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1962-04-10 第40回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十日(火曜日)    午後一時三十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君    委員            上原 正吉君            大泉 寛三君            川上 為治君            小林 英三君            鈴木 万平君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            岡  三郎君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省重工    業局長     島田 喜仁君    自治省財政局長 奥野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    経済企画庁調整    局消費雇用課長 真島 毅夫君    通商産業省重工    業局車両課長  古沢 長衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国民生活研究所法案内閣提出、衆  議院送付) ○自転車競技法及び小型自動車競走法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、国民生活研究所法案及び自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案審査を行ないます。     —————————————
  3. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、まず、国民生活研究法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 中田吉雄

    中田吉雄君 まず第一に、消費者行政基本方針についてお伺いしたいと思うんですが、本法案提案理由に、国民生活に見られる各種の不均衡を是正するため、政府消費者行政推進に努めているが、その施策の適切を期するために国民生活研究所のごときものが必要だという、こういう趣旨のことが述べられ、法案内容に先だって政府はその推進に努めておられます消費者行政についてお尋ねしたいんですが、消費経済全体の活動の中の、生産流通分配と並んで経済循環の重要な部分を占めるわけで、外国では、たとえばスエーデンでは消費庁、ノールウエーでは消費のための特別な消費省というようなものがあって、非常に経済循環最終段階というものを重要視しているということでございますが、これは事務当局でもけっこうですから、まず主要国消費行政はどういうふうな状況であるかという点と、政府が現にやっておられます消費者行政基本方針はどういうものであるか、単なる消費者保護か、あるいはそれとも消費需要拡大というようなことであるか。そういう点について、政府がやっておられます現在の点について、まず基本的なことについて藤山大臣からお伺いしたいと思うわけであります。  それから、昨年設けられました国民生活向上対策審議会はどういう問題をテーマとして取り上げられているか、そういう点についても御説明をいただきたい。
  5. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように、生産者行政というものは、日本において今日まで非常に力を入れられ、進めて来られたわけでありますが、今日のような時代になって来ますと、消費者行政というものが新たにやはり考えられていかなければならぬというふうに考えられまして、しからば、まあ企画庁でそういうものを担当するのが適当であるかどうかということになりますと、将来の行政機構改革等によって、外国の例もございますから、いろいろ研究をして参る必要がございますが、現状におきましては、一応企画庁としてその問題を取り上げていきたい。そして企画庁が取り上げております考え方というものは、むろん現実におきます消費者実態そのものを十分にまず検討していくということが第一だと思います。そうして、その実態の上に立って第二段のお話にございましたように、ただ消費生活向上というものを目的として、どういうふうな施策をしていけばいいか。その施策自体は、現状においてはあるいは各省にお願いをするような場合も起こって参りましょうし、しかし一応その辺のところまではまとめて参ることが必要であります。  したがって、まあ国民生活研究所を作りましたのも、一面では、現状を分析し、将来の行くべき道をある程度学問的に、基礎的に検討していく。また同時に、消費者行政のその目的と申しますか、そういうものをただいまお話のように、第二段のような施策の問題については、国民生活向上対策審議会等を設けて進めていくと、こういうようなことで企画庁はやっておるわけでございまして、なお、こまかい外国の例、その他につきましては、事務当局から御説明いたさせます。
  6. 中野正一

    政府委員中野正一君) 御質問外国におきまする消費者行政でございますが、これは、実はその詳細なことにつきましては、まだ日本ではよくわかっておりません。ただ、今先生の御指摘にありましたように、省ができておるものはノルウエー、これは消費者省というものがございます。それからスエーデンにも、これは消費者庁というような形のものがございますが、そういうものがあって、消費者立場からいろいろな問題を、消費生活向上という点に焦点を合わして、いろいろな問題を取り扱っておるようでございます。で、最近、御承知のように、アメリカにおきましても、消費者のための行政というものをもう少し力を入れなければいかぬのじゃないかという議論相当強くございまして、昨年にはキーフォーヴァー氏の提案によるところの消費者行政機構を作ったらいいじゃないかという提案もございましたし、それからコンシューマーズ・カウンセルというような形のものを作るべきであるというようなことも言われております。それからケネディ大統領も、先般、議会に対して消費者保護の問題についての特別教書を送ったようでございますが、実は、これは外電が伝える程度しかわかっておりませんので、今、原本を外務省を通じて取り寄せておりまして、詳細がわかりましたらまた御報告申し上げたいと思います。相当、最近、力を入れてやろうとしておることは確かなんです。ただ、アメリカでは、今申しましたような消費者委員会と申しますか、そういうものを作ろうという動きはありましたが、まだできてはおりません。アメリカでは、今後の問題として考えていこう……。ただ御承知のように、諸外国におきましては、消費者団体というものは、民間の団体でございますが、非常に活動が活発でございまして、たとえばアメリカでは例のコンシューマーズ・ユニオンあるいは消費者研究所というふうなものがございまして、相当の部数の、数十万部の機関誌を発行している。日本で言うと、「暮らしの手帖」とか、主婦連あたりがちょっと、一部手がけておりますが、いろいろな苦情処理であるとか、あるいは商品の検査ですね、そういうものをやって、相当これは影響力があるようでございます。それから、イギリスにもそれと同じような消費者協会というようなものがありまして、近くこれの世界的な横の連絡機構を作ろうというような動きもあって、相当こういう問題が活発に動いて来ております。その程度しか今われわれのところではわかっておりません。  それから御質問企画庁の作りました国民生活向上対策審議会でございますが、これは今大臣からお話がございましたように、この各種政策国民生活に及ぼす成果を、広い総合的見地から検討するという必要性から、今までいろいろな審議会がございますが、別個の国民生活向上についての専門審議会を作ったわけでありまして、これは委員が三十名でございます。そうして消費者代表、それから労働者代表、それから経済界代表、あるいは学識経験者、学者の関係の人というふうな各方面の、この国民生活の問題について学識経験のあられる三十人の委員をお願いいたしまして、現在まですでに四回ほど審議を重ねて参っております。その結果、第四回目の審議会におきまして、これは昨年の十二月十五日に開催をされまして、消費者保護の問題と生活環境整備の問題につきまして、企画庁長官から諮問がありまして、審議会におきましては、これの審議のために、消費者保護部会、それから生活環境部会、この二つの部会を設けまして、消費者保護部部会長には早稲田大学の教授宇野政雄氏がなっておられます。それから一方の生活環境部会につきましては、一橋大学教授馬場啓之助氏が部会長になられまして、審議を始めておられます。生活環境部会につきましては、ことしの三月の一日及び三月の二十日に会合を開きまして、この部会の運営方法なり、取り扱う生活環境範囲などについて検討いたしたわけでございます。その結果、生活環境範囲につきましては、生活環境施策だけでなくて、騒音であるとか煤煙であるとか、こういうような公害の問題、あるいは通勤輸送などの生活環境条件も取り上げようということになっております。また審議の進め方につきましては、生活環境条件現状がどうなっているかという現状把握と、それからモデル的な生活環境条件の作成及びそのモデルに到達するための方法なり問題点、こういうようなことでひとつ取りまとめようということで、今度専門委員というのがございますので、その専門委員も各方面から——その方面学識経験者、たんのうな方に集まっていただいて審査をやっております。それから第三回の会合は四月十七日の予定でありまして、これはこの各専門委員から生活環境関係の資料の提出、それから生活環境条件評価方法等について検討することにいたしておるわけであります。それからもう一つ消費者保護部会につきましては、三月七日に第一回の会合を開きまして、部会において取り扱います消費者保護範囲と、今後の運営方針について審議をいたしまして、その結果、消費者保護範囲といたしましては、まず政府の行なっております消費者保護行政に関連するものに限定しよう、そうして商取式の際に生ずるおそれのありまする不利益から消費者保護することに審議の主目的を置くことにいたしたわけでございます。次回は四月九日——昨日、各省から現在各省消費者保護のためにどういう行政をやっておるかということ、並びにこれに関連いたしまする消費者団体からの要望ということを昨日聞くことにいたしまして、昨日は各省から、消費者保護行政としてどういうことをやっておるか、その詳細を専門部会として聴取をいたしたわけでございます。次回さらに消費者団体からも意見を聞きまして、専門部会としての意見をなるべく早く取りまとめたいと。これは私どもの長官からも第一回の会合のときに申し上げられましたが、国民生活対策審議会における結論なり議論というものは十分政府としてはこれを取り上げて、政府政策に十分反映したい、その意味でひとつ十分審議をしていただいて、いい結論をひとつ答申していただくように要望してございますので、非常に各委員方々も御熱心に審議を続けていっていただいておるということでございます。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは事務的なことで、局長にお伺いしますが、まあ、ノルウエー等では消費省があり、スエーデンには消費庁があるということですが、お宅の企画庁では一体、消費生活を担当する、どこがほんとうに消費行政をやる、九千万国民のための……。あまりにも少ないんじゃないかと思うんですが、一体どこが担当しているんですか、お宅の局の何課が……。
  8. 中野正一

    政府委員中野正一君) 経済企画庁におきまして消費者行政推進に当たっておりますのは、局といたしましてはまあ私のところの調整局がやっておりますが、その中に消費雇用課という課がございまして、ここに真島課長が来ておりますが、真島君がそのほうの専門家でもございますので、これに課長として担当してやらしております。これは、実は昨年ぐらいからこの問題がだんだん大きくクローズアップされて参りまして、ことにこれは一つには、消費者物価の安定ということがやはり消費者行政の大きな政策の柱になっていくわけなんですが、消費者物価が上がってきたというようなこともございまして、消費雇用課消費者行政全般を見て、そうして、特に消費者生活実態というようなものにつきましては、御承知と思いますが、毎年国民生活白書というものを、まあ乏しいデータではございますが、そういうものからいろいろ分析をいたしまして、こんどは昨年の十二月に出しましたが、主として地域的に国民消費生活相当格差があるんじゃないかという問題に焦点をしぼりまして、国民生活白書を出したわけでございます。これは消費雇用課でそういうことを担当いたしております。それから今もう一つ申しました物価問題につきましては、やはり調整局物価政策課というものを置きまして、ここで今特に消費者物価の安定ということについて各省を調整するというか、各省連絡をとりながら、各省のやり方については相当企画庁としては厳しい態度で事務的にも消費者物価が上がらないように連絡をとりながら——ただ御承知のように、物価問題につきましても、今の消費者行政の問題にしましても、外国の一部にありますように、消費庁消費省というような一つの独立した大きな権限を持った形でなくて、今言ったように、各省行政というものを消費者立場焦点を合わせてやってもらうようにわれわれのほうで連絡調整をとりながらやるということが重点になっているわけでございます。ただその前提となりまする消費者生活実態把握については、従来やはり非常に不十分でございましたので、これは各省にまかせるというより、経済企画庁自身でそういう実態調査をもう少し掘り下げてやるべきじゃないかということで、今回御審議願っております国民生活研究所というものを特殊法人として、これは企画庁所管として企画庁監督下に作りたいということを御提案申し上げている次第でございます。
  9. 阿部竹松

    阿部竹松君 議事進行。大体数が足らぬのじゃないですか。これは成立しておらぬのじゃないのですか、委員長
  10. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止
  11. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま中野局長が言われましたように、消費雇用課、その他わずか二、三の課で細々やっている。これを欧米のように消費省があり、消費庁があり、あるいはケネディ大統領がこれに対する白書を発表して、こういう問題と取り組んでいるというような情勢にかんがみて、まあ研究所でも作って大いにやられようということはけっこうだと思うんです。そこで藤山大臣にお伺いしたいと思うんです。私も一体日本でも経済学一般がそうですが、経済を四つに分けて、いつでも消費という面はあるのですが、この項は経済学原論を見てもあまり取り扱われずに、これは結局分配問題じゃないかと。分配こそ消費前提であり、そういう点からまあ個人の何にまかせて、消費のもとである分配、あるいは生産流通というような問題が重んぜられたのじゃないかと思うんですが、私はこういう研究所が、あるいはこういう行政というものが、与えられた今のこの経済循環の中で、非常に乏しい所得の中で、ただ効果的に価値を高めていくというような現状を、宗教のようなとは言いませんが、やはりこの問題を突き詰めていけば、やはり分配問題、たとえばここ数年来の国民の総支出の中で、個人消費支出の占める割合が次第に低下しているわけであります。この比率は二十年の六二%から三十六年の五二%まで、だんだんと国民の総支出の中で個人消費が非常に低下していっている。これはまあ「世界」の去年のやつを見ましてだんだんと低下していっている。そうして投資だけがふえていくというような形で、そうしてそういう状況は、三十六年度はまあ美濃部さん等によると、個人消費支出は四二%である、三十六年度では。これは計算の仕方でも、いろいろ推計の仕方でも違うのですが、そうしてそれは日本がいわゆる海外の、帝国主義的なといいますか、進出をした昭和九年なり、十一年なりの基準年度が五三%で、あれほどやったときでも五三%であったが、今は四二%です。ほとんど日本経済というものが投資拡大ということでささえられていくような危険がある。こういう統計のとり方にもよると思うんですが、少なくとも「世界」の八月号によると、そういうふうにだんだん国民の総支出の中で個人消費の占める割合が低下していく。その少ない所得の中でまあ合理的に消費をする方法を探究して、経済基本の問題に触れないようにといっては語弊がありますが、そういうことになって、これは実は日本がこれまであやまちをおかした。それでこれはやがて過剰生産にもなり、そういう根本の問題にも触れねばいかぬと思うのですが、私は消費者行政根本はやはり分配問題だというふうに思うんですが、そういう点はいかがでしょうか。やはりこの前の社団法人国民生活研究所という中の調査項目の中にも、経済成長消費、私はやはりこういう問題が、日本が再びあやまちをおかさぬためにも、日本経済を正常に循環させるためにも、やはり経済成長消費を、どういうふうなことにするか。そして日本戦前海外進出をしたときには国民消費水準がだんだん低くなって、そうして国内ではけないからその市場を求めていくということと同じことで、幸い、このテーマの中での劈頭の部面にも経済成長消費という面がありますが、私はやはり経済成長消費というようなことをどうするかという基本の問題に結局触れてこぬと、満たされぬ配分の中で、現状をなだめるといっては語弊がありますが、そういうことになるのじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょう。
  13. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) われわれのやっております目標として、むろん、つまり少ない収入を確保するために、その中の消費合理化していこうという意味ではこれはないのでして、やはり国民生活向上していくということは消費生活が豊富にもなり、あるいは充実もされてくる。そうして国民大衆がその生活全体を向上させていくということにあることはこれは申すまでもないことであります。したがっていわゆる国民所得向上ということがわれわれ望んでおる点でありまして、所得を押えていこうなどという考えは持っておりません。ただ、しかし、伸びていきます所得をどういうふうに国民生活のその場合における合理化的な実態に合わしていくかということがやはり必要だと思うのでありまして、そういう点について対象を置いて検討もしていくし、合理性消費生活の上に与えていく、こういうことなんでありますから、御承知のように、たとえば経済全体のことを考えてみまして、国民生活向上をしてきて生活内容が豊富になってこなければ、私がいつでも言っている議論ではございますけれども、輸出貿易の振興といっても、やはり国内消費に向けるような商品がそのまま外国に出るというようなことでなければ、外国に輸出する商品だけを作ろうというようなことではこれはできないのであって、外国にも売れる、そういうものが国内でも消費されるというようなことでやはり貿易拡大していくわけなんであります。したがって国民生活を何か圧縮して、そうして圧縮する上のために役立つように消費生活合理化をやるということではございません。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ、藤山長官は今の経済成長その他について、直接はお聞きはしませんが、新聞紙上で、記者会見等でいろいろ御見解を承わっていますから、私が述べるまでもないと思うのですが、先に申しましたように、とにかく日本経済個人消費から投資需要によって支えられている。そして国民の総支出の中で消費の占める比率戦前、戦後を通じて最低になってきている。漸次減ってきている。三十年を最高にしてだんだん減ってきて、それは国民生活を切り詰めて大東亜戦争をやったあのころよりも低くなってきている。しかもこれは、これに出ています欧米各国の総支出の中で消費支出の占める割合はもう最低で、日本が四二で、アメリカが五二、イギリスが五五、イタリアが五六、フランスが五七、西ドイツのようなああいう国でも四八と、日本よりはるかに高い水準であるという点は私は経済原論等においてもやはり分配生産流通が問題ながら、最後に消費の項になると、案外これまでの理論経済学を見てもいわれていないのは、やっぱり分配根本だという点にあると思いますので、幸いこの項目にもありますが、経済成長消費と、このやはり大前提というものは国民生活研究所としても十分考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、提案理由にあります国民生活に関する調査研究は、この対象がきわめて多岐にわたっておる。したがってそれに関連する研究所は幾つか存在する。だからこれらの研究所に対しても政府補助助成等をするつもりである。——事務当局からでけっこうですから具体的には関連する研究所というようなものはどういうようなものがあり、政府はそういうものとどういう連絡をとっていこうとしておるか、そういう点についてお伺いします。
  15. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今回われわれが提案いたしておりまする国民生活研究所は、国民生活に関する問題を総合的な見地からまた基礎的な問題を取り上げようということで、そういうものとしての研究所としては社団法人で現在ありますが、国民生活研究所、これは今度の特殊法人ができまするというと、解散をいたしまして、その財産なり権利等につきましては全部特殊法人に移転をすることになっております。これは昭和三十四年に国民生活研究協会として発足したものが昨年の九月に経済界そのほかの一般方々の賛同を得まして、社団法人に改組をされたわけでございますが、これが従来何といいますか、細々とそういう問題を研究をしておったので、それぞれの国民生活関係するいろいろな特殊の問題につきましては、たとえば住宅問題等については建築研究所なりあるいは食生活のうちの特に栄養の問題等につきましては、これは厚生省関係研究所がある。あるいは農林省のほうの研究所でもそういう問題を研究するということで、それぞれの部分的な特殊の国民生活の分野につきましては、幾分観点は違うかと思いますが、そういう問題を取り上げたものがございますが、これを総合的に、国民生活あるいは消費者生活という観点から、これを総合的に基礎的に研究するというものは従来あまりございません。ただそういう国民生活関係する特殊の問題をやっておりまする研究所とは、今度できる国民生活研究所十分横連絡をとりながらまたこういうところに専門学識経験者もおられますから、そういうものは幅広く動員できるような体製が逐次できつつあるわけでございます。特に今度われわれのほうで、先ほど申し上げました国民生活向上対策審議会部会として、生活環境部会を作りまして、生活環境といいましても、これは御承知のように、交通問題から、水道の問題から、汚水処理の問題から、住宅の問題から、いろいろあるわけであります。そういう方面のそれぞれの研究者というか、あるいは研究機関方々、そういうものにも専門委員にお願いしまして研究を現に進めております。そういうことで、だんだん体制ができていくんじゃないかというふうに思っております。ただもう一つ、御承知かと思いますが、通産省のほうの所管消費者協会というのが、先般、これも昨年だったと思いますが、できまして、これは今度の研究所と違いましてむしろ個々の商品、特に耐久消費財等を中心にしまして、それの商品テストをやりまして、それを一般消費者商品の知識の不足するところを補ってあげるというような立場から商品テストをやりまして、その成果を報告する、あるいは消費者教育、それはたしか「買いものの手引き」、「買いもの上手」というような雑誌、刊行物を出しまして、消費者のそういう商品の問題についての知識を深める、こういうことを消費者協会はやっております。これは、通産省のほうからことしたしか三百万円くらい補助金が出るはずになっております。個々の商品の問題はそういうところで扱っていく、こういうものと十分研究所としては連絡をとりながらいくというふうにしたいと考えております。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 私この法案については賛成なんですが、しかし、この研究所がほんとうに成果のあがる基礎的な、あるいは実際的な研究をやるには、何としても優秀な人材を集めるための豊富な資金的な裏づけがないといかぬと思うんですが、今回政府の出資はたった一億円ですが、民間からの協力をいただくということになっていますが、これはまあ利息でやるんだと思うのですが、とうていこういうことでは不十分だと思うんです。初年度はそうですが、全体の構想は将来どうなんですか。
  17. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この予算を組みますときに、実は本年度は政府出資二億ということを大蔵省にもお願いしたわけですが、かかる種類の特殊法人に対してなかなかきびしい取り扱いでございまして、一億を大蔵省に認めていただいたということは、私は大蔵省としても非常な奮発であったと思うんでして、それだけ従来の例からいいますときびしかった。そこで、むろん一億の資金と、民間の寄付を仰いで、なお研究テーマによりまして、それぞれ企画庁からも研究費を出します。委託研究費を出しますでございますから、そういうものによってやって参りますが、将来はさらにこの基金を充実していくことが必要だと思います。しかし、とりあえず、出発点でございますから、とにかく出発のできるようにということで、私どもも一億の出資で満足したわけでございます。今調整局長からもお話がございましたように、この機関が民間からの寄付金というので、あまり大きなものを民間に期待いたしますと、何か商品の宣伝機関みたいになってはいけないので、やはり私としては、政府相当な出資をして、民間の協力もその意味においては——民間からの若干の寄付はあれと思いますけれども、将来はそういう方向に努力して予算の充実もはかっていきたい、こう考えております。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 本研究所はもとよりいろんな研究をするわけでしょうが、私は投資としても、インベストメントとしても、最も効果の上がるものだと思うんですが、これは将来はどういうことですか。来年度はもう一億ぐらいふやすというような大体了解のもとに今年度は一億というふうになっているのでしょうか。その辺いかがですか。
  19. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 二億を要求いたしましたについて、一億と査定されまして、大蔵大臣との折衝できまったわけですが、絶対二億がほしいということですが、まあこういう種類のものは、スタートを切るわけですから、将来の成績を見て十分大蔵省も考えるところがあるはずでございますから、まずスタートを切らなければ相ならぬので、そういう意味で大蔵省にも最初の要求はどんなにしても満たしてもらいたい、これは出してもらわなければならぬということを申して、一億の出資を承諾いたしたわけでございます。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 それと関連するのですが、これはやっぱりこういう特殊法人のほうがよかったでしょうか。国立の研究所というものが効果をあげるのによかったでしょうか。そういう基本問題はどういうふうに検討されておりますか。
  21. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まあ、この研究機関が、国立のほうがよかったか、特殊法人がよかったか、ということになりますと、問題がいろいろあると思います。今日までの社団法人国民生活研究所をいきなり国立に持っていくことが必ずしも可能であったとも思いませんし、また国民生活研究における若手のスタッフには相当優秀な人もおりますので、そういう面も考えまして、そのまま改組していけるというような形からすれば、さしあたりは特殊法人にいたしまして、特殊法人でございますから、国立と違う点はございますけれども、かなり強い国家の監督のもとに仕事をするわけですから、そういう意味において……。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは財政上民間からも協力を得ねばならぬという意味のものですか。国民生活研究所そのものからして、やっぱりこういう法人のほうがいいという財政的な理由からですか。研究所の性格からこういうふうにしたほうがいい、こういうことなんでしょうか。その点いかがです。
  23. 中野正一

    政府委員中野正一君) 実は、今先生から御指摘のありましたように、この国民生活研究所はどういう形のものがいいかということで、これは相当実は部内でのわれわれも議論があったわけでございます。ただ、国立の研究所にしたほうがいいじゃないかということもございまして、現にわれわれのほうで経済研所究というものが経済企画庁にあるわけでございますが、今度の国民生活研究所は、法案目的のところにも書いてございますように、国民生活に関する基礎的かつ総合的な調査研究をやりまして、その成果を普及して国民生活の安定向上に寄与するということが目的にありまして、あくまでこれは国民生活——簡単な言葉で言えば、消費生活といいますか、消費者立場というようなものからあくまで問題をはっきりとらえたいというようなことでございまして、これを国立のものにするというと、当然そこに研究自身がこういう目的にぴったり合うようなものができるかどうか、その点に幾分疑問があるのじゃないか、むしろ特殊法人というような形で、もちろん直接には経済企画庁の監督を受けますが、研究自身はやはり自由に、あまりに立場にとらわれずにやらしたい、またこの法文の中にもありますが、参与会というものを置きまして、ここに消費者代表なり、労働者代表なり、そういう者も相当学識経験者として入れまして、そうして研究テーマ等につきましては、そういう消費者代表なり、あるいは労働界の代表というふうな——代表と言うと悪いですが、それから選んだ学識経験者ですね。そういう人の意見を十分反映すべきであるというような考えもありまして、そういう意味で国立にするよりは、やはり半官半民というような形で、ある程度政府から独立性を持った研究所にしたほうがいいんじゃないか。しかし、この前の社団法人国民生活研究所は、国民生活向上と産業の発展ということを目的に作られておりますように、あまり産業面のほうの意向というか、制肘というか、そういうものがありますと、やはりまた研究が片寄るということにもなりますので、政府相当やはりこれは財政的な基礎は与えなきゃならぬ。しかし、民間も、これは協力しようという方がたくさんおられるわけですから、こういう人の、民間の協力も得るということで、半官半民の特殊法人ということにいたしたわけでありまして、またこういう形のほうが、むしろこれからこういう問題の人材を養成するというか、集めるというか、そういう面からいっても好都合じゃないだろうかというような、いろいろな観点から特殊法人ということにした次第でございます。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、政府から一億出資、民間から一億ですか、大体その見通し。なお、そういう金はどこに預託されるか、いろいろ規定があると思うんですが。そしてその利息、そしてその事務、調査の職員はどれくらい置けるかです。そういう点ひとつ。
  25. 中野正一

    政府委員中野正一君) この研究所の財政的な基礎は、先ほど申しました政府からの一億円の出資、それからほぼ同額の金を基金として民間から寄付なりあるいは出資なりというような形で受け入れる予定にいたしております。大体今予約が民間のほうは七千万円くらい集まっております。大体一億くらいには到達するのではないかと思います。それは基金といたしまして運用をするわけでありまして、これは、法律に運用の方法につきましては規定がございまして……
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 何条……。
  27. 中野正一

    政府委員中野正一君) 法律案の十四ページ、第三十条でございます。これは、業務上の余裕金は国債で運用するとか、銀行預金する、あるいは郵便貯金に、あるいは信託会社とか信託業務を行なう銀行への金銭信託、こういうような形で運用しますので、大体六分から六分五厘ぐらいには運用できる。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 年間幾らくらいになりますか。
  29. 中野正一

    政府委員中野正一君) それで一応三十七年度の収支予算は、一応基金の利子といたしまして一千五十万円を予定いたしております。それからそれ以外に賛助金というものが約八百万円くらいある。それから委託研究費といたしまして経済企画庁の分が一千万、これは三十六年度も予算がついて実行しておりますし、それから本年度も一千万円の研究費を出すことにしております。それ以外に民間からなり各省から約千二百万円ばかりの委託研究費が出るんじゃないかというふうなことで、全体として収入が一年間に約四千万円です。そして支出のほうも大体四千万円。そのうちで一般管理費が約二千万円ということで、大体二十四、五人のスタッフでさしあたりやることにいたしております。来年度あたりにかけてまたさらに充実したいと、こういうふうに考えております。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 藤山長官、この第三十条ですね、二億円になるわけですが、この預託先、運用方法、どこにされるか——これはやはり私は安全な利息の高いところがいいと思うのですが、私は国の機関で、たとえば商工債券、こういうものを買って、そうしてやはり中小企業金融のために、市中銀行とかあるいは大口な投資をやる金融機関よりか、やはり商工中金等にしても、利子収入は変わらぬと思うのです。そういう点で、私ずっと見てみましても、中小企業金融を考えにゃならぬと言いながら、いろいろ、必ずしもそういっていないじゃないか。そういう基金の預託先を、私はひとつ中小企業関係政府関係金融機関に預託されることを考慮していただくように強く要請したいと思うのですが、これいかがでしょう。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基金の安全とそれからまあ利息収入の多いほうと、両方考えることがこういう機関では必要だと、そう思うわけであります。その点は十分運用に当たって注意をして参らなければならぬと思います。今お話しのような点についても、運営の上において十分参考にいたしまして、そうして適当に決定をいたしていきたいというふうに考えております。
  32. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は若干有利性について調査もしてみたのですが、商工中金で出している商工債券でも銀行の信託でもあまり変わりがない。幸い政府関係機関ですから、日本の国がある限りはこれは安全ですし、今、中小企業向けの資金手当に悩んでいます。二億といえば長い基金として積まれるのですから、私はぜひひとつ御考慮をいただきたいという点を、強く御検討していただくように希望を申し上げておきます。  それから、私も国立の研究所におったことがあるのですが、どうもこういうのは、官庁や県庁等に比べて出張旅費も少なく、なかなか情熱を研究に傾けるというにふさわしい待遇が……。ただ雲やかすみを食って情熱だけに生きるということもなかなか困難ですが、待遇やそういう問題はどういうふうな水準になっていますか。
  33. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今御指摘ありましたように、いい研究をさせますには、いい人を集めあるいはそれを養成して、また、十分いい研究ができるだけのやはり給与というものを考えていかなければならぬということは御指摘のとおりだと思います。これは特殊法人でございますので、公務員に準じた給与を出すようにわれわれとしてできるだけやりたい、ただ、財政的基礎は、先ほども御指摘ありましたように、なかなか、すぐ確立するということはむずかしいので、今せっかくわれわれも、それから研究所関係の会長なり所長も努力しておられますから、できるだけそういう方向でいきたい。また三十二条にもありますように、職員の給与、退職手当の支給の基準は、これは役所のほうでいえば、認可を受けて——経済企画庁長官の承認を受けなければならないということにしてあるわけで、そういう意味で役員、職員の待遇等についてもわれわれとしてはできるだけ考えていきたいというふうに考えております。
  34. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、こういう研究所に、今のようななかなか人材が、あちこちから求められているときに来るかどうか非常に疑問で、また、そういう優秀な人——年とった人、経験のある人もですが、若い将来のある方が情熱を傾けてやるという人が確保できるかどうかということが問題だと思うのですが、そういう点で、社会科学系の大学院の修学者を採用するということを考えてみたらどうか。そのために研究所を一本育英会法の第十六条ノ四第二項にいう特定研究施設にして、そしてそこに勤務すれば、育英資金の返還義務を免除すると、こういうふうなことを考えてみるのもひとつの方法じゃないか。私の知る限りでは一流の優秀な人を賞用することは困難じゃないかと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この種研究所が成果をあげるかあげないかということは、実際お話しのとおり研究員の資質がよくて、そうして今お話しのような情熱を傾けてやる、そしてある意味からいえば研究に一生を捧げてもいいというくらいな人がくることが成果が上がるわけです。したがってそういう面についての待遇等については将来にわたって十分考慮しなければ、私も成果は十分上がらないのではないかと思います。若い人をとりますような場合に、今育英会法のお話しがございましたが、そういう点はわれわれ事務的にはまだ気づいておらなかったわけで、御注意等を参酌して検討してみます。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう点を、いろいろ政府関係研究機関もありますが、そこで一定の期間やって、政府関係の他の機関に、行政庁にもいけるというような可能性については非常に少ないと思いますし、ぜひとも優秀な人材が集まり得るような点について御検討をいただきたい。  それから結局資金確保に関連するのですが、さきにもちょっと藤山長官申されたのですが、結局マーケッティングの下請機関になるやはり資金確保を、十分財源措置をしないと、法文二十三条には研究所は委託研究を行なうことができる、そうしていただきましたこの資料を見ても、「絹の需要予測および需要動機調査」、これはよくわかりますが、「団地居住者のプラスチック製品購入状況調査」、これはプラスチックの会社が売り込むにはどうしたらいいかというような、これはやはりいろいろなことをやることはけっこうですが、やはりそういうおそれのないように、研究所政府からも民間からも自主性をもって、主体性を確保しながらやる、大企業自身ではなかなかマーケッティングの調査がやれないので、半官半民的のものにやらせる、そういう七千万なり一億の協力はあっても、なかなか問題があって、この研究所の将来のためにもどうかと思いますので、そういう点についてはいかがでしょう、マーケッティングの下請機関というおそれはありませんか。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 社団法人時代、過去においては若干そういう点もございましたけれど、今後はできるだけそういうことのないようにし、また先ほど調整局長が申しましたような通産省でやっております消費者協会というのがむしろそういう性格のもので、生産者の立場と申しますか、というようなものを代表して消費者状況を調査するというようなことになるわけでありまして、こちらのほうはもう少し基礎的なそうした何か宣伝に使われない研究ということに持っていくつもりでおります。
  38. 中田吉雄

    中田吉雄君 さきにもちょっと御発言がありました研究所の組織でありますが、その運用の全きを期するために参与会というものをおくということですが、二十人の参与の中で半数は各省の事務次官が就任するというようなことを聞くのですが、それでは官僚統制といいますか、問題がありはしませんか。それと同時に私は国民生活向上対策審議会委員及び幹事の名簿というものを、実はいただいているのですが、これでは働く最大の消費者団体である総評であるとか全労というような、そういうものの代表はこれに入っていますか。
  39. 中野正一

    政府委員中野正一君) 入っております、総評と全労が。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 入っている、どこに。
  41. 中野正一

    政府委員中野正一君) 委員名簿がお手元にあると思いますが、小川照男さん、日本労働組会総評議会事務局次長、それから川鍋清一さん、全日本労働組会議副議長ということで委員に入っております。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 私これではやはり事務次官が半分も就任するといううわさを伝え聞いたりしていますが、もう少しほんとうに消費生活の問題を身をもって体験したりしているそういう代表、そういうことを十分考える必要があると思うのですが、それからまた国民の四割近くを占める農民の消費というようなのは、これにはあまり……。全国農協婦人組織何とかというのが表われているようですが、これはどうですか。そういう点を含めて、やはり消費の各界を網羅する必要があると思うのですが、いかがですか。
  43. 中野正一

    政府委員中野正一君) 審議会のほうの委員には消費者、先ほどもちょっと触れましたように、消費者関係から学識経験者相当入れたつもりでございます。名簿にもありますように、全国地域婦人団体連絡協議会副会長の甲斐さん、それから全国農協婦人組織協議会理事の白井さん、それから主婦連の副会長の高田さん、それから日本生活協同組合連合会の専務理事の中林さんというような方をお願いしております。それから参与会のほうは、実はアジア経済研究所のほうは十五名でございまして、ほとんど私が聞いているのでは各省次官ということになっておりますが、われわれのほうはそういうことは考えておりません。大体三分の一近くは関係省の事務次官になっていただく。これはやはりいろいろ今後研究を進めていく上に、厚生省であるとかあるいは建設省であるとか農林省であるとか、そういうところの研究機関との連絡をとる意味もありますし、また役所自身で相当研究もしておられますから、そういうようなこと、それから各省のやはり意見も反映させるという両方の意味合いから、特に国民生活関係の深い省の事務次官は入れたほうがいいのじゃないか、これは三分の一ぐらいになっています。したがって残りのものにつきましては消費者代表あるいは労働界の代表、それから学識経験者一般経済界代表ということで、人選は十分気をつけております。
  44. 中田吉雄

    中田吉雄君 最後にお伺いしますが、国民生活白書ですね、前年にも地域的な分析という形ですか、出たのですが、この国民生活のいろいろなアンバランスというものがむしろ池田内閣の成長政策の中でひどくなったのじゃないか。たとえば私の県は全国一です。鳥取県ですが、これは消費生活水準、レジャー水準も何もたいてい低いということで、そういう後進性はますますひどくなっているように思うのです。そこでこの研究所にしても、こういうものにしても、やはりこういう研究の成果なり白書の成果というものを、実際企画庁なり内閣全体の政策の中に力強く反映してもらう、またそのための調査であり、白書である、こういうふうに思うのですが、いかがですか、その点。
  45. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国民生活研究所を作りますこともその意味でございますし、経済白書等を出しますこともその意味であることむろんでして、そうした点を内閣の政策に十分反映さしていかなければならぬのでありまして、その点は今後ともわれわれ反映させるように企画庁としては努力をして参りたいと、こう思います。
  46. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは課長でもいいのですが、お尋ねします。これには政府立場をおもんぱかってかもしれませんが、地域格差が、消費水準の格差が前年対比でどうなっているかということは、なかなか作業してみぬとわからぬのですよ。この辺は特別の作意があるとは取らぬですが、これではたとえば地域格差は拡大しているかどうなっているか、むしろこういう点では東洋経済新報社で出している四十六都道府県の地域格差、こういう問題の点が前年対比で、こういう政策の中で前年と比べれば格差は拡大しているのか縮まっているのか、それぞれの費目別に——これではどうも前年対比なかなかわかりにくいのですが、特別、政府の、池田内閣のためにもおもんぱかっているわけじゃないと思うのですが、統計的な作業というものは、こういうものですか。
  47. 真島毅夫

    説明員真島毅夫君) 御承知のとおり地域分析の対象となりますデータは非常に限られております。特に最近の新しいデータはなかなか把握しにくい、こういう実情でございます。  それからさらにこの分析で使っておりますデータそのものも、必ずしも地域分析そのもののためになされておる統計ではない統計等もございまして、そういう意味からなかなか地域の経済力あるいは生活水準というものを測定する方法自体が現状においては確立できておらないというふうに考えるわけであります。私どもは昨年度の白書におきまして、地域の生活水準というものを把握する方法といたしまして、一つ消費支出金額、もう一つ消費の構造がどういうふうに近代的であるか、あるいは非常に古い型の消費の姿を示しておるか、あるいはストックでございます個人の資産及び社会的の資産がどうなっておるかというようなことを総合的にみて、こういうような作業をいたしております。ただいま先生の御指摘のようにこの白書結論からは、必ずしも最近数年間格差が非常に拡大しておるというようなことは出ておらないわけでございます。しかしそれは私どもとしましては、決して作意があるわけじゃなくて、今申し上げましたような角度から、非常に良心的に検討いたしたつもりでございますが、その結果はどうとも一方的に判断できないというのが実情でございます。そういう点にかんがみまして、こういった地域の比較をやるにはさらにどういうふうな方法でもってやったら適当かどうか、あるいはまたそのためにはどういうような統計を整備すべきかどうか、そういうなことにつきまして、昨年度の企画庁から出しました国民生活研究所に対する委託研究でも、地域格差を分析検討するための方法論につきましての委託研究も出しておるわけであります。そういったような研究の性格に基づいて、さらに今後こういう検討の作業を進めて参りたい。  東洋経済が出されておりますというようなものを詳細に承知いたしておりませんが、これはどちらかと申しますと、各地域の購買力と申しますか、そういう観点からの御検討ではないかというふうにわれわれ承知いたしております。しかし地域の問題を比較いたします際には、地域にあります物価差とか、あるいは生活の慣習とか、そういったようなことも考慮しなければならぬのじゃないか、そういった多少学問的な考慮まで払いまして、われわれが検討したところでは、それほど最近数年間において大きな格差が、開きつつあるというふうには判断できない、こういう結論でございます。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点ですがね、私はやはりたとえばこの書の二百二十四ページ、生活水準の地域差の指数、こういうものがあります。こういう指数を前年対比なり、三年ごとの比較をやってみるというようなことは学問的な立場から言っても、そう誤ったことにはならぬと思うんです。これは東洋経済が出しているたしか去年から二回ほど出しております。これは地域経済をどういう要素を含めてという——たくさんの要因を入れて、そうして前年対比といいますか、前回と対比して、そうして地域差というものは拡大しているかどうかというような、なかなか学問的に見ても参考になる。私はそういうものを、これではいろいろな作業、加工をしてみぬと、そういうことがすぐはわからぬ。あまり学問的な良心といいますか、方法論に拘泥して——ちょっと実用的な意味も含めて、私はこの資料でもやはり前年なり、前々なり、三年前の対比をやって、あるいは五年目ごとなりやって、この使用の便をはかるということは、良心的な方法論上の立場を考慮してもできると思うんですが、その点はいかがですか。
  49. 真島毅夫

    説明員真島毅夫君) 地域格差ということをどういうふうに考えるかという考え方によると思うのです。四十六府県を比べます際に、非常に成長テンポの早いところ、停滞しておるところというようなこともあると思います。あるいは六大都府県のように非常に富裕県あるいは後進的な県というようなものもあるわけでございます。後進的な県の中でも、最近数年間成長テンポの比較的早いところもあるわけです。われわれといたしましては、それらを総合して全体の平均に対する各都道府県の分散の程度がどうなっているかという観点からして、それには非常に伸びの早いところもある、伸びの鈍いところもあるけれども、全体としてはその格差がどんどん広がっていくという方向にはないのではないか、こういう判断をいたしておるわけでありまして、ある特定の県と特定の県を、ピンとキリを比べれば、御指摘のように確かに開いておるという面もあろうかと思います。それを総合的なただいま申し上げましたような観点からみると、日本全国としては特に開いておるというふうには言えないという見方をしておるわけでございます。
  50. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一、二点ちょっと伺います。国民生活研究という雑誌を見ますと、「経済企画庁や大蔵省その他の官庁及び経団連をはじめ、財界の皆様方の絶大なる御支援のお蔭で、この法律が施行できる。」、こう書いてある。日本の場合に消費者団体の発展が十分でなくて、消費者の面からする消費行政推進、あるいは国民生活についての研究という要素が足りない点この雑誌にも書かれておるんですが、経団連あるいは財界等の応援が従来の研究所に引き続いてもしあるとするならば、消費者のほうからする消費行政、あるいは国民生活研究云々という点は薄くなるんじゃないか、こういう心配がありますが、その点はどういう工合に考えておられるか大臣に承りたい。
  51. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、この研究所としては基礎的な消費者立場に立った研究をするというのが趣旨でございまして、通産省の持っておられます消費者協会というようなものとは、生産者の側に立った消費者の問題を扱っておるのとは全然別個に考えております。したがいましてその目的というのは消費者自体のために……。ただこうした団体を進めて参ります上におきまして、やはり広くその成果を一般的に知っていただくことも必要でありますし、ある程度国家が今後基金を出していただくようにわれわれも運営もし、大蔵当局とも話し合って参りますが、その出発点にあたりまして民間基金というものが、先ほど御報告申し上げましたように、約一億ほど基金として寄付を願うことになっておりますので、そういう意味において感謝の言葉を述べたわけでございまして、それ自体運営について何かそういうような生産者の立場に立って運営をするというようなふうには考えておらないのでございます。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 参与のお話にございましたが、それでは消費者団体の今後の健全な発達のためにはどういう施策を講じられようとするのか、それから消費者の意向、あるいは利害というものをこの研究所にどういう工合に反映をさせようとされるのか重ねてお伺いいたします。
  53. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者の各団体とは、この研究所自体としては参与というような形でもって消費者代表方々をそれぞれお願いを申し上げたいと、こう思っておるわけです。また、消費者団体事態に対して、特に消費生活を主体としている主婦連その他に対しては、若干の何と申しますか、研究費等をすでに出して、そうして消費者の苦情調査等もいたしておるわけでありまして、そういうような、消費者が構成しております団体と緊密な連絡研究所もとって参りますし、企画庁自身もそういうつもりで消費者行政推進をやって参りたい、こう存じております。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 国民生活向上対策審議会は存続をするのだろうと思うのですが、それと研究所との関係は、いわば審議会での社会環境整備、あるいは消費者保護審議あるいは意見というものは、この研究所の動向に反映をする仕組みになっておるのでしょうか。
  55. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 企画庁行政をやりますときに、この研究所調査研究に待つところが多いと同時に、たとえばこの研究所の調査等が、また今の国民生活向上対策審議会等のほうの調査の資料、あるいは問題点の解明の資料になっていくと思います。国民生活向上対策審議会のほうは、具体的な、つまり政策と申しますか、具体的な対策を立ててそれを企画庁のほうに答申をしていただくわけです。国民生活研究所のほうは、基礎的な国民生活研究をやる、こういうことで、三者それぞれ相関関係にはなっておりますが、若干政策面と基礎面とでも申しますか、そういうような違いがそこにあるわけでございます。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最後に、民間団体の場合はとにかくですが、半官半民の機関ができますと、ともすれば役所のいわば上のほうからというのですか、あるいは老令に達した諸君がいって、いわば官庁の外郭団体になりやすい。むしろこの研究所の性格からすると、私は国民の意思、あるいは消費者の意思等が反映をするということで、増員をされる、あるいは所長になられる人が、今までの研究所のほかにお役人さんが入られるというだけでなくて、人選についてももう少し国民の利害なり、あるいは消費者の利害といったものが反映する人柄が選ばれるべきだと思うのですよ。これはまあ研究機関ですから、学者がそういう意味でなられるのが最も適当だと思うのですけれども、そういう配慮が行なわれておるかどうか、あるいは考えられておる所長なり、あるいは主要スタッフについてはどういうことを考えられておるか、承ることができれば承りたい。
  57. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 消費者方面の意向を十分に代表するために、先ほど申し上げましたように、参与会等について三分の二は民間消費者関係、あるいは学識経験者、この方面の学識を持っている人たちで構成していきたい、そうしてこの機関自身が公正に消費者立場代表する研究をすると、何か政府の命令によってゆがめられた研究をするというのであってはならぬ、それではかえってまた政府のまじめな施策には役立たないわけでありますから、そういう意味特殊法人として出発するわけでございます。所長初め所員等の人選につきましては、まあこれは十分な検討をいたさなければなりませんが、現在所長には元の慶応の大学の塾長でありました奥井君にお願いをしておるわけであります。十分な人選をして参りたい、こう思っております。
  58. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——別に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は日本社会党を代表しまして、国民生活研究所法案に賛成をいたします。  ただいま質疑の過程で若干お尋ねしましたが、この研究所が所期の目的を達しますために、政府はあとう限りの財源措置をしていただき、そして優秀な職員がそこに登用でき、所期の目的を達するようにしていただきたい点と、特にそういたしませんと、やはり業界の委託調査をやることもけっこうですが、マーケッティングの下請というような批判を受けるようなことになってもなりませんので、その点について格段の配属をお願いしたいと思いますし、さらに参与会には、やはり清新はつらつたる消費分野を代表すると思われるような人の参加を求めていただきたいことと、この研究所の成果をやはり国政に強く反映していただくように希望いたしまして、賛成討論にかえる次第であります。
  60. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。     —————————————
  62. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 次に、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  63. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。  御質疑の方は順次御発言を願います。
  64. 岡三郎

    ○岡三郎君 自治大臣にお伺いをします。昭和三十四年十二月四日の本院において、私は自転車競技法の問題について次のごとく聞いておるわけです。自治庁として今までしばしば言明されておったわけですが、最近における世論にかんがみて、戦災都市の復興その他こういった問題がいろいろあったのを、競輪がその収益で大体役目を果たしてきた、地方財政の貧困なところもあるけれども、大体安易にこの事業に便乗をしているのが現状ではないか、したがって、競輪はもうわれわれは自治体としては存続すべき理由がない、今一生懸命主張しておるのは東京都とか神奈川県とかいわゆる富裕県であって、財政的に困っておる県がやっておらぬ、これは不都合だと思う、自治庁はどう考えるかということについて、当時の政府委員の丹羽喬四郎君がいろいろと答えておるわけですが、この際以上のような質問に対して、財政的にみて今の競輪の関係は任務が終わったのではないかということが主眼点だと思うのですが、自治大臣の見解をひとつこの際聞いておきたいと思う。自転車競技法に対する自治大臣の御見解、現段階における御見解をひとつ伺いたい。
  65. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 競輪につきましてはいろいろな御批判もあるところでございます。岡さんのようなお見方もある程度できょうかと思いますが、何分長い間の慣習として、この地方自治体が相当な財源を仰いで今日まできておりますし、いろんな従来の慣習もあります。また現実にまだ相当部分その財政に負っておるという問題もございますので、これを今にわかに取りやめるということはいささか困難だ。自治体において、もう自分のほうじゃこのような計算で財政状況立っていくからよろしいというふうな決定をいたす場合には、それはもう喜んでやめてもらう、こういうふうに考えております。
  66. 岡三郎

    ○岡三郎君 その当時政府委員としての丹羽喬四郎君が、競輪の収益、まあ依存度というか収益ですね、これに対して、特別交付金ですかを交付する場合に差っ引くということについて明確に言明しているわけなんですがね。それはこういうふうに聞いているわけですよ。「交付税の中から」競輪収入というものを見合って引くということなんでしょうね、それを研究しているということなんですか、はっきり言ってもらいたいということについて、そのとおりであるとこういうふうに答えておるわけですが、現在はその点についてはどういうふうに実行しておりますか。
  67. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは特別交付税の交付金の配付の際に、その一定の率をもって、競輪の利益を上げておる団体は減額をしておるわけでございます。
  68. 岡三郎

    ○岡三郎君 その減額の程度をもう少し詳しくひとつ説明してもらいたい。
  69. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 財政局長からお答え申し上げます。
  70. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 都道府県の場合には、競馬競輪等の純益の額から基準財政需要額の一%を控除いたしまして、残った額の一五%を減額するということにいたしております。市町村の場合には、競馬競輪の純益のうち基準財政需要額の五%をこえる額、これを基礎にいたしまして、段階的に、こえる額が基準財政需要額の五%までの額については一割、五%をこえ一五%までの額については三割、一五%をこえ三〇%までの額については五割、三〇%をこえ四五%までの額については七割、四五%をこえ六五%までの額については八割、六五%をこえる額については九割というような計算をしておるのであります。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで今の交付税から差し引いているというけれども、どうも差し引き方がやっぱり足りないというかね、やっぱりまだうまみがだいぶ残っているというふうに拝察するわけですが、現在においては、地方財政ですね、地方財政の中でこの競輪の収益がひもつきでないという点で非常に魅力があるということがいわれて参っておるわけですがね。現状においては、全体の各都道府県の財政全体から見れば非常に少なくなってきている。財政が非常に伸びておりまするから。そういう点で、現在においてはどのくらいの程度になっておりますか。当時は一%ないし二%というふうにいわれておりましたがね。
  72. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 競輪の純益が基準財政需要額に占める割合、これで見ますことが一番穏当じゃないかと思います。一千四年度の実績でございますけれども、競輪をやっている団体のうち、都道府県にありましては基準財政需要額の一・六%、五大市にありましては二・八%、市町村にありましては一二%でございます。平均して、市町村につきましては一二%でございますが、中には一〇〇%をこえる団体もあるわけでございます。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ基準財政需要額から見合ってそうだが、結局東京都とか神奈川の場合において財政全体に占める収益はどのくらいですか。
  74. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 東京都は基準財政需要額の五%をこえております。神奈川県は三%から五%の間であります。いずれも相当大きな割合を占めております。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 割合を占めておる——まあ基準財政需要額という点から今言われておるわけですが、われわれの調査したところでは、財政全体からいって一%程度だというふうに、まあ統計的に言うと出ているわけですがな。一%ないし二%。そうすると、昭和三十二、三年ごろから今のほうが収益が伸びているというわけですか。
  76. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) おっしゃっておる一%というのが何を分母にしているかということでございます……。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 財政収入。
  78. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 私申し上げましたのは基準財政需要額ございますから、一般財源をどの程度必要とするかと、そのうちで純益がどれぐらいの割合を占めているかということを考えますのには、基準財政需要額がいいと思うのでございます。財政収入ということになりますと、国庫補助金でありますとかその他のものも入ってくるわけでありますので、ちょっと穏当ではないのではないだろうかという感じを持っておるわけであります。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、現在の地方財政においてもおよそ競輪収入が非常に相当のウエートを持っているというように言われておりますが、しかし現実の問題としてこの競輪の収入がなければ地方財政はまかなえないという、こういう見解ですか。
  80. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 現在東京にいたしましても自動車のはんらんからいきますと、道路問題もたいへんなことだと思うのでございまして、港湾の問題についてもしかりでございます。これをどのような速度で産業の水準あるいは生活水準にマッチさせるように持っていくかということに関連してくると思うのでございます。競輪の純益がございましても、なお現在のような産業なり生活水準からみました場合には、公共施設の水準は劣っている。とても追いついていけないというような現状でございまして、財政の改善につきましては一そう私たちとしては努力をしていかなきゃならない、こう思っているわけでございます。純益の有無にかかわらず、今の状態は東京その他におきましては莫大な財政需要を抱えている、こう言わざるを得ない、かように考えておるわけでございます。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうも情ない答弁を聞いたわけで、大東京の交通事情その他を競輪の収益金でやらなきゃならぬというような話は、まあおよそわれわれとしては情けないというふうに考えるわけですが、根本的に言ってですね、今言った交通対策、そういった問題については、国全体としてこれを考えていかなきゃならぬ段階にきている、こういうふうに考えているわけです。今言ったように地方財政に占めるその額が相当大きいということを言われておるわけですが、結局まあ昨年の三十六年について、都として、かりに都としてですね、その競輪の収入というものを込みによって使っておるのか、それを特別の財源として特定の費目に使っておるのか。その点についてどのように使われておるか。その点はわかりますか。
  82. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 東京都の場合には公営住宅にかなりの分量をさいておるようでございまして、そのほか教育施設などにも相当の分を……。
  83. 岡三郎

    ○岡三郎君 その内訳をちょっと言ってもらいたいのだ。
  84. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 東京都だけのものをここへ実は持ってきていないのですが、全体のものについてなら持ってきております。それでよろしければ、一応それで説明さしていただきます。
  85. 岡三郎

    ○岡三郎君 全体のもので……なければやむを得ない。
  86. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 三十四年度の実績について申し上げますと、全体が七十九億のうち、教育関係に三十七億、住宅に四億、土木に十七億、保健衛生に五億、失対に四億、その他庁舎、それから災害復旧、中小企業等使われておるわけであります。今申し上げましたように教育と土木が全体では一番大きいわけでございます。
  87. 岡三郎

    ○岡三郎君 住宅には大したことない。  そこで安井さんに聞きますがね。結局自治省としては、全体的にいって、富裕府県といわれておるところが競輪の存続に非常に熱心であって、まあその他の県においても熱心なところもあるようですが、全体にいって十八府県ぐらいだといわれておりますが、現状においては何府県ですか、県としてやっておるところは。
  88. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 都道府県では十五団体ございます。
  89. 岡三郎

    ○岡三郎君 十五のうちその県をちょっと言って下さい。
  90. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 東北各県はやっていない、それから裏日本のほうもやっておる団体が少ないだろうと思います。あと正確にちょっとここで記憶していないのですが、要するに純益の少ない団体はやっていない、また少ない団体はやめていった。そして現在十五団体が実施しているということでございます。
  91. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の説明から考えて、自治大臣、東北とか、裏日本というふうに非常に財政的に不如意なところがやっていなく、表日本関係の比較的財政的に恵まれている県がやっている。こういうことから見ると、財政的に見て特別に現在施行している県がやらなければならぬという理由は薄弱だと思うのですが、その点どうですか。
  92. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 全体に対する比率が今のように五%ないし市町村によって一二%というものは私はかなり影響力を持っていると思うのでありまして、これがなくなることによって結局交付税なり、特別交付税の配分において分け前が少なくなる団体ができてくるというようなことも起こりますので、これはあえて奨励すべき性質のものじゃございませんが、現在のところ、まだ地方団体ができるだけ継続してやっていきたいという意思を持っておる限りは、今これをにわかにやめることはいかがかと思っております。
  93. 岡三郎

    ○岡三郎君 今にわかにやめることはいかがかと思うと言われたが、それじゃ将来はやめるべき方向にあると、こう考えておられるのですか。
  94. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 私は将来はこれは漸減していってしかるべきものと思っております。
  95. 岡三郎

    ○岡三郎君 当初法律が施行されてから実質的に自転車競技法というものは趣旨がだんだん変わってきていると思います。当初はみんなやむを得ないという形でこれを認めてきたと思うのです。設立当初の趣旨がだんだん変わってきて、なおこれにかじりついているということは問題ではないのか、こういうふうに強く指摘されてきておると思うのです。だから適当な機会に自治省としても指導性を発揮して、こういうふうなものについて固執することなく、他の面において今言ったように、財源的にいろいろ必要性はあるとしても、他のいわゆる国としての財源においてこれを見てやるというふうな指導性というものがない限りにおいて、これは私はやまっていく問題ではないと思っている。当初の法制定の趣旨がだんだん変わってきて、ほとんど当初その考えていたことが完成された今は、それぞれの都道府県において自主的にやるいろいろな仕事について財源を見合っていくという考え方、こういう考え方自体がもうこじきを一ぺんやるというとやめられないという、こういう考え方に通じているんじゃないかと思う。都道府県というものは何にもしない、ほとんど。ただ施行者という看板だけで金をもらっている。不労所得の最たるものです。これはそれで全国的に都道府県がやっておられるならば別です。ある特定の限られた収益のある県がやっている。財政的に困っている県でやってみてもたいしてもうけにならぬからやれない。こういうふうな実態になっているわけです。だからこれをやはり基本的に改正、是正されるということになれば、財政全般におけるところのこういう競輪の収益というものについて、やはり新たなる角度で考える。大体が競輪を存続するにしても、不労所得で、ただ看板だけ持っている都道府県がもうけをもらうという根性だけでは、政治の根本にならぬのじゃないですか。都道府県はただ政府のあれで看板だけ借りて看板だけちゃんともらっているのです。何にも苦労していない。まだ自転車振興会とか、選手会とか、その他の団体は苦労しています。そして一手にいろいろな非難を受けている面がある。ところが都道府県市町村は看板だけ出してあとはみんな眠って、昼寝しておるやつがうまくもらっておる。こういう根性は一番問題があると思う。不労所得の最たるもので、看板料としては高過ぎる。どうですか、これは幾ら言ったって昼寝しておるようなところにくれる必要はないのじゃないか。
  96. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) おっしゃるような御批判はある程度まで当たっておると思う。一がいに私は反論する元気もございませんが、ただ一がいにギャンブルと申しますが、自転車競技だけで問題が片づかない。ほかのものとの関連も考えなければなりませんし、それから長い間やってきておる慣習、こういうようなものもございます。そういう今おっしゃいますような点、その他の弊害も今まで言われておったと思います。こういうものは逐次できるだけ改善しながらこれ以上むやみに繁盛はさせないということでしぼっておる。そうして自治体がだんだんいろいろな関係から、これをやめてもいい状況になれば、これをやめていくということは非常にけっこうなことだと思っております。今にわかにこれを政府の手でやめるというふうにやるのにはまだ問題が残り過ぎておるように思っております。  それから看板料として高いという御説もあるかもしれませんが、自治体がこれを何も自分のほうで何か道楽に使うとか私腹を肥やすわけじゃないのであります。住民の福祉に返っていくことは間違いない。税金の一種の変形したものと考えても考えられないことはないと思うわけであります。
  97. 岡三郎

    ○岡三郎君 税金の変形というのはちょっと困るね。これは安井さんとも思えない言葉だと私は思うのです。百円の券を買って、無条件に十一円だけ自治体に入っていく。確かにこんなうまい財源はないと思う。それが広く都道府県に公平に行き渡るならいいですよ。しかし十一円を自治省で全部一括してそうしてその分については全部に平均して配る。それならば、そういうことはいやだという県もあるかもわからないけれども、少なくとももうかる県というか、やるとお客が来る県というか、そういうところが看板料をせしめて、そうして特段競輪についていろいろと問題が出てきても、県のほうはそしらぬ顔で見過ごしてきておる。しかしその中でも良心的な県は少しずつでもやめてきておりますね。だからそういう点で、私はもう戦災復興の役割は終わったのだから、土木とか教育とか保健衛生とか、そういうれっきとした仕事はやはり純粋な財源でやっていく、こういう角度ですね。それで罪滅ぼしという言葉が当たるかどうか知らぬけれども、罪滅ぼろしになるならば、それで国民のための集約した仕事に使われるかどうかはいろいろ問題が出てくるかもしれぬけれども、兵庫県なんかは一応無理して廃止しておるというふうなことを考えるというと、少なくとも自治省に関する限りにおいては、私は競輪はいろいろと言われておる段階だから、おれのほうはきれいさっぱりに足を洗うということを聞きたかったわけですよ、きょう……。実際問題として、それもしかし担当大臣だからそうまでは言い切れないという点もありますから、そういう点についてはまあなかなか明確なる答えが出ないのでやめますが、ぜひとも自治省としては、やはり財源としてもうこういうものに未練を持つべきでないというふうに、今後とも今にわかに廃止はできないという言葉はある程度わかるんです。やっぱり従業員もいますしね。しかし、少なくてもこういうものは、商売の自由という言葉を言うと変ですが、自治体というところがやるんでなくて、何かこう競輪の会社かな、何かそういうところに移管するということがおかしければ、何か別途の方途で、少なくても国というものがこういうギャンブルというふうなものをやるということは、もうおかしいんじゃないですか。賭博とかいろいろなものについて、特殊の国においてはやっておるところもあるけれども、少なくとも作った当時からはもうほど遠いと、こういうことになるならば、自治体とかそういうところは足を洗う、こういうふうにしてもらいたいと私は思うんです。そうしないというと、何かすっきりしないと考えるわけですがね。まあひとり言を言ってるようで申しわけないが、ほんとうのところ、安井さん、言えませんかな、こんなものはだめだと。
  98. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) いや、なかなか御卓説だし、非常に傾聴に値すると思って感心はしておるわけでございますが、しかし、現実というやつはなかなかむずかしゅうございまして、今申し上げましたように、競輪だけを対象に考えるわけにもいきません。これは競馬もあればオート・レースもあるといったようなことで、そういうものに対する考え方についても、今、岡さん非常に余裕を持ったお考えのようで、やるとしても自治体、公共団体、国がやっておるのが第一みっともないじゃないか、またよろしくないじゃないかというお考え、これは私どもよくわかると思いますが、同時に、これを民間に手放しに放してしまってはたしていい結果になるか。ここらも相当動揺すると思います。でありますから、今のところこれをにわかにやめるというわけにもいかない諸種の事情もありますし、したがって、それについては地方団体自体あるいは国もこれに対してより弊害の少ない方法、そしてよりあまりはびこらない方法、こういうものをもって当分の間臨んでいくということしかやむを得ないんじゃないかと思っております。
  99. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっと関連して。この昭和三十五年度の競輪収入の使途を見ますると、昭和三十五年度に車券の売上金額が八百三十五億、その七五%を車券的中者へ払い戻して、施行者に二五%二百八億これだけ入っておるわけなんで、その相当部分が自治体の収入になっているんですが、この自治体の施行者の収益使途の内訳を見ましても、たとえば住宅の建設、学校の建設、都市復興事業費等についてはまだわかるんですが、一般会計にさえ繰り入れている。一般会計の不足財源に、私はやはりこういうものを入れるということは、これは政府——二十五年には安井大臣長官をしておられなかったでしょうが、一般財源の不足分を競輪で補てんするような地方自治財政という、そういうことまで私はこういうものにしわをもってくることは、非常に問題だと思うんです。それは福祉施設とか、あるいは戦災で荒れた都市の復興に使うとかというようなことでしたらわかるんですが、地方自治体の財源の不足、一般会計の不足分まで、まあそう大きい額ではないんですが、依存するというようなことは、これはやはり私は、これはもう終戦後の荒廃した中から、そういう意味でも、この競輪を認める立場からいっても、私はもう一ぺんこの配分を考え直すべきじゃないか。安井大臣どう思われますか。とにかく競輪の施行者収益の内訳を見ても、一般会計の不足分を競輪収入に依存している。こういうことはいかがですか。私はこれは問題だと思う。福祉とかというのなら、そういう学校とかいうのなら、まだ了とすべきですが、一般会計の不足財源までこれに依存するというようなことは、もう自治体としては恥ずべき行為じゃないかと思うのですが、この点は岡さんが指摘されている点ですが、これはいかがですか。
  100. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) それも先ほどからの御議論と関連した御議論でしょうし、ごもっともな点があると思います。終戦直後に起こったときの財源の配分とは若干趣が異なってきているということでありますが、しかし、これは一面からいいますと、やっている団体とやっていない団体、やっている団体はやり得だということでもいかぬので、したがって交付税の配分においてこれはある程度かげんをして、いわばならしをやっておる、こういうことでもありますので、一がいにこの方法がいけないとは言い切れまいと思っております。
  101. 中田吉雄

    中田吉雄君 若干やるところはうま味がないといけぬ、そういう立場はわかりますが、まあ競輪のあの施設に、従事者等も十分な待遇もされず、いろいろ非難を浴びながら存続しているものが一般会計の不足分まで私はやることは、うま味があるというのなら、住宅の建設とか、あるいは戦災都市の復興とかというような特殊なものでしたらわかりますが、そういう点はやはりもう一ぺん私は競輪を存続する立場から考えても、やはりこの配分は考えるべきじゃないか、もう一ぺん検討すべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。もうとにかく、これができた当初と今とだいぶ違うのです。
  102. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) おっしゃる点は非常にごもっともで、できるだけそういうような運営にいたしていきたいと考えております。だんだん一般会計へ入れるものは減しておるようであります。
  103. 岡三郎

    ○岡三郎君 自治大臣お忙しいようですから、通産大臣もまたお忙しいようなんで、今度は通産大臣にお伺いします。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと自治大臣に……
  105. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうぞ。
  106. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちょっと自治大臣に一、二お尋ねしたいと思いますが、今、岡委員質問で自治大臣の考え方は一応わかりましたが、競輪の存廃についていろいろな意見があるわけで、こういう点も含めて昨年の七月公営競技調査会会長の長沼弘毅氏の名で政府に答申が出ておりますが、その答申を見ますと、前文の中で、「本調査会としては現行公営競技の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とし、その弊害を出来うる限り除去する方策を考慮した。」、この中では現行公営競技の存続ということを前提にして以下かくかくの施策を行なうべしと、こう出ておるわけです。この答申を尊重するとすれば、またこの答申に基づいて政府が競輪問題に取り組んでいくとすれば、これは存続を前提としていろいろな施策を要求しているわけで、先ほどの自治大臣の答弁とこの答申の趣旨とは食い違っておるような印象を受けるわけですが、自治大臣は率直にどういう考えでこれに今後対処していくのか、その点もう一度伺いたいと思います。
  107. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 原則論といたしまして奨励すべき性質のものじゃないという点を申し上げて、でき得るならばこれが減っていくことが望ましい、こういうことを申したのでありますが、現実の問題としていろいろの事情が、この答申にも書いてあるように、ございます。社会的の影響面もありますし、あるいは自治体の財政面もある。あるいは関係者のいろいろな答申に対する問題解決の方法もある。そういう意味から、これはやはり答申も急にこれをやめるというようなことでなくて、改善しながら、といって、これをむやみに奨励すべきものでもあるまいというような答申の御精神かと私どもは解釈しております。
  108. 田畑金光

    ○田畑金光君 現行の程度は維持することもやむを得ない、そういう前提で、政府としてはその弊害の面をできるだけ除去していこう、こういう考え方でいくというわけですか。
  109. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 今財政のあり方としましては、先ほど岡さん等からも言われましたように、むしろこれにあまり依存するという格好を露骨にとることはよくない。しかし特殊の事情によって特殊のものに今現実依存している面があるのだから、それを急にやめるわけにいかないが、除々にそういうものについては改善を加えていきたいと思っております。しかし競輪そのものをどういう規模でやっていくか、あるいはどういう方式でやっていくかということにつきましては、私どもは地方団体のあり方といったようなものについての一般的示唆はやることができますし、やはり今後もその弊害の除去という面から大いにやっていきたいと思いますが、そのものを右から左にどうしようということについては主管省もあることでありまして、私どもが今これを具体的に結論出すのは差し控えたいと思うわけであります。
  110. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど都道府県で今幾つくらいやっているかという質問に対して十五というような財政局長の答弁がありましたが、十五の府県が現在やっておるのか。私たちがもらっている資料によると、現在やっているのは十三府県と書いてありますが、それはそれとして、現在実際に競輪を事実上実施していない府県もあろうかと考えておりますが、あるいは市町村もあろうかと思いますが、それは幾つくらい事実上休止しておる府県市町村があるのか、その理由は何か、それをひとつ御説明願いたいと思います。
  111. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 三十四年度以前にやめた団体を先に申し上げますと、香川県、山口県、京都市、三重県の上野市、岡山市、徳山市、徳島市、高崎市、丸亀市でございます。三十五年度以降では兵庫県、新潟県、北海道、芦屋市、常磐市、戸畑市、小野田市でございます。当初は売り上げの少ない団体、これはだんだんやめていったと思います。そのほかに特殊な団体としては芦屋市のように財政収入がかなり豊富になってきて、競輪に依存する必要はない、そういうふうな意味でやめたというわけでございます。
  112. 田畑金光

    ○田畑金光君 今やめた理由が競輪の収入に依存しなくてもよろしい、財政的にも十分その他の財源によってまかなっていける、こういう事情が競輪をやめた大きな原因になっているわけですが、先ほどの質問にもありましたように、現在競輪をやっておる地方公共団体は主として富裕団体に多いということを見ましたとき、やはりこれは非常な矛盾がそこに感じられるわけです。ことに貧弱な市町村等においては事実上競輪をやっていない。またかりに貧弱な市町村、地方公共団体で競輪のようなことをやって、一般の民間の金を吸収するということも問題があろうと、こう考えておるわけです。でありますから、実際競輪を実施しておる地方公共団体の財政の事情と、やっていない団体との財政事情ということを考えたとき、そこにかりに当分の間存続するとしても、何らかの財政の調整措置等が必要ではないか、こう見られるわけです。特別交付金から差っ引くといっても、やはりその差っ引く内容というものが相当低率でありますから、現在施行している地方公共団体にはまだまだこの競輪事業は魅力があるわけですね。そういう点において、何か存続するについても、自治省等では特別な考慮というものがこれを実施するについても必要ではないかと、こう考えるのですが、この点自治大臣の見解を承りたいと思います。
  113. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) お話しのとおり、できるだけこの財政的なものについては、この依存度を高めないように考えて措置をしたほうがいいと思います。したがって、特別交付金あるいは起債の面、そういったような面についてもこれのかげんをしつつある状況で、そういった指導は全体的に漸次やっているわけであります。
  114. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ同じ答弁でやめますが、それからもう一つ、今度第十一条というのが新たに設けられて、これによりますと、「競輪施行者は、その行なう競輪の収益をもって、自転車その他の機械の改良及び機械工業の合理化並びに社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、体育の振興その他住民の福祉の増進を図るための施策を行なうのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする。」。新たな今度はさらにこの競輪で上がった収益をば、従来は自転車工業その他機械工業の振興や合理化のために振り向けておりましたが、いろいろ今度新たな面に競輪施行者がこれを運用するというように、まあこれは訓示的な規定でありますけれども、なっておりますがこの条文についての自治省としてはどういう運用というか、指導面を考えておられるのか、それを伺いたいと思います。
  115. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これはまあ答申にもございましたし、法律でもこういうふうにうたってありますので、いわゆる直接住民の福祉そのもの、一般の会計、一般行政的な支出というより、直接住民に返っていくという方面へ極力使うようにこれは指導していくということにいたしたいと思っております。
  116. 田畑金光

    ○田畑金光君 たとえばこういう方面に競輪の収益を使っていこうということになれば、従来特別競輪等もやっておるわけですね。特別競輪による収益も相当過去においては上げて、それがスポーツ振興の面とか社会福祉の面とか、いろいろな面にこれが充当されておりますが、そういうようなこともこれから積極的に財源を生み出すためにやっていこうという考え方もこの条文の中にはあるのかどうか。
  117. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 特別競輪を行ないましてその純益を日本全般の社会福祉その他の関係のものに寄付をいたしておるわけであります。その方式は競輪を行ないます団体それぞれから収益金の一定割合を全国的な事業の寄付に拠出してもらうというように制度化をいたしているわけであります。今おあげになりました条文以外のところに規定を加えておるわけであります。
  118. 田畑金光

    ○田畑金光君 私のお尋ねしているのは第十一条の中に、新たにいろいろなことを考えておるが、あなた方としては、特別競輪等による収入等も、もっと積極的に上げて、今ここに、十一条に規定されているような面に、ひとつ積極的に振り向けていこう、こういう考え方に立っておるのかどうか。
  119. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは格別、扱いを変えようといいますか、その財政の取り扱いを格別変えようということでございませんで、法律に書いてありますように、直接住民の福祉になるような面にも、できるだけ使うということは、その精神に沿ってやっていきたいと思っておるわけであります。
  120. 田畑金光

    ○田畑金光君 今までの実績を見ますと、競輪施行者の実際の純粋な収益というものは、車券売上総額の一二・五%前後に上っておりますが、その範囲の中において、この十一条は運用しようという考え方なのかどうか。
  121. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 大体、そのとおりであります。
  122. 中田吉雄

    中田吉雄君 奥野局長にお尋ねいたしますが、これは、税源の地域的に非常に限られておるというところは適当じゃないと思うのですが、だんだん整理の方向に、自治体をしてそうせしめるという意味から、車券売上高の中から、主催者の必要経費を引いちゃって、それを全国的に吸い上げて、入場税のように人口なりに応じて配分する。これは、まあそういうふうに、どの県にも、どの市町村にもあるというわけでもないので、そういう意味じゃ適当じゃないと思いますが、そういうことをやったら、非常に減りますか、主催者が、自治団体が。
  123. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 私から申し上げるまでもなく、競輪を実施すること自身についても、強い批判があるわけでございます。実施している団体につきましても、廃止論がかなり出ておるわけでございます。したがいまして、廃止論があっても、なお実施するということは、その純益を通じて住民の福祉の増進をはかっていく、その効果と天びんにかけて実施しているのが実態だと思うのであります。したがって、その団体に戻っていかないで、全国的に吸い上げていくということになりますと、問題は、変わってくると思います。
  124. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは、入場税のように、あるいは、たばこ消費税のように、人口に応じていく、それは、どうですか、やってみなければわかりませんが、非常に減ってしまうということですか。あまりうまみがなくなりますか。そういう配分の仕方では、うまみがございませんか。
  125. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 今お話のような思想と、この現在自治団体が、やるかやらぬかということを自分できめていくという思想と合わないのであります。強制的にやらせるが、その純益は全国的に配分するというなら話はわかると思うのです。現在は地方団体が、弊害を避けるか、弊害を取って、さらに純益でプラス面に大いに寄与していこうとするか、選ばしておるわけでございますので、やはり当該地方団体が収益を自分で使うということでなければ、つじつまが合わないと、こう考えております。
  126. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは合わぬのですが、そういうふうにしてまったら、ほとんど全国的にプールされてしまって、全くうまみがなくなってしまうのですか、配分の仕方、それはどうですか。
  127. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) うまみがなくなると思います。
  128. 岡三郎

    ○岡三郎君 通産大臣が、非常にお忙しいところ来られたのですから、簡単に通産大臣にひとつ質問いたしたいと思いますが、四時二十分にインドネシアの工業大臣に会われるということで、まあできるだけ簡略にやりたいと思います。  私が一番先に聞きたいことは、これは通産大臣に聞くというよりも、総理大臣に聞くほうが適切だというふうに考えておりますが、そのことは、政府の施政方針の中において、強く青少年問題に言及して、やはり道義の高揚といいますか、道徳教育の振興とか、いろいろな問題をうたわれておりますが、一軒のうちにおいて、親が競輪に夢中になって、そして競輪だけではなく、いろいろな勝負事があるわけですが、そのあおりを四六時中家庭の中において感じておる子供は、やはり全体において相当数いるのじゃないか、そういうようないろいろな面を考えていった場合に、こういう公営ギャンブルといいますか、いろいろな公営競技があるわけですが、その中で特に自転車競技法といいますか競技、この問題がいろいろと指摘されてきておる点ですね。それはやはり、非常にそうい社会悪的な面が著しくこれによってかもし出されておる。まあ部分的ではあるとしても、相当これは深刻な問題を提供しておるし、こういうようなことを相関的に考えるというと、国としてこういうものはやはり、ある適当の時期にやめて、そして他の財源を、自転車の振興とか機械振興とか、そういう面の本格的な日本の産業の振興という問題については、根本的に検討すべきではないか、こういうふうに考えておるわけですが、この点、通産大臣のお考えをちょっと聞きたいと思います。
  129. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま岡さんからお話がございましたが、私はやはり、総理の施政演説にもありますし、その社会的悲劇をかもし出して、ずいぶん害悪を流しておる。そういうことから、こういう制度についても批判がきびしくなっております、かように思います。ただ、関係するところが非常に広いものですから、政府の一存、あるいは、そのときそのときの考え方で左右することも不適当だろう、こういう意味で昨年、御承知のように、公営競技調査会、その答申を持つという措置をとった、かように考えております。
  130. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで、まあこの提案内容から見て、改善をしてこれを存続さしていく、こういう方向にあることは、われわれも承知しておるわけですが、こういうものと通産省との関係、自転車振興、機械の振興ということと、どうも、やわらかいものと、かたいものと、あまり極端にくっつき過ぎておるというような印象ですね。どうも通産省が何かこう、まあ、やはり事の始まりが始まりですから、しかし、十数年を経過してみるというと、ちょっとおかしいのじゃないか。これは所管がえもできるわけでもないけれども、自転車の振興とか機械とか、そういう面については、確かに予算化するという面についても、いろいろ費目があって限界があるということは、おそらく、私どもわかるけれども、何かやはりおかしいのです。もうちっと、そういうもとをただすというか、すっきりして、そして、そういう面における予算は予算として計上していく、そして、まあ先ほど中田さんが言ったように、万やむを得ないとしても、いろいろと公共の福祉とか、そういった面について使用するという、贖罪的な、罪ほろぼしと申しますか、そういうような使途というものにふさわしいというと変ですが、そういう点で私は、国の施策として考えられるのは、いろいろと関係もあるので、簡単にはいかぬという点もわかるわけですが、やはり、ある段階に、思い切ってこういう問題についての国の施策というものをすっきりしないと私はいかぬのじゃないか、特に競馬とか、そのほか、モーターボート・レース、オート・レース、いろいろありますが、しかし、競輪というものは安直で、比較的金額も少ない、だから、所得階層からいえば、非常に低所得者がこれとの関連を深く持っておるのじゃないか。これは全部調査したわけではないから、そう言い切れないかもしれませんが、われわれの印象として、そういう印象を強く持っておるわけですが、そういうような面からいって、業務内容を刷新して、新しくここで出発するといっても、本質的にやはりこういう社会悪を助長するような現在の傾向というものを、なかなか抜本的に改めることにはならぬのじゃないか、そういう点で大衆娯楽として云々というふうに答申案も出ておるわけですけれども、こういう問題についての限界といいますか、いわゆる大衆娯楽として、こういう競輪とかいろんなものを見る見方ですね。この点についてわれわれとしては、どうも大衆娯楽という面ではなくて、これはやはり純粋な賭博行為、こういうふうに見ざるを得ないのです。  そういう点で、賭博の総元締めを通産省がやっているということは、どうも似つかわしくないので、この点、ある段階で通産省は少なくともやめてもらったらどうかと思うのですが、この点どうです。ちょっと大臣に聞きたい。
  131. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) これはまあ、いつの時期からか通産省が所管している、いわゆる競技自体を主体に考えると、競技自身を通産省が所管するというのは、おかしいのですね。むしろ自転車工業振興だとか、そういう意味のものだろうと思います。そういう売上金の使い方、多分こうではないのでございましょうか、今いろいろ、別に岡さんの言葉じりをとらえているわけではありませんが、競馬その他に比べて、これは非常に安直だと、まあ大衆性がある、大衆娯楽と、そういう点はやはり幾分か御理解になるだろうと思います。しかし本来そういうものが盛んになることは好ましいことではないし、またその後行なわれた実際等から見て、先ほど御指摘になるような悲惨な事件も幾つもできておる、家庭悲劇も起こして、こういうことがやかましくなって、昨年公営競技調査会が答申する、こういうことになってきた。そのほうの競技自身についての問題は、昨年を持たずして、おそらく作るときから問題があったのだろうと思います。せめて売上金でも、自転車振興その他工業の面に使われれば、あるいは社会事業等に使われれば、こういうような条件がついておそらく許されたものじゃないか、こういうふうに私は発展の過程を想像するのでございます。  それはとにかく、そんな意味から通産省が所管したというのだろうと思います。物事をどこが本来の所掌かというと、まあ公営競技を所掌する役所はなかなかないので、その事業の関係から通産省にきたのだろう、別に私は通産省がいつまでもこういうものを確保していたいと、こういう主張で申し上げるのではありませんが、どこか便のあるところで通産省になったのだろうと、私はかように考えておる次第でございます。
  132. 岡三郎

    ○岡三郎君 そこで答申案を、どの程度われわれが理解するかという問題にもなるわけですが、弊害を防止するという点において、いろいろと答申案についても、今度の改正案についても努力しておられるあとは見られるのですが、抜本的にいって、われわれがよく今までも言ってきたのですが、人間が行なう競技ですから、人間が行なう競技といっても、一般のアマ・スポーツは、これは別ですけれども、とにかく八百長というのが非常に問題のポイントだ、選手会自体、これを行なう選手会自体としての身分というものも、まあほかの面から比べるというと、非常に改善されていないのじゃないか、そういうふうな意見相当われわれのところにもきておるわけですが、根本は人が行なうわけですからね。したがって、賭博行為に伴うところの不正といいますか、そういうふうな問題について、いろいろと他のギャンブルとの比較の中において、競輪が非常にそういう傾向が強かった、現在もこれからもそうであろうと、オール八百長などということを言っている人もあるのですが、そういうふうな点で、通産省がこれを監督しているということからいえば、今後そういうふうな騒擾事件とか、八百長とか、いろんな問題に関連した騒ぎというか、弊害といいますか、こういうものを重工業局が取り扱うというのも、これはおかしいので、実質的にこういうものについて監督を強化するような仕組みを通産省として考えてもらえぬかと私は思うのです。それは重工業局としては、こういう問題は本筋的な仕事じゃないですね、本来。仕事はもっと多くあるわけです。たまたままあ重工業局というのに仕事として入っておる、それでずっときておるわけですね。その関連が自転車、機械の振興と、こういう結びつきだということになっているわけですが、実際的にいって、こういう問題についての監督、めんどうを見ていくということはいやなんじゃないかと、当事者は。この点どうですか。
  133. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 重工業局がこれを所管しておるというのは、自転車工業がその傘下にあるということでございます。ところで、ただいま御指摘になりますように、八百長その他の不正、それに対して、どういう処置をとっておるか、やはり選手の資質の向上であるとか、あるいは待遇の改善であるとか、こういうことで本筋に上すことを考えております。  しかし、これはまあ私の個人意見が多分に入りますが、ギャンブル自身というものには、ずいぶん人為的なものが加味されている。馬でも、これは騎手自身である程度かげんもできるでしょうし、人の乗らない犬を走らせましても、飼い主もまた、いろいろ工夫している。まあいろいろギャンブルには、そういう面がついてきているようであります。で、これが非常な弊害をかもし出しておるので、そういう点の是正でございますので、ただ、その本来から望ましくないもの、しかし一応存続しておる、こういうようなものに対して、やはり厳罰をもって臨むことも、これは当然じゃないかと思います。だから、非常な問題を起こしておる競技場等を閉鎖する話がしばしば出ておりますが、こういうような事柄が、事態をまずまずのところへ持っていくのじゃないかと思いますが、事柄が事柄でありますだけに、よほど監督官庁としては、はっきりした態度でそれに臨まないと、いやしくも寛になると、これは本来の性格上、そういう方向へ走る危険が多分にあると思います。
  134. 岡三郎

    ○岡三郎君 最後に、ここで法改正としていろいろ出されてきたわけですが、確かにこれを通覧すると、これを的確に実施していくということによって廃止の段階から、まあ実施の段階というふうな立場から考えてみても、これはある程度改善されていくと思うのですが、大臣が今言ったように、要はやっぱり監督する官庁として、その点きちんと持っておいてもらわぬというと、やはりいかぬと思うのですよ。まあ四六時中、にが虫かみつぶしたような顔ばかりしちゃいられないと思いますけれども、ただ事柄がやっぱりルーズになる性格を持っておりますから、そういう点で今後騒擾とか、そういうものが起こったときには、やはり厳格にこれを処置していくというこの態度ですね。こういう態度をひとつ堅持してもらいたいと思うのですが、これについて、大臣の所信を聞いて私は終わります。
  135. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいま岡さんが御指摘になりましたように、また私先ほどこの席で自治大臣に対する御質問等を通じて伺っておりましても、事柄について、いろいろの弊害をかもし出しやすい事業形態であるから特に注意しろと、また厳正な態度で指導しろ、監督しろ、幾多の話が出ております。たいへんもっともなお話だと思いまして私傾聴いたしたわけでございます。今後とも、一そう万全を期するように行政指導、監督の面に注意をして参るつもりでございます。
  136. 岡三郎

    ○岡三郎君 私の希望意見としてもう一言。  それとともにやがては——やがてはという言葉はあれですが、まあごく近い将来において、国の発展といいますか、いろいろと多くの問題をかかえている現在の世相の中において、これを改めていく方途の一つとして、こういうものについて、やはり厳格なる御検討をいただきたいということをお願いしておきます。
  137. 中田吉雄

    中田吉雄君 簡単に質問したいと思いますが、この公営競技調査会長の答申、あるいは当参議院の商工委員会等の決議を見ましても、この売上金の一部を関連産業の振興とともに、そのほかに福祉事業、医療、スポーツ、文教関係に使えということが書いてあるんですが、私は、やはり、存廃を別にして、何としても自転車産業の振興ということが中心にならにゃいかぬと思う。私は、今自転車産業、まあかよわいとは言いませんが、たくさんの五百近い工場で、非常なアッセンブル産業で、なかなか輸出もそう伸びていない。大いに合理化し、近代化し、標準化せねばならぬのに、ほとんどほかのことに使って、わずか、昭和三十五年では八百三十五億の車券の売り上げの中で自転車産業振興、機械産業振興費に十一億、これは私は問題ではないかと思うんですが、もっと基本的にもう一ぺん、こういう制度ができてから長い年月がたっていますし、検討するとともに、やはりその配分については、どこにポイントを置くか。やはり私は自転車産業、第二次的にはそれに関連する産業。世論を緩和する手段だけに、スポーツであるとか、社会保障であるとか、文教——これは、もう国が当然そういうものはやるべきことで、これで世論を緩和する手段にして、問題を含んでおる自転車産業そのものをやはり近代化し、合理化し、十分国際競争にたえるようにし、そうしてそういうものが発展して、その税金でそういうことをやればいいじゃないか——この点が、はなはだ世論緩和に急で、自転車産業そのものの振興ということが閉却されているんじゃないかと思います。それはどうですか。——局長が御答弁になるなら、このでっかい本ですが、日本の機械工業の自転車産業を見ても、昭和三十三年に四百七十二の工場があって、二百人以下の工場がほとんどです。二百人以上の工場はたった十五しかないという全く零細な、しかも非常に標準化されない組み立て工場で、最近は、インドネシアの外貨不足等とからんで輸出もなかなか伸びないという点もあり、私はやはりもっと自転車産業そのものを振興するように使わなければいかぬと思うのですが、昭和三十五年のこの十一億の中で、一体自転車産業に幾ら使い、関連産業が幾らになる。一体自転車産業は、このままの状況でいいのかどうか、そういうことです。
  138. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 大体十一億の中で半分は自転車産業に使っております、ラウンドで申しますと。半分は自転車以外の機械工業に使っておるわけです。御承知のように特別競輪をやり出しまして、社会福祉あるいは体育その他に使い出したのは、ごく最近でございまして、それまでは競輪を実施しまして以来——最初は全部自転車産業に使い、その後になりまして機械工業、関連機械産業にも使い出したわけでございます。  自転車産業につきましては、今先生のお話のように、輸出産業等に非常に重要な使命を持ち、そして輸出産業として育って参りましたので、なお、今度の改正後におきましても、自転車産業につきましては、十分に金の配分をいたしたい、こういうわけです。
  139. 武藤常介

    委員長武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  140. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記を起こして。
  141. 中田吉雄

    中田吉雄君 この四百七十三の中で二十人以下の工場が百八十六なんです、二十名以下の工場が。こういう零細企業に依存して、八百三十五億のうちで十一億で、しかもそのたった半分をして、世論緩和にだけ重点を置いていくというような自転車産業は、そういう事態に放置することを許すような状態じゃないと思う。私はやはりもっと、社会福祉とか医療とかいうようなことは国が当然やって、こういうものに、アリが甘きにつくようなことをせずに、これを存続する立場からいっても、もっとやはり自転車産業のプロパアの振興に私は重点を置くべきだと思うのですが、この点、通産大臣に最後に……。
  142. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの中田さんの御意見、一部私は賛成いたしております。一部ということは、たいへん失礼な言い方でございますが、自転車産業がかつてのような産業の状況でないこと——もちろんこれが維持の政策はいろいろとっておるわけでございますが、ことに中小企業であるという特質等にかんがみまして、特に私どもあたたかい育成の処置をとらなければならぬ、かように考えております。ただ、売上金の配分の問題等になりますと、本来が自転車工業だからというだけでも、なかなかお許しを得ないものでございますし、ことに自転車工業本来のものでありますならば、これは政府が本来の予算あるいは財政資金等の金融措置とか、こういう本筋のことになるだろうと思います。まあいわば公営企業、公営競技を認めた、その売上金でございますので、その自転車に対する配分が幾らがいいか、いろいろ議論があるであろうと思いますが、そういう点から、まず半ばをということだろうと思います。この点、御了承願いたいと思います。
  143. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣のほうは質問もういいです。次官と局長でいいですが、競輪選手について若干お尋ねしたいと思いますが、現在選手の数は何名でしょうか。資料がどこかにあったと思うのですが、何ページでしたか。
  144. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 四千三百名くらいです。四千四百弱、四千三百何十名……。
  145. 田畑金光

    ○田畑金光君 資料どこですか。
  146. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 二十三ページでございます。
  147. 田畑金光

    ○田畑金光君 この競輪選手の寿命というのは、いわゆる選手として現役で働けるという年数は、普通何年くらいのものですか。
  148. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 薄命といいましても、老朽選手を出場させるかさせないかによりまして何年ということはいいにくいと思いますが、現在は平均年令がたしか三十一才ということになっております。中には非常に老年の人もおりますので、競輪選手になりましてから、まあ十数年ということだと思いますが、今後はこの競輪の選手を新陳代謝いたしまして、やはり老朽選手よりも若い選手にしていくということが必要だと、こういうふうに思います。
  149. 田畑金光

    ○田畑金光君 選手の身分といいますか、これは、自営業者とみるべきなのか、それとも雇用関係に立つものなのかどうか。これはどうなんですか。
  150. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 選手は出場する場合に、施行者とそのつど自由契約を結びまして、その対価と申しますか、賞金によって決済をされておりますので、臨時的な雇用関係に立つ、こういうふうに考えられます。
  151. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、これは施行者と臨時的な雇用関係に立つと、こういうことですか。
  152. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) そういうことです。
  153. 田畑金光

    ○田畑金光君 この聞いただいた資料によりますと、参議院の商工委員会において、あるいはまた衆議院の商工委員会において、たとえば昭和三十二年五月十九日の参議院商工委員会、その第三項では、「選手の素質向上並びに生活の安定を図り、災害補償、退職金等について特段の配慮をすること。」さらにまた、同じく衆議院の商工委員会でも、三十二年の四月二十三日、第二項で、「競輪選手の円滑な新陳代謝及び選手の素質の向上を図るとともに、併せて選手の待遇改善につき検討すること。」、こういう、選手の待遇改善というのが附帯決議になされ、この問題については法改正のたびごとに取り上げておるようでございますが、今回この法律改正によりまして、十六条の三ですね、新たな条文が加わったわけですね。この十六条の三を読みますと、「通商産業大臣は、選手の福利厚生の増進を図り、競輪の公正及び安全の確保に資するため、競輪施行者又は日本自転車振興会に対し、選手の相互救済を目的とする事業に対する助成その他の措置に関し必要な助言又は勧告をすることができる。」というように、新し条文が今度加わったわけでございますが、この競輪選手について、現在までどういう福利厚生その他の面に措置をなさってきたのか。今度新しくこの条文が加わることによって、その取り扱いに、どういう内容の変更を加えることになるのか。これをひとつ御説明願いたいと思います。
  154. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 競輪の選手につきましては、ただいまお話のございましたように、国会の附帯決議等もございまして、その待遇改善等につきまして、いろいろな面で実施をして参りました。そのおもなあれを申し上げますというと、一つは、賞金につきまして昭和三十二年に当時の賞金の一五%を引き上げまして、選手一人当たり月平均約八千円の増収をはかっております。なお、競輪参加中の災害補償につきましては、三十五年に年間約二千万円を、また退職慰労金につきましては約三千万円を選手厚生資金の名月で出しております。
  155. 田畑金光

    ○田畑金光君 競輪選手の今お話のように、いろいろ賞金の引き上げその他なされたというんですが、どれぐらい給与所得はなるものですか、現状。この二、三年来のあるいは四、五年来の推移は、どうなっておるのかですね。一人当たりの月平均所得ですね。
  156. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 月平均大体六万五千円でございます。
  157. 田畑金光

    ○田畑金光君 お尋ねしておるのは、昭和二十九年ごろから昭和三十五年あるいは六年ごろまで、どのように推移しているのか、もっと年度別に説明願いたい。
  158. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) ただいまの御質問の一人当たり、どの程度になっているかという点でありますがこれは後ほど計算をいたしましてお出ししたいと思います。ただ、賞金総額としましてここ四、五年来の推移を見ますと、昭和三十年度におきましては賞金として約三十二億、それが三十五年度におきましては約三十六億ということになっております。ただし、これにつきましては昭和三十年ころの選手の全体の数は約五千人ほどでありまして、現在三十五年度におきましては、さきほど局長から申し上げましたように約四千三百人ということになっておりますので、ざっと計算しますと、一人当たりの賞金額はふえているという数字になろうかと思います。
  159. 田畑金光

    ○田畑金光君 総額で出されましたが、総額で言われても、ちょっとピンと来ないので、一人の月平均所得はどれくらいになっておるかと……。
  160. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) これは後ほど計算をしまして提出したいと思います。
  161. 田畑金光

    ○田畑金光君 さきほど重工業局長の答弁によると、臨時的な雇用関係に立つと、こういうお話でしたが、そうしますと、たとえば競輪選手が、もっと給与を上げてくれ、所得をよくしてくれ、こういう場合は、雇用主としての競輪施行者に対して交渉するような、あるいは団体交渉とか、こういう権利というものが現実に認められ、そして行なわれておるのかどうかですね。あるいは競輪選手の組織というものが確立されているかどうか。法制上、法律の建前上、どういうような取り扱いをこれは受けておるのか。そこをひとつ。
  162. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 先ほど申し上げましたように、選手と施行者との関係は、出場しております間の契約関係、言いかえれば、その間は雇用関係に立つと思います。  そこで選手といたしまして、施行者、雇用主である。言いかえればその相手方である施行者との間に、待遇改善等の問題について話し合いをするという格好にもなりますが、もともと競輪の選手は、公営競技、法律に基づきまして、一応資格ある者が厳重に審査を受けて登録をされた選手でございますので、通産省といたしましては、選手会あるいは施行者あるいは日本自転車振興会等関係者と十分に待遇改善の問題は話をして参っておりますが、さらに今後とも、そういう点につきましては話し合いをいたしまして、そうして競輪選手の待遇改善の問題につきまして合理的な方向で考えて参りたい、こういうふうに思っております。
  163. 田畑金光

    ○田畑金光君 四千三百ないし四千四百の競輪選手が現におると、で今のお話では、通産省が中に立って関係機関との話し合いで解決していきたいというようなお話ですが、やはりこの種競輪選手の待遇の改善とか給与をよくするとかいう問題は、やっぱり雇用主である、あるいはたとえ臨時的にしても施行者と団体交渉を認めるというような、少なくとももっと競輪選手の立場というものを、法的にも確立した形でなければ、あなたの今お話のように、ただあっせんするとか話し合いでなんといったって、これはできやせぬと思うのです。先ほど局長の答弁によると、相当この二、三年来競輪選手の給与もよくなったという答弁でございますがね、私のもらった資料によると、まるっきりこの二、三年は、かえって下がってきておるのが、実情ですね。  そこで私の、特に考えておるかどうかお尋ねしたいことは、この競輪選手会なら選手会というものを、もっとこれを法的にも一つ団体として法制化する、こういうことが必要じゃなかろうかとこう思うのですが、この点はどのように考えておられますか。
  164. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 実は、その選手会というのは社団法人でありまして、選手そのものがみずから訓練をしましたりあるいはお互いに厚生を考えたりすることは、これは選手会として当然のことでありますが、法的に選手会なるものを規制するということはなかなか困難でありまして、実はほかの公営競技にも、みな選手がおるわけでございますが、やはり法的に選手会という社団法人を、たとえば選手会なるものが特別に固有の何か事業というようなものを持つというようなことでもあれば別でございますが、そうでない限りは、なかなか選手会を法的に裏付けるということは困難であろう、こういう判断に立ったわけであります。ただ選手会につきましては——選手につきましては、現在も中央選手制度改善委員会というのがございまして、今後新しくこの競輪制度の改善の方向に沿いまして、基本的に待遇問題あるいは福利厚生問題を、もうすでに検討いたしております。  それから、なお選手会につきましては、救済問題とそれから訓練問題等がございまして、この点は、訓練の問題につきましては、中立機関であります自転車振興会が施行者あるいは地方の振興会等と話し合いをしながら訓練を実施しておりますが、ただいまの福利厚生等の問題につきましては、必要があれば、通産大臣から助言勧告ができるということで、今後の合理的改善の法的な裏付けと、こういうふうに考えて改正いたした次第であります。
  165. 田畑金光

    ○田畑金光君 たとえば、この日本自転車振興会というのが、選手の訓練とか養成、こういうことをやるわけですね、この法律によると。しかし、この種仕事はですね、日本自転車振興会というのが、どういうメンバーの人方が名前を連ねておるかつまびらかにしませんけれども、こういう仕事はやっぱり自転車についての、みずから競技に参加し、技術を持ち経験を持つ競輪の選手を中心とする日本競輪選手会ですか、こういうものが、やはりたとえば選手の養成とか訓練とか、こういう面は担当すると、こういうようなことをまあ法律で書いたほうが実際的じゃないかどうか、私の言っているのはですね、なぜそれが弊害があるのかどうか。
  166. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) それはお答えいたしますと、選手会がみずからお互いに訓練をしたり、お互いに切瑳琢磨したりすること自体は、これは大いに選手会でやっていただかなければならぬかと思います。ただ選手につきましては、老朽選手の問題あるいは不良——成績のよくない選手の問題、御承知のように厳格な資格試験をしまして、そうして登録制度をしいております。先ほど来選手というものが柱である、競輪実施の柱であるという点にかんがみまして、先ほど大臣お話をされましたが、やはり一面は、そのいろいろ問題の起こらないような選手の素質向上という意味から申しますというと、第三者的な中立の機関が訓練をする。同時に選手会みずからは、みずから自体で、いろいろ訓練をするということは必要であると思います。そういう意味の訓練は、現段階では第三者、中正な第三者がこれを政府の監督のもとに訓練をするというのが筋道ではないか。ただし、なお、訓練の能力、訓練をする側に立つ能力その他の問題につきましては、今後十分に改善をはかって参りたい、こういうふうに考えております。
  167. 田畑金光

    ○田畑金光君 十六条の三ですね、これは通産大臣が云々ということに、これは書いてありますが、具体的にどういうことをするということですか。十六条の三の内容ですね。
  168. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 御承知のように法律でもって選手につきましては、出場の場合の条件の適正化というところで、やはり今のお話の待遇の問題等々について規定をいたしておりますが、なおそれだけでは足りませんので、やはり、今の待遇改善の問題あるいは福利厚生の問題等につきましては、必要な場合にはこれだけの金を、要するに選手の待遇改善に出すべきである、こういう指示——助言、勧告ができると、こういう意味で、本規定を設けた次第であります。
  169. 田畑金光

    ○田畑金光君 現在実施されておる福利厚生というか、共済組合の内容あるいは運営実態、これはどうなっておるんですか。
  170. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 御承知のように、福利厚生につきましては賞金の一部が使われることになっております。なお、これを大きく分けまして、競輪選手が参加中に起こって参ります災害の問題と、それから参加外の場合における災害あるいは福利厚生の問題と、それからもう一つには、御承知のように、先ほど申し上げましたように、いわゆる雇用関係に立っておりませんので、退職金という形ではございませんが、慰労退職金という形で私どもは考えておりますが、そういう場合の交付金、こういう大きくすれば三つに分かれると思いますが、こういうものにつきましては共済会というものを設けまして、そうして、そこで今申し上げた施行者からの共済会に対する交付、それから賞金の中から、各選手が一部福利厚生のために出しておりますが、こういうのが、大体の福利厚生の実態でございます。
  171. 田畑金光

    ○田畑金光君 今のその財源ですが、賞金の一部から拠出してまかなっておる、その意味においては、選手だけの負担で共済会の資金はまかなわれておる、こういうふうに私は聞いていたんですが、施行者も、たとえば同額なら同額を出して財源をまかなうようになっておるのかどうか、その点どれが確かなんですか。
  172. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) まだ同額を現在は出すことになっておりません。今後は、そういう方向で検討いたしたいと思っておりますが、実はその選手の待遇改善の問題は、財源問題、言いかえれば施行者側にもいろいろ意見がございますので、そういう点は、先ほど申し上げましたように中央選手制度改善委員会で、施行者も関係者も全部入れまして、そうして基本的に賞金制度を中心とした待遇改善の問題を検討いたしまして、ただいまお話——おそらくもっと待遇を改善しろと、こういう御意見だと思いますが、そういう方向に沿ってひとつ考えて参りたい、現在もすでに検討いたしておる段階でございます。
  173. 田畑金光

    ○田畑金光君 私のお尋ねしているのに率直に答えてもらいたいんですが、今ある、そうして従来運営されてきた共済組合は、競輪者の賞金の中から一部負担して、財源はもっぱらそれだけでまかなわれておると聞いておるんですが、そうなのかどうかです。あなたの御答弁を聞いておると、最初は施行者も出しているがごとく、あとからの答弁は、そうするように検討中だ、こういうわけですが、どっちがほんとうですか。
  174. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 車両課長から詳細説明いたさせます。
  175. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) ただいまの御質問ですが、これは名目は、いわゆる選手厚生賞という名前で、年間約税込みで五千万出ておりますが、実質はこれは、先ほど申し上げましたように、選手の厚生関係の費用に充てるという意味で、施行者のほうから出しております。この金が、いわゆる先ほど申し上げましたように、参加外のいわゆる共済資金に充てられているのでありまして、これが約五千万のうち三千万がこれに充てられております。選手は、この参加外の共済会の費用として賞金の三・五%に相当する額約一億二千万でございますが、この共済会に出しております。
  176. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしますと、選手は一億二千万、施行者は五千万出して、それでまかなっている、こういうことですか。
  177. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) 参加中と参加外を入れますと五千万になるわけであります、施行者から出ているものは。
  178. 田畑金光

    ○田畑金光君 今後、そうしますと、共済制度並びに災害補償制度等について強化するということは、競輪施行者の側において、もっとこの内容の改善のために負担増等を考えている、そのように指導していこう、こういう意味に理解してよろしいのかどうか。
  179. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) ただいま田畑先生のお話のあったとおりに考えております。
  180. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほどお話にありました選手制度改善委員会というようなお話がありましたが、これはどういう構成で、どういう内容のものなのか。目的と構成と、そうして今日までやってきた役割ですね。これをひとつ御説明いただきたいと思うんです。
  181. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) この選手制度改善委員会におきましては、先ほど局長からも説明申し上げましたように、三十二年の法律改正のときに、選手の出場に関する適正な条件を確保するという条項を、現在の第十三条に追加をいたしております。その条項の追加によりまして、この選手制度改善委員会というものが設けられたわけでありますが、これの構成メンバーは、通産省、それから施行者、それから日本自転車振興会、選手会、こういったメンバーから構成されておりまして、この法律で、いわゆる追加になりました「選手の出場に関する適正な条件の確保」、この内容は、いわゆるそのレースに参加中の条件でありまして、この中の条件と申しますのは、賞金問題、それから競走中の身体の災害補償、それから自転車の損失補償、それから参加中の選手の管理、さらにもう一点、選手の川場回数の適正化、この五点について検討をする委員会でありまして、これは中央並びに地方にそれぞれ設けられます。そうして先ほど申し上げましたように、現在賞金問題あるいは退職金問題を中心にして検討をいたしておるわけでございます。  なおつけ加えますと、この規定はいわゆる出場中の選手の待遇問題、賞金を中心にした待遇問題でありまして、出場外の、いわゆるレースに不参加の場合の待遇問題は、必ずしもこの規定では読みとれない、こういうことで今回十六条の三を追加して非参加中における待遇問題もあわせて通産大臣が施行者並びに日本自転車振興会の関係団体に対して助言、勧告ができるようにいたしたわけであります。
  182. 田畑金光

    ○田畑金光君 この選手制度改善委員会というものですね、今までの運営状況を見ますと、どうも規定の中にあるような趣旨で忠実にしかもまじめに開かれていないようにも見受けますが、この点はまあひとつ十分今後の運営に御留意願いたいということで終わります。
  183. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちょっと関連をしてひとつ。これは選手の問題もいろいろ問題になるのですけれども、競輪をやっているときの車券売場なんかに働いているいわば従業員は、反面相当の売り上げがあり、あるいは還付も相当ありながら、自転車競技に関連をしている職員自体の待遇も相当の待遇になるような、ときにはどうかと思われような問題もあるようですが、これは臨時に働いている云々ということで、ずっと継続して使っておっても、同じ人間を、その人間はいわば日雇いのような、しかもその給与はきわめて悪い、それからこれについての月の給与も継続的な雇用関係になるという待遇もないわけです。これは一番問題のところなんです。そこでその待遇についていろいろ地方でも問題になっているのですが、これらの点についてはどういうように指導をしておられまするか。こまかいことは申しませんが、いわば従来取り上げた盲点であろうと思うし、その待遇は極端であります。これについてどういう指導をやり、あるいはされようとしておるか、その点について伺いたい。
  184. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 車券売場等に働いております従業員は、やはり常用的な雇用関係に立っているとは言えぬわけでございますが、これはやはり施行者とそれから被用者との間の随時の雇用関係、こういうことに相なると思います。したがいまして問題は、施行者、一部には振興会との雇用関係にたっているものもございますが、施行者もしくは一部の振興会との関係、したがいまして、これもかつての附帯決議にもございましたので、私どもといたしましては施行者側にも臨時従業員の待遇改善につきまして要請をして参りました。一応平均の現金給与額から見ますというと、その附帯決議がたしか三十二年にあったと思いますが、自来三十六年までを見ますというと、四二、三%の上昇になっております。なおかつ従業員が就業時間が六時間であったり、婦女子であるというような関係もありますし、これと比較される臨時失業対策労働者あるいは臨時日雇い労働者、特に製造業等と比べますと、必ずしも待遇が悪いというふうには考えられませんけれども、ただ問題は、この前もお話がございましたが、車券売場等につきましては、相当神経を使う労働であるという点をもあわせ考えますというと、やはり今後とも臨時従業員についての待遇改善問題に私ども関心を持たなければならぬ。なお、設備の改善あるいは一部に機械化の問題等もございますし、あるいは実質的な待遇改善の問題になりますが、とにかくいずれにしましても、待遇改善の問題に対しましては今後とも施行者の自覚と同時に、私どもも施行者に対しましてこの待遇改善問題につきましては要請をして参りたい、こういうふうに考えております。
  185. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間もございませんから長くはやりませんが、実態はどうか、御存じかもしれませんが、自転車振興会なり、いわば自転車競技をやっております中心にありますものについては、これは相当な待遇もできておりましょうが、人間が神経を使うとか何とかあなたも実態を御存じのようですけれども、東京なんかもずっと同じ人間を雇っておるのですけれども、それはそのたびごとに云々ということで臨時の取り扱いをし、それから労働条件については、給与についてもあるいはその設備、その他の話もありましたけれども、これは非常に問題があると思う。これは何時間やるといっても、そういう実態でありますだけに、附帯決議についておるけれども、実際に四〇%上がったというお話ですけれども、全国的に私はそうじゃないと思う。それは問題があると思いますので、その点は強く要請をして警告をして、今後の待遇改善について指導をされることを要望しておきます。
  186. 田畑金光

    ○田畑金光君 あと二、三点私お尋ねしますが、この質金について三十二年度に一五%値上げをした、こういうお話でしたね。これはなんですか、賞金——三十五年度競輪施行者の収支決算状況、皆さんのほうから配付された資料の三十七ページを見ますと、選手に対する賞金というのが三十五年度では三十六億三千六百八十五万五千九百九十八円、四・三五三%、こういうことになっておりますが、大体こういう比率ですか。競輪施行者の収得金の二五%、その中に占める選手に対する賞金というものは四コンマ数パーセント、こういうのが今までの傾向ですか。
  187. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) 必ずしもそういう数字は載っておりません。この数字は、年度ごとに多少動いております。
  188. 田畑金光

    ○田畑金光君 どのように動いているんですか。あるいはまた従来の実績から見ますと、何%が普通なんですか。
  189. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) その計算はいたしておりませんが、いわゆる車券の売り上げ高に対する比率の数字は、一応もとにしております。  それで申し上げますと、先ほど申し上げました三十六年度の売り上げ高に対する賞金の比率を申し上げますと約五・七%、それから三十五年度が約四・三%という数字になっております。
  190. 田畑金光

    ○田畑金光君 それで、私率直にお尋ねしますが、公営競技調査会の答申を見ましても、その前文の中では先ほどもちょっと読み上げましたが、「本調査会としては現行公営競技の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度とし、」こういうことを明確にうたっておるわけですね。  さらにまた昭和三十五年の七月ですか、ああいう申し合わせによって、競輪の回数というものを、できるだけ制限し押さえていこう。こういう基本的な立場に立っておるわけですね。結局私の申し上げたいことは、この競輪選手なんかの待遇というのは、一方においては賞金の額がどうかということと、一方は開催回数がどうかということによって動いていくわけですね。しかしこれは押さえられておる。こうなってきますと、せっかく待遇改善あるいは福利厚生施設の充実といっても、賞金の額というものを、もっと上げなければ、待遇改善ということはこれは不可能ではないか。その点は一体、どう考えておるのか、こういうことなんです。
  191. 古沢長衛

    説明員(古沢長衛君) 原則的には、やはり先生のおっしゃるとおりだと私どもは考えております。ただこの点は、いろいろ問題がありまして、一つの考え方としましては、選手の出場回数というものに対して、賞金というものがある程度比例するという考えも従来ございましたから、そういう意味で、今回は先ほども申し上げましたように、根本的にひとつやり直して検討して参りたいと考えております。  なお、先ほど三十年度の一人当たりの賞金取得額でありますが、約六万一千円であります。
  192. 田畑金光

    ○田畑金光君 時間もこういう時間ですから、私この辺でやめますが、政務次官に最後に私お尋ねしておきたいと思うし、また希望でもありますが、われわれの基本的な立場は、この競輪については競輪というものができた当時の精神やいきさつから、今日は大きくはずれておると見ておるわけです。ことに地方財政の解決のために、この競輪等が取り入れられたその当時の事情と、今日とは非常に違っておると思う。  そういう意味合いにおきまして競輪については社会的な弊害も言われておりますし、また、この種ギャンブル行為が、先ほどから言われておりますように社会環境の上から、あるいは青少年の教育の上からいいかどうかということは、種々議論が分かれておるところで、われわれとしては、できるだけ早くこの種競輪はやめてもらいたい。こういう基本的態度をとっておりますが、ただしかし現在の制度が、存続することを前提として続いておる現在の段階において、いかに社会的な弊害を少なくするかということが大事な問題だと思う。そういう場合に、やはり先ほどから重工業局長からのお話がありましたが、日本自転車振興会とか、あるいはまた今度新しく自転車競技会ですか、あるいは日本自転車選手会あるいは競輪施行者、こういう各機関の相互の連繋と協力によっていかなければ、この競輪の環境の改善、こういうことは望めないと思いますが、特に、やはりこの選手会とか、あるいは先ほど吉田委員から質問になりましたあのような雑務に携わっておる人方の身分と待遇の維持改善については、一番基本的な問題だと思うのです。そういう点が、ともすれば忘れられており軽視されておる。これは非常に遺憾だと思うのです。この点については十分留意し、政府としても努力を願いたい。こう考えておりますが、最後に政務次官から、ひとつ見解を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  193. 大川光三

    政府委員(大川光三君) 私からお答えをいたします。ただいま田畑さんのいろいろの御発言、まことにごもっともだと思う点が多いのでございまして、御趣旨に沿うような傾向に進めていきたいと、かように考えております。
  194. 近藤信一

    ○近藤信一君 前回、この委員会でいろいろと選手並びに従業員の待遇の問題について御質問をいたしましたが、一二の点について、ちょっと補足質問がしたいと思います。  三十九回の臨時国会で日本競輪選手会から、選手制度の改善等についての請願書が五項目にわたって出されておるのであります。それはもう御承知のことだと思うのですが、この五項目に対して、何らかの御処理をお考えになられたかどうか。さらに請願書の中に、日本競輪選手会の法制化、それから選手の訓練及び養成の選手会業務の法制化——いわゆる法制化してもらいたいというおもなる請願書だったと思うのですが、あなたのほうで、これが法制化がむずかしいと、こういうことでこれを省令で何か、そういうようなことを考えたいというふうなこともお返事があったようでございまますが、いわゆる基本法に明示されないのが、はたして省令でそういうことが明示できるかどうか、こういう点について、あなたのほうはどのようにお考えになっておられますか。
  195. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 競輪選手制度の改善に関する請願については、承知いたしております。この請願の内容等につきましては、本改正案を国会に提出をいたします際に、実はいろいろと検討をいたしたわけでございます。先ほども田畑先生からの御質問にお答えいたしましたように、選手会そのものの教育訓練の問題と、それから選手に対する救済問題、言いかえれば福利厚生問題、大きく言えば二つに分かれると思いますが、選手会そのものを法制化いたします場合には、どうしても選手会自体のある固有の事務がありまして、それを特殊法人にするとか、あるいは法制的に裏づけるとかということに実はなるわけでございますが、なかなか法制的にも困難であるということが一点でございます。しかしその実態的問題につきましては、訓練その他の問題につきましても、先ほど申し上げましたように競輪あるいはオートレースの選手そのものの特殊性から見まして、とにかく第三者の訓練も必要であると同時に、その選手会自体の訓練等も必要でございますので、この点は、今後検討いたしまして、実質的に選手会みずからが、訓練あるいはお互いの教育というような面で、できる面は大いに私は選手会のほうへその仕事を移して参りたい、それから、その点は、法制化に関するただいまの答弁にいたしたいと思いますが、そのほかの待遇改善等の問題につきましては、先ほど来お答えを申し上げましたように、改善の方向で、この際基本的に考えて参る、そういう方向で実現をいたしたいということをはっきりお答えをいたしておきたいと思います。
  196. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほど田畑委員も言っておりましたが、厚生金、それから退職金、こういう問題で、七月六日の内外夕刊に出ておる点からいきますと、これは各県別々で今処理しておる、それは固定レースの手当ですね。固定レースの手当が二千円——トップ選手ですね、それが税金が一割、二百円引かれてあと千八百円が、八百円積み立てるところもあり、さらに千円積み立てるところもあり、これは県別によって、これは個々の選手会で違っておるわけですけれども、二千円のトップ手当の中から、三・五というものを現在中央共済会へ積み立てておる、そうしてそれが災害補償金ということで、まあ災害を起こした選手等にこれが充てられるわけなんです。これはやはり選手会がみずから自分たちの金でこれを積み立てて、それを充当しておるわけなんで、これに対しては、やはり施行者なり、政府なり、また振興会なりが、もう少し金を出して、そうして完全な補償のできるように私はすべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  197. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 選手そのものに対する法律的な身分上の問題等も実はあるわけでございまして、私どもは、たとえば選手が独立自営者であって、出場のたびに施行者と契約関係を結ぶのだと、したがって雇用関係はないのだというような考え方は、実は私はとらないのでございます。法的な問題よりも、実質的にやはり雇用関係にあるのだと実はみたいわけでございます。そういう趣旨で、実は、今、近藤先生からお話のあったような、できるだけ選手の素質を向上させる背景といたしまして、とにかく競輪選手の生活の安定なり、災害の発生した場合の安全保障なり等につきましては、この制度自体の問題というよりも、実質的にはとにかく給与を改善する、法的にも、なお今後私どもは検討して参りたい、それから制度的にも、できる限り選手会、あるいは災害その他福利厚生に関する問題につきまして、制度的にもできるだけ拡大解釈をいたしまして考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  198. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほど来の御答弁の中にもございましたように、施行者とそれから現在の従業員、選手会、こういうものとは、固定した雇用契約というものはない、これは施行者がまちまちである、県であり市である、同じ県の中に市が三つも四つもあって、みんなこれは施行者は別々だ、そこで、こういう待遇上の問題なんかも非常にむずかしい、これは臨時雇で、きょうはこの市、あすはこの市というふうに、選手、従業員は変わっていく、完全な固定した契約がないので、なかなかむずかしいと思うので、そこで一つの考え方として、私どもは考えまするのに、いわゆる施行者の協議会——競走の競でなくして、協同の協——施行者の協議会というものを持たして、そうして一本化せば、いわゆる固定した従業員の雇用契約というものは私は結ばれるんじゃないか、こういうふうなことで、いわゆる待遇上の問題を考えて、できるのじゃないかというふうに私は感ずるんですが、その点はいかがですか。
  199. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 待遇改善の問題等につきましては、実は施行者との関係、そのほかいろいろ各関係団体との関係がありますので、これらの点につきましては、大いに選手の、今お話の安定的な契約関係と申しますか、雇用関係の問題もあり、かたがた待遇改善の問題もありますので、ただいまお話の点につきましては、施行者と十分協議をいたし、検討いたして参りたいと、こういうふうに考えております。
  200. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後に、一つお尋ねしたいことは、自転車競技法の第十三条の「競輪施行者及び自転車振興会は、競輪場の秩序を維持し、且つ、競輪の公正及び安全な確保するため、入場者の整理、選手の出場に関する適正な条件の確保、競輪に関する犯罪及び不正の防止その他必要な措置を講じなければならない。」こういうのであります。この条文の中の「選手の出場に関する適正な条件の確保」ということは、一体いかなることをさしていっているのか、その意味についてお尋ねいたします。
  201. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) ただいまの規定は、選手の出場回数の問題、それが第一点であります。第二点は、参加中における災害の問題、災害が起こった場合にどうするか、けがをしたとか、あるいは病気になったという問題、それから第三は、自転車を損傷した場合に、その救済関係はどうかというのが第三点であります。  それから前後いたしますが重要な問題といたしまして、賞金関係がどうなるかというのが四点でありますが、もう一つは、選手が御承知のように、八百長問題を起こしたとか、いろいろ問題がございますので、これは入場者に対する関係から選手の管理問題、要約いたしますと、五点が、ただいまの条件の適正化、こういう問題でございます。
  202. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止
  203. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 速記をつけて。
  204. 岡三郎

    ○岡三郎君 結局、今度内容改善していくといっても、今までは火の粉を払うのに一生懸命だったのですが、残念ながらオリンピック等を控えて、その財源として相当注目をされているので、これは生きながらえるのではないかということになってきているわけですけれどもね、やはり騒擾事件というものは、私はなくならぬという気がするんですよ。しかし、これを何とかして平穏なものにしていくということについては、やはり施行者である自治団体、選手、それから自転車協議会ですか、根本的には選手の心がまえというものがあると思うんです。それで日本競輪選手会のほうから、法的な保護をもって制度を確立して、安心してひとつやっていきたいというこの気持は私はもっともだと思う。これは局長もそういう点については、でき得る限り努力してやっていきたいという点もよくわかりますが、やはりどうこういっても待遇が悪いところには、すきまが多く入りがちです。待遇がよくなっても、その人によっては、やはり多ければ多いほどいいわけだから、絶無とはいえないわけだけれども、比較的待遇がよければ、自分で排除されるような行為というものも慎重に考えると思うのです。そういうふうな点で、選手制度の改善といいますか、これについては法的にかまえるとし、非常にむずかしいとはいっておっても、十分さらに検討を進めていってもらいたいと思うのです。特に答申案の中にあるように、「不正レースの発生を防止し、競技内容向上をはかるため選手等関係者の養成、訓練、管理、欠格者の排除等その他必要な制度の改正を行う。」とある。ほんとうは法的に明確にしろということを私は指摘しておるのじゃないかと思う。そういう点で、ままやはり施行者といいますか、看板を掲げているものがのさばっているというのは、おかしい。何もしなくて、金をもらっていばっておるというばかげたことはないのだから、やはりそれを実際にやっていくところの、実施していくところの今度の自転車競技会ですか、それから競技会とともに、雇われているところの選手ですね。あるいは従業員——雇用関係があるというふうにいわれておるのですが、そういうようなことを考えていく場合に、とにかく選手の養成、訓練、管理等は、根本的にひとつやってもらいたいと思うのです。いくらいろいろなことをいっても、やはり取り締まるところは取り締まってもいいから、やれるだけのことはやってやる。そのためには、施行者のほうでとっているパーセンテージを少しは削ってもやるということがなければいかぬと私は思うわけです。これは都道府県との話し合い、あるいは市町村との話し合いをしてという答があったわけですけれども、積極的にこれは身分の確立とともに、待遇をひとつ、よう話してやってもらいたい点、これは希望です。  それからもう一つは、競輪場の施設の改善、私はできるならば、もう少し競輪場というものを、何というか、ショーというとおかしいが、見てて、ある程度愉快になるというか、とられたやつは愉快になるわけはないのだけれども、しかしそれにしても、とられてもあまり頭にくるということがないようにするためにも、少しはゆとりというか、明るさを与えるための施設の改善ということが急務だと思うのです。特にわれわれとしても、ほんとうは競輪場の真中あたりに芝生なら芝生を作って、周辺なら周辺をコンクリートで固めるなり、いろいろと考えるべきものがあると思う。そこで入場料の最低限をきめて、その収入によって改善をはかるというのですが、これはどのくらいの改善費用になりますか、想像して。入場料の最低額をどの程度にきめて、それによって得る収入によって、年次計画なら年次計画で、どの程度改善されるか、その点、どう考えておるのか。
  205. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 施設の改善も、選手の問題も、同様に非常に基本的な問題でございますが、この点につきましては、今度省令で施設基準の大幅な引き上げをいたします。これはやはり、競輪場によって違うとは思いますが、基準を引き上げまして、そうしてこれについては、厳重に改善をいたす。ただいまお話の要するに、環境の明朗化と申しますか、公共衛生も含めまして明朗化で、多少でも、御批判があると思いますが、大衆娯楽という方向に向こうような意味で、基本的に改善いたしたい。まだ金額ははじいておりませんが、思い切って施設の改善をいたしたい、こう考えております。
  206. 岡三郎

    ○岡三郎君 競輪場の場所と、それから施設の中におけるコースの長さ、五百メートルと三百三十メートルコース、どうも三三コースというのは八百長が出やすい、五百メートルになると、比較的そういう懸念が少なくなっているのじゃないか、こういうふうな点で、これは専門的に考えて、どの程度がどうこうということは、われわれしろうとだからわかりませんが、しかしある程度ゆとりのあるコースならば実力が出ると思うのです。そういう点でやはり五百メートルコースという、千葉の競輪場は五百メートル、松戸は三百三十メートル、それで松戸あたりは、ずいぶん騒ぎが多いと思うのです。そういう面の指導も考えていいと思いますが、どうですか。
  207. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) 施設の改善につきましては、先ほど申し上げましたように、ひとつ幾らかでも競輪が明朗化するような環境を作り上げる方針で、この問題を考えて参りたいと思います。
  208. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一点、指導力ですが、あんまりごみごみした所にあるやつは、将来、もうちょっと野っ原のような所に持って行って、すがすがしいというと変ですが、ゆとりのあるような所へやられたらいいと思います。川崎の競輪場あたりはもうかっているのですね、あそこに置いておくことは不賛成なんです。野球場があるだけでたくさんなんでしてね、あの競輪場を稲田登戸とかどっかに、もう少しやるべきじゃないか。都心のごみごみした所でやって、破り捨てた紙が舞い上がっているというのは工合が悪いと思うので、もうちょっと広々とした所に将来移転するというふうな考え方を持ってやってもらわないといかぬと思うがどうですか。そう言っても、あなたすぐやめちゃって、別な人がなるから張り合いがないのだが……。
  209. 島田喜仁

    政府委員(島田喜仁君) そういう問題も、ひとつ大いに検討いたしたいと思います。
  210. 岡三郎

    ○岡三郎君 これで終わります。私がもらった文書によると、廃業した選手が千五百名で、九十六名が競走中に事故で死んでいる。これはある程度危険な仕事だということは想像できたわけですが、具体的に数字で見ると、たいへんな仕事じゃないかと感ずるのですが、ひとつこの災害の問題については特別に御配慮を願いたい。とにかく人がよくならなければ、競技そのものがよくならないという考え方です。その意味で都道府県が看板料だけでぬくぬく今まで金をもらっているのはけしからぬ、やるならば実際にやっている人間をよくしていく、そうして実際にやっている人々に、それを出して、その中で十分な監督をして、そうしてこれがほんとうに大衆娯楽になったら、われわれもかぶとを脱ぎます。今は何といっても、根本問題について納得できない。いろいろないいことをしているが、何としてもすっきりしない。それをするためにひとつ、大衆娯楽の名に価いするような積極的な施策をやって、その中で次の競輪問題が出たときに、お互いに見解をさらにぶつけ合って、そうして廃止すべきものなら廃止するし、なを伸ばしていいものなら伸ばしていこうというふうに考えるのですが、われわれとしては、現状においてはどうも納得するわけには参らぬので、これ以上質問しても重複するので、以上で質問を終わります。
  211. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本案の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  212. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は日本社会党を代表して、遺憾ながら本法律案に反対するものであります。反対の理由につきましては、質疑の際に申し上げましたから、ここに繰り返すことはやめますが、要するに私どもは、競輪やオート・レースは、すでにその使命を果たしてしまって、もはや存続の意義が薄くなっていると判断するものであります。地方財政に寄与すると申しましても、その当初の目的であった戦災復興のごときは、ほとんど終わって、競輪でもうけている地方団体の中には、実は競輪を必要としないほど裕福な団体もあるという矛盾した状態にあります。また機械工業、特に自転車工業の振興に貢献してきたことは認めますが、この機械工業振興費や社会福祉、スポーツ振興、医療施設等に要する費用を競輪などから捻出しようとすることは、財政の怠慢であります。国の財政の現状から見まして、一般会計が負担できないほどのものではございません。当然一般会計から支出すべきものと思うのであります。したがいまして競輪などについては、その弊害だけが目につくわけであります。今回の改正案ではこの弊害を取り除くように努めており、その努力のほどは理解できないわけではありませんけれども、この改正をもってしても、弊害を完全に取り除くことは、おそらく不可能だろうと思います。弊害が全くなくなるような競輪が生まれれば、もちろんそれはけっこうなことですが、とてもそれが望めないとすれば、競輪やオート・レースはこの際、思い切って廃止すべきであろうと考える次第であります。  かかる意味からして、私どもは本法律案に反対します。だからといって、改正しない、現行法でやれ、現行法のほうがよいのだと、こういう意味でもございません。重ねて申しますが、理想としては、競輪などは、今やこれを廃止すべき段階にきている。この改正案のような温存の措置を講ずるよりも、廃止したほうがよいのではないか、これが私どもの考え方でありまして、その意味で本法律案に反対するわけであります。
  213. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私は自由民主党を代表しまして、本法案に賛成いたすものでございます。  政府は、公営競技に対しまする世の批判が深刻になったのにかんがみまして、さきに公営競技調査会に諮問され、その諮問の答申におきまして、現段階におきましてはこれをにわかに全廃することは不適当であるとして、現在以上にこれを奨励しないという基本的態度に立ちまして、できるだけその弊害を除去しようということを答申されたのでございますが、これに基づいて政府は本法案を立案して提案されたのでございます。私どももその提案の趣旨にかんがみまして、現段階においては、やむを得ないものとして、これを認めるものでございます。ただ、この法案を認めるに際しまして、一、二の点につきまして政府に対して希望を申し上げて賛成の討論にかえたいと思います。  質疑の段階におきまして、いろいろありましたように競輪を行ないますに際して、私どもは、これを廃止をにわかにできないという理由の一つは、多くの従業員を擁しておりますので、その従業員の処置に対する問題でございますが、できるだけ競輪に従事する者の処遇を改善し、特に、先ほどから論議のありました選手の養成並びに福利厚生等については、十分留意をされていただきたいと存じますし、なお施行者の収益につきましても、この競輪をできるだけ公正に意義あらしめるためにおきましても、この収益の使途については、法の趣旨に従いまして、社会福祉その他、もちろん自転車その他の関連商業の振興等にこれを使用することはもちろんでございまして、この点につきましても、十分政府として留意されたいと存じます。特に今度の改正におきまして、この点は、私質疑の段階においてただしたいと存じたのでございますが、日本自転車振興会の目的の中で、今までの自転車その他の機械に関する事業に加えてまして、体育事業その他の公益の増進ということを加えられたのでございます。この点につきましては、今までオリンピックの事業に対しまして、特別競輪等行ないまして、その収益を拠出したのでございますが、今回の法改正によって特別競輪がなくなりまして、この自転車振興会からの交付金によってオリンピックに拠出されると承っておるのでございます。施行者側のほうの意見も、この拠出金についきましては、できるだけオリンピックに拠出することを希望しておるようでございますし、なお収益事業については、いろいろな事業に使うことがあると存じますが、この法律は特に体育事業その他の公益事業と比べまして、オリンピックの開催が、まさに差し迫っておるのでございまして、オリンピックのほうの委員会につきましては、これを非常に強く希望いたしておるのでございまして、私は強くこの点につきまして、十分オリンピックの開催について御協力いただきますことを希望申し上げまして、本案に賛成をいたすものでございます。
  214. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  215. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 挙手多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。     —————————————
  216. 武藤常介

    委員長武藤常介君) この際、ちょっとお諮りいたします。参考人出席要求に関してお諮りいたしたいと存じます。  ただいま本委員会において審議中の石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法案、鉱山保安法の一部を改正する法律案。  以上三案について、関係者を、参考人として出席を求め意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出席を求める日時等につきましては、委員長及び理事に御一任を願います。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会      —————・—————