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1962-02-22 第40回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十二日(木曜日)    午後一時三十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     安部 清美君    理事            手島  栄君            寺尾  豊君            松平 勇雄君            野上  元君    委員            白井  勇君            新谷寅三郎君            鈴木 恭一君            谷村 貞治君            久保  等君            永岡 光治君            山田 節男君            奥 むめお君   政府委員    運輸省船員局長 若狭 得治君    郵政大臣官房長 金澤 平藏君    郵政省電波監理    局長      西崎 太郎君   説明員    日本電信電話公    社運用局長   山下  武君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○電波法の一部を改正する法律案(第  三十九回国会内閣提出)(継続案  件)   —————————————
  2. 安部清美

    委員長安部清美君) ただいまから委員会を開会いたします。  お諮りいたします。放送法第三十七条第二項の規定に基づき国会の承認を求めるの件及び必要に応じて郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査中、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会会長阿部真之助君、副会長溝上けい君、専務理事前田義徳君、専務理事田辺義敏君、専務理事小野吉郎君、理事赤城正武君を、それぞれ本委員会における参考人に決定いたしておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安部清美

    委員長安部清美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  4. 安部清美

    委員長安部清美君) 電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続いて質疑を行ないます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 安部清美

    委員長安部清美君) 速記を起こして。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 前回委員会におきまして、私は要求資料を中心にして一応質問をしたのでございますが、きょうはこの法律案そのものにも関連しまして、もう少し質問をしたいと思います。  まず第一にお聞きしたいと思いますことは、この今回の改正案国際条約との関係でありますが、大体私の承知しているところでは、世界中のおもな海運国では、一応条約規定程度国内法でも最低限の要求として規定しているように思うのでありますけれども、今度の改正案条約とを比較しますと、どういう点に相違がありますか。大体条約並みになっていると、したがって、各外国並みになっているというふうに考えてよろしいですか。
  7. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) そのとおりでございます。
  8. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから法律案内容の問題を別としまして、計画書において新造船は直ちに、それから在来船については三年間の猶予を置いて緩和措置を講じておるということなんですが、この三年間という期間をきめられたのは、大体どういうふうなお考えですか。こういうふうに踏み切っていくのならば、三年間でなくてもいいのではないかという気もするのですけれども、実際の措置の問題としましては……。
  9. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 御承知のように今回の改正案は、海上におきまする船舶通信の秩序という点から申しますと、相当大きな変革ではないか、こういうふうに考えておりますので、事柄が人命の安全にも関係するものでありますので、できるだけ、その間混乱が起こらないようにやる必要があるといった観点から、できるだけこの安全を見まして、三カ年という期間考えたわけでございます。  もう少し、しさいに御説明さしていただきますと、この通信疎通面から考えますと、現在いわゆる三直制と申しますか、二十四時間通信ができるという船舶が非常に多いわけであります。これは三カ年後になりますと、ほとんど大半の船舶は八時間執務ということになるわけでありますので、しかも実際の日本外航船就航状況を見ますと、特定海域に集中しておるといったような関係から、特定の時間帯に近信が殺到する、いわゆるラッシュのような状態を呈するわけであります。このままいきますと、疎通面から考えましても、翌日への積み残しというか、その日のうちに疎通できない通信量というものが相当数発生するわけであります。それを一体、どう処置したらいいかということが一番大きい問題になってくるわけであります。そのために、いろいろこれに対する受け入れ体制が必要になってくる。その受け入れ体制として考えられること、また、われわれが考えておりますことは、まず第一に、日本船外国船に比べて通信量が多い、通信発着信の数が多い。したがって、これをある程度規制していただく。これはむしろ船主側に対する要望ということになるわけであります。これが第一点。  それから第二点は、船舶交信相手でありますところの海岸局設備を増強していただく。これは電電公社が相当しておるわけでありますが、やはりある特定時間にラッシュする通信を円滑に疎通するためには、海岸局設備を整備増強してもらいたいということが一つあるわけであります。もちろんこれには設備上の問題もありますし、それからそれに必要な周波数増加ということも必要であります。  それから第三点としましては、この同じ八時間の執務時間というものも、これはちょっと専門的になって恐縮でありますが、国際電気通信条約によりますと、いわゆる第二種のカテゴリーに属するわけでありますが、第二種のカテゴリーに属する八時間の通信時間というものは、これは条約でもって海域別にきまっておるわけであります。同じ八時間といえども、その時間帯でないところにある特定の船については設けるということも、これは条約上可能なんであります。これは第三種カテゴリーというものの中に、そういうことができるようになっておりますので、今回の改正案におきましては、第二種の乙と、それから第三種の甲と両方執務時間八時間の二種類運用義務時間というものを作ったわけであります。これによって、これをわれわれは表時間、それから裏時間というふうな表現を使っておりますが、こういうふうな処置を講ずることによりまして、通信特定の時間に殺到するということが避けられるのじゃないか、またこういうことは、すでにアメリカであるとか英国であるとか、そういった先進の海運国においても採用しておるわけであります。  こういったような通信時間の制度を変えることによりまして、多少とも通信ラッシュを緩和できるのじゃないか、こういったような三つの対策考えておるわけであります。  そのほかにも、なお現在気象業務法という法律によりまして、日本の近くの海域にいる船は、特定時間に船舶で観測した気象状況気象台に通告しなければならないとなっておりますが、これも今のように執務時間が全般的に短縮されますと、そういった情報の入手が、不十分になりますので、それに対しましては、また気象台のほうとしまして、別の対策考えなければいけないわけなんでございます。  こういった関係で、いろいろとこういった新しい執務制に移行するについては手当が要る、対策が要るといったようなことから、この三年という期間を定めた次第でございます。
  10. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 お聞きした以上にお答えいただいてありがとうございました。  まあ、大体いろいろ関係機関無線技士の乗り組み定員といった場合の対策相談をし、また具体的に施設をしというような必要から、少し長いけれども三年間の猶予期間をこしらえたということのようです。それは一応了承しますが、そこでこれに関連して、船員局長にお伺いしたいと思うのですが、これは船員局長仕事かどうか、実は私よくわからないのですが、いろいろの陳情を聞いたり、また私自身も調べて見まして、きょうも資料配付されましたが、これによりましても、電信の送受信の数というものは、われわれが初め常識的に考えておったよりも、少しこれによりますと一日一隻当たりの受信一・一四通、送信が二・七通、気象電報〇・八八通、こういうことですね、合計して四・七二通という数字なんです。しかし一面、この間の質疑でも多少触れたのですが、船内無線技士仕事が相当に実はある。これはまあ昭和十九年ですが、十九年以来、今の三直制をとってから、いろいろの実際的にそういう仕事担当せられているという結果になってきていると思うのですが、船内新聞を出すとか何とかいうような、いろいろの庶務的な仕事まで無線技士にやらせるのがいいかどうかという問題、これは非常に私も疑問に思っているのですが、これはこの間も申し上げたように、船主海員団体とで、それぞれ相談をして、必要なところで必要な人がその仕事をやればいいと思うのですが、ただここで常識的に考えて、船員局長に伺いたいのは、このごろやはり船がだんだん機械的にも非常に進化してきているのですね。能率を上げるために自動操縦はもちろんのこと、いろんな機器類にしても、たとえば電気的な設備を使用したり、いろいろ、無線技士仕事と私は思わないのですけれども、機械ないし電気等技術者担当をして、保守をしなければならぬというような仕事船内にもふえてきているのじゃないかと思うのです。これは私は想像ですけれども、ある程度、これは事実そういう事態が起こっていると思うのですけれども、そこで今、この仕事をだれがやっているかということになると、あるいはこれはほかに技術者がない。だから船内のエンジンのデパートがそれを担当しているとか、あるいは無線デパート担当しているとかいうような問題が考えられなければならぬと思うのです。ごく、何と言いますか、平面的に考えていけば、そういうことのためには、場合によって船によりましょうが、場合によっては、そういうふうな電気関係とか、機械関係の何らかの技術者、これはまあオフィサーに限りませんけれども、だれか、そういった人が乗っていれば、そうしてそれがそういう方面に、もし使われておるとすれば、その方面仕事は相当減るのじゃないかと思うのですが、船員局長いかがですか。今、そういった仕事は、どういう部門がやっておって、それに対してやはり船員局としては、何か船主海員の両団体に対して、そういう仕事の処理については、どうしたらいいというような相談でもしておるか、あるいはそういう監督でもしようというような気があるのか、その辺の事情をお聞かせ願いたいのです。
  11. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 今、新谷先生から御指摘がありましたように、現在の船舶通信士業務は、比較的閑散でございますので、たとえば船内における仕事といたしましては、レーダーの調整というような、船内では、従来甲板部仕事としてやっておったものを通信士にまかせておるというような船舶もあるように聞いております。しかしこれは、本来甲板部のほうの仕事でございますし、また現に、たとえば海員関係の学校におきましても、こういうようなものの取り扱いについて十分な教育をいたしておりますので、これは、各セクションにおきまして、当然そういう問題は今後処理していくべきであるというふうにわれわれは考えるわけであります。ただ、現実の問題として、通信士仕事が閑散であるということのために、いろいろな仕事が負荷されているということは、御指摘のとおりでございますので、こういう問題は、船舶通信士定員が明確に定まりましたならば、もう一度再検討いたしまして、当然通信士仕事の負担を減らすように考えなければならないと考えております。現在通信士の固有の仕事として考えなければならないものといたしましては、この運用に関する業務として、五百キロサイクルの聴守、あるいは沈黙時間中の聴守遭難信号緊急通信安全通信発受気象通信発受、報時信号受信無線方位測定衛生情報受信入出圏通知港務通信電報送受というような仕事があるわけでございます。  また、これに伴う無線機器の整備の仕事といたしましては、二次電池充電補助設備機能試験救命艇無線電信等機能試験、オート・アラームの機能試験ジャイロ用補助電池充電、こういうような問題があるわけであります。  こういうことも十分考えました上で、現存の提案いたしておるような定員で十分に消化できるというふうに、われわれは考えておるわけでございます。  これ以外の他部仕事無線部が受け持っているという問題につきましては、当然再検討いたしまして、それぞれの担当の部において、これを処理するように、今後進んで参りたいというふうに考えております。
  12. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体御方針はわかりましたが、それをとにかく早く実行に移さないといけないと思うのですね。今オペレーター仕事としておっしゃった中にも、これはむしろ甲板部のほうがいいのじゃないかというような種類仕事もあるように考えますけれども、それは具体的には、ここで論議をする必要はないと思いますからいたしませんが、とにかく本来のオペレーターとしての仕事以外に、いろいろの仕事を実際上船内でやらされている、また、それがやむを得ずやらされている部分も生じておるということになると、そういう部分を整理するためには、これは船員局も、そういう方針で指導しなければならないし、船主においても、オペレーター仕事の軽減と同時に、何かそれにかわる、たとえば技術者なら技術者を乗り組ませるか、あるいはある種の人たちに、もしもかりに何か試験あるいは免状というようなものが必要であれば、そういったものをとらせるとか、とにかくオペレーターの本来の仕事でない仕事を軽減する意味で、いろいろ船主考えていかなければならぬと思うのですけれども、これについては、船員局も同じような考え船下に対して、そういう指導をしていくのだということですから、これは、あなた方の言明を信頼して、この程度にとどめておきます。  それから公衆通信に関する問題でありますが、いろいろの経過があって、今日船舶から——船舶といいますよりも、一般の商船から打つ電信、受ける電信というものは、公衆通信の扱いを受けているわけです。そこで先ほど電波監理局長の言われたように、船はどんどんふえていく、で、国際的に短波周波数というものの割当は非常に少ないというような状況でありますから、たとえば電電公社がいかに努力しようと、なかなか波がないために、その設備ができなくて困るという問題もあるわけです。  とにかくこの問題については、まず第一に電電公社設備をふやすということ。その前提としては、周波数ですね、船舶に割り当てるべき周波数というのが、私の手元にある資料では、現在のところは、一般通信用としては銚子でもって十六波、長崎で十一波というような割当をしておられるようですが、これにしても、国際協約ですか、協定ですか、割り当てられておる波の数からいえば、相者、電波監理局苦心をしておられることはよくわかるのですけれども、所程倍増でやはり船もどんどんふえていかなければならないわけです、毎年何十万トンか……。そういう状態に対応していきますのには、やはり現在割り当てられた周波数以外に、できるだけ日本海岸局なり船舶が使える波を、開発していくといいますか、そういう努力が必要だと思うのです。それについては、前年、放送法改正案が出ましたときに、私から非常に強く希望を申し上げて、とりあえず郵政省で持っておった五波の電波公社に割り当てた。で、非常に通信疎通条件がよくなったということを聞いておりますが、現在の状態で当分、多少の船がふえるということを運輸省とも相談をしておられると思いますが、それを見越して電電公社としては、今申し上げたような波の割当で、十分公衆通信疎通をしていけるという確信があるのかないのかというのが一つです。  それから将来のことを考えると、やはりいろいろ西崎さんも言われたように、各方面努力をしなければならぬと思うのだが、電波監理部としては、そういう新しい周波数発見といいますか、それを開発していくのにいろいろ研究もし、実験もしなければならないと思うのですがね、そういう努力を、どういうふうにしておられるかということと、この二つの点を両方からお答えをいただきたいのです。
  13. 山下武

    説明員山下武君) 公社の現在の海岸局疎通状況からいたしまして、現在のところ、周波数としては不足は感じておりません。しかし年々使用数増加しておりますので、この自然増加に対応いたしまして、逐次設備の増強をしなければならぬし、そのためには、新たなる周波数郵政省のほうでお世話願っていただくようにしていかなければならないと存じております。
  14. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 第一段の御質問は、今運用局長からお答えがあったと思います。  第二段の御質問周波数獲得に対する努力を、どういうふうに払っておるかということでございます。先ほど先生からお話がありましたように、現在電電公社海岸局、これは銚子長崎と、神戸の一部を入れますと、短波海岸局川の周波数で二十三波割り当ててあるわけであります。これを使いますれば、ただいま運用局長から御説明があったように、この経過措置期間は、大体やっていけるのじゃないか、こういうふうに了解しておるわけであります。その後におきましては、やはり現在の二十三波では不足するのではないかということで、われわれのほうとしましても、かねてからこの海岸局用短波周波数獲得ということにつきましては、非常に努力をして参っておるわけであります。  実はこの世界の海岸局用短波の波につきましては、一九五一年の臨時無線主管長会議、ここできめました国際協定がございまして、この国際協定によって非常に強い規制を受けておったわけであります。ところが一昨年行われましたジュネーブの無線主管長会議、これにおきまして、海岸局用短波の波につきましても、一応この国際協定というものは御破算になりまして、ほかの短波の波と同じような割当の機構になったわけであります。その結果、従来よりも、こういった日本が比較的その発言権が弱かった時代にできた協定に拘束されないでいけるようになりましたので、比較的、こういった周波数獲得というものは、楽になったというと語弊がありますけれども、従来よりは緩和されてきたということで、われわれはその線に沿いまして、現在鋭意そのあいている波を探しまして、これの獲得努力しておるわけであります。しかし何といいましてもこういった海岸局用短波というものは、一応波の割当としては、もう全部割当済みである、ただその測り当てられた各海岸局が、これをどの時間に使っておるかということはわからないわけであります。これを探しまして、そのあいている時間を日本が使えるようにという考え方で、そのあき時間を探しておるというわけであります。その結果、ある程度リストの上では、その波の発見ができてきておるわけでありまして、これを近いうちに、実際に試験をしてもらいたい、これはやはり電電公社にお願いするより仕方がないと思います。  そういったようなことによりまして、波の積極的な獲得、確保をはかって参りたいと、こういうふうに考えております。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 電電公社のほうは、当面公衆通信疎通する上に支障はない、この改正法案が通っても支障はないという御意見でありました。将来に対する関係においては、電波監理局のほうでは、新しい波の開発のために非常に苦心をして努力をしつつあるということですが、いずれも了承いたしますが、その周波数、ことに船舶用の、海上用周波数の問題は、どこへ行っても、これは非常にシリアスな問題で、今お話にあったような研究実験というものを盛んに各国ともやっておるわけです。日本が今まであまりそれに強い関心を持たなかったということはいかがかと思いますけれども、とにかくそういう方針で、これは一波でも二波でも、そういう新しい波を開発することが、これは非常に国の大きな利益になると思うのです。そういう意味においては、ひとつ試験研究機関に多少の経費がかかっても、これはなるべく早くそれを獲得して、そうしてできれば国際登録をするという段階までいってもらわなければいかぬと思うのです。その点を特に強く希望しておく次第であります。  それから電電公社の今の御答弁は非常に簡単でしたが、その現在持っておられる与えられた周波数というものが、これは通信の分量に応じて、これはもちろんフルに使っておられるでしょうが、いろいろ実際の電信の発着の状況数字で見ますると、まだ、まことに時間によっては大きく余裕のある時間がたくさんあるようです。一番新しいときを見ても、まだ現在の二十何波でやっていっておられるのだから、これがマキシマムだとは思わないけれども、あなた方のほうの設備関係ですね、これについては、どういう程度までやっておられるのですか、その波を二十四時間フルに使おうと思えば使えるだけの設備銚子長崎とも、もうすでにやっておられるのですか。それは今後通信がふえるに従って、漸次に設備をふやしていこうという方針をとっておられるのか、実情はどうなんでしょうね。
  16. 山下武

    説明員山下武君) ただいまの御指摘周波数の現在作業しております時間は銚子長崎合わせまして約三百十二時間運用しております。もっともこのほかに、二十四時間全部使うこともできませんが——海域等によって不感地域その他がございますので、——全部できませんけれども、私どものほうの今までの経験からいたしまして、可能な最大限に、この周波数を生かして使おうといたしますと、現在の設備でも延べにしまして約百時間ぐらいは使える余裕があると思います。
  17. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは延べで概算ですが、百時間というと、この間の話では一時間十二通ぐらいとしても千二百通になるのですか、これをフルに使った場合には。
  18. 山下武

    説明員山下武君) 計算上はそうなります。
  19. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 時間により、相手のあることですから、必ずしもそれを全部一日中、一ぱい一ぱいに使うということは困難かもしれませんが、これはある日の調査によると、この時間別の取り扱い通数を総計して見ますと、大体二千五百通ぐらいですね。これに対して千二百通というと、大体半分ぐらいは、まだ余裕があるということになりますね。しかし、そういう結果になってくると、非常にピーク時の通信だけがふえてくるという状態であっては困ると思うのですね。  そこで、これを将来の問題として防止しながら海上通信というものを円滑に疎通していくためには、いろんな方法があると思うのです。さっき電波監理局長の言われた船舶会社の協力を得て、この時間とこの時間は特に急がしいから、なるべく前後の時間にするようにという勧奨をしてみたり、それから、そういうことも必要だと思いますが、電波監理局のほうで、この点はどういうふうに運用されるのでしょうか。今度の改正案の第三種局甲ですね、先ほどちょっと御説明があったのですが、内容を見ると、つまり八時間の執務時間を持っているのですね。これについては「遠洋区域航行区域とする船舶以外の船舶政令で定めるものの船舶無線電信局であって、次に掲げるものをいう。」こうありますね。結局、ここでは、まあいろいろあなたのほうで考えられて近海の船、つまり近回りの船については、八時間勤務ではあるけれども、その執務時間の割り振りといいますか、それについては政令以下で適当に執務時間というものを変えて、そして今のようなあるピーク時に通信がたまってくるというような、集中するというような傾向を避けていこうというような努力をしておられるように見るのですけれども、その点、電波監理局のほうは、運用は今後どうしていかれますか。
  20. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) 先ほど申し上げましたように、第二種局乙という八時間の執務時間を持った従来の執務時間帯と申しますか、これは国際的にも海域別にきまっているわけでありまして、これだけでは通信の幅湊を緩和するということは困難でありますために、今御指摘の第三種局甲という制度を新しく作りまして、それ以外のところに、また新たに八時間帯を取ろうということでありまして、具体的にその裏時間帯というものを、どういうふうに設定するかということにつきましては、これはまだはっきりした案を持っておらないわけでありまして、この点につきましては、実情あるいは今後の推移等を見まして、どの海域航行区域とする船をこの対象にするか、あるいは時間帯の配置を、具体的にどうするということをきめて参りたいという考え方でありまして、現在まだ、この時間帯をこうきめるのだという、はっきりした案は持っておりません。
  21. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に海域別に、その時間をどうするかというところまでは、まだおきめになるのは早いし、それは慎重におやりになる必要があると思いますけれども、しかし方針としては、そういう方針はお取りになるということは事実なんですね。
  22. 西崎太郎

    政府委員西崎太郎君) そのとおりであります。
  23. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは私はできることならば、私の考えでは国際無線会議無線通信会議ですか等の国際会議において、日本が多少特殊の事情があるといえばあると思いますから、そういう点を主張して、国際的にこれはもう何といいますか、認めるようにさしたほうがいい問題だと思います。おそらく他の海運国でも、同じような事情に置かれている国が二、三あるのじゃないかと私は思うのですが、そうするのが望ましいのですけれども、しかし条約規定によって許されている最大限を実行によってまかなおうということであれば、今、電波監理局長の言われているような程度しかできないだろうと思いますけれども、それにしても、日本電信疎通状況を見ていると、やはり近海が非常に多いのだから、近海について、そういうふうな措置を取られるということは、海上通信を円滑にする上には非常にプラスになると思うのです。これは衆知を集めて、実情を調べて、最もいい方法で、そういう新しい時間借を設定をして船の側にもその方が便利であるし、海岸局にも、その方がいいというようなものを早くきめていただきたいと思います。  それから公衆通信を円滑に疎通します上に、やはり必要なのは、どうしても無線技士の問題があると思うのです。これは陸上海上を問わず、まあ船員局から出されたこの資料によりましても、非常に海上無線技士の需給状況が悪い。悪いということは、逼迫しているということが非常に明瞭に出ておるわけですが、これは電電公社なんかの海津局のオペレーターなんかでも、ある程度共通な問題があると思いますけれども、勤務の状態とそれからいろいろの労働条件、そういったものと、それに対する給与の問題ですね、そういったのがやはり相当関係しているのじゃないかとも思われる。本来日本人は船はもう絶対にいやなんだというような空気ではないだろうと思うのです。やはり陸上のほうに相当にいい給与をくれるところが多いから、同じ学校を出ておる人であっても、今はいいほうに引っ張られていくというのが実情だろうと思うのですが、それについては、やはり給与の問題を考えていかないと、無理やりに船に引っ張っていくということはできないだろうと思う。船に対する認識を深めたり、船に対する理解を深めて、海国なんだから船のほうに勤務をするというそういうふうな精神的な呼びかけももとより必要でしょうが、給与の問題については、船員のほうは、船員といいますか、船舶無線通信士のほうは、陸の同じような業態の人と比べてどういうふうな比較になっていますか。これについては、船員局が給料を上げるわけではないから、船員局長に上げろといっても無理かもしれませんけれども、もしそういう事態があるとすれば、船員局としては当然考えるべき問題だと思うのです。  それから電電公社のほうの無線オペレーターですね。これは何ですか、陸上の同じような種類オペレーターと比べて、給与はどうなっていますか。それから電電公社がそういう海岸局なんかのオペレーターを得ようと思っても得られないというような状況ではないんではないですか、その点はどうなんですか。両方からお答えをいただきたいと思います。
  24. 若狭得治

    政府委員若狭得治君) 船員の給与につきましては、従来陸上の五割増しというものが一つのめどになっておりまして、この点につきましては、もちろん業種のとり方、あるいは海運関係でも内航船と外航船との給与の差がございますので、適確なる比較ということは困難でございますけれども、大体において、現在陸上の比較され得る同じような企業規模の業種と比べて五割程度の給与の増加であるということはいえるのではないかというふうに考えておりますけれども、船舶通信士につきましては、この給与体系の中で学歴あるいは年令等によりまして、船員の給与が給与体系の中で定まっているわけでありまして、ただ、最近一部の陸上のいんしん産業等におきましては、非常な高給をもって通信士の就職を勧誘しているというような実情でございますけれども、海運界におきましては、長い間の不況のためにそういういんしん産業のような給与を与えることはとうてい困難であるというような実情にあるわけであります。なお、現在の陸上産業に比べて五割増し程度の給料ということが、はたして今日の若い人々の心にアッピールするかどうかという問題も残されているのではないかというふうにわれわれ考えますし、また一方、海上の危険性とか、あるいはいろいろな厚生施設の面とか、そういうような総合的な方面を通してこういう問題は解決していくべきものであるというふうに考えているわけでございます。結局、通信士自体の給与につきましては、船員全体の給与の中で、その学歴なり年令、あるいはそういう職種としての一つの給与によって働いてもらっているわけでございますけれども、これが大体において陸上の五割増し程度におさまっておる。しかし、その五割増しというものは、はたして現在の通信士を勧誘するに足るだけの十分な給料であるかどうかというところに、やはり問題があるのではないかと思います。ただ、この給料を全面的に引き上げるということについては、海運事業の現状から見まして、非常にむずかしい問題があるというふうに考えております。
  25. 山下武

    説明員山下武君) ただいまの御質問、二点あったと思います。一つは、私のほうの海津局の通信士一般の他の電報局の通信士より処遇上優遇されているかという問題と、電電公社海岸局通信士の需給といいますか、新しく採用する場合に不足することはないだろうかという点だったと存じますが、処遇の点につきましては、電波高校を出た人を採用して公社内の訓練機関で訓練をいたしまして、大部分が一級の有技者として海岸局に配置しておりまして、したがいまして、特殊技能のいろいろな給与関係がございますので、一般の電報局のオペレーターよりも相当優遇されております。それから、応募者の状況は、年によって多少違いますが、最近数年間の実績は、電電公社といたしまして毎年約三十名ほど新規に採用いたしておりますが、平均いたしまして約三倍程度、百人前後の応募者がございまして、そのうちから三十人程度を採用いたしまして、訓練をして配置しておる、そういう状況でございます。
  26. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 電電公社のほうは一般から募集をされるのですか、何かある程度、たとえば大学とか高等学校なんかに委託生といいますか、そういう形をもってあらかじめ確保するという方法を講じているのですか。
  27. 山下武

    説明員山下武君) 別段の措置は講じませんで、毎年の電波高校の卒業生から一般公募いたしまして、その中から今言うような三十名程度採用いたします。
  28. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 問題は、やはり船に乗ろうとする通信士にあるようですがね。船員局長、今この委員会で船員の待遇問題を議論をすることはいかがかと思いますので、私は議論めいたことはやめますけれども、とにかく、もしこの法律案が通過すれば、だいぶこの船舶無線通信士の労働の状況が変わってくる、条件も変わってくるし、それから先ほども申し上げたように、船内におけるいろいろの仕事、まあ雑務といってもいいような仕事も含めて、そういったものもどうするかということも考えていかなければならない。それから一方では待遇も考えていかないと、どうしても確保できないというようなことになってきているんですね。そこで、船内ではやはり横の関係もあると思うのです。甲板部機関部の関係もあって、その無線通信士だけ、まあ常識をはずれてあまり待遇をよくするというわけにもいきますまいが、一方、同じような仕事をしながら、陸上ではこれだけの待遇を受けているのだ、船に乗ると、船主協会の団体協約でこの程度しかいかないのだということになると、これは電波法改正問題にも関係するが、それ以上に、実際に船が動かなくなるというようなことも考えられるのですね。ですから、議論めいたことはやめますが、こういうふうに、いい悪いは別として、今までの長い間の習慣で、とにかく三人の無線通信士を乗らしておった。それを今度は、いろいろ海運の基盤強化というような関係もあり、あるいはそれ以前の問題としてでも国際水準並みにしようというような考え方で、政府がこういう提案をしているのですが、その結果、やはり問題は、無線通信士が一人になっても、船舶の安全を確保し、通信を円滑にしていくという職責を尽くすだけの待遇を与えていくというところに基本的な問題は出てくると思うのですが、それについて、運輸省は、船員局だけの問題じゃないでしょう、全体としてひとつ十分に考えて、その問題と真剣に取り組んで、両団体を適当に指導されて、まあこの法律案の趣旨が生かされて実行に移されるように、これは非常な、あなた方努力をしなければいかぬと思うのですがね。大臣に来てもらって言ったほうがよかったかもしれませんが、この次にでも大臣が来られたらさらに言いますけれども、結局、問題はそこへ落ちついてきたわけですから、ひとつ十分に大臣にお伝えになって、次の機会にでも、大臣のこういう問題に対する考え方を明らかにしてもらいたいと思いますから、お伝え下さい。委員長、私は大体大ざっぱな点だけはきょうお尋ねしておいたのです。残っている問題は、実は政府委員の呼び方がまずかったものですから……。私要求するのを忘れまして、気象の関係と航行警報の関係で、気象庁とそれから海上保安庁の人を呼んで一言だけ意見を聞きたいと思っているんです。で、大体運輸省が、運輸大臣が了承しておられるのですから、その点も問題ないと思いますけれども、なお念のために気象庁の長官なり、海上保安庁の長官なりに、許されればこの次にでも、その次でもけっこうですから、最後にもう一ぺん聞いてみたいと思うのです。一応これで大ざっぱな質問だけは終わります。他の委員質問に移っていただきたいと思います。
  29. 安部清美

    委員長安部清美君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日のところ、この程度にとどめておきます。  散会いたします。    午後二時三十二分散会