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国務大臣(
佐藤榮作君)
石油の使い方は国によってだいぶ違いますから、
日本の場合は純
エネルギー、平和
経済、そういう観点においての
石油だと、かように御理解をいただきたいし、アメリカやドイツやフランスや
イギリスということになりますと、相当軍事的な
考え方が左右しているわけです。その軍事的な問題は別にいたしましても、
石油自身が自国が
石油の自由競争のマーケットになってしまうということは、産業に非常に
影響があるという
意味で、これに対する
対策を立てなければならぬ。それぞれの国には、それぞれのいき方があるわけです。まあアメリカなどは自国産の
石油というものもありましょうし、自国産の
石炭というものもありますし、そうしてここで、そういうものがすでにマーケットとして発達している。さらに国外のものが入ってきてマーケットが撹乱されては困る。こういうことが非常に強く響くだろうと思う。
日本の場合には、
競合エネルギーである
石炭であるとかあるいは水力電気等については、いろいろ問題をかもし出しますけれ
ども、
石油自体については、国産
石油あるいは国産ガスというものが非常に少量でございますから、いわゆる念頭に特に貫くほどの値打はない。むしろ
国内資源である
石炭あるいは水力というものとの関連を考うべきだと思う。むしろ
日本の場合において国産の
石炭と、それから外国から入ってくる安い
石油、この
二つが一番問題になるということを
考えて、
日本の
経済を発展さすということを
考えたときに、どういう
方法がいいか。自由に
石油が入ってきてそうして国際競争のマーケットに
日本がなれば、これはなるほど安いものは入ってくるだろう。安いものが入ってくれば
日本産業が国際競争をする場合において非常に有利だとは言えるが、これが国産の
石油に、国産の
石炭に
影響を与える。あるいは
外貨支払の面で問題を起こす。あるいは雇用の面で問題を起こす。まあこういうことになることが、これは
政治的にほってはおけないことである。だから、純
経済上の原則だけではなく、そこで
政治的な考慮が払われるというのが今の
考え方でございます。問題は、
政治的な考慮を非常に強く反映さすか、
経済的の原則を強く取り入れるか、とり方はウエートの問題じゃないかと思う。私
どもが今やっておりますのは、やはり自由に外泊が入りやすいようには
考える、しかし、国産の
石炭に及ぼす
影響を
考えてそこの
調整をはかっていこうというのが今の私
ども、これはもう率直な気持なんでございます。私はいろいろああでもない、こうでもないという話をいたしておりますが、やはり
政治的な問題も
一つある。もう
一つは、
経済上の原則がある。その
経済上の原則どおりにもいけない。また
政治だけでもいけない。両方をつき合わせるというのが今の
考え方でございます。
で、先ほどからいろいろ御議論もございます。たとえば貯油量が相当なければ非常な危険じゃないか。なるほど一朝事あるときを
考えると、今のように外国に頼っていることは、これは非常な心配です。それはひとり軍事上の問題だけじゃなく、
エネルギー源が外国に頼っておるだけで
日本産業が壊滅するというような心配もあろうかと思います。将来の問題として国力が十分力を持ってくれば、もちろん
国内における貯油の量も、それは適当というものは
考えられるでしょう。しかし、現在の姿のままで、あるいは三カ月分持つことが望ましいとか、あるいは六カ月持つことが望ましいと申しましても、これは簡単には実は参りません。タンクを造って貯油能力をつくるだけでも、これはたいへんな
資本の投下でございますし、そうすることは原油自身の価格を非常につり上げることにもなります。だけれ
ども、安定というほうからみれば、将来の問題はやはり適正な貯油量というものは必要だと、こういうことに必ずなるだろうと思います。ところが、現在ではそこまでの力がないものですから、今言われるように一カ月程度のものを持っているというのが実は
現状でございます。この姿が、いつまでも一番望ましい姿だと、かように私申し上げるわけじゃないのでございますから、その点誤解のないように願いたいと思います。