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1962-04-26 第40回国会 参議院 社会労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)   午前十時四十分開会     —————————————   委員異動 四月二十四日委員村山道雄辞任につ き、その補欠として天坊裕彦君を議長 において指名した。 四月二十五日委員天坊裕彦辞任につ き、その補欠として村山道雄君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            阿具根 登君    委員            勝俣  稔君            谷口弥三郎君            徳永 正利君            山本  杉君            横山 フク君            藤原 道子君            村尾 重雄君            石田 次男君        発議者 藤原 道子君   委員以外の議員        発議者 石原幹市郎君   政府委員    総理府恩給局長 八巻淳輔君     厚生政務次官 森田重次郎君    厚生省援護局長 山本太郎君   事務局側       常任委員       会専門員 増本 甲吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○牛乳等無償給与法案藤原道子君外  八名発議) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○栄養士法等の一部を改正する法律案  (石原幹市郎君外二十四名発議)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。  この際、委員異動について報告いたします。  四月二十四日付をもって村山道雄君が辞任され、天坊裕彦君が選任。同じく二十五日付をもって天坊裕彦君が辞任され、村山道雄君が選任されました。     —————————————
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 理事補欠互選を行ないます。  ただいまの報告どおり村山道雄君が一時委員辞任されましたために、理事一名欠員を生じております。この際、理事補欠互選を行ないます。慣例に従いまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。それでは村山君の補欠として村山道雄君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 牛乳等無償給与法案議題といたします。  まず、提案理由説明を求めます。藤原委員
  6. 藤原道子

    藤原道子君 ただいま議題となりました牛乳等無償給与法案について、提案理由及び概要の説明を申し上げます。  一国の文化水準を反映するといわれる乳幼児妊産婦死亡率等に見られるごとく、わが国民健康状態体位は近年漸次向上されてはきましたが、欧米先進国に比べて、なお、かなりの劣位にあり、さらに相当の改善を必要とする現状であります。したがって、国民の健康を増進し、さらにその体位や資質を向上させるためには、特に乳幼児及び妊産婦に対する栄養の強化を行なう必要があります。  最近の経済の急速な発展の中で、わが国においても社会福祉水準の大幅な向上を望む声はきわめて強くなっており、特に児童母子福祉に対する国の責任指摘されております。ここにおいて、国の責任による児童福祉対策の一環として、全乳幼児及び妊産婦に対し、栄養価の高い優良な牛乳乳製品等無償で配給し、母子栄養の保障を行なうとともに、児童福祉の増進をはからんとするのが、この法案を提出する理由であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、厚生大臣は、毎年十二月三十一日までに、翌年度における牛乳及び乳製品の需要及び供給の見通しを参酌し、農林大臣と協議の上、当該年度における給与計画を作成し、かつ、これを告示すること。  第二に、国は、厚生大臣の作成する給与計画により、給与対象者に該当する乳幼児及び妊産婦に対し、牛乳または乳製品給与することとし、その方法として、乳幼児保護者または妊産婦に対し、給与券を発給すること。  第三に、都道府県知事は、直接に、または乳製品販売業者中から指定したものを通じて、給与券と引きかえに、牛乳または給与対象者の選択する乳製品給与すること。  第四に、国は、給与計画を充実させるため、牛乳及び乳製品供給量増加をはかるとともに、給与計画の実施に必要な牛乳及び乳製品の量の確保上必要な措置を講ずること。  第五に、厚生省に、付属機関として、牛乳等給与審議会を置き、厚生大臣は、給与計画の作成について同審議会に諮問すること。  第六に、都道府県知事は、政令の定めるところにより、事務の一部を市町村長に委任することができ、国は、都道府県及び市町村(特別区を含む。)に対し、その行なう事務に必要な費用を交付し、また、指定を受けた業者に対し、その者が牛乳または乳製品給与に要した費用を支払うものとすること。  第七に、経過措置として、当分の間、乳幼児については、二才未満の者を給与対象者とすること。  以上が本法案の大要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件に対する質疑は次回以降に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 恩給局長に質問しますが、この戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案ですが、軍人であって援護法適用を受けねばならないというのは、一体どういう意味なのか。軍人であるなら、当然恩給法適用を受けるはずです。軍人が戦傷なり戦病なりした、そういう人を恩給法からはずして、何で援護法援護しなければならぬのか。また、軍人がどのくらい一体おるのか。恩給法からはずされて、そして援護法援護されておる者は一体どのくらいおるのか、その点をひとつ知らせて下さい。
  11. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 旧軍人援護対象にいたしまして恩給法なり援護法が働いておるわけでございますが、旧軍人遺族等につきまして、その遺族適用範囲ということにつきましては、恩給法援護法範囲が違っておるのでございます。たとえば六十才未満遺族の場合は、不具廃疾でない限り、援護法遺族年金対象にならない。また、内縁の妻というような場合には、恩給法のほうでは対象にならないが、援護法では対象になる。それから戦死者の孫というふうな場合につきましては、援護法では対象にするけれども、恩給法では対象にしておらない、こういうふうな適用対象が違っておる点がございます。これは恩給法というのは古い法律でございまして、大正十二年に恩給法という一本の法律になりましたけれども、それ以前の軍人恩給法なり文官恩給法なり、その他のいろいろ恩給関係法律を一本にまとめまして、恩給法に受け継いで、それでずっと引き続いて、戦前戦後を通じて現在まで運用してきておる法律であります。そういうような意味合いからいたしまして、この法律関係というものも、その時代々々における民法なり、その当時のいろいろ既成の法律土台にして作られておるわけです。  ところで、援護法のほうは、昭和二十七年に、戦後その時点において新しく出発した法律でございます。したがいまして、どうしてもその二つの範囲の違いというものは法律に性格的に出てくるわけです。そこで、まあ言いかえますならば、軍人恩給軍人援護遺家族援護という面からいいまして、恩給法対象にならないものは援護法で救うというふうに、両方相補って、そうして軍人遺家族援護の実を全うしているというのが現状だろうと思います。なお、軍人でありながら、恩給法レールの上に乗らないで、援護法遺族年金を受けておるというのがどのくらいあるかという、こういうお話でございますが、それは援護局のほうにデータがございます。
  12. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) ただいまのお尋ねのお答えでございますが、もとの軍人の御遺族でありまして、ただいま恩給局長が御説明しましたような立法の仕分けによりまして、遺族年金あるいは特例年金——援護法対象とされて、現在受給されております者の十二月末現在の数字は二万七千五十二でございます。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、恩給を受けておる人ですね、これはどのくらいですか、数は。それは援護局じゃなくて、恩給局のほうから。
  14. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 軍人関係で申しまするというと、恩給を受けている方、これは遺族ばかりでございません。傷病者あるいは年功恩給で御本人が受けている恩給、いろいろのものを含めまして二百二十万六千七百四十八人というのが三十七年度予算の基礎になっている人員でございます。そのうち、いわゆる軍人遺族という関係方々が百四十万ぐらいでございます。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 障害年金の場合ですね、軍人障害を受けて、そうして恩給の、まあ増加恩給になりますかね、あるいは障害恩給をもらっておると、そうしますと、それと援護法金額は同じことなんです。そうすると、当然障害年金をもらう人だったらば、それは恩給をもらうべき人でしょう。それが障害程度で、恩給には達しないけれども、援護でやらねばできないというような方ならまた別なんです。ところが、そうじゃなくて、恩給金額援護金額一緒なんです。それを何で恩給のやつを援護でしなければいかぬか。当然これは軍人であって障害を受けたならば、これは恩給でやるべきなんです。なぜ援護で落とさなければならぬか。
  16. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 傷痍軍人の場合では、援護のほうに切りかわっていると申しますか、結局恩給法上はその方は時効で失権しておる。失権しておるというか、時効請求権を失っておる。たとえば大正年間なり昭和の初めごろに、戦争で傷を受けた、そのときの傷について請求権があったわけですが、それを行使しなかった。傷病恩給は、御承知のとおり終戦後も廃止されませんで、そのままずっと文官恩給と同じように、制度としては引き続いておったわけです。それにもかかわらず、時効によって請求権を放棄した、こういう方につきましては、これは恩給法上何ともいた仕方がない。新しく援護という思想で出発した二十七年の援護法によって、そういう人を新しく見直して、援護法土台の上で見ていくというケースでございます。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、これは軍人であって、国家の要請に従って軍務に服してけがをした、それはわかっておるけれども、時効になっておるから援護法で拾う、それはおかしいじゃないの。それだったならば、軍人であって、軍務公務疾病なり公務員傷なりをした、それだったら、そのほうの法律を変えるべきじゃないですか。それをほかの法律で拾う、いわゆる援護法でみる場合は、その人は軍人であった軍隊時代公務けがをした、あるいは病気になったということを認めてこの障害年金を支給するようになるわけなんです。そうすると、これは軍務であるということがわかっておって障害年金援護法でもらうというのはおかしいのじゃないですか。それは時効にしたというならば、その点を修正して、そうして拾うべきじゃないですか。それを援護法に持ってくるというのは筋が違うと私は思うのですがね。そうすると、援護法というものは、軍人じゃなくて、軍属とか準軍属とか、そういう人たちに対する援護であって、軍人であった人の援護はあくまでも恩給であり、あるいは増加恩給である、こうなるべきだと私は思うのですがね。それはいかがですか。
  18. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 恩給法というのは、御承知のとおり、文官並びに軍人全部、一般的な官吏についての退職後の、あるいは死亡後の制度なのでございまして、それら全体を通じて考えました場合に、ある特定のものについての例外措置を認める、法律体系の上で認めることはなかなかむずかしゅうございまして、まあたまたま傷痍軍人であるがゆえに時効というものは猶予するということになりまするというと、全般の問題にからんで参りまして、体系の中で手直しするということは、まあオーソドックスな考え方からいうと、なかなかむずかしい問題でございます。援護法というのは、昭和二十七年に新しい観点から、その時点においてどういう状態にあるかということを考えて、それに対する援護の手を差し伸べるということから出発いたしまして、そうしてまた二十八年には軍人に関する、傷痍軍人を除きまして、普通恩給なり遺家族扶助料なりというものについての規定というものがまた再出発いたしまして、そうして恩給レールに乗ってきたということになったわけでございますので、援護法観点から新しく拾われたということと、恩給法の法の体系を乱すということとは、まあそういう恩給法体系を乱してまでそれをこちらに引き取るといいますか、吸収するという措置は、あえていたさなくても、実質的にはそれで現状は救われておる。そういうことでよろしいのではなかろうか、こう思っております。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、その考え方が間違っておると思うので。一方、軍人公務けがをして、そうしてこれは恩給なり増加恩給なりをもらっておる。援護というのはそうじゃないですよ。そういう助ける道のない気の毒な方、いわゆる軍属とか準軍属、こういう者に対するこれは援護なんですよ。恩給が受けられぬから、その人たちは当然つけなければできないやつを、それは戦時中であったり、あるいはその他のいろいろな理由時効になっておる。そうするなら、これは恩給範囲になるはずなんです。それを公務けがをした、公務で病気したということがはっきりわかっておりながら援護法で拾うという、その思想が私は間違っておると思うのです。それはおかしいのです。それなら文官だったら、文官はこれで拾えますか。文官のほうはこれで拾えないのですよ。文官一緒だというなら、文官はこれに入ってくればいい。だから軍人とするなら、あくまで軍人恩給対象にしなければならない。そうして軍人軍属と分けて、しかも、最後は同じだということになるならわかるけれども、何か時効になっておる、繁雑だ、体系がくずれる、これこそ体系がくずれておるのですよ。軍人軍人一本であるべきなんです。軍属、準軍属はこの法律で救う、軍人はこの法律で救う、それが体系であるはずなんですよ。あなたのおっしゃるのが体系が狂っておるのですよ。そう思いませんか。
  20. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) まあこの問題につきましては、いろいろ今まで、現在こうなっておるということに対するものの考え方ということを申し上げたのでありまして、確かに先生指摘のとおり、いろいろ問題点はございます。そういう意味で、その程度方々について取り込むかどうかという点は問題点があろうと思います。そういう意味で、あえて強弁するわけでございませんけれども、現状こうなっているということでございまして、そういう考え方もあるということは私どもわかっております。将来の問題点だろうと思っております。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 援護局長はどうですか。この場合、軍人の一部をこういうふうに援護の中に入れたことは筋が違うと思うのだが、援護局長はどういうようにお考えですか。
  22. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 先生の御指摘の問題は、私個人といたしましては、非常にやはり問題であろうと思います。特に立法政策の上から、白紙で考えようとした場合に、どういうものが是であるかという点については、非常に同感の意を率直に表明したいと思います。ただ、先ほど御指摘遺族年金の場合の孫でありますとか、あるいは内緑の妻という問題と、ただいまの恩給局長の申し述べられました障害年金時効の問題はいささか違うのではないか。前の孫とか、あるいは内緑の妻というようなものは、純粋に一つ立法政策の問題ではないかと存じますが、恩給法上の障害年金時効が、恩給法による期限を経過したものについて、さらに恩給法で拾うということは、一般の法制の通則からいきますと、非常に技術的に例のないむずかしい問題になりはしないかと思うのでございますが、しかし、これも法律でございますから、やってやれないことはなかろうと存じます。そういう点で十分今後の検討問題ではないかと存じます。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、もうひとつ今度は障害一時金ですね、障害一時金は、これには軍人はないわけなんです。ところが、今のような時効になっても、障害一時金をもらうに該当する者は一体どうなんです。軍人であって障害一時金に該当する者もこれはあるかと思う。ところが、時効になって、そういう人たちは何も救う道はない、軍人障害を受けた人をこういうことで援護法で拾おうとするなら、もしも一時金の資格のある人があったら、これはどこで拾いますか。けがして一時金をもらっていなかった、それで時効になった。一時金の人は一款症か二款症か三款症、その人が軍隊けがした、だけれども、その当時は戦時中でもあったし、今の法律の手続も知らなかったから、今日までもらっておらない、そういうのは一体どこで救うのですか。恩給局長どうですか。
  24. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 障害関係で一時金というのは、恩給法では、款症以上は年金でこざいました。その程度以下の目症程度ですね。その程度のところが一時金ということでございます。援護法では款症程度が一時金、目症も現在考えられるということになっております。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 その場合の、たとえば障害年金——この援護法でも三款症までは年金があるわけなんです。ところが、軍属に限って、今度は一款、二款、三款だけは障害一時金をもらえることになっているわけなんです。そうすると、恩給の場合でもそれを入れるわけなんです。援護法にも一時金があるのです。年金のほうは、款症は全部年金だとおっしゃる。ところが、援護法には一時金もちゃんとあるわけです。二十四万八千円も一款症でちゃんと一時金があるわけです。そうすると、それに該当するのが私は軍人にもおると思う。援護局長、そういうのは全然ないのですか、軍人に。
  26. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 御承知のように、遺族援護法につきましては、障害一時金というのは軍属だけに認められておるわけでございます。軍人について認めていないのは御指摘のとおりでございますが、やはりいろいろ立法政策的には、先ほど申しましたように、ずいぶん問題の所在するところであるとは存じますけれども、やはり援護法基礎的な考え方といたしましては、本来、恩給法で拾われるべきだという理由が十分に立ち得るものについて援護法にしておりますものは、いわば一種の特典といいますか、言葉がいささか当たらないのでございますが、一つ救済的恩典として、援護法であえて拾ったというような思想援護法の立案の基礎にございまして、このような低いものの措置まで軍人についてはみなかった。本来、軍人については恩給法でみるべきものであって、援護法にしたというのは、本来、恩給からはずれるものを援護法で救済的な気持で拾い上げた、こういう思想が基本にあることによりまして現在のような立法になっておるものと理解しておりますが、しかし、政策の問題としては、先生指摘のように、将来十分検討に値する問題ではないかと考えております。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、一時金の一款症、二款症、三款症というのは、いわゆる軍人恩給一目症に当たるわけですか、目症に当たるわけですか。
  28. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) さようではございません。援護法の一款から三款に相当するものであって、病状がいわゆる固定した者に支給されるものでございます。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、この考え方目症に該当するものでしょう。この年金の一款、二款、三款というのはあるわけです、年金にも。ほんとうは一款というものはみな一款なんですよ。ところが、これは程度が低いから一時金になっている。片一方は程度が高いから年金になっているわけでしょう。
  30. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) さようではございませんで、ただいま申しましたように、軍属に支給されます援護法の一時金というのは、援護法で定められております別表にございます一款から三款に相当する障害であって、その障害状態が、いわゆる病状が不変の状態になった固定した場合に出すものでございます。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはわかっていますよ。たとえば親指が一本切れた、これは切れたら伸びてこない。これは直ったら症状固定したということになって、一時金の一款、二款に当たると思うのです。ところが、そんなら足が一本切れた、足が一本切れたら、足は伸びてこないというのです。これは何項症かに当たるでしょう。これは一時金にならぬでしょう。症状固定したというのはそういうことじゃないでしょうか。その傷の程度によって、病状固定で一款症一目症、一項症になるわけです。そうすれば、一時金の款症というのは目症に該当するのじゃないか、軍人恩給の。そうなりはしませんか。病状固定だけだったら、足が切れても手が切れても、両手切れても、これは固定するのですよ。その人は病状の工合によるのですから、そういうのはおそらく一項症か二項症に入ると思うのです。
  32. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) ちょっと私が聞き間違えたのかもわかりませんが、恩給法目症に該当するのではない。目症と言われましたので、目症ではございませんということを申し上げました。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは款症だから、目症でないことはわかっておるけれども、目症考え方にこれは該当するのでしょう。ですから、恩給局に聞きますよ、恩給款症の下に目症というのがあるはずなんです。重いのから項症款症目症となっているわけなんですよ。恩給法は昔からそうなっておるのですよ。それでは援護局のやつは款症が二種類あるわけなんですよ。ということは、これは程度の低いやつが一時金に該当するのだから、款症という考え方目症に該当するのじゃないかと言っているのですが、恩給局どうです。
  34. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 款症目症とは、その症状程度が根本的に違う。根本的と申しますか、程度が違うわけで、それでグレードをつけているわけなんですが、款症程度症状に対して、年金で支給するか一時金で打ち切ってしまうかという法律の立て方の問題。そこで、初め軍人恩給が再出発いたしましたときにも、款症というのは、大体軽度傷病者でございますから、それは一時金で打ち切ってしまおうというので、初め政府原案が出たわけです、恩給法でもですね。ところで、やはり戦前軽症者についても、款症程度でも年金でずっと支給しているじゃないか、そこで再出発したからといって、そのときに一時金で打ち切るのは非常に気の毒だ、こういうので、議員修正年金に切りかえたのです、恩給法のほうでも。それで現在は恩給法のほうでは、重度傷病者増加恩給につきましてはもちろんのこと、軽度傷病者款症程度につきましても年金で支給する、こういう立て方を戦前と同じようにとっておる。ただし、本人が、私は一時金でもらいたい、こういうのなら一時金で差し上げる、そのかわり、年金としては上げません、こういう選択の方法をとっているわけであります。そこで、援護法のほうは、恩給法改正以前の、一年前にできた法律なんです。ですから、恩給法政府原案と同じように、軽度傷病者である款症程度については、もう一時金で打ち切るという思想です。そこで援護法では一時金という形をとっておられる。よく覚えておりませんが、一部の症状の内容によっては、年金で継続して支給するという形をとっていると思います。ですから、款症につきましても、援護法では一時金という形をとっておるというところの違いだろうと思います。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、援護局長どうですか。援護局のほうも、たとえば一款症の人が、年金の一款症だったら今度のやつで三万三千円の、四万円になりますよ。四万円になるわけですね一款症。その同じ一款症が、一時金の場合は二十四万八千円ですよ。それを自由選択させておるわけですか。
  36. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) ただいま恩給局長が申しましたように、援護法では選択は認めておりません。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、これは私が言うように、目症に該当するのじゃないでしょうか。この一時金をもらう人は恩給をもらう資格はないのですよ。年金にならないから、これは一時金になっておるのです。ということは、症状がそれだけ軽いということなんです。症状が重ければ年金のはずなんです。そうすると、これは名前は款症だけれども、目症に該当するのじゃないか。
  38. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) よくわかりました。思想としてはそういう考えでございます。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、恩給局長さんにお尋ねいたしますが、これは目症に該当するもので、一時金が、一款症——一目症にしてもいいのですが、かりに一目症だとして二十四万八千円がもらえる。ところが、旧軍人でこれに該当するものはたくさんあると思う。そうすると、一方は軍人恩給時効になってもらいそこなった人を障害年金で助けるなら、一時金の款症の人がなぜ障害年金で助けられないか、援護法でなぜ助けられないか、こうなるわけです。年金をもらう程度けが、病気をした人は、これは自後十四年も十五年もたってから、これはあのときの傷だということを認めて援護法でもらうようになっておるわけです。ところが、そういう人がおるなら、目症に該当する人はもっと多いはずだと私は思う。重症と軽症は、軽症が多いんです。そうして、重症の項症款症に該当する人がおるから、軍人軍属のこれは障害年金になっておるわけでしょう。そうするならば、もっと軽い人がまだたくさんおるわけです。時効になっている人は軽いから申請をしてない、制度がないから申請もしてないんだと私は思う。しかし、当時の目症に該当する人で、手続ができずに、今日まで一時金をもらっておらないという人には、この援護法によって軍人軍属——軍人軍属としたならば、相当な人が私は申請してくると思うんですが、そういうことはないですか。
  40. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) どうも同じ程度の傷病について、片方は目症であり、片方は款症であるということはないのでありまして、たとえば小指の先がとれておる、こういう場合には、たしか二日症か三日症だと思いますが、こういうふうな程度症状に対しては、現在恩給法の上でも援護法の上でも、何らの給与はいたしておらないんです。お話のとおり、そういう程度の非常に軽いけがをされた方は、たくさん幅が広くいらっしゃいます。しかし援護法でも恩給法でも、それまであるいは年金なり、また、昔一時金で決済したものをまたやり直すというようなことはとてもやり切れませんので、そういう方々につきましては、援護法でも恩給法でも救っておらない。で、そういう方々で、昔満州事変なら満州事変で小指をけがした、こういう方々時効で、そのときにたとえば満州事変で小指をけがしたために、一時金で百円なら百円というものをもらえるはずだった。それがその後百円というものを請求しなかったという人はいらっしゃるかもしれませんけれども、しかし、大部分の方々は小指一本で百円——どのくらいの一時金額だったか忘れましたけれども、その額を請求した方は相当あるわけです。そして、それでもって一応決済は済んでいるんですね。でありまするから、戦後におきまして、その方々について、そういう目症程度軽度傷病者までには回りかねるという現在の状態のもとで、その人に対して、またさらに一ぺん昔百円の一時金で決済したものはどうも気の毒だから、また別に何万円かのものをやろうということにはならない。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 いや、私の質問がまずいかもしれませんが、そういうことを聞いているんではない。この一時金の一款、二款、三款症というのは目症に該当するものだと私は見ておるわけです。そうでなかったら年金にいくはずです。年金をもらえない款症というのは目症に該当するものではないか、その精神は。そうすると、昔小指一本切って百円もらったが、その人は気の毒だから、また十七万やれということではない。そのときそのときで済んでおる人はだめなんです。しかし、小指一本切って当時百円もらえる人で、百円の申請をしなかったからもらっておらないという人がたくさんあるはずだ。そうでなかったら、それよりも上のおそらく項症に入ったろう足一本切った人がおるかもしれません。そういう人が漏れておるからこの年金をやるというんですよ。それならば、そういうひどいのさえ漏れておるんだから、款症に該当する人はもっとおるはずだ、その人を救う道がこれにはないんじゃないか。それで援護局長にお尋ねしますが、一時金の三款症はどういう負傷ですか、十七万六千円もらうのは。
  42. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 御承知のように、恩給法の別表第一号表の三の第三款症に掲げられておるものでございますが、例示として六項目掲げてございますが、ただいまの先生の類例に近いのをとりますと、たとえば「一側第一趾ヲ全ク失ヒタルモノ」というものにつきまして、症状が完全に固定しておるもの、こういう方が一時金の一つの具体的例でございます。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 指一本でございますか。
  44. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) はい。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 恩給局長、今指一本失ったやつは何らの対象にならないと言ったじゃありませんか。援護でも救わない、恩給でも救わないと。これは恩給の第三款症でちゃんと救うようになっているじゃありませんか。
  46. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 今の第三款症が指一本と申しましても、親指の場合と人さし指と中指の場合と違うので、人さし指を全く失った場合、それが第三款症でございます。それから中指の場合は第四款症、それから薬指の場合は第五款症、それで、それ以上が年金になる、恩給の場合は。それ以下のもっと軽いのが目症、こういうランキングになっているわけです。そこで三款症の場合は、人さし指一本ない、こういう場合には三款症年金というものが恩給でも参りますし、援護法では一時金ということになっているわけですね。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 それならますます質問を広げていかなければならぬわけです。それでは、恩給は七項症まであって、一、二、三になっているから四款症になりますね、年金の最低は。これはまたあとで質問しますが、第六項症の場合、恩給法の定める基準と援護法の定める基準と違うんですか。金額一緒ですよ。
  48. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 同じでございます。
  49. 阿具根登

    ○阿具根登君 同じでしょう。同じなら三款症と四款症は同じはずです、恩給対象になるのは。あなたのおっしゃったのはうそじゃないですか。指一本、これから親指なら一本切れたと、これが一款症なら一款症、三款症ですか一款症ですか、どっちでもいいですよ。これは恩給対象になるでしょう。こちらは年金対象になるでしょう。それならこんな下の一、二、三というのは目症に該当する低いやつでしょう。年金款症と一時金の款症と混同しないようにして下さいよ。恩給の査定の基準と金額と、それからこの援護法の査定の基準と金額は同じなんです。同じになるんです、金額は。同じだから査定基準が同じはずなんです。そうすると、恩給局の言っておる恩給対象になるのは、こっちの年金対象になるんです、みんな。
  50. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 援護法で三款症と申しますのは、恩給法年金に関して適用されている。恩給法では二款症に該当するわけですね。つまり六項症増加恩給の部分を一款症のところまで広げて七項症を立てておりますから、したがって、一つずつズレているわけです。そこで、恩給で二款症というのが援護法で三款症、こういうわけです。
  51. 阿具根登

    ○阿具根登君 それだから、あなたが言う款症年金ですとおっしゃったわけですね、軍人恩給では款症年金だと。ところが、軍人恩給款症年金になっておるものは、全部援護法でも年金になっておるわけですよ、全部同じことなんですよ。その下に一款、二款、三款とあって、一時金をもらうようになっておるわけですよ。それに該当する軍人がいるはずだと、私はこう言うのですよ。そうして漏れておるのがいるはずだと。ところが、軍人を救うなら、その軍人をなぜこれで救わないか。それでなかったら、なぜこの軍人恩給のほうにとらないかということですよ。おかしいじゃありませんか。——どうも私の質問がまずいのかもわかりませんが、恩給局長ぴんときておらぬようですがね。障害年金には軍人軍属というのがあって、特別項症から第二款症まであるわけですか、第三款症までですか、これはおっしゃったように、軍人のほうでは第七項症がありますから、だからこれは二款症まである。これはまだ援護局にこのあとただしたいのだが、七項症をなぜ二款症にしたか、こういうややこしいことをするからわからなくなる。まあそれはあとの質問にしますが、それは恩給対象であり、年金対象、同じことなんです、金額も基準も同じなんです。
  52. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 恩給では先ほど申し上げましたとおり、重度傷病については第一項症から七項症までという増加恩給が、軽度傷病者については第四項症から第七項症まであるわけです。ところが、援護法のほうでは、重度傷病者のほうは六項症で押えて、軽度傷病者のほうは三款症までとしてあるわけですね。ですから、つまり恩給のほうでいきますと、軽度傷病者につきましては、七項症と一款症と二款症にとどまるので、あと三款症という口は援護法ではないと、こういうことになっておるわけですね。ですから、先生の御質問になられたのは、別に援護法でも見てくれてないという、いわゆる恩給のほうでいえば三款症、四款症、つまり中指が一本ないとか、人さし指がないとか、こういうような人は、たとえば時効になったら恩給でもいかないし、援護法でも全然救われぬじゃないかと、こういうことでしょう。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうです。
  54. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) そういう問題につきましては、援護という立場からそこまで一体救うのかどうかという立法制度の問題になるわけですよ。それから、また、恩給の側からいえば、もう時効で、みずから請求権を放棄した、請求権の上に眠ったというものを援護という理由でそれをまた復活させる必要があるだろうか、こういう問題になるわけです。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、何も恩給復活を目的にして言っておるわけじゃないのですよ。私は、恩給は復活してもらいたくないのです。しかし、文官恩給というものがついたものだから、軍人恩給までこうなってきたのです。思想としては私は反対なんですよ。しかし、それじゃあなたのおっしゃるように、そういう人は軍属のほうでは——これはそれなら軍属の三款症の一時金というのは、恩給の何款症になるのですか。
  56. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 第二款症でございます。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 第二款症——ちょっと待って下さいよ。恩給のほうは第何款症までありますか。第四款症ですね。そうすると障害一時金の第三款症に該当するものは、恩給にはないのですね。第二款症まであるのですね。どうなんです、六項症まで一緒でしょう。それから一、二、三、四款症までありますよ。
  58. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) ですから、六項症の次に、いわゆる援護法でいう第一款症というものは、恩給では七項症増加恩給のカテゴリーの中に組み入れる。援護法でいっている二款症は、恩給では一款症、第三款症というのは恩給では二款症、こういうのです。さらにそのほかに、その下へ持っていって、三款症、四款症という二つのカテゴリーがつけ加わっておる、こういうことです。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 三款症、四款症までありますが、この障害年金では七項症がなくて一款症になっておるけれども、一、二、三款症、その下にまた一、二、三款症とあるということになるわけですよね。三款症までは年金でしょう。それで年金に該当しないのは一時金で三款症まであるでしょう。そうでしょう。
  60. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) いろいろ考え方でございますけれども、先ほど来申しましたように、援護法でいいますところの障害一時金は、傷病の程度といたしましては、やはり障害年金障害一時金も、一款から三款まではそれはそれぞれ同じ内容のものでございまして、その疾病の状態が、先ほど来申しましたように、症状固定したという場合に支給するものでございまして、まあ下という思想はやや当たらないのではないかと思います。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、援護法障害一時金の第一款症恩給法の第三款症に該当するのですか。
  62. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 先ほど恩給局長が御説明しましたように、一号ずつ繰り上がった思想でお考えいただければよいと思います。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 だから恩給法には七項症まであって、一、二、三、四款症まであるのですね。四款症まであるでしょう。援護法のほうでは七項症がなくて六項症まであるから、七項症が一款症になるわけですね。それで一、二、三と繰り上げるわけですね。それで金額は同じ、そこはわかるのです、それまでは。ところが、年金には三款症、四款症はないということになるのですね。軍人恩給の三款症、四款症は。
  64. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) さようでございます。
  65. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、三款症、四款症に該当するのが一時金の一、二款症になるかということを聞いたわけですよ。
  66. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 必ずしもそういう思想にはつながらないということでございます。先ほど申しましたように、症状程度としては、援護法で本来定められておりまする款症に該当するものであって、それが症状固定したものに限って障害一時金を支給するという形でございます。
  67. 阿具根登

    ○阿具根登君 その答弁は納得できぬのだがね。この第三款症、今度の三款症ですよ、障害年金の。三款症までは恩給法の二款症までに全部一致するわけなんですね。金額も何もかも一致するわけですよ。ところが、恩給法では三款症、四款症と、もう一段階下の年金があるわけなんです。それが障害年金には、こっちにはないわけです。それを救うのが一款症、二款症かと聞いておるわけなんですよ。それを救わないのですか。
  68. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) そういう思想ではございません。やはりこれはまた立法政策上いろいろ御議論のあるところと存じますけれども、援護法一つの国家保障の理念に立つものではございますが、そういう理念に立った援護として、いわゆる俗にいいますと社会保障的な制度の色彩を持っておりますので、恩給と必ずしもその辺平仄を合わしました広い幅の援護をしていないということでございまして、他の社会保障的立法におきましてもそういう思想が取り入れられておりますので、援護法も、新しく二十七年に制定されました際には、そういう社会保障一般の法規の例といったようなものも十分勘案いたしまして現行のような幅ができておるわけでございます。しかし、立法政策的にそれがいいとかいうことではございませんので、経過を申し上げておるわけでございます。
  69. 阿具根登

    ○阿具根登君 質問を打ち切ろうと思っているのだけれども、ちっともわからんのです。それじゃ今局長が言うのはおかしいのですよ。恩給一緒にしていないというなら、三款症までなぜ恩給一緒にしたかと言いたくなるんです。特別項症から三款症まで全部一緒なんです、基準も年金金額一緒なんです、全部ね。そうして三款症、四款症は、これはそこまで幅は広げられない、だから救わないとおっしゃるなら、何で一時金の三款症というのが出てきますか。軍人のほうで全然救ってない三款症というのがここに出てくるんですよ。そして一款症と二款症と、今度は恩給法の三款症と四款症が同列かと聞けば、そうじゃないと言うんでしょう。そんなものは救えないと言うんでしょう。恩給法で救えない、三款症——そうではないですか。これをずらっと並べれば、一款症だけこれのほうが多いんですよ、一款症だけ。並べてみない、これは款症が六つありますよ、項症一つ足らぬ。だから理屈が合わないでしょう、あなた方お二人の言っていることが。
  70. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 先生の御質問の中では、おそらく年金のところへ持っていって、そのあとへまた一時金というもののあれがランキングがあって、こう合わせて六つあるようにお考えになっているんですが、実は先ほど来援護局長が申し上げているとおり、援護法では同じ傷病、たとえば第三款症でございますと、「一側示指ヲ全ク失ヒタルモノ」というのが、そういう外傷的なものですとそうですけれども、たとえば、どうも腕がまっすぐに、直角以上に上がらない、こういうようなものも第三款症なら第三款症と押えていいますと、そういうふうに全然固定しちゃって、外傷でもって固定しちゃって、症状が動かない、こういうものは一時金で打ち切ってしまう。それから腕の肩関節の運動というようなものは将来よくなるかもしれない、こういうふうな性質の機能障害に対しては年金を支給する、こういう使い分けをしておるわけです、同じくらいのランキングの症状に対しても。ですから、軽いものが一時金で、重いほうが年金だというようなランキングではないということでございます。そういう意味で、恩給ではつまり四款症までございますけれども、援護法のほうでは、三款症、四款症という軽度症状に対しては、援護の建前からいってはそれはみません、こういっておるだけです。
  71. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはわかっとるんですよ。それは恩給のほうだってそうでしょう。たとえば戦病——結核になってきた、結核は毎年々々診察させるでしょう、あなた方。これは年金だけれども、診察でなおっておったら年金を取り上げるんでしょう、そういうのは知ってるんですよ、私は。知ってるけれども、その一時金の款症というのは、大体目症に該当するものだと、その考え方はそうだと、こう言っておられるわけです。これはなおりはしないけれども、もう症状固定したやつなんです。こっちは病状は悪いけれども、あるいはなおるかもしれぬやつが年金になっておるわけなんです。そういうことは百も知っておるわけです。しかし、そうすれば恩給では救っておらない、それがこの障害年金では救うという思想がくずれてくるじゃないかということなんです。数は非常に少ないと思うので、おわかりになっておると思うんですが、援護法障害年金をもらっておる軍人は何名でございますか。
  72. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 昨年の十二月一日現在、ちょっと古い資料で恐縮でございますが、軍人援護法障害年金を受給しておる者は二百六十七名でございます。
  73. 阿具根登

    ○阿具根登君 その項症はわかっていますか。
  74. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) いわゆる特別項症から第六項症までの項症年金受給者が二百六十七名でございます。
  75. 阿具根登

    ○阿具根登君 款症は。
  76. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 軍人につきましては款症はございませんので、該当はもちろんございません。
  77. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、六項症までというなら、これは重度障害ですな、一応。それが二百六十七名おる。そうするなら、いわゆる一時金に該当する人は相当おらなければならぬ、こう見ていいと思うんですな。数が多いから救わぬとおっしゃるなら、それはそれでもいいですよ、数が多いからとても予算上救えないと。それでもいいですけれども、それでは軍属は一款症から三款症までの一時金があるわけですね。それは恩給と違うんだとおっしゃるなら、なぜ今の二百六十七名の項症恩給で救わぬかというのです。それだったら、軍人であるがゆえに、一方はこれでやられるけれども、一時金の対象になる軍人というものは、だれも救ってくれぬことになる、こういうことになるでしょう。どうですか。
  78. 八巻淳之輔

    政府委員八巻淳輔君) 先ほど申し上げましたように、そうした事項で請求権の上に眠っておったということに対する措置をどうするかという問題とからんで参りますので、まあ今後も十分検討して参りたいと思います。
  79. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、逆に言えば軍属の三款症というのが要らないということなら、十七万六千というのも要らぬということになる、そうでしょう。軍属なるがゆえに、三款症、二款症とずっと並べてあるが、思想が違うとおっしゃるけれども、現実には並んでおるわけです。金額を見てごらんなさい、十七万から二十四万、年金と並んでおる。恩給だってそのとおりです。そうすると、ここまで社会保障では入らないといいながら、こっちではここまで入っている、こういう思想になりやしませんか、軍人軍属とは。
  80. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) その点は先生指摘のように、一つ立法政策上の問題だろうと存じますが、先ほど来たびたび申しましたように、援護法軍人関係に触れたゆえんのものが、何と申しますか、一種の特別の救済的なものであるという根本に発しておるところでございます。したがいまして、そういう点についての是非については、十分今後検討に値する問題と承知いたしております。
  81. 阿具根登

    ○阿具根登君 それじゃ、もう恩給についてはいいです。  それから、これは今は軍人軍属の問題で御質問申し上げましたが、準軍属軍属、準軍属が六項症ですか。軍属はただいま申し上げましたように、ある意味においては、軍人以上に第三款症というのができておる、これもけっこうでしょう。そうしますと、準軍属なるがゆえに金額も非常に下、一項症で。軍属は一項症で二十三万三千円ですか、ほかに三万一千円つくのですな。そうすると、準軍属は十一万六千円、半分以下になっておりますな。それも準軍属ということでやむを得ないということになると、今度これは六項症までだ、款症一つもない。一時金もない、これはどういうところでこの差をつけておりますか。
  82. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 援護法の第一条に書いておりますように、非常に性格がすかっと割り切れないという非難もあるわけでございますけれども、援護法の基本は、国家保障の理念に立脚した援護という一つ立法の立場をとっております。したがいまして、恩給のような的確な国家保障ではないのでございますけれども、ややそれに近いような性格も半面にあるという点に着目されまして、ただいま御指摘のように、軍属と準軍属については、明白な差を設けておるわけでございます。これも立法政策として、今日これが是か非かという点について、各方面にずいぶん御議論のあるところと存じますが、現在、このような立法がされておりますゆえんは、やはり軍属は国が直接雇用主の立場に立ったという、いわゆる国家保障を考える場合め基本的な性格が非常に明確にある。これに反しまして、準軍属につきましては、そういう国との使用関係というものはない。ただ、総動員態勢下に置かれました準軍属方々の現実の御任務、職場、あるいは遺族については、その御心情といったようなものを総合勘案されまして、ただいまのような軍属に比較いたしますると非常に差のございます援護の内容が設けられておる、基本的にはそういったところにこういう制度の立て方が出ておる根本の事情があるのではないかと承知いたしております。
  83. 阿具根登

    ○阿具根登君 学徒動員はどれに該当しますか。
  84. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) ただいま御指摘の準軍属のほうでございます。
  85. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、たとえば国家の要請によって、ある会社が国策として外地に事業を興こし、そういうところで働いていた人も一応軍属だ、一応こういう意味にとれると思うのです。そうすると、学徒動員というものは、学業半ばに国が要請したものである、これがどうして準軍属なのか。
  86. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 学徒の場合にもそういう関係がございまするし、また、徴用工等も、そういう意味では同様でございます。しかし、あくまで継続的な身分を扱った従前の法律的な概念でいうところの雇用主という立場でなかったというような点が、こういう準軍属軍属とを区別して立法せられた趣旨のようでございます。  なお、この準軍属のこのような扱いをきめるにつきましては、いろいろ問題がございまして、先年、臨時恩給制度調査会におきましていろいろ御議論をせられたところでございますが、やはり準軍属軍人軍属並みにするということについては非常に問題がある。というのは、やはり準軍属をそのように高い援護対象にするということになりますと、戦災者、その他国内におきまして、総動員下におきましていろいろ身体に傷疾をこうむり、あるいはなくなられた方々が非常に多いという戦争犠牲者一般との均衡の問題を非常に臨時恩給調査会では議論されておるようでございます。そういうところで、現行の制度のような内容の程度のものが望ましいという報告に基づきまして立法せられた。しかし、それが私ども必ずしも今日いいとは思っておりませんので十分問題であることは意識しているところでございます。
  87. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで問題の核心に触れてくるのですが、そういうように、その当時の実情だけで、その当時の日本の国家の形態をそのまままねて当てはめてくるからそういう矛盾が出てくるわけですね。援護法というのは、社会保障の考え方でなくてはならないと思う。そうしてくると、そういうのに差額をつけてくるのは、それは思想上間違っておると私は思うのです。当然これは同じように救わなければならない。しかし、現段階として、予算上あるいは一般国民等の問題でこうなったということは、これはわかりますよ。しかし、これに該当しない国民の中にも、もっとひどい犠牲者がたくさんいる。該当しておっても、こんな段階がついている。実際問問としては、学徒動員で、今から先ほんとうに未来のある人が、満足に学校を卒業せずに死んだり、けがしたり、こんな気の毒な人はないと思う。ある意味においては、身柄が軽かったからいいという見方もあるでしょう。しかし、そういうのを一つ一つ段階をつけていけば、ほうっておけばどこにも矛盾が出てくる。だから、考え方としては、戦争で全部の人が被害を受けた、ああいう戦争をやったから、日本国民が、大なり小なり、私はほとんど全国民がこういう被害を受けていると思う。そうするならば、私は考え方が、一部の人にどうこうというのではなくて、やはりもっと考え方を一本にしぼっていかなければならない。軍人だ、軍属だ、準軍属だ、一般国民だというようなこと、そのものに私は矛盾があるのだと思うのですが、その点は次官どうですか、私の考えが間違っているでしょうか。
  88. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 先ほどからいろいろ御高見を拝聴いたしておりまして、御趣旨ごもっともと考えられます。ただいま局長から御答弁がありましたとおり、諮問した調査会等においてもいろいろの議論があったと、こういうのであります。そこで、時代も変わり、思想も移っておるのでありますから、これらの問題は十分検討いたしてみたいと考えております。
  89. 阿具根登

    ○阿具根登君 もう一つ質問をしてやめます。さっき、ちょっと質問が出ましたが、七項症がないのですね。これは恩給の立て方と違うからどうも仕方ないんだというなら、七項症が一款症と同じということでなくて、なぜ七項症の何項をあけて一款症なら一款症としないんですか。六項症までは全部恩給と同じなんです。それを七項症だけは一款症にするんだ、向こうは一款症ある、だから七項症がこちらで作ることができないならば、七項症だけあけておいて、そして一款症、二款症、三款症と合わせていけば、非常にすっきりした姿になると私は思うんですが、なぜそういうことができないんですか。
  90. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 御承知のように、遺族援護法昭和二十七年に制定されたのでございますが、当時、恩給法におきましては、第六項症以上だけは増加恩給対象としておりました。その当時は、遺族援護法も、障害年金は六項症までで、御指摘のように、合致しておったわけでございますが、援護法が制定されました後、恩給法が改正されまして、その後増加恩給対象として七項症が新たに入ったということのために、援護法にいいますところの障害年金の第一款症とのくくりの形式上の差が出たことは、ただいま御指摘のとおりでございます。しかし、そういうことで、その当時、恩給法の改正の際に、先にできました援護法を変えるというのも一つの行き方であったと思うのでございますけれども、援護法援護法として、そういう建前で、そういう項症款症のくくりでもってスタートして、もうすでに査定もはじまってきておるというようなことがございましたので、実態が変わらないということで、特にそういう一つの呼称、まあもののいい方といいますか、そういう呼称は変えない。しかし、障害年金の額としての実態は常に歩調をとっていくと、こういう思想をとったわけでございます。なお、援護法恩給に特にそういう名称を改めないことにいたしましたのは、恩給では、御承知のように、増加恩給傷病恩給というまた一つのくくりの差がございますが、援護法におきましては、すべて障害年金一本ということでございますので、まあこういう点からも、あえてそういうくくりの区分に変更——恩給法にならうということはやらなくてもいいんじゃないかということで今日に至っておるわけでございますが、いろいろまぎらわしい点、その他いろいろ問題もございますので、将来の扱い方については、十分勉強をさしていただきたいと、率直に申し上げます。
  91. 阿具根登

    ○阿具根登君 七項症というのは、これは昔あったんです。昔からあったんです、七項症というのは。それで、これは増加恩給であったのです。それが終戦後一時なくなって、また復活したんです。その七項症に該当するのは一款症であって、金額も何も同じなら、七項症に直すか、あるいは一款症にするか、そうしないと、これは一つだから非常にすっきりしない。これはまあ今度でなくてもいいですけれども、ひとつ考えておいていただきたいと思います。
  92. 藤原道子

    藤原道子君 ちょっと関連して。  私は、審議のときにはずいぶん熱心に当局も答弁されているんですが、その運営に非常に遺憾な点があるので、この際、一例だけ政府に要望しておきたいと思います。実は、申請をしてもなかなかそれが適正にやられていない。私のところへ今陳情がきているものの一つでございますが、二人来ているのでございますが、向こうで頸部というのですか、ここへたまが当たって、現地で二発取って、内地の陸軍病で二発取って、一つまだ残っているのが明らかにレントゲンでわかっているのですね。そのレントゲンをつけて申請をしているわけです。国立病院の院長は、戦傷による半身不随、戦傷によるものだと診断をして厚生省へ申請したにもかかわらず、厚生省の診断では、これはもう中風である、脳溢血だというようなことで却下しているのですね。ところが、その本人の申し出によると、当時健康で現地で働いていて、頸部にたまを受けて、四発は取り出した、ところが、あと一発は残って、レントゲンに明らかに残っている。レントゲンをつけて申請をしても、その査定は中風の結果であって、戦傷とは認めがたい、このいうことは、私は血も涙もないことだ。それを抗議したらば、今度はその当時の診断書をよこせ、ところが、病院は焼けちゃってないんですよ、戦争中のことで。それで国立病院の権威ある院長の診断書が出ているにもかかわらず、そういう扱いをするということは、私にもどうも納得いかないし、本人の気持も非常に気の毒だと思う。こういうことはもっと慎重に、書類を出せといっても出っこない。こういう点を考えて、三十で中風になって倒れるということは、これはないことはありませんけれども、現実にたまが五発入っているということが明らかになって、四発出て、まだ一発残っている。これに対しては、私は、もう少し援護法の精神に沿って、恩給法の精神に沿って、もっとあらためて十分再審査をしてやってほしい。こういう場合は多々あるのでございますから、法律を作るときだけ熱心であって、適用する面においては非人情では私はいけないと思いますので、これは政務次官にもとくと私申し上げておきたい。
  93. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) そういう種類の陳情を私も実は受けるのでございます。ただ厚生省といたしましては、できるだけそういう方々を救い上げる、そういう同情的な態度で事件を処理したいという態度を堅持しているわけなんでございます。しかし、ただいま具体的な例をあげて御指摘になられたようなことにつきましては、十分慎重な態度で審査させまして、いい結果を得るようにいたしたいと思います。
  94. 藤原道子

    藤原道子君 お願いします。
  95. 阿具根登

    ○阿具根登君 この前、徳永委員から、未帰還者、引揚者等の問題については、相当詳しく御質問がございましたので、私、簡単に御質問申し上げたいと思うのですが、留守家族手当の期間が七月二十一日ですか、満了になるのですね。過去二回と同じように延長しなかった理由と、どのくらい該当人員がおるか、これお尋ねします。
  96. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 現在、本年一月現在で留守家族手当を受けておられる方々の総数は四千六百五十一名でございます。これらの方々のうち、今後、ただいま申されました時期までに死亡公報を発令いたしましたり、あるいは先般の会議でお尋ねのございました戦時死亡宣告によりまして、その対象からはずされていくことになると思われるものが、これは推定でございますから、多少前後いたしますが、千五、六百あるのではないかと思います。したがいまして、この留守家族手当が支給されなくなる七月末には、三千百名くらいに対象が減ずるものと現在のところ見込まれるものでございます。このうち——このうちと申しますのは、三千百名のうち、留守家族手当を受ける条件として必要な過去七年以内に生存していたと認められるに足りる資料のありまする未帰還者は、五百から六百ぐらいになるのではないか。したがいまして、留守家族のうち、二千あまりの方々が八月から留守家族手当が支給されなくなる、こういう数字になるわけでございます。しかしながら、これらの方々は、つまり留守家族手当を受けられなくなる方々の大部分は、先ほど申しました戦時死亡宣告を受けますというと、大部分の方々が、恩給法、あるいは恩給法公務扶助料あるいは遺族年金、あるいは遺族給与金、こういう遺族としての新たな給付を受けられることになるわけでございます。それで、ごく少ない、おそらくは百名以内ではないかと思いますが、その程度方々がそういう遺族年金遺族給与金もいかないという一部の人が出ると思われますが、しかしながら、私のほうといたしましては、去年いろいろ留守家族の実態調査を行ないまして、留守家族の状況を見たのでございますが、今日この百名程度のものにつきましても、それらの子弟の方々の大部分というものは成年に達しておりますし、特に生活上の支障を来たすというようなことはないというふうに判断いたしたわけでございます。また、今回この法律を通していただきましたあとは、直ちに社会局長、児童局長等と連名の通牒で、こういう全部の留守家族に対しまして、生活保護法の適用はもとより、その他母子福祉資金の貸付でありますとか、その他の援護措置を十分とるように指導をいたしたいということで、今準備をいたしております。また、こういうふうな留守家族手当の支給が打ち切られることになるということは、過去におきましてずいぶん都道府県に周知をはかってきたところでございますし、関係都道府県の様子を聞きましても、まあ大体今までのとおりで大丈夫いってよろしいという事情でございましたので、あえて延長をとらなかったのでございます。
  97. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、この法律案が通れば、民法の三十条でしたかね、これで厚生大臣が失踪宣言するわけだったんですね。そうすると、大体今未帰還者数が一万七千六百余人というこの前報告がありましたが、そのうちで生存しておると推測されるのは、樺太関係と中国関係、それから北鮮これを入れて六千八百人が生存を推測されておるのですね。そのうちの三千百名ばかり未帰還者の留守家族手当をおもらいになる。そうなりますと、その他の人は今百名くらい打ち切られる方がある、それは何とかするということだったんだが、その他の方はもう向こうで家庭を持っておられるとか何とかで、これは援護の必要はないのであるかどうかというのが一点。  それから、おそらく、この法律が通れば、たとえば南方に六百人おる、北鮮に九百人まだ帰っておらない方がおられる。そのうち百五十名生存、極端にいえば、南方の六百名というのは、これは全部死亡と認定するのですか。民法の三十条によって認定する、今度この法律で整理していまおうという考え方ですね。
  98. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) この法律で整理するという気持は全然ございません。あくまで政府といたしましては調査究明をいたしまして、不幸現状においては死亡と推断せざるを得ないような事情にありながら、そのことを留守家族に正確に伝えないで、安易な気持を留守家族に与えて、親族相続上の措置もしないままに貴重な歳月を送るということは留守家族のためにならないという気持で、調査の結果を率直にお話する対象にはするということでございます。  それから、死亡宣告をいたします場合に、法律に明記してございますように、留守家族の意見を尊重しなければならないということでございますので、私どもは、今まで国が調査をし尽くしました詳細を留守家族によく話しまして、十分納得を得た上でやるということで、留守家族の反対を押し切って死亡宣告をする意思は毛頭ございません。  それから、まず第一に、先生が冒頭に述べられました。この未帰還者の数と留守家族の数とは別でございまして、未帰還者のうちでも、この留守家族援護法を受けますのは、対象が、妻とか夫は不具でなければならないとか、父母は六十才以上とか、いろいろむずかしい条件がございますが、そういう条件に当てはまる留守家族の数を今申し上げたわけでございますので、未帰還者の数とは必ずしも関係はございません。
  99. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  100. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。
  101. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは急いで質問をしていきますが、今度の法律で療養期間が終了したものも、当分の間、引き続いて給付を行なうということがありますが、当分の間ということはいつまでのことか、途中で切られるのかどうか、その点について伺います。
  102. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 実際の気持といたしましては、転帰までというあたたかい気持で考えております。
  103. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはまことにけっこうです。  それから、今度は未帰還者調査部をこれと同時に今度廃止するのですね。そうすると、私がさっき言ったように、これで一応調査部もなくなる。そうすると、今述べておられます一万七千名のうちの大部分の人は、これはもう死亡宣告になる、こういうことになると思うのです、調査部を打ち切るということは。調査部を今もう打ち切ってしまうほど調査はもう完全に終わっておりますか。
  104. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) 決してさようではございませんで、未帰還者調査部を廃止いたしましても、調査課は残します。したがいまして、人員はほとんど変わらないで、練達の人でやってもらいたいと考えております。したがいまして、未帰還の仕事は今後相当残りますし、重視していく気持は変わりございません。部長という二等級の職員を、課長に人事の関係でするというだけのことでございます。
  105. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、引揚者の給付金が、本法律施行の際、五百億で発足したと思うのですが、その財源のワク内で給付金の国債発行が行なわれておるのだが、その後の収支状況は一体どうなっておるのですか。
  106. 山本浅太郎

    政府委員山本太郎君) これも十二月一日で、非帯にたいへん古いので恐縮でございますが、今手元にこれしかございませんので、これによりますと、今まで認定を終えましたものが、人員にして三百五万件、それから金額にいたしまして四百四十四億、それから現在認定の手続をすでにとっておりますもの、これが十万三千件、したがって現在ではこれを少し上回っておると思いますが、十二月一日と御了承いただきまして十万三千件、金額にいたしまして、約十五億でざいます。それから、今後認定をどれだけする必要があろうかというのが、これは推定で非常にむずかしいのでございますが、私どもといたしましては、まあ十万から十五万ぐらいの人員は必要ではないか。したがって、金額といたしましては、まあ二十億ぐらいは要るのではないか。以上をかりに合計いたしますと、人員にいたしまして三百三十万、金額にして四百八十億ぐらいになるのではないかと思います。
  107. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 別に御発言もなければ、本件に対する質疑はこれをもって終了いたします。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないものと認めます。  これから討論に移ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  これより採決を行ないます。戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。原案は、内閣提出、衆議院送付案でございます。本案を原案どおり可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致であります。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  111. 徳永正利

    ○徳永正利君 私は、この際、ただいま採決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議をつけることの動議を提出いたします。
  112. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいま徳永委員から提出の動議を議題とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、徳永委員から提出の附帯決議を議題といたします。  提案理由説明を願います。
  114. 徳永正利

    ○徳永正利君 附帯決議案を朗読いたします。    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案  戦傷病者遺族及び未帰還者留守家族に対しては、昭和二十七年戦傷病者戦没者遺族等援護法の制定以来関係法律の施行により、逐次援護の充実が図られてきたところであるが、今なお改善を図るべき幾多の問題が残されている。  よって政府はこれらの問題の全体についてさらに充分検討を加えるとともに、特に次の諸点については、すみやかに必要な措置をとり、援護の万全を期すべきである。  一、動員学徒等当時総動員業務に従事することを余儀なくされた準軍属遺族の処遇について遺族給与金の年金化、戦時災害要件の撤廃、遺族要件の緩和等の実現を期すること。  二、勤務関連傷病により死亡した者の遺族に支給される特例扶助料及び特別弔慰金は、死亡者の死亡が退職後一年(結核及び精神病については三年)以内の場合に限られているが、この制限を緩和すること。  三、未帰還者の調査究明は、今日きわめて困難を伴う段階にあるが、遺族の心情等にもかんがみ、これに必要な予算及び人員を確保し、戦時死亡宣告を受けたものをも含め、今後さらに調査の万全を期すること。  なお、旧満鉄等の職員であって、軍の命令又は要請によって特殊勤務についたものについては、さらに調査検討を加えるべきである。  右決議する。  提案理由説明は、質疑の間に明確にされたとおりでございまして、省略いたしたいと思います。
  115. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまの附帯決議案に対しまして質疑のある方は、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、これより附帯決議案を採決することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、徳永委員提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  117. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 全会一致であります。よって徳永委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  この際、森田政務次官から発言を求められております。森田政務次官の発言を許します。森田政務次官。
  118. 森田重次郎

    政府委員森田重次郎君) 政府といたしましては、決議の趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと存じます。
  119. 高野一夫

    委員長高野一夫君) なお、議長に提出する報告書の作成、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。     —————————————
  121. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、栄養士法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提案理由説明を願います。石原幹市郎参議院議員
  122. 石原幹市郎

    委員以外の議員石原幹市郎君) ただいま議題となりました栄養士法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  まず、栄養士法の一部改正について御説明申し上げます。  栄養士法の改正につきましては、現行の栄養士の免許についてはそのままとし、新たに管理栄養士の制度を設けることといたしたことがその主たる内容であります。  従来、集団給食施設等、大量の食事を供給する施設における食品の栄養上、合理的な消費、栄養効果の十分な給食の実施、給食担当者の栄養に関する知識の向上等、栄養の指導に関する業務であって、複雑または困難なものにつきましては、栄養士のうちでも、これに関する実務について多年の修練を経た者とか、栄養士の養成施設のうちでも、特に修業して参ったのが実情であります。今後、社会生活の発展向上に伴いまして、栄養の指導に関する業務であって、複雑または困難なものがますます増加の傾向を示しておりますことにかんがみ、このような業務を行なう適格性を有する栄養士を管理栄養士として登録する制度を設けますことが、社会の実情に即し、その要求にこたえるものと考えられるのであります。したがいまして、この際、管理栄養制度を設けることとし、これに伴いまして、これが登録資格、管理栄養士試験制度の実施及びその受験資格等につきまして所要の規定を設けることといたしたのであります。  管理栄養士の登録資格を有する栄養士といたしましては、厚生大臣の行なう管理栄養士試験に合格した者であるか、または修業年限が四年である栄養士養成施設のうち、学校にあっては文部大臣及び厚生大臣が、その他の養成施設にあっては厚生大臣が指定したものを卒業した者といたしたのであります。  これらの施設の指定は、管理栄養士たるに必要な知識及び技能を修得するに必要な課目と修習時間を有するものとして、政令で定める基準により行なうものとしておるのであります。  管理栄養士試験は、毎年少なくとも一回、栄養の指導に関する高度の専門的知識及び技能について行なうこととし、その受験資格は、栄養士であって、修業年限が二年である養成施設を卒業した者にあっては、厚生省令で定める施設において二年以上栄養の指導に従事したもの、修業年限が三年である養成施設を卒業した者にあっては、同様の施設において一年以上栄養の指導に従事したもの、修業年限が三年である養成施設であって、学校にあっては文部大臣及び厚生大臣が、その他の養成施設にあっては厚生大臣が前述の基準に準じて政令で定める基準により指定したものを卒業したもの、または修業年限が四年である養成施設を卒業したものといたしたのであります。これは栄養士がその卒業した養成施設について、修業年限の長短または同一の年限であっても、その課目と修習時間に差があることにかんがみ、これに対応して実務経験年数につき多少の差を設け、相互の均衡をはかることといたしたからであります。  次に、栄養改善法の一部改正について御説明申し上げます。  現行の栄養改善法では、栄養士を置いていない集団給食施設におきましては、その給食につき都道府県等に置かれる栄養指導員の指導を受けなければならないこととなっているのであります。ここに集団給食施設と申しますのは、特定かつ多数の者に対して継続的に一定数以上の給食を行なう施設をいうのでありまするが、国民栄養改善が強く要望される今日は、かかる集団給食施設には、単に栄養指導員の指導を受けるべしという段階を一歩進めて、その施設に栄養士を置き、また、集団給食施設中でも、特に多数の給食を行なう施設に、これらの栄養士のうち、少なくとも一人は管理栄養士でなければならないようにすることが望まれるのであります。この場合、これら集団給食施設について、栄養士の必置を規定することが望ましいのでありまするが、学校給食関係等における栄養士の設置状況等から見ても、必置を規定するについては、なお多少の日時をかすことが妥当と認め、この際においては、一応、集団給食施設における栄養士の設置及び特定規模の当該施設における管理栄養士の設置につき、努力規定とするにとどめたのであります。  次に、都道府県等に置かれる栄養指導員たるべき者の資格につきましても、管理栄養士の制度が設けられたことに伴い、従来、栄養士の資格とあった部分を管理栄養士の資格と改めました。ただし、すでに栄養指導員である者については、直ちにその地位を失うものではないとの救済規定を設けております。  最後に、今回の改正前の制度によってすでに栄養士となっている者等が五年の実務経験を有することとなったときは、管理栄養士試験の全部または一部を免除することができること等の経過措置を講じました。  なお、栄養士法の改正部分は昭和三十八年四月一日から施行し、栄養改善法の改正部分は昭和三十九年四月一日から施行することといたしました。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  123. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本件に対する資疑は次回以降に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  以上をもって本日の審議は終了いたしました。次回の委員会は、後刻、委員長及び理事打合会で協議の上連絡いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時二十二分散会      —————・—————