運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-04-25 第40回国会 参議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十五日(水曜日)    午後二時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            大泉 寛三君            川上 為治君            岸田 幸雄君            小林 英三君            吉武 恵市君            近藤 信一君            吉田 法晴君   政府委員    通商産業省鉱山    局長      川出 千速君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   参考人    石油鉱業連盟会    長       三村 起一君    石油連盟会長 南部 政二君    東京電力株式会    社常務取締役  笹森 建三君    エネルギー懇談    会委員     徳永 久次君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○石油業法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  石油業法案を議題といたします。  これより御出席願いました四名の参考人の方から御意見を伺うのでありますが、これに先だって一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会のために御出席を賜わり、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。これから御意見を伺います石油業法案は、私から申し上げるまでもなく、わが国エネルギー源として、需給面に最も問題の多い石油について、本年十月に予定されている貿易の自由化に対処し、石油の安定的かつ低廉な供給をはかり、国民経済の発展と国民生活の向上に資することを目的として、石油精製業等事業活動調整その他基本的事項を定めようとするものでありますので、この際、採掘精製、需要、エネルギー政策等の問題について、御造詣の深い皆様から忌憚ない御意見を伺い、私どもの今後の審議に資したいと存ずる次第でございます。  なお議事の進め方でありますが、最初にお一人大体十五分程度で御意見をお述べ願い、御意見開陳が全部終わりました後に、各委員から質疑を行なうことにいたしたいと存じます。各位の御了承をお願いいたします。  それではまず石油鉱業連盟会長三村起一君にお願いいたします。
  3. 三村起一

    参考人三村起一君) 私は、ただいま御紹介いただきました石油鉱業連盟会長三村でございます。本日は石油業法案につきまして、意見を述べる機会を与えていただきましたことについて厚く御礼を申し上げます。  現在提案されております石油業法案は、もちろん本年十月の石油輸入自由化に備えてのことでございますが、世間の一部では、自由化とは言いながら、業法で規制するようなことは、真の自由化ではないというような意見もあるやに聞いております。はたしてそうであろうかどうか疑うものであります。石油産業の実悪を知っておる人々の大多数は、石油業法必要性というものを私は認めておるのだと信じております。通産省に設置されました各界の権威を集めたエネルギー懇談会は、恒久法として石油業法必要性を報告しておられます。また経済団体連合会でも、最初のうちは業法に対して反対論も相当あったのでありますが、今年の初めに何回かエネルギー対策委員会を開きまして、関係者を呼んで、いろいろと事情を調べられた結果、統制反対原則的見地は持しておられましても、条件つきでありますが、やはり石油業法はやむを得ないとの考え方にまとまったのでございます。  次に、わが国特殊事情から見た業法の必要につきまして考えるところを申し述べたいと思います。もうすでにこの点は、わが国特殊事情につきましては、皆様方よく御存じのことでございますが、わが国石油精製業界は、巨大なる外国石油会社と密接な関係を持っておりますので、いろいろ複雑な問題があるやに聞いております。  次に、われわれ石油鉱業連盟立場から申し上げますと、石油業といえば、海外では掘ることから精製、輸送、販売、これみな一貫しておるのが普通石油業でありますが、わが国特殊事情としては精製業と、それから石油を掘るのとは別々になっておるような次第でありまして、われわれ石油鉱業連盟の四社は、みずから精製設備一つも持っておりません。したがってわれわれの生産した原油の全部を既存の精製会社に買っていただかなければ、やっていけない現状でございます。しかも競争相手はどこかといえば、全部外国の巨大なる石油会社ということになっておりまして、原油輸入自由化されることは、石油精製会社にとっても、いろいろと問題もございましょうけれども、われわれ四社にとっては、まことに大きな影響をまともに受けるものと見るべきではないかと存じます。  そういう次第でございますので、原油輸入自由化するにあたっては、業法も要らないという人がもしあるとしますれば、全くわれわれ石油鉱業連盟の四社の存在を無視された立場に置かれることになると思います。特にわれわれ石油鉱業四社にとって、今の時期に原油輸入が野放しに自由化されるということになりますれば、あたかも、国産原油はもちろんでありますが、アラビア北スマトラ等で花のつぼみが咲きかかったところで嵐が吹くようなものでございまして、私たち企業にとっては、死活にかかわるところの重大事件でございます。  ここで少しく事情を申し上げて御了解を得たいと思います。すなわち国内における石油資源開発は、この数年間の探鉱成果がようやく実りの時期を迎えまして、過去日本の、まず、天智天皇時代は別といたしまして、明治になって石油採掘というものが、やや本格的になって以来九十年の歴史を持っておりますけれども横ばい状態で最近まできておりましたし、ことに戦後は八橋油田を発見するまでは横ばい状態でありましたが、幸いにして、ここ数年間皆様方が第二十二国会においてお作りになりました石油資源開発株式会社法によりまして、開発会社ができてから著しく原油生産が伸び始めたところでございまして、最近のカーブは、ここへ持ってきてはおりませんけれども、最近数年閥のカーブを見ますというと、過去の横ばい状態カーブから非常な勢いでもって上昇してきておりますことが、あたかも戦後ヨーロッパの独、仏、伊三国のカーブに類似してきておることを特に注意をしていただきたいと思います。これは、ひっきょう探鉱活動が十分にやられた結果だと思いますので、もしも引き続き探鉱活動が十分に行なえるならば、ここ数年の実績から類推いたしまして、今後の増産は期して待つべきものがあるのではないかと思います。  しかし、他方において、この数年、輸入原油価格が急落いたしました。このことは、決して精製会社に対して、かれこれ文句を言うわけじゃございません。これは国際的な情勢でございます。われわれの原油も、したがって、わずか二年間で三〇%の値下がりを余儀なくされたのでございます。具体的に申しますれば、一キロリットル当たり九千五百円ほどであったのが、この二年間に、昨年の十月からは六千六百五十円に下がり、さらに最近は、これから二千円下げるように貰い取り精製会社のほうから要望されてきております。現在の六千六百五十円という価格は、米国の国産原油価格とほぼ同じでございまして、生産者手取り約一万円前後の英、仏、独等価格から、はるかに安くて半値近くの値段で、われわれ国産原油は引き取られておるわけでございます。これを世界一安い中東からの輸入原油と同じ価格にまでさや寄せするということは、精製業者立場としては、私はもっともだと思います。決してこれをかれこれ言うのじゃございません。しかしながら、今度は立場を変えましたわれわれといたしましては、非常な窮地に立たされるわけでございまして、したがって今後、野放しの自由化ということが行なわれた場合には、われわれの生産した原油が円滑に引き取られないということにでもなりますというと、日夜汗水流して泥まみれになって働いておる五千人の従業員としては、それこそ死活に関するところの重大な問題ということになりかねなしと思うのでありまして、この点は精製業者と、われわれ石油を掘るものとが、両者共存共栄の道を開いていただきたいと思っておるわけでございます。  第二に、海外開発原油引き取り問題でございますが、今のは量が少ないから、まあ大したこともなかろうということはよく言われますけれども、今度海外開発原油になると、逆に量が大きいからちょっと問題だというふうに言われるのでありますが、アラビア北スマトラ石油引き取り問題が当面してきておるのでありまして、いずれもわが国にとっては有意義な海外開発事業でありまして、政府財政融資も、すでに相当多額に受けておりますが、北スマトラ、 アラビア両者とも、その事業はりっぱに軌道に乗っかってきました。特にアラビアでは、今まで二十八抗井のうち、一本の失敗もなく、わずか二年余にして世界第八位の油田といわれるほどの大成功をおさめて参っております。生産も、本年度は六百五十万キロリットル、来年度は一千万キロリットルに達するという見通しでございますので、石油輸入国であるわが国にとっては、これを一アラビア石油会社というのじゃなく、国家的見地から見ましても、まことに慶賀すべきことだと思われます。  ところで、先ほども述べましたように、わが国精製会社外国石油会社との特殊な関係がありますために、国際価格であっても、量的の点で十分なお引き取りができるかどうかということは非常に困難な問題があるのでありまして、この点は極力、御同情があり、また御理解もある精製業者のほうの態度でございますが、また一方、大きなユーザーとしての電力並びに鉄鋼会社のほうでも、極力引き取るように御尽力下さることと思われます。またそういう言葉も聞いておりますが、しかしながら、なかなか容易でないことだと思います。で、具体的に申しますと、現在わが国原油輸入量のうちで六〇ないし六五%程度のものは、外国資本が半分入っておる会社に対して、その親会社である外国石油会社が独占的に原油供給しておりまして、さらに残りの二〇%は最近ここ数年間、莫大な外油会社からの設備資金借り入れ、それが、ただ単に金の借り入れでなくて原油の長期の引き取りの、購入の契約ができておるといわれておりまして、自由に購入先を選択できるものは、わずかに年に五百万か六百万キロリットルといわれております。  以上のような論点から帰納いたしまして、石油業法の必要だということを私はさらに、もう少し申し上げてみたしと思います。  このように石油業界は、現在各種の重大問題が山積しております。かつ相当の混乱が想像されるのに、自由化にそのままで突入するということは、これはきわめて危険なことだと思われますので、エネルギーの中心であります石油産業が安定することは、国家的見地からも非常に重要なことではないかと考えられます。業法がもし成立しないときは、自由化を延期すべしというような議論まであるということも聞いておりますが、わが国特殊事情石油業重要性からすれば、あるいは無理からぬ意見かとも思います。あるいは世間では、自由化しても自主調整すればよいじゃないか、法律は要らぬじゃないかというような議論もございますが、これはある程度、なるほど願わしいことではございますけれども、しかし現実の石油業界の実情を見まして、はたしてそのことが可能であるかどうかということは、私はきわめて疑わしいと思います。政府におかれましては、自由化を前にして、国全体の利益という大局的見地から、重要産業である石油事業全体の秩序を維持することができますように、今回石油業法の制定を考えられましたことは、きわめて私たちは時宜を得た措置であると思います。また、絶対必要な法案であるとわれわれは信ずるものでございます。  現在提案されております石油業法に対して、一、二、われわれの立場から若干希望を述べさしてもらいますというと、第三条の石油供給計画及び第十条の業者石油製品生産計画に対する勧告、こういう条項の運用等を通しまして、国産並びに海外開発原油が、ヨーロッパ実例のごとくに完全引き取りということが安定して行なわれるようにしていただきたく、特にお願いいたしたいと思います。  以上は、業法についてでございます。これで大体終わっておりますが、なおこれとともに、業法裏づけという言葉がいいかどうかしりませんが、裏づけとして、引き続き国産原油保護育成ということと、この石油鉱業連盟の四社の原油の確実な引き取り体制確立ということについて、かねがね念願しておるわれわれは、政府並びに語先生方にも、われわれの意見は昨年暮れからして要望書としてお手元にもお配りしたわけでございますが、この事柄を、特にそういう具体的な施策を、ひとつお考えをお願い申し上げたいと思います。これにつきましても、石油連盟とは緊密な連携をとりながらひとつ進んでいきたいと思っておりますが、ついては二点について、特にお願い申し上げます。  国産原油現状につきましては、すでに述べましたとおりでございますが、西欧諸国が戦後十数年間に国内石油資源開発に一貫した努力をやっておる——どなたかもおっしゃいましたとおり、フランスのごときは何べんか内閣がかわったにかかわらず、一貫して政策を実行しておるということでございましたが、国内石油資源開発に一貫した努力を傾注した結果、めざましい成果をおさめております。わが国では、第一次五カ年計画遂行によって探鉱活動もようやく軌道に乗りつつありますけれども石油資源開発に対する政府出資は、本年度探鉱費二十五億の予定をしておりましたが、十億円の政府出資を要望しましたに対して、わずか四億円に削られておりますし、また、天然ガス関係予算も四億円の要求に対して一億丘千万円が予算化されておるにすぎないのでございます。これを西欧の例に見ましても、わが国五カ年計画実績から見ましても、油田ガス田の発見というものは、探鉱投資額に比例しておる。ことに学界、実際界の権威者を集めていらっしゃるペアックの御報告にもありますとおり、連鎖反応式油田開発されるものだということを報告されておりますが、そういうふうに増大するということが——探鉱投資に比して増大しているということが実証されておりますので、わが国では、まだまだ未探鉱地域が、陸上も広うございますが、まだ広いところの海中の大陸棚の開発という点についても大きく残されておると思っております。昨年立てられましたいわゆる第二次五カ年計画では、四十一年には石油が百五万キロ、天然ガスが一千五億立方メーター生産計画されておりますが、これは五カ年間に総額二百三十五億円の探鉱資金が必要とされております。しかしながら、これは一年間に今申しました天然ガスと、それから石油とを合わせまして、天然ガスを換算いたしますと三百五十万キロリットルになりますが、それでもって、どれだけの外貨節約かというと二百億円をこす金額になるだろうと思います。すなわち二百二十五億かけても一年でそれだけの二百億円以上の収入があるかと思われておるのでございますが、政府探鉱に対する出資も十分にしていただくことができず、原油価格の大幅な値下げを強要されておる上に、さらに生産した原油引き取りが安心できないということでは、満足な探鉱はおろか、企業の将来に対して深甚の危惧の念を抱かざるを得ません。  しからば、これが財源はどうするかといえば、石油については、現在輸入関税揮発油税等が全部で約二千五百億円ほどございましょうが、その賦課金が課せられておるのでありますからして、そのごく一部でもいいのでございますからして、一%とか二%とか、まあ一%はどうか知りませんが、二%とか、ごく少ない金でもいいのでございますが、何とか、年々確実に国内資源開発に、ことに探鉱資金のほうに振り向けていただくように、具体的な施策を講じていただくということが最も強く要望されておるのであります。  第二に、買い取り機関も簡単に申し上げますが、海外開発原油につきましても、先ほど述べましたとおり精製業界特殊事情のために、私企業間の話し合いだけでは、十分な量の引き取りの話はまとまりにくい点があるように思われます。これらの諮問題を円滑に解決するためには、たとえば何か国策的な特殊法人原油買い取り販売機関を設立していただいて、また場合によっては国が必要とする原油の備蓄もこの機関を通して行なうというようなことにでもなりますと、今後の石油政策遂行上、一貫性をもって非常に有効でないかと考えております。  われわれはただいま提案されております石油業法が成立することを心から、まずもって念願いたしておりますが、それと同時に、ただいま申し上げました国産原油保護育成策国産及び海外開発原油の完全引き取り体制確立について、世界的視野にお立ちになっていらっしゃる皆様の御理解と御援助をいただきまして、諸先生方にお願い申し上げまして、この点を何とぞ具体的にしていただきたいということを、しかもすみやかに具体的にしていだきたいということを一同衷心から念願いたしまして、この機会連盟を代表して特にお願い申し上げる次第でございます。
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、石油連盟会長南部政二君にお願いします。
  5. 南部政二

    参考人南部政二君) 石油連盟南部でございます。本委員会において御審議せられるにあたりまして意見を申し述べさしていただきますことをはなはだ幸いと存じておる次第でございます。  本年の十月から石油自由化されますということで、この自由化後の影響につきましては、石油業界のみならず、産業界全体としての一つの問題であるということで、各方面で論議をせられておる次第でありますが、石油業界自由化影響に対する見方と申しますか考え方と申しますか、これも必ずしも一致いたしませんので、受け取り方はさまざまでございます。一部の者は、全く自由にしておいて落ちつくところへ落ちつくではないか、それがよろしい、こういう意見の者もあるわけであります。また一部の者は、政府は相当強い統制的な措置を論ずる必要があるという意見も、一部にはあるわけでございます。しかしながら、全体としてこれをみますと、全く放任しておいては困る。またあまり強い統制もちょっと困る。やはり企業の自主的な活動を尊重しながら自由化に伴う混乱を未然に防ぐために設備の規制なり事業許可なりを内容とし、需給調整を主たる目的とした法律を施行することが適当であろう、またこの法律は、技術革新のテンポの非常に早い今日でございますし、エネルギー事情もどんどん変化して参ると思わなければなりませんので、でき得べくんば五年くらいの時限立法にしていただきたいというようなのが、経済団体連合会意見でもございますし、石油業界も、大方の意見は今申し上げましたようなものと私判断いたしておるわけであります。  とかく石油業界石油精製業界は、今三村さんもおっしゃいましたように、非常に複雑な事情があるということでございますが、かつまた、なかなかまとまりが悪いということもよく言われるわけでございますが、これはやはり、そうならざるを得ないような背景があったわけでございまして、まだ全く自由になっておりません業界でございます。昭和九年に石油業法が施行せられまして、終戦に至るまで厳重な政府統制下にございました。終戦後は再び日本石油精製業が行なわれることはないのではなかろうか。少なくとも輸入原油精製占領軍許可しないであろう、かように私ども考えておりましたところ、国際情勢の変化によりまして、昭和二十五年に輸入原油処理工場の再開を許可せられた。それから始まりましたのは、やはり政府による外貨割当でございます。政府による外貨割当も、これもまた、一つ統制でございまして、Aの会社、Bの会社それぞれに、お前のほうはこれだけの外貨でおやりなさい、こういうことでございますので、一つのやはり統制でございます。かつ、昭和二十七年までは配給統制及び価格統制が続いておりました。二十七年以後は、今申し上げるような外貨割当制度というものによって石油精製業秩序を保ってきておったわけでございます。外貨割当制度がございますと、その中における業界のそれぞれの競争は、相当激化しておる、相当激しい競争を行なってきた、こういうことに相なっておるわけでございますが、しかしながら、先般起こりましたスエズ動乱のときのごときは、明らかに他の業界にも見られないような、一致いたしまして船舶の過剰を処理いたした実例もございますので、まとまりの悪い点につきましては、今後やはり忍耐強く、将来まとまりのいいように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  さて、法案でございますが、これは全くこの法案を一覧いたしまして、政府の、当局の御立案に非常な御苦心があったことと、かように考えるわけでございますが、しかし、これまでの法律のごとく、政府が命令するとか、こうするのだというようなことはないわけでありまして、生産計画について変更の必要があるときは勧告をする、あるいは価格等については、標準的な価格を公示するというようなことでございます。もっとも設備の新設、増設、変更あるいは事業許可制ということはございますが、しかし、全体として見ますと、きめ手のないと申しますか、きわめてゆるやかなる法規であると、かように考えるわけでございます。もっぱらその法律運用が、事実上の問題として私ども業界に問題だと、かように感ぜられる次第でございます。  具体的に予想せられます事柄を一、二申し上げますと、たとえば、政府石油審議会の議を経て供給計画を定めなければならないわけでございますが、その供給計画を定められる一方、法の第十条で各石油会社は、輸入計画なり生産計画政府に届け出なければならないという項があるわけでございます。先ほど三村さんから、アラビア石油等の問題がお話がありましたが、たとえば、アラビア石油をどれだけ引き取るかというようなことも、輸入計画に入れなければならぬわけだと、かように考えるわけでありますが、石油精製業としては、できるだけこれを輸入するように努力をいたしますが、出たものは全部引き取れるかどうかという点に至りますと、これは目下、私ども業界において検討中でございまして、あるいは一千万トンという場合に、まあ六百万トンは引き取れるが、あとはどうも引き取れないとか何とかいう問題は、今後出てくることが予想せられる、かように考えられるわけであります。  なお、政府の定められました供給計画をこえて第十条の輸入なり生産なりの計画が各石油会社から出て参りますと、それの合計が供給計回を上阿るというようなことが予想せられるわけであります。外費割当がないのでございますので、それぞれが、私のほうはこれだけ輸入して製造いたしたいというような問題が出てくるのではなかろうかと、かように考えられるわけでございますが、これらの問題にあたりましても、政府が、一方的にこうしろという御命令をなさらないように、でき得る限り日本石油産業はかくあるべしという大もとのかじをとっていただく軽度で、企業自主性をでき得る限り尊重した運用を願いたい、かように考えておるわけでございます。たとえばアラビア石油輸入の問題にいたしましても、国産原油引き取りの問題にいたしましても、ひとつ忍耐強く寛大な目でごらんを願って、私どもが善意に基づく自主的な、かつ解決をなし得るような、ひとつ行政的な御指導をこの法律に基づいておとり願えれば非常にしあわせと、かように考えておるわけでございます。  なお、この法律そのものは、事業許可設備の新設、増設、変更許可、認可事項に相なっておるわけでございまして、石油業に対しては、ちょっと見ますと、相当な義務を課しておるということでございますが、石油は先ほどもお話がございましたが、外国から資本が入っておる、あるいは外国から金を借りておるというようなことで、原油はひもつきじゃないか、こういうお話でございますが、これまで昭和二十五年に太平洋岸の石油工場を再開せられまして、昭和三十五年までにおおむね二千七百億程度設備投資をいたしておるわけでございます。この間、鉄鋼とか電力その他と違いまして、全くこれは自前でやっていけということできておるわけでありまして、国家財政資金の援助は、港湾施設等に多少御援助を願ったというようなことに相なっておるわけであります。国内において資金の調達がかなり困難である、相当多額の設備資金を要しますので、やはり金利の安い長期にわたる借入金ができればということで、外資が入っておる。いずれこれは宿命でございまして、外国から原油を大部分買わなければならぬということに相なっております。しかも原油は、長期にわたって契約をするというように戦後相なってきております。したがって、その契約の一条項として外資を導入しておるというようなわけでございまして、外資を導入すると、どうも外国の走狗になって自主性を失うじゃないか、こういうことに相なりますと、まことに私ども立場としては苦しい立場に立たされるわけでございますが、いずれにしても、長期にわたり原油輸入しなければなりませんし、設備産業でございますので、相当な設備資金を所要といたしますので、今後とも政府におかれまして、石油産業の将来の設備資金、これは昭和四十五年に一億キロリッターというような倍増計画に基づく予想がございますが、これを精製いたしますためには、毎年約一千億程度の固定設備投資をいたさなければならないという計算が一応出ております。これらにつきまして格段の御措置をお願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお石油製品は、第二次戦後、消費地精製主義と申しますか、原油を持って参りまして、消費地において精製をする。日本もほとんどそれでございまして、国内精製で需要をまかなうというふうになって参っておるわけでございますが、今のところ多少、重油その他一部の製品の製品輸入があるわけでございます。これはまだ、外貨の事前割当が継続せられるというふうに承っておりますが、今後この事前割当が廃止せられて、製品の輸入もまた自由化されるというような場合におきましては、やはり国内精製会社が立っていきますように、原油、重油等の関税等、全面的にひとつ、またお考えをお願いいたさなければならないのではなかろうかと、かように考えております。  なお、この法案許可、認可、勧告害すべてにわたりまして、石油審議会が随時積極的に通産大臣に意見を申し述べることができるように相なっておりますし、諮問も受けることに相なっております。石油審議会の議が、重要な石油政策の今後の決定的のファクターに相なると、かように見受けられるわけでございまして、この審議会の議には、でき得る限り私ども業界意見が反映いたしますように、政府におかれましても、特に御配慮をお願いいたしたいと希望いたす次第でございます。  わが国の消費しておりますエネルギーとしての石油並びにそれに関連する石油化学というようなものの今後を考えますると、まことに私どもの持っております石油業の社会的責任は重要でございます。私どもといたしましては、いつまでも、まとまりの悪い業界であるという汚名は、なるべくすみやかにこれを返上していきたい、かように考える次第でございますが、しかしそれにいたしましても、とにかく伸びる消費に対して、国産その他を考え合わせて見ましても、何としても原油世界的な分布の状況が偏在いたします限りにおいては、やはり外国から輸入せざるを得ないことは明瞭でございます。したがいまして、この点につきましては、やはり安定して長期にわたって供給を受け得るような国際的環境のもとにおいて、私どもは物を考えなければならないのではなかろうか。やはり通産大臣もたびたび申しておられるようでございますが、国際協調の中において、私どもは長期安定を考えなければならないのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。  なお、直接本法案関係はございませんが、今申し上げますように、輸入するものは、すべてこれタンカーで輸入いたしておるわけでございます。本年のごときは、大体月間三百五十万トンないし三百六十万トンというような大量の原油輸入しておるわけでありまして、三万トン程度のタンカーが、毎日四はいなり五はいなりというものが、日本のどこかの港に到着しておるということでございますが、このタンカーの日本船による積み取り比率は、おおむね五〇%前後でございます。今後石油の需要が急速に伸びるに従いまして、現在の政府計画造船等では、やはり外船による積み取り比率がだんだん増大しはしないか。特に日本の輸出振興政策による輸出船に対する金融は、日本の船主が建造いたしますものより安い金利で日本でタンカーを建造する、その建造した外国船を日本がチャーターする、こういうことに相なりますので、日本の船主としては、まことに立つ瀬がないというふうにも考えられますし、運賃の支払いは貿易外の収支でございます、いわゆる英語でインヴィジブル・ファンドと申しますが、どうもインヴィジブルでも、相当巨額に達しまするので、これは全体の立場から申しましても、安定供給立場から申しましても、タンカーの建造に対しては、政府は特段の御措置をとられるよう私ども希望いたしておる次第でございます。  以上、私の陳述を終えたいと思うのでございますが、法律そのものについて大方の業界意見は、これを認め、ただその運用にあたりましては、運用のいたし方で、どうにもなるのじゃなかろうか、でき得る限り業界自主性を尊重していただくように、また審議会には、十分に業界意見の反映いたしますよう御配慮を願いたい、かように希望いたしておる次第でございます。  以上、陳述を終わります。
  6. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、東京電力株式会社常務取締役笹森建三君にお願いいたします。
  7. 笹森建三

    参考人(笹森建三君) 私、この席で陳述いたしますことになりましたことは、石油の大口の消費者として呼び出しをいただいたのかとも存じますし、それと同時に、電気事業としてもお呼び出しをいただいたのかとも考えております。したがって本来ならば、電気事業連合会長の太田垣が参りまして陳述いたすべきではございますけれども、本日よんどころない事情のために、私が出て参ったのだと存じている次第でございます。  今日、石油世界的に見まして生産過剰の状態でありまして、このような傾向は、石油の確認埋蔵量の増加状況から見まして、いわゆる原油生産確認量と、世界的なこれが消費あるいは需要との割り算において、いわゆる確認埋蔵寿命は年々歳々伸びていっている状況でございますが、こういう増加状況から見まして、今後とも相当長期にわたって、原油生産は過剰の状況が続くものだと私どもは予想しております。一方わが国エネルギーは、国内資源である石炭の生産に経済的な限界がございまするし、水力資源も必ずしも潤沢ではありませんので、今後のエネルギーの需要は、次第に石油に移っていくものだと私どもは判断しております。同時にこのことは、各方面で達成せられております諸調査においても、いずれも石油に対する需要は飛躍的に増加していくものと推定されているのであります。こうしたわが国石油事情は、経済成長に連れまして非常に大きく拡大していき、世界的に見ましても好個の市場となることが考えられます。このような状況下におきまして、今後石油エネルギーを低廉に、かつ安定的に確保して参りますためには、石油政策というものは、あくまでも自由主義経済体制を骨子として、生産者の自由競争と消費者の自由選択の原則に基づいて諸般の施策を実施していくべきでありまして、石油自由化に伴って心配される一時的な問題につきましても、あまりに急いでいろいろな規制を行ない、その結果、石油政策の基本的な方向を見失い、エネルギー・コストを高めるような結果を招いてはならないと考えております。  私どもからしまして、今後の石油政策の基本的な方向として希望いたしたいことは、第一には、石油業界の自主的努力によって適正な競争関係を維持していただきたいし、同時に、油種別需要に見合った合理的な確立を考慮した設備の大容量化、あるいは企業規模の拡大などを通じて、石油産業の健全な発展をはかることであります。  第二には、消費者の立場からは、自由選択の原則が貫かれ、安い石油を大量に入手してエネルギー・コストの低下をはかり、国際競争力を強めることであります。たとえば、われわれ電気事業は重油の大口消費者でありまして、現在使用しております重油の量は、わが国の重油消費量全体の約三割になっておりますが、今後重油専焼発電が増加しますので、その消費量は数倍の量となり、十年後には全重油消費量中に占める割合も五割に近い量になるであろうと思っております。われわれとしましては、この重油を安くかつ安定的に入手し得るかどうかということは、燃料費が電力コストの二割を占めるという点から考えまして、今後の電気事業合理化の最大眼目の一つであります。  第三には、石油政策を実施していく上におきまして、ほかのエネルギー、たとえば石炭の安定供給をはかるために、石油の経済性を犠牲にするというようなことは絶対に避けるべきであると思います。石炭対策は石油関係なく、別途合理化の推進なり、長期安定取引などによって行なわるべきで、これについては、電気事業も現実に大いに協力しているわけであります。  以上、申し述べましたような石油政策に対する考え方に立ちまして、次に、石油業法案に関しての意見を申し上げたいと思います。  第一点は、本法案の性格ないし存続期間についてであります。この法案は、本年秋に予定されている石油自由化に対処して、業界混乱を防止し、供給秩序の維持をはかるために考えたものでありまするが、先ほども申しましたように、わが国石油市場が急速な拡大期にありますことからも、原則として、このような法的規制は望ましくなく、できるだけ業界の自主調整によるのが、自由化の趣旨からいっても本筋であると考えます。また、このような統制的な法律ができますことは、他の産業に与える影響からいっても、決して好ましいことではありません。しかしながら、現実の問題として、アラビヤ石油などの引き取りを円滑に行なって行くためには、不幸にして今日の特殊事情からしまして、業界の自主調整のみによることも困難な実情にあるように思われますので、ここ当分の間、何らかの立法措置を講じて、これを調整することもやむを得ないと思うのであります。しかしながら、この場合におきましても、法的規制をあくまでも当面の過渡的措置という意味で、数年間の期限に限定した時限立法とし、また、規制の内容も、あくまでも石油需給の安定を中心とした最低限度のものとしていただきたいと思い、しばしば関係当局に要望して参ったのでありまするが、今回、政府原案の附則第四条から、「緩和又は廃止の目的をもつて」の語句が削除されたことは、これによって、従来私どもの主張して参ったことから、一そう隔たることになるのでありまして、石油については、自由経済を基調として将来行くべきであろうという、私どもの基本理念から考えて、はなはだ遺憾に思っているところであります。自由経済と申しましても、今日私どもは決して過当競争によるダンピングとか、あるいは一部企業による市場の独占支配といったような事態を心配する必要はないと思っております。また、石油の安定供給ということは念願すべきことでありますから、アラビア石油等国産原油の使用も、当然考慮すべきものであります。幸いにしてわが国石油消費量は、年々増大する傾向にあるのでありまするから、これらの問題の処理は、若干の時間さえかすならば、消費者もまじえた関係業界の協調によりまして、自主的に解決し得る問題なのであります。私ども石油については、将来自由経済を基調として十分合理的な処理ができて行くものと確信しておりまするがゆえに、当面の処理に対しては、暫定立法で処理されることを重ねて切望する次第であります。同時に、先ほど三村会長さんからは、経団連の決議が、あたかも石油業法を全面的に支持するかのごとき印象を受ける御発言がありましたが、私のこの手元にありまする経団連の最後の記録を見まするというと、必ずしもそうでないようであります。で、この際、恒久的な規制措置を内容として立法を行なうことは適当でない。これらの観点から、当面、有効期限を明確に限定した暫定的立法措置を講ずること云々ということが、経団連の最後の記録で私の手元にございますので、一言申し添えたいと思っておるのであります。  次に、第二点として申し上げたい点は、設備の新設の許可についてであります。この法案の第七条では、石油精製設備の新増設については通産大臣の許可が要ることになっておりまするが、石油については、将来大口の需要者につきましては自家精製、あるいは自家精製に準ずるような設備を設置することがあると考えられます。このような場合、その設備は、一般の販売を業とする一般精製事業者とは趣きを異にすると考えられまするので、その設置については許可を必要としないことにするか、あるいは、さような措置がどうしても困難な場合には、通産大臣の許可の基準を一般精製会社の場合と区別して、実情に沿った取り扱いができまするよう、考慮願いたいと存じます。  第三点としましては、石油審議会についてであります。石油業法が暫定立法である場合におきましても、これを民主的に運用していく上で、この石油審議会のような機構はぜひ必要であり、非常に重要なものであります。したがって、この審議会の場に石油業界石油消費産業その他の関係業界意見が十分反映できるよう、審議会の委員の構成や、その運営について特に御配慮いただきたいとお願いする次第でございます。  以上、はなはだ簡単でございまするが、陳述を終わることにいたします。委員長武藤常介君) 次に、エネルギー懇談会委員の徳永久次君にお願いいたします。
  8. 徳永久次

    参考人(徳永久次君) 先ほど来、関係業界の皆さんから御意見が出ておりまして、おおむね原案賛成、それに若干、運用その他について御注文がついておるような経過でございますが、私の立場というのは、先ほど委員長から御紹介いただきましたように、エネルギー懇談会委員をいたしておりまして、実は本法案が立案されます際に、エネルギー懇談会にも諮問されまして、私ども、お手元の国会から頂載しております資料の中にもございまするが、エネルギー懇談会として、石油政策に関する意見というものをまとめて出しておりますが、その中の多数説というのは、石油業法を作るべし、内容はかくかくのものであるというようなことでできておるわけでありますが、実は私、その多数説の委員の一人でございまして、でき上がりました法案は、その後関係業界政府で、いろいろと折衝されまして、さまつな点といっては語弊がありますが、いろいろ気を配って、全然同じものであるとは思いませんけれども、大筋は生かされておる法案でございまするし、さような意味で、私も、この法案は、私どももいわば関係者の一人というような立場にある法案でございまして、きわめて時宜を得た法案ではなかろうかというふうに思いますわけです。そう申しますと、話はそれきりになりますが、実はエネルギー懇談会委員をさせられます前に、昨年秋、通産省で、その前から自由化対策に、石油をどうやったらいいだろうということを前々から勉強もしておられたわけでありまするけれども、いよいよエネルギー懇談会を設けて、その対策の検討に入られたわけでございまするが、なお欧州その他で石油に対して、いろいろな政策をとっておるというようなことで、それを勉強に関係業界行ってもらうということになりまして、精製業者——精製業者もいわゆる外資系の人、それから国産系の人、それから石油採掘関係業者の代表、それから大口の需要者として、電力業界の代表の方、それに有澤先生を初めとしまして、数名の中立委員と申しまするか、というようなもので、欧州の市場を調べに行かされたのでありますが、私もその一人として実は参りましたわけでございまして、その答申も、欧州石油調査団の報告も、いわゆる中間報告として資料がお届けしてございまするが、この中で、私ども各国を見て回りまして、それぞれニュアンスは違います。たとえばイギリスとか、ドイツでは、石炭と石油との調整について、あるいは関税あるいは消費税という形で、ある調節をとっておる。しかし、その中で、さらに詳しく言いますれば、ドイツの場合は、関税と消費税で両者の関係を規律しながら、あとは完全な自由競争というような形に動かしておる。イギリスの場合は、同じく関税、消費税で石炭、石油関係を規制し、調和をはかっておりまするが、石油そのものについては、電力が国営であるとか、あるいは石炭も国営であるとかというような形、あるいはイギリスにおける石炭の産炭地が、全国的に散らばっておるというような事情とかもありまして、石油精製業には直接制限拘束は加えておりませんけれども、実質的には石油精製業のありようというものは、必ずしもドイツのように自由競争的でないというような状況かと思います。それからフランス、イタリアはやや趣きを異にいたしまして、相当強度な国家規制をしておるというのが現状でございますが、それもまた詳しく申しますと、内容が違いまして、フランスの場合には、生産輸入販売精製、あらゆる面に、強力な国家統制があり、それから別途国内資源及び海外石油資源開発に強力な国家の資本による特殊機関があり、しかも、その特殊機関は、従来の外国石油資本と共同で資源開発に当たっておる。まあその結果、御承知のとおり、サハラあるいはフランス国内において非常な石油資源の発見によって、フランスが、ある意味でフランス国家のよみがえりの力を得たというようなことにもなっておりますわけでございますが、イタリアにおきましては、法律がございまするが、これは古いといいますか、イタリアの国家社会主義時代のなごりとしての法律があり、しかしそれはなごりでありまするから、全部生きたままで使われておるというわけではございません。法制的には相当強度のものが、生産販売輸入について規制がある。ただ、運用は、ある部分においてはきわめて寛大であるが、しかし、別途強力な政府機関がありまして、それがポー川流域の天然ガスの独占権を中心とした、それから稼ぎ得る多くの利潤を元にしまして、石油そのものにつきましても、国内及び海外石油資源開発に努め、また精製業を直営し、それらを通じてイタリアは、将来といいますか、現にそうでございまするが、将来を見渡した場合に、国内で消化しきれないくらいの資源というものを確保し、それを欧州各国に売りさばこうという準備をしている、さような段階にございまするが、そういう工合にいろいろニュアンスは違っておりまするけれども石油産業について欧州の、いわゆる私どもが見て参りました英、独、仏、伊四カ国が、歴史的その他いろいろな事情も違いまするけれども、相当の国家的な規制を加えている。その規制を加えている背景を、しからばどういうふうに理解したらいいのかということでございまするが、一つは、このエネルギー部門におきまする石油と石炭との大きな変化と申しまするか、内容的にいいまするならば、将来のエネルギー源として石油が決定的な力を供給の量及び価格において持とうとしている、それを否定するわけではないが、しかし現実のそれまでのエネルギー源の大宗であった石炭、石炭産業との調整と申しましょうか、調整にある種の苦心を、苦労というものを感じているということ、まあその立場から見て、ドイツとかイギリスとかいうのは、そこに重点があった政策というものになっておりまするし、イタリアの場合には、その面はあまり顧慮しないというようなことかと思いますが、それからいま一つは、石油産業の過去におきまする支配力といいますか、世界的な供給体制の、いわゆる国際資本の支配力と申しまするか、さようなものに対して、国としてある種のエネルギーの中枢である石油に対して安定的な、また低廉な供給の確保ということのために、全然国家規制がなくていいかどうかということに対する疑問から、ある種の規制を加えようとしたと同時に、反面、自国の力といいまするか、自国の経済力、自国の国家資本をもとにして、みずから石油を持とうと考えてやっているのではなかろうか、まあさような気がしたわけであります。各国、それぞれ背景も違いまするし、事情も違いまするし、したがって、やっている政策もニュアンスがございまするが、それらの背景になったのは、今言ったようなことではなかろうかというようなふうに感じておりますわけであります。もっとも欧州でも、いわゆるこのごろ新聞紙上騒がれておりまするEECの経済統合ということから、各国のニュアンスの違い、石油政策に対する各国の政策の違いというものを、今後いかように調整したらよろしいかということは、一つの大きな課題になっておりまして、各国それに対する統一対策を立案中と申しまするか、協議中と申しますか、という段階で、これはどういうふうに変化しまするか、未定のものでございまするが、しかし、数年のうちに、ある種のまとまりというものが出るのではなかろうか。そのときに石油産業に対する、いわば自由国家群の対策のありようというものが、ある形をなしてくるのではなかろうか。まあ私ども将来、数年後のありようというものも、ひとつ興味をもって、まあ、見るに価するのではなかろうかというような印象を持ったわけでございます。  さような欧州の石油事情でございまするが、日本の場合に考えてみますると、先ほど、関係業界皆様からいろいろございましたように、自由化、本年十月の自由化というのは、いわば日本の経済政策、あるいは対外経済政策の基本路線の最も重要な一つということになっておりますわけでございます。それにもかかわらず、現実の問題としました場合に、幾つかの問題をかかえておる。国産原油をどうするか、アラビア石油をどうするか、あるいは重油の価格と石炭価格との関係、あるいは日本ではガソリンが安過ぎて重油が割高といいますか、というふうに聞いておる、いろいろな事情、それから石油精製業界内部におきましても、立場々々の違いから、議論がなかなかまとまらないとかいうような、もろもろのむずかしい問題を当面かかえておりますわけであります。それが、理想は理想としまして、自主調整という形で片づくか片づかないかというような目先の問題として考えましても、手放しの形においては、自由化イコール石油業界の大混乱といいますか、ひいては関係業界にいろいろなヒッチを起こすというようなことが十分予測されるというのが現在の段階、事情ではなかろうか。さりとて法律で、フランス、イタリアのような強固な規制のありようというものが、日本の国情に合うか合わないかそれから長い意味でのいわゆる自由企業体制のよさというものからの問題もありますわけでございます。そこらの点をあんばいした法律といいますか、これは別な言葉で申し上げるならば、石油産業内部のみならず、関係業界、いろいろ開運もあるエネルギー産業、大事なエネルギー部門であります石油につきまして、この法律をもとにしながら、先ほどどなたかからもお話がございましたように、業界全体が、業界内部の協調あるいは国の経済全体との配慮という、いわば良識と申しますと簡単な言葉になりますが、をもって措置されるための場を作る法律といいますか、そういう見方もできるのではなかろうか、最小額、そういうものが要るのではなかろうか。そういう目的から見まして、この法律というものは、見方によりますと、ゆるいというふうにごらんになるかもしれない、見方によりますと、きついというふうにごらんになるかもしれないが、私どもエネルギー懇談会委員として、いわばこの法律関係者の一人でございますが、ある意味では、自画自賛になりまするけれども現状としては、ほどほどにできておる法律ではなかろうか、さような実は私ども気がいたしておりますわけでございます。  一応意見として今のことを申し述べておきまして、なお、お尋ねがございますれば、お答えさせていただきたいと思います。
  9. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 以上で参考人意見開陳は終わりました。  これより質疑を行ないます。参考人に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 三村さんと南部さんにお尋ねしますが、探鉱活動について、私も実は日本の戦前、欧米各国の戦前の石油の出る量と、今出る量の相違を調べてみまして、特にイタリア、フランス、ドイツ等がけたはずれな、しかも集中的な持続的な投資をやって、たいへんな量を国内でも——サハラは別ですが、国内でも出しておるので、日本でも資源の自由化を控えて蔵ざらえをするというような意味で、画期的な大探鉱をやってみたらというふうに思うのですが、たいへん増資にも苦労されておるようですが、そういうことをやってみて、専門家とされて、まあ探鉱費用に比例するというようなこともあったのですが、海底油田とか、そういうことの将来性というようなものはいかがなものでしょうか。その点についてお伺いしたい。  南部さんにお伺いしたいのは、たいへん自由化を控えて、国産原油や準国産原油アラビア、スマトラ産等の引き取りにたいへん心配しておられるようですが、一体どっちが原因で——ただいま申されましたように、たいへんな精製設備をして、外資の協力を得れば——私は応分の増資、出資あるいは借款の協力を得れば、国産原油や準国産原油の全量引き取りができるというふうにも思っておったが、必ずしもそうでもない。先だってもスマトラのやつを聞きますと、ハットンからは三菱さんや丸善さんは二ドル十三セントで買っておかれながら、同質のものを一ドル九十セントくらいにせよと、スマトラに引き取り精製会社を持たないことを理由にして申しまして、そうしてそっちをたたいておいて、 ハットンに、北スマトラはこうしたからハットンもこうせよというような手段に使われている。精製設備を持たぬ弱さというものが一番出ているように思うのですが、先に一千万トンアラビア石油が出ると、でも六百万トンぐらいとれる場合があるかもしれぬが、必ずしもそうでないかもしれぬしというようなことを申されたんですが、その辺は国際契約の取りきめ等のためでしょうか、外からのいろいろな圧力等もあってでしょうか、商業ベースに乗りさえすれば、まあ国産、準国産を優先的に何とかこなし得るものでしょうか、買収機関なしでもやれるものでしょうか、その辺ひとつお聞きしたいと思うのです。それからまあせっかく自由化しても、こういうことをやればあまり意味ないんじゃないか、ところがそういわれる業界、必ずしも一致してないということでしたが、ソ連石油については制限をしてくれというような意見もあるし、その辺少し得手勝手と申し上げては恐縮ですが、だいぶ御都合主義のようなこともあるし、その辺業界のいろいろな事情もあるでしょうが、買い取り機関なしでもやれるものか、一千万トン出ても、六百万トンぐらいしかとれないという理由は一体どこにあるのでしょうか、その辺の考えをひとつ……。
  11. 三村起一

    参考人三村起一君) ただいま中田先住のお話でございますが、大体石油資源会社ができましたのが、三十年の十二月一日からでございますが、いわゆる第一次五カ年計画政府出資、並びに民間出資は主としてこれを探鉱費のほうへ向けたのでありまして、百四十二億くらいになっておると思います。それで開発をしましたものが、三十年はもちろんゼロでございます、三十一年も。三十二年は——ゼロからスタートしたものですから、三十二年には二千キロリットル、三十三年が一万四千キロリットル、三十四年は五万八千キロリットル、三十五年は二十一万三千キロリットル、三十六年は四十一万三千キロリットル、こういうふうに飛躍的に増産して参りまして、ガスもそれに連れてふえて参っております。したがって、五カ年計画実績は、国産石油が百万キロリットルということでございましたが、これはガス換算いたしまして、既存の石油を入れましてですが、百数十万キロリットルに達したものと存じます。したがって、予定の線ははるかに突破したものだと思います。  ですから過去、先ほど申し上げましたとおりに、九十年間に百万トン以上出した油田が、八橋、黒川、東山、西山、新津、院内等六カ所でございます。十五年に一カ所ということでございますが、この五カ年間に石油資源開発しました、あの百万トン級と見られるものが——これはまだ数年間ですから、百万トン出したわけではございませんが、百万トン級と思われる巨井を含んだ油田が秋田県の中川油田、それから新潟県の見附油田、それから秋田沖の大陸棚の土崎沖油田、それからまだこれはそこまで確たることは申されませんが、山形県の余目、並びに帝国石油開発された頚城油田、こういうふうに、五カ年の間に四つから五つくらいの大きなものを発見しております。なお、新潟県の見附油田は、昭和三十四年の三月二十九日に噴き出しました、いわゆる第十一号井という大巨井が出まして、これはわずかに二年間にすでに八万トンの油を一本の井戸から出しました。これはわが国の歴史的に見て初めてのことであります。  そういう巨井も出得るということ、しかもそれが凝灰岩の中から、ことに火山のラバーと申しますか、その中からそれだけのものが出たということは、これは全く画期的なことでありますので、従来、火山岩に到達した場合には、もうだめだと思っておったのが、幸いにしてシュランベルジャーのあの電気検層機を、日本に二つ基地を作りまして、フランスから導入いたしました最新の科学的電気検層機でもって、やった結果、火山岩の中に大きな油層があるということを発見いたしました。それでビットの減るのもかまわずに、それはもう先生のほうが詳しいのですが、掘った結果、凝灰岩九十メートルの間に含油層が一ぱいありまして、そうしてその中から大きな油が発見された、のみならず、すでに今二十何坑か掘っておりますが、ほとんど十一号井、それまではガス層でありますけれども、十二号井からあとはりっぱな油層に当たってきております。見附油田は大きなものだと思いますが、頸城油田は私はよく存じませんが、帝国石油で最近発見されて八橋をしのぐ大油田だということであります。でありますから探鉱資金を投ずれば相当のものがまだ日本にあるのだと思われますし、ことに日本の陸上に比べて、七〇何パーセントもあるだろうと言われておる大陸棚の開発については全く手がつけられていなかったのに、これはピアックが報告されたことによって十一億の巨費を投じた、例のルトーノー式の海洋掘さくによって掘った結果、あるかないか全然わからないと言われたところにりっぱな油層が八橋油田と並行して発見されております。でありますから、それからずっとわれわれが海上を探鉱しただけでも、北は秋田県から新潟県まで数カ所大きな構造がでてきておりますので、われわれは非常に有望だと思いますので、結局探鉱資金を投ずることだと思うのであります。先生方がお作りになりましたこの法律によってできたこの会社が、数年間まずまあ不良少年でなく、前途のある青年らしくなってきたのでありますが、どうかひとつよろしくお願い申し上げたいと思うのであります。
  12. 南部政二

    参考人南部政二君) 中田先生のお話でございますが、一体お前たちは製油工場を持っていないのを奇貨おくべしとなしていやがらせを言うんじゃないか、こういうことで、毛頭そういうことはございませんので、私ども北スマトラ石油のそれぞれ株主でございます。まあ商取引の実際の交渉の途上におきまして、先生がお話になりました、あるいは一ドル九十セントというようなお話が出ているかもしれませんが、しかし一ドル九十セントでなければ買わぬというようなことではないのでございまして、いずれ落ちつくところへ落ちつきますし、これはもう北スマトラのものにつきましては全量引き取ることに毛頭依存はない、かように御了承願いたいと思います。ただ値段の点につきまして、これは引き取り状態といたしまして、石油業者は今日までのところ外貨割当の数量のプロラタであれを引き取る、北スマトラを引き取るということになっておりますが、事実上の問題としてたとえば二千キロとか千五百キロとかいう端数が出ますと、やはり二万トンなら二万トンのタンカーで持って参りますと、それを国内でさらに小さな船に積みかえてよそへやるというようなことがちょっと困難な問題でございますので、その間のやりくりと申しますか、お互いにプールをするなり、あるいは交換をするなり、あるいは近い工場、二工場でちょっと荷を動かして荷役をするなりというようなことで、片をつけるということで、目下努力をいたしております。ただ自由化に相なりましたときになりますと、あそこの原油の成分そのものは御存じのごとく非常にガソリンの含有量の多い、ガソリンを五〇%ぐらい取りますと、あとはほとんどA重油でございますし、それ自体硫黄分も少ないというようなものでございまして、たとえば石油化学の材料をとるというようなことには非常によろしいわけでございます。したがいまして会社としましてはもっとほしいというところもある、かように考えておりますので、自由化が行なわれました暁は、通産省当局とも私どもの内情をお話し申し上げまして、何らか引き取りの方策を、従来の外貨割当によるプロラタということでなしに、合理的な配分方法、引き取り方法を研究いたしたい、かように考えております。  それから第二は、国産原油、準国産の、日本国内で出ます三村さんのほうの原油でございますが、これも私どもも株主でございますが、これはどういたしましても、今のような原油の到着価格が大体平均いたしますと五千三、四百円くらいで、関税その他を入れまして入ってきているわけであります。それから考えますと、千五百円ないし二千円どうしても高くなくては三村さんのほうでお困りだと、かように考えるわけであります。買うほうからいきますと、わざわざ出資をして千五百円、二千円高いものを買わなければならぬのかと、こういうことに相なりまするので、これは私どもから申し上げますと、やはり三村さんと同じでございまして、石炭と同様に、あるいは日本の金属鉱山と同様の観点で、その資源の散布状況が貧弱なわけでございますので、高くつくことも万やむを得ぬ。あるいは何かその辺で石炭に対しますように国内資源開発について政府で特段の御措置を願って、やはり商業ベースで取り引きができるような状態になれば、これはもう毛頭異存はございませんし、せっかく国内で出ますものでございますので、できるだけこれは全量お引き取り申さなければならぬと、かように考えております。  アラビア石油の点でございますが、先ほど私六百万トンくらいと申し上げましたのは、全くの例でございます。例でございまして、何百万トンならば引き取れるかということは、私案は今明言をいたしかねるような事情でございます。業界内部におきまして、なるべく早く引き取り可能の限度を出したいと、かように目下努力いたしておる次第でございますが、今日までのところ、大体月間十四、五万キロリットルでございますので、これはそれぞれ順調に引き取ります。この四月から六月までの期間もおおむね数量は十四、五万キロ、六月が十八万キロでございますが、というようなことでございますので、これはもう片づけておるわけでありますが、七月が三十万キロ、八月が四十万キロ、九月が五十万キロ、十月以降は月間八十万キロ、八十万キロとなりますと、年間一千万キロベースに相なるわけでございます。そこで七月以降の要するに三十万キロ、四十万キロになりましたときに、その全量を国内で引き取るか引き取らぬかということでございます。何ゆえにそういう問題が起きるのかという中田先生のお話でございますが、それぞれの会社事情もございまして、ある会社は外資提携のために、一〇〇%お前のほうから原油を買うというところもあるわけであります。しかしその会社でも、従来アラビア石油を引き取っておるのが実情でございます。これは行政指導によりまして、引き取っております。それからすでにそういうこととは別に、契約によってその所要原油の八〇%なり九〇%なりをすでに手当済みのところがございます。これは私契約上の問題でございますが、したがいまして、その余分だけしか引き取り得ないというようなところもあると、かように考えます。  さらにもう一つの点は、アラビア石油の産出します原油は相当に硫黄分が多いわけでございます。かつ十六、七%ガソリンをとりますると、あとは大体燃料、C重油になるわけでありますが、そのC重油はほかの原油から取りましたものと混合をいたしませんと、硫黄分の含有量が多いということになりますから、笹森さんあたりのところでは、特に発電用等の重油については、硫黄分の含有量の多いということをたいへんお嫌いになる、当然でございまして、設備そのものの腐蝕を早めるというようなことが考えられるわけでございます。したがいまして、ガソリンを一六、七%とって残りは燃料になる、しかも相当に硫黄分が高い、他の原油とやはり混合して製品として出さなければならぬというような技術上の制約もあるわけでございます。これらを総合いたしまして、それぞれの会社で今後生産計画としてどれだけこの原油引き取り得るかということを、まあ自発的にひとつ各会社からとりますように、目下手配を私いたしておることでございます。なるべく多く引き取りたいということはみな考えておるわけであります。それら諸般の点を総合いたしますると、出ただけは全部引き取れと、こうきますと、どの商売でも作っただけは全部売れるんだという商売はこれは世の中にちょっとありませんので、やはり合理的な需要にマッチした生産をしていただかなければならないんではなかろうかと、まあ買い手のほうから申しますと、そういうことに相なるわけでございます。  ソ連原油を制限したらいいじゃないかという、どうも多少身勝手だぞと、こういうおしかりでございますが、確かに多少身勝手だと思います。ただ、ソ連原油につきましては、いろいろの観点もございましょうが、ヨーロッパにおきましても、ソ連原油の取り扱いにつきましては、先ほど徳永さんおっしゃいましたEECにおいても、相当な将来の石油供給上の問題点として考えておるわけであります。現在のソ連の自由諸国への輸出は大体年間二千万キロ程度と私ども了解しているわけでありますが、この原油そのものは、日本への到着価格は常に従来私どもの買っておりますものより安いわけでございます。しかし、これはいつ値上げがあるかもわかりませんし、あるいは安けりゃいいじゃないかということでございますが、やはり全体としての安定供給の観点からいきますと、おのずからソ連から輸入する原油の数量を無制限にしておくことは適当ではないではないかと、こういうように業界の者は考えるわけであります。今後のソ連原油輸入等につきましては、一致した見解はとうてい出るとは思いませんが、以上申し上げましたようなことで御了解をお願いいたしたいと、かように存じます。
  13. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 南部さんにもう一点忘れましたけれども、何か石油連盟で、買い取り機関ですか、ソ連原油の出光さん、だいぶ抵抗しておられるやに新聞で拝見するんですが、出光さんのこれまでやっておられる既得権を認めて、あれを今度ソビエトとの協定で、三百機らですか増量分に対しても既得権をスライドしていくような形で認めて、ソビエトのものも含めちゃった買取機関という構想もあると思うんですが、既得権を認めてもいけない事情ですか。その辺の呼吸はどうなんでしょう。  それと、ついでですから笹森さんにお尋ねしますが、電気料金がきめられて頭打ちになっている点もわかるんですが、そういう事情が非常に強く作用して経済性というもので貫かれているように思うんですが、一月の初めに出されました電力界の総合エネルギー政策というもの、大体その線に乗ってお述べいただいたようですが、電気料金は国際的にはたいてい低いし、そういうものも再検討するということも考慮しながら、やっぱりドイツやイギリスのように石炭と石油というものを関達して考えてみるべきじゃないか。そしてやはり中近東やサハラにたくさん推定埋蔵量があるということは必ずしも即安定供給ということにも、まあアクシデントもあるでしょうし、ならぬと思うんですが、そういう点では、やはり石炭、国産原油というようなもの、同時に少しコストは高くなっても水力発電というようなものをもっと政府のいろいろ手当等も受けて、エネルギー・コストを安くするということも大切ですが、特に公益事業としてはそういう配慮をしていただいたらと思うんですが、あまりにも電気料金が頭打ちしているという一点、よくわかりますが、もう少し公益事業の見地から、国民経済的な広い考量をしながら考えていただいたらと思うんですが、いかがでしょう。
  14. 南部政二

    参考人南部政二君) 中田先生にお答え申し上げます。買取機関の点でございまするが、これはまだ私どももよく勉強もいたしておりませんのでございますが、先般衆議院におきまして買い取り等を行なう特殊機関というような附帯決議がおありのように承っております。つきましては、どういうことで買い取るのかしらんということで実は目下とまどっておるわけでございますが、御質問のように出光さん——特殊の名前をあげてかれこれですが、出光さんの既得権を認めればソ連原油も含めていいのかどうかと、こういう点が一つの御質問だと思います。これは既得権を認める認めないというところまで話はとうていまだ参っていないのが実情でございますし、それからもう一つ考えなければなりませんのは、その買取機関へ安いソ連原油を入れてプールをすれば安くなるじゃないかという考え方もあり得るわけでありますが、いくら安くてもソ連の原油は買わんというのも、これはあると存じておるわけでございまして、その辺のことは私きわめてむずかしい今後の問題ではなかろうかと、かように考えます。それから買取機関の場合でございますが、買取機関をつくったがために精製業者の取得いたします原油価格が高くなったのでは、これはまことに困ることなんで、さりとて買取機関ができますれば、何がしかのやはり経費も必要とするということに相なりますが、一面山下さんのアラビア石油ということでは、これはもう全くのプライベート・カンパニーでございますので、差別待遇はいたさないという通商航海条約の原則からいきますと、英米の油でも同等に取り扱えという論が出ると困りますので、論者によりましては一応日本政府の国策というスタンプを押してレッテルを変えていったほうが引き取りいいという意見もあるわけでございます。いずれにいたしましても、買取機関そのものの財務的な基礎がやはりはっきりした見通しのもとに行なわれなければならないと、かように考えて目下勉強をいたしておるのが実情でございます。
  15. 笹森建三

    参考人(笹森建三君) 電気料金の頭打ちのことにつきましてきわめて御同情あるお言葉をいただきまして、ありがたく思う次第でございます。私どもは、電気料金の中における合理化というものを非常に強く要望されております。したがって、原則的に申しますれば、やはり発電原価の二割を占める燃料ということにつきましては、原則的には自由選択というものを強く希望しているわけであります。これは実例をアメリカの例と比較してみまして、ニューヨークのたとえばコンソリデーテッド・エジソンのごときは、毎月その燃料費を天然ガスと石炭と重油と三つについて、消費量、支払金額——BTUで言っておりますけれども、その比較を公表しております。それを見まして彼らのやり方の自由選択はまことにうらやましいと思って見ているのでありまするが、それは大体キロカロリー当たり五十銭で購入しているのであります。石炭が四十八銭見当、それから天然ガスが五十銭、それから油のほうが四十九銭、そういうふうな三種類のものが、幸いにして彼らは条件に恵まれておりますために、適当にそれを選択して使っております。ことに過去の数字を見ますというと、スエズ運河のときにはさっと油から天然ガスとそれから石炭に転換して、そして生産コストの高騰を防ぐということをきわめてすばやく実行に移しているのであります。まあそういう姿がありますれば、はなはだ私どもとしましては企業内部の合理化の問題におきましてけっこうだと思うのでありますが、不幸にして日本の自然賦存の状況が彼らのような条件では参りません。その点におきまして、先ほど先生からお話がありましたが、石炭と石油との総合的な使い方において国民経済立場から云々というお話がございました。おそらく電気事業ほどそういう立場から石炭と協力しょうという産業はほかにないであろうと思います。長期にわたっての引き取りの数量というものはすでに協約、話合いが済みまして、そして実行に移っているところでございます。私どもそういう点から、実際がそういう動き方を現在しているわけであります。  次に、水力発電のお話がございましたけれども、これは御承知のように現在の料金から参りますと、経済開発個所に困っているわけでございまして、この点につきましてはいよいよ不経済な山奥の開発にあたっての問題が数個ございますが、たとえば補償料の問題がございます。あるいは附帯設備の問題がございます。たとえば近路のごときも、開発のためにつけた近路が結局最後においては国道になりあるいは県道になり、そういうものはやはり開発にあたっては電力会社が自身の費用において、建設費においてこれを開設しなければならないというような問題もございますし、あるいは資金の調達の問題があり、同時に資金の量のほかに質の問題がございます。そういう問題がございますので、現状においてこういうふうな問題が解決しない限り、積極的に動くということがなかなかむずかしいというのが現状でございます。
  16. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど各参考人から御意見を述べていただいたわけですが、南部さんも大体この法律は限時法にすべきだという御意見であったかのように伺うのですが、エネルギー懇談会を代表して来られました徳永さん、これはまあ原案を作ってきた人として同様の御意見を述べられたのでなかろうか、その辺を伺いたい。というのは、原案は附則で、「緩和又は廃止の目的をもって」云々ということで、いわば限時法的な精神が入っておりましたが、衆議院の修正でその限時法的な精神というものはなくなったというふうに考えられるのでありますが、先ほどお述べをいただきました中で、南部さん、徳永さん少しはっきりされていない点がありますが、笹森さんは限時法とはっきりおっしゃったように記憶しております。お二人に、南部さん、徳永さん、もう一ぺん恐れいりますが。
  17. 南部政二

    参考人南部政二君) 業界意見全体がそうであるとはちょっと申し上げかねるのでございますが、大勢としては時限法であってほしいというのが大勢でございます。かよう私判断いたしております。
  18. 徳永久次

    参考人(徳永久次君) エネルギー懇談会意見というのは、御意見でございますように、問題の性質から見て、考え方からいうなれば、恒久法であるべしというのが答申の線でございます。ただ政府原案を作りまして今出されております案では、状況によって再検討するという案が出ておりまするが、これは政府としましては、エネルギー懇談会意見もある程度尊重してされたことと思いまするけれども、しかし実際問題として考えてみまして、これはこの法律、通産省いろいろ苦労なさったろうと思うのでございますが、石油特殊事情、と申しますと語弊ございますけれども、石炭の問題は日本の各経済界がみなよく知っておる、平たく申しますと、よく話がわかるわけでありますが、石油事情はなかなかわかりにくい事情がございますので、ある意味では石油業界の経営者グループが他産業との折触の面で石炭ほどではないというようなことも影響したかと思いますが、そういう背景が一つ。それからいま一つは、政府がそういう背景のさ中で石油業法を作りまして、石油業界あるいは開運業界意見を求めたわけでありますけれども、民間側では石油事情の特殊性から、政府の考えていることは石油事業の特殊性から基本法であって、恒久法であってしかるべしと、しかしながら、それはあらゆる産業について石油業法類似の業法を作ろうという意味ではないということなんでございますけれども関係のない業界から見ますると、石油業法の成立というものは、他の産業にも事業法ができるんじゃなかろうか、そのはしりじゃなかろうかというような疑いを持たれたりというようなことがあり、さりとて今までよくわからなかったが、この法律の提案に、議案の成立にからんでいろいろ聞いてみると、石油業界には何らか法律が要るそうであるというようなことで、しばらくはいいだろう、恒久法までは納得いかぬがというような声が大勢であるわけです。そういうところ、しかも政府としてはこの法案を作り上げる——十分関係者に一人一人の人に説得し、説明する時間的余裕も乏しかったというような事情がございまして、まあみんな関係者の了解も得なければいけませんし、そういう関係者の中で本件の事業法は他産業に波及するものでないということは、なかなか説得しにくいという事情もあって、ここに先々では再検討しますよというような、なかなか実によくできた成り行きといいますか、苦心の策であろうと私ども見ておりますわけでございます。と同時に、また別の角度からいいまして、私、先ほど最初に一、二申し上げました際に、欧州の成り行きといいますか、というものも今はやはり一つの過渡期でございまして、これが数年後にある形をなそうかとも思います。今世界石油業界はいわば一つの全体として見て転換期でございます。それに即応して国の施策もある意味では過渡期とも大づかみに言えようかと思いますけれども、そういうものの落ちつきを見て、日本としても振り返ってみて考えるという余地のあることは、客観的に見てもある意味ではより望ましいことであるということも言えようかと思いますわけで、そういうこととあわせ考えますと、原案ははっきり時限立法という形をとっておりませんが、しかし価久法とも断定していない。少なくとも案の内容は、経済情勢の変化に応じて再検討するというような形になっておりまして、経緯は今私が言ったようなことであろうかと思いまするが、結果としても妥当なところになったのではなかろうか、そんな気が、私、いたしております。
  19. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 徳永さんにもう一ぺん念を押しますが、そうしますと、限時法ではないが、再検討条項を付け加えた、説得する時間もなかったし、それから国際的にも、石油政策と申しますか、あるいは石油を中心にしたエネルギー政策についての、欧州等、過渡期であるから、先ほど最初の陳述にEECの動向もありましたが、国際的な方向も勘案しながら再検討をするという苦心の作になったのだ、こういうお話であります。そうしますと、附則が変更をされたけれども、その再検討条項は残っておって、内外の石油事情、あるいはその他の経済事情の推移に応じて、この法律に再検討を加えるという再検討条項としては、衆議院の修正にかかわらず、残っておるのだ、こういう御解釈、御意見と承知をしてよろしゅうございましょうか。
  20. 徳永久次

    参考人(徳永久次君) お話のとおりでございます。
  21. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その次は、先ほど南部さんに中田委員から質問ございましたら、買取機関の問題については、構想なりあるいは財政的措置といいますか、そういう点も明らかでないし、まだ意見を述べる段階ではない、こういうお話がございましたが、石油鉱業連盟三村さんは、買取機関は作るべしだと、こういう積極論と承知をいたしておるわけですが、笹森さん、それから徳永さん、どういう工合にお考えになりますか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 笹森建三

    参考人(笹森建三君) 石油買取機関の問題につきましては、電力事業としてはまだ話がまとまっておりません。お答えすることができないので、あしからず。
  23. 徳永久次

    参考人(徳永久次君) 先ほど、最初にお答え申し上げました、エネルギー懇談会委員の一人として、しかも多数説の委員としまして、この意見書の中の第二以下に書いてあります意見、私、関係者の一人でございますが、かように御了解いただきたいと思います。
  24. 川上為治

    ○川上為治君 関連して。今、古田さんの質問に開運をして三村さんにちょっとお聞きしたいのですが、先ほどから買収機構の問題についていろいろお話がありましたし、また三村会長のほうからは、国策的な特殊法人原油買収機構を作ってもらいたい、こういうお話がありましたが、何か具体的な構想がおありなんですか。その点をちょっとお伺いしたいと思うのですが、私もこの問題についてはいろいろ研究をしておるわけなんです。特に石油政策については、この石油業法だけではたして今後うまく石油業の問題、あるいは石炭との関係、あるいは国産原油の問題、いろいろな問題を乗り切っていけるかどうかは非常に疑問に実は思っておるわけで、ほかに大きな手をひとつ打たなければいかんのじゃないかというような気持もするわけなんですが、それがすぐ特殊機構を作れと、こういう意味では毛頭、私は、ないわけなんですが、これはいろいろ方法はあると思うのです。たとえば、探鉱費の全面的な国の助成の問題であるとか、あるいは税金の問題であるとか、いろいろな方法はあると思うのですが、この特殊機構の問題について私も考えるときに、非常にいろいろ問題が起きてくるのは、かりにこの特殊機構を作るというようなことになれば、全部申し入れによって、石油業者の申し入れによって全部の業者から買い取るというような機構にするか、それともアラビア石油とかあるいはまた国産石油資源——帝石、あるいはソ連石油あるいはスマトラ石油、こういう特殊なものだけを買い取るというような機関にするか、特殊なものだけを買い取るというようなことになりますというと、これは一般との均衡をあるいは失するということになると思うのです。アラビア石油でありましても、国の金がもちろん出ていますが、それは出資という形ではないので、普通の財投の金が行っておるわけですから、そういう金を受け取るところは幾らもあると思うのです。でありますから、そういう一般の、民間の企業体のものを、特別なものだけを買うというのは、ちょっとこれはおかしいのじゃないかというような気がするのです。そうなってきますと、そういう特殊なものだけを買うということになれば、そういう特殊な会社については、国の資本を入れるか、何かの形において国が強力な監督をするというような形にしなければまずいのじゃないか、そうなってくると、今度は外国との関係で非常に問題が起きたりするのだ、こういう問題があるとか、あるいはまた申し入れによってどこからでもこの買収機構が買うのだということになりますと、今の時代においてそんなに石油を備蓄する必要があるのかどうかという問題が起こりますし、またコストの問題あるいは資金の問題、いろいろな点で相当問題が私はあると思うのですが、三村さんの方ではぜひそういう買取機構を作ってもらいたい、こういうお話なんですが、まあそういうことをおっしゃる以上は、具体的な構想が私はあるのじゃないかと思うのですが、その辺はどういうふうにお考えになるのか。私は今まで研究しておるところでは、非常にこの問題はむずかしい問題だと実は私自身は考えて、どういうふうにこういうのは持っていったらいいのか、今のところまだしっかりした考え方もできていないわけなんですが、その点をちょっとお開きしたいと思うのです。
  25. 三村起一

    参考人三村起一君) 川上先生のおっしゃることはもう全く同感なんです。実はそれでわれわれといたしましても、私は先ほど申し上げましたとおり、たとえば、という字をここへ入れたのです、たとえば何か国策的な特殊機関特殊法人原油の買収販売機関を設立していただいて、また場合によっては、国が必要とする原油の備蓄等もこの機関が行なうようなことにでもなりますというと——そういかないかなということを申し上げたのであって、たとえば、という言葉を私は申したのでありますが、実はわれわれといたしましても、これはほんとうに川上先生今おっしゃるとおり、額はできたのですが、中のカンバスもあるのですけれども、絵の具もそろえてきたのですが、さて絵にかくとなるとなかなかこの絵がむずかしいので、われわれ今実は研究中なんです。それで川上先生のおっしゃるとおり、全部の石油を一応買い取るのだということは非常に徹底した考え方だと私は思っております、それも非常にこれは敬意を表さなければならぬ考え方だと思いますが、そうなると、一種の専売制度みたいになるのじゃないか、そこでさしあたりまあ不徹底な点もありましょうけれども、まあ四社のやつを、普通国産と準国産だけを買い取っていただいて、そうして、まあ将来のことは将来として、当面の対策をはかっていただきたい、こういう考えを持っておるわけなんです。それで、今お話のとおり、まだこれは四社の政策委員においても検討しておりまするし、政策委員だけでもいかぬから、専門委員を作って目下検討している最中でございますが、国産石油保護育成ということとこの買取機関というものとをあわせ考えるような方法をひとつ考えていただきたいと思っているんで、これはわれわれも研究いたしますが、ひとつ先生方のほうに特にお願い申し上げたいと思っておるわけでございます。  なお、この機会にちょっと申し上げたいと思うのですが、先ほど笹森さんから——これはもうそういうことを言わぬでもいいのですけれども、私が申し上げました、経済団体連合会でも一番最初業法反対論が強かったんでありますが云々と言ったんですが、私の申し上げたのは、実は私、一昨日歯を痛めまして、どうも発音がはなはだ不十分なんで、できるだけ発音をよくするようにと思っておりますが、発音の不十分なせいか、少し、先ほどお話がありましたが、ここへ私はちゃんと書いてきましてあるし、また、これをちょっともう一度読みますが、今年の初めに何回かエネルギー対策委員会を開いて——私はほとんど全部に関係して毎回出ております——関係者を呼び、いろいろ事情を調べられた結果、統制反対の原川内見地から条件付——ということはこれは期限等でございますが、条件付ではありますが、やはり石油業法はやむを得ぬとの考え方にまとまったのでありますと、こういうふうに申し上げたのでありますので、この点、今、笹森さんにもこれをお見せしたのでありますから、御了解が得たものと思います。それをつけ加えて申し上げさしていただきました。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 買取機関のことはこれから検討の問題という御答弁でありました。ただ、その形を専売のような云々という話もございましたけれども法律によって買収機関を国で作るというようなことはみんなまあ考えられていない。そうすると、問題はこの国産原油あるいは——スマトラの石油については実はあまり問題がなさそうで、先ほど南部さんからもお話がございましたが、主としてアラビア石油に関連をする買い取り可能かどうかと、こういう問題のように実は考えるのです。法律できめて一手買取機関に買わせるというならこれは別問題ですが、おそらくそういう極端な議論は皆さんの中からは出ないと思う。そうすると実際に——これは私の立場は別問題ですよ、皆さんのあれからいって……。そうすると、国産原油なりあるいはスマトラの石油がどういう工合に引き取られておるか、問題があるのかないのかと。アラビア石油についても、先ほど数字をあげられて南部さんからお話がございましたが、現状では引き取りは可能だと、ただまあ、十月以降の八十万キロですか、一千万キロになったときに引き取れるかどうか、こういう御指摘がございましたが、今までこのアラビア石油——アラビア石油も資本の構成について国の援助がございましたが、私の会社には間違いがない、特殊法人ではなかったと思うんです。そうすると、今までに取引といいますか、引き取りについてどれだけの折衡といいますか、話が進められてこられたのか、その辺を三村さん、南部さんにお伺いをしたいんですが、中には民間段階での、あるいは業者段階での引き取りについては、契約といいますか、交渉というものがあまりなされないで、政府、国会に働きかけて、いわば政府施策として特殊法人的な買取機関を作らせようという運動を進められておるのではないか、こういう批判等もありますだけに、アラビア石油なりあるいは民間段階で、どの程度努力とあるいは話が進められてきたか、その点を三村さんと南部さんにお伺いいたします。
  27. 南部政二

    参考人南部政二君) 今日まで特殊の原油の買い取りについてどういう折衝の情勢かという吉田先生のお尋ねと存じますが、北スマトラ石油は創立早々から、会社設立に際して石油精製業界もこれに協力するようという政府の要望もございますし、私どももこれに協力をいたしまして出資をいたしており、その当時から北スマトラにおいて出てくる日本へ持ってこなければならない原油は、これは石油業界引き取りましょう。原則的な点において石油業界はまとまっておるわけであります。ただ事実上の問題として、商取引の実際の行為としまして、先ほど申し上げますように、外貨割当の基準に従って出資各社がそれぞれその比率で引き取るということにさしあたりいたしておるのでありますが、タンカーが、何せ二万トンとか二万五千トンとかいう船を持って参りますると、割当量の少ない千トンとか二千トンという会社もできるわけであります。こういうような場合の、石油を引き取る側の私どもの相互の間における何らか計算上の処置で、この本船をあちらへ着けこちらへ着けというような不経済なことのないようにいたしたいという点と、価格についての折衝というような商取引の実際の交渉が行なわれておるということでございます。  アラビア石油につきましては、これも出て参りましたので、アラビア石油側からはぜひ買い取ってもらいたいということで、昨年以来、昨年度で百四十万キロリットルでございますか引き取っておりますし、この四月からも十四万ないし十八万キロを六月までは引き取るということにきめておるわけであります。問題はそれ以後に相当数が大きくなりますると、先刻申し上げましたような品質上の問題でございますとか、あるいは価格上、従来の既契約分との関係でございますとかいうような問題が出て参りますので、一千万トン出るようになるから一千万トン全部引き取れということになりますと、その間に相当な困難が予想せられますという事情でございます。  なお、国産原油につきましては、これは秋田、新潟方面で出ますものにつきましては、これは価格の問題があるわけでございます。この点だけが問題でございます。引き取ることには全体として異存はない。ただしこの原油輸入価格——これも余談でございますが、御存じと存じますが、アラビアから日本まで持って参ります海上運賃は、現在のところ千二、三百円から千五百円くらいのものでございまして、北海道の山元で炭を出しまして、港へ持ってきて、京浜まで船で運びますとやはり千五百円くらいかかるということでございまして、キロカロリー当たり計算いたしますと、石油のほうは十五銭くらいで、石炭のほうは二十五銭くらいかかるという結果になっておるというのは、これは一に海運市況に左右されておる。海上運賃が何らかの事情で国際的に上向きますれば、日本原油はそう高いとも言い得ないと、かように考えなければなりませんが、さしあたり世界的なタンカー運賃の上昇は見込めないのではなかろうかと、かように私ども考えております。
  28. 三村起一

    参考人三村起一君) どうも私はあまりアラビア石油の内容についてはよく存じておりませんけれども、四、五、六、三カ月はもう完全に引き取っていただくことになっておるようでございますが、それから先について、まだはっきりしておらず、ことに自由化後についてはどうなるかわからない。できるだけ御好意あるお話でもありますし、やはりユーザーのほうからも非常に御好意あるお話でございますので、何とか解決していくだろうと思いますが、これはひとりアラビア石油だけでなく、国産石油につきましても、実はなかなかこれは、今たとえば石油資源で日産手数百トン出す能力がありますけれども、それだけ引き取ってもらえないというのは、やはり値段の点等もございます。先ほど申し上げたような値段等もございますが、いろいろ事情があって、たとえば運賃にいたしましても、わずか見附から新潟まで五十キロくらいのところを七百円もとられる運賃が、もし秋田まで持っていくとなれば千五百円くらいはとられます。そういうふうになってきますと、アラビアから持ってくるのと、見附から秋田まで持ってくるのと同じです。そういう国内の、国産石油事情でありますので、なかなかこれは安くしょうと思っても、安くできないというような事情がありますので、一方において国産石油に対する保護育成ということもありますが、一応ひとつ買取機関を作っていただいて、そこでまとをて買い取っていただくということになれば、いろいろな問題が一応そこでとにかく片づくんじゃないか、こういう考えでありますが、結局は先ほど川上先生のおっしゃったように、そういう四社であれば不徹底な点もありましようし、また今吉田先生のおっしゃったように、私企業に対して云々というようなお話もあります。全体を引き取るというようなことにでもなれば、そういう点については大いに筋が通ってくるかとも思われます。  それからもう一つは、ただこういう点がございますが、アラビア石油は、外資系の会社といいますか、外油系の特殊な会社が七社ほどありましょう。そういう石油精製業のほうでアラビア石油を引き取っていただくときには、全く商業ベースで引き取っていただく。したがって同じレベルに立って引き取っていただくということでありますので特殊なフエーバーはない。そこで自由選択になってくるというと、フルに完全に引き取れということについては非常に困難になってきはしないか。ただ一たび国策会社に買い取ってもらって、そこから出すとなれば、ワン・クッション置くというと、英米系の巨大な会社でもまたこれはある程度やむを得ぬと見る点もあるだろうというお話も初めにありましたので、そういう点から一応買収機関を作るという案をわれわれは出したわけでございます。
  29. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか——それでは参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。本委員会といたしましては、本日の御意見を十分参考として、今後の審議を進める所存でございます。どうもありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。次回は明日午前十時三十分より開会いたします。    午後四時五十六分散会