運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-30 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

share
  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月三十日(月曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員異動 本日委員小幡治和君、郡祐一君及び小 柳牧衞君辞任につき、その補欠として 野本品吉君、米田正文君及び村上春藏 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君            基  政七君    委員            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            野本 品吉君            村上 春藏君            湯澤三千男君            米田 正文君            加瀬  完君            矢嶋 三義君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   衆議院議員    修正案提出者  岡本  茂君    修正案提出者  阪上安太郎君    修正案提出者  高橋 英吉君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曾田  忠君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    自治政務次官  大上  司君    自治省選挙局長 松村 清之君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○新産業都市建設促進法案内閣提  出、衆議院送付) ○公職選挙法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日付をもって委員小幡治和君、郡祐一君、小柳牧衞君が辞任され、その補欠として野本品吉君、米田正文君、村上春藏君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) まず、新産業都市建設促進法案議題といたします。  衆議院における修正点について、説明を聴取いたします。衆議院議員岡本茂君。
  4. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) 新産業都市建設促進法案に対する衆議院修正について御説明申し上げます。(「ちょっと待って下さい」と呼ぶ者あり)
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。新産業都市建設促進法は、今国会における重要法律案一つであり、衆議院において長期間にわたって慎重審議された点については、敬意を表します。修正して本院に送られているわけですが、その修正点についても十分検討をいたしたいと思って、私この配付された資料を見たのですが、要綱はありますが、説明はないのですがね。これは当然他院から修正して送られる場合、しかも、こういう重要法律案の場合は、やはりその院の委員長を補佐する調査室長に指示して、修正提案理由説明整備して他院へ送られるのが私は常道であり、また、当院の委員長としては、そういう要請をされて、われわれの審議をして容易ならしめるように配慮さるべきものと思いますが、要望をかねて委員長に御所見を承りたいと思います。
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 矢嶋君の御意見ごもっともと存じまするが、何しろ早々のことでありまして、十分のさような時間的余裕がなかったので、御了承願いたいと思います。  なお、これからでも当然のことでありますが、調査室その他において、しかるべき資料をそろえ、御要望に沿うようにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長の方針に協力はいたします。したがって、修正提案理由説明しかけていますから、他院同僚議員でございますので、その説明を聴取はいたしますが、早々といっても昨日は休みであって、事務当局に指示して、やる意思があればできないことはなかったと思うのです。だから、ただいま修正提案者説明は聴取いたしますが、それと並行的に第一院のしかるべく事務当局に指示していただいて、本法律案本格的審議に入るまでに、その提案理由説明文書が当委員会に配付されるように、格段のお手配をお願いします。
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記ちょっとやめて。   〔速記中止
  9. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記始めて。
  10. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) 途中で中断をいたしましたが、もう一ぺん説明をいたしますが、重複の点は避けたいと思います。  政府案は、大都市における人口及び産業過度集中地域格差の是正をはかるため、産業立地条件及び都市施設整備して、その地方開発発展の中核となるべき新産業都市建設を促進し、もって国土の均衡ある開発発展及び国民経済の発達に資することを目的として提出されたのでありますが、最近のわが国の労働需給は、地域的に、また、一定地域内においても著しく不均衡を生じている実情でありまして、国民経済の健全な発展のためには、各種労働力にそのところを得せしめて、需給均衡をはかることが目下の緊要事であることは、御承知のとおりであります。したがって、新産業都市建設にあたっては、雇用の安定について重点的配慮がなされる必要があるのであります。また、新産業都市建設を効果的に促進するためには、財政措置その他についてさらに積極的施策を講ずる必要があるのであります。このような趣旨に従いまして、今回政府案に対し所要の修正を行なったのであります。  次に、修正のおもな内容について申し上げます。  第一点は、本法案目的一つとして雇用の安定を加えたことであります。  第二点は、これに従って要請大臣労働大臣を加え、また、建設基本計画の達成に必要な施設整備教育施設厚生施設及び職業訓練施設を加えたことであります。  第三点は、国は新産業都市建設に資するため、必要な財政上その他の措置を講ずるよう努めることとしたことであります。  第四点は、区域の指定は、当該地域内において労働力需給均衡を保ち、雇用が安定するよう配慮することとしたことであります。  第五点は、国は大都市及びその周辺地域への人口及び産業過度集中を防止するため、必要があるときは、大規模な工場の新設または増設を制限するよう特別の配慮をすることとしたのであります。  第六点は、低開発地域工業開発促進法改正して、新たに財政上の措置及び地方債についての配慮に関する規定を設けたことであります。  第七点は、「新産業都市建設審議会」を「地方産業開発審議会」に改めたことであります。  以上をもって御説明を終わりますが、何とぞ御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑は後刻にいたします。   —————————————
  12. 小林武治

    委員長小林武治君) 次に、公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  両案について、まず補足説明を聴取いたします。
  13. 松村清之

    政府委員松村清之君) お手元に公職選挙法等の一部を改正する法律案要綱国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案要綱二つを御配付申し上げておりますので、これをもとにいたしまして補足説明をいたしたいと思います。  まず、公職選挙法等の一部を改正する法律案でございますが、これは公職選挙法の一部を改正する部分と、政治資金規正法の一部を改正する部分二つからなっております。  まず、公職選挙法の一部を改正する部分でございますが、その一は、選挙権選挙人名簿に関する規定合理化したことでございます。すなわち、都道府県議会議員都道府県知事選挙権を有する者は、市町村のある住所をその市町村外に移しますと、現行法では選挙権がなくなるわけでございますが、これを同一の都道府県内の移動であります場合には、引き続いて選挙権を持つようにしたいという改正でございます。  いま一つは、選挙人名簿を、将来住民登録基礎として作成するように制度改正いたしますために、今度の改正案では、その趣旨法律の附則でうたいまして、住民登録の現状がまだ完全に整備されておりませんので、その整備努力をいたしまして、その結果、住民登録基礎とする制度に切りかえたいというふうに考えております。  その二は、これはやや事務的なことでございますが、投票開票選挙会に関する規定合理化でございます。その一は、都道府県議会議員選挙区、大体郡あるいは市の区域でございますが、この区域の外へ住所を移転したために、選挙の当日投票所に行き投票することができない者についても、不在者投票ができるようにしたことでございます。現行の法のもとにおきましては、こういう場合には、元の住所へ戻って投票いたさなければならないのでございますが、この改正によりまして、移転先において不在者投票ができることになるものでございます。  その次は、開票立会人選挙立会人届け出選挙管理委員会に対して行なうように改正いたしました。  また、一の公職候補者開票立会人または選挙立会人となったものは、その選挙と同じ日に行なわれる他の選挙開票立会人または選挙立会人となることができないように規定を設けたことでございます。  それから4といたしましては、都道府県知事市町村長選挙につきましては、その地方団体の条例によりまして、現在の自書式投票にかえて、記号式投票、すなわち候補者氏名を印刷してあるところへ氏名の上にしるしをつける、こういう投票方法を採用することができる道を開いたことでございます。  三番目は、立候補に関する規定合理化でございまして、これは主として選挙の秩序を保持いたすために改正をばかろうとするものでございます。  その1は、立候補届け出につきましては、郵便による届け出はできないようにする。  その2は、立候補届け出書に記載する政党その他の政治団体の数は一つに限るものにする。  3には、立候補の辞退は、立候補届け出期間内に限ることにする。  4といたしましては、禁治産者あるいは犯罪等によって被選挙権を有しない者は、立候補の際に立候補することができないことにいたしたのでございます。現行法によりますると、この被選挙権の有無は、選挙の当日を基準とすることにいたしておりますので、こういう人も立候補できるのでございますが、選挙公明化の見地から望ましいことではございませんので、年令及び住所の要件については、従来どおり選挙の当日を基準といたしますけれども、ただいま申し上げましたようなものにつきましては、立候補の時点でひとつきめていきたいと、こういう改正でございます。  それから5といたしましては、重複立候補を今回全面的に禁止することにいたしたのでございます。  6には、4、5の改正に伴いまして、立候補届け出書に、被選挙権があること、他の選挙立候補していないことの宣誓書を付していただくということに改正をいたしたのでございます。  それから7といたしましては、現行供託金の額を引き上げることにいたしました。そして、この際に町村長選挙にも新たに供託制度を設けますとともに、五大市選挙につきましては、一般の市と切り離して、一般の市よりも多額の供託金を納めるように改められたのでございます。各種選挙を通じまして現行の五割増し供託金がなっております。四ページの表にあるとおりでございます。  次に四といたしましては、選挙運動に関する制限緩和合理化したことでございます。  この中の一につきましては、国の選挙につきましては、事前運動としての演説会一定制限のもとに認めることと政府案はいたしておったのでございますが、衆議院におきましてこの点は削除されましたので、説明を省略いたしたいと思います。  プリントの六ページの2といたしましては、選挙運動用自動車乗用自動車に限ることにいたしたのでございます。ただ積雪その他やむを得ない事情により乗用自動車の運行が不可能であると選挙管理委員会が認める地域におきましては、従来同様トラックの使用を認めることといたしたのでございます。  3といたしましては、選挙運動用ポスター枚数を増加したことでございます。各種選挙を通じまして五割増しにいたしております。ただ参議院全国区に関しましては、現行の五万枚の倍額の十万枚にいたしております。七ページの表のとおりでございます。  それから次に八ページに参りまして4といたしまして、こういうふうにポスター枚数が増加いたしますると、従来ポスター枚数確認のために行なっておりました検印というものが非常に困難になります。非常に時間をとることになりますので、この従来の検印にかえて証紙を交付いたしまして、これをポスターに張ることによってかえるということにいたしたのでございます。このことは、参議院全国区につきましてこれを実施いたしたいというふうに今のところ考えております。なお、この証紙につきましては、ここ半年の間技術的に検討をいたしました結果、雨にも十分耐え得るものができておるのでございます。  それから5といたしまして、投票所周辺百メートル以内に掲示せられておりますポスターにつきましては、選挙管理委員会選挙の前日または当日撤去しなければならないことになっておりますが、これにつきましては、従来百メートルの内外ということに関連して紛争がしばしばございます。この際このような規定を削除いたすことにいたしました。  それから、6、7を合わせて申し上げますが、選挙事務所を表示するためのポスター立札看板街頭演説場所において使用いたしまするポスター立札看板をそれぞれ三個、二個と限定いたしたのでございます。  8の選挙運動期間中の個人演説会回数制限の撤廃と、演説会場におきますビラ領布につきましては、政府案ではこれがあったのでございますが、衆議院で削除いたされましたので合わせて申し上げておきます。  五といたしまして、選挙公営を拡充、合理化いたしたことでございます。その一は、選挙運動用はがき現行の三分の二増しにいたしたのでございます。有料と無料との区別は現行どおりといたしております。なお、無料はがきにつきましては、不正譲渡を防止いたしますために、特別の措置を講ずることにいたしております。  次に十ページの2でございますが、ここでは今回新たに衆議院議員参議院地方選出議員知事選挙につきまして、一投票区について一カ所以上のポスター掲示場公営とすることにいたしたのでございます。なお、これに伴いまして、従来投票所外におきます氏名掲示は、汚損等のために選挙の有効、無効の問題もしばしば起きておりました関係もありまして、この氏名掲示は、参議院全国選出議員選挙だけに残してポスター公営掲示場を行ないます。他の選挙につきましてはやめることにいたしたのでございます。  3は、新聞広告回数を一回増加することにいたしました。これによって参議院地方区は三回、全国区は四回、いずれも無料でございますが、新聞広告ができることになったのでございます。  それから4は、立会演説会におきまして正当な事由がなくて、演説を行なわない人が間々あるのでございます。これらの人につきましては、選挙管理委員会が他の候補者意見を聞きまして、その後の立会演説会演説の順序を変更できるようにいたしたのでございます。  それから十一ページの5といたしましては、市町村選挙管理委員会は、街頭演説の実施を容易にするため、その場所の確保等適当な措置を講ずる努力をするように法律規定をいたしたのでございます。  6は、この選挙運動のための自動車の燃料の配給のあっせん、ポスター用紙公給制度は、これはいずれも戦後の物資需給事情の逼迫しておるときの制度でございまして、今日では意義が失われておりますので、やめることにいたしたのでございます。  六は、選挙運動に関する支出寄付制限合理化をはかったことでございます。  その一は、選挙管理委員会に提出いたします選挙運動に関する収入、支出報告書に、領収書その他の支出を証すべき書面の写しを添付することにいたしたのでございます。  その2は、選挙運動に関する支出制限額、すなわち、いわゆる法定費につきましては、合理的に引き上げることにいたしたのでございますが、なお、この際法定費用算出方式を改めることにいたしまして、従来は有権者数に応じて法定費用が増減される仕組みでありましたが、選挙費内容というものは、有権者数の多少にかかわらず固定的な経費が相当ございますので、今度は固定費有権者数に応じて増減される額と、この両方の合算額をもって法定費といたすことにいたしたのでございます。なお、固定費と、それ以外の部分との割合は、平均いたしまして半々程度に見ております。これによりまして、法定費用は、現行の額から二倍ないし二倍半程度に引き上げられることに見込んでおります。  その3といたしましては、選挙運動従事者に対する実費弁償選挙運動のための労務者に対する報酬及び実費弁償の額の基準を引き上げることといたしたことでございます。たとえば弁当料現行百円から百五十円、労務者報酬現行の三百五十円から七百円にいたしたようなことでございます。  次に十二ページに、その4といたしまして、国から補助金あるいは出資金等を受けております会社その他の法人は、当該選挙に関し寄付をしては……
  14. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっと、今の十一ページじゃないですか。局長のほうから言っておるページ数とわれわれのと違うじゃないか。
  15. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  16. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは速記を始めて。  一応説明を続行することにいたします。
  17. 松村清之

    政府委員松村清之君) それじゃ、プリントが違っておりましたのでページ数を誤りまして失礼いたしました。  4といたしましては、国から補助金利子補給金あるいは出資金を受けております会社その他の法人は、当該選挙に関し寄付をしてはならないものといたしたことでございます。また、地方公共団体から補助金負担金または出資金を受けておる会社その他の法人につきましては、その地方団体選挙に関して寄付をしてはならないことにいたしたのでございます。  5は、公職候補者または公職候補者となろうとする者が役職員または構成員である会社その他の法人または団体は、当該選挙に関し、これらの者の氏名を表示し、または類推されるような方法寄付をしてはならないものといたしたのでございます。  その6は、後援団体は、当該選挙に関し、当該選挙区内にある者に対し、寄付をしてはならないものといたしたのでございます。この政府案では「当該選挙に関し」とございますが、衆議院におきまして、この点が修正されまして、任期満了前九十日から、また、衆議院のように解散のあります場合には、解散の翌日からこれが適用されるというふうに改正されたのでございます。  それから7は、何人も、後援団体の総会、その他の集会または後援団体の行なう見学、旅行その他これに類する行事におきまして、供応接待をし、または金銭もしくは記念品その他これに類する物品を供与してはならないものといたしたのであります。これも、政府案では、「当該選挙に関し、」そういうことをしてはならないということでございますが、先ほどと同じように、一定期間というふうに修正されたのでございます。  最後の8も、候補者後援団体に対し寄付をしてはならない場合に、この「当該選挙に関し」と政府案ではありましたのを、同様に「一定期間」というふうに修正がなされたわけでございます。  七といたしましては、政党その他の政治団体選挙におきます政治活動を大幅に緩和いたしますとともに、選挙運動をも認めるようにいたしたことでございます。  その一は、こういった政治活動選挙運動が認められます政党その他の政治団体、これはいわゆる確認団体といっておりますが、その確認団体となるためには、一定所属候補者を持たなければならないわけですが、この所属候補者意味は、立候補の際にその政党その他の政治団体に所属する旨の届出をしたものをいうものといたしたのでございます。ただ知事市長選挙に関しましては、無所属立候補する場合が多いのでございます。その場合におきまして、それぞれの政党で実質的に推薦するというような例が多い状況にかんがみまして、知事市長選挙につきましては、無所属の場合におきましても、それぞれの政党確認団体となれるようにいたしたのでございます。  2は、衆議院議員選挙につきまして、政談演説会回数現行の二倍に増加することといたしました。  3は、確認団体が行ないます街頭政談演説におきましては、政策普及宣伝のほかに、今度の改正では、候補者推薦、支持その他の選挙運動のための演説もすることができるようにいたしたのでございます。現行法におきましては、屋内の政談演説会におきましては、政党政策普及宣伝のほか、候補者を支持する演説もできるのでございますが、街頭演説においては禁ぜられております。今度の改正によりまして、街頭において総裁あるいは委員長がその選挙区の候補者応援演説もできるようになることになっております。また、現行法では、停止した車の上でしかやれないのでございますが、これも車をおりてその周囲においてできるように改正をはかったのでございます。  その4は、候補者は、確認団体の行ないます政談演説会街頭政談演説会においては、演説現行法ではできないことになっておりますが、当該選挙区の候補者も、今度は政談演説会あるいは街頭政談演説会において、選挙運動のための演説をもすることができるように改正をはかったのでございます。  それからその5は、確認団体が使用する自動車の台数でございますが、これは大幅に緩和いたしたのでございます。  それから6は、この衆議院選挙に関してだけポスターにつきまして制限緩和をはかったのでございます。  それから次に7に、今回新たに確認団体のほかに推薦団体というものを設けることにいたしまして、これは確認団体に所属しておる候補者と所属していない候補者との間におきまして非常な差がありますために、この公平をはかります意味で、確認団体に所属していない候補者につきましては一つ推薦団体というものを認めまして、この推薦団体には、そこに(一)から(三)まで掲げてありますように、確認団体には及びませんけれども、一定範囲選挙運動を認めることにいたしたのでございます。なお、この(一)、(二)、(三)の(三)のビラの頒布につきましては、先般衆議院において修正削除されております。  八は、違反行為に対する罰則その他の制裁を強化いたしたことでございます。  その一は、選挙に関する文書図画の毀棄を選挙自由妨害罪として処罰することにいたしました。  その2は、虚偽事項公表罪につきましては、候補者だけでなく、候補者となろうとする者についても成立するものとし、なお、虚偽事項のうちには、現行では身分、経歴、職業に限られておりますが、このほかに党籍あるいは公認、そういったものの詐称もこの罪に該当するように改正をいたしたのでございます。  それからその3は、国、地方の公務員、公社、公団、公庫の役職員がその地位を利用して選挙運動をすることを禁止することにいたしました。そしてこれらの者がその地位を利用して一定行為を行なった場合におきましては、これはその地位を利用して選挙運動を行なったものといたして処罰することにいたしたのでございます。  その4は、公選による職にある者を除きます公務員等についてでございますが、これらの者が国の選挙候補者になろうという者で、この人たちが職務上の旅行、会議等の機会を利用して一定の行動をいたした場合には、これを事前運動として処罰することにいたしたのでございます。  それからその5は……
  18. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと選挙局長説明を中止して下さい。  自治大臣に申し上げますが、公選法が本付託になった最初のこの委員会に全然おいでにならぬ。これを政務次官以下におまかせになっておるということは、大臣として本案の重要性を十分認識をしておらない結果ではないかと、こういうふうに疑わざるを得ないのでございます。さような状態においては、場合により審議を中止するということもあり得るのではないかと思うのでありますが、これについて大臣の所信を伺っておきます。
  19. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 公選法は、私どもの扱いといたしましても、政府といたしましても、最も重要な法案中の最重要な法案といたしまして、あらゆる時間をさいて当委員会に出席しておるべきものであると心得ておったわけでございます。けさ、いろいろ打ち合わせいたしましたところが、衆議院のほうとの打ち合わせで、ちょうど共済年金制度衆議院で連合審査になっていて、ちょっとの時間でいいから、そちらが今の補足説明あるいは修正の提案理由の説明の間は、いいというふうに何か私のほうへの連絡がございまして、私はその間だけは、向こうの衆議院のほうの連合委員会へ出ておるようにという話で実は伺っておったのであります。今こちらで御審議が始まっているというのを伺いまして、向こうで委員長にも断わりまして、至急こちらへ参ったような次第で、私どもとして、決していいかげんに心得ているわけでもございませんし、また、できる限りのあらゆる時間をこちらへさくべく努力もいたしたいと思っているわけでございまして、その点は若干手違いがあったといたしますれば、御了承を賜わりたいと存ずる次第であります。向こうのほうも御承知の共済法を連合審査にかけるので、そういったこちらでの若干の時間をさいてもいいというふうに何か連絡上私ども承ったものでございますから、そういった行動をとったわけであります。あるいは手違いが途中で起こった点につきましても、私どものほうの手違いと存じ、その点はまことに申しわけないと思います。そういう次第でありますので、ひとつよろしく御審議のほどをお進め願いたいと思う次第であります。
  20. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまの弁明につきましては、委員長等において了解を与えた事実はないので、したがって、何か誤解に基づくものと存じます。いずれにいたしましても、今後の出席等について、重大な警告を発しておきまして、この場合審議を続行いたします。
  21. 松村清之

    政府委員松村清之君) それでは引き続きまして、その5は、公務員等であった者が衆議院議員または参議院議員選挙の当選人となった場合におきまして、その者が在職した職に関係のある事務に従事しております公務員等で、その当選人から面接または間接に指示または要請を受けて選挙運動をした公務員等が一定選挙犯罪を犯し、刑に処せられたときは、その当選人の当選を無効とするということでございます。これはいわゆる特殊の連座でございますが、この特殊の連座につきましては、本来の連座の適用される罪種よりもこの選挙犯罪の種類が広くなっておりまして、戸別訪問とか事前運動、こういうようなものもこの選挙犯罪の中に入っております。  その6は、これは連座制を適用する対象の拡大でございますが、政府案におきましては、「数箇に分けられた選挙区の地域のうち一又は二以上の地域における選挙運動」の主宰者をまず対象にいたしておったのでございますが、これが衆議院では、「数箇」というのが「三箇以内」に、そうして、その「一又は二の地域」の主宰者というふうに修正されたのでございます。そのほかには、事実上の出納責任者、法律の上では、法定費の「二分の一以上に相当する額を支出した者」にもこれを適用することにいたしております。また、候補者と同居しております父母、配偶者、子、兄弟姉妹にも連座制を適用することにいたしておりますが、この親族の場合におきましては、禁錮以上の刑に処せられた場合で、刑の執行猶予の言い渡しを受けなかった、そういう者に限定をいたしているのでございます。  その7は、連座に関しまして、現行法ではいわゆるおとり、寝返りの場合の免責の規定がございますが、これを削除いたしました。  その8は、連座による当選無効の訴訟を、現行法では、候補者一般選挙人が提起することになっておりますが、これを検察官が必ず提起しなければならないことにいたしたのでございます。  その9は、買収等の悪質な選挙犯罪によって罰金の刑に処せられた者、選挙犯罪によって禁錮以上の刑に処せられた者、こういう者につきましては、必ず公民権の停止を来たすことにしたことでございます。現行法では、こういう人につきましても、停止しないことができたのでございますが、必ずこういう人については停止する。ただ、情状によっては、法律できめられております停止期間の短縮ができることを認めているのでございます。  その10といたしまして、選挙法には罪の短期時効、大体半年ないし一年というのが時効期間になっておりますが、この短期時効制度を廃止することといたしまして、選挙法のほうの犯罪の時効は、すべて刑事訴訟法の規定による、そうすることによって、時効期間が延長されることになるのでございます。  九のその他の一は、選挙管理委員会選挙の結果を選挙人に知らせるように努める規定を置いたのでございます。  その2は、参議院議員選挙の運動期間を、現行の二十五日から二十三日に短縮いたしたのでございます。  その3は、市町村長選挙権被選挙権異動に関して知ったことを関係のある市町村選挙管理委員会に通知することにいたしたのでございます。  それから第二は、政治資金規正法改正になるのでございますが、その1は、政治資金の収入、支出報告書に、領収書その他の支出を証すべき書面の写しを添付しなければならないものといたしたのでございます。  その2は、政党、協会その他の団体は、国または地方公共団体から補助金負担金あるいは出資金を受けている会社その他の法人から、当該選挙に関し、寄付を受けてはならないものといたしたのでございます。  その3は、政治資金規正法による届け出のない政党、協会その他の団体寄付を受け、支出をしたとき、また、政党、協会その他の団体が違法な寄付を受けたときの処罰規定整備したのでございます。  それから、その4といたしましては、罪の短期時効につきまして、選挙法と同様に政治資金規正法から削除いたしまして、刑事訴訟法によることにいたしたのでございます。  これが公職選挙法等補足説明でございますが、なおもう一つ国会議員選挙等執行経費基準に関する法律案につきましては、これは先般、大臣より提案理由の説明が行なわれたことに、それ以上に補足いたして説明することはないと思います。  なお、それに関連しまして、先般の衆議院修正に関連しまして、執行経費のうち、演説会場立札費が復活されることになりましたことを一言つけ加えておきたいと思います。  以上が私の説明でございます。
  22. 小林武治

    委員長小林武治君) 引き続き、衆議院における修正点について説明を聴取いたします。衆議院議員高橋英吉君。
  23. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) ただいま議題となりました公職選挙法等の一部を改正する法律案修正案について、私は、自由民主党を代表して、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。  本年三月一日政府は、選挙公明化をはかるため選挙制度審議会の答申に基づき、公職選挙法等の一部を改正する法律案を本院に提案したのでありますが、その内容は、選挙制度審議会の答申の線に沿って選挙法の全般にわたって大改正を行ない、従来、現行選挙制度のもとにおいて、各方面で論議されていましたほとんどすべての問題について所要の措置を講じているものでありまして、選挙公明化に寄与するところ大なるものがあると考えられます。しかしながら、法案の一部について、規定の明確を欠き、または現在の実情に即しないと考えられるものが二、三ありますので、これらの点について、ここに修正案を提出し、公正かつ明朗な選挙を実現するという趣旨の徹底を期することとした次第であります。  次に、この修正案の内容について御説明いたします。  第一は、立候補届出前の演説会及び選挙運動期間中における個人演説会に関する事項であります。政府案によりますと、衆議院議員及び参議院議員選挙立候補予定者は、届出さえすれば、選挙の口の翌日から次の選挙までの間に事前運動としての演説会を百回以内開催することができることとなっておりますが、これは言論文書による選挙運動はできるだけ自由にしようという趣旨によるものと考えられます。しかしながら、これが実行されると年じゅう常に選挙運動が行なわれることとなり、このため多額の経費を必要とし、たとえ費用の面で規制するとしても、その実効は期しがたく、結局は金のかからない選挙という趣旨に反することとなるのであります。したがいまして、選挙期日の告示をスタートの合図として現職も新人も一斉に選挙運動に入るという現行制度が適当であろうと考える次第であります。  なお、社会党において主張されている政党による事前の演説会制度は傾聴すべきところもあると考えるのでありますが、政党制度が法的に確立していない現在において、個人には認めず、政党のみにこれを認めることは、根本的にも技術的にもなお、慎重なる考慮を要するものと思われますので、わが党においても将来の問題として十分検討いたしたいと考えております。  また、選挙運動期間中の個人演説会につきましても、一定のルールのもとにおいて行なわれることが現状に適すると考えられますので、回数制限については現行どおりとし、また、演説会場においてビラを頒布することにつきましても、これを場外に持ち出してまき散らしたりするような違反行為を誘致しやすく、かつ、これを取り締まることは現実には困難であると思われますので、取りやめるよう修正することといたしました。  第二は、選挙運動のために使用される事務員についての報酬の支給に関する事項であります。政府案によりますと、選挙運動のために使用される労務者のうちに事務員を含む旨を規定してありますが、ここにいう「事務員」とは、従来判例等にいう機械的労務に従事する者に準じた者、すなわち、機械的事務に従事する者をいうものでありまして、いわゆる選挙運動に関する一般的事務に従事する者は含まれないということであります。しかし、選挙運動に関する事務のうち、単に機械的事務と選挙運動に関する一般的事務とを分けることは困難でありますばかりか、たとえ、観念的に分けられたとしても、これを全く別個の人が行なうことはまれでありまして、これらの行為は同一人によって一連の事務として行なわれているのが通常であります。したがいまして、機械的事務と選挙運動に関する一般的事務を峻別して、選挙運動のために使用される事務員が機械的事務の範囲をこえた事務をもしたから、これに対する報酬の支給は買収になるときめつけることは、むしろ無事の人を罪に陥れるともいうべきであると考えられます。もとより、選挙運動は無報酬でやるべきだという考え方のあることも承知していますが、選挙運動のために使用される事務員にまでこれを要求することは、現在の社会機構からいって無理なことと考えられます。したがいまして、あらかじめ、選挙管理委員会届け出一定人数に限り、選挙運動のために使用される事務員に一定報酬を支給することができることとした次第であります。  第三は、後援団体に関する事項であります。「当該選挙に関し」の意義は期間的に明確を欠く点があります。これでは、この規定趣旨とする後援団体に関する不明朗な寄付等の禁止を徹底させることは困難であると考えられます。したがいまして、過日衆議院委員会において主張されたように、禁止期間を明確に法定することといたしたものであります。  第四は、連座の対象となるいわゆる地域主宰者に関する事項であります。政府案によりますと、「数箇に分けられた選挙区の地域のうち一又は二以上の地域における選挙運動を主宰すべき者として候補者又は総括主宰者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者」となっております。これは選挙制度審議会の答申における「選挙区において相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者」を法文化したものであると考えられますが、この法案中の「数箇」という表現は明確を欠き、このような罰則またはこれに準ずる規定においては適当でないと思われますので、答申にいう相当広範囲にわたるものとして、三箇以内に選挙区が分けられている場合において、「当該地域における選挙動運を主宰した者」とした次第であります。  以上がこの修正案の提案の理由及びその内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、われわれの修正案を取り入れ、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  24. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をちょっとやめて。   〔速記中止
  25. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。本日の委員会は、委員長及び理事打合会の結果を承らないで始まりましたので明確でなかったのですが、ただいま委員長のほうから報告がありましたので、それに関連して要望も申し上げ、また、お伺いいたしたい。それは、この公職選挙法案並びに新産業都市建設促進法案、両法案は、本国会においても屈指の重要法案だと思うのです。前者は、議会制民主政治の根底に触れる問題であり、後者は、日本の開発方式としては画期的なものだと思うのです。私は、会期の迫ったこの時点に、こういう重要法律案衆議院から送付されたことについて、後刻、衆議院諸君の見解も承ってみたいと思うのですが、委員長にお伺いしたいことは、第二院としてのわれわれは、断じて、おざなりな審議に終わってはならないと思うのです。かつて私は新聞で拝見したのですが、公職選挙法等の一部改正法律案だけで、四月の二十日までに衆議院から送付されなければ、参議院地方行政委員長としては責任が持てないということを、党内においても強力に発言されるとともに、新聞記者諸君にも談話を発表されたことを、私は間接に承知いたしております。そこで、きょうの時点で、この重要な二法律案審議を付託された当委員会委員長としては、おそらく私は、国会役員として、この二つ法律案参議院らしく、参議院が充実した審議を了するためには、国会の会期は延長しなければできないという見解のもとに、国会役員として、所管委員長として、議長に、そういう意見を具申して、先刻来、本委員会に臨まれ、先ほどの発言をなさられておると僕は推察いたすのですが、その点の委員長の見解並びにその経過等を承っておきたいと思います。
  27. 小林武治

    委員長小林武治君) 私は、先ほど非公式に申し上げましたように、当委員会として、公選法は、ぜひ二十日までに送付を願いたいと強く要望をいたしたのでございます。それは、御案内のように、四月末から連休があって、通常の状態においては、審議期間がきわめて短いと、そういう趣旨からこれを申し入れておったのでございます。ことに新産業都市につきましては、公選法との並行審議はこれはほとんど不可能に近い。したがって、この法案の、審議地方行政委員会以外でやってもらいたいと、こういうことを申し入れまして、議院運営委員会でその審議もされたのでありまするが、他の委員会の都合において、この審議を引き取ることはできないと、こういうふうな状態になりまして、やむなくまた新産業都市建設促進法案が本委員会に付託され、本付託された、こういう状態になっておりまして、その辺のこともひとつ御了承願っておきたい。しかし、世論の動向から見れば、この両法案はどうしても通してほしいということが、私は新聞あるいは世間の一般の声であろうと思うのでございます。したがって、現在の時点におきましては、まことに遺憾ながら時間が非常に短いということはありまするが、この五月の連休を私はこの参議院委員会としては通常時のように連休を取っておったのでは、さらでだに少ない審議時間が持てないと、こういう事情でありまして、私委員長の希望としては、この休みも返上をして、十分のできるだけの審議を尽くしてこの世論にこたえたいと、かように考えておるのでございまして、三日以降の連休につきましても、特にひとつ各位の御協力を願いたい。それでできるだけ実質的に長い時間をかけて審議を尽くして、できるならば世論の要望にこたえたいと、かように考えておるのでございまして、今日の状態におきまして、なお会期の延長その他について云々すべきものではないと、かように私は思っております。  すなわち繰り返して申せば、はなはだ恐縮ながら、この世論の負託にこたえるためには、当委員会としては連休等も返上して、また夜も続行をして、そしてこの審議を尽くしたいと、かように私は考えておるので、これは私だけの考えでありますが、さように御了承願って御協力を願いたいと思います。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、重要なスタートですからはっきり確かめ、伺っておきたいと思うのです。私は、世論がどうだとか、世論の負託にこたえるとか、こたえないとか、この法案を通すとか通さないとか、そういうことを触れておるわけじゃないのです。ただ審議をする第二院のあり方として、十分審議しなければならない。かりに私は連休をつぶしたとしても、この二つ重要法律案審議するということはやっていかなければならぬけれども、第二院の使命を果たす審議ぶりからいけば、私は容易ならぬことだと思うのですね。それから、先ほど新産業都市建設促進法案を他の委員会に云々という御発言がありましたけれども、これは、国会法と当院の参議院規則に基づいて、かつて議長の権限で付託したことであり、一応付託されたものをいかなる事情があろうとも、これは参議院規則の上からいっても、慣例からいっても、変更はできないわけで、当委員会に付託の法案審議することになったことはこれはもう当然であり、また、私はやむを得ないことだと思う。そういう状況下にいかに審議を尽くすかということになりますと、私は連休をある程度犠牲にしてもなかなか果たせることでないと思っている。  そこで、私は委員長に念のために申し上げておきますが、いずれもこれは重要法律案であり、本日まで当委員会委員長、理事の御協議のもとに、円満に充実した第二院らしい審議を続けて参ったわけでありますが、まあ先ほど申し上げたような期間等からいって、まさか審議中途で打ち切ったり、単独審議をするというようなそういうつもりでは委員長はおられないことだと私は推測します。しかし、日刊新聞紙に出る記事をちょっと読みますと、何か委員長は反対する者があったら、それはもうアウトにしておいて、最大多数で委員会を強引に運営していって、もう審議しようがすまいが五月七日には全部審議を了するのだというふうにとれるような記事が、あなたの口から出たんではないと思いますけれども、に各日刊紙に出ている。これで過去の本委員会の運営内容等を顧みて、私は非常に危惧しているものですが、そういう点について、委員長の本委員会の審査の基本的態度について私は承っておきたい。
  29. 小林武治

    委員長小林武治君) 時間が少ないということは、衆議院に強く遺憾の意を申し上げてあります。政府にもさよう申し入れてございます。しかし、私どもとしてはあくまでも与えられたものに対して審議を尽くす、こういう必要があることは痛感しているのでございます。従来委員各位の非常な御協力をいただいてきわめて円満に当委員会が運営されている事実もありますし、続いてさような状態において皆さんの御協力のもとにぜひやっていきたい、かように考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は、委員長の本委員会の秩序維持、議会運営の責任者としてその立場を了解して協力申します。しかし、あくまでも審議参議院の自主性と独立性を持って尽くすのだという基本的態度を堅持されるように強く私は要望いたします。でないと、世間では、参議院はプロ野球でいうと、第二軍みたいなものであると、録音の再構成をやっているというような、私は必ずしも当たらないと思いますが、そういう批判があることも事実であります。この両法案衆議院に付託されて参議院に送付されるまでの期間等を考えるときに、はたして衆参を通じてこれでよろしいのかどうかという私は疑念を持っている一人です。それだけに有識者が第二院のあり方というものについて、あるいは第一院と第二院を通じての審議形態というものについて非常な関心を持ち、要望をされている向きがあるわけですから、そういう疑点を解明する意味においても、われわれは善処しなければならないと、かように私は思っております。  主張しお願いしておきたい点は、当院としては、どの委員会でも、また本会議でも、衆議院から送付されてくる場合に、先に送付されてきた法案を先に審議するという慣例が出ておりますので、私は新産業都市建設促進法案先議を、それのみをやって、そうして公職選挙法の一部を改正する法律案審議に移って下さいとは、私はそれまでは申しません、委員長理事打合会のある程度の話し合いもありましょうから。しかし、並行審議するのでも、大きな方向としては、新産業都市建設促進法案衆議院で先に上がり、先に送付され、本付託が先になっているわけですから、そういうことはお忘れにならないように、委員長においてもこれを取り運んでいただきますように、特にこの点は要望いたしまして、終わりたいと思います。お答えをいただきたい。
  31. 小林武治

    委員長小林武治君) 矢嶋委員の御意見はごもっともなことでありますので、なるべく御意見に沿うようにいたします。   —————————————
  32. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは、新産業都市建設促進法案議題とし、政府並びに衆議院修正者に対する質疑を行ないます。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 両法案を通してでございますが、委員長の先ほどの御発言では、午前中新産業都市建設促進法案、午後は公職選挙法の一部を改正する法律案を一部審議するやに御要請があったわけでございますから、今後の審議の都合上、大臣の出席要求の件と、資料要求をしておきたいと思います。  先ほど自治大臣から御発言がありましたが、公職選挙法の一部を改正する法律案審議の段階においては、大臣並びに衆議院修正案提案者は、ぜひ御出席されるようお願い申し上げておきたいと思います。  なお、この新産業都市建設促進法案審議にあたっては、本日はともかくとして次回適当なときに、次の大臣の御出席を委員長にお願い申し上げておきたいと思います。それは大蔵大臣、自治大臣、通産大臣、建設大臣、文部大臣、必ずしも一緒に御出席願う必要もございませんので、審議の段階に、そう時間をとるまいと思いますから、御出席をお願い申し上げておきます。  きょうのところ、公職選挙法関係の資料ということで要求さしていただきたいと思います。それは一つには、衆議院の公聴会の御手洗公述人の速記録を見ますと、高級公務員の立候補は世襲化している、こういう公述をされております。で、その実態を私は把握いたしたいので、過去における高級公務員の立候補当選の状況の比較一覧表を提示願いたい。それから第二番は、と財政的につながりがある法人寄付に対する規制が行なわれているわけでありますが、三十年以後のそういう会社法人寄付の実態はいかようなものであるかということが判明する資料を出していただきたい。それから第三点は、三十年以後の選挙における選挙違反、その件数、それからその大要、それがわかる一覧表。それから第四点は、選挙違反事件について起訴された件数、それから起訴理由の大別。それからその判決の有罪、無罪の別、それから執行猶予のついた状況、パーセンテージがわかるもの。それからまだ終審していない裁判進行中のものについては、裁判進行中の件数がわかるような資料を出していただきたい。これと関連をしてですね、今度の参議院に送付された原案、われわれの審議の対象になっている原案、これにおいて、あの連座事項にかかる案件が、三十年以後の選挙においてどの程度あるかということがわかる資料、これは法務省並びに裁判所と連絡をとれば即座に整えられる資料ですから、ぜひ必要でありますから出していただきたい。それから、これは参考にいたしたいので、きょうのところ要求しておきたい最後の資料としては、私を含んで、この地方行政委員並びに大臣、こういう方々の最終選挙ですね、至近選挙、最も近い選挙における法に基づく法定費用は幾らになっているか。その選挙における法定選挙費用が幾らになっているか。それから今度の改正では、その法定選挙費用が幾らになるかということが明らかになる資料を出していただきたい。ただし、氏名は私は書いていただいても書いていただかなくても、どちらでもけっこうだと思います。それは提出者の意思にまかせます。これは参考に出していただきたい。それだけの資料をきょうのところ要求いたしておきますので、できるだけ早い機会に提出していただきたいことをお願いいたしておきます。
  34. 松村清之

    政府委員松村清之君) この中には、たいへん資料として困難なものもあるように見受けられるのでございますが、私どものできる限りのものを整えて、できるだけ早く提出いたしたいと思います。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 選挙局長、何を困難なのがありますか。これだけの、いまだかつてない大がかりな法律案を出される以上、この程度の資料というものは整っているはずです。
  36. 松村清之

    政府委員松村清之君) たとえば二番目に申されました、国と財政的につながりのある会社法人寄付の実態というものは、先般来各省を通じて調査しておりますのですが、これはなかなか各省も秘密にしておりまして、全部まとまっておらぬような状況であります。(「それがいけないのだ、だから私は言っている、それも出していただきたい」と呼ぶ者あり)
  37. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  38. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 経済企画庁に資料をお願いしたいのですが、先ほどの衆議院修正要綱の御説明の中にもございましたが、地域格差の是正あるいは近郊の発達と発展ですか、目的の御説明にもございましたが、地域格差というものをどのように把握しておられるか、顕著なる地域格差の具体的な例ですね、それから顕著なる不均衡の具体例、この二つをお出しいただきたいと思います。
  40. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) できるだけ至急に整えまして出すことにいたします。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 衆議院修正提案者に若干お伺いいたします。非常に長期間にわたって慎重審議され、修正議決され、さらに附帯決議をつけられて審議を了され、本院へ送付されたその過程における御熱心な第一院の審議態度に対してまず敬意を表します。  内容に入る前にお伺いいたしたいのですが、本法律案衆議院に付託されたのはいつでございましょうか。それと、この会期の迫った四月三十日ごろ御送付いただいて、第一院の審議ぶりから見て、われわれ第二院の審議は十分尽くせるというような御配慮のもとに衆議院におかれては審議なさって下さったものかどうか。別に私は参議院議員としてひがむわけではございませんけれども、何かわれわれからすれば、あと二、三日、参議院に送付しておけばそれでいいのだというような、意識するとしないとにかかわらず、そういう意識が第一院にあられるのではないかというような邪推を私はするわけですが、このことは、今後のわが国の議会政治における二院制度下における両院の相互関係にやはり微妙な影響がありますので、私は、内容を承る前に一応その点についての御所見を伺っておきたいと思うのです。
  42. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) 衆議院に付託された日にち、私は確かなことを記憶していないのですが、これは企画庁のほうから答えたほうが正確ではないかと思います。  そこで、参議院で十分御審議の、時間的に余裕を残して送付するのがこれは至当でございますが、われわれもそれに努めたわけで、極力早く審議するということに努力はいたしたのでございますが、何分にも非常に重要な法案であり、影響するところが重大でございます。そこで、十分の審議を尽くすために相当の時間をとったわけです。また、一そう慎重を期するために、あるいは地方行政委員会との連合審査、あるいは農林水産委員会との連合審査、あるいは建設委員会との連合審査というふうに、これは問題が多岐にわたっております性質上、関係の委員会との連合審査等にも相当の日子を費やさざるを得なかった、さようなことでようやく先ごろ議了いたしたような次第でございます。その点は御了承をいただきたいと思います。
  43. 小林武治

    委員長小林武治君) 私も一言申し上げます。委員長としましても、ただいまの矢嶋委員の御発言には同感をするものでありまして、重要法案であればあるほど、われわれにも相当の審議期間を与える配慮衆議院としてなすべきであるということを私は確信いたしますので、代表者の議員のお二方に対しましても、さような意見でわれわれがあるということをひとつ御了承願って、各位にお伝えいただきたいと思います。
  44. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) 承知いたしました。
  45. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまの、衆議院に提出いたしましたのは二月三日でございまして、二月九日に第一回の提案理由の説明を商工委員会でいたしました。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長からも御発言がありましたので、この点その程度にとどめておきます。まあ長い一院と二院の今後のつき合いでございますから、お互いに心して参りたいと思います。  非常に連合審査等を開かれて慎重に審議され、この要綱においても拝見するように、十点にわたって修正されております。よくまあこんなにおまとめできたものだと敬意を表しているわけですが、この修正するにあたっての大きな眼目というものはどの点にあったのでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  47. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) この前要綱で十点掲げておりますけれども、最も重要なものは数点に帰着するかと思います。一番力を入れましたことは、的の中に雇用の安定ということを入れるという点でございます。まあ教育施設あるいは職業訓練施設厚生施設というようなものをこの基本計画の中に入れるというような事柄につきましては、むしろ雇用の安定ということがもとになって起こってきた問題だ、かように考えております。また労働大臣要請大臣に加えるというようなことも、目的雇用の安定ということを挿入するということにいたしました結果にほかならぬわけであります。したがって、雇用の安定ということが一番眼目になっておると存じます。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた方の審議の経過並びに修正点から受けるものに、私は次のようなニュアンスがあるような感じがするんですがね。政府原案よりは新産業都市としてより多くの都市を指定する傾向が表われてきている、こういうニュアンスがにじみ出ていると思う。そのことを衆議院における附帯決議の第一項の「無計画な総花的指定に堕することなく、」云々という附帯決議の第一項とはやや矛盾しているような感を受けるんですが、いかがでございましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  49. 岡本茂

    衆議院議員岡本茂君) 今の御質問の点でございますが、非常に多くのものを指定するようなニュアンスがある、こういうことでございますが、必ずしもそうでないわけでございます。ただこれは第五条に出ておるかと思いますが、原案の第五条に「将来大規模な産業都市」に発展する、こういうことが一つの要件になっておるわけでございますが、これをあまりに厳格に規定することはどうかと、そこでまあ多少の幅を持たせたほうがいいんじゃないかということで「相当規模の産業都市」というように修正を加えたわけでございます。その「相当規模」ということは、これはえらい小さいところまでどんどん指定するという意味じゃございませんので、したがって、附帯決議にございます、総花的に堕することなく、重点的にやるということとは、大体矛盾しないというふうに考えております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お互い政治家ですから、いろいろな現実面が考慮の中に入って参りますから、こういうことがあり得ると万々わかります。しかし、この法案は、やはり僕は日本の開発方式としては画期的なものだと思うんですね。その方向づけを誤っては今後の成果を期待し得ないと思うんですよ。で、国家資本あるいは行政の関与等がある特定地域集中的にいく、そのことの欠点も出てきましょう。しかし、その他の地域については、別途の角度からこのしわ寄せが来るのをチェックし、是正して全般的にバランスのとれた開発を考慮するということも、集中的に指定してもなおかつ私はできる方法があると思うんです。まあ共産主義国等が、ああいう全体主義国等が大きな事業をやってる面は、私は必ずしも賛成いたしませんけれども、ある特定部面に大きな犠牲をしいて、そうして全体主義のもとに、ある一部に対して集中的に力を注ぐところに、ややびっこになっていますけれども、ああいう事態が起こってくると思うんですね。そういう方式というものを私は全面的に肯定していません。しかし、わが国の政治経済機構の中で、こういう開発方式をとるという場合に、私は大きな方向としては、あなたのところの附帯決議の一項にある、この総花的になってはならない、ある程度重点的にし、なおかつ他の地域にしわ寄せがいったり、犠牲にならないような配慮をして、バランスのとれた安定した開発計画をやるという方策というものは、私ははっきりと方向づけなければならぬかと思うんですがね、私の私見です。しかし、このあなた方の附帯決議と修正とは、やはり私は底流には若干矛盾している面があると思うんですよ。だから、その点を明確にしておかないというと、法案成立後公布施行されたときに戸惑いを起こすおそれがあると思うのです。どういうわけでそういう感じを受けるかと申しますと、たとえばこの要綱の第五に、「大規模な産業都市」というのを「相当規模な産業都市」に改めるわけですね。「工場の立地計画がすでに進行し、」を削って他の活字に変えているわけですね。こういうところは、政府原案の、政府の最初の構想、方向づけとはかなり変わってきていると思う。だから法律の公布施行後、運用いかんによっては相当私は態様が変わってくるのじゃないかと、かように思っております。しかし、この修正の大きな方向というものは私は同感です。そこで、法律が成立した後に効率を上げることと、開発の効率を上げることと戸惑いをしないために、私は修正案提出者とその担当企画庁長官に伺っておきますが、答弁は長官のほうからひとつお願いしたいと思うのですが、拠点開発方式をとっているわけですね。そうなりますとね、幾つかこれは指定していくにあたっても、おのずと私は順序があると思うのですね。それには条件の整備したところから順次していけばいいわけで、その条件の整備の中には、工場の立地計画がすでに進行しているというようなことが一つの大きなファクターになると思うのですね。で、要は、調査研究等準備が十分できてこれがやれるという見通しの立ったものからある程度精選して指定して逐次進んでいくと、こういう形態をとらないと、着想はうまくても私は成果を上げ得なくて散発的になる危険性があると思うのです。これは国の財政的な裏づけが必要になって参りますからね。この基本的な方向づけについては、政府原案を私は拝見した場合に、そういう印象を非常に強くしたわけですが、衆議院における経過から見て、若干その点ぼけてきたような感じがいたしますので、政府側の長官の見解と、それから修正者側の御見解を承っておきたい。
  51. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回この衆議院修正をなされました、それについて大体私どもとしてはこの法案自体がさらに一そう強化され、将来の新産業都市建設のために力強いものになったと、こう存じております。そこで、今お話のように、「大規模な産業都市」が「相当規模」ということに変わったことと、附帯決議のほうの、総花にならないということと矛盾しやしないかということでございます。私は、衆議院におかれましても、総花的な指定ということについては、むろん附帯決議に言われておりますように、十分な条件を整えた都市を選ぶべきである、いたずらに運動等によって総花になってはいけないという非常な決意を示されたも一のだと思うのでありまして、私どもも、その点については全くそう考えております。ただ、「大規模」が「相当規模」になったということでございますけれども、御承知のとおりに、これは国土開発総合計画の拠点計画が、主としてこの産業都市建設を貫いております一つの線でございます。ただ、大規模といいましても、人口幾ら、あるいは工業生産力幾らということを、どこに基準を置いて大規模と言うかとなると、その点につきましては、やはり若干の疑問もございます。したがいまして、拠点構想からいいますと、すべての都市がいわゆる一律に大規模という観念だけでいかない場合があろうかと思うのでございまして、そういう意味からいうと、ということは、大規模を別個の角度から表現されて、そうして地方総合開発の段階的中心拠点ということを考えていく場合に、衆議院修正されました点については、そういう意味と解して、私どもも運営をして参ることに支障がないものと考えております。もちろん、今お話がございましたように、現にすでに相当程度の施設を行なっておりまして、そうして将来の発展を期するという方向に向かって進んでおられますところの既存、何と申しますか計画というものに十分見合って、そうして指定等も考えていきますることは、これは当然のことでございまするし、早急にこうした地域格差の是正をはかりながら、自然的条件において現在地方の拠点的な状況を整備しているからこそ従来の進行が見られていると思うのでございまして、そういう意味を勘案して参りますと、今、矢嶋議員のお話のような点は、やはり指定における相当重要な条件になってくるということを私ども信じておりますので、したがって、衆議院修正とわれわれの考えておりますところとは、矛盾もいたしておりませんし、またしたがって、それによってかえって運用の妙を期待し得るのではないかと、こういうふうに存じております。
  52. 阪上安太郎

    衆議院議員阪上安太郎君) 率直に申し上げますならば、政府原案は、国土総合開発プランというものを取り入れております。しかしながら、在来の企画庁等が考えておりました総合開発計画、これは大拠点、中拠点、小拠点というような方式をとっております。原案はそのうちの拠点方式でございますけれども、しかしながら、それが大拠点方式をとっている。そこで、小拠点については一体どういう考え方を持つかということを審議の過程からわれわれが結論を出しますると、小拠点については、低開発地域工業開発促進法に基づいてやるのだ、そうすれば、国土総合開発計画の一応の方式としての中拠点が抜けているじゃないか、こういう考え方が実は出てきたわけです。そこでもって、政府が大拠点を取り上げたことはわからぬではないが、しかし同時に、中拠点にも遠心的に及ぼしていくべきではなかろうか、そういうようなものの考え方に立って、したがって、その場合大規模といってしまえば、とかく臨海工業地域のみに限られてしまうおそれがある。伺っておりましても、大体そういう方向が出てきている。そこで、いま少しく内陸方面の中拠点というものにも目を向けなくてはいけないのではないか。順序としては、あるいは大拠点から中拠点へ遠心的に動くでありましょうけれども、しかしながら、この法律それ自体に何ら中拠点に対するところの配慮がないので、したがって、内陸方面を考えていくべきである、そういうような意味で、大拠点という言葉を、この大規模という言葉を、もう少し幅のあるものにしたらよかろう、そういう意味で、相当規模ということに実は落ちついたわけであります。  それから、工業立地計画がすでに進行しているところ、この項を削るということにつきましては、別にこれは大きな意味はないのでありますけれども、今申したこととやはりうらはらの関係にあります。大体において、現在わが国の工業開発の地域開発状態をながめてみますと、大体工業立地計画がどんどん進んでいるところは、えてしてやはり太平洋沿岸ベルト地帯というようなところが多いわけです。そうすると、やはりこの字句を削っておきませんと、内陸への方向というものが方向づけられない、こういうようなことも考えて、これは主としてそういうところだけに最初に力を入れるのじゃなくて、総合的に内陸のある部門、それから臨海工業地帯も頭に入れて、そうして条件の整ったところからやっていく、こういう工合にすべきであるというところからこの部分を削った、こういうことでございます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 阪上議員の御説明よくわかりました。適切だと思います。その修正を受けての藤山長官の答弁を承って、この点私は了承いたします。要は、法律案の重点の置き所、それから順序ですね、そういうものが法律の施行にあたっては重要であって、修正者の意向とそれから政府側の意向を承って、この点わかりました。  そこで、今もちょっと言葉が出たのですが、藤山大臣に伺いますが、全国の国土総合開発計画なるものは、審議会で検討中で三月末までにはこの最終策定ができるということを、本会議の吉田氏の質問にお答えになっておられるのですが、まだ最終確定をしたような情報を私はキャッチしていないのですが、いつごろになるのか。それから方向づけというものは、昨年草案ができた方向づけとそう大差ないものになるのかどうかということと、私は、この法律案地域格差の是正ということを一つの大きな柱、限目にしているわけですが、そうなりますと、指定されるであろう地域というものは、一般地方負担の能力において、先進大企業地帯に比べて弱体のところが多いわけですがね。それだけに地方負担に対する配慮というものを国は十分しなければならぬと思うのですよ。そうすることによってこの法律の立法趣旨が生きるし、また、今策定中の国土総合開発の中の一環にも入って、全国バランスのとれた形で開発ができるんじゃないかと、かように私は考えておるのですが、そういうこととあわせて今具体的に伺いますが、この法律案の作成過程に、いろいろ紆余曲折があり、その後承るところによると、この法律をこしらえることによって、全国を六ブロックにしてはどうかとか、あるいは十ブロックとか、あるいは十一ブロックくらいに設定することが適当じゃないかというような意見が政府部内にあり、やはり検討されているということを承っているんですが、所管大臣としては、何ブロックくらいにするのが適当だという御見解を持たれておられるのか、そういう点を承りたい。
  54. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 国土総合開発計画の原案の作成は、今お話のございましたように、三月三十一日までに各方面の御意見を全部総合いたしまして、それをもとにして一つ修正案と申しますか、昨年出しました草案を修正いたしまして、ただいま国土総合開発審議会にかけております。その進行状況につきましては、あとで局長から御説明いたさせますが、そのために若干時間がおくれておりますが、慎重に御審議を願っているようでございます。そうして御承知のとおり、あの草案におきましては、関東あるいは関西において、内陸地帯と臨海地帯の二つに分けております。これは大体一つにするほうが適当じゃないかという御意見が非常に多うございます。したがって、そういうことにいたしまして、現在十一になっておるわけでございます。なお、局長から御説明いたさせます。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地方負担の配慮はどうですか。
  56. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 地方負担につきましては、これは新産業都市をやります場合に非常に必要でございまして、われわれ原案を作りますときにも、各省との間におきましてこれらの問題について十分討議をいたしたのでございますが、しかし、必ずしも原案が完璧のものではなかったと思います。今度修正をされまして、相当に地方の負担に対して力強いものになってきたと思っておりますので、私どもは、修正によってさらに力を得て十分な仕事が今後進めていけるのではないか、こういうふうに考えております。
  57. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 全国総合開発計画の策定状況につきまして、補足的にお答えいたしたいと思います。先ほど大臣からお話がありましたように、本年の三月末までに、各方面の意見をいろいろお伺いいたしまして、現在最終的に案文の作業を進めておるわけでございますが、大体三月から現在までに国土総合開発審議会の中にありまする全国開発部会、これを四回開きまして、最近の最終は四月二十六日でございますが、四回開いて参ったわけでございます。大体総論、各論を通じまして一応の御審議を終わって現在案文の修正をしておりまして、五月の初旬あるいは十日過ぎになるかと思いますが、最終の全国部会をお願いいたしまして、全国部会といたしまして御審議を終わらせていただきたい。それからある程度の期間を置きまして、国土総合開発審議会の総会に御審議をお願いする。そういう次第で今全力を尽くして作業をやっておる次第でございます。  なお、地域区分の問題でございますが、これも草案のときにおきましては、全国で十一地区というふうに分けてございまして、関東と近畿は内陸と臨海と分けておったのでございますが、いろいろの御意見によりまして、やはり臨海、内陸の区別をやめまして、関東地方と近畿地方という一本の線にまとめております。したがいまして、一応の地域区分といたしましては、現在九カ所という点で作業を進めております。  それから、いろいろむずかしい問題もあるわけでございますが、この草案になかった新しい問題といたしましては、観光資源の開発、それから労働力需給あるいは文教施設整備、そういう新しい項目を掲げております。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 修正者にお伺いいたしますが、幾つかの附帯決議を衆議院でなさっておられます。非常に広く深く配慮され適切なる附帯決議をなさっておられるようで、敬意を表しますが、特に四項、五項ですね、これは修正案と関連があるので承っておきたいのですが、この附帯決議の四項、五項については、衆議院審議段階において、どの程度の政府側の意向が表明され、また決議をされた衆議院としては、どういう程度の、どういう内容をこの決議によって見通しを立て、期待されておられるのか、そういうところを簡単でけっこうですから、参考に聞かしておいていただきたいと思います。
  59. 阪上安太郎

    衆議院議員阪上安太郎君) 事の性質上簡単にお答えいたしますが、特にこの第四項で問題になりますのは、高率補助の問題が問題だと思います。これについて、これだけに特別に特段の高率補助をやっていくことは、これはなかなか困難だろうという考え方が出ておったようであります。そこで、今度の修正案の中で、九条、十条等にこういう表現をいたしております。したがって、この表現の九条、十条等におきますものは、大体地方債については、特例債的なものが考えられるという程度である。それから九条につきましては、これはいろいろな財政援助が考えられますが、率直に申し上げまして、地方交付税等によって財政措置がやはり出てくる、こういうことが予想できる。そこで仕方がないので、附帯決議に高率補助をつけていった、こういうふうな状態になっております。したがって、財政措置として、地方交付税等によって措置が考えられる。このことはある程度実施が可能である。また特例債についても、いろいろ問題があるから、そういうことも考えられる。そのことも可能性がある。したがって、その二つは、法律案修正案として条項を入れました。しかし、それだけでは、なお満足ができないので、附帯決議でさらに高率補助を考えてくれ、こういうことになってきたわけであります。大体こういうことであります。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よくわかりますし、また適切だと思います。  大臣に伺いますが、私は九州地方開発審議委員の辞令を内閣からいただいている一人ですが、こういう法律案とあわせ考えるときに、国の総合開発計画を去年草案として策定されたのですね。あの中で後進地域である、たとえば九州地方の先行投資、公共投資の比率は実績より下がっているわけですね。したがって、九州総合開発審議会においては、異例の決議をして、内閣総理大臣に意見の具申をしたことは御承知だと思うのですよ。地域格差の是正ということは、今のわが国の産業経済政策から非常に重要な事態になってきている。あわせて開発をしようという場合に、国の総合開発計画を策定するにあたっては、私は九州開発審議委員をしているから、ぶつかったから取り上げますけれども、それのみならず、先ほど阪上議員の御発言の中にもありましたが、ベルト地帯以外のいわば、たとえば裏日本とか、そういうような比較的後進地域に対しては、総合的な調整のとれた、バランスのとれた国の総合的な開発と、日本の国の経済力の向上、国民所得の向上、福祉水準の向上という角度からも、格段と僕は配慮さるべきだと思うのですが、大臣としてはどういう御所見を持っておられるか、承っておきたい。
  61. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 後進地域につきましては、十分な力を入れて参りませんと開発が進んでいかないことは当然でございまして、開発が進まないこと自体が、ある意味からいえば、公共投資がおくれている点でもあろうかと思います。したがって、そういうものに十分な力を入れるべきことは当然でございますが、ただ、全体のパーセンテージからだけでは、私はこの問題は解決できないのじゃないかと思います。要は、太平洋ベルト地帯と申しますか、あるいは東京でありますとか、大阪でありますとかいうような過大都市、これも緊急に諸般の設備をして参らなければ、公共的な設備をして参らなければならぬと思います。そこで、事業量から申せば、パーセンテージを別にして、金額的効率からいえば、相当な金額的効率が上がる。それはある場合には土地の値段も安いでありましょうし、あるいはその方面における種々な立地条件の関係からして、資金量が非常に効率的に使えるということもございます。たとえば、資金量だけのパーセンテージでもって、後進地域と開発地域との仕事そのものだけをすぐ比べるということは、若干私はあれがあるのじゃないかと思います。しかし、そういう意味において後進地域に力を入れて参りますことは、これは当然やって参らなければ国土総合開発の趣旨が達成できませんので、その意味において、使用金額の効率的な面というものはどの程度にいくかということのパーセンテージと申しますか、ただ金額だけのことでなく、そういう面もあわせて将来は考慮していきますれば、地方開発をおろそかにしておるということがないようになっていくんじゃないか、こういうふうに私見としては考えております。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長から回されたメモによると、一時ころ休憩するからということですが、それでもう二、三問させていただきたいと思うのです。この法律案に対する大づかみの質問は、一応私は今で終わったわけです。あとさらに部分的な面でただしたい点があるのですが、ここで大きな問題としてちょっと角度を変えて藤山長官にぜひ伺いたいことがあるのです。それは、こういう法律案ですね、それは公布されてから三月をこえない範囲内で政令で定める日から施行するとありますが、国の経済政策ですね、非常に僕は密接な関係があると思うのです。特にわが国の産業経済界が置かれておる現状からして、格別その経済政策と非常に密接な関係がある、それとあわせ考えなければいかぬと思うのですが、この基本的な考え方に対しての御所見はいかがですか。
  63. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) この計画が国会の御決定を得ますれば、実は国土総合開発計画というのは、非常に長い時間をかかっておるのは申しわけないと思っておりますし、新たにせっかくできました法案が長い時間をかけて実施に移すということでは相ならぬのでございますから、したがって、この法案が通りましたならば、できるだけ事務的進捗をはかりまして、そうして計画の実施段階、いわゆる指定も行なわれましょうし、あるいは基本計画の策定というような問題もありましょうし、それぞれ迅速に私は進めて参りますことが必要だと思います。ただ、今日のような経済界の状況、経済、財政、金融の状況でございますならば、公共投資等につきましても、相当なやはり注意をして参らなければならぬことは当然でございますけれども、かねてから私は申しておりますように、実は民間設備投資はあまりに拡大されたと思う。公共投資のほうがむしろおくれておる。そこにアンバランスがふえて経済の一つのひずみもできてくる。したがって、民間設備投資というものは十分に押え、または民間の自主的な規制にも待って参らなければならぬ。こうした先行投資というようなものは、できるだけすみやかに別に予算化して参ります場合には、予算の効率をはからなければならぬことでありまして、われわれ民間に長くいました者の経験から見れば、予算——政府の使います金には利息がついておりませんので、その施行も非常に私はむしろおくれ過ぎて、かえって予算使用の効率を上げてない、そういう面からも全体の経済の調和をはかって参らなければなりませんけれども、先行投資、公共投資等は、やりますものはできるだけすみやかに着手して、そうしてその成果を上げていくということが、いわゆるアンバランスになっております状態を改善する一つ方法だと、こういうふうに思っております。一方では、相当民間投資を押えながら公共事業等、産業の基盤になりますようなものについては、できるだけ積極的にやる必要がある。経済全体から見れば、これもまた、いわゆる政府消費でございますから、全体としてある程度押えなければならない場合もありましょうけれども、それを効率的、有効的、積極的に使っていくようにいたしていくべきだと、こう考えております。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官、あなたの今の答弁承ると、これは外でやったら受けますよ、そういう話は。まあ参議院選挙を前にして僕はあまり勧めはしませんが、あなたの今の経済界に対する認識、それに立ってのそういう主張というのは私は受けると思うのですが、そこで私は伺いますが、当面の経済政策に対する適切なる調整、是正ですね、それから調整の総合対策について、きょうもあったようですが、経済閣僚懇談会で藤山さんは孤立されているということを新聞記者諸君から承ったのですが、どうもそこにすわっていらっしゃる長官のお姿をさっきから拝見しておって、心なしか僕はそんな感じがするのですが、どうですか、その点は。あなたの主張は、私も共鳴しているんだが、相当受けていますよ、この前あたりの演説は。やはり僕は藤山大臣はしんがある政治家だという評価をしている人があるようだが、僕もそうかなと思っているのですが、そういう主張は、国のために徹底的に主張していくべきじゃないかと思う。経済閣僚懇談会で孤立するということは不思議なような感じがするのですが、あなたの御所見はいかがでございますか。笑いごとじゃないですよ。真剣に聞いているんですからね。
  65. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 私といたしましては、今の経済情勢につきまして、実は楽観はいたしておらないのでございまして、昨年の総合政策をまずゆるめることなくぴんと張ることが大事だと思います。楽観論によりましてあの線がゆるめられることは適当でない。なお、将来の見通し等につきましても、三十六年度の実績というものは、企画庁としても十分な検討をいたした上であの見通しを立てましたけれども、必ずしも見通しどおりにいっておらないことは残念だと思いますが、その基礎の上に立ちまして、将来の問題をいかにすべきかということを今論議すべき段階だと思います。したがって経済閣僚懇談会等におきまして、十分な意見の率直な交換をいたしていくことが必要だと思います。本日も月例報告会の機会に、第二回目のお話し合いをしたわけでございます。現在の段階におきまして、孤立しているということでなく盛んに議論をやっております。当然こういう問題については各種の議論が出るのはあたりまえでございまして、私の意見だけが必ずしも正しいと主張するわけにも参らないものもあるかと思います。しかし、私としての意見は率直に遠慮なく主張していくというつもりで懇談会に出ておりますので、いずれ結論が出ることになろうかと思います。そういう意味で、私としても自分の責任だけは十分尽くして参りたい、こういうふうに考えております。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一問だけ。関連の事項ですからもう一問で終わりますが、大臣、今の事態は内閣部内でいつまでも議論に終始しておる段階でないと私は思うのですよ。それでは国民は被害者の立場にあまりにも長く放任されると思うのですね。しかし、大臣が信ずるところを主張されている点は僕はあっぱれだと思う。僕自身、大臣の主張には共鳴しています。それから新聞等を見ても、非常に支持されているようですね。しかし、それが今の内閣の当面の政策、行政運用に反映してこない、非常に国民が不安の状態に置かれているという段階だと思うのですね。それで大臣に、私は、若い者が大先輩に一部は進言であり、一部は承るのですが、先般来の池田内閣における長官の日本の現在の金融、経済、産業界における認識、これに基づく御所見というものは、池田内閣を相当に、本質的に認識される仕方において背反している面がある、こういう把握をされている人がたくさんあるわけです。私はそれらの論理に同調いたします。そうなりますと、藤山さん個人でなくて、これは一国の大臣という、国民の負託にこたえるという立場にある政治家ですから、その政治家としてとるべき態度というものは、国民審判のある参議院選挙の前に、すなわち、具体的にいえば、この国会終了後に閣僚を辞任して、そうしてその所信を表明していく道を選ぶか、それとも現在、内閣を構成している池田内閣の閣僚の一人として、当面、国民審判を受ける選挙の終了まではその席にとどまる、そうしてそれを終わると同時に辞任をし、近く総裁選挙を行なわれるわけですが、これに堂々と政策を掲げて立候補される、この三者択一だと、こういう論があるわけですね。私は、この法案が成立した場合に、これを一体施行する場合に、いろいろ問題が起こってくると思う、わが国の経済政策全体からいって。そのこととあわせ考えるときに、恥ずかしいことながら社会党は今政権を担当する能力があると国民の大多数が認識してくれていない。ところが、経済の見通しがどんなに、一部の国民がいかに苦しもうが、自由民主党の池田内閣は続いていく。これは前の政友会、憲政会のようなときだったら当然、政変ものだと思う。それが責任政治が行なわれ、日本の政治が進展していくことだと思うのです。だから今すぐ社会党に政権が担当できぬとあらば、その今の日本の置かれている政治情勢のワク内において、より日本の政治をよくして国民の負託に沿う道というものは、やはり政治権力を保持している、それに非常に関与している自由民主党の中で活発なこういう意見があり、そうしてそれを国民に訴えて、自民党というワク内において一つの政権交代があり、政策転換が一緒に行なわれるということが、これは自由民主党のためだけじゃなくて、国民のために、のために大事だと思う。そういう観点から考えると、私は若い者であなたに申し上げるのは失礼でありますけれども、あなたがやはり適当なときにその政策に立って、そうしてその総裁選挙に勝とうが負けようが、いずれにしても、日本の政治のプラスになると思うのです。そういう行動をとられることを決意しながら、ああいう談話をされ、その後に対処され、日本の現在の政治情勢とか、あるいは経済情勢の動向をよく聴明に心静かに見守っているのが今のあなたのお立場ではないか、私はこうあるべきだと思う。かように思うわけですが、これは藤山さん一私人に介入した発言じゃない。今置かれている日本の政治、経済情勢等からいって、国民の負託を受けているわれわれが今後法案審議し、国民がいかに期待を……その立場を考えた場合には、そういう緒論が出てくることは当然であって、私は私事に触れるものだとはいささかも考えてない。それであえてちょうどいい機会だから、藤山大臣の所見を承りたい。
  67. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、今経済の問題について率直に私の意見を申し、また現状に対して十分対処すべき新しい方策等についても率直な意見を私は申すつもりでございますが、ただ、この経済議論というものが何か政治的な議論と混淆されますと、純粋な経済議論として成り立ちませんし、誤解を受けます。したがって、私は、政治的行動その他について一切触れませんで、純経済議論としてただいま閣内においても議論をいたしておるのでございまして、そういう意味からいって、純粋な経済議論の立場に立って経済論を展開しておる、こういうことに御了承願いたいと思います。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう深追いいたしません。僕は最近藤山さんの発言を承っていて非常に敬服するところが多いのですが、今の答弁は適当でないですよ。私はやむを得ないからそれで終わりますが、あなたが経済評論家あるいは日本商工会議所の会頭のときならば、それでいい。しかし、あなたは藤山師団を率いる師団長で政治家である。内閣の閣僚として議席を持っている大臣とあらば、純然たる経済理論云々だけでは済まぬのであって、当面の日本の政治、政権担当の自由民主党の政治をどういうふうに方向づけていくか、それと結びつけないで問題を考えられることはない。そういうことを伺うことは深入りし過ぎますので、今の答弁に関する限りは僕は納得しないが、そこで逃がしておくということで僕の質問をこれで終わります。
  69. 小林武治

    委員長小林武治君) 午後四時半ごろ本案の質疑をいたしますから、関係者は御出席を願います。  午後二時まで休憩をいたします。    午後零時四十三分休憩    ————・————    午後二時十四分開会
  70. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を再開いたします。  再び公職選挙法等の一部を改正する法律案外一件を議題として質疑を行ないます。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まず、本日は初回でありますから、修正案提出者に若干お伺いいたします。  修正案提出者としては、選挙制度審議会の答申の主たるねらいはどこにあると把握されておられるのでしょうか、お伺いしたい。
  72. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 修正の主たるねらいといいますと……。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 選挙制度審議会の答申の、主たるねらいはどこにあると御認識になっておられるかという点をお伺いした。
  74. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) それは結局選挙公明化というところにあるわけでしょうね。簡単に言うと、金のかからない汚れない明るい正しい選挙といいますか、とにかく公明選挙を目標にしておるということが言える。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従来、法律で設けられる審議会には、ほとんどと言っていいほど国会議員が成員として参加しておったことは御承知のとおりだと思うのです。一昨年の総選挙後にいろいろと論ぜられ、選挙制度審議会が発足いたしましたが、あの審議会には国会議員は成員として参加するように法定いたしませんでした。それはどういう理由に基づくものと御認識になっておられましょうか、お伺いいたしたい。
  76. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) それはいろいろ理由があるでしょうが、国会議員以外の立場の者からいうと、国会議員の直接利害関係のある法案だから、したがって、直接利害関係のない第三者に審議さしたほうがいいだろうというふうなことだろうと思われまするし、国会のほうとしても、国会議員は皆神様のような気持でおると私は思いますけれども、しかし、何といっても自分の直接利害に関係することについては、正しい考え方に曇りが生ずるおそれがあるというふうにも考えられた方もありましょうし、それからまた、国会以外に、ただいま申し上げましたような利害関係があるから正しい判断ができないだろうというふうな誤解を持っておる人があるかもしれない、まあ誤解を受けるのはどうかというふうな考え方から、ああいうふうな制度にしたと思うので、私個人としては省みてやましいところがないから、堂々とみずから卑下することなしに、成員に入ってそれぞれの立場から正しい議論を展開していくのもよかったのじゃないかと現在でも思っております。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣にお伺いします。選挙制度審議会が発足をして、そうしてその結論、答申を尊重するという義務が課されたわけですが、その一つの根本には、選挙法というのは議会民主主義の根本に関する問題で、しかも、政治に携わる政治家を選出するルールをきめるのであるから、選ばれる立場に立っている人が考えるのでなくて、選ぶ側、すなわち国家の主権者である国民の立場から、代表を選ぶ立場から選挙のルール——選挙法は考えるのが至当だという立場から、かような選挙制度審議会が提案され成立いたしたと私は考える。この基本的な考え方というものは、今高橋さんは必ずしも賛成できぬというような御発言がありましたけれども、絶対に私は正しいと思うのですね。この点自治相はどう考えておられるか。その基本が、答申を受けた後の政府案策定の段階において、さらに衆議院審議の段階、修正議決する過程においてじゅうりんされたきらいがきわめて濃厚だと思うのですが、それに対してどういう所見を持っておられるか、お伺いいたしたい。
  78. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 政府が審議会を起こしますゆえんのものは、できる限り民間有識者のいろいろの広い御意見を御検討願って、そうしてそういった答申を十分に尊重しながら政府は成案を作るのがよろしかろう、こういう考えに基本的には間違いございません。しかし、それならばいわゆる国会議員がそれに入っちゃいかぬのだというふうなことも、またこれはおかしいわけでありまして、そういう意味からは、特別委員ということで一般審議には御参加を願っておる形でございます。ただ、特別委員にいたしておりますのは、直接の身分上に具体的の問題として関係のあるアンバランスの是正の問題であるとか、あるいは区割りといったものの具体的の問題には、これは議員が直接タッチしないで、第三者が公平に分けたがよろしかろう、しかし、それまでの全体の問題については、やはり議員議員の立場でも御意見を述べる。しかし、民間の有識者の十分な御意見をできるだけひとつ取り入れたいというつもりで審議会を起こしておりますし、また、三条によって、これを政府は尊重しなければならぬ、こういうふうに考えて政府は終始その立場をとってきたわけであります。また国会審議の過程におきましては、これも精神的にはできる限りこの答申の案を尊重いたすという線は、これは基本的に大事なことであろうと思いますが、しかし、国会は国権の最高の府でいろいろの審議権をお持ちなんでございます。そういう立場からまた種々の御意見が出る、あるいはこれをさらに修正国会の意思としていろいろされるということにつきましては、また、これを頭から否定するというわけにはこれは当然参らぬものであろうと思っております。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 逐次質疑して参りますと、解明されて参ると思うのですが、政府も答申の尊重ということを大方針として立てておられる。その答申の主要なる部分が尊重されているかどうかということが問題だと思うのです。それは逐次今後本委員会審議していくにあたって解明されてくると思うのですが、その主要なる部分が尊重されておれば、あなたの答弁でよろしい、しかし、その尊重という線がくずれておったならば、私は非常に遺憾なことだと思います。  そこで、続けて修正者にお伺いをいたしますが、このたびの修正選挙の粛正、公明化というものが政府原案より一段と前進したものだという御認識に立たれているでしょうかどうか、その点お伺いいたします。
  80. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) むろん政府の原案よりもより理想的になったというふうに思って修正案を出しました。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点について私は非常に疑問を持ちます。それで若干伺って参りますが、まことに失礼かとも思いますが、私も国会議員の一人でありますが、日本の政治をよくし、今の腐敗した選挙を粛正する、公明化をはかるという場合にあたっては、衆議院の公聴会でも一部公述人が述べられたように、相当の荒療治をすることも現状から私はある程度やむを得ないと思うのですよ。ところが、こういう選挙法の扱いについては、私も国会議員の一人ですが、あまりにも既成政治家、国会議員お互いの間に自己保身の本能が強過ぎるのじゃないかと思うのですね。私はここで一番問題じゃないかと思うそれは、今の九千余万人の日本国民の中で政治的には最も、あるいは少なくとも比較的に優秀な日本人によって衆参両院が構成されているでしょう。しかし、それがベストのものだとは何人も必ずしも私は肯定できないと思う。だから、埋もれた人材も野にたくさんあるということをお互い認めなければならぬと思うのですね。そういうことを考えるときに、現在議席を持っているお互い議員諸公があまりにも自己保身の本能にかられて、その角度から選挙のルールである選挙法を考え、いじり回すということは厳に慎まなくちゃならないのではないかと、かように私は考えております。失礼な言い分もあるかもしれませんが、私は、第一院における審議の状況、それからこの修正案を見るときに、そういうそしりを免れ得ないのではないかという感じを持っているものですが、修正者としてはどういう御所見なんでございましょうか、お伺いをしておきたいと思います。
  82. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 結論から言いますと、逆なことに私ども考えております。自己保身とかなんとかいいましても、そこが問題なんではないでしょうか。議論がお互いに分かれることになって平行線ということになりますると、お互いの正しいと思うことを述べ合うだけということになりますが、要するに、審議の過程から、その内容からしさいに検討してもらったらわかりますが、おいおい御質問もありましょうから、私が答弁をすることについては御答弁申し上げて、そうしてそこで具体的にいずれが正しいかという御判断を願うことになるかと思いますけれども、とにかく私どもは現在の修正が一番正しいことで、決して自己保身ではない。憲法なり憲法不即の大典である選挙法、民主主義の基本である選挙法が、最も公正に、条理的に解決されたものがわれわれの修正した修正案だと、かように思っております。議論になりますけれども、一応現実にはわれわれ衆参両院議員以外に学識経験の深い人もたくさんありましょう。湯川さんの知識をわれわれが持っているとは言いません。したがって、原子力、原子関係なんかで、御承知のようにわれわれのわからないところは湯川さんに来てもらってお話を承るということもありましょう。事実関係についてわれわれより詳しい人がありましょうから、それは参考人とか証人とかで出て、われわれが事実関係について基礎をはっきりして、そうしてそれに判断を加えるというふうなこともあり得ると思いますが、要するに、法制上においては、われわれは国家の最高の機関であって、国民から最善のものとして選ばれている、そういう誇り、そういうふうな法制上の建前になっていると思います。局部々々の知識、学識、そういうようなものについては、最善ではありますまいけれども、しかし、何といっても国民の代表者、国民主権の代表者として選ばれているという誇りを持っているわけですから、したがって、われわれが、イギリスのことわざのように男を女にできない以外のものは何でもできるという立場にある最高の立場だから、最善の意見を持っていると思いますが、現実にはそうもいきますまい。あなたの言われたように、選挙が腐敗していれば正しい人が出ていないかもしれない。最善の人が出ていないかもしれませんから、現実にはそうは言えますまいが、法制上はさように言うことができると思いまするが、したがって、あなたの議論を展開していきますというと、憲法自身でも、衆参両院のあらゆる法律だろうが規則だろうが、これはわれわれに直接関係のあることだから、われわれの手でこしらえるべきではないというふうなことになるのではないでしょうか。今の審議会の人は、一総理大臣が任命したところのものであって、一総理大臣というと語弊がありますけれども、理屈からいえば総理大臣も国会議員が選んだのですから、最高の立場でしょう。しかし、国会議員がその一々の任命には関係していないわけですから、必ずしもこの人々も最善の人々ということができないのじゃないかと思いまするし、したがって、国会国会の職責、権限、責任、義務、そういうものに基づいて正しく審議する必要があるし、それから選挙法は何も現在ばかりに施行されるものではないのです。実施されるものではないので、新しい候補者も、将来の候補者にもやはり適用されるのですから、自己保身というのはどうかと私は思います。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのね、国会は討論の場ですから、これらの点については、高橋さんとは個人的には親しい仲ですが、十分僕は論じ合ったほうがいいと思うのですよ。だから若干お気に召さぬ点もあるかもしれませんですが、お聞き取り願いたいと思うのですがね。私は率直にあなたの意見を承っておって、非常に飛躍しているところがあると思うのですよ。私は別にこの国会で制定する法律について、すべての点について云々ということは、毛頭考えておりません。それは憲法上、法制上お互いが国権の最高機関の構成員であり、最高のものであるということは、もう明々白々たることです。しかしながら、最近の選挙の実態から、国民の不信を招いている。全面的とは言えなくても、相当部分から不信の念を抱かれている。だから、これを何とかしなければならぬということは、国民の多数においても、また、お互いに立法府を構成している者の中にでもそれがあることは事実だと思うのですよ。かかるがゆえに、選挙制度審議会等も発足して参ったわけです。そういうふうにこの根底を若干でもゆるがして、われわれは国権の最高機関である、構成員である、したがって、選挙制度審議会で検討をしたことに、そう制約される必要はない。単にその総理が任命した云々だ、というような、私は言葉のあげ足をとるわけではないが、そういう感覚が相当強く出てくると、私はやはり賛成いたしかねると思うのですね。あの選挙制度審議会の答申の出た経過から、また国民の関心の度合いからいって、あの内容を相当に重要部分を尊重するということは、行政府においても立法府においても厳として僕は守るべきである。憲法上の問題とありますけれども、あの副会長の宮沢さんは、あの方は憲法学者として日本ではそうそうたる学者ですからね。だから僕は答申案の決定が出るまでは、相当議論されて出されたものだと思うのですよ。だから、そうほかの審議会の答申等と同一視できない僕は重要性を選挙制度審議会の答申は持っておったと思うのです。幾多の紆余曲折があって、政府案が決定をし、これが国会に提案されました。その当時ずいぶん批判があったわけですね。そうしてお宅の委員会速記録を拝見しますというと、十五人の人が公聴会で公述しています。で、その中には大別して、尊重が足りないから反対だという人と、まあ相当尊重しているから、現実的に考えて、この程度でまあ適当でやむを得ない、こういう公述とに大別できますよ。しかし、さらにそれを修正するのが妥当だという、そういう方向づけの公述をした人は、十五人中一人もありませんよ。ところが、審議の段階において衆議院でさらに修正した。その後の新聞論調を見ると、さたの限りだという表現ですね、一口に言えば。まあ幾多の問題はあるけれども、政府原案は次善の策として、前進であるからそれを成立させたほうが適当であろうというのが、大体百歩譲った場合の論調であったと思う。日本社会党もそういう態度であったわけですね。ところが、その後修正された。それに対しては、ほとんどの論調はもう批判以外だ、さたの限りだ、こういう批判が絶対的であるのですね。この声には、これは自民党さん、修正者を支持する側の人々、あるいは団体あるいは保守的な日本の報道機関のほうでも、そういう論評をされているわけですね。こういうことにはどういう耳をかされたのか、修正者側としては、私は、この時点に立っては、われわれは国民から選ばれた最良の、国権の最高機関の構成員であるから云々というその法理論では、私は対処できないものがあるのじゃないか、すべきでないのじゃないか、こういう見解を持っているのですが、そういうところの点について、修正者を代表しての御所見を承りたい。
  84. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 今の審議会の答申案を政府は可能な範囲において尊重しているというふうに私は信じております。政府もそう申しております。それから、いろいろ審議会の答申案と政府原案を対照してみますると、答申案のとおりに原案ができない、不可能、困難、そういうふうな事情がある部分以外においては、答申案を最大限度取り入れておるというふうにも考えております。したがって、政府案が政府でも最良であり、穏健中正なものである、公正なものであるというふうに考えておりますので、われわれの意見と政府原案の意見とは一致したような形になっております。われわれもまた政府の原案が最良、最善のものというふうに考えます。ただ政府の原案のうちで、技術上表現が非常にあいまいであり、これを明確化されなければならない、解釈上非常に問題が起こりそうなというふうな部分、すなわち、最良のうちでも技術上において多少どうかと思われるような点につきまして修正したというふうに私ども一は思っておって、政府案並びに審議会の精神は決して骨抜きにもしていないし、ゆがめてもいない、尊重できる限りにおいて尊重しておると思いますから、今言われたように、国権の最高機関であるわれわれであるから、少しも人の意見を聞く必要がない、取り入れる必要がないという唯我独善的にやってもいいというふうに思っておりません。法制上さようになっておりますし、したがって、いろいろな議論を聞きまする場合に、もっと国会議員は誇りを持って、自信を持って自分の職責に邁進しなければいかぬのではないかというふうなことを思うことがあるわけなんです。いろいろ世論などもありましょうが、学識経験者とか、ことに評論家とかというふうな人、日本の最高の文明指導者といいますか、文明批評者といいますか、そういう人はいわゆる世論に弱いというふうな、そういう傾向があるようです。そういうようなことについては、少し現実と離れてあまりに議論、理論に走り過ぎておるのじゃないかと思われるような点もなきにしもあらずと私どもは思っております。したがって、もっと現実に日本の運命、日本というものを背負っているわれわれ国会議員はより着実に足を地に強くつけたものの考え方をしなければならないということを考えております。したがって、この答申案について、これが尊重に値しないようなものであるとは申し上げません。しかし、これを、この間池田総理に私質問したのですが、バイブルのごとく絶対的なものであるというふうに考えて、定めに従わなければならぬということはどうかというようなことになっています。現にわれわれの同僚の間では、審議会の答申がそういうふうな絶対的なものであって、これに従わない者は何か背教者か反逆者みたいに言われるというようなことに対しての、この審議会とか調査会のあり方というものに対して非常な疑問を持ってきた。われわれがああいうふうな審議会を作ったり調査会を作るということは、これはあるいは間違いであったのじゃないか。われわれはわれわれの責任においてより自信のある態度をもって国政に参画すべきじゃないかというふうなこと。すなわち、審議会のあり方、調査会のあり方、ああいうものをこしらえていいかどうかという議論すらも発生するほど、どうも審議会というものがよほど雲の上にある方であるかのように、国会は非常にそれよりもレベルの低いもので、国会議員はよほど知能の低いものであるというふうな論議がされるような、少なくとも知能が低く考えられておる。よほど正しくない人が集まって、自分のためだったら何でもやるというふうな批判を受けるというふうな、そういうふうな空気が強いようですから、それに対して、たいへんな批判が起こっておるように思われるのです。私どももそういうふうな考え方を持っておるものの一人です。大体そういうふうな意味で、尊重はしておるのですよ。あらゆる法律上、事実上そういうもので困難でありと思われ、それから不可能でありと思われるもの、いろいろ見まするというと、憲法上のいろいろの解釈上の点、すなわち憲法違反のおそれがあるのではないかというような、並びにそういう疑いがあるような、そのほか事実上実施ができないという点、技術上法案に表現することができないのじゃないかというふうな点、そういうふうな点を除いては、答申は極力尊重したように思っております。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高橋さん、僕の歯車とあなたの歯車は合わないのですね。私は率直に言って、この修正案をやられた代表として、よく参議院にいらっしたものだと僕は思っておったわけです、失礼だけれども。承ってみますと、歯車が合わないのですね。僕は、審議会の答申が絶対的とか、雲の上とかいう、そういう表現で全然私は考えていないのですよ。問題は、先ほど技術上の修正であって、政府原案は最良のものなりと思っている、こういうことですが、それはあとで質疑をして参ればわかりますが、政府原案が最良のものと考えているならば、こういう修正が僕は出てこないと思う。決してこれは技術上の修正じゃないと思う。それをオーバーした修正をやって、それは政府原案が最良でなくて、相当欠陥があるという立場からの修正であって、あなたの答弁と修正内容の実体とは一致しないと思う。  そこで、内容にちょっと触れて伺ってみますが、たとえばこの事前運動の件ですね、この点はまず第一としては、私は自治省に伺いたいと思うのですが、選挙制度審議会の答申を受けた政府としては、どういうふうに認識しているのか。これは、言論文書の自由というものを拡大することによって選挙を自由にしよう、ひいては国民の常時における政治的啓発をねらった答申案の中の私は大きな柱だ、かようにあの答申案を受けておるわけですが、この受け方は間違っておるでしょうかどうでしょうか、政府としてはいかように認識されておるか、お答えいただきたい。
  86. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 言論文書等による事前運動ということは、御承知のように、答申案でも全面的に認めてはどうかという御趣旨でありました。私どももその御趣旨を体して、そういうふうに法案の作成もいたしたわけでありますが、これは、実際に御検討になってみますと、この事前運動を無制限に許すということについては、非常に現在の議員の国政上のいろいろの要務上に差しつかえが生ずる、あるいはビラその他を無制限にまくことによって、とめどなく金がかかる、こういったいろいろな実際上の見地から、これは与野党ともに、この制度が実際に合わないという御認定があって、そして自民党の方から修正案をおやりになったものと心得ておりました。今高橋委員が言われましたように、四点ばかり修正がありますが、この一点だけは、字句の解釈とか法文の解釈を明確にするという点ではなくて、この法律案そのもの自体を変更するという要素になっておろうかと思うのであります。
  87. 秋山長造

    秋山長造君 今、大臣の御答弁ですが、その程度の理由で簡単に修正に賛成したような御意見を吐かれることは、私は了承できぬ。その程度のことなら、これは法案を作り上げるまでに当然議論にもなり、また、自治省としても、そのくらいのことは気づかれなければならぬことなんで、そういう議論もあり、そういう点もあるが、しかし、この答申案の精神からいっても、政府自身がお考えになっても、これは当然この程度の——事前運動を無制限に許すというのじゃないのですから、この程度のものはやはり許すべきだ、こういう練りに練った結論が出て、それで政府原案ができたのだろうと思うのだが、それだけの確信を持ってこれはお出しになった原案じゃないんですか。これだけの、練りに練った一番最善の法案だということを総理大臣もしばしばおっしゃり、自治大臣はなおさら、それは責任者ですから、そういうことをおっしゃってきておって、これで衆議院審議の最終段階でちょろちょろして、こういうものがくっついて、そうしてそれが通ってしまえば、本来それはそうあるべきだったんだというような、まことに私は所管大臣として無責任だと思うんですね、そういう発言をされることは。いかがです。
  88. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 私のほうからこれは直したわけじゃないのでありまして、御承知のように、そういった言論文書による事前運動というものは、相当広範囲に広げるべきだという審議会の御意見は、いろいろ検討しました結果、私のほうでも、これは必要と思ってまあ一定制限を付したもので、しかし、相当広い幅の事前運動を認める法律案にしておったわけであります。私どもはそう思っておりますが、しかし、これをいろいろな角度から実際御検討になりました結果、この点については、与野党とも、なるほどそういう趣旨もあるかもしらぬが、この段階じゃまだ適さないという御判断を下されて、そうしてこの修正案が出たわけでありまして、これはまた、ものの考え方でございますので、私どもは、そういう考え方がひとつ院の意思として決定されるなら、これはこの段階においてそういう意思もやむを得ない、こういうふうに考えておるわけであります。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 秋山委員が指摘したとおりに、自治大臣は、やや不見識ですよ。また無責任でもある。それから与野党云々という、力こぶを入れて言われることは迷惑です。  修正案提出者に伺いますが、これなんかは現議員の保身の本能に基づく典型的なものではないですか。私は少しわがままだと思うんですよ。選挙のたびに事前運動というものは熾烈をきわめているんですね。みずからは事前運動を広くやっておきながら、そうしてこういうものを修正するというのは、私はわがままだと思うんですね。そういう必要があり、実態があるならば、フェアに制約されたワク内で、堂々とみんな同じ条件下にやることは私は意義があると思うんですよ。選挙が終わった翌日から選挙運動は始まる云々とありますが、選挙の翌日から演説会をやるなんというのは、非常にけっこうなことだと思うんです。これは国民の政治教育にもなりますし、それからそのときに話を聞いて投票のときに入れる人は、ほんとうに話もよく聞きその人に共鳴した人々ですよ。つけ焼き刃的なものではないですよ。選挙の告示がある直前にはいずり回って演説をして、その影響を受ける場合と違うと思うんですよ。選挙の翌日から演説会政党でも個人でもやるというのは、非常にけっこうなことだと思う。それで、この提案理由を見ますと、私はナンセンスだと思うんだな。「結局は金のかからない選挙という趣旨に反することとなるのであります。」——金のかかるというのは、こんなことでないでしょう。買収供応なんでしょう。これは演説会を百回開くことが、金のかからない選挙に反するなんというのを聞いたら、私は有識者はナンセンスだと笑うと思うんですよ。それからまた「したがいまして、選挙期日の告示をスタートの合図として現職も新人も一斉に選挙運動に入るという現行制度が適当であろうと考える次第であります。」、これは僕はナンセンスだと、笑われやしないかと思うのです、今の実態からいって。先ほどあなた並びに自治大臣から、これを削除あるいは修正した理由を聞いたのですが、私は納得できません。少なくとも私は納得できません。これは選挙制度審議会の答申の一番大きな柱です。あの方向で弊害がないようにやっていくべく努力することが選挙の粛正と公明化に大きく私は貢献すると思う。この修正は方向づけが誤っていると思うのです。その意味で、おそらく選挙制度審議会の諸公に聞いたならば、私は最大の遺憾の意を表明するのではないかと思うのです。あなたのところの公聴会の速記録を見ましたが、この点については、自民党推薦の鈴木参考人、岡崎参考人、さらに藤堂参考人、これらの人は、この条章については、みんな賛成していますよ。さらに、藤堂さんですか、この参考人のごときは、百回の制限さへはずせというまで公述されておりますよ。これはみんな自民党推薦の参考人です。だから、そういう参考人の公聴会における発言要旨からいいましても、この審議会の答申からいっても、これを修正したということは、技術上の修正というような説明では私は済まされないものがあると思うのですが、御所見を承りたい。
  90. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 私のような者が参議院に来て、よくまあこういうことをしゃべるというので、どういう意味か、侮辱にも感じたり、また、えら過ぎるようにとられたかどうかわからないが、今のお話を聞くと、逆に私のほうから、あなたはよくも選挙に出て参議院議員になられたと思いますね。議員になられたら、そういうわかり切ったことを御質問になるのはどうかと思うのです。政府なんかいじめるために言われるならともかくだが、われわれ同僚間で、何もかもわかり切っておることを言われるのはおそれ入ったと思いますよ。とにかく、事前運動というものがいかに弊害があるかということは、あなたがよく引用されるマスコミ、世論、これはどういうふうにいっていますか。たとえば、この審議会の答申案が出る前までは、どの選挙の場合でも事前運動が激しくなった、きびしく取り締まらなければならない。目に余る事前運動というので、盛んに新聞が取り立てて事前連動を批判しているのです。もっともこれは現行法で禁じているからそうでありますけれども、とにかく、そういうふうに事前運動というのは根本的になすべからざるものという頭になって、それを無批判に受け入れておられたと思います。無批判というのではなしに、全面的に受け入れておって、そして選挙の常識になっておったと思います。現に、現在事前運動の問題が、こういうふうにいいか悪いかという問題が起こっている最中でも、ここ四、五日の新聞を見ると、事前運動が激しくなるという、目に余る例があるから、検挙態勢に入ったとかなんとかいうような新聞記半が出ているわけです。同じ事前運動でも、悪質なものもありましょうし、演説会みたいなものもありましょうが、しかし、その区別は一つもつけてもいない。要するに、選挙というものは、一定期間内に全力をあげてお互いに戦うものであって、だらだら年がら年じゅう選挙をしているというようなことは常識に反するというのが、少なくとも日本の従来の常識ではなかったでしょうか。そういうふうな意味で、何も選挙演説でなくても、すべての政治に関心を持ち、政治家としてそれぞれ活動しようとする君は、演説会ができるわけです。新人は新人で、時局講演会もできましょうし、時局批判演説会もできましょうし、政府攻撃演説会もできましょうし、いろいろな演説会も開催できるし、われわれといえども、国会報告演説会もできます。しかし、国会中に国会報告演説というものができるはずのないことは、御承知のように、国会中は国会に縛りつけられるというふうなことになっているわけですから、そういうふうなので、今さら事前運動の弊害をここにちょうちょうする必要はありますまい。金がかからぬからといったって、現実においては金がかかります。私、この間衆議院委員会で金がかかると言ったところが、参考人の早大の吉村さんが、われわれが演説会一回やったって、そうたいした金はかからないと言われたのです。私どもは百回の演説会を開けば、それだけでも、一回五千円要っても五十万円、三千円要っても三十万円、二万円要ったら百万円要るという金の話もしたわけなんであります。現実に千円で済むか五千円で済むか一万円で済むか、これはいろいろその人の演説会のやり方によって違いましょう。演説会は会場の借り賃や人夫賃だけではない、応援演説に来てもらう人に対する旅費、宿泊料も要るわけでしょう。そういう工合で、目に見えぬものがたくさん要ることは御承知のとおりでございますから、したがって、金の要らぬ選挙を目標とする以上は、選挙期間はなるべく短縮して、金のかからないようにすべきだというふうな一つの見解が、これがいいか悪いかというふうなことは、これはそれぞれ判断してもらえる人から判断してもらうわけなんでして、あなたは事前運動野放しのほうがいいというようなお話たし、私どもは今のような議論なんで、決してこれがナンセンスであって、衆議院議員として頭がどうかしているのじゃないかと思われるような意見だとも思いません。こういう意見もたくさんの人が持っておって、現にここへ持ってきているわけですから、これは議論が平行線となると思いますが、私どもはそういうふうに考えております。要するに、事前運動というのは、選挙界を混乱さすものであり、しかも、金のかかる選挙にするものであり、また、現実に言いますれば、国会審議にすら影響さすようなことになるものである。何も新人の進出を抑制するというふうな意味ではなしに、何といったって現実に自分の地盤を荒らされているという、そういうものを目の前にしてはじっとしておられないということが、これが当然なことでありましょう。そういうふうな意味から、何もそう無理までして金を使わしたり、国政の審議に対して混乱、脅威を与えるような、そういうふうな法律までこしらえなくてもいいのじゃないかというふうな考え方です。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高橋さん、これは意見の相違では済まされない問題だと思うのです。私は、お互い同じ国会議員でも、これほど考えが違うかということをしみじみ感じているのです。さりとて、意見の相違だということで済まされないと思う。もう少しこれは討論していかなければならないと思いますが、事前運道が非常に激しい、弊害がある、現在行なわれている事前運動、それと、一つの今度審議会の答申に基づいてルールをいかにやっていくか。事前運動とは同じ活字、同じ発音であっても、内容は違うわけです。それをわれわれは見違えては議論にならないと思います。私は、現在行なわれているような、ああいう形の事前運動というものは、断じて許すことはできないと思います。そういう実態もあわせて、どういうルールを作ってフェアに運動することがよろしいかという立場で、選挙制度審議会はああいう答申を出されたと思う。究極のところ、いかなる選挙法を作っても、結局政治家個人々々の自覚の問題ですよ。これがお互い政治家の間に確立しない間は、現状では主権者に引きずられて、いかにして法網をくぐって選挙を勝ち抜くかという気持が議員個人々々の間にある間は、私はどんな選挙法をこしらえても選挙というものはりっぱになってこないと思います。だから、事前運動をどういうルールを作ってどういう方向づけをして、お互い議員個人々々がよりよくするために、いかように努力するかという観点から方向づけをきめなくちゃならぬ、その立場からは、私は政府原案は適当であり、削除すべきではなかった。もし、あなたの所論に立つならば、私は、今の事前運動を必ずしも——私はやったことはないのですが、一番問題は、選挙候補者と予定された人が、解散があるようになってくると、いろいろ寄付をせがまれてくる。それで国会へ観光バスで案内してきて食堂で御飲を差し上げるとか、あるいは春三月あるいは秋口、そういうときに自分の後援者を御招待して、それで折詰に酒一本も立てるということが、私は、今の日本の議員、特に保守党の議員さんの一番悩みだと思う。ある程度はその点認めざるを得ない。しかし、そういうのに引きずられておって、それを根底に選挙法の改正を考えるにおいては、私は論外だと思う。そこまであなた方がそういう態度で対処されているとは思いませんが、先ほどの所論から言うならば、この改正案の第三項にある後援団体に関する事項のところですね、任期切れの三カ月以内がいけない。それまではよろしいというように規定をしている。こういうことは、これも私は政府原案の改悪だと思う。あなた方の立場に立っても、この後援団体に対する寄付とか、接待、供応なんかは厳に規制されるということは、私はお互い政治家のために助かるのじゃないかと思う。選挙の公正、公明化のためにこういう規定ができたから、ごちそうしたいけれども、ごちそうできない、悪しからずとも言えますし、お互いのためになるのじゃないかと思う。この改正をされたことと、事前運動云々というような点は、どうも僕はピンと来ないのですが、そういう点はいかようにお考えになるのですか、矛盾とお考えになりませんか。
  92. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) まあ、いろいろ議論をすれば果てしがないと思いますが、この事実をちょっとお考え願いたいのですが、社会党さんでも、この承前運動の演説会の禁止は賛成されたわけです。実際において賛成されたし、それから後援会活動の禁止の「当該選挙に関し」ということも、逆にこれは期間を切らなければ非常に弊害が生ずるのじゃないかというのを堀君から言い出したのです、社会党さんの。(「参議院は了承していない」と呼ぶ者あり)裏話、これを、お互いに同僚ですから、政府といってはいけないでしょうが、われわれとしては、ちょっとそういうふうないきさつもあったということを、それはさかのぼって審議会でも——私もあとから特別委員になりましたが、審議会でも必ずしもその全員が一致した意見じゃない。審議会の答申というものは。小委員会といいますか、分科会で逆にきまったことを一人、二人の人の発言によって、総会ですからそう対立意見の交換もなしに、ワーワーときまったようなものもあります。そういうふうなんで、結論だけから言ってもどうかと思われるのでございますが、要するに、そういうふうな工合で、当該選挙期間の問題でも、これはまあ六カ月と三カ月の違いはあります。六カ月なら承知しよう、三カ月はむずかしいというふうな御議論も社会党さんはせられました。それから事前運動演説会のほうも、これはわれわれ同様の見解で、金もかかるし、それからまた、年がら年じゅう百日選挙以上の選挙をやらなければならぬということになるから、非常に弊害が多いから、従来どおり禁止したほうがよかろう。ただ、政党演説会に、従来は、だれそれ君が立候補した場合はよろしく頼むというような個人的な推薦ができなかったのを、個人的な推薦ができるように、百回の個人演説会というものを、政党演説会で個人推薦ができるようなふうにしたらどうかという、そういう御意見もありました。しかし、これはまあいずれよく研究しようじゃないかというふうなことで、話し合いをしているような工合です。あなたのようにもう絶対的に相いれない、どこまで行っても平行線だというふうな、そういうふうな意見ばかりではなかったということによって、相当われわれの修正案も合理性があるということをひとつ御了解願いたいと思うのであります。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が今主張していることは、それはそれぞれの段階においての結論というものは長短があるけれども、大まかに大所高所から見て、やはり選挙制度審議会の答申なるものがよりよく、次は政府原案であり、そうして最も相対的に落ちているのが修正されて本院に今審議の対象として送られた原案だ、こういう僕は見方をしているわけです。その角度から、やっぱり選挙制度審議会の答申と立法府の審議態度から僕は論じているわけです。衆議院審議の段階で、社会党の議員は、個人的にあるいはその委員会でどういうことを言われたかということは私は問題にしていません。ただ、こういう事前運動が云々というのは、こういう修正案の形でこれはいいぞと社会党がきめたものじゃない。衆議院審議するときに、円満にまとめていくためには、幾つかの修正項目がある。その中でまとまれば、これは非常に、賛成じゃないけれども、全般の取り扱いとしては、この程度ならベストじゃないけれども、全般の収拾策としてはやむを得ないのじゃないか、こういう見解はあるはずですね。しかし、今送られたような修正案の形の中で、一つだけピック・アップして、第一項のところは社会党も同調賛成されたのだ、これは、あなたはどういうふうにとられたか知りませんが、社会党の主張は、その部分だけピック・アップした表現は、私は適当でないように私は了承しております。まああなたの主張はわかったからこの程度にとめておきますが、この修正全体が合理性云々と言われるけれども、もう一、二点伺いますが、そういうことでは私も質疑を終了することはできないわけですよ。たとえば、選挙運動のために使用される事務員、選挙運動員のほうですね、これに報酬を出す。そうしてあなた、一日七百円で三十人までは政令で許すようですが、そうなりますと、二十日間で延べ二百十人くるくる変えていけるわけですね。これは選挙運動の無償行為の原則から、合法的に選挙運動員を買収可能ならしめるわけで、非常に私は現在の日本の選挙にとっては危険だと思うのですね。そうして、これは金のかからない選挙でなくて、金のかかる選挙にいくわけで、選挙制度審議会の考えているのとは全く逆の方向だと思う。こういう点、修正するときにはどういう見解を持ってやられたのですか。悪くとれば、自分に奉仕的に働く、ほんとうに仕事をまじめにしてくれる腹心は三十人の中に入れないで、報酬を出さぬで、敵の陣営……、あるいはあやふやな連中を、それを三十人の対象にして毎日七百円ずつ上げる。それで適当な日数がたつと人数をチェンジする、こういう操作だって可能ですよ。物理的に可能です。物理的に可能のみならず、日本の選挙の実態から必ずそういうことが行なわれる。それは百パーセント私は可能性がある、確率一ですよ。そういう僕は修正をされたことについては、ほんとうに理解しかねるのですがね、ひとつ修正者の真意というものを承りたい。
  94. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) これは非常に誤解を受けて、私のほうの自民党の党内でもそういうふうな発言をした人があります。参議院議員にも現在のうちにありますが、そういうふうなことになりはしないかという心配をされた人がありますけれども、決してそうじゃないということに結論がなって、本人も得心されましたが、要するに、事務員ですから、運動員とは違いますから、それで今のような弊害はないと思います。ただ従来、事務員と、労務者との関係がはっきりいたしませず、それで、警察当局といいますか、取り締まり当局と、取り締まりを受ける方との争い、紛争というものは、始終こういうものを中心にして起こっておると、そういう事件がたくさん起こっておるというふうなことが言い得るのじゃないかと思いますので、したがって、そういう問題についても、いろいろ審議会においても、分科会において御心配せられて、現実に適した方法で明朗化された選挙をしなければいかぬというので、分科会は、やはり同じ思想で、多少人数や金額の点については異なった結論が出ましたけれども、この思想、この制度を認めたわけなんです。すなわち、分科会では十五人というふうなことにし、三十人まで延べ人員が動員できるということ、それから報酬も千円というふうなことに相なっておったわけですが、われわれのほうでは、いろいろ検討した結果、千円というのは少し高過ぎるじゃないかというふうなことから、七百円というふうに値下げしまするし、それから事務員の問題でも、十五人というのはあまりに少な過ぎて、実情に適しないから、それを三十人ということにして、そう毎日々々差しかえるというようなことば、事実上不可能であります。事務員のことですから、そう、どこからもここからも持ってくるというわけにはいきません。そういうようなことで、自然事実上のの関係から制約を受けることになりまするから、最高の延べ人員はきめなくてもいいのじゃないかというふうなことで、政令によって、十人になるか二十人になるか三十人になるか、これからのことと思いますけれども、要するに、そういうような意味でやったわけで、選挙界の実情からいいますると、かえって紛争をなくするための選挙選挙を明朗化するということになるのじゃないかと思います。すなわち届出制度になるわけですから、届出をした者以外の者に対しては、いかなる名義にかかわらず、金銭を供与した場合においては、それは選挙違反になるというふうなことになって、非常にその点の争いが少なくなってくるということになるのです。今のところは、百人でも千人でも、労務者として、もしくは労務者的な事務員に支払ったものは、実費弁償そのほか法律が許したところの賃金であって、買収費ではないというふうなことで、常に争いになっておるわけですが、今度は、届出した者以外は、絶対に選挙違反というようなことに相なるというようなことになって、かえって明朗化するのじゃないか、かように思っております。そういう関係で修正した次第です。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、意見を異にします。討論になるから、あなたのお考えだけを伺っておきますがね。それは、現行法の中でお互いの自党において改善する方向に努力すべきであって、こういう改正をしてよくしようというのは、私は方向づけが間違っておるという見解を持っています。しかし、提案者の意見がわかりましたから、もう一点伺って、一応終わりますが、もう一点は、第四点の修正ですね、連座制の強化というものは、これはあらゆる階層から必要だと叫ばれて参ったものです。決して望ましいことじゃないと思うのですよ。しかし、やむを得ないというのが日本の選挙の実態でね。私も諸君もお互いにそういう恥ずかしい選挙をやってるんだから、だから、そういう連座制の強化をして、選挙の粛正等公明化をやる以外にないと、衆議院における御手洗参考人の言葉をかりれば、ある程度副作用の起こる荒療治もやむを得ないと、こういうふうに述べられている。そう言われても百パーセントの自信を持ってこれに反論する自信は、私にもありません。日本のどの政党にもないと思う。政治家にもないと思う。あるとあらば、それは僕はうぬぼれだと思う。特定の人以外に、全体的に考えて、ないと思うのですね。かかるがゆえに、連座制の強化というものが叫ばれて、ここに出てきたわけです。そうして御承知のごとく、政府提案には、親族については、五つのしぼりをかけた。これについてもずいぶん批判があったわけですね。与党さんではさらにこれにしぼりをかけようとして、これは池田総理の何とかの説得で、修正案に出てきてない。ところが、連座制の対象になるこの地域主宰者に関する項について、修正をされている。これはどの角度から見たって、政府原案のほうが優秀であり、合理的ですよ。「数箇」という言葉が書いてある。不明確だと言うけれども、しかし、法の運用をする人は判断がつくと思う。さらに「一又は二以上の地域における」云々と書いてある。これは明晰な頭脳の、それから実態を知っている人の書いた僕は作文だと思う。それに比べてこの修正は、「三箇以内」に選挙区が分かれている場合に云々とありますがね、これは四個以内というふうに区切ったら、全然問題にならぬじゃないですか。こんなものは全くナンセンス以外の何ものでもないと思う。なんでこんな条章を設けたのか。こういう条章があるにもかかわらず、この地域主宰者をきめる場合に、二個とか三個にきめるような、おめでたい候補者がいるでしょうかね。総括主宰者が四つか五つに区分しますよ。地域主宰者三十人の中から選んで。そうなりますと、完全に有名無実じゃないですか。これはどういう御見解でこの「三」という数字を入れられたのか、理解に苦しむ最たるものですがね、御所見のほど承りたいと思います。
  96. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 私どもの見解によるというと、連座制は例外中の例外の規定で、意思のないところに責任がない、行為のないところに責任がないという原則に反するというので、普通の規定ではないと思いますが、これをますます強化しなければならないというふうに見られている日本の選挙界の実情に、私ども非常に悲しみを感ずるわけですが、しかし一方、どうも現在のところ、国会議員、ことに衆議院議員なんかの保守党の議員をたたいたり、いじめたり、縛ったり、殺したりすれば、それが一番人気があるというふうなことになって、必要以上にいじめ、縛り、たたくというふうな、そういうふうな言動や傾向があるのじゃないかというようなことがちょっと思われます。そういうふうなひがみを持って、私どもこの連座制の強化というものに相対したわけではないのです。ないのですが、とにかく今のように、例外中の例外規定でありまするから、特にこういうものに対して範囲を、いや、そのほかの条件をしぼらなければならないというふうに考えております。世界中に、私の申し上げるまでもなく、イギリス以外には連座規定がない。イギリスも総括主宰者と出納責任者だけであって、とれには減票制とか、次回の立候補を規律するというような特別の規定があって、私どもこれは主張したのですが入れられなかったのです。非常に合理的だと思いますが、これはイギリスだけでほかの国にはない。そこへ持ってきて、イギリスにもないけれども、日本で今度こしらえるということに相なったわけです。これがほんとうに選挙の公明に役立つ、すなわち瀕死の重病人に対して、外科的な手術−切開手術をして、その生命を回復せしめて、取りとめるというようなことになるものであったならば、われわれも双手をあげて賛成します。どういうふうな非常立法でも、例外中の例外法律でも賛成するわけですが、そうも思わないわけで、あまりに劇薬的で、逆に議会制といいますか、明朗な選挙を殺してしまう、萎縮さしてしまうのではないかと思われるふうにも考えられるし、ことに必要以上に罰を課することになるのではないか。責任を負わすことになるのではないか、すなわち合理性が欠けるのではないかというふうに判断したわけであります。それで、いろいろ問題がそこに起こったわけですが、しかし、われわれ問題にした親族連座の規定については、やはり政府案を残しておいたほうがいい、いろいろ現在の日本の置かれた立場からいって、いいのではないかというふうに私ども考えましたので、私どもとしても、これを置くことにいたしましたが、いろいろ議論がありました。現在でも反対者が大部分だと思いますが、これを置いたわけですが、今の「数箇」を「三箇」というふうに明確化しましたことは、これは、いわゆる解釈をはっきりさせたということになります。「数箇」というふうなことでは、御承知のように、非常に範囲が不明確であって、いろいろ問題が起こると思いますので、「三箇」というふうに明確化したわけですが、三個の場合において、四個の運動地域に分けた場合にかからないではないか、そういうお話ですが、これはもっともしごくなお話しでありまして、私どもも、まさにその御意見のとおりです。すなわち特別的な規定であり、例外規定であり、連座制に対しては総括主宰者、それから出納責任者、今度また出納責任者に準ずる準出納責任者というふうなものにも連座が拡張されましたし、それに続くような準総括主宰者、答申案にありまするような広範囲の地域を主宰するものという、そういう立場のものはこれはよほど重要な役割を持ったものでなければならない。一市一郡の主宰者のごときが、どういう関係からか犯した違反によって当選者が失格する、こういう当選が無効になると、こういうようなことはあまりに不合理であり、あまりに酷であるという点、すなわち国会議員個人は軽くとも、その背後の数万、数十万、参議院の場合には数十万の票の方もあるようでありますが、その数十万の人たちのその意思というものが全然没却されてしまって犠牲にされなければいかぬ、こういうふうなことに相なるので、よほど重要な役割をやったものでなければ連座の対象にすべきでないというふうな見解から、総括主宰者のほかに三人くらいの程度はやはり重要な役割だと認めてもいいのではないか、かように考えて「三箇」ということにしたわけですが、しかし、これは形式上、いかに三個に分けて、その三佃に地域の主宰者をきめておりましても、それは選挙上便宜ではない、都合が悪い、やはり五個に分けても十個にも分けても、そういうふうに責任者をこしらえておりましても、どうしてもそのうちの数個、まあ相当三人の重要人物がこれに当たるような仕事をしなければならないような立場のものをこしらえなければ選挙をやっていけないというふうな場合、そういうふうな場合は、取り調べの結果明らかになれば、認定されて、三個以上の一つ地域を分担して主宰をしたというふうなことになるわけですから、決して形式主義ではない。届出主義じゃない。実際において、そういう重要な活動、総括主宰者に次ぐ準総括主宰者として担当するような者は、連座することになるから答申の精神に合するのだ、かように私ども考えて「三箇」ということにいたしたわけです。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後に、法務大臣が見えておりますから、他の人の質疑があるようですからもう一点だけ意見を申し述べて終わりたいと思うのですが、こまかく質疑して参らなければわからないと思うのですけれども、この三分の一についても、地域基準できめるといいますが、人口密度とか、有権者とかいうものは要素に入っていないように、私、衆議院速記録を瞥見したところでは出ているのですが、そういう点も明確に今後して参らなければならぬと思います。私は高橋さんと若干激しいやりとりをしましたけれども、あなたが私学振興等に非常に御熱心な点なんかはありがたいと敬意を表しているわけです。しかし、この日本の議会制民主主義の根底に触れる選挙法の問題について、あなたと私の意見は非常に食い違っているということは、あなたも遺憾でしょうし、私も非常に遺憾に思います。どうも選挙法のポイント・オブ・ビューといいますか、その見方というものが、そもそもから食い違いがあるような感じがいたします。御熱心に御答弁していただきましたけれども、理解できない問題が非常に多いことを遺憾に思います。先ほどイギリスではない云々と、これは部分的に申されましたけれども、この問題は、イギリスにないから日本に云々というものは、比較にならないと思うのですよ。イギリスの政党政治の歴史、それから選挙の実態等からいって、それは比較することが間違いで、日本の現実から、特殊事情からこういう選挙法の改正が必要だという点が私は問題だと思うのです。事実、今、日本の政権を保守党が持っていらっしゃるですが、八個師団があるといわれてますが、その師団長格の人となるためには、少なくとも二十人か三十人の私兵と言っちゃあ語弊がありますが、自分の腹心の議員を持てば師団長格になれるわけですね。実際問題として、それで大臣も出せるわけでしょう。そういう人々のために、平素、あんた、あっちこっちはいずり回って、盆においても、正月においてもお金を集めることに苦労されておるということは御承知だと思うのです。僕も知っているのですよ。こういう状況というものを続けていってよろしいのかどうか、そういう点から私は深刻にこういう機会に考えて、一歩ずつでも打開していかなければ、日本の政治家は救われない。根本的には日本の国、日本国民が私は救われないと思うのですよ。その親族の連座についても、選挙をやってごらんなさい、あなたも経験があると思うのですが、だれだれさんの奥さんはこうして頭を下げてタオルを持ってこうして回っていると、あなたの奥さんも回ってもらわにゃ困ると、そういうふうに周囲から言われる候補者は多いのじゃないでしょうか。これは日本の政治家の奥さんにとっては、人権問題にまで発展しつつあると思うのですね。かかるがゆえに、奥さん等を通じていろいろと物品が流れる。奥さんは心にもなくそれをやらされるわけだ。だから政治家の奥さんは、統計を無記名でとってごらんなさい、うちのお父さんは政治家をやめてもらったほうがいいというのが統計上案外よけい出てくるのじゃないですか。そういう実態だと思うのです。そこに親族の連座規定等について問題が出てきていると思うのですよ。それを憲法違反の云々があると、そんな憲法論議にやや籍口したきらいがある点等は、こういうことでは僕は日本の選挙の粛正、公明化ははかれないという、私は、狭い範囲内の私の見聞から意見を持っているわけですがね。そういう点とあわせ考えるというと、普通僕は、大臣、衆議院の皆さんから送られてきた修正案には労を多として敬意を表しますが、皆様方がこの法律案について長期間にわたって非常に御熱心に審議されたことには深い敬意を表しますが、しかし、この修正案には残念ながら敬意のいささかも表することはできないということを、あなたも遺憾でありましょうが、私も非常に遺憾であるということを表明して一応本日のところは、あなたに対する質問を終わります。
  98. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ちょっと一言補足さしていただきたいと思います。  地域の問題で、私どもはこういうふうに考えております。四つに分ければ、形式上だれもかかるものはないじゃないかと、逃げられるじゃないか、こういうことを言っておりましたというのは、それはそういうふうにじゃないのでありまして、今、高橋議員からもお話がありましたように、なるほど四個の形式の面からの分は、それは対象にならないということになりますが、四個のうちの一人でありましても、その方が実際上内部の仕事において全体の三分の一以上のような役割を果たしておられる人であれば、これが認定されればこれはやはりかかる。あるいは、三個でありましても、そのうちの一つがきわめて特殊の事情によって遠隔の地とか地理発条件で限られたきわめて狭い地域をやっておるというような場合には、たとえ三個であっても、必ずしもそれが連座の対象になるのじゃない。あくまでこれは、三個というのは実態を判断をする一つ基準であるというふうに考えるんでなきゃ、今覆われるようなまるで形式だけ変えることによって何にもならないという議論になると思いますが、その点は私は必ずしもそういうふうなものじゃないというふうに思っております。
  99. 秋山長造

    秋山長造君 裁判の場合には、大臣が今そんなことを言われても、大臣が事件を処理されるんじゃないんですから、これは裁判所がやるわけですからね。ですから、今大臣がそういうことをおっしゃっても、そういうことは別に法律に書いてあるわけじゃないし、法律には「三箇以内」云々ということだけを機械的に書いてあるだけですから、それができれば、それが自動的に動くわけだから、あとのことは検察庁なり裁判所なりの解釈でやるんだから、大臣がそういう説明をされても、それは大臣の善意の解釈にとどまるんじゃないですかね。
  100. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 私も解放されるわけでしょうか。解放されるようでしたら、今の話にちょっと答弁さしてもらいたいんですが、今のお話のような、私とあなたと意見が非常に違っておるようですが、私個人的な意見も入れたんですが、それは修正案を支持するための個人的意見を入れたんですが、逆にお説に共鳴するような、答申案に共鳴するような、社会党さんの意見にも共鳴するような個人的意見もまた持っておるわけです。しかし、提出者、党人として、ここで発表はできませんので、いずれまた機会をみて、現在の腐敗選挙をどういうふうによくするか、日本をどうするか、私どものほうの割拠をしておるところのいわゆる師団と称するようなああいう特務政治みたいなものをどうするかということについては、また別にいろいろ考えを持っておりまするし、むしろ私は選挙界の問題だけに限定しますと、一昨々年イギリスの総選挙に行って欧州各地の選挙制度を研究してきたんですが、西独式の小選挙区制に比例代表を加味したあの制度、あれが最も合理的ではないか。単純比例制よりももっと政局安定とかなんとかいう立場からいくと民意を代表するということと、それから政局の安定という二つ目的を達成するためには、西独式のあれがいいんではないか。あれ以外には選挙界をよくする方法はないんじゃないか。こういうことは結局枝葉末節の問題じゃないかというふうにも思うんですが、しかしそれでもより前進したというふうに思っております。あなた方の御批判によってますます啓蒙されてから、いい法律ができるんじゃないかと思ったりして、敬意を表しておるわけです。
  101. 小林武治

    委員長小林武治君) 法務大臣、何か答弁ありますか。
  102. 植木庚子郎

    ○国務大臣(植木庚子郎君) ちょっと今私御質問を聞いておりませんでしたから、政府委員に答弁させます。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員じゃだめだ。秋山さんもう一ぺんしなさいよ。
  104. 秋山長造

    秋山長造君 しかし、大臣は、安井自治大臣のさっきの答弁はもちろん聞いておらぬわけですね。
  105. 植木庚子郎

    ○国務大臣(植木庚子郎君) 私ちょうどおりませんでしたから、一応政府委員に答弁させます。
  106. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) ただいまの解釈の点につきましては、自治大臣からお述べになりましたとおり私どもも解釈しておるのでございます。その理由は、裁判所に来てどういうふうに解釈が変わるかわからぬじゃないかという御指摘でございますが、この条文を見ますると、「分けられた選挙区」、分けるのは、定められるのは、候補者または総括主宰者が定めるのでございますけれども、「三箇以内に分けられた選挙区」と、こうありまして、その「分けられた」というのは、主観的に分けるというだけじゃなくて、客観的に見て三つ以下に分けられておるという状態をつかむべきものだと、かように解釈するわけでございますので、候補者がかりに四つなり五つなりに分けたそういう地域主宰者を定めるといたしましても、その定められた地域主宰者が現実において担当しております範囲が三個以内である、そのうちの一つを担当しておる、こういうふうに見られる場合、つまり分けられた選挙区が三つ以下である、こういうふうに見られます場合においては、その主宰者は連座の責任を負わなきゃならぬ、こういうふうに解釈するわけでございまして、これが裁判所へ行って必ずそういう解釈になるかどうかという点は、これはもちろんそういう場合の判決を見なければ予断はできないのでありまするけれども、法律解釈の態度といたしましては、そういうふうに解釈するのが相当であろうというふうに考える次第でございます。
  107. 秋山長造

    秋山長造君 そうしますと、何も特に「数箇」というのをわざわざ「三箇」と限定した意味はないので、数個でも何でも同じことじゃないですか、実質。
  108. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) これは「数箇」というふうに政府原案にはなっておりましたが、数個という意味は、一けたのもので、一でないことはわかるわけでございますが、二以上おそらくは九以下、その範囲にある、まあ大体において政府の解釈としましては五、六個というふうに考えられるという趣旨の答弁が国会でもなされて参ったわけでございますが、このそもそもの連座の責任がなぜ出てくるかという点を、最高裁判所の判決例等について考えてみますると、これらの地域責任者、総括主宰者を含めまして、こういう人たちがもし買収をいたしますると、それはその買収票が入っておりますために当選という事態になってきておる、これを法律が強く推定しておるわけでございます。そこで、それをあまりひどく細分をして参りますと、その買収票を除去しますれば必ず落選になるというふうには保証できないわけでございまして、相当広範囲にわたっての買収責任がここに連座の責任として問われる、こういう趣旨法律であるというふうに規定してあるというふうに私ども解釈せざるを得ないのでございます。そういう意味から申しまして、連座の責任が総括主宰者と出納責任者に現行法は限定されておりますが、これを広めるといたしましても、今のような最高裁判所の解釈態度をもっていたしますと、いかに現象について不満を持ったといたしましても、法律規定としましては、これを無制限に広めるわけには参らないのでございまして、審議会の御答申の解釈をどういうふうに見るかというような点から「数箇」というような考え方になったと思うのでございますが、さらにこれを「三箇以内」というふうに修正されて参っておりまして、これを純法律的な観点から見ますると、総括主宰者に次ぐ地域主宰者、こういう意味において、最高裁判所の予想しております買収票の多寡というような点から見ますると、まことに相当な修正であるというふうに考えるのでございます。これはあくまで法律論でございます。政治的に、あるいは評論的に申しますれば、また別の考え方もございましょうけれども、法律論といたしましては相当なる修正であろうというふうにも考える次第であります。
  109. 秋山長造

    秋山長造君 局長のおっしゃるのは、もしこれが政府の原案どおりならね、その原案どおりなら、原案必ずしも私はこの個所について賛成とか反対とか言うのじゃないですよ、それは別として、それ以上の局長のおっしゃるような解釈は、原案どおりでならあるいは成り立つかもしれない。しかし、それをわざわざ「三箇以内」とはっきり修正しているのですからね。修正者の意図も、私は、今あなた方がおっしゃるような伸縮自在でどうにでもなるような解釈をさせぬために、「三筒」とわざわざはっきり機械的に修正したの、だろうと思うのですよ。で、「三箇以内」ということに修正した限りにおいて、今局長のおっしゃるような、必ずしも形式的にとられるものではない、実質的にやるのだ、解釈できるのだということになると、それは乱用じゃないですか。拡張解釈になりはしませんか。そういうことになるのだったら、高橋さんがわざわざ「三箇」とはっきり修正をされた意味は、これはなくなってしまう。三箇という以上は、これは形式に流れようと何しようと、三箇ということ自体が形式なんだから、形式的にやっぱり三箇以内ということで解釈していかなければ、それこそあなた法律の乱用になるでしょう。
  110. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 解釈は、数個に分けられた場合でも、三個に分けられた場合におきましても、実質的にこの数個を解釈し三個を解釈するということにつきましては、いささかも解釈上違っておらないのでございます。ただ、数個と三個にいたしますと、地域主宰者の責任範囲が、数個の場合よりも、三個以内と限定いたしますことによって、範囲が広いということは、仰せのとおり言えるわけでございます。この範囲が広いということは、また同時に、連座事由としましては、相当なる理由ということに相なるわけでございまして、実質的にこの数個なり三個なりを解釈いたしますことにつきましては、政府案の場合といささかも変わりはない。したがいまして、解釈においての乱用というようなことは私はないと思います。
  111. 秋山長造

    秋山長造君 いや、それなら、何も修正する必要はないので、高橋さん、どうですか、今のようなこの取り締まり当局の解釈では、三佃に修正してもしなくても実際には同じことだということなんだが、あなたのはそうじゃないのでしょう。やっぱり、そういうことになると困るから、三個と機械的にきめておかなければいかぬということで修正されたわけじゃないですか。
  112. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) そうじゃないのです。それは、今の自治大臣や刑事局長の御答弁と私の考え方、直した理由は同じです。ただ、数個を三個にしたというのは、数個というと一から九まで——まあ二から九までといいますか、二から九まであるというふうなことで、いろいろの争いがそこに起こってくるわけです。七つだったら数個のうちに入らぬとか、四つだったら入るとか入らぬとか、いろいろな問題が起こってくるおそれもありまするし、また実際上九つにも分けられた地区の小さな責任者、主たる小さな主宰者といいますか、そういう者にまで連座規定の対象にせしむることは、この選挙という尊厳な結論に対する非常な、何といいますか、冒涜というほどではないにいたしましても、その結果に対する非常なマイナス作用であり、それからこの国会議員という地位は、今申し上げました背後の有権者というものが控えておる以上は、そうやすやすと大根を切られるようにすぱすぱ切られてもいかないというふうなので、非常に重要性を持たすというふうな意味で三個というふうに限定したので、今の解釈の問題とは関係ないようです。これはまあ、大臣や局長が答弁せられたように、形式的に定めたものに拘泥することはないので、実際上、実質上そういうふうなことになっておれば、それはやはり形式上どういうふうに定められておっても連座の対象になるというふうなことになるわけです。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと委員長一つ今のに関連してですがね。  高橋さん、衆議院委員会の答弁を拝見すると、三個という場合は地域で割ると言っていますね。その当選への影響ということを考えれば、当然この地域だけじゃなくて、有権者数というものを考えないと、なんぼ広くても、山ばかりで人家のないところがあるのですよ、お互い選挙やってみてね。この答弁では、これはおかしいと思うのだが、これ法務省の政府委員並びに修正案提案者はどういうふうにお考えになっていらっしゃるですかね、お伺いいたします。法務省どうですか。
  114. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ちょっと、すみませんがその前に、政府の案の真意につきまして御説明しておきますが……。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと、今の答弁してから。
  116. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 関連しますから。  それに関連して、政府の案で出しておりますときには、御承知のように、この答申案が「相当広範囲にわたって」という言葉がありました。この「相当広範囲」というものをどういう表現にしようかということで、いろいろと材料を考えてみますと、得票数というものを考えた結果としまして、なかなか算定がつかない。そこで、ひとつ地域をめどにしてはどうか。そこで、数個というものをとって、しかし数個は何個に当たるのだということを、純粋の算術で機械的に言いますならば、二から九まででも数個と言えるじゃないか。そこはしかし、実態上の裁判所の判断に待とうということが私どもの趣意であったわけです。しかし、裁判所の判断に待つのに、一から九までの観念があるようじゃ、非常に幅ができ過ぎると、そこでここは大体の観念としてまあ三個あるいは三分の一以上というものをその標準に用いたらいいんじゃないか。その標準として、まあたまたまこの地域で用いるのが一番客観的にとりやすいから地域で用いようということで、衆議院のほうではその数字を限定されたものにおやりになったと思う。したがいまして、今度はそいつをいろいろな客観的な事実から判断されまして、これも機械的な数の分け方じゃなくて、実態的に判断して把握される場合には、そういった三分の一以上というものを標準に、この連座の対象に総括主宰者に準ずる者がなると、こういうふうに今度は解釈が明らかにされるようになっておる、私どもはこう考えるわけであります。
  117. 加瀬完

    ○加瀬完君 質問の順序が逆になりますが、今の問題から質問をさしていただきます。  刑事局長の御答弁によりますと、今までの最高裁等の判例は、連座させるかさせないかという一つのめどにですね、買収票が当落に関係するかどうかということが一つの見方であった、このような御説明がありましたが、それでよろしいですね。
  118. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) この三月にございました最高裁の判決にも、そういう趣旨がうたわれております。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、この投票による何の何がしという票数は、必ずしも地域というものとぴったり合うものではありませんね。たとえば、大ざっぱにですね、三つの地域を地盤とする衆議院選挙において、一番自分の身近な一つ地域で徹底的な買収をやったとする。そこで当選するとする。しかし、それは、この政府案でも、修正案でも、この連座規定には今までの裁判所の判決例からいっても該当しないということになるのです。面積の面では非常に小範囲、しかし票数からいえば大部分を占めている、こういう場合どうなりますか。
  120. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 御質問の御趣旨よく私のみ込めないので、違った答弁を申し上げるようなことになるかもしれませんが、改正法は地域を無視しておるのではございませんで、選挙運動を行ないますために、その選挙区を二つまたは三つに分けまして、それぞれに責任者を置く必要があるというふうに考えて、この地域主宰者というものを定めた場合に、この規定が発動されるわけでございますけれども、ただ、先ほど来申し上げておりますように、そう分けたといたしましても、その分けるのについて、面積によって分けるとか人口の大小によって分けるとかいうようなことにはとらわれない。でございますから、仮想的に五つに分けてみたところで、その五つにとらわれて手も足も出ぬというようなことになるんじゃなくて、やはり実態が三つ以下に分けられておる、その範囲内での主宰者であるというふうに事実が認められます場合には、その主宰者の犯した買収犯は、最高裁の判決にも申しておりますように、その相当広範囲にわたっての買収票が入っておるものだという法律上の強い推定を受けまして連座の事由にさせられると、こういうふうに私ども思うわけでございます。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、最高裁の判例から類推すれば、その買収票が当落を決定する線をこえておると、その買収票があったから当選した、なければ落選するというようなケースの場合は、当然連座にひっかかると考えられるでしょう。しかし、今までの刑事局長の御説四並びにこれでいきますと、地域的に三分の一以下ということであるならば、これはどんなにそこで買収が行なわれたって連座にはかからないということにはなりませんか。票数からいえば非常に当落を決定するようなウエートを持っておっても、それが地域からいえば非常に狭い地域の買収票であったということになると、これは連座にかからないということになってしまうでしょう、この修正案によっても。それではこれはさっぱり効力を生じないじゃないですか。選挙の実際というものは、小地域から非常に票が出る、こういう具体的な場合が多い。こういう場合どうなんです。
  122. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 最高裁が申しておりますのは、この連座事由の合理性と申しますか、連座に——人の犯罪で当選者が連座責任を受けて失格をすると、こういうような制裁を受けることの根拠、背景としましてそういうことを申しておるわけでございまして、具体的にどの選挙区から何票出たということを計算して、具体的にこれは少ないんだから連座に当たらぬとか、これは多いから連座に当たるとかいう判断をしておるのではございません。
  123. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、根拠、背景からいえばですよ、小地域だといったって、根拠、背景からいえば当落を決定するような有力な票が出るということがこれは推定されますね。そうでしょう。大体選挙では、拠点々々で、いわゆる地盤と称されるところで票をとってますからね。そうすると、数個とか三分の一以上といったところで、どのようにこれをきめたところで、一番地盤のかたいところで強引な買収をしても、その買収犯というものは連座の規定にはかからないということに政府案修正案もならないかと、法律的に見て。ですから、これは結局、一番買収しやすい買収犯というものを見のがしているということにならないかと、法律的な解釈だけで伺っております。
  124. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 連座の事由になる買収犯になる場合があるということでございます。
  125. 加瀬完

    ○加瀬完君 今私が伺っておるような点を、高橋先生、それから自治大臣、どのように御検討なさいましたか、あるいは御解釈なさっていらっしゃいますか。
  126. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 私のほうから言いますと、その点、お二人の御質問のとおりの欠陥があると思います、この規定は。ただし、いろいろ議論が出ました。有権者数に基本を置くべきか、得票数に置くべきか、地域に置くべきかというふうなことが問題になったんですが、何といっても答申案が「広範囲」というふうに地域的な表現になっておりまするし、それを受けて政府案が数個の地域というふうに地域でやっておるもんですから、自然三個という地域を標準として一応修正案をこしらえたわけであります。今の得票数とか有権者数なんかについても、いろいろ論議が戦わされたのですが、これは技術士なかなか法律として表現するのに困難だとか不可能だとかいうふうな議論もありましたので、それは技術上の問題ですから、それなら一応この程度にしておいて、お互いによく社会党さんなんかとも研究して、将来、得票数とか有権者数なんかも標準にするとかいうふうなことのほうが合理性だということになれば、そういうふうに修正し直してもいいんじゃないかというふうなことになったんで、絶対的にこれが欠陥のない表現だとは思っておりません。
  127. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 私も高橋委員と同じような感じは確かに持ちます。技術的に詰めていきます場合に、地域という観念だけですべてが割り切れるかという問題につきましては技術的にあろうと思いますが、今の場合、いろいろなケースを総合しますと、こういう分け方が一番具体性があろうということになろうかと思います。したがいまして、もう一つ逆に言いますと、たとえば四つに分けて、総括主宰者以外にだれも置いてなきゃ、それじゃだれも総括主宰者以外に絶対かからないのか。——それは今のような実態的に判断しますればそうじゃないという場合があり得るということを私どもは言っておるのでありまして、それで今の、法律の解釈によって幾らでも違うのはけしからぬと言われますが、現に憲法違反の問題だって、違反であるのとないのと同じ条文でありましょうし、同じ刑事罰の問題にしましても裁判所の見解が分かれますので、これは法律選挙違反なんかを扱います場合に、とことんまで、何から何まですべてもう条文上言葉の上で割り切ってできるということは、これは不可能なことだと思います。これはやはり総合的に最後は裁判所の判断できめてもらわなければならぬ問題だが、精神は今再三申し上げるような精神でできておる、こういうように言い得ると思うのであります。
  128. 加瀬完

    ○加瀬完君 結局、「広範囲にわたって」と審議会で答申をいたしましたのは、得票数十万票といっても、そのうちの買収票が何万票ということを判定することはこれはできにくいことですから、相当範囲で買収があったと見られるものに対しては連座を適用して厳罰に処せと、そうして買収犯というものを防げと、こういう私は趣旨ではないかと思うのであります。そうであるならば、その「広範囲にわたって」とあったから、これは地域をさしておるから数個の地域としたほうがいいとか三分の一以内としたほうがいいとかいうことではなくて、ねらいは買収犯をどうして防ぐかということで、高橋さんのさきのお話からすれば、いろいろ選挙の経験者というものは事実どうすれば防げるかという技術的な面も詳しいわけですから、三分の一以内などというあいまいなことではなくて、票数に相当関係のある買収をした場合は、これはその関係者が買収犯として処罰される場合は連座規定が適用されるというような、むしろ修正するなら修正方法はなかったのか、この点どうですか。
  129. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) その点いろいろ研究したのですが、みんな知恵が少ないのか、いい案が出なかったわけです。それで、今のところ具体的にこれが一番いいだろう。それでも、悪質な買収犯関係になりますると、深刻なものになりますると、総括主宰者にも関係するようなことに、自然なりましょうし、それから出納責任者、出納責任の裏の仕事をしておった者、そういうふうな連座者がほかにもあるわけですから、したがって、御心配のような大げさな買収犯だということになりますならば、そういう基本的な連座の対象者、そういうような者にも波及するから、自然その目的を達成するのではないかというふうなことで、この「三箇」以上の地域の責任者というものに範囲を広げたことによって、なお一そう精神的な、それからまた実際上の取り締まりの効果があるのではないかというふうな結論になったわけです。
  130. 加瀬完

    ○加瀬完君 こういう議論は出なかったのですか。たとえば、選挙区の三分の一以内ということではなくて、選挙区のうち最も有利ないわゆる地盤の三分の一とかあるいは広範囲、このほうが私ははるかに具体的だと思う。こういう点は検討されませんでしたか。
  131. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 最も有力なとか、あるいは相当な影響を与えておる数というのは、これはそのときの判断においては、そういうものの言い方もできると思いますが、これを一般の法文化して出す場合には、やはりこれについても解釈に相当幅ができてくるし、なかなか取り上げにくい問題であろうと私どもは考えたわけであります。
  132. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) これは抽象的に規定すれば、総括主宰者に準ずる者とか、もう一つ何とかいう抽象的な言葉、おもしろい言葉がありましたが、そういうふうなことも意見を出された力もありまするし、抽象的にはなるほどそれが一番いいというふうなことにもなりましたけれども、具体的になるというと、たいへん紛争が惹起される。取り締まるほうと取り締まられるほうと問題が多くなるから、もっと簡明化したほうがいいだろうというので、簡単な「三箇」というふうな字句にしたわけです。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 この問題はまた詳しくお伺いをするときもあろうかと思いますので、問題を別にいたしまして、この修正案は、答申案があまりにしろうとの理想案に過ぎ、若干これは技術的にも、実際的にも手直しをしなければならないというやはり考えで御修正なさったのでございましょうか。
  134. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) そうですね、修正の根本な意見はさようです。もし答申案を手直ししたとか、答申案の線とちょっと違ったとか、まあ言葉がゆがめられたとか、答申案がゆがめられたとか、後退したとかという、そういう言葉も出たようですが、もしそういうふうな事実がありますれば、形容詞はともかくとして、それはやはり修正者のほうからいいまするというと、逆に答申案のほうがゆがんでおったのじゃないか、行き過ぎがあるのじゃないかというふうに思われて、いわゆる公正妥当な面に引き戻したというふうに考えております。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 修正者のお立場で、答申案そのものがゆがんだじゃないか、あるいは行き過ぎがあるんじゃないかというお考えのもとは、実際の選挙の御経験、いわゆる選挙の実際に照らし合わせてみてということでございますか。
  136. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) そういう面も多少はありまするけれども、それよりも基本的に、合理性といいますか、条理性といいますか、そういうふうなものに反するものが多少あるんではないか、こういうふうな考え方です。たとえば、一番極端な例をあげますと、親族連座の規定のうちに、答申案では明確な条件を付してはおりませんけれども、案をそのまま採用することになりますると、まあ五百円か千円の間違いを家族がした場合でも、それも同居の家族と意思を通じたものではない、もう無制限ですね、あすこに表示してございます家族、親族が五票、十票の間違い、悪質な間違いを起こした場合でも、何ら候補者や総括主宰者と関係なく間違いを起こした場合でも失格をするというふうな極端な表現があるようでございまして、この思想、これは適当に手直しをするであろうという考えで御答申をされたのだろうと思いますけれども、この底に流れておるところの精神は、あまりに取り調べに急なるのあまりに性急過ぎるのではないか、国会議員候補者をいじめさえすれば愉快になるという気持の案ではないかとさえひがんだようなわけです。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 答申案を出す、審議会を作る法律案検討した際——これは自治大臣に伺いますが、なぜ一体一番選挙に実戦でも経験がありあるいはいろいろの悩みを持っている国会議員を入れないのか、こういう質問を私はしたこともございます。そのとき総理はお答えになりました。そのお答えは、自治大臣も御承知だと思う。あらためて伺いますが、国会議員審議会の中に入れなかったのはどういう理由ですか。
  138. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これは最近にもちょっと申し上げたかと思いますが、でき得る限り三者の御意見も十分に伺いたいということが一つ。しかし、国会議員を絶対に入れるなという思想じゃございません。したがいまして、特別委員という形でこの衆参両院の各派から御参加をやはり願っているわけであります。ただ、その特別委員にいたしました理由は、直接自分の選挙区自身に利害があるあるいは定員に利害があるといったような問題にまで参加されることは、これはいかがかと思われるということで、特別委員という形で御参加を願ったわけであります。しかし、同時に、議員だけじゃこれはいかぬので、議員以外の方々の広い御知識や御判断も仰ぎ、できるだけそういうものを総合的に尊重していきたい、こういうつもりでございます。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 国会議員は特別委員であって、表決権はないわけですね。答申案の表決権はないでしょう。
  140. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) いや、あります。これはございます。
  141. 加瀬完

    ○加瀬完君 運用上、普通の調査会や審議会と同様に、一人の完全なる人格としての表決権を持っていますか。
  142. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) それは限定されております。今申しましたように、直接身分に関係する選挙区の問題とかあるいは定員の問題、この分に関しては関与をしない、こういう建前で限定されておりますが、その他一般公職選挙のあり方につきましてはやはり表決権を持っておられます。ただ、あの総会のときには、自民党の議員さんは、いろいろな立場がございまして、棄権をされたわけであります。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 安井自治大臣、あなたは、さっき僕も伺いましたし、今加瀬さんも伺っているわけですが、いけませんよ、大臣。法律で、国家行政組織法によってできている審議会で国会議員が正規に入っている審議会をごらんなさい。鉄道建設審議会しかり、振興対策審議会もそう、あらゆる審議会、調査会においては、国会議員は正員として入っているじゃありませんか。ところが、この選挙制度審議会だけ正員として入っていない。特別員として入れたという形で構成したのは、大きな意義があるのじゃないか。その根本義を加瀬委員も僕も伺っているので、その末端なことで、いや特別委員に入れてあるから国会議員云々というような見方をしては、根本的に考えが間違っていますよ。他の調査会、審議会をごらんなさいませ。地方制度調査会でも、道路審議会でも、法律で認められて各党派から入って、ほとんど国会議員が牛耳っているじゃありませんか。それではいけないというので、第三者を主体にすべきだ、さればといって、全然政治家、国会議員をアウトにしては好ましくないから、特別委員として、あまりイニシアをとらないように、実際の政治家として参考意見を吐いていこうという程度の何で入っているわけで、その根本基準を曲げるような形で答弁される心がけはいけませんよ。あの法律は自治大臣が提案したのでしょう。
  144. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 失嶋さん大きな声をなさいますが、私は矢嶋さんとあまり大きな食い違いが意見としてあるとは思っておりません。特別委員というのは、人数が限定され、またその審議内容についても限定されておる。ただ、投票権があるかないかと聞かれましたから、それはあるのであります。一定の対象問題以外には、これは正規に持っております、こういう御答弁をしただけで、そう私は大きく食い違っておるとは思いません。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に違っておる。あの審議会のその対処の仕方は、非常に心がけが違っておる。そこに根本的な問題がある。
  146. 加瀬完

    ○加瀬完君 修正者は、審議会の答申も可能な範囲で採用をなさった、こういう御説明でございました。そこで、あの審議会設置法ですか、第三条は、可能な範囲でとればいいという規定ですか、これは自治大臣に伺います。
  147. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これは解釈の——抽象的に尊重しなければならないということでありますから、これにはいろんなとり方があろうと思います。われわれも、でき得る限りこれは第三者の意見として尊重して取り上げていかなければならないものだと心得ております。
  148. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたは、あの衆議院の設置法の審議の御答弁で、こうおっしゃっております。  基準の基本的な問題につきましては、政府としては審議会の御意見をそのまま十分に尊重していくというつもりでおります。そしてさらに、これは一言一句に至るまでということをここで言明するわけにはいきませんが、その答申案をそのまま尊重していく、こういうつもりでおりますと、こうおっしゃっておる。で、このお答えのときには、可能な範囲とか答申の精神だけをとっていくということではなくて、少なくも、一言一句まではとにかくとして、答申案そのままをそのまま尊重していくつもりでありますと、こう言っておるのだから、これは総理大臣が来れば総理大臣にも伺うつもりでおりましたが、国会議員が、こういう答申案が出ても、今までの審議会の答申案のように、いろいろ文句をつけてしまえば、これは答申案というのは骨抜きになってしまうのじゃないか、そうでないという保証がありますかと、こう私は総理大臣に聞いた。そうしたら、この三条は尊重するということをあだやおろそかでつけたんじゃないと、こう参議院では答えて、党の中のいろいろ修正、そういった私は与党の中で骨抜きの修正をされるのじゃないですかと質問した。そういうことはないと答弁なさっている。あなたも衆議院でこう答弁なさった。こういう御答弁からすれば、修正者の高橋先生から可能な範囲で採用するというお話があった。言葉じりをつかまえるわけではありませんが、自民党としても、そういう答申案を私は軽く扱う態度というものにはなれないと思う。自治大臣も、そういう修正がどう出てきょうとも、そういう修正案というものに対しては、答申案のほうにウエイトを置いて、もっとイニシアをとっていくべきじゃなかったかと思う。そういう点で、答申は受けたらこっちのものだという、どうも第三条を軽視しておるきみが非常にありますが、いかがですか。
  149. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これはいろいろ御批判の余地はたくさんあろうと思います。また、尊重の仕方が足りないという御批判があることも、私ども耳にしております。しかし、一言一句という意味は、これは表現の問題でありまして、私どもそれは一番最高度の表現といえば、そういった一言一句を法律案に書き得る限りそのまま法文に直せば、これは完全尊重ということが言えるかもしれません。しかし、私どもまあそこまでは、法律を責任を持って扱います以上、また社会通念として、政府が提案していきます以上、やり得ない限度というものが、十分に尊重しながらも、その若干の部分については修正もしなければならぬという場面に当たったことは事実であります。そこで、事のついででありますが、まあ実態的に申しますと、御承知のように、あの政府がよく起こします審議会というようなものにつきましては、やり方はいろいろあろうと思います。あらかじめ政府の意図というものを十分に了知していただいて、それに基づいてでき得る限り政府の意図に近い答申をお願いするというような場合もあろうと思います。あるいはまた、この答申は答申であくまで参考意見にしておいたままで、それは参考意見としていながら独自の案を出す場合、こういうような場合もあろうと思います。われわれは、今度の場合には、そういうもののいずれもとらなかったわけであります。できるだけなまの御意見を——政府から予備知識を入れない、なまの御意見を提案をしていただく、しかもこれを尊重していこうとして十分に取っ組んだんでありますが、その部分々々については、どうしても今日の政府としてはこれを法律化する上には工合が悪いという部分については、やむを得ない訂正といいますか、修正をやっておる、こういうことで、私どもの気持は、これをもう非常に尊重していこうという気持には、これは間違いはなかったということを確信しておる。ただ、結果から見ました場合に、これをいろいろな角度で足りるとか足りないという御批判はあろうと思いますが、これは今ことに、修正と申しますか、直された点だけを問題にされますと、非常にやかましいのでありますが、百カ所からに近いこの今度の改正案には、改正諸点がございます点数から申しましても、相当な部分は答申案をそのまま取り入れているものが非常に多いということも耳にいたしております。
  150. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは修正者に伺いますが、一体答申案で、一番答申案の骨子として主張された点は何だと御了解をなさっていますか。われわれ——私は社会党でございますが、社会党の見方と、皆さん方の見方では、若干の違いがあるかも存じませんけれども、自治省なり、あるいは修正者なりは、答申案の骨子というものをどう御理解なさっていらっしゃいますか。たいへん失礼な言い分でございますけれども、伺います。
  151. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) 大体運動方法については、いわゆる明るい選挙をやるということ、なるべく自由に選挙運動をやらして、枝葉末節を取り締まらないというふうな行き方、それから悪質な違反、買収犯といいますか、そういうものに対しては厳重にそれぞれの制裁を加えること、まあそういうことだったと思います。
  152. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治大臣。
  153. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 今の高橋先生のお話の線に大体似ておるもんだと心得ております。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 もっとはっきりおっしゃっていただきたいと思う。で、これは私の意見ではありません。新聞は、連座制の徹底強化、政治資金の規正、高級公務員の立候補制限、いろいろありますが、この三点が中でも重要な答申の骨子である、こうほとんどの新聞がお述べになっておりますが、自治大臣、この点はお認めになりますか。
  155. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) そういう点が重大なものの一つであることは、私ども認めます。しかし、同時に、そのほかにも非常に重大なものがございます。答申には、中でもこれとこれだけは特に重大なことだからこういうふうにしろという答申ではございませんで、全体を通した、列記された答申であると心得ております。ほかにもまだ相当重大な問題はたくさん含んでおったと思っております。
  156. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはありますがね。公平に見て世論が大きく三点を指摘しているにもかかわらず、その答申の骨子とすべきものを修正をして、そしてさらに、末稍かは知りませんが、それに連なる修正をさらに重ねてやる、こういうことでは、これは答申を尊重するという第三条を審議会の設置法で掲げている意味というものは何にもなくなるじゃありませんか。
  157. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これはまあ、新聞とおっしゃいますが、新聞では、そういった直した点を主題にしていろいろ議論されておるのでありまして、そのほかの点にも相当重要な問題があることは、さっき申したとおりであります。ただ直した点をいろいろ取り上げられますから、そこしかないように思われますが、そうじゃないので、全体に相当重要な点をたくさん含んで、しかも比率でいえば——これも評価がありましょうが、私どもは相当な答申の線を尊重して、そのまま残しておるというつもりでおります。
  158. 加瀬完

    ○加瀬完君 審議会がどういう理由によって設置されたんですか、あらためて、そういうことをおっしゃるなら、伺います。
  159. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 審議会につきましては、公明選挙をやる上に、現行選挙法、あるいは選挙区割りの問題、あるいは定員アンバランスの問題、または政党法というものができるかどうかこれは別といたしまして、そういうものに対する検討、全般のそういう選挙に関連する事項の御検討を願う、しかもできるだけ具体的に願うという趣旨でこれは作ったわけであります。
  160. 加瀬完

    ○加瀬完君 この前の総選挙の前の国会での決議で、「物量選挙の弊風がますます助長されつつある」と、こういう決議を衆議院はなさいましたね。そして、改選されて開かれた国会で、池田総理は、「選挙自体のあり方についての国民の批判がまことにきびしいものがあることは否定できない。私は、この批判にこたえて、広く国民の協力を得て、選挙の公明を期する措置を積極的に検討したい。」、こういう所信の表明から審議会が設けられたんですね。だから、当時の池田さんあるいは自民党の考え方というものは、これは物量選挙の弊風を除去しようとして、公明選挙を実現しようということでなければならないわけです。物量選挙の弊風の一番もとになるものは、これは政治資金の規正の問題でしょう。それから買収選挙等の連座の問題でしょう。こういうものをたな上げしてしまって、審議会の一つの提案の説明というものの、審議会設置の目的というものはなくなってしまうんじゃありませんか。こういう経過によりまして審議会ができたんだということは、高橋さんもお認めになりますね。
  161. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) はあ。
  162. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治大臣どうですか、あなたお認めにならないですか。
  163. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 高橋さんと同様に私どもも考えております。
  164. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうであるならば、政府自身がこんな修正を出すべきものじゃないでしょう。これは総理大臣に伺うべきで、あなたは一生懸命になってそっちの派、こっちの派かけ回って原案を通そうと思ったけれども、自治省案すらもだんだん後退してしまったと伝えられておりますから、あなたの努力をわれわれは買っておらないわけじゃない。しかし、結論は、政府の責任としては答申に正直にこたえておらない。こういうものを出したことには変わりはないわけです。政府の責任として、もっと所信を明らかにしてもらいたい。
  165. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これは御批判になると思いますので、そういう御批判もあることは承知しておりますが、政府としては、やはり、法律を出します以上、ほかのいろんな法律とのバランス、あるいは社会的な通念、常識、こういうものとかけ離れたものをやるわけにはいかないという判断に立ったわけであります。これは答申が、一つの考えは私は十分にあったと思うのです。ある意味で行き過ぎになってもいい、劇薬主義でひとつ実験的にやってみろ、こういう精神も相当入っておった、私どもその気持は十分わからぬじゃありませんが、それをそのままやったのでは、いろいろな法律を施行していきます場合に、ほかとの関係で非常にジグザグを生ずるという懸念から、そういう点についてはやむを得ずバランスを合わせるという点にとどまったのだということであります。これに対する御批評はいろいろありましょうが、私どもは決して精神的に尊重しないなんて、あるいは公明選挙をよごしてよろしいというような精神で決してやっていない点は、ひとつ御了承願いたいと思います。
  166. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は批評をしているのじゃない。質問しているのです。というのは、審議会設置法の第三条には、答申を「尊重しなければならない」と、こう書いてある。答申を尊重するということはどういうことだと、これは与党の修正等に惑わされないで答申をそのまま原案として出すという保証があるかどうか、こういう質問に対して、総理はそのとおりだとお答えにたった。あなたのように、出た答申をいろいろ他の条件とかみ合わせて政府が修正をして出してもいいということではなかった、その当時の御説明では。さきに修正者の高橋さんは、国会議員が一々審議会の意見だけに縛られる必要はないと言っているけれども、審議会の意見じゃないのです。審議会設置法という法難で、審議会の答申を尊重するということをきめたのだから、それをわれわれは通したのだから、その法律にはわれわれ縛られなければならないはずだ。われわれ国会議員であるから、なおさら縛られなければならないはずだ。このワクをはみ出しているのでしょう。この問題に無反省でいいかということです。  それから、時間がありませんから、もう一つ伺いますがね。国会は確かに、特に衆議院は第一院として、それは何も束縛されない審議をすることはけっこうです。しかしですね、その国会審議をする背景には、国民の世論なり動向なりというもので、たとえば選挙法はこうきめてもらいたい、選挙は公明選挙でやってもらいたいという、波のような要望があるわけです。これを全然考えないで、国会議員だけのものの考え方で済むということはあり得ないわけです。しかし、世論は、池田さんの言葉をかりれば、選挙に対してはきびしい批判がある、その批判は、選挙の批判というのが、国会議員に対する批判にも——われわれを含めての国会議員の批判にもなっているから、ここで一歩国会議員は後退して、第三者に答申をさせて、そうして選挙の公明を期待しようではないか、こういう構想であったはずだ。作るだけ作らしておいて、それをこれらのほうで適当に細工をしてしまっては、これは答申案を作らすべく審議会を設置した趣旨というのは全然没却されております。抹消されておりますよ。こういう点について、もっと総理とも打ち合わせて、あなた方の答弁、みんなここに当時の速記録を持っています。確たる御答弁を重ねてこの次の委員会にお願いをします。  次の審議に入る時間が来ましたので、一応私の質問を保留いたします。
  167. 高橋英吉

    衆議院議員(高橋英吉君) ちょっと。私の説明に誤解があったかもしれませんが、今の形式論になりますけれども、答申案をこしらえた審議会の設置法案の、答申を尊重するというのは、政府は縛りましょうけれども、国会は縛らないというふうなことに形式はなっていることを御了解願います。  それから、マスコミが盛んに最初批判攻撃みたいなことになって、長谷部さんの審議委員の辞任となり、それからまた今度再修正を私のほうでするというふうなときに、いろいろ問題が起こって、たいへんおしかりをこうむっておりますけれども、あれはどうも先走りで、政府案が出てみれば、割合いい、長谷部さんもあれを知ったら辞任の申し出をするのじゃなかったというふうにも聞いておりますし、そこを今度最後にわれわれ批判を受けたのは、親族規定なんかも全部流してしまう、削除してしまうというようなマスコミの先走った報道、推測記卒が災いしてああいうふうな批判となったのですが、あけてみれば、結局自民党の良識といいますか、大勢やむを得ずというのですか、親族規定も置いたからたいして違いないというので、今度おほめの言葉で、これでも早く成立さしたほうがいいという議論になったように、新聞論調になったように思っているのです。
  168. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は終わろうと思いましたが、高橋さんのお言葉がありましたから……。私は、新聞論調を主に質問しているのではなくて、あなたがお話しになりましたく会議録をもとにして質問をしているわけです。高橋さんがおっしゃるように、私ども国会審議権というものは、これは、第三者からワクをはめらるべきものでもございません。それならば、なぜ答申案そのままを原案として出して国会審議にまかせないか、政府としては。政府で修正をして出す、修正をする作業は高橋さんもお認めになる。各それぞれの師団の駐屯地に参って、自治大臣がいろいろと折衝をしていると伝えられている。そういう事前交渉をして政府原案を作って出すから問題が起こる、こう私どもは解釈をして質問をしたわけです。まあこれでやめます。
  169. 小林武治

    委員長小林武治君) 両案の質疑は、本日はこの程度といたします。  なお、この際、審議日程につきまして御報告、御了解を得ておきたいと存じますが、午前中申し上げましたとおり、明五月一日は休み、二日は参考人の意見を聴取し、その意見聴取後、新産業都市建設促進法案の質疑を続行し、できたら終局いたしたいと、かように考えております。五月三日は休日とし、四日は、午前十時から正確に開会、公選法に関する一般質疑を続行し、午後二時から総理大臣の出席を求めて質疑をする。四日までの日程をさよう決定いたしたいと存じますから、御了承願います。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど非公式の懇談会で話がございましたように、やっぱり重要法案だけに、まず総理の質疑からしていったほうが審議の都合がいい。ところが、総理がきょうおいでにならないので、とりあえず修正者を中心にきょうのところ質疑しておこうということだったのですが、四日は、朝十時から総理の御出席は願えないものでしょうか。一応その筋で御交渉いただいたならば、審議の都合もよろしいかと思うのですがね。
  171. 小林武治

    委員長小林武治君) 交渉はしてみます。   —————————————
  172. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは次に、新産業都市建設促進法案議題とし、午前に引き続き質疑を行ないます。
  173. 秋山長造

    秋山長造君 藤山さんに二、三点お尋ねしますが、新産業都市という実は法案の名前ですが、この産業ということの内容はどういうことなんですか。内容を見ますと、新工業都市建設促進法だと思うのですけれども、それをあえて新産業都市と、産業というようにされたねらいというのは、何か特別にあるのですか。
  174. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 特別に何かということではございませんけれども、関連産業その他もあることでございますから、何と、特別に限定する必要もない、やっぱり産業全体の問題として、産業都市を作るのだということが適当じゃないかと思っておるわけでございます。   〔委員長退席、理事増原恵吉君着席〕
  175. 秋山長造

    秋山長造君 産業というと、これは第一次、第二次、第三次と、ずいぶん広いわけなんですがね。従来、企画庁でやってこられた総合開発という面から見ますと、これは、工業都市とか商業都市とかいうように狭く限らないで、やっぱり新産業都市というように、広い看板のほうがいいだろうと思うのですけれども、ただ、この法案の内密を読んでみますと、やっぱり表題が新産業都市というだけで、内容は工業都市の建設だということにどうも傾いているようですがね。この点が非常に私は、まやかしだと言うとはなはだ失礼ですけれども、看板内容にいささか食い違いがあるのじゃないかと思うのですが、新産業と、産業という以上は、やっぱりただ工業なりあるいは関連産業というワクよりももっと広くて、農業等の問題についても何か総合的な要素というものがなければ、産業というわけにいかぬのじゃないかと思うのですが……。
  176. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 産業都市というのは、言葉が少し広過ぎるのじゃないか、工業だけだというお話ですが、先ほど来お話のありましたように、港のないような土地にもできないわけではございませんけれども、主としてやはり港のような所があれば、貿易関係も含まれてきますし、したがって、そういうような輸送関係というようなものも含まれてきますと、いわゆる必ずしも純粋の工業という概念だけではない点が出てくるだろうと思います。また普通の言葉でいえば、農業というものも産業に入るわけでありまするが、普通にいえば、大体主として工業もしくは貿易、そういうようなものを含めたある程度広い言葉になる。それで、農業の部面におきましても、実際いえば、こういう都市ができますと、おのずからいわば食糧問題が相当大きなウエートを持ってくるわけで、ある場合には、農業が都市に、何と申しますか、供給する野菜等のいわゆる野菜農家というようなものもその周辺にできてくるということにもなるわけであります。工業都市としたほうがよかったかどうかということについては、われわれも、御指摘があれば、あるいはそういう場合もあろうかと思いますけれども、まあ新産業都市という、少し広い言葉で締めくくりをいたしておくほうが適当じゃないかと考えておるのでございます。
  177. 秋山長造

    秋山長造君 大臣のお気持はわからぬでもないですが、新産業都市という言葉は、少なくとも今までの法律なんかにはない新しい言葉ですね。一般的に使われる言葉としても、私はやっぱり新しい言葉だと思う。まあそれだけに期待も大きいわけです。既存の四大工業地帯、これはもう完全な工業都市だと思います。もちろん、今おっしゃるように、貿易その他の面をも含めていえば、単なる工業都市でなしに、もう少し広いものだから産業都市だという解釈をすれば、それは、横浜にしても阪神地方にしても、みんな産業都市かもしれぬが、常識的な用語としては、工業都市という言葉を使われておるわけです。そういう四大工業地帯にいろんなものが集中しているのを再配置をする、これ以上集中しないようにする、そういうねらいをも含んで、新産業都市という新しい魅力的な法律の打ち出し方をしておられるから、それだけに、やっぱり新産業都市として長官が予想しておる、想定をされておる都市の姿というものは、現在の四大工業地区のような姿とはだいぶ違ったものを予想されているに違いないと思うのですがね。その違っておるものを予想されておるというのは、これも抽象的な議論になりますけれども、大体どういう姿を予想されておるのですか。今までの四大工業都市の再生版をまたあっちこっちに作るということであっては、それも無意味じゃないけれども、やっぱり産業過度集中を防止するとか、大都市における人口集中を防止するとか、地域格差を是正するとかいう趣旨にはまらぬと思うのですがね。どういう新しい都市の姿を予想されておるのですか。
  178. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 私どもの考え方は、必ずしも現在の行政区画とただいまの経済圏的考え方とは全部一致しているとは、これは思っておりません。交通機関その他の関係で、行政区画とその地方における経済圏というものはある程度違う。そこで、こういうものが地方のいわゆる政治中心都市と必ずしも一体になるという必要はない。一体になる場合もあっても差しつかえないかもしれぬけれども、必ずしも一体になる必要はない。その経済圏の全部が生き生きとして働き得るような中心地ですね。そういうものに、こういうような工業を主とした、しかも工業に付随する各種産業、つまり貿易も入りましょうし、商業も入りましょうし、そういう種類のものででき上がっております都会というものを一応想定いたすわけなんです。むろん、それですから、港というような問題も重要でございますが、しかし同時に、なお港がなくてもこういう目的に達し得るような経済圏の中心になり得るような所があれば、必ずしも港だけに固執するわけではございません。その産業形態のいかんによって、重工業とかあるいは重化学工業とかというような種類のものは、これはまあ少なくとも十万トン以上のタンカーができてくる、あるいは鉄鉱の専用船というようなものも大きなものになってくるということになってくれば、やはり港というものを想定しなければなりませんが、しかし、必ずしもそういうものでなしの工業ですね。まあ軽工業とは申しませんけれども、しかし、機械工業というようなもの、あるいはその他の工業がその辺を一つの中心として集まり得る。したがって、非常な重大工業というようなものだけを必ずしも想定はいたしておりませんが、しかし、やはり今のような状況であれば、まず考えていきますことは、やはり工業が中心になることは、これはもう間違いないのであって、たとえば学園都市を作るとか、あるいはそういうような意味でのものは、この中には特に関係ない。ただしかし、そういうような工業の大きな都市が出てくれば、その中において、学校の施設その他というものは、文化的水準をそこで上げていくということは、その経済閥全体の知識水準を上げる、また工業都市にするにしても、そういうものが必須条件になってきますけれども、何かそういうような学園都市とかいうようなものと一緒になるようなふうな考え方では最初はないわけでございます。
  179. 秋山長造

    秋山長造君 そういたしますと、この新産業都市という新しい名前のものを作っていこうということではあるが、しかし、現実の問題としては、すでに四大工業都市以外に、今度あちこちに今コンビナートができておりますね。そういう今できつつあるコンビナートを中心にやはり据えた都市というものが考えられていくわけですよ、現実の問題としては。いかがです。
  180. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん、そのコンビナート的な形式のものが相寄り合い、立地条件の選択に非常な重要なものでございますから、そういう形態のものも相当一つの大きな力となって、この産業都市の発育ができてくると思いますが、しかし、必ずしもコンビナート形式のものでなければならぬというふうに限定はいたしておらぬつもりなんです。
  181. 秋山長造

    秋山長造君 それは、限定はされておらぬことはわかっておるのです。それからまた、特に衆議院修正のねらい等から見ますと、そういうコンビナート形式のものだけに限定するということはむしろいかぬと、こういう趣旨ですから、私もその趣旨は賛成です。賛成ですが、しかし、この法律ができて、そうして幾つか指定の予定地域があるわけですね。その予定地域というのは、大体すでにコンビナートができつつある所がやはり優先的に——優先的という言葉には、この衆議院修正趣旨からいって、ちょっと語弊があるけれども、あえて言えば、優先的に指定をやられるということは、もう既定の事実だろうと思うのですね。そうなった場合に、やはり新産業都市という新しい名前ではあるが、実際には、その既存の四大工業地区のようなものを、また新しくこのコンビナート中心に持っていくということになるのじゃないかということを聞いておるのです。そこで、具体的にお尋ねしますが、この新産業都市として指定をされる予定地というのは、もうきまっているのですか。
  182. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 結論から申し上げますれば、新産業都市の予定地というものはまだきめておりません。むろん、今後の事情で決定していくものだと思います。そこで、お説のように、新産業都市というものを作ります場合に、全然原っぱあるいは港の設備も何もないという所を指定するわけにはなかなかいかないのじゃないか。したがって、既存のある程度コンビナートがある場所が将来正常な新産業都市として発達していくように今から組織づけていくということ、あるいは、コンビナートとは申しませんけれども、そういう立地条件もそろい、ある程度新しい産業都市としてすでに準備が進められているような、土地の造成もできているような所をやはり指定していくべきものではないか、こういうふうに考えているので、全然原っぱでもってぼっと、それは、そういう所も将来、今のような科学技術が進歩しておりますから、指定できないというわけではございませんけれども、やはりすでに既存の準備もされて、地方的にも準備をされて、そうしてそれがどんどん進められている所にできるだけ、工場もこういう所があるのだから誇致する、それに対しては政府も道路もよくしていく、何もよくしていくということで、それを盛り立てていく。すでにコンビナート形式のある程度の工場がそれ以上にできている所は、ほうっておいてもあるいは発展するかもしれませんけれども、その発展の仕方いかんによっては、従来のような、東京が踏んだ、あるいはその他の既成工業地帯が踏んだような経過をたどっては相ならぬのでありますし、また、それに関連するものが東京なり何なりからそういう所へ移動し得るようなことには持っていかなければならぬと思うのでありまして、そういう意味でわれわれとしては考えているわけなんです。
  183. 秋山長造

    秋山長造君 総合計画局長にお尋ねしますがね。この新産業都市の指定区域ですね。これは、大臣は全然白紙だとおっしゃったのですが、これは別に遠慮されることは要らぬのですがね。ちょっと私、政府が実際どういうふうに考えておられるのか、その一端を聞けば、大体この法案のねらいなり何なりというものがわかるのですが、一応今、あなたのところでいろいろ調査をされたり準備をされたりしているに違いない。全然白紙ということはあり得ないと思うのですがね。どうですか。白紙なら、もう継続審議でもして、そう急ぐことはない。どうせ選挙もあるのだから、政府も仕事にならぬわけですからね。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 同じ質問でちょっと関連。今の秋山委員の質疑と同じ内容ですがね。私は、この審議会の委員ももうほとんど内定としているということを超短波でキャッチしているのですがね。指定にしても、けさ、十一ブロックということを、対策方針を言われておりました。大体今、野原にできるわけではないのだから、きまっていると思う。私は、その大まかなことくらいは、ここで事務当局から答弁さしたほうがいいと思うのですよ。そうでないと、こういう問題はごたごたしますしね。それから、選挙であちこちに行って、指定します指定しますとあなたが演説をしますと、それ一つにおいて、やはり何百万票というものが動いて、やはり国民を惑わすことになりますので、フェアーな藤山さんとしては、今の研究段階ではこういうことになっているというのを答弁されるのが私は適当だと思うのですがね。秋山委員と同感ですから、お答えいただきたいと思います。
  185. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) この問題は、非常にいろいろ問題がございますので、確定的でないことはむろん御了承願わなければならぬと思います。実はわれわれ、若干の構想を、どのくらいな金がかかるかというようなことも検討して参らなければならないので、サンプル地区としてとった所もございます。たとえば、岡山県の水島地区、大分県の鶴崎地区、そういうものを一つのサンプルとしてとっております。それで、大体私どもの考えとしては、まず第一に考えるべきは、いわゆる地方開発の今までの各種の開発法がございます。そういう点からも考えまして、必ずしも行政地域にはこだわらないつもりでございますけれども、いわゆる各ブロックに一つくらいはまず考えて、当然やはり一次としていくべきではないかというふうに考えるわけでありまして、それをなかなか確定的にきめて参りますことは非常に困難な点もございます。しかし、こういうものは運動等によって必ずしもきまるべき問題ではないと私は思うのであります。やはり各地におきます現状に即さなければなりません。また同時に、私どものところにもいろいろ来ておりますが、同一県内でも非常な意見の違ったところがございまして、知事が非常にまとめにいく場合もあるように聞いております。ただ、この間、衆議院でも御決議がございまして、近畿圏整備の決議案が出ました。東京の首都建設と同じような意味で、私は、中京地区でありますとか、北九州であるとかいうものは、あるそういう構想が将来、これは私見でございますけれども、加わるべきじゃないか、したがって、そういう現在隣接したような所を指定するのが適当であるかどうかというような問題については、もう一ぺん、たとえば東京首都圏といえば、神奈川県も入っておりますし、茨城県も入っている、千葉県も入っているというような首都圏の整備の考え方からすれば、中京の場合には、あるいは岐阜県の一部なり三重県の一部なり、そういうような中京圏というものができる。この間の近畿圏の衆議院の御決議も、必ずしも大阪ではない。大阪周囲の兵庫県あるいは奈良県それから三重県、和歌山県の一部ですが、そういうようなものを一つの近畿圏として、首都圏と同じような法律が必要ではないのだろうかという御意見が決議にも出ております。   〔理事増原恵吉君退席、委員長着席〕  これは、非常にやはり参考になるのでありますから、したがって、そういうものに場合によれば入り得るような都会を新産業都市として指定することの適否というものは、私はやはり第一次的には相当考慮していかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。  そこで、それではたとえば東北をどこにきめるか、北海道をどこにきめるかということになりますと、これは、これらの状況から見て、いろいろな点を考慮しなければならぬかとも思います。したがって、確定的にこの都市、あの都市ということを実は申し上げにくいのですが、しかし、今みたいな考え方でやって参りますれば、私は、いたずらに選挙民を利用することのないような立場で、厳格に考えていけるのではないかというふうに考えております。実は、サンプル地区としては、今申し上げました地区をとって、そういう整備をするためには、どのくらいな道路が要るだろう、どのくらいのそれについては金額が要るだろうかということを一つのサンプル地区としてとっておりますので、そういうような面については、地方に行って検討もいたしておりますから、ある程度いろいろなあれも出てくるのではないかと思いますが、そう今、各地に人を出して必要な調査を、どこを指定するという意味での調査を現実的にまだ行なっておるわけでもございません。したがって確定的に、東北がどこになる、あるいは北海道はどこになる、あるいは裏日本は一体どこになるかというようなことを実は申し上げにくいのでございます。
  186. 秋山長造

    秋山長造君 藤山さんの今の御答弁の中から、一を聞いて十を知ったつもりで引き下がっておきますが、大体この法律が通れば、審議会がいつごろ発足させたいというおつもりか。また、それで第一次の指定をいつごろ大体やりたいというおつもりか。そこら辺のめどをひとつ。
  187. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 審議会は、私としては、できるだけ急速に発足さして参りたいと思っておりますけれども、まあ事務的な手続等もございますので、事務当局のほうから御説明させたいと思います。
  188. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  委員会につきましては、実は低開発地域の工業開発促進法という法律ができておりまして、その法律で、低開発地域の工業開発審議会というものがすでに発足しております。この新産業都市建設促進法案が通りますと、会の名前が、今の低開発の工業開発審議会といいますものが、この法律によりまして、地方産業開発審議会というふうに名称が改まるのでございますが、その地方産業開発審議会におきまして、低開発地域の工業開発の問題と、それから、新産業都市建設の問題の御審議に当たるわけでございますが、したがいまして、審議会といたしましては、先ほど申し上げましたように、すでに発足しておりまして、実は第一回の低開発関係のことにつきましては、ある程度の審議をお願いしておるわけでございますが、この法律が通りました暁におきましては、大体必要なある程度のものにつきましては、政令事項にゆだねられておりまして、この政令を法律公布後三カ月以内に、まあこの法律は公布後三カ月以内に施行することになっておりまして、政令の関係で、そういう猶予期間があるわけでございますが、できるだけ早く政令等を準備いたしまして、審議会にこの問題に関しまする具体的な事項の御審議をお願いいたしたいと思っております。具体的に、いつごろこの新産業都市の指定があるかという御質問でございますが、御承知のように、この地区の指定をいたします場合におきまして、地区の指定と同時に、建設基本方針というものを審議会の御審議を得るわけでございまして、そういうふうに、単なる指定だけじゃなくて、基本方針の審議決定というものがあわせて行なわれます関係上、われわれといたしましても、相当具体的な調査が終わりましたものにつきましてしか、とりあえずは指定できないというような状況にあるのじゃないかと考えておりまして、今後なおいろいろ調査を、あるいは基本方針の策定のための準備を進めていかなければならぬのでございまして、おそらく三十七年度内におきましては、せいぜい数カ所程度のものしかあるいは指定をお願いできない、そういう状況じゃないかと考えております。
  189. 秋山長造

    秋山長造君 大臣が声が小さいですから、遠慮して、局長まで小さい声ですが、もっと大きい声で言っていただきたいと思います。  三十七年度に数カ所ということですが、私の聞いておるのは、三十七年度内のことでなしに、もっと、たとえば夏のうちにはとか、秋までにはということを聞いておるので、これは三十七年度内には指定されることはわかり切っておるので、それができぬようなら、今、何もこの忙しいときに、こんなものを無理してやる必要がない。臨時国会でも何でもやったらいい。やはり藤山大臣としても、本法案に政治生命をかけておるとすらわれわれ聞いておるので、それほど非常に急いでおられるのだから、急ぐ以上は、急ぐだけの何かあるに違いないと思って尋ねておるので、もう少してきぱき、遠慮せずに、考えておられるところをお述べいただきたい。どなたからでも、いつごろまでに審議会を発足さして、そしていつごろまでには大体第一次の指定をやりたいというつもりだぐらいは、積極的な意欲を示してもらわないと困る。
  190. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) これは、私どもの考えでいえば、第一次の指定は、今年の秋ぐらいまでに指定をしていく。と申しますのは、今の若干のこういう計画を立てますについては、非常にむずかしいことではございますけれども、ある程度モデル地区等も作って、検討もしてみなければならぬのでございまして、そういう検討をやった地区等につきましては、そう困難なく指定が進められていくのではないかと思います。ただ、必ずしも全部の都市について今日まで検討をいたしておりませんし、それから、基本計画策定にあたりましても、先ほども申しましたように、同一県内におきましても、いろいろ議論があるようでございまして、われわれとしては、必ずしも同一行政府県内というよりは、府県の集合した一つの経済圏というようなものを考えておりますので、そういう議論等も聞きながら、しかし、その経済圏の中心となり得るような地区を考えるわけでございますから、第一次の指定というのは、そう数多くなく、早急に指定はして参りたいと思います。ただ、逐次そういうものを整備しながらやって参るので、ほかのものが全部そろわなければ、あるいは最初に七つ八つぐらい指定するのだからといっても、それがそろわなければ指定しないというよりも、基本計画ができましたものからどんどん指定をしていって、スタートを切っていくべきだと私は思っておりますので、そういうつもりで出発をいたしていきたい、こう思っておりますので、第一次は九月か十月ごろまでにはいたしたいと思います。
  191. 秋山長造

    秋山長造君 大体わかりました。  次の御質問をいたしますが、今度、審議会に、低開発地域審議会等も包含するということになっておるわけですが、低開発地域の指定はすでにおやりになったのですか、どうですか、昨年の国会で成立しておるわけですが。
  192. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  低開発の工業開発の審議会は、先ほど申し上げましたように、第一回の審議会を三月の初旬に開いたわけでございまして、その後各府県に対しまして低開発地区の候補地の申請をお願いして参ったわけでございます。私どもといたしましては、各府県に実は三月一ぱいまでに申請雷を提出するようお願いしたわけでございますが、何分初めての制度でございます関係上、各県内におきましてもいろんな事情がございまして、実は現在におきましてまだ数府県残っておるわけでございますが、しかし、私どもといたしましては、すでに法律も昨年の十一月通ったような状況でございまして、できるだけ早期に第一次の指定をすべきであるというわけで、各府県を督励して参ったわけでございます。現在の段階におきましては、いろいろおくれて申しわけありませんけれども、残っておりまする府県につきましても、ここ数日中に提出されるような見通しでございますので、五月中にはぜひとも第一回の指定をお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。
  193. 秋山長造

    秋山長造君 今局長の御答弁にありましたとおり、ちょっと法案を作ったときの意気込みからいいますとテンポがおそいように思うのですが、今の新産業都市の指定については、必ずしも、候補地と見られるようなところにしても、全部が全部資料等がそろわなくても、逐次そろったところから早手回しに指定をしていくつもりだ、こういうお話だったのですが、低開発のほうは、今の局長の御答弁によりますと、各府県全部の資料が一応出そろってから取捨選択をしていくということになるのですか、その点はどうなんですか。今までおくれたというのは、どこに一番隘路があったのですか、低開発の。
  194. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 低開発地域の工業開発につきましては、実は、法律にもございますように、たとえば通産省の工場立地の調査等に関する法律がございますが、その法律に基づきまして、相当個所の調査を終わっておるわけでございます。また、もう一つの問題といたしましては、そういう調査も終わっておりますのに加えまして、できるだけ、私どもといたしましては、後進地域の各県につきましては、急ぐもの一、二カ所程度は、各後進地域の県についてできるだけ同時に指定したほうがいいんじゃないかというような考えをもちまして、各府県の全部が出そろうのを実は待っておったわけでございます。初めの制度でございますし、実は、私どもといたしまして、各府県に相当な数の申請が参りますと、審査等にも相当な日時を要しまして、なかなか指定の事務がはかどらないというわけで、第一回の指定でございますので、でるきだけ重点的にしぼって出していただきたいというようなことを実は申しておりまして、あるいはその点につきまして県内の調整が手間取ったという点もあるかと存じますが、われわれといたしましては、各後進地域の工業開発のために作られた法律でございますので、後進地区につきましては、全県につきまして一、二カ所程度のものはぜひ同時にやりたいというような考えを持っております。
  195. 秋山長造

    秋山長造君 ちょっとおしまいのほうがはっきり聞こえなかったんですが、そういたしますと、こういうように了解してよろしいですか。低開発地域の指定については、大体各府県一カ所ないし二カ所ぐらいを予定しておる。そして、低開発という特殊性もあるので、やっぱりできるだけ全国を一斉に歩調をそろえて指定をやって進めたほうがいいんじゃないかというようなことで、若干おくれておる。まあ現在すでにほとんどの地区の資料が集まっておるので、大体この新産業都市の第一次指定と和前後して指定ができるんじゃないかというように受け取っていいんですか。
  196. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 低開発の地域の第一次指定につきましては、私どもといたしまして、できる限り五月一ぱいに指定を終わりたいというふうに考えております。
  197. 秋山長造

    秋山長造君 その第一次指定というのは、やっぱり何ですか、全国を十カ所とか四、五カ所というのではなくて、大体第一次の指定として各府県一カ所ぐらいを指定するつもりですか。
  198. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お話のよりに、各県につきまして、一、二カ所程度は指定いたしたいというふうに考えております。
  199. 加瀬完

    ○加瀬完君 その低開発地域の指定は各県ですか、各県だとすると、地域是正といったようなことからいって、低開発地域に指定しなくてもいい府県の地域だってあるわけです。で、数カ所も、あるいは十数カ所も指定してもらわなければならないところだってあるわけです。ですから、不均衡の是正とか、あるいは地域格差の是正ということであれば、府県にこだわる必要はないと思うんですがね。産業都市はあまり府県にこだわらない——こだわるべきはずの産業都市はこだわらない、こだわらないでいいはずの低開発地域は府県にあまりこだわり過ぎるように感じますが、この点どうです。
  200. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) お話のように、低開発地の工業発達促進法は、いわゆる低開発地方というのが主体なんです。ですから、既存の開発された地力ですね、いわゆる低開発地域というところでないところには、府県だからといって必ずしも全部が全部お話のように指定されないでいくことになろうと思います。
  201. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと。それは大臣、少し僕は違っていやしないかと思うんですがね。さっきの政府委員の答弁は、僕はミニアム一、二カ所ということだと思うんだね——最小限。たとえば東京都だって、京都府だって、大阪府だって、指定しようと思えば指定するところがあると思う。だから最小限一、二カ所というんで、県によったら二カ所も——ミニアムではなくて、数カ所も指定するところがあるという方針でいっておるものと思うんですが、その点はどうですか。
  202. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん、たとえば関東地方でも、いわゆる低開発地がないとは言えない、関東地方の中としてはですね。しかし、関東地方の中における低開発地と、全国的に見ての低開発地とは、だいぶ違う場合が多いわけです。したがって、第一次指定の場合には、そういう地域的なものの低開発地ということだけを考えないで、全国的に見て一番の低開発地方ですね、たとえば南九州であるとかあるいは東北地方であるとかいうものに重点が置かれることは、当然のことだと思う。
  203. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わかりました。
  204. 秋山長造

    秋山長造君 今の大臣の御答弁が事実とすると、先ほど私局長にお尋ねして、局長が答弁されたことと違うんですがね。どっちがほんとうなんですか。全国的に見ての低開発地域、あるいは後進地域というものへ重点的に低開発の指定を持っていくんだという大臣のお話。局長のお話は、そうでなしに——私の質問もそうだったんですがね、大臣のおっしゃるのとは違って、それぞれの、一つの県なら一つの県で、やっぱり県庁の所在地のようなところは——まあ東京都あたりにしたようなことになってくるんですがね——まあそれぞれの地方なりにやっぱり開発された地区。ところがまた、同じ県の中でも、僻地というものがどこにもあって、非常におくれた後進地域というものがあるわけです。そういうところを開発していこうとするのが低開発のこの法律じゃないかという私は質問をしたところが、局長はそれをもう肯定されたような答弁をされて、大体各府県まんべんなく一、二カ所——少なくとも一、二カ所程度はやっていくんだという答弁をされたんですが、ちょっと大臣と局長とお考えに食い違いがあるんじゃないですか、その点はどうなんです。
  205. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) それでは私から。いや食い違っておりませんので、局長少し口下手なものですから申し足りなかったのでありますが、全県まんべんなくやるというわけではございませんので、やはりこの低開発地区と目されるところにこれは施行をいたすのでございまして、そういう意味から申しますと、今こちらで考えておりますのは、いわゆる太平洋ベルト地帯でございますね。それからずっと瀬戸内海の両岸を横断して北九州に至る地区、そこまで含めて太平洋ベルト地帯は大体除くつもりでございます。それで、たとえば東京都とか、神奈川県とか、静岡県とか、あるいは愛知県というような区域は、もちろんこれは全県除かれる県もございます。たとえば岐阜県のごとき、南半分は除かれるが北半分は入るというようなところもございまするし、今せっかく審議中でございますが、一定の地帯はこの指定地区から除くつもりでおるわけでございます。瀬戸内海地区で申しますと、広島や岡山などは、おそらく南半分が除かれて北半分が入るようになると思うのでございます。そういうふうに、やはり低開発のこの指定をやる区域というものを、今申しましたように大体分けてきめて参りたい。それをきめることがまず第一でございますから、それをきめまして、そして低開発地帯の中心になるべき都市を今度はそれぞれ選んで参りまして、そこを指定して参るわけでございますが、そういうやり方をしていきたいということになっておるのでございます。したがいまして、ある県は、この法律の恩恵に浴さないところが出てくるわけでございます。それはつまり、いんしん地帯と申しますか、すでによく産業開発の恵みに浴しておる地帯でございますが、それは除かれる予定でございます。それを除いた地区で、平均して申しますと、局長が申しましたように、各県一、二カ所、これは事情によりますから、必ずしも平均に参りませんで、将来のずっと指定が進んだ段階から考えますと、一県につきまして数カ所、相当数のこの指定を受けるところができると思うのでございますが、その第一回分につきましては、今除かれた特別の部分以外は、まず平均して県に一、二カ所。つまり、たとえば半分しかないというようなところは比較的少なくなるでしょう。一カ所とか二カ所、比較的多いところは二カ所とか三カ所というようなところができるかもしれませんが、平均して一、二カ所ないし二、三カ所というような指定をいたしたい。これは第一回の指定でございまして、これは逐次またふやして参りますから、将来の考え方、見通しから申しますると、この低開発と見られる県には、何カ所かそれができるわけでございます。第一回の分をさっき申し上げたわけでございまして、これはさっきから申しておりますように、少しおくれておりましても、大体府県から申請が出そろってきつつございまするし、この低開発のほうは主として地方の自主制を重んじてやるつもりでございますから、地方の御申請というものが非常に重要でございます。したがいまして、各府県でじっくりといろいろ案を練って出してこられますから、これが出そろいましたならば、審議を急ぎまして、今申しましたように、五月中ぐらいには第一次の指定をやりたい、こういうふうに考えておるのでございます。  で、なぜこんなにおくれたかという点のお話でございますが、何せ初めてのこういう試みでございまするし、しかも法律に伴います政令だけでも三十何ぼ作らなきゃなりません。やっと政令が今公布を終わったところでございまして、申請も大体そろって、これから指定の段階に入る——委員会もすでに一回開きまして、この指定そのものには取りかかっておりませんが、その準備の審議をいたしておりますので、もうこの次か、次ぐらいには申請を受けて指定の決定をいたす段階でございますから、ようやくそういう指定の段階にきたとお考えをいただきたいのでございます。
  206. 秋山長造

    秋山長造君 やはり、政務次官の御答弁は大臣と局長のを折衷したような御答弁で、その順番のとおりの答弁を得たので、そうしますると、何ですか、もうずばり覆えば、太平洋ベルト地帯にはこの新産業都市、それからそれ以外の都市にはこの低開発、まあ大体こういうように大まかに分けたらいいのですか。
  207. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 太平洋ベルト地帯は新産業都市というわけには分けられないと思います。太平洋ベルト地帯以外のところでも、新産業都市に当然指定されるべき要件も備えておるところには、指定しなければならん。ことに、まあ私の考え方がすべていいというわけではございませんけれども、近ごろのように科学技術が進歩して参りますと、港というものも、たとえば新潟だとか、苫小牧だとか、いわゆる天然の良港という観念からはずれまして、一つの港を砂丘を掘って作っていくという新しい科学技術もできております。あるいは、港があっても背後地がないというようなときに、トンネルを抜いて背後地の平野につなげるということは、これは簡単なことでございます。ですから、やはり科学技術が今日進歩しております段階においては、ある地方一つの中心地たり得るようなところを、やはり将来の科学技術とあわせ考えながら指定していくことが必要であって、必ずしも太平洋ベルト地帯の中にだけ新産業都市というものを指定するつもりはございません。ただ、各ブロックと申しても、今のように行政区域だけにこだわるわけにはいかん場合がございまして、経済圏というものがかなりこのごろでは交通の関係その他できまってきておりますので、やはりその中心になるようなところにできますと、その周辺の都会というものが、その新産業都市につながって一つ発展交流をしていく関係が出て参りますから、そういう意味で考えておるわけでございます。
  208. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ちょっと補足して申し上げますが、この新産業都市のほうは、除かれる地帯は四大工業センターですね。四大工業センターと目されますいわゆる巨大集中過度集中をいたしておりまする経済圏は、これは除いて参りますから、それ以外は、この四大工業センターがほうっておけば負担すべき工業開発の任務を、その次ぐらいな段階に負わしていこうという考え方でございますから、したがいまして、四大工業センター——しかもさっき大臣がお話しになりましたように、四大工業センターにつきましては、首都圏の整備法がございますが、逐次あの首都圏整備法にならった整備法を近県の整備法として作っていかなければなりません。そうして、その範囲がきまって参りまして、それ以外の地域におきまして四大工業センターの次に位するような新産業都市、その新産業都市のほうで指定して参りますので、したがって、これは必ずしも太平洋ベルト地帯に限られません。それ以外のいわゆる低開発地、後進地域と目されるところにおきましても、この新産業都市が指定されることはあり得るわけであります。したがいまして、両方分けたわけではございません。低開発のほうは、今申しましたように、ごくきわめて低開発でなくて、商開発と申しますか、工業が相当進んでおります地域は、これは一応除きまして、それ以外の低開発に持っていく。それから、きちんと分けたのではなくて、多少考え方が違うわけでございます。二つ並んで日本の地方工業都市の建設ができるようにはなることと思いまするが、二つにきちんと分けたわけではございません。
  209. 野本品吉

    野本品吉君 今、政務次官から首都圏の整備法との関係に言及されましたので、そこで一、二お伺いしておきたいと思うのです。  つまり、首都圏整備法による市街地開発地域の指定と、この新盤業都市法による地域の指定というのは、どういう関係になりますか。
  210. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 首都圏整備法に基づきます市街地開発区域の指定というものが行なわれておりますが、これと新産業都市との関係でございますが、今までの首都圏整備委員会との話し合いを申し上げますと、かりに首都圏の区域内におきまして新産業都市を指定いたします場合は、首都圏整備法に基づきまして指定されておりまする市街地開発区域、その中から新産業都市を指定するというような話になっております。
  211. 野本品吉

    野本品吉君 そこがはっきりしないのですね。つまり、首都圏整備法に基づきましてすでに市街地開発地域として指定されているものは当然この新産業都市法の地域として指定される、こう了解してよろしいですか。
  212. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 新産業都市は、要するに、その地方の中核となりまする相当規模な、相当大きな都市形態あるいは産業形態を考えているわけでございまして、それぞれの地方におきましてまあ一あるいは二カ所程度ということをとりあえず考えているわけでございます。したがいまして、首都圏の区域、大きくいいますと関東地方ということになりますか、そういうことを考えた場合におきまして、おのずからその数等も限定されるわけでございまして、特に、御承知のように、市街地開発区域といいますのは、いわば中規模程度のものが現在多いわけでございまして、そういう意味で、現在の、あるいは将来指定されまする市街地開発区域を全部新産業都市とするということは考えてないわけでございます。
  213. 野本品吉

    野本品吉君 今の点、はっきりしない点がありますが、それともう一つは、首都圏整備法に基づいてすでに市街地開発地域として指定された地域が、関東地区に相当あるわけですね。そこで、今度はこの法律に基づいてそういう地域が重ねて指定される、そういう場合に、従来首都圏整備法によるその地域の開発のための行政的なあるいは経済的なあるいは技術的な援助とか指導とかいうものはどちらの手で行なわれるかということです。そればどういうふうになりますか。
  214. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 私がさっき申しましたのは、多少限界の不明なところがございますので、首都圏整備法の区域内におきまして、もちろん首都圏整備の中心地帯は首都圏整備法でやっていただきますが、その一番端に当たるような部分でございますね、それらの点はひとつ、本法によるか、首都圏整備法でやるか、相談の上でこれは決定することになると思うのでございます。だから、古都圏整備法の区域内が全部この新産業都市建設から排除されるというのは少し言い過ぎだと思いますが、そこはよく相談していくということに相なりますが、首都圏整備法の区域内の主たる部分というものは主都圏の整備法でやっていただく、こういうふうにお考えいただいたらいいのじゃないかと思うのでございます。
  215. 野本品吉

    野本品吉君 私がそれを特にお聞きしますのは、この首都圏の地域内のすでに指定されておる市街地開発地域がある。今後も首都圏整備法に基づいて指定しようとしておる地域もある。そこで、将来そういう地域の行政的な経済的な技術的な援助指導が、新産業都市建設法の援助とか指導とか協力とかいうものとどういうふうにけじめをつけていくか、ここにちょっと疑問があるものですから、それでちょっとお伺いしておるわけです。
  216. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 御承知のように、この新産業都市の要件というものは、法文に書いてございますように、一つ地方の開発の拠点となるという要件がございますから、首都圏でも内部に近いほうの部分は、やがて東京、横浜の、この経済圏に従属する立場にございますから、そういう意味で、首都圏の内部に近いものほどこの要件に当てはまりにくいのでございます。首都圏の範囲内にあって、なおかつもう一つ端のほうにあって、一つの端の拠点をなして、その地区の中心になるところはどこかと申しますと、これは問題になりますところはそうたくさんはございません。今日市街地開発地区とされております地域のごときは、多くはもう東京、横浜の経済圏内の従属的地域でございますから、これは問題にならぬと思いますが、たとえば水戸、日立地区をどうするのだとか、あるいは今考えております鹿島地区に、あそこの海岸を、堀割を作りまして、湖の水で大工業地帯を作る案とかいうような案がございますが、そういう特殊なものができまして、それが必ずしも東京、横浜に従属するばかりでなくて、一つの相当大きな重化学工業のコンビナートでも、中心としてその地方の一拠点をなすようなものがありますれは、それはまあひとつ十分御相談をして、新産業都市として指定するかせぬかという問題が起こり得ると思うのでございますが、これは首都圏と申しましても、ごくわずかな例外でございます。首都圏の圏内で開発さるべき市街地区というものは、多くはこれに入らない、こういうふうに考えるべきものと思うのでございます。そうして、御相談をして、この新産業都市の指定をして、この方式で開発するというところは、話がきまりましたならば、首都圏の圏内においてもそれをやる、この法律でいくということになると思いますが、きわめてそれは例外的ではなかろうか。かりに将来のことを申し上げれば、今言ったような問題になりますが、これらもいずれ将来のことでございまして、第一次指定のごときは、もっともっと地方開発の拠点の大中心になるものでございますから、そっちが優先いたしてくると思うのでございます。
  217. 秋山長造

    秋山長造君 局長にお伺いしますが、低開発地区の指定は五月中にもやりたいということですから、もう大体予定地はわかっておると思うのですが、その予定地がわかっておれば、予定地を、大した時間もかからぬわけですから、発表していただきたい。それから、もしその発表が工合が悪い点や何かあれば、その申請が出ている県はどこどこかということをちょっと読み上げてみて下さい。そうすれば、大体のあなた方の考えておられるところがわかるから。
  218. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ただいまのは、それでは、府県から出ております申請でよろしゅうございましょうか。大体、あまり数多く申請させないように、厳選主義でやっておりますから、このうちから選ぶにしましても、大体児当がつくと思いますが、申請ならば申し上げられると思います。
  219. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 現在申請のまだ出ていない府県を申し上げますと、埼玉外六県ございますが、申請の出ております県から要望されておりまする地区の数は約百二十カ所でございます。で、数が相当多くございますので、ちょっと名前のほうは……。
  220. 秋山長造

    秋山長造君 では、百二十カ所は、それは発表していいのでしょう。どうなんですか。何か差しつかえがあるのですか。
  221. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) いやございません。
  222. 秋山長造

    秋山長造君 出せるなら、百二十カ所読み上げてもらってもちょっと耳に入りにくいから、あさっての委員会までに一覧表を作って出して下さい。
  223. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 地方からの申請でございますから、資料を作りまして出します。ただし、それがそのまま全部指定されるというものではないことは、御了承願います。
  224. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと関連して。局長さん、埼玉外六県あると言うが、その名前をちょっと、申請を今出してない県を読み上げなさい。必要ないとお認めになっているのか、怠慢なのか、どっちかだと思いますが、念のため伺っておきましょう。
  225. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 埼玉県、徳島県、それから東京、神奈川、大阪、静岡。このうち東京、神奈川、大阪等は、おそらく申請はないものというふうに考えておりますが、特に徳島県がおくれております。
  226. 秋山長造

    秋山長造君 じゃあ、さっきの資料、明後日までにひとつお願いします。  それから藤山さんにお尋ねしますが、これで、今新産業都市建設促進法ができますと、とにかく開発と名のつく法律がずいぶんたくさん並ぶと思うのですが、一体地方開発の関係の法律が今まで幾つあるのですか。あるいは局長に聞いたほうがいいですか、局長、幾つあるのですか、開発と名のつく法律は。
  227. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 開発の数は、あとで事務当局から申し上げますが、この国土総合開発計画ができますと、少なくも私は、特殊立法でできております各地方審議会がございますが、これは国土総合開発計画審議会の部会にいたしていくのが一番適当じゃないかと、こういうふうに考えております。特殊立法は、それぞれ議員立法でございますから、これを将来国土総合開発計画の中に織り込むかどうかという問題は、もう一ぺん検討した上で、よくひとつお答えをさせていただきたい、将来の問題としていただきたいと思います。
  228. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 各地域の促進関係の法律といたしましては、北海道、それから東北、首都閥関係、それから北陸、中国、四国、九州、七地区でございます。
  229. 秋山長造

    秋山長造君 この七つのほかに、この低開発地域工業促進法で八つ、それから新産業都市で九つ、産炭地で十、総合開発、地方開発……、ちょっと今数えて大体十二は少なくともあるわけですがね。とにかく十幾つの開発関係の法律があるわけですが、一体これは、全くばらばらでもあるが、同時に、有名無実になっているような法律も多いと思うし、それから、それぞれの審議会があっても、一体、年に一ぺんぐらい開いているのかどうかという程度の審議会も多いと思うんですね。やっぱり今、長官のおっしゃったように、それは国土総合開発というものに全部をまとめていくということでなければ、これは今まで十幾つある上にまた新産業都市が加わってくるというようなことになると、全くこれ、法律としての意味もはなはだ薄くなるし、それから、政府としても一体どれをどうやったらいいのか、全く行政系統も何も混乱してしまうんじゃないかと思うんですがね。何やかにやが全部それぞれ一城一郭を主張して、それにまた役人がそれぞれ何人かずつついて、予算もまたボロボロあっちこっち申しわけ的に少しずつくっつけていくというようなことになりますからね。で、この新産業都市の促進法ぐらいでもう打ち切って、そして今、長官のおっしゃるような方向でひとつまとめるべきだと思うんですがね。長官のおっしゃること、私はもう双手をあげて賛成するわけです。それ、やれますか。
  230. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) おそらく各地の地域別な特殊立法ができました原因は、国土開発総合法ができましてから相当長期間にわたりましてこれが実現の段階に至らなかったので、各地方の方々がそれぞれ待ち切れないでと申してはあれですけれども、やはり地方開発の必要性から見て次々に立法せられたことと思います。国土開発総合計画ができますし、今のようなその内容となるべき新産業都市あるいは低開発工業促進法というものができて一本の体系になって参りますと、やはりそれらの法律も今のような御意見で統合していくことが必要ではないかと思いますが、さしあたりは、各審議会を一応国土総合開発計画の中の審議会の部分にすることだけはもうきめておりますので、そういう手続は進めて参りたいと思いますが、地域立法につきましては、まだ最終的結論を出しておりませんから、御意見等は十分尊重いたしまして今後やって参りたいと思います。
  231. 秋山長造

    秋山長造君 失礼の点があるかもしれませんが、大臣在職中におやりになるおつもりですか。(「総理になってからやる」と呼ぶ者あり)なる前に、今の企画庁長官でおられる間にこれおやりになるおつもりですか。
  232. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は企画庁長官としてこの問題を扱っておりますので、企画庁としては、当然今後も今の総合的なやり方を検討しまして、将来国会等にお諮りをしたいという考え方でおりますが、確定的に地域立法をどういうふうにはずしてしまうかというようなことについては、これは実は政府提案よりもむしろ議員立法の場合が多かったものでございますから、したがって、そういうような御意見議員の間から出てきますれば、われわれはなお心を強くしてそういう方向に進められると思います。
  233. 秋山長造

    秋山長造君 やっぱり議員立法に多少難色があるだろうというようにお考えになっておるのは、事実そうだろうと思いますが、議員立法がやたらに出るということも、やはり企業がベルト地帯に集中するというようなこと、したがって、国の公共投資その他がそういうところに重点がかかるので、置き忘れられたところのほうのこれはもう血の出る一つの叫びが現われたものだと思うのですよ。だから、そういう意味でこの新産業都市建設も、これはやっぱり片寄らないで全国的にうまく配分してやってもらわなければならぬが、同時に、低開発地域の指定、さらに指定のしっぱなしでなしに、その育成ということについて、これはもっともっと政府が財政的な責任を持って努力をされなきゃだめだと思うのです。その努力が目に見えてくれば、これは地域開発の特殊立法というものは、国土総合開発の中に統合していっても決して摩擦は起らぬと思うのですがね。私らは一番危惧するのは、ややもすれば一応法律の中にはまんべんなく全国的な配分を考えてやっていくようにうたわれているし、衆議院修正によって、なおさらその点がはっきりはしておるが、しかし、これはひとつ自由経済の法則というものが働いていますからね。今の制度のもとでやっぱり局部的に片寄るということのおそれは非常に大きいと思うのですね。そこで、それをあまり片寄らせないようにする配慮が政治ですから、これは藤山さんが在任中にぜひ早急に低開発地域の指定もやり、さらに新産業都市についても、この審議会の発足、さらに指定というようなことについてもひとつ馬力をかけていただいて、藤山さんのこの大きな仕事としてやっぱり意気込みを持っておやりになる、私はそれを非常に希望しているわけです。  まあ時間がもうありませんから、もう一点だけきょうのところ伺っておきますが、新産業都市建設促進法で予定されているというか、予想されている町村合併ですね、町村合併というものは一体どの程度のものを想定されているのですか。ずいぶん地力では百万都市だ、百五十万都市だというようなことがあっちこっちで言われているわけですがね。まあ私の見解では、そういうものとこの新産業都市というものは、必ずしも直接の関係はない問題だとも思うのですけれども、ただ、地方では新産業都市のこの法律があたかも百万都市を作るにしきの御旗か何かのようにずいぶん言われておりますがね、その点はどうですか、立案者として。
  234. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体先ほど申し上げましたように、完全な野原の中に新しく作るというわけではないので、既存の町村がございます市町村が中心になると思います。したがって、新産業都市ができました場合に、その既存の都市の現在人口に一応プラス三十万ぐらいはすぐにふえていくということを一応の予定としております。でありますから、必ずしも百万都市というようなことにこだわって、百万都市になるようなところでなければ指定しないというようなことは考えておりませんし、まあ一応の目標としては、既存の人口プラス三十万というぐらいなところが大体の、つまり三十万ぐらいふえていく、これは三年先か、五年先に。したがって、それだけの要件を備えた土地、住宅地も必要でございましょうし、商業市街地も必要でございましょうし、そういうものを考えますと、近接市町村というものが必ずしも一市あるいは一町村でなくて、数個のものが含まれた地域が指定されることになろうと思うのでありまして、それが住民の御意思によって合併されることが私どもは望ましいと思います。しかし、すぐに合併できなければ、連合体的に共同動作を新産業都市のためにはとっていただくような協力関係が市町村にまずできることが、スムーズにこの新産業都市を発達させるゆえんだと思うのでありまして、望むらくは、一緒になっていただくことが必要でありますけれども、そうでなければ、少なくとも連合をして、そうして、おのおのその従来の市町村の特性を生かしてといいますか、自分の市や町のほうは商業地帯にするのだ、あるいは自分の市や町のほうは住宅地帯にするのだというようなおのおの都市の持つ位置、その他によって特性があってそれが協力していくことが望ましいことなんです。ですから市町村合併ということを希望はいたしますけれども、直ちにできないいろいろの事情もあろうかと思います。その場合には、少なくも新産業都市に指定された地区内の市町村が協力いたしていただかなければこういうものはスムーズにいかないと思います。したがって、そういうことを願ってやまないのです。
  235. 秋山長造

    秋山長造君 よくわかりました。したがって、この法律をもって巨大都市を作るというようなことは、全然これはもうこの法律の予想外のことだというお気持だと思う。衆議院の附帯決議の第二項に、「新産業都市区域の指定は、これを不必要かつ無理な市町村合併に援用しないこと。」、こういう附帯決議が入っているのは、私は非常に妥当な附帯決議だと思うのです。ところが、ややもすれば、これは藤山さんは、今の町村合併なんかのことを、よくこまかいことを御承知でないと思うのですけれども、町村合併促進法を二十八年十月から実施しまして、一万からあった市町村をとにもかくにも三千五百ほどに四、五年のうちに減らしたわけですよ。ところが、これはそのために政府もずいぶん旗を振り、また地力の府県においてもずいぶん、いわば点取り争いと言ってもいいくらい町村合併をやらしたわけですね。そのために、法律で予想したよりもはるかに上回るくらい、燎原の火のごとくと言ってもいいくらい町村合併が一斉に行われた。これは、神奈川県でもどこでも同じです、行なわれたわけです。ところが、ひとしきり町村合併をしたものの、その跡始末といいますか、あとの手当というものがどこでも非常におろそかになっておる。どうしても新しいものを追うという気持がありますからね。町村合併をやるときには派手にやっておるけれども、あとの手当というものが非常に抜かっておると言うか、努力不十分、そういう状態のままでおるところへ新産業都市がぽこっと出てくると、これを機会に、これを呼び水にして、これを無理な合併に援用して——私は悪用だと思うのですが、悪用して、そうして町村合併の跡始末が済まぬうちにまた次の大合併をやる。百万都市だ、二百万都市だというようなとほうもない合併をやる。そうすると町村はまた合併の跡始末が苦しいものだから、その苦しみに耐えて、町村合併の跡始末をするということを、どう言いますか、おろそかにして、そうしてそういう新しい大合併へ便乗していく、自治体としてのきわめて安易な道につくという傾向がなかなか全国的にあるのです。私はこういうことが、この法律の呼び水になるということが万が一あったら、今の地方自治のあり方というものを非常に乱すもとだと思う。また地方住民にとってもこれは必ずしも仕合わせじゃないと思う、これは藤山さんに申し上げるよりも自治大臣に申し上げることですけれども。ですからこの法律で予想される町村合併というものについては、これはよほど慎重なかまえで対処していただきたい。そうしていやしくもそういう無理な合併でまた巨大都市を作っていくというようなことを暗黙のうちに新産業都市指定の条件にするというようなことの万々ないように特に留意していただきたい。いかがですか。
  236. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) この新産業都市内容的に新産業都市らしいものにならなければ、ただ町村合併をして、そうして区域が広大だということでは、新産業都市の成立の意味がないわけでありますから、新産業都市を作るために無理に合併をして、人口だけ多いから、それは新産業都市の、たとえば百万人口になるんだからそれを指定するんだというような考え方よりも、むしろ既存の十万都市あるいは二十万都市、それを中核にして将来三千万くらいの産業都市と一緒になる、その中における交通、運輸あるいは住宅地の形成、商店街の形成という内容の充実した形においてものが行なわれるようにやっていくことで、ただ単に町村合併でもって非常に人口だけが多くなったが、中の施設が少しもできないというような形で新産業都市建設していくという考え方は毛頭ござい乗せん。
  237. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案に関する残余の質疑は、五月二日午後を予定いたします。  次回は五月二日午前十時開会とし、本日は散会いたします。    午後六時三分散会    ————・————