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政府委員(
稲益繁君) 特定物資関係につきましては、ものによりまして若干違うわけなんでありますが、たとえばその中の現在残っておりますバナナ、それからパイカン、スジコ、このそれぞれについて申し上げますと、バナナにつきましては、一応今年の十月から
自由化という予定でおります。したがいまして、
自由化いたしますると、従来のような差益というものは希少価値から生じて参りますのでなくなるであろう。したがいまして、私
ども今回設定いたしましたバナナにつきましての暫定税五〇%、これにつきましては、
自由化後の新しい事態を前提といたしまして、直接バナナは
国内で競合するものは生産がないわけなんでありますが、ただバナナが
自由化されまして、輸入が非常にふえて参るということになりますると、
国内のいわゆる育成産業であります青果——特にリンゴ、ミカンといったようなものへの
影響が非常に大きいわけであります。そこらを考慮いたしまして、一応従来の差益が八〇%でありまして、
関税率が二〇%、約一〇〇%近いそこに、何と申しますか、過徴金があったわけなんでありますが、この差益の八〇は当然
自由化すれば一応は消えていく性質のものである。したがいまして、バナナにつきましては、
自由化後におきましてはどのような
税率を設定すれば
国内の青果産業に大きな打撃を与えぬで済むであろうかというような
観点から、いろいろ検討したわけでございます。直接の競合物資がございませんので、非常に間接になりまして、数字的に算定することが非常に困難でありますが、一応めどといたしまして五〇%
程度を当初の
段階には盛って、しばらく様子を見たい、漸次でき得ることならば引き下げて参りたい、これが
関税率審議会での答申であったわけであります。したがいまして、とりあえずこの
暫定措置法におきましては、そういう
意味での新しい
関税率としての五〇%を設定したということでございます。
それから、いま
一つのパイナップルでございますが、これは実は十月から
自由化を一応目途としておったのでありますが、非常に実は
自由化に踏み切ることが困難な事情があります。御
承知のように、琉球の特産物でありまして、沖繩産業の
保護と申しますか、そういった
観点から、
自由化になかなか完全に踏み切れない点がございまして、例の特定物資輸入臨時
措置法が六月三日に廃止になりまして、これを延長しないということになりますので、現在の差益三〇%、それとガット
税率の二五%、この合計の五五%を新しい
関税率で設定する。これはむしろ、どちらかと申しますと、従来の差益をそのまま吸収して新しい
関税率を設定するということになって参るわけであります。
それから、スズコでありますが、これも一応
自由化を予定しております。しかし、供給国のカナダが生産量も限られておりまして、
国内でそれほど大きな打撃を受けることはありませんので、
自由化はいたしますが、
関税率は従来の
関税率をそのまま据え置くということにいたしたわけであります。