○椿繁夫君 大臣お急ぎのようでございますから、地盤沈下の防止
対策について簡単にお尋ねをいたします。
第二室戸台風の災害が昨年ございまして、災害
対策国会の際にも
政府にしばしば所見を求め、また私
どもの考えも申し上げて参りました。で、第二室戸による災害が激甚になりました原因が著しい地盤の沈下にあった、この地盤の沈下防止
対策が完璧であれば、昨年の大阪市のごときあのような災害を見ないで済んだということはもう明らかになっておるのであります。当時
佐藤大臣からも、このような災害を二度と繰り返さないためにトロイカ
方式による
対策が必要である、その第一は防潮堤のかさ上げである。その第三は地盤沈下の原因を除去することである、すなわち地下水の採取規制を強化することである。で、いま
一つは工業用水道を普及し、早期に計画を完成することである。この三本建てのトロイカ
方式をもって災害の防止に当たらなけりゃならぬという御答弁をいただきまして、この通常国会でのこれが
対策を実は期待をいたしておったのであります。ところが、最近建設省において建築物用地下水の採取の規則に関する
法律案というのを準備されつつあるようでございますが、大阪の
実情を申し上げますと、夏のくみ上げの一番はなはだしいときは、月大体千二百万トンくらい地下水を建物用と工業用水にくみ上げをいたしております。三十五年の年間は一億三百万トンを実はこえておるのであります。そのうち七六%が工業用水であります。それから建物の冷房用のためにくみ上げをいたしますものが二四%と、こういうふうになっておるのであります。で今後
政府でお考えになっております建物用の地下水のくみ上げのほう、すなわち二四%だけのほうに別の法案が用意されまして、七六%という非常に大量の工業用その他のくみ上げ規制についてまだ努力がなされていないようでありますが、これは非常に遺憾なことでございます。そこで、まあ工業用水法というのがございますが、これは大臣も御承知のとおり地盤沈下
対策がおもな法案ではございませんで、工業用水の保全をはかり、そうして
産業の健全な発達に寄与するというのが主目的になっておる。かたがたまあ地盤沈下の問題についても触れられてはおりますけれ
ども、この
政府の御方針としてそういう大量の地下水くみ上げが工業用水にあるということがもう明らかになっておりますから、まだ建設省のほうでも
提案されておりませんし、立案の過程において工業用水法の改正をも含めて
検討をしていただく御用意がございますか。