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1962-03-20 第40回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            上原 正吉君            大泉 寛三君            川上 為治君            岸田 幸雄君            小林 英三君            吉武 恵市君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君            加藤 正人君   衆議院議員    発  議  者 岡田 利春君    発  議  者 田中 武夫君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    総理府総務長官 小平 久雄君    公正取引委員会    委員長     佐藤  基君    北海道開発政務    次官      田中 正巳君    北海道開発庁総    務監理官    木村 三男君    経済企画政務次    官       菅  太郎君    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業省重工    業局長     島田 喜仁君    通商産業省鉱山    局長      川出 千速君    中小企業庁長官 大堀  弘君    運輸政務次官  有馬 英治君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    運輸省鉄道監督    局民営鉄道部長 佐藤 光夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業安定法案衆議院送付、予  備審査) ○自転車競技法等廃止する法律案  (衆議院送付予備審査) ○競輪等廃止に伴う特別措置に関す  る法律案衆議院送付予備審査) ○下請代金支払遅延等防止法の一部を  改正する法律案内閣送付予備審  査) ○北海道地下資源開発株式会社法の一  部を改正する法律案内閣提出) ○中小企業団体組織に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出)   —————————————   〔理事剱木亨弘委員長席に着く〕
  2. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) これより、商工委員会を開会いたします。  委員長は、所用のため、委託によりまして私が委員長の職務を行ないます。  本日は、衆議院議員発議にかかる石炭鉱業安定法案外二件、及び内閣提出にかかる下請代金支払遅延等防止法の一部改正案説明を聴取いたしましたのち、北海道地下資源開発株式会社法の一部改正案中小企業団体組織に関する法律の一部改正案審査、並びに時間によっては、輸出保険法の一部改正案審査を行ないます。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) それでは、まず石炭鉱業安定法案議題とし、発議者より、提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員岡田利春君。
  4. 岡田利春

    衆議院議員岡田利春君) ただいま議題になりました石炭鉱業安定法案につきまして、提案者を代表し、その提案理由説明を申し上げます。  今日の石炭鉱業危機は、わが国石炭産業の前途にはかり知れない暗影を投じているのみならず、産炭地域におびただしい失業者を停滞させ、関係自治体は衰退の一途をたどり、炭鉱労働者を生活不安の淵に追いこみ、重大な社会問題を醸成せしめているのであります。  この危機を打開するために本院は、さる三十九臨時国会において、「石炭産業危機打開に関する決議」をし、石炭産業を安定させるために、当面の緊急諸問題の解決を、政府に強く義務づけたのであります。  しかるに政府は、この決議を尊重せず当面する緊急課題解決すら回避して、首切り合理化と呼ばれるスクラップ・アンド・ビルド政策の一そうの強化、推進を提案してきたのであります。  急激な消費構造の変化に対応して、今日、最も強く石炭産業に求められているものは、その構造的な欠陥を抜本的に解決することであります。従来の整備計画に加えて新たに昭和三十七年度から三カ年計画で六百二十万トンを追加整備するような、政府合理化計画で、石炭危機が打開できるとするならば、これはあまり安易な政策といわざるを得ません。というよりむしろ、ますます石炭産業混迷状態に追い込むことは明らかであります。しかも石炭資本は依然として、首切りと大巾な賃金の切り下げ、労働条件引き下げのための第二会社租鉱権への分離政策第一連の労働者への犠牲のみを強行する態度を変えていないのであります。石油の自由化を今年秋に控えて、こうした合理化計画は、一そう苛酷な方向へと進もうとしております。このような事態に直面して炭鉱労働者は、石炭政策の転換を要求して、ゼネスト体制を確立し、関係地方自治体はじめ多くの国民がこの闘いを全面的に支援して、政府総合エネルギー政策の確立、石炭産業の安定を強く迫っているのであります。今こそ、石炭需要長期に安定させ、しかもコストを切り下げて、雇用拡大させる政策をとることは今日われわれに課せられた緊急の政治的課題であり、国民の切実な要望にこたえる道であると考えるのであります。  石炭鉱業重要性は、今日依然として減じていないのであります。その一つはわが国将来のエネルギー需要の面から指摘できます。エネルギー需要の伸びは、国民経済成長テンポとほとんど平行して増加の一途をたどり、政府所得倍増計画におきましても昭和四十五年度には石炭換算で二億八千万トン以上と見込まれているのであります。このエネルギー需要の驚異的な拡大に対する供給源としての水力はその開発がすでに限界に達し、また原子力にしてもその実用化に相当の曲節が予想される状態において、輸入燃料にのみ依存する考えは間違いであり、石炭鉱業に課せられた役割は依然として無視することはできません。しかも、わが国石炭は、今日の出炭ペースで進んでも、なお百年以上もの確定炭量を埋蔵しており、国内エネルギー資源に乏しく、又国際収支弾力性が少ないわが国においては最大のエネルギー源であります。  その二はエネルギー供給安全性保障の面から指摘できます。世界各国とも、エネルギー供給安全性保障については異常な関心を示し、その供給源分散化が進められていることは、最近海外のエネルギー政策を視察してきた各調査団の報告でも強調しているところであります。特に英仏西独等の諸国では六割から八割を国内エネルギー資源としての石炭に依存しているのであります。輸入エネルギーへの依存度を無計画に高めていくことはきわめて危険だといわねばなりません。  その三は雇用の面から指摘できます。  石炭鉱業における雇用吸収率は他産業に比して非常に高く、機械工業とともに今後もその傾向を低めるものではありません。労働市場逼迫という最近の現象があるとはいえ、なお多数の潜在失業者を有し、年々百万人以上もの生産年令人口の増大するわが国経済において、雇用問題は経済政策中心課題であり、かかる観点からも石炭鉱業の地位はゆるがせにできないのであります。  このように重要なエネルギー産業である石炭鉱業に対して、わずかな資金融通による細々とした近代化計画や、弱小炭鉱の買いつぶし等消極策解決できるほど問題は簡単ではありません。石炭鉱業はすでに資本主義的経営自体に対しても、鋭い改革のメスが加えられねばならない段階にきているのであります。  イギリスにおける炭鉱国有化政策を初め、西欧各国とも公有化その他の特殊な経営形態のもとに、国民経済拡大発展に寄与させるものであります。こうした世界的な傾向から、ひとりわが国だけがおくれた投げやりな石炭政策を進めることは許されません。  したがって社会党は、今日石炭鉱業が当面している危機を打開し、構造的欠陥を克服して、これを将来のわが国重要エネルギー源としての要請にこたえさせるため、長期的な展望を持った抜本的対策を講ぜんとするものであります。  まず第一に、石炭生産過程に対するわれわれの基本的な考え方を明らかにいたしたいと思います。  わが国石炭鉱業は稼行の進捗に伴って、採掘地域が漸次深部に移行し、坑道の維持、通気、排水運搬等の経費が増加するため生産費の増大を見ております。これを最小限度に食いとめ、さらに高炭価問題を解消するためには、合理的、計画的な開発を行なって炭鉱若返り策が講ぜられねばなりません。  生産体制集約化そのための前提条件であります。前近代化的な古い生産機構である鉱区の独占はすみやかに排除し、鉱区整理統合を断行して、炭鉱適正規模に再編成することが最も肝要であります。さらに休眠鉱区の解放も行なわれねばなりません。これらの諸課題業者間の自主的解決では不可能であり、法の強制力を必要とするものであります。  第二は、流通過程における整備の問題であります。  石炭流通機構昭和年代になってからだけでも、過剰貯炭を処理するために昭和石炭株式会社、戦時中の日本石炭株式会社、戦後経済再建のための配炭公団、そして最近では新昭和石炭等設立を見ているのであります。このことは単に石炭重要物資であるためのみでなく、石炭需給関係調整困難性を物語るものであります。  需給関係調整し、価格の安定をはかるためには、流通機構一元化こそ絶対に必要なのであります。  第三は、石炭需給計画化し、その安定的確保をはかることであります。  石炭鉱業はその持つ特性から必然的に需給計画化を要求いたします。しかもその計画化長期に進められねばなりません。政府は今日、石炭需要の減退に対して縮小生産方向をとっているのでありますが、これでは問題の高炭価をも解決できないのであります。高いレベルの拡大生産こそ必要なのであります。さらに積極的に新需要開拓等が講ぜられねばなりません。このためには社会党固体燃料としての石炭を流体化し、電気やガス等流体エネルギーに転換して石炭需要拡大をはからんとするものであります。  以上の見地から、石炭鉱業の当面している危機を打開し、その安定を期するため、本法案を提案する次第であります。  以下本法案内容を簡単に御説明申し上げます。  第一章、総則は、目的と定義についての規定であります。  石炭鉱業基幹産業としての重要性にかんがみ、石炭鉱業の継続的安定を期するには、石炭生産近代化を推進するとともに、流通機構整備して、その価格の低下をはかり、その需要拡大するための諸施策実施することを目的といたすものであります。  第二章は、石炭鉱業近代化計画に関する規定でありますが、五年ごとに石炭鉱業安定基本計画及び毎年石炭鉱業安定実施計画を定め、政府実施すべき工事に必要な資金確保に努めるよう規定したのであります。  第三章は、未開発炭田開発についての規定であります。石炭資源開発が十分に行なわれていない地域であって、石炭鉱業の安定のためにはその開発を急速かつ計画的に行なう必要がある地域を指定し、基本計画に従って石炭資源開発計画及び実施計画を定める旨の規定をいたしたのであります。  第四章は、石炭鉱業開発株式会社に関する規定であります。未開発炭田開発目的として石炭鉱業開発株式会社設立し、政府は常時会社発行済株式総数の二分の一以上を保有する等のほか、会社設立に伴う所要規定を設けたのであります。  第五章は、採掘権及び鉱区整理統合並びに坑口開設の制限についての規定であります。鉱業権の交換、売り渡し、鉱区の増減については鉱業法規定するところでありますが、特に、安定実施計画で定めるところに従って急速かつ計画的な開発を行なうために鉱区整理統合はきわめて必要でありまして、政府は適切な措置をとらねばならないとしたのであります。坑口開設についても許可制といたしました。  第六章は、需給の安定についての規定であります。  政府は、毎年石炭関係及び学識経験者よりなる石炭鉱業安定会議意見を聞いて需給計画を定め、その需給計画に基いて鉱業権者租鉱権者に対し生産数量の指示をするものといたしたのであります。  石炭需要を増加させるため、都市ガス火力発電石炭化学等に対し、資金確保その他適切な措置をとるべき旨の規定を設けたのであります。  さらに、前述のごとき観点よりして石炭販売一元化を行なうこととし、それがために石炭販売公団を設け、石炭の一手買い取りを行なうことといたしたのであります。しかし石炭販売公団が全生産量を取り扱うことは実際上困難でありますので、鉱業権者または租鉱権者をしてその販売業務の一部を代行させることといたしたのであります。また小口需要については販売業者を指定して、その販売をさせることといたしたのであります。  近代化による生産費引き下げ価格に反映するために、政府買取価格及び販売価格決定することといたしました。買取価格をもってしては石炭生産費を償うことができないものにつきましては価格調整金の制度を設けたのであります。  第七章は、石炭販売公団についての規定であります。  公団資本金は百億円とし、政府が全額出資することといたし、役員、業務、会計、監督についてそれぞれ規定を設けました。  第八章は、炭鉱補償事業団についての規定であります。  政府石炭需給調整措置実施に伴い、石炭調整金を含む買い取り価格をもってしても採算がとれないなったため、事業を休廃止するのやむなきに至った鉱業権または租鉱権者事業について、採掘権買収鉱山労働者に対する救済、鉱業等に対する前後措置を講ずるため炭鉱補償事業団を設置することといたしたのであります。  これに要する財源としては石炭販売公団からの納付金のほか、国庫補助の道も講じたのであります。  離職する労働者に対しては平均賃金の六十日分を支給すると同時に、未払い賃金については債務者たる採掘権者または租鉱権者炭鉱補償事業団との連帯債務としたのであります。  また鉱害賠償に関する裁定についても必要なる措置を講じました。  第九章は、石炭鉱業安定会議についての規定であります。  この安定会議石炭鉱業安定基本計画並びにその実施計画決定採掘権または鉱区整理統合需給計画決定生産量決定買収価格販売価格決定雇用の安定その他この法律に関する重要事項調査審議するため、鉱業権者及び租鉱権者労働者石炭消費者炭鉱所在地方公共団体を代表する者、学識経験者をもって構成することといたし、これに関する規定を設けました。  第十章雑則、第十一章罰則といたし、法律施行期日は公布の日から九十日以内に政令で定めることといたしたのであります。  以上この法案概要について説明申し上げた次第であります。  日本社会党といたしましては、わが国エネルギー源における石炭鉱業重要性にかんがみ、石炭鉱業の安定をはかり、もって国民経済の健全な発展に寄与せんとするため、本法案を提出いたした次第であります。  議員各位におかれましては何とぞ御審議の上、本法案賛意を表されんことを切にお願いする次第であります。
  5. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 本案質疑都合により後日に譲ります。   —————————————
  6. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 次に、自転車競技法等廃止する法律案競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案、以上二案を一括議題とし、発議者より提案理由説明を聴取いたします。院議員田中武夫君。
  7. 田中武夫

    衆議院議員田中武夫君) ただいま議題となりました自転車競技法等廃止する法律案並びに競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案について、提案者を代表してその提案理由を御説明申し上げます。  まず、自転車競技法等廃止する法律案について申し述べたいと思います。  この法律案は、自転車競技法小型自動車競技法及びモーターボート競走法廃止する法律案でありまして、以下法律案提出の趣旨について、その概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、自転車競技法小型自動車競走法及びモーターボート競走法の三法は、自転車工業及び小型自動車工業等振興に寄与するとともに、地方財政健全化を図ることを目的として、射倖的事業であります競輪、オート・レース並びにモーターボート競走を公然と行なうことができるようにした法律であります。しかしながら、三法の立法当初の経緯及び、三法審議中の経過からみましても、限時的性格をもった臨時措置であることは否定できないと思います。  このことは、昭和二十九年六月九日、当該産業振興に限定せず、広く機械工業振興をはかることをおもな内容として成立いたしました自転車競技法等臨時特例に関する法律が、初一年間の時限法であったことからも言えるところでございます。  しかるに、政府は、今日に至るまで延長に次ぐ延長を重ね、さらに今回、即時廃止を強く叫ぶ世論を無視して、延命策を提案しているのでありますが、このことは立法当初の精神にも反するというのが、廃止を提案する第一の理由であります。  第二の理由は、これらの一切の射倖的事業に対する国民消費は、年に一千億円を越え、年間約百億円が地方財政に寄与し、若干が機械工業振興費その他に充てられているのが現状でありますが、地方財政がこのような不健全な事業に頼らねばならぬことは、好ましくないのであります。また、機械工業振興にいたしましても、当然国のなさねばならぬ施策でありまして、ギャンブル収益に依存すべき段階は過ぎたのであります。しかも立法当時の戦災都市復興目的も、今やその目的を達成しているとき、もはや存続の意義は全くなくなったとみるべきでありましよう。  第三の理由といたしましては、特に強調いたしたい点は、これらの賭博事業が、いくたの深刻な社会悪をもたらしているということであります。政府大衆娯楽理由として、その存続をはかっておりますが、年に二百人以上もの自殺者を出し、一家心中等家庭悲劇から、殺人、詐欺、横領といった社会犯罪にいたっては枚挙にいとまがないのであります。開催地にはボス、暴力団が横行し、八百長による騒乱事件の連発は、常時、官憲の厳重な警戒がなければ開かれないのが、これら賭博事業の今日の実体であります。こうした社会悪をもたらす賭博事業が、どうして大衆娯楽健全娯楽の名に値するでありましょうか。  すでに京都、大阪、神戸等多くの都市が相次いで即時廃止に踏み切るに至りました。これ以上、賭博事業存続をはかることは、許されないのであります。  以上二、三の廃止理由をあげて、自転車競技法等廃止する法律案を提出した次第であります。しかしながら、現下の情勢において、即時廃止することは、これらの事業に働く従業員や選手のその後の生活の問題もありますので、今回廃止は一年後としたことを御了承願いたいと思います。  次に、競輪等廃止に伴う特別措置に関する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、競輪等廃止に伴い離職することとなる者に対する離職手当支給その他の措置について定めたものであります。すなわち、日本自転車振興会に対して、売上金額一定割合交付し、これを財源として離職者に対する離職手当支給求職活動生業資金あっせん等業務を行なわせて、競輪等廃止が円滑に行なわれるようにしたのであります。  また、総理府に、競輪等廃止対策審議会を置き、総理大臣は、同審議会意見をきいて、離職者に対する離職手当の額の決定及びその収給方法離職者転業対策競輪場小型自動車競走場又はモーターボート競走場の施設のうち償却未済のものに対する交付金の額の決定及び交付方法、その他必要な事項について計画を定めることとした次第でございます。  以上が両法案内容概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに両法案賛意を表せられんことを切にお願い申し上げまして、提案説明を終わりたいと存じます。
  8. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 両案の質疑は、都合により後日に譲ります。   —————————————
  9. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 次に、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。小平総務長官
  10. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。  下請代金支払遅延等防止法が制定されましてからすでに五年余を経過することになりましたが、この間政府関係機関におきましてはこの法律の積極的な運用に鋭意努力いたしまして、代金支払遅延防止等かなりの効果を収めて参りました。  しかしながら、この法律運用にあたってまいりました経験によりますと、下請取引を公正ならしめるとともに下請事業者利益を保護するというこの法律目的達成を図る上におきまして、現行法規定には不備な点があることが感ぜられます。すでにさる昭和三十三年におきまして、たまたま景気後退期に際会しまして親事業者景気後退による困難を下請事業者に転嫁しようとして種々不公正な行為を行ない、その中に現行法規定では規制できないようなものも見受けられましたので、この法律改正を準備した経緯があるのであります。  その後、景気が好転し下請事業者の立場もかなりの改善をみていたのでありますが、最近にいたりまして景気もようやく頭打ちとなり、さらに国際収支悪化に対処する金融引締等措置の浸透や自由化に対する対策もありまして、再び親事業者がその困難を下請事業者に転嫁しようとして不公正な行為を行なうおそれが増大して参っております。  このような親事業者の不公正な行為を防止し、下請事業者利益を一そう保護するためには、下請代金支払遅延等防止法をさらに強化する必要があると考えられますので、ここに本改正法案を提案いたした次第であります。  次に本改正法案概要でございますが、親事業者順守事項に不当な買いたたき、自社製品手持原材料等の購入の強制報服措置の三つの事項を追加し、これに伴いまして関係規定につきまして所要改正を行ないたいということであります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  11. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 本案の、質疑は、都合により後日に譲ります。   —————————————
  12. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 次に、北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案を表題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 私、大臣並びに政府委員に対し、若干重複するかもしれませんが、二、三質問したいと思います。  第一に、私が川島長官にお尋ねしたいことは、北海道地下資源開発株式会社のそもそも生れた目的は、北海道における地下資源開発という任務をもって発足をしたわけでございます。ところが、今回経理上の悪化等が、経営が困難になったということを主たる理由にして、今度は内地も含めて探鉱事業あるいは地質の調査機械の貸付等々やることになったわけでございますが、こうなってきますと、この法律のできました当時と大きくその内容なり目的が変わってきたことになろうと見ております。これは質的に大きく変わったと判断してもよろしいかどうか、大臣のひとつ御見解を承りたい。
  14. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 会社ができました当時の目的は、北海道内における地下資源調査探鉱であります。経営をやってます間におきまして、北海道だけではいかにも活動の範囲が狭い、したがって会社経営も困難になりましたので、これを日本各地全体に広げたわけでありまするが、しかし、主体はどこまでも北海道地下資源開発というところに置いて今後とも運用する方針でございます。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 そこで私は、こういうような特殊法人国策会社が、民間においても競合するような事業中心としてやっていくわけでございますから、当然私はこの種国策会社のやる仕事というものは、民間のやるそれと競合しないような形でやらすべきであり、また、政府は強くそのような方向で指導すべきだと考えるわけです。民間会社では資金の面、あるいは人的な構成の面、技術の面等、要するに着手ができない、そういうような限定された分野においてこの開発会社というものが法に基づいて与えられた仕事をやっていくんだ、こういうようなことにもっていくべきだと思うんです。どこまでも、既存の業者に迷惑はかけない、既存の業者の分野は侵害しない、こういう考え方でこの会社というものの経営なり事業運営なりがはからるべきだと、こう考えておりますが、その点を大臣はどのように考えておられるか。また、かりに私の言うとおりだとするならば、具体的にどのような保障措置会社経営上あるいは会社に対する行政指導上政府としては考えておられるのか、これを承りたいと思います。
  16. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 民間の既設のボーリング業者その他を圧迫しないようにということは当然でございまして、今後、この会社の運営につきましては、大体次の年度内に全国的にどういう程度の探鉱、地質調査があるかということを想定いたしまして、その範囲内で北海道地下資源開発株式会社がやり得る量というものをあらかじめきめるつもりでおります。事業内容といたしましては、高度の技術また大規模のものに変えまして、小ボーリング業者を圧迫しないようにいたしたいと考えております。また、適当の機会に認可基準というものを作ろうと、こういう方法も考えておりまして、根本的には既設業者を圧迫しない範囲内におきまして地下資源開発株式会社の行動を認めようと、こういう方針でございます。
  17. 田畑金光

    田畑金光君 この株式会社が今回道外に進出するということをねらった主たる目的が、赤字の解消、経営難の打開、あるいは事業量がワクが少ないので、それを広めるために道外に伸びていこう、こういうことを唯一の理由にしているようです。しかし私の見るところでは、三十四年、三十五年の赤字の実態を見ますと、単に事業量のワクが少ないとか、北海道にのみ限定されているというだけではないように見受けるわけです。ことに膨大な固定設備を購入して寝かせて、そのための費用が相当なこれは額に上っていると思うんです。またたくさんの役員以下多くの職員をかかえて、大体必要以上な規模にこれはふくれ上がっている。こういう管理的な費用というものが会社経営に非常な私は負担になっていると、こう考えているわけです。要するにこの種国策会社等においては、国家資金に頼って安易な経営のやり方が私は一番最大のこの赤字をもたらしている原因だと、こう考えておりますが、この会社を立て直すためには、そういう根本的な問題にメスを入れないで、安易にただ道外に伸びていくということだけで、私は解決を求めることは軽率である、また政府としてはまことに安易な道を選んだものだと、こう考えておりますが、この点は大臣どのようにお考えになりますか。
  18. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 北海道地下資源株式会社国策会社としての一つの弊害である事業費に比べて事務費がよけいかかる、職員が多いというのはあろうかと思います。実は私は就任浅いので、まだこれを徹底的に検討いたしておらぬのでありますけれども、私はお説のこともあるかという気がいたしているのでありまして、近く再検討しまして、三十八年度からもっとすっきりしたものにしたい、こういうふうに衷心考えております。とりあえず、三十七年度の活動としては、今御審議願っているように働く地域を広げたい、こういうことでございまして、御趣旨のとおりに私は考えております。
  19. 田畑金光

    田畑金光君 私はこの間もちょっと関連質問で申し上げましたが、東北開発株式会社の現状を見ましても、まことに憂慮すべきものがあるし、あの種の国策会社にややともすれば起きがちな現象が大きくクローズ・アップされてきておる。この事実を見たときに、なるほど事の内容は違っているにしても、私はやはりこの北海道開発株式会社についても同様な面がないでもないと私は見ているわけです。会社のこれは役員以下職員が相当数おいでのようですが、役員が何名であり、職員が何名であり、そのうち官庁等からこの会社に入った者が幾らに上っているのか、これをひとつ事務当局のほうから簡単にお答え願いたいと思います。
  20. 木村三男

    政府委員(木村三男君) お答え申し上げます。この会社の役員は七名ということになっております。現在役についておりますのは社長一、取締役四であります。そのうち三が常勤、一が非常勤、それから監査役が二名でございます。出身別を申し上げますと、社長は民間でございます。それから常勤取締役三人とも官庁出身でございます。
  21. 田畑金光

    田畑金光君 どこの出身です。
  22. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 通産二、大蔵一です。それから非常勤、これは民間でございます。それから監査役二名、北海道開発庁でございます。それから職員は百八十三名おります。管理職部面では、支店の総務課長が一人通産から入っておりますが、ほかは役所から行っている者はございません。
  23. 田畑金光

    田畑金光君 まあこの一つを見ましても、結局、役員の七名のうち、ほとんどが関係官庁からの出身の人方です。私はこれらの人方が悪いというのじゃございません。しかしこの種の会社には、いつも指導監督の立場にある行政機関から多くの人が出向いておるわけです。職員はどうかというと、おそらく私は、与党の人方の紹介する人方が大半職員には入っておるだろうと見ておるのです。それは、東北開発株式会社の例を見ましても、今はやめた前の副総裁は、たしか自民党の東北開発特別委員会の事務局長であったり、その職員の大半というものは、やはり与党の人方の推薦する人が職員になっておるわけです。こういうところに、私は人の面から見ても、この種国策会社の一番欠点はこういうところにあろうと思うんです。やはり事業が人であり、会社は人であり、その人を得ることが大事であるわけでございまして、こういう問題等についても根本的なメスを加えなければ、したがって赤字の解消というのは、事業量をふやすことも大事であろうが、もっと管理費、事務費等について徹底的な粛正を加えなければ、この法律改正の恩義は失なわれる。特に大臣は行政管理庁長官でもあるし、何といっても閣内の最も有力な閣僚でもあられるわけですから、この種問題については、ほんとうに大臣は、先ほど私の質問にお答えを願いましたが、もっと私が申し上げたこと等の面についても刷新する御意思があるかどうか、あらためて承りたいと思います。
  24. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 御趣旨は全く同感でして、公社、公団事業団などは、民間の知識を動員するところに特徴があるわけです。ところが実際に人選に当たりますと、民間の有能な人で、政府監督があるし国会の監督があるし、しかもきわめて俸給が低い公社、公団にくるという人はきわめて少ないのです。私は自民党の幹事長時代にしばしば人選に当たったんですけれども、民間から来る人で、もうすでに会社をよした、定年に達したような人は来るんですけれども、民間でばりばり働いている人をとるということになると、実際は不可能で、自然官庁出身をとるということもあります。ありますけれども、それでは公社、公団事業団等の特徴が発揮できないのでありまして、私は先般閣議でも意見を話したんですけれども、将来なるべくそういうものには民間から任用するように努力しよう、こういう方針をとっておるわけでございます。  この北海道地下資源開発株式会社につきましてもお説のとおりであります。私は、役員、職員一々について存じませんけれども、将来この会社が健全に発達するようにいろんな角度から検討いたしたい、かように考えております。
  25. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど私の質問に大臣からお答えがございましたが、さらに私はこの点についてもう一度お尋ねしたいと思いますが、今回の改正の重点が、道外における探鉱事業、地質調査を行なえるようにすることでございますが、道外で一般の探鉱業者がやっていたこととこの会社が競合するということになってきますと、どうしても民間の事業を圧迫するわけです。そこで、その間、分業関係を確立するということが必要であるし、大臣は適当な機会に基準等を設けて、この程度以上の事業は当該株式会社がやるけれども、その基準以下については既存の中小企業者の分野をどこまでも尊重していこう、こういうような御答弁がございましたが、私はその点について事務当局として具体的な案を考えておられると思うのです。この点について、事務当局の考え方なり構想なりを、でよろしいから、二、三あればひとつ伺っておきたい。
  26. 木村三男

    政府委員(木村三男君) ただいまの問題につきまして、思わしからざる競合関係をどういうふうに排除していこうかということにつきまして、二つばかり考えております。一つは、今まで過去四年間北海道事業をして参りましたが、やはり道内にも民間の——民間と申しますか、会社以外のボーリング業者がおりますが、やはり競合関係についてはずいぶん頭を悩ましまして、その解決策といたしましては、北海道の試錐業者の協会と会社側で自主的に話し合いを進めまして、その結果によりまして、道内におきましては、この会社国策会社であり、かつまた優秀な機械を持っておる会社であるから、高度の技術と高度の施設を要する、そういった特徴のある仕事をやっていくという営業方針を立てまして、それで最近進んでおりまして、大体その調整は問題なしに今日まで推移しております。この度法律改正になりまして、内地方面、本州方面に進出いたします場合も、ただいま申し上げましたような経験を生かしまして、自主的な面におきまして、北海道方式と申しますか、そういう努力を会社のほうでもしてもらいたいし、われわれとしてもそういう行政指導をして参りたいと思っております。  それから第二には、本州方面でただいま御指摘になりましたような事業をいたします場合には、会社が任意にやることはできない、主務大臣の認可を受けなければならないという規定が設けてあることは御承知のとおりであります。この際、主務大臣とは、私ども北海道開発庁と通産省であります。そこで認可の際に個々の案件が出て参りますが、これは差しあたりケース・バイ・ケースになりますけれども、こういう仕事がただいま申し上げましたような基準の内容になると思いますが、高度の技術を有し、かつ高度の設備を必要とするような事業運営の目安にかなうかどうかということを精査して参りたいというので、一つは自主的な面におきますところの北海道方式というものを道外においてもやっていくことと同時に、認可面におきましてただいまのようなことを勘案して事業の認可をしていくということをただいま私どもは通産省と話し合い中でございます。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 会社北海道の試錐業協会と話し合いでやってきたところではうまくいったというお話ですが、私の聞いたところでは、必ずしもうまくいっていないわけです。とにかく私お尋ねしたいことは、従来道外においては、建設省のやる道路事業であっても、あるいはダム工事であっても、また道路公団とか住宅公団、あるいはまた国鉄の実施する事業、こういう事業等の場合、地質の調査等については、別に北海道資源開発株式会社が内地までこなくても、十分需要に対する供給、需給関係というものはうまくいっていたと私たちは見ておるわけです。今回、道外に進出する、せざるを得なくなったのは、この北海道以外の、本土において対技術的にどうしても間に合わない、こういうような事情がこの会社を誘致することになったのか、それとも会社が赤字解消のためにそこで会社の立場から道外に伸びざるを得なくなってきたのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。今後内地において仕事をやる場合に、今あなたのお話によれば、いろいろ認可の場合あるいは許可の場合等において、業者の競合を極力なくしていこうなどといわれておるけれども、しかしやっぱりこの株式会社は、毎年々々こう赤字が出ておる以上は、何とか赤字を埋めたい、仕事をふやしたい、国会で論議をされてたたかれる、何とか早くこれは赤字を解消しなくちゃならぬというのならば、当然中小企業の分野というものにこれは入ってくることをわれわれは予見できると思うのです。民間企業と、この会社とは一般競争入札等をやらせるのかどうか、この点どうですか。
  28. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 現実の問題から出発いたしますと、最初に会社がいわゆる本州方面に進出せざるを得なかったと申しますか、進出したほうがよろしかろうということは、一つは御指摘の経理面、経理改善の面であります。国策会社でありますから国家資本が入りまして、かなり優秀な機械を持っております。それで北海道の冬期間の関係とか、最近の情勢から見まして、機械を遊ばしておくことは赤字の原因にもなりますし、国家的にも有意義じゃない、そういうことで赤字解消と、それからせっかく持っている技術と機械というものを内地方面のこの種の事業に活用させることも意味のあることじゃなかろうかということで、その辺が私どもの考えと通産省の考えとが合流する点なんでありますが、そういうことから一石二鳥といってはいい過ぎかも存じませんが、赤字解消だけじゃなくて、できるだけ優秀な機械、これを使ってもらいたいという面も多分にあるのでございます。そこでこの関係から見ますというと、機械の関係ですが、ただいま会社には四十七台の試錐機械のうち四百メートル以上の能力を持っている機械というものが十八台、四〇%ございます。それから全国でボーリングの業者といたしまして五百社ほどありますが、いわゆる大に属するもの、百人以上の従業員を持っている企業といたしましては、全体の大体五%程度じゃなかろうかというのが通産の調べでございます。そういう関係でございますので、ただいま申し上げました意味を敷衍いたしますと、活用して参りたい深堀り機械もたくさんありますし、優秀な機械もたくさんありますから、中小のほうに分け入るということよりも、今のような機械の効用を考えますと、高度の技術を有する大規模のものに限定して指導を進めていくというような営業方針、認可方針が打ち出されるわけであります。それから競争に参加するかどうかということでありますが、これはやはり競争入札にも参加いたしますけれども、その場合にいろいろ指導なり認可がございますので、何でも相手を選ばずに仕事を取るということがないように指導して参りたいというのが先ほどから申し上げた私どもの態度でございます。  はなはだ意を尽くしませんが、会社の進出の動機と、それからねらい、それから営業、競争入札に関する立場は今申し上げたような次第であります。
  29. 田畑金光

    田畑金光君 今、あなたのお話のように、機械が四十七台あるようですが、そのうち大部分が遊んでいるので貸し付けようと、こういうわけですが、そんなに機械が余って余分なのであるならば、無理をして買わなくてもよかろうし、またそんなに遊んでおるならば民間の会社に貸付なさっても十分に機械は仕事を果たせると、こう思うのです。ただ問題は、今、答弁によれば、競争入札等について民間のそれと競合する場合もあるが、できるだけ民間に迷惑をかけないようにというようなお話でございますが、具体的に民間に迷惑をかけないということは、どういう角度からの指導によってそれを保証をなされようとするのであるか。それから今後機械が相当余裕があるというのだが、今後さらに機械というものを相当購入する御方針であるのかどうか。ことに私の聞くところによれば、この二百五十メートル以下の機械ですか、これは主として地質調査のために特に中小企業の分野と競合する機械のように聞いておりまするが、こういう分野の機械というものについては、あるいはこれ以上ふやすのかふやさないのか。こういうような点についてひとつ承っておきたいと考えております。  さらに、私は、時間の関係で端折りますが、きょういただいた資料によりますと、「北海道地下資源開発株式会社試すい事業量」、こういう資料がございます。かりに私は、石炭の部門を例に引いてお尋ねいたしますが、道内と道外と分けまして、そして石炭について道外の場合、三十六年度には八%、三十七年度には九・九%、三十八年度には一〇・九%、三十九年度、四十年度はそれぞれ一二%、一二・七%、石炭のほうにも今度はこの開発株式会社が進出してくるようです。私は常磐の炭田におりますので、そこで特に関心を持つわけですが、道外の石炭の部門にこの会社が進出してくる。しからば九州と本土との関係というものはこの比率の中でどういう比率になっておるのか、計画はなっておるのかということが一つ。  それから第二点としてお尋ねしたいことは、一体、九州の炭田や宇部炭田、常磐炭田の石炭業者から株式会社にどうぞいらして下さい、技術が足りなくて仕事が多くて皆さんがいらっしゃらなければとても間に合いませんからという要望で皆さん方はこういう計画を立てられたのかどうか。これが第二の質問。  第三点として私がお尋ねしたいことは、特に私はこの点は大臣にひとつお聞き願いたいと思うのですが、私の知る限りにおいて常磐炭田等を見ますると、御承知のように炭鉱の合理化によって相当の離職者がどの山も出ておるわけです。そこで離職者をできるだけ炭鉱あるいはその関連事業において吸収しようと、こういうわけで常磐炭田のある炭鉱においては開発会社を作り、その開発部分の中にこういう地質調査事業、ボーリング等の事業をやって、そこに労働者雇用をはかっておるわけです。ところが、そこにこのような国家の資本を背景にして、損をしても国が金を出すんだという考え方でどんどんこういう会社が伸びてくるならば、私はこの種炭鉱離職者対策をかねてでき上がった開発会社等にも大きな影響がもたらされることは必至だと、こう見ておるわけです。政府は一方において炭鉱の合理化と体質改善に伴う離職者対策を進めておりながら、一方においてはまたこういう事業が実は皮肉にもこういうところに食い込んでいくということをおそれるわけですが、こういうような点について十分地方の実情を皆さんお聞きになって、この仕事の計画を立てられたのかどうか、これは大臣にひとつお答え願いたいと、こう思うわけです。
  30. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 初めの二点について申し上げます。石炭につきましての問題、どういう方針で今後会社が仕事をしていくかという問題でありますが、石炭の見方につきましては、通産省といろいろ相談いたしまして、合理化の済む年ぐらいまではあまりボーリングの影響はふえないだろうということで、全体量は大体横ばいないしはそれより下がるようにいたしておりまして、それからそのうちこの会社がどのくらいの注文がとれるであろうかということは、道内の場合ははっきりといいますか、比較的よくわかるのでありますが、道外分につきましては、ただいままでなじみがあると申しますか、機械貸付ということでかなりやっておりますので、その辺からのお得意さんと申しますか、なじみというものを頭に置ますと、それを若干伸ばしていくというようなことで受注比率をこのような数字に出したわけでございます。それからこれを地域別に北九州、宇部、常磐というような分け方は実はいたしてないのであります。それから常磐関係は今までの実績、それから会社のいろいろな感触から見まして、ほとんどこの会社としての仕事はないだろうというような見通しに立って計画をしておるわけであります。  第二点は、それではこの業務範囲の拡大について本州方面からどういう反響があったかということでございますが、公にアンケートいたしません関係ではっきり申し上げられないのでありますが、地続きでありますところの東北鉱業会、これはぜひこの会社の仕事を東北方面でもやってもらいたいという、東北鉱業会ではそういう要望書を政府あてに出しております。それから、これは会社のいうことでありますが、特に今本社は札幌、支社が東京にありますが、そういう関係で大体機械貸付の事業の範囲といたしましては、関東近郊、東北が多いのであります、が今まで機械貸付などでやっておりました感触から見まして、北海道と同じような試錐の委託、こういうものでしてもらったほうが実は仕事を終わったときの責任の問題とか、いろいろな関係ではっきりするのではないかというような声も相当ありまして、そういう点から見ても、今回の改正につきましては、まだPRが足りないのでありますけれども、関係のある部門では歓迎するような面が多々あるように私どもは聞いております。以上であります。
  31. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 常磐地方炭鉱失業者対策の一つとして、新たにボーリング会社を作るが、そういうことを考慮に入れて活動するのかというお話でありましたが、実は私ども常磐地方に炭鉱失業者を集めてボーリング会社を作るという話は初めて聞いて、存じておりません。存じておりませんが、先ほど来御説明申し上げたとおり、内地の業者を圧迫しない程度において活動しょう、こういう方針をはっきりととっておりますからして、常磐地方にそういう会社ができれば、それに対してもなるべく競合しないように、事業を圧迫しないようなやり方でありたい、こう考えております。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 今大臣、私の質問、若干誤解されておるようですが、常磐にはすでに炭鉱離職者を吸収するというような目的も兼ねて開発会社等が、いわゆる世間でいう開発会社等ができておりすが、その一つの部門の中に、このような地質あるいはボーリングその他の仕事をやっておる会社ができておるわけであります。   〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕  私の申し上げたことは、既存のそういう会社に、この会社が進出することによって迷惑をかけるようなことがあってはならない、このことを申し上げたわけです。また別段私は常磐の関係会社から要望があり、それを聞いて申し上げているわけではなくして、この会社の今後の内地における進出を見ますると、そのようなことを私は恐れますから、十分そこはひとつ留意していただきたい、そのことを申し上げたわけです。  それから、これも配付された資料によりますと、地質調査を見まするならば、地質調査事業というものは三十七年度が道内道外を入れますと二〇・三%、三十八年度になりますと二一・五%、三十九年度になれば二二・七%四十年度になりますと実に二四・三%毎年これは地質調査事業の分野においてはこの会社の分野というものが非常に大きくなってくるわけです。しかし、この種の地質調査の仕事というものは、特に事務当局の人に私はお尋ねいたしますが、この種の事業というものは、むしろ中小企業の人方が従来の技術やあるいは機械経験を生かしてできるだけ活動する分野を確保していくということが大事じゃないだろうか。中小企業基本法案という法律が、今度の国会に政府は出さぬかもしれないが、次の国会に出るでしょう。そういう際には、当然中小企業の分野というものが明確に私はうたわれてくるものだと考えますが、こういう点から見たとき、皆さんの事業計画は、そういう中小企業者に対して非常な脅威を与えておる、こう私は考えますが、どう事務当局は考えておられるか。特に地質調査の場合等におきましても、この大資本とそして大きな機械をもってやらなければできないという分野はこの会社がやると、こういうことにして、そのような分野について事務当局としては考えておるのかどうか、これをお答え下さい。
  33. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 地質調査の関係の部面におきましての中小業者との競合関係、これも私ども先ほど申し上げましたような観点から、同じような考え方でもって処理したいと思います。そこでこの地質調査の場合もこの国策会社がやる場合には、やはりこの仕事の性質が特殊なものとか高度の技術を要するようなものを考えていきたいということで、具体的な規制の仕方を今考えているわけなんでありますが、じゃどんな仕事をこの会社として取り上げていく対象にしたらよいか。鉱害関係では、鉱害復旧事業団の行なう古洞調査など、治水とか、治山治水関係で河川、砂防、地すべり、そういったダム関係などで、いわゆる公共事業としてかなり精密な、念の入った調査をしなけりゃならぬようなものは、やはりこの会社としてもやる価値があるんじゃなかろうか。同じようなことが、道路関係、トンネルとか、橋梁敷設工事、こういった、中小部面ではちょっと無理じゃないかと思うようなところを選んでやらせるような認可方針なり、営業方針を打ち出したいということで、具体的な問題につきましてはなおまた検討中でございます。
  34. 田畑金光

    田畑金光君 ここに、先ほど来私が質問しておりますこの資料です。これは炭鉱会社のボーリング部門のやる分野、あるいはまた、開発会社がこれからやっていこうとする分野、あるいは、従来のボーリングの専門業者がやっていく仕事の分量等々の一つの計画がございますが、この計画について、これは計画であるし、いろいろ動いていくことは予想もされますけれども、あくまでも私は、中小企業あるいは既存の業者の分野に不当に介入するようなことがあってはならない。そういう角度に立って、この計画書等については十分御検討を願いたいと思いますが、そういう御意思があるかどうか、これを承っておきたいと思います。
  35. 木村三男

    政府委員(木村三男君) この事業計画でございますが、今の段階から見ますと、できるだけ、あらゆる資料をもとにしまして、それに会社事業の運営方針、どういうあり方をとったらいいかと、そういった要素を加味しました、計画というよりも、別な言葉でいえば、長期見通しといったような言葉のほうが適当するんじゃなかろうか。これでは大筋を見まして、その後年々の事業内容なり、あるいは社会情勢の変化もございますから、これは毎年度会社事業計画を立て、資金計画を立てて、主務大臣の認可を受けることになっております。そういう意味で、これはいわば長期の見通しでありまして、ほんとうにその会社運営の基本になる事業計画というものは、法に要求されておりますとおり、年度々々ごとに組まなければならない建前になっておりますので、その辺は実情を見て、私どもも適当な指導なり監督をして参りたいと考えております。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 もうあと二、三問で私は終わりますが、これは事務当局にお尋ねしますけれども、この会社は、今までは地質関係の調査の仕事はやっていたのか、やっていなかったのか、どうなんですか。
  37. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 北海道内で機械貸付の形で若干やっておりました。
  38. 田畑金光

    田畑金光君 今までの現行法によれば、機械貸付事業はやることになっておるけれども、地質の調査事業はやるようになっていないじゃございませんか。少しこれをやっていたということはどういうことです。
  39. 木村三男

    政府委員(木村三男君) 会社自体が委託を受けてやるということは、道外、道内とも現行法ではできないのであります。で、機械貸付でありますと、自分がやるんじゃなくて、よそに貸して、仕事をやる主体は他のものでありますので、機械貸付ということで処理されて、実際面の、実質上の仕事は、借り受けた先でもって仕事が行なわれたという意味で、先ほども機械貸付の形でやっておりましたということを申し上げました。
  40. 田畑金光

    田畑金光君 大臣にひとつ。私はまあこまかい点、もっと質問もしたいと思いましたが、もうすでに何回か質問しているようで、私の質問している中でダブっていることもあろうかと思うので、まあ私はこまかい点は省きますけれども、ただ、大臣にひとつ、特に考えておいてもらいたいことは、この間から大臣の御答弁を聞いておりますと、われわれの質問する、私たちがこの会社について心配していることについて、十分理解をされて安心だ、こういうような印象を受けますけれども、ただ、あまり大臣は大局だけを見て——大局を見ることはもちろん大事ですけれども、もっとこの会社の複雑な機構とか、内容等、実際に運営されておること等については、なかなか目が届かない。国会の答弁はなかなかりっぱだが、実際今後の監督、指導の面は、おそらくどうも御答弁のとおりいけるものかどうか、私は不安を持っているわけです。  そこで、ひとつ十分御留意願いたいことは、この種会社が、立法当初の考え方から大きくはずれてきたということですね。はずれざるを得なくなったということ、なるほど、この会社北海道の鉱業界等からの要望で生まれた会社のようでございまして、当初できた目的自体はりっぱであったかもしれませんが、しかし、いろいろな客観情勢の変化から、これがなかなか思うようにいかなくなった。そういうことで、ついに目的以外の線まで大きく発展してきたわけです。言うならば、逸脱をしてきたわけです。このようなことで、私は特に中小企業分野等では非常な脅威が今拡大されつつあるようで、この法律改正が出たというので、ようやく私たちの耳にも、この問題が関係業者にとっては非常に深刻な問題だということが、ようやくわれわれにも理解できてきたわけです。したがって、私のお願いしたいことは、東北開発会社の問題を見ましても、——私はいずれあの問題を取り上げたいと思っておりますが、この種問題を見ましても、われわれに幾多の教訓が残されておるわけです。この会社についても、私は性格が性格ですから、同様だと私は心配しているわけです。どうぞひとつそういう点を十分留意をされて、さらにこの会社が今回の法改正で、意外なところに伸びていくわけでございますから、あくまでも既存の業者中小企業者に迷惑をかけない具体的な方法はしからばどうかということを、もっと事務当局にも、しさいに検討させて、定款やあるいは事業計画等において十分留意されるように強くこれを要望し、期待を申し上げて、私の質問を終わることにいたします。
  41. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) この会社の今後の運営に関しましては、田畑さんと私と全く同じ考えでありまして、したがいまして、御意見を尊重するということは、私どもの答弁に責任をもちまして、十分会社を監視、監督いたしまして、間違いのないようにいたしたい、かように考えております。
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この前のときに、探鉱をやっていくと品位が上がっていく。品位が〇・一%上がってもコストが数千円下がるというようなお話がございましたが、資料をいただきましたが、ごく簡単に探鉱の効果を資料によって御説明を願いたい。
  43. 川出千速

    政府委員(川出千速君) それではそこに差し上げました資料に基づきましてごく簡単に御説明いたしたいと思います。  まず最初のところに、「最近における探鉱の成果について」という題で、最初の一ページでございます。それによりますとおわかりになりますように、二十六年四月の埋蔵鉱量は銅分にいたしまして約百万トンでございます。数字の一番右のところの含有量と書いてありますところが、銅分に換算した埋蔵量でございます。これは推定埋蔵量も含んでおります。それが三十五年の四月の調査によりますと百三十一万トンに増加いたしておるわけでございます。その間に掘りました量があるわけでございますから、結局掘採をしたよりも発見をした埋蔵量のほうが多いわけでございまして、九年間に発見した埋蔵量は一番最後の数字にございますように九十二万トンでございます。九年間の採掘鉱量が六十三万六千トン、その差額が結局三十五年四月にふえておるということになるわけでございます。鉛、亜鉛につきましても同様な事情がございます。  それからページをあけていただきまして、二ページのところに具体的な例として、探鉱の結果非常に品位の高いものが見つかった鉱山の名前をあげてございます。その中で特に人口に膾炙して有名なのは、同和鉱業の小坂鉱山でございまして、これは銅の山でございますが、戦後ほとんど廃山になっておりましたが、探鉱の結果鉱石にして一千万トン、二・五%の高品位の鉱床が発見され、現在開発に取りかかっておるところでございます。まあそのほか相内、古遠部等々の鉱山、それからその下のほうに東北地方が多うございますけれども、いろんな鉱山、これは探鉱の結果発見された鉱山でございます。以上でございます。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そこで品位がどれだけ上がったか、それからコストがどれだけ下がったかという説明はございませんでしたが、答弁洩れ、ひとつ……。
  45. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 品位の点を落としましたが、銅について申し上げますと、二十六年四月の平均品位が一・一六%でございます。これが発見されましたのは一番最後の欄でございますが、平均して一・三%でございます。現在稼行中の平均品位は一・二%でございます。これは前回の商工委員会で申し上げた数字でございます。発見されたものはそれよりも高いものが平均されて発見されておるということでございます。したがって二十六年の四月現在のときの埋蔵に比べますと質もよくなっておると思います。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは北海道地下資源開発株式会社調査あるいは探鉱をした結果だけではない。そのほかのものも全部含んでおるわけですが、そこで地下資源開発問題に関連をして先般この商工委員会決議をいたしました際に探鉱に対する国の総合的助成策の実行、特に探鉱補助金等の飛躍的増額という決議をしたわけでありますが、三十七年度予算に要求をしたけれども、中小分を主として三億という今予算がついておる。ところがここには探鉱をした結果はこんなに成果が上がりましたというその報告が出ている。北海道開発会社との関係もございますけれども、この決議の精神に従って努力はされると思うんでありますが、大企業については能力があるだろうということで削られた、貸付その他は、機械の貸付だとか、いろいろなものは得られるかもしれませんけれども、国の政策が十分でない証拠には、各県についても県が補助をしておるところもあるようでございます。これは探鉱の——国の地下資源調査あるいは開発の前段の仕事を進めてゆくのに県も補助をするという態勢で放置をしておくというのは、これは国の施策が不十分だという証拠だと思うんですが、現状から探鉱全般について保護助成の方策をどのようにとられようとされておるのか。抽象的な方針は通産大臣から数回前の委員会で承ったんですが、関連をしてお伺いをしておきたいと思います。
  47. 川出千速

    政府委員(川出千速君) お答え申し上げます。三十七年度の新鉱床探査補助金は約三倍にふえまして三億になりましたが、私どもはこれで十分だというふうに考えておるわけではございません。今後自由化になりますと、競争も激しくなりますので、さらにこれを増加させて日本の国内にはまだ資源はたくさんあると思いますので、探鉱に努めたいと考えております。
  48. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 探鉱に努めたいという話は先般大臣から承ったから、具体的な方策を承りたいとお尋ねをしておるわけです。政務次官あそこにおられるんですけれども、局長から大臣答弁を求めようとは思っていないのです。具体的に欠陥は検査をやっているという具体例をあげて、国がもっと責任をもってやられなければいかぬじゃないかと、その具体策いかんということをお尋ねしておるわけです。
  49. 川出千速

    政府委員(川出千速君) ただいまお答えしましたのと重複するかもしれませんが、三億の補助金だけでは十分と思っておりませんので、今後これを大幅にふやしたいと念願いたしております。
  50. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 金額をふやしたいというくらいな話は、この前も聞いたわけですけれども、どういう工合にやっていこうかという問題を聞いたわけですが、具体的には答弁がない、まあ金額をふやそうという点はあるけれども、そのほかの点については。  それではさらに伺いますが、探鉱調査をさらに強化してゆきたい、あるいは深めてゆきたい、北海道地下資源会社の点からいうと、北海道に限定をされておったものを全国に広げてゆく、しかも広げる場合に、民間業者との競合といいますか、あるいは特殊法人——国の財政を背景にして特殊法人が民間業者を何といいますか、圧迫をするような仕方ではやらないようにという先ほどの説明でございましたが、こうなりますと、北海道のワクがはずれるということになると、全国的な探鉱の強化あるいは拡大と関連をして、形にしても再検討をすべきじゃなかろうか。これは北海道開発会社それ自身について若干これからのやり方について、先ほど問題にされたのですけれども、北海道開発会社のワクを広げる。それから三億に、三倍になったと言われるけれども、それを広げてやっていこう云々ということになると、北海道開発会社あるいは中小業者も含めて探鉱業者との調整だけでなしに、大手についてはどうする、中小についてはどうする、各地域についてはどうする、こういうやはり具体策をもって進まれなくちゃならぬと思うのですけれども、ただ三億をふやしていきたいということだけは、先ほどのような問題も起ってくるでありましょうし、それから鉱山局なりあるいは通産局——これは北海道資源開発会社との調整の問題も起こって参りましょうが、両省、あるいはもう少し調整をするところもあって今後進まなければならぬと思うのですが、そういう具体的な問題点の解決と、それから調整の中での地下資源調査開発についての具体的な方針はどうですか。こういうことをお尋ねしておる。
  51. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 三億の予算は三十七年度でございまして、まだ成立しているわけではございませんが、現在申請を集めて、予算が通過することを前提といたしまして集めておるわけでございます。この交付の方針は大体探鉱してもありそうな地点を重点的に考えたいと思っております。大体地質調査の結果どういう地点が有望であるかということは、大体においてはわかっておりますので、そういうところに重点を置いて考えたいと思っております。それから補助金の交付は、個々の企業に交付をするわけでございまして、この交付を受けた企業が自分でやる能力を持っておれば自分で探鉱をいたします。それでない場合には委託をするということになりまして、委託をする場合に、専門のボーリング会社に、頼むとかあるいは北海道地下資源会社が今後道外に進出した場合に、これにどの程度頼むかという具体的な問題になろうかと思いますので、その辺の調整につきましては、先ほど北海道開発庁のほうから御答弁になったような方向で今後もよく打ち合わせをいたして参りたいと思います。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 鉱業審議会に改組をしていきたい云々という点でございましたが、具体的に今後の北海道資源開発会社との調整は、これは通産省と北海道開発庁との間で協議をせられていくのかもしれませんけれども、探鉱全体について強化拡大をしていきたいというならば、北海道資源開発会社あるいは北海道開発庁との調整だけでなしに、もっと広い観点からその他の省といいますか、あれを含めて考えられておる鉱業審議会がその任にたえられるかどうかしらぬけれども、そういうところで検討をされ、それからもう少し具体的に考えられなければならぬかと思うのですが、それはいかがでしょうか、それが一つ。  それからもう一つは、北海道開発会社のワクをはずして全国にも範囲を及ぼそうというならば、これは先ほどのような探鉱会社との調整の問題もありますが、全国的な探鉱事業との調整という問題もありましょうし、北海道開発会社という形態がこれからの全国的な調査の中でどういう地位を占めるかという点から見ると、私は少し不足じゃないかと思う。ですからこれは北海道開発庁長官の立場からも、当面の業者との関係だけでなしに、もう少し検討されるべきじゃなかろうか。あるいは通産省と北海道開発庁との協議ということになりましょうが、さらに全国的な調査、その中における開発会社の地位、それから開発会社の性格というものも、もう少し全国的な調査をするにふさわしいような、そうして先ほど問題になったような点、あるいは大会社あるいは中小企業、それぞれの地域に即応した調査探鉱を進め得るような法制も考えなければならぬ、あるいは全国的な調査というものも考えなければならぬ、こう考えますが、北海道開発庁長官もおられますけれども、通産政務次官もおられますから、今後の方向について政府の方針を承りたい。
  53. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先ほど通産省の政府委員から御説明したとおり、日本にはまだ未開発炭鉱資源がたくさんあり得るのであります。そこで今回補助金三億万円を計上いたしました。また北海道地下資源開発会社がある程度内地に進出するということは、いわば探鉱ブームが起きまして、優良な、資源の高い炭鉱を発見し得る機会じゃないかと思うのであります。貿易自由化等に備えまして、私どもは十分この点に力を入れたい、こう考えておるのであります。先ほど来通産省の政府委員が言うように、三十七年度の三億で足りなければ、さらに三十八年度には補助金を増しまして、ますます探鉱事業というものを盛んにいたしたい。これが政府全体としての考えと私どもは考えております。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは一応通産省のほうから答弁を聞いたのですけれども、ワクをはずして全国になる機会に、それから探鉱調査についての拡大をしたいというならば、その探鉱調査について、北海道開発会社の形が北海道たけでなくなったわけです。これは北海道中心にするわけではあるけれども、北海道以外に出ることは、この法案が通ればあれするのですから、ですから全国的なブームから、国なりあるいは特殊法人なり、これは国の施策を特に代表するものですけれども、それがどういう分野を受け持つのか、あるいは大きいところ、あるいは三億のとにかく補助金もありますが、中小を通じて探鉱を助成していくのは、どういう分野を受け持つのか。さっき北海道資源開発会社とそれからその探鉱会社、民間会社との調整の問題が出ましたけれども、それだけでなくて、全国的にそういう点を考え、そうして政策の中に形として織り込まなければならぬのじゃないか。拡大をするだけじゃなくて、その会社でやること、あるいは特殊会社でやること、それも性格も全国的になればその形態も考えなければならぬ。それに関連してどういう分野を受け持つのか。あるいは助成の方法について、中小なりあるいは大手についてどういう方策をとるのだという点を今からきめていかぬと、ただ調整は何とかしましょう、分野も問題を起さぬようにしましょうでは、それは絵にかいたぼたもちになるから、その具体的な方策なりあるいはどういう形で探鉱の助成をやるかということを、両省なりあるいは鉱業審議会か知りませんが、そういう場面で、もう少し範囲の広い場面で検討してきめるべきじゃないか、こういうことを申し上げておるのですが、いかがですか。
  55. 川出千速

    政府委員(川出千速君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。現在地下資源開発審議会というものがございますが、これを設置法を改正いたしまして、現在国会で審議中でございますが、鉱業審議会ということに衣がえをした案が提出されております。鉱業審議会におきましては、従来地下資源審議会が技術を中心にした審議会でございましたので、これを広くもっと今後の鉱業のあり方全般についていろいろ審議をいたすことにしておるわけでございます。その中にただいま御質問のございました探鉱活動を全国的に見てどういうようなやり方でやっていくかというようなことも、当然重要議題の一つでございますので、鉱業審議会ができましたら、さっそく審議に入りたい、こう考えております。
  56. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 探鉱のやり方、その中で国なり、あるいは特殊法人なりの受け持つ分野あるいは民同業者の受け持つ分野、その他検討をいただくということですから、それに待ちたいと思うのですが、関連をして前回問題になっておりました点、この際お尋ねをいたしておきたいと思うのですが、この国会に石油業法、これは通産省の問題ですが、石油業法というのが出ております。これは石油精製業の認可その他を中心にしますが、関連をして買い取り機関の構想もございます。自由化に備えて国内の地下資源あるいは準国内地下資源といいますか、アラビアあるいはボルネオの石油まで含めて、どういう工合に今後規制じゃありませんが、保護していくかという観点から構想がなされておる。ところが今問題にしております非鉄金属関係については、そういう構想はない。前に徳永通産省の事務次官が輸入をする粗鉱を含んで買い取り機関を作ってプールする云々という点もございましたが、こういう問題は、今のところ探鉱特定の会社の仕事に関連をいたしますけれども、地下資源、この場合は非鉄金属でありますが、これの買い取り機関について何らかの構想はないかどうかという点が一つ。それから価格の問題もございましたが、探鉱することによって鉱床あるいは品位のいいものも発見されて、全体として実績の〇・一%云々という点もございましたが、それだけで今後の自由化に備えて十分だとはいえないと思う。価格の問題というものは、これは石油、石炭の場合と同じように問題になるかと思うのでありますが、この価格の安定方策について支持価格制というか、何らかの構想があるはずだと思うのでありますが、これらの点についてどういう工合にお考えになっておられるか。この前のときに阿部委員から質問になった点でありますが、鉱山局等から御所見を承りたいと思います。
  57. 川出千速

    政府委員(川出千速君) ただいまの御質問についてお答え申し上げます。非鉄金属の自由化に際しましてただいま御指摘がございましたように、徳永構想という一種のプール構想と申しますか、買い取り機関の構想が確かに通産省でも検討したわけでございますけれども、いろいろ検討しましたが、なかなか問題の点もありまして、たとえば統制色が非常に強くなるというような観点もございまして、結局関税を引き上げた。一本関税で国が保護するという方針に踏み切ったわけでございます。しかし緊急に相場の関係、その他で海外からたくさんのものが入ってきて、国内に大きな影響を与える場合は緊急関税制度を弾力的に援用することによって、これに対処をいたしたいというような考え方で、関税の暫定引き上げを考えておるわけでございます。なお、買い取り機関等の問題につきましても、これはいろいろな御意見があるかと思いますので、先ほど申し上げました鉱業審議会等ができますれば、そこでさらにまた議題にしてもよいかと思っております。
  58. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 地下資源審議会でやるにしてもこれからのことです。そうすると、自由化は九月、十月、九月までに方針を出さなければならぬ。急に間に合うとは思いませんが、一応緊急関税を考慮するということは私も承知をいたしておりますが、石炭石炭で考えつつあります。先ほど安定法案なり、あるいは買い取り機関という構想もあり、それから政府でも検討をこれからされるとも思うのですが、石油の構想に比べて、石油よりももっと弱いものを含んでおる非鉄金属についてそういう点について考えなければならぬという点は、徳永構想じゃありませんが、徳永構想が出てきたゆえんとして問題があるという点はこれは御存じだと思う。それからあるいは石油等に比べてそういう構想が足りない、欠陥があるという点をお考えになりませんか。関税だけで対処していき得るとお考えになっているのですか。そこで石油等に比べて非鉄金属の場合については買い取り機関なりあるいは価格の問題なり、それをどういう形式でやっていくかは別問題にして、考えなければならぬ問題だという点はお考えになっておりますかどうか伺いたい。
  59. 川出千速

    政府委員(川出千速君) いろいろ御意見があるかと思いますけれども、二年にわたりまして、需要業界と鉱山業界が関税をどういうふうにするかということで大へんな議論を行なったわけでございます。その最終的な結論といたしまして、需要業界は関税をさらに低くしてもらいたいということでございましたが、これにつきましては、トン当たり従量税に直すことにして、二年半三万円の従量税をかける。あとの二年についてはそれを三千円下げまして二万七千円にするという鉱山業界の一致した案を通産省としましては了承したわけでございます。需要業界としてはトン当り三万円というのは相当の国際価格から見ると高くなりますのであれかと思いますが、国内資源のほうも非常に重要でございますので、その点業界もまとまったわけでございます。
  60. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 問題点はお気づきになっておるし、一応政府としては折衝の経過もあるので、一応それでいきたい、完全にいきたい、こういうことだと思いますが、先ほど審議会でも検討する云々ということ、これは客観的に見て、石油その他で考えれば、石油でさえ考えられておる点が、その鉱業政策についてはこれは不十分だという点はみんなが認めておる点のようであります。私は委員会としても、衆議院のように鉱業政策委員会等を作っていただくということは一つの問題として研究問題だと思うのですが、政府としても審議会で検討してもらいたいということですから、これは検討を要望いたしまして質問を打ち切ります。  なお、関連をして委員長に、委員会としてもこの問題の小委員会を作るかどうかも含めて検討をいたすことをお願いをして質問を終わります。
  61. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本案質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。御意見のある力は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 皆さんのお許しを得まして、ただいま提案されている一部改正法案に対して附帯決議の案をお諮りいたします。それでは朗読さしていただきます。    北海道地下資源開発株式会社法    の一部を改正する法律案に対す    る附帯決議(案)   政府は、本法の施行に際し、現在  わが国地下資源産業が鉱産物の貿易  自由化を目前に控え、激しい試練に  直面している実情に鑑み、国内鉱物  資源の必要性と重要性を深く認識  し、その積極的開発と安定的供給を  図るため、速やかに次の諸施案を講  ずべきである。  一、北海道地下資源開発株式会社の   在り方を根本的に再検討し、経営   の能率化、健全化をはかると共   に、その積極的な活用について適   切なる措置を講ずること。  二、会社北海道内外において探鉱   並びに地質調査事業を行うに際   し、一般業者との競合を避け、そ   れぞれの分野において能率的に活   動するよう措置すること。  三、探鉱に対して国の総合的助成策   を樹立し、特に、探鉱補助金の画   期的増額をはかること。  四、国による地下資源埋蔵地域の基   礎調査を積極的に推進すること。  以上であります。  御一読いただければわかりますが、特に小さい改正案のようですが、地下資源産業開発に対し探鉱について国が果たすべき役割について御認識をいただきますなら、大へん仕合わせに思う次第であります。  一例を申し上げますと、フランスにおいては一九四〇年に内地で油が七万一千トンでした。ところが、一九六一年——昭和三十六年には二百十七万トンになっている。イタリアはたった二千トンであったものが、ガスを含めて二百十七万トン、西独は十六万八千トンでありましたものが、実に六百二十二万トン、わが祖国日本は昭和十五年に二十九万八千トンでありましたものが、たった六十一万トンで倍であります。また探鉱予算の国の助成を見ますと、フランスのサハラの問題は別にしましても、画期的であります。たった十万五千トンしか出ないイギリスにおきましても、政府その他国際カルテルを持ちながら、技術センターの要請として、たった十万五千トンしか出ない石油資源を内地の大へん宝のように大切にしているわけでして、ぜひとも探鉱活動重要性を特に担当の長官であられます川島長官において御認識をいただいて、自由化を控えて大いにこの問題が前進しますことを切望いたすものであります。  本法案に対して社会党としては賛成をし、ただいまの附帯決議に賛成のほどをお願いする次第でございます。
  63. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 私は自由民主党を代表しまして、本法案に賛成し、あわせてただいま中田委員の発案になりました附帯決議案を付することに賛成いたすものであります。
  64. 田畑金光

    田畑金光君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されました北海道地下資源開発株式会社法の一部を改正する法律案に賛成し、中田委員から提案されました附帯決議にも同時に賛成いたします。
  65. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  66. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 総員挙手と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました附帯決議案について採決いたします。本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  67. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 全員挙手を認めます。よって中田君提案の附帯決議は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任を願います。  ただいまの決議に対し、川島国務大臣から発言を求められております。この際、これを許します。
  68. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 本案に対しまして附帯決議がされました御趣意はまことにごもっともでありまして、政府もかように考えておるのであります。これを尊重して今後運営をいたしたいと考えております。   —————————————
  69. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 次に、中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次発言を願います。
  70. 近藤信一

    ○近藤信一君 今回の改正で商工組合は同業組合的性格を持たせるようになると思いますが、わが国では、戦前、重要輸出品同業組合、それから重要物産同業組合、そうしたものがあったが、これらと今度生まれようとするところの商工組合とは一体どんな点が違って、またどんな点が同じであるか、まず、この点からお尋ねいたします。
  71. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 非常に広範にわたりますが、概要を申し上げますと、戦前の重要輸出品同業組合あるいは重要物産同業組合におきましては、法律目的が、組合員が協同一致して営業上の弊害を矯正して、その利益を増進するという目的に相なっておりますが、従来の団体法は御承知のように経営の安定ということが目的中心になっておりましたが、今回の改正団体法によります場合は、商工組合が中小企業者の公正な経済活動の機会を確保して経営の合理化及び安定をはかって、国民経済の健全な発展に資するということで、書き方は違っておりますが、やはり同業界全般の合理化のために組合が活動するという趣旨でございまして、大きな点から見ますると同一な、類似の目的になっておるという点にあろうかと思います。  組合の設立につきましても、戦前のものは、地区内の同業者の五分の一とかあるいは三分の二の同意が必要であるというような形になっております。今回の改正法案では資格者の二分の一以上が組合員となることが必要である。組合員の資格等につきまして、大体において同じ趣旨に相なっておるわけでございます。地区も、やはり一定地域ということを戦前でも規定されておりますが、今回も、改正法案によって「一又は二以上の都道府県の区域」ということにいたしまして、なるべく一つの地域内の同業者が広く入れるという態勢にいたし、また、しかも地域を一定地域ということにいたしたわけでございまして、この点も、そういった趣旨からいいますと、類似の方向にいっているわけでございます。  加入等の面につきましては、戦前はやはり同業組合におきましても、さようでございますし、戦前の商工組合法等におきましても、強制加入の制度あるいは設立命令等の規定がございましたのですが、その点は従来の団体法の規定の範囲にとどまっております。非常にこの点は、戦前に比べると、限定的に運用される建前になっております。  事業の点につきましては、同業組合的な活動をいたしますので、その面においては、ほぼ違いはございませんが、法律の建前が戦前と戦後と、だいぶ変わっておりますので、書き方等はいろいろ違った規定がしてありますが、趣旨におきましては、今回の改正によりまして、商工組合を同業組合的な団体ということに進めていきたいということで改正案を提案いたしておるわけでございます。
  72. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで過去の同業組合が、戦時中の商工組合は非常に統制的な色彩が濃厚でございまして、したがって、今回商工組合が同業組合的性格を持つようになりますと、統制色が非常に強くなる危険性があるんじゃないかと思うのです。戦時統制のような形にいくようなことで心配がされることも当然だと思うのです。そこで商工組合を統制の一つの手段にしようとする考えがあるのかないのか、この点をお伺いいたします。
  73. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 私どもは、さように考えていないわけでございますが、今回、従来の団体法の規定では、経営の安定のために調整行為ができる、これはもちろん不況要件のあります場合に限られておりますし、しかも戦前と異なりますことは、戦後の場合は、原則的に団体中小企業者の組織という建前をとっておりますので、必要な場合だけ大企業を中へ入れなければ全体の統制がとれないという場合に、中小企業の自主的な立場から、大企業の参加を認めるという建前になっておりますが、その点も非常に質的には違っておると思いますが、今回の改正におきましても、私どもの改正案では、組合の設立段階におきまして、不況要件を撤廃いたしてございますが、調整行為を発動いたします場合には、もちろん従来と同様に不況要件を必要とするという前提でございますし、その他の条件も、輸出価格の点には多少変わっておる点もございますが、その他の点には変化がないわけでございまして、ことにアウトサイダーの規制命令につきましては、戦前の場合は御承知のとおり、組合の統制に従うという命令の形で出ておりますが、今日の今の法の改正では、員外者規制命令は、政府が別の命令を出して、それによって拘束をするという建前をとっておるわけでございまして、私どもとしましては、組合の運営によって業界の秩序を保ち、経営の安定をはかることがねらいでございまして、統制の具にするという考え方は毛頭持っていないわけでございます。
  74. 近藤信一

    ○近藤信一君 この前団体法ができますときに、これが消費者を圧迫するのではないかということで非常に心配が強かったのです。今度の改正案では、不況要件を削除するし、さらに不況カルテルのほかに合理化カルテルを認めるようになるのでございます。消費者利益を圧迫する危険性が強くなるようにも考えられるのでございます。  不況要件を撤廃して調整事業、すなわち不況カルテルが実施しやすくなるのでは、消費者や、それから関連事業者が困るので、不況要件の撤廃と、それから不況カルテルの実施要件について、どんな変化を持つものであるか。それから合理化カルテルの名のもとに、価格の引き上げをさせないためには、どういう監督をされるつもりであるのか、この点をお伺いします。
  75. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 先ほどちょっと申し上げましたように、組合は調整行為をいたします場合においては、従来と同様に、やはり不況要件その他の前提条件が必要でございまして、その点につきましては従来と変わりはないわけでございます。輸出につきましては、価格の協定について若干従来より取り扱いが緩和されるわけでございますが、その他国内向けにつきましては、従来と変わりはないわけでございます。  したがいまして、消費者に対する関係は、従来と同様に私どもとしましても、認可の手続その他の場合に、十分政府としての監督をいたして参るつもりでございますが、さらに合理化カルテルの点につきましては、今回新しく入りました規定でございますが、これはまあ業界において、技術の向上あるいは品質の改憲でございますとか、原価の引き下げ、能率の増進、こういった経営合理化目的のためにカルテルを結成する。むしろ価格の原価を引き下げする。むだな経費を省いて、お互いに協定して合理化をはかってコストを引き下げていくという方向に努力をさせるための、あるいは規格を統一して、消費者の便宜をはかっていく、こういう意味の合理化カルテルでございますので、私どものほうとしては、むしろ消費者のためになるというふうに考えておりますし、価格、数量等の協定ということになりますと、これは合理化カルテルではなく、やはり不況カルテルのほうの調整行為に入って参りますので、その面についても、消費者に迷惑をかけるという心配はないものと考えておるわけでございます。今後、運用の面につきましても、その点は、私どもとしまして監督の面で十分注意をして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  76. 近藤信一

    ○近藤信一君 公取は、この点どういうふうに考えておられますか。
  77. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 商工組合につきまして、先ほど大堀長官からも御説明がありましたが、設立要件としての不況要件ということはお話のとおりなくなりましたけれども、その商工組合が、いわゆる不況カルテルを結ぶ場合には、従来と同じ要件でなければならぬということになっておりますので、私のほうとしては差しつかえないものと思っております。  なお、合理化カルテルは、今度新たにできたのでありますけれども、合理化カルテルにおきましても、技術の向上とか品質の改善とか、原価引き下げというような、社会的に見て、また消費者の立場から見ても適当な目的であるのみならず、数量、価格もしくは加工賃に不当な影響を与えるものはやらせないということになりますので、差しつかえないと考えておる次第であります。
  78. 近藤信一

    ○近藤信一君 現在商工組合では、不況の場合でも、なかなか価格制限はできにくいようになっております。しかしながら、一方協同組合においては比較的簡単に組合の経営、経済事業の一つとして価格協定を行なっております。一般消費者の日常生活にきわめて密接な関係のあるパン、牛乳、みそ、うどん、そば、これらの値上げが、みな協同組合の価格協定という形で行なわれていることも事実でございます。これらの価格協定が消費者物価に直接響いてきていることも事実です。  で、物価安定対策の面からも、協同組合が容易に価格協定を行なわないように厳重に監督、指導すべきであると私は思うのですが、どのようにして監督、指導される方針であるのか、この際、はっきりとお伺いをしておきたいのであります。
  79. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 事業協同組合が価格協定をやっておりますことは御指摘のとおりでございまして、これはまあ協同組合法ができました当時以来、これを共同事業として認めるという取り扱いをして参っておるわけでございますが、私どもとしましても、これは協同組合でございますので、同志的に集まっております特定の事業者が共同で仕事をするという建前で、価格の面につきましても、現に共同販売事業であるとか、あるいは共同購入事業とか、こういったことも組合としてできることとに相なっておりますので、価格の面につきましても協定をするということが認められて参っておるわけでございますが、これがまあ最近、特に物価の問題から見まして、消費者のために非常に影響がある場合があるのではないかということにつきまして、私どもも三十五年に閣議決定がございました際——三十五年の十一月でございますが、通牒を発しまして、価格協定をした場合は、当該の都道府県等に届け出をするようにさしておるわけでございまして、届け出を受けまして、もしその間に価格協定において、独禁法にいいます一定の取引分野における競争を実質的に制限して、不当に対価をつり上げるといったような事実がございます場合、これは独禁法のほうで公取のほうでお取り締まりになるわけでございますが、私どももその趣旨に沿って、価格が高く不当である場合は、行政指導で、これを改善さしていくという趣旨におきまして、今日まで行政指導をして参ってきておるわけでございます。最近、さらに重ねてこの取り締まりの趣旨を徹底します意味におきまして、従来、事後に届け出るということになっておりましたが、その価格協定を実施する二十日前までに所管の官庁に届け出るということにいたしておりますが、所管官庁に対しましては、十分その内容について審査をして行政指導に遺憾なきを期するように通達をいたしておるわけでございます。今日までやっております点は、以上のとおりでございます。
  80. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは公取にお尋ねするのですが、環境衛生業法のときでも、いわゆる価格の問題については上げないのだ、こういうことが、あのときの論戦の中心だったと思うのです。  しかしながら、その後ずっと見てみますると、環境衛生業のあらゆる旅館、パーマネント、理髪等々が、次々と値上げを実施しておるわけなんです。こういう点について公取はどういうふうに考えておられますか。
  81. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 環境衛生関係の営業におきまして、いわゆる基準価格をきめる。そのきめることにつきましては、公取は協議をいたしまして、その協議の内容におきまして、できるだけ上げないように、しかしながら、一方において衛生的な見地から不当に下げても困るのでございますが……。まあそういうことで、基準価格はきまっておるのでありますが、実際上の問題としては、お話のとおり基準価格より相当高くなっております。  私のほうといたしましても、これは非常に注目をしておる点でございまして、これがいわゆるカルテル行為によって高くなっておるのか、あるいはカルテル行為によらずして、各業者が単独で上げているのかという点が、結局われわれのほうで取り締まるかどうかという境目になるのでございまして、われわれのほうといたしましても、消費者に非常に影響を与えるものでありますから、十分調査しております。ただし、現在におきましては、特定なものを除きましては、価格協定をやっておるために高くなっておるというのは、まだ発見するに至っておりません。しかしながら、消費者に対する影響が非常に大きいのでございますので、われわれのほうといたしましても十分注意しておる次第でごごいます。
  82. 近藤信一

    ○近藤信一君 今、公取委員長が言われましたように、最初法案の出たときには、そういうことは非常に心配になったので、いろいろとそういう点も追及されたのでございまするが、その後やはり、業者が協定で上げたのか個人で上げたのか、それはどっちかしらぬが、どんどんと上がってきておると、こういう話でございますが、やはり協同組合が容易にできるようになれば、今、大堀長官が値上げの問題については、いろいろと監督するというお話でございまするけれども、やはりこれは、この作る一つの目的というものが、私は、まあいろいろな面から考えて、コストの引き上げや何かのことも考えて、いわゆる販売価格の問題なんかも、値上げをするというふうなことが含まれておるのではないか、こういうことを私は非常に心配するわけなんですが、この点、あなたのほうで、今後そういうことは絶対にないんだと、こういうふうな自信がおありでございますか。
  83. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 商工組合に対しましては、非常に不況の状況になりました場合であって、しかも過当競争で非常に値下がりをしたというような場合に、これは協定ができる、まあこれが大体の客観情勢でございます。  私どもは、中小企業の場合は特に過当競争が激しくて、適正価格以下にむしろ価格が下がって、経営の安定を害し、あるいは輸出の場合等におきましては、特にそのために国際的に損失もこうむるといったような場合もあるわけでございますので、そういう場合の価格協定でございますから、どちらかといえば、非常に低過ぎるものを適正価格まで維持するようにするというのが法の趣旨かと考えられるわけでございまして、そういう趣旨で、私どもとしましては、今後も協定について監督をし、指導をして参りたいと考えておるわけでございます。  協同組合の場合は、これは、ただいまの規定と違うわけで、従来のとおりの規定によっておるわけでございますが、この点につきましても、私どもはやはり大企業でございますれば、大きな企業が相当大きな分野で自分の品物を売っておりますが、その建て値をきめるというような場合と比べて、中小企業の場合は、何十人かが集まって値段を協定して、統一価格で売るというようなことは、同じような立場に立たせる意味かというふうに考えられます。私どもも、やはり過当競争によって不当に値段を下げておるのを適正な価格に維持させる、そういうものを認めるということが趣旨かと考えますので、そういうような意味で、不当にこれを利用、悪用して市場を支配し、あるいは不当な値上げをするといったような事態に対して、厳重な監督をして参る必要があるかと、かように考えております。
  84. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は、近藤委員の質問に関連をして、この法律と、それから中小企業団体による価格、まあ適正価格中小企業庁長官は言われましたけれども、価格を引き上げる作用をしておるのじゃないか、あるいはそれが独禁法との関係はどうなるのか、こういう点から、物価問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、今も質問がございましたこの団体改正の主要な問題点になっておる商工組合の事業内容を拡充するという名のもとに、商工組合の生産販売価格等に関するカルテル行為、これが非常に広範に認められることになるのではなかろうか、その中小企業団体、商工組合の価格あるいは販売に関する申し合わせと言いますか、共同行為が、最近は消費者物価の高騰の一つの要素ではないか、それが理由は、まあサービスに関する部門が上がるのは、これはしようがないじゃないかという言いわけがなされておりますが、それが物価安定総合政策の中で、価格協定を厳重に監視するという趣旨の方針と矛盾するのではないか、あるいはこれについて独禁法を守っておられます公正取引委員会としては、どういう工合に考えるのか、こういう点を御質問申し上げておきたいと思います。
  85. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 最近の物価が上がってきたことにかんがみまして問題となりますのは、協同組合の価格協定であると思います。  協同組合の価格協定につきましては、独禁法におきまして、小規模事業者の相互扶助を目的とするものは独禁法を適用しない、すなわち、価格協定は自由だという建前になっております。しかしながら、そのことをきめた独禁法の二十四条のただし書きにおきましては、その場合でも、不当に価格を引き上げるような場合は、独禁法を適用するということになっておるのです。  そこで、ある協同組合の価格引き上げが、この独禁法二十四条の本文それだけで考えられるのか、ただし書きに言う不当な対価になるかという問題がありまして、現在若干の事件について、それが不当対価の引き上げかどうかということを調査しているのもあります。  いずれにいたしましても、協同組合については、そのくらいでありまして、今、中小企業団体法の商工組合につきましては、カルテルにつきましては、はっきり不況要件をきめております。通産省から協議を受けまして、これをきめているので、これによって価格が不当につり上げられるということは考えておりません。ただし、それらの組合が、不況カルテル以外の、法によらない協定をしている場合におきましては、これは当然独禁法の問題になると思います。
  86. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あとのほうで、不況要件に該当するかどうか、一般的に不況であるかどうか、あるいはその業界に関連をして不況要件が適用されるかどうか、これはまあ、抽象的に今御答弁になりましたけれども、協同組合の部分を含めて、本来の建前から言うならば、個々に審査をされなければならぬのでしょう、若干の例について検討をしているというようなお話でしたけれども、たとえば牛乳だとかあるいはとうふだとか、まあ最近の物価値上がりの事例の中であげられておる、論ぜられておる幾つかの問題が、そのどっちかに関連をしておりますね、あるいはパンだとか——そうして事実上、そういうものの協定といいますか、これらの値上がりが、やはり物価の値上がりの一つの重要な部門をなしていることは間違いない。一つ一つについて商工組合の不況要件に該当するかどうかという点を中小企業庁は検討され、あるいはそれを公取としても検討をせられておるか、あるいはせられておらなければならぬのかもしれないと思いますが、結果から言って、次々と上がっていることは事実であるが、その行為が独禁法に違反するかどうか、通産省に届けられて、それが不況要件に該当をして、許された不況カルテル行為だと、こういうことが実際にはあるのでしょうけれども、その結果としてまあ上がって参る、したがって、そういうあれを個々にチェックするか、それから全体としてチェックをするか、あるいは独禁法の励行と言いますか、公取から考える監視が、全体としてこれが行なわれるかどうかというところも、やはり一つの問題があると思う。  その検討は、まあ結論は出ないかもしれませんけれども、個々の若干のと言われましたが、その個々の事例の中で問題になる点は、やはりあるのじゃなかろうか。  それからもう一つは、この独禁法緩和の……、物価対策の中で、初めは独禁法の強化というのですか、そういう線が政府から出されたこの中にもあったようですが、最終的に決定した分から除かれているといった実情もございますし、全体のこういう協同組合なら協同組合等の、こういうカルテル行為について、公正取引委員会として、どういう工合にお考えになりますか。——個々の問題、それから全体のことについて。
  87. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 先ほど若干の問題と申しましたのは、現在審査中の事件で、パンの値上げの問題、菓子パンの値上げの問題、それから石油の値上げ問題等につきまして現在審査中であります。  私どものほうといたしましては、一般的に申しまして、具体的の事件が起こった場合に、それが独禁法に違反するかどうかを取り扱うものでありまして、一般的に指導するという面は、むしろ通産省のほうでおやりになることが適当じゃないかと思います。なお、今度政府のおきめになった物価対策の中で、独禁法強化という字が変わったというお話、これは私直接関係ありませんが、政府のほうで、そうお変えになったようでありますが、私どもの立場といたしましては、この独禁法の励行ということは、物価が上がったからどうの、上がらぬからどうのという問題じゃないので、常に一生懸命やっておるわけでありまして、まあ、物価が上がれば、特に目を光らせなきゃならぬという点はありますが、政府のきめられた要項に、強化という字があろうがなかろうが、私どものほうの態度としては変わらぬと、こう思っております。
  88. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 私ども監督の立場のほうといたしまして、先ほども申し上げましたように協同組合の価格協定につきましては、最近さらに監督を強化する意味におきまして、協定を実施する二十日前までに都道府県等監督官庁に届出をせよということにいたしておりますが、同時に、府県等に対しまして、不当な価格の引き上げ等によりまして、消費者または需要者の利益を害する等、その内容が諸般の事情を勘案して適当でないと認められるものにつきましては、関係組合より説明を聴取いたさせまして、その内容の是正または取りやめ等、不当な場合におきましては、組合に対しまして勧告をいたしまして、これを直させるように行政指導をするということを通達いたしておるわけでございまして、これは公取委員会のほうで法律に基づいて監督をされるのとは別途に——私どもがこういう指導をいたしましても、もしその内容が不当であれば、もちろん独禁法の取り締まりを受けるわけでありますが、われわれといたしましても、所管各省に対して、そういった趣旨で指導するようにいたしておるわけでございます。
  89. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この団体法の改正にも、先ほど申し上げましたようにカルテル行為を拡充しようという意図が表われておるではないかと、こういう感じがするんですが、従来は、まあ不況対策あるいは自由化に備える企業の大規模化等というような議論と関連して、独禁法を非常に軽視しよう、だんだん骨抜きをしようという動きがあったのではないかという感じがするわけですが、さきに決定されました物価安定総合対策の中にも、そういう独禁法軽視の態度が現われているのではないか、こういう感じがするのですが、物価対策に関連をして、若干その点を御質問申し上げて参りたい。  これは経済企画庁だと思うんですが、経済企画庁来ておられますか。——三月九日に決定された物価安定総合対策は、二月二十二日の経済閣僚懇談会で了承された原案に、一項目が新たに加わったほか、若干の表現上の修正が行われた等聞いている。その変わった点は、第一に、原案では単に物価となっているところを、「物価特に消費者物価を安定させることが是非とも必要である」という工合に変更された。それから第二に、第3項目で、原案では独占禁止法の運用を強化しとなっているのが落ちたと聞いておりますが、そういう修正はなぜ行なわれたのか。  その点をこれは責任者は経済企画庁ですから、経済企画庁の政務次官からお答え願いたいと思います。
  90. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お答えをいたします。この「特に消費者物価」ということを書きましたのは、御承知のごとく、消費者物価が、ずっと引き続いて上がりの勢いにございまして、一月では前年同月比八・三という上昇を見ております。卸物価のほうは、ずっと九月以来下がっておりまして、十二月末ややそれが停頓し、一月若干微増しましたが、卸売物価のほうは、まだまだそういうふうに大体順調にいっておりますが、消費者物価のほうが、今申し上げましたように引き続いて増勢でございます。かつ、この消費者物価のほうが国民生活、家計に響く影響が特に甚大でございますので、そういう意味で、当面の物価対策の影響が、やはり消費者物価を重点において政策立案をいたしたほうがいいのじゃないかと思いますので、「特に消費者物価」という文字を加えたのでございます。独占禁止法の運用の問題でございますが、これは別に重大な意味があったのではございません。変更いたしましたが、内容は同じ趣旨でございます。  ただ、独占禁止法の問題につきましては、対外競争力の強化とか、貿易面において、ある意味においては、一つの何といいますか、これを緩和するということは少し語弊がございますけれども、そういう意味の措置も、一面必要であるし、国内物価対策としては、やはりこの運用を強化して、この違法な協定等は取り締まらなければならないという面もございますし、そこら辺が微妙になりますので、これは総合物価対策でございますから、運用をきつくする。違法価格協定を取り締まる面も、今まではございますが、それを全般を考えまして、今申しましたような「運用」という表現にいたしたのでございまして、内容において、物価対策については同じ趣旨で貫くつもりでございます。
  91. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 消費者物価の値上りが著しいし、国民生活に与える影響は、消費者物価が直接響く問題だから、消費者物価を重点においたと言われるけれども、消費者物価がなぜ上がってきたか。あるいは生産性は向上をしながら、その生産性向上が、物価の値下りに影響をされないで、そこにも独占禁止法に触れる問題があるのではないか、こういうことで消費者物価だけを問題にしたのでは、消費者物価値上がり防止の対策にはならぬという意味で、これは卸売物価の問題も取り上げなければならない、物価問題全般として取り上げなければならないと思うのですが、議論はあとでいたしますが、独占禁止法の運用を強化するという字句が落ちたのは、対外競争力云々もあり、しかし国内問題もあるから削ったのだけれども、意味は同じだ、こういうことを言われますけれども、今までの実績からいって、先ほど環境衛生法に伴っても、あるいは団体組織法の運用でも、過去において法案成立の際に指摘された弊害といいますか、そういうものが、やはり現われておるのじゃないか、こういう具体的な取り上げがあったわけですが、そして、それらを通じて独占禁止法の緩和という点が、経済界なりあるいは通産省で問題になっているように、物価対策の場合にも、それを、独占禁止法の緩和という点は、こういうふうに削ったのじゃないか、こういう疑いを持つわけですが、具体的にしますと、昨年の九月以降、下降傾向をたどってきた卸売物価が、今年の一月に〇・五%の値上がりを示した。これは企画庁の月例報告によりますと、操短による生産調整、メーカーの市販自粛、買い上げ機関の買い発動に基づくと述べられておる。これらの価格つり上げのためのカルテル行為は、独禁法本来の精神にもとるものではないだろうか、現実に価格つり上げのための独禁法の存在を無視するがごとき行為が行なわれておる現在だから、独禁法の運用を強化するという字句を削ると、その傾向を助長する、あるいはこれは操短あるいは販売自粛あるいは買い上げ機関の買い発動といったものは、ほとんど独占企業体に関連をするのだろうと思うのですが、それを独占禁止法の運用を強化するということを出さない限り、そういうものはチェックできぬのじゃないか。削るのじゃなくて、やはり総合対策を立てていくとするならば独禁法の運用強化という文句だけでなくて、精神と実際の動きが必要じゃないかと考えられますが、経済企画庁の政務次官と、それから公取の委員長にお伺いをいたしたい。
  92. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ちょっと、ただいまの御質問は何でございましょうか。月例報告を御引用に相なりましたですね。月例報告のどの部分でございましょうか、おわかりでございましょうか。
  93. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは卸売物価の一月の動向が値上がりを示した云々……、三月ですか。その中に操短による生産調整、それからメーカーの市販自粛、買い上げ機関の買い発動ということが経済企画庁でも認められておる。  その操短による生産調整、メーカーの市販自粛、買い上げ機関の買い発動というのは、これはカルテル行為じゃないか。あるいは独禁法の本来の精神からいうと、これは違反するものではないか。その点は、それはあなた方からも、公取からも聞くところだが、したがって、こういうものをなくしていくという点からいうと、人為的な価格のつり上げ工作がなされている現状からすると、独禁法の運用を強化するという文句を削った云々の精神から、そういう勢いは助長されるのではないか。  したがって総合対策の中にも、独禁法の運用を強化するということは、はっきり最初の原案どおりうたわれるべきではないかということをお尋ねしているわけです。
  94. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) わかりました。操短その他によりまして、公正なる競争が、ある場合には効果を妨げまして、下がっていくべき卸売物価を押えているというような弊害のないようにすることがきわめて大切なことだと思います。  われわれのほうでも、総合物価対策において、行政指導による操短の勧告などは、これはきわめて慎重にするようなふうな趣旨をうたってございますし、その点は、公正取引委員会と十分連絡をしながら善処をするつもりでございまして、そういう意味で、いろいろの価格協定行為が違法にならないようにすることは、きわめて重要だと考えております。これは物価対策、総合対策の一つの柱になっているわけでございますが、ただし個々の行為の、どれが違法かどうかの認定は、公取にこれはおまかせしなければならんと思っております。  さっきの強化という文字を削りましたのは、何せ、特にそういう面を弱くするという意味ではございません。さっき申しましたような意味で書きましたので、やはり国内総合物価対策として、そういう価格協定のごときに対しては、厳重に目を光らして、違法にならんようにしていくという趣旨は変わらんわけでございます。
  95. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 独禁法運用強化の文字を削ったということは、これが誤解を招くと非常にめいわくするわけなんでありますが、私のほうといたしましては、先ほども申しましたとおりに、独禁法の運用につきましては、常に適正に公平に厳重にやっているつもりでございまして、政府がどういうことを言われようが、私どものほうは、独立機関としてその職責を果たしていきたいと思っております。  なお、最近におきまして物価が相当上がってきている。これは消費者保護の見地から申しましても、これについては十分の対処を独禁法の範囲内でしなければならんと思っているのでありまして、その意味におきまして、先ほど申しました協定カルテル等におきまして、物価が上がることがあっちゃ困るので、厳重な注意をし、ものによっては事件として取り扱っているという次第であります。
  96. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 独禁法の精神に違反しないように、経済企画庁としても指導している。公取委員会としても、本問題について厳重に目を光らしている。こういうことですけれども、経済企画庁も認めるような、操短による生産調整、メーカーの市販自粛、買上げ機関の買い発動があるという、経済企画庁自身が認めるほどあるのだから、やはりそれは、口ではそう言われるけれども、公取委員会の活動も不十分であった——結果から見てですけれども、不十分であったということが言えると思うし、独禁法の運用を強化するという文字を削ったけれども、それは単なる表現上の問題であって、精神は変わらんのだと。ところが、精神は変わらんと言われるけれども、これは次官じゃないですけれども、下のほうで事態を見られると、去年の暮れからことしにかけて、操短による生産調整あるいは市販自粛があった、買い上げ機関の買い発動といったような、独占禁止法に触れる疑いのある行為が相当あったということなんですから、その建前の答弁じゃなくて、もっとしっかりしてもらわなければならんと思うのですが、そういう点から言うと、独禁法の運用を強化するという点は、これは文章もですが、文章を離れて、同じ精神だといわれますが、方針としては強化するということですか。
  97. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お話のようにこれは、この操短その他のことは、やはり厳重に監視をして、違法があれば、それを押えていかねばならぬという、この根本方針には終始変わっておりません。だから、そういう精神を貫くということは、この他のほうの影響でも……、多少用語は変わりましたけれども、この方針は、少しも変わっておらないのでございます。
  98. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 具体的に承りたいのですが、鉄鋼価格において、公販制度という事実上の価格カルテルが実施されているのですが、この公販価格は、昨年夏に一部修正されたのを除いて、過去一年の間据置になっておる、この間に生産は飛躍的に伸び、生産設備も著しく合理化されたのであるから、公販価格の据署というのは明らかに不当だと言わざるを得ません。  しかも昨年末以来、鉄鋼市況が悪化してくると、鉄鋼メーカーは公販価格引き下げないで、生産制限を行なわれております。佐藤公取委員長は、八日の記者会見で鉄鋼公販価格引き下げの要望を行なわれましたが、これについて政府の方針を承りたい。
  99. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 鉄鋼公販制度につきましては、鉄鋼の重要性にかんがみまして、低位安定ということをはかりたい、そういう意味で、鉄鋼の高い値段と低い値段とを大体通産省でおきめになって、その範囲においては自由にさせるというふうに私は理解しておるのであります。  そこで最近におきまして、鉄鋼の公販価格は据え置かれておるけれども、市中価格はだいぶ安くなっておる、そういうときに、通産省におきまして減産指示をしたというのでありますが、減産指示をして、しかも公販価格は維持する——維持を認めたのじゃないのか、という疑いが起こるわけなんであります。消費者の負担において、生産者は何も損しないで減産するということは、あまりおもしろくないのじゃないか。  そこで通産省に対しまして、はたして価格を現在のままで減産指示をするのはいいかどうか再検討をしてくれという申し入れをいたしまして、目下通産省のほうにおいて研究されておるところであります。もちろん通産省におきましても——私のほうとしては価格が幾らということは、ちょっと資料もないので、調査もできないので申し上げかねると思うのでありますが、通産省におきましても諸種の資料から結論を出されることと思うのでありますが、鉄鋼価格が原価幾らという調査は、伺いますというと、なかなかむずかしいようでありますが、そう遠くない期間に、何らかの結論を得られることを希望しておる次第であります。
  100. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 鉄鋼メーカーの公販価格については、私も述べましたし、公取委員長も市場価格の低下は認められましたけれども、公販価格は据え置かれておるということを認められたわけですが、好況のときには需要が多いからといって値下げできないと言うし、不況のときには、生産制限をするとコストが上昇するからというので値下げをしない、しかしこれを逆に言いますと、好況のときには生産が増大して稼働率が上昇するから、コストが自主的に下がって値下げはできるはずだし、不況のときには供給が需要を上回るから値下げできるはずだということも言えぬことはなかろう。現在の公販制度は、事実上独占価格維持のために働いているのではないか。独禁法の精神に従って公販制度を廃止すべきではないかと、まあ考えるのですが、その辺はいかがでしょうか。
  101. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) 公販制度は、先ほど申しましたとおり、鉄鋼という重要産業、これは鉄鋼を原料とするいろいろ産業があります。また非常に大きな企業で、これに働いている労働者の数も多いことでありまして、日本の産業という見地から申しますというと、あまり高くなることは困るし、また、あまり安くなって企業が危殆に瀕することも困るので、いわゆる低位安定ということをはかるべきである、そういう見地から独禁法上のカルテルではないが、見方によればこれに類似するようなことが行なわれている。しかしながら、それにつきましては、通産省も十分私のほうと協議をいたしまして、独禁法の精神に違反しないような運用をしていこうということになっているわけであります。
  102. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 通産大臣も、次官もおられませんから、経済企画庁にお尋ねする以外にないと思いますが、好況で生産が伸びても、あるいは合理化されて設備がよくなると、やはり八幡その他でもコストが下がる。しかも、生産増強で一トン当たりの鋼材の生産費は下がる、ところがそのときには下げない、それから不況になると、生産制限をやって押える、こういう点は、直接独禁法に違反するかどうかはわからぬけれども、物価の問題について、物価の値下がりを阻止する大きな作用になっていることは間違いないが、そこで物価対策の面から、こういう鉄鋼業者の公販制度というものは、その作用を見ると、カルテル的な行為をやるし、物価対策として問題ではないか、こう考えるんですが、実際に通産大臣は、カルテル行為に対する独禁法の強化という点については、閣議でも相当抵坑をされた、こういう話を聞くんですが、これは大臣が出ておられないから、物価対策の面からいって、あるいは独禁法違反の疑いがあるこういう公販制度とか、あるいは生産制限について、経済企画庁として、どういう工合いにお考えになりますか、菅政務次官に伺っておきたいと思います。
  103. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) この独占禁止法の上から申しまして違法であるかどうかという判定は、これは別といたしまして、物価の政策の上から見ますと、不況の際に上げるだけ上げておいて、余裕が出ても下げないということは好ましいこととは言えないのであります。私どものこの総合物価対策の見地からしましては、一項目にも取り上げてございますが、今後日本のメーカーの皆さんたちが、ひとつ生産性の向上によりまして、コストがダウンし、相当の余裕が出ましたときは、それは経営者及び労務者に分かつのみならず、できるだけひとつ、需要家と申しますか、消費者側に対しても、その生産性向上の成果を分かつようにすることが必要で、そういう、何といいますか、業界の態勢が比較的薄いということは、日本産業界を通じて一つの欠点だと、私どもも認めておりますから、そういう点につきましては、今後ひとつそういう生産性の向上の成果を需要家あるいは消費者側に十分均霑せしめるように大局的に指導しなければならぬ、またそういうふうに、いろいろ手を打たねばならぬということは、私どもは根本の方針として考えてはいる次第でございます。  ただ、こういう鉄鋼のごとき基礎産業でございまするから、出ました余裕を経営者側において、さらに一そうの合理化に充てる、あるいは品質の向上に充てる、国際競争力に充てていくというようなことも、また一面必要でございますけれども、一概には申せませんけれども、総じて物価の対策の上から申しまして、今申しましたような考え方を私どもは持っているわけでございます。
  104. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一般的に鉄鋼のような基礎産業生産性の向上をして、コストが安くなったものを合理化に回す、あるいは国際競争力云々ということで、資本の蓄積なり償却に回し過ぎるという点が問題だと思うんですが、あとでこれは、もう一ぺん具体的に関連して伺いたいと思います。  板ガラスやナイロン、具体的な例ですが、二社あるいは三社の大企業によって生産されている独占商品、これらの価格は、この五、六年ほとんど変化しておらぬ。板ガラスは三十年から三十六年までの間に、生産は八〇%も伸び、この間に従業員は二〇%ふえただけなのに、工場建値は一箱二千八百円前後と変わっておらぬ。ナイロンも三十二年ごろキロ当たり千五百円から全く変わっておらぬ。  これらは明らかに不当な独占利潤を獲得しておると思われるし、それから、その操作について問題があろうかと思うんですが、これの値下げを実現するように指導すべきでないか。あるいは独占禁止法違反の疑いがある行為があったかなかったか。これらの点について経企庁それから公取委員長にお伺いしたいと思います。
  105. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お話の板ガラスと、それからナイロンにつきましては、久しくお話のような状況にございまして、何かこれは、私ももう少し工夫の余地があるのではなかろうかという点で、実は関係当局で問題にいたして研究は行なっておりましたが、本日の物価対策連絡協議会におきまして、経済企画庁側も、この点を主張いたしまして、通産省側におきまして、何とかひとつ値下げのほうへ持っていくように工夫をしてみるという結論を得ましたので、早晩何らかの成果が現われるのじゃないかと思っておりますが、先に申しましたように、相当この合理化の進んでおりまする産業部面では、今後こういうふうにやはり消費者側、需要者側に成果を分かつ方面に、少しでも向けていくように今後努力を積むつもりでございます。
  106. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 公取委員長、どうです。
  107. 佐藤基

    政府委員佐藤基君) ナイロン、ガラス等は、お話のとおり、私のほうにおきましても、いろいろな事業につきまして、いわゆる化繊と申しますか、ごく少数な事業者が作っておるものにつきましては調べてみたんです。  こういうものが技術革新によりまして生産費がおそらく下がっておると思われるのでありますけれども、お話のとおり、価格はあまり変わってない。独禁法といたしましては、その価格の値下がりを押さえているということが、いわゆるカルテルとしてあるということがわかれば、もちろんこれに対処しなければならぬのでありますけれども、それでない、事実上そのままになっておるというだけでは、公正取引委員会としては、ちょっと手の出しようがない。むしろこれは、先ほど菅政務次官からおっしゃったような、実際の指導によってやっていくべきものじゃないかと思っております。この問題は、現在では、何ともならないのでありますが、いわゆる管理価格の問題をどうするかということは、日本のみならず、外国においても非常に問題になっておる点でありまして、将来の研究によるべきものと思っております。
  108. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 この問題についてもそうですし、それから先ほどの商工組合や、あるいは協同組合についても、どうも多少公取委員会としては、形がカルテル行為として業界でも申し合わせをされなければ云々という、目に見えたところに、つかまえどころがなければということで、看過されている私はやはりあれがあると思うのです。多少その政治的な、独占禁止法の強化というものを削らせた政治的な情勢、そういうものが、公取委員会を少し形式論議に拘泥し過ぎて、私は公取委員会の活動にブレーキをかけているのじゃないかという疑いを持つんですが、はナイロン、板ガラスの問題については、お話のとおりに指導を実現していくべきものと思います。と思いますけれども、これだけとにかく物価の値上がり、それから疑わしい事実が続出をしている現段階では、もっと公取委員会が積極的に活動を願うべきではないか。あるいは監視の目を十分光らかしてもらいたい、こういう意味で、板ガラス、ナイロンについても申し上げましたが、これは要望としてお聞き取りを願いたい。  それから先ほど総合対策の中で、菅次官は、生産性向上による利益の一部をまず製品価格引き下げに振り向ける経営態度の急速な一般化をはかるという点を述べられたんですが、その具体策は、どういうものが考えられているか承りたい。
  109. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お答え申し上げます。この総合対策がきまりましてから、まだ日が浅いのでございまして、ただいまのようにナイロン、板ガラスのことにつきましては、実行のできますものはやっております。こういうふうに各省の連絡機関であります物価対策の連絡会議等を活用して、どんどんやっていくつもりでございまするし、またいろいろな経営団体等を通じまして、その方面にも、この趣旨を広めていくつもりでおりますが、いずれにいたしましても、この総合対策に基づく具体政策を今各省が立案していろいろ検討中でございます。三月一ぱいにはまとまると思いますので、そういう具体策がまとまりました上、それを正式決定をいたしましたならば、その上で、強力にこれを推進して参りたい。  ただいま申し上げましたような小手調べは、若干始めておりまするが、まだ全面的にやるところまでいっておりません。近く、しかしそういう態勢を整えたいと思っておる次第でございます。
  110. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それから、先ほど菅次官自身が、合理化あるいは国際競争力にたえるように云々ということを言われましたが、その点に力点と、あるいは焦燥によるそうした措置に重点が置かれる経営としても、それから政策としても、資本蓄積の優遇策として租税特別措置法を考える、こういう点に、ほとんど各産業について出席性が向上したにもかかわらず、価格が下がらぬ、こういう原因があるのではないかと考えられるのですが、この償却なり、あるいは資本の蓄積優遇策を再検討して、あるいは投資課税のごときものを作るとか、生産性の向上が価格の低下に向くような施策を考えるべきではないかと考えますが、経済企画政務次官のひとつ所見を伺いたい。
  111. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 非常にむずかしい根本問題でございますので、私のほうからこれを割り切ってお答えすることはできませんが、関係各省と十分協議をしなければならぬ根本問題だと考える次第でございますので、ちょっと、今ここでのお答えを差し控えたいと思います。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは経済企画庁自身においても、あるいは通産省その他物価対策、これは閣僚懇談会ですか、何か委員会ができまして、そういうところで検討をして、具体案は追って返事をしたい、こういうことですか。
  113. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) そういうことでございます。
  114. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 なるべく近い機会に伺えるようにお願いしたいと思います。  それからこれは、この間閣議でも問題になったときに、あとから私鉄運賃等も伺いますけれども、所得倍増計画の前に物価倍増になったという印象、それからその家計に及ぼす影響は、特に家庭の婦人等に響いて、池田内閣の不信といいますか、不人気の最大の原因が物価上昇にあった、そこで総理からも発言があり、あるいは閣僚の中からも、個々の物価あるいは公共料金の引き上げについても、待ったがかかったことと私は了解をしているのですが、それだけに物価対策というのは、伺っていると中身があまりないようですが、具体的に効果の現われる対策が立てられるならば、参議院選挙の前に選挙対策として、一応物価対策は取り上げるのだ、こういう姿勢、広告だ、こういわれても、これはしようがないですね。実際効果が現われて、物価の値上がりがとまった云々ということにならなければ、今の所得倍増計画による物価倍増による池田内閣の不人気、今の政府の不人気というものは、これはとどめるわけに参りません。  そこで、今の回答もなるべく近い機会に願いたいとも思うのですが、その次は、流通過程の合理化あるいは能率化がうたわれておりますが、政策として、具体的にどういうことをやるつもりなのか、またこれの小売商などに及ぼす影響はどうか、具体的に承りたい。
  115. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) この問題は、ただいまそれぞれの所管省におきまして具体策を練っていただいておる最中でございます。でありますから詳しいことは、今ここで申し上げかねますけれども、この一般に、日本のことに消費物資におきましては、中間の段階が非常に多過ぎる、あるいは中間利潤が多過ぎる、あるいは中間の機構が何と申しますか、近代化されていない、あるいはその間における輸送の不便が多い、あるいは保存、貯蔵の方式が合理化されていないというような問題がありますので、そういう点につきまして、この際、各省の衆知を集めまして思い切った対策を講じたいと考えている趣旨であります。特に生鮮食料品などにつきまして重点をおいて参りたいと考えておる次第でございます。
  116. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 せっかく、研究しているということですが、研究も、生鮮食料品あるいは中央市場について農林省で若干具体策が出ておることは承知しているところですが、総合対策はうたったけれども、その具体的な流通過程の合理化、能率化については、中間機構あるいは輸送という問題もございますが、そのたくさんの小売商のいわば生活にも直接関係があることですし、それが具体的な政策方向によっては、しわ寄せが大企業の、先ほど申し上げる価格の維持あるいは生産制限ということで、大企業のほうは全然触れないで、これは問題だといっておられるけれども、具体策がない。そして中小企業に、流通過程に一番問題があるということで、それを省略する、あるいはマージンをしぼるということになりますと、小売商に影響をいたして参ります。あるいはそうでなくてさえ、金融引き締めの影響を受けておる中小企業にしわ寄せをされる、こういうことになりますから、その辺は、十分考慮の上で、具体案が立てられなければならぬと思うのですが、具体的に述べられませんから、それも、この次に譲りましょう。  それから総合対策に続いて、月末には個別対策決定されるということですが、どういう問題と内容を持っておるのか。個々についてはとにかくでありますが、個別対策の中での共通的な問題といいますか、それから考えを承りたい。
  117. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ただいま各省といろいろと協議をしておりまして、まだ腹案の程度を出てないものが多いのでございますので、この際、ここで御披露申し上げる段階でないことを残念といたします。
  118. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 総合対策は立てたが、中身はまだございませんという答弁を承ることはたいへん残念でございます。残念なことは、こちらからもお返しをいたしておきます。  この総合対策が取り上げられたときに、公共料金について閣議でも問題になったようですが、物価は押えるのだとこう言いながら、公共料金は一つ一つ、例外じゃ例外じゃということで上げていかれる。電力の場合もそうでした。それかららその他の場合、たくさんございますが、またしても私鉄の運賃の値上げ、あるいは東北電力の値上げ問題等が出ている。さすがにこの間からの世論調査で、物価の値上がりが池田内閣に対する不信の一番大きな原因だと気がついて、私鉄の運賃値上げについてもきまったわけではない、こういう発言もあったようですが、私鉄運賃の値上げについては、大手については、まだ認可をされていないようですが、電車——大阪、名古屋の市電を含んで電車については、すでに値上げを認可されたようです。経済企画庁長官は、一ぺんは私鉄の値上げについて、いや、それは値上げをすぐに認むべきではない、慎重に検討をすべきだということで、むしろ消極的な態度を途中で表明されましたけれども、に至っては、これは輸送力の強化の点からいって、交通難緩和の点からいって、これは個々に検討をして認むべきではないか、こういう新聞談話をやっておられる。それから運輸大臣もしかり。そして閣議でも問題になったけれども、市電その他の電車は認められた。  そうすると、一般にいわれているように、私鉄運賃の値上げも、もうこれは時期の問題だ、こういうことをいっておるんですが、しかし物価全体からいうならば、公共料金が一つ一つ、これは例外だ、これは例外だ、さっき、あなた鉄鋼等についても基盤、——基盤といいますか基礎云々のことを言われましたけれども、鉄鋼や何かについて、あれだけの独占企業が、生産性の向上を価格引き下げに回せというくらいで、倒れる心配はもちろんありませんが、私鉄についても、そういうようなことがいえると思うのです。値上げ抑制方針と公共料金の一つ一つの例外だという認め方は、社会党の申し入れではありませんが、例外の例外、例外々々といったら、例外が原則になってしまって、例外でなくなってしまうのじゃないか、こういうことがいえるわけですが、政府の方針を承りたい。
  119. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 公共料金の問題は、実は非常に微妙な点がたくさんありますので、今いろんな角度から検討せざるを得ない要素があるわけでございます。  根本的に申し上げますならば、一昨年の三十五年の九月に、極力公共料金を押えるという基本方針を定めまして以来、緩急の波が多少ありましたが、根本原則の極力抑制という方針は、ずっと一貫をして参ってきたわけでございます。その間去年の、三十六年の春には、少し強く当分の間一切行なわないという方針を立てておるときもございました。しかしながら、その後この極力抑制という基本方針はくずしませんが、だんだんやっておりますというと、なかなか微妙な問題がございまして、たとえば市電等の問題が現われておりますように、すでにもう、はや五、六年も六、七年も上げてない、他の物価はどんどん上がったが、ずっと釘づけになっておるというような、公共料金なるがゆえにずっと押えられてきたようなものもございますので、これらもあまり無限に、いつまでも押えつけておくわけにもいかないような事情もあると存じまするし、それがもう一つ、これは非常に皮肉と申しますか、国鉄、郵便等の値上げをやりました直後に、特に物価問題にピッチを上げて、急角度に、何と申しますか、総合対策をとらなければならぬような事情に追い込まれたというような事情などもございまして、国鉄、郵便の値上げ等の、特に国鉄との均衡上、あまりいつまでも押え切れないという部面も出て参った次第でございます。  これらが、政策立案の非常に苦心のあるところでございますが、しかし最後に、物価対策上極力抑制という基本方針はくずせませんので、この方針は今日に至るまで堅持をいたしておる次第でございます。ただし去年の七月の二十五日の閣議了解によりまして、若干の例外を認めることにいたしております。これは事業体の収支の悪化きわめて顕著であって、これ以上値上げを抑制することが困難と認められる、そういう例外的な場合に限りまして、これは例外と認めて、閣議の承認を受けた上で、合理的な範囲に圧縮して値上げを最小限に認めていくという、こういう例外を認めた。そうして原則は貫くという方針をずっと今日までやってきておるのでございます。ただし値上げの影響が地方の小都市の範囲に限られて、全国的影響がないもの、あるいは消費者物価に影響がないと認められるようなもの、こういう軽微なものだけについて、物価対策上、そんなに重要視する必要がないものは、これは私鉄料金などにつきましても、運輸省と経済企画庁の相談の上、協議が成り立ちましたものは一部に認めておるのもございます。しかし、こういう軽微な案件を除きまして、全国的影響があり、消費者物価に影響ありと認められるような、そういうものについては、今申しましたようなごく例外的場合、つまり収支きわめて悪化しておって、これ以上押えておくのは、どうも、事業経営上、とてもこれ以上の抑制はできないと認められるものに限って、閣議を経て、しかも最小限度の範囲で認めるという、こういう例外措置をとるという、この方針でずっと最近は一貫して参りまして、今回の総合物価対策においても、その方針を掲げておるのでございます。  しかも、この最近の物価総合対策をごらん下さればわかりますが、一つ新しい問題が出て参りました。それは輸送力が、日本経済全体の躍進に伴わない。社会公共施設の一つであります輸送設備が、いろいろな意味において時代におくれつつある。この交通難の緩和、輸送力の増強等についても考えねばならぬのじゃなかろうか、輸送力の不足のゆえに、かえって物資の流通を妨げて物価の上昇の原因になっておる面があるという面から、今度の総合対策では、五つの項目でございますが、輸送力の増強については、これは特別に考えることにいたしておるのでございます。そういう要因が一つ加わって参りました。したがいまして、今後私鉄の輸送料金の値上げなどにつきましては、今申しましたように、いろいろな複雑な考慮をめぐらしまして、根本の原則は貫きながら、今申したような点も考えながら対処していかなければならぬという立場にあるわけでございます。  したがいまして、どうもごらんになりますと、考え方がこう何だかえらく複雑に考えている、もっと割り切ったらどうかということもあるかと思いますが、今のような面から総合物価の極力抑制という原則に立ちながら輸送力の増強にも努めて、国鉄の運賃値上げ等との均衡も考えて、数年にわたる久しい公共料金なるがゆえの何といいますか、釘づけになっておった状態も考え、かつ今のありますような会社の収支が多分に悪いものは、例外とまた考えまして、こんなことの総合的な検討の結果、まあ妥当と思うところに手を打ちたいと考えておるのでございます。したがいまして、お示しのように、地方の小軌道、バス等で先ほど申しました軽微なものに属するものは、その間少しずつ経済企画庁と運輸省との相談で認めたものもございます。ただし、私鉄大手十四社のごときにつきましては、そういう軽微な例外はございませんで、まさに今申し上げました考慮に基づいて判断をしなければならぬものと考えております。したがいまして、今私鉄の大手十四社につきましては、せっかく検討中でございます。原則はくずしたくございませんし、さりとて輸送力の増強も、この閣議了解できまった総合物価対策の一環でございますから、これも考えなければいかぬというところで、今そういう点において、運輸当局とも慎重に検討したのでございまして、まだ結論がしかと出たということではないことを率直に申し上げたいところでございます。
  120. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の答弁に関連をしてお尋ねをいたしますが、地方の限られた輸送機関については、これは全体的に影響しない軽微なということですが、私鉄十四社の場合は、齋藤運輸大臣は十四社の運賃を平均一二%程度認めたいと、こういう発表がございました。それは閣議で、いやそれはきまっているわけじゃないじゃないか、こういう話があったということですが、消費者物価に影響する云々という点からいうと、たとえば輸送力の中でも、貨物を取り扱っておれば、貨物は全般の消費者物価に直接響くでしょう。しかしこの貨物をほとんど取り扱わないで、人間の輸送を中心にしておる私鉄十四社の場合についても、これは公共料金の引き続く値上げ云々ということで、一般の消費者物価に影響をするという点はあることでしょう。輸送力の緩和という問題と、それから消費者物価への影響というものを、どういう工合に調和させるか、ここが問題だと思うのです。収支が著しく悪化をして事業経営にたえられなくなったものについては云々ということですけれども、これはまあ世論がいうところ、それからあるいは新聞や雑誌についてもいわれておりますけれども、なるほどレールについては、あるいは赤字が出た、あるいはそこで輸送力を運賃で増強しなければならぬということになると、それは値上げをしなければならぬけれども、しかしおそらくほとんどの私鉄が、バスをやっておると思いますが、バスはもうかっている。これは所によって違うかもしれませんけれども、五年前後で、とにかく償却も終わっているというのが実情。それから電車の赤字があるところがあっても、電車の赤字をバスで埋めていくということも、これはおそらく大部分の私鉄の場合に、そうだろうと思う。それからこれは別会社になっておる、同じ会社でやっておるものもありますし、デパートをやっておる、あるいは動物園をやっておるところもあります。あるいは土地会社をやっておるところもあります。私鉄がもうけたものを、会社を作って直接自分でやるなり、あるいは株を持って関連会社でやっておる。そこでもうけておるという点は、これはまあ周知のところ。特に土地の値上がりで、最近は土地の投機というものが一番確実だということは、これはみんな言っているわけだが、土地会社をやったりして値が上がった。会社が別になっていれば、それが私鉄会社なら私鉄会社に直接来ぬかもしれないけれども、私鉄会社の独占事業として地方で占めている地位を考えると、バスなり関連の事業を、これで相当まかなっておるという点はこれは常識でございます。  それから私鉄の経営それ自身を見ても、自動車の点もありますが、別会社の分を除いても、益金が償却分を含んで相当のとにかく益金が上がっているということは、これは否定することができないと思う。あれをもって事業経営が困難になっているということは、経理の面からみても私は言えないのじゃないかと思うのですが、よし輸送力の増強に努めなければならぬという点、あるいはこれは認めなければならぬとしても、それは閣議でも問題になったようですけれども、それを運賃で、しかもこれから取る運賃で、とにかくあれをやるというのは、これは間違いじゃないか。電力の場合にも言われましたけれども、少なくとも増資をするなり、あるいは借入金をするなり、そして償却をこれからの運賃でみていくというのはわかるけれども、これらの運賃の値上がりで増強していくというような、これは経営の方針として間違いだし、主としてそのことが一般物価の値上がりに大きな役割をするとすれば、私は政治として、あるいは総合物価対策としては考えなければならぬことだと思うのですが、その一二%のあれも含んで、経済企画庁の次官は、それはせっかく苦心検討中でございます、考慮中でございますという工合に言われましたから、多少齋藤運輸大臣の、かつてのあれが閣議を通して変わったのか、こういうように考えられますが、その辺をひとつ伺いたい。
  121. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) 先ほど企画庁の次官からお答えいたしましたように、ただいま私鉄の運賃値上げにつきましては、経済企画庁と運輸省とが検討中でございます。齋藤運輸大臣の発言が引例されましたが、それは新聞の報ずるところでございまして、大臣はこの問題につきましては、閣議の決定に従うようになっておりまするので、大臣としての方針は、現在のところはさまってないと私は信じております。また、運輸省としては、そういう現状でございます。
  122. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 私鉄の輸送部門、特に鉄道の部門というものは、率直に申して相当の赤字でございます。バスのほうは、これはまちまちでございまして、いいところもございますけれども、赤字のところも相当ございます。輸送部門は、これを総じて申しますならば、相当困難なものが見受けられるのでございまして、お話のように電鉄会社が付属事業において、どの程度の利益を得ているかということは、実は必ずしもはっきりいたしませんが、そういう面の考慮も払わなければならぬと思いますので、なかなか、どの程度に、今日私鉄会社が赤字であるかという判定がむずかしいのでございますが、しかし、それを含まれましても、経営が楽なところは認められません。ことに久しい間改修とかサービスの改善、あるいは設備の増強等も怠っております。ことに先年の人件費の増加がございまして、それの影響で、いろいろな経営の改善が立ちどまりの状況でございますので、そういうものも勘案いたしますると、これが順調に、他の国鉄が、あれだけのいろいろ改善をやてっおるのに比例して、あの程度のことをこれからやるとすれば、かなりなこれは、やはり全体としても経営難じゃないかと考えておるのでございます。  また、お話のように、新しい設備を全部料金の値上げでまかなうかどうかということにつきましては、これは確かに問題ではございます。しかし、さりとて今日、この私鉄部門に相当の融資なりあるいは増資という問題を取り上げて検討しましたが、ことに大蔵当局の方面におきましても、相当の難色がございまして、なかなか融資という問題は困難な問題にぶつかるのでございます。もちろん、困難といいながら、十分考慮はしなければならぬと思いますが、しかし、やはり相当部分は、料金値上げをもってまかなっていくよりほかないのじゃないかと根本的には考えております。  ただ、今申しましたようにいろいろな点を考えまして、まだ結論を最終的に出さぬようで、検討しておる最中でございます。
  123. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その検討中というのですが、どういうお見込みですか。物価の値上がり、それからその中で、公共料金の値上がりの占めるウエートというものを考えると、池田内閣不人気の最大の原因が物価の値上がりで、それから公共料金の値上げ認可ということにあるだけに、このままでいったら、おそらく日本の家庭の婦人の大半の支持を得ることは困難でしょう。これは総理に聞くことですがね。ですから、看板だけは掲げたけれども、実際はどうするかは、政治的な考慮のあるところだろうと思うのですが、私鉄からの献金をあてにされれば、参議院選挙前にやる、しかし、票を大事に考えられれば——国民の支持を大事に考えられれば、参議院選挙のあとになるという、これは選挙上の常識的な判断があるわけですが、実際的に、この再検討をしておられるようですが、その辺まじめに答えていただきたい。  これはどういうお見込みであるのか、これは経済企画庁もそうですが、運輸省からも聞きたい。
  124. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) 運輸省といたしましては、特に輸送力の増強ということを、どこまでも前提としてものを考えておるのであります。さりとて、これが値上げの結果、物価が上がってもいいというようなことは考えておりません。したがいまして、できるだけ市民の生計費に支障の起こらないような範囲にとどめていかなければならないという面も十分考慮いたしております。試みに、そういったことを一つの事例を置いて資料を作ったものがありますので、これは御参考でございますが、今、申し上げたいと思います……。
  125. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間もございませんから、あとで資料で下さい。
  126. 佐藤光夫

    説明員佐藤光夫君) 結論だけ申し上げます。生計費の中で試算いたしますと、私鉄運賃の値上がりによって〇・四%、こういう計算になります。
  127. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは全体についての影響でしょうけれども、子供を持っておる者、あるいは通勤をしておる者については、私鉄運賃がどれだけ上がるかによって、大都会の市民、国民は〇・四%以上の、一〇何%という一〇%以上の値上げと今まではうわさされておる。そうすると〇・四%じゃなくても、もっと大きな影響を受ける。  それから問題は、私鉄運賃が上がったら、また次に何か上がってくるということで、全体の値上げムードになって、とどまるところがない。それが物価の値上がりとして、消費者物価の全体の値上がりとして響いてくるのですから、その点は、政府全体でお考えになるべき問題だと思うのです。いつごろになって、とにかくその結論が出るかということを実はお尋ねをしたのです、どれだけの影響があるかということよりも、それはまあ、あとでひとつ御答弁を願いたいが、もう一つ、これは時間がありませんから、詳しく述べて質疑をするあれがないのですが、デパートだとか、あるいは土地会社だとか、そういう関連事業で、あるいは投資をした会社、これは大会社であることは間違いないのだけれども、そういうところで、もうかっておるのじゃないかというのが、国民の一般のあれですが、最近は、私鉄の建設に関連をして汚職が起こり、それからこれは数年前からの問題ですけれども、箱根の奥の何といいますか、バスの輸送に関連——バスなり芦ノ湖の船の輸送に関連をして、駿豆とそれから小出急が、この堤さんと五島さんとの間に大きなけんかがある。今度の東武じゃない、あれは、汚職は、西武じゃなくて……。これの背後にも、私は二つの角逐があるように思うのです。そして、あの実態を見ると、これは、同じようなところを片方が、駿豆が小田原まで乗り入れたから、そこで何といいますか、五島さんのほう、東横系ですが、乗り入れていると、こういうことで、その間に使われた費用というものも相当のものじゃないかと思うのですが、数年来、私どものところに、双方からたくさんのとにかく資料が来ている、あるいは雑誌も来ている。これは、宣伝戦だろうと思うのだけれども相当の金が使われておる。これは二重投資というか、同じようなコースですからね。同じようなコースですから、これは二重投資であろうと思うのですが、それは付近のとにかく土地の値上がりもあるかもしれません。  そういう意味で、関連事業の関係もあれしなければならぬのですが、国家的には大きなむだをし、二重投資をやっても、そのバスの乗り入れと、あるいは船のことだけで、あれだけ血道を上げなければならぬ、それだけの力を持っている。しかも許可についても、専用道路の乗り入れについても、運輸省は許可をしている。そうすると、運輸省も、あるいは堤さんや五島さんの前には、ほとんど無力に等しい、これを調整することもできないほどの力を持っている。政治力も持っておるでしょうが、財力も持っておる。それだけの力を持っておる私鉄に、国民の負担で一〇%以上もの値上げをして、そうして輸送力の増強にあれしなきゃならぬ。輸送力の増強をして償却や何かをする点について、協力をするというところまで拒否をしないけれども、しかし、増資なりあるいは国の援助というものは困難だと言われる。けれども、物価を抑制しようというのは、抑制はしたいけれども国の援助はしないと、これは例は悪いけれども、私学に対してまで、相当の金を出しておる、これは例をあげれば、たくさんあると思うのですけれども、物価は上がるけれども、それに対して国は援助をしないということで、これは済む話じゃないと思う。それから私鉄の力からいけば、これはまあ巷間提さんと亡くなられましたけれども五島さんについて、どういうことが言われているか、あまりひどいことここで言いませんけれども、通俗的に言われておる言葉があります、二人なり、二つの私鉄を評してね。それだけの力を持ち、あるいはバスの路線に関連しても、これは地価の値上がりなり何なり関係の側の、それだけ血道を上げなければならぬ、金をたくさん使わなければならぬ私鉄に、どうして国民の負担で、輸送力の増強に協力しなければならぬか、こういう感情は端的にあると思う、私鉄の場合に。  これらに対して、どういう工合に考えておられるか。こまかい点は、いずれ別の機会にするとしまして、国民の感情を率直に伝えて、担当次官のひとつ決意といいますか、所見を伺っておきたいと思います。
  128. 有馬英治

    政府委員(有馬英治君) ばくとした感情から申しますと、そういうこともあるかと存じますし、ときどき私どもも、十分聞いております。  しかし運輸省は所管の立場から正確に検討をしていかなければならない立場であるし、実際資料を揃えて検討しておりますが、大部分の場合は、別会社になっておるわけでございまして、しかも、その別会社監督は運輸省にない場合が多いわけでございまして、運輸省といたしましては、単に輸送関係のほうだけを監督するというような状況でございまするが、一般的に申しまして、かりに土地会社に投資しておりましても、その利潤がかりに上がったといたしましても、そういったものをあげて今日まで輸送力の増強に、各社も尽くしてきておるように見受けておるのでございまして、ただし、相当部分の会社が、その限度がもう参ってきたようでございまして、これ以上、輸送力が増強しなければならないけれども、現状の財政力ではどうにもならない。このままいけば、せっかく輸送力を増強して便益をはからなければならないのでありまするが、それさえ、もうできなくなってしまって、破局に瀕していくというようなところさえあるわけでございまして、輸送力を増強するという建前からいけば、やはり運輸省といたしましては、何らかここに値上げの措置が必要ではないか。したがいまして運審にも、そういう心がまえの上から運審に対して諮問をし、また企画庁と相談をしておるわけでございます。
  129. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 その私鉄会社が破局に瀕しておる云々という話をされると、言うべきじゃないと思ったけれども言わなければなりませんが、あの汚職の起こったあれについても、これは是非は最後の裁判を待たなければなりませんけれども、しかし運輸大臣であった人が、その汚職に関係をされた。あるいは疑いを持たれるようなことがあった。しかも箱根のあれを引きましたけれども。
  130. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  131. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 速記をして下さい。
  132. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 問題は、総合物価対策が実際に実効を上げるかどうかという問題に関連をして、政府のとにかく勇気を求めているところですから、運輸会社利益と、それからその力は、これは世間的に評価をしております。例は悪かったけれども、言葉は悪かったけれども、私鉄会社の力と運輸省の力と、どっちが強いかわからないと考えるほどの力を持っておる。運輸会社の、私鉄の利益を守るか、国民利益を守るか、こういう関頭に立たされているわけでありますから、物価総合対策、その中で公共料金については、政府が責任を持って、直接責任を持っているわけですから、その政府の総合物価対策の中で盛られた、あるいは公共料金について最大限押さえていきたいという方針は堅持せらるるように要望をいたしまして、こまかい質問は他日に譲ります。
  133. 武藤常介

    委員長(武藤常介君) 他に御質問はありませんか——他は御発言がなければ、本案質疑は、本日はこの程度にとどめます。  次回は、二十二日午前十時より開会いたします。本日は、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会    ————・————