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1962-05-02 第40回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月二日(水曜日)    午前十一時三十八分開会     —————————————   委員異動 五月一日委員平島敏夫君及び村上道雄辞任につき、その補欠として大谷藤 之助君及び木村篤太郎君を議長おい指名した。 本日委員木村篤太郎辞任につき、そ の補欠として徳永正利君を議長おい指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            塩見 俊二君            徳永 正利君            一松 定吉君            松村 秀逸君            吉江 勝保君            横川 正市君            高瀬荘太郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君   政府委員    防衛庁政務次官 笹本 一雄君    防衛庁参事官  麻生  茂君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 久保 忠雄君    調達庁長官   林  一夫君    調達庁次長   真子 伝次君    調達庁総務部長 大石 孝章君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君    調達庁労務部長 小里  玲君    厚生政務次官  森田重次郎君    厚生大臣官房長 山本 正淑君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    厚生省社会局長 大山  正君    厚生省保険局長 高田 浩運君    厚生省年金局長 小山進次郎君    厚生省援護局長 山本太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨日、平島敏夫君、村山道雄君が辞任され、大谷藤之助君、木村篤太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、衆議院おい修正議決されておりますので、その修正点について、便宜政府から説明を聴取いたします。
  4. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 衆議院修正されました点が二点ございます。それは、厚生省設置法は、三月末日までに議決されるという予定で条文を作ってございましたので、それが三月を経過いたしましたので、その関係整理内容とする修正でございます。  第一点は、医療制度調査会が、三月三十一日限りで、時限の審議会でございまして、なくなりますので、それを本法の公布の日からその関係を施行して、そしてその「(医療制度調査会に係る規定効力)」という附則に一項を設けまして、「厚生省設置法第二十九条第一項の規定医療制度調査会に係る部分は、この法律の施行の日にあらたにその効力を生ずるものとする。」という一条を起こしてもらったわけでございます。  第二点は、三月末日までにこの法案が成立する予定でございましたので、三月三十一日までの厚生省定員幾らということを規定してございましたが、それが不必要になりましたので、その三月三十一日までの定一員の項を削って、以下各項の順序等を繰り下げたということでございます。
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 以上で説明は終了いたしました。これより質疑に入ります。  政府側出席の方は、灘尾厚生大臣山本官房長小山年金局長山本援護局長今村会計課長説明員として熊崎保険局次長大崎総務課長、実本人事課長渥美医務局総務課長福田援護局庶務課長の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 厚生省設置法一部改正について、たくさんの問題があるわけでございますが、審議の上に必要な点を若干確かめておきたい、こういうように思います。そういう点からひとつお伺いをいたしたいと思います。  今度、社会保険庁ができるわけでございますが、外局を作るということはこの十年来なかったのじゃないかというふうに思っておりますけれども、外局を作るということは、ほとんど不可能だというふうに言われてきたように思いますが、今回この保険庁ができるということになったわけですが、さらにその作り方が年金局とそれから保険局と、その局はいずれも残りまして、そして外局ができる、こういうまあ形なんですね。で、こういう形はまあ今の各行政機関の中で大蔵省に一つ主税局とそれに国税庁というのがあるだけのように思いますが、したがって、この点はこれからの論議の大きなまあ重点になると思いますけれども、それはひとつあとにいたしまして、こういうふうにした場合に、新しく保険局及び年金局所掌事務が載っているわけですが、内部部局としての保険局と、年金局がある、そして外局社会保険庁がある、こういう形ですが、具体的に職員を例にとりました場合に、職員がどういうふうな監督を受けるのか。県にあるわけですね、地方公務員法附則のによりまして、そういう県におる人は、どういう指揮監督に服するのか、その点をまずひとつ伺いたいと思います。
  7. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 今回の機構改革につきましては、地方庁機構は手をつけてないわけでございます。今御質問の御趣旨は、地方庁職員がどういう監督を受けるかということであろうと存じますが、地方庁は、御承知のように、府県保険課あるいは年金課というもの、あるいは国民健康保険課というものがあるわけでございますが、それでさらに下部組織といたしまして社会保険出張所がございまして、社会保険出張所につきましては、これは現業事務だけをやっておるわけでございます。そこで、府県のそれぞれの課におきましては、現業事務のほかに監督事務もあるわけでございまして、したがいまして、今回現業官庁といたしまして中央社会保険庁を置くわけでございますので、各社会保険出張所までを通じまして、現業事務につきましては、一本で社会保険庁系統になる。今までは保険局年金局がそれぞれ現業企画監監事務を兼ねておりましたので、両方からの指示が行っておりましたが、現業事務に関しましては、今回は社会保険庁一本でその系統になるということに相なります。問題は各府県保険課年金課でございますが、これは現業事務のほかに企画監督事務も若干あるわけでございます。企画事務はほとんど中央内局としての保険局年金局でやるわけでございまして、府県企画事務というものはほとんどございませんが、ただ若干の監督事務があるわけでございます。この関係につきましては、今度の機構改革によりまして、内局たる保険局年金局指示監督を受ける、こういうことになるわけでございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この内部部局であります保険局年金局、これと保険庁とはどういう関係になるのですか。
  9. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 内部部局といたしましての保険局年金局社会保険庁という関係は、上下の関係もございませんし、また、監督といったような関係もないわけであります。社会保険庁は、厚生大臣のもとに外局としてあるという形に相なるわけであります。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 保険局それから年金局企画調査、こういう面はどういう形でいくわけですか。保険庁は全然抜きにしてやるわけですか。企画をされる場合、調査が必要でしょう、そういうものはどうなるわけですか。
  11. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 現業事務に関しましては、あげて社会保険庁で、いわゆる現業事務各種企画面もあるわけでございまして、そうして実態を把握し、かつ業務の運営を行なっていくためのいろいろな資料調査というような現業部門に関しましては、社会保険庁で持つわけでございまして、したがいまして、内局たる保険局年金局各種立案をいたしますに際して、必要な資料といったようなものは、現業庁としての社会保険庁で持っておる資料を利用していくということはあるわけでございます。これは監督いたします。たとえば健康保険組合について健康保険組合から資料を取るというようなことと同様な意味におきまして、各種資料は、それぞれの現業のものを利用するということはたくさんあると思います。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 内部部局であります保険局年金局、これが調査をやるという場合は、保険庁調査で間に合わせるというのですか。
  13. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 調査と申しましても、各種調査があるわけでございまして、たとえば今度できます保険局を例にとってみましても、たとえば医療に関する診療報酬をどう算定するかといったような業務は、内局たる保険局の所管でございまして、そのために必要な調査というものは、内局におきまして独自でやっていく、こういうことに相なると思います。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題はその程度にしておきまして、次に、従来ありました年金局と、保険局定員は、七百三十名のようでありますが、外に保険庁ができました場合に、外局が新しくできました場合に、この定員の割り振りはどういうふうになるのですか。
  15. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 今回の機構改革に伴いまして特別の増員はいたしてないわけでございまして、現在保険局年金局定員が、今回の改正によりまして内局関係が百八十四名、うち保険局が百二十二名、年金局が六十二名、合計百八十四名、外局が五百六十九名になる予定でございます。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 従来、保険局年金局があった場合の定員が約七百三十名、その定員はそのままにしておいて局が二つ残ってそして外局保険庁ができる、こういうことになるのですか。
  17. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) さようでございます。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 長官ポストとか、部長ポストというのは、ふえないのですか。
  19. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 長官、それから部長課長というポストにつきましては、合計いたしまして若干ふえるわけでございますが、それは厚生省内におきまする既定のそれぞれのポストを移しまして、厚生省定員の範囲内においてやりくりいたしております。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、厚生省指名退職制度というのはどういうものですか。
  21. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) お答え申し上げます。援護局は、御承知のとおり、主たる業務といたしましては、終戦処理関係いたします諸業務をやってきたわけでございますが、連年業務縮小が相次ぎましたけれども、大部分職員は、従前陸海軍人であったような関係もございますし、それから例年相当人員縮小ということになりますと、職員の再配置配置転換ということも現実問題として非常に困難だというような事情がございまして、そうした縮小を円滑に行なうためには、普通の退職の方式以上のものを考えてあげなければならないというようなことで、過去ずっと引き続きまして一定の勤務年限以上を持ちます者には、ある年のある時点をとらえまして、指名をいたしまして、その者につきましては、年限によって多少違いますが、長年限勤務いたしました者を例にとりますと、十カ月くらい勤務をしなくて俸給だけはお出しする、その間に適当な職を役所のほうでもお世話を努力いたしますが、同時に、本人も心がけて、新しい職場を持つというようなことで、約九年くらい引き続いて行なわれている制度でございます。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、こういう指名退職制度というのは、ほかの行政機関にもあるのでしょうか。
  23. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 私の知っております限りでは、たとえば調達庁職員で、やはり同様のケースがございますので、相当多数の者がこういう制度で今まで整理されてきたように承知いたしております。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは法律でそういうきめ方をしてあるわけですか。
  25. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) さようでございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、十年以来こういう制度をとってこられて普通の退職よりも優遇してあるということですか。
  27. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 先ほど申しましたように、勤続年数によって期間はランクがございますが、たとえば十カ月間、六カ月勤務しなくて給与を出すという制度でございます。そういう意味におきまして優遇の措置と言えば言えると存じます。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういう指名退職制度というのを、これは厚生省暫定定員関係があるから伺っておるのですけれども、これを設けた理由ですね、今お話のように、なかなか配置転換がむずかしいというような点から設けられたわけですか。
  29. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 数が非常に多いということ、それから今まで経験しております業務が、たとえば援護局業務といいますと、先ほど申しましたように、当時といたしましては、陸海軍人が相当大きなウエートを持っておりましたが、そういう人たち厚生省内部部局職員配置転換するといたしましても、現実に年令でありますとか、あるいは業務経歴等から見まして、相当困難であるという特殊な事情でございますので、特殊なそうした実態を考えられまして、こういう制度が設けられたものと理解いたしております。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、そういう制度があるならいろいろ考えなければならぬ点があると思うのですが、今お話援護局定員が大幅に減っていく、しかし、近年の減り工合を見ますと、そうでもないのですね。十人か二十人程度減っていくということじゃないですか。その程度のものでありますと、これは各省等も十人や二十人というものはいつも減っているわけですから、厚生省は御存じのとおり、定数としては四万幾らという大きな官庁でありますし、十名や二十名減っていくのに、特にそういうような指名退職制度というものを作らなければならないのかどうか。
  31. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 確かに御指摘のように、最近の整理人員としては、非常に少ないことは事実でございます。しかしながら、これは沿革的に申しますと、あるいはおわかりいただけるかと存じますが、現在援護局の旧陸海軍人でございました人で、業務の中心的な衝に当たっていただいております人は、実は防衛庁ができますときに、ずいぶんと防衛庁方面に懇望された非常に優秀な人がおられるわけでございます。しかしながら、終戦に伴います援護局業務も非常にむずかしい仕事でございまして、どうしても本人の意に反して厚生省援護局に残っていただいて、終戦処理最後まできれいにしてもらいたいというようなことで、非常に無理をして引きとめてきたような人が多いわけでございます。そういうことで、従前法律の継続として、人数は非常に少なくはなっておりますけれども、過去引き続きまして、そういう指名退職制度と申しますか、そういう待命制度がありましたものとの均衡を考えまして、今日までごく少数でございますが、残っているわけでございます。しかしながら、仰せのように、援護局職員の逓減ということも昨年あたりから非常にゆるやかなカーブになって参りましたし、いたしますような関係もございますので、また、だんだんと元の陸海軍人にかわりまして、新しいそうでないところの職員もだいぶ入ってきて、いわゆる普通の、厚生省におきましても、他の部局とやや似たような職員構成になっているような事実もございますので、こういういわゆる待命制度と称するものの将来における存続といったようなものにつきましては、私どもそう今後長く続くものとは期待していない、おそらくは今回ぐらいが最後ではないか、こういうふうに、行政管理庁あたりとの折衝経過から見ましても、そう長くこういう制度援護局にあるということは期待いたしていないわけであります。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、この指名退職制度というものはいけないと言っているわけではなくて、なかなかいい制度なものですから、それでこういうものがあるならはなはだけっこうなものだと思って、沿革やあるいは理由を伺っておるわけです。今お話のように、確かにこの四、五年の動きというのは、一年に少しずつしか減ってないわけですね。こういう程度のものであれば、各省ともあるわけですし、ぜひ残ってくれと引きとめても飛び出るわけですからね。なかなかけっこうな案だと思っておるのですが、これはことし限りでなくなるようなお話ですが、さびしいような感じがしますが、そういうような話になっておるのですか。
  33. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) はっきりそういう約束はございませんが、傾向として、将来、こういう制度を続けて持つということは、他省との均衡等から考えて、相当困難ではないかと思われる一般的な観測を申し上げただけでございます。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それから厚生省定員暫定定員となっておるわけですか。すべて暫定定員となっておるわけじゃないですか。そうじゃないのですか。暫定定員とはどういうことですか。
  35. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 暫定定員ということでございます。暫定といいますのは、先ほど申しましたように、本来的な定数を立てまして、たとえば私のほうで、具体的なわかりやすい例といたしましては、北鮮送還のために、新潟の出張所というものを、内部規定で設けたのでございます。しかしながら、こういう北鮮送還業務というものは、私どもの厚生省一般行政のように、恒久的なものではないということがはっきり言えるわけでございまして、そうした趣旨で、一般の、本来的な定数と別にいたしまして、ごく近い期間になくなる人という特別なワクといったようなものを、新たに考えておいたほうが、将来の業務処理なり、あるいは職員配置といったような点でよかろうという趣旨で、暫定定員ということが考えられておるわけでございます。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 断定定員というのは、ことし何名ですか。
  37. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 三十二名でございまして、今回の法律改正によりまして、その暫定定員を十七名にするという内容になっております。
  38. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度、未帰還調査部が廃止されるわけですね。廃止になりまして、調査官がその総括の仕事をするというのですが、この定員はなくなるわけですか。この定員はどういうふうに処理されるわけですか。
  39. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 未帰還調査部は、当初は、非常に大きな、三百人をこえる陣容でやっておったのでございますが、未帰還者の数が逐年減少いたしまして、それに伴います業務縮小がございますので、本年度程度人員となりますれば、あえて部を置く必要がないのではないか。特に援護局には、局長の下に次長もございますので、その下に、さらに部長を置くということもないのではないかということで、その部という組織を課にいたしまして、今の予定といたしましては、調査課というものを置きまして、調査課長が未帰還調査仕事を所管するということに改めたいと考えておるわけでございます。
  40. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうすると、部はなくなりますが、現在おります百五名という調査部定員は減らないんだと、そのまま残って課になるんだと、こういう意味ですか。
  41. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 趣旨はさようでございます。人員は二十名ばかり、昨年実施されました恩給加算業務が新たにできましたので、そういうほうに回したいと思いますが、これは同じく援護局の中にございます。主体といたしましては、ただいまお述べになったとおりでございます。
  42. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ私、審議にあたって、確かめておきたい点は、大体以上の点であります。あらためまして全体の問題のときひとつ伺いたいと思います。
  43. 一松定吉

    一松定吉君 ごく簡単ですが、社会保険庁というのを設ける趣旨はよくわかりますがね、保険庁を設けて、そうしてこの社会保険に関するような問題を二手に分けて、やはり厚生省に残すという、この法律案審査資料の三ページのところ、改正後において、この残した仕事を、一括して社会保険庁に移管してしまってやるほうがよくはないかと私は思うのだが、こういうふうに分けて、今まで厚生省本省がやっておったのを、二つに分けて、社会保険庁を設けた。その設けたために、全部社会保険関係ある一切のものをやって、社会保険庁長官をして指揮監督せしめて、また、厚生大臣指揮監督するということにすればいいのに、社会保険庁を設けて、これに関するものを移送して、なお改正後におい企画立案だとか、調査研究だとか、指導監督だとかいうものを、本省に残すのは、これはどうですかね。こういうことにするために、かえって仕事複雑多岐にわたって、権限争いが起こったりするようなことは、非常に困りやせぬかと思うのだが、むしろそれよりも、これらの問題を全部社会保険庁に移転してしまって、そうして保険庁仕事を、厚生大臣保険庁長官以外に指揮監督権を持っているのですから、こういうようにしたほうが複雑多岐にわたることなく、人員をふやすことなく、かえって簡便だと思うのであるが、それを特にこういうように分けて、それで本省のほうに調査研究だとか、立案だとか、指導監督とかいうようなものを残すというわけは、どういうわけですか。
  44. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) ただいま御指摘のございました点でございますが、御承知のように、今日、社会保険現状からいたしますと、大別して二つに分かれるわけでございまして、医療保険部門と、そうして年金保険部門と分かれまして、特に医療保険におきましても、国民保険が完成いたしましたし、また、年金部門におきましても国民年金ができまして、特に医療部門につきましては、健康保険国民健康保険、その他各種医療保険についていろいろの問題がございまして、たとえばこのアンバランスをどう是正していくか、制度として今後どういう方向に皆保険を持っていくか、こういうたくさんの企画業務があるわけでございます。それで、一方また国民年金ができまして、特に厚生年金部門におきましては、年金制度の大きな改正ということが懸案になっておりまして、一つの局で、一つ局長の下で、あるいは長官の下で、医療保険部門年金保険部門もやっていくということは、とても各種制度の改善、総合調整というものが、進めにくいという現状にかかっているわけでございます。  なお、現業部門につきましても、皆保険、皆年金となりまする関係上、現業部門をどういうふうに改善していくかという点につきまして、手が回りかねるという現状でございまして、そこで現業部門がまず分かれて、かつまた、医療保険についても大問題が山積いたしておりますので、それに専念する。年金部門について年金局長国民年金とそうして被用者の厚生年金とこの方のものについて今後の改革に専念していくということが能率が上がり、かつまた、国民のためになる、こういうふうな結論に達した次第であります。
  45. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたの言うようなことは、複雑多岐にわたるから二つに分けたことはよくわかるが、その複雑多岐にわたるというような問題を二つにわけてやる、これはわかりますが、そのために社会保険庁ということになれば、その複雑多岐にわたるようなものを一切社会保険庁にやらせて社会保険庁が一糸乱れぬ、その種類によっては今、改正するところの総務課監察課健康保険課船員保険課厚生年金課国民年金課福祉年金課業務課社会保険研修課というようなものは、このうちに入らなければ、別にこういう課を設けて本省に残すものを社会保険庁に移してしまったほうが権限争いとかあるいは社会保険庁一本で指揮するのに都合がいいということを私考えておるのですが、こういうふうに分けたほうが複雑多岐でなくなって、かえっていいというのですか。私はこういうことをして厚生省に少し残すのが、厚生省のほうにそういう権限を持たせておい保険庁指揮監督するような仕組みにしようという腹づもりではないかと思うのだが、それではかえって人員がふえて費用がふえてよくないと思うが、その点はどうなんですか。これは私はこういうことをするよりも、かえって社会保険庁にこういうような厚生省に残すものを一切みんな移してしまって、社会保険庁長官をしてやらせるというようなことになってくると、同じ年金の問題でも、保険の問題でも複雑多岐にわたらず、かえってよくはないか、そうして厚生大臣の意思に反するようなことをさせてはいけないということで、厚生大臣が総括的に指揮監督するということをしておけば、これは外局ですから、厚生大臣指揮監督権があるのだから、そういうふうにしたほうがいいと思うが、こういうように分けて、社会保険庁にやるだけやって、一部切り離して厚生大臣がやるということはかえっておもしろくないと思うが、これはどうですか、もう一ぺんひとつ。
  46. 山本正淑

    政府委員山本正淑君) 今先生の言われましたお考えというものもこれは一つの案といたしまして十分検討いたしたわけでございます。これはたとえば各省関係について言えば、農林省の林野庁がそういうような形に相なっておるわけでございますが、今日の社会保険の段階におきましては、繰り返すようでございますが、医療保険年金保険というものについては非常に問題が多いし、解決していかなければならぬというふうな企画立案面が多うございまして、そうして、しかもこれを早急に解決していかなければいかぬ問題でございますが、それに専念するという形にしていくほうがより能率的であるというふうな結論に達した次第でございます。
  47. 一松定吉

    一松定吉君 これ以上は意見の相違ですからもう申し上げません。この程度でやめます。
  48. 下村定

    ○下村定君 官房長もしくは援護長から御答弁をお願いします。今、この未帰還調査部が廃止されまして、そのうちの援護局の編成のことを伺った、この中で、今の御説明によると、戦地加算をやる人員が二十名ですか残る。これは実はこの前の委員会で恩給局のほうにもお願い申すまでもなく、この加算制度調査、それから裁定ということは非常にむずかしいと思う。したがって、当年月を要する、それに専念するものだけは今後もひとつぜひ残してもらいたい。それが一つ。  それからいまだにいわゆる戦犯という名前で海外に抑留されておる者がおります。それから海外の遺骨収集、遺品の収集ということも私はまだ解決されておらぬ。そういう仕事は今度の改正でどこでおやりになるのか。
  49. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 先生御指摘のように、戦地加算の問題はやればやるほど非常に複雑な膨大な業務量であるということを実感を持ってわれわれ味わっておるところでございます。数年かかると思いますが、できるだけわれわれは、その戦地加算がすみやかに行ない得るように事務態勢を整えなければならないと考えておるわけでございます。それで、ただいま申しました二十人は、未帰還調査部から応援として配置がえをするという人員でございまして、本来の恩給審査の業務あるいは遺族援護等の業務に携わっておりまする個有の職員は、根っこにたくさんおるわけでございまして、今御指摘のような趣旨を受けまして一件でも早く処理したいということで、未帰還調査部の二十名ほどの職員をさらにふやすという趣旨のものでございます。  次に、ただいまの御指摘の、海外で、いわゆる戦犯として抑留されておる者の釈放あるいは外地において消息不明となっておりまする人々の消息を明らかにする調査業務あるいは遺骨の収集、それから生存しておる者で、まだ本人の意に反して帰り得ない者等を多数かかえておることは御指摘のとおりでございまして、そういう業務には今後も一そうの努力をいたして参りたいと思いまするし、局をあげて、それぞれ担当の課はございますが、局全体、ただいま御指摘の問題は重要な問題として努力して参る決意でございまするし、また、その人員も用意されておるところでございます。
  50. 下村定

    ○下村定君 今の二点をぜひ確認されまして御努力願いたいと思います。終わります。
  51. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時に再開することにし、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後二時五分開会
  52. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  午前に引き続き、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  政府側から出席の方は、灘尾厚生大臣、森田厚生政務次官山本官房長小山年金局長山本援護局長、五十嵐環境衛生局長、なお、説明員として、熊崎保険局次長大崎総務課長今村会計課長、実本人事課長渥美医務局総務課長福田援護局庶務課長の方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 厚生大臣にお尋ねしておきたいのですが、尋ねるというよりわが党の意見をまぜてお尋ねしたいのです。本設置法については、わが党は反対の立場をとっておるのですが、これから自後反対の理由というものをあわせて質疑の中で明らかにしておきたい。  まず最初に、実は昨年の国会で、その当時は灘尾大臣でなく古井さんのときでございましたが、実は厚生省の設置法の改正案で、環境衛生局の設置がありました。わが党もこれについては非常に積極的に賛成だということで、いろいろ希望をつけて、これは今度の法案と違って非常に無理な点もあったのですが、国会ぎりざりこれが通ったという経緯がある。ところが、せっかく厚生省があれほど力を入れて説明された自後の環境衛生局の実態を見ますると、なお提案説明にもったような実績が一つも見られておらない。御存じのように今日の環境衛生というのは、都市生活者にとっては最も必要であるということは御存じのとおりであります。それが三十七年度の予算においても、また、現実に市町村の特別清掃地域におけるいわゆる指導行政においても、私は全くなっておらないという極言的なことを言ってもしかりだと思っております。そういう意味おいて、これはもちろん自治省との関係もありますが、環境衛生局長がおられると思いますが、三十七年度における地方財政計画における実態というものを、御存じあればひとつ御説明を願いたい。
  54. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘の環境衛生関係の施設整備等の問題につきまして、三十七年度の予算を中心にしてお答えを申し上げたいと思います。  私どもの局で所管いたしております環境衛生施設中で重要なものといたしましては、上水道、下水道、終末処理施設、屎尿消化槽、ごみ処理施設、簡易水道等の施設でございます。特にただいまのお話でございました屎尿関係の施設につきましては、御承知のように、三十六年度を初年度といたします十カ年計画を立てまして、その推進に努力をいたしておるわけでございまして、昭和三十七年度はその第二年度に当たりますので、その予算の獲得には私ども微力でございますが、大いに努力をいたしたつもりでございます。予算額といたしましては、前年度の約二七%増の十三億三千九百万円、それに対しまする地方債は下水道の関係を含めまして昨年度の二九%増の百七十五億円でございます。また、屎尿処理施設につきましては、前年度の約五割増の十億の当初予算でございまして、これに対します地方債は前年度の二〇%増の十八億となっておりまして、この分につきましては、なお国庫補助率の引き上げを行なったのでございます。  なお、ごみ処理施設につきましては、従来高速堆肥施設のみでございましたが、今回ごみ焼却施設に初めて国庫補助をつけまして、合計いたしまして、昨年の七千二百万円に対して九千四百万円というような予算を計上いたし、地方債につきましても前年度の四割三分増しの、約二十億のワクを計上いたしておるような次第でございます。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、私はそういうことは何も環境衛生局を作らぬでも、これは厚生大臣と大蔵大臣なんかの打ち合わせでそれはできることである。私、言っておるのは、少なくとも環境衛生局を、部を局に上げたということは、もっと都市清掃に対する指導力を、指導行政を強化するということが相当大きくわれわれ期待しておったんです。何も補助金をどうこうするとか、そんなものは部を局にしなくてもそれはできることなんです。それは大臣の手腕一つにかかっておる。現在実は、地方の清掃状態はどうなっているか、私が聞いたのは、若干そうじゃない。そういう起債とか、下水道の十年計画、それは前の古井大臣もるるここで述べられた計画は一応計画だが、そんなものは絵にかいたものである。現実に東京都の現状を見ましても、もうすでにオリンピックが三年後に控えておるのです。この状態でいいかどうかというふうな、もちろん中心部の都心部についてはまあ比較的力を入れられておりますが、もう辺陬なところに参りますと、もう全くなっておらない。そこで、清掃事業に対する本年の基準財政需要額の積算基礎を見ますると、これはまあ十万都市を基準にしておりますが、屎尿処理には、終末処理と屎尿処理に対する人数だけ言いましてもすぐわかると思います。屎尿処理に十万都市では二十人しか見てない。それから塵芥処理事業については二十八人、これは十万都市です。もちろんこれは補正計数ですね、東京の場合は相当補正されますけれども、二十倍にしたところでこれは問題にならぬ、こういう状態があるのです、厚生省が環境衛生局を通じてそういう指導ができないのだ、法律上これは自治省が勝手にやってそれはまかせきりだというなら、われわれは別の考えがある。そんな環境衛生局なんか要らない。部を局にするなんということも要らない、どこかの公衆衛生局の課くらいに置いておけばいい。私はもっと大きい指導行政をやれるものだと思って、そのときの局長は、まあきょうはやめられた、おこられたら私は相当食いつきたいような気持でおる。そういうことがあるから、今度のこの社会保険庁の設置についても。提案説明を聞くと、今日非常に年金とか、そういう問題が大きくわが国に発達してきたのだから、事業庁と計画庁が分かれるのだという観念的なことを言えば、われわれも一応わかるのですけれども、そういうことが前にありますから、その調整をしないで、これでいけるんだという考え方でこの法律案を出されたという、そういう点がわれわれの反対の大きな原因です。したがって、現在の屎尿、塵埃の処理が今日のようなままで、しかも、何らの指導的な手を打っておらない。まして地方のほうでは行き詰まっておるのですから、清掃法による根本的な市町村の固有事務というものができないから、これを請負業にまかそうというふうな風潮が東京都を初め出てきておる。私はそういうことでは都市の清掃というものはだれが義務を持つかということなんです。私はその意味おいて、そういう点が、厚生省でそういう指導力がもう持てないのだ、力ができないのだと大臣が言われるならば、また別の考え方があるのですが、環境衛生局を作って、もっとそういう点が積極的に政府部内でやれるのだ、そういう跡が一つも見えておらない。この点ひとつはっきりと大臣から、せっかく局に上げてもそういう実態ではその実情をひとつ大臣からお聞きしておきたい。
  56. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 環境衛生の仕事がきわめて重要であり、また、実情から申しまして、その改善ということが緊急の要務になっております。こういう点から、昨年環境衛生部を局に昇格させていただいたと思うのであります。したがいまして、環境衛生当局の任務というものは、非常に大事な任務を担当しておると私も思うのでございます。ただいまおしかりを受けたわけでございますが、私といたしましては、せっかく部を局に昇格させていただいたことでもございますので、その趣旨の実現をはかるために、できるだけの努力を払わなければならぬと思っております。先ほど予算のことについて局長から御説明を申し上げましたが、私も実はこの予算ではまことに物足りない感じがいたしております。私の微力のいたすところでございますが、非常に物足りない感じを持っておるわけでございます。こういう予算面におきましても、もっともっと今の状態に合わせるように、予算の増額もはかって参らなければなりません。同時にまた、地方の財源等につきましても、厚生省としても格段の努力をして、その充実をはかって参らなければならぬと存ずるわけでありますが、そのほか環境衛生を担当する部門は非常に広いわけでありますから、指導力の欠除ということについておしかりをいただいたわけでございますが、われわれといたしましても、この厚生省の地方の団体に対する指導力の強化ということにつきましては、御趣旨に沿いましてできるだけその実現をはかって参りたいと存じております。ことに東京とか大阪とかいうふうな大都市の状況を見ておりますというと、いかにも仕事がおくれておる。厚生省としましても、ほんとうに相済まぬ次第だと思うのでありますから、できるだけ当局を督励いたしまして、御期待に沿うように努力をいたしたいと存じておるような次第でございます。いろいろこの社会生活の状況が変わって参りますのに、ともすればこの種の施設がおくれておりまして、あとからあとから追っかけて行くような状態になっていることが私は非常に残念なことだと思うのであります。御督励をいただきまして、私ども十分またひとつ努力をさしていただきたいと思います。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣の答弁としてはそういう程度だと思うのですが、現状をよく御存じだとは私は思うのですが、先ほど申しましたように、これはまあ予算委員会でも自治大臣に言っておるのですが、厚生大臣列席されておりましたが、そのときには、主として自治大臣を追及したのですが、一体現状のままで都市清掃が十分の一でもできるのかという点について認識をどうしているかという点なんです。単位が百万都市ですが、十万都市で人夫という言葉を使うと悪いのですが、そういう労働者を入れて二十人ですよ。基準財政需要額で載っておるのですが、乙吏員が一人、丙吏員が一人でございます。甲雇用人が三人、乙雇用人が三人、そうしてこれは基準財政需要額で使っている言葉ですから私も使いますが、人夫が十二人、こういうので、十万都市の清掃、これは屎尿処理もやれ、それから塵芥のほうは乙吏員が一人、丙吏員が一人甲雇用人が十七人、乙雇用人が四人、それから人夫が五人、これで二十八人、私の言ったことが間違いであれば指摘してもらいたい。これはとうていできません。現実を申しますと、同じ十万都市の現状を見ますると、十万というきっちりした都市はありませんが、九州の若松、戸畑、関東の足別、大阪の吹田、高槻、岸和田、守口、ここらが大体十万円以外のところです。これは屎尿、塵芥合わせて若松市は百五十人、戸畑市は百四十人、少ない足利市でも八十三人、多い守口市で百八十六人、現状はそうなんです。ところが、基準財政需要額では、今言ったように、両方合わせても四十人から五十人ですね。こういう状況は環境衛生局長はよく御存じです。したがって、大臣は現在非常におくれておるということを認められておるんですが、おくれておるけれども、もう少し認識があればこういう現実のかけ離れたものを僕はこのままでおいておくべきではないと思うんです。基準財政需要額においてそうですから、すべて他はこういう地方公共団体の持ち出し財源でやっておる。これでなおいけないんですよ。これでうまくいっておると思えば大間違い。現在若松市で百五十人を使ってやっておってもまだいけない、実情が。そういう点を、私は、環境衛生局ができてもっと強く指導をしてもらえるものか。もちろん現在監督権がありませんから、指導力には限界がありますが、こういうものを考え直さずに私は都市清掃というものは進まないと思う。率直に環境衛生局長から、これはいけないんだと、厚生省ではこれはどうもならないんだということであれば、それは率直に言ってもらったほうがいいと思う。国会の答弁はいろいろと言われるけれども、法律案が成立してしまうと立法府というものはきわめて無力なんです。ただ、こういう委員会において私がこう言うだけです。あとは行政府が勝手にやるようになっておるんですね。法律を作るまでは国会に対しいやこうだ、いやああだということでいろいろ話があるんですけれども、われわれとしてはそれじゃあきたらない。そういうことじゃ立法府の責任は私はとれないという意味から今回の問題はぜひ明らかにしてもらいたい。厚生省としては、この都市清掃については環境衛生局にしてもこういう問題についてはどうしても力が及ばない、できないならできないと。その上で私は判断して質問したい。その点どうです。
  58. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 標準団体としての人口十万の市の規模を想定されまして、ごみ処理あるいは屎尿処理に関する職員の数等につきまして厚生省の指導が十分でないじゃないかという御指摘でございますが、私どももこの点につきましては、従来ともこれをさらに整備強化していきたいという気持を強く持っておりまして、この算出の基礎等につきましては関係方面と極力折衝をいたして、その強化をはかって参ったつもりでございますが、はなはだ微力でございまして、まだ十分な段階に達しておりませんことは申しわけない次第だと思うのであります。しかしながら、全然こういった面で予算的にも進展がなかったわけではございませんで、交付税の算定の上でもごみ処理費につきましては、わずかではございますが、三十六年度七百五十万程度の経費を三十七年度には一千八十万、屎尿処理につきましては四百八十八万の経費を五百六十八万というふうに、ある程度の進展を見ておるわけでございまして、こういった面で逐次改善強化をはかって、私どもの屎尿処理十カ年計画を完成すると同時に、その運営につきましても万全を期して参りたい、このように考えておる次第であります。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは、まあ今言われましたが、まあ若干の地方交付税法の改正によってだいぶ総体の金額が上がっておることは、これはもう事実です。しかし、人夫賃にしても、三十六年三百円であったやつを今度の地方交付税で、これは確かの数字だったか忘れましたが、多分四百五十円程度になったと思うんですね。実際今日清掃のこういう、収拾人夫ということはいかぬですが、労働者を雇用するのに地方自治体は一体どうしておるのか。吹田市で——私は大阪ですから、この間、吹田市に寄って市長に聞きますと、向こうでは千円でもだめだ、来ないそうです。ああいういやな、きたない仕事は千円で雇うといっても来ない。一体どうするかというと、もうお手上げの状態ですよ。これは現実ですよ、聞かれればわかる。それを地方交付税を改正して四百五十円になったという説明を自治大臣がしたって私は了承しない。そういうことで都市清掃の現実を認識しておるか。しておらぬ。一体どうしようというのかということを聞きたい。それは無理をして、地方自治体が持ち出しで無理をして千二百円出し、あるいは千三百円出ししていろいろやってどうにかその日のごみを集めようとしておるが集まらない。焼却施設にいたしましても、ようやく本年度から若干の補助金が出るようになっておるようですが、終末処理においてもこれはもう全くなっておらない。東京なんか顕著な例が、どこへそのごみを出すのか。周辺部でごみを埋めようという土地もなくなってしまった。一体この対策を十カ年計画でどうするというのであるか現実の問題をどうするかという問題をちっとも取り上げておらない。私はそういうことで、たとえその局を庁にしようが、部を局にしようが、そんなことはいじる必要はないと思う。政府は一体この問題を——交通問題はいろいろ今積極的にやりつつありますが、それほどなぜ政府部内で力を入れぬかと思うのですよ。とにかくこういう一番人間生活のびりっこにくっついておるいやなことだからあまり言わないのでしょう。ごみがたまったからといって直接交通事故のように命は失わないか知りませんが、大きい立場から見るときわめて不衛生上の問題で、これがもし伝染病でも発生したらどうするか。もちろん私は、これについては日本国民の清掃観念のないということも認めます。それは寄り合い集団をしたあとの場を見ると、もうわれわれは実にあきたらないような感じはしまずけれども、政府自体がこういう状態にあるのですから、国民に対する指導力はもちろんないと思うのです。政府自身がもっと積極的にこの都市清掃に力を入れて、そうして厳罰主義とはおかしいですが、ごみでも、犯せばある程度の説諭くらいするというところの法律を作ってもいい。中国あたりはきついような法律を作っております。私はあれがいいとは言いません、ごみを捨てると相当厳罰主義でやっておりますが。それが私はいいとは思わない。罰を与えてそれでいこうというその精神は私は間違いだと思うけれども、しかし、政府自体がこの清掃事業に対しての力の入れ方というものは全くなっておらないと思う。そういう点において今環境衛生局長幾らか若干の費用が上がったからこれで政府の努力を認めてくれと言われても、よく知らない者は別として、私はこの点については認められないと思う。これはこの前の古井厚生大臣のときに私はだいぶ言いました。一時間ほど話をしたのですが、そのとおりでございますと、灘尾厚生大臣もまたそのとおりですと、そのとおりだと言って一体どうするのかというのです。積極的な交通問題と同等な立場で政府は取り上げなくっちゃこれは解決しませんよ。今のようなままで、しかも私はまあ立法府の議員の人々にも私は一部の責任があると思う。こういう問題については、あまり国会で論じられないけれども、私はもっとこの問題を大きい問題として取り上げなければいけない、この点においてはわれわれも責任の一部をにないましょう。になうけれども、やはり積極的に中心となるものは厚生省だが、その厚生省が私はなっておらぬ、こういうことを言って追及しているのですが、一体今言われたような若干の、いわゆる地方交付税を上げた、地方交付税の積算基礎を上げたということでこれは解決できるものかどうか、環境衛生局長の答弁を求めます。
  60. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のように、この交付税の算定の基礎になっております。金額につきましては、いろいろ御意見があろうかと思います。私どもの努力といたしましては、最善の努力をして、一応この段階に到達したつもりでございまして、なおさらに改善を要して参らなければならないことは当然でございますが、私どもといたしましては、これをよりどころといたしまして、地方公共団体の協力を得て、行政の運営に十分な努力をして、成果を上げて参りたいという決意でございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 きょうは自治大臣がおらぬので厚生大臣にお気の毒だと思うのですが、聞いておいてもらいたいと思うのです。この地方財政計画においては、こういう事後の持ち出しについては、いわゆる都道府県おいては八割、いわゆる二割の余裕を見ておる、市町村においては七側ですから、二割の余裕を見ておる、それによって一応、こういう基準財政需要額において、足らざるものを補ってやれというものが、今の財政計画の大体基本的な政府の考え方になっておるのです。二割や三割の財政余裕力を、これは税金の収入ですね、余裕力をもってやれるかと言えばそれはやれませんよ。その二割、三割の、市町村は三割ですから三割を全部清掃事業に入れる、しかし、清掃だけにそんな余裕財源を費すことはできないのですよ、地方財政計画においては。そういう実は今の地方自治に対する政府の考え方ですね、私は、それで今後環境衛生局長は徐々にそれを解決したいというような御答弁であったが、徐々どころか、ますます人口はふえる、都市においてですよ。これはいろいろこの財源額がふえる以上にその作業竜がふえてきておる、ますます清掃事業が行き詰まってくるということを裏づけておる。年々人口とか、そういう清掃事業のふえる度よりも若干でも上回る措置をとるならば何年か後には解決できるでしょう。現実はそうではない。事業量のほうが先にふえているのですから、ますます行き詰まるということになる、これは東京都にでも聞いてもらったらいい、東京都の理事者がどう言っておりますか、やれると言っておりますか、やれると言っておるなら、私は現実に、まあ私は都会議員ではないから、都会まで行って調べるわけにもいきませんが……、私はここで追及しておきたいと思うのですが、やれない、厚生大臣はどこにお住いだか知りませんが、おそらくそういうところについては、ある程度都もいろいろ考えて処理には相当万全を期しておるかもしれませんが、都市の周辺に行ったら一カ月に一回しかこない、ごみ拾集は。だから夜、空地を選んで、みなごみを持ち寄って推肥にしておる。それでなければ埋めるという状態です。冬の間であれば、あるいは埋めておいても不衛生ではない。夏方になるとだめ、うじ虫がわいてたまる。とてもたとえられない。臭気ふんぷんたるものですね、はなはだしいのになると。もうごみであればちょっとがまんできますが、屎尿なんかの処理というのは、どうにもならぬ。これをどう処理しているかというと、バケツに入れて川へ夜中に捨てるというところがある。もちろんこれについては罰則がありますよ。いなかのほうへ行くと、仙台市だったといいますが、公然と川に流しておるところもある、こういう実情が今の日本の清掃事業に対する実情なんです。その認識は私は厚生大臣もちろん持っておられると思いますが、こういうものを放置しておいて、これがもう世界の一等級の国であるかと言えるかどうか、私は全く残念でならない。だから私は、もうこの厚生関係の問題が出ると、一番これは、社会党であれは県尿専門だといっていますが、私はもうこの点だけは何とかこれは解決しなければ日本の国の国辱だと思って、私は厚生大臣にるる言っておるのですが、将来政府部内でこの問題どう取り上げる考えであるか、厚生省関係政府委員局長初めみんなおられるから私は御存じだろうと思う。政府に行くと問題にならない。政府に行くと予算でも削られてしまう、補助金でも削られてしまう。こういう実情ですが、この点しつこいですが、厚生大臣が今後、というよりも、どうしたら解消できるかというようなその具体案というか、厚生省としてどうしたらこれが解決するのだということを、ひとつ十年計画というか、あんなものはこれはもう何ですよ。デスク・プランですよ。現実のこの問題をどうしたら解消でるか、いわゆる交通の問題のようなものですよ。一体この点について、厚生省で自信のあるものがあるなら言ってもらいたい。
  62. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題についての御指摘は、私は率直に全く同感だと申し上げたい心持ちでございます。現在の環境衛生、特に都市の屎尿問題でありますとか、あるいは清掃問題でありますとか、確かに私はおくれておる、国民生活の中の一つの大きなアンバランスとして現われてきておる問題ではないかと思うのでございます。自分の家には電気洗たく機もあるし、テレビもあるしというような状態であるけれども、一歩外へ出れば、実に惨たんたる衛生状態だと申し上げてもよろしいような部面も確かにあると思います。このおくれをいかにして取り返すかというところが私どもの大きな任務と私も存じております。今日までの状態につきまして御不満の点が多多あることは、これはごもっともだと思います。われわれもできるだけ御期待に沿うように状態を改善して参りたいと思うのでございます。今交通問題についてのお話もございましたが、私も実は内閣の中に関係閣僚の懇談会というふうなものでも作って、そうして関係の深い閣僚相互が各省の機能を発揮いたしまして、この問題の処理に当たっていくということが適切なやり方じゃないかというふうに考えております。先般国会において、国土を美しくする問題についての御決議もありましたわけであります。せっかくさような御決議も出ておることでありますけれども、この御趣旨を尊重いたしまして、一そうわれわれ自身にむち打ちまして、この問題の解決に進んで参りたい、まだ具体化したわけでございませんので、はっきりしたことを申し上げる段階でもございませんが、私はなるべく早い機会に関係の閣僚の懇談会というふうなもの、あるいは関係各省の連絡協議会といいますか、そういった部門を作りまして、今日の状態を何とか速急に改善すべく力を合わしていくという姿を打ち出して参り、また、これを実践して参りたい、かような考え方でいろいろ思いをめぐらしておるような状況でございます。何とか御期待に沿いたいと存じております。     —————————————
  63. 河野謙三

    委員長河野謙三君) この際、委員異動について御報告いたします。本日木村篤太郎君が辞任され、徳永正利君が選任されました。     —————————————
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ大臣がそう言われることについては若干力を、誠意を持った力でやれるとは思いますが、僕は、三十六年、三十五年にも一度これを取り上げたことがある。三十六年、それから三十七年になりますが、これはもうすでに厚生大臣も御存じだからそんなことは釈迦に説法ですが、これは屎尿の排出日量を見まして、総計五万五千二百三十一キロリットルが毎日屎尿排出される。これは特別清掃区の地域だけですが、それについて、いわゆる海洋投棄とか、不衛生処分、というのはこれは川に捨てたりそういうことをやるやつが、五千八百三十一キロリットル、これは三十五年の統計数字です。本年は若干この比率は変わっておりますが、総計のパーセンテージにして一二・二%が不衛生処分だとこういうのですね。私はもう、こういうことが、実は各国のやつも、足らない資料を取り寄せて見ましたけれども、ないのです。もちろん浄化下水道処理が発達しておりますから、そういうことはないのです。日本は一番この下水道処理がおくれて、東京でもおそらくまだ四分の一いっておらないと思いますが、こういう状態です。したがって、下水道処理ができないならば、その問において何とかの処置を立てようという僕は方向ぐらいは考えておかなくちやいかぬのですが、地方自治体にいくと、そのやる法がないとこう言うのです。海洋に捨てるか不衛生処分するかしないとこれは方法ありませんと、われわれにこう言うのです。そういう状態ですよ。そういうものは環境衛生局で、何とか国の力でこれを解決しようという方法ぐらいは考えてやらぬと、方法ないと、こう言うのですよ。無責任じゃないかと追及すると、無責任であろうとどうあろうとこうせざるを得ない。方法あれば教えてくれというようなことを言う市長もおるのですね。こういう現状では、私は実にもう慨嘆の至りなんですが、もう一ぺん、これは技術的な実務の問題ですから環境衛生局長でけっこうですから、こういう不衛生処分、まあ海洋投棄は一時はこれは魚のえさだというようなことを言っておったときがありましたが、今日ではもうそうはいかない。そういう点をどういう工合に市町村を指導して、この処分を現実に指導して処理をさそうという考えなのか。これはもう今の現実の問題ですから、十年計画要りません、下水道処理する、今のような状態で十年計画で完成したときには、これはわれわれもそんなことは言わないのですが、なかなかそうはいかない。現実の問題として三十七年度、三十八年度どういう工合によってこの屎尿処理を現実に市町村を指導しようという考えでおるのか。この点ちょっと聞いておきたいと思います。
  65. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のように、屎尿処理につきましてはいろいろな手段方法が現在使われておりまして、計画的に処分をいたしますものの中にも、下水道、マンホールに投入いたしますとか、あるいは屎尿消化槽等処理施設で処理いたしますとか、また、農村に還元いたしますもの、海洋に投棄いたしますもの等、まあ各種あるわけでございます。そのほか下水道終末処理施設で理想的な形で処理いたしておりますものや、また、自家消化施設で屎尿浄化槽の整備によりまして処理いたしますものもございます。また、肥料その他の自家処分によるものもあるわけでございますが、私どもの理想的な形といたしましては、屎尿消化槽あるいは屎尿浄化槽、下水道終末処理施設等で処理をいたしますのが将来の姿と考えておるわけでございますが、ここに到達いたしますのにはなお施設の整備その他でいろいろの段階がございます。また、難関もあるわけでございまして、それまでの問は、こういった処理方法を最も衛生的な方向で組み合わせまして現実に対処して参るように指導して参りたい、その間に急速に理想的な形の処理施設を整備して参りたい、このように考えておる次第でございます。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 環境衛生局長自信ありますか。これはね、答弁としてはそれで成り立ちます。現実にわれわれが今まで直接に関係していないが、これに対して党でも、まあこれの担当しておる委員の一人としてですね、いろいろ頭をめぐらしたけれども、ある程度の膨大な——膨大ということになるか別としてですね、相当の費用を市町村に出さなければ、私はここ五年や十年ではちょっと解決できないということを私は考えられると思っております。できるなら、自信があって言われるなら私はそれで納得いたします。現在の実情では私はおそらくできないと見ておるのです。それで私はまことにしつこく言うということは、皆さん方に——皆さん方わかっておるけれども——ほんとうに力を入れてもらわなくちゃならぬというので私は言っておるのです。私は何もこれがいこうといくまいと何も別にそう関係はないのです。これでは政治の焦点がいかないですよ、ここへ。今の実情で置いておけばいかないのです。これは十億に今度の補助金ふやされました——これはいろいろのものを入れてですね——ふやされましたけれども、そんなものではこれはもう解決のかの字もいかない実情です。私はまあ環境衛生局長から何かこううまく前進するような印象を与える答弁されましたが、私はそのとおりいくのだったら手を上げて私は喜んで賛成いたします。私はいかないと思います。ますます行き詰まっていく。そこで環境衛生局長も御存じだと思いますが、これでは市の事業として成り立たないというので、環境衛生公団か何かそういうものを作ってそれにやらそう。そうして監督だけしていこうという、こういう考え方に変わってきておるということを聞いておるのですが、それは事実ですか。そういうことがあれば私はもうもってのほかだと思うのですが、もうそれに市自体では手を上げたから、何とか営利事業というわけではございませんが、営利的な方向でこれを処理さして、そうしてもう国のほうの責任をのがれようというような、そういうずるい考え方を起こしてきたやに私は聞いたんですが、ほんとうですか。
  67. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 屎尿処理の問題につきましては、私ども寡聞でございますが、そういうお話は承っておりません。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは東京都でもうすでにそういう問題が起こってきておるようです。これは厚生省の環境衛生局長が何も知らないということなら、私は言うのですが、そういうこともう着々と進めつつあるらしいので、われわれとしては、もしそうなると、向こうは商売ですから、これは商売になると、労賃を押えるか、処分をいわゆる不衛生的にやるかしなければこれは成り立たない。市でやれぬものが業者でやれるということはこれはないのです、労賃を押えるか何かしなくては。ところが、金沢市かどこだったか、ちょっとその点は自信がないのですが、もうすでに最初は業者にやらしておったんですが、もう業者が手を上げてしまって、もうできませんから……というのは、労賃が上がってきたから、市のほうからのいわゆる支払いの金ではやれないからもう返しますといって、そういうところが出てきておるようです。したがって、そういう実情も出てきておるときですから、東京都ではそれを引き受けるという。これは公団か営団か知りません、そういう方法をやろうということ。事実もう話進めておるらしいですよ。それが、私はまあそうはっきりは聞かないのですけれども、それの理事長か社長か知りませんが、厚生省におった相当な人がその理事長か社長になってやっていくというような形で進めておるようですよ。これはもう、まだ、聞いたことですから、私はここで責任は持っては言いませんが、もう着々とやっておる。こういうことですよ。私はそういうことがもし実現すれば、なるほど家庭に対しては汲み取りはなるたけ早くやるようにするけれども、そのあとの処分はどうするかということを私は心配なんです。あとの処分をかっちり衛生的にやってくれれば、私はあえて市でやらぬでも、そういう公団がやるのはいいけれどもやれない。現在市のほうでも四百五十円くらいの人夫でもうとてもいかないというので、千円以上出しているのですね。千円以上出してあの仕事をさそうと思っても、昔の場合であればそういう労働者もあったかもわかりませんが、今日そういう人はない、そういう話が出ておるのですが、環境衛生局長は全然知らない。もしそれが事実であったら、厚生省としてはどういう態度をとるか。これだけ聞いておきましょう。
  69. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 御指摘のその屎尿処理につきまして、公団のような施設を作って、それが営利的な意味も含めて運営するというような話は、先ほど申し上げましたように私承知いたしておりません。これはそういう動きがありますならば、従来とも申し上げておりますように、この問題は原則的には市町村が直接経営するということが適切であろうと考えますので、そういう趣旨で指導し、話し合いもしていきたいと考えております。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはこの前の環境衛生局長のときに私はそういう一つの言質を得たのですが、得たにもかかわらず地方ではそういうことを進められているので、非常に心配しているのですが、徐々にそういう工合になっているところもある。たとえば尼崎市でもそういう問題がある。というのは、やはり地方の理事者としては今の現状では財源はないし、処理はできないから、何とかいい道があったらどうかという逃げを打っておると私は思う。これは市長の立場としては同情せざるを得ないと思っているのですが、そうなりつつあることは事実です。ただ、そこに言われたことちょっと気になるのですが、原則的には市がやる、これは清掃法の中にありますから、十五条かなんかにありますが、まあ業者にやらしても違法でないということは清掃法の中にわかりますが、しかし、あの清掃法の立法精神からいうと従来ずっと請負業といいますか、そういう業者にやらしておったこの長い慣例があるから、この法律を作ったからといってすぐ市に肩がわりすることができないので、経過的な意味を受けてああいう法律が作られた抜け道がある。原則は今局長言われたように、市町村長の責任でやらなければならぬ。したがって、原則ということはよくわかるのですが、私が聞いておるのはそういう場合に東京都がおそらく私はもう、そのことは一年、二年の間に問題が出てくると思うのですが、あれはその場合に指導すると言われますが、そういう公団、営団ができるときには、厚生省は認可権があるのでしょうか、その点ちょっと。
  71. 五十嵐義明

    政府委員五十嵐義明君) 私の承知いたしております限りでは、一都道府県の範囲内でございますれば、その都道府県が認可をするというふうに心得ております。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 厚生大臣そこが問題なんですよ。いわゆる厚生省に認可権がある場合ですね、そういう場合にはだめだと言ってもらえばそれで解決するのですが、都道府県知事が認可権がある場合に、ここでなんぼ議論しておっても勝手にやられては仕方がない。ただ指導するだけだということになると問題がある。これは私は指導でも、相当政府の方針だということではっきりしてもらえばそういうことがなくなると思う。私は東京の場合を固執するわけではないが、もうすでにそういう話が出ておることを当面の責任者からも聞いておるのです。当面の責任者からね。そこで私は、今日来るのを待って大臣にこの点だけをはっきりしてもらいたい。これは私は大問題になるし、そういうことを東京都でやるということになると、相当大きな問題があるのではないか。勝手に東京都が、知事が自分で認可をして、自分でその事業をやるのですから、こんな勝手のいいことはないのですが、その場合政府としてはもう東京都の知事のやることだから仕方ないということで、大臣、厚生省もそのまま見のがしていくのかどうか。その点ちょっと。
  73. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 現に東京都におきましてどんな構想のもとにどういう計画があるのかということについて実情をつまびらかにいたしておりませんので、的確なお答えを申し上げかねるわけでございますが、政府といたしましては、先ほど局長がお答え申し上げましたように、法の建前に従いまして、法の趣旨に従いまして制度の運用をはかって参りたいと考えております。さような問題が具体的に起こって参りますれば、これをとらえて十分検討した上で政府の考え方は徹底して参りたいと存じております。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しつっこいようですが、これはこれでもう一点だけ念を押しておきたいと思うのですが、大臣の御答弁でその点検討するという、今の法律上から言って認許可権のない以上はそれ以上の答弁はできない、知事の権限でやる場合はですね。ただそのよってくる原因というのは、さっき前段でるる質問したように、都の財政ではもうもたない。都が若干ほかの市町村と違って、要するに、府県のものと市の状態とを持っているのが都ですから若干違いますが、都の年間予算の中で三十六年度に都の総予算の七%程度しかこの清掃事業に入れておらないようです。したがって、その程度以上出るということは都の財政上できないと、こう言う。ところが、その費用でやろうと思っても都の清掃事業でやれないということは、これは清掃事業法から見てもはっきりしているようです。これは専門家の話を聞いているのですが、そうすると何らかの方法でやらなければ、都の財政をもっと食い込んで、二〇%でも食い込んでやれるとなればこれは別問題ですが、今の財政規模、予算の現状からいうとやれないからやむを得ないというような考え方でおるのです。したがって、都の理事者といえども決してそうやることが正しいとは思っておらないのですが、財政的にももたぬから、そういう方法を私の言葉ではずるいと言いまずけれども、そういう方法を考えたらしい。したがって、政府がそういう財源的な措置を考えてやらなければ他の市町村はやれない。落ちつく結論は政府がいかにそういうことを食いとめようとしても食いとめる財源措置をやらない限りはこれは食いとめられない。これはあわせて考えなければ、大臣、これはいかない。それをいかぬといっても、いかないならばどうしたらいいかと開き直られたときに政府はもう手を出すことができない。したがって、そういうことをやったらいかないというときには財源措置をどうするかということを政府は考えなければならぬということを私は最後に言いたい。この点もあわせて検討すると言われるかどうか知らぬが、これはひとつ清掃問題、環境衛生に関係する問題の最後ということで大臣からお聞きしておきたい。
  75. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっともなお尋ねと存じます。お話のように、財政的な余裕がなければ市がやりたいと考えてもそれはできないわけで、ただ問題といたしましては、地方の団体におきまして財政的な余裕がないために緊急なことであるけれどもできないというような状態でありますれば、これは政府がその点について何らかの措置を考えなければならぬということは、これは当然のことだと思うのであります。金がないからできないということだけでほうっておけない性質の問題だと思います。これは非常に政府が考える必要があると思います。同時にまた、この問題は、いわば市民生活というふうな点から申しますというと、一番切実な問題であります。したがって、地方の団体としましてもその団体の最も重要な問題としてそれを取り上げていくというような心持も私はほしいと思う。ただ地方の財源が足りないというだけでは済まされない。地方の団体としてもその財源のやりくり、こういう問題についてはもっと積極的な態度を持ってこの種問題と取り組んでもらいたい。こうも考えますわけです。まあいずれにしましても、厚生省限りで片づく問題でもありませんし、また、地方限りで片づく問題でもないと思います。やはり政府部内においても、また、地方団体との間におきましても、お互いに積極的にこの問題を取り上げていって解決するという体制を作り上げていくことに努力しなければなるまいかと、私はさように存ずる次第であります。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこの問題、これでおいておきますが、答弁されればされるほどまた言いたいことも出てくるのですが、実は今、僕らは専門的にやっているから、あらゆる角度からやっているのですよ。今厚生大臣言われましたように、これは単に政府だけの問題ではない、国民全体がその気になって考えていかなければならないということは事実です。昔、衛生組合というものが各町ごとにあって、いろいろ協力体制をしておったのですが、今日、そういうことはでき得ない。あるところでは町内が集まって勤労奉仕でもないけれども、屎尿までは汲み取らないけれども、下水なんかの掃除は月番をこさえておいてやっているところがある。やれる程度のものは市民なり都民が協力するということは私はいいと思うのです。それは自分の周囲の生活根拠の清掃をするのですから、環境をよくするのですからいいんですが、私が言っているやつはどうしてもできない問題ですから、政府はやはり考えなくちゃいかぬということを言っている。これはそういう市民なり都民の隣保扶助の精神からこういう言葉は今使っていいか、どうか知りませんが、われわれも実はそういうこともやらしている。もう仕方ないですよ、やらざるを得ない。自分の周囲に汚水がたまってどうにもならなければやるのですけれども、しかし、決して厚生省だけか知りませんが、都の区でも清掃局でも、そういう陣容になっておらないと存じます。自分たちの仕事だけで精一ぱいですから、ほったらかして指導すらしない。そうするとあれも全地域、ある程度全部がやらなければならぬ。自分らの近所だけやったって上から流れてくるのですから、全部が、区なら区の地域が全部がやれば成り立ちますけれども、一部だけがやったって、もう徒労ですよ、指導するものも何もない。また、その体制もできておらない。そういうものもあわせて厚生大臣考えておいてもらいたいと思うのです。単に私は予算だけよけい出せということは言わない。わが党においても、これについては特別の問題として実は重大政策の一つにこのたび掲げてもらったのです。したがって、私はこの問題が選挙演説にあまり出ないでしょう。出ないけれども、一番国民の生活、都民生活、市民生活において一番大きな問題はそういうことであって、私はこういう問題こそ政府が今率先して取り上げなくちゃいけない。こういうことですから、大臣はまたいつかわられるかどうか知りませんが、ひとつこれを最近のあなたがおられる閣議で十分総理にも言っておいてもらいたい。私は毎年繰り返しますよ。来年あたり、これが若干でも何か具体的に出ておらなければ、厚生省から出される法律案については一切審議をしない。そういう決意を、私は通す通さないはその前。審議もしない、そういう誠意のない厚生省では審議もしないという決意を持ちますから。今度は審議だけいたします。そういう点でひとつ、この問題を終わります。
  77. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。
  79. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 国民保険、皆年金達成を機会に、今回厚生省設置法改正されて社会保険庁を分離し、現業企画を分けていかれようとするこの構想には私一応賛意を表するのでありますが、保険行政、年金行政を通じて見て、どうも共済制度との関係がちょっと私も厚生省の盲点になっておるんじゃないかというような感じがするのです。で、国家公務員あるいは地方公務員あるいは公社、こういう共済組合に対してやっておる事業は、年金事業なりあるいは保険事業であろうと厚生省はどういう、あるいは厚生大臣はどういうタッチをされておるかということについてまず承っておきたいと思います。
  80. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 社会保険仕事につきましては、今石原さんからお話もございましたけれども、御指摘のとおりに厚生省だけでなしに、いわば社会保険の範疇に属するような仕事が他の省の所管として行なわれておるものもございます。それはそれぞれの省についてその所管事項として処理いたしておるわけでございますが、厚生省といたしましては、日本の社会保険、社会保障というようなものを今後総合調整をはかり、内容的にも改善し充実し、また、各種のアンバランスも是正して参りたい。こういう立場をとっておるわけであります。したがって、また、社会保障制度の前進ということにつきましては、微力ではありますけれども、厚生省がその推進力となり、また、原動力となっていかなければならぬものと、こういうふうな考え方のもとに、他の省の所管に属する仕事等につきましても関連性を持ち、互いに御相談を願うというふうなことをやっておりますようなわけでございます。
  81. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 じゃあもう一歩進めて申し上げてみたいと思うのでありますが、各共済組合、共済制度でやっておる団体の大きな事業は、やはり広い意味での社会保険が多いのです。年金であるとかあるいは健康保険、それでいろいろの共済組合関係に包含されておる被保険者といいますか、組合員の数は、これもあとで承りたいと思いますが、相当膨大な数ではないかと思うのでありますが、これらのその面の社会保険行政、年金行政に対して厚生大臣というものがほとんど関与していないんじゃないかという気がするのでありますが、あるいは主管大臣はそれぞれの主務大臣であってもこれはいいと思うのでありますけれども、社会保険行政を総合的に見ておるという立場から言えば、そういうものに対してもう少し厚生大臣厚生省が関与していくのがこれは役所のなわ張りとかどうとかということは別にして、当然のことじゃないかと私は思うのでありますが、厚生大臣どういう考えを持たれますか。
  82. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっともなお尋ねだと思います。それぞれ沿革を持っておりまして、それぞれの関係省において主管をいたしておるわけでございますから、主管大臣としての立場は持たないというわけでございますが、先ほどお答え申しましたように、現在の社会保険ないしいわゆる社会保障制度というものを前進させて参る。向上させて参るという意味合いから申しますと、関係がすこぶる多いわけであります。従来厚生省としましてあるいは石原さんの御指摘のように関連の持ち方が少し薄かったんじゃないか。こういうような御批判もあろうかと存じますが、私はそれではいけない。実はいけない。もっと厚生省が推進力並びに原動力となるというくらいな場合は持たなければならぬ、かようにも考えますので、今後御審議をお願いいたします厚生省の設置法を改正して現業外局にして扱う。内局企画とか監督とかということに専念する、こういう立場をとりましたのも、これからの社会保障制度というものを考えます場合に、もっと積極的にいろいろなことができるような状態に持っていきたい、こういうつもりでやっておりますから、従来御不満の点があったと思いますが、私どもは漸次その点は改善して参りたいと思います。
  83. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 しからば現在各共済組合とか、あるいは共済制度に対して厚生省はどういう関係になるのでありますか。ごく簡単でけっこうです。
  84. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 事実上の相談をお互いにいたしておりますけれども、法律厚生大臣監督をする、そういう立場にはございません。
  85. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 共済関係の人口はおそらく四、五百万人になっておるのじゃないかと思うのです。それらの各種健康保険なり、あるいは年金に対して全然厚生大臣関係ない形に置かれておるということは、私はどうも納得いかないので、今度設置法改正後には大いになにしろいこういう厚生大臣のお考えは一応了承して、これはやはり主管は別として、共管というか、そういう面にもう少し厚生大臣が目を通していくということをしておかなければ、このアンバランスを是正するにしても、いろいろのことをやるにしても、ふだんからそういう頭をもっていくことが必要じゃないかと思います。  それからもう一つ承っておきたいと思うのは、今度の地方公務員共済年金法のあの切りかえの際にも、ちょうど地方公務員なんかとほとんど同じようなことをしておる、たとえば知事会の職員であるとか、あるいは町村会の職員、市長会の職員、あるいは国民健康保険連合会の職員などが、地方公務員と同じような処遇を受けられるように共済制度を作ってやりたいということを非常に言うたわけです。これらの職員現状のままでは厚生年金の処遇しか受けられない。厚生年金と共済組合の年金というものは非常な格差、アンバランスがあるのであります。少々保険料が高くても、何があっても、いいほうの制度へ入りたいというのを、今回の地方公務員年金切りかえ法の立案に際してはどうしても厚生省にのんでもらえなかったわけですが、少しでもいいほうへいこうというのを厚生省がのまれないというのは、どうもこれも私今日まで納得のいかないことなんです。逆に国民健康保険のほうの現状を見まするというと、どんどん健康保険のほうへ——農村にもいろいろ工場ができるとか、そういうこともありますけれども、非常に健康保険のほうに人口が移動してしまう。国民健康保険というのはごく零細者だけの保険のような形になってしまう。国民健康保険のほうはいいほうへ行くのはそのままにして、そうして今度は話は変わりますけれども、年金のような制度でいいほうへ入りたいというものがある場合にはそれを押えて行かせない。低い水準の制度で我慢をしろ。これはどうしても私は納得できないことなんですが、一日も早くそういういいほうへ入りたいということを希望しておる職員は相当あるのです。これらの職員に対してどういうことを将来考えるか。地方年金法切りかえの地方行政委員会においても附帯決議もついておるように聞いておるのですが、どういうふうに今後処遇されようとするのか、また、いいほうへ行こうとするものを行っちゃいけない、社会保障をする厚生省がそういう考え方を持っておるということに対してその御説明を承っておきたいと思います。
  86. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま御指摘になりました問題は、石原さんからも実はしばしば触れられた問題であります。厚生省といたしましては、今回の地方公務員の共済組合制度の改善の問題につきまして、今の問題をどうするかということについての結論を得るに至っておらないというような状況でありまして、これはなかなかむずかしい問題じゃないかと思うのであります。現在の日本のいわゆる年金制度というものがバランスがとれたものであればさような問題も起こってこない、いろいろな沿革その他からいたしまして、各種年金が並立しているような状況でございますために、甲の組合の年金とあるいは厚生年金とを比べると非常に差異がある。そういたしますと、今おっしゃったような人たちがかわっていきたいという気持を起こされるのは無理からぬ点があるかと思うのであります。しかし、これはどこかで線を引かなければならない、少なくとも現行法において線が引かれているわけでございます。その線を変えるかどうかというふうな問題は制度を立てる上の問題から申しますと、現段階においてはなかなか問題があるが、これが同じような年金になってくればさような問題は事実問題として起こってこないということにもなるかと思うのであります。現在といたしましては、被用者の年金がこれに入る、公務員は公務員で共済組合というふうな区分の仕方をいたしておりますために、実際にこれをどうするかという問題が起こってくるのであります。国民年金厚生年金との関係は、これは御承知のとおりに、厚生年金の被保険者たる資格を獲得すれば当然そっちに移っていくということになってくる、これは法律上当然資格が変わってくるということになりますので、いやでも応でも、国民年金の側からいうと、どんどん抜けられちゃ困るという気持がございましてもいかんともしがたい、そういうふうな制度の立て方になっております。今の石原先生の御指摘になりました問題は、法律から言うと、はっきりしている問題でありまして、こっちのほうが有利だからこっちのほうに変えてくれという考え方をそのまま採用するということになりますとその影響がいかがなものであろうか、こういうふうな点もございます。たまたま国民健康保険関係の連合会の職員人たちだけに限ってこれをやっていくべきものかどうかということもございます。また、それならばほかの国民の諸君にいたしましても、希望すればいいほうに移っていけるということをなぜやらぬか。そういう議論だって起こらぬとも限らない、なかなかあれやこれや考えますと、結論が出ないままに今日の段階に至っているのであります。この問題については非常に熱心な御希望もございますが、厚生省としてもなお検討いたしたいと思います。
  87. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これで終わります。言いたいことはこの問題についてはだいぶあるのですが、私はだから最初に申しましたように、いろいろな共済制度というものは一つ社会保険の大きな分野になってきたのでありますから、これに対しても厚生大臣はやはり監督というと何ですが、総合的に見ていくという立場に立つように持っていってもらわなければならないと思います。それから今のアンバランスの問題は、社会保険にもいろいろありますが、年金のアンバランスはそれ以上に急激には直し得ないと思うのです。厚生年金法を改正して今度はよくするのだと言っておられますけれども、なんぼ改正しても公務員の年金と同じようなレベルまでに持っていくということは、これは言うべくしてなかなか急には行ない得ない。それから国民健康保険連合会のお話が今出ておりましたが、それだけでなしに、今まですでに農業関係団体の職員あるいは私立学校の職員であるとか、他の職員でもそういういいほうに移行している人が相当あるのですから、そこらの首尾が一貫していないと思うのです。たまたまここで線が引かれるとそれらの職員は非常に不満であろうと思うのであります。こういう点も含んで、ただ厚生年金法を変えるとかどうということでなしに、もう少し大きな見地から、総合的に社会保険のアンバランスを是正すると同じように、年金のほうのそういう不均衡の問題も、この機会に改正を考えていくというふうな今後努力、検討を期待いたしまして、きょうは一応これで終わります。
  88. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  89. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。     —————————————
  90. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  政府側から御出席の方は、藤枝防衛庁長官、麻生参事官、加藤官房長、海原防衛局長、小幡教育局長、小野人事局長木村経理局長、久保装備局長、林調達庁長官、真子次長、大石総務部長、沼尻不動産部長、小里労務部長の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  91. 下村定

    ○下村定君 私は最初に、最近新聞に出ました防衛関係について、念のために長官にお伺いいたします。  アメリカの太平洋空軍司令官が発言されました内容が新聞に出ております。また、それについてアメリカの本国のほうから否定の言葉も出ております。私はこの問題は、もうあんなことはあるべきはずがなく、また、万々一ありましても、これは調べればすぐわかる。私としてはあまり重要視しておりませんが、それについて何か長官から。
  92. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 米太平洋空軍のオドンネル司令官が豪州において記者会見をいたした最初の報道は、日本を含む極東に核装備をいたした航空機を配置しておるという報道でございます。この点につきましては、直ちに米国務省等もこれを否定をいたしておりまして、その後の報道によりますと、オドンネル司令官の発言は、核爆弾を積み得る航空機が日本を含んで極東におるということであったというようなことでございます。私どもといたしましても、直ちに調査をしたのでございますが、もちろん核武装をいたしました航空機がわが国におるというようなことは絶対にございません。その点につきましては、米国務省等の発表その他すべて合致をいたしておりまして、かようなことのあり得べきこともございませんし、また、現実にもそういうようなことはございません。
  93. 下村定

    ○下村定君 次は、けさの新聞、ことに東京新聞に非常に大きく出ておる。何か池田総理大臣の御指示によって、高級の将官をやめた人をもって防衛参議官制度を作るというようなことが議せられておるということが出ておる。私もこれはそういう話があるくらいのところだろうと思いますけれども、この問題はこれはちょっと新聞に出ますというと、こういう問題に関心を持っている人には案外大きな疑念を持たせるのじゃないか。たとえて申しますと、お互いさまに適当な方法で確保しようとしているシビル・コントロールの問題にも疑惑を持たせる。その確度、それからこういうことを私どもの知るのはいいとして、主だ何か出だしのところで筒抜けで新聞に出るということは、これは私はかなり重要な問題でないかと思う。その点ひとつ長官の御意見を伺いたい。
  94. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 実は最近の幕僚長等の異動に関連をいたしまして総理よりそうした防衛庁に相当長く、相当な高い地位にあった人に対する何らかの優遇措置というものが講ぜられないものであろうかというような点の研究をするように御指示がございました。御承知のように、現在の防衛庁、ことに制服関係におきましては定年退職をいたしまするならば、そのまま何と申しますか、全然縁が切れてしまうということでございます。もちろん事実上の参与制度その他におきましてそうした知識経験を持った方々の御意見を個々に伺うというような点につきましては配慮はいたしておるわけでございます。何か退職されたら、そのままでもうおさらばであるというようなことではあまりそっけないではないかというような考え方、そこに何らかの名義上ではございましょうが、関連を持つような何らかの制度というものが考えられないかというようなことで寄り寄り研究はいたしております。しかしながら、一面においてこうした先輩の諸君が現役の人たちのやることについていろいろくちばしを入れるというような制度は絶対に避けなければなりません。また、ただいま御指摘もありましたように、そういうことがいわゆるシビル・コントロールに何らかの支障を来たすようなことがあっては絶対ならぬことでございます。あくまでも何と申しますか、気持の上の、せっかく長い問防衛庁の最高の幹部を勤められた方々、これは制服といわずシビルといわず、こうした方々と防衛庁というものが何らかの精神的のつながりを必要とするのではないかというようなことを寄り寄り研究をいたしているわけでございまして、昔の軍事参議官にまぎらわしいようなそうした制度、あるいは先ほど申しましたように、法的にあるいは制度的に現在の防衛庁組織にいろいろ口出しができるというふうな制度は絶対に避けるべきであるという観点に立ちつつそうした精神的な面をどうして表わすことができるかというようなことを研究している段階でございまして、ただいまの御指摘はまことにごもっともでございまして、われわれもさよう考えておる次第でございます。
  95. 下村定

    ○下村定君 よくわかりました。もしもこの問題がまたほんとうに何らかの形で出ますときには、私として意見もございますが、それは今日は申しません。ただ、これはやはり定年の問題に関係しておると思うのであります。これは防衛庁のほうでも定年の問題については御研究になっておることを私よく承知しております。すでに階級の比較的低い実力者のほうの定年も何とかするということも承っております。一方ただいま質問しました問題に関連して幕僚長あたりの高級の将官の定年、これは私はほんとうに低過ぎると思う。私どもが現役におりましたときは大将が六十五才、それから中将が五十二才、ところが、今の自衛官の将官クラスの人で一番高い定年は五十八才、これはもう今の体位の向上から考えましてもまことに不合理だと思う。こういう点はひとつ今後とも御検討を願いたいと存じます。  それからやはりこれも新聞記事で当てにはなりませんけれども、第二次防衛計画の初頭において確立せられました十三師団の編成、あれの単位の数を減らすというような議があるということも新聞に出ておりました。これは私は相当な大問題だと思うのであります。十三師団の体制につきましては、私の知っております範囲では、地方においてまことに受けがよろしいと思う。これがまたたとえ新聞報道にしましてもぐらつくということになると、これは全国的にいろいろまた影響があろうかと思います。これは確度はいかがなのでございますか。
  96. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 現在の特に陸上自衛隊の欠員状況などからさようなうわさと申しますか、推測が生まれたのではないかと存じます。しかしながら、私どもといたしましては、この十三個師団体制というものは、わが国の地理的なあるいはその他の各般の条件からいたしまして最も適当な編成であるという確信を持っているわけでございます。もちろん欠員の補充につきましては努力をいたさなければならぬのでございますが、それあるがゆえにこの十三個師団というものに再検討を加えるというような意思は毛頭ございません。
  97. 下村定

    ○下村定君 次は法案に関することでございますが、実は私この法案につきまして御質問ないし要望をいたしたいことは数にしますと十五、六あるのですが、どうも全般の審議の状況上非常に時間が詰まっておりまして、また、私といたしましては別に党の国防部会あたりで御質問申し上げる機会もあろうかと思いますが、私はその大部分を省略して、ひとつほかの委員の方々から十分に質問をされ、審議をしていただきたいと、こう存ずるのでございます。そういう意味におきましてちょっと一、二点だけ承っておきたいのですが、今度ナイキ・アンジャックスの基地がきまるわけであります。新聞によりますと、帝都の周辺四カ所に予定されておるようでありますが、その辺はいかがなものでございますか。
  98. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ナイキの最初の大体につきましては、ただいまお話のように、東京周辺の四カ所に各一個中隊を配備する前提のもとに研究をいたして、近くその具体的な場所等も決定をいたしたいと存じております。
  99. 下村定

    ○下村定君 これも新聞でありますけれども、四カ所、館山と入間とそれから霞ケ浦ともう一つはどこでございましたか……。
  100. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 習志野でございましょう。
  101. 下村定

    ○下村定君 その四カ所ですが、これはいずれも自衛隊が現に持っておられる地域のように存じますが、あの配置で予想される関東地区の防衛、防空ということに支障がないのでしょうか。逆に申しますと、何だか既設の地域のある所へ引きつけられたような感もするのでありますが、その点はいかがでございますか。
  102. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) もちろん防空の万全を期するという点からいきまして多少の問題はあろうかと思います。しかしながら、現在考え得られる各般の情勢、そうしてまた、万々一にも起こり得べきわが国に対する防空上の脅威、こういうものを考えまするときに、あのただいま予定されておるようなところにおきまして相当な防空態勢がしき得るものと考えております。ただいま御指摘のように、既存の基地にこだわって、何か非常に作戦上の無理までしているのではないかという御疑念もあろうかと思いますが、私はさよう考えないのでございまして、あの地域に配置することによって、それはもう完壁だとまで申し上げるわけにいかぬかと思いますが、やっていけるものと考えております。なお、これは申し上げるまでもございませんが、今回のわが国におきますナイキの配置につきましては、いわゆる地上式の移動性を持ち得るものでございます。したがって、万々一の防空上の脅威というよりな場合におきましては、よりよき場所に移動するということもあり得るというふうに考えておる次第でございます。
  103. 下村定

    ○下村定君 私は、このナイキ・アジャックスの基地に関連することでございますが、従来いろいろの例がありますとおり、どうも自衛隊の施設とかというと、何でもかんでも反対、核兵器なんかに何にも関係ない普通の進歩した兵器の配置でもいろいろ反対が起こりましてお困りになっておると思うのですが、今回のことにつきましても何だかそういう空気が一部で盛り上がっております。これに対する啓蒙というと言葉が過ぎますけれども、PRのほうは十分できておるのですか。
  104. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 特にナイキ・アジャックスの配置につきまして、まあ場所の選定その他にも時間がかかりましたために、それのいかなるものであるかという、いわゆる理解を深める処置がおくれておる間に、いろいろうわさされる基地におきまして、反対運動の起こっておりますることは御指摘のとおりであります。しかしながら、その後各方面に対しまして、特にあるいは地方公共団体の長の方々、あるいはその議会の方々等にいろいろとその本質を御説明申し上げておるのでございまして、だんだんとその理解をしていただいておると思います。今後も努めてそうした地方の方々に対しまするナイキの本質その他について十分な説明を申し上げ、理解を深めるように努力をいたして参りたいと考えております。
  105. 下村定

    ○下村定君 最後にお伺いいたしますが、本年度の防衛関係の予算につきましては、人件費、すなわちベース・アップの関係で八十億の金が食い込んできております。このために予定の年度増額最下限の百九十五億を三十億ほど実際下回っておるように思うのです。これにつきまして、生じた欠陥の一番大きなものは何であるかということをちょっとお聞かせ願いたい。
  106. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御指摘のとおりに三十七年度の昨年に引き続くベース・アップによりまして八十億ほどの人件費の増がありましたのでございます。しかしながら、この人件費がそれだけあったために非常に食い込んだという御指摘でございますが、必ずしもさようでございませんで、たとえば三十六年度限りで落ちる経費等もございます。もちろんふえる経費もございますのですが、そういうものを差し引きいたし、さらには後年度の国庫債務負担行為におきましても考えて参りますると、三十七年度において、初めに予定をいたしました第二次防衛計画の第一年度として予定をいたしましたものが、小さなものはもちろんございますし、あるいは後方支援態勢などで、必ずしも十分でなかった点はございますが、その第二次防衛計画の第一年度としての発足に非常な支障を来たすような食い込み方はいたしてないというふうに私は考えておる次第であります。
  107. 下村定

    ○下村定君 先ほど申しましたとおり、まだお伺いしたい問題がたくさん残っておりますが、それは別の機会に譲りまして私の質問はこれで終わります。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ私から質問したいのですが、今度の防衛庁設置法の一部改正は、相当いろいろの問題を含んでおりますので、相当時間がかかる問題が多いのです。それと実は今国会でも防衛庁の皆さん方とお会いする機会もないと思いますので、北富士の問題の、跡始末の問題でひとつ聞いておきたい。だいぶこの国会を通じ、また、前の国会を通じてだいぶ防衛庁調達庁とやったのですが、最近うまくいっておるのか、何も聞かないのですが、その後、北富士の問題は大体うまくいっておるのかどうか、その交渉の経過、そういう点をひとつ調達庁からでもけっこうです、まずお聞きしておきたい。
  109. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 御承知のように、北官士の問題の最も大きな点は、林野雑産物の補償の適正化ということであります。これは昨年の委員会におい山本先生からも御質問があったのでございますが、この適正化については現在折衝を開始しておるのであります。御承知のように、この補償の問題は、各入会組合に関係があるのでありまして、ある入会組合は、この補償額が低過ぎる、また、ある入会組合は権衡を失しておるというようなことで、そのような点を適正化してもらいたいという要望が昨年の末から強く出ておったのでございます。このような点を判断するために、現在学者、経験者による調査をいたしておるのでございます。たとえば草についての補償額は、農家の反当たりの堆肥使用量あるいは還元堆肥の量、あるいは農家が立ち入り許可日にとり得る草の量、草の代替物のわらの量というようなことが要素となって決定されるのでございます。でございますので、これらの要素について、目下調査を進めておるのでございます。この調査は御承知のように、その範囲が非常に広いということ、関係戸数が千五百戸くらいに及びますというようなこと、また、その調査内容が非常に複雑であるというようなこと、また、調査の過程におきまして、地元の要望がありまして、調査項目を追加したというようなことがございまして、まだ現在のところ、調査は完了いたしていないのでございまするが、この調査が完了いたしまするならば、その結果の提出を待って検討しまして、十分これらの学者の調査の結果を尊重しまして、早急に解決点に持っていきたいと、こういうふうに考えております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、その点についてはいろいろまだあとでひとつ聞きますが、最近それに関連するのですが、ちょっと新聞紙上で拝見したのですが、最近調達庁は北富士演習場内の県有林の経営阻害という、僕はどういうことかはっきりわからないのですが、補償金を支払うというような約束をしたかに聞いておるのですが、私、実態知らないのですが、それはどういうことですか。
  111. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 仰せのように、この県有林と申しましょうか、そこには恩賜林組合というのがございまして、これが県有林を管理しておるのでございます。かねがねこの恩賜林組合から林業経営の阻害に対する補償を要求しておったのであります。この林業経営の阻害と申しますのは、この山林の伐採でございますが、これは伐採期というものがございまして、その伐採期がくれば、これを伐採搬出しまして換金するというのが通常の状態でありまするが、たまたま演習がありまするので、伐採期に伐採ができないというような状態にあるのでございます。そのために、この伐採できなかったことによる経営上の損失に対して補償するというのが、この林業経営阻害補償、この補償についてかねがね、この地元の恩賜林組合から補償額の要求がありましたので、この補償額につきまして、地元からの要望は約五億九千万円余に上っておったのでありますが、ここ数年来折衝しまして、最近におきまして、大体県との間において協定ができたのであります。その協定の内容は、昭和三十六年度までの経営阻害に関する補償金としまして約六千百万円、昭和三十七年度以降の問題としては、残存立木に対し伐採不能による損失が約一千百万円、昭和三十六年度までの搬出不能による残材の補償というようなことで大体の話し合いがついたのでございます、話し合いの内容は以上のような点が要点でございます。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと聞いておっても理解ができないのですが、県有林を恩賜林組合が管理しておる。それについてはやはり借地料とか、そういう特別な借地料というものを払って、それで演習に使用をしておったのじゃないですか、その点はどうですか。
  113. 林一夫

    政府委員(林一夫君) これらの恩賜林組合の経営につきましては、県と組合との間に約束がございまして、大体これらの補償額のうち二五%程度は県のほうに入る、これは借地料とかいうことになる、あと七五%が地元のそれらの補償に充てるというようなことになるようになっております。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、その点がちょっとわけがわからないのですがね。それじゃ今いろいろ言われましたが、三十六年度までの六千百万円、これは現実に今抽象的に言われたことであって、政府がそんな金を六千百万円も、向こうの要求が五億だと言っているのですが、はっきりしたものでなければ、そんな話を言ったって、ほかのほうでは、先ほど聞くというと、林野雑産物の補償については学者を入れて長い間ごたごたやっておるのですが、この場合経営阻害というきわめて抽象的な問題、一体どういう阻害でどれだけの損害を受けたという、そういう積算の基礎はどういうことなんですか。
  115. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) この林業の経営阻害につきましては、ただいま長官からお話がございましたように、恩賜林組合等から五億九千万という大きい要求が出ておったわけでございますが、これは調達庁といたしましては、そういう大きい損害額があったとはとうてい認められない。そこで、どういう損害があったかというようなことを、一応この演習場でなかったならばどういう形態であったろうか、それがこの演習場であったがためにこの木材等については伐期というものがございます、伐期が来てもあの北冨士の特殊事情として、演習場であるという、米軍演習場になっておるがために切り出せないというようなことから、どういう損害が生じたかというようなことをかれこれ検討いたしまして、六千百万円およそそういう程度、その程度になるであろうというようなことになったわけでございますが、一方借料というようなものも払っております。これはまあ、ことに山林については特借ということで、この普通の借料とは別個の借料を払っているわけでございますが、この特借としては、演習場であるがために山林の手入れができない、そういうことによって山林の生長や何かも阻害される、そういうことを勘案しながらこの特借という制度があるわけでございますが、この伐期が来ても切り出せないということは、別個の考えでございますので、そういう伐期が来ても切れないという損害に対しての補償でございます。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それがわからないのですね、伐期が来てもそれが伐採して搬出できない損害が三十六年度六千百万円、向こうは五億何ぼと言ってきておる。そういうものがどういう工合に、六千百万円として、調達庁が五億何千万というやつを単に政治折衝でどんぶり勘定で五億何ぼだから、これくらいでひとつ解決しようというような、そういう考え方でやられたのか。今の不動産部長ですかの言われるのは、およそそれくらいになるだろうということですが、他の北富士の問題で、大体私は当委員会で言ったけれども、最後に学者、経営者という工合にきわめて厳格な調査をしてからでないといけないと、こう言う。一方、県有林の経営阻害の補償金だといって、これくらいであろうか、六千百万円。私はそれが聞き取れない。さっきから私は聞いておるわけです。伐採期においては一年通じてこういう工合に、現実に運び出さなかったやつでこれだけの損害があった。別に特別借料というものを出しておるのだから、その関連性ではこうなるのだ、これの差額はこれだけ出て補償するのだというはっきりしたものがなければ、私はこの問題はこれだけであれば別として、他のほうでは、調達庁はきわめて厳格ないわゆる林野雑産物の補償についてはきわめて厳格に、厳重に今まで長いこと引っぱってきておるのですね。時によっては自由行使といいますか、演習場立ち入りというようなああいう問題を起こしてまでやっておるのに、今聞きますと、五億何千万円の要求があって、それがいつの間にやらぐるぐると回って六千百万円だ、また千百万円が相応だ、話を聞いていると非常この問題だけは話が進んでいるようですが、それが私は納得できない。したがって、経営阻害の補償金というものは、特別借地料との関連においてこういう損害が事実上あったのだ、それがために六千百万円を出さなくちゃならぬかという、そういう具体的なものがなければ、北富士の問題については特に私はその点が了解がしがたい。およそこれくらいになるだろうという、そんなあいまいな態度でこの問題を解決するならば、他のほうでももっと解決の道が私はあったと思う。そんな、したがって私は六千百万円——いろいろ千百万円その他のやつがありますが、一体補償するからには数字的な、まあ積算の基礎、そういうものをもって解決すべきものであって、それを私は聞きたい。今のような答弁はなっておらぬ。それを聞きたい。
  117. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) この補償額の内容は、大体この伐期と、伐期が来ても伐り出せない、それに対する補償と申しましたが、たとえば北富士に現在たくさんある山林のうちで二十七年度には、もし演習場でなかったならば木材というものは伐期が来れば当然この程度は切り出す、また、二十八年にも大体伐期が来るものはこの割合で切り出す、そういうものが過去続くわけですが、そういうのを切り出したならば利子だけでも過去の分としてはこういう数字になりますということで、そういう伐期がきても切れなかった。そのためにもし切れたなら元本としては利子を生む、そういうことを計算して補償額というものを出しているわけでございます。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう抽象的なことだったらもう聞かぬでもよろしいのですよ。少なくとも一億近い金を出そうというのでしょう。その場合に、それがなかったならばそれくらい損害があるだろうという一つの想定でこの金を出そうと、こういうのでしょう。この契約をするときにすでにその問題が出ておったような答弁なんですね。特別山林借料のときには、きめるときには二五%程度はこれだと、その他は幾らだということがわかっておったようなことなんですがね。そうすれば、一方は五億幾らという要求をしているのですよ。六千百万円というとだいぶ額が違う。それほど幅のある政治折衝ができるものであるかどうかという私は疑問を持つ。それほど大きい幅のあるものが、五億なんぼの損害だと、こう言っているのでしょう。それを、六千百万円で解決できるというのは、大きな幅のある、政治折衝できるものを、これがはっきりと、こういう損害があったのだ、こういうものがあったのだと当初からはっきりしておればそんなものは残らないのです。今言われた他の山林の比較をしてということでこういうものを査定をして出されるということについては、調達庁は一体何を考えて——僕は北富士の問題を解決しようが、一方ではまだ結論が出ない、学者、経営者の結論が出ない、一生懸命に値段が幾らということで科学的に調査してるのでしょう、一方、五億なんぼのやつは六千百万円、これは話がわかった。——まるでこれはヤシがやることです、こういうことは。だから私は比較をして言っている。それならもっとこれについて学者を入れて、現実にどれだけの損害がある、五億何千万円の要求をしておるが、これはでたらめだ、こういう調査をなぜしてやらぬか。
  119. 林一夫

    政府委員(林一夫君) この経営阻害の補償の折衝は、三十五年八月以降ずっと続けておったのでございます。これも他の林野雑産物の補償額を定める基礎調査と同じように地元の了解も得ましたので、東大の農学部の教授あるいは農林省の林業試験場の技官等の調査に待ち、その意見を聞きつつ資料の整備を続けて折衝して参ったのでございます。やはりこのような補償につきましては、学識経験者の意見を聞き、客観的な判断資料に基づいて決定するのが適当であるということで、地元の御了解を得まして、このような方法の調査によりまして、御意見によりまして協議し、話を進めて参ったのでございます。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、学者がどういう調査をして、どういう結論を、私はいかに学者といえども、そういうものが実際山林の伐木期に、そういうときに出せなかった損害というものは、これは計算基礎は私はむずかしいと思う。林野雑産物については、大体の、大かた換算して、やはりいろいろできるけれども、説明によると、伐採期に出せなかった損害を見積もるというのは、一体学者はどういう結論を出したか、それを聞かしていただきたい。
  121. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) 学者の意見として私たちが求めました点は、たとえば木材というようなものは伐期というものが、どの程度に来ると伐期というものに達するのか、そういう点から、大体三十年、三十五年というようなことで伐期というものは来る。そういう場合に、たとえば木林というようなものは、山林経営上一緒に切るというのじゃなくて、伐期が来たものを、その年度ごとに区分して、配分しながら伐採していくというのが山林経営上の通常のやり方である。そういう場合に、たとえば二十七年度に伐採したならば、どの程度伐採したであろうか、それを、その元本を積み立てて、現在までにはどの程度の利子が生まれるかというようなことを、そういうことを基礎にしながら計算したわけでございます。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、問答していても困るから、計算された基礎、それを出してもらえば一番僕も了解できると思います。私はどうも、立木というものは、なるほどそれの年令によって切らなくちゃいけない場合がある。しかし、それは木の種類にもまた問題がある。そういうものが科学的にちゃんと調査をされて出ておるというなら、要求するほうもやはり一応そういうものを、どんぶり勘定で五億何ぼというはずないと思う。今、利子とかなんとか、利子が何とかやかましく言われますけれども、利子となると複利計算もあるし、なかなか厄介なんですね。私は共済制度の問題だいぶやったんですが、問答しても仕方がないから、その資料を、学者が、この立木についてはこの時期に切らなかったからこれだけ損害がある。この木についてはこれだけ損害がある、これをひとつ資料を出して下さい。
  123. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) これは、先ほどの六千百万円というのは、これはまだぴちっとした契約金額ではございません。現在このこまかい点がまだ残されておるわけでございまして、これがぴちっときまれば契約書というようなことになるわけでございますが、そういう点がまだぴちっときまらない面もございますので、覚書というような形で、大体こういう程度になるであろうというようなことを計算したわけでございまして、現在は細部にわたり作業を現在進めておるという段階でございます。したがいまして、そういう作業を終わり契約書というものを取りかわす段階になっておるので、資料として提出いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなた、わしの言うことよく聞いておらぬ。僕は契約書のことを言うているのじゃないですよ。学者がそういうことで、これは僕は非常に参考になると思うのですよ。将来、ほかにもあるから、学者がそう依頼を受けて調査をしたからというから、私は調達庁が言っておることはあまり信用しない、こういうことを言うたら非常に失礼な言い方ですが。しかし、学者がこういうことをやられたから学者がどういうむずかしい経営阻害の補償金というものの査定をやったかということを学者が出したと言うから、その学者の出したデータをもらいたいというのですよ。契約はその後やられたらいいですよ。
  125. 林一夫

    政府委員(林一夫君) ただいま説明申し上げましたのは、まことに大体のところでございまして、こまかい資料を現在持っておりません。さっそく作り上げましてお手元に提出いたしたいと思います。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうもわしのほうの勘が悪いのかどうか知らないが、一応六千百万円という概算でよろしいわ、概算できた、それを僕は先ほど言われた雑産物については、学者が現在長い間やっておることについては理解しようと思ったのだ、こういうことがあるのだから調達庁から学者に調査をしてもらったというから学者がどういう目安でこれをやったかということについて私は疑問を実は持っておるのですよ。だから今ないということはないでしょう、学者がやったからこの金が出たので、学者がまだやっていないのだ、それで資料が出せないというなら、あなたの前の言葉は食言なんです、学者が出したからやった……。
  127. 林一夫

    政府委員(林一夫君) お尋ねのこまかな資料は手元にございません。さっそく資料を作りまして、ここに持っていないので……。
  128. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をつけて。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれは資料を見なければ何とも言えないのですが、しかし、どう考えてもどういうふうに出されたかわかりませんが、五億なんぼを県が要求をしておったのですね。六千百万押えたというのはこれは何ですか、県の出した要求というのは、これはこれと違った理由くらいわかっておるでしょうが、これはどういうことですか。
  131. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) 五億九千万円の内容を分析しますというと、すでに調達庁のほうで中間補償というようなことでもうすでに解決しておるというようなものも含まておる。そういうこともこれは差し引き、その他五億九千万の中には私たちとしてはそういう点にまで損害があろうとはとうてい認められないというような点もいろいろございましたので、そういう点は全部整理したわけでございます。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ県のほうの要求書はあるのですね。だから県の要求したそれも一緒に次の機会に出して下さい。あまりにもあなたの言われるようにもう済んだやつもある、もし県がそんなずさんな要求をするなら、これまた私は今後の問題だから、何かに便乗してそんなものをとろうというような下心があるということではいかぬから、これは明細を書いて先ほどの資料と一緒に出して下さい、いいですね。
  133. 林一夫

    政府委員(林一夫君) わかりました。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題は北冨士の問題ですから、ずいぶんかかっておるのです。この問題が起こってから、今の雑産物の補償の問題についはかかっておるのですが、これは藤枝防衛庁長官にも実はいろいろと話をしたのだが、もうとうに年が明けて一月何日だったか、それからこうしてやるということでやったというのですがね。学者の調査も済まないという話ですが、これは一体いつごろ解決といいますか、めどつくのですか、それをちょっと。
  135. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) たぶんこの委員会でございましたか、直接山本さんでございましたか、もうすでに経過は御承知だから申し上げませんが、適正価の問題については本年の一月中旬から本格的な折衝を始めるということで折衝を始めておったわけでございます。一方学識経験者の調査も待っておったわけですが、先ほど調達庁長官もお答えしましたように、地元のほうからもこうしたものも調べてほしいというような追加の調査項目等も出まして、したがって、今までに延びました。私どもとしてはむしろ草の生えないうちにやろうと思っておったのですが、すでに草の生えるような時期になってしまって残念でございますが、しかし、経過を聞きますと、もう間もなく、というのは、非常に近い将来におい調査も終わるようでございます。それと並行して早急にこの適正価のほうも片づけたいと考えております。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題はずいぶん長い問題で、私はもう済んでおるものだと思っておったのですが、先ほど経過を聞くとまだ済んでおらない。それで、これはもう僕は今まで一回もその後行ついないのです。地元からも何もそういう意向もないし、行っていないのだから、いわゆるこの国会の締めくくりだから、もうこうなったということの報告を実は期待しておったのだが、できていない。さらに一方のほうは、県有林に対しての問題については新聞で見るともう解決したようなものが出るから、どうも調達庁は片手落ちじゃないかと思ったのですが、一たん国会が済むと言う場がない。したがって、私は、国会開会中にこれをひとつ何とかいい結果が出たというのでこれは本年度最後だと思うのです、清算したかったのです。まあ防衛庁長官はできるだけ早くと言われたが、学者の調査は一体いつ終わるのですか。それであわせて、いつごろ、まあもちろん相手方があることだから、それで向こうがOKと言わぬけれども、調達庁としてはそういうもののいわゆる回答というか、関係に対して、調達庁の方針はこうであるということを示すのは一体いつですか。
  137. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) この調査は大部分が終わっておりますが、実はきょう現在もこの調査団が山梨の中野村のほうに行っております。それでこれが終わりますと、調査そのものは完了すると、その調査が完了いたしますというと、この調査された方々が、調査結果を取りまとめると、その取りまとめが現在私たち毎日のように連絡して早くしてほしいということをお願いしておるわけでございますが、六月上旬になるだろうということでございます。私たちとしては、もっと早くできぬかというようなことをお願いしておるわけでございますが、この調査ができますというと、これを尊重して私たちとしては案を作り、それに基づいて関係者と協議するというふうに考えております。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の言っているのは、大体いつごろかという、それだけです。
  139. 沼尻元一

    政府委員(沼尻元一君) ただいの学者のそれがまとまり、報告が来ますのが六月上旬ということに仮定しておりますので、六月——まあ私たちとしてもまだそれを基礎にして若干の時間がかかりますので、六月下旬にはそういうものを作りたいというふうに考えております。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、先ほどの県有林の問題との関連もあるんで、その資料をもらった上でもう一度ひとつはっきりとしておきたいと思いますが、きょうはこの問題は保留して、一応次の機会に譲ります。  そこで、問題の防御庁設置法の問題に入りますが、相当いろいろの改正点が書かれておりますが、順次その点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。  まず冒頭に、基本的な問題ですが、今度調達庁もいわゆる防衛庁外局として吸収してしまうという問題も含まれています。これも大きな問題です。そこで、防衛庁並びに自衛隊の運営の問題に入りますが、私らがいろいろ見ておりますと、先ほど下村委員からも若干変わった立場からの点で質問されましたが、どうも自衛隊のシビル・コントロールという点がくずれていくような気配がするんです。藤枝長官なり加藤官房長、防衛局長、その他まあいわゆる非常にしっかりした人がおられますが、どうもこの前の改正の場合の統合幕僚会議に対する権限の強化、先ほど言われましたように、防衛庁内における参与制の問題、そういうものを一連に考えますと、やはり制服の権限が除々に強化されていく。これが現在池田政府の意識的な私は考え方であろうと思いません。しかし、自衛隊を持つという自衛隊という性格からくるところから、私は必然的にそうなっていく傾向が各国にもそういうのが出てきていると思うんです。私はそれを心配する。今日の現在池田内閣のもとにある各閣僚なりまた一般の良識家は、そういうことは考えておらないと思いますが、やはり武器を持った組織というものは、これは根強い一つの力がある。したがって、どうも私はそういう方向に向いていく。自衛隊そのものに対するわが党の方針はきまっておるから、私はそういう前提では今日話をしない。今の自衛隊というものがあるということを一つの次元として私は論じておるんですが、私はどうもそういう気がしてならない。自衛隊に対する心がまえのものももうすでに答えられておりますが、あのしおりその他を読んでも、そういうものは出ておらない、シビル・コントロールを基本としたものを作られておるけれども。しかし、現実の姿はそう許さないようになってくるんですが、この点について藤枝長官は非常に信頼のおける人ですが、あんだらばそういう気持はしないかどうか、まずこういう点でひとつその所見を聞いておきたい。
  141. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 私自身、今御心配になるような、いわば制服の者が何か権限を持ち、そしてシビル・コントロールを乱していくような傾向を、私は感じてはおりません。もちろん、御心配のように、実力を持った部隊でございます。それだけにやはり十分にそれが正しい方向に進むためのいろいろなチェック・システムというものは必要を感じます。また、その最高のものは、この自衛隊の最高の指揮官である内閣総理大臣が国会の監督を受けるという点でございます。それと同時に、私どもは、常に内局関係と申しますか、そういう者が勉強をいたし、そうして制服に対しましての十分な理解と知識をもって対処するということが必要だと思います。私はさような意味おいて、もちろん制服の部隊の者のいろいろな考え方についてもそうした考え方を持つように今後も努力をして参りますと同時に、内局の者が勉強をし、そうして十分な理解と知識をもっていわゆるシビル・コントロールというものの実を上げるように今後も努力をして参りたいと考えております。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 藤枝長官の言われることは私よくわかるんです。私は当然そうあるべきだと思うんですが、やはり一つの動きというものは、一人や二人の大臣なり一つの内閣あるいは一部の者では阻止できぬ勢いというものが出てくることを一番おそれておるんです。現在の憲法はその他においてはそういうことはあり得ないのですが、すでに憲法を乗り越えた形においてもうすでに軍隊という組織ができておると私は一応見ておる。これはどういう弁明をされようとも、憲法上どういう説明をされようとも、これは軍隊でないと具体的なものをとらまえると言えないと思う。ただ、名前が自衛隊と言っておるだけだと私は思う。そういう一つ組織体ですから。内局が非常に勉強してしっかりやる、それはいいことです。アメリカなんかの軍隊は、私は十分調べておりませんが、内閣委員になってから相当いろいろよく調べておるんですが、向こうではもう徹底したシビル・コントロールという思想が軍の制服であろうが制服でなかろうが徹底しておるようです。日本の場合、やはりそうは行ってない気持がするのです。私は、内局の人があなどられておるとか、そういうことは言わない。やはり専門家でないという一つの悲しさがそこにあるのじゃないか。悲しさということは別といたしまして、あると思う。それがだんだんと時を追うて、藤枝長官の時代には統合幕僚会議というものの若干の進出をしてきた。おそらく次には退役軍人の何かの役割というものは出てくる。先ほど下村委員が、定年制が非常に早いからそういう問題も来るのじゃないか。これも一つの要素だとして私もちょっと聞き取れる点もあるんですが、私はそれだけでないと思うですね。そこに一つの問題点が出てくると私は見ておるんです。ましてや憲法改正の問題が今盛んに言われておるから、憲法を改正して第九条が変わってくると、私は全く自衛隊の様相というものは一変してしまうと思っておる。そういう意味おいて最近——自衛隊そのものの問題については、社会党の一つの方針はあるけれども、私はそれを一つ乗り越えた意味おいて非常に心配をしておるんです。その意味おいて、今これを幾ら論じたところで長官の答弁というのはその域を出ないから、私はそういうところを憂えるので、そういう点は十分ひとつ注意してもらいたい。それはその程度にしておきましょう。具体的な関連性について、また後ほど質問いたします。  次に、第二次防衛計画について今どういう進捗状態、それから第一次防衛計画についても完了をしておるが、それについてどういうものであるか、きわめて概括的でけっこうでございますから、防衛局長でけっこうですから御説明を願いたいと思います。
  143. 海原治

    政府委員(海原治君) 第一次の防衛力整備計画は、御存じのように、昭和三十五年度でもって終わっております。この計画の目標達成状況についてのお尋ねでございますが、きわめて概括的に申しますと、航空自衛隊におきまして千三百というのが一応目標であったわけでございますが、この航空自衛隊におきます航空機の編成が約二百機減となりました以外は、ほとんど目標を達成いたしております。  次に第二次計画につきましては、御承知のように、ことしからこれが発足するわけでございまして、したがいまして、御質問の点は、昨年の法律改正に伴って、具体的にどの程度まで予定しておった事業が進んだかと、こういうことに考えますというと、当時予定しておりました陸上自衛隊におきます十三個師団の改編は予定どおりことしの一月十八日、八個師団の改編及び新編を実施いたしました。残りの五個師団につきましては、本年の八月十五日、これは編成の予定でございます。これをもちまして、昨年法律改正で十三個師団への改編というものは終わるわけでございます。  次に、海空につきましては、ことしは、先ほども経費の面でお尋ねがございましたが、第二次計画の初年度に当たりまして、現在その最初の月を踏み出したばかりでございますが、一応当初私どもが考えておりました編成のテンポから申しますというと、海上自衛隊につきまして三千トン級の警備艦を一隻考えておりましたが、これは今年度実施されておりません。それ以外におきましては、航空自衛隊におきまして104の部隊を二飛行隊編成することを二次計画では考えておりましたのが、その後の要員の養成状況、整備員の養成状況等から、一飛行隊の編成にとどめる、これがおもな改訂でございまして、それ以外の点につきましては、二次計画の第一年度に予定しておりました事業が予定どおり進捗するものと、このように考えております。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体言われましたが、陸上自衛隊についていろいろ計画をされたんですが、これはもう予算委員会でもだいぶ同僚議員から質問されたのですが、一応定員をふやされたが、それに対する応募者がないということで非常にお困りだということで、街頭にまでスカウトを出して募集しておるということ、同僚議員からの質問で聞いておるのですが、現在本法案の、これはまあ一応まだ未定ですが、現在の定員から陸上自衛隊はどれだけ足らないか。いわゆる欠員があるか。
  145. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、この第二次防衛計画すなわち本年度初年度でございますが、陸上自衛隊につきましては、この第二次防衛計画の最終年度においてさらに八千五百名を増加して十八万にするという予定でございまして、最初の四年は十七万一千五百人という現在の定員をそのまま維持するつもりでございます。  で、お尋ねの欠員状況でございますが、なお詳細はあるいは政府委員からお答えいたしますが、この三月末現在で十七万一千五百人に対しまして二万九千ぐらいの欠員かと思います。しかし、その後の状況はやや好転をしているというふうにお考えをいただきたいと思います。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その後好転しておるという、実際にどういう、局長からでもいいですが、欠員補充が。
  147. 小野裕

    政府委員(小野裕君) ただいま長官から申し上げましたように、三月末における陸上自衛隊の欠員状況は二万九千百八十でありますが、四月一ぱいの数字はまだ確実につかんでおりません。しかしながら、中間のいろいろな情報によりますと、予定数を、まあそれぞれの地点におきまして、目的といいますか、目標といいますか、数をやや上回った数で入隊しておる。まとまった数字は出ておりませんが、ややでございますが、目標どおりにいっておると、こういう状態であります。
  148. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 二万九千、約三万というと相当のパーセンテージにしても大きい欠員ですが、そういう欠員があるのに応募者がない。まあそれにはいろいろ理由があると思うのですが、防衛庁としてはその理由をどう考えておられるか伺いたい。
  149. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 根本的にはやはりこの十八才以上の青少年と申しますか、それの給源の問題、そうしてそれに対して一方において経済の好調からいたす産業界の年少労働者の需要が依然として衰えないというような点があろうと思います。それからもう一つ、根本的には、さらにこの自衛隊のあり方その他について国民全体に対する十分な御理解をいただくという点においてなお努力をしなければならぬ面があろうかと思います。先ほど下村さんから御指摘もありましたように、たとえば中堅クラスの定年の問題等もありますし、あるいは自衛隊に一たん入った者が除隊をいたしまして、そうしてよき職場につけるかどうかというような問題、すなわち安心して自衛隊に入り、そうして除隊した後にはまた安心してよりよき職場があるというような点についてのさらに努力する必要もあろうかと思います。そういう点を十分打開の方途を講じましてそうして定員の充実に努めて参りたいと考えております。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、まあこの問題に別な考え方でいろいろと気を配っておるのですが、なるほど好況によりそういう青年の働き手がまあいわゆるとられていくという、それはまあ結果論としてそういうことの要素も私はいなめないと思うのです。しかし、好況だから自衛隊に行かないというような考え方でですね——これは私の立場でない、あなたの立場でですね——日本の国防、自衛の役目が果たせるかという問題。好況だということは要するに賃金がいいということです。また、それによっていろいろとまあ手段を講じて、そういう青年、優秀な青年を各工場なり会社に引ぱっろうということになったためだと思うのです。私はそれも、結果論としてはそうなるけれども、やはり自衛隊に対する私は一つの信念というものがまだできておらないのじゃないかと思う。今のときの自衛隊ですから、あれに入ったら戦争に行って命がないのだと、こういうことでは私はないとは思いますがね。やはりそこに、自衛隊に行くについてはそういう経済的な条件、まあ具体的には賃金とかそういうものの条件よりもやはり自衛隊に行くという使命というものがやはりはっきりしておらないという点に大きな原困があると思う。まあそうでなければ、賃金のいいほうへ行くのだという人を自衛隊がスカウトを使って宣伝をして引っぱってきても、これはあなた方の言うほんとうの国防にならぬと思う。そうかといって徴兵制度でとったからといって戦力になるとは私は言いません。やはり今の自衛隊に対する意識、認識というものが国民の中にはっきりつかめるまでは、航空とか海上なら、その技術を学ぶためには相当いいから行ったらどうかということも私は聞くのです。これは率直に聞いてもらいたい。しかし、陸上というようなものは何にも取り柄がない。鉄砲の撃ち方を教えてもらっても、それは除隊後何にも役に立たない、こういうことで私は、やはり欠員というのは、単にそういうばく然として欠員があるという考え方でなくして、少なくとも閣僚の一人で防衛庁長官として、シビル・コントロールにおけるあなたのほんとうに総理大臣にまかされた支配者として——支配と言うと言葉が悪いが、指揮者として考えてもらいたいことは、やはりその点を十分考えてもらわぬと私は国防力にならぬと見ておる。そういう点が、まあ専門家の下村さんを前に置いて非常に口幅ったい言い方ですが、私はそういうことではいけない。まあ、アメリカあたりでも、朝鮮戦争のときには相当応募者があったけれども、好んで来るという……まあそれは向こうの宣伝ですから、そうでなかったかしれませんが、相当応募した人もあるようでございますが、私はやはり、今の自衛隊にそういう欠員が生じて、来る人が少ないということは、自衛隊そのものに対する信念、そういうものに対する国民の疑いがまだ晴れておらない、そこに私はあると見る。除隊後の就職の問題で言われましたけれども、私は結果論として、——現実の問題は長官が言われたように、率直に言われてよかったと思うんです。そういうことも私はあると思う。除隊後が非常に条件がよければ、その間どこかの学校で研修でもするようなつもりで来ると、出てくれば就職口はあるからいいじゃないかという、私はそういうことも考えておく必要もあると思う。私は、それでほすとうの自衛隊員というものが成り立たない、そう見ておるんです。これについて、まあこれは一つの議論になりますが、私の言っていることは長官の考え方とは隔たるものがあるかどうか、その点ちょっと聞いておきたい。
  151. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 私も先ほどお答え申し上げましたように、根本的には自衛隊のあり方、自衛隊に対する十分な国民の御理解を得るためのわれわれの努力をさらにしなければならぬ点があるということを申し上げたのでございまして、まさに山本さんのおっしゃるとおりだと、そういう意味でわれわれも今後十分、防衛とか自衛隊というものに対して国民の深い理解と協力を得るような努力をするということが一番の根本的な問題であるということは私どもも痛感をいたしております。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで具体的な問題に入るんですが、今、小田急沿線で防衛博覧会ですか、がすでにやられておるようです。私は小田急で通っておりますが、電車の中に大々的に広告しております。あれは小田急が主催になっておるようですが、防衛庁が非常に協力をしてやっておられるんですが、あの趣旨はどういう趣旨でやっておられて、自衛隊としてはどういう協力をしておられるか、どちらが、まあ主催者が小田急であるか新聞社であるか知りませんが、主催者のほうから自衛隊に対して依頼があってやっておるのか、自衛隊からそういう話しかけをされたのか、この三点について御答弁をいただきたい。
  153. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 主催は産経新聞でございまして、産経新聞のほうから、こうした企画に対して防衛庁として協力をしないかということでございます。で、主催者側も、新聞という公共的な性格を帯びた主催者でございます。われわれといたしましては、できるだけ自衛隊のあり方、現状、そうしたものを国民の皆さん方に理解していただく、そうした点は常に心がけておるわけでございまして、主催者の企画が適当なものと認めまして協力をいたしたわけでございまして、具体的な協力の方法といたしましては、自衛隊の装備をいたしておりまする各種の装備品等を展示し、また、それに対しまして隊員が現実に参りまして、いろいろ説明をし、あるいは質問に応ずるというようなことをやっておるわけでございます。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私も質問をしようと思って一ぺん行ったんですが、いろいろ時間の都合で全部を見なかったんですが、非常に子供の喜ぶような装備品が陳列してある。それは子供は喜びますがね。これは長官、まじめに考えてもらいたいのですがね。あの、装備のずっと並べてあるのを見て、子供がどういう感じを持つかということなんですね。あなたが今おっしゃったような、自衛隊、国防に対するものを幼いときに吹き込むのだというその精神はありませんよ。私は、産経新聞はどんな新聞か十分知りませんが、私は防衛庁はのせられているんじゃないかという気持もするんです。これは、時間があればゆっくりいろいろと具体的に言ったらいいんですがね。ミサイルとか新鋭兵器をずっと重点に並べておりますよ。子供が喜びますよ、ピストル見ても喜ぶんですからね。しかし、僕はそういうものよりも、僕がかりに自民党の、要するに、防衛庁長官であれば、ああいうことはやらぬと思います。社会党は、これはもう自衛隊に根本的に反対だから言うまでもないのだがね。あれは私は子供の好奇心をつのるためにやったとしか判断しておらない。これは私の感じだから間違いであれば間違いと申してもらえばいい。私はもっと青年層にも、見て、なるほど、こういうものかという判断をするような——私は全部見てないのだから言い過ぎかもわかりませんが、ざっと見たところがそういう感じがしているんですがね。あれは子供の楽しむ防衛博覧会といいますか、だと見ております。下村さんあたり見て、どういう感じを持っておられるか知りませんが、そこらの動物園とか、どこかのヤシとは言いません、一流の新聞社ですから言いませんけれども、そういうものの考えでやっておるのじゃないかと思うのですが、その感じは間違いであるかどうかこれをひとつ伺いたい。
  155. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 私もあの防衛博覧会は見ておるわけでございます。山本さんのお感じになった点が絶無だとは私は考えません。しかし、あの展示してあるいろいろな、特に電子関係その他の問題、あるいはその他の装備、こういうものは青年諸君がまじめに見ていただけばいかに最近の科学の発達その他というものが相当なものであるかというようなことも十分感じられ、さらには、そういう意味おいて自衛隊の理解を深めていただけるようなものも相当あると存じます。ただ、私は、そういう山本さんと御議論するわけでなくて、御心配になっておる、何か非常にショー的なものであって、それがわれわれの意図しておる真の自衛隊の姿を国民に理解してもらう、そういう意味おいては必ずしも妥当ではないのじゃないかという御心配の点は、私もその御心配になっておるお心持は十分わかるわけでございます。ああいう博覧会というようなもの、そうしてことに自衛隊の持っておりまする装備品の展示の方法、こうしたものは一面において自衛隊という規律正しい厳粛なそういうものを維持しつつ、またわかりやすく国民に理解していただくというこのかね合いをどの点に置くかという問題かと思います。したがいまして、今までの幾つかやりましたこうした種類のものの経験を入れながらああしたことにいたしたわけでございますが、さらに、そういう点については今後も十分な研究をして参りたいと考えます。
  156. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私はあの主催者の新聞社とか、あるいは小田急がやるということについては、私は一音も非難していないのです。防衛庁が少なくとも協賛という形でやる以上は、やはり博覧会の使命というものを十分考えて私はやるべきである。まあしかし、これは基本的なイデオロギーとは言わぬけれども、考え方があなたと僕と違うのですから。そういう目で僕は見るわけです。それはそういう現象というものは変わってくることは私も認めますよ。しかし、私どもが見た場合には非常に、子供に新鋭武器というものを宣伝することが重点であるように見られたから、それはもう科学の発展ということについて子供が兵器を通じて認識するということについてはゼロとかなんとか言っておるのではないが、私は先ほどから自衛隊の基本的な運営について話をしているのは、そういう一連の関連性があるから私は言っておるのです。子供の目というものは、子供は特殊な見方をしておりますから、おとなにはわからない一つの強い好奇心を特ておりますから——とにかくあのミサイルとかなんとかいうものを見ると、これで敵機を撃つんだということを母親は説明しますからね。敵機をこれで撃つんだ、今までの高射砲じゃ当たらぬけれども、これだったら百発百中だという説明を聞いて、子供は喜んでそういう感じを持ちますよ。そういう点が、やはり何か一つの敵というものを想定さしていくような私は感じを持ちます。また、自衛隊の兵器がそうできておるのですから、味方を撃つというわけじゃないのですからね。あれは敵を撃つ、そういうことになるわけですが、どうもそういう構想が、基本的に考えて、もう少し自衛隊というものを、あなたらが言われるほんとうの国土を守る自衛隊であるというならば、もう少し考案もあったのではないかということをちょっと言っておきます。これはそれほど——私は一つの何と言いますか、ショーみたいなものですから、これにこまかく力を入れて論争するほどのものじゃないと思う。しかし、わが党としては相当問題になる試みだと思います。  それでは次にもう一問だけ聞いておきます。先ほど第二次防衛計画の際にいろいろ言われましたがF104J機ですね。ジェット機、ロッキードの問題ですが、新聞紙上では、もう試作機ができて試験飛行も済んだと出ておりますが、全天候式にして非常に成績がよいという新聞記事を見たのですが、あの試作ができて、しかも試験飛行といいますか、航続どのくらいやって現在どうなっておるか、製作の進行状態、こういう点をちょっと御説明願いたい。
  157. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) F104の生産の状況を御報告申し上げますが、Jのほうの一号機が三月の二十四日に領収をいたしまして、防衛庁のものとなったわけでございます。これは先ほどお話がありましたミサイルその他も要求どおりのものでございます。すでに三十六年度に一機ということになっておりますが、当初の計画どおり、領収を終了いたしました。それからその後続きまして複座機のDJのほうの第一番目の五機のものは三菱におきまして組み立てが終わりまして、すでに現在新三菱の社内飛行を続行中でございます。これが六月ごろに搭乗、試乗を終了する予定になっております。その後、Jのほうにつきましても、DJのほうにつきましても逐次生産を進めまして、三十一年度中に当初の計画どおりJ三十二、DJ十六機の領収を終わる計画になっております。
  158. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは大体五カ年間で完成するように、二法案のときにやったのですが、今の話では順調にいっておる、こういうことですが、これに対する搭乗員の養成は、何かアメリカに行って養成しておるというのですが、その状態はどういう状態なんですか。
  159. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) アメリカでは、搭乗員につきましては、教官要員六名、テスト・パイロット二名、それから航空幕僚一名、合計九名をアメリカで教育いたしております。そのうちテスト・パイロットと教官要員はすでに帰っております。本年末から教育を初年度初頭にかかるかどうかわかりませんが、詰めておりませんが、本年度の末ないし来年初頭あたりのところから搭乗を開始いたしまして、大体のところ、当初の数年は、飛行機の生産に比較しまして若干パイロットが不足ぎみだと思いますが、三十九年くらいからだんだんパイロットがふえまして、四十年度には飛行機がやや不足になってくる、こういうプランを作っております。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 教官が六名、テスト・パイロットが二名、幕僚が一名、先ほどちょっと聞き漏らしましたが、九名のうち、幕僚とテスト・パイロットが帰って、教官六名はどうなっているのか。
  161. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 航空幕僚一名はまだ戻っておりませんが、テスト・パイロット二名と教官要員六名は帰っております。
  162. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、今言われたのですが、四十年度には飛行機のほうが足らないようになると言われましたが、あれは、ロッキードの新鋭機は複座機で幾ら作ることになっておりますか。
  163. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 複座機を含めて二百機でございます。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、教官六名、テスト・パイロット二名、幕僚一名ということで、今後はこれらの人の指導によって内地でこれを教育して、この新鋭機に乗せる要員を作ろう、こういうことですか。
  165. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) まず、スタートはその六名の教官からスタートいたしまして、学生と、さらにまた、教官を養成いたしまして、順次に教官のタイプをふやしながら学生のタイプをふやしていく、こういうことになっております。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕の聞いている要点は、アメリカ留学は、一応この人々で終わって、それからあとはこちらのほうで養成をする、こういうことですか。
  167. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 原則としてはそうであります。ただ、しかし、アメリカのほうから協力の申し出があれば、数名はさらに補助的に学生の教育を委託することもあり得るかと思いますが、原則としまして自前でやっていくつもりでございます。
  168. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このF104のロッキードは相当速力が速いのですが、これは二マッハでしたか、速度はどれくらいになっておりましたか。前聞いたが忘れてしまった……。
  169. 久保忠雄

    政府委員(久保忠雄君) 一時間に二千百キロメートルでございますから、約二マッハでございます。
  170. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 音速の二倍というわけですね。あのなかなか精巧な飛行機だということを、買うときに、相当、歴代の防衛庁長官言われたのですが、非常にまあしかもそれを開発をして全天候式に変えたということで、なおさら操縦がむずかしいと聞いておりますが、最近よく自衛隊の飛行機が落ちるのですね。落ちて犠牲になる人自体もこれはお気の毒です。また、落ちてそれで民家をつぶされて災害をこうむったところもこれまたなんですが、こういうむずかしい操縦の、速力の速いやつが来るとなかなかむずかしいと思うのですが、最近自衛隊のがよく落ちるのですが、これはどういうわけですかね。一ぺんちょっと。
  171. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 最近特に連続しまして事故が起こりまして、まことに申しわけなく思っておりますが、最近の事故の状態を見てみますと、ジェット機が七割、それから事故の原因は操縦関係が最も多く、監督指導のよろしきを得なかったものはその次であります。さらに機体、エンジン等の故障、あるいは気象、そういった原因が考えられます。このうち操縦関係をさらに洗ってみますと、第二次原因としましては、やはり監督指導と気象の問題がからんでおります。したがいまして、せんじ詰めますと、監督指導、教官あるいは飛行隊長の監督指導と、それから気象あるいは機体、エンジンの整備と、この三つに原因が集約できると思います。したがいまして、さらにそれをきめこまかく機種別に分類いたしまして、現在対策委員会の手元で慎重な調査をやっております。近く結論が出次第緊急対策を作りたいと思っております。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は民間機と比較して、いわゆる自衛隊機、軍の飛行機というのは事故率が多いのは当然だと思うのです。各国の例を見ましてもね。それは相当激しい、普通の飛行機じゃなくして、戦争をやる、実戦の状態でやる場合があるのですからね。しかし、落ちたのを見ると、そういうとき以外に落ちておるのが多いのですね。私新聞紙上で見るだけであって、実際実戦の演習をやっているというときは割合落ちずに、緊張しておるかどうか知りませんが、普通に飛んでおるときによく落ちるのですが、先ほど言われたように、操縦、監督、気象と言われましたが、気象が悪いということで落ちるようでは自衛隊の飛行機には役に立たぬのですね。向こうは気象のいいときには本土を侵すのじゃないですから、やはり来るやつもなかなかそう簡単に来ない。だから気象が悪いから落ちるという飛行機はやはりだめです。だから、気象というのは一つの条件だが、これにあまり重点を置かずに考えなければ自衛隊のはだめだと思う。気象というは気象が変わったということだと思うのです。私は、質問だから聞いたほうがいいと思いますが、大体、日本の場合は事故の起きるやつ、私はしろうとですが、しろうとなりに事故というものは克明に新聞で見るのが好きなほうで、列車でもそうですが、大体、日本の場合は、飛んでおる操縦者のせいよりも整備のほうが……割合やらない性格の国民です。とにかくこれくらいやったらいいだろうということでやる場合が何の場合でも多いのですね。だから、私は整備員がどうしておるかどうか知らないが、その点が、自衛隊においては手抜かりはないと思うのですが、今までそういう事故のあとの検査その他を見られて、整備にやっぱり欠陥があったからそういう事故を起こしたという、そういう率はどうですか、三つあげられましたが……。
  173. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 自衛隊創設以来の機数につきまして分析いたしましたところ、整備と言いましても二つくらいありまして、機材に内在するような重い——重いといいますか、工場の生産過程ですね、相当原因があったと思われるくらいの器材の欠陥、これが一七%、それから毎日飛び立つ前に列線整備といいまして、機づきの整備員が整備をするわけであります。そのチェックが十分でなく、それに基因すると思われるのが五%であります。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そのほかは操縦者の落度、気象の結果だと、こういうことになるのですか。
  175. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) さようでございます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはまあ今後われわれの経験で飛行機に乗ったとき気をつけなくちゃいかぬが、操縦の誤りというのは、民間航空とは若干違うと思うのですが、自衛隊機においてはどういう点が操縦の誤りというのですか。
  177. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) たとえば高度の測定を誤るとか、低空でですね。それから編隊を組んでおりましてやはり自分の飛行機の位置を雲の中で誤るとか、そういったのが顕著な例であります。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参考までに気象のやつ。
  179. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど気象はあまり重要ではないとおっしゃいましたが、実は小田原上空で起こった気象は、GMにいたしまして十倍近くの八のGMがかかっているという異常な状態でございまして、普通の旅客機でありましたら空中分解するような状態でありました。F86戦闘機の器材の能力をこえた気象の変化でもあったわけであります。四機飛びまして、たとえば二機は着陸いたしましたが、二機はああいうふうに落ちまして、着陸した二機も使いものにならぬというふうなひどい気象でございました。さらに昨年四月、千歳で非常な気象の悪化の原因で落ちましたがこれは私どものほうでは操縦者のせいにしております。私のほうで気象と申しますのは、気象によってエンジンがとまった一番極端なやつを気象原因というふうに数えております。
  180. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 気象というのは、気圧の変化を言うのですか。
  181. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いろいろございます。たとえば雪というようなものが北海道あたりでやってくるというようなことに関連いたしますが、結局は気圧に現われます、気象の変化は。したがって、飛行機が受けますGMとか、そういったものに還元されて表現されるわけでありますが、結局は気圧、それから視界、こういったものがことに気象の場合には問題になると思います。
  182. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれについてもう一点お聞きしておきますが、現在まで自衛隊機で、自衛隊創設以来、これは単に航空自衛隊だけでなく、海上にも陸上にも飛行機がありますから、全部でそういう事故を起こした、事故といったって不時着くらいはいいですが、墜落したというのは何機ありますか。
  183. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 陸海空合わせまして十年間のトータルは、事故件数が百八十六件でありまして、飛行機にいたしますと百九十九機になります。これは空中衝突とかそういうのを一件に数えておりますから。
  184. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは全部墜落してめちゃめやになったというやつですね。
  185. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 墜落が大部分でありますが、中には地上衝突の分も入っております。
  186. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このために、重傷でも助かった人はいいですから、死亡した人は何人ですか。
  187. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 百二十九名であります。
  188. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 参考までに、これは自衛隊員だと思いますが、墜落によって、民家に落ちて、いわゆる民間の人が墜落による犠牲になった人は何人ですか。
  189. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これは私の記憶しておりますのでは、この前二人、それから小牧でああいう事故がありましたが、これは飛行場の事故でございますが、ここで三名だと思います。それからもう一つ関東地区で墜落いたしまして、たしか一名事故があったわけです。
  190. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ私はここできようの質問は打ち切っておきます。
  191. 下村定

    ○下村定君 私先ほどもう質問しないと申しましたけれども、シビル・コントロールという重要な問題がございましたので、はなはだ僭越でございますけれども、私の考えを簡単に申し上げまして、長官の御意見を伺いたいと思います。先ほどもちょっと申し上げましたが、私どもは適切な方法でシビル.コントロールの確保が絶対に必要だと思います。それにつきましてそれをやるための根本は、政治の局に当たられるお方が責任のある高い地位を持たれることが一つ。それからいま一つは、大所高所から軍事を統制するという実力をお持ちになることが二つの条件じゃないかと思います。地位の問題につきましては、現在の防衛庁の体制は一応ととのっておる。実力と申しますと——防衛庁長官はごりっぱな方です。前にしておいてこういうことを言っちゃ失礼なんですけれども、諸外国の例を見ましても、国防大臣とか、あるいは国会の軍事面を担当せられる方々は、軍人でなくても相当の経験をお持ちになっておる。日本ではどうもおえら方でも、十年間に十六回もかわられるということでは、私はその点だけからいうても、どうも少しこれは長官のことを申すのじゃございませんが、心細いです。それでもともとシビル・コントロールということは、戦争前あるいは戦争中に生じましたような弊害を除去することにあると思うのであります。その意味におきまして、その実力と地位ということが二つの柱でなければならぬ。それについてひとつ長官の御意見を伺いたい。  もう一つ伺いたいことは、今防衛庁当局でお考えになっております統合幕僚会議の権限拡張と申しますか、これはいろいろ端摩憶測はされますけれども、私はこれはシビル・コントロールには関係ない、現在までおやりになっておる。それはっまり三つの自衛隊を合理的に、能率的に、また、経済的にいかに統率するかということだろうと思います。現にアメリカの本年度の予算教書を見ましても、陸軍予算とか、空軍予算というものはありません。全部目的によって分かれておる。ということは、現在の戦争では、陸海空の区別はない。それが統合して使われるのだということからきておる。その点から言いますと、今まで防衛庁でおやりになっておることは、まだまだこれからそういう意味で、自衛隊の統率という意味から研究をされる余地があるのじゃないかと私は存じます。それをひとつ御意見を伺いたいと思います。
  192. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) もちろん私どもは、十分な勉強をいたしまして、そうしてこうした軍事面について十分な発言を持ち、また、統率力を持つようなそうした努力をしていかなければならないと思います。それと同時に、常に隊員全般に対しての十分な配慮をし、きめのこまかい考え方を持ちまして、これらの隊員諸君の気持をしんしゃくして参るということもひとつ重要に考えなければならぬと思います。いずれにいたしましても、先ほど山本さんにもお答え申しましたが、われわれ常に研さんをいたし、そうして大きな観点からこれを統率していくということが最も大切だと存じております。また、第二段の統合という問題、これは御指摘のとおり、世界各国の傾向であり、また、今後の事態を考えまするとき、陸海空がおのおのその任務を果たしつつ、しかもそれが一つに統合されて動くというところに最も能力を発揮できると思いますので、この統合という問題につきましては、今後も努力をして参りたいと考えております。
  193. 下村定

    ○下村定君 次は、自衛隊の制服幹部の立場から申しますと、御承知のとおり、現在自衛隊の幹部の中には私どもより以上の実戦の経験者もあります。また、防衛大学でほんとうに新しい人間としての教育、また、軍事的な非常に進んだ教育を受けた人があります。ですからシビル・コントロールの方につきましても、こうした人の専門的な実力を十分に認めてやり、発揮させていただくということがこれまた一つの要件じゃないかと思います。人事の問題につきましてもただ階級で押えつける、職域で押えるというだけじゃこれは趣旨に反するのじゃないか。もっと上の位のことは申しませんが、今申しました新しい教育を受けた人の中には政治についてて相当の識見を持っている者もありますから、こういう人は制服を脱がしても、とにかく内局に入れて、あるいはさらに、参事官とか局長という地位につかせるということもひとつ考えていただいていいのじゃないか。これは私は旧軍人として申すのじゃなくして、これは現在の制服幹部の性格から、また、教養からもこういうことが必要じゃないかと思う次第であります。
  194. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) いずれにいたしましても適材を常に適所に置き、そうしてその能力を十分に発揮させつつ、しかも大きな見地に立ってそれを統率していくということが根本的に考えなければならないことだと思います。そういう意味であらゆる方面に十分な配慮をしつつ、この点について今後も努力をして参りたいと思います。
  195. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後五時十七分散会