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1962-03-08 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月八日(木曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————   出席者は左の通り。     委員長    棚橋 小虎君     理事            上林 忠次君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君     委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            木暮武太夫君            高橋  衞君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            山本 米治君            木村禧八郎君            野溝  勝君            原島 宏治君            大竹平八郎君            須藤 五郎君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵大臣官房長 佐藤 一郎君    日本専売公社監    理官      谷川  宏君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省銀行局長 大月  高君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    日本専売公社塩    脳部長     高橋 時男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○しょう脳専売法を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○保険業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、税関支署及び財務部出  張所の設置に関し承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○国民貯蓄組合法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開会いたます。  まず、お諮りいたします。  物品税法案酒税法等の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、三月十三日の本委員会において参考人から意見を聞くことといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の人選及び手続等につきましては、委員長及び理事は御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  5. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、しよう脳専売法廃止する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言を願います。
  6. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう他の委員諸君質疑を終わったようでありますが、私はこの前の委員会に欠席いたしておりましたので、きょう少し質問さしていただきたいと思います。  私は、しょう脳事業に対してはずぶのしろうとで何もわからないわけですが、今までの委員諸君質疑の中で、しよう脳生産する場合、生産工程、特に労働工程についてはあまり質疑もなかったように聞いております。また、提案理由説明にも、この点については詳しく説明されていなかったので、わからない点が多いと思いますので、そこで若干そういう点について質問したいと思います。  しょう脳またはしよう脳原油生産は、前近代的と思う、こういうふうに害われておりますが、この場合の前近代的とは、どういう実態をさしているのか、その点を伺いたい。
  7. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) しょう脳は、御承知のように、クスノキをこまかく切りまして、これを蒸留して冷却するという工程で、粗製しょう脳あるいはしょう脳原油が作られるわけでございますが、現在五百四の工場によって作られておりますが、年間生産高が一トン未満の工場二つ、それから一トンから三トンでの工場が四十、それからミトンから五トンまでの工場が百三十五、五トンから七トンまでの工場が百六十、以上で約七割を占めるわけでございまして、十一トン以上の工場は四十六、一割にも満たないわけでございます。また、その工場作業をしておる人員から見ますると、一工場一人、経営者一人でやっておりますのが1工場ございます。それから、二人から三人の工場が五十四、それから四人から五人の工場が二百三十一、それから六人から十人までの工場が二百六、十一人以上の工場はわずか十二でございます。  かように生産量が少なく、したがって就業員も少ないわけでございますが、物的の設備といたしましては、木を切る道具と、それから蒸留するかまというものを備えておる程度でございまして、現在の全工場平均設備現在高は約五十万程度と見られております。かように小規模な貧弱な設備しょう脳はできるわけでございますが、一方、百トン以上の規模を持った工場一つございますが、この工場におきましては、設備も、化学工業の粋とまでは参りませんけれども化学工業らしい形態を整えておりまするし、またしょう脳をとったあとクス木片の処理につきましても、それを化学的に利用するというようなことも考えられておるわけでございます。  一般には、クスノキから二%ないし三%のしょう脳分をとるわけでございますが、残りの九七、八%の木材は、多くはそのまま燃料として自分の工場で使われておる。ところが、これがパルプ用材としても相当利用価値があるわけでございます。そこで、しょう脳製法としては、パルプ製脳、これは脱脳チップパルプ原料に使用できるような操作をするわけでございます。あるいはまた、高周波製脳という方法もございます。これはクスノキの板の材料のまま高周波電気を通しまして、脳と油は冷却いたしましてこれを固める、そうして板材は角材として使用する、こういう近代的な方法があるわけでございますが、将来はこういうようなことも実情に即して研究を進め、また実用化することが考えられるわけでございます。もちろん、専売公社におきましては、こういうパルプ製脳あるいは高周波製脳研究を従来から十分やっておりましたけれども、何分これを現在の製脳業者をしてこういう新しい製法を使わせるという場合におきましては、相当資金も要りまするし、また経営自体のやり方も変えなければいけない。現状におきましては、なかなかそういうことができないわけでございますので、依然として大部分製脳工場が貧弱な設備零細企業として仕事を続けておるというのが現状でございます。
  8. 須藤五郎

    須藤五郎君 労務者は大体季節的労務者が多いのですか、どうですか。
  9. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 季節的労務者が多いわけでございまして、しょう脳製造業の実態を一般的に見ますると、百六十四日が実際の蒸留作業、それからあとの四十日ができました脳油を揚げる、あるいは原木を伐採してくる。で、一年間のうち二百日仕事に従事するというのが多いようでございます。中には、年間雇用契約の者も若干はあろうかと思いますが、大部分季節作業と考えてよろしいと思います。
  10. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは二百日といいますが、小さいことを聞くようですが、何月から何月くらいになるのですか。
  11. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) しょう脳は、その作業宙体関係からいっては、年間いつでもできるわけでございますが、しょう悩業者の約半分が兼業をしておりまして、兼業としては農業が非常に多いわけでございますが、農作業繁忙期におきましては、自然、しょう脳のほうの仕事が非常に少なくなると、こういう関係でございます。で、一般的に申しますと、秋の終わりころから冬にかけまして、生産量も上がってくるという工場が多いのが現状でございます。
  12. 須藤五郎

    須藤五郎君 従業員月収労働時間は、一体どのくらいなのか。労働基準法というものが守られておるのかどうか。
  13. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 労働基準法は守られているわけでございますが、賃金について見ますると、日雇い形態の者が多いようでございますが、中には月ぎめの者もございますけれども月ぎめの者につきましても、一日の賃金に直してみますと約四百円、これは三十五年四月から八月までの専売公社が全工場について調査しましたときの調査賃金で、ございますが、四百五円、その後の農林業賃金上昇率を考慮いたしますというと、最近の賃金は約四百五十円程度になるわけでございます。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 労働基準法が守られているとおっしゃいますが、労働時間はどれだけですか。
  15. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 多くの工場におきましては、夜間作業はその経営主がやっているような実情でございます。と申しますのは、多くの工場ではかまが一つしかないわけでございまので、蒸留期間中ときどき見回りをするという作業経営者がやっておる。従業員につきましては、それ以外の作業をやっております。  就業時間は何時間であるという点につきましては、大体は八時間程度と思いますけれども、全工場についてそれぞれ何時間かということは、今のところ正確な資料を持ち合わせてございません。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほどから伺っていると、一つ工場労働者の数がごく少数ですね。ごく少数で、おそらく労働組合もないと思うのですね。こういうのは全く前近代的なものですね。そこで、労働基準法が守られているとあなたおっしゃったが、守られている実態がつかめるのかどうか。守られているといってあなた断言するが、僕は守られていないと思うのです。守られているというなら、その実態を示さなければならないのですよ。示すことできますか。労働基準法が守られているという明らかな証拠が、ちゃんとあるのですか。
  17. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 私ども現実にそういう点の調査をしたわけでございませんけれどもしよう脳業農業そのほかの出先の仕事と競合する場合が非常に多うございまして、しょう脳業から他の産業にも相当年々人員が流出しているような状況でございますので、自然にほかの仕事との権衡におきまして、労働基準法をできるだけ守るという建前をとりませんと、しょう脳仕事もうまくいかない、こういうふうに考えられますので、一般的に申しまして、まあ守られているというふうに考えているわけでございます。
  18. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、あなた、政府当局として、守られていると思うという答弁をせざるを得ないと思うのですけれども、実際は守られていないのですよ。それを守らせるような保証も何もないわけです。こういう前近代的な企業の中で、わずか一つの会社に五人や六人おって、それも季節的労働者で、半農で、農業の片手間に来るというような労働者に、ちゃんとした基準法というものはとうてい及ばないと思う。実際はそうなんですよ。だから、聞くわけなんですが、実際は労働基準法も守られていないような状態だということが僕は現状だというふうに思うのです。そうでないとあなた言うなら、はっきりその証拠を示さなければならない。その証拠を示すことはできないと思う。そういう状態なんです、今日のしょう脳業界というものがね。  そこで、聞きますがね、専売公社がその粗製しょう脳、粗製しょう脳原油を収納する価格は、この参考文書によると、一キログラム当たり二百八十三円、これがしょう脳ですね。それから、原油のほうは一キログラム当たり百八十八円、こういうふうになっていると思うのですが、その平均生産費というものが幾らかということは示されていないわけです。それで、平均生産費と、平均生歳費の内談及びキログラム当たり荒利益をここで示してもらいたい。
  19. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) お答え申し上げます。三十四年度の実績による平均生産費は百六十七円二十五銭でございます。それから、三十五年度の実績による平均生費質は百八十七円でございます。で、この場合の企業利潤でございますが、脳と油を平均いたしまして、三十四年度は約二十円の企業収益が見られます。
  20. 須藤五郎

    須藤五郎君 その年産費の内訳はどういうふうになっていますか、小さいことを聞くようですが、ちょっと伺っておきたい。原木代幾ら労務費がどれだけだと、こういうのは出ていますか。
  21. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 三十四年度の実績の場合を申し上げますると、百六十七円二十五銭のうち、原木代が四十八円六十一銭でございます。それから、労務費は、自家労務、雇用労務合わせまして七十円八十銭になっております。
  22. 須藤五郎

    須藤五郎君 賃金は非常に低いのに、原価に占める原木代が高いわけですね、労賃と原木代と比べて。これは原木単位当たり製品歩どまりを上げる技術が低いこと、労務費が高くつくのも技術水準が低いことの表われだろうと思うんですが、荒利益も薄い。そのような基礎の上に、市況も収納価格も組み立てられておるんだろうと考えます。私たちは、日本に根強く残っておるところの前近代的な生産機構を打ち破っていくことを目標の主要なものと考えているわけなんですが、そのために、労働者民主的権利を高めること、最低賃金水準を大幅に引き上げ、経営者にいわゆる近代化を余儀なくさせることが根本的な問題だと思っておるわけです。ところが、専売公社戦前において、一方では植民地台湾で安い原木と無権利な原住民の低賃金に依存してしょう脳専売を大々的にやってきたわけです。他方国内社会底辺にある全く無権利な、無組織労働者の低賃金に依拠してしょう脳専売を長い間やってきたと思います。戦前しょう脳専売利益は、植民地経営国内賃金労働者二つの源泉の上に立っていたと考えなければならないと思うのですが、このような戦前と同じような、あるいはほとんど同じような労働、すなわち生産構造しょう脳の場合は戦後にも持ち越されているところに根本問題があると思うのです。本来、このような前近代的な生産労働機構が残されておることは、私は戦後としては許されないことだと思うのです。大蔵省及び専売公社は、この前近代性を根底からなくすために一体どのような政策をとってきたか、これはほかの専売にも関係することですから、責任のある立場の人から聞いておきたいと思うのです。  もっと簡単にわかりよく言いましょうか。要するに、これまでしょう脳専売ということは、台湾における植民地住民搾取の上に立ち、国内ではいわゆる季節労働者というような無組織な、そういう労働階級底辺におるところの労働者搾取することによって成り立ってきたのだ。そういうことは戦後改めなければならぬことだったのだが、それが改まっていない。そこに私は問題があるのだと思うのです。そこで、専売公社として、戦後いかなる近代化の方向をとり、労働者権利を擁護する立場をとってきたか、こういうことです。
  23. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 御質問の点でございますが、しょう脳は、御承知のように、天然クスノキを機械でチップという小さなこのくらいの木片にしまして、それを蒸留、冷却して作るものでございまして、企業が本質的に、クス大木山林の中に自然にはえておる——造林でたくさんあるというものはごくまれでございまして、大部分原木は自然に山林がけ地のようなところとか、そういうところに大木があるのを、製脳業者が山の持ち主と交渉してそれを買い受けて、その現場近くにおきましてそれを伐採し、根っこは相当深いわけですが、これを掘り、これをもよりの工場へ持ってきて、そうしてそれをチップにして蒸留、冷却して、しょう脳及び原油をとる。そうして一つ工場行動半径内にありますクスノキが大体たき終わると、半年なり、一年なり、二伸なり、場合によって違いますけれども、たき終わるというと、また次の地域へその工場設備、これは簡単なものでございますから、それを移動して、そこへ据え付ける。そうしてまた近隣の山の持ち主と交渉しましてクスノキを買い入れて、それを原料にしてしょう脳を作る。こういうことでございますので、大規模製脳をする、さっき監理官からお話のありましたああいうものは、立地条件の非常にいいところ、交通事情のいいところでございますと可能なのでございますが、大部分のものにつきましては、一つ地域一つの沢に既存する自然のクス大木を全部たき終わると次に移動するというようなことで、なかなか、事業の本質的な性格から見まして、近代的な工場生産にはなじまない性質作業であろうかと思うのであります。  しかしながら、公社としましては、先ほど監理官から申し上げましたように、このしょう脳をとってしまったあとチップ、これをパルプ原料に使う。パルプ製脳と申しておりますが、そういう方法を進める。それから、もう一つは、さっき監理官からお話がございましたように、チップにしないで、板材の形にクスノキを切りまして、それを板の両方ヘプラス・マイナスの電極を通じまして、高周波によって脳分蒸留させ、これを冷却する。板はこなごなになっておりませんので、家具材に使う。これを高周波製脳とわれわれは呼んでおりますが、こういうような方法を進めて参ったのでありますが、なかなか、先ほど申しましたように、事業の本質が原木等関係で近代的な大工場生産の様式になじまないというようなことで、公社としまして、そういう二つの柱を主として近代化を進めて奨励して参ったのでありますが、十分に参らない点は非常にわれわれとしてはまことに残念だと思う次第であります。  他方値段の点でございますが、これはドイツ合成しょう脳、これは松の松やにのテレビン油と申しますか、このテレビン油にある化学操作を加えまして、合成しょう脳——合成と申しましても完全な合成ではございませんで、天然の樹脂にある加工をしてしょう脳と同じ性質のものを作り出すということで、全然性質の違ったものからしょう脳を作るということではございませんが、普通合成しょう脳といわれております。こういうものが国際的に相当進出してくると、私ども天然しょう脳はそういうものと価格の上で国際的に競争しなければならないというようなことで、そこに事業としての非常に苦しい点が、ございますので、どうしてもしょう脳価格ということは、国際的にドイツ合成しょう脳競争のできるような市場価格から逆算したそういうしょう脳価格でなければならないというのが主体であったわけでございます。
  24. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 今の御質問で、搾取の上に立っていたんじゃないかと、こういう点をお聞きになられたわけでございますけれども、私どもはそう考えないわけでありまして、もっとも、台湾におきましてしょう脳専売が施行されておりました。で、台湾しょう脳専売を、完全にその制度の趣旨を生かして実行するためには、日本内地におきましてもやはり専売制をとるということが一番適当であろうということで、明治三十六年に内地専売制度がしかれたわけでございますが、明治以来からずっと日本台湾生産量が世界全体に相当大きなウエートを占めておったわけでございますが、これを戦前昭和九一十一年の平均について天然しょう脳生産高を見てみまするというと、合計七千三百トン、このうち日本が二千九百トン、台湾が三千二百トン、あと残り中国が千二百トンということになっておったわけでありますが、一方、合成しょう脳のほうは四千五百トン。天然しょう脳合成しょう脳合わせまして一万一千九百トン、このうち台湾日本で六千百トン、半分以上を日本台湾を含めました日本で占めておったわけでございますが、当初、台湾専売制度をとりましたけれども内地において自由競争自由生産販売をしておりますというと、大半が外国に輸出をするという性質のものでございますので、内地において安い価格輸出をしたり不当な競争をするということになりますと、台湾しょう脳値段もそれに左右されるということで、専売制度がうまくいかなくなる。その結果、しょう脳生産者の生活も苦しくなる。しょう脳生産者の経営が不安でございますから、生活が苦しくなる。そこで、内地においても専売制度をとりまして、政府価格をきめて、そしてしょう脳生産が安定した基盤のもとにおいて続けられ、そして安定した価格で販売できるという制度をとったわけでございまして、専売制度は結局はしょう脳生産者の生産の安定、それから経営基盤の安定、生産者に対しましても利益をもたらしておったわけでございます。  ところで、それではどうして今回専売廃止するかと。これは時代の推移がございまして、戦後におきます台湾しょう脳生産も非常に少なくなりました。最近では三百トンとか四百トンくらいしかできませんし、またH本内地におきましても、三千トン程度できる能力はございますけれども、一方において合成しょう脳相当発展して参りまして、三十三−三十五年度平均で見ますると、戦前九一十一年四千六百トンしか生産販売されておらなかった合成しょう脳が、倍近く、八千百トンの生産販売が見られるようになりまして、天然しょう脳合成しょう脳全体として、最近におきましても全世界的には二万一千トン程度でございますけれども、そのうち約三千トン程度天然しょう脳ということでございまして、合成しょう脳からの影響というのが相当大きいようでございまして、そこで専売制度を続けるだけでは、しょう脳生産者の経営の安定ということを期することが現状においてはむずかしくなる。専売制度をしいた当時においては、生産者立場も考え、また国家の利益も考えて専売制度をしいたわけでございますけれども、現在の段階におきましては、何といっても貿易・為替の自由化という問題との関連がございまして、しょう脳生産業の体質を改善して、そして資本主義社会における生産者として十分立っていけるように設備近代化すると。そのためには自由競争という立場においてのみ初めて近代化が促進されると。そのほかいろいろな理由がございますけれども、そういった観点から専売制度廃止をして、そして自由競争に持っていく、そのために必要な資金を、今回専売廃止に伴いまして、相当巨額の資金生産者に出しまして、それによって設備近代化をはかっていく。したがいまして、従来から、専売局時代あるいは専売公社になってからも、決して生産者搾取するとかいう、搾取のもとにおいて専売制が成り立っておったということではないと考えます。
  25. 須藤五郎

    須藤五郎君 生産者搾取しないというが、その生産者というものは、いわゆる小さい企業の主、企業主生産者というならば、そういう意見も成り立つかもしれないけれども、僕の言っているのは、要するに植民地における労働者及び国内における労働者搾取しているということなんです。だって、ちゃんとここに出ているじゃないか。二百口働いて、その月収日雇い形態で四百円から、三十五年になって四百五十円になっていると。四百円、四日五十円という労働賃金というものは、何も高い賃金じゃないのです。ひどい労働ですよ、これは。原木をなにして、そういう重労働に携わりながら四百円、四百五十円ぐらいの、これは日給ですよ、休んだ日はもらえないという。そういう労働条件で、これが搾取でないなんということは言えますか。そんな頭でおったら大間違いだ。これは搾取だ。搾取の上にこの企業が成り立つということが僕は正しいと思う。あなたは搾取じゃないという。そんなことは絶対言えませんよ。この賃金見たら、搾取ということはわかるじゃないか。今日、資本主義のもとにおいて、労働者はいかなる労働者といえども搾取を受けているのですよ。搾取受けていない労働者はないはずですよ。だから、僕はこの搾取はひどいということを言っている。このひどい搾取のもとにこういう企業が成り立ってきているというのだ。僕は、こういう前近代的な企業態勢をなぜ大蔵省はもっと近代化しようとしなかったか、これまで。その点を今尋ねたわけだ。ところが、塩脳部長さんの御意見だと、近代化をするにも近代化方法がないんだというような答えなんですよ。それじゃ今度専売法をやめてしまって、それで野放しにするわけなんだが、あなた、多額の援助資金を与えるなんと言っているけれども、それじゃ今後近代化し得るのか。これまで専売公社ですらも近代化し得なかったこの企業を、今度民間に野放しして近代化することができるのか。今後もこういう前近代的な企業態勢を続けていかなきゃならぬか。そういう点を私はもう一度あなたに伺いたいのです。
  26. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 先ほど脳事業が、原木関係技術関係設備関係で、大規模のものも若干はあるけれども、大部分は近代的な大工場、大規模生産になじみがたい事業のほうに属しておるように申し上げました。これは端的にいって、従来はそうであったわけでございます。どうしてそうかと申しますと、一つ専売制度も原因があるかと思うのでありますが、現在のしよう脳専売法では、法律上の建前でだれでもしょう脳を製造する割当を申請することができる。それで、これに対して専売公社は、需給の関係等を見て、全体で年間三千トンであるというようなことであれば、従来やっておった方の製造能力、見込み、本人の希望等もよく聞きまして、それぞれ相当な期間割当を割り当てる、こういうことになっておったわけでございますが、零細な製脳業者は、わしもやるんだ、わしもやるんだと、こういうふうに来た場合に、法律の建前上、君はあまり小さいからやめなさい、この地域に、たとえば原木がどれだけの賦存量がある、五人も八人もでやったんじゃとても零細でもって原価も高くつくから、ここはせいぜい一人か二人しかやれないんじゃないか、こういうことがこちらではわかっておりましても、五人なり八人なり来れば、やはりこれは割り当てざるを得ない。こういうようなことで、どうしても、専売のワクを割り当てるという制度を続ける限り、企業がある程度近代的に大規模と申しますか、あるいは中規模といいますか、そういう方向へいくことがむずかしいわけでございます。  今度、専売制度をはずれまして、それぞれの業者の判断において、じゃ、ここはひとつみんなでお金を出し合って大規模製脳場を作ろう、あるいは原木を輸送する輸送手段を共同で買い入れようというようなことが可能になるわけでございまして、深山幽谷のようなところで、たまたま年間一トンかニトンしか、たいておらぬというような方は、なかなか大規模あるいは中規模工場に集約するということは困難でありましょうけれども、交通の便のいい平地の生産地におきましては、このしょう脳専売法が廃止になるのをきっかけに、そういうふうになる機運が相当動いておるのでありまして、この際しよう脳専売法をはずすということは、むしろしょう脳事業のそういう零細な経営というものをある程度集約化し、近代化していく、そういうきっかけになる。しかも、相当の交付金が出ますので、これで設備を大きくするとか輸送手段を獲得するというようなことができるわけでございまして、しよう脳専売法廃止することがかえって事業近代化あるいは大規模化を促進する、こういう効果があるように私は考えられます。
  27. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 先ほど賃金の点について一言だけ。農林省の農村物価賃金調査というのがございますのですが、十二月までの分がわかっておりますが、十二月の男女平均は四百三十四円、十一月は四百六十四円で若干……。その前も四百三十円、五十円ということでございまして、必ずしも御指摘のように特段に低いということはないと思います。
  28. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたのその答弁は、あなたは低いところと比べて、これは低くないと言うが、それは間違いだ。農村の賃金は低いのですよ。非常に低い。だから、僕は低いという点を指摘しておるのだ。ところが、その低い農村の賃金と比べて、これは別にそれほど低くないから搾取されていないじゃないか、そういう意見は成り立たぬと思うのですよ。やっぱり、比べるなら上のほうと比べなさい、日本労働者の。そうしたらよくわかる。そんな低いものと比べて云々しても、そればだめだ、そんなことは。  そして、あなたの話を聞いていると、とにかくこれまで大蔵省は、専売公社はこのしょう脳の製造の近代化に対して何もやっていなかったということ。それを、企業の性格上非常に近代化はむずかしいのだ、だからこれまでやっていなかった、こういうような御意見であった。ところが、ただいまは、近代化しなければならぬ、近代化するために専売法をやめたほうが近代化するのだ、こういうような御意見だと思うのです。それば私すぐ理解することはできないのですがね。何だか、聞いていると、農業基本法と同じようなことのように聞こえるのですよ。現在の日本農業近代化すためには、農業基本法で小さい地主をやめて大地主をたくさん作って、そこで近代化しなければならない。しょう脳も、今のような零細な製造業者がおったのでは近代化することはできないから、専売法をやめてしまって、大きなところに集約して、そうしてそこで近代化するのだ、こういうふうな御意見に受け取れるのですよ。そうじゃないですか。
  29. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 今まで専売公社近代化に何も努力していなかったのではないかという御質問でございますが、これは先ほど申し上げましたように、新しい技術としてパルプ製脳とかあるいは商周波製脳ということを推進して参ったのでありますが、そのほかにも、三十五年度にはやっぱり業界の発意で、製脳業者の間で、あまり零細であるということは、お互いに少しの小さなワクでもって小規模の零細な事業を続けていくということは、必ずしも適当ではないというので、ある程度業界からお金を出し合って、あまりにも零細な割当、零細な製造ふしていない者には自発的にやめてもらって、その分のワクをやや大きいほうのワクを持って製造しておる人に回すというようなことなどもやってこられたわけですが、公社としても、側面からそういう情勢をなるべく推進するように御相談に応じてきたわけであります。そういうことでありまして、われわれとしても、製脳業があまり零細な前近代的と申しますか、そういう形態で続くということは、決して放任しておったというわけではないのでございます。  他方、やはり原木の賦存量——どれだけ今後クスノキがたけるかということもございまして、小規模のものがたくさんいつまでいたからいい、とばかりは言えない面もあるわけございます。クスノキが今後何年しょう脳をたくのにたえ得るかということも、これはいろいろな資源の賦存量の算定と似ておりまして、なかなか人によって正確な計算がむずかしいわけでございますけれども幾らたいてもクスノキはあるのだというわけじゃあませんし、現在程度製脳のペースで参りますれば、今後十数年でクスノキはなくなるのじゃないかと、こういうような見方が一般の通説になっておりますので、やはり能率的に近代的な工場経営ということでこの資源を利用していくということのほうが、むしろいいのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、あなたの御意見では、こういうものの性質上、もう今後十数年もたてばクスノキがなくなってしまうというような、そういう斜陽産業である関係上、近代化するということはむずかしい、不適当だと。そうすると、この専売法をやめても、大体小さい製造業者が大きい製造業者に吸収されてしまうぐらいがおちで、まあ、今日のような前近代的な生産機構というものは今後もずっと続いていくだろうと、こういうふうに理解していいんですか、あなたのお言葉は。
  31. 高橋時男

    説明員高橋時男君) この専売制度がはずれますれば、どういうことになるかといいますと、二割から三割ぐらいのごく小さい、さっき監理官から申し上げましたように、一トン前後くらいしかたいていない人が相当のパ一センテーシを占めておるわけでございますから、そういう方は規模も小さいし、またほかに農業とか主たる仕事がございまして、農閑期のほんのちょっとの間、近所にクスノキがあるから、これを山の持ち主と交渉して買ってきて、物置の隅っこのほうに置いてあった製脳設備を引っぱり出してきて、それでちょっとたいておると、こういうのも製脳業者五百余人の中の一人に計算されておるわけでございますから、こういう小さい方は、この際お金をもらうことであればやめたいと、こういう希望の方が相当あるわけでございまして、これは業界の観測では、二、三割程度そういう方があるのじゃないかと。そうしますと、現在しょう脳自身の国内の需要としては三千トンくらいが大体安定した需要であろうと。外国の合成しょう脳が入ってきても、天然しょう脳の需要としては年間三千トンくらいあるわけでございますから、この三千トンを何個の工場設備で作るかということになると思うのでありまして、大規模工場が数個できて、この三千トンを全部まかなうということにはなかなかならないと思うのでございまして、二、三割減った程度のところで、三千トンを残った工場数で割ったような、そういうごく小規模からやや中規模に移った程度のところで操業されるのじゃないか、こういうふうに観測しておる次第でございます。
  32. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、あまりこの問題でくどく質問する気もありませんが、そうすると、この専売法がなくなれば、結局しょう脳製造業者は相当整理をされる、小さいところはやれなくて大きいところに吸収されるような形になるということは事実ですね。そういう形になるわけです。  ついでに聞いてみますが、合成しょう脳がたくさん入ってきて、日本のセルロイド工業などが、プラスチックや不燃性フィルムの出現によって、天然しょう脳の用途は次第に狭まりつつあるというふうに書いてありますが、セルロイどは合成しょう脳ではできないのですか、どうなんですか。
  33. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 合成しょう脳によりましてもセルロイドはできるわけでございますが、天然しょう脳によって作ったセルロイドに比べて、セルロイどの商品価値がやや劣るというふうに感じられるのであります。
  34. 須藤五郎

    須藤五郎君 この、しよう脳専売法廃止する法律の参考資料、これは大蔵専門員室からもらったのですが、その中に、こういうところがあるのです。「近年生産費の大半を占めている原木代、労賃の上昇、農村の労務事情の変化等によって減産傾向を示しつつある」、こう述べておるのですが、これについて概況を伺いたいと思います。
  35. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 最近のしょう脳生産事情でございますが、まず第一に、原木の問題があるわけでございます。しょう脳製造工場原木の所在地とは一般に近接しておるところにあるのが多いわけでございますが、その原木につきましては、民有林からとるものと国有林からとるものとございますが、民有林のクスノキ価格は、ほかの木材価格との関連におきまして、総体的に上がりぎみであるわけであります。一方、国有林のクスノキにつきましては、農林省当局の御配慮によりまして、一般用材林の値上がりがございましても、しょう脳原料としての原木代としては、そう値上がりをしないで供給するという建前になっておりますが、国有林のクスノキ工場の所在地によってはなかなか自由に買えないという、地理的な制約もあるわけでございます。  それから次に、労務事情でございますが、しょう脳は、御承知のとおり、鹿児島県、熊本県、福岡県、高知県等が主要産地でございますが、これらの地域におきまして、いろいろ公共土木事業等が行なわれ、また工業がぼつぼつ進出して参りますので、労務者がそちらのほうに流出するという傾向にありまするほか、一般農林業全体の賃金が、所得倍増計画の影響等もございまして、上がりぎみであるということからいたしまして、雇用労務がなかなか以前ほど業者にとって有利な状況にはないと、こういうような現状でございます。
  36. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はさっき、戦前とほとんど同じようなしょう脳生産をさせ、労働機構が戦後に持ち込まれたことは許されないと言ったわけです。事実、国民経済の全体の急テンポの拡大と、それに伴う諸物価の上昇、労賃の上昇、農村の就業事情の変化等に伴って、従来の古いしょう脳生産労働機構そのものが根底から破壊される時期になったと判断せざるを得ないわけです。そういうような根本的な危機が去年から集中的に現われてきたのだと思います。だから、昨年八月収納価格を引き上げざるを得なかったのだと、こういうように私たちは理解しております。この危機のときこそ、労務者利益を根本とする労務対策、それに対応する新技術の採用、その他の資金対策など、抜本的な措置をとり得るチャンスであったと思いますが、逆にそのときにしよう脳専売法廃止し、多くの困難を業界の自主責任にまかせるというように方針を切りかえたのはなぜかという点。専売公社は長い間低賃金労働をできるだけ利用しながら、どうにもならない根本矛盾が出てくると責任を回避するような方針は、全く私は無責任ではないかと考えます。今後業界の自主責任で十分やれると言っていらっしゃいますが、社会の根本的矛盾が集中的に現われているしょう脳生産をどうして近代化してうまくやっていくかという保証があるのかどうか、この点を伺っておきたい。
  37. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 先ほど来、監理官からも申し上げておられますように、最近の経済事情の急激な変化によりまして、零細な製脳業者に、本人の割当希望申し出に応じて全体の総需要量とのにらみ合いにおいて割当をしていく。割当を申請する以上は、格別ただ形式的に割り当てているのだということが明白でない限り、作りたいという希望と設備その他があるものには割り当てざるを得ないわけですが、そういう割当ワクを割り当ててだれにもやらせるのだという法律上の建前を持っている専売制度というものは、今後はかえってしょう脳事業のために、従来は保護するということでございましたけれども、最近の御指摘のような経済事情、特に農村、山村における労働事情の急激な変化によりまして、かえって保護ではなくて、それがむしろじゃまになる、こういうようなふうに変わってきたわけでありますから、こういう専売制度をこの際はずすという、このはずす際に交付金を差し上げる、こういうことによりまして、これを契機にして、むしろ業界としてはしよう脳の需要というものは今後なくなってしまうわけじゃございませんので、三千トン程度の安定した需要があるわけでございますから、これに見合った生産というものは今後ある年数は続ける経済的なそういう必要性というものがあるわけでございますから、それに応じたような生産態勢というものを、むしろこの際専売制度をはずしたほうがそういう生産態勢を促進するのだ、こういうふうに考えるわけでございます。  先ほど来も申し上げましたように、そう急にこれをはずしたから大規模、大工場生産のものが続々出るということは考えられませんので、中規模程度のものができる。これは数人の人が集まり、数個の工場を合併するというようなことによりまして、今度の交付金などを使いまして新しいやや規模の大きい工場設備を購入、新設する、あるいは原木の輸送手段を購入する。また、やや大規模になりますれば、できたチップなんかも、年間一トンかそこらしかたかない場合には、単なる木のしょう脳分を取り除いた木片にすぎないわけでありますが、これがある程度まとまりますれば、製紙会社、パルプ会社等にもこれを原料として、安定した原料の給源としてこのチップを買っていくことができるというようなことがありまして、小規模では単なる燃料にしかならなかったチップが、ある程度に数量的にまとまれば、製紙、パルプ等の原料にも使えるということでございますので、専売制度をはずすことによって規模を少し大きくする方向へ促進する、それによって副産物収入が出るということになりますので、私ども専売制度をはずすことがかえって製脳業者各人のためにはむしろいい方向にいくと、こういうふうに考えておるのであります。
  38. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、何ですね、専売法廃止するというのは、企業整理、そういうにおいが非常に強いというふうに理解しなければならぬと思いますが、ある人がこの法案を批評して、こう私に言ったことがある。非常に卑近な例で、昔吉原に女郎屋があったときに、抱え主は若い娘をたくさん引っぱってきて、そうして女郎屋で働かした。ところが、その女郎が何年かたって年をとってしまって、もうあまりかせぎにならなくなった。そのときに、女郎屋の亭主が、もうお前、年もとったんだから、一時金少しあげるから、だから廃業したらどうだ。しぼられるだけしぼっておいて、その企業がうまくいかなくなれば、一時金でごまかして、とにかく自立せいといって突っぱねる。それで、その前近代的な企業が、近代的な企業になれるという見通しもなく、そうして今後も十数年しか続かないというようなそういう哀れな不安定な企業に対して、何だか再売公社のやることは非常に僕は冷酷だと思う、やり方が。こういうときにこそ、これまでしぼってまたその企業に対してもっと補償をしていくこと、それがやはり大蔵省なり専売公社のとることであって、もう先細りであまり利益もあがらないし、こんなものを抱えておったんでは荷厄介だから、おっぽり出してしまえというようなやり方は、私は少し冷酷だと思う。この企業の矛盾をその人たちだけに背負わせてしまって、専売公社は何しろ八千万円かなんか金を出すことで、全責任をもうのがれてしまうと、こういうふうに私には見えるんですよ。  そこで、最後に質問しますが、大蔵省専売公社の、労働者権利をいかに無視して責任を回避する無責任な方針かということは、廃止の場合の退職資金支給の方法にも私は現われておると思う。八千万円の従業員退職金の支給は、業者に交付することになっておりますが、先日この点につきましては同僚荒木さんが質問されたと思うのですが、この点は荒木さんが追及したわけですが、従業員に支給される確実な保障をひとつ示してもらいたいんです、八千万円の。転廃業の場合は従業員生活とか就業安定のためにいかなる措置をとろうとしておるのか、この点確実な保障を示してもらいたいと思います。どうですか、責任の立場にある人からお答え願いたい。
  39. 高橋時男

    説明員高橋時男君) 先般の荒木委員の前回の御質問に対しまして監理官からお答え申し上げましたように、やめる業者に雇われている者に退職金を確実に渡す方法があるか、こういうことでございますが、これは監理官からお答え申し上げましたが、臨時しよう脳事業審議会におきまして、こういうことにつきましても十分御審議をいただきまして、いい方法をもちまして、そういうやめる業者に雇われておった労務者の方々にお金が渡るように、われわれとしては努力して参りたいと思っております。
  40. 須藤五郎

    須藤五郎君 どうも、うやむやな答弁で、僕ははっきりしないけれども、往々にして、こういう場合にはほんとうの下の従業員にこの金が行き渡らないのですよ。それで、いわゆる上のボスたちに、それたちがふところに入れてしまって、下のこれまで搾取をしてきた労働者にはこの金がそのままそっくり行き渡らないのが、今日までの通例ですよ。こういう場合に、いろいろな場合がありますが、そういうことが往々あるのですよ。だから、その保障を示してもらいたい。そういうふうにしたいと思っていますというような、そういう答弁では、やはりだめだと思うのですよ。もっとその方法なりをはっきりさして、必ずこの金が労働者の一人一人に行き渡るようにしなければ私はいけないと思う。そういう方法をあなたたちが考えているのかどうか。考えているならば、その方法を述べてもらいたい。考えていないならば、その方法を早く立てなければ意味がないと思うのですよ、こういうことをやっても。  それから、まああとあとまで——これは一年間ですか。この八千万円という金を出すのは一回ぽっきりでしょう。だから、そのあとね、やはり一年のうち二百日をしょう脳製造に従事して、とにかく一年の過半数をしょう脳製造によって生活をささえていた労働者が、これがぱっとなくなってしまえば、やはり一つの打撃だと思うのですね。たとえ低賃金といえども一つの打撃になるだろうと思うのです。だから、その場合にそれをどういうふうに生活を守っていく措置を考えているか。八千万円の手切れ金みたいにぽんと切ってしまって、あとは知らぬぞと、こういうのかあとあとまでも何とかそういうめんどうを見ていこうという考えであるのか、どういう措置を講じていこうとしておるのか、その点を伺っておきたい。
  41. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) お答え申し上げます。八千万円と仰せになりましたですが、私ども法案を今回提案するとともに、三十七年度の予算の編成の上におきまして、しょう脳専売廃止交付金合計五億六千万円を計上いたしておるわけでございますが、その積算上しょう脳生産者の雇用労務者に対して支給する退職手当相当額が約八千万円になるわけでございます。これは最近までのしょう脳生産者が雇用しておりまする雇用労務者の数及びその実態労働賃金を調べまして、ほかの、たとえば労働省の統計あるいは東京都の商工会議所の統計による木材、家具製造業の勤続年数別の退職手当の支給別額というのがございまするので、それを参考にいたしまして、現在のしょう脳生産者の雇用状況の実態にあわせて計算をいたしますると、それが合計八千万円になるわけでございまして、これは五億六千万円の交付金の積算上の内訳でございます。具体的にこれを五億六千万円を交付する方法基準等につきましては、この予算の範囲内において、業界の意向も、また学識経験者の意向も十分に聞く機会といたしまして、大蔵大臣のもとにできまする臨時しよう脳事業審議会にも諮りまして、合理的な方法で、合理的な基準で交付できるようにしたいと考えております。  そこで、問題の賃金、問題の雇用労務者に対する退職手当の支給の方法でございますが、何分にも零細な企業でございまして、また季節労務者が多いわけでございますので、専売廃止時における各生産者が雇用している人員賃金等を一々克明に調べるということも、なかなか困難な状況でございますので、現在のしょう脳生産者の雇用の実態に合うように、また労働者立場を十分考えて、実際に雇用されておった者が専売廃止によってやめざるを得なくなるという場合におきまして、十分にほかの場合との権衡を考えまして、適当な合理的な金額が渡りますよう配慮していきたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、どのくらいの業者が今後とも生産を続け、またどのくらいの業者が転廃業するかということについては、まだ正確な数字はわかっておりませんけれども、私ども生産者から聞くところによりますと、非常に多くの、大部分の方々が今後とも生産を続けたいという意欲に燃えておられますので、実際にやめる方は、全体としてはそう多くないんじゃなかろうか。しかし、多くないにいたしましても、そう退職手当については十分配慮しまして、現実にやめられる方々に渡るようにいろいろな方法で努力したい、かように考えております。
  42. 須藤五郎

    須藤五郎君 この五億六千万円の内訳、事業所得の三年分三億二千百万円、これは事業主に行く交付金ですね。それから、従業員給与の六カ月分の八千万円という、これは何ですか。いわゆる六ヵ月の失業手当、そういうふうな考え方ですか。
  43. 谷川宏

    政府委員谷川宏君) 予算の積算上は、内訳として積み上げたのでございますので、そういう数字になっておりますが、実際の交付の方法としては、これは臨時しょう脳事業審議会に諮って合理的に検討していただく予定ではございますが、私ども今考えておりますところによりますと、現在のしょう脳生産事業が非常に地域的にもばらばらであるし、零細であるし、調査は非常にむずかしい実情でございますので、その実態に一番よく合ったような交付の方法にしたい。たとえば、今内訳はそうなっておるけれども、合計として五億六千万万をもとにいたしまして、;丘当たり生産実績あるいは割当について幾らくらいの金額になるか、一キロ幾らということで交付するということも一つ方法であると考えますが、そういたしますると、その一キロ幾らという中に当然に退職手当相当額も入っております。それを実情に合うような方法で、生産者が退職する従業員に退職手当相当額が確実に払えるような方法でやっていただきたいと思っております。  今の六カ月分という積算になっておりますけれども、これは失業保険給付金とは別でございまして、現実に、現在木材業あるいは家具製造業の業種において勤続十年の場合に大体四カ月半退職手当を払っておるという労働省の統計もございますし、そのほかいろいろ統計もございますので、それらを調べまして、ほかとの権衡を考えて、一応積算としてはそういう金額をはじき出したものでございます。
  44. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十分休憩    ————・————    午後一時三十七分開会
  45. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。保険業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに御賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  48. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致で、ございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  50. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所の設置に関し承認を求めるの件」を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議でございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び財務部出張所の設置に関し承認を求めるの件」を問題に供します。本案を原案どおり承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  53. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  55. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  56. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、しよう脳専売法廃止する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。——別に御意見もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして御述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり
  58. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。しよう脳専売法廃止する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔「賛成者挙手」〕
  59. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 全会一致でございます。よって、本案ば全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。   —————————————
  61. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案を議題とし、まず補足説明を聴取することにいたします。
  62. 大月高

    政府委員(大月高君) 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして、若干補足的に説明させていただきます。  国民貯蓄組合法は、御存じのように、国民の健全な貯蓄を奨励する目的で昭和十六年に制定されたものでございまして、戦後におきましても、経済の再建と安定成長のため、貯蓄の推進に大きな役割を果たして参ったのであります。特に最近の経済情勢におきまして、貯蓄の増強がますます重要となって参りました情勢にかんがみまして、昭和三十七年度の税制の改正におきましても、預貯金等に対する利子課税、これは分離課税一〇%ということになっておりますが、これをさらに一年延長いたしますとともに、郵便貯金の預入の限度を現在三十万円でございますのを五十万円に引き上げます。また、簡易生命保険におきましても、昨年の立法でございますが、経過措置をもって三十万円でございましたのを三十七年度から五十万円に引き上げられることになるわけでございます。また、生命保険の関係におきましては、生命保険料の控除が従来最高限度三万円でございましたのを五万円に引き上げられるという、いろいろな税制上の措置あるいは預入限度の引き上げ等の措置が講じられておるのでございます。で、今般、国民貯蓄組合法におきましても、この非課税の限度現行三十万円を五十万円に引き上げることといたしまして、零細貯蓄の優遇を一段と推進するということをいたしますとともに、従来、組合のあっせんによる貯蓄につきまして、とかく乱用の傾向がございまして、これの運用の適正化をはかる必要があるということが論じられて参りましたので、その適正化をはかるために若干の制度上の改正を行なう、こういうことにいたしておるわけでございます。  改正の内容につきまして簡単に申し上げますと、まず第一点は、国民貯蓄組合のあっせんにかかる預貯金等の非課税限度につきまして、三十万円を五十万金に引き上げるということでございます。この三十万円の限度は、昭和三十二年の改正以来一種類の貯蓄につきまして三十万円となっておりましたが、近年における国民所得の増大、これに伴う国民一人当たりの貯蓄の増加に対応いたしまして、この際これを五十方円に引き上げたいとするものであります。また、貯蓄の増強のため、国民貯蓄組合のあっせんの対象となし得る有価証券につきまして、現在国債、地方債、社債というように法律上限定されておるのでございますが、これに加えまして、命令をもって定める有価証券を対象に加え得るように改正いたしたいわけでございます。現在予定いたしております命令をもって定める有価証券は、社債投資信託、つまりボンド・オープンを加え得るようにいたしたいというのがこの改正の目的でございます。  他面、国民貯蓄組合制度のより一そう適正な運営をはかるために、二、三改正をいたしたいわけでございますが、一つは、従来非課税の扱いをなし得る貯蓄の種類が非常に多くあったわけでございます。具体的には、たとえば銀行預金、あるいは農林中央金庫の預金、信用金庫における貯金、農業協同組合の預金というもの、それぞれについて限度が三十万円ということでございました。合計いたしますと、これが十三種に及んでおったわけでございます。しかし、ある意味におきましては、それぞれ預入を受ける人につきまして不公平が生ずるおそれがあるということで、この十三種数の貯蓄の種類を三つの分類にいたしまして、つまり預貯金の形態のものと、信託の形態のものと、有価証券の形態のもの、こういう三種類に区別いたしまして、同一の組合員はそのうちの二種類を選択するということにいたしたわけであります。その結果、結局同一の組合員といたしましては、たとえば預貯金と信託、あるいは信託と有価証券というように、五十万円ずつ合計百万円までは非課税の恩典を受ける、こういうようにいたしたわけでございます。  また、この制度を明確にいたしますために、非課税の扱いを受けようとする貯蓄につきましては、貯蓄を受け入れる機関に対しまして、非課税貯蓄申込書というものを各預貯金をする人から金融機関に提出をしていただきまして、その制度を明確にいたしたい、こういうことでございます。さらに、とかく乱用のございました窓口貯蓄組合につきましては、組合長に対しまして、組合に加入しようとする者の資格の調査を行なうため必要な証明を求める権限を与えようとするものでございます。具体的には、本人であることがはっきりいたしません場合には、たとえば本人の持っております定期券だとか、あるいは通学の証明書であるとか、あるいは米穀通帳であるとか、あるいは最近本人あてに参りましたはがきであるとか、とにかくその本人であるということを明確にする証明を求め得る、こういうようにいたしたわけでございまして、現在郵便貯金法にも同様の規定があるわけでございます。これによって仮装名義あるいは他人の名義を使うというような事例をなくそうとするわけでございます。  なお、経過措置といたしまして、国民貯蓄組合のあっせんにかかる貯蓄でこの法律の施行の際現に存在するものにつきまして、昭和三十七年九月三十日までは従前の例によることができる等経過措置を講じまして、預貯金者の便宜、経過措置が円滑に行なわれるように配慮いたしたわけでございます。  以上がこの法律案を提出いたしますおもな理由でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  63. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本案について質疑のある方は御発言願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 質問の第一点は、非課税限度の三十万円を五十万円に上げるということに関係をしてお尋ねしたいのですが、結果からいえば、国民の貯金の状況なんですが、五十万円といえば、一体どの程度の階層が貯金をしておる現状であるのかどうか。私どもの見るところでは、これは相当高収入の人でないと、これだけの貯金ができないのじゃないか。いわゆる一般大衆といわれる人たちでは、これだけの貯金額に達していないのじゃないかというふうな見方をしておるわけです。ですから、もしそうであれば、これは金持ちを保護する法律になるわけです。ほんとうに大衆の利益になるのかどうか、そういう点が明らかにならないといけないと思って、この点をまず質問したい。
  66. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在の所得階層別の貯蓄保有状況の調査が、経済企業庁の消費者動向予測調査昭和三十六年二月というのがございますので、それによりまして御説明申し上げます。
  67. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは、資料はありますか。
  68. 大月高

    政府委員(大月高君) あとで資料としてお配り申し上げます。とりあえず口頭で御説明申し上げます。  都市におきましては、所得階層別に、大体十万円飛びに分類いたしまして、二十万未満、二十万から三十万、三十万から四十万、四十万から五十万というように分類いたしますと、ちょうど五十万円見当の平均貯蓄の保有額というところは、五十万円から六十万の所得階層におきまして四十万三千七百円という数字でございます。それから、六十万から七十万というところで五十九万二千三百円。それから農村におきましてその辺を見ますと、所得階層四十万から五十万におきまして四十一万七百円、それから五十万から六十万の所得におきまして五十五万七千八百円、こういうような数字になっております。
  69. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今お示しになった数字を一応基礎にしてお尋ねしているわけなんですが、五十万から六十万の収入というと、大体中流程度の収入ということになるのじゃないでしょうか。
  70. 大月高

    政府委員(大月高君) 給与所得者の中で主税局の調べがございますが、給与所得者の構成比率を、全体を一〇〇といたしまして、二十万円未満が二七・五%、二十万円から三十万円が二一・九%、三十万円から五十万円が三一・八%、こういう数字でございますので、それまで合わせますと約八〇%ぐらいのところへ行く思います。それから、五十万円から七十万円の所得階層が一一・九%、約一二%、こういうふうになっております。したがいまして、この辺のところは大体給与所得者につきまして中の上というところかと思います。
  71. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、この五十万円に引き上げた意義というものが、大衆の貯金を保護するためにというような意味合いというものは全然ないのじゃないかということになるわけですがね。これについてどうお考えですか。
  72. 大月高

    政府委員(大月高君) これは実は、郵便貯金におきましても、三十七年度から三十万が五十万円になりまして、それから簡易生命保険の限度も、三十万から五十万になります。国民貯蓄組合もそれに歩調を合わしたわけでございまして、従来これらのものは、簡易保険は別でございますが、貯蓄組合と郵便貯金はほぼ歩調を合わして上げてきておりますので、郵便貯金が御存じのように庶民階級の貯蓄の優遇ということにありますので、そういう精神は失われておらないと思うわけでございますが、具体的に申し上げますと、三十六年度の国民所得の推計は、前回非課税限度の引き上げが行なわれました三十二年度に比べまして、六三%上がっておるわけでございます。それから、  一人当たりの国民所得は五七%上がっておるわけでございます。おおむね六割見当上がっております。それから、三十六年九月の全国銀行の個人預金の残高を三十二年九月末に比べますと、九二%というように増大いたしておりますし、これを一人当たりの金額を計算いたしてみますと四五%増大しておる。こういうようなことからも、三十万円を五十万円に引き上げる一応の推算の根拠とし得るかと思うわけであります。
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 貯蓄は、今説明のように、だんだん伸びてきているということは事実だろうと思うのですね。けれども、二面所得格差が増大しているという問題もあって、一般大衆の所得が非常に増加をして、そのために相当な金額が預貯金に回るというような現状までは来ていないのじゃないかということですね、私の言っているのは。それはいろいろ、さっきのこの所得階層別の貯蓄等を見ても、局長の説明のあった、収入の五十万円ある者が大体給与所得について見ると八〇%に上っておるという事実ですね。勤労大衆の大部分は給与所得者ですから、農村は別にして。そうすると、勤労者の大部分は五十万円の引き上げには無関係である、こういう結論を下しても数字的に考えれば間違いはないのじゃないかと思うのですね。今あげられた数字だけでは五十万円に引き上げる論拠は薄いのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  74. 大月高

    政府委員(大月高君) そういたしますと、まあ五十万円はかりに高過ぎるということになりますと、前回の三十万円、三十二年の三十万円も高かったのじゃないかというようなことでございまして、これは歴史的に昭和十六年以来逐次経済情勢の推移に応じまして引き上げて参っておるわけでございまして、たとえば国民貯蓄組合におきましては昭和十六年の限度が三千円であったわけでございます。それから十七年に七千円、十九年に一万円になりまして、二十二年、終戦後におきまして三万円という数字が出ております。で、かりに二十二年の三万円を今の物価に引き直してみますと三十万円で、ちょうど十倍、五十万円で十五倍くらいの数字でございまして、当時優遇いたしておるという限度から申しますと、非常に渋いものになっておるのじゃあるまいか。郵便貯金も今申し上げました数字をスライドしてほぼ上がってきておるわけでございまして、平均の貯蓄額は先ほど申し上げましたようなことでございますが、これは平均の貯蓄でございますので、それ以上持っておる人も、かりに平均するとしますと半分以上はあるんじゃないだろうか、こういうことでございます。貯蓄奨励ということからいきますれば、若干目標的な数字があって、これを伸ばしてもいいのじゃあるまいか、こういうように考えておるわけでございます。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いわゆる利子所得に対して、租税の特別措置をしていくということ自体に、われわれとしては反対するわけであります。ただ、零細な貯金に対して非課税の措置をするということは、これは別途に考えていいと思うんですがね。そうすると、どの程度まで非課税にしたらいいかという問題が起こるわけですが、とにかく、過去の実情から考えて、これを利用して相当の預金者が、いわゆる合法的な脱税といいますか、そういうことに相当使われているのじゃないか。これはいろいろの統計が示しているのですがね。そういう面から、他の面からも一へんお尋ねをしたいのですが、今大体預貯金の総額はどのくらいあるのですか。
  76. 大月高

    政府委員(大月高君) おおむね十五兆円であります。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その内訳ですね、国民貯蓄組合を通じて預貯金されている額というものはどのくらいありますか、大体昭和三十六年の当初で。
  78. 大月高

    政府委員(大月高君) 昭和三十六年三月、これは毎年一回三月末で統計をとっておりますが、昨年の三月末の貯蓄組合のあっせんにかかる貯蓄の額は四兆六千六百十五億九千三百万一四兆六千億ちょっとこえているというところでございます。一
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、総額十五兆円のうち、今お話しの四兆六千億が国民貯蓄組合を通じて預金されており、これが非課税になるわけですね。それじゃ、課税されている預貯金は幾らになりますか。
  80. 大月高

    政府委員(大月高君) 残り部分が課税されているわけであります。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは税制調査会の答申の中に引用されている統計なんですがね、それの四百三十八ページに出ておるわけなんですがね。その統計を見ると、昭和三十六年三月における表を見ると、課税預金というものは非常に少なくなっておりますね。個人の場合ですね、この表を見ると、課税預金は八千五百四十一億円というふうになっておりますが、それで間違いないですか。
  82. 大月高

    政府委員(大月高君) そのとおりでございます。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、いわゆる課税預金といわれる預金は全体の三二%にすぎないということですね。それから、いわゆる非課税預貯金、これが全体の五二・五%を占めているということを示していると私は思うのですがね。で、この表から見ると、当然課税さるべきものが、大口預金ですね、これが国民貯蓄組合を通して非課税措置になっておるということを示しておるように思うのですが、どういう判断をせられますか。
  84. 大月高

    政府委員(大月高君) 今のお話がございましたように、貯蓄組合に加入したことによって非課税になっておる部分は非常に大きな部分を占めております。課税をされておる個人預金の分量は、今お話のございましたように、パーセンテージとして非常に少ないわけでございますが、これはお話がございましたように、若干貯蓄組合の名において非課税の措置を受けておる。しかし、本来貯蓄組合の優遇を受けるべきでないいわゆる分割された預金とかあるいは仮装預金というものは入っておるだろうと考えております。で、こういう問題がございますので、今般限度五十万円の引き上げを実行いたしますとともに、先ほど申し上げますような手続を厳重にする、それから本人であることを確認する権限を組合長に与えるというような手段を講じますとともに、行政的にも金融機関の店舗におきまして貯蓄組合の名簿を特に整備する。この非課税貯蓄申請書を基礎にいたしまして、名寄せをして帳簿を整備しておく。われわれが金融検査あるいは証券関係の検査その他の調査によりまして、その実態が明確になり得るようにいたしたいというのが、今度の法律改正の趣旨の二つのうちの重要な一点であるわけでございます。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ今の私の質問は運用面だけで解決できるかどうかということはあと質問するとして、この統計自体が示しているように、非常に乱用されておるということは一つ示しておるのですがね。それ以外に、先ほどの問題ですが、五十万円に引き上げたという根拠ですね、これはもっと私は検討さるべきだと思うので、もう少し質問したいのですが、国民貯蓄組合の中で地域とかあるいは業域、職域あるいは窓口、いろいろの方法で貯蓄されているわけですが、その中で一番多いのは窓口ということになっておるようですが、これの貯金の平均を見ると、昭和三十六年三月で七万一千円ということになっておるように思うのですが、この数字は間違いないですか。
  86. 大月高

    政府委員(大月高君) そのとおりでございます。
  87. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、大体大衆が預金しているのはこの平均ぐらいの金額じゃないかと私判断するのですが、どうでしょう。
  88. 大月高

    政府委員(大月高君) これは全体の現在の預貯金の平均におきましても、大体全部合わせまして約十二、三万ぐらいでございます。そういう意味におきまして、今のお話のこの統計は一人当たりの貯蓄額として計算して七万一千円でございます。大体、全体として統計を見ておりまする数字に比べますと、正確な数字であろうと思うわけでございます。先ほどのこの平均の数字以上に貯蓄をしておる人もあるわけでございます。ただ、この場合は三十万円という限度がこの統計のときにはございますから、平均としてはそう上がり得ないことにもなっておるのではないかと思います。
  89. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、国民貯蓄組合で平均すると、大体七万一千円が平均の金額である、こういうことが大体はっきりしておるわけですね。こういう状況で、やはり限度を引き上げるということはどうも疑問が残ってしょうがないんですがね。
  90. 大月高

    政府委員(大月高君) これは逆に申しますと、三十万円という限度がございまして、その三十万円の限度の中における貯蓄者の一人当たりということになりますから、当然平均は低くなる筋だと思います。一般の預金者としては、この貯蓄組合預金のほかに課税される預貯金を持っておるわけでございますから、必ずしもこの数字が低いことと今度の限度を引き上げるということは、筋として直結しないのではなかろうか、こういうような感じがいたすわけでございます。
  91. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その次に運用の面ですね、従来の運用は非常にずさんであったと思うんですがね。昭和三十六年三月の国民貯蓄組合に加入している人数ですね、六千七百七十七万人ですかという数字を示しておると思いますがね。人口九千五百万ですか、のうち六千七百万人が加入しておるということは、これは何を物語っておるかということです。
  92. 大月高

    政府委員(大月高君) 相当の乱用があると認めざるを得ないと思います。
  93. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、今度はその乱用を防ぐために非課税貯蓄申込書を提出さす、こういうんでしょう。それから、窓口組合については資格の調査を行なう。こういうことで乱用を防げるかどうかですね。これは従来とあまり変わらぬのじゃないですか。
  94. 大月高

    政府委員(大月高君) 税金と貯蓄という問題は非常にデリケートな問題でございまして、この制度自体が、やはり貯金者の物事の考え方、それから金融機関の窓口における物事の考え方、こういうものと非常に密着しておるものでございます。本来、納税思想というものは非常に高いということになりますれば、こういうものの乱用は非常に少なかるべきものであるわけでございますけれども、何分一般の国民の何と申しますか、納税思想というまでには参りませんけれども、貯蓄をする人の気持といたしまして、特に大きな意味の脱税であるとか、税金を積極的にのがれるとかというような意味がなくて、比較的気軽にこの貯蓄組合の制度を使う、その結果課税漏れになっているというような面が過去において非常に多かったのではないかと思うわけでございます。  特に、この預貯金に対する税制は、戦後御存じのように非常にしばしば変わっておりまして、この現在分離課税になっておりますのも三十四年・四月以降の問題でございますが、その前の制度におきましては、預金利子に対する課税は全免されておったわけでございます。そういたしますと、この貯蓄組合の制度一つの重要なねらいは、少額の貯蓄組合預金に対しまして非課税の措置をとろうということでございますので、事実上当時制度のございました貯蓄組合は機能としては眠っておったような姿であったわけであります。それが急激にまた税金がかかる、こういうようなことで、多分その当時窓口における分割あるいは仮装名義による預金というようなものが急激にふえたのではなかろうかというように感じるわけでございまして、そういうような情性が今続いておるというように直接の動機としては考えるわけでございます。  そういう意味で、国税庁あるいは税務当局のほうにおきましても、課税の公平という点からこれは相当重大な問題であるということで、非常な関心を示しておられますし、われわれ貯蓄を推進する立場から申しましても、決して税金をのがれるための制度としてこれを使いたいということではないわけでございまして、健全な少額な貯蓄を優遇するという制度でございますので、限度を五十万円に引きげますと同時に、あわせてやはり制度の適正化をはかる必要があるということで、あらためてこの際法律の制度を改正いたしまして、預貯金をしていただく方に対してもこの制度がはっきり変わったのだという趣旨を徹底いたしますし、金融機関のサイドにおいても自粛を求めるということに踏み切りたいと思うわけでございます。そういう意味で、今度の法律改正は優遇の面と適正化の面とはっきり線を画しまして、四月一日からきちっとした制度に変えたい。むしろ、これは制度をきちっと立てるということと並行して、預貯金者及び金融機関側に一そうの協力を求める問題でもございますので、そのきっかけといたしたいわけでございます。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大口預金者については祖税特別措置によって一〇%分離課税になっておる。それで十分保護されているわけです。こういう制度に私ども反対ですけれども、いずれにしても、大口については一〇%の分離課税ということで保護されておる。したがって、国民貯蓄組合は零細貯金を保護するという趣旨でなければならぬと思うわけです。それが非常に乱用されておるということです。今までに乱用の具体的なものを調査されたことがありますか。
  96. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) この点、実は国税庁で昨年調査いたまして、何分人数に制限があるものですから、相当程度調査いたしましたところ、かなり乱用が見受けられましたので、その調査した限りにおきましては、今回本税を追加決定いたしました。さらに、銀行方面に対しまして、こういう実績になっておるから、店内でもってよくみずからお調べの上間違っておる点は追加納税していただきたい、こういう措置をとったわけでございます。それによりまして本税で約二十五億以上の去年は追加納付を見たような次第でございます。ですから、相当規模にわたりましてやったということが言えるだろうと思います。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 一人でどれくらいの口数を入っているという、そういう具体的なものは調査されなかったのですか。
  98. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは例外中の例外だったと思います。これは査察事件に関連しまして預金を調査しましたところが、一千万円の元本を三十口に分けたものがあるやに聞いております。私は今聞きました範囲で一番目数が多かったのは、そのようなことであります。これらは去年の源泉監査で得た事例でなくて、査察事案に関連して預金調査をした結果発見した事例だそうでございます。非常に例外的ではないかと思います。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、乱用を防ぐということが問題になるわけですが、この手続を複雑にするというふうなことは私は必ずしも賛成しないのですが、しかし、これではたして実際的な効果が上がるかどうかという点ですね。非課税貯蓄申込書を提出する、で、本人であるかどうかを確かめるということですね。これは受け入れる機関としては、銀行としては、いずれ貯蓄はできるだけ集めたいわけですがね。そうすれば、実際的な効果はないのじゃないかと私は思うのですが、もう一つは、結局窓口組合でも、これは調査するのは銀行でしょう。だから、銀行の立場としてこういうことを規定したって効果は全然——全然とは言えないでしょうが、ないのじゃないか思いますが、どうでしょうか。
  100. 大月高

    政府委員(大月高君) 実は乱用の手段といたしましてどういうやり方があるかということになりますと、一番代表的なものは仮装名義を使うわけでございます。今三十口というお話がございましたが、そういうものは例外といたしまして、三口とか四口ということになりますと、何野太郎、次郎、三郎、四郎、こういうようなことになります。それから、源義経とか頼朝とか、こういうようなやり方でございまして、形式的には大体合法的な格好になっておる。本人がいろいろの名前を使うとかい5のが典型的な場合でございます。そういたしますと、金融機関のほうで十分にこの問題を本人として確認するということさえやれば、そういう弊害は救える。そういたしますと、問題は金融機関のサイドで、分けたらどうですかというようなことは言えないで、さらに積極的に、太郎、次郎、三郎というようなことはおかしいじゃないかということが一言言える。しかも、それが金融機関全体として足並みがそろうということになれば、この弊害は相当程度に救えるものだと思うわけでございます。結局、問題は、全体の空気といたしまして、こういう乱用は当然なことだというような認識であるのか、あるいはまたこの制度は厳正に執行、運用すべきものであるというような思想であるのかということが根本でございますので、従来の制度のまま幾ら行政的にやかましく申し上げても、これはなかなか預金者に対しても金融機関に対しても徹底しない。そういう意味で、この機会に制度をはっきりいたしまして、しかもその精神を十分に明確にいたす、行政指導もこの機会に厳重にやる、こういうことと相待ちまして、預金者、金融機関、あるいは政府当局がこういうような気持になって初めて乱用が防げるものだと思うわけでございます。そういう意味で、今度の非課税貯蓄申込書、それに基づく名簿の整理、窓口で本人を確認し得る権限を与える、こういうようなことを併用いたしますれば、相当程度の改善は見るものであろうと考えておるわけであります。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それじゃ、運用の面についての質問は大体終わりますが、先ほど銀行局長が説明された資料に、五十万円から六十万円の収入ですね、給与所得者の。これは大体四十万円程度の預貯金をしておる、こういうお話でしたね。これは給与所得者についてのお話でしたか。
  102. 大月高

    政府委員(大月高君) これは都市の所得階層別でございまして、必ずしも給与所得者ではございません。先ほどの給与所得者としての一〇〇%の比率、この場合は給与所得の話でございますが、最初の都市と農村に分けましてお話を申し上げましたのは、全体の国民に対する企画庁の消費者動向予測調査から出たものでございます。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 総理府統計局の勤労世帯所得動向調査ですね、これを見ると、年間所得八十万円から九十万円で二十七万円という数字が出ておるんですが……。それから、九十万円から百万円が三十七万円。だいぶ今の数字と違うんですがね。
  104. 大月高

    政府委員(大月高君) これは調査した主体が違いますのと、それから時期は、今お話しの分は昭和三十四年の統計でございます。もちろん、二年の間にそう違っておるというわけではないと思いますが、この今お話しの分は、調査世帯が三千六百世帯ということでございますので、非常に限られたものかと思います。ちょっと企画庁のほうの調査対象ははっきりいたしませんが、そういうように調査の対象等もサンプル調査になっておると思いますので、必ずしも計数は合わないんじゃないかと思います。  それから、もう一つ、貯蓄の点について申し上げますと、直接に毎年所得が幾らで、そいつが貯蓄になるといたしましても、預貯金のほうは、むしろ資産が、資産のうちの金銭形態になっておるものが預貯金になっておるわけでございますので、毎年の所得とは必ずしも関係なくて、過去の資産の一部の表現でございますから、完全にこれを並行的に見るというわけにもいかないじゃなかろうか。所得階層の持っております預貯金も、これは年数がたつに従って、終戦後預貯金がふっとんでしまった時期からだんだんふえて参っておりますから、次第に蓄積がふえる、こういうふうにまた考える必要もあるかと考えるわけであります。  ちょっと追加いたしますと、先ほどお話のほうの統計は、貯蓄組合法の規定によって免税の対象とされている貯蓄の保有状況ということでございまして、また調査の目的も違っておりますから、貯蓄組合だと、先ほどお話し申し上げましたように、限度が三十万、そういうグループに入っている預貯金の統計になりますので、当然実質よりも低く出るというのであろうかと考えます。
  105. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会