○
政府委員(
大月高君) 具体的に
数字をもって御
説明申し上げます。
昭和三一五
年度の
数字を概観いたしますと、まず
収入の問題でございますが、正味の
収入保険料が三十五
年度におきまして九百七十一億、約千億足らずというものがあるわけでございます。それで、その中から正味の
支払い保険金、
事故がございますと
保険金を
支払いますが、これが四百二十五億。すなわち、
収入保険料の九百七十一億に対しまして四三・九%、約四四%という
数字になっておるということでございます。それから、人件費、物件費その他の、正味
事業費と申しておりますが、これが四百億ちょうどでございます。パーセントにいたしまして四一・三%という
数字になるわけでございます。そういたしますと、
事業活動といたしましては、正味の
収入保険料から
保険金を
支払いまして
事業費を
支払いまして、差し引き
残りが百四十四億というような
数字になっております。これが一四・八%。それで、この百四十四億に対しまして、さらに、先ほど御
説明申し上げましたように、
責任準備金を積む必要があるわけでございまして、これは、たとえば三十五
年度で申しますと、
保険料を
収入いたしまして、さらに三十六
年度にわたりまして損害が出る可能性がございますので、そういうものに対する留保をとっておく必要があるわけでございます。そういう
意味で、
責任準備金の三十五
年度の積み増し額は百六十九億円、こういうことになっております。これが今の正味の
収入保険料に対しまして一七・四%ということでございます。それから
支払い備金——同じような性質のものでございますが、やはり準備金の積み増しが、
支払い備金といたしまして十六億ございます。これが一・七%でございます。そういたしますと、
事業利益は、今のを差し引きますと、三十四億という赤が出るわけでございます。パーセントにいたしまして三・七%、正味
収入保険料に対しまして三・七%の赤が出る。それじゃ、この赤をどういうように処理いたしておるかと申しますと、
一つは
貸付金及び株式の配当金
収入がございます。これが百三十三億でございます。パーセントにいたしまして、正味
保険料に対しまして一三・七%の利息及び配当
収入があるわけでございますが、その他雑損益といたしまして十九億の損を出しております。それを差し引きますと、資産全体としての
利益が百十三億、今のを差し引きますから百十三億で一一・七%、そういうことになるわけでございます。そういたしますと、資産
利益百十三億、それから先ほどの
事業の損失三十四億で、百十三億から三十四億を引きますと、七十九億という
数字が出るわけでございますが、これが正味
保険料に対しまして八・二%。で、前
年度の繰越金が、三十五
年度におきまして三億ばかりございます。〇・三%でございます。この繰越金を先ほどの七十九億に足しますと、当
年度の
利益金といたしましては八十二億ばかりが出る。これが正味
保険料に対して八・五%になるわけでございまして、
損害保険会社全体として考えますと、総
利益率がおおかた八%ちょっというところでございまして、普通の
事業会社としての損にほぼ匹敵しておる。これが損保
会社全体の経理でございます。
で、従来からこういうように次第に資産の蓄積ができて参りますと、その運用
利益でもって
事業の損失をカバーする。しかし、その損失と申しますのは、
責任準備金その他の積み増しを入れた損益でございます。
保険会社を健全に運営していくためのこれは国際的に確立いたしております慣行に従いまして経理いたしておるわけでございまして、必ずしも
事業の
関係で赤が出るということは不健全でもなく、資産の収益でもってこういうものをカバーしていくというのが大体の考え方でございます。