運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-24 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十四日(火曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員異動 四月二十一日委員井川伊平君、佐野廣 君及び北畠教真辞任につき、その補 欠として小柳牧衞君、小幡治和君及び 郡祐一君を議長において指名した。 本日委員山本伊三郎君、小笠原二三男 君及び中尾辰義辞任につき、その補 欠として占部秀男君、武内五郎君及び 白木義一郎君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            津島 壽一君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君            加瀬  完君            松澤 兼人君            矢嶋 三義君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    自治政務次官  大上  司君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省選挙局長 松村 清之君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      宮崎  仁君    自治省行政局行    政課長     岸   昌君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○災害対策基本法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会開会いたします。  初めに委員異動について報告いたします。  四月二十一日付をもって委員井川伊平君、佐野廣君、北畠教真君が辞任され、その補欠として小柳牧衞君、小幡治和君、郡祐一君が委員に選任されました。本日付をもって委員山本伊三郎君、中尾辰義君が辞任され、補欠として占部秀男君、白木義一郎君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  何か説明ありますか。
  4. 岸昌

    説明員岸昌君) 地方自治法の一部を改正する法律案補足説明を申し上げます。  このたびの改正の第一点は、選挙管理機構に関する改正でございますが、これは選挙制度審議会答申に基づきまして、地方自治法の中に規定がございます選挙管理関係規定を、地方自治法におきまして改正をすることにいたしたものでございます。  第一点は、選挙管理委員の選任の資格要件を定めたことでございますが、現在は選挙権を有する者の中から、地方公共団体議会選挙することになっておるわけでございますが、答申に基づきまして「人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもの」、こういう資格要件をさらに加えることとしたわけでございます。  第二点は、これも答申に基づいての改正でございますが、現在選挙管理委員は、国会議員との兼職が禁止されているわけでございますが、答申には、さらに地方公共団体議会議員との兼職を禁止すること、こういうことに相なっておりますので、その趣旨を取り入れまして、「地方公共団体議会議員及び長と兼ねることができない。」、公選によって選ばれる職との兼職を禁止することにいたしたわけでございます。  第三点は、選挙管理委員資格要件欠格条項でございますが、これも答申に基づきまして、選挙犯罪を犯した者は、選挙管理委員となることができない、こういう答申になっております。それを受けまして「法律の定めるところにより行なわれる選挙、投票又は国民審査に関する罪を犯し刑に処せられた者は、委員又は補充員となることができない。」、こういう規定を設けておるわけでございます。これは現在の刑事政策あるいは刑法の解釈に基づきまして、一たん刑言い渡しを受けました者でございましても、たとえば禁錮以上の刑でございます場合には、十年を経過いたしまして、刑の言い渡しがその効力を失ったときには、最初から処刑者でない、こういう取り扱いになっておりますので、この選挙管理委員の場合にも、同様な取り扱いにいたす考えでございます。  その次が、選挙管理委員任期でございますが、これも答申に基づきまして、現在、三年でありますものを、四年にいたしておるわけでございます。  それから、最後に、選挙管理をいたします事務組織の強化ということにつきまして、都道府県及び市の選挙管理委員におきましては、書記長必置にいたしておるわけでございます。  以上が、答申に基づきますところの選挙管理委員または選挙管理委員会に関する規定改正でございます。  第二点は、普通地方公共団体出資債務保証損失補償等をいたしております法人、これは通常公社と、こういうふうに呼んでおるわけでございますが、これに対します普通地方公共団体関与方法を合理化いたした改正でございます。御承知のとおり、国の場合には、公団でございますとか、あるいは事業団でございますとか、特別の法律に基づきまして、多額出資を要します事業を能率的に経営いたしますために、特殊の法人が設けられているわけでございますが、地方公共団体の場合には、かような法的な根拠がございませんために、住宅の経営でございますとか、土地の造成、地域開発あるいは観光といったような、比較的事業として能率的に経営を要する事業でございまして、多額の資本を要するものを行ないますためには、地方公共団体がみずからこれを行なうかわりに、現在では、特別の法律根拠がございませんので、民法財団法人でございますとか、場合によりましては、株式会社、こういったような形を借りて、ただいま申しましたような地方団体事業を行なっておる傾向がだんだんふえて参っておるわけでございます。これに、本来ならば、地方公共団体が行なえば、地方公共団体予算に計上をいたしまして、議会審議を受ける、また、決算につきまして、議会認定がある、契約なり財産の取得につきましても、議会議決を要することになっておるわけでございますが、こういう別個の法人を設けますと、地方団体多額出資をしておる、また、場合によりましては、債務保証なり、損失補償をいたしておりまして、その法人が返せない場合には、地方団体がそのしりぬぐいをしなければならない、こういう責任を負っておりますにもかかわらず、議会関与がない、さらには、究極的には、住民の批判なり監視も受けていない、こういう仕組みに相なっておるわけでございまして、そういう機構は、純然たる株式会社なり民法法人ならば差しつかえないわけでございますが、地方団体出資をし、多額債務保証をしておる、しかも、地方団体事業と非常に密接な関係のある事業を行なっております場合には、適当でないと考えられますので、今回の改正におきまして、最小限度地方団体関与方法を設けた次第でございます。その内容は、毎事業年度地方公共団体の長が、この公社貸借対照表その他経営状況を明らかにいたします書類を作成いたしまして、決算議会認定に付すると同じように、議会に報告するということが骨子でございまして、そういう経営状況を明らかにするため、必要があります場合に、調査をいたしましたり、あるいは監督委員に監査をさせる、場合によりましては、経営状況内容について、必要な措置を求めることができる、こういうものでございます。  第三点は、普通地方公共団体職員退職手当の基礎となる勤続期間計算につきまして、在職期間通算措置を講ずるという点でございます。退職年金制度につきましては、法制の整備を見たわけでございますが、この退職年金制度整備と相待ちまして、退職手当につきましても、国の制度に準じてその充実をはかることにいたしておりますが、従来、退職手当につきましては、各地方公共団体間におきまして通算措置がございませんわけでございます。特にこの問題が最近になりまして起こって参りましたのは、高校急増対策の一環といたしまして、市立の高等学校先生充実いたします必要から、この通算措置の問題が要望されて参ったわけでございますが、一般的な制度としてこれを取り上げます場合には、すべての小さな町村につきましても、一律に通算措置法律によって義務づけるというようなことは適当でないと思われますので、努力義務を課する、努めなければならない、こういう規定にいたしておるわけでございます。  第四点は、新たに指定都市指定がありました場合、御承知のように、地方自治法の第二百五十二条の十九に、指定都市は、政令指定いたします都市人口五十万以上の都市につきまして政令指定をいたしました場合には、ただいま申しました二百五十二条の十九に書いてございますところの十六項目事務が、府県からその指定都市に移ることになるわけでございますが、この指定都市は、地方自治法だけではなく、道路法その他の法律におきましても、そういう特別の地位を持っておるわけでございますが、現在は、いわゆる五大市だけが指定されておるわけでございます。したがいまして、現在の地方自治法には、今後新たに人口五十万以上の都市指定になりました場合の経過措置につきまして、規定を欠いておりますので、その規定整備しようとするわけでございますが、その第一点といたしましては、大規模償却資産に対して課する固定資産税、四月一日までに指定都市指定がありました場合に限りまして、新たに指定都市になりました指定都市課税権を与えようというのが、第一点でございます。  第二点といたしましては、地方道路譲与税でございますが、指定都市地方道路譲与税譲与を受けることになっておりますが、道路譲与税一定の時期に譲与いたすことになっておりますので、その譲与時期における譲与計算特例を定めるものでございます。  そのほかに、御承知のとおり、指定都市を含む都道府県公安委員会におきましては、一般府県公安委員会委員定数が三名でございますところが五名になっておるわけでございまして、指定都市指定されますと、公安委員定数が二名ふえることになるわけでございます。しかも、この三人の公安委員はそれぞれ一年ずつ任期がずらしてございまして、一度に三人とも交代しないような仕組みになっておるわけでございます。そこで、新たに指定都市指定がございました場合にふえますところの二人の公安委員につきまして、その任期をどういうふうに定めるか、三年、二年というふうに、一年ずつのズレを作らなければならないわけでございますが、そういう特例警察法のほうに政令で設け得る根拠を設けようとするものでございます。  第四点は、教育長でございますが、一般市町村教育長は、御承知のとおり、教育委員の中から教育長都道府県知事の許可を得て任命しておるわけでございますが、これが指定都市になりますと、指定都市教育長教育委員と兼ねることができない。教育委員の外にございます専任教育長文部大臣の承認を得て任命することに相なるわけでございます。そういうような異同が出て参りますので、その際の経過措置地方教育行政組織及び運営に関する法律の中に設け得る根拠を設けようとするものでございます。  その他、昭和三十一年に指定都市制度ができました際に、事務引き継ぎでございますとか、職員引き継ぎでございますとか、あるいは債権債務引き継ぎといったような事項につきまして、地方自治法の附則及びこれに基づく政令におきまして、一定経過措置が定められているわけでございますが、そういった必要な経過措置一般的に設けることができるようにいたしたわけでございます。そのための改正地方自治法の二百五十二条の二十一といたしまして新たに加えた次第でございます。  その他、法令の制定及び改廃に伴い地方公共団体が処理しなければならない事務を掲げました別表を改正いたしておりますが、これは毎年、法令によりまして事務的に整理をいたしたものでございます。  また地方公共団体の長の任期の起算の特例につきましては、現在公職選挙法の八十七条の二に規定がございますが、都道府県知事市長に限りまして、任期満了前に退職をいたしました場合には、次の選挙候補者となることができないことになっているわけでございますが、その後の運営の実際にかんがみますと、議会不信任議決をいたしますと解散をされる。その解散をおそれまして不信任議決はいたしませんが、いろいろ事あるごとに知事なり市長の要請を妨害する、こういうような事例がございます。こういう場合に、解散はできませんので、長のほうで退職をいたしまして住民の信を問うことによって県政なり市政を明朗化していく、こういう必要が認められる場合もございますし、また選挙の際には全然ございませんでした汚職事件等のために、いろいろの問題が起こっております際に、長がみずから辞職をいたしまして住民の信を問うことによって明朗な県政なり市政を再び確立していきたい、こういうような必要のある場合もございますので、一律に任期満了前に退職をいたしますと一切再立候補ができない、こういう規定は多少行き過ぎがあるのではなかろうか、こう考えられますので、そういう制度趣旨を存置しつつ、なお、そういう合理性のあります場合には再立候補を認めていくような制度考えてみたいと考えた次第でございます。現在の八十七条の二の制度は、任期満了前に早く退職をすることによりまして次の選挙を有利にしよう、そういうねらいから先に退職をいたしますのを防止するために設けられました規定でございますので、そういう弊害を防止いたしますためには、任期満了前、たとえば三カ月なり六カ月前にやめましても、あとは残任期間しか任期を与えない、こういう不利な計算をいたすことによりまして、任期満了前に自己の選挙を有利にするためにやめる人を防止いたしますとともに、先ほど申しましたような合理性があります場合にも、これは三カ月とか六カ月前ではなく、一年前とか、あるいは二年前にも起こり得るわけでございますので、そういう場合にも再立候補は認める、ただ、その件期残任期間、そういうことによりまして住民の審判を仰ぐ道を開こうとするわけでございます。  以上が、このたび提案いたしております地方自治法の一部を改正する法律案の要旨でございます。
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは速記を始めて。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この法律案はおおむね適正妥当なものと考えます。それで、若干質疑いたしますが、総括的なものと逐条的な質疑と同時に若干いたしたいと思います。まず、政務次官に伺いますが、この改正法律案の中には、幾つかの内容を含んでおるわけですが、この法案提出者として、比較的といいままか、最もと申しますか、ウエートを置いておる、この法案の山というのはどこにあるというふうに提出者側としては見られておられるか、御答弁願いたい。
  8. 大上司

    政府委員大上司君) ただいまの御質問でございますが、さいぜん説明員から補足説明いたさせましたとおり、大体大きく柱は四項目からなっておりますが、どれを重点的と申しますと、これまた全部ひとつ重点的に考えております。したがいまして、これに関連する、たとえば公職選挙法等成立によって、いろいろ疑義があるとか、あるいは都市合併等法案成立によって、自動的にこれを云々というような問題等も潜在的に含んでおりますが、要は、どれをどう取り上げてということではございませんので、並行的にわれわれとしては慎重に考えて御審議願いますので、どうぞその点御了解願いたいと思います。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃ、ただいまの答弁からすれば、この法案の中に山はないということなんですね。そういうように了承していいわけですね。
  10. 大上司

    政府委員大上司君) そうでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では続いて伺いますが、この選挙管理委員任期三年を四年にした理由と申しますか、根拠と申しますか、それはどういうふうにお考えになられたのでしょうか。
  12. 岸昌

    説明員岸昌君) 私から御説明いたしますが、選挙制度審議会において審議をされまして、その結果、その答申にただいまのような答申がございますわけでございますが、私どもの聞いておりますところでは、選挙制度審議会における審議におきましては、現在、選挙管理委員会が管理いたしております選挙は、地方公共団体の長の選挙にいたしましても、議員選挙にいたしましても、原則といたしまして、任期が四年でございますので、四年ごとに行なわれるのが原則でございます。ところが、選挙管理委員任期が三年でございますと、その在任中に一度も選挙を管理しないでやめると、こういうような方も出て参りますので、この任期をただいま申しました公職任期と合わせて、少なくとも任期中に一度は選挙を管理するようにいたしまして、選挙管理委員会制度趣旨に沿うようにしたいというのが一点あるようでございます。いま一点といたしましては、最近選挙管理委員会の仕事がだんだん重要となって参りまして、常時啓発等公明選挙運動も行なわれるようになっておりますので、なるべく選挙管理委員の方に選挙管理委員職務に習熟していただく、こういうねらいがあるように聞いております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内容的に伺いますが、現在、たとえば市といいますかね、市の選挙管理委員会職員というものは、ほとんど他の行政部局の吏員の兼職になっていますね。今度の改正では、先ほど書記長必置になるという御説明でしたが、他の行政部局との兼職はできない形に義務づけられるんでしょうか、いかがでしょうか。
  14. 岸昌

    説明員岸昌君) その点は、兼職を禁止すると、こういう趣旨には考えておりません。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おりません。
  16. 岸昌

    説明員岸昌君) はい。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは意味ないんではないですかね。私は都道府県段階ではそういう感じを持っていませんが、町村はもちろんのことですが、相当の市で選挙管理委員会職員というものは他の部局兼職になっているですね、他の課の総務課長とかいう方々がね。そんなことではとても、僕は、先ほどあなたが申された選挙管理委員会事務重要性を加えてきた云々という角度から職務の遂行はできないと思うんですね。少なくとも市という形態を整えている自治体だったら、一人程度相当のレベルの公務員が専門に従事するのでなければ、所期の目的を達し得ないと思うんですが、これらの点については、政府としてはどういう御見解を持たれて対処されておられるのか、政務次官の御答弁をいただきたいと思います。
  18. 大上司

    政府委員大上司君) お答えします。現在でも、市あるいは相当大きい地方公共団体等には専従者といいますか、専任者がおります。したがいまして、ただいまお説の、これを統括すると申しますか、書記長と申しますか、この所属の問題でございますが、これは逐次先生のおっしゃるような方向に持っていくべきであるとわれわれも考えております。だが、現段階におきましては、これを研究課題として、今日の現況におきましては、兼務もでき得るというような仕組みにいたしましたのでございます。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治省としては、相当規模地方団体に対しては、兼職でなくて専従できるような方向行政指導を今の段階ではしていこうと、こういう方針だと了承してよろしいですか。
  20. 大上司

    政府委員大上司君) そのとおりでございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ところで、今国会冒頭に、私は、参議院通常選挙もあることだし、また明年の統一地方選挙を前に地方団体の首長、議員選挙相当行なわれるので、予算審議とも関係して、自治省当局並びに警察庁当局に対して、選挙公明化事前運動の取り締まり、あるいは行政指事について、時期を失しないように予算の執行を効率化するために善処するように要望しながらお考えもただしたのでした。ところが、その後の地方における実情を見ると、何ら改善されたところはなく、選挙のたびに悪化の傾向をたどっているということは、これは行政府だけの責任におっかぶせるわけにはいかぬとは思いますけれども、私は非常に遺憾に思うわけですがね。そういうことを懸念するがゆえに、この国会開会冒頭に私は要望を含め、警告を発し、ただしたわけだったんですが、一体その後自治省当局としては、その権限と申しますか義務と申しますか、その範囲内においてどういう努力を払われてこられたのか、それから現状というものをいかように把握されておるのか、御答弁いただきたいと思います。
  22. 大上司

    政府委員大上司君) お説のとおりの点がございます。したがいまして、最近では、たとえば各選管に設けられますところのいわゆる書記長会議と申しますか、こういうふうなものの御参集を願っていろいろな御説明なり協議をしておりますが、なお細部にわたりましては、選挙局長から御説明させます。  なお、これは私の私案でございますが、お説のとおり、いろいろ国会審議の過程におきまして政府答弁し、なお、さらにこれをやろうと考えておりましても、私、自治省へ伺いまして政務次官個人としての意見は、やはり選挙管理委員会にどの程度行政権が及ぶのか、すなわち運営方法におきましてややまだ遺憾な点があるのじゃないかということを痛感した一人でございます。こういう建前から、具体的には当局から説明させますが、大方針としては、漸次前進していくような方向と指示をいたしております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治省当局としては、最近の選挙事前運動というものの実態というものをいかように見ておられるかということを伺ったわけですが、それに対しては答弁がないですが、いかがですか。
  24. 松村清之

    政府委員松村清之君) 公明選挙運動推進につきましては、先般もここで申し上げましたが、本年度は国費四億五千万円、これには参議院だけの運動費として一億が含まれておりますが、それと地方費、これは交付税の上で見ておりますが二億五千万円、合わせて総額七億円の経費で本年度公明選挙運動推進をはかることにいたしております。  それで、この内容といたしましては、まず、この参議院選挙目標にいたしますものといたしましては、特に強調いたしたいと思いますのは、買収供応追放運動という運動でございます。これは公明選挙連盟、また、地方都道府県あるいは市町村にございます民間団体であります公明選挙推進協議会、あるいはその他の民間団体中心になりまして、これに選挙管理委員会が協力するという形で参議院選挙目標に実施いたしております。特に五月はこの買収供応追放運動月間として、各地の実情に即した運動をそれ行なうようにいたしております。その他、参議院選挙にかかりませず、年間を通じましていろいろ地方々々の実情に即した創意工夫をこらした運動を実質的にやることにいたしておりますが、特に本年度は、従来から公明選挙運動中心となっておりますいわゆる話し合い活動、これは職場あるいは地域におきましてそれぞれの人たちが集まって、身近な問題を話し合うことによって政治常識を涵養していくと、こういうねらいで、戦後の教育の一番いい方式だといわれておるのでございますが、この話し合い活動農村部はともかくといたしまして、都市部その他につきましては、あまりこれが普及しておりませんので、これの普及に努める、また、都市部におきましては、どうしてもこれは話し合い活動が行なわれがたいのでございますので、そういうところでは講演とか座談会、そういったことに置きかえてやっていく、それからまた、特に民間報道関係機関等にお願いして、この運動の一翼をになっていただく、あるいは、文部省関係社会教育学校教育においても、選挙政治というものについての教科の充実をはかっていただく、あるいは公民館の活動としてそういうものをやっていただく、いろいろ実情に即した措置を講ずるようにいたしております。  それからなお、事前運動の問題でございますが、これはまあ、いろいろ事前運動が行なわれておるということは私どもも聞いてはおりますけれども、特にそのことについて取りまとめたものもございませんし、これはまあどちらかといいますると、取り締まりのほうの問題でもございますが、しかし、きょうも新聞に載っておりましたが、東京都あたりでは選挙管理委員会中心になって検察庁、警察庁等と共同の声明でもってこの事前運動について注意を喚起する、こういうようなことをやっております。これは地方によっても、従来もそういったことをやっておりますので、おそらくこれからやっていくと思いますが、大体、先ほど御質問のありました二点につきましては、そのように考えております。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ選挙の問題については、いずれ公職選挙法改正案が本委員会に本付託になる予定ですから、そのときにさらに掘り下げて質疑、調査いたしたいと思いますが、ただし、この時点でさらに要望しておきたい点は、私がこの国会冒頭に申し上げたことは、あなた方のやられてる事柄がタイミングがずれているということを申し上げておいたわけなんです。公費約七億円使って、そうしてそういうことをやられても効果は上がらない。適切な時期に運動が行なわれない。タイミングが合っていない。ずれている。それは意識するとしないとにかかわらず、結果としてはそうなっているという私の見解から、要望もし、注意を喚起し、伺ったわけでしたが何ら改善の結果が出てこない点を非常に遺憾に思うわけですがね。事務当局答弁としては、私は今の程度で及第点を差し上げてもいいと思うのですよ。問題は、大臣なり政務次官だと思うのですね。どういうように事態というものを認識して、そうして部下職員に適切に指示を与え、督励してやらせるかというその認識の問題だと思うのですよ。最近の選挙というものは、もう告示された場合には中盤戦、終盤戦だといわれておるのですね。おそらく終盤戦だといわれておるわけですよ。ことしは参議院通常選挙があるが、来年になったら地方の統一選挙が行なわれるわけですが、現状のままだったら僕は救われないという感じがするんですがね。たとえば参議院選挙を振り返ってごらんなさい。二十五年、二十八年、三十一年、三十四年と本年行なわれるわけですが、この経過をごらんなさい。回数を重ねるたびに事前運動というものが非常に激しくなるわけですね。お互いの同僚関係を見ても、今次改選議員さんの登院率は非常に低い。これは三十四年のそれに比べて非常な変化ですよ。三十一年と比べたらなおの変化ですよ。これはそういうように候補者と予想される人がせざるを得ない立場に、国全体の雰囲気というものがそういう方向に行っているわけですね。こういう点を是正するのが僕はあなた方の仕事だと思うのですよ。候補者に予想される人だけを責めるわけにいかぬと思うのです。その面も僕は否定はしませんがね。こういう方向でいったら将来どうなるのかという感じがするわけですね。だから、七億円の予算を組んで公明選挙運動をいろいろやられるとするならば、タイミングが合わなければいかぬですよ。最近の選挙情勢では、今ごろから事前運動が本調子になってくるという時期を誤りなく把握して、それとタイミングを合わせていろいろな運動をやらなければ、選挙の告示がいつあるというその時点にタイミングを合わせて物事を考え予算の執行を考えたって意味をなさないのですよ。効果が何にも上がらないのですよ。現実の姿が立証していると思うのですね。だから、地方選挙が行なわれた場合に、任期四年だが、参議院の場合、任期六年ですね。私は実質的に任期は五年になっていると思うのですね。地方議員の場合、任期は三年になっていると思うのですね。任期六年といっても、そういう状況下で、予算審議をする通常国会にもなかなか出席できぬということになれば、任期といっても実質は任期五年です。こういうような状態を放置しておいていいのかどうかという問題ですね。一体、自治省当局は何をしているのかと私は言いたいですよ。そういう点に何らの反省もないのかどうかというのだ、問題は。だから、ここに選挙管理委員会のこういう改正案が出て、冒頭に言ったように、公正妥当、予算に七億円組んだのは僕はむだ金だ、そんな予算組むなどは言わない。しかし、それと合わせて実効の上がる日本の選挙なり、日本の政治というものが、進歩前進の方向づけが確実に得られるような立場から皆さんが考え、また行政執行してもらわなければ意味をなさぬと思うのですよ。そういう点で国会冒頭に僕は質問したわけですが、そういう意向をくんではたして適切なる助言と指導を下部行政機構に対して与えているかどうかという点については、僕は疑問を持つのですがね。それで、この改正案のこの条項を審議するにあたって、僕は念のために現状把握をお伺いし、あなた方がどういう反省をされているのか伺ったんですけれども、どうも僕の考えていることと歯車が合わぬのですね。マッチしないのです。一体そういうことでいいんでしょうかね。これは僕は事務当局の問題ではないと思うのですよ。大臣なり政務次官のやっぱり識見と政治責任につながる問題だと僕は思うのですがね。いずれ先ほど申し上げましたように、公職選挙法の一部改正法律案審議の場合にさらに伺いますけれども、一日早ければ早いだけ政治家にとっても、政党にとっても、国家国民にとってもプラスになるのですよ、こういう問題はね。今はともかく選挙戦が正式に始まってからはなかなかやりづらいから、その前に勝負がきまるのだからやっておけと、勝負はもう告示の数週間前、何カ月前にきまるのだから、そこが勝負どころだから、しかも、そのころは取り締まりもあまりたいしてないのだから、そこが勝負どころだと、そこにピントを合わせてやっているわけですね。だから、その間に選挙法と相当ずれた事柄が行なわれているということは、これは子供でもわかることですよ。そういう時期にあなた方はのほほんとしておって、そうして効果のない時期になって、そうして国民の血税七億円も使うというような一体政治行政上のあり方というものが認められるのかどうかということなんですよ。一体どういう現況の認識をされ、反省なり、今後のとらるべき対策についての御見解を持っているのか、それで部下職員に対してどういう指示、督励をされようとしておるのか、大臣にかわって政務次官答弁を求めます。
  26. 大上司

    政府委員大上司君) お答えします。お説のとおり、これは一般世論でなしに、現実が選挙それ自体が事前とそれから告示後と、いわゆる二つがございます。したがいまして、いわゆる事前運動に抵触すれば違反という問題も出てくるし、もちろん告示後は出てくる。そこで、特に著しく目立っておると申しますか、この事前運動の問題でございますが、お説のとおり、非常に実質論としては、国の組織といいますか、非常にまあ小さいものであるなら、小型のダットサンならカーブも切りやすいが、八トン車なら比較的そのカーブが切りにくいということで、われわれは全力をあげてこの規制なり改正に持っていこうと思うが、国全体の政策としてはなかなか、カーブは緩慢に切っていくと、そこを先生が今早く何とか考えろというお話のようでございますが、そこで、われわれが着任以来この自治法改正法の一部で織り込んでおり、ただいま先生から御質問ございましたが、いわゆる法律上に規定して長所を置いていってほんとうの現状の把握と、これに対するいわゆる処置をしていきたいという一つのいしずえでございます。なお、さらに私並びに自治大臣といたしましても、いわゆるお互いに選挙の経験を経た人間でございますから、これは当然先生のおっしゃるような方向に持っていくのが至当である、これは人間性に訴えても至当である、このように考えております。したがいまして、全力をあげてやって参りますが、ただその前に、先生の御質問にちょっと私個人の意見を入れさしていただいて恐縮でございましたが、いわゆる選挙管理委員会なるものと自治省という一つの行政府とのつながりと申しますか、あるいは動かし方といいますか、運営といいますか、そういう点にもなお研究の余地がありはしないかと、このように感じております。したがって、現段階におけるいろいろな事前運動については、先生のおっしゃるとおり、一刻も早くこれを是正していくような大きな施策なり、あるいは国民の世論喚起もしなければならぬ、このように考えております。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ただいま論じていることは、この法律案内容なり、審議すべき中心と必ずしも一致しているわけではないから、進んだ議論は公職選挙法改正案のときにいたすといたしまして、この点に対する質疑はこれでとめておきます。  午前中、もう一項目伺っておきたいのですが、現在国会審議中の法案とこの法案関係の深い法律案はどういうものがございますか、お伺いします。
  28. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この法律案関係の深いものは、一つは、ただいま先生のお話にもございました公職選挙法の一部を改正する法律案でございます。いま一つは、市の合併の特例に関する法律案でございます。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 市の合併の特例に関する法律案成立によって、来年の四月一日、どこかに、それは具体的にいえば北九州だと思うのですが、そういう新たな合併都市が誕生するであろうという前提でこの改正を企図された面があるわけですね。
  30. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その部分については、いずれ本日、当該法案が本委員会に本付託になるでしょうから、その機会に質疑を譲って参ります。その関連ではここにこの法案の中にうたわれている条章については、私は、ただしたい点は特にありませんので、次の関係法案が本付託になった場合に質疑を譲ります。  次に伺っておきたい点は、退職手当の基礎となる勤続期間計算通算措置ですね。これは先ほどあなたの説明では、まあ義務づけを法文の条章では規定しないで努力義務をうたったんだとこういう説明ですね。まず適当かと思うのですがね、しかし、通産措置をとらない地方公共団体が必ず出てくるでしょうね。そういうことを予想していますかしていませんか。もし予想をしているとするならば、どういうところが努力義務を課したけれども通算措置をとられないであろうと予想されておりますか。その辺のところをお答えいただきたいと思います。
  32. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この規定努力義務の形にいたしましたことは、措置を講じなければならないとかりにいたしましても、実効は大して違いはないではないかと、こういう予想をいたしたことでございまして、より根本的には、先ほど御説明申し上げたかと思いますが、地方自治法全体の体系上、自治体の自主性を尊重いたしましてこういう形にいたしたわけでございます。そういたしますと、今お尋ねのように、この規定ができましても条例を作らないところが出はせぬかというお尋ねでございますが、これは、そういうところも出るだろうと思います。特にそれほどこの必要を感じないないようなところにおきましては、しいて作る必要もないということで作らないところが多いのではなかろうかと、かように思っております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 さしあげたり東京都などは通算措置を絶対認めないでしょうね、どうですか。
  34. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) まあ東京都は、従来よそとの通算はむしろしないというような御方針であったようでございますが、あるいはそのようなことも予想されるかと思います。ただ、私ども今回この規定地方自治法の中に規定いたそうといたしました趣旨は、時に市立の全日制の高等学校の教員につきまして、通算措置を認めてほしいという御要望があるように強く承っておりましたことを一つの契機にいたして、このような規定を設けようということにいたしたわけでございますので、市町村立の高等学校を持っているようなところにつきましては、この条例措置を講ずるように強力な指導はいたして参りたいと、かように考えておるわけでございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 市立高等学校職員の勤続年数の通算措置ができるように考えられたということは、——これは長い問題であったわけですが、非常に私はけっこうなことだと思うわけですね。全く従来、人事交流の面からは離れ小鼻みたいな取り扱いで、非常に不自然で不都合があったと思いますが、そういう点非常に私はけっこうなことだと思います。原則的には、人事交流がなめらかに行ない得る形になっておるのが私は好ましいと思うのですよ。そういう意味から何らかの方法で、どういう地方団体に移ろうとも、いかなる場合にも通算措置ができるような形になれないものかと、まあ受け入れるその地方団体の負担がふえるからというような考え通算措置ができないように、それを拒否するような団体があったならば、そういう人物を受け入れることによってふえる負担が何らかの形で補えるような方法はないものか。東京都のような場合は不交付団体ですから、交付金制度における調整等もないから、むずかしいと思うのですがね。しかし、東京都が不交付団体であり、まあ相当予算規模のうち財源力を持っておるわけだが、実際通算措置を認めないという形でいっているのは、私は平易な言葉でいえば、どうかと思う感じを常々持っているんですがね。通算措置に対する考え方、人事交流に対する考え方、私は一部申し上げたわけですが、それに対する自治省当局考え方と、何か時と場所にかかわらず、常に通産措置がとれるような方法措置というものは技術的にないものかどうか、それらのところを伺いたいと思います。
  36. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お尋ねのまず第一点の人事交流ということについてどう考えておるかということでございますが、まあ私どもも、御指摘のように、なるべく地方公務員あるいは地方公務員と国家公務員の間にもなめらかに交流ができ得るような態勢にしておくということが望ましいと考えておるわけでございます。特に地方公共団体間のことを考えて参りましても、お話の出ました市立の高等学校先生の場合だけではございませんで、たとえば都市に県から技術者を派遣したい——なかなか市町村には技術者が採用しようと思っても集りませんので、ある期間県の技術者をそこに勤務させるというたようなことをぼつぼつ考えられておるところもあるわけでございますが、まあそういうような意味の交流、あるいはまた合併をして新しくできました市町村につきまして、合併後の都市町村の基礎が固まります間、県の中堅の優秀な職員が行って指導をするというようなことも必要かとも思いまするし、まあ地方公共団体間におきまして、人事の交流がもっとなめらかに行ななえるように考えていくということはたいへん望ましいことであると考えておるわけでございます。  次に、お尋ねの第二点の通算措置がもっと実効を上げるようにるる方法についてどう考えるかという趣旨のお尋ねでございましたが、従来も指導といたしましては、なるべく通算する措置を講ずるようにということは言うてはおったわけでございますが、それがなかなか実効が上がっておりません。事情を調べてみますと、一つは、退職手当内容、支給の条件等が団体によってかなりまちまちでございまして、権衡、統一がとれていなかったのでございます。それから第二番目には、先生のお話の中にちょっと出ておりましたが、その団体の財政負担の問題で、たとえば県立の学校に二十数年勤めておった先生が市立の学校に参りまして、五年くらいで退職してしまったというような場合に、かりに通算をいたしますというと、その小さな市で二百万、三百万という負担をしなければならない、それは困るというようなことで、市が通算措置を講じようとしなかったというような事情もあったように思うわけでございます。そこで、前のほうの支給の条件、内容をもっと権衡をとるという点につきましては、さきに御審議をいただきました地方公務員共済組合法案の附則で、今度の新退職年金の施行に伴いまして、退職手当制度についても、国家公務員の退職手当制度に準じて整備するように努めなければならないという規定を置き、また、それに必要な財源措置もいたすことにしたわけでございますが、あの規定に基づきまして、あの規定をよりどころといたしまして、私どもといたしましては、退職手当内容について、もっと国家公務員並みに整備がされますように今後指導して参りたいと思っているわけであります。  それから第二番目の財政負担の点でございますが、これが年金でございますと御承知のように、一つの資金をプールをいたしましてやって参るわけでございますから、弱小の市町村であっても問題はないわけでございますが、退職手当は今の建前が給与でその団体側で支給するという建前になっております関係で、その点が、私どもとしても今後一番検討をいたさなければならない点だと思っております。ただ、もう少し交流が相互にだんだん行なわれて参るようになりますならば、自分のほうに受け入れることもあるかわりに、また自分のほうから出ていく場合もあるというようなことで、それが普通の状態だということになれば、そう問題もなくなるのじゃないか、あるいはそうまでならぬ場合でも、何か実行上その辺の調整の措置は工夫はできぬものだろうかということは、私ども今後検討はしてみたいと、かように考えているわけであります。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その検討はぜひとも早い機会にやっていただくように要望しておきます。  次の質疑の必要上資料を出していただきたいと思うのですが、それは法案改正要綱の第二項の件に関する件ですが、地方で、公社類似のものを都道府県別に現在どの程度設けておるかという実態がわかるような資料、それは現時点において設けているのと、それから現在設けるであろう、設けそうなのがどの程度あるのか、これは現在の都道府県の問題としては、将来を予想するときに相当重要な問題だと僕は思っておるのです。それで中央官庁の考え方も伺うとともに、現状の実態と今後どの程度に予想されるのか、それを知りたいと思いますので、簡単なプリントでいいですから、時間のかかることじゃないから、昼食時間にでもプリントして本委員会に提示いたしたいと思います。いかがですか。
  38. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 御提出申し上げます。
  39. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  40. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をつけて。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 これはむしろ選挙法の中で論議すべき問題だと思いますが、選挙管理委員会というものが完全な独立性というものを保っていないのじゃないかと思うのです。といいますのは、ある市で市長選挙が行なわれるわけなんですけれども、その投票日の決定で、一応その管理委員会の意図する方向に、市当局一般的には圧力をかけたのではないかと思われる節がありまして、総辞職をしてしまったのですね、管理委員会が。そうしたら一日ぐらいの間に至急新しい委員を任命し、初め予定しておった投票日に強引にきめさせてしまったともっぱら伝えられている。辞職するほうも少しどうも見識がないに思われるのですけれども、こういうように市当局が圧力を加えるような形であっては、また、その圧力に屈しなければならないような形で管理委員会を置いては、管理委員会の性格というものは、ほんとうの意味の活動はできないだろうと思う。こういう事例がございますが、御存じですか。
  42. 松村清之

    政府委員松村清之君) 私はその具体的なお話の例は存じませんが、それに似たような例につきましては、今までにおいても一、二聞いたことはございます。
  43. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、自治法の改正に直接の問題がかかることではございませんけれども、もう少し管理委員会の権威というものを侵されないような形においてやる法制化が必要じゃないか。今のままでは管理委員に選ばれるその者が、ある程度もう一方的な色彩を持ってやることが、さらに理事者の圧力が加わってくるということになりますと、一番公平性を尊重しなければならない選挙管理というものが、はなはだ公平性を欠くことになりますね。これは具体的な問題でございますから、ここには名前を出さないであとで申し上げますが、御調査をしていただきたいと思いますが、そういう点でどうせ法改正をするならば、内容的に権威の高まるような法改正をもっとしていただかなければ、私どもは小手先の法改正だけ幾らやられても、どうも選挙管理委員会の問題ではうなずけないと思いますので、一応意見になりますが、調査はあとで依頼することにして、質問を終わります。
  44. 小林武治

    委員長小林武治君) 午前はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩    ————・————    午後一時四十四分開会
  45. 小林武治

    委員長小林武治君) これより委員会を再開いたします。  委員異動がありましたので、報告いたします。  本日付をもって委員小笠原二三男君が辞任され、その補欠として武内五郎君が委員に選任されました。   —————————————
  46. 小林武治

    委員長小林武治君) 休憩前に引き続き、地方自治法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 選挙閣係の問題ですが、選挙管理委員会兼職禁止の問題が何度もこの委員会でも話題に上っておったわけでございますが、今度の改正の中にはこれは入っていないのですけれども、その当時の話では、適当な機会に法制化するような話も出ておったのですけれども、これはどうして入れなかったのですか。
  48. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この改正地方公共団体議会議員及び長を兼ねることができないという規定は設けることにいたしたわけでございます。そのほか、たとえば助役の兼職禁止をしたらどうかというような御意見もかつて出たように承っておったわけでございますが、選挙制度審議会答申議員との兼職を禁止するということでございましたので、今回は議員と長ということだけに限定をいたしたわけでございます。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは念を押すまでもなく、ここにもありますように、人格高潔にして政治選挙に関し公正な立場をとり得る者でなければならないわけですよ、第一条件として。副知事とか助役とかあるいは教育長とか、総務課長とか、こういった者まで選挙管理委員にずいぶんなっていますが、これはみんな知事なり市町村長なりが任命した人ですね、政治的に公正な立場をとり得ない人でしょう。これは色がついている人なんですよ、一方的に。長や議員にとどまらない、長や議員以上に政治的な色彩というものが濃厚だと思う。これを今度の改正の中に入れなかったというのはどうも私はふに落ちない。だから私がさっき提示したような問題が起こるわけです。選挙日を何日にしろと、自分たちの意思から考えて判断して、それが違っておるとしてもそれにしなければならない。しなければやめろと、選任された者は市当局のきめたままの投票日にきめる、それはきめられるはずですよ。選ばれた者が、市長なりあるいはその他の市長のそれぞれ任命した者が管理委員会委員を兼任するという形になるわけです。非常にこういう弊害が多いわけですね。その当時の鈴木事務次官も、この問題は確かに弊害を認める、だから早晩機会を見て改めたいというふうなだけやったって、肝心かなめの最も政治的な中立を——中立というか、公平さを欠く者をそのまま残しておいては、これは全くふろしきには入れたけれども結んでなかったということになってしまうと思う。どうして兼職禁止というものを問題になっている層までおろせなかったのか。忘れちゃってしまっているんじゃないですか、この問題は。どうなんですか。
  50. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この点につきましては、私は、実は当時の事情は存じておらなかったのでありますが、かつて助役との兼職を禁止すべきだという御議論がございましたことはあとで承ったわけでございます。それで三十一、二年ごろから、指導といたしましてはなるべく副知事、助役との兼職は避けるようにという指導を自治省といたしましてはいたして参っております。ただまあ今回議員と長だけにおきましたのは、特に政治的な色彩の強いもので、したがってまた、公正な職務の執行について弊害が強いと認められる者だけに限定をいたしたわけでございます。大体この選挙制度審議会答申の線で立案をいたしましたので、その点は将来の問題としてなお研究の必要は十分あろうかと思いますが、一応ここで線を引いたわけでございます。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 この県の選管の委員町村長がなったところで、これは知事関係とそう密接な、上司と下僚といったような関係はありませんわね。ですから、弊害はむしろ私は少ないと思う。ところが、知事選挙をやるときに、その選挙管理委員が副知事であったり、総務部長であったり、あるいは教育長であったりした場合、これはどんなに人格高潔であっても、公平の場というのを守れると自認のできる、責任を持てる人は少ないと思うのですよ。やはり若干みずから危惧の念を持たざるを得ないと思う。そういう制度をどうしてそのまま行政指導だけにとどめて、行政指導をする必要があるならば、こういういい機会ですから法制化したほうがいいはずなのに、法制化しないのはどういうわけなのか、局長は前に選挙管理におったんだから、これが問題になっていることをあなたが知らないはずはない。
  52. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 繰り返し申し上げますが、選挙制度審議会答申を具体化するということを主眼としていましたので、省いたわけでございまして、問題が決してないと思っているわけではございませんので、この次の機会にひとつ検討いたしたいと思います。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは自治法の審議ですから、若干、まあ、今の改正点からはみ出る形になりますが、お許しいただけると思いますので、行政委員の選定というのも、たとえば教育委員の選定にしても選挙管理委員の選定にしても、人事委員会委員の選定にしても、初め作られた法の目的というものからちょっとずれていますよ。たとえば教育委員にしても、あるいは選挙管理委員にしても、公安委員にしても、それぞれ同一政党に所属しておらないということは明文化されておるわけだ。同一政党に所属しておらないという法律的な精神は、同一政党に所属しておるような傾向のものを出さないということは、結局単に党籍がどうだということでなくて、傾向を示しておると思うのですね。これは法律違反という問題ではないけれども、妥当か、妥当でないかという問題で、なるべくそれぞれの考え方、あるいは政治的なものの考え方というものを違った層から委員を選ぶということが建前になっていると思うのです。しかし、今はそうではありませんよね、形式的ですよ。無所属ならば、政党はいずれにも片寄っておらないのだから、無所属ならいいじゃないかということで、同じような系統のものが非常にたくさん出されている。これは行政委員会の運用の上からは必ずしも私は好ましい方法と思われない。こういう点を行政指導するというのならわかるけれども、今度のそういう傾向が非常に行政委員会全般について多いのに、さらに選挙管理委員会は、選挙候補者になり得る、なる公算の多いものの直接の下僚を選挙管理委員会につけておいて、それを行政指導するといったって、なかなか行政指導じゃ徹底しませんよ。選挙管理委員会の今の選定の問題で、選挙制度調査会ですか、で問題にならなかったといったって、こんなことは事務的なことで初めから問題になっておることだから、別にいろいろの多くの問題がありますから、取り上げなかったにすぎなくて、このごろ問題になったことじゃないのです。問題はすでに解決されておる、こういう誤認のもとにおそらくこの問題が取り上げられなかったと思うのです。どうです、これは。くどいようですけれども、知事立候補して選挙しますよね、その選挙管理委員を副知事だの総務部長だの、教育長というものが入っておってやったのでは公平々期し得られますか。ほんとうに良心的なものなら、そういう管理委員は勤まらないから、この際はやめますというのが普通だと思うけれども、やっておるのがずいぶん多いのです。やっていたほうが都合がいいから……。これは法制化すべき問題じゃないですかね。
  54. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お話のように、副知事、助役の兼職というものは必ずしも適当ではないというふうに私どもも考えております。まあ将来法制化すべき研究課題だと私も考えております。
  55. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  56. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  57. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ただいま御指摘になりました点は、ごもっともなことだと考えますので、次の機会には立法化するように十分考慮いたしたいと思っております。
  58. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の点ですがね、今度の改正で、「人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもの」ということが入るわけですが、特にこういうことを今あらためて入れなければならぬという何か事情があるのですか。
  59. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは選挙制度審議会の御答申にございましたので、それをこのまま具体化することにいたしますわけでございますが、おそらく選挙制度審議会の御審議の御意向をそんたくいたしますと、選挙公明化ということを主眼といたしまして今回選挙制度審議がなされたわけでございますので、そういう角度から委員の具備すべき要件としても、特にこの際こういうことな注意することが必要であろう、かようなお考えであったかと思うのでございまして、私どももそれはごもっともなことだと考えまして立法化いたすことにいたしたわけでございます。
  60. 秋山長造

    ○秋山長造君 別に入れて悪いことではない、まあ当然のことなんですけれども、特に「公正な識見」という点ですが、この「公正な」ということは、抽象的には言えるけれども、なかなか実際にはむずかしいと思うのですね。何を公正というか、これは一党一派に片寄るというようなこととは同じなんですか、別な概念なんですか、公正というのは。
  61. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この御答申にありました言葉をそのまま取ることにいたしたわけでございますが、おそらくこれも審議会の御意向をそんたくいたしますというと、別に、ある党派に属しておってはいけないという趣旨ではもちろんないと存ずるわけでございます。ただ、職務を執行するにあたりまして、公正な御判断をしていただくというような意味合いではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  62. 秋山長造

    ○秋山長造君 私は、選挙管理委員の場合は、選挙管理委員個人々々についてのいろいろな資格要件というようなものも大事であるが、同時に、選挙管理委員会ということで一体の行動をするわけですから、四人を一体なものとして見た場合に、個人々々だけにとどまらないで、四人の委員一体としてみて、やはり公正なということが非常に重要だと思うんですね。まあここで、たとえば政党人が一人加わった——人はいいわけですね。二人あってはならぬ。そういう場合に、政党人が一人だけ加わっているというような場合には、管理委員個人々々としてはこの資格条件にほぼ合っても、選挙管理委員会全体としては、その管理委員の中に一人特定の政党に席を持った人が加わっているということによって、委員会全体として何か、必ずしも公正ということが期待できないというような印象を与える。その場合に、一人加えるなら、ついでにもう一人また別な立場の政党人を加えるというようなことにすれば、これは外部から見てもおのずからバランスがとれる、したがって、へんぱなことはできまい、こういう安心感を与えるだろうと思うんですがね。そういう点の配慮がこの法文の上には出てないんですけれども、何か政令か、あるいは規則か、あるいは行政指導か何かで出されているのかどうか。それからまた、実際地方選挙管理委員会の実態は、そういう点はどういうようになっているのか。詳しい統計数字等を要求するわけじゃないですけれども、大づかみな話でけっこうなんですがね。その点どうですか。
  63. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 政党人が一人でなくちゃいかぬと申しますのは、法律規定によりますと、同一の政党その他の団体に属する者が一人でなくちゃいかぬといっているわけでございまして、異なった政党その他の団体に属します者につきましては、別段制限がないわけでございます。したがいまして、実際の状況を見ますというと、おもな政党につきましては、それぞれから推薦されるようにして選任されているのが普通の状況のように存じております。  なお、党派別の資料でございますが、都道府県選挙管理委員会委員について見ますと、百八十四名の委員のうち、自民党が七名、社会党が十名、民社党が四名、その他が百六十三名、こういうような構成になっております。もちろん、その他、無所属という中でも、それぞれのおもなる政党から御推薦があって実際上は選任されているというのが状況のようでございます。それから市町村選挙管理委員会委員でございますが、これは合計一万四千百八十七名のうち、自民党が七十四名、社会党が五十五名、民社党が二十九名、諸派十六名、その他が一万四千十二名というようなな数字になっております。
  64. 秋山長造

    ○秋山長造君 選挙管理委員選挙活動については、何か制限があるのですか。
  65. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 公職選挙法の第百三十六条の規定によりまして「中央選挙管理会の委員及び中央選挙管理会の庶務に従事する自治省職員並びに選挙管理委員会委員及び職員」が「在職中、選挙運動をすることができない。」というふうに規定されております。
  66. 秋山長造

    ○秋山長造君 けさほど選挙局長のお話で、今度の参議院選挙に対処する公明選挙運動としては、買収供応追放運動というのを徹底してやるのだというお話があったのですがね。これは表向きの打ち出しは、やはり公明選挙運動推進という打ち出しで、実質的に買収供応追放をやるのだという意味ですか。それともそうではなしに、いきなり買収供応追放運動というものを、公然と掲げておやりになるのですか。これはどちらですか。
  67. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 具体的には、いろいろなやり方があろうかと思いますが、要するに、要は選挙管理委員会が、公明選挙運動推進する有力な機構の一つでもありますので、これを通じて、根本的には公明化運動推進をしていただく。しかし、その中でも特にこの買収、供応のような、悪質なものについては、注意を喚起して、これの絶滅を期するということに、重点をおいていきたいというふうに考えているわけであります。
  68. 秋山長造

    ○秋山長造君 この問題は、まあいずれ選挙法が来るか来ぬかしれませぬが、来れば来たときに十分御質問したいと思うので、多くは申し上げませんけれども、公明選挙運動というものが、まあここ十年ばかりの間、選挙のたびに行なわれているわけですけれどもね。ただ、これが一体どれだけの効果を上げているのかどうかということになりますと、私ははなはだ疑問じゃないかと思うのですね。関係者の御熱意にもかかわらず、実際には選挙のたびに選挙がますます悪質になってきているということは、もう世論の一致して認めるところだ。それから選挙に金がかかるとか、いわゆる物量選挙傾向が、ますます加速度的に激しくなりつつあるということは、これはもう否定できぬと思うのですね。公明選挙運動を、やればやるほど実際には不明朗になっているという皮肉な現状だと私は思うのですがね。公明選挙運動という建前なり、やり方というものを、根本的に再検討される必要があるのではないかと思うのです。戦前何か私、かすかに記憶している程度なんで、いろいろ確実なことも言えぬのですが、岡田内閣のころでしたが、ずいぶんこの選挙粛正運動というのが、後藤内相だったと思うのですがね、ずいぶん選挙粛正ということをやかましく言われたことがあります。まあ今から調べて見ると偶然か必然か知らぬけれども、そのときの選挙は非常に選挙違反が、がたんと減ったことになっているのですがね。必ずしも選挙粛正というようなことばかりで、選挙に対する一般選挙民の取り組み方と言いますか、一般選挙民の気持を萎縮させるということになっても困ると思いますけれども、しかし、だからといって、今のような手放しの悪質選挙を、このままやっておったら、幾ら七億や十億、公明選挙予算を組んでやってみたところでたいした効果ないのじゃないかと思うので、むしろ公明選挙というようなぼやっとした打ち出し方でなしに、はっきりこの際選挙粛正ということをはっきりずばり打ち出して、そして二、三べん徹底した粛正選挙をやってみたらどうかと思うのですが、そのほうがむしろ効果が上がるのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  69. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 選挙公明化ということは言うべくしてなかなかむずかしい問題であるということは説のとおりであろうと思います。まあよく言われておりますように、イギリス等でも相当な年月をかけて今日のような選挙になったと言われておるように、私はやはりこれは一歩々々努力をしていくのでなければ、あまり完璧に右から左にものが片づくようにはいかないというふうに考えております。秋山さんの言われるように、劇薬的な措置によって一、二回やってみるというのも一つの考えかと思いますが、民主政治といいますか、民主主義のこの法律の運用、適用のあり方というものにつきましては、これはなかなかめんどうな問題もあろうかと思います。私は、その目的だけのために手段を選ばずというふうな考え方にはどうもなりかねるわけであります。やはりこれは非常に、急速度に効果が上がる上がらないは別にいたしまして、上がるようにでき得る限り不断の努力を続けていくべきものだというふうに考えております。
  70. 秋山長造

    ○秋山長造君 それはもうおっしゃるとおりですけれども、実際効果ちっとも上がっていないということを私は言うているのです。ますます選挙は悪くなっていることは多くを言わぬでもよく御存じだと思っております。  第二点としてお伺いしたいのですが、この指定都市の問題ですが、これは午前中矢嶋さんからお話があったように、市の合併の特例に関する法律、あれと相対応した改正だろうと思うのですが、自治省方針としては、指定都市というものはどんどん認めていく、ふやしていくという方針なんですか。それとも一できるだけコントロールしていくという方針なんですか。
  71. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 指定都市につきましては、別段どんどんふやしていくという方針はとっておりません。
  72. 秋山長造

    ○秋山長造君 法律にうたわれておるこの要件としては五千万という人口の線が一応引かれているだけですが、五十万以上ということになれば、今の五大市以外にも幾つかあるわけなんですね、指定都市のこの要件を備えたものは。そういうところからはずいぶん自治省に対して指定都市にしてもらいたいという要望が今までずっと繰り返しあったと思うのですよね。それに対して自治省はどういう態度をとってこられたのか。
  73. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 人口五十万をこえております市は、現在福岡、川崎、札幌三市ございます。これらの市から指定都市にしてほしいという要望はまだ承っておりませんが、どういうものだろうかということが、今度北九州五市の問題と関連して質問は受けたことはございます。私どもが、指定都市指定する場合に考慮すべき事柄として考えておりますことは、第一は、法律人口五十万以上という人口要件が規定されております。これは人口の最低は五十万なくてはならぬということでございますが、人口五十万こえておれば指定都市に当然するのかというとそうは考えておらないわけでございまして、地方自治法によりますというと、指定都市になりますと十六項目義務府県から市に委譲されることになっておりまするし、地方自治法以外の法律におきましても、たとえば指定都市の区域内にある国道、県道の管理は市がするとか、そのほかいわば県並みの事務処理の責任を当然負うことになっておる事項がかなりあるわけでございます。そこで指定都市指定いたします場合には、それらの県並みの責任を十分法律的に遂行することができるかどうかということもあわせて考慮しなければならないと考えておるわけでございます。で、その場合に、それではその能力があるかどうかということの判断の基準でございますが、現在の指定都市制度が、御承知のように、特別市制の制度にかわりまして、昭和三十一年の改正の際に入れられた制度でございますが、その際には当時の五大市を念頭に置いてこの規定が設けられた経緯があるわけでございます。そこでまあ私どもといたしましては、五大市に準ずる能力があるかどうかということを一つの判断のめどにして考えて参りたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 秋山長造

    ○秋山長造君 この指定を受ける場合は手続はどうなるんですか。
  75. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは政令指定するわけでございますから、律上は内閣が御決定になればよろしいわけでございますが、実際問題といたしますと、地元の市の事情さらにまた、この市が指定都市になりますと県から相当程度責任を引き継ぐことになりますので、その関係県の御意向、それらの事情も総合いたしまして内閣が判断をされるということになろうかと思います。
  76. 秋山長造

    ○秋山長造君 市のほうから何か一定の手続をもって申請をするというようなことは別に要件になっていないんですね。
  77. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) そのような手続は要件になっておりません。
  78. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、国のほうがまた高度の国家的な立場に立って、一方的に指定するということもあるんですか。
  79. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 法律上は国が一方的に指定するということもあり得ると思いますが、実際問題は、これは何よりも関係の県あるいは市にとりましての重大な問題でございますので、関係団体の意向を十分尊重をして内閣が判断をされるということになると思うのであります。
  80. 秋山長造

    ○秋山長造君 この指定都市指定についての要件というのは、そうすると、自治省としては相当厳格にやっぱり考えてきておられるわけなんですか。
  81. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) さようでございます。
  82. 秋山長造

    ○秋山長造君 おそらく札幌とか川崎、福岡あたりのような、人口五十万以上の都市が、それほど強く指定都市を言ってきておらないという裏には、やっぱり五大市並みという自治省としての一つの厳格な一線があるんで、それに遠慮してそれほど働きかけがきておらないんじゃないかと思うのですが、今度北九州五市合併というものが実現するとした場合、自治省としては、聞くところによると、これは当然指定都市指定をする方針のように聞いておるんですが、もしそれが事実ということになれば、それを機会にその他の市からもやっぱり指定してもらいたいという働きかけがずいぶん強く起こるんじゃないかと思うんですがね。そういうことになりますと、一挙にして五大都市が十大都市というようなことになってくる可能性も出てきますね。それからさらに、新産業都市建設促進法案ですか、まああれに基づいて新産業都市指定をされていくということになりますと、あれ大体企画庁あたりで当面十カ所ぐらいな指定は第一次でおやりになるような話を聞いておるんですがね。そういうことになりますと、実際には現在の五大都市並みの条件はそろってなくても、とにかく町村合併を、まあ作為的と言っては語弊がありますけれども、相当強行して、そうして人口要件だけ整えてそしてわれもわれもと指定都市にしてもらいたい、こういうことになってくるおそれは私は多分にあると思うんですね。そういたしますと、今日まで自治省は、特別市をできるだけ軽々に作らないということで慎重な態度を、方針をとってこられたのが一挙にそういう面からくずれて、そしてわれもわれもということになる。そうすると、あれを認めてこちらを認めぬというわけにいかぬと、こういうようなことになってくるでしょうし、また、政治的ないろいろな働きかけも強く行なわれるということになりますと、これはやはり地方公共団体のあり方、あるいは都府県とそれから特別市のあり方、あるいは都府県そのものの存在意義というようなものが非常に動揺してくることが予想されるわけですね。そういうところから、出ては消え、出ては消えしておる道州制というような問題がまた大きく浮かび上がってくるというようなことになりますと、やはり地方制度全般から考えて非常に大きな問題が起こってくるんじゃないか。もちろん、起こっても、それが地方自治を積極的に育てていくためにはプラスになるということなら、それはそれでもけっこうなんですがね。そうでない逆なような方向にそれるようなおそれが私はあると思うんですが、それらの問題について、大臣はどういうように考えておられるか承りたい。
  83. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) まあこの指定都市を五十万以上ぐらいを標準にものを考えておりますために、そういった一つの機運に乗じていろいろな状況が起こってきやしないかという御心配もごもっともかと思いますが、まあ一応私ども今までの経過、常識から考えまして、現在の指定都市程度のものを標準に考えております。また、そのことによって急速にいろいろな問題が起こってくるようには推測いたしておらぬわけであります。また一方、しかし、そういう問題とからんで道州制実現の機運がくるのじゃないかという御懸念と申しますか、御配慮かと思いますが、道州制というものを近き将来実現するとか、そういうつもりですべての準備を進めていくというためにはまだ私ども慎重に考慮する点が多かろうと思っておりまして、今のところ、そういう方向で急に進めていくというようなことは一切考えておりません。ただ、府県同士が相当連合して広域の行政の円滑化をはかる、あるいは市町村団体がそれぞれ連合して、または県を異にしてまでも連合して広域行政の能率をはかる、こういう方向はこれからも現実の問題として非常に強く要請されると思いますので、これに対しましてはできる限りすみやかに必要な措置もとりたい、あるいは、必要によって法制化もいたしたいと思って、こういう方面は目下鋭意検討中であります。
  84. 秋山長造

    ○秋山長造君 北九州の問題についてはどうなんですか。私の先ほどお尋ねした方針なんですか。
  85. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 北九州につきましては、これは指定都市といった扱いをいたすつもりでございます。
  86. 秋山長造

    ○秋山長造君 それが直ちに五十万以上の人口をかかえた市に波及していくという点はどうなんですか。
  87. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 目下のところ、その機運はきわめて少ない、こういうように観測しております。
  88. 秋山長造

    ○秋山長造君 新産業都市の、あの法律に基づいて作られる新産業都市ですね、この新産業都市については指定都市ということを想定しておられるのですかどうか。
  89. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 新産業都市指定都市の問題とは一応関係なく考えております。もちろん将来新産業都市指定されました都市が、内容、能力等から見まして先ほど申し上げましたような実態を備えて参りますれば、あるいは指定都市都市指定というようなことも起ころうかと思いますが、制度としては関連して考えておるわけでございません。
  90. 秋山長造

    ○秋山長造君 これも法律案がこっちへ出てくれば、そのときお尋ねすべき筋合いのものなんですけれども、まあ今たまたまこれが出ているからついでにお尋ねするわけですが、あの法律でやはり町村合併の特例が含まれていますね。あの新産業都市の建設促進法案の中で考えられておる合併というのは、どの程度の合併を予想しておられるわけですか。
  91. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) どの程度ということは何も考えておりません。新産業都市指定されました区域、これは必ずしも現在一つの市の区域に限りませんで、数個の市町村にわたる地域が新産業都市の区域として指定されることが多かろうと思うわけでございますが、そういたしました場合に、都市の建設が進みまして、むしろ数個の市町村が合併をしたほうが新都市の建設に都合がいいではなかろうかと、こういう場合が起こりました場合に合併がしやすいようにということで特例規定をいたしたわけでございまして、必ずしも合併をいたしませんでも、関係市町村が協力をして都市の建設がやれるし、また、そのほうがいいというような状況の場合にはそういう行き方でもいいのじゃないかと、こんなふうな弾力的な考え方をいたしております。
  92. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、わかりやすく言えば、たとえばずいぶんコンビナートなんかの建設が進んでいますね、あっちこっちで。そういう場合に、そのコンビナートがA市とB市とに両方へまたがっておるというような場合に、そんな行政区画が、今までどおり別々になっておる場合には、たとえば固定資産税なんか取るにしても、工場の中を半分に分けて、片一方はA市、片一方はB市というようなことになることにもなる。だから、そういう意味でA市B市にまたがっておるというような場合に、そのA市とB市を合併する、そうして一つの行政区画にするというようなことを具体的には想定されておられるのですか。それとも、もうそういうことに関係なしに、たまたまそういうコンビナートができれば、それにひっかけて、直接関係のあるなしにかかわらず、ずいぶん広い範囲を囲い込んでしまうというようなことも想定されておるのですか、どうですか。
  93. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) まあ御指摘のような場合、どのどういう場合を想定してということではございませんで、都市の一つの総合的な機能を持った都市を建設して参るわけでございますが、その都市経営上、あるいは建設の事業を進めて参ります上に、別々の地方公共団体であるよりも一つの地方公共団体として行なったほうがいいというような場合に、合併が容易にできる道を開いたということでございまして、どういう場合、どう場合ということをはっきりと頭の中に置いて規定をしておるわけではございません。
  94. 秋山長造

    ○秋山長造君 私、まあ今の五大市なんかについて、ずいぶん過大都市としての困難な問題がたくさんあるわけなんですね。そこで政府としてもそういう過大都市をできるだけもうこれ以上膨脹させないようにという配慮から、新産業都市というようなことも考えられたと思うのですがね。で、まあそういう面から考えますと、また五大市以外に新しくむやみに過大人口をかかえた都市を作っていくということは避けるべきじゃないかということを考えるんですけれども、そういう意味で、自治省指定都市を安易にふやすという方針でなしに安易にふやさないという厳格な方針をもってやってきておられるということは、私は非常にけっこうだと思うのですけれども、この方針はまあ北九州の問題は別問題として、指定都市については今後も指定都市指定については、厳格な態度をもって臨んでいくという方針には変わりはないというように了承していいんですか。
  95. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 厳格というと、何かえらく地方の意思を押えるような感じになってもいかがかと思いますが、この一定所要の条件を、従来持っておる程度の要件を満たすということでないと、簡単に今の人口五十万に満ちるからというようなことだけでやる、あるいはごく非常に特殊、異例のような場合につきましては、またそのケースについて十分に考慮をする、そういったような配慮は今後も十分行なっていきたいと思っております。
  96. 秋山長造

    ○秋山長造君 それからもう一つ、これに関連してお尋ねしておきたいのは、町村合併の問題ですがね。町村合併が一応一区切りついたところだと思うのですが、現在の段階はあの町村合併の、何といいますか、跡始末といいますか、合併市町村の育成充実という段階だと私は思うのですがね。自治省としてもそういう御見解なのかどうか。
  97. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私どもそういう見解でおります。
  98. 秋山長造

    ○秋山長造君 で、その点が、私どうも多少疑問があるのですよ。といいますのは、あの町村合併促進法を二十八年の十月から施行いたしまして、当初の自治省の計画よりもはるかにはかどったわけですね。そうして一万からあった市町村数が三分の一に減っておるわけですね。それからまた、府県によっては多少違いがありますけれども、はかどった府県なんかになると、四分の一から五分の一くらいになっていますね、市町村の数が。で、まあそういうことで山あり川ありというような農山村地帯では、ずいぶん地理的な条件をある程度無視したような大合併をやっていますわね。それ相当のやはり町村合併という面からの効果はこれは十二分におさめたと私は評価していいんじゃないかと思う。  それはそれでいいんですがね。ところが今度はさて、そういう相当無理をして国の方針に従って合併をやったところが多いのですが、そういうところの合併の跡始末ですね。この跡始末というのがまだ私ほんとうに序の口くらいな段階ではないかと思うのです。まあ大きくなったので、町役場等を今までの小さいものではだめだから、新しい町村にふさわしい建物にしなければいかぬという、せいぜい役場の建築くらいなんです。それから学校なんかの統合というようなことを相当並行して強く指導された結果でしょうけれども、学校なんかが若干統合されて新築されるという程度のことにまだ終わっておる。まだ一般の合併地区の住民が、合併してよかったといいますか、合併してほんとうに一つの自治体としてまとまってきたというところまではまだいっていないと思うのです。ですから、合併市町村というものは合併した跡始末を十分つけるということでもう精一ぱいだし、また、そのために市町村の当事者は全力をあげて努力されなければならぬ段階だと思うのですね。ところが、そういうものが、ろくろく跡始末も何もつかないまま、また新産業都市だ何だというようなことで次の大合併にさらに進んでいくというようなことに私はなりかねぬと思うのですね。そうなった場合、それにはそれだけの意義はあるでしょうけれども、また、町村合併の跡始末という面から考えますと、無理をして町村合併をした跡始末というものは、実際にはなかなか当事者は苦労してむずかしい。そのむずかしさに耐えかねて、そうしてそこにさらに大合併というようなことになると、それに対して安易に便乗してしまって、そうしてやるべき跡始末を何もやらないで、さらに次の大合併に進んでいくというようなことになりかねぬと思うのですね。そこら辺の配慮といいますか、行政指導といいますか、そこら辺のことを自治省としては相当やはり慎重に考えておいてもらわぬと、何でも行けや進めで大きくしさえすればいいということでやっていったのでは、やはりほんとうに住民の福祉ということを忠実に考えていくという線からははずれていく結果になるのではないか、そういう危惧を私は持つのですが、いかがですか。
  99. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 私どもも先ほど先生のおっしゃいましたように、町村合併促進法によりまして全国的な大きな合併を進めたわけでございまして、それが合併は一段落いたしましたが、なお御指摘のように、ほんとうにまだ固まっていないという状況だというふうに理解をいたしております。そこで、さらにもう一度、合併だというようなことはこれは極力避けていかなければならぬ。ただ、現在問題になっておりますのは、一つは市の合併でございますが、町村合併促進法が弱小町村を解消するということを主眼にいたしておりましたので、市同士の合併というものは対象にしていなかったわけでございます。これがその後の都市の発展に伴いまして、市同士の合併をしたほうがいいというケースがだいぶ出て参っておりますので、それに対処するために、今回市の合併促進法案を提出をいたしまして御審議をいただくことにしたわけでございます。  なお、新産業都市関係でございますが、これは合併はもちろん一段落ついておりますけれども、その後の新しい産業経済社会の要求に基づきますものでございますので、これはこれとしてやはり考えて参らなければならないことではないか。ただその場合にも、御指摘のように、何でもかんでも合併すればいいんだというようなことでいくんじゃなくて、十分指導上は慎重に考えて参らなければならぬというふうに私どもも存じておるわけでございます。
  100. 秋山長造

    ○秋山長造君 町村合併促進法のときには、まあほぼ町村の適正規模というようなものを想定して、それに合わすようにということで指導されたと思うんですが、市なんかについて、適正規模というものを何か考えておられるのですか。
  101. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 市につきましては、人口三万でございましたのが、人口五万に引き上げる改正がなされたわわけでございますが、これは、町村合併が進むに従いまして、市としては三万では小さ過ぎるので、最低要件はやはり五万くらいはなくちゃならぬ、こういうことで改正がなされたわけでございます。しかし、市としての適正規模というものがどのくらいかということにつきましては、これはいろいろ御議論があるところではないか。私どもも種々検討はいたしておりますが、自治省として、このくらいがいいという別段成案は得ておりません。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連して。その町村合併をやりましても、一応人口八千なら八千と最小規模を押えて、事実は、の誕生で三万以上の町村合併が非常に多くて、それから町村にしても、一万五千か二万くらいの町村がふえている。これにどういう財政基盤を与えるか。あるいは三万でも、あるいは八千以上の市町村でもいい、そういう町村合併の一つのモデルとして、標準に押えたものに対して、どういうまた行政の事務配分もするのか、こういつたことがもう相当研究が進められて私はいいと思う。町村合併はして、生みおとしましたけれども、それにする仕事もはっきりしなければ財源も確実に与えられておらない。自治省から出した調査でも、合併の一万五千くらいの町村がむしろ財源が枯渇しておる。合併しなかった——それはいろいろの条件がございましょうけれども、二、三千の残った町村のほうが財政的にはいいという例もないわけではありません。合併さしたらもう少しはっきりした、その町村自体の合併の後にさらに発展し得る条件というものがそろわなければだめだと思うが、最低行政水準ですか、こういったようなものの作業に若干かかりかけたようだけれども、途中でとまっているように私たちには思われる。どれだけの町村としての運営ができるんだという、その行政の幅というものをがっちりと作って、その幅がそのまま進行できる財源措置というものを考えるというようなことも、もう少し積極的にやってもらわなければ、生みおとしただけでは私は意味がないと思う。  それから、今度の今秋山委員が指摘した産業都市などにいたしましても、産業都市計画で一応今の大都市並みのものができてきますね。それなら、それに入らない町村合併をした地域の小都市は一体どうするんだ、県には何をやらせるんだ、少なくとも自治省では、県は補完行政としてこういうことをやるんだ、大都市はこうだ、第二段階町村合併をやるのか、あるいは人口十万くらいに市を統一するのか、あるいはしないとすれば、人口三万なり二万なり一万五千なりのそれぞれの市町村にはどういうことをさせるのか、全体からながめたはっきりした見通しというものをつけてくれないと、町村合併をやりましたが、うまくいかないから、今度また基幹都市や産業都市ということがあるならば、それに入らなかったら乗りおくれるという形で、町村合併が第二段階に進みますと、これは進んだのか分裂作用を起こしたのか、わけがわからなくなる。また、住民のためにも必ずしもプラスになるとは言えない。こういうことは、これは行政当局は、大臣は、どうこれからおやりいただくのでしょうか。特に、町村合併をしましたけれども、いろいろの五カ年計画なり三カ年計画なりというのが、財源が与えられないので動きがとれないという町村合併の町村の主張をわれわれはだいぶ聞くんです。こういう点、何か見通しをお持ちですか。
  103. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ごもっともな点もあろうかと思いますが、町村合併をやりまして、これは何といいましても、合併することによって全体の町村規模なり合理化もされますし、あるいはその運営する機構も合理化されていき、経費の節約にもなるといったような消極的な面からの利益もあろうと思います。また、市町村自体に対する財源措置というものは、やはり御承知のとおりの一般の財政措置で基準財政需要額というものの計算上からそれに適切の措置をとっていくということになろうかと思います。そこで、新産業都市というような浮かれ文句で、みなあれよあれよと言う間にそちらへ行く、それに取り残されたものはさっぱり困るじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、新産業都市は、御承知のとおり、この新産業都市中心にして地方の積極的な今後の開発意欲を盛り上げていこうというものであります。また、そのほかの、例の中小以下の都市に対する工場分散の法律案もせんだって通過いたしております。そういったものには、それぞれそういう要するに産業、工業、商業、あるいは文化、教育をあわせまして、地方へできるだけ分散もさせ、地方の発達をやっていきたいというのが今のねらいであります。ですから、その新産業都市自体は、それなりに私は意味があると思います。また、そのために今度はほかの市町村が非常に迷惑をこうむるというようなことはないように、今の全体の財政収支で十分のバランスをとっていきたいと思っているわけであります。
  104. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連質問ですから簡単に伺いますがね。それは、産業発展という目的からすれば、産業都市の形成というのは確かにプラスがございますよね。しかし、それは住民の福祉その他からいって、全地域地方自治団体にとって産業都市の建設というのはプラスかということになりますと、問題は別だと思う。問題は別だと思う。たとえばですよ。起債なら起債のワクでも、産業都市建設というのが進んでくると、そこに道路も必要だ、下水も必要だ、水道も必要だ、工業用水も必要だ、ということになりますと、他の地方へ行く分までそこへ重点的に集中しなければならないようなことになりますね。そうすると競合して勝てませんよ、産業都市でないところの僻陬の、あるいはまた、未開発地域町村というものは。だから、自治省としては、産業都市は産業都市でいいけれども、本腰を入れてもらいたいのは、町村合併をした八千なり一万なりの標準町村というものにやはり力を入れて、これの財源というものをどうしてまかなってくれるかということを本気に考えていただかなければならないと思う。たとえばこういう町村に工場が来るとするんですね。国の法律で、そういう町村では固定資産税なりあるいはそういう僻陬敵地をたくさん持った県は事業税の免除をしてもいい、その分は交付税で見てやるということであれば、幾らかでもプラスになる。そういう方法は何分にも具体的に今考えられておらない。貧弱町村へ来て固定資産税免税というようなことで誘致すれば、固定資産税の入る分は交付税計算でちゃんと差し引かれるわけだ、もう少し法定した施策を、はっきりと援護施策を具体的に講じてもらわないと、合併はいたしましたけれども、たいして恩恵はありませんということになるのですよ。この点は本腰を入れていただきたいと思いますがね。
  105. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ごもっともなお話でありまして、一つは新産業都市といったようなものについてだけすべてを集中することによって、他の一般町村が置き忘れられてはならぬ、これはもうごもっともなお話であると思います。十分その点は配分を考慮してやりたいと思います。  それから、今の低開発地域の工業分散ということで、小都市——五万とか七万とかといった小都市に工場が来たような場合は、固定資産税一定の必要量に応じて減免した場合には今度の法律ではこれは補てんをいたすというふうに措置をいたしております。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 午前に引き続いて若干伺いますが、自治大臣は本委員会出席前に、きょう午前中どういう質問があったかということを政府委員にお尋ねになりましたか。また、政府委員からそういう報告を受けて御出席になられておりますかお伺いします。
  107. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) まことに恐縮でございますが、委員会が立て続けにございまして、閣議のあとの交通閣僚懇談会、総務会と、出たり入ったりしておりましたので、まだその質問の内容を十分聞いておりません。まことに申しわけございません。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ本国会、自治大臣御多忙でありますが、心がけとしてよくないと思うのですよ。自治大臣出席できんで、代役で果たしてるんだから、自治大臣から政府委員に求めるべきであって、それ以上に政府委員は廊下を歩きながらでも、午前中はこういう質問がありましてこういう審議状況でありますということを政府委員は大臣に進言すべきですよ。大臣以上に政府委員が怠慢ですよ。二、三分程度で要件を話して下さい、それを根拠に質問をいたしますから。  事前運動の実態についてどういう認識を持たれ、また、国家公安委員長としてそれらに対する取り締まりについていかにあるべきだとお考えになっておられるか、お答えいただきたいと思います。
  109. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 選挙事前運動というものは、現在の法律ではむろん認められていないわけでありまして、この事前運動というものは十分厳重に取り締まられなければなるまいと思います。ただ、一般にいう事前運動らしきものと称されておりますが、演説会の開催でありますとか、あるいは国会報告会、あるいはその他の講演会の集会といったようなものにつきましては、これは非常にデリケートな面もございます。要はひとつの常識基準で判断すべきものでありましょうが、これがあまりにも露骨に選挙目当てになるといったような目に余るものにつきましては、これは十分に警告を発するということに相なりまするが、正直申しまして、はっきりとここからここの線まではいかぬとかいいとかということについては、なかなか困難な面があることも事実であります。これはやはり社会常識の水準で判断をいたしまして、それぞれ適切な措置をとるようにいたしております。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺わんとするところとピントが合わないわけですがね。時間の関係もありますから、私は午前中しゃべったことを繰り返しません。一応政府委員にただしたわけですがね。しかし、政府委員よりも責任は私は大臣にあり、その女房役である政務次官にあるという主張をしたわけですけれどもね。繰り返さないが、もう一回だけこの点について伺うのですけれどもね、約七億円の、公明選挙選挙のあるべき姿というものを有権者国民に指導をしよう、誘導しようというわけで予算を計上しているわけですね。それをあなたの所管下で執行されているわけですよ。それを効果的に、効率的に使用できるようにしなければならぬと思うのですがね。その選挙の候補に予定されている人だけの責めとしてそれだけを責めるわけにはいかないと思う、私は。もちろんその責任もありますよ。しかし、現実に日本で事前の運動が非常に激しく、一番手っとり早い例をあげれば、今度の七月に予想される参議院通常選挙ですよ。現に与野党を問わず、改選議員の人はこの通常国会に出席できないような一般情勢、雰囲気にあるわけですね、こういう状態にあることはね。候補者がそういう状態にあるがゆえに大事な予算国会におれないで、やっぱり選挙区をはいずり回っておらなければならぬという状態にあることは、これは候補に予定されている人だけを責めるわけにもいかぬと思うのですよ。そういうことがなくて済むような情勢、雰囲気というものを私は七億なら七億の金をタイミングよろしく使うことが、あなた方の行政担当者の任務であり、責務だと思うのですがね。そういう点でこの国会冒頭に、要請もし、質問もしたわけですけれども、たいしてあなた方努力したように見受けられないし、現状の事態というものは僕は悲しむべき状態だと思うのですよ。なぜ私は、非常に関心を持つかというと、来年の春には統一地方選挙が行なわれるわけですね。こういう雰囲気がずっと続いていったならば、この選挙法の部分的な改正とか、あるいは選挙のあるべき姿を教育するために二億、三億、国民の血税で予算をふやすというようなことをやられても、やらぬよりはいいでしょうが、やっても抜本的な改善とつながらないと思うのですね。そういう点で現状というものをはっきり認識して、この時点においていかにタイミングよろしく施策をし、指導行政をやっていくか、そしてその筋で部下公務員に適切なる督励と指示を与えるかということは、僕は内閣総理大臣、また、所管大臣の見識であり、私は責任だと、そういう点であまりにも足らざるものがあるのではないかと思う角度から、政府委員に対して午前中数問質問したわけですけれどもね。こういう質問をしているのに対して担当大臣としてはどういう御所見を持たれるか、あえてもう一回答弁を求めるのであります。
  111. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ただいまの矢嶋さんのお話は、私は非常に大事なことだと思います。ことに御存じかどうか、私自身が現在おる立場からいろいろ引き比べてみましても、そういう雰囲気が世間にできてくるということが何よりも公明選挙で一番大事じゃないか。国会議員がたとえば選挙が迫ったからしょっちゅう選挙区を歩き回っていなければいかぬということではなくて、選挙が迫ってもあの人は国会で国務のために働いておるという空気ができてきて正当に評価されてくるということが、この世の中のひとつの雰囲気というものになってくることが私は一番好ましいことだと思います。しかし、これはただ管理委員会あるいは政府等が努力の足りない点も認めますが、一方的に宣伝をするだけではなかなかいきませんし、それからこういうものは一つの風潮として、一朝一夕に簡単にはいかぬものだろうと思います。しかし、今お話のような点は、非常に大事なことだと思いますし、政府の今後の公明運動のあり方というような点につきましても、重点は十分に置いてやらしていただきたいと思う次第であります。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それだけ伺っておきますが、しかし大臣、こういうことは一朝一夕に改まらないと言うけれども、改まらないどころではない、選挙のたびにひどくなるわけですよ。参議院選挙が、三十一年ころの実情と、あるいは三十四年ごろと今度の三十七年の選挙を前にしての、当時の状況を振り返ってごらんなさい。一朝一夕によくならない、よくなるどころでない、悪くなっていくのですよ。私はちゃんと資料を若干持っているのですが、あなた十分根拠を持って理解できぬと思うならば、よく知っている国会職員とか古い政治記者諸君に聞いてみれば、二十八年、三十一年、三十四年にどういう経過をたどっているかということはきわめて明白に出てきますよ。だから僕は、こういう方向づけを、先おそろしいからある時点でチェックしなければいかぬ、そういう重要性と必要性を感ずるがゆえに、この国会冒頭でも伺ったし、繰り返してきょうのこの法案審議に関して、事務当局の見解を聞くとともに、叱咤激励したわけです。これはそれにとどめておきます。  次に、いよいよ国会は最終段階に入って参ったわけです。したがって、国会に提出されてある法律案の総括的処理をいかにすべきか、審議するわれわれとしては見通しを立て、また腹もきめねばならぬ時点に立たされてきていると思うのです。この国会は、自治大臣は所管案件が量的にも質的にも重かつ大であり非常に御苦労なことだと、その点は同情と拝察もいたしております。しかし、国会会期の立場から、この時点に対してぜひあなたに伺っておきたい点があるのです。  それは、まず第一問としては、三十五年の十一月に総選挙が行なわれた。その選挙の実態から、国民の間にほうはいとして選挙のあり方、選挙法の再検討の必要性について世論が起こった。そういう経過から今次国会でその国民の世論、期待に沿うような角度でベストとまでは言わなくても、少なくとも次善あるいは三善の形の内容において選挙のあり方がよりよくなるように、具体的には選挙法の改正が行なわれるかどうかということは、国民の最大関心事であり、そういうことは行政府、立法府の双方の責任でなし遂げられなければならぬものではないと私は見ている、考えているわけですが、所管大臣としては、そういう基本的な把握の仕方については、どういう見解でおられるのか承りたいと思います。
  113. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) おっしゃるとおり、この選挙公明化というものは、あらゆる面から進めていかなければなりませんので、法的な改正もその一つの非常に大きな要因になると思いますので、でき得る限り適切な改正案をぜひこの国会で実現いたしたい、こう思って改正法案を出したけわであります。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうあなたが言葉どおりの認識、腹でおられるならば、それを前提として私はあと二問いたします。  その第一問は、選挙制度審議会から答申があった。それに基づいて、紆余曲折はあったけれども、内閣提出の形で法律案国会に提出された。今、衆議院で本附託、審議中でありますが、大臣としては、この国会選挙法の一部改正法律案が日の目を見、成立する、立法府においてぜひとも成立さしていただく見通しがあり、自信があるというものを担当大臣として持っておられるのかどうか。それとも、そういうものはクエスチョン・マークで自信がないというような現時点における見通し、心境にあられるか、それを伺いたい。
  115. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) たいへんむずかしい御質問でございますが、今、政府といたしましては、矢嶋さんの言われるこの時点において最良と思われる法案改正案を提出しております。したがいまして、この法案がそういう形で通過し、成立することを強く希望申し上げておりまして、もちろん、そうなるであろうという期待も持っておったわけでございますが、御承知のように、現在、自由民主党の中で一部、これは考え方によれば字句修正の程度であるというふうにも言われるかもしれませんが、そういった改正案が検討をされ、目下、提案の準備がされておる最中でございます。そういったような点とからみまして、私ども、これは委員会で願う問題でありまするから、にわかにここで是非の判断をあれこれ言うべきではございませんが、そういった情勢もひっくるめまして、最善と思われる方途によってこの改正案がとにかくこの国会でぜひ成立するよう、今でも大きな期待をかけております。また、でき得る限り、こういう方向での努力も続けておるわけであります。
  116. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣、もう二問は、今のを受けるわけですが、私は今の発言内容、態度から申しても、自治大臣には自信がないと推察いたしますがね、これは私はゆゆしきことだと思うのですよ。安井さんという自治大臣個人の問題だけじゃないと思うのですね。これは国民の側からとれば、この第四十通常国会を評価する場合の一つの大きな要素になると思うのです。それから、自治大臣としてもずいぶんといろいろ努力して参りましたが、公選法が担当大臣としてものになるかならないかということは、安井自治大臣の評価の大きな一つのファクターになると、私はこう思うのです。あなた個人の問題じゃなくても、先ほど申し上げましたように、国民の立場に立ってもそうだと思うのです。そういう観点から見た場合に、現時点における自治大臣の答弁の様子からいって、私は、自信を喪失しているのじゃないかというふうに推察するわけです。私は政治的生命をかけるべきだと思う。少しは言葉が荒っぽくなるかもしれませんが、醜態ですよ、率直に言って。選挙制度審議会答申が出てから政府案を決定、国会に提出する過税、それから最近になって、この修正をしようというこの経過を見れば、私は醜態の一語に尽きると思うのだね。それは失礼ながら、私も含めて、日本の国会議員の中にはわからず屋がおるでしょう。だから、それは担当大臣としては苦労はするでしょう。しかし、そのわからず屋の意見を最大公約数の意見で押えて国民世論の指向する方向に導いていくということは、私は当該大臣なり、あるいは政府政治的手腕であり、識見のもたらすところでなければならぬと思う。それは失礼かもしれませんが、この一連の最近の流れというものを見れば、  これは醜態のきわみですよ。それらの動きというものは、一波、二波、三波を呼びますよ。その結果としては、私は、この件に関する冒頭にあなたに質問をいたし、あなたも認められた大きな目標、国民の期待には沿い得ない結果、具体的に言うならば、公職選挙法改正なるものは、日の目を見ない、成立をしない、こういう結果になる確率は非常に大きいですよ。だから、この時点に立っては、これは要望であり、あなたの決意を承るわけですが、私は政治的生命をかけるべきだと思う、自治大臣は。そうしてあなたの内閣を主宰する政権担当者である池田さんに直言すべきであると思うのですよ。この重要性に立って総理はいかにあるべきか、それは総理、総裁ともなれば、いろいろ思惑が入ってくるでしょう。しかし、そこは担当大臣が冷静な聡明な、場合によれば冷厳な態度を堅持されて、そうして総理に適切なる助言をし、決断を促し、そうして私は対処すべきものだと思うのですね。その迫力といいますか、決意と申しますか、そういう面が、ほんとうのものが欠除している面がある。そうして表面的に言の端で、口の先でものを論じている限度にとどまっていると私は判断をします。それではこの問題は解決しない。あと国会の会期というのは十日余りしかないですよ。衆議院は最終段階になっているようですが、私はやはり自治大臣としては、そういう決意をし、閣内においてそういう行動をすべき最終のチャンス、最終の期間に来ていると思う。これが、数日たってこういうことを論じ、あるいは総理に要望しても、死児のよわいを数えるたぐいに入って参りますので、この国会会期が最終段階に入ったこの時点で、やはり失礼な言葉もあったかもしれませんが、私の信ずるところに基づいて大臣に要望するとともに、所見、決意を承っておきたいと思います。
  117. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 最初申し上げましたように、公選法の改正というものは、私は非常に有力な選挙公明化方法の一つだと思っております。なお、改正案について熱列な通過の努力をいたしても参っております。現段階におきましても、総裁、あるいは政府あげましてこの問題の成立に今全努力をあげておる最中でございます。
  118. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ私がこういう意見を申し上げたということをひとつ忘れないでおいていただきたいことを要望申し上げて最後の質問に入ります。それは午前中、この改正法律案の第二百三十九条、二百四十四条の改正要綱に関するいわゆる地方公共団体が設置している公社に関する件であります。昼食前にお話ししました資料がここに提示されました。常々私申すことですがね、資料の提出年月日は入りましたが、自治省というのを落としておりますね。必ず資料を出すときには、その提出省庁名と、月日は必ず入れて下さい。でないと、国会議員にはいろいろの資料が来るので、これはどういう団体から出たものか、政府側から出たものか、いつの時点の資料かわからなければ、後日資料としての価値がないので、これは自治省と三字入れるのにたいして時間もかかるわけはないのだから、最近だいぶ資料の出し方はよくなってきましたが、きょうのは落ちていますから、あえて御注意申し上げておきます。  そこで内容ですが、公社、公団の新設が次々に最近続いているのですが、これは、地方公共団体にこれが移って参りました。広い意味で考えれば、こういう公社が次々にできるということは、納税者の立場に立てば、行政費がふえていくということになるのじゃないでしょうか、いかがですか、広い意味で考えれば。
  119. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは、役所関係の人件費、物件費等は、こういう新しい団体、機関ができまするというとふえて参ると思います。ただ、まあ従来やっておりました仕事を、それだけ能率的に経済効果を上げるように運営をして参るということになりますれば、その面からは、経費の効率的な運用ができて参ると、節減もできて参るというふうに見ることが可能だと思っております。
  120. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 公社の新設等というのは、幾つかの公共団体にまたがるのか、あるいは一つの公共団体でも、行政機構からいっても、その仕事の内容からいっても、特殊な内容を持っているというような特例の場合に限定して公社等は設けるのがあるべき姿ではないでしょうか、いかがでしょうか。
  121. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) お説のとおりに、本来地方公共団体機構を通して処理できますものにつきましては、地方公共団体で当然担当すべきでございまして、地方公共団体仕組みと別にこういう公社等の仕組みを通して処理したほうが通してでなければとうてい能率を上げることはできぬという限られた事務についてだけこういうものを考えていくべきだという考え方につきましては、私どもそのとおりに考えております。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣に伺いますが、最近地方公共団体公社の設立傾向というものは、これをさらに助長、推進するような指導をするのが適切とお考えになっておられるか、それともこういう傾向については、少しブレーキをかける、消極的な方向で適切なる助言と指導をするのが中央政府としては妥当だというような認識を持たれておられるか、その点のところを伺います。
  123. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) あんまり指導奨励するつもりはないのでありまして、これが乱用されますことの弊害についても、十分わかりますので、必要最小限なものに今後もとどめていきたと思っております。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私も同感ですがね、少し安直に作り過ぎるのじゃないかと思いますね。少し乱発し過ぎている傾向があると思いますね。これはよほど適切なる指導あるいは助言をしないというと、収拾がつかないというのは少し大げさかもしれませんが、非常に曲がった、ゆがめられた状態が出てくると思うのですね。現在の行政部局は、ただ計画するだけで、実施はすべて公社まかせというような、こんな形が出てきて、究極的には納税者の立場から見ると、行政費が非常にふえる、税金がむだ使いといえば語弊があるけれども、効率的に使われないで、実質的には、税負担が住民の側から立てば多くなるという傾向が出てくると思うのです。まああなた方お役人さんを前にして失礼かもしれませんが、大体どこの国でもそうだが、日本は特に官僚王国ですから、天国ですからね。だから、優秀な人がお役人になっているから、われわれもそれは敬意を表するところは表しますよ。しかし、路傍の夏草のごとく、それははびこっていくものですよ。これはしょっちゅう納税者が踏みつけておいてちょうど適当になるので、これをあがめ奉っておったら、これは道一ぱい雑草がはえ繁って手に負えないことになるのじゃないかと思う。それだけやっぱり知恵の多い人がなっておるわけで、こういう傾向もそのたぐいの一部ですよ。だから私はあえて、ちょっと失礼になる点があるかもしれませんが、警告を含めてこういう質問をまずしたわけです。これお認めになられたようですから、この内容をちょっと伺っておきたいと思います。まあこれらの公社に対して、改正要綱の第二項として、公共団体の関与方法を定める云々というのはこれは適切だと思う。何も関与せぬということはこれは適切ではなく、これは、私としてはこの方向は適切だと思いますが、これは資料を出していただいた機会に、これをちょっと目を通してみたいと思うのですが、都道府県で設けていないところは三県ありますね。この三県はなんですか、あなたの知る範囲内では最近設けるという傾向がありますかどうですか。
  125. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 三県それぞれの事情はよく存じておりませんが、最近、ちょっとこれに関連した話を聞きましたが、山梨県でございますが、山梨県では開発部というのを新たに設けまして、これは地方自治法規定をされております部以外に、自治大臣に協議をして増設するわけでございますが、それを作りまして、通常その公社でやっております仕事もその開発部の仕事としてやるようにしたい、こういうお話もございまして、これは自治省のほうで認めることにいたしたのでございます。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなると、青森と熊本だけが残るわけですな。これは市町村を見ると、設けていない県は十二県ですね。そうして、都道府県市町村、両方表を見た場合に、それは、それぞれの都道府県規模は差がありますけれども、この数字を見て感ずることは、都道府県によって、公社に対する態度というのは相当差があるのじゃないかと思うのですね。ある都道府県、ある市町村においては、何かといえば公社公社と、こういく、そういう傾向の団体と、しからざる団体との差というものが非常に顕著になりつつあるのじゃないかと思うのですね。そうなると、あまり必要を感じていない都道府県なり市町村が、どことどこに幾つあるから、うちもやろうというようなひとつの流行のようになって、それほど必要性もないのにそういう好ましからざる流行の流れに押し流されて、その奔流に飛び込んでいく傾向が出てくるおそれがあると思う。ある程度ここで流れを食いとめる、チェックすることも大事な時期に来ているのじゃないか、こう思うのですがね、この点はいかがですか、あなた方の認識は。
  127. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 県によりまして、いわゆる公社というものについての考え方がいろいろ違っておることは、私どもも、県関係者に接触いたしまして、そのとおりだと思います。それから、これをもっと強力にチェックすべきでないかという御趣旨でございますが、私どもも、先ほど大臣も申されておりましたように、このまま野放しにしていくというつもりはございませんで、むしろチェックはして参りたい。ただ、そのチェックの程度でございますが、実は立案の過程におきましては、一定額以上地方公共団体出資しているようなものにつきましては、許可制にするかというようなことも検討したこともあるのでございますが、しかし、これらのいわゆる公社ができて参りますにつきましては、合理的な理由もまたあるわけでございますので、許可制までにすることは適当でないということにいたしまして、御審議いただいております案のように、地方公共団体関与を強めていくということによりまして間接的にチェックをしていくと、こういうような考え方をとったわけでございます。
  128. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この表を見ますと、住宅関係、開発関係の比率は、都道府県の場合は、三十二対十八ですね。市町村になると、それが二十六対七十九と、大きく逆転しているのですが、これはどういうふうに認識したらよろしいのでしょうか。
  129. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは、正確にどういうふうにこれを見たらよいか存じませんが、大体この開発関係とここにあがっておりますけれども、その中にはいろいろな種類の事業が入っております。それで、もちろん大規模な開発関係事業は県が主体になってやっておる場合が多いわけでございますが、市におきまして、最近工場誘致あるいは開発というようなことで、かなり積極的に動いているところが多いわけでございますから、個所といたしましては、市のほうが数が多くなっておりますが、やはり大規模な開発事業は県が中心になってやっておるというふうに私どもは感じておるわけでございます。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 数だけがこうで、量等実質的内容というものは、都道府県の場合と市町村の場合を問わず、こういう表の中に出ているような数字の逆転関係はないと、こういうふうに見ておって間違いないというわけでしょうか。
  131. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この開発関係につきましては、大体私はそういうふうに見て間違いないのじゃなかろうかと思っております。それから、住宅関係につきましては、これは市でも相当規模の市ではかなり住宅事業をやっておるところもございますので、これはまあ大体都道府県でも市でも相当やっておるというふうに見ていただいていいと思います。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つこの法案について伺っておきたいと思うのですが、それは午前中伺ったことに関連するのすが、退職手当の算定の基礎となる勤続期間通算の問題ですが、Aという団体に勤めて、退職手当を受けて、そうしてBという団体に移った人が、Bという団体で退職する場合に、Aという団体から移る場合にいただいた退職手当を何らかの形で実質的に返還する形をとって、ABの両団体の勤続年数を通算した形においてBという団体の退職手当条例で退職手当を受けるような条例を、Bという団体においても、Aという団体においても作ることは可能だと思うのですが、いかがでございますか。
  133. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 退職手当は給与の一種という性格を持っておりまするので、ある団体を退職いたしまして、そこで退職手当の支給を受けて、それから他の団体に移りました場合には、もうそれでその退職手当については、これが終わってしまっておる、こういうふうに考えますのが従来の考え方でございます。したがいまして、私どもも、もうすでに退職手当をもらってしまった者についてまで、あとでさかのぼって通算措置講ぜさせるというような指導は、ちょっと筋も通りにくいと思いますし、まあいたしかねると思っておるわけでございます。ただ、まあそういう条例を、かりに非常に善意な団体がございまして、おおらかな団体かございまして、作ったといたしました場合に、その条例が違法かどうかということは、これはもちろんその条例でさかのぼってそういう通算を認めるという措置規定いたしますれば、これは可能ではあると、かように考えております。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣に重ねてこの点を伺っておきますがね。この法律が公布施行される、まあ物理的に考えればですよ、時間的に考えれば、二、三カ月前に、通算されない形で身分の異動をはかったという人と、それで法律が通ってから二、三カ月後に移った人とでは、その両者に関する限りは、大きなそこに格差ができるわけですわね。そういうふうなことから、あるいは地方団体で、私が申し上げたように、払い房させるとか、あるいは天引きするとかいうような形で通算措置を講ずるとか、過去にさかのぼって。あるいは過去二年間程度のものに限っては通算措置をしようとか、そう条例を作ることは何ら妨げないですね。今の政府委員答弁を確認してもらうわけです。
  135. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 非常にデリケートな問題ですが……
  136. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、デリケートじゃないですよ。
  137. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ちょっとこちらからそういう指導をするというわけにもいきかねようかと思うわけでございます。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、そういう条例を地方団体が作ることは何ら妨げないということを確認してもらえばいい。
  139. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) それは、自主的にお作りになる場合には、それはもうそれでけっこうでございます。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 けっこうです。
  141. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑はこれにて終局することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  143. 小林武治

    委員長小林武治君) 引き続き、災害対策基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑の方は御発言を願います。
  144. 加瀬完

    ○加瀬完君 この衆議院の附帯決議がありますがね、「個人災害の援護に関し必要な立法措置」という附帯決議がありますが、この点は私は非常に欠けていると思うのですけれども、何かそういう具体的な陳情等はございませんか。衆議院の地方行政委でつけた附帯決議の第二項の問題です。
  145. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 個人災害の援護の関係は厚生省の所管になるわけでございますが、私どもあまりつまびらかにはいたしておりませんが、厚生省関係にはいろいろ要望が来ておるように承っております。
  146. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、個人災害だけでなくて、個人災害的な小さい災害が町村の中にも起こるわけですね。しかしそれは、災害対策としてですね、あるいは災害関係法で取り上げられるような対象にはならない。しかし、個人から見れば、それはやはり大災害を受けたところとあまり変わらないような災害の具体的な事件にはなっておる。たとえて申し上げれば、その地域は災害地域じゃなかったけれども、何かその急激な土砂のゆるみで、二、三軒のうちが全部土砂の崩壊でまるつぶれになった。あるいは地すべりのために、ほんの一軒か二軒だけれども、全然家屋の体をなさなくなった。こういう小災害があるわけですね。個人にとっては、小災害であってもこれは全財産を失うような大きな問題なんですよね。しかし、これを市町村が援護したくても、現状においては援護のしようがないでしょう。しかし、こういう問題もまあ見過ごすわけにいかない。といって、法的根拠がなければ、地方予算を組んで、一軒のうちの災害というものや数軒のうちの災害というものに費用をたくさん出すわけにいかない。しかし、こういう小災害というものは非常に多い。これはまあ災害基本法のその内容には当たらないかもしれませんけれども、そういうものをもここでは含ませておるのかどうかはつまびらかではありませんが、事実はそういう市町村にとっては救済しなけりゃならない。しかし、その法的に根拠はないという問題が必ずあるわけです。これらは何か、たとえば市町村で手当をした場合は、特別交付金か何かである程度見てやるといったような方法はとっていただけますか。
  147. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 今御指摘になりました問題は、むしろ一のほうのこの地すべりでありますとか、あるいは高潮対策その他というところで、昨年伊那谷等に起こりましたようなああいう問題でございますとか、そういういろいろなものが一のほうに包含されておるかと思っております。で、御指摘の問題につきましては、これをみな政府それぞれ関係省で分担をいたしましていろいろ検討をすることにいたしておりまするので、それぞれ関係のところに連絡をいたしまして検討するようにいたしたいと思います。
  148. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、その市町村で特別な措置をとった場合は、財源的にある程度考えてもらえるかどうかということです。特別交付金などのときに、それが内容として含めてもらえるかどうか。
  149. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) これは内容によりましてはもちろん特別交付税の詮議の対象になると思います。
  150. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから、この災害復旧のそのやり方ですね、あれは五・二・三ですか、あの方法はもっと改める必要をお感じになりませんか。といいますのは、災害の復旧の間にもう一つ災害が重なるというふうな場合がずいぶんありますね。あれを早くやっておけば災害が防げた場合も、補助金なんかの関係で三年間の継続事業になるので、どうしても災害にダブられてさらに費用がかさむという例がずいぶん多いわけです。だから、地方団体実情によっては繰り上げてやっても何か財源措置を講じてくれるといったようなことは考えられないですか。大体災害がね、三年で終わりませんよ。災害復旧はずっと延びちゃうから、延びればまた災害が重なる。こういう陳情を私たち地方へ参りますとずいぶん受けますけれどもね。何回も問題になるけれどもさっぱり改まらない。
  151. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 御指摘のような苦情は私どもも伺っておるところでございます。そこで、この災害対策基本法の中では八十八条、八十九条、それから九十四、五、六条くらいまでの間に、国の財政金融措置についきましていろいろ原則的な考え方が示されておりまするので、その趣旨に沿いまして検討はいたすべきであるかと考えております。
  152. 加瀬完

    ○加瀬完君 これも間接的な質問で恐縮ですがね、たとえば地すべり等は徹底的に調査をしたくても、地域は何カ町村にまたがるということは少なくて、割合に一地域に狭められてくるのですね。一つの町村がたくさんの費用をかけて地すべりの地質調査をしようと言ったってなかなかできない。だから、災害を受けたときには、これは金をかけてもやらなければならないと思っておっても金がないので、しばらく甲論乙駁しているうちに地すべりがやんで災害がとまる、じゃ、今度はいいだろうと思って地質調査を怠っているとまた地すべりが起こるという例がありますね、地すべりを例にとれば。こういうものも政府のほうで責任を持って災害防止対策の一環として地質調査なり、あるいは災害原因調査なりというものをしていただくような方法はとれませんか。これは大臣に伺いましょう。それをやってもらわないと、あとになってから、予防注射をやらないで病気にかかってから病院に入れるようなものです。
  153. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 地すべりというやつは、おそらく特殊な地帯に起こるものが多かろうと思います。したがいまして、その予想される地帯に対しましては、これは直接検査をするとか、調査をするのは、主管省は建設省かと思いますが、十分自治体と協力いたしまして、私のほうはそういう手配ができるように心がけたいと思っております。
  154. 加瀬完

    ○加瀬完君 地質調査をするのは建設省でしょうけれども、その財源の心配を自治省でしていただかなければ困ると思う。この点はどうでしょう。これは大蔵省も、大蔵大臣に限って承知をしますよ。
  155. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これは大蔵大臣が承知する、しないにかかわらず、自治省としては、当然補正予算措置をとるべく、この方法はいろいろあろうかと思いますが、努力しなければなるまいと思っております。
  156. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) ただいま御質問のありました問題に関連をいたしまして、自治省で災害対策基本法の趣旨を含みまして措置をいたしました一例を申し上げますと、伊那谷のケースでございますが、これは先生の御指摘のように、災害常襲地帯に地すべりがあった、そのあとでまたいつ地すべりがあるかもしれないということで、むしろこれは農地の災害復旧ではなくて、そこに住んでいる住民をほかへ移住をさせるというほうが恒久対策としていいんじゃないか、こういう地元からの強い要望もございまして、国会からも御意見があったかと思いますが、これに対しましては、関係省と折衝をいたしまして、農林省に計上されております農地の災害復旧の予算自治省に移しかえをいたしまして、——これは予算総則で善くわけでございます。そうして移住関係の経費に使用できる、こういう措置を今回いたしたわけでございます。
  157. 加瀬完

    ○加瀬完君 これで終わりますが、いろいろ調査の結果、これは将来やはり地すべり、その他災害の危険性があるから移ったほうがいいということで移ることはけっこうなことだと思います。しかし、経済条件というものは、必ずしも移っていい場合ばかりはありませんからね、移れない場合だってありますから。また移れない場合としても、将来たび重なる度数、度合いで災害があるということならば移らなければならないと思いますけれども、移るにしても、移らないにしても、もう少し徹底した調査をしてもらいたいというのが、やはり市町村では第一の希望だろうと思う。その点やはり費用をきちんと組んで自治省のほう、あるいは県に担当させるなりしてやっていただければ、相当、災害は防げないにしても安心感は得られるのじゃないかと思いますので、この点はお願いをいたしておきます。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干伺います。この法案は先国会の災害対策基本法の実質的継続審議だと思います。それで、その角度から二、三伺いたいと思うのですが、かりにこの法律案が本国会成立した暁において、この法案並びに母法であも災害対策基本法、これの施行時期をいつと予想せられておるのか。   〔委員長退席、理事増原恵吉君着席〕 御承知のごとく、母法では「公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から」、かようにうたってあるわけですね。それで、おそらくこの法律案国会成立すれば、いつごろから施行するという政令を定めようという腹案を持っておられると思うのです。そのことと、それから母法並びにこの改正案の成立によって必要な予算ですね、その計上はいつから予算の計上をされるお考えか。もし本会計年度中に補正予算でも組まれる必要性が起こったような場合には、そういう場合に計上するという考えがあるのか。それとも補正予算の編成されるような場合があってもそれは見送って、昭和三十八年から計上しようというような方針でおられるのか。その辺のところをまず承りたいと思います。
  159. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 法律の施行の時期でございますが、成立いたしましたならば、なるべくすみやかに施行をいたしまして、この夏に予想されます災害に間に合うようにいたしたい、かように考えております。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣に伺いますが、なるべく早く施行を政令できめたいということです。そうして本年度万一災害が起こるような場合に備えたいということですが、けっこうなことだと思うのですがね。そうすると所要費用、予算の計上ということになってきますが、補正予算でも編成する機会があれば要求し、計上されるおつもりでおられるものと推測しますが、自治大臣に伺いたいと思います。
  161. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 防災会議に必要な予算はすでに三十七年度予算に計上いたしております。その他につきましても、できるだけ充足し得るように措置をし、補正予算の機会があればそれを実現したい、こういうふうに思います。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その方針でけっこうだと思います。第三十九国会において災害対策基本法が成立した場合に、立法府で附帯決議がついておりますね。「政府は激甚災害に関する恒久立法を次期国会に提案し、」とありますが、次期国会とはこの国会になっておると思うのですがね。さらに本法律案が衆議院において可決される場合に、あらためて「激甚災害に係る統一的恒久立法を直ちに今国会に提案するとともに、」云々という附帯決議がついておると思いますが、この立法府の要望に政府はこたえられるお考えか。また、こたえ得る自信を現在持っておられるのかどうか、その辺のところを伺いたいと思います。
  163. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 決議の条項もございましたし、また、われわれは決議がなくても当然あるべきものだと思って鋭意準備を進めて参ったのでございますが、なかなか各省間の意見の統一というものが困難な状況にございまして、目下調整中でありまして、でき得ればこの国会へ出したいと思って今も急いでおります。確認できるという段階までまだ遺憾ながら参っておりません。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務当局に伺いますが、その作業段階は何合目くらいまでいっておると判断しておりますか。
  165. 川合武

    政府委員(川合武君) 激甚災害の作業は、十数回、二十回近くの各省の打ち合わせを行なっておりまして、目下も作業中でございまして、大体考え方その他の問題点の整理につきまして、私どもの見方をしいて申し上げますれば、ほぼ完了に近いというふうに思っております。九合目くらいかと思います。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ、自治大臣、この国会に提出できるじゃないですか。
  167. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 私どもはぜひ出したいと思って今鋭意検討中でありまするが、非常に国会の日数も迫ってきておりまして、あまりこの段階で確認的なことを申して、もし間違えるといかぬので、たいへん大事をとっておったわけであります。何とか出したいと思うし、出せるのじゃなかろうかという非常な期待を持っております。   〔理事増原恵吉君退席、委員長着席〕
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこに微妙な実態が今の両者の答弁に露呈されておると思うのです。一、二説明して伺いますが、この災害に対する特別立法が制定されるようになったのは、昭和二十八年の二十八災のときです。あの当時に、九州、関西一帯にものすごい災害があって、私は当院の災害対策特別委員長、衆議院は後に建設大臣になった村上勇代議士が特別委員長で、協力して二十数本の災害特別立法を成立させた。その過程において、当時の大蔵省主計局から、やめてほしい、現行法規のワク内でやりますからという抵抗があった。ところが、成立、公布、施行されたわけです。その当時、こういうものをやられたのでは今後困るといって相当不満を内々聞いたわけです。以来災害があるたびに、あの二十八災の特別立法に準じて立法されてきているのです。それが恒久立法へとつながってきているわけです。そこで、現時点において、僕の推測ですよ、それから関係官庁を回ったときの僕の受けたにおいだ、特定官庁からそういうことを聞いたわけではなく、僕の直観、においですが、それは立法府で、恒久立法をこしらえろという前国会で附帯決議がついた。今国会も衆議院で附帯決議がついた。そこで、恒久立法をぜひやらなければならぬ、大蔵省はこの機会に早急にまとめよう、それにはかなりに押えたものをまとめよう、つまり大蔵省に有利な火事どろ的な考え方が出てきているのじゃないか。ところが、他の省庁ではいや困る、ここでこういう時間的に切迫した時間内に大蔵省から押えられて恒久立法をまとめるというと、非常に分の悪いあまり好ましくない内容のものにまとめられるおそれがある。だから、大蔵省と他の省庁は立場がちょっと違って、大蔵省は今限られた時間内に早くまとめにやならぬという政治情勢から、まあこういう切迫した時間を利用して大蔵省の考えの線で案をまとめよう、他の省庁はむしろ引き延ばしをやって、今まとめられたら分が悪いから、これを引き延ばししようというような、どうもそういう微妙な段階にあるような直観がするのです。においがします。これは僕の勝手な判断かもしれないが、僕はそうはずれてないという感じがします。そこで、大蔵当局にお伺いしたいのですが、まだ御出席になっておられませんか。  ちょっと速記をとめて下さい。
  169. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記をとめて。   〔速記中止
  170. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記を始めて。
  171. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治大臣に重ねて伺いますが、政府委員答弁では、恒久立法に対する政府部内の調整は九合目まで達成しているということです。そうなれば災害対策基本法の立法の趣旨に沿い、地方公共団体並びに国民の期待している線に沿うような内容を盛った恒久立法というものを本国会に提案し、成立するように、内閣で最大限の努力を払われることが、立法府の決議の趣旨に沿うことでもあるし、さように今後とも御尽力いただきたいという念願を含めて、今後に処す自治大臣の決意を承っておきたい。
  172. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) お説のとおりでありまして、これは決議の趣旨もございますし、私ども、これは本来不可分の問題だと思っておりますので、非常に取り急いでおるわけであります。ただ急いだあまりのまた手落ちがあってはなりませんので、そういう点も考慮しながら、何とか間に合わせたいと目下努力中でございます。
  173. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私としては、自治大臣のおられる間にあと二点伺っておきたいと思います。  その一つは、この附帯決議が前国会でなされておるわけですが、母法が公布施行されていないわけですから、附帯決議をつけて内閣がどの程度この附帯決議の実現に努力されているかということを追及するのは、現在は適当でないと思いますけれども、その中の一つだけ私は伺っておきたいと思います。それは、この前国会なされた附帯決議の四項の気象観測の重要性に関する点ですね、この点については、昭和三十七年度予算の編成状況を見守っておったわけです。若干の考慮を払われたということは私は認めますけれども、あえてこういう附帯決議までなされた経緯からかんがみて、予算編成時における努力は不十分じゃないかと思うのですね。最近非常によく気象観測予報というものは的中するようになりましたね。これが災害時においては非常に関係が深いわけは、この数カ年間の幾多の実例で実証していると思うのですね。だからこそ、こういう附帯決議というものがわざわざなされたと思うのですが、これに対する自治大臣の反省なり、今後の決意を承っておきたいと思うのです。
  174. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 気象関係に対します施設が災害防止あるいは災害事故の対策上も非常に必要であるという御指摘は、お話のとおりでございまして、私どももできるだけこの観点に留意しまして、予算等の措置もそれぞれ増額はいたしております。しかし、まだ十分な点までは参っておらぬかと思いますが、さらに今後この点は十分促進していきたいと思う次第でございます。
  175. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省から御出席になったのは宮崎主計官ですね。
  176. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 宮崎でございます。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お伺いいたしますが、激甚災害に関する恒久立法制定、内閣から国会に提案してほしいという要望は、前国会、今国会を通じてなされているわけですが、こういう法律になるというと、予算を多く伴う問題ですから、関係各省の中でも大蔵省の発言力と申しますか、その方針というものは、非常に事の成り行きの影響は大きいと思うのですが、大蔵省としてはこの立法も決議の線に沿ってこの国会に恒久立法を提案できるようにという角度で、各省庁の意向を聴取し、政府部内の意見を調整してまとめる方向へ進んでおられるのかどうか、また、その見通しは大蔵省としてはどういう見通しを持っておられるのか、その辺のところ伺いたいと思います。
  178. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。先ほど自治大臣からお話がございましたと思いますが、関係各省非常に多うございますので、内閣を中心といたしまして何度か関係局長会議を開きまして、だんだん煮詰まって参りまして、現在法案としてこれを作成する作業をいたしております。内容的には一、二の点でまた問題が残っておりまするけれども、大蔵省といたしましては、ただいま自治大臣のおっしゃいました線で最大限の努力をして、何とか今国会に間に合わすように努力して参りたいということで努力している最中でございます。予算的な面につきましても、関係各省のお話を十分伺いまして、それぞれ調整を進めておりますので、そういった線でまとまるものと私どもは期待しておる次第でございます。
  179. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その立法府で、恒久立法を国会に内閣から提案してほしい、制定したいということは、内容はどんなものでもいいというわけじゃないですからね。立法府がそういう要望を持っているという内容というものは、大かた推測できると思うのですよ。内容次第では、たとえこういう附帯決議をしておっても、そういう拙速は好ましくないという考えを立法府は持っていると思うのですね。少なくともこの激甚災害にかかる恒久立法というものは、予算的に見れば毎会計年度に災害が起こり、それに対する特別立法というものが幾たびか立法化されて参りましたが、それを下回る、実質的に下回るようなものは、立法府としては絶対といっていいほど考えていないと思うのですよ、この決議の内容では。そういう方向政府部内の調整をやるべきであり、やっていただいているものと私は推測をするのですが、いかがでございましょうか。
  180. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御指摘の趣旨は私どもも十分体してやっておるつもりでございますが、この基本法九十八条にございますように、今度作ります激甚災害の恒久法というものは、災害の発生のつど制定することをしないで恒久的な制度にするということと、国の負担にかかる制度の合理化をはかるという点がここにもいわれておるわけでございます。そういう意味におきまして、従来の特例法といいますのが、御承知のとおり、災害が起こりまして急遽作りますために、その態容といいますか、必ずしもこれが合理的とばかりもいえない面もございます。したがいまして、新しく作ります法律としましては、やはり合理化という面が相当程度入ってくるということになるかと思います。そういうふうになりまして、実質的に従来の実績より上か下かという判断、これは非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、同じような災害が今後起こるということでもないわけでございますから、その各種の災害の組み合わせ方いかんによりまして、いろいろその点は甲乙の点も出て参ろうかと思いますが、私どもといたしましては、一応三十四年の伊勢湾台風というようなものの実績等考えまして、そういったものと比較して全体としては遜色のないようなものにするのが妥当じゃないかと、こういうような考え方で関係各省とお話ししておるような次第であります。内容のこまかい点、あるいは個々の団体に適用した場合において甲乙というものは出るかと思いますが、全体の考え方はそういうようなことで処置して参りたいということで、ただいま各省と話し合いをいたしておる最中でございます。
  181. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一問いたしますがね、私はちょっと不安を持っているのですよ。それはまあ大蔵省としては予算支出の面を当然考慮されるから、大蔵省の皆さん方としていろいろと配慮されるのは当然かと思いますけれども、何分にもこの国会中に恒久立法を提出せよと、こういう時間切れの制約を受けていますからね。これを、あるいは失礼かもしれませんが、うまく利用されて時間切れでひとつ大蔵省の線で調整、まとめようというような立場に大蔵省は立っておられるのではないか、この点については、恒久立法は必要であり、災害対策を考えたいという点については、それは大蔵省といえども、あるいは農林、文部、建設、厚生にせよ、同じだと思うのですよ。しかし、具体的な面になりますと、財布のひもを握っている大蔵省と、それから他の省とは若干の私はやはり食い違いが出てくると思うのですよ。それがこの国会中という時間切れの問題があるわけですね。そういう状況下において、私は今の時点では、大蔵省は各省庁を追い込んでいる形じゃないかという直観を受けるわけなんですがね、それはやはり過去の経緯からくるわけなんですよ。この特別立法なるものは、昭和二十八年災のときから起こったのですね。当時私は参議院の災害対策特別委員長で、衆議院側と与野党協力して二十数本の特別立法を制定したわけですがね。その当時大蔵省から相当の抵抗がありましたよ、公私ともに。そういう高率補助の立法をされては困る、それ以来毎年の災害のたびに二十八年災の特別立法に準じたものが、議員立法の形で成立して参ったわけですね。今立法府で考えていると、それから国民、特に災害によく襲われる地域の国民が期待しているものは、災害のたびにああいう特別立法をやるのは、災害復旧に適時的確に手が打てないし、事務的にもめんどうだから、もうある基準の災害が起こった場合には、自動的にその法律が発動できるように恒久立法をしておきたいという、この点に尽きるわけですね。だから激甚災害とは何ぞやという定義はありましょうけれどもね、毎年の災害に対してとられている特別立法の内容、実質に下回るようなものは夢にも思っていないわけですからね。だから、その点は決議の趣旨を間違われないように十分把握されて、関係各省の意向もよく聞かれて、まあこの国会に間に合うように政府部内の調整をしていただかにゃならぬと思うのですね。その際に私がまああるいは邪推と言っては、あなた方は立腹されるかもしれませんが、財政負担という角度から大蔵省のほうで各省庁を押えて、われわれが予想して期待しているものより下回るような恒久立法を政府部内でまとめられて国会に出るということは、心外ということになるわけですね。私個人の見解をあえて言うことを許されるならば、私は、拙速よりは若干時間がかかってもやはり内容のりっぱなものが恒久的な法律として立法されたほうがいい。あえて私個人二者択一ということになれば、私はそういう見解を持っているのですがね。ところが、立法府のほうでこの国会にぜひ出せというワクがはめられている、時間的制限があるところから、どうも政府部内の関係省庁と若干の食い違いがあって、私の懸念するような方向に行くのではないかという予感がしますので、実情を聞くとともに、われわれの意見も聞いていただき、あなた方の今後の対処の仕方を伺っておきたいと思って、本委員会に御出席を願ったわけです。その角度からお答えいただけば、私以外に質疑がなかったならば、本委員会を退席していただきたいと思います。
  182. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) まことにごもっともな御指摘でございまして、大蔵省といたしましても、この激甚災の法律を作るということにあたりましては、やはり今後恒久的な制度としてこれを動かしていこうということでございますから、関係各省庁とのお話し合いにいたしましても、細部の点にいたしましても、十分に検討して、そうしてだれが考えてもこの辺ならば最も合理的であり、妥当であろうというような案を作るべきだ、こういうことで努力をして参った次第でございます。案の内容につきましては、いずれ国会に提案いたしました後にごらんを願うわけでございますけれども、ただいま御指摘のような点も私ども十分考えて処置して参るつもりでございますので、そういう点では十分の努力をいたしたつもりでございます。ただ、御承知のとおり、過去の災害特例法といいましても、これが二十八年、三十四年あるいは三十六年の災害のようないわゆる大災害にあたりまして相当の本数の特例法が出ておる、その間の時期におきましては、特例法というのは、比較的少ないわけでございます。それが災害の実態と合うか合わないかというようなことになりますと、かなりいろいろな議論が出るかと思います。そういう点をいろいろ関係名省の御意見を承り、また、われわれも意見を出しまして、そうして先ほど申しましたように、内閣の会議においてこの辺ならばという案の内容が固まってきた、こういう事態でございます。個々の事業あるいは個々の団体ということになりますと、先ほど申しましたように、あるいは従来の災害特例に比べて懸隔があるというようなものも生ずるかもわかりませんが、一方においては、そういう場合にはまた別途の事業、別途の団体においては、逆に従来の特例よりも上回る措置が行なわれるというようなことになろうかと思います。全体合計してみれば、そういう意味では従来のものに遜色のないようなものになる、こういうふうに今私ども考えておるわけでございます。そういうことで関係各省とも十分のお話し合いをいたしておりますので、今後ともただいまの御趣旨も十分体しまして、なお未決定の案件もございますので、そういう点を至急調整をするように努力したい、こういうふうに考えます。
  183. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 宮崎さんのおられるときにもう一問消防庁の次長にお伺いしたいと思いますが、先ほど私は若干意見を述べて伺ったわけですが、私が発言したような内容を体して、そういう線で政府部内の意見調整に自治省側としては臨まれる、かように了承しておってよろしゅうございましょうか。
  184. 川合武

    政府委員(川合武君) ただいま御指摘のとおりのつもりで私どもも激甚災害に対します作業に加わっておるわけでございます。
  185. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと二問ほどありますが、大蔵省の説明員は、ほかに要求者がなければ、退席して差しつかえありません。  あと二点の第一は、三十九回国会に提案された法案の第八章災害緊急事態、この章がペンディングになった、その処理として本法律案が出て参っているわけですが、その国会から論じ尽くされたことでしょうから、本日多くを質疑いたしませんが、現在審議の対象となっている法律案と、三十九国会に出された当時の法案の第八章の災害緊急事態との大きな相違点というのは、どういう点だととればよろしいのか、その点お答えいただきたいと思います。
  186. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) 第一点では、実質的には第八章に関係がございますが、条文としては第八章ではなくて、第十一条になっておりますが、災害緊急事態の布告をいたします際に、中央防災会議に諮問をするということにいたした点でございます。  それから第二点は、第百九条の緊急措置政令に関する規定でございますが、これの第二号、第三号につきまして、前国会に提案いたしましたものの表現が、種々御意見もあったようでございますので、これを趣旨を明確に書き改めたのでございます。  そのほか若干の字句の整理をいたしております。
  187. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの答弁のとおりだと思います。その中で、字句の修正の中で、社会の秩序という「社会」という活字が点々と削除修正されている。これに至る経過においてはどういう議論がなされ、どういう角度からこういうふうに改められたのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  188. 佐久間彊

    政府委員(佐久間彊君) この緊急措置に関する政令につきましては、前国会以来、憲法との関係でいろいろ御議論があったと承知しておるわけでございますが、そこで、この法案におきましては、この緊急事態の政令というものは、経済上の観点から必要な措置をとるのであって、これが治安上あるいは政治上の緊急事態に対処するものではないと、こういう趣旨を明確にいたしますために、「社会」という字句を削ったわけでございます。
  189. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その答弁非常にりっぱです。  最後の一問ですが、それは公布、施行の時期が、さっきの答弁で大体見通しが立つわけですが、そうなりますと、一日も早いほうがいいと思うんですが、防災計画の概要がきまるのはいつごろになるんでしょうか。いつごろまでにはきめたいとあなた方ではお考えになっておられるか、承っておきたいと思います。
  190. 川合武

    政府委員(川合武君) 先ほど行政局長が御答弁しましたように、夏から秋にかけましてのシーズンに備える必要もございますし、さらには、最近は集中豪雨というようなこともございますので、できればそれに備えたいのでございますが、何分にも基本的な計画となりますと、相当慎重に検討いたさなければならない点もございます。ただ正式には中央防災会議が発足してからでございますが、実は内々目下勉強いたしておるつもりでございまして、ことに都道府県あるいは市町村の計画も現場で必要と思いますので、そういう点につきましても都道府県市町村間とお互いに勉強いたしております。できるだけ早く計画を作りたいと思います。
  191. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 要望を申し上げておきますが、国民の多年の念願であり、また日本の政界でも長く論じられて参った災害対策基本法が二国会にまたがったの審議で、ここでようやく整備成立することに相なるわけですが、現時点においても、研究、勉強されておるということですけれども、法律成立し、公布されたならば、できるだけ早い機会にこれを施行し、この法の根幹となるべきものが一日も早く策定されるように、格段の御努力をいただくように特に強く要望して、私の本法案に対する質問は終わります。
  192. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑はこれにて終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は二十六日午前十時開会といたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会    ————・————