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1962-03-13 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理事            上林 忠次君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委員            大谷 贇雄君            岡崎 眞一君            木暮武太夫君            西川甚五郎君            堀  末治君            成瀬 幡治君            木村禧八郎君            原島 宏治君            大竹平八郎君            須藤 五郎君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主税局長 村山 達雄君   事務局側    常任委員会専門    員       坂人長太郎君   説明員    大蔵省主税局総    務課長     吉国 二郎君   参考人    映画産業団体連    合会会長    城戸 四郎君    三菱電機株式会    社取締役    石川 辰雄君    酒類業中央団体    代表      石川弥八郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○入場税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○物品税法案内閣送付予備審査) ○酒税法等の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○外国人等間際運輸業に係る所得に  対する相互主義による所得税等の非  課税に関する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  本日は、午前中、入場税法の一部を改正する法律案物品税法案及び酒税法等の一部を改正する法律案について参考人方々から御意見を拝聴し、午後は、きのう付託され策した法律案提案理由説明を、引き続いて所得税法の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案質疑を行なうことといたしたいと存じます。  入場税法の一部を改正する法律案物品税法案酒税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  参考人方々に一曹ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとう存じます。審査の時間の関係上、お一人大体十五分程度で順次御意見をお述べ願いましたあとで、委員質疑にお答え願えれば幸いと存じます。  では、まず入場税法の一部を改正する法律案について城戸参考人からお願いいたします。
  3. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 私、城戸でございます。御指名によりまして参考意見を申し述べさせていただきます。  入場税に関しましては、各般にわたる入場税がございまするが、映画入場税入場税の中において占めるウエートが一番大きいのでございます。したがって、私が関係いたしまする映画産業団体連合会という立場から開陳いたします意味からいたしましても、映画に関するものを主といたしまして参考意見を申し上げさせていただきたいと思うのであります。  この入場税に関しましては、われわれは悪税と心得ておるのであります。永年にわたりこれが撤廃要望して、今日に至っております。現に英国のごときは、映画に対しては無税でございます。米国は一ドル以上に対してわずかにかけております。フランス、イタリアの、こときは、入場税を取りましても、さらにそれを優秀なる映画、あるいは設備、その他いろいろな意味において、これが発達を助成する意味においてその税金を大半還元しております。いわゆる映画推進の上にこれを利用しているということになるのであります。しかし、日本におきましては、本来映画の初期におきまして、非常に好ましからざる映画が当初出たというような関係からして、やや禁止的税金として課せられたのが発端でございます。しかし、映画発達とともに、自然映画社会性重要性が認められまして、あらゆる点において、いい悪いにかかわらず、その影響力の甚大なることを考慮して、税金に対する考え方が変わって参りました。  しかし、本質的に申し上げますと、この税金なるものは興行税から出発しておるのであります。いわゆる興行者にかけるところの税金である興行税だ。ところが、それがだんだん変わりまして、観覧税、そして大衆の代弁をするんだという意味において今日の入場税ということに相なり、これも国税として課せられ、また地方税になり、さらに国税になるというような、非常に今日までに変化を来たしたのであります。その変化を来たし、いろいろ名称が変わったゆえんのものは、要するに、この映画を通じて取るところの入場税が比較的税収に大きな貢献をするというところに基づきまして、大蔵当局のいわゆる税の徴収技術に焦点が置かれまして、いろいろな変化を来たしたものとわれわれは承知しております。  今日におきましても、ややもすると、大蔵省当局の各人は映画に対する認識を十分深めながら、なおかつ、大蔵省という立場になりますというと、ほとんど人が変わったごとくに、いわゆる徴税一本というものにしぼられまして、そしてややもすると、映画のいろいろなものに及ぼす影響ということに対しましてはほとんど無関心である。われわれはこの際、映画社会性の向上というものに資せんという気持を持っているにもかかわらず、そういうものに対する援助、助成、考慮というものがいかにも払われていないように感ずるのであります。たとえば大衆に非常に必要である、あるいは宣伝であるというような関係から、無料大衆に見せる。つまり無料入場料をもって、入場料なしで大衆に呼びかけるという場合におきましても、これをみなし税といいまして税金をかける。このごときは、いわゆる世界じゅうにない類例であります。いわゆる徴税技術に対してあまりにこだわり過ぎる一つの例ではないか、こう私は考えているのであります。  戦後におきますところの映画が、一時大衆を動員したという現象に基づきまして、非常にいわゆる映画ブームと申しますか、劇場建設が非常に行なわれまして、今日におきましては、その映画館格差、非常な差が出て参りました。言いかえますならば、非常に設備も環境もあらゆる点において十分なものがあるにもかかわらず、一方には便所の臭気までも場内にあふれるというような非常な格差があるものができて参り、消防署はこれが改善を要望してやまないのでございます。しかし、この設備の不完全なほうは、勢い自分のほうのお客を吸引する上からして、入場料を極度に低減いたしましたり、それから三本、四本という写真を並映いたしましてお客を呼ぶ。したがって、正常な方法において興行いたしますと非常に資本がかかる、それと非常にアンバランスになる。したがって、映画配給収入に著しく混乱を来たし、その結果はややもすると映画製作者をして非常に低迷させるという現象に相なったわけでございます。  ことに、このテレビ発生以来、映画というものは確実に影響を受けております。片方入場料を払う、片方無料でスイッチを入れると同時に見れるのであります。そしてこのテレビをやっているのは、これはわれわれのひがみかもしれませんが、新聞社だとか、その方面における有力者提案がある関係か、あるいはテレビの本質上なのか、政府は非常にこれに対して特段の補助を与えておりますが、映画においてはほとんどこの補助を与えられたことの事例がないのでございます。たださえテレビ影響があるにもかかわらず、そういうようになるというと、われわれは今転落して斜陽であるというにとどまらず、今非常に破産の一歩手前まで転落しつつある。その一方、健康的なレジャーというものも発達しつつありますが、それと同時に、不健康にしてなおかつ非常にレジャーというか、なおかつ非常に大衆関心をひいているものがございます。たとえばマージャン、競輪、パチンコのごときは一千億を超過するというような収入を得ておるということを特に御銘記願いたいと思うのであります。  しかも、映画というものは、今においては設備その他において非常に費用を要し、また労働者の待遇に対してもほかよりははるかに劣る。そういうような関係と、テレビその他に対する手段としては、大作によってこれと対抗するにあらざれば対抗し得ないという現状に対しまして、どうしてもわれわれは税金免税いたしまして、そうしてそれの余沢を受けて、そして映画推進に資したいというのが、われわれの念願、希望でございます。したがって、われわれは単に映画というものを免税にしていただいて、それを直ちにわれわれのみの収入にするというのではなくて、大衆にもこれを還元するというような観点に立って今日に至りました。今日議会その他、特に社会党、民社党におきましては、全面的反対ということに御支持願いまして、自民党ももとよりこれに対する認識を十分に持っていただいておりますが、ほとんど全党をあげてわれわれの考えに対して、減税ないし撤廃に対して御了解を得、御支持を得て今日に至っていることは、われわれ業者といたしましては、まことに感謝にたえない次第でございます。  しかしながら、その大作をこしらえることにつきましては、どうしても、われわれとしては少なくとも減税の半分はいただきたい。先ほど申し上げたような理由から、それをるる述べておるんでございまするが、それに対する、先ほど申し上げましたところの徴税の上からいたしまして、どうしても下げたものは全部大衆に還元しろという政府当局の強い要望がございます。これはあくまでもわれわれは反対するものでございまして、ことさら反対せんがための反対でなくて、われわれの現状は斜陽的、破産一歩手前である。しかも、映画社会的に非常に重要性を持つところの使命を保持する上において、どうしても最期の悲鳴ともいうべきこのいわゆる半分を興行者及びわれわれ映画製作者に、残りの半分を大衆に還元するということをもって、今非常に政府に対して主張しておるんでございます。  しかしながら、政府は、今日におきまして、依然として強くわれわれに要望するところのものは、今日政府はあらゆる点において低物価政策を用いておる。そして映画というものは非常に目立つ。だから、そういう意味において、低物価政策影響するところ大きいという考えのもとに、これに協力してもらいたいというのが政府要望、特に大蔵省要望でございます。われわれといたしましては、低物価政策ということが、いかに、今日自由経済の貿易になろうとし、また電気電車賃運輸などがややもすると値上げを認められるかのごとき状態にあるに際しまして、映画というものはいよいよ低物価政策協力する必要をわれわれは痛感しておるので、ございます。  したがって、この大蔵省要望に対して、われわれは先般来数次にわたって協議をいたしまして、これに対しては全面的の協力をしよう。しかし、われわれの苦労であるということに対しましては、十分に当局認識していただくことを建前にして、われわれは全面的に協力いたそうじゃないか。そこで、われわれは先般「映画界政府の低物価政策に全面的に協力致します。具体的方法については、業界の良識により善処することをお約束致します。」、これを十分にお含み願いたい。いわゆる破産しかかっている業者というものを見殺しにしていいかどうかというようなことも、われわれは考えているような次第でございまして、そういうことも言葉の中の含みとして御了解願っておきたい。「なお参考までに申しそえますが、入場税減税後は、これを全国映画館前に表示し、入場料金の安くなったことを大衆に知らせます。」、これはわれわれがいかに協力し、また政府入場税低減に対しましていかに大衆関心を持っているかということを、政府の意思をもあわせ伝達せんとするところの趣旨にほかならぬのでございます。  特に、一部の解釈としては、あるいは新聞に出るところのことによりますると、要するに、ものが安くなればお客が来るのではないか、こういうようなお話がございまするが、これは映画に関する限りはその理論は成り立たないのであります。つまり、一つのものを売るときには、その原価及び原料その他労務等をやって、ある程度のコストが出ます。しかし、映画というものは、料金よりも、それよりもいわゆる大衆が、特に一般物価でも同じでございますが、大衆が特に敏感に映画入場料関心を払う速度が多いのであります。したがって、それが非常に妥当でないという場合においては、大衆に見向かれなくて、われわれはいかに大きく宣伝いたしましても大衆を引きつけることはできないのでありまして、したがって、われわれは、一般の特価と違います、要するによき映画を出す、大作で、しかもいい大作を出すというところで大衆を引きつけるのでありまして、そういうことは、いよいよもって、われわれの現在の実構から、より以上の金を出しましていい製作をするということにほかならないのでございます。どうかそういう意味におきまして、われわれは今回の政府の低物価政策というものに対しましては全面的に協力いたしまするが、十分に御理解を願いたいと思うのであります。  なお、伝えられるところによりますと、われわれのほうは、やっておいて、いいかげんになったらすぐ元に戻る、あたかもわれわれが、そういうことの常習犯のごときことを言われるのは非常に不本意でございます。われわれとしては、あくまでもそううい態度でなく、私利のために入場料が上がることは、良心に誓ってそういうことは安野でないと思うのであります。いずれにいたしましても、われわれは大衆を離れて存在するものでないので、入場料大衆が決するということに相なります。  どうか以上の点を十分に御考慮を願いまして、このたびの入場税改正に対しますわれわれの意のあるところをおくみ取り下さいまして、今後の御参考に願いたいと思います。ありがとうございました。
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、物品税法案について、三菱電機石川参考人にお願いいたします。
  5. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) 参考人石川辰雄でございます。私は、電機工業会電子機器工業会電球工業会電熱器工業会並び冷凍機工業会という業界に属しておりますので、その業界を背景といたしました意見を申し上げさせていただきたいと思います。  このたびの間接税改正の一環といたしまして、物品税におきましても画期的な大改正を加えていただけるように承知しております。これは昭和二十八年以来の十年ぶりの改正でございまして、また私ども業界が多年翻望しておりましたことの第一歩が実現するという点におきまして、本委員会委員各位の御配慮を初めといたしまして、行政方面方々消費者へのあたたかいお心づかいであると感謝にたえないところでございます。  私は、三つの問題を申し上げたいと思います。第一は減税された品物について、第二は新しく課税をされた品物について、第三は将来への希望という三点でございます。  第一の、物品税改正によりまして大衆物品市場価格の上に減税が反映するかどうかという問題でありますが、これは税制改正の御趣旨消費者負担軽減合理化という点にあると承っておりますので、私どももそっくり減税額小売価格に反映したい、そういう精神でおります。一部特別の正当の理由あるものは若干、きわめて少数ございますが、そっくり減税されたものは小売価格に反映したいと思っておる次第であります。これは近代の経営理念から申しましても、企業というものは常に社会とともにあり、社会影響するところが非常に大きい、したがって常に社会のためになるということを考えて行動しなければいかぬという私どもの信条から申しましても、消費者負担軽減のためになされた減税分企業が中間において利益として取り込むということは、とうてい私ども考え得ざるところでございます。たまたま政府におかれましても、この点を配慮されまして、行政指導というものが行なわれておりますが、私ども業界は、これは全く適宜の処置であると考えまして、こぞってこれに賛意を表し、心からなる協力を示している次第でございます。  第二の問題の、新しく課税という問題につきましては、今回の物品税改正によりますと、免税となりますものが十六品目減税となりますものは五十九品目あるのでございますが、新たに課税の対象となるものは九品目ございます。これらは他の同種の被課税品目との均衡をはかるための課税という御趣旨と承っておりますが、ただ、課税を受けたもの全額を小売値段に反映しないように、企業原価低減努力によりましてできるだけそれを吸収していきたいということを考えておりまして、値上がりムードを醸成しないように協力いたしたい、そのように考えておるものでございます。  第三の問題の、今後でございますが、今回の物品税改正の措置については、一般消費者も、また私ども業界の者も、非常な喜びと賛意をもってこれの実現を見守っているわけであります。しかしながら、改正趣旨一つであります物品税負担均衡という点から見ますと、まだまだ均衡という点から、必ずしもそれが実現していると思われがたいものが残っているのでございます。特に電気関係製品物品税に大きな貢献をしておるわけでありまして、そのこと自体われわれは多分の満足を持っているわけでありますが、一方、それによって特に大型製品国際競争にたえない。自由化になりますと、そういうものが外国から入ってくる。税が荷いために大量生産できないで、高い原価で低迷しているということが多いのでありまして、われわれも輸出の大きな部分を負担しておるのでございますから、そういう意味で、電気製品につきましてはさらに国際競争力を養い得るような御配慮をいただきたいと思うのであります。このたびのような善政、よい政治に対しましては、十分国民の声にも耳を傾けていただきまして、税率も、ひとしからざるを憂うという人心把握の要諦にかんがみまして、国家の予算の許す限りにおいて毎年物品税軽減改正ということにこの上ともお心を用いていただきたい。特に選良の各位希望する次第であります。  以上をもちまして、私の物品税の報告を終わります。
  6. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、酒税法等の一部を改正する法律案について、酒類業中央団体代表石川参考人にお願いいたします。
  7. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) 私、酒類業中央団体代表といたしまして、参考意見を申し上げたいと存じます。  酒数業中央団体と申しますのは、御承知のとおり、酒類業組合法の規定に基づきまして組織をしておりまする酒造組合あるいは油販組合全国団体連合組織でございまして、本日私が申し上げますのは、その連合体、八つございますが、その意見として申し上げる次第でございます。八つ団体と申しまするのは、製造のほうにおきましては、清酒の団体合成酒団体、しょうちゅうの団体ビール雑酒、これが五つございます。また、販売の関係につきましては、小売酒販組合卸酒販組合、もう一つビール卸組合、この八つを総合しているのでございます。  今回、酒税法の一部改正法律案国会に出されまして、御審議を賜わっております由でございまして、私ども団体といたしまして、まことに感謝にたえない次第でございます。御承知のとおり、私ども団体大蔵省の管轄にございますために、製造方法等につきましても、あるいは価格の問題につきましても、すべて酒税法によって規制を受けておりますわけであります。したがいまして、今回の酒税法改正は、単に税率の問題だけでなしに、非常に広範囲に手をつけている向きもございますのでございます。本日の私にお求めになられます意見は、おそらく税法の中の酒税法に基づきます税率の問題が多いのではなかろうかと、こう存じまして、その問題につきましてお答え申し上げたいと思います。  私ども減税につきましては、消費者とともに多年要望いたして参ったのでございまして、酒類業団体といたしましても、酒類全体を通じまして平均三割の減税をお願いいたしたい、こういうふうに政府要望いたしておったのでございます。今回の政府原案は、われわれの期待いたしておりまする減税率に至っておらないようでございまするが、現在の段階といしまして、私ども政府原案を一応了承をいたしておりまするようたわけでございなす。先ほど来、他の税につきましてそれぞれの御意見がございましたけれども、私どもも今回の減税額はそのまま末端価格引き下げに充てたい、かように考えておる次第でございます。もちろん、減税消費者のためでありまして、消費者のためになさいまする親心はそのまま消費者に伝えるべきであろうという考えで私どもはおるのであります。  ただ、四月一日から税法を施行していただくということになりますると、その準備その他が非常にたいへんなのでございます。私どもも、国会におきまして改正が可決されるものという見通しを持って、それぞれ準備をいたしておるのでございまするけれども、なるべく特別な御配慮をもちまして早く法案をおきめいただきませんと、なかなか準備にいたしましても思うにまかせない点がございます。全酒類につきまして全国小売業者は十万ほどございまするが、この十万の店頭引き下げ額を掲示いたします。また、これは私の団体のことでございまするが、私の団体といたしましても、二級酒なら二級酒は何円下がる、一級酒はこうなるという、減税額に相当いたしました値下げ額をポスターをもって店頭に掲示いたす、こういうような心がまえでおるのでございます。ただ、厳密に申し上げますると、一円以下の端数等がございまするが、その端数等につきましては、切り上げあるいは切り捨て等の形をもちまして引き下げ額といたすように和なると思うのであります。八団体といたしましても、政府の今回の原案が一日早く法案になりまするよう期待いたしながら、それぞれ準備をいたしておりますような次第でございまして、何分の御配慮を賜わりまして、一日も早く私どもがそういう段取りができまするようにお願いをいたしたいと存ずる次第でございます。  一言申し上げて、御参考にいたしたいと思います。
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 参考人方々質疑のある方は、順次、御発言を願います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 入場料の問題についてお伺いしたいのです。  城戸さんの公述の御意見、私非常にごもっともと思うのです。最近の映画界の実情も、私しろうとですが、税務の関係から多少私も聞いております。これは非常な入場税大衆課税ですから、私どももこれは全廃すべきだ。ことに、今度入場譲与税が廃止されて国税に移管されたわけです。だから、これは私は撤廃するのにいい時期だと思うのです。財源関係から見まして、最近自然増収が非常に多いのです。三十六年度でもまだ約二千億円も自然増収があるのですから、だから、入場税撤廃したからつて、私は財源に困らぬと思うのです。  そこで、お伺いしたいのは、先ほど、今度の入場税引き下げ分の半分を大体興行主のほうに割愛してもらいたいという御意見があったのですが、先ほど政府の低物価政策協力する、そうして善処するというお話でしたが、その善処ということは、入場税引き下げ分入場料金引き下げを行なう、こういう意味なんでございますか。
  10. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) そこは非常にデリケートなところでございますので、申し上げますが、本来われわれは税の撤廃を申し出、その結果約一律一側というものの減税に落ちつきそうだということに相なったわけでございますが、その際に、われわれといたしましては、さらに陳情いたしまして、そして半分を大衆に還元する、あとの半分をわれわれが現在非常に困っている常設館の連中の設備その他にこれを向ける、及びテレビに圧倒されているところの映画製作の良質な大作映画に向けるということをもって、ずっと陳情しておったわけなのでございます。ところが、大蔵当局といたしましても、是が非にもこれは大衆にまるまる還元しろという切なる御要望であります。われわれとしては、不可能なものを、むしろ不可能に近いものまで追い詰めて要望されているというように感じておるのでございまするが、しかし、映画に対する認識も深められ、比較的好意ある処置をとられつつある際に、われわれいたずらにそれを、低物価政策にもありまするので、いたずらにそれに反発することの妥当なりやいなやということは再々協議をいたしまして、そして先ほど申し上げたところの「業界の良識により善処する」という含みのある言葉で、ございまするが、しかし、これはわれわれが、一部に言われているとおりすぐ化けるというような、そんな良識ならざる行動を意味するのではございません。努めてわれわれは大衆に還元することを本旨として、そして他の方法をもって収入の増大をはかり、映画のいわゆる魅力あるいは呼びかけその他によりまして、大衆の増大をはかることによってわれわれは補うことを企図する。ただ、大作をこしらえるために、たとえば去年、映画テレビに押された関係上、映画界がおしなべて大作をこしらえるように相なったわけであります。それがために入場料も一時上がったわけであります。その結果、政府が予定している入場料を上回るという現象を昨年の末に来たしたようなわけでございまして、自然にわれわれは、大衆映画を本質的に保持する上において良質な映画をこしらえる。それには金もかかる。したがって、入場料もある程度上がる。しかし、その入場料の上がることは必ずし本税金とは全然関連のないということをこの際に私どもは申し上げておきたいと、こう思っております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大衆の側からすれば、税金が安いに起したことはないわけなんですけれども、しかし、私は政府の低物価政策なるものについて非常に問題があると思うのです。最近諸物価が上がってきて家計を圧迫してきているのは、映画館料金が高いからといったよりも、むしろもっと大きなところに問題があるのですね。今ここでそういう議論をする場所じゃございませんから申し上げませんが、政府のいわゆる倍増政策によって、銀行からどんど金を貸して設備投資がほとんど行き過ぎたというところに、非常に大きな根本的な原因があると思うのですが、それにしても、政府の三月の二十七日の間接税減税による物価引き下げに関する措置要綱によって、入場税引き下げ分入場料引き下げに充当せよ、こういう行政指導をやっているわけなんですが、この点は私も映画に関してはもう少し弾力的に考えていいのじゃないかと思うのです。  それから、もう一つ伺いたいのは、今まで入場譲与税であったのですが、ことしから今度は国税に変えられるわけです。その結果、税務行政地方税等について変わったことが出てくるかどうか。それから、今度は国税通則法が実施されまして、物品税が今度は申告納税になるわけです。申告になるわけです。そういう影響等についてお伺いしたい。
  12. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 物品税が申告納税となるのと私のほうの入場税と、今お答えをするにはちょっとわかりにくいのでございますが、移譲になって今度国税になるということにつきましては、われわれは全然わからないんです。言いかえますと、先ほど申し上げましたとおり、これが戦後二十割の税金をかけられた、そうして幾多の折衝を経て今日ようよう一割に相なったわけでありますが、その間税金のいわゆる興行税から今日の入場税に至たります間の名称の変化、名称は変化しても、実質は少しも変わらないと私は思う。興行税であろうと観覧税であろうと入場税であろうと、いわゆる徴税技術のテクニックの名称にすぎない、こういうふうに私は思っております。地方税の問題につきましても、いわゆる各大衆の、地方から取るんだからというようなお話地方税になったり、また国税にもどってみたり、われわれはそういう技術に支配されて動いておりますが、われわれは命ずるままに動いて、どちらが妥当であるかということは、不幸にして法律的知識もなし、われわれはそれに従っているのでありますが、それだけにもう少し明確な考えになっていただきたいと思うのであります。  特に私はこの機会に、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、フランス、イタリアにおきましては、その税収をもって映画推進、文化的推進を助成するために還元するようになっております。国税となる以上はそこまで一歩進んでいただいて、それで映画が、今日世界においてこの日本の映画がいかに重要視されているか、また影響力が多いか、単に国民生活に影響が多いばかりでなく、国としての一つの力、誇り、文化として世界に推進し得るという映画を、あくまでも国家がなぜそれを助成しないかということに対して、私はむしろ疑問を持っておるものでございます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 間接税につきましては、特に税務行政入場税徴税に非常に力を注がれているので、私さっきこの国税通則法の制定によって物品税が申告納税になる、その影響について伺ったのですが、実はこういうことを聞いているのです。現在大工場の物品税の立ち会い検査を取りやめにして、そうしてその余った精力を映画館の検査に向けて、そうして土曜、日曜の立ち会いを全般的に実施していく、そうして映画館の入場人員とか座席数に対する入場割合、いわゆる動員率、あるいは売り上げに対するフィルム等の経費割合、いわゆる歩合調査といわれているそうです。そういうところに重点が置かれる。これは推計課税の前提になることじゃないかといわれたんですね。そうしますと、そういう歩合調査ができるようになると、非常にその後、その統計的な結果が出ると、それによって推計的に入場税をかけていくので、今度人件費が非常に省かれる。そういうような徴税上の変化が来るやにわれわれは聞いているわけです。推計課税推進されるということになるのですね。そういう点、どうお考えか。
  14. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 推定課税と申しますけれども、現在においては大体において税務当局が各切符に判を押して、認めております。したがって、それが使用されない場合においては税務当局にそれを納めて、そして計算をしておりますので、現実は推定というより、推定の根拠になりますかわかりませんが、現実はもうぴしぴしと計算しているわけで、むしろそれが不正にやっていはしないかというところの監督がしばしば行なわれておる、こういうようになっております。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その不正をやっていはしないかという調査やなんか、いわゆる通告処分ですね、国税犯則取締法によると、脱税しているのじゃないかという立場からの検査、そういうことなんでしょう。
  16. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) つまり、いろいろと、要するに半分はお持ち下さいというのはよくありまするが、あれなどはたらい回しといいまして、それをお客から取っておいて、切るやつを切らないで、そのまま片方で売るというようなことが一部に行なわれる。そういうようなものを特に厳格にわれわれも自主的に規制しておりますけれども、そういうものの注意が、当局からしばしば注意を喚起されていることはございます。それ以上——厳格にいって、大蔵省のいわゆる計算は比較的、そういう切符に裏判を押すということにおいて、比較的正確に立証されていると私は思っております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あなたなどは通則法というのを御承知ですね。国税通則法というのは今度新しく制定されるわけです。税務行政について総合的な規制をする法律が、新しく今度できるのです。今までの各税法に別々に規定されていたものを集約総合して、国税通則法という新しい法律が国会に提出されているのですが、これは業界においては非常に大きな問題にしているようなんです。ことに中小企業についての、それについての何か御関心があるかどう)。
  18. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) だいぶ専門的になりまして、少し返事があやしくなって恐縮でございまするが、われわれの方はそういう、かりに申告しなければならないとかその他の規制がございましても、これは何らいとうことなく実行できる、こういうふうに思っております。また、法律がどういうふうになって現われるかということを不幸にしてまだ十分調査しておりませんので、明確な返事が申し上げられないことをおわびしておきます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 石川さんは、今度物品税の申告制の問題と、それから国税通則法の関係、多分御関心あるのじゃないかと思いますが、この点について伺っておきたい。
  20. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) 私どもは、国税を多く負担することは非常な誇りと、かつ責任を持っているような感じを持っておりますので、いろいろな手続、手間等いろいろ加わりましても、いかようにでもいたしたい、さように思っております。
  21. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちょっと城戸さんにお尋ねしたいと思うのですが、今度減税になった半分を会社のほうにほしい、その理由として、それでいい作品を作るようにしていきたい、こういうふうな御意見だったと思うのですが、ずっと前に一度減税になったことがあるのですね。私はそのとき、岡野さんが地方自治大臣かなんかやっていたときに、岡野さんに話して、減税のほうを努力してもらいたいという話して、そのとき少し下がったのですが、ところが、そのときは、その減税になった面が普通の一般の観客に少しも潤わなくて、それが全部会社の収入になってしまったように私は記憶しているのです。それで、そのときに、私は、何だ、これはいかれてしまったなあという感じが実はしたわけなんです。それじゃ、それが会社の製作面に使われ、従業員に対してそれが使われておるというと、決してそうではなくて、その後別に作品上すばらしい作品が生まれたようにも思いませんし、依然として前と変わらなかったように思うのですよ。それで、今度減税になった場合に、そういうことが実際に形になって現われるのか、前と同じような状態がまた今度続くんではないだろうか、そういう懸念が実は私にあるのです。だから、そういう点から申しますならば、私は、減税の半分を会社がほしいんだというようなことじゃなしに、減税されたものはすべて大衆に還元するんだ、それだけ入場料を安くするんだ。それから、あなた先ほど言っていらっしゃいましたが、減税だけにたよるのじゃなしに、やはりいい作品を作って、そうしてお客さんをたくさん呼ぶということで、会社の内容をよくしていかなければならないというような御意見だったと思うのですが、それがいわゆる本筋で、減税の分の半分をもらうことによってどうのこうのというのは、何だかあぶなかしい感じがするのですが、そういう点どうですか。
  22. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 前のことは必ずしもそういうように御解釈願われては困るのですが、そういうように見えたかもわかりません、事実。けれども、現実問題といたしまして、映画界現状というものは、斜陽といい——これは斜陽というのはわれわれとしてはいくじのない話でございますが、現実問題としては、あらゆる例、特にテレビの攻勢というようなところから、いわゆる転落一歩手前に行っているということは、少し御調査願えればすぐわかることなのでございます。  それから、先ほど申し上げました、いわゆる常設館の、あるところは冷暖房の設備が非常にいい、もう内部もよくする、片方はもう便所のにおいまでするというような格差のある常設館がある。あらゆる点においてアブノーマルな変態な乱れた興行をいたしておるのでございます。こういうようなところから、映画のいわゆる配給収入というものは非常に乱れまして、いわゆる製作者のほうに戻るという金が非常に少ない。ごらんになりますとわかりまするが、一会社に対していわゆる映画製作が、配給量の三倍、つまり三カ月分、八億程度、八億から十億に至るところのものがいわゆる未収入勘定で建てられている。これを追及いたしましても、なかなか容易にこれが取れないというようなことから、結局これは貸し倒れになる危険さえありまして、そういうようなところから、映画製作者が非常に困っておる。これはまた、とりもなおさず常設館のほうでも困っているというような現状なんでございますこれはるる前々から、今度の陳情、悪税撤廃に関しても、われわれはそういうことに対して十分に言っておりますし、たとえば興行場の施設に対しても、われわれは少なくも改造費に四十三億の金が必要なんだということを前々から言っているのです。それから冷暖房——冷暖房もその中に入りますが、それから従業員の給与改善に対して十億を要する。そういうようにいたしまして、結局大体において四十三億の金が必要だということを、るるこの陳情に対して半前に申し上げているようなわけであります。  そういうようなところから、われわれは半分と申し上げておるのでありますが、半分を是が非でも取らなければならぬということのみを主張するということがはたして妥当かどうか。われわれは、それはそれとしておいて、大衆に一応還元しておいて、われわれの努力によってより以上お客を呼ぼうじゃないかというところに今行きつつあるのです。その点をひとつお黒み願いたいことと、先ほど申し上げましたとおり、安くすれば来るではないか、安くすれば売れるのじゃないか、この論理は必ずしも映画にはちょっと合わないのです。安いから来るというのではなくて、安いなら三本立、四本立にして、入場料を安くするとかお客が来るかというと、必ずしも来ません。設備をよくしたければなりませんし、良質の写真を必要とするということで必ずしも一般物価と質を同じくしておりませんので、その程度が非常にむずかしいのであります、  それから、ちょっと今のお話で、まるまる半分をわれわれ会社が取るようにお考えのようですが、そうでなく、やはり興行者に四分の一参ります。約五千の興行者に四分の一。製作をやっているメイジャー級が約五社、それに対してプロダクション級のものが三十社、こういうものに残りの半分が行く。大体そういうようにわれわれは解釈しておったのでございます。しかし、大蔵当局としては、あくまでもこれはまるまる一〇〇%大衆に還元しろという切なる御要望に基づきまして、われわれとしましては、公共性のあるいろいろな電気、あるいは電車、運輸というようなものが一方に上がることを許容されるのではないかということを見ながら、われわれは政府の低物価政策に全面的に協力するという立場に立ち至ったわけであります。したがって、常設館前に、こういうように下げましたよ、入場料を下げたについて、こういうような料金にしたのは、これだけ税金が下がったためですよということを、今以後常設館前に公示しようということにいたしておるのであります。そうすれば、自然われわれ良心にもやましくないというところをそこで表示いたしたい。それでないと、まるでほっかぶりでもうけているのではないか、ちっとも実行しやしないじゃないかという非難を、十分に説明できるような方法をとっていこう、こういうふうになっとります。
  23. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 入場税というのは、これは従来入場する観客が負担しておった税金でしょう。会社が負担した税金じゃないですね。興行者負担しておった入場税ではなくて、入るお客さんの負担によってこれが払われておっただろうと思うのです。それならば、入場税減税するということになれば、その減税は一〇〇%入場するこれまで払っておった人に還元するのが、私はほんとうじゃないかと思う。会社の経理とか、そういうことは別のもので考えるべきことじゃないだろうかと私は考えるのです。  そこで、こういう疑惑が持たれるのです。半分とにかく興行者、会社にこれが還元されるというと、自民党は要するに、減税々々と言いながら、その半分は会社の経営者や興行者にやるんだ、そしてまた選挙ともなれば曲行者からリべ−トを取るんだ——事実であるかどうか知りませんよ、そういうことすらも疑惑を持たれるのですよ。だから、半分興行者やそういう人が取るというようなこういうやり方はまずいのではないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、どうですか。
  24. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 非常に大衆を重点に置いて十分御理解のあるお話で、恐縮なんですが、私のほうといたしましては、半分をあくまでも取るということの主張でおりましたけれども、現在の段階においては一応それを撤回している形にしております。それをお間違いなく。低物価政策に全面的に協力いたしますということを言っておるのでありまして、収入を増大せしめるというのは別側の形において考えよう。先ほどるる申し上げたとおり、その方向にわれわれの態度は変えましたそれをひとつお含み願いたい。  それから、解釈といたしましては、先ほどお述べのように、なるほど入場税大衆の払うものを代行して興行者がやるのだと。そのとおりでございます。しかし、発端からいたしますと、大体興行税というものは、こういう税金が何十年前から、約三十年くらいですか前から起こったのは、興行税というものから出ておる。興行税というものは、割合に政府財源として大きな財源であったわけです、地方税たる国税たるにかかわらず。そこで、政府当局関心はいよいよ深くなって、そして興行税ということの名称の妥当なりやいなやということは、当時批判されたこともございまするので、それが自然に観覧税という名称に置きかえられた。そうして今日の入場税という名前に置きかえられたというわけでございまして、私は、名称の変化はございまするが、それは興行税から出発をして変化をしたものと、私ら一部の人は解釈しておるわけでございます。しかし、入場税という名称を課せられたる限りにおいて、大衆の入場に、大衆にかわって税金を取るという御趣旨の今のお話に対しては、私は全面的に賛成でございます。反対をいたしません。ただし、そうでございまするから、私は政府の今度の低物価政策に対しては全面的に協力しており、そうして大衆にいわゆる還元するということについて、もうちゅうちょなくそれを実行しようということを、数次の会議の結果決定して、その意のあるところを政府当局に申し上げた次第であります。
  25. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今、外国映画、日本の映画、両方伺いたいのですが、上映された場合ですね、その入場料の配分率ですが、私たち聞いておると、アメリカの映画をやると、とにかく入場料の五〇%ないし六〇%がアメリカへ行ってしまうのだというようなことが言われておるのですが、そういう点で日本の映画の場合、外国映画の場合、ちょっと伺っておきたいと思うのです。その比率ですね。
  26. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 大作は大体六〇%、アメリカ、外国映画は。それから、普通は五〇%ないし五五%、それから邦画は五〇%ないし四〇%ということになっております。それは一本の場合でございます。それから、たとえば二本が出るという場合におきましては、そのパーセントを二本に割るわけであります。言いかえますると、日本の映画がかりに三本出たとする、そうすると、五〇%取る。四〇%ないし五〇%取る。それをさらに配分いたしますから、一つ映画が二五%ないし二〇%取る。外国映画の六〇%も、ややそういうようなやり方でやっております。
  27. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、外国映画と日本映画とやっておる場合は、やはりそういう比率で分けるのですか。
  28. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 外国映画と併映している場合は、そういう場合は一つの力の問題になっています。それから、邦画の場合でも、必ずしも二分の一というように決定されるものでなくて、こっちのほうが大作であり、こっちのほうが添え物であるという場合においては、大作のほうが何%というふうに、そのつどその比率が改訂されます。
  29. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 城戸さんは長年この業界に携わっていらっして、文化的な面にも御理解の深い方だと思うのですが、この税金とは直接関係のない問題かもわかりませんが、ちょっと伺っておきたいのですが、今、映画テレビの青少年に与える影響という問題が非常にやかましくなってきておるわけです。ところが、私たちの聞くところによると、外国映画といっても、アメリカの映画が非常にたくさん日本に入ってきておる。そうして、その中には要するにギャング映画、西部の格闘映画、またエロ映画というものも相当入ってきているように聞いているのですが、このアメリカ映画の、こういう映画の日本の青少年に与えている影響について、城戸さんはどういう見解をお持ちか、伺っておきます。
  30. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) これは業界代表というよりは、やや個人的な意見が加味されると思いますが、よろしゅうございましょうか……。私自身としては、映画社会影響の大きいことを痛感しているだけに、その内容、それから表現の方式という問題については、非常に今後改訂を要し、もっといわゆる大衆に良心的なものを出すべきだと私は思っております。この日本におけるところのインテリ階級、若い層、あるいは批評家というものは、不幸にして欧米の映画をかなり高く評価する傾向がございます。したがって、西部劇のようなもの、ギャングのようなものもある程度高く買う。それからイタリア、フランスのごときは、御承知のとおり、ヌードだとかエロティックなのが非常に多いのであります。日本の人たちが見ると、われわれの風俗の、いかに進歩的になった風俗観をもってしても、了承しがたいものが平気で出るという現状に対して、われわれは苦々しく思っているのであります。しかし、現在におけるわれわれの自主的映画倫理規定によりまして強度にそれを抑圧するというところに、非常な困難を生じているように感ずるのであります。それが今度日本の映画に及ぼす影響というようなことでもって、ややもすると一本の映画よりももっとひどい欧米の映画であっても、日本の映画はそれより微弱であるにもかかわらず、大きく大衆、若い青少年に影響しているということは、これはいなむべからざる事実だと思うのであります。これは単に映画ばかりでなく、テレビ自体においてもこれを言うことができる。子供の、いわゆる銃器、銃、鉄砲、ピストルだとかを持つ興味というようなことは、明らかにテレビ映画影響があるというように感じまして、われわれれとしてはそれに対する反省もし、運動も起こしたいという考え方をもっております。それをちょっと念のために申し上げておきます。
  31. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 やはり私も城戸さんにお伺いしておきたいと思いますが、へ、度の減税趣旨は、われわれの考えているところでは、やはり大衆負担軽減するという趣旨で間接税全般にわたって減税をしよう、こういう方向で改正案が出ているというふうに考えているわけです。この酒税のほう、それから物品税のほうは、先ほどのお話で、大体減税分大衆負担軽減に回す、こういうお話だったわけですところが、映画のほうはそのようでもあり、そうでもないようであり、ちょっとはっきりしない、こういうふうに受け取ったのですが、やはり須藤右のお話もあったように、税金というのは会社が負担をしているのじゃなしに、見る者、使う者が負担をしているのですからね、その減税によって当然その大衆負担が軽くなる、こういう結果でなければ減税する価値は私はないと思います。そういう意味で、やはりこの点をはっきりおっしゃっていただきたいのが第一点。減税分はその分だけ軽減するんだということを、やはりはっきりおっしゃっていただかないと、先ほどの答弁ではどうもはっきりしないような感じなんですが、それが一点です。  それら、第二点としては、私も、映画の人場について税金を取るのがいいか思いか、私はむしろ全廃したほうがいい、こういう意見を持っているのですけれども、一挙に今の状況ではできないと思うのです。かりにわれわれがそういう修正案を出しても、ここで通るという見込みはない、こういうふうに思っております。そこで、ちょっとお伺いしたいのは、今度の改正で百円までは一〇%、百円をこえるものについては二〇%。その百円というものを基準にして税率をきめているわけですね。これは御承知だろうと思いますが。
  32. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 今の、先ほどの委員の方からも御質問あったので、るる申し上げたことでまだ御納得いきませんか。
  33. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると一応減税……。
  34. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) いわゆるあれですね、税金の苦しいことをるる申し上げているのです。要するに、それを御納得いただきたい。これは将来の案件としても、それを申し上げているのが主でありまして、今日においては全面的に低物価政策協力して、そしてそれを大衆に還元することにやぶさかでないということを申し上げているわけです。  それから、今の百円ということですが、それは全部今まで七十五円以下は一割でございまして、今度は一律一体全部一割ということに相なっておりますから。
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それじゃ、まあ大体減税分大衆負掛の軽減ということでわれわれ了解していいですか。
  36. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) ええ、どうぞ。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ただ、私も若干映画の動向について資料で調査したわけですが、減税とかそういうことでなしに、最近の映画入場料というものは若干上がってきておりますね。これは上がるべき理由があったのだろうと思う、当然。私はそのことについてとやかく言う考えはないが、そういう観点からやはり将来の問題として、この際は減税分はそれだけすっかり差っ引くのだ、しかし映画が持っているいろいろの問題を解決するために、将来においていろいろ検討されるということであれば、私は別個の問題だと思う。特に諸外国に比べても、映画入場料というものは非常に安いと私は見ておりますそれから、外国映画も相当入ってきている。そういう外国映画と競争するためにも、日本の映画が質の向上をはからなければならぬという問題も私はあると思います。そういう点から、先ほど、経営が非常に苦しくなってくるというふうな点もあわせ考えて、それは十分検討されるべき問題があるので、私はあなたの立場に否定的じゃないです。同情はしますけれども、しかし今度の減税についてははっきりしておいてもらわぬと、われわれこれから法案審議するについて、やはり相当問題点が起こってくるのじゃないかということを危惧するわけです。
  38. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) ありがとうございました。そういうふうにひとつ皆さんから御理解を願いたいと思うのであります。ただ、ちょっと参考に申し上げますと、一時十億をこした一年間の入場者が、十億になり、さらに九億になり、去年は大体八億強というようになって、本年度は大体八億を割るのじゃないか、こういうようにわれわれは考えております。アメリカのテレビ映画との争いといいますか、競争からいきまして、それをかりにわれわれ参考にいたしましても、われわれは七億でどうしてもとめたい。七億から回復して、少なくとも八億から九億の間にこれをとめたい。それには、単にテレビに対する泣き言を言うだけでなく、内容等あらゆる点におきまして研究いたしまして、映画の本質をよくして、そうして大衆に呼びかけて、もっと大衆を引くというよりほかにないというように考えているのでありまして、そういうことが着々実現いたすようになりますれば、先ほどの入場税の問題も、実に楽に解決できると思うのであります。  なお、現在におきまして、地方のテレビ局がどんどん開局しております、これが今、映画に非常に大きな影響を及ぼしつつある。ことに地方というのは、御承知のとおり、冬は雪だとかいろいろのことがございますし、しかも常設館と各住居との間に非常に距離がございますので、非常に骨が折れるところへ、テレビというようないわゆる簡単な娯楽機関ができましたので、これは都内におけるところの影響以上に、比率的には大きな影響を現在及ぼしつつあります。そういうようなことで今年度は、映画界としては非常な多難時代に逢着しつつあるという現状でございます。
  39. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 やはり今お話しのような傾向にあるということは、映画だけでなしに、演劇、演芸等についてもそういう傾向が出てきております。ですから、この際、私の考えとしては、やはり入場税映画、演劇、そういうものについては廃止すべきだと、そうしてやはり健全な経営ができるようにすべきだという考えを持っておりますが、やはりテレビの実現によって今後、諸外国の例を見ても、相当映画の入場者の数は減ってきておりますがね。これは一般的な傾向として、今後そういうことが続くのではないか。しかし、映画の持っておる意義というのは、大衆娯楽としても非常に大きい。で、須藤委員も言われたように、やはり質の向上と改善に努力をしていく一面、入場税を廃止するというふうな考え方で進んでいただくということであれば、われわれも協力したいというふうな考え方を持っております。
  40. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 御趣旨まことにありがとうございます。皆さんの御趣旨は十分にわかります。映画産業の団体の会合に際しまして。パンフレットなりあるいはその他の方法をもって、十分その御趣旨の伝達に努めることをこの際申し上げておきます。
  41. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 城戸さんにお伺いしたいのですが、今、荒木委員が大体そういうふうに了承していいかということですが、これはさっき須藤委員が、自民党が半分リベートを云々というような邪推的な御発言があったのですが、これは自民党としても、大衆に還元をするということがやはり自民党の建前なんです。したがって、大蔵省が強く言うことは、これは当然のことだと実は思うのですよ。ただし、映画大衆に及ぼす非常な影響というものは、これはもう国民全部承知しておりますから、これが健全な運営、発達ができるようにということは、これはひとしく念願をしておるわけなんです。ですから、さっきのお言葉の中に、何か良識により云々というお言葉があったのですが、それは一体どういうことなんでございますか。
  42. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) これは、われわれの含みとしましては、都会におけるいわゆる大会社と申しますか、五社——東宝、松竹、大映、東映、日活、こういうようなものの経営をしておりまするところの常設館は、一斉に全額下げる、大衆に還元する、こういうように考えております。それで、地方に行きまして現実にごらんになるとわかるのでございますが、地方の常設館で、もう経営というよりはほとんど破産一歩手前税金さえ未納で追っかけられているというようなところも、時たまございます。そういうようなものははたしてどうだろうかということにおいて、しかしそれは令部というのでなくて、少なくも最低半分という程度に勧告して、そうしてなるべくそれを高度に大衆に還元するようにしようじゃないかという考え方がございますので、それでちょっとこういうものを書いておりますので、これは、大きなところは全然これとは関係ございません。
  43. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこがちょっと割り切れぬ感じが、実はするわけなんです、そうすると、減税をしようという意図が、地方へ行くというと、それが薄れてくるわけですな。そうするというと、やはり政府減税というものの趣旨が徹底をしないので、これはいいかげんなものじゃないかというような不信の感を持つと思うのです。そこで、先ほどあなたがおっしゃったように、映画産業を健全に発達をさせ、安定した産業に発達させるためには、今までの主張はこれを捨てて、政府の政策に協力をするということに変わって参りました。そこで、安定した産業に発達するためには別途にこれを考える、こういう仰せでありますが、減税減税ではっきりさせて、別途の方針は別途の方針で明らかにお立てになったほうがいいのじゃないか、こういうふうに思われますが、あなたのお考えの別途の方針というのはどういうことなんですか。
  44. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 今お話しのとおり、いわゆるそれと別個に考えていく、そうしてその推進をはかるというように考えております。ですから、良識ということの意味は、非常にばく然として、それがトンネルじゃないかというようにお考えになるのはもっともだと思いまして、そういうことにつきましては十分に戒心させまして、その御趣旨を実行するように、私のほうは責任を持ちます、
  45. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 城戸さんに質問が集中して恐縮なんですが、まとめて一点お尋ねしたいのですが、大製作社としての五社ですね、五辻の直轄館というものは全国にどのくらいあるかということと、それから直轄以外のものがどのくらいあるかということ、それからいま一つ、直轄についての問題はないと思うのですが、直轄以外、あなた方が製作品を売って地方の興行主によって上映されておる映画料金であなた方のほうが受け取るべきもの、五社が受け取るべきもの、これが最近、昨年の統計が出ておられればけっこうなんですが、あるいはもっと前でもいいのですが、それはどのくらい未納、未回収になるか、その問題と、それからいま一つ入場料の問題、たとえば場末に行って三本立なんというて五十円くらいで見せているところがありますが、入場料の一体限界というものはどういう点に置いておられるか。価格はいろいろあると思うのですよ。宗教映画のような大きなものになると、ばかに高いものもあるし、そういうようなものは、各五社なり直輸入商との関係で、何か協定価格というようなものは、そうい5協定価格はどういうところを参考にしてやられておるのか、その点ひとつまとめてお尋ねしたい。
  46. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 五社の直営館と大体みなされるいわゆる設備完全な常設館でございますが、それは大体において二百五十と御了承願えればよろしいと思います。しかし、五社以外に、相当会社、たとえば大阪の東宝系統のほうにOS劇場というのがあります。そういうようなものを加えますると、各地方のいろいろの大きな有力な株式会社の、一つでなくて、二つ、三つと持っている常設館を加えますと、大体において千に近いものがあると思います。それから、常設館の数は大体五千をこえます、しかし、漸次減少しつつあります。  それから、未収入金の問題でございますが、未収入金の問題は、写真の良否によって非常な差ができますので、その会社々々によって相当違いがございます。しかし、大体において、五社だけを例にあげますと、これは非常にラフ・エスチメートでございますが、二十億ないし二十五億程度の未収入があるというふうに私は感じております。  それから、入場料の問題でございまするが、この入場料の問題というものは、お互いの間にほとんど申し合わせがございません。また、申し合わせすることが独禁法に違反するということであって、できないようになっておりますけれども、しかし、封切だとかロードショウというようなもの、それから一番館、つまり封切の次のところというものの料金は、大体において言わず語らずにその写真の質によって二百円を前後するということが大体においてきまっておる。地方のほうに行きますと、大体三本立、ひどいのになると四本立になります。そういう写真代がいわゆるフィルムを送る費用にも当たらないというような、それじゃ初めから損するのじゃないかというようなことをお考えになるかもわかりませんが、現実に損であります。しかし、どうせ倉にあるのでございまするから、その間に絶えず流しておいてお客とのつながりをつけておけば、いい写真のときに料金が取れるというようなところから、ある程度の今は損を承知の上で送っております。したがって、三本立、四本立というような地方の常設館のごときは、五十円に満たないというようなものが非常に多いのでございます。結局、まず料金が取れるというものは十大都市、せいぜい譲歩いたしまして十五大都市という程度に御承知願って、あとはぐっと下がるのでありまして、収入の上においては非常に少ないのであります。したがって、収入の大部分を占めるのは十大都市ないし十五大都市からあがるということをもってこれになる。したがって、人口の稠密したる所において入場料が高く、またわれわれの回収率が比較的可能であるという、こういうふうに相なっております。
  47. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 ありがとうございます。  物品税問題について石川さんに総括的にお尋ねしたいのですが、今度の物品税改正は非常に広範にわたっておるのですが、これは内需の面において、こういうことによって非常な旺盛な活気が出てくるかどうかということ。それから、この改正によって、輸出の問題について相当これはプラスになっていくかどうか、こういうことについての御見解をひとつお伺いいたします。
  48. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) 内需につきましては、私ども、現在の家庭生活に非常に広く食い入っているものでございますから、値段が下がることによって普及の階層が一段階下の階層まで普及するという点で、さらにふえるだろう。したがいまして、減税によるよりも販売増によって減税を十分カバーして余りあるというふうな情勢に至ることを期待しております。そういうふうなことは今度は多量生産の基でございますから、したがって、原価を下げ得るということが国際競争で輸出をふやす、あるいは貿易自由化による輸入を防遇する、そういうことで国際収支にも大いな貢献をさしたい、し得るものであるというふうに考えております。  特に、日本で今使われておるものは小型でございまして、これの国際マーケットというのは割合に少ないのであります。テレビにしろ、冷蔵庫にしろ、大きいものでないと国際マーケットというものに出られません。そういうものは漸次料金低減され、まだ一番上のほんとうの国際的なものは低減されていないのでございますが、そういうことによってわれわれは非常な国際飛躍ということに対しても夢を持って、希望を持っております。
  49. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから、この十月に九〇%の自由化という問題があるわけですが、この品目を見ますと、相当輸入し得る、また現在どんどん入っている物品もたくさんあるわけですね。それから特に、今年の秋の九〇%自由化という問題、こういうものに関連していかがでしょう、自由化との関連において。
  50. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) その点を私どもは陳情の際にもるる申したわけでありまして、一番こわいのは、そういう輸入の自由化外国品に圧倒されるということでございますが、まあ、現在の情勢ですと、電圧とかいろいろ各種の電気的性能の問題もございますので、直ちにどうということはございませんけれども一般のムードとして、輸入品のほうがいいというような気持もあるものでございますから、決して楽観できないのでございまして、今回の減税、さらに今後お願いする減税によって、多量に作って国際品と競争し得る原価に下げまして、十分われわれの電機業界が国際的に負けないようにということを固く念じております。
  51. 永末英一

    ○永末英一君 酒税法関係でちょっとお伺いしたいのですが、日本の酒の税金は高過ぎるとお考えになりませんい。
  52. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) 税金は私は高過ぎると思います。私、全部の酒のことについて十分にわかっておりませんが、石数が非常に多い清酒につきしまて申し上げますが、これは戦前の清酒の価格は大体並み酒が米三升で買えましたわけでございます。現在御審議をいただいておりまする減税を願いましても、四百五十円。そういう点がまだ農村密造が、役所が推定しておられます石数が八十万石といい、九十万石と申しておるわけでございまするが、これは昔からあったから仕方がないのだという考え方が昭和の三十何年になっても通用してはおかしいと思うのです。非常に生活水準が低かったり文化が低かったという当時におきましては、そういうことはやむを得ないという問題だったかもしれませんけれども、今日の時代において大蔵省が密造を何十万石ということを推定数量として発表しなければならぬということは、これはやはり税金が高過ぎるという点にあろうと考えます。私は、諸外国の酒税の話を伺いましても、日本の酒は高過ぎると、こう存じております。  ただ、今回の減税につきましても、もっと引き下げていただければ、大衆は非常に喜ぶわけでございまするけれども、一挙にそういうわけに参らないわけでございましょうし、一応われわれといたしましては、今回の政府原案を一応了承しておるわけでありますが、これはまたなるべく早い時期におきまして、さらに減税の御高配を賜わるということにしていただきたいという考え方から、了承いたしておりますわけでございます。以上であります。
  53. 永末英一

    ○永末英一君 このころ日本人の各種の酒に対する嗜好が非常に変化をして参って、いろいろな酒ができてくる。したがって、それを見込んで今度の酒税法も少し改正されたようですけれども、現在のようにアルコール含有量等を中心にしながらきめられている各種の税金税率、その税率について、液全体をごらんになった場合に、どっかが強くてどっかが弱い、こういうような問題はございませんか。
  54. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) これは非常に考え方によりましていろいろの考え方があろうと存ずるのでございまして、私、本日八団体代表として参っておりまするので、これにつきましての批判はお許しをいただきたいと存じます。
  55. 永末英一

    ○永末英一君 酒、酒税法の対象がいわゆるアコールを含んでおる飲料ということになっておるので、そこに書かれてある名称をはずして同様のものを造る。実際に人々が飲料に使ったり、あるいはそういうものを調味料として売り出しているために、名前を少し変えてまた調味料が出ておるということで、たとえば酒税法ではおおい切れないような問題が出ておるように思うのです。そういう点で、そういう八団体代表立場から考えられて、その酒税法を少しずつ、両面のはずし方があるわけですが、アルコールをはずしてやったり、名前を変えてやったり、あるいは同様の名前を使いながらアルコールがなかったり、そういうような問題について、もっとこの酒税法を包括的に変える必要がある。改正はされましたが、まだ十分カバーされていないと思いますが、そういう点についての御意見はございませんか。
  56. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) 今の御質問でございますが、たとえばアルコールがないのに同一の名前を使うといったようなことは、これは酒税法によってアルコール一度以上がないものは酒とみなしておらぬわけです。したがいまして、アルコールのないというものは酒税法の対象外のものでございまするが、そういうものが酒税法に基づく名称を使うということは、これは非常に課税酒等と混同いたすものでございまして、酒税法によって定められております以上は、そういうことは政府として放任しては相ならぬというふうに考えます。  それから、アルコール度数によってということは、これは非常にむずかしいのです。たとえばビールはアルコールが非常に低いのであります。しょうちゅうはアルコールが高いわけです。高い含有率を持っておりますしょうちゅうが大衆飲料でありますから、これはやはり安くしなければならぬという問題があるわけでありまして、一がいにアルコールだけでこれをきめるということはできないと思います。結局、売れるものから高く税を取るという考え方にどうしてもなるわけでございましょうけれども大衆酒はその比率以上にやはり下げていただかなければ、飲みたいものが飲めないという点がございますので、大衆酒につきましては今後も特段の御配慮をたまわりたい、かように存じておりますが、御質問のお答えに当たっておらないかもしれませんが、御了承をいただきたいと思います。
  57. 永末英一

    ○永末英一君 物品税考え方について、石川辰雄参考人に伺いたいのですが、物品税が大体できました経緯は、戦争というような非常に窮迫した状態のときに品物を買うような者は担税力があるだろうというようなことが大体の起こりだったと思うのです。今は平和時代になっておるのに、大衆生活の、日常使うような物品までまだやはりこの物品税の対象になっておるということを見たときに、なぜそんなピンからキリまで物品税考えながら大衆が暮らさなければならないか、またその物品を作るほうが、その免税の最低限と見合いながら物を作っておるというやり方が、全体として続いていっていいかどうかということについての考え方を伺いたい。
  58. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) その点につきましては、私どもるる陳情いたします場合に同様の趣旨を述べております。文化が発達しますと、従来ぜいたく品と思われたものが家庭ではなくてはならないものになる。たとえば洗たく機等も、近ごろのほんとうの二人の結婚用具にも非常に必要とする、そういうことによって家庭の主婦の生活文化が向上する。いろいろ社会的に有意義なものであるのでありますが、従来からの考え方の連続で税率がきまっているというような点もありますので、今後とも、私どもはそういう点について陳情もし減税をはかっていただきたい。その税が高いから悪いものを作るという因果関係は、私どもとして意識的にはいたしておりません。できるだけ設計の頭を使いまして、日本では材料が高くて比較的工賃が安いのですが、高い材料を少なく使って、どうして安く広い層に広めるかということについて腐心しておるわけでありまして、今後ともできるだけいい品物を作って皆さんに使っていただいて、家底生活を幸福にいたしていただきたい、さように存じております。
  59. 永末英一

    ○永末英一君 今物品税の対象になっておりますいろいろな品目の中で、完全に大衆化され、全然ぜいたく品とか、あるいはまた特別にそれを購入することによって担税力があるとみなされないような物品がたくさんあると思うのですね。そういうものを業界としては積極的に取り上げて、これをやはり物品税廃止の方向に持っていくという運動をやられるかまえはございますか。
  60. 石川辰雄

    参考人石川辰雄君) われわれはその覚悟でおりまして、今後ともそれを続けたいと思います。冒頭にもそれをお願いした次第であります。たとえばテレビのごときも非常にぜいたく品のごとく思われた時代があるのでございますが、現在の購入する層を見ますと、非常にもう月収の低い層まで月賦等の形でいっております。これはやはり大衆の最も望む、まあリクリエーションの対象であろうと思います。われわれはそういう、常にどういう収入の需要層がどういうものを買っているかの詳細な調査をしておりますが、その大衆という面からも、十分に今後ともお願いいたしたいと思っております。
  61. 市川房枝

    ○市川房枝君 お酒のほうの石川さんに伺いたいのですが、今度まあ酒税が幾分減税になりますけれども、私のところへは減税反対してくれという陳情があるのです。それで、これはまあ禁酒団体といいますか、そういう団体なんでありますけれども、陳情まで来なくても、家庭の主婦の中では酒の税金が安くなって、幾らかでも酒が安くなれば、それだけ消費が上がるから、家庭としては困るというふうな声もあるのでございますけれども、安くなることによって消費量はもちろんふえるとお考えでしょうが、どのくらいふえるとお考えでしょうか。
  62. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) 今回の税制改正で、たとえば清酒につきましては級別を整理をいたしております。また、税率引き下げの率も酒類の種類によりましてまちまちでございます。したがいまして、今後の減税によってどれだけ売れるであろうかという見通しにつきましては、だいぶ事情が違っておりますので、簡単に出て参らないのでございますが、本年度の役所のお見込みでは相当に多く見込んでおられるようであります。先般役所のほうから外部に発表された現行法の場合と改正法の場合におきます伸びを、酒類全体といたしまして六・五%に見ておられるようでありますが、これはまあなかなか取らぬタヌキでございまして、むずかしい数字であります。私どもはこれだけの数字は伸びないであろうと、こういうふうな感じを持っておるわけであります。ですが、伸びることは私は事実であろうと思います。しかし、今御指摘がございましたような飲み過ぎて困るだろうというような御心配というよりも、むしろ飲みたくて飲めなかったと、そういう人たちが減税の恩恵によって飲むことができる、これは大きな一つの政治でございましょうし、それがまた同時に税収にもつながってくるということになるであろうと思います。なぜならば、大きな所得のあられる方でありますれば、今日の安い酒というものはそう大きな負担ではございませんが、やはり農村等におきましては酒というものは貴重物資でございますし、なかなか飲みたくても飲めないというのが現状でございますが、これによって消費が伸びるであろうと考えます。  なおまた、主婦のほうの御心配ということでございまするが、これは旦那様方のお心がけ次第でございまするのと、もう一つは、やはり酒の飲み方とか、あるいは飲む場所とか、そういったようなことが、だんだんと近ごろ女性の方々も召し上がる方もできたようなわけでありますので、たとえば御家庭で召し上がるといったような場合におきましては、そうよけいに飲み過ぎるというようなこともないのではなかろうか。で、私どもたとえば清酒だけで調べてみましても、一体家庭で飲まれるのと、料亭あるいは食堂とか外で飲まれるのと、どのくらいの率であろうかというふうに考えますと、家庭で大体七〇%程度が飲まれておるわけであります。案外外で飲まれているようなふうに都会人生活をしていらっしゃる方はお考えでございまするが、を見ました場合におきましては、家庭で飲まれる数量というものは非常に多いのであります。したがいまして、私はそういう御心配はあまりないのではないだろうか、こういうふうに存じておりまする次第でございます。
  63. 市川房枝

    ○市川房枝君 今度の減税の問題とは、これは直接関係はないのですが、今までも酒を飲み過ぎていわゆるアルコール中毒になるような人といいますか、そして本人自身もそのためにずいぶん苦しい思いをし、それから家族の人もそのためにずいぶん困っておる人たちが相当数あるのでございますが、そういうのに対して、今まで国は全然考慮していなかった。そういう病的な人たちに対しても、何らそれを治療するような施設を考えていなかったわけですが、まあ昨年から酔っぱらい規制法ができまして、幾らかその問題を取り上げられたのですが、飲み過ぎて、そしてそういう生じておる弊害といいますか、そういうものについて、皆様方の組合といいますかではあまり問題になんかなることはございませんか。
  64. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) 問題にはなりませんでございますけれども、私も、飲み過ぎるとか、飲んだあとの何と申しまするか、エチケットと申しまするか、そういったものが、まことに諸外国にはあまりないというふうなことを言われるのでありまするが、と申して、外国の人よりも、むしろ低濃度の酒を飲んでおるはずなんであります。これはやはり私は一つは教育の問題でございましょうし、自覚の足りないというそういう問題でございまして、ひとり酒の責めにのみ残すべきものでない、こういうふうに私は考えておるのでございますが、だんだんとよくなるのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  65. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ酒のほうの組合としては、それを売って、それでもうけるということが主であるかもしれませんが、日本の政府大蔵省のほうは、これで税金を取り立てて収入に充てるわけですから、なるべくたくさん飲ますほうがいいので、それから生ずる弊害のことなんかは全然考えていない。それは厚生省の役割だというふうに大蔵大臣は言っておりましたが、私ども立場からいいますと、やっぱり組合も少なくとも酒を飲むエチケットと申しますかなんかのことも、ただ飲ませるというだけでなく、それをやはり取り上げてほしいと思うのですよ。  それから、組合としてだいぶ政治献金をなさっているように私拝見しているのですが、そういう酒から生じた弊害の治療、これは国が今度二千万円だけ出して初めてすることにはなったのですけれども、民間なんかでそういうような施設をするような気配もなくもないんですけれども、そういう場合に対して、やはり酒商組合なんかは考えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  66. 石川弥八郎

    参考人石川弥八郎君) これは新しい課題でございまして、もちろん、私どもは、酒を飲んでもらうにいたしましても、その害が起こるというようなことがございましたならば、それは当然われわれとしても防止すべきものではないかと考えますが、そういう施設とかについて、どういうふうに考えられるかと仰せになるわけでございますが、実は私ども、きょうは造るほうと売るほうの団体代表で参っております関係がございまして、はっきりしたお答えを申し上げることはできませんけれども、先生のただいまの御意見につきましては、十分ほかの団体にも伝えまして、研究してもらうようにいたしたいと思います。
  67. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これはちょっと城戸さんに、本日の課題とは若干はずれておりますけれども、団十郎の襲名ですね、まあこれは週刊誌が伝えていることですから、デマゴーグかと思いますけれども、六千万円かかるとか一億かかるとかいうことがいわれております。ほんとうかどうかという点、非常に疑問に思っておるのです。そういうことに対して、御所見を伺えればと思います。
  68. 城戸四郎

    参考人城戸四郎君) 私は今、やや演劇のほうはちょっとはずれている形になっておりますので、映画のほうを主体として、特に松竹自体につきましても、取締役相談役というまことに不思議な名称のもとに存在しておりますので、ここに今の御質問に明確に答えられませんことを遺憾といたしますが、大体において演劇界は、非常にこの費用が、いわゆるわれわれのいう座払いと申しますか、そういう演劇人に対する費用が、逐次急激に増加しつつあるということを申し上げられると思うのであります。  いろいろ演劇人によって高下がございますが、映画は世界的の問題ですが、映画の俳優の特殊な者の待遇は比較的いいのでありまして、この生活態度に対しては、私は少し自省を要望しておるのであります。現在の社会情勢からも少し省みざる生活行動があるように考えておりまして遺憾にたえないので、われわれ業者としても、これに対して十分の注意をしなければならぬと思うのですが、映画に比較しまして演劇のほうの収入が少ないというような観点から、自然演劇に関係する人間は、常に増額を要望してやまないのです。しかも、映画の場合においては、大衆を相手にしまして、百万ないし三百万のお客を相手にいたしますので、原価コストによりますと比較的楽なのでありますが、片方は二十五日間でいやでもおうでもペイしなければならないというような関係、しかも補助いすというものはわずかに大目で見てもらえるという立場、しかもまた、一方、会社といたしましては、いわゆる株主優待というようなことから、現実の収入に対しまして株主招待券というものが何%か出る。実質の収入というものは、大体において七割くらいと御承知願えればいいと思うのです。そういうようなところから大体割り出しまして、自然入場料というものがそこに出てきて、漸次高額になるという傾向がございます。したがって、今度の団十郎の場合におきましても、団十郎のいわゆるファンのほうにいろいろごきげんを伺うというような意味で、その出費というものは予想外に大きいのでございます。しかし、それをやらないと、われわれとしてはできないのだということになりますると、自然それをも大目に見なければならないというようなことで、八千万円のなんのということはございませんが、しかし相当の金額であるということだけは申し上げられると思うのです。ただ、こういうものがはたして現下において許されるかどうか。若い人たちが、比較的歌舞伎その他に関心がだんだん薄らいでいくというような現状に照らしまして、世界的に演劇がペイしているということはないのでございます。オペラ、演劇というものは、世界じゅうペイしていないのです。しかも、そのペイしていない演劇を、やはり企業者である松竹が、これを続行するには、どうしたらいいか。半面には、それに対する収入の増大を要求する演劇人その他の人たちがいるというようなことをかれこれ勘案いたしまして、二部制に……。しかも、二部制は過酷なりというようないろいろな問題で、これを打開するには容易なことじゃないと私は思うのであります。しかし、それは大勢、時勢というものを勘案いたしまして、漸次いろいろの案が考えられている。ある程度のものが発見されると私は思っております。その程度っきり、ちょっと御返事できかねると思います。御了解願います。
  69. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 参考人方々におかれましては、御多用中長時間にわたって本委員会に御出席下さいまして、ありがとうございました。委員会代表して厚く御礼を申し上げます。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩    ————・————    午後一時四十五分開会
  70. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を再開いたします。  まず、外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律案を議題とし、提案理由説明を聴取することにいたします。堀本大蔵政務次官
  71. 堀本宜実

    政府委員(堀本宜実君) ただいま議題となりました、外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税の非課税に関する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。  政府は、最近における国際運輸業の実情にかんがみ、外国企業の国際運輸業にかかる所得に対する相互主義による非課税の制度を整備することを必要と認め、そのため、外国船舶の所得税等免除に関する法律の全部を改正することとし、ここに、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案について、その概要を申し上げます。  第一に、従来は、外国企業の国際運輸業にかかる所得のうち、船舶の運航から生ずる所得についてのみ相互主義により免税を認めておりましたが、今後は、航空機の運航から生ずる所得についても、船舶の場合と同様に、所得税、法人税等所得課税標準とする租税を課さないことができることといたしております。  第二に、船舶の運航から生ずる所得につきましては、従来、相手国に船籍のある船舶にかかる所得について免税することとしておりましたが、今後は、船籍のいかんを問わず、相手国にある企業が運航する船舶にかかる所得について非課税とすることができることといたしております。  第三に、地方税についてでありますが、従来は、事業税についてのみ規定を置き、住民税については、国税の免除に応じて免除されていたのでありますが、今回の改正におきまして、事業税のほか、道府県民税及び市町村民税をも含めて相互主義により非課税とすることができることを明らかにいたしております。  以上、この法律案につきまして提案理由とその概要を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  72. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 引き続き、補足説明を聴取することにいたします。吉国総務課長
  73. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) ただいま提案理由を申し上げました法律につきまして、簡単に補足説明を申し上げます。  御承知のとおり、現在一国の企業が他国に支店等を持っておりまして事業いたしますと、課税は、本店の所在の国におきましては、その法人の全所得について課税をいたします。それから、支店のあります国におきましては、その国の中に発生した所得については源泉地課税として課税をいたします。その関係で、国際二重課税が生じて参ります。これを調整いたしますために、各国で相互間に二重課税廃止の条約を逐次作って参っておるわけであります。  ところが、船舶の所得あるいは航空機の所得につきましては、原則として各国にわたった活動をいたす。  そのために、各国のそれぞれの国の源泉の所得が幾らかという計算をするのに非常に困難でございまして、従来から外国船舶の所得についての課税というものは非常に各国まちまちで困っていたわけであります。そういう意味におきまして、従来からこの国際的な課税が一番起こりやすい船舶につきましては、それだけについて二重課税を防止する意味で、原則として船籍地主義、あるいはその法人の居住地において課税をする、その他の国はたとい船がそこに寄港して運航いたしましても課税をしない、源泉地国は課税をやめてしまいまして、本店所在地の国だけで課税をするというやり方のほうに前から進んできておったわけであります。その意味におきまして、大正十三年に、わが国におきましても、外国船舶ノ所得税又ハ所得二対スル法人税及営業税免除二関スル件という単独法を出しまして、相互主義で、相手国が日本の国の船籍の船舶に対して免除をする限りは、日本におきましても、相手国の船籍の船舶の所得についてはこちらでは課税をしないという相互主義の法律を作って参りました。具体的な実行につきましては、お互いに交換公文を取りかわしまして、自分のほうはあなたの国の国籍の船には課税をいたしませんということを明らかにいたしますと、そのつどこれを省令で規定いたしまして、相互免除をやって参ったのであります。こう法律は現在も生きておりまして、この法律によりまして、現在九カ国との間に相互免除が行なわれております。  ところが、この法律は大正士三年の法律でございますので、その後手は入っておりません。そのために、航空機の相互免除が入っていないわけであります。航空機については、最近非常な発達を遂げて、船舶以上にこの二重課税の問題はめんどうなことになってきておりますので、各国は航空機を加えておる現状でございます。その意味で、今回この古い法律を全文改正いたしまして、船舶並びに航空機の所得、これを一括いたしまして、国際運輸業に関する所得といたしまして、従来どおり相互主義により免税をいたしていこうという趣旨の法律にいたしたわけでございます。  さらに、従来の法律では船籍主義をとっておりまして、相手国に船籍のある船だけ免除するということにいたしておりました。ところが、たとえば日本とアメリカの間で相互免除をいたしました場合に、アメリカの企業がアメリカ船籍の船だけじゃなくてカナダ船籍の船等を雇って運航をいたしました場合に、そのカナダ船籍の船は免除しないということになりますと、その船の所得についてだけ特別に計算しなければならないのであります。そうすると、計算をお互いに簡略化しようという趣旨が没却されてくるのであります。そこで、最近の傾向といたしましては、船籍主義から離れまして企業主義に変わってきております。そこで使われておる船はどこの船籍であっても、これは一括して負けるという方向に変わっております。そういう趣旨で、今回第二点といたしまして、船籍主義を改めて企業主義、企業が運航させている船の船籍がどこであろうとも免税をするという趣旨にいたしたわけであります。  第三点といたしましては、お配りいたしました法案の第二条でございますが、従来は、大正十三年の法律におきましては所得税、法人税及び営業税ということになっておりました。いずれも国税の形をとっていたわけであります。戦後事業税が営業税にかわりまして地方税になりましたから、これを一部改正して事業税という形に直しましたけれども、住民税等につきましては、御承知のとおり、課税標準が所得税あるいは法人税と一致しておりました関係で特に規定を設けておりませんでしたが、住民税が所得税と分かれて参りました関係で、住民税だけについて現在の法律では免除ができない形になります。そういう関係で、今回第二条に地方税についても相互主義免税ができるということを、事業税及び道府県民税、市町村民税についても同様に相互主義による免除ができる旨を規定したわけでございます。これが第二条の地方税に関する分でございます。  なお、ただいま申し上げましたうちで船籍主義でやっておりました国の中で、アメリカとノルウェーの場合は、これはほかの七九国は企業体と船籍を両方縛っておりましたが、アメリカとノルウェーの間の交換公文におきましては、アメリカ船籍の船は免除する、こうなっておりまして、今度は逆にカナダの会社がアメリカ船籍の船を使って国際運輸業をやった場合にそれも日本で免除するとい形になります。これを今度企業主義に改めますとアメリカとノルウェーの関係で従来の規定よりも狭くなっておる。アメリカの企業体でなければ負けられないことになりますから、カナダの船会社がアメリカ船籍のものを使って運航した場合には、その所得については従来ならば免税になったにかかわらず、今回の法律では逆に免税にならない。こういう国際的な取りきめが国内法で変わるのは適当でございませんので、附則の第二項におきまして、従前の法律で免除になっていたものはこの法律施行後も従前の例による。そのうちに、二国間で協定をいたしまして、従来の申し合わせを、交換公文の内容を企業体主義に改めれば、そのときから新法にのるということにいたしたわけでございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。
  74. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本法律案に対する質疑は後日に譲ります。
  75. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、入場税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本法案につきましては衆議院大蔵委員会において修正が加えられましたので、先例に従い、便宜政府当局から修正点について御説明を願うことにいたします。
  76. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 衆議院におきまして修正になりました点は二点ございます。その一つは、今度政府提案にかかります入場税免税点に関する問題でございます。現行法では一般的には免税点の規定がございません。常設館以外の臨時開催の場合に二十円、それから学校の先生が生徒を引率する場合には三十円、こうありますのを、今度の政府提案では、それを全部一律三十円にする、こういう提案をいたしたわけであります。しかるところ、衆議院で、教師が生徒を連れて行く場合の免税点、これはやはり特段の免税点を設けるべきであるということになりまして、与野党一致の修正意見が出まして、そういう場合に限っては五十円とするという修正が一つ行なわれたわけでございます。それが修正の第一点であります。  それから、第二点は、今度の入場税減税の実施時期に関する問題であります。政府提案では、従来の入場税減税と同様に五月一日から減税をいたすということにしてございます。これは、入場税につきましては前売券の問題がありまして、一月ぐらい前から大体前売券を発行いたしているわけでございます。したがいまして、四月一日から減税をしようとするならば、二月末ごろまでに国会を通過いたしませんと、前売券については減税が有効に行なわれないということのために、従前とも、ほかの税と違いまして、改正法の実施は四月ではあるけれども、その減税部分は一月だけアローアンスを置きまして五月にいたしておったわけであります。政府提案も今度は在来の例にならいまして五月にいたしまておったわけでございますが、これまた衆議院におきまして、ほかの税金と同じように四月から減税すべきである。消費者の利益をはかる減税なんだから、物品税、酒税と変わるのはおかしい。なるほど手数の関係はある。あとで払い戻すという関係もあるであろけれども、それだけの手数は忍んでもやるべきである。すでに高い税金入場税を徴収したものについては、その主催者がお客に払い戻した場合において政府あとでその新旧税額の差額を払い戻せばいいじゃないか。なお、この問題は従来入場税減税に伴って減税額をまるまる入場料引き下げに充てるかどうかという点が問題になっておりましたが、興行界のほうで全面的に減税分だけ百パーセント引き下げますというようなことを申し入れてきた経緯もありまして、あえて政府並びに主催者の手数があるとしても、これはほかの税金と同じように四月から減税を行なうべきである。その場合に高い税金で徴収したものについてはこれは政府において払い戻すべきである、こういう趣旨の修正が行なわれたのであります。  第一点の改正点は本文における改正点でございます。第二点の改正点は附則に関する改正点でございます。以上修正点につきまして、二点御説明申し上げました。
  77. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 質疑のある方は御発言願います。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 資料要求をいたします。各所得階層別による納税者数ですね、過去五カ年間の統計にして出してもらいたいと思います。
  79. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 承知いたしました。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 けさほど松竹の域戸さんが参考人として見えまして、それでいろいろ述べられた中に、今主税局長が言ったように、減税分は全部入場料金を下げるというほうに使うというような割り切った答弁がなかったように思うのですがね。要するに半分、二分の一ほしいというような意見もあったと思うのですが、そういうことは絶対に起こり得ないのかどうか。
  81. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは、かねて減税部分だけは百パーセント引き下げろという世論の声がございまして、大蔵大臣から興行界のほうに申し入れた経緯がございます。その後、興行界のほうがわれわれのほうに書面を提出いたしまして、それによりますと、今度の税の引き下げには全面的に協力するということでございます。ですから、われわれといたしましては、業界も少なくともその方向で最善の努力を尽くすということを信じておりますし、また今まで聞いたところでは、そういうことになっておるのであります。ただ、何分にも、これはちょうど価格問題と同じ問題でございまして、いなかのどんな小さい館までも必ず下げるということができるかどうかという問題になりますと、これは価格問題でございますが、われわれは従来の経緯並びに興行界の今までのお話から見て、ほとんど全面的に下がることになるであろうというふうに期待しているわけでございます。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あるいは表面、入場税というものは館の負担じゃなしに入る人の負担なんでしょう。だから、入場税軽減すれば、払う人の負担が少なくなるというのが建前だと思うのですよ。だから、断然そうあるべきだと思うのですが、しかし入場税が下がったのを機会に、今度は入場料金を上げるというようなことが反射的に起こる可能性があるのではないですか。それに対する措置は何かとられるのですか、どうですか。
  83. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 法律的には別に措置を講じておりません。今までのお話では、ざっくばらんの話、こういうことを申しておりました。われわれは六大都市その他大きな都市で興行界の統制のきくところは全面的に下げさせる、これはお約束できます、しかし、いなかのところでわれわれの統制の及ばないところもあるので、その辺まで百パーセント下げるかという保証をお前するかといっても、それはなかなかむずかしゅうございますということでございますので、われわれは、少なくとも従来は、これらの代表されている方々が、半分は下げるが、半分は製作費の向上なり、あるいは館のほうのサービスの改善の費用に充てたいということを言っておられたことから見ますと、まさに百八十度の転回をしたわけでございまして、その辺にわれわれ業界の熱意並びに考え方を見ているわけでございまして、おそらくお言葉のとおり協力もいただき、あるいは下がることであろうというふうに信じているわけでございます。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まことに済みませんがね、ちょっと今用件ができて呼びに参りましたので、質問半ばにして済みませんが、ちょっと……
  85. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ちょっと、速記をとめて。   〔速記中止〕
  86. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) それじゃ、速記つけて。
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 入場税について、私、若干質問しておきたいと思うのですが、入場税で一番大きいのはやっぱり映画。ところが、最近映画の入場人員が減少しているというか、やっぱり減少してきておりますわね。これはテレビ影響によるのじゃないかと一応考えられるわけですが、こういう傾向は今後どういうふうに推移していくか、そういう点の見通しについて大蔵省としてはどういう見通しを持っているか、ひとつ説明してもらいたいと思います。
  88. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) お話のように、入場税の人員は年々少しずつ減ってきております。このところを見ますと、平均で約八%ぐらいずつ人員が減っているようでございます。これがテレビの普及とどういう関係があるということはっとに指摘されておりまして、われわれも諸外国の例でテレビが普及した場合に入場人員がだんだん減っていく、この傾向を見ております。ところが、最近それについて1将来の見通しという問題でございますので、なかなかむずかしゅうございますが、アメリカでは、テレビが非常に普及していく過程ではずっと減っておりますが、最近テレビの普及状況がある限界まで来たように見受けられるわけでございます。その段階まで来ますと、入場人員もあんまり減っていないという統計が出ております。日本の場合はテレビの普及は、一年間十二月末でとって見ますと、ほぼこの二年くらい、倍、倍で伸びております。去年の三十六年の十二月で九再万台にも上ってしまったということでございまして、その辺を見ますと、テレビ影響から来るものですね、これももちろんこの先も相当、ある程度は影響を受けると思いますが、今までよりは影響は少ないのではなかろうか。  これはテレビが今後どこまで伸びるかという問題が一つあると思います。それからもう一つは、一方映画製作本数にもかなり関係があるやに聞いておるわけでございまして、日本における映画製作本数はアメリカを凌駕しておるということを聞いておるわけであります。ということは、一本当たりの製作費というものが非常に少なくて、比較的安易なものを作らざるを得ないような状況にあるということだろうと思うのでございます。ですから、一方におきましてテレビの普及状況、他方におきまして映画製作の内容、あるいはそれを見る館の環境、こういったところの推移によって左右されることと思いますが、客観的に申しますと、なお少しは減るであろうけれども、今までほど減ることはないのじゃなかろうかというのがわれわれの観測でございます。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ここ数年間の映画の入場人員は、約十億、大体こういう線を維持してきている。三十五年から相当下がって九億八千万、大体二十四年に比べて一億ぐらい減ってきておる。三十六年度はどういう事情であるか私もよく知らないのですが、外国——アメリカでは、二分の一ぐらいに減っておりますね、映画の入場者の数が。そうすると、今主税局長のたいして減らぬというようなお話ですけれども、これがイギリス等も相当減っているということになると、やはり十億という数字は相当下回った数字に将来はなってくるんじゃないかというふうに一応考えられるんですが、どうですか。
  90. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 今までの日本の減り方でございますが、三十四年から三十七年、−三十七年は予測でございますが、三十四年で三千四百万人、それから三十五年で一億三百万人、それから二十六年で八千千万人、それから三十七年では八千五百万人のそれぞれ減少を見ております。割合で申しますと、三十四年では三%減、それから三十五年では九・五%減、三十六年では八・一%減、三十七年では九・四%減を見込んでおります。  現在、これは少し統計が古いところもございますが、日本で今一人でもって年間に何回映画を見ているかという国際比較がございます。それで見ますと、昭和二十五年が日本は八・七回一人当たり見ておりますが、三十五年の実績までわかりますが、一〇・八回でございます。これに対しまして、アメリカは同じ三十五年では二〇・七、これが三十四年までわかっておりますが、一二・工にてございます。ところが、一三十三年には一一・八回でございまして、三十三年対三十四年では、アメリカは回数がふえております。英国でございますが、英国は二十五年の二七・七回に対しまして、三十四年が一一・六回、それから西ドイツが、九・一回に対して三十四年では一二・二回、フランスが九・三回に対しまして三十四年、ちょうど十年後でございますが、八・二回というふうになっております。これで見ますと、アメリカではややとまった感じ、それからイギリスではなお入場人員が減りつつあるという過程、それから西ドイツ、それからフランスあたりでございますと、この辺はそれほど影響を、受けていない。これはテレビの普及度合いも日本よりは低うございますので、そういったところでございます。したがって、日本のテレビが今後どういうように行くかという問題にもかかりますが、すでに九百万台まで行っております。これがどこまで行くかわかりませんが、相当今まで急激に伸びて、絶対台数においてほとんど英国に近接しておるというような状況を見ますと、少なくとも今までよりは影響を受ける度合いが少ないのじゃないか、漸次アメリカ型に移っていくんじゃなかろうかというふうな観測をしておるわけでございます。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 きよう午前中、映画関係参考人にいろいろ話を聞いたんですが、最近映画会社の経営が相当苦しくなっておるとい5話でございますが、これはやはり入場人員が減少しているということと関係しているんじゃないかというふうに思います。将来どの程度これが減っていくかということは、もちろん的確に推測することはむずかしい問題であろうと思いますが、しかし漸次減っていく傾向は、これは否定できないと思うんです。大体年々、最近は一億近い。一億とか、あるいは荒千万とか、八千万とかいうように、非常に減少率が目立ってきておるわけです。そういうことが、映画製作を担当しておる部面では非常に経営が苦しくなってきているということの原因だろうと私は思うのです。  そこで、入場税の問題ですね、そういうふうな事情から見て、入場税をどういうふうに処理していったらいいのかという問題です。今度は税率を一〇%に引き下げるという措置をとられたわけです。これは私は非常な進歩であると思います。これによって入場料が安くなる、そうして結局は一般大衆の血担が軽くなるということで、非常にいいわけですが、しかし二面、さっきのような事情から、映画製作を担当している部面では非常に苦しいというふうな事情があるわけです。こういう問題をどういうふうに税との関係において考えたらいいかというわけです。イギリスはたしか昭和三十五年に映画入場税は廃止しておると思うんですが、これはどうでしょうか、廃止した理由等がわかっておりますれば、おっしゃっていただきたい。
  92. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) おっしゃるとおり、他国は三十五年から廃止しております。廃止した理由につきましては、やはりテレビに相当押されている、そのために廃止するに至ったというふうに聞いております。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、私も。日本の事情がやはりイギリスに似ておるんじゃないかというふうなことから、思い切って将来は入場税を廃止する方向に考えていくべきじゃないかというふうな考えを持っておるんですが、そういう点について政府部内の議論というのはどういうふうになっておりますか。
  94. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは今度の税制調査会でもずいぶん議論のあったところでございますが、将来の問題は、そのときどきの消費の状況なり、その消費間のバランスの問題がございますので、何とも申し上げられませんが、現段階では入場税については、他の消費税とのバランス上、やはり今度の政府提案いたしましたような一割程度の税負担はやむを得ない。で、今度の間接税で、大体酒とか、たばこ、あるいは揮発油、こういう特殊の財政目的を持っておるものは別でございますが、そうでないものについては、おおむね、製造段階で課する場合には税が二割程度、それから小売段階に課税する場合には一割程度の税負担が適当であろう、こういうふうな基本的な考えに基づいてやっておるわけでございます。そういう意味で、通行税、入場税、いずれも今度は全部一割にいたしたわけでございます。で、この程度の負担は、今の消費の状況ではやむを得ないんではないかというふうに考えておる次第でございます。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 映画のことは私は詳しく知らないんですがね、どうも粗製乱造というふうな感じがするんですがね。映画から受ける影響等も非常に大きい問題があると思うんですが、やはり映画の健全な発展をはかるというためには、相当政府としても力を用いるべきではないかと、こういうふうに思うんですがね。年々十億人からの人が見ている映画ですね。しかも、その影響というものは非常に大きい。そういう点から見て、やはりこの映画産業の健全な発展のために、税制面から考えた場合は、やはりこれは無税にしたほうがいいんじゃないかというふうに思うんですがね。
  96. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは二つの角度があると思うわけでございますが、入場税は基本的には入場者の負担考えているわけでございます。ただ、一方において、それが経営者の経営と関係があるという問題がありますので、これは決して無視するわけに参りませんが、基本的には、やはり消費者たる入場者の負担現状において幾らにするのが適当であるかという、消費税の考え方、でいくのではなかろうかと思っておるわけでございます。その点、先ほど申しましたのは、その趣旨で申し上げたわけでございます。  で、映画会社、映画館その他の営業成績、これが最近必ずしも思わしくないという点は、御指摘のとおりだと思います。ただ、映画製作会社にいたしましても、会社によってかなり差がございます。これはもう御案内のとおりだと思いますが、いいところと悪いところは相当差があるように見受けております。で、映画館でございますが、これは全国で現在八千館をこしておるわけでございますが、これが戦前のをとってみますと、千五百館ぐらいでございまして、ですから、この増加率が非常に多いわけでございまして、入場人員の増加率をはるかにこえておるというところにも一つ問題があるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、われわれは、これらの製作会社あるいは映画館の経営にも当然注目はして参りますが、現状のままで採算がとれない限り入場税は無理だという結論を直ちに下すのはいかがかというふうに考えておるわけでございます。  今度の改正案は、主としてその入場税の消費税たる性格にかんがみまして、消費者負担考え、若干経営面も考えてございますが、主として消費税の性質という点から、ほかとのバランスを考えまして、今まで三割、二割、一割とありました。しかも、三割の部分が最近では四割くらいになっておったのでございますが、これを全部一割にするということで提案申し上げておるわけでございます。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ入場税消費者負担ですからね、これは直接映画製作している関係者の立場を強化する直接の問題じゃないと思いますがね。けれども、やはりそれによって、いわゆる間接的ではあるけれども、これはやはり相当大きな影響があるのじゃないかと思うのですがね。まあそういう意味で、入場税は廃止すべきだというふうに私ども考えておるわけなんですが、最近の入場税の動向というようなものを見ると、昭和三十五年の四月からだんだん上がってきておりますがね。で、三十五年の四月には、これは税込み入場料金は八十四円七十一銭、ところが三十六年の八月には百二円三十三銭、この間わずかではありますが、だんだん上がってきている。で、こういう傾向、入場料の値上がり、こういう傾向は、今後も続くのじゃないかと思うのですがね。それと、今度の減税によって、入場料減税分だけはっきり下がるのかどうかという問題ですね。映画入場料は逐次上がってきておる。それで、ここで減税をする。その減税分だけ、一時はまあ引き下げられ石と思いますがね。しかし、将来にわたってそれがはっきりと減税分だけ入場料が下がっていくかというと、そういう傾向にはならぬのじゃないかと思うのですがね。どういうふうにお考えになっておりますか。
  98. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは実は価格問題でございまして、非常にむずかしい問題だと思います。で、われわれが今まで業界に接している範囲では、今度の減税分だけは減税の際にはっきり下げます、こう言っているわけでございます。で、将来の入場料金を上げるかどうかということは、上げない保証があるかどうかということになると、何とも申し上げられません。というのは、別に今、一ぺん下げておいて、あとで上げようとかなんかという問題よりも、やはり先ほど申しました映画製作の内容も変わっていくと思います。それから、やはりサービスの改善、見るときのサービスの改善というような問題もあると思います。ただ、一般的にいいますと、ただ、むやみやたらに上げるということは、今のやはりテレビ関係がございますので、ある意味で、おのずからこの競争場裏において限界があるのではないか。その辺はやはり消費者のふところ工合もこれはございますし、それからテレビとの関係もございますし、やはり競争条件がそれぞれ働いて参りますので、今度の減税はやはりそれでずっと据え置かれるかとおっしゃられますと、その保証はございませんが、少なくとも下げるほうの要素に今後にわたっても働くものというふうに考えておるわけでございます。  で、具体的に料金がどうなるかという問題は、これは価格問題でございますので、いい品物を作れば上がるということもございましょう。ただ、消費者がそれを望まなければ、悪いものでも一よいから安いほうがいいということになりますと、おそらく製作会社もそのほうに向かうだろうと思います。ですから、一般的に言えますことは、今度の減税は将来にわたっても入場料金引き下げる要素として有効に働くであろうということだけは言えるかと思います
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、四月から、この法案が成立すれば実施されるわけですね。その分だけ入場料が下げられる、引き下げる、これは私ははっきりとしておくべきだと思うのですね。大体業界の意向もそういう点にあるということで、私どもも了承をするわけですが、ただ、映画については、いろいろ事情を聞くと、やはり非常に経営が困難であるという事情は、将来やはり考慮されてくる。まあそこまで私どもは保証を求める考えはありません。それはまあ将来の問題としていろいろ起こってくるだろうと思うのですが、イタリアですか、あるいはフランスですか、そういうところでは、入場税を一部映画産業に還元をしてその育成をはかっているというような午前中の参考人お話があったんですがね。どういうふうにやっておるのか、私は聞かなかったんですがね。政府のほうでわかっておれば、伺いたい。
  100. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 今、手元に詳しい資料を持ち合わせがございませんが、これも政府の税制調査会の際に検討をいたしまして、その、たしかイタリーもそうかと思いますが、フランスは確かに補助金を出しております。これは相当輸出映画もございますし、また、いい映画を作るという文化目的もあろうかと思いますが、補助金を出しておったようでございます。この点に関連しまして、実は税制調査会でやはり業界の方をお招きして、そういう措置を望むかどうか、これは税の問題とは直接関係ないが、どうかというのでお尋ねしたことがございましたが、そのときの代表者の方は、国が干渉されることは補助金といえども困る、やがてそれは映画に対する干渉の濫鵬をなすおそれがあるので、われわれはそういう補助金は望まない、しかしむしろ減税のほうを望むのだというお答えがございました。参考までに申し上げておきます。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 午前中の参考人お話では、四月から減税する、その減税分だけは入場料を下げるのだという、張り紙を各映画館の前へ下げるというのですね。そういうことをする大蔵省のほうでは強く要請しているというのですね。なるほど、そうすれば国民にはそれはわかると思うのですよ。けれども、そこまでする必要があるかどうか。そこまでしなくたっていいじゃたか。大体そういう腹がまえでやっておればですよ、取り方によっては、これは政府の宣伝政策ですよ。政府でこんなに減税したんだからといって国民に示すために、宣伝の機会をそういうことで作っているんじゃないか。私はそういうふうに見ているんですがね。そこまでする必要がありますか。
  102. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) その辺はいろいろ考え方の違いが出てくるかと思いますが、今度は、入場税に限らず、酒税もそうでございますし、物品税もそうでございますが、消費者負担を下げるということでございます。その負担を下げる結果、自動的に値段も下がるであろうということをねらっておるわけでございます。この際、それが消費者の利益に確かに還元したということをはっきり消費者に知っていただく意味において、新旧の差の料金を掲げるということも必要なことではないかということでございます。われわれ減税案を公にしましてから、消費者から出てくる一番の御注文は、ほんとうに下がるのか、消費者のことを考えたというが、政府は一体どんな指導をやるのか、それが一番問題だ、中岡で業者の利益にたっては何にもならぬのだと、こういうことを言うわけでございます。税の筋から申しますれば、消費者税でございますから、まさにそうだと思いまして、まあそのような措置をとうてはっきりさしたほうがいいのじゃないか、こういう考えに基づいてやっているわけでございます。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 消費税ですから、一般大衆負担するんですから、それの減税分だけは当然入場料から引き下げられるという性質のものであるということは言うまでもないことですがね。これがいわゆる興業主のほうへ回るということは、私はよくないと思う。そればはっきりしたきゃならぬ。しかし、そこまでビラを作って宣伝するということは、どうもあまり感心せぬというふうに思うんですがね。政府は、今度は間接税についてだいぶ各方面にわたって減税していますが、今までこういうことをやったことないですね。どうも選挙前の宣伝じゃないかというふうに思うんですがね。これは考え方の違いだといえば、まあそれ以上答弁は要求しませんけれどもね。あまり行き過ぎたことはやらぬほうがいいのじゃないか、結論はそういうことです。
  104. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 別にわれわれは宣伝のつもりは少しもございませんし、また宣伝の必要もないことでございますので、先ほど申したような真意にほかなりません。と申しますのは、過去におきまして入場税減税が何回かございました。三十四年のときには、もし下げなければ半年間は旧税率を適帰するという附則を設けたわけでございます。まあこれが一番ドラスチックなやり方であったわけでありますが、今回はそれはとりませんでした。それ以前の減税の経緯を見ておりますと、一〇〇%下がるということはほとんどございませんで、五〇%ぐらいにとどまるという、減税の前後でですれ、そういうことが非常に多かった。なるほど将来いいものを作れば、それなりに減税とは別に値段が上がるであううし、あるいは映画館映画館のいす席をよくしたりあるいは環境をよくすれば、それだけ料金は上がるということはわかりますが、減税直後にそれだけよくなるわけはございませんので、われわれは、減税減税だ、料金の引上げがあるのならそれは消費者との取引の問題なんだ、それはそれとして出すべきであって、減税による利益は消費者にはっきり還元さしたということを過去の経緯から見て、ぜひはっきりさしてもらいたいということをかねがね要望しておったわけでございますが、先ほど冒頭に申しましたように、今度興行界のほうがそれぞれ決議をもって、全面的に協力し、それぞれその新旧の値段をはっきり掲げまして、減税額が幾ら行なわれたかということを入場者にはっきりさせるという自発的な決議があったわけでございます。で、われわれは、さっき言ったような趣旨から、こういう措置も必要なことであろうし、現在の段階ではまた妥当なことでなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 自発的という話でしたが、そうでないようですね。なかなか大蔵省もやかましいから、そうせざるを得ぬというような話ですがね。まあこういうことは、私はあまり行き過ぎのないように考えてもらいたいということを要望します。ただ、減税分については入場料引き下げるということははっきりする必要があるわけですね。ただ、今の映画界の実情から見て、やはり良質な映画製作する、そういうために将来いろいろ入場料等については検討されると思うが、そういうことまで私は拘束はすべきでないと思う。やはりいいものを作っていくというふうな方向に考えていかなきゃならぬというふうに思うんです。最近アメリカとか、ずいぶん映画が入ってきている。西部劇ですね、まあわれわれ見れば、どうも青少年に与える影響もよくないように思うんですがね。ああいうものがどんどん入ってきているというふうな状態ですから、映画の健全な発達には国としてもやはり相当注意しなければならぬというふうに考えるわけです。そういう点を一つ希望として申し上げて、私の質問を終わります。
  106. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 簡単にお尋ねしますが、今お話があったイタリーとかフランスですね、一部は還元をしておる。こういうような考え方はないのかどうか、答弁願います。ということは、さっきあなたからお話しの調査会で業者代表に来てもらったときに尋ねたら、補助金は要らぬということを言ったというんだが、そうすれば、どうもけさの城戸さんのお話でも、最初は半分半分というような携え方で折衝をしてきたけれども、それはやめた、こういうことなんですがね。どうもニュアンスが——広告を出して、きっぱり大衆の消費税だから大衆負担をかけぬという広告を出すという話だが、どうもその言葉といなかのほうの話との点を考えると、今の半分半分という思想が残っておるんじゃないかというような感じが実はしたんですよ。それで、そんならいっそのこと、今の話のように、半分は映画産業を安定化するためにそれを還元したほうがむしろいいんじゃないかというような感じを持ったんですがな。そこのところ、どうなんでしょう。
  107. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) われわれは、今度の減税は、現在の入場税負担が入場券の負担から見て重い、入場という行為と現行の負担を比べてみまして、現行の負担は車過ぎやせぬか、各国から見ましても、戦前から見ましても、いろんな点から見て重過ぎるというところで、下げておるわけでございます。で、今の映画製作会社等が苦しいとか、あるいはこれについて何らかの助成措置が必要であるかどうかという問題は、消費者負担とは直接関係がないことだろうと思うのでございまして、はたして補助金全体の政策から見て、映画産業というものを育てる必要があるのかどうか、現在の採算で合うのかどうかというようなことは、別途の観点で研究されるべきもので、税のほうからは無理じゃないか。  まあわれわれはそうして申し上げておるのは、とにかく将来値上げしないという保証はもちろんないと思います。また、今度減税したから将来値上げするなというようなことを言うのは、全くやぼなことだと思いますが、しかし、少なくとも今度の減税によって値上げの理由はないだろう、負担を下げたん、だから、そこは一ぺん下げておいてもらいたい。将来上げる必要があるなら、これは全然別個の観点で、それはそれとして上げる理由があるなら上げるべきではなかろうか。その場合政府は、映画産業全体を、文化的の見地、あるいは輸出産業の見地等から補助する必要があるかどうかは、また政府の別個の研究の問題ではなかろうか、こういうふうに考えまして、実はそれらの措置をからませないで、減税減税として取り扱ったような次第であります。
  108. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっき荒木さんとの質問を伺っておったんですが、今度の入場税、それからほかの減税も同じことですが、やはり一般の国民の側からいいますと、はっきり減税になったんだということを知りたいといいますか、そしてそれが自分たちに幾らかでも生活の足しになるかどうかということを確かめたいという気持があると思いますので、私はやっぱりこれは映画館ばかりじゃなく、お酒なんかだったら油屋の店頭に何用何日から何ぼ税金が下がって、そしてこれだけ安くなりましたということを、私やっぱり掲示させてほしい。そしてちょうど今参議院選挙の前ですからね、それは、自民党が、といいますか、政府が宣伝にそれを使おうとなさるということもあるかもしれないし、まあ反対党はそれは困るというようなお気持もあるかもしれませんが、その問題は別として、私やっぱりはっきりさせてほしい。そして今度は選挙前だから、今度だけでなく、今後やっぱり減税のときにいつもそういうふうにして国民にはっきり知らしてもらいたい、そういう感じを持つんです。  それから、今大谷さんとのお話映画産業を助成するかどうかという問題、これは私は別個の問題としてお考えいただいて、減税としてははっきりそういうようにしていただきたいということをお願いします。
  109. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいま市川先生がおっしゃったような趣旨政府も今度やりたいと、こう思っておるわけであります。
  110. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 関連して。ちょっと主税局長にお伺いしますが、これは行政指導でやりますか、それとも政令でやらせますか。
  111. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは行政指導でございます。
  112. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今度物品税法の改正等もありますけれども、酒税、入場税等すべて減税したものを全部そういうふうにやれと、こういうふうにやらせますか。
  113. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 原則として、全部そのことをはっきりさせる方向で、今行政指導をしております。
  114. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 どうも、お聞きしておりますと、入場税だけやらして、そうして入場税のほうの業界協力は得てあるように承っております。したがって、入場税だけ行なわれる。酒税のほうは、これは店頭に掲げられるかもしれない。ところが、物品税のほうも相当いろいろの減税があるのです。したがって、こういうものも減税分だけ安くならなければならない。全然税がなくなったものがある。そういうものが全部行なわれてこそ、実際の値下げにも一なりますし、それならいいと思う。そうでなければ、どうもおかしい。片方だけの片手落ちのものがあってもおかしいことになるし、また減税が、入場税のほうだけは入場料が安くなる。しかし、他の物品税のほうは一切値下げが行なわれなかったというのでは、おかしな話だと思いますので、その辺は間違いなくやりますか。
  115. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 実は業界協力を求めましておったのでございますが、これは酒のほうは、御承知のように非常に、そう申しても何ですが、従来から大蔵省の監督がよくきいているわけでございまして、これは全体的に掲示をいたしますということを早く言っておるわけでございます。続いて、物品税のほうも、主としてこれは通産省の所管でございますが、国税庁と通産省といろいろ協議いたしまして、各業界に呼びかけておりましたところ、ほとんど全部の業界が、いろいろ問題はあるけれども、この際全部引き下げ額を明示いたしますというところまでいって、入場税だけが残っておったわけでございます。入場税が実は、半分は何とか製作品の向上なり、あるいは環境の向上のほうに向けたい、こういうお話で、なかなか全面的に協力が得られなかったものですから、特に最近この興行界に対して強く御要望を申し上げたところ、今のような次第になったわけでございます。したがいまして、酒、物品税のほうはすでに早くから、今の入場税と同じ措置をとるということに業界のほうの御了承を得ております。着々その方向に向かって進んでおるわけでございます。
  116. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 僕は、だから、最初に政令でおやりになるのか、行政指導でおやりになるのか、そこがわからず、アンバランスになったら、 たいへんじゃないか。そうしますと、たとえば文鎮というのがある。これは文房具ですが、今まで二〇%であったわけです、これがゼロになる。そうしますと、文鎮は今まで二〇%であったものが税金がなくなりました。したがって、今五十円で売っておったものは、幾らか知りませんが、四十円なら四十円にしたということを張り出すのか、店頭に。どういうふうにしますか、具体的にいうと。
  117. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これはまあ、今までわれわれが知っている段階では、張り出すことになるようでございますが、これを一つ一つの物品についてやるかまではまだ確かめてございません。  それから、問題は、こういうことを聞いております。非常に雰細な、減税額が単位当たり数量でいうとまあ何円、五円に満たないという端数の問題が生じましたときには、これが非常に問題になってくるというようなわけでございまして、その場合は、たとえば同じような例でいいますと、化粧品のようなものでございましょう。これはおしろいから口紅、それからクリームと、こういうふうにずっとあれば、単独にクリームだけをとってみれば、おしろいだけをとってみれば、二円とか三円しか減税にならない。これを、それだけ下げろといっても取引に非常に影響があるので、そういう場合には口紅にまとめてやるとか、二円、二円、三円とあるやつを、どこかにまとめて減税の分をやるとか、そういう方法もなお今後研究してみたい。そうしないと、消費者のほうも端数がつくとかなり取引上不便になる。だから、減税のメリットだけは必ずやるけれども一つ一つの物品について一円とか二円とかやっていくかあるいはおしろいを買う人は口紅も買うだろう、そういう場合には、業界である化粧品に集中して総額その物品に割り当てて値下げをする、こういうような技術的な問題をどうするかというようなことを、今詰めておるような段階でございまして、個個の物品についてどうなるかということにつきましては、なお相当研究を要するのじゃないかと思いますが、業界の気がまえといたしましては全部明らかにした上で、全面的に引き下げるものは引き下げる、こういう基本的なかまえはすでに了承されておるわけでございます。
  118. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 市川さんの意見に賛成されるゆえんは、実際に消費者減税の恩典があるからこそ、ほんとうなら小売ですか、そういうところがほんとうに下がってくれたら、消費者に恩典があったら、市川さんやらないでいいことをおっしゃっておると思うのです。だから、それが心配だから、そういうことをおっしゃったと思う。だから、広告を出すのが主点じゃなくて、減税で物価が下がるというところに主点があるわけですから、そこを間違わないようにやってもらわないといけない。行政指導はそこにあるのだと。紙を張り出すところに主点があるのじゃないということと、もう一つは、必ずこういうものはしり抜けであって、一、二カ月はいいわけです。ところが、二、三カ月たつと、またもとどおりに戻っておるのが実情じゃないかと思いますから、私はそういうような点については十分配慮していただきたいと思います。これは希望ですが。
  119. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その場合に、一般的な物価の値上げの場合はどうなるのですか。一応は減税分だけで引いて安くしますね。しかし、それは価格を統制するのじゃないでしょう。ですから、需給関係によって値段に変動が出てくるわけです。変動を生ずるわけですね。そういう場合にはどうなるのでしょうかね。別に価格統制しておるわけじゃありませんから、それでずっと据置なわけじゃないのですね。まあそういう場合は、たとえば現時点では減税分だけが下がっても、今度は次の時点では全体に物価が上がった場合に上がるでしょう。そうなると、税率が下がりましたから、その分だけはまた下がるということもできますけれども、前よりは価格水準としては高くなりますね。そういう点はどうなんでしょうかね。
  120. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これはもう先生御案内のように、この消費税における税負担は、これは原価の構成要素の一つでございます。したがって、われわれはそれを下げる限りにおいて、その要素だけは下げてもらいたいということを言うわけでございまして、その他の原価構成要素を下げろということまではなかなか言い切れない問題でございまして、またそれが将来需給のまにまに原価構成要素がどうなってくるかというと、まあ安定することを望みますが、なかなか保証はつけがたい。しかし、物価に対しても、われわれは物価論より負担論でもってさいているわけですが、それで結果から見ますと、原価の構成要素の一部をさいていることになりますので、価格全体に対してプラスの影響がある。減税に対しては将来といえども、理論的には原価構成の一部をさいても、少なくともメリットがあるもんと私ども考えております。
  121. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは私ども認めます。確かに物価をその時点においては下げる効果が確かにあるわけですね。しかし、これは価格安定、物価安定という場合、それだけ見たんでは、あなたに申し上げてもこれは筋違いかとも思うのです、これは企画庁あたりに、総合的な官庁の人に質問しなければならぬと思うのですけれども、しかし、それにしても、いわゆるせっかく物価を引き下げるために、大蔵省としては間接税を下げることによってそういう物価安定の役割をしていただく。それが全体の総合的な政策が伴なわないと、効果がなくなっちゃうと思うのですよね。それば所得税の減税でも同じだと思うのですね。せっかく基礎控除なり、そういうものを引き上げても、また物価が上がってしまえば、その効果もないわけですね。ですから、大蔵省は、この減税考える場合に、全体の物価の問題について、やはりかなり大きな関心を持たれる必要があるのじゃないかと思うのですね。そういう点については、やはりかなり議調もされたのじゃないかと思うのですけれども、、どういうふうに取り扱っておられるかですね、特に今度の減税は非常にそういう点では、これだけからはどうも判断しにくいわけですよ、総合的に調べませんとね。そういう点はどういうふうにお考えになっておるか。
  122. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) まあわれわれの立場は税制上の問題として扱っておりますので、ただいまのようななかなか広範なところには思いも及ばない点も多々あるかと思います。ただ、物価と今の減税の問題、一般的に申しますと、われわれは物価が上がったなら上がったなりの実質所得考えております。したがって、単に名目所得だけ上がっておればそれは別に所得の増加とも何とも考えていないわけでございまして、過去に比べてどれだけ所得が上がって負担がどれだけになっているかということは絶えず戦前との比較におきましても、これはいつでもデフレーターを使って計算をしているわけでございまして、この実質所得のもとにこの負担が重過ぎるかどうか、その重過ぎる限度において事情の許す限り減税をやっているということでございます。したがって、物価の値上がりによる所得の増加のほうは別にしまして、物価の値上がりそのものはマイナスの要素でございましょう。それで減税の幅はどうかと、こういうふうにはなかなか比較はできませんので、われわれはいつも物価の価上がりのあった場合に、それを実質価値に還元して、その後の負担を見まして、どの程度の減税をするかという配慮だけは加えていくつもりでございます。
  123. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 物価との関係は、主として所得税の控除の問題と関連しましてね、どうも私は今度二万円程度の控除じゃ、消費者物価がかなり上がっておりますから、そういうように思うのですが、私は資料をひとつ出していただきたいと思うのですよ。それは年収五十万円の場合、それで夫婦、子供二人の場合ですね、その人の三十六年度の国税地方税がどれだけであるか。それで、かりに物価が一側上がったとしまして、今度五十五万円の人の場合、三十七年度、今度の税制改正による国税地方税がどうなるかですね、それでその負担率がどうなるかと、この資料を出していただけませんでしょうか。それによって私は、同じ所得を比較しても、減税になったかどうかということは比較しにくいと思うわけです、物価が上がっていますから。それにつれて所得もふえていますから。だから、一割物価が上がった場合に、かりに所得が一割ふえているとしますね、そうしたら、購買力は同じわけですよ。ところが、税金はそれだけふえてくると思うのですよ。だから、五十万円の場合と、五十五万円の場合を比較しないと、税負担がどうなったかということが比較できないのではないか、こう思うのですがね。そういう意味で、今申し上げた二つの場合ですね、これを資料として出していただきたいのですが。
  124. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 今の資料は、おそらく所得税と住民税のお話だろうと思います。これはさっそく作ります。  そこで、これは現行法がありますから、あるいは改正案がございまから、これは機械的に出て参ります。今、物価が幾ら上がったと見るかが非常に問題だろうと思うのでございます。政府でございますと、この前は、三十六年は五・四%とかの消費者物価の平均値上がりですね。それから今度の三十六対七でございますと、二・八とかのパ一センテージでございます。だから、それを二・八と考えるのか、あるいは一割と考えるかで、そこの読みがだいぶ……。機械的に出てきます、負担額は。それぞれ出て参るわけでございますが、読み違うと思いますが、先生のおっしゃったような資料はさっそく出たいと思っています。
  125. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 出していただく資料は、物価が幾ら伸びるかということについては、それはこちらで判断したいと思います。それはまた議調の分かれるところですからね。ですから、機械的に五十万円の場合、それからかりに一割としたら五十五万円の場合ですね、それからその中間あたり、それでけっこうです。
  126. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) それじゃ、今の五十万、五十五万、それからその間とか、もう一つ上のあたりですね、ずっと適当なところを置きまして、今のを適当に調整いたしまして提出いたしたいと思います。
  127. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三分散会    ————・————