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説明員(
中野正一君)
石炭は、現在非常な窮境にあるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように有沢団長を中心といたします石
炭鉱業
調査団というものが四月六日の閣議決定をみまして総理大臣から任命されました。すでに
九州、それから山口県、北海道、常磐地区というふうに
現地調査を先週の土曜日に終えまして、八月一ばいいろいろディスカッションしまして、おそくとも九月中旬には中間答申が出る、その答申を待ちまして、
政府としては抜本的な
根本対策を立てることになっておる次第でございます。
ところが、御承知のように最近
石炭産業の能率が
相当上がって参りまして、出炭のベースが
相当多くなりました。片方需要のほうは、一般に経済界の景気が悪いというようなことも手伝いまして、需要は予定どおり伸びません。こういうことで、貯炭が御承知のようにふえてきており、これがまた
会社の経営を圧迫する.これを放っておきますと、だんだんと賃金の欠配とか遅配とかいう事態が起こるのじゃないかということも非常にわれわれも
心配をいたしまして、何とかこの窮境を切り抜ける
応急措置といいますか、緊急の
措置をやるべきであるという
結論に達しました。これは有沢団長も非常にそういうことを御
心配なさいまして、北海道へ私もお供をしたのでありまするが、帰りまして早速有沢団長と石
炭鉱業審議会の会長をしていらっしゃる植村さんとお二人が、通産大臣と大蔵大臣にお会いになりまして、その点を非常に要望されたわけであります。と申しますのは、今言ったような
状況になって参りますというと、石
炭鉱業
調査団が
結論を出す前に、
相当の企業が行き詰まってしまう。そうなるというと、
調査団が
結論を出そうと思ったときには、もうすでに情勢が違っているということになりますというと、また再
調査をせねばならぬというふうなことにもなるわけでございまして、そういう意味で、われわれもそういう
調査団なり石
炭鉱業審議会の要望に対しまして、七月の二十七日に
石炭対策閣僚会議を開いていただきまして、そこで御承知のような
石炭緊急対策というものがきまったのでございまして、これは今の点をちょっと読み上げますというと、今申し上げましたような石
炭鉱業の経営内容の悪化は、当面の
金融引き締めと相待ちまして、極度の
資金不足を現出しており、このまま推移すれば、企業の
整備、
合理化の停滞はもとよりのこと、石
炭鉱業
調査団の答申を待って根本的な
解決策が実施される以前に、
相当部分の企業の経営に行き詰まりを来たすおそれがある。したがいまして、このような危機を回避するために、
政府としては緊急に次の
対策を講ずるということで、貯炭
資金対策、それから
整備資金対策、これは退職金
金融の問題でございます。三番目に終閉山
対策、四番目に中小
炭鉱緊急融資
対策、この四項目を、
方針だけきめていただきまして、この
方針に従いまして、主として大蔵省と事務折衝をやりまして、これは方.針はこれで閣僚会議できまったわけでございますが、これに基づく具体的な数字の点につきましては、きょうの閣議で
関係大臣が
お話し合いをしていただきまして、まだ私は閣議の結果は聞いておりませんが、大体、今申し上げましたうちの第三番目の終閉山
対策、これは主として中小
炭鉱等におきまして、この
炭鉱閉鎖をいたしまして、ことしからお認めいただきました石
炭鉱山
整備促進交付金の交付を希望するものが非常に多くなっておりますので、現在で約四百五十万トン
程度申し込みがきております。予算は御承知のように百二十万トン分しかございませんので、ことしの十二月までに四百五十万トンのうちで、十二月末までにやめるもの、これについては、早急に補助金を交付すべきではないかということで、十二月末までに閉山することを希望して申請しておりますものが約三百二十万トンでございますので、そうしますと、現在も予算が百二十万トンついておりますから、残りの約二百万トン分について、これを予備費から充当する、こういうことに話し合いがっくことになっておるわけであります。
それから二番目の
整備資金対策、これは山を閉めましても、退職金が払えない、あるいは退職金が払えないために
整備がおくれているというようなことが
相当多いようでございます。これにつきましては、なかなか一般の市中
金融機関では、
長期に寝る金でございますので、貸してくれない。もちろんこれは市中からも極力貸し出しさせますように、われわれとしてもいろいろ話し合いをしております。また今年度から始まりました
合理化事業団によりまする融資の保証、退職金
金融についての融資の保証制度もできておりますので、そういうものも活用いたしまして、できるだけ市中
金融機関からの調達をやらせておりますが、なかなか実際問題としてついてこない、市中
金融機関がついてこないということでございますので、本年度の財投の予算できめていただきました十五億、これはすでに、本日をもちまして全部現金化いたしまして、各社に配分いたしました。その十五億では足りませんので、それにさらに追加をいたしまして三十億円、これを
資金運用部
資金のほうから追加融資をする。これは実は
政府だけでこういうことはきめられませんで、
資金運用審議会というものがありまして、そこにかけてからでないと、金が出されないというようなことになっておりますので、・早急に
資金運用審議会の持ち回りの審議会をやっていただきまして、早急に三十億円の金が出るようにやりたい。この三十億円を財投から
石炭合理化事業団に融資をいたしまして、ここから各社へ出させる。この
政府から出す
整備資金にあわせて市中からも協調的に、市中の金も引っぱり出す、こういうことをやっておるわけでございます。
それから三番目の中小
炭鉱の
金融、緊急融資
対策でございますが、とれにつきましては、おおむね中小企業
金融公庫から十億円、商工組合中央金庫から五億円、それから商業者、サービス業者等に転業いたしますもの——終閉山に伴いまして転業いたしますもの、そういうものに対して、国民
金融公庫から一億円を目途として融資する、大体、この今申しました三項目が、きょうの閣議において通産大臣が御
発言なさいまして決定をするのじゃないかというように、われわれも期待をしておるのであります。
なお第一番目の貯炭
資金対策につきましては、これはあくまで市中
金融機関のコマーシャル・ベースの問題になりますので、
政府といたしまして、ぜひこれは必要であるという
方針だけをきめまして、上期に生ずる貯炭に必要な
資金の融資につきましては、市中
金融機関に協力を要請する、同時に日本
銀行に対しまして、市中貸し出し調整に対して、
実情に応じた特別の配慮をするように要請をするということが、
石炭閣僚会議で決定をいたしましたので、この線に沿いまして、昨日私が全国
銀行協会連合会の
資金調整
委員会に出席をいたしまして、これは全部
銀行の責任者の集まりでございますので、その席で、石
炭鉱業の現在の窮状、また今後のあり方、これに対する
政府の
方針というものをよく御
説明をいたしまして、それについては、現在非常に貯炭がふえて困っておる、しかしこの貯炭も、これをいつまでも抱いていくというわけではないので、市中にお願いする以上は、この貯炭がまたはけるということについては、
政府も十分に考え、したがって、市中の
金融機関ベ−スで十分考えてもらいたいという、また日銀に対しましても、市中
金融機関から貸し出しのワク等につきまして要請があった場合には、十分これを配慮していただきたいということを要望いたしまして、その
あとで全銀協の理事会が、それにはもちろん私出ておりませんが、相談をされまして、
石炭の問題についての
政府の
方針もわかったので、その融資に応ずるようにしょうじゃないかという申し合わせがあったようであります。ただ、これはあくまでも、全銀協として金をどうするという問題ではございませんので、個々の
炭鉱と
関係の
金融機関とのコマーシャル・ベースの話し合いになるわけでございまして、そうしてどうしても金が足りないということになれば、日銀でまためんどうを見るというわけであります。そういう立て方になっていくわけでございますので、われわれとしても、十分われわれの要望に対して
金融機関が協力をしてくれるものだというふうに期待しておるわけであります。
なお、そういうことで、なかなかうまくいかないという場合には、個々の問題として、われわれがまた
解決に乗り出していこう、こういうふうなつもりでおります。