運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-03 第40回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月三日(火曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————   委員異動 四月二日委員野田俊作君辞任につき、 その補欠として中野文門君を議長にお いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            山本伊三郎君    委員            上原 正吉君            木村篤太郎君            中野 文門君            一松 定吉君            松村 秀逸君            吉江 勝保君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      江守堅太郎君    法制局次長   高辻 正巳君    法制局長官総務    室主幹     關  道雄君    法制局第三部長 吉國 一郎君    総理府総務長官 小平 久雄君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    中央青少年問題    協議会事務局長 深見吉之助君    宮内庁次長   瓜生 順良君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    警察庁保安局交    通指導課長   西垣 秀正君    大蔵省主計局主    計官      高柳 忠夫君    大蔵省主税局総    務課長     吉国 次郎君    運輸省港湾局参    事官      岡田 良一君    運輸省自動車局    参事官     増川 遼三君    労働省職業安定    局調整課長   北川 俊夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。昨日、野田俊作君が辞任され、中野文門君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  政府側から出席の方は、小平総務長官佐藤総務長官江守審議室長關総務室主幹深見中央青少年問題協議会事務局長瓜生宮内庁次長説明員として大蔵省吉国主税局総務課長高柳主計局主計官岡田運輸省港湾局参事官増川運輸省自動車局参事官方々でございます。  御質疑のおありの方ば、順次御発言願います。
  4. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まず冒頭に、総務長官にちょっと聞いておきたいんですが、本案によりましても、相当審議会、また、調査会が設けられるんですが、どうも政府のこの審議会に対する態度——予算委員会でも審議会答申を尊重すると言っているけれども、まあ池田総理があれで尊重しているのだと、こう言っているのですが、われわれから見れば、審議会調査会審査過程から見ると、どうも納得できない。そういうことだったら、もともとこういうものをもう作らずに、政府責任であらゆる施策の立案をやったらどうかと思うのですが、政府としての考え方——考え方よりも、決意と申しますか、そういうものをはっきりこの審議にのる前に総務長官から聞いておきたいのです。
  5. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 最近、審議会あるいは調査会等の問題にっきましていろいろ話題になっておりますことは私ともも承知をいたしております。しかしながら、原則の問題といたしましては、せっかく調査会なり審議会で御審議をいただいて得ました答申というものは、これを尊重をいたしていくという建前は、これはもう当然とらなければならぬ問題だと私ども考えております。お話のうちに、あまり尊重しないならば政府責任をもってやったらいいじゃないかと、こういうお話でございますが、何分まあ最近の行政というものは、非常に専門的な知識をどうしても要する、専門的な知識を拝借するということが必要になって参っておりますので、また一面、広く一般国民の声を聞くというような意味におきましても、こういった専門知識経験を有せられる方を主としました調査会審議会等を通じまして、これらの方々の御意見を十分拝聴し、これを尊重してやっていくということは、やはり今後におきましても必要なことじゃないかと考えております。  ただし、現在、調査会審議会等が相当な数に御承知のとおり上っておりまするし、また、ほんとうに役立っていないようなものは、これは極力むしろ整理すべきだと、こう考えると同時に、また今後におきましても、新しいものについてもなるべくまあふやさぬで済むものはふやさぬでいこう、とういう考え、これらにつきましては、政府におきましても両者とも努めてさような方向に持っていきたいと、かように考えているのであります。
  6. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この政府審議会調査会に対する考え方は、これは私は否定できないと思うのです。戦後民主的な政治の実現のためには、広く学識経験者、いわゆる国民の声を聞いて、それを施策に現わすということはいいことなんです。ところが、あまりにこれに籍口して作って、そうしてせっかく努力して答申をしても、骨抜きのような形にされる。私は予算委員会で特にあなたに迫ったのですがね、農地買収者問題調査会にしても、あれが生まれるまでに三回の国会を経過して、相当この委員会でももんで、相当議論を戦わしてようやく、われわれは反対いたしましたが成立した。しかし、それについて、ようやく答申を出そうという直前になって、政府は別の考え方でああいう融資問題を出してくる、われわれほんとう審議した者から見ると、非常に何か肩すかしと申しますか、われわれは、こんなものならいいかげんにやったらいいじゃないか、こんなものは作らぬでもいいじゃないかという気持になるのですね、そういうものが私は将来大きく影響するのじゃないか。また、そういうことの、調査会なり審議会委員になられた方々立場にしても、せっかく努力して答申したものも、政府が尊重しない。それなら一応おざなりな形で、お茶を濁しておこうじゃないか、そういう気持になるのじゃないかと私は思う。しかし、幸いに各委員人たちはそういう人はいないと思いますが、そういう風潮を醸成してはいけないと思いますので、特に総務長官冒頭に聞いたのですが、なるほど答申そのものをずばり聞くということになれば、これは政府なり国会の存在ということも無視されるのですから、これを私はそのそのままこの答申を実施せよとは言わない。しかし、本筋である、だれが見ても当然だということを、しかも農地の被買収者問題については、答申を待たずして、そういう措置をとるということに対しては、私はきわめて不満がある。選挙制度審議会にいたしましても、一応はまああの答申が出ている、まあその上でいろいろ問題があってああいう原案が政府で作られたんですが、それはまだ方法においては一応答申の出た上でそれをしんしゃくしたと言いながらやるけれども、農地買収においては、もう答申をせんとする直前においてああいう政府が勝手な措置をとることは、たとえどういう弁明をされてもわれわれとしては、この審議にあずかった一員としては非常にふんまんをしておるのです。まあ、将来こういうことのないように総理にも十分言ってもらいたいと思うんですが、もう一回その点について。
  7. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 先ほど申しましたように、若干の審議会調査会等について最近話題になり、また、議会におきましてもいろいろ御議論を小ただいたことは万々承知いたしております。したがいまして、われわれといたしましては、調査会審議会等の御意見につきましては、その答申をできるだけ生かして、あるいは立法化し、あるいは予算化するという方向に最大の努力をいたして参りたい、かように考えております。
  8. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、また、この審議過程で他の委員からも政府に言われると思いますから、私はきょうはその程度にしておきます。先ほど申しますとおり、再々繰り返しますが、答申を尊重する度合いということはこれは一応別としても、審議会答申を待たずして、そういう審議会調査会を無視しておるような態度は、今後厳に戒めてもらいたいと思います。これは私から希望しておきます。  それで、内容に入りまして、宮内庁定員増の問題から……。この内容を見ますと、三人の新規増常勤労務者等九十五人。これは定員外職員の本採用繰り入れという意味ですか、この点について。
  9. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この九十五名は、定員外職員定員の中へ繰り入れるということでございます。
  10. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはどういう労務者——宮内庁でどういう作業をしておられるんですか。
  11. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) いろいろございまするが、皇室用財産整備のほうの下働きをしている人、整備といいますと、その中には土木の関係とか、いわゆる大工の修繕の関係がありますし、建築の関係もありますし、配管とかそういうような関係もあります。一部、清掃の関係、きれいにするというような関係のものもございます。それから三里塚の牧場あたりで家畜の世話をしておる人、農場の世話をしておる人、そういうのがあります。なお、事務的に、この事務的の下部の手伝いをするというようなものもございます。
  12. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前、内閣委員会で実は皇居内を視察しましたんですが、天皇の書院といいますか、お住居といいますか、あれはもう完成したんですね。
  13. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 天皇陛下のお住居は完成いたしました。これは昨年の秋に完成しております。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つ、去年問題になっておった皇居の一部を公園に開放の問題ですね、あれは進行状態はどうなっておりますか。
  15. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 皇居のいわゆる東側地区と称している所でありまするが、約十万坪のものが、この部分につきましては皇居付属の庭園としてこれを整備して、行事支障ない限りにおいては一般に公開するという線で、現在その整備をする上の事業を進めつつあります。三十六年度事業でいろいろ木を植えたりいたしまして、なお三十七年慶に入りますると、うまやを作りましたり、馬車庫を作ったりして、今ありますうまや、馬車庫をこわして緑地にするというふうに計画を進めております。完成いたしますのは昭和四十年になるかと思います。完成しますと、その行事支障がない限りは、一般に公間をするということをやる方針でございます。
  16. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 新しい皇居の造営といいますか、あれはとういう進捗状態になっておりますか。
  17. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) この皇居の中には、陛下のお住居、それから公式の行事をされる宮殿宮殿のほうだと思いますが、これは三十七年度中設計を完成いたしまして、三十八年から工事にかかる予定でございます。令の見通しとしては、三十八、三十九、四十、四十一と、昭和四十一年に完成をする見通しで仕事を進行中でございます。
  18. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この常勤労務者なり、宮内庁のこういう職員の給与は、あれは国家公務員の第二表になっているのですか。
  19. 瓜生順良

    政府委員瓜生順良君) 今までは常勤労務者予算になっておりまして、これを今度引き直しますと、そのうちで第一表になる人と第二表になる人があります。第一表の者は事務補助の人、第二表になる人は技術技能関係、第二表の技術技能関係の人がずっと数が多いわけでございます。
  20. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 宮内庁のやつはその程度にいたします。  次に税制調査会大蔵省
  21. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  22. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 税制調査会説明によると、一応廃止という形になっていますね。新たに設けるというのですが、実質的にはこれは期間延長というか、継続という形のように考えられるのですが、どうですか。
  24. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 税制調査会は、御承知のように、三年の期限でこの二月三十一日で一応廃止になったわけでございます。今回の新たに設けます税制調査会は、附則ではっきり書いてございますように、新たに設置されたものと見なすということにいたしておりまして、委員の任命等新たに行なわれるという予定でございます。したがいまして、税制調査会令等も全然新たに作るという前提にいたしております。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、現在の税制調査会メンバーは、これはまだできるまでは人選はしておらないと思うんですが、相当かわられますか、予定は。
  26. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 今度の税制調査会は、若干字句も変わっておりますように、税制の「基本的事項」を審議するというふうに申しておりますが、この「基本的事項」と改めましたのは、実質的にそう大きな違いはございませんけれども、税制調査会としては、今後期間を切らずに、税制あるいはそれに関連する基本的な問題を討議するということにいたしておりますので、現在まだ人選等については法律も通っていない段階でございますので、もとよりきまってはおりませんけれども、かなり色合いの違ったものになることにせざるを得ないのじゃないかという感じはいたしておりますが、具体的なことはまだきまっておりません。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題はそこにあるのですけれどもね。現在ある税制調査会は主として毎年度減税に関する答申が相当大きいウエートを持っておったと思うのです、基本的事項ということになると、僕らの浅い税制知識から申しまして言うのですが、税体制を根本的にひとつ検討しよう、こういう趣旨がこの調査会の中に盛られておるのですか、その点ちょっとお伺いします。
  28. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 税制改正の根本となる、基本的に税制体系全体を考え直すしいうことは、もとより入っていると思いますし、また、税制に関連する幾つかの基本的な問題、たとえば調査会でもやり残したといっております資産所得、たとえば利子、配当の課税を相互にどのように調整して考えるか、もるいは間接税については、その転嫁の実態をりかまえて、実際の負担がどうなっているかというような掘り下げた問題を検討することになるのじゃないかと思っております。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、予算委員会でも大蔵大臣が、来年度も引き続いて減税については答申を待って政府としてはやりたい、まあはっきり言質していないが、そういう方向で進むことは当然である、こういう答弁があったと私は思うのですが、したがって、この税制調査会は、衣がえをしたけれども、基本的な問題もあわせて、やはりその年、その年度における減税の問題もあわせて調査審議する、こういうことですか。
  30. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) もとより基本的事項と申しましても、税制全体がからみ合っておりますし、毎年の税制改正にいたしましても、全体の体系の中に考えられるわけでございますが、税制調査会として毎年の税制改正を全然対象外にするということは常識的にも考えられないと思いますので、やはり毎年の税制改正にも、答申という形になってくるかどうかは存じませんが、やはり内容的な審議をするということにはなると思います。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはここで別一に言わなくてもいいのですが、もちろん基本的な税制税体系についても問題が相当あるということも知っているのですが、やはりわれわれとしては、今の税金を年々やはり減税していかなければならぬ、こういう自然増収がふえておるときですから、これに相当私は関心を持っているのです。基本的な問題といえば、ずっと——明治時代は知りませんが、大正時代から見て、いろいろ税制が変えられておりますが、結局は、名前なり法が変わっても、税というものは、各国の状態を見てもそう天と地と変えるような形は私は出てこないだろうと思う。しかし、長い歴史の過程では自然に変わってきます。納税者の層も変わってきましょうし、変わるけれども、観念的に、理論的に、そう簡単にいけないと思うので、われわれとしては、基本的な問題をやられるのもいいが、やはり年々の減税問題に対してこの調査会十分力を入れてもらわぬと、基本問題だけやって、減税については趣次的なものである、こういう考え方では困るのですが、これを新たに設置しかえるというときにこれははっきりしておいてもらいたい、こういうことなのですが、これは大臣にはっきりと言質をもらいたいのですが、大蔵省では優秀な人らしいから、あなたから、総務長官もおられるから、その点をはっきりしておいてもらいたい。
  32. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 先ほど申し上げましたように、毎年の税制改正は、特殊な技術的な事項である場合は別といたしまして、おっしゃいましたように、毎年の税制の積み重ねが一つ体系を長年の問に作っていくわけであります。そういう意味基本的事項といった場合に、毎年の、何と申しますか、ごく簡単なものは別といたしまして、毎年今行なわれている程度税制改正というものは、すべてやはり基本的な事項に含まれると考えるべきだと思っております。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは総理府総務長官に、今度大蔵省設置法もし来るから、そのときに大臣にもただしまずけれども、この説明だけ見ると、「基本的事項を恒常的に調査審議するため、名称は同じでありますが、新たな機関として設置しようとするものであります。」ということを、これをすらっと見ると、もう毎年の減税問題については、これはあまり言うてないという印象を受ける説明文になっているのですが、提案理由説明にあるのですが、今大蔵省から言われたその点は、はっきり議事録にとどめておきたいと思うのですが、これは総理府総務長官所管外で言えませんか、その点について。
  34. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) その点は、ただいま大蔵当局から御説明がありましたとおり、税制というものが非常に複雑であり、しかもそれらがいずれも相関連している、こういうことであろうと思いますので、基本問題とは申しておりましても、調査会審議対象としては、当然毎年の減税についても審議そのものは行なわれるものだき私どもも理解をいたしております。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは総理府総務長官が言われたのですが、いろいろ関連して心配になるんですよ。基本問題になると、これは税の専門家を主としてやはりメンバーに入れなければ私はいかないようになると思うのです。現在は税制調査会に、いわゆる広く労働者階層の人もあらゆる階層の人も入っていると思う。それはあながち税制に対する専門家でなくても、いわゆる税を取られると申しますか、納税するという立場の人も相当入っているんですね。基本問題となると、やはりこれは税のいろいろ専門的な知識からそういうものを検話するというふうに受け取るのですが、これもなおもう一ぺん確かめておきますが、先ほどメンバー全部やりかえるのだということを言っておられたが、もし先ほど総理府長官が片われたように、年々の減税問題もこの中に扱っていくというなら、そのメンバーの中にもそういう人を入れなくちゃならぬと思うのですが、芦の点まだ選んでおらないけれども、どうなんですか。
  36. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 御承知のように、従来から臨時税制調査会とか、今回の調査会とか、いろいろの調査会がほとんど毎年のようにできておりますが、その際には、大体納税者の各層の意見を代表するような方をかなり選んで入れているわけでございます。もちろんこういう性質の調査会でございますから、ある立場代表者としてお選びするわけではないのでございますが、やはり税制は各般にわたっておりますので、それぞれの知識経験をお持ちの方を選んで、具体的な納税者としての意識から税制を検討していただく必要があるわけでございます。そういう意味では、今後の調査会の、これは今申し上げられる段階ではないのでございますけれども、そういう専門的な知識のある学識者の方と同時に、納税者としての立場で税を検討できる方が、当然双方一緒に入ってこられるべきものだと考えております。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたにこれ以上これについて質問進めても無理だと思うのですが、われわれ一番心配しているのはそういう点にあるのです。しかも、先ほど冒頭総務長官に言ったように、審議会に対する政府措置といいますか、態度というものは、あまりわれわれとしては信用できない、残念なことだけれども。したがって、われわれもこの審議会調査会は、今まで相当信用してやってきているのですが、今後はそう簡単にこの問題を、そう政府が答弁したから、そうですがというようなことでは受け取れないような立場にわれわれは追い込まれているんです、実際のところは。したがって、執拗にこういうことを聞いているわけです。われわれは当然そうあるべきだと思って、そうなくちゃいかぬのですが、そうでないように出てくる場合がありますから、特にこう言ったのですが、いずれまた、大臣が見えたときにその点私は押しておきたいと思うのですが、総務長官に、この案が終結して本院で上がるまでに大臣に来てもらえるかどうか日程わかりませんので、この次までにこれを総務長官、ひとつ大蔵大臣に会って、その点十分確かめてきて、直接大蔵大臣から説明願えればけっこうですが、総理大臣からでもけっこうですが、その点はっきりと聞いておいていただきたい。よろしゅうございますか。
  38. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 承知いたしました。私からも連絡をいたしますが、大蔵省からも来ておりますから、もちろん連絡をすることと思います。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ聞いておきますが、もちろん国税だけでなしに、地方税体系問題も一緒に含めてこの中で討議まれるので一三ね。
  40. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 従来どおり、地方税の分野も一緒に入るというふうに考えております。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これをあなたにあまの言うのはちょっと無理かと思うのですが、予算委員会を通じてずっと質問しておると、大蔵大臣地方税に対しては比較的冷淡じゃないかと思うのです。やはり税制全般については大蔵省主税局かそこらがやっておると思うのですが、地方税は自治省まかせだ。しかし、法律を作るときの発言権はやはり大蔵大臣が強いと思う、税制については。また、そうあるべきだと思う。地方税が独立してこれがあるべきものでない。国税地方税が均衡がとれておるかどうかということは非常に大きな問題です。そういう点において大蔵当局に特に言っておきたいのですが、現在国税地方税を見ましても、基本問題を調査されるときに、地方税は比較的政府としては軽く見ておる。今の税体系からいって予算の約七割程度はやはり地方補助金とか、あるいは交付税とかによってすべてやられておるが、その地方税税源国税と比べてウエートが少ない。こういう点、私は地方自治の確立から見て非常に矛盾があると思う。したがって、そういうものもあわせてやはり今度のこの調査会十分検討をしなければならぬ乙思うのです。あなたこの点についてどう思いますか。
  42. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 税制調査会は、御承知のように、総会のほかに三つの部会を設けまして、税制一般部会と、企業課税部会、さらに税源配分部会というものを作ったわけでございます。この税源配分部会というのは、国と地方との税源配分が適正であるかどうか、それをいかにすべきかという問題を検討したわけでございまして、非常な時間をかけてやったわけであります。ただこの問題は、御承知のとおり、地方税は各団体の個々の収入が非常に程度が違いますので、ある税を、独立税をふやしますと、それによって当然交付税が減るとか、あるいは補助金が減るわけでございますが、ある団体では地方税がふえたために非常に収入がふえる。補助金が減った影響よりも独立税がふえた影響のほうがはるかに多いということがございます半面に、ある団体では税収がほとんどふえない。交付税とか、補助金ではうんと減っておるというようなアンバランスが起きるわけであります。その点を非常に詳しく検討したわけでございます。最後に出しました結論が、今度のような所得税の一部を都道府県民税に振りかえるということで、初年度は約百十億円の税源を付与したわけでありますが、これは実に小さいと申しますか、実はシャープ改正以来何年もこの問題をとり上げてきましたが、今度の改正はあれでも相当大きい、調査会としても相当力を入れてやったわけでございますし、調査会の中で幾つか残した問題の一つの問題は税源配分の問題だ。さらに地方財政、国家財政の問題、地方行政の問題までほんとうはからむのだということを言っておりますが、これが将来の大きな問題であることはもとよりでございまして、大蔵省としては地方税の問題に決して冷淡ではないのでありまして、それだけ問題が困難であることは事実であります。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 予算委員会のむし返しではないのですが、今度の所得税を地方税に委譲して、そのかわり入場譲与税を国税にした、あれで池田総理大臣大蔵大臣の答弁があったのですが、国税地方税は性格が違う、地方税は負担分任の精神から、いわゆるある程度確実ではないけれども、国税の所得税のように累進課税ということはちょっと無理だという御説明であった。私はそれについて反駁の余地があったのですが、時間がないから言っておかなかったのだが、あなたは専門家だからどう思うか参考までに。国税が応能主義で地方税は応益主義だという原則は認めるが、もし府県民税に対する比例税、百五十万円を境にして二%、四%の比例税、県民税の負担分任の制度から考えると、もっと基礎的な自治団体である市町村の住民税、これがそうなっていない、だから非常に食い違いがあるのです。だからあなたの言われるように、これは税源配分、貧弱団体と富裕団体における調整の問題が一つあると思う。あるいは累進課税になると、富裕県はうんと税収に県民税が入る、それではいかぬからというので、若干無理があるが、ああいう極端な比例税にしたと私は思っております。その点あなた責任を明らかにしてくれとは申しませんが、あなたの豊冨な税制に対する考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  44. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) ただいまお話のございました地方税について比例税率的なものがいいかどうか、これは御承知のように、北欧三国の中でも極端なそういう形をとったものがございまして、世界的にもそういう例があるわけであります。府県民税だけをやって、市町村民税をやらなければこれは確かに問題があると思います。ただ御承知のように、市町村の場合には、府県に比べて自治団体が多く、その影響を見きわめるのに非常にむずかしいのであります。でありますから、早急の間というか、かなりの準備が必要でありまして、そういったことで府県民税はああいう形にしたわけであります。ただ所得税にいたしましても、道府県民税にいたしましても、市町村民税にいたしましても、所得課税の総合負担というものを見るときに、すべて一括して見ているのが実情でございます。たとえば外国で課された所得税額を控除する場合には、この場合は所得税から引いて、府県民税から引く、市町村民税から引く、たまたま市町村、府県、国で分割してとっておりますが、その総合負担は一本にして考えるべきものでございます。そういう意味から申しますと、全体を通じた総合負担がなだらかに累進課税が入れられれば所得課税としての理由は十分立つと思いますし、先ほどおっしゃいましたように、道府県の場合、地域が国に比べれば狭いのであります。だから極端な累進課税をとりますと、収入の偏在が起こりますし、かえって収入の安定さを害するということ、それから国から受ける受益と地方団体から受ける受益が個々の場合にかなり違う、かなり具体的なものが地方の場合には受益として現われてくる。そういったことを考えると、今回のような考え方は今後とも十分検討すべき問題じゃないかと思うのであります。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体あなたの言う基本的な考え方については私はあまり異議がないのですが、今度のとられた措置はきわめて私は政策的という言葉が当たるかどうか知らぬが、根本的な考え方に私は矛盾していると見ているのであります。ただ、財源調整という意味において、相当ああいう措置をとられたと思うのですが、御存じのように、地方税では、府県民税でも市町村民税でも一応均等割で、負担分任の考え方というものは、一応われわれは満たされておるのです。これは千万円所得があっても、年に十五、六万円の者でも、一応均等に出しておる。一千万円の者と、それから十五、六万円の者と、一率にすると、問題にならぬほど下に高い率になっておりますね。それで一応取られておる。所得割について、やはりその考え方を超越して、収入の多い者については、やはり課税率が高いのだ、こういう考え方地方税制が調整されておる。それに今度府県民税についてのみああいう比例税で、総合して考えれば、下に厚く減税しているというけれども、やはり計数を見ますると、高額所得者はやはり有利になっておる取り方になるのですね。しかも、そうなると、市町村民税もそうしなければならないのにそうしていない。そこらに問題があるということを私は追及しておるのです。これは何も議論することはない、時間がたちますからやめますが、しかし、私は地方税を通覧して、特に市町村民税、府県民税、それから富裕市と貧弱な町村、これはどうしても税制の基本的な問題を取り上げるときに考えなくちゃならぬことだと思うのですね。おっしゃるとおりに、今日の地方税制をどう改革しようとも、高知とか鳥取とか、あるいはその他の貧弱な税源しか持たないところでは、救済の余地がないことはわかる。高知の場合なんかは、国税あるいは地方税を一括して全部県に入れても、なお、県の一年の予算額に満たされないという状態ですから、どれほど税源配分の問題がむずかしいかはわかるのですけれども、それに対しては、われわれの考え方はあるが、これを言うと時間がないから言いませんですが、そういう点をひとつこの調査会ができた場合に、十分市町村の状態を考えてやらなければ、町村の行政水準を上げるといってもできませんから、この点はひとつ十分考えてもらいたい。その点について聞いておきたいと思います。
  46. 吉国次郎

    説明員吉国次郎君) 地方税の問題につきましては、今後も調査会の議題としてやっていくことは間違いないと思います。しかし、おっしゃったように、府県よりもさらに市町村にむずかしい問題があることも事実でございます。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、同じ所管だと思いますので、補助金等合理化審議会、これも大蔵省でしょうね。一緒大蔵省関係について質問します。  この補助金等合理化審議会、これはおそらく今回初めてこういう審議会がこさえられると思いますが、この説明には若干触れていますが、きわめて簡単ですが、この合理化審議会を作る動機なり実情、それをちょっと簡潔に説明願いたいと思います。
  48. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) ただいまの地方税の問題から、お話がありましたように、地方の行政を行なっていく場合に、国の財源措置をどういうふうにしたらばいいかという問題が最近特に大きい問題として取り上げられているわけでございますが、その一つの行き方といたしましては、税制調査会で取り上げておる国税地方税との配分関係、これはただいまお話があったとおりでございます。そのほかに、もう一つ大きな柱といたしましては交付税制度がございまして、税源の貧弱な団体に対しましては手厚い交付税の配付を行なうという方法がございますが、さらに地方の財源のうち、大体六割以上を占めておりますところの国からの補助金、この補助金の配付の仕方というものが同時に地方の財源措置並びに地方の行政のあり方に大きな影響がございますので、最近の国、地方の行政の状況からかんがみまして、この補助金制度というものがもっと根本的に考え直す必要があるのではないか、こういうのが審議会設置する動機であるかと思います。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この説明書によると、大体補助金、交付金等合わせて六千億、これは地方の教員に対する国庫半額負担というやつも含めておるのですか。
  50. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 全部、補助金、負担金すべてを含んでおります。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 税制からいえばもちろんこの地方交付税は含んでいませんね。
  52. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 交付税は含んでおりません。
  53. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この六千億、大体これはラウンド・ナンバーですが、私はもう少し、ちょっと計算書を持ってこなかったですが、交付税を含めずに、各種団体に対する交付金は七千億近くあったのじゃないですか。ちょっと私資料持っていないので言えないのですが。
  54. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 三十七年度予算では六千二百億円という計算になっております。
  55. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 このうち各省別にしておもだったやつでいいのですから、おもだったところで各省別にして順位どういう程度になっているか。農林省が非常に多いように思ったのですが、この点ひとつ。
  56. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 六千二百六億円の各省所管で、一番大きいところから申しますと、文部省の一千八百三十七億円、厚生省の一千七百十五億円、農林省の八百四十八億円、それから建設省の七百五十三億円というのが目ぼしいところであります。
  57. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総理府所管はどのくらいですか。
  58. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 総理府所管では二百六十五億円であります。
  59. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 文部省、これは先ほど私ちょ一つと尋ねた教員の半額負担が入っておるのですね。
  60. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) そうでございます。
  61. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから農林省の八百四十八億円ですか、これは食管会計に対する赤字補てん、あれはもちろん別ですね。
  62. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) それは入っておりません。
  63. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 農林省関係ですかね、八百四十八億。これ調べるとずいぶん小さいやつも相当あるのですが、これは大蔵当局としてどうですか。具体的の例は必要によってあとで言いますがね。十万円単位のやつも相当あるように私は見ておるのですが、各種団体に行く場合ですよ、そういうのは必要ですかね。
  64. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 零細な補助金は必ずしも農林省だけではございませんが、特に農林省には多いことは事実でございます。それは農林行政が農業の奨励的、助成的な意味を多分に持っておりまするので、その作用を行なう手段として補助金が従来から有効な手段としてとられてきておりますので、金額の高の問題もございますが、補助金を出すことによってそういう施策を行なうという傾向が顕著でございました。したがいまして、金額から見ると必ずしもそれが適当でないと思われるような諸点もございますので、毎年特に農林補助金につまきしては、金額の増加をはかるべきものについてははかる、それから効果の薄いもの、または目的を達したと思われるものについては、なるべく統合整理を行なって参っております。
  65. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういういろいろの問題があるから、今度補助金等合理化審議会を作っていろいろそういう点を審議されるのだろうと思いますが、私は、この審議会を待つまでもなく、整理しなければならぬ問題が私は相当あると思うのです。私専門でないから、また、後ほど日をあらためて具体的に質問をされると思いますが、聞いておきたいことは、合理化審議会は、大蔵省が主管されるのですか。総理府が主管されるのですか。どこで主管されるのですか。
  66. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 法制の建前からいいますれば、総理府が所管することになります。実務は、内容予算に非常に密着したものでございますから、大蔵省がお手伝いすることになると思います。
  67. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうだと思うのですが、やはり大蔵省がとれは指導権を持ってやられると思うのです。これはひとつ今後の実績を待ってまた質問もいたしますが、これは十分ひとつやってもらわなければいかぬと思うのです。助成金というのは、助成金そのものでなくして、助成金によってその団体に助成金を出す目的の実を上げようというもの、助成金自身で仕事をやれるというものは実際私はないと思うのです。これはそういう以外のものもあります。したがって、何か各種団体が自分らの小づかいをもらう程度に有力な政治家に働きかけてとっておるのがほんとうの現状です。それで一日々々見るとそんなもの何でもないようですが、集まると大きな金になりますね、八百何億という。したがって、少なくとも百億という金が集まれば、私は相当大きい農業改革についても資源として持ち得ると思う。それが非常に分散されて、細分されておるものですから、何か有力な人へお話をして、それで少しもらってくるという、しかもその金は助成ということであって、何に使われておるかわからぬという場合がある。こういう話があるのですよ。私はある町村に行きましたら、村道ですか、改修するのにいろいろの理由をつけて村長が何か百二十万円くらいもらってきた。大蔵省だったかあるいは建設省か、自治省か、どこか知りませんが、来るというので、完成しておかなければいかぬというので、村民道を、来る二日前に草だけずっときれいに刈って、バラスをまん中において、これで百二十万かかったのだ、こういうことを言ったということを聞いております。これは信憑性はまた後日資料を持ってきます。そういうことで、とにかく私は補助金には疑問を持っている一人なんです。幸いこの審議会ができた以上は、そういう点は十分私は調査をしてもらいたいと思うのです。それがいいとか悪いとか言いません。これはやはり村には村のいろいろの問題があってやっておられると思いますが、私はそれを非難したくはないと思うのです。しかし、国の方針として補助金が、あまり何といいますか、散漫といいますか、そういう点に出されておる。こういうことは厳にひとつ根本的にこの審議会で検討されて、重要な資源といいますか、財源を、しかも税金によってやられておるのですから、その点は十分やってもらいたい。この点について総理府総務長官と言いたいのですが、今の大蔵省の所管だと言われるので、あなたからひとつその点についで、大臣だったら所信を聞きたいというところですが、あなたの考え方を聞いておきたい。
  68. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) 御意見のとわりでございまして、大蔵省といたしましても、補助金を支出する以上は、その目的の効果が十分確保されるという面を重視しているわけでご、さいます。同時に、地方の行政、特に地方自治の建前から申しましても、そういう零細な補助金を獲得することに、理事者その他の方々が能力の大部分を費すということはばかげた話でございまして、そうでないような形で財源を付与して、そうしてりっぱな地方自治が行なわれる、こういうふうな方向へ財政制度をもっていきたい、その一つ考え方の現われで、この審議会設置して、その成果を期待するところでございます。
  69. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この審議会は、大体二年の期限を付してあるのですが、これが最後の結論を見るまで、この答申といいますか、そういうものをやらずに、そのつどやはりある問題について結論が出れば答申なり意見政府に出す、そういうことになっているのですか。
  70. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) これは審議会ができ上がって、審議会委員方々の御意見を伺わなければならないところでございますが、一つは、内閣総理大臣の諮問にこたえるという法制上の建前になっておりますので、諮問の仕方によっては中間答申をお願いするということもあり得るわけでございます。必ずしも二年たたなければ答申が出ないとも考えてはおりません。
  71. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体、この審議会メンバー、もうすでに構想があるのですか。
  72. 高柳忠夫

    説明員高柳忠夫君) ただいまは国会で法案の審議中でございますので、具体的な人選というところまでは行っておりませんが、大体の心づもりといたしましては、一般の言論界、財界、それから地方行政、国の財政制度に明るい方々、そういったものが各界のやや事柄が専門的に属する分野でございますので、そういう十分豊富な知識経験のある方を頭に描いております。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは大蔵関係はもうこれでいいと思います。きょうばいいと思います。  次に、港湾労働等対策審議会ですか、これについてひとつ……。この港湾労働等対策審議会、これは港湾労働者は相当問題を現在も起こしつつあるのですが、これはどこの主管ですか。もちろん法律からいえば総理府ですが、これはどういう趣旨でこの審議会を作られたか、ちょっとそれを承りたい。
  74. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) この審議会に実質的に一番関係の深いのは、申しあげるまでもなく、労働省と運輸省でございます。各省と関連がございますので、総理府に設置いたしたわけでございます。この審議会の主要なねらいは、目下非常に問題になっておりまする港湾労働者の安定対策、あるいは船ごみの緩和等の問題、これらを中心にして御審議をいただこうと、こういうねらいを持っているわけでございます。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 労働省の管轄だと思うのですが、現在、港湾労働組合は今問題をやっていますね。現状はどうなんですか。ちょっとそれを聞いておきたい。
  76. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) この春闘の一環といたしまして、全港湾の労組が賃金の引き上げ、それから時間短縮、それから、さらにILOで決議がございます港湾労働の恒常化、法制化の問題、そういうような要求を掲げまして、三月の二十七日に統一行動、主として地方港を中心に一日のストライキをやった状況でございます。なお、太平洋関係の諸外国の港湾労働組合にもいろいろ呼びかけをいたしまして、当日、そういう関係の同情スト的な呼びかけをやったようでございますが、これに関しましては、そうストライキが実質的には行なわれなかった、そういう情報を得ております。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在、この港湾労働者の平均賃金はどれくらいになっていますか。
  78. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 港によっていろいろでございますが、労働省でやっております屋外の労働者の賃金で申し上げますと、職種によって違いますが、デッキマン、ウインチマン、沖仲仕、それから沿岸仲仕と、こういうようなところで申し上げますると、デッキマンが常用で千四百三十八円。一日当たりの賃金であります。ウインチマンが千二百七十五円、沖仲仕が千二百六十三円、沿岸仲仕が千七十二円、こういうことでございます。一般の土建労務者等に比べましては、割高の賃金になっております。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この港湾労働者は、先ほど言われた法制化を要望しておるというのは、これはもう日雇いのような形が今も続けられておると思うのですが、これはもう昔から沖仲仕——いわゆる港湾労働者というものは、炭鉱労働者とともにあまり恵まれておらないのが、わが国の伝統なんです。労働省は今度、賃金を作っていろいろ積極的に考えられておるのですが、私は、この数字を見ると、なるほど千四百、千二百円というと、相当高額な給与だと言われますが、その他の労働者、いわゆる一流産業に従事している労働者から総合的に見ると、やはりうんと低いと思うのです。そういう点について労働省として——港湾労働者は外国等でもいろいろ問題があることを聞いておるのですが、これに対する法制化、あるいは各雇用主に対して、労働者が働く場合、もう少し安定した雇用関係というものを考えられぬかどうか。これは、もちろん雇用主と労働組合の団体交渉でやるんだということを言うてしまえば別ですが、労働省としての労働対策上、どういうふうに考えられておるか、そういう点、聞いておきたい。
  80. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 先生御指摘のように、港湾労働者につきましては、金額といたしましては、相当高額な賃金を得ております。労働の質的内容からかんがみますと、やはり最近、人手不足の土建関係の労務者に比べると、相対的に低い賃金になっております。したがいまして、最近の船ごみその他でかなり労働者が非常に不足しておる。そういう状態が出ております。  それから、御指摘のとおりに、港湾労働では、まずやはり非常に船の出入りが不規則といいますか、波動性がございます。常用労務者よりもむしろ日雇い労働者を雇用する確率が多い。そういう状況がございます。それから労働条件にいたしましても、賃金以外の福祉施設が、非常に他業産の労働者に比べて悪い。こういう点に注目いたしまして、労働省では、三十一年以来、港湾関係に関する問題を特に取り上げまして、労働省の内部での協議会を設けて、いろいろ恒常化あるいは雇用の安定化を検討して参りました。そのために、港湾労働手帳の交付、あるいは常用化の促進、そういう行政指導をやってきたのでございます。港湾労働の問題は、特に港湾運送業者だけで解決できる問題じゃございません。また、行政の面でも、労働行政あるいは運輸行政、さらには通産行政、そういういろいろの各部門が有機的に結合しておるといいますか、入り組んでおります。その中で何らかの調整をやらなければならない、こういう観点に立ちまして、このたび、内閣に新しい審議会を設けていただいて、そこで今まで労働の面だけで分析しておりましたのを、総合的立場で御検討をいただく、そういうことにいたしております。したがいまして、われわれといたしましても、そういう広い立場、今までよりもより総合的な立場に立って、港湾労働者の雇用の安定確保、そういう問題をこの審議会で御検討いただいて、前進した形の政策が生み出されるものと、そういう期待をいたしております。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは港湾労働者が今有力な組合を作って、いろいろと交渉されておるので、これは自主的な解決に待たざるを得ないと思うのですが、今の日本の労働問題として一番取り残された問題があるのは、先ほどあなたが触れられたように、土建業に従事する、いわゆる大工とか左官とか、こういうような人は分散しておるために、組合を作っておるところは少ない。これは今作りつつありますが、港湾労働者は今、大きい団結をして、ようやく前進しておるということになっておるのですが、労働省が、戦後、労働省として誕生した意義からいくと、先ほど言われたように、各省にまたがっておる。運輸省とか通産省にまたがっておるので、非常に総合的にやりにくいからこれを作ると言われるが、労働省の存在の使命からいえば、労働問題については、他省に優先してこの問題をやはり指導していくのが建前じゃなかったかと思う。そういう点について、私は、今の労働省ができたときから見ると、非常に後退しておると思う、労働省内部を見まして。それじゃ、だめですよ。これは大臣に言うことですが、大臣に言うと、いつも、そうだと言うのですが、だから、こういう審議会を作ってやられるのは、私は悪いとは言いませんが、もっと今まで手の打つところが私はあったと思うのです。それが放置されております。今さら、港湾労働の問題が相当世界的に問題になっておる。世界の労働者が、日本の港湾労働者が全く、何といいますか、投げるというわけじゃない、力がないというようなことで、今度、太平洋沿岸各国の支援を得てやろうというのですが、やはり日本の労働者のいわゆる指導をしておる労働省としては、私はここで具体的にどうこうという組合の立場でいろいろ言うのではありませんが、国会議員として労働省に対して私が言いたいのは、きわめて消極的だと思う、そのことについても。この点について、総理府総務長官おられますが、どうですか。福永さんは、あの人は非常に人のいい人ですが、どうも私はいつもそう思っておるのですが、閣議じゃそうやる、いつも、こう言われておるのですが、どうもわれわれとしてはあきたらないのですが、これはあなたに尋ねるのは無理です、政治的な問題ですから。総理府総務長官、どうでしょうか。今後——閣議の内容を聞かぬのですが、どうも労働省が歯がゆいのですが、もう少し閣議で力を与えるように何とかできませんか。
  82. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 御質問の御趣意が実はあまりよくわからないのですが、労働大臣は労働行政につきまして非常に御熱心ですし、また、御承知のとおり、非常に有能な方でありますから、十分その使命を果たされるものと考えております。
  83. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと私から関連して。運輸省の方、見えていますか。——今山本委員から、港湾関係労働者方々の現在の賃金についての大体平均の御発表がありましたが、この港湾の作業、それから倉庫、いずれもこれは認可料率ですね。あなたのほうで現状において料率を認可しておられますね。この場合の基準になる賃金ベースは幾らになっていますか。私はその点が非常に違うんじゃないかと思うんです。現状は、千二百円とか、千三百円とか、千五百円を港湾の労務者に払っておる。ところが、運輸省のほうは、これらの作業賃については認可料率でやっておる。この認可料率の基準になる賃金は、非常に低いところにある。激しく変わっていくから追いかけ切れないという点があるでしょう。一方、政府全体がすべての物価をしげるわけにはいかぬということで、心ならずも、そういう運輸省と労働省の間のちぐはぐの問題が起こっているということもあるでしょうが、それはそれとして、今後その対策の審議会でおやりになるでしょうが、それにしでも、現状はあまりに私はかけ離れているんじゃないかと、こう思うんですが、一体現在の認可料率の基準になっておる労働者の賃金その他については、どうなっておりますかね。
  84. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 賃金の基準につきましては、現在認可料率を作ります場合に、労働省の統計を基礎といたしまして、その数字を賃金の基準にとってやっております。ただ、賃金の改訂が、たとえば現在改訂するといたしますと、現在の労働省の統計というものは発表されておりませんので、たとえば現在改訂するとすれば、昨年の数字をとらざるを得ない。しかし、それ以外にほかに適当な基準とすべき数字がありませんので、料率を改訂する場合に、一番近い、先ほど言われました労働省の数字を基準にして料率を算定しております。
  85. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうしますと、先ほど御発表になった数字が現行の作業賃の基準のベースになっておりますか。今の作業賃は一体いつきまったんですか。今御発表になった労働省の北川さんのお話は、最近の賃金ですね。ところが、今行なわれておる認可料率というものはちょっと前のことですね。そこにズレがあるでしょう。しかもこの間非常に大きく変わっているわけですよ。そこらのところに、賃金の問題一つとらえても問題があると思うんだな。そこらのところに、港湾の問題が片づかない大きな原因があるわけなんで、その点どうですか。
  86. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 現在やっております料率は、昨年の九月に設定した料率であります。それで、その統計といたしましては、三十五年度におきます労働省の発表の数字しか新しいものがありませんでしたので、その数字をとっております。
  87. 河野謙三

    委員長河野謙三君) そうすると、重ねて伺いますが、参考に、そのときは一体幾らになっておるか、具体的に。
  88. 岡田良一

    説明員岡田良一君) 労働省の数字は、時間外手当その他賃金全部を含めた数字であります。で、私のほうでとっておりますものは、基本的な賃金のほかに、たとえば超過勤務手当であるとか、そういうものを個別にいろいろとっておりますので、具体的な数字は現在のところは、日雇いほか——これは基本的賃金だけですが、日雇いは八百八十円、それから常用の船内は、これは一カ月二万二千五百円、二十五日稼動という計算にいたしております。これに超過勤務手当その他の諸手当を入れまして、先ほどの労働省の発表されております統計にマッチするように含んで計算しております。
  89. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 私、関連でありますからこれでやめますけれども、要するに、今のお話を伺ってみますと、統計は過去のものでなければ得られないんですからやむを得ませんけれども、大体これは一昨年のものになりますね。そうすると、現状の、先ほど北川さんの御発表になったのと、今の認可料率の基準になっている賃金とは、大体倍になっている。これはもう役所で認可料率をやる以上は、どうしても労働省のほうに資料をもらってやらなければ、労働省の資料がまた過去の統計によらなくちゃならぬということですがね。しかし、最近のように激しく変わってきているときに、これはいつでもだんご食ったら彼岸だと思って、昔やったことと同じことをやったってしょうがないと思うのだな。そこらのところに、少し経済界の動きがとれなくなるところもあると思う。私は総務長官にも大いに各省を督励してもらいたいと思うのですが、ひとつ特に総務長官に——総務長官事業のこともよくおわかりになっているはずだと思っている。私はよくきたない例を引いておるのですが、ネコのきん玉みたいにあとから見えたってしようがないですよ、先が見えなきゃ。もっと先が見えなくちゃいけないと思うのだ。私はその点も——私は山本さんもそれを言われると思うのですが、結論としては、運輸省のほうで——やはりこの審議会審議会として、至急これらについての認可料率——現行の認可料率というのは非常に矛盾しておる。これは至急私は是正される必要があると思うのです。審議会審議会として、現にあなた方が今使っておる認可料率というものは、作業賃は現状はあなたたちが基準にしたものよりも倍になっているのだから、そこらのところに、そとに港湾の非常な混乱の問題が一番大きく伏在していると私は思うのですよ。これだけを私は希望申し上げて、関連で話が長くなりましたが、希望を申し上げて、私は質問を終わります。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 委員長からだいぶ関連で言われましたが、とにかく私の言いたいのは、そういう取り残された労働者、これに対してやはり労働省が——運輸省と特に関係があるようですが、運輸省といっても、それはやはり労働省が主導権を持って労働問題は解決しなくちゃならぬと私は思うのです。この点はひとつとくと福永労働大臣に伝、えてもらいたいと思うのです。いつも労働問題が、何といいますか、むずかしくなって、デッド・ロックに乗り上げてきて、そしていろいろ問題を起こすのですが、しかも、労働委員会でもこれがなかなかやれない。委員長今言われたように、やはり労働省というものが設置されて、労働行政を担当してやっている以上は、そういう問題が煮え詰まって最後のデッド・ロックに突き当たるまでに、いわゆる経営者または労働組合とある程度了解、納得のいくようなところまで私は行政措置が必要でなかろうかと思う。で、もし、そういうことが労働省としては役目でないのだというならば、どういう事態になっても、政府が強権で手を入れることは私はいけないというようになってくると、やはり今から見ていると、経営者のほうに有利なような出方を政府がします。それでは私はもう労働省の存在というものは必要ないと思うのですが、こういう点はひとつ十分に考えてもらいたい。私は時間がないので、いずれまたこの具体的な問題については質問する機会はあると思いますが、きょうは大臣もおられませんし、政府委員のあなた方に言つたってそれは無理だと思います。あなた方のほうがよく御作じだけれども、今の政治組織ではやはり大臣責任を持っているのですから、言いたいことも言えないと思うのですから、無理ないと思うのです。あなた方は腹の中はよくわかっていると思うのですが、十分ひとつ考えてやってもらいたいと思う。  それじゃ、きょうはこの港湾労働等対策審議会についての質疑はこれで一応とめておきます。  次に、交通基本問題調査会でございます。これは総理府総務長官に聞いておきたいのですが、現在あれは非公式といいますか、法律によらない労働問題閣僚懇談会というものがやって、積極的に動いておられるのですが、あなたがそれに対する主役を演じておられるようですが、それとこれとは、法律上は全然無関係ですが、問題点は、一緒になってくると思うんですが、これができた場合に、今の交通関係閣僚懇談会、それはどうなるのです。
  91. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 現在あります交通関係閣僚懇談会は、昨年十二月に閣議の決定によりまして発足をいたしておるのであります。しこうして、これが設置さえましたのは、申し上げるまでもなく、交通関係の行政が多方面にわたりますために、所管から申しましても各省にまたがっておる、こういうことで、その間、関係大臣の意思を有機的に統一してやろう、こういうことで閣僚懇談会が設けられたわけであります。したがって、本来交通行政の全般について、今申しましたような機能を果たしていくことをねらいといたしておるわけでありますが、しかし、何分にもさしあたり大都市における交通が御承知のとおりの状況でございますので、発足以来今日までは、当面する大部市の交通緩和の問題、あるいは交通安全の問題等を中心にして、今日までやって参っておるわけであります。そこで、将来は、もちろん基本的な事項にわたりましても、これを取り上げていかなければならぬと考えておりますが、ただいままでの経過は、今申すとおりになっておるわけであります。  ところで、今回交通基本問題調査会設置いたしたい、こういうことは、実は、道交法の審議の際に、本院におかれましての御決議もございます。また、若干趣旨は違うようでございますが、衆議院におきましても道交法の附帯決議等もございました。要するに、交通関係のことは、各般にわたっておるので、政府に強力な審議会等設置して、各方面の意向を聞いて処置すべきである。衆議院のほうの決議は、若干強くなっているかと思いますが、行政機能をむしろ一元化すべきだという方向に、より強く向いておると思いますが、そういう御決議もございまして、この問題は、広く国民の産業経済生活はもちろんのこと、一般社会生活にも非常に重要な問題でございますので、交通関係知識経験の多い方々等にも御参加をいただいて、交通に関しまする基本的な問題を、より広範な広い立場でひとつ検討していただくことが、この際適当であろう、こういう考え方でございますが、この調査会設置をされましても、交通関係閣僚懇談会というのは、先ほども申しましたとおりの使命を持っておりますので、もちろんこれを存続いたしまして、この審議会答申、あるいは建議等につきまして、これを現実に行政に反映していくにはどうするかという立場から、やはり閣僚懇談会でもこれを検討して、それで実施に移す、こういう関係に相なろうかと思います。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運輸省のこの関係の方がおられますか、交通関係の——。交通問題、これは確かに今の、時の問題として大きい問題です。毎日二十五人から四十人という範囲で全国で事故でなくなるし、非常に犠牲者も多いのでありますし、また、大都会では今総理府長官の言われましたように、そういうこの死傷者に対する犠牲は、もちろんわれわれとしては遺憾ですが、毎日通勤する人の状態を見ましても、これでは通勤のときに、一日のその日の労働の意欲をもうすり減らすという状態は問題だと思うのです。私もいつも小田急でずっと通っておりますが、全くそれはもう殺人的です。女、子供はあのラッシュ・アワーで乗れないような状態であるのです。運輸省では、運輸審議会で相当今までいろいろ検討されておると思うのですが、運輸審議会というのは、大体、バスの路線を認可したり、それからそういう運賃の改訂を審議したり、そういうことだけですか。私は知りませんから教えてもらいたいのですが、そういう交通の全般の問題は、もうそういうものはあずかり知らないというところですか。
  93. 増川遼三

    説明員増川遼三君) お答え申し上げます。運輸審議会は、運輸大臣の所管いたします重要事項全般につきましての諮問機関でございまして、単に自動車、バス等の免許あるいは認可の問題だけではございません。広く鉄道、港湾、自動車、海運その他大臣権限の重要事項を全部やっております。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこなんですが、運輸審議会は相当早くに発足しているのですが、今日の大都会における交通の行き詰まりというものは、そういう経験あるいは相当学識のある人が、また、実務家がそのメンバーになっておるということも聞いておるのですが、こういうところでもう少し早く今日の行き詰まりを予見できなかったものだろうか。わかっておるけれども、手を打つ法がなかった、また、こういう問題で過去に答申されたかどうか。調べてくればいいのですが、時間がないので調べておられませんので、今日の当面している問題について、運輸審議会でどういう問題を取り上げてどういう答申をされてどういう意見が出ておるか、これをちょっと聞かしていただきたい。
  95. 増川遼三

    説明員増川遼三君) 運輸審議会におきましては、運輸大臣権限のいろいろな免許あるいは認可等の関係事案につきましての諮問を受けて、これに対して答申をいたしておるのでございますが、なお、これにも大臣に対する建議の権限はございますけれども、ほとんど免許あるいは認可事案の審議とこれに基づく答申ということで手一ばいでございまして、現在、交通、持に通勤通学等を中心といたします都市交通問題につきましては、都市交通審議会のほうでいろいろ検討をしていただいておるようなわけでございます。したがいまして、都市交通審議会におきましては、すでに数回にわたりまして答申が出ておりまして、これに基づき、それぞれの措置をとっておるわけでございます。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕が冒頭に言いましたように、運輸審議会は、バスの免許、路線の免許とかそういうものだけじゃないかと言ったら、まあ法律内容を見ると、今言われたように、重要事項審議諮問に応ずるとか何とかあるのですが、やはり運輸審議会はそういう方面だけやっておられたということは間違いないと思うのですが、都市交通審議会にしても、相当いろいろと答申もされておると思います。しかし、冒頭に言ったように、この審議会があっても、何かわれわれとしてはあきたらないような気持をするのですよ。したがって、運輸審議会なんかはもう早くから発足しているのですから、もしそれをうまく運用すれば、今日の交通問題も、解決までいかなくても、相当問題がその当時から提起されておったのじゃないかと思うのですが、今言われたように、免許とかそういうものに、ほとんど、もう手不足と言われますが、私は、手不足というよりも、政府がそういうものを諮問しておらなかったのじゃないかと思う。大臣が、そういうことは別問題だと、運輸審議会はこういうことをやることが仕事だと考えておったのじゃないかと思う。したがって、私は、そういう点で、審議会はなるほど幾ら作ってもいいですよ、必要であれば作ってもいいですが、現在あるやつをフルに活用してやっていかなければ、一々一々、そう問題々々に審議会を作ってやっても、あとからあとから、後手々々で、いつも問題が解決しないということになると思う。今さらそんなことを苦情を言っても仕方ないですけれども、今度交通基本問題調査会を出されるのですが、何かしら今度のやつみな基本基本とついておるのですが、一体交通問題の基本的——基本問題調査会ってそんなむずかしいもんですか。今の交通の行き詰まりをどう打開するかという問題をここで扱うのじゃないですか。基本的、交通の基本的問題というのは、一体どういうことですか、ひとつ聞かしていただきたい。
  97. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 今もちょっと申し上げましたが、現在閣僚懇談会等でやっておりますのは、当面する主として都市交通の緩和対策あるいは安全対策といいますか、そういうことが重点になってやっておるわけでございますが、申し上げるまでもなく、交通というものは一つのまあ流れでございます。したがって、近く実施しようとする東京都内の交通規制、これ一つをとってみましても、これが単にこれは東京の地域だけに関係する問題ではございませんで、やや大げさに申せば、全国的にこれが影響を持つ。こういつた元来交通の性格からいってそういうことに相なると思うのであります。したがって、交通というものは、ある一つの地域なら地域だけについて考えるというのは基本的には必ずしも妥当でないのではないかと私ども考えるわけであります。また、特定の路線なら路線だけについて考えることもこれもいかがなものだろうか。要するに、全国的に総合的な立場において交通というものを考えなければならぬのじゃないかと考えております。同時に、交通の問題は、将来における産業の姿あるいは人口の推移等ももちろん考えなければならぬでありましょうし、あるいは住宅問題等とももちろん関連してこれは考えなければならぬでありましょうし、そういった工合に、各般の非常に影響し、また、関連するところが多いわけでありますので、それらを総合いたしまして、将来の交通施策というものはかくあるべきものだというようなことをひとつ御検討いただくと。そのためには、お示しのとおり、現在、たとえば運輸省にも都市交通審議会であるとかそういったものがありますし、あるいは建設省にも道路審議会といったようなものがあるようでありますが、いずれにしても、それらの既存のものは各省所管の事項に限ってそれぞれの立場から御審議いただいておると、こういうことでございましょうが、従来のところ、総合的な立場で、また将来の、先ほど申しましたような問題との関連においてこれを御検討いただくという機関が、特に民間としての、民間の知識経験を生かしていただくという意味での機関がございませんので、今回設置をお願いしょうと、こういうことでございます。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ交通問題、交通基本問題調査会、まあ大体趣旨はわかるし、大体私も想定しておるのですが、現在の都市交通、都市の交通の行き詰まりというのは、私は早くからこれは——大阪の例いつも引きますが、思っておったんですが、根本的な都市計画の問題です。これが解決しない限りは交通だけをどうこうするといっても、これはもう私は解決ができないと私は考えておるのです。今日も雑然として都市が形成されておる。ようやくいろいろと手をつけられておるが、今の法律ではどうにもならぬというところまで行き詰まりがきております。もうすでに建っておる家をどかすには移転補償が相当高額になるという問題もある。したがって、私は、おそらく交通基本問題調査会でそういう問題もあわせて出ると思うのです。これがやれない限りには、私は、交通だけを、どう地下鉄を敷こうが、どういう工合にやろうが、私はできないと思う。住宅の問題、道路の問題。もちろんその交通機関敷く問題もあります。これがひとつ立ちおくれておるために今日の私は交通の行き詰まりというものがあると思う。で、東京都内、大都会、東京都内だけでもああいう道にバスなんか通すということそれ自体が私はもう無理であろうと思う。運輸省のほうではいろいろ認可されておるようですが、まあ住民の要望もありますけれども、バスが通ればほかの通行する人も通れないというようなところたくさんあります。そういうところに大きいバスを認可しなくちゃならぬということは、私は決してバスを通すことをいけないとは言わない。交通の関係からそこに通さざるを得ないのですが、そういうものを通す道路でないのに通しておる。これはもうみな都市計画の問題だと思う。この点について、時間がないから最後に、どうですか、今度の基本問題調査会もいいですが、閣僚懇談会でもこういう問題は十分討議をされて、何か法律措置のできるような考え方はないですか。土地収用法なんか改正されても、あれでは私は十分いけないと思うのですが、その点について政府としてどういう考え方におるか。こういう基本問題調査会で結論が出れば、はたしてどういう措置をすればうまく都市交通が解決できる方向にいくかということ、そういう政府考え方というものはないのですか。その点ちょっと聞いておきたい。
  99. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 先生のお話のように、特に都市の交通という問題に関しましては、都市計画というものが従来合理的に必ずしもいっていなかったということが基本的である、こういう見方も当然これはまあ出て参ると思います。そこで、まあ政府におきましても、御承知のように、例の、まあ東京につきましては首都圏整備法といったような法律もございまして、人口の都市への集中をまあ極力避けていくような方法、と同時にまた、いわゆる市街地開発というようなことで、衛星都市的なものを開発をいたしていこうということを着々と進められておるわけでありますが、それにもかかわらず、東京の人口というものが年々相当ふえてきておると、こういう事情であることはもう御承知のとおりでございます。そこで、一つの、まあ考え方といたしましては、東京にありますところの官庁のうち、必ずしも東京になくてよいものはこれを地方に出したらばどうであろうかという構想のもとに、これはまあ行政管理庁あるいは建設省等が中心になりまして、これこれの役所は必ずしも東京になくてもよろしいのじゃなかろうかというような、一定の基準によりますところの選定などもいたして、現に検討をいたしておるところでございます。これは官庁ばかりでなく、学校等につきましても、そういうことが、やはり同様なことが言われるのじゃなかろうかというので、これまた検討いたそうということに相なっておるわけであります。さらにまた、東京にあるものを外に出すというばかりでなく、東京都内の、都市のいわゆる再開発とでも申しますか、そういう点につきましても、住宅公団などにおいても着々計画し、現に実行にも移しつつあるようであります。こういう点も今後一そう進むべきであるということは閣僚懇談会でも話が出まして、住宅公団のほうにもその旨は伝えられておるわけであります。  いずれにいたしましても、現在の東京というものを見ますと、ごく限られた地域が、いわゆるオフィス街になっていまして、ベットタウンはまた別にあると、こういうことでして、交通、特に通勤の関係などから言いますと、朝夕逆の一方交通で、そのためにまた非常に混雑をいたしておるという実情でありますから、こういった一方交通が解消されるような方向に、都市計画あるいは広い地域での広域的な開発と申しますか、そういうことが考えられるべきじゃないか。そういう方向政府も着々やってはおるわけでありますが、なかなか思うようにまかせないこともこれまた御承知のとおりであります。いずれにいたしましても、そういったことに今後われわれとしましても大いに努力をいたして参りたいと考えております。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 時間がだいぶ、もう予定時間過ぎたのですが、交通規制の問題でちょっと運輸省ですか、警察庁ですか、車種別規制がもう実施されると思うのですが、この前、予算委員会で公安委員長から答弁を聞いたんですが、あれいつから実施ということになっていますか。
  101. 西垣秀正

    説明員(西垣秀正君) まだ告示をいたしておらない段階でございますので、いっと申し上げられませんが、大体二十五日前後から実施をいたしたいということでございます。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については、運輸省三警察庁とは意見が若干いろいろ違うことは、立場が違うから当然だと思いますが、運輸省としては、規制に対しては若干異議があったように聞いておるのです。それは主として業者——運送業者の主張というものが運輸省としては強く持っておられるのですか。その点どうですか。
  103. 増川遼三

    説明員増川遼三君) 単に事業だけの関係から見ておるわけではこざいませんで、運輸省といたしましては、自動車による輸送という問題からこれを見ておるわけでございます。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あの二十五日から、これは告示してないのだからいつでもいいのですが、最近やられるということなんですが、それによって観光バスとかその他長大物の積載のトラック、そういうものの規制が相当出てくると思うのですが、それが東京都を中心とした一般産業、そういうものに対しての影響の点はとう運輸省並びに警察庁考えておられますか。この程度のものであれば——あれは二十路線ですか、ふだんでもある程度制限していますが、この程度であれば差しつかえないと、そういう見解に両省庁とも立っておられるか、この点ちょっと聞いておきたい。
  105. 増川遼三

    説明員増川遼三君) 現在の大都市の交通事情にかんがみまして極力規制は避けるべきではあるけれども、現在の状況では何らかの手を打たざるを得ないという立場に立って考えたわけでございまして、まあ最小の規制によりまして最大の効果を上げるようにという考え方で、両省の関係意見が一致しておったわけでございます。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 警察庁どうですか。
  107. 西垣秀正

    説明員(西垣秀正君) ただいま運輸省から御答弁のありましたようなことでございまして、警察といたしましては、とにかく現在の交通情勢が麻痺寸前でございますから、何か手を打たなければならないということで、この規制が絶対に影響のないものであるという考え方ではやっておりませんけれども、できるだけ、規制の性質が性質でありますので、換言いたしますと、今までの規制というものは、たとえば一方交通でございましても、右折禁止でございましても、とにかく少し回り道をすれば到着をするとか、時間をかければいいという問題でございますが、今度の車種別規制というものは、そういう問題とは非常に違った規制でございますので、われわれといたしましても慎重な態度をとる必要が当然あるので、影響は絶対にないとは申し上げられませんけれど、運輸省とできるだけ相談をいたしまして影響のできるだけ少ない面で、トン数の点におきましても、また時間の点におきましても規制を実施いたしたつもりでございます。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 なかなか交通規制の問題は私はむずかしいと思っております。いろいろまあ各方面の人の意見も私聞いておりますが、やはり立場々々でいろいろ主張があるのでむずかしいと思うのです。しかし、それを踏み切って政府は今度車種別の交通規制をやられたということは、いよいよ行き詰まっているものを何とか少しでも緩和したいという意向だと思うのですが、しかし、やってみなければわからないのですが、私がいろいろずっと各地を経験しているのですが、あの程度の規制ではおそらくそう大きい効果を私は疑っているのです。これはやってみなければわかりませんが、それと同時に、私は取り締まりに立つ交通関係の警察官ですか、これは相当私は苦労するのじゃないかと思うのです。実際の問題ですね。そういう点で、それと同時にまた、それに従事する運転者がまあなれてくればわかるけれども、その間なかなか運転者も徹底せないと、路線の識別もなかなかむずかしいと思うのですがね。時間も八時なら八時といっても、一分過ぎてもそれは八時過ぎるのだから、これは取り締まり上問題だと思う。時計ばかり見ておってするわけにもいかないと思うのですがね。その間私は、警察庁が非常に頭を使うと思うのですが、その点はもしそれに違反した場合には——これは法律改正ではないのですね、そういう規制ですから罰則というものはやはり交通違反という関係でどうなるか。その点ちょっと教えてもらいたい。
  109. 西垣秀正

    説明員(西垣秀正君) 御指摘のように、確かにこの問題は、実際やる段階に達しますと、非常にむずかしい問題が多々あると思っております。それでまあ実施までにはまだしばらく時間もございますので、告示がありましたあと、警視庁におきましては当然察察官に対しましてこれに十分な教養を施しますとともに、やはり関係府県にもいろいろ要請をしなければならない問題もございますし、また、道路標識にいたしましても相当数立てなければならないというようなこともございますので、そういう事務的な問題を推進して参りたいと思っております。  それからただいまの御質問の罰則の点でございますが、これは道路交通法の七条に、公安委員会は規制をすることができるという条文がございまして、これを受けまして罰則がございますが、つまり公安委員会の規制に対する罰則でございまして、たしか三万円以下の罰金というふうなことに相なっております。それで、申し落としておりますが、これはまあ初めてのことでもございますし、非常にむずかしい問題を含んでおりますので、警視庁におきましても、最初からすぐ罰則をどんどん加えていくという態度ではなくて、できるだけ指導の立場でやって参りたいということを申しておりますから、そういうふうに私たちのほうもできるだけ指導いたして参りたいと思っております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 おそらくまあ罰則というものはもう次の次の問題で、交通緩和さえある程度成功すれは目的を達するのですから、私の言いたいことをあなた先に言ったのですが、そういうものを規制されたからていって罰則をたてに取り締まるということは、これは極力避けるべきだと思うのです。個々に当たっておる運転者については、いわゆる今の交通政策の犠牲とは言えないけれども、協力者なんです。したがって、十分指導をしてその警察官の態度なり十分教えるようにやってもらいたいと思うのです。それはあれが実施されて、一カ月やニカ月ではなかなかそうそれが徹底しませんよ。今度のやつ非常にむずかしいのですから。だからその点は抜け月はないと思っておりますが、十分やってもらわなければいけないと思うのですしかし、これはもう一時的な措置であって、これは決して交通問題の根本的な問題を解決したとは言えない。できれば、早く根本的に解決して、そういう若干でも産業に影響のある、また、日常都民生活に影響のあるようなやつは撤廃するということは政治の本筋だと思う。今の規制はやむを得ないとしても、これは十分取り締まりに事たる警察官の良識に私は訴えたいと思う。それと同時に、私ずっと見ているのですけれども、交通巡査は相当気の毒な立場ですね。巡査のうちでも、巡査でもわれわれあまり好まぬ巡査の仕事もありますが、交通関係についてはこれは私は非常に気の毒だと思っているのです。そういう点で、交通巡査の数も他の警察業務に携わる警察官の比重からしても、この前、予算委員会でも答弁されておりましたが、非常に少ないのじゃないかと思うのですね。そういう点で、一昨的でもそういう規制をして、変わり目のときには交通関係の常任といいますか、そういう人以外に他の人を動員して、ある経過期間だけはそういう措置をとるということに警視庁あたり考えているのですか。その点は全部地方警察にまかしておるのですか。警察庁としてどういうお考えですか。
  111. 西垣秀正

    説明員(西垣秀正君) 確かに御指摘のように、警察官が非常に不足でございます。特に交通警察官が不足なことは非常にはっきりいたしておりまして、現在たしか全国で一万二千人くらいの交通警察官がおると思うのでございますが、これがパーセントとしますと約七%くらいでございます。各国の状況などに比較いたしますと、はるかにパーセントが少ないわけでございます。どんどん車両がふえ、交通事故がふえて参っておりますのに対処いたしますというと、どうしても警察官を増していかなければならないということに相なるわけでございますが、今度の規制にいたしましても、現在の警察官、交通担当の警察官だけではなかなか間に合わない面もあるいはあるのじゃないかというふうなことでございまして、できれば交番に立っております普通のおまわりさんというふうなものもある程度動員をいたしまして、この指導期間には対処していかなければならないのではないかとも考えております。そういう点につきましては、現在警視庁が寄り寄り協議をいたしておりまして、当分そういうふうな段取りに相なるのじゃないかと存じております。
  112. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会