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政府委員(今井博君)
産炭地域振興事業団法案要綱というのをお手元にお配りしてございますので、その要綱に沿いました補足
説明をさせていただきます。
今度の
産炭地域振興事業団法案はこの前、
大臣から
提案理由を御
説明いたしましたのでございますが、さきの、昨年の国会におきまして、産炭
地域振興法というものが成立いたしまして、現在産炭
地域振興審議会を中心にこの
振興計画を今樹立をいたしている最中でございますが、産炭地
振興法は産炭地の全体につきまして、産炭
地域にいかにして鉱工業を導入するか。現在の産炭
地域の石炭鉱業の一種の
産業転換という見地から、石炭鉱業の疲弊に対しまして、鉱工業をいかにして導入し、産炭
地域の
振興をいかにしてはかるかということを中心にいたしておりまして、そのためのいろいろ助成措置、そういうものを
考えているのでありますが、産炭
地域振興事業団は、そういった産炭
地域で
振興計画が立てられましたうちで、本来地方行政、地方
公共団体というものが担当する分野もございますし、あるいは従来の既存のいろいろな
機関でやるという面もございますが、やはりそれの産炭
地域の
振興を今後進めていく中核体として、国家資金をここへ直接導入してやったほうが効果的だということから、この
事業団というものの設立が
考えられたのでございますが、第一の
目的といたしますところは、ここに書いてございますように、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭
地域における鉱工業等の計画的な発展をはかるため、必要な
業務をやる、こういうことを
目的にいたしておりますが、この
目的は、産炭
地域振興法で書かれておる
目的と
趣旨においては変わりはないわけでございます。しかも、この産炭
地域——ここに書いてございますが、この産炭
地域も、産炭
地域振興法で
考えておりまする産炭
地域と大体同じである、こういうふうにお
考え願ってけっこうかと思います。産炭
地域振興法では、産炭
地域を非常に広く
考えておりまして、石炭の産出
地域のほかに、その産出
地域の周囲の、それに非常に
経済的に密接な
関係のある周囲の
地域をも相当包含いたしておりますが、
事業団の活動する産炭
地域も同じように狭義の産炭
地域だけではなくて、その周辺の
地域をも当然に
考えておるわけでございます。ただし、まあ、重点的に仕事を進めていくという
意味から、やはり狭義の石炭産出
地域というものが、最初は重点にならざるを得ないというふうな緩急の度合いはございますが、観念としては、産炭
地域振興法とこの
範囲は、おおむね同じである、こういうふうにお
考え願ってけっこうかと思います。鉱工業等というふうに書いてございますが、これも産炭
地域振興法と同じく、等の中には、農業等もちろん包含いたしておるわけでございまして、相当これは広い概念でございますが、実際問題とすると、やはり鉱工業が重点になって、農業等の中でも、まあ、一般のいわゆる農業というものにつきましては、実際問題としてはなかなか手が回らないというふうに思いますが、
法律の概念としては、この等の中には、農業等も当然入っておるというふうに解釈をいたすわけであります。そういうふうな鉱工業等の
振興に必要な
業務を行なうことを
目的とするということでございまして、それ以上に特に御
説明を加えるところはないわけでございますが、ただ、産炭
地域振興法といろいろ表現を少し変えておりますので、まあその点について、この産炭
地域振興事業団のほうが、この
目的が狭いのではないかということを
衆議院等で相当質問を受けた次第でございますが、産炭
地域振興法では、鉱工業の
振興のほかに「石炭需要の安定的拡大」というような文句も実は入っておるわけでございますが、
事業団のほうには、そういう文句は一応削ってございますが、これは別に、特に「石炭需要の安定的拡大」というようなことをつける必要もなかろうかと思いまして、これは削ってございますが、別にそれは廃炭
地域振興法との
目的が、特にそこで差異を設けたというふうには
考えておらないわけでございます。これは法制局等で、いろいろ論議しました結果、
目的としては産炭
地域振興法と大体同じであるというふうに政府の解釈としては統一をいたしておるわけでございます。
それから第二、法人格は、産炭
地域振興事業団は法人とするものとする。これは通常のこういう
事業団法の規定に従ったわけでございます。
第三の事務所も、主たる事務所を東京都に置き、通商
産業大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができるものとする。中央の主たる事務所をどこに置くかという点につきましては、
事業団ができてから具体的に決定されるわけでございますが、さしあたりとしては、九州にこの従たる事務所を置く、それ以外の
地域は、やはり
事業の進捗に従って
考えていったらどうか、こう
考えております。ただし北海道等につきましては、やはり出張所のような何らかの形で、そういうことを検討する必要があろうかと
考えておりますが、まだそこまで計画が固まってはおらないわけでございまして、一応九州に重点を置いて従たる事務所を置こう、こういうことに現在
考えておる次第でございます。
それから、
資本金は五億円、これは全額政府の
出資ということになってございます。それから
資本金の増加が、これも通常の規定でございます。それからその次の三項も一応
事業団法にある規定でございますが、これはこういう規定を特に入れましたのは、
事業団に
出資できるものは、
法律的には政府に限らずに、地方
公共団体や民間からも
出資できるということを
考えておるわけでございまして、それからもう
一つ、
出資金は毎年どんどんふえていくと思いますが、一々
法律の
改正をしないで
事業団は
資本金の額の変更を、
法律改正を経ないで変更することができるというふうにこの規定では、この項でもって、
法律改正を経ないでできる、こういう規定をいたしておるわけでございます。
それから、役員は、これは、
理事長一人、
理事四人以内および監事一人を置くものとする。これも
事業団の規模が今後大きくなると思いますが、一応従来の
事業団のいろいろの例からいたしまして、この
程度の役員が必要じゃないか、この
理事四人と書いてございますが、これはさしあたりは
理事は三人
程度でいいのではないかと思っておりますが、一応
事業が拡大された場合のことを
考えまして、四人以内というふうに規定をいたしております。
それから、役員の任命につきましては、これは通常の規定でございますので、省略させていただきます。
それから、第七の
業務の
範囲が一番
事業団の問題かと思います。特にこの点については御
説明をさしていただきたいと思います。
事業団の
業務といたしましては、一は、石炭鉱業の不況により特に疲弊の著しい産炭
地域において、当該
地域の
振興に必要な鉱工業等の用に供する土地を造成し、及びこれと関連を有する工作物を建設し、並びにこれらを管理し、及び譲渡すること。ここでは、第一の
業務といたしまして、土地の造成というものを第一の
業務として
考えておるわけであります。それから土地の造成と直接関連を有するという狭義の
意味におきまして、土地の造成に関連を打っている工作物、これはそれに必要な、たとえばその土地内の道路であるとか、あるいは排水施設であるとか、あるいは工業用地としての効用を全うさせるための関連施設、たとえば引込道路、引込線、給排水施設、そういったものをここでは
考えているわけです。それから、「工作物」というふうに書きましたのは、いわゆる施設と同じ
意味でございますが、
法律としては「工作物」という規定を置いております。それからこれらを管理し、及び譲渡することという点は、自分で管理するものもございますし、これをよそに譲渡するというようなこと等を
考えております。この譲渡する場合には、これは鉱工業をそこで営むという
事業者に対して、低廉な価格で譲渡したい。譲渡の方法としましては、十年
程度の長期年賦均等支払というふうに一応
考えておるわけであります。そこで、土地の造成を主たる
業務といたしまして、二では、資金の貸付というものを
考えているわけでございますが、この産炭
地域振興事業を、この
振興法に基づきまして、現在、審議会で
振興計画を今いろいろ立案中でございますが、なお産炭
地域からの希望ないし要求としましては、産炭
地域振興事業団は、もっと広い
業務を
考えろというような要求が非常にございまして、この土地の造成だけではなく、たとえば工業用水というものを当然取り次ぐべきだというような
要望がございます。それから産炭地発電をこの
事業団がその
業務として
考えていけという強い
要望があるわけです。いろいろ、われわれとしましても検討いたしましたが、この土地の造成の問題は、比較的各地方におきまして、ある
程度の計画が現在ございますが、工業用水につきましては、これは現在まだ、いろいろ調査の
段階でもございまして、これは別途産炭
地域振興の調査費というものを三千万、今年も三千万予算成立いたしておりますが、その
範囲内におきまして、工業用水には相当の、一番重点を置いて調査費を今つけているわけであります。しかし、工業用水につきましては、非常に計画が、まだ調査の
段階でありますのと、いま
一つ、水の問題につきましては、各省と相当、いろいろな
関係がございまして、工業用水の問題、たとえばダムの問題、これを
事業団が
業務としてやるということにつきましては、昨年来、いろいろ論議をかわしておりますが、なかなかまだ決定に実は至りません。そういう経緯でございまして、第一の
業務としては、土地の造成というものに重点を置きまして、水の問題は、現在いろいろ調査をいたしておりますので、その計画が相当具体化して参りました場合に、これは通常の場合は、当然地方
公共団体がやるというのが通常の形でございますが、それぞれの計画で、ひとつ大いにやっていただきまして、さらにどうしてもそういうことではできないというふうな場合に、それをまた
事業団がやるか、あるいは別の形でやるかということは、そこでひとつ政府として部内で十分討議をいたしまして、予算も、そういう角度からつけ得るものならつけて、その上で、この
業務をさらに拡大していく、まあそういうふうにステップ・バイ・ステップでいくことが、この
事業団を、今後各方面の協力を得て、大いに育成するやはり一番いい道ではないかというふうに
考えまして、
業務としましてはこの第一の土地の造成ということに実は限定いたしました。工業用水等は、一応削除をいたしたわけでございます。それから第二の産炭地発電の問題につきましては、これは昨年来産炭地発電につきまして、産炭地発電がいいか、あるいは揚地発電がいいかという論議がございまして、通産省の中におきまして相当期間論議の上、揚地発電をこの際としてはひとつ、大いに推進しよう、それから従来
考えておりました産炭地発電は、もちろんそれぞれの計画に従って、これも大いに推進しようという、まあ両方ひとつ推進していこうということで、当初北九州で産炭地発電を
考えて、これを消費地に、中国あるいは関西のほうまで送電すると、こういった問題は相当長い論議の末、揚地発電をとりあえずとろうということにきまりましたので、
事業団の当初の
業務の
範囲の中には、そういう大がかりな産炭地発電を
考えておったわけでございますが、これは、そういう経緯で実は削除をいたしております。
それから、さらに別途の従来
考えておりました産炭地発電、これは産炭
地域で、その電力をできるだけ使うという
意味での産炭地発電でございますが、これは現在、それぞれ九州電力なり電発なりそれぞれの、あるいは西日本共同火力、そういったもので相当まあやる計画が進行いたしておりますので、この際といたしましては、産炭
地域振興事業団が、それ以外にやるという計画が実は現在ございません。したがって、これも
業務の
範囲から削除いたしました次第でございます。しかし将来
事業団が、小さな規模なり、あるいはほんとうの山元で、そういう産炭地発電をやることが非常に適当であるというふうな計画ができ上がり、
事業団がやったほうが非常に適当だというふうなことになりました場合には、さらにそういう
業務の問題の
一つとして検討いたす用意は十分にございますが、最初の
業務としては、これを削除したほうが、いろいろな各方面の協力を得る場合において、そのほうが賢明である、こういうふうに
考えた次第でございます。
第二は融資の問題でございまして、この資金は設備資金というものに実は限定をいたしております。現在資金のワクとしましては、全体が十億でございますが、まあ土地造成のほうに、一応七、三の割合で、土地造成のほうに約七億、この融資のほうには約二億
程度のまあ資金の割り振りを計画をいたしておりますが、これは一応予算の算出根拠として、そういう予定をいたしておる次第でございまして、まあその辺の割り振りにつきましては、
事業団の実施計画ができますときに、さらにもう少し
実情に沿うように検討いたしたいと
考えております。
また最近、この離職者対策というふうな見地から、
事業団の融資をさらに職場転換、炭鉱労務者の安定戦場の確保という見地から、この
事業団の融資機能を大いに活用しようという
考え方が非常に高くなっておりますので、さらにこの融資のほうを、さらにもっとワクをふやすことはもちろんでございますが、現在のこの十億の中の割り振りについても、さらに再検討する必要があると
考えております。この場合に、どういった
事業に対象として金を貸すかという点は、別に限定いたしておりませんので、鉱工業等という場合、広い
範囲に資金の貸し出しを行ないたい。この場合の金利は六分五厘を現在予定いたしておりまして、できるだけまあ長期の貸付を行ないたい。これはこの
事業団の融資
業務は、もちろん
事業団の融資だけでもできる企業もあるわけでございますが、やはり
開発銀行の資金であるとか、あるいは中小金融公庫の資金であるとか、そういったものをまあ抱き合わせで融資をするということが実際上必要であろうと
考えておりまして、この点は、それぞれの
機関と今そういった融資方法等について、具体的なやり方を相談をいたしておる次第でございます。
それから、この資金の貸付は、先ほど離職者の点に触れましたが、当然に離職者を、炭鉱の離職者者をできるだけ吸収することを条件にいたしたいと思っておりますが、その場合においては、離職者のみならず離職者の子弟も含めて、一定の割合を条件にいたしたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。
それから、三号は、まあ別に、通常の規定でございます。
それから第二項の
事業団が委託を受けていろいろな調査をやる。これもまあ通常こういう、これは一般の鉱工業
振興の調査は、現在国の予算で調査をやっておりますが、
事業団としても、やはり必要な調査をやる要があるだろうという
考えでございます。
それから第八は
業務の委託でございまして、これは、先ほどの融資
業務を行ないますので、金融
機関筆に
業務の一部を委託する必要があるかもしれない。たとえば出納
関係の仕事とか、そういったことは
事業団から金融
機関に
業務を委託する。
第九は、まあ
業務方法書の認可でございましては、これは各
事業団に共通の規定でございます。
第十、第十一も、おおむね共通の規定をここに挙げた次第でございまして、そう別に御
説明をする必要がないので省略さしていただきます。
以上で補足
説明を終わらしていただきます。