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1962-03-29 第40回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時五十分開会     —————————————   委員異動 三月二十七日委員石原幹市郎辞任に つき、その補欠として小幡治和君を議 長において指名した。 三月二十八日委員小幡治和辞任につ き、その補欠として石原幹市郎君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河野 謙三君    理事            石原幹市郎君            下村  定君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委員            木村篤太郎君            中野 文門君            一松 定吉君            伊藤 顕道君            千葉  信君            松本治一郎君            横川 正市君            高瀬荘太郎君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    防衛政務次官  笹本 一雄君    防衛庁参事官  麻生  茂君    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    特許庁長官   伊藤 繁樹君    運輸政務次官  有馬 英治君    運輸大臣官房長 廣瀬 眞一君    運輸省海運局長 辻  章男君    気象庁長官   和達 清夫君   事務局側    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    運輸省自動車局    参事官     増川 遼三君    運輸省航空局技    術部長     大沢 信一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○通商産業省設置法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 河野謙三

    委員長河野謙三君) これより、内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。三月二十七日、石原幹市郎君が辞任され、小幡治和君が選任され、昨日、小幡治和君が辞任され、石原幹市郎君が選任されました。     —————————————
  3. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、委員異動に伴ない、理事一名が欠員になっておりますので、その補欠互選を行います。互選は、慣例によりその指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないものと認めます。それでは、私から理事石原幹市郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、通商産業省設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行ないます。  政府側から御出席の方は、大川政務次官塚本官房長、倉八軽工業局長伊藤特許庁長官八谷鉱山保安局長説明員として荒玉文書課長土屋鉱政課長国井アルコール事業長生駒振興部長の方々であります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回に続きまして、保安監督部の残りました若干の点について伺いたいのですが、この保安監督部は今度局になるのが二カ所ありますが、これは昭和二十七年ごろからずっと人員が増加しないで、昨年御承知のような、上清、大辻両炭鉱の非常にセンセーショナルな事件が起こりましてから、昨年政令定員で四十名ふやされた。今回二十二名ふやすということになっておるわけですが、この昨年ふやされました政令定員の四十名、それから今年ふやします二十二名、この内容はどういうふうになっておりますか。保安監督官がふえるのか、あるいはそれとも事務官か、どういうふうになっておるか、その点を伺いたいと思います。
  7. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 昨年四十名増員いたしまして、これは全部監督官でございます。そうしましてこの監督官もそれぞれ一名ずつを平と宇部のほうに出しまして、あとは全部中国の石炭関係のほうに配置するようにいたしております。  それから今度の二十名、まず監督官増員をするわけです。これはお願いしておるわけでございますが、この二十名の監督官増員する。それから二名事務、これは監督局の昇格に伴いまして会計事務等の充実をはかるための事務職員を二名、これも九州北海道にそれぞれ一名ずつでございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで監督官は今お話のように、昨年四十名ふえる。さらにことし二十名ふえるわけですね。監督官はふえたけれども、それと一緒仕事をする事務系職員がふえない。これはどうしてもそっちのほうにしわ寄せがくるということになるわけですね。ですから監督官はけっこうですし、ふやしていってけっこうですが、それに伴ってやはり事務系職員が見合っていかないと、これはうまく運営できないのは当然だと思いますが、今お話を聞きますと、昨年の四十名は全部監督官事務はふえない、今回の二十二名の者のうち二人だけ会計職員がふえるのだ、あと監督官だ、これでは私は非常に片手落ちじゃないかと思う。確かにああいう被害が起こりまして、起こりますというと、そういう意味監督官の緊急な必要性というものが注目を浴びる。と同時に、これと一緒仕事をしている者、そういう者がやはり幾らかでも見合ってふえていくということをしないと、まずいのじゃないかと思うのです。  それからもう一つ監督官は四十名、さらに二十名ふえましたが、これはいずれも鉱山監督官、過去の経緯から言いまして、鉱山監督官のほうへ逐次金属鉱山のほうの保安監督官が持っていかれるという傾向があったことは、これは否定できないと思うのです。そういう中で、金属鉱山関係保安行政というものが非常に人員が足りないという情勢になっておるのじゃないでしょうか。それは鉱山が問題が起きたからといって、鉱山のほうをどんどんふやしてしまう、それはけっこうですけれども、ために金属鉱山保安行政というものが手薄になるというために思わぬ災害を起こす。そこでまた人間をふやすということでは、私はどうも納得がいかぬわけです。したがって、この二点につきまして、鉱山関係の、炭鉱関係保安監督官がふえる、けっこうでありますが、それに伴って事務員がふえないということ、それから金属鉱山関係監督官が非常に人員不足になっているのじゃないか、この点についての見解を伺いたいと思います。
  9. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 第一点の事務職員の問題でございますが、これは現在でもいろいろ事務執行上に手不足の、感じは持っておりますが、今度の増員関係は、これは現地の、ただいま昨年の四十名のうち二名を除きまして北海道とか九州に配属するということを申し上げましたが、この三十八名も、これもすべて私ども現地派遣班というものを、これは災害応急対策災害調査あるいはたとえて申しますと北海道では釧路に置いておりますけれども札幌から調査に行くというと多くの日数もかかるというようなことで、炭田地帯に、北海道では四カ所でございますが、釧路、滝川、それから岩見沢、夕張、それから九州では五カ所でございますが、これは筑豊炭田の飯塚、田川、直方、それから佐賀、佐世保、こういうところに監督官のたまりを置いているわけでございます。ここへ配属するということになっております。そうしてこれにはそう事務的な面に終わらせるようなことなく、現地をずっと回りまして、監督巡回検査あるいは指導、こういうものに重点を置くようにしているわけでございます。また、この次の二十名の監督官増員も、同じようにまず現地のこういう第一線監督強化をはかる、こういうふうにいたしておりまして、この面では事務職員がおりまして応援をしてくれるということはさらに好ましいのでございますけれども、こういう現地の一種の巡回監督という態勢をまず固めるということが、一番目下のところ大切なのでございまして、そういうやり方をいたしておりまして、これは事務的にも非常に事務の面は簡素化にしていくということで、監督官がその調査報告等もあまりむずかしくわずらわされないような仕事やり方をとろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう点では、まず現地第一線監督官増員ということでやったわけでございまして、こういう面から必ずしも事務職員が望ましい次第でございますけれども、そのやり方次第によってその効果は十分に上がっていくものとこういうふうに考えております。  それから第二番目の金属鉱山の問題でございますが、これは先生も御指摘のとおりでございまして、何か石炭のほうに災害が相続きますと、すぐに石炭のほうに重点を置いて、何か金属のほうがやや手薄になっているんじゃないか。こういう印象も受けるわけでございますけれども、これは金属関係につきましては今までと同じように十分な監督をやっていきまして一応石炭関係の非常に重大災害を起こすところに重点的にこれを配置した。こういうことでございます。まだ金属面なんかにおきまして一々小さな山を、まあ災害が少ないとはいえ、これは人命尊重の点から申しますと一人もけがをさせあるいはまして人を死亡させるというようなことがあってはならないわけでございます。そういう面につきまして、従来集団的な指導として一カ所に集めまして監督とあわせて指導をする。こういうようなこともやっておったわけでございますが、これは望ましいことは、監督官がまた山を必ず回っていくというその頻度を高めるということも第一でございます。しかし、人員の増加もいろいろ問題も多いことでございますので、さらにあわせまして鉱山指導員臨時職員にいたしまして側面から災害防止をしていこう。こういう点にも努力しているわけでございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 出張所みたいなのをお作りになってその第一線に四十名、さらに二十名の監督官派遣するのだ。したがって、事務系職員は要らないのだ。というような説明にとられるわけですけれども、しかし、そういうことにはならないじゃないか。やはりこれだけの人員がふえますと、それに伴って出張所出張所でありましょうし、また、監督局は局でこれはどうしたって事務量はふえてくるわけですから、今でさえ苦しいといわれておる事務系職員が少しもふえないという考え方は、これはどうしても納得できない。したがって、私は今回設置法が、すべて各省設置法の中で人員を規定することになりましたので、種々人員仕事の量の関係をずっと委員会に取り上げて参っておりますけれども、いたずらに上のほうから人間をふやさぬのだというような大きなワクのきめ方ですね。これは一番問題があるように思いますが、それは行政管理庁の問題でもありましょうし、あるいはまた、大蔵省当局の問題でもありましょうけれども、それはどういいましても監督官が六十名近くふえましてそれに対して事務員がふえない。会計の人は二人ふえます。これは局になったことから二人ふえるということですからこれはどうしても納得いかない。したがって私は、事務系職員の見合った増員努力される必要があるんじゃないだろうか。というふうに思いますし、それから金属鉱山関係につきましてこれはまた事故が起こりますと騒いでまたふやすようなことになるだろうと思うのですが、確かにこの鉱山系のほうに、炭鉱のほうに、逐次移って参っておるわけですね。足りない。手いっぱいだ。そこで何とかひとつふやしてくれという、これは希望がうんと出ておるわけですね。それを全然顧みないで、まあ事故が起こったらというようなふうにとられるような人員配置では困るじゃないかというふうに思いますので、この金属鉱山関係監督官についてもぜひひとつ次の機会には善処を要望いたしたいと思います。  それから今お話の中で指導員臨時に雇ってというようなお話でしたが、これは外部の人ですか。それともう一つ集団指導というやつ、これは鉱山関係者一緒に集めて、それに訓示をたれてみたって鉱山なり炭鉱災害なりあるいは危害を防ぐのにどれだけ役に立つか。それは便利でしょう。一カ所に集めてお前たち、君たちはこういうことでというように訓示をたれてみたって、それも幾らか役に立つかもしれませんが、しかし、何といってもやはり現場を見、現地指導監督するということが第一義なんですね。ですから集団指導のようなもので事態を糊塗するようなやり方では解決していかないと思いますし、つい二、三日前にも杵島炭鉱で五名の者が落盤で死亡しておる。炭鉱金属鉱山における負傷あるいは死者というものは、他産業を群を抜いて多いんですね。そのために特に通産省労働行政にまかせないで、自分みずから監督行政というものを、保安行政というものをやっておるんですから、こういう状態で置かれておるということは私はなはだ不満に思っておるわけです。その点についての考え方保安局長政務次官にお願いしたいと思います。
  11. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 事務職員の問題、それから鉱山石炭以外の問題につきましてもいろいろ問題もございます。まあ先生から御指摘のあった点につきましては、今後も関係方面との折衝もございますけれども、十分に努力しまして、現地監督官等の嘆きを一日も早くなくしていきたいと考えておるものでございます。  それからただいま指導員の問題でございますが、これは臨時的に鉱山、これは炭鉱でもそうでございますけれども、そこの保安のエキスパートに委嘱いたしまして、監督とうらはらの関係で一方は監督強化していく。一方においてはそういう監督をして法規違反が見つかるまでに至る過程において十分な事前指導をやらせてそういうことをなくする。こういうことで臨時的に臨時職員としてやっておるわけでございます。それから集団的な監督指導、これはできますならば一々山に行ってやるのがこれは先生の御指摘のとおりでございます。今後もこういう方向で進むわけでございますが、また、集団というのは何か一カ所に集めて訓示をたれるということでございませんで、いろいろ事例研究、こういうところでこういうような災害が起きたということを、半面は山奥であっちこっち点在いたしておりますので、もよりのところに集まりまして、事例研究というような面からも集団的にやるということは、指導の面でも非常に効果が上がっております。しかし、監督の面からしますと、やはり坑内図面を一々持ってこさせまして、ずっと坑内の状況も詳しく聞くわけでございますが、やはり目で見、足で確かめたほうが直接的でございますので、これは先生指摘のとおりそういう方向で進んで参りたいと考えております。
  12. 大川光三

    政府委員大川光三君) ただいま鶴園さんから御質疑の点、まことにごもっともな点が多いと存じますが、ただいま鉱山保安局長から御答弁を申し上げましたとおりでございまして、その点については最善の注意を払って善処いたしたいと、かように考えております。
  13. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 北海道に四カ所、九州に五カ所の出張所のごときものを、監督官駐在所みたいなものをお作りになるということですが、これまた庁舎会社のどこかの建物を借りるとかということにならないのかどうか、あるいはそういう庁舎の手配が整っておるかどうか、ややもいたしますとこれはそちらまかせ、人員さえ配置すればよろしい。庁舎はどこでも手当せい。庁舎、備品その他そうだ、という問題はたくさんあると思うのです。あるいはまた、宿舎の問題もあると思うのです。そういうものを安易に会社にたよるということになりますとこれはどうにもならない。そういう意味出張所なり今おっしゃった九カ所の設置についての事務所なりあるいは監督官宿舎なり、そういうものが準備ができているのか、その点をひとつ伺って、もう一つ去年問題になりましたときに、一人の監督官監督して歩くのでは種種問題があるという点が指摘されて、二人一組で歩くようなところも作らなければならないというようなことになったのですけれども、また、逐次一人歩きの方向に変わってきておるようですね。一人で監督するという形になっておるようですが、そういうことについてどういうふうに見ておられますか。  それから監督官出張旅費というものが非常に問題になって、昨年は三百八十万くらいふえたのですけれども、ことしは全然ふえてないのですね、この三十七年度は。そういう意味の、監督官をふやしてみたけれども、ここにありますように六十名という監督官がふえたけれども、それが歩く経費がないというのではどうにもならないわけです。ふえたけれども歩かさないというのですから。そういう片手落ちやり方をやられたのでは、生産行政というものと保安行政というものが直結しているためにチェックされているんじゃないかという印象をどうしても受けるわけです。そういう点について説明を伺いたい。
  14. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 監督員のたまりと申しますか、北海道九州に九カ所設けました。派遣班と私どもは称しておりますが、この班は従来もずっと置いておったわけでございますけれども、その監督効率を上げます上においては、たとえば先ほど申しましたように、釧路あたりで何かすることがあったからといって、札幌からわざわざかけつけるようでは、半日がかりだ、深夜になりますと交通機関もないということで、現地派遣をしておったわけでございます。この派遣班をさらに強力なものにするために、昨年の三十八名と、本年お願いしております二十名、五十八名につきましては現地にもっていくわけでございます。で、その宿舎につきましては、昨年の予備費と、それから来年度の予算として、この現地派遣される分につきましての宿舎、それから事務所は、一部は現在石炭事務所というのが通産局にございますが、手狭なところはそれを拡張していくということでやっております。そういう点につきましては、ただいまも先生おっしゃったように、この監督官というような仕事の面から、これはほかの面でもそうでございますけれども、何か炭鉱事務所の一部を借りるとかあるいは炭住のどっかに入るというようなことでは、真の監督成果は上がらないわけでございまして、この点につきましては現地強化と合わせまして十分な配慮を払っておるわけでございます。  それから二人一組の問題、これは二つの面があったんじゃないかと思います。一つは、相当に当時いろいろ暴力炭鉱だとかいうような問題が取り上げられまして、この二人一組のほうが何かについてそういう面からも都合がいい、それから一つの面は、監督精密を期する、こういうことでございます。で、監督精密を期するという面からいきますと、一人で見ることもまた必要でございますけれども、そういう場合もありますけれども、やはり二人が一組になりまして互いに批判し合う、こういうことも監督成果を上げる上においては必要である、こういう二つの面があったわけでございまして、これはまた現在すべての炭鉱について、ただいまも申しましたような要望からいたしますと、二人一組という考え方で進む必要はないのじゃないかと考えております。今の考え方二つの点に沿うような鉱山、特に炭鉱におきましては、二人一組でなくて、最近の非常に坑内でも荒れていやしないかというようなところは、三人あるいは四人一緒に行きまして、一斉検査をやりまして、互いにそこで監督官同士も検討し合う、こういうこともやっておるわけでございます。人の性格にもよりますけれども、二人一組というような姿のものを必ずしも原則にはする必要はございませんけれども、今申しましたような二点に着目いたしまして、そういう場合に二人一組というふうにもっていくように努力をいたしております。  それから出張旅費の問題でございますが、これは人員増員分につきましては、来年度の予算でも配慮されておるわけでございますが、ただ旅費の増額の面において、十分に人員が増加した分だけふえていないじゃないか、こういうことにもなりますが、これはただいまくどくど御説明申し上げましたように、札幌から出ていくというような従来の一人当たり経費と違いまして、現地のほうである場合には半日とか、というふうに何か災害があった場合にそこだけ見てくるとかいうような、特定の効率を上げた監督を行ないますために、現地にこれを配属したわけでございます。そういう点から見まして、何か人員増に伴ってもの足りないじゃないかと、こういうふうに考えられておる点があるかと思いますけれども、この点は従来の経費考え方と変わっておりません。御了承お願いしたいと思います。
  15. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 暴力炭鉱の問題も出ましたし、それから監督精密にするという、そういうような点から、二人一組ということが非常に言われまして、そういう努力を払ってこられたわけですけれども、それが逐次またよりが戻ってきて、何か一人ということにまただんだんなりつつあるという傾向があるからして、そういうよりの戻らないように、起こったときだけ一生懸命になって、それがしばらくたちますと、またそういうことでなくなるということではまずいので、この点については、ひとつ従来ともとられた形のものを堅持していかれるように要望しておきたいと思っております。  それから旅費の問題でございますが、昨年の七月五日に政令定員が四十名ふえた、その際に三百八十四万円ですか、旅費がふえたということになっておるわけですね。それで、今度はこの四十名というのは、ことし一ぱいフルに勤める人たちなんですよ。去年は七月から勤めたのですから。さらに今度は二十名という人たちがふえたという点からいって、昨年の出張旅費と全く変わらないという状態では人間は配置したのだけれども、どうも歩かせないのじゃないかと、そういう邪推もしてみたくなる。それからそうじゃないのだという今お話しですが、今までもこの北海道の四カ所と九州の五カ所に対しては、派遣班というような形になってあったじゃないですか、それが今回は充実されるのですから、充実されて何になりますか、出張所になりますか、よくわかりませんけれども。だから、前の旅費と全く同じということでは、どうも人員は配置したけれども、歩かせないつもりじゃないかというような気持すら起こるのですね。だからそういう配慮を払っていただかないと、私は前回に主張いたしましたように、やはり生産行政というものとそれと噛み合う保安行政というものが、どうしたって生産行政のために犠牲になるわけですから、保安行政というものと生産行政というものとはどうしたって食われるわけですから、その独立を主張したくなるのです。私は旅費の点についてもう一ぺん伺うと同時に、先回問題にいたしまして、保安監督局になり、保安監督部あと四つ残るわけですか、六つですか、それらを通商産業局というところに付置しないで、直接通産省に直結させてやるというようなことも考えていいのじゃないか。先回は官房長も検討したいようなことでしたが、それから通産大臣も、何かそういうような似たような発言だった。どうもはっきりしなかったですが、そこらについて付置するというようなことはやめて、通産省に直結するという形にされたほうがいいんじゃないでしょうか。
  16. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 旅費の面におきましてはただいまも申し上げましたように、従来の一人当たりの計数からこれを下げているわけじゃないわけでございまして、監督派遣班でございますか、派遣班は従来北海道では五名、こういうものを来年度は二十三名に持っていく、それから九州では十九名のものを五十九名に持っていく、こいううふうに現地に大幅に増員したわけでございまして、そういう面から単価等は、全体としての単価は落ちるように見受けられるわけでございます。  それから次に付置をはずすという問題でございますが、すでに御答弁も申し上げたとおりでございますけれども、私もこの点につきましては、十分に九北以外のところについても検討を進めてみたいと思っております。九州北海道というふうな大きなところと違いまして、中には十七、八人の四国とか広島とかいうところもございますし、また、この独立とかいうようなことになって参りますと、いろいろな面を、昔とっておりました、何と申しますか、大きな監督局にしまして、それの現地事務所を四国とかに置くとか、いろいろ総合的に研究しなければならぬ面もございまして、こういうことにつきましても、今後も十分検討を進めて参りたいと考えております。
  17. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは次に、今度は今申し上げました局になりました機会に、通商産業局に付置するというような形で、いかにも通商産業局、つまり生産行政の面からチエックされるんじゃないかという印象を与えるような存在をなくするように御努力を要望いたしておきたいと思っております。なお、この出張の旅費の問題、それから庁舎、備品その他宿舎等の問題についてもぜひひとつ善処していただきたいというふうに思っております。  次に、特許庁の問題につきまして伺いたいんですが、特許庁は今度特許審査審判の促進のために定員増加を行なっておるわけです。それで二十七年ごろから特許庁の審査が非常事態というふうに言われておるわけですね。それで審査の未処理、滞貨といいますか、審査の未処理、これが一貫して毎年増大をして、しかもそれが累積をして、非常に膨大な数字に上っておるわけです。したがって、この未処理の問題と今回の定員増の問題について伺いたいわけですが、お宅で出しておられますところの特許庁年報、それからもう一つ工業所有権関係、ことしの二月に出た、統計局ですね。この二つの中から拝見をいたしますと、近年、特許、実用新案、意匠、商標、こういうような出願が逐年漸増しておるということを言えると思いますが、しかし、未処理が非常にふえてきている。三十二年の未処理が二十二万五千件、それで三十四年に今の新しい全面改正の特許法関係が成立したわけですが、その際にも衆議院、参議院とも付帯決議がついておるわけです。この膨大な未処理をすみやかに解消するように恒久的な計画を樹立して未処理を解決しなさいという附帯決議がついておる。ところが、三十四年にそういう附帯決議がついたにかかわらず、三十五年はさらにふえて三十万件という形になっておる。そして三十六年はさらにふえて、三十二万五千件という未処理のものがふえている。大体一年間の処理状況を見ますと、十五万件前後、近年五、六年の間の処理、状況を見ますと、一年大体十五万件前後ということになりますから、三十六年の末の三十二万五千件とありますのは、約二年半近い未処理の事件が滞貨しているということになるわけです。この附帯決議がついたにかかわらず、この滞貨がどんどん増加していくというようなことは、どうも私どもとして納得いきがたいし、さらに異議の申し立て、この異議の申し立てがまたふえています。これも未処理が千二百五十九件、大体一年分です。一年分滞貨している。それから審判関係ですが、審判の請求、これがものすごく滞貨しています。これは約三年分滞貨しておる。坑告審判請求というのがありますね、坑告審判請求。この坑告審判請求が約五年分たまっておる。この科学技術の日進月歩の時代にどうもこんなに滞貨がたまったのではどうにもならないと私は思うんです。そこで、過去特許庁がどういうふうに人員増加を努力してこられたかというのを詳細に拝見いたしますと、まことに私は不可解だと思う、しかも無計画だというふうに思うんです。したがって、ひとつ今回ふやされました——今回何名ふやされましたか、二十九名ですか。
  18. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 四十九名です。
  19. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その四十九名の内訳をひとつ説明していただきたい。統計によりますと、審査官と審判官とその他職員と、こういうふうに三つに分けてあります。お宅の年報ではその三つに分けている。
  20. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) ただいま先生お話のとおりでございまして、私ども過去におきましても、できるだけ工業所有権の出願は、適当な時期には処理するということで、それにはいろいろ方法がございますけれども、要はやはり審査、審判官を中心といたしまして、信用の充実をはかることが先決であるということで、ずいぶん努力して参りましたが、何分にも工業所有権の審査、審判は非常にじみな仕事でございまして、なかなか予算の獲得が困難であったことが実情でございますが、ただいまお話がございましたように、ただいまおいでになりませんけれども、当時社会党の栗山良夫先生が非常にこの問題を強く取り上げていただきまして、その当時の商工委員会で、与党も野党も一致いたしまして、附帯決議までつけていただいて激励していただいたわけでございます。私どもそれによりまして、相当大蔵省と、あるいは人事院等に強力に折衝をいたしたわけでございまして、その国会で問題になりましたことが非常に私としては力があったと思いますが、もちろん十分とは申せませんけれども人員の増加につきましても、あるいは資料の整備のための経費につきましても、あるいは環境の整備のための経費につきましても非常にふえて参ったというふうに考えております。当時御承知と存じますけれども、国会におきましては歳入の限度までむしろ歳出を認めるのが当然だという議論もございましたけれども、これは当時、大蔵大臣まで国会に出ていただいていろいろ論議がございましたけれども、必ずしもその点は大蔵省との間に話はついておりませんけれども、しかし、まあそういう空気になっておりまして、ただいま申しましたように、そのころを契機といたしまして予算も非常にふえておる現状でございます。そういうことで人もだんだんふえて参りまして、処理量も非常に着実に増加いたしております。おりますが、何分にもその当時あるいはその以前におきましては、実は予算定員を獲得することが非常に大きな問題であったわけでございますが、この数年は、むしろそういうことよりも、定員を獲得いたしましても実際問題として技術者の採用が非常に困難であるということと、それから民間における工業所有権の思想が非常に普及いたしまして、各会社等で特許課あたりを非常に作りまして、そういう関係で特許庁の職員がだんだん出ていくというような格好で、採用は非常に困難であるし、出る人はむしろふえるというような格好でございまして、実際問題といたしましては、技術官につきましてはここ数年あまり結果的には増員を見ておらないような実情でございます。しかしながら、われわれは国会あるいは各省でこの問題につきまして非常に御協力をいただいておりますので、十分責任を感じておりまして、できるだけそのほうにも努力いたしますが、われわれのほうもできるだけ働いてそうして処理量をふやそうということでやって参りまして、ただいまお話もございましたように、処理量も非常に着実に増加しておる状態でございますが、何分にも出願件数が非常に増加いたしておりますので、結果的には未済は絶対件数としては少しずつふえておる現状でございます。  なお、異議の申し立てもふえているのではないかという御質問でございましたが、これはたとえば工業所有権の出願を許可します場合には、私のほうだけでやらずに、一応こういうことを許可しようと思うがどうかということで、これは印刷物に載せまして民衆に、公告といっておりますが、公告をいたしますと、それについて異議のある者は異議申請をいたしますため、これは処理量がふえますれば当然率としてふえて参りますものでございますから、このこと自体はやむを得ないことと存じます。  それから四十九名の内訳でございますが、これは技術官としてはあるいは直接の審査審判官としてはそのうち九人でございます。あとはタイピストを含めまして二十一人が事務系職員でございます。それからなお、ほかに定員化が二十人ほどでございますが、これは全部事務系職員でございます。したがいまして、四十九人のうち技術系職員は九人ということでございます。
  21. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今回、技術系職員九名、それからその他職員が二十一名、定員化が二十名。定員化は純増にならないわけですが、当面して問題になりますのは、九名技術系がふえるわけですが、これは審査官は全然ふえないのでありますか。
  22. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 今回は、審査官のほうは要求をいたしませんでした。その理由は、現在定員で獲得しておりまして、それが先ほど申しましたような理由で埋められない数が非常に多うございますので、大体きょう現在で六十人以上欠員になっておると思いますが、そういう状態でございますので、これを大蔵省に要求しても欠員の補充が先決だということでとうてい認められないだろうと考えまして、むしろ要求の重点を、事務系職員をできるだけ要求いたしまして、それによって審査の能率を上げるということが適当であろうと考えまして要求しなかった次第でございます。
  23. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 事務系職員をふやしていかれることきわめてけっこうですし、私はもっとふやさなきゃならぬことはあとに申し上げますが、しかし、審査官がことしもゼロだ。三十六年もゼロです。三十五年もゼロでしょう。三十五年からふえていない。三十五年から三十六年、三十七年とふえないわけですね。審査官が一名もふえない。しかも、その審査量は三十二万五千件たまっている。一年の消化量というのは十四万件前後で、したがって、二年半分ぐらい滞貨している。そういうような実情の中で審査官が三年間一名もふえないという考え方は、これはどういっても私は納得できない。その理由として、今定員が欠員があるというお話でありました。審査官の欠員、確かに大きなものですね。こういうような欠員はほかの省では考えられないことです。三割から四割という欠員です。三割から四割の欠員があって、そして人間は全然ふやさない。それじゃどうして問題を解決されるか。私は方法がないじゃないかと思うんです。理解に苦しむわけですかね。確かに特許庁の特許関係仕事が非常にじみである。しかし、会社関係等におきますと特許関係においてきわめてはなやかな情勢でありますし、したがって、民間に抜ける人たちも出てくる、あるいは新しく入ってこないという実情の中から三割から四割というその膨大な欠員が生ずるということになっているだろうと思うですね。三十三年の公務員の上級試験を通って特許庁の試験をして三十一名入れるのに半分も入らない。十四名しか入らない。三十六年も十六名試験をして八名しか入らない。あるいは三十五年も十八名試験をしてそして合格しているのは八名しかない。こういうことは各省ではないことですよ。半分も来ないのですね。ですから、私はそういう意味では、審査官なりあるいは審判官の給与制度について考えなきゃならぬのじゃないだろうか。このまま放置しておったのじゃ滞貨はどんどんふえる一方だろう。人間は要求しない、来ないからしようがないから要求しないんだ、三年間ほってある、こういうことで事態が解決するというふうには全然考えられない。どこに解決の方法を求められるのか。三十四年に今の新しい特許法が成立しますときに、附帯決議がついて、その中に第三項にあるんですが、「審査官、審判官については、その職務の特殊性並びに有能人材確保の困難性に鑑み、妥当適正な特別給与制度を考慮すること。」というのが出ておるわけですね。これについて若干の問題が考えられたようでありますが、それでもなおこの欠員はふえる一方だ、人は入ってこない、滞貨はふえる一方だという中で、どういうふうに処理されようと思っておられるのか、伺いたいと思います。
  24. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) ただいま欠員の問題につきまして御質問がございましたのですが、その御質問の中で、定員が三十五年以降全然ふえていないのじゃないかという御質問がございましたが、三十五年度におきましては特別の審査官四十七名の増員の、これは要求はもっと多かったわけですが、結果的には四十七名の増員予算が通っております。ただ、この年は定員法が通らなかった関係もございまして、実際問題としてはこの予算はかなりの後まで埋められなかった関係でございます。三十五年度におきましてはそういう定員を確保いたしております。  それから採用の問題でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これは私どもだけでなくて、試験所でも同様でございますけれども、技術系職員の採用は年々困難になっておりますが、われわれとしましては、できるだけ、あまりむずかしい基準を言わずに採用することに努めておりまして、その結果、従来は大体私どものほうの役所では十四、五人くらい採用するのが普通でございましたけれども、ことしあたりは年間四回の試験をいたしまして、普通のいわゆる公務員試験を通りましたもの以外に、特に人事院の了承を得まして、これは本来公務員に採用いたします場合は、公務員試験を通っておらなければならないのが原則でございますけれども、特に事情を話しまして人事院の了解を得まして、公務員試験を通らないものを採用することを認めてもらいまして、その試験も四回もやりまして、従来はできるだけ新規卒業生だけを目当てにいたしておりましたのですが、そうも言っておられませんので、すでに会社あたりに勤めておるもので、どうしても東京にいたいとか、そういうことで転出を希望しておるものもございますので、そういうものも採用するというようなことで、ことしは五十八人くらいの採用を、四回の試験によってやったわけでございまして、それらの人が四月一日から入りますから、ただいま申し上げました欠員数は、この四月一日になりますと、ぐっと減って参りまして、二十人前後になる予定でございます。  それから給与制度の問題につきまして御質問がございましたが、これは公務員制度全般の問題になりますので、私からお答え申し上げるのは適当かどうか存じませんけれども、当時、この国会におきましても、特許庁の仕事は非常に地道であり、重要であり、困難であるということから、審査、審判官については何らかのディファランスを置くべきではないかという御議論もございまして、そういうことで人事院のほうにも交渉をいたしまして、昭和三十四年度からだったかと記憶いたしますが、審査官、審判官、審査官補に対しましては、本俸に対して、十分ではございませんが、加俸が設けられておるわけでございます。その後研究職の給与等も上がりましたので、私どものほうとしてはその率をさらに上げてもらいたいという交渉はいたしておりますけれども、人事院の立場から申しますと、研究所等とのバランスその他もございまして、必ずしも踏み切れないでおる現状でございます。  最後に、それでは、人が集まらない、どうして解決するのかということでございますが、これは、現在、私どものほうといたしましては、通産省にいろいろ試験所がございます。そういう試験所の職員に一部はお願いするというようなこともやっております。あるいは審査の手続をできるだけ簡略化してやるということ、従来は非常に親切にやってきておりますが、これをできるだけ簡単にやる。それから特許の審査の場合には、外国文献、内国文献、すべてを一応見る建前になっておりますが、これは実際上、常識上不可能でございますので、おのずからそこに常識的限度があるわけでございますが、それをある程度、見なければならぬ文献をきめて、いわゆる、私どもの言葉で言いますと、サーチ範囲の限定と申しておりますが、そういうこともやっていきたいということで、ただ一つ、これで解決するという方法はございませんけれども、われわれとしては、人の充足、これは第一義でございますけれども、そのほかに、今申し上げましたようないろいろな手段を講じまして、ことしは少なくとも出願書類を累増していくことはやめよう、ことしの特許出願件数はことしで処理する、たとえ少しでも未処理件数を減らそうということで努力いたしておる次第であります。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今回四回採用されたというのですが、大体自衛隊と似てきましたですね、陸上自衛隊と……。陸上自衛隊もなかなか欠員があるのですが、それでも一六%ですか、欠員は……お宅の場合は三割の欠員ですから、もっとでかいですよ、しかもこれはどうも法律を無視したかのごとき人間の採用の仕方ですね、人事院の了解を得てやられたというのですが、国家公務員法によって規定するところの上級職員の試験に通らない者を入れているわけですが、この態度その他についてもいろいろ問題は出て参りましょうし、そういうようなことをしなければならぬような事態に追い込まれているということははなはだ遺憾に思うのですが、さらに今お話の、試験所にその一部を委託するというのですか、この問題をどういうふうに処理されるのか、特許庁なんというのは、こういうことをされると、特許庁というのはあまり意味なくなります。今まで非常に親切だった、その親切を取りやめるというのは、これは困りますよ。親切であってもらわなければ困るわけです。親切であったものを幾らか取りやめることでは困りますし、それから外国資料の範囲を狭める、こういう見方も審査そのものをずさんにしていくということになるのじゃないでしょうか。しかも外国資料を制限されるとおっしゃいますが、これは各審査官の責任になるのじゃないですか、各審査官の責任においてこういうことをやられるようになるわけですか。外国資料の範囲を狭めるというわけですね、今日特許、こういうようなものが外国との関係でやかましいことは御承知のとおりなのですね、その場合にこういう外国関係の資料を制限される、それによって事務の能率をはかろうじゃないかという、その責任は一体どこにあるのか、審査官が責任を持つのですか、それをひとつ伺います。  その三つを伺いたいのです。
  26. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 最初の、四回も試験をやって、自衛隊と同じじゃないかという御質問ですけれども、これは、試験は正当に行なうわけでございます。人事院も立ち会いまして、公務員試験に準ずる試験をやりまして、その合格者だけを採用するという建前でおりますが、いわゆる正常なる、毎年一回行なわれます公務員試験のほかに、もう一ぺん試験をやるということでございまして、人事法規上も認められておる制度だというふうに考えております。  それから、試験所に委託するというのは邪道ではないかという御質問でございまして、私どもも試験所には、また本来重要な機能があるわけでございますから、こういうことはいたしたくないわけでございますが、態勢が整うまでの臨時的措置としてやむを得ない措置だと考えておるわけでございます。  それから、外国の資料を省略するのは違法ではないか、外国資料の点検を省略するのは違法ではないかというお尋ねもございますけれども、これは法律上はおよそあらゆる文献を検索することになっておりまして、これは実際問題としては、外国でもございますし、これは言うべくして実情行なわれないことでございます。これをその分野の技術を見る場合にはどうしても見なければならない常識的な範囲はございますから、そういう範囲をはっきりと、それ以上はあまり心配をしないで職務をやっていくという態勢をとっておるわけでございまして、これは庁の方針としてそういうことを徹底したわけでございますので、もちろん審査官の責任ではございません。そういうことになると、非常に内容が疎略になるのではないかというお尋ねもございまして、そういう点は私ども非常に心配をいたしておりますが、現在までの状況で見ますと、今申しましたように、これは許可する以前には一定期間、公報というものに載せまして、こういうものを特許庁としては許可したいと思っているが、意見はないかということでございまして、それに異議のある者は申し立てる、一定期間内に申し立てる制度になっておりますが、異議の申し立て件数は、先ほど申し上げましたように、処理件数が増大いたしておりますから、それに伴ってふえておりますけれども異議の申し立て率はふえておらない現状でございまして、これにつきましては私ども必ずしも先生の御懸念になっているような点はないというふうに考えておる次第でございます。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この、公務員試験というのは、人事院が一斉にやりまして、その名簿を出して、その名簿の中から各省が採用するということになるわけですよ。それと別にまた特許庁自身で人事院と御相談なさって試験をなさるのですか。それは私は種々問題が出てくると思うのですよ。非常にこのような困った実情の中でありますから、そういうような措置がとられますことについてしいて反対を表明するものではありません。ですけれども、こういうようなことをやってみても、なお問題が起こるわけですからして、その点については、給与制度というものを考える必要があるのじゃないだろうかという点をもっと突っ込んで論議をしたいのですが、あまりばらばらになりましてもしようがありませんので、少しばかり、先ほどこの外国資料の範囲を制限するということについては、庁のきめたことであって、したがって、審査官の責任ではないということですね。庁の方針だから庁の責任だと。しかし、そういうものですかね。審査官が責任持っているのじゃないですか。しかし、それを特許庁長官がこれは庁の責任だというふうにおっしゃればそれで私はけっこうだと思います。ただ試験所に審査事務の委託というのは一時的な措置というふうにおっしゃいますが、これは臨時的な措置として、何年ほどたったら解決するのか、試験所は試験所として非常に重要な任務を持っているわけですし、そこにこっちの人間が足らない、人が来ない、仕事はたまってしまう、したがって、こともあろうに試験所に委託をしていくというようなやり方は、どうも理解に苦しみますし、もっと根本的にやはり考えなければならぬのじゃなかろうかと思うのですね。しかし、試験所にやられる、それから親切にしていたものを今度は親切にしない、外国資料も制限をするというようなことで、審査の簡略化というようなことを言っておられるわけですが、近年この審査が甘くなったのじゃないかというふうに言われておりますし、また、審査がどうしても甘くならざるを得ないし、また、ずさんにならざるを得ないのじゃないかという意見がだいぶあるわけですね。そこでこの三十二年以降、先ほど長官のお話のありました公告率、処理件数に対する公告率というものを見てみますと、この滞貨がふえるに従ってさらに今おっしゃった審査の簡略化というものが言われるようになりましてからこの公告率というものが非常に増加して参っておりますですね。三十三年は四割二分ですよ、処理件数に対して公告率というのは。それが三十四年は四割四分ですね。三十五年は五割です。三十六年は五割三分と、こうなっています。公告率がこういうふうに目に見えて逐年増加してくるということは、これはやはり甘くなったというふうに見なければならないのです。したがって、それに対して異議の申し立てが今度は出てくるということになる、ですから新法が成立しますときに、これは審査の質を向上させるのだというようなことを繰り返し言っておられる。法の精神もそうです。ところが、どうもこれを見ますというと審査が甘くなっている。何かもう公告のほうへ先に出てしまう、いいかげんなところで、公告というとおかしいでしょうが、公告に出てしまうというような形が出てくるのじゃないかというふうに見られるわけですね。そこで、その関係について一つ伺うと同時に、簡略審査について審査の内容の手抜きをするのかどうかという点を伺いたいのです。今も手続の問題を若干言われました。親切にしたものを幾らか親切さがなくなるということですね。それから外国資料を制限するということをおっしゃった。外国資料を制限するということは、これはやはり審査の内容を手抜きするということだと思うのです。それ以外に審査の内容を手抜きするということを考えておられるのかどうかという点を伺いたいと思います。
  28. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 公告率が最近だんだんふえておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましては、これが審査が粗漏であった結果であるかという御質問ですが、従来特許庁におきましては、非常に拒絶される出願が非常に数多く出ているわけでございまして、これはその出願をいたします弁理士に対しましても、公証人に対しましても、こういうことはお互いにむだなことであるからということで、できるだけ弁理士の段階において、あるいは出します会社内部におきましてこれをチェックして、ほんとうに必要なものだけ出すという指導を長年やって参りました。そういう関係からもくるのでございまして、われわれといたしましては、これはわれわれの審査が手抜きされたあるいは審査が粗漏になった結果であるとは必ずしも考えておらない現状でございます。もし、われわれの審査が粗漏で、そのために公告率がふえてしるということであれば、当然これは各会社から異議の申し立てがふえてこなければならないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、異議の申立率といたしましてはふえておりませんので、私どもといたしましては、審査の質が低下しているというふうには考えておらない次第でございます。  それから審査に手抜きするのかどうかということでございますが、そういうことは考えておりませんので、私どものほうも、今考えておりますのは、手続もあまり複雑な手続を踏まないとか、あるいは検索すべき資料の範囲はおのずから常識的限度においてはっきりきめて、そこだけでもって責任をもってやるというようなこと、それから従来これは特許庁におきましては、非常に慎重に処理をする建前になっておりますが、あまり長い間考えて、決断を延ばすということでなくて、できるだけ早く決断をするということとか、そういう心がまえの問題としては簡略ということを考えておりますが、実質的に質的低下を考えておるのか、手抜きを考えているのかという御質問でございますが、そういうことは考えておりません。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 公告率の問題について、そうでないような、私の主張とは違うような御発言でありますが、審査を拒否するということは、相当これは正確に審査をしないことには判断がつきにくいと思うんですが、公告するのは。ある意味では甘いんじゃないかと思うんです。したがって、その公告率は逐年目に見えて増加してくるということは、やはり安易な方法にたよるということになるだろうと思うんです。しかし、長官はそうではないように思うというお話ですし、それから簡略審査については、審査の内容を手抜きするのではないというお話であります。  そこで、次に伺いますのは、先ほどのような滞貨の実情でありますし、人員関係も、先ほどのようなことでございますが、昨年三十六年は、出願件数が十七万五千件、それに対しまして、処理件数は十四万九千件であります。三十七年度は出願件数をどの程度に見られているのか、計画ですね。これは附帯決議にもちゃんとあるんですよ。滞貨の「恒久対策を樹立すること。」ということになっています。したがって、恒久的な計画は立てられているのか。三十七年度も立てられているでしょう、すでに一月、二月始まっているんですからね。したがって、三十七年度の出願件数をどの程度に見られ、それから三十七年度の処理件数をどういうふうに計画を立てられているのか、それをお伺いいたします。
  30. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) これは出願件数の見通しは非常に困難でございまして、これはいろいろ私どものほうでもその趨勢値を研究しておりますけれども、将来の出願件数を的確に予測することはなかなか困難でございますけれども、しかし、きわめて常識的に考えますと特許実用新案につきましては、若干出願件数はふえるのじゃないかという感じは持っております。意匠、商標につきましてはここずっと停滞ぎみでございますので、これは出願件数はあまりふえないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。  それから処理のほうでございますが、特許実用新案については大体十二万件程度をことしは処理していきたいというふうに考えております。意匠につきましては二万八千件見当、商標につきましては四万三千件見当の見通しを立てております。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、計として十九万件ということですね。昨年は十四万九千件、ことしは十九万、処理件数が三割五分くらい上がりますね。そこで三割五分程度上がるのですが、一体一人当たりの件数はどの程度ふえるのですか、審査官一人当たりの。非常なふえ方になるのでしょう。人員は欠員がありましょうし、今度新しくふえたとしましても、これは審査官ではないわけであって、ことし入る者は審査官ではないわけですから。したがって、こういうような、三割五分程度処理件数がふえるということになりますと、非常に審査関係仕事というのはたいへんなふえ方になるのじゃないでしょうか。どういうふうに見ておられますか。
  32. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 増加数におきましてはさようでございますが、実はこの中には特許実用新案のほかに意匠商標が入っておりますが、商標の処理件数は三十六年におきまして非常に低かったわけでございます。これはいろいろ技術的理由にもよりますが、商標の審査をできるだけ促進するために従来の資料を全部カード式に変えまして、そして能率をあげるという作業が昨年臨時に入って参りましたために審査そのものが落ちまして、そうしてそれに比べればただいま先生お話のような状況になりますけれども、これはすでに平常に復しておりますので、全体から申しますと大体実質的には平年度ベースにして考えますと、大体一割くらいのアップということになるわけでございます。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 一割くらいのアップになりますか。今までずっと上がってきているでしょう。
  34. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 特許実用新案で申しますと、昨年が、取り方でいろいろ数字が出ますが、大体、十一万四千件の処理をいたしますに対して、先ほども申しましたように、十二万件の処理目標を立てておりますので、この数字から申しますと一割弱になりますけれども、その十一万四千件という数字は最終処理の数字でございまして、私ども努力目標を公告決定と拒絶査定に置いておりますので、それに水準を合わせて比べてみますと、大体十一万件弱でございますので、一万件くらいの強でございます。意匠につきましては、平年大体二万五、六千やっておるのが平年の実績でございますが、昨年は庁舎の移転その他がございましてこれも非常に落ちておりますので実績から申しますと、昨年二万件に対して二万八千件というように増加いたしますが、三十六年が異常に低かった年でございますので、この点は増加にならないと考えております。商標につきましては先ほど御説明申し上げたようなことでございます。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 審査官と審判官の問題を一応この程度にしまして、その他職員というふうに特許庁の統計が出ております。これが御承知のように、三十一年からずっと人間がふえなかった。少しはふえていますけれども、実際ふえなかったわけですね。そのために審査官なりあるいは審判官の増加に伴ってその他の職員がふえてこないというために、種々その業務の推進上問題があって、そこで今回、今の御説明のような職員が二十名ふえ、そのほかに定員化二十名、これは純増にならないわけですが、二十名ふえるということになったわけです。が、ところで、公報関係は月十五時間の超勤をやっている。それにプラス二十五時間の超過勤務をやっている。計四十時間という超過勤務です。そうして公報関係の相当のものを外注に出されておるのじゃないですか。まかない切れない、そこで外注に出されるということになるだろうと思うのですが、その外注に出されることについては種々私は問題があると思いますけれども、問題があると思いますが、外注にどの程度出しておられるのか。それから、この公報関係で四十時間という超過勤務手当といいますと、一週間分です。ですから一カ月一週間ふえるということになる、超過勤務が。たいへんな労働だと思うのですけれども、その点はどういうふうに考えておられるのか。  それから、特許権者に対しまして特許証を出されます。りっぱな紋章のついたやつを出されるわけですが、これが人員不足のためにほとんどストップしているということですね。十万件くらいたまっているのじゃないですか。  それから、新法になりましてから商品分類が変わりましたね。その切りかえをやらなければならない。商標権カード、この切りかえが三十四年一月からストップしているのじゃないでしょうか。つまり、審査官それから審判官のところにも非常に大きな問題がありますけれども、その他職員といわれている公報関係あるいは出願課、審査系、事務系、そういうところにも非常に大きな問題があるのじゃないでしょうか。これらの点についてのお答えを聞きたいと思います。
  36. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 最初に公報の相当部分を外注に出しておるのは問題ではないかというお尋ねでございますけれども、最近処理件数がふえて参りまして、したがいまして、公報を出さなければならないボリュームが非常にふえてきましたので、現在は私どもが持っております工場ではどうしてもさばき切れません。したがいまして、その点は単価で申しますと、私どものほうがだいぶ安いわけでございますから、できるだけ庁内で処理したいと考えておりますけれども、早く公報を出すという至上命令もございますので、これは大蔵省の印刷局のほうにお願いをしておるわけでございます。  それから超勤につきまして、ただいま一人四十時間、相当な時間ではないかというお尋ねがございましたけれども、私どものほうとしては、月平均四十時間超勤を出している現状でございます。これも話し合いの結果そういう超勤をやってもらっておるわけでございまして、非常に異常な超勤が工合が悪いということであれば、いつでも私どもは超勤をしないでけっこうだと考えておりますが、現在はそういう話し合いで進んでおります。そういうことでございます。  それから、特許証が非常にたまっておるではないかというお尋ねでございますが、これは、特許権は登録いたしますと法律上それで効力を発効いたしますので、特許証はただ一種の儀礼的にその証拠として出すだけでございまして、登録という行為が完了すればそれで法律効果が発生するわけでございます。もちろん特許証をすべての人に早く出すということが理想でございますが、先ほど申しましたように、審査なり、審判なり、登録なり、そういう固有の事務に追われておりまして、これが停滞しておることは事実でございますけれども、実は、これは大きな会社や何かではこういうものをわざわざもらわなくてもいいというところも相当ございまして、必ずしも全部が希望しておるわけじゃございません。したがって、私どもといたしましては、運用といたしまして、できるだけ早く特許証をもらいたいという人には優先的に交付するということで、実情に合わせておるような次第でございます。  それから、商品分類が変わって、三十四年一月までのものしかできておらないんじゃないかというお尋ねでございましたが、これはちょっと間違いでございまして、三十四年一月までのものをやるという作業を今までやってきたわけでございまして、それはほとんど完了いたしております。それで、三十五年一月以降の分につきましては、大体現在までの分を三十八年の終わりぐらいまでにはこれをやる目標で、現在作業を進めておるような次第でございます。  最後に、事務系職員についてもっと十分配慮すべきではないかということでございますが、全く同感でございまして、私どもといたしましては、できるだけこの事務系職員を補充することによって能率を上げる、そういうことで採用難を乗り切っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今いろんな点について伺ってきたわけですが、三十四年の三月にこの特許庁関係法律が全面改正されますときに、附帯決議がついておるわけですが、この附帯決議を再びこの委員会においてもつけなきゃならぬというような感じを持つわけです。全然改善の道にない。滞貨はふえる一方という状態ですし、さらに欠員の状況等につきましても、改善の跡が見られないというような実情ですね。はなはだ私どもとしては遺憾に存ずるわけです。この附帯決議の一番目には、「今回の改正による特許料、登録料及び手数料の値上げに伴う増収分は、あげて人員の増加を初め、審査、審判事務の促進のための経費に充当し、出来得れば補正予算で措置すること。」、こういう附帯決議がついておるんですね。その当時佐藤大臣がちょうど大蔵大臣で、ここへ出ておられたんですよ、善処したいということで。それがこの補正予算はつかなかったんです。ですが、幾らかの前進は見られました。ここには、増収分はあげて人員の増加その他事務の推進のために充当し、ということになっていますね。この法律が改正されましてから、歳入歳出を見ますと、法律の改正前は六千万円ぐらいの黒字ですが、改正後は五億円ぐらいの黒字になっていますね。三十五年も約三億円の黒字になっている。で、あげて人員増その他事務推進の経費に充当し、というふうに附帯決議がついている。これは努力が払われていないように思うんですけれどもね。いかがでしょう。庁舎の問題にいたしましても、一ぱい言いたいことがあるわけです。特に倉庫関係についてうんと言いたいですね。これは普通の倉庫と違うのですからね。職場ですよ。いずれにしましても、この関係はどういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
  38. 伊藤繁樹

    政府委員伊藤繁樹君) 先ほどお答え申し上げましたように、当時そういう議論がございました。私自身の立場からは全くそういうふうに考えるわけでございますけれども、大蔵省にもまたいろいろ立場がございまして、なかなか歳入と歳出とは当然バランスするという約束までには至っておらない現状でございまして、私のほうとしてはそういう原則論にこだわるよりは、できるだけそういう実情を訴えて、そして予算をふやしていけばそれで足りるわけでございますので、われわれとしては及ばずながら努力いたして参りまして、不十分ではございますけれども、最近は非常に予算もふえて参りまして、先ほどもちょっとお触れになりましたように、今度私どものほうも、一部ではございますけれども、非常に困難な仕事をしている部面につきましては、冷房の設備までつけてもらったわけでございまして、こういうことはよその普通の官庁ではないことだと思っておりますので、不十分ではございますけれども、その趣旨に沿って私ども努力して参ったつもりでございます。
  39. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 特許庁の事務につきまして、ただいま御指摘のありますように、附帯決議もつけていただき、その線に沿っていろいろ改善をはかって参っております。これは私全部の質疑を伺うことができませんでしたが、おそらく非常な特許についての事務の停滞があり、また、そこで働く人たちが、労働も非常に重い、まあこういうような意味から、改善方についてのお尋ねがいろいろあったのだろうと思います。私どもも、特許庁の事務が停滞しておることは、産業の発展上非常に支障がある、かように実は考えておりますので、特に意を用いてこれが改善、内容の充実、または十分の業績を上げるように、こういうことで指導して参っております。しかし、なかなか国の予算そのものが、ただいま言われますように、特別財源で全部を負うというわけにも参りません。私ども努力なお不十分のように考えますので、今後とも一そう努力して参りまして、ただいまのような停滞なりが起こらないように、またもう少し庁舎あるいは事務室等の整備につきましても、一そう意を用いなくちゃならぬ、かように考える次第でございます。ただいままでの努力が十分効果を上げておりませんけれども、まあ順次御指摘のような方向に内容を整備していく、こういう考えであることを、この機会に私からもつけ加えてお答えをいたす次第でございます。
  40. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  41. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記とって。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この特許行政の渋滞につきましては、私もここでいろいろ大臣その他に質問してみたいと思っておったのでありますけれども鶴園委員から非常に委細を尽くした質問があり、また特許庁長官からも、非常に今までのいろいろな苦心その他のお話があったので大体了承するのでありまするが、しかし、本来ならばこの問題はもう一度附帯決議でもつけまして、行き詰まっておるこの特許行政の打開をはからねばならぬと私も強く考えておるものであります。すでに三十四年三月の特許法改正のときに一応附帯決議もやっておる、その後の事態を見ると、いろいろ苦労をされてはおりますけれども、どうもまだ抜本的解決法が立ってないように、私、思うのであります。先ほど大臣もこの特許の行政については、産業行政の上からも、大いに勧奨しなければならぬというようなことを言われました。科学技術時代で発明を大いに奨励していかなければならぬときに、一方、それらのことについて非常に熱心にやっておられる人々に対して、その方面の仕事がこういうふうに渋滞しておるということは、私まことに申しわけない。特に、私は産業の振興ということばかりでなしに、民間がこれで非常に迷惑をしておると思うのであります。熱心にいろいろ研究をしておるが、さてそれがいろいろの報告を見てみるというと、もう一方で研究されておって、それがむだになる。こういう非常にむだな努力を払っておる人が各方面に相当出てきておると思うのでありまして、この点はもっと親切に、まじめに考えていかねばならぬ問題であろうと思います。  そこで、先ほどいろいろお話がありましたが、なかなか人もやって来ない、しかもおる人は出て行く。こういう問題に関連しては、やはり鶴園委員指摘されましたように、給与その他の面について、これは裁判官に私はやはり匹敵するような立場の者ではないかと思うので、根本的にこの審査官その他の給与制度等についてもひとつ考えてもらいたいと思うのであります。また、通産省傘下の試験機関にいろいろ活用されておるということを言われましたが、まあこれらの点についても、その活用方法をさらに検討してもらいたいと思いまするが、私はさらに一歩進めて、これはなかなかむずかしいことであろうと思いまするけれども、民間にも各種のいろいろ研究機関等があるので、こういう方面にさらに委嘱するようなこともできないことではなかろう。これらのことについても研究され、あわせてことに特許料の収入というものは年々相当の収入が上がって、黒字になっておるというような事態、これは当然、思い切ってその収入は支出に充てるというくらいの抜本的原則を立てていいのではないかと思うのでありますが、先ほど通産大臣から一応所信の表明がございましたけれども、私はさらに重ねて、三十四年のあれだけ強い附帯決議がついておりながら、今日はさらに書類が一そうたまっているというようなこの事態は、これは黙過することができないと思うので、通産大臣から重ねてもう一度、所信の表明をいただきまして、この問題に対する私の質疑を終わりたいと思います。
  43. 佐藤榮作

    ○国務大臣(佐藤榮作君) 石原さんからただいま特許庁の行政並びに事務全般についての理解はあるが、同時にまた、御鞭撻のお言葉をいただきまして、たいへん私恐縮に存じます。先ほど鶴園委員に対しましてもお答えいたしたのでございますが、この問題については、与野党ともこの改善方を強く要望されておるのでございます。ことに三十四年に附帯決議もいただき、また、その附帯決議の線に沿って、改善の努力はやっている際ではございますが、さらに重ねてかような意味においての御批判をいただきましたことを、たいへん私ども責任者として、恐縮に存ずる次第でございます。事柄の重要性にかんがみまして、一そう決議の趣旨を尊重して、一そうの努力をいたすことをこの際申し上げまして、御了承願いたいと思います。
  44. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認め、それではこれより採決に入ります。通商産業省設置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  47. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会
  49. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ではこれより内閣委員会を再開いたします。  まず、理事辞任許可についてお諮りいたします。塩見俊二君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、慣例によりその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 御異議ないと認めます。それでは私から、理事に下村定君を指名いたします。     —————————————
  52. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。政府側出席の方は、運輸省より、廣瀬官房長、辻海運局長、和達気象庁長官説明員として木内教育課長、岡田管理課長、岡部建設課長、増川参事官、大沢航空局技術部長、なお、防衛庁より、御要求により笹本政務次官、麻生参事官出席しております。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  53. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 運輸省設置法の中で、特に自動車審議会の関係面で長官にお伺いしたいので要請したわけですが、長官は御都合があって見えませんが、それまで代行者である笹本政務次官に主としてお伺いしたい。  私が申し上げるまでもなく、最近、自動車による交通事故が激増しておるわけです。その中でやはり考えられるのは、未成年者の大型トラックの運転、こういう事故が比較的多いわけです。そういうことで、政府としてもこの対策の一こまとして、先般次官会議で、現行のいわゆる資格条件の一つとして、年令十八才を二十一才に引き上げようとの決定がなされて、先般閣議でこれが審議になったようでありまするが、大体その次官会議の決定どおりきまりかかったところ、藤枝防衛庁長官から、特に、これは防衛力の低下である、こういう立場から、こういう考え方から、強く反対されて、いまだに保留になっておる、こういうことを私は新聞で知ったわけです。そこで、まずもって、政務次官から、その間の真相を承りたいと思うわけです。
  54. 笹本一雄

    政府委員(笹本一雄君) 今、伊藤先生の御質問でありまするが、交通対策についての世論もそうでありますし、それから、お説のごとく、閣議でも、また次官会議でも、これは話題になっております。道路交通法の一部を改正しようということが出ておりましたから、今まで十八才から免許をとっておられたのでありまするが、これを二十一才までに引き上げたいというようなふうになっておるようでありますが、防衛庁といたしますると、十八才から募集しまして、これが二年と三年になっております。三年のほうは、技術の修得、二年は、一般の隊員となっております。これが入隊と同時に、やはり自動車の技術の指導をするのでありますが、大型自動車というのが今八千台くらいございますし、それからこの運転する人が一万一千六百人ぐらいおります。それで教育の課程からいきましても、入隊と同時に、やはり運転教育をしなくちゃならぬ、演習場のようなところで運転指導をしているのはいいのでありますが、やはりこれは公道に出ても行動しなくちゃならぬ。大体これは公道に出るときは、指導者がついた部隊の行動でありますけれども、こういう法案が出まするというと、それに制約されるということになりますので、自衛隊の隊務の遂行の上に非常に支障を来たすことになりますので、この件につきましては、ただいま警察庁といろいろその実現の面において検討中でございます。まだ具体的の案は出ておりませんが、近くわれわれは、隊務を遂行する上に支障のないように、今交渉検討中でございます。
  55. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、隊員にして約一万二千、車両にして八千両、これが十八才を二十一才に引き上げると抵触する、そしてそのことは、具体的には防衛庁の戦力の低下だ、こういう考え方で、藤枝長官は反対されたと、こういうふうに解釈されるわけですが、先般、御承知のように、この法案に直接関係のある自動車審議会が、これは三十五年の七月に設立されたのですが、一年、昨年延長になって、さらに一年延長になったわけですが、その最終の答申で、やはり大型トラックの運転資格については、十八才を二十一才という具体的な内容はないわけです。ただ、年令を引き上げるべきである、こういう意味の答申がなされておるのです。自動車審議会も同じ池田内閣の政府の機関であるわけです。したがって、この自動車審議会の答申は尊重するのが池田内閣の建前であろうと思うのですが、これとの関連はどういうことになるわけですか。もしこれに、十八才を二十一才に引き上げることに防衛庁が反対されるということになると、自動車審議会の答申の趣旨に反することになる。この点をいかように考えておられるか。こういうことは、長官が言われたのだから、政務次官は、私は知らぬ、と言えばそれまででしょうけれども、やはり長官の補佐役である政務次官だから、やはりひとつ長官にかわって、この点お答えいただきたい。
  56. 笹本一雄

    政府委員(笹本一雄君) 年令十八才を二十一才に引き上げる、これに対して、自衛隊が、一般の運転者の引き上げに対して反対するのでなく、さいぜん申し上げましたごとく、隊務遂行の上においてこちらに支障があるので、それを今警察庁と検討中でございます。それからまた、一万一千六百人余の運転をする人がおりまするが、八千台の大型の車がありまするけれども、これは、現在はそのままでやっておりまするから、その中の弱年者に対しては、現在はそれでやっておりますけれどもあとあとやはり補充教育する上において支障がある、こういうわけであります。したがって、防衛庁がこの法案に対して、一般運転者に対するところの引き上げに対して反対ではございませんで、さいぜん申し上げましたごとく、隊務遂行の上における教育の面において、自衛隊だけを別に考えてほしいということを、今警察庁と検討中でございます。
  57. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この一般の道路交通規則については、道路交通法があるわけです。これで規制されているわけですが、それに対して防衛庁には、自衛隊法があるわけで、そこで自衛隊については、特殊な立場からそういう規定がまたできるのではないかと思うのです。この辺の関係はどうです。
  58. 笹本一雄

    政府委員(笹本一雄君) 自衛隊法によって、今お説のごとくでき得ましても、この法案を一緒にする意味において、つまり自衛隊だけの単独の法律でなくて、この道路交通法の中に、そういうような意味をやはり含めまして、今警察庁と交渉中でございます。以上御了承願います。
  59. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、私どもは立場上、自衛隊の存在を認めてないわけです。しかし、今そういう論議が中心でありませんから、そういう問題はしばらくおいて、大体十八才を二十一才に引き上げると、隊員にして約一万二千、車両にして八千両、これが抵触するので、今直ちにはそれが運行できないという羽目になるから、戦力の低下ということになる。一応そういうふうに解釈されるわけですが、さらに一歩進めると、純理論的にいうと、十八才を二十一才に引き上げることは戦力の低下にならぬ。十八才はまだ心身の発育が不十分です。十八才から二十一才というこの三年間の発育状態は、心身ともに相当の進歩があるわけです。したがって、十八才を二十一才に引き上げる、そういう考え方は、決して戦力の低下にはならぬと思う。今当面考えると、一万二千名の運転手が運転できなくなる、こういうことで今直ちに低下するが、しかしながら、将来を見通した場合、十八才を二十一才に引き上げるということは、決してこれは戦力の低下ではない。だからこそ三年間の発育によって、今二十一才未満のいわゆる未成年者の大型トラックによる事故が非常に多い、こういうことから十八才を二十一才に引き上げたのだ、こういうことで、民間の運転手であれ、防衛庁の運転手であれ、これは変わりないと思う。だから、そういうことは私はちょっと了解に苦しむのです。発育十分な二十一才にして戦力低下ということは考えられないわけです。こういう点ちょっと納得いかない、その点を……。
  60. 笹本一雄

    政府委員(笹本一雄君) 十八才、未成年者を二十一才にしたら、もっと常識も発達して、そのほうが効率的にいくのじゃないかというお話でございますが、十八才で募集しておりますので、やはり若いときのほうが技術を指導するには非常に能率的でありまして、各国でも、西独あたりにしても十八才から募集し、技術教育をいたしております。それから今お話の、一万一千幾らという現在の人たちにおいて隊務遂行の上には支障ございませんが、今度この法案が出ますと、今後の隊務遂行の上に支障を来たすと、こういうことでありまして、それからこのいろいろ事故率なんかを見ましても、さいぜん申し上げますごとく、技術の指導は、演習地その他でやりますけれども、やはり団体的に行動に出ます場合にも指導者がございますので、それで今までの統計その他を調べてみましても、ほとんど弱年の十八才、十九才、二十才までの人たちの隊務遂行の上の運転行動についても事故はほとんど皆無という状態であります。かえってそれ以上に、単独に出た者のほうが事故率があるというようなことでありまして、今の御質問の二十一才以上になって常識も整い、それからいったほうがいいのではないかというお話でございまするが、十八才からの募集でございますから、その若いうちのほうが技術の上においても、整備の上においても非常に習得の率が高い、こういう状態であります。重ねてあれしますが、今戦力増強というお話がございましたが、戦力減退ということを長官おっしゃったというお話でありますが、私どもはもちろん戦力もありますが、隊務遂行の上において、その十八才を制限されるというと非常に困るというので、それで、さいぜんから申し上げておりますように、今警察庁のほうと交渉中でございまして、自衛隊法の単独のほうでこれを持っていくということも、これも今お説のとおり、世論としても非常にうるさいときでありますので、今鋭意あちらと手はずを相談いたしまして、われわれの隊務遂行が円滑にいくように交渉中でございますので、御了承願いたいと思います。
  61. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今の御答弁ですが、私もいろいろ子供のころから運転やってきて、実際経験ありますが、技術はなるべく年少のころから手がけたほうが非常に優秀な技術を伸ばすことができる、これはそれに間違いないと思う。ただ、事人命にかかわる自動車の運転手については、やはりただ単に技術だけでなく、精神力も手伝うわけです。だから、心身ともに発育旺盛なということになると、まだまだ十八才では未熟である、訓練は一向差しつかえないと思う。やはり年少ほど訓練の成果は期待できるわけです。それはもうけっこうだと思う。ただ、事人命にかかわるから、今回、次官会議でも道路交通法を改正して、基本的心身の発育の期待できる二十一才というところにめどを置いたと思う。だから二十一才に比較して三年の開きのある十八才ではまだまだ不十分であるという考え、だからこそ実際問題として未成年者に相当の事故がある、続出しておる、こういうことが言えると思う。だから、訓練としては年少ほど効果は期待できるということには間違いないけれども、事人命にかかわるわけですから、そこでやはり国をあげて今交通事故、わけて被害の多い自動車交通事故を是正しようとしておるこの際、やはり道路交通法がせっかくそういう方向に行こうとするとき、防衛庁ががんばってこれを阻止するようなことになると、極端に言うと、防衛庁の都合で国のそういう方向を変えてしまうという結果にも現実に解釈できるわけです。これは一考を要すると思うのです。やはり防衛庁の都合はそうであろうけれども、やはり国をあげて交通地獄をなくそうという、そういう方向に行っておるとき、防衛庁だけの都合でこれを阻止するということになれば、はなはだ遺憾だということを申し上げておるわけです。その点についてお答えいただきたい。
  62. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと私からも、今、伊藤委員の御質問に関連して、先ほどからこの席で政務次官の御答弁を聞いておりますと、感じとしては、隊務遂行上非常に支障があるから特例を要求しているのだと、こういうそこに隊務遂行に重点がかかっているようにうかがえるのですがね。そうでなくて、先ほどちょっと事故の統計の問題にも、やや抽象的でありましたがお触れになりましたが、事防衛庁に関しては、過去の交通事故の統計において二十一才未満のところに事故がないのだとか、あっても非常に少ないのだとか、したがって、人命の死傷等においては防衛庁はあまり事故を起こしてないのだという過去の実績ですね。これをもう少しお触れになって具体的に御説明がないと、何か伺っていますと、隊務遂行上防衛庁は特権を持っているのだというふうに、そういうふうにおっしゃっているのじゃないのですが、そういう印象を受けるのですが、こらも含めて御答弁いただきたいと思う。
  63. 笹本一雄

    政府委員(笹本一雄君) 今、伊藤先生の御質問の、せっかく道路交通法の、今交通地獄におけるところの対策として立案されるものが、防衛庁が反対でそれが通らないということになったら、これはたいへんじゃないかという御質問です。防衛庁としましては決してそれに反対をするのじゃない。それは交通整備に対しても、これはぜひ望ましいことでございまするが、ただ、さいぜん申し上げました、自衛隊といたしまするというと、自衛隊の隊務遂行の上におきまして、十八才から募集しておりまして、重ねて申し上げるようでありますが、二年と三年になっております。三年は技術習得、一般が二年でありますが、その間に機械化部隊の習得をするには、どうしても十八才、十九才、二十才の間にやらなければならない。これは演習その他において指導しますのですが、どうしても部隊行動ということになりますと、行動に出ますときには大体自動車運転者というのは、部隊長等の指導のもとに、自由行動ということはほとんどないのでありまするから、それから今委員長お話がございましたが、統計からいいまして、これはどうかと思いますが、十八才から二十才くらいの自動車の運転に対してはほとんど事故がございません。二十二、三才、単独の運転をするようになるというと幾らか事故が出てきますが、年少者はやはり指導のもとにやっておるので事故はほとんど皆無のような状態であります。したがって、また、そういう趣旨で、今度の法案に対して警察庁にそういう意味において特段の、隊務を遂行する上において支障のないようなことについて交渉をしております。この法案に対して防衛庁がこれをくつがえすようなことは一つも考えておりません。  以上でございます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 伺わんとすることに対しての大体お答えはあったようですが、繰り返し申し上げるように、今特に交通事故の多い、わけて自動車交通事故の多いさなか、国をあげてその事故解消に乗り出しておる。たまたま次官会議で十八才を二十一才、そういう案に対しても一応まあ閣議でも保留になっておる、そういうような情勢で、この道路交通法のいわゆる改正に対して、防衛庁の態度によってこれが左右されるようなことのないようにひとつ最後に強く要望申し上げて、防衛庁に対するお尋ねは終わりたいと思いますが、次いで運輸省にお伺いいたしますが、この法案をいろいろ拝見いたしますと、まあいろいろ項目があるわけですが、港湾技術研究所を新設するという項目について、この研究所の中には多くの研究室が設けられるのであろうと思うのですが、具体的には一体どういう研究をなさるのか、こういうことが一点と、それからたとえばですが、土性研究室と基礎土研究室、似たような名前の研究室があるわけですが、こういうようなところは一体どういうふうに違うのか、こういうようなことについて具体的に伺いたいと思います。
  65. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 先生のお尋ねの前に、現在港湾技術関係調査研究をどのようにやっておるかということをちょっと簡単に申し上げます。現在実は二つに分かれてやっておるわけです。一つは運輸技術研究所の中に、港湾部門が、港湾の水工部と土質部それから施設部とこう三つございまして調査研究をやっております。それと別に港湾局に調査設計室というのがございまして、ここでやはりある程度似たような港湾の調査設計というものをやっておるわけでございます。したがいまして、港湾の調査研究部門が二つに分かれておるということは、合理的な調査研究の点で欠ける点がございますので、この二つの部門を一緒にいたしまして、新しく港湾の技術研究所を新設しようというものでございます。新しく作ります港湾技術研究所の組織といたしましては、定員はほとんど今の二つの部門を合わせたものでございまして、組織といたしましては、管理部と、それから研究部を三つ作るというふうに考えております。研究部をさらに分けまして、研究室が十二ということで、従来申し上げました運輸技術研究所の港湾部門と、港湾局の調査設計室でやっておりましたようなことを統合いたしまして、統一的にやろうという内容のものでございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今度新たに館山に海員学校を新設するという提案ですが、今海員学校は全国で九校ほどですか、九校あって、毎年千四百五十名ほど卒業生がある。そこで、この約千四百五十名毎年出る卒業生は一体どういう方向へ進出していくのか。いわゆる官公、そういう方面に出るのか、それとも民間会社に出るのか、こういうような進出は、一体どういう方向に出るのかということを要点だけ伺いたい。
  67. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 今お尋ねございましたように、現在海員学校は九つございまして、今度新しく館山に一校新設しようというものでございます。生徒数は、従来本科と申しますのは、これはデッキと機関部でございます。これが千九十名、そのほかに補導科というのが三百六十名、これは早くいえば船のコック、司厨科でございます。こういった養成をやっておりますが、これの卒業生は、大部分が民間の外国航路の船に乗り組んでおります。現在外航船の乗り組みの普通船員の約四〇%というものはこういった海員学校の卒業生をもって占められております。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうすると、養成するのは、政府が養成して、そして大部分、まあ一部は官の方面に行くでしょうが、大部分は民間船会社のほうに進出するということになると、大体民間会社のいわゆる指導援助と、そういう立場からそういうふうになっておるものと考えられるわけですが、そういう趣旨で最初からできたものなのか、こういう点はどうですか。
  69. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) この海員学校ができましたのは昭和十四年でございまして、一番最初のものは岡山県の児島海員学校でございますが、これは最初から何と申しますか、補導教育的なものでございまして、一般の学校教育とは違ったものでございます。それで政府においてこういった普通海員を養成して、民間の船に乗り組ませるのはいかがかという御質問かと存じますが、これは従来からこういった補導教育という意味でやっておるわけでございます。また御承知のように、外航海運におきまして、国際競争というものが非常に激しゅうございますので、政府におきましては、いろいろ金利負担の軽減とか、船舶の性能の向上といったいろいろな措置もとって参っておりますが、やはり何と申しましても優秀な海員を確保して、能率のいい船の運行を行なわせるということも国際競争という立場から考えましても必要でございますので、従来からやっております方針を堅持して参りたい。それでこの際、海員の需給状況にかんがみまして、館山に一校新設したい、こういう趣旨でございます。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この受験資格はどの程度になっておるのか、それとまた、最近の入学率は大よそどの程度ですか、そういうのを簡単にお伺いいたします。
  71. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 入学資格は中学校卒業以上でございまして、年令は、甲板科におきましては十五才以上十九才未満、機関科は同じく十五才以上十九才未満で、補導科と申しますか、司厨科のほうは十五才以上十九才六カ月未満という入学資格でございます。競争率は、九つの従来の全校平均いたしまして二・六倍程度の競争率でございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、海運企業整備計画審議会、こういう新たな審議会を新設しようとしておりますが、この中の委員九名を説明して、そのうち四名が、銀行関係ですね。これはどういう観点からそうなっているのか。それと三名は学識経験者ということなんですが、この学識経験者というのは一体どういう観点から、またどういう方向の人を意図しているのか、こういう点を伺いたい。
  73. 辻章男

    政府委員(辻章男君) この整備計画審議会の委員を何名にするかはまだ最終的にきめていないのでございますが、今御指摘ございましたように、大体八、九名でやりたいと考えております。  で、委員の構成といたしまして、四名程度金融機関の方をお願いしたらどうかというふうに考えているのでございますが、その理由は、実は現在、わが国の海運界は非常に企業基盤が脆弱でございまして、今後いわゆる所得倍増政策に即応して大量の外航船舶を建造して参りますには、何とかある程度の助成措置が必要ではないかというふうに考えているのでございますが、これに対しまして、昨年来、海運造船合理化審議会の答申もございますし、また、政府部内でもそういう点についていろいろ検討しているのでございますが、既往の開発銀行の融資の金利を一部猶予してはどうか。それが可能ならば、それと一緒に融資いたしております市中の金融機関もその開発銀行の措置に対応いたしまして、市中金融機関から貸しておりまする金利を一部猶予を考慮してもいいというふうな情勢に相なっております。最終的には、なお私どもと財政当局との間で多少の意見の相違がございまして、政府としてはさまっておりませんが、そういうふうなものが近く実現するのではないかと考えている次第でございます。それらの措置ができるとしますれば、金融機関としましては、みずから貸しておりまする融資の金利の猶予という措置にも関係いたしますし、また、一般的に金融機関は、産業各界の事情に明るい立場にあるものでございますから、そういう意味で金融機関の意見をよく聞くべきではないかというふうに考えている次第でございます。  それからなお、学識経験者の件でございますが、これは各委員会で学識経験者ということで委員の方が選ばれているのでございますが、問題がやはり海運のことに関するものでございますので、産業経済に明るい方を考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、航空交通管制本部の所在地を改める、こういうふうに一つの提案がなされておりますが、そこでお伺いいたしますが、この管制本部の仕事と、自衛隊の航空機、それから米軍機、それとの関連は一体どうなるのか、この点をまずお伺いしたいと思う。
  75. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 御説明申し上げます。  管制本部で行なっております航空交通管制は、航空法に基づいて行なっている業務でございます。その管制を行なっております範囲は、航空法にきめております航空交通管制区と管制圏、大臣が指定いたしました範囲内において管制を行なう。これは日本としては法律に基づく唯一のものでございまして、自衛隊は、この管制区または管制圏の外で自衛隊が専用いたしております飛行場その他について、業務的には似たような管制をやっておりますけれども、これはいわゆる航空法に基づく管制ではございません。それから米軍のほうは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定というのがございまして、この第三条の規定に基づいて米軍が自主的に航空法の規制に関する業務を行なっております。この業務は、同協定第六条第一項の規定による運輸省の行なっております管制業務と、お互いに協調の関係に立っております。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この自衛隊機と、米軍機はその離着陸については、この管制本部の指揮下に入るわけですか。
  77. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) ただいま申し上げましたように、大臣が指定いたしました、いわゆる航空法に基づいて指定いたしました管制区であれば、全部私たちの行なっております管制の指揮に従うということでございます。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、その個々の場合でみな違うのですか。原則はきまっていないのですか。その協定協定によって違うわけですか。その点を。
  79. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 個々の場合に違うというわけではございませんが、大きく分けまして、航空法で指定をしております管制区、わかりやすく言えば飛行場と、それからそれ以外の、ですから航空法では、いわゆる飛行場ということにならないわけなんですが、米軍だけが使っている、あるいは自衛隊だけが使っている飛行場におりる場合へこの二つの種類があるわけでございます。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、そういう観点から、飛行中はどうなんです。同じですか。
  81. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 飛行中も先ほど申し上げました管制圏というのが、いわゆる大部分が航空路というものでございまして、これも指定してございます。ですからこの管制圏内、つまり航空路を飛んでおります場合は、管制本部の指示を受ける。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最後に、自動車審議会の廃止に関連して、二、三お伺いしたいと思いますが、この自動車審議会は、三十五年の七月に設置されて、昨年の三月になって期限がきたので廃止になるところ、運輸省の切なる要望もあって、この提案があって、一年間延期になったわけです。そこで、その期限も本年三月末日で切れるわけです。そこで今度は廃止にされる。そこでお伺いしたいのですが、そうだとすると、その一年延期して、具体的にはどのくらい審議会を持って、まあ回数だけで審議会が熱心であったかどうかということはわからぬわけですけれども、まあ参考までに、一年延長してその以後この一年間にどのくらい審議会というものは持たれたか。相当ひんぱんに持たれて、熱心にやったということであるならば、一年延期した価値が十分ありとも考えられるわけです。そういう意味もあって、まずその点をお伺いしたいと思います。
  83. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 初年度におきましては月に一回あるいは二カ月に一回ぐらいの開催であったこともございますが、その間は基礎資料の収集に非常に力を入れておりまして、第二年度に入りましてからは一カ月に一回ないし二回ずつ開催をいたしておりました。去る三月の二十六日の最終総会におきまして最終答申をいただいたわけでございます。そのほかに、途中で、昨年の八月に中間答申もいただいております。これはハイヤー、タクシーの関係だけに限られた答申になっておるわけであります。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 運輸省としては、この一年延長することによって十分この自動車審議会は成果を上げたものと見ておられるのですか。もうすでに最終的な答申があったわけですから、もちろんその内容によって十分検討されたと思うのですが、この点はどうなんです。
  85. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) ハイヤー、タクシーに関しましては、ちょうど自動車の事故防止あるいは輸送力増強ということが非常に問題になった時期でございまして、ちょうどその時期にも符節いたしておりましたので、直ちにこれに基づきます通達その他の措置を講じられたわけでございまして、非常に効果的であったと存じます。なお、その後バスあるいはトラック等につきましてもいろいろと御審議を願い、また、事故防止の点につきましても広範な御審議を願いました結果、これに基づく最終答申が出たわけでございまして、十分これらの御意見を尊重いたしまして、これをその面に反映して参りたいと考えておるわけでございまして、非常に成果は十分あるものと考えております。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 齋藤運輸大臣にお伺いしたいところでございますが、まあお見えになっていないのでまずいのですが、運輸大臣は、三月十六日ですか、衆議院の内閣委員会で質問に答えて、この審議会はこれで終わるけれども、廃止するけれども、新たに今度は総理府に交通基本問題調査会ですか、交通基本問題調査会を作ることになるので、そのほうで研究したほうがむしろ成果が上がるという意味答弁をなされておるわけです。で、最初に申し上げたように、言われたのは長官なんですから、長官にその点を確かめたいと思いますけれども、今残念ながら見えておりませんので、この点ちょっと納得しかねるわけです。一年間の期限で設置して、またさらに一年延長する必要があるということで一年延長したわけです。これも考えられぬことはない、十分成果を期待できなかったので、さらに一年延長と、これもわかるのですが、そこで先ほどの御説明では、十分成果を上げ得たというお答えであったわけですが、そうだとすると、もう十分成果を上げたのなら、それでいいわけですが、今度は新たに交通基本問題調査会を作って、そちらのほうで研究したほうがいいのだ、そういう点がちょっと納得しかねるわけです。その点の関係をひとつお聞かせいただきたい。
  87. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 大臣はおそらく、まあこれはある程度推測になりますが、自動車審議会は運輸大臣の諮問機関として設置をされておるものでございますので、したがいまして、ほかの省庁に関連する面にも多少触れておりますが、やはり運輸省所管業務について、主として検討、審議をして参ったわけでございます。この点につきましては、今参事官が申しましたように、運輸省としましては十分に審議をしてもらい、一応きちんとまとまった答申をもらいましたので、これを今後実施面に移して参りたいと、大臣が申しました今度総理府に設置されます交通基本問題調査会と申しますのは、御承知のように、交通問題、これは非常に関係する面が広うございまして、単に運輸省だけでございませんで、あるいは警察庁、あるいは建設省といった非常に多岐にわたる行政でございますので、最近の重要な交通問題というものを内閣総理大臣の諮問機関であるこの交通基本問題調査会で広く高い見地から取り上げて参るということは非常にけっこうなことであるというふうに大臣は考えておるのではないかというふうに存じます。
  88. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  89. 河野謙三

    委員長河野謙三君) それでは速記を始めて。
  90. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 自動車審議会は自動車行政についての課題、問題点を解消すると、まあそういう意図からできたと思う、自動車行政を専門にですね。それで今度できる交通基本問題調査会は、ただ単に自動車に限らず、全般の交通行政についての基本的な問題を調査しよう、こういうねらいであろう。したがって、明らかに違うんですね。自動車審議会と交通基本問題調査会とは、その性格が違うわけですね。片方は、自動車行政について制約された範囲内で、何とかしてこの交通地獄を解消しよう、いわゆる自動車行政の面から生まれたと思うわけです。その問題が先ほどの参事官説明では、十分成果を上げ得たというようでありますけれども、ここに私もこの答申の内容をいただいておるわけでして、内容をつぶさに検討いたしますと、この自動車審議会自体がまだまだ問題は相当ある。相当課題は残っておるということで、時間切れになったからということ、最終的な段階にはまだ研究できない面を、個々の委員の名をあげて、こういう意見であったということで、参考資料として出しておるわけです。こういう点から検討するならば、まだまだこの自動車審議会の成果は十分上がったとは言い切れないわけですね。まだまだ問題はたくさんあるけれども、時間切れになったから一応出します。しかし、最終決定でないから、審議会の意見としては付しがたいからということで、特に委員の個人名をあげて、この人の意見だという、こういう資料が添えてあるわけですね。これは当然だと思う。  そこで、最初におとなしく聞いておりますと、自動車審議会は十分成果を上げた。十分その成果を期待できたと、そう言っておりますけれども、これは間違いじゃないんですか。まだまだ問題は——ある程度の成果は上げ得たけれども、まだ審議すべき課題はたくさん残されておる、こう言わなければ、ちょっと理解に苦しむわけです。まだまだこの答申の内容自体にそういうふうに明記してあるわけですから、答申を尊重するという建前から言うと、これは言い過ぎではないかと思うのです。そこで、この問題は大臣が今おりませんから、大臣に直接関係のあることは言いません、後ほどに残しておきますが、そういう点で、これも大臣にほんとうは聞かなければならないところですから、あなたの立場としてはどういうふうに思うか。あなたの立場からの御見解を承りたい。
  91. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 当初この審議会を設置いたしまして、私どもが大体こういった項目について御審議を願って、御答申をいただきたいというような項目につきましては、先ほどの言葉が過ぎたということであれば、私の言葉がまずかったのでございますが、とにかくほぼ満足すべき御検討を願い、御答申があがったということでございまして、所期の成果はおおむね上げ得たというように考えております。なお、この委員会、非常に御熱心でございまして、各委員の方々非常に御熱意がおありになりまして、一応設置法で期限が切られておりますので、やはり作業はその範囲内でやっていただいたわけであります。熱意が非常におありになりましたので、まだ論議を尽くせない問題も若干残っておるということは事実でございます。私どもといたしましては、ほぼ所期の成果は上げ得たのではないかというふうに考えております。
  92. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで大臣お見えになりませんので、もうこれ以上質問しても意味がありませんので、最後に一点だけお伺いしたいと思いますが、これはほんとうの気持をお答えいただきたいと思うのですが、自動車審議会を三十五年七月に作って、先ほど申し上げたように昨年三月で期限が切れた。しかしながら、まだまだ審議十分でないということで一年延長した。で、今重ねて御答弁がございましたが、大体成果は上がったのだということですが、しかし、この答申の内容をごらんになればどなたでも考えられるように、万全の答申とは考えられないわけです。その審議会自体がまだまだ問題はあるということを言っているわけですね。だからほんとうに自動車行政の将来を、また、重要性を考えたとき、これはさらに一年延長して、そうして十分掘り下げた討議をやって、未解決の問題をさらに掘り下げる必要があろうと思うのです。いい悪いは別として、筋から言うとそういうことになる。まだ不十分です。ところが、去年も一年延ばし、さらにことしも同じようにまた一年延ばしてくれということは、運輸省としてもどうも面はゆい気がするので、たまたま交通基本問題調査会が総理府にできるので、そちらのほうに肩がわりするというような点がほんとうの事情ではなかろうかと、これは私が想像するわけです。したがって、この点のほんとうのところをひとつお答えいただいて、私の質問は終わりたいと思います。
  93. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 当初私どもが予定しておりましたこういった問題について御審議願い、掘り下げていただきたいという項目につきましては、一応答申を得ましたので、大体所期の目的は一応達したというふうに考えておりますので、予定どおり期限が参りましたので、一応これにてこの審議会の任務は終了した、今後はあとどもがこの答申の線に沿いまして、実施の面で努力をして参ればよいのではないかというふうに考えております。
  94. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これでやめようと思ったのですが、一応の成果ということは、十分なる成果を上げたということとは違うと思うのですね。この点は、どういう意味でおっしゃっておるのか。言葉を返すと、一応のということは、十分でまだないということにならないですか。一応という言葉はたいへん便利で、いついかなるときでも使われますけれども、先ほどから繰り返し申上げておるように、私どもは、この答申の内容を拝見して検討いたしますところ、まだ課題があるとおっしゃっておる。で、まだ審議会としての意見を付しがたいというので、繰り返し申し上げるように、個人の委員の名をあげて、この人の意見はこうだ、しかし審議会の意見じゃないということを言っておる。そこで一応の成果というのは、まだまだ不十分だというふうに私どもは解釈しておるが、そういう受け取り方は間違いかどうか。大事なことだから、この際はっきりさしていただきたいと思います。
  95. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) ただいま官房長から申し上げましたことは若干不徹底な面もあるが、というお話でございますが、運輸省といたしましては、当初この審議会を作ります目的が、所期のとおりにそれこそ一応達成されたということでございまして、今後は審議会を続けなくても、行政上その審議会の答申も十分参考にしてやっていけるという解釈でございます。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、大事な点の御指摘がなかったのですが、結論的にはまだ不十分の面がある、不十分だと解釈していいのか。それとも十分だ、十分の成果を上げた、そこのところをひとつはっきりさせていただきたい。
  97. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) 審議会でお願いすることについては、十分だと思っております。今後は審議会の経過その他を十分参考にいたしまして、行政の運営をはかっていきたいと考えております。
  98. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、この答申の内容を拝見した人には理解しがたいのですが、繰り返し言っているように、まだまだ課題があると言っておる。もう余すところなくやった場合、初めて完全に十分にということが言えるわけですね。しかし、審議会の意見としてはあげがたい点が、幾つか羅列しておるのですよ、項目が、ごらんになったように。この点については、時間切れになったので、やはり個人の委員の名前をあげて、こういう意見もあった、こういう意見もあった、しかし、これは個人の意見であって自動車審議会の意見ではない、こういう意味から、参考資料として意見があげてある。こういう内容を見て、やはり十分ということは言えない。ごく言葉じりをとらえるということでなくて、私のお伺いしたい点は、不十分なら、もっと引き続いてほんとうに掘り下げた検討をすべきじゃないか、こういうことがねらいなんで、決してあなた方の答弁の言葉じりをとらえて難詰しているわけでは毛頭ない。ただ、審議会は、十分であればほんとうに打ち切っていいわけです。不十分なら引き続いて、いわゆる自動車行政の面を、この際、大事な問題だから、掘り下げてやる必要があると、こういうことを言っているわけです。ただ、交通基本問題調査会ができるからいいじゃないか——交通基本問題調査会は、自動車行政だけでなく、交通全般の行政についての審議を進めようとするわけですから、やはり自動車審議会は、自動車行政の専門の審議会ですから、事自動車行政に関する限りは、自動車審議会が一番成果を上げ得ると思うのです、専門にやるのですから。そこのところをはっきりさせていただかないと、どうも納得できないと思うのです。その点を明らかにしていただきたい。決して言葉じりをとらえて問題にしているわけでは毛頭ないわけです。
  99. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) まことに御親切な御忠告、感謝にたえないのでございますけれども、審議会の当初からの目的は、結論を得ましたので、その精神に従って今後行政を運営していくわけでございます。もちろんしさいに検討いたしますと、完璧ということはないと思いますが、今回は、これで審議会を打ち切りまして、今後はその御意見に従いまして、行政上さらにまた各方面の意見も徐々にお聞きいたしまして、そして完璧な運営をはかっていきたいと、こう考えております。
  100. 横川正市

    ○横川正市君 項目でもって、あまり長く聞きませんから、的確に答えていただきたいと思いますが、自動車審議会廃止に伴って、こういう問題がまだ未解決に残っていると思いますので、四つばかり聞きたいと思います。  一つは、交通事故が起こったときに、賠償金支払いその他で、何かこれは私設の示談屋のようなものが介入しておって、正規の機関で賠償交渉するよりか、示談屋に依頼したほうが非常に事件の処理がうまくいく、こういう問題が随所にあるわけであります。私は、かつての大名差し入れ業がやくざになって町に害毒を残したように、この示談屋というのは、当面ある程度の成績が上がっておったとしても好ましい問題処理機関ではないと思っているわけなんですが、この点についてどうですか。  それから第二点は、国鉄の構内と称せられる地域ないしは飛行場、ターミナル等の場所に、営業車が入れなくて、許可された車だけが入っておるという、こういう事態について、これは公的な公共性からいきますと、非常に不便でありますし、同時に、高い金で乗らなければならぬという、一般利用者にとっては不便もあるわけですから、この問題を一体どう考えておられますか。  それから、一般に乗合、ハイヤー、タクシー等の営業者というのに、私は営業上の近代化というものがはかられていなくて、たまたま地方に行きますと、小営業者であるために、中央からめ大資本に統合されるという運命を持っている場合があります。しかし、それは、私は現在の機構上の問題ですから、そこを取り上げるわけではありませんが、経営上の非近代化が、実は労働条件、それからその他に非常に悪影響を及ぼして、たまたま紛争が随所に起こり、利用者に不便を与えるという問題に発展している。これは単なる労働問題ではない。労働問題と切り離して考えられる問題であると思うのですが、そういった経営者に対する指導をどうされているか。  それから四つ目は、乗合、ハイヤー、タクシー等の会社の中に元警察官、元運輸省の役人というような人が入り込んでいるわけです。私は、職業選択の自由がありますから、今までの職業をやめて第二の職業につくことは、これは一向本人の希望でかまわないと思いますけれども、これには、そのとおりいかない裏の利用価値というものがずいぶん使われているわけです。そういうことに対しては、本人の自由意思でありますので、私のほうではかまいませんということで、放任されるのかどうか。取り扱いについてどうされようとされるのか。  この四つの点について、まず御質問いたしたいと思う。
  101. 増川遼三

    説明員(増川遼三君) 第一の、交通事故が起こった場合の跡始末について、示談屋というようなものが最近よくうわさを聞くようになったわけでございますが、これらにつきましては、運輸省といたしましては、警察当局と十分連絡をとりまして、また、当局自体におきましても、各全国の陸運局、あるいは事務所のほうから調査をいたしておりますが、中には、事業者団体、あるいは自家用組合というようなものがやっているものであって、性質も別に悪くない。単に指導的に、案内的にやっているというものもございますけれども、ちょいちょい新聞等にも見ますように、これを隠れた自分の仕事というような格好でやっている、いわゆるそういった事故を自分の飯の種にしているというようなものもなきにしもあらずのように聞いておりまして、この点につきましては、労働省、あるいは警察、相互連絡をとりつつ、今後の指導に万全を期して参りたいと考えております。  第二に、駅、空港等のターミナルヘの営業車の入構許可の問題でございますが、これにつきましては、かつてはそういうふうに、駅長さんを通じての国鉄の許可制というふうになっておりましたけれども、現在は、国鉄のほうに運輸省からも話をいたしまして、全事業車にこれを開放すべきである、こういうことで、現在東京におきましては、そういうふうにすでに行なわれております。  それから第三点の、ハイヤー、タクシーの事業が大資本への統合の傾向があるという点につきましては、運輸省といたしましては、従前より企業の近代化ということにつきましては、機会あるごとに指導いたしておるわけでございますが、戦前からの旧弊がなかなか改まりませんで、現在なおいろいろと労働関係、あるいは給与、厚生関係におきまして、努力の足らない点が多々あることを認めておりますので、これらにつきましては、今後とも厳重に指導監督を徹底して参りたい、こういうふうに考えております。  それから第四点の、ハイ・タク事業所へ警察あるいは運輸省の元公務員が入っておりますという点につきましては、別にこういうことによりまして、そういう事実がたとえありましても、それによっての行政上何らかの有利なことがあるのじゃないかというようなことは、ちょいちょいうかがわれていることもございますけれども、われわれのほうといたしましては、積極的にそういった問題につきましては関心を持っておるわけではございませんで、たとえ役人の古手が入っておりましても、これによって有利な扱いをする、そういった疑惑を持たれるようなことはないように、陸運事務所、あるいは局のほうへも十分綱紀粛正につきまして監督をいたしておる次第でございます。
  102. 横川正市

    ○横川正市君 まあ、ここで私が四つあげたのは、これは今もう常識みたいになって、大手を振っていることなんだから、私は今あなたが苦しい答弁をされておりますから、これ以上追及はしませんが、これをどうするかということは、少なくともこういう関連産業をされておる方の、いい人もいるわけですからね、一部の中に非常に聞くにたえないようなことを言う人もいるわけだから、そういったこともやはり行政上の指導ないしはその他でできない、行政上の指導でできない場合には法律事項にするか、十分検討してもらいたいと思うのです。だから、その点をこの機会に要望して、これは今の問題としては非常に私どもは日常茶飯事聞くことですから、これは十分ひとつこれからあなたのほうでやってもらわにゃいかぬと思うのです。そういうふうにお願いしておきます。  それから二点目は、自衛隊ないしは米軍と共有して民間航空機の発着をいたしております飛行場の優先性の問題ですね。米軍優先、自衛隊優先、その次に民間優先という順位でやられておるのか、それとも相手は命を投げ出してやっているのだから、乗せてもらった民間人が負傷しちゃたいへんだというので、生命その他の保障から、こういう共用飛行場の使用については、民間機優先と、こういうことでやられるように指導されているのか、この点どちらですか。
  103. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 共用飛行場の優先の問題は、特に米軍が優先、民間が優先ということはございません。ただ飛行機の種類によりまして、ジェット機が非常に燃料をよけい食いまして、これの燃料がないというような場合はございます。要するに、早目に到着したもの、先着順といいますか、そういうことで、軍だ民だという優先順位はございません。
  104. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、自衛隊のジェット機の飛行訓練をやっている時間表というのは、常にそういう共用飛行場の場合には、時間割をきめて、事前に、そしてその訓練時間と、それから民間機の発着と競合しないように、一緒にならないように事前に打ち合わせをして使用されておるのですか。
  105. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) 飛行場によって必ずしも一様ではございませんが、たとえば小牧の飛行場、これは自衛隊と民間が相当数共用しております。それから板付の飛行場は米軍と民間が共用しておる、こういう場合はあらかじめ御指摘がございましたように、協議会をもちまして大体のスケジュールを相談し合ってやっております。すべて飛行機は出発前にフライト・プランというものを出して、帰りの到着時間を通報しておりますので、管制しておりますほうではあらかじめわかっておるわけであります。
  106. 横川正市

    ○横川正市君 これはたまたま私どもが飛行機に乗ってぶつかる事例ということで私は話をするわけじゃない。少なくとも民間航空の人たちの中から何とかならぬものかという声を聞くから私は質問しておるわけであって、この点はひとつ防衛庁、米軍と民間航空共用飛行場の使用計画については、運輸省で責任を持ってやってもらわなければいけないと思うのです。  それからもう一つ、何回も私はここで質問をした経験があって、善処しましょうという答弁をもらっているわけですが、千歳の飛行場の通過地点ですね。ちょうど民間の使用地とそれから共用飛行場へ入る通過点に米軍に雇用されている管理人ですか、それと警察官と、何か二人か三人一つの場所に立って、そして通関するときに一々自動車についてはパスを渡す。それから個人については、私は一番問題なのは、自動車はまだがまんできると思うのです。個人のあすこの通過のときには非常な厳重な何か取り調べをするようです。ことに飛行場に送りに行って、帰りに、ぼつぼつ個人で帰ってきたりするといろいろな尋問をされて、そして非常に不愉快な思いをさせられるということを聞いているわけです。あれは私は、民間航空とそれから軍の、米軍あるいは自衛隊の通路を、何といいますか、道路を変更したらどうかということを何回も要請したのです。ところが、それはそのまままだ放任されておるわけですよ。なぜあれをする必要があるのか、私には全然わかりません。たとえば自動車が行ったらパスを渡す、行った帰りにパスを置いてくる、これは何か理由があるのですか。それから送りに行った者が道路を通って出てくる。それに何の用事だ、どうだと言って尋問しなければならない理由というのは何かあるのか。これは私どもにはちょっと理解ができないことが今現存しておるわけです。ことに自動車優先、個人の場合には非常に変な目で見て取り調べを受けるというような差別をあすこの関門で行なっているということについては、どうも腹に据えかねる問題だと、こういうことでもう何年かやっているわけですよ。だから、あすこを、軍の地域というのは道路をあれしていてわかるわけですからね、軍のところへ行くのには通用門別に作ればいいのですよ。そして民間航空に行くところの道路というのは、一本別にはっきりしておけばいいわけですよ。そのくらいのことはあすこは広いですから何ぼでもできるわけですね。それをやらないでおいてあすこに掘立小屋みたいなものを建てて、一々夜も夜中も人が出てきてただパスだけ渡している、そういうことを今もってやらなければならぬ理由があるのかどうか、私にはそれがわからぬのです。その点を言ったら、善処しましょう、善処しましょうで、答弁を前二回もらっているわけですが、今もってこれはそのままになっているわけですから、これは秘密がどうだとか、軍の品物を持ち出すとか、そんなあれは全然ないのですよ。その点を私は日常のあすこは生活の延長のところですから、変な疑いをかけられるような関門があるということについては、不愉快ですから、この点ひとつどうされるか、この機会にお聞きしておきたいと思います。
  107. 大沢信一

    説明員(大沢信一君) ただいま御指摘になりましたような御迷惑をかけるような地域というのを私はまだ経験したことがないのでよくわかりませんが、今まで御質問があったとすれば、そういうことは事実あるのだろうと思います。現に千歳の町から入りますゲートにもともと米軍が立っておりまして、その後大部分が自衛隊にかわりまして、自衛隊の衛兵といいますか、それがおりますことは私も存じております。ただ今後の措置といたしましては、あそこにもう一本新しい滑走路ができまして、その向かい側、結局今ございますターミナルの正反対の側に民航のターミナルができます。いわゆる民航地域ができますので、それが完成いたしますと、全然向かい側から出入りができますので、ただいまお話のような不愉快なことはなくなるのだろうと思います。
  108. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 初めに、今度館山に海員学校をお建てになるわけですが、この海員学校というのが今度十になる。それで気象大学校というのができるのですね。海上保安大学校、海上保安学校、航海訓練所、これは運輸省の海運関係については実に大学校あるいは学校というものが多いわけですね。それで、今の海員学校で、この海員学校は試験受けて入りますというと、職員として取り扱って給与を支払っている、そして教育するわけでしょう。気象大学校もそうだと思うのですがね。これは海員学校の例では、先ほどその九〇%は民間会社に行かれるんだという。学校教育でない、文部省所管の学校でない学校というのは運輸省の関係にたくさんあるわけですね。この海員学校だけの例をとってみましても、おそらく文部省所管の学校よりもこっちのほうが多いんじゃないかと思うのですね。こういう点が私ども海運関係では問題にしてやっぱり論議しなきゃならぬのじゃなかろうかという気がしておるわけです。学校教育を受けない者が学校教育を受けたと同じような経歴を持って海運界にどんどん進出をするという考え方ですね。これはどうも私セクトというものがどういうものですか知りませんけれども、問題があるというふうに思いますし、大学校といえばいいのですが、大学というのはこれは文部省所管であって、校がつけばこれは運輸省所管だと、こういうことですね。続々大学校ができるようですね。技術大学校、気象大学校もできますし、農林省も今までは水産講習所といっておったのですが、これを水産大学校……どうも妙なやり方だと思うのですね。いずれにしましても、海員学校というのは試験受けて、入ったら公務員として扱うわけですか、給与を支給してやるわけですか。
  109. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 海員学校は先ほど申し上げましたような資格の者から試験をやりまして、採用しますが、これは生徒でございまして、別に公務員ではございませんし、したがって、給料等はもちろん出しておらないのであります。
  110. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうならば、特に運輸省が文部省と別に自分のところの職員を訓練しあるいは教育する、あるいは再訓練するという必要上学校みたいな、あるいは訓練所みたいなものを設けられるということはうなずけますけれども、そうでない純然たる学校を文部省所管外に運輸省がこういうふうにたくさん持っておられるというのはどうも解せないですね。これはいずれあとのほうでまたお伺いいたしますけれども、その意について答弁がありましたらひとつお答えいただきたい。
  111. 廣瀬眞一

    政府委員(廣瀬眞一君) 海員学校は、先ほどもちょっと申し上げましたが、普通の学校と違いまして、文部省が所管しておりますのは一般の教育をやっておるわけでございます。これは職業補導教育でございますので、したがいまして、文部省の所管でなくて、また、学校とはやや性格が違いまして、補導教育機関というふうに考えております。
  112. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 気象庁の問題につきまして、今回、運輸省の設置法の一部改正で、気象庁研修所の名称が、今までは気象庁研修所と言ったものを大学校にする。それから気象庁の定員を六十八名新規増、それから二百六十九名定員化する、こういう内容になっております。そこで、この気象庁研修所の気象大学校というものについて伺いたいわけですが、気象庁研修所は、今度大学校になって、そして職員に対して、気象業務に従事するために必要な教育及び訓練を行なう。本科が三十名、普通科六十名、専攻科八十名と、こうなっております。で、本科は中堅幹部職員を養成するのだ。高校卒から採用して二年間教育をする。高校卒で試験を受けて入ると公務員となる。で、行政職俸給表の八等級の二に格づけをして、そうして二年間教育をする、こういうことであります。そこで、これは二年間教育するわけですから短大と同じような形になるわけですが、三十五年度二十七名採用したところが、入ったのは八名、十九名は来なかったわけですね。応答なし。三十四年度は二十四名採用したけれども十四名入学した、こういうわけですね。こうしますと、一年生は三十名の予定のところ八名しかいない。二年生が三十名のところが十四名しかいない、こういうことになるわけですか、その点お伺いいたします。
  113. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ここで三十名と申しますのは、一年生が十五名、二年生が十五名の意味でございまして、なおこの大学校に当たるもの、ただいまの気象庁研修所の受験者は三十倍以上でございまして、非常に成績のいいものが殺到して参る。それが国立大学の試験の前でございますので、そういうものが優秀なる国立大学にたいてい受験して、また入ったというような事情から、そういうふうなことから、われわれのやり方にも大いに反省すべきところがあるんですけれども、ついに十五名採ろうとしたのが採れなくて、十四名になったり、はなはだしいときは八名になったことがございます。今後こういうことのないように極力努力いたしたいと思っておる次第であります。
  114. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 一年が十五名で、八名になったり、ひどいときは一名になったり、二年生が十五名、それで大学校だと、こういうわけですね。そこで、確かにおっしゃいましたように志望者は非常に多いようですね。たいへんな激しい競争のようですが、たいへんだくさんの人が受験をして、優秀な人が受験をするのだけれども、実際は気象研修所の試験が国立大学の試験に非常に類似し、それに匹敵をし、あるいはそれを上回る試験だというわけで、腕だめしに受験をするということのようですね。したがって、六十倍、五十倍という人が受ける。しかし、受かってみるけれども、人は来ないというわけですね。それでこのことは、これは気象庁の仕事というのが非常にじみな仕事でありますし、台風が起きたとき、あるいは災害が起きたというようなときにはなはだしくクローズ・アップされますけれども、非常にじみな仕事である。それに比べて勤務条件というものがよくない。待遇もよくない。逆に言いますれば、じみな仕事で非常にきびしい勤務条件の割にしては経済的に恵まれない。そこで来る人がいないということになるのじゃないでしょうか。今度上級職公務員試験を通った者が今回気象庁に入るのはわずかに一名だと聞いております。たった一名、この上級職の公務員試験を通った者が気象庁に入る。これはおそらく気象庁としても非常に残念しごくのことだと思うのですがね。こういうことが私はどうしても何とか考えなければいよいよ困ったことになってくるのじゃなかろうかというふうに思うわけです。したがって、そういう点についてどういうように考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  115. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 最近理工系大学の卒業生で人事院試験を通って気象庁へ参った者の中で、採用しようといたしましたところ、ついに一名になりました。そのために特別に人事院にお願いいたしまして特別の採用法をいたしまして、そのあと七、八名補充いたした次第でございます。このような状況にかんがみましても、気象事業のように年々ある数の技術者の補充をして参らなければならないところは、そのときの世の好景気その他のことにわずらわされずに一定の職員を採用したいために、以前気象技術官養成所というのがありまして、専門学校によって気象庁の将来中堅もしくは上級にまで進み得る者までも養成して参りました。今日気象庁をささえておるのはほとんどそれであると申してよい状態でございます。それが戦後になりまして、いろいろな事情から昭和二十六年に気象庁の研修所というふうになりまして、そこで職員の再教育をするというふうに改められた。そうしてそれが初めは一年以上長い研修がなかったのでありますけれども、前に申しましたような趣旨を取り入れまして、高等部を増設して、二年のものが行なえるようになったというようにいたして今日まで参った次第でございます。そこで、先ほど来のお話のように、近年では公務員というものに対して学校卒業者があまりに希望しない状態になって参りました。何とかして優秀な若い技術者を気象庁で確保したいというために、人数はただいまのところは本科生一カ年十五名はわずかでありますけれども、研修所というのではやはり若い人たちに対して響きも十分でないし、また、学問をする上からも気象大学校という名前は、ほかのこういう機関、必ずしもほかの大学校も人数において多いものばかりときまっておりませんので、従来の研修所の高等部というものをもって気象大学校の本科とし、従来の研修所において行なわれましたように専門の教育をそれぞれ普通科、専門科というようにして、そうしてこれら合わせますと百名くらいの従来の研修員を教育しておりまして、それを合わせて気象大学校にいたし、本科生は短期大学と同様の二カ年をもって気象事業に必要な教育をし、他の専門的教育は場合によっては大学、それ以上高い技術の教育もし、そうして気象業務の技術水準をますます高めたいと思っている次第であります。
  116. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 研修所を大学校にしたほうが響きがいいという、そういうことは確かにあると思いますけれども、しかし、問題はやはり気象庁というところに勤務する勤務条件というのが非常にきびしいわけですし、また、非常にじみな仕事ですから、そういう中でやはり恵まれない経済条件では、やはり昔みたいに何か天職みたいに心得てというわけにはいかないようなふうになっておるわけですからして、私は気象庁全体にわたっての勤務条件なり経済的な諸問題というものを解決する、そういう努力がなければ、単に研修所を大学校に改めたということで希望がつながれるような事態でないではなかろうかというわけですがね。そこで本科につきましては一応内容伺いましたが、あとこの普通科、専攻科が、これは気象庁の今の勤務条件が非常にきびしいわけですし、なかなか休暇等も取りにくいような条件にありまして、なかなか普通科なり専攻科なり入るのも気がひけるというような実情じゃなかろうかと思うのです。せっかく入りたいと思うけれども、自分が受けるというと補充がつかないし、その仕事を人がかわっていかなければならないというようなことで、実際普通科なり専攻科の運営もなかなか当局のほうでお考えになっておられるように動いていないのじゃないかというように推定をいたしておりますが、普通科、専攻科の状況ですね、伺っておきたいと思います。
  117. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先生の御指摘のように、気象庁は現業であるということと、日本じゅうの非常に僻地にまでも多くの官署を持っておるということで、いろいろ待遇の上からも今後改善されねばならぬということが多いと思います。その面に関しては十分努力いたしたいと存じております。なお、そのような従来の研修所で申しますが、研修所におきまして、遠いところで採用された若い人も、勉強して高い技術を与えたいというのが普通科でありますし、また、日進月歩の科学におくれないようにするために特殊の科目及び技術を教えるのが専攻科であります。できるだけ全国から現在働いておる人たちを集めて教育いたしたいと思い、先ほども申しましたように、まあそれぞれに数カ月あるいは一カ月というように、ものによって時期を区切りそれぞれ繁忙なところでありますけれども、お互いに助け合って業務に支障を来たさないような範囲で、従来まあ延べ人員百人には満ちませんが、そういうような人を教育いたしておる次第であります。
  118. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ここにありますように、本科が三十名とありますが、まあ実際はその数は少ない。普通科、専攻科合わせますと百四十名程度なければならぬわけですけれども、これが百名足らずしかいないという、非常に苦しい状況だと思いますね、大学校としては。これはやはり気象庁全体の勤務条件なりあるいは経済条件が悪いということに根本があるのじゃないかと思うのですけれども、そういうのに対して私はもっと考慮を払う必要があるのじゃないかというふうに感ずるのですが、社会的に非常に重要な仕事ですし、航空機の問題にいたしましても、日常の生活にいたしましても、あるいは海運業にとりましても、全般の、私どもの社会生活に非常にまあ貴重な仕事なんですが、何せ仕事が非常にじみで、人里離れたところにたくさんおらなければならぬ実情ですから、何かそういう面に特殊な考慮を払わなければならぬのじゃないかというふうに思いますけれども、さりとて私はどうしたらいいかということを具体的にここで申し上げられないわけですが、さらに中に入りまして、もう少しこれはお尋ねして、改善すべきものはひとつ改善していただきたいというふうに思うわけです。  気象庁に大体五千六百名ぐらいの人が勤めておられるわけですが、それで今回六十八名の新規増を行なわれたわけです。この六十八名の新規増というのは一体気象庁としては何名ほど要るということで御要求なさって六十八名になったのか、それを伺いたいのですが。
  119. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ちょっと正確な数字ただいま記憶しておりませんけれども、これよりも三、四倍だと私は記憶しております。もちろんそれは予算としまして計上されなかった分もありますので、そういう関係もございますけれども、今度認められたものが七十一人、それから定員外の職員の定員化に伴って二百六十九人ふえましたが、合計として。それに特殊の業務で三人ばかり減少したものがございますので、まあ結局としまして三百四十人の増になりました。まあ近来になりまして、特に気象業務はサービス的の業務が多くなりまして、なかなか定員というものを普通に勘定いたしたものと仕事の間に非常にバランスが取りにくく、私どもはできるだけ能率的に仕事をいたしますけれども定員というものがもう少しあれば、サービスも十分できるというふうに考えておるわけであります。
  120. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 定員はまあせっかく要求されたわけですけれども、わずかの数になっておりますし、サービスが非常に強要されるのじゃないかと思うのです。そういう面もありますし、たいへんにサービスが強要されると思うし、それだけにまた、労働条件は悪くなっていくわけですけれども、全国的に見まして五つの管区があって、五カ所の管区気象台、それから各府県に県区気象台、地方区気象台四十五、それから特区に百二測候所、それから特区、通報所というやつですね、この地区並びに特区ですね、これが非常にこまかく離れて、人里離れたところに存在しておるわけですが、特に特区という、この通報所というようなことになりますとひどいようです。で、これは特に漁港関係等の関係もありましょうけれども、従来は相当の人数がおったのだけれども、逐次県の段階に集中するような傾向もあって、いよいよ特区の人員が少なくなって四名か五名、場合によりますと二名、三名というようなところがあるわけですね。それが夜間の二十一時の通報あるいは午前三時の通報というようなものを要求される。これはしないわけにはいかないというようなことで、宿直体制というようなものをとっておられるようですね。これはおそらくそのほかの地区の場合の測候所においてもあるいは県の段階の気象台においてもそういうような措置をとっておられると思いますが、こういうような二人か三人しかいないところで宿直体制をとる。そうして二十一時と朝の三時の気象の通報も、予報もしなければならないということになりますと、これは何とか考えていかないと、三日おきぐらい二日おきぐらいに宿直しなければなりませんですからね。そういう意味の宿直料というものは正確に出ているものなのかどうか。それから、こういうような事務をさせるということになりますと、これは宿直でなくて夜勤手当を出さなければならぬのじゃないだろうかというふうに思うわけです。ですから、そこら辺の勤務条件はどういうふうになっているのか伺いたいと思います。
  121. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 御指摘のように、気象庁には非常に小人数の官署がございます。五人、六人というような官署も相当ございます。そういう官署におきましても、世間ではいつでもサービスを受けられるというようなふうにも思われがちであります。それに対しまして宿直者を置きまして、そういうサービスをするということも非常に困難であります。また、ただいま御指摘のように、夜の観測というような問題もございます。それらを合わせまして、結局私どもとしては、できるだけ能率的に時間表を作りまして、決して労働強化にならないように、それを原則にして、そうして場合によっては、世間のサービスもよく世間に理解していただいて、それだけの人数でできることでやっていきたいと思っておる次第でございます。  なお、現在におきましては、気象の仕事は正確な情報というものは府県の単位で、府県の代表気象台が担当し、その情報を受けて、そうして各地においてそれをサービスするという方法のために、この末端のほうの人数が少ないようなふうになりまして、この点は、今後もサービスという点をよく見まして、しかも一方におきまして労働条件というものを厳守いたしまして、最も能率的なる、合理的な道を求めてそしてやっていきたいと目下のところ考えております。
  122. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 非常に四、五人とか、二人、三人というようなところが百幾つもあるわけですが、そういうところの勤務条件というのは、何か宿日直態勢というような形に入りますと、これはもうどうにも仕事から解放されないわけですね。これは土曜日、日曜日もやらざるを得ないでしょうし、仕事から解放されない。それでこういうような一人おるとか三人おるとかいうような官署が法務局にもたくさんあるわけですね。この間、法務省の設置法がかかりまして、法務省の設置法の中ではそれらについてのいろいろな手当が前進しております。何か仕事から解放されるような手当が出ておるわけですね。私気象庁の場合において、こういう百幾つあります非常に小さな人数の官署の人たちが、そういう仕事から解放されるような機会というものがあるようにできているのかどうかわかりませんですけれども、私どもが承知しておる限りにおいては、どうもそういう処置はとられていない。やはり気象関係者は天職としてやるくらいな精神面がやはり強くて、宿直態勢で何か臨んでおられるように思うのです。そういうことでは全体として見まして、先ほど来問題にしておる人が来ないということにもなってきますし、来ても離れていってしまうというようなことにもなってくるわけですし、ここら辺の態勢を根本的にお考えになる必要があるのではなかろうかと、こう思っております。  さらにそれに関連いたしまして、航空気象台といいますか、航空測候所といいますか、こういうところも非常に人数が少なくて、しかし、航空機の発達はたいへんなものがある、そういうためにここも非常に苦労しておるようですね。夜間の観測はやらないということになっているけれども、しかし、運輸省の航空局の関係はやはり十九時から朝の八時の勤務態勢をとっておる。したがって、それとあわせてやはり宿直態勢というものをとって仕事をしなきゃならぬ、こういう実情にあるようであります。そういう点についての経済的な配慮というものが手厚く行なわれないというと、根本からくずれ去る、精神面でもっておるというような気もしますけれども、非常に遺憾の状態のように思いますけれども、そこら辺についてどういうふうに考えておられるか伺いたいと思います。
  123. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほども申し上げましたが、少ない人の官署は少ない人でできる仕事をすべきであります。また、そういうふうになっておるのであります。ただサービスということに限界がありませんので、私どもは世間でもよく理解していただきまして、できないサービスはできないというところでできるだけいたしたい。しかし、一方において定員の問題で、このサービスができないということでなく、これができるようにしていきたいと思う次第でございます。  なお、根本的には気象庁のそういうような特殊条件、つまり先ほども申しましたが、現業であり、サービスをする者であり、しかもそれは僻地にもたくさんあるというような特殊条件が、一般の公務員と同じ規則によっていろいろなことがきめられるということに対して、気象業務の特殊性が認められるということが大事でありまして、この点、私どもも従来努力して参りましたが、今後も気象業務の特殊性ということが認められ、それらの職員がそれに見合うところの待遇を受け、そうして過重労働をしないで、しかも過重の責任を受けないで仕事ができるようにいたしたい、今後も努力を続けたいと思っております。
  124. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 お考えはよくわかりますし、そういうお考えでぜひひとつ御努力をいただきたいように思いますけれども、実際問題として、やはり百幾つあるところの特区、通報所、こういうところにおきましては、サービスには限度があるというふうにおっしゃいましても、やはり態勢としては、その宿日直態勢というものをとってサービスをしなければならないという実情にあるようです。ですから、そういうことをやっておるそういう者に対する超過勤務手当なりあるいは宿日直手当なり深夜手当なりというものを、妥当なものを何とかしなければならないと同時に、先ほど来繰り返しておりますように、定員をふやしていくということになると思うのでありますが、しかし、ふやしていくには先ほど申し上げましたような規定がない、来る人がないというような実情ですから、どうしても根本的に、おっしゃるように特殊性という立場から、給与の問題についても特にこれは考えていかなければならないんじゃなかろうか。午前中に特許庁の問題が審議されましたけれども、その場合におきましても、特殊性が非常に言われたわけですが、気象庁の場合においても一そうそういうことがいわれるのではなかろうかと思いますが、したがって、気象庁の全体の問題としてこの特殊性、現場性というようなものをお考えいただいて、勤務条件あるいは経済条件等について一そうの御努力を御要望いたしたいと思っております。気象庁の関係はこれで終わりたいと思います。
  125. 河野謙三

    委員長河野謙三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  126. 河野謙三

    委員長河野謙三君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十八分散会      —————・—————