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1962-04-03 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第20号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十七年四月三日(火曜日) 午前十時四十三分開会
—————————————
委員
の
異動
三月二十九日
委員館哲二
君及び
増原恵
吉君
辞任
につき、その
補欠
として
西田
隆男
君及び
西田信一
君を
議長
において 指名した。 三月三十日
委員西田隆男
君、
西田信一
君及び
杉山昌作
君
辞任
につき、その補 欠として
増原恵吉
君、
館哲二
君及び大
竹平八郎
君を
議長
において指名した。 三月三十一日
委員小柳牧衞
君
辞任
につ き、その
補欠
として
高橋進太郎
君を議 長において指名した。 四月二日
委員高橋進太郎
君
辞任
につ き、その
補欠
として
小柳牧衞
君を
議長
において指名した。 本日
委員松永忠二
君及び
鈴木壽
君
辞任
につき、その
補欠
として
小笠原二三男
君及び
加瀬完
君を
議長
において指名し た。
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
小林
武治
君
理事
野上 進君
増原
恵吉
君 秋山 長造君 基 政七君
委員
西郷吉之助
君 館
哲二
君 津島 壽一君 鍋島 直紹君
小笠原二三男
君 矢嶋 三義君
国務大臣
自 治 大 臣
安井
謙君
政府委員
大蔵省主計局給
与
課長
平井 廸郎君
文部省管理局長
杉江 清君
厚生政務次官
森田重次郎
君
自治政務次官
大上 司君
自治省行政局長
佐久間
彊君
自治省財政局長
奥野
誠亮
君
事務局側
常任委員会専門
員
福永与一郎
君
説明員
厚生省保険局次
長 熊崎 正夫君
自治省行政局公
務員課長
松浦 功君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
の件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
災害対策基本法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
地方公務員共済組合法案
(
内閣提
出) ○
地方公務員共済組合法
の
長期給付
に 関する
施行法案
(
内閣提出
) ○辺地に係る
公共的施設
の
総合整備
の ための
財政
上の
特別措置等
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
小林武治
1
○
委員長
(
小林武治
君) ただいまから
委員会
を開会いたします。 初めに、
委員
の
異動
について報告いたします。 三月二十九日付をもって
委員増原恵吉
君が
辞任
され、その
補欠
として
西田信一
君が選任せられ、三月三十日付をもって
委員西田信一
君が
辞任
せられ、その
補欠
として
増原恵吉
君が
委員
に選任され、本日付をもって
委員松永忠二
君及び
鈴木壽
君が
辞任
され、その
補欠
として
小笠原二三男
君、
加瀬完
君が
委員
に選任されました。
—————————————
小林武治
2
○
委員長
(
小林武治
君)
理事
の
補欠互選
をお諮りいたします。 ただいま御報告のとおり、
理事増原恵吉
君が
委員
を
辞任
されたことにつき、
理事
一名が欠員となっておりましたところ、再び
増原恵吉
君が
委員
に選任せられましたので、同君を
理事
に選任することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なしと」呼ぶ者あり〕
小林武治
3
○
委員長
(
小林武治
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————
小林武治
4
○
委員長
(
小林武治
君)
参考人
の
出席要求
に関する件につきお諮りいたします。
地方公務員共済組合法案
及び
地方公務員共済組合法
の
長期給付
に関する
施行法案
の両
案審査
のため、
参考人
から
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林武治
5
○
委員長
(
小林武治
君) 御
異議
ないと認めます。
参考人
の人選及びその他の手続につきましては、
委員長
及び
理事
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林武治
6
○
委員長
(
小林武治
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————
小林武治
7
○
委員長
(
小林武治
君)
災害対策基本法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
安井自治大臣
。
安井謙
8
○
国務大臣
(
安井謙
君) ただいま
議題
となりました
災害対策基本法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
災害対策基本法
の
施行
に備え、同法及び
関係法律
について必要な
規定
の
整備
を行なおうとするものであります。 第一は、
災害対策基本法
の一部
改正
であります。 まず、
災害緊急事態
に関する
規定
を
整備
することであります。 これらの
規定
は、さきの第三十九回
臨時国会
において、「
審議
の日時も不足であり、重大な
規定
であるので、次の
通常国会
の
検討
に待つ」ということで削除されたものでありますが、当時述べられた
意見等
を参酌し、さらに慎重に
検討
いたしました結果、若干の修正を加えて
提案
することとしたものであります。 その
概要
は、次のとおりであります。 国の
経済
及び
公共
の
福祉
に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚な
非常災害
が発生した場合においては、
内閣総理大臣
は、
中央防災会議
に諮って
災害緊急事態
の布告を発し、
緊急災害対策本部
を設置することができるものとし、なお、緊急の必要がある場合において、
国会
が閉会中で、
臨時会
を召集するいとまがない等のときは、緊急放置しがたい次の
事項
について政令で
必要最小限度
の
措置
を講ずることができるものとし、もって国の
経済
の秩序の維持と
公共
の
福祉
の確保に遺憾なからしめようとするものであります。すなわち、(一)供給が特に不足している
生活必需物資
の配給または譲渡もしくは引き渡しの制限もしくは禁止、(二)
災害応急対策
、
災害復旧
または
国民生活
の安定のため必要な物または
役務等
の
最高価額
の決定、(三)賃金、
災害補償給付金
その他の
労働関係
に基づく
金銭債務
の
支払い
及びその
支払い
のための銀行その他の
金融機関
の
預金等
の
支払い
以外の
金銭債務
の
支払い延期
及び権利の
保存期間
の延長についてであります。 なお、
中央防災会議
の
委員
は、
指定行政機関
の長のほかに
学識経験
のある者を加えることといたしました。 第二は、
災害対策基本法
の
施行
に伴う
関係法律
の一部
改正
であります。 まず、
防災会議
の設置に伴い
中央災害救助対策協議会
、
地方災害救助対策協議会
及び
都道府県災害救助対策協議会
を廃止するとともに、あわせて
災害救助法
の
適用基準
、
救助費
に対する
国庫負担
の引き上げその他
所要
の
規定
の
整備
を行なうため、
災害救助法
の一部を
改正
することといたしております。 次に、(一)
地方公共団体
が支給することができる
手当
の
種類
に
災害派遣手当
を加える、(二)
市町村
の
消防計画
は
防炭計画
に基づいて作成するものとする、(三)
災害
に関する警報の
伝達等
について
有線電気通信設備
及び
専用公衆電気通信設備
の使用に関し
規定
を
整備
する、その他
災害対策基本法
の
施行
に伴い
関係法律
について
所要
の
規定
の整理を行なうために、
地方自治法
その他の
法律
を
改正
することとしたのであります。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及びその
内容
の
概要
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
小林武治
9
○
委員長
(
小林武治
君) 本案の質疑は、後日に譲ります。
—————————————
小林武治
10
○
委員長
(
小林武治
君)
地方公務員共済組合法案
及び
地方公務員共済組合法
の
長期給付
に関する
施行法案
の両
法案
を一括して
議題
といたします。 まず、
補足説明
を聴取いたします。
行政局長
。
佐久間彊
11
○
政府委員
(
佐久間彊
君) お手元に、
地方公務員共済組合法案要綱
、
地方公務員共済組合法
の
長期給付
に関する
施行法案要綱
、
地方公務員
の新
退職年金制度参考資料
をお配りいたしてございますが、これを見ながら、この両案の骨子につきまして概略の御説明を申し上げたいと存じます。 まず、本
法案
を立案いたしますまでの経過の概要でございますが、
参考資料
の二ページに書いてございますとおり、
国家公務員
につきまして、従来の
恩給方式
によります
退職年金制度
を新しい
共済方式
による
退職年金制度
に改めますことが、
昭和
三十三年七月に
国家公務員共済組合法
が
施行
されまして三十四年から実施されたのでございますが、それにならいまして
地方公務員
につきましても、
退職年金制度
の
整備
をいたすことにいたしまして、その
内容
の大綱につきまして、
地方制度調査会
に諮問をいたしたのでございます。
地方制度調査会
は、
昭和
三十四年の二月に、
地方公務員
の
退職年金制度
の改正に関する答申を内閣に提出をいたしました。この答申をもとといたしまして、政府におきまして、新
退職年金制度
の
立案検討
を始めたのでございます。その間いろいろ検討すべき点がございましたし、かつ、予算の点につきまして
大蔵省
との間の折衝もございまして、二年間ほど実施までに期間を要したわけでございますが、
昭和
三十七年度から実施をするということにつきまして、
政府部
内の
意見
の調整を終えましたので、ここに
提案
をいたすことにいたしたわけでございます。 次に、
参考資料
の三ページをごらんいただきたいと存じますが、現在
地方公務員
の
退職年金制度
がどういうふうになっておるかということを、三ページと四ページが図示をいたしたものでございます。現行の
地方公務員
の
退職年金制度
は、
地方団体
の種類によりまして、また
地方公務員
の職種によりまして、また身分によりまして、それぞれまちまちな
制度
が行なわれておるのでございます。三ページには、
都道府県
の
職員
について、現在どうなっているかということを示しておるのでございますが、
都道府県
の
職員
につきましては、国の
恩給法
を準用いたしておるものが
相当数
ございます。これは
地方自治法施行
の際、官吏であった者、この右下のワクの中にそれをまとめてございますが、あるいは
教育公務員特例法施行
の際、
公立学校
の
職員
であった者、それから
警察官
、こういう者は現在でも
恩給法
の準用を受けております。それから、そのほかの
道府県
の吏員でございますが、これは
道府県ごと
に
退職年金条例
を作っておりまして、その
適用
を受けております。次に、
雇用人
でございますが、
雇用人
は、
地方職員共済組合
というのがございますが、その
共済組合
で
雇用人
の
長期給付
をいたしておるのでございます。 次に、四ページは
市町村
の現状がどうなっておるかということを示したものでございます。これは一番下のワクの中に現状をまとめてございますが、
市町村
につきましては、
市町村
の吏員につきましては
恩給組合
、これは
市町村
の一部
事務組合
の形をとっておりますが、その
恩給組合
によりまして、
市町村
の吏員についてはやっておるのでございます。それから
雇用人
につきましては、
市町村職員共済組合
ができておりまして、それが
雇用人
の
長期給付
をいたしております。で、それ以外に、これらの
組合
にも入っておりません市がございますが、そういう市につきましては、その
市ごと
に
退職年金条例
を作りまして、そこで実施をいたしておる、こういうような状況になっております。なお、この
給付
の
内容等
につきましても、それぞれの
制度
によって、必ずしも統一がとれていないというのが現状でございます。 以上が現状でございます。 次に、
地方公務員共済組合法案要綱
につきまして、それを今度どう改めようとしているかということを御説明申し上げます。 第一の目的は、これは
国家公務員共済組合法
と同様、
地方公務員
の
福祉
の向上に寄与するとともに、公務の
能率的運営
に資するということを目的といたしております。 第二の
組織
でございますが、現在は、先ほど申し上げましたように、非常にまちまちな
制度
になっておりますが、それをこの
参考資料
の九ページに表を書いてございますが、そのように改めることに相なるわけでございます。で、まず、この表で御説明申し上はげますと、
警察
の
職員
につきまして、
警察共済組合
というものができます。これは全部一本にいたしまして、一つの
警察共済組合
ができるわけでございます。それから
公立学校
の教員につきましては、
公立学校共済組合
、これも
全国単位
にできるわけでございます。それで、そのほかの一般の
職員
につきましては、東京都の場合には、東京都だけで都の
都職員共済組合
というものを作ります。それから
道府県
につきましては、一般の
職員
で、
地方職員共済組合
というものを
全国単位
に作ります。それから
五大市
につきましては、各市に一つずつ
指定部市共済組合
というものを作ります。そのほかの
市町村
につきましては、
市町村職員共済組合
と申しますものを
県単位
に作ります。で、それを今度
全国単位
に
連合会
を作る。で、
市町村職員共済組合
に入りたくないという市が若干あるわけでございますが、そういう市につきましては、単独で
共済組合
を作ってもよし、あるいは連合して
共済組合
を作ってもよしということを認めることにいたしておりまして、それが
都市職員共済組合
と申しておるものでございます。これも
全国単位
にそれの
連合会
を作る、こういうことにいたしております。なお、地方庁に勤務をいたしております者の中に、
国家公務員
の身分を持った者がございますが、これらも
警察関係
の者は
警察共済組合
、郵便同等におります者は、
地方職員共済組合
にそれぞれ入るということにいたしております。
法案
の要綱の第二の
組織
は、ただいま御説明申し上げましたような
内容
でございます。 それから、
組織
の
算用数字
の3のところでございますが、各
組合
で定款を作りまして、定款で
組合員
の範囲、
給付
、
掛金
その他
組合
の
組織
、運営に関する
重要事項
をきめることにいたしておりますが、この定款の変更は、
主務大臣
の認可を要するということにいたしております。
主務大臣
と申しますのは、
公立学校共済組合
につきましては
文部大臣
、
警察共済組合
につきましては
内閣総理大臣
、それ以外の
共済組合
につきましては
自治大臣
ということにいたしております。 なお、これらの
重要事項
のうち、
掛金
につきましては、その中でもさらに重要な問題でございますので、
掛金
に関する
事項
を
主務大臣
が認可しようとするときは、あらかじめに
自治大臣
に
協議
をする。さらに、
自治大臣
は、
地方職員共済組合
と
公立学校共済組合
、
警察共済組合
、この
三つ
の
共済組合
につきましては、その
掛金
の
協議
を受けましたときには、あらかじめ
大蔵大臣
の
意見
を聞くということにいたしております。これは、
三つ
の
共済組合
は、これまで
国家公務員共済組合法
の
適用
を受けておりました
組合
でございまして、その中に
国家公務員
もおります
関係
もございまして、
掛金
の率等につきましては、国の
制度
との権衡を考慮しなければならぬという
理由
から、
大蔵大臣
の
意見
を聞くということにいたしておるのでございます。 次に、
組合
の内部の
組織
でございますが、
執行機関
といたしまして
理事長
、
理事
、監査を置く。
審議機関
といたしまして、
地方職員共済組合
、
公立学校共済組合
、
警察共済組合
という
三つ
の
共済組合
につきましては、
運営審議会
を置く。そのほかの
組合
につきましては、
組合会
を置くということにいたしております。
運営審議会
は、
委員
十人以内で
主務大臣
が命ずることにいたしております。
組合会
は、
議員
が三十人以内で、半数は
地方団体
の長または長が任命する者といたしまして、あとの半数は
組合員
が
組合員
のうちから選挙するということにいたしております。
運営審議会
または
組合会
が
審議
または議決をいたします
事項
は、9に書いてございますような重要な
事項
でございます。この
三つ
の
共済組合
につきまして
運営審議会方式
にいたしましたのは、現在これらの
三つ
の
共済組合
が、
国家公務員共済組合法
の
適用
を受けた
組合
でございまして、現在
連帯審議会方式
をとっておりますので、それを踏襲をいたしたわけでございます。 次に、
組合
の
積立金
の運用の問題でございますが、
組合
は
長期給付
に充てるための
積立金——責任準備金
と申しますが、これを積み立てるわけでございます。これの運用につきましては、「安全かつ効率的な方法により、かつ、
組合員
の
福祉
の増進又は
地方公共団体
の
行政目的
の実現に資するように運用しなければならない。」ということを
法律
に明記をいたしております。この点につきましては、いろいろ論議もあった点でございますが、建前としてこういう建前にいたした次第でございます。 次に、
連合会
でございますが、
連合会
には、先ほど申しましたように、
市町村職員共済組合
と、
都市職員共済組合
、この二つの
組合
につきまして
連合会
を設けることにいたしております。
市町村職員共済組合
は
都道府県単位
にできるのでございますし、
都市職員共済組合
は個々の都市あるいは幾つかの都市が作ることになりますので、
全国単位
に
連合会
を設けるということにいたしたのでございます。で、
連合会
は、次に書いてありますような事業を行なうわけでございますが、特にこの
長期給付
の
積立金
、
災害給付
の
積立金
というものを
連合会
が管理をするということにいたしておるのでございます。
連合会
には総会が置かれ、それぞれ
構成組合
の
理事長
である
議員
及びそれ以外の
組合
の
理事
が互選した
議員
でもって
組織
をするということにいたしております。そのほかの点につきましては、
単位組合
と大体同様な構成をとっておるのでございます。 次に、第三の
組合員
でございますが、すべての
地方公共団体
の常勤の
地方公務員
に
適用
するということにいたしておりまして、各
組合
間では相互にその
組合員期間
を通算をするということにいたしております。従来の
制度
におきましては、
都道府県
と
市町村
の間、あるいは
一般職員
と教
職員
、
警察職員等
との間、あるいは同じ
一般職員
の中でも、吏員と
雇用人
との間というものには通算が原則としてされていなかったのでございますが、今度の
法案
におきましては、この
地方公務員共済組合法
の
適用
を受けます
組合
間では、相互に全部通算をするということにいたしておるのでございますが、
組合員
が他の
組合
に移動をいたしました場合には、その者の
関係
の
責任準備金
に相当する金額をその
組合
に移しかえをするということにいたしておるのでございます。 なお、
共済組合自体
の
職員
につきましては、これを
公務員
である
職員
とみなしまして、この
法律
を
適用
することにいたしております。 第四は、
給付
でございますが、
給付
の点につきましては、
給付
の種類、それから
内容
は、いずれも
国家公務員共済組合法
の
規定
をしておりますところと同様のものを考えております。 次は、
福祉事業
でございますが、
福祉事業
も
国家公務員共済組合
と同様の
内容
を考えております。 次は、
費用負担
の点でございますが、
費用負担
につきましては、
短期給付
につきましては、
職員
の
掛金
と
地方公共団体
の
負担金
とが百分の五十ずつ折半いたしております。
長期給付
につきましては、
職員
の
掛金
が百分の四十五、
地方公共団体
の
負担金
が百分の五十五といたしております。
公務廃疾年金
または
遺族年金
につきましては、
全額地方公共団体
が
負担
をする。
福祉事業
につきましては、
職員
の
掛金
と
地方公共団体
の
負担金
が五十、五十。
組合
の
事務費
は、
地方公共団体
が
全額負担
をするということにいたしております。 次は、審査の請求でございますが、
組合員
の資格、
給付
につきまして、
不服等
がありました場合の
審査機関
といたしまして、
共済組合審査会
を置くことにいたしております。 次は、
地方職員共済組合審議会
でございますが、
地方公務員
の
共済組合
に関する
制度
、その他重要な
事項
につきまして、
自治大臣
の
諮問機関
といたしましてこの
審議会
を置くことにいたしております。この
審査会
、
審議会
いずれも
国家公務員共済組合
の例にならったわけでございます。 次は、雑則でございますが、雑則の1は、
主務大臣
でございますが、これは先刻申し上げましたように、
公立学校共済組合
につきましては
文部大臣
、
警察共済組合
については
内閣総理大臣
、それ以外の
共済組合
につきましては
自治大臣
が
主務大臣
ということになっております。
主務大臣
は、毎年少なくとも一回
組合
の監査をさせるということにいたしております。 3は、
船員保険
の被
保険者
である
組合員
につきましてでありますが、これは
国家公務員共済組合
の場合と同様に特例を設けております。 4は、
地方自治法附則
第八条に
規定
する
職員——国家公務員
の身分を持った
職員
でございますが、これにつきましても、
地方職員共済組合
の
組合員
とする。それから
警察
庁の
職員——都道府県警察
における
警視正
以上のいわゆる
国家公務員
の身分を持った
警察官
でありますが、これは
警察共済組合
の
組合員
にするということにいたしております。 十は、
地方議会議員年金制度
でございますが、
地方議会議員
の
年金
につきましては、
互助年金法
によりまして
制度
が発足をいたしたのでございますが、
地方議会議員互助年金法
の附則の
規定
によりまして、
地方公務員
の統一的な
退職年金制度
に関する
法律
が制定されました場合には、これに統合されるものとするという
規定
がございましたので、今回この
法律
の中にその
制度
を
規定
をいたすことにいたしたのでございます。で、
内容
は、大体
国会議員
の
年金制度
に準ずる
内容
にいたしたのでございまして、従来の
制度
につきまして、従来
任意加入
でありましたものを
強制加入
にする。なお、従来は
議員
の
掛金
のみでまかなう建前にいたしておりましたが、
掛金
のみでまかない切れない場合には、
地方公共団体
が
負担
をするという
規定
を設けることにいたしたのでございます。 次は第十一、附則でございますが、この
法律
は
昭和
三十七年十月一日から
施行
をすることに予定をいたしております。 第2、第3は、現在あります
共済組合
が新しい
制度
になりました
共済組合
に移り変わりますための
経過規定
でございます。 次に、第5でございますが、
警察職員
のうち警部補以下の階級にある
組合員
につきましては、
国家公務員共済組合
の場合と同様に、
最短年金年限等
につきまして特例を設けることにいたしております。 次に、6項でございますが、現在、
短期給付
を
健康保険組合
によって行なっておるものが若干あるわけでございますが、それらのものにつきましては、特に申し出のない限りは、今後も
長期給付
を
健康保険組合
で行なうことを認めていこうというものでございます。 第7項は、
健康保険組合等
で行なっております
短期給付
につきまして、
組合員
と
地方公共団体
との
負担
の割合につきまして、
地方公共団体
のほうが多く
負担
をすることになっておる
組合
がございますが、それらのものにつきましては、十年間経過的に従来の割合を認めていこうということにいたしております。 第8項は、
長期給付
に要する
費用
をもとにいたしまして
掛金
の率がきまって参るわけでございますが、これらの精密な算定につきましては、相当期間を要しますので、その算定が終わるまでの間は、
主務大臣
の定める
費用
をもって
長期給付
に要する
費用
としよう、これは
国家公務員共済組合
の場合も同様な措置をとりまして発足いたしました例にならったわけでございます。 第9項でございますが、これは
退職年金
の問題とは違うのでございますが、
退職手当
の問題でございます。
退職手当
の
制度
が、
地方公務員
の場合には、
国家公務員
の新しい
退職手当
の
制度
になっておりませんので、たいへん低いわけでございます。そこで、この
地方公務員共済組合法
が
施行
になりますことに伴いまして、
国家公務員レベル
まで
地方公務員
の
退職手当
を引き上げて
制度
を
整備
するようにいたしたい。約二割五分引き上がるわけでございます。こういうふうに
制度
を
整備
するようにという
規定
をこの附則に設けようということでございます。 以上が
地方公務員共済組合法案要綱
でございます。
—————————————
次に、
地方公務員共済組合法
の
長期給付
に関する
施行法案要綱
でございますが、この
法案
は、
地方公務員共済組合法案
の中で
長期給付
に関する
規定
の
施行
に伴う
経過規定
を中心といたしたものでございます。特に
国家公務員
の場合には、従来統一的な恩給の
制度
がございまして、それが新しい
共済組合
による
年金制度
に切りかわったわけでございますので、比較的
経過規定
も簡単でございましたが、
地方公務員
の場合には、冒頭に御説明申し上げましたように、
制度
が区々でございますので、それぞれに応じまして既得権、期待権を尊重をした
経過規定
を設けることにいたしたわけでございますので、たいへん
内容
が複雑になっておるのでございます。 一々御説明申し上げますのも繁雑でございますので、あとまた必要に応じて御
審議
の過程で御説明申し上げることにいたしたいと思いますが、おもな点を二、三申しますと、この総則の二番目に書いてございますのは、この新しい
法律
が
施行
になります前にすでに
給付
事由が生じておりました
給付
の取り扱いにつきましては、これは原則として従来の
制度
によっていくということにいたしております。 それから第二に書いてございますのは、法
施行
前から引き続いて
組合員
でありまして、新しい
組合
の
組合員
になって在職をいたしております者につきましては、一たん、法
施行
の前日において退職をして、そして新しい
制度
に乗り移るという技術的な方法をとっております。第二の退職
給付
に関する経過措置でございますが、これはたくさんいろいろ書いてございますが、この経過措置は、従来の既得権、期待権と申しますか、そういうものを尊重していくようにするための
経過規定
でございます。
内容
は、一つは、受給の資格の点でございます。従来十七年で恩給がついた者が非常に多かったわけでございますが、それが今度は二十年ということになりますが、それにつきまして、現在までおりました
職員
につきましては、そこに三ページに書いてございますように、法
施行
までの在職した年数にそれぞれ応じまして二十年にならないで、十七年、十八年、十九年でそれぞれ
年金
がもらえるようにするということでございます。それからなお
地方団体
、特に市の
年金
条例によりましては、国の
制度
であります従来の十七年というものよりももっと割のいい、たとえば十五年で
年金
がつく者、あるいは十二年で
年金
がつく者、十年で
年金
がつく者というような条例を設けておりますところがございますが、それらの者につきましては、(二)のところに書いてございますのでありますが、たとえば十年ルールでありますところは、今度は二十年になりますので、二倍の長さになりますわけでありますから、そこで、従来の在職年数に十分の二十をかける——従来の在職年数を一年を二年に見まして、そうして計算をするというようなことをいたしておるわけであります。 以上申したように、受給資格の経過措置が一つと、それから次は、
退職年金
の額の点でございます。で、(七)のところ以下に
規定
をいたしておるわけでございますが、
退職年金
の額につきましては、それぞれ従来
適用
を受けておりました
制度
、その
制度
の非常に有利な
制度
の
適用
であったところ、あるいは有利でない
制度
の
適用
を受けていたところ、いろいろありますが、それぞれその部分はその当時の
制度
によりまして計算をいたしまして、不利にならないように合算をしていくようにしようという趣旨でございます。 それからもう一つは、受給開始年限の点でございますが、これは七ページの(十)というところに
規定
をいたしておりますが、従来は五十五才未満で若年停止という
制度
がございましたが、五十五才未満でありましても、あるいはもっと早く
年金
がつくような条例を作っていたところもございますが、それは従来の在職期間については、それぞれ経過的に、従来の
制度
で認めるようにしていこうという
規定
でございます。 そのほか廃疾
給付
の場合、遺族
給付
の場合、それぞれ同様な考え方で既得権、期待権というものを尊重をした
経過規定
をいたしております。五の特殊の期間資格を持った者、あるいは六の再就職者に関する問題、第三の恩給
公務員
期間を有する者、いずれも同様な考え方でそれぞれ経過措置を
規定
いたしておるのでございます。 第五のその他のところで、二の
組合
の追加
費用
でございますが、これは政令で定めるところによりまして、国または
地方公共団体
が
負担
をするということを
規定
をいたしております。 この
法律
は、
地方公務員共済組合法
の
施行
の日から
施行
するということにいたしております。 以上簡単でございますが、
補足説明
を終わります。
小林武治
12
○
委員長
(
小林武治
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
小林武治
13
○
委員長
(
小林武治
君) それじゃ速記を始めて。 引き続き質疑を行ないます。
矢嶋三義
14
○矢嶋三義君 御承知のように、これは
組合
法案
が百七十三条、
附則
七十二条、別表五で、二百三十三ページにわたっているわけですね。それから
施行法案
が百五十三条、
附則
四項、別表二で、二百四十三ページ、合わせて四百七十六ページに及んでいます。量からいっても、質からいっても、相当重要な
法案
だと私は考えますが、本日は、この両
法案
のアウトラインといいますか、さらに日本の国政の中における位置づけという角度から伺って、いずれ、
内容
が非常に重要で、複雑でありますから、逐条
審議
をして誤りなきを期したい、かように私どもは考えている次第でございます。 それで大臣、
政府委員
の出席並びに答弁の態度ですが、三月二十三日に本
会議
で趣旨
説明
が行なわれ、わが党の占部
議員
が質疑をしたのに対して、総理以下
関係
大臣が答弁していますが、答弁は非常に上っぺらで、ほんのおざなりなものです。これでは
審議
になっておりません。したがって、本日は、これは総理の出席を仰ぐのが至当だと考えましたけれども、とりあえず
関係
大臣の御出席を願ったわけです。しかし、それぞれの大臣、差しつかえがあってまだお見えになっていない人がいるようですが、政務次官並びに
政府委員
は、大臣にかわって答弁する気持で、簡にして要を尽くす答弁をしていただきたいことを、まず要望申し上げておきます。 私は、この
法律案
の
審議
にあたって、
恩給法
、それから
国家公務員共済組合法
はもちろんのこと、わが国の公的
年金制度
、それから保険
関係
の
法律
を一応目を通し、研究してみました。それで、そうして感ずることは、まあ三十三年に
国家公務員共済組合法
、それから三十四年にこれを非現業へと拡大する
国家公務員共済組合法
の一部
改正
法律案
が
審議
され、成立した。その当時から私ども、
地方公務員共済組合法
なるものには関心をもち、その
国家公務員共済組合法
案の
審議
過程において、関連して
審議
、調査をし、いろいろの御要望もして参ったわけです。それだけに非常に関心を持っておったわけですが、この
法律案
を作り上げるにあたって、過去三カ年間あるいは四カ年間、行
政府
の皆さん方が非常に苦労したであろうということは容易に認められるし、その労を多とします。しかし、
内容
的にはずいぶん問題点があるので質疑をせざるを得ないと思うのです。 それで、そういう角度から伺っていきますが、第一番に伺いたい点は、三十四年に
地方制度調査会
から
答申
があった場合に、三十五年から
地方公務員共済組合法
が
実施
されるように善処しろという
答申
があり、当時の青木自治庁長官は、三十五年の四月一日からこれを
実施
したいということを立法府において答弁をしております。それが三十五年、三十六年と
実施
が見送られて本日に至った
理由
は何ですか、お答えいただきます。
大上司
15
○
政府委員
(大上司君) 三十四年に
地方制度調査会
から
答申
案が出まして、今年この
提案
に及ぶまでは、いろいろの調査並びに行
政府
としてこれを
施行
するとすれば、どのような準備、機構が要るとか、あるいは地方
財政
に及ぼすところの問題とか、等々を非常に研究いたしまして、非常におくれたことをおわび申し上げます。
矢嶋三義
16
○矢嶋三義君 そういうことでは答弁にならないのです。
政府委員
答弁願います。
佐久間彊
17
○
政府委員
(
佐久間彊
君) ただいま政務次官がお答え申し上げましたように、いろいろな問題の準備研究がございましたが、特に一番大きな点は、予算折衝の過程におきまして、自治省といたしましては、
給付
の一割
国庫負担
をすべきであるという主張をいたしており、それに対しまして、大蔵当局は反対をいたしておったのでございます。
大蔵省
のお考えは、
地方公共団体
も国も、ひとしく公
経済
の主体であるのであるから、社会保険の責任を明らかにするという意味で一割国庫が
負担
をするということは、他の
制度
についてはとにかく、
地方公務員
共済組合
の
制度
については、それは国も
地方団体
も連帯で責任を負うべきである。ひとしく公
経済
の主体であるものが負えばいいのじゃないか。したがって、その
措置
も、
負担金
というような
措置
ではなくて、地方の
一般
財源を充実するという方向で、必要があれば交付税の増額という方法によって
措置
をすべきであるという主張であったわけでございまして、
昭和
三十七年度……。
矢嶋三義
18
○矢嶋三義君
内容
的なものはいいです、そういうのは後日論じますから。それでは結局、三十四年の十月から、現業、非現業含んで、
国家公務員共済組合法
が公布
施行
されたわけですね。それで三十五年から発足したいということであり、当時の大臣が公約したことであるが、三十五年、三十六年と見送られて、本
国会
にようやくこの
法案
が出てくるに至った、こういうふうにおくれた一番大きな
理由
は、
国庫負担
の問題が解決しなかったということで、そのために、ここに二カ年間足踏みをしたと、かように了承してよろしいわけですね。自治省と
大蔵省
両方からお答え願います。
佐久間彊
19
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 一番大きな
理由
はそうでございまして、第二番目には、先ほど政務次官がおっしゃいましたような、いろいろ各方面の御
意見
を
検討
をして調整するということでひまどったわけです。
平井廸郎
20
○
政府委員
(平井廸郎君) 私ども当時は在任いたしておりませんでしたが、私どもが伺っている範囲におきましても、一番大きな対立点は、ただいまの点だというふうに伺っております。
矢嶋三義
21
○矢嶋三義君 次に、政務次官に伺いたい。この
法案
は、わが国の社会保障
制度
の一環として位置づけられているものだとあらためて確認してよろしゅうございますか。
大上司
22
○
政府委員
(大上司君) そのとおりでございます。
矢嶋三義
23
○矢嶋三義君 政務次官に重ねて伺いますが、それではこの
法案
の最終責任を持つ機関は、どこでございますか。
大上司
24
○
政府委員
(大上司君) 第一次的にはいわゆる
地方公共団体
であり、最終的には国でございます。
矢嶋三義
25
○矢嶋三義君
厚生政務次官
に伺いますが、わが国の社会保障というものを進めているわけですが、それには所得保障と医療保障の二本立てで多くいっているわけですね。それが
年金制度
であり、また各種の保険
制度
である、これでいってるわけですね。今度の、これは社会保障政策の一環として行なわれたというのですが、これには所得保障の
年金
問題と医療保障の保険問題とが入り、しかも、厚生
年金
等を
適用
を受けておった人々も、これに吸収されて参る。厚生省でやってる所得保障の
年金
、国民皆
年金
等に抵触してきているわけですね。それからまた医療保障の面で健保、この一部もその意思表示によっては国に入ってくるわけですね。こういう形態にするにあたっては、社会保障の担当省として、所得保障と医療保障二本でわが国の社会保障政策を推し進めよう、そういう形態をとろうという方向づけをしている、その担当省としては、どういう見方をされているのか承りたいと思います。
森田重次郎
26
○
政府委員
(
森田重次郎
君) やはりこれは社会保障
制度
の一環でありますから、国としては、できるだけ統一した形で責任を負う省をきめるのが適当ではないかと考えておるのでありますけれども、いろいろ伝統的な事情もあり、現実的にはそういうわけにも参らないというので、現在のような形でそれぞれ責任者が一応きまっておるということになっておるわけでございます。
矢嶋三義
27
○矢嶋三義君 私はその答弁では満足しません。それで専門の
政府委員
から伺いますが、国民皆
年金
、皆保健を推進していこうというその方向づけ、それから将来はその総合調整をしていこうという方向からあわせ考えた場合に、こういう行き方については、一点の疑念も持たないで、
政府部
内で厚生省は賛同してきたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
熊崎正夫
28
○
説明員
(熊崎正夫君) 先生のおっしゃるように、長期保険、それから短期保険につきまして、社会保障の総合的な立場で国の施策を推進していくということにつきましては、厚生省としまして十分
検討
をいたさなければならない問題でもございますし、それから
地方公務員共済組合法案
の
国会
提案
の事前段階におきまして、
関係
省とはよく打ち合わせをいたしまして、その間の調整は終わっておるわけでございます。先生御承知のように、短期保険あるいは長期保険の分で
健康保険組合
なり、あるいは厚生
年金
保険との
関係
、そういったものにつきましても、いろいろ問題点はございましたけれども、
関係
当局とよく話し合いまして、調整を終えまして今回の
措置
をとったわけでございます。
矢嶋三義
29
○矢嶋三義君 それでは次の質問に厚生省と
大蔵省
側からお答えいただきますが、所得保障の
一般
国民を対象とする国民
年金
、それから医療保障の
一般
国民と対象とする国民健康保険、これは形態は整っているが、社会保障の名に値しない
内容
のものであるということは、自他ともに許しているところで、
政府
においてもそれを認め、この充実拡大をはかっていきたいということを主張されているわけですね。そこで、これらの
法案
が出てくる場合に気づくことは、そういうレベルの低い国民
年金
、国民健康保険、それに足を引っぱられて、そういう低いレベルに国民皆保険、皆
年金
というものを合わせていこうという方向が、今の
内閣
の政策の方向づけに感ぜられる。これは私は、まことに遺憾なことだと思うのです。現在、この
年金制度
にしても、保険
制度
にしても、なかなか雑多であり、高いレベルのものと低いレベルのものとがある。これは国の施策の方向としては、高いレベルのほうへ皆
年金
、皆保険の方向で引っぱっていくという方向づけをせにゃならぬ。ところが、そのつどつど名前だけであって、社会保障に価しないこの国保、それから国民
年金
、こういうところに足を引っぱられて、そちらのほうに合わしていこうとする方向というものは、方向としては私は非常に間違っていると思うのです、国の
財政
と
関係
があるとはいえ、そういう条件を入れても。で、この点について、私の
意見
に対してどういう
意見
を持っているのか。これから総合調整もしていこうというその方向づけというものは、こういう方向を指向してやっていこうとするのか。担当の厚生省側と、それから
大蔵省
側の見解を承っておきたいと思います。
熊崎正夫
30
○
説明員
(熊崎正夫君) 国民
年金
なり国民健康保険
制度
としまして現在とっておりますのが、他の
年金制度
なり、あるいは保険
制度
につきまして、非常にレベルが低いということは先生のおっしゃるとおりだろうと思います。しかし、厚生省としまして、この
制度
の低いものに他の
制度
を合わせていくというふうな方針は全然とっておらないわけでございまして、あくまでもやはり国民
年金
の現在の
制度
なり国民健康保険の
給付
割合
なり、そういったものは逐次向上させていく、つまり
制度
の高いほうに、向上させていくという考え方でもって、ずっと施策を強化拡充いたしておるわけでございます。ただ、御承知のように、国民
年金
なり国民健康保険の被
保険者
といいますものは、いわゆる雇用されておらない、地域におられるそれぞれの独立自営業者といったものを対象にいたしておるわけでございまして、農民を含めまして。したがいまして、対象として取り扱われる被
保険者
自体の中身が違うわけでございますから、したがいまして、それに関連して
給付
内容
もおのずから低くならざるを得ない。しかし、国の施策としまして、社会保障の向上ということにつきましては、こういった方々をより高い
制度
のほうに引き上げていくという方向で、今後とも推進していく予定にいたしております。
平井廸郎
31
○
政府委員
(平井廸郎君) 実は先生の御質問、私どもの所管範囲からやや越えている問題だと思いますが、少なくともこの
法律案
を
審議
いたします過程におきまして、
地方公務員
の
退職年金制度
なり何なりを考える際に、現在の
給付
内容
を
一般
的にレベル・ダウンをするという考え方ではなくして、むしろ少なくとも
現状
維持、
一般
的にはレベル・アップされるという前提で、この問題は考えられてきたというふうに了承いたしております。
矢嶋三義
32
○矢嶋三義君 その方向づけを確認しておけば、私は一応安心し、それを前提にこの
法案
を
審議
して参ります。その使用者のないものを対象としての施策だといっても、これは結局国の
負担
の問題になるわけですよ。今度国保の
給付
水準を五%、国庫補助をふやしました。それは
一つ
の方法でしょうが、国の
負担
の問題になるわけですよ。それは予算の性格になってくるわけですよ。この点
大蔵省
と決して無
関係
でないわけです。その方向が明確にならないと、この
法律案
を逐次
審議
していくと出てきますが、既得権確保の問題が出てくるわけですよ。既得権が確保されたかされないか、どういうふうにして既得権を確保したか、どの線に一体合わせようとするかということが、意識するとしないとにかかわらず、それが具体的にこういう
法律案
の
内容
は、既得権が守られるか守られないかということに出てくるわけです。だから、その方向づけというものをまず確認しておく必要があるから両省の方々に承ったわけで、その答弁を私は満足いたします。 それから厚生省と
大蔵省
にこれまた伺うのですがね。所得保障としての
年金制度
、これを公的
年金
を創設してこれの充実をはかる方向で努力しておりながら、一方でこの私企業の私的
年金
ですね、これを慫慂する税法の
措置
等
もと
られていますね、これは国の社会保障を推し進めるという方向からは、私企業が私的
年金
を自主的に非常にやるというのは、それは僕はけっこうだと思います。二重になりますからね。しかし、国がそういうところに非常におんぶして、国としての公的
年金
の充実を逃避するというような考え方は、私は非常に好ましくないと思うのですね。これが官と民の
年金
面における所得格差の開きとして現われてくるわけですね。こういう点については、すなわち私的企業の、私的
年金
の
現状
とこれからの方向というものを、厚生省としてはどういうふうに
現状
を把握されておられるのか。また、こういう
年金
関係
で相当の予算を計上せにゃならぬわけですが、その査定権を持っている
大蔵省
側としては、どういう
現状
の認識と方針を持っておられるのか、承っておきたいと思います。
熊崎正夫
33
○
説明員
(熊崎正夫君) 今矢嶋先生のおっしゃっておられます私的企業
年金
といいますのは、おそらく企業
年金
のことだろうと思いますが、企業
年金
の今回の税制
改正
の問題につきましては、これは御承知のとおりでございますけれども、しかし、企業
年金制度
と厚生
年金制度
との
関係
をどういうふうにやっていくかということは、税制の
関係
とは別個の問題でございまして、これは厚生
年金
と企業
年金
、これをどういうふうに調整していくかということで、厚生
年金
を保険法
改正
の際に十分慎重に
検討
しなければならない問題じゃないかというふうに考えているわけでございます。御承知のように厚生
年金
保険法の
給付
の
内容
は、現在非常に低いということでこの
改正
を早急にやらなければならないということで、厚生省は現在その作業に着手をいたしておるような状況でございますけれども、普通の順序から言いますと、三十九年度に厚生
年金
保険法の料率改訂その他をやらなければなりませんが、これを一年繰り上げまして、厚生省としましては、三十八年の
通常国会
におきまして、ぜひ厚生
年金
法の具体的な
改正
をやりたい、こういう考え方でおるわけであります。そのときに、当然企業
年金制度
と厚生
年金
との調整をはかるということを直ちに考えなければならない問題ではなかろうかと思うのでございます。ただ、それは御承知のとおり、
関係
団体との話し合いその他今ここで厚生省としてどういうふうな方針をとるということを直ちに申し上げる機会ではないと思いまするし、それぞれ
関係
団体との十分な折衝をいたした上でその調整をはかっていくということを考えなければならぬと思っている次第でございます。その辺は十分慎重に今後
検討
して参りたいと思います。
平井廸郎
34
○
政府委員
(平井廸郎君) ただいまの問題、率直に申し上げまして、大臣の答弁をいただかないと非常に範囲の広いことだと思いますが、まあ一応私どもから、われわれの伺っているその範囲内において考え方を申し上げるならば、今回の税制
改正
を行ないました事態は、先生もお認めになっているように、私企業の
年金
を充実すること自体を否定するのでなくて、むしろそれはそれとして伸ばしていくことを助長していくことは、国の施策としても妥当であろうという認識の上に立っているわけであります。ただ、それは御質問にございましたように、公的
年金制度
を押えるとか、あるいは公的
年金制度
に代替するという考え方でやっているというわけではございませんので、理想としては、公的
年金制度
の充実の問題と現実の私企業における
年金制度
の拡充とは必ずしも現実の形においては矛盾するものではないということもあろうかと思います。まあ公的
年金制度
の充実の問題につきましては、先ほど厚生省から御答弁のございましたように、今後、なおさらにわれわれのほうにおきましても
検討
を進めていく必要があろうかというふうに存じております。
矢嶋三義
35
○矢嶋三義君
政府委員
ですから、その程度でその答弁を満足しておきます。 次に、自治省側に伺いますが、この両
法律案
の中でずいぶん苦労されたと思うのですが、最も苦心した点と、会心の作とみずからほほえんでいるのはどの部分ですか。
佐久間彊
36
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 苦心をいたしました点は、
一つ
は、
共済組合
の
組織
をどのように、それぞれの従来の希望をできるだけ尊重し、また統一
年金制度
の趣旨に合うように
組織
を作るかという点が第一点でございます。第二点は、既得権の尊重ということをどういうような形で行なうかという点が第二点でございます。第三点は資金
運用
の問題でございます。その次に、いろいろ苦慮いたしました点は、
組合
の
審議機関
、
運営審議会
というようなことでございます。
矢嶋三義
37
○矢嶋三義君 あんまりたくさん言うと最
もと
いうことが消えてしまう。会心の作とほほえんでいるのはどういう点ですか。
佐久間彊
38
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 全体といたしまして、相当各
関係
の御意向をかなりよく取り入れることができたのじゃなかろうかということで、別に会心の作というまで誇る気持はございませんけれども、まあまあという気持でございます。
矢嶋三義
39
○矢嶋三義君 それでは逆に、これはあまりうまくいかなかったな、今後
検討
していかねばなるまい、今
国会
で修正する必要はないけれども、まあ将来これは
検討
に値するなと、かようにお感じになっているおもな点はどういう点がありますか。
佐久間彊
40
○
政府委員
(
佐久間彊
君) これは特にここで申し上げるほどはっきりと考えておる点はございません。
矢嶋三義
41
○矢嶋三義君 私も大分調子を落として伺っている。あなたがそう答弁したから、ここを修正せねばならぬということは、私は自民党じゃないから申しません。あなたは
法律案
の成文化作業をやるときに、ここはうまくいったなという場合と、これだけの
法案
ならば、他省とも
関係
があれば、これは担当省として必ずしも十分でなかったな、今後の
検討
に値する点があるなというのは、これは成文作業にたずさわった人としては必ずあるはずです。それを聞かせてもらいたいというわけで、私もだいぶん調子を落として伺っておるわけです。お答えいただきたい。
佐久間彊
42
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 会心の作といいますが、これは大体私どもが考えており、そしてまた
関係
地方公共団体
あるいは
職員
団体等のほぼ御期待に沿い得たと思いますのは、資金の
運用
の問題が
一つ
申し上げることができるかと存じます。それから、これは問題だという点につきましては、これは
国家公務員共済組合法
とかなり共通の問題もあるように存じますし、こまかい点はいろいろ気がついた点もございますが、特にこれが一番というようなおもな点といったようなものは、正直のところ現在頭に浮かんで参らない状況でございます。
矢嶋三義
43
○矢嶋三義君 きょうはあまり掘り下げないのですが、ここでちょっと一くわだけ掘りますが、資金
運用
の点についてやや満足を感じているのだということですが、その気持も、
経過
からいってわからないわけではありませんが、ここで文部省と
大蔵省
に伺っておきますが、
公立学校
教
職員
共済組合
の
責任準備金
の
運用
は、資金
運用
部資金へ持ってくるのに、別に政令で定めるとして、ここをねらい打ちされているですね。しかも、その
経過
については、知事の
意見
を聞かねばならぬと、こうなっていますが、こうなると、
公立学校
教
職員
組合
の余裕金の
組合員
の
福祉
への還元率というものは下がってくるのではないかと懸念しているわけですが、これは別に政令で定めるところによって政令で定める金額と条文ではうたっていますが、文部省はどういう見解を持ち、
大蔵省
はどういう政令を作ろうとしておるのか、やや掘り下げますが、その一点だけ、文部、大蔵の順序でお答えいただきたい。
杉江清
44
○
政府委員
(杉江清君) 余裕資金の毎年の増加部分につきまして、政令でその四分の一を預金部に預託するという考え方を持っておりますが、このことは、地方
負担
分の二分の一を国が
負担
する、こういう
建前
の
もと
に考えますときに、他の
組合
と異なってこの資金の
運用
につきましても、預金部に預託するということが全体的な観点から妥当な
措置
である、かように考えるのであります。もちろん資金
運用
の安全確実な方法としての意味をも持つのでありますけれども、義務教育
関係
職員
について、その増加分の四分の一を預託するという
制度
は、義務教育
関係
職員
の給与
負担
の現行の
建前
の上から見てやむを得ない
措置
であると考えております。なお、
都道府県
の段階における資金
運用
の問題について、これは知事の
意見
を聞くということも、これは資金の地方のまあ
行政目的
に寄与するという意味合いも
公立学校共済組合
においても考えてもいいのでありますし、なお、地方、
都道府県
段階におきまして共通の利害があるのでありまして、そういうことから直ちに
公立学校共済組合
にとって不利を来たすものでもない、かように考えております。
平井廸郎
45
○
政府委員
(平井廸郎君)
公立学校共済組合
の
積立金
の増加額について、大体どの程度の
割合
を資金
運用
部に預託するかという問題につきましては、ただいま文部省のほうから御答弁のあった程度のことを私どもも考えておる次第でございます。また、これを
公立学校共済組合
についてのみ資金
運用
部に預託した
理由
いかんということでございますが、御承知のとおり、社会保険
制度
に基づく
積立金
につきてましては、ある程度社会資本としての性格から見まして、相当程度の部分が公的
運用
に回されるということは、
一般
的な共通問題でございます。その場合に具体的に、たとえば厚生
年金
等のごとき、資金
運用
部に全額預託いたしまして還元
運用
するというようなやり方もございますし、また
国家公務員共済組合
等のごとく、おおむね増加額の三分の一程度を資金
運用
部に預託する、その残余の部分について
運用
を別途考える、こういうようなやり方をしているものもございます。また、今回
提案
されております
地方公務員
の
共済組合
のうちで、その他の
共済組合
についてはもちろん
法律
上、政令上の特段のしばりはございませんが、少なくとも地方債等にも相当
運用
されるというような考え方も伺っております。そういったバランスから見まして、全体としての国の
負担
の状況その他から勘案いたしまして、まあ
国家公務員
につきましては、大体三分の一程度の預託をいたしておりますが、
公立学校共済組合
等については、義務教育
職員
の
関係
を考慮して、大体四分の一程度というふうに考えたわけでございます。
矢嶋三義
46
○矢嶋三義君 この問題は、また掘り下げますが、平井さんが今のような答弁されるのであったら、現在の政治
経済
機構が変おらぬ限りは、あなたは局長、
大蔵省
の事務次官までなれますわ。掘り下げたときの問題があるようですが、この次にしましょう。 自治省に伺いますが、
行政局長
、少し強情ですよ、あなた。だから少し掘り下げて聞きますが、一くわ堀りますが、会心じゃないが、あまりうまくいかなかったから
検討
せねばならぬ点はなかったかと僕が聞いたら、ないという答弁するのだね。少し強情ですよ。だから、一番最初に私は質問を浴びせたでしょう。一割の
国庫負担
なんというのは、三十五年、三十六年とあなた方は必死に予算編成で戦ったじゃないですか。本年もそうでしょう。そうして、いずれもこれは受け入れられないで、当時予算編成のときなんかに荒木
文部大臣
なんかはかんかんになっていた。大臣が来たら伺いますが、私は予算編成の過程で中に入ってよく知っている。
自治大臣
は一番下がった。その結果事務当局としても、不満だった。
文部大臣
以下局長級みんながく然としておった。
自治大臣
の予算編成期におけるあの水田さんとの交渉結果については、私はこの点はあまりさわやかな気分でいないのじゃないかと思うのですがね。それからまた、例の千分の四十四の
掛金
ですね。私は
国家公務員共済組合法
を
審議
したのですが、あの当時も論議され、十分論議がされないまま——今、給与
課長
はかわっておりますが、そうして法成立後トラブルがあったことは重々御承知のとおりですね。
地方公務員共済組合法
を立案するときにはどうするかということが
一つ
の問題だった。いずれ私は資料を出していただきますが、千分の四十四という数字の出てきた根拠は何か。これは後日
委員長
を通じて資料として出していただいて論じますが、これもあなた方はあまりさわやかな気持を持っていないのです。
国家公務員
と
地方公務員
は
構成
が違うのでしょう。たとえば初任の年令にしたって違う。
地方公務員
だったら高等学校を卒業して就職した人がずいぶんいる。
地方公務員
のほうはそういうものが下がります。だから初任者の年令も違う。それに従ってその
構成
はかなり違いますよ。だから、
国家公務員
が四十四だから地方
公務
賃だって四十四でなければならぬという。そういうことは私は出てこないと思う。この点は、
地方公務員
は
国家公務員共済組合
に準じているわけだろう。ところが、一割の国の
負担
については——この
法律案
を
審議
するときの大臣は佐藤
大蔵大臣
です。私の質疑に対して、
地方公務員共済組合法
をやるときには、
国家公務員
に準じて一割
国庫負担
をやりますと、速記録に残している。私の質問に対して答えている、佐藤さんが
大蔵大臣
のときに。さらに三十四年の二月に、
地方制度調査会
でもちゃんとそういうことは
答申
をされている。本年の三月の社会保障
制度
審議会
にあなた方が
意見
を求めたのに対しても、やはり
国庫負担
の点はいいんだというニュアンスの
答申
になっている。この点から一割
負担
の問題とか、四十四については、やはりあなた方事務当局としては割り切れない、これから
検討
しなければならぬ気持を持っておられなければならぬと思う。それが答弁の言葉に出てこないということは、私はタヌキか、強情だと思うのですが、どうですか、お答え願います。政務次官からお答え願い、答弁次第によっては長くかかりますよ。
大上司
47
○
政府委員
(大上司君) 実はただいま矢嶋先生の御指摘のとおりでございます。いわゆる
国庫負担
の一割、その問題について、予算の折衝過程は、これもまた御指摘のとおりで、私政務次官といたしましても、将来ともこの財源的な処置というものは取り組んで
実施
していきたいという個人的な考え方は持っております。 なお、さらに千分の四十四というそのいきさつなり、是正等についても、これは事務当局から言われなかったと思いますが、いろいろな面からの、これまた私の個人的な主観的な考えですが、割り切れなかったものがあるのではなかろうか、このように判断しております。したがいまして、ただいまの御質問に対しては、
行政局長
の立場としてはそのような面もあったでしょうが、私としては、御指摘のとおりであります。
矢嶋三義
48
○矢嶋三義君 さすがは政務次官です。りっぱな答弁です。それで
内容
を掘り下げるのは次回にして、次の質問をしていきましょう。 それでは自治省に伺いますが、昨年の秋に試案を出されましたね。その試案と今度の
法律案
の中とで非常に相違している点、非常といっても相当相違している点、若干あげて下さい。
佐久間彊
49
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 第一の点は、ただいま先生のおっしゃいましたこの
国庫負担
の点でございます。第二の点は、
組合会
と
運営審議会
の点でございます。それから第三の点は、まあ監督の点は、当時の案よりも若干緩和をいたしております。
矢嶋三義
50
○矢嶋三義君 ちょっと枝葉を出して伺いますが、この
地方議会議員互助年金法
附則
四項によって、統一
年金
ができた場合に移しかえるという場合には、これはついせんだってまでは、私が私的に皆さん方に承わったところによると、
附則
四項があるから、
地方議会議員互助年金法
をここへ移しかえるだけだというように
説明
を聞いておったわけですね。ところが、
内容
を見ますというと、移しかえるだけでなくして、質的に変わってきましたね。これは大きな変化ではないですか。
佐久間彊
51
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 考え方といたしましては、やはり互助
年金
的な性格のものは変更をいたしておりません。ただ、現行
制度
におきましては、
任意加入
になっておりまするし、
掛金
で
負担
をいたしました場合に、それをまかなえない場合の公費
負担
ということも明確になっておりませんでしたので、その二点につきましては、
国会議員
の
年金制度
に準じて、この統合いたします機会に改めたわけでございます。
矢嶋三義
52
○矢嶋三義君 それはあなた、見識が足りませんよ。非常にその答弁は私は不満足ですがね、見識を疑いますね。政治家に対する迎合的な気持で答弁しているのじゃないか、ほんとうにあなたはそういう気持だったら問題だと思うのだ。 もう一、二点伺いますが、これは質的に変わっていますよ。一体、こういう
地方公務員
の統一
年金
、これを
規定
した
法律
に、地方
議員
の
年金
みたいのが入っておるような立法例というのが他国にありますか、ありませんか。
佐久間彊
53
○
政府委員
(
佐久間彊
君) その点よく調べておりません。
矢嶋三義
54
○矢嶋三義君 他国のそういう立法例というものを
検討
しないでやっているのですか。政務次官、他国にこういう立法例があると思いますか、ないと思いますか、お答えいただきたい。
大上司
55
○
政府委員
(大上司君) まことに申しわけないのですが、私もまだ研究しておりませんので。
矢嶋三義
56
○矢嶋三義君 じゃ、私が申し上げておきましょう。これは
国会
図書館の立法考査局で調査してみたのですが、こういう形態の
法律
というものは、世界のいずれの国にもないですね。それからこの
互助年金法
を移しかえたものとは、当初私が承ったのと違ってきていますよ、それは。第一に、公費
負担
というものが入ってきているでしょう。非常に違うのですね。そこで、きょうは掘り下げないが、私は後日の研究のために承わっておくのですが、政務次官、自信をもってお答えを願いたいのです。ある学者の論文をここに持っておるが、きょうは読みませんが、地方議会の
議員
は
国会議員
に準ずるということ、こういう考え方は、
地方公務員
が
国家公務員
に準ずるというのと同じように扱っていいものかどうか。今、大臣来たから、ちょっと伺いますが、あなたからリレーしてお答えいただきたいのですがね。私は、その職務の
内容
と形態と、また他の国内法の根拠等からいって、
地方公務員
が
国家公務員
に準ずるという考えは、これはスムーズで容易に認められる。しかし、地方議会の
議員
が
国会議員
に準ずるという、こういう大前提ですべての
議員
の報酬の事柄をきめるのには、若干僕は——若干じなゃい、僕個人としては、相当問題があるのじゃないかという見解を持っているわけです。それで、立法過程に私は非常に関心を持って見守っていたのです。ところが、その当時は、ただこっちに移しかえるだけで、まあ
附則
四項があるから、ああそうかなと思っていた。ところが、
提出
された
法律案
を見ると質的に変わった形で移しかえている。こういう格好のものがよその国の
法律
にあるかというと、よその国の
法律
にはこういう立法例はないのですね。これは実態がどうの、
内容
がどうのというよりは、やはり一国の権威ある国権の最高機関の立法府ですから、だから、そういう角度から問題をつかなければならぬというので、若干僕は関心を持って研究したのですが、お答えを願いたいのは、準ずるという考え方で今後あらゆる問題を扱っていいものかどうか。
一つ
の方向づけをはっきりしておかないと、今後いろいろの問題が私起こってくると思うのですよ。その点大臣の所見を承わっておきたいと思う。私の質問
内容
を政務次官は間違いないように大臣にリレーしないと、とんでもない答弁出ますよ。
安井謙
57
○
国務大臣
(
安井謙
君) 今の矢嶋
議員
の御指摘、今、私出席したわけですが、地方
議員
を同じように今度
公務員
に準じた扱いで
年金
等の扱いをするという点で、地方
議員
というもののあり方、扱い方についての基本的な御質問だと思います。もちろんこれを、地方
議員
というものを国の
議員
に準ずるとか、あるいは
公務員
に準ずるということを一律にやることが、
一般
論として正しいといったような議論は必ずしも妥当じゃなかろうという御指摘は、そのとおりだと思います。ただ、今度の場合につきましては、単独立法でありましたものを、なお、たとえば国の
公務員
、国の
議員
、地方の
公務員
、こういうものについて大体一律の
制度
をしかれる、こういうふうなことになりますと、やはりそれと同じような
一つ
の範疇に入る地方の
議員
というものにつきましても、この点に関しては、大体本案で示したような扱い方をいたしていいのじゃないか。地方の
議員
だけを国の
公務員
なり国の
議員
、地方の
公務員
というものと別に、全然別扱いをこの問題に関してしなければならぬかどうかという点には、むしろこの際一応こういう
法律
の扱いにして入れたほうが穏当であろうというふうに考えて入れたわけでありまして、他のすべての、ことを全部準じて扱うというふうに何も考えてしまっておるわけではないのであります。
小林武治
58
○
委員長
(
小林武治
君) 矢嶋さん、一応十二時半に休憩しましょう。
矢嶋三義
59
○矢嶋三義君 きょうは、それだけ承っておきましょう。やはり私はずいぶん問題点があると思うのですよ。処遇をよくする、しないという問題でなくて、やはり立法技術、法体系のあり方という点から、方向次第では国権の最高機関、立法府の見識も
関係
してくる
内容
を持ってきはしないかと私考えております。いずれ他日論じます。 そこで次に、
自治大臣
、この
法案
のアウト・ラインをつかもうとして質疑をしているわけですよ、あともう少し伺って参ります。この
法案
を非常に待望している団体、階層、それから批判をしている団体、階層はいかようなものだというように担当省としては情勢認識をしておられるか、お伺いしたい。
安井謙
60
○
国務大臣
(
安井謙
君)
退職年金制度
あるいは
共済組合
制度
というものをしくということにつきましては、私は
地方公務員
関係
者全員これをむしろ期待されておる、こう思います。ただ、それをやるについてのいろいろ、さらにこうしてほしい、ああしてほしいという希望条件というものは、また個々に伺えばいろいろあろうと思います。
矢嶋三義
61
○矢嶋三義君 本法
実施
によって現行法より不利になるものは何パーセントぐらいあると認識されておられますか。
安井謙
62
○
国務大臣
(
安井謙
君) さあ、不利になるというものの見方でありますが、部分的に不利になるように見える面もあろうが、全体を通じて見ればこれはやはり有利であるという解釈も成り立とうと思います。これには相当それぞれの主観が入ろうかと思います。私ども全体としてこれを不利にするという法的意識はないのでありまして、全体を通じてできるだけ有利に、しかし、部分的、技術的には、その部分だけつかまえるならば、あるいは不利な面も出てくる。しかし、これは全体を直していくためにやむを得ない場合、あるいはそれこそ国の
公務員
に準ずるという
建前
もと
る必要からやむを得ない面、そういうものは若干出てこようかと思っております。
矢嶋三義
63
○矢嶋三義君
政府委員
に伺いますが、本法
実施
によって不利になる人がいるのか、いないのか、いればどのくらいいると認識されておるのか。私あまり小さいことは聞きませんよ、部分的なことは。大まかなことを今伺っているのです。
法案
、条文製作者として、どういうふうに認識されておるか。たとえば減額
年金制度
なんか行ないますと、この
適用
を受けたら長生きをすると損をしますね。そういう部分的なことを聞いていないわけです。長生きしようと思う人は減額
年金制度
の
適用
を受けたら損します。早く死ねば得をするかもしれないが、しかし、死ぬとか生きるとかというのはだいぶ違ってきますからね。それはいろいろ問題点はありますが、そういうことは聞いていない。全般的に各自治体の同種
適用
ですから、そういう点からどういうふうに事務当局としては認識されておられるか、伺いたいと思います。
佐久間彊
64
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 全般的には有利になると思っております。部分的には、あるいは今、先生の御指摘になりました従来の若年停止でいったほうが新しい減額
退職年金
の
制度
よりも有利というふうに感じられる部分はあろうかと思いますが、その部分につきましては、
経過規定
ももちろん設けております。なお、幾つかの市におきまして、新しい
年金制度
を
実施
いたしましても、なお従来の
年金
のほうが若干有利だということもございますが、これも
経過規定
で
措置
をいたしておりますので、全体を通じてみますると、不利になることはないのじゃなかろうかと思っております。
矢嶋三義
65
○矢嶋三義君 最短
年金
年限とか
掛金
率によって不利になってくるところは出るでしょう。具体的なものは名前をあげてきょうは聞きませんがね。それで付加
給付
制度
を認めるといっても、あるいはこういう
法律
が出てくるとやらないかもしれない。そういうことは既得権、期待権を尊重する意味で付加
給付
制度
をやらねばならぬとは
規定
してない。だから、いずれ質疑が進展して参りますと具体的にあげて参りますが、相当部分に、ことに
財政
力の豊かな指定
都市
のごときは、おおむね不利になるほうが多いと、大ざっぱにこう僕はつかんで至当ではないかと、こう思うのですが、いかがですか。
佐久間彊
66
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 指定
都市
につきましては、従来の条例で
規定
されております
内容
が、この新
制度
を
実施
いたしました場合よりも若干有利になっておる点があることは御指摘のとおりでございますが、これも
経過規定
でその差額の分を
地方公共団体
が出すことができるという
附則
の
規定
を設けておりますので、その点も解消すると考えております。
矢嶋三義
67
○矢嶋三義君
自治大臣
に伺いますが、これは地方
財政
と非常に
関係
してくると思うのですよ。既得権、期待権を守るために付加
給付
制度
を認めよう、これと追加
費用
の問題も起こってきます。それでやるところとやらないところとできるだろうし、やろうとしても地方
財政
に影響してくる。他に地方自治体の本来の行政事務があれば、それにどうしても力を入れなければならぬという、行政事務をあげるためにそうするとこちらを犠牲にしなければならぬと、こうなってくると思うのです。その場合に、国がどうするのかということが明確でないと思う。たとえば
一つ
取り上げれば、追加
費用
は、国または
地方団体
が
負担
と書いてある。国または
地方団体
が
負担
、こういう
法律
の書き方はないのじゃないかと思うのです、地方
財政
の立場からいえばね。それから
地方団体
によってばらばらになってくると思うのですよ。一体追加
費用
というのは、これは国または
地方団体
というのは、どちらがどういうふうに持つような話し合いでこの
法律案
を出してきているのか、その点
自治大臣
と
大蔵省
側からお答えをいただきたいと思います。
安井謙
68
○
国務大臣
(
安井謙
君) まあ追加
費用
の問題につきましては、御承知のように、国にとりましても将来の問題としてこれは大きな問題になっております。したがって、逐次最低必要なものを補充していくというような考え方、まあ地方の場合も、今度
実施
するにつきましては、将来これを要するであろうという予想が同じように立つわけであります。これも団体の数や
内容等
によりまして、どういうふうに組んでいくか、あるいは盛っていくかという点については、将来の問題としていろいろまだこれからきめなきゃならぬ問題が相当多かろうと思います。そこで、そういう問題を
検討
しながら、何年かの実績を見ながら、逐次作業をしていく、いずれにしろ最終的には責任は持つのだということをまず
建前
をきめておきまして、それであとは国といいましても、これは交付税で見る場合も国の問題でもあるし、また地方で見るといいましても、交付税等の勘案において地方で見るというような見方もありましょうし、これは具体的の
内容
については、もう少し様子を見てから将来きめていこう、こういうふうに考えておるわけであります。 それからもう
一つ
の付加
給付
というのでございますか、従来持っておった既得権を保持するためには、これは
地方団体
にある程度の権限をゆだねる、こういう条項もございます。これはそのとおりでありまして、私ども
地方団体
がある程度まで独自の判断でそれをやるという場合もあるが、ことに
地方公務員
の給与あるいは待遇といったような面につきましては、できるだけ全体をならしていくということを常に心がけてやっておるわけであります。しかし、個々の実際の
措置
については、これは
地方団体
にもある程度の酌量の余地を残さなきゃこれはまたなり立たぬものであります。そういう意味で今のところ、これはやることができるというようなことでそれぞれの団体の実情に応じよう、こういうふうに考えておるわけであります。
佐久間彊
69
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 今の追加
費用
の
負担
の点でございますが、これは政令で詳細をきめるわけでございますが、考え方といたしましては、国が
負担
をいたしますのは、現在国が給与等を
負担
いたしておる
国家公務員
の場合、それから義務教育
職員
につきまして二分の一
国庫負担
をいたしておりますが、それらの場合を私ど
もと
しては一応念頭に置いておりまして、それ以外の
地方公務員
の場合では
地方公共団体
が見る、こういうふうな考え方をいたしております。
平井廸郎
70
○
政府委員
(平井廸郎君)
大蔵省
の考え方も、ただいま自治省
政府委員
からお答えの点と全然同じでございます。
矢嶋三義
71
○矢嶋三義君 これは大へん問題がありますな。地方
財政
にたいへんな問題が起こってくるですね。まあ数的のことはきょうはよしておきましょう。他の省の方々を早く帰らせるために、もうちょっと伺っておきますが、
大蔵省
に伺いますがね、地方
財政
の問題ですが、
地方団体
間の格差是正という立場から、
財政
調整の必要があるとお考えになっておられますか。それとも違うお考えを持っておられるか、
大蔵省
の答弁を伺います。
平井廸郎
72
○
政府委員
(平井廸郎君) ただいまの御質問、非常に広範な御質問でございますので、どういう趣旨と理解してよろしいのでございますか、ちょっと私もやや見当をつけかねておるような感じでございますが、この
地方職員共済組合
法の
適用
に関連して財源調整をする必要があるかどうかというふうに……。
矢嶋三義
73
○矢嶋三義君 それを聞いているのではない。
一般
に
地方団体
間の財源調整というものは、施策として必要があるという考えを
大蔵省
は持っているのか、持っていないのかということを聞いている。あなたははえある
政府委員
として
大蔵省
の方針というのは知っているはずです。それを答えて下さい。
平井廸郎
74
○
政府委員
(平井廸郎君) 少し問題が大き過ぎるようでございますが、率直に申し上げまして、この問題について今直ちにちょっと答弁いたしかねますので、一応次の機会にでもまた内部で
検討
いたしました上で御答弁させていただきたいと思います。
矢嶋三義
75
○矢嶋三義君 今朝
大蔵省
に大臣の出席を求めたととろ、優秀な平井
課長
が出席して大臣にかわって答弁するからということでしたから、それでは大臣お休み下さいと僕は了承したわけです。
自治大臣
に伺いますが、その点は自治省としてどうお考えになっておりますか。
安井謙
76
○
国務大臣
(
安井謙
君) むろんこの
地方団体
間の財源調整そのものも、時と場合によって必要もあろうと思いますが、
地方団体
間だけでの財源のやりくりというものは、由来自治省はそういう
建前
はとっておらぬわけであります。これにはやはり適当な国からの財源補給というものと待って、合理的な調整を今後していくべきものだ、こういうふうに考えております。
矢嶋三義
77
○矢嶋三義君
自治大臣
に伺います。この
法案
の問題で非常に欠点の
一つ
として、この
地方公務員
共済組合
の
年金制度
を
実施
する、そしてこれで
地方団体
間の財源調整をやろうとしたことは、僕は致命的の欠陥であると思う、これにはほかにも欠陥があるが。国の
負担
をしないで交付税率二八・九に現在より〇・四上げたのでありますが、実質的には〇・一上げたわけですね。これに依存したということは、この
年金
を
実施
するにあたって、これで交付団体と不交付団体との財源調整をやろうという経緯のあったことは、これは僕は許すことのできないことだと思う。冒頭に僕は伺ったわけですよ、これは社会保障の一環としてやるのかと。
政府
は社会保障の一環として取り上げてやると言う。そうであるならば、交付団体、不交付団体、富める団体と貧しき団体間の財源調整はこれとは別個にやらなければならぬ。それを〇・一のそれに依存したということは、筋からいって非常に間違いだ。それを予算編成の段階に
大蔵大臣
との交渉の際に、
自治大臣
が交付税率の二八・五を二八・九にする交渉のときに、あっさりおりたということは、重大なミスをしたとか、かような見解を持っているのですが。これは自治省の局長は今は黙っているけれども、がく然として青くなった。
文部大臣
もかんかんになって怒っている。
自治大臣
は
警察
庁の予算をとるために、二者択一で、こちらを犠牲にして、
自治大臣
は自分のほしいものを、ほかの予算を、これはここでは名前は言いませんが、水田さんとの交渉でとって、これをおりた。実に
自治大臣
はけしからぬと言っておりましたが、どうですか。
安井謙
78
○
国務大臣
(
安井謙
君) たいへん御叱声とも御激励ともつかぬ御質問をいただいたわけでありますが、これはいろいろ考え方、御批判はあろうと思います。御承知のとおり自治省はここ二年来国の補助を一割持つべきだという主張で、ずっと予算折衝を続けてきたわけであります。しかし、これを二年やってさらにまとまらない。まとまらなければ、この
法律案
自体は実現もできないので、
実施
しなくてもいいかどうかという問題に三年目でぶつかっているわけであります。こういうような意味から、一方全然認めないという限りは、これは主張を譲らなければ、これまた見送る以外に方法がないという点が
一つ
と、それからもう
一つ
は、国が補助すべきだという
一つ
の根拠はむろん十分あって主張しておったのでありますが、しかし、それは必ずしもそういう一割補助というものに限定されたものじゃないのじゃないかという議論も内部にあったことも事実であったのです。そこで、それやこれやを政治的に判断いたしまして、これをただがむしゃらに突っぱっておればことしも
実施
延期だ、これではいつまでたっても
地方公務員
に対する
年金制度
の
実施
は行なわれないという判断もあるし、ことに、ことし行なわれないということになると、これはいつどうなるやわからぬ、というようなことになって、それじゃ全体の
運営
上たいへんおもしろくないというようなことから、別途に方法を考えたわけであります。ただ、この〇・四を上げるということと、それと取り引きしたといったような問題じゃない、この
大蔵省
の
建前
はあくまで国の補助という
建前
を認めない、こういうことに終始しておったのであります。それを突っぱる限りはできないということであります。しかし同時に、全体の
財政
に対する顧慮というものは、何もこの
年金
だけの問題じゃありません。交付税につきましては全体で〇・三という臨時のものが非常にふらふらして、いつでも、いつ引っ込められるかわからぬという状況にある際に、これは地方
財政
を安定させるためには、これを普通交付税率へ繰り込んで、さらに〇・一をふやすということが、地方
財政
全体としては大きなプラスであるというふうな判断もたったものでありまするから、そういうものを今度は取り入れ、同時に、国がどうしても出さぬというものなら仕方がないから、出さない方法でこれをやる、こういうふうに考えてきたわけであります。
矢嶋三義
79
○矢嶋三義君 もう
一つ
、この次に少し掘り下げてお伺いしましょう。きょうのところはもう三点伺っておきますが、逐条
審議
のときにさらに詳しくやりますが、たとえば
附則
四十一条に
退職手当
制度
の
整備
というので「
整備
するように努めなければならない。」とうたってある。これは、はたして
国家公務員共済組合法
に準じて、
地方公務員共済組合法
が
施行
され、それから
退職手当
が、給与の後払いとしての
退職手当
が、
国家公務員
のそれと同じ基準で必ず
地方団体
がやるものかどうか。
国家公務員
の場合は法的根拠がありますが、
地方公務員
の場合はないのですから、しかも、
地方団体
は多種多様な
財政
能力を持っているわけだから、その点非常に懸念があるわけだ。でないと、一方では
年金
のほうは、年限は延びるわ、
掛金
は上がるわ、そうして
給付
率は百分の四十となるわ、年数は三年延びたことを計算すれば、そんなに上がらない。指定
都市
のような既得権のいいところはむしろ下がるくらいだ。しかしそれにしても、
国家公務員
と同じような
退職手当
制度
の
整備
が行なわれれば幾らか埋め合わせできるけれども、それができぬとなると、その差はもっと開いてくるわけです。それでこの
法案
に対する抵抗はもっと強くなるわけです。その点は立案者としてはどういう見通しを持っておられ、
整備
するように努めなければならないという
内容
は、最低限この程度までは
整備
しなきゃならぬというので、
地方団体
を指導するという案を持っておられるのかどうか。また自信があるのかどうか。いずれ数字的なものはこの次資料として、何年のはこうだ、何年勤務にはこうだと出してもらいたいと思いますが、そのとき詳しく聞きますが、大きな方向を大臣と
政府委員
に伺っておきたいと思います。
安井謙
80
○
国務大臣
(
安井謙
君)
退職手当
を受けることができるという部分の技術的の問題につきまして、
政府委員
のほうからお答えいたします。
佐久間彊
81
○
政府委員
(
佐久間彊
君) この点につきましては、十月一日から
実施
できますように
財政
計画上は
所要
財源を見込んでおります。この
法律
が成立いたしましたならば、御指摘の条文を
もと
にいたしまして、
地方公共団体
に
国家公務員
ベースの
退職手当
制度
が
整備
されますように強力に指導いたすつもりでおります。
矢嶋三義
82
○矢嶋三義君 数的な資料をこの次出していただけますか。
佐久間彊
83
○
政府委員
(
佐久間彊
君) はい。
矢嶋三義
84
○矢嶋三義君 そういうものの、必要な
財政
措置
というものが地方
財政
計画で完全に行なわれているものかどうか、お答えいただきたい。
安井謙
85
○
国務大臣
(
安井謙
君) 行なわれております。
矢嶋三義
86
○矢嶋三義君 この点きょうはこの程度にしておきますが、大蔵君側に伺いますが、あなたのところは、
組合
運営
について非常にごついということを承って、そういう感じがまた私もしているのですがね。まあ
審議会
方式と
組合会
方式をとったが、詳しいことはこの次聞きますので、きょうはあなたのほうだけ伺っておきたいと思うのですがね。あなたのほうは、
組合会
方式に猛烈な抵抗を
大蔵省
はされたというのだが、どういうわけなんですかね。補助金は、
地方制度調査会
は出せというのに補助金は出さぬわ、
運営
については、
国家公務員共済組合法
における
大蔵大臣
の発言権ですね、これはあの
法案
審議
のときに非常に問題になった
一つ
の焦点だったのですが、同じようなものを持とうという点は、あまりいただけない御態度のような感じがするのですがね。そうして結局紆余曲折を経て
審議会
方式と
組合会
方式になったが、それ自体も僕はおかしいと思うのだが、
大蔵省
としてはどういう御見解を持っておられるのか、承っておきたいと思う。
平井廸郎
87
○
政府委員
(平井廸郎君) ただいま先生からおしかりを受けましたが、私ど
もと
いたしまして別に非常にごついとかいうような意味で考えておったわけではございません。この
法律案
が作成される過程におきまして、まあ確かに御指摘のように、
地方公務員
の
共済組合
の中で三共済、いわゆる三共済につきましては
運営審議会方式
をとったようなわけでございますが、これは
一つ
の考え方としては、どちらかの、
組合会
なり、あるいは
運営審議会
なり
一つ
の方式に統一するというのも考え方ではあろうかと思いますが、この
法律
自体がすでに三共済と
市町村職員共済組合
というようなものを統合していくというような格好で出ております
関係
上、いわば母法的な性格において、それぞれの
法律案
を受け入れていくという格好を考えたわけでございまして、その限りにおきましては、従来の三共済について
運営審議会方式
がとられ、
市町村
共済組合
については
組合会
方式がとられているわけでございますので、それぞれをそのまますらっとした形で受け入れるという格好でいいのではないかというふうに考えたわけでございます。
矢嶋三義
88
○矢嶋三義君 この次の質疑に
関係
がございますので、きょう
自治大臣
のほうに伺っておきますが、明確に答えておいていただきたい。それに基づいてこの次質疑しますからね。それは
審議会
方式と
組合会
方式ですね、この
構成
も違うわけですね。そうして条文を見ると、
審議会
方式の場合には「議を経なければならない。」、「議」と書いてある。それから
組合会
のほうは「議決を経なければならない」と、こうなっているですね、だから、ここのところ僕はずいぶん違うのだと思うのです。こうなると
組合
の
運営
に関与する度合いというものが非常に変わってくるわけですね。この「議を経なければならない」と「議決を経なければならない」という、ここの差異ですね。これはどうして
組合
運営
の関与度というものの差をつけたかというのが、僕は条文読んでわからない。きょう大まかなことを承っておいて、さらにこの次に伺いますが、お答えいただきたいと思う。
安井謙
89
○
国務大臣
(
安井謙
君)
審議会
と
組合会
というものの性格あるいは
運営
上の
法律
的な解釈につきましては、事務当局からも答弁すると思いますが、今
大蔵省
で答弁されましたように、三
組合
につきましては、従来その
建前
をとっておったものでありますから、それをそのまま継承したが一番穏当だろうという
建前
で、
三つ
については、そういう
建前
を継承いたして、それからその他については、それぞれまた従来の歴史なり行き方に準じて
組合会
方式をとっている、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
佐久間彊
90
○
政府委員
(
佐久間彊
君) お尋ねの点、書き分けましたのは、
運営審議会
の議を経なければならないというのは、
国家公務員共済組合法
の
規定
にならって書きました。
組合会
のほうは、議決を経なければならない、これも現在の
市町村職員共済組合
法の
組合会
の
規定
にならって書いたわけでございまして、
運営審議会
のほろは
諮問機関
的な性格を持ち、
組合会
のほうはいわゆる議決機関的な性格を持つ、こういうふうに考えておるのでございます。
矢嶋三義
91
○矢嶋三義君 やはり一方は議決権を持たないが、一方は議決権を持っている、こういうふうにあの条章を読んでいいわけですね。
佐久間彊
92
○
政府委員
(
佐久間彊
君) そのとおりでございます。
矢嶋三義
93
○矢嶋三義君 これは次の機会に質疑いたします。やはりそうだとすると、ずいぶん問題点が出てくると思うのです。 あと二点ですが、文部省に伺いますが、
文部大臣
が来ておらないから事務当局の感じを承っておきたいのですが、
公立学校
の
共済組合
員というのは相当多いわけですね。それから平均ベースも高いから相当会計も累積されるわけですね。だから正しい意味の公平という立場から、いろいろあなたのところも主張されたと思うのですが、
法案
が出てきた現時点に立って、
大蔵省
、特に自治省との勝負で——これは荒木さんは勝負事が好きなんだが、大体何パーセントくらいのところというふうに認識されているのか。答弁次第で、この次の質問もまた変わって参りますので、事務当局の見解を承っておきます。
杉江清
94
○
政府委員
(杉江清君) まことに答えにくい質問でございますけれども、私どもおおむね可なりという程度に考えております。
矢嶋三義
95
○矢嶋三義君 おおむね可なりというと、三分の二くらいいっているということですか、どういうところですか。
杉江清
96
○
政府委員
(杉江清君) 教員の立場のみから考え、その立場を擁護するということから、必ずしも十分でない点もありますが、しかし、全体において
制度
として改善されておるのであり、この
制度
に従って今後改むべきところは改めていく、また
運用
において、その立場を今後私ども主張して参る、かように考えておりますので、
制度
全体としては改善されており、また、この方向で今後教員の立場を考えていくということがいい。そしてそういうふうに基本的立場はこの
法律
において盛られておると、こういう考え方をしておりまして、私ども大体においてこれでよろしいと、かように考えております。
矢嶋三義
97
○矢嶋三義君 文部省は優良可を使うのだから、おおむね可なりといったところで、大体
検討
はつくと思うのですが、いずれ
文部大臣
に伺います。
大蔵省
に数字だけ伺っておきますが、
国家公務員共済組合
を所管されておりますので、あの法
審議
の際、その後においては、例の千分の四十四というのはトラブルの対象になった数字ですが、これはその後
検討
したやに承っておるのですが、この四十四という数字を近く上げるか下げるか、動かす可能性があるのかないのか、お答えをいただきたいと思うのです。
平井廸郎
98
○
政府委員
(平井廸郎君) まず、この
長期給付
の財源率につきましては、
法律
で少なくとも五年に一回
検討
するという
建前
を定められておりまして、それぞれの
共済組合
団体、つまり
連合会
、加入
組合
でございますれば、
共済組合
連合会
が、そうでない
単位組合
で行なっております建設省の場合でありますれば、建設省の
共済組合
がそれぞれ
検討
をいたしまして、これを改訂する必要があるという線に立っていますれば、われわれのほうに御相談があるわけでございます。そこで、先生御質問のございました、近くこの財源率を改訂する考え方があるかないかという点でございますが、私どもが伺っている範囲におきましては、近くこれを改訂するという考え方はないようでございます。これは
一般
の非現業
国家公務員
の場合でございますと、三十四年の十月に
実施
されたわけでございまして、五年間という期限になりますと三十九年十月、この時期が少なくとも五年間という時期に該当いたしますので、その時期になりますれば、先生の御質問のございました点につきましては、何らかの結論を出さなければならぬわけでございますが、現在のところではございません。ただ、すでに御存じと存じますが、新
制度
の発足の際に、一部の省庁から財源率について再計算を要望する声もございましたので、また一方では、一昨年の十月に、いわゆる上厚下薄の一二・四%の
公務員
のベース・アップが行なわれまして、これが財源率に相当大きな影響を与えているのではないかというような声もございましたので、こういった点を中間的に
検討
するという意味におきまして、
共済組合
連合会
におきまして、保険数理の専門家が一応試算したことはございます。その試算の結果を分析いたしますと、たとえば死亡率といったようなものは、明らかに低下いたしておりますし、また、これが退職率とか、あるいは廃疾者の発生率、あるいは遺族の保有率などとともに、漸次下がっていくであろうということも客観的に言えるわけでございますが、先ほど私が申し上げました、
公務員
のベース・アップのやり方による財源率の変動要素、これについては、必ずしも一がいに上がると言い切れるものでもないというような中間的な考え方も出て参っております。それから特に、最も財源率に影響いたしますところの
退職年金
給付
に関する要素につきましては、何分
制度
が本格的に発足いたしましてから、保険数理の計算基礎となりました
期間
が一年数カ月程度にとどまったという経緯もありまして、今直ちに結論を出して、財源率を動かすということは適当でないというような結論がございまして、また方々出てきた答も、現在の財源率よりも若干上がるというような要素がございましたが、現行の財源率とそう大きな開きがあるものではないというような事情を総合勘案いたしまして、結局、中間
検討
の結果、直ちに今の財源率を動かす必要はないというような専門家の
意見
になったようでございます。そういった点を総合勘案いたしまして、
連合会
においても、今直ちにこの改訂について御相談あるというような状況ではございません。先ほど申し上げましたように、この問題は三十九年の十月を目途として、さらに今後
検討
されていくであろうということが言えるわけでございます。 ただ一点だけお断わり申し上げておきたいのでありますが、昨年、退職一時金
制度
の変更がございまして、従来は三年間勤務しませんと、退職一時金を支給されなかったわけでございますが、これが
制度
の
改正
によりまして、一年の勤務者につきましても退職一時金が支給されるようになったわけでございます。これは
一般
公務員
につきましては、さほど大きな財源率に対する影響は及ばなかったのでございますが、いわゆる任期制の自衛官につきましては、何分勤務
期間
が
一般
的に短かいという特殊事情がありまして、この点から当然財源率にかなりの影響を及ぼしたのでございます。したがいまして、この点につきましては、特別の
制度
改正
に伴う
措置
として、昨年の十二月に任期制自衛官についての財源率の変更を行なっております。この点を除きましては、先生御指摘の点につきましては、現在直ちにこれを動かすという考え方はございません。
矢嶋三義
99
○矢嶋三義君 あと数字を二、三、
国家公務員共済組合
について伺っておきますが、答えて下さい。今
組合員
が何名で、一年の
掛金
が幾らで、資金
運用
部資金へ幾ら投入しているか、その数字を教えていただきたいのです。
平井廸郎
100
○
政府委員
(平井廸郎君)
国家公務員共済組合
の
組合員
の正確な数字はちょっと手元にございませんが、大体非現業におきまして六十四万五千程度、それから現業
職員
におきましては三十六万三千程度というふうに理解いたしております。 それから
掛金
につきましては、一番大きな団体である
連合会
を例にとって申しますならば、三十六年度におきまして、大体これは決算数字を確定いたしておりませんが、六十五、六億程度の
掛金
ということになっておりまして、
積立金
が年額で大体百六十一億程度の増加を示すという予定になっております。そのほか、これに次ぐ大きな
組合
でございます郵政省をとりますと、三十六年度の
掛金
が二十八億程度、
積立金
増加は七十八億程度ということになります。あと若干印刷、造幣、林野、建設等の
組合
がございますが……。
矢嶋三義
101
○矢嶋三義君 合計はどのくらいですか。
平井廸郎
102
○
政府委員
(平井廸郎君) 達観いたしますと、
掛金
の総額におきまして大体百億前後というふうに理解いただいてけっこうだと思います。
秋山長造
103
○秋山長造君 現業、非現業両方で……。
平井廸郎
104
○
政府委員
(平井廸郎君) これは現業、非現業両方でございます。
矢嶋三義
105
○矢嶋三義君
積立金
の……。
平井廸郎
106
○
政府委員
(平井廸郎君)
積立金
の増加額は、
連合会
が先ほど申し上げましたように百六十億前後、郵政省が八十億前後でございまして、全部入れまして二百七、八十億になろうかと思っております。
矢嶋三義
107
○矢嶋三義君 資金
運用
部資金へ幾ら入れているんですか。全部……。
平井廸郎
108
○
政府委員
(平井廸郎君) 資金
運用
部資金につきましては、ちょっと
制度
の
説明
になりますが、毎年度の純増額の三分の一を資金
運用
部へ預託するという
建前
になっておりまして、先ほど申し上げましたように、二百七十億程度でございましたならば、九十億ぐらいが資金
運用
部に預託されることになります。
矢嶋三義
109
○矢嶋三義君 最後の最後ですが、この各
組合
の
福祉事業
に相当なアンバランスができていはしないだろうか。その点
国家公務員共済組合
の実情を教えていただきたいと思います。
平井廸郎
110
○
政府委員
(平井廸郎君) 非常に広い意味で
福祉事業
を考えます場合に、何らのアンバランスがないと申し切る自信はございませんが、
一般
的に申しますならば、
連合会
で
実施
するべき
事業
、
単位組合
で
実施
するべき
事業
のバランスを考えまして、財源なり、あるいは
実施
事業
についてできるだけ効率をはかって参っておるつもりでございます。
矢嶋三義
111
○矢嶋三義君
現状
で差は相当出てきているのですか、いないですかということを伺っているのですが、相当差が出ているのではないですか。
平井廸郎
112
○
政府委員
(平井廸郎君) たとえば国鉄、電電、専売といった、いわば三
公共
企業体
関係
と、
一般
の非現業の
職員
の場合と比べますならば、やはり
一般
の非現業の
職員
のほうがややおくれているということは言えるかと思います。
秋山長造
113
○秋山長造君 とりあえず資料を要求したいのですが、自治省のほうへお願いしたいのは、
昭和
二十八年十一月に人事院から出された
退職年金制度
に関する勧告、それから三十年十一月に
公務員
制度
調査会から出た
答申
。それから本年の三月一日に社会保障
制度
審議会
から出た
答申
。それからさっきの資料の中の九ページの
組織
図がありますね、今度の
共済組合
に移行するあの数字が、対象人員の数字がずっと書いてあるのですが、その数字の
内容
についてもう少し小分けをした資料がほしいのです。たとえば
職員
が幾ら、
雇用人
が幾ら、これを。 それから文部省にお願いしたいのですが、
公立学校共済組合
の対象人員七十五万足らずということですが、その人員の内訳ですね。小学校幾ら、中学校幾ら、高等学校幾ら、そういう学校種別による人員
構成
。それから男女の性別
構成
というようなものを示す資料、至急に出していただきたい。
小林武治
114
○
委員長
(
小林武治
君) 速記やめて。 〔速記中止〕
小林武治
115
○
委員長
(
小林武治
君) それでは速記を始めて。 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 —————・————— 午後二時二十分開会
小林武治
116
○
委員長
(
小林武治
君)
委員会
を再開いたします。
矢嶋三義
117
○矢嶋三義君 午前に引き続いて、第一読会としてもうちょっと伺わしていただきます。
自治大臣
にぜひ承っておきたい点がありますので、
委員
部のほうで、できるだけ早く出席されるように手配をお願いします。
政府委員
のほうにお伺いしますが、この
法案
で、まあ
年金
としては、厚生
年金
を
適用
されている
身分
としては、
地方公務員
でない若干の人を
組合員
として認めることにいたしましたが、その前提の基準というものはどこに置いたのか、一応御答弁いただきますが、私はそれらの人々の携わっている業務
内容
の実態的な面から考えると、なかなか線の引き方は実際上としては私はむずかしいと思うのですけれども、一応立案作業に携わった皆さん方としては、どういう基準で取り扱われたのか、お答えいただきたいと思います。
佐久間彊
118
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 先生のお尋ねのは、おそらく国保
連合会
地方六団体等の団体
職員
の問題かと存じますが、これは当初自治省の立案の過程におきまして、私ど
もと
いたしましては、そのような地方自治に
関係
のある団体の
職員
で、実際も
地方団体
と交流している場合が多いような人たちも、これに準じた
制度
を作ったらどうだろうかということを
検討
いたしましたが、いろいろまだ問題点もございまするので、御
審議
をいただいております案には除いてございます。
矢嶋三義
119
○矢嶋三義君 そのただいまの点ですね、これを除いた線の引き方が非常に僕は理解しにくいのですが、さらに一歩進めて、たとえば教
職員
組合
という団体の
職員
、こういう方々も——地方教育の振興ということも団体活動の大部をなしておるし、もちろん
組合員
の生活、
身分
の向上が大きな主なるねらいではありますけれども、それだけではなくて、業務
内容
の実態からいうと、地方
財政
の確立とか、教育環境の
整備
とか、あるいは地方教育の振興とかいうようなものが業務、運動の実態としては非常に大きなウエートを占めておるわけですね。そうとなればね、
負担金
はそれらの団体に持たせることにして、国の社会保障
制度
の一環とするならば、そこまで
組合員
対象というものを広げるという考え方も、僕は十分成り立つと思うのですがね。そういう点は、もちろんこの
法案
には含まれていないわけですが、立法過程には議論の対象とならなかったのかどうか、
経過
並びに御所見を承りたいと思います。
佐久間彊
120
○
政府委員
(
佐久間彊
君)
職員
団体の
職員
につきましては、もちろん
公務員
の
身分
を持ったいわゆる専従
職員
、これはこの
法案
の対象にいたしておりますが、
公務員
の
身分
を持っておりません、団体自体の
職員
につきましては、入っておりませんし、立案の過程におきましても、格別問題として
検討
はいたしませんでございました。
矢嶋三義
121
○矢嶋三義君 それは
検討
の余地はございませんか。
佐久間彊
122
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 将来の問題として全然ないというわけではないかと存じますが、これは他の
一般
の労働
組合
、そのほか各種の行政に
関係
のある各種団体、たとえば法令に格別
関係
がないような団体がいろいろございますが、それら全体にも関連してくる問題がおそらく多かろうと思いますので、やはり
検討
いたすといたしましても、慎重に
検討
をいたさなければいかぬと思っております。
矢嶋三義
123
○矢嶋三義君
恩給
公務員
で新法に移行する人が何人あると把握されておりますか。
佐久間彊
124
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 五万四千ほどでございます。
矢嶋三義
125
○矢嶋三義君 こういった方々の、すなわち
恩給
公務員
の整理資金はどの程度であると判断されておりますか、お教えいただきたいと思います。
松浦功
126
○
説明員
(松浦功君) 大体全部逐一に一筆調査をこれからしなければならないわけでございますが、今までの抽出調査の結果によりますと、一人頭大体四十万平均くらいの整理資金が必要かと思います。したがって、それを乗じた額というように一応お考え願いたいと思います。したがいまして、五万四千人ということに対する四十万ということになりますので、二百二十億程度になろうかと思います。
矢嶋三義
127
○矢嶋三義君 もうちょっと数字を承っておきますが、三十五年、三十六年、三十七年に
給付
金の一〇%、国庫補助金、
事務費
、全額国庫補助という立場で概算要求された金額はそれぞれ幾らになっておりますか。
佐久間彊
128
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 一割
国庫負担
の要求額は約五十七億でございます。それから
事務費
は約十八億、合計いたしまして約七十五億。
矢嶋三義
129
○矢嶋三義君 三カ年とも大体同金額と了承しておってよろしいのですか。
秋山長造
130
○秋山長造君 ちょっともう一ぺん今の数字をはっきり言って下さい。
佐久間彊
131
○
政府委員
(
佐久間彊
君) もう一度申し上げますと、三十七年度予算で当初要求いたしましたものは、年間分でございまして、
給付
の一割相当額が約五十七億、その中で
地方職員共済組合
の分が七億三千万、
公立学校共済組合
の分が二十六億、
警察共済組合
の分が五億、都、
市町村
関係
の分が十九億でございます。 それから、
事務費
は、地方教
職員
共済組合
の分が二億四千万、
公立学校共済組合
の分が四億八千万、
警察共済組合
の分が一億九千万、都、
市町村
関係
の分が九億、合計いたしまして十八億、これは当初の要求でございます。なお、つけ加えて申しますと、
公立学校共済組合
に要求をいたしております分は、一応二分の一
国庫負担
の対象になるわけでございます。
矢嶋三義
132
○矢嶋三義君 交付税、交付金の〇・一%は幾らですか。
安井謙
133
○
国務大臣
(
安井謙
君) 大体の見当としまして十五億でございます。
矢嶋三義
134
○矢嶋三義君 大体十五億ですね。で、臨時地方特別交付金〇・三を廃して、繰り入れたりして、〇・四にしても六十億ですね。そうなりますと、地方交付税交付金〇・一%上げたというのと、一割
国庫負担
と
事務費
全額
国庫負担
というのと取引したのでは、数字は合わぬですね。これは幼稚園の生徒でも成り立たない算術ですね。ここはどういうふうに
説明
なさるのですか。
安井謙
135
○
国務大臣
(
安井謙
君)
事務費
のほうにつきましては、これは私ども、どうも、本来一応数には入れておったが、強い要求の対象にはしていない。あとの約六十億弱というものがこの一割
負担
の対象になっておったわけですが、今お話がありましたように、二十何億という義務教育の
関係
は、これは当然そっちで出るわけでございますから、実際上、今度の取りやめ作業によって影響はない。したがって、私今こまかい数字のきちんとしたものを持っておりませんが、大体三十億というのが、今の一割
国庫負担
を取りやめることによっての年間の影響がある。そうしますと、これが、ことしだけでいうと、十月から
実施
されますから、その半額、十五億というものが大体今度取りやめによって
負担
増になりたというふうに考えられようかと、若干の数字の例でありますが、そう思っておるわけであります。 それから、〇・四%は〇・三があったのだから、わずか〇・一じゃないかと言われますが、この〇・三というのは、御承知のとおりの、〇・三をやろうというのじゃないのであります。臨時交付金として、〇・三に当たる部分を、あの当時の
改正
の臨時
措置
として一年の間出そう、金を出そうということなんでありまして、〇・三というものは確立しておったわけでも何でもない。したがいまして、これは早晩、本来いって、ことしあたりから削られてもどうも言い分は弱いというようなものでもあったものなんです。それを今度確認して普通交付税に繰り入れるということで、もう恒久的なものにすることによって、これは〇・一が十五億なら、〇・四なら六十億というものはそれによって一応ふえる。しかし私ども、午前中にも申し上げましたように、それもきちんと計算を差し引きしてやったわけじゃないので、やはり地方
財政
全体を強固にするという
建前
、地方
財政
全体を通して計算をいつもやるわけでありますから、そういう手がとられるならば、もう
一つ
は、もし補助率の問題だけをがんばっておれば、これはもうやれないのでありますから、やれないということは、私はこれは三年間同じようなことをやりながらやれないということは、これは政治的に見ても好ましいことじゃないということで、全体を判断した上で、今度のような方式にしたわけであります。
矢嶋三義
136
○矢嶋三義君 大臣、僕は言質にしてどうしようというわけではないから、ほんとうに、あなた、
国務大臣
として、また
自治大臣
として良識と見識でひとつお答えいただきたいと思うのですが、臨時地方特別交付金〇・三%云々ということですね、これは地方
財政
がだいぶ好転したとはいえ、行政水準を上げなければならないということと、それから固有の行政事務がなかなか多い。特にベビー・ブームで高等学校の急増等がある。そういう条件が一方にあるのにもってきて、臨時的なものにしておくより、
一般
交付税率に直しておいたほうが発展性があるから恒久化したほうがいいというので恒久化されたと思うのですよ。それに合わせて〇・一引き上げというのも起こってきたわけだけれども、
経過
からいって、実質的には
事務費
の、国が
負担
をしないということ、
国家公務員
に準じて、あるいは厚生
年金
の一五%、
船員保険
の二〇%
国庫負担
に対して、とにかく、国が
負担
をやらないから、ともかく交付金で
負担
すればいいのだから、それで〇・一にしようというのが、実際こういう形が出てきた、僕は、
経過
であり、実態だと思うのですね。ところが、御承知のように、
地方制度調査会
では、これは社会保障政策の一環としてやるのだから、国の責任を明確にするために
事務費
は全領国が持つべきだ、それからまた、厚生
年金
とか
船員保険
に見られるがごとく、国が一部
国庫負担
をするのが筋が通っている、
国家公務員共済組合法
が一割
負担
しているのだから、準じてそういうふうにするのが適当であろう、こういう
答申
もなされているわけですね。だから、ほんとうに素直に考えた場合は、やっぱり当初自治省が要求されたように、
事務費
の全額
国庫負担
と、それから一割の
国庫負担
ですね、これが
経過
からいっても折り目が立っていると、こういうように、やっぱり自治省の要求というのは間違いなかった、こういう結論に僕は立たれていると思うのですね。したがって、まあ
法案
の
提出
はできるかできないかと——三十五年のときつぶれ、三十六年のときつぶれた、そして三十七年を迎えたが、これ以上
法案
提出
をなし得ないということではならないからということで、
自治大臣
としては二善、三善、四善の策としてこういうところで妥協して
法案
を出してこられたのではないかと思うのですね。したがって、まあ筋からいって、
事務費
の全額
国庫負担
、それから一割
国庫負担
ですね、これをあきらめてはいないのだ、機会があればやっぱりそういう問題はぶり返して数時間やらねばならない、こういう、率直に言って、折り目の立った素直な御見解に立っておられるものと僕は推察するのですがね、いかがでございますか。
安井謙
137
○
国務大臣
(
安井謙
君) その点はまさにお説のとおりなんでありまして、ただ、今の補助金を要請するというのは、御承知のとおり、もう自治省は強い主張をやっていたわけなんです。これが両三年どうしても成立しない。その場合、また三年越しのこれを見送るべきかどうか、一方で
財政
的な問題も、何とか今度の場合には、
財政
計画の見通しがつくという問題もあります。それからまあ、補助金を認めないというのは、われわれはあくまでも認めろという主張を従来していたわけでありますが、認めない例もほかにあるわけで、三公社五現業のようなものはやってないじゃないか、そういうような意味から、
建前
上それをとる限りは成立をしないということがいかにも明らかなものでありますから、この際政治的判断として今のような
措置
をとったのであります。それだからといって、本来補助金は要らないのだという主張をしようとも思いませんし、今言われますように、きれいさっぱりあきらめておるのじゃなくて、それは機会があってそういうようなことが復活すればなおさら私どもも、これはむろんけっこうだという気持にはもう間違いないわけであります。
矢嶋三義
138
○矢嶋三義君 あと二、三点伺っておきますが、まあこの
法案
は、なかなか泣きどころを持っていると思うのですね。その
一つ
は、
退職手当
を少しふやして、
国家公務員
の二五%程度ふやして、しかも、そのふやし方を見ると、この次資料を出していただくのだが、私の研究した範囲では、勤続年数が多いとふやし方が多いですね。勤続年数が三十年、三十五年となるとぐっとふやしていますね。だからこれは退職勧奨
法案
という感じがするのだ、僕は。相当年輩の人がもうやめようかと、そういう気持が起こってくるような、誘導する
内容
を僕は持っていると思うのですね。それだけにやはり一部で伝えられていることは、どうもこの
法案
のうしろには定年制というものが控えているのじゃないか。実質的に定年制
施行
と不可分の
関係
にあるのじゃないかと。これは定年制の前ぶれみたいな実態がありますよ、この
法案
を研究しますとね。それで、これで新陳代謝をはかっていこう、そしていずれは本格的な定年制というものが後門のオオカミとして控えているのじゃないかというのが、相当
公務員
の方々の関心を持っている点ですね。この点は
政府
としてはどういう見解に立たれているのか、明白にしていただきたい。
安井謙
139
○
国務大臣
(
安井謙
君) やっぱり定年制の問題は定年制の問題として相当
検討
しなければならぬとわれわれ思っております。で、これはやはり自治体の将来のあり方としても、定年制という問題は十分
検討
して、適当な方法があれば、これは
実施
する、これは時期と方法というものはいろいろあろうと思います。しかし、今これを後門のオオカミのように置いておいて、この
退職年金
で釣ってどうしようなどというほど作為のあるものじゃありませんので、これはこの
法案
はこの
法案
でやっていくと。定年制というものは、これはそれとしてまた今後十分
検討
に値するものであるというふうに考えております。
矢嶋三義
140
○矢嶋三義君 そうするとね、定年制はやはりいずれは自治法の一部
改正
で、
地方公務員
法の一部
改正
でやる必要があるという立場で研究されているのですか。
安井謙
141
○
国務大臣
(
安井謙
君) これは目下十分
検討
しなければならぬ。いつ、どういうふうな形でやるというような突き詰めた気持はまだ持っておらぬわけであります。しかし、定年制という問題については、やはりこれは今後の
地方団体
のあり方として
検討
はしていかなきゃなるまい。しかし、これをすぐ追っかけて出すとか、あるいはこれをどういうふうに出すとかいうことを目標にして、今直ちに作業にかかっておるとか、
検討
を進めておるというほど突き進んだものじゃないわけであります。
矢嶋三義
142
○矢嶋三義君 研究の意欲があり、そういう事情にあるとならば、この点ちょっと僕は
意見
を申し述べ、承っておきたいと思うのですがね。日本の定年制というと、たいがい五十五という数字が出てくるわけですね、五十五才という数字がね。ところが、この五十五才という数字が出てきた前提は、人生五十年と、平均寿命が五十才未満程度の時代に出てきた数字なんですね。英米あたり調べてみても、五十五という定年というものはないのですね。で、終戦後特に日本人の平均寿命が延びたが、厚生省の発表によると、男性にして約六十五才でしょう。女性にして約七十才ですね。七十・三才くらいになっているのですがね。もう七十ライン突破していますね。こうなってきますと、老後の保障という立場からいくというと、かりに
検討
する場合でも、今の時点では五十五才という数字で一応
検討
するということは、非常に私はもうずれてきた問題だと、かように思うのですがね。この点については、大臣はどういう御見解を持っておられますか。
安井謙
143
○
国務大臣
(
安井謙
君) 日本人の平均寿命がだんだん延びておる傾向も御指摘のとおりだと思います。したがいまして、定年制というものを考える上から、従来の観念をそのまま当てはめていいかどうかということも十分
検討
に値すると思うわけでありまして、この定年という問題もいずれ
検討
しなければならぬだろう、五十五才を必ずその境界線に置いてどうしようといったようなことを今考えておるわけじゃありませんので、今御指摘のような問題を全部ひっくるめていろいろ今後
検討
しなければならぬだろう、こういうふうに思っておるわけであります。
矢嶋三義
144
○矢嶋三義君
行政局長
、まああなたはこれから事務次官とずっとなっていくと、しばらくは自治省に御在職になられると思うのですが、あなたはこれについてどういう御見解を持っておられますか。
佐久間彊
145
○
政府委員
(
佐久間彊
君) ただいま大臣が御答弁なさったとおりの考え方をいたしております。
矢嶋三義
146
○矢嶋三義君 そこもちょっとわからぬですね。で、
自治大臣
に伺いますが、実際に、三月一日に社会保障
制度
審議会
の大内会長からあなたあてに本
法案
に対する
答申
があったのですね。これを受けたときの感じはいかがでしたか。思ったとおり、予想どおりのが出たと思いましたか。ああこれはちっとしまったなというような感じがされましたか。率直にそのときの感想を承りたい。
安井謙
147
○
国務大臣
(
安井謙
君) 率直に申し上げまして、あまりありがたい御勧告とは思いませんでした。しかし、これはよく熟読翫味いたしてみますと、やる趣旨は悪いといっているわけではないので、むしろこの議論された過程において、いろいろの問題が摘出された、時間もないのでこういう問題を十分きわめていくわけにはいかぬが、こういう問題をそのままほったらかしてすべてやってしまうのは好ましくないぞというので、ひとつやるについては、こういう点を十分注意しろ、こういう御忠告も半ば入っているというふうに私どもはとっているわけなんです。
矢嶋三義
148
○矢嶋三義君 いずれこの
内容
は、各
委員
に資料が渡ってからさらに掘り下げてみたいと思うのですが、大臣、まあ読まれたあとの感想を承るのですが、これね、社会保障
制度
審議会
といえば相当な人が任命されているところの権威ある
審議会
だと思うのですがね。問題が非常にむずかしい問題であるという要素はあるにしても、何か最低ラインですな、この
答申
は。こういうぶらぶら、何か無重力状態のような感じがするのですがね、この
答申
を読んでね。もう少しすっきりした
内容
で
答申
しないと、
審議会
の
答申
としてはあまり頭脳のさえた
答申
でないという批判を受けても、私は抗弁の余地はないのじゃないかと、この
答申
読んで感ずるのですが、大臣はどういう感じで読まれましたか。
安井謙
149
○
国務大臣
(
安井謙
君) まあ御承知のとおりに、この
法案
は、本来
地方制度調査会
からの御
答申
をいただいておりまして、なるべく早くやるべしという明確な結論をもらっているわけです。ただ
法案
の性格に社会保障的な要素が多分にあるという意味から、この社会保障
制度
審議会
の御
検討
も願うというような形式をとったのでありまするが、まあ時間的の
関係
、あるいはいろいろの
関係
があったかもしれませんが、ほのかに伺いますと、必ずしもここで取り上げられております項目が全部全会一致とか、あるいはその
会議
で正式に
一つ
一つ
を取り上げて決定をなされたといいますよりは、この
法律案
なり
制度
を扱う上において問題点となるものが、それぞれの
委員
から御論議になった。出てきたものを列記して、こういう点については十分気をつけなければいかぬぞという御忠告というふうに私どもは承っておるのでありまして、したがって、今御指摘ありましたような、何か、たとえば形式の非常にそろった、いわゆるそれによってそのものをすぐずばりと支配するような整った御
答申
とは多少趣を異にしているのじゃないかという感じもいたしております。
矢嶋三義
150
○矢嶋三義君
答申
を受けた大臣としては、受け取り方が私はすなおであり適正だと思わないのですが、これはなかなかむずかしい文章ですがね。けれども、私はこの
答申
の一番重要ポイント、ウエートを置くべきところはどこかというと、やはり最後の結論だと思うのですね。あなた方に都合のいいことも悪いことも、右往左往と言っては失礼だけれども、そういう書き方をしてきて、結論のあとの四行ですね。「このような時機に、このような掘り下げ不十分であって問題の多い本案を
実施
し、恒久的に将来を拘束することは、当を得たものとは思われない。したがって本
審議会
としては本案を
実施
することが適当であるとの結論には達しなかった。」、ここがやはり
答申
の眼目だと思うのです。この点に重点を置いてお読みにならないと、
答申
を受けた人としての読み方としては、眼光紙背に徹しないそしりを受けるんじゃないでしょうかね。これは直接法で書かないで、間接法で書いてあって、うまく読まないと舌をかむような文章ですわな。しかし、直接大内さんに聞いてみなければわからぬけれども、常識的に読んで眼目はそこにあると思うのです。これはどんな感じがいたしますか。
安井謙
151
○
国務大臣
(
安井謙
君) これは受け取られる側にも、いろいろ受け取り方もおありであろうと思います。確かに表現の仕方が非常に回り持ったものの言い方がしてあることも事実であります。ただ私は、ここのところにつきましては、いささか私見になるかもしれませんが、本来、社会保障
制度
としての国民皆保険の問題あるいは
年金
の問題、そういうものと、総合的なものを考えるべきものじゃないかという点に、前段の重点が置かれてあったのじゃないか。そういうようなものを見る上から、今、そういうものとの調節を全体でとらえておって、こういう
法律
を出すということは、この社会保障
制度
全体をこれから立て直していこうという
建前
からは決して適切なものじゃない、こういう意味だろうと思いまして、これはこの
法案
自身にいわれていることよりも、今日の日本の社会保障
制度
全体に対しての
意見
が相当入って、こういう結論になっているのじゃないかという気がいたしておりました。私どもはできるだけ、そういう御指摘のような点には、再三考慮もめぐらしながら
法案
を作成して、今御
審議
を願っているつもりであります。
矢嶋三義
152
○矢嶋三義君 後日あらためてやりますけれども、総理に注意しておいていただきたいと思いますね。三月二十三日に、この点について占部質問があったわけですが、答弁は乱暴だと思うのです。三月二十三日の本
会議
の速記録を見ると、「この
制度
を設けることは絶対反対だという
答申
でもないので、」とこういうふうに述べている総理大臣の発言の仕方は乱暴だと思うのだね。大体
政府
が任命した
審議会
が絶対反対だなんて
答申
するものですか。これはやはり眼目は、さっきの僕が読んだところにあるんですよ。これを当該大臣なり総理大臣は眼光紙背に徹する気持で読まなくちゃならぬと思う。かりにこの
法律
が成立しても、この
運用
なり将来の
検討
にあたっては、そういう謙虚と聡明さがなくちゃならぬ。ところが、この占部質問に対して総理は、「この
制度
を設けることは絶対反対だという
答申
でもないので」、とやったというのですが、これは答弁としては乱暴だと思うのですね。これは将来の池田さんの総理大臣としての大成のためにも、これを閣僚の一員として機会があったら茶飲み話のときでもいいから、耳に入れておいていただきたいと思います。いずれお目にかかる機会があれば私も一応。 最後にもう一項目伺って、きょうのところ終わりますが、
掛金
千分の四十四、これでございます。日本の
公務員
に限らず、民間労働者もそうですが、初任給、それから若い人の給与ですよ、非常に大きな問題は。それは年令層の、高給者も問題ですけれども、何より国の人件費の膨大化を押えるという政治的配慮からではあるが、不当に、不適当に初任給が安い、若い人の給与が安過ぎる。これが日本の今の給与
制度
の一番大きな問題ですよ。初任給を上げれば、人件費はもっとふえる若い人の層が多いから。だから、上厚下薄にすれば、上を相当上げたって人数は少ないから人件費はそうはふえないというので、そういう体系を立ててきているのですがね。だから若い人にしてみれば、二十年後に
年金
が幾らか多くなる云々というよりは、きょうあすの実質賃金が少しでもよくなる、そうして映画一ぺんでもよけい見る、本一冊でも買える、ポマード一個でも気安く買えるということは、日本の若い
公務員
の給与の問題で一番重要な問題だと思うのですね。その点で千分の二十が千分の四十四になったというのは、非常にショッキングなんですね。しかも、これから
審議
してみなければわからないが、四十四の数字の出た根拠というのが、必ずしも明確でないんじゃないか。これから資料で
検討
しますがね、
国家公務員
の場合は千分の四十四になっておるが、だからといって、直ちに
地方公務員
が準じて千分の四十四だということにはなかなか簡単にいかないじゃないか。で、御記憶あるかと思いますが、二十八年の人事院勧告にも、
組合員
の
負担
は千分の二十五は適当だという人事院勧告が出ておるわけですね。私も千分の二十五あたりが、今
恩給法
は千分の二十ですが、まあ妥当じゃないか。もしこの料金率が千分の四十四というのは千分の二十五、そういうふうになれば、それにもう
一つ
、幾つもあるが、もう
一つ
この減額
年金制度
ですね、この現在の
恩給法
の若年停止に比べると非常に悪くなりましたが——悪くなりますよ。ことに女子
公務員
がまあ文部省
関係
なんか多いんですが、約
半数
ありますが、ああいう人々は二十二、三才で大学を出て二十年勤めて
年金
がつくと、家庭婦人ですからおやめになるわけですね。四十四、五でたいていおやめになるわけですよ。それから五十五に至る十年間、一年について四%ずつ減額するとなると、そういう人々にとっては非常に
年金
が減額を受けるわけですね。そうして五十五になっても復元しないわけですからね、この不満は大きいと思うのですよ。現在の若年停止の
制度
、これは非常に改悪になっておる。だから、幾つか問題があるが、この減額
年金
の手直しですね、それと
掛金
が人事院勧告の千分の二十五程度に直れば、少なくとも僕は、僕個人として質問をやめて、あすにでもこの
法律
を上げてもいいと思っているのですがね。それはいろいろ他に問題があるですよ。あるけれども、千分の四十四と減額
年金
というのが、何といってもやはり一番問題点だと思うのですがね。これを大臣はどういうふうにお考えになっておられるか。その答弁次第では、もう質問を私は、きょうはもちろん、今後もやめようと思っておるんですがね。しかし、それがうまくいかないとなりますと、やはりこれは慎重
審議
すると僕だけでもやはり五、六十時間くらい伺わないと、十分尽くし得ない
内容
を持っておる感じがするんですがね。そこらあたり、まあ
法律
を作るまでの
経過
もいろいろあるのでしょうが、どういうことなのか。どういう
経過
なのか。それとも今度はこれでやって、近い機会にこれを再
検討
しようというようなお考えなのか。いずれは荒木
文部大臣
にも聞いてみようと思うのですが、非常にこれは、文部省
関係
では約
半数
は女教員ですがね、こういう人々に対しては非常にショッキングなお気の毒な
内容
になっておると思うのですがね。一応きょうのところは、それだけ
安井自治大臣
に伺って一の質問を終わりたいと思うのですが、御答弁を願います。
安井謙
153
○
国務大臣
(
安井謙
君) なるべくならば
掛金
というものは少ないほうがいいと思いますが、これは社会保障
制度
であると同時に、保険的な性格も入っております。また、この全体の計算が四十四でも、将来、御承知のとおりに、つじつまが合うものじゃないということでありましょうが、しかし、少なくとも、今その程度のものにはやっておかなければ、そのめとはつかないという計算上から、国と同じような率を採用いたしておるのでありまして、どうもたいへん遺憾でありますが、ちょっと今二五%におろすという点は、どう考えても今これを採用する勇気はないわけであります。 減額
制度
につきましては、いろいろなこれもお考えいただけると思いますが、今度
年金制度
を発足するにつきまして、いろいろな他の国の
公務員
制度
との比較等も見ました上で、今回はこういう
制度
をとっております。この点につきましては、
政府委員
からも、もし何でしたら御
説明
をさせたいと思います。
矢嶋三義
154
○矢嶋三義君
政府委員
が答える前にちょっと
説明
しますが、他の
組合
にも女子
公務員
はおりますけれども、最も多いのはやはり
公立学校
教
職員
共済組合
関係
ですよ。約五割近くいましょうね。教育学部は二年と四年がありますが、オーソドックスの四年にしても、少なくとも二十二、三才で出るわけです。結婚して、子供ができますと、二十年という
期間
が参ると、たいがいの人はおやめになります。そうすると、おやめになるのは四十三ですよ。五十五まで十二年あります。これを一年について四%減額されると大体五割減額になるわけですね。結局この法に基づく
退職年金
の半紙を受けるわけです。そして五十五才になってもやはり半額がずっといくのですから、今の若年停止に比べてずいぶん不利です。だから、そういう女教師のこの
法案
に対する抵抗というものは大きいと思うのです。だから、そこのところは少し非情だったと思うのです。どういうわけでそういうなにをしたのか。
文部大臣
はおらぬからわからぬが、いずれ聞いてみようと思うが、
文部大臣
はどういう主張をされたのか、ここらを少なくとも手直ししていただかぬと、今すぐ質問をやめるというわけにいかないのです。お答えいただきたいと思います。
佐久間彊
155
○
政府委員
(
佐久間彊
君) 減額
退職年金
の問題につきましては、先生の御指摘のように、女子
職員
が若年で退職をするようなケースが、特に教員の場合に相当多いという事情は、立案の過程におきましても伺っております。いろいろ問題はあるようには存じますが、この新しい
年金制度
におきまして、減額
退職年金制度
をとりましたのは、従来の
恩給方式
から保険主義に基づいた
退職年金制度
に切りかえたわけでございますので、五十五才で四〇%ということを
もと
にいたしまして、
掛金
と
地方団体
の
負担金
とを計算をいたして
制度
を組み立てております
関係
で、減額いたしましたものが、五十五才になっても復元をしないというシステムになっておるわけでございます。そういう
関係
で御指摘のような若干不利になるという点も出てくるわけでございますが、この点は
国家公務員共済組合
につきましても同様な考え方で、そのような
制度
になっておりませんので、私ど
もと
いたしましては、今回の立案に際しまして、
国家公務員
の
退職年金制度
にその点もこれを合わせて立案をいたしたわけでございます。
矢嶋三義
156
○矢嶋三義君
安井自治大臣
、
文部大臣
と
協議
して次の
委員会
に御出席下さるようにお願いしておきたいと思います。やはり女子
公務員
に対しては、男女平等と言いながら差別しているわけです、実態的には。五十五才まで男子は勤務させても、女子
公務員
にはほとんど勤務させない、早くやめさせる、やめなければ、職場におれない零囲気を作っておるですよ。全般的にそういう扱い方をしているのです。それで、こういう減額
年金制度
でいけば、これは実態的に女子
公務員
に対する差別待遇という点になりまして非常に気の毒だと思います。それだけにこの
法案
に対する抵抗がまた強く出ているわけです。こういう点、
文部大臣
はどういうふうに認識してどういうふうに対処されようとするのか、所管の
自治大臣
と、最も
関係
の深い
文部大臣
と閣議のあとでも懇談されて、次の
委員会
ででもそれぞれの大臣からお答えできるように御研究おきを願いたいことをお願い申し上げて終わります。
小林武治
157
○
委員長
(
小林武治
君) 両案については、本日はこの程度といたします。
—————————————
小林武治
158
○
委員長
(
小林武治
君) 次いで、辺地に係る
公共的施設
の
総合整備
のための
財政
上の
特別措置等
に関する
法律案
を
議題
といたします。 御質疑のある方は御発言を願います。
秋山長造
159
○秋山長造君 大臣はいつまでおられますか。
安井謙
160
○
国務大臣
(
安井謙
君) しばらくおります。
秋山長造
161
○秋山長造君 大臣がおられるうちに大臣にちょっと原則的なことだけ伺いますが、今度の
法律
の趣旨だとか、ねらいというようなものは、私たち全面的に賛成なんであります。これは非常にけっこうだと思いますが、ただ、この
法律
の
建前
は、私どもがかねて自治省の構想を漏れ聞き、また、期待しておったのは、辺地の問題が非常に重要な問題であるにもかかわらず、置き忘れられて、そうして新産業
都市
だとかなんとかというようなことで、
都市
と農山村、あるいは離島との格差がますますひどくなってくる、人口もますますそういう便利なところに集中していくということで、辺地あるいは僻地といわれるようなところがますます置き去りを食っていくということで、非常に今の政治の何といいますか、蔭になっている。そこで、そういうような問題を、従来のようにいろいろな特別
措置
で各役所がそれぞれ個々ばらばらに
手当
をしておったのじゃとても間に合わない。だから自治省において、こういういろいろ個々にやっていたことを一まとめにして、そうして抜本的なひとつ立法をやられる、いわば、はやりの言葉でいえば、僻地振興基本法といいますか、辺地振興基本法といいますか、そういう画期的な立法をされるのだろう、努力してもらいたいと思って期待しておりましたが、具体的に
提案
された
法律
は、名前からして、辺地に係る
公共的施設
の
総合整備
のための
財政
上の
特別措置等
に関する
法律案
、こういうまことにややこしい名前の
法律案
が出てきたわけです。
内容
については後刻御質問いたしますけれども、これはまあ各省のなわ張り等があって、なかなか抜本的な立法ということが技術的にできにくかったという事情はよくわかるのですが、なぜ
政府
として辺地振興対策というものを何か一まとめにしたもっと強力な抜本的な立法ができなかったのかということ、また、それをおやりになる意思がないのかということをお尋ねしたいと思います。
安井謙
162
○
国務大臣
(
安井謙
君) この
法案
の精神につきまして、おほめをいただきましてまずお礼を申し上げます。それにしてはいささか龍頭蛇尾じゃないかという御質問でもあろうかと思いますが、御承知のように、辺地の振興に限りませんで、いろいろな総合的な政策というやつは、
政府
自体が機構をそれぞれ持っておるわけでありまして、たとえば今の交通問題につきましても、よく言われておるように、一本化して、一本のもので強力な
組織
を作って出したらいいじゃないかというようなお説もありますが、これはしかし、今度は各省からこれを集めてきて
一つ
のものにまとめるということになりますというと、各省自体がかたわになるし、また、その離れたものが弱くなるというような事情もありまして、一括して総合的にやってしまうということにはなかなか困難を伴うものでありまして、ただ自治省といたしましては、この自治体全体の地域格差なり、あるいは地方の振興を総合的にはかっていく、そして今おくれておる辺地というものについて、意欲的に取り上げていくということによって、それに各省それぞれの所管が、厚生省なり文部省なりというようなものも右へならえで同じ歩調をとって、そしてそれの詰まったところを総合的に自治省はめんどうを見るし、また自治省自体でやらなければならぬ個々のものについては、自治省の責任でやるという構想でこういうふうな形に相なったものでありまして、その点は、私はこういう線で進めていくのが今日の
組織
、職制その他実態から見まして、一番適切じゃなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
秋山長造
163
○秋山長造君 この
法律
と、従来あります、たとえば離島振興法だとか、あるいは僻地教育振興法であるとか、その他農林
関係
等に同じ趣旨のものがだんだんあると思うのですが、そういうものとこの
法律
との
関係
はどういうことでございましょうか。
奥野誠亮
164
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 離島振興法などにおきましては、どちらかといいますと、
経済
振興を相当なねらいにしております。この
法律
におきましては、第二条に掲げております施設の
整備
をねらいとしておりますので、そういう点については、同じ僻地でございましても、若干考え方の差はあろうかと思います。 なお、文部省の僻地教育施設の問題になって参りますと、それだけでは十全の効果を上げることができない、そこで、こういう
制度
を作りまして補完をしていこう、こういう気持もあるわけでございます。視聴覚の教育器具の購入の補助をいたしましても、電気施設がございませんと、それを活用することができないわけでございますし、その他通学の施設等につきましても、補助だけでは必要な材料も十分に得られませんので、完全な整え方ができなくなってくると思うのでございます。そういうものについては、
総合整備
という角度で、この
法律
で補いをつけていきたい、かように考えております。
秋山長造
165
○秋山長造君 そういたしますと、
総合整備
ということではあるが、その
内容
からすれば僻地教育振興法だ、とか、離島振興法だとかいうような現行の同趣旨の
法律
の補完的な役割をするものとしてこれを出されたというように理解していいですか。そういういろんな既存の
法律
よりも何か一段高いといいますか、もう
一つ
掘り下げた立場でそれらのものをひとつできるだけ、まあ
法律
が違うのですから含めるということはないでしょうけれども、趣旨においてはそういうものをも包含した何かもう
一つ
スケールの大きい立場でやっていくということでなしに、従来の
法律
ではまだ足りない点が多々あるから、それをまあ自治省の立場でせいぜい補完をしていこう、補充をしていこうと、こういう程度にすぎないわけですか。
奥野誠亮
166
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) こういう程度にすぎないというお言葉は、ちょっとやはり不満足な感じを持つわけであります。各省でやっておられることだけでは十分に生きてこない、同町にまた、そのばらばらの補助政策だけでは取り残されているものもある、したがいまして、住民の生活という立場から見まして、必要なものを把握できるように持っていきたいというのがこの
法律
のねらいだと、こう私たちは考えておるわけであります。したがいまして、また
関係
各省との問題につきましては、第四条の
規定
を置きまして、特に「協力を求めることができる。」という
規定
を置いておりますし、同時にまた、
市町村
自身が総合的な
整備
計画を立てるわけでありますけれども、府県自身についても協力の
関係
の
規定
を置いているというようなことでございます。
秋山長造
167
○秋山長造君 今度の地方
財政
計画を見ましても、たとえば投資的経費が前年度上り二七%も大幅にふえておるというようなこと、その
内容
についても、
公共
事業
がずいぶんふえておるわけですが、国の予算においてもまたしかりなんですけれども、そういうふえた投資的経費の行方が、一体どういうところへ集中していくのだろうかということを考えますと、ほとんどこれはもうその九分九厘までは今問題になっているような僻地にはいかぬわけですね。まあ僻地と逆な方面へもう九分九厘集中してしまうわけです。そういたしますと、本年度の国の予算、あるいは地方の予算を通じまして、僻地とそうでないところとのいろんな面からの格差というものは、これはもう一そうひどくなっていくのではないかということが将来の方向として予想されるわけです。そういう今日までの歴史的な事情の上に、さらに今後の
財政
計画等においても、ますますその格差を開いていくという方向が予想されるとすれば、それに対して、これはもうまことにささやかな、かよわい抵抗にすぎぬと思うのですがね。まあ趣旨、ねらいはけっこうだけれども、その実際の効果というものはね。まあ私はやっぱり各省のこの所管とか、あるいはそれぞれの単独立法があるわけですから、そういう
法律
同士のやっぱりなわ張りというものがあるでしょうけれども、ある時期にひとつそういうものを、いわゆる総合的な立場で一まとめにして、これはやっぱり強力な僻地振興対策というものを講じなければ、こうやって個個ばらばらに従来の立法の、あるいは行政
措置
のこの不十分な点、穴を若干埋めていくという程度のものではこれはもう、全然むだではないと思う、むだではないと思いますけれども、ほんとうにそれほどの僻地振興というような効果は私は期待できないのではないか。もう少し、自治省という事務的ななわ張りの範囲内での
措置
でなしに、何か、担当大臣としてはそれは
自治大臣
でけっこうですが、
政府
全体が僻地の問題と真剣に取り組むという意気込みと、それからそれだけの
内容
を持った立法というものを私は考えられぬものだろうかというように思うのですがね。まあ同じことを重ねて聞くわけですけれどもね。
安井謙
168
○
国務大臣
(
安井謙
君) 最初にも申し上げましたように、確かに秋山
委員
のお話は、私どもも十分
検討
しなきゃならぬ方法の
一つ
であろうと思うのであります。しかし、これを実際やっていきますと、各得々々やはりそれぞれの責任分野もありますし、これを一本化するというのは、なかなか早急にはむずかしいし、また無理に一本化することによってマイナスの面も出てくるといった点も考慮しなければならぬわけであります。そこで、この点は今僻地の振興といいますか、行政水準の向上につきましては、自治省だけが力んでいるわけではないのでありまして、たとえば厚生省、文部省、その他もそれぞれ意を用いておるところであります。しかも、今度の
法律
によりまして、その僻地の特に必要な振興計画というものを、府県知事を通して自治省へ言って参りました場合、自治省からは、今度は他省とも十分
協議
、連絡をいたしまして、そのほうを
政府
全体として総合的に推し進めていこう、さらにその上で必要な
財政
措置
がまた自治省の分野であれば、それはそれでまたやっていこうと、まあこういう考えで、一足飛びに非常に形の整ったものとは、あるいは言うのに少々形が変わっておるかもしれませんが、御趣旨は大体それを生かすように
運営
面で十分できる仕組みになっておろうかと思うのであります。
秋山長造
169
○秋山長造君 僻地と辺地というものはどう違うのですか。
奥野誠亮
170
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 国の予算では、従来僻地という言葉を使ってきているようでございます。したがいまして、私たちがこういう構想を考えました際にも、実は僻地という言葉を使っておったのであります。ところが、いろいろ議論をしておりますと、僻地というものは何か局地、点が想像される、もう少し広い範囲について
公共
施設を
整備
するというような心がまえでやってもらいたいという
意見
があったりしまして、そういう意味で辺地という言葉を使ったほうがそういう趣旨が出るのじゃないかということから、実はその後辺地という言葉を使うようになって参ったわけでございます。私たちの感じとして、僻地というものは非常に狭い範囲で、辺地といったほうが若干広い地域が想像される、こういうふうに思っておるわけであります。
秋山長造
171
○秋山長造君 そういう広い意味で辺地ということを使うために、ほんとうは問題は僻地なんですからね、だから、それをあえてぼやかして辺地というようなことにしたために、かえって本来ねらった焦点がぼやけるということはないのですか。どうして僻地ではいかぬのですか。実際問題の何とかしなきゃならぬというものはいわゆる僻地なんですからね。だから、その僻地ではあまり狭過ぎるというようなことになれば、これはかえって焦点がぼけてこやせぬですか。言葉の問題ではあるが、しかし、案外私はそこらに重要な問題がひそんでいるのじゃないかと思うのですがね。
奥野誠亮
172
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 今申し上げましたように、多少
公共
施設の
整備
をはかります場合に、広い範囲にわたってそういう計画を立てていくということは、これは必要なことだろうと思います。そのために、ほんとうの僻地について十分な対策の手が伸ばされないというおそれが生じてくることのありませんように、十分注意をしていかなければならないと思うのです。私たちが辺地対策を取り上げていきます場合に、僻地性の強いところから先に
整備
をはかっていきたい。そういう考えで、ある程度優先順位をつけて参らなければならぬので、そういう点で秋山さんの御心配のありました点を避けるように努めていくつもりでございます。
秋山長造
173
○秋山長造君 この
提案理由
にも書いてありますように、「山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の
手当
すらも満足に受けることができない」云々と、こう書いてあるのだから、これはもう全く従来われわれの使ってきた僻地という言葉と同じ意味なんで、それをまああえて、僻地も辺地も同じ意味だということで、たまたま辺地という言葉を使ったということにすぎぬのなら、また、それはそれで了解しますけれども、何か僻地という常に今まで使われていた言葉をあえてやめて辺地ということにしたことに若干の
理由
がある、区別があるということなら、私はかえって納得しがたい点が出てくると思うのです。今後、自治省は、僻地という言葉はもう一切使うことをやめて、従来それに当たっておった場合にはすべて辺地という言葉を使うのだという方針できめられたわけですか。そこらはどうなんですか。
奥野誠亮
174
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) この
法律
に関しまする限りは辺地という言葉を使っていきたい、こう思っておるわけであります。ただ仕事の性質によりまして、僻地という言葉も残っていくのだろうと思います。ただ自治省といたしましては、今申し上げましたような
整備
を若干広い角度で地域を補足するという意味で辺地という言葉を使っていきたい、かように考えているだけのことであります。先ほどちょっと申し上げましたように僻地性の強いところから取り上げていくというような意味で、さしあたりは、たとえばへき地教育振興法でございましたか、一級地から五級地までの僻地の指定がございますが、三級地から五級地までの学校に住民の子弟を通わせている、そういうところを先に取り上げ、次に二級地、一級地も対象に入れていくというような進め方をしたらいかがなものだろうか、こういうふうなことでいろいろ計画を作っておるわけでございます。実際の
運用
にあたりまして、なおいろいろな知恵も出てくるだろうと思っておりますが、さしあたってはそういう方向を考えているわけでございます。
秋山長造
175
○秋山長造君 そういたしますと、この僻地にしても辺地にしても、われわれが議論する場合には、大体従来の僻地という言葉を使っておったと同じ意味で辺地という言葉を使っていいわけですね。そういう解釈でいいわけですね。同じように考えたらいいのですね。
奥野誠亮
176
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 僻地は全部辺地に包含されると、こう考えております。
秋山長造
177
○秋山長造君 たとえばへき地教育振興法による僻地、それから離島振興法による離島ですね、そういうものと今度のこの
法律
による辺地というものは大体ほぼ同じものというように解釈していいのですか。
奥野誠亮
178
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 離島振興法の離島は、かなり大きな島も全体的に離島振興法の対象にしているわけでございます。そういう島になって参りますと、その中のやはり僻地性の強い辺地がこの
法律
の対象になるというふうに考えております。もちろん非常な離れ小島につきましては、全体がこの辺地に該当する場合も非常に多いと思いますけれども、ただ大きな島になって参りますと、必ずしも全部が一致するわけのものではない、かように存じます。
秋山長造
179
○秋山長造君 そうすると、僻地とぴしっと符合するわけじゃないけれども、多少の出入りはあっても大体同じところをねらっておるというように考えたらいいのですか。
奥野誠亮
180
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) へき地教育振興法の
関係
については、私は全く人体において同じと、こう考えていただいていいと思います。ただ離島振興法につきましては、ちょっと離島の範囲が広いものですから、そうも言い切れないのじゃないだろうかというふうに思います。
矢嶋三義
181
○矢嶋三義君 具体的に聞きますが、熊本県天草の本渡市は離島振興法の
適用
地域に入っているわけですね。それで海岸堤防や道路等の
事業
をやっているわけですね。ああいう本渡市なんかは市議会で議決してこれを自治省に申請するというようなことはできないというわけでしょうか。
奥野誠亮
182
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 本渡市の中にも私は辺地がずいぶんあるのじゃないだろうかというふうに思っているのです。本渡市全体が辺地だとわれわれ考えていないわけです。
秋山長造
183
○秋山長造君 まあ具体的なことは政令でいずれ基準をきめてそうしてそれに合うところを指定されるということになるのだろうと思うのですが、自治省で予定されておる辺地ですね、辺地は一体どのくらいな範囲になるのかということですね。それからわれわれが僻地々々という言葉で呼んでいる、新しい
法律
によれば辺地ですが、この辺地のいろいろな実態についての調査というものを自治省でおやりになったことがあるのですか。
奥野誠亮
184
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) この
制度
を考えるにあたりまして、一応の調査はいたしているわけでございます。しかし、何分案を作るための一応の調査にすぎませんので、実行にあたりましては、さらに詳しい
検討
をしなければならないだろうと、こう考えております。当時、府県を通じまして、辺地の施設の
整備
をしたい地域を調べたわけでございます。その際には、
市町村
から該当の個所があるという意味の報告がございました。
秋山長造
185
○秋山長造君 そのさしあたっての、
市町村
について実態調査を自治省が直接されたものは全然ないのですね。
奥野誠亮
186
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) その報告になりました若干の地域については、一応行なったところもあるわけでございますけれども、しかし、ほんとうの具体的な調査ということになりますと、まだこれからの問題に属するだろう、こう思っております。
秋山長造
187
○秋山長造君 私、せんだって離島振興法の一部
改正
の
審議
のときにも、企画庁にも強く要求したのですが、やはりこういう問題と取り組んでいく場合には、何よりも第一にその前提として、僻地々々と言うけれども、その僻地の一体実態がどういうふうになっているのかということを、まず精確な資料でお互いにつかんだしでやはり対策を考えていくという順序にならないと、ただばく然とした紙の上の資料に基づいて対策を立てても、これはなかなかぴったりしないというおそれがあるんじゃないか。私は、現在僻地の実態調査はまだやられてないということならば、早い機会にやはり自治省で直接この僻地、辺地の実態調査をやられて、そうして相当充実した資料を作られることがやはり必要なんじゃないかというように思うのですが、そういう計画がおありなんですか。
奥野誠亮
188
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 従来からも、先ほどお話がおりましたように、診療所でありますとか、あるいは電気でありますとか、というようなことについて、部分的な僻地対策が進められて参ってきておりますので、それらを通じましてある程度のことは承知しているわけでございます。秋山さんのおっしゃられたことは、おそらく全体計画を作れ、こういう御趣旨ではなかろうか、こう思うわけでございます。ただ、全体計画を作りますについて、他方において、
公共
施設
整備
の状況とあわせ考えまして、どの程度
整備
に気をつけなければならないかという程度がきまってくる問題でもございますので、一応金額の問題も頭になければ、なかなか具体的の全体計画にならないのではないか、こういう心配もいたしているわけでございます。一応は毎年十億円で五年程度をめどにして、案を作っていきたい、さらにその後におきまして、必要な計画を立てていきたい、こういうような考えでいるわけでございます。しかし、
実施
した結果から、あるいはまた違ったような結論が出てくるかもしれませんけれども、一応そういうような総体的な問題として
実施
に当たっていきたいというつもりでいるわけでございます。
秋山長造
189
○秋山長造君 「当分の間」というのは、一応五年というお考えなんですか。
奥野誠亮
190
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 五年で切るつもりでございませんけれども、さしあたっては五年、五十億円で案を作って進めていったらいかがなものだろうか。その上に、その進行の過程なり、あるいはその計画なりにさらにいい計画を考えていきたい、こう思っております。
秋山長造
191
○秋山長造君 一五年、五十億ということで、この辺地の少なくとも
公共的施設
を、大体今日の社会情勢からいって、世間並みというか、常識並みといいますか、その程度に持っていけるという見通しを持っておられるのですか。
奥野誠亮
192
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 御参考に申し上げますと、私たちが対象に考えておりますようなものにつきまして、国が僻地対策の補助金を出している、それが三十六年度は四億五千万円、三十七年度では六億円くらいのもののようでございます。私たちが考えております僻地
関係
の施設につきましても、診療所その他について国庫補助金がございますので、襲業費としては五十億円でも、百億円くらいになるのではなかろうかというような感じでいるわけでございます。こういうような国庫補助金の姿その他から考えまして、一応五年間百億円程度のもので具体案を作っていくことは、やはり相当の規模の施設になるのではなかろうか、こういうふうに思っているのでございます。また、そういうような一応の総体計画を頭に置きませんと、個々の団体の施設につきまして、どの程度まで繰り上げられるかということをきめかねるものでございますので、そういう意味でその数字をまとめているだけのことでございます。個々の
市町村
が向年も何年もかかって
公共
施設の
整備
を進めていくというようなことは、私たちとしては避けたい。少なくとも、長くかかっても三年くらいで完了できるというような
内容
のものにしたいし、完了できるような地方債のつけ方をしていきたい、こういう気持を持っているわけでございます。
秋山長造
193
○秋山長造君 この
法律
以前に、いろんないわゆる辺地対策といいますか、僻地対策といいますか、そういうものが個々ばらばらに行なわれているわけですね。それを大体でいいですが、項目と、それから金額、わかりますか。
奥野誠亮
194
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 電気で申し上げますと、僻地農山漁村電気導入補助、それから離島電気導入補助、学校自家発設置補助、合わせまして、三十七年度の補助金が二億九千九百万円でございます。それから通学施設の
関係
では、通学パスポートの購入費補助、僻地学校寄宿舎建設費補助、これが千七百万円でございます。僻地診療所
関係
では、僻地診療所
整備
費補助、僻地巡回診療車補助、合わせまして五千二百万円でございます。それから百人以下の人口を対象とします簡易水道の施設費補助、これが二千万円でございます。それから僻地学校テレビ購入補助、僻地集会室建設費補助というのが二億一千百万円でございます。合わせまして約六億円くらいでございます。これが三十七年度の予算に計上されました額でございます。
秋山長造
195
○秋山長造君 三十七年度はそれでわかりましたが、そういう項目についての補助というものは、そういう
制度
が始まってから今日までの累計は、ざっとどのくらいですか。
奥野誠亮
196
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) ちょっとそういう金額は承知しておりませんで、ことしから始まったものもありますし、もう数年来やっているものもあるわけでございます。今までそういう調査をいたしませんでしたので、承知しておりません。
秋山長造
197
○秋山長造君 ごく大ざっぱに、百億くらいだとか、五十億くらいだとかいうこともわからぬですか。
奥野誠亮
198
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、今申し上げました項目の三十六年度の金額が四億五千万円でございます。格差が非常に離れてきたというので大幅に増額した、一応これが
政府
の
説明
にも入っているわけでございます。その結果、一億五千万円ふえて、六億でございますので、従来の額はそれほど大きな額じゃないと思います。
秋山長造
199
○秋山長造君 一億五千万円ことしは前年度よりふえたということを通じて、それだけやはり格差がますますきつくなった、ひどくなりつつあるというように大体の傾向としては解釈していいんですか。
奥野誠亮
200
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) ほっておけばとにかく格差は当然開いていくと、こう思います。全問、従来の僻地対策国庫補助金におきましても、若干増額になっておりましたほかに、こういう対策を講ずるわけでございますので、相当な対策になっていくだろう、こう思っております。何分僻地に住んでおられます人の数というものは少ないわけでございます。地域は広大でございます。したがいまして、人口一人当たりで、国費が投下されている、
財政
資金が投下されてい石とかいうような金額を見て参りますと相当な金額に上っているだろう、こう思います。
秋山長造
201
○秋山長造君 現在各
都道府県
で同趣旨の僻地対策としてどの程度の経費が計上されているかということはわかりますか。
奥野誠亮
202
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 従来特に僻地のために府県が積極的にやっておったというのは
割合
に少ないだろうと思うのであります。地域格差の是正を言い出したのは近年のことに属しますので、今までのところはそれほど大きなものではなかろうか、こう思います。だんだんとそういう傾向は強まってきているわけでございまして、そういうような数字は現在のところ取りまとめたものを持っておりません。また、従来のものをとりますと、それほど大きな額にはならないだろう、こう思っております。
秋山長造
203
○秋山長造君 各
都道府県
で僻地対策費というようなものを計上する場合、そういうものはやはり交付税の
算定
の基礎の中に入るのですか、入らぬのですか。
奥野誠亮
204
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 府県が特別な予算を計上したということでは交付税の計算には入れておりません。今回の
措置
につきまする地方債につきましては、基準
財政
需要額に算入するわけでございます。
秋山長造
205
○秋山長造君 その点、離島の問題のときにも私御質問したのですが、従来特に
東京
だとか、あるいは長崎だとかというような名立たる離島を持っておる都県においては、かなり離島対策というものを組んでおったわけですね。ところが、離島振興法ができて、国が相当これに補助金を出すということになったために、従来組んでおったその県費を引き揚げてしまって、そして結局国が補助金を出すために、それが府県で負但しておったその経費の肩がわりみたいな格好になって、非常に離島振興でなしに府県振興法だというような悪口を言われる面がある。それでは国が補助金を出す意味がないので、国のほうが補助金を出せばますますやはり従来各府県で出しておった対策費というものをふやしていくくらいにしなければほんとうの振興対策にならぬではないかという面があるのじゃないかと思うのですが、今度の
法律
を見ますと、なるほど各省はこれに技術的な助言を与えるとか、いろいろ協力するということが書いてあるけれども、肝心のその府県段階で、別にこれに対して特にどれだけの協力をしなければならぬとか、力を入れなければならぬとかいうような
規定
がどこにもないのですね。ただ
総合整備
計画を作って自治省へ出すときに、府県知事と
協議
しなければならぬという程度のことしか書いてないのです。やっぱりこういう自治省のせっかくの親心ですから、こういう施策が行なわれれば、それが
一つ
の刺激剤といいますか、呼び水になって府県段階でもやっぱりそれに並行して、従来置き忘れられた辺地の対策に、もっと具体的に予算を組んで本気で取り組むという姿勢が必要なんじゃないかと思うんですが、その点……。
奥野誠亮
206
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 国が僻地対策を強化する
関係
から府県が手を引くというようなことがないかというお話がございましたが、私は逆だと、こう考えております。最近の傾向もまさしくそうでございまして、国が非常に力を入れて参りましたので、府県も非常に力を入れて参ってきております。同時にまた、この
法律
の
施行
にあたりましては、そういう心配のないように、府県に対しましても必要な指導助言をしていきたい、かような考えでおるわけでございます。
秋山長造
207
○秋山長造君 そういうふうなことを、この
法案
の中に入れるべきじゃないかと思うのですがね。なかなか、府県には馬等学校急増対策だとかなんとか、いろいろなことで、自治省の
財政
計画の
ワク
外でのいろいろな
負担
がかさんでくるために、国のほうが何かこういう新しい
措置
を講ずるということになれば、これは渡りに船でそっちのほうへおぶさってしまって、かえって手を抜かれがちになるんじゃないか、これが刺激剤になって一そう本気で取り組むという姿勢になることが望ましいんでね。そのためには、一々
地方団体
に対して義務づけようというようなこともどうかという見方もあるでしょうけれども、何かやっぱり府県においても、これに協力を与えなければならぬとか、何かそういうようなものを私一カ所入れるべきじゃないかと思うのですよ。
奥野誠亮
208
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 秋山さん自身が御指摘になりましたように、第三条の
規定
で、
市町村
が計画をやるについては、あらかじめ
都道府県
知事と
協議
しなければならぬことにしておりますし、同時に、
自治大臣
に計画を
提出
するにあたりましては、「
都道府県
が当該
市町村
に協力して講じようとする
措置
の計画を定め、」とこう書いておりますので、私たちはこれで十分じゃないだろうかと、こういう気持でおるわけでございます。最近の傾向からいたしますと、ほんとうにこういう方向に力を入れるようになって参ってきております。相当の関心を示してきております。同時にまた、府県が
市町村
のめんどうを見やすいようにということで、わずかでございますけれども、七百二十万程度の
事務費
を府県に交付するということを考えておりまして、国の予算に計上されているわけでございます。
秋山長造
209
○秋山長造君 七百二十万円は、この
法律
の
施行
に伴う
事務費
として七百二十万円ですか。それは何ですか、すべての府県に与えるということなんですか。それとも自治省が調整されるときに、
関係
の
市町村
数を、千という数字がさっき出ておりましたが、これに出てきた該当の府県に配分しようというわけですか。
奥野誠亮
210
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) この
法律
施行
の
関係
の予算としては八百万円余り計上しておるわけでございます。そのうちの七百二十万円を府県の
事務費
に交付しようと考えておるわけでございます。辺地の
総合整備
計画を作らなければならない地域をたくさん包含しておる団体ほど多く交付するという
建前
で配分したいと考えております。
秋山長造
211
○秋山長造君 そういたしますと、
市町村
でこの
総合整備
計画を立案をするわけですけれども、実質的にはやっぱり府県の地方課あたりでその作業を引き受けてやってやる、そうして
市町村
はそれを議会できめて
提出
をする、こういうことに実際の
運営
はなるのですか。
奥野誠亮
212
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) お話のように、やはり地方課が窓口になってやらなければならないだろうと思っております。やはり府県の各行政に
関係
を持ってくると思うのでして、診療所のような問題になりますと、衛生部との
関係
も出て参りましょうし、電気の問題になりますと、
経済
部なり農林部なりとの
関係
が出て参るでしょうし、あるいは学校の
関係
ですと、教育
委員会
との
関係
も出てくると思います。そういうふうに、各行政部門の事情も打診をいたしまして、そして
市町村
が総合的な計画を立て、それが計画倒れにならない、現実に、三年程度のうちには完成を見るというような姿のものにしていかなければならない。それには、やはり地方課が窓口になっていくだろうと、こう思うのでございます。場合によっては、地方課がさらに電力会社と話をつけなければならないというような問題も出てこようかと思うのでございまして、そういう趣旨の
規定
を、
法律
上は四条の二項に置いているわけでございまして、広範にわたりまして、具体的に、施設が
整備
されるようにしていきたい、こう思っておるわけでございます。
秋山長造
213
○秋山長造君 その四条の話が出たので、ついでにお伺いしますが、ここに書いてある「当該
市町村
に対する技術的助言その他の協力」というのは、具体的にはどういうことを予想されておるのですか。
奥野誠亮
214
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) たとえば、水の問題につきましても、簡易水道であるとか、深井戸であるとかいうような問題もあるかもしれませんし、あるいは補助金の交付につきましても、
総合整備
計画のできたところに重点的に補助金をつけるようにしてもらいたいというようなことも、具体的な問題として出てこようかと、こう考えておるわけでございます。
秋山長造
215
○秋山長造君 この辺地の指定の場合、辺地の条件が、ここに交通条件あるいは自然的、
経済
的、文化的諸条件というようにあげてあるのですが、たとえば税金なんかについて、標準税率以上取っているか、あるいは標準税率以下を取っているかというような、税金の取り方なんかについての考慮というものは加わるのですか、加わらないのですか。
奥野誠亮
216
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 現在のところは、そういう要素は加える考えは持っておりません。
秋山長造
217
○秋山長造君 辺地という場合、やはり実態は、実態調査をされていないのですから、実態についてお聞きするのもどうかと思うのですが、しかし、自治省に集められたこの資料に基づいて、お考えになっていただけばけっこうなんですが、やはり税金は重い税金を取っているということが常識的に想像されるのです。その点はどうですか。
奥野誠亮
218
○
政府委員
(奥野
誠亮
君) 辺地は一
市町村
の中に幾つも含まれているという場合がたくさんあろうかと思います。したがいまして、辺地を含む
市町村
の税
負担
が重いかどうかということになるわけでございますが、
一般
的に辺地性の強い
市町村
におきましては、税源に乏しいわけでございますので、自然
市町村
民税などにおきましては、ただし書き方式を採用して、かなりきつい
負担
になっているというのが通例だと考えております。
秋山長造
219
○秋山長造君 きょうはこれで……。
矢嶋三義
220
○矢嶋三義君
一つ
お願いしておきたいのですが、明後日おそらくこれは
審議
すると思うのですが、
自治大臣
とそれから
経済
企画庁長官で御
協議
なさって、そうして答弁できるようにしておいで願うようにお願していただきたいと思います。それは離島振興法とこの辺地にかかわるこの
法律案
の
適用
地域とは、一部と全部の
関係
になるわけですね。そうしてその業務
内容
は同じなのが多いわけです、たとえば電気導入とか。そうなると、実はこの能率を上げるという点から、総合的にうまく進めるという立場から、離島振興法の所管庁とこれの所管庁とは同じにして、一体で法を
運用
されたほうが、予算も効率的
運用
できて都合がいいのではないかというような感じを持つわけですがね、それで、その点
自治大臣
と企画庁長官で相議されて、しかるべく答弁をされるようにして、次回の
委員会
に出席するよう、御連絡方を願いたいと思います。
小林武治
221
○
委員長
(
小林武治
君) 残余の質疑は、次回に譲ります。次回は、四月五日午前十時より開会をいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十八分散会 —————・—————