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1962-04-03 第40回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月三日(火曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————    委員異動 三月二十九日委員館哲二君及び増原恵 吉君辞任につき、その補欠として西田 隆男君及び西田信一君を議長において 指名した。 三月三十日委員西田隆男君、西田信一 君及び杉山昌作辞任につき、その補 欠として増原恵吉君、館哲二君及び大 竹平八郎君を議長において指名した。 三月三十一日委員小柳牧衞辞任につ き、その補欠として高橋進太郎君を議 長において指名した。 四月二日委員高橋進太郎辞任につ き、その補欠として小柳牧衞君を議長 において指名した。 本日委員松永忠二君及び鈴木壽辞任 につき、その補欠として小笠原二三男 君及び加瀬完君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 武治君    理事            野上  進君            増原 恵吉君            秋山 長造君            基  政七君    委員            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鍋島 直紹君           小笠原二三男君            矢嶋 三義君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    大蔵省主計局給    与課長     平井 廸郎君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生政務次官  森田重次郎君    自治政務次官  大上  司君    自治省行政局長 佐久間 彊君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    厚生省保険局次    長       熊崎 正夫君    自治省行政局公    務員課長    松浦  功君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策基本法等の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○地方公務員共済組合法案内閣提  出) ○地方公務員共済組合法長期給付に  関する施行法案内閣提出) ○辺地に係る公共的施設総合整備の  ための財政上の特別措置等に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 小林武治

    委員長小林武治君) ただいまから委員会を開会いたします。  初めに、委員異動について報告いたします。  三月二十九日付をもって委員増原恵吉君が辞任され、その補欠として西田信一君が選任せられ、三月三十日付をもって委員西田信一君が辞任せられ、その補欠として増原恵吉君が委員に選任され、本日付をもって委員松永忠二君及び鈴木壽君が辞任され、その補欠として小笠原二三男君、加瀬完君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 小林武治

    委員長小林武治君) 理事補欠互選をお諮りいたします。  ただいま御報告のとおり、理事増原恵吉君が委員辞任されたことにつき、理事一名が欠員となっておりましたところ、再び増原恵吉君が委員に選任せられましたので、同君を理事に選任することに御異議ございませんか。  〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  4. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  5. 小林武治

    委員長小林武治君) 参考人出席要求に関する件につきお諮りいたします。  地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法案の両案審査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武治

    委員長小林武治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  8. 小林武治

    委員長小林武治君) 災害対策基本法等の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。安井自治大臣
  9. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ただいま議題となりました災害対策基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、災害対策基本法施行に備え、同法及び関係法律について必要な規定整備を行なおうとするものであります。  第一は、災害対策基本法の一部改正であります。  まず、災害緊急事態に関する規定整備することであります。  これらの規定は、さきの第三十九回臨時国会において、「審議の日時も不足であり、重大な規定であるので、次の通常国会検討に待つ」ということで削除されたものでありますが、当時述べられた意見等を参酌し、さらに慎重に検討いたしました結果、若干の修正を加えて提案することとしたものであります。  その概要は、次のとおりであります。  国の経済及び公共福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚な非常災害が発生した場合においては、内閣総理大臣は、中央防災会議に諮って災害緊急事態の布告を発し、緊急災害対策本部を設置することができるものとし、なお、緊急の必要がある場合において、国会が閉会中で、臨時会を召集するいとまがない等のときは、緊急放置しがたい次の事項について政令で必要最小限度措置を講ずることができるものとし、もって国の経済の秩序の維持と公共福祉の確保に遺憾なからしめようとするものであります。すなわち、(一)供給が特に不足している生活必需物資の配給または譲渡もしくは引き渡しの制限もしくは禁止、(二)災害応急対策災害復旧または国民生活の安定のため必要な物または役務等最高価額の決定、(三)賃金、災害補償給付金その他の労働関係に基づく金銭債務支払い及びその支払いのための銀行その他の金融機関預金等支払い以外の金銭債務支払い延期及び権利の保存期間の延長についてであります。  なお、中央防災会議委員は、指定行政機関の長のほかに学識経験のある者を加えることといたしました。  第二は、災害対策基本法施行に伴う関係法律の一部改正であります。  まず、防災会議の設置に伴い中央災害救助対策協議会地方災害救助対策協議会及び都道府県災害救助対策協議会を廃止するとともに、あわせて災害救助法適用基準救助費に対する国庫負担の引き上げその他所要規定整備を行なうため、災害救助法の一部を改正することといたしております。  次に、(一)地方公共団体が支給することができる手当種類災害派遣手当を加える、(二)市町村消防計画防炭計画に基づいて作成するものとする、(三)災害に関する警報の伝達等について有線電気通信設備及び専用公衆電気通信設備の使用に関し規定整備する、その他災害対策基本法施行に伴い関係法律について所要規定の整理を行なうために、地方自治法その他の法律改正することとしたのであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  10. 小林武治

    委員長小林武治君) 本案の質疑は、後日に譲ります。     —————————————
  11. 小林武治

    委員長小林武治君) 地方公務員共済組合法案及び地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法案の両法案を一括して議題といたします。  まず、補足説明を聴取いたします。行政局長
  12. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お手元に、地方公務員共済組合法案要綱地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法案要綱地方公務員の新退職年金制度参考資料をお配りいたしてございますが、これを見ながら、この両案の骨子につきまして概略の御説明を申し上げたいと存じます。  まず、本法案を立案いたしますまでの経過概要でございますが、参考資料の二ページに書いてございますとおり、国家公務員につきまして、従来の恩給方式によります退職年金制度を新しい共済方式による退職年金制度に改めますことが、昭和三十三年七月に国家公務員共済組合法施行されまして三十四年から実施されたのでございますが、それにならいまして地方公務員につきましても、退職年金制度整備をいたすことにいたしまして、その内容の大綱につきまして、地方制度調査会諮問をいたしたのでございます。地方制度調査会は、昭和三十四年の二月に、地方公務員退職年金制度改正に関する答申内閣提出をいたしました。この答申もとといたしまして、政府におきまして、新退職年金制度立案検討を始めたのでございます。その間いろいろ検討すべき点がございましたし、かつ、予算の点につきまして大蔵省との間の折衝もございまして、二年間ほど実施までに期間を要したわけでございますが、昭和三十七年度から実施をするということにつきまして、政府部内の意見の調整を終えましたので、ここに提案をいたすことにいたしたわけでございます。  次に、参考資料の三ページをごらんいただきたいと存じますが、現在地方公務員退職年金制度がどういうふうになっておるかということを、三ページと四ページが図示をいたしたものでございます。現行の地方公務員退職年金制度は、地方団体種類によりまして、また地方公務員の職種によりまして、また身分によりまして、それぞれまちまちな制度が行なわれておるのでございます。三ページには、都道府県職員について、現在どうなっているかということを示しておるのでございますが、都道府県職員につきましては、国の恩給法を準用いたしておるものが相当数ございます。これは地方自治法施行の際、官吏であった者、この右下ワクの中にそれをまとめてございますが、あるいは教育公務員特例法施行の際、公立学校職員であった者、それから警察官、こういう者は現在でも恩給法の準用を受けております。それから、そのほかの道府県吏員でございますが、これは道府県ごと退職年金条例を作っておりまして、その適用を受けております。次に、雇用人でございますが、雇用人は、地方職員共済組合というのがございますが、その共済組合雇用人長期給付をいたしておるのでございます。  次に、四ページは市町村現状がどうなっておるかということを示したものでございます。これは一番下のワクの中に現状をまとめてございますが、市町村につきましては、市町村吏員につきましては恩給組合、これは市町村の一部事務組合の形をとっておりますが、その恩給組合によりまして、市町村吏員についてはやっておるのでございます。それから雇用人につきましては、市町村職員共済組合ができておりまして、それが雇用人長期給付をいたしております。で、それ以外に、これらの組合にも入っておりません市がございますが、そういう市につきましては、その市ごと退職年金条例を作りまして、そこで実施をいたしておる、こういうような状況になっております。なお、この給付内容等につきましても、それぞれの制度によって、必ずしも統一がとれていないというのが現状でございます。  以上が現状でございます。  次に、地方公務員共済組合法案要綱につきまして、それを今度どう改めようとしているかということを御説明申し上げます。  第一の目的は、これは国家公務員共済組合法と同様、地方公務員福祉の向上に寄与するとともに、公務能率的運営に資するということを目的といたしております。  第二の組織でございますが、現在は、先ほど申し上げましたように、非常にまちまちな制度になっておりますが、それをこの参考資料の九ページに表を書いてございますが、そのように改めることに相なるわけでございます。で、まず、この表で御説明申し上はげますと、警察職員につきまして、警察共済組合というものができます。これは全部一本にいたしまして、一つ警察共済組合ができるわけでございます。それから公立学校の教員につきましては、公立学校共済組合、これも全国単位にできるわけでございます。それで、そのほかの一般職員につきましては、東京都の場合には、東京都だけで都の都職員共済組合というものを作ります。それから道府県につきましては、一般職員で、地方職員共済組合というものを全国単位に作ります。それから五大市につきましては、各市に一つずつ指定部市共済組合というものを作ります。そのほかの市町村につきましては、市町村職員共済組合と申しますものを県単位に作ります。で、それを今度全国単位連合会を作る。で、市町村職員共済組合に入りたくないという市が若干あるわけでございますが、そういう市につきましては、単独で共済組合を作ってもよし、あるいは連合して共済組合を作ってもよしということを認めることにいたしておりまして、それが都市職員共済組合と申しておるものでございます。これも全国単位にそれの連合会を作る、こういうことにいたしております。なお、地方庁に勤務をいたしております者の中に、国家公務員身分を持った者がございますが、これらも警察関係の者は警察共済組合、郵便同等におります者は、地方職員共済組合にそれぞれ入るということにいたしております。  法案要綱の第二の組織は、ただいま御説明申し上げましたような内容でございます。  それから、組織算用数字の3のところでございますが、各組合定款を作りまして、定款組合員の範囲、給付掛金その他組合組織運営に関する重要事項をきめることにいたしておりますが、この定款の変更は、主務大臣の認可を要するということにいたしております。主務大臣と申しますのは、公立学校共済組合につきましては文部大臣警察共済組合につきましては内閣総理大臣、それ以外の共済組合につきましては自治大臣ということにいたしております。  なお、これらの重要事項のうち、掛金につきましては、その中でもさらに重要な問題でございますので、掛金に関する事項主務大臣が認可しようとするときは、あらかじめに自治大臣協議をする。さらに、自治大臣は、地方職員共済組合公立学校共済組合警察共済組合、この三つ共済組合につきましては、その掛金協議を受けましたときには、あらかじめ大蔵大臣意見を聞くということにいたしております。これは、三つ共済組合は、これまで国家公務員共済組合法適用を受けておりました組合でございまして、その中に国家公務員もおります関係もございまして、掛金率等につきましては、国の制度との権衡を考慮しなければならぬという理由から、大蔵大臣意見を聞くということにいたしておるのでございます。  次に、組合の内部の組織でございますが、執行機関といたしまして理事長理事監査を置く。審議機関といたしまして、地方職員共済組合公立学校共済組合警察共済組合という三つ共済組合につきましては、運営審議会を置く。そのほかの組合につきましては、組合会を置くということにいたしております。運営審議会は、委員十人以内で主務大臣が命ずることにいたしております。組合会は、議員が三十人以内で、半数地方団体の長または長が任命する者といたしまして、あとの半数組合員組合員のうちから選挙するということにいたしております。運営審議会または組合会審議または議決をいたします事項は、9に書いてございますような重要な事項でございます。この三つ共済組合につきまして運営審議会方式にいたしましたのは、現在これらの三つ共済組合が、国家公務員共済組合法適用を受けた組合でございまして、現在連帯審議会方式をとっておりますので、それを踏襲をいたしたわけでございます。  次に、組合積立金運用の問題でございますが、組合長期給付に充てるための積立金——責任準備金と申しますが、これを積み立てるわけでございます。これの運用につきましては、「安全かつ効率的な方法により、かつ、組合員福祉の増進又は地方公共団体行政目的の実現に資するように運用しなければならない。」ということを法律に明記をいたしております。この点につきましては、いろいろ論議もあった点でございますが、建前としてこういう建前にいたした次第でございます。  次に、連合会でございますが、連合会には、先ほど申しましたように、市町村職員共済組合と、都市職員共済組合、この二つの組合につきまして連合会を設けることにいたしております。市町村職員共済組合都道府県単位にできるのでございますし、都市職員共済組合は個々の都市あるいは幾つかの都市が作ることになりますので、全国単位連合会を設けるということにいたしたのでございます。で、連合会は、次に書いてありますような事業を行なうわけでございますが、特にこの長期給付積立金災害給付積立金というものを連合会管理をするということにいたしておるのでございます。連合会には総会が置かれ、それぞれ構成組合理事長である議員及びそれ以外の組合理事が互選した議員でもって組織をするということにいたしております。そのほかの点につきましては、単位組合と大体同様な構成をとっておるのでございます。  次に、第三の組合員でございますが、すべての地方公共団体の常勤の地方公務員適用するということにいたしておりまして、各組合間では相互にその組合員期間通算をするということにいたしております。従来の制度におきましては、都道府県市町村の間、あるいは一般職員と教職員警察職員等との間、あるいは同じ一般職員の中でも、吏員雇用人との間というものには通算が原則としてされていなかったのでございますが、今度の法案におきましては、この地方公務員共済組合法適用を受けます組合間では、相互に全部通算をするということにいたしておるのでございますが、組合員が他の組合に移動をいたしました場合には、その者の関係責任準備金に相当する金額をその組合に移しかえをするということにいたしておるのでございます。  なお、共済組合自体職員につきましては、これを公務員である職員とみなしまして、この法律適用することにいたしております。  第四は、給付でございますが、給付の点につきましては、給付種類、それから内容は、いずれも国家公務員共済組合法規定をしておりますところと同様のものを考えております。  次は、福祉事業でございますが、福祉事業国家公務員共済組合と同様の内容を考えております。  次は、費用負担の点でございますが、費用負担につきましては、短期給付につきましては、職員掛金地方公共団体負担金とが百分の五十ずつ折半いたしております。長期給付につきましては、職員掛金が百分の四十五、地方公共団体負担金が百分の五十五といたしております。公務廃疾年金または遺族年金につきましては、全額地方公共団体負担をする。福祉事業につきましては、職員掛金地方公共団体負担金が五十、五十。組合事務費は、地方公共団体全額負担をするということにいたしております。  次は、審査の請求でございますが、組合員の資格、給付につきまして、不服等がありました場合の審査機関といたしまして、共済組合審査会を置くことにいたしております。  次は、地方職員共済組合審議会でございますが、地方公務員共済組合に関する制度、その他重要な事項につきまして、自治大臣諮問機関といたしましてこの審議会を置くことにいたしております。この審査会審議会いずれも国家公務員共済組合の例にならったわけでございます。  次は、雑則でございますが、雑則の1は、主務大臣でございますが、これは先刻申し上げましたように、公立学校共済組合につきましては文部大臣警察共済組合については内閣総理大臣、それ以外の共済組合につきましては自治大臣主務大臣ということになっております。  主務大臣は、毎年少なくとも一回組合監査をさせるということにいたしております。  3は、船員保険の被保険者である組合員につきましてでありますが、これは国家公務員共済組合の場合と同様に特例を設けております。  4は、地方自治法附則第八条に規定する職員——国家公務員身分を持った職員でございますが、これにつきましても、地方職員共済組合組合員とする。それから警察庁の職員——都道府県警察における警視正以上のいわゆる国家公務員身分を持った警察官でありますが、これは警察共済組合組合員にするということにいたしております。  十は、地方議会議員年金制度でございますが、地方議会議員年金につきましては、互助年金法によりまして制度が発足をいたしたのでございますが、地方議会議員互助年金法附則規定によりまして、地方公務員の統一的な退職年金制度に関する法律が制定されました場合には、これに統合されるものとするという規定がございましたので、今回この法律の中にその制度規定をいたすことにいたしたのでございます。で、内容は、大体国会議員年金制度に準ずる内容にいたしたのでございまして、従来の制度につきまして、従来任意加入でありましたものを強制加入にする。なお、従来は議員掛金のみでまかなう建前にいたしておりましたが、掛金のみでまかない切れない場合には、地方公共団体負担をするという規定を設けることにいたしたのでございます。  次は第十一、附則でございますが、この法律昭和三十七年十月一日から施行をすることに予定をいたしております。  第2、第3は、現在あります共済組合が新しい制度になりました共済組合に移り変わりますための経過規定でございます。  次に、第5でございますが、警察職員のうち警部補以下の階級にある組合員につきましては、国家公務員共済組合の場合と同様に、最短年金年限等につきまして特例を設けることにいたしております。  次に、6項でございますが、現在、短期給付健康保険組合によって行なっておるものが若干あるわけでございますが、それらのものにつきましては、特に申し出のない限りは、今後も長期給付健康保険組合で行なうことを認めていこうというものでございます。  第7項は、健康保険組合等で行なっております短期給付につきまして、組合員地方公共団体との負担割合につきまして、地方公共団体のほうが多く負担をすることになっておる組合がございますが、それらのものにつきましては、十年間経過的に従来の割合を認めていこうということにいたしております。  第8項は、長期給付に要する費用もとにいたしまして掛金の率がきまって参るわけでございますが、これらの精密な算定につきましては、相当期間を要しますので、その算定が終わるまでの間は、主務大臣の定める費用をもって長期給付に要する費用としよう、これは国家公務員共済組合の場合も同様な措置をとりまして発足いたしました例にならったわけでございます。  第9項でございますが、これは退職年金の問題とは違うのでございますが、退職手当の問題でございます。退職手当制度が、地方公務員の場合には、国家公務員の新しい退職手当制度になっておりませんので、たいへん低いわけでございます。そこで、この地方公務員共済組合法施行になりますことに伴いまして、国家公務員レベルまで地方公務員退職手当を引き上げて制度整備するようにいたしたい。約二割五分引き上がるわけでございます。こういうふうに制度整備するようにという規定をこの附則に設けようということでございます。  以上が地方公務員共済組合法案要綱でございます。     —————————————  次に、地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法案要綱でございますが、この法案は、地方公務員共済組合法案の中で長期給付に関する規定施行に伴う経過規定を中心といたしたものでございます。特に国家公務員の場合には、従来統一的な恩給制度がございまして、それが新しい共済組合による年金制度に切りかわったわけでございますので、比較的経過規定も簡単でございましたが、地方公務員の場合には、冒頭に御説明申し上げましたように、制度が区々でございますので、それぞれに応じまして既得権、期待権を尊重をした経過規定を設けることにいたしたわけでございますので、たいへん内容が複雑になっておるのでございます。  一々御説明申し上げますのも繁雑でございますので、あとまた必要に応じて御審議の過程で御説明申し上げることにいたしたいと思いますが、おもな点を二、三申しますと、この総則の二番目に書いてございますのは、この新しい法律施行になります前にすでに給付事由が生じておりました給付の取り扱いにつきましては、これは原則として従来の制度によっていくということにいたしております。  それから第二に書いてございますのは、法施行前から引き続いて組合員でありまして、新しい組合組合員になって在職をいたしております者につきましては、一たん、法施行の前日において退職をして、そして新しい制度に乗り移るという技術的な方法をとっております。第二の退職給付に関する経過措置でございますが、これはたくさんいろいろ書いてございますが、この経過措置は、従来の既得権、期待権と申しますか、そういうものを尊重していくようにするための経過規定でございます。内容は、一つは、受給の資格の点でございます。従来十七年で恩給がついた者が非常に多かったわけでございますが、それが今度は二十年ということになりますが、それにつきまして、現在までおりました職員につきましては、そこに三ページに書いてございますように、法施行までの在職した年数にそれぞれ応じまして二十年にならないで、十七年、十八年、十九年でそれぞれ年金がもらえるようにするということでございます。それからなお地方団体、特に市の年金条例によりましては、国の制度であります従来の十七年というものよりももっと割のいい、たとえば十五年で年金がつく者、あるいは十二年で年金がつく者、十年で年金がつく者というような条例を設けておりますところがございますが、それらの者につきましては、(二)のところに書いてございますのでありますが、たとえば十年ルールでありますところは、今度は二十年になりますので、二倍の長さになりますわけでありますから、そこで、従来の在職年数に十分の二十をかける——従来の在職年数を一年を二年に見まして、そうして計算をするというようなことをいたしておるわけであります。  以上申したように、受給資格の経過措置一つと、それから次は、退職年金の額の点でございます。で、(七)のところ以下に規定をいたしておるわけでございますが、退職年金の額につきましては、それぞれ従来適用を受けておりました制度、その制度の非常に有利な制度適用であったところ、あるいは有利でない制度適用を受けていたところ、いろいろありますが、それぞれその部分はその当時の制度によりまして計算をいたしまして、不利にならないように合算をしていくようにしようという趣旨でございます。  それからもう一つは、受給開始年限の点でございますが、これは七ページの(十)というところに規定をいたしておりますが、従来は五十五才未満で若年停止という制度がございましたが、五十五才未満でありましても、あるいはもっと早く年金がつくような条例を作っていたところもございますが、それは従来の在職期間については、それぞれ経過的に、従来の制度で認めるようにしていこうという規定でございます。  そのほか廃疾給付の場合、遺族給付の場合、それぞれ同様な考え方で既得権、期待権というものを尊重をした経過規定をいたしております。五の特殊の期間資格を持った者、あるいは六の再就職者に関する問題、第三の恩給公務員期間を有する者、いずれも同様な考え方でそれぞれ経過措置規定いたしておるのでございます。  第五のその他のところで、二の組合の追加費用でございますが、これは政令で定めるところによりまして、国または地方公共団体負担をするということを規定をいたしております。  この法律は、地方公務員共済組合法施行の日から施行するということにいたしております。  以上簡単でございますが、補足説明を終わります。
  13. 小林武治

    委員長小林武治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  14. 小林武治

    委員長小林武治君) それじゃ速記を始めて。  引き続き質疑を行ないます。
  15. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 御承知のように、これは組合法案が百七十三条、附則七十二条、別表五で、二百三十三ページにわたっているわけですね。それから施行法案が百五十三条、附則四項、別表二で、二百四十三ページ、合わせて四百七十六ページに及んでいます。量からいっても、質からいっても、相当重要な法案だと私は考えますが、本日は、この両法案のアウトラインといいますか、さらに日本の国政の中における位置づけという角度から伺って、いずれ、内容が非常に重要で、複雑でありますから、逐条審議をして誤りなきを期したい、かように私どもは考えている次第でございます。  それで大臣、政府委員の出席並びに答弁の態度ですが、三月二十三日に本会議で趣旨説明が行なわれ、わが党の占部議員が質疑をしたのに対して、総理以下関係大臣が答弁していますが、答弁は非常に上っぺらで、ほんのおざなりなものです。これでは審議になっておりません。したがって、本日は、これは総理の出席を仰ぐのが至当だと考えましたけれども、とりあえず関係大臣の御出席を願ったわけです。しかし、それぞれの大臣、差しつかえがあってまだお見えになっていない人がいるようですが、政務次官並びに政府委員は、大臣にかわって答弁する気持で、簡にして要を尽くす答弁をしていただきたいことを、まず要望申し上げておきます。  私は、この法律案審議にあたって、恩給法、それから国家公務員共済組合法はもちろんのこと、わが国の公的年金制度、それから保険関係法律を一応目を通し、研究してみました。それで、そうして感ずることは、まあ三十三年に国家公務員共済組合法、それから三十四年にこれを非現業へと拡大する国家公務員共済組合法の一部改正法律案審議され、成立した。その当時から私ども、地方公務員共済組合法なるものには関心をもち、その国家公務員共済組合法案の審議過程において、関連して審議、調査をし、いろいろの御要望もして参ったわけです。それだけに非常に関心を持っておったわけですが、この法律案を作り上げるにあたって、過去三カ年間あるいは四カ年間、行政府の皆さん方が非常に苦労したであろうということは容易に認められるし、その労を多とします。しかし、内容的にはずいぶん問題点があるので質疑をせざるを得ないと思うのです。  それで、そういう角度から伺っていきますが、第一番に伺いたい点は、三十四年に地方制度調査会から答申があった場合に、三十五年から地方公務員共済組合法実施されるように善処しろという答申があり、当時の青木自治庁長官は、三十五年の四月一日からこれを実施したいということを立法府において答弁をしております。それが三十五年、三十六年と実施が見送られて本日に至った理由は何ですか、お答えいただきます。
  16. 大上司

    政府委員(大上司君) 三十四年に地方制度調査会から答申案が出まして、今年この提案に及ぶまでは、いろいろの調査並びに行政府としてこれを施行するとすれば、どのような準備、機構が要るとか、あるいは地方財政に及ぼすところの問題とか、等々を非常に研究いたしまして、非常におくれたことをおわび申し上げます。
  17. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうことでは答弁にならないのです。政府委員答弁願います。
  18. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま政務次官がお答え申し上げましたように、いろいろな問題の準備研究がございましたが、特に一番大きな点は、予算折衝の過程におきまして、自治省といたしましては、給付の一割国庫負担をすべきであるという主張をいたしており、それに対しまして、大蔵当局は反対をいたしておったのでございます。大蔵省のお考えは、地方公共団体も国も、ひとしく公経済の主体であるのであるから、社会保険の責任を明らかにするという意味で一割国庫が負担をするということは、他の制度についてはとにかく、地方公務員共済組合制度については、それは国も地方団体も連帯で責任を負うべきである。ひとしく公経済の主体であるものが負えばいいのじゃないか。したがって、その措置も、負担金というような措置ではなくて、地方の一般財源を充実するという方向で、必要があれば交付税の増額という方法によって措置をすべきであるという主張であったわけでございまして、昭和三十七年度……。
  19. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 内容的なものはいいです、そういうのは後日論じますから。それでは結局、三十四年の十月から、現業、非現業含んで、国家公務員共済組合法が公布施行されたわけですね。それで三十五年から発足したいということであり、当時の大臣が公約したことであるが、三十五年、三十六年と見送られて、本国会にようやくこの法案が出てくるに至った、こういうふうにおくれた一番大きな理由は、国庫負担の問題が解決しなかったということで、そのために、ここに二カ年間足踏みをしたと、かように了承してよろしいわけですね。自治省と大蔵省両方からお答え願います。
  20. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 一番大きな理由はそうでございまして、第二番目には、先ほど政務次官がおっしゃいましたような、いろいろ各方面の御意見検討をして調整するということでひまどったわけです。
  21. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 私ども当時は在任いたしておりませんでしたが、私どもが伺っている範囲におきましても、一番大きな対立点は、ただいまの点だというふうに伺っております。
  22. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に、政務次官に伺いたい。この法案は、わが国の社会保障制度の一環として位置づけられているものだとあらためて確認してよろしゅうございますか。
  23. 大上司

    政府委員(大上司君) そのとおりでございます。
  24. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政務次官に重ねて伺いますが、それではこの法案の最終責任を持つ機関は、どこでございますか。
  25. 大上司

    政府委員(大上司君) 第一次的にはいわゆる地方公共団体であり、最終的には国でございます。
  26. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 厚生政務次官に伺いますが、わが国の社会保障というものを進めているわけですが、それには所得保障と医療保障の二本立てで多くいっているわけですね。それが年金制度であり、また各種の保険制度である、これでいってるわけですね。今度の、これは社会保障政策の一環として行なわれたというのですが、これには所得保障の年金問題と医療保障の保険問題とが入り、しかも、厚生年金等を適用を受けておった人々も、これに吸収されて参る。厚生省でやってる所得保障の年金、国民皆年金等に抵触してきているわけですね。それからまた医療保障の面で健保、この一部もその意思表示によっては国に入ってくるわけですね。こういう形態にするにあたっては、社会保障の担当省として、所得保障と医療保障二本でわが国の社会保障政策を推し進めよう、そういう形態をとろうという方向づけをしている、その担当省としては、どういう見方をされているのか承りたいと思います。
  27. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) やはりこれは社会保障制度の一環でありますから、国としては、できるだけ統一した形で責任を負う省をきめるのが適当ではないかと考えておるのでありますけれども、いろいろ伝統的な事情もあり、現実的にはそういうわけにも参らないというので、現在のような形でそれぞれ責任者が一応きまっておるということになっておるわけでございます。
  28. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はその答弁では満足しません。それで専門の政府委員から伺いますが、国民皆年金、皆保健を推進していこうというその方向づけ、それから将来はその総合調整をしていこうという方向からあわせ考えた場合に、こういう行き方については、一点の疑念も持たないで、政府部内で厚生省は賛同してきたのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  29. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 先生のおっしゃるように、長期保険、それから短期保険につきまして、社会保障の総合的な立場で国の施策を推進していくということにつきましては、厚生省としまして十分検討をいたさなければならない問題でもございますし、それから地方公務員共済組合法案国会提案の事前段階におきまして、関係省とはよく打ち合わせをいたしまして、その間の調整は終わっておるわけでございます。先生御承知のように、短期保険あるいは長期保険の分で健康保険組合なり、あるいは厚生年金保険との関係、そういったものにつきましても、いろいろ問題点はございましたけれども、関係当局とよく話し合いまして、調整を終えまして今回の措置をとったわけでございます。
  30. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次の質問に厚生省と大蔵省側からお答えいただきますが、所得保障の一般国民を対象とする国民年金、それから医療保障の一般国民と対象とする国民健康保険、これは形態は整っているが、社会保障の名に値しない内容のものであるということは、自他ともに許しているところで、政府においてもそれを認め、この充実拡大をはかっていきたいということを主張されているわけですね。そこで、これらの法案が出てくる場合に気づくことは、そういうレベルの低い国民年金、国民健康保険、それに足を引っぱられて、そういう低いレベルに国民皆保険、皆年金というものを合わせていこうという方向が、今の内閣の政策の方向づけに感ぜられる。これは私は、まことに遺憾なことだと思うのです。現在、この年金制度にしても、保険制度にしても、なかなか雑多であり、高いレベルのものと低いレベルのものとがある。これは国の施策の方向としては、高いレベルのほうへ皆年金、皆保険の方向で引っぱっていくという方向づけをせにゃならぬ。ところが、そのつどつど名前だけであって、社会保障に価しないこの国保、それから国民年金、こういうところに足を引っぱられて、そちらのほうに合わしていこうとする方向というものは、方向としては私は非常に間違っていると思うのです、国の財政関係があるとはいえ、そういう条件を入れても。で、この点について、私の意見に対してどういう意見を持っているのか。これから総合調整もしていこうというその方向づけというものは、こういう方向を指向してやっていこうとするのか。担当の厚生省側と、それから大蔵省側の見解を承っておきたいと思います。
  31. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 国民年金なり国民健康保険制度としまして現在とっておりますのが、他の年金制度なり、あるいは保険制度につきまして、非常にレベルが低いということは先生のおっしゃるとおりだろうと思います。しかし、厚生省としまして、この制度の低いものに他の制度を合わせていくというふうな方針は全然とっておらないわけでございまして、あくまでもやはり国民年金の現在の制度なり国民健康保険の給付割合なり、そういったものは逐次向上させていく、つまり制度の高いほうに、向上させていくという考え方でもって、ずっと施策を強化拡充いたしておるわけでございます。ただ、御承知のように、国民年金なり国民健康保険の被保険者といいますものは、いわゆる雇用されておらない、地域におられるそれぞれの独立自営業者といったものを対象にいたしておるわけでございまして、農民を含めまして。したがいまして、対象として取り扱われる被保険者自体の中身が違うわけでございますから、したがいまして、それに関連して給付内容もおのずから低くならざるを得ない。しかし、国の施策としまして、社会保障の向上ということにつきましては、こういった方々をより高い制度のほうに引き上げていくという方向で、今後とも推進していく予定にいたしております。
  32. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 実は先生の御質問、私どもの所管範囲からやや越えている問題だと思いますが、少なくともこの法律案審議いたします過程におきまして、地方公務員退職年金制度なり何なりを考える際に、現在の給付内容一般的にレベル・ダウンをするという考え方ではなくして、むしろ少なくとも現状維持、一般的にはレベル・アップされるという前提で、この問題は考えられてきたというふうに了承いたしております。
  33. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その方向づけを確認しておけば、私は一応安心し、それを前提にこの法案審議して参ります。その使用者のないものを対象としての施策だといっても、これは結局国の負担の問題になるわけですよ。今度国保の給付水準を五%、国庫補助をふやしました。それは一つの方法でしょうが、国の負担の問題になるわけですよ。それは予算の性格になってくるわけですよ。この点大蔵省と決して無関係でないわけです。その方向が明確にならないと、この法律案を逐次審議していくと出てきますが、既得権確保の問題が出てくるわけですよ。既得権が確保されたかされないか、どういうふうにして既得権を確保したか、どの線に一体合わせようとするかということが、意識するとしないとにかかわらず、それが具体的にこういう法律案内容は、既得権が守られるか守られないかということに出てくるわけです。だから、その方向づけというものをまず確認しておく必要があるから両省の方々に承ったわけで、その答弁を私は満足いたします。  それから厚生省と大蔵省にこれまた伺うのですがね。所得保障としての年金制度、これを公的年金を創設してこれの充実をはかる方向で努力しておりながら、一方でこの私企業の私的年金ですね、これを慫慂する税法の措置もとられていますね、これは国の社会保障を推し進めるという方向からは、私企業が私的年金を自主的に非常にやるというのは、それは僕はけっこうだと思います。二重になりますからね。しかし、国がそういうところに非常におんぶして、国としての公的年金の充実を逃避するというような考え方は、私は非常に好ましくないと思うのですね。これが官と民の年金面における所得格差の開きとして現われてくるわけですね。こういう点については、すなわち私的企業の、私的年金現状とこれからの方向というものを、厚生省としてはどういうふうに現状を把握されておられるのか。また、こういう年金関係で相当の予算を計上せにゃならぬわけですが、その査定権を持っている大蔵省側としては、どういう現状の認識と方針を持っておられるのか、承っておきたいと思います。
  34. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 今矢嶋先生のおっしゃっておられます私的企業年金といいますのは、おそらく企業年金のことだろうと思いますが、企業年金の今回の税制改正の問題につきましては、これは御承知のとおりでございますけれども、しかし、企業年金制度と厚生年金制度との関係をどういうふうにやっていくかということは、税制の関係とは別個の問題でございまして、これは厚生年金と企業年金、これをどういうふうに調整していくかということで、厚生年金を保険法改正の際に十分慎重に検討しなければならない問題じゃないかというふうに考えているわけでございます。御承知のように厚生年金保険法の給付内容は、現在非常に低いということでこの改正を早急にやらなければならないということで、厚生省は現在その作業に着手をいたしておるような状況でございますけれども、普通の順序から言いますと、三十九年度に厚生年金保険法の料率改訂その他をやらなければなりませんが、これを一年繰り上げまして、厚生省としましては、三十八年の通常国会におきまして、ぜひ厚生年金法の具体的な改正をやりたい、こういう考え方でおるわけであります。そのときに、当然企業年金制度と厚生年金との調整をはかるということを直ちに考えなければならない問題ではなかろうかと思うのでございます。ただ、それは御承知のとおり、関係団体との話し合いその他今ここで厚生省としてどういうふうな方針をとるということを直ちに申し上げる機会ではないと思いまするし、それぞれ関係団体との十分な折衝をいたした上でその調整をはかっていくということを考えなければならぬと思っている次第でございます。その辺は十分慎重に今後検討して参りたいと思います。
  35. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) ただいまの問題、率直に申し上げまして、大臣の答弁をいただかないと非常に範囲の広いことだと思いますが、まあ一応私どもから、われわれの伺っているその範囲内において考え方を申し上げるならば、今回の税制改正を行ないました事態は、先生もお認めになっているように、私企業の年金を充実すること自体を否定するのでなくて、むしろそれはそれとして伸ばしていくことを助長していくことは、国の施策としても妥当であろうという認識の上に立っているわけであります。ただ、それは御質問にございましたように、公的年金制度を押えるとか、あるいは公的年金制度に代替するという考え方でやっているというわけではございませんので、理想としては、公的年金制度の充実の問題と現実の私企業における年金制度の拡充とは必ずしも現実の形においては矛盾するものではないということもあろうかと思います。まあ公的年金制度の充実の問題につきましては、先ほど厚生省から御答弁のございましたように、今後、なおさらにわれわれのほうにおきましても検討を進めていく必要があろうかというふうに存じております。
  36. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員ですから、その程度でその答弁を満足しておきます。  次に、自治省側に伺いますが、この両法律案の中でずいぶん苦労されたと思うのですが、最も苦心した点と、会心の作とみずからほほえんでいるのはどの部分ですか。
  37. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 苦心をいたしました点は、一つは、共済組合組織をどのように、それぞれの従来の希望をできるだけ尊重し、また統一年金制度の趣旨に合うように組織を作るかという点が第一点でございます。第二点は、既得権の尊重ということをどういうような形で行なうかという点が第二点でございます。第三点は資金運用の問題でございます。その次に、いろいろ苦慮いたしました点は、組合審議機関運営審議会というようなことでございます。
  38. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あんまりたくさん言うと最もということが消えてしまう。会心の作とほほえんでいるのはどういう点ですか。
  39. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 全体といたしまして、相当各関係の御意向をかなりよく取り入れることができたのじゃなかろうかということで、別に会心の作というまで誇る気持はございませんけれども、まあまあという気持でございます。
  40. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは逆に、これはあまりうまくいかなかったな、今後検討していかねばなるまい、今国会で修正する必要はないけれども、まあ将来これは検討に値するなと、かようにお感じになっているおもな点はどういう点がありますか。
  41. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは特にここで申し上げるほどはっきりと考えておる点はございません。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私も大分調子を落として伺っている。あなたがそう答弁したから、ここを修正せねばならぬということは、私は自民党じゃないから申しません。あなたは法律案の成文化作業をやるときに、ここはうまくいったなという場合と、これだけの法案ならば、他省とも関係があれば、これは担当省として必ずしも十分でなかったな、今後の検討に値する点があるなというのは、これは成文作業にたずさわった人としては必ずあるはずです。それを聞かせてもらいたいというわけで、私もだいぶん調子を落として伺っておるわけです。お答えいただきたい。
  43. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 会心の作といいますが、これは大体私どもが考えており、そしてまた関係地方公共団体あるいは職員団体等のほぼ御期待に沿い得たと思いますのは、資金の運用の問題が一つ申し上げることができるかと存じます。それから、これは問題だという点につきましては、これは国家公務員共済組合法とかなり共通の問題もあるように存じますし、こまかい点はいろいろ気がついた点もございますが、特にこれが一番というようなおもな点といったようなものは、正直のところ現在頭に浮かんで参らない状況でございます。
  44. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 きょうはあまり掘り下げないのですが、ここでちょっと一くわだけ掘りますが、資金運用の点についてやや満足を感じているのだということですが、その気持も、経過からいってわからないわけではありませんが、ここで文部省と大蔵省に伺っておきますが、公立学校職員共済組合責任準備金運用は、資金運用部資金へ持ってくるのに、別に政令で定めるとして、ここをねらい打ちされているですね。しかも、その経過については、知事の意見を聞かねばならぬと、こうなっていますが、こうなると、公立学校職員組合の余裕金の組合員福祉への還元率というものは下がってくるのではないかと懸念しているわけですが、これは別に政令で定めるところによって政令で定める金額と条文ではうたっていますが、文部省はどういう見解を持ち、大蔵省はどういう政令を作ろうとしておるのか、やや掘り下げますが、その一点だけ、文部、大蔵の順序でお答えいただきたい。
  45. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 余裕資金の毎年の増加部分につきまして、政令でその四分の一を預金部に預託するという考え方を持っておりますが、このことは、地方負担分の二分の一を国が負担する、こういう建前もとに考えますときに、他の組合と異なってこの資金の運用につきましても、預金部に預託するということが全体的な観点から妥当な措置である、かように考えるのであります。もちろん資金運用の安全確実な方法としての意味をも持つのでありますけれども、義務教育関係職員について、その増加分の四分の一を預託するという制度は、義務教育関係職員の給与負担の現行の建前の上から見てやむを得ない措置であると考えております。なお、都道府県の段階における資金運用の問題について、これは知事の意見を聞くということも、これは資金の地方のまあ行政目的に寄与するという意味合いも公立学校共済組合においても考えてもいいのでありますし、なお、地方、都道府県段階におきまして共通の利害があるのでありまして、そういうことから直ちに公立学校共済組合にとって不利を来たすものでもない、かように考えております。
  46. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 公立学校共済組合積立金の増加額について、大体どの程度の割合を資金運用部に預託するかという問題につきましては、ただいま文部省のほうから御答弁のあった程度のことを私どもも考えておる次第でございます。また、これを公立学校共済組合についてのみ資金運用部に預託した理由いかんということでございますが、御承知のとおり、社会保険制度に基づく積立金につきてましては、ある程度社会資本としての性格から見まして、相当程度の部分が公的運用に回されるということは、一般的な共通問題でございます。その場合に具体的に、たとえば厚生年金等のごとき、資金運用部に全額預託いたしまして還元運用するというようなやり方もございますし、また国家公務員共済組合等のごとく、おおむね増加額の三分の一程度を資金運用部に預託する、その残余の部分について運用を別途考える、こういうようなやり方をしているものもございます。また、今回提案されております地方公務員共済組合のうちで、その他の共済組合についてはもちろん法律上、政令上の特段のしばりはございませんが、少なくとも地方債等にも相当運用されるというような考え方も伺っております。そういったバランスから見まして、全体としての国の負担の状況その他から勘案いたしまして、まあ国家公務員につきましては、大体三分の一程度の預託をいたしておりますが、公立学校共済組合等については、義務教育職員関係を考慮して、大体四分の一程度というふうに考えたわけでございます。
  47. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この問題は、また掘り下げますが、平井さんが今のような答弁されるのであったら、現在の政治経済機構が変おらぬ限りは、あなたは局長、大蔵省の事務次官までなれますわ。掘り下げたときの問題があるようですが、この次にしましょう。  自治省に伺いますが、行政局長、少し強情ですよ、あなた。だから少し掘り下げて聞きますが、一くわ堀りますが、会心じゃないが、あまりうまくいかなかったから検討せねばならぬ点はなかったかと僕が聞いたら、ないという答弁するのだね。少し強情ですよ。だから、一番最初に私は質問を浴びせたでしょう。一割の国庫負担なんというのは、三十五年、三十六年とあなた方は必死に予算編成で戦ったじゃないですか。本年もそうでしょう。そうして、いずれもこれは受け入れられないで、当時予算編成のときなんかに荒木文部大臣なんかはかんかんになっていた。大臣が来たら伺いますが、私は予算編成の過程で中に入ってよく知っている。自治大臣は一番下がった。その結果事務当局としても、不満だった。文部大臣以下局長級みんながく然としておった。自治大臣の予算編成期におけるあの水田さんとの交渉結果については、私はこの点はあまりさわやかな気分でいないのじゃないかと思うのですがね。それからまた、例の千分の四十四の掛金ですね。私は国家公務員共済組合法審議したのですが、あの当時も論議され、十分論議がされないまま——今、給与課長はかわっておりますが、そうして法成立後トラブルがあったことは重々御承知のとおりですね。地方公務員共済組合法を立案するときにはどうするかということが一つの問題だった。いずれ私は資料を出していただきますが、千分の四十四という数字の出てきた根拠は何か。これは後日委員長を通じて資料として出していただいて論じますが、これもあなた方はあまりさわやかな気持を持っていないのです。国家公務員地方公務員構成が違うのでしょう。たとえば初任の年令にしたって違う。地方公務員だったら高等学校を卒業して就職した人がずいぶんいる。地方公務員のほうはそういうものが下がります。だから初任者の年令も違う。それに従ってその構成はかなり違いますよ。だから、国家公務員が四十四だから地方公務賃だって四十四でなければならぬという。そういうことは私は出てこないと思う。この点は、地方公務員国家公務員共済組合に準じているわけだろう。ところが、一割の国の負担については——この法律案審議するときの大臣は佐藤大蔵大臣です。私の質疑に対して、地方公務員共済組合法をやるときには、国家公務員に準じて一割国庫負担をやりますと、速記録に残している。私の質問に対して答えている、佐藤さんが大蔵大臣のときに。さらに三十四年の二月に、地方制度調査会でもちゃんとそういうことは答申をされている。本年の三月の社会保障制度審議会にあなた方が意見を求めたのに対しても、やはり国庫負担の点はいいんだというニュアンスの答申になっている。この点から一割負担の問題とか、四十四については、やはりあなた方事務当局としては割り切れない、これから検討しなければならぬ気持を持っておられなければならぬと思う。それが答弁の言葉に出てこないということは、私はタヌキか、強情だと思うのですが、どうですか、お答え願います。政務次官からお答え願い、答弁次第によっては長くかかりますよ。
  48. 大上司

    政府委員(大上司君) 実はただいま矢嶋先生の御指摘のとおりでございます。いわゆる国庫負担の一割、その問題について、予算の折衝過程は、これもまた御指摘のとおりで、私政務次官といたしましても、将来ともこの財源的な処置というものは取り組んで実施していきたいという個人的な考え方は持っております。  なお、さらに千分の四十四というそのいきさつなり、是正等についても、これは事務当局から言われなかったと思いますが、いろいろな面からの、これまた私の個人的な主観的な考えですが、割り切れなかったものがあるのではなかろうか、このように判断しております。したがいまして、ただいまの御質問に対しては、行政局長の立場としてはそのような面もあったでしょうが、私としては、御指摘のとおりであります。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 さすがは政務次官です。りっぱな答弁です。それで内容を掘り下げるのは次回にして、次の質問をしていきましょう。  それでは自治省に伺いますが、昨年の秋に試案を出されましたね。その試案と今度の法律案の中とで非常に相違している点、非常といっても相当相違している点、若干あげて下さい。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 第一の点は、ただいま先生のおっしゃいましたこの国庫負担の点でございます。第二の点は、組合会運営審議会の点でございます。それから第三の点は、まあ監督の点は、当時の案よりも若干緩和をいたしております。
  51. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちょっと枝葉を出して伺いますが、この地方議会議員互助年金法附則四項によって、統一年金ができた場合に移しかえるという場合には、これはついせんだってまでは、私が私的に皆さん方に承わったところによると、附則四項があるから、地方議会議員互助年金法をここへ移しかえるだけだというように説明を聞いておったわけですね。ところが、内容を見ますというと、移しかえるだけでなくして、質的に変わってきましたね。これは大きな変化ではないですか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 考え方といたしましては、やはり互助年金的な性格のものは変更をいたしておりません。ただ、現行制度におきましては、任意加入になっておりまするし、掛金負担をいたしました場合に、それをまかなえない場合の公費負担ということも明確になっておりませんでしたので、その二点につきましては、国会議員年金制度に準じて、この統合いたします機会に改めたわけでございます。
  53. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはあなた、見識が足りませんよ。非常にその答弁は私は不満足ですがね、見識を疑いますね。政治家に対する迎合的な気持で答弁しているのじゃないか、ほんとうにあなたはそういう気持だったら問題だと思うのだ。  もう一、二点伺いますが、これは質的に変わっていますよ。一体、こういう地方公務員の統一年金、これを規定した法律に、地方議員年金みたいのが入っておるような立法例というのが他国にありますか、ありませんか。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点よく調べておりません。
  55. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 他国のそういう立法例というものを検討しないでやっているのですか。政務次官、他国にこういう立法例があると思いますか、ないと思いますか、お答えいただきたい。
  56. 大上司

    政府委員(大上司君) まことに申しわけないのですが、私もまだ研究しておりませんので。
  57. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 じゃ、私が申し上げておきましょう。これは国会図書館の立法考査局で調査してみたのですが、こういう形態の法律というものは、世界のいずれの国にもないですね。それからこの互助年金法を移しかえたものとは、当初私が承ったのと違ってきていますよ、それは。第一に、公費負担というものが入ってきているでしょう。非常に違うのですね。そこで、きょうは掘り下げないが、私は後日の研究のために承わっておくのですが、政務次官、自信をもってお答えを願いたいのです。ある学者の論文をここに持っておるが、きょうは読みませんが、地方議会の議員国会議員に準ずるということ、こういう考え方は、地方公務員国家公務員に準ずるというのと同じように扱っていいものかどうか。今、大臣来たから、ちょっと伺いますが、あなたからリレーしてお答えいただきたいのですがね。私は、その職務の内容と形態と、また他の国内法の根拠等からいって、地方公務員国家公務員に準ずるという考えは、これはスムーズで容易に認められる。しかし、地方議会の議員国会議員に準ずるという、こういう大前提ですべての議員の報酬の事柄をきめるのには、若干僕は——若干じなゃい、僕個人としては、相当問題があるのじゃないかという見解を持っているわけです。それで、立法過程に私は非常に関心を持って見守っていたのです。ところが、その当時は、ただこっちに移しかえるだけで、まあ附則四項があるから、ああそうかなと思っていた。ところが、提出された法律案を見ると質的に変わった形で移しかえている。こういう格好のものがよその国の法律にあるかというと、よその国の法律にはこういう立法例はないのですね。これは実態がどうの、内容がどうのというよりは、やはり一国の権威ある国権の最高機関の立法府ですから、だから、そういう角度から問題をつかなければならぬというので、若干僕は関心を持って研究したのですが、お答えを願いたいのは、準ずるという考え方で今後あらゆる問題を扱っていいものかどうか。一つの方向づけをはっきりしておかないと、今後いろいろの問題が私起こってくると思うのですよ。その点大臣の所見を承わっておきたいと思う。私の質問内容を政務次官は間違いないように大臣にリレーしないと、とんでもない答弁出ますよ。
  58. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 今の矢嶋議員の御指摘、今、私出席したわけですが、地方議員を同じように今度公務員に準じた扱いで年金等の扱いをするという点で、地方議員というもののあり方、扱い方についての基本的な御質問だと思います。もちろんこれを、地方議員というものを国の議員に準ずるとか、あるいは公務員に準ずるということを一律にやることが、一般論として正しいといったような議論は必ずしも妥当じゃなかろうという御指摘は、そのとおりだと思います。ただ、今度の場合につきましては、単独立法でありましたものを、なお、たとえば国の公務員、国の議員、地方の公務員、こういうものについて大体一律の制度をしかれる、こういうふうなことになりますと、やはりそれと同じような一つの範疇に入る地方の議員というものにつきましても、この点に関しては、大体本案で示したような扱い方をいたしていいのじゃないか。地方の議員だけを国の公務員なり国の議員、地方の公務員というものと別に、全然別扱いをこの問題に関してしなければならぬかどうかという点には、むしろこの際一応こういう法律の扱いにして入れたほうが穏当であろうというふうに考えて入れたわけでありまして、他のすべての、ことを全部準じて扱うというふうに何も考えてしまっておるわけではないのであります。
  59. 小林武治

    委員長小林武治君) 矢嶋さん、一応十二時半に休憩しましょう。
  60. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 きょうは、それだけ承っておきましょう。やはり私はずいぶん問題点があると思うのですよ。処遇をよくする、しないという問題でなくて、やはり立法技術、法体系のあり方という点から、方向次第では国権の最高機関、立法府の見識も関係してくる内容を持ってきはしないかと私考えております。いずれ他日論じます。  そこで次に、自治大臣、この法案のアウト・ラインをつかもうとして質疑をしているわけですよ、あともう少し伺って参ります。この法案を非常に待望している団体、階層、それから批判をしている団体、階層はいかようなものだというように担当省としては情勢認識をしておられるか、お伺いしたい。
  61. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 退職年金制度あるいは共済組合制度というものをしくということにつきましては、私は地方公務員関係者全員これをむしろ期待されておる、こう思います。ただ、それをやるについてのいろいろ、さらにこうしてほしい、ああしてほしいという希望条件というものは、また個々に伺えばいろいろあろうと思います。
  62. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 本法実施によって現行法より不利になるものは何パーセントぐらいあると認識されておられますか。
  63. 安井謙

    国務大臣安井謙君) さあ、不利になるというものの見方でありますが、部分的に不利になるように見える面もあろうが、全体を通じて見ればこれはやはり有利であるという解釈も成り立とうと思います。これには相当それぞれの主観が入ろうかと思います。私ども全体としてこれを不利にするという法的意識はないのでありまして、全体を通じてできるだけ有利に、しかし、部分的、技術的には、その部分だけつかまえるならば、あるいは不利な面も出てくる。しかし、これは全体を直していくためにやむを得ない場合、あるいはそれこそ国の公務員に準ずるという建前もとる必要からやむを得ない面、そういうものは若干出てこようかと思っております。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員に伺いますが、本法実施によって不利になる人がいるのか、いないのか、いればどのくらいいると認識されておるのか。私あまり小さいことは聞きませんよ、部分的なことは。大まかなことを今伺っているのです。法案、条文製作者として、どういうふうに認識されておるか。たとえば減額年金制度なんか行ないますと、この適用を受けたら長生きをすると損をしますね。そういう部分的なことを聞いていないわけです。長生きしようと思う人は減額年金制度適用を受けたら損します。早く死ねば得をするかもしれないが、しかし、死ぬとか生きるとかというのはだいぶ違ってきますからね。それはいろいろ問題点はありますが、そういうことは聞いていない。全般的に各自治体の同種適用ですから、そういう点からどういうふうに事務当局としては認識されておられるか、伺いたいと思います。
  65. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 全般的には有利になると思っております。部分的には、あるいは今、先生の御指摘になりました従来の若年停止でいったほうが新しい減額退職年金制度よりも有利というふうに感じられる部分はあろうかと思いますが、その部分につきましては、経過規定ももちろん設けております。なお、幾つかの市におきまして、新しい年金制度実施いたしましても、なお従来の年金のほうが若干有利だということもございますが、これも経過規定措置をいたしておりますので、全体を通じてみますると、不利になることはないのじゃなかろうかと思っております。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最短年金年限とか掛金率によって不利になってくるところは出るでしょう。具体的なものは名前をあげてきょうは聞きませんがね。それで付加給付制度を認めるといっても、あるいはこういう法律が出てくるとやらないかもしれない。そういうことは既得権、期待権を尊重する意味で付加給付制度をやらねばならぬとは規定してない。だから、いずれ質疑が進展して参りますと具体的にあげて参りますが、相当部分に、ことに財政力の豊かな指定都市のごときは、おおむね不利になるほうが多いと、大ざっぱにこう僕はつかんで至当ではないかと、こう思うのですが、いかがですか。
  67. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 指定都市につきましては、従来の条例で規定されております内容が、この新制度実施いたしました場合よりも若干有利になっておる点があることは御指摘のとおりでございますが、これも経過規定でその差額の分を地方公共団体が出すことができるという附則規定を設けておりますので、その点も解消すると考えております。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 自治大臣に伺いますが、これは地方財政と非常に関係してくると思うのですよ。既得権、期待権を守るために付加給付制度を認めよう、これと追加費用の問題も起こってきます。それでやるところとやらないところとできるだろうし、やろうとしても地方財政に影響してくる。他に地方自治体の本来の行政事務があれば、それにどうしても力を入れなければならぬという、行政事務をあげるためにそうするとこちらを犠牲にしなければならぬと、こうなってくると思うのです。その場合に、国がどうするのかということが明確でないと思う。たとえば一つ取り上げれば、追加費用は、国または地方団体負担と書いてある。国または地方団体負担、こういう法律の書き方はないのじゃないかと思うのです、地方財政の立場からいえばね。それから地方団体によってばらばらになってくると思うのですよ。一体追加費用というのは、これは国または地方団体というのは、どちらがどういうふうに持つような話し合いでこの法律案を出してきているのか、その点自治大臣大蔵省側からお答えをいただきたいと思います。
  69. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まあ追加費用の問題につきましては、御承知のように、国にとりましても将来の問題としてこれは大きな問題になっております。したがって、逐次最低必要なものを補充していくというような考え方、まあ地方の場合も、今度実施するにつきましては、将来これを要するであろうという予想が同じように立つわけであります。これも団体の数や内容等によりまして、どういうふうに組んでいくか、あるいは盛っていくかという点については、将来の問題としていろいろまだこれからきめなきゃならぬ問題が相当多かろうと思います。そこで、そういう問題を検討しながら、何年かの実績を見ながら、逐次作業をしていく、いずれにしろ最終的には責任は持つのだということをまず建前をきめておきまして、それであとは国といいましても、これは交付税で見る場合も国の問題でもあるし、また地方で見るといいましても、交付税等の勘案において地方で見るというような見方もありましょうし、これは具体的の内容については、もう少し様子を見てから将来きめていこう、こういうふうに考えておるわけであります。  それからもう一つの付加給付というのでございますか、従来持っておった既得権を保持するためには、これは地方団体にある程度の権限をゆだねる、こういう条項もございます。これはそのとおりでありまして、私ども地方団体がある程度まで独自の判断でそれをやるという場合もあるが、ことに地方公務員の給与あるいは待遇といったような面につきましては、できるだけ全体をならしていくということを常に心がけてやっておるわけであります。しかし、個々の実際の措置については、これは地方団体にもある程度の酌量の余地を残さなきゃこれはまたなり立たぬものであります。そういう意味で今のところ、これはやることができるというようなことでそれぞれの団体の実情に応じよう、こういうふうに考えておるわけであります。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 今の追加費用負担の点でございますが、これは政令で詳細をきめるわけでございますが、考え方といたしましては、国が負担をいたしますのは、現在国が給与等を負担いたしておる国家公務員の場合、それから義務教育職員につきまして二分の一国庫負担をいたしておりますが、それらの場合を私どもとしては一応念頭に置いておりまして、それ以外の地方公務員の場合では地方公共団体が見る、こういうふうな考え方をいたしております。
  71. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 大蔵省の考え方も、ただいま自治省政府委員からお答えの点と全然同じでございます。
  72. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは大へん問題がありますな。地方財政にたいへんな問題が起こってくるですね。まあ数的のことはきょうはよしておきましょう。他の省の方々を早く帰らせるために、もうちょっと伺っておきますが、大蔵省に伺いますがね、地方財政の問題ですが、地方団体間の格差是正という立場から、財政調整の必要があるとお考えになっておられますか。それとも違うお考えを持っておられるか、大蔵省の答弁を伺います。
  73. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) ただいまの御質問、非常に広範な御質問でございますので、どういう趣旨と理解してよろしいのでございますか、ちょっと私もやや見当をつけかねておるような感じでございますが、この地方職員共済組合法の適用に関連して財源調整をする必要があるかどうかというふうに……。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それを聞いているのではない。一般地方団体間の財源調整というものは、施策として必要があるという考えを大蔵省は持っているのか、持っていないのかということを聞いている。あなたははえある政府委員として大蔵省の方針というのは知っているはずです。それを答えて下さい。
  75. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 少し問題が大き過ぎるようでございますが、率直に申し上げまして、この問題について今直ちにちょっと答弁いたしかねますので、一応次の機会にでもまた内部で検討いたしました上で御答弁させていただきたいと思います。
  76. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 今朝大蔵省に大臣の出席を求めたととろ、優秀な平井課長が出席して大臣にかわって答弁するからということでしたから、それでは大臣お休み下さいと僕は了承したわけです。  自治大臣に伺いますが、その点は自治省としてどうお考えになっておりますか。
  77. 安井謙

    国務大臣安井謙君) むろんこの地方団体間の財源調整そのものも、時と場合によって必要もあろうと思いますが、地方団体間だけでの財源のやりくりというものは、由来自治省はそういう建前はとっておらぬわけであります。これにはやはり適当な国からの財源補給というものと待って、合理的な調整を今後していくべきものだ、こういうふうに考えております。
  78. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 自治大臣に伺います。この法案の問題で非常に欠点の一つとして、この地方公務員共済組合年金制度実施する、そしてこれで地方団体間の財源調整をやろうとしたことは、僕は致命的の欠陥であると思う、これにはほかにも欠陥があるが。国の負担をしないで交付税率二八・九に現在より〇・四上げたのでありますが、実質的には〇・一上げたわけですね。これに依存したということは、この年金実施するにあたって、これで交付団体と不交付団体との財源調整をやろうという経緯のあったことは、これは僕は許すことのできないことだと思う。冒頭に僕は伺ったわけですよ、これは社会保障の一環としてやるのかと。政府は社会保障の一環として取り上げてやると言う。そうであるならば、交付団体、不交付団体、富める団体と貧しき団体間の財源調整はこれとは別個にやらなければならぬ。それを〇・一のそれに依存したということは、筋からいって非常に間違いだ。それを予算編成の段階に大蔵大臣との交渉の際に、自治大臣が交付税率の二八・五を二八・九にする交渉のときに、あっさりおりたということは、重大なミスをしたとか、かような見解を持っているのですが。これは自治省の局長は今は黙っているけれども、がく然として青くなった。文部大臣もかんかんになって怒っている。自治大臣警察庁の予算をとるために、二者択一で、こちらを犠牲にして、自治大臣は自分のほしいものを、ほかの予算を、これはここでは名前は言いませんが、水田さんとの交渉でとって、これをおりた。実に自治大臣はけしからぬと言っておりましたが、どうですか。
  79. 安井謙

    国務大臣安井謙君) たいへん御叱声とも御激励ともつかぬ御質問をいただいたわけでありますが、これはいろいろ考え方、御批判はあろうと思います。御承知のとおり自治省はここ二年来国の補助を一割持つべきだという主張で、ずっと予算折衝を続けてきたわけであります。しかし、これを二年やってさらにまとまらない。まとまらなければ、この法律案自体は実現もできないので、実施しなくてもいいかどうかという問題に三年目でぶつかっているわけであります。こういうような意味から、一方全然認めないという限りは、これは主張を譲らなければ、これまた見送る以外に方法がないという点が一つと、それからもう一つは、国が補助すべきだという一つの根拠はむろん十分あって主張しておったのでありますが、しかし、それは必ずしもそういう一割補助というものに限定されたものじゃないのじゃないかという議論も内部にあったことも事実であったのです。そこで、それやこれやを政治的に判断いたしまして、これをただがむしゃらに突っぱっておればことしも実施延期だ、これではいつまでたっても地方公務員に対する年金制度実施は行なわれないという判断もあるし、ことに、ことし行なわれないということになると、これはいつどうなるやわからぬ、というようなことになって、それじゃ全体の運営上たいへんおもしろくないというようなことから、別途に方法を考えたわけであります。ただ、この〇・四を上げるということと、それと取り引きしたといったような問題じゃない、この大蔵省建前はあくまで国の補助という建前を認めない、こういうことに終始しておったのであります。それを突っぱる限りはできないということであります。しかし同時に、全体の財政に対する顧慮というものは、何もこの年金だけの問題じゃありません。交付税につきましては全体で〇・三という臨時のものが非常にふらふらして、いつでも、いつ引っ込められるかわからぬという状況にある際に、これは地方財政を安定させるためには、これを普通交付税率へ繰り込んで、さらに〇・一をふやすということが、地方財政全体としては大きなプラスであるというふうな判断もたったものでありまするから、そういうものを今度は取り入れ、同時に、国がどうしても出さぬというものなら仕方がないから、出さない方法でこれをやる、こういうふうに考えてきたわけであります。
  80. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一つ、この次に少し掘り下げてお伺いしましょう。きょうのところはもう三点伺っておきますが、逐条審議のときにさらに詳しくやりますが、たとえば附則四十一条に退職手当制度整備というので「整備するように努めなければならない。」とうたってある。これは、はたして国家公務員共済組合法に準じて、地方公務員共済組合法施行され、それから退職手当が、給与の後払いとしての退職手当が、国家公務員のそれと同じ基準で必ず地方団体がやるものかどうか。国家公務員の場合は法的根拠がありますが、地方公務員の場合はないのですから、しかも、地方団体は多種多様な財政能力を持っているわけだから、その点非常に懸念があるわけだ。でないと、一方では年金のほうは、年限は延びるわ、掛金は上がるわ、そうして給付率は百分の四十となるわ、年数は三年延びたことを計算すれば、そんなに上がらない。指定都市のような既得権のいいところはむしろ下がるくらいだ。しかしそれにしても、国家公務員と同じような退職手当制度整備が行なわれれば幾らか埋め合わせできるけれども、それができぬとなると、その差はもっと開いてくるわけです。それでこの法案に対する抵抗はもっと強くなるわけです。その点は立案者としてはどういう見通しを持っておられ、整備するように努めなければならないという内容は、最低限この程度までは整備しなきゃならぬというので、地方団体を指導するという案を持っておられるのかどうか。また自信があるのかどうか。いずれ数字的なものはこの次資料として、何年のはこうだ、何年勤務にはこうだと出してもらいたいと思いますが、そのとき詳しく聞きますが、大きな方向を大臣と政府委員に伺っておきたいと思います。
  81. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 退職手当を受けることができるという部分の技術的の問題につきまして、政府委員のほうからお答えいたします。
  82. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この点につきましては、十月一日から実施できますように財政計画上は所要財源を見込んでおります。この法律が成立いたしましたならば、御指摘の条文をもとにいたしまして、地方公共団体国家公務員ベースの退職手当制度整備されますように強力に指導いたすつもりでおります。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 数的な資料をこの次出していただけますか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) はい。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういうものの、必要な財政措置というものが地方財政計画で完全に行なわれているものかどうか、お答えいただきたい。
  86. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 行なわれております。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この点きょうはこの程度にしておきますが、大蔵君側に伺いますが、あなたのところは、組合運営について非常にごついということを承って、そういう感じがまた私もしているのですがね。まあ審議会方式と組合会方式をとったが、詳しいことはこの次聞きますので、きょうはあなたのほうだけ伺っておきたいと思うのですがね。あなたのほうは、組合会方式に猛烈な抵抗を大蔵省はされたというのだが、どういうわけなんですかね。補助金は、地方制度調査会は出せというのに補助金は出さぬわ、運営については、国家公務員共済組合法における大蔵大臣の発言権ですね、これはあの法案審議のときに非常に問題になった一つの焦点だったのですが、同じようなものを持とうという点は、あまりいただけない御態度のような感じがするのですがね。そうして結局紆余曲折を経て審議会方式と組合会方式になったが、それ自体も僕はおかしいと思うのだが、大蔵省としてはどういう御見解を持っておられるのか、承っておきたいと思う。
  88. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) ただいま先生からおしかりを受けましたが、私どもといたしまして別に非常にごついとかいうような意味で考えておったわけではございません。この法律案が作成される過程におきまして、まあ確かに御指摘のように、地方公務員共済組合の中で三共済、いわゆる三共済につきましては運営審議会方式をとったようなわけでございますが、これは一つの考え方としては、どちらかの、組合会なり、あるいは運営審議会なり一つの方式に統一するというのも考え方ではあろうかと思いますが、この法律自体がすでに三共済と市町村職員共済組合というようなものを統合していくというような格好で出ております関係上、いわば母法的な性格において、それぞれの法律案を受け入れていくという格好を考えたわけでございまして、その限りにおきましては、従来の三共済について運営審議会方式がとられ、市町村共済組合については組合会方式がとられているわけでございますので、それぞれをそのまますらっとした形で受け入れるという格好でいいのではないかというふうに考えたわけでございます。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この次の質疑に関係がございますので、きょう自治大臣のほうに伺っておきますが、明確に答えておいていただきたい。それに基づいてこの次質疑しますからね。それは審議会方式と組合会方式ですね、この構成も違うわけですね。そうして条文を見ると、審議会方式の場合には「議を経なければならない。」、「議」と書いてある。それから組合会のほうは「議決を経なければならない」と、こうなっているですね、だから、ここのところ僕はずいぶん違うのだと思うのです。こうなると組合運営に関与する度合いというものが非常に変わってくるわけですね。この「議を経なければならない」と「議決を経なければならない」という、ここの差異ですね。これはどうして組合運営の関与度というものの差をつけたかというのが、僕は条文読んでわからない。きょう大まかなことを承っておいて、さらにこの次に伺いますが、お答えいただきたいと思う。
  90. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 審議会組合会というものの性格あるいは運営上の法律的な解釈につきましては、事務当局からも答弁すると思いますが、今大蔵省で答弁されましたように、三組合につきましては、従来その建前をとっておったものでありますから、それをそのまま継承したが一番穏当だろうという建前で、三つについては、そういう建前を継承いたして、それからその他については、それぞれまた従来の歴史なり行き方に準じて組合会方式をとっている、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。
  91. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) お尋ねの点、書き分けましたのは、運営審議会の議を経なければならないというのは、国家公務員共済組合法規定にならって書きました。組合会のほうは、議決を経なければならない、これも現在の市町村職員共済組合法の組合会規定にならって書いたわけでございまして、運営審議会のほろは諮問機関的な性格を持ち、組合会のほうはいわゆる議決機関的な性格を持つ、こういうふうに考えておるのでございます。
  92. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 やはり一方は議決権を持たないが、一方は議決権を持っている、こういうふうにあの条章を読んでいいわけですね。
  93. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  94. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは次の機会に質疑いたします。やはりそうだとすると、ずいぶん問題点が出てくると思うのです。  あと二点ですが、文部省に伺いますが、文部大臣が来ておらないから事務当局の感じを承っておきたいのですが、公立学校共済組合員というのは相当多いわけですね。それから平均ベースも高いから相当会計も累積されるわけですね。だから正しい意味の公平という立場から、いろいろあなたのところも主張されたと思うのですが、法案が出てきた現時点に立って、大蔵省、特に自治省との勝負で——これは荒木さんは勝負事が好きなんだが、大体何パーセントくらいのところというふうに認識されているのか。答弁次第で、この次の質問もまた変わって参りますので、事務当局の見解を承っておきます。
  95. 杉江清

    政府委員(杉江清君) まことに答えにくい質問でございますけれども、私どもおおむね可なりという程度に考えております。
  96. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 おおむね可なりというと、三分の二くらいいっているということですか、どういうところですか。
  97. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 教員の立場のみから考え、その立場を擁護するということから、必ずしも十分でない点もありますが、しかし、全体において制度として改善されておるのであり、この制度に従って今後改むべきところは改めていく、また運用において、その立場を今後私ども主張して参る、かように考えておりますので、制度全体としては改善されており、また、この方向で今後教員の立場を考えていくということがいい。そしてそういうふうに基本的立場はこの法律において盛られておると、こういう考え方をしておりまして、私ども大体においてこれでよろしいと、かように考えております。
  98. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省は優良可を使うのだから、おおむね可なりといったところで、大体検討はつくと思うのですが、いずれ文部大臣に伺います。  大蔵省に数字だけ伺っておきますが、国家公務員共済組合を所管されておりますので、あの法審議の際、その後においては、例の千分の四十四というのはトラブルの対象になった数字ですが、これはその後検討したやに承っておるのですが、この四十四という数字を近く上げるか下げるか、動かす可能性があるのかないのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  99. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) まず、この長期給付の財源率につきましては、法律で少なくとも五年に一回検討するという建前を定められておりまして、それぞれの共済組合団体、つまり連合会、加入組合でございますれば、共済組合連合会が、そうでない単位組合で行なっております建設省の場合でありますれば、建設省の共済組合がそれぞれ検討をいたしまして、これを改訂する必要があるという線に立っていますれば、われわれのほうに御相談があるわけでございます。そこで、先生御質問のございました、近くこの財源率を改訂する考え方があるかないかという点でございますが、私どもが伺っている範囲におきましては、近くこれを改訂するという考え方はないようでございます。これは一般の非現業国家公務員の場合でございますと、三十四年の十月に実施されたわけでございまして、五年間という期限になりますと三十九年十月、この時期が少なくとも五年間という時期に該当いたしますので、その時期になりますれば、先生の御質問のございました点につきましては、何らかの結論を出さなければならぬわけでございますが、現在のところではございません。ただ、すでに御存じと存じますが、新制度の発足の際に、一部の省庁から財源率について再計算を要望する声もございましたので、また一方では、一昨年の十月に、いわゆる上厚下薄の一二・四%の公務員のベース・アップが行なわれまして、これが財源率に相当大きな影響を与えているのではないかというような声もございましたので、こういった点を中間的に検討するという意味におきまして、共済組合連合会におきまして、保険数理の専門家が一応試算したことはございます。その試算の結果を分析いたしますと、たとえば死亡率といったようなものは、明らかに低下いたしておりますし、また、これが退職率とか、あるいは廃疾者の発生率、あるいは遺族の保有率などとともに、漸次下がっていくであろうということも客観的に言えるわけでございますが、先ほど私が申し上げました、公務員のベース・アップのやり方による財源率の変動要素、これについては、必ずしも一がいに上がると言い切れるものでもないというような中間的な考え方も出て参っております。それから特に、最も財源率に影響いたしますところの退職年金給付に関する要素につきましては、何分制度が本格的に発足いたしましてから、保険数理の計算基礎となりました期間が一年数カ月程度にとどまったという経緯もありまして、今直ちに結論を出して、財源率を動かすということは適当でないというような結論がございまして、また方々出てきた答も、現在の財源率よりも若干上がるというような要素がございましたが、現行の財源率とそう大きな開きがあるものではないというような事情を総合勘案いたしまして、結局、中間検討の結果、直ちに今の財源率を動かす必要はないというような専門家の意見になったようでございます。そういった点を総合勘案いたしまして、連合会においても、今直ちにこの改訂について御相談あるというような状況ではございません。先ほど申し上げましたように、この問題は三十九年の十月を目途として、さらに今後検討されていくであろうということが言えるわけでございます。  ただ一点だけお断わり申し上げておきたいのでありますが、昨年、退職一時金制度の変更がございまして、従来は三年間勤務しませんと、退職一時金を支給されなかったわけでございますが、これが制度改正によりまして、一年の勤務者につきましても退職一時金が支給されるようになったわけでございます。これは一般公務員につきましては、さほど大きな財源率に対する影響は及ばなかったのでございますが、いわゆる任期制の自衛官につきましては、何分勤務期間一般的に短かいという特殊事情がありまして、この点から当然財源率にかなりの影響を及ぼしたのでございます。したがいまして、この点につきましては、特別の制度改正に伴う措置として、昨年の十二月に任期制自衛官についての財源率の変更を行なっております。この点を除きましては、先生御指摘の点につきましては、現在直ちにこれを動かすという考え方はございません。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと数字を二、三、国家公務員共済組合について伺っておきますが、答えて下さい。今組合員が何名で、一年の掛金が幾らで、資金運用部資金へ幾ら投入しているか、その数字を教えていただきたいのです。
  101. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 国家公務員共済組合組合員の正確な数字はちょっと手元にございませんが、大体非現業におきまして六十四万五千程度、それから現業職員におきましては三十六万三千程度というふうに理解いたしております。  それから掛金につきましては、一番大きな団体である連合会を例にとって申しますならば、三十六年度におきまして、大体これは決算数字を確定いたしておりませんが、六十五、六億程度の掛金ということになっておりまして、積立金が年額で大体百六十一億程度の増加を示すという予定になっております。そのほか、これに次ぐ大きな組合でございます郵政省をとりますと、三十六年度の掛金が二十八億程度、積立金増加は七十八億程度ということになります。あと若干印刷、造幣、林野、建設等の組合がございますが……。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 合計はどのくらいですか。
  103. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 達観いたしますと、掛金の総額におきまして大体百億前後というふうに理解いただいてけっこうだと思います。
  104. 秋山長造

    ○秋山長造君 現業、非現業両方で……。
  105. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) これは現業、非現業両方でございます。
  106. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 積立金の……。
  107. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 積立金の増加額は、連合会が先ほど申し上げましたように百六十億前後、郵政省が八十億前後でございまして、全部入れまして二百七、八十億になろうかと思っております。
  108. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資金運用部資金へ幾ら入れているんですか。全部……。
  109. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 資金運用部資金につきましては、ちょっと制度説明になりますが、毎年度の純増額の三分の一を資金運用部へ預託するという建前になっておりまして、先ほど申し上げましたように、二百七十億程度でございましたならば、九十億ぐらいが資金運用部に預託されることになります。
  110. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 最後の最後ですが、この各組合福祉事業に相当なアンバランスができていはしないだろうか。その点国家公務員共済組合の実情を教えていただきたいと思います。
  111. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 非常に広い意味で福祉事業を考えます場合に、何らのアンバランスがないと申し切る自信はございませんが、一般的に申しますならば、連合会実施するべき事業単位組合実施するべき事業のバランスを考えまして、財源なり、あるいは実施事業についてできるだけ効率をはかって参っておるつもりでございます。
  112. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 現状で差は相当出てきているのですか、いないですかということを伺っているのですが、相当差が出ているのではないですか。
  113. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) たとえば国鉄、電電、専売といった、いわば三公共企業体関係と、一般の非現業の職員の場合と比べますならば、やはり一般の非現業の職員のほうがややおくれているということは言えるかと思います。
  114. 秋山長造

    ○秋山長造君 とりあえず資料を要求したいのですが、自治省のほうへお願いしたいのは、昭和二十八年十一月に人事院から出された退職年金制度に関する勧告、それから三十年十一月に公務員制度調査会から出た答申。それから本年の三月一日に社会保障制度審議会から出た答申。それからさっきの資料の中の九ページの組織図がありますね、今度の共済組合に移行するあの数字が、対象人員の数字がずっと書いてあるのですが、その数字の内容についてもう少し小分けをした資料がほしいのです。たとえば職員が幾ら、雇用人が幾ら、これを。  それから文部省にお願いしたいのですが、公立学校共済組合の対象人員七十五万足らずということですが、その人員の内訳ですね。小学校幾ら、中学校幾ら、高等学校幾ら、そういう学校種別による人員構成。それから男女の性別構成というようなものを示す資料、至急に出していただきたい。
  115. 小林武治

    委員長小林武治君) 速記やめて。   〔速記中止〕
  116. 小林武治

    委員長小林武治君) それでは速記を始めて。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      —————・—————    午後二時二十分開会
  117. 小林武治

    委員長小林武治君) 委員会を再開いたします。
  118. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 午前に引き続いて、第一読会としてもうちょっと伺わしていただきます。  自治大臣にぜひ承っておきたい点がありますので、委員部のほうで、できるだけ早く出席されるように手配をお願いします。  政府委員のほうにお伺いしますが、この法案で、まあ年金としては、厚生年金適用されている身分としては、地方公務員でない若干の人を組合員として認めることにいたしましたが、その前提の基準というものはどこに置いたのか、一応御答弁いただきますが、私はそれらの人々の携わっている業務内容の実態的な面から考えると、なかなか線の引き方は実際上としては私はむずかしいと思うのですけれども、一応立案作業に携わった皆さん方としては、どういう基準で取り扱われたのか、お答えいただきたいと思います。
  119. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のお尋ねのは、おそらく国保連合会地方六団体等の団体職員の問題かと存じますが、これは当初自治省の立案の過程におきまして、私どもといたしましては、そのような地方自治に関係のある団体の職員で、実際も地方団体と交流している場合が多いような人たちも、これに準じた制度を作ったらどうだろうかということを検討いたしましたが、いろいろまだ問題点もございまするので、御審議をいただいております案には除いてございます。
  120. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そのただいまの点ですね、これを除いた線の引き方が非常に僕は理解しにくいのですが、さらに一歩進めて、たとえば教職員組合という団体の職員、こういう方々も——地方教育の振興ということも団体活動の大部をなしておるし、もちろん組合員の生活、身分の向上が大きな主なるねらいではありますけれども、それだけではなくて、業務内容の実態からいうと、地方財政の確立とか、教育環境の整備とか、あるいは地方教育の振興とかいうようなものが業務、運動の実態としては非常に大きなウエートを占めておるわけですね。そうとなればね、負担金はそれらの団体に持たせることにして、国の社会保障制度の一環とするならば、そこまで組合員対象というものを広げるという考え方も、僕は十分成り立つと思うのですがね。そういう点は、もちろんこの法案には含まれていないわけですが、立法過程には議論の対象とならなかったのかどうか、経過並びに御所見を承りたいと思います。
  121. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 職員団体の職員につきましては、もちろん公務員身分を持ったいわゆる専従職員、これはこの法案の対象にいたしておりますが、公務員身分を持っておりません、団体自体の職員につきましては、入っておりませんし、立案の過程におきましても、格別問題として検討はいたしませんでございました。
  122. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは検討の余地はございませんか。
  123. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 将来の問題として全然ないというわけではないかと存じますが、これは他の一般の労働組合、そのほか各種の行政に関係のある各種団体、たとえば法令に格別関係がないような団体がいろいろございますが、それら全体にも関連してくる問題がおそらく多かろうと思いますので、やはり検討いたすといたしましても、慎重に検討をいたさなければいかぬと思っております。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 恩給公務員で新法に移行する人が何人あると把握されておりますか。
  125. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 五万四千ほどでございます。
  126. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 こういった方々の、すなわち恩給公務員の整理資金はどの程度であると判断されておりますか、お教えいただきたいと思います。
  127. 松浦功

    説明員(松浦功君) 大体全部逐一に一筆調査をこれからしなければならないわけでございますが、今までの抽出調査の結果によりますと、一人頭大体四十万平均くらいの整理資金が必要かと思います。したがって、それを乗じた額というように一応お考え願いたいと思います。したがいまして、五万四千人ということに対する四十万ということになりますので、二百二十億程度になろうかと思います。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もうちょっと数字を承っておきますが、三十五年、三十六年、三十七年に給付金の一〇%、国庫補助金、事務費、全額国庫補助という立場で概算要求された金額はそれぞれ幾らになっておりますか。
  129. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 一割国庫負担の要求額は約五十七億でございます。それから事務費は約十八億、合計いたしまして約七十五億。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三カ年とも大体同金額と了承しておってよろしいのですか。
  131. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっともう一ぺん今の数字をはっきり言って下さい。
  132. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) もう一度申し上げますと、三十七年度予算で当初要求いたしましたものは、年間分でございまして、給付の一割相当額が約五十七億、その中で地方職員共済組合の分が七億三千万、公立学校共済組合の分が二十六億、警察共済組合の分が五億、都、市町村関係の分が十九億でございます。  それから、事務費は、地方教職員共済組合の分が二億四千万、公立学校共済組合の分が四億八千万、警察共済組合の分が一億九千万、都、市町村関係の分が九億、合計いたしまして十八億、これは当初の要求でございます。なお、つけ加えて申しますと、公立学校共済組合に要求をいたしております分は、一応二分の一国庫負担の対象になるわけでございます。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 交付税、交付金の〇・一%は幾らですか。
  134. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 大体の見当としまして十五億でございます。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大体十五億ですね。で、臨時地方特別交付金〇・三を廃して、繰り入れたりして、〇・四にしても六十億ですね。そうなりますと、地方交付税交付金〇・一%上げたというのと、一割国庫負担事務費全額国庫負担というのと取引したのでは、数字は合わぬですね。これは幼稚園の生徒でも成り立たない算術ですね。ここはどういうふうに説明なさるのですか。
  136. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 事務費のほうにつきましては、これは私ども、どうも、本来一応数には入れておったが、強い要求の対象にはしていない。あとの約六十億弱というものがこの一割負担の対象になっておったわけですが、今お話がありましたように、二十何億という義務教育の関係は、これは当然そっちで出るわけでございますから、実際上、今度の取りやめ作業によって影響はない。したがって、私今こまかい数字のきちんとしたものを持っておりませんが、大体三十億というのが、今の一割国庫負担を取りやめることによっての年間の影響がある。そうしますと、これが、ことしだけでいうと、十月から実施されますから、その半額、十五億というものが大体今度取りやめによって負担増になりたというふうに考えられようかと、若干の数字の例でありますが、そう思っておるわけであります。  それから、〇・四%は〇・三があったのだから、わずか〇・一じゃないかと言われますが、この〇・三というのは、御承知のとおりの、〇・三をやろうというのじゃないのであります。臨時交付金として、〇・三に当たる部分を、あの当時の改正の臨時措置として一年の間出そう、金を出そうということなんでありまして、〇・三というものは確立しておったわけでも何でもない。したがいまして、これは早晩、本来いって、ことしあたりから削られてもどうも言い分は弱いというようなものでもあったものなんです。それを今度確認して普通交付税に繰り入れるということで、もう恒久的なものにすることによって、これは〇・一が十五億なら、〇・四なら六十億というものはそれによって一応ふえる。しかし私ども、午前中にも申し上げましたように、それもきちんと計算を差し引きしてやったわけじゃないので、やはり地方財政全体を強固にするという建前、地方財政全体を通して計算をいつもやるわけでありますから、そういう手がとられるならば、もう一つは、もし補助率の問題だけをがんばっておれば、これはもうやれないのでありますから、やれないということは、私はこれは三年間同じようなことをやりながらやれないということは、これは政治的に見ても好ましいことじゃないということで、全体を判断した上で、今度のような方式にしたわけであります。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣、僕は言質にしてどうしようというわけではないから、ほんとうに、あなた、国務大臣として、また自治大臣として良識と見識でひとつお答えいただきたいと思うのですが、臨時地方特別交付金〇・三%云々ということですね、これは地方財政がだいぶ好転したとはいえ、行政水準を上げなければならないということと、それから固有の行政事務がなかなか多い。特にベビー・ブームで高等学校の急増等がある。そういう条件が一方にあるのにもってきて、臨時的なものにしておくより、一般交付税率に直しておいたほうが発展性があるから恒久化したほうがいいというので恒久化されたと思うのですよ。それに合わせて〇・一引き上げというのも起こってきたわけだけれども、経過からいって、実質的には事務費の、国が負担をしないということ、国家公務員に準じて、あるいは厚生年金の一五%、船員保険の二〇%国庫負担に対して、とにかく、国が負担をやらないから、ともかく交付金で負担すればいいのだから、それで〇・一にしようというのが、実際こういう形が出てきた、僕は、経過であり、実態だと思うのですね。ところが、御承知のように、地方制度調査会では、これは社会保障政策の一環としてやるのだから、国の責任を明確にするために事務費は全領国が持つべきだ、それからまた、厚生年金とか船員保険に見られるがごとく、国が一部国庫負担をするのが筋が通っている、国家公務員共済組合法が一割負担しているのだから、準じてそういうふうにするのが適当であろう、こういう答申もなされているわけですね。だから、ほんとうに素直に考えた場合は、やっぱり当初自治省が要求されたように、事務費の全額国庫負担と、それから一割の国庫負担ですね、これが経過からいっても折り目が立っていると、こういうように、やっぱり自治省の要求というのは間違いなかった、こういう結論に僕は立たれていると思うのですね。したがって、まあ法案提出はできるかできないかと——三十五年のときつぶれ、三十六年のときつぶれた、そして三十七年を迎えたが、これ以上法案提出をなし得ないということではならないからということで、自治大臣としては二善、三善、四善の策としてこういうところで妥協して法案を出してこられたのではないかと思うのですね。したがって、まあ筋からいって、事務費の全額国庫負担、それから一割国庫負担ですね、これをあきらめてはいないのだ、機会があればやっぱりそういう問題はぶり返して数時間やらねばならない、こういう、率直に言って、折り目の立った素直な御見解に立っておられるものと僕は推察するのですがね、いかがでございますか。
  138. 安井謙

    国務大臣安井謙君) その点はまさにお説のとおりなんでありまして、ただ、今の補助金を要請するというのは、御承知のとおり、もう自治省は強い主張をやっていたわけなんです。これが両三年どうしても成立しない。その場合、また三年越しのこれを見送るべきかどうか、一方で財政的な問題も、何とか今度の場合には、財政計画の見通しがつくという問題もあります。それからまあ、補助金を認めないというのは、われわれはあくまでも認めろという主張を従来していたわけでありますが、認めない例もほかにあるわけで、三公社五現業のようなものはやってないじゃないか、そういうような意味から、建前上それをとる限りは成立をしないということがいかにも明らかなものでありますから、この際政治的判断として今のような措置をとったのであります。それだからといって、本来補助金は要らないのだという主張をしようとも思いませんし、今言われますように、きれいさっぱりあきらめておるのじゃなくて、それは機会があってそういうようなことが復活すればなおさら私どもも、これはむろんけっこうだという気持にはもう間違いないわけであります。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと二、三点伺っておきますが、まあこの法案は、なかなか泣きどころを持っていると思うのですね。その一つは、退職手当を少しふやして、国家公務員の二五%程度ふやして、しかも、そのふやし方を見ると、この次資料を出していただくのだが、私の研究した範囲では、勤続年数が多いとふやし方が多いですね。勤続年数が三十年、三十五年となるとぐっとふやしていますね。だからこれは退職勧奨法案という感じがするのだ、僕は。相当年輩の人がもうやめようかと、そういう気持が起こってくるような、誘導する内容を僕は持っていると思うのですね。それだけにやはり一部で伝えられていることは、どうもこの法案のうしろには定年制というものが控えているのじゃないか。実質的に定年制施行と不可分の関係にあるのじゃないかと。これは定年制の前ぶれみたいな実態がありますよ、この法案を研究しますとね。それで、これで新陳代謝をはかっていこう、そしていずれは本格的な定年制というものが後門のオオカミとして控えているのじゃないかというのが、相当公務員の方々の関心を持っている点ですね。この点は政府としてはどういう見解に立たれているのか、明白にしていただきたい。
  140. 安井謙

    国務大臣安井謙君) やっぱり定年制の問題は定年制の問題として相当検討しなければならぬとわれわれ思っております。で、これはやはり自治体の将来のあり方としても、定年制という問題は十分検討して、適当な方法があれば、これは実施する、これは時期と方法というものはいろいろあろうと思います。しかし、今これを後門のオオカミのように置いておいて、この退職年金で釣ってどうしようなどというほど作為のあるものじゃありませんので、これはこの法案はこの法案でやっていくと。定年制というものは、これはそれとしてまた今後十分検討に値するものであるというふうに考えております。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうするとね、定年制はやはりいずれは自治法の一部改正で、地方公務員法の一部改正でやる必要があるという立場で研究されているのですか。
  142. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは目下十分検討しなければならぬ。いつ、どういうふうな形でやるというような突き詰めた気持はまだ持っておらぬわけであります。しかし、定年制という問題については、やはりこれは今後の地方団体のあり方として検討はしていかなきゃなるまい。しかし、これをすぐ追っかけて出すとか、あるいはこれをどういうふうに出すとかいうことを目標にして、今直ちに作業にかかっておるとか、検討を進めておるというほど突き進んだものじゃないわけであります。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 研究の意欲があり、そういう事情にあるとならば、この点ちょっと僕は意見を申し述べ、承っておきたいと思うのですがね。日本の定年制というと、たいがい五十五という数字が出てくるわけですね、五十五才という数字がね。ところが、この五十五才という数字が出てきた前提は、人生五十年と、平均寿命が五十才未満程度の時代に出てきた数字なんですね。英米あたり調べてみても、五十五という定年というものはないのですね。で、終戦後特に日本人の平均寿命が延びたが、厚生省の発表によると、男性にして約六十五才でしょう。女性にして約七十才ですね。七十・三才くらいになっているのですがね。もう七十ライン突破していますね。こうなってきますと、老後の保障という立場からいくというと、かりに検討する場合でも、今の時点では五十五才という数字で一応検討するということは、非常に私はもうずれてきた問題だと、かように思うのですがね。この点については、大臣はどういう御見解を持っておられますか。
  144. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 日本人の平均寿命がだんだん延びておる傾向も御指摘のとおりだと思います。したがいまして、定年制というものを考える上から、従来の観念をそのまま当てはめていいかどうかということも十分検討に値すると思うわけでありまして、この定年という問題もいずれ検討しなければならぬだろう、五十五才を必ずその境界線に置いてどうしようといったようなことを今考えておるわけじゃありませんので、今御指摘のような問題を全部ひっくるめていろいろ今後検討しなければならぬだろう、こういうふうに思っておるわけであります。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 行政局長、まああなたはこれから事務次官とずっとなっていくと、しばらくは自治省に御在職になられると思うのですが、あなたはこれについてどういう御見解を持っておられますか。
  146. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ただいま大臣が御答弁なさったとおりの考え方をいたしております。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこもちょっとわからぬですね。で、自治大臣に伺いますが、実際に、三月一日に社会保障制度審議会の大内会長からあなたあてに本法案に対する答申があったのですね。これを受けたときの感じはいかがでしたか。思ったとおり、予想どおりのが出たと思いましたか。ああこれはちっとしまったなというような感じがされましたか。率直にそのときの感想を承りたい。
  148. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 率直に申し上げまして、あまりありがたい御勧告とは思いませんでした。しかし、これはよく熟読翫味いたしてみますと、やる趣旨は悪いといっているわけではないので、むしろこの議論された過程において、いろいろの問題が摘出された、時間もないのでこういう問題を十分きわめていくわけにはいかぬが、こういう問題をそのままほったらかしてすべてやってしまうのは好ましくないぞというので、ひとつやるについては、こういう点を十分注意しろ、こういう御忠告も半ば入っているというふうに私どもはとっているわけなんです。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いずれこの内容は、各委員に資料が渡ってからさらに掘り下げてみたいと思うのですが、大臣、まあ読まれたあとの感想を承るのですが、これね、社会保障制度審議会といえば相当な人が任命されているところの権威ある審議会だと思うのですがね。問題が非常にむずかしい問題であるという要素はあるにしても、何か最低ラインですな、この答申は。こういうぶらぶら、何か無重力状態のような感じがするのですがね、この答申を読んでね。もう少しすっきりした内容答申しないと、審議会答申としてはあまり頭脳のさえた答申でないという批判を受けても、私は抗弁の余地はないのじゃないかと、この答申読んで感ずるのですが、大臣はどういう感じで読まれましたか。
  150. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まあ御承知のとおりに、この法案は、本来地方制度調査会からの御答申をいただいておりまして、なるべく早くやるべしという明確な結論をもらっているわけです。ただ法案の性格に社会保障的な要素が多分にあるという意味から、この社会保障制度審議会の御検討も願うというような形式をとったのでありまするが、まあ時間的の関係、あるいはいろいろの関係があったかもしれませんが、ほのかに伺いますと、必ずしもここで取り上げられております項目が全部全会一致とか、あるいはその会議で正式に一つ一つを取り上げて決定をなされたといいますよりは、この法律案なり制度を扱う上において問題点となるものが、それぞれの委員から御論議になった。出てきたものを列記して、こういう点については十分気をつけなければいかぬぞという御忠告というふうに私どもは承っておるのでありまして、したがって、今御指摘ありましたような、何か、たとえば形式の非常にそろった、いわゆるそれによってそのものをすぐずばりと支配するような整った御答申とは多少趣を異にしているのじゃないかという感じもいたしております。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 答申を受けた大臣としては、受け取り方が私はすなおであり適正だと思わないのですが、これはなかなかむずかしい文章ですがね。けれども、私はこの答申の一番重要ポイント、ウエートを置くべきところはどこかというと、やはり最後の結論だと思うのですね。あなた方に都合のいいことも悪いことも、右往左往と言っては失礼だけれども、そういう書き方をしてきて、結論のあとの四行ですね。「このような時機に、このような掘り下げ不十分であって問題の多い本案を実施し、恒久的に将来を拘束することは、当を得たものとは思われない。したがって本審議会としては本案を実施することが適当であるとの結論には達しなかった。」、ここがやはり答申の眼目だと思うのです。この点に重点を置いてお読みにならないと、答申を受けた人としての読み方としては、眼光紙背に徹しないそしりを受けるんじゃないでしょうかね。これは直接法で書かないで、間接法で書いてあって、うまく読まないと舌をかむような文章ですわな。しかし、直接大内さんに聞いてみなければわからぬけれども、常識的に読んで眼目はそこにあると思うのです。これはどんな感じがいたしますか。
  152. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは受け取られる側にも、いろいろ受け取り方もおありであろうと思います。確かに表現の仕方が非常に回り持ったものの言い方がしてあることも事実であります。ただ私は、ここのところにつきましては、いささか私見になるかもしれませんが、本来、社会保障制度としての国民皆保険の問題あるいは年金の問題、そういうものと、総合的なものを考えるべきものじゃないかという点に、前段の重点が置かれてあったのじゃないか。そういうようなものを見る上から、今、そういうものとの調節を全体でとらえておって、こういう法律を出すということは、この社会保障制度全体をこれから立て直していこうという建前からは決して適切なものじゃない、こういう意味だろうと思いまして、これはこの法案自身にいわれていることよりも、今日の日本の社会保障制度全体に対しての意見が相当入って、こういう結論になっているのじゃないかという気がいたしておりました。私どもはできるだけ、そういう御指摘のような点には、再三考慮もめぐらしながら法案を作成して、今御審議を願っているつもりであります。
  153. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 後日あらためてやりますけれども、総理に注意しておいていただきたいと思いますね。三月二十三日に、この点について占部質問があったわけですが、答弁は乱暴だと思うのです。三月二十三日の本会議の速記録を見ると、「この制度を設けることは絶対反対だという答申でもないので、」とこういうふうに述べている総理大臣の発言の仕方は乱暴だと思うのだね。大体政府が任命した審議会が絶対反対だなんて答申するものですか。これはやはり眼目は、さっきの僕が読んだところにあるんですよ。これを当該大臣なり総理大臣は眼光紙背に徹する気持で読まなくちゃならぬと思う。かりにこの法律が成立しても、この運用なり将来の検討にあたっては、そういう謙虚と聡明さがなくちゃならぬ。ところが、この占部質問に対して総理は、「この制度を設けることは絶対反対だという答申でもないので」、とやったというのですが、これは答弁としては乱暴だと思うのですね。これは将来の池田さんの総理大臣としての大成のためにも、これを閣僚の一員として機会があったら茶飲み話のときでもいいから、耳に入れておいていただきたいと思います。いずれお目にかかる機会があれば私も一応。  最後にもう一項目伺って、きょうのところ終わりますが、掛金千分の四十四、これでございます。日本の公務員に限らず、民間労働者もそうですが、初任給、それから若い人の給与ですよ、非常に大きな問題は。それは年令層の、高給者も問題ですけれども、何より国の人件費の膨大化を押えるという政治的配慮からではあるが、不当に、不適当に初任給が安い、若い人の給与が安過ぎる。これが日本の今の給与制度の一番大きな問題ですよ。初任給を上げれば、人件費はもっとふえる若い人の層が多いから。だから、上厚下薄にすれば、上を相当上げたって人数は少ないから人件費はそうはふえないというので、そういう体系を立ててきているのですがね。だから若い人にしてみれば、二十年後に年金が幾らか多くなる云々というよりは、きょうあすの実質賃金が少しでもよくなる、そうして映画一ぺんでもよけい見る、本一冊でも買える、ポマード一個でも気安く買えるということは、日本の若い公務員の給与の問題で一番重要な問題だと思うのですね。その点で千分の二十が千分の四十四になったというのは、非常にショッキングなんですね。しかも、これから審議してみなければわからないが、四十四の数字の出た根拠というのが、必ずしも明確でないんじゃないか。これから資料で検討しますがね、国家公務員の場合は千分の四十四になっておるが、だからといって、直ちに地方公務員が準じて千分の四十四だということにはなかなか簡単にいかないじゃないか。で、御記憶あるかと思いますが、二十八年の人事院勧告にも、組合員負担は千分の二十五は適当だという人事院勧告が出ておるわけですね。私も千分の二十五あたりが、今恩給法は千分の二十ですが、まあ妥当じゃないか。もしこの料金率が千分の四十四というのは千分の二十五、そういうふうになれば、それにもう一つ、幾つもあるが、もう一つこの減額年金制度ですね、この現在の恩給法の若年停止に比べると非常に悪くなりましたが——悪くなりますよ。ことに女子公務員がまあ文部省関係なんか多いんですが、約半数ありますが、ああいう人々は二十二、三才で大学を出て二十年勤めて年金がつくと、家庭婦人ですからおやめになるわけですね。四十四、五でたいていおやめになるわけですよ。それから五十五に至る十年間、一年について四%ずつ減額するとなると、そういう人々にとっては非常に年金が減額を受けるわけですね。そうして五十五になっても復元しないわけですからね、この不満は大きいと思うのですよ。現在の若年停止の制度、これは非常に改悪になっておる。だから、幾つか問題があるが、この減額年金の手直しですね、それと掛金が人事院勧告の千分の二十五程度に直れば、少なくとも僕は、僕個人として質問をやめて、あすにでもこの法律を上げてもいいと思っているのですがね。それはいろいろ他に問題があるですよ。あるけれども、千分の四十四と減額年金というのが、何といってもやはり一番問題点だと思うのですがね。これを大臣はどういうふうにお考えになっておられるか。その答弁次第では、もう質問を私は、きょうはもちろん、今後もやめようと思っておるんですがね。しかし、それがうまくいかないとなりますと、やはりこれは慎重審議すると僕だけでもやはり五、六十時間くらい伺わないと、十分尽くし得ない内容を持っておる感じがするんですがね。そこらあたり、まあ法律を作るまでの経過もいろいろあるのでしょうが、どういうことなのか。どういう経過なのか。それとも今度はこれでやって、近い機会にこれを再検討しようというようなお考えなのか。いずれは荒木文部大臣にも聞いてみようと思うのですが、非常にこれは、文部省関係では約半数は女教員ですがね、こういう人々に対しては非常にショッキングなお気の毒な内容になっておると思うのですがね。一応きょうのところは、それだけ安井自治大臣に伺って一の質問を終わりたいと思うのですが、御答弁を願います。
  154. 安井謙

    国務大臣安井謙君) なるべくならば掛金というものは少ないほうがいいと思いますが、これは社会保障制度であると同時に、保険的な性格も入っております。また、この全体の計算が四十四でも、将来、御承知のとおりに、つじつまが合うものじゃないということでありましょうが、しかし、少なくとも、今その程度のものにはやっておかなければ、そのめとはつかないという計算上から、国と同じような率を採用いたしておるのでありまして、どうもたいへん遺憾でありますが、ちょっと今二五%におろすという点は、どう考えても今これを採用する勇気はないわけであります。  減額制度につきましては、いろいろなこれもお考えいただけると思いますが、今度年金制度を発足するにつきまして、いろいろな他の国の公務員制度との比較等も見ました上で、今回はこういう制度をとっております。この点につきましては、政府委員からも、もし何でしたら御説明をさせたいと思います。
  155. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 政府委員が答える前にちょっと説明しますが、他の組合にも女子公務員はおりますけれども、最も多いのはやはり公立学校職員共済組合関係ですよ。約五割近くいましょうね。教育学部は二年と四年がありますが、オーソドックスの四年にしても、少なくとも二十二、三才で出るわけです。結婚して、子供ができますと、二十年という期間が参ると、たいがいの人はおやめになります。そうすると、おやめになるのは四十三ですよ。五十五まで十二年あります。これを一年について四%減額されると大体五割減額になるわけですね。結局この法に基づく退職年金の半紙を受けるわけです。そして五十五才になってもやはり半額がずっといくのですから、今の若年停止に比べてずいぶん不利です。だから、そういう女教師のこの法案に対する抵抗というものは大きいと思うのです。だから、そこのところは少し非情だったと思うのです。どういうわけでそういうなにをしたのか。文部大臣はおらぬからわからぬが、いずれ聞いてみようと思うが、文部大臣はどういう主張をされたのか、ここらを少なくとも手直ししていただかぬと、今すぐ質問をやめるというわけにいかないのです。お答えいただきたいと思います。
  156. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 減額退職年金の問題につきましては、先生の御指摘のように、女子職員が若年で退職をするようなケースが、特に教員の場合に相当多いという事情は、立案の過程におきましても伺っております。いろいろ問題はあるようには存じますが、この新しい年金制度におきまして、減額退職年金制度をとりましたのは、従来の恩給方式から保険主義に基づいた退職年金制度に切りかえたわけでございますので、五十五才で四〇%ということをもとにいたしまして、掛金地方団体負担金とを計算をいたして制度を組み立てております関係で、減額いたしましたものが、五十五才になっても復元をしないというシステムになっておるわけでございます。そういう関係で御指摘のような若干不利になるという点も出てくるわけでございますが、この点は国家公務員共済組合につきましても同様な考え方で、そのような制度になっておりませんので、私どもといたしましては、今回の立案に際しまして、国家公務員退職年金制度にその点もこれを合わせて立案をいたしたわけでございます。
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 安井自治大臣文部大臣協議して次の委員会に御出席下さるようにお願いしておきたいと思います。やはり女子公務員に対しては、男女平等と言いながら差別しているわけです、実態的には。五十五才まで男子は勤務させても、女子公務員にはほとんど勤務させない、早くやめさせる、やめなければ、職場におれない零囲気を作っておるですよ。全般的にそういう扱い方をしているのです。それで、こういう減額年金制度でいけば、これは実態的に女子公務員に対する差別待遇という点になりまして非常に気の毒だと思います。それだけにこの法案に対する抵抗がまた強く出ているわけです。こういう点、文部大臣はどういうふうに認識してどういうふうに対処されようとするのか、所管の自治大臣と、最も関係の深い文部大臣と閣議のあとでも懇談されて、次の委員会ででもそれぞれの大臣からお答えできるように御研究おきを願いたいことをお願い申し上げて終わります。
  158. 小林武治

    委員長小林武治君) 両案については、本日はこの程度といたします。     —————————————
  159. 小林武治

    委員長小林武治君) 次いで、辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。
  160. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣はいつまでおられますか。
  161. 安井謙

    国務大臣安井謙君) しばらくおります。
  162. 秋山長造

    ○秋山長造君 大臣がおられるうちに大臣にちょっと原則的なことだけ伺いますが、今度の法律の趣旨だとか、ねらいというようなものは、私たち全面的に賛成なんであります。これは非常にけっこうだと思いますが、ただ、この法律建前は、私どもがかねて自治省の構想を漏れ聞き、また、期待しておったのは、辺地の問題が非常に重要な問題であるにもかかわらず、置き忘れられて、そうして新産業都市だとかなんとかというようなことで、都市と農山村、あるいは離島との格差がますますひどくなってくる、人口もますますそういう便利なところに集中していくということで、辺地あるいは僻地といわれるようなところがますます置き去りを食っていくということで、非常に今の政治の何といいますか、蔭になっている。そこで、そういうような問題を、従来のようにいろいろな特別措置で各役所がそれぞれ個々ばらばらに手当をしておったのじゃとても間に合わない。だから自治省において、こういういろいろ個々にやっていたことを一まとめにして、そうして抜本的なひとつ立法をやられる、いわば、はやりの言葉でいえば、僻地振興基本法といいますか、辺地振興基本法といいますか、そういう画期的な立法をされるのだろう、努力してもらいたいと思って期待しておりましたが、具体的に提案された法律は、名前からして、辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律案、こういうまことにややこしい名前の法律案が出てきたわけです。内容については後刻御質問いたしますけれども、これはまあ各省のなわ張り等があって、なかなか抜本的な立法ということが技術的にできにくかったという事情はよくわかるのですが、なぜ政府として辺地振興対策というものを何か一まとめにしたもっと強力な抜本的な立法ができなかったのかということ、また、それをおやりになる意思がないのかということをお尋ねしたいと思います。
  163. 安井謙

    国務大臣安井謙君) この法案の精神につきまして、おほめをいただきましてまずお礼を申し上げます。それにしてはいささか龍頭蛇尾じゃないかという御質問でもあろうかと思いますが、御承知のように、辺地の振興に限りませんで、いろいろな総合的な政策というやつは、政府自体が機構をそれぞれ持っておるわけでありまして、たとえば今の交通問題につきましても、よく言われておるように、一本化して、一本のもので強力な組織を作って出したらいいじゃないかというようなお説もありますが、これはしかし、今度は各省からこれを集めてきて一つのものにまとめるということになりますというと、各省自体がかたわになるし、また、その離れたものが弱くなるというような事情もありまして、一括して総合的にやってしまうということにはなかなか困難を伴うものでありまして、ただ自治省といたしましては、この自治体全体の地域格差なり、あるいは地方の振興を総合的にはかっていく、そして今おくれておる辺地というものについて、意欲的に取り上げていくということによって、それに各省それぞれの所管が、厚生省なり文部省なりというようなものも右へならえで同じ歩調をとって、そしてそれの詰まったところを総合的に自治省はめんどうを見るし、また自治省自体でやらなければならぬ個々のものについては、自治省の責任でやるという構想でこういうふうな形に相なったものでありまして、その点は、私はこういう線で進めていくのが今日の組織、職制その他実態から見まして、一番適切じゃなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  164. 秋山長造

    ○秋山長造君 この法律と、従来あります、たとえば離島振興法だとか、あるいは僻地教育振興法であるとか、その他農林関係等に同じ趣旨のものがだんだんあると思うのですが、そういうものとこの法律との関係はどういうことでございましょうか。
  165. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 離島振興法などにおきましては、どちらかといいますと、経済振興を相当なねらいにしております。この法律におきましては、第二条に掲げております施設の整備をねらいとしておりますので、そういう点については、同じ僻地でございましても、若干考え方の差はあろうかと思います。  なお、文部省の僻地教育施設の問題になって参りますと、それだけでは十全の効果を上げることができない、そこで、こういう制度を作りまして補完をしていこう、こういう気持もあるわけでございます。視聴覚の教育器具の購入の補助をいたしましても、電気施設がございませんと、それを活用することができないわけでございますし、その他通学の施設等につきましても、補助だけでは必要な材料も十分に得られませんので、完全な整え方ができなくなってくると思うのでございます。そういうものについては、総合整備という角度で、この法律で補いをつけていきたい、かように考えております。
  166. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、総合整備ということではあるが、その内容からすれば僻地教育振興法だ、とか、離島振興法だとかいうような現行の同趣旨の法律の補完的な役割をするものとしてこれを出されたというように理解していいですか。そういういろんな既存の法律よりも何か一段高いといいますか、もう一つ掘り下げた立場でそれらのものをひとつできるだけ、まあ法律が違うのですから含めるということはないでしょうけれども、趣旨においてはそういうものをも包含した何かもう一つスケールの大きい立場でやっていくということでなしに、従来の法律ではまだ足りない点が多々あるから、それをまあ自治省の立場でせいぜい補完をしていこう、補充をしていこうと、こういう程度にすぎないわけですか。
  167. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) こういう程度にすぎないというお言葉は、ちょっとやはり不満足な感じを持つわけであります。各省でやっておられることだけでは十分に生きてこない、同町にまた、そのばらばらの補助政策だけでは取り残されているものもある、したがいまして、住民の生活という立場から見まして、必要なものを把握できるように持っていきたいというのがこの法律のねらいだと、こう私たちは考えておるわけであります。したがいまして、また関係各省との問題につきましては、第四条の規定を置きまして、特に「協力を求めることができる。」という規定を置いておりますし、同時にまた、市町村自身が総合的な整備計画を立てるわけでありますけれども、府県自身についても協力の関係規定を置いているというようなことでございます。
  168. 秋山長造

    ○秋山長造君 今度の地方財政計画を見ましても、たとえば投資的経費が前年度上り二七%も大幅にふえておるというようなこと、その内容についても、公共事業がずいぶんふえておるわけですが、国の予算においてもまたしかりなんですけれども、そういうふえた投資的経費の行方が、一体どういうところへ集中していくのだろうかということを考えますと、ほとんどこれはもうその九分九厘までは今問題になっているような僻地にはいかぬわけですね。まあ僻地と逆な方面へもう九分九厘集中してしまうわけです。そういたしますと、本年度の国の予算、あるいは地方の予算を通じまして、僻地とそうでないところとのいろんな面からの格差というものは、これはもう一そうひどくなっていくのではないかということが将来の方向として予想されるわけです。そういう今日までの歴史的な事情の上に、さらに今後の財政計画等においても、ますますその格差を開いていくという方向が予想されるとすれば、それに対して、これはもうまことにささやかな、かよわい抵抗にすぎぬと思うのですがね。まあ趣旨、ねらいはけっこうだけれども、その実際の効果というものはね。まあ私はやっぱり各省のこの所管とか、あるいはそれぞれの単独立法があるわけですから、そういう法律同士のやっぱりなわ張りというものがあるでしょうけれども、ある時期にひとつそういうものを、いわゆる総合的な立場で一まとめにして、これはやっぱり強力な僻地振興対策というものを講じなければ、こうやって個個ばらばらに従来の立法の、あるいは行政措置のこの不十分な点、穴を若干埋めていくという程度のものではこれはもう、全然むだではないと思う、むだではないと思いますけれども、ほんとうにそれほどの僻地振興というような効果は私は期待できないのではないか。もう少し、自治省という事務的ななわ張りの範囲内での措置でなしに、何か、担当大臣としてはそれは自治大臣でけっこうですが、政府全体が僻地の問題と真剣に取り組むという意気込みと、それからそれだけの内容を持った立法というものを私は考えられぬものだろうかというように思うのですがね。まあ同じことを重ねて聞くわけですけれどもね。
  169. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 最初にも申し上げましたように、確かに秋山委員のお話は、私どもも十分検討しなきゃならぬ方法の一つであろうと思うのであります。しかし、これを実際やっていきますと、各得々々やはりそれぞれの責任分野もありますし、これを一本化するというのは、なかなか早急にはむずかしいし、また無理に一本化することによってマイナスの面も出てくるといった点も考慮しなければならぬわけであります。そこで、この点は今僻地の振興といいますか、行政水準の向上につきましては、自治省だけが力んでいるわけではないのでありまして、たとえば厚生省、文部省、その他もそれぞれ意を用いておるところであります。しかも、今度の法律によりまして、その僻地の特に必要な振興計画というものを、府県知事を通して自治省へ言って参りました場合、自治省からは、今度は他省とも十分協議、連絡をいたしまして、そのほうを政府全体として総合的に推し進めていこう、さらにその上で必要な財政措置がまた自治省の分野であれば、それはそれでまたやっていこうと、まあこういう考えで、一足飛びに非常に形の整ったものとは、あるいは言うのに少々形が変わっておるかもしれませんが、御趣旨は大体それを生かすように運営面で十分できる仕組みになっておろうかと思うのであります。
  170. 秋山長造

    ○秋山長造君 僻地と辺地というものはどう違うのですか。
  171. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 国の予算では、従来僻地という言葉を使ってきているようでございます。したがいまして、私たちがこういう構想を考えました際にも、実は僻地という言葉を使っておったのであります。ところが、いろいろ議論をしておりますと、僻地というものは何か局地、点が想像される、もう少し広い範囲について公共施設を整備するというような心がまえでやってもらいたいという意見があったりしまして、そういう意味で辺地という言葉を使ったほうがそういう趣旨が出るのじゃないかということから、実はその後辺地という言葉を使うようになって参ったわけでございます。私たちの感じとして、僻地というものは非常に狭い範囲で、辺地といったほうが若干広い地域が想像される、こういうふうに思っておるわけであります。
  172. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういう広い意味で辺地ということを使うために、ほんとうは問題は僻地なんですからね、だから、それをあえてぼやかして辺地というようなことにしたために、かえって本来ねらった焦点がぼやけるということはないのですか。どうして僻地ではいかぬのですか。実際問題の何とかしなきゃならぬというものはいわゆる僻地なんですからね。だから、その僻地ではあまり狭過ぎるというようなことになれば、これはかえって焦点がぼけてこやせぬですか。言葉の問題ではあるが、しかし、案外私はそこらに重要な問題がひそんでいるのじゃないかと思うのですがね。
  173. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 今申し上げましたように、多少公共施設の整備をはかります場合に、広い範囲にわたってそういう計画を立てていくということは、これは必要なことだろうと思います。そのために、ほんとうの僻地について十分な対策の手が伸ばされないというおそれが生じてくることのありませんように、十分注意をしていかなければならないと思うのです。私たちが辺地対策を取り上げていきます場合に、僻地性の強いところから先に整備をはかっていきたい。そういう考えで、ある程度優先順位をつけて参らなければならぬので、そういう点で秋山さんの御心配のありました点を避けるように努めていくつもりでございます。
  174. 秋山長造

    ○秋山長造君 この提案理由にも書いてありますように、「山間地、離島などのへんぴな地域においては、いまだに石油ランプを用い、天水を飲み、医者の手当すらも満足に受けることができない」云々と、こう書いてあるのだから、これはもう全く従来われわれの使ってきた僻地という言葉と同じ意味なんで、それをまああえて、僻地も辺地も同じ意味だということで、たまたま辺地という言葉を使ったということにすぎぬのなら、また、それはそれで了解しますけれども、何か僻地という常に今まで使われていた言葉をあえてやめて辺地ということにしたことに若干の理由がある、区別があるということなら、私はかえって納得しがたい点が出てくると思うのです。今後、自治省は、僻地という言葉はもう一切使うことをやめて、従来それに当たっておった場合にはすべて辺地という言葉を使うのだという方針できめられたわけですか。そこらはどうなんですか。
  175. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) この法律に関しまする限りは辺地という言葉を使っていきたい、こう思っておるわけであります。ただ仕事の性質によりまして、僻地という言葉も残っていくのだろうと思います。ただ自治省といたしましては、今申し上げましたような整備を若干広い角度で地域を補足するという意味で辺地という言葉を使っていきたい、かように考えているだけのことであります。先ほどちょっと申し上げましたように僻地性の強いところから取り上げていくというような意味で、さしあたりは、たとえばへき地教育振興法でございましたか、一級地から五級地までの僻地の指定がございますが、三級地から五級地までの学校に住民の子弟を通わせている、そういうところを先に取り上げ、次に二級地、一級地も対象に入れていくというような進め方をしたらいかがなものだろうか、こういうふうなことでいろいろ計画を作っておるわけでございます。実際の運用にあたりまして、なおいろいろな知恵も出てくるだろうと思っておりますが、さしあたってはそういう方向を考えているわけでございます。
  176. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、この僻地にしても辺地にしても、われわれが議論する場合には、大体従来の僻地という言葉を使っておったと同じ意味で辺地という言葉を使っていいわけですね。そういう解釈でいいわけですね。同じように考えたらいいのですね。
  177. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 僻地は全部辺地に包含されると、こう考えております。
  178. 秋山長造

    ○秋山長造君 たとえばへき地教育振興法による僻地、それから離島振興法による離島ですね、そういうものと今度のこの法律による辺地というものは大体ほぼ同じものというように解釈していいのですか。
  179. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 離島振興法の離島は、かなり大きな島も全体的に離島振興法の対象にしているわけでございます。そういう島になって参りますと、その中のやはり僻地性の強い辺地がこの法律の対象になるというふうに考えております。もちろん非常な離れ小島につきましては、全体がこの辺地に該当する場合も非常に多いと思いますけれども、ただ大きな島になって参りますと、必ずしも全部が一致するわけのものではない、かように存じます。
  180. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、僻地とぴしっと符合するわけじゃないけれども、多少の出入りはあっても大体同じところをねらっておるというように考えたらいいのですか。
  181. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) へき地教育振興法の関係については、私は全く人体において同じと、こう考えていただいていいと思います。ただ離島振興法につきましては、ちょっと離島の範囲が広いものですから、そうも言い切れないのじゃないだろうかというふうに思います。
  182. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 具体的に聞きますが、熊本県天草の本渡市は離島振興法の適用地域に入っているわけですね。それで海岸堤防や道路等の事業をやっているわけですね。ああいう本渡市なんかは市議会で議決してこれを自治省に申請するというようなことはできないというわけでしょうか。
  183. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 本渡市の中にも私は辺地がずいぶんあるのじゃないだろうかというふうに思っているのです。本渡市全体が辺地だとわれわれ考えていないわけです。
  184. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあ具体的なことは政令でいずれ基準をきめてそうしてそれに合うところを指定されるということになるのだろうと思うのですが、自治省で予定されておる辺地ですね、辺地は一体どのくらいな範囲になるのかということですね。それからわれわれが僻地々々という言葉で呼んでいる、新しい法律によれば辺地ですが、この辺地のいろいろな実態についての調査というものを自治省でおやりになったことがあるのですか。
  185. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) この制度を考えるにあたりまして、一応の調査はいたしているわけでございます。しかし、何分案を作るための一応の調査にすぎませんので、実行にあたりましては、さらに詳しい検討をしなければならないだろうと、こう考えております。当時、府県を通じまして、辺地の施設の整備をしたい地域を調べたわけでございます。その際には、市町村から該当の個所があるという意味の報告がございました。
  186. 秋山長造

    ○秋山長造君 そのさしあたっての、市町村について実態調査を自治省が直接されたものは全然ないのですね。
  187. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) その報告になりました若干の地域については、一応行なったところもあるわけでございますけれども、しかし、ほんとうの具体的な調査ということになりますと、まだこれからの問題に属するだろう、こう思っております。
  188. 秋山長造

    ○秋山長造君 私、せんだって離島振興法の一部改正審議のときにも、企画庁にも強く要求したのですが、やはりこういう問題と取り組んでいく場合には、何よりも第一にその前提として、僻地々々と言うけれども、その僻地の一体実態がどういうふうになっているのかということを、まず精確な資料でお互いにつかんだしでやはり対策を考えていくという順序にならないと、ただばく然とした紙の上の資料に基づいて対策を立てても、これはなかなかぴったりしないというおそれがあるんじゃないか。私は、現在僻地の実態調査はまだやられてないということならば、早い機会にやはり自治省で直接この僻地、辺地の実態調査をやられて、そうして相当充実した資料を作られることがやはり必要なんじゃないかというように思うのですが、そういう計画がおありなんですか。
  189. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 従来からも、先ほどお話がおりましたように、診療所でありますとか、あるいは電気でありますとか、というようなことについて、部分的な僻地対策が進められて参ってきておりますので、それらを通じましてある程度のことは承知しているわけでございます。秋山さんのおっしゃられたことは、おそらく全体計画を作れ、こういう御趣旨ではなかろうか、こう思うわけでございます。ただ、全体計画を作りますについて、他方において、公共施設整備の状況とあわせ考えまして、どの程度整備に気をつけなければならないかという程度がきまってくる問題でもございますので、一応金額の問題も頭になければ、なかなか具体的の全体計画にならないのではないか、こういう心配もいたしているわけでございます。一応は毎年十億円で五年程度をめどにして、案を作っていきたい、さらにその後におきまして、必要な計画を立てていきたい、こういうような考えでいるわけでございます。しかし、実施した結果から、あるいはまた違ったような結論が出てくるかもしれませんけれども、一応そういうような総体的な問題として実施に当たっていきたいというつもりでいるわけでございます。
  190. 秋山長造

    ○秋山長造君 「当分の間」というのは、一応五年というお考えなんですか。
  191. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 五年で切るつもりでございませんけれども、さしあたっては五年、五十億円で案を作って進めていったらいかがなものだろうか。その上に、その進行の過程なり、あるいはその計画なりにさらにいい計画を考えていきたい、こう思っております。
  192. 秋山長造

    ○秋山長造君 一五年、五十億ということで、この辺地の少なくとも公共的施設を、大体今日の社会情勢からいって、世間並みというか、常識並みといいますか、その程度に持っていけるという見通しを持っておられるのですか。
  193. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 御参考に申し上げますと、私たちが対象に考えておりますようなものにつきまして、国が僻地対策の補助金を出している、それが三十六年度は四億五千万円、三十七年度では六億円くらいのもののようでございます。私たちが考えております僻地関係の施設につきましても、診療所その他について国庫補助金がございますので、襲業費としては五十億円でも、百億円くらいになるのではなかろうかというような感じでいるわけでございます。こういうような国庫補助金の姿その他から考えまして、一応五年間百億円程度のもので具体案を作っていくことは、やはり相当の規模の施設になるのではなかろうか、こういうふうに思っているのでございます。また、そういうような一応の総体計画を頭に置きませんと、個々の団体の施設につきまして、どの程度まで繰り上げられるかということをきめかねるものでございますので、そういう意味でその数字をまとめているだけのことでございます。個々の市町村が向年も何年もかかって公共施設の整備を進めていくというようなことは、私たちとしては避けたい。少なくとも、長くかかっても三年くらいで完了できるというような内容のものにしたいし、完了できるような地方債のつけ方をしていきたい、こういう気持を持っているわけでございます。
  194. 秋山長造

    ○秋山長造君 この法律以前に、いろんないわゆる辺地対策といいますか、僻地対策といいますか、そういうものが個々ばらばらに行なわれているわけですね。それを大体でいいですが、項目と、それから金額、わかりますか。
  195. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 電気で申し上げますと、僻地農山漁村電気導入補助、それから離島電気導入補助、学校自家発設置補助、合わせまして、三十七年度の補助金が二億九千九百万円でございます。それから通学施設の関係では、通学パスポートの購入費補助、僻地学校寄宿舎建設費補助、これが千七百万円でございます。僻地診療所関係では、僻地診療所整備費補助、僻地巡回診療車補助、合わせまして五千二百万円でございます。それから百人以下の人口を対象とします簡易水道の施設費補助、これが二千万円でございます。それから僻地学校テレビ購入補助、僻地集会室建設費補助というのが二億一千百万円でございます。合わせまして約六億円くらいでございます。これが三十七年度の予算に計上されました額でございます。
  196. 秋山長造

    ○秋山長造君 三十七年度はそれでわかりましたが、そういう項目についての補助というものは、そういう制度が始まってから今日までの累計は、ざっとどのくらいですか。
  197. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) ちょっとそういう金額は承知しておりませんで、ことしから始まったものもありますし、もう数年来やっているものもあるわけでございます。今までそういう調査をいたしませんでしたので、承知しておりません。
  198. 秋山長造

    ○秋山長造君 ごく大ざっぱに、百億くらいだとか、五十億くらいだとかいうこともわからぬですか。
  199. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、今申し上げました項目の三十六年度の金額が四億五千万円でございます。格差が非常に離れてきたというので大幅に増額した、一応これが政府説明にも入っているわけでございます。その結果、一億五千万円ふえて、六億でございますので、従来の額はそれほど大きな額じゃないと思います。
  200. 秋山長造

    ○秋山長造君 一億五千万円ことしは前年度よりふえたということを通じて、それだけやはり格差がますますきつくなった、ひどくなりつつあるというように大体の傾向としては解釈していいんですか。
  201. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) ほっておけばとにかく格差は当然開いていくと、こう思います。全問、従来の僻地対策国庫補助金におきましても、若干増額になっておりましたほかに、こういう対策を講ずるわけでございますので、相当な対策になっていくだろう、こう思っております。何分僻地に住んでおられます人の数というものは少ないわけでございます。地域は広大でございます。したがいまして、人口一人当たりで、国費が投下されている、財政資金が投下されてい石とかいうような金額を見て参りますと相当な金額に上っているだろう、こう思います。
  202. 秋山長造

    ○秋山長造君 現在各都道府県で同趣旨の僻地対策としてどの程度の経費が計上されているかということはわかりますか。
  203. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 従来特に僻地のために府県が積極的にやっておったというのは割合に少ないだろうと思うのであります。地域格差の是正を言い出したのは近年のことに属しますので、今までのところはそれほど大きなものではなかろうか、こう思います。だんだんとそういう傾向は強まってきているわけでございまして、そういうような数字は現在のところ取りまとめたものを持っておりません。また、従来のものをとりますと、それほど大きな額にはならないだろう、こう思っております。
  204. 秋山長造

    ○秋山長造君 各都道府県で僻地対策費というようなものを計上する場合、そういうものはやはり交付税の算定の基礎の中に入るのですか、入らぬのですか。
  205. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 府県が特別な予算を計上したということでは交付税の計算には入れておりません。今回の措置につきまする地方債につきましては、基準財政需要額に算入するわけでございます。
  206. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点、離島の問題のときにも私御質問したのですが、従来特に東京だとか、あるいは長崎だとかというような名立たる離島を持っておる都県においては、かなり離島対策というものを組んでおったわけですね。ところが、離島振興法ができて、国が相当これに補助金を出すということになったために、従来組んでおったその県費を引き揚げてしまって、そして結局国が補助金を出すために、それが府県で負但しておったその経費の肩がわりみたいな格好になって、非常に離島振興でなしに府県振興法だというような悪口を言われる面がある。それでは国が補助金を出す意味がないので、国のほうが補助金を出せばますますやはり従来各府県で出しておった対策費というものをふやしていくくらいにしなければほんとうの振興対策にならぬではないかという面があるのじゃないかと思うのですが、今度の法律を見ますと、なるほど各省はこれに技術的な助言を与えるとか、いろいろ協力するということが書いてあるけれども、肝心のその府県段階で、別にこれに対して特にどれだけの協力をしなければならぬとか、力を入れなければならぬとかいうような規定がどこにもないのですね。ただ総合整備計画を作って自治省へ出すときに、府県知事と協議しなければならぬという程度のことしか書いてないのです。やっぱりこういう自治省のせっかくの親心ですから、こういう施策が行なわれれば、それが一つの刺激剤といいますか、呼び水になって府県段階でもやっぱりそれに並行して、従来置き忘れられた辺地の対策に、もっと具体的に予算を組んで本気で取り組むという姿勢が必要なんじゃないかと思うんですが、その点……。
  207. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 国が僻地対策を強化する関係から府県が手を引くというようなことがないかというお話がございましたが、私は逆だと、こう考えております。最近の傾向もまさしくそうでございまして、国が非常に力を入れて参りましたので、府県も非常に力を入れて参ってきております。同時にまた、この法律施行にあたりましては、そういう心配のないように、府県に対しましても必要な指導助言をしていきたい、かような考えでおるわけでございます。
  208. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういうふうなことを、この法案の中に入れるべきじゃないかと思うのですがね。なかなか、府県には馬等学校急増対策だとかなんとか、いろいろなことで、自治省の財政計画のワク外でのいろいろな負担がかさんでくるために、国のほうが何かこういう新しい措置を講ずるということになれば、これは渡りに船でそっちのほうへおぶさってしまって、かえって手を抜かれがちになるんじゃないか、これが刺激剤になって一そう本気で取り組むという姿勢になることが望ましいんでね。そのためには、一々地方団体に対して義務づけようというようなこともどうかという見方もあるでしょうけれども、何かやっぱり府県においても、これに協力を与えなければならぬとか、何かそういうようなものを私一カ所入れるべきじゃないかと思うのですよ。
  209. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 秋山さん自身が御指摘になりましたように、第三条の規定で、市町村が計画をやるについては、あらかじめ都道府県知事と協議しなければならぬことにしておりますし、同時に、自治大臣に計画を提出するにあたりましては、「都道府県が当該市町村に協力して講じようとする措置の計画を定め、」とこう書いておりますので、私たちはこれで十分じゃないだろうかと、こういう気持でおるわけでございます。最近の傾向からいたしますと、ほんとうにこういう方向に力を入れるようになって参ってきております。相当の関心を示してきております。同時にまた、府県が市町村のめんどうを見やすいようにということで、わずかでございますけれども、七百二十万程度の事務費を府県に交付するということを考えておりまして、国の予算に計上されているわけでございます。
  210. 秋山長造

    ○秋山長造君 七百二十万円は、この法律施行に伴う事務費として七百二十万円ですか。それは何ですか、すべての府県に与えるということなんですか。それとも自治省が調整されるときに、関係市町村数を、千という数字がさっき出ておりましたが、これに出てきた該当の府県に配分しようというわけですか。
  211. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) この法律施行関係の予算としては八百万円余り計上しておるわけでございます。そのうちの七百二十万円を府県の事務費に交付しようと考えておるわけでございます。辺地の総合整備計画を作らなければならない地域をたくさん包含しておる団体ほど多く交付するという建前で配分したいと考えております。
  212. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、市町村でこの総合整備計画を立案をするわけですけれども、実質的にはやっぱり府県の地方課あたりでその作業を引き受けてやってやる、そうして市町村はそれを議会できめて提出をする、こういうことに実際の運営はなるのですか。
  213. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) お話のように、やはり地方課が窓口になってやらなければならないだろうと思っております。やはり府県の各行政に関係を持ってくると思うのでして、診療所のような問題になりますと、衛生部との関係も出て参りましょうし、電気の問題になりますと、経済部なり農林部なりとの関係が出て参るでしょうし、あるいは学校の関係ですと、教育委員会との関係も出てくると思います。そういうふうに、各行政部門の事情も打診をいたしまして、そして市町村が総合的な計画を立て、それが計画倒れにならない、現実に、三年程度のうちには完成を見るというような姿のものにしていかなければならない。それには、やはり地方課が窓口になっていくだろうと、こう思うのでございます。場合によっては、地方課がさらに電力会社と話をつけなければならないというような問題も出てこようかと思うのでございまして、そういう趣旨の規定を、法律上は四条の二項に置いているわけでございまして、広範にわたりまして、具体的に、施設が整備されるようにしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  214. 秋山長造

    ○秋山長造君 その四条の話が出たので、ついでにお伺いしますが、ここに書いてある「当該市町村に対する技術的助言その他の協力」というのは、具体的にはどういうことを予想されておるのですか。
  215. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) たとえば、水の問題につきましても、簡易水道であるとか、深井戸であるとかいうような問題もあるかもしれませんし、あるいは補助金の交付につきましても、総合整備計画のできたところに重点的に補助金をつけるようにしてもらいたいというようなことも、具体的な問題として出てこようかと、こう考えておるわけでございます。
  216. 秋山長造

    ○秋山長造君 この辺地の指定の場合、辺地の条件が、ここに交通条件あるいは自然的、経済的、文化的諸条件というようにあげてあるのですが、たとえば税金なんかについて、標準税率以上取っているか、あるいは標準税率以下を取っているかというような、税金の取り方なんかについての考慮というものは加わるのですか、加わらないのですか。
  217. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 現在のところは、そういう要素は加える考えは持っておりません。
  218. 秋山長造

    ○秋山長造君 辺地という場合、やはり実態は、実態調査をされていないのですから、実態についてお聞きするのもどうかと思うのですが、しかし、自治省に集められたこの資料に基づいて、お考えになっていただけばけっこうなんですが、やはり税金は重い税金を取っているということが常識的に想像されるのです。その点はどうですか。
  219. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 辺地は一市町村の中に幾つも含まれているという場合がたくさんあろうかと思います。したがいまして、辺地を含む市町村の税負担が重いかどうかということになるわけでございますが、一般的に辺地性の強い市町村におきましては、税源に乏しいわけでございますので、自然市町村民税などにおきましては、ただし書き方式を採用して、かなりきつい負担になっているというのが通例だと考えております。
  220. 秋山長造

    ○秋山長造君 きょうはこれで……。
  221. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つお願いしておきたいのですが、明後日おそらくこれは審議すると思うのですが、自治大臣とそれから経済企画庁長官で御協議なさって、そうして答弁できるようにしておいで願うようにお願していただきたいと思います。それは離島振興法とこの辺地にかかわるこの法律案適用地域とは、一部と全部の関係になるわけですね。そうしてその業務内容は同じなのが多いわけです、たとえば電気導入とか。そうなると、実はこの能率を上げるという点から、総合的にうまく進めるという立場から、離島振興法の所管庁とこれの所管庁とは同じにして、一体で法を運用されたほうが、予算も効率的運用できて都合がいいのではないかというような感じを持つわけですがね、それで、その点自治大臣と企画庁長官で相議されて、しかるべく答弁をされるようにして、次回の委員会に出席するよう、御連絡方を願いたいと思います。
  222. 小林武治

    委員長小林武治君) 残余の質疑は、次回に譲ります。次回は、四月五日午前十時より開会をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会      —————・—————