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1962-04-05 第40回国会 参議院 逓信委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月五日(木曜日)    午後二時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            松平 勇雄君            寺尾  豊君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            新谷寅三郎君            鈴木 恭一君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 迫水 久常君   政府委員    郵政政務次官  大高  康君    郵政大臣官房長 金澤 平藏君    郵政省電波監理    局長      西崎 太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       倉澤 岩雄君   —————————————   本日の会議に付した案件連合審査会開会に関する件 ○電波法の一部を改正する法律案(第  三十九回国会内閣提出)(継続案件)   —————————————
  2. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) ただいまより開会いたします。  連合審査会開会要求に関する件についてお諮りいたします。  船舶職員法の一部を改正する法律案について、運輸委員会との連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、運輸委員会との連合審査会開会日時については、これを委員長に御一任願うことにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  5. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 次に、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。
  6. 野上元

    野上元君 私が質問した前回の問題について、いまだ的確なる御答弁がないので、私としてはこれ以上質問をしても、私が了解できるような内容をお聞きできないと思いまして、今日まで質問を保留しておりましたが、その点について、あなたのほうで何か特別な資料でもあれば、お出し願いたいと思うのですが、特別な資料がありますか。電波のいわゆる無線機器の問題について。
  7. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 御満足いただけるかどうかわかりませんが、先般森中委員の御要求によりまして、その資料を提出してあるわけでございますが、これ以外には現在のところはございません。
  8. 野上元

    野上元君 それでは、あらためて質問しますが、この電波法の一部を改正する法律案の中には、その理由として電波法施行後における無線機器発達状況、これが第一。第二としては、わが国及び諸外国海運界の実情をも考慮した結果。第三点としては、運用義務時間を軽減しようとするものであると、この三つの理由によってこの法案が出されておるわけであります。私は第一回目の質問のときに、郵政当局確信をもってこの法案を提出するに至ったのかという質問に対して、あなたのほうでは、確信を持った、したがって、今回法案提出に踏み切ったのだという答弁をされて、私は第一の問題の無線機発達状況についてあなた方に質問いたしましたところ、昭和二十八年から九年にかけて行なわれた検査以外には実地検査はやっておらない、こういうことで、私の質問は一応打ち切られておったわけですが、その後、私の質問に対して、あなたのほうが確信を持てるような資料というものは、今日の段階においてもないのですか。
  9. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 問題は日本製オート・アラーム、それから外国製のそれとの機能比較、すなわち言いかえますると、日本オート・アラームが、はたして国際水準まで来ておるかどうかということの判断の問題だと思うのですが、この点につきましては、先ごろ差し上げました資料に詳細書いたつもりでございますが、この前もたしか引用されたのでありますが、アメリカのRCAの最近の製品、それから日本の代表的な製品、これの比較をやったわけであります。その結果から見ますると、むしろ日本製品のほうが性能がいいのじゃないか、まあこれだけをもって全体を実地比較したということは言えませんけれども、その意味からいいましても、かねてのわれわれのほうの確信が裏づけられていると、こういうふうに見ておるわけであります。
  10. 野上元

    野上元君 あなたのほうで二十八年、九年に実験をしたことは、郵政省みずからがこのオート・アラーム使用についての問題で確信を得ようとしておそらく実施されたと思うのですね。その点はどういうふうにお考えになっておるのですか。また、どういう目的でやられたのですか。
  11. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) オート・アラームの問題につきましては、かねてから当委員会におきましてもいろいろ議論になりまして、たしか私の記憶するところでは、当委員会の要請もありまして、一体国産オート・アラーム性能がどの程度までいっているかということをチェックするために行なった、こういうふうに理解いたしております。
  12. 野上元

    野上元君 当然その実験の結果は、きわめてあなたのほうには重要な問題だと思うのですが、その報告書を、私も、先般も申し上げましたようにいろいろと読んでみました結果、とにかく一回や二回の実験だけでは判断のしようがない。したがって、こういう実験は再三行なって確信を持つ必要がある。このこういう報告書があるにもかかわらず、どうしてその後やらなかったのか、その点をはっきりしてもらいたいと思うのです。
  13. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 二十八年の実験によりまして、国産機器問題点がわかりましたので、その後、その線に沿っていろいろメーカー自体において改良が行なわれまして、具体的に申し上げますと、オート・アラームAGCの問題、これも非常に改善されてきた。それから製品信頼性が向上してきた。それから選出改良された。それから選出時間の非動作許容値というものがよくなってきた。それから均一な製品ができるようになった。こういったようなことがわれわれのほうでわかりましたので、十分使いものになると、しかも国産外国製品に比べましても見劣りしないという判断のもとに提出いたしました。
  14. 野上元

    野上元君 第一回の実地試験をやった以後、機器は著しく改良された、こういうことがいわれるわけですが、その後の改良というのは、主としてAGCを備えつけることができるというようなことをいわれているのですが、現実に船に乗っている人たちに聞きますと、AGC常時調整する通信士が絶対に必要であるというような報告を受けているのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  15. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 確かに二十八年の実地試験のときにはAGCというものがきわめて不完全でありまして、手動によってある程度調整しないと十分な機能を発揮できないという向きもあったわけでありますが、その後、この方面の改良が進んで参りまして、現在はもう外からの調整は必要ないと申しますか、外からはもう調整できないような格好になっているわけであります。十分本来の機能を発掘している、こういうふうに考えております。それで、実はこういった点につきましても、外国製品と比べて十分にその域に、もしくはそれ以上に達している、こういうふうに見ております。
  16. 野上元

    野上元君 AGC機能については、おおむねあなたは今満足される状態にあるのだ、こういうふうに言われましたが、実際にそうであるかどうかは、これは現実に使ってみて、日常接している人たちに聞けば一番よくわかるわけですが、AGC機能というのはどういうことをやるのかということですが、たとえば電波の、何といいますか、ある海域を航海しているときに、空電状況、あるいは混信の状況というものは刻々と変わるものだと思うけれども、その刻々として変わる状況に自動的にこのAGCというのは動いて、みずから調節を行なうということができるのかどうか、たとえば空電には強弱があると思うのですが、強く電波が発せられている、こういうときにはそれに合うようにAGCは動くのか、あるいは弱くなってきたときは自然にAGCは弱くなってくるのか、調整できるのか、こういうことなんですが、それは実際にできるのですね、人の手を借りずに。
  17. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) そういう仕組みになっておるわけであります。今、先生がおっしゃいましたように、空電の強度というものが、時刻あるいは場所によって違いますので、その変化によりまして動作基点というものが変わらないようにする、保つというのがこのAGC目的でありまして、もちろんこれが理想的な状態にまでいっているかということになりますると、これはやはりそういう技術は、時とともにさらに一そう進歩して参るわけで、結局、程度の問題だと思いますが、少なくとも外国製品並みにはいっておる。こういうことを申し上げておるのでございます。
  18. 野上元

    野上元君 あなたのほうは、もっぱら外国並みということを言われておるのですが、外国のほうを例にとる場合には、もう少しすぐれたものが出て、現実AGCによって完全に動くというような状況であるならば、外国製品と比べてもあれでしょうが、あまり従来と変わってないということだけで外国並みだと言われても、その点は、あまりこれを改正する大きな理由にならないと思うのですが、その点は確信をもってAGC改良というものが実現できておると明らかに言うことができますか。
  19. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 外国製品の進歩の状況がどうかということにもなるわけでありますが、もちろん外国製品も、われわれの期待どおりであるかどうかは別としまして、とにかく昔から見ますと、だんだんと進歩してきておるわけでありまして、日本は実はおくれてこの面に参加した関係で、二十八年当時は、実はまだ船に装備した実績というものがきわめて少なかったのであります。しかし、その後におきましてメーカーのほうも奮起いたしまして、外国製品並みのものがだんだんとできるようになった関係で、輸出船にも現在百数十隻つくようになりましたし、また、国内外航船につきましても、六、七十ぱいも実績を持つようになっております。
  20. 野上元

    野上元君 私はオート・アラーム改良程度が、あなた方が頭で考えられておるほど進んでおるならば、そう問題は起きないと思うのです。しかし、私が今日手元にあるいろいろな資料を見ますと、ほとんどオート・アラームにたよることはできないという実例があまりにも多過ぎる。だから、私はこの問題について、あなた方になかなか了解を与えるわけにいかないのです。あなたのほうでは、盛んに外国船にもつけておるし、そこから文句が出ないからおそらくうまくいっておるのだろうと、こういう推測なんですが、現実の話を聞いてみると、通信士が乗ってオペレートしておる場合には、AGCというのにはほとんどたよっておらない。かえってじゃまになってしようがないというのが実際にやっておる人たちの言い分なんです。それを私はたくさんの人から聞いておるのですが、むげにそれが事実でないというふうに立証できないわけです。あなたのほうでも改良されたとかなんとかいうことを言っておられるけれども、実際には一回しか実験されておらないので、その後改良されておるかどうかということが、どうしても確信をもって私には了解できない。で、何回も同じことになるわけですけれども、   〔理事松平勇雄君退席、理事寺尾豊君着席〕 これだけの法案政府提案としてみずから踏み切った以上は、当然そういう実験をやって、郵政省みずから確信を持つべきではなかったか、こう考えるのですが、この点はどうなんですか。
  21. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) もちろん私は、先ほど来、オート・アラームが完全に人間並みのことをやれると言っておるわけじゃありません。どうしてもこういった機械のことですから、ある程度動作とか不動作とかいうことが起こるのはやむを得ないわけです。しかし、これは何も日本オート・アラームだけでなくして、外国製品についても当然——われわれ多少オーバーかもしれませんが、外国製品よりも性能がだいぶよくなっているのではないかということすら思っておるわけでありますから、そういうことからいえば、外国製品においても同じようなトラブルというものが当然起こっておる、こういうふうに考えておるわけであります。
  22. 野上元

    野上元君 その点については、私は現実に船に乗った人の報告書をたくさん持っておるわけなんです。それは、きわめて良心的な報告書が多いのです。いずれもAAというものにまかせることができるならば、われわれの主張は取り下げてもよろしいというような意見を付して書かれておる資料というものがたくさんあるのです。ことごとく、今日の状態においてAAにたよることができないということを、口をそろえて報告されておるわけです。で、そういう人たち意見をなぜ聞かないのか、私は不思議でしようがないのです。さらにまた、あなたのほうが出されておる「電波時報」の三十六年二月号にございますが、これには無線機器検定について、あなたのほうの工務課の人がメモといいますか、ノートというものを発表されているのですが、それを簡単に読んでみますと、この機器検定にあたって、「検査する立場になって、感じたことを書き並べてみたが、製造会社役所の間を検査のたびに往復しているだけでは不十分だと考えている。いろいろの機器についての考え意見を最も多くもっているのは、実際に各種の機器を使用している方々だと思う。そのような方々の御意見を伺って今後ともよりよい機器を作っていきたいと考えている」こういうふうにあなた方のほうの人が書いておるわけなんですが、実際に機器検定にあたって、使用しておる人の意見は聞かないのですか。ただ業者との間を往復しておるだけなんですか。
  23. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 検定をする場合には、その前に技術基準というものを設定する必要がある、それで、技術基準設定する場合には、これは電波法の規定によりまして、実際に運用しておられる方、その他利害関係者意見を十分聞きまして、いわゆる聴聞という制度がごさいますので、それを活用してその試験のためのものさしといわれる技術基準というものをきめる、こういうことになっておりまして、その基準に合致しているかとうかという点につきましては、これは電波研究所のほうで純粋に客観的な試験をやりまして、その基準に合致しておれば合格、合致してなければ不合格、こういう処分をいたしておるわけでありまして、そういう意味基準設定という場合に、運用関係の方の意見も十分に徴しておるわけであります。
  24. 野上元

    野上元君 現実オート・アラームが、何種類か認定を受けておるわけですが、それを許可する場合に、やはりそれを使っておる人たち意見は聞いておるのですか。
  25. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) オート・アラームにつきましても、無線機器検定規則という中に、技術基準を規定しておるわけでありまして、この基準をきめる際に、その運用その他の利害関係者意見を十分お聞きして現行のものができておるわけでございます。
  26. 野上元

    野上元君 そうしますと、オート・アラームの認可をする場合には、当然船に乗って、現実にこれを使用しておる人たち意見を聞いておるということは事実ですか。
  27. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) ちょっと誤解がありますとなんですから申し上げさせていただきたいのですが、個々オート・アラーム機器についてそういった技術基準というものを設置するわけじゃありません。オート・アラームというものについては、どういう技術基準で満足しなければならないかということを無線機器検定規則で規定いたしておるわけであります。すなわち個々オート・アラーム検定をやる場合には、そういう意味運用者、その他利害関係者意見は徴しております。ちょうどこれは無線局検査であるとか、そういうものと同じような考え方になっておるわけであります。全体を通じる基準というもの、ものさしというものを作りますと、あとはそのものさしに合っているかどうかということを機械的に決定するだけであります。
  28. 野上元

    野上元君 そうしますと、オート・アラームの場合に例をとってみますと、これを認定する場合には、これはまだ使用しておらないものでも、当然型式にあるいは基準に合っておれば認可する、こういう建前をとっておるわけですか。
  29. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 現在はそういうふうになっております。
  30. 野上元

    野上元君 そうすると、現実にはあなたのほうで認定したオート・アラームが、海の上では使えないこともあるわけですね。
  31. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 先ほど申し上げました基準設定の場合に、十分そういった点も考慮してありますので、そういうことは万々あり得ないと思いますが、ただ個々オート・アラームについて、役所検定しておるわけではありませんで、一つの型式というものについて検定をし、承認をしておるわけでありますから、たくさんある中にはそういったものがないということは断言できないわけであります。しかし、もちろんそのほか無線局検査というものがあるわけでありまして、これは船の無線局についても定期検査というものが行なわれておるわけであります。そういったときに、簡単なテストオート・アラームについても行なっておるわけであります。
  32. 野上元

    野上元君 オート・アラームテストというものはどういうふうにやっておられるのか。
  33. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 御承知のように船にはいわゆる警急自動受信機——オート・アラーム、それから作動させるための警急自動信号発生機といいますか、いわゆるオート・キーヤーというものがついておりますので、その両方を使うことによりまして、ある程度機能テストができるわけであります。その程度検査をやっておるわけでございます。
  34. 野上元

    野上元君 それはどういう場合にやるのですか。
  35. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これは新設検査、船の無線局に対する新設検査、それから定期検査の際に行なっております。
  36. 野上元

    野上元君 それは新しい機器ができたときにはやっておられるのですか、あるいは定期的に何か資料を集めるためにやっておられるのですか。
  37. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これは実は船の無線局全般についての検査の一環という立場でやっているわけであります。
  38. 野上元

    野上元君 今、日本船舶がつけているオート・アラームはどういうものですか。種類幾つぐらい認可して、現実幾つぐらいの種類のものがついているのですか。
  39. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 現在検定合格した型式のものは、全部で八種類あります。しかし、そのうち二十七年−二十八年ころに型式承認を与えたものは、現在は使っておりません。現在は三十三年以降に型式承認を取りました六種類のものが使われております。それで、現在国内外航船でこれを装備しておりますものが、ちょっとこれは資料が古いのでございますが、昨年の九月二十六日現在で六十二局ということになっております、全体合わせて。
  40. 野上元

    野上元君 その中の機器でどれが一番すぐれて、どれが一番故障が多いのですか。
  41. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これはちょっと会社名前の問題になりますので、非常に微妙な問題でありますから、できれば遠慮させていただきたい。
  42. 野上元

    野上元君 私は三十七年三月八日現在でこれを調べてもらったのですが、その資料を持っているのですが、非常に故障の度合いが大きいし、誤差等が大きいということが明らかにされております。一つ一つ克明に検査されているわけですが、あなたのほうは会社の都合でそれは発表できないということでありますが、これをつけることによって人命に重大な影響を与え、かつまた日本の貴重な財産にも重大なる影響を与えるのですが、それを考慮してもそれは発表できないのですか。
  43. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 非常にオート・アラームが海上における保安の確保に重要な役割を占めておるという点につきましては、私も同感でございますが、会社名前を申し上げることは特にお許しを得たいと思います。
  44. 野上元

    野上元君 あなたのほうでこういうものを調査したことはありますか。調査した資料がありますか。
  45. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) われわれのほうは、船に備え付けを強制いたしております日誌抄録というのがございますが、そういうものを通して把握いたしておるつもりでおります。
  46. 野上元

    野上元君 あなたのほうは会社名前が発表されるので、それが明らかになるので発表できない、こういうことでありますが、そういう裏は、明らかに故障があると考えてよろしいですか。
  47. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 先ほど申し上げましたように、こういった機器のことでありますから、若干の支障というものがあることは認めております。もちろんこれはどこの国の製品でもこの程度はある、こういうふうに考えております。
  48. 野上元

    野上元君 あなたのほうの若干というのはどの程度ですか。
  49. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これはなかなか表現の仕方がむずかしいのでありますが、もし必要とあれば、あと資料をもって提出さしていただきたいと思います。
  50. 野上元

    野上元君 資料で提出できるものをここで言えないという理由はないでしょう。
  51. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 個々会社名前をあげることを遠慮さしていただきたいという意味でございます。
  52. 野上元

    野上元君 私が調べてもらったのによりますと、二十一のオート・アラームを調べた中で、九個は故障であるという型式のものがありますし、あるいはまた二個が故障であったというものがあります。あるいはまた四個だというのもあります。いろいろと故障のものが出ておるわけですが、二十一個中で九個の故障はあなたのほうの大体若干というやつに入りますか。
  53. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) まあその故障、何をもって故障という範囲に入れるかということでございますが、たまたま誤作動したということをもってそのオート・アラーム使いものにならない、こういうふうには見ておりません。
  54. 野上元

    野上元君 私が申し上げておるのは誤作動ではない。誤作動はまた別に調査してありますが、今申し上げておりますのは機器そのもの故障であります。その故障種類を申し上げてもいいですが、大体十二ぐらいの種類に分けて故障が起きております。
  55. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) もちろん機械のことですから、真空管が切れたりリレーが故障したり、そういったことは長い間には必ず起こるわけでありますので、それがたまたま一斉に検査した場合にそういう統計であったかどうかということにもよると思います。そういう意味で、今のような数字というものは、もう少し内容を調べさしていただかないと、何とも申し上げかねると思います。
  56. 野上元

    野上元君 いずれにしても二十一個の計器を調べて九つの故障があったということは、あなたのほうとしてもそれは多過ぎると考えますか。それぐらいはやむを得ないと考えますか。
  57. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) それは先ほど申し上げましたように、内容によると思います。
  58. 野上元

    野上元君 私は、いろいろと実例をあげて質問しますと、あなたのほうはそう思うとか内容検査をしてみなければわからぬというようなことを言われるわけですね。だから私は冒頭に言ったように、なぜあなたのほうではみずから検査されないのかというのです。いつまでやったってこれは水かけ論じゃないですか、現実にこれは故障が真実であるならば、私はこれは重大問題だと思う。そんなものはとても許されないですよ。しかも、あなたのほうでは内容を見なければわからぬとか、そんなはずはないんだと言っても、現実にあるものはどうしようもないじゃないですか。もしもあなたのほうで、これが実際にAAをつけることによって一人の無線士にしてやってしまうということになったら、あとで事故が起きた場合にどういうことになりますか。この責任はあげて郵政省にあるのですよ。これは船主協会がちゃんと文書で出している。この前読んだとおりです。それは明らかに郵政当局責任であって、われわれの責任ではありません。各船長文書を出しているのですからね。それでもあなたはあえてやろうというのですか。この反発するものがほしいのです。あなたのほうで、絶対にそういうことはありません、自分のほうで検査をしたものはこうだ、それは通信士の言うのがおかしいという資料を下さい。でなければ、私のほうではどうにもならぬのじゃないですか。こんなものがあるのに、これを認めてこの法案を通すわけにはいかぬですよ、どう考えても。その点を私は聞いているのですよ。郵政大臣どうですか。今のをお聞きになっておってあなたの考え方は、これでなおかつこれを通そうとするのですか。
  59. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は、通信上の方々のいろいろな報告が決して間違っているとも思いませんし、そのとおりだと思うのですけれども、私が非常に疑問に思いますのは、一体どうして世界全体がそのままでやっているのだろうか、もしほんとうにだめなものだったら、世界全体の人命とかあるいは海難の問題というのは、われわれが関心を持つと同じ程度に持っているはずなんです。われわれだけが、特に持っておって、ほかの国は人の命なんかどうでもいいと考えていることは決してないと思いますが、世界各国がみなやっているものが、どうして世界各国ではそういう問題が起こらないのだろうか。日本だけこれをやろうというなら、私は非常に慎重に考えなければならぬと思いますけれども、世界各国が全部やっているという程度に今度は改めようというのですから、どうして一体世界各国が黙っているのだろうか、どうして世界各国ではそのとおり実行していて問題が起こっていないのだろうかというその点について、私はどうしても疑問が割り切れません。世界の他のいわゆる先進国と称せられる国のすべての国がそうである。そして機械の働きというものは、世界の各国の製品日本製品と比べて、決して日本製品がおくれていないということは郵政省がこれを認めている以上、私は世界各国並みにすることについて、ひとつもちゅうちょすることはないのじゃないかという考え方をいたしております。
  60. 野上元

    野上元君 あなたは世界各国がどうしてと言われるのですが、どうしてでしょうか。どうして世界各国がそれでやれているのですか。
  61. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 完全無欠で一つも欠点がないということはないかもしれません。許容し得る限度であるというふうに世界各国が認めているから、世界各国がやっているのだろう、こういうふうに思います。
  62. 野上元

    野上元君 許容する点というのはどのくらいですか。
  63. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私はそれを数字的にあげることはできないのでありまして、要するに、世界各国がそれを認めているのは、世界各国が許容している証拠だ、こう思います。
  64. 野上元

    野上元君 私はそれはあまりにも無責任だと思う。あなたのほうでは確信をもってこの法案を出された、こう言っておられるのに、数字をあげることもできないし、私が現実に無線通信士の諸君に依頼して調査してもらったものについても反発できないじゃないですか。それでもあなたのほうは確信があると言えるのですか。どうして世界各国がそうなんだろうか、どうしてということを、どうして明らかにしないのですか。簡単にできるじゃないですか。もう一ぺん検査されればいいじゃないですか。一年ぐらいおくれてもいいんじゃないですか、こんなもの。確実なものであり、無線通信士も納得できるものであり、国会もこれを納得できる、郵政当局だって納得できて、これならば大丈夫だといってみずから確信を持ってやられるほうがどれだけ気持がいいかわからぬじゃないですか。こんなあやふやなことで人命に影響があるようなことをやることは無謀じゃないですか。私にはどうしてもそう思える。だから、私もいろいろ資料を集めてみたけれども、あまりにも故障が多過ぎるのです。あるいは誤動作とか、不動作とか、そういう妨害が多過ぎる。だから、私はその証拠をあげて申し上げているのだから、あなたのほうからのこれを反発する証拠がほしいのです。しかし、現実にはそうだろうとか、なぜ世界はそれじゃうまくいっているのだろうかということでは、これは一歩も前進しませんよ。私は絶対にこれを通すわけにはいかない、こういうことでは。それに対して答えて下さいよ。
  65. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) われわれのほうで、一定の限られた時間に、一定の限られた実験をすれば、その答えがいいんだということでも私はないんじゃないかと思うのです。それは特定な時期、特定な期間における一つの問題でありまして、それはあくまでもそれからいろいろなことを類推をしていくという根拠になるだけだと思うのです。私は、それよりも、もっと広く、百数十隻に及ぶ日本船に日本オート・アラームをつけて、それに一つもクレームがない。この船は世界各地を歩いて——歩くといってはなんですが、航海しているわけですが、そのこと自身のほうが限られた時間、限られた海域において実験するよりも、よほどそれは確実である実験考えていいんじゃないか。これから先初めてこれをやるのではなしに、もうすでに何年間かそういうことをやっておる、世界がそういうことをやっておる、そのあとについていくのですから、特にわれわれのほうで一定の期間、それも決して長い期間ではあり得ないので短い期間、一定の狭い地域で実験をしてみなければ確信が持てないというようなことではないんじゃないかと私は思います。
  66. 野上元

    野上元君 私は船に乗った人の話を聞いてみたんですが、外国船は、とにかく日本船のあとをつけてくるそうですよ。どうしてそういうことをするのだと聞いたら、日本船のあとを行っておればおおむね安全だと言っておる。だから、日本船のあとをつけてくるのだというようなことまでも聞いておるのですよ。日本船を外国船並みしてしまったならば、外国船がついていくところがなくなってしまう。そう言っているのですよ。私は私の言うことが必ずしも正しいとは思っていない。それは無線通信士の諸君でもあるいは誇大に報告しているかもしれない。しかし、それはそれでいいんですよ。それをあなたのほうで反発してもらいたいのですよ。証拠をあげて、それは違う、実績はこういうふうになっているのだというものがほしい。そうすれば問題はない。ところが、あなたのほうにはそれがない。それで一ぺんも実験をやっておらないかというと、一ぺんやっておる、重大問題だからやる、そうして報告書の末尾には、結論としては一回や二回の検査ではどうにもならぬから、しばしばこういう実験をやって確証を得なければならぬ、こういう報告書をあなたのほうでは出しているのです。にもかかわらず、あなたのほうでそれをやらないということが私には解せない。そうしてみずから法案を出してきた、そうして確信がある、こう言うのですね。どれもこれも了解できないじゃないですか。だから、私はこの問題について質問をしたくないのですよ。しても、さっぱりぴんとこないのですね。私が確信できるような答弁がない。——まあそれはそれでいいですわ。どうぞ。
  67. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 関連。今の野上委員オート・アラームの問題についての質問ですね。私もそれは野上君と趣旨は同じで、大量の人命なり、それから財産なりを粗末にしてもいいという考えは毛頭持っていないのですね。これはより安全にするのが建前だと思うのです。しかし、問題は、電波監理局長は技術者なんだから、あなたはもっと技術的にも海上人命安全条約の関係の規則類を知っておるわけだと思う。問題はそこにあるのだと思うのです。まああらゆる空中電力の状態に、どんな場合でもいつでも完全に稼働するというようなオート・アラームは、不幸にして今日まだできてない。それができるくらいなら、世界中の無線電信もどんなデリンジャー現象が起こっても完全にいつでも通信ができるはずが、それもできないということは、完全無欠の域まで達していないことだと私は思う。オート・アラームについても同様、したがって、条約で要求しているのは、ほかの船からSOSの、五百KCのSOSの信号が出た場合に、それを受けられるようなオート・アラームの設備をし、それの技術的な基準として大体こういう程度のものでなければならぬということを国際的にきめているものがある。そのきめておるものに対して、今日まで何回か国際会議もあったけれども、各国からそれを根本的に、野上委員の言われるように根本的にそれを変えなければならぬという意見は、どこの国からも出ていないし、日本からも出したことはない。そういう状態であろうと私は思う。今後努力しなくともいいのだとは私は言わない。ですが、今日の状態では、各国が取りきめた条約の水準まで日本技術水準は達しておるということ、したがって、日本オート・アラームは国際的な水準までいっておるということ、したがって、絶対確実ではないかもしれぬけれども、国際的に条約によって申し合わせをしておる程度には、お互いに海上の人命、財産を守っていくだけの措置は講じ得るというところまで来ておるのです。私もその点は大丈夫ということを信じておるわけです。そういう意味において、この間もあなたに質問をしたわけです。その国際条約の関係で、国際的水準はこうなんだという点のあなたの考え方、これはもう少しはっきりしないと、野上委員の言われるような質疑がいつまでたっても私は起こると思うのです。もう少しあなたは確信を持って、条約に書いてあるものはこうで、したがって国際的に要求されているものはこういう程度オート・アラームなんだということを、ひとつ説明をする義務があると思う。その点いかがですか。
  68. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 今、新谷先生からお話がありましたように、このオート・アラームの国際的な技術基準というものは、海上人命安全条約に規定されておるわけであります。もちろんその中には、先ほど申し上げましたように、空電による誤動作というものは寛恕されることになっておるわけです。ということは、まあどこの国でもその点は、この根本的な解決はむずかしいということを意味しているわけでございます。そのほかに、いろいろ、たとえば警急信号が一ボルト以下百マイクロボルト以上この範囲においては雑音がない場合には動作しなければならない。いろいろそういったような許容値についての技術的な基準というものが規定されておるわけでありまして、その基準にのっとりまして、先ほど申し上げました日本電波法に基づく無線機器検定規則技術基準ができておるわけであります。したがって、言いかえれば、日本検定規則に規定してあるところの技術基準を満足しておる機器であれば、即これは国際的な基準を満たしているということになるわけでありまして、そういう意味からいいましても、その型式検定規則に基づく型式承認を受けた型式機器につきましては、これは国際水準を満たしておるのだ、こういうふうに断定できるわけであります。われわれはそういう考え方で来ております。また、先ほど申し上げましたように、先般外国製品の代表的なRCAの機械日本の代表的なオート・アラーム両者につきましていろいろ実地の、実地と申しますか、これは電波研究所におきまして、空電なんかも入れまして、空電のある状態においていろいろ比較試験をやったわけでありますが、その結果は、むしろ日本製品のほうが優秀であったという結果が出ておりまして、それにつきましては、先ほど提出しました資料にも入れてあるわけであります。それから、それならば、国際的な基準というものについて、これをもっとシビアにしなければいけないというような議論が過去の国際人命安全条約において提案されておるかと申しますと、先般一九六〇年にロンドンでその会議が行なわれたわけでありますが、その席上においても、そういった提案というものはどこの国からも提案されなかったというような情勢でありまして、確かにこれは、理想的な点から申しますれば、いろいろなお改善の余地はあるかと思いますけれども、一応そういう意味におきまして、各国ともそういった現状をもって満足しておる、こういうふうに申し上げられると思います。
  69. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体そういうことだろうと私も了解しておるので、政府の御提案に私も賛成しているのです。電波監理局のほうでは、船に載せての試験昭和二十八年かにおやりになった。その後、今お話を伺っていると、八種類くらい型式承認型式免許というのですか、型式承認を与えられた。型式承認というのは、おそらく私の了解しておるところでは、これはどこの官庁でもそうだと思いますが、単に青写真の上で設計はこれなら大丈夫とか、これならうまくいくだろうということじゃないと思うのです。たいていこれは、どこでもそういう機器類の型式承認を与える場合は、実験をして——個々のもの一つ一つについて試験をしないでしょう、しかし、その中の抜き検査といいますか、どれをとっても同じような規格であるということを前提にして、その中のあるものを実際に試験をするのだろうと思うのです。それが型式承認だろうと思いますけれども、その場合には、やはり五百KCの波を受けて作動するということは、少なくとも試験のときにおやりにならなければならぬと思うのですけれども、ただ、船に積むか積まぬかというだけの話、したがって、いろいろの船に積みますと応用問題が出てくるわけです。空中電力が強いとか弱いとかいう、そういう応用問題が出てくるでしょうが、それは大体今お話のような、技術的に許容せられる範囲内のものであれば差しつかえないということで、その範囲における試験をされるだろうと思うのです。その点はどうなんですか。
  70. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 今先生がおっしゃいましたように、実際に船に積んで実地テストというわけには参りませんけれども、それに準じた状況を作りまして、いろいろ各基準に照らして合格、不合格をきめておるわけでございます。
  71. 野上元

    野上元君 国際水準であるとか、国際条約の問題については、私もわからないことはないのです、それくらいのことは。問題は、私も立法機関に携わっておる者の一人として、一つの法案を通すときには、完全でなくてもいいですから、ある確信がなければこれを通すということは良心が許さぬということなんですね。だから私の良心を満足させてくれるようなあなたのほうで説明がされれば、私も了解するわけなんです。ところが、現在までのところは、どうもそういう状態にないのです。外国では、今のあなたがやろうとしているような改正はいつごろやったのですか。いつごろから始めたのですか。
  72. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これは国際電気通信条約とは別に、海上における人命安全条約というものによってその基準は規定されておるわけであります。この条文が入りましたのは、もし間違っていましたならば後ほど訂正させていただきますが、記憶しておりますところによりますと、一九二九年、こういうふうに存じます。
  73. 野上元

    野上元君 それで私の聞きたいのは、外国オート・アラームをつけて、それで通信士を減らして実施しておるというのが、あなたの言う外国並みということでしょう。だから、そういう状態になったのはいつごろかというのです。
  74. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) はなはだ申しわけありませんが、今の無線通信士の乗組員の数という点から申しますと、一九一四年に行なわれましたロンドン会議というのがございますが、それ以来、旅客船というものは常時聴覚による聴守というものが義務づけられておるわけでありますが、事、貨物船につきましては、そのときから今日に至るまで八時間でございます。言いかえれば、一名でよろしいということになっておるわけであります。
  75. 野上元

    野上元君 そうすると、旅客船が今日ではオート・アラームをつけて一名になっておるんですか。
  76. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 旅客船につきましては、これまた旅客定数によりまして違っております。また航行の距離によっても違っておるわけでありますが、大きな旅客船は、これは常時聴覚による聴守というものを義務づけられておるわけであります。
  77. 野上元

    野上元君 そうするとあなたが言われる外国並みにしたいというのは、どういう状態なんですか。
  78. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) これが今度の電波法の改正の内容になっておるわけであります。結局旅客船以外の、すなわち貨物船は、これは聴覚による聴守即運用義務時間ということで八時間に減らしたい、短縮したい、現在では日本におきましては、御承知のように五千五百トン以上の貨物船というものは、運用義務時間が二十四時間ということになっておりますし、それから千六百トン以上の貨物船につきましては十六時間ということになっておりますが、そういったように、旅客船以外のものは、全部運用義務時間を八時間に三年の経過期間を置いて持って参りたい、こういうわけでありまして、旅客船につきましては、先ほど申し上げましたように、外国並み運用義務時間が二十四時間、それから十六時間、これが残るわけでございます。
  79. 野上元

    野上元君 外国では、そういう状態にいつごろなったんですか、あなたが真似ようとされておる外国状態というのは。
  80. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) さっき申し上げました状態になりましたのは一九四八年であります。
  81. 野上元

    野上元君 そうしますと千九百何年かにオート・アラーム実地検査されたときには、外国も今の日本と同じような状態だったわけですか。
  82. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) そうではありません。一九四八年というのは、昭和二十三年でございますから、そのときから、もう現行のものになっております。
  83. 野上元

    野上元君 その点は失礼いたしました。そうしますと昭和二十三年からの問題であるというわけですね。
  84. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 厳密に言えばそうでありますけれども、先ほど申し上げましたように、貨物船が一名というのは、先ほど申し上げました一九一四年以来実施いたしておるわけでございます。  ただ戦時中に、どういう格好をとったかということにつきましては存じませんが、少なくとも平時におきましては、一四年以来貨物船というものは一名——もちろんこれは最低限を押えておるわけでありまして、こういう船主のいろいろ都合によりまして、それ以上乗せることは差しつかえないわけでありますが、もちろんそういった意味で例外はあると思います。
  85. 野上元

    野上元君 外国並みにしたいというあなた方の希望はわかりましたが、外国では何十年も前に、そういうようになっているのに、日本では、どうしてならなかったのですか。どうして今ごろそういう問題が起きてきたのですか。
  86. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 日本も御承知のように、大ざっぱに申し上げますれば、この第二次大戦以前におきましては、大体において外国と同じような考え方で来ていたわけであります。それがいわゆる第二次大戦に突入すると同時に、戦時特例というものが設けられまして、これによりまして人数をふやしたわけでありまして、それ以後、戦争が済みましてから多少その線よりも減ったわけでございますけれども、そのままの状態で今日まで来ておるわけでございます。
  87. 野上元

    野上元君 だから、戦時中においても、その後においても、政府の施策としてやられたわけでしょう。そのことについては間違いない事実だと思うのです。だから、外国が戦後すぐ戦前の状態に復活したのに、日本がなぜ復活できなかったのか、特別の理由があるのですか。電波法は、その点全然障害にはならなかったのでしょう。
  88. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私はそれは、雇用の問題ときわめて重大な関係があると思います。戦後日本の雇用状態が著しく悪くなった場合に、雇用に非常に大きな影響を与えるというような改正はしないという、全然何といいますか、船のほうの問題ではなくして、経済全般の雇用関係からきているのではないかと考えます。  だから、今度の法律の改正も、機器発達ということを申しましたと同時に、経済全体の情勢から考えてということを、法律改正の理由の中に、これがうたってある、こういうことだと思います。
  89. 野上元

    野上元君 そうしますと、戦後と今日では、雇用の状態が著くし変わったから、通信士を減らしてもよろしい、こういう理屈ですね。
  90. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 減らしてもよろしいというよりも、むしろ国際並みにしなければ、日本の雇用状態というものの正常な形が得られない、こういうことじゃないかと思います。
  91. 野上元

    野上元君 国際並みにしなければ、日本の雇用状態が正常に維持されないということは、どういう意味ですか。余るということですか。
  92. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 今まで三人乗っけておかなければならなかった船に、三人はどうしても乗っけておかなければならないとすると、通信士の数が少なくて、船がとまるという状態が起こることがあり得るという状態になりましたから、それを国際水準の一人にして、そして船を動かす、こういうことです。
  93. 野上元

    野上元君 それは逆じゃないですか。雇用状態によって、電波法を改正しようというのですか。電波というのは。純然たる技術の問題でしょう。雇用とは関係ないのじゃないですか。それは船主協会なり、政府なりが、別に考えるべき問題じゃないですか。
  94. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 先ほど申しましたように、戦争中に増員しました。それは私は、戦争中の必要な状態であったと思いますが、戦後は、日本の雇用状態が非常に悪かったために、人を減らすことは困る、こういう経済上の要請によって、電波のほうから言えば、当然減員してもいいものを今日まで猶予しておいた、こういうことに考えます。  したがって、雇用のほうの状態が許容せられる状態になってから、本来の電波のほうの要請、実情に沿うて、今度改正する、こういうことなんで、雇用が悪いから、電波のほうを改正するんじゃなくて、電波のほうとしては、当然すでに改正してもいい、国際水準にまでは下げてもいい状態であったのを雇用の関係から、それを猶予されておった、こういうふうに考えれば解釈がつくと思います。
  95. 野上元

    野上元君 そうしますと、電波法を改正しますと、最低一名ということになると、これはおそらく最低一名になるでしょう、そうすると無線通信士が余るわけです。それに対する雇用対策というものは考えられておりますか、政府で。
  96. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は余るという状態ではないと思うのです。ないように聞いております。しかし万一、それが余るような状態ならば、これは雇用問題として運輸省の側が、各船主に勧奨するなら勧奨しまして、法律では最低限一名しか要らないけれども、雇用の状態を、日本経済全体の立場から雇用の状態を維持するためには二名にせよ、こういうことは運輸省が指導する問題であって、われわれのほうの電波法で、どうしても三人なくてはいかぬということを縛りつけておくということは必要ないと思う。こういうのがわれわれの立場です。したがってこの電波法を改正しましても、三人のところを一人にしなければならないという義務は出てこない、それは運輸省のほうが船主と話し合いをして、そうして雇用の状態とにらみ合わせてやっていく、こういう、私は率直に言うと、こんな経過法を設ける必要はないような感じがしたんですけれども、経過法を設けませんと、いかにもそのところ雇用の状態に急激な変化を与えるおそれがある、こういうような感じもいたしますので、若干そのことについて、今までのしきたりから言って、電波法が改正されなかった実情は、雇用の点が非常に大きな要点であるという、その因縁からいっても、ここに経過法を設けて、なぞえに推移していくようにわれわれとしても配意をしたほうがいいと考えたので、経過的な規定が入った。こういうように御了解願いたいと思います。
  97. 野上元

    野上元君 私は、どうも大臣のいうことは、しばしば答弁内容のニュアンスが変わるような気がして仕方がないんですが、前の答弁では、今日通信士の需給状況の変化がなければ、こういう法案は出す必要はない、こういうふうにあなたはこの委員会答弁されたんですが、今は、そうじゃなくて、技術上から見ても国際水準でいける、あとの雇用関係は、これは運輸省に任せればいいんだ、こういうふうに答弁が変わっているんですが、その点は認められますか。
  98. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は、全然変わっていないと思うのです。というのは、もし雇用の状態が戦後と同じであって、通信士を減員する法律を作ることによって、通信士が減員されていくことが雇用を非常に悪くするというようなことであったら、私はやはり経済全般のことを考えれば、そういう機会に何も電波法を改正する必要はない、こういう立場をおそらくとるでしょう。しかし現実に雇用の状態が悪くなりつつあるという、雇用の状態が緊迫して、三人をここに釘づけにしておくことは、日本の経済全体から言って好ましからざる状態であるということであるから、電波法もそれに応じて改正しようというわけでありますから、私は、もし雇用の状態が、三人を釘づけにしておくほうが、日本の雇用の状態をよくするゆえんだったら、改正案なんか出さなかったと思うのです。したがって先般から申し上げていることは、全然違わないと思います。
  99. 野上元

    野上元君 そうしますと、海上の無線通信士の希望者がなければ、電波法はどうなるんですか。一人も海上勤務の希望者がなくなった場合に電波法はどうしますか。
  100. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) それはまあ、たいへんな仮定の御質問なんですけれども、郵便を配達する人が一人もいなくなったら、一体郵便配達はどうするかとか、参議院に立候補する候補者が一人もいなかったら参議院をどうするかという御質問と同じことであって、私はやっぱり社会に必要な業種というものには、必ずそういうことに対して人が出てくるものと思います。ただ日本の経済が非常に成長しまして、全体的に労力不足の状態を起こす傾向にあるこの際においては、私はことさらに海上の通信士のためによけいな労力を——何といいますか、固守しておくということは、全体的によくないと思うので、それは適当にバランスがとれる状態に置いておくことがいいのじゃないかと思います。
  101. 久保等

    ○久保等君 関連。大臣のただいまのお話を聞いていると、電波法を改正される問題については、戦時中の特別措置というものを、できれば、できるだけ早く復元すべきであったと思うのだが、ただ雇用の問題で今日に至ったというような御答弁なんですが、そういう答弁では、この場限りの答弁として、雇用問題としてお聞きしていると、何かそういうような答弁も納得できるようにも思うのですけれども、しかし、一面電波法の改正を今日まで郵政当局が非常に慎重だったという経過があるのです。これは大臣、もちろん御承知のことだと思うのです。したがって、それは雇用問題の好転というか、経済情勢の変化によって電波法の改正を踏み切ったのだというような御説明では、従来の経過からいうと、私は納得できないのです。  特に、昭和三十三年に郵政省のほうから運輸省のほうに文書を出して、いろいろと危惧される疑問点を運輸当局に質問されているわけです。そういう問題は、これは特に政府が、この電波法を出す場合に、単に定員の問題のみならず、電波あるいは定員という問題、これは両者一体になって、初めて航行の安全、あるいはまた私は先般も運輸当局にお尋ねをした気象観測等の問題が、どうやらとにかく満足に行ける方向に進むのだろうと思うのですが、   〔理事寺尾豊君退席、理事松平勇雄君着席〕 大臣のお話だと、戦後できるだけ早い機会に、電波法は当然改正してしかるべきだったのだという御答弁だと、今日まで取り運んできた郵政当局との経過に、非常に食い違いがあると思う。その点について大臣の御所見を承りたいと思う。
  102. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は、今までの郵政省当局者のことを決して非難するわけではありませんけれども、私は率直に言って、この法律を出せば、必ずいろいろ非常に国会において問題にされて、そうして非常に苦労をする。三人置いておいてはいけないかといえば、いけないことはないわけなんです。ですから、三人置くことに弊害があるということではないわけですから、できるだけ問題をあとに、むずかしい法律案、通しにくい法律案というのは出したくないという気持になるのは、これは事務当局としては当然だと思うので、そういうことで、今までちゅうちょしていたのじゃないか。なるべく、出さないという理屈がつけば、そのほうが楽だなという気持だったのじゃないかと思うのです。私も実は、そういうような気持でした。気持でしたけれども、現実日本の経済情勢を見ますというと、そうそう、そういうことも言っていられない。勇猛心を振るい起こして国会にひとつお願いしなければならぬという決心で、こういう案を出した次第でございます。
  103. 久保等

    ○久保等君 今の御答弁も、これまた私は、はなはだ不見識だと思うのです。弊害はないというお話なんで、多くて弊害はないんだというお話ですが、弊害どころじゃなくて、むしろ私は少なくとも現行程度を維持していかなければならないという要請が、特に先般も言った気象観測一つの例をとって見ても、この問題は非常に重要だと思うのです。ただ、だから海運の経営合理化という立場だけから考えられない非常に重要な問題だと思う、だからこそ、その点については、郵政当局のほうで三十三年に、その点についての万全の措置はいいのかという質問書というか、公文書を出しておるのです。  私はこのことは、単に国会に法案を出したら、なかなか問題も——問題というか、反対する空気も非常に強いだろうから、なかなか法案が通らぬだろうから、今日まで実は適当な機会を見ておったなどというのは、むしろ私は、今日までとっておった郵政当局の態度そのものを、郵政大臣みずからの口から、何か適当に時間を遷延しておったというような答弁になると思うのですが、そうじゃなくて、私は先般出していただいた資料等を見ても、むしろ郵政当局の指摘している問題に対する運輸当局から今日まで明確な文書による回答がなされていないと思うのです、私は。そこが問題の焦点だろうと思うのです。だから何か今日までおそきに失したのだ、打つべき手を打たない、郵政当局が、何か日常を過ごしてきたなどというようなことは、いかに前の経過について、迫水郵政大臣は責任がないという立場かもしらぬけれども、私はそれは、むしろ非常におかしいと思うのです。公文書の点で、三十三年九月何日付かで出した文書に対する回答は、正式に文書でありましたか。郵政当局のその疑問点に対する回答は、運輸当局から公文書でありましたか。
  104. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 今御指摘になったのは、三十三年九月二十日付の運輸省から郵政省への回答ということだろうと思うのですけれども、それには、ただいま御指摘のように、海上航行の安全とか、気象業務の遂行には支障を来たすことのないように、所要の措置を講ずるというふうな趣旨のことが書かれておるわけでございます。それ以後、文書をもってこの点についての回答というものはございません。
  105. 久保等

    ○久保等君 ただいまの運輸当局からの回答についても、所要の措置を講ずべく鋭意検討を重ねる所存でありますということになっているので、所要の措置を講ずるというふうに言い切ってはいないのです。したがって私は、この回答そのものに対して、郵政省が満足の意を表しておられるのですか、おられないのですか。
  106. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 当然その点につきましては、運輸省として、責任ある措置をとっていただけるというふうに期待しておるわけであります。
  107. 久保等

    ○久保等君 期待しているというだけで、郵政当局として、それならば大丈夫だ、具体的に、そういう措置を講ずるならば大丈夫だという確信を持つに至ったのですか、至らないのですか。
  108. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 文書が、そういうことになっておるということでありまして、口頭では、先般もたしかこの席上で船員局長が明言しておったわけでありますが、こういった気象とか航行安全の問題については、運輸省のほうで安全の措置を講ずるのだということを断言いたしておるわけであります。
  109. 久保等

    ○久保等君 問題は、一番そこが大事なところですから、何年かかかって、慎重な検討の上にも検討を重ねてきたゆえんのものは、そこにあったと思うのですよ。したがって、それこそ文書でもって公式に照会をし、公式の態度を確認をしたいという配慮から、文書の当初私は発送という問題にもなったのだと思うのです。  そうだとすると、そういう問題こそ、単に先般船員局長がどうだとかこうだとか言っているが、船員局長の問題じゃないと私は思うのです。少なくとも今言うような問題は、これは非常に重要な、しかも単に運輸当局だけの問題じゃなくて、これは政府当局自体の非常に重要な問題だと思うのです。だから、そのことについて、せっかく発意というか——発意は非常にけっこうだと思うのですが、文書の面でのやりとりを見ておっても、しり切れトンボになっておる。そこへさらにおっかぶせるように、昨年の五月十七日付で、郵政大臣に運輸大臣から、その疑問点に対する説明は何もなされておらない。それでただ、何かそれこそ、国際的な水準に持っていくためにといったようなことで、いわば質問されておる事項に対しての回答はそらした形で、とにかく電波法の改正を早急にやってもらいたいというような、非常なこの文面を見てでも、私は高圧的な態度と受け取れるのだけれども、文書一本でもって、その後情勢が非常に……、法改正に踏み切られたようですが、やはりこのことは正しいと思われ、また重要な問題と思われる問題については、私は終始一貫、態度を堅持していくべきだと思うのです。ところが、その態度を堅持してきたことが、逆に、郵政大臣の先ほどの答弁によると、何か国会に出すと文句も多いだろうし、なかなか法案も通らぬだろうから、今まで慎重に考えておったのではなかろうかというような御説明なんです。これはむしろ私は、従来とってきた郵政当局の態度というものは、非常に良心的なりっぱな態度だと思うのですよ、少なくとも。だからそれに対して運輸当局のほうから、具体的な対策なり措置というものが明確に示されない限り、当初からの主張というのは、私は堅持してしかるべきだ。  これは郵政大臣、おそらくそのことについては同感だと思うのですがいかがですか。先ほど来の御説明と、だいぶ食い違うと思うのですがね。
  110. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) そういうことを私はここで言って、おしかりを受けやしないかと思うのですけれども、率直に言うと、気象の問題について、郵政省が三十三年に確かめているわけですね。それを私、一体どういう権限で確かめたのかと私は思うくらいです——率直に言うと。郵政省は、気象の問題については、ほとんど全く無関係、これは運輸省の責任であって、それでこの定員を減らすことによって気象のほうは大丈夫か、これはもちろん、一つの話としては言ってもいいんですけれども、その気象の条件について満足を得るような状態でなければ、自分のほうは、これを改正しないぞということは、郵政省としては言い過ぎだと、私は実は率直に言うと思います。  したがって、三十三年のあの文書を見ましたときに、当時、いかにわが郵政省が、この法律案に対して抵抗を示しておったかということを私は感じたのですけれども、そういうことで、これは気象のほうは、これは運輸省が責任を持つべき筋、船舶の航行安全についても運輸省が責任を持つべき筋である。私のほうの郵政省は、電波の見地からいって、その国際水準のところまで下げてくることによって、電波の見地から、一体適当であるかどうか、同時に私は雇用の問題というのは、これはどこの所管でもなしに、これはもう全体的な問題として、政府全体の問題ですから、われわれの所管することの範囲内においては、雇用の問題というのは、きわめて大きな要件でありますから、その二つの見地から考えていいということになれば改正をする、こちらはそうきめるべきであって、気象がどうだというようなことを言うのは、率直に言うと言い過ぎるようなことを言っておるんじゃないかという感じを私は露骨に言うといたします。
  111. 久保等

    ○久保等君 それは私は非常に官庁間の、いわば所管問題での考え方としては、あるいは大臣の言うことは形式的には私はいいかもしれぬけれども、しかし問題は、これは電波法の改正であれ、あるいは船舶職員の改正であれ、実態はとにかく、一つの目的、少なくとも、一体的に運用されていくものだと思うのです。その場合に、やはり政府当局として、電波法の改正を提案する場合に、それによって起こるであろう影響、そういったことについて当然私は検討してしかるべきだと思うのです。だから、そのことが形式的な所管の問題になれば、いろいろ問題があるでしょう、あるでしょうが、しかしあとは運輸省でお考えになることでしょうというものの考え方では、これは私はほんとうの意味での電波行政の遂行にはならないと思うのですがね。  気象観測そのものは、なるほど、これは運輸当局の所管事項であるかもしれぬ、しかしその気象業務そのものは電波を使ってやる問題なんだし、現実に、また電波を使って気象観測等もやっているんですから、その場合に、一体どういう影響があるのかということを、電波法改正にあたって、郵政当局はそこまで検討せられるのが、私はむしろ良識と、当然の考慮であろうと思います。そんなことはよけいなことなんだから、タッチすべきじゃないんだと言うことは、これはむしろ郵政大臣としては言い過ぎじゃないか、不謹慎ですよ。特に事、人命の問題、日本の災害問題で、こんな悩まされておる日本の現状からして、気象観測の問題については、それはもう運輸当局が考えることなんだから、電波は勝手にお使いなさい、その範囲内だけで考えているという態度は、これはあまりにも官僚、なわ張り的な、セクト的な、しかも非常に無責任考え方じゃないかと私は思いますが。
  112. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 気象の問題については、運輸省の所管大臣が、自分のほうで責任を持つ、適当に処置をする、こういうことを言います以上は、私は運輸大臣にまかすべきだと思うのです。それをこちらが確信を持たない限りは、聴守運用義務時間を減らすことはできないということは、それは私、郵政大臣としては言い過ぎの立場になるのじゃないか、これはセクショナリズムでも何でもなくて、一応言うことはけっこうです、けっこうですけれども、向こうが責任を持つと言ったら、向こうの責任にまかすべきじゃないか。  それで、私は運輸大臣が、もし責任が持てないからなどということであるならば、何もこの電波法にきめた人数、八時間聴守なら一人、それ以上に人を乗っけて聴守しちゃいけないという規則はないわけですから、向こうのほうの船舶職員法ですか何ですか、そちらのほうで調節をして、気象の問題にもこたえる、それからその他の問題にもこたえていったらいい、私は、実はそう思って、これの改正を決心したゆえんのものは、責任を持つからということなのに、われわれのほうで、この法律があって国際的に見てもずっと手厚く日本がしている、そういうようなことの法律のために、向こうで船舶の運営上その他において、何といいますか、そのじゃまをしないようにという考え方でこれは改正しているのであって、もしどうしても気象通報上差しつかえる、和達君は、そう言ったらしいんですけれども、それなら向こうが、午前三時に発信できるようなふうに人を乗っけることを運輸省がきめればいいと思います。私のほうは、最小限度の義務時間を国際水準並みに変える、こういうことです。
  113. 久保等

    ○久保等君 その問題は、現実に先般の運輸大臣の答弁によっても、残念ながら納得のいくような具体的な措置が講ぜられるような態勢にはないのです。この間、大臣もお聞きになったでしょうが、当初からの話では、とにかく深夜の気象観測の点については、確かに穴があくんだという話だったのですが、それらの問題一つ取り上げてみても、それに対して、われわれに納得のいくような返事ができないのです、現実に。気象観測の問題については、運輸当局の責任——責任というか、所管問題だという問題、それは確かに私はそう思うのです。しかし、運用時間が結局は直接少なくなれば、具体的に気象観測の問題に影響のあることも事実なんです。だから、みすみすそういう影響のある問題について郵政当局が、電波の発信時間なり、運用時間なり、そういう立場から、これに対して検討を加えることは、私は気象観測そのことが、その集めたデータをどう運用するか、これはもう気象観測の建前なんですから、運輸当局の責任の範疇に入るだろうと思うのです。しかし、少なくとも、電波を発信するという問題があるわけです、運用時間の中には。しかし、発信しているその内容は何だといえば、気象観測上の資料のデータを発信するんですから、その問題は、明らかに気象観測の問題についても、間接的に、しかも非常に重要な素材を提供するという範疇においては、これは電波法の範疇の問題です。だから、気象観測の問題については、全然郵政当局関係がないと言い切れないと思うのです。では、どこからどこまでが運輸当局の問題で、どこからどこまでが郵政省の所管になるかという問題になると、これは非常に私はなかなかむずかしい問題だと思うのです。  いずれにしても、データを発信する運用時間というものは、電波関係だと思いますが、違いますか。
  114. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 電波を発信するということは、うちのほうの所管でして、したがって、この法律を改正するのに、一番問題になりましたのは、日本の海岸局の設備の問題、つまり通信の疎通がどうなるか、二十四時間に分布しておったものを、一定の時間に集約することによって通信の疎通がどうなるか、これはうちのほうの問題でありまして、その疎通というものが、もし非常に工合が悪くたるということなら、私はこの改正はしなかったと思います。  しかし、その疎通の問題について一応のめどがつき、改正をしても、疎通の問題については大きな支障がない、こういう見地に結論が出ますれば、少なくとも私のほうの所管します電波の見地からは、この法律の改正というものに対して反対すべき理由はない、こういう立場です。
  115. 久保等

    ○久保等君 私が郵政当局を何か逆に援護するような質問をするのは、はなはだ遺憾ですが、三十三年の九月何日かの文書によってやりとりされた今言った気象観測の問題について、郵政当局としては出過ぎていたというような先ほどの御答弁は、これは私はいただけないと思うのです。  ということは、今言う深夜であろうと、あるいは白昼であろうと、気象観測をやったその結果についてのデータを気象台に向けて、とにかく発信するわけですから、内容は気象なんです。気象観測の結果、これを発信するのですから。そうすると、その限りにおいては郵政省といえども気象御側の素材である業務通報、これはやはり郵政当局関係は私はあると思う、直接、その問題については。それともありませんか、郵政大臣。
  116. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) それは全くあると思います。あると思いますが、その気象通報をする、その気象通報の疎通が悪くなってきたら、これは、われわれは非常な大問題です。その疎通が悪くならないということが、解決ができるということですから、この法律案の改正をしたんでして、せんだって和達君やなんかの話を聞いておりましても、ずいぶん気象通報というものは、何といいますか、他力本願といいますか、たまたま船に三人乗っているのを、という立場で、ずいぶん助けられていたものだという感じをしました。
  117. 久保等

    ○久保等君 そのくらいお粗末なんですよ。
  118. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) それですから、ほんとうに齋藤君がここで言いましたように、もっとほんとうに政府が金を使って、気象通報の問題を完備すべきであって、たまたま船に三人、人が乗っておる、その三人の人が乗っておるということも、日本としては、国際上としては違う、手厚いことで、戦後の状態が今日まで続いてきておる、それをうまくそれに便乗しているという気象通報について、私は非常に考えさせられまして、私は気象通報の問題についてはしろうとでしたけれども、内閣にいるとすれば、来年の予算において気象通報の予算を手伝って取ってやろうかという気がして、この話を聞いていたのです。したがって、気象通報をさせるために三人乗っけておかなければならないという議論にはならないのではないか、これは確かに今までの気象通報というものはおかしい、システムがおかしい、たまたま船に三人通信士が乗っているのを便乗しているんだ、ほんとうに驚いたことだと、つくづく思いました。
  119. 久保等

    ○久保等君 これは郵政大臣としては、個人としてむしろ率直な御答弁だろうと思うのですが、しかし、少なくとも閣僚なり内閣という立場から見ると、今確かに郵政大臣の言われるように、気象業務の問題そのものはきわめて、いわばおざなりな取り組み方であったと思う、したがって、たまたま電波法の審議を通じて、今の池田内閣そのものが気象業務という問題について真剣に取り組む契機になればけっこうだと思うのです。  ただ問題は、それならば、なおさらそういうものに対する本格的な取り組み方の対策というものが示されて、なおかつこの面では、一体そういうしわ寄せというか、負担を一般の海運業界に与えるということは非常に不当だ、したがって、この面では削減してもいいのではないかという議論であるならば、そのことに関しては、筋は一応通る、とにかく気象観測の問題については、どちらかというと余分の仕事なんだから、この際、とにかく切って捨てるのだということでは、一体本来の気象業務の問題、これがどうなるかという問題です。  そこに私は今度は国家的な立場から見た場合に、若干でも手うすになると、こういうことについては、これを看過するわけには参らない。それが、はたして三人が適当なのか、あるいは二・五人が適当なのか、これは別問題としても、少なくともそのことによって、若干でも悪影響があるならば——さっき郵政大臣は、置いておいても害はないというような御答弁だったようですが、とんでもない。むしろ置いておくことによって、それが適正であるかどうかは別として、とにかくよけいなものを置いておいて害はないというお話だったけれども、気象観則の面から言うならば、事さように、本来やるべき所でやらないで船舶あたりに依存してやっておったということを反省されるなら、そのことに対する本格的な手当てを私はされて、片方でこういう措置をとるのだという中で、こういう問題が提起されてこないというと、筋が立たないじゃないですか。郵政大臣、いかがですか。
  120. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 久保さんと、私はここで議論する気はないのですけれども、何かこう気象通報ということが、今まで三人乗っていることに便乗しておった。便乗されておった。ひさしを借りておったおけですけれども、そのひさしのために、おもやを改造するのはしばらく待ったほうがいいだろうか。何かおもやとひさしの関係で、向こうはひさしを借りているのだから、おもやを直すのだから、ひさしは当然それについていくべきで、ひさしがあるから、どうしてもおもやを直してはならないのだという議論には、私はならないのではないかという感じがします。
  121. 久保等

    ○久保等君 関連質問だから、もうやめますが、それに定足数も欠いているようですからやめますけれども、今の郵政大臣の話を聞いておると、船主協会の代表者がここで話をしているようだ。おれのところのおもやを、政府当局はけしからぬ、政府は気象観測でひさしを借りて、お前のほうは、おもやのほうは一人で間に合うところを三人雇え、四人雇えというのはけしからぬというのは、船主協会からの話なら話がわかりますが、ひさしを借りているのは、だれが借りているのか、政府が借りるのだ。さらに大きく言えば、国民全体のやむにやまれぬ一つの便宜措置であるかもしれませんけれども、とにかく一つの大きな重要な業務をやっている。  ところが、ひさし、ひさしと言われるけれども、ひさしのしかも重要な仕事をやっているのだから、その手当ては、政府はひさしを借りないで、こうやるのだという、その問題についても答弁がなければ、今言われるのは、全く船主協会の諸君が言われるのならわかると思うけれども、郵政大臣なり、あるいは政府当局の答弁としては、私はいただけないのですが、しかし、これ以上やりとりをしておっても同じようなことを繰り返すのだろうと思いますから、私はこれをひとつ、冷静な第三者に聞いてもらえばわかると思うのですが、ぜひその点については、そこらの手当ての問題を私は問いたい。これは郵政大臣の所管ではないが、そうなると、しかし政府として考えなければならない重大な問題がある。
  122. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は決して、船主協会の代弁をしているのではなく、ひさしを借りているのは、やはり政府だと思います。ですから、もっと言葉を簡単に言いますと、電波法という郵政省のおもやに対して運輸省が気象通報という、運輸省がひさしを借りている。こう思うのです。したがって運輸省のほうが、それはしてしかるべき、措置すべき問題であって、電波法というおもやとは、これは当然全体的な近代建築にするという、直すというのが当然で、いやおれのほうがひさしを借りているから、お前のほうは直すべきではないと、かりに運輸省が言うとすれば、多分言う立場だと思うのですが、まさかそうは言えないものですから、運輸省でも、これは、ひさしは、私たちのほうで必ず処置をするからと、こういうことを言っているわけです。決して私は船主協会、船会社のひさしを借りて船会社のために代弁しているのではないのです、私は。傍聴の方もおられるから、私は船会社の代弁をしておるというわけではありません、誤解されては残念ですから、弁明をしておきます。
  123. 久保等

    ○久保等君 もう質問やめますが、答弁要りませんが、先ほど言われたのは、どなたが聞いておっても、そういうふうにとらざるを得ないような発言だったのですから、逆に郵政大臣に弁明の御答弁をいただいたと思うのです。しかし私は、郵政大臣直接の問題ではないから、これはまた郵政当局でなくて運輸当局をひとつ大いに追及したいと思うのですけれども、私は関連質問ですから、若干時間が長くなりましたから、ここらで私の関連質問を終わります。
  124. 野上元

    野上元君 気象観測のことが出たのですが、私もその点については、重大な関心をもって、のちほど質問をしたいと思ったが、たまたま今、郵政大臣から御答弁があったので、それに関連してちょっと質問しておきたいのですが、この間和達気象庁長官は、新谷委員質問に対して、今日、日本の気象観測というのは絶対必要である、それは絶対的なものである、こういう答弁をされたわけです。そのことは議事録をごらんになればはっきりわかっておるわけですが、また郵政大臣も、気象観測が重要であるということはよくわかられたし、またこの電波法改正によって、気象観測が若干能率が低下するということもおわかりになったと思う。そのために補強しなければならぬということを、しばしば運輸大臣も気象庁長官も努力するということを言っておられるわけですね。今あなたも、気象観測の点について、船会社に便乗し過ぎているのではないか……。
  125. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 船主協会じゃございません。
  126. 野上元

    野上元君 政府が、明らかにおかしいじゃないか、こういう話ですよ。本来ならば、政府がやるべきである、こういうふうに考えておられると思うのです。このことは、気象庁長官も、しばしばニュアンスのある答弁をされておったんです。しかし今日の段階において定点観測をやったり、あるいは海洋気象観測をやるということになると、それだけ船を作らなければいけない。船員も乗せなければいけない。機械も乗せなければいけない。通信士も乗せなければいけない。莫大な経費がかかるということですね。だからおそらく私はできぬと思うのですね、簡単には。  したがって、私は申し上げたいのは、国家的見地から見て、あなたは国務大臣の立場から見て、たまたま今日商船がたくさん動いて、それに便乗できるならば、私はそれに便乗させていいと思うのです。逆に、あなたのほうで、国家で定点観測船を作らないならば、この商船のほうにそれをやらせて、それで国家が、それを補助すればいいのですよ。そういうことのほうが私は重点であって、これを切ってしまって、気象観測に若干の支障は来たしても、それは運輸省が考えることである。運輸省が考えるとしても、とてもじゃないが、それはできないと思うのです。私はおそらくできぬと思う。ということになれば、現状のままでやらせて、国家的見地から見てもやらしておいて、それを政府が補助していくのが当然のことだと思うのですがね。そういう観点に立てないですか。
  127. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は野上さんのお話も、きわめて現実的な、貧乏な日本としては非常に現実性のあるお話だと思うのですけれども、そのことから、直ちにこれが運用義務時間というものを、だから延ばしておけという理屈にはならないのじゃないか。これは運輸省のほうが、われわれのほうで電波法の規定の運用義務時間以上に聴守してもいけない、運用してもいけないということは決してないのですから、その気象通報全体のことを運輸省が幸いに所管しておりますので、全般のことを考えて、普通の船に便乗したほうがいい、こういうようなことになれば、彼らのほうの法律なり処置なりによって、この義務時間の制限の中といいますか、制限以上に、人を乗せて運用すればいいと思う。それはもう、あげて運輸省が処置すべき事項であって、それに対して私のほうは何も申しませんし、逆に言って、どうしても運用義務時間というものを作っておけば、ほかのことを考えようとしても、ここのところに縛られているという格好が困るのではないか。したがって、われわれのほうの運用義務時間というものは、国際的に認められた海上安全、人命安全という見地からその水準まで義務時間を減らしていこうというのが、うちの問題でして、率直に言うと、議論が電波法の議論でなしに、あっちの議論じゃないかと、運輸省のほうの議論ではないかと思うのです。
  128. 野上元

    野上元君 もともと運輸省の問題だから運輸省に引っかかっていくのです。電波法はあまり関係がなかった。あなたのほうは無理やりにやらされた。だから、そういうふうに自然に結論がいくと思うのです。そのことについては、きょうは時間がないからやめますが、最後に一つお聞きしておきたい、監理局長にですね。  この間、海上保安庁長官が来て、この電波法が改正されても、私のほうは一向差しつかえないと、こういうことを言っておられたが、今日海上保安庁の持っておられる船は何隻で、オート・アラームがついておるかついていないか、無線士は何人乗せておるか、あなたのほうで調べたことがありますか。
  129. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 資料はございますが、今手元に持っておりませんので、お許しを得られれば、あと資料で提出さしていただきます。
  130. 野上元

    野上元君 もしも海上保安庁の船がAAをつけておらないとすれば、なぜAAをつけないか。国家の動かす船は全部無線士でやって、商船だけはAAでやるというような理屈は私は成り立たぬと思う。むしろ国家が率先して経費の節減をはかるべきだと思うのですが、海上保安庁の船にAAがついてなければ、この法案は私は理屈が通らぬと思う。
  131. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 海上保安庁というのは、海上保安についての責任のある官庁でございますから、できるだけ保安という面につきましては、最善の措置をやることが必要でありますので、そういう意味で海上保安庁の船にはオート・アラームはおそらくついている船はあまりないと思います。結局、全部万全を期するために、オール・ワッチでやっているわけでありまして、それだからといって、一般の商船もそれになろうべきであるということにつきましては、ちょっと賛成いたしかねるわけであります。
  132. 野上元

    野上元君 それなら、保安庁が遭難船を救助した実例があるかどうか、それも一緒に調べて下さい。私の調べたところでは一ぺんもないということです。あなたのほうで、それも一緒に調べて下さい。  それから国鉄の保有している船舶が何隻で、これにAAがついているか、ついていないか、おそらくあれは平水を走っていると思うが、これにAAがついているか、ついておらないか、無線通信士が何人乗っているか、それも一緒に調べて下さい。そうして国鉄の場合、国鉄の保有している船舶の場合、この電波法とは私は関係ないと思うのです。改正されようが、されまいが影響ないと思うのです。こういうことになれば、彼らは平水の上を三人の通信士で走ることになる——今後団体交渉によってきめるわけですから、この近海を、しかも平水を走るのが三人乗せて、遠海にいくのが今後一人になる、こういうふうな不合理なことが出てくると思う。ところが運輸大臣は、これは最低をきめているのであって、何も減らすつもりはありません、そんなものは団体交渉でやればいいのです、こういうことを言っているけれども、それならこういう電波法、何も改正する必要がないのじゃないかという結論にも私はなると思う。だから、その点も一緒に調べて下さい。  きょうは、これでやめます。
  133. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 御要求資料、整えまして提出さしていただきます。
  134. 松平勇雄

    理事松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本日のところは本案に対する質疑は、この程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。    午後四時三十三分散会