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1962-04-19 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

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  1. 国際通貨基金及び国際復興開発銀行 (会議録情報)

    昭和三十七年四月十九日(木曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委員            大谷 贇雄君            高橋  衛君            西川甚五郎君            堀  末治君            前田 久吉君            山本 米治君            木村禧八郎君            原島 宏治君            須藤 五郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   政府委員    宮内庁次長   瓜生 順良君    大蔵政務次官  天野 公義君    大蔵大臣官房財    務調査官    松井 直行君    大蔵省管財局長 山下 武利君    大蔵省銀行局長 大月  高君    大蔵省為替局長 福田 久男君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    厚生大臣官房国    立公園部皇居外    苑管理事務所長 佐々木 巌君    運輸省航空局監    理部長     栃内 一彦君    自治省税務局府    県税課長    降矢 敬義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際通貨基金及び国際復興開発銀行  への加盟に伴う措置に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○外国人等国際運輸業に係る所得に  対する相互主義による所得税等の非  課税に関する法律案内閣提出) ○国有財産法第十三条第二項の規定に  基づき、国会議決を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。  なお、大蔵大臣は十一時まで出席いたしますので、この点御了承願います。
  3. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 この改正案について大蔵大臣にいろいろ質問したいことがあるのですが、こまかい点については事務当局から、一応質問いたしまして説明伺ったのですが、時間もありませんので、端的に、IMF総会にも、理事会にも大臣出席になっているわけですから、大臣に特に伺いたいわけです。国際的にも通貨の問題は非常な重大な問題になってきておりますし、いわゆるドル危機を契機としまして非常に重大な問題になってきております。それと関連する法案でございますから、こういう国際的に重大な問題について政府考えなりあるいは国会の意思を明らかにする必要があるので、そういう必要からも大蔵大臣に御出席願ったわけです。  この法案関連しまして、まず大蔵大臣に伺いたいのは、日本の今の外貨準備状況から見まして、こういう出資を、貸付をするのに適当と考えられているかどうか。そこで、今の日本外貨準備は、大蔵大臣としてそういう余裕がある外貨準備であると考えられておるかどうか。それから、今非常に問題になっておりますが、この外貨準備関連しまして、今後の国際収支見通しについて伺いたいと思うのです、政府の当初の見通しと非常に変わってきているわけでありますから。その国際収支見通しについて、外貨準備との関連においてお伺いいたしたいわけであります。
  4. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 適正外貨準備高はどのくらいであるかという問題については、御承知のとおりいろいろ議論がございまして、今これだけなければならぬというきまったものはないと思います。しかし、まあ常識的にいろいろ考えられる適正外貨準備高というものは、実際的には各国別事情は違いますが、考えられるのでございますから、そういう考えで見ますというと、日本の今の外貨準備圏ではIMFに大きい貸付をするという私はあまり余裕はそうないというふうに考えております。
  5. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それであるのに、貸付に応ずるというのはどういう理由なんですか。日本通貨にして九百億円ですね。ドルで二億五千万ドル。もっとも、これはスタンドバイ・クレジットですから、すぐにこれは使われるわけじゃありませんけれども、この貸付趣旨が、短期資本の移動が激しくなった場合、特にアメリカなんかドル危機に陥った場合の手当に使われると思うのですけれども、そういうことを考えると、これは国際収支事情いかんによって何もこれに応じなくてもいいわけです、義務がないわけですから。それだのに、どうしてこれに応じられるのか。しかも、大蔵大臣は今の日本外貨事情からいって十分の余裕がないということを言われておるんですから。しかも、現在余裕がないばかりでなく、今後の国際収支見通した場合、一そう余裕がなくなるはずだと思うのです。そこで、大蔵大臣は大体外貨準備として現時点においてはどのくらいの準備を必要とお考えになっておるか。
  6. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) それはさっき申しましたように、各国別にいろんな事情から総合して判断すべきものであって、幾らなければならぬという判断は非常にむずかしいと思いますが、現に今年の三月三十一日現在の日本外貨保有高は十五億六千百万ドルでございましたが、この中には特に米国銀行からの借り入れという措置をとりましたので、かりにその措置をとらなかったとすれば現在十三億ドルちょっとの外貨保有ということになったと思いますが、それによっても別に外貨金繰りに因っているわけではございませんし、別に国際信用が失墜して短期資金が逃げるとかいうような事態を起こしているというわけでもございませんし、そういう点を考えますと、日本外貨保有はこれだけなければならぬという断定というものは私はむずかしいと思います。  ただ、将来の国際収支見通しでございますが、これはもう局長のほうからたびたび説明があったと思いますが、そういう点も考えますというと、日本がこの協定に応ずるというためにはそういう点も見通さなけりゃなりませんので、私どもIMF総会において、日本側無条件賛成するという態度はとりませんでした。御承知のように、フランスとかオランダ、ベルギーという貸付をするほうの国が、この貸付がいいか悪いかという判断あるいは貸付金の使途について、そういうものについて発言権を与えられるべきであるという立場から、当初はこのヤーコブソン案反対態度をとっておりましたし、私どもはこの趣旨には賛成、しかしこの強制的な割当というようなことについては反対である。各国のそのときそのときの外貨事情考慮して、応じなくてもいいし、応じられる余裕のあるときは応ずるというようなそこに弾力性を与えてくれないというと、無条件には賛成できないというような態度を私どもは示したのですが、そうしますというと、この問題をすぐに総会に付議するということは実際にはできないという事情になりましたために、IMF理事者が、総会以前に特に関係国、欧州とアメリカ日本を入れた秘密会議を事前に開いて、その調整をやった。その席上で私どもの意見も大体入れられるし、フランス以下の主張もある程度考慮されるという見通しがはっきりいたしましたので、総会では理事会に一任というような形で、趣旨は全部賛成ということだけで、総会議決は終わった。それで、IMF理事具体案各国に示してきた。これに私どもは応じたといういきさつになっておりますが、私どもも将来の外貨事情をいろいろ考慮しまして、そこへ余裕をとっていただいたということになっておりますので、その点においては、この協定賛成しても少しも日本にとって将来困る事態というものは私は起こらないと思っております。
  7. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 この二億五千万ドルスタンドバイ・クレジットですから、すぐに使われないとしましても、一応協定した以上は使われるものと見なければなりませんし、また、日本は今の状態ではアメリカに弱いのですから、これはアメリカドル危機に備えたところの措置なのでありますから、一応二億五千万ドルは使われるものだという前提で考えなければなりません。と同時に、日本外貨事情は今私はそんな余裕のあるものとは思われない。かなり私は深刻なる事態危機状態にあるといっていいと思う。  そうでなければ、私は大蔵大臣に具体的に伺いたい。なぜ、アメリカ市中銀行から年率四分五厘もするような二億ドル借入金、あるいはまた輸出入銀行の保証による借り入れ一億二千五百万ドル、合計三億二千五百万ドル借りているわけで、四分五厘の年率ですよ。ところが、日本は主としてアメリカ銀行預金として三分二厘五毛で七億ドル近いものを預金しているのです。それが三分二厘五毛です。それから、証券に対する運用は二分七、八厘なんですよ。こんなに損をしてまでもアメリカ市中銀行から借金をして、そうして外貨不足を補っておる。もし日本外貨事情心配ないとするならば、なぜこの預金を使わないんですか。預金を使えば、アメリカに三分二厘五毛で預けている預金、あるいは証券として二分七、八厘で運用しているんでしょう、そういうものを使えば、四分五厘もするような商い金利で借りる必要はないわけです。それにもかかわらず、ますます不利を忍んで借りるということは、日本外貨事情が非常に緊迫している証拠だと思う。ですから、大体十四億程度外貨準備を持っていなければならないところに来ている。実際はそれを割っているから、一億ドル借金しなければならぬということでしょう。また、今度出資をする場合、出資に対する金利は大体一分五厘ですよ。それで、もし出資をして——出資じゃございません、貸付をしまして、そうして足りなくなった場合、また市中銀行から借りる場合四分五厘で借りるでしょう。こんな不利なことになるわけです。そこで、この貸付をするにつきましては、日本外貨事情というものを現在十分に考慮に入れてやらなければならぬわけですが、この通貨基金の七条の二項の(i)によりますと、これは貸付をする義務を負わないことになっているんですから、何もこれに応じなくてもいいわけなんですね。したがって、今の日本外貨事情についてどうしても割り切れない点があるのです。なぜ、その預金とか証券日本外貨を安く運用して、そして高くアメリカ市中銀行からそういうものを借り入れているのか。非常な不利な運用をしているわけですよ。それはどういうわけですか。それはどうしてもここは割り切れないですね。
  8. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) この取りきめが発動される場合には、これはひとりアメリカだけではなくて、木取りきめに参加する十カ国のいずれの国も利用できるということになっておるのでありますから、私どもはこの余裕のあるときにはむろんこれに応じますし、またそうすることが義務であると思っておりますので、これに参加することは決して悪いことじゃないと。それから、強制割当をされるということでしたら、木村さんのおっしゃられるように、日本の現在と将来の余裕の問題を少しも顧慮せずに応じたことになりますので、これには問題がございますから、その点で私ども主張を認めてもらっているということですから、この点は私は問題ないと思います。ことに日本は今こういう事情でございますから、将来借りる必要が出るか出ないかわかりませんが、私は用心のためにIMFから三億五百万ドルスタンドバイを今度取りつけてございますので、日本は自分の必要なときには常にIMFにそういう援助を申し出て見てもらっておるのですから、日本以外の十カ国の必要があった場合に、やはりこれに参加して他国の援助日本も力を尽くすということは、これは当然でございますので、この取りきめに参加したことには少しも私は問題ないじゃないかと思っております。  ただ、先ほどの外貨保有高の問題ですが、これはさっき申しましたように、どのくらいあればいいかという見方はむずかしいので、一つ短期債務との比較でいろいろ立論される人もございますし、そうでなくて、輸入の何月分ぐらいを持っていることが適正かというような角度からいろいろ論議されている問題もございますが、いずれにしましても、これだけでなければならぬというはっきりしたものはございませんで、そういう意味におきまして、いろいろ外貨保有高については国内で楽観する人もあるし、事実心配される人もあるという当時は状態でございまして、こういう議論が起こっているときでもございましたし、したがって、私どもはそういう論議がたくさん起こっていろんな人に不安を与えるということは、対外信用に対していろいろ悪い響きも与えるということを心配しましたので、あの外貨があれでは困るかどうか、金繰りに困るかどうかということについては問題でございまして、金繰りにそう困る、十何億ドル持っておったら困る事態ではございませんでしたが、そういういろいろな国内問題から対外信用の問題を考えまして、やはり外貨保有高一定期間減らさない措置をとるほうが私はいいと、そういう状態においてこの経済調整策を私どもはあのときとることをきめておりましたから、引き締め政策とかいうようなことで内需を押える政策政府が強くとろうとするためには、外貨問題の不安を起こさないことがやはりいろいろな意味から適切だと考えて、現地においてこの借り入れ交渉をしたということで、実際は国内から借り入れ方針を持って向こうへ臨んだのではございませんで、日本代表団向こうでむしろ相談してこちらの政府の了解を得て、あの機会に借款交渉をしてこれを成功させたということでございまして、これは足りなくて非常に危機だからやったというよりも、今後政府が強い政策をとるときに国内経済的に不安を与えないで対外信用を維持しながらこの政策をとっていくことが、やはり一番円滑にやっていけるゆえんであろうというようないろいろの角度から考慮して、あの借款をしたというのが実情でございまして、したがって、まだあのときにどんどん預金をくずして、もしかの場合には預金をくずして払っても払えたじゃないかという議論もあったと思いますが、外貨準備高一定に維持していくことのほうがよりベターであろうという判断からやったわけでございます。
  9. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 IMFから借り入れ契約をしました三億五百万ドルは、これは借り入れを行なう予定でございますか。また、借り入れる場合には、それは金利は幾ら取られるわけですか。
  10. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) この借り入れをするかどうかは、まだ私どもは実際の問題として方針をきめておりません。そういう措置をとっておくことがやはり一番安全であるという考慮から、早目にこの措置をとったというだけでございまして、今後の国際収支推移を見て、米国市銀への支払いは今年の十一月から始まりますから、そのときの外貨事情によって悟りなくてもこれはしのげるという状態でございましたら、借りないで済ますこともあり得ましょうし、やはりせっかくの取りつけをしてあるのだから、これはIMFから借りて、やはり外貨保有高一定保有をして、そうしていくほうがいいという、そのときの状況判断によって私は借りるか借りないかをきめていいのじゃないか。いずれにしましても、そういう意味におきまして、十一月前後には借りるか借りないかの方針をきめればいいんだというふうに今のところは考えております。  金利局長から……。
  11. 政府委員(福田久男君)(福田久男)

    政府委員福田久男君) IMFから借りる場合の金利でございますが……。
  12. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 なるべく簡単に願います。
  13. 政府委員(福田久男君)(福田久男)

    政府委員福田久男君) 金利と申しますか、実は手数料と言っておりますが、金利に相当する手数料は、三億五百万ドルのうちで一億八千万ドル分については利息はつきません。利息的な手数料は必要ございません。残りの一億二千五百万ドルにつきましては、三カ月間はゼロ、それから三カ月から一年半までが二%、一年半から二年までが二・五%、二年から二年半までが三%、二年半から三年までが三・五%と、かようになっております。
  14. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 大蔵大臣は、十一月ごろになってみないと、三億五百万ドル借り入れ予約はしてあるが実際使うかどうかわからぬと言っておりますが、私は、今の状況からいけば、どうしても借り入れざるを得ないような状況になってくるんじゃないでしょうか。これは藤山発言関連があるのですが、大蔵大臣閣議藤山さんの話も聞き、それに対して答えられているようでありますが、私の見方によりましても、昨年の十一月から鉱工業生産は下がる予定であったのが下がらない。そうして十二月にちょっと下がったけれども、一月にまた上がって、二月、三月は横ばいのような状態ですよ。藤山さんがそれを一つの根拠として言っていると思うのですが、この状態では輸入は減りませんし、国際収支は大幅な赤字になると思うのです。政府予想のような一億ドル程度赤字ではとうてい私は済まないと思いますね。私のしろうとの計算では、少なくとも現在の鉱工業生産推移では、政府予想との間に二%の差がございますよ。そうしますと、年率二%の差といいますと、二億五千万ドルくらいの差が出てきますよ。三億五千万ドル、あるいはもっとになるかもしれません。そうしましたら、私はどうしても借り入れざるを得ない、こういう状況になると思う。そういうこともあり、また消費者物価も上がっておるので、藤山さんは、このままいったら国際収支は楽観できないということを言っていると思うのです。政府はこれまで国際収支についてかなり楽観的な態度をとってきておりますが、そういう状況にあるので、私はこのIMF貸付についても、そんな貸付ができるような余裕のある状況じゃないんじゃないか。もし余裕があるというのならば、心配ないというのなら、なぜアメリカから商い金利の四分五厘もするのを借りて、そして日本アメリカ証券なり預金で安くこれを運用させているのじゃありませんか。こんなことをなぜするのかというのですよ。その点ですね。国際収支の今後の見通しについて、藤山さんとの見解が非常に違っていると思うのです重要な相違点だと思うのですが、この点について大蔵大臣閣議でお話し合いされたと思うのですから、その点についてお伺いしたいと思います。
  15. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) なぜ借りてそんな運営をしているかというのは、さっき申しましたとおりで、やはりいろいろ論議があるときでございますので、外貨準備高一定保有をしておくほうがいいという判断からやったということでございます。  それから、三十七年度の国際収支見通しでございますが、正直にいいまして、下期の見通しについては、まだなかなかむずかしい問題がございますので、私どもも、当初政府予定したとおりにいくかどうかということについては、もう少し検討させてもらわないと何とも言えないと思いますが、身近の上期の分につきましては、これも非常にむずかしい要素を持っておりますが、私ども見当では、最初政府見通したとおり、総合収支において上期において一億ドル前後の赤字最初見通しでございましたが、この見通しはそう狂わぬで済むというのが今のところ私ども考え方でございます、上期につきましては。ですから、問題は下期でございますが、下期も、まあ上期の推移を見ないと下期のほんとうの判断はできませんが、全体として、そう政府最初国際収支見通しに大きい狂いがないとするのでしたら、外貨の資金繰りの問題というようなものは、これはそう問題になるようなことは今年度はないのじゃないかというのが私ども見方です。  藤山企画庁長官考え方も私どもも、そう食い違っているわけではございませんが、生産の落ち方が足らないというところから、これは当然企画庁としてもいろいろ心配されるのは当然だと思いますが、これにも問題がございまして、企画庁見方は、御承知のとおり、昭和三十六年度の一応経済伸び率見通しに立って、それから五・四%の伸びというものを見越していました。その五・四%を算出する三十六年度の基礎が、今実績においてすでに狂ってきました。そうしますというと、三十七年度の輸出入はこのくらい、たとえば設備投資はこのくらいという、あの絶対額を大体動かさないであの見通しどおり経済運営することが妥当だということでございますと、三十六年度の実績が高まっていますから、五・四%の伸び率というものは当然自動的に修正されていい。三・何%というようなことになるかもしれません。もしそうだということになりますというと、年率九%の割で上半期が落ちてきて、下半期にいって年率一二%で上がる、そうすれば平均工・四%の伸びになって、このカーブの書き方が今度は違ってきますので、もう少し落ち方がゆるやかであって、伸び方がゆるやかという線を想定した経済運営が行なわれればいいということになりますというと、一−三月の落ち方が当初の予想より著しく落ち方が低いということですが、その点はある程度考え方が変わってきまして、なだらかに落ちていくという方向が確保されるなら、そう心配する事態でもないということにもなりますので、そういう意味から、私どもは三月だけではいかぬ、二、三、四と、少なくとも四月実績というものを五月にかけた傾向、ここらを見通さないというと、この問題について軽々しく、まだいろいろな政府施策をどうするかという対策もちょっと早い。そう変更する必要があるのかどうかというようなものも、問題は四月から五月にかけた傾向を見てからでいいというのが私ども考え方であって、別に違っているという問題ではございませんで、やはり四月、五月の傾向を見れば、大体今後どういう措置をとっていくのがいいかという見当もはっきり私どもに確信が持ててくると思っております。  ですから、私どもは、今一、二、三の落ち方が少なかったということは事実でございますが、問題は、傾向線が、これが四月、五月からまた上がっていくような状態でしたら、これは相当考えなければなりませんが、今のところは落ちる傾向だけははっきりしておりますし、在庫増を見ましても、四月ごろからの生産が落ちるということは私ははっきりしていると思いますし、また貿易に見られる、信用状ベースに見られる一つ傾向というものも、この上半期に相当大きい国際収支上の赤字を出すという傾向にはなっておりませんので、そういう点を勘案してみますというと、上半期の最悪の場合一億ドルぐらいの総合収支の赤という予想というものは、今のところ、相当これは一つ一つ常にやっておりますが、そう狂わないで済むのじゃないかという見通しでございます。
  16. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 その上半期は一億ドル赤字程度にとどまっていると。そうすると、政府最初見通しでは、年間を通じて一億ドル赤字ということになっておりますから、そのとおり持っていこうとすれば、下期においては大体とんとんぐらいでなければならぬわけですね。ところが、鉱工業生産が今後、大蔵大臣は上がればたいへんだと言う、もちろんたいへんですが、もち合いでいったって、基準は非常に違ってきているのですから、今後その国際収支とんとんにするためには、かなりきびしい引き締め政策をとらなければ私はとんとんにできないと思います。そうすれば、あまりきびしいデフレ政策をとらないで、池田さんはとらないと言っておりますが、デフレ政策をとらなければ国際収支赤字は一億ドル以上になるのですよ。そうしたら、それは借金で埋めていくということになると思うのです。IMF借入金によってしのいでいく。国内デフレ政策は避けて、国際収支赤字短期にこれを解決するのを避けて、長期的に解決していくということにならざるを得ないと思うのですよ。ここが藤山さんと総理あるいは水田大蔵大臣等との見解の違いになってくるのではないかと思うのです。短期国際収支赤字を埋めるということと、少しずらしてもいい、デフレを避けて国際収支赤字を埋める時期はずらそうと、ここらに違いが相当あるんじゃないでしょうか。
  17. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 私は、去年とことしでは、政府の行政指導の力が相当違ってきていると思います。去年は、御承知のとおり、六月から始めたのでございますが、これは少しおそ目になったために、各企業も投資計画を具体的にもう発足してしまっているというようなときには、途中でこれを調整させるということは非常にむずかしい問題もございましたので、十分というわけにはいきませんでしたが、今年度はすでに四月から、今いろいろ設備投資準備を始めておりますので、この点の行政指導はある程度私はことしは有効にやれるというふうに思っております。もしそうであるとするならば、大体政府見通しているような経済運営はできるということになりますので、今行政指導をこれからやるためのいろんな調査準備に入っているときでございますから、やはりこの作業を一応終えればほんとうの見通しが私はつく。下半期といっても、どれだけの設備投資が行なわれるであろうかという予想もはっきりいたしますし、金融の引き締めというような策をさらに強化して、そういうことに臨むというようなことをしなくても、目的は、ある程度の内需の抑制というものがうまくいくなら、そのほうがむしろ有効なことでございますので、そういう行政指導面における政府のやり方いかんが、ある程度今後のいろんな問題を決定する大きな要素になると、私はそういうふうに思っておりますので、そういう意味で、今政府がやっておりますから、やはりこの見通しをつけた上でないとほんとうの見通しは立たぬと今思っております。
  18. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうしますと……。
  19. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 木村君に申し上げますが、大蔵大臣は十一時までに衆議院のほうに出席するという固い約束がありますので……。
  20. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それでは、最後に。その調整作業とこの見通しの修正はいつごろできる予想があるのですか。
  21. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) これは通産省も、日本銀行も、大蔵省も、すでに各社の投資計画をとって、今準備に入っている最中でございます。
  22. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 大体いつごろですか。
  23. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 私どもの目標は、十六日ごろまでにはこの実態を押えるという目標でやっておりましたが、きょう十六日を過ぎておりますが、事務当局では予定どおり作業が済んでおると思いますが、私まだその結果の報告をきょう受けておりませんが、目標は十六日くらいに終えるというのが大蔵省のほうの目標でございました。
  24. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 今週一ぱいくらいの目標ですね。
  25. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 大体全部わかるかと思います。
  26. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 まだ質問があるのですが、大蔵大臣約束もございますから、私の質問はこれで終わります。
  27. 国務大臣(水田三喜男君)(水田三喜男)

    国務大臣水田三喜男君) 今の問題は、こちらは事務当局を通じて日銀とやっていることですから、あとから銀行局から大体の日取りを申します。
  28. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それでは、銀行局、あとで……。あれですか、今来ていないですか。
  29. 政府委員(福田久男君)(福田久男)

    政府委員福田久男君) 衆議院の大蔵委員会に出ているのではないかと思います。
  30. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 銀行局のほうはちょっと抜けられるでしょう。抜けられませんか。
  31. 政府委員(福田久男君)(福田久男)

    政府委員福田久男君) そこら辺調べて、連絡してみますが。
  32. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。
  34. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) 大蔵省が日本銀行と共同いたしまして現在の設備投資の動向を調査いたしておるにつきまして、どういうプログラムになっておるかというお尋ねでございますが、まず、われわれの考え方といたしましては、年度当初におきまして設備投資の動向を的確に把握いたしまして、年度中途にいろいろな計画の変更を要請しなくても済むようにしたいということで、早期に調査をいたすという方針で計画を立てておるわけでございます。それから、第二の観点は、現在通産省におきまして産業合理化審議会の資金部会を開かれておりまして、これが逐次各会社からの計画を聴取いたしましてそれを調整する段階に入っております。これが大体において五月の末ごろまでに何らかの結論を得たいというお話のようでございますので、それと歩調を合わせる意味もございます。そういう意味で、われわれといたしましては、まず都市銀行十二行に対しまして、現在百五十社を対象といたしまして、その会社の設備の計画を銀行を通じて報告を求める。で、その報告を大体頭におさめまして、現地に参りまして現地の窓口においてその動向を聴取をする、こういうかまえをいたしております。現在の段階といたしましては、多分本日からだと思いますが、各銀行に出かけまして、今事情を聴取いたしておる段階でございます。  で、これが終わりますと、全体の設備計画をやっております会社の側の動き、それに対応する金融機関サイドの資金供給に対する態度及び資金供給の余力というようなもの、それからそれに関連いたしまして、一体社債がどのくらい出るだろうか、増資の計画がそこに含まれておりますれば、その増資が一体どのくらいになるだろうかというふうに、資金面からの一応のめどをそこに推算いたしまして、会社側の計画とこちらの供給力、そういうものをかみ合わせて、一体どの辺のところに持っていったらいいかという判断をいたしたいと思っております。  現地の調査は数日間でございますが、それを申し上げましたような観点で整理いたして参りますと、やはり五月の上、中旬ごろになるかと思います。そういたしますと、産業合理化審議会の今の審議とほぼピッチが合ってくるかというふうに考えております。現在のところ、まだ的確にどういうふうな空気であるかということは、計数的にはまだ集まっておりませんけれども、大体今申しましたようなプログラムでほぼ昨年やりましたような数字が出て参りまして、それに対しましてどうしたらいいかという態度をきめる一つの資料が集まってくるかと、こういうふうに考えております。
  35. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 簡単にひとつ。そういう結果が出てきた場合、あと調整する場合に何らかの規制というものをおやりになるのかならないのか、単に民間の自主的な規制だけで済むのか、あるいは政府が勧告みたいなことをする程度か、あるいは何らかの規制、また法的に統制経済じゃありませんから戦時みたいな規制はできないと思いますが、その他の金利政策とか、その他の規制というものがやはり伴わなければ、せっかくそういう調査をされても意味かないのですが、その辺のところはどういうふうにお考えになっておるか。
  36. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) ただいま申し上げましたような過程で、かりに資料が出て参りますと、それに応じてどんな対策を講じるかという段階に入ると思います。現在やっておりますやり方といたしましては、昨年の七月にまず基本的な調査をいたしまして、その結果、日本銀行と大蔵省と市中金融機関とが集まりまして、一つ考え方をきめて、それによって今実行いたしておるわけでございます。それは当時の設備計画がそのままに参りますと、大体三兆八、九千億ぐらいにはなるだろうかと、去年の話でございますが、そういう勢いでございましたので、それでは多過ぎると。大体一割程度削減いたします——削減と申しますよりも、正確に申しますれば、これは計画をやめるというのじゃなしに繰り延べをすれば、経済に対する圧力が低くなるわけでございますので、一割程度繰り延べをいたしまして、大体三兆六、七千億くらいのところへおさまれば、一応の目的は達するのじゃあるまいかということで、一割程度を繰り延べるという申し合わせをいたしたわけでございます。それに基づいて、金融機関といたしましては現在貸し出しの実行をいたしておるというのが実態でございまして、その数字は、ちょうど通産省におきまして産業合理化審議会が昨年開かれまして、通産省関係でおおむね一兆六千億ぐらいでございましたか、そのくらいの数字にしたらいいだろうというお話とほぼペースが合っておったわけでございます。で、そういう意味で設備を繰り延べるという方向で金融をずっと実行いたしまして、それでこの問題は、法的な規制ではございませんので、銀行協会の中に資金調整委員会というのが今設けられておりまして、そこでお互いが話し合いをし、調整をとりながらこの繰り延べを実行していこう、こういう形になっております。で、一カ月置きにその実行の結果を各銀行が資金調整委員会に持ち寄りまして、一体計画に比べて何パーセントぐらい今繰り延べをしておるかという実績を調査いたしまして、今発表いたしております。で、今発表されておりますのは、まだことしの一月の実績でございますが、その実績によりますと、大体当初の計画の一一%ちょっと繰り延べになっておるという実績でございます。で、三月の計数が今まとまりつつありますが、大体において一二%若干こえるくらいの調整は行なわれたようでございます。本年度におきましても、調査の結果によりまして、従来の資金調整委員会を活用していく方式はこれを続けていったらよかろう、また通産省における産業合理化審議会におきまして、この繰り延べが一律にならないように、業界のそれぞれの実態に合ったような調整をおやりになっておりますので、その調整の結果を受けて、資金調整委員会を使って、両方から設備投資調整をやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  で、お尋ねの金利政策その他ほかの手段を併用するかどうかという問題は、調査の結果及び経済情勢全体をながめまして、金利政策となりますと、単に設備だけではなしに、在庫の問題、消費の問題その他全体の経済の動きに関連いたしますから、はたしてそれを使う必要があるかどうかという全体の判断とにらみ合わせて考えたい。で、設備投資自体の問題といたしましては、従来の方式において大体予定いたしたようなペースの調整はやっております。ただ、いろいろの統計を見ておりますと、昨年度の実際の実績が、われわれが想定いたしておりました経済計画よりも相当上回っておるのではあるまいかということでございますので、実際に経済の総生産全体を集計いたしますと、どういう数字になっておるか、それは今の段階で私どもはっきりわかりませんけれども設備投資を繰り延べをするという方針を昨年の七月にきめまして、それを実行いたしております段階では、その計画と今の実際とについては、一一、二%程度繰り延べになっておるという実績はあげておる次第でございます。
  37. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 先ほどの三十六年度三兆九千八百億以内にというのは、これは実績がなる予定ということなんですか。
  38. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) 当時の企業が持っておりました設備計画、これはわれわれの調査では百五十社でございますから、正確な数字は覚えておりませんが、一兆一千幾らくらいになっておったかと思われます。それで、その百五十社の全体の設備計画に占めるシェアがございます。で、産業合理化審議会、通産省所管の部面におきましても、これは全体の設備計画を押えておるわけではございませんので、多分そのシェアは四六、七%くらいであったかと思われます。で、われわれが見ました百五十社も、それよりもずっとシェアは低いわけでございますから、それで逆算いたしますと、大体三兆八、九千億万くらいになるのではあるまいかと全体を推計いたしたわけでございまして、それでは多過ぎるので、その比率でわれわれの調査いたしました百五十社について繰り延べを求めたらどうかと、こういう計算になったわけでございます。したがいまして、今申し上げました三兆八、九千億というのは、われわれの調査の実績ではございませんで、全体を推計いたしましたその当時の会社の計画の数字でございます。
  39. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうしますと、実績はこのくらいになるのじゃないですか、実績は。
  40. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) われわれが見ております百五十社につきましては、当初計画いたしましたように一〇%をこえます一一、二%程度の縮減が行なわれておるわけでございます。したがいまして、その他の分野についてのわれわれは実数を持っておりませんから、それは全体の、企画庁で御調査になります全体の設備計画が一体どのくらいになっておったかという統計によらざるを得ないかと。しかし、その実績も、まだ全体としては三十六年度の実績が出ておらない段階かと考えております。
  41. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 さっきのシェアからいくと、逆算できるわけですね。逆算だと、どのくらいと見られますか。三兆八千九百くらい、九千くらいの、一割減くらいのところで見ておいていいですか。
  42. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) 当時の計算から申しますと、ただいま仰せのような数字になると思うのでございますけれども、ただ、現実の姿から見ますと、当時想定いたしておりましたそのシェアの数字が違っているのではなかろうか。ということは、全体の設備計画が当時想定いたしました数字よりも相当大きいのではなかろうかといわれておりますから。ということは、われわれが見ておりました百五十社の限度におきましては、ある程度の繰り延べを想定したようにやっておりますけれども、その他の分野においてのあるいは設備が進んでおったのか、その辺の原因ははっきりいたしませんが、当時の想定の三兆六千よりは相当上回った数字になっておるのではあるまいかと今いわれております。ただ、今時期的の関係もございまして実数はわかりませんので、そこはわれわれとしてもはっきり申し上げられないのです。したがって、そのシェアの問題につきまして若干違っておった面があるか、あるいはシェアの違いはわれわれが想定したとおりでございましたが、その後の伸びにつきまして、その他の部面が伸びたものか、その辺のところはこれからの検討に待たなければ、率直に申しましてわからない現状でございます。
  43. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 これだけでいいのですが、大体三十六年度の実績がわかるのはいつごろわかるのでしょうかね。
  44. 政府委員(大月高君)(大月高)

    政府委員(大月高君) 法人企業統計で今実績が出ておりますのは、多分昨年、三十六年度の第一・四半期程度だと思います。それから推定しますとその後の伸びが一応出ますから、そこらからの推定数字はあるかと思いますけれども実績としては、まだ日本の統計では去年の四−六ぐらいのところが実績かと考えております。
  45. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 けっこうです。
  46. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  49. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 私は、本改正案反対するものであります。  反対の理由の第一はですね、この改正案趣旨は、近年世界主要国の通貨が交換性を回復するようになり、いわゆる短期資本の国際的移動が大幅に自由になった結果、短期資本の流出によって国際収支の安定が脅かされるように至っているので、その対策の一つとして、加盟主要工業国十カ国が六十億ドルを限度として基金に自国通貨を貸し付けて国際通貨基金の資金的基礎を充実し、その機能を一そう強化するという点にあるのでありますけれども、との貸付によって短期資金の流出による国際収支の不安定を基本的に解決する役に立たないと思うわけです。そればかりでなく、国際収支の不安定の原因がどこにあるかという基本的な問題の所在をかえってそらしてしまいまして、根本対策をおくらせたり、あるいは根本対策の樹立を妨げる結果になるのではないかと思うことが第一の反対の理由であります。  短期資本の移動による国際収支の不安定ということは、具体的にはアメリカドル危機ということにあると思うのであります。そこで、この六十億ドルを限度とする貸付の問題を考える場合には、ドル危機の原因は一体どこにあるかということをもっと根本的に考えて、その真の原因に対して対策を立てなければならないと思うわけです。この点については、最近も国際的に非常な関心を持たれ、そうしてそのドル危機の原因に対する対策等もいろいろ提示されているわけであります。  私はドル危機の原因に二つあると思うわけですが、その一つは、アメリカ国内政策にあると思います。それは、アメリカが一カ年約七十億ドルに上る資金を、ソ連に対抗するために軍事援助とかあるいは経済援助等によって約七十億ドル援助をやっているわけですが、その七十億ドル援助アメリカの貿易の黒字によって埋めているわけですが、貿易の黒字が大体四十億程度でありまして、残り三十億ドル国際収支赤字になっているという点、それからまた、アメリカが対ソ防衛のために予算の半分ぐらい軍事費に使っているわけです。こういう結果、アメリカ国際収支赤字になって、そうしてドルの不安が起こるわけだと思うのです。そしてアメリカドルと金との間に差ができておりまして、今アメリカは金木位といっておりますけれども、実際にはドルは金ではないわけでして、金に対して減価している、価値が減っているわけであります。したがって、最近の国際通貨の不安定を除去する根本的な対策は、まずアメリカに対して、ドル危機の一番基本的な原因である、そういう軍事的な政策に基づくアメリカ国際収支赤字というものを、これをやめさせることを要請しなければならないと思うのです。  それから、第二のドル危機の原因は国際通貨制度にあると思うのです。今の国際通貨制度はいわゆる金為替本位になっておりますが、実質はドル為替本位であります。世界的に今金が不足でありますので、各国は金以外にポンドとかドル等の外貨外貨準備に充当しておるのでありますが、この外貨準備ドルあるいはポンドによる外貨準備というものは、一国通貨を、いわゆるナショナル・カレンシーをもってインターナショナル・カレンシーにかえようとしているわけでありまして、本来ならば金をもって準備しなければならないのを、ドルというある特定の国の通貨準備に充てているわけですが、そのドルが不安定なわけですが、そのドルの不安定は結局金の不足に原因があると思うのです。金不足の原因についてはいろいろあるのでありますが、貿易壁が非常に多くなるので新産金をもってこれを補えない。大体世界貿易が年々五、六%増加していくのに対して、新産金は大体一・五%程度、金額にして約年間七億ドル程度にすぎない。それから、もう一つアメリカドルが減価しているにもかかわらず、一オンス三十五ドルに金価格を押えているという点に金不足の原因があると思うのです。本来ならば、アメリカが金価格を引き上げドルの切り下げを行なえば、アメリカの金準備がふえるばかりでなく、各国の金準備もふえるわけなんですが、アメリカが無理にドルを金に結びつけて金価格を変えない、引き上げない、そういうところにやはり金の不足の原因があると思うのです。ですから、第二の対策としては、私は金価格の引き上げということが国際的な通貨不安を除去する対策でなければならないと思うのです。  この国際的な通貨不安の対策としては、たとえばトリフィンの案のように国際的な通貨を創設すべきだといういろいろ意見もございますけれども、国際通貨は結局は金でありますから、金不足の問題をやはり解決する必要があると思うのです。ところが、今回の六十億ドル貸付によっては国際通貨の不安定を解決する役には私は立たないと思うのです。それはほんのこうやく張りのような手当にすぎないと思うわけです。これでは通貨不安定の根本的な原因がどこにあるかということが十分に解明されないで、そしてそれに対する根本的な対策がむしろ回避される、こういうマイナス面があるのではないかと思うわけです。これが反対の第一の理由であります。  第二の理由は、この貸付については、IMFの規約の第七条によってこれは規約上できるわけでありますけれども、しかし、その運用については、これは通常貿易に基づく赤字を補てんするという場合にのみ運用さるべきであるわけです。アメリカは、国際通貨基金が発足するに当たりまして、この運用について、通常の貿易取引の赤字補てん以外にはこの資金は運用すべきではないということをはっきり確認しておるわけであります。それにもかかわらず、アメリカはその後ドル危機に際会しまして、このIMF運用に関する規約ですね、これは第六条で規定しておるわけでありますけれども、これを拡大解釈しまして、そうしてホット・マネーの移動に伴う国際収支の不足を補てんすることができる、こういうふうに解釈して、この貸付資金の運用をはかろうとしているわけです。本来ならば規約を改正して行なわなければならないのでありますが、規約の拡大解釈を御都合主義で行なっているわけです。これに対しては各国からも非常に不満が出たわけでありますが、最後的には各国はその拡大解釈を承認したわけでありますから、承認した以上は、本質的には規約に違反するのだけれども、これは運用されていくと思います。しかし、本来の趣旨からいえば、IMFを設けた趣旨からいえば、これは変則的なものであって、そういう面からいって、これはホット・マネーの移動に伴う国際収支の不足をこういう形で補てんすべきではないと思うのです。それはあくまでもその根本の原因にさかのぼって、この施策を講じなければいけないと思う。これが第二の反対理由であります。  第三は、日本外貨事情は、これまでの質疑を通じて明らかになったのですが、今アメリカ市中銀行から借金をしなければならないような状態になっております。また、日本短期資金は大体二十一億ドルぐらいあるのですが、これに対して外貨準備アメリカ借金を入れて十五億ドル程度でございます。そういうような状況であり、日本はそういう二億五千万の貸付をする余裕がある状態ではないと思うのです。したがって、この貸付協定には私は参加すべきではないと思うのです。これが第三の理由です。  それから、第四の理由としましては、かりに協定に参加するとしましても、もっと日本としては——IMF理事会等でフランスその他各国から、これはアングロサクソン通貨の安定をはかることが主であり、たとえばドル危機の防衛対策の一環なんであって、アメリカの犠牲になるということが非常に論議されたわけです。そうして基本的対策としては、IMFの資金の拡充強化以外の基本的対策を講ずるべきである。つまり、各国通貨政策国内経済政策というものが、国際的通貨不安を根本的に除去する対策でなければならぬということが強調されておるのですね。日本もやはりそういう意見を十分にあそこで開陳して、そうして協定賛成するなら賛成すべきであったと思うのでありますが、これまでの質問を通じて、今の国際通貨基金の規約に毒反しないのだということで、この協定賛成しているわけです。いかにも自主性がないということが明らかになりました。そういう点で非常に遺憾に感じたわけであります。  以上のような諸点から、この法案日本社会党として反対する次第であります。
  50. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 私は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、日本共産党を代表しまして反対をいたします。  今回の国際通貨基金強化策の根本原因は二つあると思うのです。一は、アメリカの戦争政策から来るドル危機の問題、二は、ドルの減価にかかわらず一オンス三十五ドルの管理価格を維持しておること、しかもこのドル危機を西欧諸国及び日本の犠牲によって回避しようとする、ここにあると思うのです。また、国際通貨基金強化策は、西欧各国の批判のあるごとく、ドル危機再現のもとでは全く効果がないものと考えます。このような性格を持つものである限り、世界通貨安全の根本的解決には何らならないと考えるわけです。かかるアメリカ政策に同調することは危険きわまることであり、日本としてはなすべきではないと考えますので、反対をするものであります。
  51. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  53. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩    ————・————    午後一時五十分開会
  56. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開会いたします。  外国人等国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  57. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 外国の航空機で日本に乗り入れている国にどういうものがあるか、まず説明してもらいたいと思います。
  58. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 資料が完全でないかとも思いますが、東京国税局で調べました外国航空会社でわが国に入っていますものを、その国の名前だけで申し上げますと、まず北欧のスエーデン、ノルウェー、デンマーク、フランス、インド、英国、カナダ、香港、中華民国、オランダ、アメリカ、オーストラリア、スイス、ブラジル、西独と、このくらいだと思います。
  59. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 今度は逆に、日本の航空機が外国に行っている国をひとつ。
  60. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 日本航空だけでございまして、日本航空の国際航路は、アメリカヘシアトル線、それからホノルル経由でサンフランシスコ線、それからホノルル経由でロスへ行っております。それから、ヨーロッパへ参りますと、東京を立ちまして、アンカレッジ、コペンハーゲン、それからロンドンとパリへ行っております。それから、東南アジア方面ですと、東京発台北−香港線、それから東京発で香港−サイゴンーバンコックーシンガポールと、これだけ日本航空が海外へ行っております。
  61. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 それから、近く予定されている延長線、そういうものがわかっておれば……。
  62. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) はっきりと私存じておりませんが、アメリカにおきましては、このロスとサンフランシスコの太平洋岸しか入っておりませんが、これをアメリカ大陸内に乗り入れたいという交渉をやっておるのが一つと、それから南回りアジアからヨーロッパへ飛ぶ線といたしまして、バンコックからカルカッタ−カラチ、それからカイロまたはベイルートを経過いたしましてローマ−フランクフルト、そういう線を予定し、これは国際航空協定がございますので、今折衝中だと聞いております。
  63. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 今の説明でもわかるように、日本へ航空線を持っておるという外国の航空会社、これは相当数に上っておるわけですね。ところが、日本からこれらの諸外国に航空線を持っておるというのは非常に少ないわけですね。こういう事情で、相互主義によって非課税措置をするということになると、どういうことになりますか。日本は相当不利益をこうむるのじゃないか、こういう感じが第一にするのですけれども、その点はどうなりますか。
  64. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) おっしゃいますとおり、この相互免除に関する法律に基づきまして、関係国との間に相互免除の取りきめをいたします場合に、不利、有利という問題が起こってくると思います。むろん、そのほかにもいろいろ問題があろうかと思いますが、この場合に、おっしゃいましたこの相互主義という観点に立ちまして、日本相互主義で相手方の国とそういう取りきめをするについて、非常に実益が少ないとかあるいは非常に不利であるというような場合に、相互主義の観点に立ちましてそう話が進むものでもありませんし、また進めるべきものでもないと思います。したがって、相互主義という以上は、両方にある程度の利益関係が均霑されるというのが条件だろうと思いますが、御存じのように、日本は、船にいたしましても、航空機にいたしましても、特に航空機につきましては、東南アジア方面を通りましてヨーロッパ方面へもこれから進出したいという計画を持っておるときでもありますので、それを考えたときに、将来一体相互主義ということで取りきめをするのが適当かどうかということは、その時々に立って、かつまた、ある程度日本の船、飛行機等の国際線の開発計画等をもにらみ合わせまして、不当に日本が損をするとかあるいは意味がないといわれるような場合には、相互免除の協定はやらないという方向で救えるものと考えております。
  65. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 で、さしあたり、この法律が成立した場合、相互主義による非課税措置をとるというととが予定されている相手は、どういう国がありますか。
  66. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 船につきましては、先ほど申し上げましたように、台湾、フィリピン、ビルマ、それからニュージーランド、オーストラリア、それからメキシコ方面におきまして、まだ取りきめがないままで相当日本の船が課税されておる。実績の大きい国でございますので、こういうところにつきましては、まだ確定的な外交交渉を始める計画も何も持ってはおりませんが、まずこういうところから手をつけるということに相なろうかと思います。  それから、飛行機につきましては、先ほど申し上げましたとおり、アメリカ線は別といたしまして、ヨーロッパに乗り入れを計画いたしておりますので、そういう関係国との間で話し合いを進めるというのが、先着順位じゃないかと思います。特にヨーロッパにおきましては、フランス、それから西独、イタリア等と協定を結ぶのが先決じゃないか、こう考えております。
  67. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 それで、アメリカの場合ですね、これは相互主義による非課税措置という方法でいくのか、これは租税条約とはどういう関係になりますか。
  68. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 国際運輸業にかかる所得に対する相互主義による非課税というこの法律によるものと、それから租税条約によるものがございます。その関係についての御質問だろうと存じますが、単に国際運輸関係のみならず、その他一般に法人税、それから個人の所得税を初めといたしまして、相互の国の間において資本の交流とかあるいは人間の動きとかいうものが激しい場合には、船、航空機のほかに、一般的にこの二重課税を排除するという意味におきまして、租税条約を締結するのが非常に好ましいことは申すまでもございませんが、何分相手方の国内事情、政治事情、それから双方の国内法の相違等によりまして、租税条約を結びますときに非常に時間がかかっております。現に今まで結びましたものにつきましても、二年前後は優にかかる、こういう状況でありますので、できれば全般的な全体条件といいますかを含めて、租税条約によるのが非常に好ましいのですが、こういう国際間の運航等に関しまするものにつきましては、もっと簡易な手続で、相互の条件がそろうときにはもっと簡易な方法でやるほうが便利であるというわけで、この法律に従ってやるということに相なります。もう一つの相違は、租税条約によりますときには普通、所得税、法人税に関する二重課税の排除ということが中心になりまして、地方税を含めておりません。ところが、この外国船舶の所得税の免除に関する法律によりますと、現在でも所得税、法人税のほかに事業税が入っております。今度はこのほかに住民税も加えて、国税、地方税をも入れてやろうというふうなところが違う点じゃないかと存じます。
  69. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 現在、租税条約によって二重課税を回避というか、いわゆる租税条約を結んで、そうして船舶とか航空機による二重課税を免除する、こういうふうにすでになっている国はどういう国ですか。
  70. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) まずアメリカでございます。これは船舶、航空機。それからスエーデン、これも船舶、航空機でございます。それからパキスタン、これは航空機のみでございます。それからノルウェー、これが船舶、航空機。それからデンマーク、これも船舶、航空機。インド、これは航空機、それから船舶もございますが、船舶は、これは全免じゃございませんで半減であります。シンガポールが船舶、航空機、オーストリアが船舶、航空機。したがいまして、この免除に関する法律によるもののうち、この租税条約のあるものは米国とデンマークとノルウェーということに相なるかと思います。
  71. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 半減というのはどういうことですか、中身は。
  72. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) なかなかむずかしい問題になりますが、普通お互いの国の船が相手国に寄ったときに、相手国で生じた所得につきましてお互いに全免をやろうというのが全部免除する相互協定でございますが、課税さるべき範囲の半分は課税を負けましょう、半分は課税いたします。これはインドと条約を結びましたいろいろな経過を聞いてみますと、日本の船はじゃんじゃんインドに行くが、インドの船は日本にあまり来ないというようなことで、インド側の要求がございまして、この条約がこういうふうになっております。「一方の締約国の企業が船舶の運用によって取得する利得に対し他方の締約国により課される租税の額は、その額の五十パーセントに等しい額だけ軽減される。」、半分は船について負けましょう、こういう租税条約がございますが、ほかにはこういう例はありませんです。
  73. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 そうすると、すでに租税条約を結んで、それによって措置していくという国が、米国とかスエーデン、パキスタン、ノルウェー、デンマーク、インド、シンガポール、オーストリアと、こういうことになるわけですね。これは航空機についてはこれらの国とも租税条約ですでに措置済みである、こういうふうに考えていいわけですか。先ほどの説明では、米国、スエーデン、パキスタンの三国は航空機何んとかいう、そういう説明があったのですが、それがちょっとわからない。
  74. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) アメリカ、ノルウェー、デンマーク、いずれも船舶、航空機両方につきまして租税条約がございますが、先ほども申し上げましたとおり、この条約によりますときには、地方税も含めて相互に免除するということが条約の中では普通取りきめておりませんのです。したがって、法律によるものよりも範囲が狭いということが言えると思います。
  75. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 まあその点はあとでちょっと質問することにして、そうすると、租税条約を結んでいる国々との間には今度の相互主義による非課税措置というのが必要がないのか、あるのか。一応ないように思われますが、これはどういうことになりますか。
  76. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 国税、地方税を問わず、およそインカムに課せられる税金を相互に免除しようというのがこの趣旨でありますので、地方税を含めてないものにつきましては地方税をも含めるという意味において今回の法律意味があると思います。
  77. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 そうすると、こういうことになりますね。従来の租税条約では地方税は含まっていない、それで、それだけでは十分でないので、今度の措置によって地方税も含めて非課税措置にするということについては、やはり相互主義による非課税措置というものを租税条約を結んでおる国々ともやっぱりやっていかなければならぬと、こういうことになりますか。
  78. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) おっしゃるとおりでございます。
  79. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 そこで、一例ということになるのですが、アメリカとの関係ですね、航空機について考えた場合、アメリカからの飛行機というのはずいぶん日本に来るわけですね。どれくらい来ておるのか、数字では私は知りませんけれども、いろいろの航空会社が東京へ来る。日本の場合ですね、日航がアメリカへ行く。それは先ほど説明があったように、ハワイ経由、シアトルはどこを経由するのか、北方経由ですか、それのみで、しかも太平洋沿岸というふうに極限されていますね。それでは全く均衡がとれないじゃないかというふうに思うのでございます。それを相互に非課税にするということは、ほとんどこれは日本の利益というものを放棄しているようなかっこうじゃないかと思うのですがね。そういうことにならないですか。
  80. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 現今の利用度といいますか、相手国への乗り入れの程度、度合いからいいますと、おっしゃるとおりになると思いますが、相互主義というのは、全く利益といいますか、相互の乗り入れの点も何もかもほとんど均衡のものでないと損得が起こるからできないというものでもないと、こう存ずる次第でありまして、また日本の航空機も、今は日航しかございませんが、日航自身につきましても、アメリカの大陸内に乗り入れようという計画を持っておる時期でもございますので、日米間におきましてはそう損得だけでもって割り切りがたいものがあるのではないか、こういう気がいたします。
  81. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 ちょっと関連して。今日本の航空機が向こうに行って払う税金の総額、それから諸外国が日本へ来て払っている税金の総額を、ひとつ出して下さい。
  82. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 日航で調べた資料でございますが、御満足のいく精緻な資料でもございませんが、手元に持っておりますだけで御返答申し上げたいと存じます。日航が今進出しております一番大きな先はアメリカでございますが、先ほども申し上げましたとおり、国税は相互免除によって日航は払っておりません。ところが、地方税は免除にはなっておりません。が、一九六〇年以降、日航の全世界所得国内線と国際線に区分いたしまして、国際線のうちアメリカで獲律したインカムについては幾らになるかという計算方法をとってよろしいという了解がつきました。ところが、日航につきましては、国際線は赤字でございますので、アメリカにおきましても地方税は払っていないという状況でございます。ただ、払っておりますのは、各州ごとにインカム・タクスとしまして均等割というのがございます。これは百ドルでございますが、これだけ払っておるというのがアメリカに関する問題でございます。
  83. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 昨年の総計はどのくらい、日航はどのくらい税金を払っているか。
  84. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) アメリカにつきましては、今申し上げたとおりでありまして、国税は払っていない。地方税も免除を受けておる。ただ、均等割のみを払っておる。ただ、このほかに固定資産税その他幾ら払っておるか、資料は持っておりませんが、もうけから免じた課税状況は日米間においてはそういう状況になっております。
  85. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 インカムというのは合計どのくらい払っているのですか。
  86. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 今申し上げました国際線は赤字でございますので、インカムについての税金は、ミニマム・タクスという均等割、これは百ドルというのは各州ごとに百ドルの均等割しか払っておりません。ですから、インカムに対する課税はほとんどない、こう申し上げてもいいと思います。
  87. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 アメリカ日本に払うのは、アメリカ以外にもほかの国で日本に税金を払う国があるでしょう。それを合計したらどのくらいになるか。日本が諸外国に払う税金はどれだけか、諸外国が日本に払う税金はどれだけか。先ほどから荒木さんが質問しているのもそれがあると思う。
  88. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) じゃ、日航が払っている額から申しましょう。一番大きな進出先であるアメリカは今申し上げたとおりであります。そのほかで課税額の大きいところを申し上げますと、台湾、中国です。国税たる営業税といたしまして二百七十二万四千円、それからタイ国に対しましてインカム・タクスといたしまして九十二万七千円、それからビジネス・タクスといたしまして五十二万七千円、それからフィリピンはこれは乗り入れておりませんので払っておりませんが、ただフィリピンに対しましては、一種の事業税といたしまして、これは三十六年四月から三十七年の三月まででございますが、百二十九万。結局、中国、フィリピン等に支払う額が非常に大きいということに相なっております。  それから、外国の飛行機が日本へ来て課税されております実績を申し上げますと、課税年度が違いますので、なかなか総計というわけには参りませんが、フランスのエア・フランス、これは大体の傾向をごらん願えるかと思いますが、三十三年十二月に、これは税金じゃなしに課税所得でございますが、百七十万、三十四年十二月に四百三十万、三十五年十二月に工百三十万。それから、香港から入っていますキャシー・パシフィック・エア・ウエーズというのが、三十五年六月に三百三十万、中華民国から入っていますシビル・エア・トランスポート、この会社の飛行機が三十五年三月に三十五万、三十六年三月はゼロの申告でございます。それから、オーストラリアのカンタス・エンパイア・エア・ウエーズという航空会社は、三十三年十二月に三百十万、三十四年十二月に七百九十万の課税標準になっております。あとは無申告または相互協定によって免税されているものでございまして、今持っております資料によりますと、それぐらいが課税額の大きなところじゃないかと存じます。
  89. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 私たち知りたいのは、要するに日本が払う金がどれだけで、それから日本が受け取っている金がどれだけか、それをお互いに非課税にするとバランスが取れないのじゃないかという点だと思うのですよ。それで、飛行機のみならず、船も含めて今度非課税になった場合はどれだけ日本が現在得ている税金を損するのかということ、それから今度非課税になったら相互的にどれだけ日本が税金を払わなくていいようになるのかという点、それを率直に知りたいわけです、数で。  それから、もう一つ、非課税は、結局何でしょう、日航が払う税金でしょう。それから、向こうの外国の飛行機、アメリカの飛行機が来て、アメリカだけでなくて、外国の飛行機が払う税金は日本政府の収入になるのでしょう、そうでしょう。それで、払うのは日航が払う。日本政府が払うわけではないのでしょう、外国に行った場合。そうでしょう、税金は。そうすると、非課税にするということは、日本政府の立場から見たなら、収入はゼロになってしまうことで、日航の出す税金が相殺されてしまうということで、日航が得をして、日本政府、国は利益を得ないというのと違うのですか。何だか日航にサービスをするような感じがするのだが……。
  90. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 日航は日本に本社がございますので、全世界所得について日航に課税をいたします。それから、日航が、今アメリカでは課税になっておりませんが、課税になったとすれば、課税になったら、対象になる利益も本社で全部含めまして税額を出して、それで外国へ払ったものだけはそれを控除してやる税額控除の制度はございますが、その企業の中心といいますか、本店のある所在地国では全所得額について税金をかけております。
  91. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 税金を払う者はだれか、税金を得る者はだれかということです。払う者と得る者が一体ならば、問題はないと思う。しかし、日本から日航の飛行機がアメリカに行って、税金を払うとすれば、それは日航という会社が払うのでしょう。それで、アメリカの飛行機が日本に来て、もし日本に税金を払うとすれば、それは国の収入になるのでしょう。だから、税金を払う者と収入を受け取る者が一体ならば問題はないと思うのですけれども、そこが違うのじゃないですか。
  92. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) そういう面でながめずに、日本の日航がアメリカに行ったときには、アメリカ政府が、日航がアメリカでもうけた分についてだけ税金をアメリカが取ります。日本政府は、アメリカの飛行機が羽田に着いた、羽田でいろいろもうけます、そのときに日本政府が取ります。日本政府の取り分とアメリカ政府の取り分とをお互い免除いたしましょう、こういう考え方であります。
  93. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 さっきのは地方税も含んでいるのですか、日本政府に納める税金の中に。さっき報告されましたね、地方税。  それから、ついでに、今度のこの法律に地方税も——今までは地方税はかかっていて免税ではない。非課税ではない。今度は地方税を非課税にした場合、日本の地方財政にはどのくらいの影響があるか、調べられていますか。
  94. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) お答え申し上げます。現在地方税として課税しておりますのは法人事業税分だけでございます。その分は、これは課税年度は多少事業年度とずれておりますけれども、大体三十五年を中心にして申し上げますと、千七百万程度でございます。
  95. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 今度はあれですね、事業税のほか道府県民税、市町村民税も非課税にするということになっているのですが、今までは道府県民税、市町村民税はかけていないわけですか。
  96. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) 従来は、御承知のとおり、道府県民税のうちの法人税割は法人事業税を課税標準といたしております。法人税を課税標準といたしております。したがって、法人税の課税標準がゼロである場合には、これは課税できない、こういう仕組みになっておりまして、したがって、法人税が相互免除になっておる場合には、地方税の法人税割は課税しない。法律制度的にはそうなっておるわけであります。それから、住民税のうちの所得割でございますが、これは従来、所得税を課税標準としておる方式のところは、ただいま申し上げたと同様の関係になって課税をしておらなかったのでございます。制度として課税標準がない結果、税額が出なかったという結果になっておるのでございます。
  97. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 要するに、今までは法人事業税だけで約千七百万。
  98. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) はい、法人事業税だけ、三十五年度を中心に申し上げますと、千七百万程度課税しております。
  99. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 これは航空機。船舶、は……。
  100. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) ただいま申し上げましたのは航空機だけでございまして、船舶は、従前から大正十三年の法律で事業税が入っておりまして、その適用を受けておるものについては全部非課税になっております。相互免除、で課税しておりません。
  101. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ああ、そうですか。船舶においては、この租税条約によってすでに非課税になっていると。
  102. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) 租税条約でなしに、大正十三年法律第六号の関係で相互免除で非課税になっておるわけでございます。大正十三年法律第六号、まあ今日全文改正しようとする法律には、大正十三年以来営業税が入っております。それが事業税というふうに法律改正になって、それが適用を受けて課税をしていないという状況になっております。
  103. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 その法律は、やっぱり国際協定によって、それに基づいた法律なのですね。
  104. 説明員(降矢敬義君)(降矢敬義)

    説明員(降矢敬義君) 大正十三年法律第六号に基づきまして、外交交渉、交換公文によって確認をしてやってきたわけでございます。
  105. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 今の問題ももう少しお尋ねしなければならぬと思うのですが、問題は、相互主義によって非課税制度をとっている、これは必ずしも悪いことではないと思うのですね。しかし、その前提に、まあ航空機の場合特に言いたいことですが、やっぱり相互主義による乗り入れの問題をまず確立する必要があると思います。先ほどお話があったように、日本の場合は、東京といえば、これはもう日本じゅうどこでも、どこの航空基地に着いたも同じくらいの価値があると思うのですね。東京といえば。日本の場合は、ハワイ経由と北方経由と、わずかにシャトル、サンフランシスコですか、まあそれくらいの太平洋沿岸しか乗り入れていない。これは全く相互主義の原則からいって不当の——日本はまあ航空事業がおくれておったという事情もあるかもしれませんが、制限を受けている。当然アメリカの主要な地域に乗り入れできる、こういうやっぱり平等の立場というものができなければいかぬと思うのですね。そういう面の交渉をもう少し詳細に説明してもらいたいと思うのですがね。どういうわけでおくれておるのか。あるいは日本の航空会社にそれだけの能力がないのか、あるいはその他の事情によるのか。税金のほうだけは相互主義で非課税になる、これはいいと思うのですがね。しかし、それには前提として、やっぱり相互に乗り入れる平等な立場というものが確立されなければならぬと私は考えるのですよ。そうでなければ、いろいろ日本が一方的に不利な立場に立っている。相当たくさん税金が取れるのに取れない、こういう事情が生まれてくるのじゃないかと思うのですがね。
  106. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 私、この日本の航空事業の諸外国への乗り入れ計画その他、最近の計画はここに持ってきておりません。運輸省等で調べたいと存じますが、そのときに二つ問題ございまして、今おっしゃった条約によるものにつきまして、すでにアメリカとは条約を結んでおりますが、船とか航空機とか国際的なパターンとしてのお互いに免除し合うという慣習ができておるというもののほかに、ああいうアメリカのような先進国と申しますか、日本は資本受け入れ国ということに相なっておりまして、利子、配当、ロイアルティ、それからお互いに居住者問の所得の課税、あらゆる条件につきまして条約というものを結んでいるわけでありまして、その一環として航空機と船というものが入っているわけでありますので、全体を結びます条約の内容とのかね合いで考えなければならぬ。かつまた、この船と飛行機の問題は、非常に国際的に共通して相互免除をやろうという一種の慣習のあるものであるということも考えなければならぬと思います。  もう一つ、きょう御審議願っております法律、これが通りましても、すぐにどこの国ともそうなるのだというのではないのでございまして、先方が日本のためにどの税をどの範囲で免除するのか、それに応じて日本もその国の船、飛行機の日本であげるインカムについてどの範囲でどの程度免除するのか、新たに別個の外交交渉が持たれまして、交換公文等が交換されるときに初めて、われわれのほうで政令の中に、国とどういう税金をまけるかということをあらためてそこにつけ加えて書くということでもって発効するということに相なるわけでありまして、今御審議願っておる法案は、それが通れば、どこの国ともそのままになるのだということでなしに、ほかにあらためて荒木委員がおっしゃったような諸種の事情考え、相互主役の実が生かされるような国と条件のそろったときにやるということに相なるかと存じます。
  107. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 これは相互主義ですからね、日本の乗り入れていない、航空機が入っていない国との間には成り立たないと思うのです。双方が乗り入れているものでなければ成り立たない。しかも、利手側がどういう条件を出すかわかりませんから、今お話しのとおりだと思うのですね。  私の主要な質問は、日本の航空事業というのは非常におくれた。ですから、国際航空路線というのは非常に短いですね、日本の場合は。その立ちおくれがあるわけですね。これはアメリカだけの問題じゃないと思う。ヨーロッパ方面における進出というものは、全く皆無といっていいくらいないわけです。そこで、課税の問題もさることながら、それの前提として、相互に乗り入れるというこの問題、私は重要じゃないかと思うのですね。これがまだ十分伸びていない、国際路線が伸びていない、その理由と、また将来の展望ですね、そういうものを、やはり運輸省からも来てもらって、この際説明してもらいたいと、委員長、私思うんですがね。そうしないと、前提がはっきりわからぬですね。あなたのほうでそういう展望はわかりませんか。また、どういう事情になっているのか、最近のこの航空機乗り入れの交渉ですね、どういうふうになっているのか。
  108. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ちょっと関連して。そのあとで、先ほど、この法律が通ったあとは外交交渉で具体的にそれをきめるというのですから、そういう条件やなんか、今度国会で確認したりなんかする機会はあるのですか。一応この法律が通ると、あとは政府にまかしちゃうわけなんですか。
  109. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 今の法律の建前では、交換公文を取りかわすことによりまして、政令の中に、新しい国とその国との間の条件を書くということに相なるわけでありまして、法律の形式でこちらで御審議願うということに相ならないものと存じます。
  110. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうすると、ある程度までそういうものの内容がわからぬと、何か政府に一任しちゃうような格好になってしまいますね。ですから、法律をわれわれ審議するときには、ある程度施行細則とかなんとか、内容をある程度まで一応わかっていないと、あとで非常に——かりにですよ、不利になったような場合、国会でどうもしょうがないじゃないですか。これを通したあとは政府に御一任ということになっちゃったら、ある程度までそれが固まって、最終的に固まっていなくても、大体こういうことになって決して日本には不利ではないのであるということが一応わかりませんと。それから、今荒木委員が言われたようなことも含めてですね。  それから、ついでに、たとえば全体の、さっきお話しのように、日本は資本受け入れ国でしょう。それで、外資やなにか非常に導入していますね。外資導入なんか多いでしょう。それとまた、貿易外収支でも、運賃とか保険料とか非常に支払いが多いわけです。今国際収支で非常にマイナスになっているわけですね。特にアメリカでは、例のボナー法とかというものがあって、それでアメリカから輸入するときはアメリカの船を使わなければならぬという、ある程度までね。日本の積み取り比率が低くなるわけですね、日本の船の。そういう場合、やっぱり日本は非常に、相互主義でやった場合、日本が外国にうんと投資している場合あるいは日本の船が外国にどんどん就航して日本が貿易外の受け取りがたくさんあるという場合に、相互主義でやった場合日本は得ですが、しかし、相互主義でやった場合日本は損でしょう。そういう場合は損ですね。もしそういうものがなかったら、そういう協定がなかりせば、日本は外国からどれだけの税金が取れ、日本は外国にどれだけ税金を払うということを計算してみれば、日本は非常に取り分が多いわけです。もちろん、それだけでは考えられませんが、資本導入とかなんとかという立場から新たに考慮しなければなりませんがね。しかし、そういう場合に、やっぱり日本としては、日本がかなり相互主義による税金課税の免除によって損をするという立場にあるならば、たとえば海運についても積み取り比率なんかについても、もっとそういうことを根拠にして日本に有利に外交交渉をするというような手もあると思うのですよ。そういうことも含めて考えなければならないと思うのですけれどもね。
  111. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) なるほど、お互いの国の租税としての取り分の損得ということもそのポイントになるかと思いますが、国際的にお互いに乗り入れる船とか飛行機等につきまして相互免除をやろうとしている国際的な慣習がこうして大きくなってきている原因は、国際線の船なり飛行機なりの運航をやる企業の育成といいますか、ほうっておきますと、それぞれの国に源泉のある所得につきましてその国々で勝手な課税を受ける、その結果まあ二重課税というものが生じて参りまして、国際運航の飛行機なり船なりの企業の発達を阻害するということで、いっそのことその企業の本国で一括税金を取ればいいじゃないかということでもって、こういう国際運航企業の育成をやろうということが私は主体になっておるものと考えます。今おっしゃった点も十分考慮に入れる必要があると思うのですが、国際的な慣行としての相互免際というのは、私が今申し上げたようなところがポイントじゃないかと思います。  それから、今からどういう条件でやれというお話、どういう条件なのかきまっていないとこの法律の通過自身がおかしいじゃないかということでございますが、先ほど申し上げましたとおり、法律が通ったからといって、全部の国についてやるというわけじゃないのでありまして、相互免除の趣旨が生きる国についてまず交渉が始まるということが予見し得ると思います。船につきましては、戦争で相当船も喪失いたしておりますが、日本はやはり諸外国のうちでも相当回復して参りまして、絶対優位の地位に現在もありますし、これから上ってくる可能性も大きいと思います。それから、航空機は、なるほど日本へ来ておる飛行機は非常に多いのでありますが、日本航空の場合について見ますと、先ほど申し上げましたように、国際線が赤字になっている。これはいろいろ原因もあるかと思います。大部分、飛行機の購入資金なんかもアメリカの航空会社から借りまして、借金で買っておるという状況でありまして、自己資本の充実もなし、それから償却も十分行なえないというまだ未発達の状況にあるわけでありまして、いろいろな方面からそうした日航への援助といいますか、経営基盤の強化というために手は打たれておりますが、まだ萌芽の状態にある、これから伸びていく性格のものじゃないかと、こう存じますので、したがって、相手方が日本へ来ておって日本の飛行機がまだ向こうへ行っていないという国等につきましては、新たに、この相互主義考え方から申しましても、交渉といいますか、具体的なそういう話し合いに入ることはないものと存じます。それから、航空機につきましては、日航が今乗り入れを予定いたしております先ほど申し上げました南回りの国々について、まず考えるのが順序じゃないかと、こう存じます。それから、船につきまして、先ほどおっしゃいました国同士の税金の取り分の損得なんですが、船につきましては、どうも外国の船会社もあながち日本の船会社と同様にそうもうけておる国はない。必ずしも黒字ばかりではないと聞いておるわけでありまして、もし課税するとなっても、そう取り分は大きくないものと感じ取っております。
  112. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 それで、租税条約によると、米国は別として、スエーデンとか、それからノルウェー、この間のノルウェーと日本、 スエーデンと日本、これは租税条約によって航空機についても非課税の措置をとっておりますね。ところが、ノルウェーとかスエーデンというのは飛行機が日本へ来ておりますね。日本の場合はあっちへ行っていないのですね。それをなぜ非課税をやっているのですか。
  113. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 先ほど申し上げましたとおり、免除に関する法律に基づきます交換公文のやりとりでもって、免除したものでないのでございまして、資本取引、それから営業取引、法人税、所得税、全部合わせました広い範囲の租税協定というものをそれらの国と結んだわけでございますので、その中に国際慣行として取り入れられてある。船と航空機について、すぐには日本としては実益がなくても、近々ヨーロッパヘも進出する可能性もありますし、また進出するくらいの元気がないといけないわけでありまして、そういう大きな租税条約の一環として国際的なパターンが一部として入ったということだろうと存じます。
  114. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 どうも私はっきりわからない点があるのですが、租税条約によって相互的に非課税にしますね。そのときに、さっき産業の育成の点云々ということがありましたね。それ以外に、資本取引なんかということはどうなんですかね。私は割り切れないのは、アメリカから非常に外資がどんどん入ってきていますね。これは資本の導入でしょう。そういう場合に、日本アメリカ貸付ということをやっていないでしょう。ほとんど一方的でしょう。そういう場合の非課税措置ですが、相互的に非課税するということになったら、日本アメリカに資本を輸出していないですが、アメリカから一方的に資本を輸入していますね。それから、技術関係、そういう場合にはどうなんでしょうかね。
  115. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 木村委員のお話は、船、飛行機のみならず、いわゆる国際間の二重課税廃止のための租税条約全般の問題だと思います。なかなかむずかしゅうございますが、現在、一本が先ほど申し上げました、七つばかり国があったと思いますが、大きな範疇に分けますと、アメリカのような先進国と結ぶ場合、それから東南アジアのようなああいう後進国と結ぶ場合、ヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツ、スイス、あの辺の、ほとんど同じ発達程度で、かつ資本も技術も商品も同じ程度に交流がある国という中で結ばれる条約というものと、おのずからそれぞれ特色を持って参ると思います。アメリカのようなああいう先進国と日本が条約を結びます場合には、現在、今租税条約を改定をいたしまして、まだ通っておりませんが、最初は何がなんでもアメリカから資本が入ったほうがいいというわけで、アメリカから資本が入ってきますと、それに対する配当には日本は源泉課税しない。ところが、アメリカの投資家は日本で課税されたとみなされて、さらに税額控除があるという条約を結んだ時期がございます。これはアメリカが先進国で日本が資本がほしい、こう考えた時代の条約でございます。それから、ヨーロッパのようなああいう先進国同士の間におきましては、相互に外国で発生したものは免除して、特にロイアルティなんかはヨーロッパの先進国同士のいわゆるOEECの国の間では相互に免除する。それから利子配当については、あとになるほど幾分課税の色が濃くなって参るのですが、ロイアルティは非課税、利子は幾分取る、配当はもう少しよけい取る。日本アメリカの場合は——アメリカのみならず、日本は非常にたくさんの技術導入を諸外国からいたしておりまして、外人課税の中の源泉所得税の中で、ロイアルティに対する課税が非常に大きいものになっております。こういう場合には、日本はロイアルティ非課税というわけには参らない、どうしても課税の態度を厳守する必要がある、こういうことで、ヨーロッパの諸国同士の条約のパターンと日本アメリカのパターンが相当変わって参ります。日本とインドかパキスタンとかいう場合になりますと、むしろ日本の資本が出る、あるいは日本の商社が出るという立場にあるわけでありまして、これはかえって日本から現地へ資本が出やすいような条件を作る必要があるわけでございます。したがって、たとえば、私ちょっと数字を忘れましたが、インドに日本の商社の支店がある、インドの法人税がたとえば五〇なら五〇だと。ところが、それを特別に、インドで三〇%の税率に特別措置として軽減しておるというようなことがありといたしますと、日本の本社で外国税額控除をいたしますときには、現実はまけてもらって三〇%しかかかっていないのですが、五〇%かかったものとみなして、外国税額控除をやるということでもって海外進出をはかる。  あるいは低開発国におきましては、日本の支店を設けると非常にいやがる国がございます。自己資本の合弁でないと会社は作らせないという特に南米なんかはそうかと思いますが、これは日本から資本が進出しまして、現地の資本と合弁しているのですけれども、ほんとうならば、支店を作ればいいところを現地法人の子会社を作る必要がある。こういう場合は、現地法人ですから、現地の法人税法で法人税がかかります。それから、配当が日本に参りますが、その配当が参りますときに向こうで源泉徴収がございますが、向こうで源泉徴収された配当分だけ日本の本店で外国税額控除を今までやっておったのですが、これはどうも支店の場合に比べて不合理だ、配当される前に法人税がかかっておるではないか。したがって、日本の親会社に送って参ります配当につきまして、配当がインドならインドで負担した場合に、法人税も、同時に日本日本の法人税額を全部計算いたしますときに、外国で払ったものとみなして、税額控除をしてやろうというようなこと。まあ低開発国に対する資本進出を有利にするという措置をとっておるという状況でございます。  まあ三つパターンがあると思います。対先進国、対後進国、それから同じ国同士の場合。今おっしゃいましたとおり、それぞれの国の発達程度、それから資本の交流、あるいは人的交流、技術交流、貿易関係等を考慮いたしまして、それぞれに適応した条約が結ばれておるということが言い得ると思います。
  116. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それはわかるのですが、ですから、アメリカのパターンというのは、それではっきりするわけです。日本は後進国に資本を輸出する場合には、アメリカのパターンと逆になるでしょう、日本は。それにしてもアメリカとの間は非常に一方的じゃないですかね。それから、それについて、たとえば総合的に非課税にした場合には、それは日本はその面だけでは非常に不利でしょう。だから、アメリカの外資を入れるという立場からはそのほうがいいのかもしれませんが、それにしても、日本アメリカに金を貨す、資本を輸出するということはあり得ない。大体において、ほとんど一方的でしょう。そういう場合に、租税条約はやはり双務主義によって非課税にすると、こういうことになるのですか、その点はっきりしないです。もうちょっとその点を詳しく。
  117. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) ヨーロッパのOEEC諸国のパターンといいますと、ロイヤルティ等につきましては相互免除ということになっておりますし、アメリカから技術——映画技術その他がたくさん入っておりますが、むろん日本が払いますロイヤルティについてアメリカ側は非課税かまたは軽い源泉課税をやってくれというむろん要望があるわけでございますが、日本はそれを受け入れるわけにはいきません。日本は非常にたくさんのロイヤルティを払っておる関係上、源泉課税、これは本法では二〇%ですが、条約によりまして一五%、ロイヤルティはたしか一五%に軽減しておるという形でございまして、アメリカはもっと下げろ下げろと言うのでございますが、後進国の立場といいますか、利益も、われわれ、これはまけていい点とまけられない点は、そこのけじめははっきりいたしておるつもりでございます。
  118. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 で、資本については……。今言われたのはロイヤルティですね。
  119. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 所得税法によりますと、いずれも二〇%の源泉課税をやることになっておりますが、利子につきましては、現在生きております条約は利子は一五%でございますが、今度条約改定の交渉に参りまして、まだ批准がされておりませんが、利子一〇%となる予定でございます。それから配当が一五%であります。それから親子会社関係のものは一〇%、これは大体日本が対先進国に対して守っておる水準でございます。
  120. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 今後交渉によって下げる分というのは、一五%を一〇%に下げる分は、これは配当ですか利子のほうですか。
  121. 政府委員(松井直行君)(松井直行)

    政府委員(松井直行君) 利子でございます。アメリカの民間企業なりあるいは銀行なりから日本の企業が借金をします、たとえば川鉄とか神戸とか。そのときに一五%の、いわゆる払います利子に一五%の源泉課税をいたしますと、アメリカの金融機関が受け取ります利子もコストがあるわけでございます。たしかネット・インカムが二〇%ぐらい、総受け入れ利子のうちネット・インカムが大体二割だったと思いますが、それについて法人税がアメリカでは五〇%かかりますから、一〇%、アメリカで課税になるのは。ところが、日本で一五%の源泉徴収をいたしますと、アメリカ銀行では日本で払った税金の税額控除をし切れない。し切れない分だけは日本の企業への貸付金金利に上乗せをやってくるという事情もございまして、そこで一五%の源泉課税を米国金融機関につきましては一〇%にするということで、この前交渉を続けてきたところでございます。
  122. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  123. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 速記を起こして。   —————————————
  124. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 「国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会議決を求めるの件」を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  125. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 今度の生物学研究所の増築の問題並びに葉山の暖房設備の改造の問題ですね、これは天皇自身の御発議なんですか、いかがですか。
  126. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは陛下は直接ぜひそうしてくれとおっしゃったわけではありませんが、われわれが拝見をしておって、これはたとえば生物学標本室にいたしましても、非常に狭くて、これは御無理だから増築をお願いしたほうがよかろうということでお願いするようにした次第でございます。  なお、葉山の御用邸の付属邸のことについても、これは昭和二年に備えた電気ヒーターを今までずっと使っておりますが、だいぶ古くなっておりますし、まあ防災上も何とかしなければいけないし、それにやはり今の暖房として電気ヒーターではどうも十分ではありませんので、普通の暖房にかえていただく。そうすることが、どうも実際問題として必要である。これもわれわれの判断でお願いすることにしたわけです。
  127. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 天皇は全然、現在もなお知らないというわけですか。
  128. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) われわれのほうで、この国会のほうへお願いをすることにしましてから申し上げて、それならよかろうということに御了解は得ております。
  129. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 まあ、理由は何とあろうとも、六千万円からの金を、国費を使うということですから、やはり慎重に扱わなければいけない、私はそう考えるのです。それで、大体天皇家の私有財産というのは今どのくらいあるのですか。
  130. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 現在、いわゆる私有財産というのは、お手元金、それからいろいろお身回り品というような程度でありまして、これは憲法にも皇室財産は国有財産としているので、現在お住まいになっておるところ、吹上御所にしましても、皇居にしまして毛、問題の葉山の御用邸にしましても、これは陛下の私有財産でありませんで、皇室用に供する国有財産でございます。したがって、この私有財産として特に取り立てて申し上げるようなものはありません。要するに、お手元金とお身回り品、そういう程度のものでございます。
  131. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 そのお手元金というのは、金額にしてどのくらい持っておられるのですか。
  132. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは現在の皇室経済法で、お手元金については、これは宮内庁が経理するものではない、こういうふうな規定になっておりまして、陛下が直接お扱いになるということで、宮内庁という公の立場では、われわれとして申し上げるのはちょっと不適当かと思います。
  133. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 僕ら戦争中にこういうことを聞いたことがあるのですが、天皇は外国の銀行預金をしているとかなんとか、英国の銀行預金をしているとか、アメリカ銀行預金をしているとか、そういうことが戦時中言われたことがあるのです。現在そういうことはないのですか。
  134. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 戦時中においてもそういうことはなかったと思います。というのは、戦時中から終戦後にわたってのいろんな書面がありますけれども、その場合に、占領軍もいろいろ調べましたが、そういうものは全然ありませんから、それもデマだったと思いますし、現在においてもそういうものは全然うわさにも聞いておりません。
  135. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 何だか衆議院の大蔵委員会のときの説明でも、天皇財産が二百何十億かあるというような答弁がなされていたように私ちょっと見たのですが、それはどういうことなんでしょうか。今、皇居の敷地が三十万坪ですか、この間私が視察に行ったときに伺ったのは、三十万坪、あれは天皇家の私有ではないわけですか。
  136. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 私有ではありませんで、国有財産であります。したがって、国有財産法の適用を受けるわけです。
  137. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 皇居全部国有財産で、天皇家の財産ではないわけですか、現在。
  138. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。したがって、衆議院の大蔵委員会で幾らか金額が言われたのは、皇室用財産となっておる国有財産の総額は評価してどのくらいになるかという御質問に対して、管財局長がお答えになったわけであります。
  139. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 すると、今日、天皇は有価証券も何も持っておられないというわけですか。
  140. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) お手元金の性質で、それは少しぐらいはお持ちかと思いますけれども、その程度でございます。
  141. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 その金額はどのくらい。少しぐらいということではわれわれわからないのですが、天皇の少しとわれわれの少しとではだいぶけたが違うだろうと思うので、天皇家はどのくらいの財産を持っておられるものか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  142. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは先ほど申し上げましたように、皇室経済法では、お手元金については宮内庁の経理するものではないというふうに書かれておりまするし、それでわれわれが宮内庁の職員として申し上げるのは不適当だろうと思います。ただ、このことは申し上げてもいいかと思うのです。というのは、占領の際にいろんな株券だとか預金だとかお持ちになっていた。それを占領軍の方針で、要するに皇室財産は国有とする——それは全部国有にするのも実際不適当でしょうと、やはりお手元で不時の用意のこともあろうというので、その際に総司令部が残しましたのは千五百万円、それだけは一応残しました。それが残って、ふえたり減ったりいろいろしておりますけれども、そういうことで御想像になれば、われわれなんかから見れば幾らか多いかもしれませんが、金持ちの大きな方から見れば小さいと思います。
  143. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 私はこの間、各標本室を見まして、非常にたくさんの品物が集まって、そうして手狭になっておるということは私も見受けました。しかし、あそこに何百万円かの金をかけてあれを広げるということよりも、東大なり科学博物館へあのコレクションを移管することによって一般の人たちにも利益を与えるということ、その方向のほらが正しいのじゃないかということを私は考えて帰ったわけなんです。やはり天皇家のあの一室にあれを閉じ込めるよりも、開放すべき性質のものじゃないかということを私は感じて帰ったわけなんですが、どうですか、そういう意思はないのですか。
  144. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) あそこにありまするいろいろの標本につきましては、陛下は生物学の研究所へは木曜日の午後と土曜日においでになるのですが、特別の公務があればおいでになりませんけれども、普通は定例的においでになる。そうして、やはりあの標本を出したりいろいろしながら研究をなさっておるわけです。陛下がもっと気楽にずっと皇居から出て、いろんなところをお楽に出入りなされるというようなことは、ちょっと今の社会情勢ではそういうこともなりませんし、いろいろな方が御迷惑されることもあります。警察の方が迷惑なさるとか、その他交通の関係とかいろんな関係で、主としてあそこにおいでになってなさっておられますので、必要なものはやはりあそこにそろえてあったほうがほんとうじゃないかと、こう思っておるわけです。しかしながら、門外不出にしているかというと、そうじゃございません。いろいろな学会の関係ですとか、それほど、学会とまでいかなくても、一般的な新聞社あたりの主催の展覧会、そういうようなところでひとつ出品をしてもらいたいという場合には、あそこから出品をして、多くの方に参考に供しておられるわけです。門外不出になっておるわけではございません。しかし、そうかといって、東大やなんかに置きますと、研究のたびに一々東大に行って御研究なさらなければならぬというようなことになりますので、現在出すということは不適当ではないかと思うわけでございます。
  145. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 あのコレクション全部あそこに置いておかなければ、研究に支障があるというものじゃないと私は思うのですよ。私は、むしろ博物館かなんかにそのコレクション全部移して、そうして何か必要なときに、もしも博物館へ行くことが不便ならば、その必要なものを取り寄せるという方法、それも私は可能だと思うのです。それよりも一般に公開するほうが意義が深いと思うのです。天皇が研究して、生物学の博士号をとられるというものじゃないでしょうし……。コレクションをすることはいいですよ。だから、それを一般に開放するために博物館に寄付して、必要なときに、もしも博物館に行くことが不便ならば、必要なものを取り寄せることはできるのですから。手元に置いてあれをしょっちゅうながめているというわけでもないのですから、そういうふうにすることが、生物学上も私はいいことじゃないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  146. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは、あそこの生物学の研究のことは、陛下が私的な趣味でなさっておりますることで、われわれも一々そう詳しくお手伝いしておるわけじゃありません。あそこのお手伝いをしている職員は、これは内廷費で入っておるわけですけれども、一般の国費としてではなくて、お手元金の中でやっておられるわけです。そういうような人と静かにやっておられる。どちらかというと、私的な面の世界なんですから、やはり陛下としてあそこで研究されるのに、御標本があそこにあったほうがいいというふうなことでありますれば、われわれもそういうふうに判断しておるわけでありますが、どうもこまかい点はちょっとわかりかねます。
  147. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 僕は、あれはそういうふうな天皇の私的な趣味というふうに理解しないほうがいいと思うのですよ。やはり天皇は日本の生物学の立場に立って、何か貢献をしたいという天皇のそういう意思の結果、ああいうことがなされているのだ、そういうような立場で私はあのコレクションを評価して帰ったわけです。天皇の道楽で、個人的なことであれを集めているのだったら、たいした意義がないですね。そしてその道楽に何百万円かの金をまた国家から出して、そうして部屋を広げるということだったら、これはおかしいと思うのですね。私はあなたの考えと逆の考えをしておるから質問しておったのですが、あなたの答弁を聞いたら私はいやになっちゃった。全くそれはおかしいですよ。天皇家の道楽、そういう道楽ならば、お手元金でやるべき性質のもので、国庫を使うのはおかしいですよ。それは天皇にしてみれば、三百万や四百万の金は何でもないかもしれないけれども、やっぱり国庫というものはもっと尊重しなければならぬ建前にあるのじゃないか。だから、六千万円、ああそうかといって、そのまま天皇が何ら反省なくしてそういうことに金を使っていくというのだったら、これは一考を要する問題じゃないでしょうか。
  148. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) この私的趣味と申しましたのは、これは公務と公私の別を考えますとそうなるということを申し上げたのであります。したがって、いわゆる道楽という言葉が当たるかどうか疑問だと思いますが、やはり現在の象徴としての御活動の公務の範囲ではない、私的な範囲でなさっておる。しかし、そのことが今おっしゃったように生物学の研究に大いに寄与されておることも事実であります。また、そういう御研究をなさっておることが、そういう生物学の研究を通じて、自然界に対する探究ということで、いろいろ人間的な御修養のことにもなっておるということも想像しますし、またそういう面を通じて、この科学を御自身で御研究になっておることを通じて、他の科学全般に対して、陛下も大いに科学に御熱心だということを通じて、科学の進歩の面にも間接ながら寄与されておるということもわれわれ拝察しております。で、そういう面において申し上げたので、私的公的と言ったのは、象徴の御活動という意味と違うという意味で私的と申し上げたのであります。そういうことであります。  経費も、そういう関係上、あそこの普通の活動費は内廷費、お手元金でまかなっている。ところが、ああいう建物とかそういうことになりますと、現在憲法で皇室財産は国有とすという条文があって、そういうまとまったものは国有財産で、皇室の用に供する意味で国で造ってそれを国有財産として皇室の用に供する。現在の吹上御所のところもこれは国有財産である。そういうような憲法の建前からそうしております。しかし、なお金額は六千万とかおっしゃいましたが、そうではありませんで、あの標本室はたしか七百万円だと思います。
  149. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 僕は、国有財産ならばなおさらのこと、ああいう皇居の一隅にそういうものを増築するよりは、この際一般に公開の意味で、上野にある科学博物館にそれを移すなり東大に移すなりしたほうが僕はいいと思うのです。そして、それが天皇の研究の成果でもあると私は思うのです。あそこに置いておくということは意味がないと、僕はそういうふうに考えます。だから、さっき天皇個人の道楽のように理解される点が出てくるわけですね。そうじゃない、天皇は生物学に貢献しようという意思をもってやっているのだったら、やはり僕は外に移すべき性質のものだと思います。ああいうところに七百万円金をかけて増築して、閉じ込めておくべき性質のものじゃないのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。天皇はどういうふうに考えていますか。
  150. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは直接お聞きしたことはありませんですが、今あすこで生物学の御研究をなさっておる近くに標本室があったほうがよろしいというふうにわれわれは想像しています。まあ、いろいろ学界に寄与する面で、そのうちのあるものを見たいという場合には、それは出しておられるわけです。  それで、なお今ちょっと上野の科学博物館のお話もありましたけれども、陛下とすると、どうも日本にまとまったいい科学博物館がないなということをおっしゃっていることもあるのです。ところが、これは陛下の方針でできるわけのものじゃない。個人的におっしゃっているので、これは国のほうの問題なので、政治に関与されちゃいけませんから、今言ったことも不適当かもしれません。いろいろな科学博物館といいますと、行ってごらんになったこともあると思います。たとえば、ああいうものを、またあれと似たようなものを収めるような組織ではない。ごらんになっておわかりだと思いますが、やはりあすこにこういうものがあるとわかっておれば、それがやはり科学の面に寄与されるということになる。そう閉じ込めておくということにならないと思います。
  151. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 おそらく、天皇にあなたおっしゃってごらんなさい、共産党の須藤はこう言っておった、あすこへ七百万円金かけて増築してそこへ置いておくよりは、科学博物館なり、それを全部出して一般に公開して、日本の科学の進歩に寄与するようにしたほうがいいと僕が言っておったと。どうですか、言って聞いてごらんなさい。だから、私が最初、天皇自身の発意によってこういうことがされているのかどうかということを聞いたのです。もちろん天皇の発意じゃないと言う、あなたは。だから、あなたたちの考えによってこれがなされていると私は思う。一ぺん天皇にそのことを相談してごらんなさい。
  152. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 ちょっと伺いますが、皇室費のうちの名目明細を見たのでありますが、皇居付属庭園施設整備費が予算では八千四百七十九万八千円計上してあるわけですね。ところが、今度の計画の予定価格を見ますると、六千四百七十五万になっておりますね。約二千万円そこに違いがあるわけですよ。これはどういうことになるのですか。予算では八千四百七十九万八千円。
  153. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは皇室用財産取得に関する議案ですから、皇室用財産というふうに限られるものの予算額が載っております。そのほかに、この皇居付属庭園の整備のためには植樹その他の経費、木を植えたりする、そういうふうな経費ですとか、それから整地、土地をならすとか、あるいはガス管だとか排水管あたりを移したりする、そういうふうな経費とか、そういうものがそのほかにあるから差があるわけです。
  154. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうですか。それは給水設備とか、何ですか、植木の根回し、移植等、これが残りの約二千万円ですね、そちらのほうに回っている、こういうことなんですね。
  155. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。
  156. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それから、この皇居付属庭園施設整備計画は皇居造営審議会の答申に基づいてなされているということですが、この答申によると、この間伺ったのですが、これだけではなく、今後まだいろいろ計画があるわけですね。そうしますと、今後どのくらいの予算措置が必要になってくると見られますか。これは三十七年度ですね、一応の予算が組まれておるのですが、今後まだ予算措置が必要ではないかと思いますが、皇居造営審議会の答申に基づくと、今後まだ残されている計画ですね、そのほかにもいろいろあるのじゃないか。その計画のあらましと、それによってどのくらいの今後この予算が必要であるかという点、ちょっと伺いたいと思います。
  157. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) この東側地区を皇居付属庭園として整備するという第一年度は、三十六年度、昨年度で、これは八百万円くらいで、この分はおもにまわりの木を植えましたり、将来あの中に入れる苗木を育成するというような経費がおもでございましたが、本年はさらにいろいろの植樹をし、建物を造る、それから整地もしていくというような関係のことで、建物は今年の関係では、ここでお述べしておりまするように、馬車とか馬屋並びにそれに関連する事務室とか倉庫というような程度でございます。三十八年度へ入りますと、今考えられておりますのは、現在呉竹寮というのがまだこわされないでありますが、あそこらあたりはこわしまして、そこらあたりをきれいにする関係があります。それから、宮内庁病院というのが今倉庫の中にあります。先生方もごらんになった方もいるかと思いますが、あれは倉庫でありまして、行く行くは病院らしいものにしなければいかぬ。そういうものを東側地区の一角に移す。そういうようなことが考えられております。それから、その先では馬の施設の一部がまだ残っております。これはオリンピックが三十九年の秋ありますものですから、一部残っておる。そういうところを三十九年が済みまするとずっと整備いたします。  そういうようなことが宮内庁関係のことでありますが、なお、他の官庁の関係のものがあるわけであります。今年でも、警察庁の予算で皇官警察のほうの馬屋を移して新しいものを造る。それから、皇宮警察の、竹橋地区、もとの近衛のところにあります音楽隊の建物、あそこが市民公園になる予定ですが、それがこの一角のところに移っていくとか、そういう問題。それから、なお、この先生になりますと、あそこに恩給局の建物があります。それから、総理府の内閣文庫の建物があります。それから、運輸省の地震研究所の施設があります。そういうものも、この公園化に、庭園化に適しない地にありますから、それをすみのほうへ移すとか、あるいは皇居の外へ出すとか、必要ないものは、造らないでもよろしければこわしてしまうとか、そういうことが行なわれるのであります。  全部が完成してきれいになるのは、今のわれわれの見通しとして昭和四十年を完成の時期として一応考えております。実際やってみて、あるいはそれより延びることがないとはいえませんでしょうが、今は昭和四十年を目標にしております。  それでは、どれくらいの経費がかかるかということなんですが、これは、今あるものをこわして別のものを造る、その設計その他ができませんと、正確な金額はわからないわけでありますけれども、なお概算して数億円の金が、これは宮内庁の予算だけではありません、他の官庁を含めれば数億円の経費がかかるのではないかと思います。
  158. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 この三件の予算措置ですね、これは予定価格になっているのですが、この予算を作ったときから今日まで相当物価が上がっているでしょう。物価が上がっていますね。この予定価格でいくのですか。
  159. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 予算で議決を得ました以上、予算の範囲内でやらなければいけない。今までの例で、予算の範囲でやれない場合には、最初に予算をお願いする際に作っておったプランを少しく縮小したり、使う材料を落としたりなんかして、予算の範囲でとにかくおさめるということを従来官庁で予算を執行する場合にやっておりますので、まあ三十七年度においてもそうやらざるを得ないと思っております。
  160. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 皇居付属庭園施設整備費、これは原則としてやはり公園みたいにするあれでしたね、一般国民もあそこを利用できるようにする。これはやっぱりいいことであるし、やはり計画を立てたり、設計者も相当権威ある人を頼んでいるのでしょうが、予算が足りなくなれば予算内でやるというのでは、まずいような気もするのですけれども。ことに最近非常に物価が上がっておりますから、これはほかの一般の、たとえば学校の建築なんかでも、従来の値段ではみんな工事を引き受けないというような例もずいぶん出てきているのですよ。そういう点は、予定価格となっておりますから、予定価格ですから変更もあり得るでしょうけれども、その点はせっかくいいものを造るのなら、何も私は予算を惜しむ必要はないと思いますよ、そういういい計画なんだから。一般国民に利用させるというのでしょう。その点は非常に私はいいことだと思うのです。かなり物価が上がっている。また、本年度は消費者物価が少なくとも四%また上がるというのですよ。そういう見通しですよ。昨年は六・二%上がり、大体一割くらい。かなりそういう例が出てくると思うのですが、その点で、物価が上がってきたら予算の範囲内で設計を変えたり、手抜きと言っちゃ変ですけれども、今までよりも多少質の落ちたものを使うとか、今までよりも設計を小さくするとかという可能性が出てくるわけですが、その点いかがですか。
  161. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 予算の執行の原則としては、やはりその範囲内でできるだけ工夫してやるということでやるべきで、しかし、事情が非常にどうも許さないような場合、これは予算を定められた大蔵省あたりともいろいろ相談しまして、建設省でもやっておる一部繰り延べとかというような場合が場合によるとあることがあるかもしれません。しかしながら、それはまあ万やむを得ない場合であって、やはり予算の範囲で何とかできるように工夫したいと一応考えております。
  162. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 これは国民の税金でやるのですから、何も、何でもかんでもいい物を作るなら予算を惜しむなというわけでもないのですが、やはりそれはなるべく予算の範囲内でやるべきでしょうが、しかし、物価が予算を編成したときよりもずいぶん上がっているのです。これはこれだけでなく、全体の予算についても言えるわけなのです。そういう点、やはり頭に置かれる必要があると思うのですよ。その点、やはり今後のこれを行なう場合に、あまり粗末な毛のにならないように、私はそれを希望しておきます。どういう方法によるか、またそれは問題でしょうけれども。  それから、最後に一つ伺っておきたいのですが、皇室費の名目明細ですね。これは少し簡単過ぎるのじゃないかと思うのですね。それで、今後お出しになるときには、普通ほかの省の各目明細と大体同じようなくらいに出される必要があるのじゃないかと思うのです。と申しますのは、各省では大体職員俸給費なんかにつきましては、定員というものをこの中にちゃんと積算の内訳として出されているわけですね。これを見ますと、宮内庁の人員というものがわからないようなわけですよ、各日明細では。職員が何人いるか、どのくらいの俸給で、それで俸給費がどのくらいというのは、各省のは各目明細を見れば大体わかります。ところが、宮内庁の皇室費につきましては、非常に庁費のところが少し簡単過ぎるのではないかと思うのですが、これを見ただけではわからないですよ。この点、今後各日明細を出されるときに、もう少し、少なくとも各省並みくらいに出される必要があるんではないでしょうか。
  163. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) そのいろいろな職員の経費とかそういうものがそこにありませんのは、職員の経費は、これは総理府のほうの宮内庁費というところに出ておるわけです。分かれておるわけです。そこへ載っておりますのは皇室費という項目に入るもので、それは内廷費と宮廷費と皇族費と、皇室のいろいろ御活動に必要な経費、皇室用財産の維持管理に必要な経費というようなものだけがそこへ載っているわけです。基礎になっている——われわれは国家公務員で、この関係は総理府のほうの関係の官内庁費のところに各省と同じような書き方で載っておるのであります。そういうことでございます。
  164. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 この庁費ですね、九千九百二十五万ですか、この庁費の中には、これはそういう人件費的なものはないんですね。
  165. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。
  166. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうですか。それから、諸謝金というのがございますね。謝礼のお金だと思うのですが、御進講の謝金とか、御物調査費というんでしょうか、御物調査等謝金、皇居造営関係謝金、これだけではちょっとわからぬ。これは大体この程度の——各日明細のときには、あれですか、いつももう少し詳しく出せないんですかね。
  167. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは昭和三十六年度の予算のときには何でしたか、項目のところはずっとたくさんいろいろなものを並べて書いてありました。ところが、三十七度年からはそれが簡単になって、並べて書いたことの要領を備考のところに書くというふうに書き方が変わったわけであります。これは大蔵省の主計局のほうの予算の作り方がそういうふうに変えられたものですから、それでそれにならって各省そうするんだからそういうふうに直しましょうというので、直したわけであります。
  168. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 そうすると、この内容を見るにはどの予算書を見たらわかるんですか。内容を見るには予算書として、予算書で内容を見る場合どこで見たらいいんですか。
  169. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) その刷り物で、たしか、見ていただいて御疑問の点は、予算委員会の分科会あたりで御説明いたしますというようなことになっております。宮内庁の皇室費の関係だけが特別な作り方をしているわけじゃないんで、主計局のほうでいろいろ指示されて、それに基づいてやったつもりなんでございますけれども
  170. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 三十六年度までは、今の話のようなことになっていますね。ですから、各日明細を見ればわかるようになっている。大蔵省はどうしてそういうふうにしたんですかね。かえってわかりにくくなっちゃって……。どういうわけですか。
  171. 政府委員(天野公義君)(天野公義)

    政府委員(天野公義君) いろいろな方面から、予算書が見やすいようになるべく集約しろという御要望もございましたので、当方としては、できるだけ一目でわかるようなというような考え方で、そういうふうに改善をしたつもりでいるわけであります。
  172. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 これは、この間の財政法改正のときに学者先生に公述をいただいたのですが、そのときにやはり問題になったのですが、この国会で予算の使い方についてもそれがどういうふうに効果的に使われるかという点についての監視が足りないと思う、こういうお話もあったわけです。われわれ、そういう予算の効果的な使用についての、国会の何といいますか、監視というものは、結局予算書でわれわれは見るよりしようがないわけですよ。一応は。それは結局一番詳しいのは各日明細です。ところが、三十六年度は、さっきお話しのように、見れば大体わかるということになっていたのですが、ところが、一般からなるべくよくわかるようにという要望があったのでこう帯いたというのですけれども、実際われわれとしては逆なんですね。三十六年度までは大体見ればわかる。今度は、一応また説明を聞かなければならぬことになるのですね。これはかえって改悪じゃないかと思うのですがね。これだけではわからぬということになるのですが、その点、どうなんですか。せっかく各月明細でわかるようになっておったのです。そう書いてあれば、私がこんな質問しなくたってよかったのですよ。三十六年度のように書いてあれば、何もこんな質問しなくても……。
  173. 政府委員(天野公義君)(天野公義)

    政府委員(天野公義君) 手元に持っていないのではっきりしませんけれども、大体そこの裏づけのものは、さきに提出いたしました厚いのをもう一つ掘り下げてみればわかると思うのですが。
  174. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 各日明細、これが詳しいのがあるのですか。ないでしょう。これは各省別にあるのですよ。たとえば文部省なら文部省、これは各省別にみなあるわけですよ。そういうものが一番詳しいのです。各日明細といったら厚いのと、こう言うのですが、これでしょう。
  175. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは私が知っている範囲を申し上げますと、私の知っている範囲ということが必ずしも正しいかどうか知りませんが、前のはこまかくてわかりやすいようでわかりにくかった。何か細目と書いて、それが事務的に何とかずっと書いてあるので、これではかえってわかりにくいから、今度は備考のところへ事項別に書いたほうがわかりよくあるまいか。前のですと、事項別じゃなかったので、たとえば内訳的なものが案外わからなくて、何を買う経費がどのくらい、何を買う経費はこうと、ずっとあるのですが、何に使われるのかわからないような、きわめて、親切なようだけれども、何に使われるのかわからないということがあったものですから、何に使われるのかわかるように備考のところに書いたほうが親切であろうというので、そういうふうに変えられたように承知しております。
  176. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 備考にあったらいいんですが、それなら、今ここで何もそのために責めるわけじゃないですが、そのまた積算の内訳というものをもう少し工夫して下さいよ。わかりいいようにね。積算内訳については、これだけではわからない。また、ここでこの内訳を詳しく聞けば、ずいぶん時間も食うわけでしょう。質問しなくても済むことが、資料でわかることがわからない。そういうわけですからね。どうも各目明細はいろいろそれはこまかくなりますから、あまり明細にすれば非常に大部になってしまいますから、むずかしいと思いますけれども、なるべくわれわれとしては、各日明細よりほかないのですよ、議員としてまず最初予算書を見る場合には。それから、いろいろな質問をしたりなんかするのですからね。この各日明細についてはなるべく詳細に、これ見て一応わかる程度に今度はしていただきたい、そういう工夫をしていただきたいということを要望しておきます。
  177. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 二、三質問したいのですがね。今度馬屋を建てかえるでしょう。費用はどのくらいかかるのですか。
  178. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 馬屋としては二千四百十七万であります。
  179. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 もう今日自動車を、ほとんどの儀礼の交通にも自動車を使って、もう馬屋などというのは、私は時代おくれもはなはだしいのじゃないかと思うのですね。あんなものは廃止してしまったらどうですか。何のために必要があるのですか。
  180. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 宮中の儀礼的な面で、よく大公使の信任状の奉呈やなんかに来られる場合、そういう場合には、馬車を宿舎まで従来出しております。その国の大公使館または宿舎から馬車で来られて、それからまた馬車で帰られる。それから、国賓——外国の元首あるいは総理級の方がおいでになる、そういう場合も、宿舎から最初宮中御参の場合は馬車を出して、馬車で来ておられるというようなこと。そのほか、園遊会の際なんかに、古式打球という、昔からある日本式のポロですけれども、そういうものを公開するとか、あるいは何かの際に、ほろひきという、これもまた昔からの古式の馬術のものですが、そういうものをお見せしたりしている。そういうようなことで馬を使っているわけです。主として使いまするのは外国関係であります。この関係は、最近交通事情も非常に輻湊しておりますから、宿舎とか大公使館から来られるのに距離が遠くて、交通のためにもいけないだろうということで、信任状の捧呈式の場合には、今あそこの三番町に宮内庁の分室というのがあります。千鳥ケ淵公園の先のところであります。そこまで自動車で来ていただいて、そこから馬車で桜田門を通って来られる。帰りもまた、馬車でそこまでお送りして、そこで自動車に乗り換えて行っていただくということで、比較的交通のこまないところだけをやったりしておりますけれども、  これもやはり外国の例なんかいろいろ調べましても、概して、ある程度の歴史のある、また王室のあるようなところでは、やはり馬車をそういうふうにいろいろ使っておられるわけです。英国でも、オランダでも、スエーデンでも、ノルウェーでも、ベルギーも使っておられますし、それからアジアではイラン、アフリカですとエチオピアとか、いろいろ王室のあるようなととろはそういうように使っておられるのでありまして、この儀式的なことといいまするのは、やはり昔からの伝統をある程度尊重して、新しい時代に即応してそれを変えていく必要はございますけれども、やはり儀式的な面は昔からの伝統をある程度踏襲しながらやっていきたい。それによって外国のそういうような方も非常に、こう言ってはなんですが、満足される。国際親善にも寄与されるのであればいいと思っておるので、それを希望されない方には——御希望はありますかどうか聞くのであります、最近は。希望されれば、馬車を出す。どちらでもいいといえば、自動車でもいいということであれば、自動車を出すということで、どちらかといえば、ちょっと折半的な性質のものでありますが、それで国際親善にも寄与し、日本に来ていい印象を持っていただければ、何かの面にいいのじゃないか、こう考えております。
  181. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 そんな、馬車に乗せることが国際親善になるなんて、そんなばかなこと、おかしいですよ。国際親善はそんなものじゃないのですよ。国際親善は、日本が平和を守り民主主義を守っていくことが、これが国際親善の根本ですよ。馬車に乗せてたぶらかすなんて、そんなことはよくないですよ。大体どこの公使、大使が馬車に乗ることを希望するのですか。外国の、馬に乗ったことのない連中が、日本へ来て、それで日本であの金ぴかに光った馬車に乗せてもらって、何かエキゾチックな気分を味わっているので、ばかげたことですよ、そんなものは。そんな馬車に外国の大公使を乗せるために馬車が要るのだ、そのための馬屋のために二千万円も金をかけるなんて、ばかげた話ですよ。即刻こんなものはよしたほうがいいですよ。自動車でけっこうです。どこの大使が馬に乗りたいというのですか、ちょっと聞かせて下さい。
  182. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) どこの大使と覚えておりませんけれども、やはりこれは、先ほど申したように、皇室の関係のことは伝統の上に皇室がいろいろ行なっておる点があるわけであります。それを新しい時代に即応させてやっていくということであります。まあ儀式的な面とか、大公使の方が、何代か先輩も来て、そういう儀式があった、そういう儀式をやれば、やはりそういう気持で、いよいよ自分の信任状も奉呈して、それで大いにやるのだという気持を持つ上に、大夢な、人によってはそれをやはり御希望の方が相当あるわけであります。だから、まあ、そういう面で考えられまするし、なお馬の関係では、最近オリンピックのことなんかございます。オリンピックなんかの関係で、日本は最近乗馬の関係が実は昔のようではなくなってきておるので、オリンピックのときにもこちらへ持ってこられる関係のときも、馬はどうかと心配されたこともあるのですが、そういうふうな場合も、あそこで養っております馬の中で適当なのをオリンピックの練習用にも貸与しているのもございます。そういう、儀式の面のほかに、また馬術という面で、ほかにあまりやっておられませんが、あそこではそういうものを保存していかれることにも意義があるのじゃないかと思っております。
  183. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 天皇のない国だってたくさんあるわけですよ。天皇のある国のほうが少ないのですよ。それじゃ、天皇のない国のオリンピックの馬術の選手はどうするか。そんなに、何もかも天皇家、天皇家というのはおかしいですよ。そんなものがあるから、天皇家で金をかけて馬をそんなことしているから、だからそういうことになるのですよ。そうじゃなしに、一般に、民間にそういうことをさしたらいいのです。そうすべきもので、国際親善のために馬車が必要だとか、オリンピックのために馬屋が必要だなんということは、それは理屈にならないですよ。それはこじつけ理屈で、そんなことを国民に言ったって、国民は一人も納得しませんよ。そんなばかな金はやめておけ、馬屋を建てるのに二千万円、そんなことはやめておけ、アパートを建てろと言いますよ。それが当然じゃないですか。馬屋に二千万円お金をかける必要はないじゃないですか。外国の大公使を馬車に乗せるために二千万円で馬屋が必要なんだといったら、国民は笑いますよ。だから、そんなことやめたらいいですよ。僕はもうよすことに賛成、そんなものに金を出すことには反対ですよ、  もう一つ、雅楽の問題、これは僕の意見になると思いますけれども、雅楽はすばらしいものだと思います。私も一度宮内庁の雅楽を見に行きました。そしてこれは芸術上実にすばらしいものであると同時に、これはあそこに閉じ込めておくべき性質のものではないと思います。私はこれを一般に公開すべき性質のものであると思います。この間聞いたのですが、秋一度公開するというのです。しかし、秋一度宮内庁が公開したからといって、その雅楽を見る恩恵に浴する人はごくわずかの人です。それは、あそこに問題があると思うのです。あの宮内庁の屋敷の中に建てて、自由に入れないという条件があるから、一般の人は見たくても見づらい。あるいは、見たいよりも、僕は日本民族として見せるべき性質のものだと思うのです。こういうすばらしいものがわれわれ祖先から伝わっておるのだということは、あれは進んで見せるべき性質のものです。見たら、必ず私は感動するだろうと思う。世界にはない。日本だけしかない。中国にも残っていない。だから、あれは民族的なものとしてわれわれがあくまでも保存していかなければならぬ国宝的な存在だと思います。それには、やっぱりもっと大ぜいの人に見せることをまず考えなければならぬ。そのためには、宮内庁から、あそこに金をかけてああいうことをしないで、所管を東京都かどこかに移して、国に移してもいいですよ、そして国営劇場のようなものにして一般の人に広を見せることが必要です。毎年東京に就学旅行には高等学校の生徒なんか何百万と来るわけです。その高等学校の生徒にわれわれの祖先が残してきたあの雅楽というものを見せたらいいだろう。前田さん、東京タワーの御主人もいらっしゃいますが、東京タワーを見に行くのもいいでしょう。それもいいです。空の上から東京を見ることもいいけれども、われわれの祖先が残したこの文化を高等学校の生徒にみんな見せたらいいですよ。しかし、見せるような方法になっていないのですよ、今のところ。だから、馬屋をやめてどこかに劇場を建てて、二千万円で小屋を建てて、そして一般に公開して、日本人全部に見せなさいよ、雅楽を。そういうことをお考えにならなければ宮内庁はいかんですよ。あなたたち、天皇制の温存ばかり考えていたのでは、問題にならない。そういうふうに考えたらどうですか。一ぺん、それも天皇に話してごらんなさい。
  184. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) この雅楽の関係は、現在秋だけでなくて瀞も公開しております。春の分は今週の金曜、土曜、日曜の午前と午後、六回です。それで秋もやっております。これは相当満員になるくらい人が入ります。なお、そのほかでは、あの雅楽は、たとえば文化財保護委員会のほうの主催のいろいろ古い芸能を公開するような会のところへは出ております。地方へも行きます。ことしはたしか四国方面へも行きます。暇なときには、そういう要求があれば、地方にも出て、決してあの中に閉じ込もっていないのです。
  185. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 いやいや、僕は労音——この間税金の問題で出た、それも雅楽を一ぺん取り上げなさいといって勧めているくらいなんです。あの価値は十分にあるのだから、宮内庁は閉じ込めていないで、馬屋などはやめて、そういうふうにすべきだ。これは僕の意見です。
  186. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 この間皇居を視察したのですが、これは大蔵省に聞くのですが、宮内庁の管理のている区域、それと厚生省の管理している区域——厚生省の管理している区域は皇居と言えないかと思うのですが、しかし、あの管理区域の接触点はもう少し合理的に考えたほうがいいというふうな面が若干あるように思ったんですが、きょうは厚生省から来てもらっていますね。——じゃあ大蔵省でもいいです。堀のまん中が境界になっておって、半分はきれいに掃除してあるのです。半分はアシが生えている。あんな不体裁なことにならないように、あれはわずかなことだと思うのですが、もう少し管理区域を合理的に考えたらどうですか。そういうことを大蔵省は全然考えていないのですか。
  187. 政府委員(山下武利君)(山下武利)

    政府委員(山下武利君) 突然のお尋ねで、私もあまり詳しく内容を存じておりませんが、皇居地区につきまして、所管がそういうふうに分かれておるということから、多少管理面で不都合な点があるということも伺っております。各省の所管につきましては、これはいろいろな事情もありまして、今のようなことできまっておるわけでありまするけれども、皇居のことでありまするので、その管理面につきましては十分両方の省で協議して遺憾のないようにすべきものと考えております。
  188. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 それだけでは、どうなるのかよくわからないですよ。厚生省から来ていますか。
  189. 説明員(佐々木巌君)(佐々木巌)

    説明員(佐々木巌君) ただいま参りましたのですが、前後のいきさつがわかりかねておりますので、まことに恐縮でございますが……。ただいま遅参いたしました。
  190. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 私が今質問しておるのは、あの皇居の管理ですね、宮内庁が管理しておる分と厚生省が管理しておる分とあるでしょう。厚生省の管理しておる分は皇居とは言えないかもしれませんがね。その境界が合理的じゃない。私、このことはどうかと思うのですが、とにかく境界線はもう少し合理的にきめたほうがいいのじゃないかと思われるところがあります。実際を視察してみますと。
  191. 説明員(佐々木巌君)(佐々木巌)

    説明員(佐々木巌君) たとえば……。
  192. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 いや、堀なら堀で半分に区切っているわけです。見たら、半分はきれいに掃除してあるけれども、半分はアシが生えてほったらかしてある。おそらくほったらかしているのは厚生省だろうと思う。ああいうのは不体裁ですよ。国民もずいぶん参観するんでしょう。
  193. 説明員(佐々木巌君)(佐々木巌)

    説明員(佐々木巌君) それは乾堀であろうかと存じますが、確かに半分になっているように承知いたします。
  194. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 それなら、なぜ変えないのですか。われわれ言わなくても、見たらわかる。
  195. 説明員(佐々木巌君)(佐々木巌)

    説明員(佐々木巌君) 私、まだ参りまして日が浅いのでございますが、その点は、ひとつ宮内庁次、長さんからお話を願いたいと思いますが。
  196. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは宮内庁のほうも関係がありますので、承知している範囲のことを申し上げます。  皇居造営審議会の答申によりまして、あの地域に宮内庁の所管、大蔵省の所管、厚生省の所管と、三つ入りまじっている。これは一つのところの所管にして、それで宮内庁の所管にして全部をまとめて整備するほうがいいという御答申があって、それによって大蔵省、厚生省と御相談いたしまして、大蔵省の所管の分は昨年の春に宮内庁の所管に一本になりまして、そこで東側の地区を庭園化して、将来の公園化に備えていくというようなことも進めているわけです。厚生省所管の分はお堀の一部でありまして、この部分もやはり宮内庁で一本にして管理をして、きれいにしていくことがよろしいというふうに考えまして、厚生省の間とも御相談をいたしている最中ですが、あそこは、厚生省のほうとしますと、公園用地になっているわけであります。公園用地を廃止して所管がえする場合には、特別に国会議決も経てやることになるようにちょっと聞いておりますけれども、その関係で、その部分だけじゃなくて、ほかのほうとあわせて一緒にひとつ検討をしたいというので、現在検討をしておられる最中でありまして、どうもわれわれとしては早いほど希望しておりますが、検討しておられますから、そう遠くない将来には解決するものと期待をいたしている次第であります。
  197. 大谷贇雄君(大谷贇雄)

    ○大谷贇雄君 この間、生物学研究所の拝見をいたしまして、実は私はもっとごりっぱなものだと、こう思っておったところが、非常な質素な建物であるし、また標本室は貴重な標本がたくさん御収納になってあられまするが、それで、戸だなの上に植物の標本等が雑然と並んでいる様子を拝見をしまして、実は非常に、あまりに質素な点につきまして驚いたわけです。おそらく、一般の国民の人が拝見をしますれば、そのあまりに御質素な点について驚くだろうと思います。  そこで、今度の拡張をされる標本室の建物はわずか四十坪——延べにして八十坪ですけれども、建坪四十坪。一体この程度のことで十分であるのか。まあ一応そういうことでお出しになったのでしょうが、私はおそらく標本等はまだどんどん御収集になるだろうと思います。そうすれば、先ほど木村さんから物価が上がってはたしてこの単価でやれるのかというお話がありましたが、その点も私は同感であります。また、この広さの点につきましても、はたしてこれでいいのかどうかということを思ったわけです。その点はどういうお考えでございましょうか。
  198. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 今度増築の分は延べで八十坪で、まあここ当分はこれでお間に合うだろうと思います。ずっとまた先になりまして、標本がどんどんふえてこられた場合には、あるいは間に合わないことがあれば、そのときの模様にもよりますけれども、またそこで増築をするというようなふうに考えて、あすこはごらんのようにまだ空地がございますから、そういう場合にはさらにまた増築を考える。当分はこれでお間に合うだろうと思っております。
  199. 大谷贇雄君(大谷贇雄)

    ○大谷贇雄君 私は、せっかく増築をなさるのなら、やはり思い切って相当大きなものを造って差し上げることがいいんじゃないかと、こう思うんです。先ほど共産党の須藤君は、博物館へでも寄付したらと言うが、それは個人の学者でも、文章を書くのに何万巻の本を蔵書しておらなければ、一々図書館へ行って引き出してきてなんていうことはできる道理はないので、したがって、須藤委員のお考えには私はまっこうから大反対ですが、いずれにしても、ひとつせっかくお建てになるのなら、十分施設をして差し上げて、御研究が十分なされるように、今回も御著書を御刊行になるということで、貴重な文献であろうと存じておりますので、せっかく御研究の成果が全うできるように、ひとつ宮内庁の方々としては、こうけちくさい予算でなしに、もっと十分な御研究ができるような御措置を今後おとりをいただきたいと思うのです。葉山のほう、これから拝見するわけですけれども、電気ヒーターなんていうのは参議院の宿舎並みの暖房設備でありますので、ちょっとこの予算書見ただけでも、実は驚いた。どうかひとつそういう点につきまして、十分宮内庁としては陛下の御研さんが十分に全うできるように日ごろから御配慮を願って、十分にひとつ予算措置を御要求を願うようにしていただきたいと希望を申し上げておきます。
  200. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 標本室ですが、標本の点数、大体どのくらいあるんですか。
  201. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 現在大小約三万七千二百。
  202. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 それ全部陛下御自身がお集めになったんですか。
  203. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 陛下御自身お集めになったものと、それから、こういう珍しいものがあるからというのでおもらいになったものもございます。
  204. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 その一般から献上になったものはどのくらいあるんですか。
  205. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) その点、私正確にちょっと存じませんが、一般から献上というのはそう多くはないと思います。私、あすこに今八年近くおりますが、聞きます範囲でそう多くはございません。なお、その中には外国から来ているのもあります。国内のもあります。そう多くはないと思います。
  206. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 年々どのくらいの点数ずつふえているんですか。
  207. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 植物の類で調査がちょっとあるので申し上げますと、まあ植物の類で五百ないし一千、それから液ひたしとするものが二千点ほど増加する予定だということです。ですから、合わせますと、まあ二千数百から三千……。
  208. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 現在陳列してある床坪数ですね、これはどのくらいになっているのですか。
  209. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 現在の標本室は床坪数が百二十坪であります。
  210. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 今度造りますのは延べ坪八十坪ですか、そのうち陳列できる床坪数、それはどのくらいになるのですか。
  211. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) これは二階ですから、階段の部分を除けば、あとはごらんのようなことで、もうびっしりお置きになれると思いますが、階段の部分は置けませんけれども、ほかの部分は別に特別に部屋が設けられるわけじゃございませんから。
  212. 原島宏治君(原島宏治)

    ○原島宏治君 そうすると、今度できても、そう陳列した場合ゆったりするというような状態にはならぬわけですね。
  213. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) そうゆったりした工合になりませんが、大体あそこは陳列室というよりも標本倉庫というようなものでございまするから、したがって、そうゆったりしていなくても、まあ収まるだろうということで考えております。
  214. 須藤五郎君(須藤五郎)

    ○須藤五郎君 天皇の税金はどういうふうになっているのですか。
  215. 政府委員(瓜生順良君)(瓜生順良)

    政府委員(瓜生順良君) 皇室の方の税金は、普通の私的な所得があれば、それに対する所得税はかかるのでございます。年に区民税なんか合わせまして数十万かかったと思います。
  216. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めます。  これより採択に入ります。「国有財産法第十三条第二項の規定に基づさ、国会議決を求めるの件」を問題に供します。本件を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  219. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 多数でございます。よって、本件は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  221. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 次に、外国人等国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。   〔委員長退席、理事上林忠次君着   席〕
  222. 理事(上林忠次君)(上林忠次)

    理事(上林忠次君) 栃内監理部長が見えております。
  223. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 先ほど質問したのですが、運輸省でないとわからぬと。それは日本の日航の国際線ですね、今後の拡張計画、それに対する諸外国との交渉、こういうことはどういうふうになっているのか。
  224. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) 日本航空の将来の拡張につきましては、現在確定いたしましたものといたしまして、南回りヨーロッパ線がございます。この路線は、現在の予定といたしましては、東京から香港−バンコック−カルカッタ−カラチ−ペルシャ湾の一地点ということで、現在クエートを有力候補と考えておりますが、これはまだ最終的に確保いたしておりません。それからカイロ−ローマ−フランクフルト−パリ−ロンドン、こういう線を作るということで、目下諸般の準備を進めております。なお、この路線の開設につきまして必要な航空協定につきましては、交渉をすでに全部済ませまして、目下国会のほうにその大部分につきまして御承認を得るという手続きをとっておる段階でございます。したがいまして、私ども考え方といたしましては、近く南回りヨーロッパ路線が開設される、こういう準備がほぼでき上がっておる、かように考えております。
  225. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 私はアメリカの場合も尋ねておるわけなんです。
  226. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) アメリカにつきましては、現在ホノルル経由サンフランシスコまたはロスアンゼルスの旅客便、それから貨物専用機としまして、シアトル便という三線がございます。そのほか、長年の懸案といたしまして、ぜひニューヨークに乗入れ、かつ、これを延長いたしまして、先ほど御説明いたしました南回りヨーロッパ路線と連結をつけまして、世界一周路線を完成したいという考え方を持っております。この計画に沿いまして、昨年五月、アメリカ政府と航空協定の締結交渉——締結交渉と申しますよりは、改定交渉というものをいたしたわけであります。わがほうの主張といたしましては、ニューヨークのポイントをとると同時に、ニューヨークからさらにヨーロッパまで路線を延ばす、ころいう主張をいたしましたのでございますが、ニューヨーク以遠の問題につきましては、両者の間でその場合には話し合いがまだ十分つかず、結局会談をリセスということにしまして、至急適当な機会に再交渉をする、こういうことで現在に至っております。したがいまして、われわれといたしましては、なるべく早い機会に適当な時期をとらえまして、 ニューヨークまたはニューヨーク以遠という問題につきまして米国政府と折衝する、こういうつもりでおります。これが現在のアメリカ関係の将来の計画でございます。
  227. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 ニューヨーク乗り入れですね、一番故障のあるのはどういう点ですか。
  228. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) ニューヨーク乗り入れにつきまして、先方としては、大西洋における現在の客況、あるいはそれに見合うところのヨーロッパないしアメリカの各エア・ラインの就航状況その他から見て、ヨーロッパまでの以遠権を与えるということについては相当まだ機が熟していないというようなことが、以遠の問題につきまして前回の会談において話がまとまらなかったんではないか、かように感じております。
  229. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 もうちょっと具体的に言ってもらいたいのですが、機が熟していないということはどういう事情を言っているのですか。
  230. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) この協定交渉におきまして、わがほうといたしましては、ニューヨークに乗り入れると同時に、さらに以遠ヨーロッパまでをとろう、こういう考え方であったわけでございます。しかし、それに対しまして、アメリカ側といたしましては、最終段階におきまして、北回りでニューヨークに入るということにつきましてはある程度譲歩の余地があるというようなところまでこぎつけたわけでございますが、その場合に、当時の情勢としまして、ニューヨークに北から入るというだけで、わがほうの従来持っておりました他の路線について制約をこうむるというようなこととの比較におきまして、この際ニューヨークをとる、その以遠をあきらめるということでは得策でない、近い将来にこれをさらに世界一周路線の完成に持っていくということが適当ではないかというような判断のもとに、もう一度再交渉しようと、こういうことになったわけでございます。
  231. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 もう一つの問題は、ソ連との問題ですね。これ若干いろいろ聞いているわけなんですが、若干の交渉があったのじゃないかと思うのですが、その経緯、それからもう一つは、隣の中国ですね。中国へ行くのに航空機だけでないのですがね、船舶等考えて香港から回っていかなければならない。非常な不便ですね。これを、航空機には限りませんが、船等を考えて、上海とか青島とかというところへ着くような話し合いをする考え政府にあるのかないのか。これはあなたに聞くのはちょっと無理な問題ですがね、何か検討されておれば答弁していただきたい。   〔理事上林忠次君退席、委員長着   席〕
  232. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) ただいまお尋ねの、第一点のソビエトとの関係でございますが、この点につきましては、ソ連政府から昭和三十三年にハバロフスク−東京間の定期航空路線を基礎とする航空協定締結の交渉の申し入れがございました。その後もソ連側はこの線を固執しているようでございますが、わがほうといたしましては、ハバロフスク−東京間の路線ということで交渉することは工合が悪い、むしろわれわれといたしましては、両国の中心であるところの東京−モスクワ間を相互に乗り入れする、こういう点を主張しております。したがって、それに対しまして、ソ連政府といたしましてはわがほうの考え方に同意しない、依然としてハバロフスク−東京間というような腹案でおるのではないか、こういう状況でございます。したがって、現在のところ急速に両国間の協定交渉が開かれるという機運にはない、こういうことの状況でございます。  次に、中共との関係につきましては、現在までのところ先方からそういう動きはないと、こういう状況でございます。
  233. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 航空機の場合は別として、開港場ですね、東京から青島とか上海、こういうところに往復できるように日本側から交渉するという意図はないですか。
  234. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) ただいまのお話は船の問題だというふうに承りましたんですが、はなはだ恐縮でございますが、海運関係につきましては、ちょっと私……。
  235. 荒木正三郎君(荒木正三郎)

    荒木正三郎君 課が違うか。
  236. 説明員(栃内一彦君)(栃内一彦)

    説明員(栃内一彦君) 局が違いますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  237. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。外国人等国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  240. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 委員長(棚橋小虎君)(棚橋小虎)

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会