういうことがこれに出てないという点からいっても、これは私は納得いたしません。これはまあつけ加えたわけでございますけれども、これについて一々答弁は私は要りませんから、とにかくこれは簡単にいかない問題なんで、いよいよこれは大臣に出てもらおなければ解決しなくなってきたようでございますから、大臣にもゆっくり御意見を伺うことにいたします。  最近の問題で、農業の場合においても現われてきている問題でありますが、この就業構造の問題でございます。さしあたっての問題として、今度のこの法改正によりましても、長期計画を立てて、造林も拡大をする、伐採量もどんどん拡大をしていく、生産も上げていく、こういうことに実はなっておる。ところが今、林業の場合、農業の場合を通じまして非常に大きな問題として出てきているのが、農業の人口移動の問題でございます。先ほど安田委員からその資料の要求をしているわけでございますから、どのように移動しているかはっきりしたことはもちろんわかりません。わかりませんが、農業のほうについては農業の年次報告の中で、明らかにこの動向というものが提示されているわけです。そして最近における非常な人口移動というものが多くて、そしてそれが急激にやって参ったために、しかも優秀な若い労働力がどんどん出ていって、ただ農村は老人と婦人化してきた、こういうことですね。農業の構造、質的発展のために非常に大きな支障が来るような段階まで来ている、こういうふうに言っておるわけなんです。それでこれは農業の人口移動は地域によって非常に違いますし、機械科学工業の発展しているところと、その付近と、そうでないところと非常に形態も変わっておるわけです。そういう中で、この農業のほうは比較的明確に分析されて、しかも所得の面についてもこの点について分析がなされておるわけでございます。所得の面については一町歩を境として階層分化が起こってきている、そして専業農家一町五反、二町以上の専業農家が所得が高い、それから第二種兼業のうんと零細な農家で農外所得を得ているもののほうが、この一町歩中級どころの農家よりもかえって農外所得が高いために、農家の所得は高く出てきている、こういう問題が出てきているんです。  そこで私はお伺いしたいのは、農業は基本法があるために、こういう分析がなされて国会にも報告されている状況なのであります。林業のほうは今長官の答弁を聞いておりますというと、非常にあいまいなようでございます。しかしながらこれはあいまいじゃない、あなたのほうで相当な金を出してやっている外郭団体の林業経営研究所で、国有林地帯の山村農民の雇用問題と就業構造ということで、こういうりっぱな研究したものを発表をいたしているわけです。これを読んで見るというと、山村の就業構造というものが大体想像がつく。これはサンプリングでやっているようですから、全国を推測することは非常に不完全だろうと思う。しかしながら、見方としては相当うがった見方を私はしていると思って見ている。そういう点から見ますと、この構造問題についてもわからない、これから調査しなければわからないというような問題ではやはりないじゃないかと思う。相当程度わかっている。林野庁はわからないと私は言えないと思う。これだけ金をかけて経営研究所というものにやらせており、そしてこういうものが出てきているのですから、知らないとは言えないと思う。そういう中で、これの報告によるというと、山村、半山村、農山村との三つに分類をして、それぞれの形で林業の就業構造というものを分析しているようです。その中ではっきり言っていることは、山村に行けば行くほど、農民とのつながりというものがない。はっきり言えば専業の山林労働者という者がおる。また零細な山村の形のところに行くというと、土地に対する執着というものがほとんどない。したがって農村人口の移動の中で、山村に行けば行くほど、気軽に人口の移動というものが行なわれているということが言われているわけなのです。そうすると、農業は確かに今人手不足になっている。ところが、林業というものは、圧倒的に今までの形態からいえば、農業の過剰労働力によって林業というものがなされてきた。そのために兼業農家が非常に多かった。ところが山村の人口移動というものが、非常に今日動きやすい形において減る可能性も非常に多いということがいわれている。そうすると、農業以上に農民の過剰労働力に頼っておった山村が、労力の不足をきたしているということは、当然、考えられることだし、現実に、そういう点が出てきている。これは地域によってだいぶ違うようでありますけれども、非常に深刻なところが今日出てきているのです。こういうような点に対して一体いかなる施策をとろうとするのか、こういうようなことが、私は森林計画の中に出てこなければならぬ。木材をふやせふやせと言ったり、造林をせよせよと言っても、人間がおらなければ造林はできない。こういう問題について、一体いかなる形でもって対処しようとしているのか。緊急の木材の価格対策はやったけれども、緊急の労務不足の問題に対して、今非常にやかましい問題に対して林野庁はいかなる具体案を今持っておるのか、これについてお伺いをいたしたい。
  99. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 御指摘のように、山村の労働力というものが逐次減って参っておるということにつきましては、私どもも真剣に考えております。特に伐木関係の労務につきましては、やはり専業化ということが非常に必要になって参っていると思っております。それから造林労務につきましては、この事業が非常に季節的な、先生御承知のように季節的な仕事であるということも一面にはございまして、やはりこの点は農業との関連、農業労働との関連ということは、かなり考えて参らなければならないというように考えております。で、こういった労務を確保いたします私ども考え方といたしましては、まず労働の生産性を向上させて参りますために、たとえば機械化を進めて参りますとか、あるいは林道等の環境、林道その他の施設の充実でありますとか、そういった労働環境あるいは労働の合理化というような面も考えて参らなければならないと考えております。また、協同事業の促進ということを考えまして、自家労力の完全な燃焼というようなことも考えなければならんというように考えております。また、本質的には林業の体質の改善をいたしまして、先ほど御指摘もございましたような財産保持的な森林の持ち方からして企業的な持ち方にして参る、企業性の向上によりましてこの労働に対する支払い能力と申しますか、そういうものを向上をさせて参らなくてはならぬというように考えておる次第でございます。
  100. 北村暢

    ○北村暢君 今の御答弁では、施設をよくするとか何とか、この協業化をするとかいうようなことは、国有林ではそういうことは林野庁の施策としては直接的にはできるかもしれませんけれども、民有林について施設をよくするとか何とかいうことは、口で言ってもそんなことはなかなかできがたいと思うのです。それで根本的に労働力がそういうふうに移動するということは、どういうところに原因があるのか、減っていくから減っていくことの対策として、協業化を進めて自家労力の完全燃焼をはかるようなことをやるとか何とかということをいわれておりますけれども、しかし協業化をやろうと何しようと、これは今これから構造改善のところで検討するんだろうと思うのですけれども、一体流れていくということ自体どういう現象であるか、農業と比較して一体山村のほうはどういう形になっているのか、この現状把握ができなければ、農業のほうも減っていっているから、農業のほうも同じような対策をとっていく、林業のほうも構造改善で同じような対策をとっていく。今言ったようなことは基本政策に書いてあるんですよ、長官言われなくてもわかっている。わかっているけれどもそういうことがなぜ起こるかということです。したがってこれは所得の問題に必ずひっついてくるものです。労働条件、分化の問題もありましょうけれども、所得の問題ですよこれは。労働力が移動するというのは、賃金が高く、労働条件がいいほうへ労働力が移動していくのはあたりまえなんです。これは池田さんじゃなくたって、そっちのほうへ行ってしまうのですよ。だからそういうものに対して一体どうなのかということなんです。しかも兼業といいながら、まあ造林は兼業が非常に多い、伐木は専業労働者が占める率が多い、こういうことのようです。その伐木自身が今逃げて行っている。造林も計画造林がなかなかできないところが今日出てきている。人手不足のために計画したとおりのものができないところがぼつぼつ出てきている。こういう実態でしょう、人手不足のために。それはやはり賃金が低いということが絶対的にこれは言い得ることだと思う。特にこの造林の賃金というものは、まあ公共事業費という形からきているのでしょうけれども、非常に低いですね。一体この造林の補助金を出しているわけですから、一町歩当たりの単価について、大体どのような考え方で賃金をきめているのか、この点をひとつ答えていただきたいと思うのですが、今度の予算では造林の補助金を、一町歩当たりの単価というものを上げたようです。何を根拠にどれだけ上げたのか。造林の賃金というものは何を基準にどういう根拠に基づいて単価というものをきめているのか、それをひとつお答え願いたい。
  101. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 従来の造林の補助金の積算にあります賃金の基礎と申しますか、昭和二十九年だったかと思いますが、のPWになっておったようでございます。その後ことしにおきましては、PWには関連はございませんが、かなり上昇をした賃金水準ということで積算がされているわけでございます。これは一面には、やはり造林の奨励的な意味というような意味で、必ずしもこの賃金を基礎にして積算をするということも的確には申せない関連もございまして、さような形にはなるかと考えております。
  102. 北村暢

    ○北村暢君 どうもあいまいでございますがね。公共事業一般のこれは問題なんです。で、これは過去三年ばかり前に、私は予算委員会で実はやった記憶があるのでございますが、このPWというのは一体何なのですか、どういう認識を持っておられますか、PWというものについて。
  103. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この同種の何と申しますか、林業で申しませばその地方の平均賃金というように考えております。
  104. 北村暢

    ○北村暢君 いや、そのPWというものはですね、平均賃金か何か知らないけれども、これは労働省で告示することになっているんですよね。しかも、このPWというものはいつからできたかというと、これはここに桜井委員もこれは公共事業やっておったからよく知っているのだろうと思うんですが、これは終戦時のマッカーサーが占領したときに、こういうものを日本の労働者を安く使うために作ったものなんだ、これは大体。独立した今日なおこれを使っているんですね。そうしてこれは大体が駐留軍関係の者に使ったのが初めなんです。それがだんだん民間で使うようになって今日これが普通に使われておるのですが、あくまでもこれは失業救済的な意味における非常に安い賃金ですよ。ところが、米価審議会において農業労働の一時間当たりの賃金というものはやはり審議されておりますよ。そういう賃金が一体どういうふうになっているか。農業労働の賃金というものはどういうふうに見ておるか、米価審議会において。で、その農業労働よりもおそらくこの造林の仕事というのは、今日労働の面においても非常に激しいですよ。特にブッシュ・クリーナー等が入りましてから八時間働こうといっても働けない実情です。あの炎天下にとにかく目まいがして、背負ってやるのですが、あのモーターの振動でもって、とても五時間以上は勤務できないという状態の中でやっておるわけです。その造林の賃金は、標準賃金は一体幾らですか。農業労働の賃金と一体どういうふうになっているのですか。それからまた林業労働の、そういうものの賃金が製造工業の賃金とどういうふうな関係になっているのか。こういうふうなことは一体検討されて賃金というものをきめているのか。私はこの造林の単価というのは、造林ばかりでなしに、治山でも林道でも同じでございますが、とにかくこの予算単価について非常に冷酷なんですよ。これは上げるとたいへんなことになるので、公共事業の予算単価を上げるということはたいへんなことになるのです。たいへんなことになるのですが、しかしこれはたいへん低い形でもってきめている。そういうところに問題がある。ですから、そういうものを基準にとって一町歩当たりの単価を出すというのは、もうそろそろ改めなければならない段階にきているのではないか。農業における農家の所得の向上だのなんだのといってみたところで、これは農林省全体の問題でありますが、農林省で使う労働者の賃金、試験所、種畜牧場、そういうようなところ、いろいろありますけれども、驚くなかれ、一日二百円台の日給で使っているところが非常にたくさんある。これは職安の規定による自由労務者の賃金よりもまだ安い単価でやっておる。しかもそれも実情はどうかというと、若干単価を上げるというと人夫数で削ってくる。こういう状態で、どうにもこうにもならないというのが実態なんです。これは林野庁は団体交渉をやるから若干いいわけなんです。そういう状態にあるわけなんですが、そういう点から非常に賃金が低い。しかも就業人口の移動ということについては、やはり賃金が安いということに根本の原因がある、こういうふうにお考えになりませんか。
  105. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 先ほどの最後にも申し上げましたように、基本的にそういう問題、賃金の安いという問題もあると同時に、やはり労働環境あるいは生活環境、山村のそういう問題もあると思います。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 そういうことがあるのじゃなくて、それが低いから流れていくのじゃないですかと聞いているんですよ。労働条件も悪いし、環境も悪いし、生活環境も悪いし、賃金も安いから、都市の高いほうへ移っていってしまっているんじゃないですかと聞いている。それが根本の原因じゃございませんか、それをお認めになりますかということをお聞きしているんです。
  107. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) そういうことでございます。
  108. 北村暢

    ○北村暢君 それでは私はお伺いいたしますが、そういう農山村の実情にある。私はあえて言えば、農業よりもかえってそういう労働力の移動という点からいけば、先ほど言いましたように、この経営研究所の発表された文献からいっても、農業であれば町の近いところでは通勤でも兼業できる、またある程度の農地を持っているから離れるということについて、相当の土地を放していくということについては執着がある。しがし山村にいけばいくほどその度合が少なくなって移動性がある。そういうことが出ておりますから、今後林業の就業人口というものについては、農業以上に深刻な問題が私は出てくるのじゃないか、こういうふうな感じがしておりますし、これは現実に、北海道、あるいは関東、山陽地帯の、いわゆるベルト地帯の国有林労働者、民有林労働者の中に端的にこれは表われてきているわけです。したがってまあ相当サービスをよくしてやっても、なかなか作業員を集めるのに困難である。こういう実情のようです。したがって、これを私どもは、長官が今労働条件も悪いし、賃金も低いということを認めておるのでございますから、積極的に改善する方策というものを考えてもらいたいと思いますし、さらに国有林の問題についてお伺いしますけれども、国有林の林力増強計画によって、今機械化なり合理化というものを進めておる。こういう段階の中で、国有林の合理化の基本的な考え方というものは一体どうなっているのか、これは法律規定も何もないわけでございますが、とにかく林野庁は今林力増強計画というもので実施をして、行政措置でやっているわけです。その基本的な考え方、一体どういうふうになっていっているかということを一つ示していただきたい。この点については、後ほど資料でもって、林力増強計画の計画とその実施をやってきたものについて、先ほど資料要求があったかどうか知りませんが、ダブッていればあれでございますが、これを出していただきたい。資料として出していただくと同時に、今論議の都合がありますから、一つ基本的な考えを答弁していただきたい。
  109. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 国有林の林力増強計画の基本的な考え方でございますが、すでにこの答申にも見られますように、国有林は、はたして十分にその機能を発揮しているかどうかというところにも問題点の大きなところがあると思うのでございます。したがいまして、生産力の増強、生産性の向上という面と同時に、国土の保全の使命を達成をして参るというところに基本的な方針をもちまして、全事業につきまして、合理化の対策を講じておるところでございます。
  110. 北村暢

    ○北村暢君 まあ一般的な国土の保全機能だのなんとかいうようなことはわかるのですが、国有林そのものを近代化していくというところに、最大のねらいを持っておるわけでしょう。ですから国有林の中における、私は企業的な性格を持っておる五現業のうちで三つあるかと思うのですが、この企業的な性格を持っている国有林野事業、こういうもののあり方でございますが、その企業的な国有林野事業というものの近代化というものは、国土の保全機能だとか、一般の機械化をしていくとか、もちろんあるでしょうけれども、そういうものの中で国有林の運営 たとえば運用の方針として直営生産というものもやっておる、立木処分というものもやっておる、造林事業というものもやっておる、これは国有林としての非常に大きな事業の内容でしょう。その内容の中で、一体そういうものをどういうふうに近代化していこうと考えておるのか、そういう根本的なことを聞いているわけなんです。たとえば直営生産を減らしていくとか、立木処分のほうが安上がりなんでもっともうかるとか、あるいはもっと造林というものをどういうふうにやっていくんだ、何か聞くところによりますというと、直営生産事業も二万石以上のところでなければやらない、整理統合して二万石以上のものにしていこう、あるいは造林であれば五十町歩以上でなければ循環団地としてやっていけない、それ以下のものは直営ではやらない、こういうような考え方もあるようです。そのやり方ですね、基本的なやり方を一体どこに求めてやっていくのかというふうな点をお伺いしているわけです。
  111. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この事業の運営上の基本的な考え方でございますが、直営あるいは請負あるいは森林の伐採等におきますと、立木あるいは生産事業というようなことがありますわけでございます。これを一括して全面的に全国一律にこうするんだというような考えは一応の線、たとえば今先生のおっしゃいました団地の考え方あるいは年間生産量の考え方、こういうものはございますが、これをいかなる方法によって処理をして参るかという点につきましては、その地方地方の実態に応じまして、あるいは労務の問題、あるいは市場の問題、あるいは施設、それから職員全体の機構、そういうような問題を勘案をいたしまして、実施の計画をきめて参っておるわけでございます。
  112. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ、たとえば、お伺いしますが、三十三年から林力増強計画を実施しているようでございますが、直営生産が今日までどのような推移をたどっているか、私はそういう各地域におけるそういうようなものを勘案してやっていくとかなんとかいうことを聞いているのじゃなくして、国有林は過去七、八十年にわたってやってきた経験の中から、そして林力増強計画ということで国有林の近代化をやろうとしているんでしょう。したがって、わからないことはないわけでしょう、わかっておって、そういう中に立って直営生産というものは今後どういうふうにしていくんだ、立木処分というものはどういうふうにしてやっていくんだ、造林というものはどういうふうにしてやっていくんだ、国有林という国で直営をやる場合における事業の規模というものはどういうふうになるという経験の中からやってきているんだと思うのですよ。その中において人員配置なりなんなりというものを考えていくのはもちろん当然でありましょう。ところが今日直営生産事業というものは減ってきていることは間違いないのじゃないですか、どの程度減っているのですか。
  113. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 数字はそれでは後ほど御説明をさせていただきます。私どもの直営生産に関しまする方針といたしましては、この現在進めております直営生産を、あるいは特に減らそうとか、特にふやそうとかいうことでなしに、全般の生産事業の合理化という問題に関連いたしまして、この直営生産事業は、すでに御案内のとおり、現場の作業員だけで実行のできるものでございませんで、事業所の職員あるいは営林署の職員、これに伴います事業主と管理主と、こういうものが集まりまして完全な事業ができて参ると思うのでございます。このバランスを十分に検討をいたしまして、その上でこの支払います給与その他等に無理のいかないということも一つの条件としなければならないかと思うわけでございますが、そういう中に立ちまして、直営生産事業の計画というものは立てて参っておる次第でございます。
  114. 北村暢

    ○北村暢君 それじゃ全く無方針ですよ、そのところどころによって直営生産、立木処分、もちろんそんなことはあたりまえの話です。しかしながら、過去の経験の中で直営生産というものについて伸ばしていこうというのか、立木処分のほうがいいというのか、これは過去の経験の中から方針というものは成り立つでしょう、またそういう方針というものを持つべきだと思うのですよ。事実問題としてこういう論議があるんですよ、直営生産というものは。林業というのは大体育林業まで林業だ、木を植えて育てるまでが林業だ、木を切って運び出すのは運搬業である、したがって運搬業まで国有林でやる必要はないじゃないか、運搬業だったら日通かなんかにやらせばいいだろう、民営というものが出てきている、民営論です。これは強くあることは否定できないです。これは事実である。したがって、それに対応して一体林野庁は立木処分という形でいくのか、あるいは直営生産であっても、民営ということで請負制度でやっていくのか、とりあえず請負制度でやったならば、あなた方が一番頭痛はち巻で頭を痛めている労働問題はなくなってしまうのではないですか、したがって、労働問題がうるさいということならば、請負でやったならばごく簡単にいってしまうということも否定できないですよ、またそういう傾向が今日ずっと出てきている。したがって、これは数字でもって私資料を要求いたしましたけれども、そういう傾向になっておるのです。それはあなたの長官としての指導方針になるのか、これは三十三年当時でございますから、その当時から方針が変わればいざ知らず、前の長官の当時のことですから、知らないでは済まない問題だと思うのです。したがって、そういう考え方があるのですから、一体どういう考え方をとっておられるのか。私は企業的な性格というものを持つというのは、採取林業でも人工林でも天然林でも同じですけれども、私はやはり木を切って出すまでは、これはやはり直営でやるべきだと、できる限りは直営でやるべきだ、こういう考え方なんです。そのことによって林業の近代化というものはできる。それは終戦後木曾においても、ほかにもあったことでありますけれども、国有林の直営事業というものが全部請負事業ですよ。庄屋制度、山頭制度で、そして作業員のピンはねをやって、前近代的な、封建的な仕組みの中で国有林というものが運営されておったじゃないですか。終戦後、その庄屋制度というものが撤去されて事業主が直接雇用をして、そして労働基準法の精神に基づいて近代的な雇用契約というものができて、そして今日の曲がりなりにも、おくれたりとはいいながら、国有林というものが民有林の先達として、近代的な事業というものを運営してきた。しかも、国有林というものが企業になるのだ、山地主ならば、保護管理だけをやって立木を売り払って食っている山地主ならばいざ知らず、今日そういうことにはなっておらない。今日は企業ということです。事業をやることが使命になっておる。そういう林野庁が直営生産事業を減らしていく。できる限り工夫して、統合しようがなにしようがいいけれども、小さいものを大きくするのはいいけれども、小さいものは切り捨ててしまって、統合するのではなくて、事業量そのものを減らしていこうというやり方では、これは国有林が企業的な性格を持って直営生産というものをやる事業主体としての性格というものを放棄する、みずからの責任というものを、事業の主体というものを放棄する無責任きわまりないやり方だと思うのです。そういうことで一体いいのかどうか。もう少し本気で、事業をやるという性格でいくならば、もう少しはっきりした方針をもって直営生産というものをふやしていくとか、あるいはこれはどうしても赤字になるから減らしていくとか、そういう根本的な方針というのが、林野庁にないというのはおかしいじゃないですか。その場所々々によってどっちでもいいほうをやっていくのだ、そんな、無方針というものですよ、あなた。基本問題調査会の答申にも明らかに労務の事情から考えてなるべく常用化するような方向に持っていきなさい、そのことが近代化するゆえんだと、こういうふうにはっきり言っている。そういうことが日本の林業の構造を改善することです。また請負制度にしてピンはねができるような形に、戦前の形に持っていこうというのであったならば、これは何も林野庁なんというようなりっぱな看板をかけておく必要はない。もう地主になって全部民営になってしまったほうがいい。責任を放棄することだ。そういうふうにお考えによりませんか。
  115. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 直営生産の問題につきましては、国有林の事業の母体は直営事業であるという考え方には、私ども変わりはございません。しかしながら、直営事業をここでただ無計画にふやして参るというようなことは、非常に慎まなければならないというふうに考えておるのでございます。で、私はこの現場の事業のみをとらえまして直営生産でやるべきかどうかという問題を議論をいたしますよりは、やはり営林署、営林局、まあ営林局はさておきまして、営林署あるいは担当区、あるいは事業所等の全体の機構、機能、能力、こういうものを全部勘案をいたしてきめて参らなければならぬのじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  116. 北村暢

    ○北村暢君 私は無計画に直営生産をどんどんふやしていけなんということを言っているのではないのです。冗談じゃない。あなた方の方針がですよ。三十三年は直営生産が四五・四%だった。三十七年度は二九・七%に減っているのだよ、大体。あなたはふやそうなんということを言っているが、減っているのだよ。だからその基本的な考え方を聞いているのです。無制限にふやせなんということを言っているのじゃない。無計画にやりなさいと言っているのではない。集約してでも、お互いに大いに近代化してやっていきなさいと言っている。やりやすいようにやっていきなさい。しかしながら直営生産というものは、でき得れば直営生産でいきたいと考えておられるのだから、ふえていくのが普通でしょう、少しずつでもふえていくのが普通でしょう。それが三十四年の林力増強計画をやったときに四五・四%だったものが、三〇%を割っているのですよ。この数字の間違いだったならば、資料として要求しておりますから、またゆっくり論議いたしますが、あなたは今むやみやたらにふやしていくことはできませんというが、ふやす方針であるのか、減らす方針なのか。現実に減っているのだ、それを言っているのですよ、私は。その辺はどうなんですか。
  117. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ちょっと言葉が過ぎまして、取り消します。この直営生産のふやすかどうかということでございますが、やはり私は労働条件というものを完全に実施をして参る。労働条件も完全実施というとちょっとあれかもしれませんが、当局としてとるべきすべての職員に対する給与あるいは手当というものがバランスがとれて十分に実施ができるという中で、直営生産というものはふやしていかなければならないのじゃないかということを考えておるのでございます。一面には消極的だというそしりを受けるかもしれませんが、しかしながらこれは全体の問題として考えざるを得ないのじゃないかということを考えておるわけでございます。
  118. 北村暢

    ○北村暢君 先ほど来言っているのですが、直営生産は直営生産だけれども、請負にするという考え方はどうですか。これは近代的でしょうか、どうでしょうか。
  119. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この請負事業につきましては、労働組合との申し合わせもございまして、特に新規の事業を計画する労働力の確保が、営林署として困難なような場合、あるいは請負にしたほうが能率が上がるというような、これは場所によってそれぞれ条件が違うと思いますが、そういうようなことを中心にいたしまして考えて実施をして参っておるのでございます。
  120. 北村暢

    ○北村暢君 大体方針として造林事業を請負でやれということは各所に出てきているのですよ、方針として。私はこの国有林というものは、民有林と違って、学歴から技術者から非常にそろっているでしょう。そういう技術を生かして、あれだけの膨大な機構をもって、責任ある国土保全のために絶対必要だといわれる山を守っていく、その人工造林を今拡大してやっていこうという、請負のほうがいいのか、直営でやったほうがいいのか、これは結論的にはっきりするのじゃないですか。あなた方は労働問題だけを気にして、それさえ解決すれば、いっでもあなた方は直営でやりたいと思っているのじゃないですか。これはだれが考えたって、請負でやるよりは直営で、できれば直営でやったほうがいいですよ。わずらわしいから、わずらわしさを抜けるために請負にさせてしまう。その請負をやった結果と、直営でやった結果と、一体営林署の山がどういうふうになっているか。これは行政監察でも全部やってもらったらいいと思うのですがね。これは実際に営林署の末端の作業を担当している人はよく見て知っているのですよ。活着の状態からいって、造林の成果からいって、落ちるものを請負でやったほうが安くできるという、こういうのですね。あるいは北海道等の造林をやる営林署は、請負といったって請け負う者がいないほど安いのですね。単価が安いから請け負う者がいない。だから現地で一体どういうことをやっておるか、あなた方は立木処分と造林とは一緒の業者にやらせるという、そういう指導をしておるということも聞いておる。造林をやらなければ払い下げをしませんとおどかして、確実に赤字になる造林を立木処分のほうに押しつけてやらしておるではありませんか。そういうことが請負の実質なんですよ。それはわからないことを言っておるのじゃない。ごまかそうとしたってだめなんですよ、それは、そういう実態にあるのにかかわらず、この請負で造林にするという方針を出すこと自体が許さるべきはずのものじゃないのですよ、これは。このごろ請負でやったほうが能率が上がるかどうか、能率なんか上がりっこないのですよ。それは植えるものを植えないでおけば、能率が上がるかもしれない。山へ苗木の束をかついで行って、峠の向こうまで行って投げ出したという事例すらあるのです、請負でやったら。密植をやるというような、三千五百本を四千五百本なんかにするような場合でも四千五百本植わっておるものか、四千本植わっておるものかわけがわからない。請負でやらせることは、あえてやらせるほうがおかしいじゃありませんか。それが責任を持てるのか持てないのか。そういうところの方針というものが、とにかく国有林というものは、直営ということでもって責任を持ってやっていくのだという方針がなくて、国有林なんてよくなっていきませんよ。どうでもいいということじゃないのですか、それじゃ。
  121. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 直営事業が母体であるということを申し上げたわけでございますが、その基礎におきましては、やはり労務管理という問題があると思います。先生の御指摘のようなわずらわしさという意味でなしに、労務管理を完全にして事業を行なわなければならないという私は考えで申し上げておるものでございます。もちろん、そういった段階におきまして、そういった基礎に立ちまして直営生産を、直営事業を進めて参るという考えであるものでございます。
  122. 北村暢

    ○北村暢君 それでは請負というのはやむを得ざるときにやっていく、こういう方針であって、直営というのが母体である、この方針だけは確立しているのですね。それではお伺いしますけれども、労働というものがこれに関連しておるということは、もう前から言っておるとおりなんですが、この雇用の安定化の問題、さらに定員化の問題、こういう問題について私は根本的な具体的な問題は、これはまあ別で、私どもがやる筋合いのものでないからあれで、基本的な方針だけをお伺いしておきたいと思うのですが、先ほど言いましたように、農村の人口移動というものが非常に急速になってきておる。また今後においても、その見通しというものは相当強く出てくるであろう。しかも現実の問題として、今日雇用量というものが減ってきておる。三十七年度における五年度と六年度とを比較してふえておるものもある。それは定員内になったものか、定員法によってふえたそれ以外はほとんど減ってきておる。はなはだしく減っておるのは、やはり一番問題なのは、この造林のための日雇い作業員、これが圧倒的に減っておるのです。したがって今後における林業経営というものは、農閑期を利用する林業経営というようなことではいけなくなってきておる。農繁期と林業の近代化していく時期とは一致するような形になって、なかなか農閑期の余剰労働力というものを使っての林業経営というものが、非常に困難になってきている。だんだん専業化の傾向というものが強くなってきている。特に伐木事業についてはそうである。造林の場合には、まだ平場地帯の作業員が多い、そういう関係から兼業農家が多い。いわゆる半農型の労働者が多い、こういうことも事実であります。しかしながら傾向としては、常用化の方向へ持っていって、林業の経営そのものを近代化していこう、こういう傾向が強くなってきているということだけは否定できないのじゃないかと思う、傾向としては。これは国有林労働者だけでなしに、民有林の労働者においても、構造改善の中において、農業もまた多角経営によって選択的拡大ということで、専業農家というものになっていこう、こういう傾向をたどる限り、林業においてもまた林業の専業的な林業というものを確立していこう、いわゆる自立林家、これは観念の中に、直ちに実現するとは思いませんけれども、そういう考え方が出てきている。だんだん専業的な形に持っていって、仕事を分化していって、そうして集約的な林業経営をやっていこう、こういう方向に向かっていることはもう間違いないと思うのです。そういう雇用の常用化ということについて、これは方針として常用化の方向をとる。基本問題調査会の答申案にも、この文献によりましても、そういう方向をとることが当然だということを言っている、この方向については間違いございませんか。
  123. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お説のとおりでございます。
  124. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、昨年まで林野庁の方針というものは、そういうふうに承っておったところが、最近になってどういうことか知りませんけれども、作業員の不足ということからいって、造林等において、特に先ほど申しましたとおり人手不足である。したがって、今日は臨時の兼業的な作業員を確保することが第一要件である。これを確保することに全力を今、林野庁あげなければならない。したがって常傭化というものは二の次である。それが確保できてからでなければ、常用化ということは考えられないのだ。こういう考え方が、今年になって、林野庁の考え方がそういうふうになってきているということが、実は出てきているのです。したがって、今、林野庁の長官が御答弁になった、お説のとおりですということが、お説のとおりでないような形になっている、これは一体どうしたことか。
  125. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 両方とも必要なことでございまして、常傭化を二の次にしているという考え方は持っておらないのでございます。あるいは団交の席上等でのやり取りの過程において、そのようなことがかわされたことがあるかもしれませんが、林野庁の考え方は、そういう根本的な考え方を持っているわけではございません。
  126. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、もしそういうことがあれば、それは間違いなんで、根本方針においては変わりない、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。  もう少しでやめたいと思いますけれども、次には定員化の問題についてお伺いいたします。定員化の問題については、これは長い間、長官とも私ども内々折衝も何回か繰り返してきた問題で、事情はおわかりでございますから省略をいたします。ただ、問題の根本的な考え方というものについて私はただしておきたいと思いますが、今までの林野庁の方針、考え方というものについては、作業員というものを、まず人間扱いをしてなかったというのが、これは戦前における労働者に対する林野庁の、いわゆる山役人としての態度だった。これは、一貫して上級公務員から下級公務員に至るまで、そういう感じを持っておったことは否定できない。したがって、庄屋制度というようなものもあった。終戦後これが解放されて、考え方が変わった、変わりつつはあるのでありますけれども、まだ林野庁の中に、国有林野事業の根幹的な作業員、国有林の生産をになっておる、しかも私どもは無理を言っておるのじゃない、現在おる、一年間継続して雇用されているこの根幹的な作業員について、これを臨時工扱いをしておる。民間でいえば、臨時工扱いをしておる。こういうことで近代的な国有林経営というものはあり得るであろうかどうだろうか。当然臨時工扱いではなくして、定員の中に入れて、制度的にもし入れられないとするならば、まずあらゆる差別的なもの、給与においても、身分的においても、あらゆる差別がなされていることは、今日もう歴然たる事実であります。この差別というものを除いていくということは、当然のことではないか。どこの民間の会社においても、確かに下請とかなんとかというものはあります。現状においてあることは、現実でありますから私も認めます。しかしながら、その会社の根幹的なことをやってる者を全部臨時でやるということは、これはあり得ないのじゃないですか。建設省でも、運輸省でも、工事現場をやってるところはたくさんあります。機械運転手なり何なりやってるような人は、ほとんど全部が今日定員化されて、定員の問題は、ほかの省においては解決して、もう問題になっておらない。ところが、林野庁は、賃金の問題が、日給制あり、出来高制あり、違う。勤務条件も違う。そういうようなまことに古い考え方、しかもそれは林野庁だけが、今日やってきた古い形で残っておるものを固守して、基幹的な作業員を定員の中に入れられない。これは考え方としておかしい。行政管理庁でも、明らかにこの点については、林野庁の考え方は誤りである。筋肉労働をやってるから、定員の中に入れないとか入れるとかいう考え方は誤りだ。筋肉労働をやっておろうと、国有林野という生産の中核的な作業員であるのに、何もこれは定員の中に入れて差しつかえない。ただ、林業という特殊性からいって、季節に左右される、あるいは雇用というものについて、どうしても仕事が切れるという問題が出てくる。この運営上の問題は確かにある。そういう人はそういう人で、定期作業員という形で、まだ常用になってない人がいる。常用というのは、通年作業員であって、一年間通してできるような人が、今日なっておる。そういう人を定員の中に入れるということが、なぜできないのか。この考え方についてひとつ承りたい。
  127. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 定員化の問題でございますが、昨年の閣議決定にもありましたわけでございますが、恒常的に置く必要のある職という問題も関連して参るのでございます。一例を申し上げますと、まずある一カ月のと申しますか、三十五年の十二月の一カ月の実績をとってみたわけでございますが、それを見ますと、平均して常用作業員が二職種をその一カ月の間に兼ねておるということでございます。それと、その職種も、必ずしも地方によって一定していない。それからまた、必ずしも定額日給制と出来高制が兼ねられているというわけにもいかぬという実情もあるのでございます。で、私どもこの出来高制の問題等について、論議のあることは承知はいたしておるのでございますが、そういった、この中で検討をいたしてみる段階におきまして、また一つの作業系列というものをたどってみるような段階にもおきまして、それからまた、現在の公務員という制度の中におきましても、天候に支配されます、これはまた林業の宿命といいますか、そういうようなことにも、先生の仰せの特異性という問題にも非常に関係してくるわけでございますが、天候あるいは季節に支配をされるというような問題もあるのでございます。そういうような点もございまして、私どもとしては、現在のところではやはり常傭作業員につきましては、常傭作業員としての処遇の改善と申しますか、労働条件の向上と申しますか、そういうことを考慮して参りたいというように考えておるのでございます。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 閣議決定もあったからという話もございますけれども、根本的な考え方としては、常用作業員というものが、季節的な天候の作用を受ける、こういうような問題があるから、この理由は定期作業員以下の場合はそれは通用するけれども、それじゃ一年間、通年雇用でもって外の仕事をやっている者は、全部これは天候に左右されるから、定員の中に入らないという問題、ところが同じ農林省の中で、農地局で、しかも外で労働をやっておる、いわば土工的な仕事をやっておる人たち、そういう人は、すでに定員の中に入っちゃっているんです。林野庁の中にも、現実に、巻立手であろうと、あるいはトラックの運転手であろうと、定員の中にすでに入っている者は、たまたまその人が常勤であったということだけで入っておるのですね。製材工場における製材手にしても、同じ製材工場の中に二十人おる中で十人は、定員の中に入っている。同じ形の中でそういう状態である。こういうことからいって、それはワクがなくて入れられなかったとか、何かの都合で入れられなかった、そういういきさつで定員というものに入らなかっただけの話で、当然入っているべき者が入っていなかっただけの話である。したがって昨年の国会で定員法というものは撤廃になりました。これは、一般国家公務員は、恒常的に定数というものがわかるから、定員法という法律で規定する。三現業の場合は、企業性、事業の内容からいって、法律で定員というものをきめるということはふさわしくないから、政令できめるということで、今まで定員法できめられておったものが、融通性が持たれるように政令に変わった。それは企業性ということから、はっきり企業形態の中において企業採算の見地から管理責任者が能率的運用を期待しているものであるから、その運用によって伸縮するとか、弾力的に組織規模を採用することが必要だ、そういうことから定員法からはずした、したがって、林野庁はその定員法という法律がはずされたのでありますから、今後林力増強計画ということで、しかも林業の近代化をはかっていく上において、企業の性格からいって直営生産というものを続けていく上に必要だといった場合に定員の中に入れるということは、これは農林大臣なりなんなりが腹をきめればできることだと思う。またやるべきだと思う。今までやらなかったことが誤まりなんで、こういうことについてできないですか、どういう考え方を持っているのですか。
  129. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) ただいま私が申し上げましたことは、現状においての私ども考え方を申し上げたわけでございます。この国有林野事業を企業的に運営をして参ります上に必要な措置につきましては、やはり今後検討をして参らなければならないと考えておるのでございます。そのためには、私どもといたしましては、もう少し林業労働というものを深く検討をしてみたいと考えておるのでございます。私どもも決して現在行なっております労務管理というものが完全であるというようには考えておりません。したがいまして、そういった反省の中に立ちまして、この林業労働そのもの、これが意外に十分に検討をされたような資料がないのであります。したがいまして、もう少し広く深く検討をしたいというふうに考えております。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 ただいま検討をされるということですから。ことしの閣議決定で新規事業以外は定員の中に入れない、こういう閣議決定のあることは私も知っております。したがって今後非常に困難であることも承知をいたしております。しかしながら、私も今直ちにやれということを言っておるのではなくして、これは実態調査なりなんなりというものは、行政管理庁がやられたわけでありますから、五千名以上のものについて実態調査をやった、あの結果は、結論というものは私はまだ聞いておりませんから、どういうふうな結論になるかわかりませんけれども、しかしながら、可能性の問題について、私どもは五千名で満足するものでなしに、林野庁の従来の労務政策というものが非常に古い形の中にとらわれて、他を見ない、狭い視野の中で物事を考えている、これはひとつ改められなければならない、このことがそういう中から私は今後検討をしてやられるという長官のせっかくの御意思でありますから、私はその意思を非常に尊重して期待をいたしておるわけでございますけれども、この考え方というものを、ぜひひとつ近代的な経営者として、管理者として私ども日本の林業をやはり国有林というものから民有林へ波及をさして、ほんとうに近代的な経営というものが国有林がモデル・ケースとして示していくという形でなければならないと思います。したがって、今日農林業という形で民有林に適用されなかった失業保険というものも、国有林がいち早く適用してやったことから、今日民有林の労働者は農林業ということで適用を除外されておった失業保険が今日適用される段階にきた。これはやはり国有林の非常にいい先達だった、先べんをつけた、こういうことだと思います。したがって、私どもは今の組合というものは林野庁の今とろうとしておる合理化計画というものについて、林力増強計画というものについて、まっこうから反対をして、何でもかんでもだめだということを言っているのじゃないと思います。非常に協力的な中に、非常にスムースに今あなた方が考えておる合理化計画というものが進んでいっているはずなんです。そういう中で私どもは今後における労使間のあり方というようなものについても、そういうスムースな形でいっていくことを期待しております。そのためには、やはり林野庁当局というものが古いからを脱して、そうして近代的な経営者なり管理者という、そういう立場に立って民有林もリードしていく、ほんとうの責任というものを感じてやっていく、そういう自覚で進んでいかなければならないのじゃないか、私どもはそう思っております。そういう意味においては私どもも大いにそういう点については御協力を申し上げたいと思っております。したがって、今この表明のありました定員の問題についても、今直ちにことし、来年というわけにはもちろんいきませんでしょう。しかしながら、近い将来においてそういうことの実現のできるような方途に、また常用化の、雇用の安定の問題についても真剣に考えていただく、そういう方向でひとつぜひ進んでいただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
  131. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御発言もございませんければ、本案につきましては、本日はこの程度にいたしたいと思います。  これで散会いたします。    午後三時四十七分散会