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1962-03-01 第40回国会 参議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月一日(木曜日)    午前十時三十五分開会   ——————————  出席者は左の通り。    委員長     棚橋 小虎君    理 事            上林 忠次君            佐野  廣君            荒木正三郎君            永末 英一君            市川 房枝君    委 員            青木 一男君            大谷 贇雄君            木暮武太夫君            高橋  衛君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            木村禧八郎君            須藤 五郎君   政府委員    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省関税局長 稲益  繁君    大蔵省銀行局長 大月  高君    運輸省航空局長 今井 栄文君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    公正取引委員会    事務局長    小沼  享君    大蔵省主計局総    務課長     吉国 二郎君    大蔵省主計局税    制第二課長   志場喜徳郎君    大蔵省関税局総    務課長     武藤謙二郎君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○産業投資特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○財政法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○関税定率法及び関税暫定措置法の一  部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○酒税法等の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○物品税法案内閣送付予備審査) ○関税法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○保険業法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   ——————————
  2. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。  まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案財政法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案酒税法等の一部を改正する法律案物品税法案、以上六件を一括議題とし、順次、提案理由説明及び補足説明を聴取することにいたします。堀本大蔵政務次官
  3. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案外五法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、次の二点につき所要改正を行なうことを内容とするものでございます。  第一に、政府はいわゆるガリオア、エロア等の戦後の対日経済援助最終的処理をはかるため、今国会日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を提出し、その御承認を求めております。この協定に基づいて政府合衆国政府に対して負うこととなる債務は、米国対日援助見返資金特別会計廃止の際その資産を承継した産業投資特別会計負担とし、この会計から元利金支払いを行なうことが最も適当であると考えられます。  したがいまして、本法律案におきましては、産業投資特別会計法所要改正を加え、この協定に基づく債務はこの会計負担とするとともに、この債務の元金四億九千万ドルに相当する円の金額千七百六十四億円を資本から債務に振りかえる等の措置を行ない、また、この債務元利金支払いをこの会計の歳出といたしております。  第二に、昭和三十七年度産業投資特別会計予算におきましては、同年度の日本輸出入銀行、農林漁業金融公庫日本住宅公団住宅金融公庫等に対する投資需要を充足するために、総額五百三十二億円の投資を行なうことといたしておりますが、この投資の確保をはかりますためには、その財源の一部を一般会計から補充する必要があります。よって昭和三十七年度において、この会計投資財源の一部に充てるため、二百三十億を限り、一般会計からこの会計繰り入れることができるよう所要改正を加えることといたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。    ——————————  次に、財政法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申し上げます。  この法律案は、国の財政の合理的な運営に資するため、財政法第二十九条の規定による追加予算及び予算修正に関する制度整備するとともに、財政制度審議会の構成について所要改正を行なうことをおもな内容とするものであります。  以下、その改正の要点につきまして御説明申し上げます。  まず、財政法第二十九条の規定につきましては、御承知のとおり補正予算による産業投資特別会計資金への繰り入れに関し、かつて再度にわたって論議が生じました事実にかんがみ、財政制度審議会の慎重な審議を経まして、今後このような論議が起こらないように、当該年度においては国庫の外に払い出されないような後年度支出財源に充てるための繰り入れ予算追加の対象となり得る旨を注意的に明示する等、規定整備を行なっております。  また、現行第二十九条は、第一項が「追加予算」の規定、第二項が「予算修正」の規定となっておりますが、その運営の実際におきましては、この両者が一体となって補正予算として編成されております。この実際の取り扱いは、財政の運営上合理的な方法であると考えられますので、実情に適合するよう「補正予算」という名称に統一することとし、さらに、現行規定追加予算は「予算作成後」、予算修正は「予算成立後」に生じた事由に基づくものであることを要件としていますが、このように両者につき異なった取り扱いをすることは運用上支障を生ずるおそれも考えられますので、追加以外の予算の変更につきましても「予算作成後」の事由によることに統一する等、所要改正を行なっております。  なお、これに伴いまして、政府関係機関として、その予算について国会の議決を要することとなっております公社、公庫等追加予算及び予算修正に関する規定につきましても、財政法改正に準じて整備をはかる必要がありますので、附則におきまして関係法律の一部を改正することといたしております。  次に、財政制度審議会につきまして、同審議会が国の予算、決算及び会計制度に関する重要な事項を調査審議するものであることにかんがみまして、今後各般の問題を検討するにあたり、広く有識者の参加を得ることができるよう、会長を大蔵大臣とするとともに、特別の事項の調査審議にあたる臨時委員を置くことができることといたしました。  以上がこの法律案提案いたしました理由であります。    ——————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和三十七年度税制改正一環として、さき提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案を提出いたす次第であります。  以下、この法律案について、その概要を申し上げます。  第一に、現下の経済情勢に顧み、貯蓄奨励の見地から利子所得にについての分離課税特例及び配当所得源泉徴収税率軽減措置を、それぞれ一年間延長することとしております。  第二に、既成市街地における防災建築街区の造成に資するため、防災建築街造成組合土地等を現物出資した場合に、防災建築街造成組合防災建築物を建築した後その出資者に出資の払い戻しとして返還したときは、払い戻しを受けた部分については、譲渡が行なわれなかったものとして譲渡所得課税をしないこととし、一方出資を受けた防災建築街造成組合については、その土地所有期間に生じた値上り益について法人税課税を行なわないこととしております。  また、一般住宅事情の緩和に資するため、貸家の用に供する新築または増築住宅についての特別償却制度適用期間を三年間延長することとしております。  第三に、公共事業の施行にあたり収用する土地の上にある建物、構築物等の取りこわしの場合の補償金、または長期にわたる土地等の使用の場合の補償金について、収用の場合の課税特例と同様その譲渡所得について課税特例を認めることとしております。  第四に、航空機の乗客に対する通行税軽減税率を一〇%から五%に引き下げることとしております。すなわち、通行税については、間接税全般との調整をはかり、さき提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案において、現行の二〇%の税率を一〇%に引き下げることとしておりますが、これとの関連から航空機の乗客についての一〇%の軽減税率を五%に引き下げることといたしたのであります。  第五に、中小企業の育成及び産業助成の見地から、登録税について必要な軽減措置をはかっております。すなわち、農林中央金庫及び商工組合中央金庫が発行する長期の農林債券及び商工債券の発行についての登記の登録税外航船舶保存登記及びその建造資金の貸付による抵当権取得登記についての登録税漁業協同組合都道府県知事の勧告を受けて合併する場合の合併により取得する土地及び漁船の取得登記登録税防災建築街造成組合が取得する土地取得登記登録税居住用家屋についての登録税等につきまして、税率引き下げ等を行なうこととしております。  第六に、わが国外貨資金状況により緊急な必要性に基づいて国または日本銀行が借り入れる外貨借入金につき支払われる一定の利子について課税を免除することとし、また、内国法人等が支払う一定の外貨借入金等利子について、三年間に限り二〇%の源泉徴収税率を一〇%に引き下げることとしております。  第七に、自己の研究にかかわる工業所有権等第三者を通じて輸出した場合に、その提供者について輸出所得控除を認めることとするとともに、その輸出取引を行なった第三者についても一般の物品輸出の場合と同様の輸出所得控除ができることとする等、所要規定整備を行なっております。  以上のほか、所得税法及び法人税法における非居住者等課税規定整備に関連して、利子所得等にかかわる規定整備を図ることといたしております。  以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容大要を申し上げました。  次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  現行関税率表は、昨年全面改正されたものでありますが、その後、貿易自由化の繰り上げが予定された品目を中心として、関税率について所要調整を行なう必要が生じたのであります。このため、政府は、昨年十月に関税率審議会に諮問し、同年十二月十四日、その答申を得ましたので、これに基づきまして、関税定率法及び関税暫定措置法につき、改正を行なうことといたした次第であります。  関税率改正を行なった品目は、関税定率法及び関税暫定措置法を通じ百三十八品目でありまして、その内訳は、税率引き上げ品目六十九、引き下げる品目三十三、従価税率から従量税率に切りかえる品目二、税率を実質的に引き上げ従量税率に切りかえる品目十、従量従価選択方式による品目九、従量従価併課方式による品目一、関税割当制度を採用する品目十四及び季節関税による品目一となっております。  関税率調整あたりましては、単に自由化の衝撃から国内産業を保護するのみでなく、需要産業一般消費者等に及ぼす影響をも十分に考慮し、広くわが国経済の強化という観点から検討を加えたのであります。  また、自由化国内産業に及ぼす影響について必ずしも見通しが容易でない場合及び国内産業合理化予定自由化の繰り上げに応じて早めることが困難な場合等につきましては、関税暫定措置法において、所要の期間を限り、暫定税率を定めることといたしますとともに、基本税率引き上げを行なった品目中二十一品目については、自由化の実施までの間、需要者の立場をも考慮し、従前の税率を据え置く措置を講じております。  このほか、本年三月三十一日で適用期限の到来する重要機械類給食用脱脂粉乳農林漁業用の重油、肥料製造用原油及びガス製造用原油暫定免税並びに関税暫定措置法品目暫定税率中、国民経済上継続の必要があると認められるものの適用期限を、それぞれ一年間延長することといたしております。  製油用原油につきましては、現在、関税暫定措置法により、一キロリットルあたり三百二十円の暫定軽減税率が適用されておりますが、石油と競合するエネルギー源としての石炭産業に対する諸施策が緊急を要することにかんがみ、この際、軽減税率を廃止し、一キロリットルあたり五百三十円の基本税率に復することとし、これにより石油石炭価格差を縮小し、もって石炭産業の安定に資することといたしました。ただし、石炭の長期引き取り契約を行なう電力、製鉄等については、この税率引き上げにより過重な負担をこうむることとなる面もありますので、これらの業者が消費する重油については、今回の引き上げによる負担増分に見合う金額を還付することとしたのであります。  また、わが国において最近著しい発展を遂げつつある石油化学工業については、その原料について諸外国ともおおむね減免税を行なっており、石炭との競合の懸念もありませんので、輸入原油から精製した揮発油及びガスで石油化学製品の原料となるものにかかる原油の関税を全額還付することといたしました。  このほか、関税定率法及び関税暫定措置法の別表の品名の表現等につき、所要規定整備を行なうことといたしております。  以上がこの法律案提出理由及びその概要であります。    ——————————  次に、酒税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  政府は、昭和三十七年度における税制改正一環として、さき提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案を提出いたす次第であります。  以下、この法律案について、その概要を申し上げます。  この法律案は、最近における酒税負担状況等に顧み、その軽減合理化をはかるとともに、税体系整備改善を行なうため酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正しようとするものであります。すなわち、酒税負担軽減合理化については、大衆酒において現行小売価格をおおむね一割程度引き下げることを目途として、各種類間のバランスを考慮しつつ酒税税率を引き下げるとともに、価格の特に高い酒類については新たに従価税制度を採用することとし、税体系整備改善については、酒類取引実情に即するよう酒類種類等の区分を改善し、納税方法申告納税制度に改める等、所要規定について整備改善を行なおうとするものであります。  まず第一に、税率改正について申し上げます。わが国酒税負担がかなり高く、特に低所得階層負担が相当重くなっている実情に顧み、大衆酒を中心として、各種類にわたり、税率を平均で二割程度引き下げることといたしております。この結果、酒類小売価格は、清酒二級は大びん一本当たり五十円、ビールは大びん一本当たり十円、ウイスキー二級は大びん一本当たり三十円、その他の酒類についても品質等に応じて、それぞれその価格が下がる見込みであります。  また、最近の消費水準向上等に伴い、価格の特に高い酒類もある程度出回っておりますが、現行酒税はすべて従量税でありますために、これらの高級酒類価格に対する酒税負担割合は、通常の油類に比べて相当低くなっておりまして、負担の公平上適当でない状況も見受けられますので、今回、このような高級な酒類に対しては従量税にかえて従価税を採用することといたしたのであります。  税率につきましては、以上のほか、しょうちゅう甲類と乙類との税率格差を最近の実情に即するように改める等、税率合理化をはかることといたしたのであります。  第二に、酒類の区分の改善についてでありますが、まず、酒類種類につきましては、最近における酒類消費及び取引実情に顧み、現在独立の種類とされている濁酒及び白酒の種類を廃止し、他面、現在雑酒の中に含まれているウイスキー、ジン、リキュール等のいわゆる洋酒をウイスキー類スピリッツ類及びリキュール類に分けてそれぞれ独立の種類とすることとし、現行の九種類を十種類に改めることといたしております。なお、炭酸ガスを加えた種類は現在すべて雑酒の中の発泡酒として一律の税率が適用されることになっておりますが、これを今後はそれぞれ炭酸ガスを加える前の酒類として、その税率を適用することといたしております。  また、酒類級別等につきましても、清酒について、現在の特級及び第一級をあわせて特級とし、準一級を一級とし、リキュール類については級別を廃止する等、制度簡素化取引実情に応じた改善をはかることとしております。  第三に、現在、産業用等のいわゆる特殊用途酒類につきましては、租税特別措置法により、ある程度の税率軽減が行なわれておりますが、この制度はいわば配給酒類のなごりでありまして、今日では、その数量も全酒類の一%程度ときわめて少なくなっておりますので、今回の減税に伴い、この制度を廃止することとした次第であります。  第四に、以上のほか、納税方法を原則として申告納税制度に改め、輸出免税、未納税移出等についても承認制度を原則として申告制度に改める等、所要規定整備改善をはかることといたしております。  第五に、以上のような酒税法改正等に伴いまして、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律規定につき、所要整備を行なうこととしております。  なお、この法律は本年四月一日から施行することとしておりますが、以上申し上げました軽減措置による酒税減収額は、昭和三十七年度において約三百九億円、平年度において約三百七十二億円と見込んでおります。  以上、酒税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げました。    ——————————  最後に、物品税法案につきまして、御説明いたします。  政府は、昭和三十七年度における税制改正一環として、さき提案いたしました通行税法の一部を改正する法律案等に引き続き、この法律案を提出いたす次第であります。  以下、この法律案について、その概要を申し上げます。  この法律案は、最近における物品税負担状況等に顧み、その軽減合理化をはかるとともに、税体系整備合理化を行なうため、物品税法の全文を改正しようとするものであります。  第一に、税負担軽減合理化について申し上げます。まず、現行課税物品は七十品目に上っておりますが、これらの課税物品のうちには、最近における消費の態様や企業規模零細性等から見て課税することが必ずしも適当でないと認められるものもありますので、この際、紙、セロファン等十六の品目について課税を廃止することとしております。  なお、飾り物及び玩具につきましては、製造者の規模がきわめて零細で税務執行上の難点もありますので、課税最低限を大幅に引き上げた上、これを製造課税から小売課税に移行することとしております。  次に、税率につきましては、現在製造従価課税税率が三%から五〇%までの八段階にわたっておりますが、これを二〇%を基本税率とし、その上下に四〇%及び三〇%の加重税率と一〇%及び五%の軽減税率を設けて税率構造整備をはかることとし、これに伴い、最近における消費態様等に応じて電気冷蔵庫等二十一品目について、それぞれ軽減を行なうこととしております。  なお、以上のほか、政令におきまして課税最低限制度を設けておりますが、これにつきましても、最近における消費水準の向上や企業の零細性等を十分考慮いたしまして、引き上げを行なうことを予定いたしております。  第二に、このような税負担軽減合理化に伴いまして、同種の課税物品に比べて物品税を課さないことが著しく不均衡になると認められるパッケージ型のルームクーラーカークーラー等若干の物品につきましては、これを新たに課税対象に取り入れることとしております。なお、この点につきましては、関係業界に及ぼす影響等を考慮いたしまして、その適用の時期等につき所要の配慮をいたしております。  第三に、課税体系整備につきましては、納税方法申告納税制度に改める等のほか、課税済み物品を輸出したような場合には新たに物品税輸出業者に還付することができる道を開くとともに、現行物品税法にはかなりの不備も見受けられますので、物品税法の全文を書き改め、税法簡易平明化をはかることとしております。  なお、この改正案は本年四月一日から施行することとしておりますが、以上申し述べました軽減措置による減収額は、昭和三十七年度において約百七十二億円、平年度において二百二億円を見込んでおります。  以上、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案外五法案につきまして、提案理由及び大要を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いする次第であります。
  4. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、順次、補足説明を聴取することにいたします。上林法規課長
  5. 上林英男

    政府委員上林英男君) ただいま提案理由説明がございました法律案のうち、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案財政法の一部を改正する法律案につきまして、私から補足説明を申し上げます。  まず、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案でございますが、政府が今国会に提出して御承認をお願いしておりまする、日本国に対する戦後の経済援助処理に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定によりまして、合衆国政府に対しまして今後十五カ年間にわたり四億九千万ドル、邦貨で換算いたしますと千七百六十四億円になりますが、これと、これに対しまする年二分五厘の利子、十五カ年で三百二十一億円になるわけでありますが、これを合わせまして、元利合計二千八十五億円に相当する金額を支払うことになるわけでございます。  この協定実施に伴いまして、国庫内部の経理といたしましては、提案理由において説明申し上げましたとおり、米国対日援助見返資金関係資産を承継いたしました産業投資特別会計がその債務負担いたしまして、この会計におきまして元利支払いをすることが適当であると考えるものでございます。すなわち、産業投資特別会計日米国対日援助見返資金特別会計が廃止されました際に引き継ぎました資産は二千二百九十四億円でございまして、さらにこれに一般会計からの承継資産のうちに見返り資金による復金債償還分が六百二十五億円ございまするので、これを加えますると、産業投資特別会計設立時の見返り資金関係資産は実質的に二千九百十九億円となるわけであります。さらに、その後、昭和三十六年度までの産業投資特別会計の利益によりまする積立金は千四百三十三億円に上る見込みでございまして、その相当部分米国対日援助見返資金関係運用収入によるものであるということができるわけでございます。また、産業投資特別会計開発銀行納付金及び貸付金に関しまする運用収入のうち、見返り資金関係分は、今後十五カ年間に二千二百二億円と見積もられるのでありまして、対米債務二千八十五億円はこういうような観点から支障なく支払われる計算となっておるわけでございます。  したがいまして、本法律案におきましては、産業投資特別会計法所要改正を加えまして、この協定に基づく債務産業投資特別会計負担といたしまするとともに、債務元利金産業投資特別会計歳出として規定しようとするものでございます。  さらに、産業投資特別会計におきましては、米国対日援助見返資金特別会計からの引き継ぎ資産等の金額を、この会計の資本として経理することにいたしております。今回の協定に基づきまする債務負担に伴いまして、元本四億九千万ドルに相当します円の金額でございまする千七百六十四億円を、資本から債務に振りかえるという経理手続を規定いたしておるわけでございます。  次に、昭和三十七印度におきましては、産業投資特別会計から、提案理由で御説明申し上げましたように、総額五百三十三億円の投資を行なうことといたしておりますが、この投資財源の一部を一般会計から補充して投資需要の充足をはかる必要があるわけでございます。そこで、この五百三十二億円の投資所要額の一部でございます二百三十億円に相当する金額を限りまして、昭和三十七年度においてこの会計投資財源の一部に充てるため一般会計からこの会計に繰入金をすることができるよう所要改正をいたしておるわけでございます。  以上が産業投資特別会計法の一部を改正する法律案補足説明でございます。  次に、財政法の一部を改正する法律案につきまして補足説明を申し上げます。  提案理由に御説明いたしましたように、この法律案内容は、財政法第二十九条の規定によりまする追加予算予算修正に関する制度整備すること及び財政法附則第七条に規定いたしまする財政制度審議会の構成について改正を行なうことを内容とするものでございます。  まず最初に、財政法二十九条の改正の要点について御説明申し上げます。  第一は、第三十八回国会等におきまして、産業投資特別会計資金への繰り入れのための補正予算財政法第三十九条の追加予算対象となるかどうかという問題が起こりました経緯にかんがみまして、当該年度において国庫内の移しかえにとどまるような支出でありましても追加対象となり得るという旨の注意規定を設けましたことでございます。政府といたしましては、かねてから御答弁を申し上げておりますように、かかる繰り入れのための補正措置現行法上適法であると考えておるわけでございまするし、また、財政制度審議会におきましても、いろいろと御意見はあったわけでございまするが、法律的には適法であるという点では一致いたしておったのでございます。しかしながら、国会におきまして再度にわたって論議を生じたことでもありまするので、できる限り規定の明確化をはかり、今後同様な論議が生ずることを避けることが適当であるという御意見もございまして、こういう規定を設けまするとともに、若干の字句の整備を行なっております。  第二は、現行法の「追加予算」及び「予算修正」という呼称、名前を改めまして、実情に適合するように「補正予算」という名称に統一をいたしましたことでございます。現行法第二十九号は、追加予算予算修正とは全く別々の案件であるかのように規定をいたしておるのでございまするが、御承知のように、運営の実際におきましては追加予算予算修正とが渾然一体となって、補正予算として編成、運営されているわけでございます。また、この実際の取り扱いは合理的な方法であると考えられまするので、この際この両方を一括いたしまして、補正予算と呼ぶように改正をはかったものでございます。  第三は、現行規定上、国会への提出要件につきまして、追加予算の場合は「予算作成後に生じた事由」、予算修正の場合には「予算の成立後に生じた事由」と区分されているわけでございますが、これを改めまして、追加以外の予算の変更につきましても「予算作成後」の事由によることに統一をいたしました。現行規定のように両者が異なった取り扱いを受けますことは、予算修正のみを単独で行なうことはむしろまれなことでございまして、通常の場合には予算追加追加に伴います修正とがほとんど一体として補正予算を形成するのが常でございまする実情からいたしましても、運用支障を生ずるおそれも考えられるわけでございまするから、追加以外の予算の変更につきましても、その提出要件を「予算作成後に生じた事由」によることといたしたわけでございます。  最後に、現行規定上、何が予算追加である、あるいは何が予算修正であるという区別につきましては、従来若干の議論もございまするので、予算追加追加以外の予算の変更との区分が、なるべく明確になるよう規定整備をはかっております。  以上が財政法第二十九条の改正の要点でございまするが、これらはいずれも財政制度審議会の慎重な御審議の結果に基づくものでございます。  なお、これに伴いまして、政府関係機関として、予算につきまして国会の議決を要することになっておりまする日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の三公社、それから公庫の予算及び決算に関する法律適用を受けておりまする諸公庫及び日本開発銀行並びに日本輸出入銀行につきましては、その追加予算及び予算修正に関する規定を、財政法のただいま申し上げました改正に準じまして整備する必要がございまするので、附則におきまして関係規定整備を行なっておるわけでございます。  次に、財政制度審議会の構成の改正についてでございまするが、財政制度審議会は「国の予算、決算及び会計制度に関する重要な事項調査審議」するために設けられたものでございまして、国の財政会計のあり方を検討する上におきまして本審議会の果たす役割は重大でございまするし、また今後本審議会におきまして財政制度会計制度の各般にわたる問題を調査審議することとなる予定でございまするので、各界の権威ある有識者の参加を求める必要がございまするから、本審議会臨時委員を置くことができるようにいたしますると同時に、現在大蔵事務次官が会長でありますのを、大蔵大臣を会長とすることにいたしております。  以上が、この法律案補足説明でございます。よろしくお願いをいたします。
  6. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 吉国総務課長
  7. 吉国二郎

    説明員(吉国二郎君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案補足説明を申し上げます。  本法案改正の要旨につきましては、ただいま提案理由説明で詳しく申し述べましたところでございますので、便宜、お手元にお配りをいたしております新旧対照表に基づきまして、主要な改正事項について御説明を申し上げることといたします。  最初に、利子所得分離課税及び税率軽減改正でございますが、これは五ページの第三条でございます。従来から、この第三条の一項及び二項におきまして、居住者及び内国法人について本邦所得税法の総合課税及び法人税については二〇%の課税規定がございますが、これに対する特例といたしまして、個人に対しては分離一割、法人に対しては一割五分を課税する旨の特別の規定がございます。さらに三項において、これに対応いたしまして、源泉徴収の税率を本則の二〇%に対して一〇%に軽減する旨の規定があるわけでございます。この既定は、本年の三月三十一日までの時限帆足になっておりますが、提案理由で申し上げましたように、現在の経済情勢にかんがみまして、あと一年間、昭和三十八年三月三十一日までこの期限を延長することにいたしているわけでございます。  それから次に、外国からの借入金についての特例でございます。これは第七条、第七条の二、八ページでございます。先般、国際収支の悪化に伴いまして、緊急に米国銀行から日本銀行が借り入れをいたしましたことがございます。現在、国債あるいは国の関係機関の借入金につきましては、その借入金あるいは外債を発行いたしますつど、その基本法律所得税法法人税法の非課税をうたっているのでございますが、日本銀行あるいは国の場合も、外為会計等が臨時に外国から借り入れをいたします場合、特に法律を出しませんので、この場合に税率軽減する方法が現在ではございません。しかし、国の必要によって外国から借り入れを行なうような場合に、これに対して利子課税をいたしますということになりますと、この借り入れがきわめて困難になる実情にございます。また、実際上、国が借り入れたものにつきまして利子課税を行なうことは、その利子そのものが国の歳入になるわけでございますので、各国ではそういう場合に税を免除しているわけでございます。そのような意味から、今後再びこういうことが起こった場合に、そのつど法律でもって個別に非課税規定するよりも、このようなものについてはあらかじめ非課税規定を設けたほうが、国際収支の悪化その他の事情による緊急の借り入れの際に借り入れを円滑にするという意味で、第七条に、国または日本銀行が、非居住者または外国法人から借り入れる外国通貨による借入金につきましては、その借り入れ国の外貨資金状況に照らしまして、政令で定めるところにより、それに対する所得税を免除するという規定を設けたわけでございます。  それから、現在、御承知のように、外貨借り入れについての各種の協定と申しますか、契約が結ばれておりますが、御承知のように、現在所得税法におきましては、非居住居あるいは外国法人からの借入金に対する利子支払いについては、百分の二十の税率で源泉徴収することになっております。この百分の二十の税率は、利子支払い額に対して適用されますので、この借入金が金融機関等から行なわれております場合に、資金コストが非常に高いという関係で、外国税額控除の規定を当該国において適用されたといたしましても、この百分の二十の所得税は外国税額控除で控除し切れないという事情がございます。そのために、その控除し切れない分を借入者——債務者が追加負担をさせられるというのが実情でございます。そのために、外貨借入金のコストが非常に安いといわれながら、税のために追加コストがかかっているという実情でございますので、ここ三年の間を限りまして、一定の借入金については、つまり二〇%の源泉徴収税率では控除し切れないと認められる特殊な借入金については、これを軽減することにいたしたわけでございます。それは第一は外国の金融機関から借り入れる場合、第二は外貨債の形で一般に借り入れをする場合、この二つの場合につきましては源泉徴収税率を百分の十といたしたわけでございます。この百分の十の税率にすれば、通常の場合、当該国が外国税額控除の制度を持っている限りは完全に引き切れる。したがって、追加負担の問題は起こらないということになるわけでございます。  それから第九条は、先ほどの利子所得特例を一年間延長いたしましたことに見合いまして、現在配当所得について百分の二十の源泉徴収税率を百分の十に軽減いたしておりますが、これを同様に三十八年三月三十一日まで一年間延長することにいたしておるわけでございます。  十四条は、新築貸家住宅につきまして、これを促進するために本年の三月三十一日までを期限として特別の償却を認めておりますが、これを現在の借家あるいは住宅事情に顧みまして、三年間延長することにしているのが第十四条の改正でございます。  それから、第二十条では、輸出損失準備金勘定の制度が従来設けられておりましたが、これが昭和三十四年で適用が終わっております。しかし、その跡始末等が残っておりまして、その跡始末が昭和三十六年十二月三十一日までとなっております。これが本年に入りましてすべて終了いたしましたので、二十条を削除するということにいたしております。  輸出所得控除改正は、十二ページの第一号をごらんいただきますと、「他から購入した物品の輸出」の下に、工業所有権その他のものを権利者から譲り受けて技術輸出をする場合が加えられております。この改正は、従来工業所有権の輸出につきましては、御承知のとおり、その収入金額の五〇%を控除していたわけでございますが、最近の情勢では、自分の発明した工業所有権等を輸出するのでなくて、他の者が発明した工業所有権の譲渡を受けまして、これをまとめて輸出するという形態があるわけでございます。こういう形態になりますと、自分の発明した工業所有権ではございませんから、輸出者は控除を受けられない。また、ほんとうの発明者は自分が輸出していないために、これもまた特別控除を受けられないという矛盾がございます。今回は、技術輸出の特別控除につきまして、みずから輸出した場合、あるいは輸出する者に譲渡をして間接に輸出した場合、いずれもこれを含むことに改正いたしますとともに、そのような意味から、今度は他人の発明を買い取って輸出する者についても、物品を輸出した場合と同様に一%の特別控除を認めるということに合理化したわけです。これが第一号並びに次の第二十一条の三の技術輸出の特別控除の規定改正の趣旨でございます。  それから、次に三十条、二十五ページに飛びまして、三十条の改正でございますが、山林所得の改正。三十条の改正は、御承知のように前国会におきまして山林所得の課税につき山林の増伐を促進する意味で二つの特例を設けたわけでございます。一つは、過去三年の平均の伐採量を上回って伐採したものについては山林所得を二分の一に軽減するという規定、それからもう一つは、昭和二十八年一月一日前から引き続き所有していた山林については再評価の規定を設けて、二十八年一月一日現在の価額で取得価額を計算するという特例、この二つを前国会で認めていただいたわけでございますが、このあとの分につきましては、今回譲渡所得、山林所得に関連して、所得税法でこの原則をとったのでございます。つまり再評価制度を廃止いたしまして、二十八年一月一日現在の取得価額を基礎として譲渡所得、山林所得を計算することに本法をきめましたので、これに伴いまして租税特別措置法 規定は削除したわけでございます。  それから、三十一条以下の改正でございますが、これは収用等の場合、土地を収用された者がその収用の対価をもって代替資産を取得した場合には、その代替取得した資産の価額の範囲内においては譲渡がなかったものとする、あるいはもし代替資産を取得しない場合には、その譲渡所得を二分の一軽減するという一連の規定がございます。この中に今回は、土地が収用された場合にその上にある資産について取りこわしまたは除去をしなければならないことになった場合、補償金をそれについて、取得をした場合には、これも土地の取得と同様に扱う、その対価をもとにして代替資産を取得すれば、その代替資産の取得価額の範囲内で課税を起こさないということにいたしたものであります。それからさらに、地下鉄の掘さく等に伴いまして長期土地を使用する場合、あるいは高圧の電線の下にある土地の地役権を設定した場合等には、やはり補償金を取得するわけでございますが、これらについても収用等の場合と同様に代替資産の買いかえを認め、譲渡所得課税軽減を行なうということを加えたわけでございます。これによって大体収用等の場合の譲渡所得特例はほぼ完備したというわけでございます。もう一つ、申し落としましたが、土地収用をいたします場合に、現物で代替資産を与えるという必要がございますが、この場合にその代替資産を売った人は土地収用法の規定適用がございませんから、譲渡所得が普通のとおり課税される。そうすると、代替資産の取得が困難になる、そのために代替資産として交付するために譲渡を行なった場合、この場合にもこの規定適用することにして、全体として均衡をはかったわけでございます。  それから、新しく加えました規定として、四十九ページの三十八条の六の規定がございます。これは防災建築街区の造成の場合の譲渡所得金額の計算であります。この防災建築街造成法によりまして、防災建築を集合的に作ります際には、その対象になる者が組合を結成いたしまして、それにその建物の建てられる土地出資するわけでございます。そして建物が完成したときに、出資払い戻しとして、その土地ごとまた払い戻しを受ける、こういう方式をとっておりますが、これは実際はこの防災建築を行なうための一つの便宜の手段として、一ぺん出資をしてまた戻してもらうということをやっているにすぎないわけでございます。ところが、この建築の間に地価というものがどんどん上がって参りますので、出資したときから払い戻しを受けるまでには実際は価格は高くなっている。その場合には、まず第一に出資をいたしましたときに譲渡所得の発生がある、さらに出資払い戻しを受けた場合には、その価格が上がっておれは、また譲渡所得の問題が起こる、その二つ。このような実際はフィクションとして作った場合の出資関係で譲渡所得課税が起こっては、これは課税上もおかしい話でございますので、こういう場合には、出資の場合にも払い戻しの場合にも譲渡所得関係を起こさないということにいたしまして、この防災建築街区の造成を促進することにしたのが三十八条の六以下三十八条の七の規定でございます。  以上が大体個人の課税に関する特例でございますが、その次以下に法人の関係の課税特例がございます。いずれも内容は個人について申し上げたものと同じでございますので、省略をいたしまして、最後にその他の法令の特例を申し上げます。  九十四ページでございますが、第七十二条の新築住宅の保存登記税率軽減、これは先ほど申し上げました住宅対策として貸家住宅について特別償却の期間を三年間延長いたしました、これと見合いまして、個人の住宅用の自己の用に供するために建てたものにつきましても登録税軽減しているわけでございます。その片方を延ばしました見合いで、これをやはり三年間延長することにいたしたのが七十二条の趣旨でございます。  それから、同じく七十三条は、地方公共団体の新築住宅の保存登記の非課税、これも同様三年間の延長をいたすわけでございます。  七十四条は、建て売り住宅の所有権取得の登記税率軽減、これも同様の趣旨によりまして三年間延長いたすものでございます。  さらに、七十五条は住宅新築資金貸付にかかる抵当権取得の登記税率軽減、これも同様延長いたします。  さらに、ただいま申し上げました防災建築街造成組合の取得する土地取得登記税率軽減、これは新たに七十五条の二に規定をいたしまして、これについては新たに軽減措置を講ずることにいたしたわけでございます。  それから、七十九条は外航船舶保存登記または抵当権取得の登記税率軽減、これはまあいろいろ船舶の登記については問題がございますが、現在の外航船舶の建造の事情等に顧みまして、現在登記税を二分の一に軽減しておりますが、さらにそれを二分の一に軽減する、千分の二を千分の一に軽減することにいたしたわけでございます。  それから、八十一条の二は農業協同組合等の合併の場合における不動産の権利の取得の登記の免税、これは農業協同組合合併助成法、漁業協同組合整備促進法等の規定によって合併いたします場合は、他の合併の場合と違いまして、一種の強制的な合併でございますので、これにつきましては登録税を免除するということを新たに定めたわけでございます。  さらに、中小企業あるいは農業に対する融資を円滑にするという意味におきまして、農林中金、商工中金の発行する債券につきましては登録税軽減をするということにいたしました。これが八十四条の二でございます。  最後に、九十二条は、通行税法改正に伴いまして、一般通行税税率を二分の一に軽減したことに伴いまして、従来航空機については基本税率を二分の一に軽減いたしておりましたので、これに本税が二分の一になったことに伴って、さらにこの特例をも二分の一にしたわけでございます。  以上、簡単でございますが、租税特別措置法内容につきまして御説明申し上げました。
  8. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 武藤総務課長
  9. 武藤謙二郎

    説明員武藤謙二郎君) 先ほど御説明申し上げました関税定率法及び暫定措置法の改正について補足説明を申し上げますが、法案でごらんになりますとたいへん複雑ですので、改正税率〔案〕及び現行税率対照表というのをお配りいたしてあると思いますが、それをごらんになっていただきたいと思います。   関税率改正につきましては、昨年ブラッセルの分類表を採用いたしまして、品目をこまかくいたしました際に、自由化を考えまして大規模改正を行なったのでございますが、今度さらに改正を要します部分的な手直しをいたします理由は、大体次のようなことでございます。一つは、昨年においては自由化の時期がはっきりしなかった、あるいは自由化を昨年考えておったよりも繰り上げる必要ができた、そういう品目がございますので、それにつきまして関税率を改めて自由化の衝撃を緩和する必要があります。この関係は、大部分暫定税率としております。重立ったものは鉛、銅、亜鉛、そういったものでございます。それから、策二番目はエネルギー対策でございまして、石炭に対する対策の一助として石油関係の税率を動かしております。それから、第三番目には、特定物資輸入臨時措置法が廃止になりますので、その関係で特定物資でもって輸入差益を従来吸収しておったのでありますが、これは一面においては国内産業保護の役割も効果としてはいたしておりましたので、それがなくなりますと、それに応じて関税率を直す必要があると考えるものがございまして、品目で申しますと、バナナ、パイナップルの関税税率引き上げておる、こういうことでございます。それから、そのほかには、中小企業の関係で若干競争力が弱いから上げてやる必要がある。これは税率引き上げとか、あるいは安いものが入ってくるというときに、従価税では保護の効果が薄いので従量税に切りかえる、そういう方法を講じております。それから、最後に、国産と競合しないというような品目につきましては、消費者の利益それから重要産業のコスト引き下げ、そういうことを考えまして税率を明き下げるというようなことを考えております。  次に、主要品目について、この表を対照しながら概略御説明したいと思いますが、まず石油の関係でございます。これはこの炎の五ページのところを見ていただきたいのでありますが、五ページの上から三行目に「二七〇九のうち、製油用原油」というところがございます。初めに書いてありますのが現行基本税率、その次が三百二十円というところが暫定税率でございます。それから、暫定税率適用期限がことしの三月三十一日になっております。次が改正案でございますが、これではこの暫定税率をなくしましてキロリットル当たり五百三十円という基本税率一本になる、こういうことでございます。それから、石油の関係は一番終わりの二十ページを開いていただきたいのでございます。ここに、下から二番目に「第七条の四」というところがございます。これは暫定措置法の本文関係の表でございますが、そこで「石油化学原料揮発油等の関税還付」ということがございます。これは先ほど御説明申し上げましたように、各国でも石油化学の現状にかんがみ、ナフサとかガスについては関税を実質的にかからないように保護をしておるという実情でございますので、日本においても同様の制度をとりたいということでございます。それから、今の次に「第七条の五」というところに、「電力業等用の重油関税還付」ということがございます。これは先ほど御説明いたしましたように、石炭長期取引に協力しておる、長期取引の契約をいたしております製鉄と魅力の業者に対して、一方において石炭を経済計算していきますと、石油のほうが安いのに石炭を買う約束をしておる。さらに今回石炭対策としてまた石油が上がる。その二重の負担を避けるために、今度上がります分、従価に直しますと、大体六%が一〇%になりますので、四%相当の分、これは長期取引の契約をしている業界に対しては税を返してやって、結局上がらないと同じようにしてやる、こういう措置でございます。  石油の関係は概略そういうことでございますが、次は非鉄金属の関係でございます。これは第一番に銅の地金でございますが、これはこの表の十一ページの税番のところで、上から二番目に「七四〇一のうち、銅(合金を除く。)の塊」云々というのがございます。これは自由化を予想しておりますので、自由化のときから二年六カ月間特定税率としてキログラム当たり三十円という従量税を作ろうということでございます。このキログラム当たり三十円という従量税は、従価に換算しますと、そこに響いてありますように、約一二・九%に当たるということでございます。それから、次は鉛の地金でございますが、これは十五ページをごらんになっていただきますと、十五ページの一番上に「七八〇一のうち、鉛(合金を除く。)の塊」云々とございます。これは現行の一〇%の従価税を、自由化のときから二年六カ月間、キログラム当たり十三円という従量税にする。これは従価に換算しますと、一八・六%に当たるということでございます。その次は亜鉛の地金でございます。これは今の次のページの十六ページの一番上のところに「七九〇一のうち、亜鉛(合金を除く。)の塊」云々とございます。これも同様に、自由化のときから二年六カ月問、キログラム当たり十三円という従量税にして保護する。これは従価に換算しますと、一六%見当に当たっております。  それから、次はバナナでございますが、これはこの表の一ページに戻っていただきまして、一番下から三番目に「〇八〇一のうち、バナナ」というのがございます。バナナにつきましては、これは先ほど触れましたように、差益の徴収が本年の六月五日から廃止になりますので、現在の二〇%の税率を六月五日から三十八年の九月の三十日まで五〇%に上げる。それで、差益の徴収のある間は現行のままの二〇%でございますが、差益がなくなりましたときに五〇%に上げる、こういうことにしておるわけでございます。バナナにつきましては、一年間五〇%でやってみまして、今後の推移を見まして、さらにその後の税率をどうするかということは考えるということで、一年間の暫定の五〇%にしております。それから、その次はパイカンでございますが、これは三ページをごらんになっていただきますと、三ページの税番のほうで見ていただきますと、下から二番目の「二〇〇六のうち、パイナップル(加糖)」とございますが、これは加糖のほうで申しますと、現在は三五%の税率でガットが二五%の税率になっております。これについても、先ほど申しましたように、差益の徴収を行なっておりますが、これが廃止されたあとで関税を五五%に引き上げるということにいたしております。その次はオレンジでございますが、これは一ページの先ほどのバナナの次でございますが、これは季節関税という日本の関税としては新しい制度を採用しております。オレンジにつきましては、一方において国産のオレンジを保護したい、他方においてなるべく消費者の利益を考えて安くしたい、そういう両方の要請を調和させるために、国産の出回り期であります十二月から五月まで、この間は現行の二〇%を四〇%に上げる。ただし、国産の出回りのないときには、消費者の利益を考えて、従来どおりの二〇%に据え置く。季節によって税率が変わる、そういう制度を採用することとしております。  そのほか鉱産物につきまして、御承知のように、日本では海外に比べて競争力が弱くて、しかも合理化もなかなかむずかしいというものが多く、しかも安定的な供給源を確保するためには何らかの保護が要る。そこで、これにつきましてもある程度の輸入はどうしても必要である。その量を限られておりますと、それまでの輸入は国産に打撃を与えるということはございませんでしたが、安いものが量をこえて入ってくるということになりますと、国内産業に打撃を与える。そこで、需要者のほうから見ますと、なるべくコストの安いものがほしい。それから、国内の生産者のほうから見ますと、安いものが無制限に入ってきては困るということでございますので、タリフ・クオータ制度をとりまして、一定の最までは無税、それをこえたものに対しては税金をかける、こういうふうに改めることとしております。で、たとえば五ページの一番上に「アンチモン鉱」というのがございますが、これは「一次無税」というのが数量制限できめますが、その数最までは無税、「二次一〇%」というのは、それをこえて輸入をされる場合には税が一〇%かかる、こういうことでございます。「モリブデン鉱」も同様でございまして、その前のページの一番下、四ページの一番下の「モリブデン鉱」というのがございますが、これは一次が無税、二次が一五%と、こうしております。それから「タングステン鉱」がそのページにございますが、これは一次が無税、二次がキログラム当たり八十七円、二〇%見当としております。それから「マンガン鉱」も同様に、その前にございますが、一次が無税、二次が一〇%としております。それから、五ページに行きまして、中ごろに「二八〇五のうち、水銀」というのがございますが、これも同様でございまして、一次が無税、二次が二五%、こういたしております。  関税定率法及び関税暫定措置法の概略、以上のとおりでございます。
  10. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 志場税制第三
  11. 志場喜徳郎

    説明員志場喜徳郎君) 酒税法等の一部を改正する法律案物品税法案につきまして、補足的に御説明申し上げます。  酒税法等の一部を改正する法律案でございますが、これは酒税法の一部を改正する条項と、それから酒税保全及び酒類業組合等に関する法律、いわゆる酒団法といわれております法律の一部を改正する条項、これがこの中身でございます。お手元に新旧対照表も差し上げてございますけれども、かなり複雑でございますので、大体の順序を追いまして、中身について簡単に御説明したいと思います。  まず第一は、第二条の改正関係なのでありますが、アルコール分が九十度以上のアルコールにつきまして若干の改正をしております。ただいまの第二条第一項におきましては、アルコール専売法の規定適用を受けるアルコールは酒税法対象にならない、こうしておるのでございまするが、そのために、たとえばしょうちゅう会社、それが造りましたアルコール、これは大体九十五、六度、七、八度というもので蒸留されてくるわけでございますが、それを清酒製造者がいわゆるアルコール添加をしますために買ってくる、こういう場合に、アルコール分が九十度以上でありますと、アルコール専売法の規定適用を受ける、こういうことになるのじゃないかというところから、実は八十九度以下というふうにアルコール分を薄めまして、いわばむだな水を入れて運んできておるという格好になっております。そこで、現在のアルコール専売法の十七条によりまして、酒類の製造免許を受けた製造者が、その同一の製造場内において酒類原料用に使うアルコールについては、たとえば九十度以上につきましても、アルコール専売法の規定適用を受けないという規定があるわけでございますが、その解釈をめぐりましていろいろと問題がございました。ところで、今回通産省との間に解釈を統一いたしまして、要するに、油の免許を受けた者が酒の原料用に使うという場合には、アルコール分が九十度以上のものでありましても、これを専売法の適用はしないことにするということにいたしまして、相伴いまして、酒税法第二条でこの旨をはっきり書きまして、したがいまして、今後はしょうちゅう会社が造りました九十七、八度、五、六度というアルコール分のものも、そのままの濃いアルコール分で他の酒類製造者に運搬し供給することができる、輸送の節約、その他コストの節約がはがれる、こういう趣旨でございます。  第二番目は、酒類種類改正でございます。先ほど提案理由説明で申し上げておきましたとおり、現在酒類は九つの種類があるわけでございますが、濁酒、いわゆるどぶろくでございますが、これは密造のものがかなりございますけれども、正規に免許を受けて造っております濁酒と申しますのは、若干の神社あたりでごく少し造る程度でございまして、ほとんど流通市場には回っておりません。また、白酒につきましても、今ちょうど季節でございますけれども、節句のときに若干二、三社が造っておる程度にすぎません。したがいまして、かようなものは独立種類にするということはあまり意味がないのじゃないかというところから、これを独立種類からはずす、こういうことにいたしました。そのかわり、現在雑酒の中にはウィスキー、リキュール、あるいはウオッカ、ラムというようないわゆる強酒精油というようなものがあります。雑酒のうちこれらのものが次第に数量が増して参りまして、そういうわけから、いつまでも雑酒という名前をかぶせることはいかがなものだろうかというところから、新たにこの中からウィスキー類といたしまして、ウィスキー、ブランデーというものを取り上げました。また、リキュール類といたしまして、いわゆるリキュール、甘い混成されましたものでありまするが、これも世界的な名称でもございますが、リキュール類として独立させて参りました。また、ウオッカ、ラム、ジンのたぐいは、現在は雑酒の中のいわゆる強酒精酒——アルコール分の強いという意味でありますけれども、これは強酒精酒という品目になっておりますけれども、これも世界的に考えますると、スピリッツと申しますか、そういう概念もされております。もっともスピリッツの中にはウィスキー、ブランデーも含めていうこともございますけれども、それを独立させて除きますと、あとにはそういうウォッカ、ラム、ジンが残るわけでございます。しかも、これも新たに独立させましたが、強酒精液というのはどうも発音がしにくいわけでございまするので、少しハイカラな名前というのでスピリッツ類ということにいたしたわけでございます。  なお、これに関連いたしまして、若干申し上げたいのは、まずしょうちゅうでございますが、しょうちゅうは、現在甲類と乙類とあるわけであります。甲類はいわゆる新式しょうちゅうといいまして、先ほど申しました原料のアルコールになるもので、無色無臭とは申しませんが、いわゆるアルコールそのもののようなものでございますけれども、この乙類と申しますのは、南九州あたりでできますようないわゆるかすとりしょうちゅう、あるいはイモとりしょうちゅうでございまして、アルコール分も蒸留の過程におきましては六〇数%しか出ない。したがいまして、かすのにおい、あるいはイモのにおいが残る旧式しょうちゅうといわれるものであります。現在の税法でございますと、アルコール分が四十五度までは甲類しょうちゅうということになっておりますけれども、しょうちゅうが大衆酒類であるということから、あるいはほかのスピリッツ等と比べまして、あるいはウィスキーの二級に比べまして、かなり税率軽減しております。事実出ておりますしょうちゅうは二十五度のものが大半でございまするが、税率があまりにもほかの雑酒類に比べまして低いのでありまするから、現在実行上は三十六度以上のものは出荷させておりません。これではいかにも困るというところから、三十六度から四十五度までのものも出荷させてやりたい、こう考えるわけであります。ただ、その場合に、名称でありまするけれども、しょうちゅうの乙類、いわゆる旧式のしょうちゅうにつきましては、まあ、しょうちゅう、しょうちゅうというそれ自体としての愛好といいますか、というものもございましょうし、けっこうと思いまするが、純粋のいわゆる新式のしょうちゅうにつきましては、しょうちゅうという名前をかぶせてこれを売り出すということは、いかにもこの販売の拡充と申しますか、市場性という面からいいまして適当でない、何とかほかの名称をもらいたいという希望もあるわけでございます。かたがた、たとえばウォッカをとってみましても、あれは蒸留したものをシラカバの炭でこすということをしておりますけれども、これは中身をごらん願いますると、純粋の四十五度なりのアルコール、いわゆるしょうちゅうというものと品質、内容は同じでございます。そういうようなことを考えまして、今回スピリッツ類独立させるにあたりまして、新式甲類しょううちゅうの三十六度から四十五度までのものをしょうちゅうにあらずして独立スピリッツ類の中に持ってくる、こういうことにいたしたわけであります。  それから、なお、現在のポートワインのようないわゆる甘味果実酒でございますが、これは現在雑酒の中に甘味果実酒の品目として入っております。これは世界のアルコール分類傾向から申しますると、やはりフォーティファィド・ワインと申しますか、強化されたブドウ酒ということでございます。いずれも広義の果実酒という中に含まれております。今回、果実酒という原則を果実酒類といたしまして、その中にはいわゆる生ブドウ酒のような果実酒と、現在のような甘味果実酒を品目として持って参るということにいたしたわけであります。先ほど申しました濁酒はどこに行ったかと申しますと、残った雑酒の中に入っております。白酒はどこに行ったかと申しますと、これはねばねばと混ぜたものでございまして、糖分を含んでおりますので、リキュール類に入るのであります。  なお、もう一つ酒類種類について申し上げますと、いわゆる発泡酒であります。現在、たとえばウイスタン——ハイボールのようなウイスタンというのがございますが、あれはウイスキー二級に発泡性を、ガスを加えたものでございます。ところが、現在の税法では、発泡性を持った酒は、ビールは別でございますけれども、ウイスキーに発泡性を持たせましてもすべて発泡ということになりまして、税率が非常に違った税率になるのであります。かたがた、清酒におきましても、あるいは合成しょうちゅう等におきましても、ないしはウイスキーでもそうでございますけれども、酒に、若干の発泡性を持たせるという傾向が次第に出てきておるのでございます。そういう場合に、一々発泡酒になって、土台のべースがいろいろと性質なり品質が違いますときに、一たび同じガスを加えますと、今度はがらりとそれと違いました税率適用を受けるということは適当でないということによりまして、それぞれ、たとえば清酒に発泡性を持たせたものは清酒である、合成清酒に発泡性を持たせたものは合成清酒である、ウイスタンはやはりウイスキーである、こういうことにしたのでございます。  以上の点が大体酒の種類についての規定改正でございます。  なお、この際、酒母、もろみ、こうじにつきまして、これは製造免許等になっておりますので、その定義を明らかにいたすことにいたしました。  なお、品目級別につきましては、先ほども申し上げましたけれども、みりんが現在甲類、乙類になっておりまするが、甲類と申しますのは、いわゆる本みりんというあの甘いほうであります。乙類というのは俗称本直しというものでありまして、しょうちゅうと甘いみりんとを加えたような飲みものであります。でありますので、全然品質、内容が違うものでありますので、甲類、乙類というのはあまり適当でありませんので、俗称の呼称に従がいまして、本みりん、本直しということに改めました。  なお、級別につきましては、先ほど申し上げましたように、清酒については、現在の四階級の区別を三段階にし、リキュールについては、現在第二級のみでございまするので、これの級別を廃止するということにしたのであります。  次に、税率でありまするが、第二十二条から始まっておりまするけれども、大体二割程度の減税を行なう。小売価格におきまして、平均すれば大体一割程度の引き下げを期待する。これは先ほど申し上げましたとおりでありますけれども、この税率構造につきまして今回の改正は一、二ありますが、まず第一は、アルコール分に応じまして比例税率的にスライドさせるということを考えたのであります、これはすべての酒類を通じまして。と申しますのは、たとえば清酒の第二級をとってみますと、現在の税率はアルコール分十五度のものを基本にして考えております。それが上のほうに参りますると、アルコール分が十七度をこしますると、二割というプラス・アルファの税率が加算されるのであります。つまり十八度であれば、十五度のところの税率の十五分の十八ということにあらずして、十五分の十八にプラス十五度をこえる三度についての一度当たり二割を加算したもの、こういうふうに加重されるのであります。なお、下のほうのアルコール分を下げていきました場合も、なめらかなアルコール分に応じた税率の下がり方になっておりません。さようなわけでありますので、このアルコール分の構成というものが、市場におきましては、企画が統一されたような格好になっております。これではやはり商品をバラエティに富まし、あるいはそれぞれの嗜好に応ずるような商品を供給するということから適当でないというところから、業界のほうからも、もう少しなだらかな、いろいろとお好みに合ったようなアルコール分のものを出せるようにという要望もありまするので、基本的なものといたしましては、一応十五度なら十五度を考えますが、あとはそれに十二度のものであれば十五分の十二の税率になるように、二十度のものであれば十五分の二十の税率になるように、こういうふうにスライドさせました税率を設けましたのであります。ただ、その場合に、昔の金魚酒のようなきわめて水っぽいようなものができても、品質の保持という面から見て適当でありませんので、スライドしてくる下のほうは十二度にとどめております。したがいまして、アルコール分十度のものも出せることは出せるのでありますが、禁止ではないけれども、税率は十二度までの税率を負ってもらいたい。したがいまして、事実上業者としては十度のものは造らないだろうということであります。これが第一点であります。  それから、先ほど申し上げました発泡酒でございますが、今後は、清酒に発泡性を持たせる、合成清酒に発泡性を持たせるということが考えられて参ると思います。その場合に、発泡性を持たせますためには、たとえば清酒でありますと、アルコール分を八度程度に下げるということがガスとよく合うそうであります。大体現在のウイスタンが十二度くらいに下げております。普通のウイスキーは三十六度ぐらいありますが、ウイスタンは十二度くらいに下げてありますが、清酒でございますと、八度くらいまでアルコール分を下げる、そうしてガスを入れる、こういうことであります。でありますから、そういうときに、ガスを入れないときは十二度の税率にとどめますけれども、ガスを入れたためにアルコール分を下げるというときには、さらに八度のときはたとえば十二分の八というふうに税率が下がって参ります、アルコール分に応じまして。しかし、半面物品税でも、たとえばサイダーのようないわゆる炭酸ガス飲料に対しましては課税をしております。その税率は一キロリットル当たり今回の改正で五千円でございますので、酒につきましてもその構想を入れまして、そういうふうにして造りました発泡酒につきましては、一キロリットル当たり五千円の税率を各アルコール分に応じた税率で出していく、こういうことをいたしたのが第二点でございます。  第三は、従価税の採用でございまして、たとえば清酒特級でありますると、デラックスというようなわけで、千四、五百円あるいは二千円というようなものが出ております、ぼつぼつ。これはいかにも従量税率だけでは負担が不公平でありますので、また政令できめたいと思っておりまするが、普通のものに対しまして若干のアローアンスを見た値段のものにつきましては、製造業者の段階あるいは輸入酒類であれば保税地域から引き取る段階におきまして、従価税率で税金をかけていこう、この場合は従量税適用しませんで、従価税だけ適用していこう、こういうのでございます。その種類としましては、清酒特級、それからウイスキー類、いわゆるウイスキー、ブランデー、果実酒類、つまりブドー酒とかリキュールというようなものに限定いたします。そうしてその税率は、清酒特級及びウイスキー類特級につきましては、メーカー価格あるいは保税地域からの輸入価格に対する百分の百五十でございまして、それからスピリッツ類につきましては百分の百、あるいはリキュールにつきましては百分の五十、こういうふうになっております。大体、普通のものにおける、通常の価格のものにおける従量税率従価税率に換算したのと大体権衡をとったものでございます。  以上が大体課税負担面につきましての実質的改正点でございます。  その他、制度改正といたしまして、賦課課税方式を申告納税方式に改めます。さようなわけで、現在の課税標準の申告が翌月の十日でありまするが、これを翌月末日といたしております。  また、未納税移出あるいは輸出免税のことにつきましては、現在は事前に税務署長の一々承認を要する、こうなっておりますが、これは手続上煩瑣でもございまするので、申告納税制度になることに伴いまして、その課税標準を税額の申告においてその旨を申告し、ないしは必要なるたとえば輸出免除のような証明書類というようなものを添付すれば、それでそういったような免税は完結する、こういうふうにいたしております。  なお、罰則につきましては、現在、脱税犯の場合で現行は五十万円以下の罰金でありまするが、税金の十倍相当額が五十万円をこえますときは十倍までの罰金になる。いかにも高いのであります。したがいまして、今回の間接税全般につきまして、その罰金の最高を三倍にするというふうにいたしております。  なお、密造なりあるいは脱税犯のようなものは、酒を没収されることがありますけれども、没収された酒については酒税をかけることになっておりますが、これはいかにも酷だろうということで、没収された分については税金をかけないことにするとか、そのほか所要規定改正をいたしております。  さらに、附則におきましては、先ほど申し上げました従価税率適用を受けるものにつきまして、いわゆる手持ち品課税を行なうことにいたしておりますけれども、一人の販売業者、メーカを通じまして、一キロリットル以上のそういった従価税対象になる酒を四月一日現在に手持ちしている場合に限りまして従価税適用していく。そして従来納めておりました従量税率の差額を徴収することにいたしております。しかし、一キロリットルと申しますのはかなりの量でございまするので、まだどの程度適用がありまするかわかりませんが、一応建前はそういうふうにいたしております。  なお、二番目のいわゆる酒団法の改正でありまするが、これはいろいろと酒の種類が変わりましたり、定義が変わったりすることに伴う事務的な改正並びに、共同びん詰業というようなのがございますが、これがやはり今後の企業合理化の面から必要なことであろうと思います。ぼつぼつ出ておりますが、今後も多く見られると思いますが、それが現在酒類業組合にはいれない、組合の資格がないということになっておりまするので、これに資格を持たせることとするというようなのが実体的改正でありまして、あとはきわめて事務的、技術的でございます。  次は、物品税法改正法案でございまするが、これは昭和十五年の法律を基礎としておりまするかたかなの法律でありまして、非常に体裁も古く、最近の他の間接税等の体系等から考えましても、バランスがとれておりません。したがいまして、実体的には現在の解釈なり政令、省令の事柄等はあまり変えておりませんけれども、規定の体裁を整えるというような意味から全文書き改めまして、ひらがなにしております。なお、未納税移出あるいは輸出免税の問題における承認をなくするという問題、申告納税制に改めるという問題、先ほど申しましたような意味での罰則の軽減の問題、かような点は先ほど酒税法につきまして申し上げたものと同様であり、今回の間接税法改正全般に共通でございます。また、その他のいろいろの規定につきましても、別段現在と大差はございませんので、ここでは簡単に課税の中身につきまして申し上げてみたいと思います。  税負担につきましては、課税物品の十六品目の廃止ということと、税率構造改正並びにこれに伴う税率軽減、それから新規課税あるいは製造課税方法の変更、かような点だろうと思います。  まず、課税の廃止につきましては、十六品目でありますが、先ほど紙、セロファンというものを例としてあげましたが、その他、氷冷蔵庫、魔法びん、味の素のようなグルタミン酸ソーダを主成分とする調味料、果実エッセンス類、帽子・つえ及びむち、金庫、鉄びん・漆器・陶磁器及びガラス製器具、敷物類、アルバム及び観賞用写真類、文具類、化粧用具、釣・スキー・スケート及び登山用具、書画及び骨董、身辺用細貨類、薫物及び線香、こういうようなものにつきまして課税を廃止しようというのであります。  税率は、先ほど申しましたように、現在の製造従価課税税率が三%から最高五割まで八段階に分かれておりまするが、これを五%、一割、二割、三割、四割の五段階にいたしまして、いろいろと原則的には二割の税率を基準と考える、特に必要なものにつきましては上のほうに加重税率適用を受ける、こうしたのでありますが、実際はこの上のほうに上げるということも困難でありますので、大体をならして下げてきたのでありまして、七十品目のうち十六品目が廃止になる、したがって五十四品目が残りまするが、このうち二十一品目につきまして税率を下げるということにいたしております。なお、税率の引き下げにつきましては、たとえばテレビでありますると、現在大型、小型を区分いたしまして、その区分の限界は十四インチ以下かそれをこえるかによってやっておりまするが、今度はこれを二十インチ以下かそれをこえるかによってやるというようなこと、あるいは電気冷蔵庫につきましても、大型、小型の区分を、現在の容積百十四リットル以下かそれをこえるかによってやっておりますが、これを百七十リットルで判断するというふうに、大型、小型の区分等につきましても所要改正を加える。また、これは半面から申しますると、外国品との競争関係におきましても、おおむね大きなものが外国に多いということも考えますると、国内品に対しましてはやや有利かということになりまするが、しかし国内品でもそういう大きなものを作らないわけではございませんから、差別税率とは考えておりませんが、最近の主として情勢にかんがみまして、需要の状況にかんがみまして、だんだん大型化しつつある、こういうことに了解願ってけっこうかと思います。  なお、そういうふうに基本的な税率構造整備をいたしまして、二十一の品目につきまして税率を下げまするが、さらに今後三カ年間、貿易の自由化に備えまして、特に競争力が弱く、そして輸入品に対抗することは容易ではないだろうというものにつきましては、軽減税率を三年間適用することにしております。それは小型乗用自動車、これは基本的には二割の税率でありますが、これも現在はすでに一割五分でございまするが、この税率を三年間適用する。カラーフィルム、カラーテレビ、これも二割の税率を一割に軽減する。レコードにつきましては、直径十七センチメートル以下の小型のいわゆるドーナッツ盤というものは、これは非常に競争力がございませんので、三年間一割にする。かようなことにしております。  なお、小売課税のものにつきましては、二割、一割の税率は変更ございません。  なお、従量課税率のものにつきましては、先ほど申し上げました清涼飲料、つまりサイダーのたぐいにつきましては、現在キロリットル当たり一万一千円のものを五千円というふうに軽減しております。  次に、新たに課税するものでありますが、主として電気製品でありまして、これはすでに現在の品目にも入ることになるものが多いのでありますが、さようなものは、いかにもバランスを失するということから取り上げました。最近の発達にかかるものもございます。大型のルームクーラー、自動車用の冷房のカークーラー、それからあるいは扇風機と同じような冷風扇というようなもの、あるいは電気の洗たく機と電気の脱水乾燥機というものを合体しましたようなもの、あるいは電気の芝生刈込機あるいはステレオ装置、すでに電気蓄音機は課税されております。いわゆるステレオ・アンサンブルと申しまして、スピーカーの分、アンプの分、プレーヤーの分、ばらばらに出ているので、これによって負担が非常に不当に低くなっているから、こういうステレオ・アンサンブル装置をとらえまして、課税のバランスをはかる。モーターボートは課税されておりますが、アウト・ボート・エンジンと申しまして、ボートの外にエンジンを、取りつけております。これで走るわけです。このエンジンは課税になっていなく、ワクだけ課税されているわけでありますので、それをある馬力以上のものにかけていこう、あるいはテープ・レコーダーは現在保税になっておりますが、円盤式レコーダーは、円盤でございまして、テープでないということから、現在課税になっておりません。非課税でありますので、円盤式レコーダーも含めて課税する。大体こういうことであります。モーターボート用船外のエンジン、ステレオ装置は、四月一日からそういうふうにいたします。あとのものにつきましては、今申しました季節使用品も多いわけでありますから、今年の夏におきまするそういうものの価格に対する影響も考慮いたしまして、すべて今年の十月一日から施行する。なお、税率を一挙に二割とか三割の本来の税率に戻すことも、急激の変更を受けますので、その後二年間にわたりまして暫定的に一割の軽減税率適用する。こういうふうな経過的の緩和措置も講じております。  大体以上が、この法律案におきまする実体的な規定内容であります。  なお、政令におきまして、引き続き免税点等を委任を受けまして規定することになっておりますが、これも大体現在の免税点のおおむね倍額程度、ものによって若干違いはありますけれども、そういうようなものの程度まで引き上げるという予定にいたしております。  以上、簡単でございますが、二法案につきましての補足説明といたします。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 資料要求ですが、産投会計に関連して、ガリオア、エロアの関係資料を出してもらいたい。これは衆議院の予算委員会でも出しておりますが、これを出してもらいたい。それから、もう一つは、租税特別措置法による減税の二十七年度の推定額、租税特別措置法の減税額の一覧表、これはできれば国税分と、今まで国税の分だけ出してもらったのですが、国税に見合う地方税の分も、この際調査して出してもらいたい。この二つの資料を要求しておきます。委員長のほうでひとつ取り計らいを願います。
  13. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 今の資料の御提出を願います。  暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩    ————・————    午後一時一五十一分開会
  14. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  まず、関税法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引き続き質疑を行なうことにいたします。
  15. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先日、私も日米合同委員会の議事録を出してもらうように要求したのですが、その後それはどういうふうに取り扱われておりますか。
  16. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 合同委員会の合意議事録に関しましては、たしか須藤先生のいらっしゃるときにも申し上げましたし、その後もるる申し上げましたとおりでございます。すなわち、合同委員会は、双方の申し合わせによりまして、この議事録は発表しないということにいたしております。しかし、その内容で重要な国民の権利義務に関係のあるものは関係各省の告示という形で出しておりまして、周知させておるというわけでございます。かつまた、ことにこの席で問題になりました昭和三士五年六月の日米間の合意、この内容につきましては、私が先般御説明いたしたとおりでございます。繰り返しますが、合意議事録そのものは発表いたし得ないことを非常に遺憾に思います。
  17. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは私だけが要求したのではなく、同僚の木村さんや荒木さんも要求なさったということを、私はきょう旅行から帰って聞いたのでありますが、議員が、各党の議員が要求しているにもかかわらず、出さないということは、私ははなはだ不満にたえないわけです。国会議員も知らない、国民の代表の国会議員も、知らされない、それを、一政府官僚が向こうとの話し合いによって、われわれの知らない場で知らないことが行なわれているということは、これは私ははなはだ遺憾にたえないわけです。今後も私たちは何回でもこの合意書の提出を要求して、そして戦っていきたい、こういうふうに考えます。
  18. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 今の御趣旨に沿いまして、私この前申し上げましたが、合意議事録そのものは申し合わせによりまして提出いたしかねますけれども、その内容については御説明申しているわけでございます。そしてまた、先ほども申しましたとおり、権利義務に関係のある重要なものは各省の告示等の形をもちまして周知方を取り計らっているわけでございます。
  19. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういうことで押し問答をしておっても時間がたちますから、一点だけ私伺っておきたいと思うのですが、この前、荒木さんですか、木村さんが、私がいなくなったあとで質問をなさったときに、韓国の飛行機、台湾の飛行機が来るのは、軍用機、民間機ともでありますが、航空法の百二十六条の二項によって出入りしているということをお答えになったということを私は伺ったのでありますが、それに相違がありませんでしょうか。
  20. 今井栄文

    政府委員(今井栄文君) そのとおりでございます。
  21. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨日の衆議院の外務委員会におきまして、わが党の川上貫一代議士が小坂外務大臣に質問をいたしました。韓国軍の軍用機が日本に来るのは何によって、どういう法的根拠によって来るのかという質問をしましたところ、小坂外相は、韓国軍は国連軍だから問題にならないのだ、こういうふうな答弁をしていらっしゃるのですが、こうなりますと、参議院における答弁と衆議院における外務大臣の答弁とは大きな食い違いがあると思いますが、どうですか。
  22. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 私、その席におり合わせませんでしたし、まだ速記録を読んでおりませんので、正確なことは存じませんけれども、途中からちょうど私入りましたときに、韓国軍は国連軍ではないというような討議がなされておりました。私、昨日の模様から見まして、その新聞の記事はあるいは正確じゃないのじゃないかと思います。まだ速記録をよく読んでおりませんので……。
  23. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 衆議院においてもこの問題が問題になりまして、対論が続けられたのですが、しかし、小坂外務大臣はこの自分の答弁を言い直していないのです。取り消していないのです。だから、外務大臣の国連軍として来ておるという答弁は、私は今日生きていると思うのです。そうすると、参議院における航空局の答弁と小坂外務大臣の答弁とには大きな食い違いがある。一体どちらが正しいのか。もしも航空局の答弁が正しいとするならば、小坂外務大臣の答弁は、これは訂正をしなければならない、こう私は思いますので……。
  24. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) ただいまも申し上げましたとおり、私、速記録を読んでおりませんので、正確なことは申し上げる立場にございませんけれども、昨日の私途中から入りました空気では、韓国軍は国連軍そのものではない、戦闘作戦のときには国連軍の指揮を受けるけれども、そうでないときは韓国軍としているのだということを言われておったことを私記憶しております。  それから、もう一つ、韓国機が日本に参りますのは非常に少のうございます。月に一機平均ぐらいだとたしか記憶しておりまするが、その場合は必ず外交チャンネルを通しまして、韓国代表部から外務省に同意方の要請がございまして、外交チャンネルで許可をしてきておる次第でございます。
  25. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もうこれを続ける意思はないのですが、あなたは速記録を見てから答えると言っていらっしゃるが、ここに私たちのほうの速記があるのですが、こういう小坂外相の答弁に対しまして、韓国軍はただの第三国軍か、国連軍か、こういう質問をしましたときに、政府の答弁は、韓国空軍が日本に来るのは国連軍指揮下にある軍隊として取り扱うのだというような非常にあいまいな答弁をしておるわけです。よく速記録を読んで検討して下さい。はなはだあいまいな答弁で、どうも私たちは納得いかないようなあいまいな答弁が衆議院でなされておる。この問題は外務委員会の問題だと思いますので、ここで私はとやかく言うのはやめて、衆議院の外務委員会の討議に譲りたいと思います。  これで私は一応質疑を終わるわけですが、さらに関税局長に尋ねておきたいと思うのですが、韓国の軍の飛行機が日本に来る場合——税関の扱いとしては、アメリカ軍のいわゆる軍の飛行機、アメリカ軍の軍人が日本の飛行場に来たときには、いわゆる軍隊、部隊として来た場合は税関は調べない。だから、個人は部隊ではないけれども、二人以上は部隊だというこの間のお答えだった。その二人のうち一人が指揮官で一人が兵卒であっても、兵卒二人でも一人が要するに命令をする立場に立って来るならば、それは調べない、こういうお答えだったのですが、韓国軍の場合もこのアメリカ軍のこれと同じ扱いをするのかどうかという点を聞いておきたいと思います。
  26. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 部隊として参りました場合に税関の検査を免除されるというのは、例の地位協定に基づくものでありまして、これはもう米軍に限られるわけでございます。したがいまして、韓国の軍用機が参りました場合には、当然税関検査に付するわけであります。
  27. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、アメリカ軍と同じように扱わない、韓国軍の軍隊が来た場合は一人でも二人でもとにかく税関の手続はする、こういうことですね。それでは、その場合日本の飛行場ですね、すべて日本の飛行場ではあるが、いわゆるアメリカ軍の基地となっておる飛行場ですね、そこへ韓国の飛行機が来た場合は、税関の手続というのは一切ないわけですか。
  28. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 税関の検査はございます、やはり。同じようにやります。
  29. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは関税法によってはっきりと規定があるわけですね。
  30. 稲益繁

    政府委員稲益繁君) 地位協定によりまして除外例が米軍の場合に規定されておりまして、それ以外は一切同じように扱っておりますから、やります。
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その言葉を僕も信用していこうと思いますがね。実際に韓国の飛行機がやってきた場合、木更津に来た場合、伊丹の空港に来た場合、実際にやっておりますか、どうですか。
  32. 安藤吉光

    政府委員(安藤吉光君) 実際を承知しておりますので、御参考に私から答弁させていただきます。  韓国の飛行機が来ますとき、具体的には韓国は外交チャンネルによる同意を求めて参ります。それと、今度は米軍の基地を使用いたします場合、これは大体板付でございます。そうしますと、その前に実は一カ月くらいでありますが、合同委員会で米側から連絡がございます。そうして米側からは全部日本の法規に従うということが向こうから誓約が入っております。それから、いよいよ来る面前になりまして、もう一回連絡がございます。したがいまして、われわれとしては、税関にもちろん連絡をとり得る時間的余裕もあります。それから第三回目に、いよいよこれから飛び立つというときに、また連絡が来る。そういうふうにいたしておりますので、間違いはないと思います。
  33. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  35. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、この法案に反対をするものなんです。  この法案自体を見ると、わずか二行の簡単な法案で、何でもない法案のように見えますけれども、これを審議していく中で、やはりこの法案の裏にいろいろの問題がひそんでいるということを私たちは感ずるわけです。鹿児島空港の開港も、これは沖縄と韓国とを結ぶためのものであり、開港になれば、アメリカは行政協定によりまして、韓国軍もまた勝手気ままに使用できることになるだろうと考えます。  まあ今日、朝鮮の事態は非常なむずかしい状態にありまして、一握りの朴一派の軍事独裁政権、これは相次ぐ死刑の強行という上に辛うじてその余命を保っているような政府でありまして、アメリカ軍の軍事支配の強化と三十八度線における大規模な軍事挑発によりまして、戦争の発火点にこの三十八度線がなろうとしておるようなときなんです。そのときに、いかなることを口実にしようと、韓国の軍隊や台湾の軍用機、韓国の軍用機が日本に自由に出入りできるようになっているということは、私ははなはだ危険の多いことだと考えます。  特に、今度の鹿児島空港は、韓国から沖縄に行くいわゆる足場として、この鹿児島空港がこれから使われていくということは、明らかな点だと思います。そのために鹿児島空港は今拡張をしようという意見すらも出ているということを聞きまして、こういう危険なことが今後やられていくならば、日本の平和を脅かす結果ともなろうかと私は考えるわけです。  こういう関税関係の法案一つ見ましても、このように重大な問題が実は隠されているように思います。韓国の問題が関税だけなどということは私はないと思うのです。あらゆる分野にまたがっていることは想像にがたくないと考えます。施行細則、日米合意書、合意議事録などを含めて、行政協定を全面的に検討しなければならないときだと私は考え、そして行政協定の日米合意書などを私は国会に提出してもらいたいということを重ね重ね要求しておるわけでありますが、それは政府の拒否によって提出をいまだ見ていないということも、これも私はきわめて遺憾な点だと思います。  法案ははなはだ簡単な法案でありますが、その裏にあるいろいろな問題を考えまして、私はこの法案に反対の意思を表明するものであります。
  36. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) ほかに御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。関税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  38. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。    ——————————
  40. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 次に、保険業法の一部を改正する法律案を問題とし、質疑を行なうことといたします。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 政府委員はどなた……。
  42. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 柏木財務調査官であります。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 速記をつけて。
  44. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、保険業法の一部を改正する法律案に関連して若干の質質問をいたします。  初めに、現在日本の船舶保有雄、どれくらいになっているのか、説明を願いたいと思います。
  45. 大月高

    政府委員(大月高君) 百トン以上の鋼船について統計がございますので申し上げますと、三十五年度末、つまり三十六年三月で七百二十六万二千トンでございます。
  46. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その中でいわゆる新鋭船、新しい船と、いわゆる老朽船といわれていたようなもの、どういう割合になっていますか。
  47. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在正確な統計を持っておりませんが、半数以上は新鋭船だと思います。
  48. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 非常にばく然とした今の答弁であります。これは私は答弁としては工合が悪いと思う。なぜかというと、この法案提案理由は、老朽船等劣悪な船舶が少なくなってきている、だから、こういう改正をする必要があるんだという、これが改正のおもな理由になっている。それについて全然、その劣悪な船がどれくらいの割合を示しているのか、単に半分以上というようなことでは、実際この法案がどうして提出されたか、その理由を理解しにくいのですが、どうなんですか。
  49. 大月高

    政府委員(大月高君) 先ほどの新しい船と古い船の統計は、運輸省に照会いたしますれば正確にわかると思いますので、後日御報告申し上げます。  保険の観点から見ますと、船舶保険の損害率によりまして、大体において新しい船の損害率は低いわけでございまして、古い場合には損害率は高いわけでございます。そういう裏から推定する材料で申し上げますと、損害率が三十二年七六・三%、三十五年におきまして六七・〇二%というように下っておるわけでございます。それに対しまして、これは一般の船でございますが、古い船の例といたしまして、例の戦標船でございますが、戦標船の損害率が三十二年九四・八六、三十三年一二四・八一、三十四年一一七・四九、三十五年七八・八五、こういうようにその他の普通船に比べまして相当高いという数字を示しておりますので、全体の損害率が逐次低下しておりますところから考えますと、新しい船が逐次大きなウエートを占めているということを裏から示しておるわけでございます。
  50. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、戦標船とか、それから老朽船、そういう船が全体の日本の保有船舶の中でどれくらいの割合を示しておるかということは、これは数字をもって提出してもらいたいと思います。
  51. 大月高

    政府委員(大月高君) 後刻提出いたします。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なお、一般的なことを聞いておきたいと思うのですが、船舶保険の現況について大体の説明をしてもらいたいと思います。
  53. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在の船舶保険事業の大体を申し上げますと、今お話がございましたように、日本の船舶は、戦争によりましてほとんど商船隊が壊滅いたしましたのでございますが、海運界の復興再建とともに、年々事業が拡大して参りまして、昭和三十五年度におきましては、損害保険会社十九社ございますが、三十五年度の元受会社十九社の引受契約件数が約二万七千件ございます。それで、その元受保険料が約百四十八億円、全体の民間の損害保険の総元受保険料は千百二十三億円でございますので、その割合を見ますと約一三%、こういう数字が船舶保険事業のウエートでございます。それで、船舶は、御存じのように海洋を航行いたしまして、いろいろな危険がございます。そういう意味で、船舶関係におきましては保険の普及率は非常に高いわけでございます。  それで、今の百四十八億に至ります経過は、三十三年及び三十四年におきましては伸び率が八・五%、五・五%というように若干落ちておったわけでございますけれども、三十五年におきましては伸び率が一〇・六というように伸びて参っております。三十六年度、本年度の見通しにおきましても、三十五年度程度の増加率が大体期待できると思います。  それが保険料の関係でございますが、次に、保険の損害率でございます。損害率は、新造船の占める割合が多くなったこと、あるいは大事故の発生が最近比較的少なくなった、こういうような事情によりまして、成績は逐次よくなっております。ただ、三十二年度以降は損害率が若干高くなっておるわけでございますが、その悪くなったおもな原因は、やはり戦標船、老齢船、小型船、そういうものでございまして、新しくできました船については成績はいい、こういうことでございます。具体的に数字的に申し上げますと、三十二年の損害率七九%に対しまして三十三年が八三%、三十四年が八二%、こういう数字になっておりますが、全体として損害率を高めておる原因が、今のような戦標船、老齢船、小型船である、こういうような状況になっておるわけでございます。  それから、保険料の料率の水準の問題でございますが、全体として昭和二十七年以降年々引き下げられて参っておりますが、三十六年度におきましては、従来の料率の調整を行ないまして、成績の悪い種類のものについては若干引き上げる、成績のいいものについては下げる、こういうような手直しをいたしまして、三十六年度自体としては、三十五年度とほぼ据え置きというような数字になっておるわけでございます。それで、この三十六年度据え置きになっておりますのは、やはり先ほど申し上げました老齢船とか小型船等のものが事故が多いということでございまして、これらのものが途次なくなって参りますれば、全体としての損害率というものはまだ逐次少なくなっていくであろう、こういうように予定いたしておるわけでございます。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 損害率の問題ですが、私のところにある資料と、今お話しになった損害率との間に相当な開きがあるように思うのです。もう一度三十五年度においてどの程度の損害率か、おっしゃっていただきたいと思います。
  55. 大月高

    政府委員(大月高君) 具体的な数字は、三十二年七九%、三十三年八三%、三十四年八二%でございます。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私のところにある資料では、三十三年は六五%、三十四年は七六%、それから三十五年は六一%、大体そういうふうになっているのですが、だいぶ開きが大きいようですがね。
  57. 大月高

    政府委員(大月高君) たぶん、今のお話の損害率は、正味損害率というので、三十三年六六・五%、三十四年七七・二%、三十五年六二・二%、この数字のお話かと思いますが、この損害率は、日本の国内におきまして保険を引き受けまして、その一部を海外付保するわけでございます。で、残りが国内に残っておりまして、それを実質的損害として見ますと、今の数字になるわけでございます。  それから、先ほど申し上げました数字は、全体の損害率であろうと思います。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、そうじゃなしに、私の今言った数字は、元受事業における損害率の数字を言っているわけなんです。正味についての数字ではないのですけれどもね。
  59. 大月高

    政府委員(大月高君) 先ほどの七九%、それから八三%、八二%という数字は、これは先ほど申し上げました百総トン以上の鋼船の統計でございます。それから、今お尋ねのございました保険料は、そのほかに百トン未満の船の数字が入っておりまして、ごく小さい船については成績がいいので、先ほどお話のありました数字になっておるわけであります。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そのうち海外に再保険をかけている。それの状況はどういうふうでございますか。
  61. 大月高

    政府委員(大月高君) これは海外の再保の問題でございますので、現在元受けいたしております保険は、一部は国内におきまして東亜火災海上再保険会社を中心にいたしまして、再保険の機構を作っております。それから一部は、ロンドンを中心といたしまして、海外に対しまして再保に出しているわけでございます。現在海外に対して出しております保険料は二十七億三千一百万円、これは三十五年度の数字でございます。それからまた、海外からも逆に再保険を取っております。この保険料は十七億九千七百万円。こういうことで、出しているほうが多いわけでございます。これは大体におきまして、いい保険を海外では取っているということでありまして、向こうから引き受けます分は、若干程度の悪いものを引き受けさせられているというのが、今の現状でございまして、これはどうも海外と内地との保険会社の実力の面からいって、ある程度しようがないのであろうかと思うわけでございます。できるだけそういうような点を改善することによって、国際収支の面におきましても、逐次プラスのほうに寄与し得るかと、こういうふうに考えているわけでございます。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、海外再保険の収支は、持ち出しは幾らくらいになりますか。
  63. 大月高

    政府委員(大月高君) 若干の赤でございまして、三十四年度におきましては、差引一千百万円の赤、三十五年度におきましては二千四百万円の赤ということになっております。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、日本の保険業として、保険会社の側から見れば、保険事業の利益というものはどのくらいになっておりますか。
  65. 大月高

    政府委員(大月高君) 三十五年度の決算におきまして、八十二億五千三百万円の利益でございます。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 利益率の点におきまして、諸外国の保険事業等と比較して、日本の保険会社の利益というものは、大体どういうような比重になっておりますか。比重というよりも、比較になっておりますか。
  67. 大月高

    政府委員(大月高君) 全体といたしまして、損害保険会社の経理といたしましては、保険料を取りまして、そのうちで損害が起きたときに保険金として支払う、それからあとは人件費、物件費というように経費として支出いたしまして、残りを責任準備金に積み上げる、その残りを株式会社としての配当に回す、こういうことでございます。大体の損害率というものが経営の効率の指標ということになるわけでございます。そういう点から申しますと、外国の保険会社に比較いたしまして、損害の率よりも経費のほうが率が高い。そういう意味で若干効率は悪い、こういうふうに考えております。全体としての会社としての経理から申しますれば、大体海外並みの実績をあげておる、こういうように思います。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、今度の改正の点について触れていくわけですが、従来はいわゆる算定会が算出した保険料率によって大蔵大臣が許可をする、こういう方針をとっておったのです。ところが、今度の改正でいわゆる協定料率制に変える、こういうことです。そこで一つの問題は、独禁法の適用除外規定、こういう制度に移行する、こういう一つの問題があると思います。もう一つの問題は、従来とってきた算定会の料率を適用するということにおいて、何か著しい欠陥でもあったのか、あるいはそれが何か特別な理由があってこういうふうに変えなければならないのかどうか、この二点をお尋ねしたいと思います。前のほうは独禁法の問題ですから、あとにして、あとに述べた、現在とっている方式が非常に、工合が悪いという点は、どういう点にあるのですか。
  69. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在は、御存じのように、算定会におきましてこの算定料率ができておるわけでございますが、これによりますと、いわゆる船舶の性能とかあるいは会社の実際の危険の度合いとか、そういうものに非常にこまかくスライドして保険料率がきめにくいということでございます。それはどうしても一つの機関で全体としてきめるわけでございますので、非常に事こまかくやりにくいということであります。それから、第二の問題は、算定会料率として大蔵省の認可を得ますと、これを公表するということになるわけでございます。そういたしますと、これは御存じのように、船でございますので、国際的な競争がございます。日本でこういうような料率をとっているということであれば、相手の国においてさらに若干割り引いた料率を出すと、こういうようなことにもなるわけであります。この国際競争の面から必ずしも有利でない、そういう二つの要素があるわけでございます。  それでは、従来どうして算定会料率になっておったかということになりますと、海運界が戦争によってほぼ壊滅の状態にあったわけでございます。老齢船、戦標船というようなものが非常に多い。そういたしますと、保険の数理から申しますと、相当高い料率になるわけでございます。それを政策的に若干低目に押えまして海運界の保護を行なう、こういうような思想がございまして、この算定会を作りますときにも、運輸省あるいは船舶業界ともいろいろ御相談したわけでございます。当時海運界の地位が非常に低いものでございますので、やはり政府が直接関与するということで算定会料率になっておるわけでございます。  その後、海運界が次第に回復して参りまして、現在の段階においては、海運界と保険業界との双方の折衝によりまして保険料率をきめていってもさして支障がない、こういうような段階になったという判断でございまして、船舶業界、運輸省、あるいは保険業界、一致して、もうこの辺のところで協定料率に切りかえたらどうか、こういうようになったわけでございます。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで懸念される問題は、協定料率制を採用するということによって、先ほど質問した老齢船ですね、そういう船を多く持っている船主ですね、これは相当な打撃を受けるのじゃないかというふうなことが若干懸念されるのですが、あるいは一般に、老齢船ということでなしに、一般に保険料率が今後上がってくる心配はないのかどうか、そういう点はどうですか。
  71. 大月高

    政府委員(大月高君) 全体の海運界の大勢といたしましては、新しい新鋭船がどんどん出て参るわけでございまして、新しい船につきましては次第に航海に対する耐航性その他も強化されるわけでございますので、大勢としては料率は低くなっていくべき趨勢でございます。それで、御心配の、老齢船その他古い船を持って、戦標船その他の損害率の高い船を持っている会社が、非常に保険料が上がって困るじゃないかという御心配でございますが、これは具体的に実績を見ながら料率を相談して参るということでございますから、一挙にその損害率にスライドして上がるというようなことは実際上ない。それから、実際問題といたしまして、われわれの行政的な方針といたしまして、急激にそういうような変動が起こらないように十分政策的な意味も加味して、逐次本来の姿に返していきたいと、こういうふうに考えております。そういたしますと、ある意味では老齢船、戦標船、その他の損害率の高い部面においては、総体的に押えられるということになりますし、実際に損害率の低い船につきましては保険料が下がる、こういうことになりまして、海運界全体としては総体的に利益を得るという方向にあると考えております。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう操作が実際上できますか。どういうふうにしてやるのですか。
  73. 大月高

    政府委員(大月高君) これは協定料率におきましても、われわれのところで監督をいたしまして認可をするということになっておりますので、極端な料率が出るというようなときには、行政指導でもって押えて参りたいと、かように考えております。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、先ほど説明がありましたように、だんだん損害率というものは低下していっているということですね。それに比例して保険料率が下がってきているかどうかということですね。今後こういう協定料率制を採用することによって、こういう傾向ですね、いわゆる損害率が下がっていき、それに比例して料率も下がっていく見通しがあるのかどうかですね。
  75. 大月高

    政府委員(大月高君) 先ほどお話し申し上げましたように、新鋭船のウエートがどんどん上がって参りますと、実際の損害率が下がるということになりますれば、水準は逐次下がっていく趨勢に当然なると思います。それで、御心配の古い船、戦標船その他については、行政指導をもって極端に上がらないように配意して参りますれば、両面におきまして海運界としては利益を受けるということになるかと思います。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連しまして。この独禁法の適用除外になった場合、その損害率がどんどん下がっていく場合ですね、荒木さんが今御質問したのは、それに比例して料率が下がっていくかどうかということです。共同行為を認めれば、本来ならばもっと下がるべきところが、カルテル行為になってくるわけですね。価格協定、料率協定になりますからね。そこで、もっと下がるべきものが下がらなくなる危険があるじゃないか、いわゆる独占的な料率になる危険があるんじゃないかという点なんですよ。
  77. 大月高

    政府委員(大月高君) カルテル行為を御心配ならば、要するに需要と供給とがアンバランスであるとか、あるいは力関係が非常に不均衡であるという場合に起きると思います。それで、船の関係は非常にコマーシャルの感覚の発達している業界でございまして、損害保険自体も、火災保険は御存じのように一般の大衆、庶民と直結いたしている制度でございますので、今度も自由にということには参りませんけれども、完全に商業ベースとして資本主義の最先端を行っているような海運界と、それから損害保険のうちでも最も商業的な船舶保険と、こういう点は本来の姿として自由競争の姿に置いておいて最も合理的になると、こういう性格のものでございます。現に諸外国におきましても、全部協定料率でやっているわけでございます。なお、これは国際競争がございまして、勝手に国内だけでカルテル行為をやっておりましても、今度は海外の競争において負ける、こういう性質のものでございます。そういう意味で、戦後の特殊事情によりまして、海運界が非常に弱い、損保業界に対して相対的に弱い時代は別といたしまして、今日のように海運界自体としての力ができて参りますれば、もうこれは本来の姿に返すのが筋であって、これは独禁法で心配されているような現象はまあ起きないだろう、これが大体われわれ関係者の間の一致した観測でございます。そういう意味で、公正取引委員会におきましても、この問題はさして問題がない問題だから改正してよろしいだろう、こういうように御賛同を得ているわけでございます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御心配はないと言いますけれどもね、心配がないことはないんじゃないですか。ですから、改正後においても保険契約者等の利益を不当に害するという場合にはいろいろな措置を講ずるということになっているわけですね。ですから、そういう心配が全然ない、コマーシャル・ベースだから。——それは何も海運界だけじゃないですね。あらゆる自由主義経済のもとではコマーシャル・ベースでやっているのですからね。そのもとでカルテル行為が問題になるのですからね。これだけが除外になるということは僕はない。弊害があるということを前提しなければならないと思うのです。だから、独占禁止法というのがあるのであって、ですから、今お話ですと、それは協定料率にしても全然心配要らないというふうなお話ですけれども、それは少し僕は説明の仕方がおかしいと思うのです。しかし、心配はある、あるが、そういう場合にはこういう措置があるのだから心配ないというのなら、わかりますよ。ところが、さっきのお話では、ことに非常に自由競争が激しい、海外との競争が激しい、全然心配ないというのは、ちょっと納得いかないのですが。
  79. 大月高

    政府委員(大月高君) お話でございますが、船舶保険の関係におきましては、原則として心配ないということだと思いますが、われわれ認可事項でございますので、かりにそういうような弊害でも起きるということがございましたならば、十分行政指導の余地もあるというふうに御了承願いたいと思います。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと、もう一点簡単に。さっき荒木君が質問された中で、海外との再保険の収支ですね、三十四年度は一千百万の赤、ところが三十五年度は二千四百万の赤になっている。非常にふえている。金額トータルとしては大したことないですけれども、ものすごくふえてきているのですね。これはどういう関係なんでしょうか。
  81. 大月高

    政府委員(大月高君) これは数字で申し上げますと、千百万が二千四百万になったので、非常に悪化したと、こういうような感覚もあるわけでございますが、これは全体のバランスでございまして、この場合の三十四年度の収入は三十三億六千二百万、支払いが三十三億七千三百万、その差額が千百万という、三十数億円のうちの千百万円でございます。三十五年度におきましては、双方の規模が大きくなりまして、収入が三十九億九千三百万、支払いが四十億一千七百万、差額が二千四百万、こういうことでございますので、必ずしもこれがだんだん拡大していく傾向だということではなしに、全体の規模が大きくなりまして、たまたまそのバランスが数字でいえば倍になったと、こういうように御理解願いたいと思います。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後どうなんですか。貿易外収支で、海運収支なんかも非常にどんどん赤になってくる。また、保険料収支も赤なんですね。今後の見通しはどうなんですか。
  83. 大月高

    政府委員(大月高君) これは残念ながら、損害保険会社の世界的レベルにおける競争力がどうかという問題に関連いたします。御存じのように、イギリスにおけるロイド、その他有数な保険会社が、全国に網を張っておるわけでございます。それに対して日本の保険会社が対抗して参るということになりますと、どうしても再保に出す保険はいいものでなければ取ってくれない。それから、再保を引き受けたいと申せば、比較的質の悪いのしかもらえない、こういうことになりますと、国際収支の面からいきますと、とかくマイナスになる。それじゃ、海外に出すことをやめたらどうかということになりますと、こういう保険の性格からいいまして、危険分散ということで、必ずしも大きな危険を国内だけで温存しておることは適当ではないということもございまして、はなはだジレンマに立つわけでございますが、要は、国際競争力を逐次つけていくよりしょうがない。はなはだ悲感的なことを申し上げるようでございますけれども、客観的な情勢といたしましては、なかなか一朝一夕にはこれはむずかしいのじゃなかろうかと考えております。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 再保関係では、アメリカのドル防衛の関係ですね。船についてはアメリカの船を何%使わなければならぬという規定があるようでございますが、保険関係ではそういう点はないわけですか。
  85. 大月高

    政府委員(大月高君) シップ・アメリカンの問題は、保険については適用になっておりませんが、しかし契約がかりにCIFということになりますれば、それはくっついて出て参りますので、付随的に不利になっているんだと考えます。
  86. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、独禁法の関係を少しお尋ねをいたしますが、公正取引委員会の方がお見えになっておりますが、独禁法が、こういう適用除外の規定を次々設けていくということになってくると、独禁法本来の趣旨というものが、そういう適用除外をだんだん作っていくことによってこわれていくのじゃないかという問題が、この問題だけに限ったわけじゃない、今までに適用除外として認めてきたものはどういうものがありますか。
  87. 小沼享

    説明員(小沼享君) 現在まで、いろいろ御指摘のとおりございます。非常に一般的なものといたしましては、輸出入取引法がございます。それから中小企業団体法、この二つが一般的な法律でございまして、あとは機械繊維設備、そういった特殊なそれぞれの業界で、どうしてもその中に、ある合理化カルテルなりカルテル行為を認めざるを得ないというものについて、やむを得ないものだけを公正取引委員会も御協議を受けまして適用除外が成立しておる、こういう状態であります。
  88. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 こういうふうに、だんだん適用除外の範囲が拡大していくということについて、公正取引委員会としては、どういう意見を持っていますか。
  89. 小沼享

    説明員(小沼享君) 一般的に独禁法そのものは堅持されておるという形であっても、次々業界の特殊事情ということで適用除外が非常にふえていくということは、独禁政策からいっても好ましいことではないということは言えると思います。
  90. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう傾向は将来ますます強くなっていくのじゃないか、こういう見通しを一応われわれ持っているんですがね。結局、独禁法そのものがくずれてしまうのじゃないか、こういう懸念をするわけなんですがね。そういう見方をしているわけなんですが、そういう傾向に対して公正取引委員会としてはどういう態度をとっていくか。さっきの説明では十分でないように思うのですが、もう少し具体的に、どういう態度をとっておるか。
  91. 小沼享

    説明員(小沼享君) やはり独禁法としましては、まあ公正取引委員会としては、適用除外は極力避けていただきたいということで、独禁法の適用除外をするような法律を関係各省でお出しになるときには、公正取引委員会に対して独禁法との調整問題で御協議を受けるわけでございます。そのときには、われわれとしましては、できるだけ、どういう理由でこの業界が適用除外する必要があるかということを委員会で十分検討いたしまして、どうしてもやむを得ないという見地に立ちましたときに、しかも実行される法律内容適用除外の範囲をできるだけしぼっていただく、その場合でもできるだけしぼっていただくということで、最小限の範囲にしていただくということに留意して、法令調整をいたしております。  具体的な例といたしましては、まだ正式に国会には出ておりませんが、中小企業団体組織法、これは中小企業団体法として新しく改正されるわけでございますが、一口に申しますと、不況のときに中小企業団体は組合を作ることができるということがございました。今後は、不況でなくともいつでも同業組合的な組合を作ることができるというふうに改正されるということでございます。しかし、そういうことになりますと、何でもカルテルができるかということになりますので、行為をなさるとき、つまり調整行為をするカルテルを作るときには、今まで設立のときに厳格に調べました不況の要件というものを、不況カルテルを認めるときに十分その要件を見るということで、調整行為、カルテル行為をなさろうとする場合には、やはり不況でなければいかぬとかいうことで、そちらの面でしぼっていただく。今後は、合理化カルテルということが中小企業団体にはございませんでしたが、これも今後できることになりましたので、これも不況カルテルというのは非常に要件がむずかしいので、何でも合理化カルテルということで、そちらに逃げていってカルテル行為ができるのではないかという懸念がございましたので、特に合理化カルテルの場合には数量、価格に不当に影響するものはやっちゃいかぬというようなことも、私どものほうで、委員会といたしまして通産省のほうに条件を出しまして、そういうことに修正をされておるわけであります。ですから、できるだけ、業界の必要はございましても、独禁法にもいろいろ不況カルテル、合理化カルテルの道が開かれているわけでございますから、必要な場合にはそれでやっていただくということで、できるだけ適用除外の範囲をせばめていただくように調整をしております。
  92. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると、従来は適用除外については公正取引委員会と協議をする、そうして合意の上で、処理されておるということですか。
  93. 小沼享

    説明員(小沼享君) そのとおりでございます。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょうど公正取引委員会の方がお見えになっておりますから、今の独禁法の問題について、ついでに伺っておきたいと思うのですが、最近の物価対策の問題で、企画庁と通産省とでは意見がちょっと食い違っているといわれておるのですが、この物価対策の場合、通産省ではあまり押えてほしくないという考えのようですが、公取としてはこの点についてどういうお考えなんですか。
  95. 小沼享

    説明員(小沼享君) 公取としては、やはり物価が上がるということは消費者に非常に迷惑がかかるということで、物価抑制ということで、独禁法でできる範囲のものは独禁法で取り締まっていくという方針でございます。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近、物価が下がりそうになると、通産省あたりで勧告操短をやるのですね。そうして新聞で伝えるところによると、最近卸売物価がそろそろ上がり出してきているのですね。これは直接勧告操短そのものの影響かどうか知りませんが、とにかく値段が下がりそうになると操短によって調整されると。勧告操短について一体どういうふうにお考えですか。
  97. 小沼享

    説明員(小沼享君) 勧告操短というものは、各省それぞれ主務省で責任を持っておやりになっておるわけでございますが、それぞれ設置法に基づく権限でこれをおやりになっているということでございますが、やはり先生の御指摘のとおり、これは結局生産数量、価格というものを硬直せしめるという結果を及ぼすものでございますので、独禁法の立場としては、非常に重要な勧告操短をなさるときに、やはり実際大部分が行なわれておるわけですが、公正取引委員会にそういった行政調整の意味で協議していただくということで、先ほどの法令調整と結局同じということになりますが、独禁法上問題があるという点については、こういう勧告はできるだけ避けていただきたいということの方針で来ております。どうしてもやむを得ないものにつきましては、内容をお聞きして公取としての意見を申し上げるということで、処理していきたいと思います。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは御趣旨はよくわかっているのですが、公取のほうの力関係になってくると思うのですが、公取がそういうふうに意見を述べても、通産省のほうが力が強くて公取の意見が取り上げられないというところに問題があると思うのです。次々に勧告操短によって物価が下がるのに下げないようにしているわけです。それで物価対策とかいって騒いでいるのですが、全く本末転倒だと思うのですが、これは議論する場合ではないですから、それは別の機会に大臣等にその点。  もう一つ伺いたいのは、最近企業の単位を大きくしている、いわゆるコンビナート化の問題です。EECに対抗してコンビナート化する。それには独禁法がじゃまである。独禁法の改正の問題が話題に上っておりますね。山際日銀総裁なんか、新聞記者会見で改正の必要があるのではないかということを述べているのです。改正論が一つありますね。コンビナート化に対処するための改正論と、もう一つは、改正しなくても運用でやっていけるのではないか、十五条の解釈を拡大していく、取引分野というものを拡大解釈していけばいいのではないかという拡大解釈論。もう一つは、適用除外ですね、適用除外法を設けていこう。こういう三つの動きがあるわけです。それに対して公取としてはどういうふうにお考えですか。
  99. 小沼享

    説明員(小沼享君) 前後したお答えになるかもわかりませんが、現在まで、独禁法が発足いたしまして、合併の関係で独禁法上できなかったという例は、ずっと以前に一件かあったようでございますが、毎年合併、営業の譲渡というものは数百件、五、六百件できておるのでございます。これは多少問題のあるものもあったようでございますが、これもやむを得ない事情ということで、合併は認められてきておるわけでございますので、民間でいろいろ合併のために独禁法が非常にじゃまになるというお考えがありますが、これはあまり独禁法の内容を御存じなくておっしゃっているのではないかということをわれわれ考えておるわけでございます。したがいまして、おそらく、さしあたり考えられておる合併というものは、現在の法律運用の範囲で認められるのではないかという考えを持っております。  もっとも、実質的な制限になる場合は合併してならぬという規定がございますので、明らかに実質的な制限になる、この合併によって。具体的に会社の名前をあげるのは差し控えますが、国のその製品の一〇〇%を占めるというようなことになれば、やはりそういうものまで合併させるというのは無理じゃないかということも考えます。ですから、運用ということで十分措置できますので、現在第四章の合併関係の規定を緩和するという意味の改正は必要ないのじゃないかと思っております。これは余談でございますが、最近二、三度、たしか通産大臣も衆議院のほうでそういう御答弁になっておったと思います。  それから、適用除外の関係で、合併関係をはずす必要があるのではないかという点でございますが、現在合併関係で適用除外になっておりますものは、中央卸売市場法の卸売会社の合併、これは農林大臣の認可、公取協議でございますが、これだけでございまして、今までのところ合併を適用除外としようということは、関係各省からも要求がございませんし、今のところ問題にしておりません。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、その運用でいくということが今の実際の行き方のようでございますね、今伺ってみますと。通産大臣もそういう考えですね。そこで、問題は運用ですね。取引分野というものの解釈ですね。外国市場までも含めればものすごく市場が拡大してしまうのですから、そこが問題だと思うのです。これは運用の点についても、ただ運用でいけるから改正しなくてもいいのだというだけでは、やはり問題が残るのではないですか。それでは、運用についてはどういうふうに、それが私的独占禁止法の精神に反しないような運用ができるか、そういうメドが必要であるのではないかと思うのです。そういう点、御議論なさっているでしょう、公取あたりではどうですか。
  101. 小沼享

    説明員(小沼享君) この完全自由化に伴いまして、対EECとの関係でどういうふうになっていくかということは、現在、中で事務的にいろいろ検討しておりまして、それを直接独禁法とどう結びつけるかということにつきましては、いましばらく研究さしていただく必要があるのではないかと思っております。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 諸外国の例なんかについて、何かお調べになったものがございますか、最近。たとえば、ことにヨーロッパ共同市場で西独なんか非常にコンビナート化が進んでおるといいますが、それからフランス、イタリー等々、シックスの諸国もだんだんと企業単位が拡大するという方向にあるということですが、そういうものと独禁法との関係、諸外国ではどういうふうにやっておるか、何か……。今ここでなくてもいいのですが、そういうものをお調べになったようなものでもありましたらば資料をひとつ。なければいいですけれども、おありになれば、出していただければ幸いだと思うのですが。
  103. 小沼享

    説明員(小沼享君) 西独その他、もちろんアメリカもそうでございますが、法制はある程度調べてございますので、資料で後刻お届けいたします。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ことに最近の情勢を……。
  105. 小沼享

    説明員(小沼享君) 承知いたしました。
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 最後にもう一点だけ、さっき局長説明された損害率と私が提起した損害率との開きがあるという、この問題がどうもはっきりしないままほうってあるのですが、私の手元にあるのでは、昭和三十五年度における元受損害率は六一・五九%になっている、これは間違っていますか。
  107. 大月高

    政府委員(大月高君) 全体の元受事業成績としまして、元受損害率は六一・五九%でございます。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、お尋ねするのですが、私は、海外等の損害ということは、先ほどの説明でもはっきりはわからなかったのですが、これは六〇%程度の損害率ということは、かなり保険料が高いということを意味しているのではないかと思うのですがね。これに対する見解を伺っておきたいと思うのですがね。
  109. 大月高

    政府委員(大月高君) これは保険料が高いということになりますか、どうでございますか。要するにほかに人件費、物件費というものがございますし、それから責任準備金の積み増しというものがございまして、必ずしも保険料が高いということにはならないと思いますが、やはり全体のベースといたしましては、むしろ損害率はもう少し保険料に対して高い、それで経費、いわゆる人件費、物件費というものの率のほうが低いという格好のほうが、会社としては合理化が進んでおるということで、むしろどっちかといえば望ましい。われわれといたしましては、保険料率がかりに安くなりますれば、同じ損害が起きますれば損害率が高くなると、こういうことでございますので、保険会社に対しましては極力いろいろな営業についての合理化をはかってこの保険料を下げていくようにと、こういうような指導をやっておる次第でございます。
  110. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっとわかりにくい点があるのですが、結局損害率が六一%であるということは、これは数字をもってここでいいますと、保険料が百四十八億、これに対して支払った保険金が九十一億と、こういうことになるわけですね。その割合が六一・五九%、こういうことになるわけですね。ですから、大体四〇%のもうけをしているという数字を私は示しておると思うのですがね。そうすると、この利益は相当大きいのではないか、こういうことをいっているわけです。これが海外、たとえばアメリカとかイギリス、フランス等々と比べてどうかという問題です。
  111. 大月高

    政府委員(大月高君) 全体としての日本の保険会社の率につきましては、経費の関係が若干多うございまして、もう少し国際水準に下がるまで参るように指導いたしておりますが、船舶保険につきましては、国際的なものでございまして、ほぼ国際水準にいっているのではないかと考えております。
  112. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、主要国の損害率というのはどの程度になっているのですか。
  113. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいまちょっと手元にございませんが、あとで調査して御報告申し上げます。
  114. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 きょうは、私の質問はこれで終わります。
  115. 棚橋小虎

    委員長棚橋小虎君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十八分散会