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政府委員(板野学君) 御承知のように、現在までは省が直接この診療所施設あるいは加入者ホームというものを運営しておった次第でございますけれ
ども、将来これらを
相当数増設するということが
一般加入者の希望でもございまするし、また
国会等の決議もございます。で、これらの施設を運営いたしますにつきましては、やはりこれを官が直接行ないまするよりも、次のような理由によりましてこの
事業団に運営せしめるほうが非常に
能率的である、というふうに私
どもは考えるわけでございまして、その第一点といたしましては、
予算の機動性といいいますか、その弾力性が生じてくるということでございます。御承知のように
事業団の運営につきましては、現在
財政法あるいは会計法の適用を受けておりまするので、
予算の執行につきましてはどうしてもやはり官営的な弾力性に欠けるうらみがありまするが、第一点といたしましては
予算の移用、流用ということができるということでございまして、この場合に、大蔵大臣のいろいろな
承認もございまするけれ
ども、郵政大臣が指定いたしました
経費の外は、自主的にこれが行ない得るということでございます。また、現在のホームと診療所等につきましては、会計令によりまして、
人件費以外は一回の交付金が約二十万円ということになっておるわけでございますが、大体一カ所に対しまする
経費は年間一千万円ぐらいになりまするので、八十回ぐらい
資金を交付しなきゃならぬというような非常な不便もございます。
それから第二点といたしましては、福祉施設
関係の会計が非常に明確になるということでございます。御承知のように現在は郵政特別会計という会計から、この福祉
事業の運営費なりあるいは施設費というものが出ておるわけでございますが、今回の法の改正によりまして、これらは一切この簡保あるいは年金会計から出るということになりまして、この施設に要する
経費なりいろいろな面の使途並びにその帰属というものがはっきりいたしまして、これは加入者にとっても非常に財産の保全ということにも有効になる次第でございます。
それから三番目には、これは施設建設上の問題でございまするけれ
ども、まあ端的に申し上げますと、現在工事中のものが、
予算が成立いたしましてまだ七カ所残っているわけでございます。これはもちろん郵政省側におきまして、人その他の
手当をしてやるべきであるということもございまするけれ
ども、何せこの郵便局舎なりほかの施設をたくさんかかえておりますると、なかなかこの建設もスムーズにいかないというような点もあるわけでございまするが、
事業団が設立されまする暁におきましては、これらは
事業団の責任においてこれを執行することができまするので、この建設等も非常に早くいくんではないかというふうに考える次第でございます。
それから第四点といたしましては要員の確保上の問題でございますが、これもやはりどうしても
公務員ということになりますると、施設の拡充に要しまする要員もやはり
一般行政の拡大というようなものに同列的に扱われるものですから、なかなかそういう要員
手当の問題も非常に困難を伴うわけでございますけれ
ども、これは
事業団に移しますれば、簡保会計、年金会計からそういう
経費も出る。いわゆる
一般行政の拡大ということになりませんので、要員の獲得が割合容易になる、こういうことでございます。
五点といたしましては、管理面における責任体制という問題でございまするけれ
ども、これももちろん現在郵政大臣が直接に行なっておりまして、その管理が弱いというわけではございませんけれ
ども、もし
事業団ができますれば、
理事長を頂点にいたしまして、そういう管理面におきましても行き届いた運営ができますし、またいわゆる前だれがけのサービスも可能であるというふうに考えている次第でございまして、現在国が行なっておりまする社会保険の実施
機関を見ましても、労災保険につきましては
労働福祉
事業団、失業保険につきましては雇用促進
事業団、国民年金と船員保険あるいは厚生年金につきましては、年金福祉
事業団というものをもちましておのおの運営をいたしている次第でございます。