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1962-03-22 第40回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安部 清美君    理事            手島  栄君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            白井  勇君            新谷寅三郎君            鈴木 恭一君            野田 俊作君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            永岡 光治君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 迫水 久常君   政府委員    郵政政務次官  大高  康君    郵政大臣官房長 金沢 平蔵君    郵政省簡易保険    局長      板野  學君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○簡易保険郵便年金福祉事業団法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 安部清美

    委員長安部清美君) ただいまより開会いたします。  簡易保険郵便年金福祉事業団法案を議題といたします。  前回に続き質疑の通告がございますので、順次これを許します。
  3. 久保等

    久保等君 私は、この福祉事業団法案の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、この事業団発足を見るにあたっては、当然いろいろと準備を進めておられると思うのですが、事業団そのもの発足したときに、当然いろいろ手続をとらなければならぬのですが、この事業団発足にあたって、法律が国会を通過成立を見た場合に、一体何日くらいたてばこの事業団発足できるお見込みなのか。その点、最初にひとつ伺いたいと思います。
  4. 板野學

    政府委員板野學君) 私どもまあ大体一週間ぐらいで発足できるのじゃないかというふうに考えております。
  5. 久保等

    久保等君 一週間ぐらいで発足できるということでございますと、事実上相当諸準備は万端ほとんど実質的には整えられているようにも推測できるのですが、そうしますと、形の上では郵政大臣にいろいろ申請をし、まあ認可を取るような手続もあるわけなんですが、事業団の今後の運営にあたって、その規模あるいは内容、そういったようなことについても相当な準備を進めておられると思うのですが、この法案の第二十二条に規定のある「(予算等認可)」の条文のところを見てみても、事業団発足した場合に、当然昭和三十七年度の予算あるいは事業計画、さらには資金計画、まあそういったようなものを提出をして、郵政大臣認可を受けるということに相なろうかとも思うのですが、この予算事業計画あるいは資金計画等内容等についても、これはもう形式的にいえば、発足してから認可手続を取るのだから、まあ今のところ別に具体的にどうこう考えていないのだと言えば、それもあるいは答弁になるかとも思うのですが、事実上はそうではなくて、一案なるものを準備されておるのかどうか、その点ちょっと伺いたい。
  6. 板野學

    政府委員板野學君) 事業団発足に必要な手続等といたしましては、この附則にございますように、まあ設立委員を任命するとかあるいはまた理事長なるべき者または監事となるべき者をあらかじめ指名をしておくとかいうよな手続もございます。また、先ほど先生のおっしゃいましたように、事業計画とかあるいは資金計画というものは、これは予算に一切盛り込んでございまして、予算が成立いたしますれば、それに基づいて三十七年度の事業計画あるいは資金計画は、すぐできるようになっておるわけでございます。その他、この設立に必要な政令省令関係準備でございます。この事業団登記令あるいは施行令等大体政令関係で四つのものを準備をいたしておるわけでございます。また省令につきましても福祉事業団施行規則あるいは料金に関する省令というようなもの、二つを用意をいたしておる次第でございます。これらも事業団法案が成立いたしました暁には、早急に内容を固めて、そしてこの政令省令ができ上がるように準備をただいま進めておるような次第でございます。
  7. 久保等

    久保等君 政令省令等準備を進めているというお話なんだけれども政令あるいは省令案なるものはすでにお持ちになっているのではないですか。
  8. 板野學

    政府委員板野學君) 一応この法案内容に従いまして準備をいたしております。
  9. 久保等

    久保等君 それで、まあ私の先ほどお伺いいたしましたこの二十二条の予算関係の案なるものは、お持ちになっておるのですか、おらないのですか。
  10. 板野學

    政府委員板野學君) 一応予算案としてこの予算の中に盛り込みました内容につきましては、その概要はこの資料の五十ページに第七表としてつけてございます。なお、その詳しい点につきましては、別にいわゆる予算案としてあるわけでございます。
  11. 久保等

    久保等君 これが予算案概要ですが、ちょっと概略説明してくれませんか。
  12. 板野學

    政府委員板野學君) この法案の第四条に「(資本金)」というところがございます。この資本金におきましては四億三千八百万円というものが現金のいわゆる出資となるわけでございます。その内訳は、資料の五十ページにございますように、加入者ホーム二億七千三百万円——第九次ホーム土地・建物、第十次ホーム土地。それから保養センターといたしましては四千万円——第三次の保養センター土地だけで四千万円。それから増改築費が八千八百万円——熱海ホーム改築が五千二十四万円、小樽ホーム暖房室の改造が八百十四万円、診療艇更改が三千万円。小新営その他四千八百六十二万円。合計四億五千万円でございまするが、そのうち減価償却引当金が千二百万円ございまするので、四億三千八百万円が現金出資となるわけでございます。それから現物出資でございますが、現在診療所が二十九カ所それからホームが三カ所でき上がっておりますが、大体その評価額が七億四千万円ぐらいになるわけでございます。これらの確定額評価委員の任命を待って評価されるということに相なる次第でございます。それから二十六条の「(交付金)」でございます。これがいわゆるこの事業団運営に要する経費でございまして、この資料の五十ページにざいますように、加入者ホーム収入、その他の収入が、合わせまして、四千九百五十万九千円でございます。それを差し引きまして、その他のものが交付金といたしまして簡易保険年金特別会計より交付されるということになるわけでありますが、その総額は四億四千二百万円ということに相なっておる次第でございます。
  13. 久保等

    久保等君 そうすると、三十七年度の予算から推定すると、三十八年度後、結局運営の収支の帳面じりを合わす場合に、交付金という形で帳面じりを合わしていくことに相なると思うんですが、年々少なくとも四億円以上程度交付金によって収入を得ていこうということに結局相なるんですか。
  14. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  15. 久保等

    久保等君 業務運営費内容等を若干説明を願いたいと思います。
  16. 板野學

    政府委員板野學君) この業務運営費につきましては、先ほど申し上げましたように、簡保年金特別会計から出されるということになる次第でございまするが、そのうち業務費といたしまして四億六千九百五十万九千円、その内訳役員その他職員給与が二億七千四百六十九万五千円、それから業務に関するいろいろなものの諸費、旅費、賃金、謝金、その他事務費等が一億八千六百七十三万二千円、その他退職手当積立金等が八百八万二千円というような内訳になっておる次第でございます。
  17. 久保等

    久保等君 その今御説明のあった役職員給与関係が二億円余という御説明があったのですが、これは結局衆議院へお出しになった資料の中に書いてある職員の特に配転に伴って給与等の実質的な向上をはかっていくというような計画もおありのようですが、そういったようなものを四月から実施するに十分な経費等も見込まれた総額になるわけですか。
  18. 板野學

    政府委員板野學君) 大体一般公務員の受けるべき俸給額を再計算した場合の平均俸給額の一五%増をするということが基本的な方針でございますが、そういう面につきましては十分経費を盛っている次第でございます。
  19. 久保等

    久保等君 ベース等は、いろいろ客観的な四囲の状況等によっても変わってくると思うのですが、三十七年度の予算としてここに一応計上してあります案なるものは、さらに実行上情勢の変化等予算上まかない切れなくなった場合にはどういうことになるのですか。
  20. 板野學

    政府委員板野學君) そういうときには補正予算を組むわけでございまするが、補正予算を組む前に、その必要があればこの法律規定によりまして一時借入金もできるというようなことになっておる次第でございます。
  21. 久保等

    久保等君 いろいろ現在の福祉施設等についてもお尋ねをしたい点があるのですが、それはまた別途譲るといたしまして、そのうちのほんのちょっと気のついた点だけをお尋ねしたいと思うのですが、今、診療艇——診療するための船ですが、これは一隻お持ちになっているのですが、どういう運営をされておるのですか。
  22. 板野學

    政府委員板野學君) 診療艇高松診療所の所属になっておりまして、瀬戸内海の各島々を回りまして、加入者診療あるいは保健上の相談に当たっておるような次第でございます。
  23. 久保等

    久保等君 診療艇一隻というのですが、日本の場合、特にいろいろ島嶼が多いわけなんですけれども、これは例外中の例外ぐらいじゃないかと思うのですが、そういう島嶼関係診療等について診療艇の建設、建造等についての現在のところ予定はないのですか。
  24. 板野學

    政府委員板野學君) 現在のところさらに別の診療艇を作りまして島嶼の多い方面にこれを回していくということの計画はございませんけれども、来年度の予算等につきましては、その必要度を十分に考慮いたしまして私ども必要性を見てまた予算上計上していきたいというふうに考えている次第でございます。
  25. 久保等

    久保等君 それは来年度予算というと、三十七年度のことですか。
  26. 板野學

    政府委員板野學君) 三十七年度は瀬戸内海に使っております診療艇更改だけでございますが、三十八年度の予算から、その必要性に応じてそういうことも考慮していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  27. 久保等

    久保等君 一隻の船を建造するとどれくらいの経費がかかるものですか。それは一年間運営するとなるとどの程度経費が必要なんですか。
  28. 板野學

    政府委員板野學君) 大体今回の診療艇は三十トンくらいのものを予定しておりまして、トン当たりが大体百万円見当かかるわけでございます。この運営費でございますが、ちょっとここに詳細な資料はございませんので、後ほど調べまして提出いたしたいと思います。
  29. 久保等

    久保等君 現在の診療艇模様等も、資料はお手許にないのですか。
  30. 板野學

    政府委員板野學君) 診療艇のいろいろの詳細な行動等につきましては日誌がございますので、後ほど詳しいことは提出いたしたいと思いますが、この資料の四十四ページのうしろのほうに、地方簡易保険局所管のところに高松というのが出ておりますが、そこに大体の利用状況がございまして、この実施の日数が八十一日それから診療人員が五千四百七十四人ということになっております。その診療等の詳しい内容につきましては日誌等もございますので、御希望がございますれば提出いたしてもよろしゅうございます。
  31. 久保等

    久保等君 そんな業務日誌じゃないのです、私のお聞きしておるのは。先ほど予算に関連してお尋ねしておるように、乗組員あるいは診療従業員、そういったような人員だとかそれから、したがってそれに伴う年間人件費あるいは診療に関連して相当経費を必要とすると思うのですが、そういう年間人件費を含めた経常費、そういったようなことをお尋ねいたしたいと思うのですが、それと、ただいまお話のとおり何か三十トン程度診療艇は建造する御予定があるようにただいまのお話でお伺いするのですが、それとの比較で見た場合、現在の診療艇一体施設なり内容等は相当改善を要するのかどうか。そういったような説明も聞きたいと思うのです。業務日誌とか何とかそういう日誌のほうはどっちでもいいのですが……。
  32. 板野學

    政府委員板野學君) これの運営に要する経費その他につきましては、後ほどひとつ調べまして御返答をいたしたいと思います。  なお、新しく建造いたしまするこの診療艇につきましては、設備その他等につきましてもそれぞれ専門家意見も十分に取り入れまして、さらに便利な利用ができるように十分考えていきたいというふうに思っております。
  33. 久保等

    久保等君 せっかくこういう福祉事業団を作って、この際心機一転してやっていこうというのですから、従来やってきた福祉施設の実際の実施状況診療等実施状況あるいはこれらの利用状況等について、いろいろ検討を加えられておると思うのですが、特に診療所は、これは歴史的に考えても、大正末期ごろから健康相談所みたいなものを郵政省でもって設けられて、その運営に当たってこられたずいぶん長い歴史があるわけなんですが、この診療所診察実施状況という資料等を拝見してみましても、相当全国的にいろいろ利用者が多いようですが、しかし、これも多いというものの、実際簡易保険等に加入しておられる加入者等数字からながめてみますと、これまたきわめて、りょうりょうたる数字だと言ってもいいかと思うんですが、そういうことについて、加入者ができるだけ気軽にこの診療施設等利用できるというような形のものにすることが好ましいということで今日までいろいろ努力をして参られたと思うんですが、こういう診療施設等について、ある程度長期的な計画を持って事業団発足するような画期的なことをお考えになる場合に、一つの目標といいますか、そういうようなものをお立てにはなっておらないのですか、どうなんですか。
  34. 板野學

    政府委員板野學君) 一応昨年度この諸施設の十カ年計画というものを持ちまして、その概要をお示しいたしておる次第でございまするが、この診療所等につきましては、診療所それ自体におきまする利用数が割合少ないんじゃないかというような点もございまするので、できるだけ加入者その他の方にも必要があれば利用していただく、こういう意味におきまして、国民健康保険に加入しておれば、この診療所利用できるというようなことも厚生省当局と打ち合わせまして、そういう方途も考えたい。さらに診療所の増設につきましては、ただいまのところ計画はございませんけれども、今後は巡回診療に一そう力を入れまして、いわゆる医療施設のない農村地帯巡回をいたしまして、そしてそれをひとつ重点に置いて今後やっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  35. 久保等

    久保等君 現在診療自動車を二十七台ぐらいお持ちになっておるような資料がここに出ておるんですが、この自動車なんかは、どういう所にどういう台数配備になっておるんですか。何か資料みたいなものはここに出ておりますか。
  36. 板野學

    政府委員板野學君) 二十七台でございまするが、ことしの予算、三十七年度の予算等におきましても、相当この更改等ができるような予算も取っておる次第でございまして、この資料にはその配備状況は出ておりませんが、大体一カ所に一台ずつぐらいは配置されておる。こういうような次第でございます。
  37. 久保等

    久保等君 一カ所というのは、結局診療所一カ所に一台ずつということですか。
  38. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  39. 久保等

    久保等君 特に私はやはり巡回診療——局長の言われたように、厚生省が当然医療行政を担当しておるんですが、やはり一番日本の今の医療行政の盲点というか、弱点は、僻地における医療施設のないこと、無医村が特に今でも解消し切れないという問題、これは国民保険云々が言われておる今日、なおそれについての見通しというか、完全無医村解消の目途というものが立たない、そういう状況にあるわけなんですが、こういったこと等は、特に簡易保険あるいは郵便年金等に加入しておられる加入者等に対しては、これはもう重点的に特に私はやるべき性格のものじゃないかと思うんですが、自動車二十七台なんというのも、これは全国的に見た場合はものの数ではないと思いますし、それから先ほどの船の問題もそうですが、船も一隻というのも、これもモデル的にやっているという程度の範囲であって、実際島嶼あるいは僻地等加入者ほんとうの健康を、しかも厚生省考えておる医療行政の手の届かない面を特に担当していこうというような配慮が非常に必要なことじゃないかと思うんですがね。そいう点から考えて、巡回診療の一年間延べ受診者十九万八千人程度、ここに資料に出ておるんですが、これも延べおそらく十九万八千人だろうと思うんですが、そうすると、実際に受診をしてその恩恵に浴しておる人となると、さらにその実数はこれよりも下回るのじゃないかと思うんですが、こういうところは、これは私将来の問題として特に重点を置いてやっていくべきだと思うんです。自動車二十七台というのも、これはまことにどうも……。診療所に一台というんですが、これは診療所というものがむしろない所あたりに自動車あたりよけい配置する必要があるんじゃないかと思うんですが、その点も、各診療所にモデル的に置いておるという程度にしか過ぎぬだろうと思うのです。二十七台というと、各一県に一台ほどもない勘定になるものですから……。先ほど十カ年計画をお立てになったというのですけれども、何を十カ年計画の中ではお取り上げになっておるのですか。
  40. 板野學

    政府委員板野學君) 巡回に必要な自動車等につきましては、今まではほとんどその更改というものが予算上認められませんでしたけれども、この事業団に必要な予算の中におきましては、六台の更改を認めておるというような状況でございまして、私ども先生の御意見のとおり、今後はできるだけひとつこの巡回診療重点を置き、したがいまして、この診療自動車をできるだけ増していくという方向にぜひ努力いたしたいと思っております。また診療艇につきましては、今まで十五トンが一隻ございましたけれども、これも今年度の予算案の中には、三十トン、いわゆる倍の大きさのものを認められた。したがいまして、今後さらに島嶼の多いような地域につきましては、逐次こういうものが拡充でき得る見通し等も持っておりますし、私どももできるだけその方向に向かって努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 久保等

    久保等君 ただいまのお話の中に、「コーカイ」というのは、車を新しく取りかえるという意味ですか。
  42. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  43. 久保等

    久保等君 それじゃ台数の面ではちっともふえるわけじゃないし、古くなれば取りかえなければならぬことは当然のことなんで、先ほど言われた十カ年計画をお持ちだとすれば、古くなったものを取りかえるというのは、これは計画の中に入らないので、もう少し全国的にながめて、私は先ほども申し上げたように、無医村あるいは医療施設の非常に貧困な地区には特にこういったことについてよほど重点を置いてやっていくべきだろうと思うし、したがって、車の台数等も、あまりこまかいことを私も知りませんけれども、一県に一台もないというような程度では全然……。むしろ巡回診療そのものも、ほんとう一般大衆というか、加入者等に対しては、この簡易保険に入っておるということのありがたさというものを、やっぱり実際のこういう施設利用してもらうことを通じて、簡易保険というものの使命あるいは性格というふうなものも理解してもらえるだろうと思うのですが、十カ年計画というと、これもひとつ別途何だったら資料をお出し願いたいと思うのだけれども、中身はあまり期待できるようなものではなさそうですが、事業団を作られるというならば、私は内容的なものも当然実のあるものをお考えになるべきだと思う。今までやっておったのを新しい事業団に切りかえていったら非常にやりやすくなるだろうと簡単に言っているけれども、やりやすくなるものは、具体的に施設なり何なりの形で、とにかくこういうように将来の計画としてはやっていくんだと。その新しい計画をやるにしても、従来の機構組織のままではなかなか思うようにいかないのだというようなことの説明がなければ、結局何のことはない、事業団というものを作って高級官僚のはけ口を作るんだという批判もいろいろ私は生まれてくるだろうと思うし、また、そういう批判が当たらないとは言い切れないと思う。しかも、何といいますか、やる仕事がないならば話は別ですが、やる仕事は幾らもあるし、また充実をしていく、拡大をしていくべき分野が非常に多いと思うのです。医療施設問題一つを取り上げてみても、国民保険とか何とかいって非常にはなばなしく最近社会保障制度の問題が取り上げられておるのですけれども、しかし、なかなか全国の無医村あるいは無医地区をなくするというふうなことは、今のところほとんど見通しがないといってもいいぐらいな状態、もちろんその原因にはいろいろあるでしょうが、僻地等に行く医者がないとか何とかという問題も一つあるでしょうが、しかし、そういう問題を何とかやっぱり巡回診療のような形ででも補っていかなければならない。その場合には手ごろな、ちょうど今言う船だとか自動車とかいったものを事業団等を作ってやっていこうという場合には、私は重点的に取り上げるべき重要な施策だと思うのですが、だからそういう点の裏づけがないと、ほんとうに真剣に事業団を作って、この年金あるいはまた簡易保険等に加入しておられる方々のほんとうの福利、福祉を増進していこうという気がまえでいるんだということの理解は、私はやはりできにくいと思う。こういう点は非常に重要な問題ですが、郵政大臣提案者としてどういうふうにその点お考えになっていますか。
  44. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 今の久保さんの御質疑はきわめてごもっともだと思います。私もそう思います。ただ、来年度、昭和三十七年度からそういうような計画が具体的にいくわけには、これはなかなかいかないんじゃないかと思っておりますのは、とにかく一応官営を離れて事業団になる過渡期でありますので、事業団役員等もきまり、事業団というものがみずからの立場において経営していくという、そういう何といいますか、基盤がだんだんにできてきますというと、今、久保さんのおっしゃったように、役所で官営でやっているものよりもよほど幅の広い事業が行なわれるようになる、こう思います。したがって、来年度にそういうことについてのはなばなしい計画はございませんでも、将来は必ずそういうような方向に向かっていく。何しろ事業団というものの基礎が、事業団に移すということをまずきめるのが今の段階でありまして、事業団が熟することによって、所期の目的を達していくようになり得る、こう考えております。
  45. 久保等

    久保等君 大臣の今の御答弁明年度の三十七年度予算だけに限って言うならば、まあ私もある程度了承できるのですが、しかし、やはり福祉事業団を作ろうという真のねらい、そういうものを具体的な計画裏づけによって説明をしようとするならば、郵政省自体がこういう十カ年計画なら十カ年計画を持っているんだ、しかしその十カ年計画を遂行するにしても、現在の組織機構の中ではなかなか思うようにやっていけない可能性も多分にある。そこで実は福祉事業団というようなものを考えたんだという説明になってきて、初めて福祉事業団というものを私は提案する趣旨も生きてくるだろうと思うのですよ。ところが、今の説明だと、何が何でも事業団を作って、それからひとつ将来の問題はいろいろ問題があるが考えてもらうんだというのでは、現実にいまだやはり郵政大臣所管事項として問題があるはずだし、その問題の一つの指摘をすれば、先ほど来申し上げておるような問題が問題としてあるわけだし、それから先ほど局長お話だと、十カ年計画というものを——どういうものか、これは私も拝見してみなけりゃわからないけれども——お持ちになっているようですが、その十カ年計画というものが、今までのただ横すべりというか、そういう程度じゃなくて、やはりほんとう加入者福祉、福利というものを考えてやっていこう、しかもそれが単に役所の繩張り争いとか何とかいう考え方じゃなくして、医療行政なら医療行政厚生省としてやり切れないところ、手の届かない面、そういう点はそれじゃひとつこちらで受け持とうというような協力関係があって初めて日本医療行政にしてもうまくいくと思う。ところが、大体重点を置くところは、どこでも同じような重点を置いておったのでは、それこそ医療法の一部改正で、従来からいろいろ指摘されておるように、大都市はどっちかというとまあまあいろいろ医療機関、医者、そういったものが集中しておるけれども、最も重点を置かなければならない所にはいつまでたっても医者も集まらぬ。集まらぬと言っておりながら、やることを見ていると、逆に都市に集中するようなことばかりを、悪意をもってやっているのじゃないにしても、そういう結果に終わっておると思う。だから、ただいま私が申し上げているように、自動車巡回診療とか船の巡回診療とかいった問題は、採算をあまり考えなくてもやれる機関でやっぱりやっていかなければならぬ問題だと思うのですがね。だから、それには、せっかくこういう福祉事業団というものをお考えになる場合に、当然そういったことの私は意欲というものが具体的な施策の中に現われてしかるべきものじゃないかというふうに思うのですがね。
  46. 板野學

    政府委員板野學君) 三十七年度の福祉施設予算を出します大蔵省とのいろいろな折衝の過程でございまするが、御承知のように現在まだ三十四年から三十六年にかけて予算が成立しておりまして、なお建設中のものがホームが四つございます。また保養センターも二つあるような状況でございまして、大蔵省といたしましても、早くこれを完成させなさいと……。事業団に移行いたしまするというと、これらの施設も能率を上げて、スピード・アップしてどんどんやっていけるようになる。また現在の建設中のものは一応省が建設をして実施するという建前でございますけれども、そういう事情でこの建設資金等につきましては、若干これを抑制をしたというような事情でございまするが、先ほど申し上げましたように診療艇にいたしましても、今まで更改する予算はほとんど毎年要求いたしますけれども認めてくれない。また診療自動車にいたしましても、なかなか予算を認めてもらえなかったというような状況でございましたけれども、三十七年度におきましては、ともかくも診療艇更改を認めてくれる、また、診療自動車も認めてくれる、こういうような状況でございまするので、先生の御意見のとおり、私どもといたしましては、今後こういういわゆる巡回診療ということに重点を置きまして、三十八年度の予算におきましては、相当のひとつ予算を確保いたしまして、御趣旨に沿い得るように十分考えていきたいというふうに存ずる次第でございます。
  47. 久保等

    久保等君 まあ御答弁としては一応抜け目のないような御答弁なんですけれども、中身のないお話なんで、すべてを将来に期待持たせるような御答弁だけなんで、いろいろ突っ込んでお聞きしてみてもあまり内容がないようですから、なんですが、しかし、いずれにしても私はぜひそういったことについては、これは事業団を作ろうが作るまいが、本来そういった点には非常な努力を払ってしかるべき問題だと思うのです。しかし、現在までそういった点について、いわば宣伝材料にはなる程度施設ではあるかもしれないけれどもほんとうにそのことによって医療の一端をになって、特に恵まれない地域の人たちには特別の配慮をひとつしてやっていくのだという、そういう施策が見られないことは非常に残念なんですが、これはぜひ今後の重要施策として取り上げるようにお考えを願いたいと思うのです。もちろん直接やるのはそれも事業団だというようなことじゃなくて、これは郵政大臣がそれこそ監督をし指導せられる問題ですから、特別その点については郵政大臣としては今後とも責任がもちろん残って参るわけでありますし、そういう点についての格別のひとつ御努力と御配意をお願いしたいと思うのです。  それから次に、これはまあ大きな問題じゃないのですけれども役員の任期が三年というふうになっておるのですが、他の事業団あたりはどうなっていますか。
  48. 板野學

    政府委員板野學君) 大体三年のところ、四年のところと、いろいろございまするけれども日本蚕繭事業団あるいは石炭鉱業合理化事業団、また、畜産振興事業団等におきましては、大体三年ということになっております。私どもといたしましては、あまり短くてもやはりこれはもう運営上工合が悪いし、あまり長くなりますと、やはりマンネリズムに陥る可能性もございますので、まあ三年というところが一応適当な任期ではないか、このように考えまして三年といたしておる次第でございます。
  49. 山田節男

    ○山田節男君 ちょっと一、二……。これはもし他の委員の諸君からの御質問で答弁済みでしたら御答弁していただかなくてもよろしゅうございますから、そのおつもりでひとつ御答弁願います。で、第一に、今回こうして簡易生命保険並びに郵便年金加入者福祉施設である保険診療所加入者ホーム保養センター、これをもっと効率を上げて運営するために事業団をお作りになる、この趣旨は非常に私いいと思うのです。いいと思いますが、まず第一にお伺いしたいことは、御承知のように厚生省はもとよりのこと、その他の各省団体におきましても、従来福祉施設としてもかなり施設を持っているわけです。この場合におきましては、この簡易生命保険並びに郵便年金、合わせれば非常に多数の加入者並びに多額な金といいますか、の運営をされる立場にあるわけですから、で、第一そういったようなものが競合するというのじゃなくて、簡易生命保険加入者、それから郵便年金加入者にいたしましても、それぞれの道でこの加入者であるけれども、他の施設をやはり利用するというような資格者がたくさんあるのじゃないかと思うのです。そこで、事業団はこの被保険者あるいは年金加入者だけにこれを利用するという、これは一応の方針はこれは無理もないことだと私は思うのですけれども、たとえば厚生省関係事業団に行く者と、同時にまた、簡易生命保険でもこの施設利用するというダブった面が私は相当あるのじゃないかと思うのです。そういう点から考えますと、この施設を将来加入者だけに限るというこの基準が、私はもう少し、何といいますか、緩和した解釈をとるべきじゃないか、非常に抽象的ですけれども、その点に対してのお気持を、これをひとつお聞かせ願いたい。
  50. 板野學

    政府委員板野學君) 先生のおっしゃいますこともごもっともでございまするので、一応は、まあ非常に現在施設が少のうございますので、多数の加入者に公平に利用さすためには、やはり原則としてはこの加入者ということを優先的に扱うということにいたしておる次第でございまするが、今回の法律の改正によりまして附則の第十二条、十三条をもちまして簡易生命保険法の一部の改正と郵便年金法の一部の改正をいたしまして、加入者利用に支障がなく、かつ、その利益を増進すると認められる場合には、加入者以外の者にも利用させることができる、あるいは加入者の家族とかあるいはどうしてもその親戚の人ということで、一緒に利用しなければ工合が悪いというような場合でございまして、まあ加入者利用に支障がないという場合には、一般の人も利用ができるような改正をいたしておる次第でございます。
  51. 山田節男

    ○山田節男君 今まで政府または郵政省直轄のもとに今日まで経営しておられたこの簡易生命保険のいわゆる被保険者、加入者と、それから郵便年金加入者と、この既設の施設利用者ですね、まあ比較といいますか、パーセンテージがどういったような状況になるか、お伺いしたい。
  52. 板野學

    政府委員板野學君) その詳細な区分は、なかなかできがたいのでございますが、御承知のように加入者ホームの長期の施設につきましては、現在は郵便年金加入者に限ってこれを利用させておったのでございまするが、その他の短期あるいは今度できます保養センター等につきましては、この簡易生命保険加入者も郵便年金の受取人等につきましても利用し得る建前にいたしておるわけでございますが、この長期ホームにつきまして郵便年金の受取人あるいは、継続受取人に限りましたわけは、やはり終戦後の非常なインフレによりまして、この年金加入者が非常な打撃を受けた、これをある程度救済しなければならぬ、こういう気持からこの長期ホームを作ったわけでございますけれども、本来からいたしますれば、やはりこの保険加入者等についてもやはり利用をせしめるというのが妥当かと存じまして、私ども今後のこの規定の改正によりまして、ひとつ簡易生命保険加入者につきましても、長期ホーム利用でき得るようにいたしたいと考えておりますが、その区分は、現在のところ、できがたい状況でございます。
  53. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど久保委員から御質問があったかどうかわかりませんが、今十カ年計画をお持ちになっているわけですが、これを見ますと、十カ年後において「既設」、「建設中」、「今後の計画」といようにお作りになっておりますが、どうも私は一、二の施設を見学させていただいて感じますことは、特に簡易生命保険加入者の数が非常に多いし、しかも農村地帯もかなり含まれているのですから、大体診療所の所在ですね、これはいわゆる国民健康保険あるいは普通の健康保険の被保険者が多いのでありまして、その施設利用し得る。ですから純簡易生命保険加入者あるいは郵便年金加入者施設ということになれば、おのずから、何といいますか、その所在地というものが出てくるのじゃないかと思うのですね、競合しない。そうして今の無医村地帯であるとか、そこに年金あるいは簡易生命保険加入者がないことはないでありましょうが、たとえば少なくとも競合しない範囲において設置する。そうしますと、先ほど私が申し上げたように単に被保険者あるいは郵便年金加入者以外は利用しないのだということになりますと、社会施設が充実すればするほど、そこに競合というものを国家的に見ると、一つの浪費する部面が出てくるのじゃないかということを憂うるから、そういうことを言うのですが、加入者ホームあるいは保養センターというものに、現在週末でもあるいは気候のいいときに数日間滞在して保養しようと思っても、なかなか申し込みが多くて収容し切れないということを聞いている。そういう過去の経験からして、加入者ホーム、そういうものをアパート式にし、それから保養センターというものも大体日本式にやっておられますけれども、これはやっぱり洋式にして、多数、たとえば五百人、多ければ一千人、こういうものを一つの集団的に同時に収容して、しかも非常に保養するとかというような面の充実がかえってできるのじゃないか。そういうことを私がなぜ申し上げるかというと、ソ連の黒海沿岸に各会社単位で保養センターを作っておりますが、非常に膨大な施設をしておるわけです。もちろん工場によれば一千人、一万人あるいは三万人もおりましょうが、非常にりっぱな住宅がある。しかも環境それから施設等が完備して、しかも多数そこへ収容し得る、こういう方針をとっておるわけです。ですから、今までおやりになった経験からしても、できるだけ多数のこういう加入者がその機会を得るためには、今ある施設をもっと膨大にするということが私は必要じゃないかと思うのです。この点に関して何かお考えがあるかどうか。
  54. 板野學

    政府委員板野學君) 診療所につきましては、先ほどもちょっとお答えいたした次第でございますが、健康保険とかあるいは国民保険の被保険者も、事業団になりましてからはこれは診療し得るような方途を講じたいというように考えておるわけでございます。また、この加入者ホーム等でございますが、特に先生のおっしゃいましたように、やはり多数の加入者が公平にこれを利用し得るという建前からいたしましては、やはり長期の場合も必要ではございまするけれども、やはり短期のそういう保養ホームということも必要でございますので、特に今後につきましては、短期のホーム重点を置きまして、しかも予算の許す限り大きな施設を今後作っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  55. 山田節男

    ○山田節男君 次に、この参考資料によりますと、この事業団設立されるについて、政府の出資それから交付金並びに事業収入を入れまして約九億三千万の規模になっておるわけですが、この簡易保険それから郵便年金の契約高、保険金額、両方合わせると莫大な金になるわけですけれども、しかも加入者が両方合わせますと、三十六年現在においても簡易生命保険の件数が四千五百八十五万余件、郵便年金におきまして約百二十万件、ですから、こういう加入者のために御趣旨にあるようなこういう福祉施設を設けるということになれば、十億円というようなことは、これは当初の予算の規模にしても、少し少な過ぎるのではないかと思うのです。ですから、将来施設をどんどんふやせる、十カ年計画があれば……。それからなお、これは郵政大臣の大蔵省に対する政治力の問題もありましょうが、一体この郵便貯金とか、あるいは簡易保険等、政府が財政投融資に使うには、莫大な金を使っておりながら、今日まで郵政関係のことに対してはきわめて零細な金しか使わなかった。今回こういう事業団発足ということになれば、これはあらかじめ一つのワクと申しますか、十カ年計画というもの——とてもこの五億や十億や二十億では私はその需要に応じ切れないのではないかと思います、こういうような非常に謙遜な予算規模では。実際はこれより財産はないのだ、しかし交付金というものが出る。しかしわずか四億四千二百万円しか出していないわけです。そこらあたりが十カ年計画のスケールとして私はあまりこれは小さ過ぎないか。これは私は厚生年金事業団のやっておるのを見ましても、一つの省の仕事ととはいえ、これだけ膨大な加入者保険金額を扱っておる福祉事業団としては、規模がどうもつり合いがとれていないと思うのです。この点は一体どういうようなおつもりなのか。大体この十カ年計画程度で、もうこれ以上事業を拡張しないのだという見通しでこういうスケールの予算というものを最初においてお立てになったのか、この点ひとつお尋ねしたい。
  56. 板野學

    政府委員板野學君) 福祉施設にどのくらいの経費を投じたらいいかということにつきましては、いろいろ検討をいたし、また、他の保険会社等の例をもいろいろ参考にいたしておる次第でございまするけれども、大体民間の生命保険におきましては、剰余金の五%程度はあるいは重役の賞与、あるいはこの保険施設等に使ってもいいというような規定もございます。またニューヨーク州の保険法を見まするというと、収入保険料の一%程度はそういう福祉施設に使ってもよいというような規定もあるわけでございます。元来この剰余金の処分を法律的にいたしまするというと、やはり配当金でこれを加入者に還元をするということが建前でございまするけれども福祉施設は、簡易生命保険の今後の運営なりあるいはこの事業の発展につきまして非常に必要なものでございまするので、この法律規定によって郵政大臣がこれを必要な経費として——いわゆる剰余金の処分としてという意味ではなくして——必要な経費として支出し得るということに相なっておる次第でございまして、私どもも一応そういう観点からいたしまして、その額は大体剰余金の五%程度収入保険料の一%程度を目標にしたらどうであろうかというので、当初の十カ年計画等も考えておる次第でございまするが、先生のおっしゃいましたように、こういう経費はいわゆる剰余金の何ぼということでなしに、あるいは必要な経費として今後どのくらいの規模までこれを拡充したらいいかという点につきましても、十分に検討をいたしていきたいと存じておる次第でございます。  御参考までに当初の予算の要求は、この建設費といわゆる交付金等を合わせまして十九億七千万円を要求いたしたわけでございまするけれども先ほど申し上げましたように、いまだ省において建設中の施設が相当ございますので、三十七年度は一応その施設を早く完成して、そしてさらに今後の施設拡充の方向に向かっていったらどうだろうかというようなこともございまして、一応先ほどお話がございましたような合計で約九億前後のものが予算として出て参ったというような次第でございます。
  57. 山田節男

    ○山田節男君 この法文なり説明を見ますと、今回のこの事業団の主たる事業としては、要するに加入者ホーム診療所、それから保養センター、この三つだけに限って将来事業をなさるという意味ですか。それ以外の事業項目はないというこれは判断のもとにおいてなされておるのですか。
  58. 板野學

    政府委員板野學君) 法案の第十九条の第一号で「診療施設、保養施設その他の施設政令で定めるもの」と、こういうことに相なっておりますもので、このほかのいわゆるふさわしい事業が出ますれば、政令によってこれを指定をするということになっておる次第でございます。
  59. 山田節男

    ○山田節男君 これは一般の民間生命保険会社等におきまして、ことに最近住宅払底の立場から都会地におきましてアパートメントの建設をどんどんやっておるわけですね。住宅問題も明らかにこれは社会福祉事業の一環であるということは申すまでもないことであります。この事業団としても、もっとこの福祉事業ということを範囲を広めれば、当然住宅という方面にも僕は手を伸ばすべきものじゃないか。資金に制限されておるじゃないか、なるほど今日大蔵大臣——まあ郵政大臣も郵便貯金あるいは簡易生命保険年金等につきまして財政投融資に使う場合の審議会の副会長がなんかしておられますが、従来郵政大臣が大蔵大臣に対してかなり強硬に言われても、なかなか大蔵省がうんと言わぬというのが今日までの例だったのですね。ですから、郵政大臣が今後こういうような事業団をお作りになるときにおいては、大蔵省に対してそれだけの幅を持たせる、伸縮性といいますか、やはり郵政省がこういう住宅問題も、あるいはホーム保養センター診療所を、もっと拡充しなければならぬということになれば、郵政大原のそういう意向に対して、大蔵省は従来とは違った、もっと伸縮性を持たせた考えをするという、少なくとも大蔵当局の誓約を大臣はお取りになっているのかどうか。それがないと、やはり従来の郵政大臣対大蔵大臣ということになれば、大蔵大臣のほうが査定をして削ってしまえば仕事はできない。もっと郵政大臣が大蔵大臣に対して、自分の集めた金であるからもう少し私は強くあるべきだと思います。これはこの委員会でもほかの問題で何べんも論議されております。迫水郵政大臣は政治力が強いから、そのくらいのあれを取っておおきにならないと、これもスタートしてしまって、三十八年度の場合にそういう悪い慣例が残ってしまうと、この事業はなかなか伸びないでしょう。結局十カ年計画に盛られておる程度のテンポと規模しかできない。そういうことになると、これだけの多数の簡易生命保険の被保険者を、できるだけひとつこれに基づいて恩恵にあずからそうという趣旨ですが、どうも趣旨が徹底しないんですね。この点の見通しはつけておやりになりませんと、きわめて限られた一種の特殊法人の事業団ということになってしまうだろう。むしろ社会福祉国家の一部の事業という大きな規模をもっておやりになることが必要じゃないかという意味で、私はそういうことを申し上げる。大臣はそういうことを現在大蔵大臣にちゃんと誓約を取っておられるのかどうか。また、ある程度の了解を取っておられるのかどうか。大臣保険局長のお考えなり、現在の状況を御説明願いたいと思います。
  60. 板野學

    政府委員板野學君) 私より、まず事務的に御説明いたしたいと思います。先生のおっしゃいますように加入者の住宅を作るということは、大きく言えば福祉施設一つでございます。したがいまして、私どもは今回の法律の改正によりまして、先ほど申し上げましたように、簡易生命保険法の一部の改正、その第六十八条で今までの被保険者の保健施設ということを改めまして、加入者福祉施設ということに改めているような次第でございます。現在のところ、この住宅方面につきましては、御承知のように、積立金の運用といたしまして住宅公団金融公庫等に相当多額の運用をいたしておる次第でございます。また、民間の生命保険等につきましては、財団法人を置きまして資金を融通しておる例もございますけれども、各契約者が積み立てました資金をこれに充てるわけでございまするので、やはりこの使用関係が固定するという意味におきましても、これは住宅方面にこれを使うのは、この福祉事業団から直接使うのがいいかどうかという面につきましても、いろいろ検討を要する問題がございまするので、今後十分に事務的にそういう方面も検討を続けていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  61. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) この福祉事業団の原資といいますか、もとになるお金というのは、申さば簡易保険事業における経費の一部でございまして、したがって、その積立金を運用する問題とは一応これに無関係だと思います。したがいまして、どの限度まで福祉事業団仕事を拡大していけばいいのか、どういう範囲でやればいいのかということは、これはなかなか研究すべき重大な問題でありまして、要するに、経費の限界として、許される限界内での問題でございます。私もその範囲をどうすればいいかということについて研究をしたいと思いましたけれども、何分にも時間もございませんので、一応現在のところでは、先年一応計画しました十カ年計画の線に沿うて考え、今後逐次研究を進めて、これを拡大していくなら拡大していく、整理するなら整理する、こういう方向に行くようにというので、本年のところまでは、いわゆる十カ年計画の線に沿うて考えたのでありますが、ずっとだんだん将来になった場合に、簡易保険の積立金からその運用の一部として福祉事業団にお金を出して、そうして福祉事業団がそういうものまで経営していくという範囲に、住宅のようなものはおそらくそうしなければならないのじゃないかと思いますが、そういうことが適当であるかどうかということについては、後に検討をしたいと思います。  それで、ただいま山田さんの御質問の大きな要点というのは、積立金の運用について大蔵省が文句を言う、その限度までを経費として使いたいということをわれわれのほうで言ったときに、そんなによけい経費を使うことはいけないと、こう押えるという、二つの点が大蔵省との今後の折衝の問題になるわけでありますが、それはやはりそのときにおける折衝の過程においてきめていかなければならないので、簡易保険の運用それ自身を全部郵政大臣の専管にしてしまう、あるいはその何パーセントまでは郵政大臣の専管にするというようなことは、これはなかなか簡単には話がつかない問題のように思います。具体的の問題について、その年その年、郵政大臣としてはできるだけ自分の考えが実現できるように大蔵省と折衝をして、できるだけ多くの歩どまりを取るように、確保するように努力すべき筋合いのものではないかと、こう思う次第でございます。
  62. 山田節男

    ○山田節男君 これは非常に原始的な質問をするようですけれども、大体こういう事業は赤字を当然として、赤字が当然あるという建前でおやりになるのか、あるいは収支償う程度において、いわゆる利用者が維持費はやはり出すのだという方針か、どっちでおやりになるのですか。
  63. 板野學

    政府委員板野學君) 事業の必要に基づきまして郵政大臣が今までは施設をやっていくという建前でございまするので、当然必要な設備は赤字をもってでも運営をしていくという建前になるわけでございます。
  64. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、これは厚生年金事業団その他いろいろな事業団という特別な特殊法人が最近やたらにできますが、事業運営ということからくれば、これは初めから赤字を覚悟しているのだということになると、これは結局政府にそういう赤字を補てんしてもらうという保証のもとにやるということになると、あるいはこの事業運営というものが、逆にいえば官僚化するということは、やはりこの規模がどんどん拡張できないということになるのじゃないか、私はそういうふうに考えるのですね。だけれども、それでは最初に私が申し上げたように、なるべく普遍的に簡易生命保険あるいは郵便年金加入者に便利に安く、そうして多数の人がその恩典に浴する、利用し得るというふうにすることと、何といいますか両立しないのですね。ですから、やはり事業の積極性といいますか、これをどんどん伸ばしていくならば赤字がふえるということになれば、政府は勢い規模を制限していくだろう。そうでなくて、少なくともペイするというか、利益を得るのじゃなくて、とんとんで行くのだという事業運営でないと、今申し上げたように、住宅問題までにこれを発展させ得るかどうかということ。そういう住宅施設の問題で赤字が出て、政府が金を出すということになると、私は問題があると思うのですね。ですからその根本を、私は今おっしゃったように、損すれば交付金でまかなっていくのだという建前は、この事業団の将来の運営において非常に制限されて、それで不活発になり、悪くいえば官僚的になってしまう、そういう心配を私はするわけですがね、どうでしょうか。
  65. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、これはいわゆる事業の必要なる経費として現在まで支出しておる次第でございまするが、実際は、やはり必要な経費といえどもこの剰余金というものに相当影響があるわけでございます。したがいまして、その経費の幅をどの点に目標を置くかということは、非常に検討しなければならぬ問題でございまして、私ども先ほど申し上げましたように、剰余金の五%の範囲内、またはこの収入保険料の一%の範囲内ということで、あまりいわゆる剰余金処分ということにつきまして、そう影響を与えない程度にやっていくのがいいんではないかということで、一応その範囲内にとどめておるわけでございまするが、なおそういう面につきましては、今後もいろいろ検討をいたして参りたいと思いまするけれども、一応まあ剰余金の処分ということは、法律上これは配当金として配当をするという建前でございまするので、そういう面につきましては、なお検討をいたして参りたいと存ずる次第でございます。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 まあ今の板野局長の御説明ですがね、剰余金の五%がいいか、あるいは一〇%がいいか、問題は、郵便年金あるいは簡易生命保険の財政上の健全性を維持するという意味からの御配慮があっての五%だろうと思いますけれどもね。しかし、一体こういったような加入者のための福祉施設をおやりになる場合に、これは金銭で還元すれば、各個人の加入者当ての、何といいますか、還元される額を、集団的にこういう形で還元されるほうが、加入者にとっては非常に利用価値があるわけですからして、今剰余金の五%ということは、なるほど私はこれは法律でしばられていることは、これは私は知らなかったのですけれども、その点が、私はこの事業団というものを発足されるについては、もっと何といいますかリベラルな考えを置きませんと、もう五%以下しか使えないんだということになりますと、もうそこにワクができてしまって、悪くいえば、この十カ年計画の後においても、現状の二倍半くらいの施設しかふえていないんだと。その間、ほかの方面における社会福祉というものは年々伸びてきている、急テンポに伸びてきている。厚生省のごときは、今日もう国民の憩いの家というものまで各地に作り出している。そういうようになってくると、郵政事業団保険並びに年金の限られた数だといいますけれども、しかしこれだけの件数を扱っている郵政省として、十年後におきましても、せいぜい何ですか百カ所——全部診療所を入れても百カ所くらいしかないという、きわめて規模の制限されたものになってきている。これは社会的な効果を発揮するかどうかということですね。この点を考えますと、これは法律が通って、これで発足されるにしても、将来のプランとしては、何といいますか、もっと大所高所といいますかね、そういう、将来日本全体の社会福祉施設が発展拡充する中においてこれをどうするかという一つ見通しをもって計画立てませんというと、非常に私はこの御趣旨が、いわゆる社会的価値というものが減殺されるんではないかという、そういう憂いがあるから、そういう質問を申し上げたのです。
  67. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほども申し上げましたように、これは法律上五%ということがきまっておるわけではございませんが、民間生命保険におきましては、そういう規定がございますけれども、私どもそういうものを一応参考にいたしたという点でございます。  なお、剰余金につきましては、金銭でこれを配当するわけでございまするけれども、こういう福祉施設といえども、やはり現物配当としての意味先生のおっしゃいましたように非常にございます。また非常に件数も多うございますので、たとえここで十億円施設費として出しましても、一件当たり年に二十二円、月二円程度でございますので、そう大した負担にはならないというふうに考えまするので、今後これは五%でいいのか、あるいは一〇%がいいのかという点につきましても、さらに検討いたしまして、先生のおっしゃいましたような、いわゆる積極的な意味をもちまして、そういう方向に向かって検討をいたしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 最後に、この事業団運営ですが、ここに簡易保険郵便年金福祉事業団組織の案が出ておりますが、こういう体系において運営される場合に、もちろん特定の加入者が長期にわたってこれを利用するのでなくて、短期に多数の人がこれらの診療所あるいは保養センター等を利用するにしても、加入者運営上における発言権、こういうものを持たすのが、私はこういう性質の事業団からいって、運営上必要なんじゃないかと思う。たとえば理事長一名、理事三名、監事一名、こういう理事三名、あるいは監事一名という場合、これに加入者代表という、非常にばく然としておりますが、やはり利用する人のほうの関係者もやはりそれに一名くらい入れておくのが、こういう性格事業団としては、これは運営の民主化といいますか、利用者の立場からの意見もこの運営にいれられるのだというようなことを思考されるのがいいんじゃないかと思うのですが、この点についてはどうですか。
  69. 板野學

    政府委員板野學君) 先生のおっしゃることはまことにごもっともな御意見でございまして、私どもといたしまては、この加入者の代表をもって組織する運営審議会式なものをひとつ設けたいと思って、原案には出しておった次第でありますけれども、審議会をなるべく抑制するというような方針でもございますので、この法律の第六章の雑則の第三十三条に「随時当該加入者の利益を代表すると認められる者の意見を聞く等適切な措置をとるものとする。」というこの根拠規定に基づきまして、事業団の内部規程といたしまして、この運営審議会式なものを設けまして、そうしてこの加入者の代表、あいるいは学識経験者をもってこれを組織たしまして、そうしてそれらの意見を十分にこの運営なり、あるいはその建設等に反映できるような措置を講じていきたい、こういう工合に存じておる次第でございます。   〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
  70. 野上元

    ○野上元君 前回の委員会におきまして、若干質問を残しておきましたので、これから質問を申し上げたいと思いますが、前回の質問によりまして、この事業団を作ってからの発揮される効果についてお聞きしたわけですが、そのとき大体四点ぐらいをあげて答弁されたようであります。第一は、予算上の制約を脱却することができるだろう。それから、会計の明確化を期することができる。それからまた、施設の建設がスムーズにいくだろう、あるいは要員の確保がこれまたスムーズにいくであろう、こういう理由をあげられて、この事業団を作るということを答弁されたのですが、現実の姿は、この法案内容を読んでみますと、予算上の制約を脱却できるかどうかということになりますと、三十五条に、依然として大蔵大臣との協議ということが強くうたわれておるので、あなた方が期待されておるような利点があるかどうか、あるいはまた要員確保の問題についても、これまた年次事業計画、あるいは予算等はすべて郵政大臣認可を必要とするし、かつまた大蔵大臣との協議を必要とするということになると、現在と何ら変わるところはないのじゃないか、こう考えるのですが、郵政大臣はどのようにこれをお考えになっておるか、お聞きしておきたいと思います。
  71. 板野學

    政府委員板野學君) 大臣の御答弁の前に、私からごく事務的に御説明いたしたいと思います。ただいまおっしゃいましたように、ここに相当な協議事項がございます。   〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕  これは他の事業団と大体範囲を同じくいたしておる次第でございますけれども、その協議の内容を見ますると、一つは、郵政大臣認可事項で協議を要する、法の二十条の一にございますような、業務方法書の作成とか変更とかいうような点でございまするが、この場合、業務方法書等は事業団設立の際に作成するものでございますし、変更を要する場合はきわめてまれでございます。それから予算とか事業計画、あるいは資金計画の作成及び変更でございます。これは法の二十二条でございますけれども、この作成につきましても、一会計年度に一回限りということでございまして、年度途中に更改するということはそう多くはないのであります。しかも、予算の移用や流用等につきましては、主務大臣が指定をし、承認を得ればそれができるというような弾力性も持っておるわけでございます。それから法の二十五条にございますような、短期借入金及びその借りかえというようなことも、天災とか地変とか、きわめて限られた場合でございまするので、この協議もそうたいしためんどうなものではない。それから、法の二十八条にございます財産の処分の制限でございますが、これらも一定の面積の土地とか一定の家屋等につきましての制限があるわけでございますが、これもきわめてまれな例でございます。それから次には、郵政省令の事項で協議を要するものが業務方法書の記載事項、財産処分のできる範囲、あるいは財務会計に関する事項等でございまするが、これも事業団成立の際に郵政省令できまりますれば、そう変更はございません。また郵政大臣の承認事項で協議を要するものにつきましては、法の二十三条にございます財産目録、貸借対照表及び損益計算書の作成等でございますが、これもいわば事業団の所管の活動状況の総決算でございますので、まあ年に一回というような性質のものでございます。それから役員給与及び退職手当の支給基準の作成及び変更でございますが、これは法の二十九条でございますが、これも社会情勢の変化に応じてこういうことを行なうということでございますので、そうひんぱんにはないというふうに考えております。また郵政大臣の指定事項で協議を要するものにつきましては、余裕金の運用ができる有価証券の指定、これは法律案の二十七条の一項でございますが、これも一度指定をいたしますというと、そう追加変更はない事項でございます。また余裕金を預金する金融機関の指定等につきましても、郵便貯金または銀行で十分と思われますので、そうこれも協議する事項にはなっておりません。ただ、当初の予算がきまります場合には、これはやはり大蔵大臣とのいろんな折衝がございますので、こういう点につきましては、私どもやはり従前と同じような折衝は行なわなければならぬのでございますが、ここにございますように、従来は郵政特別会計からこれを支出いたしておったのでございますけれども、今後簡易保険、郵便年金特別会計から支出するということになりますれば、相当の剰余金等も持っておりまするので、やはりこの予算を認めます場合には、これはいわゆる余裕を持って認めてもらえるというふうに私ども考えておりまするし、現に今年度のこの予算等につきましても、そういう点が相当現われておるわけでございます。また、定員等につきましてもやはり一般の行政機構の拡大と同列に扱われるという点で、なかなか定員等につきましてもこの承認を得るということがむずかしいのでございまするけれども、そういう事業団になりますると、やはり一般行政機構の拡充ということではございませんので、これらの点につきましても相当容易に要員の面で解決できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  72. 野上元

    ○野上元君 ただいま保険局長が述べられたのですが、郵政大臣はこれをどういうふうにお考えになっていますか。
  73. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 私はこういうふうな一つの緩衝といいますか、直接政府がやるのでなしに、こういう一つの緩衝的な機構が、舞台ができますると、実際上の問題としては、予算の面、予算使用の面及び決算の面で、何といいますか、相当に楽になってくるということ、確かにそういう効果は十分にあると思います。非常に形式的に言いますれば、予算を請求するときには、たとえば交付金予算というものも大蔵省の査定を受けますし、出資金の予算というものも大蔵省の査定を受けますし、同じじゃないかというような議論も、形式的に言えばできないことはありませんけれども、そこのところ、実際問題としては非常にそこにゆとりのある行動ができるということは、これは過去の他のいろいろな事業団の経営についても言えることでございまして、結局全然自由になるかというと、それは決してそういうわけではなくて、相当大蔵省の制約は役所のする仕事であります以上、当然受けなければならないのでありまして、また国会もそういうつもりで御審議になるだろうと思うのでありますが、事実上の問題として、その間のゆとりというものは非常に楽になる。ことに交付金の部分というものは、人件費を除いて移流用というものが相当大幅に自由にできる制度になると私は理解をしておるのでありますが、そういう点からいって、この事業団を作る利益の一つ、すなわち予算のゆとりが出てくる、決算についてもそうぎちぎち言われないで済むという利点というのは非常にあると、こう考えております。
  74. 野上元

    ○野上元君 ただ、私はお聞きしたいのは、この際、事業団を作らなければならぬほど大きな理由はないのじゃないか、利点はないのじゃないか、ここを考えているのです。
  75. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) まあ英語を使って悪いのですけれども、エッセンシャルか、デザイアラブルかということでございます。私はデザイアラブルなことだと思うのでございます。よりよき好ましきこと、こういうことならぜひ実現したい。絶対にこれがなければ困るのだというエッセンシャルな問題ではございません。
  76. 野上元

    ○野上元君 それではお聞きしますが、外国でこういう例があるかどうか、あるいは民間、政府がこういうことをやっておるかどうか、その実例はありますか。
  77. 板野學

    政府委員板野學君) 欧米の諸国におきましては国営でこの簡易保険をやっておるということはきわめてまれでございまするし、また東南アジアにおきましても、パキスタン等数例ございまするけれども、外国の、アメリカ等の例を見ますると、この生命保険医学研究財団のスポンサーとなりまして、国民の主要なる疾患である心臓病あるいは動脈疾患に関する基礎研究の助成をいたしております生命保険会社が多くございます。それで一九六〇年度の資料によりますと、過去十五年間に一千二百六十万ドルの支出をいたしておるわけでございます。特にアメリカとかカナダ等におきましては、そういうような積極的に福祉施設を生かしまして、そうして加入者の利益をはかると同時に事業の健全なる発展に資しておるというような例がございます。
  78. 野上元

    ○野上元君 それは、今あなた方が計画されているような、別に事業団を作って、そこで特定の福祉事業をやるというような方向ではなくして、あるガン研究所のスポンサーになったり、あるいは公共事業に寄付をしたりということであって、今あなた方が考えられているような、事業団を作っておるというような民間の会社なりは、諸外国にそういう例はないと思うんです。私は日本でこれは初めてのものだと思うんです。そういう実例があったらひとつお示し願いたい。
  79. 板野學

    政府委員板野學君) どうも説明が十分でございませんでしたので、恐縮でございますが、たとえばアメリカのメトロポリタン社が一九三四年から四三年の十カ年間におきまして、これは主として日本簡易保険といいますか、その加入者保険施設出資した金額は、毎年平均四百三十万ドル、これも直接にそういう仕事をしております。たとえば訪門看護の施設をいたします、あるいは保険冊子を調製配付いたしておりますとか、あるいは保険とか早期死亡者の予防運動をするとか、あるいは結核撲滅の実地指導をするとかいうようなことをいたしておる次第でございます。また日本におきましても、御承知のように住友生命と日本生命等がそういうようないわゆるこの仕事を、たとえば住友におきましては財団法人社会福祉事業団設立いたしまして、基金として二千五百万円をもってこれに充てておるわけでございまして、簡保の診療所と同じような診療自動車等も持ちまして診療をいたしておるような状況でございます。
  80. 野上元

    ○野上元君 それは何も事業団を作らなくても、今日郵政省が直営でやっておられるので、何ら理由にならないと思うのですよ。なぜ事業団を作らなきゃならぬかという理由が明確にないと、この事業団を作っても意味がないと思うのですよ。諸外国においてはいろいろと福祉施設をやっております。やっておりますが、それは政府みずからがやっておるのであって、あるいはまた生命会社は生命会社が独自でやっておるのであって、生命会社がまた別に事業団を作って、そこでやらしておるんじゃなくて、固有の仕事としてその生命会社がやっておるのであって、今回わが郵政省が独自に事業団を作ってやらなきゃならぬという理由は一体何か、むだではないですか、直営でけっこうじゃないですか。
  81. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 今までも簡易保険でやってきたんですから、どうしても財団法人や事業団を作らなければならないという理由は、先ほど申しましたとおり、エッセンシャルの問題ではない。事業団というものを作るほうがディザイアラブルであるか、より好ましいことであるかというと、私はむしろ好ましいことであると思います。というのは、ただいま民間の保険会社にいたしましても、自分でしないで、保険会社等が別個に社団法人何とか事業団というふうなものを住友なら住友が立てておる。このことからも推しはかられるように、会社が直営しないで別個の社団法人を作って、それに金をやってやらしているというようなところとちょうど同じような趣旨で、そのほうがよりうまくいくからというのでやっているのだ、われわれも事業団を作るほうがよりうまくいくという確信のもとに今度お願いしておるわけです。
  82. 野上元

    ○野上元君 そういう事例がありますか。
  83. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、住友生命におきましては、社団法人の社会福祉事業団設立いたしまして、これを実行して非常に効果を上げておるような次第でございます。
  84. 野上元

    ○野上元君 ほかの会社はどうですか。
  85. 板野學

    政府委員板野學君) たとえば日本、千代田、朝日、第一、大同というようなところで同じくそういうような施設に対しまして金を出してやっておりますけれども、これらは間接的にそういう機関に出しているか、あるいは直接に診療自動車等を作ってやっておるというような状況でございまするけれども、私どもの聞いております範囲内では、住友生命のそういうようなやり方が非常に効果を上げているというふうに聞いておる次第でございます。
  86. 野上元

    ○野上元君 私が持っておる資料によりますと、日本生命、千代田生命、朝日生命、第一生命、住友生命、大同生命とありますが、ほとんど診療自動車を持っておるとか公共機関に寄付しておるとか、あるいはまた消防救出単を寄贈しておるとか、直接別の会社を作ってやらしておるというような行き方じゃなくて、固有の事業として、福祉事業としてやっておるのであって、それは今も郵政省はやっているのじゃないですか。別のものを作るということは、それだけよけい金がかかることじゃないですか。これはだれが考えてもそう思う。だから、大臣はエッセンシャルな問題とディザイアラブルの問題を出されたのですが、ディザイアラブルでもないのじゃないか。今のままでもけっこうじゃないか。無理に経費をかけてこういうものを作る必要はないのじゃないか、こう私は考えるのですがね。
  87. 板野學

    政府委員板野學君) たとえばこの年金福祉事業団というものもございまして、厚生年金等につきましても、そういう政府が直接やるというよりも、やはり事業団を作ってやっておる次第でございます。また失業保険等につきましても、雇用促進事業団というものでそういう仕事をやっております。また、労働災害等につきましては労働福祉事業団というものを作りまして、病院その他の経営に当たらしめておるというのがほとんどの例でございまして、やはりこのほうが国が直接にやるよりも能率的にいけるのじゃないか、いけるという実例を示しておる次第でございます。
  88. 野上元

    ○野上元君 その点は意見の相違のようですから、これ以上突っ込んでみても同じような答弁をされると思うので、私は別の問題でお聞きしたいと思うのですが、若干質問は前後するかもしれませんが、まず、この出されておる法案内容について、二、三質問しておきたいと思うのですが、第四条に、資本金は四億三千八百万円となっておりますが、この四億三千八百万円の内容はどういうふうになっておりますか。
  89. 板野學

    政府委員板野學君) 資料の五十ページにございますように、四億三千八百万円の内容といたしましては、加入者ホームが二億七千三百万円でございまして、九次のホームと第十次のホーム。それから保養センターといたしまして四千万円。それから第三次の保養センターは土地だけでございまして四千万円、それから増改築経費が八千八百三十八万円でございまして、熱海のホーム改築、小樽のホーム暖房室、その他診療艇更改等でございます。その他小新営その他で四千八百六十二万円、合計四億五千万円。そのうち減価償却の引当金の千二百万円を除きますと、四億三千八百万円、こういう工合に相なる次第でございます。
  90. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、ここにある資本金四億三千八百万円というのは、すべて施設の建設費に充てると、こういうわけですか。
  91. 板野學

    政府委員板野學君) 大体施設の建設費に充てられるわけでございます。
  92. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、運用費というのは、どうなるのですか。
  93. 板野學

    政府委員板野學君) 法案の二十六条に「(交付金)」となっておりますが、これは四億四千二百万円が運営費に充てられる次第でございます。
  94. 野上元

    ○野上元君 問題は、その二十六条の交付金が、現状のまま直営でやった場合との差が出るわけですね。現状のまま政府が直営していった場合にはそれだけの金がかからないと思うのですが、どれくらいの差がありますか。
  95. 板野學

    政府委員板野學君) 約四千七百万円ほどの増加になります。内訳は、人件費で三千四百万円でございます。これは一般公務員給与に比しまして一五%のアップになりまするので、それだけの経費を必要といたします。それから物件費といたしまして約千三百万円でございまして、その内訳は、本部の借入料あるいは火災保険料あるいはその他の税金、操業費あるいは諸度調弁費等でございます。
  96. 野上元

    ○野上元君 だから、私が申し上げましたように、仕事内容は全然変らないのですね、にもかかわらず、四千数百万円の金がよけいに出ると思うのです。それが事業団を作る実体の姿じゃないですか。だから私はむだがあるのじゃないかと、こう思うのです。
  97. 板野學

    政府委員板野學君) やはり給与をそれだけ増すことによりまして事業団に参りました従事員も大いに発奮いたしますと同時に、能率を高めることになりまするので、それは決してむだな経費ではないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  98. 野上元

    ○野上元君 しかし、その給与ベースが上がるというのは、いわゆる人件費がよぶんにかかるというのは、職員のベースがアップするということだけではないでしょう。ほかに余分な金もかかるんじゃないですか。
  99. 板野學

    政府委員板野學君) 一応公務員を退職いたしまして、そして事業団に移ります。まあその間、従来の共済組合等から、国民保険組合あるいは厚生年金等に加入するわけでございまして、その間のいろんな経費の差もございまするけれども、大部分はこの給与のベースのアップというものでございます。
  100. 野上元

    ○野上元君 次に移りますが、第八条によりますと、役員の定数が書いてありますが、「理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。」、こうなっておりますが、現実の問題としてこういう数字がはじき出された根拠というのは何ですか。
  101. 板野學

    政府委員板野學君) 大体事業の幅、それから職員の数、それからいろんな事業内容等を勘案いたしまして、なお他の事業団のこれと同等の規模、またこれよりも大きな規模の事業団との権衡等も考えまして、この役員の数をきめた次第でございます。
  102. 野上元

    ○野上元君 しかしここでは理事長一人、これはもう当然のことですが、理事は三人以内となっておりますから、これは三人以内なら何人でもよろしいということでありますから、これは将来のことを考えて四人以内とか五人以内とかいうことができなかったのか。そうして監事は一人でいいのかという問題ですが、監事なんという職責の内容から見て、一人というのはまずいのじゃないでしょうか。たとえば理事長と事業団の利害が相反した場合に、理事長はその事業団を代表することができない、その場合には監事が代表するというようなことが書いてありますが、その場合一人だということになると非常に問題があるのじゃないかというような気がするのだが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  103. 板野學

    政府委員板野學君) 他の事業団の例ということを申し上げましたが、たとえば労働福祉事業団につきましては、資本金が現在百十三億でございます。それから施設の数も三十二、職員の数が四千八百十三名ございます。その場合におきましては、今、理事長一人、理事四人以内、監事二人以内となっております。それから雇用促進事業団につきましては、資本金が七十七億でございます。施設が九十八ございます。職員数が千九百六十名おります。その場合には理事長一人、副理事長一人、理事六人以内、監事二人以内ということになっております。それから監事の点につきましては、確かに先生のおっしゃいますようなこともございまするけれども、この事業団につきましては、今の事業団の規模、それから郵政大臣の監督権限というのも相当強いものがございまするので、その間の経費の監査、事業の監査等につきましても、この監督権限の発動等によりまして、行き違いがないようにできると考えておる次第でございます。
  104. 野上元

    ○野上元君 いや、あなたのほうは法案を出されたのだから、これを一人でも何とかやっていこうと、こういう答弁をされるのですが、本質的な問題として、監事一人というのは、そういう考え方がいいのか悪いのか。
  105. 板野學

    政府委員板野學君) これはやはり事業の経営の幅にもよると思います。やはりその事業がいろいろ出資金なり交付金として使って参ります金額の多寡にもよると思いまするが、とりあえず規模といたしましても、まあ中程度の規模でございますので、監事一人で間に合うのじゃないか、また、この法律先ほど申し上げましたように郵政大臣がこれを監督し、またはこの法案の三十一条と三十二条にございまするように、必要な報告を求めたり、あるいは検査もすることができますので、監事一名をもってしても、この事業のいろいろな監査等につきましても差しつかえないというふうに考えておる次第でございます。
  106. 野上元

    ○野上元君 そのことは、事業内容、質、量ということは、私も一応了解できるのだが、監事の職責から見て、一人というのは何かまずいような気がするのだが、それはほかにそういう事例があるので、あなたのほうはやむなくこれを認めざるを得なかった、こういうことですか。
  107. 板野學

    政府委員板野學君) 大体ほかの事業団につきましても、同等の程度の規模のものにおきましては、監事一名という例でございます。
  108. 野上元

    ○野上元君 先ほど労働福祉事業団の定員をあなたのほうでは発表されましたが、そのようにして将来これが大きくなっていくという考え方に立つならば、今直ちに理事を四人にするとか五人にする必要はないと思いますが、少なくとも将来これを変えなければならぬということであるならば、非常にむずかしいと思うので、むしろこの際に四人以内なら四人以内、あるいは五人以内なら五人以内にして、実際には三人というふうに大蔵省と話し合いをつけるとか、監事は二人以内ということにしておいて一人とするというような了解を求めておくとかということが必要じゃなかったのでしょうか。
  109. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、やはり他の事業団等の模標その他の点から、こういうことに相なった次第でございまして、今後相当の施設の拡充等も予想されまするので、そういう場合におきましては、役員を増すことができるというような一応の考え方につきましては、大蔵当局とも見解を同じくしておる次第でございます。
  110. 野上元

    ○野上元君 それでは、十一条に移りますが、「役員の任期は、三年とする。」となっておりますが、こういう事業団の任期というのは、大体三年が普通ですか。
  111. 板野學

    政府委員板野學君) 四年のところと三年のところがございます。たとえば労働福祉事業団は四年でございます。また、年金福祉事業団、雇用促進事業団は四年でございますが、畜産振興事業団あるいは日本蚕繭事業団、石炭鉱業合理化事業団等が三年になっております。私どもも三年にするか四年にするかということにつきまして、いろいろ検討をいたした次第でございまするが、やはり四年ということになりますと、マンネリズムに陥るというような可能性もございまするので、他の例等も、あるいは今後の仕事運営を能率よくやっていくというような点を勘案いたしまして、三年ということにいたしておる次第でございます。
  112. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) これは打ちあけ話ですけれども、三年がいいか、四年がいいか、私どものところで検討しまして、大体二期は少なくとも継続をしてやることになる可能性が多い。二期やると八年になって、参議院議員の任期よりも長いから、参議院の任期とそろえる程度でいいのじゃないかというような話があって、三年にしたわけです。決して三年にしなければならぬという理屈もなければ、四年でなければならぬという理屈もありませんし、一期ですと、一年の違いですが、二期連続するということになると、二年の違いができて、やっぱり八年というとちょっと長いので、参議院議員でも六年じゃないか、こういうような話が実はあったのです、打ちあけ話を申しますと。
  113. 野上元

    ○野上元君 そのこともわかりますが、初めからこれを二期にするとか、三期にするとかということは、問題があると思うのですね。ですから、そういう点は、あなたのほうではきわめて慎重に取り扱われる必要があると思うのです。まあそのことは言わずもがなのことですが、その点は十分にひとつ慎重に御考慮しておいていただきたいと思います。  それから次は、業務内容に移りますが、第十九条には、第一号に「簡易生命保険法第六十八条第一項及び郵便年金法第四十二条第一項に規定する施設のうち、」というふうになっておりますが、六十八条第一項及び四十二条第一項には、列挙して規定してあるのですか。
  114. 板野學

    政府委員板野學君) 列挙してはございませんで、ただ現在では被保険者の保健施設、あるいはこの郵便年金法におきましては、年金受取人等の福祉施設ということになっておる次第でございますが、実際に現在行なっておりまするこの施設は、たとえば老人ホームにいたしましても診療所にいたしましても、これらの範疇に属するのでございまするもので、ここでは一応現在やっておるものを列挙いたしまして、その他の施設政令でこれを定めていくという方法をとった次第でございます。
  115. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、現実に郵政省福祉施設としてやっておられるもので、今回、事業団に移行するもの以外には、どういうものをやっておられるのですか。
  116. 板野學

    政府委員板野學君) 私どものこの福祉施設の中には、現在やっておりまするものは、いわゆる施設を伴わないものもございます。たとえばラジオ体操あるいは料理講習会というようなものもございますが、こういうものは、加入者を対象といたしますよりも、やはり一般のいわゆる国民を対象とするような、いわるゆPR的な福祉施設でございまするので、これは依然として省が直接行なうということにいたしておるわけでございまして、そのうち、いわゆる施設といいますか、固定的な施設を伴うものを今後事業団に移しまして、これを設置運営せしめることにいたしておるわけでございます。
  117. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、六十八条に基づく福祉施設は、今後は郵政省がやられる分と、事業団でやられる分と、二本立になるのですか。
  118. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  119. 野上元

    ○野上元君 たとえば、何といいますか、巡回診療とかというようなものは、この診療施設の中に入るのですか。
  120. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  121. 野上元

    ○野上元君 次には、第二十五条に移りますが、短期借入金の制度を設けられておりますが、こういうことは実際にはどんどんあるのですか。
  122. 板野學

    政府委員板野學君) 短期借入金を必要とする場合には、あるいは天災地変、その他不慮の事故がある、たとえば盗難があったとか、あるいは不可抗力の事由によりましてその資金に不足を来たしたというような例でございますけれども、他の事業団を調査いたしまするというと、ほとんどこれを必要とするような例はまれなようでございます。
  123. 野上元

    ○野上元君 万一をおもんぱかって一応入れておいたという程度ですか。
  124. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  125. 野上元

    ○野上元君 第二十六条の解釈を願いたいのです。
  126. 板野學

    政府委員板野學君) 「政府は、予算の範囲内において、事業団に対し、第十九条第一号の業務のうち同号に規定する施設運営に要する費用の一部に相当する金額を交付することができる。」こういうことになっておる次第でございまするが、この金額は、まず事業収入というものがございます。それは三十七年度の予算では四千九百五十万円でございますが、この経費を差し引きまして、そうしてこの事業運営に必要な経費が四千二百万円でございます。なお、この十九条の二号には、附帯の業務を行なうことができるということになっておりますが、この附帯業務に必要とする経費は、この交付金からは出さないということになっておりまして、これが「第十九条第一号の業務のうち」、こういうことに相なるわけでございます。
  127. 野上元

    ○野上元君 これには一定のワクがあるのですか。
  128. 板野學

    政府委員板野學君) 事業の規模等によりまして、ある程度のワクがきまってくるわけでございますが、そのワクと申しましても、これは従来は、このまま郵政大臣がこういう施設をやるに必要な経費ということになるわけでございまして、そのワクというものがどういう点であるかということにつきましては、おのずからやっていく卒業の運営の大きさによってきまってくるわけでございます。
  129. 野上元

    ○野上元君 福祉施設に投ずる経費のワクというのは、先ほど、あなたが述べられたように剰余金の約五%、あるいは総収入の約一%というのが一応のめどだと言われておりましたが、その中には運用経費というのは入っていないのですか。
  130. 板野學

    政府委員板野學君) 一応運用経費も含めまして、大体そういう見当をつけておるわけでございます。
  131. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連。今、二十六条の「予算の範囲内」ということを言われておるわけですが、第四条の二項に、「必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、」とあるのですけれども、ここで使っておる四条の予算と、二十六条でいっている予算、これは、前もって、翌年度こういう仕事をやりたいというような予定があって予算を組むというのか、それとも、何か、予算に剰余金が出て、移流用できるその予算の範囲内でというのか、具体的にこれは何をいっておるのですか。
  132. 板野學

    政府委員板野學君) 四条の「予算」というものと、この二十六条の「予算の範囲内において、」というものとは、大体同様でございまして、四条の資本金になるべき予算は、毎年度の予算によってきまっていきますし、その規模と、そうして今までできておりますこの施設の規模、それから将来、郵政省で現に建設中のものが、設置されますものの規模によりまして、この交付金の幅がきまってくるわけでございます。
  133. 永岡光治

    ○永岡光治君 この予算で定めるといいますと、「予算の範囲内」というのは、特に意義があるのですか。
  134. 板野學

    政府委員板野學君) 大体意味は同じでございまして、簡易保険あるいは年金特別会計の歳出予算の範囲内において定めるということに相なるわけでございます。
  135. 永岡光治

    ○永岡光治君 そういたしますと、一応、前年度に来年度の計画予定をして、それで郵政大臣の承認を求めたその予算の範囲と、こういうことですか。
  136. 板野學

    政府委員板野學君) これは、毎年度の予算がきまるわけでございますけれども、やはり欠損をするとか、あるいは繰越金になるとか、いろいろな要素も加わって参りまするわけでございまするので、そういう面を含めまして、全体としては、この四条も二十六条の範囲も、先ほど申し上げました簡保年金特別会計の歳出の予算のワク内においてということに相なるわけでございます。
  137. 永岡光治

    ○永岡光治君 その資本金と関連して、この際お伺いしておきますが、寄付金は、これは受けられるのですか、受けられぬのですか。これは、明示してないということは、どういうことになるのですか。
  138. 板野學

    政府委員板野學君) 現在は寄付金が受けられるようになっておりますが、事業団が成立いたしました暁におきましては、この附則の二十三条にございますように、やはり一定の自治省の承認のもとに、地方公共団体等が寄付をする場合には、承認を得る必要があるということになっておるわけでございます。  そういう場合におきましては、郵政特別会計なり、寄付金を受けることができるわけでございまするので、一応、寄付金を受け入れて、これを事業団出資された場合には、この財産は、簡易保険、郵便年金の財産になっていく、こういうことでございまして、一般からの寄付金は、この附則の第七条で、これが可能であるというふうに考えるわけでございます。
  139. 永岡光治

    ○永岡光治君 七条に寄付ということはないのじゃないですか。
  140. 板野學

    政府委員板野學君) これは七条にございますように、直接の表現はございませんけれども、一応郵政特別会計なりあるいは簡易生命、郵便年金特別会計に一たん寄付いたしまして、それを追加出資することができるというようになっている次第でございます。
  141. 永岡光治

    ○永岡光治君 郵政省に寄付をいたしました場合には、交付金という形式をとるのじゃないのですか。郵政省から事業団に渡される場合。
  142. 板野學

    政府委員板野學君) 運営費につきましては、交付金という形をとるわけでございます。
  143. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや、非常に篤志家がありましてね、ひとつこの事業にぜひ寄付したいという人があった場合に、直接寄付は受けられないのですね。これは事業団には受けられるのですか、受けられないのですか。  今の御説明によりますと、一応受けられないで、郵政会計に入って、それからこの事業団に渡されると、こういうことになると、郵政省が年々つける交付金の中に込められてしまって、本来ならば交付金以外に寄付したいという人があるにもかかわらず、込みで交付金を査定されると、当初予定された、たとえば三十八年にこれだけ交付金をやろうと考えておったのが、寄付金がたとえば一千万円あった。そんなことはないでしょうけれども、かりにあった場合は、その分も含めて、当初二千万円出そうとしたけれども、それに寄付金を入れて、合せて二千万円出して、これだけと、こういうことになるおそれがあるのじゃないですか。
  144. 板野學

    政府委員板野學君) 直接的にも、この事業団の内部規定に、そういう規定を置いて、寄付金を受けられるような方途があるわけでございます。
  145. 永岡光治

    ○永岡光治君 いや私は、なぜここに寄付を受けるということを入れないのだろうかということなんですね。この事業の性質からいって、そういう寄付をどんどん受けていいのじゃないかという気がするわけですけれどもね。それを、他の事業団はどうなっているか、私、知りません。それは普通の規定で、言わずもがなの規定だと、こういうように解釈されているのかどうかですね。
  146. 板野學

    政府委員板野學君) 事業団は、やはり一つの特殊法人でございますもので、そういう内部規定を置きますれば、事業団において、直接に寄付を処理することができる。この法におきましては、これは郵政特別会計なりあるいは簡保特別会計から出資される場合の規定をいたしているわけでございまして、そういう場合におきましては、一たん郵政特別会計なり簡保特別会計なりに受け入れて、寄付を受けて、それから出資をされるということになるわけでございます。
  147. 永岡光治

    ○永岡光治君 どうも理解できないのですが、どうして郵政会計に一応入れなければならないのですか。私は郵政に入れるのは危ない、どういうふうに査定されるかわからないと思うから、直接やりたいのだと言う人からのが受けられぬということはちょっとおかしいのじゃないでしょうか。じかに、どうして受けられないのです。
  148. 板野學

    政府委員板野學君) これは先ほど申し上げましたように、事業団は、一つの独立した法人でございますもので、別に禁止規定はございませんから、寄付の受理能力、直接に受ける能力はあるわけでございます。  ただ地方の公共団体等がこの番付をいたします場合には、この二十三条の規定にございますように、一定の制限もございますもので、そういう場合におきましては、また郵政会計なりあるいは簡保会計なりに受け入れて、そうして出すような場合も想定をいたしているわけでございます。
  149. 永岡光治

    ○永岡光治君 これは、これ以上やりませんけれども、寄付を一応、どうしても郵政会計に入れなければならぬという理由は、私にはわからないのです。あるいはまた、その郵政会計を通じないで受けられるとすれば、何も郵政会計に特に入れなければならぬという——金額的に考えておいでになるのか。これ以上のものは郵政会計に入れるが、これ以上のものは入れないと、そういうようにお考えになっているのですか。
  150. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほど申し上げましたように、この事業団は、独立の能力を持っている事業団で、法人でございまするので、直接的にも受け入れの禁止の規定がないわけでございまするから、これは事業団の内部規定をもって、そういう規定をいたしまして、直接に寄付を受けることができるわけでございまするが、国でなければ、まあ希望しないというような、あるいはそういう地方公共団体なり一般も出てくる可能性もございます。国に一たん寄付したい、そういう場合につきましては、この附則の七条の規定によりまして、一たん郵政特別会計なり簡保会計なりに寄附を受けまして、そこから現物なり出資をするという形がとり得るようになっておるわけでございます。
  151. 永岡光治

    ○永岡光治君 いいです。
  152. 野上元

    ○野上元君 今の問題に関連して、私も気になるので聞くのですけれども、たとえば民間の生命保険会社が、この新たに作られる福祉事業団に寄付をしたいと言って申し出たときに、それは直接、事業団はそれを受けられるのですか。
  153. 板野學

    政府委員板野學君) まあ、そういう場合を想定をいたしますれば、別に受けて悪いという禁止規定をおかない限りは、先ほど申し上げましたように、受け入れることはできる。これはできます。
  154. 野上元

    ○野上元君 それなら、できるということでしょう……。回りくどく、郵政特別会計のほうにまず入れてもらって、そのほうから交付金としてもらうというふうなことで説明しなくても、直接受けることができると、こう言われればいいじゃないですか。
  155. 板野學

    政府委員板野學君) どうも、えらい回りくどいことを言いましたけれども、そのとおりでございます。
  156. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは普通、法人なんかには出資金と寄付金というものは、たいがいあると思うのですけれどもね。寄付金を受けられると書いてもいいじゃないかという気がするのですけども、別に何も禁止規定がないからというふうなことじゃなしに、大いに寄付をそそる、勧誘するという意味において、私は書かれてもいいじゃないかと思うのですけれども、特に設けなかったのは、そういうことは全然予想しなかったのだと、こういうふうにとれるのですけれどもね……。
  157. 板野學

    政府委員板野學君) 私ども事業の健全なる運営にとりましては、そういう寄付が多額にあるということはたいへん好ましいことと存じておる次第でございまして、これは別に、ここにあったから、規定にあるからないからということではなしに、事業が、それを欲しておるわけでございまするので、この事業団は、特別の法人でございまするので、そういうことも、いわばその内部規定でもって、積極的に受けられるような措置を講じさせたいというふうに考えております。
  158. 永岡光治

    ○永岡光治君 ところで、その年度の途中で、今、不慮——不慮と言いましようか、やっぱり不慮でしょうかね——の必要に迫られ、資金が必要な場合には、借り入れ以外に方法はないわけですか。
  159. 板野學

    政府委員板野學君) これは、この補正予算を組まない限り、そういう資金の不足を来たすような場合におきましては、やはり借り入れが必要でございます。  なお、この予備金等もございますので、そういう面でまかない得れば、その必要はないかもしれません。それができない場合には、借入金などでやるということになる次第でございます。
  160. 永岡光治

    ○永岡光治君 十九条までいっていましたかね……。(「いや二十六条で」と呼ぶ者あり)  これと多少関連をしてきますが、十九条の「附帯する業務——どういう業務ですか。予想される附帯業務……。
  161. 板野學

    政府委員板野學君) たとえば売店をそこでやるとか、あるいはその施設の使用に支障のない、一般の方の利用に支障のない——その施設利用いたしまして、たとえばそこで料理講習会を開くとか、あるいはいろいろな会合を催すというようなことも、これはその一つとして、できるように考えております、利用したいと考えております。
  162. 永岡光治

    ○永岡光治君 いろいろな会合というのは、どんなのですか。
  163. 板野學

    政府委員板野學君) たとえばラジオ体操等も、この業務一つになっておりますから、そういうものの会合を、こういう場所を利用してやり得るということにもなるわけでございます。
  164. 永岡光治

    ○永岡光治君 ラジオ体操などは、郵政自体で行なうのじゃないのですか。郵政自体で行なうのと、その他と分けているように思いますけれども
  165. 板野學

    政府委員板野學君) 料理講習会やラジオ体操等は、郵政で直接行なう業務一つでございますので、その会合の実施の打ち合わせとか、その会合を実際に聞きます場合に、まあ温泉もあって便利じゃないかということになりますれば、そこの運営に支障のない限り、その部屋を借りまして、そこで会合するということも、この附帯業務一つになり得るわけでございます。
  166. 野上元

    ○野上元君 先ほど交付金の制限あるいはワクについてお尋ねしましたが、それは明らかに必要なる施設費の中に含まれている、こういう答弁をされたのですが、その点は間違いないでしょうね。
  167. 板野學

    政府委員板野學君) これは全体の予算として、いわゆる四条にございまする出資金、これが大体、出資金に充てられるべきものでございます。それと交付金というのは、この運営経費に充てられる経費でございまして、この三つが、いわゆる簡保特別会計予算として出資されるということになるわけでございます。
  168. 野上元

    ○野上元君 もう一度具体的に聞きますが、いわゆる簡保事業が、福祉施設に投ずる資金のワクというものは、おおよそ剰余金の五%、総収入の一%というのが各国の例でもあり、かつまた、民間の同種の事業のやり方のようですが、その中に、その五%ないしは一%の中に、交付金すなわち運用費は含まれているのかどうか、こういう点ですね。
  169. 板野學

    政府委員板野學君) 含まれております。
  170. 野上元

    ○野上元君 含まれておりますか、それ。
  171. 板野學

    政府委員板野學君) 含まれている——大体含まして、五%というような目標を立てているわけでございます。
  172. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この交付金あるいは施設費というのは、剰余金の五%ということになっておりますから、剰余金がないというときには、どういうふうになりますか。
  173. 板野學

    政府委員板野學君) これは、大体そういう建設費なり運営費のワクをきめまする場合の目安としてやっているわけでございまして、実際の支出の方法といたしましては、事業運営に必要な経費として、いわゆる予算をもって支出するわけでございまするので、剰余金がない場合におきましても、従来のいわゆる既設の施設に対しまする経費は、当然のいわゆる必要な経費として出すわけでございまして、その場合に、新しくさらに、ホームなりあるいはそういう施設を建設するかどうかとり考慮される場合があるということでございます。
  174. 野上元

    ○野上元君 剰余金があれば非常に目安がつきやすいわけですね、剰余金の五%つぎ込めばよろしいということですから、これは非常にやりやすいと思うのですが、剰余金がない場合には、ないものの五%と言っても、それはどうにもなりませんから、その場合には、総収入の約一%が福祉施設に投ぜらるべき金である、資金であるというふうに解釈してよろしいですか。
  175. 板野學

    政府委員板野學君) 先生のおっしゃいますとおり、それも一つの目安でございますので、そういうふうに私ども考えている次第でございます。
  176. 野上元

    ○野上元君 ただ私、気にかかったのは、剰余金の五%というから、剰余金がなかったら福祉事業団は成り立たぬじゃないかという気がしたので、そういう点については、ひとつ後ほど研究を願いたいと思う。  それから次の二十七条の余裕金の運用なんですが、この事業団は、余裕金を生むような事業内容ですか。
  177. 板野學

    政府委員板野學君) 大体、余裕金と申しましても、事業団業務に関して支払い上余裕のある現金と、こういう意味でございまするので、たとえば交付金にいたしましても、あるいは出資金にいたしましても、出資金は、年間一度出す、あるいは交付金は年に四回に分けて出す、こういうことになりまするというと、それが施設におきまして実際に使用されるまでに、相当期間があるわけでございまするので、そういう場合には、あるいは郵便貯金いたしましたり、あるいは銀行等に預け入れまして、それを現場の施設に送金するとか、あるいは現場の施設収入が、そういう余裕金の形をもちまして、この金融機関が利用される、こういう意味合いでございます。
  178. 野上元

    ○野上元君 そうすると、一般の概念でいう余裕金の運用とは若干違うんですね。
  179. 板野學

    政府委員板野學君) いわゆる事業に剰余が生じたとかいうような意味合いのものではございません。先ほど申し上げましたように支払い上余裕のある現金と、こういう意味でございます。
  180. 野上元

    ○野上元君 支払い上余裕のある現金というのは、支払いの時間的ズレのことを言ってるわけですね。
  181. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  182. 野上元

    ○野上元君 それにしては、非常に投資先が大きく出ておるので、この事業団は非常にもうかるのかと思って実はちょっと心配をしたんですがね、そういうことじゃないんですね。
  183. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  184. 永岡光治

    ○永岡光治君 今の条項で関連しますが、「郵政大臣の指定する金融機関」というのは、どういうものを郵政大臣考えておいでになるわけですか。
  185. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) まず何かありゃしないかという程度のことであって、大体これらは例文ですから、そのまま特に異を立てる必要はないと思って書いたわけであります。
  186. 野上元

    ○野上元君 大体、この事業団というのは、余裕金で思い出したんですが、剰余金というのは、生まれる可能性があるんですか。
  187. 板野學

    政府委員板野學君) 非常にうまく能率よくやっていけば、あるいはそういうことも考え得るというふうに思っております。
  188. 野上元

    ○野上元君 現在の状態はどうですか。
  189. 板野學

    政府委員板野學君) 現在は、直接省から出しておりまするので、郵政特別会計の、これはいわゆる黒字の勘定になるとかならぬとかいうような問題でございまするので、この分計の結果が、これはほんとうはただいま申し上げましたように必要なる経費として、特に郵政特別会計から支出いたしておりまするので、実際の、それによりまして、一体利益はどれだけ出たかどうかというようなことは、ただいま経理をいたしておらない次第でございます。
  190. 野上元

    ○野上元君 具体的には、現在の状態はみずからの収入によって経営ができるというような状態ですか。
  191. 板野學

    政府委員板野學君) 現在の状況によりましては、先ほど申し上げましたように、収入といたしましては、約四千九百万円しかございませんので、大部分は必要な経費として簡保年金特別会計から、これをまかなっていくという建前でございます。
  192. 野上元

    ○野上元君 そうすると、これは事業団になっても、その性格は変わりませんね。
  193. 板野學

    政府委員板野學君) 将来、施設が増大していきまして、そうして利用度が増していけば、相当の、ある程度収入の増加はいたしまするけれども、根本的な考え方は、この事業に必要なるいわゆる施設でございまするので、その経費は、いわゆる赤字といいますか、赤字と申しますると語弊がございまするけれども、必要な経費として特別会計から出していく、こういう建前をとるわけでございます。
  194. 久保等

    久保等君 ちょっと関連して。  その施設利用者に対する、何といいますか、利用料金ですね、その利用料金は、どこでおきめになるんですか。
  195. 板野學

    政府委員板野學君) その基本的なものは、いわゆる基準でございますが、そういうものは、郵政省令できめます。しかし個々の施設におきます具体的な料金になりますと、これは事業団できめるということになるわけでございます。
  196. 久保等

    久保等君 そうすると、事業団ができても、利用料金の決定の基準は郵政大臣がきめるという今御説明なんですが、その場合郵政当局としては、その基準は、どういう手続を経て今日はやっておられますか、それから、事業団に移行した場合にはどうなるのか。
  197. 板野學

    政府委員板野學君) ただいまのこの料金の基本につきましては、簡易生命保険及び郵便年金加入者等福祉施設実施規則というものがあるわけでございますが、それによりまして一応基準ができておりまするが、これから、その利用料金の、いわゆる基準につきましての省令一つ作りまして、その省令に基づきまして、事業団で具体的ないわゆる料金をきめていくという形になるわけでございます。
  198. 久保等

    久保等君 その規則を郵政大臣が決定せられるのについて、これは審議会だとか、委員会だとか、そういったようなことでは、一切論議する場はないのですか。
  199. 板野學

    政府委員板野學君) 郵政審議会がございまして、そういう省令等につきましても、郵政審議会の諮問に付するということになる次第でございます。
  200. 久保等

    久保等君 その点、ちょっと私不審な感じがするのは、一般の郵政省令なり、あるいは規則を作る場合に、郵政審議会等で検討せられることはけっこうだと思うのですが、ただ、この利用料金の決定にあたっての料金基準の決定を郵政審議会でやられるという程度では、実際利用者の立場からいった場合に問題があるんじゃないかという気がするのですがね。その点について、特別に矛盾を感じられませんか。
  201. 板野學

    政府委員板野學君) 郵政審議会の構成メンバーにつきましては、ほとんど大部分の人が、この保険にも加入されていることと思いまするし、なおその方面の学識経験者等もございまするので、その基準をきめまするにあたりましては、郵政審議会に諮問すれば、それでいいんではないか、なお、現在郵政省におきましては、簡易保険加入者の会というものがございまして、加入者のいろいろな要望が、この事業運営の上に反映し得るような方途も講じておるわけでございまして、そういう方たちの中には、郵政審議会のほうにも委員としておいでになる方もございまするので、そういう連絡も十分できると考えておる次第でございまするし、また、先ほど説明いたしましたように、運営審議会等も作りまして、十分その加入者の方の意見が、この事業団を通じまして郵政省のほうにも反映できるようにいたすつもりでございます。  なお、具体的のこの利用料金につきましては、いわゆる業務方法書をもちまして、郵政大臣認可を求めるということになっておるわけでございまするが、その基準の決定等につきましては、先ほど申し上げましたように、そういう手続を経まするので、公平を欠くとか、あるいはその不当な料金の基準がきまるということはないというふうに私ども考えておるわけであります。
  202. 久保等

    久保等君 いろいろ御説明があったのですが、先ほどは、基準は郵政審議会でもっておきめになるというお話だったのですが、今の御説明事業団の中に運営審議会を設けるとかいう御答弁もあったのですが、これは郵政審議会とは別個に運営審議会、特に料金決定等の問題を中心にして何か運営審議会を設けられるような御説明だったと思うのですが、そうですか。
  203. 板野學

    政府委員板野學君) これも、法律案の三十三条のこの本文に、「随時当該加入者の利益を代表すると認められる者の意見を聞く等適切な措置をとるものとする。」ということになっておりまするので、事業団の内部規定をもちましても、この運営審議会を設ける。大体の構想といたしましては、その審議会に、いわゆる加入者を代表する者、あるいは学識経験者等十五人の委員をもって、郵政大臣のいわゆる承認をもって、そこに設置されるというような構想を持っておる次第でございます。  その運営審議会につきましては、この事業団の重要なる施策につきまして、逐次そこへ諮問され、その意見郵政省のいろんな施策に反映してくるようにいたすような仕組みに考えておるわけでございます。
  204. 久保等

    久保等君 運営審議会というものは、条文の上に一応出てはおりませんが、私がただいま特にお尋ねしております料金決定の問題、これは加入者にとって重大な問題だと思うんですが、そのことについて、明らかに運営審議会でその問題については、当然取り上げてやるんだ、そしてまた、取り上げて運営審議会で出された結論については、郵政大臣としては、これを十分尊重していくという形で、いわば権威のある、料金決定の問題については、少なくとも運営審議会においての意見を生かしていくということについては、これは明確に、そう理解していいんです。
  205. 板野學

    政府委員板野學君) ぜひ、先生のおっしゃいますような方向で、ひとつ進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  206. 久保等

    久保等君 私、この問題についての関連質問はこれで終わりたいと思うんですが、従来は、いわばお役所仕事というか、そういう経営といいますか、運営状況になっておったと思うのですが、少なくとも、今度事業団という形になるとするならば、料金等の決定、これは私はやはり加入者のあくまでも福祉増進という立場からやっていく施策なんですから、当然それが何かお役所のところで、どういうことを根拠にしてやるか知りませんが、とにかく一方的にきめられるということは、これは私は筋からいってもおかしいと思うし、できるだけ多数の人に、できるだけ厚くこの福祉事業団を通じて恩典を与えていこうということだとすれば、料金なんかの決定の問題は、これは重要な一つの最も具体的な問題だと思うんですよ。しかも、福祉事業団というものは、当然、そこに利潤だとか、あるいは採算というものを中心にして考えていくべき性格のものじゃないと思うんですから、そうだとすれば、当然利用者の立場からする意見というものは、これは十二分に尊重していくべきだと思うんです。  したがって、その点の扱い方の問題については、郵政省の中に設けるのが適当なのか、あるいはこの法文にうたっておるように事業団の中に設けるのか、私はいずれであってもいいと思うんですが、問題は、ぜひひとつ利用者の、利用者といっても、これは日本国民のむしろ大多数を占める人なんですから、ぜひひとつストレートに、そういう人たちの意見が十分に反映をした形で、料金等の決定の問題については格別の御配慮を願ってもらいたいと思うんですがね。先ほど局長お話によると、国民の大多数が入っておられるだけに、郵政審議会のメンバーも、ほとんど何らかの意味加入者だと言われるけれども、これは私は、郵政審議会などというものは、簡易保険あるいは郵便年金福祉施設関係を中心にして作ったものではもちろんないんで、これは郵政行政あるいは郵政事務の全般に通ずる問題ですから、おのずから重点が違うと思うんですよ。だから、もう少し福祉施設そのものの利用についての、特に利益を受ける立場の人たちのなまの声、あるいはなまの意見というものを十分に取り入れてやっていけるような運営にしていくべきじゃないかと思うんです。そうたいしてむずかしい問題じゃないと思うんですがね。また、それを作るから屋上屋だとか何とか、そういう役所の組織を作るというようなほどのことではないと思うんですが、要するに、運営をできるだけ民主的に、また利用者の方々のほんとうの理解と協力と、同時にまた、感謝もされるというような運営をする意味から、その運営審議会というものが作られることにはなっておりますが、私の申し上げておりまするような趣旨が具体的に取り上げられるように、ぜひひとつ、ここ限りの答弁ということじゃなくて、お考えを願いたいと思います。その点いかがですか。
  207. 板野學

    政府委員板野學君) 先生のおっしゃいましたように、省令で定める場合は、ほとんど具体的なものじゃなくて、やはり実費主義でございますので、その実費主義の最低になるようないわゆる基準をきめまして、具体的に条件をどうするかということになりますと、その基準に基づきまして、運営審議会の意見等を聞いて、そうして事業団がきめまして、これを業務方法書に記載をいたしまして、そうして郵政大臣認可を求めるということになりまするので、その具体的の条件のきめ方につきましては、この運営審議会、事業団にございます運営審議会で、十分に加入者意見が取り入れられるように、私どもも指導もいたし、また実際にそうなるように、ぜひ指導いたしていきたいというように考えます。
  208. 久保等

    久保等君 なお念のために、もう一つ。今のお話だと、運営審議会で、いわば具体的に料金をきめる場合には、十分に意見の反映の場があるようですが、問題は、その基準を決定する、郵政大臣の決定をせられる場での問題が一つあると思うのですが、実費主義だと言われても、これも実費主義といっても、いろいろむずかしい限界がこれはあると思うのですよ。したがって、基準だから、あまりそう、何といいますか、郵政大臣のところできめたからといって、不都合ではないとばかり言えない面があるのですよ。だから、基準をきめるにしても、あるいは実費主義できめたんだといってみても、やはりきめ方にも、いろいろ方法があろうと思うのですよ。したがって、運営審議会が単なる具体的な料金を、それぞれの地方機関といいますか、事業団できめる場合だけに十分に意見を尊重するというだけのものならば、ぜひ私は、郵政大臣の基準決定についても、単なる期待をする程度じゃなくて、郵政大臣としては十分に、この加入者意見というものが尊重せられるような方法を何らかの形で考えてもらわないと、今の局長お話だけでは、結局事業団に反映する方法としては、運営審議会というもので十分に意見が表明できるということになるだけで、基準決定については、とにかく郵政大臣の権限としておきめになるということになると、私の先ほど来申し上げておることについて、いささかちょっと、十分に加入者意見が尊重せられるかどうか、危惧の念があると思うのですがね。
  209. 板野學

    政府委員板野學君) まず事務的に御説明申し上げますと、現在の簡易保険加入者の会の会長、副会長さんが、郵政審議会の委員となっておるわけでございまするが、いずれにいたしましても、この会長、副会長さんは、また運営審議会の構成委員にやはりなるというふうに私ども考えておるわけでございまして、その間の、この意見その他が、十分に反映できるような措置は、事務的にそういうような方法で、ひとつ考えていきたいというふうに思っておる次第であります。
  210. 永岡光治

    ○永岡光治君 今、たまたま三十三条に移りましたから、これに関連をして、今出ておられるわけですから、明確にしておきたいと思うのですが、先ほど野上委員のほうの質問に答えた際には、大蔵省との話があって、運営審議会というものを設けられないのだ、こういうように答弁があったので、私は三十三条の審議に入った際にそれを明確にしてもらおうという気持でおったわけですが、ただいまの答弁ですと、これは審議会を作ることになるわけですね。これは、たまたま「随時」と書いてあるのですが、これはひとり利用料金の決定のみならず、この事業団のいろいろな運営について、あるいは利用について、加入者意見を聴くことは非常に大切だと思いますし、そういう意味においても、常時的に運営審議会を作ってなぜ悪いんだろうという気かするのです。審議会が作られることを大蔵省が反対したからといって、はい、そうですかといって、引き下がるようなものではないと思うのです。ぜひこれは作っていただきたいと思います。
  211. 板野學

    政府委員板野學君) 私ども当初は、先生の御意見どおりに考えておった次第でございまするが、政府の方針といたしましても、なるべくこういう審議会は、もうあまり多くは置かない、むしろ整理するというような方向でございまするし、またこの三十三条のこの条文の規定によりまして、事業団の内部規定をもって、この運営審議会をおきました場合にも、十分にその意見が反映し得るというような考え方を持ちましたので、こういう規定にいたした次第でございます。私どもも、たとい事業団の内部規定で、そういう運営審議会ができましても、十分にその意見が反映するということが最も大切でございまするので、そういうような、ひとつ方途を考えたいというふうに思っておる次第でございます。
  212. 永岡光治

    ○永岡光治君 私は、この事業団は、すぐ一年や二年でつぶすという、そういう考えでお作りになっておるのじゃないと思うのですね。長い、長期の観点に立って、これは考えておいでになるのですから、随時に、そのつどその意見を聞くということではなしに、これこそ大蔵省がいかに反対しようとも、今大蔵省あるいは内閣委員会等で問題にされておるのは、くだらぬと言うと語弊がありますけれども、随時的にできるものでもなんでもかんでも審議会という形式で作っていくから、それが困るのじゃないかと、これは組織規定として、明確にすべきものをひとつどんどん整理して、真にその名に値するもののみにしてもらいたいという国会の要望も出ていると思うのですね。  ですから、まあこの審議会に出てくる方に対する手当等の問題が、どの程度事業運営に響くか知りませんけれども、私は常置機関として、ぜひこういうものこそ作るべき筋合いだと思うのですがね。どうですか、だめですかね、これは。
  213. 板野學

    政府委員板野學君) いわゆるこの事業団法案に基づきます常置機関ではございませんけれども事業団の内部規定におきまして、これを常置機関といたしまして、定期的にあるいは必要のつど、会合を求めて意見を求めるということになるわけでございます。
  214. 永岡光治

    ○永岡光治君 そうすると、これは常置機関と理解してよろしゅうございますか。
  215. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) これは、永岡さんの言われるようにするとすっきりするのですけれども、大蔵省はあつものにこりなますを吹いていて、なかなかこういうものをうんと言わぬものですから、それなら裏から、加入者意見を十分に反映しなければならぬという規定を設けて、それを根拠にして常置機関を作ってやろう、こういう考え方で、これは速記閉に残っていいのかどうかわからぬけれども、そういう考え方で実はやっているのですから、常置機関とお考え下さってけこうです。
  216. 野上元

    ○野上元君 ちょっと前後しますが、今三十三条に入ってしまいましたが、私はまた、前に戻りましてお聞きしたいのですが、先ほど保険局長は、この事業経営というものは、やはり郵政省交付金が必要であって、それがなければ、とてもやっていけない、何とか効率的にうまくやればできるかもしれないというようなお話があったのですが、将来規模を大きくすればするほど、援助が必要になるのじゃないですか。
  217. 板野學

    政府委員板野學君) 一応私どもが、十カ年計画立てました場合には、ある年度までは、この運営費というものが、その規模に従ってふえてくるわけでございまするが、半面その収入も、またふえて参りまするので、一定の時期に参りますと、たとえば私どもの一応の計算でございまするが、四十四年度では九億五千万円の交付金を必要といたしておりますけれども、四十五年度には八億二千万円に、少し減ってくるというような考え方をいたしておるわけでございます。
  218. 野上元

    ○野上元君 たまたま今十カ年計画の話が出ましたが、これは郵政省計画立てて、事業団にそれをやらせるのですか、それとも、事業団みずからが計画立てて、郵政省のほうに承認を求めてくるのですか、どちらですか。
  219. 板野學

    政府委員板野學君) 事業計画は、すべてこの事業団立てまして、そして業務方法書等をもって、郵政大臣の承認を受けるという建前になっておるわけでございます。
  220. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、今あなたが発表された十カ年計画によって事業団運営されていくのじゃなくて、それは、あなたのほうの一応の目安であって、事業団ができれば、事業団固有の長期計画立てて、そしてあなたのほうに承認を求めてくる、こういうことになるのですか、それはどちらですか。
  221. 板野學

    政府委員板野學君) そういうことになるわけでございまするが、いずれにいたしましても、その必要とする経費は、簡保あるいは年金特別会計から歳出として出るわけでございまするので、その歳出となり得るようなワク——ワクといいますか、目安を、先ほど申し上げましたような目安を越えて計画立てられるというような場合もあり得ると思いまするけれども、その点は、事務的に始終緊密に連絡をいたしておりますれば、そうそこに大きな開きのできるような計画立てられない、また、私どもそのようなことのないように、十分の連絡をとってやるつもりでございます。
  222. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この各条に見られるように、予算の範囲内においてということがしばしば出ておりますが、この計画も、同様に郵政省計画の範囲内において、事業団はその計画を作ると、こういうことになるのですか。
  223. 板野學

    政府委員板野學君) 事業団といたしましては、やはり事業団独自の計画はもちろん立てるわけでございまするけれども、簡保会計なり年金特別会計のやはり、そういう事業状態というものは、十分に事業団関係の首脳も知っておることと思いまするので、そういうような、あまりかけ離れたような計画は出てこないし、また連絡を緊密にいたしまして、そういう計画が出ない——出ないと言うとおかしゅうございますけれども、そういう計画はまあ計画されないように、十分な緊密な連絡をとるつもりでおる次第でございます。
  224. 野上元

    ○野上元君 では、その次へ移りますが、二十九条によりますと、事業団役員及び職員に対する給与あるいは退職手当の支給基準については、これは郵政大臣の承認を必要とし、かつ大蔵大臣に協議しなければならないと、こうなっておりますが、そんなにむずかしくしばる必要があるのですか。
  225. 板野學

    政府委員板野學君) 大体、これも他の事業団と同じような規定にいたしておるわけでございまするが、非常に給与の面につきましては相当の額にもなりまするし、十分なる、予算その他と非常に重要な関係もございまするので、いずれにいたしましても、これは交付金というものが予算で一応きまってくるということになりまするというと、その給与の支給の基準等につきましても、やはり協議をする必要がある、こういう工合に考えまして、こういう規定を置いておる次第でございます。
  226. 野上元

    ○野上元君 あまり制約が多いので、私は一番冒頭に御質問で申し上げましたように、あまり従来と変わりがなくなるんじゃないかという心配をいたしておるわけです。あらゆる面に大蔵省と——大蔵大臣との協議が必要だというなら、今までとちっとも変わりないじゃないかというような気がしてならぬのですが、その点は心配はいらないのですか。
  227. 板野學

    政府委員板野學君) 先ほども申し上げましたように、これも、そうたびたびあるということでなしに、一度きまりますれば——特に社会、経済の情勢の変化が起こりますればともかくといたしまして、一度やりますれば、そうたびたびあるというようなことでもございませんので、そういうような必要が起こりました場合には、郵政大臣は非常な御決心で大蔵当局と当たられることと期待いたしておりますので、そういう懸念はないと考えておる次第でございます。
  228. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、この事業団が成立すると、職員が当然おるわけですが、その職員給与あるいは退職手当の問題等については、組合があれば組合と団体交渉をやる、こういうことになるのですか。
  229. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  230. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、理事長は、組合の職員給与及び退職手当についてはあらゆる制約を受けて、現実的には権限がないと同じ状態になるのじゃないですか。
  231. 板野學

    政府委員板野學君) 組合と円満なる話し合いの場を設けてやるわけでございまするので、理事長のやはり意見も十分参酌されまするし、また従事員の希望意見等も、その場において十分に考慮されて、そこできまっていくというように考えております。
  232. 野上元

    ○野上元君 たとえば理事長と組合との間に、給与の問題についての団体交渉が行なわれ、いよいよ妥結の段階にくると、理事長はまず郵政大臣の承認を求めに来てから回答しなきゃならぬ。さらにまた、郵政大臣は大蔵大臣と協議をして、この内容を検討して理事長に伝える。こういうことになるということになれば、理事長みずからは、職員給与を決定する権能はないのではないか、こう考えます。その点はいかがですか。
  233. 板野學

    政府委員板野學君) この承認事項になっておりまする部分につきましては、やはり承認を受けなければなりませんし、また郵政大臣が大蔵大臣と協議しなければならぬ事項につきましては、そういうことになるわけでございます。これは郵政省職員等におきましても、やはり同様な例もございまするけれども、また理事長のそういう決定の仕方につきましては、一定の制約があるということは事実でございます。
  234. 野上元

    ○野上元君 労働関係は、どの法律でしばられることになるのですか。
  235. 板野學

    政府委員板野學君) 労働三法が、これは適用されるということになるわけでございます。
  236. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、事業団の中にある組織された組合は、ストライキ権もあるし、そして最終的には中労委のあっせん、仲裁を求めることができる、こういうことになりますか。
  237. 板野學

    政府委員板野學君) そのとおりでございます。
  238. 野上元

    ○野上元君 その場合、理事長に職員給与を決定する権能がないのに、相手にはストライキ権がある、あるいは中労委等が決定を出して見ても、この条文からいくと、実現しないじゃないですか。
  239. 板野學

    政府委員板野學君) 基準の範囲内でございますれば、理事長が決定をすることができるわけでございまするが、もしそういうことで、基準をはみ出るということになりますれば、やはりこれは承認事項になる。また大蔵省との協議も必要といたすわけでございまするけれども、そういう間におきましては、省といたしましても、十分事業団と連絡をとりつつ適正円満なる解決を期し得ることと思っておる次第でございます。
  240. 野上元

    ○野上元君 ちょっとこの質問は意地悪い質問かもしれませんが、事業団職員が、かりに事業団職員としての労働組合を作らないで、全逓に全部加入した場合には、理事長は全逓の委員長と交渉しなければならぬ、こういうことになりますか、
  241. 板野學

    政府委員板野學君) 現在の労働法では、それは非合法といいますか、正当なる組合ということにならぬわけでございまするので、それを相手方として交渉する必要はないというふうに考えております。
  242. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、ILO条約八十七号が批准をされますと、公労法が改正になるわけで、当然そういう今私が申し上げたようなことがあり得るわけですが、その場合には、全逓の組織の中の一員として、全逓委員長に交渉権を委任して、全逓委員長が直接理事長と交渉することになるのだが、そういうことは想定しておりますか。
  243. 板野學

    政府委員板野學君) ILOの第八十七号が批准になりますれば、ただいま先生のおっしゃたとおりに、これを相手として交渉するという義務を生ずるわけでございます。
  244. 野上元

    ○野上元君 その場合に、理事長の権限があまりにもなさ過ぎるのじゃないかというような気がするのですが、その点は大丈夫ですか。
  245. 板野學

    政府委員板野學君) 監督あるいは連絡等を十分にいたしまして、理事長が、そういう場合に迅速に処理し得るように、私どもとしても十分考えていきたいというふうに思います。
  246. 野上元

    ○野上元君 ここでは給与、手当のみが出ておりますが、定員だとか免職だとか採用だとかいう問題については、別段の制約は受けないのですか。
  247. 板野學

    政府委員板野學君) そういうような規定につきましては、事業団の内部規定として、就業規則なりあるいはその他の規定を作ることになっておる次第でございます。
  248. 野上元

    ○野上元君 三十一条以降は、郵政大臣事業団に対する監督が書かれておるわけてすが、特に三十二条には立ち入り検査がうたってあるわけですが、この場合の立ち入り検査というのは、定期的に行なう検査なのか、あるいは不審があった場合の抜き打ちを考えておられるのか、この点を御説明願いたい。
  249. 板野學

    政府委員板野學君) 定期的に考えておりまするのは、施設利用状況一体どうであるかというようなこと、それからホーム等の建設の進捗状況がどうかというようなこと、それから施設の維持の状況、あるいは業務が適正に行なわれているかどうか、あるいは会計事務が良好であるかどうか、あるいは物品の購入あるいは整理が適正に行なわれているかどうかというような点につきましては、これを定期的に行なっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  250. 野上元

    ○野上元君 ここでうたってある、「事業所に立ち入り、業務状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。」というのは、定期的なことをいっているのですか。抜き打ち的にもやれるのだということをうたってあるのですか。
  251. 板野學

    政府委員板野學君) 定期的には、先ほど申し上げましたようなことにつきまして定期的にやりまするけれども、必要によりましては抜き打ちに、そういう立ち入り検査をすることができるのでございます。
  252. 野上元

    ○野上元君 この定期検査は、どなたがおやりになるのですか。
  253. 板野學

    政府委員板野學君) 簡易保険局の従事員または——これは本省におきまする簡易保険局の従事員または地方局の簡易保険関係の機関、または必要によりましては、現場の機関に委任をいたしまして、そういう検査もさせ得ることができるように考えておる次第でございます。
  254. 野上元

    ○野上元君 そうすると、本省郵政局、貯金局、地方貯金局、地方保険局、あるいは郵便局等が、これらの検査をやることがあると、こういうことですか。
  255. 板野學

    政府委員板野學君) まあ本省と地方郵政局、あるいは事柄等によりましては、地方の郵便局等もやることができるような方向にいたしたいというように思っております。
  256. 野上元

    ○野上元君 そうしますと、定期的ではなくして、たとえば老人ホームあるいはその他の施設の料金を不当に高く徴収したり、あるいはまた、その金を不当に使用したりするというような懸念のある場合に、それを検査する場合には、どこでやられるのですか。
  257. 板野學

    政府委員板野學君) 事柄の軽重、その状況等によりまして、場合によっては本省で直接やります場合もございますし、地方の郵政局をしてやらしめるという場合もございますけれども、料金等は、加入者利用者等に非常に重要な関係を持っておるわけでございまするので、なるべくならば、そういう問題々々によりますけれども、そういう問題につきましては、本省なりあるいは地方の郵政局をして行なわしめることが適当である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  258. 野上元

    ○野上元君 そういたしますと、この第三項にある規定は、どういうふうに解釈したらいいのですか。
  259. 板野學

    政府委員板野學君) それは犯罪を捜査するということではない。犯罪を捜査する機関は、また別にあるわけでございまして、これは単に、業務が正しく行なわれているかどうかということを検査するわけでございます。
  260. 野上元

    ○野上元君 正しく業務が行なわれておるというところに、その範囲の中には、あるいは軽微な犯罪も含まれるのではないかというふうに考えるのですがね。
  261. 板野學

    政府委員板野學君) そういう場合におきましては、そういう権限を持っておりまするところに連絡する、こういう建前でございまして、犯罪捜査をこの規定によってやるということは、してはならないというように書いてあるわけであります。
  262. 安部清美

    委員長安部清美君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  263. 安部清美

    委員長安部清美君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日のところは、この程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。    午後四時五十三分散会