○北村暢君 ですから、その点はあまり繰り返してもしようがないですから、これはやはり今後の林業政策のまじめな意味におけるえりを正すという意味からいって、これはやはり農林大臣にはっきりした
答弁をもらわなければ私は承服できないと思いますが、実際今度の
改正案は、どちらかといえばごく簡単な
改正ですよ。これで林業の基本法に匹敵するものだということなら、今言ったように国有林が何が何だかわからないでしょう。一体国有林は何のためにあるのか、どういう機能を果たすのか、国有林の使命というものは何かということが、この基本法の、
森林法の中にどこにあるのですか。これは重大問題ですよ。今
地方的にいきましても、国有林に対するいろいろな批判が出ているのですよ、国民の山と財産としての国有林のあり方というものは、基本法の中に、
森林法の中に明確にかくあるべしと書いてない、わからないですよ、何が何だかわからない。そういうような基本法というのは、私は特に農業と違いまして、農地改革が行なわれて一応自作農というものが確立されている段階と違うのでありますから、特に表現にしても何にしてもむずかしいだろうと思うのですよ。国有林でないものは全部民有林である、県が持っている山も、市町村が持っている山も、私有林で私有で持っているものも社、寺有林もみんな民有林という定義でしょう。そういうようなことで今後構造
改善をやっていきますならば、一体何を基本に構造
改善をやるのですか。今後における農山村における構造
改善というものは、主体はやはり山村農家なり、個々の経営体そのものが主体になって構造
改善というものが行なわれなければならない。その場合に、この私有林、公有林、社、寺有林といったもののあり方なり何なりというものを、どうやって構造
改善というものに結びつけていくかということがはっきりしないので、そういうものは全部一緒くたに民有林でございます。確かに官で持ってないから、民有林には相違はないけれ
ども、そういうばく然たることでこの
森林法というものができているのですよ。今度の計画制度だって、個別計画というものは出てないでしょう、県知事が森林計画を作るだけで、答申案は、今までの計画制度というものは上から押えつけた計画制度だからだめだ、したがってこれは、今度は下から積み上げた森林計画制度にしなければいけない、これはあたりまえのことです。私
どもはそう思う。ところが、下からなんか積み上がってないです。法律の
改正の森林計画というものは、県知事が今までの基本計画についてばく然たる計画をやって、足につかない森林計画ができるようになっている、途中から計画をする、木材なんだから地についてないとはえないです。そういう中途半端な法律
改正になっているのですよ。私
どもはその経営計画そのものについてもいろいろ
意見がありますけれ
ども、とにかくそういうことで、構造
改善というようなものからいっても、私
どもは一体国有林、民有林の中でも、非常に所有形態の複雑な、そういうものを一体どうやって林業の生産の上に構造
改善として、この対策として乗っていくかということが根幹でなければならない。今までの資源政策的な
森林法の
改正の域を少しも脱してない基本法というものは、全然基本問題の新しい感覚におけるこの林業の基本的な政策というものを織り込んだ一部
改正にはなっておらない。こんなもので私は林業の基本法でございますというのでは、おそまつもはなはだしいと思うのです、これは。したがって、この点は、私
どもはこの
程度のものだったならば、もう少し待ってしっかりしたものを出したほうがなおよかったのではないかと思うのですが、答申もあるから出さないわけにもいかない、したがって、まあこの
程度で当たりさわりのないところで出そう、こういうふうにしか受け取れないのです。ほんとうにやる気があって真剣に取り組んだというふうには理解できない、こういう法律だと思うのです。どうですか、それは。したがって、この抜本的な基本法に匹敵するものを一体出そうというのか、これは出さないというなら、われわれの野党のほうでも今基本法の準備をしつつあるのですから、林野庁が出さないなら私のほうが出すと、こういうことになって、林野庁は大きに恥をかく結果になるのではないかと思うのですが、どうなんですか、一体、あくまでも山村
振興法的なものと、構造
改善というものを加味したようなものを出して、それで、糊塗しようとするのか。構造
改善なんというのは、法律がなくなって、公庫の資金でもうすでに二十億、去年からやっているわけでしょう、この問題についても先般の漁業の場合と同じように、この法律に基づかないで勝手に
行政措置でもって構造
改善事業というものは林野庁もすでにやっているのですよ。そういうことで、基本法はどうであろうとこうであろうと、林野庁は木を植えたり、資源問題については心配のないように
行政措置でどんどんやっていくんだから、まあおまかせ下さいと言うならどうだかしらぬけれ
ども、そういうことにはならないのじゃないですか。やはり林政というものが今までどちらかといえば、政治的にも農業と比べれば、この国会の論議なんというものははるかにされないで、林政というものが今まで何となく通ってきておるという
状態でしょう。したがって、この時期において本格的にやはり林政と取り組んで、今後の根本的な方針を明らかにしたところの法律というものと、基本的なものとひとつ取り組んでいく、こういう感度で
一般国民も理解をする、こういうことでなければならないと思うのです。ところが、この
程度の
改正では国民はおそらく
承知をしない、私
どもはそう思います。したがって、今、鹿児島でも青森でも国有林解放の問題がどんどん
地方議会で決議されたりして出てきておりますよ。これは長官も御存じのとおりだと思うのです。一体それじゃ国有林というものを、そういう
地方の請願なり何なりに対して、国有林はかくあるべしで、このように持っていなければならないのだということが、国民にほんとうに理解されたならば、そういう問題は直ちにどんどん起こってくるというようなことはないでしょう。ところが、国有林の意義なり何なりというものは国民に知らされていない。国有林というものは適当にやっておるのだ、いわゆる山役人のような非能率な運営をやっておるのだ、また膨大な営林局署という組織機構を持って国民の上に君臨をして、そうしてやっておるのだ、そういうようなことから、国民の国有林に対する批判というものも出てくるのですよ。やはり民主的に運営されよう、しかも国有林が使命としてどういう使命があるのか、はっきりいたしませんけれ
ども、従来は国土保全であるとか、あるいは自給問題とかいろいろあるようでございますけれ
ども、とにかくこれだけの国有林というものが必要なんだという信念があり、計画制度の中でも国有林の配置なり何なりというものと積極的に政府が取り組み、国民の納得の上においてやっていこうというのなら、これは国民だって納得するでしょう。国有林というものは一体何のためにあるのかわけがわからなければ、国有林があるなら払い下げたらよかろう、解放したらよかろう、こう言うものが出てくるのですよ。それは国有林というものの
基礎がはっきりしていないからです。これは国有林というものの成立の過程において、旧藩時代から資本主義経済のまだ発達しない段階に何となく国有林になってしまったという歴史的過程、その当時の経済の
状態と、今日の非常に進んだ経済の段階における国有林の機能とは、当時とはもう全く変わった機能というものを持っておるのですよ。そういうものが国民に知らせられないで、歴史的に持っておるから国有林というものはかくあるべしだと、これでは国民は納得できない。新しいやはり国有林の使命というものは、国民に納得してもらうだけの基本というものが明らかにならなければならない。林業そのものが財産的保有でもって、資本主義の段階にきてない。今、
日本はもうすでに資本主義は下り坂にきているというのに、林業は資本主義の上り坂までまだいってない、こういうことでしょう。そういうことがはっきりしてないうちは、一体林業の基本というものはどこにあるか、これはそういうことは求めているのじゃないんですか。そうでない限り、私はこの計画性を一部変更したり、保安林を強化したり、ルーズだったのを管理監督を厳重にするんだ、こういう
程度の
森林法の
改正では、私はどうもおかしいのじゃないか、こういうふうに思うのです。まあこの点は今、何回しゃべっても尽きませんから、時間も時間ですから、この点は
一つ大臣といずれやりたいと思いますが、
一つ委員長もその措置をとっていただきたいと思いますが、とにかく私
どもの理解としては、基本的なものは将来は出すのだ、そういう中で、どちらかといえば一部
改正ということで、とりあえずの
改正をしておくのだ、こういうふうな理解をせざるを得ないような
改正の
内容にしかなっておらぬ、こういうふうに思っておるので、その
程度のものだったならば、私
どもも軽く審議をして、これは上げておいてもいいのじゃないか、こういうような感じをもっておったわけです。ところがこれが最終であって、
あと出ないというようなことになると、これはやはり相当慎重に審議する必要が出てくると思います。ですから
一つこの点は大臣ともやりたいと思いますから……。