○国務大臣(
水田三喜男君)
財政法全体については、これは本格的に検討すべき問題がたくさんございますので、これは私
どももいろいろ検討しておりますが、大きい問題をも含んでおりますので、これは早急の期間では
結論がなかなか出ませんので、間に合いませんでした。しかし、全体の検討とは別に、
財政法二十九条の問題はすでに
国会で疑義を生じており、
政府側もこの問題は検討して解決するという約束をしたものでございますから、
財政法全体の検討とは切り離して、本
年度においてはこの問題の疑義をなくして解決するという点にしぼって、この問題だけの解決をはかったということは事実でございます。ですから、今後まだ
財政法全体の問題としては、私
ども引き続き検討していくつもりでございます。
それから、景気調整との問題でございますが、やはり内需を抑えるというような、そうして国際収支を改善するというような目標を持っておる以上は、金融政策と対応した
財政政策を用うべきことは当然でございまして、それをどういう形でこの調整をするかということについては、当然
予算編成方針をきめるときに論議した問題でございますが、まあその過程において、当然、そういう目的である場合には、やはりよその国でもやっているように、減税という措置自身はおかしいじゃないかと、そういう目的を持つときの
財政政策としては、むしろ増税という手がほんとうのあれではないかという問題も当然出て参りましたが、御承知のように、日本の税が、今実際において国民の
負担は
実質において高いときでございますから、なかなか景気調整策としての増税というものをやるべきかどうか、その効果というようなものを考えて、まずこれは、私
どもは今度はそういう増税策というようなものはとらぬということにしますし、その次はやはり
支出を抑えるということはしなければなりませんが、その場合に、どれが必要
経費でありどれが押えられる
経費であるかという検討をいたしますというと、いい悪いにかかわらず、民間の経済が伸びてしまって、あれだけの設備
投資が行なわれるということになりますというと、今後経済の均衡発展というものをはかると、そうして安定成長の線に持っていくという
財政の役割を果たそうとする限りは、いろんなところにできた不均衡の是正というものは、これはやはり政策的に若干の問題があってもやらなければならぬ施策だということになりますというと、公共
投資、それからやはり安定成長の基礎は社会保障の充実という、この問題を抜くわけには参りませんので、こういう点についての
経費を今削減できる時期かどうかというようないろんな検討をしますというと、やはりそういう
財政が当然果たさなければならぬ役割、それを果たすことによって安定成長の基礎がここで固まるという仕事をほうっておくということはできないという面から、まず必要
経費の計算をするということで、必要な
支出はこれは確保するという方針が当然立てられなければなりませんし、それともう
一つは、今度は
支出を多くするということの効果と減税の効果が、どちらが有効需要への喚起への寄与率が多いかというような問題になりますというと、
支出をふやすよりもこれは減税というほうがそういう点においては景気調整策としては有効という
結論から、減税もこの際思い切ってやって、そうして全体の
支出は必要なものにとどめてあとを押える、そして
予算規模を調整するということが一番現実的な方針でありはしないかというような、各諸点からの検討をやって、一応私
どもは
予算規模、それに対応した減税の規模というものをきめたというのがいきさつでございます。
さて、そこで、それじゃ三十七
年度にもっと調整の余地はなかったかというと、まだ私はあったとは思います。思いますが、それと三十六
年度の
財政との結びつきの関連において
議論が出ましたが、結局経済は続いておるんだし、国の
財政というものも切り離されている問題ではございませんので、三十六
年度に起こった事態のまだ後半が残っているときですから、
財政政策としては、まず三十六
年度の自然増を大きくたな上げして、必要最小
限度の
補正予算にとどめて、残るものは大きくたな上げするという
考え方が一番適切だ。その考えを入れて三十七
年度との
財政計画のつながりをつけることがいいという方針から、まず三十七
年度の自然増を、二千億近いものになるでしょう、これをたな上げするという方針をとりましたので、この方針自体が相景気当の調整策としては実際には効果のあるものと思っておりますので、それとのつながりで三十七
年度の
予算編成をやっているのですから、したがって、三十七
年度内においてはそういう調整的な機能を果たす
予算がそう多くなくてもいいと。千億程度のものを私たちは考慮したつもりでございますが、その程度の調整案である程度やっていけるのじゃないかということを考えて、その
予算の編成をやったということでございまして、三十七
年度自体の中にも、
予算委員会でたびたび
説明していますように、すぐに単
年度の消費になってしまわないという
資金への
繰り入れというような性格を持ったものも相当考慮されてあるというのでございますから、それらの措置によって、特に経済が普通にいくのなら、三十七
年度繰り延べというような、昨
年度のような措置を何とかとらなくても済む程度の
予算の立て方にしたいということも考えて、いろいろつき合わせて
予算編成をやりましたので、したがって、よくこれは繰り延べをするということを予定しておるかどうかということもございますが、そういう三十六
年度のたな上げ措置とあわせての考慮をやっておりますので、普通に、経済が見込みどおりいくのなら、特に繰り延べというような大きい措置をとらなくても済む程度の
予算と、私
どもはこう思っておるのですが、まあこれについて大き過ぎるとかどうとかいう、いろいろ御批判はございますが、私
どもとしてはそういう計算も相当してやったつもりでございます。