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1962-03-13 第40回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十一時十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            石谷 憲男君            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            岡村文四郎君            木島 義夫君            古池 信三君            重政 庸徳君            柴田  栄君            藤野 繁雄君            大森 創造君            北村  暢君            清澤 俊英君            天田 勝正君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    調達庁総務部長 大石 孝章君    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    水産庁次長   村田 豊三君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農地局管    理部長     丹羽雅次郎君    海上保安庁警備    救難監     松野 清秀君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○開拓融資保証法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林漁業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査(燃油に  よるのり漁業被害に関する件)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、開拓融資保証法の一部を改正する法律案閣法第三号)及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案閣法第四号)のいずれも衆議院送付の二案を一括議題とし、両案について農林大臣に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 天田勝正

    天田勝正君 過日来、農林大臣がたいへん多忙のようでありまして、したがって、きょうの質疑はおおまかな点だけを残しておいて、他を、事務的なものは一応済ましたと、こういう形でありますから、私は締めくくり的な二、三の点だけを質問したいと思います。  農林大臣に伺いますが、この開拓融資保証法を審議いたしまして、だんだん金利、あるいは農業のうちでも、最も日の当たらない開拓農民立場考えます場合に、一体政府は、ことに戦後の緊急入植、こういうものがありましたが、この緊急入植の場合は、どちらかといえば、終戦処理的なにおいをもって入植させた向きもあるのであります。そこで、これらがごく一部は成功したにしましても、大部分は当局において調査不十分のまま入植させましたために、その困難性が十何年たった今日でも依然として続いておる。こういう実態考える場合に、今後開拓農民をさらに一そう援助をし、そしてこれが自立経営がなし得るように持っていこうとするのか、あるいはこの開拓融資保証法をもってしましても、とうてい救い得ない。こういうことも予想されますので、それらは昨今の農林大臣の御発言にありますように、何かなしくずし的に開拓者を捨てていく、悪い言葉でありますけれども、たとえば米の生産などを減らすというような御発言もあるようでありまして、そういうものとにらみ合わせますと、あまりこれを救っていくという方向に向かないのではないかというふうにも考えられますけれども、この根本的な開拓農民に対する態度を、ひとつこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
  4. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しのように、開拓農民につきましては、当初緊急の際に行ないましたものもございますので、遺憾の点が多々ありましたことは事実でございます。したがいまして、政府におきましても、その後数度にわたる開拓農民諸君に対して、いろいろ実情に応じましてそれぞれ施策して参ったのでございますが、今回は特にそれぞれ委員会答申等によりまして今回の処置に出たわけでございまして、一応この処置を講ずることによって開拓農民諸君も非常に喜んで、これでまあひとまずいけるわいというようなふうに、私も御懇談申し上げたわけであります。しかし、これをやることによりまして、なお不十分なことがあれば、もちろん政府といたしましては、できるだけ御協力申し上げなければならぬことにおきましては、お話しのとおりでございます。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 過日来事務的な質疑答弁等大臣がお忙しくてごらんになっている間がなかろうと思いますし、私も重複すると時間がまた長くなりますから、それを簡略して申し上げてみたいと思うのですが、たとえば開拓農民が十三万七千戸ございまずけれども、そのうち、これは資料は粗収入で出ておりますが、これを所得に直してみますと、九万円以下が二八%、九万円から十二万円までが二〇%、十二万円から十八万円が三〇%、こういう工合で、低所得が実に圧倒的に多い、こういうことがまず一つ明らかであります。それから作物でございますが、大臣がよくおっしゃる成長部門、つまり蔬菜であるとか、果樹であるとか、こういうものは蔬菜において六%、果樹において三%しかなくて、むしろ先のつかえておりまする豆類とか麦類イモ類、いずれも先行き見込みが明るくない作物,これが四一%もある。つまり開拓農民はその地域からいたしましても、同じ反別を作りましても、収益率がきわめて低いものしか作っておらない。これは資料で明らかであります。第三に、資金の点でございますが、政府資金が、提出資料によりましても、百六十四億でございます。その他のものも一切がっさい系統資金から改善資金災害資金、自創資金等々合わせますと、三百三十二億になるのでありますが、とにかく政府資金というものは百六十四億円であります。そういたしますと、先般も私が指摘いたしましたように、日の当たる部門でありまする大会社、昨年の臨時国会産投に百八十億出しましたが、この成長部門に出す百八十億と比べますと、これは十三万七千戸に対してわずかに百六十四億でありますから、二、三の会社へ出すものよりもさらに少ないということになる。同時に、そういう産投の対象になる会社等では四分である。ところがこのほうは、大臣がよく御承知のように、保証にかかる借入資金の種類及び貸付条件、こういうのが、政府提出資料でございますけれども、これを見ましても、末端の農家金利のほうは八分三厘というのや、あるいは年九分以内、こういうようなことでございます。これでは、だんだんと開拓農にも喜んでもらえる施策をとりつつあるとおっしゃるのと、どうも矛盾しはせぬか、こう考えるわけでありますが、これらの点に対して大臣いかがお考えでございましょうか。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しのように、開拓者諸君が土地的にもあまり恵まれない場所に入って参られて、耕地といたしましても豆類とかイモ類麦類というようなものを作るよりほかに方法がないというものが、その後まだ改善されずにあることも、お話しのとおりと私も考えます。そこでこれらの開拓者諸君の現に経営しておいでになりますものにつきましては、できるだけすみやかに経営改善をして、そして成長部門のほうに回れるようにいたさなければなるまいと考えておるのでございますが、何を申しましても、非常に立地的に恵まれない、もしくは土壌的に恵まれないというような点もあるかと心得ます。したがって、それらの点も十分勘案いたしまして、この答申にありましても十分検討いたしまして、そしてこの答申の線に沿って、最善を尽くして参りたい、こう考えておるのでございます。  今、最後金利の点についてお話しでございましたが、その点はお話しのとおりでございます。ただ何と申しましても農村金融が、たびたび私申し上げますように、系統資金がございまして、それとの関係でどうも混淆いたしまして、なかなか安い金利では融通しにくいということになっておりまして遺憾でございますので、できるだけ早い機会にこの組合の資金をどういうふうに直すかというようなことについても考えなければならぬだろうと思うのでございますが、今お話しでございますが、まあ決してお言葉を返すのじゃございませんが、設備資金については御承知のとおり三分でやっておるわけでございます。ただ、肥料とかその他の運営資金については八分とか九分、高い金で経営して参らなければならぬということは適当でないと考えまして、できるだけ早くこれらについても考慮いたしたいと考えます。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 金利の問題につきましては、私、農業基本法審議の当時から、全く政府とは別の構想を持っておりまして、現在の系統資金というのはコストが高い。コストが高いというのは、預ける金利が高い、ここからきておるのでありまして、むしろ今の低所得農家からいたしますと、これは逆に所得を補償する一面を持つ預ける金利保証するという私は面が非常に多いと思うのです。でありますから、全く別個の近代化資金というものを積み立てていかなければならない、これは全然別なものを積み立てなければならないというのが主張でありますけれども、こういう根本的な議論をしておりますと時間が長くなりますから、きょうはこれはやめます。ただ、大臣もよく御承知のように、私が金利の点を持ち出したのは、昨年の百八十億の産投、これが輸出入銀行に入りましたが、そのうちの一会社に融資したのはアラスカパルプであって、これが御承知のとおり百十八億、アラスカパルプはわずか二十億の資本で、さらにいまだ利益を上げておらない。しかも、先行きは非常に日の当たることが予想されておる。こういう一つ会社に四分でもって資本金の六倍も貸す。こういう事実があるのでありますから、かりに政府方針いかがありましょうとも、農民の担当でありまする農林大臣としては、むしろこういう事例を種にして、そうして種を動かして、十三万七千戸もありまする、これは人数でありません。戸数、十三万七千戸もある開拓農民からすれば、何ともアンバランスである、こういうことがはっきりいたすのであまりすから、かようなものを種にして、強力なひとつ農政をぜひ打ち立ててもらいたい。これは私の希望でございます。そこで、私はさっき二番目の例としてあげました、何としても開拓地は不利な地域にあまりすから、自然に成長部門のほうはあまり作っていないのが、これは何といっても現状なんです。これを直すためにはどうしも環境整備をする以外に私は道がなろうと思うのです。こういう点についてのどう環境整備をして参るかという、ひとつ大綱でもこの際お示しいただくならば幸いだと思うのです。
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しのとおり、せっかく農産物を生産いたしましても、市場に出すのに非常に運賃がかかる、道路が悪いというようなことでありますために、所得が自然勢い減るというようなこと等は、特に注意しなければならぬ点でございますので、これらについては一昨年以来実はやっておるわけでございます。また電灯がつかないという所もありましょうし、その他簡易水道等についても考えなければならぬ問題もあるだろう。これらにつきましても、今後できるだけひとつ考慮して参りたいと考えております。
  9. 天田勝正

    天田勝正君 私はもちろん、今度のこの法案も、少しでもよくなることでありますから、賛成立場に立って質問申し上げておるわけであります。そこで、最後の締めくくりとしてお聞きしておきますが、この審議会答申というのは、まことに私どもからすると的を射たところを政府に申し述べておると存じます。で、これが一般農家ももちろんそうでありますけれども、さっきから言っておりまするように、その農家の中でも一番所得格差がひどい、こういうことでありますので、もうすでにさっきお答えになったとおっしゃるかもしれませんけれども、この開拓融資保証法の今度の二千万円の増資のみならず、今後におかれまして、そういう、今お答え環境整備、また金利の点もさらに一そうお考えになって、あるいはまた冒頭に私が指摘しましたように、戦後急速に入植せしめたというのは、どちらかというと、引揚者をどう処置するかということで、むしろこれは終戦処理的な意味のほうが、当時私は強かったと思っております。こういう、しかも団体等が今日苦境に陥っておるということでありますから、それらの、どうにも償還困難な者につきましては、これは無限に償還をしなくてもよろしいということでは、正直者がばかをみるという点がございますから、終戦処理的なもののために、今日も償還困難に陥っておって、さらに今度の改善資金などがそのために借りられない。それが団体がそういう状態のために、個々の開拓農家もそれに響いて借りられない。ですから、どうしても新しい道が開かれないと、こういう事例陳情等大臣もお聞きになっておられると思います。そういう点については一そう改善して参る、こういうお覚悟でございましょうか。それを伺って私はきょうの質問をやめたいと思います。
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨の点、私も全く同感でございまして、答申の線に沿いまして十分検討いたしまして、なるべく御期待に沿うように実現して参りたいと考えております。できるだけやります。
  11. 北村暢

    北村暢君 私はちょっと時間がおくれまして、天田さんがどういう質問を最初のほうにされたかちょっとわかりませんが、今度の開拓融資保証法の改正にあたって、特に大臣出席を求めましたゆえんの一つは、開拓政策に対する政府根本的な考え方、これをお伺いしたい、こういうことに一つの理由があったわけでございますが、ということは、まあ米麦中心農業から、選択的拡大畜産化というものを主体にした農業形態に持っていこう、こういう考え方が強く打ち出されて参りまして、米麦については大体食糧の需給の点からいっても、現状ではそう今までのように増産々々というような形でいく必要がなくなってきた。そこでまあ選択的拡大でいくのだ、こういうふうになりましたけれども、現実の問題としてその看板である畜産振興というものが、今日価格の問題は、御存じのように先般来から豚価の問題で大いに問題になりました。こういう問題ももちろんあります。しかしながら、今後の畜産振興考えていく場合に、何としても解決しなければならないのは、えさの問題であります。したがって、この問題については前の国会からやかましく酪農の振興と関連する草地造成自給飼料というものを自給度というものを高めていく、こういう施策を積極的にやるべきじゃないか、この点については所得倍増計画にも載っておらなかったために、私はこの点を強く指摘して、今度の来年度予算では草地造成ということ、自給飼料ということについで相当まあ畜産局の方でも力を入れた、この点は私は認めるわけです。認めるわけですが、もちろん、この問題についてはまだ不十分でございますから、当然今後力を入れていかなきゃならないという問題と、それからもう一つは、自給飼料と並行して問題になる購入飼料濃厚飼料の問題、これは圧倒的に輸入に仰いでいるという実態であります。したがって、この輸入に仰いでいるものの自給度を高めていくということは、今後の畜産振興の上からいって私は絶対に必要なことじゃないか政策として必要じゃないか、このように思っておるのです。ところが、米麦の方の麦ですが、麦のほうというのは作付を転換する、こういうような方向にいっておる。まさに人間の食べる麦のほうは、その方向でもう私は今までの考え方としてはいいと思うのですけれども飼料としての、えさとしての濃厚飼料生産ということは、今後大いに考えられなきゃならないと思います。そういう点からいくというと、今後の開拓政策というものは、しかも、この輸入えさと国内のえさとの競争をしていくということになれば、これは今までのような零細な麦作農家のような形では、これは私は成り立たないと思います。国際競争に勝てない、どうしても国際競争に勝って、しかも、えさというものの自給度を高めていくということになれば、今後の開拓ということについて抜本的なやはり考え方というものが政府政策としてなされるべきじゃないか、このように思うのです。ところが、今までの政策の内容なり、倍増計画想定を見ますというと、農用地六百万町歩というものは、つぶれ地というものが一千七、八百万町歩あるわけです。それを補う程度農地造成というものしか考えておらぬ、これでは非常に消極的じゃないか池田総理から言わせれば、今の平場地帯農業すら行き詰まっておるのに、今後の開拓ということで高冷地の採算の取れない開拓をやったって、これはまた非常に貧困な農家を作るようなものになるのじゃないか、まあこういうようなことで開拓ということについては、相当積極的な意思というものは持っておられないようでございます。しかし、私ども考えた今後の開拓というものは、そういう零細なものを考えておるのじゃなくして、もっとやはり今後の日本農業の先達となるような、答申にもありますように、今後の開拓というのは、今までの開拓の処理と今後の積極的な開拓と二つに分けて答申が出ておるようでございますが、やはり日本農業構造改善する上においても、今後の開拓というのは非常に重大な意義を持っておるということは、答申でも言っておるのであります。これもまことに同感だと思うのです。そういうような点において、今後の開拓というものがいわゆるつぶれ地を補うといったような考え方の、非常に消極的な開拓政策で臨むのか、積極的に日本農業構造改善ということで、また今後の選択的な拡大というえさ対策としての開拓というものを機械化された近代的な思い切った開拓政策というものがとられるべきじゃないか、この根本政策についていかように考えられておるか。この点について幾ら管理部長を責めても回答が出ないと思う。そのためにまあ大臣にわざわざ出ていただいてこの根本考え方をお伺いしよう、こういうことになっておるわけです。そういうような点でございまするので、ひとつ明快なお答えをいただきたいと思います。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。質問をもし私が取り違えておりましたらば、重ねて御質問願いましてお答えすることにいたします。  第一は、私といたしましては、この答申をいただきましたので、この答申の線を十分検討いたしまして、おおむねこの答申によって開拓者対策をやって参りたい、第一であります。  第二は、さらにこの開拓と相並行して関連して将来の日本農業のために大規模の開墾をやって、そうしてそこに果樹畜産等を入れて、そうして開拓者をさらに、もしくはまた既存農業をさらに構造拡大改善していく意思があるか、こういうことと承りました。全く私はそのとおりに考えておるのでありまして、重ねて申し上げますとおりに、いうなれば、明年度からは、従来のように金のかかる干拓よりも、比較的手っとり早い開墾のほうに重点を置いて、そうして農地拡大をはかって参りたい、こういうつもりでおりまして、そこに今お話し畜産果樹等をやって参るというつもりでございます。  さらに、飼料の点についてお話しでございましたが、もちろん、草地造成を第一にやりますことはもちろんでございますが、その中に青刈り等によりまして多少程度の高い飼料を取ることを私は考えていく必要があるだろ、と同時に、麦の点についてもお話しでございましたが、これはできるならば、今検討中でございますけれども明年度までに結論を得まして、暖地ビートを第一に置きかえていきたい、そうして畜産飼料にこれを充てるようにしていきたい、こういうように一応は想定を、そういう点に置いて考えておるわけであります。
  13. 北村暢

    北村暢君 大臣答弁で、まあ模範的な今後の開拓をやっていきたいということですから、この点は大いに賛成ですし、了解いたします。  そこで、もう一つお伺いしたいのは、今、主として申し上げたのは、この濃厚飼料としてのえさ対策と、こういう観点からですが、この自給飼料の問題について、先ほど畜産局相当な措置をとったと申されましたけれども、しかしながら、これは畜産局のやる草地造成というのには限界がある。私は、まあ櫻井委員もこの点は指摘しているのでありますが、私はそう思っている。ということは、畜産局というのは、大体、下に全国的に手足を持っておらないので、大体、このえさ対策というものはおくれておる。家畜そのものについての改良なり何なりというものについては、相当力を入れて来ているのですが、えさ対策というものは、やはりこの草地造成という問題と関連して、これはおくれているだろう。その草地というものの、今までの共同牧野にしても、牧野改良事業等もやっておりますけれども、大体が草地が荒廃し、牧野が荒廃しているということは、入会牧野であったり、その責任体制というものが非常にはっきりしておらない。そういうようなことで、荒廃の原因は、まあ所有形態そのものにももちろんあるのです。あるのですが、今ある牧野ですら、相当改良すれば自給飼料というものは出てくる。しかしながら、それだけでは、県の行政では私は抜本的な改革というような新しい意味における草地牧野を含めた開拓という考え方からいけば、今の畜産局のやっている程度のものでは、自給飼料自給度を高めるというのには限界が来る、こう思っているのです。したがってやはり草地造成牧野造成という問題についても、これはやはり、今後の新しい形の開拓という考え方からいけば、やはり農地造成という考え方から、農地局がほんとうに責任をもって、未墾地取得というような考え方に立って、従来の未墾地取得というような考え方に立って、この所有形態の複雑で進展をしていない問題を、思い切ってやはりここに解決をして、そうしてこの草地なり何なりの所有形態なり何なりを近代化して、責任体制というものをはっきりして、そうして牧野改良なり何なりをしない限り、生産性を上げるということは非常に困難だと考えている。したがって、これはやはりこの農地造成という考え方から、もう全体的に、抜本的な考え方に改めていくということをとるべきだと私は思うのです。この点についてひとつ、大臣の見解をお伺いしたい。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまも申しましたとおりに、私としては干拓開墾に振りかえると申し上げたのは、今お話しのとおりに、農地局のほうにおいて根本的に草地造成農地造成をして参るという所存で答えたのであまりす。したがいまして、御趣旨と私の考えておりますこととは、おおむね一致いたしておると私は思うのであります。私といたしましては、この点に相当に意欲を持っておりますので、将来にわたりましては、地方農林局を強化して、この方面でひとつ、十分指導して参りたい、具体的に指導して参りたい、こういうつもりでございます。
  15. 北村暢

    北村暢君 まあ、地方農林局はちょっと工合悪いのですけれども、(笑声)まあいいです。別の機会に譲りますから。  次には既存農家入植農家対策の問題についてお伺いいたしますが、釧根原野パイロットというのは、これはまあ農林省開拓の今後のあり方というものを示した試験的にやった非常に代表的で、全国からずいぶん関心を持たれて、見学等も行なわれた。そのパイロットが今日償還期に入って問題が出てきている。ということは、入植農家三百六十戸のうち、営農計画の立たない農家が、今日五十戸まだ出てきておる、こういう問題が実は出てきておる。しかも、償還期にあたって、このパイロットの三百六十戸の農家が、今年度千三百万円ですか、自創資金を貸してもらわなければ、現在入っている乳牛を手ばなして、そうして債務の償還に当たらなければならない、こういう実態が出てきている。そういう新しい問題が出てきているということは、最近における開拓農業の反省として生まれたこのパイロットですら、今日、今申したような状況で営農が確立しない、しかも債務償還にあたっては自創資金を借り入れて、そうして乳牛なり何なりというものを拡大をしていかなければ、債務償還に当たられない、こういう事態になっているようであります。したがってそういう事態にありますから、これはせっかくの政府施策でもありますので、見逃がすわけにはいかない、したがって何らかの処置を講じなければならないのじゃないかと私は思うのです。実情はおわかりになっているかどうか、最近の問題でございますからわかりませんが、このパイロットに対しましてそういう問題が起こっていることに対して、農林大臣の——モデル的なものでありますが、これをつぶしたのでは、政府としてもこれは大へんなことになるのだろうと思うのですが、その対策というものを、どのような方針で臨まれるか、ひとつお伺いいたしたい。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も数年前、現地を調査いたしまして、非常にりっぱないいものだなあという感じを受けて帰りました。しいて申せば、これだけ手を入れたならば、既存農家よりもさらにりっぱな営農ができるのじゃなかろうかと思っております。今、御指摘でございますが、ここに役所の調べたものによりますと、いずれも本人の死亡によるもの、本人病弱等によって労力が欠除した者、さらにある者は営農意欲を喪失した者、本家のほうを継承するため帰農した者がある。海外移住者が一戸ある。数字的にもし読む必要があれば読みますが、そういうことでございまして、やむを得ざる理由によってそれぞれ欠除いたしておるようであります。しかしお話しのようなことでございますし、もちろん政府といたしましてもすみやかにこれが補てん、補充をいたしまして、そういうことのないようにいたして参りたい。ただ、しいて申せば、割合にうまくいっている人にならって、まだそこまでいかないような者が同じような生活、つき合いをしなければいけないということがあるために、多少そういう方面で苦しんでおる者もあるというようなことも当局のほうでは考えておるようでございますが、これはいろいろ指導しなければならぬものが多かろうと思います。
  17. 北村暢

    北村暢君 簡単に。今、自創資金を借りたい。そうして営農を拡大して営農を確立しないというと、債務の償還期にあたって、それがどうしてもできないというようなことが出てきているようです。これは今直ちに答弁を求めても無理でございますから、ひとつこれは十分事情を参酌して対処していただきたい。このことをひとつお願いをしておきます。いいですか。
  18. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 承知いたしました。だんだん構造改善し、もしくは成長農作物農業経営に移行する際でございますから、もちろんこれらの人におきましても、新たな資金をもって農業拡大をして参るということが当然であるだろうと思いますから、実情を調査いたしまして、所要の資金が必要であればお世話申し上げることにいたしたいと思います。
  19. 北村暢

    北村暢君 それから次にお伺いしたいのは、いわゆる改善資金の問題で、この前からだいぶ答弁がもつれて、どうしてもはっきりしない問題が出てきておる。ということは、営農改善資金の問題については、実は二十八年災害、九年災害の、主として冷害による天災融資法のものを切りかえまして、臨時措置法でこの改善資金というものができた。それの償還期に今ようやっと入ったわけなんです。それで第一年目の償還期に入ったわけなんでありますが、その改善資金の約半分というものは、北海道が借りているわけです。それからその半分は主として東北、こういうことにこの改善資金というものは大体なっておるようでございます。それで、北海道の場合のこの改善資金の貸付残高が大体十四、五億ですか、それで償還期に入って第一年目の延滞金が約二億近くあるのじゃないかと思うのです。払えないわけなんです。直ちに第一年目から延滞金が出てきている。こういう問題が実は現実の問題として出てきたわけなんです。それで、これについては開拓審議会においてもずいぶん論議のあったところでございまして、せっかく天災融資法から切りかえて、まだ償還期に入らないうちに払えるとか払えないとか言ってみたってしようがない問題だろう。この法律は法律としてやっていこう。そのほかに政府資金の問題として、ほかの場でみよう。こういうことが中心の論議であったようでございます。で、まあ無理もない点も私はあるとは思います。しかしながら、現実の問題として、今払えない、延滞になってきている問題が出てきておりますので、この点については来年度において、これから答申に基づいて抜本的な負債整理の問題についてはやるということであります。今度の附帯決議にもそういうことがうたわれているわけです。しかし、それについては私はそれでいいと思うのです、それは今後の問題ですから、私どもの意見も申し上げたいのですが、とりあえず延滞が出ちゃって、抜本的な負債整理の問題を根本的に対処しようというのだが、その間が、今年、来年の間が問題なわけなんです、実は。その延滞の利子というのは、御承知のように日歩四銭で非常に高いものなんです。でありますから、この延滞利子というものについて、抜本的な対策ができる間、延滞の利子というものを免除するとか、あるいは償還に入るのを一年か二年、抜本的な対策ができるまで待つとかという、具体的な行政指導がなされないものかどうかということです。それともう一つは、延滞金がそういうふうにあるわけですから、しかも、これは公庫じゃなしに制度資金、中金の資金を借りているわけでございます、この改善資金というのは。政府で利子補給その他やって、償還期限、条件を緩和しているわけでございますけれども系統資金なわけです。したがってこの改善資金の延滞が出ることによって、今審議をしている、このせっかくの融資保証法による経営資金、いわゆる肥料資金ともいわれている、肥料が大部分なんですから、この肥料資金が借りられないということになりますと、この一、二年の間、営農というものがもう危機に瀕する、こういう問題が出てきている。農林省では、そういうことはない、その延滞にかかわらず、この営農資金というものは貸すように行政指導するのだ、こういうふうに、この審議会でも相当問題になったようでございますけれども、この点について、せっかくの債務のことを考えてやるといっているのに、今一、二年営農資金を貸さないということによって、せっかく力をつけて債務を返したいというものが、逆に今度つぶれていくという問題が出てくる。これは政策としては、行政の指導としてもはなはだまずいことだと思うのです。したがって、この抜本的な債務の問題についての結論の出るまで、一、二年この農業改善資金に対する延滞の問題に関連する営農資金の円滑な貸し付けというものがなされるように、行政指導をしていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、この点についてひとつ。
  20. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまお話しの点は、私どもとしましても、だんだんお話しのように、初年度から返る返らんということでは話にならんから、いや、でもまあよろしゅうございますといったら、ほかに全体に影響するところもあるでしょうから、さればといって実情は実情でございますから、実情を調査いたしまして、実情によってひとつ善処する、しかも第二点においてお述べになりましたように、そういうことのないように必ず御注意の点は十分承りまして、御期待に沿うように実情調査の上で善処いたしますから、さよう御了承いただきたいと思います。
  21. 北村暢

    北村暢君 今、実情調査をされて、御意思に沿うように善処いたしたいという、こういうせっかくの大臣の御答弁がございましたので、これは中金なり何なりに行政指導としてのやったことについて、直ちに調査してやってもらいたいと思いますが、その結果をぜひ国会で、できたらやった結果について御報告していただきたいと思うのですが、そういうことよろしゅうございますか。
  22. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) そのとおり処理いたします。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 一口だけ。どうもおそく来て、北村君がいろいろお伺いして、今、北村君から聞きますと、この答申に対して善処してやるとこうお答えになっている。善処してやることはいいけれども、大体いつごろまでにこれを中心にした答申を示されるのかということは問題だろうと思うのです。これは何かあなた方の内部で、ごれに対する対策はできておるのですか、総体的な対策はできているのですか。
  24. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) この答申を尊重いたしまして、開拓者振興対策あるいは今後の開拓考えたいということにつきましては、前回以来申し上げているわけでございます。かつこれの取り扱いにつきましては、前回御質問がございましたとおり、三十七年度に千四百万円ばかしの予算を組んでいるわけでございます。この答申は抽象的に書いてある部分が相当ございますので、実際上に行政に移すためにはどういうふうにしたらいいかということを、四月早々から手をつけまして、私どもの努力目標としては九月ごろまでに成案を得て明年度の予算の問題として政府内部の相談に入る。できますことならば三十八年度からできるものから手をつけたい、かように考えております。
  25. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 開拓融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言ございませんければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  27. 天田勝正

    天田勝正君 この法律案は、不備にいたしましても、若干でもよくなるものでありますから、私は賛成いたしたいと存じます。だだ、すでに各委員質問でも明らかでありますように、開拓農の問題はまことに困難性がいまだ払拭されておらないのであります。すなわち、農業者は他の業種の人と違いまして、従業者一人当たりにいたしまするならば、その所得は三分の一に充たない状態でありますが、さらにこれが開拓農となりまするというと、一般農民よりも一そう所得格差ははなはだしいのであります。そしてその作付の種類を見ましても、ほとんど先行き見込みのないものに偏在されておりまして、収益率はいたって低い。さらに、これに対する政府施策は、幾たびか指摘いたしましたように、この三万七千戸の開拓農に対して、わずかに百六十四億の資金しか流していないという状態でありまして、これらは政府におきましても、また国会におきましても、十分留意をして改善して参らなければならない点であると存じます。幸いに、いまだ提案になっておりませんけれども、累次の理事会におきまして、これらの改善につきまして、本委員会において附帯決議をつける、こういうことになっておりまして、その趣旨は、概略ここで問題になりました点が盛られておる、かように存じますので、これらの改善をば、将来に十分政府側において留意することにして、この法律には賛成をいたします。
  28. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御意見もございませんければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手]
  30. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本案は、可決されました。  この際、委員長及び理事打合会におきまして御協議をいただきました本案に対する附帯決議案を、便宜、私から提案申し上げ、委員各位の御賛成を得たいと存じます。  それでは、まず案文を朗読いたします。    開拓融資保証法の一部を改正す    る法律案附帯決議(案)   政府は、開拓営農振興審議会の答  申を尊重して開拓営農振興対策の拡  充を図り、特に、次の事項の実現に  努むべきである。  一、開拓融資の金利を引き下げるこ   と。  一、緊急入植に起因する債務であっ   て償還困難なものは、これを減免   又は棚上げする措置を講ずるこ   と。   右決議する。  以上でございます。  別に御発言もございませんければ、この附帯決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  32. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 開拓融資保証法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま貴重な御決議をいただいたのでございますが、御決議の点につきましては、十分に尊重いたしまして、できる限り努力いたしたい、かように存じますので、御了承賜わりたいと思います。
  33. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案閣法第四号衆議院送付)を議題といたします。本案に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次、発言を願います。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとお伺いしますが、水産庁のほうにお伺いしますが、これは大体百三十三億のうち、水産庁が目的によって使われるものは幾らになっているのですか。このうち、幾らを使われることになっておるのですか。
  35. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 百三十億といいまするのは、これは公庫に対する全体の出資でございまして、そういう出資をいたしまして、そのほか、借り入れもありまして、それで三十七年度の公庫の融資額が七百十億、こういうことでございまして、その中で水産関係のものは大体七十億でございます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 そのうち、とりわけ、一項目ふえておるのですがね、科目が。いわゆる経済安定という線を出して、経営上のいろいろな障害に対して使う、こういう金が大体どのくらい見込まれておるのですか。
  37. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 三十七年度は当初の年でもございまするので、一億でございます。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 その一億はどういうふうに使われるのですか。
  39. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 沿岸漁業者の近代化、構造改善を進めていく場合に、旧来の負債が残っておりますと、これが非常に障害になりますものですから、負債の整理というつもりで運用するという考え方でございます。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは全域ですか。全域に一億円をばらまくのですか、今おっしゃったようなものは。
  41. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 水産庁の構造改善の計画からいいますると、三十七年度は指定地域として五県を指定しておりますので、その五県につきまして、経営安定資金は貸し付ける、こういうことになっております。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これは毎年続けられるわけですね、あとに残った県は。
  43. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今後、構造改善事業が進むに従いまして、指定地域あるいは事業実施も拡大されて参りますので、それに応じまして、公庫の融資額は考えて参りたいと思います。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 五県とはどこですか。
  45. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 五県の三十七年度から実施をいたしまする県は、宮城、愛知、京都、山口、長崎でございます。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 非常にけっこうなあれですが、それで大体こういうふうに項目がありますね、説明の中に出ておる。あの中にちょっとわからぬのは、相当、私は今、不時の災害で死亡率の高いものは、今問題になっておる自動車事故だと思います。その次は漁船の事故による死亡率が非常に高いのじゃないかと、こう思っております。そこの計数はまだはっきりしたものはありませんが、時間を与えられれば、元来、あそこは何か警察庁からでも取りまして、警視庁のほうからでも取りまして、そうしていったらわかると思いますが、そういうものに対しては、そういう家族に対する負債というものはかまっていないのですね、入っていないのですね。そう考えられるのですが、どうですか。
  47. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この経営安定資金は、先ほど申し上げましたように、今後、構造改善を進めていく場合に、今までの負債が残っておって、これが障害になったのでは困るというので、そういう点を解消しようと、こういうつもりで運用するつもりでございまするから、ほんとうに、沿岸漁業者で、構造改善を進めていこうというような意欲を持っておるものに対しては、実情に応じまして、そういう趣旨に合うように、貸付については十分指導して参りたいと考えます。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 わざわざこういうことを聞きますのは、病気、災害、負傷、もう一つ二つ何かあるでしょう。五つか六つ、ちゃんとこういうものについて、経営改善のための資金を回すと、こうなっているが、海難にあって、死亡した等によるものに対しては除去してある。そこはどうなっているというのです。だから、はっきりと、そういうものも、家族の負債というものがあるならば、負債としてそれは見ているのだと、こうはっきり説明してもらえばいい。
  49. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御質問の内容は、この前、水産庁の資料としてお配りいたしました「疾病、負傷、災害、拿捕、不漁等による固定化債務」、こういうところかと思うのでございますが、「等」というのがございます、「不漁等」と。そこで、先ほど申し上げましたように、構造改善をほんとうにやっていこうと、こういう漁業者に対しまして、旧来の負債がじゃまになって構造改善ができない、こういう漁家を救済していこうと、こういうような趣旨でございますので、その趣旨で、貸付等については運用して参りたいと考えております。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 趣旨はよくわかるのです。わかるのですが、なぜに一番問題の多い、死亡率の高い、大事な者が死んだら、一番問題なんでしょう。海難等による死亡等によりということが、一口入らなければならぬわけなんです。ほかのものは入っておるけれども、一番大事なところが入ってないのはおかしいというのです。私がそういうことを申しますのは、大体、今の沿岸漁業は、水産庁のほうから今見えておりますから言いますがね、大体、沿岸漁業の振興法等、いろいろお考えになっていると思うけれども、問題になるのは、やはり兼業をやっていることじゃないですか。その漁民の兼業をやっていますことが、結局、経営の安定をするということならば、労働を強化することになるのじゃないかと思うのです。新潟県あたりの大部分は、沿岸漁業をやっていれば、統計によれば、全部他船へ労働者として乗り込んでいる、こういう経営状態をとっておる。だから、経営改善をする、これは、そこまでのプランのものを立てられたのじゃないから、私はそこまでのことは言いませんが、そういうふうのことを考えてみますれば、これから大きな船も作ろうと、こういうことになれば、一番、海難というものに対する考え方が中心にならなければならぬ。どうして海難というものを抜いてあるのかと、こう言うのです。
  51. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 海難ということを特に除いた意味ではございませんで、これは先ほど申し上げましたように、漁業者がほんとうに構造改善をやっていこうという意欲のありますものが、借金で困っているという場合に、債務を片づけるという、こういう趣旨でございますから、およそ拿捕のためにそういう状態になったものもございましょうし、不漁のためにそういう状態になっているものもございましょうし、それからあるいは実態によっては、海難のためにそういうふうな状態になっている、しかしその漁業者は、とにかく漁業者として構造改善をやって立っていこう、こういう意欲がありますれば、当然これは経営安定資金の貸付対象として考えていく、こういうつもりでございます。
  52. 天田勝正

    天田勝正君 ちょっと二、三伺いますが、資金量は非常にふえた、少なくとも今度の改正で百三十三億ふえた。ところが、政府がいつも言うのは、成長部門、これを選択的拡大していく。それは何かといえば、畜産果樹だ。一番先にそれを上げる。そうしますと、今度のこの三十七年度の貸付予定計画をみますと、果樹園の造成には、安定成長部門と言われながら十五億だ。五億しかふえていない。今度は畜産のほうはというと、乳業施設だけが、これが十一億。これは全体の総額のふえた割合からすればいたって少ないのじゃないかということが一つ。それからさっきも議論しました開拓の問題、これはあべこべに三億減ってしまっている。総額がふえているのに減っている。それからさらに総合対策事業が十七億四千八百万円減っております。これは一体どういうことなんですか。
  53. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘のように、今後の成長部門に対しましては、非常に重点を置いて考えているのでございますけれども、御承知のように、たとえば畜産とか果樹とかいうような面になりますと、今まで個人施設であったもの、あるいは共同利用施設でございまして、そういうものでこの公庫の融資の対象にしておりましたものは、これは大部分が近代化資金のほうで融資をする、こういうふうなことに相なっておりますので、その関係から、特に公庫で融資をしなければ、なかなか近代化資金ではやっていけないというようなものに限って、公庫に大体、残しておくという形でございます。そういうような意味で、全体としては、農林省の力の入れ方に比べまして、公庫におきますところの果樹関係、畜産関係、そういうふうなものについてのふえ方は、全体のそういう気がまえに比べましては、比較的少ないわけでございますけれども、そういうような状況からこれはくるわけでございます。しかし果樹関係におきましても、三十六年度は十億でございますがこれは十五億。畜産の関係におきましては、牧野改良、乳業施設、主務大臣指定施設等で、公庫から融資をしなければならないというものにつきましては、三十六年度は合計をいたしますと十四億六千三百万円でございましたが、三十七年度におきましては十八億五千万円、それでも幾らかは増額にはなっております。それから開拓の問題は開拓政策のほうの全体に合わせまして、私どものほうではこの線で考えたわけでございます。
  54. 天田勝正

    天田勝正君 総合対策答弁漏れです。
  55. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 総合対策は、三十六年度は四十三億六千八百万円でございましたが、三十七年度は二十六億二千万円でございます。そのおもなるものは新農村建設計画でございます。これはすでに指定も終わりまして、年次計画でだんだん事業が減って参っているのでございまして、その関係で全体の経費が減って参っているわけであります。
  56. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 先日の小笠原委員質問に関連しているわけですが、沿岸漁業の構造改善対策事業を実施するために、この法案の一部改正が行なわれたわけですが、そこで沿岸漁業振興法というような、構造改善事業の根本となる法律を提出する大体見通しというものは、どうなっているのでしょうか、御説明願いたいと思います。
  57. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) かねてから漁業法の一部改正並びに水産業協同組合法の一部改正と並行いたしまして、沿岸漁業振興法案の作案を急いでいるのでございます。ただいま御指摘のように鋭意その準備を進めておりまして、できるだけ近い機会に沿岸漁業振興法案を御審議願うような段取りでただいま準備中でございます。
  58. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今国会に間に合うのですか。
  59. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) この国会に間に合わせるつもりで、ただいま鋭意準備中でございます。
  60. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それから経済局長にお尋ねしますがね、この補足説明に自作農維持創設資金、林業経営維持改良資金、こういうものと勘案して年率を五分五厘にきめたとありますが、林業経営資金は四分五厘ですな。そこでそれと勘案して五分五厘というのはどういう経路をたどっておりますか。
  61. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 林業経営安定資金は五分五厘でございます。漁業の関係につきましては、林業農地に比べまして条件としては非常に悪い条件であるとは思いますけれども、一応そういうものもございますので、五分五厘ということで、それにならって運用していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  62. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御発言もございませんければ、本案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。質疑は終りました。それではこれより本案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もございませんければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。それでは本案の採決を行います。農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  午後は一時四十分から開会いたします。暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  66. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 委員会を再開いたします。  この際お諮りいたします。午前の委員会におきまして可決せられました、開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の二案について、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  68. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 農林水産政策に関する調査のうち、燃油によるノリ漁業被害に関する件を議題といたします。  本件につきましては、去る三月二日の本委員会におきまして質疑が行なわれたのでありますが、その後関係当局におきまして行なわれました調査等について、まず説明を聞くことといたします。  なお、本件について御出席の関係当局は、村田水産庁次長、松野警備救難監、大石調達庁総務部長、亀山運輸省海運局次長であります。
  69. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) ただいま委員長から御指摘のございましたノリの被害経過でございますが、去る二月十四日に、アメリカの油送船イーグル・コリア号が横須賀港にアメリカ軍の油を輸送いたしまして、その陸揚げのあとに、すなわち帰り船でございますが、東京港を航行中第二海堡の西側に衝突、座礁をいたしました。そのような事実があるのでございまするが、まあ、おそらくこの座礁しました油送船から出た油であろうと予測されるのでございまするが、この事実のありました翌々日ごろから、この周辺一帯にありまする、特に富津地区、木更津地区のノリが甚大な被害を受けたのであります。この知らせを受けまして、農林省といたしましては、この問題が外国の船による、もし、このイーグル・コリア号の原因だといたしますれば、外国の船による被害を受けたことに相なりまするので、損害賠償の問題等、直ちに起こり得る問題でございますので、直ちにその旨を外務省にも連絡いたしましたし、また、この問題は、ひとり農林省だけの問題でもございませんので、関係の省がそれぞれございまするが、それらの関係各省と打ち合わせをいたしまして、はたして、このイーグル・コリア号による被害であるかどうかの確認をまずいたさなければなりません。これらはそれぞれ担当の省でその御確認をただいま願っておるのでありまするが、そのほかに、被害の状況をまず的確に把握する必要がございまするが、これにつきましては、農林省からもとりあえず係官を派遣いたしましたけれども、最もこの現地の事情に明るい、しかも第三者として被害状況の把握のでき得ます立場にありまする者といたしましては千葉県庁だと思いまするが、千葉県庁が直ちにこの地域の被害状況の調査に着手をされたのであります。大体の被害の状況等もわかっておりまするが、これは後ほどまた御報告いたすことにいたしまして、さような応急の処置をとりあえずとりまして、ただいまこの問題の具体的なそれでは処置いかがいたしたらよろしいか、それぞれの関係各省に問題のあることでございまするが、それらの具体策について検討いたしておる段階でございます。  簡単でございまするが、とりあえず概括的な御報告を先に申し上げた次第でございます。
  70. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 この前も各委員から質問もあって、一週間ほど前でありましたか、水産庁と千葉県庁との共同調査が終了したということを長官からも聞いておったのだが、きょうはその報告書の概要なり何なり資料をお待ちにならなかったかどうか。
  71. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 先般の委員会で、千葉県庁が中心になりまして被害状況の調査をいたしておりまして、その調査が間もなく完了するという御報告を申し上げたのでありますが、これは農林省と千葉県庁が合同で調査したものではございません。農林省も調査には参りましたけれども、きわめてこれは短時間の間に大体の被害の概況だけをとりあえず調査をさせただけでございまして、終局的には千葉県庁から責任のある調査の報告を求めることにいたしておったのであります。実はその報告を昨晩われわれ水産庁のほうに報告がございまして、まだもちろん印刷物でそれを整理する段階に至っておりませんではなはだ恐縮でございますが、とりあえず千葉県庁から報告のありました概要を口頭で申し述べさせていただきたいと存じます。  県庁からの報告によりますると、被害を受けました被害者の数が二千二百二十名、被害を受けましたノリのさく数が三万六千八百九十さくになっております。この被害につきましては、それぞれ被害の程度にもよりますけれども、それぞれの程度に応じまして千葉県庁でその金額の見積もりをいたしたものがございます。その金額の概略を申し上げますると、まずノリ網の被害でございます。ノリ網の被害が、ノリの施設の仕込みをいたしまして一年のものを一年網と申しますが、一年網のものが一万七千五百五十五枚、二年網のものが二万六千二百十枚に相なっておりまして、それぞれによってこれは被害の程度が違うわけでございまするけれども、両者合わせまして被害の金額が約三千二百万円に相当するという報告でございます。  第二は、これから収穫を予定されておりましたノリが収穫できなくなった被害でございまするが、これが約二億五千万円、それから収穫はできまするけれども、油が若干ついておりますために商品価値が低落するという被害、この金額が四千四百万円、それからノリ自身が被害を受けたわけではございませんけれども、この地区にこういう被害が発生したことに伴いまして、この地区から出荷されますノリの、何と申しますか、評価が低落するであろうということに伴う被害、これが二千八百万円、合わせましてノリの被害といたしまして約三億二千万円程度、以上の二点でございまして、この二つの点を合計いたしますると、大体三億五千万円程度の被害が予測されるという報告でございます。このほかに被害を受けました、たとえば竹にノリが付着いたしまして使いものにならないとか、あるいはおそらく相当の油でございまするので、その周辺の貝類の被害があるかもしれないということでございますけれども、その貝類の被害につきましては、まだ調査がそこまで及んでおりませんで、いかなる被害が発生するかもまだ未定でございますが、とりあえずノリの資材関係並びにノリ自体に対する被害の概略がわかりましたものを、昨日県のほうから報告があった数字は三億五千万円であります。
  72. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 今村田次長から千葉県庁の調査の報告があったということでありますが、水産庁の調査はどうなっておりますか。
  73. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 水産庁といたしましては、直接この被害の査定と申しますか、調査は直接にはいたしておらないのであります。おおむねこういう場合には、県庁の報告をもってそれを信頼していろいろな対策を講ずるということにいたしております。
  74. 大森創造

    ○大森創造君 これはこの前の委員会で調達庁それから水産庁のほうにお伺いしたことでありますか、このイーグル・コリア号から出た油と付着した油は同一のものかどうかという調査を、神奈川のどこかの試験所に依頼したということで私は帰ったのですけれども、今の説明によると、それぞれ担当の省でそれを確認したというお話があったのだが、これはどうなんですか。この前神奈川県に依頼したのは調達庁だと思いますが、そういうものが県のほうから出たとして、それをもって各省庁はまさしくイーグル・コリア号の油であるということが確定した場合には各省庁それぞれこの救済対策について機能を確保するというふうに理解していいでしょう。それが各省庁ばらばらにあっちに頼んだり、こっちに頼んだりして、それを集約して結論が出て、これはイーグル・コリア号の油でなかったとか、いろいろなものがまざっておるので、これは半年たたなければわからないということでは困りますから、さらにこの前お願いした試験所の問題、これは小笠原委員も言ったけれども、催促して結論が出たと思うのですが、その結論が出れば、ぱっと関係方面で確認をして、それに基づいてそれぞれの救済対策が講ぜられるということに私はなると思うのですが、その点はどうですか。
  75. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 前回の当委員会におきまして、海上保安庁におきましてはイーグル・コリア号の周辺で採取いたしました油と、ノリ付近で取りました油との同一性に関しまして神奈川県工業試験所に鑑定を依頼しておると、こう申しましたが、それに対しまして昨日同試験所からそれに対する試験成績書を受領いたしました。それによりますと、内容でございますが、イーグル・コリア号の周辺で採取いたしました油と、青堀の海岸と、それから青堀海岸のノリひびで採取いたしました油につきましては、それらが分析不能の状態にあったので鑑定はできないと、こういうことでございました。それからイーグル号の船内で取りました油とイーグル号の周辺で取りました油につきましては、これは類似のものであるという趣旨の鑑定でございます。
  76. 大森創造

    ○大森創造君 よくわかるのですが、青堀のどうのこうのというのはどういうことですか。
  77. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 青堀海岸です。
  78. 大森創造

    ○大森創造君 そうするというと、イーグル号の船内に残っていた油というものと、さらに座礁した付近の油というものと、青堀の付近の油というものは同一のものであるということは昨夜確認したわけですね、某試験所において。
  79. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 青堀海岸とは地名です。
  80. 大森創造

    ○大森創造君 青堀はけっこうですが、今私がお尋ねしたことはどうなんですか。被害の出た油というものと、それから船内の油というものと同一のものであるということを鑑定の結果確認されたのですか。
  81. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 青堀海岸で採取しましたものと、イーグル号の周辺で採取した油につきましては、分析が不能の状態になったので鑑定はできないと、こういう趣旨であります。ただしイーグル号の船内で取りました油と、イーグル号の周辺で取りました油とにつきましては類似性を認める、こういう鑑定でございます。
  82. 大森創造

    ○大森創造君 そうしますというと、この千葉県海岸で起こった三億何千万かの被害というものの原因をなすものは、イーグル・コリア号の座礁による油であるということの決定はまだできないのですか。
  83. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 鑑定に関する限りはそういうことでございます。
  84. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょっとお伺いしますが、先日も申し上げましたとおり、調達庁のほうではイーグル・コリア号ですか、座礁艦から油が出たことだけはわかっておる、そこまではわかっておるのですね。ところがわずか千メートルくらいのところで流れてきたが、その海岸近くで行方不明になったというのですね、西風のため。そうして今お聞きすると、現在ついておる油の質と、流れ出た質が違うと、こういう結論が出ているわけなんです。(「違うのじゃない、わからないんです。」と呼ぶ者あり)——わからない、同じかどうかわからないということは、どうなるかわからぬということなんだ。そういう結論が出たので、今お伺いすれば、外務省を通じて交渉しているとか何とか言われるが、一体何を基本にして交渉していくのか、その点をお聞きしたいのです。
  85. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) こういう事件が起こりましたときに、えてしてそういう問題が多いのでございますけれども、科学的な、はたしてその船の油による被害かどうかといういわゆる科学的な鑑定には、やはりいろいろな科学的な根拠に基づいた十分な資料がないといけないんだと私ども思います。しかし、ごれをやりますと非常に時間がかかる問題でございますので、今回は実は私ども率直に考えまして、たぶんたぶんこのイーグル・コリア号の被害に間違いなかろうという立場に立ちまして、事件のすみやかなる処理をして参りたいということから、そのためには、まず被害額というものを迅速に正確に把握いたさなければならないということで、千葉県庁を督促いたしまして、千葉県庁からのその正確な被害の出てくるのを一方では待っておりました。しかし、この被害が出てくるのをただいたずらに待つだけではなくて、おそらくこの事件は、この船によって惹起されたものであろうと思われるから、もしそうであれば、対外的な外国の商社を相手にする損害賠償の問題の提起ということにもなりますので、そのようなときには外務省にもこの問題は関係が出て参ります。それから、アメリカ大使館にもいろいろなこれについてあっせんを願わなければならぬ問題が出て参ります。そういう意味で、農林省は外務省にも依頼し、また農林省以外の関係各省と打ちそろってアメリカ大使館にも、こういう事件が起こりました、おそらくゆくゆくはこれは大使館のであっせんによって損害賠償等のすみやかな解決をはかるようなことになろうと思うから、その節はよろしくお願いいたしますというふうな、やや前広でございますけれども、こういう問題は早く手を打って打ち過ぎということはございませんと思いまして、さような措置を今までとって参ったことを御報告申し上げたわけでございます。
  86. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、それならば現段階において、外務省にはもう通知して交渉に入ってもらっているのですか、これから入ってもらうのですか。
  87. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 外務省が具体的な交渉を開始いたしますどういう内容があるか、それは問題がございますけれども、外務省が正式にこの問題の交渉矢面に立つということにはまだならないと思います。そこまで各種の調査なり手続がまだ具体化しておらないわけです。ただ、いずれはそういうことはいろいろなことでお願いすることがありましょうから、その節はよろしくお願いしますというあいさつを、われわれからいたしたような経緯でございます。
  88. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、あなた方はただお役所だけの問題を中心にして言われているようです。この間委員会で、時間が過ぎたというので終わりましてから、現地の陳情団が来ておりましたので、陳情団に会って、その行方不明という問題も聞いたのです。行方不明の問題もそうすると、あの鼻先、——あの鼻先は何といいますか、その鼻先に出て、ずっと青堀の先の鼻先、あそこで二つに分かれて、ただ目の前千メートルのところですからね。しかも、自分らが作業しているところへ油が流れて来て、大騒きで飛び出して行って見たのですから、油についてずっと来たというのです、現地の漁民は。そこで、あの先で二つに分かれた。なるほど西風も強うございました。ところが、すでにそのときは、一方青堀に通ずる左手のほうへずっと着いてしまった。一つは木更津海岸のほうへ来てとまったというのです。滞留したというのです。その滞留したものが翌日の十九日ですか、十九日になって初めて次へ散って行ったと、こうはっきり言っているのです。それがどういうわけで、海上保安庁のお方は、大事なところまで行ってそれが確認できないでおるのですか。そういう点はどうあなた方お考えになっているのですか。漁民の言うことをいま少しお聞きになったならば、もっと有力な材料が上がりはしないかと思う。
  89. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 清澤委員の御質問に関連してですが、先ほどの海上保安庁の説明によると、鑑定が不可能であった、これで突っ放してしまっているわけですが、どういう科学的根拠によって鑑定が不可能であったか。それからまた鑑定が不可能であったということで、海上保安庁としてはそれ以上工業試験所に再度どういう方法で鑑定がなお可能であるかないかという追及をやられるのか、やられないのか。それから、もし工業試験所にその能力がないのなら、他の試験研究機関に再度鑑定の要求をされるのか、されぬのか、これだけのことをあわせてお答え願います。
  90. 大森創造

    ○大森創造君 関連。今の櫻井さんの御質問でいいのですが、もう一つ私がつけ加えますと、鑑定が不可能であるという内容ですね。もう一回やれば可能になるのか。どうして不可能なのか。いつまでも不可能なのかどうか。それから、先ほどのお話しのように、それぞれ担当の省で、その鑑定の問題について確認するというお話があった、さっきの水産庁の話によるというと。そうすると横浜の試験所のほうに頼んで、不可能であった。もう一回今のお話のように確認すると、今度不可能でないという結論が出てくるのかどうか。あるいは水産庁やその他の方面でもって、別途、別な方法でもって鑑定すると、可能になってくるのかどうか、その辺の事情をお聞かせ願いたい。
  91. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 鑑定ができなかった問題につきましては、水分が多量で分析ができない、こういうふうに言われております。  それから、問題になりました海上保安庁の所見を申し上げておきたいと思います。この件に関しましては、イーグル号の乗り上げ事件が発生いたしました時期と、それからノリに被害が発生しました時期との時期的な関係、それから私どもの調査では、当時ほかの場所から多量に油が流れ出たという形跡が見当たりませんので、海上保安庁としては、今回の被害につきましては、これはイーグル号から出ました油によって発生した可能性が強いと、かように思慮いたしております。  なお、さらに鑑定を依頼するかどうかという御質問でございますが、この件につきましては、今のところもう相当時日もたっておりますし、他に鑑定を依頼するということは考えておりません。  それから、油が相当富津岬の北のほうまで流れていって、そうしてどうしてそれがノリのところに行ったということが確認できぬのかと、こういう御質問と思いますが、確かに乗り上げ事件の発生いたしました翌日の十五日に、私どもの巡視艇が調査したところによりますと、これは十二時、正午ごろの状況でございますが、第二海堡から富津岬の北のほう約千五百メーターぐらいだったと思いますが、その辺まで帯状に油が流れているという状況は見ております。ところが、たまたまその日は、正午ごろから夕刻にかけまして非常に風が強まりまして、おそらく瞬間最大風速は十五メーターか二十メーターぐらい吹いたと思いますが、そういう関係で、私どもの巡視艇による調査が午後できなかったというような事情もございますし、なおそういうふうに非常に強い風がたまたま吹きまして、おそらく流れておりました油は四散したものと思います。そういうような関係で、追跡が十分にできなかった、こういうような事情でございます。
  92. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ言われておりますが、あなた方が富津岬の前で帯状にあったというのは、何日の日に確認せられたのですか。翌日ですか。
  93. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 十五日でございます。
  94. 清澤俊英

    清澤俊英君 翌日ですね。それから漁民は当日すでに入っておったというのですが、富津岬の右側のほうには入った、こう言うのです。そうして青堀付近にずっと入ってしまった。一つはもう北側のほうで滞留しておった、たまっておったというのです。それが流れないであった。それで翌日、あなたが言う十五日のその風で右側に散らばった、こう漁民ははっきり言うておるのです。どうしてその点が食い違うようになるのですか。
  95. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 私どものところへの報告によりますと、漁民がこの被害を発見いたしましたのは十六日でございます。十五日はちょうど小潮どきでございまして、一般に漁民はノリの採集に行かないで、十六日に採集に出かけて、初めてこの被害を知ったという報告に相なっております。
  96. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは委員長も立ち会って、わきで、立ち会いではないけれども、非常に好意を持って聞いておられたと思うのですが、当日、自分らがちょうど二十二隻の船でこの第二保塁の近所で何か作業をしておった。そうしたら、ほら油がある、こういうのですぐ組合を通じて、一部はその油と一緒について行った、こういう陳情をしておる。十六日にそういう報告があったというのは、それはどこからあったのですか。県庁からあったのですか。漁業組合からあったのですか。
  97. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 漁民の報告を県庁が整理いたしまして、水産庁に報告したものでございます。
  98. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはちょっと重大な食い違いですがね。それはまたあとであれしますが、大体この問題はいろいろ詳しくやっておりましても問題にならぬであろうと私は思うのだ。今、先般戸叶君と私の要求で出て参りました被害件数をずっとこう調べてみたら、外国船を相手にしたので一銭でももらったのは一つもありませんよ。よくごらん下さい。もらったのはほとんどない。そうしてその次は、第二は、たまたま川鉄等のものを相手にするとか、その他の小さい輸送会社等が被害を出した場合には、とにかく損害賠償という形はないのです。見舞金と称して十万か二十万、億以上の損害請求に対して、見舞金と称して、全部がそんなことで片づけてあるのです。これが例なんですよ。こういうものが山積しておって、まだいまに森さんも言われるでしょうけれども、伊勢湾の問題なんていうものは二年たとうと三年たとうと片づかない。私が先般も言うとおりです。フリゲート艦の問題もここに出ておる。あのとき問題になったものも出ておる。これはあとになってどうして防衛庁が五百五十万円の見舞金を出したのです。これも全く油の質が違う、原因はわからないというておるものを、どうして出したのです。こうやってめんどうなことやっておりましても、とどのつまりはよくて五十万か百万じゃないですか。そんなことで折り合いつけようということじゃないですか。  私は、水産庁次長、あなたにひとつお伺いしますが、この前からも言うているんですが、どうして水産庁が中心になって調べられないのか。これだけある中で、全部私は昨晩見たんです。ほとんど見舞金なんです。満足なものは一つもないです。
  99. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 御指摘の点は、私どももよくわかるのでございます。一実は、事件がもし特殊海事損害に該当するものであれば、これは日米の協定の規定に従いまして、正式の損害賠償が出ることは御承知のとおりでございますが、一般のいわゆる民事損害と申しましょうか、本件のような場合には、かりにこれを民事訴訟で損害賠償等の訴訟手続を進めて参りますと、おそらく二、三年、普通早くても二、三年はかかる。あるいはもっと、数年もかかるのではないか。外務省あたりではさような見解をもらしておられますけれども、いずれにいたしましても、そういう訴訟等で長い時間のかかりますことは、被害を受けました漁民のためにも、それがはたしてプラスになるかどうかわからないのであります。率直に私申し上げまして、かような事件のときには、そういう訴訟の提起よりももっと早く端的に、示談と申しますか、見舞金と申しますか、いずれにいたしましてもそういう手っ取り早い、手っ取り早く漁民の一定の金の入るような措置を講ずるほうが、漁民のためにもなるし、また事件の早期解決という意味からも好都合であるというふうな考え方を実はとっております。そういう意味で、過去に起きましたいろいろな事柄につきましても、えてして加害者がはっきりしないとか、また被害の原因が不明であるということでうやむやになりがちであります。そのために泣き寝入りする漁民というのが、事例がかなり実はありまして、それではいけない。本件の場合は、比較的まだ原因がはっきりいたしていると、私どもは見ておりますけれども、科学的な鑑定は別にいたしましても、一応常識的に見て、比較的原因がはっきりしているように思われますけれども、いずれにいたしましても、そういう場合でも、一々外国の商社を相手に訴訟手続など進めるよりは、もっと手っ取り早い方法が考えられないだろうか、またそういう方法があればそういうふうにしてあけることについては、水産庁としてちっともやぶさかではございません。また、そういう方向で今後も各省とも相談しながら、もちろん水産庁が中心になってけっこうでございますから、進めて参りたいと思っております。
  100. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 先ほど海上保安庁の御答弁で、どういうんですか、水分が多いので分析ができなかった、こういうことでしたか。もう一度……。
  101. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 試験成績書には、分析不能の状態にあったので試験しなかったということが書いてあります。それで、それにつきましてお尋ねいたしましたところ、水分が多くてそういう状態にある、こういうことであります。
  102. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 水分が多くて分析が不可能であった。だから分析しなかった。こうだとすれば非常に、それじゃ今まで何しておった。水分が多くて、かりに分析してみたけれども、その結果において、なかなか同一のものであるという判定が困難であったということなら、これは話としてはわかる。ところが、水分が多いために分析できなかった。分析できなかったということであるなら、もう問題が起こってから一カ月、しかもそれがきのう回答があった。これだけの二十何日間分析しなかった——毎日、毎日分析をやろうとする努力を繰り返しておったのか、分析しないということでぽっと投げておいて、電話で催促したけれども回答をよこさなかったのか、そこのところはどうですか。
  103. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 何回も督促はいたしておったのでございますが、その辺、今御質問の辺のところは、おそらく分析には努めておられたと思いますが、その辺の事情ははっきりいたしません。
  104. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 それでは、どうも悪いですけれども、これは答弁にならぬのですがね、科学的分析、その問題は。それは水産庁次長から被害額が千葉県としてどの程度の判定をしたということは、それはそれでいいんですが、その前に出発点がこれじゃあきまらない、出発点が。今のお話をもう少し正確に、どういう努力をしたけれども、どういう科学的根拠によってどうできなかったということをもう少し科学的に、きょうできなければ今度ひとつお答え願いたい。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 今までの質疑を聞いておりますと、最初採取した徴取品が水分を多量に含有しておったので、分析が不能であったというのですが、これは私にはどうも了解いたしかねるのですけれども、私は科学者じゃございませんからその辺には触れませんが、この記録を見ましても、今までの多くのものがそういうようなことでうやむやになってきておったと思うのです。的確な科学的な調査に基づく加害者を判明することができなくて、そこでそういうことを今までしばしば繰り返しておったのですから、こういう被害の際に徴取品を採取するときにはそういう注意が私は払われてしかるべきだと思うのです。これは初めての事件ではないのですから、水分多量に含有しておれば分析ができないことになる危険は予測できるのですから、そのノリに付着しておった油を採取するときに注意が欠けておったということを私は考えざるを得ないんですが、採取の方法についてどうお考えですか。船のそばにあったやつはやはり水に入っておるのですよ。それは採取したが、水分の問題はなかったと、さくに付着しておったやつをとると、それは水分が多かったと、油と水とはこれは一緒になりませんから、とりようによっては私はできると思うのです。あなた方は採取するときに非常に注意を欠いておった。それも初めてのことじゃないんです。しばしば繰り返されておることですから、その辺は注意して、もっと誠意をもって採取すべきだと思うのですが、そこに何か問題ありはしませんか。それはどうお考えでしょうか。
  106. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 御質問の点につきましては、私は相当注意を払ったと思っておりますが、採取いたしましたのは、ちょうど私どももノリの被害があった連絡を受けましたのは十六日でございますので、採取したのはその翌日の十七日でございます。やはり同じような時期にとったもので比較する必要がございますので、大森海岸でとりましたのは十七日、それからそれと比較するためにやはり十七日に第二海堡の付近でとった、こういう状況でございます。
  107. 森八三一

    ○森八三一君 まあ、そのことは今ここで論議をいたしましても平行線ですから、それ以上申し上げませんが、先刻保安庁の御説明では、科学的な分析に伴う結果としては、的確に加害者であるということの判別そのものはできかねる状態にあるが、しかしその当時の諸般の客観情勢からこれを推し進めて判断をいたしますると、当然これはコリア号の流出をさせた油に間違いはないというふうに断定して差しつかえないと思うんですが、そういうふうに断定することについて、保安庁として現場をいろいろ監視されておった立場から、いかがお考えでございましょうか。
  108. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 海上保安庁としての所見につきましては、先ほど申し上げましたような種々の状況から、今回の被害はイーグル号から出ました油によって発生した可能性が強い、かように思量いたします。
  109. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、次長にお伺いいたしますが、的確な科学的試験の結果、明確にイーグル・コリア号が加害者であるということが判別いたしませんまでも諸般の客観的情勢等からイーグル・コリア号の流出いたしました油であるということは確認してこれはあやまちないものと思われるといたしますれば、外務省その他の関係各省を通じて折衝もすでに開始してしかるべきではないか。ただ伝えてはあるけれども、相手方のほうがどういう行動を起こしておるかわからぬようなことでは困るので、そういうような一つの前提に立って具体的な行動を開始すべきであるというように思いますが、そういうような措置をすみやかにおとりになるというようなことでありますか、どうですか。この段階ではそうはいかぬ、こういうことなのか、いかがでございましょう。
  110. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 水産庁といたしましては、ある程度の調査のめどがつきましたならば、やはり一日でも早く必要な折衝と申しますか、あっせんと申しましょうか、そういうことはやるべきだと心得ております。実はやや早過ぎたかもしれませんけれども、すでに水産庁の担当官も、あるいは大使館の担当官とこの問題の折衝を実は開始しておるのでございます。開始しておりまするけれども、ただいま保安庁からの報告もありましたような点について、まだなお確認を要する事項もございまして、何と申しましょうか、正式に折衝を開始したということにはなっておりませんけれども、事実上の問題といたしましては、あるいは大使館の運輸輸送の担当官でございます人と水産庁とで具体的な折衝をすでに開始しておるような状況でございます。
  111. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いいたしたいのは、先回の委員会で、伊東長官が、そういうようなことが判明した後において諸般の具体的な措置をとることにいたしたいと思うが、とりあえず今回のイーグル・コリア号が、運航代理店ですか、というようなものとして飯野海運が当たっておった。その飯野海運は、かなり良識をもってこの問題に取り組んできておるので、そういうことについても相当の水産庁としてはあっせんをしたいというような趣旨の御発言があったと私は記憶いたしております。そこでお伺いいたしたいのは、正式な問題ではなくて、お互いの良識に基づく判断に立って、この運航の代行店ですか、代理店ですか知りませんが、飯野海運が親切にやっておるというようなことであるといたしますれば、その後において飯野海運がいかなる措置をとりましたのか、それが一点。  それから先回のときに、問題の根本をきわめることは他日になるが、とりあえず零細漁民の諸君が困っておるということを放置するわけにはいかぬので、低利の資金の供給であるとか、その他万般の遺憾なき措置をとりたいという御発言がございましたが、そういうことについて具体的に進行しておることがありといたしますれば、その辺のことをお伺いをいたしたい。
  112. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 先般水産庁長官がお答え申し上げました中に、この会社の代理店でありまする飯野海運が好意的に判断しておるということを申し上げましたことは事実でございます。それからなお、このアメリカの会社でありまするユナイテッド・マリタイム・コーポレーションでございますが、その会社の法務代理者として日本側の法律事務所がございます。その法律事務所を通じて、地元漁民が民事訴訟の手続を進めていると伺っております。この二点を裏づけするようにこの法律事務所の弁護士が現地の調査もしておるということを私ども報告を聞いておるのであります。今後この事件が正式な民事訴訟として最後まで争われるのが得策であるか、あるいは事件の早急解決をはかる意味で示談的な解決をはかるのが得策でありまするか、これらは被害を受けました地元の漁民と県庁なりとよく相談をいたして取り進めていかなければならない問題でございまするけれども、私どもといたしましては、過去のいろいろな諸般の事例、先ほど清澤先生からも御指摘のございましたような事例にかんがみまして、できればこれを示談的な解決でできるだけ早く解決するようにあっせんをいたして参りたい、かように考えております。しかし、これは最終的には被害を受けました地元漁民の意思にかかわる問題でございますから、その辺はよく相談をいたしまして取り進めたいと存じます。  また、御質問の第二点でございますが、とりあえずの応急措置といたしまして、県当局あるいは水産庁としていかなる措置を講じつつあるかという点でございまするが、この事件が発生いたしまして、地元から農林省に陳情があり、あるいは県の当局から報告がありました際にも私ども打ち合わせをしたのでございますが、まず被害額を早急に確認をすることが第一。それから第二といたしましては、その被害の実態が把握できましたならば、その応急措置といたしまして県庁のやるべき事項が何々であるか、また国としてやるべき事項が何々であるか、その辺の問題をよく整理をして県庁と農林省とでよく相談いたしましょうということに相なっておったのでございまするが、昨晩の県庁の報告に基づきますと、まず県庁といたしましては、これの応急対策といたしまして、とりあえず見舞金を、すでに三月五日でございましたか、被害地区の漁民にそれぞれ支出をしておるようでございます。それから、この地区のノリの生産状態は普通の地区とやや異なっておりまして、ノリの仕込みの時期はまだ当分これからあと、普通ならば秋でございまするけれども、この地区はノリ網につきましては自分で資材を購入いたしまして、それぞれの漁家が手あみであむ習慣になっておるそうでございます。そういう資材購入資金はもうすでにこの時期に手当をいたさなければならないということでございまして、これにつきましては新年から融資をさせまして、それに県が利子補給をするということで、すでにその利子補給の具体的措置もきまっておるようでございます。  それからさらに、被害を受けました地区の一部ではノリの収穫が、今まで申し上げましたような事情で、今後の収穫を断念せざるを得ない事情になりましたので、アサリでございますとか、ハマグリのような貝類のふたあけの時期が普通であれば、例年であれば四月からのようになっておりますけれども、このふたあけを繰り上げて早くする。そうして漁業者が貝類の収入を上げていく方法を講じていくということを県で具体的に、すでにこれも方針をきめまして実施をされておるようでございます。  以上のようなことがとりあえずの措置としてはとられておりまするけれども、今後水産庁と申しますか中央官庁におきまして、この問題についての具体的な措置をどのように講じて参るか、この点につきましては、なお細部の点で県庁当局並びに被害を受けました漁民の皆さんと相談をしなければならない点もございますが、当面考えられますことは、たとえば先ほど来問題になっておりまする賠償でございますが、この訴訟を提起するようにただいま地元では漁民の間で手続中でございますので、これらについてのあっせんを水産庁は中央官庁としてもしていくということ、これは当然考えられなければならないことでございます。  それからまた、先ほど申しましたように、漁網の購入——漁網の、資材と申しますか、購入するわけでございますが、これについては、ただいま申しましたように、県でも利子補給の措置を一部とっておりますけれども、その資金は農林漁業金融公庫の融資対象にはなっておりませんので、一般の系統融資、農林中金その他の系統融資の対象になると思います。これにつきましての融資のあっせんをするというようなことを、これも当然中央官庁として考えて参らなければならぬことである、かように考えております。  それから先ほど私は、まだよく県とも相談しなければ具体的な対策がはっきりいたさないと申しましたのは、先ほども申し上げましたように、すでに貝のふたあけと申しますか、貝類の漁期の繰り上げをやっておりまするが、こういうことをやりますると、あとの貝類の種苗の追加放流と申しますか、こういう措置をとらなくちゃなりません。そういう種苗の、なかんずく貝類でございますが、種苗の購入についての助成でございますとか、あるいは先ほど来御指摘のありましたように、その地域の漁場が相当強い被害を受けておりまするので、今後、かりに、さらにノリの仕込みをやるといたしましても、漁場の清掃などは当然考えいかなければならぬ、今のまま日にちがたっていくということでは参らぬのだろう、かように考えております。したがって、漁場の清掃等に要します助成、こういうふうなことは、かつて、これに似たような事例が起こりました際にも、農林省が大蔵省と折衝いたしまして、応分の助成措置を講じた事例もございますので、もし、そういう種苗購入の助成であるとか、あるいは漁場清掃の助成でありますとか、そういう必要が起こりましたときには、水産庁といたしましても積極的にそういう予算措置を大蔵省と折衝いたしたいと考えております。これはいま少しく県のほうの具体的な対策がはっきりいたしました上で、手続を進めていくようにいたしたいと考えております。
  113. 森八三一

    ○森八三一君 最後に、前回お尋ねしたときに、水産庁長官は、こういうような場合に備えて漁業共済の制度もあることだから、こういうものは十分活用していきたい、というようなお話がありました。私も非常にごもっともだと思うのですが、そういうような御回答がありましたので、そのことについて多少しろうとながら研究をしてみますると、現在の漁業共済の対象は御承知のように、主として漁具あるいは漁船を利用して行なう漁業という場合に適用されるということが前提になっておると思うのです。この養殖関係の損害発生の場合には、必ずしも当てはまらぬとは申しませんが、建前としてそれが重点的に考えられている仕組みではないのではないか、こういうふうに私は見るのであります。そこで、今後の日本の漁業を振興して参りますために、養殖を中心とする沿岸の漁業振興ということが非常に重要な役割を果たしてくると私は思うのでありますし、政府もそういう立場に立って、沿岸漁業の振興にはかなり努力をされている、私もこれは感謝をしておりますが、そういうことなどを考えますると、現在の漁業共済制度の中に養殖漁業というものを、もう少したやすく組合員が喜んで参加し得るように、あの制度そのものを根本的な改正を考える必要があるんではないか。あるいは別個に養殖関係だけの漁業共済制度というものを作りますか、その辺はまあ事務的な、技術的な問題ではありますけれども、そういうことを考えなければいかぬということをしみじみ感ずるのでありますが、そういう点について当局としてはいかがお考えでございましょうか。
  114. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) この種の被害に備えまして、漁業共済制度の運用と申しますか、制度それ自体について再検討の余地がないかという御指摘でございますが、まことにごもっともかと思います。ただいま御指摘がございましたように、現在やっておりまする漁業共済の制度は漁船漁業によるものが大部分でございまして、若干養殖関係もございますが、これは件数も少ないし、また金額もごくわずかでございます。先般来こういう、この種の事件が相次いで起こっております。私どもといたしましては、現在の漁業共済制度をさらに再検討いたしまして、ノリにつきましても、これがたやすくこの制度に乗り得るような検討を積極的に進めて参りたいと考えておる次第であります。
  115. 森八三一

    ○森八三一君 これで質問を終わりますが、最後の漁業共済制度につきましては、急速に整備拡充をして漁民の期待に沿うようにしていきたいということでありますので、もうこれ以上申し上げる必要はございませんが、沿岸の零細漁民の諸君は非常に経済的に難儀をしておるということはお認めのとおりでございますから、そういうような抜本的に取り組んでいくという態度をお進めになりまする場合に、そういうような零細漁民の立場考えますると、比較的零細の中でも上位に属しておる漁船漁業の諸君に対する場合とは考えを新たにして、むしろ端的に申しますれば、政府の助成、負担というものを高度にして考えていくということをやりませんというと、乗ってこないという感じを持ちますので、同感の意を表せられたそのことを進めていきます場合には、そういう感覚でひとつ政府の手厚い保護、援助が差し伸べられるということを含めて、ひとつ御検討を願いたいということと、早急にそれはひとつ実現するように取り運んでいただきたいという希望を申し上げます。
  116. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) ただいまの御希望のございました点、私どももよくわかるのでございます。御承知のように、共済制度そのものがただいままだ試験的な実行の段階でございまして、この試験期間が終わりますれば、制度そのものにつきまして予算当局とも、まあ何と申しますか、根本的ないろいろ再検討する、こういう約束にもなっておるわけであります。先ほど私が申しました積極的にと申します意味は、われわれとしては、この制度をさらによりよきものにする意味で、前向きの意味で、この制度がさらに積極的に拡充強化されるような形で予算当局とも折衝を始めていきたい、かように考えておるわけであります。
  117. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ災害の問題で政府で心配しておられるようですが、直接の被害に対しては、私はどう考えてみても本腰じゃないと思うのだ。今のお話を聞いておってみましても本腰じゃない。それは当然、現地そこに一つの災害が起きて、そのあとをどうするかということは、補償というような問題とは別に、損害賠償というような問題とは別に一応の取り計らいをすることはあたりまえの話なんだ。それだからといって、この災害の補償というものを等閑視することは私は問題だと思う。今日われわれか取り上げているのは、そういう油によってこうむる損害賠償というものに対する取り扱い方が、過去の例を見てみましても満足のものは一つもないということです。損害を補償してやったというものは一つもないということです。見舞金を出すからには、少なくとも被害を与えたということを確認しなければ見舞は出せないと思うのだ。私はそうだと思う。ただ農民が居すわりをやっておるから、やかましいから、あとは政府が少しばかりの融資をやって、あそこを直してやる、ここをこうしてやる、次の作業のできるようにしてやる、生産手段のつくようにしてやる。あとはひとつうるさいことを言わぬで、一億円の損害に対して三十万か二十万やっつけて黙っていろ。この間の川崎は一億五千万円と書いてあまりすね、もらったのは三百万円というのでしょう。たしか三百万円だか三十万円だったか、ここらはどういうのです。これから先にお聞きしたいのです。会社は承認したのですか、自分の会社でこういう災害を与えたということを。うるさいからひとつ三十万円、三百万円で片づけてしまえ、あとは水産庁よろしく頼む、こういうのですか。どういうわけでこれが出たのです。川崎の先般のやつは、これにも書いてあるといわれるのですが、三百万円でしたか三十万円でしたか、ちょっとわからないのですけれども、三百万円か三十万円か、会社は承認しているのですか、自分の油がこういう被害を与えたということを。
  118. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) おそれ入りますが、何ページだったでしょうか。
  119. 清澤俊英

    清澤俊英君 この間あなたのほうで答弁があったでしょう。これにも出ておりますよ。何ページだったか、ちょっと私は忘れておりますけれども……。これに出ていなければ、出ていないでよろしいです。
  120. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) ただいま御指摘のございました川崎の問題と申しますのは、三十一年の三月十四、十五日に起こりました事件かと存じます。これはたいへん恐縮でございますが、その当時のどういういきさつでこういう処置がとられたか、私どもちょっとただいま明確にいたしておりませんので、よく調査をいたしまして……。
  121. 清澤俊英

    清澤俊英君 私がお伺いしたのは、この事件、この座礁事件の少し前に、新聞によれば川崎にそういう事件があって、一億五千万円ほどの被害を受けた、こういう話があった、これはどうなっている、こう聞いたのです。それがもとでこれを請求になっているのです。そのときのお答えでは、三百万円であれは片がつきました、こう言うのですから、三十六年、三十七年の事件じゃないですから、でたらめを言われたのですか。
  122. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 私が今お答えいたしましたのは、十九ページにございまする昭和三十一年三月十四、十五日の川崎の事件を御報告申し上げたものでございます。
  123. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじゃその事件は別にいたします。だが、ここで見舞金というものが出ているものはたくさんありますから、その見舞金を会社側で出しておる、気持よう出しておるのもありますが、船会社と、その船をチャーターしたのかして、川鉄などは両方で出しているのが幾つもここに書いてある。そういう場合には、その被害に対して確認して出したのかどうか、こういうことを聞くのです。おれのほうで悪かった、こういうことで出したのか。まあまあひとつ、わけはわからぬけれども、漁民もああいってうるさいのだから、ひとつ幾らかまあ見舞金を出してやってくれ、こういうことですか。わしは漁民はやくざじゃないと思うのですね。
  124. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) これは被害を受けましたほうの側と、被害を与えましたほうの側で正式の訴訟をいたしました上で確認される場合と、そうでなくて、事件の処理を迅速にいたしますために示談的な処理が行なわれる場合と二通りあるのでございますが、大体従来の例を見ますると、事件の早急解決を両当事者とも希望いたす場合が多いのでございます。そのために示談的に、まあ見舞金で処理をするという場合が比較的多いようでございます。  今度のこの千葉県のノリの事件につきまして、その点はまだ私どもは最終的には確認はいたしておりませんけれども、地元の漁民の気持といたしましては、正式に訴訟でこの問題を争うということになれば年数が相当かかりますので、でき得れば示談的な解決をはかってもらいたいという気持が漁民にあるようでございます。これはなおよく確認をいたしました上で私どもは措置をいたしたいと考えております。   〔委員長退席、理事櫻井志郎君着   席〕
  125. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはね、裁判なんてするやつはよくよくのばかだから、何とか示談で片づけて、早く神経使っていることはやめちゃえというのはこれはあたりまえだと思いますよ。だが、そういう形においてほとんど被害額から見ますれば問題にならない金が与えられているのです。あのフリゲートの問題のときもそうでしょう。どうしても海上保安庁のほうでは潮流の工合でそういうところへ流れていかないと主張してこられたのです。古いことがおわかりにならなければ、よく教えてあげますよ。そこで、全部してこの委員会で行って漁民に聞いたところが——それはそういう潮流もあります、また海岸を一つ流れている潮流というものもあるというのでしょう、あなた方は学問の上で東京湾内の潮流というものは、こういう方向へこう流れていると言われるけれども、先祖代々何百年もその浜で育った漁民は、子供のときからやってきた漁民は、この浜にはそれとは別に、これと逆の潮流があるのだと、こう言う。それに対して一緒に、そういうことを言うているから、そういう条件のそろった、しかし、ひとつ試験びんですか、潮流調査の試験びんか何かをひとつ一緒に投げてみようじゃないかと、ここまで言うたのです。漁民はもう信じ切っているのです。そうしたら、それを決行しないうちに五百五十万円で話はきまったそうですよ。三年見ても二年見ても話がきまらないで引っぱり回されれば、しまいにはそういう考え方になるのはあたりまえの話だと思います。ことにこのたびの問題についてほんとうの核心をつかんでおらないのです。あなた、どう考えられるか知らぬけれども、油の行方はまだ解決しておりません。ついたかつかないか、富津岬のほうを帯状に流れたのは見えるけれども、風速二十メートルから三十メートルの風があって、どこかへ飛ばされてしまってわかりませんと、こういうのだ。これでは手がかりはどこにあるのです、大体。手がかりはないでしょう。それでもあるのですか。これでイーグル・コリア号の加害に違いないということはどこで言うているのです。違いないと言うからには——漁民に会って話を聞いたところが、   〔理事櫻井志郎君退席、委員長着   席〕 そのものは時間的にこうこうの時間に半分は富津岬の左側を回って青堀方面から大貫の方面に油がついていった。一つは右側のものは、一日どこかにたまっちゃって、それが翌日のいわゆる十六日のその風について木更津方面に散らばっていった、こう言うておる。そういうこまかしいところはちっともかまわないで、保安庁は自分のことだけしか言うてない。その言われておることは、私らから聞けば、外国商社のために援護しておると同じことなんです。われわれが聞くのは、援護しておると同じことなんだ。わずか千メートル先の事件でしかない。第二海堡から富津岬の先端までは千メートルしかない。富津岬を帯状になったのは見られるが、それが風のためどこへ行ったかわからない。採取した油はこれはわからない。これでは何を証拠で検討しようとしておられるのですか、私は全くわからないんだ。いつもがそれだから私はこうやって大きい声を出すんです。どれもそれなんだ。これで解決するといったら、解決する道があるんですか。しまいの果てには、まあまあそう言わぬで、飯野海運は何千億と持っているんだから、まあまあひとつ三百万円も出して手を打ったらどうだ、こんなことをしているんじゃないか。そんなばかなことで、これから沿岸漁業の振興は養殖でいくのだ。それと全く別なものができ上がっているんじゃないか。きちっと、しっかりした、ぴりっとしたものが出ぬかったら次から次と勝手気ままなものがでると思うんだ。この点はどうなんです、私は本気じゃないと思うが。いま一つありますよ、横浜港だか横須賀港でありまして、そうしてこれは外国船だ。外国船が、三井系のものが経営している廃油放棄船というのがある。それを請負うたんですね。それを請負うたやつがまた下請をさせた。その下請させたやつがまた下請させた。これは朝鮮人だったそうです。ごく微力の者なんです。それがどこどこへ捨てると、いわゆる東京湾外何海里——三海里、五海里の潮流のあるところへ捨てるんだ、これをやらなかった。これもわかっているんだが、とうとうこれは一銭にもならなかった。さかさに振っても鼻血も出ない。そのときに私はそう言ったんだ。今の工事請負にしましても、それに似たことが非常に多いから、そういうことがこれからないようにするために、請負契約をするときには必ず元請負人がその責任を負わなければならない、こういう条目をつけたらどうだ。ほかはやってるんですよ。水産庁、まだやらないでしょう。この前も僕がやりましたとき、まだやっていない。きっとやっていないと思う。請負制度に対する何かちゃんとそういう規則を作ったらいいじゃないか。本気にやってるんですか。これも私はおそらくはしていないと思うのです。証人はちゃんとわかっている。これこれとわかっている。何の何兵衛が正当なところへ捨てないで被害を与えましたというところまでわかっているが、相手がごろつきで——ごろつきではないけれども、どうにもならない。これは藤野さんだって何だってみんな御存じだと思う、みんな見に行ったんだから。そういうことに対して今まだやらないで、どうだってそうじやないか思うんですよ。ことに海上保安庁の外国船の問題や防衛庁の問題などになってきますと、実に向こう、加害者を擁護するような態度に出ておる、どうしてもそうなるのです。フリゲートのあのときも、潮流がこうで、そういうものは流れていきませんと言った。それじゃ一緒にひとつブイを流してみよう、なぜやらなかったか、なぜ。
  126. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 清澤君に申し上げます。この辺でひとつ政府委員答弁を求めたらどうかと思うのです。
  127. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 今回の事件に関しましても私どもの調査が十分ではなかったのでありますが、御趣旨はよくわかりますので、今後十分ひとつ調査に遺漏のないように努めて参りたいと思います。
  128. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 清澤先生がお怒りになる気持は非常に私どもよくわかるのであります。ただ、その中に御指摘にありましたことに、お言葉を返してたいへん恐縮でございますけれども、個々の船会社同士で請負関係、請負契約の実態がいろいろあると思いますけれども、それまで水産庁が追っかけていきまして、こういうものにやらしてはいけないというわけには、これはなかなか参らないので、その点非常に私ども遺憾でございますけれども、そういうようなことまでは私どものほうの所管でもございませんし、これはいろいろ関係者の間で十分注意をしていただく以外に方法がないだろうと思います。根本的には先ほど森先生から御指摘もございましたようなノリの被害についての抜本的な救済制度を検討することでありますとか、あるいは私ども絶えず気にいたしておるのでございますが、ノリなどのこれに対します被害は比較的船舶の油による被害が多いのであります。そういう事例が非常に多いのでございますが、油による海水の汚濁を防止する国際条約なども一方にありまして、相当多数の国がすでにこの条約に参加をしておりますけれども日本はまだ調印したままで、その条約の批准も行なわれていないというような事情がありまして、これはまたそれぞれ国内的に事情のあることはよくわかりますが、水産庁の立場といたしましては、そういう条約の批准など一刻も早く実現してもらいたい。そういうことになりますれば、一定の船舶に対してオイル・セパレータをつけて、油をやたらに海中に放棄するというふうなことも非常に減ってくるであろうというようなことも考えております。これはいろいろまた関係各省の間にも御意見のある問題のようでございますけれども、われわれとしてはそういうことを非常に、切に望んでおるような事情もございますので、この機会に一言申し上げさせていただきます。
  129. 大森創造

    ○大森創造君 今のノリの被害の問題は、私どうも頭が悪いからわからぬので、簡単にひとつお教え願いたいと思うのですが、海上保安庁の方がおっしゃることは、この油の問題は結局わからぬということですか、何かすればわかるということなんですか、答弁を願います。わかるのですか、わからぬのですか。今までやってわからぬならば今後やってもわからぬということですか、わかる方法はありますか。
  130. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 油の汚濁の場合におきましても、それが流出源がはっきりしまして、それがたとえばノリひび等に非常に接近しておって、すぐそれが流れて、そうして流したほうもそれを認めておるというような事件はよくありますが、実際、油の場合は非常に拡散も早いというようなことで、報告を受けますのがおくれますと、なかなか調査が困難である、そういう事例が非常に多いと思います。
  131. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると推測ですが、せいぜい努力してもわからぬということになりますね、拡散が多いから。
  132. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) そういう事例も非常に多い実情でございます。
  133. 大森創造

    ○大森創造君 そうすると、水産庁の村田次長にお伺いしますが、過去の事例にかんがみて、非常に遺憾であるけれども、訴訟などを起こさないで、民事訴訟などをやると二年も三年もかかるから、そうして十万や二十万のはした金で済まされるということになるから、そういう事情を考えてみると、県の水産課や関係議員と折衝して積極的に示談にする、そういう意向があれば——そのことをきめるのは地元であるけれども、そういう意向があれば水産庁は一はだ脱ぎたいというお話でありますけれども、そういうとき今の鑑定の結果などはないでもいいのですか。これまでの状況から見て、大体このイーグル・コリア号から発生した油の被害であるなら、そのときに話を進めて政治的にちゃんといきますが、水産庁のほう、あなたのほうでも、保安庁の船のほうでも、いろいろ鑑定をつけることに熱心であるけれども、こういう問題については時間がかかるし、今後もできないということについて見通しがついて、そのことがはっきりしないから、ひとつ政治的解決をはかろう、こういうことですか。
  134. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) この問題の円満な解決を期待しておりまする水産庁の立場といたしましては、やはり被害の原因が明確になることが、これはまあ非常に望ましいと思います。また、それを私どもは非常に期待をしておるわけでございますが、先ほど来私も承っておりますと、科学的な鑑定ということは、やはりその鑑定に科学的な裏づけがないとなかなかこうだという断定的な結論は出しにくいのだろうと思いますけれども、ただ私どもは、この科学的な鑑定が百パーセント完了いたさなければ、本件のこの事例は原因が不明なんだと、したがって賠償も示談も少しでいいのだということは、ちょっと常識的といいますか、社会通念的に考えられないのであります。しかし、それがあくまでも加害者がはっきりしないと、これはもう神様でなければわからぬということであれば、害を加えない者に、お前損害賠償せいと、こんな工合いかないと思います。その辺は、ただいまも保安庁の担当官は個人的な見解はお延べになりましたけれども、およそこれは常識的に話のつく問題だと私ども考えております。しかし、その判定も、どうしても科学的な裏づけがなければならぬと当事者が言うのであれば、それは科学的な鑑定がつくまでは私どもは待たなければなりませんけれども、物事の処理は私は必ずしもそれを絶対要件にいたさない、必要としないのじゃなかろうかと、これは全く私の個人的な意見でありまするが、私はこのように考えております。したがって、常識的に考えてみて、たとえば原因はここにあるだろうということが、何と申しましょうか、社会通念的と申しますか、大体常識的に考えられる、また問題は当事者双方が、科学的な鑑定はさることながら、大体そうでございましょうという納得ができまするならば、これは堂々と賠償なりあるいは示談的解決なりは第二段の問題として、方法は別の問題といたしましても、この問題の解決に本格的に取っ組める問題だと、私はかように考えております。それからただいま御指摘のありましたように、見舞金とか示談的解決というのがいかにもやっつけ仕事と申しますか、いいかげんな解決であるようにも聞きとめましたけれども、この点は私どもはさように考えておらないのであります。これは正式の訴訟を起こして、正式の法廷で争う、何年かかけてやるのがよろしければそれでもけっこうでございます、もちろんそれはそういう道があるわけでございますから。しかし、それ以外に事件をきわめて簡単に片づける方法もあるわけでございます。これらは何も水産庁が被害者に強制する問題ではございません。被害者の納得のいく方法で、どちらがいいかよく相談をいたしまして、いずれにしても被害者の納得できるような、満足のいくような解決策を私ども努力をいたしたいと思います。
  135. 大森創造

    ○大森創造君 お話は村田次長のお話としては私はわかる、これはわかるのです。民事訴訟など起こすということになっても、もとになる鑑定がぶらぶらでは私はきめ手がつかないだろうと思います。  もう一つだけお伺いしますが、この種の問題は時節柄今後出てくるだろうと思います。そうすると、こういう問題についての救済の問題は今後研究するにしても、肝心な鑑定というのは一体どうなんですか。ここには海上保安庁ばかりでなくて水産庁の次長もおいでになるんだけれども政府として一体、この種の鑑定ができないのですか、水分が多いとか少ないとか言うて。しかも、天田さんが一番最初に言うたように、これは凶悪犯捜査などと違って、だんだん日を狭めていって時間がたてばはっきりするといった問題じゃないでしょう。時間がたつと船はいなくなっちゃうし、油はどこかへ行っちゃう。今になって検定しようとしても、水分が多く拡散してしまうし、さらに船もどこかへ行ってしまってわからないという話ですが、こういう問題について今となって反省はないのですか。どうなんですか、日本の海上保安庁その他の各省の機能をもってしても、この種の鑑定は不可能であったことになりますか。これはあなたの御答弁によるというと、科学的な判定は不可能だというけれども、こういうケースに直面した場合に、どうなんですか、不可能なんですか。私は可能だと思う。それからイーグル・コリア号という当事者のほうから何かお話ありませんか、あれは私のほうが加害者であり御迷惑をかけたというような。そういうことが何かお話ございませんでしたか。まあ次長の話でわかりましたけれども、何かありましたら海上保安庁のほうからお答え願いたい。今後もこういう事件があったらみんなうやむや、何が何やらわからないということになる。厳密にいうと、どこの油だかわからないということになる。これがアメリカの会社なら、知らぬ存ぜぬですよ。見舞金の三十万、四十万でチョンということになってしまう。
  136. 北村暢

    北村暢君 関連してお尋ねしますが、私はあまりはっきりわからないんですが、海上保安庁というのは、東京湾なら東京湾で、そういう油のそういうものが起こった際にですよ、どうなったこうなったという監視をしたりなんなりする権限というものはあるんですか。あるとすれば、それはわからなかったということは、私は、海上保安庁の巡視のやり方が悪いとか、あるいは事故が起こった際における相当船足の速い船を持っておるだろうから、直ちに行って調査するというくらいのこと、どういう原因だったかということを突きとめるぐらいのことはできるだろうと思うんだが、これは一回や二回の問題じゃないです。実際問題としてここに被害の出ているように毎回出てくる問題なんです。したがって、海上のそういう監視について、わかりませんで、それで責任が済むのか済まないのか。鑑定してもらいましたけれども、わかりませんで済むのか済まないのか。これらのところをはっきり、監督官庁としてこういう責任があるのかないのか、この点をはっきりしてもらいたい。  それから水産庁のほうには、今清澤委員からるる申されているように、示談で物事を解決するにしても、被害額三億何千万円に対して何十万、何百万の示談でもって解決する。三億何千万の被害に対してそれに近いような示談で見舞金というようなことで解決するなんということは考えられない。そうすれば、これは毎回これに被害をこうむっている千葉の沿岸のノリ業者なんというものは、大体あそこでノリをやっていること自体がおかしいのじゃないですか。それでもノリ業者が成り立つということはあり得ないことになる。毎回何年間に一ぺんずつ三億何千万円とか何か被害をこうむってなおかつノリをやらなければならない。これはもうノリをやるのは不適地じゃないですか。それでもなおかつノリをやっているというならば、何か転業させるとか何とか考えなきゃならない。そうでなければ、なおかつノリをやらしていくんだったら、水産庁の責任として、水産行政の上からいって、一体賠償というものについて、今のような形で示談ですることが従来の例になっておるからそれでようございますじゃ漁民は死んでしまう。だから、これはもう毎回のこの委員会で問題になっているんだから、何か抜本的な解決の方法というものを見出さなければ、起こった問題について示談でもってやるように指導しているなんというのじゃ抜本的な解決にならない、こう思うのですがね。一体、この根本的な対策はあるのかどうか、お伺いしたい。
  137. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 海上保安庁は、海上において法令の施行に当たっておりまして、たとえば港則法によりますと、港の中及び港の境界から一万メートル以内においてはみだりに廃物を捨ててはいかぬ。その他水産資源保護法とか清掃法とかございますが、こういうような法令は、これは御承知のように、故意犯のみについて規制いたしておりますので、そういう法令違反については海上保安庁はそれぞれ、たとえば港則法違反でありましたら送検いたしておりますが、今回のような事件は故意犯でございませんので、そういう関係法令違反として取り上げることは困難でございますが、しかし、海上保安庁の設置法におきましても、設置・目的におきまして海上における人命・財産の保護というような表現もございますので、まあこまかい点についての明文はございませんが、そういうような広い観点からこういうような事件についての実態を調査いたしておると、こういうような事情でございます。  こういうような油の鑑定ができるのかできんのかという御質問につきましては、どうも私それまでの知識がございませんので、まあしかし今度の鑑定におきましてそういうようなことが言われておりますが、私どもとしてはそれができるとかできないとかいうことを断言できるだけの知識がございません。
  138. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 御指摘のありましたこの地帯がノリの適地であるかどうかという問題でございますが、従来からこの地方はノリの非常な適地として長い間養殖が行なわれたわけでございまするが、御指摘のように非常に最近こういう油の被害が頻発をしております。これについては、私ども端的に申せば、油をそういう所に投棄したりすること自体が悪いのでありまして、そういう事件の発生を極力防止してもらいたいということを念願するわけであります。今回のやつはもちろん故意によるものではございませんけれども、従来の例にかんがみてみましても、油を海中に不用意に投棄するという場合が比較的あるやに判断をされるのであります。これにつきましては、国際条約もあることでありますから、そういう国際条約に日本も積極的に入って、船舶に一定の施設をしてそういう油が海中に投棄されないような配慮もしてほしいというふうに私ども考えております。  なお、根本的には漁場がもう年々歳々痛めつけられた場合に、沿岸漁業の構造改善の一環としてその漁場については別途の対策を講ずる必要があるかないか、これらはやっぱり非常に大きな問題として私どもさらに今後の研究課題だと思っております。これについてはそういう立場からの検討は今後も続けて参りたいと思っております。
  139. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 大森君の質問に関連するわけですが、油の試験をしてそれがどうも見通しが自信がないというのだが、どこかほかの機関へ試験を委嘱して移すというような努力はしておるんですか。
  140. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 今回は神奈川県の工業試験所に鑑定を依頼いたしました。まあ、そのときによって鑑定の依頼先は違いますが、まあ、今回はそういうところに依頼したと、こういうことでございます。
  141. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 科学的な根拠は、何も油ばかりじゃないのですが、一応それは、油の試験をするのだと神奈川県の工業試験所に依頼しておったが、結論が出てこないというのでしたら、なおほかに国の試験研究機関はあるわけなんでしょう、ですから、責任をとるとするならば、そこで結論が出なければ、さらにどの機関でも委嘱するという努力は払わなきゃならぬと思うのですが、そのこともないで、ただその見通しがないというだけでは、少し無責任じゃないかと思うのですがね。この点どうですか。
  142. 大森創造

    ○大森創造君 関連。あなたは、あなた、何げないことと思って、聞いているか聞いていないかわからないような態度でおられるようですが、私はこれは重大だと思うのです。これは、こういう事件が発生したときは、水産庁とそれから海上保安庁その他の関係方面が動くでしょうけれども、だれが一体重大なきめ手になる鑑定の問題をつかさどるのか。試験所とか試験研究機関というのはね、それは国内に相当数あるのですよ。たとえばそのことを責任をもって水産庁がやるとすれば、はたしてその神奈川の何とか試験所に委託をしたかどうかわからないし、それからわれわれが黙って聞いておると、まあ六億とか七億、八億とかの被害がある、きょうの発表によると三億何千万かの被害であるというが、とにかくこういうもののきめ手になるのが鑑定であるということになれば、あれほどみんなに催促をされて、海上保安庁のほうでは、本気にとりかからねばならないことは当然であろう。それなのに、海上保安庁のほうで、一応担当庁として軽く考え、形式的にやっておるから、今もって鑑定ができない、今後もこういう不可能であろうという結果が、出てしまったと思うのです。これは重大問題です。漁民の救済のためにはどうしても鑑定をやってやらなければならぬ。国として、水産庁か、あるいは海上保安庁かが、適当な政府機関が、ひとつ責任をもって、どこか権威のある機関に委託して、しかも初めから漁民の要望に応ずるように、しっかりした機関に、一番適切な方法で頼んだならば、今と違った結論が出たのじゃなかろうかと思うのですよ。ところが、海上保安庁の側の今の御答弁のようなことになってまことに残念しごくです。あれから一体何日たっていますか。結局油が拡散してしまって船もいなくなっちゃってだめだということになれば、この被害救済は一年たっても二年たってもだめだということになりますよ。私の言いたいことは、こういう重大問題について、その救済の原動力というか、そのきめ手になるのは、実に油の鑑定にあったのだから、ひとつ国として当初から責任をもってしかるべき試験研究機関へ、しかるべき方法で鑑定を依頼するというやり方がとられていたら明快な結論が出たのじゃないかと想像するのですよ。それが、水産庁のほうはどうだ、県の水産課はどうだとか問題を持ち回して、肝心な海上保安庁のほうは、今北村さんの質問に対してお答えになったように、大体アメリカの船がぶつかった場合は海上保安庁のほうが、まあまあ形式的にでもこれはひとつ調べにやならぬということでいろいろ各方面に話などはしますが、まあ鑑定も所管のうちだから、軽い調査をひとつ依頼しましょうという態度だった。だから、この前私が申し上げたように、鑑定の催促もしないでほっておく。委託された試験所のほうは、今は予算編成期ではあり、同じ官庁だから、書類の中で五十五番目ぐらいに鑑定の依頼書が突っ込まれてしまったに違いない。それを小笠原氏と私のほうで催促をした。この場から電話をかけよと申したので、あなたのほうで初めて督促の電話をかけた。そして、今日になって私のほうであなたのほうに鑑定結果の発表を催促をしたところ、水分が入っていてわからないという結論になってしまったのです。私は、そういうふうに、何げなしに、海上保安庁はこの鑑定が明快に出るというと、こうこうなると水産庁のほうもこういうふうに動く、地元のほうもこういうふうに動く。そのきめ手になるのはこうだ。最初に申し上げたように、そのきめ手になる鑑定がわからない。水分が多くてどこの油だかわからないというのならば、一銭も払いませんよ。見舞金も何も払いません、それが筋だから。そこのところ、一番こいつが重大なポイントだから。国でやるというものがないのですよ。内部の統一連関性がない。それで、海上保安庁は、船がぶつかった、しかも船がアメリカの船であったから、まあ去年もおととしもあったんだから、同じような文書をひとつ横浜の試験所のほうにお願いしましようということになって、催促も何もしないから五十五番目になってしまった。日の目を見るまでにあと半年くらいほんとうはかかるべきはずのところ、本委員会でごたごた言われたから、催促の電話がかかったから、ずっと前に持ってきた。そのときは油は拡散しちゃって、流れちゃってわからないという結論が出ちゃった。だからこの問題について、一体この重油の鑑定という問題について、政府として、これはしっかりした態度をきめるというのが、海上保安庁も水産庁もそれらをどうやっていいかわからぬ。水産庁だってできるはずでしょう。ここのところはどうですか。
  143. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 水産庁に水産研究所等がございますけれども、国の研究所がございますけれども、ここでは油の分析等は権威をもって判断を下すことはやっぱり不可能だと思います。やっぱりそれはそれぞれ権威のある研究所なり試験所に依頼するのがやっぱり本筋ではないかと、私はこう思います。
  144. 大森創造

    ○大森創造君 一言。私は行政の責任の問題だと思う。何となく水産庁も海上保安庁もみんな投げやりであって、ひとつまとめて地元の漁民のために救済する一本筋の入ったものがなかったから、したがって鑑定依頼だってやめたということと、海上保安庁のほうがそういう委託というか、鑑定の依頼を横浜の何か試験所にするのがいいものかどうかということも、私は今となったら同様の事件が今後起きた場合には、もう少ししっかりした腹でもって権威のある、しかも何が何だかわからないような結論でなしに、きっと出る。当然出ると思いますよ。私は次長のお話によって総合判断してみるというと、私は大体これは加害者はイーグル号であったということに、そういうふうに推定できる。そういうふうに話は持っていける。外交折衝もできるだろうと思う。より科学的な方法でできるという議論があると思うのですよ、方法があれば。これは私は今となっては仕方がない問題だけれども、これは何というか、鑑定について、どこの省がどこの私は研究機関に頼んでどうだというしっかりした腹がまえがないということと、こういう事件発生について内部の意思統一というふうに一貫性がないということを主張したいのです。
  145. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それからもう一つ。まあ、油の問題は少しさておきまして、科学的の論拠というものは、証拠というものは油ばかりではないと思うのですよ。当時の千葉海岸付近における、あるいは東京湾内における船の行き来の状態、こういうようなものを見て、そうしてその状況を判断してみられることも、これも科学的な根拠の一つなんです。したがって、海上保安庁ならそういうようなことは十分把握しているはずなんですよ。したがって、そういうような、その当時の状況から動かしがたいところの科学的な論拠を立てて、そうしてこれをもってイーグル・コリア号の船を持っている会社に、こういうような状況であなたのところに間違いないのだ、こういう権威ある私は交渉も必要じゃないかと思うのですよ。そういうようなことがやはりこれは論拠の一つなんです。ただ見通しのつかない油に、今のような行政措置によっておったなら問題はいつまでたっても解決つかないのじゃないかと思うのです。こういう点についてどんなようなお考えですか。
  146. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) まあ、鑑定の結果は別としまして、先ほども申しましたように、まあもちろん海上保安庁としましても、四囲の状況から見まして、イーグル号からの油による被害であったという可能性が強いという所見を先ほど来申し上げましたが、そういうような所見でまあ現に民事訴訟が提起されておるようでありまするが、もし裁判所から要求がございますれば、それに応じてできるだけのことはいたしたい、かように思っております。
  147. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 裁判所からそういう問題が提起されればということでなくて、水産庁にしても、海上保安庁にしても、この問題については責任があるわけです。過去のこういういろいろな油による被害の問題は、かなり、ほとんどが未解決のままでいっておるし、涙金で済まされておるわけなんだ。しかも先ほど村田次長の答弁によりますというと、その何かしら、ね、科学的にまあ論拠があっても何でも、過去の実例を見ますというと、訴訟するというと、特に外国船の場合には、訴訟するというと、いつまでたっても解決がつかない。したがって、示談のような場合におきましてはこれはすみやかにできるというようなことになりますと、示談ということに持っていけば犯人がすぐわかる、こういうようなことにも受け取れるわけなんですよ。そうだとすると、これは非常におかしいわけでしてね。ですから、やはりこういうような状況の中であんたの船らしいものがこういう結果になった。あんたのところのことはどうだというぐらいの、訴訟を待たないでもそういう一つの権威あるところのいわば態度というものがやはり漁民のためにとっては必要ではないかと、かように考えるわけですけれどもね。
  148. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 関連。科学的分析の問題は、私はまだあきらめておるわけじゃないんですが、ノリの被害が起こったという事実、これをかりに犯罪にたとえると、油の分析というやり方は、直接的な捜査というふうにたとえるならば、現にここに被害があった、そうしてその被害をだれが起こしたかの——イーグル号の油で起こしたかどうかという、直接鑑定をやろうとして今努力はしておるけれども、これを逆な行き方として、現に被害があった、そういうような被害が通常の場合あるかないかということ、これはないにきまっておるのですが、そうすればだれかが油を流した。だれかが油を流したが、その貴重な油をただ捨てるばかは世の中におりはせぬ。そういう線から追及していって、イーグル号以外のもので大量の油を流したものはないんだという確認をとる、そして現に油で被害が起こったということであるならば、イーグル号の油によって被害が起こったという確認は、これは科学的に私は言えることじゃないか。犯罪捜査のやり方には、直接その原因を裏づけするやり方と、間接的にこれを裏づけするやり方と、二通りあると思う。間接的な方法でだって、これはけっこう科学的な証明ができる。ほかにない、ほかにだれもないんだ、そして現に被害が起こった、だとすればこれ以外にないんだという、これは科学的にはっきり論拠づけられると思うのですが、その点についてはどうですか。
  149. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 私どもは、先ほども申しましたように、イーグル号の遭難現場からノリひびのところまで連なったような実況は見聞いたしておりません。したがいまして、ああいう表現をいたした次第でございますが、まあ最初に申しましたように、この事件が発生した時期的な関係と、まあ今までの私どもの調査では、当時から油が流れておったというような形跡が見当たりませんので、おそらくイーグル号から出た油によって発生したものであるという可能性が強い、こういうふうに申し上げだのであります。
  150. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 「おそらく」という言葉になるのですが、「おそらく」では断定にはならぬわけですね。私が今言ったような方法で詰めていけば、「おそらく」ということじゃなしに結論が出るはずだと思うのです。
  151. 木島義夫

    ○木島義夫君 私の話は、櫻井さんの述べられたことと関連していることでもございますし、最初に私申し上げておきますが、私千葉県出身でありまして、千葉県は地元でありますので、この問題には特別の関心を持っておるものであります。先ほど来皆さんからの御熱心な御質問、私ありがたく拝聴しておったわけです。一体イーグル号が座礁したときに、船の一部分がこわれて油が流出したということは認められるはずだと思いますが、これはどうですか。これが一つ。それは船を調べればすぐわかると思うのです。そうすると、先ほどもどなたかからお話があったとおりに、海上に貴重な油をただ捨てるはずはないのです。座礁か何か発生したときに初めてそういう事件が起こるのですから、だから座礁した船があった、油が流れたということは、つまりその船から出たということが類推できる。しかし、そうであるかないかということは、一面座礁した位置を調べて、その位置に、どなたかが先ほどおっしゃったように、ブイか何か流してみるということをすれば、潮流の工合などからいって、木更津の海岸へ油が流されるか、油がどちらの海岸に流されるかというようなことが大よそわかるはずだと思う。そのときの風の方向とか何とかいろいろあると思いますけれども、海には潮流が流れておりますから、私はそれで探求すればわかるじゃないか。また、海上保安庁のごときは、そういうことをやるのが商売じゃないかと思うのですね。そういうことを何もしないで、わからない、わからない、油は日がたったからわからなくなった、そういうことではあまりにも私は無責任過ぎると同時に、外国をおそれて、いわゆる日本の外交の外に対する軟弱を示しているものだと思う。日本国民の一大恥辱じゃないですか。こんなことがわからなくて、何のために海上保安庁やいろいろあるのですか。私はほんとうに歯がゆいように思う。一体、あなた方何しているのですか。それから、私はこういうことも聞きたい。調達庁は、アメリカの船長に、いろいろそういうことがあったかないか知らぬけれども、交渉したときに、向こうのほうでは、陸揚げするまではアメリカ軍に雇われてきたのだ、しかし、陸揚げしてしまえば、おれのほうはもう関係ないのだ、こういうことであった。だから調達庁では、しょうがない。裁判でやっても、四年も五年もかかるだろうから、しょうがないというような話だった。ところが、その後またこういうことがわかったというのです。横浜の地方裁判所の川崎支部の女の裁判長は、事件の突発した当時、船長を尋問したところが、船長は、この船は依然として米軍と契約関係があるのだと、こういうことがわかった。しからば、何かの方法によって、イーグル号から出た油であるということがわかれば、今度アメリカの海軍なり陸軍なりを相手に交渉ができるのだから、したがって取りはぐれがない、こういうことになると思う。先ほどいろいろな、何か一応七億五千万円の損害があった——私は千葉県民としてこれを傍観しているわけにいかない。ことに農林委員の一人である以上は、このことについてはどこまでも追及して、皆さんとともに調べていきたい、こう考える。これに対する御意見を聞きたい。
  152. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。この問題、今御質問したときは、とにかくあれは座礁したというのでしょう。座礁はしたのだから、事故船として、保安庁はすぐ出ていった。そのとき油はもう流れておった。その際いろいろな証拠は、この船から出たことはあなたのほうにあると思います。それが流れて出た、それも証拠を持っている。だがしかし、富津の鼻先に来て風が変わって、風が変わったために行方不明になった、こういうことなんだ。行方不明になった、そこに問題がある。それは時間的にどのくらいの差があるのですか。今の関連と一緒です。今御質問になったような点は、あなたのほうでも全部確認しておられる。証拠を持っておられる。富津の先までその油が来たのだということは、この間あなたはそういう証明をせられた。そういう証拠は全部持っております。だが、富津の先に来た場合に、今の御答弁を聞くと、富津の先に来て帯状になったところまでは見たのだが、それから先のことは、風速が変わったために行方不明になった。だから、それから先は、おれは何ら証拠を持っておらない、こういう御答弁だった。うそだったらこれを調べてごらんなさい。そのときはそう聞いた。思い出して下さい。なぜに、ついてきてどこへ行ったまで調べないのか。そこでなぜおっぱなしたのか。あんまりけしからぬじゃないか、こういう質問を私はしているつもりなんです。今おっしゃるように、その点では、あるところではちゃんとあなたのところに証拠はそろっているんでしょう。一緒に答弁して下さい。
  153. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) イーグル号の座礁によりまして、同船から油が流れ出ましたことはもう事実でございます。それは私どもも現認しております。それから油が帯状になりまして富津の沖にまで、幅約五十メーターくらいといっておりますが、流れておりましたこともこれは確かに現認いたしております。その後私が申し上げましたのは、非常に小さい巡視艇でやっておったのですが、非常に風が強くなりまして、その後の追跡ができなくてその日は打ち切っておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  154. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  155. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして下さい。  天田君、発言お願いします。
  156. 天田勝正

    天田勝正君 じゃ聞きます。私はまず指摘したいのは、どだいこの問題では水産庁も海上保安庁もてんと本腰を入れてないと思う。それが問題なんだ。本腰を入れておれば、もう今の何が、法律が不備ならば応接にいとまないほど役人は法律を出してくるんだ。不備なのはとっくに知っておりながら、知らぬふりしてたというところにまず問題があるんだ、法律でできませんと言うならば。実に私は勉強不十分とか何とかじゃない、ふまじめだと思うがね。この出された資料を見ればよくわかる。不まじめなんですよ。皆さんもずっと見ておられるけれども、これの、どこにどういう被害がありました、どの船が座礁してどの船から油を出した、みんな原因が書いてある。それで今度はそのほかに対策のところを見てごらんなさい。対策の中の一番ひどいのは何も書いてないところがある。何も書かない対策というのは、私はもうじき五十六になるはずだけれども今まで見たことがない。対策というのは何かやって対策なんですよ。一言も書いてない対策というのは世界広しといえども、あるかといえばないのです。それから、それよりもずっと軽いけれども、どこへ行って陳情したの、どこへ要望したのというのがある。これは被害者が要望するので、何も政府側へ求めた資料対策じゃありやせん。陳情がわれわれのところへも来た。そんなものは対策にはなりませんよ。その陳情を受けたからどうかしたというのが初めて対策なんだ。政府にせよ、県庁にせよ、そういうものでなければならない。それから、実にしばしば決定的な結論は出ないと、こう書いてある。これが実によけいにある。結論が出ないというのが対策か。これもまた聞いたことがない。こういうわけで全然もう……。あれを見るというと、まだ一番いいほうが「両当事者目下交渉中」と、これが一番いいやつなんだ。これはあんまり、これも対策のほうでは普通の常識からすれば入らないけれども、せめて交渉中、それも三十二年ころ起きたのが交渉中なんだから、およそこれはあいまいになるのは見通しが立ってるけれども、それにしても交渉中が一番上等、この対策の中で。あとは結論が出ませんの——何ら補償措置は講じていない。補償措置はちっとも講じないというのが対策だというんだ。たとえばこの21のところにありますよ、愛知県の被害、これには「補償等は行われていない。」補償してくれといったのをちっとも行なわないというのは対策じゃない。そうかと思うというと、「海上保安部に取締強化を要望」そんなのは初めっから要望しているんですよ。これも対策じゃない。よって、対策じゃないものばかりだ。しかも自分の、政府側の対策じゃない。被害者自体が要望したのを、交渉中というのが一番上等な対策、不まじめなんですよ、これは。だからこういうことになる。今度の場合だって、さっきから各委員から言われておりますから、私は重複は避けます。どっちにしたって油というものが天から降ってくるのを見たこともないし、風で吹き寄せられたということも空からはない。そうだとすれば、それはどの船かから流れ出たことだけは間違いないんですよ、これは。あるいは海岸のタンクから流れ出たとかね。今度のイーグル・コリア号というものだって、清澤君が指摘したとおりなんです。こういうのを、私はわざわざ加害者側に何というか、味方をするというような格好で行方不明に終わらしてしまっているんだろうと思う。時間をかけると油だってどっかへしまいには行ってしまう、年限かければ。もっともこのうちにありますよ、さっきの対策の中に。さっき私は見たからついでに申し上げておくわ。これも不まじめきわまる対策の例だから言うが、9です。これもちょうど千葉。これはアメリカ国籍の貨物船アラスカベア号という七千六百四トンの座礁沈没に伴う流出油だ。今度それの対策のほうを見ると、こういうふうに書いてある。「海岸汀線の岩礁間に滞溜した重油量は相当多く」という「相当」というのはどうだか知らないけれども、とにかくかなり多いと思うという意味だろうと思う。「かなりの層をなして浮游していた。しかし、その後のシケにより自然に他へ流出除去された。」こういうのが対策なんです。天然自然にどこからか風が吹いてきてしけになってどこかへ行ってしまった、これが対策だという。実に不可思議しごくなことなんでありまして、今度の場合もちょうどイーグル号から出たということだけはこれはもう認めているけれども、そっちへ零細な漁民がじかには訴訟だの何だのもできないし、交渉もできないから、そこで政府が何とかして下さい、向こうへ交渉するのは国民の代表としてやって下さいというのが最初要望すべき対策でなければならない。そういうことを要望しておるのです。そこで、そういうことをちっともやらない、こういう不まじめな資料を出してきたというのは一体どこに責任があるのです。まずこれを聞かなければならない。  その次に、さっき海上保安庁のほうから言われた、私のほうのやることは故意の場合でございますと、その他のことについてはどうも云々というので、あとのことはよくわからなかりたけれども、しかし、故意だか、ほかの理由だかかけつけてみなければわからぬでしょう。そんなもの、そうでしょう。南海丸が沈没した場合には、あの荒天の中を冒して現場へかけつけているのですよ。第五何というのですか、あすこは、かけつけている。そうしてあの荒天の中でもその原因をちゃんと調べているのですよ。やればできるということなんです。今度だって時間をえらいかけていないで直ちにそのときに何すれば、その責任だけはもう明瞭なんです。何か水産庁のほうでは、当事者を決して押えるものではございません、どんどん民事訴訟でも何でもおやりになってと、それもどうだという場合には話し合いでと、その話し合いも別に私どもは押えることはありません。まことにこれは四角四面なかみしも着た答弁なんです。ところが、それができないのが零細漁民の零細漁民たるゆえんなんだ。そこのところを政府がやってくれなければだめだ。また、元へ戻るような話で済みませんからやめますが、そこで海上保安庁のほうは、どうして故意だの故意でないのということをどこで判定するのですか。この場合は故意ではありませんと、行ってみなければ何だかわかりゃしない。どういうのです、それは。故意でない場合はかまわないんだ、そういうふうな海上保安庁なんというものはあってもなくてもよろしい。どうですか、それは。
  157. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) このような事件がありました場合には、もちろん海上保安庁は急いで現場へ調査に向かわしております。で、今回の事件におきましても座礁事件が発生しましてから直ちに出ております。そうしてただ故意犯云々ということではありません。今回の場合におきましても、船主側に対しまして、できるだけ出た油の処理とかいうような点につきまして勧奨をいたしまして、事実船主側においても相当処置をとっておる、こういうふうな事情でございます。
  158. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 先ほど御指摘がございました資料についての釈明をさしていただきます。この資料は第一ページにお断わり書がいたしてございますように、水産庁が各府県に報告を求めた。その報告をそのままここに収録をいたしておるのであります。そのことは第一ページの冒頭の備考のところにお断わりがしてございます。したがって、ただいま御指摘のございましたように、対策などのブランクなことがありますことは私どもは非常に心外でありますけれども、県の報告それ自体がさようになっておりまして、これらの問題は今後水産庁といたしましても、これは一体どうしたことかという、さらに追及と申しますか、事態を確認していく措置はとって参りたいと思いますが、当面、これはさような趣旨で各県からの報告、なまのものをそのまま整理をして収録いたしましたので、さようなことのありますことを御了承願いたいと存じます。なお、御承知のように、この種の事件が起こりました場合の処置は、一次的には当然府県庁がいたしておるのでございます。水産庁にそのまま上がってくる案件はもちろんでございますけれども、それは案件の事と次第によるものでございまして、われわれが承知していないような案件、この調査で初めて知ったような案件もたくさんあるのでございます。しかし、御指摘のような点について、さらに水産庁としても積極的にこういう問題に関与して、事態の解決を促進するような方法を講ずることは私どもはやぶさかではございませんので、今後さらに注意をいたしたいと思います。
  159. 天田勝正

    天田勝正君 今のに関連して、それは、次長が下のほうから上がってきたのをそのまま出したのを了承してくれというけれども、私はそういうことじゃ了承しません。もし本委員会で了承するのなら私はこれは問題にしなければならない。本院においても、この政府委員の承認については実に厳重にやっています。それでこの間も少し気の毒のようなことを私はここに参事官か何かのとき言うたのですけれども、われわれは世間に出た場合に、政府委員と正式になっている人の言ったことならば、これは政府を代表して言ったんだということがどこへでも言えるし、それによってまた次の追及もできれば質問もできるけれども政府委員とならざる者には私どものほうがそれを言うことができない。資料もこれと同様なんだ。下のほうから上がってきたからそのまま出したなんといったって、ちゃんとこれは水産庁から出しているんですよ。水産庁から出している。農林大臣責任を持って出したものでなければ、われわれはとても、からの議論をしたって始まらない。でありますから、下から予備的な資料が出されようと何であろうと、政府委員においては——だれとかいうのじゃない、担当の政府委員においてはそれを精査して、そしてここへ委員会を侮辱せざるような資料として出すのが当然なんです。もし、今後そういうことであるならば、私は委員長に注文をつけ、はっきりさようなことは本委員会においては承知できない、こういうことにしてもらいたい。だめですよ、下から上がってきたというような、そんな不権威なことでは。政府委員がちゃんと精査して出さなければ……。
  160. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を起こして。
  162. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 神奈川県の工業試験所というのは県立ですか、国立ですか。どういう試験所なんですか。
  163. 村田豊三

    政府委員(村田豊三君) 県立でございます。
  164. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 県立でなかなか結論が出なかったならば、やはり国立のほうがいろいろ充実していると思うのですよ。なぜそういうところに持っていって結論をつけないか。そういうことをするのがあなたのところの任務だと思う、また責任だろうと思う。そういう努力を積み重ねないで、県立工業試験所で結論が出ないから、これは何としても確認的な論拠がつかめないでは無責任じゃないか
  165. 清澤俊英

    清澤俊英君 僕もちょっと……。
  166. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 簡単にお願いします。
  167. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、あまり聞かないことにして言いますが、試験問題ですが、さっきから櫻井さんが言われているような、逆にほかの油が流れてこなかったらそれに違いないという逆の議論が出た。そこで、この問題のとき、二つの試験所へ出しましたが、やはりこれは油がわからない始末だ。試験結果が出ておりまして、前段の油と合わない、ある日数を経ましたから、かりにノリのさく等についたものを持ってきて、その油を削って試験した結果、いろいろやりましたが、とうとうそれは不明だった、合わないでしまった、こういう結果が出ているのです。そういうものがありますならば、これだけ出ているのだから、なぜに水産庁等が中心になるなり、あなたが中心になるなりして、相当の予算をとって、こういう性質の油を何日間こういうものの水の中に置いたらどうなるとか、あるいはかわいたものについて、かわいてみたらどうなるとか、常時試験ができないのですか。どう変わるかということ——それくらいの用意があってしかるべきものだと思うのですよ。これはひとつそういうことに対して努力していただかなければならない。これは大臣にかわって、農林政務次官から答弁してもらいたい。  第二番目は、さっき申したとおり、何かどうも通産省の関係があるとか、船のほうの関係があるとかいって、請負者に順々にいって、無責任な、とほうもないことを言って、どうにもならないことを言っている。これは、契約の当初において、資格ある契約者に賠償責任があるということは、これはよその官庁みんなやっている。それくらいのことをどうもやる気がないというのはおかしい。それに関連したものとして、今問題になっているのは、昨年の、もう問題になりましたが、勝浦の港の中にたくさんの人糞が入ってしまった。当然放棄しなければならない場所に放棄しないで、地元で放棄したために人糞が入った、こういう事件もある。そういうものに対しては、東京都なり何なりが、そういうものを請け負うた者が、だれにさせようと、そういうものがあった場合には、元請人が責任を負うと、ちゃんとついていけばいいじゃないか。和歌山県において爆弾を投棄したために問題が出た。これもやはりそれと同じことだ。投棄すべからざる所に投棄した。なぜに責任のある者が法律にきめられた場所に投棄しなかったか。それくらいのことをやらないで——こういうふうにたくさん出てくる。これに落ちておるものがうんとあると思うのです、いろいろのもので。そうして行方不明になって泣き寝入りさせてしまっておるものがどのくらいあるかわからない。どうしてできないか。私はこれはもう次長や保安庁のほうの御答弁要りません。腹のふんどしを締めて、中野さん、そのくらいのことは大臣とよく相談してはっきりとした返答をしてもらいたい。
  168. 大森創造

    ○大森創造君 一言お聞きしますが、試験所の問題、なぜそこを選んだかということを聞かせて下さい。幾多試験所があるのに、その何という試験所で、どこに所在して、どうしてそこの試験所に依頼したかということを一言お答え願いたい。  それからもう一つ委員長にお伺いしますがね。非常にこの問題私は興味を持っておる。それで一体試験所のだれという人が試験をしたのか、どういう文書をあなたのほうで受け取ったのが、これは私は科学者じゃないからわからないけれども、県立試験所の何という技官で、当年とって何才の人で、どういう学歴で、どういう経歴を持った人がいかなる方法で試験をしたか。私は今までの議論でわかるのです。科学者でないといっても、こんなことがわからないことはないと思う。あなたのほうがどうしても本腰を入れてやると、依頼をしてやると、しっかりしたものがあるならばいいが、私が当初から言っているように、これは一つの事務だから、これは海上保安庁のほうがやるのだ。ノリの試験所があるから頼んでみようと、軽くやっているのじゃないかと、私はそうでなければ幸いだと思うのですが、どういう人がやったか、どういう人が文書で受け取って、どういう作業をしたのか、それを事務的に段階ごとに分けて調査したいと思う。次回に委員長のほうで取り計らって、さらに調査するということですから、抽象論をやってもわからないから、あなたのほうで文書を出したのはいつ、だれがどういう顕微鏡でどういうふうにやったか、それをお願いしたい。
  169. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次回でいいですね。
  170. 大森創造

    ○大森創造君 次回でいいです。
  171. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  これをもって委員会を散会いたします。    午後四時三十三分散会