○
政府委員(大月高君)
国民貯蓄組合法の一部を改正する
法律案につきまして、若干補足的に
説明させていただきます。
国民貯蓄組合法は、御存じのように、国民の健全な貯蓄を奨励する目的で
昭和十六年に制定されたものでございまして、戦後におきましても、経済の再建と安定成長のため、貯蓄の推進に大きな役割を果たして参ったのであります。特に最近の経済情勢におきまして、貯蓄の増強がますます重要となって参りました情勢にかんがみまして、
昭和三十七年度の税制の改正におきましても、預貯金等に対する利子課税、これは分離課税一〇%ということになっておりますが、これをさらに一年延長いたしますとともに、郵便貯金の預入の限度を現在三十万円でございますのを五十万円に引き上げます。また、簡易生命保険におきましても、昨年の立法でございますが、経過措置をもって三十万円でございましたのを三十七年度から五十万円に引き上げられることになるわけでございます。また、生命保険の
関係におきましては、生命保険料の控除が従来最高限度三万円でございましたのを五万円に引き上げられるという、いろいろな税制上の措置あるいは預入限度の引き上げ等の措置が講じられておるのでございます。で、今般、
国民貯蓄組合法におきましても、この非課税の限度現行三十万円を五十万円に引き上げることといたしまして、零細貯蓄の優遇を一段と推進するということをいたしますとともに、従来、組合のあっせんによる貯蓄につきまして、とかく乱用の傾向がございまして、これの運用の適正化をはかる必要があるということが論じられて参りましたので、その適正化をはかるために若干の
制度上の改正を行なう、こういうことにいたしておるわけでございます。
改正の内容につきまして簡単に申し上げますと、まず第一点は、国民貯蓄組合のあっせんにかかる預貯金等の非課税限度につきまして、三十万円を五十万金に引き上げるということでございます。この三十万円の限度は、
昭和三十二年の改正以来一種類の貯蓄につきまして三十万円となっておりましたが、近年における国民所得の増大、これに伴う国民一人
当たりの貯蓄の増加に対応いたしまして、この際これを五十方円に引き上げたいとするものであります。また、貯蓄の増強のため、国民貯蓄組合のあっせんの対象となし得る有価証券につきまして、現在国債、地方債、社債というように法律上限定されておるのでございますが、これに加えまして、命令をもって定める有価証券を対象に加え得るように改正いたしたいわけでございます。現在予定いたしております命令をもって定める有価証券は、社債投資信託、つまりボンド・オープンを加え得るようにいたしたいというのがこの改正の目的でございます。
他面、国民貯蓄組合
制度のより一そう適正な運営をはかるために、二、三改正をいたしたいわけでございますが、
一つは、従来非課税の扱いをなし得る貯蓄の種類が非常に多くあったわけでございます。具体的には、たとえば銀行預金、あるいは農林中央金庫の預金、信用金庫における貯金、
農業協同組合の預金というもの、それぞれについて限度が三十万円ということでございました。合計いたしますと、これが十三種に及んでおったわけでございます。しかし、ある意味におきましては、それぞれ預入を受ける人につきまして不公平が生ずるおそれがあるということで、この十三種数の貯蓄の種類を三つの分類にいたしまして、つまり預貯金の
形態のものと、信託の
形態のものと、有価証券の
形態のもの、こういう三種類に区別いたしまして、同一の組合員はそのうちの二種類を選択するということにいたしたわけであります。その結果、結局同一の組合員といたしましては、たとえば預貯金と信託、あるいは信託と有価証券というように、五十万円ずつ合計百万円までは非課税の恩典を受ける、こういうようにいたしたわけでございます。
また、この
制度を明確にいたしますために、非課税の扱いを受けようとする貯蓄につきましては、貯蓄を受け入れる機関に対しまして、非課税貯蓄申込書というものを各預貯金をする人から金融機関に提出をしていただきまして、その
制度を明確にいたしたい、こういうことでございます。さらに、とかく乱用のございました窓口貯蓄組合につきましては、組合長に対しまして、組合に加入しようとする者の資格の
調査を行なうため必要な証明を求める権限を与えようとするものでございます。具体的には、本人であることがはっきりいたしません場合には、たとえば本人の持っております定期券だとか、あるいは通学の証明書であるとか、あるいは米穀通帳であるとか、あるいは最近本人あてに参りましたはがきであるとか、とにかくその本人であるということを明確にする証明を求め得る、こういうようにいたしたわけでございまして、現在郵便貯金法にも同様の規定があるわけでございます。これによって仮装名義あるいは他人の名義を使うというような事例をなくそうとするわけでございます。
なお、経過措置といたしまして、国民貯蓄組合のあっせんにかかる貯蓄でこの法律の施行の際現に存在するものにつきまして、
昭和三十七年九月三十日までは従前の例によることができる等経過措置を講じまして、預貯金者の便宜、経過措置が円滑に行なわれるように配慮いたしたわけでございます。
以上がこの
法律案を提出いたしますおもな
理由でございます。何とぞよろしくお願いいたします。