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1962-02-08 第40回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月八日(木曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            川上 為治君            中田 吉雄君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            大泉 寛三君            小林 英三君            吉武 恵市君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    中小企業庁長官 大堀  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    労働省労働基準    局賃金課長   東村金之助君    労働省職業安定    局調整課長   北川 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (石炭問題及び国内地下資源開発問  題に関する件)   —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより、商工委員会を開会いたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。石炭問題等に関し質疑の通告がございますので、これを許します。吉田君。
  3. 吉田法晴

    吉田法晴君 先国会で、石炭問題それから鉱業問題について決議をいたしましたが、その決議がどういう工合に実行されているかということを中心にしてお尋ねをいたしたいのであります。せっかく大臣も御出席いただきましたから、その決議精神に従って、通産政策という中で、重要な点についてもお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、総合エネルギー対策確立という点であります。決議の中に、「総合エネルギー対策樹立にあたっては、国産エネルギー源安定供給源として重視する方針を堅持し、輸入エネルギー源については、長期の見透しを慎重に検討するとともに石油市場特に石油市価の安定について確固たる措置を講ずべきである。」、なお、項目の中にもございますが、総合エネルギー対策樹立について、政府として、どういう工合にその確立努力をしているかを、まず最初にお聞きしたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 石炭対策並びに総合エネルギー対策、前国会における衆参両院においてそれぞれ決議がございました。いわば、超党派的に決議をいただいたわけであります。私どもも、エネルギー現状等からいたしまして、これに対する対策樹立することの急務を痛感いたしておりましたので、国会における皆様方決議の趣旨を尊重いたしまして、それぞれ手配いたしたつもりでございます。しかし、なかなか予算などは、一挙にこれを、私どもが要望するところまで持ち上げることは困難でございます。しかし、国会決議があったということを反映いたしまして、比較的在来に見ない増額措置をとってくれたように思います。これもひとえに皆様方の御鞭撻、御支援のたまものだと、実は感激にたえない次第でございます。  ところで、ただいまお話にございました総合エネルギー対策、これを樹立するという決議をしたにかかわらず、そういうものが具体化しておらないじゃないかと、こういう御意見だと存じます。過日も、衆議院における予算委員会におきまして、社会党の勝間田委員から、総合エネルギー対策樹立緊要性を強く主張されたのでございます。その際に、政府考え方を明らかにいたしたつもりであります。ただいまの段階におきましては、それぞれのエネルギー源に対する審議会等がございます。この審議会を通じまして、それぞれの対策を立てていきたい。そうして将来実情に応じて、要すれば総合エネルギー審議会、そういう方向へ持っていったらどうだろうか。まあ、現在の段階と申しますか、これは石炭に対しては石炭対策、あるいは電力に対しては電力対策、あるいは石油に対しては石油対策、こういうものを進めていったらばどうだろうか。もちろん、ただいまのように、三本立に考えましても、相互の関連を全然無視して、それぞれの事業の整備を進めていくわけではございません。産業構造等審議会におけるエネルギー部会等意見も十分しんしゃくし、そうして基本的な総合エネルギー対策というものを念頭に置いて、そうしてそれぞれのエネルギー部門の位置づけを、今日はそれぞれの業法で進めてみよう、まずその段階だ、実はかように考えている次第でございます。これは将来絶対にやらない、こういうことを申すわけではございませんが、ただいまの状況下におきまして、ただちに総合エネルギーという審議会等にまで発展することが、いかがであろうかということで、私どもやや慎重な態度をとっている、こういうことでございます。この点はおそらく今までの審議の経過におきまして、私ども政府側意見を表明いたしておりますので、吉田さんも御承知のことだろうと思いますが、特に御理解をいただきたいのです。
  5. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前の国会商工委員会の席上、通産大臣からは、五千五百万トンというベースは、将来にわたって不動のものではなくて、おそらくその額は増加するであろうと、こういう御答弁等をいただいております。抽象的に五千五百万トンのベースがふえるかもしらぬということではなくて、その需要確保具体策についても、すみやかに確立を願いたいというのが、決議精神である。文言もそういう工合になっている。それに対して今の御答弁石炭電力石油等それぞれの部門において審議会をこしらえて検討をしておる。そしてそのための業法といいますか、まあ石油業法等を御提出になるようでありますが、総合的な政策樹立は、まあ調整と、それから必要があれば、将来においてぜひ作ろうということで、いわば総合エネルギー対策をすみやかに確立をしてもらいたい。その中における輸入源はどうするか、国内資源はどういう地位を持つのか、石油石炭との関連において、石炭はどの程度地位確保すべきか、そしてその裏づけとして需要確保具体策を考えてもらいたい。決議の案文の中には、政府あるいは石炭業界電力鉄鋼等関連産業の積極的な協力を求め、あるいは産炭地等火力発電を建設し、石炭需要確保あるいは安定確保に遺憾なきを期すること、こういう文句があるのでありますから、それぞれの部門検討し、ただ調整をするということを決議が求めたわけではなくて、石炭について言いますならば、総合エネルギーの中における石炭地位、それからその具体的な需要確保裏づけをもってすみやかに確立をしてもらいたい、こういうことだと思いますので、衆議院における答弁、それから今の答弁決議精神とは、これは相当違うと思うのであります。方向は、御答弁はわかっておるのですが、決議精神から言いますならば、もう少し進んでもらわなきゃならぬと思う。それからそれぞれの部門でいわば部門的な審議会じゃなくて、総合エネルギー審議会といったようなものが考えられなければ、総合的なエネルギー対策は立たぬのではないか、こういう感じはこれは私だけではなかろうと思うのでありますが、その点についてもう一度御答弁願いたいと思います。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お尋ねをあるいは私は取り違えたかと思います。ただいまの吉田さんの重ねてのお尋ねで、あるいは私もう少し別な方向から御説明すればよかったかと思いますが、申すまでもなく、政府はいわゆる所得倍増計画なるものを持っております。今後のエネルギー需給という長期にわたる見通しを一応立てております。その長期需給計画の場合に、この需給を遂行する場合に石炭がいかにあるべきか、こういう観点に立って、すでにあるいは山元発電であるとかあるいは揚げ地発電であるとか、その他一般に電力ももう少し石炭を使ったらどうか、あるいは製鉄ガス等原料炭についても数量はふやし得るのではないか、こういうことがございますので、具体的にこういう方向にもすでに折衝いたしまして、そうして電力については今まで二千万トン、これを三百万トンふやす計画、その長期引取計画電力業界の了承を得ております。したがいまして、今計画されております山元発電なりあるいは揚げ地発電なり、これを順次遂行して参るつもりであります。また製鉄あるいはガス等原料用炭が三十八年千二百万トン、それから三十九年千三百万トンこれまたそれぞれふやしていく業界の了解といいますか、長期引き取り見通し樹立することができました。したがいまして、この両部門では一応数字は固まったかと思います。もう一つは、大口の消費者としてセメント工業があるわけでございます。大体私ども六百万トン程度はどうかと、こういうことで、セメント業界に交渉いたしておりますが、このほうは最終的に話を取りつけた、こういう状況ではございません。まことに遺憾に思いますけれども、これはいわゆる燃料炭の部類でございますので、実際の需給状況を見まして、セメント業界に対しても強く要請して参るつもりでございます。  その石炭自身について一部においては、もう少し需給の関係で数量をふやし得るんじゃないか、こういう御意見がございます。外貨節約という面、あるいは安定供給という面、あるいは雇用問題等からいたしましても、国内資源である石炭がもう少し使えることは、しごくけっこうだと思いますが、ただいまの国際液体エネルギー源との競争の立場で見ますと、いわゆる石炭鉱業合理化を進めて、そうして炭価を引き下げるという、これはなかなか容易なことではございません。ここらに実は進めるにいたしましても、一つの目安を置かざるを得ない、こういうことに実は相なっておるのであります。私はただいま申しますような数量増加で満足とは思いませんが、現状においてのいわゆる需要者側協力というものは比較的順調に進んでおるのじゃないか、かように思います。  なお、石炭業界に対して私どもが要望いたしますことは、価格の問題でございます。価格の問題をいかにするかということでございます。いろいろ苦心をいたしております。この点は石炭業会現状にもやむを得ざるものがあるやに見受けますので、炭価決定等については、通産省としては相当慎重な態度をとって業界に対する認識のほどを、そういう場合に気持の上でも表わしていく方法はないかということで、慎重にただいま検討しておるという実情でございます。  あるいはお尋ねの全体に対するお答えにならないかとも思いますけれども、この所得倍増計画を遂行していき、そうしてエネルギー需要が非常に増大していく、その場合において国内エネルギーというものが、どういうように使われていくか、その増加分に対してどういう役割を果たすか、こういうことを中心にしてただいまお答えした次第でございます。
  7. 吉田法晴

    吉田法晴君 今、主として石炭中心にして石炭の側から需要確保電力製鉄等についてお話があり、それから合理化価格引き下げ問題等について政府方針を示されたわけでございますが、合理化審議会における動向あるいは千二百円下げ具体化見通し、あるいはこれについての動き等については、私も承知しているところであります。そういう先ほど言われましたような石炭電力石油等、それぞれの部門での審議、それぞれからする努力ということでは、総合エネルギー対策というものは、なかなか急速には確立できにくいのではないか。数字についていいますならば、今の五千五百万トンベースは上げられるかもしれない。それから四十五年三億八千万トン換算分の中で考えられている石炭部分というものは、これもふえるかもわからぬ。パーセンテージをあげて質疑をいたしたわけでありますが、そういう数字関連をして、総合エネルギー対策の中で石炭がどういう地位を占めるかということをすみやかに確定をすることが石炭産業の安定のこれは一番大きなゆえんではないか。そのためにはそれぞれの部門審議会でなくて、それぞれの部門審議会審議会でかまいませんけれども、これを総合した総合エネルギー審議会といいますか、こういうものを立てる必要があるのではないかという点を第一に質問を申し上げ、それからまあその補足として質問を申し上げたわけであります。決議精神もそこにあると考えられますので、総合エネルギー対策を策定する努力、そのために審議会を設けるべきじゃないか。あるいはそれぞれの部門審議を急速に総合する方策について態勢を整えるべきじゃないかという意味で、重ねてお尋ねいたします。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま申し上げましたように、総合エネルギー対策という場合にも、エネルギー需給計画の基本が所得倍増計画にあるものですから、この所得倍増計画中心にして、そしてそれぞれのエネルギー部門が担当するものを考えていく。そしてまあ石炭についても、ただいま御説明申し上げたようなパーセンテージでそれを伸ばしていく、こういう考え方であります。ただ石炭の場合は主要な出炭といいますか、供給の七割程度長期引取計画ということで確保されるということを実は主体に考えております。したがいまして残りの部分がそれぞれの用途において、またそのときの経済事情等において消化される、かように御理解をいただきたいと思います。他の産業部門ということとの関連は一体どうなのかと、こういった、重ねてお尋ねございますれば、ただいま申し上げた所得倍増計画を基礎にして、そしてエネルギーの総需要量というものを算定し、それを各部門に割り当てて、考えておる、かように御了承いただきたいと思います。
  9. 吉田法晴

    吉田法晴君 総合方策、それから総合エネルギー対策の中でその策定をすべき機関について考慮すべきじゃないかというお尋ねをしたのですが、それについて御答弁がございませんでした。これは大臣じゃなくても局長でもいいのですが、今の合理化審議会の大まかな進行は承知をいたしておるわけでありますけれども合理化計画について今大臣は慎重に云々ということでございますか、新しい年次計画を立てよう、物価、生産費の高騰に見合って、現段階で新しく検討をし直さなければならぬのじゃないかという動きがあるようでありますが、決議の中には、需要の安定、それから近代化合理化の中で雇用の安定を確保するということがこの決議の相当重要な部分として入っておる。そうすると、その合理化過程、いわば今後の、大臣言葉で言えば所得倍増計画の中でエネルギー需要はどの程度にあるのか。石炭はどの程度国内石炭はどの程度地位を持つべきか。生産数量、その中での原価、それから設備、それを裏づけ需要あるいは市場構造等もあろうと思うのでありますが、その中で労働者はどの程度三十八年度に、あるいは四十年度に、四十五年度に必要かという数字が出て参ると思うんでありますが、その計画の中で労働者生活雇用の安定を実現してもらいたいというのが決議精神。その作業がどういう工合に進みつつあるか、あるいは進めようとされておるのか、これはこれからの仕事だと思うのでありますけれども、こまかい点はあとからでもいいんですが、大綱を一つ説明を願います。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 石炭対策は先ほど来需給の問題について一応触れまして、そうしてこれは吉田さんもおそらくお尋ねのうちの含みにもあることだろうと思うととは五千五百万トンを六千万トンにできないだろうかというお話しがあろうと思いますが、先ほど来申し上げますように、需給の安定といいますか、ことに需要側の安定、その方策行政的措置として電力あるいは製鉄ガス等部門について御披露いたしたしわけであります。  ところで今度は労務の点で一体どうなのか、これはもう前国会におきましても基本的な方針を申し上げたつもりでございます。いわゆる合理化はどんどん進んでゆくだろう、千二百円下げということがその目的を達したら、もうそれからコスト下げるわけでもないというものではなくて、おそらく業界自身はさらに日進月歩合理化を進めてゆかれるんだ、そうすると、一人当たり出炭量はこれは相当上がってゆくと考えなければならない。そうすると、五千五月万トンの出炭だと一人当たり出炭が増せばそれだけの労務は要らないという計算になる。この労務は一体どうするんだという問題に当然逢着すると思います。  その場合にいろいろの方法があると思いますが、失職者というものがいわゆる閉山、廃止等によって生ずる離職者あるいは今日ある山が積極的に事業の拡大をしないで合理化だけするならば、やはり犠牲者が出てくるだろう、そこにも失職者が出てくるだろう、こういうことになるのでございます。  まず一番先に考えられることは炭鉱労務者失職者は新らしい炭鉱において職場を見つけるということが一番いい方法じゃないか、そういう意味立場に立って、今日までの未開発炭田等新規開発するという、そういう方向吸収はできないだろうか、まずこれを一つ考えるべきだろう、そういう意味で、今後の問題といたしましては、未開発炭田北海道方面にあるわけでございますから、そのほうの需要が相当強く出てくるだろう。またもう一つは、現に失業者ができ、そうして生活保護世帯がふえておるというような地域において、その土地事業を起こす方法はないか、これが第二の対策でありまして、いわゆる産炭地振興事業団、これを作りましたゆえんも実はここにございます。今回は発足するばかりでございますので、予算規模等もまことに少額でありまして、今生ずるであろう離職者対策としては金額等まことに私は不十分であると思います。思いますが、皆様方の御鞭撻でこれがとにかく発足するということは一つの前進であり、これを一つうまく使っていきたいと、かように実は思います。  それから第三の問題といたしましては、この離職者吸収するのは、あえて炭鉱に限らないじゃないかと、その他の職業部門においても、これの再就職の道を開くべきじゃないか、こういう基本的な考え方に立って労働省が再教育あるいは就職あっせんと、そのための便宜をはかるというような処置をそれぞれとっているわけでございます。  それからもう一つ、基本的な問題で、ただいま申し上げるような離職者に対するそれぞれの対策はありますが、石炭業自身がいわゆる斜陽産業にあらずして、今後、安定基幹産業である、こういう立場に立ったときに、新規労務者確保というか、人員の交代について遺憾なきを期するような考え方ですべての政策を進めていかなきゃならない。その意味におきましては、通産省通産省としてかねてから申し上げておるように、石炭産業斜陽産業にあらず、これはりっぱな基幹産業であり、国内安定産業としてまた重要な役割を果たすんだと、この意気込みにおいて労使とも安定産業としてこれを盛り立てる、これに通産省協力することが必要だと、そういう方法がとられますならば、必ず新規労務者確保もできるだろうと思います。  また、話が少し前後いたしましたが、この合理化が進むに従って職場を失うというような、こういう不幸な方方が今後考えられるのは、いわゆる中高年令層であろう、そこに特殊な離職対策、これが必要だろう、実はかように考えまして、労働省ともいろいろお話をしておるわけでございます。きわめてわずかではございますが、外国に対しましても、この石炭鉱業はまだドイツなぞ労務を必要としておるようでございまして、そういう意味外国職場にも転出する者が今後はまた出てくるんじゃないか。——せんだって、アルゼンチンの大統領が来られましたが、アルゼンチンどもそういう意味ではなお開発の余地があるようでありますし、そういう意味協力を求めておるものもあるようであります。離職者対策、これは何と申しましても、それぞれの人たち気持から申せば、離職したその土地で、また同じ職場——それはあえて同じ炭鉱と申すわけではございませんが、石炭で離職したから石炭業でやはり職を求めたい、そういう気持は非常に強いだろうと思いますので、その点には特に私どもも留意して参りたい、かように考えております。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 大臣は従来の離職者対策中心考え方で、決議の要請しておるところを全的に受けて方針を立てていただいていないのじゃないかという実は感じがするんです。合理化も、人を減らすだけが合理化のように感じておる。若干まあ未開発炭田開発だとか、新しい産業部門での吸収云々といったようなものがございますけれども、あるいは産炭地振興もありますが……。そうじゃなくて、総合エネルギー対策を立てて、そしてその中で、今の言葉の中にありましたが、斜陽産業でない安定基幹産業なんだという地位をはっきり確定することが決議の要請をしているところ。若干の失業者が出る、あるいは他に移住しなければならぬ者が出るということは、これは必然的にありますから、それはまあ労働省にまたなきゃならぬ、これは私どもも考えておりますが、大もとのとにかく安定産業としての石炭産業確定、それからその中における雇用生活の安定をこれは通産省へお願いをしなきゃなりませんので、そこで、そういう意味総合エネルギー対策を立てて下きい、これが決議精神です。新しい炭鉱あるいは未開発炭田等開発するというならば、それは年次計画の中にやはり入ってこなければならない。で、五千五百万トンが六千万トンになるようにということを要望しているだろうと言われましたが、その六千万トンにはいつなるのか。それからその中で、炭鉱は、新炭田——開発炭田の、新しい開発をする炭田としてどの程度石炭が出るのか、そこにどれだけのとにかく人間が吸収し得る、こういう案を早く立ててもらいたいというのが要望であります。  そこでまあこれは大まかな大臣答弁でありましたから、石炭局長から御答弁を願いたいのですが、このコスト・ダウンの具体化合理化政策具体化を新しい情勢を盛り込んで再検討しなければならぬということで作業をしておられるんですが、それはいつごろできるのか。私はまあその際にこれは全体の総合エネルギーの中で石炭地位がきまり、それとの関連で各山でどのくらい出すということが出てくるんだろうと思いますが、実際になされている作業は、企業別年次計画をとって、それを積み上げてといいますか、それを総合して計画を立てようとなさっているかのように思うので、その点を私は多少私のほうで要望する点からいうと、順序が違うと思うんですけれども、それはとにかくとして、今進められております計画の取りまとめはいつごろになるのか。それからその中で生産量あるいは投入設備あるいは国の合理化近代化の資金の援助、それから国内需要増大等は考えられていると思うんですけれども、その中で労働者あるいは労働条件というものはどういう工合に織り込まれようとしているか。それがいつごろには明らかになってくるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) あとで具体的なことは局長からお答えさしたいと思います。思いますが、吉田さんの知恵も少し借用したいのです。ただいまの合理化という問題ですが、この合理化ということを私は馘首ということを考えるという、そういう言い方、これはまあ結果的な問題といいますか、整理というものは結果的な問題になっている、かように御理解をどうしてもいただきたいのでございます。これは私が申すまでもないことですが、この五千五百万トンでいわゆる高能率炭鉱を進めていき、低能率炭鉱廃止等をきめて推進して参りますと、いわゆる高能率炭鉱、それだけについて申しましても、出炭量が一人当たり二十五トンあるいは三十トン以上になる。あるいは特殊の山においてすでに五十トンになっている。こういうような成績を上げてくると、その山自身の掘り方にもよると思いますけれども、やはり現在の人はそれだけは要らなくなる、こういうのがまあこれはもう数学的というか、あるいは当然の理屈のように実は思うのであります。そこで新しいものを作って吸収するとか、あるいは整理をしばらく見合わす、こういう措置をとったらというのがあるいは一部にあるかと思いますが、新しい山を開拓するにいたしましても、おそらく現実に炭が出てくるまでに二年ないし三年はかかるでありましょう。そういたしますと、今後の需要をまかなうという方向から見ますと、この新規計画を実施するまでには相当時日がかかる。その間は一体労務者はどうなるのか、こういう問題がありましょうし、また廃止する炭田そのものの人の問題がある。これはもう能率を上げていく余地がないからこそ廃止ということに実はなる。そういうことになってくると実はここに手の打ちようはないのじゃないか。そこで問題は、国内エネルギーと国際エネルギーとを、いわゆる経済のバランスを割ってなお国内資源確保するという別な方策が生れてくれば、これはともかくでございますが、現状の姿において消費者の自由というか、その選択にまかす、これは完全にまかすわけではございませんが、非常に気持とすれば消費者に自由に選択さすというその原則に立って処理して参りますと、これはよほど国家的な保護助成をいたさないと、現在の労務者を離職させないということはなかなか困難じゃないか、こういうように実は思います。私は非常に打ち割ったお話を申し上げ、また国会等の御協力も得ておりますので、超党派的な観点に立ちまして、この労務者に対する犠牲がいかにすれば軽減できるだろうか、こういうことで、軽減方法では努力して参ったつもりであります。ありますが、どうも大勢とすればある程度犠牲者を出さざるを得ないのじゃないか、こういうことでございますので、この基本的な主張を、これは非常に名案があればぜひとも教えていただきたいと思うし、ここらに私のほうに非常に苦心のあるところをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  13. 今井博

    政府委員(今井博君) 先ほど大臣から、現在の合理化計画に対するいろいろな改定といいますか、新しい年次計画樹立についてのお話がございましたが、事務当局といたしましては、過日石炭鉱業審議会を開きまして、それの大綱を報告したのであります。おおむね三月末を目標にいたしまして、現在の合理化計画のさらに詳細な、三十七年、三十八年、三十九年、この三カ年に重点を置きまして、年次別の具体的な合理化計画というものをさらに掘り下げようということで作業を進めることに相なりました。その考え方は、御指摘のような物価の上昇の問題、あるいは賃金のベース・アップの問題、それから今度予算で三カ年で六百二十万トンのスクラップを行なうということが認められておりますので、そういうものを前提にいたしまして、既定の計画である千二百円引き下げというものを遂行した場合に、いかなる結果が出るか、経理面にどのような影響がくるかということを作業いたしました。それからさらに労務情勢は一体どうなるかということも相当具体的に、地域別、山別にも掘り下げまして、その上でさらに審議会にはかりまして、従来の千二百円引き下げのテンポでいいかどうか、そういうものを総合的に判断してやろうという考え方作業を進めております。非常に簡単に申し上げれば、最近の情勢において徹底的なひとつ実態分析をやろう、こういう考え方であります。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 石炭局長答弁、これは実情でありますから、あと関連して若干質問いたしたい。  通産大臣が最初御答弁になりました、合理化を進めていけば、能率が上がり人がいらなくなるではないか、首切りを先に考えているわけではないけれども、結果としては出るのじゃないか、こういうお話、これは実際に行なわれている合理化はそのとおりです。しかし企業の努力にまかせて、総合エネルギー対策の中で石炭の占めるべき地位というものを国内産業保護の見地もあって立てられるならば、質問の中で出てきましたように、五千五百万トンが六千万トンにもなろう、それから筑豊炭田で閉山あるいは縮小する山の人間が、北海道なりあるいは有明新炭田開発に行くだろう、こういうことになるのですが、その作業を、政治ならばそれをやはり先にするのが、これは政府の任務じゃないか、あるいは政治の任務じゃないかというのが私どもの考えです。いわばこれは自由経済だからしようがないじゃないかといわれるかもしれませんけれども斜陽産業だといわれる議論あるがのに、いや斜陽産業ではないのだ、安定した基幹産業として盛り立てるのだということならば、これは成り行きにまかせて、人が減るあるいは首切られる、それをあとしりぬぐいすればいいという従来の方策ではなくて、安定した職場としての石炭廃業を作る。そうしてそこで雇用生活を安定させるということにならなければならぬと思う。その具体策を、具体的な数字をあるいは年次別の計画を早く立ててもらいたいというのが、あの決議精神だと思う。思うだけに、先ほどの、ある程度労働者の失業が出てくるのはやむを得ないと認めて下さいという言葉は、決議精神からいえば、基本的に私はやはり返上して、その具体策あるいは年次計画をあるいは総合エネルギー対策を早く確立して、その中で安定産業としての石炭地位をきめてもらいたい。その中で最大限のとにかく労力の確保あるいは職場確保をはかってもらいたい。そのためには各企業からの計画を取り集め、実態をとることも必要でしょうけれども需要確保あるいはその上に立つ石炭産業安定産業としての方策確立してもらいたい。それを年次的に計画をするということになれば、今の合理化審議会なりあるいは石炭鉱業審議会の動向だけに待っているわけにはいかないのじゃないか。総合エネルギー対策審議会決議精神に従って作ってもらいたい。これが要望であるし、それから決議精神だと考えますので、その点をお願いしているわけであります。  それから石炭局長答弁の中で、新しい年次計画を作ろうとしているが、その中で労働者はどの程度心要なんだ、あるいは確保されるんだという点は、これは三月末を目途にしてということですが、その計画の中にこれは入っているわけですね。
  15. 今井博

    政府委員(今井博君) それは十分考えているところです。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 吉田さんに今のようにきめつけられると、どうもたいへん私のほうのお答えが言葉足らずで、舌足らずで誤解を招きやすいように思います。私が申し上げておりますのは、とにかく合理化を進めていく。その合理化を進めることが、なるほど一時的には労務者の犠牲であるかのように見受けるけれども、これが石炭産業の発展の基礎でもあるということ、このほうにやはり重点を置いてひとつ御理解おきを願いたいと思います。  それからもう一つは、総合エネルギーに対しての政策が一体どうなるか。そこでそういう問題に話が進んでいくのじゃないか、かように思います。今回石油事業法を制定したいということも、そういう意味合いにおいては、やや総合的な効果を発揮するものじゃないかと私考えます。で、先ほどの話で、吉田さんのように、合理化すれば当然首切りが出るのじゃないか、このようなことですが、そう簡単なものではございませんので、そこを御理解いただきたいと実は申したのであります。私どももいろいろ努力し、いろいろな方法をとっていくが、なお足らない点をひとつ教えていただくことはできないだろうか、こういうことを実は申したのであります。その点を誤解のないように願いたいと思います。  なお、問題の所在として、石油業法、いずれ法案を提案いたしました上で御審議をいただくことになりますが、この石油業法というものに関連し、石炭の輸入の自由化、これをその時期の問題であるとか、あるいは重油等の自由化等についてまでも、その時期的な議論にまで実は発展しておる、そういうことを私どももむしろ総合立場においてはいろいろ工夫もし、現代産業に対する圧迫にならないように名案がないだろうかというのがただいまの非常な苦心でございまして、あわせてつけ加えさしていただいた次第でございます。
  17. 吉田法晴

    吉田法晴君 輸入エネルギー資源についての、いわば規制と申しますか、計画的な輸入の点は、これは石油業法との関連で詳しくは審議しなければならぬと思うのですが、しかし安定産業とするためには、これは自由化のテンポの問題、それから対策等を具体的にやはり考えなければならぬ、関税の問題もあり、あるいは輸入規制の問題もございましょう。それからあるいはその増高をする石油等需要先の問題もありましょう、いずれにしても規制というか、あるいは計画化というか、そういう点が必要になって参ると思いますし、それから合理化のテンポについても要望がいろいろある点は、御承知のとおりですし、あるいは今の答弁からいうと、相当考えているということかもしらぬと思うのですが、その点はここで詳しく触れる時間もございませんし、他日に譲りたいと思うのですが、今までの答弁の中で、この合理化計画の新しい年次計画を立てようとするところで、労働者生活雇用の安定のためには通産省としても努力をしている、こういうようなお話でございました。ところが実際には冬山で閉山、縮小、それから賃金の切り下げ等のために、有能なといいますか、あるいは優秀な労働力がむしろ稼行しておる炭鉱の中から逃げて、残っておる労働力は年寄りであるとか、低下をしつつあるというのも現実、それから新しい炭田開発を考えているのだということですが、それではこの新しい年次計画の中で、先ほど大臣は北海道の話が出ましたが、それから考えられる点は有明炭田なり何なりですが、その開発見通し、それから年次計画の中に新しい炭田吸収される計画、それから新しい産業で吸収するという方法もあるのじゃないか、こういうお話でございましたが、新しい産業でどういう工合吸収をしていくという方策があるのか、その辺をひとつ具体的に承りたい。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の有明、あるいは北海道炭田開発、これはひとつ局長から答えさすといたしまして、新しい職場、これは労働省のお仕事ですから、あまり私が申し上げてもまたしかられるかわかりませんが、この労働省の今回の予算はそういう意味のものが相当今までになく予算的にも計上された、かように思います。そこで、いわゆる再教育の問題があり、職場あっせんの問題がありあるいは受け入れを容易にするような施策などを実は取っているわけであります。しかし、私ども、根本には、最初申し上げましたように、やはり過去の職場の経験を生かすという気持、あるいはその土地というものになかなか離れにくいということで、労働省のやります職場のあっせんはよほど御理解をいただかないと、効果があがらないのじゃないか。ただ、労務だから、また同じように地下の仕事だからといって、土建や、港湾のほうへ持っていきましても、どうも現在までは長続きはしておらない、あるいはまた家庭工業の面にこれらの方々が、組合などもいろいろ指導しておやりになっているようでございますが、なかなか成功率は少ないようだし、ここらにやはりお互いが長く働いたその経験というか、また事業に対する愛着というものが断ち切れないと、十分の効果があがらないんじゃないか。しかし、これを十分御理解をいただくように労働省なり、また旧経営者などもそういう意味努力をしているようであります。ただいまの古田さんのお話しのうちに、新しいものが何があるかと言われましたが、これは労働大臣、総務長官のほうからお答えするだろうと思いますが、私はただいまのような感じを持ちますので、制度そのものとしては、いろいろ議論がありますが、いわゆる大炭鉱が閉鎖した後の第二事業会社というか、こういうふうなものが労働条件などが相当悪くっても、そこに職場を見つけておる、今の現状は、私が触れた職場を愛するとかあるいは自分の過去の経験を生かすとか、その土地に対する愛着だとか、こういうものが現実の実績として実は現われているのじゃないか、そういう意味のことをやはり第一に考うべきだと、先ほどお答えしたとおりな気持ちでございます。
  19. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣として御答弁をいただく点が労働大臣にすりかえられましたけれども、私は新しい年次計画を立てるならば、その中で生活雇用の安定をどういう工合努力をしているのだ、こういう御答弁があり、それから新しい炭田開発を考えているということならば、年次計画の中に、それでは何年から新らしい炭田にはどれだけの労働力の需要増加があるのだ、それから新産業都市建設法なりあるいは低開発地帯の開発について産業を興していこうとするならば、そこにどれだけの労働力の需要を作るのだ、こういう点は、これは通産大臣としてお考えにならなければならぬと思うんですけれども、それぞれの法案を見てみますと、そういうものはあまりないようでありますので、実はお尋ねをしたわけなんです。それから第二会社あるいは租鉱権炭鉱への移動というようなお話しもありましたが、それには最低賃金制なりあるいは保障賃金制がなければ、優秀な労働者炭鉱から出て行ってしまって残っているのは年寄りだけ、古い経験者があまり転換はできないから、つるはし一丁で劣悪な労働条件のもとでも働かざるを得ない。これは炭鉱を愛するというか、定着をせざるを得ないからそうなっているんですから、それを防ぐためには最低賃金制なり、あるいは保障賃金制なりというものを作らなければならないという問題が起こってくる、こう思うんです。賃金の問題はまたあと労働省お尋ねいたしますが、そういう通産省としての、あるいは石炭行政に関連をして、どういう工合生活雇用の安定をするかという具体策を承りたいと実は思ったわけですが、石炭局長から御答弁いただけますか。まだ三月終わり近くならなければ御答弁できないのですか。
  20. 今井博

    政府委員(今井博君) 現在の作業をいたしておりまする年次計画におきましては、相当具体的に掘り下げをいたしますので、地域別にはある程度数字が出ると思います。資料としては、もちろん大きな山別についてももちろん資料はでき上がると思いますが、ただいま御指摘になりましたような新しい炭田開発、この問題は有明炭田の二百万トンの開発計画というものは具体的にきまっておりますが、もう一つの有望地区の石狩の南部につきましては、まだ調査中でございまして、三カ年の年次計画の中には、そういう新規開発というものはちょっと間に合わぬのじゃないか。と申しますのは、相当大きな投資を必要とする、相当時間がかかりますので、それを短期の年次計画の中へ入れるいうことは、実際問題としては私は困難だろう、こう思っておりますが、その場合に、新規にどのくらいふえるかという問題、それから同じくビルド・アップの山につきましても、先ほど大臣がおっしゃいましたような合理化をやった場合に、やはり能率があがればやはり人間がそれだけ縮小するという問題等もございますので、新しいビルド・アップをやった場合に、人間が相当ふえるということにはならないのじゃないないかというふうに実は推定いたしておりますが、そういう点もかみ合わせて、それから現在の合理化に上ってあまり労働情勢を無視したような状態等は、これはやはり相当考えなければいけませんので、そういう点も含めまして、現在やっておる千二百円引き下げのテンポについてあらゆる点から検討して、ひとつ実情に合ったものにしたい、こういうことを考えております。その過程におきましては、当然労働賃金の問題ある程度のこれはベース・アップというものももちろん考えて適正なものをもちろん算定してわれわれは入れるつもりでございますので、ただそれを地域別あるいは山別に具体的にどうなり、それをどういうふうに離職者対策を講ずるかという点までなりますと、やはり相当時間がかかりますので、一応三月末を目標に荒削りのものを作りまして、それで一応中間的な概定をいたしまして、それからさらに御指摘になったような点もあわせて最終的にでき上がるのは七月までくらいにかかるのじゃないかということを考えておりますが、概定するのは、中間的には三月末、こういう予定で進んでおります。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 伺っておりますと、やっぱりコストの問題からあるいは経営という点から考えられて、決議中心であります労働者、人間の生活という点が中心になって十分考えられていないようでございます。新年次計画を立てて参ります場合にも、雇用それから労働条件についても言及をされましたけれども労働省とも協議の上十分決議精神が生かされるような態勢を作っていただくように、あるいは方策の中にこの労働問題、人間の問題が中心的に考えられますように、協議といいますか、御努力を願いたいと思います。要望をいたしておきます。  あと同僚議員からも質問がございますようですから、決議の中身の問題で問題点を、これは全部逐次御説明願えばいいですが、その時間がございませんから、決議の中にあります主要な点についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  未開発炭田開発問題は、これは抽象的でありますが出ました。詳しい討議はまたの機会に譲りまして、その中にあります石炭産業の抜本的対策として鉱区の調整という点がうたわれております。これは中小炭鉱の残るものが三百幾らと、こういう点を考えますと、残る炭鉱が代近的なものになりますためには、近代化資金の融資も必要でありましょうけれども、鉱区の調整という問題も必要的に起こって参ると思うのです。それらの点についてはどういう工合にせられておるのか、あるいはしようとせられておるのか。それから近代化、機械化の点について、水力採炭あるいは運搬系統の改善等が論議せられておりましたが、それらの点がどういう工合になっておるかお尋ねをいたします。
  22. 今井博

    政府委員(今井博君) 鉱区の調整の問題は、現在の鉱業法でも運用によって相当やれますので、その範囲内においては相当年間数、相当件数をさばいておるわけでありますが、やはり具体的なケース・バイ・ゲースで、その鉱区調整の問題は同じような方法で極力さばいていこうと思っておりますが、しかし根本的には現在の鉱業法の制度があっせん程度でございますので、やはり鉱区調整を根本的に解決するためには、調整問題について相当政府が決定権を持つとか、そこまで実は踏み込まないと、根本的な鉱区調整問題は非常にむずかしいじゃないか。この点は鉱業法改正問題とあわせて今審議をいたしております。  それから流通機構の問題につきましては、やはり共同輸送体制、共同荷役体制あるいは共同貯炭、こういう問題が非常に重要でございますので、ただこれをいきなり実は提案しましても、実際問題としてなかなか利害が伴いましてうまくいきません。このたび石炭の専用船というものがわずかでございますが実は認められまして、この専用船の運用の点について今運輸省と相談いたしておりますが、共同輸送、共同荷役、共同貯炭というところまでぜひ持って参りたいと思いまして、ほぼそれの共同体制については関係者の大体賛同を会得つつありますので、これを契機にひとつそこへ極力早く進みたい、こう思って指導をいたしております。ただ流通機構全体の整備改善、これは販売機構等も含めますと非常に複雑な問題になりますので、これは現在専門家を逐次呼びまして、専門的な意見を今聞いておりまして、どういうふうに持っていくかということについては、まだ御報告申し上げる段階に至っておりませんが、これからできるだけひとつ努力いたしたいと、こう考えております。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の答弁の中に、近代化、機械化の点について答弁が落ちましたが……。
  24. 今井博

    政府委員(今井博君) 近代化につきましては、従来大規模な坑道を、縦坑を掘るということを中心に進めて参っておりまして、これは従来の方針に沿って継続いたすつもりでございますが、機械化の問題につきましては、このたび近代化資金の中で、完全機械化の問題それから水力採炭で五億程度予算を計上いたしました。特に機械化の問題は現在の、特に九州の離島地区とかあるいは三池であるとか、北海道地区とか、そういうところでは、傾斜のないところでは、この水力採炭が非常にむずかしゅうございますので、そういう地区には機械化を進める。それから傾斜のありますところは水力採炭が最近非常に成功いたしまして、これはことしは相当実用化されると、こう思っております。特に従来問題でありました筑豊地区におきましても、むしろ水力採炭が非常に適当な地区がたくさんあるのじゃないかというふうに予想されまして、そういたしますると、筑豊の相当品位の悪いところも合理的に掘り得るのじゃないかという見通しを一部持っておりますので、水力採炭の実施につきましては、ソビエト調査団の報告等もございまして、相当見込みも立ち得るのじゃないかと思いますが、なお詳細はいずれ機会を新たにして御報告申し上げたいと思います。
  25. 吉田法晴

    吉田法晴君 需要確保対策について、先ほど電力、鉄鋼等の関連産業の協力の点はお話が出ました。産炭地等火力発電を建設し、火力用炭を大幅に確保するという点について予算要求等もございましたが、脇田、それから苅田の低品位炭発電の点についても努力をなされているあと承知をせぬわけではございませんけれども、将来について第二期工事との関連において若干の不安があるように考えるのでありますが、産炭地揚げ地火力発電による需要の増大について、どういう工合措置をなされておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  26. 今井博

    政府委員(今井博君) 産炭地発電の問題は従来からいろいろ計画がございまして、全国にわたって実施をいたしておりますが、特にお尋ねの九州地区につきましては、御承知のように、西日本共同火力が苅田に二十二万キロを現在建設中でございまして、これを本年度は財政投融資で十八億円のワクを計上いたしまして、この第一期を早く完成しようと思っております。第二期につきましてはまだはっきりいつやるかということはきまっておりませんが、これもできるだけ早くやりたいと思っております。それからお尋ねの電発が現在若松でやっております脇田の産炭地発電は、現在第一期工事を実施中であります。第二期の十五万キロにつきましては、現在まだ話し合いは確定いたしておりません。これはほんとうの低品位炭火力でございまして、特に沈澱微粉等を利用する計画でございますので、これが成功すれば、遠賀川の流域の活用という点では非常に私は効果があるのじゃないか、こう思っておりますが、まだ何分それについての、特に沈澱微粉についての活用についてまだ目鼻がついておりません。これは今後電力方面、われわれのほうでは公益事業局とも十分相談いたしまして、できるだけ早く実施したい、石炭側としてはこの実現を非常に熱望いたしておるわけでございます。
  27. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点について大臣かの答弁を得たいと思うのですが、脇田の第三期につきましては、通産省で調査費をつけて調査をしてこられました遠賀川の汚濁水処理という問題があります。これは遠賀川なり、それから従来捨てておりました選炭用水の中から低品位炭を取るということになれば、新しい需要といいますか、新しい分野が開けてくるわけです。調査のある程度の成果も見ておる、見通しも得ておるということでありますが、これをパイプで下流に持ってきて発電をするということになれば、非常なプラスになることは、これはもうだれが見ても議論のないところであります。しかもそれを上流から下流に持ってきて発電をするということになれば、これは脇田以外にはないわけです。ほかに持っていくというわけには参りませんから、脇田ということになりまして、そこである程度見通しがつけば、場所なりあるいは計画なりというものは第二期までを含んで用意がされておるわけでありまして、これは将来にわたってはっきり見通しをつけなければならぬ、調査も何年目になりますか、そろそろ結論が出るところでありますから、その調査の結論をもって脇田の第二期工事の見通しをやはり早くつけて参らなければならぬと思います。共同火力について輸送の問題等もございますが、共同火力については、これは財政投融資もございますし、あるいは地元の協力もあって、ある程度見通しが立っておるとのことでありますが、これらの点については通産省としても、将来について不安なからしめる措置というものが心要だと思うのですが、通産大臣の御答弁をお願いをしておきたいと思います。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の若松あるいは苅田のお話が出ておりますが、遠賀川の水系の沈澱微粉の使い方、これは国内資源としては大きいものだと思います。ただ遠賀川の水系——北九州ではいろいろ問題があるのです。問題というのは、この水を目当ての問題がですね。吉田さんも御承知のように、あるいは灌漑用水との分配の問題であるとか、あるいは北九州の工業地帯の工業用水の問題であるとか、この水の問題が、うまく分配方法がつくと、あわせてただいまの沈澱微粉の使い方という方向にも非常に役立つのじゃないかと思います。何分にも関係者が多くて簡単にはちょっと結論を出しかねておるというのが実は現状でございます。私は産炭地発電というものは、もうすでに若松や苅田にかかっておりますけれども、こればかりでは実はないと思います。すでに大村は御承知のとおりでございますし、ここに第二期工事が進んでおる。あるいは佐賀県に新しいものを作れという御要望が出たり、あるいは大村付近にもその必要が説かれておりますし、ことに有明製鉄というものが具体化すれば、当然こういう面の発電所は必要になるだろう。これなどは九州地区とすれば産炭地を控えておりますだけに、できるだけ石炭を使っていただくように政府も進めて参るつもりであります。あるいはまた北海道においては、釧路その他の地区においてそれぞれ火力発電計画はございます。これらのものを順次取り上げることが実は必要じゃないか。だから産炭地発電、これが筑豊の山のまん中に発電所を設けるというばかりが計画ではないと思います。吉田さんもそういう意味で御指摘になったと思いますが、九州全体の相当地域で考えてやる、北海道においても同様だと考えます。あるいは常磐地帯におきましても適当な場所を考える、こういうことを考えるべきじゃないか、かように思いますので、計画的な数字は先ほど三百万トンということを申しました。これはいわゆる揚げ地発電ばかりのものとお考えにならないで、広範に考えてしかるべきだ、かように実は思います。懸案事項をそれぞれ片づけていくことがまず非常に大事なことだと思います。  なお、少し答弁がさかのぼって恐縮でありますが、先ほど今井石炭局長がお答えいたしましたことで、鉱区の整理の問題、これは具体的に進めて参ると行政上の権限だけでなくて、現実には組合側の協力を得なければならない面が多分にあるのであります。実際問題として。そういう意味で各界の理解を求め、これに特に留意して参るつもりであります。  また次の問題として流通機構の開発の問題ですが、これは将来の問題になるというが、非常に困難な問題があります。いわゆる炭種の銘柄の簡素化という問題、これも購入資金なり、先ほどのように共同貯炭場だとか共同荷役というようなことがどんどん進む。あるいは共同販売というようなことにまで進むということを考えますと、どうしても困難だといわれている炭種銘柄の整理といいますか単純化、こういう方向にも意を用いてもらいたい。こういうふうに考えております。これをつけ加えさしていただきます。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 産炭地の振興につきましては、事業団の御協力によってやっと出発をしたわけですが、決議の中にあります「産炭地域を振興するために、必要な土地及び水資源の確保、産業道路の開発等産業立地条件の整備、雇用の増大に資する諸事業の経営及びこれらに対する投資、その他助成等の施策を実施する産炭地振興事業団を設立する」、こうあるわけですが、土地の点については考慮を願ったようでありますが、額が十分でないという点は、水の問題あるいは道路の問題等については、ほとんど省が建設省その他にわたるということもあったろうと思うのでありますが、産炭地振興事業団の仕事の中には入っておらぬ。産炭地振興のためには、土地だけでなしに水の問題も、あるいは道路の問題も、それから先ほど指摘をいたしました雇用の増大の問題も、これからもっと考えていただかなければならぬ、施策を願わなければならぬ点等があると思うのでありますが、その点に、どういうように対処しようとしておられるかお聞きいたします。  なお、産炭地振興会の中で、等という文句を入れて、農業関係の点も振興方策の中に入れ得るように実は修正をしたわけでありますけれども、地元からの要望には畜産、園芸、あるいはこれと関連する加工業の振興等まで含めて、等の中に農業関係の振興方策というものも要望として出ておるわけであります。  これらの点について産炭地振興具体化の中で、どういう工合に進められておるか。各市町村あるいは各県から要望が出まして、それぞれ取り上げられ、これから具体的に実施に移る段階でございますので、全般的にあるいはこまかい答弁石炭局長からでもいいですが、お願いいたしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 産炭地振興事業団、これは今国会でぜひとも早く協賛を得て実行に移したいのでございます。この問題はあるいは建設省に関連し、あるいは農林省、あるいは労働省、またその他の省にも実は関連をもつものであります。そういう点から各行政官庁の緊密な連携を必要とするわけであります。これを最初作ります際に、通産省の専管にはたしてしていいのかどうか。そういうことで、いろいろ議論をいたしました。しかしやはり責任官庁を明確にしておくことが、こういうものの運用には役立つだろう、かように考えまして、各省の協力を得るということで、ただいま通産省においてこれを進めていく、主務官庁である通産省が専管でやることになりました。  その立場から見ますと、実はあるいは新しい事柄でありますし、ただいま言われますように、土地造成自身通産省でそういう経験はないのでありますが、今回、そういうことをやる。道路あるいは水の問題、これなども問題が具体化すれば、そのつど関係省の協力を得るという方法に進めていきたいと、実は通産省内部におきましても、石炭局だけではなく、いわゆる中小企業等の団地化の計画もございますから、そういうものとあわせて見ることが必要だ、かように思いますし、また、お話になりましたように、この事業団は融資もすることになっております。あるいは果樹、酪農というようなものも、果樹はその規模等にもよると思いますが、酪農などは比較的対象になりいいのではないか、かように思います。そういう点も、資金の量との問題でございますが、大きく拡大して、そういう意味の振興に資していきたい、かように思います。  ただいまのところ、具体的に何があるかと言われましても、まず第一が調査の段階だし、各地方の御協力を得るとか、要望にこたえるとか、そういう事柄が第一だろうと思います。できるだけ実効をあげるように促進して参る所存でございます。
  31. 吉田法晴

    吉田法晴君 これは産炭地にも関連をいたしますが、水の問題について、特に一番ひどい筑豊地帯では、一番大きなネック、先ほど水の問題でおっしゃいましたが、これは産炭地とか、あるいは遠賀川流域というものを越えて、福岡、北九州にわたって、一番大きな問題であります。そうしてそれが、もうすでに筑後川の水を取るということでなければ問題が片づかない、これは筑豊産炭地域で局地的な水なり、あるいはダムの建設計画もございますけれども、それらは産炭振興の中でお願いするにしても、その背後にあります水の根本的な解決という点については、これは産炭地振興を有力に裏づける問題でもありますし、根本的に解決する調査費はついておりますけれども、調査費ではなく、実際に、もう水が引けるようにしてやらなければ、産炭地振興も軌道に乗りませんので、その点については、強く要望をいたしておきたいと思います。  それから、最後にもう一つ石炭関係と別に、国内地下資源開発促進に関する決議というのを、臨時国会でも最後に一緒にいたしました。もう一ぺん繰り返すまでもございませんが、地下資源埋蔵地域の基礎調査の早急実施、それから探鉱に対する国の綜合的助成策の実行、特に探鉱補助金等の飛躍的な増額、それから、合理化推進のための低利長期の財政資金の供給、最後に、税制上の優遇措置への配慮、という項目であります。  このうちで探鉱のための補助金といいますか、探鉱資金については、予算の上で増額を御考慮を願ったようでありますが、その他については、これは十分ではございません。あるいはたとえば新鉱床の探鉱について、大手については能力があるじゃないかということで、主として中小に限定をされた。これから自由化の波の中で大企業といえども、あるいは大企業に従事する労働者の利害に関連しても、いや中小企業に限ればいいという実態にはございませんので、この点も考慮願わなければならぬところでありますが、この決議案について、どういう工合にされようとするか、足らざるところについて、今後どういう施策をされようとするか、最後に承っておきたいと思います。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 自由化について、自由化が進んで参りまして、国内で国際競争力の劣っているだろうと考えられますのが、いわゆる非鉄金属部門であります。この非鉄金属部門について、各界から強い要望が出、これの国際競争力増強への施策を強力に推進しろ、こういうことでございましたが、そういう意味で新鉱床の探査費、これを増額する。金額とすれば、約三倍くらいになっている、一億一千万が三億になっている。倍率から申すと非常なふえ方でございます。しかし、総体が三億でございますから、金額とすれば、倍率でいばったからといって何にもならない、こういうことでございます。ことに、今、吉田さんの御指摘になりますように、大企業のほうの、鉱区をたくさん持っているほうは、自分の資金でやれ、中小企業に対しての補助、これでは不十分じゃないか、御指摘のとおりであります。私ども、まあそういう意味で、予算も強く要望をいたしたのでございますが、どうも説得することが実はできませんで、ただいま申し上げるような予算になりました。しかし、この行き方でありますが、私は税制等と結びつけて考えますと、大企業のほうに力がある場合においては、これは新鉱床の探査をみずからがなし得る、かように思いますし、中小企業のほうが、そういう意味では本来そういう力がない、こういう意味でありますから、現在の予算は、一応これでひとつ進めてみたいと思います。ただ、石炭の場合と、この非鉄金属部門等の地下資源の場合と比較いたしまして、非常な相違しておる点は、精練所その他が、一本のところに結局集まってくるのであります。そういう意味では、大と中小との間の協力関係というものは、石炭の場合とは非常に事情が違っておる。そういう意味で、業界とすれば比較的まとまりのいいもの、かように私は思っております。問題は、国内資源が貧弱な日本が、国際競争力に耐えるかどうか、最近の電気銅等の国際価格にしても、どんどん下がっておりますので、価格安定方策を立てるというような議論にまで実は発展しておりますが、この価格安定方策をとること、支持価格をとることがいいか悪いか、これは相当議論の余地のあるところだと思います。ただ、非常に国際価格が下がった場合に、国内産業が困難に当面することは当然でありますが、そういう場合に、関税その他で、どれだけ保護できるか、そういうことを勘案すべきじゃないかと実は思っております。  同時にまた、国内資源開発ばかりでなく、国際投資といいますか、国外における新鉱床というか、山の開発関連を持ってくる、進出していく、こういうことが業界としては、恵まれない現状からは、やむを得ないのじゃないか、かように思いますので、外国等とも、外国のほうへの進出も積極的に協力さす、これも、一会社が出て行くということでは、いろいろ問題等起こしますので、そういう意味では、やはり共同して外国進出ということを考えていったらどうかというので、業界の指導も、そういう方向に向いている、かように御了承いただきたいと思います。
  33. 田畑金光

    ○田畑金光君 時間がございませんので、私きょうは、二、三の点だけひとつ。  先ほどの吉田君の質問関連してお尋ねしてもよかったわけですが、質問答弁の中で出て参りました石炭合理化五カ年計画、これは第一次五カ年計画といってもよろしいと思いますが、現在政府が進めておりますのは、第一次計画を進めているわけです。言うまでもなく、三十八年度までにコストを千二百円引き下げるという大前提のもとに、高能率の山を造成するとか、あるいはまた、流通面の合理化をはかるとか、いろいろな指導を進めておりまするが、先ほどの御答弁によりますと、新しい年度計画を立てられて、今その作業中である、こういう御答弁です。そういたしますと、三十八年度に一応終わる五カ年計画というものは、その後の新しい経済情勢、物価の動き、物価の高騰、あるいは炭鉱の自然条件の悪化の問題、こういうような点から見て、第一次計画は、とうてい達成できないという一つ見通しが出てきた。そういう前提の上に立って、今度第二次計画を立てるということになったのかどうか、この点をひとつ、明確にしておいてもらいたいと思うのです。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん手きびしくお尋ねのようでございますが、最初から計画が疎漏というわけでもございませんけれども、今の予想しない事態、そういうものが起こりやすいのでございますので、そういう際には、それでまた考えていく、これは実はやむを得ない仕儀ではないかと、かように思います。
  35. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ非常に大事なところをはずされて御答弁なさいましたが、私は、率直に申しまして、第一次五カ年計画というものは、事実上壁にぶつかったと見ているわけです。本年度の一般会計並びに財政投融資の面を見ましても、あの予算措置は、確かに前年度に比べまして、さすがに佐藤通産大臣が御努力をなさったということは、われわれも十分認めることができるわけです。さればといって、あの予算措置、財政資金でもって、三十八年度計画達成の三十七年度の仕事ができるかどうかと申しますと、これは不可能だと、私はこう見ているわけです。  したがいまして、三十七年、三十八年というと、もう来年でございますが、事実上、第一次計画は山に乗り上げた、こういうような結果をきたしたと、こう思うわけですが、今通産大臣の微妙な答弁で、それは認めたようでございますから、私はそれで認められたという前提に立って、しからば、これから立てられまする第二次計画でございます。第二次計画の中には、三十七年度から三十八年度、そうして四十二年度の六カ年計画を考えておられるようでございますが、この計画においては、現在の政治的、経済的な諸条件、あるいはまた、総合エネルギー対策立場から、石炭産業のあるべき姿、そういうような諸点を明確に打ち出されて、無理のないと申しますか、もっと合理的な計画というものが第二次合理化計画の中にくみとってもらえるものだと、もちろんその中には、先ほど来吉田君から質問のありました炭鉱労働者生活の安定、あるいはまた、生活の向上、あるいはまた、やむを得ざる離職に対する新しい職場の保証等についても、十分考慮が払われるものと考えまするが、第二次計画におきましては、第一次のような無理な体質改善というものを、単に労使のみに強要するということは、これは私は行き過ぎだと、こう考えておりますので、そういうような第一次計画の失敗にかんがみて、合理的な計画樹立されるものであろうと確信しておりますが、この点について、ひとつ通産大臣の見解を承っておきたいと思います。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ第一次計画は、私は、いわゆる山にぶち当たった、あるいは失敗したと、かようには実は思っていないんです。問題は、なぜそう言うか。いわゆる五千五百万トンの出炭、千二百円下げ、この基本線が、それじゃどれだけ実現されつつあるか。先ほど来、石炭需給についてのお話を、るる吉田さんに対してお答えいたしましたが、御承知のように、現在それじゃ五千五百万トンという数字、その目標でも上回っているのかと、かように申しますと、昨年はそういうところまではいっておらない。そうすると、生産目標としての五千五百万トンというものは、実勢に対しては相当高いところにある。この五千五百万トンの出炭が出ない、これは一体何なのか。埋蔵量が不足しておるのか。そうじゃない。埋蔵量はあるのだ。しからば五千五百万トンが出てくるはずだ。このためには、やはり供給者である石炭業者が需要数字をちゃんと握っておれば、安心して掘れるという状態である。そのための需要長期取引計画を立てさすということ。これがいわゆる行政指導によって協力を得たということは、これはエネルギーの選択が自由だと申しておりましても、なおかつ協力を得てきた。そうして二千万トン、今度は二千三百万トンにするとか、あるいは、千二百万トン、あるいは千三百万トンというような数字を、長期に約束し得るということ、ここらのことを考えますと、石炭産業の持つ国内資源の性格を、他の産業も十分理解してくれた、かように実は思うのでありまして、その大もとが軌道に乗っていけば、これは私は、政策としてはまずまずのところじゃないか。  ただ、問題になりますいわゆる千二百円下げという問題になると、なかなかこれは私ども計画したとおりでなく、事情の変化等がありまして、なかなか困難でございます。  そこで、その千二百円下げについては、先ほど石炭局長が申しておりますように、実情に合ったような措置をとろうというと、やや当初の目標よりか後退したかの印象を与える答弁を実はいたしておるわけであります。しかし、このことからは、いかにも計画どおりいかない、それから見ると失敗だということでございますが、おそらく、この千二百円下げについてやや弾力的なる考え方通産省が持っているということ自身は、これは消費者側も一応納得してくれたことでございますので、むしろそれはテンポが、もしおくれるようなことになれば、まだこれから先の問題でございますが、これは必ずしも石炭業界自身とすれば、本来望んでおることではないだけに、これが計画どおり、予定したとおりに進まないということは、あまり責めらるべきことじゃないんじゃないか、かように私は思います。  ただ、失対労務者なり、あるいは、地域的な炭鉱産業に依存している町村等の財政等において、所期したとおりなかなかいかないんじゃないか、こういう社会問題的な見地に立っての御批判、これは現状においては、私どもも御批判を甘んじて受けざるを得ないのであります。幸いにいたしまして、今国会を通じて、あるいは産炭地事業団ができるとか、あるいはその他の施策がそれぞれ進んでいくとか、あるいはまた、炭鉱の保安について強化の方法がはかられるとか、あるいは賃金にいたしましても、必要なもうを——これはもう最小限度と言わざるを得ないでしょうが、最小限度の賃金アップも、やはり将来の単価のあり方等の場合に受け入れられるということになれば、まあまあの成績だと、ひとつ見ていただかなきゃならんだろう、かように実は思うのであります。  ただ、私どもが気にいたしますのは、いわゆるスクラップ計画というものが相当の高い目標であった。その第一次のスクラップ目標のうちから見ましても、約七十万トンばかりは残っておる。第二次スクラップ計画が六百二十万トンというものをまた計上する。この点が非常に強く出て参りまして、石炭合理化はスクラップだ、こういうもし印象を与えたとすれば、それはもう私どもの不徳のいたすところだと思います。しかし、炭鉱実情等を見ますと、現実に通産省が行政的な指示とか、あるいは勧告をするまでもなく、スクラップせざるを得ないという、業者自身が、そういうように考える山もあるのでございますから、それらの実情等を考えてみますると、ただいまの第二期計画の六百二十万トン、これは多いものじゃないのじゃないか、かように実は思います。  また、ただいまの基礎的な、基本的な問題から申すと、石炭産業に対する対策にいたしましても、私どもはいわゆる計画経済——いわゆる統制的なものではございませんで、自由経済のもとにおいての行政指導並びに業界——これは石炭産業ばかりじゃございません。需要者をも含めて、消費者をも含めての、各界の協力というか、自主的な協力、こういうことを第一段に考えているほうから申すと、非常に困難な問題が、私はよくここまできたのじゃないかと、かように実は思うのでございます。ことに、昨年の臨時国会における、衆参両院を通じての各界のこれに対する強い意気込みが、私は石炭産業合理化あるいは将来のあり方に非常なる力をつけると同時に、また消費者各界の協力をも求める原動力だと、かように実は考えておりまして、その意味では、目標数字に達しない部分もございますけれども、まあまあというところじゃないだろうか、そういうようにひとつ御賛同を願う次第でございます。
  37. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は、ただいま通産大臣の御答弁の内容については、大体において賛成だし、また燃料革命とか、エネルギー構造の変革とか言われている、そして、国内石炭産業が体質改善を要求されておる経済的条件等から見て参りますると、政府が進めて参りました体質改善の政策の大きな方向としては、私たちもこれを受け入れるにやぶさかでないわけで、またその間、今お話のありましたように、大手の需要者側に対する政府の行政指導措置によって、長期取引計画を通じて、需要安定確保のために一歩前進したものと、こういう点は、われわれもよく認めているわけで、その点は政府の労を多としておるわけでございます。  私が先ほど申し上げましたのは、一つ政策としては、確かに方向としては、われわれとしても納得できますけれども、具体的に、しからば千二百円の単価引き下げという、この点になって参りますと、私たちの主張したいことは、もう一歩、さらに数歩、政府の施策というものが、当然前提とならなければならぬということなんです。たとえば、きょうは時間もありませんから、私大まかにのみ申しますが、炭鉱の体質改善、これがために合理化資金を政府は投下しておりますが、三十五年を見ましても二十億前後に過ぎないわけです。ことしは体質改善のために約六億ふえまして、体質改善合理化資金ですよ、二十八億に六億ふえてなっておりますが、これなんかも、あの第一次計画ができる前後において、政府の約束した合理化資金というのは、約五十億程度は毎年四年間出そう、二百億は出そう、しかし実質は、五十億が毎年二十億前後にとどまったということですね。あるいはまた、開発銀行の融資の利息を六分五厘に引き下げるということ、これは実施されております。しかし時期がずれておるわけです。あるいはまた地方税の軽減措置等についても、もちろんこれは地方自治体の財源に影響いたしますから困難な問題は伴いますが、まあそういういろいろな条件があるわけです。あるいはまた物価の問題を見ましても、あの計画の前提としては物価が横ばいであるという前提に立っていたはずです。しかし一昨年以来昨年にかけては、相当炭鉱資材費その他物価の値上げがきびしかった、高かった、こういう一つの条件が出てきておるわけです。要素が出てきておるわけです。さらにまた国鉄運賃を見ましても、私はこの点は、後日また質問したいと思っておりますが、少なくとも昨年の七月以来値上がりになった国鉄運賃については、補給措置を講ずるぐらいの措置はやってもよかったんじゃないか、こう考えておるわけですが、これもまだ今度の予算では実行されていない。まあ等々を考えてみますと、第二次六年計画がかりにできたといたしましても、これは相当また、今言ったような問題が政府において十分考慮してもらわなければ、これまた、なかなか達成が困難である、こういうことになってくるわけです。  私は、こういう点について、第二次計画を立てるにあたりましては、第一次計画におけるなぜ達成できなかったかという政府の施策の面からくる不備を十分反省されて、第二次計画においては、絶対にそういうことがないように、われわれは万全の指貫をとっていくんだと、こういうことをひとつ、通産大臣から明確にこの際その約束だけは取りつけておいて、私のこまかいことは時間の関係ありますから、後の機会にまた質問したいと、こう考えておるわけであります。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなかむずかしいことを約束しろと言われますが、今回の予算編成にあたりましても、私ども石炭あるいは中小企業、特殊なものに対する重点的な要望を強く述べたわけでございます。だが、どうも通産省予算は取りにくい予算と申しますか、なかなかむずかしいのでございまして、今回は労働省のほうをも含めて予算が百十億、それから融資百二十億ということでございますから、合計すれば二百二十億、比較的よく伸びたほうだと思います。思いますが、もちろん今、田畑さんが御指摘のように、幾つも問題を残しているんじゃないか、もう御指摘のとおりであります。  ことに運賃問題も、ようやく後約と申しますか、そういう処置だけで済ますのでありますから、いずれ三十八年になりまして、法律が切れる際には、何らかの措置を必要とする、なぜ最初からやらないかということになりますが、昨年閣議決定をしたその線を実施してなくて、その次の段階のほうを進めるわけにいかないから、まず第一段として昨年の閣議決定の線を実施に移す、今回はそれに必要な法律の御審議をいただくつもりでありますが、そういうことでございますが、石炭産業自身が置かれている重要性等にかんがみまして、ただいまお話のありましたように、皆さんの御鞭撻を受けまして、さらに力をいたして参りたい、かように考えます。
  39. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 通産省からいただきました今国会の提出予算法案は、石油業法と肥料工業振興法案ですが、日付がないのですが、大体の見通しはどうなんでしょうか。事務当局からでもいいのですが。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体、まだ最終的成案を得ておりません。肥料のほうが、先に出ていくだろう。石油業法は、今要綱をようやく固めたという程度であります。少しおくれると思いますが、おくれても、今月中には重要法案でありますから、ぜひとも出したい、こういうことでただいま督励している最中であります。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちょっとその点、肥料のほうはまとまりますか。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どういう意味で申されるかと思いますが、今のところ、大体通産、農林は意見が一致しておる、そういう状況でございます。  また農民団体のあるいは農業協同組合その他に対しては、少し誤解もあるんじゃないかと思いますが、これはもう少し、よく内容を説明しないと、御理解いただけないようなふしがございますので、その辺は十分努力して参るつもりであります。
  43. 吉田法晴

    吉田法晴君 決議の中の保安の点について、保安局長お尋ねをいたしたいのですが、「炭鉱災害を防止するため、鉱山保安の監督を強化し、保安確保の万全を期すること。」という一項がございます。  先国会でも保安法について、一部改正それから監督機構の強化等を承知をいたしておるところでありますけれども、実際にその後の実績を見てみますというと、相当死傷者も出ております。それから三池では、婦人まで死亡したという事例も聞いております。これは日本だから、あまり問題にならぬけれども、これは先進諸国だったら、もっと大きな問題になるだろう人間の問題について、それから特に生命の問題については、これは国の体制のいかんにかかわらず非常に重視せられてきております。  決議の中には一項目にすぎませんけれども、その重さは、生活それから雇用の安定とともに生命の保障であります。これは重大な問題だと思うのでありますが、その後、なお頻発を防ぐことができないことに対する鉱山保安の問題について、決議の趣旨をどのように生かそうとしておられますか。
  44. 八谷芳裕

    政府委員(八谷芳裕君) 第一番目には、鉱山保安の諸規則を厳重に履行させるという問題でございますが、そのためには、去年の七月五日に四十名の監督官の増員が通りまして、さらにまた来年度の予算におきましては二十名の監督官の増員が一応認められておりまして、さらにまた九州、北海道の現在の保安監督部——通商産業局に附置されております鉱山保安監督部を鉱山保安監督局に昇格する、こういう種々の監督態勢の強化をはかりつつあるわけでございまして、この問題につきましては、設置法の改正等によりまして、この国会にも提案されておるところでございます。  それから、さらに保安法の改正の問題でございますが、この保安法の改正につきましては、決議の趣旨にも従いまして、十二月と一月、二カ月にわたりまして、鉱山保安法に基づきます中央鉱山保安協議会というものが設置されておるわけでございますが、この中央鉱山保安協議会の中に、保安法改正委員会を作りまして、その保安法改正委員会は、労働組合代表、それから経営者代表、それから中立委員と、この三者構成で行なわれておりまして、それぞれ三名ずつでございますが、この保安法の改正委員会を去る二月一日までに七回開催いたしまして、詳細な検討をやったところでございます。  で、今からの段取りといたしましては、来たる二月の十五日に一応中間的に——全部の保安法関係のすべてにつきまして討議を進めていって、その終結を得るということは、この二月十五日までには困難な情勢にもありますので、差しあたり緊急を要する面等につきまして、一応保安法の改正委員会でまとめ得ます点だけを取りまとめまして、中間報告の形で中央保安協議会に報告をする段取りにいたしております。で、中央保安協議会への報告は、一応の予定は二月の二十日にいたしておりますが、この二月の二十日で中央保安協議会として改正委員会からの報告が取りまとめられますならば、直ちに通産大臣に答申をいたしまして、そのまとまりました部分につきましてだけ、保安法の改正を今国会にも提案していきたいと、こういうふうな段取りを考えておるわけでございます。
  45. 吉田法晴

    吉田法晴君 たいへん詳しく御指摘になられましたけれども、詳しくやる時間がございませんので、他日に詳細は譲りたいと思います。御了承願います。  ただ、保安問題にも関連をいたしますが、保安関係についても、救いがたいものについては整理をするという方策が行なわれ、あるいは既存の鉱山について強化が要請され、あるいは強化されつつございますが、実際には、閉山をしました山を第二会社にしたり、あるいは租鉱権設定のもとに別な経営者がやると、こういうことが行なわれ、この点は、これは石炭局長にも関連するかと思いますけれども、この移行の姿、その中に保安問題についても、あるいは労働条件の問題について、きわめて重要な問題がございまして、開坑についても、十分規制をしなければならぬが、第二会社あるいは租鉱権、あるいは整理もしながら組夫や臨時夫を入れていくという点については、これは何らかの規制をしなければ、条件の悪化——保安なりあるいは労働条件の悪化、そうして起こる災害、あるいは弊害について、除去できないじゃないか、こういう議論が相当強くございます。まあ租鉱権問題については、鉱業法との関連もございますが、これについて石炭局長それから保安局長で、何といいますか、弊害の再生産について、それを防止するために、どういう工合に対処しようとしおられるか、その点だけ承っておきたい。
  46. 今井博

    政府委員(今井博君) 御指摘の第二会社の問題、あるいは租鉱権設定の問題につきましては、方向としては、現在の石炭合理化の大きな方向である大規模化という方向から見ると、私たちは好ましい方向とは考えておりません。しかし、実際問題といたしまして、炭量があまりなくなるとか、あるいは非常な赤字の山でありますとかいう場合に、これを一体どうするかという具体問題にぶつかった場合に、これを切り離してやったほうがあらゆる角度から見て、あるいは労働者側の状態から見てもやむを得ないのじゃないかというふうな場合、あるいはその地域の関係から見ても、地元としても非常に熱望がある、まあこういった場合には、やむを得ない措置として、これを認めていかざるを得ないじゃないかというふうな事例にしばしばぶつかっておるわけでありまして、この場合には、やはり坑口の使用の許可の問題が引っかかるわけでございまして、この場合には、やはりこの前の保安措置法の制定にあたりましても、保安の問題あるいは経理能力の問題等を十分に考えて、それを認めるかどうかということにいたすことになっておりますので、一般的な傾向としてございまするそういう保安に手を抜くのじゃないか、あるいは労働強化になるのじゃないかというふうな面につきましては、われわれも実情を十分調査して、坑口の使用の許可にあたりまして十分な調査審議を加えるつもりでおります。
  47. 吉田法晴

    吉田法晴君 新しく開設するものについても十分な監督がなされなきゃならん、選別がなされなきゃならん、それから租鉱権の設定のごときは、これは全面的に認めるべきではないじゃないか、こういう議論がございますが、かりに今言われますように他の経営者なり経営形態を移さなきゃならん場合についても、十分これは選別といいますか、坑口許可の際のあれもありますが、施業案についても監督ができることとし、これらの点について、十分厳重な条件を付して、常に監督ができるようにひとつお願いをいたしたい。その具体的措置にはいる時間もございませんけれども、現に新しく許可された炭鉱で、坑道は一本しかない、こういう坑口といいますか、あるいは炭鉱があることは御承知のとおり。それからあるいは労災保険金を滞納しておる山が相当あったり、それから保安の基準についてもなおさらのこと。労働条件の点はあと労働省からいたしますけれども、これらの点について十分基準をつくって、そういうだれが見ても好ましくない状態で稼行を続けることのないように、石炭局、保安局、ひとつ共同をして許可にあたりあるいは稼行にあたって、そういう危険といいますか、あるいは人道無視の条件の行なわれないようにお願いをしたい。特にその点の基準の励行については、基準を厳格に設けて励行させる点については、ひとつ監督行政の点でしっかりお願いしたいと思います。それを要望をいたしておきます。  それから、あと労働省の関係ですが、決議の中で、「雇用の安定約確保」、それから「離職者対策」、それから「産炭地の振興」の中にも「雇用の増大」という点があったのでありますが、衆議院での質疑、あるいは折衝の過程を見てみますと、この決議を、あるいは労働省はご存じないのかしら、こういう感じがする点もございますが、そこで、決議案文をお持ちでなければ一部差し上げてもかまわぬのですが、その中で、「労働者生活雇用の安定について最大の努力を払い、転換職場生活保障のない合理化とならないよう指導を行うこと」という点は、これは石炭局にも関係をいたしますし、先ほども通産大臣石炭局長質疑をいたしてきたところですが、なお新しい産業、あるいは新しい炭鉱等について、生活雇用を安定する施策を確立してもらいたいという点は要望しておるところですが、新しい産業といいますか、職場での職業の保証については、一そう計画的に策定を願いたい。  それから「最低賃金制を確立すること」とございますが、中央賃金審議会には、実施を含めて審議がされている。決議精神は、最低賃金制を確立するということですから、これは政府としては、当然、実施を前提にし、いかように実施をするかという諮問がなされるべきはずなのに、実施の可否を含めて諮問がなされているようです。その点は決議精神とは、これは反すると思う。決議をいたします際には、政府を代表して通産大臣から、決議精神を実施をいたして参りたいという決議を述べられましたけれども、その後の実態は、必ずしも決議精神どおりではないように思いますので、最低賃金制度の問題について、その後の運営、あるいは実施のために、どういう工合に推進をしていかれるか。  それから、離職者対策について新規施策として、予算を含んで相当の努力がなされたという点は、私ども承知をいたしておりますし、項目あるいは金額の増加したところについては感謝をしなければなりませんが、「雇用補償制度等の創設を講ずること」という点については、まだ十分ではないように思います。  それから、訓練手当の増額、訓練中の別居手当、技能習得費と失業保険の併給等については御考慮を願ったようでありますが、「訓練終了者に対する就職待機のための保証等の措置を講ずること」という点等については、昨日来の衆議院での折衝を見ておりますと、これらの点については、労働省はご存じなかったのじゃないかと思われる節さえございます。  この残っております点について、どういう工合にされようとしておるのか。これは、ほかの点はあまり問題はございませんが、それらの二、三の点についてお尋ねしておきたい。
  48. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) さきにいただきました附帯決議につきまして、まず、政府のとりました施策のうち、離職者対策について御説明を申し上げます。  離職者対策につきましては、われわれとしましては、この決議の趣旨は十二分に盛り込んで今回法案等も提出しております。予算額といたしましては、昨年度の離職者対策の総額が約四十億でございましたのに対しまして、今年度におきましては六十七億の予算を計上いたしております。なかんづく新しい施策といたしましては、三十五才以上の中高年層の雇用を促進するために、雇用奨励金の制度を創設いたしました。それから、それと並行いたしまして、訓練を受けるために扶養家族と別居いたしまして、訓練寄宿舎に入る、こういう者に対しましては、月額三千六百円の別居手当を支給する、さらに失業保険を受けながら訓練を受ける者に対しましては、技能習得手当といたしまして、日額七十円を併給いたす、こういう措置をとっております。これに関する法的措置といたしましては、炭鉱離職者臨時措置法等の一部改正法案を現在衆議院で御審議いただいております。  なお、御指摘の「訓練終了者に対する就職待機のための保証」でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、訓練の課程——カテゴリーといたしまして、たとえばブロック工であれば、どの程度まで技能が達すれば終了するのだ、その点で訓練の課程を組んでおります。その課程にいろいろの都合で達しない、そういうことで就職できない者につきましては、たとえばそのブロック建築そのものの訓練期間がやはり不十分ではないか、そういうことで訓練職種全体として延ばすようなことを現在検討いたしております。具体的に今結論が出ておりますのは、電工の訓練につきましては、たとえば今六カ月でございますが、これを七カ月程度に一カ月延ばしたい、それによって、通産省がやっておられます電気工事士免許がとれる、そういうような点で訓練期間を延長いたしまして、訓練所を出れば、すべて全員次の新しい職場につけていただけるように保障をいたしたい、こういうことで検討をいたしております。  なお、その訓練期間の延長中はもとより失業保険金の支給及び技能習得手当の併給はなされることになりますので、決議の趣旨には合致するのではなかろうか、こう考えております。
  49. 吉田法晴

    吉田法晴君 精神に合致するということで、別居手当や技能習得手当、それから訓練期間の延長等のお話がございましたけれども、「訓練終了者に対する就職待機のための保証等」という点は、文字そのものからいって、やっぱり必ずしも十分でないという点は、若干お認めいただいたように思うのですけれども、前収補償とか、あるいは就職までの訓練期間の延長等々の話も、実は途中で出ておったくらいですから、それが与党の御賛成を得て、「訓練終了者に対する就職待機のための保証等の措置を講ずること」という文字になったのですから、精神だけは生かされた、そのものずばりは言っていないからということでは、これは済まない。あるいは訓練期間を実際に就職をするまで延長するという方策ででも対処していただけるのか、それは今お話のように、就職待機のための保証等が、訓練期間の延長ということで、それは若干の径庭があるように思うのですが、あるいはどういうように施策をやろうとするか、重ねてお尋ねします。
  50. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 訓練期間の延長につきましては、個々別々に——就職できない者はすべて訓練所に収容しておって、その間に、失業保険ないしは訓練手当を支給することにいたしますと、就職意欲がない君について、いつまでも訓練所に残留する、そういう結果になって、われわれとしては望ましくないことだと考えます。したがいまして、訓練所に入ったけれども、訓練期間が短いとかあるいは訓練の資材あるいは教えかたが不十分である、そのために初めに考えておりました技能習得目標に達していない、あるいは不十分である、そういうために就職が困難な者につきましては、追加的に訓練期間を延長いたします。それによって完全な就職確保したい、こういうことを考えております。
  51. 吉田法晴

    吉田法晴君 訓練期間の延長については、先ほどお話を伺いましたし、ここに、たとえば電工であるとか職種によって、訓練期間が延長されることはわかったのですけれども、訓練終了者に対する就職待機のための保証というのを、就労の意思のない骨を云々というお話で弁明をされましたけれども、そういう趣旨ででの決議がなされておるものでないことは、これは言うまでもございません。水掛論になりますから、与党の御賛成を得て訓練終了者に対する就職待機のための保証措置を講ずることをきめて、それを実施いたしたいと、大臣から答弁がなされたわけですから、さらにひとつ御検討をお願いする、実施をお願いをいたします。  それから小さいことですが、別居手当のお話がございましたが、訓練を受けておる者の別居手当であることは、私も承知をいたしておりますが、ただ訓練所に通勤をしておる者については、別居手当を支給をしない、こういうお話。ところが自宅から通勤をしておる者、これは問題ないのですが、しかしその他の、たとえば炭鉱地帯を離れて別のところで訓練を受けておる者、訓練所が収容を全部し切れればともかくですが、当然そうでない者については、別居手当を支給されるべきだと思いますが、それとも、全部収容し得るように施設を至急に作るのだ、こういう建前ですか、ここのところをちょっと伺いたい。
  52. 北川俊夫

    説明員(北川俊夫君) 訓練の付属宿泊施設につきましては、現在八百人ほど定員を収容できるようになっております。現実に収容しております者は、その二割程度でございます。非常に訓練の宿泊施設が利用されておらない、そういう現状でございます。  したがいまして、そういう訓練施設を活用するためにも、この別居手当は一応当面の間は、そういう施設に入る者に限って支給することといたしております。今先生の御指摘のように、訓練施設が一ぱいになりまして、なおかつ収容できずに別居するような者につきましては、そういう事態が生じましたときに考慮さしていただきたい、こう考えております。
  53. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど最低賃金制度についてお尋ねいたしましたが、賃金課長の御答弁はいかがですか。
  54. 東村金之助

    説明員東村金之助君) 石炭産業におきます最低賃金制につきましては、昨年の十月に中央最低賃金審議会に、その検討方をお願いしたところでございます。中央最低賃金審議会におきましても、公労使三者構成でできておりますが、小委員会を設けまして、その後、月大体平均二回ないし三回審議を重ねておりますが、関係官庁の御意見、それから関係者の御意見等を聴取するとともに、北九州の筑豊地域の実態視察をする、こういうふうにして審議を重ねて参っております。現在におきましては、詳しい資料がございませんので、賃金とか経営についての全国的な規模の賃金実態調査を現在やっております。これができましたならば、早急にこの問題について、具体的な掘り下げ審議がさらに進められると思います。政府といたしましては、この御結論が出ましたならば、すみやかに善処したい、こういう態度でございます。
  55. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど、実施するかどうかを含めて諮問をせられておるものだから、業者と申しますか、経営者を含んで相当に反対の意見委員会で述べられたと承った。二、三日前の衆議院質問を通じても、総理から最低賃金制度の実施は、必要を前提にして諮問をし、早急に結論を出したい、こういう答弁がなされております。したがって実施をするかどうかということまで議論をするということは、決議精神にも反しますし、それから総理の答弁とも、これは私は反するのじゃないかと思う。したがって、特に賃金審議会の運営の仕方についても、再検討といいますか、少なくとも労働省からは指導といいますか、示唆を与えらるべき点があろうと思うのですが、それらの点はいかがですか。
  56. 東村金之助

    説明員東村金之助君) ただいま御指摘のような最低賃金制を実施する必要があるかどうかという問題も確かにございますけれども、それはただ単に必要であるとかないとかいう一般論ではなくて、もう少し具体的に、今お話のございましたように、実施という前提ならば前提を立てましてやった場合には、これでは、こういう問題が起こる、これではこういう問題が発生するではないかという問題まで含めて、最終的に総合的に結論を出したい、こういう態度で御検討を願っておるわけでございます。
  57. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は審議会の運営の問題、あるいは要請なり指導といいますか、示唆の問題だと思いますから、総理の答弁が二、三日前に、はっきりあったことですから、今後の運営にそれが反映をするように要望をいたすにとどめます。ただ最低賃金制度を確立することと、しかもすみやかに、こういうことですが、これに関連をいたしまして、最低賃金保障制度の点が論議をされております。これは最低貸金制度として十八才で幾ら云々という最低賃金の立て方の問題だと思います。しかし関連をいたしますから、炭鉱の実態は、あるいは縮小をいたしましたり、閉山をして第二会社にいたしたりしますと、労働条件が従来よりも非常に悪くなる。そうして坑外のたとえば修繕をいたしますとか、あるいは小さいものを作る、あるいは電工その他についても、坑外、平均をして一万幾らという賃金にすらなっておる。したがって炭鉱から技能のある労働者あるいは基幹労務者といいますか、——残っておる者は年寄りと云々ということで、考えられるような生産性を上げる、あるいは近代的な山になる、機械化していくという場合の中心になる労働者が流出する危険等も、現にこれはあるわけです。北九州の炭鉱の中に、現にそういう事態が起こっておる。  そこで最低賃金制に関連をして坑内、坑外とも賃金の保障制度を確立する必要があると実情は考えられるわけですが、それらの点については、どういう工合に考えられるか、あるいは最低賃金制と関連をして推進されるかどうか伺いたい。
  58. 東村金之助

    説明員東村金之助君) 先生の今おっしゃいました最低賃金保障制というのは、法定の最低賃金制とは別個の考えから、労使のお話の問題だと伺っておりますが、労使が最低保障賃金が必要かどうか、その金額はどのくらいかということをおきめになることで、私は、現在やっておるように拝見しております。これは、労使でおきめになるのが適当ではないか、こういうふうに考えます。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間もございませんし、それから局長以上が来ておられませんから、最後は二人を通じて要望をいたしておきますけれども石炭関係についての決議は、衆議院は独立決議ですから、衆議院決議は十分御承知かもしれませんけれども、参議院の決議は、石炭四法案に対する附帯決議という決議委員会でしたらということで、あるいは労働省等は軽視をされるかもわかりませんけれども、この内容は、衆議院の本会議決議の基礎になりましたものであります。この趣旨は、提案理由の説明の中に織り込んであります。それから参議院の商工委員会決議ではありますけれども、本会議に報告をして、委員長報告がなされて、これは院の意思としても承認をされたところであります。したがってこの中にあります雇用安定確保、あるいはその中に最低賃金の問題もあるし、あるいは離職者対策の問題もあるわけでありますが、さらに産炭地振興の中にも、雇用の増大があり、労働者生活雇用の安定について最大の努力を払い、転換職場生活保障のない合理化にならないように指導する。あるいは労働者職場生活を保障するという精神が、この決議の中に流れておりますだけに、労働省としても、この各項目について最善の努力をして実施をいただくように要望をいたしまして質問を終わります。
  60. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  次回は、都合により二月二十日午後一時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時散会