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国務大臣(
佐藤榮作君) まあ第一次
計画は、私は、いわゆる山にぶち当たった、あるいは失敗したと、かようには実は思っていないんです。問題は、なぜそう言うか。いわゆる五千五百万トンの
出炭、千二百円
下げ、この基本線が、それじゃどれだけ実現されつつあるか。先ほど来、
石炭の
需給についての
お話を、るる
吉田さんに対してお答えいたしましたが、御
承知のように、現在それじゃ五千五百万トンという
数字、その目標でも上回っているのかと、かように申しますと、昨年はそういうところまではいっておらない。そうすると、生産目標としての五千五百万トンというものは、実勢に対しては相当高いところにある。この五千五百万トンの
出炭が出ない、これは一体何なのか。埋蔵量が不足しておるのか。そうじゃない。埋蔵量はあるのだ。しからば五千五百万トンが出てくるはずだ。このためには、やはり
供給者である
石炭業者が
需要の
数字をちゃんと握っておれば、安心して掘れるという状態である。そのための
需要の
長期取引
計画を立てさすということ。これがいわゆる行政指導によって
協力を得たということは、これは
エネルギーの選択が自由だと申しておりましても、なおかつ
協力を得てきた。そうして二千万トン、今度は二千三百万トンにするとか、あるいは、千二百万トン、あるいは千三百万トンというような
数字を、
長期に約束し得るということ、ここらのことを考えますと、
石炭産業の持つ
国内資源の性格を、他の産業も十分
理解してくれた、かように実は思うのでありまして、その大もとが軌道に乗っていけば、これは私は、
政策としてはまずまずのところじゃないか。
ただ、問題になりますいわゆる千二百円
下げという問題になると、なかなかこれは私
どもが
計画したとおりでなく、事情の変化等がありまして、なかなか困難でございます。
そこで、その千二百円
下げについては、先ほど
石炭局長が申しておりますように、
実情に合ったような
措置をとろうというと、やや当初の目標よりか後退したかの印象を与える
答弁を実はいたしておるわけであります。しかし、このことからは、いかにも
計画どおりいかない、それから見ると失敗だということでございますが、おそらく、この千二百円
下げについてやや弾力的なる
考え方を
通産省が持っているということ自身は、これは
消費者側も一応納得してくれたことでございますので、むしろそれはテンポが、もしおくれるようなことになれば、まだこれから先の問題でございますが、これは必ずしも
石炭業界自身とすれば、本来望んでおることではないだけに、これが
計画どおり、予定したとおりに進まないということは、あまり責めらるべきことじゃないんじゃないか、かように私は思います。
ただ、失対
労務者なり、あるいは、地域的な
炭鉱産業に依存している町村等の財政等において、所期したとおりなかなかいかないんじゃないか、こういう社会問題的な見地に立っての御批判、これは
現状においては、私
どもも御批判を甘んじて受けざるを得ないのであります。幸いにいたしまして、今
国会を通じて、あるいは産炭地
事業団ができるとか、あるいはその他の施策がそれぞれ進んでいくとか、あるいはまた、
炭鉱の保安について強化の
方法がはかられるとか、あるいは賃金にいたしましても、必要なもうを
——これはもう最小限度と言わざるを得ないでしょうが、最小限度の賃金アップも、やはり将来の単価のあり方等の場合に受け入れられるということになれば、まあまあの成績だと、ひとつ見ていただかなきゃならんだろう、かように実は思うのであります。
ただ、私
どもが気にいたしますのは、いわゆるスクラップ
計画というものが相当の高い目標であった。その第一次のスクラップ目標のうちから見ましても、約七十万トンばかりは残っておる。第二次スクラップ
計画が六百二十万トンというものをまた計上する。この点が非常に強く出て参りまして、
石炭合理化はスクラップだ、こういうもし印象を与えたとすれば、それはもう私
どもの不徳のいたすところだと思います。しかし、
炭鉱の
実情等を見ますと、現実に
通産省が行政的な指示とか、あるいは勧告をするまでもなく、スクラップせざるを得ないという、業者自身が、そういうように考える山もあるのでございますから、それらの
実情等を考えてみますると、ただいまの第二期
計画の六百二十万トン、これは多いものじゃないのじゃないか、かように実は思います。
また、ただいまの基礎的な、基本的な問題から申すと、
石炭産業に対する
対策にいたしましても、私
どもはいわゆる
計画経済
——いわゆる統制的なものではございませんで、自由経済のもとにおいての行政指導並びに
業界——これは
石炭産業ばかりじゃございません。
需要者をも含めて、
消費者をも含めての、各界の
協力というか、自主的な
協力、こういうことを第一段に考えているほうから申すと、非常に困難な問題が、私はよくここまできたのじゃないかと、かように実は思うのでございます。ことに、昨年の臨時
国会における、
衆参両院を通じての各界のこれに対する強い意気込みが、私は
石炭産業の
合理化あるいは将来のあり方に非常なる力をつけると同時に、また
消費者各界の
協力をも求める原動力だと、かように実は考えておりまして、その
意味では、目標
数字に達しない
部分もございますけれ
ども、まあま
あというところじゃないだろうか、そういうようにひとつ御賛同を願う次第でございます。