○須藤五郎君 時間もないことですから、私はなるべく夜間を縮めてやりたいと思うのです。私の質問は三つあるのですが、一々質問していると時間がかかりますから、三つ続けて、三点について述べますから、お答えを願いたいと思います。
大臣は、今度の
国会における
財政演説の中で、こういうふうに述べていらっしゃると思うのです。「
金融の
引き締めが
経済的に弱い面にしわ寄せされないよう、
中小企業金融対策としては、昨年末に、総額八百億円に上る
財政資金による手当をいたしましたが、さらに、適宜、所要の
財政資金を追加し、
政府関係金融機関の資金量の
増加をはかるほか、
中小企業向け貸し出し促進のため、市中における
金融債等の買い入れを行ないたいと、こういうふうに述べておられるわけです。
政府はこれによって
中小企業金融についても十分下を打ちつつあるという。ポーズを示したつもりでいらっしたようですが、先日私は大阪に参りまして大阪の
中小企業家と話し合ったところによりますと、年末の
金融難は実にひどかった、こう言っておりましたが、市中銀行から毛、また
政府中小企業金融機関からも締め出された
中小企業家は、やみ
金融に依存せざるを得ず、日歩三十銭あるいは五十銭という、べらぼうな高金利がちまたに横行するという状態だった。こう申しております。これは明らかに「
出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する
法律」の第五条一項に明白に違反する行為でありますが、もっと重要なことは、こんなやみ
金融を横行させている一番大きな原因は
政府の
金融政策にあると
考えます。そこで質問したいのですが、
大臣はこのことを御存じかどうか、またこれに対してどういう
措置をとられたか、お聞きいたしたいと思います。これが第一点です。
第二点、私は、
中小企業の大部分を占める零細企業の
調査だけでなく、
中小企業の中間クラス以上のところ
調査も行なったのでありますが、このクラスは一流大企業の下請業者になっているところが多く、名実ともに独立した企業は少ないというのが実情であります。また、このクラスは、
金融的には市中銀行及び
政府関係中小企業金融機関の融資に依存することが可能なクラスであります。ところで、このクラスに対する
金融状況はどうなっているかと申しますと、ことしの一月から二月になっても、大企業の支払いは依然百二十日から百五十日の長期手形であって、この状態が慢性化しているのが現状であります。こういう状況下で、一体
政府関係中小企業金融機関はどういう役割を果たしているのか。一言でいえば、一流企業の資金繰りを緩和してやるために、つまり、これら一流企業の振り出した長期手形を割り引いてやるための道具となっているのが実情であります。逆にいいますと、一流会社は、
政府関係中小企業金融機関の資金ワクが拡大すればするほど、安心して長期手形を出すことができるし、それによって浮いた資金で
設備投資計画を着実に進めることができるという仕組になっているわけであります。だから、私の会った
中小企業家たちは、
政府の
中小企業金融対策を本心からありがたいなんていう人は一人もおりませんでした。彼らは、
政府関係中小企業金融機関について、
中小企業金融政策という名目による大企業
金融である、こういうふうに言っているのであります。そこで、
大臣に質問いたします。
中小企業家の要望は、
政府関係中小企業金融機関は大企業の資金繰りの尻ぬぐいの道具になるのではなくて、もっと
中小企業に自主独立の営業ができるようにしてもらいたい、こういうことなんです。大庭は
中小企業の自主独立の営業を行なわせるように具体的にどのような指導をされたか、またされようとしておられるのか、お尋ねをいたします。これが第二点です。
第三点、最後に私は、昨年の暮、大蔵省が八幡製鉄、富士製鉄、東芝の三社に対して増資払い込み期限を行政指導によって四月に
繰り延べさした結果、どういう事態が起こったかについて触れたいと思います。大蔵省の行政指導の結果、八幡製鉄、富士製鉄、東芝の三社は、大蔵省のお声がかりで増資払い込み資金が四月まで
繰り延べられたという錦の御旗を振りかざしまして、公然と下請業者あるいは外注業者への支払いを四月まで延ばすという態度に出てきたわけです。現に、富士製鉄は下請業者に対しまして百八十日の長期手形を出しているといわれまして、大きな話題にさえなっているようです。もし事実だとするならば、これは下請代金支払遅延等防止法第四条二号の違反だと
考えます。このように、大企業は
政府の
金融引き締め方針を自分の都合のよいように逆用し、盛んに抜け道を切り開こうとしております。
政府はそれを百も
承知していながら、防止しようとしないばかりでなく、むしろ結果的に促進さしているという
感じさえするわけです。その結果
中小企業者がまともにしわ寄せをされているし、たまったものではないと
考えます。こういう
感じが
中小企業家の本音であります。一体、
政府は、大企業のこのような勝手気ままなやり方に対して、どういう置措を具体的にとろうとしておられるのか。
以上、三点の質問に対しまして、お答えを願いたいと存じます。