○一松定吉君 私は関連質問といいますか、労働争議等に関するごく大体についての
政府の
意見を確かめておきたいのであります。
御
承知のとおり、近来非常に労働争議、ストイラキとかいうようなものがひんぱんに突発いたしまして、それがために工場にいたしますれば、生産に非常なる障害を来たす、国家にいたしますれば、国の執務に対して非常な障害を来たし、それがために国民、あるいは国家、あるいは使用者、あるいは労働者、そういう人に非常なる損害を及ぼすことは、これは顕著な事実でありますが、これを何とかしてそういうことのないようにして、労使の満足のいくような方法を
法律上講ずるということが、今日私は急務であると
考えておるのであります。たとえば運輸省の諸君、あるいは郵政省の諸君が自分の
給与が少ないとか、
手当が少ないとか、もう少し増額せよとかいうようなことで、いわゆる団体を作って、そうして全くその勤務を放棄してしまう。それがために国民の損害はどれだけであるかということは、お互いが経験していることによって明らかでありまするが、こういうようなことをひとつなるたけなからしめ、もしくは是正するというようなことは、
政府にしても、労働者にしても、また、立法の府にあるわれわれ国会議員にしても、これは
考えなきゃならぬことであると私は痛切に思うておるのであります。自分らの満足がいかないからというて、同じ業務に従事する全国の者が、数十万人が一致結束して、三日も一週間も十日も一カ月も職務を放棄するということになったら一体国家の秩序はどうなるでありましようか。あるいは役人がそういうことをしたら、それがためにわれわれ民衆の受ける損害というのは多大なことなんです。しかるに、今それを今日平気でやっておる。役人がはち巻をして、たすきをかけて、そうして赤旗を打ち振って、そうして市街を行進して何日問も何日間も続いてやって、結局使用者を威嚇し、
政府を苦難に陥れしめて自分らの目的を達成しようと、こういうやり方が今日の実情なんです。こういうようなことを是正し、なからしめるためには何か
政府はひとつこれを
考えて、労使双方にまあまあこの程度ならわれわれも満足しなければならぬなというようなあきらめを持たせるような
制度というものが今日必要ではないでしょうか。そういうことをするについては、今、
人事院の諸君が
法律に基づいてこういうような
給与をふやすとかあるいは
手当てをふやすとかあるいは実費をふやすとかいうような
勧告をする。その
勧告はこれがほんとうに神様の立場から見て公平無視であるならば、それは使用者もあるいは労働者もそれに服するということはできましょうが、もし、この
人事院の
勧告とか調査とかいうようなものが不公平であるとかいうようなことになりますると、それに対してやはり双方が不平不満であるというようなことになっては、なかなかこれは容易におさまらないことが現状ですから、こういうことをひとつどうすればいいか、しかし、私は今のままでほっておくことはできまいと思う。それがためにあるいは労働争議は数ヵ月続くあるいは数年間続くということのために、使用者はその業務を放擲してしまって、廃業とか破産とかしなければならぬ。また、勤労階級の諸君はそういうことをした結果、自分らの勤める場所がなくなる。そのためにさっそく衣食に困るというようなことが往々にあることはこれは言うまでもありません。これをどうすればいいか、これについては私は今のような
制度で、あるいは双方の調停機関を設けて調停させてみて、その調停に不服であるからというてそれならばおれはこのストライキをやめないというようなことが継続するということが今日の実情でありまするが、私は何とかしてそういうようなことをやめさせる方法としてはいわゆる調整の機関を
法律上設ける、あるいは労使双方の利害
関係を勘案するようなものを設けて、そうして第三者によってこれを勘案して、まあこの程度ならやむを得ないなということであきらめさせるような
制度を設けて、それだけでいけないなら最後は結局裁判にもっていって、裁判の確定判決によって自分らの
主張がいいか悪いかということを判断してもらって、そうして確定判決がそこで出たならばそれに労使も従わなければならないというような
制度を設けることが必要ではないかと私は思うのです。ただ、今日この労働者の諸君が憲法の二十八条ですか、これによってわれわれには団結権があるのだ、交渉権があるのだというようなことで、これは憲法の二十八条はそのまますぐに表だけから
解釈してそうしていわゆる憲法の十二条、十三条公共の福祉に反せざる程度においてというような制限を頭に入れないで、ただ、自分らには団結権がある、交渉権があるというので、この憲法二十八条をたてにとって、そうしてやって、自分らの
主張が正しいのだ、ゆえにこれに応じなければいつまでも業務に従事しないのだというような態度では私はよくないと思うのですから、こういうような二十八条の
解釈はそういうような
解釈ではないのだ、これには十二条、十三条の制限規定があるのだよ。公共の福祉に反してはならぬぞ、こういうような程度が、公共の福祉に反するのだ、この程度ならば公共の福祉に反しないで君方の
主張はやれることができるのだよというようなこともほんとう、明確にこの労使双方に認識を深めるような法規を求めて、この憲法の
解釈等も正しい
解釈を与えるようなことにすることが必要であると同時に、今言うように、自分らの希望を満足するために、全部の者がその職務を放擲してしまってやるということはどれだけ国家の損害であるかわからぬ、ですから、そういうときにはいわゆる
代表者ならば
代表者を設けて、
代表者が自分らの団結の意思をある機関に申し出でる。そうすると、ある機関は、その労使の申し立てによって機関を設けて、それで判断をする。その判断に服しないときには、最後に裁判にかけて裁判できめるとかなんとかいうような
制度を私は設けることが今日の急務であると思うのですが、そういう点について
労働大臣はどうお
考えでありまするか、それをひとつお聞きしたい。