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政府委員(
村山達雄君) これは昨年におきまして、主として掘り下げての議論は昨年行なったわけであります。これが
分離課税、分離一〇%という
制度が、
課税の公平という線からいえば決して好ましい線ではない、これについて何らかの
一つの対策を持たねばいかぬ、しかしその問題はいわば不表現資産に対する
投資所得、これに対する
税制の
バランス全体の問題だ、株の配当に対する
課税上の処遇をどうすべきか、この問題との見合いにおいて検討さるべき問題である。ところで、株の問題につきましては、御案内のようないわゆる二重
課税の問題があるわけでございます。各国それぞれ二重
課税の排除の
制度を持っているところも持たぬところもございます。日本の場合、去年は二重
課税を排除するけれども、ある程度排除するけれども、その排除の方法としてある程度法人の支払い段階において排除するという方法、これを今自己資本等の比率を直すという
方向とにらみ合わせて、それを導入すべきである。そこで配当を損金に算入するか、あるいは
限度を設けて損金に算入するということによって、今度は受け取り段階での税額控除方式あるいは受け取り段階での益金不算入方式、これについての規制を加えるべきである、同じ二重
課税防止の方法をとるにしても、こういう論議がかわされました。しかし、それは今度は
投資所得に対する
税制利回りその他に尽大なる影響を及ぼすことになる、
投資界に非常な撹乱を起こすことになるから、とりあえずの
措置として、去年とりましたような支払い配当に対して損金算入ではなくて、一定の軽減税率適用という方式を採用すると同時に、受け取り段階における控除方式あるいは益金不算入方式に対してある歯どめをこれに見合って加えた。しかし、これは暫定的なものであるから、この
措置をいかにするかということについては、さらに今後検討すべきだ、こういう
答申が昨年実はなされておるわけであります。本年も引き続きその問題を検討したわけでありますが、何分にもこの
制度の適用が
昭和三十六年四月一日以後開始した事業年度から初めて適用になるわけであります。したがいまして、事業年度終了でいいますと去年九月末決算、この分の法人支払い配当について初めてその税率三八が二八に下がる、片や今の個人の税額控除方式に対する四分の一制限というものは、これは三十七年分からでございます。したがいまして、まだ実施されていないわけでございます。で、この結果は来年の三月十五日になって出て参るわけでございます。
そういう
措置を講じましたのでありますが、とりあえず、今度の実施の結果についてどういうふうに
考えるかというアンケートを、産業界、
金融界、証券界、経済研究会、それぞれに対しまして発しました。そのアンケートを出しました回答は、まだ何分にも実施早々であって、その功罪はわからない。だから、しばらくこのまま
現行の
措置は据え置くべきである。その結果が出てくるときまで今の
制度をむやみに動かすべきではない、こういう
意見が圧倒的でございまして、
税制調査会にはその資料をなまで出しまして、実はこういうことになっているがいかがしたものでございましょうという相談をしたわけでございますが、
税制調査会でも、この問題は経済界に非常に甚大な影響を及ぼす問題であるから、アンケートの結果どおりなお慎重な
態度をとるべきである、こういう
結論になりまして、とりあえずここでまた一年検討、できるだけ勉強して参るつもりでございますが、とりあえず一年間据え置くという
考え方に立ったわけでございます。
したがいまして、今の
預金の
利子に対する
課税をどうするか、この問題もこれとの
バランスにおきまして、どうしてもこまかい
方向についてはいろいろな議論もございますが、これらとの見合いの問題でございますので、一年延長するということにいたしたわけでございます。最近における
貯蓄増強の
傾向というようなことももちろんございます。ございますが、
税制の面で根本的な問題としては、そちらのほうとの関連を
考えて延長するということで、この点は
税制調査会は満場一致その問題を同時に解決をはかるべきだという
答申になっている次第でございます。