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1962-04-26 第40回国会 参議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)    午前十一時十四分開会   —————————————   委員異動 四月二十五日委員田畑金光辞任につ き、その補欠として曾祢益君を議長に おいて指名した。 本日委員吉田法晴君、曾祢益君及び加 藤正人辞任につき、その補欠として 森元治郎君、田畑金光君及び奥むめお 君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            大泉 寛三君            川上 為治君            小林 英三君            吉武 恵市君            近藤 信一君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    公正取引委員会    事務局長    小沼  亨君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省鉱山    局長      川出 千速君    中小企業庁長官 大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省企業    局参事官    江上 龍彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油業法案内閣提出衆議院送  付) ○下請代金支払遅延等防止法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○不当景品類及び不当表示防止法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、石油業法案下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案不当景品類及び不当表示防止法案、以上三案の審査を行ないます。   —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 委員異動がありましたので御報告いたします。  昨二十五日田畑金光君が、本日二十六日吉田法晴君がそれぞれ委員辞任され、その補欠として曽祢益者及び森元治郎君が選任されました。   —————————————
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず、石油業法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 佐藤大臣にお尋ねする前に、ちょっと川出鉱山局長にお尋ねしますが、昨年十二月にエネルギー懇談会に第一次案が出まして、そうして最終案をいただいているわけですが、新聞紙上にそれまでたびたび各界の意見を聞きながら何次案と発表されたようでしたが、一体これは、最終案は第何次案になるのでしょうか。
  6. 川出千速

    政府委員川出千速君) 何回も何回も修正をいたしましたものですから、通産省の中で、第何次案という表現でやっておりませんものですから、には記憶しておりませんが、八回か九回くらい修正をしたかと思います。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 業界もだいぶ混乱しまして、ひょっとすれば流産するのではないかというふうにも思われましたが、佐藤大臣川出鉱山局長以下の御努力でまあ成案ができましたことについては、私は粘り強い慎重な努力に対しては敬意を表するものですが、ただ、業界の反対を調整しながら本法案をまとめられるために、重要な点がほとんどまあ骨抜きになったじゃないか。たとえば、この法律から、他のエネルギー源との調整をはかり云々という点を削除して、石炭とは関係がない、それから定義におきまして、石油価格等を本法の適用外とすることを明確にし、あるいは石油輸入業許可制から届出制にし、販売価格変更勧告権を削除し、あるいは石油販売業届出制にし、立ち入り検査権を除いてしまう、再検討条項を新たに加えられる。私、まあ、手に入りました案の対照表を作ってみて、非常に重要な点が抜かれている。こういうふうになりました一つの原因は、近代国家において、経済政策国家が何をなすべきかという点について、やはり少しわれわれと認識が変わっておって、あとでも申し上げたいと思うのですが、そういうことで少し動揺し過ぎられたのではないかと思うのですが、特に、戦時統制の復活だというようなことにおびえて、そうなったんではないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の業法、これを出すに至りまして、いろいろ経過をたどっておる、いわゆる扱い方に非常な後退ではないか、こういうことですが、これはもう当初から、私どもエネルギー懇談会の報告を取り入れて、そうしてこの案と取り組んだ当初からの実は問題でございます。申すまでもなく、自由経済、これを建前にした資本主義経済のもとの立法だということ、そのワク内において一体何をなし得るかということでございまして、本来の思想も、後退も前進もなく、その点はまことにたんたんとしたつもりでございます。ただお話にありまするごとく、エネルギーの問題で、石油だけではいかぬだろう、エネルギー全般についての問題として取り組まなければならぬだろう、こういう御指摘は、私どももこれは首肯できるのでございまして、業法業法としてこしらえますけれども、別途の方法総合エネルギー対策樹立方法考えていく。各部門別のものはございますが、それを、総体を結びつけた場合に、そこに衝突がない、その工夫は一応したつもりでございます。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 こういう席で申し上げるのはどうかと思うのですが、社会党として、ステーツマンとしての佐藤大臣を見て、その偉大な政治力識見等においては敬意を表するのですが、ただその反共性という問題と自由経済基盤に立つというこの二つについて、少し私たちは懸念をする点があるわけであります。まあライバルと称されておりますかどうか知りませんが、共産圏に対しては、河野さんと少しニュアンスが変わっている、これはけっこうだと思うのですが、その点はおくとしましてです。私はやはり資本主義を前提とされながらも、あまりにも古典的な自由経済に顧慮され過ぎているのじゃないか。きのう上原さんが、社会党は古典的な社会主義にまださまよっているというようなことを言われましたが、私はやはりそれと同じようなことが言えるんではないか。少なくとももっと資本主義の延命のためにも、資本主義を強化していくためにも、私はやっぱりもう少し考えを、近代国家において、やはり経済発展のためになすべき役割というものをもう少し重視していただく必要があるんではないか、こういうふうに思うのですが、どうも上原さんが社会党古典的社会主義に拘泥していると言われたのと同じだということが言えるんじゃないかと思うのですが、少しそのワク内という問題をやはりはっきりしていきませんと、今後石油エネルギー総合対策を立てるのにも、やはり問題が起きるんではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 古典的資本主義というのはちょっと私には内容がわからないのですが、今石油業法自身考えましたものも、ただいま言われる完全自由経済という形なら、まあこの法律は必要はないのでございまして、これは業界にまかしておけばいい、やはりこういう業界に対しての一つ業法を作るということ、これはいわゆる古典的な自由主義というものではないのではないかと思います。したがって、そこでいろいろ議論があり、片方統制への道じゃないかという心配があるのもそれにあるのです。また片方から、皆さんのほうからごらんになって、どうも足踏みしているのじゃないか、むしろ無用論が、そのほうが徹底するのじゃないかと言われ、そこらに私はあえて修正とは申しませんが、国家的な意思、意欲というものをやはり業界にも浸透さす、そういう意味業法の必要を実は感じておるわけでございます。その必要性はただいま申すように、石油業自身においてもありますけれども エネルギー全般についての一つの構想がこういうものに出てきておる、こういうことを実は申し上げておるわけでございまして、いわゆる古典的資本主義というものじゃ実はないのじゃないかと思うのです。みずからはそういうふうに任じておるわけです。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、まあこの石油業法中心にして、りっぱな総合的なエネルギー政策を立っていただきたいという考えに立って御質問申し上げているのですが、イギリス保守党の大会がやはり昨年の十月にスカラバアにありまして、そのとき、やはり非常に大きな論争がありまして、やはり個人の創意と機会を重要視する、そしてだれもが財産を持てる民主主義、だれもが財産を持てる民主主義のためには大いに減税をやれというハットンなり、もっと大きな国家役割を重視すべきだ、したがって、国家の諸政策を推進するためには、必要な財源が要るから減税をすべきでない、この二つ考えが対立をしまして、ロイド蔵相は、「英国は経済長期計画、安定を達成するために、自由経済計画経済に将来切りかえることが必要だ、しかし、そのためにはソ連の方式とは違って、五カ年計画ソ連が鉄のワクのようなものをはめているものとは違って、私は」と、ロイド国民経済協力を全体としてもっとよく調整できるような機関を作っていくと、そういうふうにして、将来はイギリス保守党自由経済から長期定定の計画経済に切りかえる。そうしてマクミラン首相も同じようなことを言って、せんだって経済同友会の人の言っているのも、経済調整会議というようなことは、そういうところに先例を学んでいるのですが、私はやはりそういう点をもっとお考えいただかぬと、双方から非難があるというのは、非常にいろいろ御考慮されて、苦心がちょうどそこに調整されているかもしれませんが、やはりもっと聞くべき意見は聞かれても、土性骨の入った、筋金の入った政策なしには、なかなか本格的なエネルギー政策というものが立たぬじゃないか、池田さんのやっておられる経済所得倍増計画を見ましても、私、全購連に関係しておりますが、畜産が盛んで、えさがたくさん入って、何百万トンも入って、港に積んであって、全然処置ない。上のほうに積んだ綿を先に降ろして、あとまた船を外に出してしまうというようなことで、二週間も三週間もつながれてかなわぬ。これは所得倍増計画において、港湾というような、経済の全体がやはり総合的な政策が私はなかったからじゃないか、そういう点でネックができたりしていまして、やはり十分意見は聞いていただくことも必要ですが、やはりもうイギリス保守党ですら、伝統を持つ保守党ですら、そういうふうにロイド蔵相マクミラン総理もそういうふうに調整をはかりながら、これまでとはカーブを変えていくというような点は、特に考えていただかなければいけぬじゃないかと思うのですがいかがですか。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま言われますような国家意思というか、そういう方向で、業界協力を得ることは望ましいこととは思います。これは資本主義経済をとりましてもまた社会主義の理論に立ちましても、その窮極の形は別として、今の段階ではおそらく同じじゃないかと思います。ただ問題は今の計画経済という言葉と、統制経済という言葉、そこの、これが同意語であるか、あるいは別のニュアンスを持つものか、ここに一つの問題があると思います。共産圏でやっておりますのは、計画経済統制経済だと私はかように考える。また自由主義国でやっているのは一応のプランを持っている、これを権力によって強行するということは不可能の状況であります。できない。これを一つ目標を明示して、その目標にいかに国民の力を結集できるか、それが問題だと思うのです。私ども行き方は、後者のほうをとっているというのが現状であります。ただいまもこちらへ参ります前に、イギリス商工大臣と約一時間近く話をして参りましたけれども、たとえば国際収支の改善についてイギリスがとったいろんな処置、これは英政府がとったことと日本政府がとったことと大した違いございません。私は向こうの商工大臣に申したんですが、政府のやっていることにそう大した違いはないけれど、国民協力をそこに得たという、これはたいしたものだということを実は今話してきたばかりでございます。で。ただいまの日本国内事情は、戦後新しい秩序がまだ何といっても打ち立てられているとは言いかねる、そこらに実は問題があるんだと思います。だから、いわゆる政府当局国家的な考え方だと、あるいは国家目的だとかいうようなことを申しましても、今の状況ではそれに対する批判はなかなかきびしいんで、だからもう少し時間をかしていただかないと、今言われるようにはなかなかならぬのじゃないか、かように思います。政治家のしかし目標というか、行き方といたしますれば、一つ経済指標経済目標、これを立てれば、やはり国民協力を得ると、そういうようにしむけることがこれはもう政治の力だと、かように思います。そういう形で進むことが、まあ自由経済基盤にしている私どもとしては必要なことだ、またそういうことでありたい、いわゆる権力、それを使わないでやれるというのが望ましい姿だと、かように実は思うのでございます。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 よくお答えはわかるんですが、私やはり昨日も業界学識経験者等の御意見をつぶさに熱心に拝聴しましても、なかなか業界全体の意見がまとまらぬようであります。佐藤大臣もどこかで、どれが本音だかわからぬじゃないか、こっちから聞けばこうだと言うし、あっちから聞けばこうだと言うし、というような記者団会見も出ていましたが、私、まあEECが今日注目しなくちゃならぬ成長をしているので、一体このEECはだれがになったか、そのトレーガーはだれであるかということを調べてみましても、これは決して業界の人が組み立てをやったんではない、ということは、やはり政治家や学者や官僚といいますか、そういう人がEECの機構のにない手で、やはり私は、まあ技術革新というような問題をになったのはそういう人かもしれませんが、たとえば石炭鉄鋼共同体を作ったのはモネで、モネ・プランと言われ、その他ずっとその中心的な経済合衆国を作る問題を推進した人は皆、実際、業界の大きな巨大財閥代弁者ではないわけであります。そういう点で、まあ実業家は何といっても預かった貴重な資本に対して働いて配当しなくちゃならぬという、利潤追求というものがありますので、私はやはりそれを調整していくのは何としても国ではないかと。もちろん戦時統制のような悪夢はさらにいけませんが、まあそういうことを今後、石油業法中心にして総合的な政策を立てていただく際には、ひとつぜひとも、一体EECをあそこまでになってきたのはだれだかということを見ていただければ、近代国家において政府政治家が何をしなくちゃならぬかということがわかるんじゃないかと思うので、蛇足ですが、まあ完璧な総合対策を立てていただきたいためにちょっと申し上げた次第であります。  そこで、第二番目にお尋ねしたいのは、この石油業法案総合エネルギー政策においてどういう位置を占めるか、こういう問題であります。たとえば二月一日の海運クラブにおきまして佐藤大臣は、これは石炭関係ないのだというようなことを申されたり、政府からいただきました日本石油業あり方を見ましても、石油業法案石炭の救済をおもなねらいとするものではないというところで、全然関係がないとは書いてないのですが、一体この石油業法案というものは総合政策においてどういう地位を占めるか。昭和二十八年ですか、炭労の争議がありまして、むしろボイラーに重油をたくように政府が奨励をされて、非常に驚異的な消費が起きたもんですから、三十年にはボイラー等規制法を作るように——もうエネルギーは非常に代替性の強い、そういう意味では非常に総合性を要求されているんですが、一体この石油業法案というものは総合エネルギー政策においてどういう位置を占めるものであるかということについてお伺いいたします。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、所得倍増計画、これによりますと、五十五年度になると大体エネルギー源としての石油総体の六〇%ということを一応想定しておると思います。六〇%石油が占めるエネルギーということになれば、このエネルギー源としての石油地位というものはそういう意味ではっきりして参ります。これは非常に重要な地位にあるわけでございます。この場合に他のエネルギー源との供給状況、そうして考えていくのだと、こういうことでありますが、この六〇%になったときの石油需給計画自身、これは石油自身としても一つ問題があるわけだ。ことに外貨に依存しておる——外貨といいますか、国際石油に依存しておる現状等から申しますと、これは国の経済にとりましても重大な意義のある問題でございますから、石油自身の問題としても、そういう意味考えなければならぬ。また同時に総合エネルギーの全体のうちでその六割を占めるということになれば、他の競合エネルギーに対する影響というものもございますから、そういう意味総体的な需給計画をやはり立てていかなければならない。だからそういう意味においての総合性はもちろんあるわけです。今日、石炭について申せば、五千五百万トンということをしばしば申し上げておりますが、これが経済性がもっと向上されれば、石炭の量はふえていくだろうと思います。そのコストの下げ方についての指導と、あるいは政府の助成などもございますけれども、そういうことと、国内エネルギー源だというそういう意味においての石炭重要性というものもある。そういうものと石油を実はにらみ合わせておるつもりでございます。今日までにしばしばいわれておりますのは、この石油業法というものは石炭のために作るのじゃないのか、こういういわれ方をいたしますが、そうじゃない。エネルギー総体として五割以上、六割にもなる、そこまで発展する場合においての需給計画というのは政府で持たなければだめなんだ。ことに外貨によってそれが購入されるとすれば、経済の全体のあり方から見まして、もちろんこれは重大な意義があるし、あるいはまた国内産のエネルギー源に対する影響ども考えれば、これはほうっておけない、そういう意味業法の必要を私どもは痛感しておるわけでございます。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 川出鉱山局長にお尋ねいたしますが、三十六年の十二月案ですね、これには、「この法律は、石油と他のエネルギー源との調整を図りつつ」とあって、あとのほうも含めて私は第一次案がいいじゃないかと思う。これを抜かれた技術的な——佐藤大臣の今のそういう石炭しわを寄せるんじゃないかというような御懸念もあって、そういう抵抗を排除しながらというようなことでしょうか。エネルギーほど各エネルギー源との調整を必要とするものはないと思うのに、なぜ第一次案にあったのを最終案では抜かれたか。
  16. 川出千速

    政府委員川出千速君) ただいま先生から御指摘がございましたように、この石油業法総合エネルギー的な観点も考えなければならないわけでございますけれども、単に石炭を保護するための法律ではないという、石炭保護のための法律ではないというような批判もございまして、そういう誤解をされることも避けなければなりません。と申して、この法案の中には、第三条に供給計画がうたってございますが、それには、石油以外の燃料、あるいは動力源需給事情も勘案をしてきめるということにしております。当初の案では、法律目的のところで、他のエネルギー云々ということはございましたが、それを削ったわけでございます。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ抵抗もいいし、石炭しわを寄せるんじゃないということでそういうふうにされて、そして第三条に石油供給計画をこっそりここに持ってきた、こういうわけですか。その点を……。
  18. 川出千速

    政府委員川出千速君) こっそりでもございませんですが、明文でもって、他のエネルギー需給事情も考慮をして、石油供給計画と申しますか、需給計画をきめるのだと明文をもって定めてあるわけでございます。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題も、私実は御質問しようと思っていたんですが、三月十六日の日経に、ゼネラル物産の社長の中尾さんが、江上さんもせんだって言っていましたけれども政府個々石炭、電力、石油とかやっておるんだから、というようなことを言っていまして、池田さんも、衆議院会議録を読みますと、石炭対策特別委員会でそういうふうなことを言っておられますが、実はそういうことは逆なことだ、政府総合政策をまず立って、そして個々エネルギーがその中でどういう位置づけをするかということをやらねばならぬので、政府のやっていることは逆だ、さか立ちしているんだというふうに書いて、私もこの人の石油業法に対する意見は賛成しないんですが、さすがにエネルギー問題のベテランであって、その総合性重要性指摘されている点は非常に敬服しているんですが、個々エネルギーの問題をどう掘り下げていっても、やはり私はいけないんじゃないか、やはり木を見て森を見ないようなことになるので、どうしてもこの石油業法と関連していくべきそれとの総合的な対策がやられなくちゃならぬ。しかし私は。あとの第三条に入れるより、はっきり政府原案のようなほうが、真正面から取り組んでいただいたほうがよかったんじゃないかと思うんです。  そこで、それじゃ伺いますが、第三条に、この一番重要な本法案の、将来エネルギー政策石油政策を立てられる手がかりになる政策の第一に重要だと思うんですが、第三項の石油供給計画の問題ですが、「石油供給計画は、石油並びに他の燃料及び動力源需給事情石油資源開発状況その他の経済事情を勘案して定める」、こうなっておる。それから第四項には、「通商産業大臣は、前項の経済事情の著しい変動のため特に必要があるときは、石油供給計画を変更しなければならない。」、こういうふうになっておりまして、そんならば、一体この石油供給計画を立てる際にも、もうすでに結合エネルギー政策が要るわけなんです。この尺度なしには、経済事情が変更したからといって、供給計画を変える基準、そういう判断の基準がなしにはいけないと思うわけであります。しかも、この附則第一条には、この法律は、公布の日から起算して三カ月をこえない範囲内で政令の定める日から実施するとなって、急を要するんです。公布の日から三カ月をこえない口に実施するとすれば、石油供給計画は、毎年、当該年度以降五年間について定めるということになるんですが、一体そうしますと、この法律の第三条を運用するためにも、総合的なエネルギーに対する基本的な態度が必要だと思うのですが、その基準は一体どういうことでしょうか。お尋ねします。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いずれあと局長から実情はお答えいたしたいと思いますが、中田さんと私どもとの考え方の相違といいますか、今のような御意見が出てくるとだんだん明確になってくるんです。たとえば、一つの総ワク考えて、それでその位置づけをする、こういう行き方もあると思います。しかし、私ども行き方はそうじゃなくて、個々のものを自由な立場において、腕はどこまでも仲ばして、羽は伸ばさしていく、しかしてそれを伸ばすときに、これはもう自由勝手ではいかぬですよ。いろいろあちらこちらに差しさわりがあるのだから、そういうことを考えましょうというのが実は私ども考え方なんです。ですから、ただいま新聞の切り抜きの中尾君のお話を出されましたが、これと、ものの考え方が非常に相違いたしておるわけです。だから、たとえば今の二条の書き方あるいは三条、四条の書き方等にいたしましても、原案のほうがいいじゃないかと言われますが、原案のようだと、もう最初から総合エネルギー対策としての石油という見方をしております。そうじゃなくて、私どもはやはり石油自身が、これは最近の液体燃料にどんどん変わってきておる、そのよさというものがあるわけですから、そのよさを取り入れる、しかし、よさを取り入れるといっても、それは無制限に取り入れられませんよ、それはある程度の制限をやはり受けざるを得ない、ここにまあ国の、あるいは全体としての考え方が反映してくるんですよ、こういうことが実は申し上げたいのであります。だから、基本的の考え方が、ちょっとニュアンスが違っておる。そこで行き方についての御批判があるんじゃないかと思います。だから、これは基本的にどちらがいいとか申すわけの議論になるのでございましょうが、まあただいままでのこの点がいわゆる資本主義経済基盤にしておるという考え方から、私どものような立法の方法に向かわざるを得ないわけです。しかし、そういうものが個々のものについての積み重ねがだんだんできて参りまして、これはやはり国会体としてはお互いに競合し、お互いにぶつかるものをいかに調整をとるか、もう一つ別な方向からこれを見ていく、こういうことが実は望ましいじゃないか、その根本的の考え方が相違しておりますから、やっぱり同じポイントに立って御批判を願わないとちょっと困るのじゃないかと思うのです。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ個別対策と総合とを、どういうふうにしたら一番いいかということはなかなかめんどうな問題ですが、石油業法に反対している多くの人でも、総合政策をとってくれということで、やはりその関連をもう一ぺんはっきり申しますと、中尾さんが、「政府総合エネルギー政策については個々エネルギーの秩序維持の結果をみたうえで考えていきたいとの見解を示しているようであるが、このような考え方は全く逆」だというふうに、かえって保守的な石油業法に反対されている。昨日の電気事業連合会の人も、やっぱり総合エネルギー政策重要性を説いているのです。その個別と総合をどう調整するかということが必要ですが、もうすでにこの法律公布して、政令を出してからとにかく三カ月以内に実施するには、一体この供給計画を立てる基準というものは、やはり石油石炭、火力、水力発電、あるいは国産原油、ソ連原油、アラビア、スマトラというようなものに対して、どういう基本的な定木を持っているかということなしには。この基本供給計画というものが立たぬのじゃないかと思うのです。非常にまあこれは急ぐので、とにかく「この法律は、公布の日から起算して三カ月をこえない範山内において政令で定める日から施行する。」ということになっているのですが、非常に早い、夏ごろにはなってしまう。そういう意味からいっても、すでに個別対策を深められながら、それらとの関係において、あらゆるエネルギー源に対して、今の時点で少なくとも集大成されたものを持っておられぬと、この法律の実際完璧な運用がなかなかできぬのじゃないか、こういうわけなんです。だから、今どういう定木が準備されつつあるか、こういうことなんです。
  22. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) ただいま中尾さんの談話の中に、私のやり方の批判というお言葉もちょっとございましたので、最初にそれをちょっと弁明させていただきますと、政府は個別対策をやっておる。なるほど現われた形は石炭政策、あるいは石油政策という形で発表して参ったわけでございますけれども、その検討は総合的な見地においてされておる、かように私ども考えておるわけでございます。現に政府意見を徴しましたエネルギー懇談会のメンバーは、単に石油石炭だけでなくって、他のエネルギーについても権威者であり、それから単なるエネルギーだけじゃなしに、経済自体に関する権威者を集めております。同じ人が同じ頭で石炭を見、石油を見て、そして石炭についての対策を打ち出し、石油についての対策を打ち出し、その一環としてこの石油業法が提案されておるわけでございまして、その意味石油業法が単なる個別対策でないと、かように私どもは理解しておるわけでございます。ただ今先生御指摘のとおり、総合エネルギー対策という書きものの形で世の中に発表したということは、今までないわけでございます。したがって、われわれとしても、この時点においてそういうものが必要であるということは十分考えておりますので、今後新たに強力なる審議機関において、総合エネルギー政策の基本的な方針というものを一日も早く明らかにしたいということで準備を進めておるわけでございます。その際、従来検討して参りました石炭問題、石油問題についても、全体の産業構造との関係で、もう一度掘り下げて検討してやって参りたい、かように考えるわけでございます。また石油供給計画自体を作るにつきましても、他のエネルギーとの関連を考慮して、したがって石炭がどうなるか、石油がどうなるか、その消費者たる電力がどうなるか、あるいは水力がどうなるかという総合的な一環としての石油供給計画でなければならないということは御指摘のとおりでございます。これにつきましては、長期的な見通しとしましては、先ほど大臣の言われました所得倍増計画において、一応の将来のエネルギーの姿というものが想定されておるわけでございますが、年次別の姿というものは、結局今後の経済成長の推移、その一環としての鉱工業生産の伸びというものと関連しましておのずからきまってくる。その際に石炭産業のあり方等とも関連して石油供給計画というものを定めるわけでございます。これは今後におきまして、鉱工業生産の見通しとあわせて早急に検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 衆議院商工委員会ですか、池田総理大臣もこの問題で発言しておられるようですし、この総合対策を立てるための機関ですね、そういうものの構想、それはいつごろできて、どういう構想でやられるものか。これは法律に基づいてやるのか、これまでのような佐藤通産大臣の私的な機関としてやるのか、そういう点について大体のスケジュールなりをお伺いしたいと思う。
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今通産省には通産省設置法に基づく産業構造調査会というものがございますが、この中の総合エネルギー部会、これを強化してただいま言われる総合エネルギー政策の審議機関にしたい、かように実は考えておるわけでございます。  ところで、一部ではこれを内閣の機関にしたらどうかというお話があるわけです。単独のものにしたら……。ところがエネルギー源は、これは全部が全部通産省所管ということに実はなるわけです。原子力自身はこれは科学技術庁にいたしましても、原子力発電となりますとやはり通産省所管なんです。そういうことを考えると、新しいものを作るまでもなく、ただいま申す総合エネルギー部会を強化することで事足りるのではないか、かように実は考えておる次第でございます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 事務当局でけっこうですが、私もたびたび国会の議決に基づく審議会なり委員会に参加したことがありますが、そういう際には大体事務当局が試案を作って誇っておられるわけです。一体全部あなたまかせでおそらくやられると思う。エネルギー総合政策の問題点をちゃんと出して、いかがでしょうかというふうにスピード・アップするためにやられると思うのですが、およそ総合エネルギー政策の大きな柱になるような、まあ発足したら問われるかもしれない原則は何でしょうか。
  26. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) たいへんむずかしいお尋ねでございますが、エネルギー問題について、従来、先生御承知のように、エネルギー懇談会でいろいろ御意見を承って政策の方向を打ち出して参ったのでございますが、そのときの審議の仕方でございますが、いわゆるほかの審議会等のように、政府がすべて原案を作ってお膳立てをしまして、それで異議なしというようなことできめて参るような運営は実はして参らなかった。率直に、われわれ自体が非常に思い悩む問題がエネルギー問題には非常に多いものでございますから、率直に業界現状をぶちまけて、そのためにいろいろ資料は作ります。そして現状と問題点の説明はいたします。それに対してわれわれとしては、こういう考え方もある、こういう考え方もあるという御披露はいたしますけれどもあとは先生方みな独自の識見を持った方々ですから、非常に白熱した議論をいたしまして、そうやってお互いに議論をしている間に方向を発見していくと、こういうふうな運営の仕方をして参ったわけでございまして、まあ政府自身が初めからはっきりした施策を持たないで、無定見じゃないかという御批判があるかと思いますけれども、私としては非常にそういうやり方で、われわれの気がつかなかったいろいろな点が出てくる。こういうようなことで、非常に、ほんとうに懇談会らしい懇談会の運営をして参りたい、かように考えているわけでございます。  さて、今後総合エネルギー対策として出す場合の基本的な柱はどういうことかということでございまするが、これは一言ではなかなか申し上げにくいかと思いますが、従来懇談会を通じましてわれわれ、それから先生方一致したエネルギー政策に関する目標といいますか、基本原則というのは大体二つあるのじゃなかろうか。それは一つは、エネルギーの低廉な供給という問題でございます。これは日本の産業の国際競争力を今後つけていく、特に自由化を控えて非常にそれが重大であるという点からいって、やはり安いエネルギーというのが一つの大きな目標であろうと思います。それから第二の目標としましては、エネルギーの安定的供給という問題であろうと思います。これは戦争というような大きな問題を考えなくても、経済的な要因あるいは政治的な局地的な要因から供給が非常に不安定になる、あるいは国内問題としても、争議等のために非常に供給が不安定になる、こういうようなことをできるだけ避けるべきである。したがって、安定的な供給という点が第二の原則かと思います。その安定供給に関連しまして、特に石炭などを考える場合には、外貨節約、国際収支上の問題、それから雇用効果の問題、こういった問題もあわせて考えていくべきである。かような基本的な二つのラインというものをエネルギー政策としては目標にすべきである、こういう点で皆さん意見が一致しているように思われるわけでございます。  さて、その二つの原則が仲よく両立していくような体制に常時あればいいのですが、その二つの原則は時には矛盾し、衝突することもあるわけでございます。たとえば安定供給という面からみれば、大ざっぱにいえば、国産エネルギーというものが非常に大きなウエイトを占めてくると思いますが、低廉なエネルギーという点からいえば、国産エネルギーに非常に大きなウエイトをかけるということは、エネルギー・コストを高くする、その辺のかね合いの問題、これが総合エネルギー政策考えます場合に一番大きな問題かと思います。まあ、具体的にどういう形で総合エネルギー対策というものが打ち出されるかは今後の問題でございますが、おもな中心となる考え方はそんなところではないか、かように考えます。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 あれほど持てる、豊富なエネルギーを持っているアメリカの上院でも、一九六一年の六月末に総合エネルギー対策を立てる特別委員会を設置しているわけです。そして上院六十四名の提案で、新設される特別委員会は、アメリカのエネルギー需要の測定、エネルギー資源の調査、これに基づく現行エネルギー関係法規の改正提案、政府エネルギー政策の再検討、技術開発等、エネルギー政策に関する万般をあずかり、一九六三年一月二日までに、できるだけ早い機会に完全な報告を上院にぜい、こういうふうにもうアメリカですら——あれほど豊富なエネルギーを持っているアメリカでもあるわけですから、私は、非常にスピードをかけてやられる必要があると思うのですが、一体いつごろ中間報告というか、そういうものはできるのですか。
  28. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) いつごろと今申し上げますことは、はなはだむずかしいのでございますが、御存じのように、石炭に関する閣議決定に基づきまして調査団ができまして、その調査の結果等も待たなければならぬ事項も相当あると思います。そういった関係で、そういった調査がいつまでかかって、いつごろできるかということにもよりますが、今のアメリカの例等で申されたような非常にコンクリートな大規模な形というものは相当時間がかかると思いますが、とりあえず基本的な方向というものは一日も早く打ち出したい。それには、場合によっては予算を要する問題もいろいろございますから、できればこの時期に間に合うような形で、とりあえず中間的な形になるかもしれませんが、基本的な方向というものは打ち出していきたい、かように考えている次第でございます。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 私が質問申し上げるのは、実はこういう立場からであるわけなんで、実は私の党できょうまた審議するのですが、エネルギー基本法案の要綱でなしに、第一次案というものを作ったわけでございます。この目的は、「この法律は、わが国の重要物資であるエネルギー資源の自給度を高め、並びにエネルギー資源の合理的価格」、低廉とは言っていない。「合理的価格及び安定的供給を確保するため、エネルギー資源の需給計画の樹立、」またはその他をやる。そして、そのためには、「総合エネルギー政策の基本原則」として、まず第一に「エネルギー資源に関する国の施策は、エネルギー資源が国民経済において占める地位重要性にかんがみ、国外の事業者が資本関係その他の関係を通じて、エネルギー資源に係る国内の事業者の自主性を失わしめることのないよう」に独立させなければならぬ、まあ自主性の原則と申しますか。  第三番目に「エネルギー資源に関する国の施策は、国内エネルギー資源が十分に開発され、かつ、利用されるよう」に樹立されなくちゃならぬ。「エネルギー資源に係る専業に関する国の施策は、当該事業が国定経済にとって重要な基幹産業であることにかんがみ、その事業の組織及び運営が」十分公共性が発揮されるようにしなくちゃならぬ。  最後に「エネルギー資源の価格に関する国の施策は、エネルギー資源が国際経済において占める地位重要性にかんがみ、エネルギー資源相互の関連、エネルギー資源を使用する他の事業者に対する影響等総合的な立場から考慮して合理的な価格が決定され、維持されるよう」にしなくちゃならぬ、こういう四つの原則を、第一次の案では立てているのです。  そこで、お尋ねしたいのですが、一体この法律の第一条の目的をどうして達するか、石油の安定的かつ……安定という問題と低廉という問題を質問したいと思うのですが、この確保は一体どうしてやられるか。まず、その前に事務当局にお尋ねしますが、石油を含む一次エネルギー供給において占める輸入エネルギーの比率を、長期の展望に立ってお伺いしたい点と、英、米、仏、独、伊のエネルギーの需給率、特にその中では石油の需給率、いただいた資料を見証してもちょっと見当たらぬもので、私よう見なんだかもしれませんが、その点をお伺いしたい。
  30. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) まず、一次エネルギー長期の輸入依存度の想定でございますが、所得倍増計画の基礎になっております三十四年度におきます輸入エネルギーの比率は、三三・六%になっております。それから最近の数字を申し上げますと、三十六年度が四三・九%程度になる予想でございます。それから四十五年度が所得倍増計画によりますと五八・八%、それから五十五年度において七二・五%、こういう数字になっております。  それからヨーロッパの例でございますが、それはちょっと資料が古いのでございますが、輸入エネルギーという特別の分け方はしておりません。固体燃料液体燃料、天然ガス、水力ということで、アメリカあたりは固体燃料とともに流体燃料も国産が非常に多いわけでございますので、ちょっとこの資料ではわかりませんが、端的にまあヨーロッパなんかにおきますと、やはり石炭が輸入依存しないおもなものでございますので、ちょっと固体燃料の数字を申し上げますと、アメリカの場合は、一九五八年の数字で、固体燃料の比率が、一次エネルギー国内消費のうち二四・三%程度、それからイギリスの場合は、一九五九年の数字が載っかっておりますが、固体燃料の比率が七六・四%になっております。それからフランスの場合でございますが、一九五九年の数字で、固体燃料が六〇・六%、イタリアは固体燃料は、これは五十七年の数字しかございませんが、石炭はまあ国産はございません。天燃ガスが八・九%を占めております。固体燃料は二〇・四%ということになっております。それから西ドイツの場合でございますが、一九五九年の数字で、固体燃料が七九・三%、こういうことになっております。同年度におきます日本の数字は、固体燃料が四二・六%、こういう数字になっております。  それからOEC諸国全体としての一次エネルギー消費と輸入エネルギーの依存度を申し上げますと、これは国別がちょっとありませんので、お尋ねと完全にマッチはいたしませんですが、OEC諸国のうちで、輸入エネルギーに依存いたしますのが、平均いたしまして全供給量のうち二二・四%を輸入エネルギーに依存しておる、こういう数字になっております。不完全なお答えでございますが。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 石油はどうです、その中で石油は。
  32. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) 消費石油ですか。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 石油消費の中で……。
  34. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) 国産石油でございますか、それはありますが……。
  35. 川出千速

    政府委員川出千速君) ただいま数字を調べておりますが、私の大体の記憶で申し上げますと、イギリスは、これは世界でも指折りの消量国でございますが、国産原油の消費量はわずか十万キロ前後でございます。したがって、そのあとは輸入をしておるわけでございますが、これはイギリス系の石油資本が海外で開発をしておるわけでございますので、まあ準国産原油といってもいいのではないかというような感じでおります。それからドイツでございますが、ドイツも四千万くらいの消費を、あるいはもう少し多かったかと思いますが、消費をしておりますが、その中で国産原油は約六百万でございますので、大体二割くらいというわけであります。それからフランスでございますが、フランスの国産原油の量は百六十二万キロでございますので、これは大した割合を占めていないわけでございます。そのほかにもちろん天然ガス等はあるかと思います。イタリアも最近開発を始めたわけでございますが、約二百万くらい国産原油を出しております。イタリアはそのほかに六十億キロ以上の天然ガスを開発しておるわけでございます。それからアメリカでございますが、アメリカは一九四八年ごろから輸入国に転じまして、大体八割から八五%ぐらいが国内で賄っておるというように聞いております。
  36. 武藤常介

    委員長武藤常介君) ちょっとお諮りいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは速記を起こして。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は一時半から再開いたします。    午後零時十七分休憩    ————————    午後一時五十四分開会
  38. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を再開いたします。  石油業法案を議題とし質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 先に川出局長江上さんの方から御答弁がありましたが、資料、あしたでもけっこうですから、ひとつアメリカ、ヨーロッパの、さきにあげました国の一次エネルギー供給の需給率についてひとつ整う表がありましたらあしたお願いします。  佐藤大臣は所要のために退席されましたが、国民所得倍増計画におきましても、石油を含むエネルギーの輸入率が三十六年に三四・九%、十カ年計画の最終年度には五八・八%、五十五年年には七二・五%で、ほとんど外国からエネルギーを輸入する、こういう態勢で、この法律の一番重要な第一条の石油の安定的かつ低廉な供給を、一次エネルギーのほとんどを石油については九八%を外国に依存しながら、安定的かつ低廉な供給を確保する、この目的を達する手段ですが、この法案を目をさらのようにして見ましても、第三条の四項、著しい変動のため特に必要があるときは、石油供給計画の変更を勧告するといいますか、それと第十五条の販売価格の標準額をきめる——通商産業大臣石油製品の価格が不当に高騰し、または下落するおそれがある場合において、石油の安定的かつ低廉な供給を確保するため必要な措置をとるようにしてあるが、私は手段を持たずにただこううたわれても、この法律の一番重要な点は私はそこにあるのじゃないか。とにかく昨年は四三・九%、四十五年は五八・八%、五十五年には七割二分五厘、石油においては九割八分を依存してあなたまかせでやって、他国の善意に、国際石油カルテルの善意にだけ期待しても、願望に終わってしまうのではないか。ただ第三条の四項や十五条をもってしては、安定的な供給を長期に確保できぬじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ここは大体基本の問題ですが、国際関係、もちろん競争の面もあります。同時に協調の面もあるわけでございます。ただ、これは外交あるいは政治全般につきまして競争、協調する、経済の問題におきましても同様なことが実は言えるわけでございます。ただ、この建前に立ってもののあり方考えてみるということでございまして、この供給は全部外国だ、外国が死命を制しているじゃないか、それでは需要を確保することはできないじゃないか、こういってしまって割り切るのは、国際情勢の本質に対する私どもの当面する態度としては、そうあってはいかぬのじゃないか、こういう考え方であります。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 特に軍隊を持たずに日本の安全を保障しようという社会党としてもそうなんですが、私、この国民所得倍増計画エネルギー委員会の項を見まして、この理論構成の重要な柱は、佐藤大臣言われましたように全くアクシデントはない、異常事態はないという前提にこれは立っているわけなんです。これを見ますると、現在の世界の原油需給の供給過剰の状態にあり、北アフリカの油田の開発、ソ連原油の進出等を考えて、長期に、そういう状態だから安定的確保はできる。アラビアやイランや、あるいはスマトラ、サハラの原油があるから安定的な確保はできるという前提に立っていると思うのですが、これは私は、それなら自由民主党が今度出された予算を見ても、防衛費は、これはそういうことのために、私はセキュリティーの問題とは言わないが、三十六年度は千八百九億円であったものを三十七年度は二千五十七億という安全保障費が組んである。私はイランやクエート、あるいはサウジアラビアにあるということ、それが安定的に供給できるということとは、それはスエズを見てもなかなか言えないじゃないか。さらにまた、石油業法ができて、けっこうですが、もし何もなしに自由化を迎えてしまって、そして国際石油資本石炭産業に重大な打撃を与え、あるいは国産原油、あるいはアラビア等の準国産原油に致命的な打撃を与えてしまって、そういう状態で、安定的に、長期に確保するということはなかなかできぬじゃないか。特に、安定的に、長期にこの原油を確保するという目的と、三十七年度予算に、事態を考えて、防衛費を二千億も組んでおられることとは矛盾するじゃないか。私は、国民経済研究所の、前に海軍の動員計画を立てた人に聞いたのですが、事が起きたらしまいだ、日本の海外に依存しておるいろいろな、エネルギーを初め、資源から、ということなんですが、そういうことと矛盾するように、特に、私は、この国民所得倍増計画石油の供給の安定的確保ということは、あちこち、推定埋蔵量、確定埋蔵量もたくさんあるから、大丈夫というような前提に立って、これは、やはり世界連邦でもできて、問題が起こらぬということなら別ですが、この第一条の一番大きな目的を達する手段を私は欠いているじゃないかと、願望、期待に終わっているのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はそうは思わないですがね。石油というもの、なるほどこれは国内にございません。国外にある。しかしその資源を開発しないで、その国の産業の発展もないわけなんです。だから、必ずそういうものが国際市場に出てくる。これを政治的にとめるとか、あるいは軍事的にとめるとかいうのは、これはよくよくの場合だと思います。だから、国際的経済というものは、そういう意味で、売り手が強いのか買い手が強いのか、双方がバランスがとれたところに、国際経済の発展があるわけであります。そういう見方のほうがすなおじゃないかと思っております。ただいま防衛費の問題が出ておりますが、これは、自立しておる国家として、自国の力相応の防衛力を持つということは、これは当然なことだと思います。この石油自身を、あるいは軍備の対象としての石油としてお考えになったときは、そういう石油自身意味をなさないのじゃないかと、こういうお話であろうかと思いますけれども、それが他国に脅威を与えるとか、あるいは侵略的な戦略態勢であれば、それは外国からの支配をいろいろ受けることになりましょう。しかしこれが純然たる防衛的なものであるなら、それは、その意味においての協力は、私は望み得ることだと思います。だから、問題は、その日本の国のあり方という基本的なものが、やはり世界平和の方向において協力し、その方向において働くというか、貢献するということがはっきりすれば、本来、経済性を持つ油をとめるということはあり得ない。それまで考えるのは、少し感情にとらわれ過ぎた、島国根性の考え方じゃないかと、実は思うわけです。ことに、これは石油ばかりじゃございません。日本の産業は、鉄鋼にしても、原、綿、原毛にいたしましても、外国の原材料に頼っておる。そういう状況でございます。そしてそういうものを輸入しない限り、日本経済は成り立たない。他国は、そういうものはあまりやかましく言わない。これはやはり自国産業の建前から言っている。だから、石油についてなお特殊な考え方をするというのは、これは基幹産業であるから、そういう意味においてウエートは違うでしょうし、また来る場所も非常に限られるとは言えますが、原材料を外国に仰いでいる日本の産業自身、いわゆる自国内における自立経済をやってない、そういうその国の産業は、また非常に不安である。こう言ってしまうことは、よほど考え方が窮屈過ぎやしないか。もっと私どもより、ただいま申し上げるような世界的視野に立つ社会党の皆さん方は、一そう広い視野に立って、経済関係を帰一されるのじゃないか、私はかように思うのですが、いかがなものでしょうか。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 社会党の外交政策からいえば、佐藤大臣の言われるような期待を持っておってもいいと思うのです。私は、まあ、セキュリティという言葉よりも、スタビリティという言葉のほうがいいと思う。どうも安全保障というのは。しかし私はそういう世界的な視野に立つと言いながら、さきに川出局長江上参事官が言われたように、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、まあ、自由諸国の一員としてやるといわれる国が、第一次エネルギーというものを、はるかに日本より高い割合に確保していこう、こういうことをやっているわけであります。私は、そういう点を十分考慮していただきたいと思うのです。全くそれでは自由民主党さんの立場からいえば、三十七年度予算で二千億から組んで、十九万六千の自衛隊を置いて、いつかは何かある際の備えでしょうが、一体そういう際のそういうスタンドには立たぬと言うわけでしょうが、一体石油の在庫というものは、外貨割当等はどうなっているのですか。そういう点、ひとつ、少し事務当局のほうから、外貨割当の際に、一定の基準貯油量というものをして、貯油をさしているということですが、どういうふうになっているのですか。
  44. 川出千速

    政府委員川出千速君) 現在、原油の貯油は、約一月ぐらいでございます。貯油の能力は、それより若干上回っております。
  45. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういうことですから、何か事が起きたら、もう実際二千億毎年使っているものもなくなるわけです。実際そういう点で、その国民経済研究所にいる、海軍の軍令部で動員をやった人も、起きたらなかなか佐藤大臣が言われたように、鉄鋼にしても何にしても、これはほとんど大半を外国に待っているのですから、特に二千億使って、十九万の軍隊の動かすエネルギーになるものが、ただいま言われたような状況で、そういう問題は別にして、私はあとでもお尋ねしたいと思うのですが、とにかくこの国民所得倍増計画エネルギー部門で、石油供給の安定的確保というのは、ただあちこちに推定埋蔵量が、確定埋蔵量になって、たくさんある。だから大丈夫だろうという前提に立っているところは、重大な問題じゃないかと思う。この百十九ページの、「現在の世界の原油需給は供給過剰の状態にあるが、北アフリカの油田の開発、ソ連原油の進出等を考えると、今後も長期にわたってこういう状態が続くのだ」ということに立って、そうして私はこの石油業法案の第三条の四項、それから十五条の販売価格の標準額を示す。この二つがおもに、そういう事態に備える安定的確保の方法、手段じゃないかと思うんですが、一体この法律で、そういう安定的確保の手段を欠いて、国際石油資本の善意だけでこの目的を達することができるかどうか、事務当局は一体、この需給計画、標準価格等の措置でやれるかどうか、その点お伺いします。
  46. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油につきましては、業法以外の問題といたしましては、国内の原油の開発につきまして三十年から五カ年計画を立てまして三十五年度で終わっております。三十七年度から新たに二次の五カ年計画と申しますか、立てまして、石油及び天然ガスについて探鉱開発を行なう計画を持っておるわけでございます。それから業法の問題でございますが、第三条の供給計画でございますが、国内石油の開発ばかりでなくて、現在海外に出かけていって開発しているいわゆる開発原油というものがございます。北スマトラの油なりあるいはアラビアの油なり、そういうものについての供給量を、第三条の供給計画の中で推定をしていこうということを考えているわけでございます。
  47. 中田吉雄

    中田吉雄君 佐藤大臣にさきにも申しましたように、欧米各国とも、アメリカ等も最近は輸入国になったようですが、それでもまあ八〇%というものはガス等も含めましてやり、ヨーロッパの各国ともそういうことで、私たちはやはりないことがけっこうで、私たちもそれを望みますが、やはりただいま局長が言われたように、まず第一次的には石油石炭を採算のベースに乗るようにしてできるだけ確保し、さらに国産原油やあるいはガス、そしてスマトラ、アラビア等のそういう資源をまずできるだけ経済性を無視しないような限度でやることとからんでおらねばいけぬのじゃないか。これには、そういうことがないので、私は第三条の四項や標準価格だけでやられるんでは、目的はけっこうですが、手段を欠いているんじゃないか、こういうことを言っているんですが、そういう意味を含めてダラダラと社会党考えていることを申し上げましたのは、実はそういう——特に自由民主党さんが範をとって協力しておられるアメリカ等でも、石油の輸入については強力な制限措置をとったりしてやっておるわけで、あまりにも野放した国際石油資本の善意だけに期待されているんじゃないのか、こういうふうに思うんですが、その点いかがですか。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 石油の使い方は国によってだいぶ違いますから、日本の場合は純エネルギー、平和経済、そういう観点においての石油だと、かように御理解をいただきたいし、アメリカやドイツやフランスやイギリスということになりますと、相当軍事的な考え方が左右しているわけです。その軍事的な問題は別にいたしましても、石油自身が自国が石油の自由競争のマーケットになってしまうということは、産業に非常に影響があるという意味で、これに対する対策を立てなければならぬ。それぞれの国には、それぞれのいき方があるわけです。まあアメリカなどは自国産の石油というものもありましょうし、自国産の石炭というものもありますし、そうしてここで、そういうものがすでにマーケットとして発達している。さらに国外のものが入ってきてマーケットが撹乱されては困る。こういうことが非常に強く響くだろうと思う。日本の場合には、競合エネルギーである石炭であるとかあるいは水力電気等については、いろいろ問題をかもし出しますけれども石油自体については、国産石油あるいは国産ガスというものが非常に少量でございますから、いわゆる念頭に特に貫くほどの値打はない。むしろ国内資源である石炭あるいは水力というものとの関連を考うべきだと思う。むしろ日本の場合において国産の石炭と、それから外国から入ってくる安い石油、この二つが一番問題になるということを考えて、日本経済を発展さすということを考えたときに、どういう方法がいいか。自由に石油が入ってきてそうして国際競争のマーケットに日本がなれば、これはなるほど安いものは入ってくるだろう。安いものが入ってくれば日本産業が国際競争をする場合において非常に有利だとは言えるが、これが国産の石油に、国産の石炭影響を与える。あるいは外貨支払の面で問題を起こす。あるいは雇用の面で問題を起こす。まあこういうことになることが、これは政治的にほってはおけないことである。だから、純経済上の原則だけではなく、そこで政治的な考慮が払われるというのが今の考え方でございます。問題は、政治的な考慮を非常に強く反映さすか、経済的の原則を強く取り入れるか、とり方はウエートの問題じゃないかと思う。私どもが今やっておりますのは、やはり自由に外泊が入りやすいようには考える、しかし、国産の石炭に及ぼす影響考えてそこの調整をはかっていこうというのが今の私ども、これはもう率直な気持なんでございます。私はいろいろああでもない、こうでもないという話をいたしておりますが、やはり政治的な問題も一つある。もう一つは、経済上の原則がある。その経済上の原則どおりにもいけない。また政治だけでもいけない。両方をつき合わせるというのが今の考え方でございます。  で、先ほどからいろいろ御議論もございます。たとえば貯油量が相当なければ非常な危険じゃないか。なるほど一朝事あるときを考えると、今のように外国に頼っていることは、これは非常な心配です。それはひとり軍事上の問題だけじゃなく、エネルギー源が外国に頼っておるだけで日本産業が壊滅するというような心配もあろうかと思います。将来の問題として国力が十分力を持ってくれば、もちろん国内における貯油の量も、それは適当というものは考えられるでしょう。しかし、現在の姿のままで、あるいは三カ月分持つことが望ましいとか、あるいは六カ月持つことが望ましいと申しましても、これは簡単には実は参りません。タンクを造って貯油能力をつくるだけでも、これはたいへんな資本の投下でございますし、そうすることは原油自身の価格を非常につり上げることにもなります。だけれども、安定というほうからみれば、将来の問題はやはり適正な貯油量というものは必要だと、こういうことに必ずなるだろうと思います。ところが、現在ではそこまでの力がないものですから、今言われるように一カ月程度のものを持っているというのが実は現状でございます。この姿が、いつまでも一番望ましい姿だと、かように私申し上げるわけじゃないのでございますから、その点誤解のないように願いたいと思います。
  49. 中田吉雄

    中田吉雄君 私も経済力のないのに、今たくさん貯油してコストが高くなったりするというようなことをここで言おうとしておるわけではない。ただ、この法律だけでは、安定的な、かつ低廉なものを長期にわたって確保することができぬのじゃないか、それで私はやっぱり石炭、国雄石油、スマトラ、アラビア等の準国産原油、電力でも特に水力発電というようなものを、経済性のために限度があるんですが、経済性政治性とを十分かみ合わせながら、なぜこのエネルギー懇談会のような全体の措置が並んで打たれぬと私はいけぬのじゃないかということを、一定量を持たずにおいて、あなたまかせで、手段なしにやってはいけぬのじゃないかということを、実は回りくどく言おうとし、そしてそういうことはアメリカでも、欧米各国とも、いわゆる共産主義や社会主義でない自由世界の国が、みんながやっておる。しかもEECのような、もう経済の国境を取っ払って関税を一〇%ずつ下げていっておる国でも、このエネルギーの問題については、一九六五年ごろにならぬと、なかなかめんどうだというほど、私はそういうふうな面で、やはりこの第三条の石油供給計画の点と、それから標準価格の点だけではやれぬじゃないか、できるだけ自給度を高めるとともに、やはり一定量の割合を国の支配下に置くといいますか、手の届くような措置をしておくことが必要じゃないか、こういうことを申し上げているわけです。いかがでしょう。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 衆議院といいますか、他の院では、実は附帯決議をつけられております。あるいは買取機関とかいうふうなものは必要じゃないかというようなことを言われております。私が今、衆議院において決議をみた今日でございますから、私ども意見をとやかく言うことは差し控えたほうがいいかと思いますが、この法律を作りました当初の気持から申せば、各界の協力を得るならば、順次形が整ってきやしないか、こういう実は考え方をいたしたのであります。さらに積極的に、これも心配あれも心配ということはどうだろうかと思って、業法を提案したという次第でございます。
  51. 中田吉雄

    中田吉雄君 私もいろいろ業法について、抵抗も多いし、順次と思ったのですが、今の大臣の発言でみますと、衆議院の決議があるまではなかなか低姿勢だったけれども、通ったらもう、さっぱり態度が変わったが、よく真意をとっ詰めてくれと、こういう意見も実は出ているんですが、私はやはり、この法律は非常に石油の安定的な低廉な供給を確保して国民経済の発展をはかろうという願望はあるが、この第三条のようなところにいろいろ、まあ引き取りの問題、いろいろ入れていかれようとするんですが、やはり衆議院の趣旨のような点も考慮せぬと、なかなかめんどうじゃないか、まあきのうの南部さんなんかでは、スマトラの石油は、もうとりましょうというようなことを最近は言っておりますが、どうも衆議院の決議が通るまでは、なかなか低姿勢だったが、その後どうも真意を捕捉できぬ、こういうことを言っておる人もあるわけで、私はまあ決議はともかくも、やはりこの法律では、安定的な、かつ低廉な供給確保の詰め手がない、こういうふうに見ているわけです。そう心配してもしようがないわけですが、どうなんですか。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) エネルギー懇談会の中間報告、これは詳しくその点を報告いたしておるわけでございます。そういう点も研究して原案を出したということでございますから、さように御了承いただきたいと思います。  また、決議が通った後の答弁とただいまと違うかというと、私の説明は、いつも同一であるはずでございますから、同じことを申しておる、かように私は思っておる次第でございます。
  53. 中田吉雄

    中田吉雄君 くどいようですが、私はやっぱり党のエネルギーの基本政策を披露しましたが、とにかく石炭、国産原油、準国産原油、水力発電というようなものを経済性と調和する限度にできるだけ自給度を高めていく、こういう健全なベースで置くということが非常に重要だというふうに考えて、あとでその問題について、もう少し具体的にスマトラ、アラビア等でお尋ねしたいと思うわけであります。  この第一次案では、低廉なという価格の問題が第一次案といいますか、三十六年の十二月案には、「この法律は、石油と他のエネルギー源との調整を図りつつ、石油の安定的な供給を確保する」ということで、価格の低廉ということがなかったのになぜ入れられたか。これは私は非常に重要な意味を持ち、必ずしも日本のこの石油事情にとって、しあわせだかどうか私は問題じゃないか、これも原案のほうがよかったんじゃないか。これは低ければ低いほどいいんじゃないかという、今の国際石油資本が、日本市場を支配する一つの大きなとりでになるんじゃないか。事務当局のほうから、どういうわけで、こういうふうになりましたか。
  54. 川出千速

    政府委員川出千速君) 諸外国におきましても、石油の問題なりエネルギーの問題を議論いたします際に、安定と低廉ということが問題になりまして、その調整をどういうふうにするか、どちらも大切な問題であるという議論が行なわれておりまして、これは石油の調査団の報告にも、そういうことが書かれておるわけでございます。当初の案に低廉という言葉がなかったわけでございますけれども、消費者の保護をはかるというような文句も入っておりまして、表現の相違はございますけれども、やはり安定と低廉ということの調整をはかっていかなければならないという考え方であったわけでございます。石油業法を施行いたしまして、エネルギーが安ければ安いほどいいという、そういうことではございませんので、やはり合理的なものでなければいけないという考えはございます。したがって、安定かつ低廉という表現をとった次第でございます。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、これが今やっぱり安ければ安いほどいいんだという国際石油資本が、世界で最も伸び率のいい日本市場というものに入ってくるいい手段、口実になるのではないか、こういうふうに思うわけであります。それはともかくとしまして、一体石油というものの、石油価格というものの長期展望はどうでしょう。石油価格というものは、一体長期に見てどういうふうになるか、そういう見通しについてお伺いしたい。
  56. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油の価格の見通しには、いろいろな意見があるように伺っておりますが、最近の世界的な原油の供給過剰ということが、当分継続いたしますとすれば、原油の価格というものは低下をしていく方向にあるんではないかと思います。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 低廉の問題ですが、これにはやはり経済性という言葉を使って、まあ低廉よりこのほうがいいじゃないかという感じがするんです。低廉だけというよりか、国民経済的な問題もありますし、低廉だけでは非常にこれは、今大口消費者である、電力、等でいろいろ言われる、私はまあ、土屋さん、欧州エネルギー政策の調査団で帰ったのを見ますると、大体ここ四、五年の間は、どちらかというと下がり気味だろう、大きい低落はないが、どちらかというと少しずつ下がって、年率一、二%下がるだろう。しかし、非常に重油の消費量の需要が大きいし、そしてまた、精製設備の問題その他を考えて、五年から先は少しずつ強気じゃないか、こういう報告を石炭協会でやっているわけであります。私は、そういう点でも、今安いということだけで、長期的な展望にも立たずに、国産原油や石炭その他の問題に対処するには少し不十分じゃないか。とにかく、重油に対する非常な勢いで需要が伸びているので、特にヨーロッパでは経済の成長率が三%ないし四%あって、そういう意味で、少し上がっていくんじゃないか、こういうことをいって、最近安ければ安いほどいい、そしてあちこちに確定埋蔵量が非常に多くなったから大丈夫なんだというようなことも、なかなか不安じゃないかと思うんですが、そういう意見を述べているわけであります。  それともう一つ、昨日もちょっとあったかと思いますが、安ければ安いほど——日本のコストを下げて国際競争力を強めていくんだというととで、私はそういう点で、この表現は少し、国際石油資本垂ぜんおくあたわざる日本市場というものに入り込んできて、石炭や準国産原油等の開発を非常に不利にする口実になるんじゃないかと思うんです。  次に、私の党は、合理的な価格という立場をとるんですが、一体エネルギー・コストというものは、どうなるんでしょうか。その点、少しお伺いしたい。
  58. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) エネルギー・コストについては的確な資料がなかなかないわけでございますが、やや古い資料になりますけれども、工業統計からとりました数字がございますので御披露申し上げますと、これは、昭和三十三年が工業統計として一番新しいものであります。三十三年の数字を申し上げますと、生産額、これはもちろん付加価値額も含んだ生産額に対するエネルギー・コストは、統計で、これは製造業の平均でございます。電気とかあるいは鉱山——マイニングのほうは抜けております。いわゆる製造工業の平均でございますが、エネルギー・コストは三・七%、その内訳は、石油石炭というような燃料ですね、燃料のパーセントが二・三%、それから電力の使用、これは金額でいずれもあれしておりますが、電力が一・五%、合わせまして三・七%、その前の昭和三十二年も燃料と電力の比率はやや違いますが、合計額はやはり三・七%というのが、日本の製造業のエネルギー・コストになっております。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 引用して次々に恐縮ですが、日本では国際競争力を強めるために、安ければ安いほどいい、日本エネルギー・コストの問題が問題になっていることがおかしい、ヨーロッパ人、欧州では不思議に思うほどだと、西欧では産炭地域を中心として、いろいろ自由選択の——電力とかいろいろあるが、エネルギー・コストは工業生産力のうちわずかに一%じゃないか、このエネルギー・コストの質問をしたときに、たった一%じゃないか、その一%くらいなコストがかりに、重油発電に切りかえて一割安くなってみたって〇・一%じゃないか、あるいは二割高くなっても〇・二%じゃないか、だのに、日本で〇・一%や〇・二%のことが非常に問題になっていることがふに落ちない、まあ安ければ安いほど——永久的にそうなればいいわけですが、そういうふうに見て、まあこれは電力や鉄鋼では、そうもいかぬですが、私は低廉なという言葉が、非常にむしろ健全な石炭業界の安定というものに、必ずしも好結果にならぬじゃないかというふうに思うわけであります。こういうふうに一部では見ている人があるのですが、どうなんでしょう。安ければ安いほどいいじゃないか、そうすれば国際競争力が強まって、日本の貿易が発展するんだ、というような考えで、どんどん下げていって、日本のシェアーを国際石油資本が占めていく、まあ九割占めている。そういうことをしてしまっても、低廉な価格が、その後にも保証されているでしょうか。その見通しはいかがでしょうか。
  60. 江上龍彦

    説明員江上龍彦君) 低廉というのが石油業法目的になっておりますけれども、ここにあります低廉という意味は、決して出血競争をして企業が立っていかないような意味の低廉……。これは長く続く低廉じゃなければ安定ではないわけですが、安定を含んだ低廉、つまり企業採算のとれる範囲内での低廉ということを意味していると私は考えております。  それからエネルギー・コスト自体は、まあ一%ぐらいの問題だから大したことじゃないじゃないかという意見があるとのお話でございますけれどもエネルギー・コストだけをとってみますと、あるいは日本の場合でも三・七%で、かりに一割違っても〇・三七%ですか、大したことはないかもしれませんけれども、国際競争力というのはいろいろな要素の組み合わせでございまして、たとえば金利を比較してみますと、ヨーロッパのほうがはるかに安い。エネルギー・コストはまた外国より非常に高い、というようなことになりますと、そういったものが相乗されまして、国際競争力に非常な影響を及ぼしてくるわけでございます。そういう意味で、安定的な低廉が望ましい、かように考えておるわけでございます。
  61. 中田吉雄

    中田吉雄君 これもまあ今の自由化をされて、ただこの法律だけでは、私は、さきに申し上げましたようなエネルギー懇談会が答申といいますか、結論を出しておられるような措置なしには、一時的には安いが、自由化後のシェアーを一定の割合を占めてしまったから、国際カルテルの何で上げることがないものでしょうか。それはこの標準価格を示したりするようなことで、大体コントロールできるものでしょうか。その点はいかがでしょう。
  62. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油業法案の基本的なかまえと申しますか、骨組みは、長期的な供給計画を作る見通しでございます。  それから石油精製業の許可制をとって、むやみな乱立は押えていきたいということを考えております。その次に、設備の新増設の許可制をとっておりまして、非常に過大な設備を作って稼働率を下げ、コストを高めていくというようなことのないように、事業に見合って適正な設備ができていくようにという運用をするつもりでおるわけでございます。  それから標準額がございますが、これは不当に暴騰したり、あるいは先ほどもお話がございましたような安ければ安いほどいいというものではなくて、不当に下落をしたような場合には、政府は標準額を公表をして、これは拘束力はございませんけれども一つ基準を示して企業の指針にしたいというようなかまえを法案の中でとっておるわけでございます。この法律の運用によりまして、ある程度の効果と申しますか、相当の効果があるというふうに考えております。
  63. 中田吉雄

    中田吉雄君 今この精製業の許可制等を言われましたが、私はむしろそういう点からいうと、この輸入業の許可制のほうがいいんじゃないか。むしろ精製業は、もう今でもフルには運転していない、操業していないでしょう。相当余裕もあるのでしょうが、許可制を非常にきらった業界も、このほうの許可制は好んでおる。私はむしろ安定的な、低廉な、ダンピング等を防いでいくという上には、むしろ輸入業の許可制がよかったのじゃないか、そのほうが届出制になっておるのですが、その点はどうでしょう。
  64. 川出千速

    政府委員川出千速君) 石油の輸入には、原油の輸入と、石油製品の輸入、二つございます。石油製品は、これは主として中身は、重油が大部分でございますが、製品の輸入につきましては、石炭産業に与える影響あるいは石油精製業に与える影響等、それから関税の問題もございますが、未検討の部分がありますので、自由化は、当分は見送ろうということにしておるわけでございます。したがって輸入業の届出制でございますけれども、自由化を見送るということになりますと、さして影響はないではないかと考えるわけでございます。
  65. 中田吉雄

    中田吉雄君 ついでですが、石油精製業は許可制ということになっておるのですが、これは今九州の鶴崎なんかでやっておるようなことは、まだこれはしていないのですが、別な角度からか、なかなか許可にならぬ。すでにこの法律が通ることを予定して許可にならぬのですか、この点佐藤大臣いかがでしょう。すでに陳情等もあって御案内だと思うのですが。
  66. 川出千速

    政府委員川出千速君) 私から従来の経緯を多少申し上げます。ただいまお話がございましたように、大分県の鶴崎で埋め立てをやりまして、ここに石油精製業だけではなくて、石油化学も含めまして、あるいは製鉄工場の誘致その他の大きな立地計画があるわけでございます。九州石油はもう大分前に、一年以上も前に設立されておるわけでございます。土地の手当もできておるわけでございます。事業計画もだんだん具体的になってきておりますので、現在事務当局としましては、その内容を検討しておる段階でございます。まだ結論が出ていないわけでございます。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 安定を含む低廉ということで、意図はわかりますが、私はそういうふうに、石油業法を嫌う人を、そういう人を融和するためにということもないのですが、そういうことに悪用されるおそれもあるんじゃないかというふうに考えますが、見解の相違ですが。  そこで、佐藤大臣にお伺いしたいのですが、私はエネルギー懇談会が、いろいろ答申をされているように、この石油業法ともう一つ特殊原油の対策をなしには、私はやはり安定的な、かつ低廉な供給は確保できぬのじゃないかという点で、そういう点でまあこの法律を通しておいて、その次に、順次関連した措置をとられるだろうと思うのですが、私はやはり、安定的なかつ低廉な供給を確保するためには、まずソビエト石油というものについて評価しなくちゃならぬし、対策をきめなくちゃならぬと思うのですが、ミコヤンが来、その他今も、たしかソビエトから来ていろいろ折衝されていると思うのですが、また日ソの貿易協定も調印されたようですが、その点について、ソビエト石油を安定的にかつ低廉な供給を確保する手段として、どうお考えであるか、お伺いしたい。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ソ連原油の問題ですが、日本に参っておりますソ連原油は、いわゆる東欧諸国に対するよりも非常に安く入っておる。これは価格にして、まあ相当安いものでございます。また日本に入ってきておる国際原油の価格などもまちまちでございますが、やはり安いものが入りますと、大体それに右にならえしていくという状況であります。ところでまた原油には、それぞれの特質がありまして、ガソリンがよけい出るとかあるいは重油になりいいとか、あるいはまた硫黄分が多いとか、いろいろ成分等の関係があります、なかなか単味精製ということも困難な、むしろブレンドしたほうがいいというような話もあるわけです。そういう意味で、ソ連原油の特質としては、これは軽質の油ということ、価格が安いということで、一部非常な人気を呼んでおる。ところで、日ソ間の貿易の額を見ますと、輸入超過に実はなっております。日ソ間では通商取りきめをいたしまして、大体バランスのとれる貿易をしようと、こういう形で、総体の貿易量もふやしていくが、まず日ソ間の貿易のバランス、こういうことで話し合いをし、三十七年度の取引の取りきめもできたということであります。その場合に、三十七年度のソ連原油は、一体幾ら入ってくるか、前年の輸入量に対して国内の自然増分程度が、この三十七年度に取りきめをせられた数量であります。したがいまして、ただいまのことをもう少し別な見方で申せば、日ソ間の貿易のバランスをとるという建前に立って、そうして油以外にも、ソ連から買うものはございますから、油の限度を自然増加量、その範囲にとどめる、かように御了承をいただきたい。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 その国々でバランスをとるというのも一つ考えですが、アメリカとは二十億ドル入って十億ドル買っているが、カナダでもたしかきょうごろラジオ放送していましたが、たいへんなアンバランスですが、やっているので、もう少し低廉な安定的な確保をするためには、やっぱりソビエト石油を私はもっと評価すべきじゃないか。特に日本に近接しておりますし、もっと評価すべきじゃないか。こういう考えですが、いろいろ新聞等の切り抜きを見ると、非常に用心深いお態度じゃないかと思うのですが、ひとつ川出局長のほうから実際の取引している、ことし入った量、貿易協定で来年できたのと、今入っている値段、そういうことについて、少し教えていただきたい。
  70. 川出千速

    政府委員川出千速君) ソ連の輸入でございますが、これは原油と重油と両方入っておりまして、三十六年度の当初の見通しは百七十万トン——ソ連の場合は、トンで計算をしておりますが、ございましたが、実際上入って参りますのは、約三百万トンでございます、原重油を含めまして。ソ連の油の値段でございますが、ソ連の原油の値段はCIF建になっておりまして、会社によって若干の相違があるようでございますが、平均いたしますと十二ドル五十セントくらいで、円で申し上げますと、一キロ四千五百円くらいでございます。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 貿易協定でできたのは。
  72. 川出千速

    政府委員川出千速君) 三十七年度の貿易協定の数字は千四十万トンの量でございます。これは私、おそらく自由諸国の中ではイタリアに次いで相当の大量の輸入国ではないかと考えております。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 これまでの市場の一定の構成がありますから、急激な何も問題だと思うのですが、たしか佐藤大臣とは折衝があったと思うのですが、パイプラインを敷設してやるという構想で、何かソビエトは三十八年から着工して四年で完成する、口径二十八インチで、その鋼管ですか、パイプが六十五万トン、一億二千万ドル、それでその際のナホトカ渡しが十ドル、それでそれだけのパイプ施設をやると、とにかくパイプで二千五百万トン輸送しないとペイしない。そしてそのうち一千万トンか一千五百万トンをシベリアの開発と北鮮、中国に売って、日本に一千万トンくらいですか、一千五百万トンか、とにかくプラント輸出とバーターしてくれぬかというようなことがあったということですが、いかがでしょう、この点の交渉があったでしょう。
  74. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) パイプは売りたい、油はあまりたくさんほしくない、そういう関係があるものですから、その話は不調に終ったということでありますが、しかし中田さんが言われますように、非常にはっきりしたリンクした話ではなかったように思います。別に鉄鋼関係——これはパイプ関係で、関係の公団と、それからもう一つは、油を売るほうとは別でございますから、機関が別なので、別々な話ですが、もとは一つになっている。こういうもののようであります。だからパイプを最初売ってくれという際には、油を幾ら買うかという話はあまりなかった、しかし当然油買ってくれるだろう、少なくとも一千万トン買ってくれるだろうというような期待で日本に話をしたもののようでございまして、私どものところに入ったのは最初は別々に入って、そうしてあとでその二つをくっつけたということでありますが、ちょっとパイプは一年でございますし、それから毎年それだけの数量が入って来るということになると、国内需給計画等も、相当長期にわたるものを考えなければならぬということで、その話は不調に終わったということでございます。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあやりかけましても四年ぐらいかかることですし、四十五年には一億トンも要るわけですし、ちょうど出光さんの石油と犬猿の仲のアラビア石油は非常に作興的には仲のいい油のようですし、そういうことも考えて、四年後でもありますし、私はやはり長期の安定的な供給を確保し、特に国際石油資本の支配をコントロール、異質なものをかち合わせてやるという手段、そういう手段なしには、私はやはりこの第一条にうたわれたようなことがやれぬのじゃないだろうか、やはりこれは真剣に考えてみられる必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、やはり買ってはもらいたいが、油はそうほしくない。もう少し幅のある考えで、世界で一番需要の伸びておるところですから、第一条の目的を達するために御考慮されたらどうかと思うのですが、いかがですか。
  76. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは基本的な問題として考えて、いわゆる安定的だという意味から申しますと、今の東西両陣営の対立、しかも経済的対立をまず考えると、これは非常なむしろ逆に安定がこわれる心配は多分にあるわけでございます。そういう意味もありまして、ソ連の油、これは共産圏の油だから私どもはとらないというわけのものではなく、先ほど冒頭に印すような協調と競争といいますか、その関係に立ったときに、非常な量をそのほうに依存することは、これはかえって危ないことじゃないか。まだもちろんそういう結論を出しているわけではございません。ございませんが、その辺は、もう少し考えなければならぬことだと、かように実は私自身は思っているわけでございます。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあエニーも一千万トンは買っていませんが、イタリアでも独占的な国策会社でありますエニーが一手に大量の油を買っている。それでも、ガリオア、エロアはただにしてもらっている。日本は四億九千万ドル気前よく払われるのですが、ソビエトから——アメリカのきらうソビエトからとにかくたくさん買っている。そうして独占的な利潤をかせがして、その利益でポー川の流域を探鉱して大へんなガスを出す、シシリー島をやる、南部イタリアの開発をやるというようなこと、それでもガリオア、エロアは免除されている。しかもソビエトは、最近やはり東欧諸国からヨーロッパにパイプラインを敷設し、スエーデン等もかなり依存し、特に私は本会議の質問でもお尋ね申し上げたのですが、パイプを敷けば、まあその償却もせねばならぬし、敷設してみたって、それは油が売れぬことには使い道はないわけで、その設備を固定することだけでも、やはり長期安定の供給の一番有力な私は手段ではないか。まあイタリアがやれることを日本がやれないということもないし、そう窮屈にお考えにならぬでもいいじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  78. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあイタリアの場合と日本の場合を一緒に考える必要はないと思います、と申しますのは、今イタリアに出ている原油、ソ連原油あるいは中近東の原油、これなども、イタリアの特別のものがございますし、ことにアフリカの、北アフリカの原油などになりますと、イタリアは相当みずからの影響下においておる、かように見ていいと思います。日本の場合は、英・米系の石油、これに依存度が非常に強いのであります。そういうことを考えますと、イタリア同様にはちょっと考えかねる。ここがまあむずかしい点だと、かように私は思います。別な例で申しますと、船舶などの使用等につきましても、ただいままでの、制限のある実情でございますから、そういうことを考えますと、日本の原油のあり方と申しますか、普通の状況のもとの原油なら、これは当方として区別すべき、差別すべき筋のものでございませんから、その主張は当方、これは厳として持論として主張するつもりですけれども、今、特別な関係ができますことはいかがかと、かように実は思っておるわけであります。
  79. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ、私はイタリアのこのエニーのマッテイ総裁ですか、ソビエト石油を一手に輸入して独占的な利潤をあげて国際カルテルに挑戦して、みずから挑戦すると言っていますが、そういうふうにやりまして、行っても、向山世界から取り残されることもないし、なかなかEECでも重要な役割を果たしておりますし、もう少しその辺は考えていただいたほうがいいと思うのですが、私は特に今所得倍増計画で立てられているような、この四十五年に百億近い輸出入の規模を達成するには、中国、ソビエトという世界のまあ三分の一を占める線を、もっと新しい角度で評価せぬと、なかなか実際に達成されないのじゃないか。特にパイプラインという固定施設をやることは、私は非常に大切じゃないかと思うのですが、まあその辺、なかなか大臣とは見解が少し違うようですから、それではお尋ねしますが、よく安定的なコストの安いという、選択の自由ということを言うのですが、私はまあ非常に、選択の自由ということは、これもまた、低廉だということと同じように、ソビエト石油は選択の自由がない——もっと安いし、一千万トンもやろうとするのだから、三百四十万トン以上買おうとしても、選択の自由はない、選択の自由ということは、日本の米・英の国際石油資本から買った石炭石油の自由の選択だけといわれているようなものですが、その辺一体、どうなんですか、非常に選択の自由ということは、このエネルギー政策の重要なように言われるのですが、その辺非常に矛盾しているように思うのですが、いかがでしょう。これは私はまた、この選択の自由ということが、米・英の、消費者が自由に選択をすべきだということが、ソビエト石油のほうは、選択の自由がない、入っているただ石油石炭だけの、この選択の自由になってしまって、これもまた、国内産業に好ましくない影響を与える、国際石油資本がシェアーを拡大する非常にいい口実になりはせぬかと思うのですが、いかがですか。そうなると、ソビエト石油にも、もっと自由を与えていないと、その辺のつり合いがとれぬように思うのですが、いかがですか。
  80. 川出千速

    政府委員川出千速君) 原油購入の自由性いかんという御質問ではないかと思います。実情を申し上げますと、日本の精製会社の主力な数社は外資と提携をいたしておりまして、五〇%ですね、合弁会社の形をとっておるわけでございます。この会社は、アラビア石油の引き取りの例外はございますけれども、その例外を除きますと、特定の相手から購入を現実にやっておるようでございます。現実は、そうなっておるわけでございます。この割合が全体の約五〇%くらいではないかと考えております。  それからそのほかの会社でございますが、これは外国の資本が入っていない、いわゆる民族系の精製会社と申しますか、これは数社あるわけでございますが、この民族系の会社の購入はどうなっておるかということでございます。これは買手のほうから申しますと、ある程度安定をして長期取引きをするほうが便利でございます。そういう問題がありますと同時に、外国石油会社から、低利の長期の資金を借りまして、これはまた、借りる側からいうと、それだけのメリットがあるわけでございます。そういうものを長期購入契約とローンを受けるという契約を結んでおる会社が相当大部分を占めておりまして、その比率が、どのくらいになっておるかは契約上明らかでないわけでございますが、まあ二、三割くらいは占めておるのではないか、二、三割ではございませんね……。したがって、そういう長期契約なり外資提携との関係で購入を特定しているものを除きますと、これはスポット買いということになるわけですけれども、スポット買いというのも、これは逆にいえば、不安定な購入でございますので、その辺は利害いろいろあるわけですけれども、実情は、そういうことになっておるわけでございます。ソ連の油を購入しております会社は、いわゆる民族系の会社の数社でございます。
  81. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ借款なり外資の協力を得てやって、ひもがついたという取引きも、必ずしも悪い点ばかりじゃ私ないと思います。安定供給の一役を買っているということは認めるのですが、とにかくそういうものを、もっと自由にするのに、選択の自由ということを強く最近いうことは、これはそのひものついた外資の入った会社が、国産原油、準国産原油あるいは石油を追っぱらって行く一つの口実には私は使われる。最近選択の自由、消費者が自由に選択するのだ、そのほうの国際契約もばらばらに解いていかぬと、実際はそういうふうに私はなると思うわけであります。まあだんだん時間がきますので、佐藤大臣お忙しいでしょうが、大臣にお伺いしますが、この石油業法というものが中心になって、その周囲にいろいろこれと関連した施策があわせてとられると思うのですが、そういう意味では、まあ非常に大きな足がかりに私はこの法はなると思うのですね。そういう意味では賛成しておるのですが、自由化対策もない自由化ですね、そう言っては恐縮ですが、自由化対策なしにこの十月に石油を自由化する。九〇%のワクの中に入れるという問題なんです。この一月中句のイギリス経済新聞でありますフィナンシャル・タイムズは、この三十六年、一九六一年の国際国内経済のできごとを、アメリカの映画のオスカー賞になぞらえて、いろいろ評価をしているのです。その中で、最も通貨を安定して経済を発展させたというので、スター通貨としてはフランス・フランだと、それから多面的な経済の演技をしたというのでイタリアが受賞だと、その次に日本が最も大胆な行動をとった賞、最も大胆な行動をとった賞というのは、それが国際収支の重大な危機にかかわらず、自由貿易と経済の拡大を積極勇敢にやった、まあ常識を越えた、決してほめた意味ではないわけであります。そういう質が日本に当たると、こういう点で、私は、この石油を自由化されたが、準備のない自由化じゃないか、社会党も自由化することには賛成なんです。しかし、準備のない自由化というものは、いかにIMFの勧告があろうが、ドイツのごときは主要な産業というものは勧告を受けてから三年も、イタリアでも二年も自由化していない。自由化の義務の免除条項を発動してやっているわけなんです。それに比べると、野放しで非常に心配なんですが、特にそうした際にエネルギーの構造変化もあり、自由化という経済情勢の変化等もあって、やはり国産原油あるいは準国産原油というようなものが自由化で相当な打撃を受けるのですが、やはり国としてはそういうショックに対して、やはりそれを緩和する施策を伴うということが、この法案じゃ出てこない。あるいはこの供給計画のところで出るかもしれませんが、直接的ではないので、やはりそういう特殊原油対策をとらぬこの法律は自由民主党のエネルギーに関心を持たれる人でもざる法だと、恐縮ですが……。努力しているのに何を言われるかと言うかもしれぬが、やはり特殊原油対策を含まない施策は、エネルギー政策としては十分でないと、まあイギリスのフィナンシャル。タイムズの大胆な賞というのは、ある意味では決してほめてのなにではないわけで、この点は十分考えてみなければならぬと思うのですが、ひとつこういう点で、一体自由化を控えて国産原油、北スマトラ、アラビアというようなものに対して自由化のショックをどういうふうに調整していきながらやられようとするのか、これを手始めにして、順次この法律でできるものはやり、できないものはできないということになると思うのですが、いかがでしょう。
  82. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 結論は今言われるとおり、この法律でできるものはやり、できないものはできないものにするか、御承知のように石油をも含めての自由化計画というのは、もうすでに三年——四年になりましょうか。そうしてまあことしが九〇%の最後の年だということで、そこへ追い込んでおるわけでございます。いわゆる石炭の五千五百万トン、千二百円下げ、あるいは国産原油の六千円ベースですね、こういうようなことは、大体自由化に備えての合理化の処置でございます。全然準備なしに遊んでおるわけじゃございません。ところがこの国際原油のほうは、私どもが想定したより以上に安値を現出してきている。この安値であるがために、石炭においても問題が起きていれば、国産原油についても問題が起きているというのが実は現状であります。そういう事柄が本年のしわ寄せになってくるわけであります。石炭の問題は、別途石炭対策というものを推進していくということになる、私ども今までしばしば申し上げておりますように、国際原油が安くなっても、石炭千二百円下げができれば、それ以上にさらに価格の面で石炭に負担をかけるということは、今すぐはやらないでいいんじゃないか、こういう考え方で、またそういう方針で取り組んで参っております。また、国産原油自身も六千円ベースにするためにあるいは財政資金その他で援助をしてきているわけでございます。しかし、これとても六千円などでは、先ほどお話し申し上げるように、五千円を割るのが、国際原油の価格だと、かように考えますと、なお一千円以上の開きがあるというのが現状であります。ただ数量的には、比較的国産原油などは少ない数量でございますから、在来の方針で製油会社に引き取っていただくということで、これは出たものが粘製されないで済むということはないわけでございますから……。また北スマトラの石油ども、これはまた数量が少ないという意味で、はけ口が一応考えられる。ところがアラビア石油になってきますと、これは価格は一時高いということもいわれておりますが、大体四千五百円程度では入ってくるように思います。高くなりましてもいわゆる国際価格並みに入ってくる、五千円以下で入ってくるということが言えると思います。ただ、サルファーの含有量が多いという意味で、なかなか単価には問題があるようですけれども、しかしこれの数量はことしなど相当の出油量になるようであります。そうなってくると、ここに問題が起こるわけでございます。ことし国内に持ち込む数量はどの程度にするか、いろいろ工夫をしている最中であります。みずから製油施設を持たず、みずから販売網を持たざるところにアラビア石油一つの悩みがあると思います。今日までそういう点は解決されておりません。しかし、将来はどういうことにいたしますか、この法律以外の方法でまた考えなければならないものが出てくるんじゃないか、かように思います。  今それではどういうような気持でおるか、やはり適当な数量——これは幾らになりますか——適当な数量というものは、国内で消化していただくことが望ましい、そういう意味国内製油業者の協力を求めるという考え方で進んでいるわけでございます。
  83. 中田吉雄

    中田吉雄君 外貨割当のときには、外貨割当の別ワクでもあったでしょうか、特別、量を少なくし、消化することも私はできると思うが、やはり安定供給のためにも、また国際経済協力のためにも、せっかく掘り当てたスマトラやアラビアというものに十分な手当をしないと、特に私は、先日実はごくわずかですが、今、油の引取交渉をやっている北スマトラの話をつぶさに聞いた。これはもう引取関係機関なしにはなかなかめんどうじゃないか、一々政府の指導助成に待たねば、なかなかやれないんじゃないか、これは昨日、石油連盟の南部さんにもちょっとお尋ねをしたんですが、政府協力で資金面はまず片がついた、今はその油の引き取りと単価の問題だと、それで、はっきり申しますと、この丸善さんと三菱さんか、それはハットンというアメリカの石油ブローカーといいますか、それからは二ドル十三セントで買っている。ところが、北スマトラの同質の、全く同じ油を一ドル九十一セントですと言って、なかなか、たしかまだ引き取らなんだ月もあるやに聞いておるわけなんです。この具体的な引き取り状況について、ひとつわかっておれば事務当局からまずお伺いしたい。
  84. 川出千速

    政府委員川出千速君) 北スマトラの油は、昨年の末からことしの初めにかけまして引き取りが始まりまして、現在まで東亜燃料、三菱石油、出光、丸善の四船が入っておりまして、おのおの二万トン前後の童を運んでおるかと思います。したがって、現存のところ引き取りは円滑にいっておるわけでございます。ただ、先ほどお話がございました値段の問題でございますが、これは政府が中に入っておるわけではございませんで、まあ業界の中で話し合いをしているというように聞いております。
  85. 中田吉雄

    中田吉雄君 佐藤大臣にちょっと気にとめておいていただきたいのは、精製施設を持たぬしするものですから、値段をたたく手段に、弱いほうからたたいてくる。まずハットンのほうをたたいて、ハットン面会のほうに二ドル十三セントだが一ドル九十一セントにせいと言ってたたいてくるのならいいのですが、これは商売ですから当然でしょう。やはりいかに日本政府協力でやっているといっても、たたきやすいところから、精製会社を持たぬ弱みにつけ込んで、まず北スマトラのほうを一ドル九十一セントにせいと。そしてそれを下げさして、ハットン商会に対抗する。これは商売だから責めるわけにはいかぬと。そういう点でシーソーゲームみたいにやられるからして、私はやはりこれはエネルギー懇談会のように、どうしても買い取り機関といいますか、そういうもので何とかクッションを入れて調整せんと、もうおちおちと……。開発をやるよりか、売るほうのセールスマンのほうが大へんだということになるわけであります。これはもうアラビアについてはもっと大量で、しかも予想もしない急激なことで、なかなか大へんだと思うのですが、私はこのスマトラのようなわずかに二万トン、三万トンというものですら、外国の石油をたたく手段として、まず弱いところからいじめられてくる。こういう点から、どうしても検討しておられる買い取り機関は必要じゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  86. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いきなり買い取り機関ということになりますか、まあたとえばアラビアなどもみずからの製油会社を持ちたい、こういう希望は持っておるようです。ただ、アラビアの場合は現地契約の関係もありますので、同一会社であることはどうですか、大体資本的につながりのある別会社でそういうものを作っていく、そういう意味で土地の選定などもいたしておるわけです。将来になりますと、そういうものがどう具体化して参りますか。こういうことは一つあると思います。スマトラと国産原油については、在来からの経緯もございますので、このほうは比較的今の姿でもいくのじゃないかと思います。ただ、数量の多いアラビア自身については、もうすでにみずからも計画しておって、それをどういうように具体化するかという問題だ、かように思いますので、直ちに政府自身が何らかの措置に出るということは、それはまだちょっと飛躍的な考え方じゃないか、かように思います。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 なしでやれれば、これにこしたことはないでしょう。ただ、わずかな北スマトラのでも、そういう態勢が整わぬから、本腰で開発もなかなかやれない、政情不安な北スヤトラでやりにくい、こっちではまた精製施設を持たぬ弱みでたたかれる、こういう問題は、まあこの法律を施行されてみて、いろいろ入るところは入ってやれるんでしょうが、差し迫った十月という自由化を控えては、かなりこの自由化のショックをどう調整されるか、特に国産原油等については、なかなかめんどうじゃないか。これは資金難のときに出資をして、また高い石油を買わされるんじゃ困るという、そういう立場もわかるんです。それからせっかく掘り当てたものをふたをして、それを十分もとれぬというようなことは、直ちにそれを考えることは飛躍じゃないかと上言われますが、事態の差し迫ったことを考えると、私は必ずしもそうではないと思うんですが、政府は最初にこの業法案と買い取り機関の二本立に行くやに聞いておったんですが、それを引っ込められたのはいかがでしょう、単なる符節でしょうか。
  88. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) エネルギー懇談会の中岡報告、これはもうお読みになったことだと思いますが、その引き取り会社というものにいたしましても、その性格その他やり方等について、まだ意見が固まっておるわけじゃございません。ことにまた、そういう考え方政府自身が中間報告を基礎にして考えましても、なかなか結論の出ることではありません。かたがたそういうことがありまして、また現状等から見まして、いきなりそういう問題までに発展するかどうか、業界協力をどの程度得るか、こういうようなことも一つの研究課題であった、かように思いますので、業法を作ることにまず第一にかかった、そうして中間報告にありますその他の部分については、研究を進めていくというのが現状でございます。
  89. 武藤常介

    委員長武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  90. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。  他に質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。
  91. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。   —————————————
  93. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案不当景品類及び不当表示防止法案、以上二案を便宜一括して議題とし、政府委員より内容の説明を聴取いたします。  なお、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案につきましては、衆議院において修正が加えられておりますが、右の修正点につきましては、便宜上政府委員から説明を聴取することといたします。
  94. 小沼亨

    政府委員(小沼亨君) 御説明申し上げます。下請代金支払遅延等防止法につきましては、政府のほうで現在下請代金につきまして親事業者が支払いにつき守らなくてはならない四項目がございますが、これに対しまして三項目追加いたしまして、下請に出す場合に不当な買いたたきをしないこと、それが第一点。第二点は、下請事業者の給付の内容を均質ならしめるために、必要がある等の場合を除いて、親事業者の指定する物の購入を強制さしてはならないこと。第三番目には、親事業者が、下請事業者が公取ないし中小企業庁長官にいろいろ親が命令したことに対しまして異議を申し立てるというような場合に、これに対して、それを理由に不当な扱いをしてはならない。その三項目を追加したわけでございます。これが提案の趣旨でございますが、これに対しまして衆議院修正を受けたわけでございます。その修正の趣旨といたしましては、この政府案に対しまして、はっきり法律の中にある下請代金の支払いを給付を受領した日から六十日の期間中に、かつ、できるだけ早い期間内において支払わねばならないということで、支払い期日を法定した点でございます。そういたしまして法定しました関係上、その法定期間を越えて支払いがなされなかった場合におきましては、公正取引委員会の定める一定の利率の遅延利息を支払うということを法定いたしたわけでございます。それに伴いまして所要の字句修正を加えた、これが衆議院における修正でございます。  それから不当景品類及び不当表示防止法案の補足説明をさせていただきます。本法案は、さきにこの委員会において提案理由として御説明を申し上げましたとおり、最近消費物資を中心といたしまして、事業者が不当な景品付販売を行ない、あるいは不当な表示を行なうことによって自己の商品等を販売しようとする傾向が顕著になり、一般消費者の商品等の選択を妨げ、公正な競争秩序を撹乱しておる傾向にかんがみまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を定め、不当な景品つき販売及び不当な表示について効果的かつ適切な規制を行なおうとするものであります。  本法案の概要でございますが、第一に、公正取引委員会は、事業者が提供する景品類につきまして、その価額の最高額もしくは総額その他景品類の提供に関する事項を制限し、または景品類の提供を禁止できることとしたいということであります。  第二に、公正取引委員会が指定する広告その他の表示につきまして、一定の方法の不当な表示を禁止できることとしたいということでありますが、この不当な表示の禁止につきましても、公正取引委員会が実情に応じ、機動的に運用をはかっていくことになっております。  第三に、不当な景品類の提供及び不当な表示につきましては、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定による審判手続を経ないで、排除命令によって迅速かつ効果的に差しとめ等の措置を行なう道を開きたいことであります。  第四に、これらの規制手続と並行しまして、事業者が景品類及び表示について公正競争規約を締結できることとしたいということであります。  以上、本法案の概要につきまして補足的に説明いたしたのでございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  95. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 引き続いて両案について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  96. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は下請代金支払遅延等防止法案がただいま議題になりましたので、まずその点から御質問いたします。  下請代金遅延等防止法は、資本主義社会で弱い立場にあるいわゆる下請業者、そうした弱いものの利益を守るための立法であることは大臣も御承知のとおりだと思います。しかし、この法案が従来ざる法だといわれておる。これはわが党でも幾たびか改正意見を述べていたものでございます。今回公取で幾分強化するような改正案を出されまして、衆議院ではこれが三派共同修正、こういう形で一段と強めることができたこの努力に対しましては、私ども敬意を表するものでございますが、これらの改正や、修正でも、ほんとうに下請業者の利益を守っていくことができるかどうか、その点は私まだ若干の疑問があるのでございます。その意味でこれから質問をしていくわけでございますが、まず、公取委員長に伺いたいのは、この法律は、建前として第四条で順守事項というのを幾つかきめられております。親事業者が順守すべき事項、すなわちやってはならない事項をきめたのでございますが、しかし、これを親事業者が守らない場合でも、別にその親事業者に対するところの制裁規定というものがございません。そこで、との第四条違反の罰則がないということは、これは幾らこの法案が改正されても、今後もいろいろとこの問題は続いていくのじゃないかと思うのです。わずかに第七条で公取の勧告があればというふうな勧告事項ということだけでございます。その勧告に従わない場合に、公取はその旨を公表して社会的な制裁を加える、こういうことになっているわけでありまして、別にその罰則規定というものがないということになるわけなんです。このようなことで、本法の実施以来、下請代金の支払い遅延を防止するために効果が上がっていると考えておられるのかどうか、この点お伺いしたいのでございます。また、従来第七条による勧告なり、公表を行なった実例があるのかどうか、との点についてもあわせて御答弁を願いたいのであります。
  97. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) この法律が罰則もないいわゆるざる法じゃないかという趣旨の御質問でありますが、私どもこの法律ができてから五年になります。その運用の跡を顧みますというと、これによって相当親子の関係が是正されまして、下請業者が保護されたというふうに考えております。もちろん十分かどうかという点はまだ疑問はありますけれども、相当の効果は上げておると思うのです。  それから次の七条による勧告及び公表の問題でありますが、公表につきましては、従来の実績におきましては公表しなくても大体目的を達しておるので、公表ということはやったことはありません。勧告につきましては、この法律によって若干勧告したことはあります。しかし、ごく最近におきましては、法律上の勧告でなしに、事実上行政指導の意味の勧告で大体目的を達しておると思うのであります。  なお、この法律について罰則がないという点でありますが、この法律は独禁法のいわゆる不公正取引の関係についての特別法でありまして、その行為はどこまでも不公正取引でありますからして、勧告に従わない、すなわち不公正取引が依然として行なわれておる場合には、独禁法の一般原則によって処置することができるものと考えております。
  98. 近藤信一

    ○近藤信一君 今まで公表はしたことないが、勧告はした例があると。しかし、私が多く知っておる実例として、今度の改正案の中にはこの第七条に入っておりますもので、たとえば親事業者が、下請業者の労働組合が自分のところの組合と違う。それからその親事業者のほうが、どうもあの労働組合は気に食わないから、あの労働組合がある以上はお前のところには仕事をやらないぞ、こういう圧力を加えるわけなんです。そこで労働組合としては、やはり小さな工場でございまするから、自分の工場主がそう言えば、これもやむを得ないだろうということで、泣く泣くその上部団体の労働組合を脱退する、こういう実例を私は多く知っておるわけなんですが、こういう点は、あなたのほうはどういうふうに考えておられますか。
  99. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 労働組合の問題は、この法律では直接関与していないのじゃないかと思います。この法律は、要するに下請業者と親事業者の関係であって、しかしてその関係はやはり不公正取引と申しますか、親事業者がその優越した地位を利用して下請業者に不当な圧迫をするという点でありまして、それはどこまでも取引関係中心として考えるべきものだと思います。
  100. 近藤信一

    ○近藤信一君 取引関係だけを考えておられる、こう言われますが、実際親工場と子工場、いわゆる下請工場との取引ですね、それが労働組合が気に食わないからと言って事業をさせないということになれば、これは事業に対して不利益な取り扱いをするということに当てはまると思いますが、その点どうですか。
  101. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 労働組合の例もありますが、たとえばお前のところの細君が気に食わないから注文を出さぬという、極端な場合そういうところまで及ぶのであります。やはりこの限界というのは、取引関係中心考えるべきじゃないか、その取引関係はどこまで及ぶかという認定の問題になりますが、労働組合の問題が直接取引関係というのは、ちょっと研究しないとむずかしい問題だと思います。
  102. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は労働組合を公取委員長にどうのこうの言っているのじゃない。たとえば三菱重工の下請工場に、三菱重工の親工場のほうで、お前のところの労働組合は総評に入っているから気に食わぬから、したがってお前に対するところの下請事業はさせないということで、事業面に圧力を加える、そうすると、やはりその下請業者は親工場から仕事をとめられては困る。これは結局不利益を与えるということになって、取引関係に大きな影響があると思うのだが、この点はどうか。
  103. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) なかなかむずかしい問題ですけれども、お前のほうでもっと、安くやってくれとか、もっと早くやってくれとか、そういうふうな事業に直結する関係ならばやむを得ないと思いますが、労働組合のことを理由にするということは、下請業者は法律的には聞く義務も何もないので、むしろ、これは労働関係法規で規制すべきものだと思いますが、下請代金支払遅延等防止法の範囲でやるということは、それだけでは、なかなかむずかしいのじゃないかと思います。何かそれに関連して、ほかに条項でもあれば別だけれども、ただお前のところの労働組合は総評に入っているから注文しないというだけでは、ちょっとこの法律でやっていくことはむずかしいのじゃないかと思います。
  104. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは、こういう点にも関係してくると思うのですよ。たとえば労働組合が気に食わないから下請の単価を下げて、必然的に、下げられては困るということで下請業者は泣く泣く親事業の言うことを聞かなければならぬ、また支払代金にしたって、今は金詰まりで困るから、お前のところはもっとあと回しだ、こういうことでいろいろ圧力を加えられている事実があるのだ。こういうのはこれに適用されると私は思うのですが、この点はどうですか。
  105. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 今申しますとおり、親事業者と下請事業者の関係で順守事項というのを法律で書いてありますからして、それに入ってくるかどうかという解釈問題になると思うのですね。私のほうといたしましては、今申すとおり事業に直結する関係において順守事項というものが規定してあるから、それに関係考えられない他の事項でやるということは——法律を改正してそういうことはできないようにするという順守事項をふやすことは立法論として考えられますけれども、現行法としてはちょっと無理じゃないかと思うのであります。
  106. 近藤信一

    ○近藤信一君 この問題いつまでやっておっても私とあなたと見解が違うのですが、もっとそういう点を改正する必要があると私は思う。昨年来の金融引き締めに伴って特に大企業の金融まりが深刻になってきております。このことは大臣も御承知のとおり、大企業自身の金詰まりなんかは支払遅延や手形期間の長期化という形でこれは出てくるわけなんです。特にこのごろ新聞に出ておるのは、台風手形だとか七夕手形ということがいわれておる、だんだんと手形も延びてきておる健例もあるわけです。関連下請事業にそういう関係でずっとしわが寄せられてきまするのが今日の現状なんです。  そこで私は、通産大臣お見えになりますから通産大臣からも御答弁を願いたいと思いますが、この支払遅延を防止するためというような消極的な下段ではなかなか解決しない、むしろ支払いを促進させなくてはならぬ、こういうように私は思うのですが、そうした支払いを促進するというふうな御処置がとられているのかどうか、この点いかがですか。
  107. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ちょっとむずかしいお話のようですが、いわゆる経常取引、通常取引というか、そういう取引の秩序を確立するということは、これは一般行政の目的でございます。あえて法律を作るという筋のものじゃないと思います。問題は、通常取引、経常取引がなされない、それが金融引き締めその他の関係からきているもの、いろいろな事情がある、そういうものを防止するといいますか、遅延防止、それが今回問題になっている、かように私は考えますが、これはいかにも消極的なようでございますけれども、経常の取引そのものはこれは積極的な一般行政の面として指導すべきだ、かように考えております。
  108. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私ちょっと今の御質問よく伺っていなかったんですが、私のほうとしては、要するに親事業者と下請事業者との関係が円滑にいけばいいと思っておるので、この法律はその円滑を阻害するような消極的な要素を取ろう、こういう趣旨で、その限度であって、それ以上積極的に親事業者と下請事業者の関係を円滑にするということは、この法律の直接の目的にはなっていない、たとえば資金的援助をするとか、親事業者に対していろいろの資金的その他の援助をするというようなことは、この法律とは直接関係がない、こう思っております。
  109. 近藤信一

    ○近藤信一君 なぜ私がそういうことを聞くかというと、過日、私がある大企業の専務といろいろと話をしたときに、そこの専務の話は、実際計算面では会社は黒字だ、ところが実際の金がない、なぜそういう結果が出てきておるかというと、不動産に今どんどんと投資をしておる、したがって手持ちの現金というものはないのだが、実際は、帳面の上では金はあるのだ、金はあるのだが実際の金がない、そういうことが理由で赤字だ、いわゆる金がないと言って、下請代金をなかなか支払わない、こういう事実も相当あるわけなんです。そういうその金、現金はないかもしれないけれども財産はあるわけなんで、当然これは支払わなければならぬ、下請に対して。そういうことを言ってなかなか支払わないというのが今日の状態だと私は思うのです。だから私は、やはり遅延防止なんて、こういうなまぬるいことでなくして、やはりそういうのは、どんどんと支払うべきものは支払わせる、こういう積極的な方針をとらなければならぬと思うのですが、この点はいかがですか。
  110. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 金銭債務でありますからして、理由のいかんを問わず支払うべきものである。これは民法の原則でありますが、われわれのほうといたしましても、支払い遅延ということが起こっておりますというと、どういうふうな原因でどの限度で起こっているかということを、親事業者について十分調査いたしまして、支払いを促進するような事実上の勧告と申しますか、ということを行ないまして、相当の効果は上げておるのであります。
  111. 近藤信一

    ○近藤信一君 現状は、あなたのほうはそういう訴えがあって初めてそれを調査するというふうな仕組みだから、いつまでたってもこの問題が解決しない。そういう訴えがなくても、積極的にそういう面は公取なんかが調査なり査察して、そうして支払いを促進させる、こういうことを私はせなきゃならぬと思うのですが、この点はいかがですか。
  112. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 私どものほうといたしましては、ただいまの実情の調査によりますというと、親事業者が約七千五百あると考えております。そうしてその親事業者について毎年、最近におきましては千五百ぐらいにつきまして、支払い状況等についてこちらから調査表を出しまして回答を受ける、その回答によりましてこの親事業者が適正な支払いをしておるかどうかということを調べまして、その結果不適正なものについて調べるというのであります。私のほうから積極的に調べております。ただ、七千五百の親事業者に対して千五百がいいかどうかという問題は、七千五百全部調べるところまで予算等ができればなおいい、こういうように思っております。
  113. 武藤常介

    委員長武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。
  115. 近藤信一

    ○近藤信一君 下請代金について、政府関係の金融機関では商工中金の役割が非常に大きいのであります。そこで商工中金で比較的よく下請業者の受け取り手形を割引しているわけです。下請業者といたしましては、まことにそういう点は喜んでいるわけなんですが、しかし、商工中金でも資金が少ないために、なかなかワクを大きくできない。むしろ今年のように五月危機だとか六月危機だとか、こういうことが盛んにいわれておる。で、商工中金の資金源を大いにこれは強化しなければならないと私は思う。このことは、過日中田委員からも、国民生活研究所の基金を商工中金に委託して云々という意見が述べられたわけです。そこで一億円でも二億円でも、私は資金源をできるだけ多くしてもらいたい。今年のような特別の年は、やはり年末よりも七月決算、このときのほうが私は心配になっていると思うのですが、この点の御配慮について、政府は今何か考えておられるかどうか、この点大臣から伺いたいと思います。
  116. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この中小企業金融、下請代金をも含めてですが、中小企業金融に対しては、特に留意をして参りまして、一般経済調整期に入り、金融引き締めということではございますが、いわゆる弱い者に対しての保護は十分にしようということで、昨年の暮れ以来特別な処置をとって参りました。私は、中小企業金融は比較的順調に推移していくのじゃないか、実はかように見ております。しかし、ただいまの金融引き締めがさらに引き続いていく、こういうことになりますと、私どもが予想しないような状態が次々に起こりはしないか、こういうふうに思います。  そこで、まず第一に注意すべきは、中小企業の輸出振興、輸出の面における輸出金融、これは特段の留意をするつもりであります。また、独立したものの近代化等についての資金なども、年度において見る、また、下請代金の関連になりますと、親企業との関連において特に留意していかなければならぬ、かように思っております。で、いわゆる三公庫の資金というものは、予算で御審議をいただいて、今財政投融資の金額もきまっておりますけれども、これの使い方等によりましては、時期的にさらに手当をする、これはもう当然のことであります。そういう意味で、絶えず情勢をつかんで、正しい認識のもとで金融政策は立てる、かような考え方でございます。ただいま月が変わって年度が始まったばかりでございますから、今すぐどうするということは申し上げませんが、必要な措置は、必要なときがくれば、これは講ずるものだ、かように御了承いただきたいと思います。
  117. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法案とは直接関係はございませんが、関連してちょっと御質問しますが、下請代金と直接関係のない問題ですが、特に今設備近代化資金ということが盛んに通帝省でもいわれておる。で、中小企業庁のほうに伺うわけですが、これは三つに分けてお尋ねいたします。  第一番には、近代化資金の支出が繁雑で非常におくれがちであるという点。それから第二は、金額が少な過ぎて、なかなか近代化にはすぐ間に合わないということ。第三に、府県によって方針が異なって、業者が困っているという点ですが、第一点といたしまして、近代化資金の出し方がおそいということが、これは非常にどこでもわれわれ聞かされることなんです。実際に借り入れを申し込んで、この金が手元に入るのは半年以上もかかる。ときによりまするとこれが翌年に回ってしまう。こういうことになって、実際資金の要るというものは、近代化をしなければならぬということで、早くほしい。したがって買うばかりの契約をしても、すぐ金が入ってこない。そこで、その金が間に合えば買うが、間に合わない場合は、これはどうしても自分の金でこの機械を買わなければならぬ。これでは実際に近代化資金を借りようとする人たちが借りることができずに、資金を持っている人が借りられるような結果になるのじゃないか。近代化資金の本来の要旨と、この点は全く反することになるのではないかと思うのです。もっと早く何とか貸し出しをできるように、手続も簡素化する。このことは中小企業金融公庫法でも同じことなんで、この点、私ども、かつては盛んにやかましく言って、今非常に早くなったようにも聞いておりますが、近代化資金については、この点がなかなかややこしくて、手続上の問題なんか非常にむずかしい。こういう点についてどのように考えておられますか。
  118. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 設備近代化補助金の支払いにつきまして、非常におくれているという御指摘でございまして、この点、実は昨年県の仕事を預かりましてから、そのお話を耳にいたしましたので、早速流れを全部チェックしてみたわけでございますが、実は昨年審査基準が相当変更になりまして、従来県にまかせておりましたのでございますが、多少やはり国の無利息貸付をいたしますについて、無利息の貸付でございますから、利潤の面から見て非常に条件の悪い企業に対して貸し付ける、非常にもうかっている事業にはこの資金はあまり回すべきではないという方針によりまして、通産局において県の処置を相当まあチェックしておったような関係もあったかと思いますが、昨年は実はだいぶ御指摘のように実際上おくれておりまして、私どもこれではいかぬということで、三十七年度の施行につきましては、現在部内で督励をいたしまして、大蔵省の折衝その他におきましても準備をすでにもういたしておりまして、今年度からは運営についてぜひ改善をいたしたいと努力をいたしているわけでございます。私としましては、これは確かに今までおそいことがあったということを認めておりまして、この点は、やはり改善しなければならぬと思っております。
  119. 近藤信一

    ○近藤信一君 第二点として、近代化資金が、一件当たり三百万円で押えられているわけなんです。三百万円では、今日の状態のもとにおいては、これは少な過ぎるのではないかというふうに思うのです。たとえば簡単な工作機械を一つ買うにも、これはすぐに五百万や一千万は要ってしまう。ことに生産も合理化して、そうして設備を近代化しよう、こういうことになりますので、勢い高くなってしまう。こうした技術革新に即応させるような、一件当たりの金額というものは、この三百万円で抑えるのでなくて、もっと高く貸付できるような方法が講じられないものかどうか、この点はいかがですか。
  120. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 一件当たりの貸付金額を引き上げろという御要望があるわけであります。この点につきましては、私どもとしましてはこの制度が、どちらかといいますと、きわめてまあ零細な生産事業に対して貸付をする、相当大きなものになりますれば、できればやはり金融ベースで中小企業金融公庫なり、あるいは商工中金等の金を利用して設備をやっていくということで、この一般会計から出します設備近代化補助金につきましては、どちらかといえば、やはり零細のところに重点を置いていきたいという考えで、この金額がうんと大きくなりますれば、また考え方もございますけれども、先ほどお話がございましたように、本年度三十七年はまあ三十五億円に増額になりまして、数年前に比べますと、格段の開きでございますが、現在まあ各県にこれを配賦して、県ごとに見ますると、金額としてはきわめてわずかでございますので、現在のところ、実は私どもとしてはあまり引き上げることは、零細のほうに対する金の流れが少なくなることを憂慮いたしまして、本年度もこの点についてはまだ従来どおりやって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  121. 近藤信一

    ○近藤信一君 長官の御答弁で、特に零細の事業を考えておるということでございますので、昨日も本会議で各党から提出された中小企業基本法にもいっておりますように、従来の中小企業の定義というものが資本金一千万円というものが社会党では三千万円で押える、自民党、民社は、これを五千万円と一躍五倍にもふえておるわけです。依然としてこの資本金のほうはそういう三倍、五倍となっておるが、近代化の設備資金がわずか三百万円でこれが動かせない、こういうことでは、私はなかなか幾ら零細企業が対象といっても、零細企業の設備の近代化ということはなかなかむずかしい、特にこの零細企業近代化を欲しておるところは、零細企業じゃなくて中と零細のこの中間どころが近代化を非常に欲しておるのじゃないか、こういうふうに私思うのですが、その点はいかがですか。
  122. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 御指摘のように、やはり全体の傾向としましては、平均の単価は次第に上がってきておるということは、私どもも認めておりますし、また運用の面におきましても、やはり平均をとってみますると、多少高めに考えていかないと現在の経済の実態に合わないのじゃないかと、かように考えておる次第でございますが、あまりこれを高く上げ過ぎましても、先ほど申し上げたような問題もございますので……。なお、御意見の点についてもわれわれとしては今後研究問題として十分検討して参りたいと考えておる次第でございます。
  123. 近藤信一

    ○近藤信一君 第三点として、県によって貸し出しの方針が違うことでございますが、たとえば私どもの愛知県では、県内に本社があって合理化設備を据えつける、ところが今度他県にある、たとえば岐阜県にまたがっておる、こういうときにその貸し出しの対象が非常にむずかしい、いわゆる愛知県のほうでこれを申請すると、いやこれは工場が岐阜県のほうにあるからだめだと、こういうことになると、今度は岐阜県のほうへ行くと、いや本社が愛知県のほうにあるからだめだと、こういうことで、あっちへ行き、こっちへ行きして、なかなか事が運んでいかない、こういうふうなときに、実際早く借りたくてもその手続上でどっちにしたらいいかさっぱりわからなくなってしまう。で、国の資金が出ているのだから、これはやはりどっちの県でもいいじゃないかと、まあ私どもは思うのですが、それが現実にはどうも本社と工場の所在地ということで、なかなかうまくいかない、こういう点はどうなんですか。
  124. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 設備近代化補助金につきましては、政府の金を各府県に配賦いたしまして、各府県はそれぞれ特別会計を作って運用しておるという形に相なっておりまして、基本的な方針は中央で統一してやっておるわけでございますが、個別の問題につきましては、多少事情が違っておるのが現実でございます。御指摘の点につきましては、実はまあ会社の本社が一方の県にあり、工場、事業場が違った県にあるといった場合に、両方の規則が違うために、どっちからも借りられないということはいかにも不合理なことでございまして、私どもとしましては、解釈としては工場、聖業場の所在地を所管する県がこれを取り扱うべきであるというふうに解釈をいたしておりますので、現に先生御指摘のようなケースが岐阜県にございまして、私どももこの趣旨で取り扱いを統一するように通達をいたしたいと考えておる次第でございます。何か聞きますところによると、岐阜県のほうでもその点は近く改正をするつもりでおるというふうに聞いております。私どもとしましては、そういう統一解釈で、この点については不便のないようにいたしたいと考えております。
  125. 近藤信一

    ○近藤信一君 同じ国から出す資金でございまするから、県でまちまちで、方針が違うというふうなことでなくして、やはりこれは統一した解釈のもとに貸し出しできるような指導をあなたのほうで考えなければならないと私は思うのですが、それでなければもやはり本社と分工場が愛知県にあり、本工場は岐阜県にある、それも県境の川一つ離れた所で、あっちだ、こっちだということで二カ月も三カ月もそのことだけでかかってしまう、こういうことになっては、私は非常に中小企業の方がせっかく設備近代化をしようとしても、これができない、こういうことではだめじゃないか。そこで、まあ今後そういうことのないように統一した方向へあなたのほうで御指導していただきたいと考えておりますが、この点はいかがですか。
  126. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 御趣旨の点は私ども全く同感でございますが、ただ、運用の面では、国が一出しますと各府県においてまた同じ額を予算から出しましてやるという建前で参っておりますけれども、県によりまして、多少やはりその辺の事情が違って、歴史的な事情もございますが、東京都あたりは国の補助は出しておりませんで都だけでやっている、今日まで。そういうこともございまして、そのそれぞれの府県の会計その他の事情もございますので、全部を統一するということは困難かと思っておりますが、ただ運用の方針につきましては、私どもとしてはやはり統一してやるべきだ、かように考えておりますので、今後その点について十分御趣旨に沿うように努力して参りたいと考えております。
  127. 川上為治

    ○川上為治君 ちょうどいい機会でありますから、二、三中小企業庁の長官に要望しておきたいと思うのですが、私は予算委員会で大蔵省にこれは強く要望し、また質問をしようと思っていたのですが、いろいろな審議会ですね、たとえば資金審議会とかあるいは金融制度調査会とか、あるいは日銀の政策委員会とか、こうした方面に、中小企業の代表者といいますか、中小企業問題について非常に明るい、いわゆる学識経験者というような人が入ってない。日銀の政策委員を見ましても、全然そういう人は入ってない。大企業の代表とかあるいは農林関係の代表とか、そういうような人は日銀の政策委員に入っておりますけれども、現在のところは、中小関係の代表者というような人は入ってない。中小企業に非常に明るい学識経験者というのは入ってない。これは中小企業界でも従来非常に強く要望しておる問題ですが、この問題について中小企業庁なりあるいは通産省はどういう努力を払ってきたのか。もちろんこれは私は長官に質問するのはどうかと思って、まあいつか大臣に話をするか、あるいは予算委員会で、さっきも言いましたように機会を見て強く質問しようかと、こう思っていたのですが、今度の国会ではそういう機会がなかったものですから、その問題をきょうはどの程度今まで努力されてきておるか、それをひとつ聞きたいと思います。  それと関連して、先ほど申し上げました金融制度調査会とかあるいは資金審議会とか、あるいはまた政府の税制調査会、そうした方面にはほんとうに中小企業を代表するような、ほんとうに中小企業の問題について明るい、そういうような人が私は入っていないんじゃないかと、そう考えるのです。今の金融制度調査会あたりについても、どうもそういうほんとうの意味の学識経験者というものが入ってない。また、中小企業を代表するという人が人っていましても、どうもその人は必ずしもそうではないのだと、私は、現在入っておる人の中で、名前はあえて言いませんが、むしろ中小企業を痛めつけておる大企業家みたいな人が、中小企業の代表として入っておるということを聞いておるのですが、そういう点について、今まで企業庁はどういう努力をされておるのか、またそういう人たちを入れかえるという考えはないのか、この機会にちょっと承って、今後こういう問題についてどういうふうに進んでいくのか、それを聞いておきたいと思うのです。
  128. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま川上先生から御指摘の点は、私もやはり重要な審議会、委員会等には中小企業の意見を反映できる人が委員として入っておることが望ましいと考えまして、関係委員会について、部内で検討してみたこともあるわけでございます。ごく最近の問題といたしましては、資金審議会におきましても、なかなか人選等が、過去の経緯等もございまして、個別にはいろいろ御批判がある場合もあろうかと思いますけれども、実は中小企業の代表の数もふやしていただいている。税制調査会におきましても、むろん中小企業の代表という方が入っておられるわけですが、最近の例といたしましては、米価審議会、これは従来入っておらなかったのでございますが、中小企業の代表の方も参加していただくことになっております。さらに通産省に新しくできます電力審議会におきましても、特に中小企業の代表を入れろという要請をいたしまして、これを一名入れることにいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、そういう方向へ個別に努力して参りたいと考える次第でございます。
  129. 川上為治

    ○川上為治君 そういう努力をされているととはまことにけっこうですが、実はこういう機関の中に、私が中小企業庁におりましたときに人選して入れた人が、今も、いつまでも委員をやっておられるが、決してそういう人をどうのこうのと言うわけではございませんが、その後その人のいろいろな実績を見ますと、どうも中小企業の問題に明るいというようなふうにはこれは……。私が当時そういう人を推選したことは非常に間違っていたと、こう思うのですが、そういう人がいつまでもかわるべき時期においてかわらないということでは、これはやはりまずいんじゃないか。私はきょうはこういう席上においてかつての不名誉を申し上げるわけではございませんが、やはりそういう人たちの今日までのその委員会における中小企業金融問題等についての努力というものについて、よく検討されて、かえるべきものは早くかえるというようなふうにされたほうがいいんじゃないかというふうに私は考えますから、そういうような人たちは、適当な時分に、もっと経験の深い、もっと努力するそういう人にぜひかえらるべきだと、こういうことを特に申し上げておきます。  なお、日銀政策委員の問題は、これはあるいは大蔵大臣あたりに話し合いをしなければならない問題だと思いますので、私は適当な機会にぜひともこれは強く上要望したいと思うのです。何と申しましても、輸出貿易から見ましても、人口構成から見ましても、あらゆる点からいいましても、中小企業というのは、非常に大きなウエートを持っているのですから、その真の意味の代表者また同時に非常に明るい人が、私は日銀の政策委員に一人は入っているのが当然だというふうに考えますが、これは中小企業庁長官のほうから極力努力していただきたいということを要望しておきます。
  130. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか、——他に御質疑がなければ、両案の質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会