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1962-03-20 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員の異動 三月十五日委員野溝勝君辞任につき、 その補欠として藤田進君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            市川 房枝君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            木暮武太夫君            林屋亀次郎君            堀  末治君            山本 米治君            木村禧八郎君            成瀬 幡治君            平林  剛君            須藤 五郎君   政府委員    法制局第三部長 吉国 一郎君    大蔵政務次官  天野 公義君    大蔵大臣官房    財務調査官   松井 直行君    大蔵省主税局長 村山 達雄君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   法制局側    法 制 局 長 斎藤 朔郎君   説明員    大蔵省銀行局特    別金融課長   橋口  收君    大蔵省主税局税    制第二課長   志場喜徳郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○国税通則法案内閣送付予備審  査) ○国税通則法施行等に伴う関係法令  の整備等に関する法律案(内閣送  付、予備審査) ○入場税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案国税通則法案国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案、以上三案を一括して議題とし、順次、提案理由説明を聴取することにいたします。天野大蔵政府次官
  3. 天野公義

    政府委員天野公義君) ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  国民金融公庫は、銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金を供給することを目的として昭和二十四年六月に設立されて以来、国民大衆の旺盛な資金需要に対処して、その業務の推進をはかって参ってたのでありまして、昭和三十六年度末において、その設立以来の融資総額は七千四百十二億円、その融資残高は千三百九十七億円に達する見込みであります。  昭和三十七年度におきましても、昭和三十六年度に引き続き、特に、普通貸付及び恩給担保貸付を増額することとして、普通貸付千二百六十億円、恩給担保貸付百五十七億円を予定し、さらに引揚者国債担保貸付更生資金貸付等に合計十一億円を予定するほか、その他貸付として、農地被買収者生業資金融通銀行その他一般金融機関から受けることを困難としている者に対し二十億円の貸付を行なうこととしており、総額千四百四十八億円の貸付を計画しているのであります。  このため必要な資金として、公庫自己資金を九百六十三億円と見込み、新たに四百八十五億円の政府資金を供給することとしておりますが、公庫経常基盤の一そうの強化に資するため、政府資金のらち二十億円は一般会計からの出資金を予定しておりますので、これに伴い、公庫資本金二百億円を二十億円増額して二百二十億円とする必要があります。  これがこの法律案提出する理由であります。   —————————————  次に、国税通則法案につきまして御説明申し上げます。  御承知のように、現行税法体系は複雑難解なものになっておりますが、これを納税者の理解しやすいものに整備するための基礎として、各税法を通ずる基本的な法律関係及び共通事項を取りまとめて定めるとともに、あわせて、納税者利益に着目しつつ、各種加算税争訟等の諸制度改善合理化をはかることが、かねてから要望されていたのであります。  政府は、これらの要望にこたえるためには、新たに各税法を通ずる共通法を定める必要があると考え、税制調査会に諮問してその検討を求めてきたのでありますが、先ごろその答申を得ましたので、これを基礎としてさらに慎重な検討を加えて参りました。その結果、答申された事項のうち、若干の項目につきましては、これを制度化するかどらかは、なお、今後における判例、学説等の一そうの展開を待って、さらに慎重な検討にゆだねることが適当であると考えられましたので、前に申しました趣旨からこの際立法することを必要とする事項に限りまして、ここに本法案提案した次第であります。  以下本法案について、その概要を申し上げます。  まず、改正点の第一は、利子税加算税等附帯税制度について改善合理化をはかったことであります。この附税税制度は、昭和二十光年の税制改正以来ほとんど見るべき改正がなされでおりませんが、今回は、これに抜本的改正を行ない、納税者利益に着目しつつ、制度簡素化をはかることといたし接した。すなわち、まず現行利子税額及び延滞加算税額については、この両者を統合して一本の延滞税とするとともに、その割合を、現行日歩三銭及び六銭から、日歩二銭及び四銭に引き下げることといたしております。  また、各種加算税につき・ましても、その課税率の軽減をはかりまして、無申告加算税及び源泉徴収加算税については、現行の一〇%から二五%とされているのを一律に一〇%に、重加算税については、五〇%を三〇%に、それぞれ引き下げることといたしております。  第二は、課税処分等に対する不服申し立て制度について改善を加えたことであります。すなわち、納税者不服申し立てをすることができる事項の範囲を拡張して、原則として、税務署のした処分のすべて及び納税者からの申請に対して税務署が何らの処分を行なわないいわゆる不作為につきましても、不服申し立てをすることができることといたしております。  また、納税者から不服申し立てがあった場合において、滞納処分執行を停止することは、現在では税務署長の職権によるのでありますが、今回新たに納税者からもその申し立てをすることができることとするほか、納税者担保を提供したときは、財産の差し押えをしない制度を新設することとし、さらに、納税者が不服を申し立てている期間中は、原則として、差し押え物件公売処分ができないものといたしております。  同じく不服申し立て制度に関連して協議団制度の問題がございますが、これにつきましては、協議団の議決を一そう尊重するよう規定整備をはかり、その運用の改善に努めることとしております。このほか、不服申し立て人の救済を手厚くするよう、いわゆる併合審理制度を設ける等の改善を加えることとしております。  第三は、租税債権成立確定等法律関係及び納税方式を明確にいたしたことであります。すなわち、現行法では、納税義務成立の時期や、納付すべき税額確定手続並びに申告納税方式及び賦課課税方式の意義がいずれも明らかでなく、ために課税権行使限界等について解釈上及び取り扱い上の紛議が生じておりますので、これらの点を明らかにすることといたしております。  第四は、申告手続に関する規定整備改善をはかったことであります。すなわち、申告納税方式における申告手続は、期限内申告については各税法規定によることといたしますが、期限申告修正申告及び更正請求等については、国税通則法に取りまとめて、わかりやすく規定することとしております。なお、これに関連して、納税者住所等が異動した場合の申告書提出先について、現行法では必ずしも明らかでないため、新住所所轄税務署とする等、納税者の便宜を中心としてわかりやすく規定するほか、申告書等を郵送した場合には、郵便局通信日付印に表示された日に申告書提出があったことといたしております。また別に、災害その他やむを得ない理由がある場合には、税務署長等申告書提出期限を延長ずることができる旨を明らかにいたしております。  第五は、国税賦課権期間制限について合理化をはかったことであります。すなわち、国税徴収権時効につきましては、現在別段の問題はないのでありますが、国税更正決定、すなわち課税権行使をすることができる期間につきましては、現行法では必ずしも明らかでなく、しかも直接税と間接税との間において不統一の点も見られますので、今回これを、時効とは違って中断や停止等をすることなく、権利行使することができなくなる、いわゆる除斥期間として明らかにするとともに、その期間原則として三年とする等の改善合理化をはかることといたしております。  以上が諸制度改正のあらましでありますが、このほか、各税に共通する事項として、相続合併の場合における納税義務承継税法上の期間計算及び護類送達の方法、人格のない社団等に対する税法の適用、国税納付請求及び督促の手続災害等の場合における納税猶予国税に関する担保種類及び処分等手続還付金還付、充当及び還付加算金等につきまして規定整備の上統一的に定め、租税制度の仕組みを明らかにすることといたして、おります。  なお、この法律案は、本年四月一日から施行することとしておりますが、不服審査及び訴訟に関する規定につきましては、行政不服審査法案及び行政事件訴訟法案施行と合わせまして、本年十月一日から施行することといたしております。  以上、国税通則法案につきまして、その提案理由概要を申し上げました。   —————————————  最後に、国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案につきまして、提案理由とその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、さきに提案いたしました国税通則法案に関連して、同法の施行等に伴い、所得税法等国税に関する法律その他関係法律について、その整備をはかるため、所要規定改正をしようとするものであります。  まず第一は、所得税法等の直接税に関する法律改正でありますが、これら面接税法規定されている修正申告期限申告更正請求更正または決定国税納付附帯税更正期間制限不服申し立て等について、国税通則法案に統一して規定が設けられることに伴い、これら税法該当規定を削除する等の整理をはかることとしております。  第二は、砂糖消費税法等間接税に関する法律改正でありますが、これら間接税法規定されている担保種類、提供及び処分利子税額等について、国税通則法案に統一して規定が設けられることに伴い、これら税法該当規定を削除する等の整理をはかるほか新たに間接税にも申告納税方式を導入するため、関係規定整備を行なうこととしております。  第三は、国税徴収法改正でありますが、同法に規定されている期間計算送達納税管理人相続による納税義務承継納税請求納税猶予還付不服申し立て等につい、国税通則法案規定が設けられることに伴い、同法の該当規定を削除する等の整理をはかることとしております。  第四に、国税通則法の制定及びこれに伴う諸税法整理に伴い、他の法律関係条項整理を行なうこととし、また、国税通則法案により国税延滞税割合が軽減されることに伴い、失業保険法国民年金法等規定する延滞金割合を軽減する等所要改正を行なうこととしております。  なお、この法律案による改正規定は、本年四月一日から施行することといたしております。  以上が国民金融公庫法の一部を改正する法律案外二法案提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、順次、補足説明を聴取することといたします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その前に、要望があるのですが、この国税通則法はかなり膨大なものですから、これはなるべくわかりやすく逐条的に詳細に……。重大な新しい法律でありますし、そこのところを詳細にわかりやすく逐条的に説明していただきたいと思います。それをお願いしたいと思います。
  6. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 橋口説明員
  7. 橋口收

    説明員橋口收君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案でございますが、ただいま提案理由で御説明申し上げましたように、法律案内容といたしましては、資本金を増額するための改正法案でございまして、提案理由で御説明申し上げました以上に、特に補足して御説明申し上げることはございません。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんな簡単なことでいいのですか、国民金融公庫法の一部改正補足説明は。これは非常に今重大な問題になっておるのですよ。旧地主の補償の問題等あるのですから、そんな簡単なことでよろしいのですか。補足説明になっていないじゃありませんか。特にこの二十億の問題が一番問題でしょう。そういう点をもっと詳細に、特にこの改正案は旧地主に対する融資であって、非常に問題になっておるけれども、それは貸付条件がどうであってこうだと、相当詳細懇切に説明しなければ、これは問題になりますよ。
  9. 橋口收

    説明員橋口收君) ただいま提案理由でも御説明申し上げたのでございますが、国民金融公庫昭和三十七年度におきまして千四百四十八億円の貸付を予定いたしているわけでございます。そのための原資といたしまして、自己資金が九百六十三億円、さらに政府から正式に供給いたします金額が四百八十五億円でございます。国民金融公庫業務の円滑な運営という目的もございますので、特に一般会計から二十億円の出資をするわけでございます。国民金融公庫といたしましては、三十七年度に千四百四十八億円の貸し出しを予定いたしております。そのために必要な原資として二十億円の出資を行なうというのが、法律案改正趣旨でございます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはあとで、質疑で詳細を明らかにしてもらいたいと思うのですけれども、それにしても、一番今問題になっているこの二十億について——二十億が一番問題じゃないですか、改正焦点として。これについてもう少し詳細に説明されないと……。そんなことでよろしいのですか。二十億が焦点じゃないですか。この二十億についてもっと説明されなければだめですよ。貸付条件がどうであるとか、こうであるとか……。審議でもっと明らかにしますけれども、それじゃ補足説明にならぬじゃないですか。それなら、せぬでもいいじゃないですか。そんないいかげんな説明じゃいかぬですよ。補足説明は、もっと具体的に二十億の内容について説明してくれませんと、それでよろしいというのじゃ、あまりこの大蔵委員会は軽視されているような気がします。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 委員長から一つ……。こういうとになるのじゃないですかね。補足説明がないということは、審議せぬでもいいということになる。そこを……。
  12. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 今、木村委員からして要求がありましたように、もら少し詳細な説明をされるように、委員長から要求いたします。本日もし用意がなければ、この次の委員会に詳細な説明を願いたいと要求いたします。  それでは、ただいま説明のありました法律案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  それでは、国税通則法案に対する補足説明村山主税局長にお願いいたします。
  13. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ただいま政務次官から提案理由の御説明がありましたが、補足的に御説明申し上げます。  まず、第一条は目的々うたっておりまし、「この法律は、国税についての基本的な事項及び共通的名事項と定め、税法の体系的な構成を整備し、かつ、国税に関する法律関係を明確にするとともに、税務行政の公正な運営を図り、もって国民納税義務の適正かつ円滑な履行に資することを目的とする。」ということでございますが、これは先ほどお話がありましたように、現在は各税法の中にそれぞれの納税義務者課税物件課税標準、税率というふうに税額算定までの実体規定、そのほか成立しました税額をいかにして納付していくかという点、その場合に加算税とか、附帯税がどうなるとか、あるいは更正期間制限がどうなるか、それに不服があった場合にはどういう手続によって救済を求めることができるか、つまり、いうなれば各税に関する手続規定をそれぞれ各税法の中に設けられておりまして、そのために非常に複雑なものになっているわけであります。国税通則法を設けようとするのは、それら各税法の中に設けられております主として手続規定共通的なものとして国税通則法にまず設ける。それによりまして、まず条文の数を非常に減らしまして、納税者にわかりやすいものにする。同時に、実体法は各税法を見ていただき、国民権利義務に非常に関係の多い、税務執行面で非常に問題の多い事柄は国税通則法を見ていただけば、すべて各税についてわかりますということにして、それで納税者の理解を助けていく。同時に、納税者から、税務執行について現在の税法がどんな端本的な考えでおるかということについては十分これだけを見れば批判できるということにいた・して、将来税制がますます一般納税者の世論を十分反映し得るようにするためにも、この国税通則法を設ける必要があると思うわけであります。   どの程度これによって条文整理されるかということでございますが、これは二つございまして、一つは、今御説明しました国税通則法施行等に伴う関係法令整備等に関する法律案、これで整理しているものが相当ございます。これで約百九条程度整理してございます。また、国税通則法施行前提といたしまして、各税法においてすでに規定を設くべくして設けなかった条文がございます。これが約二百四十条ございます。また、各税法におきまして、国税通則法施行前提にしまして各税法改正の中で削除したもの、これが三十数条あるわけであります。そういたしますと、国税通則法そのものは九十六条ぐらいでございますので、合計いたしますと、約二百五、六十条のものは簡素化されるということになりますし、体系的にもその点がはっきりして参るという点が第一点であります。これがこの「目的」でどのくらい簡素化するかという点でございます。  その他の事項につきましては、先ほど提案理由説明がありましたが、あとページを追って参りましたときに、順次御説明して参りたいと思います。  その次は「定義」でございます。これは用語の定義でございまして、まとめておいたほうがあとで話がわかりやすいというので、ずっと九ぺ−ジのところまで定義が書いてございます。  それから、この国税通則法とその他の法律との関係原則規定が三条に掲げてございまして、他の国税で別段の定めがあったらそれによりますが、そうでなければこれによる、国税通則法によって下さいということが第三条に書いてございます。  第二節の「国税納付義務承継等」、これは相続による国税納付義務承継法人合併による国税納付義務承継、その場合の連帯納付義務についての民法の準用、これらはいずれも現在の国税徴収法の中にあるものから移しておるわけであります。したがいまして、関係整備法案のほうでは、これは国税徴収法のほうを、その部分を直していく。実体的には関係はございません。  それから「期間及び期限」、これもいずれも国税徴収法にあるものをこちらに移しておるわけであります。  第九条は、これはいわば所得税法の二十五条の三、あるいは災免法の八条に書いてあるものをここに持って参りまして、災害があった場合には、一般的に二カ月に限って期限を延長することができるということにいたしまして、これを各税法を通じて適用することといたしたわけでございます。これはいわば新しい規定でございます。  第四節の「送達」、郵便による送達公示送達……。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと、済みませんが、今の九条は新しい規定ですね。
  15. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) そうでございます。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その前に、第二節の第七条ですね、これは今までどおりの規定ですか。
  17. 村山達雄

    政府委員村山達雄君) ええ、そうです。徴収法三十一条です。  それから、送達規定は、これは全部徴収法にあるものをそのまま持ってきておるわけでございます。そこが送達に関する全部でございまして、十条、十一条、十二条。  それから、第五節「人格のない社団等」、これは現在はこれと同様の規定徴収法の四十条にあるわけでございます。そのほかに所得法人、相続につきましては、それぞれ所得法人についてはこれは法人とみなすということをはっきりうたいまして、課税の面でも、両罰規定の面でも、そのことが明確になっております。それから、国税徴収法規定におきましても、それぞれ法人とみなしまして、それで規定を設けておるわけでございます。で、それ以外にも、主として間接税でございますが、これは納税義務者法人であるか個人であるかという点は何ら問うておりません。たとえば製造場から移出した者であるとか、あるいは入場税につきましては一定のこういうものを主催する者、そういう者が料金領収の際にやるのだということで、法人であるか個人であるかをその税法は問題にいたしておりません。納税義務に関する限りわれわれは問題ないと思っております。ただ、所得法人、相続、あるいは今の国税徴収法のように、この両罰規定がないわけでございます。ないと申しますのは、ほかのものは戦後改正の際にそれを形式的に整備したわけでございますが、それ以外のものにつきましては、その大改正がありませんものでしたから、その部分の改正がおくれておったわけでございます。その点をはっきりさせまして、法人に見ましょうということにいたしまして、各税法のほうでは単に両罰規定のほうでこれを受けておるわけでございます。もしこれがないといたしますと、人格なき社団等につきましては、罰則に関する限り治外法権に立つということになりまして、どうも奇妙なことになるわけでございます。一般に人格なき社団については、最近の立法では、税法に限らず、相当権利の主体として明文をもって規定するものが非常に多いわけでございます。今度の行政不服審査法等におきましても、人格なき社団はその名において行政不服審査ができるというふうにして、最近の立法例は権利の主体として認めておるわけであります。税法におきましては、先ほど申しましたように、納税義務に関する限り、あるいは両罰規定につきましても、所得法人、相続につきましては問題ありませんが、形式的な整備がおくれておりますので、別に治外法権を作る必要もないというので、形式的な整備としてここに入れておるわけであります。  その次に、第二章、この辺からは新しい問題になりまして、納税義務確定、いつ確定するのかという問題を言っておるわけでございます。その前に観念的には成立という問題があるわけでございまして、成立確定とするものと、それから成立後一定の手続を経て確定する、その手続につきましても申告納税によって確定するもの、それから賦課課税によって確定するもの、それはどんな税目であるかということをはっきりしたわけでございます。なぜ成立または確定をはっきりさせる必要があるかと申しますと、成立につきましては、あとで言いますように、繰り上げ決定とかあるいは繰り上げ請求の問題に関連してくるわけでございます。それから、確定の問題につきましては、あとで出て参りますように、賦課権の行使の期間制限がございますが、それは一体いつからなるのか、あるいは徴収権の時効の問題の起算点は、その確定の時期がいつかというような問題、あるいは利子税  今度は延滞税でございますが、延滞税は一体いつから取るのか、あるいは利子税は一体いつから取るのかという、こういう起算日の問題があるわけでありまして、この点が従来不明確であったということでございますので、それぞれの税目につきまして成立並びに確定の時期をきめているわけでございます。  で、十五条は、まず一般的にある手続によって確定するんだ、こう言いまして、それから成立の時期は一体いつであるかということを、その二項におきまして各税ごとに定めておるわけでございます。  それから、その次に、成立と同時に確定すべき国税は次に掲げるものでございますというので、三項でうたっているわけでございます。  それから、第十六条に行きまして、その成立確定しないで、特別の手続を待って初めて確定するものは次のようなものでございますとうたっておきまして、一号が申告納税方式によって確定するものでございます。賦課課税というのは、もっぱら税務署長が賦課決定することによって確定するものでございます。どういう税目が申告納税方式であり、どういうものが賦課課税方式であるかということは、その第十六条の第二項にうたっております。その税額申告すべきものとして各税法で定めておる、そのものはここでいう申告納税方式によって確定する税目である、それ以外のものは賦課課税によって成立するものであるということを二号できめておるわけでございます。  これは原則でございまして、第二節以降におきまして税額の具体的の確定手続を書いてあるわけでございます。  そこで、期限内申告、それからそのあとで期限申告修正申告、それらが出て参ります。それから同時に、これは弔う一つのことをきめております。これは確定はそうでございますが、期限内申告規定は、各税法がそれぞれその申告すべき事項が違いますので、各税法にうたっておりますが、申告納税制度一般的な問題として、期限申告修正申告、あるいは更正決定、こういった問題はごく例外的な規定でございまして、しかも各税法を通じて共通的な事柄でありますので、そういうものについてはいついつまでにどういうことをしなさい、どういう添付書類をつけなさいということを、この通則法におきまして共通的に規定しているわけでございます。同時に、この修正申告法律的の効力等につきましては、たとえば修正申告の効力というのは二十八ページの二十条にございますが、「修正申告書で既に確定した納付すべき税額を増加させるものの提出は、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。」、かように増差額が出ましても、もとの税額には影響を及ぼさないというふうに、前後の関係法律関係の効果を明らかにいたしております。これは賦課と徴収の問題がございますので、その間相互の法律関係を明らかにする必要がある。これは従来規定がなくして、解釈上やっておったことを、ここに明らかに出したわけでございます。  その次は、納税申告書提出先、二十一条でございます。これは所轄税務署というのはどこかということでございます。従来の税法におきましては、所轄税務署というのは単に所轄税務署と書いてありまして、具体的に納税地に異動がある場合はわからないわけでございますので、これを明確にした。これはいつでも申告書を出すときの現在地における税務署所轄税務署でございます。もし間違って出した場合でも、その所轄税務署は変わりませんが、出したら、その受け取ったところがその所轄税務署のほうに移送するのだというような手続が書いてございます。  なお、二十二条で、申告書提出期限がございます。従来、所得税法では到達主義でいっているわけであります。たとえば確定申告は三月十五日までという場合、税務署に到達した日が三月十五日でなければならぬというふうにしておりましたのを、今度はスタンプ印の日付でいく、発信主義によったということであります。現在法人税法でも、これはこういうような扱いにしておりますのを、今度通則法では、納税者の便宜ということを考えまして、各税法を通じまして発信主義によったという点が、この二十二条に書いてあるわけでございます。  なお、その次は「更正の請求」、これは納税者のほうから、申告したけれども、実は間違っておった、もう少し減らす必要があるという場合のことでございます。これも通常の期限内申告に比べますと、例外的の規定でございますので、すべて各税法からこちらに持ってきて書いております。その内容につきましては、これは従来各税法にあったものと違いはございません。  それから、第三款は、「更正又は決定」、これも内容的には従来と変わりございません。ただ、こういった例外的のものは、すべて国税通則法に持ってきたという関係でございます。  それから「更正等の効力」、これは先ほど言ったように、前後の関係法律効果を明らかにいたしたというのが、二十九条でございます。  それから「更正又は決定の所轄庁」、三十条でございます。これも従来はあまりはっきりしなかったわけでございます。これも考え方は、ここに書いてありますように、それは更正をする際における所轄税務署である。所得税法でいえば、その際における住所地でございます。ただし、住所地は所得税法規定によりまして税務署申告することになっておりますが、申告がないためにわからなかったという場合には、旧納税地の税務署の署長が更正決定ができる。そのときに重複して更正決定が行なおれたような場合におきましは、あとのものは取り消しますということで、その両者の間の調整をつけてあるわけでございます。  それから、第三節は「賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続」でございまして、これは先ほど申し上げましたように、税務署長の賦課決定通知書によって確定するわけでございます。そのときの手続がここにずっと書いてございます。その期限等につきましては政令で定める。それから、何を一体通知書に書いてやるべきかということも、これも従来とほとんど違いございません。  それから「賦課決定の所轄庁」、これも更正決定の所轄庁と同様に明らかにいたしております。  第三章「国税の納付及び徴収」、ここまでは納税義務成立して確定するまでの手続がずっと書いてあるわけでございます。これから納付、徴収はどうしてやるかということがずっと書いてあるわけでございまして、その第一節、三十四条でございますが、それは納付書なりあるいは納税告知書を受けた場合には、それを添えて銀行に納めてもらいたいということでございまして、別段従来と違ったところもございません。それから、印紙納税のものは印紙納税でいいのだ。それから、相続税のように物納の認められたものについては物納でよろしいということが、三十四条の三項に書いてあるわけでございます。  その次は、「申告納税方式による国税等の納付」、その場合の期限がずっとここに書いてございます。これも内容的には従来と変わりございません。それから、三項は、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、こういう加算税はせいぜい当該通知書が発せられた円の翌日から起算して一カ月を経過するまでに納付しなさい。これも内容的には変わりございません。  それから「納税の告知」、これは申告納税分につきましては納税の告知は要しませんが、そうでない賦課課税によるものにつきましては納税告知を要するということが第三十六条の第一項に書いてあるわけでございます。これはいわば納税をして下さいという納税の請求を国がいたします。それに基づいて納めて下さい。申告納税分はもうきまっておりますから、自分で申告されたところの税額を納付書によって納めて下さいと書いてあるわけでございます。カッコで、賦課課税方式による国税でありましても、過少申告加算税、こういったものにつきましては、本来が申告納税制度でありますので、この加算税の決定自体は賦課決定をせざるを得ませんけれども、申告納税方式は、本税そのものが申告納税方式でありますので、納める方法としては納付書で納めてもらいたいということが書いてありまして、そのつもりでカッコで除いているわけでございます。それから二号、三号、四号、これは成立すると同時に確定するものでございますが、源泉徴収と同時に納付期限までに納付されないで、あとで納める分につきましては、国の方で納税告知を発します。そういうものについては納税地で納めてもらいたい。もちろん、進んで自分で不足しておるというので、あとで追加してみずから納める分については、もとの原則に返りまして、納付書に添えて納めてもらいたいということが響いてあるわけでございます。  それから「督促」が三十七条でございまして、三十七条はどういうものについて督促するか。その督促の内容としては、延滞税利子税あわせてしなくてはならぬということ、三十七条でございます。これも従来と変わりございません。  それから「繰上請求」、税額確定して、まだ納期限が来ておりませんが、ここに書いてありますように、強制換価手続が開始されたとか、あるいは相続人開始があったが相続人が限定承認をしたとか、それから法人である納税者が解散したとか、あるいは納税者納税管理人の定めをしないでこの法律施行地に住所及び居所を有しないこととなるとき、つまり将来に対して税の徴収が非常に心配される場合には、その納期を繰り上げて請求いたしますということでございまして、これも従来おおむね国税徴収法で同様の規定を設けております。五号は脱税しようとする行為があるというような場合でございまして、その場合の手続が二項に書いてございます。それから第三項は、まだ確定していないという場合でも、すでに成立しているものについては概算見込みの税額を通知いたしまして、これを見込みをいたしまして、そしてその概算見込みの税額を限度として直ちにその者の財産を差し押えることができる。これは従来査察の場合の保全等に要する保全措置につきまして同様の規定がございましたが、このものは同様の必要があるというので今度設けた規定でございます。  それから「強制換価の場合の消費税の徴収の特例」、これは課税物品を強制換価いたしますと、そのときに移出があったものとみなしまして、そのときに同時納税義務成立するわけでございます。そこで、その分を徴収する必要があるということでございまして、その手続が誓いてございます。この場合にはそれぞれの執行機関に対して通知いたします。それで、執行機関に対する通知は、第三項で国税徴収法による交付要求と同様に考えます。国税徴収法のほうでは、すでに税額確定しておって、その納税者の財産が他に処分されるときに、交付要求するときの場合でございます。消費税でございますと、強制換価によって納税義務成立するものでございますので、これは通則法のほうで書いておくということでございます。  第二款は滞納処分との関係でございます。先ほどから申しておりますように、国税徴収法滞納処分に関する規定以外のものをこちらにずっと持って参りまして、したがいまして、今後の国税徴収法というのはいわば共通的な滞納処分法になるわけであります。その滞納処分との関係規定がこの四十条に頭を出しているわけでございます。別段変わったことはございませんです。  それから、第三者が納付した場合とその代位の関係で、それから国が徴収権者という意味では債権者でございますので、その場合に、民法四百二十三条の債権者の代位ないし詐害行為の取り消しの規定があります。これも徴収法にある規定をこちらに持ってきているわけでございます。  「国税の徴収の所轄庁」、これも先ほど申しましたと同じような意味で明らかにして、「その徴収に係る処分の際におけるその国税納税地」 滞納処分の対象となっておる国税のそのときにおける納税地によって所轄庁がきまりますと一いうことでございます。二項は、その例外規定でございまして、すでに更正決定をやったとかいうようなこと、あるいは税額確定してから納税地に異動があって、まだ依然としてその事実がわからないというような場合には、例外的に前の賦課との関係でこれらのものの所轄庁となり得る。第三項は、引き継ぎの関係を書いてあるわけです。  四十四条は、更正手続を開始した場合の徴収の所轄庁であります。更生手続を開始いたしますと、これは本店所在地のほうに問題が移ります。したがいまして、本店所在地のほうに引き継ぐことができるということにいたしているわけでございます。  第四章は、今まで納付の手続あるいは納付の請求のところまで書いてきたわけでございます。だから、どういう場合に納税の猶予をするか、それから納税猶予の場合に、一般担保規定がございますが、その担保の種類とか、そういったものをここに書いているわけです。このほかに、猶予担保ではなくて保全担保的なものがございます。これは課税法で定めてございますが、その場合の担保規定もすべてこの章に定める担保規定によるということでございます。  「納税の猶予の要件等」といたしまして、四十六条に書いてございますが、これは災害が起きました場合に、すでにその災害以前に納税義務成立して納期限がそのあとにやってくるものにつきましては、確定した税額について一年間以内の期間で徴収猶予することができるということになっております。この場合の普通税の関係延滞税を取るか取らぬかというようなことは、後ほどの、四十六条でございますが、普通税のところで書いてございます。ここでは一年以内、そういう場合には無条件で延ばすことができると書いてあるわけです。二項に参りまして、二項は、やはり災害を事由とするわけでございますが、ただ、先ほどの一項のほうは、災害前成立、災害後納期が来る、こういう場合でございますが、二項のほうは、そういう税を限ってございません。ただ一瞬に納付することが非常に困難であるという場合には、それは認めましょう。どういう事由によるものであるかということが各号に書いてございまして、一号は災害によった場合、二号は病気にかかりまたは負傷したことで、一号、二号はあとで見ますように延滞税を免除しております。三号、四号、これは本人が聖業を廃止した、休止した、それから納税者が著しい損害を受けた、こういう場合でございます。これは延滞税はあとに見ますように免除することができるという規定になってございます。五号は、前各号の一に該当する事実に類する事実があった場合、まあ一号、二号に類する場合と、三号、四号に類する場合と、両方あるわけでございますが、延滞税もそれぞれその双方に該当する場合に働くことになっております。これはこの辺までは、実体的には従来の規定とそれほど違いはございませんが、非常に明確になって書いてある、こういうことでございます。それから三項は、税務署の決定が一年以上おくれたというような場合でございまして、その場合には一年後からその更正決定があるまでの期間につきまして、その期間につきましては、これは税務署のほうにも若干の罪ありということで、延滞税計算の期間からは除外するということでございまして、現行法でもほぼ同じようなことが設けられております。これは修正申告等をした場合にも同様でございます。まあやはり早く税務署のほうは更正決定ができるものを、一年もぼやぼやしておった  のなら、それをこえた部分につきましては、その期間は除算いたしましょうということを書いておるわけでございます。ただ、この場合は延滞税を免除する理由はございませんので、この条項によっては延滞税は免除しないということになるわけでございます。第七項で、最後に、一ぺん猶予を与えたものを、これは二項、三項の場合でございますが、場合によりましてはさらに一年延長できるということになっております。したがいまして、ずっとこれを読んでみますと、一項でまず一年猶予が与えられまして、それから二項によりまして——二項の一番最後に書いてございますが、一項の適用を受けたものにさらに一年与えられる。それから三項でもまた一年と書いてございますので、三年間ぐらい、一番長く考えるなら三年ぐらい猶予期間があるということでございます。もちろん、全部の人がこれに該当するわけではございませんが、そういうこと。さらに、先ほど見ていただきました災害等による期限の二カ月の延長というのを考えますと、納期は大体一カ月後とか税法できまっておりますが、最大限に考えますと三年二カ月ぐらいの猶予がある。その間の利子——延滞税はどうするかということはそれぞれきまっております。さらに換価の猶予、執行の停止というような、強制処分の段階で、さらに執行猶予が別途国税徴収法でもちろん規定してあるわけでございます。   それから、その次の「納税の猶予の通知等」、それから「納税の猶予の効果」、納税を猶予した場合には、その後の滞納処分の続行は押えてしまう。督促、それから滞納処分差し押え公売処分はやらないということでございます。  それから、納期の猶予期間とその時効の停止の関係は後ほど出て参ります。それから、その場合に差し押え財産があるときには、それは解除することができる。必ずしも解除しなければならないことはありませんが、場合によってできるということが二、項に書いてございます。  それから、四十九条は、納税の猶予を一ぺんいたしましたが、どういう場合にそれを取り消すかということが、その次に書いてあるわけでございます。書いてありますのは、繰り上げ請求しなければならないというような事由に該当する場合、あるいは猶予額を分納しておったのがその分納額を納めないというような事実があるとき、あるいは猶予担保として担保の提供を命じておったのがその命令に応じないとき、その他四号は、非常に状況がよくなっていつでも納められる状況になったというようなときにも取り消すことができる。取り消しではございません、取り消すことができるということになっております。「取り消し、又は猶予期間を短縮することができる。」ということになっておるわけでございます。  それから、担保規定、第二節でございますが、これは現行法とほとんど同じでございます。担保の種類、それから変更、その処分、それから国税庁長官等が徴した担保処分、これは五十三条でございますが、これは非常に例外的の場合でございまして、原則としては、税務署長が、担保処分をするときにはやるのだ。ただし、国税局長が、たとえば徴収官がみずから徴収するような場合にはもちろんみずからやってよろしい。そうでない場合においては、原則として税務署長にその実行処分はやらせるのだ、ということが書いてあるわけでございます。  それから「納付委託」、先付小切手で納めるような場合でございます。これも現行と同じでございます。  第五章「国税の還付及び還付加算金」でございます。今までは大体納めていただくほうの話をしておった。それから納めていただく場合にどういう猶予があるか、その場合の効果はどうかということが書いてあるわけでございますか、今度は逆に、国税が過大になりまして返す場合、その場合の還付加算金のつけ方の問題あるいは充当の問題でございます。内容的にはほとんど現行法と変わりございません。規定整備でございます。「還付」「充当」、五十六条は、還付一般のことが書いてございます。その場合は、未納税がありましたら充当しなければならぬ。その場合に附帯税と本税があったら、まず本税のほうに充当する。これは納税者のほうに有利なわけであります。附帯税があとそれだけ発生しないようになりますので、有利にしております。これはもちろん現行法でもそうでございます。充当した場合の手続、本人に知らせなさい。  「還付加算金」、これは国税の納付があった日の翌日から、過大納付があった日の翌日から還付のための支払い決定の日まで——あと支払い決定してからいつまでもおくれているということがありますが、それは向こうの責任ですから、ありませんが、そこまでは還付加算金を受ける場合の計算期間といたします。カッコして、「(他の国税に関する法律に別段の定めがある場合には、その定める期間)に応じ」、と。今言ったのは原則でございまして、別に定めがあればその定めによりますということでございます。たとえば、純損失の繰り戻しということがあるわけでございますが、実際その額がはたしてそうであるかどうかということにつきまして非常に計算も要りますし、問題もありますので、これは各税法の中で還付請求があってから三月をたった日から起算をいたしますということになっております。それから、二項のほうは、これは還付しようと思うのだが、返せない場合には国に罪なしということで、還付加算金の計算期間から除外してございまして、還付金差し押えられているというような場合、それが一号、二号でございます。三号では、通知は出したが、その一月を経過する口までに還付の請求がない、通知したのにかかわらず還付請求がないというような場合、それぞれこれは納税者のほうに罪があるので、その期間については国は還付加算金をつけないということが書いてございます。それから、分納されている場合、二以上の納期の場合に、どこから過誤納が生じたと見るか。うしろの納期から計算いたしますということが書いてございます。これは現行法と同じでございます。  それから五十九条は、次のような預かっておるようなものについては還付加算金をつけませんということが書いてございます。その次は第六章一附帯税」。延滞税でございます。今度は、先ほど提案理由説明にもありましたように、現行利子税、延滞加算税を統合いたしまして、延滞税一本といたしまして、従来それぞれ三銭、三銭、合計して六銭になっているものを、四銭にしたわけでございます。ただ、督促状発付の日から十日までは二銭にいたしますという根本思想でこれが書いてあるわけであります。どういう場合に延滞税を納付しなければならないか。これは要するに、期限におくれましたら、その分について納めて下さいということが書いてあるわけでございます。こういう構成は従来と変わりません。二項で今のことが書いてございまして、四銭といたします、ただし十日を経過する日までの期間については二銭でございますということで、従来から通じて二銭程度下げておるということでございます。  それから「延滞税の額の計算の基礎とたる期間の特例」でございます。これも先ほど言いましたような、更正決定が一年たってやられた、そのために、前にはその場合には一年間、一年をこえる更正決定までの期間は猶予しますと書いてある。しかし、延滞税は免除いたしませんと、こう書いてある。しかし、延滞税は免除しないが、期間の計算については、やはり同じようにその一年をこえて更正決定を、するに至るまでの期間、この分は延滞一税の計算の期間から除外しますということを、同じような思想でずっと書いてあるわけでございます。  それから、一部納付が行なおれた場合の延滞税の額の計算等、それから六十三条が「納税の猶予の場合の延滞税の免除」でございます。先ほど申しました災害によって申告期限を——納付期限を延長する場合には免除するということ、これが二項に書いてございます。それから、第一項のところは、四十六条第一、項、すなわち災害によりまして、災害前成立、災害後納期で、それまで確定した税額に関する無条件猶予を認めた分、これは当然延滞税は免除になるわけでございます。それから、二項の第一号、第二号、これは災害とか盗難によって起こった分あるいは疾病によって起こった分でございます。それから五号は、それに準ずる場合、その場合には免除いたします。第三項は、三号、四号、すなわち休廃業あるいは事業の損失のような場合、第五号はそれに準ずるもの、これは第三項の一号、−二号に該当するような場合に免除することができるということになってございます。  それから利子税でございますが、これはいわば今度の利子税は、従来の利子税と延滞加算税延滞税に統合しておるわけです。ここでいう利子税は、各税法で従来認められておったもの、徴収の猶予という言葉で表わされておりますが、実体的に申しますと、たとえば相続税の年賦分納の場合のその延納の場合、あるいは法人税法できめておりますように納付期限までに半分納めなさい、残りの半分はあと三カ月間に適宜分納すればよろしい、その場合猶予したものについての利子税の問題、それから所得税法確定申告税額が予定納税額の二割をこえるに至った場合に、その予定納税額まで納めれば、その競りの分については五月末までに納めればよろしい、その分をやはり延納と呼んでおるわけでございます。その場合には一緒にやりなさいということでございまして、これはいわば利子税という制度がございますということを、これは見ればわかるように書いてあるわけなんです。それぞれ実体的な規定は向こうに、それぞれの本則に書いてあるわけでございます。  それから、その次は「加算税」、これも従来一種の附帯税といわれておったわけですが、加算税関係を全部こちらに吸収したわけでございます。今度は間接税につきましてもすべて申告納税制度によっておりますので、間接税すべてこの加算税の適用があり得るわけでございます。  過少申告加算税が六十五条に書いてございまして、それから六十六条に無申告加算税、それから六十七条に従来の源泉徴収加算税、あるいは通行税等の徴収義務者が納めない場合の、何といいますか、軽加算税という言葉で従来呼ばれておりましたが、それを合わせまして「不納付加算税」という言葉で簡略にしておるわけでございます。で、法律構成は従来と同様でございますが、中身が変わりましたことは、先ほどお話し申しましたように、従来無申告加算税は、そのおくれる期間に応じまして、一カ月までは一〇%、一カ月から二ヵ月までは二五、それからその次が、二カ月をこえますと二〇、それから三カ月以上になりますと二五と、一〇から二五までの無申告加算税があったわけでございます。今度すべて無申告加算税は一律一〇%。それは期限がおくれたということは、それは延滞税を取るという理由になるかもしれないが、おくれたことによって無申告加算税を過徴するということはどんなものであるか、こういうことによりまして、その分を落とておるわけでございます。  それから「重加算税」、これは申告納税を取られるもののうち直接税について適用のあるものでございますが、従来は隠蔽仮装にかかる分のその本税額の五〇%となっておりましたのを、先ほど政務次官から御説明がありましたように、ここで三〇%にしておるわけでございます。二〇%下げておるということでございます。第一項にそのことが書いてございます。あとの法律構成は従前と同様でございます。  加算税の税目、それから先ほど言い忘れましたが、延滞税の税目は、それぞれ本税の税目と同様とするということが六十九条に書いてございます。延滞税についても前と同じようなことが書いてございます。  その次は第七章「国税更正、決定、徴収、還付等の期間制限」、この問題、同時に賦課権徴収権をここで、はっきり区別しておるわけでございます。  七十条でございますが、これは更正または賦課決定は、その法的申告期限から三年あるいは期限申告があった場合はその日から二年のいずれかおそい日以後においては、することができないということでございます。従来でございますと、所得税、法人税、相続税にはこの規定があったのでありますが、それ以外の税目につきましては期間制限規定がなかったわけであります。したがって、それは国税徴収法で五年いけるのか、こういう疑義があったわけであります。その場合にも、それが賦課権がいわば除斥期間としての期間制限であるのか、あるいは消滅時効としての期間の問題であるのか、明らかでなかったのであります。ここではその点はすべての税につきまして三年で更正決定等の賦課権は打ち切るということを明らかにいたしまして、同時に、あとでこれは時効ではなくて除斥期間だということを明らかにしているわけであります。ただ、第二項は、これは減額更正の場合でございまして、納税者に有利になる場合は五年間できますということが書いてあるわけでございます。  それから、ただ四項はその例外でございまして、現行法と同様でございますが、原則として三年あるいは提出があってから二年のいずれかおそい日までとありますが、もしそれが無申告であった場合、申告すべくして申告しない場合等につきましては、そういうものにつきましてはこれは五年、それからなお二項で、脱税をはかった場合は期間制限五年であるということが四号に書いてございます。四号でいいますと、無申告の場合、脱税をはかった場合、それから本人に有利となる減額更正の場合、こういう場合は五年でございます。それ以外は全部三年に押えましたということでございます。  それから七十一条、これは更正決定の期間制限の特例でございまして、たとえば今裁決があったとか、あるいは訴訟があってそれの裁決があったために、異動するというような場合、その場合にいきなり三年で切ってしまうということは、これは納税者に有利、不利は別にいたしまして、有利な場合も不利な場合もございましょうが、それはどうも理屈に合わないということでございます。二号の場合は、もとの取引自体は無効になったとかあるいは取り消された、それに伴って税額に異動の起きる場合でございます。こういう場合に、一律に三年とか五年とかいうことになりますと、非常に事柄の性質上不公平になりますので、そういう場合はそれぞれ六カ月、…年としておるわけであります。一号の場合、六カ月にしておりますのは、これは税務署が大体わかっている事柄でありますので、六カ月に切ってある。三年の場合は、なかなかわからない場合がありますので、三年ということになっているということでございます。  それから消滅時効。徴収権のほうは、従来どおりこれはすべて時効といたしますということが書いてございます。  時効の中断及び停止事由が七十三条にずっと書いてあるわけであります。それで、その場合の停止の効果、中断の効果等がずっと書いてございますが、この点は従前の国税徴収法と実体的に何ら変わってございません。  それから「還付金等の消滅時効」、還付請求権が出て、それがいつまでどうなるかということは、これも五年間でございまして、これも現行国税徴収法の百七十六条と全く同様でございます。いずれも絶対的消滅時効である、この点も変わりありません。  それから第八章「不服審査及び訴訟」。  七十五条で行政不服審査法との関係が書いてございます。「国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てについては、この節及び他の国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政不服審荘法の定めるところによる。」ということにしてございます。行政不服審査法では、従来はいわゆる訴願法で規定されておりまして、列記主義で書いてあったのでございます。租税についていいますと、租税の賦課徴収に関する件、それだけが訴願ができます。ただ、特別法で定めがあればそれによりますということで、国税のほうでは、所得法人、相続につきましては、それぞれ再調査の審査の請求ということでいっておりまして、それ以外の賦課徴収につきましては、国税徴収法で一括して規定してあったわけでございます。今度は行政不服審査法自体が、この処分の中に事実行為を含むということにしてございます。ですから、この処分に関するものは、したがって行政不服審査法を受けまして、ここに「処分」と書いてございますが、これは従来の法律行為たる処分のほかに、事実行為を含みますということで読んで参ります。のみならず、従来は賦課徴収に関する問題だけでございまして、たとえば所得税法ですと、何々の決定に対して異議あるものと、個別列記主義で書いてあったわけでございますが、ここでは「国税に関する法律に基づく処分」というふうにして、一般的に概括的に書いて、何でもできますということにいたしました。  なお、行政不服審査法のほうでは、行政官庁が不作為で、ある行為が期待されておる場合にやらないときには、審査法のほうで異議の申し立て、あるいは審査請求ができることになっております。これを排除しておるものではありません。特別に定めある場合はそれによります。それ以外にもし不服がありましたならば、向こうでやれるということは同様でございます。また、処分をする場合に、異議がある場合には教示をしなければならない、その救済手続があるということを教えてやらなければならぬということが、行政不服審査法で規定されておりますが、それも当然これは受けておるわけでございます。ただこの法律で書いてあるものだけがそれによるということになっておるのでございます。  それで、最初は「異議申立て」、これは処分庁に対してなす異議でございます。法律構成は従来と変わりございません。  「納税地異動の場合における異議申立先」、これも先ほどの申告書を出すときと同じことでございまして、その異議を申し立てをするときにおける税目についての所轄税務署に出すのを、もし間違ったところに出すならば移選いたします、このことは本人に通知いたしますということが書いてあるわけでございます。  それから、その後異動があった場合の特例等につきましては、前に申しましたことと同様でございまして、その場合には職権あるいは申し立てによってその異動地のほうに、新住所のほうに移すこともできるということでございます。との辺は従来はっきりしていなかった。これも納税者の便宜に限りまして、申告の段階、更正決定の段階、再調査の段階、審査の段階、納税地に異動がありました場合に新住所地のほうに移すことができることを書いておるわけでございます。  それから「審査請求」でございます。第一項の場合には、これはもう従来同様でございますが、調査官が調査に基づいてやったものは国税局長に、それ−から税務機関以外の行政機関の職員がなした処分、これもすぐ国税局のほうに審査請求することができる。たとえば登録税のような話でございます。それから、税務署長がした処分であっても、その本人の選択によって異議の申し立てを経ずして直ちに審査請求にいける場合はどんな場合かということが二項に書いてあります。それは教示しなかった場合、あるいは青色申告書の場合には直ちにいけます、それはいずれも選択してけっこうでございます、ということでございます。それから、通常の場合が三項に書いてございまして、異議の申し立てに対する決定に対して不服のある場合にはこれでおいで下さいと書いてあるのでございます。  それから八十条の場合が、みなす審査でございます。異議の申し立てをしてから三月もたっても、ぐずぐずしておるというのであれば、本人が別にその異議の申し立てをしなければ自動的に国税局のほうに移ってしまう。それから、どうも事案が非常にむずかしい、税務署では扱いかねるというときに、本人の同意があれば、二号でこれも国税局のほうへいける。これも従来と全く同様でございます。それから、管轄の特例、これは大体同じでございますので、省略させていただきます。  それから「雑則」でございます。「併合審理等」でございますが、これは従来は、たとえば増額更正が行なわれたような場合に、それぞれの段階ごとに審査請求にもってこなくちゃ再調査を経て審査請求にもってこなくちゃならないというふうになっておって、非常に不便でございます。ここでは、すでにその同じ事件について一部が審査にかかっておるならば、いきなり再調査を飛び越してこっちにもつてくることができるいうことにしまして、審理の併合をやりまして、これもお互いに非常に便利なことだろうということでございます。  それから「協議団による審理」、これは八十三条でございますが、従来は協議団の議決を経てしなければならないとありましたのを、協議団の議決に基づいて二一と、ここだけが変わっておるわけでございまして、書いてありますように、その協議団の議決を尊重してという趣旨をできるだけ法文の上で表わしたつもりでございます。  それから「不服申立てと国税の徴収との関係」、これが先ほど提案理由説明いたしておりますように、従来は不服申し立てがありましても、その事後の徴収のほうの手続の続行を妨げなかったわけでございます。今度はそうでなくて、その場合には原則として公売処分は一切できない、できるのは差し押えまで、債権の保全までしかいけないのだ、公売処分は許さぬということにしております。ただ、例外がちょっとございまして、その場合にもそのものが非常に腐るものであるとか、ほうっておくと価値の減価を来たすものという場合は例外でございますが、公売処分は許さない。その場合も、差し押えのほうも、本人から担保の提供があれば差し押えをいたしませんということが帯いてあるわけでございます。それから、徴収猶予はしませんが、二項で、従来は職権で徴収猶予をしないことができると書いてあったのが、今度は本人の申し立て権を認めます、それが二項に書いてあるわけであります。この辺が今のところだいぶ変わってきておるわけであります。それ以外は大体現行法と同じようなことでございます。  それから第二節「行政事件訴訟法との関係」、行政事件訴訟特例法との関係でございます。これは行政事件訴訟法では、取り消しを求める訴えにつきましては、原則として他の法令に別段の定めのあるもの以外は訴願前置を必要としないとなっておりますが、税につきましては、大量に問題が発生しまして、かつ専門的で奉りますので、従来どおりその特例としてここに訴願を必要とするということにしてあるわけでございます。もちろん、その行政事件特例法との連絡も十分とりましてやっておるわけでございます。この点は従来と変わりございません。  それから第九章「雑則」。一納税管理人でございます。これも大体は現行どおりでございます。  それから「国税課税標準の端数計算等」、これは若干納税者に有利のようにいたしました。九十条でございますが、一項、二項、変わりません。三項の二行目のところの「又はその税額の全額が」、現行は千円未満であるときはとありましたのを、二千円に上げたというようなところでございます。  それから九十一条、これは税額の端数計算でございますが、これはこの一行目の「又はその全額」が、従来は十円未満であるときはその全額を切り捨てる、これを百円に上げたというような点であります。  それから、還付金のほうの端数計算、これは動かしておりません。  忘れましたが、九十一条四項の附帯税のところの、「その全額」は、現行では三百円未満のものは切り捨てるとありますのを、これを五百円未満にして、やはりこれも若干有利にしております。  還付加算金のほうは、これは納税者の問題でございますので、もらうほうでございますから、何もそんな引き上げというようなことはいたしておりません。  それからあとは、国税徴収法にある規定をずっとこちらに移したわけでございます。九十二条、九十四条、九十五条ということでございます。  以上大体本法についての御説明が終わったわけでございますが、最後に、附則のところで、延滞加算税に関する経過規定がございます。六条と七条を一括して御説明申し上げますと、原則的な考え方は、その計算期間、四月一日を境にいたしまして、前の期間にかかる分については、これは旧法によります。それから、それ以降の分については新法によります。したがって、延滞税になります。こういうことになっているわけでございます。したがって、四銭ということになるわけです。それまでは旧法でございますから、それぞれ三銭、三銭の利子税あるいは延滞加算税がついているわけでございます。ただ問題は、その場合に、従来は延滞加算税については、そのもととなる税額の五%で頭打ちという制限があったわけであります。それを附則で、どういうふうに持ってくるかということだけがここに書いてあるわけでございます。考え方といたしましては、従来はたとえば三銭で納めてきましたが、これを今後は、延滞加算税は四銭になりますが、便宜従来と同じように二銭、二銭と分けて、そのうちの四銭のうち二銭部分がいわば従来の延滞加算税に相当する部分として、それで本税に対して五%という額がきまります。その額から過去三銭で納めた分を引きましょう、それで残りの部分が、延滞税のうちの二銭部分についての最高限度になります、こういう経過規定を設けております。あとはすべて四月一日で切りかわるということでございまして、その延滞税のところだけが、六条、七条で頭打ちの制限の関係の橋渡しだけが書いてあるということでございます。  非常にかけ足でありましたが、以上で補足説明を終わらせていただきます。
  18. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいま説明のありました法律案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  19. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。  それでは、午後一時まで暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩    ————・————    午後一時四十七分開会   〔理事佐野庸君委員長席に着く〕
  20. 佐野廣

    ○理事(佐野廣君) ただいまから委員会を再開いたします。  入場税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体項目的に簡単にお尋ねしておきたいと思います。  その第一は、日本で現に、文化の興隆と申しますか、振興ということについて、助成をしておるものがあるだろうと思うのです。これは入場税に関連してですね。ですから、入場税を取っているようなものについて、逆にいえば助成金を出しておるようなものがあるかについて、まず承りたい。
  22. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。入場税を取っておるものについて何か政府のほうで助成策を講じておるものがあるかどうかというお話でございますが、税本来の立場からいろいろ厳格な、そういう今御質問になりましたお答えにずばり当てはまる例が今あるかどうか、ここで確答申し上げる資料を持ち合わせておりませんが、文化財保護関係につきまして政府から種々な助成があるというのも、その一つじゃないか、こう存じております。で、こういうものにつきましては、入場税は課しておりません。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、政府として、まあ非常に文化の興隆に資すというようなものについて補助金を出すということのほうが主であって、それからゆめゆめ入場税を取るような間違ったことはやらないのだと、これが政府の方針で、現にそうなっておるのだと、こういうふうに了解していいわけですね。
  24. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 入場税を取ることと、それから政府の助成の問題につきまして、おおむね今おっしゃったような趣旨関係はあるとは思いますが、入場税法規定に従いまして、この入場税の本来の性格から見て課税すべきでないと思われるものについて非課税にしておるというわけでございまして、そういうものに全部政府が助成しておるかどうかということについては、まっすぐ結びつきはないと、こういうふうに思います。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは私も政治的な問題であって、政府は、片一方ではこの問題は文化の振興であり、日本古来のもので大事な問題だ、保存をしなくちゃならぬのだ、こういう建前に立って助成をしておる。大蔵省は税金取るほうの役所だから、何でも取ったらいい、こういうことでは終始一貫せぬことになるから、そこで、そういうものについて税は取らないというのが原則じゃないですか。それが政治の面においてはあたりまえのことだと思いますが、どうですかと、こういうことを聞いておるのです。
  26. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。入場税は、そういう場所へ入場する人間の担税力にかんがみまして、入場税以外のいろいろな間接税との権衡上適当と思われる範囲内のものにおいて課税する、こういう立場をとっておるのでありまして、今おっしゃる、一方の政府のどんな文化財を保護するかどうかということと直接の結びつきは、どうもなかなか説明しにくいと、こういうふうに考えます。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、国家の保護政策というものは、私はこれが優先すると思うのです。保護するということは、片一方は補助金を出すというやり方もあると思うのです。片一方では、租税特別措置法で免税をしてやっておるというそういうアイデア、カテゴリーで私は今まで税法というものは出されておる思う。なぜ、入場税とは全然無関係というようなそんな説明の仕方はないと思うのです。
  28. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。入場税は、そういうその施設を利用する人間の負担力に応じて、先ほど申し上げましたように、その他一般の関接税との振り合いから見て、取ることが適当かどうかという判断について実施するわけでありますが、一方政府がそういう営業——じゃありません、施設自体を援助する必要があるかどうか、財政的に援助する必要があるかどうか… 。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 施設などじゃないですよ、芸術は。
  30. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 施設ともいい、あるいはまた催しもの、あるいは芸術発表の主催者とも申し得ようと思いますが、観点が税法の観点とそこが違うところがあるのじゃないかと、こう考えます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それはおかしいですよ。大体ですね、会社に例をとりますと、物を製品にするでしょう、会社が。そしてたとえば電力を使うからといって保護する助成策として、免税措置を講じておるのですよ。そういうことをやっておる。そこで、今言ったように保護政策ですね、これは一つの。ですから、私は保護政策には、今言ったように助成と免税と二つある。それををからみ合わせて、盛んにするように、振興するように、政府は施策を講じてお見えになると思っている。ですから、芸術の場合これを見るならば、助成金をお出しになるということも一つの線であり、助成金を出すようなものに対して税金をかけるなんということはおかしいじゃないですか。だから、あなたのほうの考え方としては、こういうものに関しては補助金を出すというのは、一つの私は振興策としてのことでお考えになっておって、これは文部省のやることだ、文化財のほうでやることだ、そんなことはおれのほうは知らぬ、大蔵省は取るほうが先だ、だからこういうものは全然別だ、役所が違うから全然別だ、これじゃ私は終始一貫した政治じゃないと思う。そういう政策じゃないと思う。したがって、少なくともこういうものをやっていく上のカテゴリーは、まず第一の条件としては、大事なものでこれを振興させなくちゃならぬというものなら、補助金を出す。補助金を出すものには、もちろん入場税は、私はようわかりませんけれども、そんなものは取っておらぬと、取るべきじゃないのだと、これがまず原則で、まず第一に確認されてしかるべきじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけです。それをあなたのほうは、全然別だと、そんなことは、これじゃ筋道の通った私は政治は行なわれておらないというふうに申し上げたいのです。
  32. 松井直行

    政府委員(松井直行君) おっしゃるとおり、非常にこう、高度の政治的判断からお話しになりますと、あるいはおっしゃるとおりの理屈というものも一理あると私は思います。しかしながら、この入場税というものは、そういう施設なりあるいは音楽あるいはそういうまあ芸術品というものを見ることによって、これをエンジョイするという人間の担税力に応じて課税しようというところにあるわけでもりまして、芸術品とか古美術とかというものそのもの自身の保護とは、その意味において違いがあるのじゃないか。したがって、入場税というものは、税体系の中における入場税という考え方で、その他一般間接税との権衡をとって考える必要がある。そこに税自体の体系といいますか、考え方というものと幾分別にあってもいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、あなたのおっしゃる、私のほうの言うことは一理しかないが、おれのほうには九理あるということになってですね、まあ私も政策論争になったら、これは大臣とでないとたいへん失礼だと思いますから遠慮したいと思いますけれども、そうすると、あなたの今の答弁からうかがえることは、入場税はそこの施設へ入る人と申しますか、見る人と申しますか、聞く人の担税能力のみでと申しますか、それが非常にウエートが多く、それできめていくのだと、そういう考え方ですか。今あなたから聞いておると、そういうふうに受け取れる。それならそれで私は意見があるのですよ。
  34. 松井直行

    政府委員(松井直行君) その税体系の中におきまして、どういうものに入場税を取るか、しかも入場税税額の程度をどうするかということは、まず、今申し上げましたように、主として消費税それ自体の性格からいたしまして、消費する人間の担税力ということが非常に大きなポイントになるということは間違いございません。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その点は確認をいたしまして、あとまた私は別な資料でこの問題について、あなたのおっしゃった担税力が大きなウエートとおっしゃるなら、引き続いて質問を十分進めていきたいと思います。これはまああとで質問いたします。  そこで、ついでに補助金のことにからんで、私は、外国などでもいろいろなオペラであるとか、バレーであるとか、あるいはいろいろなものについてそれ相当に援助をし、あるいは免税等をやって、こういうことに対して相当な力を注いでいる国が多くあるというふうに聞いておりますが、一体どんなふうになっておるか、一応承っておきたいと思います。あとで何か資料としてどうも出しにくいとおっしゃるなら、やむを得ません。たとえば、これは聞いた話であって、特別に私のほうから調査しておるのじゃないと、こういうこともあるかと存じますが、私はやはり文部省なら文部省かなにか、そういう方面で研究もしてお見えになると思いますから、この次でけっこうですから、少なくともこの国会中と申しますか、この法律案が上がる前まででけっこうですから、そういうような資料をお出し願えば非常に幸いだと思います。これはあわせて、資料要求と一緒に御質問申し上げたいと思います。
  36. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。最初に申し上げましたように、われわれ、この税に関する資料は割合に、集められるだけ集めておるつもりでございますが、それ以外にこうした映画とか演劇等に関する助成といいますか、文教政策といいますか、こういうものの広い資料につきましては、正確なものは集めておりませんが、今われわれが持っております資料の限度でお答えできることをここで申し上げたいと思います。映画興行白書と申しまして、これはたしか通産省だったと思いますが、そこが出しております、幾分古かったと思いますが、そういう資料から得たものを中心にいたしまして、映画を主にしてお答え申し上げたいと思います。  アメリカにおきましては、まず税率ですが、一〇%一本で、基礎控除が一ドルございます。免税点はございません。映画産業に対する助成策はとっておらないようであります。それから、イギリスでございますが、御存じのように、映画の入場税は廃止いたしております。ところが、映画助成策といたしまして、詳しいことはわかりませんが、一九五七年以降、イギリス映画だれがどういう判定をするのかよくわかりませんが、イギリス映画として登録されたものにつきましては、映画制作費の一部を割り戻しをやるという措置が一つ。それから、一九四九年以降、国立映画金融公社と申しますか、そういう特殊の金融機関がございまして、映画企業に対する事業資金融資をやっているようであります。以上がイギリスでございます。フランスにつきましては、これは一週間の映画料金を合計いたしまして、これに一%から一六%までの累進課税をやっておるというのが税率でございますが、基礎控除はございません。免税点はわかりかねます。映画の助成策といたしましては、一九五四年以降、映画産業開発資金というものが設けられております。これの財源に充てるために、特別税収入、それから封切税収入というものをもって充てると、こうございますが、封切税収入というのは何をいうのかよくわかりませんが、何か映画の、長さによって課税する特殊な制度があるようでございます。次は西ドイツでございますが、これはさきのフランスもそうで、ございますが、国税じゃなしに地方税で入場税を取っております。西ドイツも地方税でございますが、税率は一五%から三〇%の累進になっております。基礎控除は、ございません。免税点はわかりかねます。それから、映画産業に対する助成策ですが、これはないようでございます。それから、最後にイタリアでございますが、映画の税率は二〇%から五〇%の累進でございます。基礎控除は、ございません。免税点はわかりかねます。映画助成策といたしましては、一九四九年以降、興行収入の一六%というものを政府を通じて映画企業者と申しますか、映画の製作者に返す、こういう措置がございます。それから、奨励金といたしまして、長編作品といいますか、長編の作品を二五本作った場合には五本につき二千五百万リラの奨励金を出すと、こうなっておりまして、イギリス、フランス各国でいろいろ助成策をとっておりましても、入場税課税課税で別途に必ずやる、一方助成策は助成策で講じておる、こういう姿が諸外国におきましてもこうはっきり現われておるのじゃないかということを最後につけ加えさせていただきます。   〔理事佐野廣君退席、委員長着席〕
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 なるほど、大蔵省の管轄外でいろいろこまかい点についてはあまりやっておらないということは、私にもよくわかります。しかし、同じ入場税決定される場合でも、ただとらえて払えというそういうやり方ではなくて、やはり諸外国等も映画産業に対してはどういうふうな保護育成をしているか、あるいは歌劇、オペラ、あるいは音楽に対する、あるいは演劇に対してはどういうような補助をしているだろうかというようなことについても、私はやはり体系的にお調べ願って判断されて、そうして入場税なども決定されるほうが、よりよい私は政治であろうし、また大蔵省はそうする義務があるのではないか、責任があるのではないかと思いますから、これは今後お調べ願って、資料等を出していただきたい。日本の入場税がいかに悪税であるかということがわかりますから、ぜひ調べていただくとともに、資料をお出し願いたい。  次に、進めていきたい点は、先ほど担税力についてのお話がございました。そこで、これは総理府統計局の資料で、三十四年の主要間接税所得階層別負担という資料がございます。税制調査会で答申した中の第五十二表ですか、なにかの資料がございますから、その資料に基づいて若干お伺いしないと思います。  税制調査会の答申の中の五十二表の物品税の項目の、そこで所得階層で一万円、二万円のところから十万円までに分けてございます。そして負担と負担割合と、こう区別されております。入場税がいかに悪税であるかという点が、負担、担税能力が中心だとおっしゃるなら、当然所得が多くなれば多くなるほうにその割合が、パーセントというものが上がってこなければならない、あなたの答弁を承わると。それが負担割合で見て下さい。入場税は一万円の人は負担を〇・五四、二万円の人が〇・二八、三万円の人が〇・二〇、ずっといって十万円の所得のある人は〇・〇八と、こうなっておるのですよ。どれだけ考えてきめておいでになるか。十分検討してやったとおっしゃるが、検討をされたことがこの数字のどこにも出ていないじゃないですか。でたらめのお答えをしたとしか思えないけれども、どうですか。
  38. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。担税力と申しましたのは、直接税と間接税におきまして考え方が違うわけでありまして、今おっしゃるところは、直接税的な累進課税といいますかという趣旨に沿っていないじゃないかという御趣旨かと思いますが、これも御承知のとおり物税でございまして、一品当たり同じ値段のものを消費するときには、だれも同じ額の税を負担する。しかし、高い物品を買うときには、それに応じた税率の高い税を負担する、そういう点に現われておるわけでありまして、この表はおそらく一回々々の負担じゃなしに、これは一年間にどれぐらいこういう税金のかかるものを消費するかということの集計についての歩合でありまして、はたして高階級層が映画を見る回数が多いのか、低階級層が映画を利用するのが多いのかという問題にも関係してくるのでございまして、これは下のほうの利用の程度が非常に大きいということを意味してくるんじゃないか、こう思います。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたの答弁は間接税で、私は入増税のお話を聞いとったのです。入場税はどうですかと、こう言ったら、あなたは何、育ったかというと、担税力に応じてこれをやっていくんだと、こうおっしゃる。それなら、担税力はこういう負担割合になっておると。あなたの議論でいうなら、低所得者は逆な負担率の割合になってこなけりゃならぬでしょう。それが逆なふうになっているのは、回数が多いということもありましょう。あるいはそうじゃなくて——回数が多いというより言い方はないかもしれませんね、考えてみると。そうすると、低所得者が何べんも行くということは、結局税金を余分に負担しておるということなんです。そういうものからは税金を取らぬようにしていくというのが原則ではないのですか、あなたの説明を聞いておると。だから、それは直接税でどうやらこうやらというような形じゃなくて、担税力が中心だと私は思う。それなら、こういうものはうんと少なくしていくというのが原則でなきゃならぬ。だから、原則論を私は了承しますよ。ところが、原則論に合っていないということを言っておる。
  40. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 一年間あるうちの一定期間内の消費金額及びその中に含まれる税額をもって非常に負担率が大きいじゃないかと、こういう立論をしておられるものと思いますが、御存じのように、間接税というものは、一回の入場あるいは一個の物品を買うというものについて権衡のあるバランスのある課税をやろうということをねらいにしてやっておるわけでありまして、そういう課税物品をたくさん買うとか、あるいはそういう入場税のかかるところを何回も多く利用するという場合には、そこでそれだけ負担が多くなるのは、これは物税といいますか、消費税の性格上、やむを得ないところじゃないか、こう思います。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ついでに、酒税とか、そこにたばこ、あるいは砂糖、物品、電気ガス税、入場税と、こうあげてますですね。そのうちで、僕らは、入場税は実は全部撤廃してもらいたいのです、元来。撤廃すべきなんだ。一番よく現われている数字を見たら、いかに大衆課税であるかということが、低所得者ほど税金の負担をさせているかということが一番よくわかるように出たものだと思うんですよ。だから、私は、担税力をいうなら、物品税は、なるほど逆にいえば、高いものほど、所得の多いほど物をよけい買うということだから、上げてしかるべきだと思うんです。映画は回数だということは、物をよけい買うからということになるのです。そうすれば、やはり大きいものが入場税でも多くなっていくというのが原則なんです。それなら、私たちも納得できるわけです。ところが、そういうふうにならないで、一万円等の低所得者がべらぼうに大きな負担をするというところに、大衆課税はやっぱり悪税なんだから、なくするかもっと減税の幅を多くしていって、特定のものだけに減税を残すとか、税金の課税を残すとかというようなものを検討されていかないと、言っていることと行なっていることと全然違うと思うんです。低所得者からは、担税力に応じて税はなるたけ減免していくんだ、取らないようにしていくんだ、この趣旨は当然なことであり、またそういうふうにやっていかなきゃならぬのに、数字を見ると全然別な数字が出ておるから、私はそこで議論をしたいわけです。撤廃するのがほんとうじゃないですか。
  42. 松井直行

    政府委員(松井直行君) この数字からだけでそういう立論をされるようでありますが、これは私がお答え申し上げましたとおり、物税としての消費税  一般から来る問題であろうと思います。で、御指摘のとおり、間接税でありましても、物品税だけは所得階層と申しますか、この所得階層別の力に応じた負担というものが現われておりますが、あとはおおむね逆進的な姿になっております。これは今おっしゃったとおり、もう撤廃する以外にはなかなか逆進税をなくするということは私困難であろうとは思いますが、撤廃すべきかどうかという問題は、その他の間接税一般との振り合いを見て考えました、特に間接税のうち入場税は減税の幅の最も大いなるものでありまして、直接税に比べまして、特に間接税間接税の中でも特に入場税というものは力を入れて減税をやったつもり  であります。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 こんな、次官でなくて次長さんになるわけですか、松井さん、あなたのポストがよくわからぬのですよ、調査官とおっしゃるが。あまり政治的めいた論争をしてはいけないかもしれませんが、少なくとも間接税がどんなに悪いものであるかということは——大体悪いものなんですよ。間接税は直接税に比較して、担税力に相反していく憂いが非常に多いものなん  です。そのうちで特に入場税というも  のは、こんなふうになっておるんですから。それじゃ、こんなふうにお聞きしましょうか。今度減税したとおっしゃるが、今度減税したら、これは三十四年度になっておりますから、今度改正した場合にどんなふうになるの  か。私は、統計もとっており試算もし  ておるだろうと思いますし、その試算の数字が出てからひとつ議論をしましょう。うんと減税したというのが、この負担率が相当出ることを期待して、これは三十四年度ですから、試算しくいただいて、おっしゃるように、減税をしたんだからまあ低所得者の負担率のパーセンテージが落ちたんだ、こういう数字が出ることを期待をしながら、その新しい数字が出て参るときにもう一ぺん議論することにします。これ以上議論してもむだのような気がいたしますから、そういうふうにさしていただきます。これは出せますか、その資料は。
  44. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 家計調査に基づきます厳密な調査というものは、それは相当時間を要するかと思いますが、一応今おっしゃいました低所得層についての間接税の減税の幅が少ないのじゃないかという一般的な御意見に対しましては、ある程度の資料を駆使いたしまして試算したものがございますですが、特に入場税だけを取り上げておりません。所得税の減税は各階属別にどうなっているか、また間接税の中でも直接価格に響きます酒、物品税、入場税あわせまして……。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 別になっているんですか。
  46. 松井直行

    政府委員(松井直行君) いや、これはあわせて試算したものが今ここにございますが。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 僕は、別々に試算したものがもらいたい。それで議論しましょうよ。そうでないと議論にならぬですよ。
  48. 松井直行

    政府委員(松井直行君) それは入場税のみならず酒税についても、この表をごらんになると、同じような議論が出てくると思います。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それだから、酒は大衆課税だということが言えるんですよ。
  50. 松井直行

    政府委員(松井直行君) だから、一応各試算いたしまして、減税の割合がどうなっているか、試算したものがございます。それを簡単に御説明しますが……。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 僕は、一緒にしたものは資料としてここに配っても意味がないんですから、酒はこうだ、物品税はこうだ、入場税はこうだ、こういうふうに区切ってひとつ試算表を出して下さい。そうでなければ、そんな突っ込みにして間接税はこうなりましたと言っただけでは、それは議論にならぬですから……。
  52. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 今、大数観察といいますか、手元にある資料で試算したものでございまして、厳密に一つ一つ取り上げてみていいものができるかどうか、われわれ非常に疑問に思うわけでございますので、このもとになりました、取りました資料のいかんによりまして、はたして使えるものかどうかという判断もあるかと思いますので、よく検討さしていただきまして、できるものなら作ってみたいと思います。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、政府がこういうものの減税をされるときに、大づかみに、これはこうだ、こうだというのじゃなくて、少なくとも担税能力においてどうなっていくのだと、所得階層別にどういう影響を及ぼしているかというようなことを当然算定されて、そしておきめになるのが順序なんですよ。だから、試算はできておるのがあたりまえだと思うのです。しかし、そうは言うけれども、なかなかだろうから、若干手間をとるから、あとで資料としてお出し下さいと。私は当然できておると思うから、すぐ出してもらいたい、とう要求するのがほんとうだと思うのですよ。そうでなければおかしいですよ。いろいろなことをおきめになるときに、減税をおやりになるときに。だから、そんなものはできそうもないんだとか、そんな無責任なお答えはないと思うのです。
  54. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 資料の点は、今申し上げたとおりでございますが、入場税の減税の幅が相当思い切って減税をした案をここに提出いたしまして御審議を願っておると申し上げたのですが、まだまだ高いのじゃないかというお話でございますが、一九五八年の世界各国の映画の平均税率がどうなっておるか……。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そんなことは、私は聞いていないですよ。そうでなくて、私の要求する資料を出して下さい。答弁をすりかえなさんな。
  56. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 資料は、今お答え申し上げましたとおり……。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたの答弁を聞いていると、出さぬような答弁ですよ。私は、資料というものは当然、入場税はこれだけ減税すると、そうすると、国民の生活にどれだけ影響してくるのだということを当然試算されて、減税をおやりになると。酒税はかくかくだから、ここら辺にとどめたと、物品税はこうだったのだと、こう試算をおやりになるのがあたりまえだと、こう言っておるのですよ。だから、当然その資料はあるだろうと。そんなことをやらずにわしづかみにやったんだと、あるいはそういう野放しの政治をやっておるのだと、無責任なものだと、こうおっしゃるのならけっこうですよ。そうでなくて、私は、少なくとも担税力においてこうだというような点で念を詰めて、そして理論的に作業をお進めになっておるのだから、それなら、私のほうもそういう資料を下さいと、こう言っておる。
  58. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 私が今御披露申し上げようと思いました推計は、今いいかげんなものだとかなんとかというお話ですが、そういうものじゃございませんでして、実は三十五年に作りました総理府統計局の勤労者家計調査というものがございます。これによりまして、家計消費のうちの課税物品別といいますか、それから所得階層別の負担額等を調査いたしまして、これを基礎として現行法のままでいけば負担額がどうなるか、それから改正によってどうなるかというものを試算したわけでございますが、今御注文の資料を提出しようと思いますときには、やはり新しい勤労者家計調査等に基づいてやる必要があると思います。これは趣向が変わって参りますし、利用場所も私変わって参ろうかと思います。総理府等におきましてある程度確実な推算ができるだけの資料がございましたならば、なるべく早く推算してみたいと思います。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その資料を出すときに、大蔵省は入場税をこれだけ減税したのだから所得階層別にこれだけの影響が出てくるという試算はしておいでになりますか、しておいでになりませんか。
  60. 松井直行

    政府委員(松井直行君) ただいまお答え申し上げましたとおり、昭和三十五年度の総理府統計局が作りました勤労者家計調査というものに基づきまして、所得階層別の負担額、それをそのまま現行法でいけば幾ら負担になるか、改正によって幾ら減税の割合になるかということを試算いたしております。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その資料もあわせてひとつお出しを願いたいと思います。  それから、次にお伺いしたい点は、参議院等で修正したことは、これは平林先生が当時の理事であり、経過をよくお聞きになったので、そちらのほうでひとつやっていただくとしまして、私はこういう点を聞きたいのですが。芸術家ですね、画家が絵をかいて、見せて、そうしてその画家がその洋画を売りますね。これ、税がかかりますか。私が洋画家としますね。私が絵をかきまして、展覧会で人に見せます。これは無税ですね。そうすると、今度はそれを売りますね。そうすると、それに対して課税はされるかどうか、その物品を売買するときに。
  62. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 現行法では絵につきまして物品税がかかります。改正法ではかかりません。それから、絵を売った代金につきましては、必要経費を差し引いて所得税がかかります。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は現行法基礎にして議論しますが、現行法でいうと、画家なら画家が絵をかいて、人に見せる、無税で。そうしてそのものを売るときにも、その税金がかかりません。それは年間の所得税というものは別ですから、そうなる。そこで、今度は音楽家が人に見せたり、声を売るというのですか、そうしたら、税金を取らなければならぬという議論はどこから出てくるのですか。どうしてそういうときに差が出てくるのですか。あるいはオペラをやる人、バレーならバレーをやる人が——一つの芸術ですね、そのバレーをやる人が、これは売るわけにいかぬですから、人に見せることが売買です、商品の。それには入場税なら入場税という税金を取ってやる。片方は絵を売っても税金をかけない。なぜそういう差をつけたかという理由が聞きたい。
  64. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 画家が自分の制作品を販売する目的を持って展示会をやった、これには今度税金はかからないが、同じように舞踊家が自分の芸術を、商品という言葉は悪いかもしれませんが、商品として売るというときに税金がかかるのはどうもおかしいじゃないか、こういう議論でございますが。私個人といたしまして、絵の展覧会の入場料金は一体幾らになっておるかよく存じませんが……。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 失礼、改正案で議論している。
  66. 松井直行

    政府委員(松井直行君) また誤解を生むかと思いますが、担税力といいますか、その入場料金の高さにまず相違がある。展覧会の場合におきましては、今持っております資料で、百円以下というものがほとんどです。全体の九六・七%というものが百円以下でございます。音楽の場合には、百円以下というものは全体の一〇%未満というわけでありまして、むろん音楽の場合は、相当経費もかかるせいもありますので、入場料金というものも相当高くなっておると思いますが、高いものには相当担税力のある人が高い料金を払って見に行っている。高い料金を払う際に、高い料金を払うということについて、そこに目をつけて税金を取ろうというところに、この入場税の本質があるわけでありまして、料金の多寡からいって、そこに差があると思います。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 横山大観さんは生存しておいでにならぬようですが、横山大観さんの絵は一点百万円します。横山大観が絵を売るために一展覧会をやった、それは無税だ。売った絵は、百万円で売っても無税だ。かりにオペラで百五十円の入場料を取った、それに税金がかかった。一体どういうことなんですか。それで、なぜ片方には入場税として取らなければならない理由があるか。何かわれわれを納得させ、国民大衆を納得させる説明を承りたい。
  68. 松井直行

    政府委員(松井直行君) やはり入場の際に非常に高い料金を払うような催しものかどうか、入場料の多寡によってそういうものを見たり聞いたりしてエンジョイする消費者自身に課税すべきかどうかということを判断する。入場料の多寡というものは非常に大きなポイントになってくるということは、これはどうしても争えない事実であろうと思います。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関連して。それでは、今あなたは展覧会は入場料が高くないから課税しない、音楽会は入場料が高いから課税するのだと。それでは、展覧会でも入場料が高くなったら課税するのですか、どうですか。そういう規定は何もないじゃないですか。あなたの言うことはおかしいじゃないですか。入場料そのものを課税の対象にするなら、料金の高い低いで課税課税の対象にするのはおかしいですよ。理屈は成り立たないじゃないないですか。ないならないと、はっきり言いなさい。展覧会の入場料が安いから課税の対象としないという意見はおかしいじゃないか。
  70. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 今、展覧会の例の一つとして横山大観というものをお出しになりましたが、展覧会にはいろいろな種類の展覧会もございまして、ほとんど入場料というものは、先ほど申し上げましたように、吾川以下が大体九〇何%を占める、こういう一般的な水準になっておりますので、特殊なものをつかまえて、これはどうかとおっしゃっても、そこはなかなか答えにくい面もあると思います。今、横山大観というお話が……。
  71. 平林剛

    ○平林剛君 関連して。もう一つ、僕は、今の質疑応答で、認識の問題だけれども、あなたの認識の問題で、たとえば音楽会、バレー、それから能、文楽、こういうものの入場料金は高い。他の興行に比較して商い。それにもかかわらず、バレーを見に来たり、音楽を聞きに来たりする。だから、そういうものは税金を取ってもしようがないんだ、こういうお話ですね。そうして、高い料金にかかわらず見に来ているのだから、担税能力があるんだ、これは大蔵省理論ですよ。しかし、今そういう会場に入場する人たちの階層をあなたはごらんになったことがありますか。どういう人たちがそういうバレーとか音楽などを聞きに行っておるか、国民の層の中でどういう階層がそこに行かれる率が多いか。たとえば三井、三菱さんのせがれが行くとか、何も商売をしないでゴルフばかりやっている人がそういうところに見に行くとか、そういう担税能力のある人が、バレーや音楽や、そういう芸術的なものを見に行く国民属であるか。それとも、高いけれども、みんなで小づかいをため合って行きたいという——、一般国民生活の中に入っていきますと、そういう仲間に非常に直面するのです。サラリーマンの人でも、三百円、五百円をためておいて、やっとたまったから行くというような人もあるし、私はそれが大多数というふうに見ているわけです。そのお客の層から見て、あなたは一体どういう認識を持っておられるか。認識の問題ですよ。そこから、私らはそういう現実というものをよく承知しているものだから、あなたの言うように、高い料金だから、これは担税能力があるから税金を取ってもいいんだ、こういうふうにしゃくし定木にいかないという現実があると私は見ている。あなたはどういう認識を持っておられるか。
  72. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 私個人、オペラ、音楽をあまり聞きに参る機会がございませんので、目で見た経験から、しかとお答えはできないかと思いますが、確かに今おっしゃるとおり、勤労者階級で非常に教養の向上といいますか、高級なそうした芸術品に接したいという意欲のある方々が、特別のグループを作りまして、金を月々集めるなり特別な契約をするなりして、できるだけ数多くそういう芸術品に接したいという気持を持ったグループの勤労者の方々が相当利用されておる面もあろうかと思いますが、一方においては、また、社交的といいますか、そういう言葉が合うかどうか知りませんが、有閑マダムといいますか、そういうおつき合いとか、あるいは会社の接待とかいうようなことで、相当な高層階級というか、そういう人々も行っている面もあろうかと思います。そこで、入る人間について一々差をつけるということは、これは物税の性質上非常に困難でありますので、そこで、入る人間それ自身の担税力というもの、主百円なら三百円、五百円なら五百円、八百円なら八百円の芝居を見に行くということについて、担税力を象徴しているものと見て、個々にそれを利用する人の担税力の相違はあるにしても、八百円の料金を払って入るというそこに着目して、担税力を推定し、そこに課税の原因を発見しよう、これはやむを得ないところであると思います。
  73. 平林剛

    ○平林剛君 これは大蔵省という一つのお役人さんのワクで考えた場合に、あなたのような理屈も成り立つかもしれないけれども、きょうは、芸術とか一般国民性について論ずることは、これ以上あなたとやったってしょうがないから…。ただ、私は、やはりあなた方でも、これは奨励すべきものだとか、それからこういう嗜好は伸ばすべきだという、一つの情操という分野に立ってものを考えることも必要ですということだけ申し上げます。関連質問ですから、あとに譲りますけれども、それだけ指摘しておきたいと思います。あとでまたやります。
  74. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はなぜこういうことを言うか。あなたの説明ではさっぱり納得いかない。七十円を入場税取っている。私の言うのは、たまたま横山大観という例を引いたのですが、同じ芸大なら芸大でもいいのですが、そういうところで勉強して、日本画家になったかと洋画家になったとかいうそうして絵を売らんがために、号五万円、八万円、十万円というようなことで、一点少なくとも五、六十万円の絵を売らんがために展覧会をやる。そうして無税です。見に来る人は、買う人と買わぬ人とあると思います。しかし、買う人が主じゃないか。そうしてその人のできた作品を売って、ただなんです。税金はかからない。所得税は別です。ところが、音楽をやる人、あるいはバレーをやる人、あるいは能をやる人、そういうような人が、売らんがために、自分の芸術の作品を売るということは見せるということで、そうするとそれに税をかける。しかも、それは七十円、百円というような安いものです。そこになぜ税をかけるか、かけねばならぬという理屈はどこから出てくるかということが納得がいかないから、納得のいく説明を承りたい、こう言っておるわけです。
  75. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 立論の御趣旨伺っておりますと、一方においてもうかる企業といいますか、もうかる企業家としてのそういう催しもの、一方、バレーにしろ純音楽にしろ、あるいはお能にしろ、非常に経営が苦しいことは知っております。そうしてその経常主体のもうかるかもうからぬかによって税を課したり課さなかったりするのは適当じゃないかという、そういう結びつきのように私今議論を伺ったわけですが。
  76. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうではなく、純芸術の立場から言っておる。
  77. 松井直行

    政府委員(松井直行君) そういう経営者の損得といいますか、もうかる、もうからぬには、何回も申し上げましたように、関係はないわけでありまして、そういう施設を利用し、見に行く、聞くという消費者が払うその料金の多寡にその消費者の担税力を判断いたしまして、入場税のみならず一般間接税全体をながめてみて、間接税として入場税を課するのが適当かどうかというバランスの観点から、課すべきものは課す、そこに税体系の議論があろうかと思います。
  78. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなた、ごまかしてはいかぬですよ。そうではなくて、私は、絵を売る目的で展覧会をやる、そういうみみっちいものじゃないのです。何十万という絵を売らんがために展覧会をやる、そうして現に展覧会場で売るのですよ。税金は一つもかからないのですよ。ところが、音楽会や今言ったようなバレーが、自分の作品を売るということは見せること、それは何十万円じゃない、非常に安くてみみっちい、これこそみみっちい七十円とか百円で見せようとすると、それに担税力があるからといって税金をかける。それでバランスがとれておるとおっしゃるが、少なくともバランスはとれていない。私はそういうふうに思うのですが、あなたはバランスがとれておると思われるのですか。見るほうの側からいって、買うほうの側からいって、入ったほうの側からいって、バランスがとれるというようにお考えなのか。今度は主体的に画家の立場とオペラとの関係からいっても、それでバランスがとれておるとお考えなのか。私は両方ともバランスがとれていないと思う。
  79. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 芸術性ということをおっしゃいますが、なかなかどうもそういう議論には弱いのでございますが、単におっしゃった音楽というだけではなくして、やはり音楽、演劇、それから映画、それもそれぞれ自分たちの芸術性の主張ということになろうかと思います。これこそ芸術である、これは非芸術だ、その中間にいくものだ、なかなかそこの類別ということは、見る人の主観も大いにあると思うのでございましょうし、そこから来る議論、類別、識別は私は非常にむずかしいものだと思います。  それから、展覧会につきましては、これはしょっちゅう常設してやっておるというわけでもなし、やはりそう大勢の人が入るものでもなし、やはり常識的に、諸外国におきましては大体私が申し上げましたような考え方に立って、入場税の非課税の場合と、それから課税する場合、まあ課税範囲といいますかの決定は、私が申し上げたような線に立って各国の大蔵当局といいますか、課税当局は同じ考え方に立っておるものと私信じております。
  80. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなた方、その片一方のほうは常設だなんておっしゃるから、言いたくなるのですよ。オペラとかバレーなんて常設じゃない。そう回数を長くやるわけじゃないのですよ。発表会をおやりになるのは、一年に一。へんぐらいです。やはり私は、画家としても画の展覧会を催すのはしょっちゅうじゃない。やはり一年に一ぺんで、売るのも一年に一ぺんしかないですよ。大量生産をやって映画は云々というようなことも、そりゃ私はそういうものと比較すればまたいろんな議論があると思いますが、そうじゃなくて、私が言いたいのは、先ほどから何べんも言っているようなもので、どうやってもバランスがそりゃとれぬですよ。展覧会に来る人、買わんがために来る人、絵を買わんがため、四十万も五十万もする、それには無税、しかも買っても、その人がですよ、無税。担税力からいえば、(「担税力からいえば、展覧会のお客さんのほうがたくさんあるのですよ、絵を買いに行く。」と呼ぶ者あり)それを無税。そこで、今言ったように、オペラを見にいく、バレーを見にいく人というのは、今言ったように月給二、三万とっている人である。その入場料は幾らだ。絵を賢いに行くのは、四十かも五十万もするのに、こっちは買えぬもので、せいぜいバレーで辛抱していこうと思って、百円で行ったら、政府入場税を取っていた。間違った政府じゃないだろうが、こう思っているのです。私は、矛盾があるのじゃないか。認めませんか。そうじゃなくて、これは非常に合理的なものでと、こうおっしゃるか、どうなんですか、そこは。
  81. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 御質問の趣旨にまっすぐぴしゃっと向かい合った答弁ができないことについて、非常に御不満にお思いになっていることと私は存じ上げますが、大蔵省的な考え方といいますか、われわれの側といたしましては、今申し上げた線がやはり課税当局としての基本的なものの考え方でありまして、これは間違いはないと確信いたしております。
  82. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、あと時間の関係もございますから、私はひとつみなし課税のことで意見を承っておきたいと思います。  能の例をとります、あるいはバレーに例をとってもいいのですが、実際売り出したらさっとお客さんが買いに来て、奪い合って券が売れていくといいますか、とにかくそういうのと、足を一生懸命で棒にして、まあ半ば強制的に割当で売っていくようなそういう場合と、二つあると思うのですよ。これはおわかりいただけますかな。入場税を課す場合も、同じ入場する場合でも、店を張っておっても、プレミアムがついて売れていくという場合、プロ野球の決戦のときなんかプレミアムがついて売れていく。それなのに、片一方でお能の発表会をやろうとした、バレエの発表会をした、だれも来ない、だから割当みたいなようにして強制的に足を棒にして売っていくというそういう入場券もあることは、これはお認めになりますか。
  83. 松井直行

    政府委員(松井直行君) そういう差は確かにございます。
  84. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 プレミアムのついた入場料と、足を棒にして半ば、こちらへほんとうにとれるかとれないかわからないと思うのに、無理やりに売りつけたのと、押しつけたのだから、収支やってみたら、札は百枚出していたけれども金は五十枚しか来なかったのだということもあり得るわけだ。そのときにも百枚の入場料を取っていく。血も涙もないやり方だと。そういう場合にどうされるのか。あるいはその足を棒にした代——税金を集めるときても徴税費というのは見てお見えになる。この努力に対してはどういうふうに計算されますか。
  85. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 入場税は、経営者等が入場する人間から料金を取るときに、その料金に応じて入場税を課するということに着目いたしまして、それを課税標準といたしておるのでありまして、その券が、はたして非常に売れ行きがよくて、やみ値が非常に大きいものか、あるいは売れなくて、だれかに義理的に、会員その他に割り当てているものであるかどうかという、そういう催しもの自体の人気、不人気、あるいは経営者自体のもうかるか、もうからぬかということに一応関係なしに、入場の際領収する料金に応じて取る。課税技術上も、またこの税の、幾分それはおっしゃるとおりの矛盾も気持の上ではあるかと思いますが、税本来の性質から申しまして、やはり課税標準というものは、きまった、表見的なものにたよるということ以外に、私ないのだろうと思います。
  86. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、これで失礼しますが、たとえば会員券で百枚出しますね。それはいわゆる無理に押しつけたようなものです。そうしますと、実際は五十枚の金しか入ってこなかったということはあり得るのですよ。そのときの課税は、百枚が対象なのか、金が入ってきた五十枚が対象なのか。
  87. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 先ほど申し上げましたとおり、経営者等が売りまして、売れて料金を領収した分についてのみ入場税を取るということになっております。
  88. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、これで最後にしますが、実際会員券で無理に押しつけたようなときに、全員徴収ができないのだという場合があるということをお認めになるとともに、じゃ、逆に、今度は札を回収しようとしても札もなかなか回収できないのですよ。たとえば、佐野さんにお能のやつを無理に十枚売りつけた。委員長に五枚売りつけた、こうやって、そこで金をもらうときに、おれのところは十枚引き受けるのだけれども、実際はおれ一人で行くのだから半分にしてくれとおっしゃる。五万円出すところを二万五千円に佐野さんは値切ってしまった。経営者は実際は十枚渡したのですが、しかし収入は、実際をいうと、二万五千円しか入らない。半分しか入らない。実情としてそういうことがあるということをお認めになるかならないか。
  89. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 売れ残ることがあるかという御質問かと思いますが、それはその催しものの性質いかんによって、あるいはあるかと思います。
  90. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はそういう言葉で……。普通の営業でも、プレミアがつく場合もあるし、売れ残る場合もある。野球の場合なんかでも。それと違うのですよ。会員制度で、足を棒にして会員のところに渡していく。あなたのところは十枚ですよ。あなたのところは五枚ですよ。あなたのところは三枚ですよと、こうやっていくのです。そうしてスタンプも押して、全部それは渡してしまう。ところが、今度は、いざ金を回収してみると、十枚割り当てたところは、いや、もうわしのところは半分でかんべんしてくれよ、十枚もらったのだが、半分でかんべんしてくれよと、こう言われるわけです。それじゃそのときに、半分の札を下さいということは、事実上なかなか困難だし、言いにくいのですよ。しかも寄付でこれは成り立っておるようなものですからね。ですから、そういう実情をお認めになるかならないかと、こう言っているのです。
  91. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 実情を認めるという意味が少し私にはわかりかねますが、そういう事実があるかどうかということでしたら、先ほど申し上げたとおりでありますが、そういうときに適当な措置があるのかという意味に解しますときには、課税当局といたしましては、その券が全然売れなかったものか、あるいは売れ残ったものか、確認の方法がございません。やはり課税の適正を期するためには、ごめんどうでもやっぱり売れ残りのものは経営者のところへ返すということでもって、売れた枚数だけを確認するということがやはり手続の上でぜひ必要じゃないか、こう存じます。
  92. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、だから、私は逆にいえば、実情がこうこうこういうわけで、実際回収は不能です、百枚は実は出ておりますけれども、五十枚しか回収はできませんでした、売れませんでした、札も実際売れ残りの五十枚を回収することはできなかったのだ、こういって税務所へ行ったら、あなたのほうはそれを認めますか。取るほうはみなす課税でどんとやっておいて、取られるほうの実情はさっぱりやっていかぬというのは、私はおかしいということを言いたいのですよ。そういう実情なんですから。
  93. 松井直行

    政府委員(松井直行君) お気の毒といいますか、やむを得ず売れ残ったというそういう事情につきましては、大いに同情の余地はあるかと思いますが、そのときにいかような課税をするのが適当かどうか、われわれが適確な行政をいたしますときには、やはり確認に基づいてやるということ以外に、いろいろな情勢に応じてその場その場で適当な判断をするということは、かえって行政の泥剤を招くゆえんともなろうかと思いますので、やはりそういう場合でも税務所をして売れただけの金額が確認できるだけの手続はおとりになってもらうことが私必要であろうと思います。
  94. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、みなす課税というものは議論があなたのほうはできなくなってくるのですよ。逆にいうと、あなたの今の議論をいいますと、そういうふうに確認のしに、そういう根の上に積み上げるというようなみなす課税の議論というのは、なくなってしまうというのです。片一方では、実際は会員券であって、入場券ではございませんよ。それをあなたのほうは、これは入場券だとみなして課税しておるじゃありませんか。じゃ、みなす課税も理論がなくなってしまうということを言っておるのです。じゃ、みなす課税を全部やめますか。
  95. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 補足的に御説明いたしますが、お使いになっていらっしゃいますお言葉のみなす課税という意味が、法律上、第七条で、「入場料金を領収したとみなす場合」のことをおっしゃっているのか、あるいは会員券と称して入場券を表示していないものを、それを実は実質的な意味におきまして入場料の対価を取るその券だから、第二条にありますように、「入場料金」とは、云々と定義がございますが、その入場料金を会員券という名称のもとに明示のもとに領収した、しかも第二条の定義が結びつけまして、入場料金と解するということであるのか、実ははっきりしないわけでございますけれども、それを実質的に、まず第七条の「入場料金を領収したとみなす場合」というこれは、税法上のいわゆるみなす課税といわれておる規定でございますけれども、これにつきましては、現行法は、新旧対照表でごらんになればおわかりになると思いますけれども、百円なら百円という入場料金の定額を定めております場合に、それを一部領収しない、たとえば七十円しか領収しない、五十円しか領収しないというときでも、百円の定額で課税するというように現在の第七条第一号は読めるわけでございます。これに対しまして、今回の改正法はカッコを入れまして、「当該入場について、入場料金以外の納付を受けず、かつ、入場後において入場料金を領収しない」場合を除くとありますが、つまり百円という定額で示されておるものが売れない、幾ら売りつけても売れないという場合に、七十円に割り引くならば買うということで、七十円しか実はこの百円の券でもって領収できなかった。しかも、それ以外に別段の反対給付的なものをこの入場者から受けていないというときには、七十円を課税標準にいたしますということを、一号の改正規定のカッコの中ではっきりさしておるわけでございます。したがいまして、この点は、第七条のみなす課税につきましては、ただいま御質問にお答えしておると思いますが、第二条の定義に関連しましての、会員券と称するものを入場料金と見るかどうかということは、あくまでも第三条の三項の定義との関連におきまして、その名義にかかわらず、実質的にそれが入場の対価として支払いをするものであるならば、当然入場料金として解して課税の対象にすべきである、こういうことになろうかと思います。
  96. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうもやめると言ってからやっちゃいかぬですが、そうしますと、かりに百円で表示しておいたものを実際は六十円で売ってしまったのだ。そのときは事務的に事前に了承が要るのか、あとの了承で成り立つのか。あるいは会員券の場合は、今言ったように、かりに十枚押しつけた場合に、私のところは五枚だと言われると値段が半分になってしまう。特定の人だけ割り引いた。片一方では、百円なら百円で売っておるのに、ある片一方のグループには六十円で売ったのだというように、同じ会員券と申しますか、入場券でもいいですが、そういうものを二口に売る場合もあると思うのですよ。そういう場合はどういうふうにしたらいいですか。
  97. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 実際の姿を存じませんけれども、ただ理屈から考えてみました場合に、いかなる会員組織であり、いかなる範囲の会員であるかは存じませんけれども、同じ会の会員である地位に基づきまして、しかも同じ催しものが催されます場合に、しかも同じく会員券には百円なら百円となっております場合に、ある者は百円で入場するが他の者は六十円で入場できる、こういうふうなことがはたして会自体の公平なる運営という立場から見まして行なわれるかどうか、私ども理屈だけから考えますると、ちょっとふに落ちないと思います。しかしながら、何らかの条件によって、こういう条件のときはお前は六十円に割り引くというときには、六十円と百円の券を用意していただいて、そして六十円で入る人は入っていただく、百円で入るところは入っていただく、こういうふうになるべきが、会の運営から申しましても当然のことではなかろうかと思うわけでございまするし、それを一律に百円ときめていながら、実際会員から一円を取っていながら、ある場合についてはこれは六十円しか取れなかったということは、こういうことは一々入場税課税執行面におきましてはとうてい執行ができませんわけでございますので、それとあわせて、先ほど申しましたように、はたしてそういう同じ入場券について同じ会員が別々の料金で入るということ自体も、私は実際問題としていかがであるかというふうに考えました場合に、おいては、そういうふうな扱い、おっしゃったような、御希望のような扱いなり課税をするということはできない、こういうふうに考えます。
  98. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたの答弁、ちょっとふに落ちぬです。実情をあなた何も御存じないんです。会員券でやるということは、大体それが常識なんですよ。だから、そういうことのほうが多いのです。だから、その場合は、今言ったように事前に、たとえばこのと弐は会員券は六十円で売る場合もございますよ、百円のものですけれども、ございますよということを事前に了承受けておれば、それは差っ引いてもらえるのか。あとで、六十円で百円のものを売ってしまった、そういう事後の通知でもあなたのほうは、それはよろしゅうござんす、こういうふうに了承しますか。同じ百円なら百円ときめたら、一部の者に特別に安く売るなんていうことは一切認めないというのか。その辺のところははっきりして下さい。
  99. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 実情は、なるほど今おっしゃるようなこともございましょうと思います。しかし、私が先ほどお答え申し上げましたように、やはり行政技術といいますか、課税技術上の適正を期するという意味におきまして、普通、映画館におきましても、早朝割引ですか、料金の違う入場料がございますが、それはそれでちゃんと別の料金を表示した別の切符が用意してございます。ですから、今おっしゃったような場合におきまして、どういうふうに区分するか、私よく存じません。女、男の区分というのは不適当ですが、大人と子供とか、もしそういう区分ができるとすれば、区分された切符、百円の切符と六十円の切符というのをあらかじめ御用意なすっておやりになれば、行政上の手続もそこで確実性を期し得るのじゃないか、こう存じます。
  100. 平林剛

    ○平林剛君 私は簡単にお尋ねしておきたいのですが、入場税法全般の質疑は、また大蔵大臣や、また主として村山さんにも質問したいことがありますから、別の機会に譲ります。松井さんに対して、攻撃するわけじゃないですよ、これから質問することは。委員長はひとつ、これから私が質問することは委員長も頭に入れておいてもらいたいという趣旨で質問します。賢明なる佐野理事、上林理事、それから演劇の問題については最も理解の深い青木先生などもおられますから、そういう同僚議員にちょっと聞いてもらいたいという意味で、二、三伺っておきたいと思うのです。  私は、今議論されています音楽とかオペラ、バレー、能楽などの入場税については、これは映画や演劇のような興行として成り立たぬもので、それと同  一に取り扱うのはいけない。だから、こういうものについては入場税を免除をしてやったらどうか、そういう修正をお互い検討してみたらどうだろうかという立場でいるわけです。だから、これは、参議院の大蔵委員会は伝統的な歴史があるのです、昔から。この入場税については、昭和三十三年のときに、演劇の入場税軽減について特異なる立場でまた権威ある決定をしたことがありますけれども、それが国民の了承するところとなって法律改正が行なわれた、こういう名誉ある伝統ある機関です。私はそういう意味で、少し主張をまぜて質問する。繰り返して申しますが、松井さんを攻撃するためじゃない。あなた、さっきからだいぶくたびれているようですが、いじめる意味で質問するわけじゃないですから、誤解のないように願いたいと思います。  あなたのほうは、従来の法律に、純バレーとか、純音楽とかいうような特例が設けられておりまして、そうして一般の演劇、音楽などと区分をしていた今までの法律を御存じだと思うのですけれども、そういう区分をした法律を議会がきめたという理由について、どういう認識を持っておられたのですか。議会がそういう決定を下したということに対して、どういう認識を持っておられたか。なぜ区分したかということについてどう認識されておったかということ、これをひとつ答えて下さい。
  101. 松井直行

    政府委員(松井直行君) 今回、入場税の税率を、一般的に基準税率としてございました二〇%というものを一〇%に下げたということでもおわかりになりますように、一般的にやはり入場税というものは相当高いという認識があったと思います。そのときにやはり、こういう今おっしゃった交響楽、声楽、演劇、演芸というものにつきましては、その特殊な事情も考慮されたことだろうと思います。そうした高い税率であったので、こういうものについては特に軽減をほかろうという趣旨があったものと思います。
  102. 平林剛

    ○平林剛君 私の質問した趣旨とちょっとズレています。私の言ったのは、現行の税率によれば七十円以下のものは一〇%、百円以下のものは二〇%、百円をこえるものは三〇%、演劇や音楽等は三百円をこえるものから三〇%という現行税率でございましたね。そのときに、純音楽だとか純舞踊は百円ないし三百円をこえる場合でも二〇%にとどめておった特例がございましたね。そういうふうに区分をしておったという理由は、議会がきめたわけです。どういう理由でそういうふうに区分をしたかということを考えておられますか、どういうふうに把握しておられましたかということを聞いたわけですよ。
  103. 松井直行

    政府委員(松井直行君) もう一ぺんお答え申し上げます。この交響楽とか演劇、演芸等の特殊事情に顧みまして、この持っている特殊な性格にかんがみまして、普通の入場税の税率を課しております加重といいますか、加重部分を課さないことにしようという手当がなされておると、こういうふうに理解して一おります。
  104. 平林剛

    ○平林剛君 少しまだ認識が足りないんですよ。その決定をしたときの議会側における考え方、これをまだあなたのほうが認識していないから、今回のように全部一〇%にしちまって特例をはずしてしまった。税法の形からいうとすっきりしますね、そのほうが。しかし、前に議会でそういう取りきめをしたときの諸般の事情というものに対する認識が少し足りないんじゃないだろうか。しかし、先ほどお話がありましたように、こういうものに課税をしておるということは、入場料金が高い。だから、成瀬議員の設問に対して、絵の場合と歌の場合との違いで入場料金の問題が議論になりましたですね。昔から、バレーや純音楽などの入場料金は割と高かったのです。昔も高かったわけです。今も高いと、こう言われる。高いのはいろいろな理由があるでしょうけれども、その当時も高かった。今日も高いわけだ。それは理由があります。それにもかかわらず、片っ方には特例を設けた、特に二〇%と現行では。そういう理由は今日でも変わっちゃいないんじゃないか。  それから、当時こういう特例を設けたのは、こういうような演劇、芸術普及の徹底をはかって、国家としても当然の文化政策がなくちゃいかぬじゃないか。それで、これを公演する場合においても、なかなか金がかかって赤字経常である。大衆ができるだけこういう公演に接する機会を多くしてやるためには、せめて税率を安くしてやろうという趣旨がありまして、特にこの分町の諸般の事情を考慮して、特例々設けてきておったおけです。これは、私は今日においてもその理由というものは消滅していないんじゃないかと思うんです。だから、あなたのほうがこういう特例をはずして一本にしちまうというには、それ相当な理由がなくちゃいかぬ。何か特にその理由があるのですか。昔議論をしておったものを、ちゃんと何らかの理由があって今度一〇%と、どんぴしゃり同じにする、こういう特別な理由があったのですか。私はそれがなかったと思うんですが、いかがですか。
  105. 松井直行

    政府委員(松井直行君) いろいろな催しもののうち、音楽だとか、あるいは演劇の占める位置といいますか、意味と申しますか、その持っている芸術性それ自体の問題については、私はたいした認識の、あるいは一般的な認識の変更というものはないと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、一般的に二〇%という高い税率のものを一〇%に引き下げたわけでありますので、この際こういうものも一緒に含めて一〇%で課税するということについては、別にこれについて特殊なものを設ける必要はない、一〇%に軽減したということでもってすべて包摂されるのではないかという考え方が基本的に一つございますほかに、課税技術上、こうした純音楽といいますか、純芸術的なものとそうでないものとの区分につきまして、従来一戦におきます課税当局の間においていろいろ判断の相違その他でいざこざがあったこともございますので、そういう弊をなくしようという課税技術上の要請も一つあると思います。
  106. 平林剛

    ○平林剛君 私は、従来の税率が二〇%であったやつを一〇%に下げたということは、これはけっこうなことで、認める一わけですよ。しかし、今言ったように、税の形そのものだけから全部同じようにしてしまうということだけでは、従来議会が諸般の事情できめた考え方というものとズレるのじゃないか。もし一般のものを一〇%にするなら、従来こうして特例を設けて特に議会が配慮してきたものに対しては、無税にするというような、配慮を一歩前進させるような考え方をなぜしなかったのか、こういうことを言っているわけですよ。それで、こういう純音楽とか純バレーのようなものや雅楽あるいは文楽というようなものについては、こういう機会にひとつ一歩前進させて無税にするような考え方があなた方にほしかった。それを言っておるわけです。だから、純演劇とか、あるいは純をなくした演劇、芸術的にそれが価格があるとかないとかいうことで区分することは適当であるとかないとかいうことが、こういう特例を設けたときにもそういう議論があった。それがあったにもかかわらず、こういう決定をした趣旨を考えた場合には、今度の改正案の場合には、その分を無税ということであなた方が配慮して提案をされたらどうだったか。議会で今まできめたものをこの際直してしまえというような、あなた方純理論的に考えるでしょうけれども、この際に議会できめたものがあまり正しいことではないから、税法からすっきりしないから、失地回復じゃないが、おれたちはそう考えていなかったのにそうさせられたので、この機会に直してしまえという根性がうかがえるわけです。私はそういう意味で、議会においては特に特別の理由がなければ、これはむしろ進んで文化政策上からいっても、無税にするような措置をとったらどうだろうか。これは私は議会人として少し考えたらどうだろうかと思うのです。  だから、たとえば今度の提案をされた法律案の第九条に「文化財保護法の規定により助成の措置を講ぜられた文化財のみを公開する場所」というのが非課税になりましたけれども、そのほかに音楽とか、オペラとか、バレーだとか、雅楽だとか、文楽及び能楽を催す会場というものは非課税というような措置について、従来の伝統ある決定をこの際一歩前進させて、多少修正することになるけれども、それは非課税というような形に修正をしたらどうだろうかと、私はこういうふうに考えるのです。それで、大体一般税法上はそれは議論があるかもしれませんけれども、政治的な一般国民感覚からいえば、こんなものにまで税金を取るのかというようなことが、せめて文化政策や演劇や芸術の中においてはなくすようにするのがわれわれの任務でないか、私はこう考えますので、特に質問の名をかりて、委員長並びに同僚諸君の賢明な御判断を仰いで、最終的にはそういう賢明な結論に達するように、私はひとつ強調しておきたいと思う。他の質問はまた後日に譲りまして、そういう意見を申し上げて、きょうの私の質問は終わっておきたいと思います。
  107. 青木一男

    ○青木一男君 今の平林委員の御発言に関連して、ちょっとお尋ねするのですが、国会の意思で、純音楽とか純演劇とか、いろいろ立法を一すでに国会がしたのに、それを無視した、こういうような御発言があったのですが、私の記憶では、この入場税が地方税であったころ、地方行政委員会においてそういう立法の言葉の使い方があったかと思うのです。私の関係して以来大蔵委員会においては、いやしくも課税という重大な問題をきめるのに、そういう理論的にも、また税務行政上もあいまいな「純」という観念をとることは、われわれはこの大蔵委員会では反対した。でありますから、この大蔵委員会においてそういう立法の行なわれたことは私はないと思うのだが、その経過を、あるいは記憶違いかもしれないから、一応伺っておきたいと思うのです。(平林剛君「平林が答弁します。これは僕が提案したのだから」と述ぶ)
  108. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) これは戦時中入場税の税率が最高五割というような非常に高い時代、そのときは地方税時代だったと思いますけれども、そのころにそういう特例がございましたものが沿革的に引き続いてきている、そういうふうに理解しております。
  109. 平林剛

    ○平林剛君 それで、今のことは、昭和三十三年の三月三十一日のこの委員会でやはり議論されたのです。そしてそのとき問題になったのは、純演劇と演劇と区分できるかできないかというような議論がありまして、改正案は演劇という形で統一しました。しかし、純音楽と純バレーですか、この特例はそのまま残そうと、残しておったのです。将来研究をしなければならぬ課題だということはよくわかります。わかりますけれども、そのときの大蔵委員会においては、それをそのまま修正せず残したわけです。残したには残しただけの理由が私はあると思う。それはさっき言ったように、これを催す主催者、あるいはそのときのオペラや、あるいは雅楽や文楽、能楽などの現状、音楽の現状ということを考えて、残してあるわけです。そのときに、一挙に理論としては修正すべきでしょう。しかし、それを残したというのは、その現状を認めたからだと私は思うのです。  そういう意味では、先ほどから政府側の説明している理由というものは、そのときの状況を何ら変更するものはないじゃないか。二〇%から一〇%に下げたということはいいことに違いないけれども、しかし特例というものをはずしてしまっておる。だから、むしろこういうものに対する入場税は非課税にすべきだという皆さんの腹の中で議論がある。諸般の事情が許せばそうしたいという気持は、みな持っているはずだ。だから、こういう機会にそれを非課税にするような措置を講ずることは、わが参議院大蔵委員会の良識だ、こういうことなんです。これもひとつ補足して私からも申し上げておきます。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう時間も非常に押し迫っているのですが、どうですか、同僚委員、もっと質問を続けますか。きょうはこの程度で打ち切りますか。打ち切るならば打ち切って、僕の質問は次回に保留しておきます。
  111. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  112. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この前の委員会のときに、衆議院における村山主税局長の答弁に対しまして、単なる行政官だけの答弁ではいけないから法制局長官を呼んでもらいたい、こういうことで、きょう法制局の方も見えておると思いますから、その点についてまず答弁を求めたいと思うのですが、要するに村山主税局長は——この入場税法の二十八条のカッコ内の問題です。人格なき法人に対する罰則の問題ですが、これは入場税法が通っても国税通則法が通らぬ限りにおいては、これは死法だ、動かない、こういうように村山局長が答えておるわけです。その点、私は参議院におきまして確めたわけなんですが、同じくそうだといって村山主税局長は答えております。で、単に行政官の答弁だけでは私たちは安心できないというのは、もしもそういう事犯が起こった場合ですね、裁判になったときに、裁判所においてもそれが有効であるかどうかという点について、行政官の答弁では私たちは信用できませんので、本日法制局長官のここに出席を求めて、それから答弁していただこうと、こういうように私は提案したわけです。  ところが、きょうは法制局長官見えているのですか、参議院の法制局長。(「見えております」と呼ぶ者あり)それから、林法制局長官はきょうは来ないのですか。内閣の法制局長官を要求したのです。
  114. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) きょうは衆議院のほうの関係で出てこれないもので、法制局の第三部長が出席しております。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは政府委員ですか。
  116. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 政府委員
  117. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、まあがまんしましょう。  それでは、参議院の法制局長並びに内閣の法制局の責任ある方からこれに対する見解をとにかく表明していただきたいと思います。
  118. 吉国一郎

    政府委員(吉国一郎君) 内閣の法制局の第三部長の吉国でございます。長官が参りましてお答えを申し上げるはずでございましたが、ほかの委員会にどうしても出席をいたさなければなりませんので、私、代理に参りましたが、これから申し上げまする見解は、内部で長官とも十分打ち合わせを遂げましたことでございますので、内閣の法制局の見解としてお聞きいただきたいと存じます。  この第二十八条の改正でございますが、第二十八条は法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務または財産に関して違反行為をした場合の両罰規定でございますが、この規定は、国税通則法案の第十三条によりまして人格のない社団等の地位が規定されておりまして、そこには「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの……は、国税に関する法律規定の適用については、法人とみなす。」という規定を置いておりますが、この規定前提にいたしまして「法人の代表者」とあり、「又は法人……の代理人、使用人その他の従業者」と申します場合には、いわゆる人格のない社団等の代表者なり、人格のない社団等の代理人、使用人その他の従業者の違反行為についてもこの規定は働くということになると思います。ところが、そういうことで国税通則法前提にいたしまして規定をいたしまして、このカッコの規定を入れましたのは、「法人の代表者」とございます文言によりまして、いわゆる人格のない社団等の代表者はこれで入りますが、人格のない社団等につきましては代表者と申すべきではない、いわば管理人とも申すべきものがございますので、それの行為についてもこの規定の適用があるようにということで、このカッコをつけたわけでございます。  ところが、もしもかりに国税通則法案法律として成立をしないというような場合を想定いたしましたならば、先ほど申し上げましたように、「法人の代表者」なり「法人の代理人、使用人その他の従業者」という文言では、法人格のない社団等の代表者なりその代理人等は入って参りませんので、この規定としては、その法人格のない社団等の代表者等については働かない。もちろん、このカッコの中で、法人格のない社団等の管理人を含むという規定は、その文字としては意味がございますけれども、その管理人の行為が「その法人……の業務又は財産に関して」という文言があとのほうにございますが、その「法人」という文言も、国税通則法規定前提にいたしまして、その人格のない社団等の「業務又は財産に関して」と読むことになりますので、その規定が、国税通則法案法律として成立いたしませんために人格のない社団等を含まないということになりますと、このカッコで「管理人を含む」という規定がございましても、それはこの規定としては全く意味をなさないということに相なると思います。その点は、第二十八条の文言がはっきり「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人」というふうに書いてございますので、いわばこれは現行法の二十八条の解釈と実質的には全く同じということに相なると思います。  それから、第二項でございますが、この第二項も法人でない社団等につきまして第一項の規定が働く場合の規定でございますので、第一項がそのような意味で人格のない社団等につきまして働きません以上は、二項も全く法規としての実質的な意味を持ち得ないということでございます。  簡単に申し上げますと、第二十八条の規定は、国税通則法案法律として成立しない以上は、文字の上の改正は行なわれましても、実効力といたしましては現行法の解釈と変わりはないということに相なると思います。
  119. 斎藤朔郎

    法制局長(斎藤朔郎君) 参議院法制局としての意見申し上げますが、念のために最初に申し添えておきたいことは、この問題の入場税法の二十八条という規定は、申すまでもなくいわゆる両罰規定でございまして、刑罰法令でございます。刑罰法令の解釈につきましては、みだに拡張解釈したり類推解釈をすることを禁止されているわけでございます。ここにおきましてはできるだけ正しい意味の文理解釈を尊重して参らなければならぬということになる一わけでございます。それはとりもなおさず、罪刑法定主義というものが刑罰法令の基礎にあります。また、罪刑法定主義を堅持いたしますことが国民の基本的人権を尊重するということになるわけででございますので、刑罰法規の解釈については厳格な文理、正しい意味の文理に即して行なわなくてはならぬ、こういうことを前提として申し上げたいを考えます。  さて、入場税法の二十八条の条文の中には、「法人」という字句 現行法でございますが、二十八条の中には「法人」という字句は四カ所出て参るわけでございますが、条文の冒頭の「法人の代表者又は法人」云々というところと、それから「その法人又は人の業務又は財産に関して」というところ、それから一番最後の「その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。」というところ、この四つの法人法人と書いております文句は、これは何らの先入主なしに読みますれば、人格のある、いわゆる法人格を持っておる団体のみをさすということ以外に解釈のしょうがないと思うのでございます。ただ、今度のように国税通則法の十三条があって初めて、この入場税法の二十八条の「法人」という内容がふくれ上がってくるわけでございますが、そのほうがなければ、この二十八条の「法人」というのはどれをとってみても法人格のあるものだけということになるわけでございまして、「代表者」の下に「(法人でない社団又は財団で管理人の定めがあるものの管理人を含む。)」ということを書いてみましても、条文の頭の「法人」というところに人格のない社団を含んでおらないんだから、それは何にもならない。そのカッコの中は無意味な規定で、死文だということになってしまうわけでございます。  この例を多少変えまして、それでは、この二十八条の一番初めに出て参いります「法人」の下にカッコを一つけまして、一番初めの「法人」一の下にカッコをつけまして、そのカッコの中に「(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)」というのを一番初めの「法人」の下にくっつける、こういう書き方もあるわけでございます。これは補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というものの三十二条にございます。この一番初めの「法人」の下にカッコして、「(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)」、こうやりましたら、この入場税法の二十八条の場合でも、以下三カ所に出てくる法人全部が人格なき社団を含みますから、それに罰金刑を科する、こういうことになりますわけでございます。  国税通則法の十三条の規定というのは、要するに、そういう各税法々々々の両罰規定に、一番最初の「法人」の下にカッコをうけるやつをやめて、それを通則法というものに一固めにした作用を営むものと同じわけでございますから、もしかりに国税通則法が通らずに入場税法改正案だけが今御審議のままで成立したといたしまするならば、先ほど内閣法制局側の意見としても申し上げましたように、「代表者」の下についておるカッコは無意味な規定になる。将来国税通則法の十三条のような一般規定ができれば、そのときに初めて息を吹く条文だ、こういうことになるわけでございまして、改正案の二十八条の第二項は、これは刑事訴訟法の手続規定でございますから、実体規定が働かぬ以上は手続規定が働かないのは当然のことでございます。  以上参議院法制局の見解申し上げました。
  120. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、法律の専門家がいろいろ述べられたことだから間違いはないと思いますが、内閣の法制局と参議院の法制局の見解は同じだと、そうしてこれが国税通則法が通らない場合はこの条項は死法だ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  121. 吉国一郎

    政府委員(吉国一郎君) そのとおりでございます。
  122. 斎藤朔郎

    法制局長(斎藤朔郎君) そのとおりでございます。全く同意見でございます。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういう先例がかつてどこかにありましたでしょうか、どうでしょうか。あれば伺っておきたいと思います。
  124. 斎藤朔郎

    法制局長(斎藤朔郎君) 私のほうから先に申し上げますが、別な例がありましたら内閣のほうから御説明願いたいと思います。  ただいま私手元に持っております六法全書は三十六年版の六法全書でございますが、この三十六年版の六法全講に、国家公務員共済組合法の四十一条の三項を読みますと、こういう規定の六法全書にあります。「組合は、政令で定めるところにより、長期給付の支払に関する事務を逓信省に委託することができる。」という規定が私の持っておる六法全書に載っておるわけでございます。もちろん、逓信省という省はございませんわけでございますが、こういう規定ができました経過は、三、四年前でございましたが、たしか二十八国会に郵政省の省名を逓信省に変更するという法律案が内閣側から出て、その省名変更の法律に関連いたしまして、多数の法律の中にある郵政省の名前を逓信省に変えてきたわけでございます。もちろん、数個の関連した法律提出いたします以上は、提案者としては全部がその国会で成立するものという前提でおやりになっておるわけでございますので、そういうものがあるわけでございますが、たまたまこの場合にはもとになります逓信省の省名の変更ののほうの設置法の改正が、どうしても通らないということが国会の終りごろにはっきりして参りましたのですが、その当時国家公務員共済組合法の改正案が参議院の内閣委員会にたしかかかっておりまして、省名変更のほうが通らなければこれは逓信省のままにいたしておきますと、この規定は働かないことになってしまう、死文になってしまう、逓信省という省はございませんから死文になってしまうということをわれわれとしても気づいておったのでございますが、実情を申しますと、これは会期末でございまして、この点をいじりますと、衆議院に回付して、共済組合法の改正案全体が不成立になるかもしれない、そういう危険があるというので、ただいま、この問題の四十一条三項の規定は当分眠っておっていいのだということでこの規定ができたわけでございます。しかし、いつまでも眠らせておくわけにも参りませんので、昨年の通常国会で三十六年六月の法律百一五一二号で、この逓信省を郵政省と変えております。ですから、おそらく三十七年版の六法全書では、そのように変わっておると思いますが、そういう工合に関連した数個の法律が同一国会に出て、もとのほうが通らないために枝のほうだけが残るという場合に、その枝のほうはもとの通るまで眠っておるのだ、死文とか申しますが、そういう関係が起こることはまれにはございます。一つの先例として申し上げました。
  125. 吉国一郎

    政府委員(吉国一郎君) ただいま参議院の斎藤局長から例のお示しがございましたが、私どももただいまちょうど今回の場合に匹敵いたしますような例はちょっと思い当たりませんですが、やや類似した例といたしまして、昨年租税特別措置法の改正案提案されまして、現在の第十三条で低開発地域における工業用機械等の特別償却の規定が入っておりますが、この規定がもうすでにこれは成立はいたしておりますが、低開発地域工業開発促進法を前提にした規定でございましたが、昨年の第三十八国会におきまして、租税特別措置法のほうは低開発地域工業開発促進法が成立することを前提といたしまして御審議をわずらわしまして成立を見たわけでございますが、低開発地域工業開発促進法のほうはついに審議未了に終わりまして、第三十九回国会であらためて提案をして成立したような状況でございまして、したがいまして、その間におきましては租税特別措置法の第十三条に低開発地域工業開発促進法を引用いたしまして低開発地域におきまする工業用機械等の特別償却の規定を設けてあったわけでございますが、その規定が当該法律成立するまではいわば死文として働かなかった。それで、第三十九回国会におきまして底開発地域工業開発促進法が成立いたしまして初めて、いわば息をふき返したと申しますか、実効力を持ち得たという実例はございます。
  126. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はこの問題、きょう法制局関係の方たちからの答弁で、これではっきりしたと思うのです。それをはっきり確認した上で、まだあとずっとこの問題について質問が相当あるわけなんです。それと、先ほどから各委員の質問の中で純芸術、純音楽、純舞踊とはどうだというような問題も出されておるわけです。これは当委員会として解決していかなきゃならぬ問題だと思うのですよ。それを解決せずして、この入場税法をここで審議を終了してしまうというようなことはとてもできない。  そこで、私は一つの議事進行として提案するのですが、やはり私たちだけがここで審議しているのではなく、その道の専門家、学識経験者にとにかく出席してもらって、私たちも勉強するという建前でですね、ひとつそういう人たちの意見を聞いてみたらどうかと私は思うのです。委員諸君が用意して下さるならば、私はそれを提案したいわけです。だれでもけっこうですから、まあ人を選べといえば私たちも案はないでもないですが、共産党が選任したというのではまた問題もあろうかと思いますので、私は遠慮しておきますが、とにかく適当な人たくさんおるのですから、その人たちの話を聞いた上で、また自民党は自民党の意見もあるでしょうし、われわれにはわれわれの意見があるのだから、そこでお互いに意見を出し合って、そうして妥当な考えというものをここで出し合って、この審議を十分尽くすというのが私はよいことじゃないかと思うのです。私も、今から質疑を進めますと、一時間半ぐらいの質問があるわけです。そうすると時間もおそくなりますし、きょうはこの程度で打ち切って、そういうふうな方法をとって下さるのが私は一番よいことじゃないだろうかと思うのです。議事進行として提案するわけです。
  127. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今須藤君から出ましたですけれども、実は先ほど理事で打ち合わせたように、大体その話はまとまっている。さっそく、委員長理事会で取り上げて善処をしていただきたい、こう思います。
  128. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私がこういって発言しているのは、円満にこの法案審議を進めるという建前でやっているので、決して私は議事の妨害などする意思は毛頭ありません。そういうことを考えているのじゃないですから、どうぞお進め下さい。
  129. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  130. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記を始めて。  本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十二分散会    ————・————