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1962-03-30 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月三十日(金曜日)    午後三時四十三分開会     —————————————    委員の異動 本日委員大竹平八郎君辞任につき、そ の補欠として杉山昌作君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            永末 英一君            市川 房枝君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            高橋  衛君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            山本 米治君            原島 宏治君            杉山 昌作君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省関税局長 稲益  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○物品税法案内閣提出、衆議院送  付) ○酒税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○関税定率法及び関税暫定措置法の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  委員の移動について御報告いたします。  ただいま委員大竹君が辞任され、その補欠として杉山君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) まず、所得税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。−別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  5. 原島宏治

    原島宏治君 本案に対して反対討論をいたします。  本案は、給与所得者の各控除引き上げ税率の引き下げが中心になっておりますが、給与所得者は他の所得者に比べて源泉徴収によって一〇〇%近く課税されているという徴税上の不均衡があります。また、給与所得者はぎりぎりの生活費にまで課税されるという現実は、残念ながら認めざるを得ないのであります。したがって、給与所得者は他の資産所得者に比べてかなりの重い税負担に苦しんでいるのが現状でありますから、課税最低限度が本改正案程度では納得いたしかねるのであります。もっと大幅に引き上げるべきものと思います。資産所得者は、現行税制により、いわゆる特別措置によって減免の非常な恩恵を受けておりますが、低額所得者にはあたたかい考慮が払われておりません。また、三十七年度において約五千億円の自然増収を見込みながら、所得税においてわずかに五百億円程度減税では、国民の大半を占める勤労者に対して決して思いやりのある改正案とは言えないのであります。したがいまして、わが国税制高額所得者には有利であり、低所得者には不利になっておるという不合理を指摘いたしますとともに、わが国税体系の根本的な改正を要望して、本案に対し反対いたします。
  6. 永末英一

    永末英一君 私は、本案に対して反対意見を開陳いたします。  今回、所得税法の一部改正案は、政府が宣伝をいたしましたようには中小所得者課税について相当程度減税をしたとは、わが民社党は認めるわけにいきません。さらにまた、政府が、昨年はやりませんでしたが、近年行なっております所得税法上におきます減税というものは、これは日本経済成長速度に即応して調整を行なっているだけであって、実質上の国民生活に対する減税とはわれわれは認めるわけには参りません。この委員会におきましても、政府が掲げておる所得倍増計画と見合いながら、どのように本案改正案を、またこの改正案を初めにしまして、どういう減税の方向を持っておるかということをただしたのでございますが、遺憾ながら明確な答弁が得られておりません。そういう観点からいたしました場合に、私どもといたしましては、現在の経済成長速度から見まして、特に累進税薬を改めること、さらにまた課税最低限をもっと多く引き上げること、こういう二点が満足されなければ、この法案には賛成するわけにはいかないわけでございまして、そういう観点から、今回の改正案には、民社党といたしましては反対意見を申し上げます。
  7. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり一決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 多数であります。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、所般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それでは、暫時休憩いたします。    午後三時四十七分休憩      ——————————    午後四時五十六分開会
  11. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を再開いたします。  物品税法案議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。物品税法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  14. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  16. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、酒税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。−別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。酒税法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  19. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  21. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言題います。−別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  24. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  26. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。本案に対する質疑はあとにいたします。     —————————————
  27. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に法人税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  28. 山本米治

    山本米治君 ちょっと一、二点質問したいと思いますが、今回の法人税法改正は、外国法人課税の整備だとか、退職年金に関する規定の新設だとか、いわば非常に事務的なもので、本質的なものはほとんど含まれていないように思うのですが、私達は重要な本質的な問題についてちょっと質問したいと思います。  今日、もし日本の事情にあまり通じない白紙の人が、日本の銀行なり企業なりのバランスシートを見たら、おそらく卒倒するだろうと思うのです。事ほどさように、日本企業資本構成がおかしくなっておるということは御承知のとおりでありまして、例の中山調査会が発足したときには、この企業資本構成を直す、税制の面からできる範囲内において直すということが、相当重要な柱の一つであったように思うのであります。今度もまた、きわめてこまかいことは直されておるようでありますが、まだこれでもって企業資本構成が直るとはとうてい考えられない。もとより、企業資本構成の問題は、税制の面からのみでは解決されないことは当然でありますけれども税制の面からしてもいま少し、一歩足りないのじゃないかという気がするわけです。  そこで、私は少しドラスチックな考えを持っておるのでありますが、今の法人税率というものを、資本蓄積の面からうんとひとつ大幅な減税をやったらどうかという、これは個人の感じを持っておるのですが、もとより法人税というのは税源の非常に大きなものでありますので、税収に大きく響くことはもとよりでありますから、その面からもあまり思い切ったことは、これは机上の空論になるかもしれませんが、それにいたしましても、資本蓄積の面からこれができないかどうか。また、これは企業税負担が、かりに耐えるにいたしましても、先ほど申しました点から、資本構成というものが、何としてもおかしい。これをもう少し直したい、直さねばならぬ、こう思っておるわけでありますが、もしこの法人税率をうんと安くするということができなければ、私は、相変わらず企業経営者としては自己資本を増額するというよりは、借入金にたよるという傾向がまだ直らないと思うのですが、この点はまだ懸案であります。で、例の税制調査会においても、十分検討されたようでございまするけれども、なお未解決である。したがって、将来の問題になりますが、この点について今後どういうお考えか、主税当局のお考えを伺いたいというのが一点であります。
  29. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 現在の法人資本構成が非常に自己資本比率が低いこと、は御承知のとおりであります。この点につきまして昨年検討いたしまして、大体こういう結論が出ておるのでございます。法人税税率、これは現在四九・二二でございますが、諸外国に比べてむしろ安い。で、税率そのものの問題ではなさそうだ。要するに、現在のところ、配当につきまして、配当負担は、これは法人段階では益金処分にしてございます。個人段階受け取り株主段階で二重課税調整しておる。これを逆に持っていくべきだという議論が去年出まして、配当損金論をめぐってずいぶん議論になりました。しかし、そういたしますと、今度は、株主側の利回りにたいへんな変動を起こします。そこで、去年は暫定的に、支払い配当に対する法人税を、三八を二八に軽減いたしました。同時に、受け取り株主側税額控除なり配当益金不算入なりを圧縮したのであります。これは三十六年度から改正いたしたわけであります。それが資本構成にどういう影響を及ぼすかということは、まだ実験中なのであります。それは去年の九月以降の決算分に現われております。われわれはその結果を見まして、いろいろ業界にアンケートを出しましたが、なおこの暫定措置をしばらく続けるべきである、まだ効果がよくわからないということになっております。したがいまして、今度の改正ではその点には触れておりませんが、この問題は重要問題でございますので、引き続き実績等を勘案しながら検討して参りたい、かように思っておるわけでございます。
  30. 山本米治

    山本米治君 次に、中小企業基本法というのが政府与党の中では非常に問題になっておりまして、今国会において政府提案にしてもらいたいという希望を党のほうから申し出ておりましたが、なかなか各省間の調整等がむずかしくてできない、まだ今日提案に至っておりません。そこで、この場合にはもう議員提案で出すというところまで党内では言っておるわけなんですが、この政府内部調整ができないという中には、各直に関係した問題がございますが、大蔵省関係の問題として、中小企業に対して法人税で特別の恩典を与えて軽減するという、この点について大蔵省内に反対があるように聞いておるのです。中小企業の育成につきましても、金融の面とか税制の面とかいろいろありますが、税の面といたしましては、やはり法人税を軽くするというのは一つのやり方だろうと思うわけでありますが、すでに法人税におきましても、大法人に対しましては三八%中小法人に対しましては、それより五%低い三三%という例外も置かれておるわけでありますから、この例外をもう少し強いものにする、あるいはさらに零細企業というようなカテゴリーができますれば、これに対しては一そうフェーバーを与えるというような措置中小企業対策として考えられるわけでありますが、この点について、中小企業対策というのは非常に大事なことですから、いま一歩をわれわれは踏み切ってもらいたかったのですが、大蔵省反対されたその根拠といいますか、気持はどういうことであるか、ひとつ伺いたい。
  31. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この問題につきましては、いわゆる大法人と、それからおっしゃるところの中小法人税負担個人企業者税負担と、それから勤労所得者税負担を、同時に考えねばならぬ問題でございます、所得税体系におきましては。そういう意味では、昨年もこれらのバランスをとりまして、根本的に改正を講じたわけでございまして、現在バランスがとれておるわけでございます。したがいまして、中小企業だけを下げますと、法人税税率を下げますと、今度は個人事業所得者を下げねばならぬ。そういたしますと、給与所得者もまた下げねばならぬ、こういう問題になるわけでありまして、この問題だけ切り離してやるわけに参らなかった、こういうわけでございます。ただ、事業税の系統につきましてはこの問題がございません。したがいまして、地方税におきましては、個人事業税及び法人事業税について、今般、地方税法改正においてそれぞれ軽減措置を講じておるというわけでございます。
  32. 青木一男

    青木一男君 山本委員の御質問に関連するのですが、事業会社内容をよくする、資本構成を健全化するという見地から、社内留保に対する課税についてもっと寛大なる措置をすべきじゃないかという意見が強いのですが、その点について外国立法例との比較はどうなっているか、みな日本のような課税方式になっているか、この点を伺っておきたい。
  33. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 外国におきましては、不当留保課税制度はそれぞれ持っておるのでございます。しかし、これは主として大会社に対するものが主たる内容でございます。日本のようにいわゆる中小法人同属会社というもの、これが今日法人の九割を占めておりますが、外国では、こういう現象はほとんど見られない。そういう意味で、中小法人に対する、留保所得に対する加算税と申しますのは、いわば日本の特有の現象であろうと思うのでございます。しかし、外国不当留保課税につきましては、若干通ずる面はあるわけでございます。そういう意味で、この留保課税につきましては、昨年一方において下げるとともに、あまりに留保の多いものにつきましては、個人との税率バランス考えながら、昨年調整いたしましたわけでございます。
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  35. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。     —————————————
  36. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) この際、関税定率法議題といたします。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  37. 高橋衛

    高橋衛君 政府は、この四月から貿易自由化率を七三%まで自由化し、さらに十月には九〇%まで自由化するという方針をきめて、着々その実施を進めておる次第でございます。ところで、今回の関税定率法改正は、もっぱらこの自由化に対処するものと私ども考えておるのでございますが、それに関連いたしまして、一、二点質疑をいたしたいと存じます。  まず第一に、石油関税引き上げておるのでございますが、この石油関税引き上げについては、国内産原油保護というふうな観点相当含まれておると思うのでありますが、今回の程度引き上げではとうてい国内産原油保護は達成せられないように思われる。それで、その辺の具体的な数字について、十分でないとすればどの程度十分でないか、それはいかなる措置をもってそれに対処すべきであるかという点について、まず第一にお伺いしたいと思います。
  38. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) お説のように、今回の関税率改正は、大体主たる目的は貿易自由化の繰り上げ、これに対応するための関税率調整となるわけなんでありますが、その中で御指摘の原油関税引き上げであります。これは実は直接自由化との関連と申し上げますよりも、ねらいはどこまでも国内の非常な苦境にあります石炭産業、これをどうやって石油関税の面で保護を与えるかというところに実は目標があるわけなんでございます。そういたしますると、御承知のように、石炭石油、これをメリット換算でいたしますると、重油の場合で大体石炭トン当たりで千円以上の開きがあるわけであります。これを関税で完全に埋めるということになりますると、現在の関税率従価国定が約一割、暫定措置法で六%ということになっておりますが、これをかなり大幅に引き上げる必要があるということになるわけなんでありますが、他面、御承知のように、石油が重要なエネルギー源であるということで、これを消費いたします各種産業鉄鋼電力、各方面におきましてもこれが低いことが望ましいことであります。したがいまして、そういった両方の要請を十分検討いたしまして、関税のみでこれを解決するということは困難でありますので、関税の面におきましては、暫定措置法キロリットル当たり三百二十円という暫定措置を廃止いたしまして、固定の約一〇%に当たります五百三十円に戻すという措置をとったわけであります。  その際に、国産原油でありますが、これも相当値開きがあります。相当合理化も進めておりますが、現状で単純に比較いたしますると、五割近い実は値開きがあるわけであります。合理化後におきましても、やはり二割程度以上の差があるであろうという推定がされております。したがいまして、国産源油保護するということになりますと、関税のみでやるという場合にはかなり引き上げが必要であるということになるわけでありますが、この点につきましては、関税のみにこれをたよるということは、先ほど申し上げましたような重要産業の立場を考えて、いささか無理がある。したがいまして、国産原油につきましては、これを直接所管いたしますのは通産省でありますが、現在のところでは国内でできるだけこれを引き取るような行政指導その他の措置をやりますとともに、さらに一そうコストを引き下げるような合理化措置、これをいろいろな助成措置でやって参りたい、かように考えておるわけであります。
  39. 高橋衛

    高橋衛君 なお今回の関税定率法改正の中に、石炭対策として、電力並びに製鉄に関して石炭長期引き取り態勢を確立するために、納付された関税の一部を還付するという制度を作っておられるのでありますが、これについては一年間の暫定措置ではありますが、この還付という事柄を完全に義務づけるということがこの法制上十分にできておるかどうかという点に、私どもある程度の懸念を持っておる次第でありますが、その点について政府の見解をお伺いしたいと思います。
  40. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 今回の原油関税引き上げは、先ほど申し上げましたような理由によっておりまするので、いわゆる石炭産業安定保護という点に従来とも非常に寄与いたしております鉄鋼電力といったようなものに対しましては、これは大口で、しかも長期の引き取り契約をやっておるのであります。これを現実に実行しておるということでありまして、そういった直接石炭産業の安定に非常に寄与しておるといった向きには、今回の引き上げ分をその影響がいかないようにしようということで、実は還付という措置をとることを考えたのであります。還付につきましては、これはもちろん鉄鋼電力方面から強い要望があり、またそれが妥当な理由があるということで、この法律還付制度を設けました。私どもとしましては、いわゆる戻し税制度ということ、直接、石炭なり、鉄鋼なり、電力なりに戻すということ、戻し税制度ということが非常に困難でありますので、その手続を簡素化する意味におきまして、還付制度というのを、わが国関税制度の場合には初めてでありますが、還付制度というものを実は設けたわけであります。手続につきましても極力簡素化いたしまして、その実効があがるようにやって参りたい、かように考えております。
  41. 高橋衛

    高橋衛君 ただいま私のお尋ねいたしましたのは、つまり長期引き取りを義務づけるというその義務づけと還付との間の相関関係ですね、これがはっきりトレースできるかどうかという点についてお伺いいたしておるのであります。
  42. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) その点につきましては、政令還付を受け得る事業を指定することになっております。したがいまして、鉄鋼電力、いずれもその事業を営むもので、確実に長期引き取り契約をやっておりまして、確実にそれを実行しておるというところを政令で指定する。したがいまして、もし、その長期の引き取り契約を破棄したりあるいは実行しなかったりというようなことになりますると、政令でその還付の対象からこれを落とすという措置をとる予定でおります。
  43. 高橋衛

    高橋衛君 長期引き取り契約をまず第一に結ぶということであり、さらにそれを実行した、こういうことが条件だと、こう解釈していいのですか。
  44. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) そのとおりでございます。
  45. 高橋衛

    高橋衛君 次に、特定物資、いわゆるバナナ、パイナップルのカン詰等については、特定物資として別途に差益の徴収をいたして参ったのであります。それで、これらにつきましても、これを関税率引き上げということですなおな形に持っていくということは、私は税法の合理化として当然の方向であろうかと思うのでございますが、しかし、これは同時に今後の自由化というものに対処できるようにしなければならぬ。まあそれがいつできるかという問題については、多少は問題はあろうかと思いますが、本則に戻す以上は、そういうふうなことについての心がまえをもってするのでなければいかぬと思うのでありますが、今日は差益は徴収いたしておりますが、外貨としては依然として割当になっておる。それで、今回、これを本則に戻して関税を徴収するという場合に、その税率をどうするかという点については、そういうような観点から相当むずかしい問題であろうかと思うのでございますが、今回きめられた税率がそういうふうに自由化する場合においても十分の配慮が盛られたものであるかどうか、まあこういうふうに改正しても、単に差益を関税に振りかえただけであって、やはりその外貨の割当の制度を持たなければ国内産業の保護上十分でないという程度のものであるか、その辺のところをお聞きいたしておきたい。
  46. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 特定物資関係につきましては、ものによりまして若干違うわけなんでありますが、たとえばその中の現在残っておりますバナナ、それからパイカン、スジコ、このそれぞれについて申し上げますと、バナナにつきましては、一応今年の十月から自由化という予定でおります。したがいまして、自由化いたしますると、従来のような差益というものは希少価値から生じて参りますのでなくなるであろう。したがいまして、私ども今回設定いたしましたバナナにつきましての暫定税五〇%、これにつきましては、自由化後の新しい事態を前提といたしまして、直接バナナは国内で競合するものは生産がないわけなんでありますが、ただバナナが自由化されまして、輸入が非常にふえて参るということになりますると、国内のいわゆる育成産業であります青果——特にリンゴ、ミカンといったようなものへの影響が非常に大きいわけであります。そこらを考慮いたしまして、一応従来の差益が八〇%でありまして、関税率が二〇%、約一〇〇%近いそこに、何と申しますか、過徴金があったわけなんでありますが、この差益の八〇は当然自由化すれば一応は消えていく性質のものである。したがいまして、バナナにつきましては、自由化後におきましてはどのような税率を設定すれば国内の青果産業に大きな打撃を与えぬで済むであろうかというような観点から、いろいろ検討したわけでございます。直接の競合物資がございませんので、非常に間接になりまして、数字的に算定することが非常に困難でありますが、一応めどといたしまして五〇%程度を当初の段階には盛って、しばらく様子を見たい、漸次でき得ることならば引き下げて参りたい、これが関税率審議会での答申であったわけであります。したがいまして、とりあえずこの暫定措置法におきましては、そういう意味での新しい関税率としての五〇%を設定したということでございます。  それから、いま一つのパイナップルでございますが、これは実は十月から自由化を一応目途としておったのでありますが、非常に実は自由化に踏み切ることが困難な事情があります。御承知のように、琉球の特産物でありまして、沖繩産業の保護と申しますか、そういった観点から、自由化になかなか完全に踏み切れない点がございまして、例の特定物資輸入臨時措置法が六月三日に廃止になりまして、これを延長しないということになりますので、現在の差益三〇%、それとガット税率の二五%、この合計の五五%を新しい関税率で設定する。これはむしろ、どちらかと申しますと、従来の差益をそのまま吸収して新しい関税率を設定するということになって参るわけであります。  それから、スズコでありますが、これも一応自由化を予定しております。しかし、供給国のカナダが生産量も限られておりまして、国内でそれほど大きな打撃を受けることはありませんので、自由化はいたしますが、関税率は従来の関税率をそのまま据え置くということにいたしたわけであります。
  47. 高橋衛

    高橋衛君 パイナップルのカン詰産業につきましては、終戦後沖繩におきまして相当これが奨励され、そうして沖繩の経済一つの大きな力になっておるかと思うのでありますが、その沖繩のパイナップルのカン詰の輸入に関しては、これはどういうふうに扱っておるのですか。特に区別してやっておるのか、それとも全然外国と同じような措置をとるつもりでありますか。
  48. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 沖繩のパインにつきましては、輸入制度はAAになっております。それから、関税の面におきましては、沖繩特産物ということで関税上の扱いは免税になっております。それから、それ以外の沖繩のパイカンと競合いたしまする台湾、主として台湾でありますが、このパイナップルにつきましては、外貨割当制度が行なわれております。関税率はただいま申し上げましたように、ガット税率の二五%、それに差益が三〇%、こういうことになっております。
  49. 高橋衛

    高橋衛君 今後も同じ方針ですか。
  50. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 今後と申しますと、要するに、沖繩のものにつきましてはそのまま自由に入れさせる。それから、台湾からのものにつきましては、これが実は自由化をできるだけ早くやりたいという予定ではおりますが、いつできるか、まだ未定ということになっております。したがいまして、今後の問題といたしましては、一応従来の差益と関税率を合わせました五五%の新しい関税率で台湾産には臨む、こういうことになって参ります。
  51. 高橋衛

    高橋衛君 今回の関税定率法改正で、オレンジについて季節的に税率を変更するという制度を新しく設けられたようでありますけれども、これは柑橘類についてはやはり季節の問題が相当あろうかと思うのであります。オレンジのみならず、たとえばグレープフルーツ、レモン、または台湾から参りますところのブンタンであるとかシロユズというふうな、そういうようなくだものが同じような性格を持っていると思うのでありますが、それらについてはどうお考えになりますか。
  52. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) オレンジにつきましては、今回自由化ということで、十月から自由化という予定になっておりまするので、今回の改正の際にこれを取り上げまして、お説のように、十二月から五月までが国産の出回り時期であるということで、国産保護の見地で、また一方消費者の立場を考えまして、国産の出回り期をはずれました場合には二〇%の低い税率に戻す、こういう制度を実は初めて導入したわけなのであります。そのほかの果実につきましては、レモン等については、まだ実は自由化がはっきりいたしておりませんので、場合によりまして、今後検討いたします際に、そういった青果物、いわゆる国内で出回り期がはっきりしておるといったようなものにつきましては、こういった制度を場合によって検討して参りたい、かように考えておりますが、現在のところでは、オレンジだけが十月からの自由化ということで、今回取り上げまして、新しい制度を設定したというような次第でございます。
  53. 高橋衛

    高橋衛君 レモンにつきましては、私の聞き及ぶところによれば、国内産が非常に少ない。しかも、将来についてそれほど大きな期待をすることはできない。一方において、米国において日本のミカンを入れることについての自由化の問題と関連して、自由化にすべきであるという考え方も相当強くあるように私伺っておるのであります。したがって、それについての準備ができていなければ、つまり大蔵省自由化の準備ができていなければ非常に困ることになるのじゃないかと思うのでございますが、そういう点は、政府が相互の話し合いができました場合に、やはり新たなる法的措置を講じなければできない、そういうことになるのでありますか、どうですか。
  54. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 私ども承知しておりますところでは、まだレモンは自由化のほうは踏み切っておらないようであります、農林省から聞いております限りでは。そこで、レモンの場合でございますと、実はガットで定税率の譲許をいたしまして、これの関税を改めるということになりますと、ガット交渉でかなりな代償を必要とするというような面がございますので、この点もあわせまして慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  55. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会      ——————————