運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-28 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十八日(水曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員の異動 本日委員村山道雄君辞任につき、その 補欠として前田久吉君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君            市川 房枝君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            木暮武太夫君            高橋  衛君            林屋亀次郎君            堀  末治君            山本 米治君            木村禧八郎君            成瀬 幡治君            平林  剛君            大竹平八郎君            須藤 五郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主税局長 村山 達雄君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○物品税法案内閣提出衆議院送  付) ○酒税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案物品税法案酒税法等の一部を改正する法律案、以上四件を一括議題にいたします。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 恐縮なんですが、今税法関係のことでございますけれども、ちょっとそれとは少しそれたことですが、大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。お許し願います。予算委員会でありませんから長くやりません。  大蔵大臣に私は聞いてもらいたい。実は日銀券発行高のことですが、昭和三十六年度はどこらにとどめようじゃないかといういわゆる日銀政策委決定があったと思うのですが、それに対して実際は出過ぎているだろうと思いますが、そうした経緯について。それから、三十七年度末は、出ていなければそれまでですけれども、どんなふうになるのか、見通し決定ができていなければそれまでですが、見通しがあるなら見通しでお答えいただきたいと思います。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私、どうも詳しく聞いていません、この問題は。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 日銀券発行高については、私の承知しているのでは、日銀政策委決定している。それに対して、それを越すような場合は、大蔵大臣がよろしいと言えば越すことができる。ですから、そこには大蔵大臣のリミットもおのずとあると思うのですが、昭和三十六年度において日銀政策上これだけだ、こう決定したよりも多くなっておる。したがって、大蔵大臣はその許可をされておると私は思うが、そういうような経緯を御説明が願いたい、こう申し上げておるのです。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今、銀行局長を呼んで御説明します。去年は二回くらいの許可をやっております。   〔委員長退席理事上林忠次君着   席〕
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 税制調査会とそれから今回の改正答申案と、大体あなたのほうは似ておると、こうおっしゃっておるのです。いや、違った点もあると思うのですが、そこで大ざっぱに、税制調査会で今度の税制改正全体と食い違っておる点は、ここが食い違っておるのだというおもな点、あまりこまかい点はよろしゅうございますから、おもな点だけひとつお願いしたいと思います。
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この政府の今度提案している三十七年度の減税額は、平年度で国税において千二百四十四億円、地方税において四百二十二億円ということになっておりますが、税制調査会答申は、国税で千三百八十二億円、地方税で三百六十三億円というのが答申でございます。この違いを見ますと、国税では百三十八億円政府のほうが減っておりますが、地方税減税は五十九億円政府案のほうが多い、こういうことになっておりますが、これはこの百三十八億円の違いというのは、政府経済見通しの改訂とか、あるいは計数整理の欠陥に基づくものであって、税制としては全く同じでほとんど違いはございません。この計数整理の結果、政府減収額を多く見たというだけでございます。実質的に食い違っておるというのは、この間申しましたように、二十五億円しか実質的な食い違いはございませんので、これはビール減税額を一本十三円というのが答申でございましたが、政府案で十円になっておりましたので、七十一億円減税額が減っておる。そのかわり、所得税生命保険料控除拡充をやったりして、税制調査会答申案以外のことをやりましたので、減税額は十二億円ふえておりますし、物品税においても内容に若干の拡充をしましたために、十二億円減税額がふえておる。入場税が十五億、通行税が七億、この差引をしますというと、実質的な食い違いは二十五億円しかない、こういうことになっております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、額のこともさることながら、個々具体的にいって、たとえばもう少し具体的な御説明を局長のほうからちょっと承りたいと思います。
  10. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ただいま大臣が申し上げましたように、国税におきまして実質二十五億円の減税額答申案より減少しておりますし、地方税におきまして五十九億円逆に答申案よりふえておる、こういうことでございます。  国税答申案政府提案の違いを申し上げますと、一つは、先ほどちょっと大臣がお触れになりましたように、酒税のほうではビールでございます。答申案では、一本当たり現在びん付き百二十五円でございますが、これを中身で一本当たり十三円小売価格が下がるような減税考えておったのでございます。しかし、その後の検討におきまして、今回はビールは十円程度にとどめることがいいということになりまして、したがって一本当たり三円だけ減税額は減ったわけでございます。それによりますいわば答申案から見ての増収額は七十一億円、減税額がそれだけ減ったわけでございます。  一方、所得税でございますが、これは生命保険料控除、これの拡充でございます。今度の政府原案では、現行法は一万五千円までは全額、それから一万五千円をこえて三万円までは半額ということでございますが、これを拡張しようとするわけでございます。たしか答申案では四万円でしたか、その半額引く分を四万円まで上げよう、こういう話でありましたが、その後の検討におきまして、これを五万円まで上げるということにいたしたわけでございます。ですから、今度提案いたしておりますのは、一万五千円までの掛金については全額引きます。一万五千円をこえて五万円までの掛金につきましては、その半額控除いたしますということにしたわけでございます。ですから、控除額をいいますと、ちょうど三万円から五万円までの半額でございますから、引く額でいうと一万円ふえたわけでございます。答申案に比べれば、控除額がそこで五千円違ってきたわけでございます。これによりまして減収額が新たに十二億ふえたということでございます。  それから、物品税でございますが、これは調査会のほうは基本線を出しております。こまかいことは別にいたしまして、たとえば税率控除は、現在の第二種の税率で三%から五〇%の八段階税率を、今度政府提案と同じように、二〇%を中心にして、四〇、三〇、一〇、五としろというようなことと、それから課税範囲も思い切って縮小するようにとか、かなり抽象的なことを言っておったわけでございます。その当時調査会に、われわれのほうの、大体そのような方針に従いますとこのようなことになりますという一つ減収見積もり額をお示ししているわけでございますが、その後いろいろこまかく検討いたしまして、主として免税点の引き上げをどうするかとか、それからこまかいところで、こういうものははずすかはずさぬか、課税物品からはずすかどうかということは、調査会以後において検討したわけでございます。その結果、調査会当時大ざっぱに計算した金額に比べまして、減収額が十二億ふえました。ですから、これは答申と違ったというのか、あるいは答申当時見積もりましたのはまだこまかいところまでは計算しないところを示しておりますので、その後いろいろ詰めて参りましたら、十二億ふえました、減収額が。そういう中身のものでございます。  それから、入場税につきましては、答申案は、現行税率で一〇、二〇、三〇とございます。で、七十円以下の金額については一〇、それから七十円から百円までが二〇、百円超三割となります。答申案では、原則として全部一〇にするけれども入場料金二百円以上のものについてはなお二〇の税率を設けてはどうか、こういう案であったわけでございます。その後いろいろ検討いたしましたところ、この税収も非常に僅少なものでございますし、むしろ入場税はその性質から見て一本にしたほうがよろしいということで、二百円超二〇という税制調査会の案を撤回いたしまして、一律一〇%にいたしました。それに基づく減収の増が二十五億ございます。  それから、通行税でございますが、通行税は現在汽車一等汽船特等航空機と、これだけが現在ある課税対象になっております。汽車汽船一等特等、これを二割から一割に下げることにつきましては、調査会もその当時から見ておったわけでございます。ただ、航空機に対する税率、これがちょうど現行でございますと、ほかが二〇に対して一〇になっておるわけでございます。汽車汽船を一割に下げたとき、それをどうするか、これを下げるか下げないかというようなことが論議になっておりましたが、まだ答申案では確定していなかったわけでございます。したがいまして、われわれは、答申案数字といたしましては、そこは現行数字をあげておったわけでございますが、その後の検討におきまして、航空機においては五%下げる、やはり半分にするということにいたしました。その結果が出て参りまして、減収増加額が七億でございます。  ですから、ビールで七十一億の減、所得税で十二億の増、物品税で十二億の増、入場税で十五億の増、通行税で七億の増と、こういたしますと、差引二十五億の減になりますと、こういうことでございます。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今度の税制改正にからんで、たとえば米穀取引課税特例であるとか、あるいは社会診療報酬課税特例というような、そういうようなものについての法案は、提出される見通しはございますか。
  12. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 米穀課税につきましては、もうすでに衆議院、参議院を通りまして、従来どおりやはり特例を残すことにして……。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 税制調査会との関連で、改正されるかどうかということを聞いているのです。
  14. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税制調査会は、この制度はあまり好ましい制度ではないということを、いつもうたっております。それから、社会診療報酬についても、これは税制としては好ましいものではないということをうたっておりますが、そのとき、廃止するという前提で、実は減税額は立てて税制調査会にお示ししてはおりませんです。したがいまして、それは、何といいますか、答申面の事柄としては、好ましい制度ではないという結論は出ておりますが、税制調査会に基づく減収額はどのくらいになるかということを税制調査会にお示しする際には、これは減収額に立ててお示ししていない。したがって、増減関係には、形式的に申しますと、出て参らないということでございます。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 僕はよく勉強しておりませんが、税制調査会は、たしか廃止するという意向の答申をしておる。したがって、それを受けて、あなたがおっしゃるように、廃止ができないとするなら、好ましくないのだから、少し直していくのだというようなことをお考えになっておるのじゃないかと、こう思ったところ、今承ると、ほおかぶりしていってしまうというようなふうに受け取るわけですが、その辺はどうですか。
  16. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) そう申し上げておるわけじゃなくて、答申案——税制調査会の話でございます。税制調査会の文章では、これは廃止すべきものであるということがいつも出ているわけです。しかし、その税制調査会に関するその答申をずっと立てますと、現行に対して幾ら減収になりますということは、実は税制調査会にお示ししているわけです。全部計数をもちまして、税制調査会答申によってもしやったとすれば幾らという減収を立っているわけでございます。その減収額は、先ほど申しましたように、千三百八十二億という数字であったわけです。これは当時のものですね。その中には、今言った社会診療報酬を廃止したらどうか、それから米穀のあの特例を廃止したらどうかということは、実は項目として載せていないわけでございます。ですから、向こうのほうの減収額そのものに、すでに今の二つのことは一応これは別格官幣社だという扱いになっているということでございます、減収見込みのほうでは。税制調査会そのものが、それは一つの筋としては廃止すべきではあるけれども、現実的な問題として減収を立てるときは、これは今年についてはやはり別格官幣社として扱うのだという意味で、減収額を立てないところで計算しているわけでございます。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっとわからないから、もう一ぺん聞くのですが、税制調査会というのは、そういうこまかい数字まではじいて出してくるのか。原則論と申しますか、これはこうしたほうがいいじゃないかということで……。あなたのおっしゃるのを聞いておりますと、数字まで税制調査会ではじいてしまってやるのだから、税制調査会計数のほうにウエートがあってそれで差しつかえないのだというように受け取れるわけです。そこまで実際作業をやるならば、大蔵なんというものは要らぬような感じになってしまうのですね。その辺のところ、あなたはどうもごまかしているように受け取れるわけです。というのは、どうも計数の上においてということは、あなたのほうの作業であって、税制調査としては、現行に対してこうするべきだといういろいろな問題についての項目的なことをやって、計数については、それはなるほど参考とされるかもしれませんけれども、それは参考であって、そうじゃなくて項目のほうにウエートがあるというようにわれわれ了承しているわけですがね。
  18. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税制調査会は、税法整理改善に関する基本方策いかんと、これが諮問事項でございます。したがいまして、この三年間の命題というものは、税負担を、どこをどういうふうに減らす、どこをどういうふうに調整をとって、その実質的な税負担のバランスを体系的にとっているかという問題と、それから今の法体系——形式的に法体系が非常に複雑、難解である、やはり形式の上でも、これから体系的に整理する、この二つ基本命題でございます。三年間の主たる努力はこれに集中されているわけであります。しかし、これに基づきまして結論の出た分は、三十六年、三十七年と逐次やって参ることになっております。したがいまして、実際の問題は、この基本命題のほかに、その当年度当年度減税案についても、便宜調査会のほうの御意見を伺っているわけでございます。ですから、基本的な問題としては、これは廃止すべきであるという、こういう線を打ち出しているわけであります。しかし、当年度税制改正というときには、あくまでも当年どうしても見込みのあるもので、やらなければならぬものという意味で、まとめてあるわけであります。そういう意味で、今の社会診療報酬あるいは何年産米に対する課税特例に関する問題、この問題はことしの増減収を立てるという程度に取り扱われていなかったということでございます。基本的な問題として取り上げているわけでございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やはり税制調査会答申との関連ですが、予算委員会で、大蔵大臣税制調査会答申を尊重している、特に一番この税制改正基本になる租税負担率について、大蔵大臣税制調査会答申を尊重していると、こう言われておりますが、もう一度確認しておきますが、そうですか。そのとおりですか。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 負担率は、この間申しましたように、なるたけ最初税制調査会が言ったような負担率になるように、「おおむね」という字も使ってございますし、「程度」という字も使ってございますし、そこへ努めていくべきであるというふうに言っておりまして、これを何%でなければいかぬというふうにぴしっと言っているわけではございませんで、あの二%程度に、おおむねその程度になるように努力せよという意見でございますが、今度は、一方税制調査会も、具体的に今年度の減税はこれが至当だというものも示されておりますので、私どもは、大体その線に沿って政府減税案を作った。作った結果が、パーセンテージとして二二・二になったということをお話ししたわけでございます。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなのはいい加減な御答弁ですよ。税制調査会答申大臣よくお読みになっていると思うのですがね。それで、問題は二つあるのです。税制調査会では、国民所得が増加するに従って税負担率が増加するのは、これは大勢として認める。それは原則論ですね。ただし、日本の現状においては租税負担が、戦前と比べても諸外国に比べても、著しく高い。それは単に国民所得との比率だけで検討しておるのではないですよ。大臣はよく国民所得との比率だけで論ずるわけにいかぬと、こう言われておりますが、税制調査会答申では、これは国民所得比率だけではなく、各税目について各国との比較戦前との比較を詳細にやっておりますよ。そうしていろいろ総合的にそういう調査検討した結果、あらゆる点で直接税、間接税、あるいは地方税を通じて、日本税負担は非常に重いから、ここ当分の間は第一次答申で行なった二〇%程度にとどめるべきだ、こういうふうに答申しておるのです。これを読んでみましょうか。「税負担率のもつ意味」としてこういうふうに答申しておりますよ。「われわれは、国民所得に対する税負担割合が常に一定でなければならないとは考えないし、また税負担が適正に保たれているかぎりは、国民所得が増加すれば、国民担税力も増加し、税負担割合も上昇していくことは当然と考えている。」、これは原則論。「それにもかかわらず、第一次答申においても、また今回の答申においても、減税政策をとるべき基準として、国民所得に対する税負担一定割合を目標としたのは」、つまり二〇%程度という割合にしたのは、「さきに述べたように、個々の税目を通じて、種々の角度からの検討を加えた結果、わが国の各税の負担がなお相当に重く、この各税を通ずる税負担の重さを集約したものとしての、国民所得に対する税負担割合もまた重いと理解し、一定基準を求めてその負担軽減に努めることが必要であると考えたからにほかならない。」、こういうふうに答申しておる。  そうしてその前段において、第一次答申においては大体二〇%程度、二〇・五%程度、三十五年ですね、この程度に努めるべきだということを答申しておる。しかもなお、所得倍増計画十年後における租税負担率については大体二一%ですよ、十年後において、そういうこともちゃんと調査してあるわけです。ですから、二二・三%になっておるということはこの答申の線と著しく違うのです。答申に違反しておる。この答申の一番肝心かなめ税制改正基本である税負担率についての答申に違反しておる。答申を尊重していないですよ。大蔵大臣は今まで何回もごまかしてきたのです。私はよくたんねんに読んでみたのです。どんなに大蔵大臣ごまかしても、大体この二〇%程度、この租税負担率を実現するように努力すべきことが明、白に雷かれているわけです。これは答申の第一章の「税制改善整備のための方策」の六ぺ−ジに書いてあります。この点、いかがですか。
  22. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) だから、申しましたように、一定基準があるわけではございませんので、私どもは必ずしもそれにこだわるという考えは持っていなかった。また、税制調査会においても、これを無理に二〇%に今の段階においてしなければならぬというふうにも、実際は強い主張をしておりません。答申はそうであっても、できるだけそれに近づけるように努力しろということを言われておりますが、結局減税の幅というようなものも、一方国費需要との関連でやはりきめらるべきものであって、そういう観点からの調整が加わっておるということと、もう一つは、それならば本年度税制として各種目の検討税目検討をやって、結果どのくらいのものが至当かという答申調査会に求めて、調査会の出てきた答申どおりにとにかくわれわれはやるという方針で、これを中心減税案を作る。それによってこの減税を実施しなかったら、もう二三%以上になるもの、とにかくすでに三十六年度において実績は二二・八%にもなっておるのですから、今度の減税によって低くする努力をして、三十六年度の実績よりは低くするという税制改革をやったということでございまして、われわれの努力としては、ここらが今年度の国費需要とからんでも限度ではなかったというふうに私は考えるということを、予算委員会で申したわけでございます。大きい努力だと思います、これは。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、前に大蔵大臣が、税制調査会国民所得に対する税負担率が大体二〇%程度にここ当分はすべきであるという答申に必ずしもこだわらないということを、前に大蔵大臣は言われたのです。これは重大な訂正なんですよ、今までの方針と。それで、これは私は、大蔵大臣は取り相してもらいたいと思うのです。取り消すべきですよ。そんな軽々に——税制調査会がいろんな角度から調査して、そうして出た結論なんです。しかも、これは今後の国民負担に関する重大な問題ですよ。今後の税制改正基本となるものです。今後の、これは重大な問題です。大体、税負担率というものがまず基本になって、それからいろんな間接税も直接税も減税措置考えられるわけですから、この点がはっきりしておらなければ、今後国民税負担率がどうなるかということがわかりませんし、それから、今大蔵大臣歳出面からも検討する必要があると言われましたが、税制調査会でもちゃんと検討していますよ。歳出面においても、たとえば減税のかわりに、減税しないで社会保障とか公共事業費とかそういう方面に使うということも、これは減税にあたって考慮しなきゃならない、これはもちろんであります。しかし、そういうことも検討して、なおかつ二〇%程度税負担率十分社会保障費公共事業費もまかなえるということを、これは成長率が高いからまかなえるということを、外国の例とも参照し、日本のこれまでの過去の実績とも勘案しながら、ちゃんと結論出しているのですよ。ですから、歳出面云々という問題は税制調査会検討済みです。それは理由にならぬですよ。いかがですか。税制調査会答申、お読みになっているでしょう。
  24. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) しかし、それはそう簡単にはいきませんで、税制としてはこうだといっても、国民所得が現実にふえておれば、その税制のもとにおける税収実績というものが経済動きいかんによって大きくふえたり減ったりしますし、それが経済がよくなって国民所得がふえて、同じ税制のもとにおいても増減はあるので、大きくなった場合に、これが国民負担が大体何%になるかという、今の政府は一応二二・二という見込みをつけたのですが、この税制によって今後経済政府の予想しているような形にいかないで、非常な不況とかいうようなことが来た場合には、見込み税収はうんと減って、国民負担はあるいは二〇%になるか二一%になるかわからないという問題を持っておるものでございますから、これをぴしっと合わせるということは実際にはできないということと、もう一つは、もしそれを正確にやるのだとするならば、税制調査会が二〇%になるような減税案をこしらえて示すというなら、これはまたいいのですが、そうじゃなくて、やはり減税はこの程度がしかるべきだというものと、この国民負担との割合はできるだけそこに近づけるように、あの程度にできるだけ近づけるように政府努力すべきだということを言っている。これを現実にびっしり合わせるというようなことは、私はできないと思うのです。税制だけから見たって、国民所得のふえ方、経済の動き方によって、現実の税収は違ってくるのですから、負担がどういうふうになるかというふうなものは、これは一番最後に出てくる問題でありまして、現に三十六年度の当初予算でも、私どもはこれは二〇・七%とかいうふうに、そこで努力するつもりでそれだけの負担率を見ていましたが、実績によって、経済が動いてしまったので、二二・八%という国民負担率になったということでございますから、これをぴしっと合わせて、税制とその数字を合わせるというようなことはできないと思うのです。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、大蔵大臣、いろいろ、何というか、弁明されますけれども、よくこれをお読みになってごらんなさいよ。それは、経済が変動するからなどと言っていますけれども、大体この作業は、非常に経済成長率が大きくなっちゃったから税負担が多くなったというけれども、 これもちゃんと所得倍増計画に基づく三カ年九%の成長率を一応前提にしているわけですね。前提にしているのですよ。そういうこともちゃんと考慮に入れているのですよ。倍増計画というものがあるじゃありませんか。大体それを考慮に入れつつ、あらゆる角度からやはり検討されておるのです。大蔵大臣、いろいろ言われますが、言われたようなことは、ちゃんとこれを検討する場合の前提条件として、よく調査されておりますよ。私もいろんな疑問を持ちながらこれを読んでいったのですけれども、いろんな疑問の起こることについて一応触れております。一応調査しております。ですから、もう少しまじめにこれは私はお考えになる必要があるのですよ。原則論と、それから今の事態における適用ということを、区別してちゃんと書いてあるのですから、原則的には、経済が成長して国民所得がふえる場合に担税力もふえるから負担率が高くなるのは、これは否定するものではない、こういうことをはっきり——税負担割合も上昇してくることは当然だと考えている。これは原則論ですよ。  しかしながら、何といっても、日本の今の税負担は、戦前に比べても諸外国に比べても、著しく高いんであるから、ここ当分はと、第一次の答申も今回の答申も、わざわざ断わってあるのですよ。大体、第一次に答申した程度国民所得割合——一定国民所得に対する一定割合と書いてある。それが大体二〇%ですよ。私は、答申のように二〇・五%でなければならぬということを言っているのじゃないのです。そうすれば、大体二〇%程度ですよ。そうすれば二〇・六%あるいは二〇・七%、あるいは二一%くらいでも、そんなに隔たらないと思う。ところが、三十六年度は二二・八%じゃありませんか。こんなに取れるなら、なぜ年度内減税をやらないのですか。また、三十七年度は二二・三%でしょう。著しく違いが出てきているのです。これは答申の一番肝心なところのこの趣旨に合わぬのですよ。われわれも答申に必ずしも賛成しているのじゃないのです。私は答申よりももう少し税負担率は低目にすべきである、私はそういう考えです。それで、前にはもう、経済企画庁で五カ年計画を出しましたですね。第一次五カ年計画のときには、五カ年後においては大体一八%という線を出しております。これについてはいろいろ議論があるところでありましょう。われわれ社会党としては、二〇%が正しいとは考えておりません。もう少し、まだ低目に出すべきであるということは考えておりますが、少なくともこの答申のところは、大体二〇%を中心にせよということなんです。それが一番基本なんですよ。それから各税目についての減税がいろいろ勘案されなければならないのでありまして、それの一番の基本がくずれている。ですから、三十七年度減税は少ないのですよ、それから言ったらですね。だから、減税が少ないから大型予算になった。それで、歳出の事情その他という。歳出の事情と言ったって、旧地主に対する補償とか、旧軍人のベースアップとか、あるいは参議院選挙対策等、そういうプレッシャー・グループからの要求による、そういうものによる歳出の増加、そういうものをされたのじゃないですか。  その点、大蔵大臣もう少しよく答申を読んで、趣旨をよく私は検討される必要があるのじゃないかと思う。それは二二・三%がいいということは、とうていこの答申からは出てこないですよ。これは今後に関することですから、大蔵大臣はその原則論と、今の何というのですか、現実に適用すべき税負担率とを、はっきりと区別して答弁していただきたいと思う。そうして、前に二〇%にとらわれないという言葉は、実際の原則論としては取り消してもらいたいと思う。前には税制調査会答申の二〇%を尊重すると言ったでしょう。初めは尊重する、そうしてその後これにこだわらぬということを軽々に言い出した。これは私は、 前に、一番最初に答申を尊重すると言ったことを守るべきであって、この際取り消してもらいたい。必ずしもこだわらないと言ったのは、これは原則論である。答申に言っておる原則論について言ったのである。ここ当分は二〇%程度でいくべきであるということについては、実際問題としては尊重する、こういうふうに改めていただかなければならないと思う。そうしなければ、答申の趣旨に忠実であるものではありません。この点について。
  26. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) むろん、私はこだわらぬと言ったのは原則論でございます。これは原則論です。で、そういう原則がある以上は、現実の中にも原則がしみ込んでいないということはございませんで、そういう原則の線に沿ってやはり現実が動いているのですから、当分の間と言っても、この当分というこの二、三年の期間に日本経済が非常に大きく伸びた、この激動期の当分ですから、この当分の中に厳密に二〇%にこだわれない要素というものがすでに入り込んできているのでございますから、私は昨年この経済の伸び方を見て、これは二〇%というものに縛られたらたいへんだ、日本経済がこういう動き方を示してきたら、ここで原則にはこだわらぬ、この原則が現実にもう無関係じゃございませんので、そういう点において、将来、この次の税制改革をやった結果、ぴったりと二〇%になるという期待を持たれたのでは困るので、私はこれにはこだわらないということで取り消しをしておいたのですから、これを今また取り消したのではたいへんです。私はどうしてもそうなると思うのです。日本が伸びていく限りは今後そういう傾向をとっていくのだという原則的な方向というものは、これはもうはっきりそうなるので、これはお互いが認めて、そうして現実にはこれはできるだけ縮めて、原則はそうであっても、この負担率というものをできるだけ下げる努力政府がすべきものだ。その努力としては、今度も相当私ども努力は払っているということが言えるでしょうし、また税制調査会自身も、この答申を出すことによって、結果、計算して二〇%になるとはおそらく考えておりませんし、原則論としてはこうで、当分そういう努力政府もすべきだが、これは少しあの減税案によったら、二〇%以上に負担率はなるのだということは、あらかじめ大体みな承知しての答申でございますし、これは私どももこの答申どおり減税案をやったら、二〇%にはこれはおさまらないものでございますので、これは二二%をこえたということにはなるわけでございますが、三十六年度の負担率よりははるかに下げるという努力をまあして、答申の趣旨に沿っては私ども努力はしたつもりでございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあ一歩、多少後退したようですが、原則論であるということはまあ認められるわけですね。そうして、ここ当分という現実の税制改正にあたっては、大体二〇%程度という答申の趣旨は、これは尊重するんですか。
  28. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ええ、尊重します。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しますね。しかし、原則論も現実の施策に反映する必要があると言われたのですから、その点は私もこだわりません。しかし、大体二〇%程度というのを、二二・三%というのは、いかに原則を認めても、これは私は行き過ぎだと思うのです。なぜならば、所得倍増十カ年計画は、十年後において大体二一%なんですよ。二一・〇五%ですね。十年後において二一・〇五が、もう現実に二二・三%になってしまっているのですよ。これでは、その原則論は認めて、今の二〇%から漸進的に負担率がふえるという理解をしても、あまりに負担率がこれは大き過ぎると思うのです。ですから、私が大体二〇・七%とか八%とかね、あるいは二一%弱くらいならば、この二〇%の線に沿うたとは言えますけれども、二二・三%は何といったってこの答申の線に沿うていない。今、大蔵大臣は、現実問題としては二〇%程度というものは承認されたのですが、それでは訂正されることですよ、前のことを。訂正されることですね、現実論としては。原則論は、その負担率がだんだんに高くなるということは、これは私も認めます。しかし、それが二〇何%がいいかどうか、これは税制調査会の見解もまた違うのでありますから、二〇%幾らであってもいいと思う。租税構造は累進構造でしょう。ですから、負担率が同じでも租税収入はふえるのですよ、累進構造になっておりますから。所得がふえれば税収はふえていくのでありますから、決して財源には困りませんし、社会保障費、公共事業費等の支出に困らないのです。過去の実績検討しましても、公共事業費社会保障費はかなりふえておりますけれども、大体これまで二〇%程度負担率でやってきておるのです。すなおに、大蔵大臣、前に二〇%にとらわれぬと言ったのは、あれは原則論であって、実際の施策についてはこの答申のやはり趣旨を尊重して、大体二〇%程度負担率でいくべきであると、こういうように考えるのですか。
  30. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そのとおりで、趣旨は尊重します。趣旨は尊重しますが、この答申でも、この二〇%にくぎづけしろということはむろん言っておりませんし、おおむねその程度に常になるように努力すべきであるという趣旨でございますので、この趣旨は私は尊重します。  で、また原則論としては、年々負担率というものは上がっていく方向にあるということは、まあそのとおりで、しかし現実においては、できるだけ一定基準に保つように努力しろということでございますから、そういう努力をしようとするんでしたら、今おっしゃられるように、累進構造の税制ですと、国民所得がふえれば、これは税収というものは所得のふえ方よりも税収のふえ方のほうが上がっていくということになりますから、そうなりますと、この減税というものは、一年減税政策をやったから済むというものじゃなくて、毎年の実績を見て、国民負担率の動向を見て、これはほとんど年中行事的に減税というものはやっていかなければ、今言ったような一定基準になるたけ近づかせるというようなことはできませんから、したがって、減税ということは私はおそらく今後これは年中行事的な仕事になっていくんだろうと、こういうふうに予想しております。予想しているということは、その趣旨に沿って、趣旨を尊重するという意味ですが、二〇%というものにこだわるということは、現実問題としても私はできない、だろうと思います。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は、こだわるこだわると言われますが、私はきちんと三〇%でなければならぬということは言っていないのです。二〇・五%程度、大体二〇%程度ですね。ですから、二〇・五%、あるいは二〇・七%、八%、その程度は、ほぼ二〇%と言えるでしょう。ところが、三二・三%というのは、これは非常に開きがあるわけです。ですから、尊重しているとは言えないと思うのです。
  32. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうしますというと、問題は、国の施策というようなものは、もうあまり強化しない、財政の果たすべきいろいろな問題があっても、これはできるだけ押えてしまっておくということを前提にするなら、これは今後といえども税収がふえてくる、国費需要との関係で、そういうことはできると思いますが、しかし私は、経済が伸びていき国民生活の水準が上がっていくにつれて、政治は複雑になりますし、社会格差の問題が当然出てきますし、そういう問題に対する配慮がまた次の経済安定成長への基礎でございますから、そういうことを考えましたら、今後財政の役割というものは年々多くなって、予算の需要というものは非常に多くなるという傾向を考えておりますので、問題は、常にやはり一方支出との関連減税政策調整さるべきものでありますので、税制というだけから判断できない問題を私は持っておろうと思います。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣が、今の税制は累進構造であるから、租税負担率が同じでも税収はふえる。大体弾力値は、税制調査会のあれでは、国民所得が一ふえた場合税収は一・六ふえますから、六割よけいふえる、こういう過去の実績があるわけです。大体それは学界でも承認されているわけです。これは景気情勢によって違いますけれども、大体そうなんです。ですから、税負担率が同じでも、国民所持が多くなってくれば歳入が多くなるのでありますから、弾力値は一・六でしょう。ことに日本の場合は、諸外国と比べて最近成長率が大きいから、非常にその開きが大きいのです。所得の伸びに対して、税収の伸びは非常に大きい。ことに法人税あるいは個人所得について、非常に大きいです。間接税は、まあ少しそれよりは低いでありましょう。ですから、その他の政策費を犠牲にしても、そういうことをやらないで減税ばかりやれ、やるということになるかというと、そういうこともちゃんとこの中で検討してあるわけなんです。ですから、それは専門的な学者でございますから、いろいろな角度から検討してある、かなりいい答申です。これを詳細に読んでみましたが、非常に有益でありますし、今私は日本においてこのくらいの税制に関する調査というものは、これはあまりないと思うのです。いろいろな角度から、いろいろな資料を集めて、非常にいい答申です。必ずしも全部賛成というわけではないのでございますけれども、非常に教えられるところもあります。ですから、やはりあの答申の一番基本的な線においては、私はそのこまかいところについては、これは立場の相違ということで、ある程度はやむを得ない場合もあり得ますけれども、今後も所得の伸びにつれて税収がふえます。また減税をずっと今後も引き続いてやられていくというのでしょう。その場合に一番重要なのは、負担率の問題なんですよ。これは御承知のとおりで、私が言うまでもないのでありますけれども、これについて私はくどいように今質問しておるのは、今後の国民税負担との関係、税制改正にずっと大きな影響を持つ。  これは、当面三十七年度においてはもっと減税べきだったのです。しかも、三十六年度は二二・八%なんという、およそ答申とは非常にかけ離れた税負担率になっている。にもかかわらず、年度内減税をやらない。年度内減税をやらないならば、三十七年度はもっと減税をすべきなんです。なぜやらないで、歳出を非常にふやして、そうしてプレッシャー・グループに押されて放漫なる歳出をふやしたか。ですから、この点、大体私は二〇%をきちんと守れと言うのじゃないですけれども、大体二〇%前後の線ですね、今後の税制改正の場合はその線を大体貫いていかれるかどうか。つまり、答申原則論を承認されたわけですが、これは私も承認します。しかし、今度はそれを実際面においてここ当分の間は大体二〇%程度と言っているんですが、この点を大蔵大臣は一応承認されたわけなんですから、その線で今後も税制改正考えていられるかどうか、重ねてお伺いしたい。
  34. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もう、ですから、調査会答申の趣旨は十分に尊重する。そうして現実に年度々々の減税案については、やはり調査会答申を尊重してやっていくというのが一番いいと思います。政府にたくさんの調査会、審議会がございますが、これくらい実質的に専門家が集まって、審議してその功をあげている審議会というのはあまりございません。あなたのおっしゃられるとおりで、百七十回もあれだけ多忙な人たちが忙しい仕事を犠牲にして実質審議をやっているという委員会は、めったにございません。そこで討議されたこの答申でございますから、私どもこれは十分に尊重したいと思います。したがって、今度の、今年度の減税案も、先ほどから申しておりますとおり、調査会答申を尊重して、ほとんど実質的には少しもたいして違わない、全面的にこの案によって政府案を作ったといういきさつでございます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今年度において尊重されると言われるんですが、尊重されればもっと減税をしなければなりません。国民所得は大体十四兆ぐらいですね。それに二〇%としましたら、大体三千億ぐらいの減税をしなければならぬですよ。尊重していないじゃありませんか。
  36. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ですから、さっき言っているように、さっきから申しておりますように、この答申案を出すについては、税制調査会自身もこれは二〇%前後の負担になるということは承知しない答申案ではございませんが、この線に沿ってお互いが努力すべきであるが、今年度はこの程度減税は至当だという答申が出ましたので、この答申どおりに私どもはやっているということは、税制調査会においても、私どもにおいても、あの趣旨に沿った努力はする。努力の現われではありまするが、ぴったりそういうふうにはならぬということは、 これはあらかじめわかっている答申だと私は思っております。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税制調査会答申を出しました時期は昨年の十二月ですよ。そこで、三十七年度の国民所得の推移についてもまだよくわからぬと思います。ことに三十六年度において、また三十六年度の自然増収が非常にたくさんあったわけですが、そういうことはちょっと予想しなかったと思うのです。ですから、あの当時の時点において千七百億の国税地方税を通ずる減税答申したのです。で、私は伺いますが、千七百億の国税地方税を通ずる減税答申したときのこの税制調査会は、国民所得幾らと見ておりますか。
  38. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 当時、今年度の経済見通しにつきましてはいろいろ言われておりまして、まだはっきりしない段階でございました。当時は、たしか企画庁の内部では七%くらいじゃなかろうかというような段階でございました。税収現行法ベースで幾ら当初予算に比べて出るであろうという推計をその段階でいたしまして、なかなかわかりませんでしたが、調査会での検討の基礎は四千五百億以上、ことによると五千億くらいまでいくかもしれぬ、これくらいの感覚で、ひとつそういう感覚のもとに御審議願いたいというようなことを申し上げております。したがいまして、今度の自然増収の当初予算に対する増収額は四千八百七億でございます。予算に組みましたのが、当時の状況で四千五百億から五千億の間、それから経済企画庁では七%くらいの国民所得の増加ではなかろうかというような段階での審議でございます。しかし、いずれいたしましても、非常ににはっきりしない段階でいろいろ話を詰めていった、こういうことでございます。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その後、国民所得も三十六年度の出初予算をきめるときとまた違ってきておりますね。改訂されておりますね、あとになってから。ですから、当初予算のときの基礎になった国民所得を前提として考えるのと、それからあとで改訂された国民所得、これに基づいて考えるのと、非常に違うと思うのですよ。私は、今の時点でもし税制調査会答申するとしたら、千七百億どころじゃないと思うのですよ。前の十二月の時点において千七百億という答申をしたのですからね。ですから、大蔵大臣は非常にずるいのですよ。そこをずらして、あの当時の情勢を現時点に当てはめて、国民所得は非常にふえておる、そのころと非常に情勢が変わっておるのですが、それを変わった時点において適用して、税制調査会答申は尊重しておる尊重しておると言いますけれども、時点が違うのですよ。この点を大蔵大臣はどうお考えですか。時点が私は違うと思う。あの当時の、答申した当時の国民所得なり税収見通しと現在の情勢は違いますよ。違わなければならない、その後非常に著しく変わってきておるのですから。
  40. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制調査会が最後に答申を出す前でございますが、今主税局長が述べましたように、大体どのくらいを見るかという問題がございまして、大蔵省としてはこれくらいじゃないかと出しましたのは、今言ったように大ざっぱな数字で四千五曲億から五千億、一応そのことを頭に入れて税制調査会も審議していただくわけでございますが、実際においてその後三十七年度の総年産伸び率を五・四%ということにしましたので、見方は当時よりは少し伸び率を少なく見ておるという形になっております。で、自然増の見込みも、そのときのちょうど中間、四千八百億円ということでございますので、当時の見方と大きい狂いは別になかったというふうに考えております。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、昨年の十二月の時点で調査して、ですからデータはその前のデータと思うんです。その後国民所得が非常に伸びているんですから、御承知のように。非常に国民所得の伸びた時点において七%なり五%と考えた場合と、その前の段階考えるのと、非常に違うわけです。私、ちょっとどうしても割り切れない点があるんですが、三十七年度国税の純減税幾らですか。九百八十七億ですか、国税の純減税
  42. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 三十七年度でございますか。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ。
  44. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 三十七年度は九百八十七億でございます。これは、関税ですね、関税の増徴分を含めた、それを差し引いたあとでございます。内国税だけでは千四十一億でございます。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 純減税が九百八十七億ですね。
  46. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは国税だけでございます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、地方税減税は、初年度、四百二十二億というのは二百三十七億ぐらいですか。
  48. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 二百七十億でございます。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのほかの減税は。
  50. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) それだけでございます。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは合計幾らになります。
  52. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 千二百六十億。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税制調査会答申は千七百億ですよ、大体。それは平年度であります。しかし、なるべく平年度に近い線において減税せよというんでしょう。なぜならば、三十六年度は非常な自然増収がある。しかし、年度内減税は困難であろうから、なるべく平年度に近い線で減税せよというんで、千七百億の減税をせよと答申しているんですよ。ですから、千七百億きちんとではなくても、これに近い線とすれば、千五百億とか千四百億とか、そうでなければならぬはずですよ。ところが、千二百六十億でしょう。こういう点からも、三十七年度においても答申の趣旨に反している。そういう点でも反している。平年度に近い線で減税せよと言っているでしょう。三十六年度に自然増収がたくさんある。
  54. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税制調査会の当時の減税は千七百億というのがありましたが、これは先ほど申し上げましたように、若干当時の規模が違っておりますので、その後計数整理いたしますと、先ほど申しましたように、国税におきまして百三十八億計数が違ううち、実際の違いは二十五億だと申し上げました。したがいまして、その当時の経済規模、見通された経済規模から見ますと、百十三億だけは当然減があってしかるべきだと思います。そうであるといたしますと、千七百億と申しますのは、単純に計算いたしますと千五百八十七億ということになります。それで、今度平年度ですね、純減税幾らやったかと見ますと、千五百八十六億でございまして、一億の差額でございます。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは平年度でしょう。
  56. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 平年度でございます。減税案はあくまでも平年度で出しているわけでございます。それは、平年度計算以外にはできませんものですから、平年度で出しまして、初年度をどうこうということは、これは減税の規模とは関係ございません。実際を申しますと、規模としてはいつも平年度規模で見るわけでございます。その年の負担がどうなるかということについては、先生のおっしゃるとおり、初年度減税をどう見るかということにかかる問題でございますが、調査会としては主として減税のスケールの問題で論ずるわけでございます。初年度に関しましては、なかなか当時わかりませんので、この「三十七年度税制改正基本方針」という答申の十二ぺ−ジでございますが、これはまだわかりませんでした。そこで、そのまん中ごろに、「なお、来年度の減税は、本年度内の自然増収を財源とするいわゆる年度内減税は実際上困難であるとしても、当調査会としては、できるかぎり平年度に近い姿で実施されることを希望する。」、これだけしか答えなかったわけでございます。したがいまして、純減税の規模としては一億の差だと。最後に詰めてみますと、国税地方税の間でいろいろございますが、それくらいの差に詰まったわけでございますが、この初年度の減税というものが、諸姉の関係で今の特に所得税につきまして年度内減税ができなかったということのために、主としてそれを理由にしまして、これだけにならざるを得なかったということでございます。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御説明で本、答申と差があるじゃありませんか。かなり差がある。だから、減税は少ないです。ですから、三十七年度の答申の趣旨を尊重した尊重したと言いますけれども、やはりせんじ詰めていえば、尊重していませんよ。やっぱり三百億以上の差があります。平年度に近い線でやれということを言ってるんですから、今平年度の答申でありますけれども、特に年度内減税できないから平年度に近い線でやれというのでしょう。やっぱり尊重していないでしょう。その点、大蔵大臣、いかがです。
  58. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほど申しましたように、少しおわかりにくかったかもしれませんが、私の説明がまずかったのかもしれませんが、これは平年度ベースでございますが、これは調査会では千三百八十二億、こう減税の規模を打ち出しておるわけでございます。しかし、これは当時の見通されたときの経済見通しのもとにおけるものでございます。それを予算の基礎になった経済ベースにいたしますと、これは千三百八十二億ではなくて、これから百十三億引いて計算しなくてはいかぬということでございます。ことしの三十七年度の予算の基礎になった経済ベースでいきますと、地方税を含めて千七百といっておりました数字が、それだけ減りまして千五百八十七になるべぎはずだ。今度国税では二十五億減り、地方税では五十九億ふえました、答申案に比べまして。これを差引して、予算に今度出しました政府当局の減税額によりますと、千五百八十六でございます。ですから、経済規模の問題を比べますと一億の差でございます、平年度では。ただ、おっしゃるように平年度規模としては、ですから、金額的には大体同じだと言ってよろしゅうございますが、初年度が少ないじゃないかというお話だろうと思います。  初年度に関することは、これはもう非常にむずかしいいろいろな要素がございますので、その当時の税制調査会としてはできるだけ早期に、減税の規模が初年度から大規模であることを望むということ以外には言えなかったわけでございます。その点は、問題は技術的に申しますと、十二月に臨時国会かなんかが開かれませんと討議する段階がありませんと、実はできないわけでございます。一月から減税しようといたしますと、どうしても源泉の関係がございますので、十二月末までに法案が通過しなくちゃいかぬわけでございます。そういう関係がございまして、どうしても年度内減税ができなかったということでございます。それで四月からということになりますので、初年度につきましては四分の三減税ということにならざるを得なかった。ただ、税源配分と見合う所得税減税については、これは税源配分でございますから、フルに税源を移譲しております。交換しております。その分にかかわる所得税は、これは全部あとで調整いたしますから、それ以外の所得税に関する限り、これは四分の三減税にとどめざるを得なかった。これが税制調査会答申と今年度の減税額の違った最大の理由だということでございます。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、違っておるじゃありませんか。その点を前から言うっているわけですね。そうしますと、租税負担率に対しても大体二〇%程度といいますこれを尊重していないことは、三十七年度において尊重しているしていると言いますけれども、三十七年度の答申の趣旨は、今お話しのように、年度内減税ができないから平年度程度減税をすべきであるということを答申しているのに、していないんですよ。平年度規模においては大体同じだというけれども、三十七年度の減税が問題なんです、当面。私は時点の計算において問題があるといいますけれども、一応百歩譲って千七百億の減税の線で押えても、三十七年度の減税、初年度においては答申を尊重していないんです。はっきり計数的に出てきたんです。千五百八十七億、千二百六十億、こんなに差がある。そこで問題なんです。
  60. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは申しますと、初年度はどんなにやりましても、間接税等につきましては納期が一カ月ずれますので、初年度は十二分の十一になります。それから、物品税は納期が二カ月後になりますので、十二分の十になるわけでございます。それから、今の所得税系統は、これは四月から実施、四分の三減税いたしますから、それだけ少なくなるわけでございます。当時なぜこういうふうにできるだけ近い姿でと、年度内減税は困難であるにしても、こういうことを言っているわけでございます。そのときは当然四分の一はやむを得ないということでございまして、当時言われておりましたのは、御案内のように、世間では所得税間接税も七月から減税すべきであるという声が非常に高かったわけでございます。これに対しまして、それはひどい、通常の減税であれば初年度が通常減るのが、それは通常でございます。むしろ昭和二十九年からずっと見ておりますと、年度内減税をやったというのは、去年一年所得税がやったわけでございます。間接税等につきましては、これは当然のことでございまして、初年度は十二分の十一とか、あるいは十二分の十になるわけでございます。当時われわれが——われわれと申しますか、調査会が特にうたいましたのは、当時所得税間接税を含めて七月説が非常に横行しておったわけでございます。で、まあこれを一つ一つ……。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは自民党じゃございませんか。われわれは違いますよ、世間々々と言うけれども
  62. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 世間でも景気刺激に対する関係が非常にうたわれまして、消費税の減税は大いに消費を促進するこの経済時期においてどんなものであろうかということがうたわれたわけでございます。税制調査会は、その見地からも、景気の刺激が多いという角度から、減税とその他のものはどうであるかというようなことをいろいろ検討いたしまして、それで少なくとも七月減税というようなことは理由がないんだということを強くうたい出すために、こういう表現をとったといういきさつであったと私は記憶しております。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほど銀行局長はお見えにならないというお話で、銀行局長はお父さんがおなくなりだそうですから、調査官、お見えですか。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、ちょっと結論づけます。結末は、全部の結末じゃありませんが、まだ残しておきますが、あしたまだ予算分科会の大蔵関係ございますから、残しておきますが、大蔵大臣に主として質問することになっておりますから。  大蔵大臣、今までの質疑を通じて非常にはっきりしたと思うのです。税制調査会の趣旨を尊重しておりません、結論として。今までの質疑についてどうですか。ですから、問題は今後の税制改正にも非常に重大な影響があるんですから、ここで大蔵大臣が前に二〇%と言われたのを訂正しました、そんなものにとらわれないと言った点について、ここではっきりして下さい。それは原則論であった、そうしてこの答申で、当分は日本の税金はあらゆる面で、戦前あるいは諸外国から見ても商いから、大体二〇%程度でここ当分は——負担率は二〇%きちんとという意味じゃない、大体二〇%程度。二二%をこえることは、これはそれと違うことは明らかです。大体その線でいくと、こういうふうに訂正されますか。そう訂正されれば、われわれのほうは納得いくんです。
  65. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは先ほどからの私の答えで尽きておると思いますが、原則論として、私はこれはとらわれない、これはそのとおりです。原則論が現実の中にどう入り込んでくるか、全然原則論と現実が関係ないことはございませんで、ことに「当分の間」といっても、日本経済の激動期である以上は、そうして伸びの非常に多いというときには、この原則的な問題が現実の中にこれは当然ある程度出てくると思いますから、それが何%になるかということは、そうきちっと、これが正しいとかこうでなければならぬということは言えないと思います。現に戦前負担率は一三%であって、順々に毎年少しずつ所得の伸びに応じて伸びてきて、実質国民所得が二倍になったというときに、まだ税負担率はそこまでは行っておりませんが、二〇%前後に来ているということで、日本の今までの税負担率の足取りを見ましても、国の経済が伸びていくに従って国民負担率というものは、一三%あたりから今日までずっと伸びてきているのでございますから、この傾向が今後日本経済の伸びが早いというか、二〇%が二一%いくとか二一・五%にいくとかいうふうに、その原則論の方向に沿った動き方を現にしておるものでございますから、これを何%にくぎづけにしなければいかぬということは言えないので、私は方向とすれば、高度成長政策が進むに従って税負担率は少しずつ上がっていく傾向にあるもので、これはある程度やむを得ないことだと思います。ただ、毎年々々国民の所得が上がるといえば、累進構造から来る税収というものは多くなって、国民負担が重くなる。もうそういうあれを持っておりますからして、この調節は毎年やらなければいかぬ。したがって、減税は毎年今後やるべきであるという見通しを持っておりまして、そういう意味税制調査会の線に沿ってできるだけ負担率を軽くする方向への努力というものはやるべきだ、この点はむろん異存はございませんが、この「二〇%当分の間」は、それを動かしちゃなんとか、その辺にくぎづけされなければいかぬという議論というものは私はおかしいと思うのです。これはもうそのとおりじゃないですか。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、二〇%にくぎづけするとは言っていないじゃありませんか。だから、言っていないんだから、われわれは答申の趣旨はほぼ現状程度というのは、二〇%程度というんです。程度だから、その前後多少あるんです。倍増十カ年計画で二丁〇五%じゃありませんか。今それは上回っておるわけです、二二・三%。その点を言っている。ですから、二〇%きちっとやらなければいけないと言っていないんですから、大体二〇%程度というこの税制調査会答申を尊重されるかと聞いているのです。
  67. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) だから、尊重して、税制調査会の言っているところの、おおむねその程度になるように努力するという点においては、私も全く賛成で、おおむねその程度になるように努力はいたしたいと言っておりますので、同じじゃないですか。何%になれというのではなくて、おおむねその程度になるように努力をするということについては、異論はございません。
  68. 平林剛

    ○平林剛君 僕は、数字は総理や水田さんほどうまいほうじゃないから、別な角度から、今の税の負担率を尊重する必要があるかどうか。今大臣が答弁をされているように、今度の減税案中心に考慮をすると、それに固執されちゃ困るものだから、負担率なんていうそれは原則論というものがあって、所得が伸びていけば伸びていくものだくらいに考えているようですが、一体国民に対する課税、税金が重いとか軽いとかというのは、判断をするときに何を基礎にして今後考えていかれるのですか。私どうもそれが疑問なので、国民に今課している税法やいろいろな行政が、これは過酷であるかないかという議論をするときには、何を中心に議論したらいいのですか、これからは。私はその基本というものが大蔵大臣の答弁の中からうかがえないのです。便宜主義なんだ、あまり。だから、国民の税が重いのか軽いのか、これからもこういう政治が行なわれていく限り議論があるところでしょうけれども、それは何を基本として考えられるか、大蔵大臣は。そういうところをきちんとしなければいかぬじゃないですか。ただ、今や国費需要が多いからそれできめなければいけないとか、それから経済が伸びるからその税率は動いていくのはあたりまえのことだとか、所得倍増計画に基づいてとか。それじゃ、十年後に国民所得が二倍になったら税率も四〇%でいいのだと考えることにいたしておられるのですか。私は、やっぱり税が軽いか重いかという判断をするときには、大蔵大臣としては何を基礎にしてお考えになりますかということを聞きたくなるのですが、いかがですか。
  69. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは結局、また原則論になりますが、最低生活に課税しない。やはり課税限度というものは特別に考えていますので、この最低生活、課税最低限度というものをどこに置くかということは、これは非常にむずかしい問題で、各国とも違う。国民所得水準、消費水準、いろいろなものとの関係でこれはきまると思うのですが、これは一番むずかしい問題で、これでいいのだということは言いませんけれども、たとえば独身者におきましては、今度の減税によって年に十四万幾らかの所得者に初めて税はかかるということで、独身者の最低生活限度額が十四万でいいか悪いかというこの認定はむずかしいのでございます。  結局、国民所得水準、生活水準と申しますか、これが上がっていくのに従って、この限度もこれは変わってくるということでございますから、課税が高いとか、重いか軽いかというものも、結局は国民生活の実態から判断していかなければこれはきめられない、国民所得税収との割合だけできめられる問題じゃない、私はそういうふうに考えます。所得の低いときには、税負担が極度に悪くなれば、これは国民にとっては負担が重いということになろうと思います。十万円の所得者に対して一割の負担といっても、あと九万円で生活せいということですから、この一割の負担というものは、負担率としては一割であっても、実質の負担というものは非常に重いということが言えるでしょうし、所得百万円の人に対して三割の負担といったら、それがきついかと申しますと、残り七十万円で生活するということだったら、九万円で生活する一割と七十万円で生活する三割の負担者といったら、まだ百万円の所得の三割の負担のほうが楽だということが言えましょうし、結局各国のあれを見ましても、国民所得が多い国ほど税の負担率は多くて、西洋諸国においてもみな三〇%ずつ、先進国というのは二七%以上の税負担率ということになっておることから見ましても、日本税負担率は今二二%で、率から見たらに非常に日本は低いのですが、国民所得の実態から見ましたら、諸外国に比べてまだ日本の税金は商いということが言えるので、したがって、税の負担率というものも今後国民生活の向上の内容、所得の水準、いろんなものから重いか軽いかというのはきめらるべきものであって、これはただ所得と税収との比率で重いか軽いかというのは私はきめられるものじゃないと思います。
  70. 平林剛

    ○平林剛君 私は、しばらく大蔵委員会を留守にしたものだから、こまかいことわかりませんけれども衆議院や参議院の大蔵委員会において税法の問題を議論した質疑応答を一わたり読んでみると、大蔵大臣考え方は少し便宜主義的な考え方が非常にあるのじゃないかというような感じを受けた。それが今の税負担率に関する木村さんとの議論に現われているわけです。衆議院大蔵委員会のときでも、たとえばビールの税金が今度少し減税になるわけですが、高いと思いますか安いと思いますかと言ったら、大蔵大臣は、いや今度減税したけれども商いと思っている、こう言われましたね。ああいうときには、何を基準で高いとか安いとか考えられたのですか。
  71. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは間違ったら事務のほうで訂正してもらいますが、私の見ている範囲では、最初から高かった、一般の酒に比べて。というのは、やはり在来の日本酒は、これは必需品でもないでしょうが、これは日本人の飲むべき酒ということになっておるのを、明治何年ですか、ビールができるというときになったら、これは舶来酒というようなことで、非常にぜいたく品といったような感じがあったために、ほかの酒と比べてこの税金が最初から高かった。この考えが今日までまだ続いてきているというところに、ほかの酒類に比べてビールの税金の高いということは、アルコールの度とかそういうようなものからの比較をしてみても、明らかに私はこれは高くなっていると思います。
  72. 平林剛

    ○平林剛君 だけれども、高いとか安いとか判断したとき、税率というものを頭に入れて高いとか安いとかあなた言ったのじゃないですか。国民の所得がふえていく、そういうときには税率は高くなってもしようがないというような議論からいくと、今度の酒税減税は悪いとは言いませんが、あなた、その点非常に矛盾があるのじゃないかということを私言いたいのです。
  73. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは税率であって、税負担、全体の負担の問題とは違うと思いますが、税目間の均衡というようなものから見たら、ビールの税金は明らかに高いと思います。
  74. 平林剛

    ○平林剛君 だから、ビールとか、あとで私も大蔵大臣にお尋ねしようと思っておるのですが、たばこの税金が高いとか安いとかというのは、税率を基礎にしてものを考えることが多いでしょう。それと同じように、一般の国民の税金が商いとか安いとか、これは負担を越えているとか越えていないとかというのには、やっぱり税率というものが、税の負担率というものがある程度基礎にならなければいけないし、それがどんな——それは生活の最低生活の限度ということももちろん考慮に入れますけれども、やっぱり一つのものさしは、税の負担率ということがあなたとしては相当重点に考えてもらわなければいけないのじゃないでしょうか。どうですか。
  75. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはもう当然でございまして、各税種間の均衡というようなものはとらなければなりませんし、全体として国民負担率を下げるためには税の率を下げていくという方向でなければいけませんので、これは均衡をとった考え方を順次していくべきものだろうと思います。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。その負担率からいえば、大蔵大臣、諸外国との負担率を比べてみると、ものすごく高いのですよ。日本税制調査会答申でも五六・一%、アメリカは一〇%、イギリスは二九・一%、西ドイツが八・七%、イタリアが二一・四%、日本はものすごく高いでしょう。これはたばこも同じですが、ここに問題があるのです。その一つの原因で、また大きな原因だと思うのですよ。この点触れられていないのですよ。だから、平林君はそう言われたのですが、そうじゃないのですか。
  77. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今ビール税率が出ましたが、これは実際申しますと、高いか安いかということがほんとうにどんぴしゃりわかれば、ほとんど問題ないのだろうと思うのでございます。非常にむずかしい問題でございまして、税制調査会でもこの問題をどういう角度からやるのか、結論からいいますと、あらゆる角度から検討しなくちゃいかぬということでございます。やはり大臣がさっきおっしゃいましたように、それぞれの生活あるいは消費の実態、それから企業に対する負担というもの、それから家計に対する負担というものともっと実質的に分けて考えてみる必要がある。所得税にいたしましても、たとえば課税最低限は最低生活費以上であるべきでありましょうし、もっと越えればなおけっこうな話でございまして、そのときの税率の盛り方にいたしましても、所得分布の構造がどうなっておって、その所得分布にどういうふうに対応した税率の刻みが盛られておるか、こういうところまで実際には読み取りませんと、わからないわけでございます。その最後の答えがある表にしますと平均国民所得に対して何%、こういうことにはなります。それはそれとして意味を持ちますが、実は各税の積み重ねが集積的にこれに出てくるということは、負担率のところの答申本文ですでにうたっているところでございます。  今度間接税減税をやりました点も、そういう社会生活の実態から考えまして、非納税者世帯がどのくらい負っているか、そこでの逆進性がどうであるかという問題、それから個々の、たとえばビールにいたしましても、ビールの一キロリットルでどのくらいの度数になっているか、こういう国際比較がございます。その場合はビールの度数、アルコール度数はみんな違います。そういう換算もございます。一度一キロリットル当たりで各国の場合はどうなっているか、為替相場で換算するとこんなことになる、それから小売価格の中にどれだけ占めておるか、こういう問題もあるかと思うわけでございます。また、さらに言いますれば、それが国民生活の中の家計費の中にどういう割合で占めておるか、実はこれはまたむずかしい問題でございまして、相関関係でございまして、安くすればより多く飲むであろうか、こう思うわけでございます。現在の税制のもとでの消費の実態が出ているわけでございます。その辺が間接税ではなかなか読みにくい。いわゆる間接税の弾力性と申しましても、あるいは逆進性と申しましても、この消費の量あるいは飲まれ方自体が現行税制をもとにしての話でございます。したがいまして、今度それを改正した場合には、そこの消費分布がどうなるかというところは実は読み取れないわけでございますが、まあデータを尽くせる限り一応こういうことにたっておる。ここはあらゆる角度から見て、ビールというのはどうも重そうだ。各国の酒類に関する税率その他をずっと見てみますと、どうもどこの国も通じて言えることは、在来酒に対してはかなり軽い税率をとっている、あとで外国から入ってきたようなものは相当重いということは、どうもありそうだ。それがいいというわけではございませんが、税制はやはり沿革的にできているというようなこと、そういったこともございます。それからまた、アルコール政策に対しては、いろいろな政策が負担と同時に加味されて、強い酒について非常に高い税率を盛っているところもある。この辺が非常な問題だと思います。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣、ひとつ誤解されるといけませんから、どうしてもこれははっきり確認しておかなければいけないのですが、大蔵大臣はさっきから、国民所得に対する税負担率だけで問題を論じられないということを言っているのですけれども、これまで私が議論してきた税制調査会答申における国民所得に対する税負担率というのは、これはあらゆる角度からいろいろ検討した結果こういう結論に到達しているということを、大臣は理解されなければ困ると思うのですよ。その点、確認していただけますか。ただ、国民所得税負担率だけを単純にこれは計算しているのではないのです。その裏づけとしていろいろなあらゆる角度から検討した結果、各税目についても歴史的にもずっと調査しておりますし、あるいは諸外国日本戦前等、そうして結論として国民所得に対する税負担率、そういうところに結論をまとめてきているのですから、その過程というものも、大蔵大臣、少なくとも税制調査会における税負担率の問題はそう理解されて御答弁願わないと困るのですよ。そう理解される必要があると思うのですよ。いかがですか。すぐ大蔵大臣はただ簡単に、国民所得税負担率ということを言われますけれども、そんな簡単なことを言っているのではないのですから、その点は大蔵大臣、誤解ないように、いかがですか。今まで簡単に言われますけれども、それはそうではないということを確認される必要があると思います。
  79. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 税制調査会におきましては、各税の種目、その間の均衡、税制の体系というような問題については、非常に詳しくこれは審議されておりますが、税負担率の問題はそう科学的に特に検討されたものとも私は聞いておりません。現実において日本の税金が高い、国民負担率は高いということは、これはあらゆる角度から検討してはっきりしていることでございますので、この税制調査会発足当時に、大体今程度税負担を上げないようにということを考えて、これは審議に先だって、この答申が別に出たといういきさつもございますので、この趣旨は私はさっき申しましたようにけっこうでございますが、この二〇%というようなものが、科学的にあらゆる面を検討した結果これがいいというふうに結論されたものではない。いずれにしろ現実は高いから、これをむやみやたらにこの負担率が上がるようなことがあっては困るという一つ答申でありました。そのことについては次のまた審議会においても、私どもはいろいろ議論しましたが、原則論としては、今言ったように、国民所得が上がるに従ってこれは上がるべきものだと認めるが、しかし、やはり日本の現実は高いのだから、当分なるだけ、原則はそうであっても、できるだけ程度を越した負担率にならないようにという再答申が出ていることでございまして、これが今の経済の実情に即して、どの程度がいいかというものが、もう少し科学的に検討されることが望ましいということでしたら、私どもは引き続いてこの問題についてももう一ぺん新しい議題として検討してもらうことはいいと思いますが、従来はそういういきさつでございますので、これからちょっとそれたとかそれないという程度で、この答申案の線に沿わないものだというふうに言われたら、私ども困るということを言っているわけでございまして、その趣旨についてはもうあなたとの考え食い違いはないと思います。
  80. 平林剛

    ○平林剛君 それから生活の程度、実際の国民の生活などから考えた場合に、税負担率が二〇%だ、やれ二二・幾らということよりも、実際にはその数字以上の感じて税金を重く感じているのじゃないか。特に大蔵大臣外国との税の負担率をよく例にされて、いやアメリカはこうだ、イギリスはこうだとおっしゃるけれども日本の場合の特殊性からいくと、税外負担というやつがかなり一般の国民の生活には重い響きを持っているわけですね。寄付だとか、冠婚葬祭というのはそこに入るかどうかわかりませんけれども、PTAの会費であるとか、こういうものもやはり、最低生活の限度とか最低生活を考えながら税の負担率考えるならば、要素に入れてもらわなければならぬと思うのです。そこで、大蔵大臣としては、一体国民生活の中においてこの税外貨掛というものはどのくらいになっているのかどうかというようなことについての実情を、どう把握されておるか。
  81. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 三十五年のときの調査で、自治省の調査でございますが、三百億程度というふうにいろいろ推定されております。したがって、この問題については、三十五年に税外負担の解消というために九十億円かの措置をとり、今度三十七年度において百億円、義務教育費を中心にする百億円の税外負担解消に対する措置をとったのですが、この実態がまだ十分把握されませんので、今度の予算ではこの税外負担の実態を調査してもらい、予算を計上したということになっておりますので、ただいまのところははっきりつかめませんが、三十五年においては三百億円ぐらいの推定が出されました。
  82. 平林剛

    ○平林剛君 この税外負担の問題では、またあらためて大蔵大臣にお願いをしたい。それから、引き続きこの税外負担を縮小していくための努力をしていかなければいかぬと思いますので、こまかい資料があったら、村山さん、あなたのほうの管轄じゃないかもしれないが、こまかい資料をもらいたいと思っておりますから、委員長のほうもお願いします。  そこで、たばこの問題についてお伺いしたい。今度のいろいろ税法の中で私一番気に入らないのは、たばこについて減税がなかったということなんです。特に大蔵大臣もたばこを、さっきから見ているとだいぶお吸いになるようでありまして、これは大蔵大臣がたばこを吸っても、ピースなら四十円だし、ホープなら四十円だというぐらいで、所得にかかわらず同じ一定額でたばこの定価がきまっておるわけであります。だから、たばこ好きの者については、二万円の月給取りでも、やはりピースなら四十円で売るし、大蔵大臣でもピースなら四十円で売るわけで、こういう意味では、低所得階層になるに従って、たばこの経費というものはばかにならないのではないだろうか。だから、今日のような状態においては、特に低所得層の生活実態の内容をよくするという意味でも、たばこのようなものについては、その価格を検討したらどうだろうかと私は考えておったわけであります。  特に税率は、大蔵大臣もすでに御承知だと思うのでございますけれども、ピースのようなたばこですというと、その税率は六六・四%の高率になるわけです。かりに所得税がこのくらい取られておりましたら、どの国民も目を丸くして怒るのでありますけれども、たばこがピースで六六・四%の高率が課せられておりましても、ふだん気がつかないで取られておる。また、ホープは六六・七%、ハイライトは六六・五%、光が六二・四%という工合に、いずれも高い税率になっているわけです。ところが、新生やバットを見ますというと、新生でも六五・三%。バットで六二・九%、こういう工合に、比較的低所得層が吸いますいわゆる大衆たばこを見ましても、ピースと新生と少しも税率は変わっておらぬ。そして、ただいま申し上げたように高い税率。この一年間におけるたばこに消費する大体の傾向を考えてみましても、これはばかにできない、高額な税金を支払っているという勘定になるわけです。  だから、私は、もしビール、酒というものが今日の大衆の生活に食い込んでおって、そうしてこの税率を下げて安くするというならば、同時にたばこも考えてもらいたかった、こう思っているんですが、今回どういうわけでたばこを除外されてしまったのか、大蔵大臣としてもこれについてどういうお考えを持っておられるか、私はこの機会にお尋ねしておきたいと思います。
  83. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私個人としては、たばこの減税を今度やりたかったわけであります。また、税制調査会間接税検討の際に、一応たばこをどうするかという問題についても十分これは検討いたしました。その結果、たばこの専売益金率というようなものも、戦前と比べて特に著しくふえているという状態でもないということ、したがって、小売の値段も、諸外国との比較において日本のたばこは特別に高いという実情にないということ、それからいわゆる物価倍率で、各物価が戦前の物価の何倍に今なっているかというそういう角度から見ますというと、たばこの値段というものは倍率においてまだ他のものよりもむしろ低いということ、それから葉たばこの値段、そのほか経費の増高、そういうような傾向がこの二、三年ずっと続いておるのに、たばこは三十一年にきめられた価格を事実上現在全部据え置きになって、途中で値上げをやっていないというような事実から、実質的にはむしろ他の物品税のあり方、酒の税等に比べて、まだほかのほうの間接税をさわるほうがこの際は緊急というわけでもありませんが、そのほうがまだ重要だということで、そういう結論になりました。  そこで、せめて大衆たばこについての値下げだけ今度ということも考えましたが、それならば、問題は一括して次年度の検討にまかせることがこの際妥当だろうということで、今後の問題にこれを残してございますので、引き続きこの問題についての検討はしたい、こう思います。
  84. 平林剛

    ○平林剛君 大体、ことしはできなかったけれども、来年はこの問題について検討するというお話がありましたから、あまりきょうは申し上げませんけれども、先ほど私が指摘したとおりに、ピースやハイライトが六六・四、六六・五に対して、新生やバットでさえも六五・三とか六二・九という同じ税率が課せられているわけです。これは税率の面からいきますというと、いわゆる税法から見ると、少し低額所得者に対して苛酷な税率になっているということはいなめない事実です。酒の場合には、特級を飲む人に対しては今度下がりましたから、今私が申し上げる数字は違うかもわかりませんが、今日までは特級の場合には税率が五六・七だった。一級酒になりますというと、四六・四と下がってくるわけです。二級酒になると三五・一%という工合に、大衆酒になるに従って税率が下がっているわけです。たばこの場合はあべこべなんです。全部税率が同じような水準になっている。そればかりじゃない。グロリアとかパンドールという葉巻たばこ、御存じでしょうね。あれの税率考えてごらんなさい。あれは五〇%台の税率になっていますよ。新生とかバットのようなものは、六五・三とかあるいは六二・九という高率の課税をしておきながら、パンドールとかグロリアとかいう、比較的高額所得者が吸うであろう葉巻たばこのほうが税率が低い。これはあべこべだと思う、酒から比べて見ると。だから、そういう意味からいきますと、私はやはり大衆のたばこと目されておる、現在の状況から目されておる大衆たばこ、少なくとも新生とかバットというものは、この際値下げをすべきでなかったか、こういう考えを持っておるわけです。  それから、専売公社自体でも、今日いろいろな機械が入って参りまして、新しい工場が建設をされる。設備投資にもかなり重点を置いて計画が進められておりますけれども戦前やあるいは基準年度を比較しますというと、その生産量、生産性というのは著しく高まっている。普通の企業ですと、生産性が高まってくると、あるいはその製造能力が大きくなれば、たばこを安くしていかなければならぬというのが常識だと思う。これはたばこを税と見るか商品と見るかによってずいぶん違うでしょうけれども、それだけの設備能力を持ち、たくさんの製造能力になってき、生産性が高まっているとすれば、少しは大衆に還元をしていくという考え方がなくちゃならぬじゃないだろうか。  私は、やはりある程度そういう考慮がなければいかぬ。今、大蔵大臣は、いや、このごろ価格は据え置きになっているとおっしゃるけれども、それは確かに価上げはなかったですよ。価上げなんかしたら、とんでもないことになる。値上げはなかったけれども、生産性、それからいろいろな設備拡張その他から考慮すれば、当然ある程度大衆のサービスという面もこの際考えていくべきでないだろうかと私は思うのです。今の税率比較からいいましても、あるいは生産性の向上という点から見ても、今度ほんとうはある程度無理をしても、酒を下げるならば、たばこも下げるべきでなかったかと思いまして、大蔵大臣に注意を喚起しておきたい。来年度はぜひこの問題を真剣に考えてもらいたい。ただ検討するというだけでなくて、今大臣があげられた理由によるというと、永久にたばこの価格は引き下げはできないようなことになってしまう、今のあげられた理由だけなら。そうでなくて、衆議院大蔵委員会でも、またただいまでも、来年度引き続き検討するとおっしゃられた以上は、その検討ということは積極的に、ただいま申し上げたような事実が現実となって現われるようにやるのだという程度のことは、おっしゃっていただきたいと思います。
  85. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは、そのつもりで検討しております。ただ、このたばこみたいなものは嗜好品でございますので、最近の傾向を見て、低所得者といわれる人が安いたばこを吸うということでなくて、嗜好品である以上はこれはやむを得ませんが、その実際にたばこをのむ層の問題は複雑になっておりまして、低所得者のほうが趣味の上から高いたばこを吸う傾向というようなものもありますから、これを大衆たばことして、今低いたばこをただ下げるというだけでいいかどうかというと、そうも言えない。いろいろな問題がございますから、たばこ問題は全体としてこれはもう一ぺんほんとうに検討しなければならぬというようなことになって、今度は間に合わなかったという次第でございますので、引き続いてこの問題は研究したいと思うのであります。
  86. 平林剛

    ○平林剛君 割合といい回答だけれども、どうも今たばこが嗜好品だなんというお話があったから、大臣はその点の認識が違うのじゃないか。予算のことは水田大蔵大臣におまかせし、数字のことは池田総理におまかせするけれども、たばこのことはこの平林にも少しまかせていただきたい。嗜好品なんという感じのものじゃないと思うのですね、今の国民生活から見て。あなた、たばこをやめろと言われれば、ぴたっとやめられるようなものになっていますか。私はそういう点の認識というものがかなり違うのじゃないかと思うのですよ。  まあ、きょうはこの程度にしまして、次年度はよく大衆たばこについての減税を実行してもらいたいということだけを要望して、とどめておきたいと思います。
  87. 上林忠次

    理事上林忠次君) 午前中の審議はこれにて休憩にしまして、午後は一時半から続行します。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時四十七分開会
  88. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続き、所得税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案物品税法案酒税法等の一部を改正する法律案、以上四件を一括議題といたします。  質疑のある方は、順次、御発言願います。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 午前中の質問に関連しているのですが、これは若干前に私も質問をしたのですが、国民所得に対する税負担割合ですね、これはちょっと水かけ論のような格好になっているわけですが、しかし将来経済の成長につれて税負担割合が増加するということはわかります、これはね。けれども、それでは増加する、どういう率で増加していくのかという点をはっきりさせておかないと、国民税負担が非常に重くなってくるのじゃないかという心配があるわけです。それで、この資料は税制調査会検討した際に使われておる資料ですが、昭和二十六年から昭和三十五年まで、この十年の国民所得の増加がどういう割合でふえているかという資料が出ているわけですね。で、それに対して国民国税負担がどういう割合で伸びているかという、まあそういう資料があるわけです。これによりますと、この十年の国民所得の増加の割合は平均して一三・一%、こういう数字が出ているわけです。それに対してこの税金のほうはどういうふえ方をしておるかというと、一三・一%に対して二一・八%という数字が出ておるわけです。で、この数字を見ると、国民所得の増加の割合は十年間の平均で一三・一%、これに対して税の増加の割合は二一・八%で、この増加の率だけを見ると、税のほうが非常にふえ方が大きい、こういうことがはっきり言えると思うのですがね。これは見方によって、国民所得税負担との関係にアンバランスが来ているのじゃないかというふうな一応の考え方ができるのじゃないかと。で、大体国民所得の伸びに対して税の伸びは一・六倍くらいになっている、こういう数字に私なると思うのですね。このことについてどういう、これは大蔵大臣に私質問をしようと思ったのですがね。これは政治的な判断も必要とするのじゃないかと思いますから、主税局長にお尋ねをしたいと思います。
  90. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) おっしゃるように、国民の所得の伸びに対しまして税の伸びのほうが強いわけでございます。これを内容で見てみますと、これも所得税は累進構造でございますので、これは当然でございます。国民所得はもちろん分配国民所得でございます。で、個人所得がその全体の分配国民所得に対してさらにどういう具合に伸びているかという問題が一つでございますが、同じ率であるとしましても、累進構造のために伸びていきます。それから、法人税は、実績を見ますと、国民所得の伸びよりも法人税の伸びが非常に強くなります。したがいまして、これは比例税率でありましても、なおふえるという関係がございます。それから、間接消費税は、おおむね国民所得の伸びとややパラレルでございます。したがいまして、その税収の伸びもほぼ同じくらいの形になっておる。しかし、物品税でございますと、これは消費の態様が耐久消費財に今相当集中しております。この消費の伸びは、国民所得の伸び上りも相当強うございます。  で、そういうおもなところは、法人税、それから所得税、それから物品税、この三つが大きなその作用をなしているわけでありまして、この程度は、年々によって相当違うわけでございます。過去十年、今私の手元にございますのは、二十五年から三十五年までの十一年の平均でございますが、大体傾向は先生のおっしゃったような形が出ております。大体同じことでございますが、年によりましてこれが非常に違っているということでございます。したがいまして、各一年、毎年どういう形になるかということは、にわかに想定できませんが、今までのところを見ますると、主としてこの三税がその牽引力になりまして、おっしゃるように、国民所得の伸びよりも相当程度税収の伸びが出ておる、こういう結果になっておるわけでございます。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあそういうことから、税の取り過ぎが行なわれておるのじゃないかという点を考える必要があると思うのですがね。今の課税が適当であるかどうかですね、そういう点との関係が私はあると思うのですがね。国民所得の伸びに対して税の負担の伸びが非常に大きいということですね。その関係はどれぐらいの関係がいいのか、これは私、将来の問題として非常に重要に考えておるわけなんです。だんだん国民経済が拡張して国民所得が増加していく、それにつれて担税力もふえてきますけれども、それをどのぐらいの率にとどめるのが一番妥当であるかという大体の目安というものがないと、まあ政府は、悪い言葉ですけれども、なかなか減税をやらぬ、どんどん税金を取っていくという傾向になっていくのじゃないかと思うのですがね。だから、大体の目安というものがきまっておれば、国民も安心すると思うのです。おととしから去年にかけて非常に、相当国定所得は伸びたわけですね。したがって、税も非常に増加した。しかし、それは減税というのはほとんどなされないで、われわれからいえば。われわれだけじゃない、数字の上からいえば、去年一千億、ことし一千億、そういう小さい数字です、しかし、税の伸びは非常に大きいものです。そうすると、国民は、働いて、そうして所得がふえたら、ごっそり税金に取られてしまうという感じを持っています。また、それが実情ではないかと思う。そういう不安な状態に置くのでなしに、国民所得がふえていけば、政府はどのくらいの、それに見合う率としてどのくらいふえていったら、いわゆる健全なのかというふうな関係がはっきりしてくる。これはむずかしい問題ですが、そういう観点から、この伸びの比較、どのくらいの率がいいと考えているか、説明を求めたい。
  92. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) どの率がいいかということは出ないかと思います。それで、今お話しの点は、実は当初見積もりと決算の数字が違ってきたというところに問題があるわけでございまして、当初予算では、そのとき見通される経済見通しに基づいて、適正に見積もっているつもりでございます。しかし、その後経済指標が見通しと違ったために、主としてその原因から非常な税収が上がってきます。当初予算段階での見積もりに基づく所得の伸びに対する税収の伸びの弾力性は、もちろんそこでは計算できます。決算で現われましたところで、国民所得の伸びが決算的に幾らであった、税収幾らであった、したがって対前年度の決算に対して、決算上の国民所得の伸び対税収の伸び、これも出るわけでございます。しかし、当初と決算が違うということは、経済の動きが見通しどおりいかなかったということでございます。  今の点でございますが、われわれもいろいろ研究してみましたが、その年によって非常に違いまして、何がいいかということはなかなか申し上げかねるわけでございまして、先ほど先生が申されましたように、これは二十七年から三十五年までの平均が一・四六になっておりますが、一番高いときが、たとえば弾性値が、三十二年の二・二というときがあったかと思いますと、三十三年のように〇・一四、所得は一伸びているのに税のほうはその一割四分しか伸びていない、こういう年もあるわけでございます。これはまあいずれも結果の数字でございまして、各税ごとにその伸び方が違っているわけでございます。ですから、適正な弾性値を初めから想定して、それで予算を押えるとか、あるいは税制をそれに合わすということは、なかなかむずかしいのではなかろうか。やはり個々に、税目ごとに積み上げて、その負担がどうであるか、で、総体計算として、たとえば全体の負担率を見るとか、所得の水準を見るとか、こういうこと以外には、なかなかむずかしいのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 午前中の質疑では、国民所得に対する税負担割合を大体二〇%、税制調査会答申ですね、これが妥当でないかとの質問に対して、大蔵大臣は、非常にあいまいな、必ずしも拘泥されないという答弁をしておられた。その理由としては、国民所得がふえてくれば税負担割合もふえてくるのは当然じゃないか、こういうお話であった。これは、原則としてはそういうことはいえると思う。しからば、原則論として、国民所得がどの程度ふえていけば税負担の伸びはどの程度にすればいいかということが、当然私は出てこなければならないと思うのです。それが出てこないで、国民所得がふえれば税負担の率はふえてもいいというような原則論を主張していると、どこまで税金を取られるかわからぬという心配が起こってくるのですよ。だから、国民所得の伸びに対して税負担の伸びはどれくらいが適当であるかという考えが、一応私は政府になきゃいかぬと思うのですが、どうでしょう。
  94. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) それは、たとえば現在においてある一定率をきめられるか、機械的に。これがむずかしいといたしますれば、結局伸びに対して幾らでなくちゃならぬかということも出ないわけでございます。答申に述べておりますように、そういう意味の一律の基準というものはないのだということでございます。答申は結局、現状は非常にほかの国に比べて、先進国に比べて重い。先進国並みにどんどん進んでいくためには減税施策は重要である。で、一つのめどとして、二〇%というものを考えるべきである、こう言っているわけでございます。ですから、今のような現状において一定率がむずかしいと同じように、将来における国民所得の伸びを考えまして、その場合の率は幾らかということも、機械的にはむずかしい問題だと思っております。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは機械的にむずかしいといっても、大まかに押えることはできませんか。
  96. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほども申し上げましたように、国民所得が一伸びた場合に、結果的にどうなるかということは、税の各税目毎の伸びの割合によって全く違ってくるわけでございます。過去の経験を見てもそういうわけでございますので、これは総体計算として言うことはむずかしい、こう思います。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、国民所得が十年間の平均で一三%伸びておる、これに対して税全体として考えました場合に二一・八%と伸びておる、こういう数字が出ておる。ところが、これを源泉所得税について見ると、三二・三%と、まあ非常に伸びが大きいわけですよ。過去十年間の税の伸びは、源泉所得税については三二・三%と伸びているのですね。これは何を物語っておるのかということですね。結局、私の考えでは、所得税課税が重いという判断を下し得る数字じゃないかというふうに考えるのですがね。主税局長の考えを聞きたいですね。
  98. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ある税目の弾性値が高いということは、直ちにそれが重過ぎるということは意味しないと思います。というのは、所得税で累進税率を盛ることは、やはりこれは税負担の均衡上入れられておるわけでございます。この累進税率というものが是認されれば、所得がふえて参りますね、そうすると当然その累進税率が作用いたしまして、所得がふえた以上にふえるということは当然のことでございます。で、累進税率は、現在における所得を考えて、その場合幾らの所得であったら幾ら税負担が適当なのだ、こう考えているわけでございます。それが結果よりふえました、予算よりもふえましたというわけでございます。ですから、所得を一人毎に考えてみますと、思ったよりむしろ所得が多かったという問題でございますから、税負担が多くなるということは当然だと思います。ただ、その結果、今の決算剰余金が出てくるという問題は、これは全く別の問題でございます。これをどうするかという問題は別になろうかと思いますが、それ自体が重過ぎるか軽過ぎるかという問題ではなかろうと思います。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 所得税の場合は累進課税になっておるから、今お話しのように、所得がふえれば非常な率で伸びていくわけですよ。これは裏を返せば、適宜に減税をやらなければ非常な重税になるということを、この三二・三%という数字が示しているのじゃないかと一応私は考えるのですが、どうでしょうか。
  100. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) おっしゃるように、減税をしなければ、所得はふえるに従って負担率数字として上がって参ることは当然でございます。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題、どうも十分理解できないのですが、結論として、国民所得に対する税負担割合というものを、日本の現状においては、やはり税制調査会答申というものを尊重してやっていくかどうかということに私は帰着すると思うのですが、午前中の大蔵大臣の答弁では、尊重するようでもあり、これ二%ないし三%違うということは私は非常な違いだと思うのです。こういう点で、今後減税問題を考慮する場合、主税局長としてどういう考えで臨むかということですね。この問題の一応締めくくりとして尋ねておきたい。
  102. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 税制調査会答申、これはもちろん尊重すべきものと思うわけでございます。午前中大臣のおっしゃられたのも、その意味だろうと思います。ただ、その答申というものをどう読むか、読み方のところで、率を固定的な率で読むのか、幅で読むのかというところが、論議の違いであったかと思うのでございますが、趣旨はもちろん尊重して参りたいと思っております。
  103. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連して。これは政治論で、主税局長、全体として日本は大体重税だとお考えになっているのか。ここら辺が妥当だと、こういうふうにお考えになっているのか。  もう一つは、自然増収が何千億あるなんていうことは、こっけいだと実は思っているのです。政治として間違っていると思うのですが、それは経済の伸びがひど過ぎるからというのなら、それに対して打つべき手は打てるわけです。それも知らぬわけじゃない。ですから、それに対して自然増収がどれだけあるなんていうことをいばっているのは、政治のあり方としては根本的に間違っているのじゃないかと思うのです。そんな点についてどういうふうに考えているか。
  104. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 日本負担は、先進国に比べれば所得の割合に重いと思います。  それから、自然増収の問題でございますが、たとえば今年度でございますと、決算見込みに対しましては千五百億程度の増を見ているわけです。当初予算に対しましては四千八百億ぐらい、四千八百七億の増を見ているわけです。その間約三千三百億違うわけでございます。これは実は三十六年度の当初予算と決算見込みの違いでございます。なぜ違ったかと申しますと、当初予算に見通された当時の経済と違いまして、経済がぐっと伸びたということに基因があるのだろうと思います。問題はやはり経済見通しを的確にやれば、おのずから増収の幅は縮まってくるという問題でございまして、われわれは政府経済見通しに従うわけでございますが、これは毎年見通しはなかなかそのとおりは当たらないというのが今の現状である、こういうことだと思います。
  105. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、政府見通しは、これはふえているからあまり問題にならぬが、穴があくとなったら大問題なんです。それにしても、見通しというものを一応立てたときに、三千億も四千億も狂ってくるということは、どこかが狂っているんですよ。私は大蔵省全体の、何といいますか、意図的に狂わしているといってもいいですよ、悪くいえば。それがあるから、お互いにその点はわからぬわけでもないから、責めないのですけれども、とにかく意図的に狂わしているような政治は間違ったあり方なんだから、そういうものを私は正してもらいたいと思っているわけです。だから、それには、正すのなら何するかというと、もう少し減税というものをやっていったらいいじゃないかということについて、私たちは努力してもらいたいと思っている。そうすると、あなた方のほうは何かというと、私たちのほうは二〇%というのがあるからそれを言うと、 いや、そうじゃなくて税制調査会のほうでちゃんと計数をはじいてくるから、その計数でやると平年度千七百億になってしまうのだ、今度逆算していくと二二・三になったという逃げ方もあるでしょうけれども、政治論としては今言ったように狂わしておるのは間違っておるじゃないか、これは。だから、大蔵省は狂わぬようなことをやってもらいたいというようなことしか言いようがないのだな。狂った責任はどうだということも言ってみたいのですが、それで詰め腹切るというわけにはいかないでしょうから……。
  106. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 毎年の当初予算を組むときにおける経済見通しは、これは大蔵省単独で立っておるわけではございません。政府がその時点において最も適正と思われる見通しを立っておるわけであります。税の見通しにつきましても、その経済見通しによりまして税収を立てるよりしようがない。今までの実績とその経済見通しが違っておりました。その違いは、その税収に端的に現われてきました。今までの違いは、むしろ経済の伸びのほうに、実績は非常に伸び方が違ってきたものでございますから、自然増収はたくさん見込まれました、こういうことでございます。
  107. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次の問題は、やはりどうしても主税局長の説明では私は納得しないので、もう一度お伺いしたいと思うのですが、課税最低限の問題です。この課税最低限をきめる場合、われわれの調査した資料を基礎にすれば、生活費に課税をしておる、こういう結論が出るわけです。今度の税制改正、いわゆる所得税改正を見ても、生活費に食い込んだ課税をしておるという判断をせざるを得ない資料があるわけです。ですから、この点を私は重ねて主税局長に質問をいたしたいと思うのですが、この課税最低限をきめる場合ですね、生活費に課税しないという原則については異議がないものだと思うのですが、どうですか。
  108. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 最低生活費には、課税最低限は最低生活費以上にきめらるべきもの、こういうふうに考えております。
  109. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう点では見解は全く一致しておるわけです。今の税金が、それじゃ最低生活を保障したものかどうかということになると、やっぱり問題が起こってくるわけなんです。  そこで、まずお尋ねしますがね、総理府の家計調査報告ですね、この中に全国の都市別勤労者世帯に関する統計があります。この統計は、最低生活を保障するという意味において課税最低限をきめる際に有力な参考資料となるべきものだと私考えるのですが、主税局長はどう考えておりますか。
  110. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) われわれもこれはたえず見ております。ただ、われわれはこれは平均生活費であるというように考えております。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 もちろん、これは平均ですね。だから、課税する場合も、これは一人々々の生活費というものを見て課税するというわけにはいかない、平均で見るよりしようがない。そういう意味で、私はこれは少なくとも生活費に課税しないという建前をとる以上、この資料というのは重視しなければならぬ資料ではないかというふうに考えるのですが、どうですか。
  112. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) もちろん、われわれも重視の意味でございますが、たえず参考にしております。ただ、われわれはこのあげられた生活費よりも最低額が上でなければならぬというふうに必ずしも考えるものではございませんが、われわれのいう最低生活費というのはもっと下のいわゆる最低のところでございます。それに食い込むことはまずいというか、限界であろう、こういうふうに考えております。
  113. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 主税局長はやはり憲法から少し研究してもらわぬと私はいかぬと思うのですがね。憲法のあれ何条でしたか、私、条文は何条だったか、今調べたらわかりますけれども国民に最低生活を保障し、文化的な健康的な生活を保障するとあるわけですね。だから、そういう意味において、最低生活といっても、それは幾らでもあるでしょう。けれどもね、憲法の趣旨というものの基礎になるやはり最低生活というものをつかむ必要があると思う。私は、おそらく憲法の趣旨からいっても、ここに全国の都市の勤労者世帯の生活費というものは、まだ憲法のところまで達していないと思うのですよ。そういう意味において、相当やはり重視すべき資料であると私は思うのですがね。これを、こんなのはあまり参考にならぬということになれば、私はもう出発点において非常な食い違いがあると思うのですがね、あなたと。これだけの全国の都市の勤労者の生活実態ですよ。そういうのは尊重されないで税金というのを考えられる、考えさせられているということになれば、それは私は容易に納得しがたいのですがね、どうです。
  114. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 少し話がこまかくなりましたので、少しこまかくなりますが、御案内のように、税率は一〇〇%ではございません。今度は八%から十五段階まで設けまして、最高が七五%というふうにいっているわけでございます。したがいまして、その課税になりました部分についても、税引きで家族の所得は当然残るわけでございます。一番下のところは九二%残るわけでございます。したがいまして、今の基礎控除あるいは控除額というのはもちろん、課税になったところも残るわけでございますけれども、一応の目安をどこに置くかという問題でございます。家族所得から申しますれば、その全体は家族所得が最低生活費になるかどうかという問題なんだろうと思いますが、しかし、われわれは今のいわゆる税でいっている課税最低限というものを少なくとも最低生活費には合わしたほうがよろしいというふうに考えまして、絶えずそのときにおける最低生活費というものをいろんな角度から検討いたしまして、それに対してどれくらい上回っておるだろかという計算はしておるわけであります。先生おっしゃるように、この課税最低限が上げても差しつかえないような状態が来ることは、われわれとして同時に期待するところでございますが、まあひとりこの所得税だけをとりましても、今の課税最低限、あるいは税率とのバランスというような問題でございます。あるいはその他の税とのバランスという問題もございます。そういう角度から総合的に研究いたしまして、少なくともそのときにおける最低生活費を課税最低限が侵すことのないように、この点だけは配慮しているということでございます。
  115. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は、まあ私も納得するまで質問したいと思っているのですよ。これ、統計調査によると、これは三十六年の一月から十二月までの資料があるわけですね。かりに平均をとってみるとね、三十六年の一月から十二月までの平均をとってみると、四・二二人で実際の生活費が三万八千二百二十三円と出ているのですよ。で、これを五人家族に換算をいたしますと、四万一千六百七十円と出ているわけです。これを一年にいたしますと約五十万四十円、こういう数字になるわけですね。これが平均ですけれども、全国都市別勤労者世帯の生活費ですね、実際に使った生活費です。このほかに税金とか、そういうもの欠けておりますけれども、それは引いて、実際に生活費として使った費用が約五十万円、五人家族で夫婦二人、子供三人というふうな換算にして五十万円になります。そうすると、今の課税は少なくとも全国都市勤労者にとっては生活費にまで食い込んで課税されておる、こういうふうに費えると私は思うのですがね。少なくとも生活費に課税しないという原則政府も確認するならば、低所得五人家族において五十万円までは無税にする、税がかからないようにするというふうになってこなければ、生活費に課税しないという原則をうたっておっても、それは机上の空文になると思うのです。私の資料が間違っておれば、言って下さい。私はこの内閣から出た資料を基礎にして、全部五人家族に換算をして、そうしてここに出した数字なんです、五十万円というのは。
  116. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 先ほど申し上げたような意味において、税の場合に理論的に最低生計費と、今の生計費と合わせるべきものは、実を申しますと税引後の可処分所得でございます。その点では当然行なわれている、だろうと思うのです。ただ、われわれのほうではそこまでむしろ大事をとりまして、課税最低限そのものが最低生活費を侵すことのないようにと、こういうことを立法上考慮しているわけでございます。その場合の課税最低限と申しますのは、今の実際の支出金額として現われた平均をとっているわけではございませんです。いろいろな実際の生活費から推定される理論的な最低生活費というものによって一応の判断をしておるということでございます。それから、今の先生のおっしゃいましたのは全都市の平均でございましょうか、あるいは東京都……。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 全都市……。
  118. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 全都市でございますか。今われわれが持っております数字で見ますと、全都市の平均が、たとえば三十六年の一月が三万二百八十五円、それからずうっとその次二万八千、三万二千、三万三千、三万二千、最近上がりまして三万四千、しかし十月ごろは三万一千、こういうふうになっております。これを単純に平均いたしますと、今日の子でやってみましてもなかなかそのようにはなりませんが、これは一つは家族構成の問題があるかと思います。この内訳は家族構成ごとにさらに見てみないとわかりませんが、これが平均世帯だといたしますと、この辺に、われわれの今手元の統計では見受けられるわけでございます。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これ、私ここに全部持っているのです。これを見ても、三十六年の一月、これは世帯人員は四・三六人です。それに対する生活費が三万二千八百四十五円、ここへ出ています。二月、これはくどくどしいですが四・三二人、三万一千三十六円。これはそのまま私は資料を持っておるのですが、元本はここにあるわけです。数字は間違いないと思うのです。食い違っておるというのはどういうところが食い違っているのですか。ここに私、印刷したものですからね。
  120. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) おそらくあれは家族構成別に見ますと、今先生の言うようなことになっているかもしれません。さらにその点は検討してみます。
  121. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これ上げますから、見て下さい。全部紙はさんで、書いてあります。
  122. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ただ、先ほど申しますように、われわれは実際生計費と対比しているわけではございません。それから、税のあれといいますと、ほんとうに対比さるべきものは税引後の可処分所得が最低生活費、これが一番見合うだろうと思うのでございます。しかし、大事をとりますれば、そうでなくて、課税最低限そのものを今の最低生活費と見合わすということでございます。われわれは大事をとりまして、そこでやっている。その場合の最低生活費は実際生計費にはよっていないということでございます。
  123. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はそこに問題があると思うんですがね。実際の生計費というものを最低生活の基準考えない、それを、理論的には若干それは検討される点もあるんですがね。実際の生活を今大体やっていくのだということになれば、それを基準にしないで、私はほかの基準を持ってくるということ自体がやはり問題があるのじゃないかと思うんですがね。実際にもうこれだけ生活費がかかっているのだ、生活をしているのだという、その現実をやはり認めるべきだと思う。百パーセント認めることができなければ、それに近いものを認めるべきだというふうに考えるんですがね。この考え方は悪いですか。
  124. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いや、決していいとか、悪いとかいう問題でなくて、そういう考えでこれから漸次そのように高めるということはけっこうなことだと思っているわけでございます。ただ、この実際生活費に食い込むなという、たとえば平均の実際の生活費に食い込むことになったその線を強くもし言われるとすれば、その場合比較されるべきものは、いわゆる課税最低限ではなくて、税引き後の可処分所得だろう、こういうふうに考えるわけでございます。
  125. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その点で、主税局長は、この課税最低限をきめる場合に、この資料を非常に強く表に出しているわけです。別に衆議院の場合でも同じ資料を出している。参議院でもわれわれに出している。いわゆる現在の国民の生活というものは、まだ憲法に保障された最低生活までいっていないと考えているんです。憲法に保障された健康にして文化的な最低生活はこれを保障するという、憲法の指示のところまでいっていない。これを乗り越えて、非常に高いところまで実際の国民生活が上がっておれば、必ずしもこの資料というものによらなくても私はいいと思う。しかし、現在は憲法の保障している最低生活までいっていないという現状を見るならば、少なくとも実際生活に使う費用、生活費というものを認めて、そうして課税最低限をきめていくべきじゃないか、こういう私の考えなんです。この考えが間違っておればいいですよ。私はどうしても間違っているというふうには考えられないんですがね。
  126. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) いや、間違っていると私申し上げているわけじゃございません。そういう課税最低限を上げられるような状態が来ることは、われわれもともに望んでいるわけでございます。現段階としましては、今言ったようなことでわれわれは配慮しております。その実際生活費に食い込むことがあってはならぬという点をもし強く言われますならば、その点比較されるべきものは課税最低限ではなくて、税引き後の可処分所得と比べてみまして、それがもし税引き後の可処分所得というものが実際生活費に食い込むということでございますと、これは相当重いということが言えるのじゃないか。その点は、先生の言うように、もう少しこれは注意せねばならぬという問題になると思うのでございます。
  127. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、関連しまして。この総理府統計局から出されました五分位の可処分所得の統計があるんですよ。これで見ますと、今可処分所得と言われましたが、最初は全都市ですね、勤労者世帯。これごらんになりますと、一番最初のぺ−ジの三十六年度平均の次に、五分位の一番所得の低い階層ですね、これは一万六千四百六円ですね。これは可処分所得ですよ。そうしますと、二千九百八十八円という赤字が出ているんですね。で、まあこの人がそれはぜいたくな暮らしをしていれば別でありますが、まあ普通の生活をしているとすれば、これだけ赤字が出ているんですね。それから、これは名目ですが、実質においても二千八百三十八円の赤字なんです。で、一万六千四百六円の人は、これは一人の場合ですね。で、次の表に五人世帯の換算が出ているわけです。五人世帯でも第一分位の一番所得の低い人は赤字です。かりにここでこの税金をかけたために税金も影響していると思うんですよ。税引き後ですからね。これだけ赤字になっているんですよ。こういう人に税金をかけるということは、これは私は最低生活費に食い込んでいるということになると思うんです。それで、これを最低課税限度にすれば、たとえば独身なら三十七年度で大体十三万九千円でしょう。平年度で十四万二千円くらいですね。そうしますと、課税最低限度が実際より低いと、こういう数字が出てくるんですけれどもね。今可処分所得と言われましたから、その点お聞きしたいんですがね。
  128. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これはなお詳細に分析しないとわかりませんが、おそらく五分位でございますから、所得税の納税者も、所得税の納税者でない者も、全部含んでいると思います。で、今の大体所得税のかかっておる人員割合からいいまして、おそらくこの第一分位のところあたりはもちろん落ちているものとわれわれは考えるわけでございます。これはほんとうに申しますと、家族構成別にとってみませんと、このうちどれだけ所得税の納税義務者であるか、あるいは生活保護世帯等が入っておりますと、おのずからその点は違ってくるわけでございます。これはまあおそらく全部のサンプルでございましょうから、あらゆる階層が入っておると思います。
  129. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この総理府統計局のこれは勤労者家計調査からとったんですけれども、生活保護世帯が入りますか。
  130. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その辺がもう少し調べてみなくちゃいけませんが、いずれにしても、五分位の下のところでございます所得税の納税者の割合というのは、全体の所得者に対しまして非常に低いところに来ているわけでございます。三〇何%でございます、所得軒総数に対して。所得納税世帯数に対してようやく四〇%ぐらいでございます。したがいまして、総体的に申しますれば、この五分位の一分位あたりは所得税の納税者にはなっていないと思います。
  131. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいと思うのです。第一分位一万六千四百六円ですね、この程度は当然これは所得税がかかる所得附属ですよ。ですから、可処分所得というのが出ているのですよ。ですから、この附属以下は入っていないのです。ですから、こういう階層別に調べてあるのであって、ですから、一万六千四百六円は、独身の課税最低限度は今まで十二万円ぐらいですよ。だから、可処分所得として出ているのであって、かからない分はこれは対象になっておらないのですよ。
  132. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ここの表にあるものが全部独身であるということが読み切れぬわけでございます。平均が出ているわけでございます。それで、家族構成が高いと、これはおそらく、もし一万六千円でございまして五人家族を持っておったら、それは苦しいだろうと思うのでございます。
  133. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 五人の場合どうですか、うしろに出ています。
  134. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 五人世帯のはちょっとわかりませんが、今五人世帯で便宜話を進めますと、たとえば第一分位のところでございます。これが五人世帯でございますと、その分類は幾ら以上ということになってございましょうか。
  135. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いえ、一万九千五十五円で、三千七百十二円の赤字です。
  136. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 五人世帯でございますと、今度は四十一万四千円でございます、課税最低限は。したがいまして、当然課税にならないということになるわけでございます。
  137. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 独身の場合はどうです。独身の場合はとにかく非常に日本の場合は低いのですよね。家族が入っていくと多少は上がっています。
  138. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 独身の場合は、今度は十四万二千五百三十六円です。
  139. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうでしょう。こっちの第一面の独身の場合には、これは食い込みますわね。
  140. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今度は外国の場合でちょっと比較してみたいのですがね。夫婦子供三人、いわゆる標準世帯についてみると、収入金額年額五十万円、これは改正前の税法ですが、五十万円に対して、日本の場合は二・九%の税金がかかっているという数字が出ているわけですね。それに対してアメリカ、イギリス、西ドイツは全然かかっていない。それから、年額百万円の収入のものについては、日本の場合は一一・七%かかっている。アメリカはかかっていない。イギリスはわずかに三・七%、西ドイツは三・九%。その上の数字は別としまして、大体五人家族で五十万円の収入において日本は二・九%、いわゆるアメリカとか、イギリスとか、西ドイツという国々にはかかっていない、百万円についてもアメリカはかかっていない。こういうのを比較すると、もちろんこの数字だけで私は比較しようとは思っていませんが、少なくとも最低生活を保障するという見地から見れば、この数字は相当参考にすべき、考慮すべき数字になるのじゃないかと思いますがね。いわゆる西欧諸国、先進諸国ではこういうところには税をかけていない、日本では相当かかってきているという点ですね、これだけで判断しようとはいいませんけれども参考にすべきじゃないかと私は思うのですがね。そういう点からいっても、やはり外国に比べて日本課税最低限は低過ぎる、こういうことが言えるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  141. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 課税最低限は、日本の場合は四十一万四千円、今度の改正で。アメリカは百二十万、西ドイツは八十万見当でございます。英国が七十万。これで見てもわかりますように、日本は相当絶対額でいうと低い。しかし平均所得は非常に低いわけでございます。平均所得対課税最低限の割合で見ると、日本は割と総体的に高いところに来ます。今度は絶対額ごとにこの段階幾らかかりますかという数字は、先生のおっしゃるとおりであります。これらを総合勘案いたしますと、先進諸国に比べて所得の割には重いといわざるを得ないわけであります、可処分所得を見まして。そういう意味合いもございまして、できるだけ税負担は軽く済ませればそれにこしたことはないということで、これはわれわれのなお税減を要するというときの有力なる資料になることはお話のとおりでございます。
  142. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、諸外国の今あげた国々の国民所得日本に比べて非常に高い、これはよくわかります。しかし、最低生活を保障するということになると、その一般的な国民所得が高いとか、低いということは、さほど重要でないと思うのですよ。一般的に国民所得が高くても低くても、最低生活を保障するという点では私は同じじゃないかと思うのです、この数字から。だから、局長が有力な資料だと言ったから、私はこれ以上言う必要はないかと思うのですかね。だから、問題は、最低生活を保障するための課税最低限を絶えず上げるという努力をしていくという方向が正しいのじゃないかという、結論としてそういうことを言いたいわけです。
  143. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その方向については、われわれは税制を担当しているものとしては全面的に賛成でございます。先ほど言ったように、ただ実際の生計費と最低生計費というものがどういう関係に立つのかという問題が、実際生計費は各国違っておると思います。そのとき最低生計費は同じだと考えるか、やはり国によって若干違うと考えるか、税制調査会でも非常な論議のあったところであります。今後検討して参りたいと思います。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連ですから、簡単に。最低生計費の算定については、答申にもございますね。マーケット・バスケットによる食糧費を基準にして算定した生計費と、課税最低限の比較とあるのですが、これによりますと、食糧費では食糧費を出してエンゲル係数で割っている。そうして世帯当たりの食糧費は、最も質素な食糧費で必要栄養量を摂取するための所要金額を国立栄養研究所の資料に基づいて推計したとあるのですね。私知りたいのは、基準栄養というのがあるのですね。栄養基準量というのが。厚生省でも出しておりますね。その栄養基準量を幾らに見ているか、たとえばカロリー、蛋白、脂肪、それからビタミンですね。一応厚生省で出しているものがありますね。それによると、厚生省では御承知と思うのですが、日本国民の四人に一人は栄養欠乏症だと書かれているのですね。その栄養欠乏症になるといろいろな病気になるとか、どういう病気になるとか書いてある。四人に一人の栄養欠乏症ということになると、十分に栄養はとれていないのじゃないかと思うのですね。  その原因は、家計から見ると大きく分けて二つあるのですよ。一つは、貯蓄をしなければならぬという、社会保障がまだ十分でないから、所得が少ないけれども、無理に貯蓄しなければならぬという面と、もう一つは税金があるのじゃないかと思うのですね。そのほかにも所得自体が低いということもあると思う。その所得を一定にすればそういう面があると思うのですよ。ですから、この生計食糧費から最低生計費を考える場合、厚生省のそういう資料を見ますと、私はここに出ているような実態にならぬと思うのです。政府のほうは、この答申では課税最低限が最低生計費を上回っているように出ているのですよね。実態と私は少し違うのじゃないかと思うのですが、その点、どうでしょうかね。
  145. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この詳細のデータはここには載っておりません。必要がありますれば、またこの算定の基礎になったのを出しますが、これはもとより厚生省のほうの資料に基づいてやっておることと思っております。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それ資料ありましたら……。どういう食料費の計算になっているのか、最も質素な食糧費で必要な栄養量を摂取するための所要金額、どういうことで計算を出しておるのか、こういうような点非常に重要だと思うのですよ。資料として出せましたら出して下さい。これを見ませんと議論になりませんからね。
  147. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) できるだけ整えて出します。  なお、いろんな方法でやっております。その次の第二方式で、これは統計から見ました最低食糧費というものを統計から抑えておるわけでございまして、今の食糧費の額が消費金額にかかわらず一定のところで押さえみまして、それをエンゲル係数で還元する、これは統計上の問題でございます。  それから貯蓄がどこから始まるかという問題、それらもなかなか最低生活費の問題はむずかしいものですから、いろいろな角度から検討いたしまして、まあ何とか大体これは、最低限はいっているわいという気持を出しているわけでございます。
  148. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 独身者の場合、木村さんからもいろいろ質問がありましたが、これはやはり諸外国と比べると、非常に日本の場合課税最低限が低過ぎると思われるのですがね。これは三十六年度の数字であろうと思うのですが、日本の場合は大体十三万円、これが独身者の課税最低限です。アメリカの場合は二十四万円、イギリスの場合は十八万円、西ドイツの場合はぐんと上がって二十六万円ですね。大体、こういう国々と比較しても、やはり日本の独身者に対する課税は非常に重い。課税最低限が低過ぎる。実際問題としても、日本の独身の若い人は共かせぎでないと生活できないのじゃないんですか。そういう実情にあるのじゃないかと思うのですがね。そういう実情から考えても、独身者の課税最低限もやはり上げるように考えていくべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  149. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは独身者以外の者と同様に、やはりできるだけ課税最低限は上げる方向に努めるべきだと思います。ただ、独身者とそうでない家族持ちとの課税最低限の日本とその他のバランスでいいますと、日本の独身者のほうのバランスは家族持ちと比べて総体的に高くなっている。これは数字的の問題でございます。
  150. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 独身者の場合には課税最低限が高いというのですか。
  151. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 諸外国の、たとえば五人家族対五人家族の向こうの最低限、それから日本の最低限、その比率がどれだけになっているか、それから独身者の向こうの最低限、こちらの最低限、これがどうなっておるかという点を比べてみますと、割合的には独身者のほうが一般的に高くなっておる。逆にいいますと、その割合は、扶養控除割合が基礎控除割合に比べて、向こうが高くてこちらが相対的には低いと、こういう構造的の違いはあるということでございます。
  152. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 だから、結論として、課税最低限の問題はこの間からしばしばやってきたのですが、われわれ非常に重視している、この問題はね。で、今後どういうふうに課税最低限を引き上げることに努力するかという問題ですが、できれば、この国会でわれわれ修正できれば、与党の諸君の賛成を得てこれは修正したいという考えを持っているのですよ、これはね。これは確かに低過ぎるの思うのですよ。低過ぎる。だから、課税最低限を引き上げる。そうして、だれが考えても生活費には課税しないというところまで引き上げる。大したことは私はないと思うのです、減税総額は。まあ政府に、今提案しているのに、下げてもらいたいと言っても、それは同意しないでしょう。しかし、将来の問題として政府のほうではこれは真剣に検討したいという先ほどのお話があったわけですがね、これが単なる答弁に終わらないように私は希望するのです。  その次に質問したい問題は、所得税減税というのは、今度はほとんど私に言わせればまじめに取り上げた減税でないと思うのですよ。三十七年度における所得税減税額幾らになりますか。
  153. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 平年度一五百十三億でございます。それから、初年度四百三十八億でございます。
  154. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 三十七年度は四百三十八億の減税ですね。ところが、一方で所得税を地方に移譲したために、地方税で百八十億円増税していますね。百八十億、この数字間違いないですか。
  155. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今の四百三十八億と申しますのは、国民のネット減ります減税額でございます。このほかに税源配分として、その手段として所得税減税する分がそれとは別に二百十八億あるわけでございます。それに見合いまして、片や税源配分の方法として住民税の率を上げました、全般的に。それによる数字が今先生のおっしゃいましたように百八十億程度ございます。
  156. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、所得税減税で四百三十八億になっておる。別に二百億円の所得税減税をやっておるのですか。
  157. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 形式的にはさようでございますが、所得税では。しかし、これは国民負担とは関係ないわけでございまして、一方上げるわけですから、そこは差引計算になるわけです。若干所得税のほうが多いが、大体そこは税源配分です。
  158. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 こういう関係にならないのですか。四百三十八億所得税減税している。地方税で百八十一億円の増税をしている。結局差引で二百五十七億の、これは減税だという数字にはならないですか。
  159. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) そうはなりません。お手元にございます歳入予算の説明のところの税制改正による増減収額、そこにはっきり出してございますが、税源配分による分二百十八億、税制改正を分けまして、それから増減税分四百三十二億というふうに出しているわけでございます。この四百三十二億と先ほどから申し上げているのはこの数字でございます。この税源配分分として税率を引き下げる二百十八億、これに見合いまして府県税のほうが百八十億程度増率になっておるということでございます。
  160. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、こういうことになるわけですか。国税地方税を通じて考えた場合、所得税減税は平均が大体三十億見当、平均四十億になりますか、それくらいの見当だ、こういうことになりますね。
  161. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 所得税、住民税を通じて四百三十億程度減税でございますということでございます。
  162. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは一般的な数字で、実感が出てこないと思うのですよ。それで、お尋ねしたいと思うのですが、五人家族でどれくらいの減税になるのかですね。五人家族、標準世帯で一カ月にどれくらいの減税になっていくのかということをお聞きしたいのですがね。年額所得を言わなければわかりませんが、五十万円ですね、年額所得五十万円の人については一カ年に何ぼ、一カ月に幾ら減税になっていくのか。
  163. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 給与所得者で夫婦、子三人の標準家族で年額五十万の給与収入がございますと、これは現行でございますと所得税が九千三百八十五円、県民税が千二百六円、合計いたしまして一万五百九十一円でございます。改正案によりますと、これは平年度分で申し上げますと、所得税は五千九百八円となりまして、県民税が二千百九十七円、合計八千百五円となります。それぞれの増減額を出してみますと、所得税におきまして三千四百七十七円減りますが、県民税において税源配分の結果九百九十一円ふえることになります。差し引き二千四百八十六円ということになりまして、その減税割合は合計いたしまして二三・五%、減税割合がそうなるわけでございます。その内訳は所得税において三七%でございます。府県民税は八〇何%出ますが、元額が少ないからそういうことになるわけでございまして、合計しては二三・五%。同じことを初年度で見ますと、今度は簡単に申しますと、絶対額で合計して二千八十六円減税になります。その減税割合は一九・七%でございます。
  164. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 主税局長、これは一年に一ぺんにかけるのじゃないのです。月々にかけていくのですから、一月に幾ら減税になりますか。
  165. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この年収五十万といいますのは、賞与の関係がございますので、大体三カ月と見ますと、今申し上げた数字を十五で割っていただければ、大よそ一年間の給与所得五十万という人のあれが出るわけでございます。そうでございますね、まあことしでいいますと二千円ぐらい減りますから、これを十五で割った感覚でございます。百四十円ぐらいの見当になりますかね。
  166. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、独身者の三十万円の場合は……。まあ結論だけでよろしい。
  167. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 独身者三十万円のことしのやつでいいますと、現行が一万四千百四十六円の負担でございます。改正法によりまして、これは初年度でございますが、一万二千八百三十五円、軽減額で千三百十一円、軽減割合で九・三%でございます。
  168. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあそうすると、月々——給与所得者ですね、五十万円の年収の人ですれ、大体月収四万円ぐらいだろうと思うのですが、月収四万円の給与所得者では、月々百四十円くらいの減税にしかならないということですね。それから、月収二万五千円程度の独身者では、月々百円足らずということになるわけですね。そうすると、これは減税というふうなことを実際感じないと思うのですがね、この程度では。まあピース二個か三個ということでしょう、月々の減税が。それで、今度大蔵大臣は本会議でこの提案理由の説明をされたときに、中小所得者の負担を軽減するというために所得税及び間接税減税をやったと、こういうふうに言っておられるんですがね。まあ間接税のほうは別として、所得税については、これは減税と言えますか。
  169. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) まあ多い少ないの議論がありましても、減税減税だろうと思います。ただ、今まで昭和二十五年から三十六年までで約八千億以上の減税をやっておりますが、そのうち大部分、七千億は所得税だけをやってきているわけでございます、ほとんど。それで、昨年も実はやりまして、全体所得で約六百億の減税をいたしたわけでございます。で、所得税に関する限り、去年とことしは一体的の作業だということでございます。そういう意味で、ことしのやつがどうも少ないというお話でございますが、実は昨年がございまして、合わせますと約千億以上所得税だけでやっているわけでございます。課税最低限にいたしましても、八万円以上を標準世帯でやっているわけでございます。
  170. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連関連が多くて何ですけれども、物価騰貴を考えた場合、これはやはり私は減税にならぬと思う。やはり荒木委員が言われるように、増税になると思うんです。というのは、税制調査会の資料にもございますが、五十万円の所得者は、所得が五%伸びたけれども所得税負担の伸び率が二五%になるのですね。そこで、前に私は資料を要求して作っていただいたのですが、五十万円の人が、かりに一割物価が上がった場合に五十五万円になるわけですね。そうしますと、購買力は同じですね。ですから、物価が一割上がった場合には、五十万円と五十五万円の人の税負担比較すべきじゃないかと思うのです。実際に一割上がったかどうかは一応別として、理論的に言っているわけですがね。そうしますと、五十万円の人の三十七年度における税負担割合が三・四%になるでしょう。一万六千八百三十七円になるわけですね。ところが、五十五万円だった場合、二万三千三百二十九円になって、四・二%の税負担率になるんですよ。ですから、物価が上がった場合は、購買力は同じなんでありますから、その物価が上がった分、それだけ所得がふえた、そういう前提で比較しなければ、今の時点で同じ所得において税金が安くなったということを論じても意味がないと思うんですがね。その物価の値上がりによる名目所得の増加、それを考えれば、荒木委員が言われるように、これは増税になるんですよ。一見減税のように見えていて、物価騰貴を考えれば増税になる。だから、中小所得者の税負担は軽くならないんですね。こういう比較をしなければいけないんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  171. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 論理としてはもちろんそのとおりであろうと思います。ただ、われわれはその一割では見ておりませんで、見通しの二・八%で計算いたしているわけでございます。それで、今のところを出してみますと、たとえば三十六年五十万、これは夫婦、子二人で見ていきますと、所得税で一万四千三百八十五円、道府県民税が千六百七十四円、市町村民税が四千百八十五円、合計いたしまして二万二百四十四円、税引き可処分所得が四十七万九千七百五十六円、こう相なります。そこで、かりに五十五万にそれがふえます。その場合の物価騰貴率は二・八%でございます。こういう計算でやってみますと、現行法で申しますと、実質で、三十六年の消費者物価ベースで、税引き可処分所得が五十万七千八百十二円、減税後五十一万二千三百二十六刊、こうなりまして、可処分所得はだいぶふえる。もちろん、この前提は所得が一割ふえました、それで消費者物価が二・八%だ、こういう前提でございます。これは前提のとりょうでいろいろ違うわけでございます。
  172. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 所得が一割ふえて、消費者物価が二・八%、そこに問題がある。それで、平均して二・八%と見ましても、所得階層別によってまた違いますし、ですから、一応私は考え方としては、同じ所得で減税になったといって、物価騰貴を考えた場合は、そういう比較ではほんとうの比較にならない。そうでしょう。これはもう少しこまかく作業をしてみなければわかりませんが。ですから、これだけで減税々々ということは言えないと思うのです。さっき、わずかでも減税と言われましたが、物価騰貴というものを考えますと、そう言えないということです。そうでしょう。
  173. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 物価騰貴の要素があれば、それは名目所得の増加にすぎないということは確かに言えるわけでございます。
  174. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで、ことに所縁税は累進控除になっていますからね。そこで、自然増収がふえるのでしょう。
  175. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 論理としてはおっしゃるとおりだろうと思うのでございます。
  176. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 主税局長はね、去年六百億所得税減税をやった。ことし四百三十億ですか、やった。だから、続いてやっているのだから、これで年越しの減税を見てほしい、こういうことが一つ。それから、過去十年間に八千億ですか、減税をやった。だから、それを考えてほしい。それは私はむちゃな議論だと思うのですがね。先ほども私はお尋ねしたように、日本経済の発展するにつれて、国民の所得が増加してくる。この国民の所得の増加の伸びよりも、税金の伸びのほうが大きい。これはもうさっき数字で示したとおりですね。そうすると、所得税の場合、累進課税になっている。今後この国民所得がだんだんふえていく。絶えず減税をやらなければ、所得税はべらぼうなことになるのですよ。当然のことなんです。過去に八千億減税をやったというが、これは経済が膨張するにつれて、これをやらなければ、もう今ごろは税金でわれわれ首をつっていなければならぬ。これは当然のことです。だから、経済の発展につれて所得税減税というのは毎年やるべきだと思う。どうですか。
  177. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) やはり現状の負担が重いということでないと、直ちには出ないだろうと思うのでございます、その率だけでは。率で申しますと、今ちょうどございましたが、昭和二十五年シャウプ税制改正によって二二・四%でございます。これは決算ベースでございます。その前のシャウプ改正以前は二八・五%でございます。今度提案いたしておるのは二二・二%。この間経済の膨張は非常にあるわけであります。国民所得も一人当たりがずっと伸びているわけでございます。しかしながら、負担率は大体同じ程度にとどまったということは、可処分所得は相当ふえておるということでございます。ですから、今先生がおっしゃいましたように、今の累進構造を結果的には調整するところまで来ているわけでございます。これが二十五年、シャウプの改正がありましても、なお非常に重いと、こういう認識に立ちまして、ほとんど毎年のように所得税中心減税をやってきた、その結果がここに出ておるのだろう、こう思うわけであります。
  178. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 だから、所得税減税は去年やって、ことしもやったんだからという話じゃなしに、私は毎年やるべきだと思うのですが、どうですか。
  179. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 累進構造がありますから、所得が伸びれば、ほうっておきますと負担率は上がります。そのこと自体は——その所得に対する率そのものは上がります。そのことは直ちに減税しろということの理由にはならぬのだろうと思います。ただ、現行がなお重いと、できるだけ軽くしたいということがさらにその底にあって、やはり減税に進むべきだと、こういうことになるんじゃないかと思います。
  180. 平林剛

    ○平林剛君 ちょっと関連して。経済の伸びと税金の伸びとの比較について今あなたは説明がありましたけれども、それから、そういう意味では、長期的に減税は八千億円くらいやっておると言うけれども、逆にいえば、その長期的に八千億減税くらいやった期間において、自然増収というものはもうかなり多いんじゃないかと思うのですけれども、その自然増収の額は幾らでしたか。あなた、今そこでわかりますか。
  181. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その自然増収という場合、前年度当初予算対今年度当初予算、それから今年度当初予算対今年度決算、それから前年度決算対今年度決算、その場合税制改正なかりし場合にどうなるか、まあこのような要素があるわけでございまして、もちろん数字は出ております。したがいまして、それでそれぞれの項目によりまして、これは集計してみないとわかりませんが……。
  182. 平林剛

    ○平林剛君 私の今の記憶では、少なくとも八千億減税したときにおいても、計算の仕方によって違うけれども、その二倍、三倍、四倍くらいの自然増収があった。われわれよく自然増収というのは税金の取り過ぎだということを言っておるわけですから、そういう意味では、毎年減税をしなければ、さっき荒木さんが言われたように、税負担率も高くなるし、また毎年減税というのはそんな自慢するような政策じゃなくて、そうしなければ税金が高くなり過ぎるというあたりまえのことをやるにすぎないんだということを言っておるわけですけれども、そういう意味からいうと、私はさっきの、ただ経済の伸びと税金の伸びとの比較において、シャウプ以前は二八幾らあった、今は二二・二だから下がっておるでしょうという言い分は当たらないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  183. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 明らかに言えることは、当時より非常に負担が軽くなったということは言えるんだろうと思います。所得は非常に伸びましたにもかかわらず、負担率一定である、ほぼ同じであるということは、これは下がったということが言い得るだろうと思うのでございます。その自然増収の……。
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 普通の意味の自然増収を言ってもらいたい。
  185. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 前年度当初予算対今年度当初予算という意味でいいますと、今……。
  186. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 減税の前の……。
  187. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 二十七年度からこれは三十七年度まででございます。単純にそれを合計いたしますと、二兆九百六十四億に上っております。
  188. 平林剛

    ○平林剛君 二十七年から……。
  189. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 二十七年から三十七年の今度の当初予算でしょう。これはいずれも前年度当初予算に対しての今年度当初予算、その差額の単純累計でございます。
  190. 平林剛

    ○平林剛君 それに対する減税が、それが八千億。
  191. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これで見ますと、二十七年以降でございますが、それに見合う純減収でございます。これで見ますと、五千二十七億。先ほど八千億以上あると申しましたのは、二十五、六が入っております。
  192. 平林剛

    ○平林剛君 まあ、今の数字でおわかりのように、税金の自然増収に比べれば、今日まで行なった減税額というものの金額はまず五分の一、あるいは六分の一程度減税分として差し向けられただけで、政策はいろいろあるでしょうが、減税だけに回すのでなく、日本経済の発展とか、その他に影響のあるものに回したという理屈は成り立つかもしれません。しかし、少なくとも今日まで行なわれた減税というものは、当初予算に想定した、税法できめられたものよりも二兆九百何十億円も取り過ぎがあったにもかかわらず、その税負担者に還元されたものは五千二十七億にすぎなかったということなので、しからばそういう意味からいくと、毎年々々減税をしなければならないということにはなると思うのです。  それで、よく政治の問題を議論するときに、せめて自然増収は、これは言場が適当であるかどうかわからないが、税金の取り過ぎ分だから、納税者に還元すべきだということを主張しましたが、もっと今度きめをこまかく分類をしていきますと、日本経済が伸びる中においても、それによって得をするというか、それだけ所得がふえるものについては断層があると思うのです。格差がある。たとえば法人が受けるところの恩恵というものと個人が受ける恩恵というものは、同じ経済の伸び率の中でも違うのじゃないか、こう思うのですけれども、そういう点は具体的に数字でいうとどういうふうに把握されておりますか。
  193. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) こういう出初予算対当初予算の数字が取り過ぎであるというような考えはどうか、いろいろ議論があると思います。  それから、今の、なるほど純減収五千億でございますが、御案内のように、これは国税だけの話でございます。一般会計だけの話でございます。そうしますと、当然増として増が考えられるのは、今の交付税は、二八・八というやつは今度九になります。が、これが当然出ます。ガソリン税の増収分、これは当然道路財源のほうに回さなければなりません。そのほかに歳出のほうの長期計画がございます。そういう意味の当然増。ですから、実際いいますと、当然増の増の部分がありますが、その辺の読みがなかなかむずかしいということでございます。  それで、第二の問題として、どれくらい各税ごとに違うかというお話でございますが、先ほど申しましたように、今まで見ておりますと、ごく最近では物品税の伸びが一番強いのでございます。続いて法人税、それからその次は所得税、こういう順序になっております。で、その他の間接諸税、これは揮発油は大体今のところ一七%から一九%くらいの伸びでございます。その他間接諸税はおおむね国民所得の伸び、分配国民所得の伸びとほぼパラレルになっておる、こういう状況でございます。
  194. 平林剛

    ○平林剛君 その伸び率ですがね、日本経済の発展に伴って物品税や法人税、所得税の伸び率、三十五年、六年、大体どんなふうになっているでしょう。
  195. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 所得に対する弾性値で申し上げますと、おもな税金を申し上げますと、三十五年、これは源泉が二・五三、それから三十六年度見込み二二九、これは単年度であったと思います。それから申告所得税が四・正一、四・五九、所得税合計で三・〇三、三十六年分が二・七一。それから法人税でございますが、三十五年一・二〇、三十六年三・〇三、酒が三十五年一・一八、三十六年一・三九、その他消費税合計出ておりますが、一・四五、それから三十六年も一・四五と、こんな工合であります。
  196. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に小さいですね。この答申にあるのは、これは五年と十カ年間の、こういう非常に大きいですけれども、今のはこの答申の十四ページにあるのをちょっと見て下さい。それと非常に違うのですけれども
  197. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 答申ではあるいはその税の伸びがそのまま出ているかもしれません。今申し上げましたのは、国民所得が一伸びた場合に当該税率幾ら伸びるかという弾性値です。
  198. 平林剛

    ○平林剛君 私の言うのは、日本経済の伸びる中において税収がどういうふうに——いろいろなはね返りがあるかということでは、物品税、法人税、所得税という順番は大体わかりましたし、その伸び率についても、今あなたの説明以外に答申案の資料の中にはありますけれども、私の言いたいことは、各税目の中で、どうも感じとしては所得税が一番重くなっているのじゃないかという感じがするのです。そこで、まあ、せめて自然増収額があれば、その分程度は、経済の伸び率の中で法人やその他の恩恵は、これは比較にならないほど大きいものがあるけれども、個人の場合にはそれがないのじゃないか。総理が言うように、経済が伸びた割合だけ月給が上がっているならば別でありますけれども、なかなか全般的にいえばそういう空気になっていないということになれば、せめて自然増収額程度所得税減税に向けるような財源に充てるべきだという考えで、先ほど来の質問をしておるわけです。  それで、昭和三十五年度において、当初予算と決算額と比較して所得税の自然増収額を見ますというと、五百九十七億三千二百万円、割合は一一八・一という工合になっていますけれども昭和三十六年度は見込みとしてはどのくらいになるでしょうか。今私があげた数字と同じような比較説明をしてくれませんか。
  199. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 所得税が実収見込みでは、当初予算三千六百六十二億、これに対しまして見込みでは四千七百三十九億程度でございます。  それからなお、所得税だけを申しますと、これは国所所得に対する所得税の率は、これは年々非常に下がっております。先ほど二二・四が二二・二になったというのは総額でございますが、所得税に関する限り、二十六年が一一・八、それから毎年下がって参りまして、三十七年度のこの予算ベースでは五・八%でございます。
  200. 青木一男

    ○青木一男君 関連質問。今、平林委員から自然増収の分くらいは減税に振り向けるのが当然じゃないか、こういう御質問があった。それに関連して私は一つだけお伺いしたいのですが、一体自然増収が何か税金の取り過ぎだというので減税意見があるのですが、私は自然増収というのは、一定税率で税を取る場合に、経済構成その他、つまり経済成長の見込みというものが予想以上に多かったということ、早かったということ、あるいは大蔵省が予算の編成が堅実主義で幾らか内輪に予算を見たということ、そういうことのために自然増収というものが起きるのじゃないだろうか。したがって、経済発展が急速度にいった場合は、一定税率で税を取った場合は、自然増収があるのはあたりまえだ。取り過ぎでも何でもない、あたりまえだ。よけい経済活動が、いい所得があった場合は税を破るのがあたりまえだ。これは別に取り過ぎだなどという観念は起きてこないのじゃないかと、こう思う。その点が一点。  それから、自然増収の分を減税優先に回わせというけれども、私は先ほど来主税局長が繰り返し言っておるように、だんだん所得税を納める階層というものは非常に減ってきている。国民の非常に多くの部分は所得税を納めていない。そういう人たちは一体所得税減税をしてもどんな恩恵に浴するか、こういう大きな問題も私は出てくると思う。そういう階層に対して所得税幾ら引き下げたからといって、恩恵に浴さない。これはやっぱり社会保障費の増額というような施策によって、そういう所得税を納めないような階層に対する国家の恩恵というものを与えるほかないのじゃないか、こういうふうに思うのです。それから一般に、文化の向上あるいは産業の発展のために公共事業費をよけいやれ。そうすると、これが個人の生活にどのくらい直接貢献するかは、これはなかなか問題ですが、これは道をよくしたということ一つをとってみても、国民が非常に利益を得ていることは明らかです。私はそういう意味において、自然増収の分が優先的に減税に行くというような消極的な考えだと、社会保障とか公共事業というような国家発展なり国民の生活程度を引き上げる、あるいは最低生活を保障するというような方面の財源が一体、どこから出てくるのだろうか。この点は、やっぱり減税と見合って国家的見地から、最も国民の要望する方面へ自然増収というものを割り当てるのが一体今日の政府の任務じゃないかと、こう思うのですが、その点のひとつ大蔵当局のお考えを伺っておきたい。
  201. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 自然増収がなぜ生ずるか、その意味はどうかという点につきましては、青木先生のおっしゃるとおりだろうと思います。それをどうすべきかということについても、もちろんたくさんの問題、いろいろな要請があるわけでございますから、そういうことであろうと思います。ただ、税のほうでいいますと、税の負担が重い限り、やはり減税も同時に考えらるべきことであろうというふうにわれわれは考えております。
  202. 平林剛

    ○平林剛君 それで、青木さんの言われたのは私は一般論だと思うのですよ。私が今指摘しているのは、所得税に限って主張しているのです。少し違うのです。なぜ違うかというと、たとえば、所得税が当初予定した予算額よりもなぜ越えるかといえば、その年間における賃上、げたとかその他の報酬などによって変わってくるわけです、税法が同じである限り。この賃上げやなにかは政府の政策の積もったものじゃないのです、はっきりいって。政府は日経連を通じて押えろ押えろと言っておるのですから、そういう意味からいうと、所得税というものは労働組合あるいはその他の団体が相当闘争資金を、作ってはかけて、取って上がったものですから、自然増収がふえている勘定になるので、私は政府の政策の恩典によってその税が増収になったというものではないと思うのです。だから、そういう意味では、今お話があったように、当初予算が三千六百六十二億であって、決算の見込みでは四千七百三十九億という本年分が、九百七十七億円多くなっておる、こういう勘定に昭和三十六年度はなるのだから、これは一般論はまた別の角度で議論があると思いますが、少なくとも所得税については、ことしはこの分だけ減税に回してもいいのじゃないか。それが四百何十億ということでは、どうもこの納税者自体から考えてみるというと、税金の取り過ぎとは言わないけれども、少なくとも政府が予定したよりよけいあったのだから、この分は減税のほうに回してもいいという議論が私はやっぱり成り立つと思うのですが、どうですか、この点は。
  203. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 経済が成長した結果、予定よりも成長した結果税収がふえた、これは経済成長の結果であろうと思います。経済成長が政府の施策のせいか、あるいは、どうか、それはわかりません。  それから、所得税が九百億税収がふえた、これは所得税減税に当てるべきだという議論には、私はにわかに賛成しがたいと思います。やはりそれぞれ自然増収は、そういう経済全般の動きから、それと現行税率構造、税制構造から自然出て参るわけでございます。当初からそれは実は見通されなかったわけでございます。そういう意味で、この分を、そういうのが出たときに今度は減税に出てるか何に当てるかということは、社会のいろいろな、国家のその時点におけるいろいろな要請があると思うわけです。われわれは税負担がなお重いと考えておりますので、所得税の納税の率がたとえ従来より下がってもなお下げるべきだという主張をしておるわけでございます。
  204. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。青木さんのお考えについて反論みたいになるのですが、自然増収の中には物価騰貴による名目所得の増加がある。もう一つは、徴税強化による増加というのがあります。この分もやはり加えて考えなければならぬと思うのです。ただ自然増収といっても、青木さんの言う問題だけじゃないのですよ。名目所得の増加による累進課税による増加というのがあるのです。これは過去においてはずいぶんあったのですね、昭和二十三年ごろまでは。最近では程度が少ないけれども、やっぱりあるものと見られる。それから徴税のやり方ですね、徴税強化による、非常な苛斂誅求による増収というものもあるわけです。ですから、自然増収はそういうことを考慮に入れなければならない。  それから、第二の点は、毎年減税して、所得税の納税人員が減った減ったと言われておりますが、なるほど減税ではそのときは減るでしょう。減りますけれども、たとえば昭和三十二年の源泉申告の納税人員が一千六十一万七千人、ところが、三十六年は一千二百三十六万二千人とふえておりますよ。これは人口もふえますから、納税人員はうんと減ったと言いますけれども、やはり納税人員自体は絶対的にふえております。ふえているのですよ、ですから、そう簡単に減税やったらどんどん納税人員が減っているように言われましたけれども、それは違うと思うのです。  それから、第二の点は、公共事業費等の歳出面をどうするか、あまり減税してしまうと自然増収によって経済発展のための歳出増加をまかなえないじゃないかと言いますけれども、しかし、かなり減税して、これはもう税制調査会答申にもあったのですよ。大体過去の実績を見ましても、国民所得税負担率二〇%ぐらいにしても、かなり社会保障公共事業費をふやせるわけです。ふやせるのですよ。ですから、その点は御心配ないと思うのですがね。まあ反論みたいなことになって恐縮ですが、また反論していただけば。
  205. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これ、問題がまた変わってくるので、関連があったらやっておいてもらいたいと思うのですが。  今度、税源配分として所得税の一部を府県税に回す。これは私、地方税だから地方行政でやるのかと思っていたら、ここへ出てきているわけですね。その関係で、この問題もやはり質問しておかなきゃいかぬというふうに考えております。これは結局、先ほども若干説明がありましたが、所得税でどれくらい減税して、この分地方税でどのくらいの増税をはかったか、このことによって府県民税としてはどの程度の収入があるのか、概略の説明を先にしてもらいたい。
  206. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは国民の増減税には関係ございません、振りかわりでございますので。ただ、数字を申し上げますと、三十六年度で所得税のほうは二百十八億減収になります。それに対しまして、府県民税のほうで百八十一億増収になるわけでございます。まあぴったり合うわけになかなか参りませんで、差引その分だけでも三十七億程度合計して減収になるわけでございますが、これは減税の意図を持ってやったわけではございません。たまたまその数字になっております。
  207. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今三十六年度のお話でしたね。三十七年度ですか、今のお話は。
  208. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 三十七年度でございます。間違えました。
  209. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、道府県民税の収入の増額というのは幾らぐらいになるのですか、これで。
  210. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 財政計画、これは改正後九百十八億八千万でございます。
  211. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 改正前に比べてどれくらいふえるのですか。
  212. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 百八十一億ふえるわけでございます。
  213. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、今度この百五十万円以下は二%、百五十万円以上は四%と、従来の累進税率を改めて、これは比例税率というのですか何というのですか、そういうふうに変えた理由ですね、どこにあるのですか。
  214. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 理由は二つばかりございます。一つは、こういう狭い地域社会においてあまり累進度が違うことがどんなものであろうかという点でございます。そういう意味で、今度は二段階税率にいたしました。ただし、その分は、所得税のほうで今度は全部税率改正しまして、従来の違いを十分織り込んでおるわけでございます。したがいまして、府県民税、それから所得税を通じての累進税率構造というものを見ますと、大体従前と同じような構造になっておると、こういうことでございます。  第二点といたしまして、これは累進税率よりも比例税率のほうが、同じ税収をあげる場合には、貧弱市町村のほうに、比例税でいったほうが財源が余計いきますということでございます。したがいまして、累進構造を比例税率構造に改めますと、富裕団体から貧弱団体のほうに財源がそれだけ流れることになります。
  215. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこのところをもうちょっと詳細に説明してくれませんか。富裕団体のほうから貧弱団体のほうへ税源が流れるというのですね。
  216. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは富裕団体のほうが、大体一人当たりの所得が高いという実情でございます。それで、そこの関係——しかも多いわけでございます。それだけに、累進構造をもっていますと、府県民税のほうに、トータルの所得が同じでも税率構造をそういたしますと、所得に差があり、平均所得が高いだけに、非常に税収が多いわけでございます。全体の府県民税の額を一定にしようという場合に、累進税率を持つのと比例税率を持つのは、そこの所得分布が違うからであります。  で、今、平年度でどのくらいかということを計算してみますと、平年度計算では、今度の税源配分によりまして所得税が百九十八億参ります。で、このうち交付団体、交付府県のほうに百三十七億、不交付のほうに六十一億ということになっております。
  217. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 富裕府県における一人当たりの所得は高いということはわかります。その逆に、貧弱府県は一人当たりの所得が低い、これはわかるんですがね。高いほうから低いほうへ流れていくというようなことは、どういうことになるのですか。富裕府県の収入が減る、こういう改正によって。地方税が減る。それで貧弱府県の地方税は上がるということになるのですか。そういうことを意味しているのですか。意味しているとしか解釈できないのですがね。
  218. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは、今、今度ふえました百九十八億、新たにプラスになるわけでございます。その分の交付、不交付の配分の問題を今言っているわけでございます。それで、今度の問題のやつは、実は前から十三段階でもってずっとあるわけでございます。〇・八%から五・六%の十三段階であるわけでございます。で、通じていきますと、所得の高い者は富裕府県に集まっております。税額を一定という前提でございます。府県民税を増税するわけじゃございませんです。ですから、従来の税額を確保する場合に、それを累進税率でもった場合と、それから比例税率でいった場合でございますと、全体の地方の税額はやっぱり一定でございますから、累進税率をもっておれば、それだけ所得水準の高いという要素が一つ、平均所得が高いですから。そこに累進構造が働くわけです。しかも、差が多いというわけですね、貧富の差が激しいですから。そこで、そのことのために累進構造が働きまして、その一定税額のうちの取り分はそれだけ多いわけでございます。これをフラット税率にしますと、なるほど所得は違いますけれども、比例でございます。それで二%、四%で、こう置けば、その限りにおいてなお残ります。これを完全にフラットにしてしまえば、これはなお少ないわけでございます。なお動くわけでございます。そういうわけで財源が相当動くということでございます。
  219. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 定額が変わらない、税の総額が変わらないということは、国全体で言えることでしょう。地方税全体として総額が変わらない。変わらないが、府県においては、富裕府県は少なくなる、貧弱府県は前の税制に比べてふえていく、こういうことですか。そこのところを……。
  220. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) どう申し上げたらいいでしょうか。たとえば今度、今の百九十何億と言っておりますが、まあこれはまるくして二百億円といいますか、これを従来の累進構造のままずっといくといたしますですね、そのまま配分したらどうなるか。それで、元額がこうありますが、今の配分は現行比率でいっておるわけであります。累進税率なら累進税率のもとにおける配分がきまっておるのであります。そういたしますと、富裕団体に非常に片寄っているわけでございます。それは所得の高さが違うのですから、当然そうなるわけでございます。で、この定額の二百億を比例税率という形において与えるか、あるいは累進税率で与えるかで非常に違ってくるわけでございます。もっと言いますと、元額、たとえば三十五年度の実績があるわけでございますが、道府県民税の三十五年度の実績、これは六年度は推計でございますので省略いたしますが、五百二十一億という数字がございます。これは現在の累進構造のもとにこれがあるわけでございまして、したがいまして、これは相当片寄っているわけでございます、今富裕県のほうに。五割ぐらいあるわけでございますね、累進税率でございますから。所得ウエートでいいますと、たとえば半々だと仮定いたします。ところが、税額ウエートでいいますと、累進構造ですから、たとえば七−三という割合になってしまう、こういうことでございます。それをフラット税率にいたしますと、単純に比例税率にいたしますれば、そこは五割に戻るわけですね。所得割合に戻ってしまうわけでございます。ですから、今度は、もとからあった住民税も、根っこから今の二%、 四%という、かなり所得ウエートに近い税率ウエートにしよう、こういうことでございます。同時に、今度税源配分で、財源として地方に付与いたしますので、二百億も同じように、やや所得ウエートに近い税額になるようにしよう。しかし、それは完全には所得ウエートではございません。しかし、累進構造に比べればはるかに所得割合に近い税額ウエートになるようにして配分してある、こういうことでございます。
  221. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、結論としては、貧弱府県の住民の負担がふえる、そうして富裕府県の住民の負担が減るということになるのじゃないですか。
  222. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) そこは、先ほどお話ししたのは、地方財政から見た財源として考えているわけでございますね。そうじゃなくて、今度は一人当たり国民負担はどうかということでございます。これは従来きめられておった所得ごとの刻みがあるわけでございます。それをフラットにいたしますので、最低は従来は〇・八であったわけですね。そこが今度は二%になりますから、一・二増率になるわけでございます。そこで、所得税のほうでは、そこのところは従来一〇%といっておったところを八%にしたわけでございます。二%下がるわけですね。だから、ひとつ地方税でその階級のところでは一・二上がり、国税で二下がるわけです。ですから、〇・八、通じて減率になるわけでございます。各刻みにつきましてそういう計算をしておりまして、累進構造のほうは所得税税率のほうで引き受けてまかなっている、こういう形になっているのでございます。
  223. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。そこでお伺いしたいのは、所得税のほうの減税率の調整によって、住民税の従来よりも負担増加になる分を是正している、こういうお話でしょう。それは十万円から百八十万円までは確かにそうなったのです、税率がね。ところが、二百五十万円から三千万円までは前と税率が同じなんですよ。そこのところがね。それから、四千五百万円になると、ここでまた上がっています。ですけれども、二百五十万円から三千万円までは同じ税率ですね。そうなりますと、ここのところで、百五十万円で切るわけですからね。百五十万円で二%と四%に分かれるわけでしょう。そうすると、百五十万円以上の人は軽くなる人が出てきます。たとえば今までは一千万円は四・四%、それが四%になれば、〇・四%軽くなる。二千万円は四・八%ですね、三千万円は五・二%。そうなりますと、ここの段階は軽くなりますよ。所得税のほうが同じなんです。税率が改訂になっていないのです、ここのところが。
  224. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) そこは、その上のほうも、下からこの刻みがずっと影響が及ぶわけでございます。そこで、実効税負担でもってずっと考えているわけでございます。したがいまして、先生お持ちになりましたら、歳入予算のところで県民税、所得税を通じて減税割合がどうなるかという最後の答えで見ていただきたい。上に行くほど、軽減割合は下ほど多いと。これも今の総合税負担でもって考えているわけでございます。夫婦、子供三人の給与所得者五十万円から、刻みが、ずっといきますと五千万円くらいまで出ておりますが、平年分で二三・五%から〇・五%までと、ここでずっとはじいているわけでございます。それぞれのところで刻みももちろん考えますが、下から影響を受けますので、最後の答えでは実効税率負担考えているわけでございます。
  225. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おかしいね。どうもそこのところがよくわからないのですけれども、積み上げといっても、前の地方税でも十万円をこえる金額、二十万円をこえる金額と、こうなっているわけですわね。そこのところがね、下のほうは税率まあ確かに八%になるんです、今まで一〇%であったのがね。これはよくわかるのです、ここのところはね。それから一番上のほうね、これは今までは五千万は七〇%でしたね。それが四千五百万円、七〇%。それから六千万円という段階で七〇%、これもわかるのです。ところが、その間ですよ。これは変わらないんです。
  226. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) こういうことでございますね。一番下が従来が〇・八でございます。住民税が〇・八で、今度二%で、一・二上がります。そこの階級だけでございますと、そこのブラッケットの適用しか受けないものでございますと、それでいいわけなんです。それは国税のほうで二%下げました。これで話は済みます。それから今度、一番上のブラッケットを考えてみますと、従来は住民税で五・六%だけでございました。今度は四%でございます。で、一・六下がるわけでございます。で、これは話がうま過ぎるということでございます。したがいまして、刻みを今度は二段階設けまして、そこで七五という階級を設けておるわけでございます。で、途中の階級は、実はこれは一つはかなり技術的な問題でございますが、各階級ごとに単純に従来増率になったものを、単純にプラスはしていないのでございます。それぞれに新しいそこに構成、それをにらみながらやっておりますが、ラウンド・ナンバーで各階級の税率を組んでおります。国税は、こちらのほうが変わったということを含みながらやっているわけでございます。したがいまして、そこでは単純に機械的な計算で出ませんで、各階級、下からだんだんだんだん積み上がってきて、それで総合税負担においてどうなるかという実効税率を同時ににらんでいるわけでございます。そういうものとして、それぞれ改正したわけでございます。したがいまして、今の百八十万以下減税というのは、先ほども申しました二百十八億の地方税減税のほうでは、その関係は全然考慮していないわけでございます。国税だけで考えた場合の減税を考慮すれば、その階級までしか考えておりません。それで、あとはまた税源配分の結果、負担調整する必要がございます。それを全部織り込んで、それで国税を中に盛りました。その場合に、中間の階級は、下からどんどんどんどんきまった税率で軽減を受けているわけでございます。そこで、その平均実効税率でにらんで税率をきめておる、こういうことでございます。
  227. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりましたが、そうですか。実効税率でずっとはじいてみないとわからないのですね。
  228. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ですから、軽減割合で大体の勘定が出るわけでございます。
  229. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 だんだんに、こえた分、こえた分について、だんだん積み上げて計算していくわけですね。ですから、その意味ではわかるのですが、これだけ見たら、ここのところは変わらないでしょう。それで、こっちだけが得になる人が出てくるわけです。なるほど、それをずっと計算してみなければわからぬわけですね。何かわかるような計算のあれがありますかね。どうもこれ、いろいろ私も聞かれるのですけれども説明がつかぬのです、どうしても。だから、実効税率としては所得幾らとして、こうやってだんだん積み上げていくと、実際は違わないのだ、こういう何か一つのあれを、資料みたいなもので出してもらえるといいのですが……。
  230. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) それを出すとしますと、階級別の地方税を、税源配分を含めたところで、階級別の平均実効税率の新旧対照を出せば、大よその見当はつくと思います。
  231. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうものがあるのですか。
  232. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 作ればすぐ……。もちろん、こちらでは、内部で一応検討しての話でございます。
  233. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 何か今言ったように、しろうととしてはわかりにくいのです。ですから、わかるような、何か資料を出してもらえませんか。お話はわかりましたよ。お話はわかったのですが、実際に計算してみなければわからないのですから、何か計算してみたもので、こうなるのだという……。
  234. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 全部の階級はむずかしいかもしれませんが、重立ったところ……。
  235. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の問題になるところ。というのは、今までで、六百万円は四%ですね、府県民税。それから今度四%になった場合、この限りにおいては同じと言えますね。ところが、一千万円になると、四・四になる。二千万円になると、四・八になる。しろうと考えですと、この限りにおいては、一千万円の人は〇・四得になり、二千万円の人は〇・八得になる。それから三千万円の人は、四ですから、一・二得になる。で、ここのところは、国税のほうでは税率が同じになっている。そこでわからなくなる。だから、ここのところの分、二百五十万円から三千万円の線です。そこらのところの線で、何か作業して、納得のいくような資料を……。
  236. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今のサンプル的な階級別について実効税率を出しますと、そこのあれは、実は今度の国税プロパーの減税のために、所得階級区分を変えなければならない。変えて、そうして百八十万までは減税しよう、こういうことが働くわけでございます。それで、そのときの一つの仮定税率というものを考えまして、いろいろやっているわけです。ところで、今度はそこで階級区分が変わるわけです。ところが、従来の階級区分は、地方税のほうの階級区分は、三十五年の所得税の階級区分によっているわけでございます。で、今度地方税の階級区分は、三十六年分の階級区分によろうとしているわけでございます。そういうことによって、三十六年の国税に合わした減税をやろうとしているわけでございます。一年おくれでございます。国税のほうは一歩進みまして、三十七年の減税をやろうとしておるわけでございます。そこで、階級区分が一つ合わないという問題があるわけであります。ですから、単純に計算してもなかなか合わない。これでいいますと、向こうは御案内のように、本税でございますから、国税の〇・八というものをもらっているわけでございます。ですから、最低が〇・八、上が五・六になっている。それを単純に持って参りますと、国税税率というものは全く端数のついた妙なものになる。そこで、その辺を実効税負担考えながらラウンド・ナンバーにしております。その結果、その一々について機械的に上積み税率を直すということはできないで、実効税率を見ながらその間調整してあります、こういうことでございます。下からのずっと積み上げで実効税率がどうなっておるか、これをにらんでおるのであります。
  237. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかりました。それを何か、めんどうでしょうけれども、資料にしていただけますか。
  238. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) できるだけ……。全部はなかなかむずかしいと思いますが。
  239. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あまり複雑でなく、ちょっとしろうと考えでわかるように……。説明はわかりました。
  240. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) すぐわかるようなポイントのところを出しておきます。
  241. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次に、この問題についてお尋ねしたい点は、所得税控除地方税控除とは違いますね。たとえば配偶者については、所得税の場合は九万円ですね。府県民税においては七万円。そのほかに扶養親族についても五万円が三万円、青色申告の専従者については、十二万円が八万円というふうに変わっているわけです。第一に変わった理由、なぜ所得税の基礎控除と同じようにしないのかという点が一点。こういうことを変えることによって徴税上非常な困難さが起こってくるんじゃないかと思いますが、そういう困難さをどう克服するように考えているか。その二点を伺いたい。
  242. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) まず控除が違うという点でございますが、実はこれは去年の地方税法の改正においてやったわけでございます。と申しますのは、従来は第一課税方式でございますと、所得税の税額が課税標準になっておりまして、その税額に対して市町村は二〇%、府県は八%取るということでございまして、所得税のほうがどんどん減税して参ります。これは財政需要を児ながら減税して参るわけでございます。この方式をとっておりますと、地方税に直ちに及ぶわけでございます。地方の財政需要と国の財政需要は事情が違います。そういう見地で、毎年この問題が補てん論を起こしておるわけでございます。税としてもそれはどんなものであろうか。地方税はそれ自体の財政需要という、あるいは減税というプロパーの立場に立ってもちろん考えるべきであるということで、昨年度の改正、三十六年度の改正を提案しまして、この分は分離しました。課税標準を税額とするのではなくて、所得額として、控除地方税法に定める所得金額をもとに控除してあるわけであります。その際、地方税では昨年、三十五年度の所得税控除をそのままとったわけでございます。ただ、専従者控除につきましては、これはその後直りまして五万円の専従者控除をいたしましたが、とにかく税額が課税標準でなくて、そこで分離されたということでございます。そういうことのために、今おっしゃるように、たとえば配偶者をとりますと、国の所得税のほうでは本人と同じように昨年は九万円にいたしたわけでございますが、地方税は依然として七万円になっておるということでございます。これは財政需要が違いまして、それでしかもそこを分離した結果、その差が今日残っておるわけであります。  そこで、今度の調査の問題でございますが、税率調整は今言ったような角度でやっておるわけでございます。ただ、これは控除を引いた残りの金額について税率調整がきくわけでございます。今、御指摘のような点は税率調整はきかぬわけでございます。そこで、今度の地方税法の附則に書いてございますように、その分については税額の払い戻しをいたします。この分は国税税率調整はきかぬわけでございます。地方税が増税になれば、それだけもろに増税になるわけでございます。今の配偶者の場合についていいますと、二万円だけの違いがあるわけでございます。で、税率幾ら上がったか。その税率の上がり方は各階級ごとに違います。一番上がったところは、従来の〇・八%が二河に上がったところが一番多いわけでございます。すなわち、その差は一・二%でございます。だから、二万円の差額について一・二%、金額にして二百四十円払い戻しておけば絶対に増税になるわけはないわけであります。で、そういうことが地方税法の改正で書いてございまして、そういう控除の差のあるものについてはそれぞれ一・二%をかけた二百四十円を引きますと、こう書いておるわけでございます。一番違うところは、青色申告者のところが一番違う。専従者のところが一番違う。国が今は二十五才以上、十二万円、こうなっております。そこが今度は二十才以上十二万円で提案しておりますが、地方税では、そこは八万円にして、その差が四万円でございますから、その差についてはこれは四百八十円返す必要があるということでございます。四万円かける一・二%でございます。これだけ返しておけば、あらゆる階級に対して返し過ぎたということはあっても返し足りないということはない。一番大事をとった金額控除金額としてここに掲げておるわけでございます。
  243. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この府県民税は市町村が徴収するのでしょう。
  244. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) さようでございます。
  245. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 市町村では、この事務が繁雑で非常に困っておりますね。
  246. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) この税源配分の思想として、地方団体は、不十分だとは言っておりますが、非常に賛意を表してもらったのですが、その市町村の専務の一点が、実はこれがきまるまでにいろいろ難航いたしました。ただ、両方いろいろ話し合いまして、自治省も中に入りまして、市町村でそう言わないで、お互いに財源がふえることだからということで話がついたというふうに聞いておるわけであります。
  247. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 さっきの二百四十円返すとか、四百八十円返すとかいうのは、どういうふうにして返すのですか。
  248. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ですから、それはその分を返すといっても、返し方は税額から控除して取ればいいわけでございます。計算上それを控除して納めればよろしゅうございますということでございます。ですから、専従者がありましたら、奥さんがありましたら、今の地方税法で合わしたものに対して、それから算出した税額でもって二百四十円引いて納めればいい、それで答が合いますということでございます。
  249. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 実際問題としてそれがうまくできるかどうかですね。それを控除して青色申告しない場合、まるまる取られてしまいますね。
  250. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) これは地方税は、御承知のように申告書がずっと行っております。で、様式でこれとこれを書いて下さいと、そこにずっと計いておりますから、その所要欄に、今の奥さんがおれば奥さんがおるということを書いておりますと、地方税は依然として賦課課税方式をとっておりますので、必要なことだけ書いておきますと、あとで府県、市町村のほうで計算して、そうしてあなたの税金は幾らですと、このときに向こうがみんな計算してくれるわけです。
  251. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今度は申告することになったのですが、申告を忘れるとか、しない人が相当あると私は思うんですがね、地方へ行くと。申告しない場合はいろいろの控除というものがだめになるというふうに書いてありますね。これはあまり僕は酷じゃないかと思うんですがね。制度が変わって、みんなが申告するということは……。おそらく相当数は申告しないんじゃないか。なれていませんからね。その際に、諸控除というものをしないというようなことになると、これは非常に冷淡だと思うんですがね。
  252. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) その点に関する限り現行でも同じなんでございまして、われわれは、たまたまおくれたからすっかり地方税における控除は飛ばされたというような話はあまり聞いておりません。実際は、聞いてみますと、いろんな催告をしたりなんかやって、実際は引いているというふうに聞いております。しかし、いずれにいたしましても、その点は二百四十円の問題はございますが、もとの意味の所得控除なり、あるいはただし書きのほうは税額控除になっておりますけれども、この控除現行法でも申告にはかかってございます。その点は変わりないわけでございます。おそらく執行面では、それぞれ実地上に沿って適当な措置をとっているのであろうというふうに考えておるわけでございます。
  253. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ税法が通らないうちに申告さしているんですよね。そういう関係はどうなんですか、関係税法は。
  254. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 今の御質問、ちょっとわかりかねますが、ことしの地方税でいいますと、これは三十七年度地方税でございますが、その中身は三十六年の所得に基づいております。したがいまして、ちょうど三十六年度分の所得税というものと、その所得金額は一致するものが行っているわけでございます。しかも、地方税のほうは国税と違いまして、税額を書く欄はございませんですね。所得だけ書けば、あとのほうはやりますと、こう言っているのですから、その心配はない。しかも、今度の改正は、これは三十七年度分から向こうが計算してやるわけでございますから、申告だけやれば、今度は改正税法で、これが通りますれば、それで計算するわけでございます。
  255. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、三十七年度は賦課でいくわけですかね。申告といいますが、自分で税金を計算するわけじゃないですね。
  256. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 申告はもらっておりますが、決定通告書の行くのは、市町村によっては違うようでありますが、大体四月中旬以降のように聞いております。
  257. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いえ、申告になっているでしょう。申告というものは、いわゆる自分で税金を計算するのが建前じゃないですか。ところが、ただ額だけ申告して下されば、税金はこちらで計算しますということが書いてあるでしょう。そうすると、税金は幾らだかわからぬわけですね。それで申告するわけです。これは申告納税としてはどうもおかしいですが、そういう申告納税制度というのはあるんですかね。
  258. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 国の所得税は申告納税方式でございます。国の所得税は申告納税方式でございますから、したがって所得、税額、みな書いていただく。地方税は賦課課税方式でございます。
  259. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 賦課。申告納税じゃない。
  260. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 申告納税じゃない。参考までに書いていただきます、こういうことでございます。
  261. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 申告になったんじゃないですか。だから、今まで申告しない人が申告することになったんでしょう。みな一般には申告々々と言っているでしょう。
  262. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) 申告義務はあるわけでございます。申告義務はありますが、課税は賦課課税方式である、こういうことであります。
  263. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 みな申告々々と言っているんですね。申告納税なのに税額を計算しないのはおかしい。
  264. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会      —————・—————