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政府委員(村山達雄君) 従来はこの酒類、これにつきましては、おっしゃるように九種数でございました。今度ただその中には白酒とか濁酒、今日ではほとんど石数のないものまで含まれておるわけでございます。そうかと思いますと、片方におきましては雑酒という項目が九番目にあがっております。この中にはウイスキー、ブランデー、ラムもウォッカも、それからいわゆるリキュール類も、すべてこの中に突っ込んであるわけでございます。この現在の分類は、
昭和十五年のときの分数でございまして、当時としてはそれなりの
意味はあるいはあったのかと存ぜられるのでありますが、最近におきます酒の消費の動向からいいまして、全くそのウエートが違ってきておるわけでございます。だいぶ嗜好も変わりますし、それに伴いまして製造の
状況も変わって参っております。したがいまして、最近におきます酒類の消費の動向に合わせましてここに新しい分類をしたわけでございます。
それで、おもなる違いを申し上げますと、清酒、合成清酒、しょうちゅう、とここまでは同じでございます。みりん、いわばこれが昔からの在米酒でございます。その次のビール、これも同じでございます。それから、その次、果実酒類というのが六番目にございますが、この果実酒類、これは従来は山梨県で造っておりますようないわば生ブドウから造っておるもの、こういうものだけを果実酒数といっておったわけでございます。それから、ほしブドウから造ったもの、あるいは濃縮した果汁で造ったもの、これはフランスあたりで造っているのはこれでございます。みんな外国はこれでございます。実はこれは甘味果実酒類といっておりましたもので、雑酒の中に入っております。それから、果実酒をもとにいたしまして、若干甘味を加えたもの、これも甘味果実酒類として雑酒で規定しているわけです。税率が全く違っているわけであります。今回はこの従来の雑酒の中にありました両種の甘味果実酒を、やはり果実酒類の中に入れたわけであります。ただ、その中の二つを分けまして、果実酒と甘味果実酒と、この二つにいたしました。こういうふうにいたしまして、これをより実際の性質を表わすものに統合したわけでございます。それから、今度新たにウイスキー類というものを設けまして、この中にはウイスキーとブランデーを入れたわけであります。これはいわば従来の雑酒の洋酒系統のものの代表選手でございます。これが非常に伸びてきておりまして、今後いろいろ洋酒もこの方面に相当の伸展が期待されるわけであります。これを従来の雑酒の中に混然と置くことはいかがかと思いまして、これを
一つの種類に昇格いたしました。それから、新たに従来の雑酒のうちからスピリッツ類、これがウォッカ、ラム、ジンのようなものでございます。かなりアルコール度の強いものでございますが、ウイスキーとは違いまして、発芽した麦芽を使わないというところが特色でございます。こういうものも将来相当伸びて参るであろう、こういうふうに
考えているわけであります。なお、このスピリッツ類を新たに設けますとともに、従来のしょうちゅうと今度の新しいスピリッツ類、この限界がはっきりしておりませんでした。これを今度新たにその限界をはっきりさせることにしたわけでございます。しょうちゅうにつきましては、これが在来酒であるということから、従来からスピリッツ類に対しましては比較的安い税率でありました。それだけに、このスピリッツ類としょうちゅうの限界につきましては明確にする必要があるということで、その点を明らかにしたのであります。あとのリキュール類でございますが、これは俗に申しますと混和酒の部類でございます。ペパーミント、そういう種類のものでございます。何でも二種類以上のものをまぜればすべてリキュールに通常入るわけであります。それから、あと残りましたものを雑酒といたしまして、その中に現在の——現在でも雑酒の中でこれをここに分けまして、発泡酒とその他の雑酒に分けたのであります。発泡酒はすでに現在出ておりますラビー、こういう種類のものでございます。若干麦芽を使っておるけれ
ども、そのほかにイモとか、そういったものを原料にして発泡性のものにして、いわばビール類似のものでございます。それから、その他の雑酒、このその他の雑酒の中に濁酒その他が入っているわけであります。従来の白酒、これは新しい分数ではリキュール類の中に入っておるわけであります。
こういうふうにいたしまして、酒類を、
現行の九つを、最近の消費の動向に合わせてそれぞれ限界をはっきりいたしまして、十種類にいたしました。
それから、従来類別というものがあったわけでございますが、これはすべて今回は廃止いたしました。類別といいますと、みりん類の、本みりん、本直しというのが従来類別でございます。しょうちゅうの中類、乙類、これがやはり類別になっておったわけでございますが、これは全部品目の区分に改めました。従来は種類と、それから類別と品目別と、それから級別とあったわけでございますが、そのうち類別という観念を廃止いたしまして、今度は種類と品目と、その種類の中の品目と、それから級別を設けるものについては級別を設けるということになったわけでございます。大体以上のとおりでございます。
それから、なお、もう
一つ申し上げておきますが、この全体を通じまして各酒類の一度当たりの度数は、従来はある
程度アルコール度数の高いものにつきましては加算税率を盛っておったわけでございますが、今回は原則としてこれを全部廃止いたしました。将来の酒がどういう酒が好まれるかということは今度の問題でございます。そういう
意味で、
税法のほうから、
制度のほうから加算税率を設けて将来の発展を阻害するようなおそれのある
制度でございますので、これは廃止いたしました。ただ、あまりにも低い度数の酒でございますと、これはその酒の種数によりましては腐敗のおそれがございます。そういう
意味で、最低税率は度数において設けてあることは従来どおりでございますが、それ以上のものにつきましては、原則として当該酒類についての一度当たりの度数は比例的に今度は盛られているわけでございます。
そのほかに、今度は原則としてあらゆる酒類についてガス入り、ガスを入れて造るということをこの
制度上認めることにしたわけでございます。で、現在はガス入りでございますと、実際出ておりますのはシャパンのたぐいとか、あるいはウイスキーの中に入れたものでございますが、だんだんこれから清涼飲料的なものが好まれるようにおえられますので、今度の酒類
税法の改正では、将来品質の向上、嗜好の変化に即応できるように、原則としてすべての酒類にガス入りを認める、こういう
制度にいたしたわけでございます。