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1962-07-31 第40回国会 参議院 商工委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月三十一日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   委員の異動 六月四日委員上原正吉辞任につき、 その補欠として斎藤昇君を議長におい て指名した。 六月二十五日委員横川正市君辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。 七月七日委員大泉寛三君、岸田幸雄君、 斎藤昇君、鈴木万平君、高橋進太郎君、 阿部竹松君、椿繁夫君及び加藤正人議員の任期を終了した。 本日委員岡三郎辞任につき、その補 欠として阿具根登君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     武藤 常介君    理事            赤間 文三君            剱木 亨弘君            中田 吉雄君            牛田  寛君    委員            川上 為治君            小林 英三君            吉武 恵市君            阿具根 登君            岡  三郎君            近藤 信一君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   説明員    経済企画政務次    官       舘林三喜男君    通商産業政務次    官       上林 忠次君    通商産業省鉱山    局長      川出 千速君    通商産業省石炭    局長      中野 正一君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    労働省労働基準    局監督課長   小嶋 光男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (鉱山保安問題に関する件)  (石炭緊急対策に関する件)  (金属鉱山問題に関する件)     —————————————
  2. 武藤常介

    委員長武藤常介君) これより商工委員会を開会いたします。  上林通産政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上林通産政務次官
  3. 上林忠次

    説明員上林忠次君) ちょっとごあいさつ申し上げます。  私、このたび通産政務次官を仰せつかった上林でございます。偶然こういうような大任を仰せつかったのでありますが、もとより浅学非才、この任にあらずということを確信しておりますが)私は七、八年前通産委員をやめまして、それ以来ほとんどこの通産行政のほうはタッチしておりませんので、しろうとでございます。皆さんのお助けを得まして、何とぞ多難な、多事なこの通産行政福田大臣を補佐して円満に勤めを果たしていきたいというようなつもりでおります。どうぞ、これまで平素以上の皆さんの御指導、御支援をいただきまして、この勤めを完遂さしていただきますように、この上ともの御支援をお願い申し上げまして、私のごあいさつにいたします。どうぞよろしくお願いします。     —————————————
  4. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、鉱山保安問題、石炭緊急対策及び金属鉱山問題に関し調査を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 私は石炭局長にお尋ねしたいと思うのですが、その第一は、きのう連絡はとっておきましたが、七月の初めに御存じのように集中豪雨によって長崎県の北松浦地区一帯、特に江迎町並びに江迎地区炭鉱等におきまして相当被害が発生しておるわけでございます。今日、特にその中で江迎鉱業所被害状況と、さらにまた当面の復旧措置等について二、三お尋ねしたいと、こう考えております。  江迎鉱業所は、昭和十二年に開鉱して六百万トンの大きなボタ山があるわけです。これが今申し上げたように、集中豪雨の結果、くずれ出して、地すべりを起こして、約二百万トン近くが一時に流出してしまったわけです。その結果、炭住が百七十三世帯一般民家商店が三十七世帯、倒壊、埋没、まだ国鉄潜竜駅の構内、九電の変電所、鉄道が三百メートル埋没、さらに江迎川が三十メートルにわたり埋没遮断されるという大きな災害が発生した.わけです。幸い、今回の災害に際して、関係機関緊急措置よろしきを得たために、人命には一人の被害もなかった。これは幸いであったと考えておるわけです。私も現地を視察して参りましたが、現在の状況は、巨大なボタ山が地肌をむき出しにして、そしてまた地すべり商店街の目の前に迫ってきておる、こういうわけで、異常な災害を及ぼしておるわけです。  炭鉱披露額を見ますと、口窒江迎鉱業所が二億八千万円、潜竜炭鉱が二千万円、野口鉱業が一千万円と言われておるわけで、今申し上げた被害額は、当面、応急臨時復旧に必要なお金がこれだけ要ると、こういうわけです。その他商店街被害だとか、国鉄被害、さきに申した九州電力の被害電信電話被害道路公共土木施設被害、農地、農業用施設被害河川被害、あるいはまた地方財政に対する影響等と、これを見ますと、相当大きな額に上るわけでございますが、この一般的な公共施設復旧その他については、政府においてしかるべき措置がこの臨時国会においてとらるることを私は確信しておりますが、当面この日豊江迎鉱業所被害というものが相当額に上っておる。この復旧のためには、三カ月ないし四カ月期間が必要だ、こういうことを現地から訴えてきておりますが、石炭局としては、被害調査結果に基づかれて、どういう措置を、あるいはまた行政指導の面において現地からの要望に基づいて、どういう金融あっせんその他についての努力をしておられるのか、こういう点について、まず伺ってみたいと思います。
  6. 中野正一

    説明員中野正一君) 長崎県の江迎炭鉱のボ夕山が、先般の七月上旬の豪雨によりまして流出をいたしまして、今、先生が御指摘になったような状況にございます。われわれといたしましては、全般の災害復旧につきましてもいろいろ心配しておりますが、さしあたり炭鉱再開ということを一日も早くできまするように現地にも連絡をいたしまして、現地福岡通産局からもさっそく係官が出まして、いろいろ調査をし、また会社とも打ち合わせをいたしまして炭鉱再開について努力をいたしておるわけであります。被害総額につきましては、今、先生が御指摘になりましたとおりでございます。炭鉱自体といたしまして、約二億六千万円、これは面接の被害が一億八百万円、それから減産によりまする間接被害、約一億五千万円というふうに大体推定をしておるわけであります。  これを復旧いたさなければならぬわけでありますが、それに要する経費でございますが、直接の復旧費、これは第一坑の巻上機がやられておりますので、この巻上機移転をする。それから坑内の運搬につきましては、今度はベルトコンベアでひとつ運搬しようと、こういうことを会社は考えております。それから人車の不足、それから受電設備が不足いたしますので、そういうことをやるというようなことが中心でございます。  それから住宅の関係でありますが、これは炭住が全部やられたわけでありますが、これにつきましては、幸いにして、近所にありまする日鉄の神田炭鉱の社宅のほうに移転をしてもらうということで、これは当初考えたよりは、あまり金もかからずに順調に参っております。  そういう関係で、まだ会社のほうから詳細な復旧計画は出ておりませんが、先般、東京に社長に来ていただきまして、いろいろわれわれも検計いたしておりますが、復旧費といたしまして約一億円近くの金が要るという計画でございます。今申し上げた巻上機ベルトコンベア施設その他でそういうことになっております。  ただ、それ以外に、先ほど申し上げました減収補てんに見合うところの運転資金というものが、やはり一億五千万円くらい必要じゃないかというふうに考えます。これの資金の手当でございますが、日窒鉱業相当内容のいい会社でございますから、市中金融で、さしあたりまかなったらどうかというお話もいたしまして、この点につきまして地元通産局で、いろいろあっせんをいたしております。地元銀行から相当部分を借りることができる見通しがたちましたので、さっそく復旧にかかることになっておるわけでございます。  そういうことで、今の計画では、九月の上旬以降二万七、八千トンの生産にこぎつけるべく、これは会社経営者、労働組合協力いたしまして、現地で一生懸命でやっておられるわけであります。できるだけ早い機会整備を行ないましてやりたいということで、坑内配電関係は八月一ぱいぐらいで、大体整備が終わり得るのじゃないかという見通しでございます。そういうことで、九月の上旬以降に、できるだけ生産が順調に再開できるように、われわれとしても努力したいというふうに考えております。  なお資金関係でございますが、この江迎炭鉱に対しましては、従来三十五年度から開発銀行資金、それから通産省のほうで持っておりますいわゆる合理化事業団を通ずる近代化資金というものを今まで出しておりますので、今度の復旧にあたりまして、そういう近代化資金等が利用できるような面がございますれば、政府としても応援をしたいということで、これは会社のほうの計画を十分検討してからのことになると思いますが、そういう点につきましても、できるだけの応援をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  7. 田畑金光

    田畑金光君 御説明で、大体その後の状況についてわかりましたが、今、局長お話ありましたように、江迎鉱業所昭和二十八年の第一次合理化を実施してから、ちょうど第三次合理化を進めておるその最中に、しかも江迎鉱業所としては一番大事な本坑、今お話の一坑がやられたわけです。企業体としても致命的な打撃で、一時は、こういう石炭の時期でもあるので、閉山するかというようなことも言われて、これが労働組合等にとっても非常な不安をもたらしていたわけでございますけれども、その後お話のように山を再建する、こういうことになって、労使が協力して、今再建に乗り出しておるという実情のようであります。たとえば七月十五日の支払いになっておる六月分の給与についても、そのうち三割は労組も協力して再建資金に留保して、六月分の賃金も七割しか受けていない、こういうような協力的な態度で再建に乗り出しておるわけでございますが、しかしこの復旧には、今お話のように三カ月ないし四カ月かかる。問題は当面の復旧に要する資金がかれこれ二億六千万、この中には直接被害間接被害も入っておりますが、この運転資金のめどがっくかとうかというところに、再建のいかんがかかっておるわけです。江迎鉱業所の今日の雇用関係人員状況を見ますと、働いておる人方状況を見ますと、鉱員が千五百二名、ほかに職員が百五十名、かれこれ千五、六百の人員を抱えておるわけです。長崎県にとっても大きな山の一つであるわけです。ことに、この山が存続するかしないかということは、江迎町の住民、特に商店街人方にとっては非常な不安の一つであって、現地にわれわれが参りましたときも、避難しておる商店街人方が、まず第一に心配したのは、江迎鉱業所は存続するかしないか、こういうことを聞いてくるわけです。そういうことを見たとき、今お話の当面の金融措置がつくかっかぬかということが一番大事な問題ですが、お話によりますと、現地通産局あっせん等に乗り出しておるそうでございますが、具体的に現地金融機関というのは、どの金融機関であるのか、どのようなあっせんの経過になっておるのか、そういう点について、もっと詳しくお聞きしたいと考えるわけです。同時にお願いしたいことは、現地通産局にこういう大きな問題をまかしても、これはなかなか今日の石炭実情ですから、現地の地方銀行だけで解決できる問題でなかろうとこれは見ておるわけです。やはり私は、この会社のとの鉱業所取引銀行三菱信託と聞きましたが、だけでなくして、やはり開銀とか興銀とか、こういう長期取引銀行とも話し合いをしなければ、なかなか金融措置解決はつかぬと、こう見ておるのですが、こういう問題等については、もっと局長あるいは次官ないし大臣等が中に立って話を進めるくらいの気持で努力をしてもらわぬと困ると思うのですが、この辺の事情を、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  8. 中野正一

    説明員中野正一君) 江迎鉱山再建につきましては、今先生の御指摘のとおりでございまして、これは通産省としても、何とか早く再開できるようにということで、先般も社長にきていただきまして、いろいろ事情を聞いたのでございますが、さしあたり現地取引銀行——親和銀行でありますが、これは佐世保にあるのです。親和銀行、それから信託銀行等で、さしあたり運転資金は、現地からの通産局からの報告によりますと、確保できる見通しがついたというととでございまして、先ほど申し上げましたように、従来から開発銀行なり近代化資金等設備合理化をやっておりますから、そういうものは短期の金でなしに、長期の金が必要であれば、われわれのほうでも考えたいということで、もちろん私も問題によりますれば、あっせんに乗り出してやりたいというふうに考えております。ただ経営者の方々も非常に一時は閉山じゃないかというようなふうなこともうわさされたのでございますが、労使協調のもとに再建しようということになりましたので、その辺につきましては、非常に熱心に関係のところを回られてやっておられますので、今のところでは何とか再開さしあたりの金は調達できるのじゃないか。ただ先ほど申し上げましたように、いろいろこれに伴って長期の金もございますので、そういう面については、また関係銀行等とも協議しながら、私のほうで推進をして参りたいというふうに考えております。
  9. 田畑金光

    田畑金光君 局長答弁を信用しないわけじゃないのですが、しかしこの種問題は、今日の金融引き締めの時期でもあるし、相手が炭鉱であるし、しかも、それは災害復旧に要する資金であるという性格を見たとき、お話親和銀行が協力してくれるかどうか、実際貸してくれるかどうか、多分にわれわれは疑念を持つわけです。また国会答弁はそうであっても、実際、具体的に問題の解決を見るということもなかなか時間がかかるし、また、せっかく金額等においても、必要な資金が得られない。結論を出すまでには紆余曲折、なかなか骨が折れる、こういうことを考えて見たとき、今の局長の大体一めどがついたという現地報告だけで、われわれは安心するわけにいかぬわけで、この点は、さらに現地のほうに連絡願って報告を求められて、いつごろまでにどの程度金額がものになりそうなのか、それは一体、当面の運転資金に間に合うのかどうか、そういうこと等も、十分調査報告していただきたいと考えるわけです。  さらにまた、今局長答弁の中でも、長期資金等については、例の近代化資金等について、局長としてもあっせんを考えておると、こういうお話でありますので、私も初めて、江迎鉱業所相当近代化合理化のために努力をしているということを、この間現地で見まして、ああいう仕事であるならば、当然政府財政資金で裏づけられておる近代化資金の貸し出しの対象になり得る合理化だと、こう見ておりますので、こういう面も、やはり行政指導なり山元の実情に即して、早く解決することを私は強く希望しているわけです。  こういう点について局長としてひとつ、私の今言ったような現地の現実の状態等に対する調査報告をすみやかな機会に、もう、また国会も開かれますから、この国会においても、しばしばこれを実行されておるかどうか確かめたいと思いますので、局長の善処を要望したいと思っておりますが、御意見を承りたいと思います。
  10. 中野正一

    説明員中野正一君) 今御指摘のありましたように、私といたしましても、現地とも連絡をとり、また会社とも十分相談をしながら、再建についてできるだけのことをいたしたいというふうに考えております。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連江迎の問題が出ましたから、関連してお尋ねをいたしたいのですが、これは主として保安局長に対する質問になるのではないかと思いますが、私どもも社会党として現地調査に参りまして、佐賀、長崎熊本等議員調査に参ったのですが、現地ボタがくずれた、それが原因なのか、あるいは山くずれが原因なのか、これはあと復旧とも関連をして、たいへん心配をしているのです。いろいろ調査団も入って調査をされておるようですが、その第一回は、私どもが参りました直後すでに済んで、第二回は、現在は人られたあとだと思います。その中間報告等ができるのかどうか。これはまあボタのことですから、ボタ管理も含んで、今後の問題もございますので、この原因その他について所見を承りたい。  それから第二点は、これは県、それから町、それから通産局の出先と、一体になって対処しなければならぬのですが、佐世保には派遣班もありますし、協力をしていただいておったようですが、多少常駐体制が弱くて、あとあのボタをどうするのか、あるいは家をくずし町を埋めているボタをどうするのかという点について、対策が少しおくれたような感じがします。この復旧と申しますか、あるいは措置について、どういうようにきまってなされようとするのか。一部ボタを干拓にも使う云々という方針が出かかっておったようであります。その点の方針決定をしたところがあれば承りたい。  それから第三点は、これはあの江迎のボ夕山は木も植えて、あれがくずれるということは考えなかったということですけれども、事件の起こります直前には、多少の小さいボタの亀裂というのですか、あるいはすべり等もあって、あの大移動は予見をされたということですね、あのボ夕山だけじゃなくて、古くなった九州あるいは全国のボ夕山について問題があり、台風時期までには、措置をしておかなければならぬ山が相当あるという。で、あの江迎ボタ山についても、あるいは地すべり等防止法の適用であるとか、平生からの管理について、これは結果から見てのことでありますが、若干の手落ちがあったのではないかという、やはり疑問もあったわけであります、ほかのボタ山とも関連をして心配をされているところだし、それがら現地保安部では、ほかにもいろいろ問題があるところがあるし、台風時期までには措置をしておきたい、対策を講じ、万全を期しておきたい、こういう意向等もございましたし、それらの点も一括して御報告願いたいと思います。
  12. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) ただいまの先生の御質問でございますが、第一点は、江迎ボタ山崩壊原因でございます。これは非常にいろいろな原因が錯綜し合って、こういう現象を呈したのではないかということを考えまして、ただいまもお話がございましたように山田前九大の学長を団長といたしまして、地質、農林、土木関係の大学の諸先生方をお願いいたしまして、現地調査を二回にわたってやって参ったわけであります。第一回は一日で、ごく概査でございまして、その後また方針をきめて見に行かれまして、ただいままでに、ほとんど結論は出かかっているように聞いております。私のほうの、石炭のほうの担当課長が、先週からこの調査団報告等を詳細に検討いたしまして、抜本的な対策を立てるための1単にこれは江迎当該ボタ山復旧問題だけでなくて、特にまあ九州におきまして、今後も被害を及ぼすかもしれない各ボタ山につきましての応急対策根本対策を立てるために現地へ参っております。  その中間的な報告につきましては、一応、やはり地すべりによって、こういう現象が起きている、こういう問題があげられるということを報告を受けておりますが、さらにそれに第一ボタ山から第四ボタ山までございまして、第一ボタ山、あの辺は、ほとんど大きな木が植えられて、土地と付合したような形になっております。このボタ山を、現在積んでおります第四ボタ山が、どういうふうにこれを押し流していったか、この辺につきましての的確な報告をまだ受けておりません。きょう、予定といたしましては、けさの汽車で帰って参りまして、今後の対策を講じるように、向うともいろいろ話し合ってくるわけでございますので、相当に、学問的にもいろいろむずかしい点がありまして、電話等でちょっと受けて、すぐにこれを、これによりてこうだというふうに認定もなかなかしがたいところがございまして、担当課長が帰って参りますと、的確にこの点の御説明ができるかと思います。  第二番目としてお話ございました復旧方針でございますが、まず鉱山自体復旧につきましては、ただいま石炭局長からも御説明申し上げたような方向で進んでおりますけれども被害はさらに国道国鉄、それから一般民家河川と、こういうふうに及ぼしてきておるわけでございます。国道にっきましては、自衛隊が復旧作業中でございまして、ただいまの見込みでは、八月の断口までに一応取り明けを完了する。しかし実際に道路として貫通するのは、十日になるのじゃないか、こういう見通しを持っております。この取り明けボタ量は、大体千六百立米取り出せば一応貫通するのじゃないか、道路が使用できるのじゃないか、こういうことでございます。  それからさらに国鉄でございますが、国鉄では、八月の一応の目途を二十口に置いております、八月の二十日に。八月の二十日にこれも取り明けボタ量として、大体千五百立米かぶっているものを取り明けていく、そうしまして列車運行をこの程度でやっていきたい、こういうことでございますが、とれには完全なボタの取り明けでなくて、レールの下に若干これをボタを敷いていくというような形も出てくるのじゃないかというようなことで、一応その辺も見込みまして、八月末にあるいはなることも考えられるわけで、こういう点につきましては、現地監督局も単に佐世保派遣班にまかせることなく、長崎県、そのほか国鉄等も十分に連絡をとりながら、この復旧をお願いしておるわけでございます。  それから河川のほうも、ただいま長崎県といたしまして切りかえる面もできておりまして、ただいま切りかえ作業もとりかかりつつあると聞いております。一般民家十七戸が、これがまだ公民館それから学校のほうに分宿いたしておりますが、これは道路計画、それから河川ともからみまして、まだ、ただいままでにどこに家を建てて移住させるということは、的確にまだ、この点につきましては報告に接しておりません。大体、復旧につきまして以上のような方向で進めております。  それから全体のボ夕山対策でございますが、特にボタ山と申しましても、全国的なボ夕山の対策として考えられるのは、ほとんど九州に尽きるような状態でございます。九州で、ただいま私ども対象といたしておりますボタ山が千四百ございます。で、この千四百のボタ山中に、特に注意を要するボタ山、いわゆる要注意ボタ山として、現地監督局が注目をいたしておりますボタ山が八十一ございます。炭鉱数で四十ございます。一炭鉱当たりボタ山平均でございますが、八十一ございます。この八十一を緊急に調査を進めていきまして、さしあたり応急対策をこれによって講じさせようと、こういうふうに考えております。ただいままでに約二十一でございますか、二十一か二か、調査を完了いたしております。さらに八月中は、この全部のボタ山を完了しまして、その応急対策を講じさせるためには八月中かかるかと思いますけれども先生、ただいま御指摘ございましたように、台風時に、これからまだできるだけ調査を早く進めていって、その打つべき手を打って、あとで崩壊することのないように、なお応急措置を講じさせるためには、一日も早くこの調査を行なわなければならない、かように考えておりますが、何分現地に参りまして、各ボタ山、八十一のボタ山につきまして、どこに欠陥があるか、どうすべきかということを対策を講じつつ調査を進めるわけでございまして、まだ二十一、二程度でございますけれども、できるだけ早く、あとボタ山につきましても調査を進めまして、必要な対策を講じたいと思っております。全体的な、さらに恒久的な対策といたしましては、江迎自体のボタの流出の原因をさらにつき進めていくということが、一つ教訓になるのではないかと考えております。ごらんになりますように、全部おおわれておりまして、それに数本のやはりボーリングを、ここにもまた実施していって、その地すべり状況等もよく把握して、さらに根本的な恒久対策ということを立てる必要もあると思いますので、それからまた、山田前学長を長といたしますボタ山特別調査団にも、さしあたり応急対策と、それから恒久対策の研究もお願いしておるわけでございまして、こういう調査団等とも、よく話し合いをいたしまして、私どもとしては至急に緊急対策並びに恒久対策を講じていきたいと思っております。  それから、ボタが崩壊前に前兆があったという問題でございますが、これは確かにボタ山の頂部が、七日の甲方には五センチほど下がったということも発見されております。また翌日の八日の朝の二時.ころでございますが、夜中にも監視をいたしておりますと、二十センチくらいまで下がっているという前兆が確かにあったわけでございます。こういう前兆をいち早く発見いたしまして警戒態勢に入り、最後には鉱山側といたしましても、警察のほうに緊急避難命令を出してもらうというような態勢をとって、幸い一名の死傷者もない状態で避難ができたわけでごさいます。  前兆につきましては、以上のような状態であったわけであります。あとは御質問に対しましてお答えしたいと思います。     —————————————
  13. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 議事の途中でありますが、委員の異動がありましたので報告いたします。  ただいま岡三郎君が委員辞任され、その補欠として、阿具根登君が委員に選任されました。
  14. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは質疑を続行いたします。
  15. 吉田法晴

    吉田法晴君 あと要望いたしておきますが、八日の大きなボタ山くずれは前兆があったといってお認めになりましたが、NHKと新聞社は前兆があったということで、現地へ行ってみて、そして大きなボタ山くずれをある程度撮影するというような実態もありました。ところがそれを防止すべきといいますか、あるいは監理すべき通産局保安部の派遣、あるいは消防は行ったかもしれません、警報のあれはあったかもしれませんが、要するに監理すべき側、あるいは防止すべき側については十分でなかったように私ども感ずる。ですからこれは結果の話ですけれども、やはり結果については責任を負わなければならぬ。そしてさかのぼって原因を探求し、対策を立てる。こういうことですけれども、今後の監理については、ボタ山の監理その他について、あるいは山のくずれ防止、あるいは江迎にも若干の危険が残っているというような話ですが、これについては、通産局あるいは建設省、あるいは県等、問題が起こってからですが、必ずしも一体としての十分な態勢がなかったように、私現地で感じるのです。今後の監理と、それから防止の万全の措置について、一体となって当たっていただくことを特にお願いしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、テンポの問題でありますが)調査の結果は、今日最終的ではないかもしれませんが、課長が帰ってきてから報告され、それから立てる、こういうことになっているようです。現地では家が流され、つぶされ、道路あるいは運輸、住宅あるいは生活について、どうなつでいるかということについて、おそい対策については大きな焦慮がある。あるいは不信さえある。ですから、どういう工合に取り片づけるかも、あるいは再発防止をするためには、どれだけの措置を立てなければならぬかということが非常な緊急性をもって急がれ、それにまた第三者というか、関係者の統一本部あるいは対策というものがとられないものだから、焦慮と不安、不信さえある。それから調査の結果も早く実行に移せるように、これは現地のあれから言うと、結論が出るのもおそいといわざるを得ない。きょうはしょうがありませんから、調査なり意見の結果に基いて、すみやかに対策を実施してもらいたい。  それから今後の八十一ボタ山につきましては、八月末を目標にするということですけれども、すでに調査に着手されているかもしりませんが、対策の実施は、これからするのでしょう。八月一ばいしかないわけです。八月一ぱいで、はたして完全にできるかどうかという、多少の危惧なきを得ない。台風すでに秋を待たないできのう、おととい等もきているわけですから、九州一帯については不安があるわけですから、急いでひとつ、万全の措置をしていただくように強く要望をして質問を終わります。
  16. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) ただいまの御要望の点は十分体しまして、私どもはもちろん、現地も、特に建設省、県警の現地機関とは密接な連絡をとりつつ復旧、また今後の問題もございますので、こういう協力の点につきましては、特にただいまの御趣旨のとおりに進めたいと思います。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がありませんので、石炭局長、鉱山保安局長、鉱山局長の三方、労働省から基準監督局がお見えになっていると思いますので、御質問申し上げたいと思いますが、基本的なことは後日に譲ります。  まず、石炭局長にお伺いいたしますが、石炭の今日に対処して緊急対策を講ずるために、銀行筋に対して今日までいろいろ努力をされたことは感謝いたしますが、新聞で見る面では非常に疑問が多いので、折衝をされました局長から、緊急対策に対する考え方と、折衝をされた内容について御説明願います。
  18. 中野正一

    説明員中野正一君) 石炭は、現在非常な窮境にあるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように有沢団長を中心といたします石炭鉱調査団というものが四月六日の閣議決定をみまして総理大臣から任命されました。すでに九州、それから山口県、北海道、常磐地区というふうに現地調査を先週の土曜日に終えまして、八月一ばいいろいろディスカッションしまして、おそくとも九月中旬には中間答申が出る、その答申を待ちまして、政府としては抜本的な根本対策を立てることになっておる次第でございます。  ところが、御承知のように最近石炭産業の能率が相当上がって参りまして、出炭のベースが相当多くなりました。片方需要のほうは、一般に経済界の景気が悪いというようなことも手伝いまして、需要は予定どおり伸びません。こういうことで、貯炭が御承知のようにふえてきており、これがまた会社の経営を圧迫する.これを放っておきますと、だんだんと賃金の欠配とか遅配とかいう事態が起こるのじゃないかということも非常にわれわれも心配をいたしまして、何とかこの窮境を切り抜ける応急措置といいますか、緊急の措置をやるべきであるという結論に達しました。これは有沢団長も非常にそういうことを御心配なさいまして、北海道へ私もお供をしたのでありまするが、帰りまして早速有沢団長と石炭鉱業審議会の会長をしていらっしゃる植村さんとお二人が、通産大臣と大蔵大臣にお会いになりまして、その点を非常に要望されたわけであります。と申しますのは、今言ったような状況になって参りますというと、石炭鉱調査団結論を出す前に、相当の企業が行き詰まってしまう。そうなるというと、調査団結論を出そうと思ったときには、もうすでに情勢が違っているということになりますというと、また再調査をせねばならぬというふうなことにもなるわけでございまして、そういう意味で、われわれもそういう調査団なり石炭鉱業審議会の要望に対しまして、七月の二十七日に石炭対策閣僚会議を開いていただきまして、そこで御承知のような石炭緊急対策というものがきまったのでございまして、これは今の点をちょっと読み上げますというと、今申し上げましたような石炭鉱業の経営内容の悪化は、当面の金融引き締めと相待ちまして、極度の資金不足を現出しており、このまま推移すれば、企業の整備合理化の停滞はもとよりのこと、石炭鉱調査団の答申を待って根本的な解決策が実施される以前に、相当部分の企業の経営に行き詰まりを来たすおそれがある。したがいまして、このような危機を回避するために、政府としては緊急に次の対策を講ずるということで、貯炭資金対策、それから整備資金対策、これは退職金金融の問題でございます。三番目に終閉山対策、四番目に中小炭鉱緊急融資対策、この四項目を、方針だけきめていただきまして、この方針に従いまして、主として大蔵省と事務折衝をやりまして、これは方.針はこれで閣僚会議できまったわけでございますが、これに基づく具体的な数字の点につきましては、きょうの閣議で関係大臣がお話し合いをしていただきまして、まだ私は閣議の結果は聞いておりませんが、大体、今申し上げましたうちの第三番目の終閉山対策、これは主として中小炭鉱等におきまして、この炭鉱閉鎖をいたしまして、ことしからお認めいただきました石炭鉱整備促進交付金の交付を希望するものが非常に多くなっておりますので、現在で約四百五十万トン程度申し込みがきております。予算は御承知のように百二十万トン分しかございませんので、ことしの十二月までに四百五十万トンのうちで、十二月末までにやめるもの、これについては、早急に補助金を交付すべきではないかということで、十二月末までに閉山することを希望して申請しておりますものが約三百二十万トンでございますので、そうしますと、現在も予算が百二十万トンついておりますから、残りの約二百万トン分について、これを予備費から充当する、こういうことに話し合いがっくことになっておるわけであります。  それから二番目の整備資金対策、これは山を閉めましても、退職金が払えない、あるいは退職金が払えないために整備がおくれているというようなことが相当多いようでございます。これにつきましては、なかなか一般の市中金融機関では、長期に寝る金でございますので、貸してくれない。もちろんこれは市中からも極力貸し出しさせますように、われわれとしてもいろいろ話し合いをしております。また今年度から始まりました合理化事業団によりまする融資の保証、退職金金融についての融資の保証制度もできておりますので、そういうものも活用いたしまして、できるだけ市中金融機関からの調達をやらせておりますが、なかなか実際問題としてついてこない、市中金融機関がついてこないということでございますので、本年度の財投の予算できめていただきました十五億、これはすでに、本日をもちまして全部現金化いたしまして、各社に配分いたしました。その十五億では足りませんので、それにさらに追加をいたしまして三十億円、これを資金運用部資金のほうから追加融資をする。これは実は政府だけでこういうことはきめられませんで、資金運用審議会というものがありまして、そこにかけてからでないと、金が出されないというようなことになっておりますので、・早急に資金運用審議会の持ち回りの審議会をやっていただきまして、早急に三十億円の金が出るようにやりたい。この三十億円を財投から石炭合理化事業団に融資をいたしまして、ここから各社へ出させる。この政府から出す整備資金にあわせて市中からも協調的に、市中の金も引っぱり出す、こういうことをやっておるわけでございます。  それから三番目の中小炭鉱金融、緊急融資対策でございますが、とれにつきましては、おおむね中小企業金融公庫から十億円、商工組合中央金庫から五億円、それから商業者、サービス業者等に転業いたしますもの——終閉山に伴いまして転業いたしますもの、そういうものに対して、国民金融公庫から一億円を目途として融資する、大体、この今申しました三項目が、きょうの閣議において通産大臣が御発言なさいまして決定をするのじゃないかというように、われわれも期待をしておるのであります。  なお第一番目の貯炭資金対策につきましては、これはあくまで市中金融機関のコマーシャル・ベースの問題になりますので、政府といたしまして、ぜひこれは必要であるという方針だけをきめまして、上期に生ずる貯炭に必要な資金の融資につきましては、市中金融機関に協力を要請する、同時に日本銀行に対しまして、市中貸し出し調整に対して、実情に応じた特別の配慮をするように要請をするということが、石炭閣僚会議で決定をいたしましたので、この線に沿いまして、昨日私が全国銀行協会連合会の資金調整委員会に出席をいたしまして、これは全部銀行の責任者の集まりでございますので、その席で、石炭鉱業の現在の窮状、また今後のあり方、これに対する政府方針というものをよく御説明をいたしまして、それについては、現在非常に貯炭がふえて困っておる、しかしこの貯炭も、これをいつまでも抱いていくというわけではないので、市中にお願いする以上は、この貯炭がまたはけるということについては、政府も十分に考え、したがって、市中の金融機関ベ−スで十分考えてもらいたいという、また日銀に対しましても、市中金融機関から貸し出しのワク等につきまして要請があった場合には、十分これを配慮していただきたいということを要望いたしまして、そのあとで全銀協の理事会が、それにはもちろん私出ておりませんが、相談をされまして、石炭の問題についての政府方針もわかったので、その融資に応ずるようにしょうじゃないかという申し合わせがあったようであります。ただ、これはあくまでも、全銀協として金をどうするという問題ではございませんので、個々の炭鉱関係金融機関とのコマーシャル・ベースの話し合いになるわけでございまして、そうしてどうしても金が足りないということになれば、日銀でまためんどうを見るというわけであります。そういう立て方になっていくわけでございますので、われわれとしても、十分われわれの要望に対して金融機関が協力をしてくれるものだというふうに期待しておるわけであります。  なお、そういうことで、なかなかうまくいかないという場合には、個々の問題として、われわれがまた解決に乗り出していこう、こういうふうなつもりでおります。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、これは緊急対策だから、やむを得ない、現実問題だということになるのですが、先般の炭労の争議に対して政府答弁し、社会党と政府と話しあった線によりますと、当然こういう事態が来るから調査団を派遣して、そこで調査団結論を見るまでは、こういう首を切るようなことはやらないのだ、こういうことが約束されておるわけなのです。  さらにコスト・ダウンの問題につきましても二百五十円下げる、千二百円の完全実施問題については、これは非常に弾力性のある答え方をされておって、今日のような事態を招かないようにやるという約束であったわけなんです。ところがコストは引き下げたい、二百五十円今度は引き下げるということをがっちり出されておる。そうしておいて、今度閉山が四百五十万トンあるから二百万トンさらに追加したい、こういうことを出されておる。そうすると、これは口に出そうが出すまいが、この問題は、調査団一つの政策になってくるわけなんですね。調査団の内容にもこれは入ってくるわけなんですね。調査団が今日まで調査した結果で、大体どこどこの炭鉱が立っていかないだろう、どうすればいいだろうかということを調査団はきめて答申されるはずだったのです。それを前に、また二百万トンも追加するのだ、あるいは貯炭がふえた、その貯炭は来年の上半期で全部はいてしまうのだ、そして二百五十円は下げるのだ、こういうことを言われておるようですが、そうすれば調査団の答申を待つ前に一今までのようなことをやっていかれる、それまでは、こういう事態が起こらないようにするのは、政府の責任ではないかと思うのです。  それをすでに調査団調査されておるにかかわらず、あるいは単価を下げていくとか一こういう政策をとられるから、ますますこういう手段をとらねばならぬというふうに考えられるのですが、その点が一点と、先を急きますが、たとえば退職金の中に、一つの例を申し上げますと、政府も仲に入って非常に心配していただいた、そして非常な険悪な空気であったのが片づいた、大正の問題ですね。ところが、政府も御承知のように、これは半数以上の人がやめて、しかも退職金も払うという約束であったのに、退職金は今日にいたるまで一銭も払っていない。だから今度は、やめた方々は約束違反じゃないかということで詰め寄っておられる、やめた方々からみれば当然のことだと思う。そういうものが、この退職金の三十億の追加の中に入っておるかどうか。これもただ、市中銀行のコマーシャル・ベースだとおっしゃるならば、これは何にもならないわけなんです。その点——まだたくさんありますけれども、時間がないから、長官もみえたようですから、ごあいさつもあると思いますから、その点だけ。
  20. 中野正一

    説明員中野正一君) 御質問の第一点の二百万トン追加の点につきましては、これは一応計画としましては、三十七年度から三年間で六百二十万トン買いつぶすということは決定をいたしておりまして、大体、先ほど申し上げましたような中小炭鉱を中心としまして非常に希望が熾烈でございますので、これを放っておきますというと、かえってまずいのじゃないかということで、これは当然、七月六日の閣議決定から除外されておる、そういうふうに、われわれは解釈をいたしまして、ただこの点につきましては、手続上、今先生が御指摘になったように、いろいろな問題がございますので、昨日石炭鉱業審議会を開きまして、これはもちろん労働組合代表も、みな入っておるわけでございますが、いろいろ議論はございましたが、やむを得ぬじゃないかということで、審議会に決定していただきましたので、昨日さっそく大蔵省に予算要求をした、こういうことでございます。  三十七年度、二百五十円につきましては、先生指摘のとおりで、これを下げるということは、非常に石炭鉱業としてはつらいわけでございますが、一方には、今度長期契約の引取量の確保の問題等いろいろございまして、これも閣議決定では、石炭鉱業審議会で再検討するということになっておりましたので、七月五日に石炭鉱業審議会を開いていただきまして、これもいろいろ問題ございましたが、やむを得ないということで踏み切ったような次第でございます。  それから大正鉱業の問題につきましても、私も退職したのに、まだ約束の金を払っていないというようなことを聞いております。ただ、これにつきましては、大正鉱業の現在の再建のめどなり、またこれに対する市中の金融機関の協力というものがなければ、これは再建も非常にむずかしい状態にございますので、そういう点等もにらみ合わせまして、今申し上げました政府から金を出す分に入るのか入らないのか、この点につきましては、これからきょう、実はまたそういう金額もきまる予定になっておりますので、大正鉱業の再建状況、そのほかの状況をみまして、どういうふうに処置するか、よく研究したいと思っております。     —————————————
  21. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 議事の途中でございますが、宮澤経済企画庁長官、舘林経済企画政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、この際これを許すことにいたします。宮澤経済企画庁長官。
  22. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 発言機会をお与え下さいまして、まことにありがとうございます。  先般、経済企画庁長官に就任いたしました宮澤喜一でございます。この委員会とは私どもの役所が一番御縁が深い関係にございますので、今後お呼び出しにあずかることもしばしばあろうと存じますし、また、私どものほうから御審議を仰ぎ、また御教示をいただくような場合も、しばしばあろうかと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  23. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 舘林経済企画政務次官。
  24. 舘林三喜男

    説明員舘林三喜男君) 私、このたび経済企画庁の政務次官を仰せつかりました舘林三喜男でございます。まことに浅学非才でございますので、どうぞ皆様方の御指導御鞭撻を得まして、この重責を果たさしていただけますように心からお願いいたします。どうぞひとつ、よろしくお願いいたします。     —————————————
  25. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは前に戻りまして、調査を続行いたします。質疑のおありの方は御発言を願います。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 緊急対策の問題は、現在やられておりますし、特に退職金の問題では微妙な段階でもあると思いますので、後日、十分御質問申し上げたいと思いますし、こういう席でなくて、またずいぶん、いろいろお話を承る機会もあると思いますので、時間もございませんし、一応打ち切ります。  次に、鉱山局長にお尋ねしたいと思うのです。石炭は曲がりなりにも何とか政府が責任をもって動いておられる。もちろん私たちも、まだ質問もたくさん持っておりますし、意見もたくさん持っております。それで万全とは言えないし、次々に労働者が職場を追おれている、こういう事態でございますが、金属鉱山のほうは、そういう政府の補助政策というのか、あるいは金属鉱山に対する新しい政策というようなことはなくて貿易の自由化に、十月にはもう突き進んでいく、こういう状態に追い込まれて、そうして日鉱では三千七百人ですかからの首切りが出された、さらに大土森では閉山を通告された、こういうことでございます。  そういたしますと、石炭と違って非常な苦しい面はわかります。これはわかりますけれども、結局、しわ寄せされた職を失った人は同じだと思うんです。そうすると、その人の対策一体どう考えているのか。しかも石炭は油という競争相手を、これを、政府の政策によって無制限に外国から入れるものだから、だから石炭は非常な圧迫を受けておる。また、これに対する税金対策等も、諸外国から見て非常に日本は、うまくやっておらないから、こんな状態が出てきたのだけれども、金属鉱山のほうでは、質の良質、あるいはそうでないのとか、あるいは含有量の多い、少ないということはありますけれども、同じものなんですね。それを外国から入れてくる。乏しい日本の財源が、それで非常に圧迫を受ける。私、一面から見れば、石炭よりも、鉱山のほうが非常にやりいいのじゃないか。同じものである。同じ鉱石である。ところが、石炭の場合は、一方は油である、一方は石炭である。こういう苦しみもあるでしょう。鉱山のほうはそうではないのに、これを強行された場合に、特に金属鉱山は、御承知のように、これは山の中とか、あるいは離れ島とか、こういうところでやっておる。もしも閉山になったならば、そこへはとても、ほかの企業を持ってくるというようなことは、これは考えもっかない。そうすると、その職場の人は、住みなれた山をどこかに、これは出ていかねばならぬ。残った、山をたよりに生活をしておった人は、これは生活の道は何にもない。こういう非常に悲惨な問題が起きてくる。ところが、石炭は、一応自分の鉱区にどれだけの石炭があるのだ、品位はどれだけだということがはっきりわかっておるわけですね。ところが、金属のほうはわからない。いわゆる非常に大きないいやつをつかんだかと思うと、それがなくなって、また探鉱しておったらいいのがあったというような、この状態があるし、たとえば昭和二十五、六年ごろになりますか、亜鉛、銅が、わが世の春をうたったような、これは銅も鉛も一緒ですが、これはほんとうにわが世の春をうたったような大景気が来た。そういうことが、やはり経営者には夢を見られておる。だから、これを石炭のように、一応、これはもう採算が合わないということで、政府が買い上げるとかなんとかということは、これは考えられておらない。また、業者もそういうことを考えておらない。そうして赤字を続けて、いつの日にか、いい時代が来るぞという夢を持っておる。そうしてそれを持ち切れずに、今度みたいに、大土森みたいに、ばさっと閉山するときには、もう自分のところは、金は一銭もありません、破産です。こういうことを言って、約束しておった退職金も四四%しかありませんと、こういうことを言われたら、これはなんぼ組合と会社が話し合って、そうして退職金もきめ、給料もきめてやっておっても、どうすることもできない。こういうみじめな姿が今日出ておるのですが、これに対して、どういう対策を考えておられるか。  それからもう一つは、ただいま申し上げたような事情もありますので、そういう離職者に対する政府の援助といいますか、そういうものは、何もこれは法的には考えられておらぬわけですね。石炭の場合は、ただいま申し上げられましたように、百二十万トンはことし入るんだ。ところが、四百万トン近くの申請があるから、これを買い上げるとすると、どれだけ失業者が出るのだ。その失業者に対しては、たとえば離職金はどうすべきだ、あるいは、こういう基準を立てて、どうすべきだ、あるいは職業訓練で、どうすべきだ、あるいは住宅は、どうすべきだというようなことが、いろいろ非常に——これでも物足らんで困っておるのですが、一応、考えられておる。ところが、金属のほうでは、何も考えられておらない。ところが、そういう事情があるので、それを法律で考えるということも、なかなか困難だと思うのです。しかし、出てきた失業者は同じだと思う。そうするなら、これに準用するとか、右にならうとかというようなことも考えられなければ、出た失業者というものは、最もみじめな谷間に追い込まれる、こういうことになると思うのですが、以上の点につきまして、局長の考え方を御説明願いたいと思います。
  27. 川出千速

    説明員(川出千速君) 基本的な御質問でございまして、今後の鉱山対策の基本問題に触れる広範な問題だと思います。実は昨年、金属鉱物の自由化が問題になりました際に、いろいろ案を立てました。金属鉱物は、石炭と似たところもございますが、先ほど御指摘のように下がったところもございます。また、金属鉱物は、これは四十、五十の種類がございます。その種類によって、また事情も同一であったり、下がるところもあるかと思います。自由化に全然耐えないもの、自由化に対して、石灰石のように、関税の影響を受けないもの、あるいは相当の影響を受けるけれども対策のいかんによって、これを乗り切っていかれるもの、鉱種によって、いろいろなものがあるかと思います。  まず政府といたしましては、一つは関税の対策をとりまして、関税の引き上げ、これは、あるいは業界から見ると、それだけ負担増になりますので、反対の空気が強かったわけでありますが、鉱山業界の意見をむしろ押し通したという意味で引き上げをいたしました。それからタリフ・クォーターと申しまして、関税割当制度を鉱山に最初に採用いたしました。これは一次関税率と二次関税率と二つに分けまして、一次関税率は、関税ゼロでございます。要輸入量のものについてはゼロでいきます。そのかわりに、それをこえて入ってくるものは、二次関税率の高率関税に、かかって、国内と同等、あるいはそれよりも高くなるという仕組みのタリフ・クォーター制度を採用した−わけであります。それから当分自由化に耐え得ないと思われるもの、たとえば硫黄、硫化鉄鉱等でございますが、これは自由化を当分見送るという方針を立てたわけでございます。  以上が、関税対策でございますが、それに、関税対策は、対策といたしまして、鉱山の体質改善は、これは自由化の有無にかかわらず、当然やって合理化をして、むしろコストを下げていく方向にいかなければならないわけでございます。その点になりますと、これは石炭と異なりまして、先ほど先生から御指摘がございましたように、探鉱をやる、探鉱量をふやすこと、それによりまして埋蔵量がどのくらいあり、品位がどのくらいあるかということをやらないと経営がうまくいかない、長期見通しも立たないわけでございます。品位の高いものを見つければ、コストは非常に下がるわけでございます。たとえば銅に例をとりますと、ほかの条件が全く同一であるということを前提にいたしますと、銅の品位が〇・一%上がりますと、一万円以上のコスト・ダウンになるわけでございます。したがって、コスト・ダウン、合理化のきめ手は探鉱にありということで、探鉱の補助金の増額をいたしました。ただし、これは皆様からも、その金額がきわめて少ないではないかというきびしい御批判を受けておるわけでございます。  そのほか、合理化投資その他の点について努力をして今年に参ったわけであります。今年になりますと、国内金融の引き締めと申しますか、引き締め政策の影響を受けまして、需要が減って参りました。鉱産物の需要が減って参りました。これは長期的に見ると、石炭と違う点かと思いますが、とにかく、鉱産物の需要は非常なカーブで伸びるというようなことになっております。これは一時的な現象かと思いますが、これはスローダウンいたしまして金融難になって参っております。それから鉱量が、だんだん尽きてきておる山も、山によりましてはあるかと思います。これは探鉱が不足ということもありましょうし、鉱山そのものの寿命が来ておるという場合もありましょうし、これは具体的な事情によって異なるかと思います。  それから自由化を直前にしておるわけでございますけれども、特に、今度の十月から自由化を実施することにきめておりますところの、これは中小鉱山が多うございますが、マンガンでございますとか、タングステンでございますとか、あるいはアンチモニーでございますとか、そういうたぐいのものの海外相場が、いろいろな理由によりまして、昨年関税改正の前提といたしました見通しよりも、大幅に下がっておるわけでございます。したがって、これはタリフ・クォーター制度を適用して、十分保護できると思っておりましたが、その二次税率を乗りこえて輸入してくるおそれが多分にあるわけでございまして、これは私どもは緊急問題といたしまして、今その対策を練っておるのでございます。結論は得ておりませんが、このまま今申し上げましたような鉱種を自由化いたしますと、これは非常な大きな影響があることを確認いたしまして、その対策を目下練っておる段階でございます。  それから最近の金融問題でございますが、これは先ほど石炭局長からもお話がございましたが、それほどまで、閣議決定というようなことになっておりませんけれども、前の大臣のときに閣議で話も出て、今金融機関と企業との間で話し合いを進めており、少しずつ効果が表われてきているように聞いておるわけでございます。.今後の問題でございますが、これはやはり緊急かつ長期的な問題といたしましては、鉱山の体質改善ということは、これは絶対に必要かと思います。その点につきましては、これは探鉱がやはり中心であろうかと思います。それから採選鉱、あるいは精練設備合理化も、同様に必要であろうかと思います。それから中小鉱山に対しましては、、金融力も技術能力も劣っているわけでございますから、これに対しましては、格段の保護措置を講じなければならないかと思います。.それから海外の開発でございますとか、税制上の各国並みの措置でございますとか、いろいろな措置がございますが、そういう措置が、効果が現われてくるのには相当の期間がかかるのではないか、その効果が現われてくるまでの間、つまり価格の安定あるいは需給の調節、これをいかにしてやるかということが並行をして、むしろ緊急の問題であります。それを従来、昨年は関税の引き上げということで議論をして参りましたが、この前衆議院の国会の決議もありまして、現在鉱業審議会におきましてへ価格及び需給の安定につきましていかなる方策をとることがいいかということを目下検討中でございまして、まだ結論を得ておりませんけれども、そういう価格及び需給の安定の問題と並行をして、鉱山の体質改善の問題を処理していかなければならないと思います。        それから先生が御指摘になりました、理由は、いろいろあるかもしれないけれども、現実にそういう措置をとっても起きてくる離職者問題というものは、これは、私はあると思います。また、現に起きつつあると思います。これに対して遺憾ながら鉱山の場合は、石炭の場合と異なりまして、これからの問題だものですから、現在は労働省所管の一般的な対策、たとえば失業保険の問題、あるいは雇用促進事業団の関係の問題、この運用をするために鉱山所在地についての広域職業紹介の措置でございますとかいう点はございますが、いわゆる石炭離職者と同じような一種の特別対策でございます、一般対策よりも、その労務転換がきわめて困難であるという点、これは石炭も鉱山も同じでございます。場合によりますと、鉱山のほうが深刻な場合もあるかと私は推測しておりますが、そういう問題について、緊急の措置をとる必要が私はあると思っております。
  28. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、失業者に対しては、たとえば大土森で失業者が出ておりますが、これの事情を聞いてみますと、会社が就職をあっせんする。そして相当、ほとんど大部分の人が仕事につくことができるというようなことがいわれておりますけれども、事実私どもが聞いた範囲内では、いわゆる炭鉱でいう組夫——ここでも組夫でしょうが、そういう下請の、生活の安定しない組夫に就職をあっせんされている。こういう点が非常に多いわけです。そうすると、それでは安心していけないということになるわけです。そうして、これは基準局の方も聞いておいて下さい。あと説明して下さい。たとえば閉山になったから、四四%の退職金しかもう払えませんということで、約束の四四%の退職金を払うと会社はいっている一わけです。そうすると、こういう鉱山では、御承知のように周囲の商店その他、ほとんどかけで品物を買っているわけです。そうするとその人たちは、四四%もらおうが三〇%もらおうが、その金は取りたてにくるわけです。そうするとやめた人は、約束の退職金を半分ももらわずに、今度借りている金はまるまるとられる。その金も払えず動きがとれないということになるのです。一部で聞けば、破産宣告したところから金を取るといってもしようがないじゃないか、貸したものは、みな損するのだから、それは覚悟しなくちゃしょうがないじゃないかというのだけれども、それでは自分が借りている金は、それだけ許してくれるか、これは、許してくれないわけです。一体こういうのに対して、どういう対策を考えられるか、こ  の就職にしても、一応、就職は世話しますよというけれども、安定しない、その日雇いのような仕事に就職をあっせんされる。それでだめだったならば、もうほかに仕事はございませんということになってくるわけです。退職金の場合は、そういうふうにして、十年も十五年も働いても、自分は何十万の退職金があると思っておっても、その四四%しか払わない。ところが借金取りのほうは、そんなことはおかまいなしに取りにくるはずです。こういう点は、一体どうなるのか。この点をひとつ御説明願いたい。どういう救済策を考えられるか。  それから基準局のほうでは、これは一体、どういうふうに見ておられるのか、これも基準局はきていると思いますが、御説明願います。
  29. 川出千速

    説明員(川出千速君) 実は、私もこの問題につきまして非常に心痛いたしているわけでございますが、一山一社の中小鉱山でございますものですから、債権者はほかにもたくさん、資材関係とか、そういうようなことであるように聞いているわけでございます。それで、退職金の半分も払わないというのは、どうも人道的ではないではないかということを私も申したわけでございますけれども、ないものはしようがないということに、突き詰めていうと、そういうことになるわけでございますが、鉱業権を将来売却いたしまして1鉱業権は残っているわけでございます。その売却代金の中から払うという、これは先の話になりますが、そういうことを聞いているわけでございます。今政府が、それではその差額をどういうふうにするかということは、ちょっとむずかしい問題なので、困っているのでございます。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 問題はそこなんですね。石炭の場合は、先ほど御承知のように、これは政府が買い上げるわけです。そうして退職金やら未払い賃金は、優先的に賢い上げた金の中から合理化事業団が払うわけです。ところが、会社は破産だといっておりながら、今度は先ほど申し上げましたように、これが銅の値段が三十万、四十万もするようになったら、高い金で売るわけです。あるいは売らずに自分でまた始めるでしょう。そういう自由を業者には許しておって、その日食えないような人には取ってやれないということが、これは認められるかということです。そういう場合だったなら、強制的に政府なら政府が買い上げる。そうして、それはやはりそういう退職金やら、賃金の未給やらに、優先的にそれを支払うのだ、こういうような考え方は考えられぬですか、もちろんそれは、鉱業権者が一切放棄してしまったというなら別ですよ。これは持っているのです。そうして、ただいまおっしゃいましたように、いつの日かこれが売れるだろう、あるいは今でも売れるかもしれない、しかし、今はこういう時期だからこれは売っても二足三文だ、だから売らないわけなんですね。自分はちゃんと財産として持っているわけです。一方は、その日も食えないような、約束しておる金も払わないわけなんです。自分が財産として持っている、これは三年も五年も先に、莫大な金で売れるかもしれない、あるいは自分たちで事業をやるかもしれない、そういうことが許されるか。これは何とか考えなければならぬのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  31. 川出千速

    説明員(川出千速君) 非常に困難な、むずかしい点があるわけでございます。石炭の場合、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、増産をしていく山と、国が買いつぶしていく山と、これは客観的な基準で、ある程度目鼻がっけられるわけでございます。鉱山の場合は品位の高い山、あるいはコストの低い山はございますけれども、それを増産、ある程度の増産はできましても、増産をして食いつぶしてしまうと、次は閉山ということになるわけでございます。絶えず探鉱をしながらやっていかなければなりません。探鉱をしていった結果、品位が非常に高くなる場合は、これは将来非常に有望になるわけでございます。ところが中小鉱山、先ほどの例は中小鉱山でございますけれども、中小鉱山、必ずしも将来希望がないかと申しますと、そういうわけではないのでございまして、これは探鉱によりまして、あるいは非常にまたいい鉱山に生き返る場合もあるわけでございます。現在の大鉱山といわれているのも、当初は中小鉱山であったのがほとんどでございます。その点、一つの原則と申しますか、ポリシー、ルールを立てて買い上げをするという方針が、金属鉱山の場合には立てにくいわけでございます。これは一つ企業体の中でございますと、幾つもの山を持っておって、そこを重点的にどうするということは、これは企業内部の問題として、いろいろ対策も立て得る場合もございますけれども、なかなかその辺は将来非常にむずかしい問題があろうかと思って、実は困っておる次第でございます。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでですね、今、政府が買い上げというふうに言ったから、そういう問題があるかと思うのですけれども、そういう債権者に対する義務を履行しないようなところに対して、終山をしたなら、これは鉱業権を国が当然没収していいでしょう。そうしないと、あるかないかわからねところを、全部自分の鉱業権として持っている。そうして、まあわずか三億でありますけれども、これは中小鉱山の探鉱費として出している。そういうので、当たれば自分の鉱区だといって、自分でまるまるもうけをする。そうして一方は、自分の思うとおりのことをされるという、日本の今の形態が私は間違っていると思う。何百人と人を雇っておいて、その人たちは、一生それに生命をかけて家族を養っておるわけなんです。自分たちは行き詰まったら、もうこれで終わりだ、まだしかし、自分も財産を持っているのだ、あるかないかわからぬかもしれない、あるいは自分のところにはまだあるのだと思っているかもしれません、あると……。しかし、今売ったんじゃ合わない。先ほどから申しますように、これが銅なら銅、今国内で二十八万、外国からくれば二十六万ということになっておりますが、これがこの二、三年前のような三十万をこしたら、またすぐ手を入れられるような態度で、人を放り出してもいいか。債権者に対して、そんなことでいいか。債権者に対して、それを払い切らずに終山だ、あるいは閉山だというならば、鉱業権は全部国が、これは取り上げてしまう。そうしなければ合わないでしょう。一方は貸した金も取れない。一方は借りた金も払わない。それで自分は、まだどれだけあるかわからぬ鉱区を自分のものだとしておる。そういうことが許されるかというわけですよ。そういうところに、私は抜本的な考え方がなければいかぬ。そうなると、その人たちは無理をしてでも、退職金ぐらい払ってやらなければいかぬという気持になるでしょう。ところが、払わなければ払わないで済む。そうしてあとでいい鉱区が見つかったり、あるいは高くなったら、自分はまたぬくぬくとして仕事を始めたい、そういう勝手なことを許すからいかぬのですよ。石炭の場合でも、買い上げたやつは許可しませんよ。許可すべきじゃないと私は思うのです。許可しませんよ。だったら、そういう金属の場合でも、そんなものは、もう一切鉱業権を放棄したものと、国で没収したらどうですか。そういうことはできないですか。そのくらいの考えがなかったら、一方だけはぬくぬくと、あまりよ過ぎますよ。
  33. 川出千速

    説明員(川出千速君) 御意見、私ももっともな点があると思って拝聴しておるわけでございますけれども、現在の鉱業法でございますか、あるいは今の自由経済制度ということにあるいはなるのかもしれませんですけれども、それを理由にして国が鉱業権を没収する、あるいは国有化するということは、少なくとも現行の制度ではできないわけでございます。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは現行の制度ではできないから、今、こういうことができてきたんだから、そういうことを考えてやるわけにはいかぬかと、審議はわれわれがするのですから、それは、そうしなければ、今まで金属の問題でも、御承知のように外国では、これは産業別ですから、一ぺんストライキやったら、ばたっと日本にこぬわけですよ。だからそういう点で、非常に安定を保つために政策をとられておったと私は思うのです。それも一つ原因だと思うのです。そういうような、よその事態によって日本の産業が上がったり下がったり、そのたびに、失業者が出たりあるいは人が足らなかったり、こういうことは、私はあまりよくないと思うのですがね。だからこういう場合、いったいどうするか。今の法律でやっていけませんよ。ということは、みんながいちばん.よくおわかりだから、ここは、こういうふうなことをやらなければ、とてもやっていけない。これは同じ人間、一方は使っておる、一方は使われておるというだけで、その日からめしも食えない。約束の退職金も払わない。また、業者は退職金を積み立てるようになっておるのに積み立ててもおらない。そういう業者が、業者づらをするのがおかしいのです、私から言わせれば。また、そういうことを許しておる政府がおかしいのです。通産省がおかしいのです。そういうものは許さないというくらいにしなければいかぬと思うのですがね。  これ以上、ここで責めてもしようがないですから、これもあとで、十分また御相談申し上げますが、時間もございませんから、保安の問題で、保安局長さんお見えになっておりますか——保安の問題で御質問申し上げます。  保安の問題で、労働省のほうでは地方の協議会を設けるとか何とかといっておられますが、そういう問題もけっこうだけれども、その前に、きのうも御承知のように、田川ではガス爆発があっておりますね。死んだ人が四名、さらに重傷の人が多い、こういうことがあって、最近、炭鉱災害が非常に引き続いておる。これは災害が起きてから局長を責めても、これはしようがないのですが、実際私は、こういう問題を感情的にものを言いたくないのですけれども、一方は首を切られ、一方では賃金が遅配、欠配、夏季手当は分割払いだと、そうしておって、山はつぶされる、一方では、ほとんど月に何回か、何人か、何十人かが落盤やガスで死んでいく、こういうことで一体いいだろうか。私は日本の政治が、私たちもあわせて間違っておると思うのです。命をかけて働くような人は、いつでも首を切られる、いつでも賃金の遅欠配ができる、背広を着てネクタイをきちんと結んで冷暖房で働く人は、一生保障されておる、こういうような、ばかなあり方は私はないと思うのですよ。もしもこういうことが、政府部内のところにあったとしたなら一体どうなるか。一方では、たとえば先ほど問題になっておりました金属鉱山でも、五十才以上は首切りだと、こういうことを官庁でやってみなさい、一体どうなる、官庁は、親方日の丸でいいだろうが、一方は、少し利潤が少なくなったらお前はやめろ、それでその人たちは、仕事をすればいつ死ぬかわからぬ。こういう非常な、あまりにもみじめな姿が私は炭鉱だと思うのですよ。その炭鉱に対してほんとうの手をだれが差し伸べておる、ただ起きてきた事態に対して、こうやくを張るような、あれ何だ、あれ何だとやっておるけれども、実際問題として私はあまりにも、これは大臣おらぬから、あまり言い過ぎてもいかぬけれども、あまりにもやり方がひずんでおると私は思う。  そこで、最近の炭鉱のこの二、三カ月間でいいですから、災害について、ひとつ説明をしていただきたいと思うのです。
  35. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) 鉱山保安の問題でございますが、特に石炭山の災害につきましては、死亡者だけの点から申しますと、この一月から六月まで、本年に入りましての数字でございますけれども、大手が百三十六名、中小が百二十一名で合計二百五十七名の死亡者を出しております。これは前年に比較いたしまして、大手では五名の減少でございます。それから中小では百三名の減少でございます。全体といたしましては、一−六月の本年間の合計では、百八名の対前年で少なくなっております。それからこの七月の一日から二十日まででも、三十八名の死亡者が出ておりますが、こういうふうに死亡者自体だけをとって見ますと、前年よりも、半年間におきましても百八名という減少を示しております。こういう傾向でいきますならば、全体、死亡者の数からだけでは減少傾向にあるのじゃないかと、こういうふうに統計上は見られるわけでございますが、ごく最近になりまして、中級と申しますか、重大災害でございますけれども、再三にわたりましてガス爆発、あるいは落盤等が惹起いたしております。また全体的に見ますと、死亡者のほかに重傷、軽傷というようなものをとってみますと、ほとんど百万人当たりに直しまして横ばい状態にございます。あるいは労働者が滅ってきておるのに災害は減少していないというようなことで、やや逆に上向きではないかというような傾向も感じられるわけでございます。また一方最近の、本年に入りましても、昨日の畠中炭鉱のガス爆発までをかぞえまして、十六件の重大災害を発生しておるわけでございます。こういう傾向がよほど、私どもももとよりでございますが、経営者側におきましても、厳重な保安管理を実施しないならば、昨年発生しましたような大辻、上清というような非常にまあ大きな災害に、こういうものが結びついていくということも考えられるわけでございます。  全体といたしまして、私ども最近の災害を見てみますと、決して改善されていないというふうに……、死亡者の統計から見ますと、ただいま申しましたように滅っておりますけれども、単に統計面だけでなくて、全体を考えてみますと、重傷、軽傷まで入れてみますと、決して災害状況は改善されていない、こういう最近の事情にあるように見受けられます。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長が最後にいわれましたように減っておらないのです。これは数からいえば、大手では五名とか、中小で百三名減っているかもしれませんけれども、この一年間では、相当数の労働者が、炭鉱が減っている、中小炭鉱等も。だから労働者の数は減っているのだから、これは、災害も減っておらないし、私が一番心配するのは大辻、上清の例も出されましたが、私は、こういうことが続いていると必ず大きな事故が起こると思う。三名や五名といっても、これは人命なんです。おそらく私は、今のままでおったならば、本年のうちに、また何十名かの大きな災害が起こるのじゃないかというのを非常に私は心配しているのです。  それからガスの問題が非常にまた多くなってきた、私どもが常識で考えられないようなガスの吐出なんかが起きている、これは局長から説明を聞きましてお互いに、こんなことがあるだろうかと思うぐらいの事故も起こってきている、そういうのが一つと、特に芦別等では、坑内というものをどう考えておられるだろうかという問題を私は考えるわけなんです。これは事情を調べてみると、極端にいえば監督局だってそこまで手が届かない、日曜日に出てきている坑外夫を、その日に坑内で人が足らないから、安全灯は人の名前で借りてきて、そうして坑内に入ることのできない人をお前下れ、お前下れといって下げたのが十六才、十七才、それからろうあ者、こういう人を日曜日に目が届かないから、あるいは大丈夫だろうと、坑内に下がれば日当を五百円上げてやる、こういうことで坑内に下げたという、その感覚が私は非常に大きな問題だと思うのです。そういう人まで坑内に下げなければできないほど人が足らないのに、なぜ首切らなければならぬのかということが今度生まれてくるわけなんです。首はどんどん切っている、そうして炭鉱は人が足らないから、年がまだ達しておらない人とか、ろうあ者、耳が聞こえない、口がしゃべれない、そういう人を坑内に入れた、これは最も悪質だと私は思うのです。この実際からいえば、これは合理化されておるのじやない、合理化はしておらずに、賃金を合理化している、賃金さえ安くすればいい、人間は足らない、足らないから、そういう人を雇っている、こういうことになると思うのです。そこで芦別のその問題、名前も何もわかっておりますが、そういう人たちを坑内に下げた。その人に対して、一体どういう処置をとっておるのか。これはたまたまそういうけが、あるいは死んだ人が出たから、世間の注目を浴びるようになったが、まだまだこういうのがたくさんおるんじゃないか。一カ所に出たということは、おるということを示しておるものとみなさねばならぬわけです。  それに対して、一体とういう処置をとっておられるか、そういう点をひとつ御説明願います。
  37. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) ただいま御指摘ございました三井芦別炭鉱で発生しましたガス爆発のときに、十六才、十七才という未成年者が、これは坑外夫でございますが、坑内で就業しておった、あるいは耳の聞こえない者まで坑内に入っておったという問題でございますが、私も鉱山保安を担当しております者といたしまして、はなはだ残念に思う次第でございます。こういう不具坑夫——あるいは保安の面から見まして、不具者が坑内で安全に働けるはずはないわけでございまして、これには当然、こういうものを下がらしてはならないという、これは不具坑夫の問題は、労働基準法の問題でございまして、別途にお答えあるかとも思いますが、鉱山保安法からの面で、これを検討いたしてみますと、鉱山保安法では、坑内に下がらせるためには、特にこういう甲種炭鉱では、ガスあるいは炭じんの爆発等に対する教育を施さなければ坑内には入れないわけでございまして、当該作業についての保安知識を十分本人に植え付けなければ坑内に下げてはならない、こういう規定があるわけでございます。この面から見まして、明らかにこれは坑外夫でございまして、もちろん八名のうち一名は坑内経験者であったようでございますけれども、そういたしましても、少なくも七名は、坑内には全く未経験者ということになるわけでございます。  この対策といたしましては、この災害が起きました直後に、全国の監督課長会議を開催いたしまして、今までやや私どもの監督の面から見ましても、こういう面に対する、未教育者を入れるというような面からの監督が十分ではなかったように反省されるわけでございます。全国の監督課長会議でも、これを強く要望いたしたわけでございますが、しかし根本は、私どもが、監督官が一カ月に一回とか、あるいは二カ月に一回とかと回って、日々のこういうこっそり入れたというものを、なかなか十分把握し得られない状態にあるのじゃないかと考えられるわけでございます。したがいまして、この根本対策といたしましては、まず炭鉱経営者並びに請負組夫を入れている、この請負組夫の責任者におきまして、十分に、こういうものを坑内に入れてはいけないということを、はっきり認識させることが基本的ではないかと思っております。ただ、こういう単に説教じみたことだけで、こういう事態を防止し得るかどうかという、はたしてそういうことだけで担保し得られるかどうかということに、若干の疑念を抱いているわけでございまして、芦別炭鉱では、この対策といたしまして、請負夫だけ安全灯で識別するようにいたしまして、この請負夫につきましては、写真入りの、いわゆる何と申しますか、入坑札と申しますか、これを作らせまして、これに保安教育も済んだという捺印を会社側でいたしまして、そうして捜検時にこれをチェックしておる。こういう体制もとってもらうようにいたしております。こういう入坑時のチェックは、安全灯で取り締まるか、あるいは捜検——捜検の本来の目的はマッチとかたばことか、あるいは懐炉とかいうものを持っていくかどうかということにあるわけでございますが、さらにこの捜検時に、一番坑内に入るところでございますので、ここで取り締まるか、二カ所しかないんじゃないか、しかし安全灯は、最近だんだんセルフ・サービスにもなってきておりますし、これをこごで取り締まるのでは、どうも完全でない。そうしますと、私どもといたしまして、具体的にこういう人たちを入れない方策としては、やはり捜検の個所において、はっきり見きわめていく、こういうことが一番大切なことじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。  しかし一方におきまして、こういう写真入りというようなことも、また、これを完全に防ぎ得るかというと、これはいろいろ疑問も出てくるわけでございますけれども、基本的には、やはり請負会社においても、特にまた、これを使用する鉱業権者におきまして、はっきりこういう者を使用させない、そういうものがちょっとでも現われた場合には、この請負会社とは契約を解除するというところまではっきりした態度で臨むならば、こういう写真入りのことまでやらなくても、基本的にほとんど済むんじゃないか、こういうふうにも考えられるわけでございます。  しかし、手段といたしまして、なかなかこういう写真入りが唯一の方法かどうか、まだ検討を要すると思いますけれども、こういう方法につきまして、さらに検討をいたしまして、必要なところから強力な指導によりまして、こういう方法を実施する、あるいはごれに準じた方法、さらに何かいい方法があればよろしゅうございますが、今これという方法も、ただいまのところ浮かびませんので、一応、こういう方法につきましての実施方にっきまして、ただいま検討を進めているところでございます。     —————————————
  38. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 議事の途中でありますが、福田通商産業大臣から発言を求められましたので、この際、これを許します。
  39. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私がこのたび通商産業大臣に任ぜられました福田でございます。御承知のように、まことに浅学非才といいますか、はなはだ至らぬ者でございまして、いろいろと皆様の御指導、お教えをいただきまして、大過なく仕事を勤めさせていただきたいと思うのでございます。  今、まあ皆さんすでに御承知のように、石炭といい、電気といい、肥料といい、あるいは自由化の問題といい、もういよいよ最後の最後へきて、どうするかというような踏み切りの問題がたくさんございます。石炭が済めば非鉄金属というようなわけで、いろいろと問題は山稜をいたしておるのでありますが、通商産業省といたしましては、私たちが、ある意味におけるサービス官庁であるという立場から見て、日本の産業が世界の産業に伍して、そして太刀打ちできるように、ひとつこれを大きく育成していくという見地から、まあいろいろな施策をやっていかなければならない、かように考えておる次第でございまして、詳しいことにうきましては、また別の機会皆さんにこれを申し述べさせていただきたいと思うのでありますが、実は本日は、これから大阪へちょっと出かけなければなりませんので、飛行機の都合もございまして、まことに申しわけないのでありますが、皆様にごあいさつだけにとどめさせていただく一わけであります。  どうか、こういうわけでございますので、今後ともひとつ、よろしく御指導を賜わりますことをお願いをいたしまして、ごあいさつといたします。     —————————————
  40. 武藤常介

    委員長武藤常介君) それでは、質疑を続行いたします。
  41. 小嶋光男

    説明員(小嶋光男君) ただいま御指摘の点につきましては、女子年少者の坑内労働者につきましては、実は基準法施行以来、監督の最重点ということで実施してきたわけでございます。事案がきわめて刑法犯的な性格を帯びて参りますので、この違反の絶滅に努力してきたのでございますけれども、最近三井鉱山におきまして、この種事件が起きましたことについて、まことに遺憾に存じておるわけであります。私どもといたしましては、この事件が起こりまして、直ちに、大幸建設に対しまして、司法処分に付したわけでございますけれども、これの監督の責任にございます三井鉱山に対しまして、いわゆる年少者二名、ろうあ者一名を入坑さしておったということについて、現地局長から、厳重な勧告文を出しております。また本省におきましても、本社あてに事務次官から、厳重な注意をした次第でございます。最近の石炭情勢もからみまして、この種違反というものが、あるいは再発するおそれがあるというふうにも考えられますので、三十六年の十一月に、女子年少者の坑内違反労働よ含めましたところの監督方針を、関係局長に対して通達しております。最近に至りまして、この種事件が生じまして、特にこの点に注意するように、現地に通達をいたした次第でございます。  ただ、この女子年少者の坑内入坑の問題につきましては、一応、年少労働者については、年令証明書、それから労働者名簿というような制度が基準法にもございます。やや形式に流れて、監上、手が行き届かないという点も考えられますので、鉱山保安局と連絡をいたしまして、先ほど保安局長からお話がありました入坑労働者の照合措置ということについて、現在、検討中でございます。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、その行為を、たとえば芦別なら芦別の会社がやったとするなら、これは許すことはできない。また監督官が知っておりながら、これを許したというなら、黙認しておったというなら、これまたたいへんなととなんですよ。ところが、坑内に年少労働者を入れることができないとか、不具者を入れることはできないということを百も知っておりながら、安全灯はほかの人の名義で借りてきているわけなんです。そして日曜、たまたま出てきている人たちを追い込めて、坑内作業をやってこい、坑内手当五百円だと、こういうことで、一切をわからないようにしてさせているわけなんです。これは、あのキャップ・ランプをつけて、あの帽子をかぶって坑内服装をすれば、なかなか検身所では、そういうことが今度あったから、これは注意しますけれども、そうでなかったら注意しないわけです。そうすると、被害が起きておらなかったら、これをずっと続けるものとみなさなければならぬわけです。だから、坑内に、こういう人たちは入れられないのだ、いうことを知っておりながら、その要をかいて、その坑内に持っていく安全灯まで、他人の名義で人に借りにやらせて、そしてそっと下げたという行為に対して、もっと何か手きびしいやり方はないかと、私はそう思うのですが、こういうところでさえも、そういうことが、裏からこっそりと、わからないようにたくらんでやるとするならば、中小炭鉱なんかでは、どんなことでもできると思うのです。  そうすると、こういうことも、ほかの炭鉱でやられていやしないかと、たまたま災害が起きておらないからわからぬのじゃないか。これに対して、もっと抜本的なことを考えて、ただいま局長が言われましたように組夫に対しては、安全灯にしるしをつけるとか、あるいは顔写真を張りつける、それもけっこうでしょう。それもけっこうだけれども、やった本人に対する罰則は、これは皆さん送検されればそれで終わりだけれども一体、どういうふうになるのか、そういう悪いことを知っておりながら、知らずにさせたとするなら、これはまた別ですよ。しかし、裏の裏をかいて、そういう非常に何というか、巧妙というのですか、悪らつというのですか、そういうやり方をしている大幸建設の責任者、これは一体、行政としては、そういう人たちに対して、どういうふうな措置をとりますか。もうそういう仕事をさしてはいけないという通告を出しますか。それとも、どういうことをやりますか。ただ送検すれば、それで何もできないのですか、基準局も保安監督部も。
  43. 小嶋光男

    説明員(小嶋光男君) 基準法違反の最終的な処分といたしましては、行政処分のほかに、ただいま私どもがとりました司法処分によって、国法上の罰則を受ける。これが現在の制度としては最終だろうと思うのです。  そのほかに私どもとしては、行政上の措置といたしまして、さらにその監督権を持っているところの二井鉱山に対しても行政処分を行なう、こういうことでございます。
  44. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) 私どもといたしましては、この三井芦別の災害自体も、一つの問題として、これの原因を究明し、さらに保安法違反を摘発いたしまして、これを送致し、刑事罰を加えるというような段階に進んでいくわけでございますが、この組夫が入っておったということ自体と災害原因自体とが、この場合におきましては、一応分離されている点があるわけでございまして、当日はガスの坑内における状態調査するために、公休日でございましたので、主要扇風機を全部停止しておったわけです。そうして主要扇風機を今度は十二時に動かし始めまして、それ以後、今度は順次係員が局部扇風機を運転して歩いていた。そういう過程におきまして、ガス爆発が発生し、それがちょうど排気側——排気と申しましても0片の坑道でございますが、そちらでパイプの張りかえ——パイプの修理、これは四インチから六インチヘ能力を増すためのものでございます。それからその掘進現場が、請負現場の0片でございますが、あの風管の延長、こういう作業をやっておりました組夫の八名、それから、こういう作業がなかなか組夫だけでは完全にいかないので、当時、熟練の山の機電係長から養成しまして、これにつけていた、そうしてその十五名が、ここで働いておったわけでございます。そういうところに波及していった、こういう事態になりておりまして、鉱山保安法につきましては、こういう社会的な問題まで発生している事件でございまして、十分な原因調査——原因調査につきましては、まだ崩落が完全に片づいておりませんので、この崩落が完全に片づきましたあとで、ガスの停滞試験をやりまして、どうやってガスが流れていったかということをやらないと、完全に原因の究明ができないわけでございますが、その究明が終わりまして、その間の鉱山保安法違反というようなこと、これは入れたということ自体は、災害と直接因果関係はなくても、その派生的な問題としての保安法違反問題は、これは当然あるわけでございます。未教育者を入れたということでございますから、その問題と、この事件とからみまして、検察庁に送致するというような段階になっていくと考えられるわけであります。  そのほかに、これだけでこの事件としましての問題は、そういうふうに終わりますけれども、ただいま御指摘のあったこの種の問題に対する、特にこの芦別の問題に対しましては、昨日事務次官が、三井の社長を招致いたしまして、厳重に注意も与え、またこの芦別だけでなく、最近六回にわわたりまして、三井鉱山においては落盤、ガス突出等の災害を発生いたしておりますので、厳重注意を与えた次第でございますが、この本件につきましての、この保安法違反に対します措置につきましては、原因の究明をいたしまして進めていきたい、かように考えております。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 組夫の作業が、四インチ管を六インチ管に直す作業ということになっておりますね。こういうととは、組夫がやる仕事なんですか。組夫の仕事の規制をしたのがありましたね。これは基準局のほうでは御存じないですかね。
  46. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) この大幸建設の組夫は、0片の掘進を受け持つでいて、掘進の作業についていた者でございます。  したがいまして、掘進のほうがパイプが小さくてエアの能力がないということになりますので、これに関連いたしまして、途中のパイプの張りかえ修理というような問題は、これは組夫がここでは受け持っておったと考えられます。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 これでやめますが、最後に、くどいですけれども要望を申し上げておきぐます。  局長も御心配になっておられますように、私どもは今後のことを心配しておるのです。だから局長名で各下部に対して、あるいは山に対して、こういうひんぴんとして事故が起こるということは、これは大きな事故を誘発するおそれが多分にあるといいうことを厳重に通告してもらいたいと思うのです。今度大きな事故が起こりますと、これは容易なことじゃないのです。私はそういう気がしでしょうがないから、この問題、特に最後にお願いしておきます。どうぞ厳重に通達しておいてもらいたいと思います。
  48. 八谷芳裕

    説明員八谷芳裕君) ただいまの阿具根先生の御指摘方向で進めて参りたいと思いますo
  49. 武藤常介

    委員長武藤常介君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本日の調査は、この程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。  次回は、明日午前十時より開会いたします。    午後零時五十五分散会