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1962-03-20 第40回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 三月十七日委員光村甚助君辞任につ き、その補欠として永岡光治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安部 清美君    理事            手島  栄君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            白井  勇君            鈴木 恭一君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            久保  等君            鈴木  強君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 迫水 久常君   政府委員    郵政政務次官  大高  康君    郵政大臣官房長 金沢 平蔵君    郵政省簡易保険    局長      板野  学君    郵政省電波監理    局長      西崎 太郎君   参考人    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会専    務理事     前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会理    事       赤城 正武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○簡易保険郵便年金福祉事業団法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 安部清美

    委員長安部清美君) ただいまより開会いたします。  委員の変更についてお知らせいたします。  三月十七日、光村甚助君が委員を辞任せられまして、その補欠永岡光治君が選任されました。   —————————————
  3. 安部清美

    委員長安部清美君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題といたします。  前回に続いて質疑を行ないます。質疑の通告がございますので、これを許します。野上元君。
  4. 野上元

    野上元君 前回の質問に引き続きまして、まず長期計画に基づく考え方について質問いたしますが、この中には、いわゆる合理化対策というものが非常に強く打ち出されているわけですが、御承知のように、今日合理化に対する労働組合考え方は非常に疑惑的であって、これを進める上において非常に困難を伴っているというのが産業界あるいはその他一般の傾向でありますが、NHKにおきまして、これを策定されるにあたって、あなたのほうと組合と、どういう話し合いが行なわれ、どういう点について問題があり、最終的にはどういう結論を出したかという点について、できるだけ詳細に御説明願いたい。
  5. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 組合との関係につきましては、NHKにおきましては、予算を編成いたしまして、これを正式に提出いたしまする前に、これを組合諮問しなければならないような取りきめに在来になっております。と申しますのは、NHKの内部に管理者組合代表との間における経営協議会というものがございまして、この経営協議会には、これこれのものは諮問をするというような約束になっております。そういうことで、この予算に盛られた各項につきましては、これを全面的に諮問をいたし、組合からもこれに対するいろんな意見も出されて、懇談をいたして、その結果、予算案については異存がない、こういうような順序を踏みまして提出をするわけでございます。その中に、もちろん経営合理化のために、いろいろ機械作業に移し得るものにつきましては、これを機械化していくと、こういうような事項が盛られておるわけでございますが、この点につきましても、もちろんいろいろと意見を申し述べ、また、管理者のほうでもいろいろ説明をいたしまして、この点に対する反対はないような状況でございます。もちろん協会としての機械化作業の基本的な方向は、これによって現状人員整理をやろうということは意図しておりません。協会の今後のいろいろな事務複雑化に備えまして、これを最も合理的に能率を上げることに主点を置いておるわけでございまして、将来、膨大な増員をしなければならない趨勢を、ある程度阻止し得ることにはなろうかと思うのでございますが、現在の人員についての整理はもちろん、また今後におきましても、最小限度における増員は、これは機械化を進めましても、必要なような見通しでございますので、その辺に対する組合としての反対はないようでございます。
  6. 野上元

    野上元君 具体的にお聞きしますが、合理化あるいは機械化が推進されていく過程におきましては、今あなたが答弁されたような面接的な人員削減はないとしても、消極的な人員の節約というものが当然考えられるわけです。でなければ合理化をした意味がないと思うのですが、そういう場合に、残った方々に対して労働の強化がしいられるというような見通しは全くないと判断してよろしいですか。
  7. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) その点に関しましては、労働むしろ軽減をはかることに主点を置いておるわけでございまして、この機械化によって、現状よりも労働過重を来たすというようなことは考えてもおりませんし、そのようなことは現実にも起きてこないというような方向において進めて参りたいと思います。
  8. 野上元

    野上元君 さらに、機械を新しく設備することによって、その職場々々といいますか、パートパートにおいては、人員が確かに要らないような部面が相当出てくると思うのです。その場合は、当然、配置転換というものが行なわれ、あるいはまた職種転換が行なわれるはずなんですが、そういう点についても、組合との間には十分な話し合いを遂げられておるかどうか、この点をさらに質問しておきます。
  9. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 機械化進行過程におきまして、ある一部の面におきましては御指摘のような状態が出ることは、これは予想せられます。そういう場合には、本人の最も向きます方面への職種転換配置転換等が起きて参るわけでございます。特に、加入関係仕事の面につきましては、御指摘のような面が多分に出てくる可能性がございます。そういうような場合につきましては、必要な配置転換は当然に起きて参るわけでございますが、この点に関しましても、組合との間につきましては何らそこに意見の食い違いはございません。
  10. 野上元

    野上元君 特にそれらの点については、組合は、当然重大な関心を払っておるものと常識的に考えられるわけですが、今あなたの御答弁によりますと、経営協議会の中で、それらの点については十分に話し合いをし、労働組合承認を得ておるということでありますので、これ以上私が御質問申し上げるのはどうかと思いますので、その点は、一応この程度にしておきます。  この合理化の目的は、NHKが現時点の事業規模に落ちつくという考え方からの消極的な合理化対策なのか、そうではなくして、発展的な合理化対策をやろうとしておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  11. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在目途としております機械化関係につきましては、ただ単に計算事務等を消極的に移しかえるというようなことではなく、経営全般といたしまして、非常にNHKの機構も全国的に膨大化かつ複雑化しつつあります。これを最も能率的に、全体をすみやかに把握し得るような状況におきまして取り進めて参りたいと考えておりますので、かなり積極性を持っているわけでございますが、これは、あわせてそういうような措置によりまして、能率の向上と経営効率を高めるというような結果が得られますと同時に、事業管理の面におきましても、これを実体的にすみやかに実情を把握して、適切な措置を講ずるというような態勢ができるわけでございます。さらに従業員の諸君につきましては、労働軽減にこそ役立て、かえってこれによって労務過重を来たすことがない。労働の非常な効率周めるというようなことを目途として進めて参っているわけでございます。
  12. 野上元

    野上元君 さらに具体的に御質問申し上げますが、この六カ年計画が順調に進むものとして、最終年度におけるNHKの正式の要員数見通しがあれば、お聞かせ願いたい。
  13. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この計画を推し進めて参りまして、所定の六カ年後の四十二年度末におきまして、おおむねそのころには今の機械化作業を終了いたすわけでございますが、現在の一万三千五百名余の定員は、約一万五千五百から一万六千ぐらいのところまでになろうかと考えております。
  14. 野上元

    野上元君 もしも合理化あるいは機機化が行なわれずに、このままの状態で進むとしますれば、四十二年度末にはどれくらいの人員になる予定ですか。
  15. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ざっと二千五百から三千名は、さらに必要になるのではないかというように考えます。
  16. 野上元

    野上元君 企業経営的に考えまして、二千五百名ないし三千名の人員節減をすることと、合理化機械化に投入する資金総額と、どちらが多いですか。
  17. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 経費的に申しますと、この機械化をいたしまして、かなりレントもその面から見まして高いわけでございますが、全体、総体的に見ますと、機械化によって経費的にも経済化がはかれる。もちろんこの進行過程におきましては、いろいろ人員整理はこれを避けるというようなことでございますので、ある一時期には非常に冗員をかかえるようなことにもなろうかと思います。そういうような直も考えますと、ある時点をとりますと、進行過程では、経費的にはむしろ非常に支出の増大を来たすような現象も起きようかと思いますが、先々の見通しから申しますと、終局的には経費節減にもなり得るというように考えております。
  18. 野上元

    野上元君 そうしますと、四十二年度以降になりますと、その経費節減というのが著しく大きくなってくるというふうに考えてよろしいですか。
  19. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) そのようにお考えいただいてけっこうです。
  20. 野上元

    野上元君 そうしますと、将来NHK従業員に対する待遇改善準備的行為としてこれを考えてもよろしいですか。
  21. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) そのようなことも可能である基盤が得られると思います。
  22. 野上元

    野上元君 そうしますと、経営協議会の中では、そういう面についても十分に話し合いが行なわれておるのかどうか、その点をお聞きします。
  23. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) いろいろこの関係に対するいわゆるプラスの面につきましても、説明もいたしておりますので、組合当局方々もよくこの辺は理解せられ、先々は、非常にそのような、財政的にも経費節減が可能であるという点は、十分に了解をされておるものと思います。
  24. 野上元

    野上元君 あなた方がNHKに所属する職員給与決定する場合の基準というものは、何を基準にされて作られておられるのですか。たとえば、具体的にお聞きしますと、国家公務員対象にするとか、あるいは公共企業体職員対象にするとか、あるいはまた類似産業である民間放送、あるいは新聞その他の通信放送関係事業対象にして、比較検討を加えた上で作っておられるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  25. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 一般的に申しますと、各種の業態状況を勘案をいたすわけでございますが、最後にこれをいろいろしぼって検討いたしまする対象になりますものは、同種産業、こういったような事柄が非常にウエートを持つわけでございまして、いろいろ企業体としての性格は違いますが、他の放送関係ではどのようになっておるか、また新聞関係はどうなっておるかというような点を、放送報道機関といたしまして検討いたしております。今日、非常にその方面とは、まだかなりの見劣りがいたすわけでありますが、と同時に、国家公務員給与ベースアップ状況公社等関係等につきましても、これを重要な参考資料といたして検討し、決定をいたすわけであります。
  26. 野上元

    野上元君 現実に、私ここに若干の資料を持っておるのですが、民放と比べても、NHKの場合は非常に低いように思うのです、ベースが。とりわけ、新聞界比較しますと、非常に劣悪な条件になっておるように思いますが、その点は、NHK当局としては認められておるのですか。
  27. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) おそらくお手元にお持ちの資料と似たようなものだろうと思いますが、私どもといたしましてもそのような比較資料は持っておりますので、今日、それらと比較をいたしますと、かなりまだ下に位しておるということは心得ております。
  28. 野上元

    野上元君 なぜそういうふうに、他の類似産業比較して劣悪であり、それが長年放置されなければならぬのかという点について、協会としては十分な考慮を払われたことがありますか。
  29. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) まあいろいろそういった面に対する検討はいたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、実質的には類似のそのような業態との関係におきまして、現実に、給与のよしあしで優秀な人材がそのほうに流れていくというようなことがございますが、これは何としても阻止をいたして、できるだけ優秀な人材NHKにとどめておくというような配意をいたさなければならないと思いますので、その点から申しますと、そういった現象の起きる対象でありますところにおきましては、そのようなひどい格差のないようなところにすみやかに持っていくことが理想であろうと思いますが、他面には、先ほども申し上げましたとおり、予算をいろいろ国会で御承認を受けるという建前になっておりますNHKといたしましては、そういった面で、公務員ベースアップの率がどうなっておるか、三公社関係はどうなっておるか、これも相当参考にいたさなければなりませんので、すみやかに同種業態ベースにまで到達することは、なかなか時期のかかることでございまして、そういうような面から、現在まだその方面と比しては低位置にあるというような状況になっております。
  30. 野上元

    野上元君 私は先ほどある民放の内情を描いた小説のようなものを読んだのですがね、小説のようなものでありますが、きわめてなかなか突っ込んだ小説でしたが、それを読んでみますと、いわゆる放送に従事している職員スカウト合戦というのは相当熾烈であるということが如実に描かれておったのですが、とりわけこういうベースに大きな開きがあると、ややともするとそういうスカウト合戦をさらに激しくする、火に油を注ぐような状態になるのじゃないかというようなことが心配されるわけですが、その点NHKとしては、特別の手を打っておられるかどうか、お聞きしておきたいと思う。
  31. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) できるだけNHK職員にふさわしい優秀な職員を獲得いたしますことにつきましては、いろいろ毎年の採用期におきまして、特にそのような面でできるだけの努力はいたしております。給与関係につきましても、今申し上げたような現状で、他の放送事業者と比べますと、給与ベースのいわゆる劣勢の面がございます。が、これにはやはりNHKとして、長い伝統の歩みを持っております一つ公共性のきわめて強い立場もございまして、必ずしも給与関係のみが就職決定の全部でもないようでございまして、多少給与は下がっておっても、そういった全国に放送網を持つ大きな組織のNHKに、何としても入りたい、こういう優秀な希望者もございますので、そういった方面については、できるだけ優秀な人材を集めることの配意をいたしておりますし、また、一たん入った後におきましても、できるだけ長くNHKにとどまるようないろいろな措置をいたし、特にそういった面における教育、訓練関係につきましては、昨年の職員制度を大幅に改正いたしまして以来、特に意を用いて参っておるような次第でございます。
  32. 野上元

    野上元君 職員が落ちつく、落ちつかないということは、ベースだけに原因があるのではなくして、その機関の持つ公共性なり、あるいはまた将来性なり、そういうものに強く左右されるということは、私もよく了解できるのですが、ただ、そういうことであぐらをかいていると、優秀な職員を引き抜かれてしまう、そのときになってあわてるというようなことが十分に予想できるので、その点は十分ひとつあなたのほうでは慎重に対処してもらいたいと私は考えるわけです。今ここで具体的に数字をあげますと、NHKのただいまの基準内ベースは三万五百六十九円になっております。平均年令が三二・四才、平均勤続年数が九・〇年ということになっておりますが、たとえば東京放送をとってみますと、基準内賃金が三万七千七百十四円であり、平均年令は三一・五才であり、勤続年数は五・五才、これをまあ一つ換算方法によってベースを割り出してみますと、NHKが三万五百六十九円に対して、東京放送のほうは四万三千七百四十八円ということになります。すると、約二万三千円の開きが出てくる。さらにまた、これを朝日新聞等に比べましても、同様に大きな開きが出てくるということが考えられるのですが、これらの点については、できるだけすみやかに手を打っていかないと、あなたのほうでは将来非常に大きな支障を来たすのじゃないか、こう考えますが、NHKとしてはそういう手段を今後ますます盛んにとられるのかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  33. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) NHKとすれば、もうNHKのやる仕事というものはよき頭脳しかないのでありますから、よき頭脳を確保するということが一番大切な仕事なんでありまして、そのことについては、もうできるだけの処置を講じたいと思いますが、ただいま小野専務からお答えしたような事情もありますし、一どきに民放レベルに達するというようなことは、これはおそらく不可能と思います。一面において、私どもは国民の零細な資金を集めているところでございまして、ただ単に職員給与ばかりを見ておるわけじゃない、いろいろなすべき仕事もたくさんかかえていることでございまして、それらのバランスを勘案して、できるだけ早い機会にそういうふうなレベルに達するように十分努力をいたしたいと思いますが、今すぐどうということは、これはちょっと不可能だろうと思います。その点は御了承願いたいと思います。
  34. 野上元

    野上元君 そのことも私はよくわかります。しかし、よくいわれておることは、アメリカ、ソビエトに比べて日本科学技術者は非常に不遇である、学者は特に不遇であるということがよくいわれております。それが今日日本科学をおくらしめた原因ではないかというようなこともよくいわれるわけですが、幸い阿部会長は、NHKのごとき仕事をするためにはよき頭脳が必要であるということは十分に認識されておるようでありますから、よき頭脳に対する報酬というのはやはり高額でなければならぬ、こういう理屈にもなろうかと思うのです。いい報酬を払わなければよき頭脳が集まってこないというのは今日の世相の中では当然だと考えられまするから、将来そういう点については十分に考慮を願いたいと存じます。  さらにまた、一挙にこの格差を縮めるということは不可能であるということを言われましたか、これもよくわかります。しかし、少なくとも来年はこの格差が縮んでいく、再来年はさらに縮んでいくというふうに、具体的にあなたのほうの努力の跡が出るか出ないかは、ひとつ私のほうで十分に監視をしていきたいと思いますから、そういう点についても考慮をいただきながら、将来の問題に対処してもらいたい、かように実は考えますが、その点についての御意見をいただきたいと思います。
  35. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘の点は、私どももかねがねそのような気持を持って対処して参っておりますので、将来といえども指摘のような趣旨を体しながら、財政の許す限りにおきまして、その範囲内で改善に努めて参りたいと思っております。
  36. 野上元

    野上元君 ただいま私は待遇の問題について基本的な構想についてお聞きしたのですが、三十七年度について具体的に質問いたしますが、この予算の中には、大体人件費の増として一般給与においては十三億四千万円の増となっております。がしかし、その中の八億一千万円は、これは定員の増あるいは定期昇給等によるいわゆる当然増に充てるための予算であって、待遇改善原資としてはわずかに五億三千万円があるにすぎないと思うのですが、これで組合の要求を実現するということが可能であるかどうか。その点をお聞きしたいと思います。
  37. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在御指摘の三十七年度の予算案の中には、基準賃金といたしましては率で七%の改善を見込んでおります。そのほかに手当等につきまして三十六年度までは三五%の手当を出しておったわけでありますが、さらに五%の原資を見込みまして四〇%に予定をいたしております。そういたしますと、おおむねただいま申された金額に近いのでありますが、給与関係予算総額の面では十五億五千万円の増加でございます。そのうち七%のベースアップ所要分が七億二千六百万円、こういうことになりますし、さらに基準外のほうにこれがはね返って参りますので、それが二億千七百万円、手当関係のほうで五%の増も見ましたので、五億三千一百万円の増というようなことになっておるわけでございます。この関係につきましては、先ほど申し上げましたように、予算提出の前には、経営協議会を持っておりまして、その段階でいろいろこのような内容の説明はしてございます。組合としてはもちろんこれにまだ了承は与えておりませんが、この予算を御承認をいただきますと同時に、三十七年度の予算の盛ってあります面につきましていろいろさらに説明を尽くして、この関係円満妥結をはかって参りたい。このように考えます。
  38. 野上元

    野上元君 この前も私同じことを質問したのですが、あなたのほうの給与ベースをきめる場合には、経営協議会できめるのですか。それとも別個に給与だけに関する団体交渉によってきめられるのか。どちらでやられているのですか、慣例として。
  39. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 給与問題をきめますのは団体交渉でございます。
  40. 野上元

    野上元君 そうしますと、この予算をわれわれが承認するということになると、七%のベースアップの方針を国会がこれを承認するということになると、団体交渉に非常に大きな外部からの制約がかかるのではないかと思うが、その点はNHKとしてはどういう工合にお考えですか。
  41. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この関係につきましては、これが御承認をいただきまして初めて交渉に入るわけではございませんで、もう相当以前から交渉に入っております。もちろん私どもの考えております線と、組合の要求しております線では大きな隔たりがございます。しかし協会財政状況をよく詳細に説明をいたしまして、現在管理者として考え得る給与改善の線は三十七年度の財政規模から申しますと、これが最高限度であるという点につきましてもいろいろと説明を尽くしております。まあそういった面につきましては、組合のほうにおいてもよく了解をしておられるようでございます。とはいえ、まだ団体交渉最後妥結は見ておりませんが、今日でもまだ相当隔たりはございますけれども、われわれといたしましては、この案によりまして三十七年度財政規模においてはぜひこれだけでがまんをしてもらいたいというような交渉をやって参りたいと思います。
  42. 野上元

    野上元君 私たちも委員会立場から見た場合に、今日NHK職員給与ベースは幾らが正しいというような結論を出すような機関ではございません、ここは。したがって、そういうことを私としては申し上げているわけじゃなくて、ただ、これを承認することによって、将来団体交渉によってせっかくきめられようとしている出鼻をくじかれてしまう。あなたのほうではこの予算国会を通ったのだから、もはやどうにもならぬ、国会承認したのだ。したがって、団体交渉に応じてもそれは意味がないというようなことをたてにとってやられる心配はないかどうかという点が、われわれとしてはこれを承認するにあたって一つ危惧があるわけなんですけれども、そういう心配はありませんか。
  43. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) もちろん労働組合立場から申しますと、予算できまってこうだということで、もうこれで国会の御承認をいただきましたことによりまして、国会の意思によってもうこの線よりも出られない、もう引き下がらざるを得ないという立場ではないと思います。組合のいろいろその辺に関する団体交渉権もあるわけでございますので、どこまでも予算上では当面ここに盛られた範囲内ではおさまらぬような要求もなし得るわけでございます。それが団体交渉妥結を見ません場合には、しかるべき調停あるいは裁定の方面に問題の解決を依頼する道もあるわけでございますので、決してそれによって高圧的に組合の要求を押えつけるという結果にはならないと思います。私どもといたしましては、三十七年度の財政規模、これを十分に考え、他面には、できるだけ給与改善を最大限度にしようというようなことから、一応七%のベースアップを組んでおるわけでございますので、そのような立場を十分に交渉の席において組合了解してもらって、できれば円満にこの線でおさめたいという意欲は持っておりますが、組合員は決してこの御承認の案によって、もう手も足も出ない、これで引き下がらざるを得ない、こういうようなことに圧力をかける結果にはなるまいと思います。
  44. 野上元

    野上元君 それを聞いて安心しましたが、質問の方向を変えまして、要員関係について一、二質問したいのですが、今日NHKの中に従業員が一万三千五百数名おられる、それはいわゆる会社でいう正社員である、その他臨時工的なものが幾らあるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  45. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘のとおり一万三千五百六十何名でございますか、これは正規な職員でございます。このほかに約千七百名の臨時者がございます。これがNHKの今職員並びにそういった臨時要員としております人的な数の総体でございます。
  46. 野上元

    野上元君 この臨時者の千七百名というのは、これは未来永劫臨時者なのか、性格上そういうことになっておるのか、そうではなくして、新しく入った人は一応このランクに入れて、そうして次の種類にまた移していく、こういう方向をとっておられるのか、その点をお聞きしたいのですが……。
  47. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 千七百名の臨時者の中には、仕事の種類等から申しまして、やはりどこまでも臨時者であるというような筋合いのものがございます。と同時に、この中からある年数を経まして、さらにいろいろな試験等を受けて職員のほうへ身分変えになるというものもあるわけでございます。
  48. 野上元

    野上元君 その数は簡単にわかりませんか。——あとでまた数字をお知らせ願うことにいたしまして、別の問題に移ります。  三十七年度の予算が出たわけですが、この中で取り上げて特筆大書すべき新しい事業計画というのは何ですか。
  49. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 全くここで新規に取り上げております問題、しかもこれがかなり重要な問題でございますが、在来、教育放送面につきましてはいろいろ努力をいたし、年々拡充をいたして参っておるわけでございますが、この一環といたしまして、在来とは少し形式が違いますが、文部省におけるいわゆるこの通信教育関係の拡充の一環といたしまして、学校教育法の一部を改正する法律案が成立を見ておるわけでございます。かねがねそれとの関連において、NHKとしては一段とこういった通信教育の拡充とあわせて特に高等学校程度で正規に学校に通えない方々が、この通信教育によって学校卒業の資格を得られるというような面をぜひ開拓して参りたいということで、三十七年度予算の中には、そういった人のためにNHKが学校法人を設立いたしまして、その学校法人が学校を運営して、通信高等学校の教育方面放送を進めていこうというような案を持っているわけでございます。これが従来なかった、全然新規な事柄でございまして、その他の事項は在来のものを拡充し、あるいは強化するというような内答のものになっております。
  50. 野上元

    野上元君 この通信教育について御質問申し上げますが、その学校はNHK自身が経営されるのですか。
  51. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 学校は、学校教育法に基づきまして、学校法人として独立した団体としてできるわけでございます。ただ、その学校法人を作る場合に、NHKがそれに対して助成、それから将来の経営に対しても助成をしていく考え方でございます。
  52. 野上元

    野上元君 当初設置場所というのは何カ所くらいに予定されているんですか。
  53. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 当面私どもが考えておりますのは、この通信高等学校は、前臨時国会で成立した学校教育法の一部改正に基づく広域通信高等学校でございますので、さしあたって東京に一校だけ置いて参りたいと考えております。
  54. 野上元

    野上元君 当初東京へ一カ所ということは、あるいはわからぬこともないんですが、それでは現実に全国的ネットワークを持っておられるNHKがやられる事業としては、若干片寄ったような気がするんですが、将来これを各都市にほとんど全部拡充強化していくというような計画はおありでしょうか。
  55. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 従来通信高等学校は、大体各府県に一ないし二ございます。私どもが考えておりますのは広域通信高等学校でございまして、したがって、現状ではまず東京に置きたい。同時に、既存の各府県の通信高等学校と協力して参りたいという考え方を持っておりますが、しかし、将来の構想といたしましては、生徒数の増加の帰趨その他辺地教育との関係などを勘案しまして、将来必要な場所にはかようなものを作っていくこともあり得ると考えております。
  56. 野上元

    野上元君 将来あり得るという考え方は、経営的に考えてそういうふうにお考えになっているのか、必要上そうお考えになっているのか、この学校経営をやっていく場合に実際に成り立つかどうか、NHKがうんと手持ちの金を持ち出さなければならぬようになるのじゃないかというような心配もありますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 先ほど私が、将来幾つかのものを作ることもあり得ると申し上げましたのは、これから実行していく高等学校通信講座とも関連して、聴取者の側で非常に不便を感ずるような場合には、やはり番組の普及と開発のために、それに応ずる施設を作らなければいけないという限度でございます。学校の経営自体は、先ほど申し上げましたように、学校法人としての学校自体が行なうわけでございますが、NHK放送法によっても文化の向上あるいは芸能の開発、その他で経営の一環として経営自体に支障を与えない限度の補助助成は従来もやっておりますので、その限度において、将来の財政規模に応じて補助助成を与えることは不可能ではないと考えております。
  58. 野上元

    野上元君 さしむき三十七年度には幾らくらいの助成金を出すのですか。
  59. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御審議をいただいております予算の中では、一億二千万円を計上いたしております。
  60. 野上元

    野上元君 一億二千万円三十七年度に計上しますと、逐年その額は多くなるのですか。それとも三十七年度で一応打ち切るのですか。その点の御計画をお知らせ願いたいと思います。
  61. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 明年度、御審議をいただいている計画の数字は、新しく学校を設置いたしますので、土地の取得、校舎の建築その他の特別の基本的費用が必要でございます。したがって、これは運営助成というよりは基本的な処理をするための経費の一部でございますので、明後年度以降にその基本的な施設のお金がだいぶ変わってくると思います。したがって一億二千万円以上の金が施設の方面に投じられることはないと考えております。
  62. 野上元

    野上元君 施設のほうに投じられることはなくても、その他の費用でかかることはあり得る、こういうふうな御答弁と解釈してよろしいですか。
  63. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  64. 野上元

    野上元君 そうしますと、三十八年度以降になりましては学校に対する助成金は一億二千万円をこえることがある、三十九年度においてもそういうふうになる、こう考えてよろしいですか。
  65. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま御説明申し上げましたように、明年度予算に私どもが計上しております数字は、学校設置そのものと直結するものでございますが、運営費につきましては大体三十八年度、明後年度の運営費は五千一百万円程度と予想いたしております。そして昭和四十二年すなわち第二次六カ年計画最終年度には、学生数その他とも関連を持って参りますが、おおよそ一億二千万程度が六カ年計画最終年度の運営助成費になるかと考えております。
  66. 野上元

    野上元君 そうしますと、四十二年末における学生数及び学校の数をお知らせ願いたい。
  67. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現在のところ学校数は東京一校と考えております。学校の経営につきましては、大体四十二年度の最終年度におきましては、学生の総数は約十万になるものと予想いたしております。三十七年度は基礎的準備をいたしまして、三十八年度の四月から実際授業を開始する予定でおりますが、その第一年度の学生の総数はおおよそ一万程度でないかと予想いたしております。
  68. 野上元

    野上元君 これは学生から授業料的なものを取るのですか。
  69. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 取る予定でおりまして、入学金は一人二百円程度、授業料は年間一千円程度を考えております。
  70. 野上元

    野上元君 そうしますと、経営上から考えてみますと、初年度においては学生数が非常に少ない。したがって建設費はうんとかかるが、運用費は五千一百万円ぐらいで済んでおる。しかし、これからは授業料を取るわけなんですから、その生徒がだんだんふえていけば、あなたのほうから出していく助成費というのは少なくなっていかなければならぬと思うんですが、だんだんふえていくというこの考え方はどういう考え方なんですか。
  71. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これはまだ文部省でもその施行規則を現在検討中でございますが、学生数に応じて学校の規模というものが決定いたされます。したがって、初年度私どもが予想する一万と最終年度に予想する十万との規模が、どの程度の法律的な義務を課せられるか、これによっても運営経費の内容は変動を来たして参ると考えます。それからもう一つは、実際この学校を経営するにあたって、生徒のためにどのくらいのスクーリングをするか、あるいはどの程度の添削教授、指導をするか、それに従って教師の数も変わって参りますし、そういうことを一つの仮定の問題として現在研究しているところでは、先ほど申し上げましたように四十二年度学生数が十万に達した場合には、大よそ一億二千万ほどの助成をしなければならないのではないか、こういうことを想定している次第でございます。
  72. 野上元

    野上元君 そうすると、この学校経営の場合には、学生数は幾らふえても助成金はますますふえていく、こういうふうな学校経営だと了解してよろしいですか。
  73. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 現在、全日制あるいは定時制の高等学校にも通えない方々の総数は全国で二十五万ないし三十万と予想されるわけでございます。したがって、それを基礎にして今後その中の何パーセントがこの通信高等学校で勉強されることになるかというようなことを勘案いたしますと、私どもの計算では、十万以上に達することば当分の間期待できないというような想定も成り立ちますので、したがって、六カ年計画最終年度の最高補助費一億二千万円を将来非常に上回るということは予想できないと考えております。
  74. 野上元

    野上元君 授業料を集めてその金はどういう方面に使うんですか。
  75. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは学校経営の一部として使うわけでございます。
  76. 野上元

    野上元君 そうしますと、学校経営のほうは大体授業料でまかなえるが、講師あるいはその他の費用をNHKが助成していくという、そういう考え方に立っておるのか、それとも学校経営そのものに助成金を出していくという考え方なのか、その点はどういうお考えですか。
  77. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは学校経営そのものに助成金を出していくという考え方でございます。先ほど申し上げましたように、学校経営そのものはNHKが直接行なうものではなくて、学校法人としてNHKの、かりに名づけてNHK通信高等学校というものが行なうわけでございまして、したがって、その授業料、入学金の収入はその学校法人の収入でございまして、それか学校法人を中心として考えますと、それが全体経営の費用の一部となると考えられますが、NHKとしては、それに対して経営を援助するために、先ほどから申し上げたような構想で、あるいは予想される数字で助成をして参りたい、このように考えている次第でございます。
  78. 野上元

    野上元君 これは初めての試みなので、私の頭にもよく学校の形態が浮かんでこないのですが、普通の学校ですと、その学校にみんな生徒が集まってきて、そこで授業を受けるわけですが、この場合、一校といっても、そこへ学生が集まってくるわけではなくて、たくさんの分校のようなものがあって、そこに十万の人がちりぢりに集まって、そこで授業を受けるという形式になるのですか。
  79. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは従来も通信高等学校講座の構想によりまして、文部省の規定でラジオの場合は三〇%のスクーリングを免除されることになっておりますし、教育テレビジョンの場合は五〇%のスクーリングを免除されることになっております。従来はその残りのスクーリングの部分は、先ほど申し上げた全国各都府県にある一ないし二の通信高等学校、これは地域的通信高等学校で、府県単位でありますが、そこで残りのスクーリングをして進学をしていく、こういう形になっておりました。今回NHKが考えましたのは、そのスクーリングのパーセンテージを全国的に、東京で受けるという考え方の生徒のためには、東京で新しく設立される学校法人通信高等学校でスクーリングが受けられるようにすると同時に、各府県に既存する通信高等学校にこの番組を開放するとともに、通信高等学校の各地域の協力も仰ぎたい、このように考えております。
  80. 野上元

    野上元君 そうしますと、先ほど前田専務がお答えになりました最終年度の十万人の学生というのは、全国津々浦々に散らばっておる数だと、こう考えてよろしいですか。
  81. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。
  82. 野上元

    野上元君 この教える内容というのはどういうものなのか、そして教師はどういうふうにされるのか、責任者はどうなるのか、その点の考え方をお聞かせ願いたい。
  83. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 教える教科は普通課程でございます。それにNHKとしては逐次職業課程を加えて参りたい、こういうように考えております。この学校の経営につきましては、私立学校法あるいは教育法に基づきまして、教職の経験を持たなければここの教師にはなれないわけでございます。したがいまして、その有資格者にこの高等学校の先生になっていただくということは当然のことと考えます。ただ、定時制あるいは全日制と異なりまして、修業年限は大体五年程度の日数を要することと考えております。したがいまして、学校法人自体の問題は、事務局を除いては教師の有資格者がその職員とならなければならないわけでございまして、それならば、一体その教科書ないし番組の内容はどうなるかという問題も御質問の中に含まれていると思いますが、教科書につきましては、現在各局等学校がいろいろな形で選んでおる、その形をそのままここに採用することになるのではないかと考えておりますが、番組の編成、作成及び放送につきましては、従来の学校放送と同じように、NHKが今まで持っております各機関、組織を通じて、NHKが主体となって番組の作成及び編成を続けて参る考え方でございます。
  84. 野上元

    野上元君 そうしますと、学校の責任者というのはNHKのどなたかがおやりになる、こう考えてよろしいですか。
  85. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま御説明申し上げましたように、もしNHKの中に適当な有資格者がおれば、まず考えられるのはそういう候補者だと思いますが、おらなければ、やはり部外から御就任願うということになると考えます。
  86. 野上元

    野上元君 小さいことをお聞きするようですが、その場合、単位を認定しなければなりませんね。そういう点はどこでおやりになるのか。あるいはまた試験の答案の添削をやったりするのはどこでおやりになるのですか。
  87. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 単位は文部省の普通課程に従って、文部省の制定しております規則に従って単位が決定されると思います。それからまた、これに対するスクーリングもしくは添削につきましては、新たに設置を予定される学校法人通信局等学校の先生たちがスクーリングないし添削をすることになると思います。
  88. 野上元

    野上元君 この放送を実施されて、実際にどれくらいの学生が具体的にこの授業を受けているかということをつかむというのは、どういうふうにやってつかむのですか。
  89. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) それははっきりと生徒を募集いたします、全国的に。したがいまして、ただいままで学校法人というものと無関係にやっておった通信講座とは非常に変わって参りまして、通信高等学校を中心とする生徒数は、はっきりつかめることになると思います。
  90. 野上元

    野上元君 ただ、その放送を実際に見たり聞いたりしておる実態をつかむというのは非常にむずかしいことだと思うのですが、それはどういう方法でとらえられるのですか。
  91. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは先ほど申し上げましたように、学校法に基づきますと、卒業資格を得るためにはスクーリングを行なわなければならないという規則がございます。したがって、スクーリングに来る方は放送を聞いていることは確実でありますが、その聞き方の実態が単位の最低点を獲得するに適当かどうかということは、スクーリングその他によって、今度は普通学校課程と同じような形で成績が出て参るわけでございます。
  92. 野上元

    野上元君 おおよその構想を御説明いただいたのですが、これを実施するためには、文部省との関係が当然生じると思うのですが、文部省との関係はスムーズにいっておるのですか。
  93. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) スムーズにいっております。基本的には文部省の関係になりますが、同時にNHKが学校法人に助成をするという建前では、NHKの主たる任務は放送でございますから、これと関連してNHKの教育番組を普及させ、さらにこれを開発するための関連事業として当然郵政大臣の認可を必要とする事項であり、郵政大臣の認可をいただいたあとでは、今度は学校設立の問題については東京都内にこれを設立するとすれば、東京都知事のやはり認可を必要とする、こういうことになると思います。ただいままでのところ、この基本構想を予算に盛るまでの段階では、文部省とNHKとの関係はきわめてスムーズにいっております。
  94. 野上元

    野上元君 これを実施するにあたっては、郵政当局は当然タッチされておると思いますが、郵政大臣としてのお考えをお聞きしておきたいと思いますが……。
  95. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) NHKから説明を聞きまして、きわめて適切な考え方だと思いますので、認可をしたいと思います。
  96. 久保等

    ○久保等君 ちょっとそれに関連して。  ただいまの通信高等学校の構想なんですが、これはいつごろ設立をせられ、いつごろから開校の運びになる見通しなんですか、NHKのほうでは。
  97. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 予算の御承認をいただければ、それに基づきまして、今年度中に学校を設立いたします。設立と申しますのは、校舎の建築も終わり、それぞれ法規によって定められた諸施設を完了いたしまして、明年一月ごろから生徒の募集に取りかかり、実際上の教育は昭和三十八年四月一日から行ないたいと考えております。
  98. 久保等

    ○久保等君 そうすると、三十七年度の予算の中には、運営費的な意味の助成金等は含まれていなくて、純然たる施設建設費だけが含まれておるということですか。
  99. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) したがいまして御審議願っております明年度予算、通信高等学校関係総額一億二千万円のうち、一億円が大体建設費でございまして、ただ先ほど申し上げましたように、一月から募集を開始いたしますので、その前に校長を初め職員が全部決定されておらなければなりませんので、そのための運営費として残りの二千万円を充当する方針でございます。
  100. 久保等

    ○久保等君 その学校法人の職員といいますか、人員は、どの程度考えておられるんですか。
  101. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは先ほど申し上げましたように、まだ文部省では関係法規が整っておりませんが、——近く整うようでございますが——この関係法規に基づいて、学校の規模職員の数その他がきまる予定でございます。
  102. 久保等

    ○久保等君 ただいま関係法規という問題があったんですが、新しく立法する必要があるか、あるいは現行法の改正等をやらなければならない問題があるのかないのか、あるいは政令等だけでやり得る問題なのか。これは単にNHKあるいは郵政当局という立場ではなくて、文部省なら文部省という立場をも含めて、政府当局としてそういう措置の必要があるのかないのか、その点ちょっとお伺いしたい。
  103. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 学校法そのものは、先ほど申し上げましたように、前臨時国会において成立いたしておりますが、これを実施するための政令がまだ完成いたしておりません。大体私ども先ほどから申し上げた規模におきましては、従来のいろいろな慣例、あるいは実情を勘案いたしますと、初年分、学校法人の職員の総数は、大体五十三名ぐらいになるという予想をいたしております。
  104. 久保等

    ○久保等君 当初はそういう程度で、一応ほぼ輪郭は理解できるんですが、先ほどのお話だと、四十二年度あたりには十万人程度の生徒数を予想しておられるようですが、そのときの十万人というのは、全国各地に点在しておる生徒数を予想しておるようなお話も先ほどあったんですが、そうなりますると、東京だけに学校を設けるという構想では、ちょっと運営がつきかねるんじゃないかというふうになるんですが、やはり四十二年度十万人という生徒数のころには、通信学校というものは東京だけに一カ所という程度でやっていけるというお見通しなんですか。
  105. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 昭和四十二年度十万人を予想するこの十万人は、各学年を通じての総数が大体十万人という予想でございます。そして、修業年限は、先ほど申し上げましたように大体五ヵ年を想定いたしておりますので、各年ごとの学生の数は、平均して約二万ずつという考え方を持っております。で、最初に野上先生にお答え申し上げましたように、将来はおもな地域に同様の——ただ、規模は違って参りますが——組織を作っていく必要があるのじゃないかということを予想いたしておりますが、当面は、各府県にある通信局等学校に協力をお願いする予定でおります。
  106. 久保等

    ○久保等君 その協力を、特に地方にある通信高等学校あたりの協力を願わなきゃならぬという点なんですが、そういったことについては、法律等での措置は、すでに成立を見た法律で十分に間に合うというお見通しですか。
  107. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございます。そして、従来やはり放送では通信高等学校講座を持っておりましたが、従来はNHKと関連する広域通信筒等学校がございませんので、従来も、各府県の通信高等学校に協力していただいてきております。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 大臣にお尋ねしたいのですが、今の新しい教育放送の学校設置等に関連をして、大臣は、今、非常に適切な措置ですから認可したい、こう言っておりますが、私は、もうちょっと考えてみなければならんのは、まあテレビが発達しましてこういうことになったと思いますけれどもね。国民の教育問題ですから、だからNHKでおやりになることは私はいいと思うのですが、そういった文部省との関係とか、あるいは対政府との関係からしまして、助成金をどういうふうにするのか知りませんけれどもね、おそらく政府は出すというような方針でないようですから、NHKの自前でおやりになるように伺うわけですが、こういう画期的な仕事が、NHK事業の中でテレビの電波の発達に伴って出てくる問題ですから、私はもう少しこれらについて、政府が財政的な援助等も、今の外国放送と同じようにやってやるべきじゃないかという気もするのですけれどもね。その点についての御検討はやらなかったのですか。もしやったとすれば、どういうわけでやめられたのか。
  109. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 通信高等学校に対して政府が補助するということになりますというと、これはNHK経営するというものばかりでなしに、すべての高等学校を対象にして、通信高等学校というものを対象にして考えるべきだと思います。したがいまして、このNHK経営する通信高等学校に対して政府が補助をするということは、他の一般の通信高等学校に対すると同じ立場に立って考えるべきだというものの考え方から、これに対しての政府の補助ということは考えませんでした。
  110. 野上元

    野上元君 この三十七年度予算の中できわめて重要な問題は、というか、新しい問題というのは、今取り上げました通信教育の問題だと思うのですが、その大綱について御説明がありました。しかし、これはまだ現実に軌道に乗っておるわけじゃありませんし、一応の構想をお聞きしたわけですから、やがてこれが現実のレールに乗るかと思います。そのときにまたあらためて御質問申し上げることにいたしまして、次の問題に移りたいと思いますが、この問題と同時に重要な問題は、料金改定の問題であろうと考えます。  で、料金改定の問題については、巷間いろいろ伝えられておりますので、私は特に三十七年度の予算案を審議するばかりではなくして、長期にわたる計画というものをぜひ知りたいということで、特に資料を求めたのでございます。そうしてその資料に基づいていろいろと説明を聞いて、われわれも了解をしたわけなんです。ところが、三十七年度だけの予算一般国民が見た場合には、やはりまだ若干納得できないものがあろうと思うのです。値下げ値下げと言っておるけれども現実には値上げになっておるじゃないか、こういう声が非常に強いわけです。したがって、この問題についてはあなたのほうでは相当慎重に検討を加えて、これが実施されるまでに、国民の皆さん方に料金体系のあり方について十分なPRが必要だと思うのですが、特にNHKとしてとられておるそのPR施策についてお聞きしたいと思います。
  111. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘の面につきましては、在来の例から見ましてきわめて画期的な変更でございますので、それに対して十分に受信者の方々の御理解をいただきますことが、何をおいても必要なことだろうと思います。そういうことで、まだ予算の御承認がございませんので、これをもうきまったやに取り扱っていろいろ方策を進めることはまだ慎んでおります。が、御承認を得ればいろいろとその御理解を得るための措置を講じたいということは、かねがね検討いたして参っておるわけでございますが、一般的には、いろいろこういったことにしなければならない実情、あわせてNHK現状と、将来一体どのような構想で事業を運営していくかといった面も、十分に御理解を得なければならないと思います。在来、昨年の春からそういったような意味合いを兼ねまして、受信者の方々とひざを突き合わして懇談をいたす催しを試みております。これが全国各地で過去すでに七十回ばかり実施をしておるわけでございますが、これは全然ある意識を交えない方法によって受信者の代表に各層から出ていただいて、私どもとかなりの時間をかけて御要望も聞き、御不満も聞き、また私どもの面からも御説明をして参っておるわけでございまして、そういったような方面を通じまして、今後もやはりそのような方法を続けて参りまして、十分この辺の御納得をしていただく努力をいたしたいと思いますし、特に御承認を受けまして四月一日このような変更案を実施いたしますにあたりましては、全般的によくこれを御理解をいただきますために、新聞、雑誌、ポスターその他の関係で、一般的にもこの問題がわかりやすく御理解をいただけるような措置を下して参りたいと思います。それと、いずれにいたしましても、受信者各位個々にわたりましていろいろとそういった一般的な新聞紙上における解説とかいうようなことだけでは足らないのでございますので、ちょうど各受信者の御家庭には集金人が年に数回参るわけでございますので、そういうような面で特に受信者の方々に接します集金の諸君に対しましても、よくその辺のところを頭に入れるように努力をいたしておりますが、そういったことで、今回の改正の趣旨等につきましても、口頭をもっても十分に御説明を申し上げるように、かたがたわかりやすい表現で会長名の文書も添えまして、いろいろこの辺の変更の理由に対しまして十分御納得のいけるような説明を尽くして参りたいと思います。
  112. 野上元

    野上元君 この問題はNHKにとってはきわめて重要な問題だと思いますから、細心の注意を払って、十分検討を加えた上に、徹底的にひとつ実施して、国民の疑惑の一掃をはかってもらいたいと思います。  次に、農村に対する特別な普及対策というものを考えておられますか。たとえば、共同テレビ聴取施設の拡充というようなことは考えておられますか。
  113. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 農村方面に対しましても、結局は、もとは、テレビがよく見える、ラジオがよく聞こえると、こういう状態になりますことが基本であろうと思います。そういうことで、置局計画あるいはパワーの増大化等にも努力をいたしておるわけでございますが、そのような措置のみでは一気に問題を解決するわけに参りませんので、その地元においていろいろ共同に全体的な視聴の状況がよくなるような施設を作られますいわゆるテレビの共同受信施設でございますが、この関係につきましても、積極的にこれが普及いたしますように努力をいたしておるわけでございまして、一昨年度あたりから本格的にそういった助成を強化いたして今日に至っておるわけでありますが、現在そういった面で全国に約二千の施設がございます。三十六年度の当初予算で件数にいたしまして全国で三百五十カ所ぐらいに助成をしようということで所要額二億二千万円の予算を御承認をいただいたわけでございますが、明年度におきましてはその数を八百ぐらいに見当をつけております。八百ぐらいの対象に対しまして所要額も三十六年度当初予算の三億二千万に約四億ばかりをつぎ込みまして全体では六億円余の助成は可能であるというような施策をこの予算案の中に織り込んでおるわけでございます。
  114. 野上元

    野上元君 そうしますと、個別に割ってみて、最高どれくらいの助成金が得られるのか、最低どれくらいなのか、その点はわかりますか。
  115. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 最高が二百五十万円でございます。最低は二十五万円になっております。
  116. 野上元

    野上元君 その額に非常に開きがあるのは、その規模の大小によってきめられるのですか。
  117. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) さようでございます。
  118. 野上元

    野上元君 そうすると、最高二百五十万円を助成できるような規模の共同聴視施設というものは、大体どれくらい一ぺんに聞けるようになるんですか、共同で。
  119. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 大体今の助成の額を二戸当たりに割ってみますと、一戸約一万というようなことでございますので、二百五十万の最高の助成をいたします施設対象は、二百五十戸くらいの方々組合を作ってそうしてそこに全体に条件がよくなるようなアンテナを作られる、それに対する助成をいたすわけでございます。
  120. 野上元

    野上元君 二百五十万の助成あるいは二十五万の助成というのは、総経費の何パーセントに当たるのですか。先ほど説明があったと思うのですが、もう一度。
  121. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) その年の収入総額に対するこれの比率でございましょうか。
  122. 野上元

    野上元君 いや、そうじゃありません。その建設費の。
  123. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 三分の一を予定いたしております。
  124. 野上元

    野上元君 最高が三分の一……。
  125. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 最高最低ともいずれも三分の一でございます。
  126. 野上元

    野上元君 わかりました。一応私の質問はこの程度で終了いたします。
  127. 久保等

    ○久保等君 私時間の関係もあるようですから、二、三点明年度予算について御質問したいと思うのです。昭和三十三年に第一次五ヵ年計画を作られて、昭和三十七年度で完結をみる予定であったわけですが、またそれが今回第二次六カ年計画という形で、第一次の五ヵ年計画のいわば最終年度の昭和三十七年を残して改定をせられたのですが、そのおもな理由はどこにあるんですか。
  128. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この改定をいたしましたことは、もともと昭和三十三年度から第一次五ヵ年計画は三十七年度で終了する予定でございます。したがいまして特殊の事情がございませんければ第一次五ヵ年計画をそのまま遂行して、さらに三十八年度以降追加計画が必要であれば第二次の計画を三十八年度からスタートするのが通常であろうと思います。ただここで大きな計画変更をいたさなければなりません理由は、第一次五ヵ年計画の終了を待ちませんで、その一年半ばかり前の時点で施設拡充、置局等の基本になりますチャンネルプランが大幅な変更をみたわけでございます。第一次五ヵ年計画の歩みは大よそ順調に参っておるわけでございます。ある種のものにつきまして当時の計画よりも上回わって早期に実現をいたしております。ある種の面、と申しますのは、特に教育テレビの関係でございますが、当時計画をいたしますと同時に、全国に基幹四十九局はこれを建設するというようなプランはすでにあったわけでございますが、いろいろこれに対する周波数の割当等の関係に、いろんなまだ見通しのつかぬ面もございまして、長期計画後期に至りましてやっと波の手配の見通しがついたということで実施がおくれました関係上、四十九局の基幹局は三十六年度、今年度末をもってみますと、完成をいたしますものは二十局でございまして、あと二十九局は、当初五ヵ年計画最終年度の三十七年度以降に持ち越されておるというようなことではございますが、そういうことよりも、先ほど申し上げましたように昨年の秋に第二次チャンネルプランが確定をいたしまして、これは将来の全国普及の面の基盤になる計画といたしましては相当大幅な修正でございまして、このチャンネルプランをもとにいたしますと、第一次の計画で予想できませんでした場所が非常に明確になって参ります。そういったプラン上の計画も推し進めることも可能となって参りました。また必要でもございます。と同時にいずれまた第三次プランがあることでございますが、これはまだ郵政当局でも作業中で確定はいたしておりませんが、いずれはここそう遠からずして決定をするであろうというような情勢でございますが、そういうことで当初の五ヵ年計画をそのままで遂行して参りますだけでは、必要に応じ得ない情勢がはっきりいたしましたので、第二次プランのそれを織り込み、さらにそれに続いて策定せられるでありましょう第三次プランの予想のそれをも加えまして、三十七年度を初めとする将来六カ年の見通しを立てたわけでございます。
  129. 久保等

    ○久保等君 そうすると、第二次六カ年計画では郵政当局の第三次チャンネルプラン等の提示がありましても、特別第二次六カ年計画そのものを変更しなきゃならぬという事態は生じないのですか。
  130. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 完全にそのようにはまだ参らないと思いますが、第三次チャンネルプランで予想せられます大よそのものは、この計画の中に取り込んでございますが、プランの確定を見ますと、あるいはそういう現在の予想では足らないで、さらにこの計画を拡大する必要が出てくるというようなことも予想されます。
  131. 久保等

    ○久保等君 郵政当局のほうにお伺いしたいと思いますが、その第三次チャンネルプランというものはいつごろ発表せられる予定なんですか。もちろん確定的な見通しはつかないと思いますが、大よそ。
  132. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) 第二次チャンネルプランというのは、大体において都市以上のところを対象にした第一次チャンネルプランの四十九地区以外のところで、大体七十五、六カ所だったと思います。それで実はその都市の中でもチャンネルの割当がVでできないところ、これに対しましてはUでやっていきたいということで、その点については、今Uのテレビの実験を日立とかあるいは大津でやっておるわけであります。その結果によりまして、できるだけ早い機会にUの第二次チャンネルプランの発足をしたい、こう思っておるわけであります。  それで問題は今のお尋ねの都市よりも世帯数の少ないところを対象とした第三次のチャンネルプランでございます。これを今どの程度の規模のところまで対象とするかという点につきましていろいろ検討いたしておりますが、今のところできるだけ年内には作りたい、こういうことで進めております。
  133. 久保等

    ○久保等君 それではNHKのほうへお尋ねしますが、NHKとして考えておられる第二次六カ年計画という当面の目標をお立てになったのですが、今の郵政当局の御意見等もありましたが、第一次からさらに第三次といったようなことは、今のところ想定はしておられないのですかどうですか、六カ年計画について。
  134. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 第三次チャンネルプランにつきましては、第二次六カ年計画の中に約三百地点を考えております。
  135. 久保等

    ○久保等君 ですから第二次六カ年計画完了後、さらに次の第三次といった計画を予想しなければならぬとお考えになっておるのかどうなのか、長期計画を立てられるのか。今の状態からいえば第二次六カ年計画程度で間に合うのではないかと御判断になっておるのかどうか。第二次六カ年計画後の大よその見通しをどうお考えになっておるか、お尋ねしておるのです。
  136. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この第二次六カ年計画の中には、まだ未決定でございますが、予想される第三次プランで取り上げられるであろうところは、すでにこの計画の中に織り込んでございます。したがいまして、この計画が済みましたあと第三次にどれだけの計画が必要かということは、これは皆無とは申せませんが、現在は的確には予想できないというような現状でございます。
  137. 久保等

    ○久保等君 次にお尋ねしたいのは、今回料金のいわば改善というか、改革を行なわれたのですが、今から約十年くらい昔テレビが始まったころ、会計制度の問題については、テレビもラジオもそれぞれ別個の会計にしておったと思うのですが、現状はどんなふうになっておりまりか。
  138. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 昭和三十五年の予算を組みますまでは、ラジオとテレビは厳格な別個の収支計算を立てておりました。その面でそれぞれ不足ができれば借入金でまかなっておるというような措置をとって参ったわけでございますが、三十五年度予算におきましてはそのような制約を撤廃していただきまして、一応会計的にはラジオ、テレビを厳格に収支区分をしないで、会計は一本化したというような形で今日に至っております。
  139. 久保等

    ○久保等君 二本立てにしておりました当時の会計の帳じりといいますか、そういったものは、どうなっておったんでしょうか。まあ結局片方が足りなければ片方に回すということになって、しかも会計制度上は貸し借りの関係に一応して処理しておったと思うんですが、三十四年度末あたりはどんなふうな状態ですか。
  140. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 実際の処理の面につきましては、ラジオはだいぶはっきりラジオの経費と、こう考えられます。いわば直接費の問題。テレビも同様なものでございます。これは明確でございますが、どちらに区分しても共通なものは、いずれかに区分しなければならない現状でございます。そういった面で多少の操作、かげんはできるわけでございますが、おおむねはラジオ、テレビの収支混淆はいけないんだ、という線に沿いまして運用して参ったわけでございますが、ラジオの面につきましては大よそ当時まだ千四百六十万件ぐらいの契約もございましたし、そういったことで三十三年度末まではまだ旧料金の六十七円でございますが、ラジオの面はその収入でまかなえる。もちろんその後において、ラジオの面も非常に老廃朽の施設を急速に取りかえなければならないような事情もございまして、将来六十七円ではやっていけないので八十五円にいたしたわけでございますが、これは三十四年度からでございます。そういう状況で、ラジオのほうは大よそそのようなことで当時は収支が償っておりました。  テレビの関係につきましては、いろいろ建設を急がなければなりませんし、しかもその建設にはラジオよりも非常に金がかかるわけでございますので、ラジオの分をそれに回したというわけではございませんが、借入金をもって全部措置をいたして、その面では赤字経営をして参ったというようなことでございます。
  141. 久保等

    ○久保等君 テレビが収支どうやらとんとんという状態になったのは、何年ごろですか。
  142. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 大体三十五年度末あたりでございます。
  143. 久保等

    ○久保等君 今回、ラジオ、テレビ両方持っておられる方、あるいはテレビだけの場合、一本にして、これを三百三十円というようにおきめになったんですが、これの根拠はどういうところにあるんですか。
  144. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この料金をきめますのにはいろんな原則があろうかと思いますが、今回の改定にあたりましては厳格な原価主義はとっておりません。ただラジオの面につきましては在来の八十五円、これをテレビとあわせて持っておられる向きについてはとにかく一律にして、特にラジオだけの世帯につきましてはこれを大幅に減額、あるいは場合によれば徴収をしないことにしたほうがいいんじゃないか、というような意見もかなり出て参っております。そういうようなことで、これの関係については可能であれば引き下げを考えて参りたい。テレビのほうにつきましてはここに非常な問題はあるわけでございますが、契約の現状から申しますと、テレビとラジオの両方を払っていただける向きと、テレビをつけて間もなくいたしますと、テレビをつけたのでもうラジオは処分したということで持っておらない、こういうことでテレビの料金だけしか納めていただけないということが起こったわけでございます。そういうところに料金の負担の公正を欠いて参ったわけでございます。しかも実態は大よそテレビを持っておられればほとんどラジオも持っておられるというのが実情でもございますので、そういう面で公共料金といたしましては、非常に負担の公正を欠く結果になって参ったわけでございます。そういう面もあわせまして今回のように、テレビがあればもう放送全体を受信していただける対象だ、こういうように考えまして、在来のテレビ料金にどれだけをつけ加えたらいいかということで、いろいろ検討いたしたわけでございますが、他面におけるラジオのそういった経費の調達不足の面等も考えまして、一応三百三十円、こういうことにいたしたわけでございますが、しかし、では三百三十円、ラジオだけのものについては五十円で、これで完全に経費が償えるかと申しますと、ここには大きな問題点があるわけでございまして、建設に必要な資金関係につきましては、大幅に外部資金に依存しているということによって、現在のテレビとラジオ合わせた料金についても、可能な限りできるだけ低い料金に決定することができましたし、ラジオのみのものにつきましても、八十五円から四割の値引きになります五十円、こういうような低料金を決定することができたわけでございますが、いずれは返済をいたさなければならぬ、これも他に財源があるわけではございません、受信者の方々からいただく受信料の中で借金の元利を払っていかなければならぬわけでございますが、その大きな部分につきましては、一応今の料金のコストの中に算出ををしないで参っておるものもございます。そのような関係で、一応今の大およその原価を念慮に置きつつ、原価そのものではなく、総合料金とラジオ単独料金を決定したのがいきさつでございます。
  145. 久保等

    ○久保等君 現行制度のテレビを三百円、ラジオを八十五円というふうに二本建でしようとした場合に、昭和三十七年度の総収入はどういった金額になりますか。
  146. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ちょうどこの予算で会計、料額を変えまして、受信料の収入が四百六十八億円になっております。現在のままで会計を変えないでテレビは三百円、ラジオは八十五円、こういう形で三十七年度からして考えますと、さらに収入は二十億多いわけでございます。四百八十八億ぐらいの収入が予定されるわけであります。
  147. 久保等

    ○久保等君 次にお尋ねしたいのは、いろいろと受信料の徴収については苦心をしておられると思うのですが、その受信料の未収金の最近の模様はどんなふうになっておりますか。ここ二、三年ぐらいの傾向を少し御説明願いたい。
  148. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 逆に、その契約をしていただきました中から収納をいただきますそのパーセンテージで申しますと、収納の率と申しますか収納の成績でございますが、この一、二年の歩みで申しますと、ごく微小ではございますが、下がって参っております。現在のところが九八・五くらいのところになっております。一時は九九・数%までいっておったわけでございますが、パーセンテージ数はわずかではございますが、少し下がったというような状況でございます。それでも九八・五%の収納成績は現状で納めておるというような実情になっております。
  149. 久保等

    ○久保等君 これはいつですか、一番最近のデータですか。
  150. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 最近の現状でございます。
  151. 久保等

    ○久保等君 金額にして一・五%程度ということになりますと、どのくらいおよそでなります。
  152. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 約六億ぐらいになろうかと思います。
  153. 久保等

    ○久保等君 一・五%程度の未収金というのは、やはりラジオもテレビも同じ程度のパーセンテージになりますか。
  154. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 似たような状況でございます。
  155. 久保等

    ○久保等君 三十七年度の未収金の欠損償却というのは、幾らくらい見込んでいるのですか。
  156. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 六億見込んでございます。
  157. 久保等

    ○久保等君 次にお尋ねしたいのは、先ほど野上委員のほうからも御質問のあったことにも関連するのですが、第二次六カ年計画の中でいろいろ機械化、自動化等を計画しておられるようですが、特に第二次六カ年計画の中で私のお伺いしたいのは、ラジオあるいはテレビ等で自動化の計画をお持ちになっておるようです。すなわちラジオの場合ですと十キロワットの放送所の自動化、あるいはテレビの場合ですと三十六カ所の自動化といったような計画がおありのようですが、三十七年度での計画はどういうことになっておりますか。同時に第三次六カ年計画全体の内容はどんなのか、若干具体的にひとつ御説明願いたいことと、そのことによってもたらされる要員関係の問題がどういうふうになるのか。自動化計画の問題だけでけっこうですから、ひとつお答え願いたいと思います。
  158. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ラジオとテレビに分けてお答え申し上げたいと思いますが、ラジオの十キロ以下の電力の局につきましては、大体三十七年度で自動化を終わりたいと思っております。ただし一、二の局につきましては、その場所等につきまして勤務者がさほど不便でないようなところもございますので、そういうところにつきましては若干おくれているところがございますが、主眼といたしましてはこれはテレビジョンも共通でございますが、勤務環境の悪いところの自動化を優先的に考えていきたい、こう考えております。  それからテレビジョンにつきましては、先ほどお話のございました第一次チャンネルプランに基づきます局につきましては、当初これをやりましたころには、自動化の技術がまだ十分開発されておりませんでした関係で、非常に環境が悪い高い山の上とか、非常に不便な場所につきましては、これも人を置きまして運転をやって参りましたのでございますが、その後技術もだんだん進歩して参りまして、第一次チャンネルプランの四十九局のうちにつきましても、すでに数局は無人と申しますか、人が一々行かないでも運転できる状態になっております。  それから第二次チャンネルプランのその後追加されました局につきましては、これは大体スケールとしては小さいのでございますが、全部無人にして運転しております。この目的はあくまで高い山の上とか、勤務環境の悪いところにおける勤務状態改善をはかることが目的でございまして、それと同時に常時人が運転いたしませんから、人の数も若干減らし得る、と申しましてもこれをゼロにすることは不可能でございまして、やはり保守点検のために定期的に巡回する関係もございますので、大体要員の関係といたしましては、半分ないし三分の一程度は必要かと思っております。大体三十七年度におきましては、テレビジョンにつきましては、第二次チャンネルプランに基づきます局につきましては、これを全部在来どおり——在来もそうやっておりますが、全部無人で行ないます。相当の数でございますが、これを全部無人で行ないます。それから第一次チャンネルプランにつきましては、現在まだ有人でやっておりますところを七局くらい無人にしていきたいと、かように考えております。
  159. 久保等

    ○久保等君 そうするとラジオの場合は三十七年度で大体終わる予定ですか。
  160. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ラジオの場合には、送信所が離れておりますような地域につきましては全部終わると思いますが、現在まだ町の中にスタジオと一緒に送信所がございますようなところは、その送信所につきましては別に無人化する必要がございませんので、これは相当数残って参ると思います。
  161. 久保等

    ○久保等君 このラジオ関係の自動化ではどのくらいの要員が不必要なんですか。
  162. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 大体先ほど申し上げましたテレビジョンと同じ程度であります。現在大体十キロの送信所には所長を入れまして十名内外の要員がおると思いますが、一応そこにはいなくなりますが、しかしこの機械を保守いたしますために四、正名の人間は別のところから、総合いたしまして三名ないし四、五名の要員は残るかと思います。
  163. 久保等

    ○久保等君 その残る要員というのはそこに固定した形で残すんですか。ある程度何局か巡回して保守するような形で残るんですか。
  164. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 電力の比較的大きいところにつきましては、若干固定的なものは残るかと思いますが、小さなものにつきましては総合的に巡回的な考えを入れていきたいと思っております。
  165. 久保等

    ○久保等君 テレビの場合は要員が、どの程度自動化されるところは不必要になるんですか。
  166. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 先ほど申しましたテレビの第一次チャンネルプランの局は、比較的電力が大きいのでございますので、現在総合テレビジョンだけのところにつきましては、所長を入れまして八名ないし九名の人がおります。  それから教育テレビジョンを同時にやっております局につきましては、それよりも二、三名多いかと思っております。その数がやはり四、正名程度保守要員になるかと思っております。
  167. 久保等

    ○久保等君 ここでお尋ねしてもまだ何かはっきり固まっておらないような御答弁なので、十分に理解できかねるんですが、ラジオの場合とテレビの場合、自動化による一体結果がどういう人員の変動を来たすのか。これを後ほどでけっこうですが、ひとつ資料をお出し願いたいと思うのです。  それから同時に各年度ごとに、ことにテレビの場合は年度計画でおやりになるんでしょうが、そういう年度別にどういう計画をお持ちですか、具体的な局名。それからそれぞれの現在の要員。それが自動化された場合にどういうふうに、何がどうなっていくかという点、ひとつ文書で御説明願いたいと思うのですが、後ほど別途……。
  168. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 御説明申し上げますが、一言申し添えさせていただきたいと思いますのは、実はその要員をほかに回すと申しましても、現在技術者が非常に払底しておりまして、その他の実際に自動化あるいは無人化できないスタジオ関係の、主として番組製作関係でございますが、これには非常に人が足りない、優秀な技術者が足りない状況でございまして、このほうの要員に全部これを振り向けたいと思っております。詳細の資料を後ほどお出しいたします。
  169. 久保等

    ○久保等君 その点をお願いいたします。  次にお伺いしたいのは、第二次六カ年計画のところの十五ページのところにアの「番組調査研究」という項目がありますが、その中には「(ア)聴視行動の分析研究」という項目があるんですが、これはどういうことの研究なのか、ちょっと御説明をひとつしていただきたいんです。
  170. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは視聴率調査、それからアナライザーという分析する機械がございますが、このアナライザーによる番組分析の調査、それから全国的に国民生活時間調査等、これを総合いたしまして、一人々々の視聴行動を調査するということを目標にいたしております。
  171. 久保等

    ○久保等君 テレビの場合には、すぐ一般国民の健康との関連性が問題になってくると思うのですが、ことに視聴覚神経の問題等、われわれもテレビを見ておってそういうことを痛感するんですが、そういったような視聴覚神経というか、そういう人間の身体に及ぼすテレビの影響研究がこの中には含まれておらないのですか。
  172. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) その研究は昭和三十四年度に一応終わっております。
  173. 久保等

    ○久保等君 今のお答弁だとその問題は終わっておるんだというのですが、これも簡単な質問で御答弁を願う問題じゃないと思うのですが、何かそれはまとまった報告書といいますか、調査結果について資料みたいたものがあるのですか。
  174. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ございます。ここで端的に申し上げますと、昭和三十四年度の研究の結果によりますと、大体テレビを一時間続けて見ておりますと、一時的に目の調節機能が非常に低下するということが明らかになっております。しかし同時にその後一時間ぐらい休みますと、目の調節機能はもとに戻るということになっております。それでは二時間続けて見たときに、最初の一時間と同じような結果になるかと申しますと、その障害の程度は減って参ります。実験の結果は、この二時間継続して見ておった場合でも、三十分ないし一時間次の時間を休むことになりますと、大体原状回復ができるという結果が出ておりますが、これにつきましては御要望に沿うように研究書を差し上げたいと思っております。
  175. 久保等

    ○久保等君 それではこれも資料でひとつお願いしたいと思います。  私はこの明年度予算についていろいろお尋ねしたいこともございますが、今いう第二次六カ年計画、これでさらにNHKが施設の改善等をはかって、良質のラジオなりあるいはテレビを見たり聞いたりできるようにしよう、という計画をお持ちになっているわけですから、そのことについて私ももちろんけっこうなことだと思うのですが、まあその内容としては、あるいは機械化、あるいは事務面の特に機械化等を考えておられるようですし、また設備等の自動化等も、今御説明を伺うと計画をしておられるようです。要するに経営の近代化といったことについても努力しておられるようですが、特に時間があれば、先ほど野上委員の御質問にもあった給与その他の問題等についても、もう少し突っ込んでお伺いしたいこともあると思うのですが、まあその点はまた別途の機会に譲りたいと思いますが、要するにこれだけのすでに一万三千名をこすNHK企業体が、つい数年前までは一万を割っておった従業員程度であったことを考えますと、数年で非常に今昔の感にたえないような、非常に飛躍的なNHKの発展のあとがうかがえるのですが、十分にひとつ全般的な問題等についても、従業員の諸君ともほんとうに腹を割った、経営の問題あるいは今後の見通し等についても、十分な話し合いをしていただくことを希望いたしたいと思うのですが、先ほど小野専務の答弁で、ベースアップの問題については、基準内賃金七%程度のアップを考えて予算化されているというお話もあったのですが、この種の問題についても、私はぜひひとつ経営者は経営者らしい立場で、まああまり型にはまってしまったようなものの考え方ではなく、給与問題ひとつ取り上げてみても相当な懸隔が組合側との間にあるというお話がさっきあったのですが、そういう問題についてもぜひひとつ歩み寄りを両者で願うような努力をしていかなければ、一方だけでこちらはこちらだけの、財政状態はこれなんだ、もうあとはどうにもならぬのだというような話では、なかなかやっぱり解決ができないと思うので、先ほどの御答弁に加えて、私はさらに両者の歩み寄りといいますか、そういう意味合いでぜひひとつNHK側のほうでも、その点については十分弾力性のある考え方で御対処願いたい。他の企業体と比べると、ずいぶん懸隔がまだまだそういう実質的な待遇の面ではあるようですから、そういう点を埋めるのは結局NHKという一般公共放送を扱っている立場からいえば、民間放送とは違ったいろいろワクがあるわけですが、しかしやっぱり事業の持つ公共性と重要性は決してまさるとも劣らないものがあると思いますから、そういう運営の面については十分にひとつ今後話し合って、さらに御努力を重ねていただきたいということを最後につけ加えまして、私の質問を終わりたいと思いますが、そのことについては会長から一言ひとつ御答弁を伺いたいと思います。
  176. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいまの御質問の御趣旨は十分考えて善処していきたいと思います。
  177. 安部清美

    委員長安部清美君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 安部清美

    委員長安部清美君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 安部清美

    委員長安部清美君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を問題に供します。  本件を原案どおり承認することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  180. 安部清美

    委員長安部清美君) 総員挙手でございます。よって本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
  181. 野上元

    野上元君 私はただいま承認されました、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対しまして、次のごとき附帯決議をつけることを提案をいたします。  なお、この附帯決議は、日本社会党、自由民主一党及び同志会の各派共同提案によるものであることをあらかじめ明らかにいたしておきたいと存じます。では附帯決議の内容を朗読いたします。   政府並びに日本放送協会当局は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。   一、難視聴地域の解消対策を積極的に推進すること。   二、国際放送の充実並びに拡張をはかること。   三、放送番組の向上、とくに教育、教養番組の充実につとめること。   四、経営合理化能率の向上をはかり、もつて従業員待遇改善努力すること。   右決議する。  以上でございます。満場の御賛成を賜わりたいと思います。
  182. 安部清美

    委員長安部清美君) ただいま野上君より提出せられました自民、社会、同志各派共同提案による附帯決議案を議題といたします。  野上提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  183. 安部清美

    委員長安部清美君) 総員挙手と認めます。よって野上提出の自民、社会、同志各派共同提案による附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 安部清美

    委員長安部清美君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。  郵政大臣及び日本放送協会会阿部真之助君より、それぞれ発言を求められております。順次これを許します。
  185. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) ただいまの附帯決議はその御趣旨を体して十分善処いたしたいと思います。
  186. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 非常に毎日御熱心な御審議を得まして、NHKの三十七年度予算が総員一致で承認されたことを感謝いたします。この予算案の実行にあたりましては、われわれは全力を尽くして皆さんの御期待に沿い得るように努力いたしたいと存じます。  なお、ただいま御決議になりました附帯決議についても、できるだけこれを実現するように努めたい、かように存じます。大へんどうもありがとうございました。
  187. 安部清美

    委員長安部清美君) 午前中の審議はこれにて終わります。午後は二時より開会いたします。    午後零時五十分休憩    ————・————    午後二時五十分開会
  188. 安部清美

    委員長安部清美君) これより再開いたします。  簡易保険郵便年金福祉事業団法案を議題といたします。これより質疑に入ります。御質疑のある方はどうぞ順次御発言願います。
  189. 野上元

    野上元君 きょうは本格的な質問をする用意がありませんので、細部にわたっての質問については次回に譲ることにいたしまして、本日は大綱的に御質問申し上げますが、今回、郵政当局が、簡易保険郵便年金福祉事業団を作ることに踏み切られたのでありますが、これによる効果というものをどういうふうにお考えになっておるのか。
  190. 板野学

    政府委員(板野学君) 御承知のように、現在までは省が直接この診療所施設あるいは加入者ホームというものを運営しておった次第でございますけれども、将来これらを相当数増設するということが一般加入者の希望でもございまするし、また国会等の決議もございます。で、これらの施設を運営いたしますにつきましては、やはりこれを官が直接行ないまするよりも、次のような理由によりましてこの事業団に運営せしめるほうが非常に能率的である、というふうに私どもは考えるわけでございまして、その第一点といたしましては、予算の機動性といいいますか、その弾力性が生じてくるということでございます。御承知のように事業団の運営につきましては、現在財政法あるいは会計法の適用を受けておりまするので、予算の執行につきましてはどうしてもやはり官営的な弾力性に欠けるうらみがありまするが、第一点といたしましては予算の移用、流用ということができるということでございまして、この場合に、大蔵大臣のいろいろな承認もございまするけれども、郵政大臣が指定いたしました経費の外は、自主的にこれが行ない得るということでございます。また、現在のホームと診療所等につきましては、会計令によりまして、人件費以外は一回の交付金が約二十万円ということになっておるわけでございますが、大体一カ所に対しまする経費は年間一千万円ぐらいになりまするので、八十回ぐらい資金を交付しなきゃならぬというような非常な不便もございます。  それから第二点といたしましては、福祉施設関係の会計が非常に明確になるということでございます。御承知のように現在は郵政特別会計という会計から、この福祉事業の運営費なりあるいは施設費というものが出ておるわけでございますが、今回の法の改正によりまして、これらは一切この簡保あるいは年金会計から出るということになりまして、この施設に要する経費なりいろいろな面の使途並びにその帰属というものがはっきりいたしまして、これは加入者にとっても非常に財産の保全ということにも有効になる次第でございます。  それから三番目には、これは施設建設上の問題でございまするけれども、まあ端的に申し上げますと、現在工事中のものが、予算が成立いたしましてまだ七カ所残っているわけでございます。これはもちろん郵政省側におきまして、人その他の手当をしてやるべきであるということもございまするけれども、何せこの郵便局舎なりほかの施設をたくさんかかえておりますると、なかなかこの建設もスムーズにいかないというような点もあるわけでございまするが、事業団が設立されまする暁におきましては、これらは事業団の責任においてこれを執行することができまするので、この建設等も非常に早くいくんではないかというふうに考える次第でございます。  それから第四点といたしましては要員の確保上の問題でございますが、これもやはりどうしても公務員ということになりますると、施設の拡充に要しまする要員もやはり一般行政の拡大というようなものに同列的に扱われるものですから、なかなかそういう要員手当の問題も非常に困難を伴うわけでございますけれども、これは事業団に移しますれば、簡保会計、年金会計からそういう経費も出る。いわゆる一般行政の拡大ということになりませんので、要員の獲得が割合容易になる、こういうことでございます。  五点といたしましては、管理面における責任体制という問題でございまするけれども、これももちろん現在郵政大臣が直接に行なっておりまして、その管理が弱いというわけではございませんけれども、もし事業団ができますれば、理事長を頂点にいたしまして、そういう管理面におきましても行き届いた運営ができますし、またいわゆる前だれがけのサービスも可能であるというふうに考えている次第でございまして、現在国が行なっておりまする社会保険の実施機関を見ましても、労災保険につきましては労働福祉事業団、失業保険につきましては雇用促進事業団、国民年金と船員保険あるいは厚生年金につきましては、年金福祉事業団というものをもちましておのおの運営をいたしている次第でございます。
  191. 野上元

    野上元君 ただいまのお話を聞いていると、おおむねこの事業団を作ることによって福祉関係事業が従来より円滑に行なうことができるというようなお話のようでしたが、あなたのほうでこれを作られた場合には、多数の職員がこの事業団のほうに移ることになるわけです。その点については郵政には全逓という労働組合があるのですが、それらの点について全逓の意見を徴したことがありますか。
  192. 板野学

    政府委員(板野学君) ただいままで公式、非公式に数回にわたりまして全逓と話し合いをいたしているわけでございます。
  193. 野上元

    野上元君 そうして今日職員の意向としては、われわれのところには強い反対の意向が述べられておりますが、あなた方が交渉された中においてはどういう意向を述べられたか。
  194. 板野学

    政府委員(板野学君) 全体として職員のただいままでのこの話し合いなりあるいは団交におきましては、職員が移行する場合の条件、あるいは移行したあとの待遇その他の問題につきまして話し合いを進めている次第でございまして、移行するそのことがどうも工合が悪いのだ、というような話を現在までは聞いていない次第でございます。
  195. 野上元

    野上元君 あなたのほうは、こういうものを作ることについて組合反対ではないというような意向のようですが、私どものところには強い反対の意向が届けられているのですが、組合との接触の度合いがまずいのじゃないのですか。接触のやり方がまずいのじゃないのですか。
  196. 板野学

    政府委員(板野学君) 先ほど申し上げましたように、公式、非公式にわたりまして数次にわたって話し合いなり団交を進めているわけでございますが、その内容につきましては、この移行職員の処遇の問題ということが重点的に話し合いになっておりまして、私ども全逓の大会ではそういう意向の表明があったように聞いておりますけれども、少なくともその話し合いなり団交の中におきましては、移行については反対だというような直接的な話は聞いていない、こういうことでございます。
  197. 野上元

    野上元君 私たちもこういうものを検討する上において一番問題になるのは、職員の問題だと思うのです。それが将来どうなっていくのかというような大きな不安があることは当然なんで、そういう問題が解決しないと、この問題を軽々しく取り扱うわけにはいかないというのが私ども考え方なんですが、その点について郵政当局と全逓との間に意思の疎通が欠けておるように思うのですが、早急に全逓に対して全逓が賛成できるような説明をやるあなたのほうの用意はないのですか。
  198. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもといたしましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、移行をします場合の職員の処遇なり待遇ということが最も重要な点になりまするので、私どもといたしましては、できる限りのひとつこの有利な条件で移行し得るようにということで、関係各省の間にも相談をして参りまして、その条件等につきましては、相当分厚い資料も作りまして組合側に提示をいたしておるわけでございます。その中の数点につきましては、ただいままで団交なり話し合いをやってきておる次第でございます。
  199. 野上元

    野上元君 私はそういうふうに公式、非公式に数回話し合いが持たれて、全逓のほうにも十分にあなた方の意思が通じてあるとするならば、全逓が強い反対の意思を表明するわけはないと思うのですが、その点がどうもわれわれには割り切れないので、私たちとしても職員組合あるいは労働組合のほうで、こういう問題について強い反対がある場合にはやはりその内容をつぶさに検討しなければならぬと考えておるので、その点がどうもはっきりしないので、私もこの審議に対して非常に何といいますか、やりにくいといいますか、そういう気持がしておるのですが、両者がぴったりと意見の一致ができるというような方法はないものですか。
  200. 板野学

    政府委員(板野学君) ぜひ私どもから提示いたしております移行につきましての条件の全部にわたりまして、早く団体交渉なり話し合いを進めたいということで、組合とも話をしておるわけでございますが、最近は非常勤の問題につきましてもいろいろ話を進めておりますし、元来その処遇等につきましては、私どもで考えられます相当の条件につきまして、まあ有利と申しますか、そういうようなことを十分に考えて提示をいたしておるわけでございまするので、私ども組合のほうでも十分これを理解していただければ、移行その他につきましては十分御理解が願えるのじゃないかというふうに期待をいたし、かつ私どももどうか早く団体交渉を進めてもらいたいということで先方にも申し入れをいたしておるわけでございます。
  201. 野上元

    野上元君 申し入れをされたとか、あるいは交渉をされたということは、今しばしばあなたが述べられたことによってその事実は私もわかったのですが、ただ問題は、相手側がそれでもなおかつノーと言っておるかどうかですね。
  202. 板野学

    政府委員(板野学君) 先ほど申し上げましたように、こういう交渉については交渉に応じないというような態度ではない、というふうに私ども見ておる次第でございます。
  203. 野上元

    野上元君 かりにそういうことであるならば、今日の段階において組合のほうが十分に了解をして、こういう事業団を作られることはけっこうである、というような意思表示がされておると非常に都合がいいわけですが、今日の段階においてはまだその意思表示がされておらないということなんです、私が今知っておる範囲では。したがって、多くの職員が移動するという問題について、現実に働いておる人たちが反対の意向を表明しておるものを、強引にこれを通していくということは非常に困難があるのじゃないか、またそういうことをやるべきじゃないのじゃないか、という私は考え方を持っておるので、その点が若干ひっかかるので再三あなたに執拗に御質問申し上げるわけなんだが、その点で手抜かりはなかったかという点なんですが、大臣はこういう問題について全逓の責任者と話し合われたことはないですか。
  204. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) ございません。
  205. 野上元

    野上元君 大臣にお聞きしますが、そうすると、この事業団の法案を出すことについて、あるいは事業団を新たに作ることについて、全逓が反対の意思を表示しておるということについては御承知ですか。
  206. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 郵政省と全逓との交渉の窓口は、人事部長を中心としまして一応の構成があるわけです。そのところで話し合うようにという段取りを進めておりまして、話し合いは今簡易保険局長が申しましたとおり、何回かにわたって話し合っているようでございます。全逓がこの問題に対して反対の意向であるというようなことは、全逓春闘の趣意書というのですか、要求書の中にそういうことが書いてありました。反対の理由というのも職員待遇が悪くなるからとか何とかということでなしに、何か非常に抽象的な、はっきり覚えておりませんけれども、こういうものは要するに資本家に利用されるだけのものだという、非常に抽象的な文言が書いてあったような気がするのですけれども、そういうう意図で反対をしているということは承知はいたしておりました。
  207. 野上元

    野上元君 しかし、すべての法案をあなたのほうが円満に成立させようとする場合に、あらゆる努力をすることは当然だと思うのですが、特に全逓がそういう抽象的な反対理由をあげて中央委員会でこの問題を反対決議をするというようなことをやった場合に、あなたのほうとしては当然十分な説明をして賛成をしてもらうような努力をすべきじゃないですか。それが行なわれておらないのでこの問題が簡単にうまくいかないのじゃないですか。
  208. 板野学

    政府委員(板野学君) 御承知のように、この関係職員の処遇の問題につきましては、大蔵省その他関係の向きと相当交渉をする手続の必要な面もございまして、少しはおっしゃるとおりおくれた面もございまするけれども、大体の骨子等につきまして、できる限り判明次第早く向こうに提示をしてやったわけでございまして、内容は郵政省だけできめておるというような問題は非常に少のうございまして、大蔵省との関連においてこれが決定をされるというようなことがございまして、ただいま先生おっしゃいましたように、少しはそういう面におきまして私ども手おくれになった点があると思いますけれども、判明をしておる限りにおきましては、私どもできるだけ組合のほうにもその案の内容を示してきておる次第でございます。
  209. 野上元

    野上元君 そうすると、具体的に聞きますがね、全逓とあなたのほうとで交渉された一番新しい時日は何月何日ですか。
  210. 板野学

    政府委員(板野学君) 三月十日でございます。
  211. 野上元

    野上元君 三月十日といいますと今から約十日くらい前の話なんですが、そのときそれではどういう話し合いをされたのか、御披露願います。
  212. 板野学

    政府委員(板野学君) 十日は間違いまして九日でございました、金曜日。そのときの内容といたしましては、施設におりまする非常勤の待遇の問題が議題になった次第でございます。
  213. 野上元

    野上元君 そういうふうに交渉の内容については具体的に一つ一つ交渉をやり、その一つ一つ片づけていっているという方針をとっておるのですか。
  214. 板野学

    政府委員(板野学君) 私どもはできるだけもうすでに移行職員の処遇の問題につきましては、先ほど申し上げましたように全体的に相当詳しい内容を提示してございまするので、できるだけ私どもはもう時間の許す限り包括的にこの問題を議論をしたり、団交をいたしたいというふうに考えておるわけでございまするけれども、現在までのところまあ非常勤という問題が非常に大きな一つの問題のように私ども考えておりまするので、まず相当重要な問題から入ったということでございます。
  215. 野上元

    野上元君 組合との交渉の具体的事項について、今日まで話し合いをされたものについて教えていただきたいと思います。
  216. 板野学

    政府委員(板野学君) まず先ほど申し上げましたように、移行職員のいろいろな定員の中におきまする非常勤の問題でございます。それから職員の一体身分というものはどういうことになるかという点でございます。それからまた職員の俸給というものがどうなる、また職員の手出の問題、退職手当の問題、それから厚生関係いわゆる宿舎なりあるいは共済組合の期間の通算、退職手当の問題、それからそれに関連いたしまして職員の退職時の処遇の問題、その他これはあとになりまするけれども事業団法の設立の趣旨とか構想とかそういうような点につきまして、こちらから説明をいたしておるわけでございます。
  217. 野上元

    野上元君 組合から具体的に何か要望というものは出ておるのですか。
  218. 板野学

    政府委員(板野学君) ただいまのところ非常勤の処遇の問題だけでございます。
  219. 野上元

    野上元君 非常勤の処遇というのは、具体的にはどういうことですか。
  220. 板野学

    政府委員(板野学君) 非常勤が退職時におきましてどういう処遇を受けるか、また事業団に移行後におきましての非常勤の地位が一体どういうことになるかということでございます。
  221. 野上元

    野上元君 そういうふうに具体的な交渉が行なわれておるにもかかわらず、全体としてはこの事業団に対して反対という意思が表明されているということについては、先ほど来私が申し上げたとおりなんですが、そういう際にあなたのほうとしては万全の策を講じて、職員を代表する者たちが賛成できるような説得をどうしてやらなかったのかという点が、非常に不思議でしようがないのですが、そのことは今ここでとやかく言ってみても仕方のないことですから、私はあまりきょうは深入りはいたしませんが、十分にひとつ考えておいてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ聞いておきたいのは、この事業団法が成立することによって予算相当必要になるのですが、その予算は今予算委員会で審議が続けられておる。各郵政関係の特別会計と重大な関係があると思うのですが、その点はいかがですか。
  222. 板野学

    政府委員(板野学君) ただいま審議されておりまする特別会計の予算の中に含まれておる次第でございます。
  223. 野上元

    野上元君 そうすると、あの予算が通過しなければ具体的には事業団を運用していくことはできないと、こういうことになりますね。
  224. 板野学

    政府委員(板野学君) そのとおりでございます。
  225. 野上元

    野上元君 そうすればこの法案をそうあわてて審議することばない、予算が上がるのと見合って審議していけばいいということですな。
  226. 板野学

    政府委員(板野学君) その間の両方の、予算とこの法案との関係がいかが相なりまするか、私どもはよく関係わかりませんけれども、私どもの希望といたしましては、できるだけ三月一ぱいにこの法案を上げて、審議を終了していただくということにつきまして、私ども非常に希望をしておる次第でございます。と申しますのは、この事業団はなかなか各方面に非常に関係がございまして、これを作り上げるにつきましては相当の準備をいたさなければなりません。たとえば設立委員を任命するとか、あるいは設立の登記の準備をいたしますとか、また事業団を運営する理事会の規定とか、そのほかたとえて申しますと、これには政令だけでも四つ準備いたさなければなりません。また省令も二つ準備いたさなければなりません。そういう関係におきまして、できるだけ早くこの法案が成立するようになりますれば、準備につきまして非常に私どもはこれはしあわせ、しあわせというよりもその準備期間をぜひひとついただきたいということを熱望いたしておる次第でございます。
  227. 野上元

    野上元君 準備は、この法案が成立するしないにかかわらず、あなたのほうでどうせおやりになることでしょう。したがってそうあわてることはないじゃないですか。それよりもむしろこの法案が成立しても予算が成立しなければ、実際に実行に移せないということになる。あるいはまた予算が修正されるとこれもまた修正しなければならぬということにもなるでしょう。その関係はどうですか。
  228. 板野学

    政府委員(板野学君) この法案に必要なる予算が成立しないということになりますれば、これはまた従来とも郵政省で直接これは行なっておるわけでございますから、これはこの予算というよりも全体の予算が成立いたしますれば、事業もそのまま直営として行なわれるわけでございまするが、この法案の準備につきましては、この附則にもございますように、この法案が成立いたしましてあと相当準備する事項がございます。それは先ほど申し上げましたように、やはりいろいろな設立の準備をする、この設立委員を命ずると附則の三条にもございますが、そういうような関係につきましてもやはり相当の期間を必要といたすわけでございます。またこの評価の点につきましてもいろいろ準備をいたさなければなりません。そういう関係におきまして私どもは一日も早くひとつ法案を審議していただきまして、そうしてこの事業団がスムーズにひとつすべり出すことができるように心から望んでおるわけでございます。
  229. 野上元

    野上元君 あなたの希望はよくわかるのです。しかし、私の立場からすると、この法案が郵政省もまた職員の代表も十分に了解なり、積極的に推進されるというものであるならば、非常にわれわれとしてもやりやすいわけですが、今のところ先ほどから何回も申し上げますように、職員側は非常に強く反対をしておるという事実があるので、あなたのほうがこれを早く上げるということにあまり専念するよりも、両者の話し合いで少しでも一致に向かって努力して、その差がないようにしていくことが今日非常に重要じゃないかというふうに考えるわけです。しかし、あなたが答弁された中には、すでに現実的に具体的に交渉が行なわれ、幾多の事項について話し合いが行なわれておるということも知りました。にもかかわらず反対であるといっておるのですから、その間の事情を私も私なりに職員の代表を呼んで十分にその事情を聞いてみたいと考えるわけです。私はきょうのところはそういう問題について質問をしたかったわけでございます。この次の機会までに私も職員の代表を呼んで、この事情を聞いておきたいと考えます。したがって、本日のところ私の質問はそういう点のみにとどめて、一応これで私の質問を終わりたいと思います。
  230. 安部清美

    委員長安部清美君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  231. 安部清美

    委員長安部清美君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日のところこの辺でとどめることにいたします。本日はこれにて散会いたします。   午後三時二十二分散会    ————・————